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1972-04-07 第68回国会 衆議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月七日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 上村千一郎君 理事 大石 八治君    理事 中村 弘海君 理事 豊  永光君    理事 山口 鶴男君 理事 小濱 新次君    理事 門司  亮君       菅  太郎君    高鳥  修君      橋本登美三郎君    村田敬次郎君       綿貫 民輔君    桑名 義治君       和田 一郎君    林  百郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         自 治 大 臣 渡海元三郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       木部 佳昭君         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 秋富 公正君         自治政務次官  小山 省二君         自治大臣官房参         事官      森岡  敞君         自治省財政局長 鎌田 要人君  委員外出席者         議     員 山口 鶴男君         経済企画庁調整         局参事官    宮崎  勇君         環境庁水質保全         局企画課長   河野 義男君         大蔵省主計局主         計官      加藤 隆司君         大蔵省理財局次         長       大蔵 公雄君         運輸大臣官房参         事官      原田昇左右君         自治省財政局交         付税課長    潮田 康夫君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 四月六日  地方公営企業法の一部を改正する法律案華山  親義君外五名提出衆法第一七号)  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  華山親義対外五名提出衆法第一八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方公営企業法の一部を改正する法律案華山  親義君外五名提出衆法第一七号)  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  華山親義君外五名提出衆法第一八号)  昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関す  る法律案内閣提出第五五号)      ――――◇―――――
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  華山親義君外五名提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、提出者から提案理由説明を聴取いたします。山口鶴男君。     ―――――――――――――     ―――――――――――――
  3. 山口鶴男

    山口(鶴)議員 ただいま議題となりました地方公営企業法の一部を改正する法律案及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案の二法案に関し、提出者を代表いたしまして、提案理由の概要を御説明申し上げます。  地方公営企業経えい状態については、特に昭和三十六年以降その赤字は増大の一途をたどり、累積欠損金は、昭和四十五年度末決算で二千三百六十三億円にも達しております。  これらを内容別に分析いたしますと、財政再建対象事業に指定された水道交通ガス及び病院の四事業昭和四十六年度末における推計不良債務額は、財政再建債を除いても、総額一千六百六十二億もの多額にのぼり、このことが企業再建を困難にしている大きな原因の一つになっております。  また既往債について、同じく四事業にかかる昭和四十六年度における六分五厘をこえる高利債の額を推計いたしますと、その額は、約九千四十八億にものぼる大きな額に達しております。  さらに、新規債のうち六分五厘をこえる高利債が、昭和四十七年度には一千七百七十七億円と見込まれるのであります。  このように地方公営企業は、高利の一時借り入れ金等不良債務既往債並びに今後発行される新規債等について膨大な額の元利償還を余儀なくされ、公営企業をめぐる環境の悪化と相まって、すでに危機的状態にあると申さなければなりません。  しかるに、政府は、地方公営企業危機現状を正しく認識することなく、ひたすら従来の独立採算制にこだわり、受益者負担の名において使用料値上げによる大衆負担企業内合理化によって、その経営困難の犠牲をあげて経済成長の恩典を受けない公営企業労働者に転嫁し、一般公務員に準ずる給与の改善すら行なおうとしないのであります。  このような実情からは、労働者協力も得られようはずはなく、地方公営企業再建はいよいよ困難をきわめるものと危惧されるのであります。  私どもは、以上申し上げました趣旨現状認識に立もまして、地方公営企業公共性立場を守りながら、かつ、将来にわたる抜本的な再建策として今回、ここに二つ法案提出いたしたいのであります。  まず、地方公営企業法の一部を改正する法律案要旨を申し上げますと、第一に、法適用事業範囲等につきましては、第一の種類といたしまして、住民生活に直結する性格水道、軌道、自動車運送地方鉄道及びガス事業決定いたしております。第二の種類といたしまして、住民生活に直接つながらないで他の営利企業を通じて間接的に住民生活につながる性格工業用水道及び電気事業を法定いたしまして、現行法における法定事業をその性格により二つに区分いたしたのであります。  なお、前記の法定事業以外の事業につきましては、条例で定めるものといたしておりますが、病院事業につきましては、条例で定める場合、第一種に適用することといたしております。  第二に、企業会計原則については、第一の種類事業はその性格から独立採算制によらないことといたし、第二の種類は、独立採算制を採用することといたした次第であります。  第三に、料金決定につきましては、第一種の事業は、原価を基礎といたしますが、「住民負担能力その他経済事情を勘案し、公共の福祉の増進についても適切な考慮を払った妥当なもの」と規定いたしまして、第二の種類企業料金原則と区分いたしたのであります。  第四に、企業債発行は、現行法では、許可制とされておりますが、これを改正いたしまして、財政再建団体以外の団体においては、企業債発行を自由化することといたしております。  第五に、給与決定原則は、現行法では生計費等よりもその企業経営状態を中心として決定しておりますが、職員の発揮した能率及び経営状況を考慮してという条文を削除し、地方公務員等と同様の給与決定原則によるものといたしております。  第六に、現行水道法においては簡易水道事業を除く水道事業につきましては、昭和二十八年度以来、国庫補助対象となっておらないのであります。御承知のとおり水道事業につきましては、これまで大幅な料金値上げを行なっているにもかかわらず、現行制度のワク内ではとうていその経営健全化は可能な実情にありますので、簡易水道事業とともに水道施設の新設のみならず、増設、改進をも含めて国庫補助対象を拡大することといたしております。  以上の六点がそのおもな要旨であります。  次に、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案要旨を申し述べます。  まず、公庫制度改正について申し上げますと、第一に、公営企業金融公庫地方公営企業に対する公庫として発足しておきながら、現行法では貸し付け対象事業については政令で限定されておりますので、公営企業のすべてに貸し付け対象を拡大するものといたしております。  第二に、政府出資額の増額とその明確化についてであります。現行規定によれば予算で定める追加出資額については法定されていないのであります。今回、これを改めて追加出費額を含む政府の実出資額をすべて法定して資本金明確化をはかることといたしております。  第三に、公庫借り入れ制限についての規定の緩和についてであります。現行規定では公庫債発行に伴う前借り資金は短期のものに限定されておりますが、これを改正して、公庫は、長期についても借り入れをすることができることとするとともに、政府は、公庫に対して有利な条件で資金を貸し付けることができることといたしております。  次に、さきに述べました地方公営企業再建対策について申し上げますと、第一に、四十七年度において、公庫に対し、新たに、一千百二十四億円を追加出資し、これを資本命四十六年度末現在の額三十九億に加え、一千百六十三億円と法定いたしております。  第二に、附則において、公庫に対し、四十七年度に四十九億円の補給金を支給いたすことといたしております。  この出資金及び補給金趣旨を申し上げます。  まず、四十六年度末における不良債務推計額は、一千六百六十三億円にのぼるのでありますが、政府は四十七年度において、公庫に対し、四百六十六億円の出資を行なうことにより再建団体(九百七十八億円)に対しては年四分五厘、その他団体(六百八十五億円)に対しては年六分五厘の企業債を認めることといたしております。  次に四十六年度末における既往債推計額は九千四十八億円でありますが、その二分の一相当額の四千五百二十四億円については、五百五十億円を出資することにより、残りの四千五百二十四億円については総額四百十億円、初年度四十一億円の補給金を交付することにより、年六分五厘、二十年の元命均等償還とすることといたしております。  さらに、四十七年度における新規債公庫引き受け推計額は一千七百七十七億円でありますが、その二分の一相当額の八百八十八億円については、百八億円を出資することにより、残りの八百八十八億円については総額百二十億円、初年度八億円の補給金を交付することにより年六分五厘、三十年の元金均等償還とすることといたしております。  以上集計いたしますと、昭和四十七年度における所要出資総額は一千百二十四億円、同じく補給金交付額は四十九億円となるのであります。  なお、附則において、水道法の一部改正を行ない、水道事業については、四分の一の国庫補助を行なうことといたしております。  以上が、両案についての提案理由説明であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。(拍手)
  4. 大野市郎

    大野委員長 以上で両案に対する提案理由説明は終わりました。      ――――◇―――――
  5. 大野市郎

    大野委員長 次に、内閣提出にかかる昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山口鶴男君。
  6. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 昨日に引き続いて若干のお尋ねをいたしたいと思います。  まず、大蔵省理財局次長さんお見えですね。お尋ねいたしたいと思うのですが、国鉄閑散線の問題に関しまして、地方に六分の二ですね、府県、市町村それぞれ六分の一を負担させるということになったわけでありますが、私はこういうことは、一つには地方財政法第二条、国は地方公共団体財政運営に差しつかえるような負担を転嫁してはいけないというこの規定にまず触れるのではないだろうか。それからただいま私が地方公営企業法公営企業金融公庫法の一部を改正するわが党の案について説明申し上げましたとおり、地方自治団体責任を持たなければならない地方公営企業、わけても交通事業は非常な危機に直面をしている。したがって、自治体みずからがこの責任を負わなければならぬものが非常な危機に立っている。しかも、地方公営企業再建団体職員は、過去二年にわたっていまだ給与改定も現に行なわれていない、こういう悲惨な状況もある。そういうときに、自治体がみずからそういった財政危機をかかえながら国鉄に対して援助をするなんということは、これは全く筋違いではないのか。  さらに問題は、今度上越東北成田、これらの新幹線建設されつつあるわけでありますが、これに対しまして昭和四十七年度東北新幹線が百億円、それから成田上越新幹線が九十億円、これだけの何といいますか利用債自治体に持ってくれという考え方運輸省は明らかにしております。これも大いに財政秩序を乱すのではないだろうか。特に問題は、東海道新幹線、山陽新絆線、これは鉄道利用債自治体は持っていないわけですね。これらの沿線は、いずれも財政力指数も高いところです。しかし、これから鉄道利用債を持たなければならない成田あるいは東北上越新幹線沿線府県、特に東北におきましては、財政力が非常に低い自治体が多いわけであります。そういう面からいっても非常に不届きな話ではないか、しかも全体計画を見ますと、この三つの新幹線で一兆五千億円にのぼる建設資金が必要である、その二〇%を鉄道利用債として自治体に引き受けてもらう、こういう趣旨のことも運輸省筋から言われているわけでありますが、そうなると三千億円をこえる鉄道利用債を持たされるということになる。これは、私は非常に自治体財政を圧迫すると思うのです。昭和四十七年度地方財政対策はあとで水田大蔵大臣とも議論したいと思いますが、非常な欠陥があります。国の財政もたいへんなものですが、四十七年度地方財政はまさに危機である。そういうときにこのようなばく大な利用債自治体が押しつけられる。しかも一方では地方閑散線に対する援助も持たされる、こういうことは私は非常にけしからぬことだと思うのです。地方財政法精神からいってもこれは違反をしておるし、また地方財政健全化という面からいっても私は非常に問題があると思う。自治省は、運輸省から鉄道利用債を持たなければならぬということについては話を聞いていないと書っておられます。大蔵省は、一体そのような不当な要求を運輸省地方自治体にしいるというお話を聞いておるのですか。
  7. 大蔵公雄

    大蔵説明員 お答えをいたします。  最初の、閑散線の国の援助の問題に関しましては、実はこれ、私ども理財局の問題ではございませんで、主計局国鉄関係の問題でございますから、この点に関しては主計局のほうにお聞き願いたいと思います。  次の上越成田並び東北新幹線に関します御質問に関しましては、予算編成をいたします際に運輸省大蔵省話し合いをいたしまして、御指摘のように今年度東北新幹線難役工事規模は五百億円、上越成田新幹線工事費は四百五十億円ということで、そのうちの二割に相当するところのものをいわゆる利用債というもので地方にも協力をしていただきたい、こういう話し合を運輸省との間にいたしておりますので、運輸省自治省に対してそういう話をしているということは私ども承知をいたしております。  それからただいま、なぜ東海道並びに山陽新幹線に関しては利用債を使わないで、東北並び上越成田新幹線についてのみこういうことをやるのかという御質問でございましたけれども、この点に関しましては、昭和四十五年に新幹線鉄道整備法というものが立法をされまして、その十三条におきまして、その新幹線をできるだけ早く建設することが国のためになるということで、それを促進をするためには、その建設によりまして開発利益を受けるところの沿線地元地方自治団体にも、その建設費用の一部を援助をしてもらうように努力をする、こういう趣旨の十三条の規定がございまして、この趣旨に基づきまして、本年度、たとえば上越成田で申しますならば四百五十億円の二割に相当するところの九十億円を地元負担をしてもらえまいか、こういう趣旨利用債が予定されておるわけでございますが、御指摘のように今年度地方公共団体財政事情が非常に苦しいということは、私どももよく承知をいたしております。したがいまして、本年度財政投融資計画策定をいたします際には、地方公共団体の芳しい財源事情を勘案をいたしまして、私どもといたしましても対前年比四八%増の九百六十億円という政府資金を、多少他の財政投融資機関犠牲になってもらいましても、地方公共団体のほうに相当多額資金を回したつもりに私どもといたしましては考えておるわけでございまして、かつ、一方新幹線鉄道も、上越成田新幹線東北新幹線も、できるだけ早くこれを建設することがやはり全体のためになるという判断から、五百億円並びに四百五十億円という工事規模策定をいたしたわけでございまして、そのために、国も実は二割出資をいたしておるわけでございますが、地方にも二割程度のものを負担してもらっても妥当ではないか、こういう判断からいわゆる二〇%ということを四十七年度においては定めたわけでございますが、この二〇%と申しますのは、確かに御指摘のとおり、別に今後ずっと二〇%を地方団体に受け持ってもらうということをきめておるわけではございません。今年度の場合におきましても、私ども地方公共団体財源事情が非常に苦しいということは承知をいたしておりますし、一方、幸いにも一般的な金融情勢は相当緩慢のうちに推移をいたしておりますので、私ども国鉄当局とよく話し合いをいたしまして、できれば少なくともその一部なりとも、いわゆる地元金融機関なり何なりにこれを負担をしてもらうことによって、幾らかでも地方公共団体負担を軽減するべく私ども協力をいたしたい、かように考えておるわけでございまして、二〇%ということは一応の、できれば二〇%を地元負担をしてもらいたいということを現在国鉄が考えておりますことは、これは私どももよく承知いたしておるところでございます。
  8. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 議員立法で成立いたしました全国新幹線鉄道整備法援助規定があることは事実ですが、何も自治体が二割の鉄道利用債を持たなければならぬということをきめているわけではございません。それからまた、開発利益というお話がありましたが、私は、開発利益自治体がそのまま持たねばならぬということはないと思うのです。経企庁の政務次官おられますが、総合交通体系について、あるいは運輸省もおられますが、運輸省総合交通体系試案、そういうもので開発利益等についても、これはむしろそういう地域にある事務所、事業所に持たせるということのほうが、私は正しい行き方じゃないかと思うのです。そういうわけでありますから、特に私は、このような地方財政が困窮しておるときに、この膨大な鉄道利用債を持たせるということについては非常に不満であります。自治省も昨日の御答弁では、自治省としてはそういうお話運輸省からまだ聞いていない、こういう御答弁がございました。私はこの問題を政務次官お尋ねしたいのですが、特に経過はもら十分私どもわかりましたが、要は危機に瀕した地方自治体、しかも公営企業の非常な財政危機もみずからの中に持っているわけです。そういう中で、閑散線については援助しろ、あるいは鉄道利用債については財政の少ないところがむしろ膨大な鉄道利用債を持たなければいかぬということであっては、私は地方財政法二条の精神は全く画餅に帰すると思うのです。今後自治省としては、運輸省に対して一体どのような方針で臨まれるおつもりでありますか。また、関係九都県いずれも一致して返上する、反対である、こういう意向を表明しておられます。自治体に対して一体どういうような姿勢でお臨みになるつもりでありますか。その点を伺っておきたい。
  9. 小山省二

    小山政府委員 全く御指摘のとおり、私は、そういう方向というものに対しては妥当なものとは考えておりません。しかしながら、一面国鉄立場を考えました場合に、一つ公営企業として独立採算制というもののたてまえが置かれますと、当然赤字路線というものに対しては何らかの処置をとらざるを得ないということになるのではなかろうかと考えます。その場合に、これらの路線地方自治団体の間にいろいろと利害関係がございます場合、国鉄においてもただ採算一点ばりでこれらの路線廃止するということがいろいろな立場から困難である、こういう点でその一部を地方自治体負担することによって、この廃止をしばらくの間延期をしようという考え方を打ち出されたのだろうというふうに私ども考えております。したがって、私どもは、単に国鉄に対してそれらの不当性というものを指摘するだけでなく、元来公営企業の持つ性格そのものを根本的に再検討しない限りにおいては、やはりこういう問題はさらに地方公営企業からも出てくるような感じがいたすわけでございます。したがいまして、将来公営企業法改正という問題を当然われわれは検討をしなければならない、そういう段階に来ておるのではなかろうかというふうに理解いたしております。
  10. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私の尋ねた趣旨と御答弁とがどうもかみ合わないようでございますが、しかし時間の関係もありますから、この点はまた交付税法を採決いたします際の地方行政委員会附帯決議等にあたりまして、国と地方との財政秩序を乱すことのないようにしろという趣旨のことにつきまして、与野党間でまたお話し合いもいたしたいと思います。そういう形の中で解決をいたしてまいりたいと思いますので、一応おきましょう。  次に、公営ギャンブルの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  公営ギャンブルの問題につきましては、各自治体におきまして、あるいはこういったものは望ましくない、東京都のごときは競輪廃止方向で仕事を進めていきたいということで、美濃部さん対処いたしておるわけでありますが、いま京王閣との和解金の問題で、東京都議会がいろいろ大きな問題を持っております。五億五千万という膨大な和解金の問題をめぐって苦労されておるようでありますが、問題は、ギャンブルを施行できる権限を持っておるのは自治体に限るわけです。ところが、公営ギャンブルを実施する施設はどうかというと、民間施設が相当多い。京王閣もそのうちの一つであります。施行者自治体であるが、施設を持っているのが民間であるということから、東京都の美濃部さんの御苦労も起きていると私は思います。したがって、そういう角度からお尋ねをいたしたいと思うのであります。  まず、これは自治省お尋ねしようかと思いますが、公営ギャンブルのうち、施設民間である場合、その使用料売り上げに対しておおよそどの程度の割合になっておりますか。
  11. 鎌田要人

    鎌田政府委員 施設使用料は、大体団体施設所有者との契約によっておりますので、内容は区々でございますが、私どものほうで調べましたところでは、大体四%から六%程度のところかと思います。
  12. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 もっと高いのがあるのじゃないですか。普通は四%ですね。
  13. 鎌田要人

    鎌田政府委員 高いところがございます。七・五%、それから五・九六%、そういうところがございます。
  14. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 普通は四%、あるいは四%を割っている施設もございますが、高いものの中には五%、六%、はなはだしきに至っては七・五%というものがある。そこでお尋ねいたしたいと思うのですけれども、まず、それじゃモーターボートについてお尋ねをいたしましょう。  大体売り上げのうち法定払い戻しは七五%、これはきまっていますね。したがって、二五%が諸経費並びに施行者収入ということになるでしょう。この二五%の経費のうち、開催経費がおおむね幾らで、それから法律第十九条による第一号交付金、第二号交付金、こういうものがおよそ幾らで、それから法律第二十条による交付金、これがどのくらいで、施行者収入というものがおよそどのくらいの状況にありますか。お答えをいただきたいと思います。
  15. 田坂鋭一

