○栗山
委員 郵政大臣を主として中心に、
郵便貯金法の一部
改正案が難産をいたしておりまして、ともかく本
委員会に上程されまして質疑をいたすということにつきまして、非常に感慨深いものがあるわけであります。おそらく今
国会でこの
法律案件について質疑をいたすべき場面は皆無でないか、こういう想像をいたしておったのでありますが、はからずも一決をいたしまして、きょうの
委員会の運びになったということにつきまして、私もともに喜ぶ一人でございます。私はそういう前提できょうは若干の時間をおかりいたしまして、なぜこの問題がいろいろデマも誤解も含めまして非常に混迷化して進んでまいったかというような点を明らかにいたしまして、この
法律のあるべき方向を定めてまいるということが望ましい、かように
考えておりますので、同僚の皆さんの若干のごしんぼうをいただいて時間のお運びをお許しをいただきたい、このように
考えておる次第でございます。
大臣がお見えになりましたから、
大臣からお伺いを申し上げますが、いわゆる
新聞を通じましてうかがう範囲でございまして、直接はこの問題にあまり突っ込んで意見を交換いたしておりません。ただ、ときおりの場面で、
庶民ローンの問題について政治生命をかけて取り組んでまいるというようなことを、直接、間接お伺いをいたしてまいったのでありますが、率直に申し上げまして、その後かねや太鼓の鳴りもの入りでこの問題が非常に
国民の拍手かっさいを受けるという
法律に発展いたしましたことも
承知をいたしておるのでありますが、そのやさきに、私はふと
感じましたことがございます。
大臣は政治生命をかけると間接に言われておる。確かにミクロ的にも、マクロ的に申し上げましても、政治生命をかけるに値する、その
内容の高い価値判断があるのじゃないか、こういう
大臣の政治的識見について、疑う余地のない評価をいたしておったのでありますが、ただ、その手段と方法というものが、私は今日の結果から申し上げるのではありませんけれ
ども、あなたの御記憶を新たにしていただいたらいいと思うのでありますが、非公式の場面でそういう話がございましたときに、私は若干
大臣の意見に迎合せず、しかも、それは賛成だということを表明いたさなかった場面を御記憶をあらためていただきたいと思います。その事柄は、私は一つは
大臣があまり行き過ぎられると、かえって政治家としての政治責任の問題に発展するやもしれない危険が内蔵するのじゃないかということが、私のインスピレーションで受け取った一面でございます。
それから一面は、私は
廣瀬大臣の人格をいろいろな人から伺っておるのでありまして、
個人の、あるいは政治家としての御人格あるいは徳望というものを疑うものではありません。それだけに私はとまどう
感じを持ったのでありますが、それだけのこの問題を実現せしめる事柄につきまして、少し安直な姿勢でながめておられるのではないか、こういう
感じを受けたのであります。何かいろいろ問題を行ないますときには、いまの政治は大蔵官僚政治であるともいわれております。財政を握っておるところがいろいろと直接、間接に
日本の政治に、
政策の方向に、困難な障害にぶつかっておりますことは、私
どものサイドからながめましても、それから官僚の行政をやられる皆さんからも、身に徹して経験豊かな問題であろうかと思うのでありますが、さらに
一般の市中銀行や他の
金融機関の受けとめ方というものをどう評価するか、こういうこと等々を私は先見性をもちましてながめてまいって、そしてこれに向かって政治的な適応策をもって、笛や太鼓ではやし立てることによってできた事実をもって
国民的なかっさいと歓呼の期待を求める、これが政治の政治たるゆえんではないか。こういうふうに実は理解をしておりますが。これがいまなお私の一つの政治についての哲学と申しますか、感覚でございます。こういうことから、率直に申し上げまして、
国会でいろいろ附帯
決議がございましたことも私も
承知をいたしております。またいまの
日本の
金融機関で、信用組合をながめましても、信用金庫をながめましても、あるいは農漁業協同組合をながめましても、あるいは市中銀行をながめましても、
個人を対象といたします
庶民ローンの問題につきまして、統計の示すところによりますと、四・四というような低位な——この
数字の根拠はよくわかりませんが、それほど
庶民の
金融について否定されておった、あるいはらち外に置かれておった、こういうようないままでの
金融制度の
実態と照合いたしまして、これはこの種の
庶民の
貯金の、寛容の精神を堅持しつつ、しかも、みずからのものを、みずからの必要なときに、一定の制約と
