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1972-04-14 第68回国会 衆議院 地方行政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十四日(金曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 上村千一郎君 理事 大石 八治君    理事 塩川正十郎君 理事 中村 弘海君    理事 豊  永光君 理事 小濱 新次君    理事 門司  亮君       中山 正暉君    永山 忠則君      橋本登美三郎君    宮澤 喜一君       村田敬次郎君    綿貫 民輔君       山本弥之助君    桑名 義治君       和田 一郎君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 渡海元三郎君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   中村 寅太君  出席政府委員         警察庁長官   後藤田正晴君         警察庁交通局長 片岡  誠君         自治大臣官房長 皆川 迪夫君         自治大臣官房参         事官      立田 清士君  委員外出席者         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     信沢 利世君         運輸省自動車局         参事官     山上 孝史君         運輸省自動車局         整備部車両課長 飯塚 良政君         建設省道路局企         画課長     井上  孝君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 四月十三日  公有地拡大推進に関する法律案内閣提出  第六九号) 同日  風俗営業等取締法によるモーテルの規制に関す  る請願山下徳夫紹介)(第二四五六号)  同外一件(大坪保雄紹介)(第二五八一号)  特別区の区長公選制実現に関する請願山本政  弘君紹介)(第二五三一号)  特別区の自治権拡充に関する請願青柳盛雄君  紹介)(第二五三二号)  ドライブイン等において酒類の販売を禁止する  法律の制定に関する請願河野洋平紹介)(  第二四五五号)  同(卜部政巳紹介)(第二四九一号)  同(木部佳昭紹介)(第二四九二号)  同外一件(谷垣專一君紹介)(第二四九三号)  同外一件(栗山ひで紹介)(第二四九四号)  同(井出一太郎紹介)(第二五七八号)  同外一件(古井喜實紹介)(第二五七九号)  同(松永光紹介)(第二五八〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公有地拡大推進に関する法律案内閣提出  第六九号)  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第七八号)      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる公有地拡大推進に関する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。渡海自治大臣。     —————————————     —————————————
  3. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 ただいま議題となりました公有地拡大推進に関する法律案につきまして、その提案理由要旨を御説明申し上げます。  最近における都市化の進展は、住宅用地をはじめ、道路、公園、緑地その他の公共印地取得難を招き、良好な都市環境計画的な整備を阻害する結果となっております。このような土地問題に対処するため、当面緊急の措置として、市街化区域整備を促進するため必要な土地先買い制度整備地方公共団体にかわって土地先行取得を行なうことを目的とする土地開発公社創設その他の措置を講ずることによりまして、公有地拡大計画的な推進をはかり、もって地域の秩序ある整備公共の福祉の増進に資そうとするものであります。  これが、この法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一は、市街化区域内における土地先買い制度整備についてであります。  まず、都市計画法に定める市街化区域内における都市計画施設の区域内の土地等一定土地所有者は、その土地の有償で譲渡しようとするときは、都市計画法による開発許可を受けた場合等を除き、あらかじめ、その土地の所在、面積、譲渡予定価額譲渡相手方等都道府県知事に届け出なければならないこととし、また、地方公共団体等による買い取り希望するときは、その旨を都道府県知事に申し出ることができることといたしております。  次に、都道府県知事は、これらの届け出等にかかる土地都市施設その他公共施設に関する事業等の用に供する土地として必要がある場合には、地方公共団体または土地開発公社等が、買い取り協議を行なう旨通知することといたしております。なお、土地譲渡届け出等をした日から二週間以内、または、買い取り協議の通知があった日から二週間以内は、その土地を他に譲渡してはならないことといたしております。  以上が、土地先買い制度概要であります。  第二は、土地開発公社創設についてであります。  まず、地方公共団体は、公有地先行取得を促進するため、単独で、または共同して、公法人としての土地開発公社全額出資により設立することができることといたしております。  次に、その業務でありますが、さきに申し上げました先買いにかかりますところの土地のほか、公共施設または公用施設の用に供する土地公営企業の用に供する土地その他公有地として必要な土地取得管理及び処分等を行なうことといたしております。  次に、土地開発公社についての財務及び会計の規定土地開発公社に対する監督規定を設けるほか、土地開発公社業務の運営の円滑をはかるため所要の措置を講ずることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 大野市郎

    大野委員長 以上で、提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 大野市郎

    大野委員長 次に、内閣提出にかかる道路交通法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山木弥之助君。
  6. 山本弥之助

    山本(弥)委員 昭和四十六年度中の交通事故発生状況を、いただきました資料によって見ますと、累年増高をたどってまいり袋した事故発生件数、あるいは死傷者の数等におきまして、昨年は、四十九年に比較いたしまして、件数で一万七千七百九十件、死傷者において三万一千八百九十四人という減少を示しておるわけであります。しかし、依然として件数は七十万件、あるいは死傷者におきましても、九十九万人が九十六万人になったという程度でありまして、一応ピークのときを下げ得たというにすぎないのでありまして、この点は、今後さらに積極的に交通事故に対する対策、あるいは指導というものを強化していかなければならないように考えておるわけでありますが、それにいたしましても、一応減少したという事実はある程度効果が出ておるという感じがして、私ども明るい希望を持つことができるというふうに考えておるわけであります。そこで、この件数は、まあ横ばいと言える程度でございますけれども警察庁におかれては、減少についてのどういう効果があらわれてきたか。あるいは、地域的にもいろいろ情勢が変わってきておるのではないか。従来、交通事故というのは大都市に集中しておったと思うのでありますが、それが、大都市減少し、地方大都市並みにふえてくるという、いわば、いままで大都市でふえておった傾向地方都市あるいは地方におきましてもふえてまいるという傾向がどこまで続くのかという点も問題であるわけでありますが、さらに、交通事故の対象といいますか、どういうふうな交通事故が多くなっておるか。あるいは、死傷者についてどういう傾向を昨年はたどっておるか。これらにつきましての概括的な問題につきましてお聞きしたいと思います。
  7. 片岡誠

    片岡政府委員 いま先生のおっしゃいましたとおり、昭和四十六年度は、四十五年度と比べまして、発生件数、それから死者数負傷者数のいずれもが、対前年比、戦後初めて減少したということでございます。私どもも、担当する者として、一応横ばいになったというこの成果を、この傾向を、さらにことし以降も続けるように努力してまいりたいと思っております。  それで、ここ十年ばかり前から交通事故発生が非常に社会的な問題にもなり、それに対して私どもとしてはいろいろな手を打ってまいりました。たとえば交通安全施設の面につきましても、昭和四十一年からの二回にわたる、安全施設緊急整備事業をいたしまして、これは道路管理者一緒にやったわけでございますが、そういう安全施設整備によって、ある程度交通事故防止効果が出てきたということも言えようかと思います。  それから、もう一つは、免許行政の面で、御承知のように警察庁運転者管理センーターをつくりまして、すべてのドライバーの免許歴、それから違反歴事故歴というものを集中管理いたしまして、さらに、約三年半ぐらい前になりますけれども点数制度を導入しまして、違反事故について点数を集中的に管理しまして、六点になれば停止が始まる、あるいは十五点になれば取り消しが始まるといったような制度をとりましたことが、運転者に対して心理的な抑制力も働いてまいったというような点もあると思います。  それからまた、警察官を相当数動員しまして、指導取り締まりに当たらしておるというような面でも効果があがってまいったと、私、そのように考えております。  それから、役所のやることじゃございませんが、国民全体も、いわば車社会に対する適応性が次第にできてまいったというような面も当然基礎にはあろうかと思っております。  それで、そういうこととも関連してでございますが、昨年、なるほど交通事故は減りましたけれども、県によりますとふえてきておる県がございます。主として、御指摘がございましたように、大府県、大都市では減少傾向にある。ところが、北海道であるとか、あるいは東北地方であるとか、あるいは北陸、山陰、南九州、あるいは四国の東南部といったような、モータリゼーションが最近急速に伸びてきておる地域、あるいは道路整備が急速によくなってきておるといったような地域では、かえって事故がふえてきている傾向がございます。それで、私どもとしましては、そういう減ってまいったところはそれなりにまたその努力を続けてまいりますし、増加傾向にあるところに対しては、大府児並みのいろいろな施策をさらに強化していくという施薬をとってまいりたい。そのように考えております。  それから事故傾向でございますが、顕著に目立ちますのは、道交法の罰則の強化をいたしましたせいもございましょうが、原因といたしましては、飲酒運転による事故減少傾向にある。  それから、形態としまして、いわゆる走る凶器型と走る棺おけ型に分けまして、歩行者とか自転車をはねる事故は私ども走る凶器型と申しておりまして、自動車の中に乗っている人たちがなくなる事故を走る棺おけ型と言いますが、その走る棺おけ型の事故のほうが走る凶器型の事故より少し多くなり始めたというのが昨年の顕著な傾向でございます。  それからもう一つは、自家用車がどんどんふえてまいります。したがいまして、自家用車による事故、また、その自家用車がレクリェーションなりレジャーに行く場合の事故といったようなものがふえてまいっておるというような傾向も見受けられま。  もう一つ、私どもがこれは何とかしなくてはならないと思っておりますのは、お年寄り子供事故が相変わらず多い。子供の中でも、特に、未就学児童と申しますか、学校へ行くまでの子供さんの事故が多い。したがいまして、お年寄りなり、児童、幼児あるいは身体障害者といった社会的に弱い方々事故を何とか減らすということに、ことしの当初から目標を設定いたしまして、事故を減らすように極力努力をしているというのが現状でございます。
  8. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いまお話がございましたように、大都市交通混雑による事故地方のほうの事故増加に変わりつつあるというお話を承ったのでありますが、確かにそのとおりでありまして、私ども東北地方におきましても、一方におきましては、道路整備されて舗装になりましたので、自動車スピードを出す。あるいは地方の人はなれていないので——道路整備されるということは、ある意味においては、交通事故をなくするということがたてまえでなければならぬのに、逆に、道路整備されることによって事故がふえるということは矛盾しているわけであります。悪路自動車があまりスピードを出せないような道路であるために、歩行者がある程度まで自動車スピードについて行動ができるので事故が少なかったというきわめて矛盾した事態があるわけです。もう一つは、東北なんかも、過疎現象が進行いたしますと、バスが間引きになる。あるいは国鉄のローカル線が減ってくるというような現象で、やむを得ず農家において自家用車を購入せざるを得ないという事態。こういうことは、盛岡市内よりも地方過疎市町村のほうが自家用車の率が高くなっておるというのが今日の実情なんでありますが、そういうことで、交通事情にこれからなれていこうという地方で逆に事故が出てまいっておるわけであります。  これらのことを考えますと、いわば主要県道だとか、あるいは二級国道整備という際に、改良と同時に舗装ということに重点を置いていっているわけですが、むしろそういう道路ほど交通安全施設整備が必要であると思うのです。国道筋あるいは主要県道筋連檐戸数が出てまいるというときには、そういう改良あるいは整備をいたしますのと関連いたしまして、通学関係など、歩行者のほうとか、その他踏切等についての安全施設整備をある程度まで並行していかなければならぬというふうな感じが私はいたしておるわけでありますが、これらについてどういうふうな指導になっておりましょうか。  新しい交通安全対策五カ年計画ですか、四十六年から五カ年計画が一応できまして、昨年は、単独事業等を含めまして、全体計画で、警察関係は千六百億でございましたか、そして、初年度は六十億くらいだったかと思うのでありますが、本年度の状況と、それから既定計画があろうかと思いますけれども、そういう交通安全施設整備状況。そういう道路整備に関連して、いままでの常識から言うと多少あと回しでいいじゃないかというようなところ、それを再調査されまして、同時に安全施設整備していく。計画に比べまして、金額、予算等も多少ふくれ上がるかと思いますけれども道路整備が多少おくれましても、安全施設のほうも並行して進めるというあり方をとっておかないと、この大都市から地方への交通事故増加という傾向は当分続く。そういうことであっては意味をなさぬと思うのでありまして、その辺の配慮が必要じゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  9. 片岡誠

