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1972-03-15 第68回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月十五日(水曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 高橋清一郎君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 本名  武君    理事 水野  清君 理事 古川 喜一君    理事 樋上 新一君 理事 栗山 礼行君       池田 清志君    宇田 國榮君       小渕 恵三君    佐藤 守良君       坪川 信三君    中村 拓道君       羽田  孜君    林  義郎君       森  喜朗君    阿部喜男君       武部  文君    米田 東吾君       中野  明君    土橋 一吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君  出席政府委員         郵政政務次官  松山千惠子君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君  委員外出席者         文部省社会教育         局視聴覚教育課         長       山中 昌裕君         運輸省航空局飛         行場部長    丸居 幹一君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   松浦 隼雄君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     斎藤  清君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 三月十一日  舞鶴西電報電話局無人化反対に関する陳情書  (第七六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第六号)      ――――◇―――――
  2. 高橋清一郎

    高橋委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  この際、参考人日本放送協会会長前田義徳君から発言を求められておりますので、これを許します。前田会長
  3. 前田義徳

    前田参考人 去る九日の当委員会において、阿部議員の御質問に答えて、参考人として、特に俗人として申し上げた点に関連いたしまして、用語はなはだ妥当を欠くのきらいがあり、同時にまた非常に未熟な表現もございました。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━私としてもじくじといたしております。この点については、当委員会においてしかるべき御処理お願い申し上げて、はなはだ簡単でございますが、私の真意を率直に表明申し上げる次第でございます。
  4. 高橋清一郎

    高橋委員長 ただいま前田参考人から、去る九日の委員会における同君の発言中、不適当な部分について取り消したい旨の発言がありましたので、委員長において後刻、速記録を調べまして、その部分会議録から削除いたしたいと存じますので、御了承願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  5. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ただいま参考人前田会長から、先般の委員会における参考人としての意見の中に、穏当を欠くものがあったので、しかるべき措置を願いたいというお話がございました。会長御自身の自発的な意思に基づくものと、私は理解いたしますが、参考人としてこの委員会で何人にもとらわれない正しい意見を述べることは、私は妥当なことだと考えております。ただ、自発的に、その中で妥当を欠くものがあるとおっしゃるならば、私はそのことに触れる意思はありませんが、もしそうだとすれば、そのときの委員会で、郵政大臣の御答弁の中にも——いま記録を読み上げますと、「まあこういうことを申し上げてはどうかと思いますけれども自民党与党通信部会あるいは政調会あるいは総務会の儀を経て、十分入念与党皆さんの御同意をいただいて出したわけでございますから、郵政大臣が奇怪千万だと言えば、何だか自民党を誹謗しているようなことにも受け取れるわけでございまして」と、こういう郵政大臣の御答弁もたしかいただいております。自民党が党内でどのような手続をされるか、これはまた自民党の自由な措置だと思いますけれども、その自民党の党の決定があるからといって、参考人意見を制約するようなことになると、これは言論の府である国会としてはきわめて遺憾なことだと私は思います。したがって、この点について、郵政大臣もまた釈明の余地があるのではないかという気もいたしますので、もしそうでございますならば、それも剛かしていただきたいと思います。
  6. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 あのときも、ただいま阿部先生御指摘のように「こういうことを申し上げてはどうかと思いますけれども」と前置きいたしまして、特に注意して出し上げたつもりでございますが、委員会の席上で与党のことを強調するのは適切ではなかったと恐縮いたしております。どうぞよろしく御解釈いただきまして、御審議のほどお願い申し上げます。
  7. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵政大臣並びに前田会長釈明、そういうものは自発的な御意思に基づくものとして、私は少なくともこの委員会の場がいろいろな要素によって自由な発言が拘束されるものではないということを確認して、了承いたします。
  8. 高橋清一郎

  9. 栗山礼行

    栗山委員 きょうは私、委員部を通じまして運輸省航空局の方の御参加をいただくことを要請いたしておいたのでありますが、お越しをいただいておりますか。——冒頭お尋ねを申し上げてまいりたいと思います。  昨年の末に、大阪国際空港受信障害に対しまして、十六市を中心にいたします電波公害及び障害排除の問題、なお、それに関連いたしましてNHK受信料不払い同盟、こういうふうな問題が自治体を中心に進んでまいりましたことは御承知のとおりであります。また、伊丹市議会におきましてもこの問題を支援いたしまして、関係当局にすみやかにそういう電波公害に対する排除を求める、こういう運動を展開いたしてまいったということに対しまして、当委員会に御出席をいただいて、航空当局の御見解をお伺い申し上げた、こういう経緯があることを御理解をいただけると思うのであります。私は、承りますところによりますと、従来NHKは一定の距離基準を設けまして、そうしてそれの処理をいたします、電波障害による聴視料減免処置をとってまいった、こういうことでございます。これははなはだ、NHK加害者立場におる、障害者立場でない、こういうふうなことから、原因者負担制度というものの方向に取り組むべきではないか、こういうふうな議論を展開いたしました。今回は、原因者負担原則に則りまして、運輸省のほうにそれを肩がわりをしていただいて、みずからそれの負担をする、こういうふうに運びをいただいた、こう理解をいたしておるのでありますが、四十七年度予算というものの内容についてちょっとお伺いをいたしたい、こういうことでございます。  それから第二点の問題、あるいは二、三点ございますが、まず冒頭にあたりまして、運輸省原因者負担原則に則る四十七年度のその負担額は幾らか、こういうことでお尋ね申し上げたい。
  10. 丸居幹一

    丸居説明員 いつかもここの委員会質問を受けましてお約束をいたしましたとおり、NHK負担をしていただいております分をわれわれのほうで肩がわりをしなければならぬというので、その予算が九千三百五十万円になりますが、その分を四十七年度予算に計上して、ただいま御審議をいただいておるところでございます。成立いたしましたら、この中から払っていくようになると思います。
  11. 栗山礼行

    栗山委員 そういたしますと、その金額の算出の基準の根拠というものを御説明いただきたいのですね。
  12. 丸居幹一

    丸居説明員 三空港東京大阪、それから今度新しく板付飛行場福岡空海として当方の二種空港に指定することになっておりますが、その三空港を含めまして受信料の全体の二分の一ということになりますと、一億八千七百万円でございます。それの半分をNHKお願いをいたしておりましたので、それの二分の一の九千三百五十万、そういう計算でございます。
  13. 栗山礼行

    栗山委員 ちょっと私ここでお尋ねを申し上げるのでありますが、半額減免処置をそのまま継承していく、そうして三空港についての大体内容で、その九千何ぼの予算審議を願っておる、こういうことでございますね。この中には伊丹市が入っておりますか。飛行場の拠点でございます伊丹市が予算の中に入っておりますか。
  14. 丸居幹一

    丸居説明員 入ってございます。
  15. 栗山礼行

    栗山委員 それは従来の限られた部分における伊丹市の問題で入っておる、こういう解釈で理解をいたしたいと思うのですが、御承知のとおり伊丹市におきましては、従来の線引きされた距離内容の減額では承知ができない、全市的にこれを免除してもらいたい、こういう連動が伊丹市の運動であります。それの是非の問題は私はしばらく避けることにいたすのでありますけれども、そういうふうな運動推移等をながめてみて、それなりに一つの理由づけがあろうかと思うのでありますから、原因者負担という原則を考える場合、範囲を拡大するということが大きな問題の一つじゃないか。  それから聴視料半額の料金という問題でこと足れりというものではないのでありまして、少なくとも全額免除負担をもって臨むということが筋論でなかろうか、こういう見解を持つのでありますが、その点の御答弁をお伺いしたい。
  16. 丸居幹一

    丸居説明員 二つの御質問のように思います。  一つは、範囲の拡大の問題につきましては、地元からもいろいろ要望が出ておりますし、それからまた、いままでやっておりますのは大体このあたりということでいたしておりましたですが、この間ここで御質問を受けましたときに私そういうふうにお答えを申し上げたと思いますけれどもコンターをかきまして、そしてもう少し正確に騒音被害範囲というものを知って、それに基づいてテレビ受信障害範囲というものを補助していくということにしたいと思いますというお返事を申し上げたと思います。実はそういったコンター、一応ただいまの現状におけるコンターというものはでき上がりましたので、それに基づきまして修正をしていきたいというふうに考えております。ただし、その修正をするにつきましても、いままで払っておりますところを減らしてほかへ持っていくということもなかなかできませんので、むしろふやす、そのかいたコンターの中に入るものはその部分をやはりふやしていくという線で解決していきたいというふうに考えておりまして、ただいま大阪の周辺は五万三千程度対象になっておるわけでございますけれども、これから一万ないし一万五千程度大阪につきましてふやしていくという方向で解決したいというふうに考えております。  それからもう一つ全額免除すべきじゃないかという問題につきましては、私は非常にむずかしい問題をはらんでおるように思いますので、そういうふうに前向きで検討いたしますという返事をここで申し上げることはちょっとできないのでございますけれども、そういった点も十分検討をするようにいたしますけれども、なかなかむずかしいのじゃないかというふうに考えます。  それからもう一つ予算でございますけれども、成立いたしました予算の中で一万五千というのはなかなかむずかしゅうございますので、いろいろくふういたしましてこれらの拡張の部分についても出すようにしていきたいと思っておりますので、とうてい、来年度からかりにどうあろうとも全額免除という方向はむずかしいのじゃないかというふうにいま考えられるのでございます。
  17. 栗山礼行

    栗山委員 時間の関係で私要約をいたしますが、前回もここで私が御質疑を申し上げてその御回答を持っておるわけであります。その事柄から申し上げますと、予算要求の過程の中で処理を求めるべき問題について少し公約違反をされておる点があると思います。  その一つは、やはり高額の予算を要求いたしておるけれども、立ちのきの土地買収ということを最も重要な柱にして取り組んでまいるというようなことが一つであるというようなことで問題の中心を語られております。しかし、私はそのときに申し上げたのでありますが、官公立騒音、それから電波障害ということについての防音処理をされるが、一体民家についてどう対応策を講じてまいるのか、こういう問題等もひとつあわせてやっていかなければ、公的な機関の施設だけを対象にするということは困る。さらに問題は、NHKが悪い波を出しておるというならNHKの責めに帰すべきである、しかし、NHKが通常の波を出しておって、それによる聴視料ということになるのであるが、たまたまそういうふうな電波及び騒音によって阻害される、この事柄によってNHK減免運動や、あるいはまた不払い運動が起きるということについては、これはその運動自体がゆがんだ運動ではないかということと、当局側としてはやはり原因者責任制度の体制を確立してこれに対応されることが望ましい、こういうことについての私の質問を大体肯定されまして、そのような形において善処してまいる、こういうようなのが内容であったと承知をいたすわけであります、一々読みはしませんけれども、そうしますと、いまの御答弁とちょっと合わないのではないか。やはり責任者原因主義ということを明確にしていくと、もっと抜本的に——聴視料の問題については、これはもう全く意味をなさないのですから、半額だということでなくて、これは当然全額という問題になっていく。それから範囲の問題も、いままでよりジェット機の回数が非常にふえておりまして、回数を減らすとかいろんなことを言うておられるのでありますが、たとえば夜間のいこいの一ときには発着率を減少するということも応急対策一つでございましょうが、それほど深刻な家庭悲劇、あるいはいこいの場というものをなくしておる、こういう一つ現状から見ましたら、私は少なくとも原因責任制度立場において、公害排除の問題と、それからそれの被害を受けておるところ、大きなところと小さなところという問題の相違点がございましょう。しかし、隣までは半分減免されて、隣のほうは線引きによって同一の条件を払っていかなくちゃならぬ、こういうところに非常に矛盾がある。かくてこれはNHK不払い同盟という運動がだんだんエスカレートいたしてまいるという内容を持つものじゃないか、こういうふうに考えまするときに、抜本的に運輸省は、環境庁との関連はありますけれども、こういう原因が明確になった場合、その原因責任者負担処理行為というものを貫くという原則の上に、議論の展開と方向を進めてもらうということが筋論でないか、私はこういうふうに思えてならないのです。もう少し良識的あるいは建設的な御答弁を願いたい、かように考えます。いかがですか。
  18. 丸居幹一

    丸居説明員 前回委員会NHKの分につきまして、われわれのほうに責任があるので、こちらのほうで肩がわりするということを申し上げましたのは、実は半額免除のその半額NHKで持っていただいておる、しかし、NHK電波が悪いのではなしに、やはり飛行機が悪いのだ、飛行機騒音のためにその見えが悪くなっておるのだから、その原因はなるほど飛行機側にあります。したがって、われわれのほうでNHK負担していただく理由は乏しいから、それはこちらでひとつ肩がわりをさしていただきますということを約束申し上げたつもりであったのでありますけれども、実は全額という意味ではなかったのでございます。それは、全額につきましては、私なかなかむずかしい問題があるのじゃないかと思いますので、ひとつ検討さしていただくことにして、きょうの答弁はこれでごかんべんいただきたいと思うのでございます。
  19. 栗山礼行

    栗山委員 予算が計上されたことでございますし、すでにおそかりし問題でございますが、しかし将来にわたって、来年度の予算等もございますし、この問題は非常に深刻な一つ状況下に発展いたしておるということを銘記をされて、そしてひとつ電波障害に対する抜本策、防止という方向に力点を置いてもらう。NHK半額とかあるいは免除というようなものは付随的な条件で、びんたを食わされたということについて、何か半額じゃなくて、おみやげがついたものが、NHKに払うべきものをこういう状態では払えない、こういう問題に付随的要素としてものをながめてみることがいいのじゃないか。そういたしますと、やはり根本の抜本策をとっていただかなくてはならぬ、こういうことに相なろうかと思うので、この問題についてはこれでとどめておきますけれども、依然として伊丹市で全市にわたって全免運動が展開されておるという事実を心して御承認をいただいて御検討願いたい、かように考えております。この問題はこれで打ち切ります。ありがとうございました。  それから、NHKさんにちょっと関連いたしまして伺ってまいりたいわけであります。この間も伊丹関係者陳情に参りまして話を伺ったのでありますが、いろいろ不満は持っておるのでありますが、しかし、NHKの置かれた条件も十分了承できる、ただし、得をしたのはNHKさんだけじゃないか、こういうことでわれわれは電波障害を受けて、見るべきものの恩恵に浴しておらぬ、NHKさんはこういうことを心して将来にわたる努力をしてもらわなければ、食い逃げだということでは、公共放送たるNHKがそれでは済まないのじゃないか。その点は一ぺん、委員会の機会があれば、NHK姿勢やそういう善意な態度を伺ってくれ、こういうふうな陳情がございました。私はもっともな点だと思いますから、これに関連いたしましてNHKの御意見を伺っておきたい、かように考えます。
  20. 前田義徳

    前田参考人 前回の当委員会で、栗山先生の御質問、御意見との関連で申し述べましたように、たてまえとしてNHK被害者である、しかしながら、聴視者との関係ではNHKは直接結びついているものである、したがってNHKとしては技術面で、あるいはその他のいろいろな場面で聴視者と直結して、聴視者の悩みを解消するあらゆる努力を払うということは、今日も依然変わっておりません。
  21. 栗山礼行

    栗山委員 ぜひさような姿勢を貫いていただくことをひとつ重ねてお願いを申し上げておきます。  次に、NHKのほうに、難視聴地域解消の問題について簡単にお尋ね申し上げておきたいと思います。NHKの難視聴地域解消は、最重点としていろいろ施策を運んでおられることについて了承いたしておるわけですが、全国各地山間僻地には、まだ相当の難視聴地域というものが存在いたしておる、こういうふうに理解をいたしておるわけですが、難視聴地域はいま山間僻地にどの程度残っておるか、世帯数お尋ねを申し上げたい。
  22. 松浦隼雄

    松浦参考人 四十六年度、本年度の末におきまして、全国で約六十二万世帯でございます。
  23. 栗山礼行

    栗山委員 四十七年度は、この難視聴地域の積極的な解消策を最重点施策としてはかってまいる計画だということで過般御説明を拝したと思うのであります。二つの方法で、中継局の設置の問題と共同受信施設というようなことで取り組んでまいる、こういうことであろうかと思いますが、この区分の世帯数の問題をちょっと御説明いただきたい。
  24. 松浦隼雄

    松浦参考人 四十七年度におきましては、いわゆるテレビジョン中継局、これを二百二十局完成いたしまして、これによって七万五千世帯余り解消いたします。それから、いわゆる辺地の共同受信施設を千施設建設いたしまして、これによって七万一千世帯解消する計画でございます。なお、この一つ方式以外の方式についても、目下開発を進めております。
  25. 栗山礼行

    栗山委員 難視聴解消年次別計画といいますか、五十一年度までの長期構想があるやに伺っておるのでありますが、もし五十一年度までの解消の長期的な構想があれば、お聞かせをいただきたい。
  26. 松浦隼雄

    松浦参考人 これは構想でございますので、一応の計画数字ということで申し上げさしていただきます。  現在のやり方である二つ方式テレビジョンサテライト局建設、これを五十一年までに四十七年度を含めまして七百四十局をやりたい。それによって約十八万の解消をはかる。それから共同受信施設、同じく四十七年度から五十一年までに四千六百施設建設し、これによって二十八万の解消をはかる。合計で四十六万の解消をはかりたいというふうに考えております。そのときの日本の総世帯数大体三千三百万と推定されますので、九九・五%までは解消できるというふうに考えております。
  27. 栗山礼行

    栗山委員 大体以上で五十一年度までの解消率の問題について理解をさしていただいたのでありますが、依然としてやはり残ってまいる、こういうことですね。その問題はどうなんですか。NHKの本来の使命であるというふうに考えておりますが、完全解消という方策のもとにお運びになるのか、あるいは建設経費との関連において、一つの限界というものがあるのか、この点はどういう基本的な認識をお持ちになっていらっしゃるのか、お伺いいたしておきたい。
  28. 前田義徳

    前田参考人 私どもとしては、われわれの目標とする理想は、一〇〇%の解消であります。ただ、これについては、いままでの方式で捕捉し得ない問題が出てくるかと考えますので、新しい技術開発をも心がけていく。したがいまして、理想的には一〇〇%解消であって、それを財政的に調整するというような気持ちは持っておりません。
  29. 栗山礼行

    栗山委員 四十七年度の難視聴解消経費というものは、人件費を含めてどの程度計上されておるのですか。
  30. 松浦隼雄

    松浦参考人 総額で申しまして百一億強でございます。
  31. 栗山礼行

    栗山委員 前田会長構想がきわめて望ましいビジョンであり、その理想実現への意欲を推進を願うと、こういうことでありますけれども、一歩考えてみますと、あまり建設投資というもののウエートが高まってまいりますと、NHKの一般の財政に影響をするという相関関係の問題が進んでまいるものじゃないかと、こういうふうに考えられるわけなのでありますが、この点はどういう認識をお持ちになっていらっしゃいましょうか。
  32. 前田義徳

    前田参考人 ただいま松浦専務理事がお答え申し上げたのは、人件費を含んでおりません。御質問の趣旨は人件費も含めてということでございますが、人件費を含めるという段になると、ただいま申し上げた数字はさらに大きくなると思います。私どもとしては、財政計画との間で将来の構想をどう実現していくかということにつきましては、将来の建設関連予算あるいは財源は御審議いただいている四十七年度予算ではっきりした態度を打ち出しているように、まず難視聴解消ということに全力を注いでまいりたい。したがって、皆さんの御支援と御理解によって、第一次長期計画以来、全国会館施設はある意味ではほとんど全部が、まあ一部残っておりますが更新されている。今後の目標難視解消にある。したがって、そういう意味で、同時にこれは単なる建設ばかりでなく、技術研究所あるいは現場との関連で、それらの新しい構想技術開発にも全力を注ぎながら、私どもとしては最善の財政配分を行なってまいりたい、このように考えているわけでございます。
  33. 栗山礼行