限度において利用ができるのだ、こういう
制度ができてまいりますことは、むしろおそきに失する、私はこういう判断をいたしておったのでございますが、それほど
日本の
金融はゆがんだ
金融政策をとっておったということが、政治家としてこれを評価しないということであれば、何か少しおかしいのではないか、こういうふうに私は
考えておったわけでございまして、あなたにやるべき問題が山積いたしておりますか、そのことを裏返していえば、準備一切完了、発車という態度がございますかという私の態度であったわけであります。その根底は、先ほ
ども申し上げたのでありますが、ともかくこの問題に大きな拍手を送り、これの実現のトップをひとつ
廣瀬郵政大臣にしていただこうという大きな期待をひそかに寄せておったというのは、私もその人後に落ちない一人でございます。そういう点から、私自身といたしましては、官僚の一つのへつらいや、あるいは思いつきや、あるいは
大臣がひとつ将来の先見性を十分持って土俵に上がれば勝負は必ず勝つんだという一つの体制の上にものごとを運ばれるということが望ましいのであって、その
内容に到着しないときに、私は、
庶民ローンというような一つの打ち出し方をされるというところに実は幻滅を
感じ、これは失敗に発展しなければいいがということを、心ひそかにこいねがった一人でございます。
私は、きょう公式に私の心の中を申し述べて、その態度を表明してみたい。とかくへつらいとおべんちゃらと追従については
日本人は一番弱いのであります。しかし私は、やはり厳とした父のようなきびしい姿の中に、底知れない本性の愛情と
本質を求めていくということも、政治に加えられた役割だ、こういうふうに
考えてまいりますときに、私は、安直な迎合と妥協は許さない、こういう一つの
考え方でございます。果たせるかな、
新聞あるいは各省、各
金融機関、私
どもに至りますまで、市中銀行あるいは農協、そういう
金融機関たるすべての団体から猛
反対の陳情や要請等が参って——私は御案内のとおり、きょうは
古川丈吉先輩がいらっしゃいませんが、大阪の純農村でございます。それから都市近郊農村がございます、それから、都市化というものがごく最近行なわれました。後進的な都市化への様相に転じておるというような地域におる者でありますが、私の親戚の者も農協の幹部をいたしております。また、私が借金いたしまするときに、その幹部の判がなければ金を借りられぬ、こういう経験等も持っておるわけなのでありますが、これなんかにつきましても、そういう農協の基本的なものの見方から私に一つ鋭い批判と意見がございました。
国会の
内容についても、大蔵
委員の
方々、あるいは
名前は申し上げませんけれ
ども、農林に参加している
委員の
方々が、痛烈なるこの問題の論議を展開するというところに発展をいたしてまいった。私は、この問題をそのように大きな、将来の
郵便貯金が
庶民ローンということが適切か、あるいは立てかえ払い
制度という表現が適切か、これは学者が一つ定義をするのが望ましいというふうに思うのでありますが、いずれにいたしましても、
郵便貯金それ自身が
庶民ローンとして
貸し付け制度を行なうというところに、所管の大蔵省から、あるいはまた
金融機関から一つの大きな反響をまき起こしたということは、
大臣みずから、いいことにつけ悪いことにつけ、あるいはさびしいことにつけ、あるいはいろいろな
意味において、悲喜こもごもの心情で今日をお迎えになったということについて、私は十分了解ができるのであります。
簡単にお尋ねいたしますが、ただ、長年のそういうような
衆参両院、それから
日本に、少なくともそういう
庶民を対象とする
庶民ローンがない、せめて財投の原資を傷つけずに、しかも、むしろ
貯金が増強されて、そして信頼を高めて、その中からみずからの
ワク内における
貯金の
限度内立てかえを求めようという一つの事柄につきましては、先ほど申し上げましたように、非常にりっぱな
政策的な
内容でございますので、これは
大臣のみずからの
発想によって
石井貯金局長に命ぜられたのか、官房長に命ぜられたのか、あるいは幹部会に提出をされて、その
所信を表明されて同意を求められたのか、私はその間の
事情はよく存じないのでありますが、私はまず原点はそこから入ってまいりたい。たいへんことば長いようでございますが、まずその基本姿勢ということ、少なくともこの問題を取り上げようという動機と、あなた自身の独自路線によると
発想の経緯はどうか、この点について明確にお答えをいただきたい。