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1972-05-23 第68回国会 衆議院 逓信委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月二十三日(火曜日)     午後三時三十七分開議  出席委員    委員長 高橋清一郎君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 本名  武君    理事 水野  清君 理事 古川 喜一君    理事 中野  明君 理事 栗山 礼行君       佐藤 守良君    中村 拓道君       羽田  孜君    林  義郎君       阿部未喜男君    武部  文君       土橋 一吉君  出席政府委員         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 忠夫君         参  考  人         (日本民間放送         連盟技術委員会         委員)     森本 重武君         参  考  人         (新聞通信、         有線放送協議会         政策委員会座         長)      小川 光男君         参  考  人         (東京ケーブル         ビジョン常務理         事)      鎌田 繁春君         参  考  人         (京阪神ケーブ         ルビジョン常務         理事)     生駒  譲君         参  考  人         (神戸鈴蘭台         地区CATV視         聴者)     若葉 孝一君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 五月十八日  辞任         補欠選任   中井徳次郎君     楯 兼次郎君     ————————————— 五月十九日  電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する  法律等の一部を改正する法律案反対に関する請  願外一件(木島喜兵衞君紹介)(第三三八二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  有線テレビジョン放送法案内閣提出、第六十  五回国会閣法第一〇二号)      ————◇—————
  2. 高橋清一郎

    高橋委員長 これより会議を開きます。  有線テレビジョン放送法案を議題とし、審査を進めます。  まず、参考人より御意見を聴取いたします。  本日、本案審査のため参考人として御出席いただいた方々は、日本放送協会専務理事野村忠夫君、日本民間放送連盟技術委員会委員森本重武君、日本新聞協会新聞通信有線放送協議会政策委員会座長小川光夫君、東京ケーブルビジョン常務理事鎌田繁春君、京阪神ケーブルビジョン常務理事生駒譲君及び神戸鈴蘭台地区CATV視聴者若葉孝一君であります。  この際、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は御多用のところ御出席いただき、まことにありがとうございます。  この際、参考人各位にはそれぞれのお立場から忌憚のない御意見を承り、もって審査参考といたしたいと存じます。  なお、議事の都合上、御意見の開陳はお一人十分程度とし、その後委員からの質問にもお答え願いたいと存じます。  また、御発言の順序につきましては、かってながら委員長に御一任願いたいと存じます。それでは野村参考人
  3. 野村忠夫

    野村参考人 日本放送協会野村忠夫でございます。本日は有線テレビジョン放送法案審議にあたりまして、当協会意見を申し述べる機会を得ましたことを光栄に存じております。  この際、当協会基本的な考え方をここで申し述べたいと存じます。  御承知のように、この有線テレビ関係法案につきましては、第一次案、それ以降数次にわたって国会においても継続審議という形になっておりまして、この法案の形式、内容及び取り扱い等については、まだまだいろいろな問題を含んでおると思います。私どもはこのCATVというものの発展に着目しました場合に、この議論前提が、いろいろ問題が含まれているのではないかと考えております。つまり「有線テレビ放送」という、この「放送」ということばを、ある意味においてはことば自己撞着のような形で安易に使われている。御承知のように、放送法では、「放送」ということばは、無線通信、公衆に対しての無線通信ということになっておりますが、この有線の「放送」ということばは、実は非常におかしなことばでございます。このことばの定義が明確でありませんと、議論をする際にいろいろと混清がございます。たとえばアメリカにおいては、放送ブロードキャスティングでありますが、いわゆる有線テレビ放送というのはケーブルキャスティングであります。したがって、放送ということばを使っておりません。これは、FCCの新しい規則でもそういうぐあいになっております。  それから、もう一つ前提としてはっきりさせておきたい問題は、いわゆるこのCATVというものの可能性の問題と、現在このCATV要望されているいわゆる実態の問題とが、しばしば混清されて論ぜられており、したがって、法案審議に際しましても、現実は難視聴解消テレビが見えないから、テレビを見えるようにしてくれという難視聴解消が主体であるにもかかわらず、将来は非常に大きな利便国民に与える可能性を秘めておりますので、それとのかかわり合いに応じて問題が論議される。そのところを最初から区別していかないと、この問題の処理には、いろいろな問題が生ずると思われます。現実には、九十万から百万のCATV視聴者日本におります。しかし、その中でいわゆる自主放送をしているという施設は六施設であり、大体八千人足らずの人間しかおりません。したがって、九十万から百万に近い人たちは、現在ではテレビが見たい、難視聴を解消したい、そのために有線のケ−ブルテレビジョンを利用するんだというところが現実だと思います。  以上、前提を述べまして、私は協会基本的な立場について申し上げたいと思います。  確かに、このCATVは、将来は双方向通信を含め——そうでなくても、この数年の間に、一方交通ではありますが、いろいろな情報のにない手として、国民に大きな利便を与える新しい産業であると思います。したがいまして、この法案を作成する、あるいは御審議にあたりましては、こういう将来の可能性と現在の問題、法律関係でいいますと電気通信関係とか、あるいは電波法放送法関係とか、あるいは現在の有線放送関係の諸法案とか、そういう関係法案との関連を十分関連づけながら、御審議していただきたいと思っております。  ただ、現在CATVというものの実態が、二十年前につくられました有線ラジオ放送の規律のために制定されたところの有線放送業務運用規制に関する法律、この二十年前の古い法律を準用した形で、CATVというものが曲がりなりにも届け出制によって実施されていますが、これは明らかに時代おくれでありますし、またそのままに放置するということは、健全なる社会秩序発展をも阻害するところが大きいと思われます。したがいまして、私どもは、この法案はいろいろと問題を腹蔵しておりますけれども、新たな立法が行なわれまして成立することは、きわめて有意義であると考えております。  先ほど実態から申し上げましたように、この難視聴解消テレビを見たいというのが実態でございますので、実はこの点にかかわりまして、日本放送協会基本的な使命である難視聴解消という問題と大きな関係を持つわけでございます。すでに、今国会協会予算審議に際しましても、衆参両院から都市及び辺地を問わず、この難視聴解消については努力せよという附帯決議がつけられておりますし、私どもは、この難視聴解消協会の大きな目的として、事業を推進してまいりました。したがいまして、私ども基本的な業務にかかわりましてこの有線テレビジョン法案というものが実施されます場合に、協会業務との関係を十分御理解していただきたいと思います。  この理解の基本に立つところのものは、やはり当面の国民聴視者であります。この聴視者利便を阻害するような新しい規則あるいは新しい問題が出てくることは、われわれとしては避けていただきたい。円滑に聴視者要望が実行できるように運用していただきたいということをお願いいたしたいと思います。  それから基本的に、第三として指摘いたしたいのは、この有線テレビ放送施設によって自主番組が送出できることであります。現代社会において、情報源の数が多ければ多いほど、社会の健全な発達に資するところが大きいと思われますので、そういう意味では非常にこの発展が望ましいと私は考えております。言論、報道のフリーな流れ、国民の知る権利拡大、そういったものがこの新しい産業を通じて行なわれることを歓迎いたします。  ただ、この自主番組の問題につきましては、やはり基本的には自主規制というものを貫いていただきたいと思います。本法案の中身を審議いたしますと、多少その点についてなお御一考をわずらわしたい点があるかと存じます。  以上のような考え方に立ちまして、法案に対する協会の具体的な問題をなお三点申し上げたいと思います。  一つは、私どもは、先ほど申し上げましたように、難視聴解消というものを都市辺地を問わず大きな使命といたしております。したがいまして、難視目的としてテレビの再送信だけを行なう非営利共同受信施設、こういうものにつきましては、その目的が非常に限定されておりますし、それから聴視者のためにもできるだけ早くテレビが見えるようにすることが必要でありますから、この法案の第三条第一項の許可の対象からはずし、第二十三条の適用除外として明定されるか、あるいは少なくとも第三条第一項のただし書きの許可を要しなし、届け出だけの有線テレビ放送施設として法文上明確に措置されればありがたいと思います。これは協会の利害から申し上げるのではなくして、やはり基本聴視者利便をまず考えていただきたいという観点から申し上げるのでございます。  第二点は、現実の問題としてわれわれが常に直面しておりますのは、この法律によって許可を受けた有線放送事業者が一応一つの限定された区域を担当いたしますけれども、伝え聞くところによりますと、いわゆる設置期限が三年であるということでございます。しかし、現実都市において、住民からのテレビが見えないという苦情は、われわれの手元にも毎日のように来ておりまして、これの要望を満たさなければならないとわれわれは考えております。したがいまして、この事業者許可するまでの審議期間許可されたあとそういう施設を行なう三年の期間、この法案によりますれば、郵政大臣がさらに、事情があればこの三年の期限を延ばし得るということも書かれておりますので、最悪の場合には四年になり、五年になるということも考えられますが、実際問題として、住民テレビが見えないのを一年、二年、三年というぐあいに延ばすわけにはまいりません。したがいまして、再送信だけを目的として非営利でやるこの共同受信施設につきましては、もし延び延びになるようでありましたならば、これを緊急かつすみやかに措置できるよう、法文上明らかにしていただきたいと思います。  第三点は、御承知のように協会受信料によって成り立っております。この共同受信施設をいたしますと、当然のことながら加入料維持費が支払われます。将来のことを考えますと、いわゆる都市難視というものは、私どもの推定でも年々十万、二十万というぐあいにふえてまいります。特に経済社会発展太平洋ベルト地帯に集中し、かつ都市化が進みますと、こういう種の難視聴というものが非常にふえてまいります。その場合に、そこの受信者と私ども放送との間に、第三者的なこういう事業体が入りまして、しかも受信料以外に高額なる維持費その他を負担いたしますことは、いろいろの問題点が出てまいります。したがいまして、私どもとしましては、放送法NHK放送を受信し得る者は契約をしなければならないという明文がございますから、受信料徴収そのものについては問題はないと思いますけれども、この種の問題があるということの御認識をしていただきたいと存じます。  それから第四番目に、この法案で目につきますことは、各条項の中に郵政省令あるいは郵政規則あるいは大臣権限という形で権限がゆだねられている条項が目につきます。私どもは、放送法改正において、将来の放送法放送に関する行政委員会放送委員会を設けて、中立公正なる第三者機関においてこの行政を行なうべきであるという主張をかねてから開陳しておりますが、今回の立法にあたりましても、その思想の一端として、仮称でございますけれども有線テレビ審議会というような中立的な第三者機関設置されることが望ましいと思います。重要事項はこの機関にはかって審議されるというのが適切ではなかろうかと存じます。もちろん、ここが行政機関的に決定機関としての権限を持つことは一挙にはできないにしても、少なくとも電波監理審議会というものの中で諮問する形より、さらに進めて、新設されたこの審議会重要事項はすべて郵政大臣諮問事項として公の意見を聞く機会を持つようにすべきだと考えております。  以上、一応基本的な協会態度を述べましたが、多少こまかくなりますけれども有線テレビ放送施設施設の問題と業務の問題の二つに分けまして、条文についての意見を申し上げたいと思います。  まず第一点は、第三条第一項の許可についてでございますけれども、この許可につきましても、ただいま申し上げたような審議会審議が必要であると思います。  第二点の許可基準につきましては、まず第四条の二号の技術上の基準に関する郵政省令についても、この審議会諮問事項にされることが適当ではなかろうかと考えております。また第四条の四号に非常に長い文章がございます。すなわち「有線テレビジョン放送施設設置することがその地域における自然的社会的文化的諸事情に照らし必要であり、かつ、適切なものであること。」という文章がございますが、これは非常に抽象的な文言でございまして、ある意味においては郵政大臣行政裁量の幅があまりにも大き過ぎるというぐあいにも考えられますので、具体的な基準を明確にされることを要望いたします。  それから第三点は、第六条に基づき、郵政大臣施設設置期限を指定するという点は受信者の利益から見てきわめて妥当であると考えております。したがって、この三年をむしろ短くするような努力義務づけるような努力が払われることが肝要であろうと思います。第四点は、第九条に定める有線テレビ放送施設提供義務であります。これは言論独占排除という見地からも、あるいは国民の知る権利拡大という見地からもきわめて適切と考えます。したがいまして、この条項規定する郵政省令で定める例外措置については、できるだけその範囲を限定することが望ましいと思います。  以上、施設についての条項について意見を申し上げましたが、次にこの業務関係について申し上げます。  第一点は、先ほど冒頭に申し上げましたように、いわゆる番組編集についてであります。この法案を拝見いたしますと、第十五条において、この有線テレビ放送放送番組編集については、放送法の三条、四条、四十四条第三項等の規定を準用するということが書かれております。この適用の問題については、私どもはきわめて適切であると考えております。しかしながら、第十八条二項によりますと、この放送法四十四条第三項の規定に違反した場合についても、三カ月以内の期限を定めて有線テレビ放送業務停止を命ずることができるという点がございます。これは御承知のようにいわゆる放送の公序良俗の問題、あるいは政治的な公平の問題、意見の対立の問題を適正に運営するために設けられた条項でありますが、これを郵政大臣権限において業務停止という罰則的な規定が盛り込まれることは、だれが政治的な公平を判定するのか、だれが中立を保証するのか、いろいろな問題がかかると思います。したがいまして、先ほど申し上げましたような第三者的な、あるいは多少ともそれに近いような審議会に諮問してその点の誤解のないような、いやしくも言論統制というもののおそれが出るような問題については排除していただきたいと私どもとしては存じております。  なお、こまかな点ではたとえば二十条における立ち入り検査の問題も、あるいは業務報告提出義務の問題も、これらは放送法電波法を見ますと、同じように技術基準について定期検査はございますけれども立ち入り検査的な表現は、表現において多少お考えいただいたほうがよろしいのではないか。あるいは報告ということがございますけれども電波法放送法では「資料の提出」ということばになっておりますので、これは表現の問題ではございますけれども、御一考をわずらわしたいと思います。  最後に、附則の第六項におきまして、放送法の一部をこれによって改正しまして、協会収支予算に定めるところによってこの事業に投資することができる、出資することができるということは、協会の難視聴解消という大きな公共的使命にかんがみましてきわめて適切と考えております。  以上、私ども意見を、前提及び基本的態度及び各条項にわたって申し上げましたので、何とぞ慎重審議の上御審議いただき、できるだけ早くCATV業界秩序の確立に資していただきたいと思います。  以上陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手)
  4. 高橋清一郎

