運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-04-13 第68回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十三日(木曜日)     午後三時十分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 加藤 陽三君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉三君 理事 塩谷 一夫君    理事 山口 敏夫君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       天野 公義君    辻  寛一君       葉梨 信行君    上原 康助君       楢崎弥之助君    受田 新吉君       東中 光雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 福田 赳夫君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 江崎 真澄君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         人事院事務総局         職員局長    島 四男雄君         総理府総務副長         官       砂田 重民君         防衛庁参事官  高瀬 忠雄君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       宍戸 基男君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      江藤 淳雄君         防衛庁経理局長 田代 一正君         防衛庁装備局長 黒部  穣君         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁総務         部長      長坂  強君         防衛施設庁総務         部調停官    銅崎 富司君         防衛施設庁施設         部長      薄田  浩君         防衛施設庁労務         部長      安斎 正邦君         沖縄北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖縄北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         沖縄北方対策         庁調整部長   田辺 博通君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省条約局長 高島 益郎君  委員外出席者         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任   土井たか子君     栖崎弥之助君 同日  辞任         補欠選任   楢崎弥之助君     土井たか子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖縄開発庁設置法案内閣提出、第六十七回国  会閣法第五号)  沖縄復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別  措置等に関する法律案内閣提出、第六十七回  国会閣法第七号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  沖繩開発庁設置法案及び沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤惣助丸君
  3. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ただいま委員長から読み上げられました沖繩の二法案に関連いたしまして質問したいと思います。外務大臣、時間がないようでございますから、先に外務大臣から伺いたいと思います。  聞く問題は、一つ事前協議の問題、地位協定の問題、地位協定の問題、それから沖繩毒ガス事故が起きました、その問題など伺いたいと思います。それで、きのうも外務委員会において外務大臣答弁を聞いておりますので、それから議論を進めていきたいと思います。  まず第一に事前協議の問題でございます。一九六〇年の安保改定のときに取りきめられました事前協議制度でございますが、一つは、最近のベトナム戦争の激化に伴いまして、岩国ファントム部隊、あるいはまた横須賀艦隊、これらが直接ベトナム戦争に参加したのではないか、こういう疑いがあるわけであります。ところが、いままでの質疑を聞いていますと、外務省では、第三国を経由してベトナムへ行っているから問題はない、こう言われているのです。しかし、事実関係といいますか、新聞報道などによりますと、沖繩におった空母がその乗り組み員三十数名を置き去りにして急いでベトナム海域に向かった。こういうようなことから、いままでの事前協議制度というものは形骸化しているのではないか。日本領海内でそういう命令がなかったとしても、公海上で指令を受けて直接行った場合には事前協議対象ではないというならば、その制度があっても実際に形骸化している、こういう指摘があったわけであります。そこで外務大臣は、そういった問題を考えて今後検討したい、このように答弁をなさっておるわけであります。  そこで、私は一つ一つ伺っていきたいのでありますが、一つ戦闘作戦行動であります。これは出撃命令という形ではなくても、直接戦場に行く場合は当然事前協議対象として考えるべきではないか、こういう問題でございます。そういう点について外務大臣、どう思われますか。
  4. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま伊藤さんからお話ですが、沖繩はまだ施政権が返ってこないのです。ですからこれはもう論外の問題で、問題は横須賀並び岩国のことが念頭にあられるんじゃないか、こういうふうに思います。  それで、わが国政府がとってきた方針は、とにかくわが国基地が使われる、そして戦闘が行なわれる、そういうことになると自然わが国がその戦闘に巻き込まれるというおそれがある。そういうことを頭に置きながら事前協議制度というものがあるんだろう、こういうふうに私は思っておるのです。まあ、とにかくわが国の国益というか、戦争に巻き込まれるというのは一番困ることでございますから、この辺は十分考えなければならぬ。それからわが国の周辺の事態、これがどういうふうに発展するか、その影響というものがわが国にどういうふうに波及してくるか、その辺もまた考えなければならぬ問題だろうと思います。まあ、つまるところが、わが国の安全を確保するためにこの事前協議制度があるわけだろう、こういうふうに思います。  ところが、個々具体的ケースになりますると、いままさに伊藤さん御指摘のように、どうも非常にむずかしいケースが多々あるんです。で私も、皆さんから聞かれた場合に、はっきりこれはこうだ、ああだ、こういうふうに答弁できるようにいたしたい、こういうふうに思っております。
  5. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これはやはり外交交渉の中ではおそらく具体的な例をあげて折衝をするだろうと思うのです。そこで私は、その窓口になっております外務省に、こういう場合という事態を想定した話をよく認識していただきたい、こういう面から私は申し上げるわけです。ですから、私どもがやるというわけではありませんけれども、個々の具体的な例をあげまして、いま当然そうじゃないかという事例をあげながら、外務大臣感触といいますか、見解を伺っていきたいと思います。  いまもありましたように、まあ沖繩から出撃する場合、現在は施政権がありませんので、もちろんこれは文句は言えないわけですが、現在もうすでに沖繩におります第三海兵師団ですか、これが大挙といいますか、たいへんな準備行動といいますか、そういう動きが現在ございます。これが、現在はまあ施政権はありませんけれども、五月十五日になりますと施政権下に入るわけであります。いままでの例を申し上げますと、横須賀佐世保に来た艦隊が直接海域に行ったことはもちろんあるようでありますけれども、距離の関係から常に、三沢地区部隊佐世保とか岩国に来、そして沖繩に来て、それからベトナムに行った、こういう前例といいますか、あるわけでございますね。それが沖繩返還と同時に、沖繩も今度は日本の国になるわけでありますから、いままでのようなケースではとうてい認められないということになるわけであります。そこで、この戦闘作戦行動の場合に、沖繩にはまだ相当の部隊が駐留することになっておるわけでありまして、毎年毎年日本本土沖繩部隊とが、いろんな形においてベトナムに出撃しているような様子があるわけですね。  そこで私が申し上げたい点は、そういう問題のときに、やはり外務大臣は何らかの形でこれを話し合わなきゃならない。それから一つは、取りきめてから十二年間たったということ、それから最近ではこの当時と非常に違った装備変更がある、そういうことから考えなきゃならぬということのようでございますね。ですから、まずその事前協議というのは、ある取りきめによりまして日米協議委員会を開く。しかし外務大臣は、その取りきめについては今国会が終わってからやる、こうおっしゃっているわけですね。やはり大事なことは、それでは、五月十五日以降、米軍がいままでと同じような行動、あるいはまた作戦を展開した場合に、それを認める考えがあるのかないのか、私はまずそれを伺いたいと思います。
  6. 福田赳夫

    福田国務大臣 沖繩は五月十五日に返還になります。そうしますと、わが国本土において適用されております日米安保条約及びそれに関連する諸取りきめ、これはそのまま事前協議問題を含めまして沖繩適用になる、こういうことでございます。
  7. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ですから、五月十五日以降日米協議委員会前にそういう事態が発生した場合はどうなさるのですか。
  8. 福田赳夫

    福田国務大臣 事前協議問題の再検討が済まない前にもういろんな問題があるかもしらぬ。そういう際は、いままでの事前協議制度というのがあるのですから、それをそのまま利用する、こういうことになるかと思います。
  9. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 事前協議を開く、こういうことでよろしいですか。
  10. 福田赳夫

    福田国務大臣 そういう事前協議に該当するようなケースがありますれば、事前協議のその協議が行なわれる、こういうことでございます。
  11. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ですから事前協議というのは、メンバ−は、米太平洋軍司令官、駐日大使、それから外務大臣並びに防衛庁長官などが集まって行なわれるようになっておりますね。その場合、何かきのうのお話によりますと、司令官大使が何か更迭をされるので、早急には開けないというお話がありましたけれども、その点いかがですか。
  12. 福田赳夫

    福田国務大臣 アメリカ太平洋軍司令官、これは更迭途上なのです。それからアメリカ大使、これが一昨日か昨日ですか、信任状捧呈式を終えた、こういう段階です。そこで、この二人が米側構成員、わがほうは私と江崎防衛庁長官、こういうことになります。そういうようなことで、安保協議委員会、これは私が考えております問題はいろいろあるのです。いろいろありますが、その一つは、事前協議対象というものをもう少し明確にしておいたらどうであろう、こういうふうに思うのです。しかし、この問題一つをとりましても、これはいろいろの準備が要る。そういうようなことで、アメリカでもなかなか新しい代表の二人の方が、それを消化するのは容易なことではなかろうと思います。わがほうにおいては、いま日夜、全く日夜なのです、国会と国務とに忙殺されておりまして、そういう準備に取りかかれない、こういうような状態でありますので、やはり国会が済んでからそういう諸準備に取りかかる、その後に安保協議委員会が開かれる、こういうふうに考えております。
  13. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 外務大臣の、国会で忙殺されておる、また準備も必要だ、それはよくわかるのです。ただ、五月十五日に返還日本施政権下になるわけですね。ですから、私の一つ見方といいますか、いろいろ見方があるわけでありますけれども、どうもベトナム戦争が急にすぐやむというような感じを受けないわけですね。そこで、やはり五月返還後においても、沖繩におります米軍航空隊であるとか、あるいはまた海兵隊であるとかというような部隊が、私は、やはりいままでと同じようにベトナムに移動することが考えられるわけですね。ですから、そういう一つの事務的な問題ではなくして、現に五月十五日以降に起きることがあれば、これはやはりすべてに最優先してそういう委員会を開いて、そこでやはり明らかにすることではないか、こう私は思うのですがね。
  14. 福田赳夫

    福田国務大臣 私が申し上げているのは、安保協議委員会を開きまして、事前協議対象の問題を話し合いたいと言っているのです。事前協議はそういう場もあるいはあるかもしれませんし、あるいは大使が私に言ってくるというしかたもあるかもしれませんし、それはまた別の問題なのです。その別の問題は、これはいずれ事前協議対象にしますというケースが起こりますれば、それは随時その協議は行なわれるというふうに御理解願いたいと思います。
  15. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 要するに、五月十五日以降に日米協議委員会、すなわち事前協議制度というものを検討するということとは別に、このベトナムに対して、米軍が一飛行隊とか一師団というようなことで移動するような場合には、これは当然何を差しおいても事前協議はやる、こういうことですか。
  16. 福田赳夫

    福田国務大臣 そのとおりでございます。
  17. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そうしますと、その事前協議委員会において何らかの現状に合わせた検討を行なうことについて質問したいと思います。  戦闘作戦行動については、当然命令をどこで受けようと、その部隊日本領海から出て命令を受けた場合には、事前協議対象にならなかったといういままでの行き方は、これは空洞化した大きな原因でありますから、たとえ出撃命令を受けなくても、日本にいる米軍が直接戦場におもむいた場合には、当然これは事前協議対象として話し合うべきではないか。この点はいかがですか。
  18. 福田赳夫

    福田国務大臣 その辺は非常にむずかしい問題と思っております。つまり、アメリカの太平洋艦隊にせよ、あるいは空軍にせよ、これはもうアジア地域を広範に遊よくをしておるわけなんです。その基地としてわが国はある。その基地からあるいは飛び立つ、あるいは船出をする、そういう際の一々を私ども判別するというか、そういうことはなかなか困難である。つまり、そこではっきりしておきたいという趣旨であったと思いますが、いやしくもわが国基地を使って作戦行動戦闘行動に移る場合には、わが国相談をするんだぞ、こういうこと、これが事前協議だ、こういうふうに思うのです。そこで、ひんぱんに動き回る一々のその場合につきまして、一わが国に話をしてその承諾を求める、こういうようなことは、これは実際問題とすると、なかなかむずかしい問題ではあるまいか。私の率直な感じを申し上げますと、そういうことでございます。
  19. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 結論はいいわけです。ただ率直に、沖繩の県民がいままでと同じように、ベトナムに直接行くということについて、やはりたいへん心配をしているという事態があるわけですね。ですから、むずかしいかむずかしくないかは交渉の結果で、出方、また向こうの考え方もあるでしょうから、それは私はいいのです。外務大臣がどう認識されて、どう話を進められていくのか、その辺を私、聞きたいわけなんです。
  20. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま日米の間の了解によりますと、わが国基地戦闘作戦行動に使用する、こういうことにつきましてはわが国承諾を要する、こういうことになっております。そのとおり沖繩につきましてもやっていくほかはない、これが私の認識であります。ただ事前協議制度というのが、いま伊藤さんからもお話がありましたが、たいへん時間も経過しておる、そういうこともあり、それから沖繩がわが日本に返ってくる、こういう時点ということを考えますときに、この際、日米間でおさらいをしておくということも適当じゃあるまいか。そしていろいろケースケース、むずかしい御質問がございますけれども、そういう際に、われわれとしてもすらすら答え得るという状態になりますと、国民も納得し、安心してくださるのではないか、そういうふうな考え方でございます。
  21. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 やはり何といっても大事なことは、形骸化しておったという国民の疑惑を解くためには、ただいま外務大臣がおっしゃったように、前向きで、命令があろうとなかろうと、とにかく日本から戦場にまっすぐ行くということについては対象にすべきだという考え方、そういうように考えていいわけですね。結果はどうなるかわかりませんよ。しかし、日本側の立場からいえばやはり言うべきではないか、こう思うのです。
  22. 福田赳夫

    福田国務大臣 いろいろなケースがありますから、そのケース一つとして拝聴しておきます。
  23. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そこで、次は配置変更であります。重要な配置変更。岸・ハーター交換公文ですが、これを読みますとこういう中にも了解事項としてあるわけですね。それで空の場合は一飛行隊、それから陸の場合は一師団、それから海の場合はワン・タスクフォース、いわゆる一機動部隊ですね、これがあるわけです。いわゆる戦闘作戦行動についてはいま前向きでとおっしゃいましたから、これはそのようにしていただきたいと思いますが、問題は配置変更、これについてですが、一つ陸軍の場合、アメリカはまちまちでありまして、ある師団は二万ある師団は三万、こういうふうになってきているわけです。ところが、フォーカス・レチナ作戦などによっても、やはり運び得る軍人の輸送というのはあまりないわけですね。事実関係の問題として、二万も三万も、しかもすぐに作戦が展開できる重装備軍人を、一時に一個師団を運ぶということはたいへんなことなんです。事実上私は不可能ではないかと思うんですね。ですから、一師団なんというような考え方、いままでの説明のしかたではやはりわれわれ納得できないわけですが、この点についてどういうような感触を持っていますか。
  24. 福田赳夫

    福田国務大臣 いまお話配置の問題ですね。これは陸軍でいえば一師団程度、こういうことになっておる。これはその配置がえの問題なんです。それで戦闘のために出撃する、これとは全然別の問題であります。でありまして、私はいまこの配置問題で、そういろいろ安保条約を執行する上において支障が出ておるというふうな考え方は持っておりませんです。つまり、これはかなりの部隊配置がえになるといえば、どうしたって防衛施設庁施設をするというような問題があり、日米間で緊密な相談事がなければこれは行なわれませんから、その辺につきましては、あまりこの協議委員会議題としては念頭にないことであります。
  25. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私は、そこをまた重要に考えるわけですね。何も戦闘作戦行動だけではなくて、いま言いました配置変更あるいはまた装備変更があるわけですね。それで私がきのう聞いておりまして、外務大臣が、十二年間たっている、当時は装備もあまりなかった、しかしこの十何年かの間にやはり非常に装備が変わってきている。楢崎委員の発言ではありませんけれども、前は原子力潜水艦というものもなかった、しかし現在はあるのだ、そういった点も含めてかという質問に対して、外務大臣は、それらも含めると私、伺ったのですが、いかがですか。
  26. 福田赳夫