    田坂政府委員 モーターボート競走払い戻し命につきまして、四十五年度の実績によりまして御説明いたしますと、大体開催経費が二五%のうち七・二%ぐらいでございます。それから、船舶振興会に交付されます、ただいま先生のおっしゃいました十九条の一号交付金、これが一・七%ぐらいでございます。それから、同じく船舶振興会に交付されます十九条の二号交付金、これが一・四%、両者加えて三・一%ぐらいでございます。それから次に、モーターボート競走会に交付されました全額が一・五%ぐらいでございます。残り施行者収入は、総体二五%のうちの一三・二%ぐらいになっております。以上でございます。
  16. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ギャンブルは必要悪と思いますし、まあできるだけこれは廃止方向に進めることが望ましいと私ども思います。しかし、自治体施行者となってこういうものを経営をしているという場合に、できるだけ施行者収入が多くあがることが、当該自治体施設充実という面から望ましいことは言うまでもない。したがって、開催経費等はできるだけ少ないことが私は望ましいと思うのです。お話によると七・二%。それでこの開催経費は一体どういうものがあるかといえば、まず民間の場合には使用料があるでしょう。それから、その競技のためにいろいろな人が働いているわけでから、これらの従業員の方々の給料があるでしょう。それからまた参加する選手の賞金がある。それからモーターボート競走の場合はボートの使用料というものがあると思うのですね。そういうものをひっくるめて平均が七・三%ですね。その場合、たとえば桐生、阿佐美組合がこの施行者となって行なっております桐生の競艇の場合、施設の所有者は関東開発株式会社ですが、この使用料を見ますと、桐生に対しては六%、それから阿佐美組合に対しては七・五%という異常に高い使用料を取っています。そうしますと、七・五%の使用料を取ったのでは、これはもう開催経費の平均七・二形をそれだけでもって上回っているということになるでしょう。そのほかに従業員の給料、選手の賞金、ボートの使用料等をやれば、これは施行者収入というものは一〇%を割るというようなかっこうにならざるを得ないじゃないですか。こういった異常に高い使用料に対しては、この競艇場の設置を認可する権限は運輸大臣がお持ちですね。運輸省として、それは自治省から説明のありましたように契約によるのだということだそうでありますけれども、しかし、望ましい使用料というのは一体幾らくらいであるべきなのかという考え方は持っていないのですか、いるのですか。いるとすれば、それをこえて著しく高い使用料を払っている、具体的にいえば自治体の収益が非常に落ち込んでしまう、こういうものに対して具体的にいまどのような指導を今日までやってきましたか、その点ひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  17. 田坂鋭一

    田坂政府委員 競走場の賃借料につきましては、ただいま自治省のほうからも御説明がございましたように、施行者民間の競走場運営者との間の話し合いによって合意されて、従来から賃借料がきめられてきております。私どもといたしましては、モーターボート競走法の趣旨にもとるようなことがございました場合には、それにつきまして何らかの行政指導をしなければならないというふうに考えておりますが、この程度が、現在のところ、いろいろその両者の間に事情の違う点もございましょうし、いろいろな点があろうかと思います。  この桐生の場合には、施行者に対します競走場の協力程度、そういうものがいろいろ他の競走場よりも高いというような実情もございますし、また、最近におきまして非常な設備の合理化、近代化をなされて、非常にりっぱな設備に改善されたというようなこともございますし、いろいろのことがあろうかと考えられます。現在施行者のほうから特段の苦情も伺っておりませんので、現在のところは特別に行政的に介入するというふうなことは考えておりません。
  18. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 近代的な設備をやられた、こういうのですね。それじゃ一体、その施設幾らくらい経費をかけた施設であるか御存じですか。私は調べてみました。そうしますと、この施設は、第一期工事で二十億円です。昭和四十四年十月から四十五年七月の間に二十億円の工費を投じてこの施設をつくった。それからさらに、第二期工事として、昭和四十五年十一月から昭和四十六年六月に至る間に五億円の資金を投じてさらに改善をされた。確かに冷暖房等をつけた特別観覧席というようなものもできたそうであります。しかし、この設備費は一体幾らかといえば、二十五億でしょう。それでは、この競艇使用料が非常に高い、一体幾ら年間に使用料があがっているか御存じですか。私のほうから言いましょうか。桐生が九億百万円、それから阿佐美組合が払っております使用料が四億三千六百万円、合計いたしますと一年間に使用料が十三億三千七百万円にのぼるのです。二十五億の施設に対して十三億三千七百万も一年間に収入がある。これが妥当だと思いますか。一体どうなんですか。
  19. 田坂鋭一

    田坂政府委員 確かに先年のおっしゃいますように十三億をこえる収入がございますが、その中で相当の部分は法人税等税金に取られておりますし、それの運営等に……。
  20. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 税金取るのはどの企業だって同じだよ。
  21. 田坂鋭一

    田坂政府委員 税金にかかっております。残る半分くらいは競走場の正常な維持並びに諸経費にかけられておりますから、私ども、特段にその内容につきまして細部にわたりまして検討はいたしておりませんが、ただいまこれを特別に取り上げるというような問題のところまで来ておるかどうか、判断はいたしておらない現状でございます。
  22. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 政治家がお二人、自治省それから経企庁の政務次官がおられますから……。どの企業だって税金を払うのはあたりまえですよ。法人税、実効税率四五%、どこの企業だって払っていますよ。そうでしょう。そういう中で、施設費が二十五億で使用料がその施設費の半分以上、十三億三千七百万もあがる、こういう使用料が通常の法人の経理として一体あたりまえだと思いますか、どうですか。これはひとつ、小山さんでも経企庁の木部さんでもいずれでもけっこうですから、政治家の常識として御答弁をいただきたいと思うのです。
  23. 小山省二

    小山政府委員 私どもの面接の所管事項ではございませんから、これに対する批判と申しますか、そういう点についてはあるいは正確でないかもしれませんし、ことに私も初めていまこういう問題御指摘を受けて、実際にその内容を多少調査をいたしませんと、具体的にそれが不当であるかどうかという点については申しにくいのでございますが、良識上から考えてみまして、調査も何もいたしませんが、良識上から考えて、全国的平均から見ましても非常に高位にあるというような点については検討をしなければならないことだと考えます。
  24. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 けっこうな御答弁です。これは全国一律高い使用料を改めさせるという方向で御指導いただくことは当然だと思うのです。  そこでお尋ねしたいのですが、日本船舶振興会というのがございますね。会長は有名な笹川良一さんですね。そうしてこの一番高い関東開発株式会社、ここの社長はこの笹川良一さんのむすこさんですね。しかも日本船舶振興会に、この運輸省の高級官僚、元船舶局長さんあるいは関東海運局長さん、こういう方が続々として天下りをやっているでしょう。その日本船舶振興会の会長で承る、いわばモーターボートレースの言うならば一番のボスですね、そこのところには運輸省の官僚が大ぜい天下りしておる。そうしてその関係者の方がこの社長さんをやっている設置者ですね。その使用料がべらぼうに高い。今日まで実情を知りながら運輸省は何の指導もやっていないというところに、私は、この官庁と業界との癒着、天下りの問題がしばしば国会で問題になりますが、そういうものがあるような気がしてなりません。どうなんですか。著しく高い使用料に対してはその状況を洗って、そうして少なくともその全国平均的な使用料に下げさせる、こういった行政指導をするのは当然じゃありませんか。二十五億の施設に対して、その半額以上の使用料があがるなんということは、だれが考えたってこれはおかしいですよ。徹底的に経営状況を調査して、そうして遺憾な点があれば指導するくらいのことはひとつ約束していただきたい。どうですか。
  25. 田坂鋭一

    田坂政府委員 ただいま先生のおっしゃいます二十五億は、改善のために使いました経費でございまして、本来競走場の施設並びに水面、そういうものは固定資産としてあるわけでございまして、その二十五億に対する十三億ということには直接的にはならないというふうな考え方もできるかと存じますが、先生の御趣旨でございますので、一応調査はいたしたいと思います。
  26. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 一応調査するというだけですか。調さをして遺憾な点があればどうするのですか。しかもこの使用料を見たって四%が普通でしょう。六%、七・五%、異常に高いことは、これだけ見たってはっきりしているじゃないですか。それに対して一応調査をします。そんなことをすれば、天下り役人が大ぜい行っておりますから運輸省は遠慮しているのだろう、こういうふうに、言われますよ。そんなことでどうするのですか。
  27. 田坂鋭一

    田坂政府委員 桐生の競走場は、先ほども申し上ましたが最近非常に近代化をいたしまして、全国一のりっぱな競走場、りっぱな競走をやっておると私ども伺っております。そういう状況でございますので、この賃借料そのものが特段に高いかどうか、これはその現状に合わせて判断をする必要があろうかと考えられますが、十分に、先先のお話でございますので調査をいたしまして、もし不当なことがございましたら十分な行政指導をいたしたい、こういうふうに考えます。
  28. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私は、ほかに質問をすることもありますからこのくらいでやめておきますが、調査をした結果は半地方行政委員会に、その機会に必ずまた報告をいただく、そして論議をするということで一応置いておきたいと思います。  それから自治省にお願いしておきますが、自治省施行者を認可する権限をお持ちなわけですね。したがって著しく使用料の高いものについては、当然自治体を通じて、それは契約であるかもしれませんけれども、やはり全国平均の使用料に下げさせる努力を指導してよろしいのではないかと思うのですが、どうですか。
  29. 鎌田要人

    鎌田政府委員 責任を回避するわけではございませんが、御案内のとおり、施設の維持あるいはいまの使用料を含めまして、これは面接的にはそれぞれの所管省の監督、指導のもとにあるわけでござますので、私どもといたしましては、御趣旨を体しまして、関係各省と十分な連絡をとって、適切な使用料の設定ということについて万遺憾なきを期したいというふうに考えます。
  30. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは、地方公営企業の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  私ども地方財政状況」というのをいただきました。この中には、地方公営企業財政が悪化に次ぐ悪化の一途をたどっているということが、その表にもはっきりあらわれております。昭和四十五年度末の累積欠損金は二千三百六十三億円、前年度千九百五十八億円に比べると四百五億円増加をしている。また不良債務額は千七百十四億円で、前年度千四百八億円と比べると三百六億円増加をしている。さらにこの表を拝見いたしますと、水道事業それから交通事業病院事業、いずれも多額累積欠損金を持っていることがわかります。さらに第百十八表を見ますと、昭和三十九年度以降昭和四十五年度に至る間、交通事業それから病院事業水道事業、いずれも欠損金が増額をし、累積欠損金比率についても、たとえば交通事業のように、昭和三十九年度六二・九%であったものが、昭和四十五年には実に一四二・六%という異常な累積欠損金比率になっている、増加の一途をたどっているということがよくわかります。  ところで、それでは昭和四十七年度地方財政計画で、一体どれだけの手当てをしているのかということを拝見をいたしました。それを見ますと、この地方公営企業に対しまして、この一般会計が見るべきものという形の中で、公営企業繰り出し金というものを地方財政計画で見込んでおりますが、これを拝見すると、昭和四十六年度千六百二億円に対して三百二十九億円を上のせいたしまして千九百三十一億円、収益勘定繰り出し金と資本勘定出資金を含めて公営企業繰り出し金というものを見込んでいるというだけであります。一体これだけ危機に瀕した地方公営企業が、千九百三十一億円の繰り出し金で問題解決すると自治省はお考えでありますか。
  31. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは、公営企業赤字の解消ということにつきましてはいわゆる企業外的な要因、企業内的な要因がからみ合っておるわけでございまして、ただ単に一般会計から金を出してそれで済むということにはならないだろう、私ども公営企業、特に交通問題がいま焦眉の急に相なっておるわけでございますが、この問題を考えます場合、まず一般会計と企業会計との関係、あるいは地方団体の一般会計を含めました国、地方団体、こういうもの、いわゆる税金と公営企業との関係、こういったことを含めて考えなければいけないというふうに思っておるわけでございます。したがいまして企業外的な要因、たとえば交通事業でございますれば定時性を確保するためにどういう措置をとったらいいのかといったような問題、それから企業内の努力といたしましてはやはり人件費、資本費といったものの重圧を回避するためにはどういう方法があるのかといった問題、それから適正な運賃というものも必要でありましょう。そういうものとあわせまして、一般会計と企業会計との負担区分におきまして一般会計が負担することが適当なもの、こういうものについてはできるだけ一般会計の繰り出しをふやしてまいる、こういうすべてが連動して公営企業というものをささえていくということでございまして、この程度の額ではいまの公営企業はどうにもならぬではないか、まさにそういう数字的には御指摘の点があるわけでございますが、さりとてこれを一般会計で全部繰り出しをして消すということになりますと、これはまた税金といわゆる利用者負担との関係という問題もございましょうし、私どもといたしましては、先ほどからるる申し上げましたようなもろもろの一環としてこの問題を取り上げて、しかもその一般会計からの繰り出しについては毎年努力をしておるということを申し上げたいと思う次第でございます。
  32. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この点、私ども地方公営企業を第一種、第二種に分けても国民生活に直結するものについてはもろもろの総合対策を講ずること、もちろんでありますけれども、同時に、一般会計からの繰り出しも、そういう面では、この独立採算のワクを破るという形の中で解決をすべきであるという主張を持っていることを申し上げておきたいと思います。  具体的な問題についてお尋ねしたいと思うのですが、実は昨年の国会で私は特に路面電車の問題を取り上げまして、路面調車の赤字、しかもどんどん撤去しているわけですから、その赤字をバスや地下鉄がかわって償還していくという計画は全く実現不可能なことじゃないか、せめて、路面電車の累積欠損金四百四十六億円にのぼっておるわけでございますが、これをたな上げしたらどうだということを御提案申し上げ、これについては第二次再建計画の中で考えたい、また大蔵省も当時主計局次長が御出席でありましたが、自治省からの申し出があるならば受けて立ちましょうという趣旨答弁もあったわけであります。  そこでお尋ねしたいのは、路面電車の累積欠損金を一体具体的にどう解消するというお考え方を持っておりますか。まだ固まっていなければ固まっていないでけっこうでありますが、まずお考え方を聞きたいというのが第一。  それから次はバスの問題です。  バス事業について、一体公営交通はどのような経営状況かということを私、調べてみました。北は札幌から始まりまして南は鹿児島に至るまで、各都市の公営交通のバスを拝見いたしますと、黒字を出しているところはりょうりょうたるものでありまして、いずれも膨大な赤字を出しているようであります。特に大阪、東京等の額は非常に大きなものであります。  それではこのバス路線の営業係数が一体どのくらいかというのを拝見いたしましたところが、バス路線の運行キロ数累計は二万二千四百六十六キロに達しておるわけでありますが、このうち営業係数一三〇以下のものを計算いたしましたら一万一千七百八十七キロしかございません。営業係数一三〇以下が全体の運行キロ数のうちのせいぜい二分の一だという状況です。ここにバス営業の専門家も聞いておるわけでありますが、そういう状況です。営業係数の一番高いのはどのくらいかと見ましたら、実に三〇〇〇というのがある。こういう状態では、何としてもこれは経営危機に瀕しているといわなければならぬと思うのでありますが、問題は、公営交通のために、住民の要請のために、むざむざ不採算路線だということがわかっていながら運行せざるを得ないという、いわゆる行政路線というものがあるわけです。こういう点は私は公爵交通一つの特徴だと思うわけでありますが、こういった住民の要請のために、むざむざ営業係数三〇〇〇というようなべらぼうな状況でありながら運行しなければならぬ。少なくとも営業係数一三〇をこえるような不採算路線が半分に達しているという状況に対して、私はバスについてもこの際何らかの抜本的な措置をとるべきではないかと思うわけでありますが。この点のお考え方もお聞かせいただきたいと思います。
  33. 鎌田要人

    鎌田政府委員 まず最初の路面電車の赤字処理の問題でございますが、これは現在まだ結論を出しておりませんけれども、当初考えておりました、バスでかせいで路面電車の赤字を消していくということは、バス自身が火の車になってまいりましたので、これは困難かと思います。路面電車の赤字処理の問題につきましては、何らか私ども適切な措置を講じたいと思っております。  それからバスの問題でございますが、これは御指摘になられましたように公営バスだけでございませんで、広く民営のバスも同様に経営赤字に困難をいたしておるわけであります。これはいろいろ考え方はあろうかと思います。たとえば大都市交通の場合でございますと、国鉄、私鉄あるいは公営、あるいはそれぞれにおきます軌道、あるいは高速鉄道、バス、トロリー、あるいはタクシーまで含めまして各種の交通手段というものの持つべき分野を確定をする、いわゆる総合交通体系ということに相なるのだろうと思いますが、そういうものによりましておのずから分野を確定していく。私ども率直に申しまして、先般も警察当局に対しまして優先レーン、専用レーンというものをもっと拡大してくれ、こういうことで申し入れをいたしまして、警察庁と私どもとの間で共同の通達を各県知事あるいは公安委員会にも出しておるわけでございますが、そういう専用レーン、優先レーンを拡大いたしましても、やはりいまの通路渋滞の状況あるいはドーナツ化現象のもとでございますと限度がございましょう。どの一つをもっても起死回生の妙薬というものはどうも見当たらないように思うわけでありまして、当面のところは、将来の都市交通の場合でございますれば地下鉄が基幹になる、それに対してバスというものは補完的な交通手段になる、そういった意味での路線の再編成という問題もございましょうし、あるいはまた御指摘になりましたような、住民の強い要望によりまして採算を度外視してやらなければならないようないわゆる行政路線、これもなかなかものさしのつけ方がむずかしかろうと思いますが、そういうものに対する取り扱いというものも一つの大きな問題だと思います。あるいはまた、過疎地域におきます公営もひっくるめましてのバスの住民の足の確保等の問題、これにつきましてはことし運輸省のほらで前進した措置をとられようとしているわけでございますが、そういったことなども総合勘案いたしまして何らかの対策を考えたい。いま実は私どももそういった意味では非常に切迫感を持っておりまして、何らかの外部の知恵も含めました機関で来年度予算要求までに早急に結論を出したい、その結論に基づきまして四十八年度から手が打てるもの、あるいは時間がかかるものと仕分けなければならないと思います。打ち出してまいらなければならないというふうに考えておる次第でございます。その点につきましては、またいろいろの御助言や御援助もお願いしなければならないと思う次第でございます。
  34. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 運輸省それから経企庁の政務次官お尋ねしたいと思うのですが、運輸省では運輸政策審議会におきまして「総合交通体系に関する答申」というものが出ておりますね。これを見ますと、「地方公共交通機関のうちシビル・ミニマムとして維持すべきものについては、その限られた利用者においてその費用の全部を負担することは困難であるため、利用者の運賃負掛力の限度をこえる部分について、国および地方公共団体による経営補助を行なう必要がある。」ということをうたっておられますね。それから社会的費用については、その一部を事業所等が負担することは当然であるということもうたっておりますし、都市におけるバスは、一時間に十一キロか十二キロぐらいでしか走れぬというような状況については、「運賃によって回収しえない場合には、所要の財政上の措置を講ずる必要がある。」ということもうたっておりますね。それからさらに、経済企画庁が中心になりまして臨時総合交通問題閣僚協議会、これを中心として取りまとめました「総合交通体系について」というのがございますね。これを拝見いたしますと「公共交通機関の輸送体制の確立」という項がございまして、都市交通については「特別料金制、宅地開発者負担等を検討する必要がある。」ということをうたっておられます。また、いま財政局長お答えになりました大都市においてバス優先レーン、専用レーンの拡充を行なえということも書いてございます。さらに、路面電車についてもお触れになっておりますし、最後に「公営交通等の公共交通機関の経営基盤の強化」というところにおきましては、「企業経営の合理化、運賃料金の適正化、助成措置の見直し等企業経営の実態に即した適正な諸方策を検討する必要があろう。」というふうに結んでおられるわけであります。いま問題は、地方公営企業が非常な危機に直面している。中でも公営交通は非常な危機に瀕している。そればかりじゃなくて、水道もそうです。それから病院事業についても同様であります。この際、地方公営企業というもの、わけても公営交通について、作文はいろいろりっぱに書いてあるわけでありますが、このような実施がおくれればおくれるほど、専用レーン、優先レーンというけれども、警察はいろんな関係でなかなか実行しようといたしません。おくれればおくれるほど危機は深まる。それからまた利用者にのみ負担をかぶせるということになれば、これはどんどん料金が上がっていくという結果になります。そうではなくて、この際抜本的な財政の見直し、財政措置の見直し、抜本的対策というものが必要ではないかと私は思うのですが、一体この問題についてどのような計画で、一体いつの時期に、これらにうたわれております方策を実施しようとしておられるのでありますか。経企庁と運輸省お答えをいただきたいと思うのです。
  35. 木部佳昭

    ○木部政府委員 ただいま山口先生から御指摘のありました「総合交通体系」につきましては、交通の効果的な、しかもまた安全、利便、それから諸方策の上に立ちました総合性というものをいかに生かしていくか、そういう基本的な考え方というものを各省庁間で真剣に検討いたしまして、そしてあるべき姿を政府の方針として決定いたしたわけであります。したがいまして、その具体的な方策等につきましては、それぞれの実施官庁が責任を持って実行すべきであり、また昭和四十七年度予算の面におきましても、かなり具体的にそうした前向きな姿勢が生まれておると思っております。また実行に際しましては、総合交通体系において確立されました考え方というものを十二分に各省庁も実行されると思いますが、なお連絡調整等を緊密化いたしまして、そして今後とも一そう努力してまいりたい、かように考えておるわけであります。
  36. 原田昇左右

