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1972-05-11 第68回国会 衆議院 地方行政委員会 第23号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十一日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 上村千一郎君 現事 大石 八治君    理事 塩川正十郎君 理事 中村 弘海君    理事 豊  永光君 理事 山本弥之助君    理事 小濱 新次君 理事 門司  亮君       小沢 一郎君    大村 襄治君       菅  太郎君    國場 幸昌君       高鳥  修君    中山 利生君       中山 正暉君    永山 忠則君       羽田  孜君   橋本登美三郎君       綿貫 民輔君    山口 鶴男君       山本 幸一君    桑名 義治君       和田 一郎君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 渡海元三郎君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         建設大臣官房審         議官      小林 忠雄君         自治政務次官  小山 省二君         自治大臣官房長 皆川 迪夫君         自治大臣官房審         議官      立田 清士君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君         自治省財政局長 鎌田 要人君  委員外出席者         公営企業金融公         庫総裁     荻田  保君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 五月十一日  辞任         補欠選任   菅  太郎君     中山 利生君   國場 幸昌君     大村 襄治君   坂田 道太君     羽田  孜君   中島 茂喜君     小沢 一郎君 同日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     中島 茂喜君   大村 襄治君     國場 幸昌君   中山 利生君     菅  太郎君   羽田  孜君     坂田 道太君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六八号)  公有地拡大の推進に関する法律案内閣提出  第六九号)      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。高鳥修君。
  3. 高鳥修

    高鳥委員 私は、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案について質問をいたしたいと思います。  この改正条文については、きわめて簡潔でありますので、条文の字句については一々こまかいことをお尋ねすることはないと思うのでありますが、まず、最初にお伺いしたいことは、今回の改正をしなければならなくなった背景と申しますか、必然性と申しますか、この改正では、地方道路公社等に対して公営企業金融公庫から貸し付けができるようにするということでありますから、こういう改正をする以上は、それなりの、たとえば資金需要があるとか、あるいは、いままでは地方道路公社にはこのような方法でもってまかなってきたけれども、他の方法をもってしてはまかない切れなくなったとか、そういうふうな必然性というものがなければならぬと思うわけであります。あるいはまた、今後は地方道路公社事業というものを積極的に伸ばしていくんだという考え方に立つならば、資金的な配慮をここでやらなければならないとか、そういうふうな必然性というものがなければならぬと思うのでありますが、その裏づけといいますか、内容といいますか、そういう点についてまず第一にお伺いをしたいと思うわけであります。  それから、それと裏表になるわけでありますが、いままでは、地方公共団体に対して公営企業金融公庫から貸し出しをいたしておったわけでありますが、公社ということでありますと、いわゆるいままでの地方公共団体とは少し性格的に違っておるように思います。そういうことになりますと、今後、公営企業金融公庫というものは、一体地方公共団体ないしそれに準ずるところの公社から、さらに一そう範囲拡大していくという性格のものになるのか。その辺についての基本的な考え方というものを明らかにしていただきたいと思うわけでございます。
  4. 鎌田要人

    鎌田政府委員 まず、最初の、公庫融資対象地方道路公社を加えることといたしました背景と申しますか、直接的な理由でございますが、まず第一に、御案内のとおり、昭和四十五年に地方道路公社法ができまして、いわゆる地方的な幹線道路整備ということにつきまして、有料道路の形でこれを整備してまいるということに相なったわけでございます。この地方道路公社建設資金に対しまする資金手当ての問題でございますが、これは御案内のとおり、建設費の一〇%を設立団体出資をする。それから、国の有料道路整備資金貸し付け金の一五%がそれに相当いたします。したがいまして、残りの七五%は、これは民間資金をもって融資をしなければならない。かたがた、御案内のとおり、地方団体有料道路建設いたします場合には、これは公庫融資対象になる道路公社と申しましても、全額地方団体出資でございます。地方団体道路整備の、ことばが適切でないかもしれませんが、いわば別動隊的なものでございまして、実質的には地方同体と変わらないというふうに私ども認識をいたしておるわけでございます。そこで、一方におきまして七五%の民間資金融資を仰ぐ。しかも、そのやっておる仕事というものは地方団体と全く変わらない。しかも、道路公社が、四十五年にこの法律ができましてから、一応そこそこの間に十九に達しておるわけでございまして、この道路公社が果たしておりまする有料道路整備というものも非常に進んでまいっております。したがいまして、この際、地方道路公社に対しまして公庫から直接融資をしてほしい、それによってできるだけ低利、安定した資金を入れることによりまして有料道路建設を進めてまいりたい、こういう非常に強い要望地方団体並びに道路公社関係の間からわき上がってまいったわけでございまして、そのような要望にこたえるという意味合いにおきまして、公庫の直貸しの道を開くことといたしたわけでございます。  それから、第二点の、こういうことで従来地方団体公営企業対象にしておったものを公社拡大をするということにつきましての将来の見通しの問題でございますが、私ども、率直に申しまして、現在の段階におきましては、地方道路公社、それから別途御審議をお願いいたしておるわけでございますが、公有地拡大法規定に基づきまする地方開発公社、この両者に融資範囲を当面は考えておるわけでございます。将来、地方団体が行なっておる公営企業に類似すると申しますか、同様な性格事業内容とする公社というものができてまいりまする場合におきましては、その段階において、あらためて現在のこの二つの公社とのバランスも考えながら、また、公庫融資ワク等考えながら検討いたしてまいりたいというふうに考えております。
  5. 高鳥修

    高鳥委員 せっかく渡海自治大臣がお見えでございますから、自治大臣に一問だけお伺いをいたします。なお、私のその一問にお答えいただけば、大臣御多用でありましょうから、あと委員の方の御質疑まで中座をされてけっこうであります。私がお伺いをしたいことは、自治行政について非常にベテランの自治大臣でいらっしゃいますから、今後のいわゆる公社等に対する基本的な考え方であります。と申しますのは、地方自治法の中で、いわゆる地方公共団体というものが本来行なうべきいろいろな仕事について指定をされて、そして、それぞれ今日までやってまいっておるわけでありますが、住民に対するサービス面というものがだんだん拡大をしてくるにつれて、あるいは企業局というような形になり、あるいは住宅公社とか、あるいは造林公社であるとか、あるいは土地開発公社でありますとか、いろいろな公社設立をされてまいりまして、それに対する執行者議会側とのコントロールというものが、本来地方自治体で想定されたものとはだいぶ異なった形になりつつあるように思います。さらにまた、そういう公社だけでは足らないで、その他に、民間の法人的な形で、いわゆる株式会社というような形のものがいろいろと設立をされて、そして知事なり副知事が社長になるとか、そういうような形のものが数多く最近は見受けられております。さらにまた、市町村などでは一部事務組合とか、それからまた、広域市町村圏の中では、やはり広域市町村圏事業主体等がいままでの自治体とは少し違った形でふくれ上がりつつあるように思うのであります。  そこで、この辺で、そういう問題全体を見渡しての地方自治体あるいは住民自治という立場に立っての全体的なコントロールというものが必要なのではないだろうか。今回こういう法律改正をされまして、そして、たとえば、いま地方道路公社に対する貸し付けが新たに出てくる、あるいはまた、土地開発公社に対する貸し付けが出てくるということになりますと、その面での仕事がずっとさらに大きく拡大をしていくと思うのであります。そういうことが望ましいとして、今後さらに自治大臣は助長をしていかれるおつもりであるか。あるいはまた、その辺については適当なるコントロールをすべきだとお考えになるか。その辺も含めての大臣の御所見を承りたいと思います。
  6. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 現在の自治体行政で最も問題点となっております点の御指摘でございます。答弁は、これは私自身考え方でございまして、自治省全部といたしまして省議にかけるとか、あるいは、それぞれの諮問機関がございますが、それらの御意見をいただいたものではございませんで、いまの御質問に対する私の私見といたしましてお聞き取り賜わりたいと思いますが、その一つには、本来地方公共団体が行なうべきものを公社等事業として行なわれる問題でございますが、御承知のとおり、社会資本充実ということが非常に行なわれております。地方団体が行なわなければならない行政需要というものが非常に増加してまいりました。これを行なうためには、相当迅速に効率的に業務を執行しなければならない。また、資金の面におきましても、単に国家財政並びにそれに基づいたところの地方財政計画ワク内では、非常におくれております地方社会資本充実地方自治体要望というものを満たすことはできない。このためには、国の経済活動の全般の中で、いままで民間設備投資等で利用されておった資金社会資本のほうへ振り向けていただく。こういうふうな国全体としての経済政策も必要であろうと思いますが、そういった民間資金を流用せなければ、このおくれております社会資本充実することはできない。そのためには、地方公共団体そのものではどうしても迅速、果敢にこれを行なうことができないという必要性から公社等ができてきたのではなかろうか。そのために自然発生的に必要に迫られて生まれてきたのではなかろうかと思います。しかしながら、本来、公社というものは、地方自治体が行なわなければならないものの分身でございますから、あくまでも住民代表である議会等コントロールが十分に行なわれるように配意せなければならないと考えますので、その面におきましても、土地開発公社あるいは住宅供給公社のように公法人化することによりまして、住民代表である議会コントロールをし、また、責任体制というものも明らかにするという姿であくまでも持っていきたい。今回御審議賜わっております土地開発公社にいたしましても、そういう意味では十分迅速なる行政能率があげられる反面におきまして、責任体制が薄れないように、できるだけコントロールのきくような姿に持っていきたい。そのために、現在自然発生的に生まれております私的な、民法的な私法人も、公共性のあるものである限りにおきましては、できるだけ公法人に持っていくような方式で指導してまいりたい。このように考えております。その点が第一点でございます。  第二点の資金の部面でございますが、いま言いますように、民間資金活用ということは必要でございますが、地方団体財政能力と申しますか、力関係におきましては、民間資金をそのまま非常に利用しやすいところと、あるいは、民間資金を利用するにしましても、困難なところがあるのではなかろうかと思います。したがいまして、それらに対しましては、中央におきまして、統一的な民間資金活用団体である公営企業金融公庫のような姿のものをぜひとも拡充してまいりまして、できるだけ低利な安定した民間資金活用方法を講じていくようにすることが今後ともに一そう必要でなかろうかと、このように考えておるような次第でございます。  最後に、もう一つ申されました一部事務組合等事業でございますが、これは、住民生活圏が広くなるにしたがいまして、広域行政的な問題で解決していかなければならない問題だ。といって、昭和三十年前後に行なわれましたような、あのような計画的な町村合併を行なうことはまた非常に困難な問題もある。この長所、短所をとるものが一つ広域行政のあり方で、私たちとしては、あくまでも広域市町村圏の構想というものを進めることによりまして住民サービスの徹底を期したい。かように考え、そのような観点から、一部事務組合が非常にふえておるというふうな形であらわれたのではなかろうかと思いますが、このような一部事務組合を、現在の一部事務組合だけの法制でなくして、この一部事務組合が、広域行政圏の中におきましても、事業別によりましては、全部の町村が入るもの、あるいは一部の町村が入るもの、そういったものを総合的にできるような連合制度をいま自治法改正でお願いしているような状態であります。この時代の趨勢に合わした点に沿うような自治行政の指導、運営に当たり、行政需要に応じてまいり、社会資本充実をはかりたい。これが根本的な進み方でなかろうかと思います。個々の問題をそれぞれ法制化しておりますが、大きな流れといたしましては、そういった観点について個々の問題を解決しながら、一歩一歩行政需要を満たしていきたい。これが私たちの根本的な考えでございます。  まだ省議という点にはまとめておりませんで、一応私見でお聞き願ったのでございますが、そういった方向で、今後とも、社会資本充実に、あるいは住民行政需要に応じていきたい。これが私たち考え方であるとお受け取り賜わりたいと思います。
  7. 高鳥修

    高鳥委員 あとは事務的な段階質問をいたしますので、けっこうでございます。  それでは、財政局長に引き続き御質問申し上げますが、いま、大臣からの御答弁では、民間資金活用ということに着目をして、公社制度というものを創設をして、これの存在意義をそこに見出しておるというような御答弁でありますが、ときあたかも、ちょうど超金融緩和であって、民間資金の導入という点については、いまくらい楽なときはおそらくないと思うのです。民間資金も、相当長期、かつ、利息についても、低利の競争をおそらくやっていると思うのでありますが、そういうときにあえて道路公社を新たに加えて、どうしてもこれを入れて、公営企業金融公庫から貸さなければならぬというのは少し理由が薄弱なような気がするのですが、もう少し突っ込んだ御説明がいただけませんか。
  8. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御指摘のとおり、現在、金融は超緩慢でございます。地方団体あるいはその中におきまして、公営企業等長期資金に充てますところの縁故資金民間資金利率等も、これは各地方団体のいわば相対契約によりましてきまるわけでございます。逐次、逐年低下の傾向にございます。  ただ、問題は、この公営企業金融公庫融資利率民間資金利率との間には、やはり依然として格差がございます。これは何といたしましても、この資金のコストの関係がやはりあるわけでございまして、先ほど申しました有料道路事業の中で、七五%は民間資金である。二五%は当該地方団体出資なり、あるいは国の整備資金なりがあるわけでございますが、七五%は民間出資である。しかも、現在、この十七の公社と申しますものが、地域住民の足の確歩あるいは地域開発のためにどんどん有料道路をつくっているわけでありますから、資金需要というものはどうしても増高の一途をたどる。その中におきまして、民間資金を補完するという役割りはやはりどうしても大事なことでございますので、公庫資金というものをそこに導入することにいたしまして、私どもとしては、総合的な金利の低下というものを考えてまいりたいということでございます。
  9. 高鳥修

    高鳥委員 次に、地方道路公社に対する貸し付けのしかたの問題について若干お伺いしたいと思うのでありますが、他の、いままでのいろいろな地方公共団体の、たとえば上水道、工業用水道一般交通高速鉄道、電気、ガス、港湾整備、市場、観光施設有料道路駐車場というような、非常に幅広い対象に対して貸し付けを実行されておるわけでありますが、さらにここへ道路公社が加わる。しかも、いままで例示をいたしましたものについては、いずれも地方公共団体に対する貸し付けというかっこうになるわけでありますが、これは、地方公共団体に対する貸し付けではなくて、公社に対する貸し付けというかっこうにおそらくなるのではないかと思うのですが、そういうことになりますと、その辺の事務的な手続面ではどのように扱われるのか。  さらにまた、地方財政全体については、自治省としては、総体的な地方財政計画の中で、起債等についても全体的なコントロールをしておられるわけでありますが、これはコントロールワク外になると思うのでありますが、そういうことになりますと、従来の起債等については、市町村財政能力等をかなり勘案して、厳格な査定をして認可をしておられるのが、それのワク外にこういうものがどんどん出ていくというかっこうになると、これはやはり地方財政全体としての問題になるのではないかと思うのでありますが、その点についてはいかようにお考えでありましょうか。
  10. 鎌田要人

    鎌田政府委員 まさに御指摘のような問題があろうかと思います。ただ、現在私ども考えておりますのは、この道路公社なりあるいは土地開発公社といったものの行ないまする事業量というものはある程度——その設置団体、あるいはその事業計画内容等、私どものほうでもこれは常時詳細把握をいたしておるわけでございますし、また公庫のほうにおかれましても、御案内のとおり、これは今度は直貸しということになりますから、その事業重要性なり、あるいは償還能力なり、あるいは採算性なり、あるいは融資困難度なりというものを公庫自身がつぶさに精査せられまして、それに基づいて融資をせられるわけでございますので、この点につきましては、私ども公庫融資の詮議の御方針と申しますか、そういうものをできるだけ尊重するということで、この利率なり、あるいは償還年限なりといった、業務方法書に記載せらるべき事項というものを通じまして、その辺のことにつきましては十分な気を配ってまいりたいというふうに考えております。
  11. 高鳥修

    高鳥委員 四十七年度の公庫予算に計上している六十億のうちで、地方道路公社ワクとして五十億円という配分を考えられておるようでありますが、今回、地方道路公社なり土地開発公社なりに対して公庫融資の道を開くということになれば、要望はおそらく非常に大きくなってまいるのではないかと思うのでありますが、いまお話しがありましたような低利かつ安定した資金を心配してやるのだということになりますというと、いままでのようなことで公営企業金融公庫がその要望に応じていかれるのだろうか。今度は、さっきの民間市中金融がゆるんでいるというのとは逆な考え方で、そっちのほうに大きく依存してくるとするならば、一体、現在の公営企業金融公庫がそれにこたえるだけの資金力があるのか。もしないとするならば、さらに、一般会計からの出資拡大とか、あるいは利子補給の増加とか、いろいろと検討しなければならない面が当然起こってくるのではないかと思うのでありますが、そういう点についてはどのようにお考えでありますかということと、それから、道路公社に対して、いまここで公営企業金融公庫からの低利かつ安定した資金が入ってくるということになれば、通路公社自体経営としてはそれだけ楽になるということになろうと思うのでありますが、各地方道路公社の現在の経営状況といいますか、そういう点についてはどの程度把握をしておられるのか。その辺もあわせて承りたい。
  12. 鎌田要人

    鎌田政府委員 道路公社なり、あるいは土地開発公社事業に対しまする公庫融資は、先ほどから申し上げておりますように、私どもといたしましては、この御審議をいただいておりまする改正法の第一条第二項の規定にもございますように、一般金融機関が行なう融資を補完するということで、あくまで補完的な機能だということ々まず第一に考えておるわけでございます。したがいまして、たとえばことしの場合でございますというと、都市高速道路公社を除きました一般道路公社事業費に対しましてこの公庫面貸しをいたします五十億というのは、大体二五%のウエートに相なろうかと思います。したがいまして、先ほど申しました七五%の民間資金依存の中で、二五%というものをこの公庫が補完をする。したがいまして、あくまでも五〇%のものは民間資金というものが主体になってまいる。こういう基本的な関係というものは、私ども、ある程度基本において考えてまいらなければいけないのではないだろうか。そういうことでございまして、道路公社なり土地開発公社に対しまする融資公庫が全面的に前へ出てまいりまして引き受けるということではございませんで、あくまでも民間資金を補完するということで考えておるわけでございます。そういうことからいたしますというと、将来これが非常に大きなウエートを占めることによって、ほかの、いわば地方団体に対しまする公庫融資というものが蚕食されるといいますか、そういうことにならないように配慮してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、別途、この道路公社なり土地開発公社仕事というものもふえていくことは間違いございません。そういうことでございますので、この面につきましては、ただいま御指摘いただきましたような出資の増額なり、あるいは政保債の増額なり、こういったものによりまして資金総量の確保ということは継続して行なわなければならないと思います。  それから、道路公社の現在の経営状況でございますが、大体、現在供用中のものが、十六公社の中の五公社で、百十六キロ、それから建設中のものが二百九キロ、これは八公社でございますが、そういう状況でございまして、個々道路公社経営状況すべてを、現在、いまここに私ども把握をいたしておるわけでございませんが、建設途上のものが多い。あるいは、供用いたしておりましても、まだ初期の段階のものが多うございますので、現在の段階におきましては、建設利息に追われておる。こういうことで、全体的には、この経営は現在建設段階でございますために、資金繰りに追われておる。必ずしも経営状態は楽ではないというふうに全般的な状況としては把握をいたしておるところでございます。
  13. 高鳥修

