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1972-03-10 第68回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月十日(金曜日)     午前十一時五十一分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 加藤 陽三君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉正君 理事 塩谷 一夫君    理事 大出  俊君 理事 伊藤惣助丸君    理事 和田 耕作君       阿部 文男君    篠田 弘作君       辻  寛一君    中山 利生君       湊  徹郎君    上原 康助君       横路 孝弘君    東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  出席政府委員         総理府総務副長         官       砂田 重民君         防衛政務次官  野呂 恭一君         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁総務         部長      長坂  強君         防衛施設庁労務         部長      安斉 正邦君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         沖繩北方対策         庁調整部長   田辺 博通君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君  委員外出席者         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   土井たか子君     楯 兼次郎君   横路 孝弘君     細谷 治嘉君   松本 善明君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   楯 兼次郎君     土井たか子君   細谷 治嘉君     横路 孝弘君   東中 光雄君     松本 善明君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩開発庁設置法案内閣提出、第六十七回国  会閣法第五号)  沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別  措置等に関する法律案内閣提出、第六十七回  国会閣法第七号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  沖繩開発庁設置法案及び沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 すでに政府御当局も御承知のことだと思いますが、五月十五日の施政権返還日が近づくにつれて、沖繩現地現状というのは、いろいろと復帰不安というものが、むしろ深まりあるいは高まっている現状であります。特に、県民生活と密接にかかわり合っております通貨の問題、あるいは復帰後の労働、企業安定等をめぐって、労使間が鋭く通貨闘争で対立せざるを得ない、きわめて憂慮すべき実情にあると言っても過言ではないと思います。  そこで、政府はかねがね、県民に喜んでもらう復帰というものを実現をしたいということで、いろいろと御努力をいただいているという点は敬意を表したいし、また理解する面もあるわけですが、米軍支配下に置かれて今日まで、沖繩県民が好んでドル通貨を使用したものではなくして、日米政府政策によって通貨というものをドルにせしめられた。その政策から派生し、さらに昨年の国際通貨変動相場制移行、ひいては円切り上げとういような経緯がありまして、通貨問題で県民日常生活、さらには沖繩経済全体がたいへんな困難、損失を受けている現状であります。そういうことについては、昨日の総務長官の御発言の中にも指摘をされておりますが、ここで私はきょうは、まず通貨問題について、政府がこれまでいろいろ処置をとられたことは一応理解をした前提の上で質問いたしたいわけですが、まず、もう今月十五日の協定批准書交換というものが差し迫っているという段階で、沖繩通貨問題について、どう具体的に県民のいまの不安というものを解消していく、あるいは解決していくための策が検討されているのか、その面からまずお伺いをいたしたいと思います。
  4. 山中貞則

    山中国務大臣 通貨問題は、本来大蔵省専管事項であり、それをまた決定する権限大蔵省にあるのでありますが、しかし、国際通貨調整の中における円の変動相場制並び切り上げというものに伴って、沖繩県民のみが受けておる、私がきのう申し上げました、本土人たちには想像もできない復帰直前の苦難というものは、一義的に私が閣僚としては沖繩県民立場に立って行動しなければならない責務があると考えます。したがって、サンクレメンテ会談においても、その旨直接総理にもお願いをし、また外務、大蔵それぞれ、アメリカに対して沖繩現地の要望が聞き入れられるような措置について、外交折衝の糸口を切ってもらいました。  その後の経過は、あるいは大蔵あたりにお聞きいただいてもいいと思いますが、私の立場で言える範囲のことを申し上げますと、前田審議官をワシントンに派遣をして、そして具体的な折衝に入ったわけであります。その結果、米側としても、いままでとっておりました、施政権のもとにおける通貨というものは、これは表裏一体のものであるというような意味の言い方をやめてきております。したがって、具体的な手段はどういうふうにやるのか、あるいはそのためのメリットは何があるのかという問題に、具体的な検討に入ってまいりましたから、その意味においては、情勢の変化が大いにあると受け取ってよろしいかと思います。  この問題については、いわゆる日米双方に問題のつかみ方の違いがあります。アメリカ側としては、どうせ復帰時点において交換する通貨というものを、直前という時期にも差しかかりましたから、そういう一、二カ月の間に円を通用せしめることによって何のメリットがあるんだ。あるいはまた、それによって当然、われわれの施政権下における権限としての布令の改正を行なうための了解事前に求めてきたわけであるから、アメリカ人の所有するドルも当然交換の対象に今回はすべきであって、先般の抜き打ち的なドルチェックのようなことはできない。あるいはまたアメリカは、御承知のように非常にドルが流出して困っておりますけれども、反面、日本のようなきびしい為替管理法をとっておりませんので、アメリカ法律の中の一環としての布令第一四号にかわる新しい、そういう局地的なドルに対する通貨の、日本本土と全く同じきびしい条件の為替管理法アメリカ責任において設定させられるということについて相当な見解の開きがありますし、かりに琉球政府本土法律と同じ為替管理法を採用したとしても、それに対して米側は拘束されない、少なくとも施政権のあるうちは自分たちは拘束されないんだという、そういう考え方が具体的にあるわけであります。  一方、今度はわれわれのほうの側の立場としては、十月九日のドルチェックをいたしました。その予算計上額は二百六十億でありますけれども、実勢レート差額を払います場合は、おそらくこれよりかさらにふえて三百億に近くなると思いますが、そういうものを一方においては準備をいたしております。それは現在沖繩に通用しておるドルとほぼ同じ円換算の金が現地に渡るという感じの金額に匹敵するわけでありますが、これを理論上も実際上も、やはり新しく三百六十円でかえるとするならば、すなわち、沖繩側希望、全般的な人たち希望である三百六十円でかえるということであれば、その十月九日のドルチェックというものを御破算にしなければならない。しかし、これはまあ政府部内の話でありますが、三百六十円というレート切り上げの日以後において存在をしていないのであるから、それを根拠にやることについての可否の論争が根本的にあります。かりにそれを、沖繩人たちには何ら関係のないことでやられたのであるから、これを三百六十円とみなしてやろうといった場合にでも、そこにやはりあらためて十月九日のチェック御破算にしない限りは成り立たないという問題があります。  しかし政治的には、十月九日のチェック後に、いわゆる自分たち権利として、手持ち通貨並びに通貨性資産確認してもらっておる人たちについて、その通貨をその金額だけ——あるいはそれ以上持っておる人は問題ないでありましょうが、それは換物あるいはその他の方法によって別な流通形態に変わって、手持ち形態はおそらく大きく変わっているであろう。それについては、琉球政府御破算にするということは政治的にできないということで、いわゆる通貨金融上の理論的な問題と現実の処理における政治的な問題とが大きな問題として依然未解決のままに残っております。  しかし、しからば三百八円で交換するとなれば、沖繩人たち希望は、いわゆる三百六十円という、理論的には現在は問題がちょっと違うわけでありますけれども、そういう素朴な当然の御要求に対して沿えないことになる。ましてや現在は、ドルの下限に近い、円の上限に近い三百一円台に落ち込んでおる。そのドル価値というものから考えますと、その実勢相場でかえるということになりますれば、いよいよ三百八円というものもこれは存在しないということになるわけでありますから、そこらの実際上微妙な問題としての検討を私たちとしてもしなければなりませんし、また、それをかりに三百八円で沖繩方々了解を願うということでやったにしても、実勢相場円高の趨勢が続く限りは、その間において為替管理法適用されない地域であれば、金額は一ドルについてわずか七、八円の差でありましても、これを制限する手段がなければ、相当大量のものを交換するとなれば、それは利ざやというものが投機的な価値を生むだけの金額に達することは可能なわけでありますから、それらの問題点虚心たんかいに日米双方で詰めると同時に、琉球政府側とも具体的な問題として詰めておりますけれども、今日の時点において、三百六十円を復帰前に交換が、再度、ドルチェックの十月九日の措置もそのままにしておいて、いわば大部分は二重になることを承知の上でやれるかといえば、その点は私もきわめて困難であろうと思いますし、琉球政府としても、その措置については現実的にも理論的にも困難であることは一応認めてもらっておる次第であります。
  5. 上原康助

    上原委員 ちょっと議論を進める上で一点簡単にお伺いしておきたいのですが、昨年十月九日の通貨及び通貨性資産の切りかえ対策措置ということでドルチェックしたわけですが、かりに現時点で一ドル対三百六十円で切りかえるとなると、それを御破算にしなければいかないという理由はもう少し……。
  6. 山中貞則

    山中国務大臣 先ほどもちょっと触れたつもりでありますが、現在の琉球圏内において、いわゆるドル琉球範囲内における通用の実態というものを見ますと、その後純粋に増加した部分があると思います。すなわち、軍の受け取り、あるいは軍雇用の賃金、あるいは円以外の地域ドルに関する貿易の琉球側から見てのプラスになってあらわれた面、これらの面は確かにあると思うのです。しかし、全体の通貨及び通貨性資産に与えるウエートというものは、比率は、おそらく百分の五以内であろうと考えますと、大部分は十月九日にチェックされたドルがそのまま流通しておると見なければなりません。したがって、それをやりますと、十月九日に一ドル三百六十円の保障をしておいて、さらにもう一回やる場合において、少なくとも九五%のものは二度三百六十円との差額の支給を権利として持つということになりますが、これが対人関係において、同じ一万ドル持っていた人がその後の自分の所得の向上によって一万一千ドル持っていたというようなことであればよろしいのですけれども、それはおそらく通貨としてはチェック後は転々流通をいたしますから、先ほど私が申しましたのは、自分はもう一万ドルチェックしてもらった、したがって円高になればなるほど差額がよけいもらえるということにも結果はなるわけでありますけれども、この際、土地にかえておこうとか、あるいは金を買っておこうということも、現実にはあると思うのです。しかしその通貨は依然として、その人の手から離れても沖繩県民の間をやはり回っている、あるいは沖繩県に居住するアメリカ人を主とする第三国の人たちの間を回っている。琉球経済圏の中で回っていることは間違いがないと私は思うのです。これは理論的に、現実的にその点を考えますと、二重にやることはなかなかむずかしいことであるということを先ほど申したわけであります。
  7. 上原康助