    栗山委員 主として難視聴地域については、山間僻地だけでなくて、都市化の進展に伴う都市における難視聴という一つ方向がだんだん高まってまいっておる。一例をあげますと、東京で見ますと東京ケーブルビジョンというものも非常に経営難におちいっておる。こういう事実はこれをどうながめてまいるか。NHK受信料を取っていらっしゃるのでありますから、東京ケーブルビジョンが行き詰まれば、この面に対するどういう対応策を持って、難視聴解消方策を持って臨むべきか、おのずから使命役割り一つあろうと思うのでありますが、一ぺん具体的にこれらの都市における解消方策についてお伺いを申し上げたい。
  34. 前田義徳

    前田参考人 ここ両三年、当委員会都市難視の問題についてもいろいろと御議論があり、また私ども見解も申し述べ続けてまいっております。現在、根本的な問題は、第七条の解釈を今日の都市難視にも及ぼすのか及ぼさないのかという問題が根本的に、ある意味では一つの問題点を提起しているかと思いますが、私どもとしては、やはり都市難視ということは、放送法制定の当時にはなかった現象でありますが、社会生活の容量が大きくなってくると同時に都市構造が変化してきている、この点について私ども聴視者からお金をちょうだいするというたてまえから申しまして、当然これにも全力を払うべきであるという基礎的な考え方を持っております。  ただ、いま申し上げましたように、この都市難視の問題についてはいろいろな御議論もあり、また特に一部の方々は、NHKの財源が将来逼迫するという予想の中で、都市難視にまでそう大きな金は出せないだろうという御同情論もございまして、私どももこの御議論は多といたしておりますが、しかし、私どものたてまえとしては、この新しい都市構造の変化、そこに多くの聴視者が密集しているという点との関連では、私どもはやはり全力を注ぎたい。CATVにつきましては、すでにお答え申し上げておりますように、その一つの手段としてこれと協力するというたてまえをとっているわけでございます。
  35. 栗山礼行

    栗山委員 使命と限界点、こういう問題の本質になるのでありまして、これは相当時間をかけぬとその問題の解明がなし得ない、こういうように考えられてしかるべきじゃないか、かように考えておりますが、やはり限界もございますけれども会長のお説のとおり、基本的使命を完遂するという原則だけは曲げてもらいたくないという要望をこの点で特に申し上げてまいりたい、かように考えておる次第であります。  次に、郵政大臣、ちょっと初めからいやなことなんでございますが、私は、前大臣の井出郵政大臣質疑をいたしましたときにも、藤木電波監理局長及び井出郵政大臣の御答弁をいただいておる。それから廣瀬郵政大臣に御就任をいただいてからも、私は国際放送の問題について、特にその重要性を考慮しつつ、いわゆる国際放送における交付金の問題というものについて、内容がだんだん低下の内容であって、依然として変わっておらぬじゃないか、こういうような事柄で、心すべき重大な問題だ、こういうことを申し上げまして、若干のニュアンスはございますけれども、その趣旨に沿う努力をすべきである、それから、それはごもっともな説だ、こういうことで御快諾をいただいたと思うのでありますが、予算要求がどの程度されたのか、そしてどういう折衝をされたのか、その一つのプロセスもひとつお聞きをいたしたい。と申しますのは、結論で一つも変わってないのです。そうすると、国会の公約違反じゃないか、こういうことにも相なろうかと思うのであります。  私は、国際放送の問題については、前田会長は独自的見解を披瀝されまして、それは一つの高邁なる識見だ、こういうふうに私は理解いたしております。しかし、国が命じた行為、国際放送がすべての行為じゃなくて、NHKそれ自体の立場からくる自主放送というものも重視をされて国際放送をやられておる分野もあるわけですけれども、国が命じてやった事柄について適正料金を交付するということはきわめて当然じゃないか。しかも、それを、そういう需要の増大化の傾向にかんがみて、それに適する交付金を出すべきだ、こういう意見を申し上げたと承知をいたしておるわけであります。おおむねそれについて井出郵政大臣もそれから廣瀬郵政大臣も、記録にございますが、いろいろそれに、せっかく趣旨に沿う努力をして実現を期したい、こういう約束をされておることは事実でございますが、一体なぜこういうことになったのかということを疑問視せざるを得ないので、これはひとつ政治的な責任をお持ちになる大臣の言として御答弁を願いたい。
  36. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 NHKのやっております国際放送の重要性につきましては、いまさら申し上げるまでもない、栗山先生のよく御承知のとおりでございまして、これは予算的には、私どもといたしましては、なるべくだんだん増額してまいりたいという考えを持っておりまして、いま御質問の中にありましたように、NHKNHKといたしまして、国際放送もみずからのきわめて重大な自主的な使命であるというようにお考えいただいておりますことは、この前の国会でも会長みずから御答弁があったところでございまして、私は、それだけ熱意を持っていらっしゃることについては、あなたと同様に深く敬意をささげる次第でございます。  ところが、政府は政府といたしまして交付金を差し上げて、できるだけ内容の充実したりっぱな放送を各国に送りまして、そして国際親善に資するとともに、また在留同邦にも喜んでいただくというようなことが非常に重要であるということはよく存じておるのであります。したがって、前回の先生の御質問に対しましても、全く心から賛成である、同感であるという意を表明いたしまして、新しい年度の予算の要求につきましては相当、金額ははっきり覚えておりませんけれども、あとで事務当局から補足させてもよろしゅうございますけれでも、要求をいたしまして、実は事務当局に絶えずこのことは、国会でも約束をしているし、私みずからも非常に責任を感ずる、しかも、この前先生に御答弁した中に、ひとつ今度は私大いにやります、まあ私の政治手腕をごらんになっていてくださいというような具体的な御答弁もいたしておりますわけでございますから、そういうような次第もあるので、特にひとつ力こぶを入れてやってくれというようなことで、事務当局を鞭韃いたしまして、そうして、場合によっては大臣段階まで持ち上がってもらいたいということを要請しておったのでございますけれども、どうも結局私の指導力が足らずして、とうとう前年度と同額に納得せざるを得ないということになったわけでございまして、この点はまことに残念と思っておりますとともに、私の政治力のきわめて足らなかったことを、みずから省みてほんとうに恥ずかしく思っておりますわけでございます。  しかし、御趣旨はよくわかっておりますことでございますので、今後どんなにNHKが自主的に重大な任務の一つとお考えになりましてNHKみずからの予算をおふやしになりましても、それと呼応するだけの政府の交付金を差し上げて、ますますよりよい国際放送の内容たらしめたいという意欲は十分持っておりますわけでございまして、新しい年度の予算の編成につきまして私の力の足らなかったことをおわびを申し上げますとともに、今後の努力をさらにひとつ重ねていきたいという決意を申し上げましてお答えといたしたいと思います。
  37. 栗山礼行

    栗山委員 たいへんごりっぱな姿勢で、御答弁の何たるかを私も私なりに了解をいたすのでありますが、ただ、二代にわたる大臣に委員会であいまいな御答弁を受けるということについて、はなはだ不信を抱く、こういう受けとめ方でございます。特に、その大臣の御趣旨を体されるなれば、予算要求をどれだけされたかという事務上の問題もございます。また、大蔵省の査定について、これについて復活あるいは増額折衝という問題も事務的にもございますし、大臣の政治折衝という形のものもございますが、私は率直に申し上げまして、国会とそれから予算要求との、ずれた要求をされておるのが本体じゃないか。しかも、私の調べました内容については、何ら増額の復活要求はされておらないという一つの事態に立ち至りましては、私はこれはことばはことばとして、態度態度として受けとめてまいるのでありますけれども、私ども立場としては強くこれの責めを求めなくちゃならぬ、こういうのが私の素朴な、端的に申し上げる意見でございます。あまり深追いはいたしたくないと思うのでありますけれども、そういう点を謙虚に踏まえられて、そしてこれは主として事務当局側意見が大臣に通じないか、あるいは大臣の意見が事務当局とひとつ有機的に結合しないか、何かそこらにも問題点があるやに私も考えが及ぶわけでありますが、これ以上御答弁を求めるということはあえていたしたくございませんが、私との異説がございましたら、こういう公的な質問でございますから御答弁お願い申し上げ、そうでなければ心してかような不見識にわたる国会論議の御答弁だけは避けていただきたい、こういうことを申し上げざるを得ないのであります。いかがですか。
  38. 藤木栄

    ○藤木政府委員 事務当局としての予算の要求並びにその折衝の過程を申し上げたいと思います。  毎年大蔵省の予算につきましては、大蔵省から、二五%増しという限度がございまして、その範囲の中でやらなければならないというわけでございますが、特にこの国際放送につきましては大臣の御意向もあるわけでございますので、私どもは五〇%増しの二億一千三百万という額を要求したわけでございます。それはもちろん、初めの査定でばっさりやられたわけでございますけれども、さらに復活要求ということはもちろんやったわけでございますが、最後どうしても大蔵省の堅塁を抜けなかったというのが現状でございます。
  39. 栗山礼行

    栗山委員 その藤木さんの御答弁は御答弁なりに承っておきたいのですが、私の受けとめ方とはずいぶん相違があるのです。問題は、そういう一つの形だけの答弁じゃなくて、中身の肉づけであります。内容にいかに取り組んだかということでありまして、この場で私の質問はいかがなものかと思って遠慮はいたしますけれども、少なくとも与党の部会、あるいは与党の先生等頼んでいろいろ予算の増額要求等も各省でいたしておるやに私も承知をいたすのであります。問題は、そういう熱情と姿勢の問題ということに私は力点を置いて御質問を申し上げている、こういうことでございます。大臣が遺憾の意を表さなくてはならないようなこと、あるいは当局が場当たり的な一つの放言で、国民がそういう国会の言について不信を招くというようなことになりますと、日本の政治それ自身に重大な悪影響を及ぼすことをかんがみて、私はえりを正していただかなくてはならぬ、こういう点を付言いたしまして、この問題はこれ以上追及いたしませんが、はなはだ遺憾の意を表してまいりたい、かように考えております。  いろいろ質問に入りますまで、前回委員会におきます諸問題が新聞ではやし立てられましたし、私も欠席をいたしておったものでありますから、若干資料等を取り寄せまして私なりの検討を深めたということでございますが、この問題につきましてはひとつ将来の郵政省側とNHKとの相互信頼とそうして、相互の自主性を尊重しつつ緊密なる方向、路線をひとつ進めてまいっていただかなくてはならぬ、こういうのが私の一つの受けとめ方でございまして、それ以上この問題に触れてまいるということはいたさない、こういうふうにいたしたいと思います。  ただ問題の本質の面についてだけ、これは大臣にお伺いをいたすのでありますが、NHKが十七年ぶりで八億二千万の赤字を計上された、いわゆる資本収支から事業収支に繰り入れざるを得ない、こういうようないわゆる赤字予算というものがあらわれた。こういうことでございますが、いろいろこれをめぐりましての問題点であったかと承知をいたすのであります。  私のお伺いいたしたいのは、大臣とNHKにお伺いいたしたいのでありますが、世間一般はいまの景気の停滞状況、それから白黒からカラーへの移行度の一つの意外な伸展度、こういうふうないろいろな問題がございまして、四十六年度はカラーが四百二十万という数字をおあげになった。三月の現時点で、あるいは三月の年度でそれが完ぱいになるのかどうかということが、私ともの一つの見る目であります。今回また諸般の情勢を考慮されまして四百万、こういうような予算処置をとられておることも御案内のとおりでありまして、説明を要しません。  ただ五%のダウン、こういう内容でございます。いまの経済情勢と、それから従来の進捗率等と勘案してみて、五%の陥落ということがはたして正しい立て方であるかどうかということについては、いろいろ意見があろうかと思うのであります。その意見を私は討論する意思はございませんが、一説には赤字を十七年ぶりに出したのは、端的に沖繩赤字だと理解するものもございます。それから二番日には、NHKは早くも一つこれがピークであって、値上の布石だ、こういうようなとらえ方をする面がございます。こういうような批判について私は国会の論議を通じて明確にこたえなくてはならぬ、こういうふうに考えるわけでありまして、この御批判なりあるいは意見について郵政大臣はどういうふうにお考えになっておるか。あるいはまたNHK会長が、そういう批判や受けとめ方についてどういう御意見をお持ちになっておるかということを、前回NHKは少なくとも四十八年度までについては値上げをいたしませんと、こういうふうな言明をなさったというようなことを、ちょっと記録はわかりませんが、報告を受けておるような程度でございまして、これはぜひ直接伺っておくべき問題だ、このように考えますので、大臣と会長からひとつ御答弁をちょうだいしたい。
  40. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 NHKの新年度の予算につきまして赤字を出したことは、将来受信料の値上げのための布石であるというような風説が飛んでおりますことは、私も承っておりますわけでございますけれども、また先生からただいま御指摘いただいたところでございますが、これはさようなことは絶対にないと私は確信いたしておるのでありまして、予算書を私のほうに会長、副会長おそろいになって御提出をいただきましたときに、いろいろ御説明を拝聴したわけでございますけれども、自分としては昭和四十七年度、四十八年度、この二カ年は絶対に受信料の値上げはしない。四十九年度以降においてもつとめて——私にはその理由、内容については御説明がございましたけれども、非常に御苦心をなさって、そして受信料の値上げはいたしたくないと思っておる。これは四十九年度以降でございますよ。そういうような非常に自信に満ちた御説明を承りまして、まことに私どもうれしく思ったわけでございますが、受信料の問題についてはそのように解釈いたしておるのでありまして、受信料値上げのための布石であるというように私が考えますならば、もちろん今度の予算に対する郵政大臣意見はノーとつけなくてはならないと思っております。私はイエスとつけております。ただ、認めることは認めるけれども、やむを得ざるものとして認める。多少条件はついておりますけれども、イエスであることは間違いないわけでございまして、受信料の値上げであるという前提がはっきりわかりますれば、これはノーとつけまして、深刻にお考えいただかなくちゃならぬことになるかと思いますけれども、そうではないと私は解釈をいたしておりますわけでございます。  それから、沖繩関係予算の問題でございますが、これはNHKの御説明によりますと、予算説明上、特に沖繩関係を抽出いたしまして、これだけで赤字が八億二千万出るということにいたしておるようでございます。しかし、私どもの考えは、予算全体として赤字が八億二千万だというように御説明を聞いておるのでありまして、たまたまそういう金額が一致いたしておりますものですから、これが沖繩島民に与える心理的な影響と申しますか、島民の感情としましては、何だかわれわれのために特に赤字を吸収して、そして恩着せがましくNHKが考えていらっしゃるのじゃないだろうかというような、全く当たらない疑念を持たれることを非常に心配するわけでございまして、その点は私どももかなり憂慮いたすわけでございますが、説明を承ってわかったことでございます。  それで、しいてそのような考えとは思っておりませんわけでございますが、八億二千万という赤字、つまり収支予算におきまして、資本収支から事業収支に繰り込まなくちゃならないという厳たる事実があるわけでございますから、これについては十分御努力を願いたい。まあ千百十四億というかなり大きな予算総額でございますから、そのうちの八億二千万といえば〇・七四%でございますか、というようなきわめて低率のパーセンテージでもございますから、企業努力、あるいは節約、また受信料の収納について一そうの努力をするとか、いろいろ総合的な企業努力によって——一応予算はお認めいたしますけれども、どうもその辺が気にかかりますので、一年間最善の努力をいたしまして、この赤字を実行面で解消するように御奮発を願いたいという意味意見書をつけたわけでございます。そういうように私どもは対処いたしておるわけでございます。
  41. 前田義徳

    前田参考人 私どもの考え方は、すでに郵政大臣も申し述べておられますが、まず端的に申し上げて、四十八年度も値上げしないというたてまえです。  御審議いただいております予算案が、内容から見て事業費関係で借金をするというのは十七年ぶりでございます。第一回の場合は、その借金の対象として財政投融資をお願いいたしております。事業面におけるその意味での第一回目の借り入れ金の総額は、三十五億でございます。しかし、これはもうすでに完済いたしております。今回、たまたま数字が一致する、と同時に、沖繩に対しましては特別措置をとるべしという法律ができております。この法律の第一点は、できるだけ早く本土並みのサービスをせよということ、第二点は、少なくとも沖繩の聴視料は特別の額を考えろということであります。   〔委員長退席、水町委員長代理着席〕 さらに、これと関連して、現行放送法修正する意味での時限的修正意味でも幾つかの問題がございます。たとえば沖繩地区から経営委員を出すこと、九州本部との関係ではありますけれども。番組審議会をつくること、その他幾つかございます。これらを勘案し、同時に沖繩放送協会の現在の営業関係の能力というものを考えますと、簡単にいって対象世帯の半分と一応の契約ができ、その契約世帯の半分程度しか収納ができていない、こういう現状をいろいろ考えますと、ただそろばんをはじいてつじつまを合わせるだけでは、この問題は簡単に解決できない。私は、予算というものはつじつまを合わせるだけでなく、やはり事業計画に基づいて御審議願う予算でございますので、もちろんそれに関連する資金計画も同時に提出いたしているわけでございます。そういう意味でわれわれは、単年度予算の編成をもって事終われりとは考えておりません。われわれの仕事は永遠の企業でありまして、この企業は生きているわけでございます。したがいまして、そういう観点から、明年度予算では実態上、八億二千万円を借り入れ金にたよるという数字の姿にはなっておりますけれども、これは将来性の問題ではなくて、将来発展のための経過的措置という考え方を持つわけであります。  一般的にいって、NHKはやがてまた値上げをするであろう、その布石ではないかというような印象的な御批判がこの内容関係なく世間に行なわれているという点については、われわれのPR等においても足りない部分があるかもしれませんが、この部分を政府予算の形でお考えいただくと、企業体としての体質との誤差が出てくるということはやむを得ないことではないかと思います。  最近、経済企画庁が御発表になったその統計によりましても、昭和四十三、四年から四十六年度下期までの物価の上昇の実態は三二%になっております。にもかかわらずNHKは、四十三年度以来ラジオ料金を無料とし、白黒料金を十五円値下げし、将来に期待し得る、全く未開の分野であったカラー料金に対して、社会的負担の公平と申しますのは、初期の段階では金のある方だけが受像機を買える時代でございますから、そういう意味で百五十円のカラー料金の付加ということを考えてまいったわけであります。ですから、明年度予算でも、年度内の物価騰貴分だけでも七億二千万を吸収している、こういう状態でございます。幸いに私どもは、十年以上にわたっていわゆる機械化というものを中心にして将来の経営のコンパクト化を考えて今日に至りましたので、不完全ではございますが、経営が放漫になるという基礎的な条件はすでにある程度解消化されている。この現況において、新受信料制度ができてから今日まで、経済企画庁統計の三二%の物価上昇を吸収しながら、明年度においてさらに七億二千万円の物価上昇を吸収し、なおかつ私どもは、四十八年度も絶対に値上げをしないということを聴視者に対して公約いたしておるわけでありますから、そういう意味では数字的にも私は可能性がある、こう思っております。  御指摘の中で、今年度のカラーのふえ方は四百二十万であって、四十七年度は四百万になっている、この問題については、明年度はそのとおりの計算をいたしております。と申しますのは、昨年の夏以降、受像機の問題についていろいろな社会的動向がかつてなかった形で出てきております。こういう問題を勘案し、さらに物価上昇率というものも勘案しますと、今日やはり一世帯の複数化が進むかもしれませんが、新しい世帯とのカラー契約化はかなり限界に近づきつつある。少なくとも当面の経済情勢においてはそうである。したがって、そういう意味で私どもは明年度四百万の契約増というふうに踏んだわけでありますが、これを今度は、今後五カ年間にわれわれに何を考えているかということを申し上げますと、五十一年度末の——先ほども私の同僚が触れましたが、契約対象となる世帯の総数は三千三百万、これは政府関係の統計その他から類推される数字でありますが、この中で二千四百万に近い世帯とのカラー契約を結びたいという考え方を持っております。こういう関係から申しますと、この五カ年間の受信料の総額はおそらく六千四百億に達するであろう。その際に、今後の物価上昇率はどのようになるかということは、これは私どもだけでは予測できませんが、少なくともかなりの物価上昇率が続くであろう。しかし、四回にわたる長期構想の中で、私どもは幸いに皆さんの御支援、御理解をいただいて、明年八月には放送センターが完成することになっております。これと関連して、私どもとしては不用になる内幸町の土地を処理する予定でありまして、これがおそらく評価益増がかなりの金額に達する、こういうことを総合的に考えながら私どもはお話を申し上げておるのでありまして、単なるそのときの感傷的な表現とか、そういう意味は全くございませんので、その点御理解いただきたいと思います。
  42. 栗山礼行