    片岡政府委員 いま、問題は、道路管理者道路をつくる場合に、単に舗装するだけではなくて、たとえば歩行者自動車の道を分離して歩道をつくるとか、あるいは、所によれば横断歩道橋をつけていくとか、道路改良するときからそういう安全施設を備えた道路をつくっていくという方向で基本的には建設省も考えており、やっておると私は思います。ただ、問題は、国道であるとか、主要地方道の場合には、それをやるだけの財源的な措置もして、やり始めていると思いますけれども主要地方道でない府県道市町村道のような場合に、現道舗装と申しまして、道路線形改良もやらない、それから拡幅もしない、ただある道路をそのまま舗装していくという政策がある程度までとられております。そういうところに一番問題がしわ寄せになって出てまいっているように私ども考えております。  それで、私ども道路管理者一緒になりまして、具体的に、そこの事故多発地点とかあるいは多発区間について、道路管理者はいかなる手を打つか、公安委員会としてはどのような手を打つかということを突き合わせて、一緒計画を立てていくという作業で私ども進めておりますが、問題は、何と申しましても、安全のための公共投資の量がまだ必ずしも十分でないということだろうと思います。幸い、新しい五カ年計画では、従前の計画と比べて飛躍的に財源的な手出てもつきましたので、いま先生指摘がありましたように、国が補助する事業は、昭和四十六年度は六十億でございましたけれども昭和四十七年度は百十二億というふうに、ほとんど倍近い財源的な手当てもつきましたので、ことしあるいは来年にかけてその方向で進めてまいれば、少なくとも、信号機あるいは交通規制のために必要な標識、標示については、おそらく相当手当てができるのじゃないかと思います。建設省のほうも、いままでの安全施設計画だけでは必ずしも十分でないという認識を持っておるようでございますから、今後、建設省十分連絡をとりまして、御指摘にあるようなことがないように努力してまいりたいと思っております。
  10. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この点につきましては、全体的に国道はほとんど整備されておりますし、バイパス道路等につきましても、地方都市等もだいぶ整備されてきているわけですね。県道においても相当進んでいると思います。私は、道路整備というものは、一応車がどんどん通れればいいじゃないかという考え方よりも、そういうふうに安全施設を同時に整備していくのだという考えが大事だと思う。ことに、地方都市においては、安全な道路を通って通学できるということが比較的少ない。たんぼ道を通れば、あるいはそれでいいかもしれませんが、国道なり主要県道を通って通学するという事例が、幼稚園保育所においても同様でありますけれども、多いわけでありますから、やはり、交通事故の従来の実績に比較して、まだあと回しでもいいという道路等につきましては、道路改良舗装等と関連して、同時に交通安全施設整備していくということについて、私は一そうの努力を願いたい。  先般、交付税その他の審議をいたしたわけですけれども、私ども、そういうことを考えていきますと、どうしても今後、地方で、単独事業その他、そういった方面配慮をしなければならぬ。財源を必要とするそれらについて、いろいろ全般的に見て、ことしあたりは、公共事業としても、補助事業をこなすに精一ぱいだという地方公共団体が多くなっておりますので、せっかく数字的には事故が多少減少傾向になっておる際だから、こういう安全施設整備という方面財源上から手が抜けるということがないような配慮が必要ではなかろうかというふうに感ずるわけでございますので、関係建設省あるいは府県市町村等におきましても、苦しい財政の中においても、交通安全施設整備道路整備に欠くべからざるものであるということの認識を深めていただいて、一般道路整備は多少おくれても、安全施設は場合によっては先行させるんだという意気込みで、公安委員会等が中心となって、地域の住民の方々、あるいは有識者、あるいは実際に運転する経験者等とのひんぱんな協議をしていただきまして、世論を一そう喚起していただくということをお願いしておきます。  なお、施設整備と関連いたしまして、交通事故減少をはかっていくという意味におきまして、四十五年度に初めて交通巡視員という制度を設けられて、これは四千五百名という増員をされたわけですね。これがどういう効果を発揮しておるかということをお聞きしたいのでありますけれども、これの効果があがっていっておるとすれば、多少増員ということも考えられると思うのですが、本年は一般警察官四千名ですか、増員をされた。そのうちの二千数百名は交通に充当するというふうなお話を聞いたわけであります。そうしますと、やはり制服の交通警察庁増員のほうが必要であるというふうに方針が変わったんじゃないかと思われるのですが、どういうふうな実績をあげておられるか。あるいは、今後この交通巡視員というのはどう活用していかれるのか。その辺のことを、これは人的指導面のほうの体制の整備の面であるわけですか、その点をお聞きしたいと思います。
  11. 中村寅太

    中村国務大臣 山本委員の御指摘のございました前段の、安全施設を優先的にやれという御意見でございますが、私も、いま、日本の国民の生活の中で、一番大きな不安を国代に与えておるのは交通事故だと思います。園児が、子供を外に出して帰ってくるまで、ほんとうに恐怖心と言えるくらいの交通事故に対する不安を抱いておる現実を見ますときに、御指摘のように、道路を新しくつくるということももちろん必要ですが、それ以上に大切なのはやはり安全施設だと思います。そういう観点から、国民交通事故による不安を一日も早く解消しなければならぬというたてまえから、できるだけ予算措置等にも全力をあげて、御指摘のような方向交通安全対策が進められるように努力をいたしたいと思います。  後段の質問に対しましては、交通局長からお答えさせていただきます。
  12. 片岡誠

    片岡政府委員 交通巡視員でございますが、定員のワクは四千五百名でございますけれども現存第一線で勤務についておりますのは三千二百十八名でございます。この差でございますけれども、これは主として若い御婦人でございますが、一度つとめてから、結婚その他でやめられる方もあるし、それから大府県の場合に、必ずしも定数どおりいい人が充足できないような面もありまして、まだ必ずしも定数どおり十分満ぱいができておりません。  各県では、この婦人巡視員が、御承知のように、横断歩道その他で、通学の場合の子供とかお年寄り交通指導とか保護をやっておりますし、それから駐車違反取締まりをやっておりまして、昨年で、全国で約四十万件近い駐車違反の反則の取り締まりをやっております。それから、小学校幼稚園へ参りまして、安全教育にも一万八千回ばかり出ておるという数字がございます。各県に聞きましたり、それから各県の地方紙を拝見しておりますと、非常に評判がいい。みな親しまれて、特に子供たちにも親しまれて勤務しておるという実情でございます。  ただ、私ども男交通警察官増員を考えましたのは、使い道が少し違っております。何と申しても、白バイパトカー警ら密度をもう少し高くしたい。公道を走っておりましても、地方の場合には、パトカー白バイにほとんどあわないというのが実情でございますので、もう少し白バイパトカーをふやして、公道上の監視力あるいは指導取り締まり力を強めたいというので、警察官増員をお願いしたわけでございます。したがいまして、白バイパトカー増員につきましてもいままだ不十分だと私ども思っております。  婦人交通巡視員につきましては、まず、定員を充足して、そしてフルに活用してみたい。そしてさらに、各第一線のほうから希望でもあれば、またその増員については考えてまいりたい。そのように思っております。
  13. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、巡視員制度というのは、いまのお話ですと、児童教育方面には相当効果があがっているようですが、駐車違反その他は婦人巡視員が当たっているわけですか。
  14. 片岡誠

    片岡政府委員 街頭における弱い道路利用者に対する援助を差し伸べること、それから学校幼稚園教育に行くこと、それから駐車違反取り締まり、それが任務でございます。
  15. 山本弥之助

    山本(弥)委員 これは常勤になるわけでございますか。どういうことになりますか。
  16. 片岡誠

    片岡政府委員 常勤の職員でございます。
  17. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私は、警察官でないこういう巡視員交通指導十分効果を発揮するということを、せっかく制度ができましたのですから、努力をしていただきたいと思うのですが、ただいまお話交通に対する児童教育とか、あるいは駐車違反等もあるようでございますけれども、十分な指導をしていただきませんと、駐車違反についてもいろいろ問題が起きている事例が多いようであります。この辺はせっかくできた制度でございますので、いわゆる権限を持たない、ほんとうに民衆と一体になっての指導的な役割りを来たすべく、交通警察官と同じように、交通法規、その他についての訓練、教育に十全を期されまして効果をあげていただくように、この点は希望いたしておきます。  なお、この機会にちょっとお聞きしたいと思うのでありますが、あるいは建設省に来ていただいておればよかったのでありますが、一時、交通公園というような、いわゆる交通教育を兼ねた児童公園というようなものを設けまして、場合によってはそこにいろいろな標識その他の整備をする。あるいは、建物の一部に交通の悲惨な状況その他の資料を展示する。そういうようなことが一時叫ばれたのでありまして、私も、かつて市長をいたしておりました際そういう企画をいたしたわけでありますが、市長をやめてそれが立ち消えになったことがある。これは警察庁のほうで、建設省のそういう状況についてお知りでありましたら、ちょっとこの機会にお聞かせ願います。
  18. 片岡誠

    片岡政府委員 数につきましては、私手元に資料もございませんし、記憶もさだかではございませんけれども、おもな府県では持っておるようでございます。たとえば、東京であれば戸山ヶ原にございますし、おのおのの県でそういう交通公園とか児輩交通公園とかいうものを持ちまして、そこで御指摘にありましたような施設を持って、小学校先生に引率されて輪番で小学校の生徒がやってまいりまして、交通安全教育を受けておる。警察のほうでも全面的に協力いたしまして、いまの婦人巡視員であるとか婦人警察官を出しまして、一緒教育をしているというような施設が相当数ございます。
  19. 山本弥之助

    山本(弥)委員 これはあまり申し上げたくはなかったのですが、この前、大石委員の質問によりまして、交通安全、あるいは交通取り締まり、あるいは交通行政に関連いたしまして、東京都の公安委員会と美濃部知事との関連についての質問があり、それに対する長官の御答弁があったのでありますが、これはちょっと古い新聞ですけれども、三月十七日には都の交通安全五カ年計画というような計画ができた。そして、交通安全対策協議会、これは各府県にあるわけですが、これの会長に知事がなっており、警視庁も入られ、あるいは建設省の出先機関等も入られて、五カ年計画をつくられ、きわめて全般にわたりまして、各方面協力して交通の安全をはかっていくという五カ年計画もできた。新聞の記事でありまするので詳細はわかりませんけれども、あるいは交通公害も含めてつくっておるようでありまして、その点はなかなかうまく連絡がついているのじゃないか、緊密な連絡のもとに努力をしておられるのじゃないかというふうに私は考えているのですが、これはどうでございますか。
  20. 片岡誠

    片岡政府委員 いま仰せになりました各県の交通安全の基本計画、これは公安委員会も当然一緒協議いたしましてつくっております。したがいまして、東京都の場合も、その交通安全基本計画は完全に事務的な連絡がとれ、合憲された計画でございます。ただ、問題は、その公害防止計画のほうは知事の専管の計画のようでございますので、このほうにつきましては連絡が十分でなかった面も少し見受けられるように私は聞いております。いずれにしろ、事務的には十分連絡はとっておりますけれども、やはり、行政の目的の立場の相違によって若干の意見の相違は当然出てまいろうと思います。しかし、総合的な行政としては、その意見の違うところはできるだけお互いに調整し合って、一つのまとまった計画として、関係の役所が全部協力して実施するという方向に持ってまいるべきだと思っておりますし、私どももそういうふうに警察のほうを指導いたしております。
  21. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この機会にもう一点だけお聞きしておきたいと思いますが、交通取り締まりの強化ということによって交通事故減少をはかっていくという努力も一面ではいろいろなされておるわけでありますが、警察官の中にも、数が多い警察官の中でありますから、交通事故を起こして、ひき逃げをして届け出もしないというような者も出ておるわけでありますが、まして、一般のマイカー族等もどんどんふえてまいりますと、どうしても事故がふえ、補償の問題で困ったり、あるいは、将来の自己の生計にも関係するような、免許証を取り上げられるというようなことも出てくる。そういった事案もふえているのではないだろうかと思うのでありますが、この違反事件に対する検挙件数といいますか、ことに、悪質の検挙件数につきましてはどうでございますか。ある程度まで追跡捜査をして絶滅を期していくという努力をしておられるわけですね。
  22. 片岡誠

    片岡政府委員 昭和四十五年の違反の検挙件数が五百三十万、昭和四十六年が六百六十九万。取り締まり件数は最近ふえてまいっております。  それから、その中で特にふえておりますのが、御承知のように駐車違反取り締まり。これは、大都市では駐車問題は大問題でございます。駐車違反取り締まりに本格的に大都市大府県が取り組み出したということで、これが一番ふえております。  また、無免許運転につきましては、むしろ件数としては減っております。これは無免許がだいぶなくなってきたのではないかという感じを私持っております。  それから、酒酔い運転につきましても、件数としては減ってきておる。これは事故のほうも、酒酔い運転が原因である事故が減っておりますので、やはり酒酔い運転そのものが減少してきているのではないかというように考えております。  逆に、ふえてまいっておりますのがスピード違反。これは自家用自動車がふえ、そしてレジャーとかレクリェーションがふえてまいりますと、どうしてもこれがふえてくる可能性が出てきたと思います。  傾向としてはそういう傾向でございますが、私どもとしましては、事故に直接つながるような違反に重点を置きまして、指導取り締まりを強化してまいりたいと思っております。もちろん、検挙するだけが能ではございませんけれども指導を含めまして、街頭の監視力を高めて、事故の抑制をはかってまいりたい。このように考えております。
  23. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私のお聞きしたいのは、ひき逃げというような悪質の犯罪の検挙というのは完全にやっておるかどうかという点をお聞きしたいと思います。
  24. 片岡誠

    片岡政府委員 お答えいたします。  ひき逃げ事件でございますが、昭和四十六年の上半期において、ひき逃げ事件の発生が約二万件ございます。この中には物の損害だけ、いわゆる当て逃げ、物を、自動車をこわして逃げていくというのが六千七百件、ばかり含まれておりますけれども、それに対する検挙が一万七千四百件ばかりでございます。検挙率が八七・四%ということでございます。この検挙率は、過去数年間大体同じような状態で、八六%あるいは八七%ぐらいを維持しておりますが、私ども、これではまだ十分ではないと思っておりまして、特に、死亡事故あるいは重傷事故をやってのひき逃げについては、さらにきびしく追及して、検挙率を高めて、ひき逃げをしたら必ずつかまるというふうな方向に持ってまいりたいというふうに考えております。
  25. 山本弥之助

