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1972-04-04 第68回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月四日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 上村千一郎君 理事 大石 八治君    理事 塩川正十郎君 理事 中村 弘海君    理事 山口 鶴男君 理事 小濱 新次君    理事 門司  亮君       高鳥  修君    中山 正暉君      橋本登美三郎君    宮澤 喜一君       村田敬次郎君    綿貫 民輔君       細谷 治嘉君    山本弥之助君       横山 利秋君    桑名 義治君       和田 一郎君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 渡海元三郎君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   中村 寅太君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       土金 賢三君         警察庁刑事局保         安部長     本庄  務君         警察庁交通局長 片岡  誠君         自治政務次官  小山 省二君         自治大臣官房参         事官      森岡  敞君         自治省財務局長 鎌田 要人君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      加藤 隆司君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 委員の異動 三月三十一日  辞任         補欠選任   桑名 義治君     宮井 泰良君 同日  辞任         補欠選任   宮井 泰良君     桑名 義治君 四月三日  辞任         補欠選任   綿貫 民輔君     中馬 辰猪君 同月四日  辞任         補欠選任   中馬 辰猪君     綿貫 民輔君   華山 親義君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     華山 親義君     ――――――――――――― 四月一日  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇三号) 三月三十一日  市街化区域内農地宅地並み課税反対に関する  請願寺前巖紹介)(第一九八八号)  同(柳田秀一紹介)(第一九八九号)  同(寺前巖紹介)(第二〇一八号)  同(柳田秀一紹介)(第二〇一九号)  同(寺前巖紹介)(第二〇五二号)  同外二件(柳田秀一紹介)(第二〇五三号)  同(寺前巖紹介)(第二〇八七号)  同外二件(柳田秀一紹介)(第二〇八八号)  同(寺前巖紹介)(第二一二三号)  同外二件(小川半次紹介)(第二一四三号)  同(西中清紹介)(第二一四七号)  ドライブイン等において酒類の販売を禁止する  法律の制定に関する請願外一件(大石八治君紹  介)(第二〇四九号)  同(堂森芳夫紹介)(第二〇五〇号)  同(粟山ひで紹介)(第二〇五一号)  同(池田禎治紹介)(第二一二四号)  同(山本政弘紹介)(第二一二五号)  同(和田春生紹介)(第二一二六号)  自動車運転免許関連業者生活権擁護に関する  請願大野潔紹介)(第二一二七号)  市街化区域内農地宅地並み課税反対等に関す  る請願下平正一紹介)(第二一七五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第七八号)  警備業法案内閣提出第八五号)  昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関す  る法律案内閣提出第五五号)      ――――◇―――――
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。塩川正十郎君。
  3. 塩川正十郎

    塩川委員 最初にちょっとお聞きしたいと思うのですが、交付税改正につきまして、今回提出されておりますのは、昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関する法律案となっておる。四十五年のときもこういう立法でありました。ところが、昨年は、地方交付税法の一部を改正する法律案となっておる。そこで、第何年度分の交付税特例というのと、ただ単に一般的な交付税改正というのとはどういうふうに違うのか。立法のしかたというのですか、これの相違ですね。それをまず最初にお聞きしたい。
  4. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは、地方交付税法の一部を改正する法律ということでことしの場合改正をいたしませんでしたのは、御案内のとおり、昭和四十七年度に限ります特例がございます。総額特例がございましたり、それから沖繩県が復帰してまいりますものですから、この沖繩県市町村に対しまする特例、こういった特例を、四十七年度及びそれに引き続きまする五十年度まで、あるいは借入金の返還期でございますと五十五年度まで、設ける必要があるものですから、それで交付税法の一部改正という形をとらなかったわけでございます。交付税法の一部改正という形をとります場合は、ことしのような、総額特例なり、あるいは限時的な特例というものを設けませんで、おのずから国税三税の三二%というものをもって財政がまかなっていける。その場合におきまして、単位費用等について改正を行なう。こういう場合に交付税法改正を行なう。こういうことになろうかと思います。
  5. 塩川正十郎