    栗山委員 いろいろいまの世上の批判について大臣及び会長なりの御高説を拝しました。私はいろいろ、かつ、もっと突っ込んだ意見伺いたいのでありますけれども、きょうの委員会は最も効果的な進展を望んでおる、こういうことからあまり触れるべき問題は避けてまいりたい、かように考えておりますが、ただ、いままでの経過の問題について大臣にお伺いをいたしますが、郵政省はNHKに法的に指導できるのか。もしできるとすれば、それは法律の定める条項はどこにあるかということが一点ございます。  それから第二番には、NHK予算というものはやはり自主的に編成をして、そしてNHK郵政大臣にこれを提出する、郵政大臣は機関の協議を経まして、自己の意見として意見を付する、こういうことになってまいるのではないか、こういうふうに私は一般的に理解をいたしておるわけなんですが、これは過去の問題を問いませんが、将来に重要な本質上の問題が介在すると思いますので、法的にお伺いを申し上げたい、かように考えます。
  43. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 郵政省の設置法で法令に基づいて監督するという明文かございますが、その具体的な法律の内容等については事務当局から詳細に説明させたいと思っております。
  44. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  郵政省の設置法におきまして、「法令の定めるところに従い、日本放送協会を監督すること。」そういう項がございます。それに基づきまして、私どもは監督といっても法令にあくまでも基づくということでございまして、その法令と申し上げますのは、電波法あるいは放送法ということになるわけでございまして、その範囲の中で監督する。場合によっては、もちろん行政指導ということもあり得るわけでございます。ただ予算につきましては、御存じのように郵政大臣意見をつけて国会に提出する、そういうことになっておるわけでございまして、あくまでも調整ということではございませんで単なる意見ということでございます。
  45. 栗山礼行

    栗山委員 いま法令の問題で監督するという一つの条項の御説明をいただいた。この点は従来どういうふうにNHKとの関連においてその法律を生かしてお運びになっておったのか、こういう点が一つですね。  それから問題になりますのは、第二点の私のお尋ね申し上げた点は、予算の編成に対する監督条項は、私は郵政省側にないという見解をとっておるわけです。したがって、自主予算で、そしてみずからそれを大臣に提出する。大臣がそれを適当なる機関にお運びをいただいて、そうして大臣の決裁条項、これを経て国会承認案件、こういうふうになってまいるのだということであろうかと思うのでありますが、どうも傷ついたようなことにまた触れてまいるということはいかがなものかということで、さかのぼることは避けてまいりますけれども、この点はやはり明確に分権の区分と分野というものを踏まえてまいらなければ、何か一般的にこの新聞なんかを見ますと、正当な評価をいたしておるとも考えられない問題がございます。いわゆる一般ジャーナリズムの一つのとらえ方というものにつきまして、あたかも郵政省が監督権の乱用的な一つ要素があるように解されましたり、いろいろ問題が、将来にわたる問題であろうかと思うのでありまして、これは大臣から、藤木さんの御答弁について、大臣がそういう認識のもとにお運びを願い、及び将来も取り組んでまいるんだ、こういう所見がございましたらひとつ伺っておきたい、かように考えます。
  46. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 御説のとおりでございまして、郵政大臣日本放送協会を監督するということは設置法に書かれておりますけれども、それはあくまで法令に基づかなければならないというわけなんでありまして、私どもNHKの自主性、もちろんこれは尊重していかなければならないという根本的な姿勢を堅持すべきであると考えておるわけでございます。  また予算につきましては、あくまで私が意見をつけられるだけでございまして、国会のことについてはお尋ねなかったのですが、国会におきましてもイエスかノーかという、承認か不承認かという道だけしかないように私は考えておるわけでございます。  なお、法令のことについては事務当局からもう少しよりどころを説明させたいと思います。
  47. 栗山礼行

    栗山委員 私は、非常に微妙な点がございますから、適正なお尋ねをあえてできにくいということを前提に踏まえておりますから、それを御了承いただかなければならぬ、こう思います。  あれを見ますと、八億二千万を資本収支から事業収支へ繰り入れる、いわゆる事業の赤字、こういうことになるわけでありますが、この予算の執行にあたり、繰り入れを回避することができるよう努力すべきであると述べられたような感がするのですよ、いろいろこれを見ますと。そうすると、予算の執行段階で赤字の回避ができるというようにやはり省側は考えられたのかどうかということが一つであります。これはもう一ぺん郵政省側としての御見解を聞き、そしてNHKさんの御意見を伺っておきたいという一点であります。この点からお伺いすることにいたしましょう。
  48. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私が意見をつけて差しつかえないことは先刻御説明したとおりでございますが、その意見内容は、NHKの自主性というものを尊重いたしておるわけでございますから、どの点をどういうふうに実行において改めるべきだ、節約すべきだ、合理化すべきだというようなことは具体的にあげずに御判断を御自分で願って、ただ総額におきましては千百十四億円という膨大な予算でございますから、そのうちから八億二千万という企業努力をなさることはできやせぬかというふうに考えまして、そのような希望的な意見を述べておるわけでございます。
  49. 栗山礼行

    栗山委員 大臣、この問題は非常に微妙な問題にわたりますので、この程度でとどめてまいりたいと思います。ただ、意見は四十七年度の予算について、単年度予算についての意見ということに解釈をいたしてまいるのが妥当なのか、あるいは長期で、たとえば四十八年、四十九年度というような長期的な問題の意見を付されることが妥当なのか、これはその見解を法的にひとつ伺っておきたい。
  50. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 毎年度の予算について意見を述べるわけでございますから、今度の場合も四十七年度単年度の予算について私が意見を述べたということになるわけでございます。
  51. 栗山礼行

    栗山委員 その程度でこれもとどめてまいりますけれども、やはり単年度予算の限定された形における意見とは理解できがたい一つの記事と内容があるわけでございます。これはいろいろ申し上げますと平行線になりますし、またいろいろな点をかもし出しますからなにいたしますが、しかし、きわめて明確に意見は四十七度の予算に対する提案をされたのでありますから、四十七年度の予算に対しての限定した意見、こういうことでお出しを願うのが一つの法律的あるいは通念的に正しいのではないかということを私は考えておるのでありまして、意見意見としてひとつお聞きとめを願いたい、かように考えております。  時間がもう二十分しかございません。NHKさんにちょっとお伺いを申し上げるわけですが、放送衛星の開発資金にこれまでおつぎ込みになりました金額はどの程度でございますか、概数でけっこうです。
  52. 松浦隼雄

    松浦参考人 昭和四十一年から四十六年度までで研究開発のために調査研究費を十一億円強でございます。
  53. 栗山礼行

    栗山委員 そうしますと、これは今後打ち上げまで、完成するまで、どの程度の資金量が必要だという認識を持っておいでになりますか、ちょっと伺っておきたい。
  54. 松浦隼雄

    松浦参考人 ただいま申し上げました数字は、四十一年から四十三年までは先生のおっしゃるような具体的な衛星そのものを日本の国の中のロケットでもって上げるということでやっておりましたけれども、四十四年度以降におきましては放送衛星システムの研究ということで、その具体的な産物といたしましては、たとえばアジア諸国のためのアジア放送衛星というようなシステム設計をつくり上げるというようなことをやっておりまして、現在視点を注いでおりますのは、放送衛星システムはいかにあるべきか。特にそのときに使われると思われます周波数が現在のテレビジョンよりももっと高い波、十二ギガとか二十二ギガとか、いわゆるSHFの領域でございますので、そこにおける受信関係施設の価格の低廉化というようなところに研究の主体を注いでおりまして、具体的に放送衛星そのものをどういうかっこうで上げるか、またそれに幾らかかるかというようなことにつきましては、われわれをめぐる日本国内並びに国際的な環境がいまだ成熟していないという状況でございます。
  55. 栗山礼行

    栗山委員 大体わかりましたが、何年度ぐらいに打ち上げができるという予定を持っていらっしゃるか。それから第二番目には、計画されております放送衛星の重量、この二つをお聞きいたしたい。
  56. 松浦隼雄

    松浦参考人 先ほど申し上げました、アジア諸国のために設計いたしました衛星の重量は四百キログラムでございます。現在、昨年の六月、七月に、国際通信連合、ITUの中での主管庁会議でもって、放送衛星に使われるべき周波数の割り当てがようやくなされたという状況でございまして、いずれの国においても通信衛星はございますけれども、いまだ放送衛星は実現しておりませんが、いろいろな計画から全般的に申し上げますと、大体昭和五十年から五十一年までの間が一種の実験期間であり、その間に放送衛星を主目的として打ち上げるべき実用静止衛星の重量は、大体二百五十キロ前後、放送衛星、気象衛星その他を通じて、実用静止衛星は大体その時期までは大体三百キロ以下というふうに推定されます。  それで、実用化されるべき放送衛星の重量として現在申し上げられます重量は、それよりもさらに大きく、五百キロないし八百キロというのが——たとえばヨーロッパの国別の放送衛星ということで検討を進めておりますものの重量が約八百キログラムでございます。相乗りする数によって違ってまいりますけれども、通信衛星と違いまして、一メートルないし二メートル前後の直径を持ったパラボラアンテナで十万円以下の受信装置で受けようといたしました場合には、やはり五百キロ以上の重量が必要であるというのが現在わかっておることでございます。
  57. 栗山礼行

    栗山委員 いろいろお説のような開発計画をお運びをいただいておるということを承知をいたしたのでありますが、この宇宙開発事業団のロケットによって打ち上げてまいる、こういう基本的なお考えでおられるのかどうか、あるいは今後お運びになるのかどうか。たとえば昨年の十二月でございますか、マイヤー発言によりますと、NASAが商業ベースで実用衛星を打ち上げる用意があるというようなことを言われておるわけでございます。こういう点から考えまして——それから重量の問題につきましては、私はしろうとでありますからよくわかりませんけれども、事業団の計画は、Nロケットにより五十年から五十二度に実験的に四つの人工衛生を打ち上げる。そのキロ数は八十五から百キロだ、こういうふうな資料が私のほうに届いておるわけなんですね。こういう点から見て、非常に重量の点に問題があるし、それから事業団に依存性を持たれるのか、あるいは独自開発の打ち上げをされようとするのか、こういうような非常に重要な問題があろうかと思うのでありまして、この点についてお伺いをいたしたいわけであります。
  58. 藤木栄

    ○藤木政府委員 ちょっと私のほうから先に申し上げさしていただきたいと思います。と申しますのは、現在わが国におきまする宇宙開発というものは、宇宙開発委員会というところで宇宙開発計画を立てまして、それに基づきまして現在進行中であるというわけであります。現在のところ、宇宙開発計画としまして定まっているものは、実用衛星につきましては、いわゆるこの科学衛星を除きました実用衛星につきましては、昭和五十年度に電離層衛星、それから五十二年度に実験用の静止通信衛星というものを打ち上げるというところまではきまっておるわけでございまして、そのあとどうなるかということは、まだ宇宙開発計画としてはきまってないという状況でございます。ただ、先ほど来御質問ございまする放送衛星につきましては、これは宇宙開発計画の中に、わが国を含むアジア諸国の国別放送等を行なう放送衛星システム及び搭載機器等についての研究を行なうということが載っているわけでございまして、現在NHKにおかれて、先ほど御説明ありましたように進行はされておるわけでございますが、実際にどういう衛星をいつ打ち上げるかということにつきましては、これからの段階でございます。まだそういった年次計画はきまっていないという状況でございますが、ただ、先ほども松浦専務理事からも御説明がありましたような計画NHKも持っておられることは、私ども承知しておるという状態でございます。
  59. 前田義徳

    前田参考人 NHK立場から補足さしていただきますが、御審議いただいている明年度予算では、先ほど松浦専務理事から申し上げた限度、その研究費は八千万円内外と思います。したがって、NHKとしては、この計画部分のグループの一つとしてその部分の研究を進められておる、またNHKは進めておるという限度でございまして、したがって、いま電監局長がお話しになりましたように、先生の後段の御質問に対しては、私どもは答えるすべはございません。  ただこの際、私どもの放送という立場から将来の問題を考えますと、この点においては、私は二つの政策が並行してとられるべきではないかと考えております。国内のロケット開発開発として進められるべきであり、今日の放送事情から考えて、衛星の打ち上げは、一週間ほど前にヨーロッパはアメリカのNASAの協力によって科学衛星を打ち上げております。そういう時代ではないか。したがって、これは私の希望を申し上げたわけで、国の政策がどうなるかについては、私の見解を述べたわけではございませんが、放送事業者として見ると、その辺をなるべく早い機会に明らかにしていただきたいという内心願望を持っております。
  60. 栗山礼行

    栗山委員 大体片鱗をお伺いをいたしました。したがって、事業団に依存するのか、あるいは別の方策をお考えを願っておるのかということがございます。やはり衛生とロケットの十分な関連性というものがなければ、これは意味がないのだということは専門家に私ども意見を伺っておるわけでございまして、これは今後の課題といたしましてどう取り組むかということについて、私はほんとうに重要な問題ですから所見を伺っておきたいと思うのです。事業団の限界がございます。これは年次別、それから重量別、条件別の条件に満たざるものがあるわけでありまして、私は、そういう点から独自開発あるいはまたマイヤー発言等の内容を適用する一つの問題点の解決策、こういうふうな何らかのそういう一つの路線といいますか、路線の方向を本委員会でお伺いしておきたいというのが私の本旨でございます。
  61. 藤木栄

    ○藤木政府委員 宇宙開発事業団のお話が出ましたので、私からちょっと述べさしていただきます。  まあこれも設置法によりまして、郵政省は科学技術庁とともに宇宙開発事業団の監督をしておるという状態でございますので、私どもも事業団につきましては、日ごろいろいろな関係で、宇宙開発の促進ということで連絡をとっておるわけでございますが、先生の御指摘になりました、そのアメリカあたりの衛星、ロケットを使って打ち上げるかどうかという点につきましては、先ほど申しました宇宙開発委員会でもまだ結論を出していないということでございます。現在は、先ほど申しましたような人工衛星の打ち上げというものは、あくまでも国産のロケットによって打ち上げるという方向で、実は事業団でもその方向開発を進めているという状態でございます。しかし、先ほど来お話がありますような大型衛星になりますと、これはなかなか現在の日本の国力あるいは技術力をもってしましては簡単には打ち上がらないだろうということは予測されるわけでございまして、おそらく宇宙開発事業団あるいは宇宙開発委員会におきましても、その点は相当認識を深められていると思いますので、近い将来宇宙開発計画というものをどういうふうに変更していくかということは、これからの問題であろうかと思っております。
  62. 栗山礼行

    栗山委員 ちょうど与えられました時間に参りましたので、以上をもって質問を終わります。  ただ、私はきょうはあえて舌足らず、寸足らずの御質問を申し上げてまいったということだけ十分御了承をいただきまして、われわれの審議立場から申し上げますと、その責任を果たしておるかどうかということについて疑念を持つ一面もあるわけでございますが、ただ若干の経緯を考えまするときに、言外の言をひとつNHKも、それから当局も御賢察を願って、いい方向でお運びをいただきたいということを特に要望いたしまして、私の質問を終わります。
  63. 水野清

    ○水野委員長代理 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ————◇—————    午後一時三十四分開議
  64. 高橋清一郎

    高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について質疑を続行いたします。米田東吾君。
  65. 米田東吾

    ○米田委員 最初に、大臣に基本的な問題につきまして二、三御質問を申し上げたいと思います。  九日の公明党の同僚委員質問に答えられました中で、放送法改正の問題について触れられております。結論的に大臣の答弁は、この国会では出しません、そういう御趣旨のように私はお聞きをいたしましたけれども、この懸案の問題につきまして大臣の御真意をもう一回ひとつ明確に聞かせていただきたい、こう思っております。
  66. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 放送法電波法の問題でございますが、これにつきまして先年できました臨時放送制度調査会の答申に基づきまして、昭和四十一年度の第五十一国会に郵政省の両法案を提出いたしましたことは御承知のことだと思います。ところが、とうとう審議未了で不成立に終わってしまったわけでございます。自来郵政省といたしましては、できるだけ早い機会に再提出すべきだと考えまして、国会のたびごとに放送法電波法の法律案を提出予定の法律案には考えてまいったわけでございますけれども、なかなか自信を持てる成案を得ることができなくてずっと延びてきたわけでございます。昨年私大臣に就任いたしまして、これはどうしても出さなくちゃならない、出したいということで、省内でさらに馬力をかけて勉強を続けてもらうことにいたしましたし、幸いに与党の中でも通信部会の中に放送電波に関する小委員会をつくって、この小委員会でさしあたり両法律の改正案を調査検討するということで作業を進めておられたようでございまして、与党のことでございますから、そういう小委員会の御意見もときどき承っておりましたし、また郵政省の考え方もお求めがあれば申し上げるというようなことをしてまいったわけでございます。そうして、できますことならば今度出したいということで努力を続けてまいったのでございますけれども、今回もまた、まことに残念ながら自信を持てる成案を得るに至らず、今度の国会の状況等も考えまして、いま当委員会にはいろいろ重要な法律案を御審議を願っておりますわけでございますから、そういう国会の対策からいたしましても、今度の国会に提出することは御審議がとうてい十分にできまいというようなことも考えまして、最近になりまして今回は出さないことにやっときめたわけでございます。
  67. 米田東吾

    ○米田委員 まことに正直な大臣の御答弁でございまして、現在の大臣の御心境については、お考えについてはわかりました。ただ大臣の考えの中には、この放送法あるいは電波法の改正、総体的に再検討して法律改正をしたいというものは変わっておらない、ただ、まだ自信が持てる成案を得られないということと、国会対策上今回は出す時期でない、こういう御判断をされておる。しかし、気持ちの上ではそういうものは依然として残っておるわけですし、郵政省あるいは大臣としては現実には検討を続けておる、こういうことで理解してよろしゅうございますか。
  68. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 さようでございます。
  69. 米田東吾