    上原委員 この通貨問題、たいへん複雑で困難な面があるということは理解いたしますけれども、当初から沖繩側要求というのは、一ドル対三百六十円、いわゆる円切り上げが実施されない以前に切りかえなさい、通貨円通貨にしなさいということが、これはもう県民一致した要求だったと思うのです。いまさら蒸し返してもということになるかもしれませんが、結局そのことをなさなかったがために、今日の混乱というものが出てきている。  さらに私がここで一点疑問なのは、確かに政府としても、万全の対策である一ドル三百六十円というものがいろいろな事情でできなかった。そういうことで、昨年十月九日時点ドルチェックしたわけですが、その場合にやはり琉球政府特別立法さしているわけですね。ある意味じゃその方法そのものが、いま長官のおっしゃるように、政治的な面、あるいは当時ドルチェックをした方々に対して拘束力になる面があって、かえって一ドル対三百六十円で切りかえる困難性というものがむしろ出てきたのじゃなかろうかという気もするのですが、そこいらのいきさつは一体どうなんですか。
  8. 山中貞則

    山中国務大臣 これはドルチェック極秘裏に抜き打ちに可能なことでありました。それには細心の、かつ極秘準備が進められたわけでありますが、円と現実通貨交換するとなりますと、全然極秘ではできない。四百五十億円か五百億円のコインも含めた日本円を運ぶわけでありますから、現在の海上自衛隊の持っておりますLST二隻をフルに動かさなければならないほどの量であります。そうしてまた、現実におていは、やはり交換のために陸揚げして日銀の相当な大規模な金庫に納めなければなりませんし、また交換したドルもその金庫の中に納めなければなりません。したがって、その輸送についても、あるいは交換業務についても、これは秘密を保てない。現実に、施政権境界線日本の船が通るときに、アメリカ側海空の許可なしでこれは突破することは、現時点においては私は不可能だと思いますし、かりにそういうものをやろうとしても、やはり昨年の十月の時点においてはその準備も整っておりませんし、日銀の倉庫の建設も、金庫建設もまだ緒についたばかりでありますし、また公然とやらざるを得ない交換業務に対して、アメリカ側がそれを事前に知った場合に、自分たちのものもかえろ。あるいは為替管理法をつくらないままにやりますれば、その後の投機は、円切り上げに追い込まれたように、相当おそるべき額が沖繩において無制限に円とドル交換されていき続けたであろうということが想像されます。したがって、今回の円の交換というものは、復帰前にやる場合であっても、これは公然とアメリカとの間の交渉である。そしてアメリカの了承を得た公然たる交換業務としての行為が行なわれることに結果はならざるを得ません。したがって、昨年の十月九日は、それを避けるための全く苦肉の策として、米側から二回にわたり口頭文書抗議を受けたわけでありますけれども、それを承知の上で、外交的なトラブルを承知の上で、沖繩県民復帰直前に見殺しにできないということで必死の思いでやったことであります。したがって完全であるとは思いませんが、次善の策としての成功を一応おさめたと私は思っております。  その意味において、実際のドルチェックして証書を渡して、権利復帰が達成するときまで持っておるという事実と、現物の円の貨幣とかえるという事務とは、そこに根本的に違いがある。したがって、円の交換というものを初めから要求していたんだということは、沖繩立場として私もよくわかります。しかし、それを実行するには、施政権下にいまだにあります現時点においても、先ほど申し上げました問題点がありますように、昨年の十月九日にはたして円の交換が可能であったかというと、具体的にそれは不可能であった。ことにアメリカの持っておるドルも全部かえない限りは認めなかったであろうし、その後における復帰までの投機ドルの流入というものが続いて、とても耐えられない状態を惹起したであろうということであります。
  9. 上原康助

    上原委員 私がお伺いしていることは、琉球政府が、このドルチェックと同時に通貨及び通貨性資産確認に関する緊急臨時措置法というものを立法しているわけですね。これは本土政府からの指導助言もかなりあったということを聞いているわけです。私は、この法律立法化せぬで行政指導でやっておったほうが、先ほど長官が具体的に説明したいろいろなことを処理するにはむしろよかったんじゃなかろうか。なぜあえて立法化をやれという指導助言本土政府がやったかということに一つの疑惑を持つ。その点はどうなんですかということなんです、これからの議論を進める意味で。
  10. 山中貞則

    山中国務大臣 それはどのような疑惑なのかわかりませんが、法律行為でなければ、沖繩アメリカ系の二銀行を含める金融機関まで一切を拘束するような行為を、琉球政府が議会で法律根拠なしに行ない得るとは考えておりませんし、また琉球政府としても、法律の必要なことを主張いたしておったわけでございますから、それについては、どのような法律ならばそれが万全であるかについてよく相談をいたしました。したがって、そのチェック業務に携わりました銀行の諸君は、その行為に関する限りは、改ざんしてはいけないとか、その他の公務員の立場としての責任復帰まで負うということに法律でなっておるわけであります。そういう措置をしなければやはりこれは不可能であったと考えます。
  11. 上原康助

    上原委員 この点はあとで申し上げますが、一言付言しておきますと、こういう特別立法をさせたことによって、通貨問題から起きるいろいろな混乱なり損失というものを、むしろ琉球政府責任があるかのような印象を与えているわけですね、現実的に。特別立法せずして行政的な指導助言でも十分できおったと思うのです。そのことを申し上げたいわけです。ですから、いまさら御破算にしたいということになりますと、将来の問題として、この法律に基づいて登録した人が不利益を受けるという場合が出てくる。だからますます一ドル対三百六十円の切りかえということは復帰段階までできない情勢をつくり上げたんじゃないかと私は思うのです。その点を指摘したいわけです。
  12. 山中貞則

    山中国務大臣 そういうふうに御解釈なさるのも、それは御自由ですけれども、しかし復帰前に、しかも変動相場に移った瞬間に、これはあぶない、沖繩人たちが犠牲を受けるおそれがあるということを考えて最大限の努力をしたのがドルチェックであって、法律なしでその行為をやっておけばよかったと言われますけれども、しかし法律なしでは、おそらく琉球政府も完ぺきなそういう交換チェック事務というものはできなかっただろう。あの法律をつくってもなおかつ最終まで大蔵省予算でごたごたしましたのは、コイン、これは明らかにチェックしてスタンプが押してないから、したがって、ぐるぐる銀行閉鎖まで回された形跡があるということで、大蔵省は絶対認めないという態度もとっておったぐらいでありますが、これは幸い目こぼしをするということで解決はいたしましたけれども、そういうことを考えますと、法律根拠なしにやるといったって、私ども本土政府が、現在の施政権下琉球政府行政の中に本土政府法律権限をもって押し込むことは、これはできないことでありますし、現実としてむずかしい問題でありますから、やる意思はあってもできない。したがって、琉球政府責任をかぶせる気などはいまでも毛頭ありません。琉球政府加勢をしてもらわない限りはできないということで、琉球政府加勢をしてもらって一身同体の作業をやったというだけでありますから、その点誤解のないようにお願いしたいと思います。
  13. 上原康助

    上原委員 また後ほど、琉政に対して対策庁が出した文書等を比較しながら議論をいたしますけれども、とにかく通貨問題から起きた混乱なり責任というものを、私は、むしろ本土政府政策変更によって起きた問題なんだから、本土政府があくまで全般的に責任を負うという立場での——いま長官が説明する点は理解はするにしても、非常に問題がこんがらかってきている。そのことをまず指摘をしておきたいわけです。  そこで、そういう特別対策をとった、あるいは生活必需物資価格安定資金措置等もおとりになった。さらにまた、昨日の説明にもありましたように、中小企業に対する特別措置としての産業開発資金等への追加融資等、副次的な面では政府としてできる限りといいますか、でき得る措置をとってきているわけです。それは現実的にそういう措置をとったにしても、物価の問題なり、現に一ドル対三百六十円の旧レートでかえるという県民要求というものは解決を見ていない。もうこの段階までくると、やはり通貨問題は最後まで秘密を保たなければいけない、極秘にしなければいけないという常識的な面はわかるにしても、昨年八月以降今日まで受けている県民のそういった生活上の不安、いろいろな面の損失というものを、もうそろそろ根本的に解決をする手というものを打つべきじゃないかということなんですが、きのうの長官発言を見ても非常に懸念するわけです。復帰の日前における外国為替売買相場の動向を勘案して、あくまでも五月の十五日前後ということをめどに通貨というものを切りかえていくんだ、そういうお立場本土政府沖繩通貨問題というものをお考えになっているわけですか。
  14. 山中貞則

    山中国務大臣 これは法律でそのようになっておるわけであります。これは成立をした法律でありますから……。しかしながらそれは、復帰の日において交換する際に、そういう法律の定めがあるわけでありますから、復帰の日以前に施政権者たる米国との間に話がつけば、その交換をする日の以前の、決定をする日の以前の、その前日の実勢レートをもって閣議の承認を得た大蔵大臣の定めるレートということにならざるを得ないと考えます。
  15. 上原康助