    山本(弥)委員 改正案の内容につきまして少しお聞きいたしたいと思います。  今回の改正は、昨年の道交法の改正、の際にある程度問題になりまして、当然改正案の中に含まれるべき内容のものであったわけですが、それを二年見送られて、今回の改正に相なったわけでございます。そこで、この技能試験について、一般道路上において行なうという、前進した改正規定になっておるわけでありますが、しかし、この改正規定は、指定自動車教習所の卒業証明書を有する者等については、これは免除されることになり、当然教習所の中で行なわれるわけでしょうが、そこで、昨年もお聞きしたのでありますけれども、いまは試験場内の試験を受けて免許をとる者の数が減って、昨年質問をいたしました際は、大部分、八五%近くが教習所の卒業生であるというふうな御答弁があったと思うのでありますが、いま、この指定自動車教習所というのはどのくらいの数になっておりましょうか。
  26. 片岡誠

    片岡政府委員 指定自動車教習所の数は、全国で千二百六十六カ所ございます。  それから、いま先生おっしゃいました中で、あるいは私の聞き違いかもしれませんが、指定自動車教習所では、場内で基礎的な訓練をやって、そして仮免許をとって、そして路上練習をして、指定自動車教習所でも路上で検定をする。その路上の検定を合格して卒業した人は路上試験の免除ということで、指定自動車教習所の場合にも路上で検定をいたすという仕組みでございます。
  27. 山本弥之助

    山本(弥)委員 現在も、教習所の卒業生は、教習所での路上検定といいますか、それで試験にかわる措置が講ぜられるわけですが、この一般の教習所以外の試験ですね。これは、仮免許をとりまして、練習の期間は三カ月の間五日間でございますか、路上で練習をするということになると思うのでありますが、そういたしますと、今後の趨勢からいきますと、実際教習所の卒業生がほとんどで、一般の路上で運転経験のある者を同乗させて運転するという事例はだんだん少なくなりますね。  もう一つ。試験に合格するしないはともかくとして、一応そういう路上で五日間の練習をしなければならぬという規則であります。五日間路上で練習したというようなことは必要ではあろうと思うのでありますが、この認定というのはどういうことになるのでございますか。
  28. 片岡誠

    片岡政府委員 五日間路上で練習しましたということは、受験の申請書に、自分はいつからいつまでだれに隣に乗ってもらって練習しましたということを、本人に実務的には申告さすようにいたしたいと思っております。まあ、本人の申告でございますから、必ずしも正直でない場合もあるかもしれませんが、事実全然練習していないのであれば、路上試験をやればすぐ試験官にわかると私は思います。また、それだけの能力を試験官も持っておりますので、そういう点で担保してまいりたいと思っております。
  29. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そこで、今後は指定自動車教習所における卒業生がふえていくという趨勢にあると私も思うのでありますが、この指定自動車教習所の場合に、指定を受けていない教習所といいますか、それが全国に相当数現在あるということを承っておるわけでございますが、どのくらいの数があるか。また、それらに対する指導を今後どういうふうにされるつもりでありますか。
  30. 片岡誠

    片岡政府委員 非指定教習所が全国で約四百三十五カ所ばかりございます。それで、技能指導に従事している人は約二千三百人ばかりいるようでございます。それ以外に、単にコースのみを貸しているのが五十八カ所ばかりあるということのようでございます。  私どもの基本的な方針といたしましては、指定自動車教習所は、これはもう一貫教育をするりっぱな施設を持っており、人的にもりっぱな能力のある管理者、指導員がおる施設でございますので、そこで基本的な教育を受けるということを初心者の教育の基本に据えております。しかしながら、大体八〇%ないし八六%の人はそこを出ると思いますけれども、残りの人は、たとえば北海道のように、地理的な問題で、指定自動車教習所が近くにないというような過疎地帯の問題もございますし、あるいは時がない、金がないといったようなことでそこを出られないような方々もおるわけでございます。そういう人々に対しましては、この非指定の教習所も、それなりにできるだけの指導をいたしまして——何と申しても、プロの指導員に教わるほうが友だちに習うよりはいいのではないだろうかという考えでございますので、非指定の教習所につきましても、それなりに指導をし、また、その人たちが練習する人に対する教育が十分できるような仕組みもあわせ考えていったらどうであろうかというふうに考えております。
  31. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、その一定の設備あるいは指導員を整備しておるということであれば指定になるわけですね。ところが、過疎地帯などの場合に、いろいろな事情でそこまで整備はしていないけれども、かってに運転の練習をするよりもある程度経験のある指導員がついたほうがいいということで、指定自動車教習所の指導員ではないけれども、それに準ずるような指導員を持った教習所がある場合、設備が十分だとは言えないが、そういった教習所についてはそのまま認めるという体制で、指定教習所と同じような指道をしていくというようなお考えですか。問題は、その場合に、そういう指定を受けない教習所で指導を受けたという場合は、当然やはり試験場の試験が必要になるということが差異なんですね。
  32. 片岡誠

    片岡政府委員 法律のたてまえ上、指定自動車教科所とそうでない教習所はおのずから区別があると思います。指定自動車教習所であれば、そこの技能検定で合格すれば技能試験は免除するが、非指定の場合はそうではなくて、そこで習った人は試験場で技能試験をやる。こういう制度上の相違が今後とも残ってまいると思います。ただ、それでは、非指定だから全然監督もしないし、かってにやっているんだから行政的に何らタッチしないで捨てておくのがいいのかというと、そういう非指定の学校につきましても、道路上でこれから練習がされますから、その安全なり、それなりの教育効果があるような何らかの行政指導というものをやっていきたいと思っております。現に、北海道とか広島のような非指定の自動車教習所の多いところでは、非指定の教習所を管理している人たちの要望もございまして、指導員に対する講習のようなものもやっております。そういうやり方は今後ともやっていったらいいのではないか。かように考えております。
  33. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そうしますと、念を押すようでありますが、未指定の教習所については今後とも指導を強化し、指定に値するような設備や指導員を整備する場合には指定をしていく。そうでない場合にも、できるだけ指定教習所に準ずる指導を強化してまいる。そういうことで、地域の逆転免許を希望する者に対してできるだけ役立つような指導を加えていくということでございますね。
  34. 片岡誠

    片岡政府委員 そのとおりでございます。
  35. 山本弥之助

    山本(弥)委員 それから、今回の指導員の問題で一番問題になりますのは、大石委員からも話がありましたが、刑罰その他の適用について「公務に従事する職員とみなす。」ということの問題がありました。最近、例の外務省の機密漏洩事件から見てもわかるとおり、公務員は、上部のほうの人の責任はあまり問われないが、私どもの見解からいくと、下のほうは、機密だと心われないような文書を漏らしたということで逮捕される。あるいは非情にも直ちに懲戒処分になる。昔、われわれの時代には、懲戒処分というのは当然受けるのだという考え方がありましたが、そのかわり、二年たてばある程度まで救ってもらえるというような——いまは、多少時代が温情的というか、あるいは、非常な親近感を持った問題ではなくて、やはり正当な権利を主張するという労使の関係になっておるわけであります。しかし、公務員になることは、どうもえらく義務ばかり課せられて、このごろは、多少権力の乱用をやるとなると、世論にたたかれると言うのです。特に、一般公務員にとりましては、待遇問題についても、一般の労働組合のように団結権や交渉権、スト権も持たないというようなことで、今後解決しなければならない問題として残されておるわけであります。考え方によれば、検定員というのは、同乗しているだけで、その人の証明によりまして試験に合格するかしないかというような問題になりますので、いわば公的な役割りを果たすということは当然言えると私は思うのであります。そのために公務員としての取り扱いをされることによって、不利な立場に立つということも言えると思うのであります。そう厳重に、いろいろなほかの公務員並みにしなくとも、きびしい批判はあるでしょうし、あるいは、教習所それ自体の存続に関するような問題に発展する可能性もあるわけでありますので、教習所の管理者にいたしましても十分注意をするでしょうし、また、平素の指導員に対する指導というものが徹底しておれば、重要な運転免許に関連するような問題を適当にやるということもないのじゃないかと思われるわけです。ほかにも例があるということでありますが、これはこうしなければならぬものでしょうか。
  36. 片岡誠

    片岡政府委員 この間の委員会でも御説明いたしましたように、いままでは場内の検定であった。今度は場外に出ていく。そしてマン・ツー・マンで、相対で出ていって、管理者の目比較的届かなくなるのではないかというような問題も実態的な理由でございましたけれども、しかし、制度上は、検定に合格して卒業した人は技能試験免除という制度でございますけれども、この検定員自身の気持ちの中では、もう技能試験官と同じような気持ちでやっていると思います。  それなりに責任ばかり多いのじゃないかというお話でございますけれども、逆に、試験官と同じだというプライドと申しますか、そういう面からも地位に対する誇りが持てるような仕組みにもなっておるのではなかろうかということもございましたので、収賄罪だけを適用するということでなくて、やはり、公務員とみなすという仕組みのほうがより適切ではないかということでこういう仕組みを考えたわけでございます。
  37. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いや、ちょっと話が違うのじゃありませんか。刑罰その他の適用においては公務員とみなすということで、検定員が直ちに公務員としての検定員であるがゆえに、その者をあらゆる意味において公務員の取り扱いをするという意味じゃないのでしょう。刑罰で想像されるのは収賄罪ですね。収賄とか背任とか、そういった問題が多いのじゃないですか。「刑法その他の罰則の適用について」とありますが、おたくのほうで想定されておる具体的な刑罰というのはどういうものでございますか。
  38. 片岡誠

    片岡政府委員 贈収賄罰が一番典型的な例だと思います。それから、公文書偽造というのがその次にあり得る犯罪ではなかろうかと思います。それ以外につきましては、先生指摘のように、身分的に公務員でございませんので、公務員の身分的なことに関連するようなことについては、従来の判例も適用していないようでありますので、主として贈収賄罪と文書偽造罪、そういうものだと考えております。
  39. 山本弥之助

    山本(弥)委員 できるだけ拡大解釈をしないように——公務員というふうにみなされることによっていろいろな…問題が派生してくると思います。そういう検定をすることに関連して、その者が公文書を偽造して、実力のない者に証明書を出すとか、あるいは収賄をして手心を加えるとか、現実に具体的に刑法犯を検定という職務に関連して犯した場合に公務員並みの刑罰の適用を受けるというように局限をしておきませんと、いろいろな問題が出てくるのじゃないかと思います。これは間違いありませんね。  なお、もう一点、これと類似のお話がこの前答弁があったようでありますが、どういうものがあるか。あわせてお聞かせ願います。
  40. 片岡誠

    片岡政府委員 いま先生のおっしゃる前段につきましては、そのとおりでございます。  それから、類似のものでございますが、一番よく似ておりますのが、道路運送車両法の九十四条の七に適用条文がございますが、車の整備業者及びその整備に従事しておる人たち一つの例でございます。それからあとは、日本国有鉄道以下のいろいろな公庫、公団や特殊銀行のような例。それからあとたくさんございますが、主として公団、公庫、それから特殊銀行、そういう例が多うございます。
  41. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私は外務省の例を申し上げるわけではありませんけれども、私の出身県等におきまして、良心的な警察署長が教習所に参りまして、従来の経験を生かして非常にまじめに教習所の役割りをつとめるということを一時やったのですけれども、内容的に見て、管理者といいますか——これは一例としてお聞きを願いたいと思うのですが、教習所の成績をあげるとか、収入をあげるとかということで、管理者自身が指導員にいろいろな注文をつける。いわば、簡単明瞭に申し上げれば、ある程度までどんどん試験を通してやるというようなことで、良心的にとてもこれは自分の性格じゃつとまらぬということで——警察署長までやったような男は多少ずるい点もあるのですけれども、まことに良心的で、先生どうも私にはこれはたえられませんと言う。私もよく知っている男でしたので、どうも君の性格では無理だろう、そういうところでつとめるのはやめたほうがいいだろうと言ったことがあるのですが、私は、検定員というのは確かに良心的な業務の決行をしてもらわなければならぬと思うのですけれども、それがむしろ、自分の職務を大事にして仕事をするということよりも、教習所自体の成績をあげるために責められて、ある程度まで良心を麻痺させるということも絶無ではないというふうに、私の体験といいますか、聞きました話で感じたわけなんです。その辺は指導のむずかしい点だと思いますけれども、現実の検定員それ自身を常に責めるというような考え方ではなくて、教習所自体をりっぱなものにするということで、常に刑罰で縛って不正をやることを避けよう避けようという考え方では、こういった交通の安全に対するりっぱな指導員を養成するということはうまくいかぬのではないか。たとえば待遇等も十分ではないというふうにしておきながら、いやならやめていけというようなことであれば、自然、指導員全体の質の向上も、あるいは待遇の改善もはかられぬということになる。学科の指導員も、技能の指導員も、全般を通じて、指導員としての待遇改善も現実にはかりながら、交通事故の増発をしていく大勢に即応して、りっぱな逆転技能を身につけた者を養成していくんだという考え方に立たなければならぬと思うのであります。そういう角度から見ていきませんと、こういうふうに責任が重いのだということだけで、ある程度までその人間の不正をやるのを防ぐようなことも整備しておかなければならぬのだという考え方ばかりに立ちますと、ほんとうの教習所の使命といいますか、教習所全体に対する指導も誤るのじゃないかと考えますので、その辺の関係を十分御配慮を願って、これらの点についても十分御配慮を願いたい。公務員とみなすという場合は、不安のないようなりっぱな検定員指導していくんだということにしてもらいたいと思うのです。  そこで、こういうふうに責任をかけますならば、私は二つあると思うのですが、一方また考えてやらなければならぬ点は、一つは労働時間の問題であります。これも私、聞いた話でありますが、東京、地方を通じまして、現在の一般の労働時間八時間を守られていない。たとえば、一日に東京方面では十人ですか、あるいは地方では十一人くらいを指導するのが適当だというふうな指導をしておられるということでありますが、この辺のことはどうなっておりますか。やはり重要な運転の指導をするわけですから、間違いのない指導ができますように、休養の時間あるいは労働時間等も厳守していかなければならぬのじゃないか。無理して一日十時間も指導されるとか、あるいは十一時間も指導されるということでは、そういうところから行政についての支障が出てくるのではないか。かように考えますので、その点はどうであるか、お開かせ願いたいと思います。  それからもう一点は、場内における指導あるいは練習はまず問題はないと思うのです。それから路上における練習の場合も、危険が生じた場合はある程度まで指導員が適切な措置をとるということはできると思うのです。ただ、問題は、検定をする場合ですね。検定をする場合には、あまり事前に検定員が安全に慎重過ぎると試験に受からぬわけですね。減点になると思うのであります。しかし、これを放任して、ぎりぎりの線まで本人の技能を検定するということになって事故を起こすということ等になりますと、これは路上検定でございますので、思わぬ事故が起きる。この、いわば検定官としての、どこまで技能を検定するかということと、路上運転に伴う危険性とのかね合い。これは非常にむずかしい問題であると同時に、一面、そういう危険性を持った業務をしなければならぬということに対する配慮ですね。これは、災害が起きた場合に、検定員交通事故としての責任はどこまで問われるのか。あるいは、検定員それ自身が事故を起こした場合は、いわば労災の問題はどうなるか。今回別の法案で、警察官や消防職員につきましては、特に危険な業務に嘱する者の、特に危険な現場においての労災については五割増しにするというような、私どもも賛成であるような法案の改正が行なわれるわけでありますが、一方、検定員は、検定をやっておる際は公務員とみなされるわけですね。それは、本人の監督といいますか、厳正な検定をやるということを強要するために公務員とみなされているわけですが、本人のことを考えたら、いろいろ危険を伴う業務の遂行あるいは労働時間の問題ということについては、私は、刑罰その他の適用については、公務員とみなすということより以上の配慮を加えていかなければならぬと思うのですが、その辺、この二点についてどういうふうにお考えになっておりますか。お聞きしたい。
  42. 片岡誠