    塩川委員 それでは、一言で簡単に言いましたら、資金計画上に関するものの変更がある場合、その場合には特例措置をとり、資金計面関係がなくて、ただ単に交付税を配付する場合、その基準単位費用と申すのですか、そういうようなものの基準改正する場合には交付税の一部改正となる。大体そのように思っていいですか。
  6. 鎌田要人

    鎌田政府委員 仰せのとおりでいいと思います。四十七年度なら四十七年度限りの総額特例等措置を講ずる必要がある、臨時特例措置を講ずる必要がある場合にそういう形をとる。こういうふうに御理解いただいてけっこうかと存じます。
  7. 塩川正十郎

    塩川委員 これは、私は大臣に聞きたいと思っておったのですが、財政局長でひとつ御答弁をいただきたい。  昭和四十年度も非常な不況でありまして、それに対するいろいろな措置が、大きい柱で三つ講ぜられた。ところで、それと同じ程度、もしくはそれ以上の不況であると言われておる昨年からことしにかけましての不況でありますが、不況に対する自治省としての認識のしかたですが、大蔵自治との間では、不況に対する認識のしかたが相当違うように思う。ということは、税制改正等を通じまして、私いろいろ意見を聞いておりましたら、自治大蔵の間で、不況に対するとらえ方が若干違うように思うのです。そこで、四十年度の不況現実と、それから四十六年、四十七年の不況の性質のとらまえ方、これについての自治省見解を一応聞いておきたいと思うのです。これが一問。  それから、四十年のときには、不況は非常にきびしかった。けれども地方財政決算を見ました場合に、結局それほど財政落ち込みがなかったというふうになっております。そこで、この際非常に大事だと私が思いますのは、四十六年から四十七年にかけての不況も、四十年のようにやかましく言っておるけれども落ち込みはそれほどでもないというような安易な考え方地方団体の中に若干なきにしもあらず。そう思う。各層にわたる地方団体予算を見ますと、若干そういう気配もあるように思うので、その落ち込みに対する見方。四十年の場合と四十七年の場合とは落ち込みのしかたがだいぶん違うと私は思うので、そういう点についての見通しをひとつお聞かせいただきたい。
  8. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御指摘のとおり、前回昭和四十年から四十一年にかけましては、経済成長率というものがきわめて鈍化をいたしまして、たしか五%を切ったのではないかと思いますが、そのときにおきまして、御案内のとおり、地方税収入も五・三%しか見込めなかったわけでございます。ところが、このときにおきましては、四十一年度に入りますと、すでに景気回復に転じ、すみやかな上昇過程に転じたわけでございまして、四十一年度におきまして見込んだ税収よりもかなり大幅の増収というものが結果的にはあらわれたわけでございまして、四十二年度以降は、税収におきまして二割程度伸びというものが四十五年度まで続いてまいったというのがこの前回の状況でございました。  御案内のとおり、今度の四十六年の夏以来の不況というものにつきましては、これはいろいろ見方があるようでございます。ただ、私どもは、今度の国、地方を通ずる予算編成課程においてもそういう議論があったわけでございますけれども、ことしの秋口から景気回復過程に転ずるのではないだろうか。最近、私どもも、もちろんしろうとでございますけれども、いろいろな情報を収集いたしておるわけでございますが、景気底入れ、たとえば在庫投資というものが大体減少の限界に来たといったこと等を根拠にいたしまして、大体景気底入れというものが終わったんじゃないだろうか、したがって、これから秋口にかけて上昇に転ずるという期待が持てるのではないだろうか、というふうに存じます。  ただ、問題は、かつて昭和四十二年から四十五年にかけまして、交付税も、あるいは地方税も、年率大体二割程度伸びてまいりました。こういう高い税収交付税伸び、したがってその背景をなしますところの経済の高い成長率実質で一三とか一四%の伸び。こういう時代というものは来ないのではないだろうかという認識を持っております。したがいまして、かつてのような地方財政規模の急激な連年の上昇拡大ということは、これは考えてもいけないし、あるいはまた見込めもしない。そういうことから、地方財政の長期的な計画的な運営ということを、これまで以上に強調をしてまいらなければいけないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  9. 塩川正十郎

