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山本(弥)
委員 私は外務省の例を申し上げるわけではありませんけれ
ども、私の出身県等におきまして、良心的な警察署長が教習所に参りまして、従来の経験を生かして非常にまじめに教習所の役割りをつとめるということを一時やったのですけれ
ども、内容的に見て、
管理者といいますか——これは一例としてお聞きを願いたいと思うのですが、教習所の成績をあげるとか、収入をあげるとかということで、
管理者自身が
指導員にいろいろな注文をつける。いわば、簡単明瞭に申し上げれば、ある
程度までどんどん試験を通してやるというようなことで、良心的にとてもこれは自分の性格じゃつとまらぬということで——警察署長までやったような男は多少ずるい点もあるのですけれ
ども、まことに良心的で、
先生どうも私にはこれはたえられませんと言う。私もよく知っている男でしたので、どうも君の性格では無理だろう、そういうところでつとめるのはやめたほうがいいだろうと言ったことがあるのですが、私は、検
定員というのは確かに良心的な
業務の決行をしてもらわなければならぬと思うのですけれ
ども、それがむしろ、自分の職務を大事にして仕事をするということよりも、教習所自体の成績をあげるために責められて、ある
程度まで良心を麻痺させるということも絶無ではないというふうに、私の体験といいますか、聞きました話で
感じたわけなんです。その辺は
指導のむずかしい点だと思いますけれ
ども、現実の検
定員それ自身を常に責めるというような考え方ではなくて、教習所自体をりっぱなものにするということで、常に刑罰で縛って不正をやることを避けよう避けようという考え方では、こういった
交通の安全に対するりっぱな
指導員を養成するということはうまくいかぬのではないか。たとえば待遇等も十分ではないというふうにしておきながら、いやならやめていけというようなことであれば、自然、
指導員全体の質の向上も、あるいは待遇の改善もはかられぬということになる。学科の
指導員も、技能の
指導員も、全般を通じて、
指導員としての待遇改善も現実にはかりながら、
交通事故の増発をしていく大勢に即応して、りっぱな逆転技能を身につけた者を養成していくんだという考え方に立たなければならぬと思うのであります。そういう角度から見ていきませんと、こういうふうに責任が重いのだということだけで、ある
程度までその人間の不正をやるのを防ぐようなことも
整備しておかなければならぬのだという考え方ばかりに立ちますと、ほんとうの教習所の使命といいますか、教習所全体に対する
指導も誤るのじゃないかと考えますので、その辺の
関係を十分御
配慮を願って、これらの点についても十分御
配慮を願いたい。公務員とみなすという場合は、不安のないようなりっぱな検
定員を
指導していくんだということにしてもらいたいと思うのです。
そこで、こういうふうに責任をかけますならば、私は二つあると思うのですが、一方また考えてやらなければならぬ点は、
一つは労働時間の問題であります。これも私、聞いた話でありますが、東京、
地方を通じまして、現在の
一般の労働時間八時間を守られていない。たとえば、一日に東京
方面では十人ですか、あるいは
地方では十一人くらいを
指導するのが適当だというふうな
指導をしておられるということでありますが、この辺のことはどうなっておりますか。やはり重要な運転の
指導をするわけですから、間違いのない
指導ができますように、休養の時間あるいは労働時間等も厳守していかなければならぬのじゃないか。無理して一日十時間も
指導されるとか、あるいは十一時間も
指導されるということでは、そういうところから行政についての支障が出てくるのではないか。かように考えますので、その点はどうであるか、お開かせ願いたいと思います。
それからもう一点は、場内における
指導あるいは練習はまず問題はないと思うのです。それから路上における練習の場合も、危険が生じた場合はある
程度まで
指導員が適切な
措置をとるということはできると思うのです。ただ、問題は、検定をする場合ですね。検定をする場合には、あまり事前に検
定員が安全に慎重過ぎると試験に受からぬわけですね。減点になると思うのであります。しかし、これを放任して、ぎりぎりの線まで本人の技能を検定するということになって
事故を起こすということ等になりますと、これは路上検定でございますので、思わぬ
事故が起きる。この、いわば検定官としての、どこまで技能を検定するかということと、路上運転に伴う危険性とのかね合い。これは非常にむずかしい問題であると同時に、一面、そういう危険性を持った
業務をしなければならぬということに対する
配慮ですね。これは、災害が起きた場合に、検
定員の
交通事故としての責任はどこまで問われるのか。あるいは、検
定員それ自身が
事故を起こした場合は、いわば労災の問題はどうなるか。今回別の法案で、
警察官や消防職員につきましては、特に危険な
業務に嘱する者の、特に危険な現場においての労災については五割増しにするというような、私
どもも賛成であるような法案の改正が行なわれるわけでありますが、一方、検
定員は、検定をやっておる際は公務員とみなされるわけですね。それは、本人の
監督といいますか、厳正な検定をやるということを強要するために公務員とみなされているわけですが、本人のことを考えたら、いろいろ危険を伴う
業務の遂行あるいは労働時間の問題ということについては、私は、刑罰その他の適用については、公務員とみなすということより以上の
配慮を加えていかなければならぬと思うのですが、その辺、この二点についてどういうふうにお考えになっておりますか。お聞きしたい。