  5. 森本重武

    森本参考人 民放連森本でございます。  まず、最初に将来の情報化時代に対処する画期的な有線テレビ法案審議にあたりまして、民間放送連盟意見を述べる機会を与えられましたことを深く感謝する次第でございます。  さて、有線テレビは、都市高層化によるテレビ難視聴地区の増加とカラーテレビの普及に伴いまして、その必要性が最近急激に増大してまいりましたが、これに対する現行規制は、昭和二十六年に制定されました有線放送業務運用規正に関する法律によっておりますが、先ほど参考人からもお話がございましたように、実情に合わず、数年前より改正の必要が叫ばれておりまして、民放連といたしましても研究調査を重ねまして意見を申し述べてまいりましたが、政府におかれましても研究を積まれて、今回ようやく有線テレビ法案ということで、われわれとしては大局的には賛成でございます。  御承知のごとく、有線テレビ双方向性通信が加わり、さらにはワイヤードシティーにつながるものと考えられておりまして、その意味では今回の法案は未来のビジョンに欠けるところはありますが、将来の動向につきましてはいまだ確たる見通しがつかぬ現時点におきましては、現行法に比べまして竿頭一歩を進めた発展の一里塚と考えられます。それで、将来はさらに双方性通信を含むワイヤードシティにまで発展し得るよう、今後さらに一そう整備されることを希望いたします。  御承知のごとく、わが国放送は、世界にまれに見るNHK、民放の二本立てでございまして、非常に健全な発達を遂げて、国民生活にはなくてはならない存在となっております。それで、われわれといたしましても、アメリカの初期の放送事業者のごとく有線テレビ全面的反対という態度はとっておらないのでございまして、いかにして共存共栄をはかるかという基本精神でこの問題に取り組んでおります。したがって、これから申し上げます意見もこういう観点から申し上げさしていただきたいと思います。  まず第一に、有線テレビ事業はばく大な資本を要する事業でもありますし、場合によっては加入者の負担もあるということで、さらに将来は双方向性通信につながるものでありますし、それで一度施設しましたら変更ということがたいへんでありますので、十分に将来の見通しを立てた計画のもとに始められるべきものでありまして、一度許可があれば、放送局と違って無期限ということもあわせ考えていただいて、慎重に処理しなければならない問題と考えます。  次に、著作権関係でありますが、昨年から新著作権法が実施され、特に著作隣接権が新たに制定されたわけでありますが、実施早々のことでもあり、必ずしもすぐに完全に運用されるとは思われません。  アメリカにおいても、御承知のごとく、本年三月より新規則が施行されることになりましたが、著作権関係については、今後の国会審議にゆだねておるような状況でございます。したがって、著作権法との関連を持ちつつ順次整備せられて、放送及び有線テレビがともどもに健全な発達を遂げて、国民の福祉に一そう寄与するようにはかられることを切望いたします。  次に、各条的に意見を申し上げてみますと、第五条につきましては、外国関係の組織に対するものでありますが、「許可を与えないことができる。」となっておりますが、電波法の第五条のごとく、許可を与えないということでいいのではないかと考えられます。  次に、第十三条の再送信関係でございます。第一項につきましては、地元のすべての放送局番組を、変更を加えないで、同時にこれを再送信しなければならないと規定されておりますが、第二項においては、それ以外の地域について同意書を要する、こういうことになっております。これは放送法においてもその第六条において、「同意を得なければ、他の放送事業者放送を受信して、その再放送をしてはならない。」となっており、また有線放送業務運用規正に関する法律においても、「有線放送業務を行う者は、同意を得なければ、放送事業者放送を受信しこれを再送信してはならない。」となっておりますが、この法案も同種のものと思われ、第一項はむしろ除外というふうに考えられます。現在は同意書によってこの点を確認しておるわけでございますが、もし第二項がないといたしますと、以下申し上げますような事情によって、著作権者放送業者、さらにはCATV業者にも御迷惑をかけることができるのではないかと考えられます。  第二項がない場合を考えてみますと、この地域法案の大きな目的一つであります難視聴救済には直接の関係のない地区なので、再送信は本来の目的のために利用しようとするものと考えられます。したがって、最悪の場合は番組内容変更し、あるいはCMを差しかえて再送信する場合もあり得るわけでございまして、放送局側が高い制作費と、苦心してつくった企画意図が、曲げられることになるわけでございます。  また、著作権問題につきましても、先ほども申し上げましたように、新著作権法が施行されておるのでございますが、その運用面ではまだ必ずしも完全ではございません。国内問題については解決しやすいと思いますが、テレビ番組外国関係のものが多く、外国放送局映画会社等があり、現在でも問題を内蔵しておるのでありますが、この問題はわが国CATV発展したときに大問題となるものと思われ、これが処理ができるかどうかということも心配しております。場合によっては、放送番組の選択が拘束されるような事態ともなりかねないと思います。特に区域外の再送信につきましては、放送番組の再送信がどこでも自由にできるということになりますと、著作権に付随した問題とは別個に、地域とかけ離れた放送番組CATVで無秩序に持ち込まれるようになり、地元放送は次第に無視されてくるようになるのではないかと思います。  御当局におきましては、放送地域と密着する必要があるとの御方針をとり、放送県域化を徐々に進めておるわけでございますが、CATVといえども放送と同じ秩序に置くのでなければ、この方針が無意味になるのではないかと思います。またCATV番組多様化に役立つとの考え方もありますが、ばく大な設備投資を要するCATVはどうしても虫食い的に、局所的に施設されますので、県域内での番組格差はますますひどくなる場合もあると思います。また、無料でサービスする放送に有料のCATVが肩がわりするとすれば、住民の経済的負担をふやし、住民の福祉向上になるかどうか疑問だという点もあるわけでございます。  さらに、この問題は地元放送局にとっては、死活問題にもなりかねない重大な影響を持つものでございまして、こういう場合は業務区域内のすべての放送業者意見を尊重して処理されるように再三にわたってお願いをしている次第でございます。これについては、テレビ放送事業有線テレビ事業共存共栄をはかり得る施策をとっていただくよう特に希望する次第でございます。  そのほかに、放送番組によっては地域の指定があるものがございます。また、コマーシャルについては、スポンサーの意向により地域の指定がある場合もあって、無断で再送信をするということになれば、たとえば、現在でもスポンサーがその地方に商品を送っていないのにCMが出て、スポンサーに迷惑をかける事態がたまには起こっておりますから、これが続発するということになるとたいへん混乱を来たす。また、地方へ番組を流します場合、スポンサーづきでいわゆるネット番組として送るか、あるいは番組販売として売り渡しておりますが、有線テレビは野放しということになりますと、商業放送というものが成立しなくなるおそれがあります。また、いわゆるチャンネルプランというのも無意味になって、両面から放送界の秩序を乱すということになります。  それなれば、第一項を全国的に適用するということになりますと、どことどこの放送局を指定するとかいうような点でたいへんむずかしいように思います。場合によっては、有線テレビ業者に負担をかけるということも考えられます。もし、第二項だけなくなるということになりますと、われわれとしては著作隣接権を行使して裁判に持ち込むというようなことにもなり、場合によっては停波というようなことにもなりかねないわけでございますが、これは視聴者のほうにも有線テレビ業者にも御迷惑をかけることになりかねません。したがって、現在においては第二項が最も実情に合ったものと考えられます。  次に、第十四条及び第二十条などは有線テレビ業務面を規制するものでありますが、これをあまりきびしくすることは、有線テレビの活動が萎 縮するおそれも出てくると思います。このために業務面にわたる規制はできるだけ必要最小限度にとどめるようお願いをいたす次第でございます。  それから、第三条第一項及び第二十三条関係の小規模な有線テレビの取り扱いでありますが、適用除外となりますと、届け出も不要となり、施設を把握することができないと思われます。したがって、アメリカのように、少なくとも五十世帯以上を対象とし、同一構内でも大規模なもの、あるいは同一事業体が全国的に施設するものなども規則の対象とする必要があるものと考えられます。  以上、有線テレビ放送法案につきまして率直に意見を申し述べさせていただきましたが、時間の関係もあり、十分に意を尽くせず、おわかりにくい点があったと思いますが、要するに将来の情報化時代を迎える一段階として、大局的に本法案に賛成いたします。また、いずれこの法案に基づく政令、省令等ができると思いますが、先ほど参考人も申されましたように、実際の運用の妙というのは政令、省令によるところが多く、しかも、有線テレビの現状はきわめて流動的でもありますので、われわれの意見も徴された上制定されることを希望いたします。  さらに、先ほど申しました再送信同意の問題については著作権との関係もあり、慎重に御審議をいただきたいと思います。  御清聴を感謝いたします。(拍手)
  6. 高橋清一郎

  7. 小川光男

    小川参考人 有線放送協議会小川でございます。  初めに一言お断わりいたしたいと存じます。  当委員会からの強い御要望といたしまして、本日の参考人は、先日の懇談会出席者とはなるべく別人にしてほしいというお申し出を私どもお受けいたしました。実は、昨日私どものほうで政策委員会の幹事会を開きまして、本日の陳述の内容について相談いたしますとともに、委員会からの御要望についていろいろと意見を交換いたしました。しかるところ、私どものほうでは、ほかの団体と異なりまして、各社の関係者が月に少なくとも二回ぐらいは集まって意見の交換と意思の疎通をはかっている。現にこうやって逓信委員会における意見陳述の内容についても協議しているのである。それを考えますと、たとえだれが出席しても陳述する意見内容は同じである。そういうことになれば、本日の委員会は正式のものである以上、私ども意見を代表するものとしては政策委員会の座長である私が当たるべきであるということを、全員一致の意見としてきめられてしまいました。せっかくの御要望でございましたが、そういうわけで重ねて私出席いたしましたわけで、どうぞ御了承をお願いいたします。  さて、私どものこの法案に対する意見でございますが、この法案は、過去何回か流産いたしました法案に比べればはるかに整ったものであるということは認めます。さりながら決して進歩的とまでは言えない。言うなれば、従来の郵政省の行政指導に形を与えるようなものであるというような印象がかなり強いわけでございます。昨年春この法案国会提出されましたころは、私どもの内部ではその成立を望む声がかなり聞かれたのは事実でございます。と申しますのは、その当時CATV熱に浮かされまして、いろいろな思惑から無秩序にいろいろな計画があらわれまして、これではCATVの将来によくないのではないかというような意向がそういう声になってきたわけでございますが、現在ではそのCATV熱もかなり鎮静期にあるというふうに私どもは判断いたしております。昨日もいろいろと相談いたしたのでございますが、しいてこの国会でぜひともとまではというようなニュアンスのムードが大半でございました。一部には成立しなくてもよいのではないかというような意見もございましたけれども、これはごく一部にとどまりました。  この法案基本的性格でございますが、私どもは、この法案が成立するにいたしましても、これはCATV基本法とは考えず、将来必要があればどしどし改正していくことが望ましい、そういうふうに考えております。それはこの法案の対象が有線テレビ放送に限られておりますのに対し、CATV発展方向については、現在なお未知の要素が非常に多いということが考えられるからであります。  次に、法案内容でございますが、第三条の施設許可につきましては、許可制そのものには反対ではございません。許可制をとる場合、その対象となる施設が、営利であるか、非営利であるかは問題とならぬと思いますが、許可の公正を堅持するという趣旨から、これを郵政省の専決ということではなしに、何らかの第三者機関の議決を経るということにしたほうが望ましいかと考えられます。これは先ほどNHK参考人もお述べになりましたが、この点全く同一意見でございます。  次に、第九条の施設提供義務を定めましたことにつきましては、私どもといたしましては、望ましいことと考えております。公正、適切な運用を期待するものでございます。  第十三条の二項の再送信に関する放送事業者同意条項につきましては、私どものほうでは、昨年来、これは不要なのではないかというふうに判断いたしております。この点につきましては、CCIS調査会の中でも問題になっておりますが、著作権法に、隣接著作権規定がある以上、特にこの条項必要性はないのではないかというような意見でございます。区域外送信というものがCATVのメリットの一つである以上、区域外送信が庶民の願望の一つである以上、それに対する拘束は少ないほうが望ましいと思われます。区域外送信の行なわれる地域は、これは案外限定されたものになろうかと思います。日本国じゅうに普及するというようなことは考えられないわけでございまするし、さらに区域外送信が行なわれるということが望ましくないのであれば、民放の置局の数がふえれば区域外送信のメリットも減少するわけでございますので、これはさほど強い規制はあるいは必要ではないのではないかというのが私どもの見解でございます。  第二十条の立ち入り検査条項につきましては、これは先ほどNHK民放連参考人の方々がお述べになっているのと意見は全く同じでございまして、どうかその運用につきましては慎重を期していただきたい、そういうふうに考えております。  次に、附則のうちの第六、放送法改正してNHK有線テレビ施設者に出資することができることとした条項でございます。これは考えますといろいろ問題があるのではないかというふうに私は思います。施設者と事業者とがはっきりと別人格であればよいのでありましょうが、第十三条によりますと、施設者たる事業者と、こういうような表現もございまして、当面は施設者と事業者とをさい然と区別することは困難でございましょう。NHKの出資する施設者が、業として自主放送その他を始めようとする場合、NHK放送法規定からしてそれは困ることになるのではないかと思われます。そうかといって、自主放送その他を始めようとするのを阻止するということになれば、それはCATV発展を阻害することになるのではありますまいか。これはなかなか問題のある条文でありまして、ここら辺にもCATVに未知の分野が多いということの一つの証拠にもなりますので、ひとつここら辺をはっきりさせていただきたい、このように考えております。  次に、この条文にはその字は出ておりませんけれども、ファクシミリについて一言申し上げます。昨年の春この法案ができました当時、私ども郵政省当局の方を新聞協会にお招きいたしまして、その御説明を承ったのでございますが、それによりますと、新聞紙面のファクシミリ電送はこの法案にいう有線テレビ放送の中に含まれる、しかしながら新聞ファクシミリと放送番組とを同列に扱う考えはない。ファクシミリの実用化が日程にのぼってくる段階になれば、その扱いについてあらためて検討する、たしかこのように御説明があったと記憶いたします。私どもはこの方針が貫かれることを切望してやまない次第でございます。  次に、これはこの法案そのものには直接関係はございませんが、TCVのことでございます。私どもの考えでは、いかにこの法案が成立いたしましても、それだけでわが国CATVが正しい軌道に乗るとは考えられません。わが国CATVのサンプルともいえるTCVが健全な歩みを運んでこそ、わが国CATVの将来に明るい光がさすのではないかと思われます。その意味で、関係者全部でTCV問題を真剣に検討しなければならぬ、これはかねがね私どもの思っているところでございます。  このCATV発展しておりますのはアメリカでございます。しかしながら日本アメリカでは放送の制度に差がございます。日本にはNHKというものがございまして、これはNHKさんの前で申し上げるのは申しわけないのですが、NHKと民放と二本立てになっておりますばかりに、いろいろな問題が非常に複雑になっているという面もございます。したがって、CATVにつきましても、アメリカの制度、アメリカのあり方、これを参考にはできますが、しかしながら、これをそのまま日本に移入することはできない。日本日本独自の道を切り開いていかなければなりません。CATVそのものにも未知の分野がきわめて多いのに、しかもこういう実情でございますので、このCATV問題というのは実に苦心の存することは重々存じておりますが、何とぞCATV発展、そういうことを御考慮の上御善処をお願いいたしたいと思います。  いささかでも御参考になれば……(拍手)
  8. 高橋清一郎