    福田国務大臣 そういう具体的な答え方はしないのです。私は、とにかく古くなった、それから同時に沖繩返還になった、これはいい機会だからひとつ事前協議問題、これをおさらいをしておきましょう、こういうことなんです。特にその中で私の頭の中にありますのは、本土基地から米軍戦闘作戦行動に移る、こういう際の諸問題ですこれをひとつ考え直してみたい、こういうことでございます。
  27. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私は、それに加えてやはりこういった問題も、この事前協議の三つの問題について現状に合わせて話し合いをする考え方をすべきではないかと思うのです。なぜかと言いますと、その配置の転換につきましても、いまは一師団という陸軍のことを言いました。それから一飛行隊これはその部隊によって、二十五機であるとか、あるいはまた三十機であるとか、いろいろな機数了解事項の中にあるようですが、了解事項における数量の問題、条約局長わかっておりますか。
  28. 吉野文六

    吉野政府委員 配置における重要な変更は、われわれの口頭了解では、陸軍については大体一個師団程度、海軍については一機動部隊、それから空軍については一飛行師団ぐらいである、こういうように了解しております。
  29. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そこで伺いたいのですが、まず一師団とはどのぐらいの数量部隊を考え、一飛行隊とは何機を想定し、一機動部隊、つまりワンタスクフォースとはどういう体形の艦隊であるとそのときの口頭了解にありましたか。
  30. 吉野文六

    吉野政府委員 これはばく然とそういうような形で合意しているわけでございまして、必ずしも内容の人数だとか飛行隊の数だとか、そういうものは、そのときそのときによって編成も異なりますから……。
  31. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 おおよそでいいです。わからなかったら防衛庁からひとつお願いします。それが結局重要問題なんですよ。ワン・タスクフォースという一機動艦隊日本のどこの港に入ることができるかというのですね。できないですよ。それから一飛行隊だって——これは飛行機の場合は、時間をかけて着陸すればいいでしょう。それから一個師団だって、たとえばフォーカス・レチナ作戦というものが、一昨年でしたかありました。それを運んだ部隊だって、ほぼそれに近いものでありますけれども、なかなかどうしてこの作戦ですら、事実上日本の国から移動するなんということはできない。できないことを、それをやる場合には事前協議対象にすると言っているから、形骸化だ、こう軍事専門家は言うわけですね。ですから、これも実情に合わせて明確に話し合うべきじゃないのかと私は申し上げているわけですね。まあこの点についてはまた防衛局長なりが参ったときに伺いたいと思います。  そこで、もう一つ装備のありがあります。装備についてはどういうことですか。
  32. 高島益郎

    高島政府委員 第六条の実施に関する交換公文で、「装備における重要な変更」とございます。これは当時の了解では、核兵器及び中長距離、ミサイルの導入、これらの基地の建設ということを限定的に了解されております。したがいまして、これにつけ加えてこれ以上のものを将来加えていくということは、また新たな合意の要る問題で、現在われわれの日米間の了解では、これだけを限定的に「装備における重要な変更」ということばで申しております。
  33. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 防衛局長がこれまたいなくて困るのですが、まずは米軍はどういうような装備をしているか伺いたいのです。——では、事前協議の問題は一たんそこまでにしておきまして、地位協定の問題に移ります。  この地位協定安保条約第六条に基づく施設区域に関する地位協定ですね。この地位協定を私たちが読んでいきますと、一条、二条、三条から二十八条までありますが、この中で占領政策を押しつけているというような、そういう感じのする条項が幾つかあります。たとえば地位協定の第二条というものは、これは何が書いてあるかと言いますと、こう書いてあります。「合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内施設及び区域の使用を許される。個個の施設及び区域に関する協定は、第二十五条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。「施設及び区域には、当該施設及び区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物を含む。」ずっとこうありまして、この地位協定の第二条というものは、米軍がほしいと思う基地はどこでも基地にすることができる、すなわち日本全土全土基地方式だといわれる文章になっているわけであります。これは日米合同委員会日本が否定すればできると言うかもしれません。しかしながら、この条文は、どこまでも向うが自由に選択し、自由にそれを要求することができる、こういうふうに言われてきているわけですね。  ですから、私が一つの問題として提起いたしますことは、全土基地方式だというようなことをいわれるような、こういうものは変えるべきだ。もちろん私は、基本的には安保条約は破棄すべきである、したがって基地もなくすべきだ、したがって地位協定もなくすべきだ、こういう主張はありますが、しかし、それでは見解の相違になってしまいます。ですから、私は政府の土俵の上に立っていま質問しているわけでありますけれども、少なくともこういうような、日本に一方的な押しつけの取りきめは、この際——やはり十二年間という経過の問題もありますし、当時結んだときはたいへんな基地があったわけであります。一番最初基地が二千カ所くらいございました。だんだん減りまして現在百二十数カ所でございますけれども二千カ所の基地の当時と、現在百二十数カ所、そして将来は数カ所に縮少されるであろう、こういう現状を通して考えてみたときに国民が心配するようなこういう第二条というものは取りきめとして置くことはうまくない、むしろ皆さんの土俵に立って考えてみても、これは改定すべき問題ではないか、私はこう考えるのですが、いかがですか。
  34. 吉野文六

    吉野政府委員 第二条一項につきまして、条文を読んでいただいてわかりますように、アメリカ合衆国は日本国内施設及び区域の使用を許されるわけでございます。どうやって許されるかと申しますと、個々施設及び区域に関しては合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。すなわち日本側がうんと言わなかったら許されないわけです。したがって、この条項のみを見て、アメリカ側がいつでもどこでも基地を使用できるこういうことにはならないわけでございます。
  35. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 だから私はそれを聞いているのです。ただ向うが日本にほしいことを要求できる。しかも、それについてわがほうはノーと言うかもわかりませんけれども、強い要請があった場合、この条文からいきますと、日米合同委員会会議よりもこの条文のほうがやはり強く見られる。そうすれば、要求に対してはやはりそれについてこっちは応じなければならない、こういうことになるじゃありませんか。私、条約のいろいろなことを答弁を聞いていないのです。私は率直に皆さんの土俵に立って言っているのです。少し長く条約をやっているから、皆さんよくわかっているかもしれませんけれども、私は国民の立場から率直に申し上げているのですから、幾つも指摘する点はあるのですよ。ですから、私はそういう考え方はどうかと言っているのですよ。
  36. 福田赳夫

    福田国務大臣 いま御指摘の問題は、これは日米合同委員会できめられる、こういうことになっておる。わが国政府がその委員会でノーと言えば成り立たない問題です。ですから、いま伊藤さんのおっしゃるように、本土がこの条文によりまして米軍基地化する可能性を持つところの条文であるというようなたてまえではないのです。それから実際問題といたしましても、アメリカが新たにわが国において基地を持つ、それが日本政府の同意なしにやれるものでは絶対ございませんから、その辺は少し御心配が過ぎておるのじゃあるまいか、そんな感じがいたします。
  37. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 要するに、現在は縮少する方向という、実態のほうから大臣はおっしゃいました。しかし、この条約というものはやはり非常に大事なことで、たとえその決定が合同委員会であろうとも、こっちが許可するということを前向きで表明しているということは、それを言った場合に、これを強く要求されてくることは考えられるわけです。ですから、もちろん私はそんなことはないだろうと思いますけれども、そういう要求ができるというような、現時点において時代にそぐわないようなものは削除すべきだ。あるいはまたそれが、われわれはどう考えても、外務大臣がおっしゃるようであるならば、何も合同委員会にかけて時間をかけて言うのではなくて、日本は拒否することができるということをこの条文ではっきり明記すればいいと思うのです。  それから、次の第三条の規定は、日本国は合衆国軍隊の施設区域への出入りの便宜をはかっているわけですね。これも非常に優先権を与えているわけです。この点がありますね。これも決して対等ではない。便宜をはかると書いてある。  それから第五条というものは、「合衆国及び合衆国以外の船舶及び航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。」これまた日本の飛行場や日本の港に無料でいつでも入ってきていいという一つの便宜を日本ではかっているわけです。じゃ、こういうことがほかの国であるかということです。ですから、私は時間も一時間しかありませんから、これを議論すれば時間がなくなりますから、条文なんか読んでも一どうも吉野局長はすぐ読んでやるくせがある。それはあなたの役目でもありましょうけれども、私の言うのはそんなことではなくて、専門家から見てもこれは明らかなんですね。ですから事実関係としてはないというならば、これは削除すべきですよ。すべて合同委員会でやるならばそういうふうにしたほうがいい。だからそういう優先権とか特に向うに便宜をはかるためというようなことについては、この際ですからやはりこれは前向きで検討したほうがいいのではないか、こう私は考えるわけですが、いかがですか。
  38. 福田赳夫

    福田国務大臣 地位協定の改定ということの問題になりますと、これは日米安保条約の改定というものにむしろつながってくるような大きな内容を持っておるものです。軽々にこれに手をつけるということは非常に困難である、こういうふうに私は思うのです。伊藤さんのほうは、日米安保条約不要論でこうやっていますが、私のほうは、これは絶対わが国の安全のために必要だ、こういう立場で考えておるわけですから、おのずからそこに、この地位協定にしても見方の違いが出てくるこういうふうには存じます。その辺はよく私も理解できますけれども、私ども政府といたしましては、地位協定をいま変更することははなはだ困難なことであり、また私ども政府といたしまして、これを変えるという考え方はいたしておらぬということを申し上げさせていただきます。
  39. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 安保条約も自動延長になって二年になります。その間ニクソン・佐藤共同声明であるとか、いろいろ国民が心配する取りきめや共同声明が出ておるわけですね。そこで私は、政府はこの際前向きにそういう点について検討して、困難であろうとも取り組んでいくべき必要があるのではないかと言っているわけです。見解の相違ということで終始するのではなくて、もちろん私も否定はしても現実問題がある。しかもその運用について私たちは、非常になまぬるいといいますか、いろいろ考えているわけですよ。たとえば地位協定の第二条には、遊休施設は即刻返すように取りきめがある。しかしながら、百二十数カ所のうちどこをどのように使っているか。一部を除いてはほとんど遊休施設です。安保条約からいったら、米軍安保条約違反です。あるいはそのことが日本から言えるというものであるならば、日本はどんどん返せと合同委員会議題にすべきだと私は思う。だから、そういうような実態が現在あるわけでありますから、そういったようなことについても検討する、すべての問題について再検討する時期に来ている。特にこの地位協定については、非常に日本アメリカが優先権を持っている。こういうことは条約の中で幾つかある。  たとえば、十七条にまたありますよ。この十七条の警察権とか司法権とかいうことについては、たとえば日本の中で交通事故を起こした、その交通事故については、公務中であるということを一言言えば日本では裁判ができない。前回ジラード事件がありました。しかしあれは裁判権を放棄したからであります。それを放棄しなければ当然向うがやる。向こうが起こせば向こうの国によって裁判される。しかも、こちらが認めない場合にはそのことについての考え方も、ここにはっきりと優遇しろ、あるいはまた日本でやる場合についてはよく考えてやれというような条文がある。たとえばこの十七条の三項の(C)というところには、「他方の国がその権利の放棄を特に重要であると認めた場合において、その他方の国の当局があったときは、その要請に好意的考慮を払わなければならない。」同じ事件と違うのだから、甘くしてやれというのです。この条文から言うとそうです。  ですから、この際もう一つつけ加えておきますけれども、まず外交のあり方について、非常に秘密外交であるとかいうようなことがいわれておりますけれども、福田外務大臣は秘密外交ではないと明確におっしゃっておりますね。ですから、ここで一言申し上げたい点は、こういう取りきめについてもわれわれはそう思っているのです。ところが、このこまかい取りきめは合同委員会の合意議事録にあるのです。皆さんはその会議に出席し議論をし、そして合意議事録をあなた方は持っている。だが、国民の代表であるわれわれは、それを見ることができない。だから外務大臣が前向きで、確かに国民に知る権利があるのだから言う、ただ、外交の経過的な措置における秘密は言えない、結果は堂々と言える。たとえばこの問題でもわれわれはこう解釈しますが、そうでないと言うなら、この合同委員会の合意議事録を出して、都合の悪いところは何も公表しなくてもいいから、われわれに対し、こうなっているんですよ、しかしこういうことはいまでも関係があるから、公式には出せないのだ、というぐらいな前向きな考え方に立っていくべきではないか、こう思うのです。それらも含めて答弁願います。
  40. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は秘密外交はいたしません。ただ、特に、防衛、それから外交につきましては、防衛の範囲内におきましていろいろ相手の国と話し合っている事項もあるのです。そういうようなことで、お互いの合意のもとにこれを公開をしないという性質のものもある。しかし、そういうものはなるべく制限したい、こういうふうに思うわけであります。日米合同委員会の合意議事録、こういうものにつきましても、そういう立場であらましは公表をいたしておるわけなんですが、しかし、双方の合意に基づきまして、これは全部は公開をしないというふうにいたしておりますので、そういうことも、防衛なり外交なりというような立場からまた御理解願わなければならぬ面もある、こういうふうに考えておるわけであります。  いずれにいたしましても、私は、できるだけ国民に知ってもらっておくほうがいい。しかし、非常に例外的に、そうでありますことがかえって国利民福に反するという場合もあり得るのだというふうに考えていることを御了解願いたいのでございます。
  41. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 先ほど外務大臣は、地位協定の改定は非常に困難だ、こうおっしゃいましたけれども、しかし、やはり私が指摘したことが幾つか実態の中に出てきている。今後そういうことはあり得ないだろうと思いますがね。わが国の外交姿勢として、米国と対等に今後外交交渉が行なわれるならば、当然私はやるべきではないかと思います。困難ではあろうと思いますが、やはりその点、前向きで所信を伺いたいのです。  それからもう一つは、いまも申しましたように、秘密外交ではない、なるべく国民に知らしていくのだというならば、地位協定に関しても、ほかにたくさんありますけれども、少なくともわれわれがこういう議論をする中で、この条文を見て、その中からしか判断できないというのではなくて、われわれに対しても合意議事録を、どうしても都合の悪いものは別として、これはやっぱり慎重に検討して、前向きに交渉していただく。秘密外交でないというならば、それでなければそういうことにならない、そう思うのです。その点いかがですか。
  42. 福田赳夫