    上原委員 では、復帰前にもアメリカ側合意に達するならばできるといういまの御答弁ですか。
  16. 山中貞則

    山中国務大臣 これは冒頭に答弁いたしましたように、その合意に達するについては、アメリカ側の意見と調整しなければならない点があるということは申し上げました。日米間の問題で、アメリカ側の問題、それから本土のほうの立場として、現在のチェックされたあと沖繩ドルについての交換業務実態との問題、こういう問題を詰めなければならない。もしこれが完全に合意して、アメリカもそれを認め、そうしてアメリカの手によって、あるいは琉球政府のつくる法律アメリカ人も従うということ等になりましたならば、私は実行は可能であると思うのです。しかしその際にも、アメリカ人を含めて、沖繩県民以外の、日本人以外の者の持っているドル交換しないという手段は、アメリカ側の予解を取りつける上において、復帰前に、すなわち施政権のあるうちは不可能であろうという観測は間違いないと思うのです。
  17. 上原康助

    上原委員 先ほどこの通貨確認時点で、長官は二回にわたってアメリカ側から抗議を受けた、文書及び口頭ですか、どんな抗議を受けたのか聞いておきたいのです。
  18. 山中貞則

    山中国務大臣 この点は秘密事項となっておったものを私がしゃべってしまったわけですが、第一回は口頭、第二回は文書であります。その内容は御説明いたしかねます。
  19. 上原康助

    上原委員 そういうことじゃ困るんですよ。——これはあと議論いたします。  外務省お見えになっていますが、いま復帰まであと二カ月そこそこなんですが、どうも何やかんや言っている間にもう二カ月になるんだという姿勢でこれまで来ていると思うんですよ、事通貨問題に関して。したがって、いま大臣は、復帰前にも日米政府合意に達するならば、通貨の切りかえというのも不可能ではない。もちろんアメリカ側のいろいろな条件なり言い分もあるということなんですが、ほんとに外務省として、この通貨の切りかえということにどう取っ組んでおられるのか。ちょっと外務省の立場というものを聞かせていただきたいと思うんです。
  20. 吉野文六

    ○吉野政府委員 お答えいたします。  先ほども山中長官が申し上げましたとおり、この通貨問題は、日米双方で調整しなければならない事態がいろいろあるわけであります。そして、この米側に関する限りは、外務省が一応窓口となって、アメリカ側と交渉しておりますが、やはり事の性質上これは通貨問題でございますから、大蔵省実態面を把握しておるわけでございます。したがって、先ほどお話にも出ましたとおり、大蔵省前田審議官がこのためにわざわざワシントンに出張いたしまして、細目につきましていろいろ詰めてきた次第でございます。そしてこの交渉はまだいまだに行なっておるわけでございます。それが現在の実態でございます。
  21. 上原康助

    上原委員 昨年の八月から今日まで交渉をしているというような御答弁じゃ、ほんとに困るんですよ。皆さん、ほんとに沖繩のいまの現状というものをもっと御理解をいただかないと、とてもじゃないが、本土で受けている印象とは実際は違うんですよ。私は予算委員会でも山中総務長官発言を聞いて、どうも日本政府の外務省なりあるいは大蔵省なり、各省庁の考え方に非常に違いがあるのじゃないかという印象を受けるんですよ。この間の長官発言は、まあ公式の場で言いたかったというようなことで、傍聴しておって聞いたんですが、もっとほんとに親身にこの経済混乱なりあるいは労使の賃金の読みかえ等というものを考えるならば、外交の衝にある外務省として、合意を取りつける努力というものをもう少しはなさるべきじゃなかろうか。前田審議官を派遣なさってまだ交渉中というんですが、いつごろ結論が出るんですか。
  22. 吉野文六

    ○吉野政府委員 いま上原先生のおっしゃられたことも、われわれは十分承知しております。現に連日のようにわれわれにも現地からの陳情やお訴えがございますし、また、いろいろの意味でいまの沖繩現状を考えますと、ドルと円の交換問題はまことに大きな問題だということは、われわれも非常に認識しているわけでございます。  しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、この問題には二つの側面があるわけでございます。一つは米側との調整、もう一つはむしろ日本の国内における調整問題でございます。それで、米側との調整につきましては、これは先ほど申し上げましたとおり、大蔵省が主として細目の詰めをする、そしてこの詰めは、ある意味では技術的な問題に尽きるのではないかとわれわれは思っておるわけでございます。すなわち一つの困難としては、たとえば投機ドルの流入をどういうようにして防ぐか、あるいはその管理をどういうようにしてやるか、あるいは現実に円とドルを返還前に交換する場合にどういうような米側ないしはわがほうの仕事の調整を行なうか、こういうような問題だろうと思います。このような問題は技術的な面でございますから、全体の問題に比べますと比重はそれほど大きくないのではないか、こういうように考えておるわけでございます。
  23. 上原康助

    上原委員 投機ドルの心配というようなことを絶えず言ってこられたわけですが、実際はその危険性というのはだんだん多くなってきているわけでしょう。御承知のように、もう三百八円という標準価格を割って、九日の外国為替市場でのドルの相場は一ドル対三百円八十銭。どんどんドルは低下してきている。そういう状況というものをつくり上げていくに従って、むしろ通貨交換というものが困難になる情勢にしかないわけですね。そういった先を読んで沖繩のいまの要求にこたえるというのがやはり政府の姿勢であってほしいし、またそうやるべきだと私は思うのです。  米側との調整の問題あるいは国内の問題というようなことをおっしゃったのですが、国内の問題というのはどういうものがあるのですか。施政権の問題との関係ですか。施政権関係だったらアメリカでしょう。国内で調整すべき点というのはどういうことなんですか。
  24. 吉野文六

    ○吉野政府委員 われわれ外務省といたしましては、この問題が非常に重要なことは十分認識いたしておりまして、そのために米側との接触にいままで努力してきていたわけでございますし、また現に、これの直接折衝に当たっておる大蔵省を背後から支持し、協力してきたわけでございます。  国内の問題と申しますのは、これはすでに山中長官が申し上げましたとおり、昨年の十月九日でしたか、日本側がいずれにせよ当時のドルチェックいたしまして、それに関する限りは保障するということにしたわけでございまして、それ以外の問題につきましては、むしろ実体をこれから詰めていこう、こういうことだろうとわれわれは了解しております。
  25. 上原康助

    上原委員 そこで、大蔵省がお見えになっていないようなんですが、大臣にお尋ねいたします。  具体的な面で労働者の賃金読みかえの問題、公務員、公共企業体労働者。あるいは軍関係雇用員、これは若干問題が残っているわけですが、そういう労働者に対しては、賃金の一ドル対三百六十円読みかえ、旧レートの読みかえというものを実質的にやるということがこれまでしばしば報道されて、また政府準備を進めていると伺っているわけですが、ここであらためて、実質的に保障するんだという表現で絶えず来ておられるのですが、その点についてどう具体的に保障していくのか。  また、実際に申し上げますと、たとえば二百ドルの賃金をもらっている労働者は七万二千円という読みかえになるということが実質的に保障するという意味なのか。七万二千円の賃金になるように何か手当をくっつけて実質的な保障ということなのか。きわめて不明確な面があるわけですが、そこらについてひとつ政府のお考えを聞かせていただきたいと思うのです。
  26. 山中貞則

    山中国務大臣 これは現在ドルで月給をもらっておられる人々、典型的な例として公務員をとるならば、それは、本人の手取りのドルというものが、本土の俸給表に照らして学歴、勤務歴その他で当てはめを行なうことによって実質的に保障される。しかし、本土の給与体系ではなおかつ、琉球側の現在の給与、初任給から本土に比べて高いという状態に達しないという部分は、手当を出して補てんをするということは、前から述べておるとおりであります。したがって、この実質的にという意味は、公務員あるいは軍労——ただいまおっしゃいましたように、基本線ではそうなると思いますが、その他許認可料金等、実質の置きかえた新料金の設定等による所得の保障というようなことが行なわれていくということになるという次第でございます。
  27. 上原康助

    上原委員 この間の現地金融関係あるいは県労協、同盟の諸君の通貨闘争によって、いま大臣がおっしゃった許認可料金を一ドル対三百六十円に読みかえることによって労働者の賃金を保障するということは、これは全体的な要求ではなかったわけですが、おもにそういう企業に従事をしている労働者がそういう要求なり要請を出した。さらに、もう一つは金融関係の件なんですが、外貨を沖繩金融関係に預金をする、預託をするということで、金融関係労働者の賃金を実質的に三百六十円の読みかえをさせるような措置をとりたい、そういうことで一応おさまったかっこうになっているのですが、金融機関に対する賃金読みかえとの関係で具体的なとういう措置——まだ私はアクションはとられていないと見ているわけなんですが、とるお考えなのか、御説明をいただきたいと思うのです。
  28. 山中貞則