    ○米田委員 そこで、なお一、二お聞きしたいのでありますが、いま大臣の胸の中にあるもの、あるいは郵政省当局として検討されているもの、その大体の構想というものは、いま大臣が説明されましたように、四十一年の五十一国会の改正案、それから四十三年でございましたか、小林元郵政大臣が小林発言ということでなかなか重要なポイントを持った一つの提言をされたことがあるわけでありますが、そういうものを中心にして成案を得るための検討がなされておるのですか。そのほかに、最近のマスコミ関係全体についてのいろいろな問題が提起されておりますが、そういう情勢にも対応するようなワクをもっと広げて検討がなされているのか。そこらあたりのポイントは一体どこかということをお聞かせいただけませんか。
  70. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 政府といたしましては、党といささか立場が違う関係にあるわけでございますから、私どものほうで、こういう程度であればというようなある程度の成案と申しますか、たたき台と申しますか、そういう一種の資料ができましたならば、十分世論に訴えまして、いろいろ御意見を拝聴いたしたい。これについては、放送の受信者の側でありますとか、あるいは放送業者の立場の方でありますとか、また有識者、各政党というようなあらゆる方面のいろいろ世論と申しますか、そういうような御意見を十分拝聴いたしまして、その上で最後の仕上げをいたしまして提出したいということになるわけでございますので、こういう点から申しましても、時間的にかなり日数がかかるわけでございまして、入念に入念を加えましてやりたいと思っておるわけでございます。  そこで、いま先生のお尋ねの問題でございますが、放送法にいたしましても、電波法にいたしましても、いろいろ問題は包蔵いたしておるわけでございまして、いまどういうことを政府の案として考えておるかということにつきましては、まだ御披露申し上げる段階には至っていないわけでございますけれども、たとえば、電波法におきましては、非常に大切なチャンネルプラン、チャンネルの使用計画、配分計画というようなことにつきましても、ただいまは御承知のように行政指導でやっておるわけでございまして、法的根拠がない。そういうことで、いいか悪いか。私はやはりこういうことは法定すべきじゃないかというふうに考えておりますし、また免許の基準につきましても、いま規則でございますか、という程度のことでやっておるわけでございまして、少なくとも免許の基準の重要な事柄については法定すべきだというようにいま考えておるわけでございます。  これは電波法の一種の例でございますけれども放送法につきましては、公共放送でありますNHKはどういう系統のチャンネルを幾つ持って、全国的にやっていただくわけでございますけれども放送すべきだ、あるいは民放はどういう分野で放送すべきだというような役割りの分担と申しますか、そういうようなことについても法定したほうがいいのじゃないかというような気がしておるわけでございます。また、民放におきましても、NHKと同様に、電波は国民の共有のものだと私どもは考えておるわけでございますから、やはり局間放送といえども公共的な精神を持って放送事業に携わってもらいたいという観点から申しますと、NHKと同様、国民あまねく放送の享受できるような一種の責任と申しますか、義務と申しますか、そういうようなことを法定したほうがいいのじゃないかというようなことも考えつつあるわけでございます。  そういうような問題を電波法においても放送法においても考えまして、この二つとも国民生活にきわめて重要な法律でございますから、いわば大法典であるわけでございますから、今度国会に提出しましたならば、世界の模範となるような、お手本となるような法律案の成案を得て出したいというように考えておるわけでございます。  なお、番組につきましては、これは申すまでもなく憲法に明記されております言論の自由、放送事業で申しますと放送の番組の自由というようなことがございますので、簡単に触れられない、いわゆるタブーだと私どもは考えておるわけでございます。したがって、私は郵政大臣になりましても、放送業者の自主的な自覚によって番組の向上改善に努力していただきたいということを、絶えず主張してまいったことは御承知だと思います。ところが、最近のように暴力行為が横行いたしましたり、またときどき見受けますテレビのベッドシーン、ああいうわいせつな放送というものを許していいかどうか。こういうことは放送業者にお考えを願ったほうがいいのじゃないかという気もいささか私自身してまいっておるのでありまして、もともと私は放送の番組の向上については自主的にやっていただきたいということをずっと主張してまいりましたものでございますけれども、そういうようなことを最近考えつつあるわけでございます。これはしかし、事放送番組の内容に関する問題でございますから、放送の番組の編成の自由ということをあえて侵すように誤解をされてはならないわけでございますし、また、ただいまの放送法におきましても、四十四条の三項で公序良俗というようなことがうたわれておるわけでございまして、暴力にいたしましても、わいせつにいたしましても、公序良俗に入っているのだという解釈をすればそういう読み方もあるわけでございますが、ただ最近の世情を見まして、私はどうも四十四条の三項は一種の道徳基準だというように考えております。四十四条の三項に違反すれば電波法の七十六条に持っていけるということは、法律の解釈上できるわけでございますけれども、しかし四十四条の三項に抵触するということは、一回きりそういうような事実があってももちろんこれはだめでございますし、ずっと継続して何回か同様なことが行なわれて、つまり総体的にながめまして、そして四十四条の三項に抵触するということでなければ七十六条に持っていけない。しかも、七十六条に持っていくについては、何もビデオテープをとっておるわけでございませんので、確たる証拠がないということを考えますと、これは一種の道徳基準にしかすぎない。それに暴力とか、あるいはわいせつとかいうことを加えまして、はたしてどれだけ効果があるかということも疑うわけでございます。御承知のように、放送法電波法ができまして、まだ一件も七十六条に抵触して処分を受けたという例はないわけでございます。それだけ放送法あるいは電波法というのは非常に寛大に放送の自由というものを守っておるわけでございますが、ただ、最近のそうした世情につきまして、効果は道徳的な基準にすぎないにいたしましても、個条としてそういうことをうたっておくことが必要でないかというような気持ちがいたしておりますけれども、これも私どもまだ決定的な意見ではございません。こういうことにこそ皆さん方の御意見も拝聴いたしまして成案を得なくちゃならない、たいへんむずかしいデリケートな問題を含んでおる、こういうふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、そういうようなことを考えつつ、将来も作業を進めてまいりたいというように考えております。
  71. 米田東吾

    ○米田委員 大臣として、しかも政治家としての非常に誠実な大臣の人柄につきましては、私はかねがね非常に尊敬いたしておりますし、また、いまの御答弁でもまことにうんちくのある、しかも慎重な御配慮がある答弁がいただけました。現状の大臣の認識につきまして、大綱は私は御回答いただいたと思います。  そこで、これはひとつ放送あるいは電波関係を直接所管される電波監理局長、行政上の立場から現在の電波行政あるいは放送行政について、あなたの立場での見解をひとつ聞かしていただきたいと思うのです。大臣の御答弁はわかりましたけれども、一応直接その立場にあるあなたから、現在のこの二つの問題について、放送法電波法の関係等について、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  72. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣のほうからお答え申し上げたとおりでございますが、そういった大臣のお考えを体しまして私どもはいろいろ作業を進めているわけでございます。ただ、この前、国会に提出いたしました電波法、放送法の改正案は、いわば放送だけを重点に取り上げて改正が行なわれたわけでございますが、その後の電波界の進捗、発展ということから考えまして、電波法自体、放送以外の一般無線というものも非常に問題があるわけでございまして、こういった点も私どもとしては現在取り上げているわけでございます。  たとえば、先ほど大臣もチャンネルプランの法定化ということを申し上げたわけでございますが、それ以外にも電波自体の範囲と申しますか、これはいまのところ三百万メガサイクルという一つの周波数の上限がございますが、技術はそれ以上に進歩しているわけでございまして、電波範囲であるとか、あるいは先ほど大臣も申し上げましたような免許の基準といったもの、あるいは無線局全体の現在の管理のあり方、たとえば、無線従事者であるとか、あるいは検査制度であるとか、そういった問題もあるわけでございます。そのほか、もちろん放送自体につきましては先ほど大臣が申し上げたとおりでございまして、私どもも大臣の意を体しまして作業に取り組んでいる、特に放送局の免許にあたりましては、御存じのように省令に委任してある分野も相当あるわけでございまして、しかも、省令に委任してある分野がなかなか重要な役割りをなしているわけでございますので、私どもとしましては、そういった点はやはり法定化すべきである、そういうふうに考えて作業を進めているという段階でございます。
  73. 米田東吾

    ○米田委員 これは大臣にもお聞きしたいのでございますが、昨年郵政省内の課長補佐クラスが自主的に通信行政問題研究会、こういうものをつくられまして、総合的な通信行政といいますか、あるいはマスコミ行政を含めてだと私は思いますけれども、こういうグループの研究会が生まれまして、非常にいろいろな分野にわたって広範な検討がなされておるようでございます。その中間発表といいますか、そういうことで、六月には「通信行政の展望」というものが出されております。  この中で私がお伺いしたいのは、特に放送関係について私はお聞きしたいのでありますけれども、この通信行政問題研究会というようなものについては、これは大臣としてはお認めいただいておるわけでありますか。それから、この中に提言されている内容については、大臣もお読みになっておられると思うのでありますけれども、どんなお考えでございましょうか、そのことをまず最初にお聞きしておきたいと思います。
  74. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいまお尋ねの郵政省でつくりました「通信行政の展望」でございますが、これは御承知のように課長補佐級の若い連中が、事業の推進をはかりたいというような、まことにりっぱな気持ちで百名ばかり集まりまして、相当長い期間研さんをいたしましてまとめたものが「通信行政の展望」という力作になったわけでございます。私は一とおり目を通しましたけれども、まだ内容の一々について正確には把握いたしておりませんけれども、大体のことは頭に入れております。しかし、なるほどいろいろな卓見が含まれておるというように考えておるわけでございますが、ただこれは、郵政省で公式の発表のものだというようには解釈いたしていないのでございまして、非公式の見解の発表である。そうしてこれは将来の事業の調査研究のたたき台として、きわめて卓越した力作である、名作である、こういうふうに私は考えておるわけでございます。  そこで実は、これを受ける意味もございますし、またこういうような研究が発表されますことは——いままさに通信政策の非常に大きな過渡期ではないかというように考えております。これはいつの時代だって過渡期ということは言えると思いますけれども、最近は特にそういうことが目ざましいと思っておるわけでございまして、あるいは宇宙通信でありますとか、あるいはデータ通信でありますとか、あるいはレーザー通信でありますとか、あるいはいろいろの新しい通信のメディアが開発されておるわけでございます。そういうようなことを考えますと、この際、通信事業を扱っておる私どもといたしましては、ほんとうに真剣に新しい時代に対応するような通信の方策というものを見出すように努力しなければならない。申すまでもなく、だんだん情報化社会に指向してまいっております世の中でございますから、したがって、そういうような新しい時代に対応のできるりっぱな通信事業でなくちゃならない、通信メディアでなくちゃならないというように考えておるわけでございまして、そこでこの展望を受けまして、それとただいま申しましたように、新しい時代に通信事業の担当者として対処いたしますために、この際ひとつ一生懸命に通信問題、通信政策というのを研究してみよう、勉強してみようというような意欲を持ちまして、その直後、通信問題懇談会というのを省内につくりました。これは私の諮問機関という法的性格のものじゃございませんけれども、しかし、ときどきお集まりを願って、いろいろ雑談的に自由自在に通信政策の今後のあり方、改善すべき方向ということについてざっくばらんの御意見を拝聴させていただきたいということで、その方面に御識見を持っていらっしゃる有識者と申しますか、そういう方々を、二十数名でございましたか、御指名いたしましてお願い申し上げまして、ときどき会合をいたしましていろいいお話を承っておりますわけでございますが、こういうような通信問題懇談会をつくるに至りました非常に大きな動機は、ただいま御指摘の通信政策の展望ということが直接のきっかけであり、それにさらに私の抱負と申しますか、理想と申しますか、構想と申しますか、そういうことも加えてそのような懇談会をつくりまして、自来数回会合を重ねていろいろ有益なお話を承っておりますわけでございます。せひ、若い連中のこの政策は、この発表は生かしたい。将来ものにいたしたい。どうも若いものですから、少し現実を忘れて理想に走っているという面もあるように考えますので、まあそういうことは修正いたしまして、彼らのその情熱と申しますか、これは現実に生かして通信事業の進展に寄与させたい、こういうように考えております。
  75. 米田東吾

    ○米田委員 そこで大臣、非常に重要だと私は思うのでありますけれども、百名前後の有能な中堅クラスの方々が自主的にテーマを立てて研究される、あるいは討議討論をなさる、そして一定の成果を得るということ、あるいは結論を見出すということについては、これは私は評価もいたしますし、事業の発展のためにも非常に喜ばしいことだと私は思うのでありますけれども、ただ、それが外に向けて公表されるということは、これは慎重にやってもらわなければならぬのじゃないか。ことに私は、まあ印刷物、ここにありますけれども、これは部内だけの対象として出ておらないようでございまして、現にこれらはマスコミなんかについてもすでにこの問題を取り上げて、この中に含まれておる郵政行政としての問題点を指摘しておるようでございます。一般的にこれは公表されていると見て差しつかえないと私は思うのでありますけれども、そういうことについては、非常に問題がある、私はこういうふうに思います。  特に私が指摘したいのは、やはりこの第五章、放送の関係については、かつての小林元郵政大臣——まあ放言ということばが当時はやりましたけれども、あの発想というものがそのまま受け継がれておるように私は思うわけであります。なるほど、NHK会長政府任命制とか、あるいは受信料は今度国会がきめるというような端的なものは出ておりませんけれども、やはり言論統制的な思想というものは、あるいはその指向というものは根本にあるように私はこれを読んで実は感ずるわけであります。  たとえば世論調査、視聴率調査あるいは放送事業者への勧告機関の設置を考えておられる。これは前書きがついておるようでありますけれども、こういう発想というものはかつてもあったわけでありますし、現に今度のこの中間報告の中にも出ておる。それから、放送法制の総合化をはかるということで、いまのこの免許制度を変えて事業免許制を採用しなければならないというようなことをはっきりうたわれておる。あるいは、NHKの経営状態等に触れて、経理が組織の面にある統制的な手を加えなければならぬのじゃないかという問題提起もしている。その一番反発を買った、NHK会長の政府任命制とかあるいは受信料等の政府決定というようなことは出ておりませんけれども、ねらいとする、この放送あるいはNHK等に対する郵政省の言論統制的な指向というものは依然として残っておるように実は私は思うわけであります。  こういうようなものが、責任のない、自主的な一グループの見解だということになって出されたとしても、これはやはり郵政省の機構の中からそういうものが公にされるということは、一つ意味ではアドバルーンとして反響を見るというようなこともあるでしょうけれども、私は非常に問題じゃないか、こういうふうに実は思うわけであります。  ことに、この提言が、今度のNHK予算のあの大臣がつけられておる意見の中に、そのままそっくり実は取り入れられておるのじゃないかという見方を私はしておるわけなんであります。したがって、そういうこともありまして、このことについては私は遺憾だと思うのでありますし、大臣がさっきの見解の中で一番慎重に答弁されました言論統制、これだけはもう何としても排除していかなければならぬという御言辞がありましたけれども、そこに触れた見解というものが出ているんじゃないかというふうに私は思うのでありますけれども、この点については大臣はいかがお考えでございましょうか。それからこれは電波監理局長からも、私の申し上げたことについて、あなたの行政の立場からの見解もひとつ聞かしてもらいたい。
  76. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 実を申しまして、私はその内容のその辺には気がつきませんでございましたけれども、さっき申しましたように、若い連中が集まってのこれはまさに力作だと思います。たいへん勉強してつくった政策であると思いますけれども、ただいま御指摘のようなことについては全然私どもは考えてないところでございまして、言論については、先刻申しましたように統制なんという時代逆行は考えるべきことじゃない、このように思っておりますわけでございます。  また、今度の新しい昭和四十七年度のNHK予算に私の意見が異例のものであったということについては、先刻他の議員の御質問に対してお答えしたとおりでございまして、ただいま御指摘になりましたような思想と通ずる、また、そういうようなことが通信政策の展望に発表されたから、それによってやったというようなことは全くございませんで、全然別個の考えからやったわけでございまして、これはぜひひとつ御呼解いただきたいと思っております。
  77. 藤木栄

    ○藤木政府委員 事務当局といたしましても、ただいま大臣が申し上げましたように、言論の統制とか、言論の圧迫ということはもう夢にも考えたわけでございませんで、あくまでも現在の放送法規定されておりまする放送番組編集の自由ということは守るべく努力をしているというわけでございます。
  78. 米田東吾

    ○米田委員 まあ、答弁をいただけば、局長そういう答弁になると思いますけれども、私はそれだけではどうも納得しかねるのであります。  そこで、このNHK予算に今度つけられました郵政大臣意見内容について若干聞いてみたいと思うのであります。これはしばしば他の委員からも指摘をされておりますけれども、このような具体的な内容意見を付して、しかも、どちらかといえばNHKに対する批判的な大臣の意見だと思います。これが出されたのは私はいままでなかったのではないか。それほどまたNHK財政状態あるいは経営状態が重大な時期に来ているというなら別でありますが、ことしになって急にそういうふうになるなんということは、私は考えられないと思うのです。そういう面で、非常に私は重視を実はしておるわけであります。この意見書も私は当然これは法律によって大臣がつけられた意見でありますけれども、この中に盛られておる内容というものは、当然これは電波監理局長、行政の衝に当たるあなたのほうでおそらくまとめられたものだと私は思うのであります。この中に流れているものは、あなたが何と答弁されましょうとも、具体的にはNHKに対して郵政省の発言権というものを高めていく、いいことばでいえば高めていく。そういうことがはっきりとうかがえるのではないかと私は思うのであります。このことの思想というものは、私がしばしば申し上げておりますように、「通信行政の展望」という中に盛られておる——若手グループの研究発表だと言いながらも、そこに盛られておる思想というものが根底になってこの意見書というものがまとめられたんじゃないか、こういうふうに思うのでございまして、それはいまあなたが答弁されても私の疑いというものは実は消えないのであります。  具体的にひとつこれは局長にお聞きをいたします。この意見書そのものは、実はいままでの経過は一つございまして、きょうの委員会冒頭会長と大臣から意見発表がありましたから、そのことについて私はこまかく言っているのじゃないですから、誤解のないようにしてもらいたいと思うのです。  ここで重要な部分が私は二つあると思う。一つは八億二千万円の、この資本収支から事業収支に振りかえるという、このことが具体的に一つの根拠となって、経営の合理化、これが非常に強くNHKに要求されているということです。極力経費の節減につとめよ。営業活動等についても効果的な施策を講じて収入の増加をはかれ。この後段のほうは私は企業努力として一応わかるといたしましても、前段のこの関係というものは、これは単なることば、あるいは文章がこういうふうにできてきたのではないという実は私は見方をするわけでありますから、これは一体どういうことなんだ。  それから二つ目には、受信料の収納不能額の増加を指摘しておられる。これは私もあとで御質問したいと思っておりますけれども。しかも、これは重大な問題であるという意識であります。これは私もそのことはわからぬわけではありませんけれども、特にこの中に盛られて、そして結論は経営の合理化の徹底、ここに帰するわけであります。それから、第二番目は、カラー契約の横ばい。   〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席〕 四十八年度以降、おそらくこの増加というものは見込まれないだろうということの指摘から、ここで言っているのは公共放送機関としての経営責任の重大性の問題ですね。これを認識して、合理的な経営組織の確立と事業の効率的運営の実現に一そう努力せよ。言っていることはわからないわけではないようでありますけれども、私は、これは今日の郵政省が放送法やあるいはNHK等に対してずっと一貫してとってきたいままでの経過にかんがみると、このことについては今回ぽんと、しかもていさいよく出てきて並べられたというふうには受け取りがたい。あなたのほうでは一定の見解をもってこの意見が出されておるのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。このことについては私はぜひ局長から見解を聞かしていただきたいと思うのです。
  79. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  一般的に申し上げまして、私どもは先ほども申し上げましたように、先ほど御引用なられました「通信行政の展望」というものは、あくまでも課長補佐クラスの一つ見解として郵政省が出したということでございまして、これは別に郵政省がオーソライズしました郵政省の見解ではあくまでないわけでございます。私ども電波監理局と申しますか電波の事務当局といたしましては、それとはかかわりなく、もちろんそういうことも検討はいたしておりますけれども、現在法律案を検討しておりますし、また日常の電波監理行政というものを行なっているわけでございまして、先ほども申しました言論に対する問題というものは、あくまでも慎重を期して行政を行なっているという状態でございます。  そこで、いま御指摘がございました大臣の意見に対する御質問でございますが、これはあくまでもNHKに対して意見を付したわけではございませんで、御存じのように放送法にございますように、NHKから出された予算に対しまして私どもとして検討いたしまして、そして大臣の意見をつけて国会にお出ししたというかっこうでございまして、あくまでも予算自体に対する大臣の意見である。したがいまして、今回十七年ぶりですか、十八年ぶりですか、この赤字予算が組まれてきたということは、意見書にもありますように、沖繩におきましてその程度の赤字が見込まれたという事情があることは私ども承知をしているわけでございますけれども、先ほども大臣からも申し上げましたように、一千億以上にものぼる収入というものに対しまして、あるいは事業計画というものに対しまして、それの〇・七四%にすぎない八億二千万の赤字というものは何とかなるのじゃなかろうかという基本的な考えがあったわけでございます。ただし、これはあくまでも予算に対する意見でありますので、けさほど大臣も申し上げましたように、あくまでも大臣の御意見としてはノーということではなくて、認められたわけでございますが、この条件——条件というほどでもありませんけれども、要するに要望ということで意見を付して、その程度のものでございますれば経営努力によってひとつ赤字の回避をしていただきたいという趣旨のものでございます。  特に先ほど御指摘になりました受信料の収納不能額というものは、従来〇・六%で見ておられたのを今回一%に見られたということで、その差額だけでも四億の超過になるわけでございまして、そういうことを考えますと、できるだけ受信料の収納不能額というものは回避するようにひとつ御努力お願いしたいという趣旨のものでございます。  また、このカラー契約につきましてはそこに書いてあるとおりでございまして、今後カラー契約の伸びというのは、そう急激な増加というのは見込めなくて、けさほど会長も言っておられましたように、まあ今年度が四百二十万の増、四十七年度は四百万の増ということでございますので、しかもそれに来年度の末になりますと、それによりまして千六百万のカラー契約者が生ずるということで、その先になりますとおそらくそう同等の増加ということは期待し得ない。したがいまして、まあこのNHKというものはあくまでもこの受信料によって成り立っている、事業を行なっているわけでございますから、ひとつ経営責任をあらためて認識されまして、経営組織の確立と事業の効率的運営の実現に一そうの努力をはかってもらいたいということでございまして、この文句自体はこれまでの意見書、毎年意見書を出しておりますけれども、特にこの表現を急に変えましてこういうような表現にしたということではございませんで、毎年の意見書の中にはこの程度のことは、経営の努力であるとか、経営の合理化であるとか、あるいは経費の節減であるとか、そういったことは従来の意見書の中にも含まれているわけでございまして、決して今回に限って特別の考え方でこういう意見を付したということではございませんことを申し上げたいと思います。
  80. 米田東吾