  9. 鎌田繁春

    鎌田参考人 東京ケーブルビジョン鎌田でございます。  かねてCATV事業につきましては深甚な御高配をいただいておりますことを、事業をあずかる一人といたしまして、この機会に厚く御礼を申し上げます。  私どもが新宿に初めて同軸ケーブルを施設しました去る正月に、実地にあるおたくをたずねましたところ、おかげさまでことしはたいへんいい正月を送ることができましたといって、ほんとうに丁重なお礼のことばをいただいたことがございます。昨年度三千百万円の収支不足をかかえている私ども事業として、事務所におりますれば憂うつな日々ではございますけれども、一たび町へ、現場へ参りますと、非常に明るい気持ちにさせられるのが偽らない現状でございます。そういうふうに私どもCATV同軸ケ−ブルによる難視聴の救済を当面の目的としておりますが、このことは都市の生活にも結びついている生活そのものである、このように理解いたします。  御承知のとおり、都市化の激成に伴って難視聴は日々高度になってまいりますが、この都市難視、言うならば公害といってもいいくらいに、放送事業者の責任でもなければ受信者の責任でもない、都市生活を維持し、都市化の高度化をねらう必然の産物としての難視聴というものを救済する一つの手段であるわけでございますが、そういう意味において私ども事業都市開発の一翼をになう事業である。しかも、一たび御家庭にケーブルを引きますと、これは撤去するわけにはまいりません。永久に撤去するわけにはいきません。これは社会問題になるからでございます。ことほどさように実際の生活に根づいておる事業であり、また将来ますます普及するであろうこういう事業に対しまして、このたび法案提出されたということにつきましては、私ども非常に賛意を表するものでございます。第一条を拝見いたしますれば明らかなとおり、そこには都市視聴救済有線テレビジョンというものに対する非常に高邁な理想が掲げられておるのでございまして、ひとえに今後この法律の解釈、運用というものはこの「目的」に支配されて、忠実にこの「目的」からすべて出るべきものだというふうに期待いたしまして、結論といたしましてこの法案の成立に賛成をいたすものでございます。  CATV事業というただ展望の中で、先ほどもおっしゃられたように、将来可能性があるという、その可能性の展望の中でこの有線テレビ法が考えられておるということを私どもは感じもし、またそう信じておるのでございます。したがって、ただ単なる都市視聴救済、それはどんなもので、どんな設備ででもいいというふうな形でこの有線テレビ法ができておるのではなくして、大きなそういう歴史の期待の中での有線テレビ法案であろうと信じておるのでございますので、したがってそういう方向へ運用をお願いいたしたいと思うのでございます。  ただ注意すべきは、将来の可能性がいかに大きなビジョンを持っておりましょうとも、現実都市難視聴、この救済からスタートしておるということが現実でもありますし、私どもの法人の目的にもされておるのでございまして、都市難視聴の救済というウエートはきわめて高いということでございます。しかも、かりに将来りっぱな事業に育ったといたしましても、その際にもなお難視聴救済の機能というものは保持されることになるわけでございます。そういうわけでございまして、当分の間難視聴救済事業としてのCATVというふうに理解しても大きなあやまちはないのではないかと思うのでございます。  ただ、長い目で見ました場合に、この難視聴救済をいわゆるCATV事業でやったほうがいいのか、あるいはビル陰共聴のような形でやったほうがいいのかということにつきまして一言申し上げますれば、私はCATV事業の手によって都市難視聴を解消したほうが、長い目で見て利益であろうと考えるのでございます。と申しますのは、一度都市難視を解消するための設備を建設いたしましても、耐用年数がきて、それを取りかえるときに、CATV事業の体制でいけば、一度建設して一度加入料をいただければ、あとは減価償却方式を追求することによって、半永久的に設備が維持される、そういうところがねらえるし、また将来、ビジョンに花が開いて利益が得られる際には、その利益はスタートのときに犠牲になっていただいた受信者大衆に還元するという方法も取れるからでございます。したがいまして、このCATV事業の将来の発展を導き得るかどうかのかぎは、現在での都市難視聴対策に対してCATVというものをどういうふうにかみ合わせていくか、それをどういうふうに盛り立てていくかというところに成否のかぎがあるのではなかろうか。そして国政の評価というものもそういう点に置いていただきたい、こういうふうに希望するものでございます。  東京ケーブルビジョンは何しろ初めての経験でございまするし、その間に多くの困難に逢着してまいっております。たとえば技術基準、どういう設備を、十何年ももとうという設備を、どういう規格できめていくかということ、そしてまたその経験に照らしてどうもこれは高過ぎる、もっと経済的なものはないかという、改定というような問題が現在すでにあるわけでございます。それから建設につきましても、道路なり構築物なりあるいは電柱事情なり、東京の都市は日々に動いております。そうして都市美観というような問題もからんでまいりまするし、建設もなかなか容易にはできがたい事情にございます。さらに困難は、加入者の開拓でございます。商品見本のないころには非常に苦心をいたしました。いまは少しは商品見本も近所にあるわけでございますが、これをまた説得するのがたいへんでございまして、ただであればよろしいのでありますけれども、お金をいただくというような関係加入者開拓にも相当な隘路があるわけでございます。新宿の例で申しますと、十軒に一軒の割合のお客さんしかとれておりませんけれども、しかし十軒に一軒入っていただいておるということは、非常に大事なことではないかと思っておるのでございます。さらにその設備を保守、維持していくということ、この間も火災でちょっとケーブルの損傷がありました。建て直しをするからちょっとよけておいてくれ、道路工事をするからかさ上げをしておいてくれとかいうふうな問題がいろいろとあるわけでございます。都市難視救済という正面の仕事に取り組んでおる東京ケーブルビジョンでは、こういうふうな困難な問題があるわけでございます。  さらに経営的に大きい点は、建設を急ぎたいという気持ちはあせっても資金が十分でない、お客さんからは催促を受けてもそこまで手が伸ばしにくい、こういうふうな事情もあるわけでございます。都市化のテンポにおくれないために、難視を救済するためには、初期の段階に大量の投資を必要とする事業であるのでありますが、その手が何ら打てないという状況にあるわけでございます。歴史的な意義のある立法と私は考えるのでございますが、この法律を核としまして、第一条の「目的」から離れないような解釈、運用を期待いたすものでございますが、しかし、CATV事業の将来を律するのは、この法律の成立だけでは事足りないと思うのでございます。総合的な関係、たとえば建築物とか道路とかいう建設行政の分野、あるいは先ほど著作権とか税制とか、その他CATV事業の成長をはかる施策の裏づけを必要といたしておるのでございます。いま必要なのは規制ではなくて積極的な育成であろうかと愚考いたします。規制もそのためにこそ意義があるのであるということでございましょう。一事業体の力ではとうていできるものではございません。どうか国政の上で、そういう総合的な視野から、総合的なタッチをお願いいたしたいと思うものでございます。  法案の個々については特段に申し上げることもございません。表現は法の常として規制、制限的な表現には見えますけれども、しかし、この制限的な表現は、育成、助長のためにある条文というふうに理解して賛成するものであります。たとえば小さなことですけれども、地方税たる固定資産税の非課税というふうな条項があります。これはいままでの条文整理という関係での観点でありましょうから、この機会にぜひにということを申し上げませんけれども、こういう点も一つ問題になって上がってくるのではないかと思うのでございます。明治の初めに、重要な産業というものはかなりその後資本主義的な方向へ転換を遂げましたが、その過程を思い起こすものでございます。  いずれにしましても、受信者大衆とともにある事業であるということの感を深くするものでございまして、どうか今後のCATV事業のための一里塚としての法律という意味において、早期の成立をお待ちしておる次第でございます。よろしくお願いいたしたいと思います。(拍手)
  10. 高橋清一郎

  11. 生駒譲

    生駒参考人 京阪神ケーブビジョン生駒でございます。  本日は貴重な時間、私どもまでに発言をお許しいただきましてありがとうございました。たくさんの方がいろいろおっしゃっておられますので、私どもとしましてお聞き苦しいかと思いますけれども、初めにKCV、京阪神ケーブビジョンでございますが、概要を少々述べさしていただきまして、そのあと法案に対する意見、御要望といったものを申し上げさせていただきたいと思います。  私ども京阪神ケーブビジョンは、電電、NHK、民放、新聞、銀行、電子機械工業会、電線メーカー、関西電力、こういった八つのグループの基金二億一千八百万円でございますが、これによって一昨年の五月の八日に発足いたしました。基金は全部集まっておりませんが、二億一千七百四十万円、九九・七%現在集まっております。  そういったことで発足いたしまして、さっそく事業にかかりましたわけでございますが、事業としまして第一番に着手しましたのは、大阪の南区に御津地区という場所がございますが、これは大丸デパートの西側の辺にあたりますが、ここでとりあえず試験的なものをやってみたわけでございます。目的としましては、実際のそういったCATVの線を設置しまして、それを見た上での一般の方々の需要がどう動いてくるかというのが一点、それから技術基準、どの辺が必要最小限のものであるかといったものを実際の手さぐりでさがしてみようというのが一点、それからもう一つは、施設を建設するにあたりましていろいろ問題が起こってまいります。こういった諸問題、どういう問題が起こるかもわかりませんでした。どういう問題が起こるだろうか、あるいはその解決策はどうか、こういった三点を一応目的にしまして約八百世帯のありますところへ四百端子、四百の引っ込み端子をつけたものを二千万円でつくってみました。これは四十五年の九月にかかりまして四十五年の十二月に完成いたしております。現在の加入が百五十加入くらいですから約二〇%弱の加入率、こういうことに相なろうかと思います。  その次に手をつけましたのは神戸市の兵庫区の鈴蘭台、これは完全な都市の人為難視というのではなく、複合難視と申しますか、地形的な難視に合わせてそういった人為難視がからんでいるといった地域でございまして、完全なベッドタウンでございます。ここは主として経営面を主にした施設の運営の諸問題をこれで勉強してみようというのと、それから自主放送とかそのほか同軸ケーブルの持っております特性を生かしまして、いろいろなサービスができるわけでございますが、そういったサービスをするサービスの実験場というものをつくろうじゃないかといったことで、これは双方向のシステムにいたしておりますが、それが一つ、それからテレビの中で隣接チャンネルのかぶりとか、こういった問題が、きわめて技術的でございますがあるわけでございます。あるいはまた遠距離へ有線で搬送する場合、画像が乱れる、こういった技術的な問題があります。そういった問題を解明しようというのが三点、こういったことを目的といたしまして始めました。約五千万円かけまして二千四百端子のものをつくりました。この地域は大体四千五百足らずの世帯数がございます。現在そこで千五百加入がございますので、約三〇%強の加入率、こういうことに相なっております。工事は昨年の二月に始めまして、昨年の十二月に完成いたしております。  なお、この地域の追加の工事といたしまして、鈴蘭台地区の西側のほうへ約八百端子、二千万円くらいかけて本年じゅうに延ばそう、北側のほうにも同じく千二百端子ばかりのものを四千万円ほどかけて本年じゅうに延ばそうといった計画をやっております。  こういった状態の事業をやっておるわけでございますが、そこでその経理状態でございますけれども、昨年度末決算で創立以来約二年になるわけですけれども、累積の赤字が三百万円といったことになっております。ほぼ収支が均衡しているといえるのじゃなかろうかと思います。ただしこのことは、単にうまくいっているというのではなしに、収入の面なんかを見てみますと、利子収入が相当大きなウエートを占めているとか、あるいは建設業者が非常に協力してくれまして、価格的にもちょっと市価のあれを破るような安い価格でできているというようなことが大きなものになっています。なお、私どもよりか半年ほど前に発足いたしましたTCVのいろいろのことを踏み台にさしていただいたといったこともいなめないのじゃなかろうかと思っております。こういったことでどうにかやっているのが現状でございます。  余談になりましたけれども、次に、この二年間の経験に立ちまして、今回の法案に対する御要望あるいは御意見といったものを申し上げてみたいと思いますが、第一点目は、だいぶ熱がさめたとはいえ、やはり族生するといいますか、そういった傾向にあります有線テレビ施設、これをやはり何らかの意味で一父通整理をしていただくことが急務でなかろうか、かように考えます。現在大阪、神戸、相当な共聴施設がございますが、大阪に千といいます、神戸に五百というようなことをいわれておりますが、その形態を見てみますと、ビルの所有者がその自分のビルの陰になるところを補償してやったといったもの、あるいは町内会の有志が金を出し合ってつくったもの、あるいは住宅公団とか住宅供給公社とか、こういったものがやったもの、あるいは地方自治体がやったもの、こういったものに大体大別されますけれども、通弊といたしまして、この施設更新、先ほども話がございましたけれども、五年なり十年なりいたしましたら、老朽で取りかえるという問題が起こってまいりますが、こういったものに対する配意、準備がいささか欠けているのじゃなかろうかといったことが全般にいえます。そういたしますと、更改する時期にまだなっておりませんが、数年先にはなります。この場合に住民にたいへんな負担がかかってくる、こういった問題が一つございます。  それからもう一つは、せっかく同軸ケーブルを使っているわけでございますけれども、これは非常に大量の搬送量があるわけでございます。テレビで四十チャンネルだとか、あるいは電話にしたら七、八万回線分、こういったことをいわれておりますけれども、事実そういったものを使いながら最低のお金であげようとかいろいろの思惑がございまして、技術基準なるものが相当低うございます。しかも、それぞれのやつがばらばらでございまして、ですから将来これでいろいろの利活用をしようと思いましても、相互のシステムが疎通性がございません。こういう点も非常に問題があろうかと思います。  こういった実態でございますので、施設者の経済的その他いろいろの面における信頼度といったものを相当検討して許可を与えるとか、あるいは先ほど言いました疎通性の問題でございますけれども、そのシステムが隣のシステムと同じようにつながって流していける、こういったことにするための技術的なある基準を設けるとかいったことは、いまからやっておかないとおそくなってしまうのじゃなかろうか、かようなことも考えられますので、何はともあれ、そういった交通整理をお願いしたい。幸い今回の法案は、そういう点が非常に大きな眼目になっているようでありますので、そういった意味からも本法案につきましては賛意を表する次第でございます。  その次は、いささかお願い的な要素に相なってきますけれども先ほど東京ケ−ブルビジョン参考人のほうからの意見もございましたけれども、相当経営的にむずかしいものでございます。したがいまして、国の育成といいますか、そういったものが必要じゃなかろうかと思いますので、ひとつ御高配願いたいと思います。と言いますのは、住民は、自分たちの住んでいる町なりの環境づくりといった意味から、自主放送なり何なりして連係感を持ちたいという考え方は非常に強いわけでございますけれども、一方、難視になるのは一種の公害のようなものであって、それを自分の金で解決するというような筋合いのものじゃない、こういった被害意識というものが相当強うございます。まあそういった点、それからもう一つは、アンテナを立てるだけで見える人もあれば、アンテナなしに、CATVに入って、加入料、使用料を払ってやっと見える人もある、そういったところ、きわめて不平等になっておるわけでございます。ですから、加入者といいますか、受益者といいますか、負担をなるべく軽くするという方向に将来検討していかなければならぬじゃないかと思います。こういったためには、やはり何としても国家の力といったものが大事になってくると思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  また、そういったところで、具体的なお願いといたしましては、たとえばその施設費の問題でございますけれども、これはまあ私の私見でございますけれども、たとえば電波の障害になっておる高層建築物、そういった所有者から何がしかのタックスを取るとか、あるいは電波を営利に使用している業者からはそれ相応の使用料を取るとか、あるいはNHK難視対策費を積み上げるとか、あるいは一般会計から繰り入れ金をあれするとかいった各種のあれからお金を集めまして、こういったものを国のあれでその施設をしていただく、これが最良の策じゃないかと思いますけれども、しかし、まあそこまでいくのはたいへんなことだと思いますので、せめて建設費の利子補給程度のことは何とかお願いできればありがたいかと思います。  それから第二点目は、関係法令との調整の問題でございます。道路法の問題、道路の占用なんというものは、実際やってみますとたいへんなことでございます。そういった問題とか、あるいは電気設備令との関連とか、あるいは先ほどから再々出ました著作権法との関係、こういったこと、それから税法上の優遇と、いろいろございます。郵政省の御協力によりまして、道路制限その他につきましては、相当実際はいろいろやっていただきまして、先ほど申しましたような施設もできた次第でございますけれども、なおしかし、法律によってそういったものを整理していただくと、なおさらよくなるのじゃなかろうかと考える次第でございますので、何ぶんよろしくお願いしたいと思います。  はなはだ訥弁でございましたけれども、以上で終わります。ありがとうございました。
  12. 高橋清一郎