    塩川委員 四十年のときはやっぱり明るい見通しが将来においてはあった。だからして、決算を見ましても、予想以上の増収になったとあなたがおっしゃったとおり。そこで、四十七年の現在の不況においても、将来はまたよくなっていくんだ、いつかは取り返せるのだというような気持ちが相当濃いように思う。あなた自身もそういうことをいま答弁しておられる。そういう考え方が、今度の四十七年度の地方団体予算編成にあたっての財源補てん債というようなものにあらわれているのであって、安易にこれによっていこうという気持ちがあると思うのです。ところが、私の見通しとしては、将来における経済成長というものは鈍化してくるし、四十年において将来を見通したものと、四十七年において将来を見通したものと相当違うと思うのですが、そういうものに対するきびしい認識と指導というものが足りないのではないか。であるから、この四十七年度予算を見ましても、非常に安易な、いつかはこれは取り返せるのだというような気持ちが相当強いように思うのですが、私は、そうはいかないのではないか、だんだんと落ちてくると思う。そうであるとするならば、交付税対策というようなものもひっくるめて、地方財政そのものにそういうきびしさというものを認識させて、そして、そのかわり、反面において、地方への財源をどうして確保していくかということを積極的に考えていくべきじゃないかと思うのですが、そういう点がからんでおらないように思うので、これに対するあなたの見解をひとつ聞きたいのです。
  10. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御指摘のとおりだと思います。私ども、実は、ことしの予算計画、あるいはその前提となります財政対策の論議をいたしております過程におきまして、いま御指摘になられましたことを反省をしながら伺っておったわけでございますが、私ども気持ちといたしましては、やはり、これだけ大規模景気の浮揚のための国の公共投資というものが行なわれる、あるいは社会福祉面での充実というものが行なわれるといったことによりまして、ことしの秋以降上界過程に転ずるということにつきましては、これは、一国の経済運営の姿といたしまして、閣議決定等でも相なっておるわけでございますし、そういう方向前提にし、また、そういう方向に持っていくということを考えながら、地方財政もひっくるめまして財政運営をしていかなければならないのではないだろうかというふうに考えております。ただ、繰り返して申し上げるようでございますけれども、従来のような、実質一〇%をこえるような高い経済成長というものは今後見込めない。この点は、私ども、機会あるごとに地方団体方々にも力説をいたしておるのでございまして、いままでのように、交付税税収がほうっておいても毎年毎年二割ずつふえていくという時代はもう来ませんよ、と言っているわけです。そういう申で、減税要求というものも強まるだろうし、あるいはまた社会資本の整備についての住民の方々要求というものも強まる一方でございますから、そういう中で、財源というものを、いかに効率的、重点的に、かつ長期的に、計面的に使っていくかということを絶えず考えていただきたいということを申し上げておるわけでございます。おっしゃいますように、景気先行きというのは、これはまことに予測は困難なものと考えられるわけでございますが、しかし、いつまでもこういう状態ではないのじゃないだろうか、やはり先行きは少しは明るくなっていくのではないだろうかという感じは、私ども、ある意味においては、祈りに似た気持ちで持っておるわけでございます。
  11. 塩川正十郎

