○水田国務大臣 順序どおりに
お答えいたしますと、超過
負担の問題は、これをちょうど私が前任のときでございましたが、
昭和四十二年でございましたが、このときに
自治省と実態調査をやって、その結果に基づいて三年計価でこの超過
負担の解消に努力するということをやりましたが、それがようやく四十六
年度で一応終わるということになりました。ことしはまだそういう調査ができておりませんので、さしあたりこの補助単価の引き上げ以下、
事業ベースにして三百八十億円、国費ベースで百六十億円という超過
負担の解消はいたしておりますが、今
年度両省によってさらに実態調査を行って、その結果に基づいて、来
年度からこの超過
負担の解消に向かって本格的な
財政措置をとるということになっておりますので、今年中にこの調査は行なうつもりでおります。
それから四十一年のときの措置と今回の
地方財政に対するいろいろな措置が違っておるじゃないかということでございましたが、これはもう御
承知のとおり、四十一年以前の
地方財政の体質と四十一年、二年以後の
地方財政の体質というものは、
内容、規模において全く違っておりまして、したがって、交付税率の問題にいたしましても、ちょうど三十七年、三十八年、三十九年と見ますというと、
地方財政の実質収支が、黒字がもう三年連続して下がっておるというようなことでございますので、そうしますというと、交付税の、引き続いて
地方財政が不足するという事態のときはこれは変更してもいい、短期的な事情でこれは変更すべきものではないという
趣旨の交付税でございますので、そういう
趣旨から申しましても、ちょうど三十六年から三十九年へかけた逐年増加してくる、しかもそれが恒常的な現象になっておる事態に対して交付税の税率の引き上げをやったということは、これはもうやむを得ない処置、また当然の処置であったと思いますが、今回の場合は、
地方財政は四十二年から非常に改善されてきまして、実質黒字はもう四年間非常に多く上がってきております。この上がっている状態をもとにしての今回の措置でございますので、当然これは交付税率の変更というようなものは考えられません。したがってこれは、昨年来国際経済の大きい変動による異常な不況現象から出た、国も
地方も同じような傾向の歳入減でございまして、この傾向が今後ずっと続くということは考えられません。これも一時的な現象と見るよりほかございませんので、したがって、これを一時的な現象と見て四十七
年度の
地方財政対策をどうするかという
考え方に基づいて行なわれたのが今回の
地方財政対策でございまして、非常な不況で財源の減収があって、いわゆる一兆円の
財政不足といわれたものに対する対策として一応の措置ができて、交付税の伸び率にしましても昨
年度とほとんど同じ
程度の伸び率を確保して
地方財政の円滑な運営がはかれるというところまでの措置ができたことは、私は、今
年度の事情としては非常によかったのではないかというふうに考えて降ります。
本
会議でも一ぺん申し上げましたが、私はやはり、今
年度の国の
予算の編成で一番むずかしい問題は
国鉄と
地方財政の問題だと思いまして、これをもし例年のように、あとから解決する問題として残して
予算編成に取りかかったらたいへんな事態が起こると考えましたので、実は
地方財政については、一番先にこの問題の処置をつけることから本
年度の
予算編成に取りかかったというような事情もございまして、その点、苦しい
財政事情の中においても何とか
地方財政に大きい混乱を与えなくて済むことができたのじゃないかというふうに考えております。
それから
新幹線等において
地方に
負担をかけるということでございますが、これはやはり
新幹線そのものが
地方の開発に連なっていることでございますので、
地方はそれに対して何ぶんの
援助、
協力をするという
法律もあることでございますし、その
協力義務から一定の
地方債を引き受けるということは、これも
地方としては――いま鉄道の
財政は
地方財政よりもっとひどい
財政でございますから、ここに
地方開発の鉄道を引かせようというからには、やはり
地方のそれだけの
負担というようなものはきわめて適当なことじゃないかというふうに考えます。
税制の問題が出ましたが、事務所
事業所課税というようなものも私
ども検討しておりますが、いまおっしゃられたような
趣旨に沿う税制の研究の余地というものはまだたくさんあると思います。これはぜひ検討に取り組みたいと思います。
それと同時に、これは私見を述べておこられるかもしれませんが、私は、国が
財政政策を転換してやはり国民福祉の向上をはかるという
方向へ一歩踏み出すということになりますというと、これに伴って今後
地方財政というものもやはり従来と違った
財政需要がいろいろ多いことになっていくと思いますので、それをいまのような形の
地方財政のあり方でいいかどうか、あるいは中央、
地方の財源の再配分とかいうようなものをめぐって、ほんとうに国が福祉国家への転換というようなものを遂げるとしたら、将来そういう問題にまでいろいろ改革をしなければいけないときが来るんじゃないか。そういうことを見ますというと、国民所得がふえること、所得水準がふえることに応じて、いかに国民がそれに応じた
負担増ができるかというようなことも当然検討しなければならぬことでございまして、私は、消費税的な間接税というようなものが、やはり福祉国家へ行くための
一つの大きい役削りをする税制になっていきはしないかということを欧米の税制を見て感じましたが、それによりますというと、そういう税ができますと、国と
地方がこれを適当な率で配分するというようなことになっておりますし、そういう考慮も新たに入ってこないというと将来の
地方財政計画にはやはり問題がある。そういう問題も全部含めた相当思い切った、まず日本の税体系から始めていろいろな機構に至るまでの大きい改革をやらなければ、私は、なかなかこれからの事態に対処できないんじゃないかというふうに考えております。