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1972-04-20 第68回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十日(木曜日)     午後零時九分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 加藤 陽三君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉正君 理事 塩谷 一夫君    理事 山口 敏夫君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       阿部 文男君    天野 公義君       辻  寛一君    葉梨 信行君       湊  徹郎君    木原  実君       土井たか子君    鈴切 康雄君       東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 江崎 真澄君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府総務副長         官       砂田 重民君         防衛政務次官  野呂 恭一君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      江藤 淳雄君         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁総務         部長      長坂  強君         防衛施設庁総務         部調停官    銅崎 富司君         防衛施設庁施設         部長      薄田  浩君         防衛施設庁労務         部長      安斉 正邦君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         沖繩北方対策         庁調整部長   田辺 博通君         大蔵省主計局長 相沢 英之君         大蔵省主計局次         長       吉瀬 維哉君     ――――――――――――― 四月十九日  靖国神社国家護持早期実現に関する陳情書  (第二一五号)  衆議院解散に関する陳情書  (第二一六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖繩開発庁設置法案内閣提出、第六十七回国  会閣法第五号)  沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別  措置等に関する法律案内閣提出、第六十七回  国会閣法第七号)  沖繩開発庁設置法案大出俊君外十名提出、衆  法第二二号)      ――――◇―――――
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる沖繩開発庁設置法案沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律案、及び大出俊君外十名提出沖繩開発庁設置法案の各案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 いま委員長議題にされました、沖繩開発庁設置法なりあるいは防衛庁関係特別措置法につきまして、審議に入る際に、沖繩復帰に伴う数々の問題がございまして、たとえば沖繩公務員関係皆さん賃金の問題であるとか、あるいは民間皆さん賃金の問題であるとか、いろいろありました。そこで二月の七日、八日、九日の三日にわたりまして本委員会から調査に出向いたわけでありますが、その席上でも、これは見るに忍びぬ点がたくさんある。円レートの切り上げ問題をめぐりまして、沖繩諸君には何ら責任はないはずだが、結果的にたいへんな物価上昇を招いておるし、かつ賃金の切りかえにあたって、これまた一つ間違うとたいへん生活に響く損失をこうむるというので、この円・ドル問題等は超党派的に解決をはかろうじゃないかということで、坂村先生坂村報告も出ているわけであります。  そのポイントになっておりました公務員賃金復帰に基づきまして国家公務員地方公務員になる方々賃金につきまして、国家公務員であれば所管人事院でございますが、差しさわりがあるこまかいことはけっこうでございます。交渉をやっているわけでありますので、それに支障のあるような言い方は私はいたしませんが、大体どんなふうなぐあいに推移しているかについて、人事院の側からまず御報告いただきたいと思います。
  4. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 原則的には、切りかえにあたりましては、従来からあります本土一般職給与表というものに乗り移っていただく、そのためには、一人一人の琉球公務員諸君が、初めから本土公務員として就職されて、そして本土公務員としての道を歩いてこられたならば現在の俸給表のどこに直結するかというところを、精密に一人一人について調査をいたしまして、仮計算をいたしました結果は、大体いま出ておるわけであります。したがいまして、その点に関する限りにおいては、非常に強力なる円建ての俸給表の中に入っていらっしゃるわけですので、別にたいした問題はなかろうというふうに考えております。
  5. 大出俊

    大出委員 人事院総裁は、別にたいした問題はなかろうと言うのですが、ストライキをもう一ペんやろうとか、きょうも沖繩県労協議長官公労の前議長である仲吉君も急遽飛行機で飛んできている、また沖繩地方公務員の組織の委員長さんもあわてて飛んできてしるわけでありまして、総裁、そうたいしたことはないなんということを簡単に言われることは迷惑なんです。これはたいしたことがなければ、ストライキの相談もしやしない。たいしたことがあるから私もここで質問する気になったので、いまの話はお取り消しなさい。
  6. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 本体に対してはたいしたことはないと思っておりますということで、次の御質問があることと実はお待ちしておったわけです。  私の申しました考え方は絶対に間違いはありません。ただ問題は、そういう結果、なおかつ現在琉球政府でもらっている給与から見ると下がる人がおるのです。これはそんなにたいした数ではありませんけれども、その人たちに対して、御承知のように法律では、差額特別手当ですか、その制度があるわけであります。要するに、その制度適用を受ける人たちの問題が残っております。これは暫定的な問題であるから、最初にはわざわざ申し上げなかったわけでございます。しかし、その点については、もう御承知のとおりに、琉球政府側その他から強烈なる要望がありまして、簡単なことばで言えば、三百六十円建てで現給を計算して、そしてこちらへ乗り移りたいという強い声があるわけです。その点で、せっかくこちらへ返ってきていただけるのですから、なるべくきげんよく返ってきていただくにこしたことはないということで、これは関係向き向きもございますから、一生懸命その点について努力をしておるというのが実情でございます。
  7. 大出俊

    大出委員 どうも、君は知っていてそんなことを言うのは困るではないかというふうに聞こえるのだけれども、私も初めからいままで苦労をしておるだけに、ここまで来てひっかかることは迷惑なんです。人事院尾崎さんを中心にずいぶん御苦労をなさっておられますし、特に総務長官山中さんは苦心惨たんをして今日に至っておる経過は、十分私は承知しておるのです。山中さんだけに御苦労をかけるわけにまいらぬので、本委員会も超党派的に各党全部で参りまして、現地実情をなまで聞いて、その上で、ひとつきげんよくなんというものじゃなくて、やはり本土におるわれわれの義務として、何とかひとつ既得権というふうなものを含めて解決をしてあげたいということで、実は各党おのおの現地でものを言いながら帰ってきたわけですから、そういう形で、あと理事懇談会を開きまして、大蔵省関係局長さんにもたくさんお出かけになっていただき、あるいは経済企画庁まで含めまして、十数名の局長さんにお出かけいただいてやりとりもしたのです。  私はそういう意味で、何とかかんとかようやく詰めに近づいたわいと思っていたところなんですが、いまお話にございますように、落ちるのはわずかだとおっしゃるけれども、それはどういうふうに切りかえるかといった場合には、あるいは直近下位という考え方もあるし、それはまずいから直近上位に格づけしろというような、いろいろな意見があった。ずいぶん苦心惨たんをして調べてみると、大体こういうふうに切りかえていけば、まあ下がる人というのは一二%を欠けるのじゃないか、一一・何%かになるだろう。しかしその方方についても、何かやはり制度として乗ぜられる、ワクの中にはなるけれども。いま総裁が言ったワクの中ということですよ。何とかしょうというので、ずいぶん専門家である尾崎さんはじめ御苦労なさって、ずっと詰まってきた。ところが、その根底にあるのは何かといえば、一ドルを三百六十円と読みかえろといっていた沖繩主張、今日なおそういう主張がありますけれども、そこに立脚をして、さて一ドル三百六十円読みか——形式的にそうはいかないけれども、実際問題としてそういう形でおさまるような措置に持っていきたい、これが基本なんですね。これがくずれると砂上の楼閣で全部もとに返ってしまう。そこのところがどういうふうに進んでいるのかというのが私が聞いている質問ポイントなんです。  そこをおはずしになって、そうたいしたことはないとおっしゃるものだから、つい声が大きくなったので、これは恐縮でございましたが、どうですか、その辺のところは。具体案をおつくりになっているのは人事院なんだから、持ち込む先は大蔵省主計局なんだが、そこのところあたりは、どういうふうに人事院の側はいま判断なさっているのかという点。それぞれの立場でそれぞれの方方がたいへんこの問題については御苦心をなさっていることは承知です。しかし問題はそうならなければ意味がない。そういう意味で、現状どうなっているかという点について、いまのポイントに触れてお答えいただきたい。
  8. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 気持ちはいまお述べになったような気持ちであることはもう当然でありますけれども、先ほど触れましたように、関係向き向きもありますものですから、鋭意現在のところ努力を重ねておる。山中総務長官沖繩担当大臣でもありますし、有力なるあれでございますから、山中総務長官の御努力にもこれはまつことはあると思っておりますが、われわれとしても十分努力をしておるというのが実情でございます。
  9. 大出俊

    大出委員 時間の関係もございまして、あまりこまかいやりとりは避けたいと思うのでありますが、ただこれだけは申し上げておきたいと思うのです。  案は二月に内閣委員会から行きましたときに、各界の方々ほとんど御出席をいただいたわけであります。もちろん沖繩県労協皆さんにしても、あるいは同盟の方々にしても、あるいは経営者協会の方にしても、商工会議所の方にしても、あるいは市町村長会の代表の方々等にしても、あるいは屋良主席はじめ琉政の中心方々にも、全部お目にかかっておるわけであります。また意見をいただいているわけでございますが、問題の焦点は一ドル三百六十円読みかえということでございましたが、結果的に、何とかこの際公務員という方々について、たとえば琉球政府主席なりあるいは那覇の市長なりというところで、まず当事者間で結論を出してくれということを申し上げておきました結果、おのおの責任者は、職員の団体に対しまして、実質三百六十円ということで努力をするということになった。そこで私どもは、そうなると民間はどうするのだという問題になる。世俗的にいえば、親方日の丸のところが三百六十円に何とかしてもらえそうである、そうすると、じゃ親方日の丸でない企業という段階で働いておる方々はどうするのだという点を、むしろ日本政府にも、あるいは琉球政府にも、市町村長にも強く要求すべきであろうという言い方を、逆にこちらからしてみた。結果的に民間諸君はそういう体制でストナイキを打ち返しながら進めていった。さらにその上に、これは山中さん、大蔵省双方のいろいろな話し合いの結果、金融措置なり料金の引き上げなり、可能な限りにおける各般の施策が進んでまいりまして、私の見る限り、どうやら民間のほうは何とかなりそうに思う。そこで、民間が何とかなって、さて本体である親方日の丸といわれたその公務員のほうが置いてきぼりを食うのでは、これは現地公務員諸君だって、もう一ぺんゼネストぐらい打とうやということになる。無理もないところであります。  そこで、二つに分けて承りたいのでありますが、山中長官に、現地労働契約という一点で働いている労働者諸君の中で、全体的に見て、どのくらいのところ三百六十円並み賃金が払えるようになったかという点。これは私は、懇談会の席上、御出席いただいた各省の局長さんに、砂田長官を交えまして、データをつくってくれ、地場産業であるみそ、しょうゆをつくっているようなところが残るかもしれない、これも利差等を考えて埋める方法はなくはないはずだ、だからどのくらいのところが復帰に基づいて本土並み賃金が払えるか、本土並みといえば実質三百六十円、この点についての資料がほしいということを前から申し上げているのでありますが、まだ出てきておりません。そこで、どの程度民間の側のほうは片がついていっているかという点を、長官御苦労の結果でございますので、一言先に触れておいていただきたい。
  10. 山中貞則

    山中国務大臣 さきに決定いたしました産発の十億、それから大衆金融公庫の一種も含めた七億六千万円、それから金融機関に対する貸し倒れ準備金繰り入れ率の千分の十五への引き上げという措置等に関連をする新料金設定、こういうもので大体現地において実質で五〇%妥結した。これは企業者側もそれでいいということでありますから。残り五〇%が、やはり私の心配いたしておりましたとおり、その措置のみでは解決できないという事態であるように思いました。  したがって、先般の大蔵委員会において沖繩振興開発金融公庫法可決の際における与野党一致附帯決議を踏まえて、政府としては大蔵大臣も含めてともに答弁をいたしましたが、その際明らかにした構想として、八十億以内において一年間の受付による貸し出しをする、条件は七年償還の二年据え置きの三分である。この措置によって、大体沖繩において、実際の手段としては既応債肩がわり等により、金利差のメリットによってそれを措置することになりましょう。これはほとんど一〇〇%民間は片づいていくと思います。  そこで、御質問はまだそこまで入っておりませんが、先般の官公労諸君妥結にしても、あるいはまた琉開金、あるいは水道公社、あるいは電力供給公社等妥結にしても、すべてが三百六十円ということを念頭に置いた賃金の確保ということについておおむね回答を得たということにおいて、ことに官公労等は、自分たち既得権として最後まで主張し続けてまいりました有給休暇買い上げ制度というものも、若干の妥協点を見い出した後、それもおりたわけでありますから、おりて妥結した前提には、その差額手当の支給も含めて、三百六十円計算とはいいませんが、それを前提にした妥当なる金額の支払いが行なわれるものということで妥協いたしております。しかもそれは、五年間にベースアップや昇給によって消化をされていくことは確実でありますから、それらのことも念頭に置いて処理されておりますので、この際大蔵側としては、そういう公務員だけの表現であるというならば、それは、税制あるいは企業負債、あるいは消費者米価、全部三百六十円にしなければ筋が通らぬという言い方もあります。私はこれは財政主管当局として当然の理論的な主張であると思いますが、しかし、ここまで進んでまいりましたものを、これをいまさら、あなたの言われるとおり、話が違うという入り口の条件が違ってくるようなことでは、やはり復帰をわずか二十日余りにした沖繩に与える影響はきわめて甚大でありますので、大蔵省も来ておりますが、私におまかせを願って、この問題は早急に御心配のないようにしたいということにしたいと思うのです。
  11. 大出俊

    大出委員 こういうときははっきりものを言ったほうがいいので、私、申し上げますが、いまの問題がなおここ一両日中に片づかぬのならば、私はむしろ、沖繩組合皆さんに対して、ストライキをやれ、無期限でやってしまえとあえて言いたい。これだけ苦心惨たんして、むしろ超党派的に、生活にかかわる問題ですから、たいへんな物価上昇の中で苦労している皆さんですしするので、何とかこの点の解決をはかりたいということで、現地でものを言い、かつ、いまでもそう考えている皆さんなんです。その基礎である三百六十円という問題が、いま長官の言われるように、三百六十円を前提として、ただしそれは妥当な額という意味でお話しになりましたが、この約束ごとが守られないのだとするならば、これはもう私ども言うことはない。そうなれば、まさに労働組合ですから、本来の固有の権利があるので、そういう意味でおやりになるということは、これはとめようがない。  たとえば、いま別なほうで問題になっております沖繩郵政省関係職員皆さんでも、昨年の七月に一三%の賃金アップの勧告が出ておりまして実施しておりますから、俸給表昇給カーブを属人的に並べたものを調べてみると、たいへんな開きがあるわけですね。だから、これはいま話が進んでいる過程でとらえてみても、千五百人ばかりの中の方々ですけれども、そのうちで本土復帰して本土給与体系に乗ってよくなるというのは二七%くらいしかない。あと七三%の方は全部ダウンする。そうなると、この方々は何のために復帰するのだということにならざるを得ぬですね。  それは、郵便配達なりあるいは郵便の内務なりをやっている諸君というのは、ほかより賃金が高いのだといってみても、歴史がありまして、これはアメリカの施政権下における裁判その他にまで訴えて、妥当なものだというので、琉球立法院の議決を経た予算、それの凍結を米軍にされたやつまで解除すべしということになって賃金をもらったわけですから、高いのは歴史的にあたりまえだ。それすら実は本土復帰にあたってあきらめなければならぬというところに来ている。よしんばそれをあきらめても、なおかつ基礎になる三百六十円というのがくずれれば、これはまさに往復びんたをひっぱたかれたようになってしまって、こんなのなら復帰しないほうがいいということになるのは、現実問題として間違いない。同じことが一般公務員諸君にも言える。だから、せっかくまとまりかかったが、打ち直し、やり直しをしようということにまで実はなる。これは無理もない、こう私は思う。  そこで、これはずばり大蔵省相澤さんに聞きたいのですけれども、私が電話を入れて人事院関係諸君のほうといろいろ話を聞いておりました過程で、具体的な案をつくって持ち込むのは人事院でございましょうから、この過程で、実質三百六十円、いま長官の言う三百六十円を前提にした妥当な金額、こういう点で話が進められる中で、主計局としては総理府からこの問題についての話を受けていない、山中さんに、どこか国会報告か何かあったけれども、どうもその話は出なかった、いまになってそう言われることは私はたいへん迷惑だ。おのおのそれは、所管所管によってものの考え方、進めていく筋道等があります。それは認めております。それにしても、この段階片一方郵便局関係ストライキをやる。同じ郵政省傘下でございますから、沖繩電電公社関係も、そうなればやらざるを得ない。そうなれば耳まで聞こえなくなるわけでありますから、琉球主席屋良さんの電報ではありませんけれども復帰準備は完全にできない、こういうことであります。  この問題といまの一般公務員の問題とは、三百六十円という問題をめぐって基礎においてからんでいる。ところが、これについて、この段階に及んで、事具体的な中身になってきて承っていないという話になるのだとすると、これはたいへんなことでございまして、もし相澤さんが承っていないとするならば、私は総務長官にものを言わぬばならぬ。何で苦労してお互い話をしてきたのだということになる。そこのところを、まずひとつ大蔵省主計局皆さんの側で、関連する消費者米価その他もろもろのものがありますことはわかっていますが、事はこの公務員賃金について、これだけ長い間、二月の段階からいままで苦労してきているのですから、知らぬということはないと思う。話がないとすればないで、一体どうして話がなかったのか。全くないのか。それとも、それなりの話はあったが、核心に触れたこうしろという話はなかったのか、それはわかりません。そこらのところをまずお答えいただきたい。
  12. 相沢英之