    塩川委員 それじゃ先へ急ぎますので、簡単にお答えいただいてけっこうですが、第十五次地方制度調査会答申が出ていますね。その答申の中に二つ重要なことがあったと思うのです。一つは、義務的経費等一般行政費財源不足、これは交付税全額を補うようにするという答申があったと思うのです。それに対して今度の交付税配分について、全額これは対処しておるのかどうか。措置できておるのかどうか。これが一点。それから、景気対策としての公共事業財源。これに対しては地方債交付税で処置するということになっております。  そこで、この問題について二つの面から聞きたいのですが、一つは、あとからもう一つ聞きたいと思うのですが、この景気対策としての分はどのくらいのものが上積みされておるのかということ。これが一つ。それから、これに対して、景気対策の分として交付税措置はどうなっておるのか。聞くところによりますと、振りかえはしておりますね。交付税に、基準財政需要額に見込まないで、地方債振りかえ措置をしておる。それはすなわち景気対策の分なのかどうか。それをお答えいただきたいと思うのです。
  12. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ちょっと、景気対策の分の上積みというものにつきましての正確な資料はないわけでございますけれども、御案内のとおり、公共事業は、国におきまして大幅な増加をはかったわけでございますけれども、それに伴います地方費負担といたしましては、二千二百六十一億程度のものが増加に相なっておるわけでございます。投資的経費直轄事業公共事業、失対事業を含めまして二千二百六十一億程度のものが増加に相なっております。この中で、景気対策分としての上積みというものを明確に区分することはむずかしいわけでございますが、かりに、前年度増加額を上回る部分ということになりますと、地方費で七百億程度というものになろうかと思います。事業量全体を落としましたが、事業量全体といたしまして、増加額が、ただいま申しました二千二百六十一億に対応するものが五千七百十五億。それで、かりに、前年度増加額を上回る分が景気対策分だということになりますと、事業費で二千五百億程度地方費で七百億程度になるのではないかというふうに存じます。  それから、ことしの財政対策と第十五次地方制度調査会答申との関係でございますが、これにつきましては、義務的経費については全額地方交付税措置すべきだということと、それから、公共事業拡充に伴う財政需要増加については、地方債による財源調達とあわせて交付税措置すべきだということ、それともう一つは、いまお述べになりませんでしたが、所得税減税に伴う分は交付税率で恒久的に措置すべきだということ、この三つの柱を立てていただいたわけでございますが、現実措置といたしましては、所得税減税あるいは地方税減税、それから義務的経費不足分、こういったものをいわばミックスした形での千五十億の臨時特例交付金、それから、公共事業拡充に伴う財政需要増加プラス税収落ち込み等に伴います財源不足というものを補いますための三千五百億の地方債の増発、こういう措置でございまして、実は、いま、これで述べられておりますようなものを、この分が幾ら、この分が幾らということで明確な区分をすることはちょっとしがたいかと思います。
  13. 塩川正十郎

    塩川委員 私があとで聞こうと思った減税分落ち込み分まであなたに答弁してもらったので、話がごちゃごちゃになってきた。  そこで、いま聞いていますと、基準財政需要額から減額した三千五百億振りかえした分、これはいわゆる景気対策としての分だけじゃないわけで、一般公共事業、こういうものも含めて三千五百億の中に入っているわけですね。そうしてしまったのですね。そうしましたら、そういうことをなさろうという基準交付税法のどこに基づいてそういうことをされるのですか。また、かってにそういう基準財政需要額からことしこれを落とすのや、振りかえるのや、というようなことができるのだろうかどうか。これはどういう考え方なんでしょうか。
  14. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御案内のとおり、毎年、交付税の額、それから税収伸び、この両方によりまして、交付税基準財政需要額伸びというものがきまってまいるわけでございます。御案内のとおり、ことしは、当初は、税も交付税もほっておきますと七%の増しか見込めない。そこでその交付税におきまして、沖繩を含めまして二〇%、沖繩を除きまして一九・六%、ほぼ前年に準ずる伸びというものは確保したわけでございますけれども税収伸びというものが七%、特に、府県の場合でございますと二・四%しか伸びなかった。こういうことがございまして、この基準財政需要伸びと申しますのが、税の非常にひどい落ち込みというものによりまして、府県伸びで、需要額伸びが一〇・六%、市町村で一五・九%しか伸びが見込めなかったわけでございます。そうなりますと、経常的な経費の分、たとえば給与費でございますとか、あるいは生活保護老人福祉といったような、当然義務的な経費として入ってまいりますものは、これは何といたしましても交付税措置しなければならないわけでございますので、いわゆる経常的経費というものをそこで埋めていく。そうしますと、結局、投資的経費というものをどの程度に伸ばすかということになりますと、もう入れものが一ぱいになってしまうということからいたしまして、投資的経費の中で、いわゆる事業費補正を中心にいたしましたものを地方債のほうに移しかえていく。こういう措置をとらざるを得なかったわけでございます。  これは、御案内のとおり、昭和四十一年には、基準財政需要落ち込みがもっとひどうございました。たしか、あのときは、県で五%程度しか伸びが見込めなかったのではないかと思いますが、そのときにもそういう措置をとった例があるわけでございます。
  15. 塩川正十郎