    ○米田委員 適当に答弁して、それで済む問題では私はないと思いますよ。  まず第一に、この研究、若手グループの研究発表だということなら、それは内部の皆さん関係者に、これはひとつ成果というものは内々にそういう関係者に示されて、そうして皆さんが研究をさらに継続されるということでいいんじゃないですか。何もこれを、ある意味で公にしたとはいえないかもしれませんけれども、一般にまでこれらについては発表されて、そうして一つの反応を見るというようなことは、私はこれは間違いじゃないか、それだったら、公表していないんだったら。そういうことを実は言いたいんです。  それから第二点については、従来もこの程度意見は付しておられる。これは意見はいつでも出てきます。しかし、やむを得ないものと認めるとか、あるいは重大な問題であるなんという、こういうきわめて強い意見がついたというのは今回初めてじゃないですか。しかも、中身についてはきわめて具体的に意見が付されておる。経営の合理化を徹底しなさい、極力経費の節減につとめるなんということは普通一般使われておりますけれども、経営の合理化と一体的に経費の節減ということが強調されると、ああNHKの給与が高いじゃないかとか、あるいは放送の関係等について物量的にべらぼうな金を使っているじゃないかとか、何かそういうものに迎合して郵政省は一つ意見を出したというふうにもこれはとれるじゃないですか。  それから受信料関係につきましては、これはいっていることは私もわかりますけれども、だから一つの問題提起をして、受信料、カラー契約の関係について、これはまあ初めからもう大体四十八年度以降この程度にだんだん伸びが少なくなる、あるいは横ばいになるということはいままでも指摘されておりましたが、そういうようなものを取り上げて、公共放送機関としての経営責任の重大性をあらためて認識しなさい、合理的な経営組織の確立と事業の効率的運営につとめなさい、こういうふうにすべて結ばれておる。非常にきついわけですね。こういう異例な意見書が出たというのは今回初めてじゃないかということを私は言っているわけなんですよ。  しかもここまであなたのほうが意見をつけて出さなければならない根拠というものは、私は、やはり皆さんが一貫して持っておられるNHKに対する考え方、あるいは放送行政を通してすでに皆さんのほうが終始続けておられるところの言論統制的な発想というものがこの根底にあるのじゃないか、こういうことを申し上げておるわけです。もう一回御答弁いただきたい。
  81. 藤木栄

    ○藤木政府委員 初めに御指摘のございました「通信行政の展望」というものは、実は私ども電波監理当局のほうでまとめたわけでございませんで、これはあくまでも郵政省全体としてそういった若い課長補佐の、先ほど大臣からお話ししました百人程度の人が集まってそういうものをやったというわけで、これは実は電波監理局が発表したわけでもございませんし、電波監理局が研究したわけでもございませんので、私としましては、その点につきましては何ともお答えしかねるわけでございますが、あとの問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、これはあくまでも私どもとしましては言論統制をやろうということは全然考えておりませんので、その点はひとつ御理解願いたいと思います。これはほんとうに文字どおりそういうことは考えておりませんので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  82. 米田東吾

    ○米田委員 次に、それではもう少し質問をしたいと思います。  NHK会長さんに御質問したいのでありますが、私は意見書の問題につきましては、会長が九日の同僚議員の質問に対して答弁されたことを実は聞いているわけでありますが、この経過は、先ほど、けさああいうことで弁明がありましたのでこれは了承できるわけであります。しかし私は、あの答弁を聞いておりまして、ことばじりは別でありますけれどもNHK会長としては、大臣の意見書については相当あなたの意見があるのじゃないか。実はそういうことを強く感じたわけであります。使われたことばが不適当であったということは、これはもう全然別の問題でございますけれども、あなたとしてはこの具体的な、今回の大臣がつけられた意見についてお考えがあるのじゃないかと私は思うのでありますけれども、ひとつ率直な会長見解を聞かしていただきたいと思います。
  83. 前田義徳

    前田参考人 まあ率直に言いまして、郵政省は大臣が責任者として、われわれの予算編成を御報告申し上げた結果に基づいて、大臣の御意見をおまとめになっている。われわれの予算編成方針は、放送法原則に従って予算がつくられている、まあそういうたてまえになっておりますから、私としては、当面それ以上のことを申し上げるあるいは自由を持たないかとも思います。まあそういうところでひとつよろしく……。
  84. 米田東吾

    ○米田委員 私は答弁を求めませんけれども会長も非常に気を使っておられるようでありますから答弁を求めませんが、たとえば前段で私が触れましたように、大臣の意見はきわめて具体的であります。しかも、これはだれが読んでも、NHKに対して相当な強い大臣としての経営上の要求をされているわけであります。たとえば経営の合理化の徹底、経費の節減の努力あるいは合理的な経営組織の確立、とにかく郵政大臣としてはNHKに対して相当な、極端にいえばいままでの惰性で経営してもらっては困りますよ、そういうような何か強い意見が出されておると私実は読んだわけであります。   〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって当然私は、会長としては、NHK責任あるあなたとしては、これに対してこの場で、適当かどうかは別であるますけれども見解を持っておられるし、それは当然私どもには聞かしてもらわなければならないことじゃないか、こういうふうに実は思ったわけであります。しかし、それは微妙で、きょうのこの委員会の席では不適当だとすれば、これ以上私はあえて申し上げません。このことによって審議をストップするとかどうとかという問題ではありませんから。しかし、言いたいことは言ってもらったほうが私はいいんじゃないか、こう実は思うのですよ。NHK立場でもできないことを背負わされて、そうしてまた行政の立場からいろいろなそのことによる介入か締めつけか、とにかくあなたのほうにそういうふうに圧力がかかるというようなことでは私は遺憾だと思うし、結果的にそういうことがどこかにしわ寄せをされて、NHKの経営に響くというようなことになったら私は困ると思う。そういうことから実は会長に思い切って意見があったら言ってもらいたい、こう思ったのですけれども、これは答弁求めません。しかし、私どもはそのことについて聞く権利が実はあると思います。これだけ申し上げておきます。  次に、会長にお聞きいたしますが、最近報道の自由、このことはいつの場合でもそうでありますけれども、きわめて重視をされるわけであります。特にここ二、三年報道の自由ということとうらはらの関係において、国民の知る権利というものが非常に強調されてきております。これは御承知だと思うのでございます。しかも、そのことをめぐって裁判等にこの問題が発展し、またそれらについて裁判所の国民の知る権利というものを強調される判決等も出ておるわけであります。最高裁は二回にわたってそういう判決を実は出しておるわけです。そういうふうに、ものを言う自由、あるいは権利、同時に言うに足る、知る権利ということが最近非常に強調されるし、事実また重要性を持ってきていると私は実は思います。  そういう立場NHK公共放送ということを考えてみますと、現在のあの態度で、抽象的でありますけれども、いいのかどうかということを基本的に私は実は問いたくなるわけであります。具体的でございませんから、会長に私の言っていることが御理解いただけるかどうかわかりませんけれども放送法にきめられておる異なった意見があれば、それを並列に掲げて判断は聴視者に求める、国民に求める、不偏不党だ、いろいろ放送法規定されているあなたのほうの基本的なものがありますけれども、しかし、このようにマスコミに対する期待、あるいはマスメディアに対する期待というものが変わってきているという現状を考えますときに、いままでのようなああいう報道の立場でいいかどうかということは、あらためてNHKとしても検討を要するのじゃないか、私はこういうふうに思いのでありますけれども見解はいかがでございますか。
  85. 前田義徳

    前田参考人 市民の知る権利は、これはその反射的原則としてのいわゆる言論の自由、表現の自由、これらと一体をなすものだと思います。市民の側から見た場合、あるいは言論機関を取り扱うものから見た場合の、究極的には同じ目標に向かっての異なった角度での表現のしかただと思います。  私はそういう意味で、NHKの報道内容がどういうたてまえにあるかといえば、たてまえとしてはこの表裏一体の市民の知る権利と、したがってそれにこたえる言輪の自由の恪守と申しますか、これがまた単に放送法の何条かによる技術的な表明でなくて、放送法の全文に最も明らかに規定されているところだと私は考えます。先生も御質問が具体的でないという点を特に私にお聞かせになって、したがってある意味では、その裏を返すと答えにくい面もあるだろうという御同情もいただいているかと思うのですが、しかし、それが何をさしておられるかという点も、私はNHK会長すなわち報道機関のトップとしては理解できる節もございます。ただ私は、この際申し上げておきたいことは、この大原則NHKといえども破っておりませんし、破る意思はございませんし、もし不完全であればこれを補完し、補強すべきものだと考えております。  ただ、今日のような複雑な社会状態、それぞれの相互利益が共通の場に立てない社会の中で、NHKのようないわゆる公共性格を明らかにされている報道機関の言論の自由の守り方については、いろいろな御批判、御見解があるかと思います。この点は私は、むしろこの問題を苦痛には受け取っておりません。いわゆる言論機関としてのNHKの最高責任者に与えられたある意味では一つの特権でもあり、このことを理解せずして私はNHK会長はつとまらないと思っております。まことに言外の言を申し上げて、しかし私は賢明な先生には御理解いただけると、このように感じております。よろしくお願いいたします。
  86. 米田東吾

    ○米田委員 もう一回会長からひとつお考えを聞きたいと思いますけれども、いま会長から明快な答弁がございました。放送界のトップとしての自信のある、確信のある答弁だと私は思います。  ただ私がなぜあえてこういう質問をするか。ということは、この知る権利が特に最近強調され、これが大きな問題になってきているということについては、私が理解している限りにおいては、権力の側の無原則的な取材拒否あるいは行政秘密、そういうものが結果的には報道の自由をあるいは知る権利を圧迫するようなことになっておる。これには報道関係の方々は、この市民権としての知る権利というものを、もっと勇敢にそういう権力に対して行使をしてもらわなければならない。そうして、国民に公平な自由な報道というものを提供してもらわなければならない。そういう立場で見ますと、いろいろ問題はありますけれども、まあエログロの放送はこれは別といたしましても、最近の民間等を含めた報道の傾向あるいは取材の傾向というものは、それほどそう私は問題にする情勢になっているかというと、そうでないと実は思っておるのです。この十二チャンネルの問題についても、確かに私も問題としてはわからないわけではないけれども、直ちに郵政大臣放送法四十四条の三項に基づいて意見を聞くとか、あるいは意見を言うとか、すぐこれは立法しなければ問題の解決にならぬとかというふうにものごとは発展しがちでありますけれども、それはちょっと私は行き過ぎではないか、実はこういうふうに思って、むしろ民放が勇敢に企業性の追及ぎりぎりまで、ああいう知る権利といいますか、そういうものに向かって取材をされ、報道されている、こういうことじゃないか。この爆弾事件はこれは当たらないかもしれませんけれども、その根本的な姿勢という面からいって、私は実は評価をするわけであります。そういうものは一般的にNHK姿勢の中にも私はだんだん取り入れられてきていいんじゃないか、そういうふうに実は感ずるものでありますから、いままでのようなあり方では、公共放送としては無難かもしれませんけれども、率直に言わしてもらえばなまぬるい。したがってNHKの番組についての批判というものは依然としてあるわけであります。それが、受信料の不払いに発展しているかどうかわかりませんけれども、やはりNHKの評価を、会長が思うように評価をしてくれないものにもなっているんじゃないか、そういうことを感じますがゆえに、実はあえてこういうわかり切ったことを、会長見解を引き出すために御質問をしたわけであります。したがってそこらあたりについて、会長はどうでございますか、同感でございますか、あるいは私の考えが間違っておりますか、ひとつ聞かしていただけませんか。
  87. 前田義徳

    前田参考人 私は、真実を追及し、報道のために、それを市民の知る権利を満足していただくために情熱を傾けて問題を追及するというたてまえには全く賛成であります。同時に、私どもはやはりその追及の情熱をどこまで社会的責任と合致させるかという問題も考えなければいけないと思います。たとえば、簡単にいって、われわれの若い同僚の情熱は燃やすべきであり、それを放送するにあたっては、私の立場において、社会的責任との関係をどう調整するか、この問題がなくて近代国家の言論の自由の基礎は常にゆらいでいくだろうという考え方を私は持っております。もしこの考え方が、あらゆる行動を通じて自然の結果として一致することになれば、これは民主主義社会の中で最も価値ある結果をもたらす報道であり、市民を完全に満足させ得る、知る権利を満たし得る方法である、私はそのように考えております。
  88. 米田東吾

    ○米田委員 具体的な予算の中身について若干の御質問をさせていただきますが、先ほども私触れましたけれども、今度の予算の中に含まれております未収金の償却費の増の関係であります。これは監理局長からも指摘があったようでありますけれども、やはり何かNHKとしては、従来の九九%から九八%に変えた、そしてまた欠損償却費、これもその中の〇・一六%、それが今度は二%、そのうち一%を未収欠損金として計上した。要するに率が変わったわけであります。これはやはり何か根拠があるのじゃないか。要するに収納政策的に見て、NHKとしては、このように変えなければならぬそういうものがあるのじゃないかと実は思うのでありますけれども、このことについてひとつ説明をしていただけませんか。
  89. 斎藤清

    ○斎藤参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、予算上の数字で申し上げますと、四十六年度の欠損償却率〇・六%から、四十七年度の予算といたしまして一・〇%に変更いたしてございます。これは、私どものほうといたしましては、欠損の償却はできるだけ少ないほうがいいわけでございますが、最近におきます社会生活の実態、すなわち具体的な事例で申し上げますと、特に都市圏を中心といたしまして人口移動率が非常に増大いたしましたこと、あるいは不在率、団地、アパート居住世帯の増大、こういうようなものがございますと、現実に収納活動をいたします集金を担当する者がお会いして収納する機会が失われることが多くなります。こういうようなこと、さらにまた先般来いろいろと問題指摘のございました、公害的な要因を持ちます電波障害が非常に増大しておりますこと、こういうようなことによりまして、なかなか収納というものが困難になってきたわけでございます。  そこで、実態といたしまして、昭和四十四年度の状態でこれを決算いたしまして、さらに一年間追及した結果、現実に取り得なかった実態の数字が一・〇五%でございました。さらに、現在やっております四十五年度決算結果の未収金を追跡しているわけでございますが、これもほぼ同様なレベルになっております。したがいまして、二年間このような状態が続いておりまして、この状況からいたしますと、昨年度予算の〇・六というレベルではとうてい来年度の実態を満たし得ないということが明白でございますので、この実態から実際上の必要な数字予算としてあげるという結論を出しまして、四十七年度の予算は一・〇%ということにいたしたわけでございます。
  90. 米田東吾

    ○米田委員 この先の見通しはどんなふうになりましょう。どういうふうに見ておられますか。それと未収金の関係とあわせて、未契約というものがやはり拡大の傾向にありますね。この点についてどんなふうな見方をしておられますか。
  91. 斎藤清

    ○斎藤参考人 お答えを申し上げます。  収納活動の実態につきましてただいま申し上げましたが、将来に対して現在のような社会情勢がどのように推移するかという予測の問題はなかなかむずかしゅうございますが、現在のまま推移するということになりますと、困難度はやや加わるというふうに考えざるを得ません。しかしながら、われわれとしては根本原則として受信料の確実かつ公平な負担お願いしているわけでございますから、受信料の確実な収納をはかるということは絶対必要な要件でございます。  そこで、経常の施策といたしましては、これは昭和三十六年以来始めておりますが、たとえば銀行口座による振り込み、あるいは郵便貯金による振り込み、あるいは公的な機関等に委託いたしまして確実に収納していく、かようないわば収納の近代化施策を推進するということを基本といたしまして、これによりまして現実に現場で活動いたします要員に余力が出てまいります。そういう余力を活用いたしまして実際に困難な地域に対して成績をあげていく、こういうことが具体的な施策としてわれわれがもくろんでいるところでございまして、現実に口座関係等も以前に比べますと急速に進展しつつございますので、必ずしも将来これが一が二になり三になるというようなことではなく、むしろ一にとどめ、何とかこれを改善していくというような考え方で当たっておるわけでございます。
  92. 米田東吾