    山中国務大臣 金融、保険等についてはすでに処置をいたしたわけであります。当初外貨あるいは日銀預託等について復帰までに百億くらいという御要望でありましたが、外貨の場合は、復帰時点においてまた別途借りかえをしなければなりませんから、国内になりますので、きわめてむずかしい問題を惹起すると思います。その百億円をかりに琉球銀行金融機関が預託を受けた場合に、それは何のために預託を受けるのだといえば、公定歩合に根拠を置いた低利の預託である。それによって普通の貸し出し運用することによる利ざやによって三億円余を捻出したい、こういう計算が前提だったわけです。  しかしその問題は、一般の庶民金融としては、何ら金利の安いものとして措置されることにはならないわけでありますから、もっぱら金融機関人たちが労働者の要求にこたえるためのメリットを出せばいいわけでありますので、そこで、本土においては、すでにことしから、昭和四十七年から千分の十五であった貸し倒れ準備金繰り入れ率の限度額を千分の十二にいたしましたけれども、沖繩についてはこれを千分の十五のまま一年据え置く。そして、現在の琉球税法によれば千分の十まで非課税繰り入れでありますから、それをあと千分の五非課税で繰り入れることができる、現在その能力があるということで、現在の課税積み立ても含めた琉球銀行沖繩銀行等の実態を見ますと、大体千分の十八・幾らとかあるいは相互銀行でも千分の十四・四というようなところに、大体千分の十以上は積み立てをしておるわけであります。その分が非課税になるわけでありますから、現実にその能力があって、しかもすぐに非課税留保になるわけですから、その分だけのメリットが四億円をこすということで、大体計算してみてそのほうがより有利であるということで、これは経営者も労働組合も納得をして、一応金融関係者は了承をされたと私は思っておりますし、それによって労使の紛争というものは解決を見たと思っております。  しかし他面においては、一般の庶民大衆の人々は、やはり人を一人使っても二人使っても同じ問題にぶつかっておるわけでありますから、どうしてもその手当てが必要であるということで、産発の十億と大衆金融公庫の七億六千万、しかも一種の生活資金についても、今回はかきねを取っ払って有利な条件で借り入れるようにする。しかし賃金の値上がりに対する、いわゆるコストプッシュ要因に対して融資でまかなおうということは、これは理論的につながりません。しかしながら、現在の民間金融から借り入れている金を融資を受けた低利長期の条件のものでもって借りかえた際のメリットということにおいては、それぞれが、その自分たちの雇用している人たちに対して実効三百六十円とみなされる新賃金を復帰の日以後適用することは可能であるということについて、琉球政府の要請をそのまま合意して、大蔵了解をとって措置をしたということになるわけであります。
  29. 上原康助

    上原委員 この通貨問題は、当初の基本的要求であった一ドル対三百六十円の即時切りかえということが実現を見ないまま、いろいろな——ことばは悪いかもしれませんが、なしくずし的にこの措置がとられてきた。それから漏れる部分が相当あるわけですね。  確かにいま大臣御説明なさるように、大衆金融公庫への七億六千万円、あるいは産業開発資金としての十億円ですかの低利融資という面で、そのことは若干の効は奏すると思うのですが、問題は、中小零細企業の労働者の賃金読みかえということと、さらに、この通貨の切りかえなり、あるいは円の切り上げによって起きた経済混乱という中で、地場産業を含めての企業存続の問題とあわせまして、中小企業というのは深刻な打撃を受けているわけです。これは労働者はもちろんですが、企業そのものも。したがってその対策というものは、いま大臣が御説明なさる十七億、約十八億を追加したというだけでは不十分だとわれわれは見ているわけです。琉政がどういうことで合意をしたかは深くは聞いてはおりませんが、今後、なしくずし的に、地方公務員なりあるいは大手の民間企業、公共料金というものを読みかえるといろ条件のもとでの賃金保障というものが出てきたにしましても、九〇%、九五%の中小企業方々をどう保護していくかということにもっと私は着眼をしなければいかぬと思うのです。それに対しては今後どうなさるのか。  本来、きのうの御発言をみても、労使間の問題に政府が直接介入すべきでない、が、しかし、ころこうこういう措置をとったということ、私はそれを前提にして話しているわけですが、それだけではとてもじゃないが不十分だという気がいたすわけです。そこまでやはり政府政策なり政治的な配慮というものを加えないと、この通貨問題というものは、まあ大臣もおっしゃったように、日の丸組合とか、そういう日の当たる場所だけ手を加えて、あとはもう泣き寝入りをする、あるいは政治的な恩恵を受けないことになると、やはり沖繩経済全般、労使の関係というものが私は解決をしないと思うのです。そこいら辺については今後どうなさろうとするのか。見解を聞きたいと同時に、できるだけ具体的な方針というもの、お考え方というものをこの際明らかにしていただきたいと思うのです。
  30. 山中貞則

    山中国務大臣 私もその点を非常におそれております。それは、いわゆるお上のやることという意味において、それが理論的にいくはずだと思ってやってみても、実際に、たとえば宮古、八重山の商店街等も同じ条件下に置かれておるわけですけれども、島の中だけの経済に依存しておる商店街は、単に干ばつ、台風等で農家が壊滅的な打撃を受けたということにとどまらず、その地区の中小商店街、商工業等についても甚大な壊滅的な打撃を与えておる。これについては、先般十五億の措置をいたしたつもりでありますけれども。そういうことを考えますと、これを復帰後ほうっておきますと——本土に渡りさえずれす、無条件で読みかえも何もなしのあたりまえの、そのときには大蔵大臣のいういわゆる価値の高い円ということも当てはまると思うのですが、無条件でそういう条件の労働報酬が得られるんだということになりますと、沖繩においては、そのまま続ければ、いま言われましたように、零細企業は、労働自身の本土企業との競争とか、赤るいは企業自身が生産品を消者費に転換できない環境の中で、企業の倒産にもつながるし、組合あるいは労働者のほうは、本土に流出をしたほうがよっぽど早く解決するという問題にぶつかりまして、これは極端に言うならば、沖繩経済再建の計画というものに大きな支障を来たすおそれがある。その点は私もきわめて心痛しておるところであります。  したがって、復帰いたしましたならば直ちに、本土においてはすでに終わっておって、現在存在していない中小企業近代化の業種の指定も、過去に指定したものは全部、沖繩企業については新しく指定をして、近代化促進のための低利長期の融資を行なう。あるいはまた業種によって構造改善等の計画的な体質の向上を行なうための援助をする。こういうような問題で企業の一つ一つに対して、いままでは、復帰すれば物品税がなくなって、関税障壁的なものの保護が取っ払われてしまうので、みそ、しょうゆとかいろいろな議論があったわけですけれども、さらにもっと議論を詰めて、今回、実質上、賃金というものを経営者はよけい支払うことになる。しかし経営者は、そのまま理論的にも現実的にもダイレクトに自分たちの収入がふえたことにならないという問題。この問題をあらためて、沖繩のことに中小企業のあり方について、本土政府努力をもう一つ問題点として加えて進めていかなければならぬということを考えております。これは主として通産行政の中で解決をしていってもらいたいと思うのでありますけれども、それらの点が新しい要素として加わったものであると思います。
  31. 上原康助

    上原委員 ことばの上でいろいろ言ってもなかなかむむかしい面がありますし、また深刻な問題ですので、大臣のいま述べられたことは、復帰後といわずに早急に、中小零細企業の労働者の賃金保障あるいは企業存続を含めて、復帰後も経営基盤が成り立つよう積極的かつ効率的な措置というものをぜひおとりになるようにはかっていただきたいと、強くこの点要望しておきたいと思うのです。  あと二、三点お聞きしたいんですが、法人団体あるいは非法人団体の債権債務なり、そういうものは、十月九日段階で非法人の場合は一応はチェックはされているわけですね。チェックしなかった理由、また一ドル当たり三百六十円の読みかえというものから除外していることはどういうことなのか。さらに昨年の十月九日段階で漏れた部分については一体どうなさるのか、そこら辺についてお聞かせいただきたいと思うのです。
  32. 山中貞則

    山中国務大臣 これは漏れた部分という御主張をされる立場人たちもおられると思います。これは法人でも平均自己資本比率が二〇%前後であって、同族法人等できわめていい運営をしておられれば、個人の預貯金と同じような差し引き計算をすれば当然黒字になったはずの人たちは、自分たちチェックをしておいてもらったほうがいいんだという立場の人も私はあると思うのです。しかしながら、全体としてやはり相当長期にわたって金額として一瞬に圧縮すれば、これは相当な借り入れ超過であることは間違いがない。これはやはり沖繩企業全体に大きく負担をのしかけるものでありますから、その意味においては、これはもう事前に相談をいたしましたと申し上げましたが、十分に両政府の間で合意しておりますし、また一方財団法人的な運用をしておられます人たちの問題、あるいは生命保険の問題、これらが個人の預貯金的なものであるという言い方についても、これはやはり貸し出しもして今度は債務を持っておられる人たちもおられます。ですから理論的にもし何かがあるとするならば、それはその財団法人なり何なりが、人格なき社団としてその当時持っていた預託その他の手持ちというものがもしあるとすれば、それはやはり問題を議論として提起するかと思いますが、しかし、それは一般の会社という意味の法人と財団法人その他の人格なき社団としての法人と、それから一方民間における、ことに沖繩においてわりと普遍的に、ときには企業金融組合が一部まかなっておると思われる模合の問題、この問題もやはり全部解決をしなければならないことになります。  しかし模合等については、これはかけた人、もうすでに落とした人、これから落とす人、それらの間で相互に話し合いができて、そして運用をされるならば、あるいは運用される人たちだけで、話し合いのできるような人たちだけで模合はやっているはずでありまして、よく知らないけれどもという人を入れたならば、落としたとたんに持ち逃げされるわけでありますから、そういうことまで考えますと、やはりこれは債権債務の問題という形で処理するのになじまない問題であるということで、どうしてもやはり個人の手持ちの現金並びに通貨性の資産というものに限らざるを得なかったということであります。
  33. 上原康助