    高鳥委員 地方道路公社有料道路をやっておるわけでありますし、国のほうでも、あるいは道路公団等の形で有料道路をやっておるわけでありますが、この有料道路というものについての自治省自体考え方といいますか、これは本来建設省の所管であるということであるかもしれませんけれども自治省も、少なくとも、地方自治体がやっておるところの地方道路公社というものが間接的に自分の権限内に嘱することである限りは、これはある一定の考え方を持たなくてはいかぬと思うのであります。いま地方道路公社がやっているのは、私も具体的に一々当たって調べたわけではありませんが、いわゆるスカイランとか、シーサイドラインとか、観光地における観光道路的色彩のものを有料道路として取り上げてやっておる傾向が非常に強いと思うのでありますが、どういうものを一体有料道路として地方道路公社が取り上げてやるべきか。あるいはまた、本来、道路というのは一般の利用に供せられるものとして建設されるものでありますから、地方道路の中にも、市町村道、都道府県等無料のものもたくさん建設をされておるわけでありますが、その辺についての区分というものを一体どのように考えられるか。あるいはまた、そういう有料道路というものをどんどんつくれば好ましいというふうにお考えになっておられるのか。これはお金を出すという以上は、好ましいと考えてお出しになるということでありましょうが、その辺はどのようにお考えになりますか。
  14. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これはもうすでに先生御存じのとおりでございますが、地方団体なり、あるいは地方道路公社有料道路建設できる場合として、この道路整備特別措置法が定めておりまする要件は、一つは、通行者なり利用者が通行または利用によって著しく利益を受けておるということ、それからもう一つは、通常ほかに道路の通行または利用の方法があって、その有料道路だけを使わなければならないという選択の余地がないものであってはならないこと、まずこういう二つが、御案内のとおり、要件になっておるわけでございます。いま地方道路公社建設いたしておりまする有料道路の中で一つございますのは、いわゆる都市高速道路がございます。これは、いわば大都市内の交通雑踏といいますか、交通混雑というものを回避するということでの機能というものはやはり高く評価すべきだろうと思います。そういう意味での、大都市内での都市高速道路というものを有料道路の形で建設されるということは、現在の道路事情、あるいは道路整備の現況というものから見まして、やむを得ないと申しますか、むしろ積極的にどんどんやられていいのではないかという感じを私は持っておるのでございます。  それから、先ほど御指摘になられました観光地等もございますけれども、いわゆる地域開発的な考え方で、ある程度景勝の地を選んで有料道路建設される。これはまさに、いま有料道路建設の要件とされておりまする法律規定から見ても、いわばぴったりではないだろうか。こういうことでございます。基本的には、有料道路というものの建設につきましては、当該地方団体議会の議決を経て、また、ものによりましては建設大臣の認可というものもございますので、そういう地域住民の意思なり、あるいは道路所管大臣の意思なりというものが反映せられてつくられていく有料道路というものにつきましては、私どもは、やはり、資金の許す限り積極的に援助をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 高鳥修

    高鳥委員 いまの有料道路につきましては、昭和四十五年度の都道府県別の事業別貸し付け実績を見ましても、件数が五十三件ほどすでに都道府県に対して貸し付けが行なわれておるというのが実情だと思うのです。そこで、今度地方道路公社というものに貸す道を開いて、こういう制度をつくられたからには、いままでは都道府県で借りて、企業局なり何なりという形でおそらくやっておったのだろうと思うのですが、新しく今度は地方道路公社という道を開いたということになりますと、いままでの有料道路というものは、地方道路公社のほうにみんな移してしまって、地方道路公社という形でやるということを自治省としては奨励をされるお考えですか。あるいは、それはほどほどにしておけということですか。その辺の考え方ですね。有料道路建設は、もう地方道路公社という形でやるのが望ましいのだから、金融の道も開いてやるし、大いにやりなさいという考え方なんですか。そこら辺のことは、いままでの制度でもできないことはなかったのだと思うのですが、どのようにお考えですか。
  16. 鎌田要人

    鎌田政府委員 たいへんこれはむずかしい問題だと思うわけでございますが、私どもといたしましては、結論的に申しますと、それぞれの地方自治体の御判断におまかせをしていいのではないだろうか。地方団体がみずから有料道路建設されるほうが、先ほど先生も御指摘になりましたような、行政責任の明確化といいますか、あるいは地域住民議会を通じてのコントロールというものができるということでございますれば、直接おやりになられてもいいと思いますし、あるいはまた、民間資金を大幅に導入をしていって機動的な運営を考えたいということで道路公社をつくっていきたいという御意思であれば、それもまたいい。こういうことで、やや無定見のそしりを免れないかもしれませんが、そういう意味で、当該地方団体のまさにやりやすいようにはからってまいったらどうであろうかというふうに私ども考えております。
  17. 高鳥修

    高鳥委員 財政局長さんみずからが無定見のそしりを免れないなどと言われては非常に困るのでありまして、これは大いにはっきりした定見を持って、せっかくこういう制度を新設される限りは、われわれとしてはかく考えるという方向を明確にしていただきたいと思うのであります。  今回は、この地方道路公社に対する貸し付けという問題が中心で審議が進められておるわけでありますから、またの問題は触れないことにいたしますが、地方の公営企業の中には、たとえば交通事業でありますとか、あるいは病院事業でありますとか、なかなか容易ならぬ経営状態のところもたくさんあるわけでありまして、抜本的な対策が必要であるというふうに考えられております。これらについても地方公共団体の判断まかせというようなことであっては困るわけでありまして、自治省としては、自治省はかく考えるという方向を打ち出していただく必要があると思うわけであります。総体として、これからこういう事業がどんどん伸びていくと思うのでありますが、先ほども若干お話しがありましたが、公庫資金については、その貸し付けの量においても、貸し付けの条件においても、より一そう改善をすることが望ましいと思うのでありますし、ワクの増額等の要望もさらにふえてくると思うのでありますが、これらに対する自治省考え方を承って、質問を終わりたいと思います。
  18. 鎌田要人

    鎌田政府委員 私ども、特に、公庫を通じます営企業の育成ということにつきましては、日ごろから努力いたしておるところであります。基本的には、問題を公営企業金融公庫に限定をして申し上げますと、やはり、何と申しましても、これは融資ワクというものをもっと広げてまいらなければならないという感じがしておるわけでございます。四十七年度の地方債計画におきまして、準公営、公営企業全体で七千億余り計上いたしておるわけでございますが、その中で、いわば公庫資金が受け持ちまする部分が、いまの直貸し分を除きまして千四百九十億でございますから、二割程度でございます。もっともっと公庫資金ワクというものをふやしてまいりたい。そのためには、当然のことでございますが、政保債の発行というものも増額をしたい。ことしは、前年当初四百億余りに対しまして、七百億余りの政保債の増額に踏み切っていただいたわけでございますが、なお資金ワクを広げてまいる。それから、この金利についてでございますが、金利も、いま、上下水道、工水、一般交通あるいは市場といったものについては六分七厘といたしておるわけでございますが、これも全般的な金融情勢、金利の趨勢というものを見ながら下げてまいりたい。あるいはまた、基準金利につきましても同様でございます。御案内のとおり、現在、国から年々出資をふやしてもらい、あるいは利子補給金を出し、あるいはまた公営ギャンブルからの健全化基金というものも出しながら、いわば、ありとあらゆる知恵を出しながら利率の引き下げをはかっておるわけでありますが、なお増大してまいります公営企業の需要というものをまかないますためには、もっともっと利率も下げる。あるいは償還年限の延長も考えてまいる。こういうことで、全体的には、公営企業の経常の健全化をはかりますためには、公営企業金融公庫自身がもっと基礎の厚いものになっていくということが何よりも必要であろうということでございまして、そういう方向に向かいまして、さらに引き続きまして努力をしてまいるというように考えておる次第でございます。
  19. 大野市郎

    大野委員長 山口委員が見えるまで、山本さんひとつ……。
  20. 山本弥之助

    山本(弥)委員 公庫の総裁の荻田さんがお見えになっておりますので、荻田さんに少しお尋ねをしてみたいと思います。  公庫が地方公営企業の推進をはかるという意味におきまして創立せられましてから、十五年くらいになると思うのでありますが、当初は資金的な関係でいろいろと御苦労なさったと思うのでありますが、前の三好総裁は、じきじきに地方公共団体等もお回りになりまして、地方公共団体といたしましてもいろいろと資金の苦しいときでありましたが、御協力にこたえたというような創設当時の御苦心もわれわれは十分承知をいたしておるわけであります。しかし、もう十五年にもなっておるわけでありますので、公庫の使命も、重大な一つの発展といいますか、新しい構想でかかっていただかなければならない段階に来ておるように私は思います。ことに、今回、公法人に対する融資の道を開こうという法律改正があるということと、もう一つは、非常に御努力を願っておるわけでございますが、その融資対象になっております府県、市町村を通じましてのいわゆる公営企業。いずれ山口議員から公営企業を中心に質問がなされると思うのでありますが、都市交通、病院にいたしましても、その他あらゆる融資対象になっております公営企業が、外的条件といいますか——市交通のごときはまさにそのとおりでありますが、病院にいたしましても、いままでの医療行政の中で、いわゆる医療機関の適正な配分というようなこととの関連におきましても、ある程度まで公立病院が拘束されるような政治情勢にあったことも事実であるわけであります。そういった意味で、融資を受けております公営企業を軌道に乗せるといいますか、かかえております赤字を解消いたしまして、地域住民のための公営企業としての体制を整えていくという上におきましても、公庫の使命は重要だと私は思うのでありますが、荻田総裁は、地方行政につきましては非常な経験もあり、また、識見も持っておられ、地方行政全般について各方面で御意見も発表され、また、審議会、調査会を通じましての地方公共団体の側についての改正等につきましても御努力を願っておることは、われわれも非常に敬意を表しておるわけでありますけれども、当面、公庫の地方公営企業との関連におきましてどういうふうな将来の御構想を持っておられるか。あるいは、公社、いわゆる公法人に対する融資の道を開くことに関連いたしまして、公庫はどういうふうにこれに対処していかれるか。その辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  21. 荻田保

    ○荻田説明員 お答え申し上げます。  基本的な問題につきましてたいへん御理解ある御質問をいただいたわけでございますが、われわれとしましても全く同感に思っております。十五年たちまして、先輩の努力等によりまして、ようやく順調なすべり出しをしておるのでありますが、おっしゃいますとおり、この辺で飛躍的な展開もしなければならない時期だと思います。  それで、公庫の使命としましては、あくまで公営企業の健全な発展をはかって、地方自治の推進に役立つということであろうと思うのでありますが、その場合、公営企業の運営自体につきましていろいろ問題はございましょうが、私、ここで申し上げるのもいかがかと思いますので、公庫との関連において申し上げますならば、今後、公営企業というものは、住民の要請に応じて大いに設備投資をしなければならない。それには資金が要る。その資金を得るのにはやはり民間からでは条件が悪い。政府資金にたよらなければならない。しかし、政府資金にも限度がある。そうなりますと、その中間にありますわれわれ公庫というものの役割りが非常に重要になってまいります。したがいまして、公庫といたしましては、第一に豊富な資金を供給するということ。いままで対象になっておる事業に対しましても、いわゆる縁故債等の発行によっておりますけれども、そういうものは、条件の悪いものはできるだけ整理して公庫のほうに持ってくる。そのためには、やはりわれわれの資金源を拡張する。資金源は、御承知のように縁故債と政保債になっております。縁故債のほうは、地方職員共済組合のたいへんな御理解によりまして、これは法律的にも定まっておりますけれども、一定額は引き受けていただいておりまして、まことに順調に進行しております。しかしながら、これには限度がございます。資金量のふえる三分の一でございますから、そこに限度がございます。したがいまして、どうしても政保債にたよらざるを得ない。したがいまして、毎年度政保債の増発を要求しておるのでありますが、これは国債と並びまして、政府の金融政策上押えられるところもいろいろございまして、必ずしも思うようにはいっておりません。  それから、御指摘になりました対象でございますが、この対象もかなり広くなってまいりまして、今回、道路公社土地開発公社融資するようにお願いしておりますが、こういうことになりますれば、対象としましてはまずまずじゃないか。もちろん、必要なものがあれば拡張すべきでありましょうが、さしあたりは見つからないような状況でございます。したがいまして、それぞれいままで対象になっておるものにつきましての資金量をふやすということだろうと思います。  それから第二は、低利長期資金であるということ。私は、理想としましては、政府資金並みにいきたいと思うのでありますが、これにつきましてはなかなか問題がございます。おかげさまで政府からの補給金をいただいております。それから、公営競技開催団体から納付金をいただいております。これによって金利のほうはある程度下がっております。さらに、低金利時代に応じまして、最近考えておるのでありますが、もう少し下げる余地があると思いますが、将来はできれば、おもな事業については政府資金並みぐらいのことは考えたらいいのではないかと考えております。  それから、第三番目には、簡易、迅速に行なうということ。資金の借り入れにつきまして地方団体が苦労するのは、これは地方自治の面から見ても好ましくありません。したがいまして、われわれとしましては、地方団体を信頼申し上げて、出てくるものにつきましては簡易、迅速に行なう。この点は、口幅ったいようでございますが、大体実行されておりまして、われわれのほうにおきまして、皆さま方のお申し出どおりの期日に、簡単な書類だけでもって、そうめんどうな手続をとらずにやることになっております。その辺にはますます努力したいと思います。  以上、豊富な資金を出す、有利な条件で出す、簡易迅速に行なう、この三つをもっともっと徹底  していきたいと考えております。
  22. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ただいま荻田総裁から、将来の構想を含めましての、公庫としての今後のあり方  につきましての御答弁をいただいたのでございますが、今回、四十七年度の地方債の、公営企業あるいは準公営企業の起債計画あるいは資金の区分等を拝見いたしましても、大体七千億以上の起債計画になっておるわけでありますが、そのうちの三千二百億見当は政府資金、残りの政府資金以外のものはその他公募資金になっておるわけでありますが、約四千億ぐらいがそういう資金になっておるわけであります。そのうち、私どもの期待しておりますのは、できるだけ公庫資金でまかなうということが本来の姿ではないかと考えるわけでありますが、実際は、公募資金のうち公庫資金は四〇%以下、三七%だと私は見ておるのですが、これは当然増額しなければならぬのじゃないかという点が一点。  それから、これは事情もあろうかと思うのでありますけれども、政府資金の場合はもとより金利は安い。償還期限も、同じ事業融資を受けるにしても、公庫のほうは短い。金利の点は、急には是正は困難だと私は思うのでありますけれども、政府資金より金利がかさむわけでありますから、むしろ、償還期限を長くすることによって、金利高を、公共団体が払いやすいように配慮していくというような措置が好ましいのじゃないかと思うのであります。金利も高い、償還期限も短いというハンディを、内容的にもできるだけ充実してきつつあるわけでありますが、この点は御配慮願ってもいいんじゃないか。資金運用から言いましても、これは公庫だけでは考えられないと思うのでありますけれども、少なくとも、公募資金のうちの半額以上は公庫でまかなうというような配慮が好ましいと私は思うのでありますが、それらの点につきましてお聞かせ願いたい。  いま、いろいろ政府保証債券等につきましてのお話がございましたが、確かに、公庫に対しましては、金利補給なりあるいは出資その他が非常に前進はしておるけれども、われわれの期待するような資金量にはなっていないのであります。これらは急速にふやしていかなければならぬと思っておりますが、その点につきまして、総裁と、さらに大臣の御意見を承りたいと思います。
  23. 荻田保

    ○荻田説明員 おっしゃいますとおりでございまして、少なくとも公営企業につきまして、政府資金でまかなえないものはすべて公庫資金でまかなうというくらいの覚悟でまいりたいと思っておりますが、これにはいろいろ事情がございまして、早急にはまいりません。おいおい拡張はいたしております。おっしゃるとおりに思います。  第二の条件の問題につきましても、利率及び償還年限の問題も、政府資金に比べますと非常に劣っております。したがいまして、これにつきまして、片一方の、低利にするということにつきましては、やはり補給金の金利というようなものの活用によるほかいたし方ありません。われわれとしまして、政保債なり、縁故債なり、ともに大体そのときの金融情勢で動く金、政策金利でございますので、どうしてもその資金を集めてからあとで政策に使う。そこに働かせなければ下げることはできませんので、そちらのほうも努力いたしたいと思います。貸し付け年限につきましても、政府資金に比べましてだいぶ劣っております。したがいまして、これにつきましてもできるだけ延長をしていきたいということで関係方面にお願いしている次第でございます。
  24. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 国の政策が変わってまいりまして、いわゆる経済発展よりも福祉行政へ転換せなければならない、経済活動の中に行なわれる設備投資の資金社会資本資金へ持っていかなければいけない、それでなければおくれておる社会資本充実することはできない、それこそ国の目ざすところの福祉政策への転換ではないか、財政面においてその裏づけができてこそ、初めてほんとうに福祉政策だと言い得るんではなかろうか、私はこう考えます。そのためには、財政資金には限度がありますので、あくまでも民間資金を、いままで設備投資に回っておった分を、経済活動に回っておった分を、私たちの使うところの社会資本充実に持っていかなければならない。これが今日からの財政の目ざすべき方向でなかろうかと、かように考えております。  そうなりました場合、民間資金活用という場合には、地方団体ではおのずから力の限度というものがある。したがいまして、それをカバーするものとしての公営企業金融公庫役割りというものは、従来にもまして大きなものであり、また、業務内容そのものも、いままでのように、公営企業のための金融公庫であるという点を脱却いたしまして、社会資本充実のために、地方公共団体の行なうところの民間資金の利用を行なうのだというふうな性格にまで高めてまいりたい。これが私たちの念願でなければならぬと思っております。しかしながら、公営企業金融公庫そのものの本来の出発の経緯等もございますので、まことに微々として申しわけないのでございますが、今回の土地開発公社あるいは地方道路公社等に対する融資の道を開いたのも、そのための一つの突破口であり、これからさらに、公営企業金融公庫性格そのものも、私がいま申し上げましたような需要に応ずるものに進めていかなければならない。そのことによって量も質も拡充していくことが新しい行政に通ずるのではなかろうか。そのための努力をしなければならないと考えておるような次第でございます。いま総裁が申されましたように、逐年質の改善もいたしております。また、量もふやしておりますが、そういう意味からすれば、まだ微々たるものでなかろうかと思いますが、今後ともに御趣旨のような線で努力してまいりたい。かように考えるものでございます。
  25. 山本弥之助