    相澤政府委員 沖繩公務員給与の切りかえに伴ういわゆる差額手当の問題につきましては、御案内のとおり特別措置法の第五十五条に規定してあるのでございますが、これは人事院規則で定めることになっておりますから、人事院のほうで、現給保障の場合の円・ドル交換レートにつきまして、どういうふうにお考えかということが第一義的には問題があります。この点に関しましては、したがいまして、人事院規則を制定する際に、私どもとして意見を求められればどうかということになろうかと存じます。この法律をつくります際にもこの点は問題になりました。私のほうは総理府のほうから話を聞いてないということはございません。十分この点についても話はございました。  そこで、私どもとしましては、沖繩における円・ドル交換につきましては、たてまえが、特別措置法の第五十二条によりまして、すべての債権債務は四十九条の第一項の通貨交換レートによる。その通貨交換レートというのは、「この法律の施行の日前における外国為替売買相場の動向を勘案し、内閣の承認を得て大蔵大臣が定める」、こういうふうになっております。現在で言いますと、一ドル三百二円かそこらになりますが、いわば実勢レートできめるということになる。その実勢レートによるのか、基準為替相場つまり三百八円によるのかということになると、具体的に、沖繩におけるいろいろな価格あるいは手数料その他の、政府ないし県が定めるべきものについての換算レートをきめるところの基準としましては、この法律は、およそ基準為替相場またはその復帰時点におけるところの実勢レートというものをたてまえにしているというふうに、私どもは考えております。またたぶん総理府もそういう認識であったと思います。  この給与の問題につきましては、当然そういうことが問題になるということが予想されましたので、私どもはそれは、実勢レートあるいは基準為替相場つまりドル三百八円でもって考えるべきではないかということを言い続けておったわけであります。全体の構成が、そういうことで債権債務については基準為替相場または実勢レートによるということになっておりますので、ひとりそういう公務員給与についてかつての一ドル三百六十円で切りかえるということは、どうしても体系上問題だということを申しておっただけであります。  そこで、もう一つの、実体的にどういうふうになるかという点につきましては、最近私ども聞いておりますところでは、現在人事院において行なっておりますところの格づけによりますと、大体現在の給与との比較では、結果的に一ドル三百七十円に近い交換レートになるがごとく格づけが行なわれておるというふうに聞いております。そうしますと、個人個人といたしましては、おっしゃるとおり問題があろうかと存じますが、平均的に見ますと、大体一ドル三百六十円ないしそれ以上の実質的な交換ということが保障されているならば、この問題になるところの特別手当は、現給保障という経過的なものであるから、本来の円・ドル交換のたてまえをくずしてまでそれを一ドル三百六十円で換算するというのはいかがであろうかということを、私どもは申しておったわけでございます。
  13. 大出俊

    大出委員 おそらくこの席上で、まさか相澤さんのほうで、ほかにものを言ったように、山中さんから聞いてないというようなことはお答えにならぬだろうと私は思っておった。そうならば、ちょっと穏やかならぬことになりますからね、皆さんの内部の問題ですから。しかしいまのお話で、承っておるということですから、この点はそれでよろしゅうございます。私もそれ以上言うことはありません。  そこで問題をしぼりますが、そうなりますと、現給比較をやってきて、さてどう格づけるかということでありますが、この面では、いまのお話では、一ドル三百六十円をこえる換算レートになりそうである、なるがごとく聞いておる、こういうことでありますから、そうすると、残る問題はいまの特別手当ということに限られている感じがするわけでありますが、そう考えてよろしゅうございますか。
  14. 相沢英之

    相澤政府委員 そうだろうと思います。
  15. 大出俊

    大出委員 そこが実は問題でございまして、ただいま、特別手当というものを幾つかに分ける分けない、いずれにいたしましても、昔一つ先例がありまして、自治体警察をいまの国家警察にかえるときに、自治体のほうが高かった。高いのをどう処理するかという問題があった。これは一種の警察方式です。消し込み方式。  私どもが一番初めから心配したのは、現給比較、現給保障の面で、向こうは高い部分があるのです。郵政省なんかはほとんど高いわけです。昨年の七月に一三%賃金アップして、これは俸給に入っておりますから。公務員皆さんの場合は八・七%の値上げの勧告がありましたけれども、これは入っておりません。だから、これをどういうふうに含めるかという問題はありますけれども、それにしても、高い部分についてこれをかつての先例の消し込み方式をとって、その換算率が三百八円だなんていうことになると、本来基本給に乗っているべき筋合いのものを消すために特別手当にするのですから、その基本給が消える上に三百八円では——これは沖繩県民の皆さん沖繩公務員皆さんに何の責任もない。しかも総理は一生懸命、直前まで円の切り上げはいたしませんと言ってきた。きまったのは昨年の十二月十九日ですよ。そうなると、いま特別措置法の話が出ましたが、あの法律を起案したときには、レートの切り上げなんてことはいたさないという方針のままでやってきた。私ども最大の心配はそこにあった。だから別の方法をとろうかという実は技術的な問題を考えた時期もある。がしかし、大蔵省民間その他あわせ考えてみてこの辺のことはわかるだろうというので、こういう技術的な方式で進んできたという経過です。ここまできて、さてその特別手当なり消し込み対象になるようなものについて三百八円で計算をいたしますなんてことを言われると、問題は完全にもとに戻って、いまからすべて御破算にしてやり直しです。当然そうなればこれは復帰に間に合わない。ストライキ開始をやっていただく以外に道がない、こういう結果になる。  だから、そこのところを踏まえて大蔵省がそうおっしゃっておるなら、私のタッチしておる限り、ほかのほうは全部それでいいのです。あなたのほうは、外堀から内堀まで埋められて、大蔵省だけぽつんと残って、水攻めみたいになって、高松城のように腹を切っていただく。そこまでねじ伏せられるのじゃかなわぬかもしれませんが、そこまで来ておるのです。ここまで来たら一に大蔵省の態度にかかっている。私は大蔵省を攻める覚悟でストライキやれと言います。だから私は、きょうは水田さんか主計局長さんかのどちらかに出てきてもらわなければ困ると言ったのです。実質的に金のほうの中心相澤さんでしょうから、そこのところはしかと承っておきたい。  何となれば、二十八日からストライキに入ろうという組織をかかえておる。きょうは二十日ですから、指令はきょう出すのですから、もうそろそろ時間でしょう。だから、そこのところを踏まえて、これから先いまの考え方を固執されるおつもりなのか。まず外堀、内堀、どうもそうでなくなってきているのだから、まん中にお出になるあなたは、この辺でどっちを向くのだというところを実はしかと聞いておきたい。きょうは、沖繩から県労協議長以下皆さんが飛行機で飛んできて、この話を聞いて、帰ってどうするかという腹をきめる。昨晩は夜おそくまで人事院と交渉されてるわけですから、いかがでしょう。
  16. 相沢英之

    相澤政府委員 この特別手当の方式は、ただいまおっしゃいましたとおり、自治体警察と県警察が一本になった際の差額手当といいますかの支給方式にならったものだと思います。したがいまして、交換レートの問題さえなければ特別な問題はなかったのだろうと思います。  換算のレートをどうするかという点につきましては、おっしゃるとおり、特別措置法をつくります際は、まだ為替相場の切りかえは、変動はなかったわけでございますから、そういう点はこの三百六十円というものを前提としておったんではないと思いますが、しかし、予算を編成いたします際に、実は一ドルを幾らと見るかという点はあらゆるものに関係してまいりました。米価もそうでございますが、糖価とかビールとか、その他の予算に関係のあるものの価格をどうするかという点で予算に関連があったわけです。そこで、この問題もその際に検討をいたしまして、結局一ドル三百八円ということを前提に、いろいろな補償措置にいたしましても、また糖価あるいは消費者米価の算定に伴う国の支出金にいたしましても計算をいたしたわけでございます。  給与の点につきましても、したがいまして、私どもは、これは一ドル三百八円で計算をするということで総理府にもはっきり申しました。そういう了解であったというふうに私どもは存じております。問題はですからその後の動きなんだろうと思います。  軍労が実質ドル三百六十円でもって復帰後の給与を考えるということになりましたし、また民間賃金も大体一ドル三百六十円というようなことをめどに労使の間で話がまとまりつつある。そういうことに対しまして、国も、中小企業金融対策ということでございますけれども、八十億を見るということになってきた。そういう情勢の変化と申しますか、推移を踏まえての総務長官の御議論だろう、また現地の御要望だろうと思います。したがいまして、私どもが、どうしてもここで一ドル実質三百六十円でなければならぬかどうかということをもう一度考える必要があるかどうかということだろうと思います。  そこで、どうも全体の構成が、どうしても基準為替相場というものを基準にして立てられているものですから、その点はおわかりいただけると思うのですが、筋を申しますと、たとえ外堀、内堀を埋められても主張すべきものは主張するというのがたてまえだろうと思います。しかしながら、諸般の事情を私も聞いておりますし、また先ほどの総務長官からの御答弁もございますので、その点につきましては、もう一応なお検討させていただきます。
  17. 大出俊

    大出委員 私も実は、相澤さんの立場で言っておられることがわからぬわけではないんで、理屈を言いますといろいろあります。たとえば、私ども沖繩調査に行って帰ってまいりまして、いろいろそれなりに与党の皆さん御苦労なさいまして、総務長官にも話をする、また大蔵省の筋にもものをいうことになった。  そこで、幾つかここにもございます。これは二月十七日の新聞なんですけれども皆さんのほうでさっそく、タクシー料金その他、離島への船舶の問題であるとか、ある意味の公共料金ですが、値上げで三百六十円に持っていけるものはそうしよう、あるいは金融措置でやれるものはやろうということで、これは皆さんのほうもたいへん御苦労なさって、とりあえずの手当てをされたという経過がありまして、以来今日に至っているわけですが、ただ、ここまで参りますと、さんざん話を方々してきておりますから、理屈じゃ通らぬのですよ。つまり沖繩公務員皆さんにすると、ふところ勘定の面で高いのを切り払われて、基本給からなくなっていくという筋合いのもの。消し込みという名のとおり消える。それが五年なら五年であっても消えるのですから。それを手当という形で消していくわけですから、そうなるとタコの足を食う以上に悪い。それをまたまた三百八円で計算をされるなんてばかなことになって、一体これは黙っていられるかという気持ちは、ほとんどの沖繩方々気持ちです。  だから各省にしても、沖繩に人を出すについて、普通では行かないから何かつけてやらなければいかぬということになるのだろうと思うのです。逆なことを言えば、沖繩皆さんとすれば、せっかく長年苦労して復帰するというのに、こうけちられたんじゃ、あまりといえばひど過ぎるじゃないかという気持ちになるのも無理はない。そこに問題の焦点がある。だから、いま検討してみたいというふうにおっしゃるのだが、総務長官の答弁も、これありということをおっしゃるのだが、くどいようだけれども、はっきり申し上げて、時間がないんです。一体いつまでに検討すれば気が済むのですか、あなたのところは。
  18. 山中貞則

    山中国務大臣 これは主計局長といってもやはり役人でありますから、政治的な判断等を加える場合に、ここで大蔵省のいわゆるレートに基づく理論というものをくずそうというのは私は酷だと思います。したがって、これを大蔵省の理論どおり承知しましたと言っても、なおかつ可能な手段があります。現地復帰前にドル建ての計算を、三百八円で計算された金額に直しておけばいいのですから。したがってそれは、大蔵省は理論どおりやって、実質の結果は同じになるわけですから、だからここで政治的な問題として私ども受けとめて、局長をこれ以上詰めてみても、私はやはり理論的にそれを別な理論でもって肯定する手段はないと思います。  したがって、大蔵大臣も不在でありますから、私におまかせ願いたい。そして、いま言ったような不穏当なる手段であっても、大蔵は、理論的に割り切れたら、それをのまざるを得ないということに、先ほどの話ではなるわけでありますから、復帰直前に三百八円で計算された場合、三百六十円であるためには何ドルにしておけばいいかということをわざわざさせるということも、たいへん問題がございます。しかし、どうしてもだめなら、そういう手段もとらなければなりません。ですからここらのところは、高度の政治問題としておまかせ願って、いま復帰直前に地元の渋滞、混乱を招くようなストを回避するような手段をぜひ政府国会与野党一致して、私の言明によって、そこらのところを高度の判断をしていただきたいものであると考えます。
  19. 大出俊

    大出委員 二つあるんですがね。私は、大臣か主計局長さんかいずれかにお出かけいただきたい、事復帰事務ができないということにからむ問題だから、というふうに実は申し上げたのは、相澤さんがお出かけいただくにしても、おそらくそのところを大臣とお話しいただいて出かけていただけるだろうと思った。だから、大臣がお出かけいただくか、主計局長さんがおいでになるかしていただきたいと言ったのは、事差し迫っている問題だから、政治的な意味も含めてお話し合いをいただいて、そこで御出席をいただきたいという意味だった。だからいいことばでいえば、これは官僚の知恵ですよね。決してこれは悪いことばじゃないと私は思っている。一つの制度がある、制度をはずしちゃものを言えない、どうやれば技術的に制度に乗るかということになる。だから、いま山中さんああいうふうにおっしゃるから、私のほうもそこのところはわかっているから、方法としては二つあるんじゃないか。復帰の前に向こうで上げてしまえばいいじゃないか。上げて持ってきて、結果的にならしてみたら三百六十円になっていればいいじゃないか。いま琉球政府主席で、沖繩県じゃないんだから、そういう方法もある。  そうじゃなくて、本土制度に乗せました調整、再調整というかっこうで技術的にやる方法だってあるじゃないか。制度に乗せてやる。ところがその場合には、賃金格差で現給比較の面で差が出る、その差についてどう扱うかということになった場合に、それを三百八円で計算されちゃ困る、だから向こうにやらしちゃっておけという話まで、正直言うとそれが優先して出てきた。ところが、結果的に詰めていった結論は、いまの、かつての警察方式流の特別手当ということで、消し込み方式をとるということになった。そうすると、一番先に心配した、その計算を三百八円にするか三百六十円にするかというようなことについての問題に戻ってきているわけですね。  私はそこを一番最初心配しておった。その二つあると言った二つ目の方式でいけばそうなると言っていたら、そこに来たのです。そうでしょう。だから、山中さんがそうおっしゃるけれども、いまに始まったことじゃないから私は言っている。だから、その問題にひっかかると、ほかのものはみんな片づかずになってしまう。現地へ行ってものを言えない。だから私は、もう少しそれこそ器用な答弁のしかたがあってもいいだろうと思うのです。筋、筋とおっしゃらぬで、筋は筋でいいですから、もうちょっと相澤さん、いかがなものでございますか。長官の言っていることは私もわかっているのです。それは水責めにあったって、一人残ったってというようなことをおっしゃるから……。
  20. 相沢英之