    上原委員 そうしますと、財団法人の場合、そういう団体のチェックをしなかったということは債権債務の関係があるからということですか。それとも、該当者から一ドル当たり三百六十円の読みかえをやれという要求なり要請なりが出されなかったから除外をしたということですか。
  34. 山中貞則

    山中国務大臣 そういう意味ではなくて、実際に流通しておりますドル、さらにまたそれらの現金性の資産というものに範囲を限ったということでありまして、それをたとえば生命保険の場合に、それは個人個人の掛け金をした人たちも、全部掛け金を生命保険会社を通じてそれぞれチェックして差額を払うべきであった。しかしそれは生命保険というものは、掛け金を何年かけていけば何年後にそれに見合う給付が期待されるということにおいて掛け金をかけておるわけでありますから、やはりこれも掛け金を三百六十円とみなせば、給付を三百六十円とみなすだけでよろしいわけでありますし、あるいは三百八円とみなせば給付も三百八円で読みかえればいいというわけになるわけでありますから、これは理論的に仕分けをして、それで初めから相手にしないというつもりでやったわけではないわけでございます。
  35. 上原康助

    上原委員 いろいろわかっておってのことだと思いますので、あまり突っ込みませんが、いずれにしても債権債務を含めて、円切り上げがなされなかった段階で一ドル当たり三百六十円ですべて読みかえるということであればこういう困難はなかったと思うのです、結論的に言いますと。  そこで、非法人団体の場合、たとえば、労働組合の預金とか、共済会、互助会の場合も対象になっていないわけですね。共済会、組合関係のこれは現実的に相当の損失を受けるわけなんです。労働金庫の場合だけを調べてみましても、かなりの金額になります。約五十万ドル。この非法人団体の場合には、今後も対象外ということで、一ドル対三百六十円ということに再考慮するということは全然やらないわけですか。それともその場合に、かりに預金だけを一ドル対三百六十円に読みかえするという場合は、もちろん債務についてもというバランスの問題でこれも考えておられるのか。その非法人団体からは相当要求が出ていると思うのです。その点どうなさるつもりなんですか。
  36. 山中貞則

    山中国務大臣 これもやはり積み立てをした人たち、そしてまたそれの貸し付けを受けておる人たちとの間の問題であって、先ほどちょっと触れたのですが、もし問題が残るとすれば——財団法人沖繩教職員共済会というようなことになっておるようでありますけれども、人格なき社団として不特定−特定でありますけれども、金としては不特定多数の人のを集めた金で貸し付けに回ってない分の金が預託されておったとかりに仮定した場合に、その金はチェックされておると思いますから、そういうものは問題としては残るかもしれません。しかし前提としては、やはりそういうものは、掛け金も、あるいは貸し付けを受けている人、あるいは給付を受ける人、そういうものも同じように、いずれかで読みかえれば済むことであるということのつもりでおるわけであります。
  37. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 上原君に申し上げますが、総務長官は、健康上の食事の関係がありますから……。
  38. 上原康助

    上原委員 金融問題だけ、通貨問題だけですが、いずれかの読みかえをやるということは、三百六十円の読みかえもあるし、三百八円でもいいというわけですか。私が伺っているのは、たとえば、労働組合なり共済会として金を預けるわけでしょう。その場合は個人個人が対象になっていないわけですね。個人の賃貸借、債権債務なら、それは当然、三百六十でやる場合は三百六十でやる、三百八でやる場合は三百八ということになるでしょうが、団体ということで銀行なり労金なりに預金をしてあるという際、これが三百八円にしか読みかえにならないというと、その団体そのものは約一七%の損失ということになるわけですよ。もちろんその場合、三百六十円で読みかえる場合は、その団体が借りているものも三百六十円で債務は返さぬといかぬと思うのです。それは一ドル対三百六十円でやってほしい、またやるべきだという要求が出ているわけですから、再検討の余地があるのじゃないですか。
  39. 山中貞則

    山中国務大臣 いま私が要請を受けておりますのは、掛け金で積み立てた額の全額を認めろという要望なのであります。いま上原委員のお話は、それは違うんだ、そのチェック時点において、金融機関等においてその共済会なら共済会の名前で預金していたものがあるはずだ、これは不特定多数の組合員であっても、手持ち通貨及び通貨性の資産として認めるべきではないかという御意見だと思うのです。そこまでまだ話は煮詰まっておりませんが、私も先ほど来、問題があるとすればそういう点かなということで答弁しているということであります。
  40. 上原康助

    上原委員 ですから、そこをいろいろ調査の上、あるいは御検討の上で、十月九日段階あるいは現時点——基準の期日は十月九日ということになるかと思うのです。時点での対象外としてやられているわけですが、その点については再検討をしてもいいというお立場でいまお答えのようにもうかがえるのですが、そのように受け取っていいのですか。
  41. 山中貞則

    山中国務大臣 これは私は再検討をしていいという立場には実はありません。それはすでに合意を得てチェックをしていた範囲において、琉政との間に話を詰めたものについて大蔵省折衝をして予算化いたしたわけでありますから、いまここでさらに次々と新しい問題が提起されたら、それについてさらに考えようというについては、もう少し現実的に、理論的に詰めた後でなければ、ちょっと明言いたしかねると思いますが、そこらのところを田辺部長からちょっと説明させます。
  42. 田辺博通

    ○田辺政府委員 昨年の十月八日に緊急の立法措置沖繩でやりまして、九日に現地チェックをやりまして、十月八日現在個人の持っている預貯金と借り入れ金との確認業務を目下沖繩側においてやっていただいております。その先般の措置をとるにつきましては、かなり以前からきわめて限られた人間でございましたが、琉政側の首脳部とも密接に協議を続けてまいりました。  最初の経緯を申しますと、最初の考え方は、沖繩における債権債務、預貯金も含めまして債権債務は、大ざっぱに言いますと、債権者がいれば債務者もいるという形で相殺をされるべき筋合いのものであろうと思います。したがって、ここに本土から予算措置等を講じまして特別の給付金を給付する対象は通貨のみに限定すべきである、こういう考え方がかなり支配的であったわけでございます。しかしながら、県民の長年の労苦というものを考えました場合に、今回のこの措置は、通貨の差損を補償するという趣旨よりは、やはり県民の長年の労苦に報いるということであっての補償をすべきではないかということを、大蔵省も入りまして三者間で猛烈に議論をやりました。その結果として、県民個人個人が持っている預貯金だけはぜひとも確保しなければならぬではないかということで、ただし金融機関から借り入れ金がある場合には相殺をした、いわゆる純資産について給付金の対象にしようという経緯でもって対象範囲を限定したわけでございます。  しからば、その他の法人とか非法人団体はどうするかということも、そのときに十分議論をいたしたわけでございまして、一般的に申しますと、団体法人は債務超過である。たまたま、それは場合によりましては債権、資産が超過しているものもあるかもしれないけれども、そのいいところだけを拾い上げて処理するということはいささか不公平ではないかという考え方もありまして、非法人団体というものもありますが、それは個人個人の手を離れたお金である、やはり別個の人格なき社団という組織体を持っておるわけでありますから、これは個人に限るという趣旨からいいまして対象になり得ない、こういうことで、御承知のとおり、琉球政府で提案され立法手続がはかられました緊急措置法には、「琉球住民あるいは永住を許可された者」ということでその対象範囲が確定しているわけでございます。
  43. 上原康助

    上原委員 いま部長が説明することは私もわかるわけです。ここに行政主席が各金融機関に出した文書の中にも「預貯金の範囲」ということで「「通貨および通貨性資産確認に関する緊急臨時措置法」(一九七一年立法第一四二号)第二条に規定する、琉球住民、琉球に住所を有する日本国民および琉球に永住する許可を得た者の総ての預貯金とする。従って地方公共団体、公社、金庫、会社等法人格のあるものについては、その範囲外とする。」こういうふうに当初から法人団体並びに非法人団体というのは対象から除外されている。こうなりますと、たとえば例をとります。労働組合とか労働者が月何ドルか出して、互助会なり共済会をつくっている。確かに個人の手を離れたほかの人格であるとしても、これは甚大な損失を受けるのですよ。会社を経営して何か営利行為をやっているという法人団体とは違う。だから私は、そういうものについては再検討の余地があるのではないかということで申し上げているわけなんですよ。さらにまた、沖繩北方対策庁の長官から出された文書の中にも、「権利能力なき社団等の取扱いについて 権利能力なき社団等は、給付金受給対象者外とする」という指示を琉政にも与えておるわけですね。これは営利団体とは違いますよ、互助会とか共済とか、私が言っている非法人団体というのは。労働組合だって、労働組合費というのを何ぼか出してたくわえている。あとは全部三百八円でしか読みかえしないとなると、一方において債務の多い法人団体なり企業家はそれでいいかもしれない。むしろそのほうを得だという人も現実的にいるわけです。この点については、長官、もう一度御検討いただいて、現地の要望なり、そういった該当団体の意に沿うように、何とかひとつ再検討いただきたいと思うのですが、あらためて長官の御答弁を求めておきたいと思うのです。
  44. 山中貞則