    山本(弥)委員 大臣の御答弁に対する私の質問は、山口委員がお見えになりましたので、後刻継続することにいたしまして、総裁に一言だけお聞きしたいと思うのでありますが、公庫としてももうだいぶ経験を積まれておるわけでありまして、公営企業の起債の問題ですが、これはいままで、自治省の、あるいは大蔵省の、起債の許可のあった部分を融資するというたてまえをとってきておられると思うのであります。実態から言いますと、公営企業は、その事業計画というようなものが固まれば、一々あらためての具体的な起債の許可は不要である。あと公社の関連もございますが、融資をしておられることから見て、事業計画自治省で一応承認になり、報告程度にとどめて、各年度ごとの起債については、公庫の査定によって直ちに融資ができるということが好ましいのじゃないか。かように私は考えるのですが、この点について、大臣なり財政局長もおられるわけですけれども、総裁の私見でもかまいませんが、運用しておられる責任者としての御感想をお漏らしお願いしたい。
  26. 荻田保

    ○荻田説明員 おっしゃいますように起債の許可の問題でございまして、われわれ申し上げる筋合いのものでないのでございますが、あえて私見でも言えとおっしゃっいますので、申し上げるわけでありますが、いま申されましたように、道路公社なり、それから土地開発公社に対する貸し付けについては、われわれのほうで審査するわけで、起債の許可はないわけでございます。したがって、これを全体に及ぼせばやってやれないことはないわけでございますが、しかし、その場合、われわれのほうで査定をするということと、自治省なり何なりで起債の許可をするということと、やはりどこかで、中央のチェックがございますから、それをどちらでやるのがいいかということになってくるとなかなか大きな問題だろうと思いますので、にわかに結論を申し上げられないと思います。
  27. 山本弥之助

    山本(弥)委員 あとでまた質問いたすことにいたします。
  28. 大野市郎

    大野委員長 山口鶴男君。
  29. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 今回提案されました公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案について若干のお尋ねをいたしたいと思いますが、まず、第一は、公営企業金融公庫といえば、地方公共団体経営しております公営企業、水道、病院、公営交通あるいは電気事業等、非常に種類があるわけですね。これに対する唯一の金融機関です。ところが、政府は一体何ぼ出資をしておるかと申しますと、昨年まで三十九億、今回、渡海自治大臣の御努力もあったと思うのでございますが、二億ふえまして、四十一億という状態です。このほか、政府関係公社、公団が数々ございますが、そういうものの出資金に比べて、この公営企業金融公庫の政府の出資金はあまりにも少額に過ぎるのではないか。唯一の地方公営企業金融機関である公営企業金融公庫性格から言って、あまりにも少額に過ぎるという感じがいたすのでありますが、この点、大臣いかがでございますか。
  30. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 私も、ほかのそういったものに比べまして非常に出資額が少ないと思う。御指摘のとおりでございます。しかしながら、他の金融機関におきましては、政策的な低金利を行なうというふうな問題等が、その出資金によって行なわれるというふうなものが相当あります。私らのほうも、国の補給金というふうな形で、水道その他については利子を引き下げるというふうな点で、政策的な点から、出資金は他と比べて非常に少なくても運営できておるのだという点もあろうと思いますが、しかし、それにしても非常に少ない。もう一つは、私らのほうは、共済組合の資金が使えるという有利な点もございまして、出資金も減らされておる。それから、金利を引き下げるにしましても、ほかのところと違った、あるいは国からの補給金とか、あるいはまたギャンブルの収入とか等によってやっておりますから、出資金が少なくて済み得るということもあろうと思いますが、それにしても、あまりにも虐待されておるのじゃなかろうかというところから、経営基盤の拡充と今後の飛躍的拡大のためには、ぜひとも出資金そのものも引き上げていただかなければならないと思いまして、本年も相当額を要求したのでございます。いまの御指摘で、努力によりというおことばをいただいたのでございますが、私、そのことばに対してまことに恥ずかしい思いをしておるのでございますが、業務内容充実と飛躍的向上のためにも、今後ともこれは努力していかなければならない問題である。かように考えておるような次第でございます。
  31. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 荻田総裁、どうですか。責任者として、他の公社、公団に比べて出資金があまりにも少ないことについて、当然御感想があろうかと思いますが、いかがですか。
  32. 荻田保

    ○荻田説明員 おっしゃいますとおり、他の公庫に比べまして、出資金の額が非常に少ないわけでございます。これは、先ほど大臣がおっしゃいましたように、公庫の成立の経緯が違っているということもあるかと思いますけれども、政府機関として一個の門がまえをかまえていくのについては、その出資金が少ないということはどうも問題でございます。ただ、幸いにしまして、補給金とか、あるいは納付金によりまして利子の引き下げ等はできておりますので、したがいまして、経営状態から見ましても、まずまず順調にいっておりまして、まだはっきりしませんけれども、昨年あたりで剰余金も出しておりますので、ことし二億円の増資を願いますれば、経営上は、方法を変えれば別でございますが、いまのようなやり方をやっておる限りはまずまずだろうと思っております。
  33. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大蔵省に私はお尋ねしたいと思うのですけれども、大蔵省は、地方公共団体経営しております地方公営企業というものについて、一体どう考えておるのか。私は、非常に疑問に思わざるを得ないのです。お話のありましたように、公営企業金融公庫の出資金は四十一億。非常に少ないですよね。念のために他のものを申し上げておけば、専売公社は二百三十二億、国鉄は七百四十億、電電公社が百八十八億、国民金融公庫が二百億、住宅金融公庫が九百七十二億、農林漁業金融公庫が千七百五十億、中小企業金融公庫が二百五十二億、中小企業信用保険公庫が九百五十六億、医療金融公庫が百十五億、今度新しくできます沖繩開発金融公庫が二百四十二億、開発銀行が二千三百三十九億、日本輸出入銀行が五千七百六十三億。これに比べて、公営企業金融公庫が四十一億とは、一体何ですか。しかも、地方公営企業経営状態がいいのなら別ですよ。  大蔵省は、前々から三Kと言っているでしょう。国鉄、食管一会計、それからいま一つ健康保険、この三つ。ところが、それでは地方公営企業経営は黒子でもって心配でないのか。そんなことはないでしょう。私は、前から言うのですけれども、三Kの一番筆頭と言われる国鉄の累積赤字が、昭和四十五年でたしか、五千六百億ぐらいだと思いますが、これに対して、幾つかの都市が経営しております公営交通の累積赤字が、昭和四十五年末で千六百億に達している。全国をカバーする国鉄が五千六百億の累積赤字、ごく一部の都市の公営交通が千六百億の累積赤字ということになれば、私は、公営交通のほうがより経営は深刻だと思わざるを得ないのです。そうでしょう。公営交通あるいは病院、水道等、いずれも非常な経営の悪化を来たしている。そのときに、これに対する唯一の金融機関である公営企業金融公庫が、他の公社、公団に比べてあまりにも出資金が少な過ぎる。もちろん、ギャンブルの納付金等が昭和四十五年から始まりましたね。これによって若干の利子引き下げもできるでしょう。それから、先ほど来大臣もお答えになったように、共済組合等の資金を運用できるという便宜もあるかもしれません。しかし、そういったものがあるにいたしましても、大蔵省は、あまりにも地方公共団体に対してつれなさ過ぎるのじゃないか。第一、今度の国会で公有地拡大推進法案が提案をされた当初、自治省は土地開発金融公庫というものを構想された。しかし、大蔵省が反対をしてとうとうこれはつぶれて、そして、今度の改正にありますように、公営企業金融公庫から十億ばかり資金を出そうというようなことでお茶を濁されたじゃありませんか。大蔵省は、自分のなわ張りの金融公庫をつくるのには非常に御熱心だ。あえて言うならば、そういうものをつくれば、大蔵省の人たちがみんた天下れる。そのために、自分のなわ張りの機関をつくるのは熱心だが、自分のなわ張りでないものについては非常に不熱心だと言わざるを得ないと私は思うのです。大蔵省を代表して御感想を承りたいと思いますね。
  34. 長岡實

    ○長岡政府委員 山口委員のおことばではございますが、まず、最初に申し上げておきたいのは、公営企業金融公庫は大蔵省の共管でございまして、関係のない金融機関ではございません。  それから、御質問の趣旨は、他の金融機関等に比べまして公営企業金融公庫の出資金が非常に少ないということと、それから、公営企業の採算の悪化と申しますか、赤字問題を一体どう考えておるのかということ、この二つに分けて御質問があったと存じますが、まず、名公庫の出資金は、山口委員がおあげになりましたように、相当な全額にのぼっております。しかし、これは、おのおのその出資金を必要とする理由があるわけでございます。たとえば住宅金融公庫を例にとりますと、九百何十億の出資金がございますが、これは、たしか、昭和四十年か四十一年までは、六分五厘の運用部資金、無利子の出資金等を合わせまして、大半の資金は五分五厘に貸し付けるというような、金利差を埋めるために無利子の資金を投入しておった。これが累積されまして九百何十億の出資金になったわけでございます。しかし、当時、住宅金融公庫に限らず、政府関係金融機関全般につきまして、私ども、財政資金の効率的運用という観点から出資をいたします場合には、相当の金額を、その年の国民の税金から政府関係機関に出資したわけでございます。それと、金利差を埋めるのに金利差を補てんをしていく。たとえば大分五厘の資金公庫に投入いたしましても、別途金利差を補給することによって五分五厘に運用できるのであれば財政資金の効率的運用をはかられるのではないかということで、住宅金融公庫等につきまして、出資方式を一種の利子補給方式に改めた経緯がございます。  さて、公営企業金融公庫でございますが、公営企業金融公庫の出資金は、一体いかなる目的で出資をするかということでございますが、これは山口委員百も御承知の上で御質問になっておられると思いますけれども、これは、金利を薄めるための出資という性格は決して持っておらないと思います。現に、先ほど御指摘がございましたように、ギャンブルの資金等の導入とも別に、また、基準金利に比べまして〇・三%くらい低めるために、国も、いわゆる金利差の補給金を出しておりまして、これは四十七年度予算では約六億の補給金を予定いたしております。そういう意味からいきまして、公営企業金融公庫事業重要性とか、あるいは地方公営企業重要性といったようなものを軽視するがゆえにこの公庫に対する出資金を出し惜しんでいるつもりはございません。財政全般からいたしまして、必要とされる理由に応じて財政資金を配分すべきが原則でございますので、公営企業金融公庫につきましては、金利差を補給する意味ではないということから、資金量の増大に伴って、それに応じただけの出資金を投入するということにはならないというわけでございます。  それでは何のために出資金を出しておるのだということになりますと、このお答えはたいへんむずかしいかと存じますけれども公営企業に対してできるだけ安い金利の資金を供給するという観点からいたしますれば、先ほど申し上げた金利差補給金等とは別に、公庫の、たとえば事務費等のコストがその貸し付け金利に加算されないようにというような配慮も必要でございましょうし、そのためには、相当程度の資本金を持って、その資本金の無利子の資金の運用収益によってそういうコストをまかなっていくという配慮も必要であろうかと存じまして、先ほど来お話に出ておりましたように、毎年若干ずつの資金の積み増しをしてまいったというのが実情でございます。  それで、公営企業の赤字全体の問題につきまして、これは、特に、交通事業と病院事業において相当深刻な事態に立ち至っておることは私どもも承知いたしております。ただ、この公営企業の赤字になりました原因につきましても、これは非常にいろいろの事情があって、複雑な原因から今日の事態に立ち至っていると思いますので、ただ資金の金利だけの問題ではないということであろうかと存じます。この点につきましては、現在でも、財政再建計画にのっとった措置をとっておりますけれども、今後も非常に大きな問題として残るものであることは私どもも重々承知をいたしております。
  35. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 少し気をつけてお答えになっていただきたいと私は思うのですが、公営企業金融公庫自治省だけのことだと、そういう法律的な意味で言っているわけじゃないのですよ。私は国会で議運をやっておりますけれども、各公社、公団の役員等、国会承認事項についてはいつもタッチをしているわけですけれども、問題は、政治的に私は言いますけれども、たとえば、国民金融公庫の総裁は何省が出す、住宅金融公庫の総裁は何省から出る、農林漁業金融公庫の総裁は何省だ、輸出入銀行の総裁はどうだ、開発銀行の総裁は一体どうなんだということは、お互い政治家はちゃんと知っていることですよ。私はそういう意味で言っているのですから、気をつけて御答弁いただきたいと私は思うのですよ。  そして、特に大蔵省のなわ張りである——まあ、あえてなわ張りということばを使いますけれども、輸出入銀行とか、あるいは開発銀行というようなところ。特に、今度の国会で、日本開発銀行法の一部改正で、開発銀行が各企業にお金を貸すでしょう。そうすると、それにくっつけて人間まで出しているということがずいぶん問題になったじゃありませんか。そういう、一番出資金の多い、二千三百三十九億出している開発銀行、これはそういう意味では大蔵省のなわ張りでしょうし、そういうことで、私ども、国会としてはいつも問題にしておるわけです。そういうところの出資金が多くて——その出資金性格云々は、あなたから聞かなくても、もちろん私はある程度知っているつもりですけれども、しかし、そういうものと比べて、四十一億はあまりにも少な過ぎるじゃないのか。しかも、全国三千余りの地方公共団体経営している地方公営企業に対する唯一の金融機関、これの出資金としてはあまりにも少な過ぎる。  あなたは知っているかどうか知りませんけれども、私ども党といたしましては、いま危機に瀕した公営企業一体どうして再建をするかということから、社会党として法律案を提案をいたしております。その中で、公営企業金融公庫につきましては、非常に質の悪い借り入れ金もやっておりますので、そういうものの金利を下げるということから、千百二十四億円の出資を新たにしたらいいじゃないかという提案を実はいたしておるのです。そういう立場から私は聞いておるわけでございまして、少なくとも、この唯一の地方公営企業金融機関である公営企業金融公庫について、もう少し出資をするということについて、大蔵省として理解をいただいてよろしいのじゃないかというふうに私は思うのです。時間も限られていますから、同じようなことを議論してもしかたありませんから、この点はこれでやめておきますけれども、とにかく、公営企業金融公庫に対する大蔵省の配慮は少な過ぎるということをこの際強調をいたしておきたいと思います。  そこで、私は、大臣にお尋ねいたしたいのですけれども大臣諮問機関であります交通問題研究会が今度答申を出されたわけでありますけれども、この答申全般について、大臣としてはどうお考えであり、これをどのように具体化していくおつもりであるか。その点まずお伺いしたいと思います。
  36. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 公営交通問題研究会の答申は、この間いただいたところでございまして、概貌につきましては、いただくときに口頭で説明を承った程度でございまして、まだ私も詳細に検討はいたしておりません。また、答申そのものが中間答申の形で、なお、研究の問題も引き続き検討を重ねていただくということでございましたので、これをどう実現していくかということにつきましては、これからの検討課題に入ると思いますが、山口委員にもお願い申しましたとおり、四十八年度に私たちは抜本的な公営交通企業の立て直しをぜひとも検討いたしたいということで取り組んでおります。役所といたしましては、さらに各関係省庁と連絡をとりましてやっていきたいと思っておりますし、また、当委員会等に対しましても、特別にこの点につきまして御審議を賜わり、御後援を賜わりたいということにいたしております。そのときに、従来から研究願っております地方交通問題研究会の答申等も十分御勘案賜わりまして、成案を得た上、四十八年度の予算請求の時期に間に合うようにご検討を進めていただきたい。このように取り組んでおる問題でございます。地方経営主体の問題等も含めまして、非常に重要なる問題も含まれておりますが、経営主体という問題上りも、むしろこの問題は都市交通——都市交通というものを、いままでのようにばらばらな観点からやっておっては解決できる問題ではない。あるいは運輸省の持っておりますところの運輸交通に対する権限、あるいは警察庁が持っておりますところの交通規制の問題、これらを一元化できるような問題を含めることによって、初めて都市交通の統一というものが期せられるのではなかろうか。これがない限りにおいては、都市交通の抜本的解決はできないのではなかろうか。その間の調整をどうするかということが一番根本的な問題になってくるのではなかろうかと私は思います。あるいは、地下鉄その他に対する補助金の問題、財政的な問題もあろうと思いますが、それよりも、一番根本になるのは、都市交通を各個ばらばらの権限のもとに置かず、一元化されたものの中で解決することによりまして、民間交通機関までも含めましての一元的な計画が立てられるところに初めて抜本対策が立てられるのではなかろうかと考えておるものでございます。その際に研究を願っております公営交通問題、この御研究を願っておる意見を、非常に建設的な私たちへの示唆ある御答申として受け取り、しかしながら、この点には、また派生的な問題として種々の問題がございますので、さらに検討を続けていただいておるというのが今日の段階でございまして、私は、むしろ、その統一的な運営はいかにあるべきかということについて、この研究会の答申をぜひとも参考にして今後研究していきたい。かように考えておるような次第でございます。
  37. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大臣は決算のほうでお忙しいそうですから、けっこうです。  いまの大臣のお話は、いろいろ非常に示唆のある御答弁だと思って聞いておりましたが、ともあれ、昭和四十八年度の抜本的な対策を確立するにあたって、この中間答申を十分取り入れていきたいということです。特に、大臣が強調された点は、とにかく、都市交通について権限が非常にばらばらである、各省それぞれの縦割り行政の中で、公営交通が非常に困難な立場にある、その公営交通について、統一的な運営をはかっていくということに何とか力を置いてやりたいんだ、と、こういうようなお話がございましたが、それでは、私は、ひとつ具体的に財政局長にお尋ねしたいのです。  まず、第一に、これを見ますと、公営交通問題研究会としては、「都市交通一元化の問題を含めて都市圏交通の経常主体のあり方について検討を進めてきた。」というようなことを述べまして、一、二、三、四と四つに分けて具体的なことを答申をいたしております。  まず、この第一番目の問題でありますが、第一番目は、「都市高速鉄道整備促進」について触れておられます。これを見ると、従来のような助成では困難であるから、したがって、将来大幅な公共助成の確立が必要だということをうたっておりますね。現在の高速鉄道に対する助成は、二五%国、二五%自治体、合計五〇%。実際の実効補助率は三八%程度だろうと記憶をいたしておりますが、これではだめだと言っておるわけです。この問題については、自治省としては、将来どの程度の助成が必要だとお考えでありますか。われわれは、かねがね、国道並みの助成をすることがしかるべきではないかと主張しているわけです。国道は、現在、四分の三国が補助をいたしておりますから、当然そのぐらいの補助が必要ではないのかというのがわれわれのかねがねの主張ですが、いかがですか。
  38. 鎌田要人

