○
廣瀬国務大臣 放送行政におきまして、難
視聴地区の
解消ということは最も大きな課題であることを私はかねがね信念といたしておるわけでございまして、その点では全く中野
委員と同感でございます。
山間僻地で六十数万、
都市で三十数万、これは
NHKだけでございますが、
民間放送におきましてはもう少し大きい、おそらく倍に近い
難視の地区があるのじゃないかというふうに推測いたしておるわけでございますけれ
ども、まあこういうような地区から苦情が出ようが出まいが、もっぱら難
視聴地区の
解消に進んでいくというようなあり方でなくちゃならないと私
ども考えております。しかし、その行政を進めてまいるについては、ただいまも
お話ありましたように、その数の中におきましても、実際的に苦情のあります地域を把握するということが、これはきわめて肝要なことだと存じておりますので、そういう方面につきましては今後努力してまいりたい、こういうように
考えております。
そこで難
視聴地区の
解消の問題でございますが、いま御指摘のように、
NHKについては、まあ普及
義務が法定されておりまして、難
視聴地区を
解消していかなくちゃならない、これが
義務づけられておるわけでございますが、民放においてはそういうことがないわけでございますけれ
ども、ただいま
お話しのように、
電波は
国民共有のものであるということはまさにそのとおりだと私は思います。したがって、道義的に民放がそういうことをお
考えいただきたいということは、私平素強く主張いたしておりますところでございますが、ただ、実際の問題といたしますと、
NHKはそういう法定をいたしておりますけれ
ども、さらにだんだん聴視者がふえてまいりますと、それだけ料金があがってくるということでございますが、民放におきましては、難
視聴地区が
解消されましても、それが直ちにスポンサーになるというわけのものではないわけでございまして、そこに非常に、
NHKと民放との違いがありますばかりでなく、民放が、最近経済事情が不況だということでなかなか経営がそう豊かでない、余裕がないというような実質面もありますわけでございます。しかし、御指摘のように、
電波が
国民共有のものであるというその道義的観念に立脚いたしまして、難
視聴地区を
解消するということは、
電波を預かって
放送事業をいたしております
放送業者、それが民放業者であろうと、私は強く主張ができる、要請ができる問題だ、かように
考えておるわけでございます。
そういうわけでございますから、絶えず
NHKはもちろん、民放業者に対しましても、難
視聴地区の
解消、これが
国民的な大きな課題でありますよということを主張いたしまして、また、
放送業者の非常に大きな課題でございますよということを強調いたしておるわけでございます。
実は、これはまだ私の個人の
考えでございますけれ
ども、
電波法と
放送法を改正したいという議が数年前からございまして、これはなかなかむずかしい問題でございますから、まだ成案を得るに至っておりませんけれ
ども、その
放送法の改正の
一つの点といたしまして、民放にも普及
義務と申しますか、というようなものをうたったほうがいいのじゃないかという気が私はいたしております。しかし、そうだということになりますと、何らかの財政的な援助と申しますか、そういうようなことも
考えなくちゃならぬということになってくるわけでございまして、そこがきわめて問題でございます。いろいろ
電波監理局のほうで、これはかりの構想でございますけれ
ども、たとえば
事業団というようなものでもつくりまして、民放に難
視聴地区の
解消に対して助成するというようなことも
一つの案じゃないかと思うのでございますけれ
ども、その
事業団、そういう
事業を進めていくということになれば、お金が、収入が必要であるということになってくるわけでありまして、それをどういうような方法で確保するかというようなことで、いま
放送部、江上
放送部長を中心にいろいろ苦慮いたしまして、いろいろ案を立てつつありますけれ
ども、なかなか大きなむずかしい問題である、こういうように
考えておりますわけでございます。