    山中国務大臣 これは私が全部責任を持って答弁いたしておりますが、実際上は、通貨行政というものは大蔵省専管事項であって、やはり大蔵省合意を得なければ、私といえども何も手の触れられない、場合によっては答弁も範囲外であるという問題であるわけであります、本質は。したがって、琉政、大蔵、そうして中間に立つ、沖繩側立場を十分くみ上げる立場の総理府というものが、最終的に煮詰めたものが、先ほど読み上げられたああいう内容のものになっておるわけでありますから、先ほど申し上げましたように、理論的にいまおっしゃるような点だけを問題とされるならば、私も問題点の所在があるということは認めます。しかしながら、この問題についてはすでに合意された線で実行したものでありますから、そのあとの問題として提起された問題を即答いたすということは、私はできないということを申し上げているわけです。
  45. 上原康助

    上原委員 大蔵省との関係があるというのは、私も理解しますので、これ以上進みません。一応この点で質問を留保しておいて、私がいま申し上げたのはごく一例であって、そういった非法人の組織の場合、いろいろな問題が出てくると思うのです。したがって、合意を見たというのですが、その点だけは確めておきたいのですけれども、政府と琉政が合意を見てこういう措置をとったという合意ですか。大蔵合意をしてということですか。
  46. 山中貞則

    山中国務大臣 本土政府琉球政府の、先ほど田辺君が言いましたとおり、限られた方ですが、責任を持つということで琉球政府合意を見たということであります。
  47. 上原康助

    上原委員 そういうことを御答弁すると困るのです。やはり琉政に責任あるかのようなことになりますので……。まあこれ以上申し上げませんが、いずれにいたしましても、先ほど来私が指摘をいたしましたように、早急に通貨を一ドル対三百六十円の旧レートというものを基準にして切りかえるというのが、いまの不安なり混乱というものをなくしていく最上の策だとわれわれ見ておるわけです。そういう面で重ねて、早急にその県民の意に沿うように所管大臣としての一そうお力添えを要望いたしまして、通貨問題についての残された部分はまたいずれ続けたいと思います。  次に、軍労働者の問題でお尋ねをしたいわけですが、御承知のように、いま現地では、十日間のこれまでにない長期のストライキを全軍労がかまえて、間接雇用移行に伴う労使間でまだ合意に達していない要求事項、さらに復帰を目前にして千六百二十九名の大量の解雇というのが新たに出ている。労働者が最終的に実力行使をやるというのは、権利であると同時にそれだけの理由が伴っているわけですから、幾ら施政権が現在及んでいないということであるとしても、もう復帰が目前である、また政府のやっている復帰準備とも密接にかかわりあっている以上、私はやはり、日本政府立場でこの問題を、何とか労使が歩み寄る、あるいは合意できる、妥協のできる点を早急に見出していくべきだという気がするわけなんです。  そこでまず、問題は大きく分けて二点あるわけですが、新たに出された解雇問題について、一体、現地の米軍なり、あるいはアメリカ大使館なり米国政府のほうから、日本政府に対して事前に相談なり通告なりがあったのかどうか、そのあたりからお尋ねをしたいと思うのです。
  48. 吉野文六

    ○吉野政府委員 二月十八日発表されました千六百二十九名の大量解雇につきましては、事前にはわれわれにこの点につきまして相談はございませんでした。
  49. 上原康助

    上原委員 そうしますと、現地米軍が発表後に日本政府はおわかりになったということだと思うのですが、私も局長も全軍労の代表と一諸にお会いしたので、その後具体的に解雇の問題をめぐって、あるいは間接雇用の移行問題、両方なんですが、どういう御折衝を外務省として米側とやっていらっしゃるのか。また現段階でストライキを続行中なんですから、それを何としても早目に解決をしていくというアクションをとらねばいけないわけですから、そういう面、どういう対策なりお話し合いをやっていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  50. 吉野文六

    ○吉野政府委員 まず大量解雇の発表につきましては、われわれとしても、先ほど申しましたように、非常に寝耳に水という気持ちでありまして、さっそく米側に対しまして、まず解雇を取り消してほしい、取り消し得ない場合にも少し発表を待ってほしい、そういうことを強く申し入れました。しかしながら、これに対しまして先方は、非常にこれは困難である、こういうことで、われわれに対しては、御存じのとおり、復帰までにアメリカ側としては基地及び軍の整理、縮小を行なっておるんだ、しかもそれに対して十分の予算がない。一方、復帰に伴いまして基本給の切りかえが行なわれる、そういうこともあって、米側としては解雇の発表の取り消しもできない、こういうことを申しておる次第でございます。その点につきましては、われわれはさらに先方に対しまして、いずれにせよ本件は非常に重大であるから米側として再考してほしいということを引き続き申し入れている次第でございます。  次に、三月七日から行なわれております現地におけるストライキの問題につきましては、御存じのとおり、米側は施設庁との間に一応話し合いをつけまして、この暫定合意案につきまして、さらに施設庁といたしましては話し合いを続けてきておる次第でございます。その点につきましては、施設庁長官のほうからお答えを願いたいと思います。
  51. 上原康助

    上原委員 施設庁長官あとでたっぷり聞きますから、いまは外務省。  解雇を取り消してほしいということを強く申し入れた、あるいは取り消しができないならばしばらく待ってほしいというようなことを米側に言ったんだが、非常に困難で、予算措置がないとか基本給が復帰時点に上がるからということのようなんですが、現時点での見通しはどうなんですか。いまも折衝中ということですが、後ほど私はある程度具体的に提案もいたしたいわけですが、申し入れた日にちはいつなのか、あるいはどのレベルでこの話し合いを持っていらっしゃるのか、そこいらも含めてもう少し説明していただきたいと思います。
  52. 吉野文六

    ○吉野政府委員 申し入れば正式には私からスナイダー在京米国大使館公使に対しまして二月二十五日に行ないました。見通しにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、先方は、非常に遺憾であるが、先ほど申し上げました事情によりまして、撤回は困難であるということでございます。しかしながら、わがほうとしては、重ねて撤回してほしいということをいまも続けている次第でございます。なお、われわれといたしましては、この問題は非常に重大であるからさらに再考してほしいということを申しておりまして、先方もこの申し出を検討中であるということでございます。
  53. 上原康助

    上原委員 大体推測できますが、アメリカ側が撤回できない、あるいは日本政府のそういった公式の申し入れに対して非常に難渋しているという理由は予算面のことだけですか。それとも間接雇用移行に伴って経費がふくらむということをおもな理由にしておられるのか。撤回をしない相手側の理由、あるいはまた日本政府折衝してみてお感じになった理由というのはどういうものか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  54. 吉野文六

    ○吉野政府委員 この点につきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、復帰に伴いまして米側がその機能を縮小する。結局、基地も減らすし、人数もおいおい減らしていかなければいかぬ。しかも御指摘のとおり、復帰に伴いまして給与ベースの切りかえも行なわなければいかぬ。この意味で先方としては予算が十分にない。したがって、これははなはだ遺憾であるがやむを得ない措置である、こういうように説明しております。
  55. 上原康助

    上原委員 機能は具体的にどう縮小されているのか、外務省として御存じの点を説明していただきたいと思います。
  56. 吉野文六

    ○吉野政府委員 御存じのとおり、沖繩復帰に伴いまして、沖繩に対しましては安保条約及び地位協定が全面的に適用になる。したがって、アメリカが従来沖繩において行なっておった自由な軍事的行動も制肘される。御存じのとおり、いわゆる特殊部隊と称されておる一部の部隊も撤退せざるを得ない、こういうような事情が現に起きておるわけでございます。またベトナム戦線の縮小その他によりまして、補給活動その他に関連しておる部隊も次第次第にその機能を縮小しておる、こういうようないろいろ事情がございます。それから最も大きな事情は、御存じのとおり、われわれとしては基地の全面返還というようなラインで先方と交渉しているわけでございますが、そのうちの一部につきましては、すでにCリストに載っておるとおり基地が返還になりつつある。さらに復帰後も、人口稠密な地域ないしは工業開発に必要な地域、これらにつきましては基地の縮小、整理を要求しておる、こういうようなことでございまして、基地も縮小しておる。このような事情で、それに伴う軍の労務者もそれだけ減少させざるを得ない、こういうことが先方の主張でございます。
  57. 上原康助

    上原委員 アメリカ局長、これは労働問題、安保条約、地位協定、いろいろ御説明しているわけです。わかりますが、この議論はまたいずれいたしますが、あまりそこまで関連させぬのが得策じゃないかと私は思うのです。確かに今回の解雇の内容を見てみますと、民政府の機構がなくなるというのは、これは理解できないでもありません。しかし、いまおっしゃる特殊部隊がなくなる、あるいは基地の縮小に伴って返還をさせているというようなことをおっしゃっているんですが、解雇される方々が所属している部隊がなくなるというのは民政府だけなんです。CSGにしたって、事もあろうに五月の十四日に五百八十八人解雇をするということを出しているんです。ほんとうにこれはもう当てつけみたいなことをやっている。しかもそのCSGという部隊は帰さない。何も基地の縮小にもならぬし、機能の縮小でもないのです。私はそういった議題は、いずれ予算委員会なりでもって基地問題と関連させていたしますが、きょうはそこまで深入りいたしません。ですから、いま局長がおっしゃるような中身ではないのだ。第二種の場合だって、クラブ関係はほとんど三分の一に人員を削減している。その大きな理由は何かというと、アメリカの奥さんたちあるいは学生をパートタイムに雇って合理化をしているわけなんです。軍人、軍属は現時点でそれほど減ったということでもない。将来のことはいろいろあると思うのですよ。そういう意味で、どういう申し入れをしたか。  喜んで復帰を迎えるとかいろんなことを言いながら、五月一日から十四日までほとんどが解雇になる。こういうことに対して、日本政府として初めて撤回を申し入れたということですが、そのことの前向きの姿勢は私は了解をいたします。少なくとも私の提案としても——全面撤回というのはこれまでのいきさつからしても動けないでしょう。だがしかし、五月十五日に復帰をやるというのに十四日に千名近くの労働者が切られる、これじゃ何のための復帰かということは当然出てくると思うのですよ。そういう意味で、少なくとも五月一ぱいこの問題についての再検討をやるということ。それに伴う措置としては、日米政府で話し合ってみて、どうしてもだめという場合には、日本政府としても、復帰を迎えるという段階において——過去にも何らかの措置をとった例があると思うんです。ただ、あとで防衛施設庁にもお尋ねしますが、もう少し考えていただきたいと思うのですね。その点について、時間もないようですので、もう一度今後どういう措置をとられるのかお聞かせをいただいて、次に防衛施設庁にお尋ねしたいと思うのです。
  58. 吉野文六