    福田国務大臣 日米間は、過去の歴史が、つまり占領という事態があったのです。そういうようなことで、従属外交であるとか、向米一辺倒であるとか、そういうふうな批判を受ける時期があったわけです。私は、その時点におきましては、そういう批判を受けるに値する状態があった、そういうふうに思います。しかし、今日はもう日米は全く平等です、従属関係というものはありませんから。その辺はひとつ御安心を願いたい、かように思います。  それから、私は外交はなるべく公開がいいと思う。いいと思うが、外交につきましては、相手方のあることであり、そしてその相手方との対話が一々漏れるというようなことになると、対話がとだえてしまう。そういうことがありますので、外交に機密があるということはひとつ御了解願いたい。しかし、私どもといたしましても、できる限りひとつ、明らかにしていいものにつきましてはこれを明らかにする姿勢をとるという方針を、はっきり申し上げさせていただきます。
  43. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 合意議事録を前向きに国民に知らせる。どうしてもまずければ、またこれは非公開ということもあるでしょう。ただしかし、秘密外交でないというならば、どこまでも、少なくとも国会議員については教えていただきたい。また、そういう交渉をしていただきたい。しかもそれは将来じゃなくて、いつも毎回、六月になりますと安保の自動継続の時期がまた参りますので、そういった前ぐらいに、そういう点も前向きで公表なり検討なり、結論を出していただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  44. 福田赳夫

    福田国務大臣 基本的な考え方は私が先ほど申し上げたとおりでございますが、それがどこまでできるか、最大の努力はしてみます。
  45. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 いま申し上げました中で地位協定の問題です。私は政府の土俵に立って考えて、これは地位協定の条文の改正と運用の問題と、二つあると思います。事前協議の問題にいたしましても、事前協議そのものの変更ではなくて、運用で変えるとおっしゃっております。しかし私は、この地位協定について、たいへん困難な問題があるかもわかりませんけれども、やはり外務大臣——同じ外務大臣でも、たいへん失礼でありますけれども、非常に力のあります大ものの外務大臣でありますから、どうかこの点についても、困難ではあるでしょうけれども、国民の立場に立って、アメリカ戦争政策の延長というような形の中で優先権を与えるのではなくて、これを平等にする、それが法律上困難であれば運用の面でも考えていく、こういう点はいかがですか。
  46. 福田赳夫

    福田国務大臣 地位協定を改定する、これは非常にむずかしい問題です。私はそれについて一点の期待でも伊藤さんに持っていただくと、これは非常に危険なことであると思いますので、きわめてこれは困難な問題である。ただ、運用の面におきましてはできる限りお話のような方向で対処していく、これははっきり申し上げておきます。
  47. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そうしますと、ただいま指摘しました第二条の全土基地方式だとかいわれるようなもの、それから出入国の自由をうたっている三条、あるいはまた第五条における航空機、船舶の日本国への無差別の無料乗り入れとか、あるいはまた裁判権というような問題、そういった点について、具体的にそういうふうな検討をされるというふうに了解してよろしいですか。
  48. 福田赳夫

    福田国務大臣 協定の改定は考えません。しかし、その協定の範囲内においてできる限りの配慮をする、努力をする、こういうふうに御理解願います。
  49. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 伊藤君に申し上げますが、受田君が関連があるということもありますので、外務大臣に対する質問、しかるべくお願いいたします。
  50. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 短くしているわけです。  もう一つ、毒ガスの問題であります。実はおとといの夜十時半ごろ、ホワイト・ビーチのところに与那城村というのがあります。その与那城村の屋慶名というところで実は毒ガスの事件がございました。その住民にいろいろ事情を伺いました。その村民は非常にのどが痛かった、それから涙が出てどうしようもなかった、吐きけを催した。ある人は家をあけておったけれども、そういう症状が起きたので、他人の家のへいをよじのぼって隣の家に避難したというような事件があったわけであります。  そこで、これは伺いましたところによりますと、マリーン、いわゆる海兵隊の毒ガスの訓練が住民に誤って被害を及ぼしたんだ、こういうようなことでありますが、その毒ガスの問題は昨年ですか、総務長官が琉球政府検討いたしまして、沖繩には毒ガスがないといわれておったわけですね。もう一万五千トンに及ぶ大量のガスは全部移したからない。しかしながら、そこで毒ガスの事故が起きた。何か聞くところによりますと、米軍のほうにも相当の負傷者がいるということであります。これは、わが国政府及び琉球政府との話し合いの中で、ないといわれた毒ガスがあって、それで事故が起きたというきわめて重大な問題じゃないかと思います。その点どのように外務大臣はお考えですか。
  51. 山中貞則

    ○山中国務大臣 まず、私から琉球警察の調べた事実関係について申し上げておきます。  ただいまお話のありましたように、十一日の午後十時二十分ごろ与那城村の屋慶名、ここの山根喜俊四十二歳宅において二十四、五人が集まり祝い酒を飲んでいたところ、突然目鼻の痛みを訴え、約二十分くらいでみんな回復した。プロパンガス漏れではないかと家のまわりを調べたが異常はなかった。なお、同家の勉強部屋の子供は別に異常はなかった。同家から二十メートル東側の家でも異常はなかった。しかし、二百メートル南のほうを歩いていた歩行者も同様の痛みを訴えていた由。琉警の調査によれば、米軍側は格別ガスを使用した形跡もなく、現在のところは原因は不明である。以前西原において、兵隊のいたずらにより催涙弾が使われ同様の現象を呈したことがあったので、かかる点からも調査されているが、いまのとこる米兵を見かけた者はないとの由である。  さらに、原因については目下調査を続けているが、同村平敷屋海岸にあるちり焼き場で化学薬品が焼かれ、それが部落に流れたのではないかと見られている。ここまでが実際の琉警の調査による現時点の事実関係でございます。  以上だけ申し上げておきます。
  52. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 琉球警察のそういう報告があるようでありますけれども、私は現地住民から伺いまして、これはきわめて重要な問題である。そこで、ないはずの毒ガスが漏れたのではないか、こういう一つの疑惑がございます。そこの近くの証言によりますと、米軍のほうにも相当の負傷者が出たようだ、こういうこともいわれております。  そこで私は、この問題について、催涙ガスだとか、あるいはまた何かの焼却のための煙が流れたとかいうことで、あいまいにすべき問題ではないと思います。その点、外務大臣どう思いますか。
  53. 福田赳夫

    福田国務大臣 いま警察の調べの状態は総務長官からお話し申し上げましたわけですが、アメリカ側でどういうふうに判断しておるのか、それはひとつよく聞いてみます。その上申し述べます。
  54. 吉野文六

    吉野政府委員 電話でとりあえず照会いたしましたら、米側も新聞で初めて知ったんだ、したがって調査したところ、周辺には米軍隊の部隊もいないし、米兵もいなかった。そこで彼らとしては、米関係のものではないといまのところ判断しているということであります。
  55. 大出俊

    ○大出委員 関連して。これは実は私のほうにも連絡がありまして、与那城村の屋慶名部落だそうでありますが、百五十世帯、こういう連絡がありました。涙が出る、鼻にたいへん強い刺激があるというようなことで、原因不明ということなんですけれども、ガス漏れではないかというので私のほうの関係の機関が調査に入っている、こういうことはなんでありまして、これは実は運び出したことになっているんですけれども、残っている節があるので、実は私も現地をずいぶん調査もし、資料も持っておるわけでありますが、そういうことが事実ありますから、もう少し私どものほうも詳しく調査をするようにいたします。  したがって、いま伊藤さんが言っておりますように、ないないと言っておりながらあるという場合がよくあるわけであります。本土の場合でもそうであります。したがって、その辺をもう少しやはり慎重にひとつ調査をいただきたい。伊藤君の質問につきまして、あわせて私のほうからも申し上げておきたいのであります。
  56. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これは調査して、その実態を明らかにしていただきたいと思います。  前も沖繩でそういう事件がありました。ところが、動物実験に使った事故だと言いましたけれども、アメリカの上院で、冗談じゃない、毒ガス漏れで何名の人が負傷したということが問題になりまして、初めて沖繩に毒ガスがあるということがわかったわけです。ですから、そういう経過もありますし、とにかく米軍がないないということは、どうもあるという疑惑をどうしてもわれわれは持つわけです。したがいまして、この毒ガスの問題については、外務省としても事前協議以前の問題である。私はしばしば、沖繩国会においても毒ガスの問題を追及しました。米軍装備の中で、毒ガス兵器を通常兵器にかえて常時持っているということは、アメリカの本に書いてある。それを日本の政策によってどうのこうのする前に、アメリカが通常兵器として毒ガス兵器を持つ以上は、これはやはり何らかの取りきめ、何らかの話し合いをしていかなければならない、こういうように私は思って強く指摘してきたわけでありますけれども、またこういう事件があった。そこでたいへん憂慮しているわけであります。その点について外務大臣……。
  57. 福田赳夫

    福田国務大臣 よく調査してみます。
  58. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 関連して、受田君。
  59. 受田新吉

    ○受田委員 外務大臣、私今の段階でぜひ再確認をしておきたいことがあるのですが、例の安保条約に伴う交換公文の規定に基づく、さっきから質疑応答が繰り返されている事前協議事項、特にその中でも、日本国の米軍基地から戦闘作戦行動に移る場合の事前協議については、少なくとも日本の中における米軍戦闘行動を起こすという意味においては、防衛出動に近い危険が起こる可能性があるわけでございますので、その点の扱い方が、どうも議論を承っておって釈然としない点がありますので、簡単にお答え願いたい。  事前協議の提案が起こる形はどうか。それを受ける日本国は、受けた場合に閣議できめるのか。あるいはもう一つ、少なくとも国防会議にかけることを総理大臣が必要と認める重要事項です。つまり、日本基地から米軍戦闘作戦行動で外国を討つわけでありますから、当然あなたも国防会議構成員として、重大な外交問題であるだけに、これについては何らかのはっきりした御意思がないといかぬと思うのです。簡単な問題じゃないのです。  以上の点についてお答え願いたいと思います。
  60. 福田赳夫

    福田国務大臣 事前協議を受けまして、これに対してイエス、ノーを言う、これは非常に重要な段階の重要な決定だろうと思います。そこで、これを決定するにあたりましては、原則としてこれは閣議にはかるべき性格のものである、こういうふうに思います。
  61. 受田新吉

    ○受田委員 原則としてというと、原則でない場合があるのですか。
  62. 福田赳夫

    福田国務大臣 非常に急を要する場合とか、そういう場合をいま頭に置きながら、原則としてと、こういうことを申し上げたのですが、そういう意味において、原則として閣議にはかる、こういう考えでございます。
  63. 受田新吉

    ○受田委員 その場合は、外務大臣がオーケーを与える、あるいはイエスを与える。つまり、ノーの場合は別ですよ、これは問題ないけれども、イエスを言う場合に、外務大臣の段階でイエスを言う、それだけで効力が発生するのか。あるいは総理大臣の意思によってきまるのか。原則以外の例外の場合はどういう形になるかをお答え願います。
  64. 福田赳夫

    福田国務大臣 これはアメリカに対しましては私なり——私でなくてもいいのです。私の部下の者でもいいのです。だれでも外務省を代表する人が通告をする、こういうことでいいのですが、問題は内部手続です。内部手続は、これは原則として閣議できめる。それから、これはそんなことはないと思いますけれども、緊急閣議、これが招集もし得ないというような際がありますれば、これは外務大臣と総理大臣あるいは防衛庁長官というような、限られた人の相談ということもなしとしないのじゃないかという感じがします。しかし、これは原則として閣議にはかるべきものだ、こういう見解であります。
  65. 受田新吉

    ○受田委員 その感じが非常に危険な感じなんですが、あなたが、あるいはあなたと総理が、あなたと総理と防衛庁長官がというようなことで、これで日本国の中におる米軍行動を起こす、しかも戦闘行動を起こすときのイエスを与える場合があるということは、非常に問題がある。同時に国防会議というものは、防衛出動の可否を論ずる、決定する会議でもあるわけでありますから、少なくとも、事前協議米軍戦闘作戦行動を起こすときは、国防会議の付議事項として、当然総理大臣が必要と認める事項として、これはあなたたちのほうで筋を通すべきだ。あなたがイエスと言えば、あなたの属僚がオーケーと言って電報でも打っておけば、あるいは電話で返事をしたらいいというのは、非常に危険な、あぶない要素がここにひそんでおるのですね。私、いまこうした重大な外交問題を論議する時点で、この事前協議ということは非常に重大な問題で、国運をどうするかということにつながる問題であるだけに、一外務大臣あるいは総理大臣と二人が相談して、たいてい緊急ですから、やろうじゃないか、おいやれ、イエスと言えと属僚に命じてイエスを言えば、ぱっと飛び立っていく。これがまた次の戦争への発展の危険があるというような非常に危険な要素があると思うので、私、はっきりあなたにこの認識を持っていただきたいのだが、少なくとも国防会議付議事項としては、議員たるべきあなた自身がこういう場合には念を押す、さらに閣議という原則を破ってはならない、こういうような問題を十分検討しておいていただきたい。よろしゅうございますか。
  66. 福田赳夫

    福田国務大臣 国防会議にこれを付議すべき事項であるかどうか、これはちょっとそう簡単には返事ができない、こういうふうに思います。しかし、閣議にはかる問題であるということについては全く同感である。ですから、そういうふうにお答え申し上げておるわけであります。
  67. 受田新吉

    ○受田委員 あなたの御多忙のときでございますので、もう一つ、いわゆる久保・カーチス協定、これを変更する場合は、日米安保協議委員会というものの付議は必要であるかどうかでございます。
  68. 吉野文六

    吉野政府委員 久保・カーチス協定をほんとうに改正する、こういうことであれば、久保・カーチス協定取りきめを最初に国内手続としてはかった機関、すなわち、それが閣議を通っておるのか、あるいは閣議の了承を得ているのかどうか、そこにおいてまず改正ないしその議案を審議しなければいかぬと思います。ただし米国に対しましては、これはあくまでも取りきめでございますから、日本側の意思さえはっきりしておれば、これはもういかなる形でも改正をはかることができます。したがって、その形式は、日米安保協議にかけるかどうかということは、必ずしも必要でないと思います。
  69. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 もう時間が……。よろしゅうございますか。
  70. 受田新吉

    ○受田委員 では、あらためて質問しましょう。
  71. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 では、質問を続けます。  総務長官、毒ガス問題ではだいぶ活躍なさいまして、もうないと思ったはずなのに、何だ、起きたのかという感じが私はしているわけですけれども、先ほど警察の報告を読まれましたが、もう一回これは調査してほしいのです。  一つは、ホワイト・ビーチにあるマリーン部隊が毒ガス訓練をやった。それでこの訓練は昼間したそうです。いいですか。それでびらん性ガスの種類であった。海兵隊にも犠牲者が出た。そしてこのことによって、与那城村屋慶名部落の金子はつ子さん、あるいはまた山根さん、こういった人が具体的に被害を受けている。警察の調査にも載っているかもしれませんよ。そこで、先ほどの警察の報告だけでは私は承服ができないわけですね。外務大臣も調査すると言いましたけれども、総務長官も、やはり沖繩に関しては、特に毒ガスについてはたいへんな努力をなされた長官でもありますので、私がいま申し上げた点について調査をしていただきたい。そして毒ガスの中毒症状といいますのは、これはすぐ出る場合と後遺症として残る場合とがありますので、やはりこういう点についての補償問題も出てくるわけです。たとえ長官の読み上げました琉球警察の、毒ガス性らしいものを燃やしたあれじゃないかというようなことでそれが起きたとしても、米軍が処理、あるいは米軍が持っているものによってやはり起きたのだから、被害が出た場合にはこのことについて考えなければならぬ、こう思うわけですね。その点いかがですか。
  72. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私が申し上げたのは、現時点での調査がそこまでであると言ったので、化学薬品と言ったので、米軍のものを焼いたとは言っておりません。もし沖繩で、あれほどの騒ぎを起こして、国費まで負担をして、それでなおかつアメリカが毒ガスを隠して持っていたということであれば、私は、米軍も、アメリカ政府も、日本国の外務省も、一切今後信用いたしません。
  73. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そういうような疑惑をわれわれは今度の事件を通じて持った。あるいはまだそのほかにも資料がございますけれども、そういう疑惑がある、こういうことでありますから、どうか総理府としても、外務省とは別に徹底的に調査をして、また、そういう事故によって、私の申したとおりであるならばたいへんなことでございますから、どういう決意で臨むのか、その点、伺っておきたいと思います。
  74. 山中貞則

