○伊藤(惣)
委員 私がその問題で
心配いたしますのは、結局ベトナム問題で協議するということは、現在、
沖繩を拠点として飛んでいる飛行機、あるいはまた艦艇、これが継続して同じように
沖繩から発進される、こういうことを
心配しているからであります。ですから、私が
総理に聞いたことは、この再協議についての発議権は向こうにあって、そのときには応ずる形になっておるのかということが一つありますね。これを
答弁願いたいと思います。
そしてまた、その場合、現実問題として、
沖繩米軍がベトナムに対して現在重要な補給路にしておりますね。それが五月十五日
返還になりますと
日本本土になる。そしてまた安保条約が
適用になる。そうなると、そういうベトナムについての出撃はすべて事前協議の対象になる。そこで、いままでの議論で明らかなように、事前協議の場合については、いままで十二年間という時間もあった、さらにはまた情勢も変わった、だから、日米安保協議
委員会でこの問題は提起したい、このことは
外務大臣から聞いております。
ただ私は、その場合、事前協議の対象となるのは三つある。一つは直接戦闘作戦行動。いままで何回かこの点は問題になりました。その点は協議しようということを言われておるのであります。すなわち、領海外において出撃命令を受けた場合には事前協議の対象にならないということでありますから、いままでの米軍の、横須賀から、あるいはまた岩国からのベトナム出撃については対象外であったわけです。しかしそのことは、領海の中において命令は受けないけれ
ども公海で受けるということであれば、事実
関係として、直接戦闘作戦行動に、現場に直行するならば、そのこと自体が形骸化ではないか、こういう指摘をしたわけであります。それは協議するとおっしゃいました。ただ問題は、その一つだけじゃない。すなわち、配置の変更また装備の変更、この二点もあります。そのことについては
外務大臣はまだ話し合わない、こう言っているわけであります。
そこで私は、
総理にきょう伺いたい点は、配置の変更であっても、装備の変更であっても、もちろん事前協議をもう一回根本から話し合うべきではないのか、こう指摘しているわけであります。実は前回に
外務大臣に聞こうと思ったら、きょうももういなくなりましたけれ
ども、いつも大事なときいない。
アメリカ局長がかわりに
答弁しますけれ
ども、事務的な話ばかりでいつも話が進まない。そこできょうは
総理に伺うわけであります。
大体この事前協議の中の配置の変更というものの考え方、これを簡単に申し上げますと、一つは陸海空三軍に分けまして、空の場合は一飛行師団、そしてまた陸の場合は一師団、また海の場合は一
機動部隊、ワン・タスクフォースというんですね。それでは、このような大部隊または大飛行師団が
日本の
基地に来ることができるのかと聞いたらば、
久保防衛
局長は、ないとおっしゃいました。たとえば一飛行師団、これは大体飛行機が十八機から二十五機程度で一飛行隊といわれるそうであります。それが三ないし四ないし五、すなわち数十機が動くときには事前協議の対象になるという。ではその数十機が
日本の飛行場のどこに着けるか。現状の中では技術的に無理だしそんな飛行場はないと、
久保防衛
局長は明確にしております。さらにワン・タスクフォース、一機動
艦隊、これはワン・タスクグループが数個集まっているそうであります。ということになりますと、航空母艦を中心として、そのほかに数隻、これがワン・タスクグループということになっておりますね。これが数個で機動隊である。すなわち、航空母艦が四隻ないし五隻、それに
関連する艦艇が少なくとも二、三十隻同時に入る場合には、事前協議の対象になるという。そういう港があるか、これも現実問題としてない、こういうことであります。ですから、二十数年間わが国は、
外務省が窓口になって、そういう陸海空三軍の移動について、配置転換について、
日本の
基地を使う場合には事前協議の対象になるというけれ
ども、できないことを最初から
約束しておったということであります。だいぶ
基地は拡大あるいは拡張されたところあります。しかしながら、最初からできないことを
約束しておったわけなんですね。だから私は、この問題は、そうではなくて、もう一回根本的に話し合う必要がある、こう考えておるわけであります。
それからもう一つ、重大な装備の変更、このことについてもこの間議論しましたから、私は詳しいことを申し上げません。ただ問題はこうなっております。
藤山・マッカーサー大使の
口頭了解事項によりますと、一つは、核及び中長距離のミサイル並びにその
基地の建設、このこと以外は装備の変更ではないと言っているのですね。ところで、米軍の装備といいますものは、この二十数年間の間に、数々の兵器、これがつくられております。また、その中で、先ほ
どもCBRの話がございましたが、米軍におけるCB兵器、すなわち化学兵器及び毒ガス兵器、また生物兵器、これは米軍にとっては、一九五四年に大統領命令によって通常兵器扱いされている。こういう事実
関係があります。したがってわが国においては、どこまでも毒ガスは持たない、あるいはまたCB兵器は持たないということをこの
国会でも
答弁しているわけでありますけれ
ども、もし核あるいはミサイル以外のことについては事前協議の対象にならないのだというならば、通常兵器であるCB兵器は持ち込まれても、われわれは強くそれを指摘するわけにいかない、こう私は思うわけであります。もちろん毒ガス問題については、昨年暮れからもだいぶ大きな問題になりまして、事前協議以前の問題である、したがってそんなことは事前協議にはし.ないとは言っておりますけれ
ども、現実問題として
米側が考えていることはそうではない。わが国の通常兵器と考える範疇と米軍の考える問題は違う。そこで、こういうものも含めて、事前協議全般にわたってもう一回この問題を提起して、そのことを日米間において話し合うべきではないか、こう私は指摘したわけであります。その点、
総理はどう考えますか。