    ○米田委員 未契約はどうですか。
  93. 斎藤清

    ○斎藤参考人 御指摘の未契約の状態がふえているのではないかというお話でございますが、これにつきまして昨年来いろいろマスコミ等でお話が出たりしておりますが、実態的な数字という点で申し上げますと、さほど増大したというような傾向はございません。ただ、何せ社会的な生活態様というようなもので、たとえば民営アパート等での定住率が非常に低いとか、そういう意味でそういうような方々のところにまで受信の普及が及びますと、契約をとってくるということ自身が非常に困難になること、あるいはまた難視だというようなことを事情といたしまして契約をしたくないというような特別な地域が出るというようなことがございます。これらにつきましては鋭意責任者をもって直接その地域の方々とよく話し合って御理解をいただくということ、あるいはまた契約の——たとえば先ほど事例をあげました特殊な生活の態様の方々についても、必要な適切な時間帯において何とかやっていくというようなことを推進いたしまして、未契約の状態を何とか解消しよう。これによりまして年々受信契約の普及率もやや高めようというのが計画目標になっておるわけでございます。
  94. 米田東吾

    ○米田委員 くどいようでありますけれども、未収あるいは未契約、これらの傾向はわかりましたが、このことは要するにNHKの放送の番組編成とか、あるいは放送姿勢に対する基本的な批判として出ているのではない、これは都市化現象とか、あるいは難視聴とか、あるいはいろいろな社会的な他の現象によって必然にこういう数字が出てきているけれども、そのものがNHKの報道に対して一定の見解なり、批判を持ってそういう抵抗をしておるというふうには受け取っておらない、そういうものではない、こういう御理解でございますか、この点だけもう一回聞いておきます。
  95. 前田義徳

    前田参考人 そのとおりでございます。実際の数字を検討してみましても、そういう部分がかりに一〇〇として、九九・九%近くは社会環境の中で起こってくる問題でございます。
  96. 米田東吾

    ○米田委員 沖繩関係予算につきまして、これは最後でございますが、一、二質問をいたします。  要するに、意見書にもあげられました八億二千万円の赤字予算といいますか、このことでございますけれども、沖繩復帰に伴いまして、四十七年度はとにかくとして、次年度以降も相当NHK自前の負担による負担増というものはさらにどんどんふえていくのではないか、こういうふうに実は思うのでありますが、ことしは八億二千万円、この程度はひとつ企業努力で赤字が出ないようにやれ、こういう意見がつけられたわけでありますが、来年度以降はどんな見通しを持っておられますか。そうしてそれはあくまでも企業努力でやれるという見通しでございましょうか。この面については、たとえば復帰に付随する基本的な建設勘定といいますか、施設についての基本的な建設というようなものについては、沖繩復帰に伴う一般的な国の予算でもっとカバーしてよろしいのではないか。NHKとしては、なるべく国から金をもらいたくないし、そういう努力をしておられると思うのでありますけれども、こういうものについては全部NHKの企業努力ということでかぶせていいのかどうかということについて、私は疑問が一つあるわけでありますけれども、次年度以降どんな見通しを持っておられるのか、それについてどのような見通しがあるか、これはひとつもう一回お聞かせをいただきたいと思います。
  97. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 お尋ねの沖繩の問題でございますが、十分御承知のように、沖繩は放送事業のあり方、制度というようなことにつきましても、本土に比べますとずいぶん格差があって劣っておるわけでございまして、これをなるべくすみやかに本土並みにするということ。具体的に申しますと、ただいまNHKは白黒テレビを一波しか出していないのを、カラーテレビを主体とした二波の放送をいたしたい。ラジオの放送は全然ないのに中波の放送を二波実施いたしたい。またFMを放送したい。さらにNHKの経営については特に沖繩から一名——地域的に申しますと沖繩県は九州の一部だと考えますけれども、特に一人だけ沖繩の代弁者として経営に加わっていただく。また逆に受信料は、沖繩に御同情くださって、特別にラジオもテレビも安いというようなことになっておるわけでございますから、沖繩に対するNHKの御負担はさこそだと推察ができて私どももまことに御同情申し上げておるわけでございます。しかし、沖繩限りの収支において、八億二千万円を実行面において赤字を解消していただきたいという意味では全然ないということはおっしゃられたとおりでございまして、全体の予算として、特に企業努力によって何とか実行面でそれらの問題を解消してもらいたいということが念願でございます。これに対して国家から資金を注入すべきだという御意見でございますけれども、これはいま米田先生がおっしゃいましたように、もともとNHKは自主性を持って経営に当たっていただくというのがたてまえでございますから、ただ国際放送と選挙のときの費用ということだけに限定をいたしまして交付金は差し上げるということにはなっておりますけれども、その他は受信料というものを取っていただいておりますので、これによって経営に自主的に当たっていただきたいというのが私どもの考え方でございますから、国家から幾ばくかの金をもらって、国の支配をNHKが受けるなんということで誤解されるようなことになってもよろしくないことだと思いますし、いまのたてまえでやってまいりたい。沖繩は沖繩限りではたいへん御難渋だとは思いますけれども、何とかひとつうまく切り盛りしてやっていただきたいというのが私ども見解でございます。
  98. 米田東吾

    ○米田委員 わかりました。ただ、私老婆心ながら、沖繩復帰というこの国家的な観点からして、全体として沖繩には非常な格差があるわけでありますね。その中の一つがやっぱり放送施設じゃないかと私は思うのでありまして、そういうものについては、これはかつてないことでありますし、今後だってこういうことは私はもうないと思いますが、そういうものについては、私はひもつきはこれは困りますけれども、これはNHKが拒否するのは当然だと思いますが、しかし、交付金というようなもっと公明正大な、しかも筋の通った負担として国がある程度を見るというのは、私はそうNHKの自主性をそのことによって侵すということにはならぬのじゃないか、実はそんな感じがするわけであります。ことに、この意見書にありますように、企業努力でやりなさい——まあ一千何億かのNHK予算の中の八億二千万でありますから、たいしたことはないといえば、これは数字の上ではそういう論も通りましょうけれども、これはやはりNHKの側からすると、企業努力でなるべく赤字が出ないようにせいということが、私は結果的には他のほうにしわ寄せされて——私が心配するのは、率直に言わせてもらえば、従業員の待遇だとか職員の待遇だとか、そういうところにしわ寄せされやせぬか。そうでなくてもNHKの職員の給与は高いとか低いとかいう議論がある、あるいは放送についてはしばしば民間放送あたりから、NHKの殿さま的な報道の機材なり施設なり、そういうようなものについていろいろな批判がないわけでもない。ふんだんにNHKは使えるじゃないかという、そういうものが何かあるようでありますけれども、そういうようなことによってNHKの本来の使命をそこねるようなことになったらたいへんだ、そういう心配が私実はあるものでありますから、したがって、私は筋の通った、そういう交付金というような制度がいいかどうか、これは検討を要すると思いますけれども、沖繩復帰というこの事実の上に立って放送の面の格差を全部NHKに自前でやれということはどうかというような気がするわけでありますから、そういう御質問をしたわけであります。これは会長からも、私が申し上げておることについては今後のNHKの経営の中に十分留意をされて、そういう心配が出ないように努力をしていただくことはけっこうでありますけれども、他にしわ寄せされて犠牲が出るようなことのないようにひとつ御配慮いただきたいと思いますが、会長さんそれはいかがですか。
  99. 前田義徳

    前田参考人 私はNHKの経営の最高責任者として、経営責任が達成できる範囲でなければ自信を持ち得ない人間です。NHKはいろいろな法律上の基礎がございますが、端的に申しますならば、これは国民全体の機関でございます。したがって、その国民の一部が本土に戻ってくるわけでございますから、経営に責任を持ち、かつ自信があるならば、私はできるだけこれはNHKとして処置すべきであるという原則に立つわけであります。国の選挙放送であるとか、国が命令される部分の海外放送、国際放送については、私は当然国が要求する仕事の全額負担すべきであるという考え方を持っております。しかし、私は、沖繩の問題についてはいろいろな国との関係で制約があることは事実でありますが、これはわれわれの組織を、われわれの放送局を支持する人々が帰ってくるという意味で、全力をあげてこれに対処したいと思っておりますし、もし私が無責任ならば——単年度八億二千万の借り入れ金を使うという形にはなっておりますけれども、これが解消できないような無責任予算を出す理由がないとお考えいただきたいと思います。  ただ問題は、その考え方の基礎に、経営は生きて永続するものであり、予算審議は単年度の予算審議されているというところにあるいは意識の相違が出るかもしれません。しかし私は、少なくとも経営委員会によって任命された会長であり、放送法によっても会長が協会を代表するというたてまえにおいては、はなはだおこがましいかもしれませんが、そんなずさんな予算は組んでおらないし、また沖繩国民とともに再出発する沖繩地域のために、私が全力を注ぐのは当然だと考えております。その点御安心いただきたいと思います。
  100. 米田東吾

    ○米田委員 以上で私質問を終わりますが、最後に、実は会長、去年からの宿題が一つあるわけであります。去年私がやはりNHKのこの質問のときに、身体障害者NHKはひとつどうだ、あなたのほうで身体障害者に向いた何かの仕事、分野があれば、ひとつそこに道を開いてやることはできないかというような質問をしたのですが、あのときの会長答弁は、検討しましょうということでございましたけれども、一年間来ましたが、この見解は、やはり検討の段階でございますか、あるいはそういうことは不可能でございますか、お聞きしておきたいと思います。
  101. 前田義徳

    前田参考人 身体障害の種類によりますけれども、私どもはすでに、数は非常に少ないですが、ある種の身体障害者を採用いたしております。ただ、今後いわゆるその身体障害者の中身と、それからいろいろな意味でのケース・バイ・ケースの検討をしてまいりませんと、NHKの仕事にもしこの身体障害の方々が非常な困難を感ずるならば、新たなコンプレックスをつくり出すおそれもありますので、この点は引き続き検討させていただきたい。ただ非常に軽症な方についてはこの採用を始めております。
  102. 米田東吾

    ○米田委員 終わります。
  103. 高橋清一郎

    高橋委員長 中野明君。
  104. 中野明

    ○中野(明)委員 けさほど来だんだんに議論がございますが、極力重複を避けまして私も御質問したいと思います。  まず最初に、大臣の意見書の中でも指摘がございますように、当年度のNHKの収入の増は約九十六億円でございますが、それに関連しまして、事業費の支出の増が百五億円、このようになっております。ここのところ一応指摘があるわけでありますが、公共放送として健全な事業を運営していく、こういう上から考えまして、この収入の増をオーバーする事業の支出、こういう点、少し私もNHKの将来を考えましたときに、気になるところでございますが、公共放送として受信料の収入その他交付金がございますが、その範囲の中で極力国民の要望にこたえていくというのが私、原則であるかと思いますが、そこのところ、前田会長のほうから見解をお聞きしておきたいと思います。
  105. 前田義徳

    前田参考人 私どもの体質からいって、特にいわゆる世俗的に申し上げれば、入るをはかっていずるを制すということは、これは原則一つだと思います。ただ私どもは、明年度予算から一つの例外的な事業の促進を考えなければなりません。それは端的に申し上げて、沖繩の本土並み放送を一日も早く実施するということであります。これは先生も御存じだと思いますが、非常に簡単に申し上げますと、現在沖繩放送協会は、この事業を引き継ぐことになっているわけですが、テレビ一波しか持っておりません。しかも、その放送時間数も一日十六時間以内でございます。私どもとしましては、復帰と同時にテレビを二波にし、そして音声放送のうち中波二波を実際にサービスできるようにする、その限度においてさらに本土はカラー放送が中心でございますので、電電公社の施設の完成と相まって、臨時にできるものは別として、たてまえとして大体ことしの末ごろからカラー放送も始めたい、このように考えているわけでありまして、この部分が例年の事業計画にプラスした部分でございます。この意味では、私は、明年度予算がそういう形になっており、そしてその形のために経営の責任者として緊急やむを得ざる仕事であり、急を要する仕事でございますので、予算の編成は御指摘のとおりの形になっているということを申し上げたいと思います。
  106. 中野明

    ○中野(明)委員 いまのお話では沖繩が帰ってきたので、沖繩にお金がかかるから例年よりは経費がふえている、そういう御答弁のようでございますが、いただいておりますこの資料の中で第四次長期構想というのがございます。これを見てみましても、事業収支の見込みが、四十七年から五十一年の五カ年構想ですが、三百八億円の赤字が見込まれております。こういう点も考えてみまして、先ほどからも少し話が出ておったと思いますが、こういう日進月歩の技術開発、そういうような中で現物の意見というものを一〇〇%お聞きになれば、経費が幾らあってもとうてい足らないような事態になるのではないか、私どももそのように思いますが、そこを何とか経営とにらみ合わせてコントロールしていかれる、これが会長責任であろうと思います。取材活動につきましても、一部にはNHKの動員力というか、取材の体制というものがたいへんけっこうな状態であるという批判もあることは事実であります。そういうことでございますので、私心配しておりますのは、この長期構想を見ましてもすでに三百八億の赤字を考えなければならない、こういう点から考えまして、けさほど来議論が出ておりますが、受信料を四十八年度までは現状のままだけれども、四十九年以降も努力はするけれどもというような、少しことばを濁しておられるような答弁のように私も聞くわけですが、こういう点を長期構想とにらみ合わせて考えましたとき、先ほども申しましたように、公共放送として収入と支出のバランスをよほど真剣にいまから検討していただかないと、将来受信料の値上げということが大きく出てくるのではないかと懸念をする一人でございますが、この長期構想との関連についていま一度……。
  107. 前田義徳

    前田参考人 私どもはいままで明年度予算編成と関連して、四回続けてきた長期構想の情勢に合った変更をいたしております。第一次、第二次まではこれを長期計画といっておりました。第三次から長期構想に変えました。私どもがいま検討を終わりつつあるのは第四次長期構想であります。  第一次の場合のNHKを取り巻く社会情勢はどうであったかと申しますと、テレビのネットワークを建設する初期の時代に当たります。しかも、所得倍増政策のあおりを食って、待遇改善ということが主目標一つになった時代でございます。  第二次の長期計画は、この第一次長期計画の四年度の経過を踏んまえて、その上に立って第一次の最終年度を初年度とする第二次長期計画を考えたわけです。申しますのは、世の中はきわめて流動的であり、社会情勢は日々に変化するからでございます。  続いて、御承知かと思いますが、環境的に聴視料、たとえばラジオ料金を廃止せよとか、あるいは白黒料金を下げろという情勢が起こりましたので、第二次長期計画の最終年度を打ち切って、そういう情勢にこたえるために第三次長期構想をつくりました。この第三次長期構想の考え方を土台として、皆さまの御審議によって、簡単に申しますと、その年度の事業計画と、それに関連する将来の見通しを御審議いただいて、そして新しい料金制度というものを設定していただいたわけであります。この第三次長期構想の発展の過程においての社会環境はどうであったかと申しますと、御承知のようにいま端的に申しますと、ラジオ料金が存続し、白黒料金がその当時の現状を維持し、さらにカラーの発展に応じた特殊の考え方を御理解いただけるならば、おそらく今日の財政状態は現在よりははるかによかった、妙な言い方ですが、そういう印象を私は持っております。しかしながら、NHKの内部だけがよくても、聴視者との関係がよりよくならなければ、NHKの存在の意味はございませんので、私どもはその意味でラジオ料金を無料とし、白黒料金を十五円引き下げて、従来の構想とのかかわりの中では、三百億円をこえる赤字になるであろうという想定のもとに、この期間に全力をあげて経営責任を追及していきたい、こういう考え方できたわけでございます。  今日の情勢においては、それでは社会的環境はどうであるかと申しますと、御審議いただいているNHKの明年度予算の中に内在している問題は、簡単に申しまして人件費受信料収入額のおよそ三二%になっております。それから明年われわれが消化しなければならない公共料金の値上がり分は、大体七億二千万円になっております。  これらを踏んまえながら私どもとしてはさらに第四次の長期構想を一応検討しまして、そして、その上に立って昭和五十一年度までのわれわれの長期見通しを一応立てているわけでございます。この立て方から申しますと、けさほども申し上げたわけですが、経済企画庁の最近の発表によりますと、昭和四十三年から四十六年にかけての物価の値上がりは、昭和四十三年を一〇〇としますと、三二%の増高になっております。これらもいままでの長期計画もしくは長期構想の中でわれわれとしては消化してまいりました。今後の問題は、主としてやはりこの問題にかかっていると私は考えております。この問題をどう想定するかは、現在のところ確かな考え方を申し述べることは不可能です。今日以後の社会情勢がどうなるか、これを踏んまえない限りはっきりしたことは申し上げられません。しかし、少なくとも毎年五%以上の物価の上昇が平均してあると仮定しても、われわれとしては五十一年度までの経営の基本的数字をどこに置くかということを考えるわけでございます。この際考えられることは、昭和五十一年度末のいわゆる契約目標世帯数としては、国勢調査の結果あるいは総理府の統計その他を勘案いたしますと大体三千三百万世帯、そのときにわれわれが獲得し得るカラー契約の契約数はおおよそ二千四百万世帯と計算しているわけです。この上に立って今後五カ年間の受信料の総収入は現行制度を維持して幾らになるかと申しますと、大体われわれの腹づもりでは六千四百億円を上回ることになると思います。こういうたてまえを土台として、私どもはその初年度としての明年度予算の御審議を願っているわけで、その意味においても私は四十八年度まで値上げする必要がないという基礎的計算の上に立っての発言でありまして、感傷的ないし印象的発言ではございません。  さらに今日具体的な問題としては、代々木に建設している放送センターは明年八月には建物が完成する予定であります。これと関連いたしまして、私どもは不要になる内幸町の処分を考えておりまして、評価益あるいはその他の関係で、これの処分によって百億近い利益を上げ得る、これを将来の財政の補完的作用を果たさせ得る財源と、こう考えているわけです。ですから私が、四十九年度以降についてははっきり申し上げられないというのは、そういう幾つかの条件が完成されていないこと、それから社会環境について見通しが立てられないから、そう申し上げておるのでありまするが、かりに一応社会環境が五%程度の物価上昇を続けていく、これを見合う待遇の改善を行なっていくというたてまえに立つならば、私としては四十九年ばかりでなく、あるいは五十年ころまである種の見通しを持ち得るのではないかという予感を持っております。しかし、これは予感でございます、正確な計算をまだ終わっておりませんので。ただ一つ申し上げ得る点は、先ほど来申し上げましたように、今日においてたとえば明年度予算受信料の面で九十幾億の収入増がある、しかしながら、これはいま申し上げたような物価の騰貴率その他を差引きしますと、この成長率はノミナルには九%をこえますけれども、実質的には三・一%にとどまるというのが実情でございます。しかし私どもとしては、単に印象的な数字を申し上げているわけでなく、かなりの確信を持って今後五年間の見通しを踏んまえた上で、正確でない部分もございますが私どもとしては善処してまいりたい、こういう考え方でございます。
  108. 中野明

    ○中野(明)委員 少し私がお尋ねしているのと意味が違うのじゃないかというような気がするのですが、この事業収支長期構想の中で三百八億の赤字が現在私たちに資料として出ているわけですが、そういう状態から見てみますと、これはあらためてお尋ねするのですが、過日来会長は、当委員会で、カラー放送が現在の受信者の八〇%ですか、その程度までくれば白黒の料金も検討してもよろしいというふうなことを何回か申されたと思います。それとこの三百八億の赤字との関連、これはどのように解釈をしたらよろしいでしょうか。もう一度……。
  109. 前田義徳