    ○山中国務大臣 決意はございません。そういう事実をいま調査中である。そして、そういうことは毒ガスと関係が全くないらしいという調査の中間の報告が来ておりますが——現地の新聞の記事は別ですよ。それは別です。原水協調査とかいろいろなものがあります。しかし、私のほうは琉球警察の調査ですから、そのことを一応信用しているわけで、まだ調査続行中ですから、これはあくまでも最後まで、事実を確認するまで調査をいたします。したがって、決意と申されてもちょっと……。調査をして、先ほど申しましたように、なおかつ毒ガスがあったというならば、私は、先ほども言ったように、一切もう信用をしない、こういうことであります。
  75. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私はあることを希望するのではなくて、私の調査したことがうそであれば一番いいわけでありますけれども、事実私に対しても、こういうような情報というか証言をする人がいるわけでありますから、どうかその点は厳重に調査をして、結果を報告していただきたいと思います。  それで、先ほどの事前協議の問題にかわりますが、先ほど外務大臣にいろいろ事実関係を話して、日米協議委員会におきまして事前協議については前向きで検討する、こうおっしゃいましたことについて、戦闘作戦行動のみに限っているのだ、こうはっきり言いましたけれども、そうではない、配置の転換、装備変更、これについても、取りきめた時点から見た場合、十二年間もたっているし、アメリカ装備も変わってきているし、そういう面から検討すべきではないか、こう私は申し上げたわけです。そこで、常に野党側がいつも言うように、現在の事前協議というものは形骸化している。それはなぜか。できないことを取りきめそしてありもしないことを協議するからだというふうに私は指摘をしたわけです。そこで、岸・ハーター交換公文だとか藤山・アイゼンハワーの取りきめだとかいろいろありますけれども、特にその了解事項の中で、配備の変更とは、陸においては一個師団である。空については一飛行隊である、また海については一機動部隊ワン・タスクフォースである。それでは、具体的にどのくらいの数量のものを頭に置いて交渉したのか。外務省ではわからないのか。まず、米軍がそのように言っている数字はどのくらいなのか、それを言っていただきたい。
  76. 久保卓也

    ○久保政府委員 陸軍の場合には一個師団といわれておりますが、一個師団の場合は人数が一万六千という数字がいわれておりますけれども、大体二万人前後というふうにお考えいただけばけっこうかと思います。  それから航空部隊の場合におきましては、一航空師団といっております。で、航空師団の場合は下から申しますと、一飛行隊が、これも部隊あるいは機種によって違っておりますけれども、十八機ぐらいから二十四、五機ぐらいが一飛行隊にっております。二つないし三つの一飛行隊が集まって一ウイング、航空自衛隊のことばで言えば航空団を編成いたします。そしてまた、この航空団、一ウイングが二ないし三つが集まって航空師団になる。エァディビジヨンといいますか。こういうふうにお考えいただけばけっこうであると思います。もちろん、これはティピカルなあれでありますから、若干ふえたり欠けたりいたしますが、その機数は単位部隊に掛けていただけば出ると思います。それと、補助飛行機もそれにつけ加わってまいります。  それから、海軍の場合は比較的わかりにくいわけでありますが、タスクフォースの中で、つまり機動部隊の中で典型的なのは空母の部隊であります。外務省で考えておられるのは通常この空母の部隊でありまして、一タスクグループが通常三前後、多いときには五というように、三つないし五つのタスクグループによって編成されております。タスクグループというのは一空母プラス通常は五隻ぐらいの駆逐艦というのがタスクグループになっております。それが三つないし五つでタスクフォースになっているということであります。
  77. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 事務的に伺いますが、それでは一飛行師団ということになりますと、十八機が三つぐらいで一ウイング、それが二ないし三で一飛行師団となる。それからいま言った空母を中心として三隻から五隻の駆逐艦、それが幾つですか。
  78. 久保卓也

    ○久保政府委員 タスクグループというのは、空母が一隻と駆逐艦が通常五隻、それがタスクグループを構成する。そしてそのタスクグループが三つないし五つでタスクフォースを編成する。ただし、第七艦隊は常時部隊の増減がありますので、常に三つ、常に五つとは限りません。
  79. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 この飛行師団を受け入れる飛行場は日本にありますか。
  80. 久保卓也

    ○久保政府委員 通常は一つの飛行場についてはこれは空域の関係、補給、整備その他支援関係でもって二ないし三飛行隊というのがまずマキシマムであるという考え方であります。そういたしますと、一航空師団でありますと、二つないし三つの比較的整備された飛行場が必要である、こういうことになります。
  81. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 次は、タスクフォースの入る港ということになりますと、ございますか。
  82. 久保卓也

    ○久保政府委員 これは、私も外務省に教わらないといけないと思うのですけれども、艦艇について、つまりタスクグループであれタスクフォースであれ、日本に配備するときはどういうときであるのか、私も安保条約上はっきりわかっておりませんが、おそらく母港化するということであれば、かりに主ないし五のタスクグループが入るにいたしましても、常時そこにいるわけではございません。もし母港という意味であるならば、たとえば休養のため、あるいは補給、整備のために入ってくるということであれば、順繰りに入るということも可能でありましょうから、そういう観点で言えば、一タスクフォースを横須賀なり佐世保なりに、特に横須賀配置することは可能であろうというふうに私は思います。
  83. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 たとえば港とか飛行場というのは、何もあけて待っているわけではないわけですよね。ですから事実関係として、そのような大量の移動とか配置転換というものについては、可能かどうかということです。その点はどうでしょうか。
  84. 久保卓也

    ○久保政府委員 航空部隊につきましては、現にあいておりますのはせいぜい三沢なり板付なりぐらいでございますけれども、しかし、板付の場合には民間航空も使っておりますので、いわゆる現状のままで一航空師団を配備するということはきわめて困難であろうというふうに思います。  それからタスクフォースの場合には、さっき申しましたように、母港化するというだけであればこれは横須賀について可能かもしれません。
  85. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 アメリカ局長、いまの議論わかりましたか。要するに、配置の転換とかワン・タスクフォースの場合、事実上できないことをきめているんですよ。だから形骸化なんだ。あなたはわからない。だけれども、専門家に聞けば事実上困難だと言うのですよ。横須賀だってしょっちゅういろんな船が入っていますよ。母港という意味でならば可能だけれども、そうでなければ無理だと言うのですよ。要するに配置の転換もこれは事実上できないということですね。この点についても形骸化、空洞化がいわれているわけですから、それも議題として検討する考えはないかと私は言っておるわけです。
  86. 吉野文六

    吉野政府委員 海軍につきましては、配置が母港化することであるかどうかということについては、われわれは、配置というものは母港化とは違う。母港化というのは、単にその乗り組み員、船員が通信連絡のためにそこに籍を置くということでございますから、配置とは違う。配置というのね、やはり戦力をそこに張りつけることである、こういうように考えますと、配置とは違うと考えております。  そこで、一般に、そのような一つ機動部隊かあるいは一飛行師団日本に新たに増加されて配置される、こういう場合には事前協議対象になるわけでございますが、そのような事態はわれわれは予測しておりません。むしろ、いま日本にある、あるいは配置されておる軍隊は次第次第に整理統合されていく。したがってそのような事態はない。また、整理統合されていく過程において人員も減らされていくわけですから、したがって、新たにそこにまた増強されるということも、事実上不可能になります。そのような意味では、事前協議もその部分に関する限りはあまり問題が起きないのじゃないか、こういうようにわれわれ思います。
  87. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 外務大臣に聞きたいところなんですが、要するに最初からできないことを約束していたということですよ。母港ではないということになりますと、ますます張りつけになるということなんだから。そういま言いましたね。ワン・タスクグループ、航空母艦一隻について駆逐艦五隻、それが三つないし四つ、日本のどこの港にも入れませんよ。ですから、正直言ってあり得ないことをきめているんですよ。外務省知らなかったかもわかりませんけれども、これは国際的にたいへんおかしなことを取りきめている。そんなことは専門家から言うと笑われますよ。ですから、今後ないだろうなんということじゃなくて、ないことを最初からきめておったんですから、この点についても検討していくのが当然ではないかと思うのですね。これまだ外務大臣に聞かなければ、あなた局長ですから、条約や取りきめをそのままあなたは解釈して執行する立場ですから、それ以上の政治判断できないでしょうから、聞きませんけれども…。  もう一つ装備変更について聞きます。防衛局長に伺いますが、アメリカ装備は、どういうような種類、たとえば、核兵器であるとか、あるいはまた化学兵器だとか毒ガス兵器であるとか、いろいろございますが、どういう種類の装備を持っておりますか。
  88. 久保卓也

    ○久保政府委員 一応CBR兵器と通常兵器とに分けていただきます。そこで問題なのは、通常兵器とCBR兵器との関連でありますが、CとBについては特性がそれぞれはっきりしておりますしいわゆる通常兵器でもってそれを撃つというようなことになっておりませんから、まず区分ができると思うのですけれども、問題は核兵器と通常兵器との区別であります。その中で純粋に核弾頭のみを使用するもの、これはもう核兵器と言って間違いはありません。それから小銃のように純粋な通常兵器もございます。それとあと残りますのは核、非核両用の兵器であるということになります。  そこでいま御質問の中でむずかしいのは、これらの兵器の中で、どこまでがそれぞれの専用の兵器であるか。たとえば、指揮統制装置でありますとか、レーダー関係でありますとか、通信関係でありますとか…。現在の解釈では、中長距離のミサイル及び核弾頭、並びにそれらの専用の貯蔵施設というのが事前協議対象になっていると思いますが、核、非核両用の兵器、たとえばファントムならファントムはそうだということが言えますが、これは事前協議対象でないということは私ども明確に考えるわけです。たとえば核専用の機材か何かほかにあった場合に、それをどう考えるかということが従来国会で論議されているところでございまして、それが明確にされるべき対象であるかもしれないと思います。
  89. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 いまの問題一つでも、これは明確にしなければならぬと防衛庁は言っているのですから問題はあるわけですよ。ところが、核専用兵器ならば対象になるけれども、最近ではもう核非核両用の兵器になっているのですから。御存じのように、ナイーキハーキュリーズだって核、非核両用兵器です。今度自衛隊が持ちますファルコン、スパロー、これも核、非核両用兵器です。だから、そういう取りきめについても、やはり新たな考え方、取りきめがないと、防衛庁はまた判断が困ると思うのです。防衛庁というか、国際的な関係において。やはりそういった観点も明確にしておかなければならぬと私は思うのです。  防衛局長にもう一つ聞きますが、CB、要するに化学兵器と生物兵器ですが、これはわが国は国連においてもいろいろ前向きで取り組んでいるわけですね、持ってはならぬ、置いてはならぬと。したがって事前協議対象以前に、これはもうはっきり禁止しているのだ、こう言っておりますけれども、アメリカの毒ガス兵器は現在どういう扱いになっていますか。
  90. 久保卓也

    ○久保政府委員 これはたしかに国連の中で何か委員会がありまして、争われているようでありますが、CN兵器、それからCS兵器でしたか、この催涙性の兵器、一過性の兵器については毒ガスではないという解釈で、アメリカは行きたい。イギリスもそれに現在は同調しているというふうに思います。一応それに反対している国もあるということは承知しております。しかし、その他のいわゆる毒ガス兵器については、アメリカはこれを使用しないという方向で進んでいるというふうに私は思っております。
  91. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 アメリカの通常兵器の中に毒ガスが入るか入らないか。
  92. 久保卓也

    ○久保政府委員 この辺は法律的になかなか割り切るわけにいきませんで、通常兵器といえば、たとえばCNあるいはCS兵器でありますとか、あるいはもう一つ枯れ葉作戦に使われておるような兵器でありますとか、そういったようなものが通常使われている。核兵器に対応するものとしては通常兵器に入るかもしれませんが、しかし逆に言いまして、火薬でもって殺傷する兵器を通常兵器というふうに考えてまいりますと、通常兵器と別個の兵器になるということで、あいまいでありまするから、これはやはり、法律とかそういった用語ではございませんで、用語としてはあいまいに使われているのではなかろうかと私は思います。
  93. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 きょうは毒ガスの問題を質問するつもりじゃなかったものですから、資料を持ってまいりませんが、たしか私の記憶では、一九五四年に毒ガス兵器も通常兵器に組み入れている。したがって米軍は、その非致死性の毒ガスというものは、これは通常兵器扱いである。したがって米軍は、全世界においてこういう通常兵器扱いで扱われている。明確に向こうの書類に出ていると私は記憶しているのです。これは沖繩国会でも私は言っております。その点いかがですか。
  94. 久保卓也

    ○久保政府委員 私は正確には覚えておりませんが、通常兵器というのを、いま申し上げたように核兵器と対象した場合には、いわゆる化学兵器の中でも、現に程度、効率の低いものについては使用しているものもありますから、通常兵器の範疇に入るという解釈も、あるいは運用も成り立つのではなかろうかという感じはいたします。
  95. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ですから、いま装備変更は、核並びにミサイルの基地、そのミサイルも中長距離と、こう限定していますね。そこが私は一番問題になるところなんです。もうアメリカは通常兵器として扱っている。わが国は毒ガス兵器は、たとえどんなものであっても受け付けない。だが、通常兵器は持ち込みますよという中に毒ガスが入っているわけですね、向こうは。だから、CBR、この三つを持つ場合、当然装備変更としてこれは議題にすべきじゃないか、こういうように私は思っているわけですね。アメリカ局長、どうですか。
  96. 吉野文六

    吉野政府委員 いずれにせよ、先生も御承知のとおり、米国は沖繩及び本土には、催涙ガスのような非継続的なガスを除けば、いわゆる戦闘用のガスというもめは一切持たない、持っていないということを確認してきております。そこで事ガスに関する限りは、われわれは、いわゆる戦闘用のガスというものは一切ない、こういうように考えております。
  97. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ないということを聞いているんじゃないんだ。あなた方外務関係の方ですから、そういう軍事的なことはあまり知る必要もないし関係もないと思います。ただ、やはり私たちは防衛を担当しておりますと、勉強すればわかるのです、そんなことは。   〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕 だから当然、核の装備変更だとかミサイルだけに限って事前協議にしておいて、アメリカのいう通常兵器については、それは対象外なんだということをこっちがのみ込んでいては、実はわが国においては毒ガスは禁止しておるということと合わないわけです。当然そういった問題も含めて、検討すべきだということを私は申し上げているわけですね。わかりますか。
  98. 吉野文六