    片岡政府委員 御承知のように、正規の勤務時間は八時間であって、あとは超過勤務として、九時間あるいは十時間という勤務に指導員がついておると私も思います。ただ、御承知のように教える時間は五十分を一時限にしておりますので、次のお客さんにかわる間には、十分ずつの交代のための休息時間でございますか、そういう時間は一応あって、のべつまくなしにやっているわけではございません。だから、休憩はそれなりにとっておりますけれども、ただ、経営者なり、管理者によって、おのおのの教習所における労使関係によって、あるいはそこに差があるのは事実だと思います。また、地域実情によっても少しずつ差があろうと思います。それで、方向としましては、できるだけ管理者を指導して、どうしても超過勤務が多くなりますれば、教育そのものの質も悪くなってまいりますので、その辺十分考慮して指導してまいりたいと思います。  それから、検定員が路上検定をしている場合にどうするかという問題点は、先生がおっしゃるように微妙な問題があると思います。しかし、違反があったり、事故が起こりそうになったときには、あらかじめ注意もし、それから補助ブレーキで急ブレーキをかけてとめるという安全上の措置は必らずとるんだ、とって減点していくというやり方をすべきではないか。こういうふうに私ども考えております。  ただ、指導員と検定員の相違は、検定員は安全を保持する義務と責任はあろうと思います。指導員は、それプラスアルファと申しますか、教えていく義務と責任がある。その辺で指導員と検定員あるいは試験官の場合の刑事責任上の相違が出てくるのではないかと思います。かりに人身事故があった場合には、検定員なり指導員は、独立して業務上過失致死傷罪に一応該当すると思います。しかし、それは安全を保持するという義務と責任の範囲外の問題であって、あくまでも、事故は運転をしている運転者、受験者、あるいは練習者の責任が第一義的な責任であろう。そのように解しております。
  43. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、前段の第一点のほうの労働時間については、やはり、一般勤労者の労働基準法に基づく一日八時間の労働時間というものを守らせるという御指導をなさいますね。  それから、第二点のほうは、そういった場合に、事故が起きた場合の災害補償というのは、一般の労災と同じものなのか。あるいは、それに対して多少特別の指導なり配慮をせられるのか。どうなんでしょうか。
  44. 片岡誠

    片岡政府委員 労災の問題につきましては、もう少し検討さしていただきたいと思います。ただ、私ども、本人自身のそういう補償の問題と、それから、事故が起こった場合に、相手方もございますので、それが必らずしも自賠責だけで十分担保できるとも思えませんので、任意保険、上乗せ保険を掛けるように指導してまいりたい。かように考えています。
  45. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、事故の起こった場合は、あくまで仮免許を持っている運転者の責任で、検定員の責任ではない。  それから、今後事故が起こった場合の検定員に対する災害補償の問題については、さらに適切な方法をお考えくださいますか。
  46. 片岡誠

    片岡政府委員 私が申しましたのは、第一義的にはハンドルを持っている人の責任である。しかし、隣に乗っている人が検定員であり、指導員の場合、あるいは試験官の場合でも、それ独自の責任はある。ただ、隣に乗っている人の運転により事故が起ころうとする場合には、防止をする責任を持っていると思います。したがって、その限度において、刑事責任なり、ほかの責任の問題が生じるであろうということでございます。  それからあと、補償の問題については、実施までに時間がありますので、至急に詰めてまいりたい。そのように考えます。
  47. 山本弥之助

    山本(弥)委員 それから次に、やはり指導員の問題ですが、この指導員について、運転免許を持っていなければならぬというのが一つの要件なんですね。それで、この指導員が万一自己の責任でない傷害を受けたという場合には、従来であれば、法令の指導員だとか、そういったものがあって、運転免許を持っていなくとも法令の指導をやるとか、そういった交通法規の学科の指導員になれるということがあったわけですが、運転免許が指導員の要件になるということになりますと、いわば失業しなければならぬという事態も起こり得ますね。これを過渡的に、経過的にと言いますか、将来、制度的に逆転免許——身障者の運転免許というようなことも考えられないこともないわけですけれども、運転免許の要件を、そういった法令指導員というようなもので救済していくんだというようなたてまえはとれないものかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  48. 片岡誠

    片岡政府委員 御指摘のとおり、従来は、法令指淳良の場合に、逆転免許の保持者であるという要件がございませんでした。しかしながら、自分で逆転もしない人が、たとえ法令でも——今度は法令と構造、取り扱いが一本になったということがありますが、こういう学科を自分が運転もしないで教えるのは不適当ではないだろうかということで、学科指導員も免許証を持てという仕組みにしたわけでございます。そういう事態、それはその方向でやるべきものだと思っております。ただ問題は、御指摘のように、本人の責めに帰さない場合に交通事故があって、免許の取り消しなり停止があるかどうかという問題ですが、いままでの例から見ますと、多くの場合、ほとんど取り消しも停止もございません。というのは、本人の責任ではなくて、教わっておる人なり運転しておる人の第一義的な責任で事故が起こっておりますので、指導員なり検定員に対してそういう行政上の処分をするということは、十分そういう状況を考慮してやっております。ですから、たとえばよほどのスピード造反を教唆する、もっと走れもっと走れといったようなむちゃなことをやらない限り、行政処分の対象にはほとんどなり得ないのではないかと思います。しかし、例外的にはそうでないような場合もあるかと思います。そういう場合には、御指摘のような法令指導員にはなりがたい。しかし、事務をやるとか、そういうことは指定教習所で十分できると思いますので、直ちにそれが職を失うということには相ならないのではないだろうかというふうに思います。
  49. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いままで運転免許を持っていたわけなんですね。そうして事故によって運転資格がなくなるわけですね。そういう者に対しては、法令指導員、統合することによって学科指導員ですが——これを事務員にすることはまあいいと思いますが、欠格要件が、従来は欠格要件ではなかったのでありますけれども事故によって本人が運転免許の所持者になれなくなったという場合には、従来の制度の法令指導員、統合された場合の学科指導員という資格を保留させていくことも教習所では可能ではなかろうか。そういうふうにはなれないも一のかという質問です。
  50. 片岡誠

    片岡政府委員 少し私の受け取り方が違っておったのかもしれませんが、先生の御指摘の場合は、検定員なり指導員がけがをして免許を持てなくなるのではないかという御趣旨かと思いますが、そうだといたしますと、身体障害者に、御承知のように限定免許も出しております。現に、両足のない人にも運転免許証を発行しております。車の特定はございますけれども、そういう身体障害者の場合でも、できるだけ限定免許を出していくということでカバーできるのではないか。少なくとも勤務につけるくらいの能力のある場合には、それはあり得るのではなかろうか。ただ、目が全然見えなくなったとか、そういうことになればまた別の問題だと思います。
  51. 山本弥之助

    山本(弥)委員 できるだけその点の配慮を願いたい。従来の制度から言いますと、法令に詳しい者であれば、運転免許を持っておる者が運転できなくなっても、学科指導員としての役割りを教習所の中で十分果たせるという人間が、今度の改正によって指導員になれなくなる、事務員に格下げになるというような場合のないように、学科指導員として十分役立つ人間は、それなりに運転免許の欠格条件については配慮するという指導がなされるべきではないかと思うのです。  それからもう一つ、いまのお話にありましたように、さらに、身障者としての運転免許が取れるような配慮も教習所としてできるだけやるべきではないか。長年検定員なり指導員として努力をしておりました人に対しましては、そういう配慮を教習所自体でなさるべきではないか。そのほうの指導も十分お願いしたいと思います。  それから、もう一、二点ですけれども、六十五国会の附帯決議の際に、技能指導員の資格の水準を全国的に整備するという指導がなさるべきではないかという決議をあげたわけでありますが、これがどうなっておりますか、お聞きしたいと思います。
  52. 片岡誠

    片岡政府委員 先般の政令の改正で、従来は各県の公安委員会に審査をまかしておりましたそれを、総理府令が定めるところによるという規定の改正をいたしました。そして、その総理府令もつくりましたので、審査が全国的に統一されてまいりました。したがいまして、各県の公安委員会の審査ではございますけれども、よその県に行った場合には、書面審査程度で、もうその県の公安委員会の審査に合格したということにする。各県にそういう指導をいたしておりますので、従来と比べまして、県を変わりました場合にもスムーズにいくようになってまいりました。
  53. 山本弥之助

    山本(弥)委員 最後にお聞きいたしたいのは、これは実際上の考え方の相違になるかもわかりませんが、今回の改正で、免許期間の有効期間を誕生日に合わせるということですね。これは外国にも例があるようでありますけれども、私どもは非常にいい考え方だと思います。ただ、どうなるんですかね。誕生日になったとたんにああ切れたなというのと、誕生日から多少期間の余裕を置いて、ああ三回目の誕生日が来たから、いまから何日のうちに更新手続をしなければならぬなという感じと、どっちが再免許の期間の空費を防げるかどうかの問題なんです。われわれみたいに年とってくると誕生日も忘れてしまうけれども子供なりに言われて、ああ誕生日だと思ったとたんに更新の期間を終了してしまうのがいいか。何日か余裕を置いたほうがいいか。私は、どっちか効果的なほうをとればいいと思う。誕生日で切れるので、あらかじめ誕生日までに行っておこうという考え方と、誕生日が来た、これは免許が切れるので所定の期間内に手続しなければならぬなというのと、どちらが免許証を持っておる者の心理に合致するかという問題ですが、この点どういうふうにお考えになりますか。私の聞いたのでは、一般の免許証を持っている人は、誕生日が来た、これは三回日の誕生日だから手続しなければいかぬなというほうがぴたり来るのではないかという意見を聞いたので、どちらか効果的な方法をとるべきじゃないかと思いますが、いかがでございますか。外国の例等でも、誕生日を経過したときに切れることにしておるのか。一定の期間を置いてやっておるのか。どっちになっておるのか。その辺もお附かせ願いたい。
  54. 片岡誠

    片岡政府委員 外国の例も誕生日で押えております。誕生日はもちろん有効期間の末日でございますけれども、御承知のように、一カ月前から手続は始めるわけでございます。しかも、現在は、一カ月前に手続をやったら、その行った日の日付で更新されてしまって、まじめにやっている人は、長く持っておれば毎三年に一ぺん一カ月ずつ期間が短くなっていくという不合理さもございましたが、今度は誕生日ということで、私もよくわからないのですけれども、まあ、誕生日の一月前からもう行くんだというふうに思っていただくことを期待しておりますし、さらに、その日に忘れておりましても、三カ月以内であれば、適性検査だけで、ほかの試験なしで続けて免許証を持てるような仕組みにもしてございますので、誕生日にしたことによって、いま年間八万件ばかりもある失効がなくなってくるのではないかと考えます。
  55. 山本弥之助

    山本(弥)委員 その点は、この審議期間中に十分お考えおき願いたいと思います。失効になる人をどう救済するかの問題ですから、誕生日から多少余裕を置いた期間を終期に押えて、誕生日になって思い出して手続するというほうが効果的ではないかと思いますので、これは意見として申し述べておきます。  質問を終わります。
  56. 大野市郎

    大野委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時八分休憩      ————◇—————    午後三時十一分開議
  57. 大野市郎

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出にかかる道路交通法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。和田一郎君。
  58. 和田一郎