    前田参考人 お話のとおり、ちょっと御説明申し上げる点が不十分でございました。三百八億と申しますのは、現時点での多少の変化を予想しておりますが、五年後におけるNHK財政の見通しでございます。三百八億のうち、簡単に言いまして、まあこれもそのようになるかどうかまだ確言はできませんが、最低百五億以上百五十億はこれを補てんし得る財源があるわけです。そういう点で、さらに放送センターの完成とともに、全国的ないわゆるスタジオ設備、会館設備というものの更新はここで完成いたします。したがって建設費の方向が、中身が非常に変わってくると思います。そういう点を勘案いたしますと、私は一応試算としてはそういう数字が出ておりますけれども、私自身としては必ずしも悲観的な見方をしておらない、これが一点でございます。  第二点は、四十三年の受信料の額の変更のときから、どのくらいになったら値下げの問題を検討できるか、あるいは値下げせよというような御意見もございました。率直に言って四十三年、四十四年には一千万になったらどうかという御質問もいただいております。その後ほとんど毎年そういった種類の御質問をいただいております。で、私はその後の先ほど来経過を申し上げた、このことが実はいつになったらそういう機会が来るかということをお答え申し上げる点と関連を持ってくるわけでございます。NHKは四十三年以来料金の額は変わっておりません。しかし、この額はノミナルでありまして、経営的な面から見ますと、先ほど申し上げたように経済企画庁の最近の統計によっても、公共料金を含めた一般物価の値上がりの率は、四十三年の下半期から今日までの間三二%の上昇になっております。このことは、生活環境の場においては、NHKの料金は実質上、ノミナルに比べて三二%相対的に生活環境の中で下がっているというように私は考えるわけです。もちろんこれが一般的に御理解いただける説明の方法であるかどうかは別としまして、そういう点では、最近の日銀の物価指数の発表、あるいは内閣統計局等の発表でも、相対的にNHKの料金は値下げという表が出ております。しかし、私はそれによって今後聴視料の問題を高くしていくことだけを考えるか、あるいは値下げする方法を考えないかという点になりますと、私どもはやはり全国民の支持によって成り立つ放送局でありますので、私は、当然たてまえとして、全国民の御支出がこういう状況の中でより低いことがよろしいと思っております。しかし、これを何年にどうするかという問題になりますと、この非常に変化している経済情勢、ことに円の価値との関連で、変化の激しいこの時期に——私は、はなはだ失礼でございますが、今日この場でその予想を、いつになったら検討の時期に入るかということを申し上げられないことをはなはだ遺憾と思っておりますが、私としては上げないことを目標としてまず前進すべきであるという責任感に燃えております。
  110. 中野明

    ○中野(明)委員 会長は相当強気の将来の見通しを持っておられるようでありますけれども、まあこういう事業収支を見てみますと、やはりいきなりから五年間の見通しの中で三百八億の赤字が出るというふうに書いてもおられますし、いろいろの面で私ども将来のNHKの経営のあり方というものは、非常に苦しくなってくるのじゃないかというふうな印象を受けたものですからお尋ねするわけですけれども、いまのそういう会長のお考えであるならば、もう少し事業収支の見込みにしましても、それに近い、会長の意向に近いようなものが出てきてもしかるべきじゃないか、私たちそういうふうに思うわけであります。  それで、先ほど人件費のお話も出ておりましたが、これも私きょうは議論しようと思いませんけれども、事業総額に対するパーセントでしょうから、事業総額がたいへんかかっておる場合は、人件費の三二%というのは、決してこれまた数字だけでは論じられない問題だろう、このようにも思います。  なおまたもう一点、いまお話しの中で内幸町の放送会館の処分の評価益のことについても触れられましたけれども、これもたちまちこの評価益を赤字の穴埋めにするような考え方ではなくして、新しく放送センターを建てたわけですから、これを売って、その利益で赤字の穴埋めをしていくということになると、忌憚なく言えば売り食いのような形になるわけですから、筋としてはやはり放送センターを建てたほうの償却のほうに向けていくべきが筋じゃないか、このようにも私ども考えます。  それはそれといたしまして、ただいまのお話では、たびたび御答弁なさっているカラーの受信者が八〇%ないし、それをオーバーする時代には、白黒の料金の値上げというものを検討するという、この会長の考え方は一歩後退した、このように受け取ってよろしいでしょうか。
  111. 前田義徳

    前田参考人 まあ八〇%以上、九〇%に近づいたときに、それが値下げにいくか、受信料の体制の変化のほうにいくかということは、先ほど申し上げたように、五十一年度末の世帯数が三千三百万であり、そのうちのカラー契約の対象が二千四百万という数字は、まさしく八〇%をこえるかどうかという新しい時点を示していると思います。そういう意味では、私は主として楽観論であるという御批判でありますが、私は、やはり聴視者負担はできるだけふえない方向で考えるべきだというたてまえで、その責任感を新たにしながらお答え申し上げておるわけで、そういう意味での数字であるということを含みとして申し上げた構想でございます。
  112. 中野明

    ○中野(明)委員 ただいま御答弁になったように、ひとつNHKの最高代表者として、今後とも公共放送使命責任を全うしていただきたい。これはもういつも要望しておるところでございますが、あらためてお願いしておきます。  では、次の問題に移りたいと思いますが、過日のこの委員会で私どもの樋上委員が問題を提起をされましたが、例のアジア放送連合、ABUについてもう一度確認をしたり、あるいはお尋ねをしたりしたいと思いますが、四十七年度の予算の中でABUに出されておる会費、これは金額はどれくらいで、支出の費目は何になっておりますか、もう一度……。
  113. 前田義徳

    前田参考人 負担する会費は、四十七年度において二万ドルでございます。しかし、円の切り上げによって円価の換算は約六百万円でございまして、その費目は放送費でございます。
  114. 中野明

    ○中野(明)委員 これは過日樋上委員お尋ねになっておったのですが、この放送法の九条の二項の七号ですか、それで国内の放送費の中で処置している、こういうふうに会長は御答弁になっておりますが、この放送法九条の二項の七号というのでは私も少し問題があるのではないか、このように解釈をするわけであります。最初はある程度おつき合いという意味もあったかもしれませんが、だんだん年々に、質的にも量的にも変化をしてきてまいっておるような感じも受けます。そしてまた、会長も御承知のように、臨時放送関係法制調査会の答申、この中でも少しこの問題に触れておりますが、申し上げてみますと、「国内及び国際放送との関連において、今後外国の放送事業者又はその団体との協力関係を緊密にする必要が大きいと思われる。これら新種の業務は、任意業務として法律に明記するとともに、特にその出費については、一般受信者との関係や業務の性質にかんがみ、目的を明示し、経営委員会の議決を経て、郵政大臣の認可にかからしめることを考慮すべきである。」こういうふうな答申も出ております。こういう点について、会長見解はそのようなことで処置してきたとおっしゃっておるのですが、郵政省としてはどういうふうな見解をお持ちになっておるか。この際確認をしておきたいのです。
  115. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 その問題につきましては、いささか事務的にわたりますので、電波監理局長から答弁さしていただきたいと思います。
  116. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答えを申し上げます。  郵政省といたしましては、このABUというものが、アジアにおきまする国営または国民的性格の放送機関というものによって構成されておるという実態から、このような機関にNHKが加盟されまして会費を納めるということにつきましては、NHKがわが国におきまする唯一の公共的な機関であるということから、いわゆる社会通念上NHKに期待ないし要請される範囲以内のものである限りにおきまして、NHKの活動の一環として認められてよいものである、そういうふうに考えております。しかし、現行法に即して考えました場合には、いわゆるこのABUの活動状況というものいかんによりましては、第九条二項の第十号の認可を要するということにもなろうかと考えられるわけでございましてこれらにつきましては、今後におきまする事態の推移というものを見きわめながら検討を加えていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  117. 中野明

    ○中野(明)委員 ここはちょっと微妙なところで、解釈のしかたによって違うのじゃないかと思いますが、まあ私どもも、最近の状態を見てみますと、国際協力関係というふうに解釈したほうがすなおじゃないかというふうな気がするわけです。ですから、今後の問題として、いま電監局長が申されたように、九条の二項の十号ですか、それで処置するようにしていくかどうか、これは郵政大臣、検討事項として検討を加えていただきたい、このように私考えるのですが、どうでしょうか。
  118. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいま藤木君から御答弁申しましたように、時勢の推移をながめて、まさに大きな検討事項であろう、こういうように考えております。
  119. 中野明

    ○中野(明)委員 これは、前田会長の御意見も先ほどからありましたように、前回もそうおっしゃっておりますので、一がいにという気もするわけでありますが、やはりこういう問題は、受信料の中から支払っていくものですから、一応すっきりしておいたほうがいいのじゃないかというような感じがしますので、疑義がある問題は、いま大臣がおっしゃったように検討をされておいたほうが将来、今後も続くことでしょうから、特に質問をしているわけでございます。  いま一点、このABUに関連しまして、これまた樋上議員が言っておりましたが、中華人民共和国のABUの加盟については、この放送連合の規約を見てみますと、少なくとも正会員の四分の三以上の同意が必要である、こういうふうに規約はなっております。そのようにいたしますと、現在この加盟国の正会員の現状を見てみますと、昨年の秋の国連で中華人民共和国を承認した国が十カ国、これは会長承知のとおりであります。セイロン、アフガニスタン、インド、インドネシア、ラオス、イラン、ネパール、パキスタン、トルコ、アラブ連合、この十カ国が中華人比共和国を承認しております。そして国府を承認している国は七カ国、オーストラリアと韓国、ニュージーランド、フィリピン、タイ、ベトナム、こうなっております。それに、まあ日本があるとすれば日本を入れて。そうしますと、双方未承認国が四カ国残っております。こういう現状から見ますと、ABUに中華人民共和国が加盟するということについては非常に日本の動きというのが問題になってまいります。御承知のとおり、中華人局共和国との国交回復ということも大きな政治課題に上がってきている今日、このABUの会長もしておられる前田会長の動きというのですかお考え方、これは非常に大きな影響力を持つと私ども理解をしているわけでございますが、この機会に、日本を一応代表してABUに加盟しているNHKとして、中華人民共和国の加盟を積極的に働きかけられる御意思があるのかどうか、この辺の会長の所信をお伺いしたいわけでございます。
  120. 前田義徳

    前田参考人 それにお答えする前に、先ほどの御質問関連して、一言補足発言をさせていただきたいと思います。  御承知のように、昭和三十四年に放送法の一部が改正されまして、先ほど来、午前中もお話に出ましたが、国際放送はNHKの本来業務ということになっております。これが九条の二でございます。太い数字の二でございます。そういう関連と、事実上、いまや宇宙衛星を通じての番組交換の時代でございまして、これの基礎となるものは放送連合——ヨーロッパあるいは東ヨーロッパ、アフリカ、そういうものが非常な実際上の活動をしているということも御理解いただきたいと思います。  ただいまの問題につきましては、正会員と準会員とございまして、たとえばステータスの変更から申しますと、オーストラリアの場合でも、正会員はオーストラリア放送協会でありますが、しかし、あすこの商業放送は準会員になっております。日本でも、NHKは正会員でありますが、民放さんも加盟しておられます。韓国においても同様であります。したがいまして、現実は、一国をいわゆる正会員として代表するものは一機関であり、正会員以外にも加盟が可能であればできるというのかたてまえでございます。  ただいまの御質問の、今度は核心に入るわけですが、私としては同時にこの総会で選挙されまして会長の職にございます。したがって、NHKがどうするかという問題よりも、私としては理事会において——理事会は二回開かれます。第一回は、具体的に申しますと五月の一日から三日までオーストラリアのパースで開かれることになっております。私はおそらくこの会議においてこの問題が何らかの形で取り上げられるだろうという予感を持っております。また、台湾問題が、中華人民共和国との関係で政治的焦点にあるということは事実でありますが、私どもはそれによって、現在台湾が正会員になっているという問題だけで中華人民共和国を拒否しようという考え方は持っておりません。参加御協力願えるならばこれにこしたことはないという考え方を持っております。しかし、その処理については、私は同時に会長として理事会の議長でもありますので、私としては今日この場ではっきり申し上げることは、各国のいろいろな議論にあらかじめ制約を与えるおそれもございますので、その点は私は十分考えておりますけれども、いま先生の御質問の趣旨に端的に答えるのは少し早いのではないか。  同時に、この際に申し上げたいのは、御承知かと思いますが、中華人民共和国は東ヨーロッパ放送連合の正会員でございます。北朝鮮もそうです。北ベトナムもそうです。しかし、私どもの期待としては、アジアの放送事業者はアジアを基盤として一つになるべきであろう、こういう期待を深く持っております。
  121. 中野明

    ○中野(明)委員 さきの会長の補足の答弁でありますが、国際放送、九条の太字の二のほうでありますが、確かにこの問題は追加されたわけでありますけれども、私どもは一応このABUの活動ということについては、国際協力活動というふうに解釈したほうがすなおじゃないかというふうな考え方を私自身も持っておるのですから、そのように申し上げたわけでありますが、今後これは、先ほど郵政大臣答弁になりましたように、検討していただいて、すなおな、しかるべく処置をしていただきたい、このように思います。  それで、いまの会長のお話ですが、確かに現在日中の問題が大きな話題になっておりますし、中国にNHKとしても特派員も現状は置いてないというような状況でありますので、何とかこのような焦点になっておる中華人民共和国に、NHKとしても取材活動ができるように持っていってもらいたいというのがわれわれの気持ちでもありますし、そういう意味会長立場もよくわかりますので、ただいまの答弁で了承しておきたいと思います。  最後にこの問題でもう一点。過日、ABUの活動の中で、ABUのための放送衛星システム構想について会長からも発言がありました。しかし、そのとき郵政大臣がおいでになりませんでしたので、郵政大臣のほうから、結局政府としてこの放送衛星システム構想、これについての構想をどの程度お持ちになっているのか、この際お聞きしておきたいのです。
  122. 藤木栄

    ○藤木政府委員 午前中も実は申し上げたわけでございますけれども、ABUの放送衛星システムの構想は、いわゆる宇宙開発計画の中にも、このアジアにおきまする放送衛星というものを一応取り上げてはおるわけでございますが、それをいつどういう形で実現するかということにつきましては、まだ政府としてはきまっていないという状態でございます。まあしかし、NHK自体もいろいろ研究を進められておりますし、また昭和五十二年度にはその前段階としての実験用の静止通信衛星というものも打ち上げることになっておりまして、まあそれの一環としまして、これはどの程度——いま具体的に詰めている段階でございまして、まだ現段階でははっきりしてないわけでございますけれども、放送衛星に将来使う十二ギガサイクルという周波数帯についての実験も可能であるという計画がございますので、それを踏まえまして、さらに具体的な計画を進めていきたいと考えているわけでございます。  いずれにしましても、いわゆる宇宙開発計画というものに具体的に乗っかりませんと実行ができないいまの仕組みになっておりますので、私どもとしましてもその方向でさらに検討を進め、実現に向かって努力していきたい、そういうふうに考えております。
  123. 中野明

    ○中野(明)委員 過日のお話では、前田会長も非常に過去は積極的にということでしたが、最近はあまり積極的にやっていないというか、できないんじゃないかというようなお話でしたが、そういう点、大事な問題でございますので、政府としても早く構想をまとめて、そして進めていただきたい。これは要望しておきます。  意外に時間を食いますので、極力会長さんが御親切な答弁をしていただきますので時間がかかりますので、なるたけ簡潔にお願いをしたいと思います。  次は、難視聴地域の問題でございますが、これはたびたび当委員会で問題になっております。私、二つに分けまして、最初に山間僻地の難視聴の問題、これはたびたび私も申し上げておるのでございますが、特にきょうは義務教育の中で小学校、中学校の教育課程において、NHKのすなわち教育放送、これが非常に活用されておる。このことはたびたび私ども承知しておるわけでございますが、この小中学校の校舎の中でテレビが見えない。そのために義務教育でありながら非常に他の小中学校と格差ができて、担当の教師も非常に悩んでおる、こういう問題が山間僻地にまいりますと非常にたくさんございます。こういう点について、きょう文部省は来てくれていますか。——文部省としてどの程度まで掌握をなさっておるのか、最初にお尋ねしたいと思います。
  124. 山中昌裕

    ○山中説明員 先生の御指摘になりました小中学校で、NHKで行なっております学校放送を視聴することができない学校は、全国でおよそで五百八十校程度というふうに推計いたしております。
  125. 中野明

    ○中野(明)委員 それは文部省独自で御調査になったのでしょうか。その調査の根拠は何ですか。
  126. 山中昌裕

    ○山中説明員 NHKの難視聴の状況、これは教育放送について調べた中の一環でございますが、その調査の中から推計して申し上げております。
  127. 中野明

    ○中野(明)委員 NHKお尋ねするのですが、私の出身しております高知県で私ちょっと調べたのですが、この高知県下の小中学校のうちで、テレビが不可能だ、見えないというのが三十九校あるわけです。それから困難である、難視ですね、難視が七十六。ですから先ほどの数字は、私少し少ないのじゃないかというふうに見ているわけですが、いずれにしてもこれは非常に教育の機会均等という上から考えまして大事な問題でございますので、これは早急に、各県の教育委員会にでも問い合わせられれば、すぐ数字が出てくるのじゃないか。現場の教師はその点について相当困っております。同じ郡内あるいは同じ県内で、小学校、中学校の学力に大きな差が出てくるということを憂えておるわけでありまして、こういう点についてNHKのほうとしましても早急に計画を立てて、一般の山間部の難視、確かにこれは大きな問題としてたびたび議論しておりますけれども、小学校、中学校の校舎のある場所というのは、大体その付近に人家も比較的あるところに校舎ができております。そういうことから、この小中学校の校舎の難視を解消するということを重点的に何カ年か計画を立てられて、早期に一〇〇%解消するというふうに努力をされるべきじゃないか。もちろん、山奥の一世帯世帯まで最終的にはNHKとしては責任を感じておられるとは思いますけれども、いま私が申し上げましたように、義務教育の小中学校の校舎でテレビが見えないというところは、現在の推定で、いま文部省もNHKの資料でというふうなお話ですが、五百八十か六百かとおっしゃいました。ところが一つの県で、私の県だけでも百からあるわけですから、とうてい、日本全国では私はもっとあるのじゃないかというふうに想像をするわけであります。この点、NHKの考え方なり今後の計画というものを説明していただきたい。
  128. 松浦隼雄

    松浦参考人 最初に、先生のおっしゃった高知県の三十九校と、ただいま、その前にお答えのありました五百八十との関係でございますが、五百八十の中で、高知県においては三十九校ということでございます。これは県によって難視の状況が違いますので、必ずしも高知で三十九で、全国でもっと多いという関係ではございません。  それから、その基礎になります最も詳しい調査は、昭和四十三年に基本調査をいたしまして、逐年それを補完調査をしていることに基づいた数字でございますが、四十三年当時に約千四百十の難視校がございましたのを、その後四十六年までに八百三十二校を救済して解消いたしまして、五百八十校ということになって、かなり急速に解消は進めておりますが、なお六百弱ございますので、これにつきましては、四十七年度あるいは四十八年度において極力早期に解消するように目下計画を立てております。ただ、お話にもございましたように、非常な離れた特殊な条件の中でこれをゼロにするということについては、現在置局、共聴以外のたびたび委員会の席上で申し上げました新方式というものの中で、学校向きのものについても開発するということで鋭意進めておりますが、現在これを具体的に申し上げる段階には至っておりませんが、極力早期に解消すべく計画を練っております。
  129. 中野明