    吉野政府委員 いずれにせよ、日本全体の安保問題に関連する事項につきましては、福田大臣がすでに言われておるように、次に開かれる日米安保協議において、そのような問題を取り上げたいと思っております。
  99. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それらの問題を取り上げるというが、沖繩復帰のときに総理、外務大臣も参りますから、そういう点、明確にしておきますけれども、そういう問題でぶつかるし、食い違いが出てきますから、それらを取り上げるのは当然だ。何も戦闘作戦行動に限ったことではない、その三つの条項は全部検討しなければならぬ、こう私は申し上げているわけです。その点は取り上げて検討するということでありますから、次の問題に移りますけれども、前向きでその問題については検討していただきたいと思います。  それからP3の問題です。このP3について前回吉野アメリカ局長に伺いましたが、日本には非核三原則があり、たとえば現在どうであろうと、返還になれば核兵器は持っていない、それは明らかだとあなたはおっしゃった。私は聞いてくれと言ったら、あなたは聞いてみるとおっしゃった。聞いてみたらどんなことですか。
  100. 吉野文六

    吉野政府委員 先方に照会いたしましたところ先方は御承知のように、核問題については何とも言えない。つまり、あるともないとも、言うのが先方の方針ではない。しかしながら、沖繩復帰後は、ともかく日本の非核三原則を尊重する、そしていわゆる事前協議に関する日米間の合意もフルに尊重する、したがってこの点については日本は何ら心配する必要はないんだ、これが先方の答えでございます。
  101. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 いつ、だれが、どこでおっしゃいましたか。
  102. 吉野文六

    吉野政府委員 これは日付けは忘れましたが、先生がこの問題を提起して、一日か二日後でございます。アメリカ大使館に対して照会をしたわけであります。
  103. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 だれに。
  104. 吉野文六

    吉野政府委員 名前を言うのは、ひとつ差し控えさしていただきます。
  105. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ロッキードP3というのを、公にされております航空情報の雑誌、これは私がいいかげんなことを言ったんじゃないという証拠にきょうは持ってきたんです。全部詳しく書いてあります。  そこで、ここだけ読みます。このP3の「弾薬倉内には四本のホーミング魚雷、または核爆発雷ルルなど各種の対潜兵装が収容」してあると書いてあります。P3に関する情報は、向うからとったものをそのまま翻訳してあるのです。この間も御指摘申し上げましたが、要するにP3という飛行機は、現在、太平洋海域にありましては、ソ連の核戦略に対抗して常時飛んでいる飛行機ですね。極東におけるソ連の潜水艦は五百隻ぐらいある。アメリカの潜水艦は、極東配備は六隻か七隻で、数においても非常に劣る。しかしながら、ポラリス潜水艦が常時ミサイルを装備して極東海域を回る。B52、特に新しいG型が、核兵器を常時積んでパトロールしている。スペインの事件がございましたので一時休みましたが、それも解除になった。すなわちその後も飛行しているということですね。対潜哨戒機としてはこのP3が、日本海あるいはまた朝鮮半島、中国沿岸、フィリピン沖、東南アジア、こういう飛行範囲を飛んでいる。防衛庁が調べて答弁してくれました。すなわち、そういう飛行機が沖繩から撤去されて、そして飛ぶなら何も言いません。核装備することが悪いということを言っているんじゃないんです。ただ日本には非核三原則がある。どうしてもそうしなければならないというなら、グアム島あたりに行って、そこを拠点に飛べばいいと思うんですね。それを、那覇から普天間、普天間から横田、横田から三沢という玉つき移駐の問題、これを問題にしなけれがいけない。もしあなたが、心配するな、核については云々できない、こうおっしゃいますなら、いままで常時二十四時間パトロールしてきた、そういう飛行体系、いわゆる警戒体制は変わるのか。乗務員というのはブリーフィングですか、任務説明をちゃんと聞いておるわけです。それが大幅に変わるなら、対潜哨戒機として哨戒する意味がなくなる。  専門家に聞いたところによりますと、この間も申し上げましたけれども、最近の原子力潜水艦は通常の魚雷や爆雷ではどうにもならぬ。しかも、海の中を四十キロぐらいのスピードで潜航しまた航行するので、どうしても核にたよるしかないのだというのが専門家の見方じゃありませんか。ここにも書いてありますけれども。したがって、核を積まない、あるいはまた核戦略体制の重要な任務を持たないP3の飛行機なんて価値がないんです。そのほかにも対戦哨戒機はたくさんいるのですから。そのくらい、P3というのはきわめて重要な任務を持っておるじゃありませんか。だからP3の基地については、絶対に共同使用させないで、厳重な監督下にあります。だから私は、このことについても、やはり重要な問題として至急に検討していただきたいと思うのです。外務省は、この那覇空港のP3をどこに持っていくかということについて、あそこは返還されないとか、あるいはまた移転する費用についてどうのこうのという前に、私はこの問題を強く指摘しておく。  かって沖繩県民が、ベトナムに行くB52、これがH型という古い型であって、もう通常弾頭しか積めないような、そういう爆倉にしかなっていない飛行機さえも大反対して、沖繩からグアム島、そしてタイに行ってもらったじゃありませんか。これは常時積んでいる疑いがあるんです。こういう公開の資料があるんです。だから、そういう大使館の話を聞いて、その上でどうのこうのするということは、私はまだ問題が残ると思うんですね。そこで、この問題について、私は移転する以前の問題としてこれを取り上げていただきたいと思います。こう思うのですが、いかがですか。
  106. 吉野文六

    吉野政府委員 その点につきましては、先生もおっしゃられたとおり、われわれも同じような議論をしまして、先方に照会したわけでございます。ところが、御存じのとおり、核を搭載する能力のある飛行機なり潜水艦も、常に核兵器を搭載しないしは持っておるわけじゃないのであります。事日本に関する限りは、事前協議もあり、日本の核三原則もあるから、このようなことは絶対しない。かりに万一、そういうようなことをやっているということがどこかで発覚したとしましたならば、アメリカは根本的に信用を失うわけでございますから、アメリカとしては、この核の問題については非常に慎重に扱っておる。したがって、その点は絶対信用してもらいたいというのが先方の回答でございます。そしてまたわれわれも、平時において、戦略空軍でない一部の飛行機が、そう核兵器を持ち歩いて、場合によっては乗っておる人の一人の判断で落とし得るような状況の核兵器を持ち歩くことはそもそも常識としてあり得ないのじゃないかというように考えております。
  107. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これはあなたの常識論じゃ困るのですよ。核兵器は安全弁が幾つもあって、あなた方は安全だと言っておられるじゃありませんか。核兵器と通常兵器を一緒に燃やしても、通常兵器は爆発するけれども、核兵器のほうはぼうぼう燃えるだけで決して危険じゃないといつも言っておるじゃないですか。危険なものをいつも持ち歩くことはないという常識論を振り回しては困ります。  もう一つ聞きます。いっ飛行任務が変わったのですか。それが変わらない限り、常時核は持っておると私は考えますよ。
  108. 吉野文六

    吉野政府委員 御存じのとおり、P3は岩国にもございます。したがって岩国のP3は、核は絶対持っていないわけでございます。  それから、共同使用の点を御指摘になりましたが、那覇も一時的にはP3にいてもらって共同使用をせざるを得ない。岩国は御存じのとおり共同使用であります。したがって、このようなところに核がないことは、当然われわれも考えておりますが、かりに核があるとしたら、これはアメリカにとっては非常に危険な状況じゃないかとわれわれは考えます。
  109. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 この核の問題については、また別な議論ですから、いろいろ言いたいけれどもやめます。私の調査では、瀬長島にP3、核爆雷が置いてある、これは一般のマスコミの新聞にも出ているじゃありませんか。それは私たちよく見ているが、五月十五日まであのままでいいのか。飛行は中止しています。沖繩の場合は、非常に皆さんオープンでいろいろなことを教えでくださる。それを核のことについては、あるともないとも言えないとか、機密だからどうのこうのという前にそういう疑惑があれば、やはり前向き、率直に議題に乗せて、国民の疑惑を晴らすことが必要だ。はっきり言っていいですよ、外交交渉で。公明党の伊藤惣助丸がこう言っていたと。いつから飛行任務が変わったのか聞いてください。あとから聞きますから、その点だけ言っておきます。
  110. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 伊藤君に申し上げますが、人事院総裁も見えております。
  111. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 もう一つ伺いたいのは、この間やはりアメリカ局長に伺いましたが、ミサイル実験がありました。このミサイル実験について、おそらくハーキュリーズ、ホークのたぐいであろうなお詳細については調査する、こういうことでございますが、私はこの問題について答弁なされることは大体わかっています。どこまでも地対空ミサイルの発射実験であって、決して、ミサイルのメースBという、中国や対周辺国に向けたそのかわりのものではない、こうおっしゃるに違いないと思うのです。そこで私が申し上げたい点は、まずこの事前協議の中でも言われておりますように、中長距離といったら大体何キロくらい飛ぶことを想定して考えているのか。そうしてまた、報告の中で言うべきことがあったら言ってください。
  112. 久保卓也

    ○久保政府委員 事前協議対象になっておることばでの中長距離ミサイルであろうと思いますがこの場合に中距離といいますのは、大体二千キロから三千キロ台くらい、長距離は四千キロ以上くらい、大体そんな見当であります。
  113. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 現在ナイキ、地対空ミサイルはどのくらい飛びますか。
  114. 久保卓也

    ○久保政府委員 百二十五キロ、ないしせいぜい百四十キロであろうと思います。
  115. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それ以上飛ぶミサイルはどうですか。
  116. 久保卓也

    ○久保政府委員 これは、ナイキミサイルの場合には、高度を含めて百数十キロというわけでございますが、地対地ミサイル、SSMミサイルの中には、数百キロ、五百キロないし六百キロというものがあります。それはヨーロッパに配置されております。
  117. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 たとえば、米軍がそういうミサイルを沖繩に持ち込むことがあった場合は認めますか。
  118. 久保卓也

    ○久保政府委員 メースBが撤去されましたのはもちろん北京あたりまでをねらうものの効果、意義というものが、ポラリス潜水艦ができた今日、意味がなくなったという考え方であろうと思います。ところで私の判断では、ヨーロッパでは、戦略核ミサイルを使う前に戦術核ミサイルを使いたい。これは特にNATO側では、通常兵器についてはおそらくワルシャワ条約機構よりも弱いと判断しますので、早くそういうものを使う立場にあるのではなかろうか。そうしますと、いわば通常兵器を補う意味の戦術核兵器が必要である。ところでアジアの地域については、SSMを使うような戦闘というようなものは、私は予想しにくいというふうに考えております。したがいまして、数百キロを飛ぶであろうミサイルをアジアに配置する必要はまずないのではなかろうかというのが私の判断であります。
  119. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 いまの防衛局長答弁だと、地対地ミサイルは必要ない、こういうことでありますが、そういうことについての解釈でありますけれども、それを持ち込むことを事前協議対象とするかしないか。どういうふうな考えですか。
  120. 吉野文六

    吉野政府委員 われわれの事前協議対象は、核弾頭及び中長距離のミサイル、こういうことになっておりますから、そういうものでない限りはこれは事前協議対象にはなりません。
  121. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 認めるということですか。
  122. 吉野文六

    吉野政府委員 したがって、認めるというのか先方は、事前協議対象にならないわけですから持ち込んでこようがどうしようが、われわれとしてはそれをチェックする方法もないし、また知らない、こういうことでございます。
  123. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これは簡単に答弁されると困るのです。要するに、もし地対地ミサイルを沖繩に置くとすれば、それは、沖繩から飛ばしても海の中にどぼんと落ちるような、そんな短いミサイルを置くわけはない。しかもミサイルといいますのは、燃料のつけ方によって幾らでも足が伸びるわけです。だから私が明確にしていただきたい点は極端に言うと、やはり地対地ミサイルはだめだということです。要するに、いまメースBがなくなったけれども、全部撤去してしまって何も持ち込まないのかということに対して、米軍では何も言っていないわけです。新型ミサイルの実験がこの間あったじゃないですか。その発表だって、決してほんとうのことなんか言わないと思いますよ。まず、局長のほうで調べたことはどういうことか言ってください。
  124. 吉野文六

    吉野政府委員 先般、伊藤先生から御質問がありまして、その際われわれも、とりあえずの情報に基づきまして、四月四日、五日にボロー・ポイントで行なわれたミサイル発射実験については、いままで本来一月に行なうものを延期しておったのだ、こういうような御返答をいたしたわけでございますが、その後、現地から連絡がございまして、四日の日に第三十砲兵旅団のある人が次のように語っております。すなわち、「第三十砲兵旅団のホーク大隊が、四月四日の日に二個中隊、五日の日に二個中隊、六日、七日は予備の予定で実射を行なう。これは年次演習の一つである。そこで、本年は特に一般的な公開展示を行なわないけれども、部落民が演習場の周辺その他に集まって見るのはかってである」。また実際に見ていたそうでございます。それが現状でございます。
  125. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ホーク大隊の実射実験ということですか。
  126. 吉野文六

    吉野政府委員 そうです。
  127. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 その報告は、まことに申しわけありませんが、正確じゃありませんよ。ホークというのは、見てすぐわかりますように、短い羽のついたやつですよ。ところが発射台二基は違うのです。写真もあります。きょうは間に合いませんでしたけれども。  この間、久保防衛局長が、もしやるとすればナイキハーキュリーズのたぐいじゃないか。ハーキュリーズはちゃんとした基地があるのですから。十数メートルのランチャー二台をそろえて、補助飛行場に観測機を置いて、百八十何キロですか、公海も含めて制限をしてやったじゃありませんか。  そこで、私はここで明確にしていただきたい点は、中距離、長距離という前に、準中距離というのがあると思うのです。これらも含めて事前協議対象にすべきだという考え方なんです。新しいミサイルを持ち込む場合には、たとえそれがハーキュリーズとかホークとかとわかっておりますけれども、やはり問題にすべきじゃないかと思うのです。その点、大臣からお答えを聞きたいとこうなんですけれども、局長から……。
  128. 吉野文六