    ○和田(一)委員 道路交通法の改正でございますけれども、私、こまかい点にわたってお聞きしたいと思います。  まことにこまかいことで申しわけないのですが、大臣、最近国会の議員会館の議員専用のエレベーターがスピードがおそくなった。なぜだと聞いたら、乗っている人間の血圧のことを考えての関係でおそくなったんだと言う。これも人命尊重の一つのあらわれでございますが、そういうことで、道交法の場合はすべてが人命尊重に関するということで、こまかい問題でもひとつ大臣に御答弁いただきたい。このようにお願いいたします。  まず、去年も改正されましたし、また今回も改正されようとしているわけでございますけれども、私ども免許を取って約二十年近くなりますが、改正された点をどのように免許証を持っている人たちに徹底するかという問題なんです。この点についてどうでしょうか。
  59. 片岡誠

    片岡政府委員 先般の法改正で、国家公安委員会が教則というものをつくることになりました。それの普及版を先般先生方にお配りいたしたと思いますけれども、あの教則の普及版を、運転免許の更新の際にすべてのドライバーにお渡しするということで、読んでさえいただければ改正の点が全部わかるというふうにしてございます。さらに、読むだけではまだ十分でございませんので、映画とかスライドを使って、現に免許証を持っておられる運転者に更新のときに十分徹底していく。と同時に、安全運転管理者なり、あるいは運行管理者という組織を使って、働いておられる場においても法改正の趣旨を徹底していくという手だてをとっております。
  60. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そういう手があると思いますけれども、どれだけ読んでいるかという問題なんです。たとえばタクシー会社であるとか、ここに中村弘海先生もいらっしゃいますけれども、バス会社であるとか、そういうふうな交通職業の企業などでは確かに集めて訓練ができますけれども、いわゆるオーナードライバーといいますか、これが一番問題なんです。しかも、現在事故の一番多いのはオーナーの自家用車なんです。確かにそれを免許の更新のときにもらっても、ほとんど読まないというのが現状だと思うのですね。ほとんどと言っては申しわけないかもしれませんが、そういう実情だと思うのですが、そういう点はどうなんですか。  というのは、いろいろな改正、があるわけですし、また、今回の春の交通安全運動なんかでも、特に子供と老人ですか、これを見たら追い越してはいけないという基本的なことを強調しておる。それは確かに一番あぶない問題なんです。死亡事故につながる問題なんです。それをどうやって運転者の頭にたたき込むかが問題だと思うのです。車がふえるから事故がふえるというのじゃなくて、たとえ車がふえても、運転者がちゃんと運転していればそんな事故は起こらない。結局は運転者の問題が一番多い。ですから、その点に対しては、頭のたたき込みのしかた、これは大いに英知を働かしてやってもらいたいと思うのです。  それで、一つ提案ですけれども、サラリーマンがうちへ帰る。そうするとどういうことをやるかというと、結局は御飯を食べながらテレビを見る。大体テレビが一番いいようなんですが、そういう万人向きの教育方法を使ってやる。これはもっともっと本気になって警察でも考える必要かあるんじゃないかと思うのですが、その点どうでしょうか。
  61. 片岡誠

    片岡政府委員 仰せのとおりだと私思います。  マスコミを使って、あるいはマスコミの電波に乗せて交通安全教育をするのが一番徹底する有力な方法だと思います。現に、NHKも、それから民放も、それなりにやってくれておると私思いますけれども、ただ、私どもが期待するほどにはまだ至っていないということで、今後ともそういう面のマスコミを通じての教育を考えて願いたいと思っております。
  62. 和田一郎

    ○和田(一)委員 民放もNHKもそれなりにやっているといいましても、よく見てみますと、お人形を使って、子供が飛び出したときにキューッと急ブレーキをかける音をさせる。あれは子供向きなんです。ハンドルを持っている人に対しての教育、これはひとつ大いに考えるべきだと思いますが、国家公安委員長のお考えはどうでしょうか。
  63. 中村寅太

    中村国務大臣 私は、和田委員の仰せられるように、ああいうきわめて読んでもらわなければならぬものをつくっても、なかなか読まないというのが、これが通例だと思うのです。それを読ませるにはどうすればいいか。これはいろいろな方法があると思うのですが、いま言われましたように、テレビ等を使って知らせていくという方法。これもきわめていい方法だと思いますが、これには金がかかるんですね。金が非常にかかるものですから、いろいろの制約を受けるわけです。  それから、やはり交通事故というもののおそろしいということを徹底させるということ、そういう意味での運転者の自覚を促すということ、あるいは車を運転する人が交通道徳を守らなければならないということ。非常に迂遠なようですけれども、あらゆる機会にそういう教育を徹底させていくというようなことで、いま和田委員指摘なさった中にあったように、本人に、交通事故をなくさなければならぬ、交通事故をやってはならぬという自覚のもとに、法規等を十分勉強するというような気を持たせることがやはり基本だと思うのです。それが基本でございますが、これは和田委員も御指摘なさるようになかなかむずかしいことである。ちょうど車を運転するころになると、めんどうなものは読む気がだんだん薄らいでくる年ごろですね。何かたいへんおもしろいものなら読むかもしらぬが、あまりおもしろいものでもないし、かたいだけの法規の解説のようなものですから、興味本位で読もうとする気はなかなか起こらないと私は思う。そこで、やはり公の立場に立って交通道義を守り、交通法を順守し、そして事故をなくするということにつながる努力をする責任があるという、そういう気持ちをハンドルを握る人に十分起こしてもらうことが大切じゃないか。そういうことで、あらゆる方面からそこに追い込んでいくといいますか、読もうという気になってもらうように努力することが必要である。かように考えております。
  64. 和田一郎

    ○和田(一)委員 その努力をせられるのはわかるのですけれども、ですから、視聴覚に訴えてはどうかということを私は提案したわけなんですよ。金がかかると言われれば、ひとつ大臣の力で金を取ってもらうんですね。それで、たとえば道交法の場合は、第一条何々、第二条何々と、こうむずかしくなりますと、確かにわからないんですよ。だけれども、たしか道交法の問題で、新しく試験を受けた人は一年間は前とうしろにステッカーを張るんです。これは第一条も、第二条も、第三条も関係なしに教えればいいんですね。それから、子供がいたら、そこを幅寄せしちゃいけないとか、いろいろあります。それから、免許をとって一年間未満の人に対しては、追い越ししちゃいけないとか、幅寄せしちゃいけないとありますね。今度の法の改正で、そういうことを模型を使ってやってやれば、おもしろいですから見ますよ。しかも、しょっちゅう自分がハンドルを握っていて、それに違反すれば罰金を取られるのですから、これは真剣です。  そういうことで、今度は長官にお願いしますが、確かに努力は必要だ。努力してもらいたい。そういう面でこの提案はどうでしょうか。毎週一ペんぐらいやってもらいたいですね。
  65. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 相田さんのおっしゃることは一々ごもっともだと思います。ただ、読もうとしない者に読ませる、知ろうとしない者に知らせるというのは、実際問題としてはなかなかむずかしいわけです。そこで、基本はやはり読んでわからぬものをつくっちゃいかぬということで、道交法というのは、御案内のように非常に難解なものですから、構成要件とか、技術上の問題とか、いろいろあるものですから、たいへんむずかしい。これじゃ幾ら言ったってだめじゃないかということで、私どもとしては、何とか読んでもらおう、知ってもらおうということで、御案内のような、やさしい図面入りの教則等も、何百万という数をつくりまして、そして、それぞれの職域なり何なりから配ってもらって読んでもらうという処地を一つ講じたわけです。  それから、いま一つは、そうは言っても、やはりある程度の読む機会を何とか持たせるという必要もあるだろうということで、更新時講習を利用しようということで——もっとも、一番やっかいなのは、そういった更新時講習にも行かない、しかも、やさしくしたものがあるけれども見たくないという人にどうするかということ、ここが一番問題だと思います。それらについては、い在庁同局長からも言いましたように、NHKなり、あるいは民放その他新聞等でもいろいろ努力はしてもらっておりますけれども、やはりまだまだ不十分だと思います。こういう点については、御説のような視聴覚教育という点にもう少し私ども自身も反省を加えて、そして御説のような趣旨をできる限りは生かしていきたい。かように考えております。
  66. 和田一郎

    ○和田(一)委員 人気タレント等も相当いるわけです。その人が出ればそこヘチャンネルを回すという人もいますから、そういう方にもお願いしてひとつやっていただきたいと思います。  それから、もう一つは、老人と子供。これは一番大きな事故の対象でございますけれども、この点については、警察庁から出ております「月刊交通」ですか、私はこれを一生懸命読みまして、交通関係警察官の方がほんとうに心から努力されているということはよくわかるのです。しかし、このように高度に発達した交通体制には、幼児または老人はからだと判断力が追いつかない。そこで、学童天国だとかいろいろあるわけです。最近スクール・ゾーンですか、これが出ましたが、通学の途中または通関の途中、とにかくその辺で一切これから事故を起こさないようにするために一番いいのはどうやったらいいかという問題。これは一体何でしょうか。
  67. 片岡誠

    片岡政府委員 理想的に申せば、人の通るところと車の通るところを分けてしまう。そして、接触するチャンスをなくする。これしかないと思います。ただ、それを完全にやるのには、いままでの道路条件なり——それを完全に直ちにやるというのは、現状からいろいろな問題があるだろうと思います。したがって、人と車を分離するという、その基本的な思想を、不完全でも、できるところからやっていく。でき得べくんば完全に分離するということが一番基礎だと思うのです。
  68. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それが基礎でもございますけれども、現実の問題から考えて、皆さん方それぞれお子さんもおありでしょうし、御近所にもそういう光景が見つかると思いますけれども、いまの通学路は、朝、学校子供たちが集まって行く時間には、やはり通勤車の車が一番多いのですよ。そして、朝御飯をゆっくり食べて、テレビを見て、時間ぎりぎりなものですから、大急ぎで飛び出す。車を飛ばす。子供たちはその間を静々と歩くという形。そこのところを、局長がいまおっしゃったように分断するという方法、これはケース・バイ・ケースで考えれば、もうはっきりできると思うのです。やはり表通りを通らなければならない場合があります。そのときは、歩道をつくるとか、またはガードレールで完全に防護してしまう。それから表通り以外は、学童の通る時間だけは車の通るのをやめてもらう。はっきりこうすれば、これは完全にできちゃうのですよ。その点どうでしょうか。強力な手を打てませんか。
  69. 片岡誠

    片岡政府委員 私どもは、ことしの重点目標に老人と子供事故防止対策を取り上げておりますのは御承知のとおりであります。それからさらに、現在やっております春の交通安全運動でも、スクール・ゾーンというものを全国的に推進しております。この中身は、先生おっしゃったとおりのことを指示しているわけなんです。そういう幹線道路または準幹線道路通学路については、歩道をつくるなり、ガードレールで保護する。それから裏通りには、この時間帯は、歩行者道路として、車の通行どめをする。ただし、完全にとめるということは必ずしも実情に合わない面があろうかと思います。それは、たとえば緊急車であるとか、あるいは沿道に車庫を持っている人とか、そういう車に対しては通さざるを得ない。どうしても通さざるを得ない車は、警察署長が許可をして、ステッカーをつけさす。そうして、そういう車は特に歩行者に注意して徐行しなければいけないという法律上の義務を課してございます。したがって、通過交通は完全にシャットアウトする。それから、その沿道に住んでいる人の車は徐行しながら出ていく。そういう社会生活の実態に合った対策を現在強力に進めております。ただ、完全にすべての校区についてはそれはまだ実現できておりません。これからも、年間を通じて、安全施設の面で道路管理者ともよく協議いたしまして、そういう方向に持っていきたい。このように考えております。
  70. 中村寅太

    中村国務大臣 和田委員の御指摘の気持ちの中にあるものは、老人、子供交通事故を完全になくすように強力な手段をとらなければならぬという、強い御指摘かと思います。私も、朝の山本委員の質問のときにも申し上げましたが、いま、人間を尊重しなければならぬというのは政治の一番基本であって、これはもう国会でもいつも言われておることでございますが、特に、私は、今日の政治課題の中で、国民に一番大きな不安を与えておるのは交通事故だと思います。老人あるいは子供が家から出て、帰ってくるまで、家族の者は、恐怖感と言うてもいいくらいな不安感におそわれておる。これが実情だと思います。これをなくすためには、やはり政治が基本的にもっと強い施策をやっていく。もっと金を思い切ってかけて、子供の生命、老人の生命を守るということに力を尽くすべきである。これは交通局あたりは、いま交通局長が言いましたように、いろいろ技術的にくふうはしておりますが、私は、それだけでは終えないと思うのです。和田委員が仰せられたように、おとなの世界あるいは事業の世界は犠牲にしてでも、子供年寄りの生命を守らたければならぬという強い政治姿勢を基本的にとっていく必要があると私は考えておりますので、その方向で進めてまいりたい。かように考えております。
  71. 和田一郎

    ○和田(一)委員 中村国家公安委員長のお答えは、ほんとうにそのとおりだと私は思います。いま局長がおっしゃったように、通過車両はシャットアウトする。しかし、そこらにいる車はやむを得ない。そこが問題なんです。そこのところをもう少しきびしくしないと、徐行をやってくれないですよ。会社に行くのに忙しいのですからね。ですから、子供の歩く時間は車をどこかへあらかじめ持っていっておいて、そこから乗っていくとかなんとか、その辺は、町内会等を通じて啓蒙する必要もあると思うし、PTAの中で、同じ仲間なんですから、相談して、警察のほうへ強力に持っていけばいいと思うのです。  もう一つ建設省の方にお尋ねいたしますが、いまの子供たちの通る歩道であるとか、ガードレールであるとか、これはどうなんですか。通学道路としては、ずっと前から、五カ年整備計画ですか、やっておりましたけれども、完全に防御できるでしょうか。
  72. 井上孝