    ○原田説明員 お答えいたします。  先ほどお話のございました地方公共交通機関のうち、バス等のシビルミニマムとしてどうしても維持しなければならない路線バスにつきましては、運輸政策審議会の答申を受けまして、私どもはその限られた利用者によって費用の全部を負担することは困難であるという観点から、利用者の負担限度を越える部分につきまして、国及び公共団体による最小限の経営補助をしなければならぬという考えのもとに、四十七年度予算におきまして関係省と折衝いたしまして、四十六年度から飛躍的な予算の増額をいたしたわけでございます。国の補助金として一応四億七千万円を計上いたしておりまして、県がこれと同額、市町村が国の三分の一補助をするという制度を確立いたしまして、四十七年度以降この制度を実施してまいりたい、こう考えておる次第でございます。  それから、お話しのございました都市高速鉄道等の問題でございますが、都市高速鉄道の建設につきましては非常に巨額な投資を必要といたしますし、また一方利用者の負担能力にも限度がございますので、都市交通企業を維持するための可能な限りの措置を講ずる必要がございます。そこで都市鉄道によりまして、同時に路面交通の需要も都市鉄道に吸収、誘導させるという方策も必要かと存じます。  こういった観点で、私どもは地下鉄の建設を促進する措置をいたしておりまして、原則的には地下鉄の利用者に負担していただくわけでございますが、それもある一定の限度がございますので、地下鉄の建設費補助として百三十三億円を本年度予算に計上しておる次第でございます。さらに、新しく、私鉄の都心乗り入れあるいは私鉄の複々線化につきまして特段の措置を講じない限り、民間ベースではその投資がなかなか困難でございますので、鉄道建設公団の改組をいたしまして、鉄道建設公団を通じてその複々線化あるいは立体交差化等の補助をいたすということをいたしております。
  37. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いろいろ努力をいただいておりますことは私も承知いたしておるわけでありますが、たとえば地下鉄に対する援助も、従来の一一・数%か二五%、二五%、五〇%、実効補助率になりますとたしか三六%程度になったと思いますが、そういう意味で前進を見たことは承知しておりますが、まだまだこれで十分であるとはいえないと思います。それからまた、シビルミニマムとして維持すべきバスにつきまして援助をやっておることも十分に承知しておりますが、それも、それじゃ現状に合った十分なものかといえば、まだまだ不十分な面があることを指摘しないわけにはいかないと思います。  それで問題は、せっかく大蔵、農林、通産、運輸、建設、自治、それから官房長官、総務長官、経企庁長官及び国家公安委員長で構成する臨時総合交通問題閣僚協議会、ここで一応総合交通のあり方についてはまとめたわけですね。しかし、先ほど政務次官お答えになったように、実施は各行がそれぞれやる、こういうことになっておりますね。しかし、せっかくこう書いても、それじゃ専用レーンや優先レーンが円満にどんどん進んでいるかというと、そうではない、こういう状況があるわけでありまして、せっかくつくった作文を、作文に終わらせないで現実のものとさせるための努力というものがこれからも必要じゃないか。だからそのためには、各省にまかせるというんじゃなくて、、せっかく経企庁が中心でこれをまとめたわけでありますから、その実施の調整についてもやはり将来とむ努力をする必要があると私は思うのですが、その点はいかがですか。
  38. 木部佳昭

    ○木部政府委員 先ほど申し上げましたように、連絡や調整というものにつきましては一そう緊密化いたしまして、所期の目的を達するような努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  39. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 本年の一月十日、渡海自治大臣の名前で大蔵大臣水田三喜男殿、運輸大臣丹羽喬四郎殿といたしまして、特に「公営交通事業経営悪化の現状にかんがみ、料金の適正化、人員の縮減等企業経営の改善合理化」――このことばはもうずいぶん使われまして、これ以上無理だと私は思いますので、これは一応書いただけだと思いますが、最後に「財政措置の見直し等昭和四十八年度において抜本的な再建対策を検討すること。」と、こうしておるわけですね。四十八年には一体自治省とすれば、もちろん自治省限りでどうもできぬ問題はたくさんあるわけでありますが、しかし、この第一次再建計画の七年も近く終わろうとしている状況であります。そういう中に立って、四十八年度における抜本対策というものは一体どのような手続、たとえば審議会を設けるとかあるいはその行政レベルで考えるとか、そしてまた、どのような形の抜本策を考えようとしておられるのか、一応見通しでけっこうでありますから、お考えがあればお伺いをしておきたいと思います。
  40. 鎌田要人

    鎌田政府委員 まず、いまの、私どもの大臣が予算成の過程で大蔵、運輸両大臣に申し入れをいたしましたこれの実現方でございますが、私どもといたしましては、時間がございません、できれば八月の概算要求までにまとめなければならないわけでございますので、行政レベルで関係各行庁の御意見も伺い、あるいはまた、要すればさらにその外部の関係の、いわゆる有識者と申しますか、そういった方々の御意見も伺う機会を持ちながら結論を出したいと思っておるわけであります。  そこで、その具体的な中身いかんということになるわけでございますが、問題は、いつも私申し上げるわけでございますが、四十一年にいまの政政再建を始めましたときの赤字というのが、交涌事業でたしか四百二十五億だったと思います。それが、再建期間中に逆にふくれ上がりまして、四十五年の期末では八百二十三億になっておるわけであります。約倍増しておるわけであります。いままでのようなやり方ではおそらく、第二次再建ということではなばなしく打ち出しましても、そういうことを言ってはおしかりを受けるかもしれませんけれども、よっぽど思い切ったことをやらないことには繰り返しになるおそれがある。そういうことをしないためには、当面の赤字再建処理の問題、先ほどからお話が出ておりました路面電車の赤字のあと始末の問題、それからバスの処理の問題というような問題があるわけでありますが、この点につきましては、単に財政問題だけではなくて、一国の都市対策、交通対策、そういう問題とのからみでバスをどう位置づけ、その中で公営をどう位置づけるのか、場合により接したら経営形態の問題にまでこれは広がるかもしれません。やはりそういった広範な問題というものの展望を持ちながらこの問題に取り組んでいくということになりますというと、これは、かなり実現の可能性のあるもの、あるいは全然ないとはいえないけれどもかなり先になるもの、すぐできるもの、いろいろより分けが必要かと思います。当面私ども考えておりますバスの問題につきましては、やはり現在の段階では、優先通行の確保でございますとかあるいは路線の再編成でございますとか、あるいはいわゆる行政路線の取り扱いでございますとか、こういったことに重点がいかざるを得ないというふうに思います。それと、やはりこの料金の適正化という問題については、これはやはり私ども地方自治体の首長、議会面におかれましても勇断をもって取り組んでいただきたい、こういう強い希望を持っておる次第でございます。
  41. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どこの自治体の首長も議会も非常に苦労をしておるわけですね。しかしやはり自治体が、いまこういうとときに料金値上げをするということがいかに苦痛であり困難であるかということはよく御存じだと思うのです。そういう努力を自治体にしいるならば、やはり、国としてはこれだけの財政援助はきちっと出すんだということは明確にしなければ、私は、自治体としてはこれはどうにもならぬと思うのです。それからさらに、ロンドンにおきましてもパリにおきましても、とにかく交通を一元化するとかあるいは優先レーン、専用レーンを大いにつくるとか、いろいろなくふうをして努力をいたしております。少なくとも大都市において交通機関というものがどうにもならなければ、都市たる値打ちがないと思うのです。いわばこの公営交通というものは都市の公的施設であるというふうに将来なっていかなければ、私は、問題は解決しないと思います。また過疎地域におきまして、若い者は車で走るからいいかもしれませんけれども、これからやはり老人対策その他問題になるときに、シビルミニマムとしての必要最低限のバスまでがなくなるということは、これはゆゆしいものであるということはもう言うまでもないと思います。ぜひひとつ、この危機に瀕しました公営交通、また水道病院等を含めました、地方公営企業の問題につきましては、単に財政面のみからする締めつけあるいは合理化の押しつけということでなしに、その隘路をやはり総合的にとらえて、そして総合交通体系等でもうたっているような諸般の効果的な措置を一日も早くとっていただく、こういう方向にひとつ努力をいただきたいと思うのです。私ども地方行政委員会も、自治大臣のこの意向を受けまして公営交通等小委員会を設置して、及ばずながら御協力を申し上げたいと思っておるわけでありまして、この点、最後に自治政務次官の御決意を承っておきたいと思います。
  42. 小山省二

    小山政府委員 公営企業の問題につきましては、都市問題のかかえる大きな一つの課題として、私どもも全力をあげて解決しなければならないと考えておるのであります。先生も御承知のように、私どももこういう問題を検討しまして一番考えますことは、何と申しましてもやはり都市交通というものが非常に渋滞をして、そのためにバスであるとか電車であるとか、こうした交通機関の利用者が極度に減ってくる、それにかわるべき機関となりますと当然地下鉄のようなことになるわけでありますが、この地下鉄になりますと建設費が非常に増高をしてくる、こういうことで、適切な都市交通機関というものを見出すのにまず非常に問題があるわけでございます。一方、やはり公営企業関係の人件費というものも、年々これは他の地方公務員並みに是正をしていかなければならぬということを考えますると、やはり公営企業の適正な料金と非常に関係が出てくるわけであります。公共料金というものは、物価対策の面から見て、私企業のように簡単にこれを引き上げることができない。しかし、人件費のほうは、やはり他の一般企業並みの人件費というものを考えなければならぬ。こういう面でも公営企業というものの一つ大きな隘路があるわけであります。しかし、そういう中でも住民の足の確保をはかっていかなければならぬ、こういうことを考えますと、やはりそこには、根本的に公営企業というものに対する考え方を変えていかなければならぬ面があるのではないかというふうに考えております。したがって、従来からも、一般会計からもそれぞれ企業の実態に応じて補助をいたしておるわけでありますが、私は、公営企業性格から言って、この金利負担等については相当思いきった考え方の転換をしていかなければならない、また建設費についても相当額の補助をして、やはり企業がある程度経営のバランスがとれるような、そういう配慮をしなければならないのではなかろうかというふうに考えております。しかし、問題はいろいろございますので、私どももいま御指摘をいただきましたので、これから四十八年度、抜本的に都市交通という問題について解決をしなければならない責任もございますので、十分ひとつ大臣とこの問題につきましては検討いたします。できるだけ早い機会に、こうした考え方に基づきまして具体的な対策を立てまして、御検討を願いたいというふうに考えておる次第でございます。
  43. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 お隣にわが党の地方行政の大先輩の阪上委員がおられますが、毎年同じことばかり言っておるじゃないかという感想を漏らしておられました。とにかく言われることは、ここ一、二年間ずいぶんお伺いしたのでありますが、なかなか実行に移されていないという点が一番問題ではないかと思います。せっかく三大臣の覚え書きではありませんが、文書協定みたいなものがあるわけであります。四十八年度抜本的な対策を講ずる。これにつきましては、ひとつ真剣に取り組ででいただきたいことを要請しておきます。  最後に、ごみの問題を、ちょっと時間もありませんので簡単にお伺いしたいと思うのですが、今度の国会に廃棄物処理施設整備緊急措置法案というものが提案をされておりまして、昭和四十七年度から五十年度に至る、四カ年計画というのは珍しいのでありますが、四カ年計画というものを策定いたしましてごみ戦争に対処する、こういうことのようでありますが、一体この四カ年計画でどの程度事業量、どの程の国庫補助金というものをお考えになっておられるのでありますか、お伺いをしたいと思います。特に本年度はその第一年度ということでありますから、さだめし画期的な予算が提案されておるかと思って期待して拝見をいたしたのでありますが、屎尿におきまして四十六年、二十六億七千万だったものが、三十八億四千百万円、一億七千百万円の増、それからごみ処理につきまして、昭和四十六年度が十五億九千百万円でありましたものが五十一億九千万円、三十五億九千九百万円の増、これを見ますと、ごみについてはある程度ふえているようでありますが、金額自体はあまりたいした額ではないわけですね。別に産業廃棄物処理事業施設整備費補助金沖繩分というものが若干あるようでありますけれども、それを加えてもたいしたことはございません。合計して約八十二億三千万円でありますが、これだけの金額で当面するごみ戦争というものに対応できると厚生省はお考えでありますか。また私は、交通問題がいろいろな意味で危機に瀕しているということから、関係各省を集めた臨時交通問題閣僚協議会というようなものをつくって努力をしているわけでありますが、私は、いまごみ戦争に対応するためには、単に厚生省の環境衛生局だけがふうふう言っておるというのではだめでありまして、やはり関係する各省庁、たとえば厚生省、自治省大蔵省、あるいは環境庁、あるいは経済企画庁、あるいは首都圏整備委員会、近畿圏整備委員会というようなものを総合いたしました抜本的なごみ戦争に対応する仕組みというものを考えなければならぬのじゃないか、かように思いますが、いかがでございますか。
  44. 浦田純一

    ○浦田政府委員 まず、お尋ねの第一点の廃棄物処理施設の整備計画、四カ年計画の概要を簡単に御報告いたします。  四十七年度から昭和五十年度までに実施する廃棄物処理施設の投資規模でございますが、屎尿処理施設が五百九十億円、ごみ処理施設が二千五百三十億円、産業廃棄物処理施設が五百億円、予備費として四百億円、合計四千二十億円を予定いたしております。  その目標といたしましては、屎尿処理施設につきましては、地域屎尿処理施設、屎尿浄化槽並びに下水道、終末処理場による処理を合わせまして、計画処理区域内における屎尿の衛生処理率が一〇〇%になることを目標としております。ちなみに昭和四十五年度末におきます衛生処理率は七九%でございます。  それからごみ処理施設でございますが、ごみ処理施設につきましては、計画処理区域内におきます可燃性のごみの焼却処理率を、昭和四十五年度末の六四%から、昭和五十年度末には九〇%に引き上げることを目標にしております。このほか不燃性のごみ、粗大ごみにつきましても、適正に処分するための施設整備及び埋め立て処分地の確保をはかることを予定しております。  産業廃棄物の処理施設計画内容といたしましては、地方公共団体が設置する産業廃棄物の処理施設計画的な整備をはかるものでございまして、主として中小企業から排出される汚泥、廃プラスチック数、廃油等を対象とする産業廃棄物処理施設及び埋め立て処分施設について、緊急度の高い地域から逐次整備することを考えております。  なお、お尋ねの第二点といたしまして、これでごみ戦争に対応できるか、ことに補助金の額の少ないことを御指摘になって、対応できるかというお尋ねでございますが、全体の投資規模といたしましては、これは私どもとしては十分に各自治体計画を検討いたし、さらに将来の人口増あるいは人口の移動の状況、それから生活水準の向上に伴うごみ量の増加というものを勘案いたしまして、その点は対応できるという目安を立てておるのでございます。しかしながら、これをまかなう財政内訳でございますが、これについてはどうかということになりますと、従来の、ことにごみの処理施設に対しまする考え方といたしましては、これは本来最も地域住民に密接した行政として、自治体がいわば固有事務として行なうというたてまえで貫かれておりまして、現在においても、今度の改正法におきましても、その思想においては変わりはございません。したがいまして、従来はどちらかと申しますといわば予算補助、刺激的な意味合いが強かったと思いますが、しかしながら結論から申しまして、ごみの問題がやはり立ちおくれてきたということはいなめませんので、今回の法律改正に際しまして、この予算補助を法律に根拠を置くはっきりした制度上の補助に切りかえたということが、一つの大きな前進として御理解いただけるのじゃないかと私は思っております。額にいたしましても、来年度地方自治体で予定いたしております事業量をこなすだけの投資規模、これは自治省のほうにもお願いいたしまして、結局大部分は起債ということになろうかと思いますが、この辺の手当てをあわせましてお考えいただきたいということで、ごみに対する補助金額も五十二億円で決して十分とは申しませんけれども、一応これでもって四カ年計画の第一年次としては対応できるのではないかというふうに考えております。  また屎尿処理施設につきましては、先生も御案内のことだと思いますが、いわばピークは過ぎておりまして、実際に自治体のほうからの御計画もこの程度のところでございまして、私どもはこれに加えまして、ことに瀬戸内海地域と内海のところにつきましては重点的に、こちらのほうからむしろ計画を早めるようにも指導いたしておりまして、その結果の数字でございます。  なお、補助率とかその他についてあるいはいろいろと御批判もあろうかと思いますけれども、結果においては、従来のベースを多少金額的に上回る程度でおさまっているわけでございます。  また第三点の、いまの厚生相省のそういった体制でもって対応できるかというお尋ねでございますが、すでに御案内のように、このごみ処理施設の整備を進めるのを中心といたしまして、今回は第三次の緊急整備計画を上程いたしておるわけでございますが、これらの計画を練るにあたりましては、十分に自治省あるいは大蔵省関係各省庁とも協議をいたしております。その点については、今後の実行の問題といたしまして、さらにこれらの関係の省庁にも御協力を願いまして、ことに自治体のいろいろな基準作成の問題につきましては環境庁のほうからもいろいろと御援助いただきまして、この円滑な実施についてつとめてまいりたいと考えております。
  45. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 まあお話開いているとだいぶ進んでいるようなんですが、現状はなかなかそうお話のようにいっていないでしょう。問題は、ごみの焼却場を一体どこに設置するか、屎尿処理場を一体どこに設置するか、この用地の確保に自治体はまず一番苦労しているのですね。それじゃその用地費について補助はあるのかといえば、補助はないでしょう。施設費に対して四分の一の補助があるというだけでしょう。用地費についてはすべて自治体負担にまかされている。まあいまの局長さんのお話では、それは自治体のほうが起債で見ればいいんだろうというようなことでありますけれども、この用地の確保については、金額的にも手続的にも非常な困難があることは御案内のとおりだろうと思うのです。なぜこの用地費の取得を補助の中に見込まないのですか。最近、人口急増地帯の学校校合の建築についてもその用地取得に補助の道が開かれたことは、これは局長さん所管ではないでしょうけれどもお話ぐらいは聞いておると思うのです。いま全国ではごみ戦争、特に大都市におけるごみ戦争の時代に、用地費も補助対象にするぐらいの考えがあってしかるべきだと思うのですが、いかがですか。  さらに、昭和四十七年度東京では江東、大井、多摩川、板橋、四つの個所に清掃工場の建設を予定しているようです。それじゃこれの補助が一体どのくらいになるか計算をいたしますと、二十八億五千六百万円に達するそうです。ごみのほうの補助がことし五十一億ですね。そうしますと、もう東京だけで半分飛んでしまうというようなことで、はたして昭和五十年に屎尿の衛生処理率が一〇〇%、ごみの処理については九〇%というところに円満にいくかどうかということは、非常に危惧されると思うんです。せっかく予算補助から制度上の補助に直したというのですから、補助についてもう一段前進させませんか、どうですか。
  46. 浦田純一

    ○浦田政府委員 用地費を含めまして補助の中身をもっと拡充できないかという御意見でございますが、用地費につきましては、四カ年計画の投資額の中では一応予定しているところでございまして、その財源をどのように充当していくかという問題に相なろうかと思います。これはやはり全般的にほかの事業との関連も考えながら、関係の各省庁とも協議しながら考えていきたい、現在の段階ではそのように考えております。  それから東京だけでも二十八億の補助実額が要るではないかという御指摘でございますが、なるほど五十一億九千万円の予算額に比べますと二十八億はかなりの額でございます。しかしながら、東京都のほうからのこの計画についての具体的な申請は、実はこの予算要求の段階ではまだございませんので、これは来年度、再来年度の問題として対処できるように努力いたしたいと思います。
  47. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも与党は地方財政に御熱意がないと見えて、これじゃもう否決されることは明らかですね。こういうことでは非常に残念だと思います。そういうことだから、ごみ戦争もいつまでたっても解決せぬということになるだろうと思います。  どうも浦田さん、東京からはまだ申請も出ておらぬとか、補助率については改定するおつもりがないとか、いろいろ言っていますけれども自治体が当面しているごみ戦争の深刻さというものについて、政府ももう少し認識を改めていただきたいと思うんです。まあ辛い小山政務次官東京都の御出身でありまして、ごみ戦争の深刻さについてはよう知っておられるわけですから、これは政府として、厚生省の一環境衛生局がふうふう言っておるということでなく、もっと総合的に、何といいますかごみ戦争に対応するぐらいの機構を考えるべきだと私は思う。そういう考えもないというんなら、本日ここでこの交付税法は否決をしますよ。まあそのくらいの気持ちでやっていただきたいということを強く言っておきましょう。  次は交付税の算定基礎ですけれども、これを見ると、交付税の中に占める清掃費はほとんどふえてないんですね。まあ若干は伸びていることはありますけれども、標準規模十万、計画処理人口が八万四千人、ごみ焼却場が一、下水の終末処理場が一、屎尿浄化槽が一、公衆便所が十、ごみ収集車が十八台、屎尿収集車が十三台というようなことになっておりまして、これに対する人員等を考えましても、ほとんど休暇も取れぬような状態で、フル運転をしなければ全く計画的な収集もできない、こういうような交付税の算定基礎ではいかに何でも貧弱過ぎるのではありませんか。大体従業員が一年何日働く計算になっているかというと、三百四十日働くことになっているのですよね。一年は三百六十五日でしょう。日曜日と祭日を除けば大体三百三日でしょう。そうすると、その清掃関係労働者は日曜も休めぬ。一年間に三百四十日も働くという計算は、いかに考えても非人間的じゃありませんか。どうですか。
  48. 鎌田要人