    相澤政府委員 一人残っているというふうに私は考えておりませんで、その点は、私ども従来承知しております範囲では、人事院も同様の御意見だというふうに承っております。  先ほど総務長官が言われましたのは、私がどうも解釈をつけ加えるのはおかしいのですが、現給を考える場合に、現給というものを実際に一ドル三百六十円になるがごとく上げておけば、その差額手当をそれをもとにして計算すれば同じことじゃないかという意味でおっしゃったのだろうと思います。私が申し上げておりますのは、ただ形式的に一ドル三百六十円という線が守られれば、あとはそういう実質的なあれをくぐるような方法もよろしゅうございますとは、どうも申し上げられないと思います。  というのは、消費者米価とか、あるいは砂糖の価格とかビートの価格というものを、復帰に際しても現在よりも上がらないようにということで、税法の面でも、あるいは差額支給という面でも、予算上措置をいろいろとっておるわけでございます。したがって、物価体系としましては、一ドルが三百八円であるがごとくなるようにできるだけの努力をするということまで来ておる。そういう前提であれば、やはり給与もそういうものを基準にして切りかえられるのが当然じゃなかろうか。もし一ドルが三百六十円ということで切りかえられる、それが大勢であるというなら、そういう特別措置政府がとりました個々の物価の面につきましても、一ドル実質三百六十円ということでそこを考え直してもいいじゃないか。つまり、生産者米価は一ドル三百六十円でやるのだ、消費者米価は一ドル三百八円でやるのだということでは、どうもあまり筋もないし、おかしいじゃないのかというのが率直な私ども気持ちなんです。  あまり私にこれ以上答弁させますと、だんだんそれていくのじゃないかという気がいたします。
  21. 大出俊

    大出委員 これ以上質問しなければ、それていかないということになるのですね。だから、山中さんの答弁に対して、それでよろしゅうございますとは申し上げられないというのですが、反対と申し上げることも申し上げにくい。よろしゅうございますとは申し上げられないけれども、反対とも言えないということになればいいのです。事は簡単なんです。  そこで、これ以上質問するとそれていくのだそうですから、いまやめておけばそれないので、やめますけれども、一つだけあるのです。   〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕  あなたのほうは、たとえば国にすれば、那覇の市長が三百六十円で何とかしましょうと答えてしまうと、そんな財源は、那覇の市長ございますかとすぐ言ってくる。税金は一体幾らでお取りになるのですかと言ったら、三百八円で取る、そんなことを言っていて公務員給与は三百六十円で払えるのですか、こういう理屈になる。同じ理屈になるのです。大蔵省でいえば、出すのは三百六十円、入るのはみんな三百八円、そんなことでさいふの口が守れるのですかということになるのは私はわかっておる。わかっておるけれども、なおかつそこを越えて、大蔵省の筋道というものはお互いにわかっているのだから、しかし現地では、実際問題として生活に大きく響くということで、何としても、それではと言って旗を立てないようにしていただかぬと——政治的ないろいろな考え方があって、復帰のときにゼネストでもおやりになる。それは私は関知しません。私の委員会給与を担当している委員会ですから。  しかしそれは、軍労の問題であろうと、一般公務員の問題であろうと、あるいは少しわきのほうの問題であろうと、この切りかえ、つまり復帰に際して、給与の問題でストライキだ、ゼネストだなんということをしてもらいたくない、正直言って。将来一本の地方あるいは国の公務員におなりになる方々だから、これは責任上そういうことはできない、こう思っておる。だからここまでしつこく言うのです。さっき、長官の言ったことについてよろしゅうございますとも申し上げられないとおっしゃるのですが、しかし、反対というわけでもないのだということにしておいていただかぬと、さっき長官が言った筋は通らない。よろしゅうございましょう。その辺でよろしいでしょう。
  22. 相沢英之

    相澤政府委員 御質問はこの問題だろうと私も思いましたので、出席いたす前に、できれば大臣とも相談したいと思っておりましたが、急に向こうが早く終わって、また大臣が衆議院の大蔵委員会のほうへ出席いたしたものですから、相談する時間がなかったわけでございます。この問題につきましては、先ほども申し上げましたとおり、政治的な考慮も十分に必要なものだと思いますので、この点は大臣ともできるだけ早く相談をいたしたいと思います。
  23. 大出俊

    大出委員 わかりました。人事院も同じ立場だということを相澤さんの口から伺いましたが、人事院の立場を私は知っておるつもりでございますから、いまの点については、これ以上質問いたしません。ぜひ大臣と御相談いただきまして、山中総務長官が言われた筋に皆さん方の筋を——筋をはずせとは申し上げませんが、そこらあたりは政治的なという御発言もございましたから、そこらも加味して問題をおまとめいただきたいと思います。  そこで別な問題で人事院皆さんにちょっと具体的なことを承っておきたいのですが、他のほうは、一三%上がって基本給に実施されたという形で入っておるのもある。ところで、人事院所管公務員皆さん方は、八・六%がどうも宙に浮いておるという感じがいたします。ここのところについて、尾崎さん、いま人事院がいろいろお考えになっておられるようでございますが、そう簡単によろしゅうございますと言えた筋合いのものではないと私は思う。かりに昨年の七月に八・六%が出ておるとすれば、これは実施されておるはずであります。そうなると、他の郵政省なり電電公社なりと同じ関係になる。そのためにストライキをやろうという組織ですから、似たようなことになると思う。そうすると、これは私は言い過ぎるかもしれませんけれども、これをどういう形にするにせよ、やがて本年も八月ごろには勧告が出るのだからということでひっかかるのかもしれません。しかし八・六%も将来消えていくということになる。人事院考え方からすればそうだろうと思う。そうすると、その期間というものは、ある程度現地皆さんが気が済むように、十分に考えていただきませんと、その問題でまたなかなかまとまりにくいものが出てくる。現地の事情を聞いてみてそういう気がいたします。  できれば私も、あしたの質問でも終わったら、もう一ぺん行ってこようと思っておるぐらいでありますけれども、そういう意味で、ここのところの扱いについて、給与局長に言い過ぎていただきたくないのですけれども、どうお考えになっておるか。二、三日前の質問じゃありませんが、答えてくれと言ってないのに、手をあげてかってにものを言っていただくと私のほうも引けなくなりますから、そこらのところは、ひとつお気をつけいただきまして御答弁をいただきたいのでございますが、いかがでございますか。現地皆さん気持ちをくんでいただきたい、こう申し上げておるのです。
  24. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 差額手当関係につきましては、ただいまどういう換算率でいくかという点が問題になりますけれども、まあ、あとの話でございますが、その額がきまりました場合の切りかえ、あるいはそのくずし方という問題にかかわった非常に技術的な話になるわけでございます。やはり現在硫政の公務員であられる方々から本土国家公務員になるという場合には、その従来もらっておった現給、前日の五月十四日現在の現給ですが、形式的にはそういうことで、それをもって五月十五日のこちらのほうの給与に切りかえるということになるわけであります。  したがってその場合に、向こうのほうの、現在支給されておりませんけれども、八.六%というのは、五月十四日現在の現給には形式的には当然入ってくるということでございますけれども、こちらのほうも、五月十五日現在の俸給という関係としましては幾らであるかという点で、その相互の比較によって差額を見る、切りくずし方を考えるということになるわけでございまして、その五月十五日現在の関係としましては、ベースアップの関係がどういうふうになるかといった関係が入るわけでございます。そういう点で、その両方にベースアップをどういうふうに考えるかという問題になりますので、その点はよく現地のお話も伺って、そのくずし方というものを考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
  25. 大出俊

    大出委員 これで終わりとしますが、八・六%の分ですか、これが出たときには、ずいぶん大きな期待感を現地方々は持った。ところが、さて本土制度に切りかえるという段階になりまして、八・六というのはどうなるんだろうという期待感から不安に変わった。これはいわゆる現給ではないのですから、それだけにこれがどう乗るんだろうと、既得権という意味でこう考えている。いまいろいろやりとりされている中身を私はよく知っております。その上で申し上げているのですが、それじゃ困る。もう少し期間的なものも含めて、やはりなだらかな解決のしかたを考えてあげていただきたいものだという意味なんです。  そこで、そこらあたりはひとつ慎重に話し合って検討したいということであれば、あとは当事者でございますから、そちらにおまかせをしたい、こう思っておる。まだ話が途中のようでございますので言い切らないでおきますが、ぜひそこのところは、現地皆さん気持ちをよく承った結果私はこう申し上げておるので、慎重に御検討いただくということにお願いできませんか。
  26. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 この問題は、やはり一つの筋の問題もあると思いますし、現地の御要望もあろうかと思いますので、そういう関係をよく調整して適切な措置にいたしたいというふうに思っております。
  27. 大出俊

    大出委員 それでは、給与関係の問題はまだ多々あるのでありますけれども、とりあえずいまの二点にさせていただきたいと思います。これは総務長官に長くお骨折りをいただいてまいりましたが、最後の詰めでございますので、先ほど前向きな御答弁を賜わりましたので、どうかその趣旨に従いまして御努力を賜わりますようお願い申し上げておきたいわけでございます。  そこで、いま食事というお話もありましたが、ちょっとお待ちをいただいて、総務長官のほうに移る間、防衛庁所管の問題をここにひとつはさましていただきたいと思います。  ベトナム戦争とからみ、かつ間接的に沖繩の諸問題ともからむわけでございますが、厚木の基地に他国籍の飛行機がここのところたいへんひんぱんでございます。これはかつてもそういう例が二、三ございまして、私のところの横浜の市長の飛鳥田さんがおいでになる時代にも、厚木の基地に第三国の飛行機が来たというので論争をしている議事録もあります。あるいは参議院のほうでその後取り上げられた時期もございました。だが、私も神奈川におりますので、厚木基地周辺の専門的な立場に立つ方々のいろいろな御意見を最近承ってみたのですが、いささかこれはただごとならぬという気がする。そういう意味で承りたいのですが、この厚木の基地に最近ひんぱんに、アメリカでない、ほかの国の飛行機が来るということについて、現状をどのように把握されておられますか。
  28. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 新聞等でも報ぜられておりまするし、地元では監視委員というものがあって、現実に見ておられるそうですね。ですからこれは、やはり基地周辺の住民感情から言うならば、非常な不安を持つわけでありまするので、一体どういうことかというので、私も役所に戻りまして調査を命じておいたわけであります。  今日まで伝わってきております段階では、アメリカのグラマン社が借りておる、グラマン社の管轄下の飛行機が、日本の修理技術というものを評価して修理に来ておるのだ、こういうことでありまするが、なおひとつ詳細の調査をするように実はいま命じておるところであります。
  29. 大出俊

    大出委員 どのくらいの飛行機がいつごろからいつごろまで、たとえば昨年末から今日まで厚木の基地にどこから飛んできてどう入っているか。夜、来て格納庫にすぽっとしまっちゃって、外から見えないように苦労していたりする。ところがこの修理なるものも、旧来は六カ月かかっているが、最近はこれを非常に急がせて、十五日ないし一カ月、どんなにひどいのでも三カ月以内でやれというようなことになっているわけでありますが、ベトナム戦争との関連もあって、最近たいへんふえてきている。そういう状況でございますが、機数あるいは機体番号、国籍、入ってきた目的等々に分けて、お調べの結果どうなっておりますか。何機ぐらいありますか。
  30. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 いま、ちょっとここに資料を持ち合わしておりませんが、至急調べまして、私もそれを命令いたしておりまするので、また御報告申し上げたいと思います。
  31. 大出俊

    大出委員 機数を申し上げますと、これは最近のものだけ取り上げますが、四月十七日に入ってきている飛行機、機体番号も全部ここに写っていますが、これはタイ国の飛行機であります。それから韓国籍の飛行機も、いろいろな写真がありますが、はるかかなたに写っておりますが、やってきている。数字がここにありますが、きのうまた入ってきているのですね。きのうのやつの番号は三二四四という数字で、これはROKと前段に書きましてエアフォース、胴体はこうなっているのですね。これがきのう入ってきた。これは一機です。  そこで、最近という意味で、特に激しくなった最初の発見は十二月十三日で、これが一二六五という数字の機体番号であります。HU16Dというマークが入っております。グラマンのS2トラッカーというのですか、対潜哨戒機ですね。それから四月十七日の確認は六四三〇という数字でございまして、これがさつきお見せしました。  そこで、だから四十六年の十二月から本年四月までの間に確認し得たものだけで、タイ国籍のものが六機、韓国籍がいま三機、こういう機数。あと夜、入ってきますからわからぬものもあります。  そこで、このいまのお話からすると、業務契約がなければならぬことになるのですが、その業務契約というのはどことどこでどうなっておりますか。
  32. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 ちょっと私、詳しいことをよく調べておりませんので、後刻報告をしたいと思います。ただ、あくまで修理であるということを申しておりますが、詳細を調査して結果は御報告したいと思います。
  33. 大出俊

    大出委員 ところが、民間ベースの修理だ、こういうのですが、中にこれは米軍が、私のほうで調べた限りは入っている。そこで、この問題の飛行機は、米軍がグラマン社から借りた、そしてこれをさらにタイ国に貸したものもある、こう言っているのでありますが、同工場で修理をする。そうすると、これはちょっと穏やかならぬ関係がここに出てくる、何で一体米軍がグラマン社から借りてタイ国に貸すのか、あるいはほんとうに貸したのかという。これは大和市の広報渉外課で調べたのがいまの話。それから海上自衛隊の厚木基地の分遣隊の司令小島さんというのですが、この人とやりとりをいたしました結果は、米軍がタイ国に貸しているものである、こういう連絡を米軍から受けている、米軍がいいというからしようがないから、いいんだということにしている。米軍がグラマン社から借りている限りは、これはそうなれば米軍の管理している飛行機になる。ところが、タイ国に貸したら、今度はタイ国が管理するのですから、タイ国の飛行機になる。これはどっちなんだということになる。タイ国の飛行機でタイ国が管理しているのだということになる。貸した以上は、レンタルにしても向こうに管理権があるのですから、これは明らかに米軍の管理の飛行機ではない。そうすると、これは安保条約との関係が当然出てくる。そうなると、そう簡単なものじゃない。  ここのところは、これは施設局の出先の話もある。これは一体どうなっているかといいますと、横浜防衛施設局の企画課の方の話。米軍の管理下にある飛行機が厚木基地に飛来してくるときは、米国から日本の外務省を通じて許可が出てくる。防衛施設庁、海上自衛隊厚木基地という順序で話が入ってくる、こういう筋道になっておりますという話なんですね。そうすると、いまのこの何機もここのところひんぱんに入ってきている飛行機というのは、この筋道でどういうふうになっているのかという点。いまここでもう少し聞いてからでなければ申し上げられませんが、ここにも大きな問題がございます。それで外務省おいでにならぬけれども、どういう目的でいつからいつまでという点、これも全く不明確。外国機の飛来ということになると、安保条約上これはどうなるかという問題がある。まずそっちから先に承りたいのですが、これは安保条約上どうなりますか。
  34. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この問題は、実はまことに申しわけございませんが、私も十分その事実関係承知しておりません。私どもちょっと聞いたところでは、米軍が貸与しておる飛行機をあそこの会社におきまして修理をしておる、それでそれを再び貸与する、こういうふうなことを承知しておりますけれども、それと安保条約との関係について、いま外務省でいろいろ検討中だと承知しておりますけれども、その詳細については私ども承知しておりません。
  35. 大出俊