    ○井上説明員 先生承知と思いますが、ことしの二月二十二日に交通安全施設整備の五カ年計画の閣議決定をいたしました。この閣議決定の計画は、人と車の分離、いま交通局長がおっしゃいましたことを最大の重点にいたしております。すなわち、できれば、すべての道路歩道をつくるということを目標にいたしております。先般閣議決定で明らかになりましたが、ようやくこの五カ年に約二万キロ歩道をつくる。既存の道路上の歩道はすべてで約一万五千キロでございます。先生指摘のように、通学路でありながら、道路幅員がとても狭くて歩道ができないというようなところがございます。こういうところは、警察当局とお打ち合わせをして、一方通行にするなり、あるいは交通をとめるなりして安全をはかる。私ども道路の側としては、若干車道を狭めましても、極力歩道をつくり、あるいはガードレールを設置して、歩行車が車から分離され、安全な通行ができるように、さらに推進したいと思います。
  73. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そこで、歩道の問題ですけれども、ことしの二月に閣議決定されて、すべての道路歩道をつけるということですが、しかし、去年あたりつくった新しい道路、これは交通事故が起きるとたいへんな状態であることはわかり切っておるのに、全部が全部ついていないです。車道だけ相変わらずつくっているところがたくさんあります。どういうわけなんですか。建設省の考えとしては、やはり閣議決定をされなければ歩道というのはつくらないということですか。
  74. 井上孝

    ○井上説明員 私、ちょっとことばが足りませんでしたが、交通安全施設の五カ年計画は、すでに供用開始をしております既存の道路に対して、追加的に歩道をつくったり、横断歩道橋をつくったりするという特定交通安全施設計画でございます。いま先生指摘の新しい道路をつくる場合、この五カ年計画ではございませんで、一般道路整備五カ年計画の中でやっております。これは地方道、いなかのほうで、歩行者が非常に少ないというところ以外は、昨年でございましたか、道路構造令を改正いたしまして、すべて歩道をつけることになっております。例外的に、いま申し上げましたように、地方歩道をつけない場合も、従来、主として車道を守る路肩という施設がありますが、これは車道を守るためにつくっておったのですが、ここを人が歩くスペースにしようということで、路肩の最小幅員七十五センチ以上ということに構造令を改正いたしまして、地方におきましても、二、三年前にできたものは、あるいは歩道のないところがあるかもしれませんが、最近はそういうことは一切なくしております。
  75. 和田一郎

    ○和田(一)委員 ついでにお聞きしたいのですが、どこの道路でも側溝がございますね。特に、舗装道路では完全に側溝をつくる。それにふたがないわけですよ。全部まん中に三寸角くらいのコンクリートがあって、あとは何もないのですよ。そういう道路がたくさんあります。歩道もない。いまおっしゃった路肩があるかもしれませんがね。そうしますと、自転車だとか歩行者は、自動車は傍若無人に来ますから、結局は、向こうがよけてくれるのじゃなくて、自分がよけなければならぬ。そのときに、そこを飛ばなければならぬ。全部ふたをしてあれば、そこが安全地帯になる。建設省はなぜ側溝をあけっぱなしにしておくのですか。
  76. 井上孝

    ○井上説明員 従来は、側溝というのは、御承知のように、路面の排水機能を持たせるということで、ふたをしないのが原則でございます。ところが、最近は、いま申し上げましたように、車道中心につくってまいりましたが、そこに追加的に歩道をつくらなければいけないという事態になりました。最近は、先生指摘のように、側溝にふたをして、若干排水機能を犠牲にしましても、人が歩けるように、非常に狭いものでも、私ども補助対象に取り上げ、国庫補助で整備するようにやっております。
  77. 和田一郎

    ○和田(一)委員 穴があいておれば水がはけるのは早いかもしれません。しかし、ふたをしてもどんどんはけるようにできるわけです。そのくらいのことはやってください。結局は人命尊重です。あれがあったために助かっておるという人が一ぱいおります。考えてみてください。
  78. 井上孝

    ○井上説明員 先ほど申し上げました二万キロの中で、先生のおっしゃるように、相当部分側溝にふたをして歩道にするということであります。
  79. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それで、地元負担だとか受益者負担なんていって、まわりの人に負担を押しつけるのじゃないでしょうね。
  80. 井上孝

    ○井上説明員 交通安全施設整備五カ年計画におきましては、特別の国庫補助の規定がございます。そういうことがないようにいたします。
  81. 和田一郎

    ○和田(一)委員 路上の駐車についてお聞きしたいのですけれども、駐車禁止でない道は、どこといってすき間のないくらいずらっととまっております。とまっていないことが珍しいくらいです。駐車禁止のところでも、運転手さえそこに乗っておればとまっていてもいいようになっておりますが、その点はどうなんですか。駐車禁止のところで、運転手さえ乗っかっておればしばらくとまっておっても何とも言われないわけなんですか。
  82. 片岡誠

    片岡政府委員 荷物の積みおろしまたは人の乗りおりのために、五分間以内で、かつ、その運転者がいつでも車を動かし得る状態であればいい。したがって、運転車がおりましても、五分以上を越えますれば駐車違反になります。
  83. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうしますと、運転手さえ乗っておれば五分以上おってもいいということですすか。
  84. 片岡誠

    片岡政府委員 そうでございませんで、たとえ運転手が乗っておっても、五分以上はいけない。こういうことでございます。
  85. 和田一郎

    ○和田(一)委員 運転手さえ乗っておれば、何時間とめておいてもいいのだという観念が一般には強いですよ。現に、私なんかも、そういうことばを聞きまして、じゃあなた乗っていてくれということがある。それは確かにあります。路上駐車の場合、車さえなければ、道路と家の家並みの間に幾らかスペースがありますから、子供がそこを通って安全なんですけれども、車があるためにまん中に出なければならぬ。これはきわめて危険です。特に、一番危険なのは自転車なんです。路上駐車についてもう少しきびしくできませんか。
  86. 片岡誠

    片岡政府委員 私どもは、路上駐車規制もきびしくするし、その規制を担保するものは取り締まりだと思います。そういう意味で、取り締まりにつきましても、いまきびしく指導しております。現に、昭和四十六年度は、四十五年度に比べて、五割ばかり駐車違反の検挙件数がふえております。ただ、問題は、あまりにも違法駐車の状態が多過ぎる。それに対して、取り締まりに当たる警察官なり婦人指導員の数が足りないというのが実情だと思います。それで、ただ外勤巡査にやれやれと言ってもできません。したがって、そういう体制をちゃんと組んで、一番実害のある、一番問題のあるところから鋭意重点を指向して、いま取り締まりをやるように強力に指導しております。
  87. 和田一郎

    ○和田(一)委員 時間がありませんので、どんどん進めていきます。  次に、踏切の安全対策なんですけれども、これは、列車と人、または列車と車というのじゃなくて、踏切を渡ろうとする車と人の問題なんです。道路を歩いておりまして踏切にぶつかると、踏切の四すみに遮断機が立っています。チンチンといいながら竹のさおをおろします。あれが道路一ぱい一ぱいに出しゃばっているわけですね。ですから、踏切に入るときには、いわゆる道路ががちっと狭くなる。そこへ自動車と人間が待っている。そして、上がると、車がわっと一斉に押し込んでいくわけです。人間はどこを歩いていいかわからない。自転車なんかも、車輪だけをコンクリートの端のところに乗っけて、九十度ぐらいに自転車を倒しながら線路の中を歩かなければならない。しかも、線路の中ならまだいいのです。踏切というところは、線路の上が大体盛り上がっているところが多いのです。そうしますと、線路へ行く間に道路と——それから、道路のこっちが相当落ちている場合があるのです。あそこは危険です。この点につきまして、線路の中に歩けるような板を敷いてあげるとか、それから遮断機をもう少しどけてもらうとか、引っ込めてもらうとか、それから踏切の手前の道路で人間が待つ場所をつくってあげるとか、なんとかしないと、これはほんとうにあぶない。人間が気をつけているから、直接の事故は現在はないかもしれませんけれども、一番危険率の多いところじゃないかと思うのです。その点はどうでしょうか。これはひとつ建設省にも運輸省にもお願いしたい。
  88. 井上孝

    ○井上説明員 踏切の危険個所につきましては、御承知かと思いますが、昭和三十六年に踏切道改良促進法をつくって、運輸省と私ども建設省と協力をして、踏切の立体交差化、交差化のできないところ、あるいはおくれるところにつきましては、いま御指摘のようないろいろな危険な要素を改良する構造改良、こういうものを十カ年計画でほぼ完全に遂行いたしました。しかし、なお、交通量の増大等にかんがみまして、昭和四十五年でこれは切れたわけでございますが、昨年四十六年以降さらに五カ年間この改良促進法の期間を延伸いたしまして、この五カ年間で、立体交差約千カ所。それから連続立体と私ども申しておりますが、鉄道のほうの高架化でございますけれども、これを約百キロ。それから御指摘の構造改良千三百カ所ぐらい、特に悪いところを指定いたしまして、改良しようという予定でございます。この計画に基づきまして、四十六年、四十七年、実際の年度ごとの予算を大幅につけまして促進をするという体制になっております。
  89. 信沢利世

    ○信沢説明員 踏切の構造改良の問題でございますが、ただいま建設省のほうから御答弁がございましたとおり、構造改良と申しますのは、踏切のところで道路幅が狭くなっておりますところ、あるいは先生から御指摘がございましたように、急な勾配でのぼっていくところでエンスト等の支障があるようなところ、あるいは見通しの悪いところ、あるいは踏切が非常に斜めに渡っているようなところ、こういうものをこれから五年間に千三石刀所ぐらい指定をいたしまして、改良をしていこうというものでございます。特に、踏切部分におきまして道路幅が狭まっているところ、これが一番問題がございますが、こういうものにつきましては、現在、踏切と申しますのは道路と兼用工作物ということになっておりますので、鉄道の事業者と道路のそれぞれの管理者の方々が、当事者同士で、その幅を幾らにふやすとか、遮断機の位置をどう移転するとかいう詳細な打ち合わせを御相談をしていただきまして、今後整備を進めていきたい。かように考えております。
  90. 和田一郎

    ○和田(一)委員 その千三百個所というのは、踏切の何%くらいになるのですか。
  91. 信沢利世

    ○信沢説明員 千三百個所と申しますのは、これから指定をいたしまして整備を進めていくところの個所数でございまして、現在の踏切の個所数で申しますと、四十五年度末でございますが、国鉄で三万二千六言個所くらい、それから私鉄で一万九千七百個所くらい、合計して五万二千三百個所くらいでございます。
  92. 和田一郎

    ○和田(一)委員 五方二千のうち千三百でしょう。それじゃやったうちに入らないですよ。そんなにたいした工事じゃのないですから、もう少し急いで何とかやってもらうように考えてもらわないと、ますます事故はふえると思います。その点、ひとつもう一ぺん考えてください。  もう一つは、今度はスピードについてなんですけれども、毎日公安委員長も車にお乗りなのでおわかりだと思うのですけれども、とにかく、スピードを出していれば、いざというときには車が急にとまらない。だから、法定速度くらいで走っていれば事故は相当防げるんだ。私、しろうとでもこう考えるのですけれども、お考えはどうでしょう。
  93. 中村寅太

    中村国務大臣 スピードの問題につきましては、これは私の個人的な意見でございますけれども、日本人は——日本人と必ずしも言わなくてもいいかもしれませんが、最近の人間はスピードに酔っておる傾向があると思うのです。それで、日本の車のスピードというものは速過ぎると私は思うのです。百キロで走っていいというのは、それは完全な新しい車でしたら百キロでいいかもしれないが、三年も五年も使ってガタのきたような車ならば、百キロも走っておれば、事故が起こらぬのがふしぎだと思うのです。そこで、私は、今後のスピードというものは、いまのように、ただ速くさえ走ればいいという考え方でなしに、人間の生命と安全を保つという観点から検討する必要があると思う。これは私の持論でございまして、いまの時代の動きとは少し合わないくらいに違うのですけれども、今日のスピードに酔っておる国民の姿というものは、一ぺん水をかけて冷やしてやらなければならぬ。かように私は考えております。
  94. 和田一郎

    ○和田(一)委員 とにかく、必要以上のスピードはけしからぬというお考えだと思います。私もそのとおりだと思うのです。  それで、大型トラックなんかには、逆転台の上に三つ小さなランプがついていますね。あれは二十キロ出せば一つつくんです。四十キロで二つついて、六十キロ以上で三つつくんですか、ちょっとわかりませんが、どなたか教えてください。
  95. 片岡誠

    片岡政府委員 四十キロ未満で一つで、四十から六十の間が二つ、六十をこしますと三つ、そういう仕組みになっております。
  96. 和田一郎

    ○和田(一)委員 あれは非常にいいと思うのですよ。あの車は何キロ以上出しているから違反だということが一目りょう然にわかってしまう。あれを乗用車全部につけたらどうですか。そういうふうに言いますと、運輸省あたりからは、乗用車のスタイルが悪くなるからと言うかもしれませんが、最近は、若い人なんか、必要以上に、前もうしろもランプをつけているんですから、ちゃんと法令で三つつけてやったほうが気が済んでいいかもわからぬ。あれをやっておきますと、白バイが追っかけなくてもおまわりさんがつかまえられるんじゃないですか。その点はどうでしょうか。
  97. 片岡誠