    鎌田政府委員 清掃費の交付税上の措置といたしましては、収集処理で、お読み上げになられましたほかに、作業員を標準団体当たり三名ふやしておるわけであります。おそらくいま御指摘になられました、あまりふえておらぬではないかというのは建設事業費のところで、あろうかと思います。が、この建設事業費のところでも去年の百八十一億が二百三十八億にふえておるわけであります。そのほかに起債の充当割合を従来の七〇%から七五%に上げておるわけで、ありまして、それを総合していただきますと、この清掃費に対しまする交付税上あるいは地方債上の措置というものは、かなり私どもといたしましては重点を置いて見たつもりでおります。
  49. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 重点を置いたつもりのようでありますが、この作業に従事する労働者の労働条件から見ますと、どうもあまり改善されたとは思われません。とにかく年間三百四十日も働くような計算では、たいへん無理ではないかという気もいたします。しかし、時間もありませんから、これは来年さらに交付税の単位費用を改善する努力をやっていただきたいということを申し上げるにとどめておきたいと思います。  最後に、環境庁も来ていただいておるのですが、計画では五十年度、屎尿は一〇〇%衛生処理をやる、だから、五十年には――海洋汚染防止法ですか、屎尿の海洋投棄は五十海里以遠にするという環境庁としては方針のようですね。そこで浦田さん、どうなんですか、五十年に一〇〇%衛生処理ができるのですか。それから、それがいかぬだったという場合に、海洋投棄もしなければならぬ。いま川崎その他各市が持っております屎尿海洋投棄のための船を見ると、非常に小さくて、能力の非常に低い船だそうです。しかもこれは海洋に捨てますと軽くなるのであって、軽いのがそのまま走ってくるとどうしても事故が起きる。したがってこの五十海里遠くへ行って海洋投棄をするためには、投棄しながら海水をまた船の中に入れてバランスをとって、さらに重みをつけるような形にしなければ従業員はあぶなくてしようがない。ことしも春のあらしでずいぶん船が沈んでえらい犠牲者も出たわけでありますが、そういうことではいかぬと私は思うのですね。ですから、五十年、必ず海洋投棄せぬでもいいということにはっきり自信があるなら自信があるとおっしゃっていただきたい。そうじゃなくて、海洋投棄もしなければならぬのだという状況ならば、五十海里以遠に持っていって投棄しても絶対心配ないというような船の建造に対して国が当然補助をする、資金援助をするということをやらなかったら私は無責任だと思うのです。この点、五十海里に対する環境庁の考え方、その考え方に対応した厚生省の考え方をあわせてお聞かせいただきたいと思うのです。
  50. 河野義男

    ○河野説明員 廃棄物の海洋投棄に関する基準につきましては、去る三月十六日、中央公害対策審議会から環境庁長官に答申が合ったわけでございます。その中で屎尿を含む有機性の廃棄物につきましては、これは海洋に還元できる廃棄物、そういう性状のものでございまして、これにつきましては距岸五十海里以遠に投棄する、こういう内容の答申を得たわけでございます。現在この答申を尊重いたしまして、その答申に即した政令――基準につきましては政令で定めることになっておりますが、政令の検討をいたしております。なお、その作業の過程で、実情等も考えまして関係各省と所要の調整をいたしている状況でございます。
  51. 浦田純一

    ○浦田政府委員 昭和五十年度末までに屎尿処理施設整備計画を推進いたしまして、五十一年度以降の海洋投棄を解消するということで年々努力をいたしてまいりたいと思っております。したがいまして、屎尿の投棄船につきましては、むしろ屎尿の陸上処理を推進するという観点から、現段階では補助あるいは起債の対象ということは考えておりません。
  52. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 たとえば今度川崎市が百万都市になりましたね。ところが川崎市は、浦田さんも行ったことがおありだと思うのですけれども、ああいう狭い地域に人口百万が集中しているわけですね。それで陸上でもって衛生的処理をする。それはもちろんけっこうですよ。けっこうでありますが、ああいう地域で用地確保も困難だという中で一〇〇%衛生処理するための処理施設、そのための用地確保ということが可能だとお考えでありますか。問題は、ですから施設をするための補助を机上で計算して、だから五十年一〇〇%といってもこれはだめだ。現実そういうことが、現地の実情に立った場合に実施可能なのかどうか。そういう上での御計画を立てていただかなければならぬと思うのですね。そういう中で現在やむを得ず多くの都市が海洋投棄をやっています。海洋投棄について、この海洋汚染防止法の中でできるだけ外洋へ持っていって投棄をするということは、これはまた環境保全の意味からいって当然なことだろうと思います。しかしそれには、やはりそのための人命が危険にならぬような施設も必要だと思うのです。そういう意味からただいまの御答弁ではちょっと満足しかねるのでありますが、いかがでありますか。
  53. 浦田純一

    ○浦田政府委員 屎尿の海洋投棄の禁止につきましては、これは実は屎尿処理施設の整備だけでは解消されないのでございまして、やはり本来的には下水道の整備ということがあるわけでございます。したがいまして、屎尿処理施設の準備計画を樹立するにあたりましては、下水道の整備計画と表裏一体をなしておるように組まれておりまして、両々相まっていくべきものでございます。再三のお尋ねでございますが、その片側である屎尿処理施設の整備につきましては、これはもう何としても五十年度末までに所期の目標を達成するように努力するということを申し上げる以外にないかと思います。
  54. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 不満ですが、大臣もお見えになりましたから終わっておきます。また社会労働委員会でこの法律等を審議する際にあらためて議論いたしたいと思います。
  55. 大野市郎

    大野委員長 これより大蔵大臣に対する質疑を行ないます。  質疑者にお願いいたしますが、質疑時間は理事会の申し合わせのとおりこれを行なうようお願いいたします。山口鶴男君。
  56. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 水田大蔵大臣お尋ねしたいと思うのですが、まず第一は超過負担解消の問題であります。予算委員会第三分科会、自治省所管の分科会でありますが、ここでは超過負担の問題がずいぶん取り上げられました。予算委員会第三分科会として予算委員会に対する報告を拝見をいたしましたところが、自治省においては、昭和四十七年度に超過負担実情大蔵、自治両省において調査を行ないまして、昭和四十八年度以降具体的に解消の措置をとる旨の言明があったことが報告をされております。他方、全国知事会が、昭和四十五年度において超過負担がどのくらいあるかという調査をいたしているわけでありますが、これを拝見いたしますと、都道府県において超過負担六百三十五億、市町村におきまして千四百三十四億円、合計二千六十九億円の超過負担がある、こういう報告をいたしているわけであります。  そこで、大蔵省としては、自治省言明のように、昭和四十七年度におきまして自治、大蔵両省においてこの超過負担状況を十分調査をし、昭和四十八年度予算並びにそれ以降において、三年計画または二年計画、いろいろあろうと思いますが、従来は三カ年計画でありましたが、そういう形で超過負担の解消につとめる御用意があるのかどうか、お伺いしたいのが第一であります。  それから次は、地方財政状況は非常に困難をきわめていることは大蔵大臣御存じのとおりであります。特に問題は過疎地域、過密地域であります。過疎地域におきましては、これは財源を求めるといってもなかなか困難でありますが、過密地帯におきましては、努力のしようによっては財源を求めることは決して至難ではないと思います。市町村は、御案内のように、固定資産税中心の税体系でございます。これは不況のときには、今年度地方財政計画でも一四%伸びております。府県が四%くらいだったですかね。このときに市町村は伸びが多いということは、固定資産税というもののやはり性格によると思うのですが、しかし、同時に、大都市は非常な財政負担に悩んでいるわけですね。大都市なるがゆえに財政需要というものはますますふえているわけでございまして、こういうところについては、当然この急増する財政需要にふさわしい財源というものを見ることが当然ではないだろうか。わが党予算案の組みかえ動議の際にも主張したのでありますが、現存の法人税は、わが国の場合は実質課税が四五%、欧米各国は大体五〇%という状況、そういう中で地方制度調査会が事務所事業所税の設立について一応考え方を提起をいたしました。本年度では実現を見なかったのでありますが、事務所事業所税を明年度において実現するということも一つの方法だろうと思います。また、わが国の法人の税負担がヨーロッパ各国に比べて低いという状況を考えれば、これを五〇%程度に引き上げる。その相当部分を市町村の法人税割りに割り当てる。この場合、特定の地域の法人税割りを高める、こういう方法をとることもあり得ると思うわけでありますが、そういった問題を含めて大都市財源の充実、事務所事業所税の創設あるいは法人税割りに格差をつけるというような方法に対し、大蔵省としてのお考え方はいかがでありますか。  第三番目に、昭和四十七年度地方財政対策は、深刻な不況でありました昭和四十一年度地方財政対策に比べて、大きく後退していることは否定できないと思います。と申しますのは、昭和四十一年度においては二・五%交付税率を引き上げました。また、特別事業債につきましては、元利償還の措置もあわせてとったわけであります。ところが、本年は約八千億円の財源手当てをいたしましたが、このうち起債は四千九百八億円、それから特会借り入れが千六百億円、六千五百億円というものが借金であります。そういう意味では、まさに借金によって何とか切り抜けたということと同時に、交付税率も引き上げないし、また起債に対する元利償還の措置もとっていないということは、私は、四十一年度の対策に比べて非常に、不満であります。これに対する大臣としての御見解を承りたい。  最後に、私は当委員会で、国鉄地方閑散線の問題、新幹線鉄道利用債の問題を議論いたしました。いま地方自治体は、御案内のように公営企業で非常な苦労をしているわけであります。むしろ国鉄経営よりも地方公営企業財政のほうが、私は深刻だと、育っても差しつかえないと思うのであります。そういうものを持っていながら自治体は、閑散線については六分の二を持たされる、新幹線については四十七年度二〇%の鉄道利用債を押しつけられるということは、まさに私は、中央、地方財政秩序を乱すものではないか。地方財政法第二条は、国は地方自治体財政運営に無用な負担をかけてはならない、財政秩序を守れということをうたっておるわけでございまして、私はこういう点からいって、非常にこの点は問題があると思います。そこで特に昭和四十七年一月十日付で、渡海自治大臣が大蔵大臣並びに運輸大臣あてに文書を出しました。予算編成の過程で、一応文書の取りきめという形を行なったわけであります。特にそういう観点から、昭和四十八年度においては当面する地方公営企業に対して抜本的な対策をとる、財政の見直しを行なうということもうたわれているわけでありまして、これに対して、この危機に瀕した地方公営企業、特に公営交通に対して、ぜひとも私は大蔵省としても抜本的な対策をとっていただきたいと思います。  以上四点に対する大臣のお考え方をお伺いしたいと思います。
  57. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 順序どおりにお答えいたしますと、超過負担の問題は、これをちょうど私が前任のときでございましたが、昭和四十二年でございましたが、このときに自治省と実態調査をやって、その結果に基づいて三年計価でこの超過負担の解消に努力するということをやりましたが、それがようやく四十六年度で一応終わるということになりました。ことしはまだそういう調査ができておりませんので、さしあたりこの補助単価の引き上げ以下、事業ベースにして三百八十億円、国費ベースで百六十億円という超過負担の解消はいたしておりますが、今年度両省によってさらに実態調査を行って、その結果に基づいて、来年度からこの超過負担の解消に向かって本格的な財政措置をとるということになっておりますので、今年中にこの調査は行なうつもりでおります。  それから四十一年のときの措置と今回の地方財政に対するいろいろな措置が違っておるじゃないかということでございましたが、これはもう御承知のとおり、四十一年以前の地方財政の体質と四十一年、二年以後の地方財政の体質というものは、内容、規模において全く違っておりまして、したがって、交付税率の問題にいたしましても、ちょうど三十七年、三十八年、三十九年と見ますというと、地方財政の実質収支が、黒字がもう三年連続して下がっておるというようなことでございますので、そうしますというと、交付税の、引き続いて地方財政が不足するという事態のときはこれは変更してもいい、短期的な事情でこれは変更すべきものではないという趣旨の交付税でございますので、そういう趣旨から申しましても、ちょうど三十六年から三十九年へかけた逐年増加してくる、しかもそれが恒常的な現象になっておる事態に対して交付税の税率の引き上げをやったということは、これはもうやむを得ない処置、また当然の処置であったと思いますが、今回の場合は、地方財政は四十二年から非常に改善されてきまして、実質黒字はもう四年間非常に多く上がってきております。この上がっている状態をもとにしての今回の措置でございますので、当然これは交付税率の変更というようなものは考えられません。したがってこれは、昨年来国際経済の大きい変動による異常な不況現象から出た、国も地方も同じような傾向の歳入減でございまして、この傾向が今後ずっと続くということは考えられません。これも一時的な現象と見るよりほかございませんので、したがって、これを一時的な現象と見て四十七年度地方財政対策をどうするかという考え方に基づいて行なわれたのが今回の地方財政対策でございまして、非常な不況で財源の減収があって、いわゆる一兆円の財政不足といわれたものに対する対策として一応の措置ができて、交付税の伸び率にしましても昨年度とほとんど同じ程度の伸び率を確保して地方財政の円滑な運営がはかれるというところまでの措置ができたことは、私は、今年度の事情としては非常によかったのではないかというふうに考えて降ります。  本会議でも一ぺん申し上げましたが、私はやはり、今年度の国の予算の編成で一番むずかしい問題は国鉄地方財政の問題だと思いまして、これをもし例年のように、あとから解決する問題として残して予算編成に取りかかったらたいへんな事態が起こると考えましたので、実は地方財政については、一番先にこの問題の処置をつけることから本年度予算編成に取りかかったというような事情もございまして、その点、苦しい財政事情の中においても何とか地方財政に大きい混乱を与えなくて済むことができたのじゃないかというふうに考えております。  それから新幹線等において地方負担をかけるということでございますが、これはやはり新幹線そのものが地方の開発に連なっていることでございますので、地方はそれに対して何ぶんの援助協力をするという法律もあることでございますし、その協力義務から一定の地方債を引き受けるということは、これも地方としては――いま鉄道の財政地方財政よりもっとひどい財政でございますから、ここに地方開発の鉄道を引かせようというからには、やはり地方のそれだけの負担というようなものはきわめて適当なことじゃないかというふうに考えます。  税制の問題が出ましたが、事務所事業所課税というようなものも私ども検討しておりますが、いまおっしゃられたような趣旨に沿う税制の研究の余地というものはまだたくさんあると思います。これはぜひ検討に取り組みたいと思います。  それと同時に、これは私見を述べておこられるかもしれませんが、私は、国が財政政策を転換してやはり国民福祉の向上をはかるという方向へ一歩踏み出すということになりますというと、これに伴って今後地方財政というものもやはり従来と違った財政需要がいろいろ多いことになっていくと思いますので、それをいまのような形の地方財政のあり方でいいかどうか、あるいは中央、地方の財源の再配分とかいうようなものをめぐって、ほんとうに国が福祉国家への転換というようなものを遂げるとしたら、将来そういう問題にまでいろいろ改革をしなければいけないときが来るんじゃないか。そういうことを見ますというと、国民所得がふえること、所得水準がふえることに応じて、いかに国民がそれに応じた負担増ができるかというようなことも当然検討しなければならぬことでございまして、私は、消費税的な間接税というようなものが、やはり福祉国家へ行くための一つの大きい役削りをする税制になっていきはしないかということを欧米の税制を見て感じましたが、それによりますというと、そういう税ができますと、国と地方がこれを適当な率で配分するというようなことになっておりますし、そういう考慮も新たに入ってこないというと将来の地方財政計画にはやはり問題がある。そういう問題も全部含めた相当思い切った、まず日本の税体系から始めていろいろな機構に至るまでの大きい改革をやらなければ、私は、なかなかこれからの事態に対処できないんじゃないかというふうに考えております。
  58. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いろいろお答えいただきましたが、もう簡単にやめます。いまの消費税の問題、高福祉を実現するためには消費税的なものも必要ではないかというお話がありましたが、私どもは、まず当面大都市財源の充実、ことに法人の実効税率がヨーロパ各国よりも低いじゃないか、したがってそういう観点から、事務所あるいは事業所税なり法人税割りに対して、過密地帯については法人税割りの引き上げを行なって、大都市財源の充実をはかることが必要ではないかという趣旨で申し上げたわけであります。私ども、消費税につきましては大蔵委員会等でもわが党の考え方を示しておりますので、この点はもうおきましょう。  ただ、私、最後にお答えをいただきたいのは、地方財政の体質が昭和四十一年度と現在とでは違っておると言いました。それは、見かけは確かに大きくなっていることは事実でしょうし、また自治省の指導によって黒字をつくらざるを得なかったということもあるでしょう。しかし大臣、昨年末円の大幅切り上げを、世界各国からわが国は強制されました。わが国の社会資本が非常に立ちおくれている。公害対策等も非常に立ちおくれている。そういう中で世界各国の批判というものがわが国に集まった。それでは、社会資本充実のために働くのは一体どこかといえば、これは自治体ですよ。自治体がそういう社会資本充実のための仕事もしているわけでありまして、そういう意味ではますます自治体のなすべき課題というのは大きくなっている。そういう中で本年度地方財政対策昭和四十一年度より後退したことについては残念であるということを申し上げておるわけでございまして、この点はひとつ私どもの主張を理解いただきたいと思うのです。  特にお答えいただきたいのは、昭和四十七年一月十日付三大臣の協定があります。これには、閑散線等で地方に持たした、しかし自治体がみずから公営交通危機をかかえているじゃないか、したがってこの問題については、自治、大蔵、運輸三省において、昭和四十八年度、抜本的な対策を講じようじゃないかということを協定していると思うのです。まあ地方に苦しい中からいろいろな負担国鉄はしいている。しかし、自治体はもっと苦しいものを持っている。これに対する抜本的な対策がなければ、私は片手落ちだと思うのです。このことはひとつ大蔵省として真剣に取り組んでいただきたいと思うのですが、そのことに対してお答えをいただきたいと思います。
  59. 大野市郎

    大野委員長 大蔵大臣、簡単に願います。
  60. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私はそうだと思います。今度は根本的な財源対策を国鉄に対して私どももやったつもりでございますが、これは赤字を出すことがいい悪いを論議しておっても、現実に経営が苦しくなっている以上、これをもう長く捨てておくことは後年度犠牲を大きくすることでございますので、できるだけ早期に解決しなければならぬ、そういう見地から見ますというと、いまの地方の公債事業がここでやはり抜本的な対策を立てないと、これから後年度たいへんなことになると思いますので、私はやはり国鉄の問題が済めば、来年はこの問題に取りかかる必要が急務であるというふうに思っております。
  61. 大野市郎