    鎌田政府委員 基本的には、この公営交通問題研究会でも御指摘がございましたように、現在、私ども、それなりに、政府部内におきまする努力の積み上げがございまして、かっては一〇%、それが現在におきましては五〇%、ということで前進をいたしておるわけでございますけれども、他方におきまして、特に、大都市におきまする高速鉄道建設というのはたいへんな金がかかるわけでございます。現に、公営交通だけでとってみましても、総収益の七割から八割というものが利払いに追われておるという状態でございます。これがまた地下鉄の経営を非常に苦しくしておる。こういうことがございますものですから、そういう金利負担というものをできるだけ軽減するための方策というものを考えてまいりたい。その一つといたしましては、やはり、補助率というものも将来拡大をしてまいる。あるいはまた、地下鉄に対しまする長期低利資金というものの導入ということも考えてまいる必要があろうかと思います。  ただ、いまお尋ねになられました何%がいいかということにつきましては、一面におきまして、ただいま御指摘になりましたような、道路が下へ移ったんだから、道路に対する助成率四分の三まではいくべきだという御意見があるということを私ども重々念頭に置いて検討いたしてまいりたい。いまのところ、何%まで持っていくという目標を立てて、そこへ持っていくということまで、私どもの内部の思想統一をはかっておるわけでございませんが、全体的にこのレベルアップをはかってまいりたいということでございます。
  39. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大蔵省にお尋ねしたいと思うのですが、結局、この公営交通の問題については、昭和四十七年の一月十日、水田大蔵大臣、丹羽運輸大臣あての渡海自治大臣の文書というものが作成をされまして、昭和四十八年度においては抜本的な再建対策を検討するということに大蔵省としても同意をされたわけですね。この点については、当委員会に水田大蔵大臣にも来ていただきまして、私のほうからお尋ねをいたしまして、三Kの次には公営交通について取り組む決意なんだ、四十八年度には抜本的な再建策を講ずるんだ、という決意も実はお述べいただいておるわけでありまして、われわれとしてもそれを大いに期待をいたしておるわけでありますが、結局、私どもがなぜそのようなことを強く申し上げるかと言えば、実は、私も、運輸委員会と地方行政委員会との連合審査会にも出席をしてお尋ねをいたしたのですが、とにかく、地方公共団体は、自分の子供である公営交通が大幅な赤字を出しており、そして、しかも、公営交通の従業員諸君の状況を見れば、二年間にわたって、人事院勧告に基づく給与改定もいまだ実施をしていないという実情もある。ところが、片や国鉄のほうはどうかと言えば、これは何もそれが悪いと私は覆っているわけではなくて、私もそれが当然だと思うのでありますが、今日まで、仲裁裁定は完全実施されておる。そして、その国鉄の赤字対策として、地方閑散線については、昭和四十七年度に自治体が五十億持たなければならぬ。それから新幹線についても、百九十億円にのぼる利用債をとにかく自治体が引き受けろというようなことを、大蔵省も運輸省も言っておられる。いわば、そちらのほうは他人の子供ですよ。他人の子供のほうには援助をさせられて、自分の子供のほうは給与改定すら実施されていないという状況では、地方公共団体としては納得しないのは当然じゃないか。したがって、そういう状況もある以上、せめて、四十七年度においては、公営交通については抜本的な対策を講じろということは、国が高速鉄道の問題も含めて補助率をアップする、それから、路面電車の赤字たな上げについても、大蔵省としても十分理解を示していただく、あるいはバスの問題につきましても、行政路線として、住民の足を守るという、いわばシビルミニマムを確立するという立場から、採算を度外視してバスを走らせなければならぬという状況もあるとなれば、そういうものについてもある程度の助成を考えていかなければならぬということだと思います。そういう点について、高速鉄道その他の問題を含めて、大蔵省としては、一体、現在どの程度のお考え方を持っておられるのか。かつてお尋ねしたこともございますけれども、簡単でけっこうでございますからお答え願いたいと思います。
  40. 長岡實

    ○長岡政府委員 山口委員指摘になりましたように、本年一月、予算の第二次折衝の際に、自治大臣、運輸大臣、大蔵大臣との間で、先ほどおっしゃいましたような申し入れがあり、かつ、それを検討するというような経緯があったことは私どもも承知いたしております。公営交通問題というのは、とにかく、現在非常に深刻な事態に立ち至っておることは私どもも承知いたしております。過去における財政再建策等は、結局、大体過去の赤字対策に終わったわけでありますけれども、今後どういうふうにすれば新たな赤字が発生しないで済むかという問題にまで話が及ぶであろうことは察しがつくわけでございます。ただ、大都市の交通問題はいろいろとむずかしい要素がからんでおると思いますので、総合交通体系全体のあり方の中でこの問題が検討されていくことで執ろうと存じますが、大蔵省といたしましても、そういうような点につきましては、関係各省と十分に相談をいたしてまいりたいと考えております。
  41. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 十分真剣な取り組みをしていただきたいと思います。  そこで、鎌田さんにまたお尋ねしたいと思いますが、二番目の問題です。二番目の問題は、「都市交通の運輸調整」の問題でありますが、いま、東京を見ましても、あるいは他の都市を見ましても、いろいろな種類の交通機関が並行的に走っておるという状況でありまして、利用者の側から見れば、確かに非常に不便が多いということは明らかだと思います。実は、東京都は、政務次官も御存じのとおり、環状線の中は都営交通が主体になるのだというようなことで、かつて運輸省との間に文書の取りきめもあったということを私も承知をいたしておるわけでありますが、しかし、そういうものがあっても、現実はそのとおりにはなっていない。とにかく、交通一元化というものをはかることが非常に必要だと私は思います。昨年私はロンドンへ参りましたが、ロンドンの公営交通が、やはり同様に大きな赤字を出しておったが、大ロンドンの区域にそれを広げて交通を一元化したために、いま、大ロンドンの公営交通の経営状況は非常に改善をされたということを、私もこの目で見てきたわけであります。これについては、むずかしい問題も非常に多いわけでありますが、どのような取り組みをなされるおつもりがございますか。  それから、ついでに申し上げますが、渡海自治大臣も強調されたのですが、三番目の「地方公共団体と都市交通」、この項も、私は、きわめて重要、だと思います。ヨーロッパの都市へ参りますと、都市の交通局長さんというのは、その地域のあるべき交通体系をどうするのかという交通政策全般について、少なくとも権限をお持ちになっておるわけですね。ところが、わが国の場合は、交通規制は警察、いろいろな許認可は運輸省、それから、財政の面は自治省が持っておるとか、各省にわたって縦割り行政、ばらばら行政で、東京都なら東京都、大阪市なら大阪市が、その区域内の交通政策について、これを総合的に計画を立て、推進をしていこうという権限は全くない。そういうことでは非常におかしいということを私は強調してきたわけでありますが、この点についてもお触れになっておられます。これについても、一体、どのような形で、いつごろまでに、ここにありますような事項を実施しようといたしておられるわけでありますか。お考えをお聞かせをいただきたいと思うのです。
  42. 鎌田要人

    鎌田政府委員 交通一元化の問題につきましては、昭和四十年に地方公営企業制度調査会が、これは政府の諮問機関でございますが、設置されまして、そこでの検討あるいは答申におきましても、交通一元化の問題が取り上げられたわけでございます。ただ、御案内のとおり、現在、たとえば東京都内をとってみましても、国鉄あり、あるいは公営あり、あるいは営団あり、あるいは九ないし十に及ぶ民間ありというように、いわば国、公、私というものが乱立をしておる状態でございますので、当時の制度調査会におきましては、とりあえずの第一段階として、将来大都市交通の基幹をなします地下鉄において、少なくとも営団と都営の一元化というものから手をつけていくべきだという御答申も実はいただいておるわけでございます。ところが、現実の問題といたしましては、これはなかなかたいへんな問題でございまして、いまだにその実現の緒にすらついておらないという状態でございます。ただ、私ども、現在の大都市交通の実情というものを見ておりまして、路面電車はごらんのとおりでございますが、バスにいたしましても、現実問題といたしまして、若干優先レーン等をつくっておりますけれども、定時性というものが確保できないために、どのバスもラッシュアワーにおいてがらがらである。こういうことでございまして、輸送人員もどんどん減っております。こういった中で、全体としての大都市交通、大都市住民の足を一体どのような形で確保するかということにつきましては、ただ単に私ども自治省だけじゃなくて、政府全体のこれに対しまする強力な取り組みというものがなければ、率直に申しまして、これは実現できない。結局、いまのような混雑と、しかも経営の困難という状態のまま、ずるずるべったりで、どうにもならない壁にぶち当たって、みんなが身動きができないというところまで、全く無為にして突入していくというような感じがいたしまして、私ども、ひそかに非常に焦燥の感じを持っておるわけでございます。ただ、そういう泣き言を言っておりましてもいたし方がございませんので、少なくとも、当面並立をいたしておりますところの交通機関相互の中で、何らか実質的に一元化に近いような状態というものができないだろうか、たとえば統一乗車券といったようなことで、一本化した乗客に対するサービスといったものができないだろうか、というようなことも、関係各省の協力をいただきながら検討を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  それから、第二点の、地方公共団体と都市交通の関係でございますが、これも、実は、昔から言われておることでございまして、今日、たとえば住宅問題その他の問題と並びまして、交通問題というのは、まさに都市問題でございます。都市問題でありながら、都市の首長が、みずからの住民の足を確保するための具体的な権能というものはない。わずかに、みずから公営交通を経営するよりほかに、そういう具体的な権限あるいは方策というものを持ち得ないという状態でございまして、これもつとに指摘されておるところでございますけれども、そこにはまたなかなか言いがたい事情がございまして、簡単にすっといかないというのが実情でございます。この点につきましても、たとえば交通規制というものにつきましては、先般道路交通法の改正の際も問題になったわけですが、私どもと警察庁とで、都市の優先レーンの設定ということについて、地方団体の長から申し出があった場合には、公安委員会は、それに対応する姿勢をとるようにといったような通達、指導という形で、できるだけ地方団体の首長の発露の場というものを広げていく。あるいは、それぞれの都市の段階におきまして、関係行政機関と広く協議の場を持っていただきまして、都市交通のための、そういう形での、いわば役所の権限あるいは法律というものは別といたしまして、現実的な協議の場でそういう当面の隘路を打開していくといったことで進めてまいる。そういう意味では、非常になまぬるい、歯切れの悪いことでございますけれども、そういうじみちな努力を一歩一歩重ねていくよりいたしかたがあるまいというふうに考えておるところでございます。
  43. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 非常に御苦心をされておるけれども、現状は、なかなか障害が多くて前進をしていないというのが実情だと思います。この問題につきましては、むしろ、私ども国会のほうが、ここにありますような事項を積極的に実施するための努力をしていかなければならぬ課題ではないだろうかとも思っております。公営交通の問題については、野党それぞれ、その解決のために熱意を示しているわけでありますし、また、与党におきましても、幸い、自民党さんの地方行政委員の方々を拝見いたしますと、かつて運輸大臣をされた自民党内の実力者である橋本先生も地方行政委員であるし、また、経済企画庁は「総合交通体系について」というような答申もお出しになりましたが、かつて経済企画庁長官を歴任をされた宮濃先生も、いま地方行政委員でもありますし、そういう意味では、私ども地方行政委員会自体が、この実際の問題に、与野党を通じて十分熱意を示していかなければならぬことではないだろうかと思っております。  そこで、次にお尋ねしたいのは、四番目の「都市圏交通と公営交通」の問題であります。ここにはいろいろなことが書いてあるわけでありますが、その最後に「地方公営企業法第四十二条に定められている地方公共企業体について今後具体的にその組織権限を検討するにあたっては、これらのことを十分配慮する必要があろう。」ということで結んでおられるわけであります。そこで、問題は、この地方公営企業法第四十二条でありますが、この公営企業法第四十二条には「地方公共団体は、別に法律で定めるところにより、地方公営企業経営するための地方公共企業体を設けることができる。」と書いてあるわけです。ここに、「別に法律で定めるところにより、地方公営企業を経常するための地方公共企業体」とあるわけでありますが、そうしますと、これは地方公共団体の機関であるということが明らかだと思うのです。したがって、この地方公共企業体がどういう姿のものであるか、いろいろ議論はあろうと思うのでありますが、少なくとも、私は、次の三つの原則は確認できるのではないかと思うのです。  これは、地方公共団体の機関であるということになれば、大ロンドンの公営交通を経常している企業もそうでありますが、当然、議会コントロールというものを受ける。したがって、議会を通じて住民コントロールも受けるということ。それから三番目に、当然地方公共団体の機関でありますから、そこに働く職員は地方公務員であるべきである。かように私は考えるのであります。この点、このような答申が出ておるわけでありますが、自治省としては、この地方公営企業法第四十二条にあるところの、別に法律で定めるその企業体というものについては、一体どのような姿を構想しておられますか。その点ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  44. 鎌田要人

    鎌田政府委員 実は、地方公営企業法の四十一年の改正で、この四十二条の規定を入れたわけでございますが、このときの私ども考え方の基礎にございましたのは、いま御指摘になりました三原則というものと若干違っておりまして、端的に申しますと、ちょうど国におきまする国鉄といったようなものを実は頭に置いておったわけでございます。どうしてそういうものを構想したかと申しますと、この前いただきました公爵交通問題研究会の趣旨にも書いてございますような考え方のほかに、もう一つは、やはり将来の、ただいま御指摘になりましたような、たとえば大ロンドン、あるいはその他の大都市におきましても、大体大都市の区域内の交通機関は一元的に経営をされておるわけでございますが、そういう場合におきまして、いわば公営交通に、国も、あるいは私鉄も、公団も、みんな寄っていらっしゃいということではなかなか実現がむずかしかろう。そういうことでございまして、いわばローカルのパブリック・コーポレーションというものをつくることによりまして、そこに国鉄も、あるいは公営も、民営も、全部そういうものが集まってくる。そこで一元的な経営をやる。したがいまして、形といたしましては、地方公共団体の一機関ではございませんで、いわば公法人ということでございます。ただ、もちろん、その設立なり、あるいは予算なり、あるいは業務計画なり、あるいは役員の任免なり、こういったものにつきましては、当然地方議会コントロールのもとに服する。こういうことを考えておったわけでございます。したがいまして、そこで働く公務員も、いわば国鉄職員のごときものである。当該地方団体のいわゆる地方公務員ではない。こういうものを考えておったわけでございます。ただ、これからどういう形のものにするかという問題は、これからの立法の問題でございますので、いま私が申し上げますものは、その当時、私どもが立法に際して頭に置いておったものであるというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  45. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いま、いろいろ御答弁がありましたのですが、とにかく、東京で言えば、都営交通も、それから営団でやっております地下鉄も、それから、現在幾つもある民営の会社が交通事業をやっておるわけですが、それも、全部ひっくるめて一つの企業体をつくる。これだけ雄大な構想であれば、私は、いま局長のおっしゃったような考え方も、あながち頭から否定をするということでなしに、聞くべき一つの意見であろうと思うわけでありますけれども、しかし、そこまで雄大な交通一元化というものが現実にできるかといえば、私は、いまの政府ではとうていそれは困難なことであろうと思います。とすれば、結局、具体的にそれではどういうことを考えるかということになれば、少なくとも、いま東京が公営交通をやっておる、それから川崎もやっておる、それから横、浜もやっておるという場合に、こういった各自治体経営しております公営交通について、当然横浜の人が大ぜい東京へ通っておるわけでありますから、そういうものをある程度ひっくるめた一元化という程度のもの、現実に実施をするとすれば、それが精一ぱいのところじゃないだろうかというふうに私は思うのです。そういうことになれば、いま局長がお答えになったようなものではなく、さっき私が述べました三つの原則というものに適合した経営主体、企業体に断然ならざるを得ないのではないだろうかと、かように私は思うのです。とにかく、民常から、営団から、公営交通から、打って一丸とするというようなことは、現実にやろうと思ったって、とてもすぐやれる問題じゃないでしょう。いかがでしょうか。
  46. 鎌田要人

    鎌田政府委員 四十一年の立法当時には、実は、そういう雄大な構想のいわば片鱗をここに残したということであったわけでございます。ただ、いま御指摘になりました広域的な都市圏交通というもので、いわば公営交通の広域組織ということでございますれば、別途同じ公営企業法の中にございますいわゆる企業団という形も一つ方法かというふうに存じます。
  47. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 四十八年度に抜本的な再建対策を講ずる。この場合に、地方公営企業法四十二条に定める地方公共企業体というものまでは現実に話が進むわけでありますか。その点はどうでしょうか。
  48. 鎌田要人

    鎌田政府委員 地方公共企業体というものも、いま私が申しましたような、いわば都市交通一元化の受け皿になるような形での地方公共企業体ということの具体化ということになりますと、御指摘になりましたように、当面あまりにも大きな問題でございますので、ちょっと間に合いかねるかと思います。
  49. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それでは、現在広島の尾道と三原の公営交通に対して、協力体制を強めるとか、あるいは合併をするとかいうような形で、県を通じていろいろな指導がなされておるということを聞いています。同じような問題では、徳島鳴門、あるいは小松島等についても同じような指導がなされていると聞いているわけでありますが、一体、これは当該県の地方課が独自の判断でやっておるのでありますか。そうではなくて、自治省として一定の方針を持ち、その上で、県の地方課か通じてこの指導をいたしておるのでありますか。この点はいかがですか。
  50. 鎌田要人

    鎌田政府委員 尾道、三原の交通事業につきまして、いわゆる企業団方式によってやるという話は、地元のほうで御検討になっておられるということでございまして、私どもの漸うで積極的に指導慫慂をいたしましてこの話が出てきているというものではございません。
  51. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうしますと、それは地元からの話があって、それに対して県が相談に乗っておるということなんでしょうね。自治省としては、それでは、これについては特段の方針というものはない、いわば、自治体同士の自主的な話し合いにまかせるというふうに理解してよろしいわけですか。
  52. 鎌田要人