    吉野政府委員 われわれは、装備変更に関する事前協議というのは、あくまでも核弾頭及び中長距離のミサイル、これはあくまでも核弾頭を前提としての事前協議だ、こういうように考えております。したがって、核弾頭を伴わない準中距離ないし短距離のミサイルというのは、やはり問題にならないのじゃないか、こういうように考えております。
  129. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 軍事的常識から言いますと、そういう中距離とか長距離というものは戦略核兵器及び戦術核兵器だ、こういわれているわけです。遠くまで撃って、それが核でなければ効果がない。一つの例として、ナイキハーキュリーズといえども、百二十五キロから百四十キロ飛ぶというけれども、自衛隊の技術者が言っているのは、あそこまで飛ばしても核でなければ威力はないのだと言っているのですよ。ですから、日本と違う米国において、そういうミサイルというものを装備する場合に、それなしでは考えられないと思うのですから私は、準中距離であってもやはり事前協議対象として考えるべきじゃないか。いままでの解釈を聞いているのじゃないのです。先ほども毒ガスの問題を入れようとしたから、ミサイルの問題についてもどうだと言っているのです。  距離でもって示すことはちょっとむずかしいと思うのですよ。たとえば準中距離といえば、現在地対空であるとか地対艦くらいのものはございますけれども、やはりこれはある程度の距離も明確にして問題にすべきじゃないかと思うのです。この間のミサイルの場合ですと、移動用のランチャーですから、基地の建設なんて要らない。ランチャーによってどのくらいのものをやるかということも、専門家から見ればわかるわけです。それも毒ガス問題と含めて、準中距離であっても今後の課題として検討する考えはないかということなんです。
  130. 吉野文六

    吉野政府委員 その点につきましては、われわれも専門家の意見を聞きまして、今後の課題として研究いたしたいと思います。
  131. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 いままでフォーカス・レチナ作戦等を含めまして、毎年一回、沖繩米軍と韓国と台湾との合同演習がございますが、ことしもそれが計画され、いろいろやっているようであります。これは、五月十五日を過ぎますと、やはり大きな問題になると私は思います。私の調査では、本年もまた同じ規模でやるんだ、こういう話を聞いているわけであります。沖繩日本に返り、日本施政権下にあって、もしそういうような合同演習をやるとすればたいへんな問題になる。この点について外務省としてはどういう見解ですか。
  132. 吉野文六

    吉野政府委員 まず事実関係から申し上げますが、沖繩におる米軍と台湾と韓国軍の三者による合同演習が行なわれたというような事実は、われわれとしては承知しておりません。なお一部には米国と韓国ないしは米国と台湾の間に、すなわち二国ずつ小規模な合同演習があったということが報道されておりますが、これは実際にあったかどうか、われわれは承知しておりません。これはいずれにせよ小規模なものだということでございます。
  133. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これは小規模であろうと、そういった作戦が事実行なわれるということになれば返還後は大問題だと思います。日本と中国の問題については、非常に前向きに現在国交正常化の道が、あまり早い将来ではないでしょうけれども、問題になっておるわけであります。それが、日本にいる米軍と台湾軍との間に合同演習を行なう、あるいはまた韓国と行なう、こういった点について来年もやるんだというふうに当局が言っているようであります。確実かどうかわかりませんけれども。外務省としては、その作戦を年一回やってまた来年も行なわれるということが情報としてもしわかった場合には、前向きにやめさせるべきだと思うのですが、その点いかがですか。
  134. 吉野文六

    吉野政府委員 おそらく先生はフォーカス・レチナ演習のごときものをお考えだろうと思いますが、これは御存じのとおり、米軍と韓国との間の演習でございまして、われわれとしては関知しないところでございます。なおわが国といたしましては、当面、米軍と自衛隊という関係では演習が行なわれるだろうと思いますが、第三国を交えての演習はいまのところ考えておりません。
  135. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 防衛局長に伺いますが、もし、米国と日本と韓国とか、あるいはまた台湾という申し入れがあった場合に、これは明確に断われますか。あるいはまた安保条約に伴うどうのこうのということでやらざるを得ないのかどうか。
  136. 久保卓也

    ○久保政府委員 日本アメリカ日米安保条約を結んでおりますので、アメリカとの合同訓練は考えており、また現にやっておりますけれども、第三国を含めての合同訓練はやる計画も意思もございません。
  137. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 まず、やれるのかどうかということです。
  138. 久保卓也

    ○久保政府委員 これは、法的根拠がなければやれないかというと、必ずしもそうではありませんで、やはり事実行為のようであります。もしかりに、たとえば韓国の飛行機が沖繩なりあるいは日本本土の領空に来る場合に、運輸省の所定の手続を踏めば不可能というわけではございません。しかし、日米安保条約の精神なり、あるいは政治的な立場から見ると、やはりそれは不適当であるという観点に立っております。
  139. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 安保の関係でそれは一応できるという形になっている、しかし政治的な問題もあるし、やる気はない、こういうことですか。
  140. 久保卓也

    ○久保政府委員 そのとおりであります。
  141. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 外務省に対する質問はもうよろしゅうございますか。人事院総裁がさいぜんから‥‥。
  142. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 外務省何か用事ありますか。なければ少し残って聞いていただきたいのです。  委員長に申し上げますが、どうもこの間から私こま切れ質問で困ると申し上げているわけですよ。いまも総務長官もいないわけですよ。防衛庁長官もいないし……。
  143. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 総務長官はもうじき来るかと思います。いま採決に出ておりますから……。
  144. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私は審議には幾らでも協力しますけれども、いないと、もう一回聞かなければなりませんから、その点、御配慮をお願いしたいと思います。  では人事院総裁、たいへんお待たせいたしまして申しわけございません。  人事問題で伺いますが、この間の続きです。一つは、特別措置法第五十五条第一項では、国家公務員の給与について減給補償のために支給予定されている特別手当の性格、それからその支給方法について現地では、どうなんだろうということで非常に心配しております。そこでどういうふうに考えていらっしゃるのか。特に現地の公務員は不安を表明しておりました。その点についてまず伺いたいと思います。
  145. 佐藤達雄

    ○佐藤(達)政府委員 前回も申し述べましたように、私ども、琉球政府はもちろんのこと、現地の組合の方と非常にひんぱんに接触して御要望も聞き、意見も交換してまいっております。いまのお尋ねの点、これはやり方がいろいろあるわけですけれども、この間申し述べましたかどうかわかりませんけれども、現在もらっている俸給がこっちに移られたために非常な激減を生ずるというようなことでは円滑な移行ができませんので、その点を主としてねらって、法律にありますように、現在もらっている俸給が今度新しい俸給になったために減るというような場合にはその差額を支給する。これは言うまでもありませんが、その場合に何をとらえて比べるかという問題などについてもこれはいまお話し申し上げましたように、率直に向こうの方々とひざをまじえて研究いたしまして現在一応同意を得ておる結論は、本俸同士を比較してみる、そして今度はその差額の手当て分は本俸並みにほかにまたはね返らせる、これが一番得だろうということでいま意見が一致しておりまして、大体そっちの方向でいけるのではないかというふうに考えております。ただこれは、こっちに来たならばいつまでも未来永劫にそういう特別扱いを維持するわけにはまいりませんので、したがいまして、大体五年間と考えておりますけれどもその間にだんだんとなしくずしでこれを持っていこう。そのなしくずし方も、あまりショッキングでないような形をいろいろいま考えておるわけであります。
  146. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 なしくずしでないようなことを考えていらっしゃる……。
  147. 佐藤達雄

    ○佐藤(達)政府委員 なしくずしはしなければなりませんが、そのなしくずしのやり方には、ショッキングな方法もありましょうし、またなだらかな方法もございましょう。できるだけなだらかな方法でなしくずしてまいりたい、そういう意味で申し上げたわけであります。
  148. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それから、琉球政府の職員の国家公務員の身分の引き継ぎについて、この準備状況を見てきましたが、大体裁判関係を含めますと六千七百人くらいの予定になっていますね。この引き継ぎにあたっては、解雇者を出さず、配置転換については、本人の意思といいますか、希望を尊重してやっていただきたい、こういう点がわれわれ沖繩に行ったときに強力に申し入れがあったわけです。その点について、どういうふうに人事院としてはお考えでございますか。
  149. 佐藤達雄

    ○佐藤(達)政府委員 これは現実の引き取りの問題でございますから、直接にはおそらく総理府総務長官の御所管だろうと思いますけれども、いま御心配のような事実としてはわれわれとしては聞いておりませんから、別にそう気にはしておりません。詳細は総務長官のほうから……。
  150. 山中貞則

    ○山中国務大臣 もちろん人員整理は一人もありませんし、引き継ぐ職員について、たとえば、本人の意に反して現在の琉球政府の管内、すなわち復帰後の沖繩県以外の地に、まあ国家公務員ですから、一片の辞令でもって配置される可能性がありますね。しかしそういうことはやらないということの内々の意向は伝えてあります。必要ならば琉球政府あてに私の、これは公務員担当大臣としての覚え書きを出してもよろしいと言ってありますが、そこまでしてもらわぬでも明確であればけっこうでございますということで、そのトラブルは解消いたしております。
  151. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 積み立て年次休暇の追加についてですが、これは現在向こうの職員は大体一人平均六十日間ぐらい積み立てている、こういわれていますね。そこで、これを人事院のほうでは、復帰後五年間ぐらいで消化させたいということが考えられているとかいうようなことを伺ったわけです。しかし実際、本土においても年間二十日間の休暇というものが十分に消化されていないわけですね。ですから、そういうような実態から言いますと、この二十日間というものを上積みしても、五年間で消化できないのじゃないかと私は思うのですね。そういうときの処置はどうするのか。
  152. 佐藤達雄

    ○佐藤(達)政府委員 五年間の話は、実は特別措置法のときのわれわれの考え方として、特別措置法で認められている特別期間というのは大体五年五年というふうなことになっているものですからこれもそれに歩調を合わせて、やはり五年ぐらいかなあという程度で考えておったわけです。これはまた窮屈にやったところでどうということもない問題ですから、われわれとしては、総務長官ともいろいろ打ち合わせはしておりますけれども、それは無期限というわけにはいきませんが、十年くらいまでいいんじゃないかということでただいま考えております。
  153. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私は率直に言いまして、現地の要望どおりに復帰時に買い上げてやったらいいのじゃないか、こういう考えを持っているわけです。もしこれを買い上げるということがまずければ、前にやりましたね、三月十五日から月末まで、四日間三回ぐらいにわたって大体五割くらいが年休を行使している。だから現地では、この買い上げの保証がなければ復帰前に消化する、そういうことも言っているわけですよ。しかし実際、そういうことをやりますと復帰準備にやはり大きな支障が出てくるのじゃないか、こう思うのですね。その点いかがですか。
  154. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私と、琉球政府をその問題で代表して参りました総務局長との間で、完全に話がつきまして、それを受けて人事院もただいまのような答弁をしてもらえるような作業を内々向こう側に伝えてもらいました。それによって年休の復帰前行使ということも済みまして、官公労の団体交渉は妥結をいたしております。したがって現在はそのような事態は回避されたということであります。
  155. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そうしますと、五年がさらに十年になってしまったということですね。この、六十日間をもし買い上げた場合にはどのくらいになるか、計算したことがございますか。
  156. 山中貞則

    ○山中国務大臣 事務当局もちょっと正確な数字を記憶してないようでございますが、大体六十億円くらいになるのではないか。かっての私の年休買い上げの要請されたときの記憶でありますからちょっと事務当局にも調べさせますけれども、いまそういう記憶を持っております。
  157. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私は何か三十億ぐらいというように聞いておりますけれどもね、もし買い上げるとすれば。総務長官に申し上げたいのですけれども、やはりこれは既得権といいますか、そういう点から当然買い上げてあげるべきじゃないかと思うのですね。十年という中で消化するという考え方はもう決定ですか。まだ考える余地はございますか。
  158. 山中貞則

    ○山中国務大臣 経過は申しませんが、琉球政府との間に話がつき、その線に従って官公労も団交を妥結したということを申し上げておきます。
  159. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 要するに、総務長官、いまちょっと聞き漏らしたのですけれども、それ以外にないということですか。
  160. 山中貞則

    ○山中国務大臣 経過は申し上げませんが、私と琉球政府との間で話し合いがついて、その線に従って官公労との団体交渉が妥結をいたしましたという事実のみを申し上げておきます。
  161. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 沖繩の振興開発庁設置法案のことですが、沖繩総合事務局の事務は開発庁の所掌事務よりも広く、地方農政局などの事務まで分掌するということは、ほかに例がないわけでありますね。結果的には知事の頭越しに事業等が行なわれるおそれがある。これは自治権尊重という立場からいってうまくない。もう少し、沖繩県知事に意見を聞くなり、また委任できるものは委任すべきではないか、こういうふうに思うのですが、その点いかがですか。
  162. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは今回の開発庁設置法案をごらんになっても、沖繩県の県、市町村を含めた自治権の侵害は全くありませんし、本土各県の自治体の長の持っておられる権限を侵している点は全然ございません。また、沖繩総合開発事務局という案がかりに国会で可決をされて設置された場合、開発庁の持っております権限以外のものは、これは確かにそのとおりでございますが、そういう形で現地に通常のブロックの機関の長の権限を与えませんと、現在、琉球政府は国政事務まで担当しておりますから、国政事務については、きわめて管区が遠いところになって不便になるというようなこと等もありますし、また、自治体の長あるいは管理者等が申請した場合において、国がかわって工事を行なうという道も開いてありますがそういう場合においては、申請に従ってそれぞれの省庁の所管の長が現地の沖繩事務局の長を指揮することになります。したがって、本庁のほうは総理府の外局でありますけれども、沖繩事務局においては、事務局の長を、建設とか農林とか運輸とか、それぞれの長が当該の実施される事業については指揮をするということになるわけでありますから、出先をばらばらに置けない、置けないけれども、しかし沖繩ではブロックの長の機能を与えてあげなければいけないということから、各省庁の長の了承もそれで得たということであります。
  163. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 この問題については、最初そういうように出発いたしましても、三年、五年とたつうちに、明確に規定がないとやはり変わっていくんじゃないかということが考えられますね。そこで私たちは、三党共同提案でこの対案を来週出すことになっておりますが、特に総合開発計画というものについては、沖繩県知事の意見を聞かねばならないと明確に入れて、われわれは対案を出そうとしているわけです。ですから、自治権の侵害をしていないとおっしゃいますけれども、そういうおそれがあるからこそ声があるのであって、やはり前向きでこの点も何らかの形で明確にしていくべきだ、こう私は思います。  それについて長官から答弁を伺いたいわけでありますが、もう一つは、沖繩開発審議会についてであります。最初はその審議会のメンバーは少なかったようでありますけれども、現地の代表が少ないということで三十名になったという経過を聞いております。しかし、三十名の中でももっと現地の代表をふやすべきではないか、こういう考え方がありますが、この点についていかがですか。
  164. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは二つの問題がともに関連をする問題であります。というのは、沖繩県知事が振興開発計画の案を作成する権限を与えております。そしてそれを、審議会の議を経て内閣総理大臣が決定して沖繩県に通知することになっておるわけでありますから、この審議会の構成というのはやはり相当大きなウエートがあります。したがって関係する省庁が多かったために、定員二十五名中十三名の、各省庁のいわゆる国の役人というものを審議会のバランスの上から原案として出しましたことは、やはり私の配慮の足りなかった点でありまして、その点を、与野党一致で学経の代表五名をふやすことによって三十名にされましたので、その学経者は当然沖繩側に重点を置いてやりますから、三十名の過半数は沖繩の人たちをもって審議会の委員に充てるという人選をするつもりであります。これは法律が通ってからの話ですが、そういたしますと、県知事の作成した原案について、中間で知事の意見というものを聞かなくとも、知事、県会議長、そして市町村長二名、市町村議会議員二名というものが入っているわけでありますから、その審議会の構成は過半数が沖繩の代表だということでありますと、事実上その構成においてチェックする役目は果たせると思いますので、それらの点は御理解を賜わりたいと思います。
  165. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これは、超党派で沖繩に行った場合、それぞれの市町村から、代表全部というきわめて広い範囲から要望がございました。いまのお話了解できますが、さらに、そういったことについては何らかの形で明確にしていっていただきたい。ただ単に、学識経験者というのは現地の代表であるとか、あるいはまた、この件については市町村の代表であるとかいうふうな、明確にできればその点も明確にすべきではないか、そう要望します。  それから沖繩の臨時特例交付金制度ですね。これはまだ質問が出ていないと思いますけれども、大体これはどのくらいの期間存続を考えていられるのか。要するに、これは振興開発計画と同じように十年ぐらいにしてほしいという要望がありますが、何か聞くところによりますと、五年間ぐらいで切ろうというような、そういう話もあると伺ったわけでありますが、その点いかがですか。
  166. 山中貞則