    塩川委員 そうすると、基準財政需要額というものは総ワクがきまって、収入の総ワクがきまっておるのだから、それによって切ったり張ったり、一部は地方債振りかえるということを前もやっておられるが、そういうことを恒常的にやっていくということになりました場合、交付税を創設した趣旨とだいぶ違ってくるのじゃないか、交付税そのものの性格が変わってくるんじゃないか、と思うのです。これをひとつはっきりとしておいていただきたい。  それから、そのようにして、要するに、それじゃ地方でお立てかえしておいてくれ、交付税が配付できないから地方債という費目でお立てかえしてくれ、ということになっておるわけでありますね。そうすると、その分は、その地方債を返すときには交付税でちゃんと措置いたします、あとあと払いいたしますから、とりあえず三千五百億円お立てかえしていただきたい、こういう趣旨なんですか。
  16. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは、私は非常に問題のあるところだろうと思います。問題があると申しますのは、いままで交付税が、ただいまも申しましたように、年々税が二割伸びる。こういうときでございますと、基準財政需要の立て方におきましても、たとえば事業費補正というものを組み込んでまいりました。また、昨年、一昨年でございますと、土地開発基金というものを組み込んでまいりました。これはやはり、ある程度交付税というものが経済好況にささえられて伸びておるときにはそういう措置というものができる。しかし、交付税が、一ぺん経済不況ということに見舞われまして落ち込みがある場合においては、そういう好況時にとられた措置というものについて、あるいはこれを起債に振りかえる。あるいは土地開発基金のように停止する。こういった、いわば弾力的な運用というものは当然考えていってしかるべきものではないかという気がするわけでございます。  それから、もう一つの問題といたしましては、やはり地方財政の中におきまして、地方債というものをもっと活用していいのではないだろうか。現在の国民の租税負担ですべての仕事をやるということではありませんで、もう少し地方債に依存してもいいのではないだろうかという感じを持っております。今回の場合の措置といたしましては、これはやはり、景気不況というものに対しまして、まさに臨時特例的にとられた措置でございます。こういう状態がある程度引き続く状態になりますと、これは当然交付税法第六条の三の規定によりまして、交付税率引き上げ、あるいは地方行財政制度改正ということに早急に取り組まなければならないということにもなろうかと思います。そういうことと関連をいたしまして、いまの三千五百億の地方債元利償還費の取り扱いということについては検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  17. 塩川正十郎

    塩川委員 その、検討内容をもうちょっと詳しく言ってください。ただ単なる検討だけでは、あとで何にもやらなかったということもありますし、検討内容を少しはっきり言ってほしいのです。
  18. 鎌田要人

    鎌田政府委員 かりに、税あるいは交付税伸びというものが、私どもの予期しておるように伸びてまいらないということになりますと、これは引き続きまして交付税総額というものが足りない、足りる、の議論になろうかと思います。そうなりますというと、これは当然交付税率引き上げの問題、あるいはこの法律にございますような行財政制度改正の問題、こういうことに発展をする。あるいは、そうでございませんで、ある程度景気回復が順調にまいりまして、税収なり交付税なりというものが、かつてのような二〇何%という高率ではございませんにいたしましても、ある程度地方財政運営に支障のないような伸び率ということになりますれば、その段階におきまして、元利償還費財源措置という問題は考える必要はないんじゃないだろうか。こういうふうに思っているということでございます。
  19. 塩川正十郎