    片岡政府委員 これは私どもの直接の所管じゃございませんが、あとで運輸省のほうから御説明があろうかと思いますけれども、現在、技術上の問題が若干あることを聞いております。現実の問題として、いまの制度は、プラスが一五%、マイナスのほうが一〇%以内ということですから、そして、瞬間的な点灯だけでございますから、それでもって直ちに違反として検挙することはいたしておりません。立証上の問題でございますが、ただ、選別には役立っている。それから、本人自身が、みんなに警戒されるという意味で自粛するという意味においては役立っているのではないか。そういうふうに思います。
  98. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いわゆる抑止力になるわけですね。核のかさの下にいるということと同じようになる。運転手も、自分の車がスピードを出していると、大体それを意識していますから、上にそういうものがついていれば、あちらこちらから見られていると思って、やはり気持ちが悪いものですから、スピードをゆるめますよ。中村公安委員長は、先ほど、スピードに酔っている車に対しては水をかけてやりたいとおっしゃったが、そのことをひとつ考えていただけませんか。すべての車にランプをつける。三つじゃなくて、五つくらいつける。色を違えてつければなおさらよくわかる。瞬間にどうのこうのと言いますけれども、瞬間より普通に走っているのが問題なんですから、これはわかりますよ。そうすれば白バイで追っかけなくても済む。よく、無謀逆転監視所という看板が立っていて、そこにはだれもいないというところがあるのですが、そういうことしておかなくてもおまわりさんさえ立っていれば幾らでも検挙はできる。検挙というよりも、それだけスピードが落ちて事故が減るのじゃないかと思うのですが、この点はどうでしょうか大臣。
  99. 中村寅太

    中村国務大臣 方向として、それは私も賛成でございます。さっきから私も申しますように、どうも最近は、スピードというものに酔って、速いものを必要以上に求めておる傾向があると思いますが、これは本気で検討する必要がある。高速道路でも、四十キロか五十キロくらいで走っておれ、ば、大体大きな事故は起こらぬと私は思いますよ。しかし、百キロも走っていいということになっておるから、がたがた車に乗っておる人も走らなければどうにもならぬということで無理があると思いますから、いま指摘なさったような点については、私は、やはり本格的に検討する必要があると思います。  ただ、実情はあまり無視もできませんし、国民感情というものも全然無視もできないということもありますけれども、今日の交通事故による死傷者がこれだけ大きな数字を出しておる状態から考えまして、これは和田議員が指摘なさるように、本気に取り組んで検討する課題であると私は思っております。
  100. 和田一郎

    ○和田(一)委員 運輸省の方、車両課長さんですか、その点についてどう考えますか。
  101. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 現在、乗用車につきましては、軽自動車も含めまして、普通の乗用車の場合には、高速道路の速度が百キロ以上出た場合には、速度警報装置のうちブザーが鳴るようなことを現在行政指導しております。それで、計器盤は、百キロ以上のものには赤または黄色でもって表示する。それから軽自動車の場合には、高速道路で最高速度は八十キロですから、その制限は八十キロでやっております。そういうことですから、スピードをオーバーした場合にはブザーが鳴る、あるいは目盛りが赤あるいは黄色になるということで、乗っている人に注意を喚起するということを現在行政指導しておりまして、将来はこれを法制化しようということでやっております。  先生お話の中にございましたダンプカーあるいは大型トラックについては、速度表示灯というようなことで現在やっておりますけれども、これはやはりトランスミッションから来るものでございます。それで、タイヤが減った場合、あるいは空気圧が高かったり低かったりということの場合で、現在相当の効果をあげていると思いますけれども、エラーがかなりあるということで、先ほど交通局長さんがお話しになりましたように、その表示灯につくかどうかによって直ちに取り締まりの対象にならないということも聞いております。そういう点で、現在では、速度警報装置というような方向で一応対策を講じていったらいいのではないかということでやっておるわけでございます。
  102. 和田一郎

    ○和田(一)委員 タイヤが摩滅したとかなんとか、多少は誤差はあるかもしれませんけれども、しかし、メーターはあるのですから、その誤差くらいはランプのほうで調整していけば、無理な取り締まりがなくていいわけです。それから、スピードを出し過ぎたら車の中でブザーが鳴るようにすると言いますけれども、ブザーが鳴っても、うるさければ電源を取ってしまうのですよ。しろうとでも簡単にドライバー一つで取れる。それから、スピードメーターが色が変わるようにするといっても、見なければ別に色は関係ないのです。外を見ていればわからぬのですからね。そんなものよりも、周囲の人がわかるようにしておけば事故がずっと減りますよ。事故というのは死亡事故につながるのが多いのですから、これは当局が本気になって強力にやっていかなければならぬと思うのです。死亡事故が一年間に二万人ですか。百万人が死傷でしょう。すごいですよ。一億に対して百万。しかも、七〇年代にすごい数字がさっきありました。何だか、十年間で約二千万くらいの人が死傷するというようなデータが出ている。えらい問題です。だから、そういう点を、ブザーが鳴るとか色が変わるというぐらいじゃなくて、みんなで監視できるような自動車の構造も考えてもらいたいと思います。お願いします。  その、スピードの点検等のほうは検討しますか。これはどうですか。
  103. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 スピード制限の外国の規制では、フォアウェーフラッシャーですが、フラッシャーであれを点滅させるというふうなプロポーザルが現在米国等で行なわれております。したがって、私どものほうでは、ただいま申しましたような対策なんですが、方向指示器の点滅というのがいいのかな、ということで、現在検討はしております。それですから、そういう方面監督官庁と連絡をとりつつ、慎重に検討してまいりたいと思います。
  104. 和田一郎

    ○和田(一)委員 長官、運輸省でも検討すると言っております。それから、大臣も、いい考えはないものかということを言っております。ひとつ、警察のほうで主導権をとって検討していただけませんか。
  105. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 私のほうで主導権というわけにもいかぬと思いますけれども事故の実態を運輸当局にもよく反映させまして、——お説のような御意見、非常に建設的な示唆に富んだ御意見だと思いますから、そういう意味合いで十分検討してまいりたい。こういうふうに私は思います。   〔「公安委員長の言うことを聞かなければいけないのだよ」と呼ぶ者あり〕
  106. 大野市郎

    大野委員長 不規則発言はひとつ……。御静粛に願います。
  107. 和田一郎

    ○和田(一)委員 次に移ります。  ダンプの問題ですが、ダンプカーが起こす事故というのは、いまの全体の事故から言えば相当少ないように統計では出ておりますけれども、しかし、ダンプの重量性またはがんじょうさから言うと、その事故はものすごく悲惨な事故になっておる。そういう報告が出ております。最近、ダンプで、連伝心の上に、縦が二十センチ幅が六十センチくらいな板が二つついておりまして、そこに「関東一人旅」とか「何とか一家」なんて書いてあるのがありますね。これは一体どういう神経なんですかね。しかも、私、二、三見ましたけれども、ちょうどダンプのうしろのボデーに、くりからもんもんのおあにいさんがふろ場で背中を見せておるような絵が極彩色でずっと書いてある。それから、クラクションも普通のクラクションじゃないですよ。人の神経を刺し殺すようなクラクションで、関東一人旅で飛んで歩いておる。こんなことは、法律では何条で禁じているというようなことば確かにないしれないけれども、神経としては、一体どういう神経なのかわからない。これを運転する人は、おれたちの道路だ、ダンプがお通りだ、おまえらどけよと、まさにこう言っているのにひとしいような感じです。そういうのがあるのですが、局長はごらんになったことがありますか。
  108. 片岡誠

    片岡政府委員 見たことがございません。
  109. 和田一郎

    ○和田(一)委員 「関東一人旅」ひとつ見てくださいよ。ああいうのを見ると、ほんとうにおっかなくなっちゃいますよ。「何とか一家」と書いてあるんですよ。長官、御存じですか。
  110. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 ダンプの運転手が非常に乱暴だということは承知しています。ことに、いま、大きな会社等のダンプは相当コントロールせられておりますけれども、一台ぐらい持ってやっているというものでは、ずいぶんむちゃをしているのを承知しておりますが、御説のような、極彩色の云々というのはまだ見たことがございません。
  111. 和田一郎

    ○和田(一)委員 これは参考のために、ひとつ見てください。各署のほうへ連絡していただければ、あるいは見つかると思います。私も、そんなにしょっちゅうは見ておりませんけれども、二回ぐらい見ました。表木板に、普通の「何とか商店」とか、「何とか建材」と書いてあるんじゃなくて、人をおどかすようなそういうことを書いたのが確かに一ぱい走っていると思うのですが、こういうがあらた場合には、これは処分はどうなるのですか。処分できるか、できないか。その辺はどうなんですか。
  112. 片岡誠

    片岡政府委員 直ちにそれが違反とは言いがたいと思います。
  113. 和田一郎

    ○和田(一)委員 確かに、違反にはならないと思いますが、しかし、見た者はびっくりするわけですよ。しかも、何か威圧的に感じるわけです。これは行政指導か何かで取り締まるわけにはいきませんでしょうか。
  114. 片岡誠

    片岡政府委員 発見した場合、事実上、指導でそういうものをなくすようにやることは可能だと思います。
  115. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それをひとつ至急にお願いして、ダンプカーの運転手さんでも、普通のサラリーマンと同じようなやさしい心で走っているんだという感じを人に与えないと、それこそますます大衆から離れてしまう。そういうようなことも感じますので、さっそく指導していただきたいと思います。  やはりダンプの問題ですけれども、現在、富士山形に積むと言うのですね。そういう専門語らしいのです。そうすると、局長は、一体何トンぐらい積んでいるとお思いでしょうか。
  116. 片岡誠

    片岡政府委員 ものによりますと、たとえば、十一トン積みの場合に三十トンぐらいは積んでおるというふうに私どもは考えております。
  117. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それは違反にならないのですか。
  118. 片岡誠

    片岡政府委員 明らかに違反でございますので、発見次第取り締まりをしておると思います。
  119. 和田一郎

    ○和田(一)委員 運輸省の方、十一トン車という表示をうしろに書いてあるのでしょう。十一トン積みと書いてあるわけですね。いま局長も言ったように、確かに三十トン積んでおります。しかも、私、運転手から聞きましたけれども、運転台のほうがちょっとしかっておりますと、おろすときにボデーが上がらないそうですよ。うしろの荷が上がってしまわないそうですよ。これはたいへんらしいのです。そのように、十一トン積みの車に三十トン積みにしてやることは、それはいいかもわかりませんけれども、その点どうなんですかね。三十トンなら、最初から三十トンにしておけばいいと思いますけれども、その点は運輸省ではどう考えられますか。
  120. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 最大積載量は、合理的な物品の積載法をした場合には、最大積載量というのが一定の計算方式できめてあるわけであります。したがって、実は、そういうふうなことで最大積載量を算出しておりますけれども、ダンプが、非常に過積載の車が多いというふうに聞いておりますし、それから差しワク等につきましては、特に行政指導を車検等でしております。したがって、その以後において差しワクをしたりしていろいろ過積をするというふうなことがあると聞いておりますが、その点につきましても、私どもは、二次加工業者と申しますか、ボデー屋さんに、車検のあとでそういうふうな差しワクをして過積するような構造にしてはいけないということを強く行政指導でしてきておるわけであります。
  121. 和田一郎

    ○和田(一)委員 その行政指導を強くされていると言いますが、しかし、ダンプを見ますと、あとからつけたんだか何だかわかりませんけれども、全部ワクが大きいですよ。ひとつ、もう少し本気になって取り締まりできませんかね。十一トン積みに三十トン積んでいるのですよ。あれじゃ、地方公共団体が幾ら道路に予算をかけても、関東方面から東京へ来るほうの、いわゆる上り線の、左側の舗装が全部やられちゃうのです。帰りはからっぽだからやられてないのですよ。これは各地方自治体たいへんな出費なんです。それだけじゃなくて、それだけ積んでいればブレーキがきかないというのです。きき方がおかしいというのです。それで平気な顔をしてその「関東一人旅」が歩いているわけですよ。それこそたまったものじゃないです。まるで戦車ですよ。ですから、三十トンなんか積めるような、あんな車をつくってもらいたくないと思うんです。十一トンなら十一トンだけでいいんじゃないですか。その点どうなんですかね。たとえば、車体はそんななまくらにつくるわけにいかぬでしょうけれども、タイヤなんか、三十トンも積めばパンクするようにつくっておけばいいんです。その点どうなんですか。
  122. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 普通の状況でございますと、最大積載量をオーバーしたら車がこわれてしまうようにつくれというふうなことだと思いますけれども、これはちょっと、実際上、技術的には無理だと思います。問題は、その積む荷台の部分ですね。これはベッセルと言いますけれども、そういうふうなものについて、たとえば砂利あるいは砕石を積んだ場合にはこれだけの容積ですよというふうな規定を、現在も検討しております。したがって、それ以上積もうとしてもこぼれて積めないというふうなことにするというふうな方策を現在検討はしております。
  123. 和田一郎

    ○和田(一)委員 ひとつ、大いに検討してください。  もう一は、ダンプに積み荷のメーターがありますね。何トンぐらい積んでいるというメーターが、小さなメーターが荷台の下のほうについているわけです。あれをもう少し活用して、積み荷の監視なんかできないのですかね。
  124. 片岡誠