    大野委員長 小濱新次君。
  62. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、地方自治体のたっての願事であると思われるそういう重要な問題点について、数点、大蔵大臣にお尋ねをしていきたいと思います。  まず、四十七年度地方財政対策といたしまして、これは御存じのとおりの内容でございますが、地方交付税率の引き上げに踏み切るべきではなかったのか、いろいろな問題がございまして、私どもはそういうふうに考えておりますので、まず大蔵大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。
  63. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは先ほどちょっと申しましたように、地方団体の財源不足額と普通交付税の総額が引き続き著しく異なることとなった場合において云々というふうに、この交付税率というものは短期的な事情によって変更しないということをたてまえとした財政調整制度でございますので、そういう意味から申しますと、四十一年度はこの不足額と交付税の総額とが非常に異なってくる、年々その差が大きくなるということを四年も続けておるときでございましたので、私は交付税率の引き上げに踏み切ったということは適切であったと思いますが、今回の場合は違いまして、例で言いますと、もう四十三年が一千九百八十億円、四十四年が一千三百三十五億円、四十五年が千三百五十四億円というふうに、実質収支が年々よくなって、体質は改善されておったというような事情がございますし、もう一つは、四十一年のときにもし特別措置を何にもせずにおいたらどうかということになりますと、実質的には二百五十  一億円もこれは赤字になる、交付税率が落ち込むという数字でございますので、これに特別措置をしてようやく七百四十九億円という交付税の確保をしたということになっております。今回見ますと、四十七年度はもう何らの措置をしなくても千四百六十億円の黒が出ておるというような状態でございますが、規模は大きくなっていますし、ああいう事情でございましたから、これを四千四百七十五億円特別措置をなにしたというようなことで、四十一年と四十七年では全然条件も内容も規模も全部が違っておるのですから、今回の場合、交付税を変更するということは大体交付税法趣旨にももとることであって、これはしないことがほんとうだと思います。
  64. 小濱新次

    ○小濱委員 認識を新たにしてまた一つしていただきたいと思います。  次に、昭和四十一年度発行されました特別事業債は、国において元利補給をされておりますね。いまお話しのとおりでございます。今回の三千五百億円の地方債については、性格が同じと、私どもにはこう思われるわけでございますけれども、なぜ国が元利補給を行なわなかったのか。この元利補給という問題、これも大蔵大臣の御所見をひとつ承っておきたいと思います。
  65. 大野市郎

    大野委員長 大蔵大臣、簡潔に願います。
  66. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これも当時とは事情が違いまして、今回の場合は、国も地方も同じように国際的な経済変化から財源難ということになって、国も国債によって善処する、同じように公経済の一翼をになっておる地方財政が歩調を合わせて、地方債によってこの事態の切り抜けをいうということでございますので、国の将来のあれによって国債の償還をするという立場と呼応して、地方がそういう立場をとってもいいものであって、四十一年のときの特別な国債を発行したときとは今度の国債というものは違っておって、今度の国債は、いままでやっておった国債の延長でございますので、この国債を一々国が全部利子補給したり何かすべきものではない。むしろ態度をはっきり分けて、そうでないほうで筋の通ったことで国は金を出すということで、出さなかったわけではございませんで、出す方面へは出すということで、その点の筋は、私ども今度ははっきりつけてあるつもりでございます。
  67. 小濱新次

    ○小濱委員 地方自治体が、先ほどいろいろとやりとりがありましたように、非常に山積された諸問題をかかえて悩んでいるわけです。そういう点で私どもは、いまの問題というのは大きくこれは変わってこなければなりませんし、さらに御認識をいただかなければならない、こういうふうに考えまして御質問もしたわけでございます。  次に、昭和四十七年度全体といたしまして、一兆七千億円をこえる地方計画において政府資金幾らかといいますと、九千六百億円しか指貫されておりません。で、地方団体の行なう事業性格から見て、政府資金を、これは長期に安くということですけれども、この政府資金を最優先に充当すべきではなかったか、私どもはこういうふうに考えているわけですが、この点についての同じく大蔵大臣の御所見をひとつ承りたいと思います。
  68. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは昨年の地方債について政府資金の出し方と、本年度は、格段に今年度のほうが多く負担しておるということでございまして、この点については、これは自治省からのいろいろな希望もございましたが、この地方債の中で政府資金の持つべき額については、これはほとんど関係者の要望を私どもがいれてきまった額でございまして、これにはあまり多くの問題はなかったと思います。
  69. 小濱新次

    ○小濱委員 いまこの差額が、調べてみて大体五・六割ちょっとくらいになっております。したがって、この政府資金という魅力のある問題については、自治体としてはもう少し、六割、七割くらいまで上げてもらいたいというのがたっての要望である、われわれはこう理解しておるわけです。そういう点でお尋ねしたわけでございますが、時間がございませんのでこの点については次に譲ります。  次に、国庫補助負担事業に伴う超過負担、これは先ほども山口委員からお話がございましたけれども、知事会の報告によると約二千億円と、こういうふうに聞いております。地方財政法の十八条を見ますと、この国庫負担金の算定基礎は、その事業に必要かつ十分なものでなければならないとの、こういう趣旨がうたってあるわけですね。こういう点から私は地方財政法違反になると、こういうふうに考えるわけですけれども、この点についてもひとつ大蔵大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  70. 長岡實

    ○長岡政府委員 超過負担の問題につきましては、先ほども山口先生の御質問に対して大臣からお答えいたしましたけれども、まあ財政の効率化と申しますか効率的に資金を配分していくという観点から決して十分ではない。最小限度の需要を満たすような補助基本額でやってまいりまして、それが実情に沿わないといいますか、あるいは全体としてそれでは十分に需要が満たされないという場合には、財政の許す範囲内で補助単価も上げてきております。ただ、その過程において、御指摘のような超過負担問題も発生しておることも事実でございまして、その点につきましても政府として、大蔵省もまた関係各省も含めて、実態の調査をしながら計画的に超過負担の解消をはかってきておるというのが実情でございます。現在もまだそういうような事情が若干残っておりますので、先ほども大臣が申し上げましたように、大蔵省自治省共同で調査をした上でまた対策を考えるということを考えております。
  71. 小濱新次

    ○小濱委員 これを大臣に特にお願いしなければならない問題でございます。この問題については国庫負担金の算定基礎が問題になるわけですから、したがって、こういう超過負担が多くなって自治体は悩んでいるわけですので、この点についても、これはもう自治体負担ということで大蔵大臣積極的にこの問題また御一考願わなければなりませんので、特に重ねてお伺いしたわけでございます。
  72. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これを実情によって変更するということでなければならぬと思います。やはり実態調査をするときも、当然この問題が調査されることになろうと思います。
  73. 小濱新次

    ○小濱委員 最後にもう一点。先ほどこれも山口委員から御質問がございましたが、公営交通と公立病院、これの経営は著しく悪化しているという、これは本委員会で相当やりとりがございました。この問題についてはもう十数年年来の自治体の大きな悩みになっているわけで、特に私が大蔵大臣にお願いをしておきたいことは、国においても手厚い援助を行なうよう特にいまの時点で配慮をしなければならないと思います。そこで四十八年度、本年度はまあやむを得ないといたしましても、来年度において抜本的な対策を講ずべきであるとわれわれは考えておるわけです。これは大蔵大臣の所見というか決意をひとつお伺いしておきたい、こう思います。
  74. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 高速地下鉄道をはじめ公営事業それから病院については、その事業費の助成そのほか金融の上における優遇、いろんなことですでに相当の援助をいたしておりますが、依然としてこの経営は改善されていない、これを放置しておくとますます内容が悪化してくることでございますので、さっき申しましたように来年ごろ、これはある程度根本的な再建策を立てなければならないだろうと思っています。しかし、本来ならこれはみな独立採算制地方責任においてすべきものでございますので、安易に国が助成をすべきではないという立場でいままでいろいろやってまいりましたが、結局そういうことをやっても現実に経営が悪くなってしまえば、最後はみんな国が見ざるを得ないということに追い込まれてきておるのがいままでの例でございます。そうだとするなら、早いうちにほんとうの再建策を立てることが地方財政にとっても国の財政にとってもいいことでございますので、私は、そういう意味からこれは早期にその根本策を立てたいと思います。
  75. 小濱新次

    ○小濱委員 自治体としても決してむだ使いをしているわけではありません。合理化も進めております。そしていろいろと難局にお願いもしておるようでありますけれども、いろいろとこの問題について解決ができないままに悩みが大きくなってきておりますので、一段と、以上申し上げたような問題については、大蔵大臣の特に御高配を私は心からお願い申し上げたく御質問を申し上げたおけでございます。たいへんありがとうございました。
  76. 大野市郎

    大野委員長 門司亮君。
  77. 門司亮

    ○門司委員 大臣非常にお忙しそうですから率直に聞いておきますが、いままでのやりとりの中でちょっと問題になりそうな点、気にかかる点が一つあるので、大臣にこれを先に聞いておきます。  先ほど同僚の山口議員質問の中で、税制の根本的な改革について何か物品に税金をかけるというような構想、いわゆる大蔵大臣の始終発表される付加価値税の創設をしたほうがいいのじゃないかというようなにおいのする発言があったのでありますが、これはちょっと問題になることでございまして、どうですか、真意をここで明らかにしろと言ったってなかなかそう簡単にいかぬかと思いますが、この付加価値税という問題についてはかなり問題のある税制であって私ども気になりますので、その点を先にひとつ大蔵大臣の真意を伺っておきたいと思います。
  78. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 付加価値税の問題は、これは国税の問題でございまして、この場合きょうここで問題にすることではございませんが、国においてもこの税体系はいまのままではいけない、税体系についてやはり間接税をもう少し取り入れるというようなことを考えないと、今後の財政需要に対処できないんじゃないかという研究をいまいたしておるところでございますが、たまたま私どもは欧州の諸国へ視察に行ったときに、こういう、税が地方に一定比率において分けられるということによって、地方財政というものが非常にこれによってあれされているというような実情を見てきましたので、さっきの御質問は、いまの地方税の中でこういうのも、ああいうものという、固定資産税を中心とした考え方とか、あるいはそういう税の考え方も当然これから考えなければならぬだろうが、それ以外に国と地方との財源再配分というような、またそういう観点からまたのような問題まで将来検討しないというと、ほんとうの地方財政対策というものは今後やはりできないじゃないか。全部ここで総洗い直しをやらなければならぬ時期にわれわれは直面しているんじゃないかということを申したわけで、これは言わなくていいことでございました。
  79. 門司亮

    ○門司委員 まあいわなくていいことということですが、どうも気になりますので……。まあこれ以上こういう問題で議論する時間もないと思いますが、この付加価値税は、かつて日本に税法があったのでありますが、そのときはかなり長く私も議論した税法の一つであります。これが税体系全体に及ぼす影響というのは、かなり大きなウエートを持っておるはずであります。  それはそれといたしまして、それに大体似たようなことを、きょうはひとつ配分の関係で率直に私は聞いておきたいと思います。  それは、いまの付加価値税を取ってこれを配分するという形も一つの税のいき方、それから根本理念としては、結局国民の消費に基づく税金をやはりできるだけ地方に配分していくという、一つの税の根本理念に対しての考え方でそういう議論が出てきます。直接税だけではどうも地方住民との結びつきが非常に薄い。いわゆる事業との結びつきが薄い。そこで、どうしても国民の消費に対するものに税金をかけて、いま自分たちの納めた税金でどういう形で地方の学校やあるいは道路等の建設がされていくのかというのは、税と住民感情を結びつけるということが私は言えると思うのです。そういうものも一つ考え方だと思っておるが、いまこれをやるかどうかということはちょっと問題だと思っておりますけれども、そういう思想に基づいて一応ここで聞いておきたいと思いますことは、実は地方はたくさんの公債を持っております。ことしも去年の倍以上の借金を、いやおちなしにあなたのほうから指図されて引き受けたと思うのです、国のほうで景気のてこ入れだなんていって盛んにやられるものですから。そこで一つだけはっきり聞いておきたいとおもいますことは、景気のてこ入れというような構想で公共事業をたくさんおやりになる。景気がよなればこの公共事業の問題が一体どう変化していくかということは、地方自治体にとっては非常に大きな問題でございます。ことに、ことしはさっき言ったように去年よりも借金が、ちょうど一一〇%になりますか、ふえているということですね。こういうきわめて不健全な地方財政を、ことしの財政で押しつけられているということ。そこで、これは景気がよくなれば一体どうなるかということについては、地方自治体では非常に大きな問題で、借金だけ背負わされて、そして来年から公共事業等に対する国の支出が減ってくるということになるとたいへんなことになると思うのですが、そういう懸念、心配はしなくていいですか。
  80. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 その心配は、まず地方よりも国のほうで先に同じような心配があるわけでございますが、国はその場合に減債制度というものを持っておることと、それから公債を無制限に出せない一つの歯どめが財政法の上にはっきりしておるというようなことでございますが、地方は一応そういう歯どめはございますけれども、国ほどきつい歯どめにはなっておりませんので、したがって、こういう問題は、やはり国の政策に公債政策はある程度準じた地方財政政策が行なわれるんじゃないかというふうに思いますが、やはり一定の歯どめを持つことが必要であるということと、もう一つは、国も公債発行によって景気が直るというようなときには、当然税の自然増は多くなってまいりますし、歳入状態が変わってきますので、それに応じて公債の依存度を減らしていくという運営をするのが、公債活用政策の一つの鉄則でございますので、そういう運営をするという以上は、地方も同じように、国の経済がよくなってくれば地方固有の税収がふえると同時に、国の交付税もふえていくということで、地方の財源は量気がよくなれば豊富になるのですから、それに伴ってやはり地方債の発行というものも減らしていくという運営をすることが必要だろうと思います。
  81. 門司亮

    ○門司委員 もう時間もありませんが、大臣に考えてもらいたいのは、いまの答弁大蔵大臣としての答弁だと私は思いますが、景気がよくなれば税金が伸びるといいますけれども、税の伸び率が一番いいのはどこですか。税の伸び率のいいのは国で、県、市町村が税の伸び率は一番悪い。そして市町村が一番たくさん借金を背負う、だから、税が伸びるからそれがカバーされるということは、ちょっと私どもとしては受け取りにくいということだけを申し上げておきます。  それからもう一つ最後に申し上げておきたいと思いますことは、この際、借金に対する利息の問題を何とか考えられないかということです。ことしの予算規模の中から見てみましても、公共企業を除きまして、四十七年度地方債の一般債ですが、これは九百九十九億、約一千億、去年よりも償還がふえているとということですね。それにまたことしたくさんの借金をすると来年はどうなるか。償還額はそれだけ大きくなってくるということであります。  そこで問題になってまいりますのは、いま国から地方に貸し付けておりますいわゆる地方債の中の政府の手持ちであります例の資金運用部資金、いわゆる財政投融資の中で借りられるお金がかなりありますが、しかし、これはいずれも利息が六分五厘です。この利息を三分ないし四分に下げられないかということです。私がなぜそういうことを言うかといいますと、政府の手持ちの資金運用部資金内容を見てみますと、郵便貯金が大体これの中心で、ことしは大体一兆七千億を見込んでおいでになるようでありますが、この一兆七千億あるいは厚生年金の一兆二千億、あるいは国民年金の二千百二十三億というような数字があげられておりますが、厚生年金と国民年金は利息を払っているわけではございませんが、郵便貯金は預けた人に対して利息を払っております。ところがこの内訳を見てみますと、郵便貯金の普通貯金の年利は三分六厘です。それから積み立てのお金は二千九百億ありますが、いまの通常貯金はことしは二兆円あるはずであります。それから積み立てのほうは四・〇八になっておりますね。それからその次の定額預金にいたしましても、種類は四つ、五つあるようでありますが、いずれも六分以下です。こう考えてまいりますと、政府資金用部資金になっております国民の零細な貯金が政府に集まって、そしてそれれが地方に貸し出される場合の利息が六分五厘とは一体何事かということです。国民から預かった金は三分六厘である、そして政府が六分五里で利ざやを取るというのは高利貸しみたいなものですよ。この利息を下げられないかということです。この利息が下げられるというのことになりますと、かなり地方財政の公債関係は、公営企業も一般財源についても助かると思うのです。これはどうしても下げられませんか。高利貸しみたいなことはやめたほうがいいと私は思うのです。
  82. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 資金運用部資金は、原資に対して六分五厘の運営を委託されておるということでございますし、コストはもう六分五厘ですから、資金運用部資金としてはこれは下げられない。下げるとするなら利子補給するかどうかということ以外にはございませんが、利子補給するかあるいは利子を国で持つかということは、その年度年度財政事情、それによって地方財政が何年も続いてどうしても負担にたえられないというような問題が出ましたら、これはそのとき考えられることでございましょうが、ことしは、いままでずっと非常によくて、今年度異常な原因によってこうなったことでございますので、今年度の措置としては、運用部資金の原資一ぱいの運用で、貸し付け利率でやるというのがせいぜいのことで、あとは今後の地方財政状況によってきめる政府の施策の問題だろうと思います。
  83. 門司亮

    ○門司委員 これでやめますけれども、これは答弁は要りませんが、大臣知っておいていただきたいのは、あなたのほうが商売人だからよけい知っておいでになると思いますけれども地方債の中で六分五厘というのが大体普通であって、特別債は六分の貸し出しがあることをひとつ大臣知っておいていただきたい。  いずれにしても、そういう形で国民から預かる税金、お金の利息は非常に安くて、国民が実際に使う金である、地方事業に使う金でありますから国民が使う金である、その金が預けたよりも非常に闘い利息を払わなければならぬということになりますると、何のことはない、国民は安い利息で預けて高い金を借りて、そしてまたその命をさらに国民が税金の中から払わなければならぬ、こういう形になっておりますので、その点はひとつ特に留意していただきたいということだけを申し上げて、私の質問を終わります。
  84. 大野市郎

    大野委員長 この際、午後一時四十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十一分休憩      ――――◇―――――    午後一時五十分開議
  85. 大野市郎

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関する法律案議題とし、質疑を続行いたします。林百郎君。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 もうすでに各委員からいろいろの角度から本法案についての質疑が行なわれておるのですが、その中で鎌田財政局長地方債の発行について積極的なお考えを持っているような意味のことばを聞いたわけなんですけれども、御承知のとおり、国債にしても地方債にしても、これは税金の前取りというか、取られる側のほうからいいますとそうなりますので、やはりこれは一定の限度があるんじゃないか、グレンツがあるんじゃないかというように私たち考えるわけなんですね。最初にその点についてお聞きしたいわけなんですけれども昭和四十七年度地方計画では一兆七千二百七十八億円の地方債の発行計画されておる。それから地方財政計画では前年度比一〇九・八%の九千三百七十九億円の地方債が計上されておる。それで、対前年度比一〇九・八%増の地方財政計画における地方債の計上というような事例が戦後あったんでしょうか。
  87. 鎌田要人

    鎌田政府委員 手元にございます資料が昭和三十九年度以降の数字でございますが、倍以上ということは、いま手元にございます資料ではございません。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 私のほうの調査によりましても、四十一年が対前年度比の比率が一番高くて、七七・六%になっていますね。地方財政白書によって昭和四十五年度地方債の状況を見ますと――これは決算が行なわれているものですから四十五年度の例を引くわけですけれども昭和四十五年度地方債の現在額は、一兆九千七百七十六億八千三百万円であり、このうち都道府県分が一兆二千六百二億九千七百万円、市町村分が一兆七千百七十三億八千六百万円となっている。これを昭和四十五年度の歳出総額に対する割合で見ますと、都道府県、市町村全体では三〇・三%、都道府県のみでは二一・三%、市町村では三九・一%になっているわけです。さらに一般財源に対する比率を見ますと、都道府県、市町村全体では五二・六%、都道府県のみでは三七・九%、市町村のみでは七一・五%となっているわけです。これは四十五年度の決算による数字でありますが、その後、昭和四十六年度地方債が発行され、もちろん償還も行なわれるわけですけれども、そして昭和四十七年度の今回のような多額地方債の発行が予定されているのですが、四十六年度末には地方債現在高及びその歳出総額に対する割合、あるいは一般財源総額に対する割合はどの程度になっているのか、それから四十七年度計画が実行された場合はどうなるのか、いまの数字を上回るのか、上回るとすればどの程度上回るのか聞かしていただきたい。
  89. 鎌田要人