    鎌田政府委員 結論的には、そういう御判断下よろしいかと存じます。  実は、率直に申しまして、きのう、公営交通関係の方々と話をしておりましたときに、この話が相手のほうから出ました。私も、実は、初めて知ったような状況でございます。事務的には、おそらく、そういう事実の経過なり、あるいは現在の県の考え方なり、こういったものをある程度情報として知っておるという段階だと思います。なお、これがある程度進んでまいりまして、私どもに助言なりあるいは指導なりを求められるということでございますれば、その段階で一緒に取り組んでまいりたいという、まだそういう段階でございます。
  53. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうしますと、その自治体を通じてのいろいろな御意見を聞くのもけっこうだし思いますが、そこに働いております職員の意見しいうものも、自治省として十分聞いていただいて対処していただけばいいのじゃないか。また、そうすることが必要じゃないかと私は思うのですが、その点はいかがですか。
  54. 鎌田要人

    鎌田政府委員 全般的に、いまの尾道、三原の場合等でございますと、もちろん町も隣接しておるわけでございますから、両方が事業経営して、一部路線が競合しておるといったようなことでございますから、私の現在聞いておる範囲での判断といたしましては、企業団構想大いにけっこうという気持ちでございます。ただ、それが具体的な路線の問題になりますと、もちろん地域住民関係もございます。あるいはまた、労働条件といったことになりますと、当然働く人々の関係もございますので、その辺のところは、広く意見を聞いて、適切な指導に誤りなきを期したいというふうに私ども考えております。
  55. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 お約束の時間も参ったようでありますから、これで終わりたいと思うのですが、最後に、政務次官にお尋ねいたしたいと思うのです。  政務次官も東京の御出身で、しかも、長い間都会議員として、困難な経常に直面した公営交通の問題にも積極的にお取り組みになってこられたわけでありまして、この点に対する御理解は非常に深いということで、私もかねがね尊敬をいたしておるわけでありますが、何といたしましても、先ほど三Kと言いましたが、国鉄も、健保も、あるいは食管も、いろいろな意味で困難な問題をかかえていると思いますが、より以上、地方公営企業、わけても病院事業並びにこの公営交通については、非常に困難な課題をかかえている。幸い、三大臣一つの文書もできまして、四十八年度から抜本的な再建対策に取り組むということになっているわけでございますが、ともあれ、中間答申にございます課題も非常にむずかしい問題が多いと思います。しかし、結局、第一の再建は財政の面からだけ。まあ、大蔵省もやりましたけれども、何とか手当てをしようということであって、専用レーン、優先レーンというようなことを口では言いましたけれども、なかなか実現に移らなかった。それからまた、ことしの財政計画の中で、一千九百億ですか、一般会計から公的負担として繰り入れる措置もとっているけれども、まだまだ十分ではない。いろいろな意味で努力はしているけれども、十分な成果をあげていないという状況でございます。ひとつ、単に財政面からの対策でなしに、この中間答申に盛られましたような総合的な対策に向かってぜひとも御努力をいただきたい。もちろん、私ども委員会といたしましても、先ほど申し上げたように、与党の中にもきわめて有力な方々も多いわけでありますから、それらの御協力もいただいて、野党としても及ばずながら努力をいたしまして、再建のために努力をしたいと思っておるわけでありますが、特に、中心になるのは自治省だと思いまして、自治省のこの問題に対する御決意を承りまして、質問を終わっておきたいと思います。
  56. 小山省二

    ○小山政府委員 御承知のとおり、大都市の交通事業の再建計画は、横浜市を除きまして、おおむね四十八年度で終了することになっております。したがいまして、これらの実績を十分再検討いたしまして、交通事業の真の険路というものは一体どこにあるのかということを十分原因を確かめまして、四十八年度以降の交通対策に私ども自治省としてはできるだけの努力をいたしまして、この赤字対策に取り組んでまいりたいというふうに私は考えておるわけでございます。  私も、都議会におりますときに、御承知のとおり、民営の交通会社との相互乗り入れというような問題に真面いたしました。それまでは、当時の交通事情の関係もございまして、東京都常のバスも、電車も、いずれも黒字でありましたが、たまたま、相互乗り入れあたりを契機として、東京都の交通企業というものがたいへんな困難に直面をするようになった。私は、その当時は、単純に、民営の企業というものは税金を払っておる、株主配当もしているのだ、そうして借り入れ金は一般市中銀行から借り入れをしておる、しかるに、公営企業については、配当もしない、また、税金も払わない、特殊な低金利の資金も導入できる、いろいろな利点があるにかかわらず、なぜこれだけの苦しみをしなければならないのかということで、同僚議員と実は調査に当たったことがあるわけであります。たまたまバスの調査をいたしましたところ、相互乗り入れの関係から、東京都の運行時間というものが民営によくわかりまして、それより一足先に必ずバスが着くように民営のほうは随時時間表を切りかえまして、言うならば、せっかく、たまったところを必ず民営が来てさらってしまう、あと都営が来るというようなことで、これでは相互乗り入れをして公営企業が成り立たないのは当然だということで、局長をかなりきびしく叱責したことがございますが、これはほんの一例で、今日ではそのようなことはございませんが、いずれにしても、交通企業というものが非常な困難に直面しておる原因は、企業みずからの努力で解決できる面と、企業みずからの力ではどうしても解決できない面とあるわけであります。今日の交通渋滞などは明らかにその一面を物語っておる。企業体自身ではどうにもならない。そういうものが最近交通企業の中にたくさん入り込んできた。そういう条件がふえてきた。それに加えて、御承知のとおり、多額の赤字、重荷をしょっておる。やはり、この重荷を軽くしてやるということが、一応交通企業というものを平たんに戻す上の一つの条件ではなかろうか。したがって、今後はそういう問題を十分検討いたしまして、この機会に、公営企業というものが軌道に乗れるように抜本的な努力を私どもしなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  57. 大野市郎

    大野委員長 この際、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十四分休憩      ————◇—————    午後一時三十七分開議
  58. 大野市郎

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出にかかる公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。和田一郎君。
  59. 和田一郎

    ○和田(一)委員 公営企業金融公庫というのは、各地方団体にとっては干天の慈雨のような存在で、私も地方議員をやっておりましたが、とにかく、公営企業金融公庫というのは、地獄で仏に会ったような存在らしいですね。  荻田総裁がいらっしゃいますので、公営企業金融公庫の現状について、簡単でけっこうでございますけれども、どういう活躍があるかということををかいつまんでひとつ御報告を願いたいと思います。
  60. 荻田保

    ○荻田説明員 御報告申し上げます。  当公庫は、御承知のように、昭和三十二年に設立されましたので、ことしで満十五年を迎えるわけでございますが、その間におきまして、公営企業のために低利長期資金を融通するという使命を持ってやってまいったわけでございます。  きわめて最近の数字でございますと、資金量は大体六千億が少し欠けるぐらいでございます。それで、この原資といたしましては、出資金がことしでもって四十一億円になるわけでございますが、そのほかはすべて債券の発行によっております。債券は、政府保証債と、いわゆる縁故債、地方公務員共済組合の資金を借りるものでございます。かつてはいろいろ地方団体などにお願いして借りたものもございますけれども、最近ではございません。全部そのようになっております。  それで、貸し付け事業は、上水道、工業用水道、下水道、それから土地開発、交通事業等でございまして、貸し付け条件は、一応現在の予算では七分四厘をもって基準金利とし、それと、特に重要なものにつきましては、政府からいただきます補給金、それから公営競技からあがります納付金によりましてこれを薄めて、最低は六分七厘までになっております。  大体以上のような状況でございます。
  61. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そこで、いろいろな面で、総裁の判断が、これからの地方団体行政上非常に重要なものになってくると思うのですね。そういうことで、特にこれは公営企業貸し出しだけであるというのじゃなくて、公営企業についての御意見もいろいろお持ちだろうと思うのです。たとえば、公営企業は独立採算制を厳守するという要素を負わされておりますけれども、現実に独立採算制でいいかどうかという問題。この点について、金融を担当していらっしゃるあなたから御意見を承りたいと思うのです。
  62. 荻田保

    ○荻田説明員 一応、現在の法律では、独立採算制を堅持することをもって方針とされておりますので、私は、それでいいと思います。しかしながら、その中には、本来独立採算制ができない部分というものがかなり多くなってきております。現に、地方財政計画においても、かなりの部分を中央会計で持つということを頭から認めておるわけでございます。そういうわけでございますから、そこのところの振り分けが現在の一番大事な問題で、一般会計で持つ分と、あとは独立採算制を堅持していく、そのためには合理的な経営を行なう、適正な料金をきめるという、二つの方法によって独立採算制を堅持していくべきものと考えております。
  63. 和田一郎

    ○和田(一)委員 荻田総裁は、いわゆる公営企業に対して、この部分は独立採算制である、この部分は一般会計からの繰り入れであるという、そういう御意見をおっしゃられる立場にあるわけですか。どうですか。その点についてひとつ……。
  64. 荻田保

    ○荻田説明員 私の公的な立場においては、そういうことをとやかく申すような筋合いではございません。受けて立っておるわけでございます。
  65. 和田一郎

    ○和田(一)委員 別に気になさらないでけっこうです。ただ御意見を伺っただけでありますから。実は、今回の場合、地方道路公社に対する貸し付け——いろいろありますけれども、いままでは、いわゆる地方債の中の貸し付けであった。今回は、いわゆる自治大臣の許可は不要ということになるわけですね。有料道路の場合、地方道路公社に対する貸し付けの場合のチェックの方法ですが、いままでは自治省のほうで許可があったけれども、そういう場合はどういうことになるかということなんです。
  66. 荻田保

    ○荻田説明員 おっしゃいますとおり、今度、地方道路公社貸し付ける金につきましては、いわゆる地方債の許可というような前提になる条件がございませんので、当方で審査することになります。しかしながら、そうは申しましても、全く白紙でもってこれを審査するのではございませんで、建設省のほうにおきまして政府資金の配分がございます。そのようなことから、通路公社につきましての事業は、ワク建設省においてある程度オーソライズされるわけでございます。したがいまして、それに対応しまして、資金状況等を見まして、こちらで査定するのでありまして、その査定に根本からこちらが取りかかるというようなことはございません。また、なるべくそういうことはしたくない。当方の立場として、午前中に申し上げたのでございますが、簡易、迅速に行なうことを一つの方針にしておりまして、この地方債の査定などで、地方団体に、ことばは悪いですけれども、非常に手数をかけるとか、迷惑をかけるというようなことはしないように、なるべくすらっとやっていきたいと考えております。
  67. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうしますと、今度は資金量の面で、申し込みがたくさんあれば、その限定された資金量の中であちらこちらよらなければならないと思うのですね。それをすらっとやるといまおっしゃいましたけれども、すらっとできる、だけの資金量があるわけですか。その点を伺います。
  68. 荻田保

    ○荻田説明員 一応、本年度五十億の資金が用意されております。これをもちまして、先ほど申しました建設省の資金に見合うだけは、大体十分あるわけでございます。
  69. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうしますと、資金面ではそれでいいと思いますが、特に、有料道路の場合は、観光道路といいますか、山岳地帯を抜く道路が多いですね。また、最近は、林道なんかを拡幅して有料道路にするというようなことが非常に多いのです。そうしますと、これは荻田総裁には関係ないかもわからないけれども、非常に自然破壊をしているのです。これは、観光道路を一本抜くと、すごい自然破壊なんですね。  そこで、総裁と自治省の方にお聞きしますけれども、山を削りまして、それをがらがら下へ捨てますと、しばらくの間、もう木がはえない。そうなった場合は、完全に山はだがこわされてしまう。植物の先生なんかに承りますと、その土地その土地で非常に貴重ないろいろな植物があるのですけれども、それが見さかいなしにやられてしまうと言うのです。そういう有料道路建設があちらこちらで多いのです。そういう点については一切おかまいなしに、資金のほうだけで許可されるのかどうかという点をひとつ伺いたいと思います。
  70. 荻田保

    ○荻田説明員 これにつきましては、われわれが行政そのものの内容にタッチするのは、官庁のあり方としていかがかと思うわけでございます。その点につきましては、すべて建設省のほうで認可された近路でございますから、その建設省の認可の際に、いまおっしゃいますような憂慮すべき状態は防止されるのじゃないかと考えております。
  71. 和田一郎

    ○和田(一)委員 政務次官にお聞きします。この自然破壊の問題です。これは目に余るような姿がたくさんあります。私も、最近、あちらこちらの有料道路を視察に行なっておりますけれども、これはどうなんでしょうか。建設省の方がいまいらっしゃらないから適切な御答弁がいただけないかもわからないけれども、今回のこの措置において、そういう点については話し合いはございましたのですか。ただ単に金銭的な問題だけで、各省庁の連絡ができたわけですか。そこまで議論し合ったかどうか。ひとつ聞いておきたいと思います。
  72. 鎌田要人

    鎌田政府委員 今度のこの法律改正それ自身といたしましては、ただいまもお答えがございましたように、道路公社に対しまして、一般民間融資を補完するということで公庫融資の道を開く。この改正でございますので、有料道路自身建設につきまして、いわゆる自然景観の保全といったことまでの話し合いというものは行なっておりません。ただ、現在われわれの生まれた大事なこの国土を守っていきますために、有料道路をつくる場合に、もちろん自然的な景観もございましょうし、歴史的な価値物もあるわけでございますので、そういうものを破壊することのないように、一、二の県でやはり問題になったこともあるわけでございまして、そういった点につきましては、私ども、あるいはまた建設省が、こういった面についての十分な保全についての配意をするということは当然でございます。私ども、機会がありますたびに、その点についても、地方団体に対しまして、地方行政の一環として今後も指導してまいる。また、建設省に対しましても、公社の監督の面におきまして、そういったことを特に留意してやっていただいておるわけでございますが、その点につきましては、重ねて事務的に連絡をいたしたいというように考えております。
  73. 小山省二

    ○小山政府委員 いま局長からお答えを申し上げましたとおりでありまして、自然の保護、環境の保全ということは、いまやわが国の重要な社会問題となっております。したがって、私どもは、そうした新たなる道路の建設にあたって、単に費用のみの観点から道路の建設に当たるというようなことは厳に避けなければならぬ。したがって、起債の許可その他公庫融資等にあたって、十分それらの点を配慮して、いま御指摘のような自然美を破壊することは、できるだけ最小限度にとどめるように、今後とも指導を強めてまいりたいというふうに考えております。
  74. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いまの御答弁のように、これはひとつがっちりと、これからあらゆる点で指導してください。これはもうたいへんなものですからね。  それから、有料道路というのは、あちらこちらを見ますと、いま、大体観光道路に限られているようですね。これが生活道路とはどういうわけで切り離されて、公庫貸し出しの対象にされたのかという問題なんですけれども、その点はどうなんですか。有料道路というのは、これは一般国民にはそう縁のないものです。しかも、普通の現在の国道は、どうしてもバイパスをつくってもらわなければ困るというのがたくさんあるわけですが、どうしてここに限定されたかという点について伺いたい。
  75. 鎌田要人

    鎌田政府委員 生活道路につきましては、これは、私どもといたしましては、交付税あるいは一般の地方債、あるいはものによりましては補助金という、すべてのものを通じまして、その充実をはかっておるわけでございまして、御案内のとおり、川十七年度の地方財政計画は、あれだけ苦しい財政状況の中であったわけでございますが、単独事業につきましては、二二%の伸び率を確保いたしました。これは、事業量にいたしますと、やはり一番多うございますのは市町村道その他の生活道路であるわけでございます。他方、今度の改正対象になっておりますところの道路公社に対しまする融資は、むしろ、こういうふうにお考えいただいたらいいのではないかと思うわけでございますが、有料道路は、御案内のとおり、道路整備特別措置法の規定によりまして、受益関係が非常に深く、かつ、ほかに代替道路があるというものに対してつくられるわけでございますが、現在の道路公社が行なっておりまするものは、大都市の地域内におきます高速道路が一つございます。それからもう一つは、いわゆるアクセス道路と申しますか、こういうものがございます。それから、ただいま御指摘になりましたような、どちらかといい残すと、観光地といいますか、そういうところのいわゆる観光道路的なものがあるわけでございまして、それにつきましては、現在、民間資金が七割五分入っておるわけでございますが、その七割五分の民間資金というもののうち、二割五分だけ公庫融資をほぼ充当する。こういったことで、有料道路として、やはり道路公社経営というものの一助に資するということで出しておる。したがいまして、一般的な生活道路につきましては、広く国民の税金なり、あるいは一般的な地方債というものを充てるということで一応資原の配分をはかっておるという考え方でございます。
  76. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それで、地方道路公社といいましても、結局、地方公共団体の意思できまっていくわけですけれども、それじゃ、この点を有料にして、この点は有料でないという、いわゆる公共事業だという、その判断をどこでするかという問題なんですけれども、その点はどうなんですか。
  77. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この判断は、それぞれの事例によっていろいろ違うかと思います。全般的には、やはり、この地域住民の日常化活に密着するもの。あるいは、料金徴収の対象としてつくるということが適当でない一般通行の用に供するものは、これは当然有料道路でつくるはずはないわけでございます。有料道路としてつくるという場合、大都市の場合に一番大きいのは、現在の道路整備状況からいたしまして、高速道路の建設、これはどうしても有料道路によらざるを得ないだろうと思います。それから地域開発、特に、過疎地減等につながりますような形での地域開発というものを観光開発とひっかけてやるといった場合に、そこは有料道路をもって建設する。おのずからそういう選択がそれぞれの地方団体の中で行なわれていくものだというように考えておる次第でございます。
  78. 和田一郎

    ○和田(一)委員 話が今度は変わりますけれども公営企業は、全体を考えますと、いろいろな問題を含んでおります。いずれにしましても、住民と一番密着しているのがこの公営企業だと思います。水道なんかを見ましても、水道は公営企業金融公庫におぶさっている面が非常に多いわけですけれども、償還期限は二十三年ですが、もうずっと向こうのほうの話をやっていくわけです。しかも、これから市街地が延びてくるとか、または、水の需要量は急激にふえています。そのために水源をさがさなければならない。そのために取水場、浄水場をつくらなければならない。また、本管を仕込まなければならない。それだけではありませんけれども、膨大な資金量を要求されるのが水道事業です。ところが、では、現在、その水道の水を飲んでいる人は、自分たちのじゃ口のところに来るまでのいろいろな設備だけの料金を払っているかというと、そうではないのですね。二十年先、三十年先の料金まで払っていると同じ状況が現在だと思うのですよ。その点について、総裁のほうは何か御意見がございますか。たとえば料金がまちまちですけれども、平均しますと、料金の中の二四%が利息だ。この数字が間違っておるかどうかちょっとわかりませんけれども、そういう今後のための投資に対して、現在飲んでおる人が料金として払っておるわけです。そういう姿について、総裁の御意見はどうでしょうか。
  79. 荻田保