    塩川委員 そこで、鎌田局長さん。将来、地方財政は、現在の制度のもとにおいてでも、かつての四十年のような復活があり得ると言うが、私は、それはやはり私が言う根拠があるような気がしてならぬのですがね。これから個人の所得税減税されていくであろうし、また、酒税等伸びというものも停滞していきます。そういたしますと、国税三税の伸びというものはいままでのような伸びは期待できない。これはもう見通しははっきりしておると思うのですよ。そういう中で、地方税もやはり住民税減税を中心として減税措置を講じていかなければならぬ。一方、経済成長というものはそう高くない。これはどうしてもサンドイッチにはさまれてきて、四十年のときのような、あとの反発力というものはない。あの四十年のときのことがどうしてもあなたの頭の中にあるような気がしてならぬので、その点はひとつ深刻に考えてもらいたい。こう思うのです。  そういたしますと、この三千五百億円というものは、やはり国で何らかの措置をはっきり考えてやらないと、その分はまるまる地方負担として、将来において財政を圧迫してくることは当然だと思うのです。あなたのおっしゃるるように、地方債財政計画の中にもっと有効、適切に利用していくべきだということはもう大いに賛成です。それならば、やはり、地方債そのものに対する根本的な原則というものを立ててやらなければいかぬと思うのです。まあ、私は別にこれをやかましく言うわけじゃないのですが、現在のように安易に財原補てん債的なものをどんどん許しておるところの地方債の運用というものはいかぬのであって、国の国債においても、建設的国債に限るというようなことで論議されておるのです。そうならば、地方債に対してもっとはっきりした指導をして、その上においてまた地方債の上限も考え直して、検討して、そしてその地方債を積極的に活用するということ、こういうことはやはりあわせて根本的に考えるべきじゃないか。こう思いますが、それはまあけっこうです。  それから私が聞こうと思っておったのをあなたはさっき先に答弁してしまったのですが、減税補てんの特別交付金で一千五十億円ですか、あった、借り入れが千六百億あったというのですが、この減税補てん分として私たちは一千五十億円というものを認識しておるのだが、ところが、大蔵のほうの言い分はそうじゃないと、こう言う。そこで、特例交付金というものは大蔵自治との間に原則論があるのですか。こういう場合には特例措置をしようという原則があるのですか。場当たりでわあわあとそのときの力関係で取るんだ――私は年末の陳情にかり出されてやいやいやっておりましたが、そういう原則がなくして特例金がつかみ金で出るということでは、これは将来の国と地方との財政上に非常に不安定な要素を残しておくんじゃないかと思う。特例の交付金を出すというのは、この際原則論をしっかりと踏まえておこうじゃないかということを私は論議しておったのですが、自治省のほうの考えはどうなんですか。
  20. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御指摘のとおり、臨時特例交付金あるいは交付税率引き上げ、あるいは特会借り入れ、あるいは起債、こういったいろいろな財政手段というものがあるわけでございますが、ルールをつくると申しますか、そういうことは望ましいことだと思います。たとえば、その一つのルールといたしましては、所得税減税あるいは地方税減税、こういうものに伴うものについてキャッシュで出す道をつくる。あるいは景気の停滞に伴いまして、義務的な経費というものに不足を生ずる。これについては特別会計で借り入れをする。将来交付税収入がふえた場合にはそれを返していく。あるいは建設投資というものに対しまする財政需要が多い場合には、これについては起債をもって考える。まあ、こういったようなルールというものを立てることが望ましいかと思います。  ただ、その場合に、やはり今度の予算編成過程で論議になりましたのは、それでは所得税が増税をするときには、その分の扱いはどうなるんだ、増税のときには黙って取っておいて、減税のときにはその分を埋めるというのも筋が立たぬではないかという議論もございます。何よりも、御案内のように、かつての時代と違いまして、来年度におきましては、国税も五千五百億しか自然増収というものがない。その中から、結果的には二千八百億程度のものが地方財源として回っていくという形になるわけでございますので、そこのところは、結局国のふところぐあい、地方のふところぐあい、両方をにらみ合わせますと、ルールというものはつくるべくしてなかなかつくりがたいというのが現実の姿かと存じます。ただ、千五十億の臨時特例交付金というものの中には、ただいま申しましたような所得税減税による減収、あるいは地方税減税による減収、こういったものに対する配慮というものが中心をなしておるということは言えるかと思います。
  21. 塩川正十郎