  13. 若葉孝一

    若葉参考人 私は、いわゆる鈴蘭台地区と申しますか、兵庫県の神戸市の最近のいわゆるベッドタウンに住居する者でございます。私、四、五年前から自治会のお世話をさしていただいております若葉孝一と申します。  もうすでに皆さん方が、いろいろむずかしい話をされましたが、私は、ここでざっくばらんに実際に画面を見ている、しかも私たちがつくった、そのつくるおい立ちをひとつ御報告を申し上げたいと思います。  実は、五年ほど前に、鎮守稲荷さんというのがございまして、そこのグループの方々が寄って、どうもこの地区テレビが見えない、しかも、テレビが見えぬからもう逃げていこう、——その時分、あまりカラーテレビはなかったのであります。逃げていこうというようなことも聞いたのでありますが、たぶん十人ぐらい集まって、お稲荷さんのあき地にひとつテレビを建ててやってみようか。たまたま、なかなかむずかしゅうなってきて、その当時、私はまだそこの自治会にもあまり口を出しておらなかったのでありますが、あのおっちょこちょいの若葉をほり出せということで、実は私がほり出されたわけであります。ところが、いろいろ研究してみますと、なかなかそう簡単にはまいりません。それでNHKの百五十万の補助を取り、しかも、将来はカラーテレビになる、カラーが映らないテレビはこれはだめだということで、実はあの当時電気屋さんと——みなそれは相当苦労したのでありますよ。私、こんなことをこんなところで言うのはおかしいですけれどね。二十七カ所のいわゆるキャッチする場所ですね、その選定に実に非常に苦労したわけです。あの鈴蘭台広しといえどもなかなか場所がないのであります。あるいは専門的にいうゴーストが入る。二チャンネルが入れば、四チャンネルのある一部はぼける、ゴーストと言いますね。そういうものがなかなか十二から、NHKから、教育テレビ——私のほうは教育テレビは十二であります。それが全部キャッチする場所がなかなか見つからないのであります。それに約三月はかかったと思います。地主さんに交渉——はたして、おれは売らぬ、貸さぬ、それは皆さん驚くでしょうね、あの当時四、五千円だった土地を権利金百万円で買うたのです。わずか十坪の道路をつける、そのケーブルを通す道をつけて、二十坪でしかも百万円の権利金。向こうは貸す腹も売る腹もないのですね。困りますわ。いま自分のところは造成しておるのですよ。こんなものを、でかいものを建てたら困りますわ。そんな関係で、しかも、私が交渉委員でありましたが、その委員に持って帰ったときに、そんなばかな、百万円も、土地も買えてまだつりが出る。そういうようなこともあったわけであります。ところが、これは話をしょってはしようがないから、私独断で百万円銀行で金を借りてきて、ぽんと百万円を打ったわけです。いまになって喜んでくれましたけれども、その当時、その基地がなかったら、この鈴蘭台ではりっぱなテレビジョンは見られないのであります。その当時集めました数が四百五十です。それが情けないことに、その当時は、宮崎電線という超一流のそのときはすばらしい線であったそうですがね。ところが二年、三年するうちに、だんだん数がぶら下がってくるのです。おまえは入るなと言えまへんがな、見えへんのやからね。それが千オーバーしたわけです。ところが、どうですか今度は、末端に行くと、テレビが見えまへん。さあ文句の八百がどんどん、苦情が出てきました。ときたまたまこのケーブルビジョンから、この鈴蘭台をひとつ分けてくれぬか。なかなか分けるにしても、われわれの既得権をどうしてくれるのだ。また、何百万円で買えという人すらあったわけです。しかも、それはいろいろもんだあげく、じゃ、この施設を全部サラにしてもらう。いわゆる近代的の、しかも、いろいろ専門家に聞く範囲内においては、多目的使用とか、いろいろな今後のいわゆるテレビ放送界には、実に画期的な、すばらしいものがあるのだ、ものすごい意味があるのだ、とりあえずテレビをよくしましょうということでできた数、その当時が千百です。まだ九百、もう少し残っておりますが、現在ほとんど行き渡っております。しかも、末端にまで実にすばらしい、いわゆる業者が言う、百とするなら九十点から九十三点ぐらいまでの評価をつけるだけのすばらしい画像が得られたのであります。私が最初に、皆さんに勧誘するときに、とにかくちらちらするテレビは目に毒だ、子供さんに非常に毒だ。しかも、バイクが走ると、とにかくスパークしてテレビにぎざぎざが起きる。そういうものがなくなっただけでも喜んでおったのであります。今度いろんな障害物も全然入らない。しかも、受ける基地がりっぱでありましたために、この鈴蘭台は恵まれた画像に、ただいま私たちは喜んでおります。しかしながら、きょうは委員の先生は非常に少ないようでございますが、残念でございます。これは先生方に、ひとつこの鈴蘭台を——むずかしいことがよう書いてありますけれどね、もうこれは読みません。もう先生方にお願いしたいのは、一度ひとつこの鈴蘭台、しかも千百、もう千五百になっております。それが、やりようによってはあるいは五千、少なくとも一万世帯ぐらいの聴視者はできると思うのです。それにはまず自主放送をやる。しかしながら皆さん、先生、ひとつ先行投資を、鈴蘭台に先に持ってこいとは厚かましくて言いませんけれども、千五百あるいは二千のこの鈴蘭台をひとつモデルケースにして、いわゆる日本テレビ、将来のテレビをいろいろな面に扱う、まあ、たとえばこの間の新聞に載ったように、テレビの医療放送あるいは防災防火のそういったテレビ放送、または地方的な地区的な学校向けの教育放送、それはまず自主放送目的にしなければならぬのであります。しかし、自主放送をするには、少なくとも三千、五千という戸数がなかったら、残念ながらこれは効果が薄いのであります。それには、おそらく五千、一万となればマスコミも乗るでしょう。あるいは採算面もとれるでしょう。そのときにがばっと税金をお取りになったらいいのです、政府は。どうかそれまではひとつ、先生方一ぺん鈴蘭台に——たまたま委員さんになられたのでありますから、ひとつ御視察を願って、この鈴蘭台を土台に、ひとつ全日本のいわゆる難視聴地区に対して——実に困っているのだ。その見えないテレビもお見せしましょう。おそらくこの満堂の皆さん方にも、難視聴地区テレビの不自由なことは、おそらく見ていらっしゃらない方もたくさんおられようとは思うのでありますが、われわれはこの地区に、しかも生活必需品でありながら、しかも同じ日本国民でありながら、なぜわれわれはテレビが満足に、ろくに見られないのか、平等に見られないのか、そういった不満もあります。しかし、なかなかこれはむずかしいことでございます。おまえとこ、かってにそこへ行ったんやと言うてしまえばもうそれでしまいですけれども、理屈はそうですけれども、そんなことじゃないですよ、人間は。だからやはりひとつ政府の施策でもって、ひとつわれわれはモルモットになりましょう、できるだけいろんな方法によって加入もふやしましょう、しかし、どうかひとつ線を引っぱる先行投資、いま京阪神ケーブビジョンのまず線を引かぬかい、銭がない、銭がかかる。それなら一ぺん先になにをやらぬかい、アンケートをとらぬかい。そんなちょろいことではなかなかできないですよ。だから、ひとつ先生方ちょっとこれを出してほしいのですわ、ほんま。だから、これはえらい我田引水になりますけれども、将来の日本テレビのためですよ。いろんな多目的利用とかいう雄大な方法があるじゃありませんか。よしひとつ、何億まあ何億とは言いませんけれども、少なくとも何千万かのひとつ融資でも、形はどないでもけっこうでございます。どうかひとつモルモットに指定していただきまして、あの地区を全日本に、こういうことができるんだということをひとつお見本をお示し願いたいのであります。  いろいろ書いて持ってきたのですけれども、ちょっと、書いてあることと言うたことと全部変わりました。皆さん方の、みんな御先輩の方が、専門の方々がいろいろ専門的のことをおっしゃいましたから、私は、この難視聴地区の実情と今後のあり方、いわゆる皆さんの、受けるほうの、そういった悪い面が非常にあるということです。それをおそらくあなた方はあまりにもそういうことは知らな過ぎるということを申し上げたいのです。どうか、特に勉強していただきまして、今後ともよろしゅうに、全日本の難視聴地区に対するあたたかい同情と御支援を賜わりましたら、まことにけっこうでございます。(拍手)
  14. 高橋清一郎

    高橋委員長 以上で参考人各位の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  15. 高橋清一郎

    高橋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水野清君。
  16. 水野清

    ○水野委員 諸先生のいろいろな御意見を拝聴いたしまして、たいへん参考にさせていただきましたが、二、三問題点について御質問申し上げたいと思います。  まず、最後にお話を承りました若葉さんには御関係ないことかもしれませんが、NHK野村専務理事から生駒さんまでに御意見を承りたいのですが、このCATV法案が、そもそも一番最初に——現在の法案ではございません、前の廃案になった法案国会に出された当時に、非常に、言論界あるいは民放その他から反発がございました。きょうは皆さんはあまり反発的な御意見はなくて、ベストではないが、まあこの法律を成立さしたほうがいいのじゃないかというような、やや消極的な御意見を御開陳をいただきましたけれども、この前のときに一番問題になったのは、実は言論の自由を侵害するのじゃないかという危惧の問題でございます。このことにつきまして、簡単でけっこうでございますが、言論の自由の侵害については、現在は危惧を持っておられるかおられないかということを、一問一答式でたいへん恐縮でございますが、時間がないものでございますから、参考人の皆さんからお話しをいただきたいと思います。
  17. 野村忠夫

    野村参考人 先ほども申し上げましたように、放送法を準用するという観点はきわめて適切でありますけれども、その準用された放送法に違反した場合の判定が、この法案においてはもっと慎重な措置が必要ではなかろうか、こう考えております。  御承知のように、放送法ではやはり自主規制というものが基本でございます。また、放送法の第三条は、何人も番組についての干渉を許さないという前提がございます。本法案におきましては、それに違反した場合には三カ月の業務停止ということが直接的に条令を提示して書かれております。かっての有線ラジオの規正に関する法律につきましては、法律に違反した場合とか、あるいは電波法につきましては、放送法に違反した場合業務停止的な、あるいはそういう措置が講ぜられるようになっておりますけれども、これは番組についてではないとわれわれは考えておりますが、本法案においては番組に直接的な関係においてその条項が出てきておりますので、この点は慎重にしていただきたいと思います。
  18. 森本重武

    森本参考人 ただいまの点についてお答えをいたします。  前のときはそういうことが非常に危惧されておったのでございますが、その後いろいろ検討もされておりますし、それから、先ほど述べましたように、この業務面の規制はなるべく最小限にしていただきたいということを申し上げましたし、さらに、むしろそういう点におきましては、今後の政令、省令という面においてそういう点が出てくるのではないかと考えまして、むしろ今後の問題にあるというふうに考えて、その点について御考慮を願いたいということを申し上げました次第でございます。以上。
  19. 小川光男

    小川参考人 お答えいたします。まことにごもっともな御質問のように存じますが、言論の自由ということにつきまして、いままで流産になりました法案においては、ともかく郵政省は規制規制と、あの法案規制一点ばりであったというふうに私は理解いたしております。それに比べますれば、この法案はともかくも施設面の規制にとどめて、業務面についてはできるだけ規制をせぬということを、藤木電波監理局長以下新聞協会においでになりましてるる御説明になりましたので、大体は了承しているわけでございます。ただし、これで絶対心配がないか、藤木局長、かおいでのうちはいいけれど、局長がおかわりになったらどうかというような問題もございますけれども、これは、ですからこそ、たとえばこの二十条の点についても運用は慎重にしてほしい。ともかく言論の自由を規制する、束縛するような行動、行政というものはなるべくとらないでほしいという希望及び期待は非常に強く持っておる次第でございます。  しかし、まあまあ現在の時点では、郵政省はおそらく善処をされるであろうというふうに私は思っております。
  20. 鎌田繁春

    鎌田参考人 鎌田でございます。ただいまのは、テレビの再送信の段階における問題ではなくて、将来の自主放送その他、CATVの、まああとの段階での問題かと思われますが、いままで申されたように施設中心の規制でございますので、一応その心配はないというふうに考えております。そういうふうな規制のあり方につきましては、他律的な方法でなくして、自治的なコントロールの方向へ制度を持っていくというふうな御指導がしかるべきかと思われます。  ただ、なおつけ加えますれば、ここに現実的に問題なのは、既存のマスコミ事業者を含むすべての関係においてのマスコミ支配というものをどうするか。これがかりに施設許可という姿であっても、そういう点ではやはり問題が残るというふうに感じる次第でございます。
  21. 生駒譲

    生駒参考人 ただいま鎌田参考人から申し述べましたとおりで、全く同意見でございます。心配はないと思います。
  22. 水野清

    ○水野委員 次に、民放連からの森本さんにちょっと承りたいのですが、これは第十三条のことでございます。具体的に申し上げると、区域外送信につきまして、十三条の二項に、放送事業者同意を得なければいかぬということが規定してございます。このことについて、少し民放連の御意見をこの際承っておきたいのですが、私は、こういうふうに電波というものは、ただいま若葉参考人から、非常にテレビの見えないところではテレビを見えるようにしたいという要望が強いんだということを、いろいろな形で御表現がありましたが、御承知のように、電波というものは国民の共有の財産でございます。これをたまたま郵政省の電波監理局というところで、国民の代表機関である政府が各放送局に割り当てをしまして、放送局はその電波を利用して番組をつくっておられる。民放会社がその番組について隣接著作権というものを御主張なさることも非常によくわかりますが、同時に私は、電波というものは国民のものであるという大原則にもとると、たとえば具体的に申し上げますと、現在下田と甲府で——きょうおいでのケ−ブルビジョンCATVの方は都市難視聴の地域の方でございますが、そうでない、地方の、これも一種のあれでしょうが、自然条件から生まれた下田、甲府のCATVにおいては、区域外送信の問題で、放送会社の許可がもらえないで放送ができないでいる事実がございます。私どもは、現在かかっております法案には、放送事業者、いわゆる民放会社の立場を理解をしまして、放送事業者同意を得なければいけないというふうになっておりますが、私は、本来は、放送事業者もお金をかけて番組をおつくりになるのですから、そのお立場もよくわかりますが、同時に地方でCATVをやろうという方に、たとえば下田の場合などは、静岡県であるが、文化圏は東京である。自分たちは静岡のテレビももちろん放送しなければいかぬと思っているが、東京のテレビは、少なくともキー局のテレビは全部放送しなければいかぬと思っている。ところが東京の民放会社が、これにオーケーをしてくれないからできないんだという痛切な訴えを、この委員会が先日非公式の懇談会をやりましたときに意見が開陳されたとおりであります。私は、でき得れば放送事業者同意を得るという形よりは、CATV事業者と現在の民放会社とが五十対五十ぐらい、いわゆる半々の発言権を持って話し合いをなして、でき得れば拒否をするということがないようにして、地方の視聴者に対してあまねくサービスをするということが、私は本来のつとめだと思います。ところが現在は、さっき申し上げたように、下田、甲府の例を見てもおわかりのように、あまりうまくいってないようでございます。これについてはどういうお考えを持っておられますか、御意見を承りたいと思います。
  23. 森本重武

    森本参考人 では、ただいまの点についてお答えを申し上げます。  最初に申し上げましたように、われわれとしては、アメリカ放送業者のごとく全面的反対という態度ではなくて、むしろいかにしてこれだけ盛大になっております放送CATV共存共栄をはかれるかという根本精神からこの問題も考えておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、区域外の再送信ということになりますと、地元放送業者の意向もこれは考えなければなりませんし、それから先ほどるる申し上げましたように、著作権がらみのいろいろな問題、特に外国等の問題があって、これも将来、現在小さいうちは何とも言ってこないと思いますが、大きくなった場合にいろいろ言ってくるというような点も考慮しまして、われわれとしてはあくまで共存共栄という根本精神で、早くこの問題を解決していきたいというふうに考えております。  それから、先ほどお話のございました同意書の問題でございますが、これについてちょっと経過を申し上げたいと思います。  この問題につきましては、ずっと以前、有線テレビがいわゆる共聴ということで、へんぴな土地で小規模なものに限られておったという当時といたしましては、むしろ進んで同意書を差し上げるようにしておりました。ところが、その後民放におきましても放送局の建設が進みましたので、区域内につきましては、中継局の置局計画も考慮しながらこれを処理してまいりました。これは有線テレビ事業者に対して、建設費も高いことでございますので、施設される方の迷惑というようなことまで取り越し苦労しまして処理をしておった次第でございます。区域外につきましても、前にも申し上げましたように、地元放送局との関係から、その地方の中継局の建設計画及び意向を聞きながら処理してまいったわけであります。ところが最近になりまして、地元の中継局が、よく見えるようなところにも計画が出てくるようになったものですから、いろいろ検討をせざるを得なくなり、同時に有線テレビ法の改正の問題が出てまいりまして、一体こういう地区施設はどういう取り扱いを受けるのか、それがはっきりしないということから、特に昨年からは有線テレビ法案待ちというのが実情でございまして、その間におきましても、県境に近く、ほんとうの難視聴地区というものにつきましては、同意書を迅速に出してまいったわけでございます。したがって、われわれといたしましては、有線テレビ法が一刻も早く通過いたしまして、懸案のものをすみやかに処理したいと考えております。われわれとしましては、前にも申し上げましたように解決する問題が多くございますので、同意書によって十分その実態を把握しておかなければならないというのが趣旨でございまして、その点ひとつ御了承を願いたいと思います。  以上でございます。
  24. 水野清