    ○荻田説明員 資金的に見まして、われわれの公庫償還年限が二十三年でありまして、政府資金の三十年に劣るわけでございます。耐用年数はたしか五十何年くらい。したがって、理想的に言えば五十何年の起債を借りればいいわけでありますけれども、それができないためにしわ寄せになっておる。しかし、水道料金を計算する場合は、原価計算方式でございますので、いわゆる複式簿記式によってやっております。したがいまして、減価償却費で、何も現金の償還そのものが計算のもとになっておりません。ただ、おっしゃいますように、利子の負担分は、確かに初めのうちは非常に大きなものです。したがいまして、この引き下げを行なっておりまして、政府資金が六分五厘であるのに対しまして、われわれのほうは、補給金を国からいただき、それから納付金を地方団体から出してもらいまして、それによって六分七厘まで下げております。これはもっと下げて、せめて政府資金並みにいければ一応の理想だと考えます。
  80. 和田一郎

    ○和田(一)委員 ちょうど大臣がお見えになりましたからお伺いしますけれども、いまの荻田総裁のお答えがありましたように、水道の施設というのは大体五十年なんですけれども、最近は五十年ではきかない。非常に技術が高くなりまして、七十年ぐらいは続くのではないか。ところが、政府資金はいま三十年で償還する。それから、公営企業金融公庫は二十三年で返さなければならぬ。それだけ急いで返しておるわけですね。それが料金に全部一ぺんにかかってくるのが現状なんです。そういう姿はどうかと思うのです。というのは、この水もおそらく水道でしょうと思いますが、この水は、ただここに来るだけの料金ではなくて、東京都がこれからどんどんふやしていくのも、みなひっくるめた料金を払っておると思うのですね。そういうことから考えて、公営企業考え方も再検討をする必要があるのではないかと思うのですけれども、この点はどうでしょうか。
  81. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 公営企業の問題は、一律に検討すべき問題と、個々事業についてと、それぞれの問題とがあると私は思う。病院は病院なりの医療報酬単価の問題、あるいは医師確保の問題、あるいは配置並びに経営規模がいまの医療法において制限を受けておるのをどうすべきかという問題、これに触れなければ解決づけることはできない。水道は、いま申されましたように、いままでの水道の施設でございましたら、安いときに施設ができた。そのために、そうコストはかからない。ところが、人口がふえていくに従い、水の使用量が、生活の状態によりましてどんどんふえていくという状態である。それだから、水源を他に求めなければいけない。そのためには非常に膨大なる資金が要る。それを、新しく入ってきた人のために、旧来の方も負担していただかなければならないというような個別の問題がございます。  それともう一つ、水道で一番の問題は、各地によりまして水道料金が非常に異なっておる。一番高いところは千円をこえておりますが、一番安いところは長野県の下諏訪ですか、あそこでは百円であるというようなバランスの問題等がありまして、これらの問題をどう解決すべきであるかというふうな問題があるのではなかろうかと思っております。したがいまして、新しく開発されます大規模な水資源の確保のための施設というものに対しましては、相当長期的な観点から、ばく大なる資金が要るものでございますから、これらに対しましては、国の補助金等の制度を設けることによりまして、水道料金の値上げというものを緩和していくというふうな方式をとっておるような次第でございます。それの一環としまして、いま申されました施設の耐用年数に応じての起債の償還ということも当然考えなければならないことでござい律して、逐年これも改善の方向に向かっておりますが、いま申されましたように、まだ十分なところまで至っていない。特に、政府資金につきましては、三十年でございますが、公営企業の分に対しましては、従来から比べて引き上げてまいりましたけれども、まだ二十三年であるという姿の問題でございますので、それらの問題もあわせて、今後とも、水道料金の全国的に安定した平均点を出していかなければならない。今後ともにそれらをあわせて検討していきたい。このように考えておるような次第でございます。  私、実は、町長を、やりましたときに、終戦後、全国で、おそらく、独立した町村の新しい水道というものの初めての水道を、昭和二十三年に、人口わずか五千ほどの町でございましたが、つくらしていただいた経験がございます。いまは簡易水道だけの補助金でございますけれども、当時は、一般水道に対しましても全部補助金が出ておったのです。ところが、補助金の額で限定されるものでございますから、事業が伸びない。事業が伸びないと給水の利益もあがらない。資金を寝かさなければならない。補助金は要らないから起債だけくれ、そうすると事業ができるんだということで、むしろ、自治体側のほうから自然補助金をなくしていったというような経験があります。簡易水道あたりは高くつくものでございますから、あくまでもそういったようなことのないように、事業量に応じるところの補助金だけは確保してまいりたいというふうな姿で厚生省あたりにもお願いし、やっておるというのが姿でございますが、今後とも、水道のような、生活必需品、欠くことのできないものに対しましては、いま総裁も申されましたように、量だけでなく、質的な起債の充実ということに一そうつとめてまいりたい。かように考えておるような次第でございます。
  82. 和田一郎

    ○和田(一)委員 町長時代のずいぶんなつかしいお話を聞かしていただきましたけれども、そのときは確かに補助金をなくしてもらいたいというような議論もあったかもわかりませんが、いま、どこの市町村でも、特に、都会になればなるほど、水源の問題で困っているわけです。特に、関東地帯でも、群馬、栃木あたりは水源地ですけれども、その水源の県が自分の市の水源をどうするかということで悩んでいるわけであります。これは特に東京都なんかはたいへんだと思いますけれども、あれは経企庁ですか、関東の山奥のあちらこちらで、水利用計画をつくって、ダムをつくる用意をしておりますね。あのダムに相当負担金を出すのですね。それがまた膨大な負担金です。そして権利を買っておいて、ダムをつくってもらう。それから水道を引くのです。神奈川なんか、私、この間行ってまいりましたけれども、ちょうど川がないのだそうです。まん中に一本しか川がない。向こうの静岡県の県境あたりからずっと横浜あたりまで引っぱってくるというのですね。これはたいへんな経費です。これは一部極端な例を申し上げましたけれでも、たとえば栃木県の宇都宮市にしても、そばに鬼怒川という川がありながら、農業用水慣行水利権の問題から、これががっちりはばまれておって、取れない。そのために、やはりダムをつくらなければ水を確保できない。ですから、どれだけの管が要って、どれだけの卒業があるという簡単なことだけでなくて、そのような隠れた努力が必要なんですね。この点については、水がとまれば国民は完全に首をつらなければならぬものですから、おっしゃいましたように、これは補助金をがっちりつけてもらいたい。さらに償還期限もうんと長くしてもらいたい。そうでないと、これは水の問題だから水に流すというわけにはいかないわけです。その点についてはどうですか。前の秋田自治大臣のときも、私はいつもそのような御答弁をいただいたわけです。今後検討していきたいという御答弁をいただいたわけですが、渡海自治大臣は、地方自治については、特に与党さんの中でも最高の方だというふうに私は伺っておりますので、何とかこの辺で手を打たないと、金融公庫だけではもうどうしようもない。さらに、根本的な上水道の事業についても考えなければならぬ。それから慣行水利権の問題についても、これはもう減反でなくなっている反面、水利権ががっちりしているものですから、地方団体としても取れないという問題があるわけですね。ひっくるめて、この辺でひとつ腰を上げていただきたいと思うのですけれども、もう一ぺん御答弁願います。
  83. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 人口急増地帯、特に関東地方あるいは京阪神に対する水の問題は、将来の需要を考えまして、わが国が当面している問題の一つであちらと考えております。幸い、京阪神地方におきましては、琵琶湖開発という問題で、法案の提案を本国会にさせていただきまして、一歩前進の形になってくるのではなかろうかと考えております。ところが、いま横浜の例をあげられましたが、私も、神奈川県知事が陸下に県政の奏上をしておられる中で、横浜にも水が足らなくなりました、陛下に見ていただいた相模湖の水だけでは足りません、遠く小田原の酒匂川から水を引く計画を立てておりますというような奏上をされておるのを聞き質した。したがって、資金コストも相当高くついていく。これは、そのような状況から、数年前に、厚生省のほうにも力を入れていただいて、そういった大規模の長期的なダムに対しまして、再び補助金制度を復活して、たしか三分の一であろうと思いますが、補助金制度を導入していただいたというふうな姿がございますが、それだけでは解決できない問題があると私は思う。その問題の一つは、山口委員もおられますけれども、群馬の知事さんが非常に熱心になっておられますところの、水源地帯をいかにすべきかという問題です。水源地帯に対する法律を抜本的に考えなければいけないのではないか。経済企画庁が水資源の根本になっておりますけれども、いまの計画では、昭和五十年から五十五年までの計画しかできていない。五十年を過ぎたなればどうするのかということの問題。これは、建設省が完施に移し、計画は経済企画庁がやるというふうなところもあろうと思いますが、幸い、知事会におきましても、それらの問題が具体的に法案化されたようた原案を研究していただいておりますので、何とかこの法案が実現することによりまして、総合的に水資源に対するところの長期対策を立てるという姿で検討していかなければならないというために、建設大臣あるいは経済企画庁長官にも、私、関東地区の連絡協議会の様子も伝えまして、御検討を急いでいただいておるような次第でございますので、いま申されましたように、総合的な解決にできるだけ持っていきたい。微力でございますが、自治省といたしましては、これは重大なる問題でございますので、今後ともそういった方向で臨みたいと考えておるような次第でございます。主管者は厚生省でございますけれども、出際に運営に当たるのは自治体でございますから、その意味から、私たち、産婆役と申しますか、そのつもりで推進をはかっていきたいと思っておるような次第でございまして、せっかく皆さま方の理解ある御支援を賜わりたい。このように考えておる次第でございます。
  84. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いま自治大臣のおっしゃったことは、とてもいいことですけれども、そういう構想ができればできるほど、今度は自治体にいろいろな金がかぶさってくるのですよ。たとえば水利計画をつくるにしても、結局ダムですが、ダムに対しては権利という問題もありますし、いずれにしても、水道というようなものは、ごっそりお金がかかる仕事です。そのために、五十年から七十年くらい使える施設ですから、そこまでは言いませんけれども、四十年か四十五年くらいな償還期限に延ばして、何とかしてもらわなければならぬ。自治体というよりも、住民がそれだけ高く支払うということですからね。そういう面も考えてもらいたいわけですが、その点についてはどうですか。
  85. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 期限の延長につきましては、毎年努力はいたしておりますけれども、なかなか延長することが——将来に対する計画の資金繰りと、償還されたものを遊ばしておるのではなしに、次に対する財源措置ということ等も考えましてきめられるものであろうと思いますが、そうやりまして、延長すればするだけ、また新しいものもふえていくものでございますから、金利の面も出てくるという面からは、料金とのバランスをとりながら、できるだけ早く償還するということはけっこうなことなのでございますが、そういったことを彼此勘案しながら、公営企業の分に対しましては、逐次、毎年、どこかの部面で起債の償還期限の延長というものもはかっていただいておるという姿でございまして、水道もその中の一環として延ばさなければならない問題の一つである。このように考えておりますので、今後ともその努力は続けてまいりたいと考えております。
  86. 和田一郎

    ○和田(一)委員 あまり時間がありませんので、あと二つばかり聞きますけれども公営企業の中で、特に、交通企業と、それから病院の事業ですね。特に病院なんか、私の近くの町立病院では、お医者さんもいないし、施設もがたがたで、たいへんなんです。しかし、その辺の住民にしてみれば、なくちゃならないものですが、結局赤字なんですね。普通の病院はもうかっているのですけれども、どうも自治体病院だけ赤字だ。ふしぎな現象なのですけれども公営企業ですから、やはり大いに責任があろうと思うのですがね。その点についてはどうですか。
  87. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 ほかの病院がもうかっておるのに、公営企業自治体病院だけが赤字であるという中には、他の病院経営におきましては、ベッドの差額料金を取られるとかというふうな、いろいろな点も存すると思いますが、結局は、現在の健保の診療報酬体系の問題の中で、病院というものの診療報酬単価が、一般の診療と比べて不当に安くなっておるのではなかろうか。このような観点もございますので、診療報酬のあり方が一番根本の問題ではなかろうかと私は思いますので、この点、関係の厚生省あたりに、逐次改善していただくようにお願いをいたしておるような次第でございます。  それと、もう一つは、いまの医師不足という問題もございますが、これは、単にその自治体の病院だけでは、末端の町村まで参りましたなれば、診療所は必要だけれども、医師が確保しにくい。これは、現在の日本の人口に対する医師の状態から考えましたなれば、やむを得ない状態ではないかと思います。その解決策といたしましては、広域市町村圏等の積極的な活動によりまして、その基幹病院から派遣される医師というような姿で解決していくのも一つの方向ではなかろうかと考えております。非常に微温的な、焦眉の念に間に合わない姿でございますけれども自治医大も発足いたしましたし、この自治医大の構想の中には、システム的に各地に中間のセンターをつくり、最後は自治体病院の中に中央センターをつくって、末端の、現地の医療機関に医師がおりながら、最高の施設のもとに診断を行なうことができるというシステムも考慮していただいておるというふうな姿でございます。根本的には、医師の数の拡充ということが一番の問題でございますが、さしあたりの解決策といたしましては、そういった方向で、広域的な解決によりまして解消していただくことが非常に重要なる課題ではないかと思いまして、厚生省方面に対しましても、そのような姿で指導していただきますように、寄り寄りお願いをいたしておるような状態でございます。もちろん、自治体の病院そのものの経営の合理化ということも考えなければならないと思いますけれども、そういった面につきまして十分の配慮をしていただかなければならないというようにも考えております。  もう一つは、普通の病院は営利病院でございますから、そういった任務を持っておりませんが、公的病院であるだけに、地域の病気の予防、あるいは看護婦の養成、または僻地医療というふうな、採算を度外視しての経営というものが必要であるのでなかろうかと思います。この分に対する一般会計からの繰り入れば当然行なわなければならないものであろうと思いますので、一般会計からの繰り入れ等の、できるだけ合理的な基準を立てまして、これらの解消をはかっていくことによりまして、病院経営の健全化を期していかなければならない。このように考え、そのような方向で、寄り寄り赤字病院に対しまして指導を行なっておるという姿が今日の状態でございます。
  88. 和田一郎

    ○和田(一)委員 時間がありませんので、あと一問だけ伺います。  いま、自治体のお話が出ましたけれども自治医大は資金がなくなってしまって、三十億ばかり地元の県に支払いをゆだねたということはほんとうですか。
  89. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 資金がなくなったので、その分をやむなく自治体へ持っていったと、新聞の報道等では、そういうふうなニュアンスで出ておりましたが、実態は、これは区分して考えていただきたいと思うのでございます。  初め計画いたしましたのは、いわゆる医師の不足を急速に補うために、高専という姿で発足ののろしを上げたことは事実であります。しかし、現在の日本の医療体系から、医師の質の低下ということを来たさない上において、そういうことはできない。これは、医師会並びに厚生省あたりの強い反対がありまして、立ち消えになりました。そのために、やはり医科大学である以上は、現存の四年制の純然たる医科大学でなければならないという姿で、その方式に切りかえたのであります。医科大学の一校の計画が、私たちとしては経験がないものでございますから、国立大学が現在行なっておりますところの金額で、当初、どこにつくりますかもきめておりませず、また、基準的な金額でございますので、一つの医科大学をつくりますのに大体百五十億と、それを最高とみなして、再六十億くらいでできるだろうという姿で計画しておったことは事実でございます。その後、具体的に、土地も栃木県というものにきまりまして、教授陣も、中尾学長以下、日本でも相当優秀な教授陣で、また、これを慕うところの助教授が真剣に取り組んでいただけるような、ほんとうによき人材を得たと思っております。その教授陣等の御意見によりまして、いま申しましたように、僻地に勤務する医師でございますから、あらゆる医療について、臨床的に、あくまでも高度な医術を体得させる必要があるし、それと同時に、僻地に勤務するということで、人間の教育と申しますか、医は仁術なりといったような倫理の教育もこの期間においてしていかなければならぬというところから、全寮制というような特異へなシステムをとる。また、何らの施設もない僻地に勤務しても、自治医大に機関をつくって、中間的なセンターを通じ、最後は、電子計算機によりまして、地方におりましても、高度な病院に入ったと同じような診療を若い医師たちがすることができるというような研究もあわせて行なっていただくという関係から、費用がかさんでまいりまして二百億近くになったことは事実でございます。たとえば、土地にいたしましても、基準の坪数として十万坪を予定しておったのを、現地へ参りまして十四万坪にした。私、知事から聞いたのでございますけれども、渡海さん、十万坪であったけれども、十四万坪買ってもらった、そのためにこのようないい環境なんですというようなことを聞かされました。そのような関係で伸びたのでございまして、計画のずさんとかなんとかという意味でなくして、汗意の意味で伸びたいというふうに御理解賜わりたいと思います。  なお、その負担金は、当初、まだどこにきまるかということもわからない当時に、世話人会におきまして、平等割りにする、ただし、建設の地元においては、看護婦の養成において、あるいは医療機関において、それだけ地元が便宜を受けるのだから、応分の地元負担というものは持っていただくという原則だけがきまっておったというのは事実でございまして、その申し合わせによりましてお願いをした額が三十億であったという事実でございます。私も、あの新聞の出た当時に、入学式に参りまして、知事と二人だけで、宇都宮からの自動車の往復時間、約一時間半くらい話しましたが、そのときに、御迷惑をかけておりますがと言うと、いや、土地代までいただいておるのでございますから、地元として応分の負担をしなければならぬということは私もよく心得ております、ただし、貧乏県でございますから、そのときにはよろしく財政的な援助をお願いしたいというふうなお話でございました。私も、金額は知事会において円満におきめ願いたい、よろしくお願いしますと、そういう話をした程度でございまして、その会話の状態からながめていただきましても、新聞に書いてあったような押しつけであったりなんであったりしたというわけではなくて、いま、知事会の中で、原則に従ってお願いをしておるという姿でございます。ただ、地方議会あたりにいろいろな意見がありますものですから、理事者の提案に対しての意見があのような新聞の記事の姿になってあらわれたのじゃなかろうかと思いますが、知事のそのような言に期待いたしまして、円満に解決するように私たち期待をいたしておるというのが現状でございますので、いい機会でございますので、御理解を賜わりたいと思います。
  90. 和田一郎