    大出委員 これはそう簡単な問題じゃないですよ。それは島田さん、そうおっしゃるけれども、これは私も前に検討したことがあるのですけれども、現に入ってきている飛行機というのはタイ国のマークがついている。これはタイ国に貸したにしても、明らかにタイ国の飛行機です、これは間違いなく。しかも介在しているのは米軍米軍が許可をしたのだからいい、外務省はそう言っている。そうなると、タイ国の飛行機だろうと、ベトナムの飛行機だろうと、韓国の飛行機だろうと、カンボジアの飛行機だろうと、米軍がいいと言ったらいいということになれば、厚木の飛行場にだってどこだって入れる。韓国だってベトナムで戦争をやっている国の一つですよ。タイだってウタパオ飛行場をはじめたくさん米軍に貸している国ですよ。レンタルであれ何であれ、チャーターであれ何であれ、現にベトナム戦争に大きく協力している国ですよ。しかもこの飛行機がどこに行っているか。どこに行っていた飛行機かおわかりですか。
  36. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 詳細承知しておりません。
  37. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは単純なる修理と言っておりますが、御指摘のように、これはやはり非常に複雑な問題だと私も承知しております。そこで、さっき申し上げたように、十分調査しろ。特に、  一時的であるにしろ、ベトナムのあの形がまた再発状況で衝突をしておりますだけに、非常に微妙だ、だから十分調査するようにということが、さっきお答えしたように言うてありますので、調査の上、正確な資料に基づいてお答えを申し上げたいと思います。
  38. 大出俊

    大出委員 これは安保条約六条ですね、問題は。施設区域の提供を許されるわけですね、米国の陸海空三軍は。ただこれは、何も安保条約というものはタイ国と結んでいるのじゃない。韓国と結んでいるのじゃない。もしも米軍がいいと言ったらいいということになるとするならば、これは安保条約なんかあってもなくても一緒であって、どこの飛行機だって入ってこられる。しかも修理に当たっている当該企業に対しては厳重な箝口令がしかれている、一切言うなと。しかし、たいした損傷でなければ、こんなものは三カ月もとんでもない期間かかるなんてことはない。じゃどこでどうしてそういう損害をこうむって入ってきたのかという問題になる。当該工場だってたくさん人がいるのですから、全部が全部ものを言わないのじゃない。相当詳細にものを言っている人がいる。そうなるとこれは穏やかならぬ。いまのベトナム戦争、沖繩を含めてたいへん関係がある。そこらを、新聞にとっくの昔に出ているものを、いまごろになってまだ調査でございましてわかりませんなんということで事が済むと思ったら大間違いですよ。あなた方だって調べてほんとうのことわかりますか、そんなことをおっしゃっておって。もうちょっとあなた方はわからぬですかね、これは。
  39. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 とりあえず返ってきた答弁というのは、修理のためです。それから経路については、さっきお話しのようなことだ、こういうことですが、いま御指摘のように、ベトナムの衝突がまた苛烈になっておる、一体どこでそういう故障を起こしたのだ、これはやはり問題の点だと思います。そこで、なお詳細にと、こう命令をしておるところでありまして、米側としては、どこでどうなったか、これはなかなか言わないだろうと思います。修理です、修理ですという繰り返しになりがちでありますが、十分これは調査をしたいと思っておるのです。どうぞひとつその点は御信用願いたいと思います。
  40. 大出俊

    大出委員 長官、これしか言わないだろう。この間からみんなそうで、あなたのほうは、アメリカはこう言いますとしか言わないのです。皆さんのほうはそうです。自主的にということを外務大臣がいみじくも言ったけれども、すぐそのあとでひとつも自主的じゃない。それじゃ私は事済まぬというのですよ。  私のほうで調べた限り、この企業は、アメリカの北ベトナム爆撃が激しくなる、それに応じてアメリカ軍機を含むタイ、韓国軍機のオーバーホールという形のものが、日曜も祭日も全部返上して出てこいでしょう、職場は。まさに昼夜の別なく一生懸命修理をする。オーバーホール、日曜も祭日もべたです、これは。しかも夜の残業、昼も夜も、それこそ終日作業でしょう。これはもうこの周辺の人はみんな知っている、有名な飛行機修理工場ですから。  では、この米軍機は何で修理をし、オーバーホールをやっているのか。みんなベトナム戦争です。その中にタイ国軍機が入り、韓国軍機が入って同じ修理をし、同じオーバホールをやっている。来た先はどこだ、一緒のところです。安保条約六条があって明確になっており、地位協定があるのに、そういうことを、米軍がオーケーと言ったんだからいいんですという調子でおたくの施設庁の出先はお答えになっているけれども、そういうことで平気でやらしておいて一体どういうことになりますか。これは明確な違反です。重大な問題です。米軍機なら、まだそれは賛否の意見が違いますから、やむを得ませんけれども、ほかの国籍の軍用機が入ってきて、昼夜の別なくオーバーホール、修理、しかもみんな同じ状態になっている。そんなことは黙っていられた筋合いじゃないですよ。やはりそういうところはきびしく米軍にものを言って、怪しげな国籍の飛行機というものは全部シャットアウトするようにしなければ筋が通らぬでしょう。私どものほうは、地元であるだけに、ひんぴんとその状況というものは入ってきているわけです。それはやっている方々自身が心配になっているんですよ。こんな韓国籍の軍用機だのタイ国の軍用機が入ってきてどうなっているんだということになっている。これは流れるから、その辺はたいへん心配をするわけですよ。そこらのところは、全く皆さんのほうは御存じないのですか。
  41. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘の点は私もきわめて重要だと思っております。まあ微妙な線でありまするが、これはやはり外務省側とも協議しまして、今後一つの検討台に値する問題だというふうに考えておりまするので、もうしばらく時間をいただきたいと思います。
  42. 大出俊

    大出委員 これは一つの検討台なんていうものじゃない。明確に違反ですよ。安保条約六条に、何もタイ国や韓国に区域、施設を提供するとは書いてない。これは米軍がオーケーを出したからと言ったって、じゃ何で一体日本の飛行場に、韓国のマークを明確につけた、タイ国のマークをつけた飛行機が入ってくるんだ。飛行機の機体に表示してある国籍表示というものは国際的に公のものです。そんなことを言うのならば、この国籍を明らかにした、タイ国のマーク、韓国のマークをつけたこんなものを何でそのまま入れてくるんですか。入れてくる限りは、貸してあろうとなかろうと、これは韓国の飛行機であり、タイ国の飛行機に間違いない。そのことは安保条約六条、かつ地位協定を踏まえて、根拠は法的にどういうことになりますか。実情について御存じなくてもいいが、タイ国の飛行機であることにだれが見ても間違いない。写真まで明確にある。マークを消しているわけでも何でもない。しかも韓国の飛行機本明確に韓国籍の表示をしたままで入っている。この安保条約六条、地位協定のどこに韓国の飛行機やタイ国の飛行機が入ってくることを認める法的根拠がありますか。ないです、そんなものは。ないことをあなたお認めにならなければいけませんよ。
  43. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 所有権がアメリカにあって、臨時に貸してあるものというたてまえで六条を適用するという説明をアメリカはするんだろうと思います。しかし、いまさっき申し上げましたように、そのあたりはきわめて微妙な点で、これはやはり今後ともいろいろ疑義を生ずる因をなすものだというふうに思いまするので、よく外務省とも相談をしながら、こういった問題をどう処置するか。まあ先般来、福田外務大臣が事前協議事項を検討するということを言っておりましたが、これはそれとはまたおのずと別な問題でありまするが、よくひとつこういうのは精査したいと思います。
  44. 大出俊

    大出委員 この問題は長官、小さい問題じゃないんですよ。現にベトナムで使われていて、オーバーホールなりあるいは修理なりをしなきゃならぬ状態になって入ってきている。そんなことをあなたおっしゃるなら、どういう形であれ、レンタルの契約、貸しているという契約を結んだことにしてあれば、あるいは結んだ形式を整えれば、どこの国の飛行機だろうと、ベトナムで現にたいへんな爆弾を落としている飛行機であろうと、日本の各米軍基地に自由に入ってこれることになってしまうじゃないですか、それが許されるなら。貸している形をとっているにせよ、貸しているにせよ、形さえつければ幾らでも入れることになってしまうじゃないですか、そういうばかげたことを認めるなんということをすれば。あなたはいま、認めたようなことをおっしゃったけれども、そんなことはもってのほかですよ。なぜ明確に拒否しないのですか。それが、一機や二機たまたま来ちゃって、気がついて文句を言ったら、もう行っちゃったというのならまた話は別です。いずれも期間が長いのですよ。しかも、さっき申し上げたとおり一機や二機じゃない。こうひんぱんに入ってきて、きのうも夜入ってきている。けさ早くすぐ連絡がまいりまして、ゆうべ何時ごろまた入ってきている。そういう形のものを、あなたのほうで、検討に値するなんというようなことであいまいなことを言っていたんじゃ、とてものことじゃないが、あなた防衛庁長官らしくないですな、ほんとうに。  まだ一ぱいあるけれども、御存じない人に幾ら言ったってしようがないので、あらためてあなたのほうのお答えを聞いてまたやり直しますけれども、一点明確な点は、安保条約六条、地位協定二条ですか、この関係に関する限りこれは違反です。そんなものを、あなたのほうで、いたし方がないようなことを言っていたんじゃ、さっきおっしゃったけれども、自主性もヘチマもないじゃないですか。そうでしょう。だめですよ、そんなことじゃ。
  45. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御質問の趣旨はまことに重要な点をついておられると思うのです。ただアメリカ側としては、われわれが強く抗議をすれば、いや、自分たちの所有権のあるものである。まあ管理権があるといいますか、そういうことで突っぱるだろう。これは一つの推測を申し上げたわけですが、きわめて微妙な、重要な問題をはらんでおりまするから、なお今後よく調査をし、また抗議をすべき点があれば十分抗議をして今後に処したい、こう思っておりますから御了承願います。
  46. 大出俊

    大出委員 これは地元の各市議会では、大和の市議会にいたしましても、あるいは神奈川県議会にいたしましても、おのおの質問の出ているところです。ただ問題は、外務省、防衛庁が何と言うかというところがはっきりしない。しないから自治体の当局者は、住民が騒いでいるんですから非常な心配をしているんです、神奈川県を含めまして、厚木周辺の各市町村の責任者は。だけれども本体の国の防衛庁なり外務省なりが何も言わぬ。だからいとも歯切れの悪い事態になっている。しかし、住民が騒いでいることについてはたいへんな心配をしているというのが、自治体の皆さんの答えている中身ですよ。早く何とかしなきゃならぬ。ですから、こういうベトナム戦争の状況等を踏まえてみると、かつまた沖繩返還というものを控えておりますから、それだけにのんきなことを言っておられちゃ困る。早急にひとつ結論をお出しいただいて、その旨を御回答賜わりたい、この点は。  かつどのくらいの機数のものがどう入って、一体どういう修理をやったのか、しかもそれはどこから来たのか、そしてアメリカとの関係はほんとうのところは一体どうなっているのかというところを、どうせこれはわからぬでしょうけれども、ほんとうのことは知りっこないでしょうけれどもそこらまで触れてやっていただきませんと、これはやはり住民運動が起こります。だから、これはぜひ早急に結論を出して、明確に御報告をいただきたい。この点申し上げておきますが、よろしゅうございますか。
  47. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 はたして御期待に沿えるような満足な回答が先方から来るかどうか、これは全くむずかしい点だと思うんです。さっき申し上げておるようにですね。しかしこれはきわめて重要な問題ですから、十分調査いたしまして御報告できるようにいたします。
  48. 大出俊

    大出委員 これは入ってくるつど写真にとったものがたくさんございます。必要であればまたいつでもお見せいたしますけれども、ひとつぜひ早急に御処置を願いたいと思います。  それでは総務長官のほうから承りまして、江崎さんのほうはぼつぼつ昼食ということですか。
  49. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 もしよろしければ、あといろいろありますから……。
  50. 大出俊

    大出委員 では、その間山中さんのほうに承りたいのでありますが、これは所管がどこになるかという点でまず一つ問題でありますが、未払い地料というのがございます。これを一体どういうふうにお考えになっておられますのか、まず承りたいのであります。   〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕
  51. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 いまの未払い地料は、軍用地の問題でございますね。米軍が布令二〇号に基づきまして賃借料を支払うわけでございますが、その所有者が明確でない、不明であるという場合におきましては、これは琉球政府がその未払い地料を管理してきておるというふうに承知しております。
  52. 大出俊

    大出委員 未払い地料というのは、中身はどういうものがございますか。
  53. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 所有者が不明である場合、あるいは所有者がたとえば沖繩外の地域におるというような場合には、実際上その所有者に借料を支払えない、こういう場合でございます。
  54. 大出俊

    大出委員 ちょっとそれは答弁にならぬのですけれども、未払い地料と申しますものは、契約によるものと収用によるものとございますね。契約によるもの、収用によるものによって扱いが違う。つまり二つの種類なのです。  おのおのなぜ未払いになったのかという理由は山のようにあります。いま島田さんがおっしゃったどころではない、これはたくさんあります。これもあとから申し上げますが……。また具体的な、なぜ未払い地料になったかという何村の何という人の場合、おばあちゃんだけ生きていて、税金の関係その他があったから、こわいので届け出なかった、ところがそのおばあちゃんが死んでしまったということで、実際は受け取り手がないとかいろいろな問題があります。ありますが、大きく分けて、扱いとしては、契約によるものと収用によるものとに分かれるはずでございます。  さて、契約によるものは、どういう形で契約により、収用によるものはどういう形で一体収用によったのかという点について、明確にしていただきたいと思います。
  55. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは御承知のとおりに、現在、布令二〇号に基づきまして米側が土地を賃借しているわけでございますが、原則的には、米側も賃借契約によりまして、五年ないしあるいは不確定期限でございますけれども、契約をいたしまして、それに基づきまして土地を使用している。それによらざる場合には、布令二〇号にありますように、収用宣告書によりまして必要な土地を収用している、こういう形で二通りの形式があるわけでございます。
  56. 大出俊

    大出委員 あとから申しますが、いまの点はどのくらいの額になっておりますか、今日。
  57. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 未払い地料の金額につきましては、ちょっといま手元に資料がございません。
  58. 大出俊

    大出委員 手元に資料がないとおっしゃるのだが、いつになればわかりますか。
  59. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 調べればすぐわかります。担当者がいま別の委員会に出ておりますので、ちょっとお待ちください。
  60. 大出俊