    ○水野委員 次に、野村参考人と、それから主として鎌田生駒参考人から承るようなことになると思いますが、先ほど鎌田生駒参考人から、CATVの建設のむずかしさという御説明をいただきました。私は実は現在出ている法案の中にも非常に不備な点が多くて、場合によっては与野党共同で、この委員会の修正ぐらいをしなくちゃいけないのではないかと思っていることがあるのでございますが、それはCATVという新しいメディアがこれから発足をして、いま御苦心をなすっておられますが、現在でも非常にお金がかかります。その場合、つまみ食いをされるんじゃないかという非常な危惧を持っておるわけです。たとえば新宿にしましても、京阪神にしましても、鈴蘭台のようなかたまったところはむしろいいわけでございまして、ちょっとしたビルのビル陰であるとか、そういったところはなおざりにされる可能性がある。採算性、とてもそんなところまでケ−ブルを引いてサービスができないということになりますと、たとえば東京で申し上げますと、同じ新宿区でもサービスが非常に早く行き届くところと、全く、なかなか乗り出してもらえないところということが起こってくると思います。この場合に、私どもはむしろ、いまこの委員会で与野党超党派で相談をしていることでございますが、ガス、水道のようにサービスの義務を、たとえば新宿区なら新宿区についてはCATV会社あるいは会社でなくて公益法人でもけっこうでございますが、に負ってもらおうじゃないか、こういうことになると思います。このことは、同時に経営がなかなか成り立たないということにもなるわけでございます。私は率直に申し上げて、CATVというものはまだ日本では時期尚早だ、こう思っております。片っ方では御承知のようにNHKが共聴施設の予算を持っております。ただ、この問題に一つ欠点があるのは、NHKNHKだけの難視聴解消ということを考えているから問題になるんで、NHKと民放会社が共同して——農村地帯、いわゆる過疎地帯の難視聴ならばNHKだけでもいいでしょうが、都市の難視聴についてはNHK、民放が共同して、いわゆる難視聴解消をやればいいのであって、新しくCATVという事業を起こして、そこに、自主番組をいま送る必要が日本にあるだろうか、私は非常に疑問に思っているわけであります。現在でも東京のテレビ局はキー局が多過ぎて過当競争をやっているわけでありまして、そこへ、さらに自主番組をお送りになる、自主番組というものは非常にけっこうでございますし、場合によっては、たとえばの話でございますが、新宿なら新宿の小さい地区のニュースということもこれは必要かもしれませんけれども、私はまだその時期に至っていないのじゃないか。先ほど生駒参考人の、設備は不十分なものでも、経済性ということを考えればやむを得ずやらなければならないというお話にもありましたように、私は今日あわててCATVをやる必要があるんだろうか。それならば、むしろNHKに責任を負わせて、それに民放を一緒に共同させて難視聴解消のための共聴施設を進めていくべき時期じゃないだろうか。CATVの、たとえばファクシミリであるとか、ガス、水道の料金の決済であるとか、あるいはその他いろんな同軸ケーブルのほかの目的がございますけれども、これはまだまだ現在は目的可能性があるというだけで、現実にはなかなかむずかしいことは参考人の諸先生も御存じだと思います。そうだとすれば、いますでに乗り出しておしまいになったところは非常にむずかしいわけでございますが、現に鎌田生駒参考人のお話を承っておりますと、赤字になる。赤字になるからひとつ何らかの国の育成をやってほしいと、こういうお話がございましたが、会社なり企業体をつくれば必ずいまの段階では赤字が出るほうが間違いがない。赤字が出れば、しりの持っていき場所がないから、国なり何らかの赤字救済の方法を考えろという意見が出てくるのはあたりまえでございます。私は、この辺に非常に大きな分かれ道がある。ですからこの法律も、私は逆に申し上げると認可の基準がむしろ甘過ぎる、もっと厳重にして、当分CATVは何ならできないようにしておけばいいのだ。そのかわりNHK、民放で共聴施設を徹底的にやらせれば、先ほど鈴蘭台若葉さんのお話しのように、視聴者を悩ませる問題は別の方法で解決したほうがいいんじゃないか、こう私は思っておるわけでございます。そのことにつきまして、私の申し上げることが少し回りくどい申し上げ方をしましたが、野村参考人森本参考人から、NHKと民放が共同して難視聴解消のための設備にもっと乗り出すことができないのかどうかということのまずお話を承りたい。  それから、そのあと鎌田生駒参考人から、すでに発足なすった方にそういうことを申し上げてもむずかしいと思いますから、客観的に見てCATV義務づけられた場合、たとえば地域を指定されて許可を受けて、三年以内に必ずサービスをしろといわれた場合に、一体、できるのかどうかということ、新宿の場合、京阪神の場合、お名前を承ると京阪神全部に網をかぶせておられるようですね。これはよくわかりません。京阪神全体の難視聴解消をやり、さらに自主放送をやるということになれば、これは実は既設のテレビ会社との問題、先ほど民放連森本さんからお話がございましたが、それとの競合もたいへんなことになってまいります。設備投資も、おそらく何百億でもきかないのではないかというふうに思います。一体、そんな事業計画がお立ちになるのかどうか。若葉さんから国でめんどう見ろといわれましたけれども、何百億、何千億という金を京阪神のケーブルビジョンに出すわけにはいかないと思うんです。そうすると、結局竜頭蛇尾に終わるのではないかという危惧を私は非常に持っているのですが、先ほどのお話に一段掘り下げて鎌田生駒参考人からもお話を承りたいと思います。
  25. 野村忠夫

    野村参考人 NHK立場をお答えいたします。  御承知のように、放送法は難視聴の解消、全国あまねく放送をお送りするということを義務づけられております。またNHKは四十七年間この目的のために放送を出してきたわけであります。毎年予算の審議をお願いいたしますけれども、必ずといってよいくらいにこの難視聴解消協会基本的な使命として激励されてまいっております。したがいまして、冒頭の陳述で申し上げましたように、現在有線テレビといっているものの実態は、百万世帯というものがこの有線テレビというものに加入しておりますけれども、現在六千世帯ぐらいが自主放送というものを見ている程度でありまして、残りの九十何万世帯というのはテレビの再送信を見ているわけでございます。私どもは、有線テレビというものは自主放送あるいは医療サービスあるいは買い物あるいは健康管理、いろいろな新しい可能性を持っている第三の別な産業だと思っております。これは放送ではないと思っています。したがいまして、私どもがこの有線テレビという第三の産業について業務をする意思は全くございません。ただこの有線テレビというものが、現状においては難視聴の解消というものが実態でございますから、その限りにおいて、東京をはじめ各都市にできております財団法人の有線テレビ事業体に対して参加しておるわけでございます。この難視聴解消につきまして、お説のとおり、置局以外に共聴施設によりまして私どもは難視聴を解消しておりますが、できればNHK放送だけでなく、民放の放送もごらんになれるように努力するつもりでおりますし、またその努力をいたしております。したがいまして、いま辺地においても都市においても、NHKが参加しております受信改善のための共聴施設に対しましては、全部といってよいくらい民放の放送が受けられるように、できる限りのNHK施設をあらかじめ設計してございます。その点、御理解いただいて、お説のように、民放とNHKが協力して難視聴解消ができれば、一番よいと思っております。
  26. 森本重武

    森本参考人 ただいまの問題について、お答え申し上げます。  民放といたしましても、難視聴解消につきましては、その放送の公共性から、あらゆる努力をして現在まで中継局をつくってまいりまして、場合によればNHKさんと共同建設を進めさしていただいて、経済化をはかって難視聴の解消につとめておる次第でございます。NHKさんのほうは受信料というものがあって、難視聴解消をすれば、そこに多少なりとも受信料の収入があるのでございますが、民放のほうは、解消いたしましても収入がふえるわけではないという点がございまして、テレビの中継局の建設についても、われわれとしては、現在非常に悩んでおるわけでございます。その上、先生方も御存じのように、テレビの局の経営というものが、最近になりましてたいへんむずかしくなってきておりますので、そういう点で、一面において放送の公共性も非常に考えながら、各局とも経営に当たっておるわけでございます。それで、都市難視聴の解消に民放が多額の金を出すことがたいへんむずかしいことは、おわかりいただけると存じます。有線テレビ自身を考えてみますと、非常に多額の資金も要りますし、それで加入料というものも取っていくというのでございますが、やはり将来を考えますと、自主番組その他によって収入をはかっていかなければ、その設備を維持、保守していくことができないことは、数字の上から明らかでございます。したがって、われわれとしましては、都市難視聴につきましては、特にそういうような面で、CATV発展的に進みまして、そういう点の解決を見ることを期待しておりますし、またそういうように努力を続けたいと思っております。以上。
  27. 生駒譲

    生駒参考人 水野先生のおっしゃいました京阪神三都市を、いまの力で網をかぶせることができるか、こういったあれでございますが、確かにむずかしいと思います。それで、繰り返すようでございますが、先ほど私見として申し上げました、たとえばNHK難視解消対策費といったものが一つ、それからもう一つは、たとえばいま営利に使っている電波、国民の財産でございますが、そういったものの使用税とか使用料とかいったものを取っておく、それから、難視の主たる原因になっております大きな建物の所有者からある程度の税金を取る、それで足らない分は国からあれするというようなことで、そういったお金を集めますと相当な金になるかと思います。いま一般会計から数百億あるいは数千億といった金、確かにそのくらいかかると思いますが、それを出すというのはむずかしいかと思いますけれども、そういった積み上げによってやっていけばやれなくはないと思います。ただしかし、それすらむずかしいといわれますれば、問題は金利の問題でございます。国に融資をあっせんしていただいて、利子補給、こういった程度のことをやっていただきますならば、相当程度カバーできるんじゃなかろうかと思います。  具体例を申し上げますと、たとえば大阪市の場合、実際一千ぐらい小さい共聴がすでにございます。ありますのですけれども、これはいずれもいい調子にはいっておりません。大阪の場合、環状高速道路というのがございますけれども、たとえばあそこの下へいいソースの信号をとりまして、その高速環状線に沿わせまして幹線をループする。そういうものをやっておきまして、これは先行投資になりますけれども、相当金がかかります。それから難視が発生した場所へ引いていくということになれば、たいていはカバーできると思います。ただ問題は、そのループする幹線を引く金でございますけれども、やはり数億という金がかかると思います。それをいまの私ども京阪神ケ−ブルビジョンで出すということはちょっとむずかしゅうございます。要するにどこかから融資を仰がなければいけない。ところが、融資を仰いでも、その利子でまいってしまうというような状態でございます。無利子の金さえあればそういったことは相当程度できると思います。  こういうようなことでございまして、そういう解決策でもまだ手ぬるいということに相なりますならば、私どものいまの法人というものは、どういう方法でやったらいいかということが、国としてつかめるまでの一つのモルモット的なものだとお考え願ってもよろしいんじゃなかろうかと思います。これは私どもいろいろやっております。やっておりまして、それはこうだからこうであるというようなことで、一つの、国としてこうすべきじゃないかというものが出た際に、発展的解消という形で解体するのもまた一つの策じゃなかろうか、かようと思います。
  28. 鎌田繁春

    鎌田参考人 私もつまみ食いは、現状のような行き方では、これはもう避けられないと思います。同様に、NHK、民放さんの共同体制でも、乱反射で特定の原因者が捕捉できないような場合も今後はふえる一方ですし、また、さらに五、六年先の将来では、一度原因者負担をされても、それを繰り返して二度、三度とおやりになるかどうかも問題があろうかと思われます。その意味において、やはりつまみ食い的な結果に終わる面があるのではないか、こういうふうにも感じます。  そういう路地裏にまで設備を義務づけるということになりまして、これは企業ベースでやれということであれば、勢い加入料、特に月々の使用料の値上げが必ず伴ってまいります。月々の使用料が千円未満では、かりに株式の場合、配当などを考えなくても、まず減価償却が手一ぱいというふうになるのではないかと思われるのでございますが、そういう意味合いにおいて、そういう義務づけというような、社会政策と申しますか、そういう公共的な配慮で事業を遂行するということになれば、やはり生駒参考人も申しましたように、その裏づけを事業外の国策的な面に求めなければいけない、このように感じておる次第でございます。
  29. 水野清

    ○水野委員 以上で終わります。
  30. 高橋清一郎

    高橋委員長 阿部未喜男君。
  31. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たいへん先生方御苦労でございます。  いま基本的な問題につきましては水野さんのほうから御質問がありましたので、若干具体的な問題について御意見を聞かしていただきたいと思いますが、第一点は、協会野村、それから新聞協会小川両先生から、特にこの法案の中では省令、規則に委任する部分が非常に多いから、第三者機関と申しますか、たとえばCATV審議会というふうなものを設けて慎重に行なうべきではないか、こういう御意見がございました。そのほかの方々で、いわゆる第三者の機関を置くという点について何か御意見のある方があればお伺いをしたいのでございますが……。どなたでもけっこうでございます。
  32. 森本重武

    森本参考人 ただいまの問題につきましては、民放の中にも放送法改正研究をするところがございまして、そういう面について研究をいたしております。それで、私の考えといたしましては、放送とからんでその問題を考えていただきたい、こういうふうに思います。以上。
  33. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ありがとうございました。  それでは、いまそういうお話があったのでありますが、小川先生お考えになっておるいわゆる審議会みたいなものという構想は、たとえば諮問機関というような形のものでしょうか、いまおっしゃられたような形のものになるのか、どういうお考えでございましょうか。
  34. 小川光男

    小川参考人 お答えいたします。別に細部まで具体的にこうというふうに思い定めているわけではございませんけれども、正直に申しまして、行政委員会的な権限まで持たせるのは行き過ぎではなかろうか、言うなれば電波監理審議会的なものでよろしいのではないか。ただ電波監理審議会放送、電波に関する審議会でございますので、なし得ればやはり別個の、NHKさんがおっしゃいましたように、CATVの諸問題を扱うだけのああいう機関でよろしいのではないか、概略でございますが、そういうふうに考えております。
  35. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 二点目でございますけれども意見の違う点といたしましては、区域外送信の問題で森本先生と小川先生が少し意見が違うようでございます。この点で、森本先生の御意見先ほどお伺いいたしましたので、小川先生にお伺いしたいのですけれども森本先生のおっしゃるように、著作権問題なり、現行地元放送関係がございます。しかし、なおかつ同意を要するということになれば、せっかく新しく発足をするCATVのメリットが非常に削減をされると申しましょうか、弱くなる。そういう意味で私、先生の御意見のとおりだと思いますが、その両方の御意見を考えながら何か、どういう方法をとったならば、著作権問題等も十分に生かされ、しかもメリットとして、区域外放送同意を得られると申しましょうか、そういう方法がとれるものでございましょうか。
  36. 小川光男

    小川参考人 私どものほうの意見は、森本さんと若干違うのでございますけれども、私どものほうといたしましては、民放さんもさほど御心配になるほどのことは実はあまりないのではなかろうか。区域外送信と申しますのは、正直に申しまして下田であるとか、甲府であるとか、長野であるとか、東京ないし大阪あたりの大都市の電波が届く周辺地域の一部に限られるわけでございますから、民放さん、それほど御心配になるほどのことはないと思います。それに反しまして住民のほうは、私どもでも長野あたりへ旅行いたしますと、十分にチャンネルが見られないので相当に腹が立つのでございますので、やはりこういう庶民的感覚から申せば、民放さんにこの際あまり強く御主張になっていただかないほうがむしろよろしいのではなかろうか。もしもそうやって区域外送信著作権問題その他でうるさいというのであれば、これは民放の置局の数をふやせばよろしいのでございまして、たとえば長野においてもう一局置局できれば、おそらく区域外送信に対するメリットもかなり減少してまいるのではないか。ところが、地元の民放の方々は、区域外送信同意にも反対、それから置局増にも反対ということでありましては、受信者のほうはせっかくチャンネルをふやす方法があるのにかかわらず、少しのチャンネルしか見られない。結局しわ寄せがやはり国民のほうに参りますので、これはまあそうたいしたことはないので、民放さんの御善処をお願いすればよろしいのではなかろうかというふうに私は思うのですが……。
  37. 森本重武

    森本参考人 どうもたびたび申し上げて恐縮でございますが、ただいまの区域外送信ということは、民放側としても絶対にいけないということは申し上げておりませんので、地元放送局の意向あるいは著作権というような問題が、非常に不確定なところがあって並行しておるというようなことでございまして、この有線テレビ法案が通りますればわれわれとしては非常に解決しやすくなるのではないか。そういう意味で、われわれとしてはあくまでCATV放送との共存共栄をはかりたいということでございまして、野放しということになりますと、これはCATV発展のみ考えた議論ではないかというふうに思いますし、それから先ほどお話のございました問題はチャンネルプランにも関係することだと思いますので、チャンネルプランについても十分にひとつ御検討を願いたい、こういうふうに思います。以上。
  38. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次に、協会野村先生ですけれども、非営利テレビ送信については、特に適用除外または三条の許可を不要としてもらいたいという強い御要望があったようでございます。ところで、小川先生のほうからは、三条の許可営利、非営利関係なくやるべきではないか、第三者機関を設けてはっきりやるべきだ。その場合、営利、非営利ということは問題にならぬじゃないか、そういうような御趣旨の御説明があったのですが小川先生の御意見営利、非営利関係なくやるべきだ、問題にならないという御主張の根拠と、それから協会のほうで非営利の再送信のみを行なうものについては、これは対象外にすべきだという根拠と申しましょうか、そういうものをお聞かせ願いたいと思います。
  39. 小川光男

