○受田
委員 これは結論を出されてしかるべきだと思うのです。つまり神殿ということになると、神道の性格を持っておられる御殿、皇霊殿も大体それに似通っている。賢所には、これは古来の
日本の伝統である
皇室の御縁があるわけでございますが、賢所大前の儀が行なわれるというような立場から言うならば、やっぱり神に通ずるような感じもしないこともないけれ
ども、私はこれは、
陛下御自身の私有財産ということにして、しかしそれは、
内廷費を大幅に増額して、象徴
天皇御一家の大事な三殿であるとする。言うならば、憲法第一条に規定してある象徴
天皇御一家のそうした大事な私的財産に対して、
内廷費を大幅に増額し、その修理等に
陛下御自身のお
気持ちで思い切った
措置をされることは決して差しつかえない。
国民はそれに対して反対者はない。特別の人は別として、それに対しては、象徴
天皇御一家に対する愛情として文句はないと
考えておるのですが、その性格を明確にされて、そしてそれは、家をつくりかえる、屋根をふきかえるというような相当高額の
予算を必要とするような場合でも、
内廷費の増額をそのときに限り、ちょうど伊勢神宮の遷宮式と同じような形で行なう。伊勢神宮はいまは国家の
予算からはずれてしまっておりますけれ
ども、それと同じように、
陛下の御自身の側近にある大事な御殿ですから、それは
内廷費として計上してよろしい、こういう行き方で私は差しつかえないと思うのです。これはもう戦後二十七年もたっている今日ですから、その解釈を明確にして、その
予算については
内廷費をもって処理できる。そうした大幅に経費を必要とするときは、特別増額
措置を
国会で承認して差し上げるという形が私は適当ではないかと思うのです。そうしないと、
皇室財産、国家財産というような関係になると、いろいろと宗教上の問題も起こってくるという懸念を私は感じますので、そういう意味で
陛下の個人の財産であるとする。ヨーロッパなどには、王室の私有財産というのが相当あるのです。ところが
日本では、
皇室の私有財産というのは非常に制約をされておる。全部
皇室財産ということにされて、
陛下御自身にとっては、ヨーロッパの王室に比べて非常に御窮屈だろうと思うので、御自身で処分されるようなものがあってもいい。御自分が非常に信頼する
国民に対しては、
陛下御自身のお持ちになってるものを贈与される。別に
内廷費などで
金額の増額をはかって、一千万をこえない
金額にするという今回の
措置などというかっこうでなくて、
陛下が個人の財産をお持ちになっていいと思うのです。
陛下御自身、国有財産の中に埋まって、個人の自由というものを財政的にも全くお持ちにならぬような形になっておる。これは私、
陛下御自身の個人の私有財産というものとされれば、宮中三殿のごときは、その意味では
陛下御自身がほんとうに満足されると思うので、それに対する必要経費は一般的に
内廷費から振り向ける、こういうようなかっこうで、すべて国家が
陛下の周辺を縛っていくような形でない、
皇室、象徴
天皇御一家の自由というものを財政的にもある
程度つくってあげることが必要である。これは
皇族の場合も同様ですが、
皇族であると自分で月給取ってサラリーマンになられるという御自由がある。また臣下に下られると全く自由になる。そういうようなことで、
皇室及び
皇族の関係というものに対してのあまりにもきびしい財政的な縛りつけというものをある
程度解放して差し上げる配慮が私は
宮内庁長官に必要だと思う。
これは
イギリスの王さまなどは、
国会に対していろいろの注文をつけられるようである。あの歴史と伝統の古い
イギリスでさえも、
国会に対する要望、政府に要望があるのに比べると、
陛下はそういうものを一向におっしゃらない。仁徳
天皇の仁慈の徳を実践されるだけであって、お年を召されて何ら個人の欲望をお持ちにならぬ崇高な
陛下に対して、何かの自由のお
気持ちを、そうした財産の上でもくんで差し上げるような配慮を私は必要とすると思うのです。
私の意見を申し述べたわけですが、それに対してお答えをなさるのは容易でないと思うけれ
ども、
宮内庁長官というものは、そうした
陛下御自身が人間
天皇としての立場で希望される面が何であるかを終始配慮しながら宮内行政の責任をとっていただかなければならない。
また、
陛下が外出されるときの
警備な
ども、私は厳重に過ぎると思っているのですが、
日本の場合は、ヨーロッパと比べてちょっと事情が違うので、ある
程度やむを得ない。皇宮警察はきょうよろしいと申し上げたのだが、ここまで来ると皇宮警察に
質問をしたくなってきましたけれ
ども、よろしゅうございます。よろしゅうございますけれ
ども、
陛下の御外出に対して、皇太子御夫妻も同様ですけれ
ども、もっと自由性を持っていけないものか。私自身、富士山の頂上で義宮さんと私の子供たちと一緒に輪を組んで
お話しし合った。そしてきわめて楽しい写真を私何枚か持っておるのですが、義宮さんがそうした庶民の中へ飛び込んで、一緒に私たちのグループの中で楽しく山登りをされた。ああいうかっこうは、これは
国民的な規模で
皇室並びに
皇族に対する親近感がわいてくると思うのです。そういう配慮をなさる努力をひとつ
宮内庁長官はやってほしい、御期待を申し上げたいのです。
私、もう一つ法律的な解釈で、
長官としては何を
考えておられるかをお伺いしたいのですが、摂政を置かれる条件の中で、精神、身体の重患という場合と重大な事故という場合がある。ところが国事行為にはそれがない。つまり、身体の疾患、精神の疾患、または事故とあります。この摂政を置く場合の重大な事故というのは、たとえばどんなのを
宮内庁長官は想定されておるのでしょうか。