    ○吉野政府委員 ただいま上原先生の御指摘の点は、われわれといたしましても、先方に対しましてすでに説明いたしまして、翻意を要請している次第であるわけでございます。一部にはあるいは多少調整の余地があるかとは思いますが、これについてもわれわれは楽観できない状況でございます。しかしながら、なお先生のおっしゃられた線に沿いまして先方に対し強く折衝いたしたいと思います。
  59. 上原康助

    上原委員 こういうことをやるぐらいなら批准書も交換しないというぐらいの姿勢を示してくださいよ。全く踏んだりけったりです、復帰時点まで。通貨施政権を握っているということでかえない、おまけにアメリカ側は、持っている通貨まで三百六十円で読み変えなさい、そんな虫のいい話をいつまでもアメリカに言わす必要はない。あまりくどく言いたくはないのですが、解雇も事前通告がなかったというのは、すべて頭越しじゃないですか、小さいことから大きなことまで。それは外務省の姿勢が弱いからなんだ、私に言わせると。撤回しないぐらいなら絶対に批准書も交換しないというぐらいの折衝をやっていただきたいということを強く申し上げたいし、これが何らかの前進、われわれが納得いく線がないと、防衛庁関係の法案はわれわれも絶対通さぬですよ。  次に施設庁にお尋ねしたいのですが、間接雇用移行に併う問題で、現在どういう点で全軍労なり関係者と合意点に達していないのか。また、今後の政府の方針というものをまずお聞かせをいただきたいと思います。これまでのいろいろなこまかいいきさつ等はある程度知っていますので、現時点のことと、今後どうすべきなのかという点を……。
  60. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 間接雇用移行措置につきましては、昨年来、米側と外交チャンネルを通じまして折衝いたしまして、一応一月の末に仮了解に達しましたので、二月二日から全軍労の組合の諸君と折衝を続けてまいっておるわけであります。数次にわたる折衝を行なってまいりましたが、今日の時点におきましてまだ妥結に至らない。いろいろな給与上その他の条件で、沖繩の場合と本土の場合とで相違がございますので、いろいろ問題がございますけれども、今日の時点で大きな問題として残っておりますのが、一つは基本給の問題、いま一つは保障語学手当の問題、それから夜勤手当の問題、この三つの問題であります。  基本給につきましては、復帰日の前日におきます基本給に定期昇給の待機期間による計算を加えました合算額に所要の調整を加えまして、そして俸給表の号俸を決定する、それに基づきまして諸手当もきめる、こういうことでまいっておるわけでございまして、現在の沖繩における従業員の給与の切りかえにつきましては、現地の従業員の方々の御要望は、勤務年限というものをもっと加味してほしいというのが非常に強い御要望でございます。  それから保障語学手当につきましては、従来四五%ぐらいの方々が語学手当を支給されておりますけれども、本土に切りかわりますれば、語学手当を必要といたします職種というものをまずきめまして、その職種に従事する方々に一定の語学のテストをやりまして、そのテストの結果に基づまして語学手当を支給するということでございまして、その間におきまして差異があるということで、これは現在保障語学手当をもらっておる人たちのその他の諸手当の基礎になりますので、これをひとつ従来どおり維持してほしいというところが問題でございます。  それから夜勤手当につきましては、御承知のとおりに、本土の場合におきましては、二十二時から五時までにつきましては二五%の夜勤手当がつきますけれども、沖繩の場合におきましては、十八時から翌朝の五時までの間の勤務時間につきまして、その勤務割り当ての大部分が十八時以降である場合には一〇%、二十二時以降におきましてはさらに一〇%、こういうことでその間に開きがございますので、従来のような制度をそのまま維持してほしい、こういう御要望でございます。  そこで、この問題につきましては、米軍側としては、給与、手当を含めまして全体として処理したいということでございます。個々につきましては、そういうふうに本土の場合と沖繩の場合で若干の相違がございますけれども、それを全体として解決したいということでございますので、現在その全体、一つのパッケージの中におきまして、個々の問題をどういうふうに処理すべきかということについて、いまいろいろわれわれとしても検討いたしておりまして、われわれのいろいろな案につきましていま外交レベルを通しまして米軍と折衝いたしておる、こういう段階でございます。
  61. 上原康助

    上原委員 これとの関連がありますので、ちょっと総務長官にお尋ねしておきたいのですが、琉球政府の公務員の場合の給与調整というのは、やはり公務員であった勤務年数というものも加味した形での号俸調整というのがなされていると思うのですが、間違いないですか。
  62. 山中貞則

    山中国務大臣 そのとおりでありますが、それを前提にして、作業は人事院がやっております。
  63. 上原康助

    上原委員 次に、長官発言の中で、駐留軍労働者の場合と同様の雇用形態への円滑な移行をはかるべく目下関係省庁において所要の準備が進められているということですが、いわゆる同様の雇用形態というのは、ただ制度を間接雇用にするという政府の基本的考えなのか。非常に抽象的で、直接の作業は防衛施設庁でお進めになっているかと思うのですが、私が全軍労におったころから、復帰前にもやりますといって、だいぶ期待もしたのですが、とうとう今日の事態まで来ているわけですね。担当大臣ということで関係がありますので、本土と同様の雇用形態という中身について長官はどういう立場なのか、これからの議論を進めていく上でちょっと聞いておきたいと思うのです。
  64. 山中貞則

    山中国務大臣 これは坂村報告に対して担当大臣としての所信という形で答えたものであります。でありますから、私の専管事項であればこういうあいまいな表現はしなかったと思うのでありますが、実務は実際上防衛庁に移してありますが、私としては、所管大臣の責めを逃げるつもりはございませんので、したがって私自身としては、沖繩担当大臣として、それらの調整を行なっている役所に対して、事実、具体的にいろいろと私の立場からの助言、進言をいたしております。  一例をあげますと、私の乏しい常識でありますが、沖繩の間接雇用形態になっております中の、たとえば一例をあげればミルクプラント、こういうところの職員の人たちは、ほんとうであるならば沖繩では直接雇用となるべきものであり、労務提供の沖繩側から言うならば本土政府の直接雇用ということになりますが、そういう範囲に入ると自分は思うので、そういう点を、現在四種であるからといって、そのままでなくて、やはり本土実態が合うように取り扱うようにということなども、これは一例でありますが、私の乏しい知識の中で沖繩の実情を見て、これはこうしてあげなければいけないなと思うものは、これは防衛施設庁長官と防衛庁長官両方含めて江崎大臣にも私がたびたび言っておりますので、そういうことも踏まえながら、表現としては文書の形で皆さんのお手元に配るのに、私の決定すべき事柄でないことにそれ以上立ち入ることができなかったということで、御了承いただきたいと思います。
  65. 上原康助

    上原委員 そこで、施設庁長官あるいは次官にお尋ねいたしますが、皆さんが一月の下旬に合意をしたというこの仮合意書、これはあくまで仮合意ということですから、修正もできるというふうにわれわれは受けているわけですがね。しかし、これまでの全軍労なりあるいは私が政府関係者とお会いしての話し合いの中からは、これはテンタティブのものではなくて、すでに本式なパーマネントの合意契約書になっている感じを受けるわけですよ。こういう合意事前にやったがゆえに、日米間の話というものが全く前進をしない。もうワクははめられてしまっている。きまった予算の中でやりくりしようとしたって、先ほど長官が説明なさるような問題というのは、解決できなくなっているんじゃないかと思うのですね。これは日米間にはどういう拘束力を持つんですか。これは絶対的な合意ですか。修正申し入れの権限というのは日本政府にはないのですか。
  66. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この間接雇用移行問題の処理につきましては、やはりまず日米間で考え方を一応調整いたしまして、そしてそれに基づきまして地元の住民の方々折衝をして、そしてそこから出てきますところの各種の意見、要望をさらに日米間の折衝の中に反映をしていく、こういう順序をとったわけでございます。これは合意ではございますけれども、一応の仮合意ということでございまして、これがもちろん日米間で最終的にきめられた全然動かしがたいものであるというものとは考えておりません。ただ、一月末に至りますまでの間におきましては、米側としては、予算その他の問題も十分勘案しながら相当詰めた問題でございますので、それは簡単に大きく変更するということは考えておらない。したがいまして、今後の折衝におきまして、米側の壁というものはやはり相当厚いというふうに見なければならないと考えておりますけれども、しかしながら、これが全く動かしがたいというものではないというふうに私どもは考えている次第でございまして、今後、組合側の皆さん方の御要望についても、何とかこれについてさらに米側と再調整できないかということで、いま鋭意、協議、努力をいたしておるところでございます。
  67. 上原康助