    小川参考人 お答えいたします。営利、非営利、私ほんとうに、きのうも相談いたしましたのですが、別にたいして関係はないのではなかろうか。非営利のものをどうして許可の範囲外にしなければならないのか。非営利のもので、これを許可の範囲外にしなければ視聴者に不便を及ぼすのであれば、営利のものであっても同じく視聴者に対して不便が及ぶのではなかろうか。非営利のものであっても技術基準がしっかりしたものであれば、これは簡単に許可がとれるわけでございますし、技術基準がしっかりしているのであれば、別にその許可のことを心配する必要はないのではなかろうか。そういうことから私申し上げた次第でございまして、別に他意はございません。
  40. 野村忠夫

    野村参考人 お答えいたします。私ども現実に、協会の助成もしくは協会基本的な部分を負担してまいりました共同設置のたてまえで、全国に約八千幾ばくかの辺地の共聴並びに都市におきましては、過去数年間にわたりまして二十五万世帯に近い難視聴解消の世帯を、マスターアンテナを立てる、五十以下といいますか非常に数の少ない単位の施設並びにそれ以上の共聴的な施設で救済してまいりました。これらの仕事は、先ほども申し上げましたように、国が法律をつくって、放送が見られるようにするために受信料を取ることを許されて、あまねく放送が行き渡るようにしなければならないという目的のためにNHKができているのでございますから、われわれ自体の難視聴解消ということだけのためにこの仕事をするならば、本法案内容でありますようなCATVといいますか、第三の新しい産業とは異なる。したがって、従来の基本線に立ち返りまして、迅速かつ地域住民利便に一番近い形で処理されてしかるべきであろう、かように考えております。ただこの問題につきましては、法律上明定していただきたいという私ども意見も申し上げましたけれども現実の運営においては、いままでのところさほど問題になっておりません。したがいまして、そういう問題があるということを先生方にも御審議願えればそれでよろしいかと存じております。
  41. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それからもう一点お伺いしたいのですが、これは民放の森本先生だと思いますけれども、第三条で許可対象から除外されるもの、許可を必要としないものについて、これは届け出も要らないことになってくるが、何らかの措置が必要ではないか、こういう御意見だったと思います。その場合五十とかなんとかちょっと数字をあげられたと思いますが、そこをもうちょっと御説明いただけませんでしょうか。
  42. 森本重武

    森本参考人 それではお答え申し上げますが、その前に、前の非営利営利の問題につきましても意見を持っておりますので、開陳をさせていただきたいと思います。  それで非営利あるいは営利ということにつきましては、実のところ組合になっているから非営利であるとか、そういうことは、われわれといたしましては非常に判定がしにくいということと、先ほどからお話のございましたように、有線テレビには相当の資金がかかるということでございまして、非営利事業でやっていけるかどうか。場合によっては自主放送等をやりまして、株式会社組織でやったほうが実際に難視聴の解消に役に立つのではないか、こういうふうにも考えられますので、その点ひとつ御留意ありたいと思います。  それから次の問題は……
  43. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 第三条に許可基準がありますけれども、これは省令できめられますが、それ以下のものは届け出も要らないことになっているのではないか。その場合、せめて五十以上のものについては何らかの措置が必要ではないか、こういう御意見だったのではないでしょうか。
  44. 森本重武

    森本参考人 その点についてお答えを申し上げます。  小規模なもののCATVの取り扱いでございますが、先ほど来申し上げておりますように、実情を把握しておかなければ諸問題の解決が非常に困難だという実情を踏まえまして、ある程度の規模のものは届け出を必要とするようにしていただきたいということで、適用除外届け出その他によって段階をつけていただけば、それである程度目的は達せられるのではないかと思います。
  45. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 終わります。ありがとうございました。
  46. 高橋清一郎

    高橋委員長 中野明君。
  47. 中野明

    ○中野(明)委員 だんだんにお話がありましたので、簡単に二点ほどお尋ねいたします。  私も先ほど水野委員から申されました点にほとんど同感でございまして、現在、はたしてCATV許可をしなければならぬかということについては、時期尚早という感があるのでございますが、このまま野放しにしておくということについての弊害、そういうことを考えましたとき、そういう意味では、やはり規制をしておいたほうがいいんじゃないか、こういう考え方になっておるわけでございます。そういう意味におきまして、最初鎌田参考人生駒参考人のお二人にお尋ねをしたいと思います。  現在、東京あるいは京阪神ではまだ自主放送はなさってないのじゃないかと思いますが、その点いかがでございましょうか。
  48. 鎌田繁春

    鎌田参考人 私、先生の時期尚早という御意見に対しまして、個人的な意見でございますが、まっこうから反対するほどの用意はございません。しかし、CATV事業というものが早晩あらわれるであろうということ、そしてこれがあらわれたということは、これは時間の長短は多少ありましょうとも歴史の必然ではないかというふうに感じております。したがって、時期が少し早過ぎたからそれだけの困難と隘路が多過ぎるという感は私も持っておるのでございますが、しかし、いずれあらわれるものならば、この際長い目で見てそれらを育てていくというような方向、そしてそれが都市及び辺地情報化というものの促進に貢献をする。もしもこのままにしておけば、都市においては放送情報にいたしましても、不在化の現象が進んでいくのではなかろうかというふうにも思われるのでございまして、そういう意味合いにおいて、何とかして育てていくという方向に持っていっていただきたい、こういうふうに考えております。
  49. 中野明

    ○中野(明)委員 自主放送は現在なさっていますか。
  50. 鎌田繁春

    鎌田参考人 現在自主放送はいたしておりません。ただ、あきチャンネルの利用という形で、NHKのUHFのテレビジョンを池袋地区で第九チャンネルで放送をいたしておりまして、地元でわりに好評を博しております。
  51. 生駒譲

    生駒参考人 まず、後段の自主放送の問題でございますが、現在まだ行なっておりません。目下準備中でございます。といいますのは、やはりいろいろございまして、設備といったようなハードの面、それからもう一つソフトの面、どういったものがいいのかというようなたくさんの問題がございます。そういった点を昨年から詰めている段階でございますので、いずれなるべく早く実施いたしたいと考えております。  それから前半のCATVがまだ時期尚早ではないかという御質問だったかと思いますけれども、その点につきまして、やはりいまからそういったものに手を添えて、どういった形で都市難視を救うか、都市のコミュニケーションをどうした形に持っていくか、そういうテストといいますか、そういう形を得るためにもいまからやらなければならないものじゃなかろうか、かように思いますので、ちょっと先生のあれとは違います。
  52. 中野明

    ○中野(明)委員 これは同じく鎌田さんと生駒さんにお尋ねをしたいのですが、加入者を募るのに非常に御苦労なさっているというふうに思います。これはやはりいまの質問にも関連するわけですが、そういうことで結局加入者を募られるときに、いわゆる自主放送もできるのだという面にかなり比重を置いて加入者を募っておられるのではないだろうかというふうに私なりに想像をしておるわけです。もし違ったら訂正をしていただきたいと思います。そうなりますと、自主放送をするのにあまり手間取っでおりますと、加入者のほうから約束が違うじゃないか、そういうふうな苦情といいますか、文句が出てくるのではないかと心配するわけですが、東京ケーブルビジョンにおきまして、そういう点加入者からの自主放送に対する要望があるかないかということが一つ。  それから、いまの計画でいかれると、いつごろから自主放送を始めることができるという見通しをお持ちになっているのか。  この二点、鎌田さんと生駒さんお二人にお願いしたいと思います。
  53. 鎌田繁春

    鎌田参考人 発足当初におきまして、地元自主放送も始めるというPRを大々的にいたしました。そのなごりがいまも尾を引いておるのは御指摘のとおりでございます。しかし、なかなか実現のめどがつかないままに、その後はそのPRを引っ込めた形でおります。加入者の皆さんには、数もそうありませんのでしょっちゅう出入りをして、その辺の理解は現在では十分いただいておると思います。ただ、近い将来そういうものをやるという計画を捨てたのではありませんというふうに申し上げて、なるべく早い機会にいたしたいのでございますが、何ぶんにも金のかかることでございますので、現在特に東京ケーブルビジョンの財政資金事情というふうなものから手控えている勘定でございまして、今年度の事業計画でもはっきりは打ち出しておりません。実験的にやるような情勢ができればぜひやりたいという程度のことでございます。
  54. 生駒譲

    生駒参考人 加入者募集につきまして、自主放送を条件にしているのではないかといった御質問だったと思いますが、私どものほうではそれはいたしておりません。ただし、将来こういうところができますとか、可能性の問題として、あるいは自動防犯ベルとか、自動警報装置だとかもできるようになりますよといったことは言っておりますけれども、それは将来の可能性としてであって、条件としておりません。  それから自主放送の実施につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますので、省略させていただきます。
  55. 中野明

    ○中野(明)委員 結局、先ほどからの質疑にもありましたように、難視を解消する、いわゆる再送信だけならば、NHK並びに民放にもっともっと力を入れていくという方向が好ましいのではないかというふうに私も思うわけであります。  若葉さんに一点だけお願いをしたいのですが、先ほど生駒さんのお話にもありましたが、同じ町内でアンテナを立てただけで見える人との不公平ということがあるので、なるたけ経費を安くしたいということから、できるだけ利子の補給とか、難視解消に金を集める方法という御意見も述べておられましたが、鈴蘭台地区と申しますか、現在若葉さんの地域で、NHK受信料と、そして加入者は、いわゆる京阪神ケーブビジョンに毎月の加入料を払う、二重になっておりますが、それらについての苦情があなたのほうに出てきているような空気と申しますか、そういう意見がいままでにあったでしょうか。また、今後そういう苦情が出てくるのじゃないかというふうに私なりには心配をしているわけですが、その点御意見がありましたらお聞かせいただきたい。
  56. 若葉孝一

    若葉参考人 お答えします。現在のところは納得づくで入れておりますので、いわゆる絵が見えない、そういったことで現在は苦情は出ておりませんが、中には一部苦情者もあります。私もさいぜん申し上げたかったこともそれなんです。何とか応援できぬか。月賦販売もだいぶやりました、テレビの加入を十一回払いにして、二万円のものを二万二千円と、十回払いもやって、あまり多く集め過ぎて、見えぬようになったのですけれども。しかし、やはりテレビを見たいのですわね、悪かったらね。中にはそういった苦情者もあります。それはあると思います。特にけしからぬじゃないか、NHK放送料を払うて、またこれを払わんならぬのかというなにもたくさん出ております。また今度ケーブルビジョンのできた場合にも、五百円——私はいま三百円に押えておりますが、約束ごとで。またそのかわり、これは自主放送ができた時点において五百円ということは皆さんに御承知を願っております。だから、なかなか入りにくいいう点も放送料の高いのも一つのうちに入ってくると思います。私の申し上げたいのは、だからそういったもろもろの——さいぜん先生が三百億も要るじゃないかということもおっしゃりましたが、私はいま三百億出してくれということは言うていないのです。一部でも何らかの方法で、たとえば今度神戸市の場合、ケーブル線を引くときにメーター何ぼかの使用料を取るとか、郵政省も電話線を使用するとき一本につき何ほどかの料金を取るとかいった面も政治的な面で応援をしていただくなれば、だいぶ——私はケーブルビジョンの肩を持つのと違いますよ。要は最終的にわれわれの住民ができるだけ安く、しかも、だれもはいる。見えるところはよろしい。見えないところがたくさんございます。しかもはいれない。それはたくさんあります。神戸の場合、県住が一万九千何ぼ、それがなかなか当たりません。あんなところでもこのごろ二万円、二万五千円という公団住宅ができておりますが、あれとても、少なくとも十万円以上の給料を取らないと、はいれない。共かせぎか何かしないと、はいれない。まして余分な金を——それは余分になります。しかし、余分な金でも、みんなやはりテレビはもし映らなかったら、見たい、これは人情であります。そういったもろもろのことがございますので、私はこの法案に対する賛成とかそういうことはなしに、私は地域住民のためにそういった不公平をなくしていただくということで、それには何らかの方法でひとつ御声援が願えればということでございまして、その点をひとつ考え違いのないように、何もかも全部出してくれとは申し上げておりませんので、その点、ひとつよろしくお願いいたします。
  57. 中野明

    ○中野(明)委員 参考人の方、ありがとうございました。以上で終わります。
  58. 高橋清一郎

    高橋委員長 栗山礼行君。
  59. 栗山礼行

    ○栗山委員 本会議がございまして、たいへんおそおそから御参加をいただいて長時間を拝借いたして、まず非常に恐縮に感じておるわけであります。  御案内のとおり、ちょうどいま逓信委員会でこの法案審議中でございまして、明日、明後日引き続いて審議をいたしてまいらなくちゃならぬということで、皆さんの御貴重な御意見を拝するという機会をいただいて非常に新たな勉強をさしていただきまして、法案に取り組む大きなお力添えをいただいた、かように考えておるわけでございます。まだ同僚があと一人おりまして、皆さんに時間をかけて御意見を伺うというようなことは恐縮でございますので、私は一、二の問題についてお尋ねを申し上げてまいりたい、かように考えております。  私、とっぴな質問の聞き方でありますが、所管の藤木電波監理局長さんはきわめて高名なエンジニアでございます。それから民放の森本参考人技術系統の方である、かように理解をさしていただくのであります。野村参考人はエンジニアとは私は理解をいたしておらないのであります。しかし営業担当の専務理事として博識識見の高い人だ、こういうふうに評価をいたしておりますので、この三人にお伺いをいたしたいのです。  この前提でございますが、地域放送衛星というものが可能な段階に進みつつある、こういうふうに私は承っておるわけでございます。おそらく近代のような技術革新の進歩いたしまする中には、私はそういう方向が必ず実現がされるものだ、こういう観念的な理解をいたしておるわけでありますが、そういたしますと、都市難視有線によります解消策ということがへし飛んでしまいまして、一挙に都市難視の問題も解決するという方向に入れてまいるというそのときが来るのではないか、私はかように考えておるわけです。その時期をいつと見るかということにつきましては残念ながら私の浅学をもちましては理解をできないのでありますが、局長は私のそういう理解について、それはできるという認定をされるかどうか。あるいはまた、あなたの観念的でけっこうでありますけれども、おおむね何年くらいには実現ができるのではないか、こういう抽象的な意味でけっこうでありまして、責任を後日追及いたしませんから、あなたの技術屋としての良心的な態度でひとつ御説明をいただきたい。野村森本参考人にも同様の御意見をちょうだいできましたらけっこうだと、かように考えております。
  60. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。都市難視解消のための地域放送衛星という御質問だと思いますけれども現在放送衛星そのものが、おっしゃいますように開発の方向には向かっておるわけでございますけれども、これでは日本におきましていつごろ実施できるかということになりますと、これは相当むずかしい問題でございまして、おそらくここ十年やそこらには日本ではそういったものはできないであろう、アメリカあたりではおそらく十年くらいたてばある程度のものはできると思います。もちろん、最初の形態といたしましては共同受信的なものができるだろうと思います。それからさらに進めば、各家庭が小さなアンテナで、空からの電波を受けてテレビを楽しむという時代が来るだろうと思います。したがいまして、都市難視ということになりますと、たとえば東京でございますと、テレビのチャンネルが現在でも七つあるということを考えますと、相当な大きな放送衛星というものが必要になるわけでございまして、そういうことから考えましても、悲観的なことを申し上げますけれども、私どもとしましては、ここ十年やそこらでは、わが国におきましては非常にむずかしいというような気がいたしております。
  61. 森本重武