    大出委員 二月末の資料が私のところにいまあるわけでございますが、おおむね四十三万ドルくらいであると思うのでありますけれども、琉政と話しました中身はこっちにありますが、少し数字が違います。したがって、そこらのところをぼつぼつ払ってはいるわけでありますが、収用の分だけで十五万ドル、こういうわけなのでありますが、これが一体先々どうなるかということ、ここらについて皆さんのほうの考え方の大筋をまず聞きたいのです。
  61. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ちょっと手元に資料がございませんので、正確なことは申し上げられませんが、琉球政府が保管をしておりますこの種のものは、琉球政府における、これは法律だと思いますけれども、それに基づきまして、復帰後に地主会連合会、これは社団法人でございますが、そのほうが引き継いで、そして今後土地所有者が判明次第逐次払っていく、こういう手続をとっておるように記憶しております。
  62. 大出俊

    大出委員 そういう御答弁じゃ困るのですよ。それは契約によるものは、立法院の法律で地主会連合会のほうにいく。これは地主会連合会の要望だと思うのです。ところが収用に基づくものは、これはそうはいかない。あくまでも米軍なんですよ。だから五年たったら時効だということになって、米軍に持っていかれてしまうのではないかという地元は考え方なんです。断じて米軍にやってくれるなという考え方なんです。そこのところをそういいかげんにされたのでは困る。  これは少なくとも、沖繩におられる皆さんはいろいろな気の毒な人もいる。経緯があってこうなっているわけですから、これはそれこそ草の根分けても払うべきものは払わなければいかぬ。こんなもの米軍に持っていかれる筋は一つもない。ごうもない。だから、その間の経緯がおわかりいただける方がいないとすると、これは質問のしようがない。こんなのんきなことを言っておられたら困るのですよ。これは立法院の法律もちゃんとここにあるのですからね。ここに法律があります。しかも琉球政府が、米軍に対して文書でもって照会を出しておる、どうなんだと言って。それに対し答えも来ている。その上に立って、本土復帰をしたらどうなるかという問題がある。支払い事務所は米軍沖繩に置きます。だがしかし、これは期限がある。そうなると、この未払い地料というものの先行きは、これは本土政府責任において——何も米軍が金を出しているのではないのですから、受け取るべき者は沖繩県民なんですから、そんなもの、この際舌を出すのもいやだというけちな米軍にやることはない。そこらのところ、そうすると、これは全くこれ以上質問のしようがないわけですな。
  63. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 収用によります場合におきましても、当然これは、布令二〇号に基づきまして適正な補償を出すというのが米軍の規定でございますので、これは今後そういうふうに処理さるべきものだと思いますし、私どもも、これが地主の方々に支払われないという形で決着がつけられるということのないように、今後努力をしたいと思います。
  64. 大出俊

    大出委員 ほんとうによろしゅうございますか。あなたがいま言うようになっていませんけれども、いまの点はそういうようにお答えになっていいのですか。
  65. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 米側とも十分話し合いをいたしたいと思います。
  66. 大出俊

    大出委員 いまの御答弁は、私はそういう答弁をしてほしいのですからいいのですが、断じて米軍にはやらない、アメリカにはやらない、その基本線を明確にしていただけますか。
  67. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 十分話し合いをいたしたいと思います。
  68. 大出俊

    大出委員 十分話し合いじゃ困るのですよ。やっては困る、そこはいかがでしょう。
  69. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 御趣旨のほどはよくわかりますし、また地主側としても、当然補償を受ける権利があると思いますので、その辺はそういう方向で今後米側と十分話し合いたいと思います。
  70. 大出俊

    大出委員 これは琉球政府から照会をして回答が向こうから来ているのです。この回答では、こちら側に渡しますと言っていない。この回答は民政官代理ブルース・T・ホールズ陸軍大佐から琉球政府主席殿ということで回答が来ている。一九七一年八月の十日であります。陸軍省琉球米国民政府、こういうことで来ているわけでありますが、この中身からいきますと、次の書簡を参照してくださいということで、借地料支払いのための復帰資金についてということで、ABCということで述べられております。これは琉球の日本復帰の直前に米国に返還すべきでありますのでと、こうなっている。向こうから出ている書簡です。そして相手方は支払い事務所は残すということです。ただこれは期限があります。返還にあたって、収用によるものは米軍に渡すということなんです。向こうが払うというのです、出てきたら。しかし、期限が来たら向こうでいただきっぱなしになるということなんですから、この中身は。  あなたのほうで御存じないからこれは申し上げますけれども、そこのところを一ぺんお調べくださいよ。地主連合会などからも、この点についてはたいへん強い要求意見が出てきておるのです。現地へ当委員会から行ったときでも、未払い地料なんというものを断じて向こうにやってくれるなという意見が出ている。その方向で努力しましょうということで、皆さん答えて帰ってきたのです。  私は中身を知っているものですから、これはなかなかめんどうだわいと思って聞いてきたのだけれども、これはやはり長官は、先ほどそういう基本線でやるとおっしゃっているから、ぜひそうしていただきたいし、私は琉球政府にも、この点は何も米国にやらなければならない筋は一つもないのだからと言ったら、琉球政府もそのとおりだと言っているのです。この金は、長年苦労された沖繩県民の皆さんの金に間違いはないのですから、断じて確保しなければならぬ。将来それが完全に払い切れぬにしても、どう使うにしても、沖繩県民のためにならなければ意味がない。だからそういう点について、これはやはり明確にしていただきたいわけであります。  実はこれは拍子抜けのていで、何か一人でしゃべっている感じがしてうまくないのですけれども、そういうことばかりたくさんございまして、どうもちょっと話がしづらくなりましたが、これはひとつ懸案にしておきます。お調べいただいて、いままでの御見解はそれでよろしゅうございますから、そこから先、こういう米軍からの回答が来ているのであって、これについてどういうおうにお考えになり、どうお進めになるおつもりかということについて、ぜひ御検討の上で御見解をいただき、その際、詳しい点がありますから、あらためて質問をいたします。  それから、もう一つ承りたいのですが、私がかつて返還協定特別委員会質問をいたしました演習場の問題がございます。この演習場の問題の中で、渡嘉敷村の字前島という演習場があります。A表に載っております。あれは七カ所ばかりの演習場が載っておったわけでありますが、この渡嘉敷にからんで伺いたいのでありますが、現在あのAリストに載っております演習場七カ所ばかりのうち、摘要備考欄には二4(b)適用になっておりますが、あのうちで、現在引き続き使用ができない、こういうことになりつつありますのは、私の質問のときにも結論は出ているのでありますが、あくまでも許可証を出して現に使用しているということでない限りは、これはやむを得ません、こういう結論が出ているわけでありますけれども、どことどこがいまそういう状態になっておりますか。
  71. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 川田と瀬嵩でございます。前島につきましても御指摘のような問題がございます。
  72. 大出俊

    大出委員 この前島の問題につきまして、私はあの質問の中で、もしも契約であるならば、つまり許可証というものが契約であるならば、これは少なくとも、民有地の場合には個人が委任、あるいは個人が契約に名を連ねるということにならなければならぬ筋合いだと思う。あるいは部落有地その他であっても、村長の一存でやれない筋合いである、契約ならば。これは琉球政府の統一見解を私は求めたところが、正式な統一見解が出ました。それをあげて私はこの点を指摘をしてきた。ところが、じゃ契約だ、こういう言い方皆さんのほうはされた。しかし、許可証を出さない限りはこれはだめなんだ。適法に使用していないことになる。だからこれははずさざるを得ない。それが、いま川田とおっしゃったのは東村の川田でございましょうが、川田訓練場、それから第一瀬嵩訓練場だと思うのでありますが、そこでもとに戻りますけれども、契約であるかないかという点が、この部落の中では非常に問題になっておるのですね。  地元の諸君が何も知らないうちに、村長がかってに許可証を出した、だから使っていく。ところが、おれたちの土地をどうしてくれるのだという騒ぎが部落じゅうの騒ぎになって、村長が引っぱり出されて徹底的につるし上げを食っていますね。この前島の皆さんは全地主七十三人、署名地主七十三人、全員ですよ。ここに陳情書がございます。地主の数は七十三名です。この七十三名の全地主が渡嘉敷村字前島を軍用地から開放させるための要求書面、一人残らず判コを押して署名が出ている。全地主であります。しかも、この全地主だれ一人として委任状を出した人もなければ、応諾を与えた人もない。それをもって契約と言い得るか、言い得ないという結論がすでに出ている。村長もすでにこのことは認めてしまっている。手をついてあやまったけれども、みんなが聞かないという状況になっている。この状況を皆さんのほうはどこまで御存じでございますか。
  73. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この前島の一時使用の訓練場につきましては、村有地と民有地がございまして、現在村長が米側に使用許可証を交付をしておるわけでございますが、昨年の返還協定特別委員会で申し上げましたように、一応これは一時使用許可であるということでありますけれども、実体的には契約であろう。したがって、使用料も一応賃借料として考える、こういうことで一応政府側の統一見解を申し上げたわけでございますが、この前島につきましては、一応形式的には村長が使用許可証を米側に渡しておりますけれども、実はこの民有地について確かに手続上非常にミスがある。したがいまして、各民有地の地主の方々は、これは自分たちの知らない間に村長がかってにやったことであるということで、非常に問題になっておるというふうに承知しております。  そこで、そういう前島を米側に提供するのにつきまして、当然暫定使用法の対象になるということにつきましては、これはなかなか問題がございますので、村有地につきましては、これを村長がその権限において処理をするということに、これはさして問題がないのでございますけれども、民有地についてはたいへん問題がございますので、これをどうするかということについていま外務省と協議をいたしておるところでございまして、近近これについての結論を出したい、かように考えておるわけでございます。実体的にはたいへんむずかしいケースだというふうに考えます。
  74. 大出俊

    大出委員 これは私は、かつて協定特別委員会が始まる前に、何とか渡嘉敷まで参りたいと思いましたが、何と船で行かねばなりません。なかなか船便等の関係で時間がとれないということで、やむを得ず村長さん、助役さん等に電話を入れた。そうしたら、いとも簡単な御返答が返ってきた。私はそのときに、というふうなことだと言うと、これは契約じゃありませんよ、七十三名の方方が、委任もしていなければ了解もしていない、知らない、そういうかっこうで村長さんがお出しになった許可証では、琉球政府の統一見解をいただいているが、成り立たない、将来問題が起こりますよ、だから皆さんといまのうちからお話しになったほうがいいんじゃありませんか。御趣旨のほどはわかりますが、という電話のやりとりで終わっているのです。その後、実は沖繩原水協を通じて文書を差し上げてある。だから、この地主さんの方々からいろいろお話を聞いた。まことにもってこれは不届きな話で、そういう実情を、全く皆さんは、外務省も防衛庁もお調べにも何にもならぬで、二国間の協定の中に、基地リストなるものをこしらえて、すぱんと入れてしまう、そういうやり方が私は本来間違いだと申し上げている。これは一時使用許可なんですから、あくまでも契約でも何でもない。琉球政府の法務局だって、しろうとがそろっているんじゃない。だから、そういうことをおやりになるから、いまになってこういう問題が起こる。この方々はそれこそ決死隊みたいなものですよ。おれの土地をふんだくるならば承知しないというわけですから。村長はそれはえらい目にあっているらしい。そういうことまで、沖繩返還ということにかかわる県民感情、島民感情というものをさかなでなさるようなことをなぜなさるかということなんですよ。だからこの際、こういう部落じゅうの問題になってしまっている問題は、すなおにときのいきさつを認めて、はずすべきである、こう私は思います。  こまかい中身を申し上げたいのですけれども、いま島田さんのお話では、外務省と協議中とおっしゃるのですから、あらためて外務省の方々にもお出かけをいただいた席上でこれは質問をし直しますから、ぜひひとつそれまでに何らかの結論を出しておいていただきますように。  これは私は、詳しい個々の方々のおっしゃっていることも記録にとどめております。まことにこれはふざけた話でありまして、それは、皆さんの出先の方々が行って何を言っているかも、ちゃんと知っております。これまたまことにけしからぬこと。そういうことがあったのでは、もうとてもじゃないが、ここを訓練場の一時使用の許可を得ているから二4(b)で使っていきますなんて言ったって、これは筋が通らぬ。実際にできません。だから、そういう点等も考えて御検討の上で、これは私がかつて質問をした中の一つですから、ぜひ次の機会に明確にしていただきたい。そうしませんと、これは琉球新報、沖繩タイムスがいずれも取り上げて、沖繩じゅうの人々が知っている問題ですから。しかも、このそばには久米島なんというのがありまして、上原君が質問した例の鹿山問題というのもあるわけですから、たいへん島民感情が悪い。だから鹿山問題なんかも含めまして、これはあらためて説明を申し上げたいのでありますけれども、外務省との話がどういうふうに進んでいるのか、ぜひその際に明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。それはよろしゅうございますか。
  75. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この問題につきましては、外務省も米側と話し合いをしている最中でございまして、私どもとしましても、できるだけ早く結論を出したい、かように考えます。
  76. 大出俊

    大出委員 地主さんその他がたいへんな苦心をして方々飛んで歩いてやっておりますので、こういう問題はなるべく早く決着をつけてあげませんと、周辺の方を含めてたいへんお気の毒なことになりますので、ぜひひとつ早く進めていただきますようにお願いをしておきたいと思います。  それから、地主さんとの仮契約云々の問題が先般のこの委員会質問の中に出てまいりました。この軍用地問題というのは現在どういうふうに進んでおるとお考えになっておりますか。
  77. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 地主との契約交渉につきましては、昨年来、地主会連合会とも包むことなく打ち合わせをいたしまして、私ども考え方も十分説明をし、現実に予算化する段階におきまして、地主会連合会のほうの御要望はほとんど満額に近い形で認められたわけでございます。  そこで、三月の上旬ごろから、各市町村の地主会に対しまして第一回の説明会をいたしました。その際には、まだ全体の姿もお示ししたわけでございませんで、いろいろわれわれのほうの考え方、算定の方法につきまして御説明をいたしたわけでございます。そこで、その後いろいろ地主の方々の御要望、御要求もございまして、先日来、これは十三日ごろからだったと思いますけれども、第二回目の説明会をいたしまして、現在その最中でございます。この第二回目におきましては、借料の計算の方法からそのある施設の借料はどのくらいになるという具体的な金額につきまして、十分お示しをいたしてまいっておるわけでございまして、その説明のほぼ済んだ地区におきましては、私ども考え方なり、あるいは具体的な借料、あるいは契約の方法等につきましても御承知を願ったわけでございまして、一部、意見として、それならばけっこうだという人もぼつぼつ出てまいっておるようでございます。私ども今後さらにその説明をできるだけ早く了しまして、具体的な契約の交渉を行なっていきたい。当然、復帰日の前日までにはできるだけの合意を達するように努力をしたい、かように考えるわけであります。
  78. 大出俊

    大出委員 これは告示はいつごろおやりになることになりますか。
  79. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 一応四月の二十八日をめどにしていま鋭意作業をやっております。これはもっと早く告示をすべきでございましたけれども、実は、国土基本図の作成、あるいは基地の中におきますところのたとえば電力施設、水道施設、道路の境界の仕分け等の問題もございましたし、それから実は全軍労の長期ストライキの影響もございまして数日おくれてまいっておったわけでございますけれども、その後現地職員に馬力をかけまして、ほとんど徹夜に次ぐ徹夜の作業をいたしまして、今日の段階におきましては、二十八日かあるいは二十七日をめどにして作業をやっておるところでございます。大体そのころにはできるのではないか。ただ一部、その後、自衛隊の施設等につきまして若干まだ未調整の分もございますので、場合によりましては、あるいは一部が五月に入るということもやむを得ないかとも思いますけれども、とにかく四月中にできるだけ告示をするように、いま大いに努力をしておるところでございます。
  80. 大出俊