    鎌田政府委員 四十六年度の現存高が幾らになりますか、ちょっといま係のほうで調べさせてみますので、暫時余裕をいただきたいと思いますが、この現在高が歳出に占める割合あるいは一般財源に占める制令と申しますのは、あまり意味がないように思うのでございます。問題は、現在高というより、やはり財政に対しまするインパクトというものを考えます場合は、公債費というものは、毎年毎年返していく元利償還費、これが一般財源に対してどういう制令を占めておるか、これが問題ではなかろうかというように考えておるわけでございまして、この公債費の割合ということになると、一般財源に対しまして四十五年度決算におきましては、たしか六・五%程度ではなかったかと思います。  それから私が地方債の発行について積極的だという御指摘がございましたが、私、何も地方債万能論者ではないわけでございまして、現在の地方財政状況からしますと、もう少し地方債というものに依存する余地というものがあるのではないだろうかという非常に控え目な気持ちでおるということを念のために申し上げておきたいと思います。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 鎌田局長には意味がなくても私には意味があるわけですから、だから現在高の歳出総額に対する比率、それから一般財源に対する比率は、四十六年、四十七年の計画が実現された場合はどうなるか、どういう趨勢になるか。要するに地方債というのはできるだけ多くないほうが好ましいわけですが、しかしあなたはいま言ったように、もう少し地方債に依存してもいいのではないかという、地方債の依存に対する非常な楽観論者ですから、私はそれに対していささか意見を持っておるわけですから、それで聞いておるのです。
  91. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ただいまの数字につきましては、いま係に調べさせておりますので、後ほどわかり次第御報告申し上げます。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 おそらくこの数字を上回って、四十五年度の決算による地方債の現在高の歳出総額に対する比率、一般財源に対する比率は、数字がぐっと上がっておると思います。四十六、四十七と。  一方、地方交付税のほうは、昭和四十七年度に一千六百億円の借り入れをしたことはもう十分論議されておるところですが、これが昭和四十六年度の補正予算借り入れた一千二百九十五億六千万円と合わせますと、今後約二千八百九十五億六千万円、これも八年間に返済するということですから、これも地方交付税の先食いと言ってもいいと思うわけですね。それとともにこういうような地方債の増発が今後の地方財政の運営を阻害することになるのではないか、こういうように私は思うわけです。これは各委員からもそういう質問があったわけですけれども自治省は今回の措置程度ならば心配ない、こう言っておるわけですが、そうすると、一体どの程度までは地方債の発行をしていいか、これはあなたが、私が聞きました歳出総額に対する比率あるいは一般財源に対する比率はあまり意味がないとおっしゃるから、それは何か対比するものを持ってきてもけっこうですが、しかしまさか無制限にいいということを鎌田さんも言っておると私は思いませんが、地方財政の中で地方債のグレンツというものはどこを目当てにしてどの程度ならいいというのか、あなたの言うだいじょうぶという根拠を示していただきたいと思うのですね。その限度を示してもらいたいと思うのですね。
  93. 鎌田要人

    鎌田政府委員 毎々この席で申し上げておるわけでございますが、私どもといたしまして、この地方債の発行について一応のグレンツがあるべきだということについてはそのように思います。ただ、そのグレンツというものをどこに置くべきか、これはいろいろ異論があるところでございますし、これがぴったりだという定説があるわけでもございませんけれども、一応私ども財政を指導してまいります場合の目安といたしましては、先ほど申し上げました一般財源に対しまして公債費の占める割合というものをどの程度に置いたらいいであろうか、実はこういう目安でいるわけでございます。そういう目安で一般財源の中で公債費が占める割合というものが何%程度になったならば、いわゆる警戒信号になり、何%をこしたならば危険信号か、こういう点の議論でございますが、従来私どもが指導いたしております場合の腹の中に置いておりますものさしといたしましては、一般財源に対しては大体一〇%から一五%程度の範囲というところを一応の目安に置いておるわけでございます。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 一般財源ですか。
  95. 鎌田要人

    鎌田政府委員 一般財源です。地方税プラス交付税プラス譲与税、結局一般財源に対しまして公債費というものがどの程度のウエートを越えたならば危険であろうか。これも非常に幅のある議論になると思いますが、大体一〇%から一五%の間というところを一応の目安に置いて指導をいたしておる、こういうことでございます。
  96. 林百郎

    ○林(百)委員 それは発行高ですか。現在高のことをいうのですか。発行高がその程度ならばいいということですか。私のお聞きしたいのは、それでは四十五年度の現在高が一般財源に対する比率、これはどうなっていますか。
  97. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いま私が申しておりますのは、現在高ではございませんで、その年、年の元金を払い、利息を払う、その元利償還の総計ということでございます。いわゆる公債費と申すものでございます。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると昭和四十五年度はどうであって、四十六年、四十七年の見通しはどうか。一応財政計画全体の面でお聞きしたいと思うのです。
  99. 鎌田要人

    鎌田政府委員 四十五年度の決算で、一般財源に占めておりまする公債費の割合は、都道府県、市町村全体を通じますと四%――ちょっといまここで資料を調べさせておりますが、四%から五%の間ではなかったかと思います。それからいまのことしの公債の発行高、それから四十六年度も追加発行いたしております。それから四十七年度。それから四十八年度におきましては、実は二通りの計算をいたしまして、四十八年度においてある程度景気が上昇過程に転ずるであろう。したがいまして、二千億程度、四十八年度が四十七年度の一般会計債よりも発行を減額する、こういうモデルをつくりまして計算をいたしますというと、大体経済成長率を一三%、ことしが一二・九%でございますが、その前提で計算をいたしますというと、四十六年度が七%、それから四十七年度が七・七%、四十八年度が九%、こういった数字になろうかと思います。それから四十五年度におきまする一般財源に占めます公債費の割合は五・一%、こういう推移をたどるのではないだろうかということであります。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 それではもう一つの点でお聞きしていきたいと思いますが、私は、七・七%になるということはもうある程度の警戒線に近いところまで来るのではないかというように思うわけですがね。あなたのところでは地方債の許可方針を各自治体に出しているわけですね。それはどういう方針ですか。
  101. 鎌田要人

    鎌田政府委員 地方債の許可方針におきましては、ただいま申し上げました公債費比率の過去三年度間の平均が、たとえば二〇%から三〇%未満の団体でございますというと、一般単独事業債、それから厚生福祉施設整備事業債、こういったものは許可しない。あるいは三〇%以上でございますとそれに加えまして一般事業債というものを許可しない、こういった方針を示しております。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 そこでこの方針は四十七年度もそのまま承継するわけですか。
  103. 鎌田要人

    鎌田政府委員 四十七年におきましてもこの考え方は承継をいたしたいと思っております。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとこれは二〇%までは安全だということなんですか。一〇%程度になってもそろそろ注意をしなければならないという意味も含んでいるのじゃないですか。二〇%というのはもう最高のグレンツで、これ以上はもう発行させないというところなんで、そろそろ注意しなければならないというところはどこなんですか。私は一〇%程度と聞いておりますがどうなんですか。
  105. 鎌田要人

    鎌田政府委員 先ほどから申しておりますように大体一五%をこしたら、これはそろそろ危険信号に近い、こういう指導をしたらどうであろうかと私は思っております。一〇%から一五%と幅の広いことを言っておりますのは、これは団体によりまして財政力におのずから強弱がございますので、一律な線は引きにくかろうと思います。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで私のほうでも公債費比率を調査してみたのです。埼玉県では一%以上五%未満が五十七団体、五%以上一〇%未満が三十五団体、一〇%以上が一団体、こういう数字が出ておるのですね。それから群馬県では一%から五%未満が四十九団体、五%以上から一〇%未満が二十団体、一〇%以上が一団体となっておる。これは四十五年度の決算によるもので、そのころは五%未満が比較的多く、一〇%以上はそれぞれ一団体しかないわけですが、これは四十六年度、四十七年度になれば公債費比率はどういうように変わってくるのですか。
  107. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ちょっといま伺っておりまして気がついたのでありますが、私が申しておりますのは一般財源に対する公債費の比率でありまして、いま先生が御指摘になりましたのは、あるいは歳出全体の中で公債費が占めておる割合というものでおっしゃっておられるのかもしれません。そこのところの重大な相違があるということを、ちょっと私、気がつきましたので申し上げておきたいと思ったわけでございます。
  108. 林百郎

    ○林(百)委員 公債費比率というのは、あなた方の常識で、あるわけでしょう。それを私が聞いているわけですから、その概念に相当した答弁をしてもらわなければ困りますよ。
  109. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いまの一般的に統計で使っておりますのは、歳出全体の中に占めておりまする公債費の率であろうと思いますが、これは公債費比率は、歳出全体の規模というものがふえてまいりますというと、現実の公債費というものが高くなりましても根っこが大きくなるものですから、そう比率の変動というものはないと思います。そう大きな変動はないと思います。ただ全体といたしましては、おととし、去年、ことしと、水田利用債をかなり多額に出してきております。それから、去年から公共事業の拡大に伴いまして公債を発行しております。ことしはまた天幅な増発をしておりますのは、公体といたしましては、先ほど私が一般財源について計算をいたしました数字、五%が七%になり、九%になっていく、こういう傾向と同様な顧向をたどるのではないだろうかというように思います。
  110. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたのほうで地方債の許可方針の中にある公債費比率――それじゃまず二人で概念を一致させましょう。これはどういう意味ですか。
  111. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは歳出全体の中に占める公債費の割合でございます。
  112. 林百郎

    ○林(百)委員 公債費の割合ですね。そうすると、それがあなたのおっしゃるように、まあ一五%程度になると危険信号、それから二〇%以上三〇先になるといま言ったように一定の地方債の発行は停止する、こういうことですね。
  113. 鎌田要人

    鎌田政府委員 私が申しておりますのは歳出全体ではございませんで、歳出の中で一般財源をもって充当しておるその一般財源に対する公債費の割合でございますから、ここで申しております公債費比率よりはむしろ高目に出るわけです。財政の安全の見地からいいますと、高目に出るわけでございます。
  114. 林百郎

    ○林(百)委員 ちっともあなたと私とかみ合わないのですが、あなたのほうで出しておる地方債許可方針の中における公債費比率ですよ。それは何かあなたのおっしゃるところによると、歳出の中における公債費償還額と歳出との比率だ、こうですか。それを聞いているのですよ。そこをまず一致させましょうよ。そして、さっきあなたも言われたように、その地方債許可方針の中で、公債費比率が二〇%以上三〇%未満の団体は一定の公債の発行は停止する、こういうふうにいっているわけですから、ここでいう地方債許可方針の中の公債費比率は何かということをまず私とあなたと一致させないと、あとの質問は進まないのですよ。
  115. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この公債費比率と申しますのは実は非常にややこしい算式があるわけでございますが、大体私がいままで申しておりました一般財源に占める公債費の割合とそう差異がないのではないかと思います。さっき歳出全体の中に占める公債費の割合と申しましたのは、訂正をさしていただきたいと思います。
  116. 林百郎

    ○林(百)委員 だから、公債費比率というものがあるわけでしょう、ややこしい計算だけれども。それであなたのほうは地方債許可方針を出しているわけですから、そこで二〇%以上三〇%未満の団体は云々ということになるわけなんですよ。それは私のほうもややこしくて、こまかいことは私のほうもあなたに説明できない。しかし公債費比率があることは間違いない。これが、四十五年度を調べましたら埼玉県が私が先ほど申しましたとおり、群馬県が先ほど申したとおりなんですね。四十六年、四十七年はどうなるか。こまかいことがもしないなら、これが高まる方向へいくんじゃないですか。
  117. 鎌田要人

    鎌田政府委員 府県、市町村全体をひっくるめますと、先ほど私が申し上げましたような趨勢で高まっていくと思います。ただ問題は、四十七年度、今年度でございますが、今年度のいわゆる三千五百億円振りかえ、これは基準財政需要額の振りかえは、府県、大都市を中心にして行ないますので、府県あるいは大都市、市町村、この中を分別して計算するところまで実はまだ許可実績が出ませんので、技術的な制約がございますが、市町村の場合の増加傾向というものと、府県と大都市の場合の増加傾向というものとは、府県や大部市のほうの増加傾向のほうが少し強く出るだろうと思います。
  118. 林百郎

    ○林(百)委員 府県のほうが大幅に上昇する、こういう意味ですか。
  119. 鎌田要人

    鎌田政府委員 府県、大都市のほうの増加の幅のほうが、その他の市町村よりは大きく出ます。
  120. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで四十七年度のそういう見通しがあるならば、一〇%以上になる団体はどれくらいになる見通しですか。
  121. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは全団体の平均値でございまして、個々の団体ごとの試算というのはこの計算では行なっておりません。
  122. 林百郎

    ○林(百)委員 この計算ではできてないというのは、まだ調査ができないということですね。四十六年度はそれじゃわかりますか。
  123. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この計算のしかたがマクロの計算でございまして、個々の団体の積み上げでございませんで、四十五年度の一般財源の総額、それから四十五年度の都道府県、市町村の公債費総額の割合をとり、それから四十六年度は、この四十六年の全体の公債費、それから四十六年の一般財源の推定額、これとの割合をとり、四十七年度も同様な作業をやっておるものでございますから、個々の団体の積み上げをやるという計算の過程ではございませんで、全都道府県、全市町村のマクロの計算になっておるということから、この計算の過程で出ないということでございます。
  124. 林百郎

    ○林(百)委員 私のほうの調査では、埼玉県も群馬県もそれぞれの団体、言ってますよ、何%から何%までの団体が何団体、何%から何%までの団体が何団体と。そういうのは自治省が掌握できないはずはないじゃないですか。そんなマクロの総体的なものしか出てこないはずはないでしょう。
  125. 鎌田要人

    鎌田政府委員 もちろん個々の団体の公債費がどういう状況であるというのは、これは決算統計から出てまいります。ただ私のほうでいま申し上げておりますのは、地方財政全体として公債費の状況はどうであるか、こういうことで、そこに目的を合わせてこの作業をいたしたものでございますから、個々の団体ごとにそれをブレークダウンして幾らという、こういう作業を行なっていないということでございます。
  126. 林百郎

    ○林(百)委員 それは四十七年度ですね。そうすると四十七年度でしかたがありませんから、総体で出した公債費比率はどうなるのですか。町村でどう、それから市でどう、都道府県でどうというのは出ていますか。
  127. 鎌田要人

    鎌田政府委員 県、市町村全部ひっくるめての資料で、県ごと、市町村ごとには分けておりません。
  128. 林百郎

    ○林(百)委員 それではあなたのほうが地方債の許可方針を出したって行政指導できないじゃないですか。たとえばある市町村で二〇%以上の公債費比率を示している、もうあなたのところは地方債を発行できませんよという行政指導はできないじゃないですか、そんな大まかなことをやっていたのでは。
  129. 鎌田要人

    鎌田政府委員 どうも私の申し上げているのが御理解いただいてないようでございますが、私が申し上げておりますのは、ことしのような公債を出したら地方財政は払えないではないか、こういう前提に対しまして、私どもがこういう計算をいたしますとまだ公債費比率はどの程度でございます、こういうことを申し上げておるわけでございまして、個々の団体が公債費がどうなっているかということにつきましては、ここにも市町村別財政状況調べというので各市町村ごとに出ておるおかげでございます。起債の許可をいたします場合には、これが結局もとになりまして、いまの二〇%、三〇%というものを見る。いま私が先ほどからるる申し上げておりますのは、将来の予測の問題を申し上げておるわけでありまして、それと起債の許可方針にどういうという問題は全然関係ございません。
  130. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたそれじゃ、私の聞いておることに答えていないということになるのですか。私の言うのは、「公債費比率の過去三年間の平均が次の各号に該当する団体については、原則として当該各号に掲げる地方債を許可しないものとする」こういうのが四十六年度地方債許可方針として出ているわけなんですよ。その中で、あなたが先ほど言われたように、二〇%以上三〇%未満の団体は一般単独事業及び厚生福祉施設整備事業にかかる地方債は許可しない、こうなっているわけですよ。だから、自治省地方発行について各団体を指導するには、各団体のものはわかっていなければならないはずなんでしょう。だからそれを聞いているわけなんです。少なくとももしそこに何かあなたがお手元に公債費比率を持っているとすれば、それでは四十六年度には埼玉県と群馬県で一%から五%未満のものが何団体、五%から一〇%未満のものが何団体、一〇%以上のものが何団体ある、埼玉県と群馬県の二つでいいですから、示してもらいたい。もしそれがいますぐそこでできないというなら、一〇%以上の団体が全国で幾団体、あなたのいま持っている、ここにあるというのですから、その中から出してくだざい。
  131. 鎌田要人

    鎌田政府委員 四十六年度でございましょうか。
  132. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたはいま四十六年度と言った……
  133. 鎌田要人

    鎌田政府委員 四十五年度の……
  134. 林百郎

    ○林(百)委員 四十五年度はこっちがわかっている。
  135. 鎌田要人

    鎌田政府委員 四十六年度は現在まだ、四十六年度の起債を、四十七年三月末でございますか、現在で許可したものが、いまやっと県に行っている段階、市町村に行っている段階でございますから、これはまだ計算するのはややむずかしゅうございます。
  136. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。  それでは、四十五年度には一〇%以上の団体が何団体その中にありますか。
  137. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ちょっとここで調べまして、後刻御報告申し上げます。
  138. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、それは調べてから。  そうすると、その傾向は、四十六年、四十七年にわたって、この比率は上がる傾向にあるのか――当然上がる傾向にあると思いますが、どういうようにお考えになりますか、趨勢としては。
  139. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは都道府県あるいは大都市、市町村個々について、その事業関係事業にこれはやはりつけるわけでございますので、どういう事業をやってそれにどういう起債が張りついていくかということのからみ、あるいは、過去におきまして大きい事業にかかわりますものの元利償還が終わった、こういういろいろな入り組みがあると思います。ただ、全体的には、四十六年、四十七年、公債を大幅に増発しておることは事実でございますから、全体の傾向としては増加をする。ただ、その場合に、先ほど申しましたように、個々の市町村、特に町村あたりでございますというと、起債を起こしておらない団体も、数少ない例ではございますけれども、ございます。そう起債に依存をしておらない団体というものもあるわけでございますので、一がいには言えない、例外があると思いますが、全体的な傾向としては増加する傾向にあることは間違いないと思います。
  140. 林百郎

    ○林(百)委員 全体としては増加する傾向にあるというのは、やはりあまり好ましくない傾向だということは、言えると思うのです。そこからも、一つ地方債の発行の限度というものが考えられてくるんじゃないかというふうに思うわけですよ。だから、あなたの言われるように、何かあなたは地方財政危機地方債でこぎ抜けることに対して非常に楽観的な、積極的なような意見に聞かれるものですから、私は、それはやはりある限度があるんじゃないかという考えから言ったわけです。  そこで、いま言った公債費比率の過去三年間の平均が、まああなたのおっしゃるには一五%ぐらいから危険信号だと言いましたが、さて、私のほうで念のために一〇%のところを調べてみたのですね。そうすると、これでも容易ならぬ事態が起きているわけですね。いまあげました県の中の――団体の名前はここで言いません、あと問題が起きちゃうといけませんから。昭和四十五年度の公債費比率が一〇・九七%というある市で、たとえば昭和四十五年度の歳入決算額が三十三億一千三百万円。これに対して昭和四十五年度末の市債現債高が十四億一千七百万円、この市債現債権高に債務負担行為額を加えますと、実に三十一億三千四百万円。だから、市債現債高と債務負担行為額を加えますと、歳入決算額にほぼ匹敵する額になるわけですね。したがって、この市は当分の間、本庁の一般行政職員の新規採用を中止し、欠員を補充しない方針等をきめている。さらに公債費が増加していけば、住民へのサービスの低下、住民負担の強化をせざるを得なくなることがありますので、このことはもう明らかだと思うのですね。ちなみに、いまの市の昭和四十七年度予算で市債の伸び率を見ますと、実に四三〇%ということになるわけですね。だから、地方債というのは、国債と同じように、一たん発行すると雪だるまのように次から次へ加速度的に大きくなっていくわけなんですね。いま言った昭和四十五年度の公債費比率が一〇・九七%であった市が、四十七年度には市債の伸び率が四三〇%というようになっているわけですね。このように公債費比率が一〇%程度であっても、きわめて危険な状態が生まれている。もう二〇%、三〇%に至れば、もちろんある程度の公債の発行は停止しなければならないというところまでくるわけですが、したがって、四十六年度に続く今回の地方債の増額、そうしてそれを受け入れなければならない地方団体としては、財源不足に対処できないような状態が起きてくるのではないか、一〇%程度のところでですね。各地方団体は、したがって、地方債の元利償還費に非常に今後苦しむような事態が起きてくるように思うわけなんですが、この点については、鎌田さんのような楽観論は続けられるのでしょうか。公債費比率が一〇%程度の市でも、本年度はもう対前年度比四三〇%というような市債を発行しなければならないという事態になっているわけです。
  141. 鎌田要人