    塩川委員 大蔵省、加藤さんですか。これは減税補てんですね。どうでしょうか。
  22. 加藤隆司

    ○加藤説明員 千五十億につきましては、ただいま財政局長からお話がありましたように、直接減税とは関係がない。ただ、四十七年度の地方財政財源事情、その他の国の財源事情等を考えて措置したものだというふうに考えております。ただ、地方税の大きな減税があったということは十分考慮しての上のことでございます。
  23. 塩川正十郎

    塩川委員 それじゃ、大蔵省のほうで千五十億という特例交付金をつけたおもな理由はどういうことですか。
  24. 加藤隆司

    ○加藤説明員 財源問題は、御承知のように、財政需要のほうからまいるわけでございますが、地方財政を二〇%程度伸ばしたい、どうしても伸ばすべきであるというような考え方になりますと、どういたしましても、国のほうも地方のほうも財政規模が約二兆伸びておるわけでございますが、そのうち国は経常財源が約五千五百億、地方は経常財源が一兆四千億、地方債借り入れ金が約六千五百億ということで、国と地方では経常財源と借金の割合が逆になっておりまして、国と地方のこういうような財源事情、こういうことを考えて措置をしたわけでございます。
  25. 塩川正十郎

    塩川委員 それじゃ、一千五十億という数字を出してきたのは、どういうところからなんですか。これがわからぬのですがね。
  26. 加藤隆司

    ○加藤説明員 これはこまかい査定の、あるいは作業の経緯になりますので、大ざっぱに申し上げますと、自治省のほうに、御承知のように、一兆という財源ギャップがあったわけでございます。(塩川委員「その基礎だけでけっこうです」と呼ぶ)これを、自治省のほうが、各省の要求段階のときにおとりになった。それからもう一つは、経済見通しにつきまして、企画庁の、政府の正式見通しができる前におつくりになったものでございます。こういうような計数の確定を待って整理をいたしますと、御案内のように約八千億というようなことになりまして、それぞれ交付団体、不交付団体というような団体別に需要と財源の様子を見まして計算をいたした結果出てきた、結果的な数字でございます。
  27. 塩川正十郎

    塩川委員 私は、ここで二千六百五十億円を交付金で渡すというのは筋が通っておると思うのですが、千五十億円を出したということは、これは地方税減税分、これに相応した数字と思わざるを得ないと思うのです。これをあくまでも否認されるのですけれども、それならば、これからこういう場合はこういう特例交付金を出そうという話し合いをされますか。どうですか。そういうルールを大臣間できめておかないと、毎年これは繰り返すようになってくる。そしていつの間にか、こういうものの貸し借りの問題とからんで、地方の固有財源であるなどというようなことを言えなくなってくる。大蔵省の出先特別会計であるというようなことになってくる。それを非常に心配するのですが、それはもう地方の固有財源なら固有財源として割り切っておるのだから、それに対するものの措置は全部規則でやるのだ、ルールでやるのだということを確定すべきだと思うのですが、どうですか。
  28. 加藤隆司

    ○加藤説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、われわれのほうは国税三税の三二%が地方に渡るべきものだと考えておるわけでございます。それで、先ほどの御指摘は年度間調整の問題かとも思うのでございますが、過去の交付税体系ができまして以降、いろいろ調べていきますと、何回かの特例措置をやってまいっておるわけです。この点は、四、五年前から、四十年ごろから、交付税制度の中に年度間調整制度をどういうふうに設けるかというような議論を、自治省とわれわれのほうとで、おりに触れてやっておるわけでございまして、交付税特会法の中にもそれらしき条文があるわけでございます。これからは国の財政をめぐる環境がかなり変わってまいりますので、年度間調整――いままでは特例交付金のかっこう、あるいは俗に貸し借りのやり方、あるいは先ほど財政局長が言われましたように、土地開発基金に積み込むとか、あるいは景気調節基金に積み込むとか、あるいは積み立て金の増とか、そういうふうに現行制度の中でいろいろやりくりをやってまいったわけでございますが、おっしゃるとおり、もしもこういうような事態が何回も起こるというようなことになりますれば、年度間調整制度というような問題ももう少し積極的に勉強してみなければいかぬというような感じは持っております。
  29. 塩川正十郎