    ○山中国務大臣 自治省の問題でありますが、私から答弁をいたします。  これは五年間ということであります。それは、国が一般会計から沖繩に対する交付税に対して補てんをする期間を言っているのでありまして、正確に言うと経過措置は四年目で終わる。すなわち初年度八割、次年度が六割、四割、二割、そして十割を交付することになります。  ということは、五年度十割というのは、全部の財源を交付税の中から配分するというのであって沖繩の本来もらうべき交付税の交付金の金額が減る意味ではなくて、その金額のうち、当初は、ことしが非常に地方財政の危機であるということもありまして、自治省のほうが、どうしても国の一般会計から補てんをしてもらわないと、沖繩が納める国税三税、そしてその三二%のウエートを占める交付税というものが沖繩に対して相当大きな傾斜配分をしなければならない、その点来年は非常に困るという、そういう客観的な情勢もありまして、私も最初は異なった意見を持っていたわけですけれども、しかし最終的には、やはり国の援助で八割、六割、四割、二割という経過措置の援助はこの際してやらなければいくまい。金額については変わらないわけですけれども。そういう国の援助措置が、経過期間が設けられておる、そして五年目から本土並みになるということであります。
  167. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ですから、実態論から言いまして、どうも五年じゃ無理じゃないかという感じがするわけですね。その点、現地はやはり十年間ぐらいを非常に希望しておったわけです。したがって、五年間で政府のきめられた援助ができなかった場合、それで切ってしまうのか。あるいは要望があった場合にはさらに延長してやる考えがあるのか。その辺少し聞いてみたいと思います。
  168. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは自治省の所管ですけれどども、そういう意味じゃなくて、十年にしたら、初年度が九割、八、七、六、五、四、三、二といって、十年目でゼロになる。交付税だけで十割まかなう、こういうことになるだけでありますから、別段問題はない。ただし、沖繩県の累積赤字のうち、県政事務に相当する分、そして国政事務に相当する分とおおむねめどをつけて分けて、そして国政事務であった分については、これは総理府において予算を要求し、大蔵省の直接支出をすることによって、十年間で沖繩側の累積赤字を全部年次償還で返していく、沖繩はそのかわりに身ぎれいになるという措置をとったわけです。  その際、本来地方自治体としての権能を持っていた分野については、今回に自治省に計上いたしてあります。これは十・五カ月分を平年度に直して、それを含めて五百十億になるわけでございますけれども、そのうちの十五億が、その赤字の十年間の償還分が入っております。したがって、正確に言うと、交付税は通年ベースで五百九十五億ということになるわけであります。それは確かに五年間の問題と実は関係を持ってまいります。そこで、私もその間に入りまして、五年後、沖繩が本来交付を受けるべき交付税の中から自分たちの赤字解消の年間償還分を支払わされたらたいへんなことになるから、この五年の経過措置が終わった後は、これは国において財源措置をして、そして府県の分についても交付税の中からその償還財源が払われることのないようにという確約が大蔵との間にできておりますから、その点だけが五年間と関係があると言えば、私はある金額だと思います。その点は措置してあります。
  169. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 人事院総裁、けっこうです。たいへんありがとうございました。外務省も、またお願いしますけれども、きょうのところはけっこうです。ありがとうございました。  それでは、施設庁、防衛庁に伺います。  軍労働者の雇用安定策についてでありますが、一つは間接雇用移行にあたっての賃金等の問題があります。この処遇問題についてどうなるのかということで、非常に私たちも関心を持っているわけでありますけれども、いままでは、検討しているという答弁は聞いておりますが、特に、私は職種とか勤続年数なんというものを十分考慮して行なうべきではないかと思っておりますが、現在どういう検討が行なわれているか、具体的に伺いたい。
  170. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 沖繩におきまして、米軍あるいは諸機関に直接雇用されております人たちの間接雇用への移行の問題でございますが、これにつきましては、日米間で一月の末に仮合意いたしまして、その仮合意の線に沿いまして、これを全軍労のほうに提示いたしまして、その後、全軍労からそれについてのいろいろな方向が出でまいりましたので、それをもとにしまして対米折衝をやりまして、結局問題は、最後に残りましたのが、基本給に勤続年数を加味してほしい。それから保障語学手当が沖繩にございますけれども、それの特殊的な制度について認めてほしいという問題。それから、本土の夜勤手当と違いまして、前夜勤制度というものがございますが、これについても沖繩の特殊事情を加味するように、こういう点にしぼられまして、これについてわれわれも、全軍労の要望に沿いまして修正案をアメリカに提示いたしまして、アメリカ側からわれわれの提案に対しまして、これを受諾するという一応の合意に達しましたので、これを全軍労にさらに提示いたしたということでございます。  これまで、間接雇用の移行に伴います給与条件を、私どもとしましても、できるだけ本土並み、あるいは沖繩の特殊な事情につきましてこれを尊重するという線で、対米折衝をやってまいりました。非常に壁が厚かったのでございますけれども、一応米側も譲歩すべきものは譲歩して、そういう条件で今後間接雇用への移行というものが一応期待が持てるという状況でございます。  そこで、基本給の問題につきましては、結局、復帰の前日における基本給、それに復帰の前日におきますところの次期定期昇給の待機期間というものを加味いたしまして、それに調整を加えたものを基本給とする。円レートの切り上げ問題に伴う措置につきましても、これはなかなかデリケートでございますけれども、米側もほぼ実質的には、むしろ三百六十円に換算をした額以上の額というものを認めたという結果になるわけでございます。これはこまかい話になりますけれども、いまの定期昇給の待機期間の加味と、それからそれを本土の俸給表に格づけいたします場合の措置によりまして、むしろ三百六十円の切りかえ以上の額に基本給がきまる、こういう状況でございます。  それ以外の語学手当の問題あるいは夜勤手当の問題につきましても、全くそのままの形でこれを存置するということは非常に困難でございますけれども、しばらくの間、沖繩における特殊事情を加味した暫定措置というものを講ずることによりまして、一応全軍労のほう、従業員の方々の御要望の線に沿える、こういう形でございまして、この線で今後引き続き事務を進めてまいりたい、かように考えております。  なお、このほかに、地元の要望としましては、四種の本土の間接雇用移行という問題が出てまいりますけれども、これは別途いま日米間で鋭意交渉中というところでございます。
  171. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それに引きかえまして、問題は、千九百名以上の新しい解雇者を発表しているわけですね。この問題について、米軍はいろいろ解雇しているわけでありますけれども、復帰を目前にしてこういうような解雇というものは撤回すべきだ、こういう強い要望があります。つい最近まで無期限ストをやって非常に混乱した状態になっておるわけでありますが、私は、やはり政府が前向きで、従業員が言うように、まず撤回交渉をする、そしてその中でいろんな問題について必要最小限にその犠牲というものをとどめていくことが大事ではないか、こう思うのですが、その点いかがですか。
  172. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは伊藤さん御指摘のとおり、きわめて重要な問題だと思っております。そこで、当然自分の仕事を奪われた者としては抵抗もありましょうし、将来に対する不安からいろいろな動揺を来たす、これが今日、労働組合の三役がおさめにかかってもなかなかおさまらない事態で、深刻にわれわれも思っております。したがいまして、いまの御趣旨の点は十分ひとつ配慮をしてまいるつもりです。のみならず、今度の労働争議におきまして、現地に施設庁長官を派遣したり、できるだけのことはしてきたつもりです。特に山中長官とも緊密な連絡をとりながら、防衛庁としても、あとう限りの努力を今後とも続けてまいりたいと思います。
  173. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 施設庁長官に伺いたいのですが、第四種軍雇用員の第一種への切りかえについてでありますが、もともと第一種及び第二種であったミルクプラントの従業員の処遇、これは私はやはり第一種に切りかえるべきじゃないかと思うのです。その点が一つ。  それからまた、ハン労働者のような軍雇用者に対してどういう対策を考えていらっしゃるか。これはやはり組合の方々と会ったときに要望が出た問題であります。その点いかがですか。
  174. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 四種問題というのは、御承知のとおりに、米軍なり諸機関が直接雇用しておる従業員でございませんし、いわゆる請負業者に雇用されておるという人たちであります。この種の制度本土にはございません。四種というふうなものはございません。ただ、請負業者に雇用されておるという業態はございますけれども、沖繩におきましては、特にこれを布令一一六号の中におきまして四種という位置づけをしておるわけでございますが、全般的に見まして、沖繩の一種、二種に比べまして非常に給与も悪い。それから退職金等も支給されたりされなかったり、あるいは退職金の額も非常に低いというふうなことで、実は一種、二種とかなり格差がございますので、これをどうするかということはたいへん大きな問題でございますが、もともとこれはアメリカ側としましては、どういう形で労務需要を満たすかということはアメリカ自身が決定するというたてまえでございますので、この四種問題につきましても、アメリカ側がこれをどういうふうに措置するかということはなかなかむずかしい問題でございます。しかしながら、先ほど御指摘のミルクプラントの業態につきましては、本来一種、二種の従業員であったということもございますし、本土にも同種の形態がございますので、これにつきましては、現在アメリカ側と、何かこれを間接雇用への移行ができないかということで、目下鋭意協議をいたしておるところでございます。米側といたしましても、現地のミルクプラントの従業員の方々と十分この点については話し合いの用意がある、こういう状況でございますので、まだ最終的な結論を得ませんけれども、われわれとしては前向きの姿勢でこれを検討してまいりたい、かように考えております。  バンの問題につきましては、これはミルクプラントほど簡単にいくかどうかわかりませんけれども、四種問題の解決の一環として私ども努力してまいりたい、かように考えております。
  175. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 非常に前向きでけっこうだと思うのですが、やはり地元の要望といいますか、復帰によって喜べない方がたくさんいるわけでありますから、前向きで取り組んでいただきたいと思います。  それで、まず施設庁に、前回、沖繩派遣議員団に寄せられた要望事項の中から、幾つか問題がございますので、それを質問したいと思います。  「人身損害補償関係業務を施設局に行なわせるのは理解出来ない。空襲死亡者補償等も含めた特別立法が望ましい」、こういう要望があったわけでありますが、私たちも事情を聞きまして、やはりこういった問題については特別立法をすべきではないかと思っているのですが、その点、施設庁の考えをお聞きします。
  176. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 今回提案し御審議願っておりますところの防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律案の第三条に、講和前の人身損害補償漏れの方々に対する見舞い金の支給については、法律で規定申し上げ、また予算的にも二億三千万程度の予算を計上いたしております。講和後におきますところの人身被害の実態につきましては、一応琉球政府の数字もございますけれども、それは今後、私どもとしましては十分その実態の把握につとめたい。もともと外国補償請求法によりましてアメリカが処理することになるたてまえでございますので、アメリカの処理がまず第一でございますけれども、その処理の結果によりましては、日本政府としても、ある程度と申しますか、それに対する必要の措置を講ずることもあろうかというふうに思いますが、これを予算的な措置、いわゆる行政措置でまいりますか、あるいは立法措置でまいりますか、この辺は今後の検討課題であろうと思います。アメリカがまず第一義的には処理すべき問題でございますので、その処理を待たずして直ちに立法措置ということもいかがかという感じもいたします。そこで、これはまず実態を十分把握した上で、どういう処置をとるかということについては慎重に検討してまいりたい。かように考えておるわけでございます。
  177. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 やはり現地の声でありますので、これも十分検討して前向きで取り組んでいただきたいと思います。  それから総務長官に伺いたいのですが、琉球大学の付属病院の問題です。何か聞くところによりますと、現在非常に問題になっておるようでありまして、現在、新那覇病院を建築をしているけれども、これは琉大の付属病院だ、那覇病院はどうなるのか。要するに那覇病院がそっくりいくようなこともいわれておりますね。そこで地元では、この那覇病院は県立病院として残してほしい、地域医療の中心となっている現在の那覇病院というものについて検討してほしい、こういう強い要望があったわけです。これは厚生省や文部省の問題であるかもわかりませんが、全体に関係のある総務長官から前向きな答弁を願いたい。
  178. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは琉球政府のほうの御意向がまずきまるべき問題です。それについては、昨年の十月琉球政府のほうで、審議会と申しますか、そういう考をつくりまして、移転のための検討をしたかけです。そして、その結果、付属病院となるべき新那覇病院のほうに、本土の各大学の付属病院みたいな研究施設を中心としたものばかりでなくて、今日までの那覇病院の果たしてきた地域医療、すなわち、夜間の急患に応ずるとか、あるいは結核の病床を擁する。あるいは、伝染病のベッドというものは本来は市町村の仕事ですけれども、沖繩はありませんから、那覇病院が果たしてきた役割り等をやはりそのまま引き継いで、沖繩の大学付属病院になっても、そういう地域医療の総合病院としての機能を果たしてもらいたいということで大体合意をされて、その線に従って、新しい国立に移管する琉球大学の付属病院というものは、そういう機能をあわせ持つものとして移っていくわけです。したがって、私のほうには琉球政府からそういうことであったけれども、やはり那覇病院は存続してほしいという要望はありません。しかし地域の方々は、ただ素朴に那覇病院がなくなってしまうと、あと地域の医療機関の少ないところですから、総合病院的な権威の高いものが少ないわけですから、そういう心配があることは私も聞いております。  もちろん、これは厚生省あるいは文部省の問題ではありますけれども、それらの問題については、琉球政府側と十分に話し合いがされて、そういう人員の配置その他も一応の了承がとれておりますので、もしこれで支障があるということであればまた考えなければなりませんが、いままで沖繩になかった国立の結核、精神、この両方の療養所が国立として新しく生まれますし、そこらのところもプラスになる要素が出てまいりますから、新那覇病院が付属病院になっても、地域医療の後継者であるということであれば、大体説明さえすれば納得できる段階は踏んできておるつもりだと思っております。
  179. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 要するにこの問題は、なかなか聞いても意見がまとまらないくらい、いろいろな問題がございます。ですから、本来から言いますと、文部省や厚生省の意見を聞いて、その中で意見をまとめていくべきだろうと思いますが、とにかくそういう問題で今後も問題が大きくなるだろうと思います。付属病院がいいか悪いか、あるいはまた、県立にするのがいいか悪いか、その辺はやはり、一番沖繩を理解されておる総務長官がトラブルのないように前向きで検討し、また善処していただきたい、そう要望します。  それから、これまた運輸省に関連する問題でありますが、私鉄の沖繩県労働組合連合会の要望であります。この方々の話は、「官民の出資による沖繩バス事業の新会社を設立して、本土の国鉄、公営交通並みの助成策を講ずること」、こういうふうに要望してきたわけであります。現在の私営のバスが国鉄や公営交通並みになる、あるいはまたするためには相当の問題があろうかと思います。しかし、政府としては、こういう私鉄をいわば公共の事業体として見ることにどういう姿勢で臨まれるのか、その点の問題を伺います。
  180. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、沖繩本島のバス会社の数、あるいは宮古、石垣等のバス会社の数が適正であるかどうかは多分に疑問のあるところです。したがって琉球政府においても、沖繩本島のバス会社を統合したいということで一生懸命やっておるようでありますけれども、やはり、私企業でありますためになかなかうまくいっていないというのがいまの状態であります。しかし私どもは、沖繩のバスの老朽化、あるいは本土に比べてきわめて耐用年数の古いものが使われておる現実等は黙過できませんので、したがって、これを予算化して、今回は、大体耐用年数十五年以上経過しておるような車両については、本土にはないことでありますけれども、国が車両購入に対する補助金を支出することにしております。今後その公共性というものを考えて、新しくできる予定の沖繩振興開発金融公庫からそういう交通部門に対する融資も考えておるわけでありますが、やはりどうしても体質を改善してもらいませんと、たくさんの社が乱立をして、それがいい意味のサービスの競争になっておればいいのですけれども、どうも経営状態を悪化させておるというような現象は、これは琉球政府も含めて、もう少し行政のルートの指導もしなければならぬと考えております。
  181. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これも大蔵省に関連があるのですが、沖繩生命保険労働組合の問題であります。生命保険会社は、琉球生命と沖繩生命ですか、二つありますね。その人たちの話によりますと、復帰後、本土の生命保険会社が進出した場合にたいへんなことになる。沖繩生命と琉球生命を合わせてもなおかつ小さい。そういうことで非常に問題が起きてくる。大生命保険会社の進出によって、大体方向としては合併ということが考えられるのじゃないか、しかしそれはやめてほしい。またそのことによって、本人の意思を無視した配置転換とか首切りというようなことについては断じて善処してほしい、こういう要望があったわけであります。私はこの問題を聞いて、地場産業といいますか、沖繩にあるそういった企業については、やはりある程度の期間は保護育成しなければならぬと思うのです。この生命保険会社にかかわらずですね。そういうような行政指導ができるかどうか、またそういう保護期間を置くべきじゃないかと思うのですが、この点いかがですか。
  182. 山中貞則