    ○和田(一)委員 時間がありませんから、終わりますが、確かに、三十億の点は、自治大臣の言い分はわかりました。それはいろいろあると思います。自治医大の学生たちの問題ですが、やはりいろいろと問題はあるそうですが、これはまた別の機会にいろいろ御報告を申し上げ、また改善をしてもらわなければならない問題があると思います。すぐ近くに宇都宮大学があります。宇都宮大学の先生方の意見もやはり無理じゃないかということがあるのですが、具体的にまた時間のあるときに申し上げることにいたします。それで、私の地元でございますから、さらにまたひとつ改善してもらいたいというふうに申し上げておきます。  時間がございませんので、以上で終わります。
  91. 大野市郎

    大野委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後二時二十五分休憩      ————◇—————    午後四時十九分開議
  92. 大野市郎

    大野委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  内閣提出にかかる公有地拡大の推進に関する法律案を議題といたします。  本案は、すでに質疑を終了しております。
  93. 大野市郎

    大野委員長 これより討論を行なうのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  内閣提出にかかる公有地拡大の推進に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  94. 大野市郎

    大野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  95. 大野市郎

    大野委員長 ただいま議決いたしました法律案に対して、塩川正十郎君、山木弥之助君、小濱新次君及び門司亮君から、四派共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を求めます。塩川正十郎君。
  96. 塩川正十郎

    ○塩川委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表いたしまして、内閣提出にかかる公有地拡大の推進に関する法律案に対し、附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。    公有地拡大の推進に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、左の諸点について遺憾なきを期すべきである。  一、地価対策をふくめ、総合的な土地対策を早急に講ずること。  二、地方公共団体公有地を確保するために必要な原資の確保に努めるとともに、財政的援助を考慮すること。  三、土地開発公社は、地域の秩序ある整備を促進する趣旨に適合するよう適正な運用を行なうものとし、国その他の団体の委託により土地取得のあっせん等の業務を行なうことは最少限に止めること。   右決議する。 以上でございます。  何とぞ皆さま方の御賛同をお願い申し上げます。
  97. 大野市郎

    大野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議の採決をいたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  98. 大野市郎

    大野委員長 起立総員。よって、塩川正十郎君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、渡海自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡海自治大臣
  99. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重いたし、善処してまいりたいと存じます。     —————————————
  100. 大野市郎

    大野委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  102. 大野市郎

    大野委員長 次に、内閣提出にかかる公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。門司亮君。
  103. 門司亮

    ○門司委員 大臣の御都合もあるようですから、できるだけ簡単に行ないますのと、それから、公庫に関します原資の問題等については、同僚の山口委員からすでにかなり詳細に聞かれておりますので、そういう点はなるべく省きたいと思います。  したがって、率直にこの法案の内容に入りたいと私は考えておりますが、この道路公社というものが公営企業として一体認められるかどうかという基本的の考え方ですが、それはどういうことになりますか。私がこういうことを聞きますのは、公営企業というものがだんだん広くなってきている。そして、準公営企業というようなものの中にいろいろなものが入ってくる。そうすると、金融公庫関係から見ますと、確かに幅だけが広くなって、先ほど午前中の質問にもありましたように、出資金というものが非常に少ない金融公庫ではなかなかまかない切れないのじゃないか。ただ、こうすることによって、自治省としてはわりあいに安易に資金繰りができるというようなものの考え方であって、どう見ても、準公営企業だとか——今度はこれをどうするつもりか知らぬが、準という字をまたつけるわけにはいかぬでしょうが、ただ公営企業ということにするということになりますと、私どもには、解釈がどう考えてもわからない。一体道路公社というのは公営企業なんですか。これはそういう解釈がどこから成り立ちますか。
  104. 森岡敞

    ○森岡政府委員 有料道路事業性格につきましては、現行法の具体的な規定で申しますると、公営企業金融公庫法施行令第一条で公営企業範囲を定めておりますが、その中で、第十一号によって、有料道路事業というものが公営企業の範疇の中に入るという定めをいたしております。料金を徴収いたしまして建設費を償却していく、また、費用をまかなっていくという意味合いにおいて、これはやはり公営企業というものに理解していいものであろうと考えております。
  105. 門司亮

    ○門司委員 私がこういうことを聞いておりますのは、道路の公社というものは、有料道路についてはほとんど価値がないのです。それはなぜかと言うと、非常に狭い範囲を歩いているのです。たとえば、県とか、五十万以上の市とか、こういう短い区間を走る道路というのは、有料道路ということば実際に成り立たないのです。現に神奈川県にあります有料道路をごらんなさい。湯河原に一つありますが、これはもうどうしようもないでしょう。道路というのは、ある一定の地域から一出走の区間を走るものでなければ、道路としての構想にならないのです。県単位であるとか、市単位のような、短い区間を有料道路にしたからといって、それはなかなか採算が成り立つものではないと私は考えている。この辺は、公営企業としての考え方をもう少し変える必要がありはしないか。  御承知のように、水だとか電車だとかいうものの公共性というようなものについては、負担区分の割合からいくと、わりあいに普遍的に考えられない。いわゆるほんとうの受益者負担にならざるを得ないという形をとってくるということを私は考える。したがって、料金もばか高くするわけにはいかない。だから、道路公社を府県単位にしたり、あるいは政令で定める五十万以上の市とか法律には書いてありますけれども、こういうことでは、この次事業自身が成り立たないのではないかということを考えるのだが、そういう点はどうなんですか。十分採算が合うということですか。現に神奈川県が持っております。湯河原に一つあるのですが、だれも人など通りはしない。お金を払って通るよりも旧道を通ったほうが早い。そしてお金を払わなくても済む。
  106. 森岡敞

    ○森岡政府委員 御指摘のように、有料道路にもいろいろございます。したがいまして、きわめて短い区間のバイパス的な有料道路もございますが、いま御指摘の湯河原のはそれに該当するものであろうかと思いますけれども、そういう道路になりますと、それだけで採算をとるということについてはなかなかむずかしいものもあろうかと思います。ただ、有料道路事業は、地方公共団体が実施いたします場合、あるいは地方道路公社で実施いたします場合、いずれにいたしましても、複数の有料道路建設していっておるというのが実態でございます。でございますので、一本だけをとってみるとやや問題が出る場合もございますけれども、全体として有料道路事業というものを考えます場合には、やはり、基本的な性格公営企業という考え方把握していいのではないであろうかと思います。
  107. 門司亮

    ○門司委員 私が聞いておりますのはいまのような話でありますが、問題は、すべてが広域化してきている。ことに、日本の道路の最大の欠陥は、いままで、小さいところは市町村別にちゃんと道路ができておって、隣の町との間の橋の幅が狭かったり、あるいは、こっちの町は八メートルの道路だが、向こうに行けば六メートルになっているとか、こういうように非常に大きな欠陥を持っているのですよ。ことに、県道、市町村道に至ってははなはだしい。そういうときに、全体との連携を持たない道路計画というものはあまり感心したものじゃない。だから、一方においては、そういうことで非常に短区間を走ることにならざるを得ないのであって、むしろ、こういうものは、一つの特殊のものとしての取り扱いをする必要がありはしないかということであって、公社というようなことでなくて、いままである連絡協議会のようなものとか、あるいはその他の方法でできはしないかということが考えられる。どう考えても、いまの御答弁で、さようでございますかというわけにはいかぬのです。道路の利用価値というものと、それから現状の日本の状態というものから考えると、ことに、法律では、人口五十万以上で政令の定める市ということを言っておりますが、たとえば極端な例を言うと、人口三十万人の市が三つあって、全部で九十万人であっても、ここにこういう公社はできない。しかし、道路としては、こういう三つがつながらなければほんとうの経済効果というものは発揮しないということになると、経済効果と行政との関連からすると、いまこういう法律を見ただけでは、これはどうにもならないのじゃないか。むしろ、こういうことは、県道なら県道で、たとえば東京都と神奈川県と、さらに静岡をつなぐ県道というようなものが考えられるべきではないか。どう考えても、あまりにも思いつきの案であって、道路の経済的効果をあらわすものでは決してないということを考えざるを得ないのですよ。そういう点はどうなんですか。これを五十万で切ったのはどういうわけなんですか。
  108. 森岡敞

    ○森岡政府委員 地方道路公社法を制定いたします際に、地方道路公社設立し得る地方公共団体衣どの範囲にするかということは問題になったところでございますが、いま御指摘のように、道路の性格から申しまして、ぶつぶつと小さい道を切ってつくるということは、確かに効率の上で問題がございます。そういうことで、都道府県は設立団体に無条件になっている。しかし、市町村につきましては、人口五十万以上の市で、政令で指定するということで、大阪市、名古屋市、横浜市、京都市、神戸市、北九州市、川崎市、札幌市、福岡市、広島市、堺市、尼崎市及び仙台市。これだけの市が政令で定められておるわけでございます。道路の効率的な施設整備をはかるという趣旨も含めて、このように人口五十万で切ったということになっておろうかと思っております。  なお、つけ加えて申しますと、これらの市で、単独で道路公社を設置しておる例はいまのところございません。包括いたします都道府県と共同してやっております。なお、最近、神戸市におきまして、政令で設立するというのが出ておりますが、ほかは共同で設立をいたしております。
  109. 門司亮

    ○門司委員 大体そういうことになろうかと思うのです。実際はそれ以外に方法はないと私は思っておるのです。だから、この法律の書き方が、府県と政令で定める五十万以上の市ということになっているが、こういうものはとってのけたらどうですか。そして、道路の経済的効果をねらうには、やはり連帯性を保つべきである。市が人口五十万あるからといったところで、仙台なんという市も小さい市でありまするし、市だけでやろうといったって、市だけでやってごらんなさい。隣の町へどうして行くかということになる。いま、広域行政が要求され、それから実際にそうなっているときに、こういう構想では、何度も言うようだけれども、道路の経済的効果というものは発揮できない。道路の経済的効果を発揮しようとすれば、少なくとも、政令の市というようなこまかいことは省くべきだ。あるいは県という字も要らないかもしれない。地方道について、こういう連係性を持ったものについてはこういう形がとり得るということのほうが私は効果的だと思う。それは、お金を払って行くところで短いところはだれも通りはしませんし、片方、ここまでは有料であって、これから先は有料でないのだというようなことでは、これはどうにもならない。そういうふうに考えると、この法律の発想はあまりにも近視眼的な発想であって、時代にそぐわないものではないかという考え方を私は強く持っておるわけです。いまのような答弁だけでは、さっき申し上げましたように、小さな市がそれでは県とやればいいじゃないかということになる。しかし、片方は市道であり、片方は県道である。いわゆる政令の市に対する道路の維持管理、あるいは道路の開設等については、ある程度六大市はやれますが、しかし、それとても、連帯感ということから考えれば、県道というものは入れないわけにはまいらぬのであります。そういうふくそうした今日のような広域行政化しているときに、この法律の立て方というものは、どう考えておかしい。その点は、いままでの答弁では私は納得がいかない。かえって混乱を来たすだけであって、地方の自治体にそれだれ借金をしょわせるようなことだけにどうしてもならざるを得ないと思います。  それからもう一つの問題は、経済効果というものと産業というものとの関係。もう一つは、生活権の拡大関係から言えば、一つの市と一つの市との中間にある自治体というものがやはりこの中に含まれない。それは県等でやればいいということは言えるかもしれない。県が総括した地方の自治団体だから、県等でそういうものをやって、県道にしてしまえば別に問題はないのだということになるかもしれない。そうだとすれれば、ここでは、特定の市というようなことはやめて、県と市との間の話し合いで、連合体でこしらえるということを明確に書いておいたほうが効果的だと私は思う。この辺が、私は、どう考えても、いまの答弁だけで、さようでございますかと言うわけにはなかなかまいらぬのですが、この点について、大臣から、現在の地方の行政のあり方というものと道路行政のあり方というものについてのお考え方があるなら、この際聞かしておいていただきたいと思います。
  110. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 大体、道路は、原則として、国または地方公共団体が行なうべきものであり、有料でなく利用されるのが道路本来の目的でなかろうかと考えます。ところが、限られた財政の中でこれを行ないますことが困難なために、有料道路というふうな制度が生まれてきたのでなかろうかと思います。国を通じましての一貫しての大きな国道的な役割りを果たしますものは、そのために道路公社がこれを担当してやっておりますが、一地方に限るものについては、この制度を取り入れて、地方道路公社というものが生まれてきたのでなかろうかと思います。これも、経過的には、一般財政では、現在の自動車交通等の急激なる増加というものにどうしても応じ切れないというところから、民間資金等を入れまして、有料ででもつくろうというので、地方自治体が、公社という制度でなくして、有料でつくられたというものが多分に出てまいりまして、このような姿をより効率的にするために、地方道路公社という姿で行なわれたのが経過的な問題でないかと思います。  その際に、いま申されましたところの、五十万以上の都市まではこれができるのだという規定が入れられたのであろうと思いますが、道路の性格から申しまして、いま門司委員指摘のような問題があることは当然でございます。したがいまして、現実的にも、この法律ができましてから地方公社ができておりますのは、現有で二十前後だと、私、記憶しておりますし、特に、都市としてつくっておられるのは神戸市の場合のみじゃないかと思います。神戸市は、御承知のとおり、裏に六甲山をかまえまして、六甲山を越えての市域が広がっております関係上、採算性も合いますし、また、そういった相当高度の道路の技術を要求するような路線をつくるという現実的な必要から止まれたものでなかろうか、他の都市においてこれが実施に移されないのは、門司委員指摘をされたような問題があるために実施に移っていないのじゃなかろうか、したがって、いま門司委員指摘のような点は大体カバーするものであり、しかも、峠が行なうのが実態でなかろうか、このように考えておる次第でございます。その点におきまして、法律規定と現実とがそぐわないという御指摘もあろうかと思いますが、運用の面におきましては、建設省等にも連絡いたしまして、いま御指摘になったような欠陥が起こらないように、実際におきまして、地方道路公社が行ないます資金区分には、無利子の貸し付けでございますか、確かに、二五%という金も基礎の中に入って、建設省がこれを指導監督をしておられるという立場もございますので、実際、運営の面におきまして、地方自治体に過重なる負掛が及ばないように善処  していただくように、こちらからも建設省方面と十分連絡、協議してまいりたい。かように考えます。
  111. 門司亮

    ○門司委員 いまのお話だけではどうも納得しかねるのでありますが、ほんとうは、道路計画というものはこういう小刻みなものであってはならない。あくまでも高度な経済効果というものをねらうべきで、社会の情勢はそうなりつつあるということは間違いのないことである。したがって、これ以上このことについて押し問答しても始まらぬと思うのですけれども、実際の私ども観点から言えば、こういうこそくな法律で道路が解決されるとはどう考えても考えられない。むしろ、いま言いましたように、市町村と県とが一つの連合体を組織しての、県全体の産業構造というものからくる経済効果をねらった道路網というものが必要であって、一つの都市だけの経済効果などというものだけで道路が成り立つはずはないのであります。しかし、その点は、あまりやかましいことを聞かぬでおきましょう。   それからあとの問題としては、したがって、道路をこしらえて、そうして公営企業としてこれをやっていくという場合の資金に対する——むろんこうしないわけにはまいらぬでしょうが、それらについての許可、認可というようなことは、どこかで考えられているのですか。料金などの定め方というのは、料金は要らないという形をとっているのですか。これはどっちなんですか。
  112. 森岡敞

    ○森岡政府委員 御質問の意味をあるいはとり違えているかもしれませんが、有料道路の料金につきましては、道路整備特別措置法によりまして、その建設費を償却し、元利費をまかなうということで算定いたしましたものを建設省に持ってまいりまして、建設大臣の認可を経るという仕組みになっておるわけでございます。
  113. 門司亮

    ○門司委員 おそらく、それはそういうことに手続上ならざるを得ないと私は思うのだが、そうすると、黒字が出た場合はどうなるのですか。将来無料にするというようなことかなし得ると思うのだが、その辺の規定はどうなっていますか。収支を償えば、どこまでも料金を取って黒字を出さなければならぬということは何もないと私は思うのですが、その辺はどうなっていますか。
  114. 森岡敞

    ○森岡政府委員 原則といたしまして、三十年間で建設費を償却いたしまして、その後は、無料の道路、すなわち公共用道路に開放する。こういうたてまえで料金計算が行なわれております。
  115. 門司亮