    森本参考人 ただいまの問題についてお答え申し上げます。  まことに申しわけございませんが、実は私昨年の世界宇宙通信会議にも民放連から参加さしていただいたわけでございますが、衛星についてはまことに不勉強でございますので申しわけございませんが、まずこの放送衛星でございますが、御承知のように日本の領土が狭いというようなことから考えまして、日本だけに放送するという衛星というのはたいへんむずかしいことにもなりますし、日本で考えますと、むしろこれは国際放送的な色彩も出てくるというようなことでございまして、現在の放送とはむしろ別個の放送という方向をとるのではないかというふうに考えております。  それですから地域衛星ということは、放送衛星ができましてもだいぶあとになるんではないかというふうに考えておりますが、しかし御承知のように、技術の革新は最近におきまして非常にスピードを増してまいりまして、われわれ技術に携わる人間としてはあまりに早過ぎて参ってしまうというような状況でございますから、案外に早く来るのではないかと思います。しかし、都市難視聴ということに対しましては、これははなはだ卑近な例で申しわけがございませんが、あの太陽ですら日照権の問題があるということでございまして、衛星が上がりましても必ずしも難視聴は、これは大部分は救うことになるかと思いますが、太陽ですら日照権があるということで完全な解決策ではない、こういうふうに考えております。以上。
  62. 野村忠夫

    野村参考人 私、技術者でありませんので、詳しいことはよくわかりませんが、技術的な観点からは私は先立つ陳述で御理解していただきたいと思います。  確かにケーブルテレビジョン以外に都市難視の解消策はないか。一つ考えられることは、先生がおっしゃるような衛星の利用でございます。これから二つ目には、私ども有線でなくて無線でこの問題は解決できないか。衛星につきましては、ただいまの説明のように、日本におきましては十年先かもしれないという事態がございます。ただ、直接受信ではございませんけれども、カナダはテレサットが七二年、つまりことしにカナダ全域に対して宇宙からの通信放送を行ないます。これは中継所を通じての放送でございます。またインドにも教育テレビジョンについてのそういう計画がございます。アメリカの三大ネットワーク、その他アメリカ国内においては放送衛星についての申請がFCCにすでに数件出ております。したがいまして、国際的な技術水準からいえば、案外早い時期にくるかもしれない。しかし、日本の現状では政策的な判断もからまりまして、われわれとしては当分期待しておりません。したがいまして、私どもは今年度のNHK予算で御審議願いましたように、無線によって経費の安い難視聴解消策はないかということで、ただいま千葉県で百ミリワット程度、七百メートルの行動範囲といいますか、到達距離を持ちますようなごく微小電力による中継ということを検討しておりますので、これが実験が成果をあげますれば、辺地にとどまらず、都市においても利用できるのではないかと期待しております。
  63. 栗山礼行

    ○栗山委員 たいへんそれぞれの角度で、いろいろ勉強さしていただきましてありがとうございます。  私の危惧いたしますのは、この問題の法案が、マクロ的に見るかミクロ的に見るか、こういう一つのものの見方がございます。これは長期的に見る場合については、いろいろ先ほどからの御意見を伺っております場合に一つの見方がございます。ただし、そのプロセスをどうするかというなかなか困難な問題等も承ったわけであります。それから、当面のやはり重要な問題といたしましての都市難視という短期的なものの見方をするということでこの法律をながめてまいります場合においては、やはりそういう性格規制ということでものの判断をいたしてまいらなくちゃならぬ、こういうことでございまして、私自身はこういうことを伺いますのについて、こういう技術革新のテンポの早いとき、われわれの想像もし得ないほどそういうふうな進展をいたしておる中において、この問題が膨大な費用をかけるという一つの路線を突っぱって、それが不用になってまいるんだというような事態に進みかねない技術革新あるいは科学技術の進展、こういう事柄も一面私どもは検討を要する問題じゃないか、こういうことでお尋ねを申し上げたようなわけでありまして、この問題はたいへん勉強さしていただきました。  野村参考人にちょっとお尋ねを申し上げますが、この問題はお説のように、言うならいろいろ将来の第三の放送的な性格までこれに期待をされ、またその片りんがうかがわれておる。たとえば、自主放送ということになりますと、そういうふうな第三の放送的分野に突入するということにも理解ができてまいるのじゃないか、私はそういうふうに解釈をいたしておるわけであります。そこに問題の、この法案の時期の尚早論や、それから法案それ自身の性格や、あるいは規制の問題をどうするかというような、なかなか多面的な検討を要さなくちゃならぬという問題等が内在いたしておる、こういうように理解をいたしておるわけなんですが、私があなたにひとつ率直にお伺いをいたします点は、一つは、NHKの現在の放送によります契約行為というきわめてあいまいな形における聴視料が、公共放送たるの唯一の条件という規定をされておるわけなのでありますが、今度の法案の中には、NHKの聴視料の問題、契約行為の問題という一点も法律条文にこれがあらわれてないわけであります。明日当局に質問をいたす点でございますけれども、私が法案を見ました限りにおいては、そういうふうに理解ができるわけなのであります。そこに、将来の公共放送としての契約行為の確実な路線を進んでいけるかどうかということについての私自身は一まつの不安を持つのでありますが、NHKの営業担当の最高責任者である野村さんは、この法案にそういう法的な規制のないことはどういうふうに理解をされておるかということを伺いたいと思います。
  64. 野村忠夫

    野村参考人 NHKの契約につきましては、放送法で明定されております。世上いろいろ議論がありますけれども、私どもは、放送法三十二条というものがあります以上、NHK放送を受信し得る設備を持った方は、受信料は当然支払うというぐあいに理解しております。また、この三十二条の二項でも、郵政大臣が定められた以外には、受信料を免除してはならないという規定が明確に書かれております。したがって、受信料はゆえなくして免除すべきものではございません。当然支払われるものと思っております。したがって、法文上からはこの心配はないのでありますけれども、ただいま諸参考人からの陳述を私ども聞いておりましても、現実にこの事業をやられる方々の意見として、資金が足りない、経営的に非常に困難であるという陳述がなされております。他方、受信者の代表の方々からは、NHK受信料を払った上にまた維持費を払わなければならないのかと苦情があります、こういう意見が陳述されております。実際問題として、いままではNHK受信料を払っておれば、NHKの画面も見られたし、民放の画面はただで見られたという、聴視者には先入観念かございますから、それを見たからといって、さらに追加して維持費を払うのはばからしいという感覚がどうしてもございます。で、法律は今国会であるいは成立するかもしれませんけれども、実際にこのCATVを担当する事業体自体の経営が一挙によくなるとは考えておりません。そのとばっちりがNHKにくるおそれがあります。これはNHKの経営に重大な影響がありますので、その点について何かよい知恵はないだろうかという点を私は陳述したわけでございます。
  65. 栗山礼行

    ○栗山委員 私は、法律上に明記をいたしておらないことについてそう心配ないが、実際問題としての将来にわたる受信料というものの一まつの危惧なしとしない、こういうように理解をいたすのでございます。そこで、必ず将来にわたるそういう問題が発生し得るであろうということは、もうきわめて当然な常識論になってまいるのじゃないか、こういうふうに考えましてお伺いをいたしました。この問題はこの程度でとどめてまいります。あすはまた、法制上の問題のあり方としてこの問題はどうされるかということでひとつ取り組んでまいりたい、かように考えて、きょうあえて藤木さんに御答弁をいただくということは避けてまいりたいと、こう考えております。  それから難視の問題ですが、都市難視の問題について先ほど野村さんのお話を伺っておりまして、このCATV地域内におきましても、難視解消ということはNHKの持つ普遍の義務である、したがって、その区域内においても難視解消については、NHKを核として、できれば民放等の協力を求めて解消の方向に努力をいたしてまいりたい、私はそういうふうなあなたの御意見であったやに承ったのであります。森本さんの御意見について、私は若干聞き取れにくかったのでありますが、あまり頭が強いことございませんから、間違えましたらお許しをいただきたいのでありますが、まあNHKさんは、そういうような法定上の規制もあるし、それから聴視料を取って御商売されておる、てまえのほうは聴視料を取っておらないんだ、したがって、そういう難視の解消に、いろいろ施設をしてまいるということはいかがなものかと、こういうようにていよく資質の相違という点でお話しになったように思うのです。私自身は、率直に申し上げまして、それはそういう公共放送とそれから民放との相違点が明らかに性格にあることを認めておるわけでありますけれども、しかし民放といえども国民の波を活用していわゆる広告放送をされておる、そうして御商売をされておるんだ、御商売をされておる限りにおいてはいいものを見せ、いい波で視聴率を高めてまいるということが直接間接の営業の基本でなければならぬ、こういうふうに考えまするときに、あなたの御意見について、私の受けとめ方がちょっとどうか知れませんけれども、これはまことに暴論にふさわしいような御意見をひとつ承るじゃないか、こういうふうな激憤を私は若いものでありますから感じたのでありまして、間違えましたらお許しをいただかなくちゃならぬ。私は、たとえば山間とか、あるいは特殊な地域についての共同受信施設というような問題について、その地域の負担の問題あるいはNHKが負担する、そうして民放もそれに乗っかって共同受信施設の問題等にも参画されておらないとは理解をいたしておらないのでありまして、当然なる責務の一端として進めておられる、ただ、問題が険しい、これから起きてくる都市難視という膨大な要請に、民放の位置づけというものはどうあるべきか、こういう問題については私は理解ができるのでありますけれども、やはり民放も国民の財産を活用して、しかもその上に、広告放送業者としての社会的倫理と道義と責任性というものを忘れられちゃたいへん困るのじゃないか、私はこういうことで御意見をお伺いいたすのであります。これは森本さんから再度私のお尋ねにお答えをいただきたい。  それから野村さんに、もし民放がやらなければ、この地域内でもNHK自身がみずから責任をもってこれは取り組むべきだ、こういう公式論でありますけれども、その姿勢と、そういう責務が存するというように私は理解をいたすのでありますが、森本さんの御意見を徴しまして、引き続いて、万一民放さんがお逃げになった場合において、NHKさんは、その地域内についても難視の問題はおれのところがひとつそれに介入して解消への方向に進んでまいる、こういう勇断がおありであるかどうかということをお伺い申し上げておる。
  66. 森本重武

    森本参考人 ただいまの問題についてお答えをいたしたいと思います。  栗山先生の御意見は、まことにもっともでございまして、われわれ民放といたしましても、難視聴の解消につきましては、いろいろ苦心をしてやっておる次第でございますが、民放には経営の限度というものがございまして、それを危うくするというようなところまでは手が出しにくいということを申し上げまして、栗山先生の御説はよく体しまして、難視聴の解消にも今後も努力していくつもりでございますが、経営の限度、特に現在におきましては、テレビ業界の将来というものが、見通しはあまり明るくないという時点でございますので、なかなかそこは慎重な点を要するというふうに感じます。それですから、先ほどNHK参考人からお話のございましたような、すばらしい難視聴解消用の電波を出す機械というようなものについても、よく拝見さしていただいて、そういうものを利用さしていただくならば利用して、なるべく難視聴を狭くして、この解消に努力していきたい、こういうふうに考えております。  ただ、都市の難視聴につきましては、NHKさんがそういうふうにやられるといったことは、たとえてみますと、TCVとか、KCVというようなものが一応任務を負っておる。その中で先ほども陳述がございましたように、ビル陰だけ部分的に食い荒らしと言っては語弊がございますが、そういうふうなことになりますと、将来のりっぱなCATV網というものの発展を阻害するのではないかというような気がいたしますので、むしろNHKさんもこれに協力して、難視聴の解消に当たられるのが、将来を考えて正しい方向ではないかと思います。以上。
  67. 野村忠夫

    野村参考人 お答えいたします。難視聴解消について、僻地の場合の共同受信施設、いわゆるCATVという問題につきましては、御承知のように、NHKが幹線部分を持ちまして、地元民との間で組合をつくってテレビが見えるようにしております。この場合には民放も当然見えるようにするという御要望がございますので、民放を受けるアンテナという部分だけを地元の民放にまずお話ししまして、御負担願えれば御負担していただく。しかし、それもなかなからちがあかない、できるだけ見たいのだということであれば、それはたいした金額ではございませんので、地元民が庭先から自宅の居間までつなぐ、いわゆる引き込み線の経費その他をひっくるめまして大体五千円程度負担していただいて、民放もNHKも両方見られるように設備しております。  それから都市につきましては、ただいま財団法人の、たとえば東京には東京テレビジョンの会社ができておりますが、これに対してNHKは難視聴解消のための一環として参加して、できるだけ事業活動を活発にやっていただきたいと期待して参加したわけでございます。しかし、現実はなかなか活動できないという状態がございます。それにはいろいろと当然のような理由もございます。しかし、聴視者のほうは、それを待っておられません。CATV事業区域内であっても、テレビが見えないという苦情が参ります。私ども先ほどからるる申し上げておりますように、難視聴解消を至上命令として活動しておりますので、それに対してこたえなければならないわけであります。これがこたえられるように、今回の法案においても御考慮を願いたい。ただいま民放連参考人からは、そういう虫食い的に、部分的に施設をされてしまうと、将来のCATVの全体的な事業にいろいろ差しさわりがあるという御意見がございましたけれども、私どもはその意見も当然とは思いますけれども、現状においては、そういう事業体のことを考える前に、テレビが見たいという聴視者の意向をまず第一に考えたい。聴視者の利益に立って事業を進めなければならぬ、かように考えております。
  68. 栗山礼行

    ○栗山委員 たいへん恐縮ですが、関連いたしまして、野村参考人に……。  まあ大体NHKの意思の存するところがわかりました。私自身も、難視が一このケーブルの一つ実態、現状、将来の展望をいたしてみるときに、当面の難視なんて解消できっこない。ナンセンスなんです。それはもう良識の問題なんで、もしそれが当面難視の解消を主目的とするということであれば、私は一つのナンセンスだ、かように理解をしておるので、あえてNHKさんの御意見はいかがなものか、こういうことを申し上げたのでありますが、かりに民放さんの協力が得られない、諸般の経済状況で、精神的な条件は理解できても、実際的に、ついていけないというようなことで、NHKさんがそういうように義務づけられておるし、公共放送立場から難視の解消に熱意と努力をささげられる。これに賛意を惜しむものではないけれども、遺憾ながら、ないものは出せないのだ、こういう事態がございますときに、あなたのほうがやられるかどうかということの決意を伺ったのと、もう一つは、私は手段があると思うのです。もし将来、この有線放送発展して、経済的な分野まで確立するということになれば、その施設というものを適正にそれは譲渡するという意思があれば、これまた一つの問題の将来的な解決の方向になっていくのじゃないかと思うのでありますが、これは仮定の問題でありますけれども、その点についてのあなたの御意見はいかがですか。
  69. 野村忠夫

    野村参考人 都市難視の解消につきましては、私ども共同受信施設をつくります。まず原因者があれば、原因者の方に負担していただく。あるいは原因者がわからない場合には、私ども技術的にいろいろと協力いたしまして、できるだけ解決いたしております。その場合に、たとえば四十七年度予算におきましても、都市難視解消のために、受信料二億円を使っております。この二億円というものが、将来生かされるかどうかという問題でございます。私どもは、この二億円といえども、これは受信者のお金でございますから、理由なくして捨てるわけにはまいりませんけれども、しかし、おっしゃるように、都市難視業務区域でありながら、CATV事業者がなかなか手をつけない、しかし、聴視者からは催促がある、その場合に、NHK受信料からさいて施設をつくって、その施設をつくった場合、将来その施設CATV事業者事業として合体できるかどうかというような御質問だと思いますけれども、先生の御示唆はたいへん有益であると思いますので、当然われわれとしては検討しなければならない問題だと思っております。
  70. 栗山礼行

    ○栗山委員 最後に、野村さんばかりを引っぱり出して悪いのであるが、NHKにこの法案が重要な関連性を存するということが、私の基本認識の一つでございますので、ごしんぼうをいただかなくちゃならぬと思うのですが、非常に野村さんは、私と違って巧妙に表現されておるのであるが、問題は、この法案の性格規制というものが、難視の解消ということを重点として、この法の一つ規定をいたすべきだ、私はこう考えておるのでありますが、野村さんの御意見はいかがでしょうか。
  71. 野村忠夫