    上原委員 時間がだいぶ迫りましたので問題点しぼりますが、要するにいま相違点になっている点は、先ほど長官説明しておりましたように、まず基本給の調整でしょう。公務員の場合は、公務員であった期間、勤務年数というものを全部加味して経歴なり、先ほども説明あったんですが、いろいろ総体的に見て給与表を号俸まで含めて調整している。当然勤務年数というのは加味されるわけですよね。しかし、いま皆さんが日米でやろうとしていることは、軍雇用員に限っては勤務年数に全然除外、給与表の調整の対象にならない。現在百ドルもらっている人は、百ドルというものを基準にして本土の給与表にならそうとしているわけでしょう。これじゃ、とてもじゃないが納得いかぬと思うんです。まずそれが一つ。やはり号俸調整において加味をやれ、していただきたい。一〇〇%できない場合も、いま全軍労も具体的に出している、せめて何号俸だけは調整してくれ、調整すべきだ、これは私は何も筋の通らない話じゃないと思うんですね。本土並みの雇用形態ということであるならば、当然そういうものを考えるべきだと思うんです。語学手当の問題にしても、沖繩のああいう特殊な職場環境において語学手当というものが創設をされた。一〇%ないし二〇%がついている。しかし、本土の制度をそのままはめると漏れるのが出てくるし、再試験をするとかいろいろな問題が出てくる。夜勤手当もそうでしょうが、職場の環境に応じてそういう制度というものができてきた。そこはもっと考えて、組合の要求というものをアメリカ側に納得させる。決してむだな要求をやっていると思わないんですよ。ですから、公務員の場合はそういうふうにやりながら、公務員に準じる制度をとる軍雇用員の場合は、金の出しどころがアメリカだからということで差別的な取り扱いをするということには、労働組合なり労働者の側から合点がいかないと思うんです。またアメリカ側だって、それに対して、ただ予算がないということで済まされる問題じゃないと思うんです。  わずかそういったものが調整ができないがゆえに、あげて困難の中でストライキを十日間も打たす。労働者で十日間のストライキということになりますと賃金カットですよ。そこまで追い詰められて決意せざるを得ないという、通貨問題を含めての沖繩立場ということに対して、私は、皆さんがやっていらっしゃるいろいろの努力については評価をし敬意も表しますけれども、この問題何とか解決をしていただきたいと思うんです。  そこで時間もありませんので総務長官にも重ねて要望ですが、これまで間接雇用の問題を含めて、いろいろ直接、間接に携わってきた大臣という立場で、全軍労がいま要求していることは理の通った要望だ、要求だと思うんですが、そういう面で政府が、外務省も総理府も、そして防衛庁も、ほんとうに三結合の立場でやっていけば、アメリカ側がどうしても通さぬというならば、それだけの姿勢は示していいんじゃないですか。この際、復帰というものを控えて、早急に問題が進展をする対策をとっていただきたいということと、できるだけこうしていきたいという政府の姿勢なりをぜひこの際明らかにしていただきたいと思うのです。
  68. 山中貞則

    山中国務大臣 軍労務者の復帰後の間接雇用への移行の形態並びにその際の賃金の計算方式その他については、防衛施設庁のほうで専門にやってもらっておりまして、私の手をすでに離れておりますから、その作業に問題点がどこにあるかについて具体的には私も承知いたしておりませんが、先ほど来取り上げられておるような公務員になされておる措置というものが、できるならば軍労の人たちが全駐労の身分に移り変わる際に保障されるような米側との折衝ということを、私のできる範囲において援助したいと思います。
  69. 上原康助

    上原委員 これとの関連で四種の問題についてもお尋ねをしておきたいのですが、先ほど総務長官のお答えでは、たとえばミルクプラントの場合切りかえる。これは本土においては間接雇用、MLCに入っているわけですね。にもかかわらず沖繩ではなっている。これは当然間接雇用にすべき問題であって、別にそう問題はないとわれわれ見ているわけですが、要するに先ほどの第一種、第二種の問題を早急に解決をしていただきたいということと、現在の四種雇用員の身分の変更についても、もっと積極的に対策をとるべきだということなんです。確かに実態を見ても、一〇〇%全部間接雇用に移行されるという筋合いの職種でない、あるいは職場でないということも私は理解をします。わかります。しかし、部分的に相当数が間接雇用に移行さるべき性質のものであるということも、また指摘できると思うのですよ。ですから、せんだってわれわれの要望書の中でも言っておりますように、雇用の実態を調査の上できるだけ間接雇用に切りかえること、そして間接雇用への切りかえができない第四種の雇用員については、これは前から問題になっていることなんですが、離対法がすぐ適用できない、あるいは労働法の適用だということで、法理論上そうなるかもしれませんが、いまの四種雇用員の実態というものを考えた場合に、それだけでは片づけられない問題があるわけですよね。離対法そのものが特別措置法であることもわかるのですが、その中でのさらに特別的な取り扱いというものもやるべきだと思うのです。  具体的に言うと、アメリカ側責任において解雇をされる者については継続的に特別給付金を支給するとか、そういう点ぜひあわせてやっていただきたいということ。そして当面は何といっても、十日間のストライキというものが、労使の歩み寄りをきょう、あす、あるいはこの十日間の以内にでも見て、労使の摩擦というものを最小限に食いとめていく。その努力は、外務省も防衛庁も、先ほど大臣の決意もございましたが、ほんとうに三者腰をあげてやっていただきたいということを強く要望いたしておきたいと思うのです。
  70. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この四種問題はたいへん私どもとしても関心を持っておりますが、実際の処理につきましてはなかなかむずかしい問題でございまして、確かに御指摘のように、かつて一種、二種であって、米側の事情によりまして四種に切りかわる、そのために退職手当等の処遇が非常に格差が出てくるということで、これにつきましては、全軍労のほうからも強い要望もございますように、かつて一種、二種であって四種に切りかわった者は、やはりこの間接雇用移行時に、一種、二種といいますか、MLCあるいはIHA等の適用下に置いてほしいという御要望、これは私どもも十分わかるわけでございまして、それにつきましては、いま米側とも外務省と一体になりまして折衝いたしておるところでございますが、何ぶんにもこういう労働需要の充足方法というものを決定するものがアメリカ自体でございますし、アメリカ自体が、この種の問題につきましては、今後も引き続き請負制度のもとにおいて処理したいという強い希望を持っておりますので、なかなかこの折衝も実は今日まで難航いたしておるような次第でございます。  四種問題は、実は防衛施設庁の固有の問題でございませんけれども、確かに非常に多くの問題を内在いたしておりますので、今後とも、外務省その他関係機関とも密接に連絡しながら、何とかそのうちの一部でもそういう間接雇用の制度下に置くことができないかどうかということについて、いま鋭意交渉し努力いたしておるところでございます。
  71. 上原康助

    上原委員 結びとしたいわけですが、その前に総務長官に、沖繩振興開発特別措置法の中で、沖繩失業者求職手帳の発給、労働者の雇用安定ということがあるわけですが、この基地関係の問題との関係において特免業者の問題、これもまだ表面には出ていませんが、いろいろ要求が出ているわけです。このことについても、四種雇用の問題との関係、あるいは間接雇用移行の問題との関係において十分問題になりますので、政府としてぜひお取り計らいをいただきたい。エクスチェンジ・コンセッショナー関係の業者、これもお調べになって早急に対策をやらないと、次から次に問題が出てくるということをきょう指摘しておいて、また後ほど中身には触れていきたいと思うのです。  そこで、外務省と防衛施設庁ですが、いまお答えになったようなことでは、解雇の問題と間接雇用移行に伴う組合側の要求、あるいは米側の意向、日本政府、三者の合意というのがなかなかむずかしいと思うのです。もちろん大臣がやれば事がすぐ片づくということには私は考えませんが、少なくともこの際、外務大臣なり防衛庁長官なり総理府総務長官という最高クラスが、この問題について解決することをアメリカ側に、個々にでもあるいは共同でも申し入れる、そのことをやっていただきたいのです。そのお約束はできますか。
  72. 山中貞則

    山中国務大臣 私が直接米国側の外交ルートと接触することはできないと思います。しかしながら、防衛庁、外務省という立場では、それぞれアメリカとの折衝の問題として当然なルートがあるわけでありますから、それらの両大臣に対しては私からもいままでも言っておりますし、これからも沖繩側の意見を、きょうのあなたの質疑の内容等も参考にしながら、私の担当大臣としての責めを果たしたいと思います。
  73. 上原康助

    上原委員 政務次官どうですか。この問題は大臣クラスまで上げて——一緒に外務省も御答弁してください、時間が来ましたので。
  74. 野呂恭一

    ○野呂政府委員 いま沖繩担当大臣の総務長官から御答弁がありましたように、帰りまして、さっそく防衛庁長官にも申し上げて、相手のあることでありますから、当然所管事項としては防衛庁が担当いたしておりますけれども、外務省とトップ・クラスで十分問題点の解明につとめて大いに折衝し、御期待にこたえなければならない、かように考えております。
  75. 吉野文六

    ○吉野政府委員 いま沖繩で起きておるストライキの重大性はわれわれも非常に認識しておりまして、何とかしてこれを円満に解決したい、こういう気持ちから、すでに福田大臣に対しましても、いろいろ問題点を御説明申し上げております。したがって、先ほど山中長官も答えられたラインでひとつやっていただきたいとわれわれも考えております。
  76. 上原康助

    上原委員 一応時間が来ましたので、あと残された点につきましては留保をし、また後ほどいたしたいと思います。
  77. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次回は、来たる十四日、火曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十分散会