    片岡政府委員 あの自重計そのものが、技術的には、まだ精密度がどうもないようであります。したがいまして、私どもは、警告はいいと思いますが、しかし、違反として立件して送致する場合には、必ず重量計で正確に重量をはかって、そして検挙しているというのが実情であります。ただ、道路管理者のほうからも、道路が非常にいたみますし、取り締まりをぜひもっと厳重にしてくれという要望もありますし、私どもは、なるべく台貫所をたくさんつくり、そして警察官も配置して、取り締まりを厳重にやっていくということを考えております。
  125. 和田一郎

    ○和田(一)委員 これはことしの三月八日ですけれども、ある新聞に「寝室でひき殺される ダンプが突入」という記事が出ておりましたが、埼玉県のある県道沿いのお宅で、夜中に、一家が寝ておったところへダンプが飛び込んでめちゃめちゃになった。そして、御夫婦がなくなって、あと、子供たちが全部家屋の下敷きになって助けを求めたというのです。こういう悲惨なことがあるわけですよ。ですから、これは検討するということはいいと思いますけれども、ひとつ徹底的にそういう面は取り締まってもらいたいと思うんですよ。ほんとうにこういう家庭は悲惨です。ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に行きますが、これは今後の問題ですけれども、軍というものは今後一体どの程度にふえるものか。この点どなたかひとつ……。
  126. 山上孝史

    ○山上説明員 運輸省といたしましては、五十年度と六十年度に一応目標年次を設定いたしまして、五十年度におきましては約二千七百八十三万三千台、それから六十年度では、GNPを二百兆円と想定した場合に、三千八百十五万台程度と想定しております。
  127. 和田一郎

    ○和田(一)委員 六十年度ですから、あと十三年後ですね。三千八百万台だと言うのですが、道路のほうはどうなんですか。
  128. 井上孝

    ○井上説明員 道路整備計画という長期計画では、実は、これは三千五百万台と見て整備計画を立てております。昭和六十年に三千五百万台の自動車に対して必要な道路をつくるということで立てております。しかし、ただいま運輸省のほうからもお話しがございましたように、最近のGNPの伸び等からいきまして、この三五百万台をもう少し上回るのではないかと現在考えております。運輸省さんはいま三千八百万台と言われましたが、ただいま私のほうでも需要予測を検討中でございまして、需要予測を変更いたしますと、当然、道路整備の長期計画も少し修正をするということになると思います。
  129. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうしますと、その三千五百万台なら三千五百万台分の道路をつくる。こういうわけですね。
  130. 井上孝

    ○井上説明員 率直に申し上げまして、この三千五百万台の自動車がどこをどの程度走り回る需要があるかということで道路整備計画も変わってくるわけであります。その想定が非常にむずかしいのでございますが、率直に申し上げまして、大都会では、自由に自動車が走行するに足るような道路整備は至難でございます。むしろ、大都市では、自動車通行はある程度規制をしていく。ただ、地方のほうでは、むしろ基礎的な交通手段が、三千五百万台にもなりますと、おそらく自動車になってまいると思いますが、地方のほうでは、十分な道路整備を実施するというふうに計画の中身では考えております。
  131. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いわゆる人口の移動があるわけですが、経企庁の計算ですと、昭和六十年ぐらいには人口の約七〇%は太平洋岸にくっついてしまうのじゃないかというわけです。いわゆる大都市がさらに密集するというわけですよ。そうすると、そういう地方道ばかり整備したってどうしようもないんじゃないですか。大都市に人は集まる。車は人が持つのです。土地が持つわけじゃないのです。その辺の計算はどうなんですか。
  132. 井上孝

    ○井上説明員 私ども建設省だけにはちょっとむずかしい御質問でございます。実は、御承知のように、こういう政府の計画は、基礎的には経済企画庁が取りまとめておるわけであります。経済社会発展計画、あるいは新全国総合開発計画、これにのっとりまして私ども道路整備計画を立てておるわけでございますが、新全総では、近くまた改定の動きがございますけれども先生がいまおっしゃいましたような大都市への人口の過度の集中を付とか抑止しまして、たとえば道路投資でございますと、いなかのほうに、需要よりも多少厚く道路整備をして、むしろ人口の大都市集中を抑制しようという政策を持っております。まあ、現実はどうなるかわかりませんが、政策的にはそういうことであります。
  133. 和田一郎

    ○和田(一)委員 時間が経過したからというメモをいただきましたので急いでやります。  自動車の強制保険、自賠責ですが、死亡事故であるとか後世障害に対しては五百万までの保険金限度があるわけです。ところが、傷害に対しては五十万ですね。これは五十万じゃもうどうしようもないです。この辺の引き上げの考え方は一体どうなっていますか。
  134. 山上孝史

    ○山上説明員 先生指摘のように、傷害の保険金額は、四十一年から五十万円据え置きでございます。ただ、これも、先生の御指摘のとおり、三十九年から後遺障害というのを別立てにいたしまして、当時は百万まで、現在ですと段階を十四段階に分けまして十九万円から五百万円まで別ワクとして保険金額の設定をいたしております。これによりまして、現在では、保険金によっての損得賠償の充足率というのが約八二%程度でございます。
  135. 和田一郎

    ○和田(一)委員 ところが、なかなかおたくのほうの認定がうるさくて、後遺障害にしてもらえないのですよ。これを後遺障害にするにはたいへんですよ。毎日頭を下げて行かなければ後遺障害にしてもらえません。後遺障害になるならないよりも、たとえばけががなおるまでのこういう点を五十万というのは、これはもうどうしようもないです。普通のけがだって三十万、四十万かかってしまう。しかも、整形外科ですから、一カ月も入院していれば、これはもうたいへんにかかってしまいますよ。この辺のところをもう少し考える必要があるのではないかと思いますが、どうでしょう。もう少し簡単に後遺障害をおたくのほうで出してくれればいいですが、なかなか出してくれませんよ。
  136. 山上孝史

    ○山上説明員 後遺障害の認定につきまして、それを円滑に行なうということにつきましては、さらに保険会社に対して指導したいと思っておりまます。  なお、その保険金額の引き上げにつきましては、先生承知のとおり、この自賠責の制度というものは、被害者保護のための最低保障的な性格がございます。それからなお、医療費の支払いの適正化の問題も懸案としてございます。それから、他の社会保障制度との権衡の問題もございます。というようなこともございますし、さらに、保険金額を引き上げますと、必然的に料率の引き上げ問題も生じます。これによる関係方面への影響ということもございますので、いま申し上げましたような諸点、これをよく踏まえて、今後慎重に検討してまいりたいと思います。
  137. 和田一郎

    ○和田(一)委員 これはひとつ国家公安委員長にお願いしたいのですけれども、これは賠償保険のほうですから、警察には直接関係ありませんけれども、しかし、ある程度事故のほうに関係していらっしゃるのですから、ひとつ……。  五十万で完全になおる事故というのはほとんどないのですね。それは軽いけがならありますけれども、ちょっとした入院をするようだったら、五十万ではとても追っつかぬ。私も交通事故のいろいろなことを頼まれますけれども、五十万がなくなってしまって、あとは相手からもらう。しかし、相手も補償能力のない人だったらたいへんなんです。ですから、傷害の面についても、これはいま運輸省の方が検討するとはおっしゃっていましたけれども昭和四十一年から、ずっと据え置きなんですから、もうここら辺で何とか変えなければならないと思うのですが、その点ひとつ、大臣としてお答え願いたい。
  138. 中村寅太

    中村国務大臣 自動車損害保険の五十万というのは、私もやはり少ないと思いますが、いま参事官が答えましたように、これは負担金とか掛け金とか、いろいろのことと関係があると思いますから、実情に合うように検討をして、被害者がそれによって助かっていくように考慮してまいりたい。さっき和田委員もおっしゃいましたが、警察がその担当者じゃありませんけれども、やはり、交通事故の実態等は警察はよく知っておりますから、関係省庁とよく打ち合わせて善処してまいりたいと思います。
  139. 和田一郎

    ○和田(一)委員 もう一つ運輸省の参事官にお聞きしますが、保険料が今度上がって、相当な額になって自動車にかけられておりますけれども、以前もこういった議論があったと思うのですが、その保険料を免許証に対してかけるようにしたらどうかという議論がありましたけれども、この点どうでしょうか。というのは、逆転者自身がたとえ事故を起こしても、全部自分が責任を負うのだという、そのくらいな精神的な負担くらいは必要ですよ。しかも、事故を起こすのは運転者自身がもうほとんどですから、いずれにいたしましても、自動車にかけるよりも、運転者の自党のためにもかけるべきだと思うのですが、その点どうでしょう。
  140. 山上孝史

    ○山上説明員 ただいま先生指摘の問題は、たぶん、ドライバー保険の制度のことかと存じます。この件につきましては、実は、国会におきましても再三御要望があり、また、大蔵省に設置されております自賠責の審議会、これは大蔵大臣の諮問機関でございますが、ここにおきましても、四十四年の十月の答申の中で、いわゆる免許証保険の強制化につきまして検討を命ぜられております。この件につきましては、実は、世界的にも、御承知かと思いますが、カナダのサスカチェソンという一つの州だけしか実施しておりません。というように、いろいろ法律的あるいは実務的に問題がございます。そこで、私どもといたしましては、四十五年の十月から運輸省に、関係の行政機関、すなわち、法務省、警察庁、大蔵省、それから不法行為法の学者の先生、保険法の先生等を網羅いたしまして、ドライバー保険研究会というものを設けまして、毎月大体一回程度のペースをもって、いままで数十問議論を重ねてきております。いろいろ問題点はございますけれども、今後ともさらに検討を続けてまいりたいと存じます。
  141. 和田一郎

    ○和田(一)委員 時間がありませんので、あと一問だけ警察当局にお聞きしますが、ひき逃げの件ですけれども、ひき逃げが昭和四十五年に三万九千件あった。そのうち二万七千件が人身事故であった、こうなっておりますけれども、そのうち犯人がつかまって解決したのはどのくらいありますか。
  142. 片岡誠

    片岡政府委員 新しい統計で申し上げてよろしゅうございますか。
  143. 和田一郎

    ○和田(一)委員 けっこうです。新しいほうがいいです。
  144. 片岡誠

    片岡政府委員 昭和四十六年におけるひき逃げ事件の発生は、全部で四万一千六百五十九件、これは物損の当て逃げが一万三千七百四十九件入っております。それで、検挙は三万六千四百八十三件。人身事故のみを児ますと、検挙率は九一%。物損を含めた検挙率が八七・六%でございます。
  145. 和田一郎

    ○和田(一)委員 このひき逃げ、その心理状態はとても私たちわかりませんけれども、とにかくたいへんな問題だと思いますが、現場の警察官の方に聞きますと、最近自動車の塗装が非常に高度になってきて、そのためになかなかつかまらないと言う。そういう点ばかり改良しまして、たいへんなところは、下水道だとかはちっとも改良しない。それはともかく、運輸省としても、この車はひき逃げするのだろうなんて言うことはまずいかもわからないけれども、しかし、これは人道上の問題ですから、しかも年々ふえているのですから、いずれにしましても、この点はもう少し何とか検討できませんか。
  146. 片岡誠

    片岡政府委員 検挙率は、いままで努力いたしておりますが、大体この程度でございます。ただ、これでいいと私ども思っておりません。問題は、かりに塗共がそういうふうに高度化してむずかしくなっても、より私どもは知恵を出して、科学的な捜査体制も、技術の開発もやっていかなければなりませんし、と同時に、捜査のスタッフの強化なり、あるいは捜査能力の向上といったようなもの、あるいは、特に物証からだけでなくして、できれば、だれか見ている人がどこかにいるわけでございますから、犯人を知っている人もあるということで、民間協力体制も十分考えて、さらに検挙率を高めていくように努力したいと思っております。
  147. 和田一郎

    ○和田(一)委員 国家公安委員長にお願いしますが、交通遺児に対する対策、これは現在どのようになっておるか。さらに、今後交通関係の閣僚会議がございますね。そういう中でそういう話し合いをやるかどうかということ。これは国家的に救済していかなければならない問題だと思うのですが、その点について一言御答弁願えればけっこうです。
  148. 中村寅太

    中村国務大臣 交通遺児というのは、交通事故でなくなった人の子供という意味ですか。
  149. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうです。
  150. 中村寅太

    中村国務大臣 いま、その対策がどうなっておるか、私、勉強不足で承知しておりませんが、交通対策の総務長官が中心になってやっておりますあの委員会で、そういう点は、厚生省あたりと打ち合わせてできるだけ手厚くやっておると思いますが、具体的な点は私は承知しておりません。
  151. 片岡誠

    片岡政府委員 ちょっと補足いたしますが、大臣がおっしゃいましたように、総務長行が責任を持ってやっております。それで、財団法人として交通遺児の育英会もございまして、そこで交通遺児に対して育英資金を出しておるというようなこともやっておりますし、それから、総理府で実態調査をやって、その実態調査に基づいて適切な手を打っていこうということでございます。
  152. 山上孝史

    ○山上説明員 ただいまの交通遺児の育英会に対しましては、今年度予算でも、自動車事故対策費補助といたしまして、運輸省の自賠の特別会計に三千万円補助金を計上しております。
  153. 和田一郎

    ○和田(一)委員 終わります。
  154. 大野市郎

    大野委員長 次回は、来たる十八日火曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十六分散会