    大出委員 その告示の中身というのはどういうものを告示するのですか。
  81. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 告示の中身につきましては、所在場所、使用方法、それから使用期間、それから具体的にはこれはまあ官報に掲載するわけでございますけれども、図面につきましては縦覧をするという趣旨のものが、その告示の内容になるわけでございます。区域につきましては、個々人の地番まではいきませんで、一応それは基本図に落として境界線をはっきりさせますので、字名を官報で明示するという形になろうと思います。ただ、一部、国土基本図に間に合いません場合におきましては、それはやはり地番まで示すということになろうかと思います。
  82. 大出俊

    大出委員 これは字名を示しても、個人の所有権の確定という問題とからみまして、つまりどこが個人の何のたれべえさんの土地であるということは明確になりませんね。そこは何をもってかえるのですか。
  83. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 個々人の具体的な所有地の特定ということは、御承知のとおりにたいへんむずかしいわけでございまして、ここ二十年米、所有権確認の作業に基づいてできました公簿、公図、登記簿をもとにしまして現在賃借料を支払ってきたわけでございます。そこで、今回の新しい契約につきましても、一応長年一つの秩序ができてまいっておりますので、その公簿、公図をもとにして賃借料の計算をするということになると思いますし、それから全体の境界の確定につきましては、これは琉球政府なり米軍が持っております図面、たとえば小字マップでありますとか、あるいは建物の配置図でありますとか、あるいは国土基本図でありますとか、そういう図面をもとにしまして全体の境界を確定する、こういうことをいたしたいと考えております。
  84. 大出俊

    大出委員 公簿、公図あるいは登録簿などでおやりになるということですけれども、これに異議があって、そうでないということになったらどうなりますか。
  85. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 一応登記簿なりその図面で賃借料を払いますので、これがやはり登記簿をもとにいたしますので、その後新しい所有権の移動と申しますか、たとえば新しい地主が出て、その間に調整を要するということになりますれば、これは具体的には関係の地主と十分相談をいたしまして、そして登記簿を変えるような作業をいたしまして、それに基づいて賃借料もまた計算をし直す、こういう形にならざるを得ないかと思っております。
  86. 大出俊

    大出委員 有効か無効かの争いが起こったらどうなりますか。
  87. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 現在の所有者の土地が確定をできない、そしてその所有権がAさんならAさんの土地でなかったというふうな結果が出ますれば、それはその際に真正の所有者と話し合いをいたしまして、そこであらためて登記もし直しをいたしまして、それに基づきまして手続をするということになろうかと思います。
  88. 大出俊

    大出委員 そうすると、中身をもう少し聞きたいのですが、公用地暫定使用法という法律が通っていますね。これに基づいて一括輪をかけて使用するという建設省などの言い分もあるようですが、そこらのところは、どういう手続でこれからこの告示に基づいておとりになろうとするのですか。
  89. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 告示は、使用権を設定すべき土地の区域を明確にいたしまして、自分の土地がその告示された区域の中に入っているかどうかということを判断をしていただくという意味でなされるわけであります。  そこで、復帰時におきまして契約に応ぜられないという場合におきましては、これは土地の収用に関する通知を個人個人にいたして遅滞なく行なうというたてまえになっておりますので、その手続をとる。そして契約に応じた方には賃借料、契約に応じられない形で一時使用する対象者に対しましては適正な補償をする、こういう手続になるわけでございます。
  90. 大出俊

    大出委員 そうしますと、これは収用委員会が必要になりますね。そこはどうですか。
  91. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 その使用いたします土地の地主の人たちとは、補償金につきましては十分協議をいたすわけでございまして、そして本人が前払いを要求されますれば、国がきめた額で一応支払う。そしてなお協議がととのわない場合におきましては、収用委員会の手続を経まして、その収用委員会の結論を待って金額をきめる、こういう手続になるわけでございます。
  92. 大出俊

    大出委員 今日、沖繩の収用委員会というのは、どのくらいの規模で、どうなっているか、御存じでございますか。
  93. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 委員会の委員の数、ちょっといま明確でございませんが、おそらく十名前後ではなかったかと思いますけれども、ちょっとはっきりいたしません。
  94. 大出俊

    大出委員 七名しかいないのですよ。これではできませんよ。だからあなたのほうは、収用手続をとる、収用委員会に持ち込むというのだけれども、これは七名です。どんなことをしたってできませんよ。しかも読谷なら読谷を一つとってみても、返還したその対象はどこからどこまで返還したのだと、米軍と地元の市町村長立ち会いでやってみたって、ついに境界はわからずじまい。二月九日に琉球政府と話し合ったが、どうにもこの境界線の確定ができないと言っているのです。米軍の地区工兵隊もできない。わからないということになると、これは奇妙なことになると思うが、この辺のところは、一体あなたのほうはどういうふうな処理をなさるつもりですか。この告示はいいけれどもあとから言いますが、現地ではいろいろな不安を持っているわけですね。
  95. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 先ほど収用委員会と申しましたのは、これは具体的に補償額が地主と国との間に協議がととのわない場合に、その金額の決定につきまして収用委員会の手続をとるということでございます。  それから、確かに、個々の土地の特定の問題についてはいろいろむずかしい問題がございまして、個々の土地以外のところにつきましては、御承知のとおりに、琉球政府の土地調査庁が土地の調査、確定をしてまいりまして、これはもうおそらく六〇%ぐらいいっていると思いますけれども、いま御指摘のように、返還された土地について土地の確定をどうするかという問題は、これはやはり琉球政府におきまして、もう具体的に関係者の立ち会いのもとにその境界をきめていく、こういうことにならざるを得ないだろうというふうに思います。しかしながら、沖繩がああいう形で軍用地になりまして、そして返還をされる軍用地の中で、一応公薄、公図に載っておりますのが真正の所有者の土地であるかどうかということについては非常にわかりにくいわけでございますので、そういう問題が返還された土地についてもあり得るのではなかろうかと思っております。それにつきましては、返還後、これはやはり琉球政府と地主に対しまして、関係者が集まって土地の確定をしていく、こういう方法以外にはなかろうかと考えております。
  96. 大出俊

    大出委員 いまのあとのほうの話は、この間、山中長官、そこにおいでになりますけれども、木村経済企画庁長官にも出ていただいて、たまたま法務大臣がおいでにならなかったので詰まらぬ点もございましたが、そのとき一時間ばかり私がこまかく質問をいたしながら詰めて、私の意見ども申し上げたのですが、山中さんが前向きにものを言っていただいたので、現地の全く知らぬ人から手紙が来まして、たいへん重大関心事だと言うのですね。現地の新聞によると、山中さんが前向きに、何とかひとつ所有権確定のために相談をして新しい立法措置ども考えてやらなければならぬとおっしゃったのが非常に心強い、だから何とかそこのところを早くしてくれ、こういうことで、全く知らない人から、琉球新報のこんな小さな記事を切り抜いて、私のところに手紙を送ってきたり何かするのですけれども、確かにたいへんな関心があるのですね。  ですから、せっかくここでお話が出たから長官に伺っておきたいのですが、先般私少しこまかくものを申し上げて御回答をいただいたのですけれどもそこらのところ、これはもう何日もなくなりましたから、その後、経済企画庁なりあるいは法務省なりとの関係を踏まえまして、どういうふうにお考えになっておられるかという点ですね。ございましたら、山中長官からも一言触れておいていただきたいのです。
  97. 山中貞則

    山中国務大臣 その後もいろいろ検討して、やはり特別立法が必要であるという結論に大体到達いたしましたので、とすれば、民法というものが別にあって、そして単なる調査ならば国土調査法というものがあって、その中間の行政における、しかも形式は一応すべての所有権者が立ち会い、かつ合意し確認するという行為も伴って、なお民法に移らない状態のままで、行政の範囲においてそれが確定できるか。それには行政法の中における若干の強制というものもある意味では必要であろうということを考えておりますので、これはもう少しやはり関係各省を集めて、衆知を集めてその具体的な立法作業に取りかかっていきたいと思っております。いまのところそこまで前進いたしておりません。
  98. 大出俊

    大出委員 これから先のことはともかく、一つの方針ということになってきたというように思うのでございますが、あわせてひとつ御努力をいただきたいと思います。  そこで島田さん、なぜ実は私こういうことを聞いているかといいますと、告示が今月一ぱい、こうなっているわけですね。この間のどなたかの質問にお答えになっているから、現地にもそういうふうに新聞に出ている。その告示というのは、一体そこから先どうなるのだろうかという点については、たいへんな不安もあり、心配もあり、また意見もある。告示が出た、さて五月十五日が来る、そうすると返還になるのですね、土地は個人個人に。ところが基地の中ですから、銅崎さんがきのうですか、場面はどこかわかりませんが、法務委員会かどこかで、中谷鉄也君の質問に答えておられる。中へ行ってみたい、入れなかったのだが、返ってきたのですから。そうすると、どこがおれの土地なのかということになると、その場合そういう確認行為はどうすればできるのか。点検、これは内部で相談はしてないけれども、そういうことであればやらなければならぬでしょう、こういう答えのように新聞紙上は見られるわけですね。そこで五月十五日、さあ復帰だといったとたんに、大網をかぶせて収用だということにするのか。各省によってどうもまちまちに見える。これは窓口は山中さんのところですけれども、線をそろえてこうしましょうというのじゃない。道路もある。これは建設省ですね。そうでしょう。基地もある。あるいは電力公社もある。水道公社もある。公用地、こういうわけですからね。そこらのところは、一体国の仕事として各省まかせになっているのかどうか。各省まかせになっているとすると、建設省は大網をかぶせても、道路だからある意味ではしようがないのじゃないかということになるかもしれない。しかし、似たようなことを防衛庁がやるとなれば、反自衛隊感情というものは低まってはいない。高まってきていますから、そういう中で一体これはどういうことになるかという問題がまずある。一年間は一生懸命契約しましょうといって御努力をなさるのか。あるいは、米軍との関係も踏まえて、反対だという地主もあるのだから、いきなりやつちまえということになるのか。おまけにその上に、おたくの関係じゃありませんけれども、自衛隊は強行移駐をやろうということになるのか。そこらは土地と自衛隊のほうとからみ合って複雑な状況にある。告示とおっしゃるのだが、そこから先はどういうふうにおやりになるかという点をまず一点承りたい。
  99. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは、米軍に提供する施設にいたしましても、自衛隊が使用する施設にいたしましても、原則はあくまで地主との円満なる協議による契約の締結ということで、私どもはいま鋭意努力をしておるわけでございます。もし万一不幸にいたしまして、海外に移住しておられるというようなことで契約が締結できないという場合を含めまして、契約に応じないという場合があり得ますので、これは告示で示しました施設区域の範囲の中にあります場合におきましては、この法律復帰の時点におきまして効力を発生いたしますので、それは国が一時的に使用権を設定する、こういう形になるわけでございます。  そこで、契約に応じられないという方々に対しましては、復帰後の時点におきまして、遅滞なくこれを個人個人に通知する。その通知の内容もほぼ告示の内容と同じになると思います。したがいまして、土地の返還ということは、復帰の時点において日米間で合意いたしますので、提供する施設、区域は日米合同委員会で個々に協定を結びます。その分につきましては当然提供という形になりますので、そこには暫定使用法が働く、こういう形になるわけでございます。そこで、復帰後一部返還というふうなケースが出てまいりますれば、これはそれに伴いまして、われわれがやっております賃貸借契約によりまして、当然、原状回復なりあるいは復元補償の手続をとる、こういう形になると思います。  そこで告示の問題でございますけれども、これは昨年の国会におきましても、この法的性格論がだいぶん論議の対象になりましたが、これは先ほど申しましたように、要するに使用法を適用するその区域をあらかじめ明示いたしまして、これを表示するという行為でございます。この告示は官報の形で示す。この告示の効力そのものは、沖繩に居住しておる方にも、あるいは本土に居住しておる地主さんにも一様に及ぶという形でございまして、この告示に対しまして、異議の申し立てなりあるいは行政訴訟というものは一応提起できる。そのためにわれわれはできるだけ告示の日を早くやりたい、こういうことで努力をしておるところでございます。
  100. 大出俊

    大出委員 そうしますと、復帰の日、つまり五月十五日に使用権の設定手続をとる、こういうことになりますか。
  101. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 告示をした範囲内の土地につきましては、復帰日に、本体でありますところの法、使用期間が五年とか一年とかありますけれども、それが働きますので、そこには特別の行為、行政行為というものは必要ではございません。
  102. 大出俊

    大出委員 そうすると、その後個々に契約を結ぼうという形で作業を進められる、こういうわけですな。そうですね。
  103. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 そのとおりでございまして、一応法律で五年の範囲内ということになっておりますのは、その間に契約の合意を取りつけるための最大の努力をする、そういうことを考えております。
  104. 大出俊

    大出委員 そこで、具体的に聞きたいのですけれども、地主連合会といろいろやり合っておる。つまり軍用地の仮契約を目ざしていろいろ説明をやっておられる。二回ばかりおやりになったようでありますが、この予算の面、ここで言っておる百三十億三千四百万円ですか、借地料、残りの三十五億円ですか、これが表面的には見舞い金、こういうことになっておるようでありますが、これは予算費目からいきまして、正確には購入費、こういうことなんですか。そこら関係はどうなっておりますか。
  105. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 地主会連合会の御要求の百八十八億、これの十二分の十・五といいますか、要するに五月十五日復帰でございますので、これを期間で調整いたしますと百六十五億という数字になります。そのうちいわゆる純借料として考えておりますのが約百三億三千万円、それから不動産購入費として計上しておりますのが二十六億九千万円、それから借料関連見舞い金として計上いたしておりますのが三十五億円。そこでこの百三億円はもちろん純粋の借料でございます。不動産購入費の二十六億九千万円、これは地主から買収をしてくれという要望があります場合に、その買収に応じるための予算でございますけれども、これは百三億の純借料の費目をもって交渉いたしまして、十分地主の御納得がいただけない、相当な調整を要するという場合におきまして、この二十六億円の予算を借料関連経費といたしまして借料に充当する。そうしますと、この百三億と二十六億九千万円のうちの借料調整分とが今後の借料ということになるわけでございます。そのほかに、借料関連の見舞い金として三十五億円。これは要するに土地を提供してもらう方々に対しまして、従来長年米側に提供してこられた、そういう経済的な負担なりあるいは心理的な負担に報い、さらに今後提供いただくということに対しますところの協力に対する一つの謝礼というふうな意味で三十五億円を計上いたしたわけでございます。
  106. 大出俊

    大出委員 そこで二つあるのですが、一つは中身をはっきりしておいていただきたいのですが、借料をきめる場合に、見舞い金だとか、あるいは購入費は別ですが、こういうふうなものはあくまでも見舞い金なんですから、借料には将来とも響かない。そのときだけ何がしかつかみでやるか、基準をきめるか知りませんが、金をやるということですな、簡単に言えば。だから、その限りにおいてはこれは借料ではない、こうなりますね。土地購入費も、売りたくないということで、ほとんど売らないだろうと思います。あそこの皆さん気持ちがそうですから。そうすると、それは一体借料のほうに使えるのですか。厳密にいってどうなりますか。
  107. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 不動産購入費の中で、いわゆる借料に充当いたしますものにつきましては、いわば純借料と申しますか、借料ということになります。したがいまして、今後もそれをもとにいたしまして、土地の値上がり等によりまして毎年その借料の額を更改をしていく、そういう基礎になるわけでございます。
  108. 大出俊