    野村参考人 先生の御意見は、現実を見ます場合には、まさにそのとおりであると思います。ただ、私どもこの法案を読みますと、法案目的あるいは要綱案の趣旨から考えますと、やはり将来のCATV可能性というものを踏んまえた上で法案をつくっていらっしゃいます。将来についてはいろいろと技術も進歩し、社会情勢も変わりますので、本格的なCATV法案というものは相当また変わった形でできなければならないと思います。五百八十万世帯をかかえているアメリカですら、CATV法案というものはまだなかなか難産でございます。それほど大きな問題がございます。したがいまして、先生のおっしゃるように、現状では確かに難視聴解消ということを踏んまえておりますけれども、この法案自体はそこに徹しておりません。ある意味では中間的な法案でございます。したがいまして、私どもは一応この法案の成立を、ただいま申し上げましたような意見を御検討いただいて成立さしていただいた上で、さらに将来の発展したCATVを考える時点においては、大改正するべき法案だと考えております。
  72. 栗山礼行

    ○栗山委員 私は、それであなたに御質問を打ち切ることにいたしてまいります。ただ、私自身は、未来像があり、将来の長期展望に立って法制化されるということは望ましいのだ、しかし、足元の当面する現状を否定して未来像を掲げるということについては、その法制化が適正な法制化でないという一つの考えからものを判断して御意見を伺った、こういうことでございまして、決して、私は理想主義者でありますから、未来の想像をすることに、法制上におきましても、実際においても、一点としてそれはちゅうちょするものでないのでありますが、そういう前提でこの問題をお話し申し上げた。これは結論的に申し上げますと、私は関西でございまして、京阪神ケーブビジョンの、私は訪れませんけれども、私の友人もその役員に参加いたしておりますことを承知いたしておるのであります。また、東京ケーブルビジョンの問題につきましての経営のお話を伺いましても、いまやパンク寸前でお手上げだということで、新聞協会があなたのほうの性格あるいはいままでの方針、路線の変更を申し出をされておるということが、新聞、しかもこれは新聞協会報によって明らかに示されておる。こういう現状からながめまして、それぞれの問題も自主独立体制ということではなくて、輝かしい未来像と実績をあげておるから、これにテコ入れをしてくれれば、ほんとうに一ペン見てくれ、そして新しい財政的、技術的あるいはその他の援助があるということなら、ほんとうに日本有線放送一つのエポックを画す、こういうふうに自画自賛をされた。私は大阪でございますから、後日ひとつ拝見に参ろうと思っておりますが、率直に申し上げまして、こういうような現状の中で、こういう一つの法制化をいたしてまいりまして、はたして当面する難視解消というものが可能かどうかという大前提がなければ、この法律制定の問題がいかがなものかというような疑問点を私は持つのでありまして、一応御意見をお伺いをいたしましたような次第でございます。私は東京ケーブルの方それからまた阪神ケ−ブルの方についていろいろお尋ね申し上げたいこともございますが、私なりに意見と思慮を持っておるのでありますが、あえて責めることになると思いますので、なかなか容易でないという一つの御苦心を十分推察を申し上げて、法制の審議に入ってまいりたい、かように考えております。  以上で終わります。
  73. 高橋清一郎

    高橋委員長 土橋一吉君。
  74. 土橋一吉

    ○土橋委員 参考人の皆さんはたいへんおそくまでほんとうに御苦労さまでございます。時間がそうたくさんございませんので、ごく簡単に質問をさしていただきたいと存じております。  私は、日本放送協会野村さんにちょっとお尋ねをいたしたいのですが、私も大体あなたと同じようなものの考え方をしておる一人でございます。そこで、都市における難視聴の問題を解決するということはよくわかりますが、この法律をつくって、それでは僻地あるいは島嶼などにおいての難視聴を解消するについてどういう利益があるのか、つまりどういうふうな問題が出てくるかという点を簡単に答えていただきたいと思います。  それから森本さんにお尋ねをしたいのですが、あなたのお話の中でアメリカの例をひかれまして、そうして私は非常に意味深長だと思って聞いたのですが、健全なる発展要望したい、この健全なる発達という内容は、先ほどNHK野村さんがおっしゃったような、あるいはまた新聞関係小川さんがおっしゃったような、そういう諸問題を含んで、いわゆるCATVとして将来健全な発展をしなければならぬというようなことをおっしゃったのかどうか。そこは私よくわかりませんので、その健全なるCATV発展とは一体どういう内容で、どんなことかということを簡単にひとつ教えていただきたい。非常に初歩的ですが、お願いしたいと思うのであります。  三番目に、小川さんにお尋ねを申し上げたいのですが、あなたの御意見はかなりすばりと言われておるわけです。私もあなたの御意見には非常に賛成するものが多いわけです。そこで、特に私が心配しておるのは、この法案が出てまいりますと、つまり、再送信などをいたしましても、率直に申しまして、一つのケーブルでいま二十チャンネルといわれております。もしこれを相互つけてまいりますと四十チャンネル、そうするとたいへんなあきのチャンネルができる。私は言論の自由という問題に関して放送法規定を見ますと、たとえば放送業者となろうとする者は、というふうにして、この放送業者というのは、非常に放送法規定の制限を受けるわけです。第一条とか、あるいは三条であるとか、あるいは四十四条の三項、四項といったような制限を非常に受けるわけで、法律で中立性とか、不偏不党性ということがうたわれておるわけです。ところが、それだけのチャンネルがあるところへもっていって、なぜ一体そういう制限をしなければならぬのか。むしろ自由に、たとえば農協の代表なら代表の諸君の、いま食管の問題にしましても、政府の作付面積制限の問題にしても、おれは反対だ、そういう農民の声、あるいは労働者の大幅賃上げの問題についても、どんどん要求する、あるいは中小企業者の金融面なりにいたしましても、あるいは文化人の方々のいろいろな文化施設の要求、あるいは公害で悩んでいる諸君、川崎とか四日市であるとか、全国至るところのそういう諸君の声を自由に放送させる、つまり言論の自由を憲法第二十一条によって保障さすという体制がないわけです。全然ないわけですよ。ただ放送法規定の業者としてやらせるだけであって、自由に、たとえば共産主義を宣伝するというようなことをやらせない、自由民主党は自由民主党の政策を発表したらいいわけなんだ。この有線テレビでは、そういうチャンネルがあるにもかかわらずそういうことをやらせようとしないという問題が一つある。  この問題は、結局放送局が現在背負っておるところの中立性という問題と非常に問題があって、むずかしい問題があるけれども、私はあなたの御意見にそういう点は全く賛成なんです。これは全く中途はんぱなんですよ。国民が飛び込んでいって自由に放送できないわけだ。放送業者という網をかぶせてしまうわけだ。そうするとこの放送業者は、つまり放送法規定によって、不偏不党で中立性だとかなんとか、そういう制限を受けてしまって、自由に共産主義の宣伝もできない、あるいは自由民主党自身が出ていって、自分も宣伝ができない、全くぬるま湯のような状態でこれが続けていかれるということは、これは野村さんがおっしゃったとおりなんで、そういうことをねらいとしておるということであって、きわめて中途はんぱな法律であるわけです。新聞だってそうでしょう。新聞だって、業界新聞から、おたくのような大きい新聞、小さい新聞、いろいろ、みんな自由に発言をさしておるわけです。それをなぜこういう規定でやらせないかというふうなかまえ方をしておるかというところに、憲法第二十一条の規定をこの放送法規定CATVは全く無視をしておるといわざるを得ない。そういう力があるにかかわらずこれを活用させないというところに、この自由民主党が出してきたこの法律の反動性があるというふうに私は理解しておるのですよ。そこら辺をひとつ簡単に答えていただきたいわけです。
  75. 野村忠夫

    野村参考人 最初の御質問にお答えいたします。  本法案が成立しますと、いままでいろいろとこんがらっていた議論が整理されると私は思います。そういたしますと、たとえば私どもの難視聴の解消という問題も、僻地におきましても都市におきましても、陳述しましたような意見法文に取り入れるか、もしくは運用上考慮されていただければ、非常に難視聴解消の促進に役立つと考えております。
  76. 森本重武

    森本参考人 では、土橋先生の御質問に対してお答えをいたしたいと思います。  まず最初の、健全なる発達ということでございますが、これはどういう趣旨で先生が御質問になっているのか十分に把握はできませんが、私が申し上げました趣旨は、第一は、現在これだけ盛大になっております放送と、それから今後発展を期待されますCATVとの間の共存共栄発達していくということが、健全なる発達一つと考えておりますし、それからもう一つCATV自身につきましては、先ほど来論議がございますように、将来の情報化時代に備えて、間違いなくあるいは非常にそれに入りやすいような体制でもって進んでいくというふうに考えるのが健全な発達だ、こういうふうに存ずるわけでございます。  それからもう一つ規制の面でございますが、これは、民放といたしましては前々申し述べておりますように、なるべく自律という点でやっていきたいというふうに考えておりますが、先ほどいろいろのチャンネルがたくさんあるではないかというようなお話でございましたけれども、しかし、このCATVというのは非常にばく大な資金も要しますし、それから、場合によれば加入者の負担もあるというようなことで、ある程度地域的に独占にはなるという結論になると思いますが、そういうものに対してはある程度の規制はやむを得ぬではないか、こういうふうに考えております。以上。
  77. 小川光男

    小川参考人 お答えいたします。まあ、私の発言がずばりとしている、今度のお答えがずばりといけるかどうか、私必ずしも自信がないのでございますけれども、チャンネルが無限であるというようなことは、かねがねCATVについてはいわれております。しかしながら、現実にチャンネルが無限であるかどうかというところに実は一つ問題がございます。チャンネルの数を多くするためには、それだけに高性能の増幅器を使わなければなりません。そういたしますと、それだけにコストがかさみます。そういたしますと、事業としてそれだけコス上局のものを使って採算が合う運営ができるかどうかというような問題が一つございます。その例で申しますと、NHK辺地共聴のやつは非常にチャンネル数が少なくなっております。これに反しまして、TCVの場合にはチャンネル数をわりあい多くとっております。したがいまして、設計に多くの経費がかかり建設費がかさむというような結果になっております。  そういう現実面を考えねばなりませんので、ただ観念的にチャンネルが無限である、無限であるものを自由に使わないのはおかしいではないか、これは観念的にはそうはなるのでございますが、実際的にはなかなかそうまいらないところに私どものつらいところが実はございます。  それから、共産党の宣伝もするのは自由じゃないか、こういう制限的なものをつくったのは自民党の陰謀じゃないかというふうなあれでございますが、まあ、自民党の陰謀というのは、これはまあ私よくわかりませんけれども、まあ、実は、これはここにNHK、民放の方々おいでになりますので、非常に申し上げにくいのでございますけれども新聞は現在新聞紙法というものがございません。したがいまして、一切の表現は自由でございます。しかしながら、自由には自由に伴う自制が必要でございます。したがいまして、私どものほうでは、報道がはたして真実に合致しているか、社会の福祉に合致しているか、公共の安寧を傷つけるものではないのか、常にそういうところを考えながらやっている次第でございまして、チャンネルが多いから、何が何でもかってにやっていいのだ、新聞紙法がないから何が何でもかってにやっていいのだというわけにはまいらないところにまたつらいところがございます。  ただ、現在の放送そのものにつきましては実はいろいろ問題がございまして、これは私が申しておるわけではございませんけれども、たとえば、これは申しにくいのでございますが、NHKのニュースが一番困った番組だとかいうのは、まあいろいろのあれが加わるというようなニュアンスも、これもやはり放送法の現在の規制の中から、放送というものが免許事業であるために起こってくる批判であるかもしれません。私そういう話を聞くというだけで、私がそう思っているんだというふうにとられては困るのでございますが、そういうようなこともあるいはあるのかもしれません。したがいまして、CATVにつきまして同じような規制を加えるということが表現の自由を害するではないかというふうなお話でございますけれども、じゃ、しからば現在の、現実的に申しまして郵政省の立場といたしまして、放送のワクを越えていろんなことをできるのかというような問題が、郵政省の立場からすればまたあり得るであろうというふうに思います。したがいまして、原理原則といたしましては、表現の自由、何をやっても自由なんだということはいえるにいたしましても、やはり現実というものがなかなかきびしいのだ。このきびしい現実の中において、われわれは常に自制をもって言論の自由を戦い取っていかなければならない。したがいまして、このCATV法案における放送法の準用、そういうものについても、私どもの間においてもいろいろ議論はございました。議論はございましたけれども、じゃ、これけしからぬから全部やめだというのがいいかどうかというふうな価値判断の問題も、またあったことをつけ加えておきたいと思います。  十分なお答えになったかどうかわかりませんが……。
  78. 土橋一吉

    ○土橋委員 最後に私は、もう一回、それじゃ、あなたにちょっとお尋をしたいのですが、もう時間がございませんので……。  私は、自由かってに何でもやれということを言っておるのじゃないのです。それは新聞には新聞紙法がございますし、放送局にはいま電波が非常に僅少であって、やたらめたらな放送をしてはいかぬということで、NHKはそういうふうな規制を受けておるわけなんです。しかしながら、その規制というのは、やはりこの電波法規定あるいは放送法規定のワクの中で、それは各政党も呼ばれるし、各代表の皆さんもそれぞれ意見を述べる、そういうことは認められておるわけですね。しかし、御自分自身で積極的に主張したいということになってくると、どうしても十三条のこの規定放送業者ということにされてしまうわけですね。ところが、この放送業者とは一体何ものだということを聞いてみても、これは国民でございますと、こういう答弁になっておる。それじゃ、国民は自由に放送できるというように規定したらいいじゃないかと言えば、いや、そうするとぐあいが悪いんだというので、放送業者となろうとする者は、という。だから、私がこれからあきチャンネルがあって申し込む場合には、放送業者になるわけですね。ところが、私はこの主張だけしたいというような国民の願いを、やはりこの今度のCATVでは認めていないわけです。こういう点を私は率直に申し上げたことであって、何でもかんでもやってもいいと、そういうことじゃなかったわけなんです。つまり、憲法第二十一条で保障して、そして自分が責任を負うことのできる内容放送はどんどんできる体制をとってもらいたいとものだということであるわけですから、そこのところをひとつ……。  たいへんどうもあれでしたのですが、野村さんにもう一つ私は聞いて終わりにしたいと思います。  いまあなたのお話でございますと、私よく聞き取れなかったのですが、都市の難視聴の解消にはかなり、二億円もかけまして御努力願っておるわけです。しかし僻地においては、この法案をつくっても何の関係もないではないかというふうに、私はむしろ、この法案をすることによっていろいろな規制を受けるのじゃなかろうか。たとえば施行法の規定では、三百世帯以下は問題にならないというふうになっておるのですね。三百をちょっとでもこえれば、どうしてもこの規制を受けなければいかぬ。NHKもおそらくこれで規制を受けなければいかぬ。そういう利害はどうかということを聞いておったわけなんです。
  79. 野村忠夫

    野村参考人 質問を取り違えて申しわけありませんでした。  今年度の予算で難視聴改善に、二億円を都市難視、二十二億円を僻地、離島その他についてかけております。私ども現実に無線による中継、大体二、三百以上の世帯は無線によるサテライトで求済する。しかし、二百以下は共聴施設でこれを求済するというたてまえで、現実に来年度も一千世帯というものを共聴でつくることになっております。陳述でも申し上げましたように、そういう非営利かつテレビの再送信だけを目的として地元民の要望に応ずる点については、この法律による規制ができるだけないほうがいい、そういうたてまえで意見を申し上げました。しかし、これがどうしても現状どおり届け出というようなかっこうでできますれば、運用面で、行政面で自由に地元民の要望が早急に実現できるように御措置を当局にお願いしたい、かように考えております。
  80. 土橋一吉

    ○土橋委員 終わります。
  81. 高橋清一郎

    高橋委員長 この際、参考人各位に一言御礼申し上げます。  本日は長時間にわたり、貴重な御意見を承りまことにありがとうございました。本案審査参考に資するところ、大いなるものがあったと存じます。本委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。たいへん御苦労さまでした。  次回は明二十四日午前十時理事会、十時十五分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時二分散会