    鎌田政府委員 その前に、公債費比率が一〇%以上の町でございますが、埼玉県では福岡町、群馬県では新町のこの両町でございます。  それから、ただいま仰せになりましたところでございますが、歳入が三十三億一千三百万ある。その町か市か知りませんけれども、そこで現債高が十四億ある。債務負担行為が十七億ある。こういうことのようでございますが、これはまあ釈迦に説法みたいなことで恐縮でございますけれども、いまの十四億なら十四億という市債は、これはもちろん一ぺんに払うわけではないわけでございまして、大体この中で、おそらく、公債費ばかりに一割といたしまして、歳入全体で三十三億でございますから、かりに一般財源の割合がその半分といたしましても、一億六、七千万毎年払っておる、こういう形ではないかと思うわけでございます。でございますから、公債費というものがそう大きな重圧ということにもならないのではないだろうか。私、さっき楽観論者という御批判をいただいたわけでございますが、いま特に埼玉県あたりが例にあがっているようでございまして、やはり人口急増団体等でございますと、一ぺんにいろいろな施設をつくらなければならない、そういう施設をつくることにつきましては、別途国としての財政も必要でございますけれども、学校、住宅、その他生活関連施設、こういったものをつくるということであるならば、あわせてやはり地方債に依存をするということは、これは後世代に負担を均てん化するということから申しましても、許されるのではないだろうか、こういう感じがいたします。
  142. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは自治省では歳入決算額が三十三億で、そのうち市債現債高が十四億、債務負担行為が十七億以上、合わせて三十一億、こういう団体が表へこのとおり出した場合に、これは再建団体の指定はしないのですか。あなたは、地方債を幾ら発行しても、それはそのうちの一部を払えばいいのだから、幾ら借金をしょってもそれは大きな負担にならないといっても、市債の現債高と債務負担行為が歳入と同じくらいの額になるという団体が生じていても、それでもまだいいというのですか。だから私は、その点が心配だから、四十五年度の例を引いて、全国に一〇%以上の市町村が幾らあるかということをお聞きしたのですが、いまは群馬と埼玉だけですけれども、これは四十六、四十七年度に向かって高まってくるわけなのですよ。それはあなたの言うように、幾ら地方債を発行しても、返還はそのうちの一部だから、そんなに気にしなくていいというようなことは言えないのじゃないですか。だからあなたのほうだって、地方債の許可方針についてはやはり一定のグレンツを設けて、これ以上は発行するなといっているじゃないですか。あなたのほうの指導方針がそうなのに、財政局長がそんな楽観論を言っていたら、これから指導できますか。
  143. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いまの団体でございますが、公債費比率は一〇・九%ということのようでございますから、もちろんいまの二割、三割というところには該当しないわけでございます。私、もちろん公債の発行幾らあってもいいのだというめちゃなことを言っているつもりは毛頭ないわけでございます。ただやはり、これは財政でございますから、年々の財政に対しまして、公債費というのが重圧を及ぼす、累を及ぼすということにならないように、公債費比率というものを一つの大きなめどにして運用をしておる、こういうことを申し上げたかったわけでございます。
  144. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、あなたの考えでは、一体地方債というものはどの程度まで発行していい、こういうようにお考えになるのですか、何を基準にしてどこまではいいと。無制限でいいということじゃないと思うのですね。すると何かを基準にしてどこまでというものは出てくるわけでしょう。それはどうお考えになっているのですか。
  145. 鎌田要人

    鎌田政府委員 でございますから、先ほどから申し上げておりますように、この公債費比率というものが一五%内にとどまるように、これは全地方団体、マクロとしてのことで申し上げているわけでございますが、その辺のところを一つの目安にして、地方総額のワクというものを抑えていきたいというように私考えているわけでございます。
  146. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。そうすると、四十五年度のそれは、総体はいいのですけれども、公債費比率は幾らなのですか、あなたのほうでは。
  147. 鎌田要人

    鎌田政府委員 五・一%でございます。
  148. 林百郎

    ○林(百)委員 それが四十六年、四十七年度はまだ出てこないわけですね。そうすると、それが増加する傾向にあるということは間違いない、これはあなたお認めになるわけですね。  それから一〇%程度になれば、市町村ではこういう事態が起きるわけですけれども、一〇%程度になれば、もうそろそろ危険信号だ、こう考えてよろしいのではないのですか。
  149. 鎌田要人

    鎌田政府委員 先ほど申しましたような非常な大幅な目安を一応置いておるわけでございますが、結局公債費というもの、この内容をなしますものには、一つは結局政府資金であるか、あるいは一般の市中金融機関からの融資を受ける場合におきましては、その金利というものができるだけ安いということが必要でございます。私ども今後の地方債の運用の方針といたしまして、できるだけ、財政力の比較的弱い市町村に対しましては、政府資金の割合というものを高めることによりまして、そういう公債費の増加ということを避けてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  150. 林百郎

    ○林(百)委員 それならば、お聞きしますが、地方債の原資について政府資金は四十六年度に比較してふえているのですか、減っているのですか。ふえているとすれば、幾らふえているのですか。それから公募債はどうなっているのですか。あなたの言うことと逆ではないですか。
  151. 鎌田要人

    鎌田政府委員 政府資金は、昨年からことしにかけまして、前年度の当初計画から四八%増加いたしております。
  152. 林百郎

    ○林(百)委員 それで公募債が七五・五%ふえているわけですね。その中の縁故債が一〇七・七%ふえているわけですよ。だからあなたの言うのは希望を言っているだけで、現実は全くあなたの言うことと逆な方向に行っているのではないのですか。  そこでお尋ねしますが、あなたは地方債をこれだけ発行し、そしてまた政府借り入れ金が、昨年度の補正予算あるいは本年度の本予算でも、純粋に両方合わせましても二千八百九十五億六千万円になる。しかしこういう地方財政のピンチは、ことしの下半期から景気が持ち直すので、法人を中心としての税金やいろいろの増収も見込まれるということを含めていると思います、個人所得税は増額を見込んでいるわけですから。そうしますと、どういうファクター、どういう要因で景気がどういうように回復していくとあなたは見ているのですか、ことしの下半期。これは自治省だけではむずかしいと思いますから、ちょうど企画庁と大蔵省も見えておりますから、その辺のところをひとつ説明願って、これだけのばく大な地方債を背負い込む、それからこれほどのばく大な借り入れ金を借り入れても、これは本年度後半期の好景気により地方自流体に負担をかけないのだ、ことしの下半期の好景気というのは何をさすのか、どういうファクターがどうなればいいのですか。
  153. 宮崎勇

    ○宮崎説明員 お答えいたします。  日本経済は、御承知のように、一昨年秋から景気後退の中にあるわけでございます。この景気後退の要因としましては、在庫の調整ということのほかに、過去に数年間にわたって行なわれました膨大な設備投資が生産力化したために、過剰設備をかかえているということがありまして、その上にさらに一部の耐久消費財においては普及率がかなりな度に達したということから、従来のような商い伸びを示さないということで、一つ大きな不況要因があったわけでありますが、それに加えまして、昨年の八月十五日、アメリカの新しい経済政策が発表されて以来の国際通貨不安、その他の先行き不安というようなことがございまして、在庫調整がさらに一段と伸びて今日に至っているわけでございます。  ただ、ごく最近の経済指標を見てまいりますと、官公需を中心にいたしまして需要が国内的に若干出てきておりますし、また輸出需要が、通貨調整を行ないましたわりには比較的いままでのところ高い状態を続けておりまして、生産と出荷の関係でまいりました需給関係がやや改善の方向に向かっております。こういうことを反映いたしまして、昨年の九、十、十一月と続けて低落いたしました卸売り物価も、その後一月まで横ばい状態が続き、二月、三月と若干上昇に転じておりまして、需給の悪化がとまって、景気が底入れしつつあるというような指標が見られます。これ以上景気が悪くなるということは一応いまの段階では考えられません。  これから景気がどうなるかということにつきましては、基本的には非常に膨大な過剰設備を特に製造業ではかかえておりますし、経済全体でもなお需給バランスとしまして七%ぐらいのギャップがございますから、なかなか設備投資が盛り上がるというわけにまいりません。それから輸出も、これまでのところは若干通貨調整後も高いわけですけれども、その中にはやや無理をして輸出をしているものもございまして、これからそんなに大きく伸びるというふうには考えられません。輸出の伸び率が若干後退するということは考えられます。したがいまして、従来の景気回復と違って、輸出でありますとか設備投資というものが景気回復の主導力にはなりませんけれども、在庫調整が一応終わって、これから在庫積み増しが始まるということのほかに、個人消費がこれまた不況でいままでのところ鎮静状況を続けておりましたが、最近の百貨店の売り上げ高などから見ましても、これまた下ざさえ要因として働いております。そこへ昨年の補正予算以来とられております積極的な財政政策、あるいは公定歩合の引き下げによる金利面からの刺激によって、主として現在の官公需を中心に需要が持ち直しつつあります。このような状態が続きますと、おそらくことしの後半には安定成長の路線に戻っていくというふうに考えておりまして、年度全体では七・二%、沖繩の分を含めますと、実質で七・七%の成長を実現するのではないかというふうに考えております。
  154. 加藤隆司

    ○加藤説明員 ただいま企画庁の専門家のお話がございまして、私直接担当でもございませんし、しろうとでございますが、主計局の担当のほうに聞いてみますと、ただいま宮崎さんから話がありましたことと全く同じでございまして、昨年来の公共投資の拡大の効果が漸次浸透してきておりまして、生産者製品在庫調整も進んでおりますし、鉱工業生産は四カ月対前月比上昇を示し、卸売り物価も強含みで推移しておりますので、ようやく底固めの段階に達したというふうに見ております。年度後半には、ただいまもございましたように、主として財政面からの刺激効果、個人消費支出、そういうようなものを中心に、安定成長の路線に回復していくであろうというふうに見ております。
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 この前加藤さんが言われましたのは、国民総生産を名目一二・九%程度増加する、こういう数字を出しましたね。それじゃ宮崎さんにお尋ねしますが、これは国民総生産九十兆六千億という数字だと思うのですけれども、もしドル・ショックで円の再切り上げが起きたとすれば、また、ドルの切り下げですけれども、そうすればあなたの言ったような見通しはそのまま継続できると思いますか、どうですか。
  156. 宮崎勇

    ○宮崎説明員 日本経済は、昨年暮れに一六・八八%の円の切り上げを行なうことによりまして、国際通貨調整の一環をになったわけでございますけれども、そのことは日本経済にとってはたいへんタイミングが悪うございまして、景気の回復がそのためにおくれているわけでございます。通貨調整をやりました後も、国際的に見ますとアメリカにドルが還流しておらない。それからわが国だけにとりましても、国際収支の黒字は依然として継続しているということから、円の再切り上げがあるのではないか、あるいは国際間の通貨調整をもう一ぺんやらなければいけないのじゃないかという議論があるわけでございますけれども、しかし従来の通貨の切り上げないし切り上げの諸国における経験から徴しましても、こういう通貨調整というものが本格的な効果をあらわしますまでには、一年半あるいは二年の期間を要するわけでございまして、当初はむしろ期待されるのと違った方向に効果があらわれることもございます。一九六九年に西ドイツがマルクの切り上げを行なっておりますが、西ドイツの貿易収支はその翌年かえって黒字を増大しているということがございます。したがって、通貨調整の効果を期待するためには、いましばらく時間をかさなければいけないわけでして、いまの段階で円の再切り上げということを考えるということは、賢明なことではないというふうに私どもは考えております。ただ、円の再切り上げの圧力をのける最も賢明な方法というのは、決してもう一ぺん通貨調整をやるというようなことではなくて、今日日本の国際収支の黒字の主要な原因になっておりますのは、非常な不景気のために、輸出に通常以上の力がかかっている、あるいは不景気のために外国から物を買う、輸入が非常に減少しているということでありますから、一刻も早く不況を回復するということが、円の再切り上げを回避する最も賢明な道であって、したがって、円の再切り上げによってこの調整をはかろうということは考えておりません。もしそれでも実施するとどういうふうになるかということになるわけですけれども、全くそれは仮定の話でございますけれども、せっかく景気の底固め段階に入っております日本の経済が、もう一度円の切り上げを行なわれるということになりますと、再び落ち込むということになるかと思います。
  157. 林百郎

    ○林(百)委員 そういうように非常に不確定な要素がありまして、必ずしも鎌田さんの言うように、下半期には必ず景気が好転してきて、これだけの地方自治体の借金を返済するに、それほど地方自治体に無理をかけないということはいえないと思うのです。そういう意味で、あなたの地方債依存主義といっていいか、そういうものについてはやはりある程度の限界があるし、警戒をしていかなければならないのじゃないかというように私たち思います。  この問題はそれではこれで一応打ち切ります。
  158. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ちょっとさきの数字がわかりましたので……。たいへん失礼いたしました。四十六年の現債高が三兆六千五百四十一億円でございます。一般財源が六兆二千七百九十六億でございます。その割合は五八・二%でございます。  それから四十七年度の現債高が四兆二千七百九十七億でございます。一般財源の見込みが七兆二千四百二十七億でございます。その割合が五九%でございます。
  159. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。漸次増加の傾向にあるということですね。  その次に、交付税問題についてお聞きしますが、塩川委員もこの点は聞かれたのですけれども、人口急増地域についての対策にあまり見るべきものがない。それで鎌田政府委員は、場合によって人口急増地域に対する特別立法を考えなければならないじゃないかというようなことの答弁があったように記憶しておるわけでございますけれども昭和四十六年度地方交付税の配賦にあたって、これも埼玉県で私どもが調査したのですけれども、普通交付税の額とこの予算の、当初予算額と決定額との間に非常に差があるわけなんですけれども、たとえば、熊谷市は当初予算額が四億九千万、決定額が三億九千七百十三万六千円で、その差が九千二百八十六万四千円、はなはだしいのは川口市で、当初予算額が十四億八千万円、決定額が十二億六千四百二十三万二千円、その差が二億一千五百七十六万八千円、浦和市が九億三千万、決定額が八億八千九百五万七千円、大宮市が当初予算額が十億五千万、決定額が七億七千九百九十九万五千円、差がそれぞれ熊谷市が九千二百八十六万四千円、川口市が二億一千五百七十六万八千円、浦和市が四千九十四万三千円、大宮市が二億七千万というふうになっているのですが、特に人口急増の市においてこのようなことが起きているわけですけれども、これは埼玉県だけではないと思います。各地方団体が当初予算を組む場合には、県を通じて自治省と相談をして予算額を決定するはずですが、予算額と決定額との間にこんなに大きな違いがあるということは、これをどうしてこういうことが起きるのですか。
  160. 潮田康夫

    ○潮田説明員 お答え申し上げます。  いま先生が言われました実態は埼玉県、千葉県などに若干そういう見込みとかなり違う交付税額がきまったという団体があるのは事実でございます。その原因はいろいろ各団体の特殊性がありますから、一がいに申し上げることはどうかと思いますけれども、全体の傾向といたしましては、御承知だと思いますが、人口の計算が五年に一回の国調人口を使っておりますが、従来は四十一年の国調人口でありましたが、去年は四十五年十月一日現在の人口を使えるようになりましたので、従来四十一年の国調人口を住民基本台帳に登録された住民数でかなり補正いたしておりましたが、その数に昭和四十五年の国調人口が及ばなかったというような状態が出てまいりました。そういうようところの違い。  それから第二点は、事業費補正を使っておりますけれども、小中学校の建設であるとか、じんかい焼却場の建設とか、下水道建設であるとか、そういうものの事業をやりますためには、その自己負担が交付税の算定上入ってくるわけでございますけれども、じんかい焼却場の建設が終わりましたとか、そういう場合にはその需要がなくなる、そういうような関係で若干需要の減が生じてまいるというような事情がございます。  それからもう一つは、大都市周辺の市町村につきましては、人口増が非常に大きゅうございますが、それに伴いまして所得割りの増加がかなり大きゅうございます。従前は全国一律の伸び率で所得割りの計算をしておりましたけれども、全国一律の所得割りの伸び率で計算をいたしますと、団体間でかなりアンバランスがございます。そこで各団体の所得割りの伸び率を最近時の所得割りの伸び率を使って計算をするというように、四十六年度から収入の計算がその点が改定されておりますので、その関係でかなり人口増の大きなところの団体の所得割りの伸びが基準財政収入額で予想よりも出てきたというような事情がございます。そういうようなこと。  それからもう一点は、広域市町村圏の指定がなりまして、次年度から広域市町村圏の指定をいたしまして、その所要経費の割り増し補正をいたしておりますけれども、それが三年間その額を固定をいたしまして、そして割り増し補正をするというようにいたしておりますが、第一年度目はそのいままでなかった広域市町村圏の補正が出てまいりますから、かなり需要の増加が出てまいりすす。ところが、次年度になってまいりますと、その額が三年間同じ額を割り増し補正をいたしますから、そこの関係でその点が伸び率がその点は同じ額が入ってくるわけですから、伸び率に響いてまいらない、こういうような点がございます。  そういう四つの点におきましてそういうような事情がございますから、かなり市町村の各団体のいろいろな事情によって需要がふえたり、あるいはその伸びが大きく伸び、あるいはあまり大きくないというような事情がございますが、そこらの各団体のいろいろな事情がございますので、そのいま申されました各市におきましても、交付税の総額の見込みを立てられるときには、私のほうに、直接うちと相談するというわけではございませんで、府県のほうで指導していただいておるわけでありますけれども、そこのところが若干関係団体の見込み違いと申しまするか、若干その財政予算の組み方のいろいろな方針もございましょうけれども、そういうような関係からいま申されましたような点が出てまいったわけでございます。それは事実でございます。そういうような事情でございます。
  161. 林百郎

    ○林(百)委員 当初予算額を組むときも、これはあなたのおっしゃるように、県の指導を受け、それから県はまた自治省とも連絡をすると思うのですけれども、当初予算額に計上したものと決定額との間に二億もの差があるというような、こういうことですね。たとえば大宮市なら二億七千万もあるわけです。こういうことはこれは地方自治体にとっては非常な混乱をもたらすことになるわけなんですが、そういうことのないように少なくとも予算に計上した額と決定額とがなるべく一致するような指導をすべきであって、そういうことはどういうように今後改善していくつもりですか。これでは地方自治体としては非常な大きな迷惑になると思うのですがね。
  162. 潮田康夫

    ○潮田説明員 お答え申し上げます。  先生の言われました点は、私どもも、その点は地方団体予算編成におきましては交付税の交付見込み額、それを的確に見込んでいただきまして、いま申されましたような予算と交付税の決定額との開きが非常に大きくなるというようなことのないように、極力努力をいたしておるわけであります。私どもも全国的に見てそういう状態が特定の団体に出てきておる――決して全体的にそういうような状態になっていないと私は思いますけれども、四十七年度につきましては、さらにそういうような見込みの違いを生ずるような団体が出ませんように、県、市町村の交付税の見積もりにつきましては、需要総額で大体一五、六%程度全体計画でお出しいただいておりますけれども、その程度の伸びで需要を計算していただく。それから収入額につきましては、これは各団体がそれぞれ責任をもって見積もりを立てていただく。その差し引き計算が交付税になるわけでございます。そういうような需要の全般的な指導をいたすと同時に、いま申し上げましたようにいろいろな事情で需要の増減がございますから、そこのところの事情は県におきまして各市町村の実態をよくつかんでいただいておりますから、いま申し上げましたような問題、それからさらにまた来年度はそれに、いままでも申し上げておりますけれども、一部事業費も地方債に振りかえて見ていただいておりますけれども、さらに土地開発基金につきましては明年度は見送りさしていただくというようなことでございますので、そういうような関係の事情が各市町村ごとにあってまちまちでございます。それから公共事業につきましても、来年度どれだけの公共事業をやるかということも各団体によってまちまちでございますので、一般的な平均伸び率の需要は一五%から一六%程度でございますけれども、各団体のそういうような事情につきましては、地方課によって的確につかんでいただきまして、いま先生の言われましたような点の生じませんように、絶えず地方課とも密接な連絡をとって努力しておりますし、またさらに勉強していきたい、かように考えております。
  163. 林百郎

    ○林(百)委員 こういう点は早急に改善をするようにしていただきたいと思います。ところが、現場へ行って聞いてみますと、自治省ではこういう差があるのは、昭和四十六年度は過疎対策に力を入れたので、人口急増地域のほうが少なくなったのだ、こういうことを言っておるというのですが、こういうようなことはあるのですか。もちろんここであるとは言わぬと思いますけれども、現場ではそう言っておるのです。そうすると、過疎で力を入れれば過密で手を抜くことになる、過密で力を入れれば過疎で手を抜くことになる、こういうような弁解を自治省ではしている。事実窮屈な地方財政の中ですから、いろいろなそういう出っぱりや引っ込みはあると思いますけれども、現場でそういうことを言っておることについてどうお考えですか。
  164. 潮田康夫