    大出委員 見舞い金ですが、現地で、おたくの谷口さんですか、言っているのを聞きますと、引き続き使用を認めた人にはよけい払って、反対であるというのには払わないというふうな説明をしていますね。一体見舞い金の性格というものはそういう性格でございますか。
  109. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 見舞い金は、過去におきますところの経済的、心理的負担に対します一つの見舞いという意味と、それから契約に協力していただくといいますか、要するに米軍に土地を提供していただく、こういう提供行為に対しますところの協力に対する一つの報償と申しますか、謝礼と申しますか、そういう意味を含んでおるわけでございますが、実際に契約交渉をいたしまして、積極的に契約に応じてくれる地主に対しまして、そう大きな金額の差はなくても、やはりそこに積極的な協力に対する一つの謝礼という意味でお出しするのが順当ではなかろうかというような考え方に基づきまして、この見舞い金の内訳をはじいておるということでございます。
  110. 大出俊

    大出委員 ずいぶん薄ぎたない話で、引き続き貸してくれればよけい払いますよ、貸してくれないやつには払わない。おたくの出先の責任者がそういうことを説明会か何かでものを言っちゃいけませんね。そんなふざけた話はないでしょう。長年苦労してきて、復帰になったあとどうするかということは個人の自由です。所有権者なんだから。それを見舞い金か何かこさえておいて、頭をなでる道具に使って、えさを出して、こっちに食いつけば幾らかやるよという調子の話を、国の機関の出先の責任者が言って歩けば、ふざけるなということになる。かんかんにおこっていますよ、聞いてみると。全く露骨千万なことを言って、こんなことで沖繩皆さん気持ちをあなた方はどう理解しているんだということになる。市町村長さえ、あなたのほうを向いている人でさえおこっている。そういう金の使い方、これは国民の税金ですからね。あなた方が、自主的に協力するやつにはよけいやる、くれないやつにはやらないかもしれない、平たくいえばそんなばかなことを言っている。これは江崎長官、えさくれて、さあついてきなさいなんという、三十五億国民の税金を使って、そういう薄ぎたないことをやるんじゃないですよ。かんかんにおこっていますよ、ある地域の集団で。谷口なんというやつはとんでもないと、かたきになっておる。そういうふざけたことをすべきじゃないです。  そうかと思いますと、那覇の平良市長が言っていましたが、那覇に垣花という町村がある。この垣花の町内会館をつくってあげますからというんで、町内会長から市長に話が来た。市長、なぜああいうことをさせるのか、町内会館は、町内の自主性に基づいて、町内会、部落会のみんなで金を出し合ってつくってきたのが過去の歴史だ、そんなところに、施設提供、こういうことで町内会館を建ててやるからなんというふざけた話が入ってくるのはどういうわけだ、市町村長会を開いて断固拒否しろなんて、これも大きな騒ぎです。平良市長だってかんかんにおこっていますよ。これは市町会の代表の方々がみんな出てきた席上で言っている。やることがどうも一々、地元の方が一体どう考えているのかと言わなければならぬようなことばかりやる。だから地元の新聞だって、これはたくさん書き立てていますよ、一月から二月にかけて。  これは香和ビルにありますよ。私も何べんも行ったことがありますけれども、防衛庁の出先の諸君の名前までみんな書いてある。総理府技官の長澤さんから始まって水島さんという人とか、こう書いてある。この水島さんと長澤さんが、美里村の役所と教育委員会を訪れて、美里村の村民会館の建設と美里小学校の校舎に防音装置その他を何とかする。私は、この防衛施設周辺整備法を審議するときに、松野さんが防衛庁の長官で、財満さんが施設部長ですよ。もう三日、私は質問のしっぱなし。事こまかにこれはきめていったはずです。  そのときに、やはり出るべき政令を持ってきてくれなければ質問できない、政令委任事項が法律の中に十三もあったのではどうにもならないというので、政令の案文も全部持ってこい。それも全部審議しているはずですよ。これには、公民館なんかすぽんと建てていきますなんということは書いてない。政令改正になってワクが広がったことは知っておるけれども、あくまでも補助であって、建ててあげますなんという筋合いのものではないです。そういう性格の法律じゃないです。あなた方、私の質問をずっと逐条的に全部書いたやつを印刷して冊子にされているでしょうが。そんな審議はしていない。しかも学校の校舎まで建てると言っている。これにはさすがに腹にすえかねて上原康助君が文部大臣あてに予算の分科会で質問している。文部大臣はぶ然として、学校の校舎は施設庁のお世話にならぬと言っておる。防音装置なら、これはわかる。障害というやつがあるのですから。三条と四条、並んである。だから障害なら障害で話がわからぬことはないけれども、こういうまさにえさをくれて引っぱっていくようなことをされては、これは私もうほんとうに腹にすえかねる。苦労されているのはわかるんですよ。皆さんの出先だから、一生懸命早くまとめたいという気持はわかる。気持ちはわかるけれども、村当局や教育委員会その他も、小学校ですか、この資金の内容がはっきりしないということで受け入れに対する態度を保留しているとか、そのほか部落民から突き上げが一ぱいあるわけで、困っているわけですよ。そういう基地周辺整備資金で校舎を建設するのは筋違いだと、今度学校から逆に申し入れている。この点は文部大臣だって、ふざけたこと言っちゃ困る、学校校舎の建設はあくまでも文部省の責任だ、防音装置なら話は別だが、そんなものを防衛施設庁の出先がつくってあげますよとかなんとか、ふざけるなということですよ、議事録を見ますと。  いまの見舞い金だってそうだ。継続してあなた方が使用するところにはよけいやりますと、比率まで言っておる。片っ方はあてがいぶちで、しようがない、過去のこともあるからと言う。そういうことをしないで、やはり国民の税金を三十五億使うのなら、御苦労だったというのなら、御苦労賃で皆さんにきれいに差しあげなければいかぬじゃないですか。あとは個人の意思ですよ。その人の意思が貸したくないというのに、見舞い金で差をつけて、貸してくれないやつにはやりませんという調子のおどかしみたいなことを言うというのは、あまりといえばえげつないじゃないですか。この辺は大臣、どうですか。
  111. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これもなかなかむずかしい問題ですが、あめ玉方式といいますか、そういうやり方は決してよくないと思います。それから、そういう誤解を与えるようなそぶりがあることはこれまた望ましくありません。ただ問題は、親切にやろうと思っても、これはちょっと表現のしかたと、また受け取る側の受け取り方でいろいろ議論が出てくるのじゃないかと思うのです。しかし、御指摘される意味は十分わかりますから、かりそめにもそういうあめ玉方式の誤解を招くようなことにならないようにちゃんとしたいと思います。やはり整備するものは整備する、またお渡しするものは渡す、頼むことは丁重に頼む。これはやはり国家機関である以上、当然とらなければならぬ、またそういう心がまえで接触をしなければならぬものだというふうに思います。御指摘の点等は御意思はよくわかりますので、今後、県民に接触してまいります上に十分配慮を加えるように、私からもよく申しておきたいと思います。
  112. 大出俊

    大出委員 これは私のところに、手紙が来ておりましたり、電話がかかってさましたり、いろいろある。これは申し上げれば切りがありませんから。ここに一ぱい書いてありますが、いろいろなことを言っているのですよ。これは話にならぬ。それは苦しまぎれというのか、出先の方が苦労してこうなったのか、その努力のほどはわからぬわけではないけれども、筋がある。それならば、防衛施設周辺整備法は一体どこの法律だ、何のための法律だというのです。これはどこから言われなくたって、基地があって、松野さんの私に対する答弁じゃないが、基地ができてしまったことについては、これは過去だ。だからそれを四の五の言うてもらいたくはないのだが、できている基地について維持をし管理をするというのはわがほうの責任だ。維持管理の面から、河川がどうにもならぬ、道路がどうにもならぬ、学校の子供が防音装置がないから勉強ができぬ、これは一にかかって国の責任だというわけですよ。だからこの法律の趣旨は、むしろ積極的に自治体に、何がしかひとつ予算捻出をしてくれませんか、基地があって維持し管理するたてまえの防衛庁としては、今回この法律をつくってもらったから、これこれの金ぐらいは出せるようになった、だから、おたくのほうの自治体のふところ勘定でいかがなものか。むしろこちら側が、迷惑を国民にかけるということについて、それなりのことをやらなければならぬ義務がある、そういう性格ですよ。それを今度逆に、基地提供のからみで何々をやってあげましょう、してあげます、金出しましょうという。そういうあめ玉方式をおとりになるということは、これは逆に感情はさかなでになりますよ。それで片一方で、それでもうんとおっしゃらないのならば強制収用でございますよということになると、これはあめとむちじゃないですか。それでおさまる問題じゃないですよ。人間である限りは、個々に思想はあるのだから。だから、そこらのところは皆さんも、あまりわしらが見て、けちなことをなさるなと言いたくなるようなことはしないほうがいいですよ、私に言わせれば。ぜひそこのところは、私はもっといろいろ申し上げたいのだけれども、切りがないですからはしょって申し上げますけれども、これは皆さんのほうで十分御注意をいただきたい。これだけは申し上げておきたいのです。
  113. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 よくわかりました。かりそめにもそういう誤解のないようにしたいと思います。また同時に地元側でも、好意に発している場合には、すなおにすらっと受け取ってもらうことがほんとうに非常に望ましいわけでございまして、しかし、基地というものの特殊性からいって、なかなかすらっと受け取りにくい、これもよくわかるような気がいたします。十分配慮いたします。  それから、さっき御質問のありました厚木飛行場使用の件ですが、ちょうどいま最初の調査のものが入りましたので申し上げますと、これは外務省で許可しておりまして、この間私も部下にやかましく言っておいたことでありまするが、これは地位協定の五条一項に基づいて、要するに航空機の飛行場使用については外務省で許可をする。したがって私のほうには、渉外参事官まで、こういうことで許可をしたからという通報がある、こういう順序になっておるようであります。  その五条一項は、これは御承知のとおりでありますが、合衆国以外の航空機で、合衆国によって、合衆国のためにまたは合衆国の管理のもとに運航されるものは、日本の飛行場に出入りすることができる、こうあるわけでありますが、タイ国機——いま韓国機については、なお、新聞にも出ていましたので、外務省側に問い合わせをしておりますが、四十六年七月の二十一日からことしの四月四日まで、六機来ております。昨年の七月二十一日にS2F、二十九日にHU16D、それから九月二十七日にS2F、十二月七日に同じくS2F、四十七年、ことしに入って二月一日にHU16D、四月四日にS2Fと、これらはいずれも厚木飛行場隣接の日本飛行機株式会社の工場でオーバーホールをやっておる。きわめて微妙な点でもあり、私もその点を非常に心配しておったわけでありまするが、たとえばベトナム戦線で傷ついたものがそのまま修理に入ってくるのではないか、これはやはり大出さん御指摘のように心配な点であります。これは全然そういうことはない。アメリカ側が貸与しておる飛行機の修理ということであり、しかもこれは日本飛行機に商業ベースで入ってくるのだ。しかもこれは大型機がちょうど子ガメを乗せたような形でおんぶしてくるわけじゃなくて、そのままその機がここまで一応飛来してくる能力があるわけですから、あくまでオーバーホールが目的である。もし、たとえば戦線等で不測の攻撃を受けて破損したものであれば、とてもここまで飛来させることはできない。そういうようなあたりに十分配慮をしながら外務省ではチェックをして許可をしておるのだ、こういう回答に接しております。  韓国については、先ほど申し上げましたように、なお御報告申し上げられるように至急回答を得たい、こう思っております。  それで、詳細については外務省側の問題になるわけでありますが、これは現在は、厚木の飛行場は、御承知のとおりわれわれ自衛隊のほうが管理しておるわけでありまするので、十分ひとつそのあたりにも配慮してまいりたい、こう思っております。
  114. 大出俊

    大出委員 いまの御報告に私のほうから反論を始めますと、またたいへん時間がかかりますので、御報告を承って、これは、外務省はおいでになりませんから、あらためてひとつ外務省おいでになるところで、私のほうの現地から入手している資料に基づいて申し上げたい、こう思います。いまの点は御報告承っておくにとどめたいと思います。  そこで、皆さんだいぶお疲れのようですから、ひとつこの辺で自衛隊の沖繩配備につきまして、少し具体的に国防会議その他を踏まえて、これはいつでございましたか、先月末でございましたか、ここのあたりについて、最終的に一体具体的中身はどうなったのかということを承りたいのですが、約六千五百人、こういうことになったのだと思うのですね。そこで、直後に配備される先遣隊というのは、陸上が約三百九十人ですか、それから海上が約四十人、航空約百八十人、計六百十人。これは何か幾らか落とすような話が出ておりました。そこと、それから沖繩地方連絡部の二十五人の計六百三十五人、こうなっていたわけですね。それから、施設の維持管理、民生協力、自衛官募集業務などに当たるというのがこの人たちの任務だということになっています。  それから、たいへん概略が載っておりましたので、中身がわからぬわけですが、具体的な配備計画の中身、陸上自衛隊は那覇のホイール地区、ここを根拠地に、返還後の普通科、施設科各一個中隊、輸送用ヘリコプター、バートル107二機ですか、飛行隊も約三百九十人、これから以下ずっとあるのですけれども、ここらのところ、せっかくの機会ですから、二十六日に妙なことが新聞に載っておりますので、どういうふうなことになるのかを御説明願いたいのです。
  115. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 いまお話のありましたように、一番当初計画というのは、復帰の時点で六百名を配備しよう。これは陸海空です。これを四百名に落とそうということで、国防会議のいろいろな事務機関を通してきたわけです。そこで私は、実は議長である総理に、報告かたがた、こういう議題を明日かけるということを、あれは先月でしたか、相談をしたわけです。そうしますと総理は、沖繩の問題については慎重の上にも慎重、特に久米島事件等々、ああいう予想もしなかったような問題が起こり、しかも県民感情が非常に高ぶっておるのだが、復帰の時点で四百人、まあ六百人が四百人ということは、防衛庁側でいえばずいぶん削ったつもりであろうが、それは一体どうなんであろう、もう少し検討の余地があるのじゃないか。施政権が戻ってきた沖繩に自衛隊を配備するということも、もちろんこれは厳粛な任務であろう、しかし、われわれ政治家が政治配慮を加えるということも大事ではないか、こういう話が私にあったわけです。これは私はすなおに受け取りまして、議長たる首相もなかなかいいことを言われる、これはやはり注意としてはまことにもっともな注意であるということで、防衛庁に戻りまして再検討に再検討を加えたわけです。  そこで、厳密にいいますと、九十六人の準備要員が行くわけです。これは一口にいいまして、五十万坪、二百八十三棟というものが自衛隊に還付されるわけですね。したがって、これだけのものを管理する上からいきますならば、この九十六名はきわめて最低の人数である。したがって、県民感情を十分考慮してというならば、この九十六人をそっくりそのまま五月十五日の時点で、施設等等の引き継ぎを受けて、直接管理に当たらせる管理要員に充当したらどうだ。五十万坪の中に九十六人では、これは全くほんの微々たる配備という形になるわけでありますが、しかしこれも、何となく沖繩の自衛隊に対する理解が薄い。旧軍時代のイメージがいまだに残って、暗いものが自衛隊の上にオーバーラップしておるというならば、やはりこれはそれでいくべきじゃないか、こういう結論に立ちまして、実は九十六人で五月十五日の時点はすべてをカバーしていこう、こういうたてまえでおるわけであります。  しからば、いまの九十六人はどういう配備にするのか。いまちょっと私はここに資料がありませんので、空で覚えておりませんが、これは予算委員会でも申し上げてまいりましたように、二月七日のいわゆる四次防大綱が策定されましたときに、準備要員というものは二項七号という項目でカバーされておりますということで御了承を願ってきたわけでありますが、実はこれも順次向こうに配備しておったわけです。これは米軍側との引き継ぎもありますし、琉球政府との話し合いということも、当然のことながらあるわけです。しかしこれも、例のなべかま過剰送付事件等々がありまして、やはり県民感情を踏まえてというなら、すべて疑義を生じたり誤解を生むようなことはやめたらよかろう。特にいま隣におられる山中総務長官ども沖繩担当大臣として非常な苦心をしておるだけに、いろいろないい意味でのサゼスチョンをもらいまして、私どもも、これは何といっても担当大臣の意向というものもやはり尊重しながら対処すべきだ。これは同じ閣内の閣僚同士でありますので、そういった心がえで、実は現地に配備いたしますものも、送るのをちょっと中途でやめていたわけです。ところが、もうアメリカ側からすると、五月十五日に返還、返還といって、サンクレメンテで首相は一刻も早くと言っておきながら、引き継ぎにちっとも来ないが一体どういうことだという、第一線の現地部隊からすれば非常な疑問もあったそうであります。  そんなことがありまして、これまでに十二人出しておりました。これは連絡要員ですから、行ったり来たりしておりました。中には、問題が起こった当時に呼び戻した者もおるわけです。そこで、緊急出さなければならぬというわけで、十八日には五人、これは国防会議決定の翌日であります。それから二十二日、これは今度の土曜日にたるわけでありますが、二十人を出そうといたしております。それから二十六日、これまた二十二人を送ります。それから五月に入りまして、五月四日に二十一人、六日に十六人、これでたしか九十六人になろうかと思います。いまちょうどメモがまいりましたが、そういう日程で準備要員を配備します。この準備要員は、五月十五日の復帰時点になりますと施設等管理要員、こういう名称に変わるわけであります。  そこで、あとの配備を一体どうするのか、これが問題なわけでありますが、とりあえず施政権が日本に戻りましてから、自衛隊の性格等についても、現地県民各位に十分御理解を得るような積極的努力をしていく。まあ防衛庁そのものの姿勢といたしましては、現在は用地確保に全力をあげる。復帰後においては、旧軍隊とは無関係であるというようなことを含めまして、自衛隊の新しい性格を時に触れおりに触れて自然に県民各位に理解してもらうような努力をしていこう、こういう姿勢でおるわけであります。  したがって、だんだん防衛任務を引き受けなければなりませんので、いつまでも九十六人にしておくというわけにもまいりません。そこで、装備等については後刻申し上げますが、人数だけを申し上げますと、七月の大体中旬、十日から十五日ごろというのを目途に、これは日をきめておりませんが、二百五十名くらいにしたらどうであろうか。これは、だんだん理解が深まるとともに漸増をしようという防衛庁の一つの原案のようなものは持っておるわけでありますが、これなどの緩急といいますか、人員配備をスローダウンするのか、あるいは急ぐのか、これは現地の事情等も十分勘案しながら徐々に配備をしてまいりたい。そして四十八年一月一日の時点では、陸海空を合わせましておおむね二千九百三十人。この場合、どうしてこういうことになるかと言いますと、いよいよ航空自衛隊が任務につくわけです。したがって、航空自衛隊の沖繩領空内における任務完遂のためには、どうしてもおおむね千四百人程度の人員が要るということで、主としてあの地理的環境からいいまして航空自衛隊に重点が置かれるわけであります。しかし、こういった問題も、十分県民感情を考慮しながら結論に到達するようにしていきたい、こんなふうに考えております。
  116. 大出俊