    ○中野(明)委員 少し私あれがあるのですが、不可能が三十九で困難なところが七十六、合計百をこえているわけです。高知では六百しか学校がありません。小中学校で六百しかない中で百校以上が不可能あるいは難視、こういう状況であるということを先ほど申し上げたわけであります。県ではこれに助成金でも出してやろうというふうな動きが見えておりますので、地元としては相当大きな問題になりつつございます。そういう点、いまの松浦理事のお話ですか、一応了解いたしますけれども重点的に難視解消、すなわちその一環として小中学校の義務教育に支障がないことを前提としてひとつ努力していただきたい、このように特に要望をしたいわけであります。  それからいま一点の難視は、これまた最近における都市難視でございますが、都市難視の現状、そしてこれを解消するについては都市で有線テレビ、CATVの会社をつくって活動しておるということになっております。ところが、NHKからも、公益法人として郵政大臣の認可を受けているケーブルビジョンに出捐をしておられるわけでありますが、東京ケーブルビジョン、これが最近いろいろと問題に上がっております。これについて尋ねたいのですが、東京ケーブルビジョンにはNHKとして幾らお金を出しておられるか、最初に……。
  130. 松浦隼雄

    松浦参考人 昭和四十四年度におきまして四千八百五十万円を出捐しております。
  131. 中野明

    ○中野(明)委員 ところが、この東京ケーブルビジョンの経営が非常に苦しいということを私たびたび耳にするわけです。松浦さんもこの経営に参画しておられるお一人じゃないかと思うのですが、この東京ケーブルビジョンが四十五年度におきまして約五千百四十万円の赤字が出ておるようであります。これは御承知だと思いますが、こういう経営の実情、これから見まして、一応NHKからこれに参加しておられる担当者として四十六年度の見通しはどのようにお考えになっておるのか。
  132. 松浦隼雄

    松浦参考人 御承知のとおり、この東京ケーブルビジョンは、NHKのみならず八団体の構成でございますが、NHKといたしましては、これがテレビの難視解消ということに役立つ一手段であるという考え方のもとに、積極的にこれに協力するということでやっておるわけでございます。したがって、その中で特に東京というような大都市の非常に複雑な様相の中で、道路あるいは強電界あるいは電柱というようないろいろな問題の中で、それを解決しながらやってきたことの中では、われわれの目的とする難視の解消においても必ずしも十分な成果をあげていることは申し上げかねる状況かと思います。ただし、いろいろといわれております大きな一つの原丙といたしまして、私どもとしては、御指摘のとおり私がこれにNHKから出ておるわけでございますが、その限りにおきましては難視の解消ということを第一の目的としてやっておりますが、この団体全体としては、さらにそのケーブルの多角的利用ということについてもいろいろな検討あるいは考え方があるように私は考えております。そしてこれらのケーブルの将来の可能性ということはあくまで将来の問題でございまして、テレビの難視解消という現在の問題との間に、率直に申し上げますと多少の見解あるいは鱗論の混淆があって、そのために先生御指摘のようないろいろの印象が出てくるのではないかというふうに思っておりますが、NHKといたしましてはこれが難視の解消に役立つ限りにおいて、またそれに少しでも役立つように、といって八団体の一つでございますから、それだけで突っ走るというわけにもまいりませんけれども、その点を明確にしながらこれに参加しておる次第でございます。
  133. 中野明

    ○中野(明)委員 これは郵政省が監督していると思うのですが、四十五年の事業年度で、収支計算書は私ども見せていただきましたが、収入が六千七百万ですか、それに対しまして支出のほとんど大半が管理費ということになって、人件費に食われているような感じが強いわけでございますが、この点郵政省として、この東京ケーブルビジョンの経営状態と将来の運用についてどのようにお考えになっているのか、お聞きしたいわけです。
  134. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 東京ケーブルビジョンは郵政省が指導いたしまして、財団法人で発足いたしておりますわけでございますが、当初の予想に反しまして業績がきわめてあがっていない不振の状態にあることは、私どもよく承知いたしておりまして、たいへん頭を痛めておるわけでございます。  その原因につきましてはいろいろ理由があるようでございまして、たとえば人の問題でありますとか、あるいは見通しの問題でありますとか、何かと非常に心配になります事情がありますことも承っておりますわけでございまして、これは何とかしなければならないということは考えておりますわけでございますが、ケーブルビジョン自体におきましても、いろいろ苦慮を続け検討いたしておりますようでございまして、将来会社に切りかえるというようなことも一部には考えておりますようでございますが、そういうことがいいか悪いか、これは非常に問題のあるところだと私は考えております。  いま有線テレビジョン放送法案を国会に提出いたしまして御審議をいただくわけでございますが、CATVの将来性と申しますか、技術的な可能性、また経済的な価値性、それから社会的な重要性というようないろいろな問題が、このCATVにはあろうかと思うのでありまして、東京ケーブルビジョンは、もちろん再送信に重点を置いて発足したわけでございますが、CATVそのものも将来のきわめて重要な通信メディアを担当するものといたしまして根本的に検討いたしたいということで、省内におきましてはCCISという調査機関をつくっております。ということは、CATVというのは単に再送信ということばかりじゃなく、自主送信の機能も持っておる、また、双方向の通信の機能も持っておるというように、ただいま申しましたような各方面の可能性あるいは価値性、重要性ということについて、そういう意味から申しますとCATVという、単にそういうことばだけではいかにも機能が不十分である、そういうことになれば、CCIS、つまり同軸ケーブル情報システムという観点から、これをもう少し研究する必要があるということで、省内に調査会をつくったわけでございます。また、多摩ニュータウンに、電電公社にも御協力をいただきまして、実験の場を設けたいというようなことで、いろいろ企図いたしておりますわけでございます。そういうことをながめながら、東京ケーブルビジョンの指導を考えて、何とか経営のできるような方向に持っていかなくちゃならないということで、ただいまいろいろ検討中でございます。また、東京ケーブルビジョン自体におきましても、将来の方向について、非常に真剣に勉強いたしておりますようでございますから、もうしばらく中野先生、お待ちいただきたいと思っております。
  135. 中野明

    ○中野(明)委員 これは、新聞通信有線放送協議会ですか、そこからこの東京ケーブルビジョンの経営方針に関しての要望書が出ておるようでありますが、郵政大臣のほうにも写しか何かいっていると思います。こういうように、実際に加盟をしている人といえば人ですね、加盟をしているグループの中から、経営の方針に関しての要望書が出てくるというのですから、内容が相当いいかげんなものだというふうな印象を、私受けるわけであります。大都会におけるこの種の難視解消の事業というものは公益法人、そういう形態では無理じゃないだろうかという印象も強く受けるわけです。これは発足当時から問題がありまして、私どももずいぶん疑義がありまして、いろいろ申し上げた記憶もあります。こういう点、明らかに、郵政大臣の認可による財団法人としての出発に無理があったような結果が出ております。しかも、この経営のやり方が、新宿でうまくいかなかったなら、今度目は池袋だ、池袋もだめなら今度目は渋谷にいくんだというふうな、いよいよ何を考えているんだろうかという経営のやり方のような気がするし、内容を見てみますと、先ほども申しましたように、発足して二年になるわけですが、人件費ばかりに食われて、このままではもうどうしようもないというふうな現状になっているわけであります。これは、郵政省として行政指導がいいかげんじゃなかったんだろうかという心配も私はするわけですが、こういう点、担当しておられる郵政大臣としては、確かに責任はあると思います。  まだほかに、全国で四カ所できたわけですから、この点について、私お尋ねしたいこともありますけれども、いま大臣が申されたように、法案がいずれ当委員会審議にかかってまいりますので、そのときいろいろとお尋ねしたいと思っております。特に、その中でひどい東京ケーブルビジョンについて、いま問題を提起しているわけですが、この点について、いま御答弁にもありましたように、将来どういうふうにするつもりなのか。安易に、いまのような、新宿でもうだめなら池袋にいくんだ、——現行のところ、まだ二百か三百の加入でしょう。NHKとしても相当多額の金を入れて、二百やそこらの受信料があがってきてどうするんだろうか。もともと事の起こりは、都市の難視から起こっておるわけですから、私どものほうからいえば、NHKがもっと早くから一生懸命やっておいてくれれば、こんなやっかいなことも起こらなかったんじゃないだろうか。八つ当たりのようで悪いですけれども、そういうふうな気もするわけです。この点について、行政指導の任に当たっておられる郵政大臣から、この東京ケーブルビジョンの今後の問題を含めて、いま一度御所見をお伺いしたいのです。
  136. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 郵政省としてこの問題についてたいへん苦慮いたしておりますことは、先刻述べたとおりでございますが、他の三つのCATVは、そう盛んだということではございませんけれども、どうやらつじつまが合って運営をしているようでございまして、最もひどいのが東京であるわけでございます。私はこの問題について、いろいろ意見も聞いておりますし、先ほどお話しの関係者の要望書も拝見いたしております。私は、その要望書の内容は、そう具体的に、はっきり書いてございませんけれども、那辺にねらいがあるということは大体推察をいたしておりますわけでございます。  第一に解決しなければならないのは人の問題じゃないかという気がいたすわけでございまして、これにつきましても、郵政省としましてはいろいろえんきょくに指導はいたしておりますつもりでございます。この東京CATVの将来のあり方と申しますか、経営体の性格というようなことについても、いろいろ内部で意見が分かれておるようでございます。しからば、会社の形態がいいかということになりますと、いまの法制では、会社になりますと、出捐の大宗でありますNHKからそのような出捐ができない、出費ができないというように私どもは解釈いたしております。今度の法案が通りますと、その道が会社になりましても開かれるかと聞いておりますわけでございますが、いずれにいたしましても、近く新年度の事業計画が出ることになっておりますので、それを契機といたしまして、まあせっかくできた公益法人、財団法人でございますから、自主的に運営してもらいたいと思いますけれども、生み落としたという責任は郵政省にあると思うわけでございますから、もう少し強力に指導するという立場に踏み込みまして、そうしてできるだけ所期の目的を達成するような東京CATVたらしめるように協力してまいりたい、こういうように考えております。御趣旨のほどは私十分理解ができるわけでございまして、そう突っ込んだ御指摘はございませんでしたけれども、それから先のことは私どもよく推察ができますので、ひとつ最善の努力を傾倒してまいりたい、かように考えております。
  137. 中野明

    ○中野(明)委員 いま大臣がいろいろ申されましたので、私これ以上申すつもりはございませんけれども、いずれにしても、当初の使命である都市難視の解消という所期の目的は全然達成しておりません。NHKのほうとしてもこれは困っているんじゃないかという気もします。そういう点で、辺地の難視の解消、これはNHKとしてはいままでも積極的になさっておりますが、いずれにしても、ケーブルビジョンとは別に、都市難視が大きな問題になってきていることは事実でございますので、NHKとしまして、今後の都市難視に対処していく姿勢と申しますか、この点について、あらためてこの機会に会長から御所見を承っておきたいと思います。
  138. 前田義徳

    前田参考人 私どもの協会のあり方から申しますと、都市の構造が変化するにつれて、大都市の中にいろいろな意味での難視の場がふえてまいりますので、聴視料を基盤として成り立つNHK経営の面から見ても、聴視者との人間的関係から申しましても、この解消全力をあげることは当然のことではないかと私どもは考えております。ただいまの問題もその一環として参加させていただくという態度をとっているわけですが、この形式が、われわれの期待の一部としては、それが百世帯であろうと四百世帯であろうと、その限りにおいては効果がある、こう考えておりますが、それでは追っつかないという現状関連いたしましては、いろいろな施策をとっております。私どもとしては、さらに都市難視解消のためには、単にいままでの手続、聴視者とビルの建設者、あるいはかつてお願いしたように建築基準の国家的御検討、あるいは自治体の条例によるこの問題の一つ基準の表示というようなことも依然としてお願いしながら、さらに私どもは新しい技術開発によっても、これに即応できるものを考えてまいりたい、このように考えているわけでございます。
  139. 中野明

    ○中野(明)委員 では、時間がありませんので、最後に一点だけ、電波のVからUの切りかえの問題について、この際もう一度郵政省の見解を確かめておきたいと思うのです。  すでに御承知のように、四十三年の九月に当時の小林郵政大臣がVからUへの切りかえを一応発表したわけでありますが、それからもう足かけ五年の歳月を経過しております。十年をめどにというようなお話でございますが、これについて、郵政省としてはどこまでもこの方針を踏襲して、そうして十年をめどにVからUへ切りかえを強行されるつもりなのかどうか、最初にその点をお伺いしたいと思います。
  140. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいまの問題でございますが、VHFの波を移動無線に利用したいというような需要が多分にあるわけでございまして、VHFのテレビをUHFのテレビに切りかえるということは、ただいまお話しのように、昭和四十三年に方向を決定をいたして、十カ年計画でその計画を立て、実施に移したいということにお約束をしておりますことを聞いております。  そこで、私どもといたしましては、現在なおその方針を踏襲いたしまして、そういう方向で検討を続けておるわけでございます。ただ、そういう切りかえをやるということになりますと、考えなくてはならないことは、受信者の立場、VHFの受信機からUHFの受信機に切りかえなくてはならないという受信者の立場、それから放送業者、これはもちろん機器の転換をしなければならないということになってくるわけであります。また置局の上から申しましても、従来のVHFとUHFは波の性質が違いまして、UHFはVHFに比べますと放送の足が短いというようなことで、そうだということになれば、もとの送信所のほかに中継所をたくさんつくらなくてはならない、在来のエリアを守るということになれば、そういうことにもしなくてはならないというようないろいろな問題があるようでございます。  私、昨年入閣いたしまして、この問題を聞きまして、それは方向として正しいだろう、十カ年という計画が正しければ、なるべく短くして、なるべくすみやかに検討すべきだ。実はもうすでに四年経過しておるようなことでございまして、十カ年と申しましても半分ちょっとくらいしか残っていないということになったわけでございますから、ただいま真剣に考えております。  いま一つ問題は、これはお尋ねではなかったのですけれども、中波をFMに切りかえる。中波の増力は御承知のようにいたしまして、これはNHKもすでに実施いたしましたし、それから民放におきましても十七社は増力をいたしまして、残りが二十八社になっております。その二十八社の民放の混信防止のためには、中波をFMに切りかえるべきだという方針をいままで持っておったのでございますけれども、これはいろいろの検討の結果、そういうことがいいことであるか悪いことであるかというようなところにただいまぶつかっております。最初はそうであるべきだという考えでございましたけれども、それでいいか悪いかというような問題にぶつかりまして、しからばそれにかわる方途はどういうようなことを講ずべきかという問題でございますが、それと並んでVHFとUHFの関係も考えておるわけでございます。  現在申し上げられますことは、方向は四十三年度にきめたとおりでただいま進んでおりますけれども、それについては先刻あげましたような各種の問題がございますから、もうしばらく検討いたしたい、かように考えております。
  141. 中野明

    ○中野(明)委員 これは初歩的なことになりますけれども、この切りかえの法的な根拠というのはどこに置いておられるのか、電波法の七十一条でお考えになっているのかどうか。
  142. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 さっきちょっと一つ申し落としましたけれども、行政の立場から転換させるということになれば、VHFをUHFに切りかえるということになれば、その切りかえのための費用を政府が負担しなくちゃならないという問題も起こるのじゃないかと思います。そういうことになりますと、いろいろ法律的な問題が出てくるかと思いますが、いま御質問のそのことについては電波監理局長から詳細に御答弁させます。
  143. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  私どもとしましては、いわゆる切りかえの時期としましては再免許というものを一つの契機として考えております。ただいつの再免許にするかということにつきましては、先ほど大臣から御答弁ございましたように、まだ具体的なスケジュールというのが立てられない状態でございますので、まだいまのところお分けしてないという状態でございます。
  144. 中野明

    ○中野(明)委員 これはいずれにしても国策で波を交換するということになりますと、やはり補償の問題も当然浮かび上がってくることでしょうし、補償したからといって、国からそれだけの金を出して実際に受信者がどれだけの利益があるのかと考えてみますと、受信者はまだマイナスですね、何の利益もありません。現在より悪くなるわけです。だから、税金をそれに使って、国民も悪くなって、いろいろ考えてみますと、いいことは一つもないわけです。ですから、なかなかこの問題は実際に踏み切るのに相当問題が起こってくるし、当然放送を受ける側の国民の側から見ますと、受信機が全部オールチャンネルになるということはなかなか段階的に無理でしょうから、そうすると放送を送るほうも、国民の中にVHFの受信機を持っている人がおる限り、両方を一緒に送らなければならぬでしょう。そうしますと、たとえば放送局の機械なら機械の命数が来たから、だからUに切りかえなさいといっても、なるほどそのVの放送の機械は命数が来たとしても、受ける側がまだ残っている限りは、VとUと両方放送を続けなければならぬと思うのです。そうすると、これは一斉にそろうということはあり得ないと思いますので、イタチごっこのようなことになって切りかえは不可能じゃないだろうか、私はこのように心配をするわけです。  それで、現状ほんとうにそんなに不足して、どうもこうもならないのかという問題なんですけれども、もう十年の年数が半分はたったわけです。それでいて、いまだにまだ見通しも立たぬというようなのんびりした電波現状であるのならば、将来Uの研究も進んできて、もっともっとUも実用化されるようになってくるんじゃないかという気もいたしますので、この際、そういう問題の多い、しかも税金を使って両方とも損をする、国民の、受ける側も決してプラスはありません。プラスがあるなら、私どもはそういうところへ大いに補償をしても当然だと思いますけれども、国の予算で補償をして、なおかつそれで国民が不利益をこうむる。こういう問題につきましては、廣瀬郵政大臣も、前からの踏襲で検討をさせております、早めてもというお話もありましたけれども、それこそ相当の決断をされて、この際VからUへの切りかえということは断念されたほうがいいんじゃないだろうか、私はそういう気がするわけです。そして何とか現状のままで行けるところまで行って、五年たってもまだ見通しも立ちません、方向もきまっておりません、補償のことも考えておりませんというようなことでは、そんなに緊急性があるように私も思いません。そういうことで、この際勇断をもって方針を変更せられるお考えがあるのかないのか、もう一度お尋ねしたいのです。
  145. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 有力な御意見といたしまして、検討の際に大いに参考にいたしたいと思っております。
  146. 中野明

    ○中野(明)委員 非常に足りない御返事でございますが、これはそのときになりますとほんとうにたいへん問題になると思います。いまのこのケーブルビジョン、CATVも同じことが言えると思いますが、国民の中から、そういう大きな運動というのですか、同じような問題が提起されてくるような気がしてならぬわけであります。ですからそういう混乱が起こって、しかも予算を使って国民まで損をするという、二重にマイナスのようなことをなぜこの際しなければならぬのだろうか、そういう私の考え方です。(「小林さんに聞くんだな」と呼ぶ者あり)だから、小林さんがきめたのならば、郵政大臣がかわったのですから、廣瀬郵政大臣のときにあれはだめだ、ああいうことはもうやめます、こう言ったほうがいいのじゃないかと思うのです。おそらくこのNHK長期構想の中にもそういうことは入ってないと思います。これは入っておったら、切りかえだけでとてもとても、NHKだけでもたいへんな金がかかりますよ。そういうことを考えていきますと、なぜいまそんなにすぐテレビにVHFを取り上げなければならぬだろうか、そういう気がするわけです。ですからそこら辺を大臣もよく御承知だと思いますので、しかるべく検討をしていただきたいと思います。私どもはUからVに切りかえる必要はなし、こういう見解を持っておりますので、この際私の意見を加えて申し上げておきます。  以上で終わります。
  147. 高橋清一郎

    高橋委員長 次回は明十六日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十四分散会