    ○潮田説明員 お答え申し上げます。  各団体のそれぞれの需要は、各団体にいろいろな事情がございます。過密につきましても過疎につきましてもあるわけですから、私どもは、それを需要以上に交付税を配分するとか、あるいは需要以下に交付税を配分するということは決してできないわけでありますから、その需要を各団体に対して的確につかむことに努力しております。ですから、四十六年度におきましては、過疎対策につきましてもかなり充実をするように努力いたしましたが、もちろん過密地帯におきましても、公審対策であるとか、あるいは各種の学校とか、あるいは下水道あるいは清掃施設、そういうものの事業費補正の強化とか、一般的な人口急増の都市割り増し補正とか、それぞれの各団体の類型がございますけれども、それぞれの団体の需要を的確につかむということで努力をいたしておりますので、過疎対策に力を入れ過ぎて、過密対策に力を抜いたからそういう結果になったというふうには考えておりません。その点は御了承願いたいと思います。
  165. 林百郎

    ○林(百)委員 これも私のほうで実情を調べてみたのですが、鎌田局長に御回答願いたいのですが、実は大宮市立七里小学校の学校要覧を見ますと、昭和三十九年に体育小屋を改築した。昭和四十年にプールを竣工した。昭和四十一年に校門の新設をした。昭和四十二年宿直、用務員室の竣工をした。昭和四十三年に六教室を校舎の増築、改築を竣工した。四十四年には八教室を校舎の増築、改築を竣工した。昭和四十五年には十一教室を改築竣工したというように、毎年少しずつ少しずつ人口急増地域では学校で工事を行なって、生徒が年じゅう建築現場で勉強しなければならない。こういうことは地方団体としてはやむを得ずやっていることであるけれども、これは財源さえ十分あれば当然解決されることであるのです。けれども昭和四十七年度には、地方団体予算に計上している額を大幅に下回るような交付税の決定が行なわれないことはもちろんのこと、こういうような不自然な、子供が毎年毎年工事現場で遊ばざるを得ないような状態を直すには、どういう方策を自治省としては考えておられるのですか。
  166. 鎌田要人

    鎌田政府委員 まことにこれは子供さんかわいそうだという感じを持っていま伺っておったわけでございますが、これはやはり、一つは補助待ちとしてこういうかっこうになるのだろうと思います。結局補助金がこういう形でついていくから、それに対応して地方債をもらい、自己財源を継ぎ足してつくっておる、こういうことだろうと思います。やはり基本的には、国の補助を得て行なわれるこういう施設の整備ということでございますので、補助金の支出ということの改善がまず一つ必要であろうか。私どもといたしましては、地方の所要財源というものについてはできるだけのことを考えてみたいと思っておるわけでございますが、いまのお話しの点につきましては、債務負担行為等を得て一貫してやれる余地があるのに、どういうことであろうかという感じがちょっとしないでもありませんので、よく調べさせていただきます。
  167. 林百郎

    ○林(百)委員 鎌田さんの考えておる、それから塩川委員答弁されました、場合によっては人口急増地域に対して特別立法も考えざるを得ないじゃないかという説明がたしかあったと思いますが、この人口急増地域に対する特別立法の構想というのは、大体どういう内容でしょうか。
  168. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは人口急増市町村につきまして、公共施設と申しますのは、校舎あるいは屋体用地、幼稚園、保育所、ごみ、屎尿処理施設、消防施設、体育施設、こういったようなものを考えておったわけでございますが、そういう公共施設の急速な整備をはかるために特別措置を講ずる、こういうことが骨子でございます。一定規模以上の人口増加によりまして人口増加市町村というものを特定をいたしまして、その市町村につきまして、ただいま申し上げましたような公共施設につきましてその国庫補助負担率のかさ上げを行なう、あるいは地方債の拡充、これに対する利子補給あるいは交付税に対する措置の充実、そういったものを中心にいたしました特別立法というものを実は考えておったわけでございます。たまたま明年度は、国、地方を通じまして御案内のような財源難のおりでもありましたし、またその中におきまして、一番この中でウエートの大きい小学校に行なう施設につきましての補助率が三分の一から二分の一に引き上げられる、こういった措置もとられたわけでございまして、今国会にこれを提案いたしまして御審議をいただくという運びにはまいらなかったわけでございますが、引き続き市町村の実情に応じて立法措置というものを講ずることについて検討をしてまいりたい、こういうことでございます。
  169. 林百郎

    ○林(百)委員 学校がこういうようにこま切れに毎年毎年工事をしなければならないという実情の中の一つには、やはり超過負担の問題も含んでいるのではないかというようにも思われるわけなんです。超過負担の問題については各委員質問されておりますので、私は、具体的にそれをどういうように今後処置していくかという問題について、お尋ねしたいと思うのです。  知事会の調べによりますと、都道府県の超過負担が六百三十五億円、市町村が千四百三十四億円、これが昭和四十五年度ですが、これは国庫支出金二兆二百九十四億円の約一〇%程度に当たると思うのですね。そうすると、大体国庫支出金の約一〇%程度が超過負担になる。これは知事会の調べでありますけれども、もちろん超過負担については、自治省自治省でまたいういう見解を持っていると思います。そうすると、四十七年度の国庫支出金を調べてみますと約三兆四百八十億円ですから、この一〇%というと三千億円になるわけですね。先ほどのお話によりますと、この前の調査から三年後に解消するというのですから、解消されておらなければならないはずなのに、その年その年の国庫支出命の一割ぐらいずつが超過負担になるというような数字が、実際に地方財政を運営しておる知事会あたりから出てくるということになると、これは容易ならぬことになると思うのですね。解消されているはずの超過負担が実は累年積算され増加されていくという状態になるわけですが、これは大蔵省自治省が本年度調査をして、そしてその調査に基づいてこの解消の措置をとるというお話ですが、どういう調査をなさってどういう解消の方法を具体的にされるのか、この点について自治省大蔵省の考えを聞きたいと思うのです。どういうふうに解消されるのか。この前のような計数補正やいろいろしてみたところでまたこうなっているわけですね。これを繰り返さないようにするには根本的にどういう考えをお持ちになっているのか、大蔵省自治省にお聞きしたいと思うのです。
  170. 鎌田要人

    鎌田政府委員 前回は、御案内のとおり昭和四十二年と四十三年の二年にわたりまして調査をいたしました。その結果に基づきまして、四十三年、四十四年、四十五年、四十六年と解消してまいったわけでございます。今度共同で調査をしようということで、いま大蔵当局のほうと相談をいたしておるわけでございますが、御案内のとおり、明年の予算にこれを反映させるということでございますと、八月の概算要求までに一応のめどをつけなければなりません。そとで当面、超過負担が多いといわれておりますところの施設、まあ建設事業になると思いますが、義務教育施設あるいは公営住宅あるいは保育所、こういった施設を中心にいたしまして共同の調査を行ないたい、こういうことで考えておるわけでございます。  そこで、御案内のとおり、超過負担の出てまいります原因というものにつきましては、単価が見足りない、あるいはいわゆる対象差と申すものでございますが、補助対象の中に取り入れられるものと補助対象外に置かれるものとがある、それから数量において、いわゆる数量差というものがある。この三つに分類をいたしまして超過負担というものを分析いたしておるわけでございますが、きわどいところになりますと、表現がちょっと適当でないのでうまいことばが言えないのでありますが、デラックス差といいますか、ある程度そういったようなものがからんでくる面もございまして、そこで、共同の目で超過負担というものを一応積み上げてみる、こういう作業をいたしたいと思っておるわけでございます。その結果に基づきまして、四十八年度予算の査定の際に、解消をされるべき対象につきましては解消の措置が講ぜられてまいる、こういうことになろうと思います。
  171. 加藤隆司

    ○加藤説明員 ただいま鎌田財政局長からお話がありましたとおり、両省の担当者同士で数回もうすでに会合をやりまして、できるだけ早くこれの対策がとれるようにということで、調査対象事業を設定して目下やりつつありまして、調査要領等も四十二年、四十三年のときのものをどういうふうに直していくかというような議論をやっております。早急に両省並びに関係省と打ち合わせいたしまして調査要領をつくり、四十八年度予算に間に合うようにというふうな心づもりで作業をしております。  本年四十七年度予算におきましても、四十二年、四十三年の調査の結果、事業費ベースで約千四百億の解消をはかっておるわけでございますが、四十七年度につきましてもいわゆる超過負担という問題、単価、対象差、そういうものにつきまして、事業費ベースで三百八十二億、これを大蔵大臣が参りまして数字を申し上げましたが、三百八十二億、国費ベースで百六十六億、それから別途補助率の引き上げというようなかっこうで、地方財政対策の一環としてやった分が国費ベースで百五億、こういうような措置を四十七年度につきましても心がけたわけでございます。
  172. 林百郎

    ○林(百)委員 これはひとつ正確な調査をして、デラックスといっても、たとえば校舎はできたけれども、プールはできないとか、校舎はできたけれども理科教室の中の設備が不十分だというような、自治省で見ればデラックスと見えても、学校当局から見れば子供のためにやむを得ずやった施設もあると思いますので、そういう点を公正に調査をして、至急解消することが、やはり地方財政のピンチを助ける一つの手になると思いますので、至急措置を講ぜられたいと思います。  もう一つ、これは次官にお尋ねしたいのですけれども地方交付税法の六条の三の二項の交付税率の引き上げの問題です。「毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が引き続き第十条第二項本文の規定によって各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなつた場合においては、、第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」というようになっておるわけなんですけれども、しかし考えてみますと、昨年は補正予算で千二百九十五億六千万円の借り入れをしておるし、ことしもまた千六百億円、交付税交付金の特別会計が資金運用部資金のほうから借り入れをしておるし、その上、地方債が昨年より四千九百八億円の増額をしているというような、こういう四十六年、四十七年の状態を見れば、やはり交付税率を引き上げる要件がある程度整っておるのではないかというようにも思われますが、この点については、次官はどういうようにお考えになりますか。
  173. 小山省二

    小山政府委員 交付税法の六条の三によりますと、御承知のとおり、基準財政需要額に対して収入額が満たない場合には、交付税をもってこれに充てるということになっておるわけでありますが、現在交付税の収入額というのが、御承知のとおり、国税三税の収入減から、必ずしもこの要望を満たしておらない、したがって、一部地方債によってまかなっておるという現状から見ますと、ある意味においてはその要件に該当しておるということも申し上げられるわけでありますが、しばしばお答えを申し上げましたとおり、現存景気の停滞を一日も早く脱却したい、こういう考え方からそれぞれの施策が講ぜられておるわけであります。言うなれば国税三税の回復がはかられますれば、おのずと交付税額がそれにつれて増大してくるわけでありますから、現状においては直ちに交付税率を変更しなければならぬというところにはまだ至っていないように感じておるわけであります。しかしながら、この不況が将来長期にわたって持続されるというような経済の見通しということになりますれば、もちろん、これは単に交付税率だけではございません、地方税におきましてもあるいはまた地方の事務の合理化等総合した形の中で、その一環として交付税率が検討されるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  174. 林百郎

    ○林(百)委員 この点は、たとえば数年とか景気が好転すればというような非常に不確定な要因で説明されるのですが、われわれはもうここで四十一年の例もありましたように、交付税率を引き上げてもいいような要件が整っているように考えますけれども、いま時間を急ぐようにという通知が来ましたから、これはこれであとに残しておきます。  あと沖繩の問題だけちょっとお聞きしておきたいと思うのですけれども、これも時間がありませんので、もう急所だけ。  沖繩県の市町村に交付すべき必要な一般財源として、当初自治省が算定した額が六百三十億円という数字を出していたと思うのですけれども、これが五百十億円とされた理由はどういうわけなんでしょうか。自治省は六百三十億、六百三十億と言っていたのですけれども大蔵省と何かの交渉があったのでしょうか。
  175. 鎌田要人

    鎌田政府委員 当初、昨年の夏から秋にかけての段階でございましたが、私ども沖繩の財政需要というものを積み上げて計算をいたしました。それで概算要求いたしましたのが六百三十億という額でございました。当時は、一つはたとえば投資的経費でございますが、投資的経費につきましては、内地で当時一番補助負担率の高うございました北海道を例にとって地方負担額というものをはじきました。あるいは沖繩の税収でございますとかあるいは債務等の計算につきましては、当時まだ通貨調整前でございましたから、三百六十円ではじいておりました。それからその後の段階におきまして、国の補助負担につきましては十分の十というのがかなりふえてまいる、あるいは十分の九というものがかなりふえてまいる、こういうことがございまして地方負担が減じた。それから、最初沖繩にも土地開発基金を設定する、こういうことでおったわけでございますけれども、内地におきまして交付税で土地開発基金の算入を取りやめる、こういったような事情もございまして、その分の額が落ちる。あるいは当初沖繩県でかなり退職手当債等を多額発行されるであろう、それの引き継ぎ分につきましての要求を出しておったわけでございますが、これは諸般の情勢でおくれてまいっておる、こういったようなことがございまして、だんだんに六百三十億の額というものがその後に通貨調整等もございまして締まってまいりまして、五百十億ということでセットをいたした、こういうことでございます。
  176. 林百郎

    ○林(百)委員 同時に、最初は臨時沖繩特別交付金は十年間で通常の交付税財源に切りかえていく、こういうようにたしか自治省で言っていたと思うのですが、これが五年に短縮されたというのはまたどういうわけなんでしょうか。何か自治省が後退、後退をしているように思うのですが。
  177. 鎌田要人

    鎌田政府委員 率直に申しまして、この私どもの臨時沖繩特別交付金、これにつきましては、まず一つの有力な異論といたしましては、現地でも実はそうであったわけでございますが、ちょっと誤解があったのではないかと思うのですけれども、沖繩県を交付税のワクの外にはじき出して差別扱いをするのじゃないか、こういったような、言い過ぎるかもしれませんが、誤った前提に立ってかなり異論がございました。それと同時に、十年間というのは、何ぼ何でも長いではないか、早く交付税の中に一本化すべきではないか、こういう意見がございまして、それで十年で本土と一本の交付税の中に入れるというのを四年にいたしたわけでございます。五年目に内地と全く同一の交付税の中に取り入れるということでございました。これは早くこの一体化をはかるという趣旨に御了解いただきたいというふうに思うわけでございます。
  178. 林百郎

    ○林(百)委員 早く一体化はいいけれども、この臨時沖繩特別交付金の繰り入れが、十年と五年ではそれだけ少なくなるということじゃないですか。だから自治体負担する額がそれだけ多くなるので、やはりことばでは早く本土並みになるのはいいにしても、財政的には非常に無理がそこに、十年と五年では生じてくる。倍になるわけですからね。というように思うので質問しているわけです。  時間がありませんので、この点はまたあとで沖繩の問題についてはお聞きしたいと思うのですが、もう一つ沖繩の問題で気になることは、四十七年度予算編成当時、沖繩がかかえている赤字が約二百三十六億円といわれておるわけです。これは現地の新聞にも発表しておりますし、方々の新聞にも発表しておって、こういわれているわけですけれども、ここで鎌田さんにお聞きしたいのは、昭和四十七年度予算で、二百三十六億円借金のうちの約二十五億の処理をきめられた、そのうち約十億が国の一般会計で支出することとし、残りの約十五億はこのたびの臨時沖繩特別交付金で処理すると聞いておるが、これはそのとおりでしょうか。大蔵当局と自治省に聞いておきたいと思うのです。
  179. 鎌田要人

    鎌田政府委員 そのとおりでございます。
  180. 加藤隆司

    ○加藤説明員 そのとおりでございます。
  181. 林百郎

    ○林(百)委員 それではこのことについて私の見解を申し上げたいと思いますが、沖繩県の自治体のかかえている赤字というのは、米軍の占領下にあって財源の多くを日米両政府援助資金に依存しなければならない特殊な財政構造を押しつけられていた、しかもそれらの不十分な援助資金は使途を厳密に指定されたひもつきの財源であったために生じたものであると思うのです。その中には当然援助資金として与えられるものとして予算に組み入れてありながら、アメリカの一方的な判断で与えられなくなったために、やむを得ず借り入れ金で補ったという借金も含まれていると思うのです。これらの赤字は当然国において、これは沖繩が四分の一世紀に及んでアメリカ軍に占領されていたという特殊なことから生じた借金なんですから、これは当然国の責任において返済すべきものであって、臨時沖繩特別交付金というような、沖繩が独自で自立財源として使えるものを、異民族支配のためにやむを得ず負った借金を臨時沖繩特別交付金から返すということは筋が通らないと思いますけれども、これは国税に関する重要な問題ですから、次官と、それから大蔵省にこの問題を聞いて私の質問を終わりたいと思いますが、これはやはり国が処理すべき問題ではないでしょうか。
  182. 加藤隆司

    ○加藤説明員 昨年のいわゆる沖繩国会におきまして御審議をいただきました臨時特例法という中に、琉球政府の債権債務、事務、事業性格に応じて県または国が引き継ぐというような強い考え方が打ち出されておりまして、先生のお話しのとおり琉球政府は非常に戦後苦労いたしまして、いろいろな事情もございましょうが、相当多額赤字をかかえ込んでおることは事実でございます。日本政府が琉球政府に対して財政援助を始めましてからずっと経過を見ますと、米民政府援助は暫時減少しつつありましたが、片や日本政府援助は大幅に増を続けまして、たとえば四十六年度の場合には日本政府のほうから約六百億の援助をしております。そういうようなずいぶんと重点的な援助をやってまいりました。にもかかわらず、赤字があることは事実でございます。しかしながら、内地の類似五県のいわゆる財政借り入れ金と比較してみますと、必ずしもそう大きなものではなくて、大体同じくらいの金額でございます。それでわれわれのほうといたしましては、臨時特例法の考え方によりまして事務、事務に応じて国政負担分あるいは県政負担分というような振り分けをやりまして、先ほど先生のおっしゃいましたような国負担分として十億、地方負担分といたしまして十四億九千三百万というような措置を四十七年度予算においてやったわけでございます。それで今後の赤字の償却の見通しでございますが、内地類似県の負債残高と比べまして、それから沖繩の一般財源の見通しから見まして決して過重な負担にはなってない。相当大幅な国庫補助の率のアップもやっておりますし、それから自治省のほうも交付税のほうで御配慮をされるように聞いておりますので、決して御心配は要らぬのじゃないか、そういうふうに思っております。
  183. 小山省二

    小山政府委員 沖繩の財政的な赤字対策でございますが、自治省として必ずしもこれに対して全面的な責任を持つという立場でもございませんが、従来からのいきさつ等も考えまして、できるだけ自治省としてもそういう問題について御協力を申し上げたいという考え方政府のほうともいろいろ話し合いをいたしまして、公共事業に関する赤字分については七〇%、従来の赤字に対しては五〇%程度交付税の中でこれを処理しよう、こういう考え方で作業を進めておる次第でございます。
  184. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、答弁要りませんけれども、加藤さんに申し上げておきますが、本土の類似県と比べて交付税相当の特別交付金が多いではないかというようなお話なんでありますけれども、これは沖繩の実情をお知りにならないからあなたはそう言われる。やはり四分の一世紀も長い間アメリカ軍に支配されて、水も土地も港湾も全部アメリカ軍に支配され、そうして自分の思うような自主的な単独事業もできないような状態に置かれて、荒廃に荒廃を重ねていた沖繩県ですかう、これを異民族支配を受けなかった本土の類似県より額が多いから心配したことはないということにはならぬと思うのです。かりに心配するしないは別にしても、そろいう国策的な事情から生じた二百何十億という、沖繩の自治体が異民族支配のためにやむを得ずしょい込んだ借金というものは、これは国が見てやるのが筋ではないか。そうして本土の類似県より少し多い交付金がいった場合には、長い間枯渇していた自主的な単独事業のほうに沖繩県が手を回すようにする、それが筋ではないでしょうか。私は筋のことを言っている。あなたが幾ら心配するなと言っても、こっちは心配せざるを得ないので言っておるわけで、少し加藤さんのおっしゃることは、沖繩の実情を知らない、沖繩の歴史的な条件を無視したことばだと思いますので、そのことを申し上げて、答弁があればお聞きしますし、私の質問はこれで終わります。
  185. 大野市郎

    大野委員長 次回は、来たる十一日火曜日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十六分散会