    大出委員 そうしますと、これは二月十四日の琉球新報ですが、このときは先遣隊六百人という規模で、南西航空混成団、これは一日に結団式をやっておりますけれども、この中身が陸海空に分けてここに明らかにされている。これがどう変わって、そして陸海空に分けて見ると、結果的にこの編成がこのままなのか、あるいはどこがどう変わったのか、そこらのところ。  それから、七月中旬に二百五十名というのですが、四十八年の一月一日ということになりますと、そのあと大体五カ月ばかりですね。そうすると、この五カ月間に合計二千九百三十人になるように派遣をしていくわけですな。ここまではいいわけですが、いずれにしても、七月から五カ月の間にトータル二千九百三十人になるような配置をする。いまここまできめておるというわけですね。そこから先のところはこれからですか。
  117. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 まず第一点の航空混成団をどういうふうにしたのか。これは実はいま事務的に、衆議院側の予算委員長、予算関係理事、それから当然この内閣委員会、当時の分科会の主査、こういった方に、その編成がえについて御了承を求めなければならぬと思っております。同じように参議院側に対しても、やはりそういう手続をとっていきたいと考えております。幸い参議院のほうはまだ分科会に入っておりませんが、これは五十歩百歩の話で、当然全部この内容説明についての訂正という形で御了承をいただきたいと思っておる。  これはちょっと先ほど言い落としましたが、国防会議のときに総理から発言がありまして、聞けば航空混成団というのは沖繩だけに設けられる組織のように思う、これはどうであろうか。幾らその機数、装備等々、法的にいっても何からいっても問題はないということであろうとも、少なくとも安保条約本土並み適用とか、すべてを本土並みといっておるときに、何となく沖繩配備の航空自衛隊が航空混成団といったような新規な名称で組織されるということはいかがであろうか。やはりそういうものをすべからく本土並みにすべきじゃないかという指図があったわけです。これはなるほど言われてみればごもっともということで、これにつきましても、急速実は編成がえの作業をして、直ちにこれは了承を求めたわけでありまするが、要するに混成団という編成の方向をとらないで、要撃機部隊、それから基地隊等を九州にある西部航空方面隊の隷下部隊として編成する、こういう形に実はかえたわけでございます。  それからなお、沖繩県民感情を考慮いたしまして、配備の時期をできるだけおくらせるという作業をするのと同時に、航空機の配備の規模等につきましても、とりあえずはF104Jを二十五機ということで予定しておったわけでありまするが、これも十八機に減少させる。まあ任務遂行の面からいきますといろいろ理屈もあったようでありますが、理屈は理屈、現実処理は現実処理、これはやはり県民感情優先でいこうということでそういう配備に踏み切った、決定をした、これが先ほどの御質問に対するお答えでございます。  あとの人員配備のスケジュールですか、これは防衛庁側の一つの試案というわけで、先ほども申し上げましたように、緊急の事態といいますと、平時においては民生協力ですが、そういうことが起こって、現地から特に増派を要請されるとか、何かそういうことがあれば、当然そこで増減さるべきものというふうに考えております。これも徐々にということで、二百五十人から三百五十人、あとは四百十名程度、それから八百五十人、千百二十人、千七百四十人、千九百人、そして年末から正月にかけてのところで二千九百三十人、こういうようなことで考えておるわけであります。この時期等については、七月十日より早まることはありません。以降において緩急自在といいまするか、状況をながめながら配備をしていくのが妥当ではないかというふうに考えております。ただし、先ほど申し上げましたように、七月十日以前にはといいましても、現地から特に要請があれば、これはもちろんそういう場合は例外というふうにお考えおきをいただきたいと思います。
  118. 大出俊

    大出委員 いろんな問題があり過ぎますが、きょうお答えをいただかなかった幾つかの問題等もありますので、そこらの問題を含めまして、あらためてひとつ質問をさしていただこうと思います。だいぶ時間がきょうは過ぎましたので、昼めし食わずに進めているわけでございますから、そういうわけで、もう少しやる気になったところでもう一ぺん続けていきたいと思いますけれども、最後に山中長官に一つだけ承りたいのです。  沖繩開発庁設置法をめぐって、実は対案という形のものを私ども三党で出しているのですが、現地のいろいろな会合その他でも取り上げられておりますけれども沖繩の将来の開発計画というものは、これは非常にむずかしいことになると私は思っておりますし、一つは基地ということの問題にもからんでまいります。  そこらのところ、現在の時点で、この所管をされてやっておいでになりました長官のほうから、沖繩開発庁というようなものを一つ柱にしながら開発計画を考えるということになるのだと思うのでありますが、各方面のいろいろなものを手がけたお立場で、たとえば石油コンビナートみたいなものにしても、金武湾あたりを見ておりますと、どうもあすこの島の間を埋め立ててなんという計画もあります。しかし、現地の状況からすると、石油企業なんというものは、私はこれ以上持ち込むべきじゃないのじゃないかという気もする。あるいはアルミなんかにいたしましても、たいへんこれは問題がある。私も、琉政の公害担当の室長さんに会って、いろいろ話をしたり聞いたりもしてまいっておりますし、資料もありますが、沖繩といえども公害のらち外ではない。海洋博をやるといったって、きれいな海岸がはたしてどれだけあるかといった問題さえある。そういうところでございますから、いろいろこれは限度もあるという中で、これから開発計画その他が現地で立てられていくのでしょうけれども、いまの時点で、たとえば、とめなければならぬものが幾つかあると思うのですね、国の立場で。  たとえば、いま申し上げた石油なんかもそうでございますが、土地の買収あるいはそれに類似することなどが、宮古あたりにいたしましても、非常にたくさん例が出てきていますし、そこらのところをこのままでいいのかという実は気がする。先々の総合的な開発計画に支障が来やせぬかという気さえするところもあります。そこらのところで、時間がないわけでありませんけれども、たいへん長らくそこにおすわりを賜わっておりますから、ここから先一つ一つ各部門別に質問していきますと切りがないので、そこら辺、ひとつ総合的に見ておられる立場でお考えを述べていただきまして、きょうのところはひとつ締めくくっておきたいと思うのでありますが、そういう意味でひとつ御発言をいただきたいと思います。
  119. 山中貞則

    山中国務大臣 沖繩に、現在の琉球政府許可のもとに、外資、あるいは復帰後は純然たる民族資本系の石油企業がもうすでに五つ出ております。これは建設に全部かかっているわけじゃありませんが……。そこらのことを考えますと、部分的にはやはり金武湾、中城湾等に対する環境汚染の問題がやはり無視できない状態になっております。また、いままで与勝海上園でありましたものも、公園指定を解除せざるを得ない現状になっている。これは琉球政府がやったことでありますから、このことの可否は申しませんが、復帰後は、沖繩列島にも新しく、ことに中南部の人口稠密地帯に石油産業というものの進出は国としては認めない方向でまいりたい。したがって今後も、国が援助をし、また指導をしていく。進出企業は、沖繩既存企業と競合せず、かつ沖繩において、立地条件あるいは気候その他の条件からいってきわめて有利なものであって、あるいは有利でなくとも、国の援助によって、出ることにより沖繩人たちの雇用市場に非常に貢献する、そして関連産業等によってそこに新しい産業が起こるし、付加価値の高いものである。一例をあげれば造船等、そういうもの等がやはり考えられていかなければならぬと思います。  第二点の、復帰前における土地の、ことに企業資本による取得の問題。これは最近本土のほうでも非常に金融のゆるみ、こういうものから、どうも不動産の投資のほうに銀行が安易に金を出し過ぎているんじゃないかという問題が、土地の値上がりに関連して問題になっておるようであります。沖繩においては、不幸にして昨年干害あるいは台風等に襲われた地域については、現在では売ろうと思っても買い手もないところもあるようでありますが、といって本土の資本から見れば、このような値段で手に入るならば本土の常識ならば安いものだという、同じ合意であっても、そういう本土常識による価格というもので買える環境があるわけであります。村当局やその他も、たとえば海洋博覧会をやる予定地等については、琉球政府に財政上の先行取得の措置も講じておりますものの、地元の町村もみんなが、金は一時だ、土地は末代というような立て札まで立てて一生懸命やっているようですけれども、それに布令あるいは政府立法によって非琉球人の土地の永久取得、地上権、耕作権まで含めて禁止されているはずですけれども、やはりそこに売り手がおる、あるいは買い手がある、あるいは買い手がおって応ずる人がいるという現象がある。これは沖繩において現在農地法がないという点も大きな盲点の一つだろうと思いますが、現在ある法律もなかなか生かされていない。この点は復帰してまいりましたならば、厳重に本土の農地法をきびしく適用いたしますから、そのような農地転用その他の問題で、かつて沖繩に存在した非琉球人の土地取得に対する許可制度というものの網をくぐって非合法でやっていたと思われるもの、あるいはそれが農民の側から見て、だまされたというような常識上の問題を抱えているもの、そういうものについては、農地法の適用あるいは農地転用等の許可の場合において、これはきびしいチェックをしていかなければならぬと考えておる次第であります。
  120. 大出俊

    大出委員 これは、いまお話があった金融のゆるみというようなことで、本土の場合でも、この間私調べてみましたらひどいことになっていまして、景気刺激といってみても、本体はそこに中心がない。東京の株式市場の一部上場の千二百九十四社ぐらいが、金融機関を含めて、片端から土地の買い占めです。これはたいへんなことですね。だから、数字に基づきますと、日本全土の面積のうちの一・八%ぐらいのものが企業法人に全部買われている。その一・八%が日本の市街地面積に相当する面積である、こういう状況にある。だから、日本国じゅうのこれはと思われる土地は全部法人企業が持っている土地に今日なってしまっている現実ですね。その上なお買おうとして、金融のゆるみというものを利用してしきりに買いあさる。そちらに中心が置かれている。物価が上がっていく五倍の速さで土地が上がるという統計的現象も出ている。だから、その勢いというのは、当然沖繩に響いていくことになる。私も何べんか歩きましたが、衆議院、参議院に籍のある方の名前まで出て、調べてくれと依頼されて、私は琉球政府の法務局に行きまして具体的に調査依頼したことがある。担当者にいろいろ聞いてみたこともある。非琉球人の土地の取得というものは禁止されておりますが、にもかかわらずこういう現象が出てくるのです。何村の何という人は最近ばかに豊かではないか、その人間が動いている、土地を買ったというわけですね。買うと、土地の人はみんな知っているわけだから、何であんな土地を買える金があったのだ、こう言っておりますね。そういう奇妙な現象が方々に出ている。そこに行って調べても、本人はタニシのようにがんとして口をつぐんで語らない。証拠が出てこない限りどうにもならぬという、調べにいった人の回答が入ってくる。これが方々にあるのです。  だから、企業まで乗り出していまやっている状況をながめてみますと、せっかく沖繩開発庁というものをつくって開発計画を立てるというても、復帰してみたとたんに、ふたをあけてみたら計画も満足に立たぬような場面がここまで来るとたくさん出てくる。ここらのところは何か手を打っておかなければ、せっかく開発庁をつくってやっていこうといって、開発計画を屋良さんあるいは新しい知事のもとで立てる、審議会の議を経るといってみても、全くどうにもならぬことができ上がりはせぬかという心配が先に立つ。そこらのところを、わずかしか日数がありませんから、何がしかの調査結果に基づいて皆さんのほうで何か考える必要がありはせぬかという気がするのです。こまかく言うとたくさんありますけれども、大ざっぱにものを言ったわけです。  この二つの法案の審議も大詰めに来ておりますけれども、ぜひひとつおのおのの省の筋道に基づいて、気のついていることはたくさんあると思うのでありますが、そこらを一ぺん総合的に御検討いただきたい。先般来申し上げている土地の所有権の確定という問題一つつかまえても、さっき長官から前向きの御答弁がございましたように、ある意味の強制というものを含む立法措置でもしなければ、五年たっても片づかない、こう判断します。他の問題についても似たようなことが言えます。そちらのほうに入っていきますと時間が何ぼでもかかりますので、総合的に申し上げたのですが、そこらのところはぜひひとつチェックしていただいて、しかるべき措置を御検討賜わりますようお願いいたしまして、たいへん長い時間そこにおすわりいただきまして恐縮でございましたが、きょうのところはこれで終わらしていただきたいと思います。
  121. 伊能繁次郎

    伊能委員長 次回は、明二十一日金曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時七分散会