    ○山中国務大臣 おっしゃったように、もっぱら大蔵省の所管の問題ですけれども、私の知っている範囲では、そういうような首切りとかなんとかというような話は、私の耳には入っておりません。また、そういう事態が労使間で問題になっておるということも聞いておりません。ただ、先般の賃金読みかえの問題は、貸し倒れ引き当て準備金の繰り入れ率ということで話がつきましたから、したがって、琉球生命、沖繩生命、これも何ら存続を妨げるようなことはないと思っております。しかし国の方針としては、生命保険は別ですけれども、銀行、相互銀行、信用金庫、そういうものは、その規模から見て、あまりたくさん沖繩にあってはどうかと思う点はあります。ありますけれども、本土のほうからそれを大生命保険会社がつぶしにかかるというようなこと等は、まだ私も聞いておりませんので、大蔵省のほうから、既存企業の保護というようなことで守ってもらえるのだろうと思っております。ただし、向こうの生命保険会社が希望するという場合は、これはまた別なケースだと思うのですよ。
  183. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 聞いてないとおっしゃいますが、われわれのところに要望として来た問題でありますので、プリントしてあるわけであります。ですから、地場産業に対する保護期間というものがやはりあったほうがいいのじゃないかと思います。そういう点についてどうですか。
  184. 山中貞則

    ○山中国務大臣 法律はそういうふうに別段明示しておりませんが、沖繩の既存企業と競合するようなものは進出しないように、行政指導もそれぞれやると各省言っておりますし、それに金融公庫でも、沖繩に進出したりなどする企業で沖繩の既存企業を脅かすような範囲のものであれば、融資対象にしないというようなこと等はきちんとしておりますから、そういう姿勢以上に、私企業的なものが、何か自分たちの生き延びる方策を講ずるという場合、それをとめるということはむずかしいかもしれませんが、本土側の強い力によって押しつぶされていくという現象は、これは行政指導上もきちんと守ってあげなければならぬということは、各省庁とも全部承知しておるはずであります。
  185. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 施設庁長官に伺いたいのですが、沖繩の軍用地地主連合会の要望事項についてであります。この間、同僚委員に幾つか答弁したかと思いますが、その点は簡略に願って、付録もございますので、すでに持っていると思いますので、これについてお答え願いたい。  まず第一に賃金貸借契約についての適正処置、このことについてでありますが、何か聞くところによりますと、早く契約に応ずれば六・何%で、時期がおくれた場合には何%、こういうような差別をしようとするような考え方があるのじゃないか。この賃貸借契約については、たとえば条件が整わなくておくれる場合もありますし、あるいはまたその地域によっては、契約をする場合においてある程度早いとかおそいということは、これはもう事務的にもあり得ることだと私は思います。ところが、早く応ずる者については六・何%であって、だんだんと少なくなるぞ、こういうようなことは、最初の考え方とはちょっと違ってくるのじゃないかと思うのですが、そういう点で適正処置とはどういうことを考えていらっしゃるのか。
  186. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 契約に応ずる時期のおそい早いによりまして、金額に差が出るということは全くございません。これはあくまでその土地、土地の開発状況といいますか、周囲の土地の条件、具体的に言いますれば、たとえば売買価格でありますとか、賃貸借価格でありますとか、そういうものをもとにしまして、本土の算定の基準に準じまして行なっておるわけでございますので、これはその土地、土地の開発状況によって客観的に定まってまいる。したがって、交渉の早いおそいによってそれに差がつくということはございません。地主会の御要望の百八十八億、これは五月十五日復帰ということで修正いたしますと百六十五億になりますけれども、この百六十五億円をもとにしまして、現在各施設ごとに慎重に計算をいたしまして、交渉を行なっておるということでございまして、そういう差別はございません。
  187. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 いま申し上げている点はいままで防衛庁としては、検討はしておったけれども公示をしてないと思うのですね。要望事項については、いまだ前向きではおっしゃっておりませんね。私が申し上げる点についてはきょうが初めてでしょう。  次にまいりますが、開放に伴う土地の復元補償に伴う適正処置並びに関係地主の生活保障措置について考えてほしい、こういう御要望がございました。私も実態についてはあまりよくわかりませんけれども、向こうが強く要望しておりましたので、その点についてはどう考えていらっしゃるか。
  188. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この問題は、復帰前に形質が変更されまして、その土地が復帰前に返還になったということで、当然米側としましては、復元、原状回復をやるなり、あるいはそれに見合う補償額を支払うべきでございますけれども、その措置が現在までなされてないということで、借料は支払われなくなった、それに伴う必要な措置をとらないということで現地の地主が非常に困っているという問題。この問題は、復帰前の時点におきまして日本政府が処置をするということは非常にむずかしい問題でございまして、これはやはり米側が布令に基づきまして処置をすべき問題でございますので、米側に対しまして、その適正な措置をとるように、日本政府としては要請をするということが復帰前の問題でございます。復帰後の段階におきまして、どういうふうな手続をとるかということは、これは十分その実態、実情を調査の上・必要があるならば何らかの措置をしたい。こういうことで、とりあえずの復帰前の問題としては、私どもとしても、これに対して格別の措置をするということができないというのが実情でございます。
  189. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 次の問題ですが、第二次大戦中、旧日本軍により接収された土地、国有地の旧地主の所有権回復の措置、これについてどう考えておられるのか。これをぜひやってほしいという要望があった。それから海没地、滅失地、この補償の適正措置、これもあります。  それから、幾つか申し上げますから、それについて答弁してください。  また、講和前補償、布令六〇号漏れに対して、これは三党共同で、対米請求権の問題については、いま対案として法案検討中でございます。施設庁としてはどう考えられているのか。それから市町村地域開発のための軍用地の開放について強い要求がありました。これについてどう考えられておるか。また未開放軍用土地周辺地区における基地周辺整備法に基づく施設などの補助率の引き上げについて、もっと上げてほしいという要望がありました。それから基地周辺の障害並びに民生安定の対策、このことについても具体的な要望があったわけでありますが、それについてどうするか。それから土地及び施設の開放後の転用計画についての地域住民の意思を尊重してくれ、こういう要望があったわけでありますが、これについては、施設庁としては当然前向きで考えておられるのだろうと思います。その点についてどうか。それから開放後の土地及び施設について復元補償及び土地測量などの早期実施、これを要望しております。要するに、いつからやるのかということを聞いておりました。それから終戦処理事項の完全遂行について。この問題については、戦時中並びに講和発効前に日本軍、連合軍、行政官庁によって接収された市町村道、農道、河川等のつぶれ地に対する補償を早急にしてほしい、こういう問題がございました。  まとめて申し上げましたが、これはわれわれに対する地主連合会の意見であります。私たちは基本的には基本法に反対しておりますし、考え方の相違はありますが、そういう要望については、現実の問題として、前向きに率直に質問もし、問題点を提起したわけでありますので、簡潔に答弁を伺っておきます。
  190. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この中には、いわゆる沖繩県民の請求権問題、それに伴う日本政府としての措置に対する要望、それから軍用地の返還、開放につきましての強い御要望、あるいは基地周辺の対策に対する御要望等でございまして、しかもこれは、過去、第二次大戦中の問題にも及んでおりますので、これをどういうふうに処理するかということは、まだ今後の検討課題でございます。  一般的に、請求権の措置につきましては、やはり十分実態を把握いたしまして、米側がやるべきものについては十分督促をし、米側がどうしても補償をしないといいますか、その補償が不十分であるというふうなものについて、日本政府がこれをどうするか、今後実態の把握の上に立ちまして十分検討してまいりたい。  基地周辺対策につきましては、これは当然できるだけ早く本土並みの水準に引き上げるべく、来年度も調査費を組んでおりますけれども、それで十分調査いたしまして、長期的な計画のもとに、できるだけ早く周辺対策が十分に行なわれるようにしたい。緊急に周辺対策を講ずべきものにつきましては、来年度の予算をもちまして、できるだけ御要望の線に沿って措置してまいりたい、かように考えるわけでございます。  返還後の地元利用、この問題につきましては、もちろん地元の御要望を十分尊重する。国有財産につきましては、当然大蔵省の問題でございますけれども、そのあと地利用の問題については、関係機関と十分話し合いの上に、地元の御要望の線に沿いながら処置してまいりたい、かように考えておるわけでございます。  概要、以上でございます。
  191. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 よくわからない点がありますので、総理並びにまた最後のときに質問をしたいと思います。  そこで、防衛庁長官に値いたいのですが、沖繩米軍基地縮小についてであります。六十七回の国会において、衆議院で非核三原則と同時に沖繩基地縮小、整理の決議が行なわれました。そこで私は一番心配しますのは、ベトナムのあの戦争の激化によりまして、外務大臣が、それが長く続くようであれば基地縮小ということについては変化があるかもしれない、というような答弁をしていらっしゃいますね。そこで私は、この基地縮小については、ベトナム戦争関係なくわが国が独自の判断に立って縮小というものをやるべきだ。久保・カーチス協定についても、やはり沖繩県民の意思というものを十分尊重した上で、そして総理がたびたび言いますように、沖繩県民の感情を考慮に入れて善処すべきだ、こう思うのです。その点について答弁を伺っておきたいと思います。
  192. 江崎真澄

    江崎国務大臣 基地の問題につきましては、今後とも縮小の方向で努力をしていきたいと思っております。ベトナムの戦況をにわかに判断することはできませんが、北側の後方支援体制、整備状況等々を考えますと、そうこれは長期化するとは考えられません。アメリカ自体も、しばしば、テーブルについて、また、兵員は引き揚げるということをしばしば言明してここに至っておりまするので、これが長期化して沖繩返還に支障を来たすところまで展開するとは想像できない問題だというふうに見通しておるわけです。しかし、国際的な話し合いによってきまった五月十五日、しかも、こちらに戻ってくれば、その時点で、基地返還等については先方も折衝の用意あり、これがサンクレメンテでのアメリカ側の発言になっております。したがいまして、施政権が戻りました段階で、十分検討の上、すみやかに縮小の方向で話し合いを進めてまいりたい。
  193. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 最後でありますが、防衛庁長官に伺いたいのですけれども、先ほどの事前協議のときに防衛庁長官はいなかったわけです。外務大臣は、事前協議については、五月十五日以降については、そういう事態があった場合にはやる、その決定は閣議でやるというようなこともおっしゃいました。ただ問題は、事前協議制度の問題、そしてまた事前協議も、十二年間もたった今日、あるいはまた装備が変わった米軍一つの編制を見ましても、当然これは十分協議していくべきではないか。最初は外務大臣は、戦闘作戦行動については議題にするけれども、配置の転換であるとか装備変更についてはいたさない、こう言われておりました。しかし、外務大臣と長官がいないあとに、いろいろ議論しました。そこではっきりしたことは、配置変更といっても、一飛行師団であるとか、あるいは陸の一師団であるとか、あるいは海においてはワン・タスクフォース、一機動隊であるとかいっても、現に日本基地に入ってこれない、そんなものを事前協議対象として取りきめたこと自体がおかしいのであって、実際にはできないことをきめたところに空洞化とか形骸化があったわけでありますので、そういった点も、実情に合わせた事前協議体制というものを日米協議委員会議題にすべきではないかと私は申し上げました。それから装備変更についても、アメリカがいう通常兵器の中には毒ガス、CB兵器も入っておる。しかしわが国においては、通常兵器にはそういうものは入らない。要するに通常兵器の違いというものは、日本アメリカで見解も明らかに異なっている。それも通常兵器ということで日本に持ち込まれている可能性もある。したがって、装備変更ということについては、核及びミサイル基地の建設ということに限らず、やはりCBについても十分話し合って、事前協議対象にすべきではないか、こう私は提案申し上げたわけであります。アメリカ局長も、ぜひそういう点については日米協議委員会検討したいと、こう前向きな発言をしたわけでありますが、防衛庁長官からも見解を承っておきたいと思います。
  194. 江崎真澄

    江崎国務大臣 それは予算審議の過程でも、質問が私どもに参りませんときに、いろいろ外務大臣とも話し合ったことがございます。また閣議の前後等にも、この問題はひとつ慎重に検討しようじゃないか。これは、言うまでもなく前向きに、そういうことで外務大臣とは合意をいたしております。十分詳細の打ち合わせをして、御趣意の存するところはよくわかるつもりでおりますので、やはり再検討の段階であるというふうに考えております。
  195. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 終わります。
  196. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次回は、明十四日金曜日、午前九時五十分理事会、十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十三分散会