    ○門司委員 いまの国道といいますか、有料道路が大体そういうことでできているんだが、一つの区間だけできたときに考えると、もうとっくに償却しているはずだと思うのに、また道路を長く延ばして、公団の範囲にこれを組み入れてしまって、結局、また、いつまでもお金を取っているというのが実際は現状だと私は思うのです。だから、地方の自治体がやるこれらの仕事、しかも、この道路の問題が公営企業という範疇に入るかどうかということについては、冒頭から申し上げましたように、どう考えても、これは公営企業としての取り扱いをすべきものでけないじゃないかという感じがする。そして、この問題の成り立もあるいは計画その他というものから、これは議会の議決を経なければならぬことは当然であるということになっております。しかも、ここに出資するのは地方自治体でなければならないということに法律はでき上がっているわけです。そういたしますと、いまの公営企業金融公庫からこれを出していくということについては、これは先ほどの山口委員質問に関連を持ってくもわけでありますが、あまりにも原資が少な過ぎるというきらいがどうしても出てくる。いま、地方の自治体で、かなり大きな道路計画を持っておって、それに対応する資金を十分に持っておるところはあまりないのじゃないかということが私には考えられる。したがって、公営企業金融公庫法の中にこれを組み入れるというよりも、むしろこれは別建てで、道路公団というものがほかにあるわけでありますから、こういうものとの関連性を持たせたほうがよろしいんじゃないかというように私は感ずるのでして、どうしてもこれが地方の公営企業でなければならないという解釈もなかなか立ちにくい。冒頭に言ったように、公営企業というもののできたときの性格というものは一体何であるかということであります。当該自治体に直接普遍的に供給されなければならない水であるとか、あるいは交通の問題であるとか、ガスであるとか、電気であるとかいうような、普遍的に国民生活に密着した問題等については、ある意味においては公営のほうがよろしいという議論も成り立とうと思うのです。また、世界の都市の中には、かなり大きな都市でも、公営企業一つも持っていないところがある。みんな民間にまかしておいたほうがいいんだ、そして、ある程度制約をしておけば、そのほうが安全だというので、たとえばアメリカのデトロイトなんという大きな市は、いまでも公営企業を持っていないでしょう。ほとんど全部あれは民間のような形でやっているでしょう。これはものの考え方ですからね。そこで、この有料道路というのは、一体公営企業にくっつくのかどうか。料金を取るんだから公営でやるんだという話なら、火葬場もみんなそうですね。その辺から考えると、ただ、公共の料金を取る、だからこれを公営企業とみなすということはいささかどうかと私は思うのです。公営企業の定義というものは一体どういうことになっているのか。ここまでると、私どものいままで考えておった公債企業の定義から少しはみ出したような感じを持つのですが、その辺は、大臣はどうお考えになりますか。
  116. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 確かに、道路は、有料であるから公労企業であるかどうかと申しますと、公営企業という範疇の中からは——本来、道路というものは、国や地方公共団体が当然行なわなければならない事業でございますから、有料道路そのものは、道路というものの性格から申しまして、何といいますか、特殊的な立場として、現在の自動車の過剰というようなことから、やむなく、民間資金活用等を含めて起きてきた問題でなかろうかと、かように考える次第でございます。  今回、この公営企業金融公庫対象ワクに入れるにつきましても、土地開発公社がはたして公営企業と言えるかどうかという問題の性格論からの議論もあった次第でございますが、地方自治体が直接行ないます有料道路では、敏速なる活動もなかなかできませんし、民間資金の利用も困難であるというところから、地方道路公社というような形におきまして道路の積極的推進をはかった次第でございますが、同時に、そうなることによって、いままで利用することができたような地方債を利用することが困難になるという問題が起きてまいりまして、公営企業金融公庫を広義に解釈して、こういった土地開発公社とか、地方道路公社とかいうものを、その範疇の中に入れるということを今回提案させていただいたような次第でございまして、そういう意味では、公営企業金融公庫そのものが、地方自治体の持っておる唯一の民間資金の供給のための金融機関になっておりますけれども社会資本充実という意味から言いましては、単に財政的な金融だけでなくして、民間資金活用ということを積極的に行なわなければならないものではないかと私は思います。その意味から、現在持っております金融機関公営企業金融公庫だけでございますが、この公営企業金融公庫を、そういうふうな意味において、今後の社会資本充実のためには民間資金活用を必要とするのだ、そのためには、力の弱い自治体に対しては、中央におけるところのそういった民間資金を一元的に吸収することによって、安定した低利のものを地方自治体に与えていくという意味から、拡張解釈と申しますか、そういった意味で、できるだけ現在の需要に応じるような姿で伸ばしていきたい。その一つの突破口と言ったら語弊があろうと思いますが、いま門司委員指摘のような矛盾と申しますか、疑問点もあろうと思いますが、そういうように広義に解釈をするという意味で、今回、土地開発公社にも公営企業金融公庫資金を導入する、あるいは道路公社にもこれを当てはめるということに持っていったような次第でございます。
  117. 門司亮

    ○門司委員 これは大蔵省関係にちょっと聞いておきたいと思いますが、いま、大蔵省のほうでは、この道路というものについて、経済との結びつきを一体どう考えているかということですが、われわれが従来考えておった公営企業というのは、一つ町村あるいは自治体単位の事業というものは、限られた範囲における一つ事業——あるいは交通にしても、水道にしても、みんなそうなんですが、道路というのは、どこまでもずっとつながっているのですね。さっき言ったように、どこまでも広げなければ効果がないのですね。一つの県だけがどんなに道路がきれいにできたからといって、経済効果があがるものじゃない。一つの市だけでどんなにきれいなものをこしらえたって、経済効果があがるものじゃない。連帯性を持っている。そういうものだとすれば、これは当然国がめんどうを見るべきものである。したがって、その建設その他を地方自治体が勘案してやることも必要でしょう。国が全体の市町村道まで見るわけにいかぬと思います。そういう関係からすれば、資金の問題だけを国がめんどうを見ていけば、それで地方の自治体はやっていけるのじゃないか。こういう公社というものをこしらえて、一体どちらが、でき上がった時点で経済効果があるかということですね。これは市の事業としてやって、道路ができてしまえば、あとの維持管理は、市の土木局か県の土木局かで間に合うはずである。ところが、公社というものをこしらえてごらんなさい。そこにはたくさんの月給をとる役人ができるということになる。これは、役人をふやすにはきわめて都合のいい法案ですね。こういうもものがだんだんできていく。しかし、これは、資金さえあれば地方の自治体でやり得る仕事です。ところが、その資金を大蔵省はなかなか出そうとしない。いわゆる道路についての公債というもの、起債というものについては、なかなか出そうとしない。そういうところに問題があるのじゃないですか。そして、大蔵省に金がないかといえば、そうじゃないのでしょう。資金運用部の資金はかなりたくさん持っているでしょう。これがどういうところに使われているかということまで、きょうここで議論をしようとは私は考えておらない。たびたびここで議論しておるので、繰り返して議論をしようとは考えておらないが、国民の零細な積み立てたお金が税収以外にたくさんあるでしょう。五兆も七兆もあるでしょう。そういうものが、地方の自治体に、安い利息で、長い期間で払ってもよろしいという形でどうしてできないかということです。そして、地方の自治体自治体なりにそういうものを計画していくということ、そうすれば、いままで特別地方公共団体として規定されておるいわゆる連合その他の組織を利用すれば、むだなく——むだだと言うと諸君はおこるかもしれないけれども、何も必要以上の経費をかけなくても、人を使わなくても、地方の自治体では道路の維持管理なんというものはやれるはずである。だから、問題は資金の問題に触れてくると思うのだが、大蔵省はどうしてもそういう資金は出せない——こういう形なら幾らか原資を出してもいいが、必要な道路をつけることのための都道府県や市町村資金に対して、どうもお金を貸すわけにはいかない、こういう考えですか。
  118. 長岡實

    ○長岡政府委員 門司委員の御質問に、私がすべてをカバーするようなお答えを申し上げる自信はございませんが、全般的に申しまして、いまの公共事業の中での道路整備事業の占める割合というものは、きわめて規模の大きなものでございまして、災害を除く一般公共事業三兆のうち、八千五百億は道路整備事業に振り向けられております。そして、そのうちの相当部分が地方公共団体に参りまして、地方道の整備等に回っておるわけでございます。  門司委員の御指摘のように、当然、一定の延長があって、初めて道路の経済効果というものが発揮されることになろうかと存じます。したがいまして、有料道路の場合にも、相当程度の延長を必要とするという考え方が原則であろうかと思います。ただ、最近の有料道路事業の実態を見ますと、たとえば、都会のいままでの道路整備事業というのは、幹線国道等をつくりますと、その道路のわきに市街地ができ上がってしまうものでございますから、現在では、相当長い距離の自動車交通をする場合にも、市街地に入りますと、市街地の局地交通の自動車の交通等と競合いたしまして、なかなかそこを通り抜けることができない。そういうような場合に、その市街地をはずしてバイパスをつくります。そのバイパスを有料道路経営するというような例も最近出てきております。それは、やはり、道路の効果としては、そのバイパスの有料道路部分だけで効果が出る一わけではなくて、門司委員の御指摘のように、長いつながりがあって、初めて自動車交通として、の利便がそこに止まれるわけでございますけれども、その局地的な部分だけをとりますと、その市街地の中に入り込んで、相当混雑した道路を通って、長い時間をかけるよりは、料金を払っても、バイパスで時間を節約したほうがいいということで計算が成り立つのではないかと思います。したがいまして、有料道路事業は、局地的なものはすべて成り立たないということではないのではないかと思います。一般論としては、門司委員の御指摘のとおりだ思います。
  119. 門司亮

    ○門司委員 私はそんなことを聞いているのじゃないので、そういう仕事も、別にこんな公社などをこしらえなくたって、お金さえあれば、地方自治体でやれるのですよ。これだって、公社だからお金を出す一つの機関でしょう。それをいまこしらえようとするのです。だから、この機関をやめて、大蔵省がこれに必要なお金だけ出せば、何も問題がないのです。そうたくさんなお金は要りませんし、有料道路であれば償却は十分できます。ところが、はっきり言えば、大蔵省の中には資金運用部資金というものがあり、税金以外のお金をたくさん持っているでしょう。これをもう少し地方に出せないかということなんです。たとえば、これだけではありませんが、地方の起債その他に関係することですけれども、いま持っておる郵便貯金だけでも全部集めてごらんなさい。ことしの予算を見ても、今年度の郵便貯金は大体二兆円くらいで、いま持っておる金は七兆七千億くらいになっている。郵政省を調べればすぐわかるのです。そういうたくさんのお金を持っておるのですね。そういう住民の零細な積み立てたお金があるわけです。そういうものを、例の一般の地方債についての政府資金一般資金とを比べてみると、ことしなどでも、公共事業一般事業を全部集めますと、一兆七千二百億くらいのものがすべてこの中から地方債に出ておるということが言えるのです。まだ残りはかなりあるはずなんですね。そして、一般の起債だけからいけば、全部で約一兆円の一般起債について、国からの資金というのは一般会計だけで六千幾らかになっている。こういうものを見てまいりますと、この公社をこしらえなくても、資金の融通さえ大蔵省がめんどうを見れば、しかも、これが有料道路だというなら、返済の点はできましょうし、国で監督はできましょうし、やれるはずである。さっき言いましたように、これが利用者が少ないということになると、一体だれが責任を負うかということで、自治体が責任を負わざるを得ないということになってくる。そういうことを考えてまいりますと、こういう公団をこしらえて、そこにことしも二億ばかりの原資を出すと言っておりますけれども、そんなことでまかなえるはずはないのであって、その点、大蔵省としてはもう少し考える必要がある。だから、こういう公団をこしらえて、そのことでお金を出すということになるならば、むしろ、大蔵省がもう少し地方道についての金を出すほうがよろしいのじゃないかということが考えられる。いま大蔵省の考えております道路というのは、主として産業道路、いわゆる経済道路である。ところが、市町村に参りますと、経済道路も必要であるが、しかし、市民の通る道路もやはりこしらえないわけにはいかない。これのほうがむしろ大事である。私どものほうからすれば、経済的な効果を非常に大きくねらっておる産業道路、経済道路というものは、これは国がやればいいと思う。神奈川県なら神奈川県がみずから道路をこしらえたって、神奈川県の諸君だけが利用するわけでもありませんし、国全体の経済の中で道路の使用というものは行なわれるわけである。そういうようなつながりを持つものは国がもう少しめんどうを見るということ。たとえば、道路の維持管理その他があるから、いま、国道だとか、県道だとか、市町村道だとか、道路の区分をしておるから、そういう関係で、市町村道についてはそっちでやれというのなら、それでもよろしいと私は思います。しかし、そこには資金がそういう形でおろされてくるという形のほうがやはり望ましいのである。この種の公営企業というものは、われわれが概念として考えておる公営企業ワクをはみ出したものとしかどうしても私には考えられない。道路政策の一環として考えるのなら、これは別ですよ。だけれども公営企業の一環として考えろと言われても、これはなかなかそうはいかない。と同時に、資金の面についても、金融公庫から幾ら出すか知りませんが、それだけでは足りない。やはり、地方の自治体資金を出さぬわけにはいかぬでしょうし、資金のやりくりというようなものについては非常に苦しい状態になっておる。こういう状態のときに、国がもう少しめんどうを見て——率直に私は言っておきますけれども、そうすると、いま国が持っておる道路公団の一つの翼としての行き方はできませんか。これは、いまのお話のように、一つ自治体があって、その自治体のまわりを回ったほうがよろしいんだ。一つ一つの都市をずっと見て歩きますと、たくさんありますよ。迂回道路がないために、都市の中に自動車が集まっておる。この市は迂回道路をこしらえておいたら楽になるだろうというような都市はたくさんある。しかし、そういうのは、そこの都市だけで迂回道路をこしらえるということは、経済効果から言ってきわめてまずいのであって、やはり、それは、隣の道路に通ずる道路ということが考えられる。そうすると、道路の連帯性と経済効果をねらっていけば、地方の自治体公営企業という名のもとに有料道路をこしらえることは、私はどうかと思う。私は、どう考えても、それはどうかと思うのです。そういう考え方があれば、それは一つ幹線道路にして、迂回道路は国がめんどうを見ていくといういわゆる道路の連帯性、国の経済効果ということのほうが先ではないかというふうに考えるのですが、いまの大蔵省の答弁だと、まん中が込んでいるから、オーバーブリッジのような考え方で何か一本こしらえれば、そっちを通るからこっちがすくと言うのだけれども、そういうことが市の一つ仕事として成り立つと考えられるかどうかということです。この点は、どう考えても、いまの大蔵省の答弁では私は納得をするわけにはいきませんし、これは非常に大きな誤り、だと思います。そういうことはやはり国がやるべきである。そういうふうに考えるのです。あなた方のほうでは、どうしてもこういうことでやれというのなら、おやりになるかもしれませんが、私は、あまりこれには期待は持てません。いま、神戸の話がちょっと出ましたけれども、神戸は、御承知のように、都市の形体か、あの神戸市全体の中の二割の地域に八割の人間が住んでいると思うのですね。そうして、残りの八割の地域に二割の人間しか住んでいない。こういう地形を持っているのです。そういう地形を持っている関係から、摩耶山、六甲山をどう越えて明石のほうに出るかという問題が当然出てくるのです。そうすると、そこに、いままでのように、一般の人は何もお金を払って道路を通らなくてもよろしいが、しかし、産業効果をねらった者、経済効果をねらった諸君は、やはり有料道路があったほうが、その人たちの経済的な効果を考えるといいでしょう。市の経済効果ということでなくて、その人たちの経済効果という点からそういうことが考えられる。こういうことを考えてくると、どう考えても、いまの大蔵省の答弁では私は納得するわけにはいかないが、もう大体お約束の時間になっておりますので、これ以上は、大臣も出かけるでしょうからお聞きをしません。  公営公庫のほうに聞いておきたいと思いますが、公庫のほうはだれか見えていますか。  私が公庫に聞きたいと思いますのは、公庫として、この公営企業が発足すれば、どのくらいの資金でどのくらいの道路ができるというような目安がつきますか。道路の計画その他については自治省から答弁してもよろしいと思いますけれども公庫関係のほうが私はよろしいのではないかと思うので、この法律が通って、そうして少しばかり資金がふえて、一体どれだけ事業計画が立つかということです。
  120. 森岡敞

    ○森岡政府委員 地方道路公社が予定しております。事業計画は、先ほどもお話し申し上げましたように、道路公社設立がだんだん進んでおります段階でございますので、確定的にはなかなか最終のまとまりはつかないのでございますが、現段階で一応見通し得ます事業量は、四十七年度で約三百五十億円程度ではないかというふうに見られております。その中で、名古屋及び神戸の都市高速道路を除いた地方道路公社有料道路が約二百億円あるというふうに見込んでおります。五十億円の公序融資は、都市高速道路よりも地方道路公社一般有料道路のほうに振り向けていきたいと考えておりますので、大体二五%ぐらいの金額に相なる。こういうことでございます。
  121. 門司亮

    ○門司委員 いまの答弁で、これ以上もうきょうは聞きませんが、もし、できたら、ひとつ計画のプランを見せてくれませんか。こういう形でやっていこうとすれば、資金の計画があろうと思いますので。金融公庫は、いま、これだけでなくて、水道の計画、あるいは都市交通をどうするかというような非常に大きな問題をかかえておる。水道だけでもかなり大きな問題をかかえておると私は思う。そういうことを考えると、金融公庫で、この事業計画に対応して一体どこまでお金が出せるのか。そして、それがどこまで完成されるのか。この問題は、表があったら、ひとつ表を出してもらいたい。そうしないと、私ども、ただばく然として、こういうものをこしらえればよかろうというわけにはなかなかまいりません。同時に、このことは、さっき言いましたようないろいろな問題を含んでおりますので、いつ法案が上がるかわかりませんが、この法案の上がるまででけっこうだと思いますが、一応の資金計画と事業計画事業量との見積もりをひとつ出してもらいたい。私は、それがあるはずだと思っておりますし、なければこんなものは出てこないわけです。
  122. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いま申しましたように、現在計画中のもので、最終的にかたまった数字ということに実はならない部面がございます。それと、先ほど大臣が申し上げましたように、道路特別会計から一五%の無利子融資をする、その道路につきましての融資考えておるわけでございますので、その無利子融資対象になもものの範囲が、これがまた未確定でございます。そういう要素がございますので、なお数字がかなり動くという前提でひとつ御報告申し上げたい。かように思います。
  123. 門司亮

    ○門司委員 私がそういうことを聞いていますのは、さっき申し上げましたように、いま、公共企業の赤字と、それから将来の拡張に要する費用というのは非常にたくさんなんです。二億ばかりの原資を出して、これでまかなうなんということはできやしません。それから、この中に書いてありますような、いまのお話のように、かりに一五%のものを無利子で貸すと言ってみたところで、別に、一五%の金利がどれだけになるかわかりません。どうせたいした金利にならないと思います。いま、地方公営企業というのは赤字で実際は弱っているのです。赤字というよりも、むしろ拡張しなければならない。水源地はだんだん遠くなりますし、一つ町村一つの市で水源を確保するなんということは非常に困難になっているわけです。非常に大きな問題になっている。したがって、公営企業金融公庫仕事というのは、従来持っておった水道関係あるいは交通関係というようなものについて一体どうするかということで、かなり深刻にお互いが相談しなければならない時期に来ていると私は思う。その時期に、同じような形の中で、またこんなようなものを——こんなものと言うと諸君はおこるかもしれないが、結局、公団をこしらえて、ここに出すのでは、資金が非常に散慢になってきやしないか。そして、さっきから言っておるように悪口を言えば、何かしら役人の増員だけが目立ってきて、結局、すべてのしわ寄せは地方の公共団体が背負わなければならぬ。大蔵省は、そういうものについては一向にわれ関せずである。先ほど山口委員から、各公社に対する資金の割合の数字をあげておりましたから、いまさらここで私が申し上げる必要もないのですが、地方の公営企業金融公庫というのは、きわめてわずかな資金ですね。こういうことで、地方の自治体が満足に事業経営一体で、きるかどうかということに、私は非常に疑いを持っておる。もし、この事業が満足にいかなければ、結局、仕事というものはみな中途はんぱになって、そして、経済効果のきわめて薄い、利用効果のきわめて薄いものにならざるを得ない。そういう危倶を持っておりますので、きょうは大体お約束の時間ですからこれ以上聞きませんけれども、もう少しはっきりした答弁を聞かしてもらわぬと、この問題を、直ちに、さようでございますかという返事はできかねるのでありまして、資料は、ひとつできるだけ早く出していただきたいと思います。委員長から資料を請求しておいてください。
  124. 大野市郎

    大野委員長 自治省に申し上げますが、資料をひとつ急いで提出してください。
  125. 森岡敞

    ○森岡政府委員 承知いたしました。
  126. 大野市郎

    大野委員長 次回は、明十二日金曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十三分散会