    塩川委員 これは大臣がおられないので政務次官にお聞きしたいと思うのですが、第一に、貸し借りの状態を見ますと、千六百億円借りた。それから去年は国のほうから千二百九十五億六千万円を借りている。逆に、国に貸してあるやつの残高が六百億円ありますね。(「三百億」と呼ぶ者あり)差し引きいたしましても、いずれにしても二千何百億円あった。来年どうだろうかと見通しましたら、来年も特例交付金をもらわなければまたやっていけない状態になっておる。そうでなかったらまた振りかえだ。こんなことばかりやっておる。そうすると、これは借り入れ金は実際返していけますか。来年また借り入れ分はふえますよ。必ずふえますよ。ふやすのがいやだったら、振りかえ措置をして、基準財政需要額を減らさなければしようがない。どういう方針でいかれるのか。もし、どうしても、借り入れで補ってでもやっていこうとするならば、これは返せません。だんだん返せなくなってくる。そうした場合に自治省としてどう対処するのか。交付税率引き上げということにしていくのか。そうではなくして、また別の方法を講じていこうとされるのか。ちょっと方針を聞かしていただきたいと思います。
  30. 小山省二

    ○小山政府委員 地方財政にとっては、たいへん貴重な、示唆のある御質問のように私は承知しております。地方財政というものをもう少し弾力的に考えなければならないということは、従来からもしばしば論ぜられておるところで、言うならば、景気の変動に非常に大きく影響されやすい三税を財源に、三二%という固定化した交付税率制度というものは、はたして地方財源にとって違当な制度であるかどうかということは、これは、私は、相当問題があるように考えております。したがって、将来交付税率の改定に及ぶかどうかという問題でございますが、私は、大きく言って、やはり国の景気見通しが相当大きくそれらの問題に関連をしてくるのではないかと思う。現在の国の考え方、あるいは予算編成の方針といたしましては、できるだけ早期に景気回復をはかる。したがって、回復されるということを前提にことしの予算の編成が行なわれておるわけでございます。したがって、二千何百億の借り入れ金については、将来景気回復されることを前提として、これは相当長期間にわたって、地方財政の影響の及ばないような配慮の上に立って返還計画というものが定められておるわけでございます。先ほど、一部公債財源振りかえたというような御指摘等もございましたが、地方交付税の性格からいきましても、必要な財源措置というものは、当然交付税において確保されなければならぬ。こういう原則の面から考えますと、交付税率というものがもう少し弾力的に処理されるほうが、国、地方を通ずる一貫性の上から言っても適当な考え方ではなかろうかというふうに、私自身、実は、個人的な考えでありますが、さような考え方を持っておるわけであります。しかし、現状におきましては、交付税率というものはやはり軽々に変更すべきではない。また、多少、そのときそのときの景気の変動によって生ずる問題については、借り入れ金の制度であるとか、あるいは臨時特例交付金のような制度であるとかの方法によって、当面それらの事態に対処するということがいまの大蔵当局はじめ政府間の考えであるわけでございますが、私は、地方交付税というものはもう少し弾力的に処理されることが、いまの地方財政の現状から見て適当のように考えておるわけでございます。まだ、この点については、私と大臣の間で十分話し合いをいたした上の結論ではございませんので、これは単に私の考え方として御了承をいただきたいと思う次第でございます。
  31. 塩川正十郎

    塩川委員 弾力性というのは、あなたのおっしゃるのは、たとえば三二%を基準線にしての、いわゆる変動為替制みたいなやつですね。悪いときは三五%までいく。いいときは三〇%でとめる。そういういわゆるフロート制をしけということですね。そういうことですか。
  32. 小山省二

    ○小山政府委員 まだ確定的な結論ではございませんが、考え方としては、私は、そういうふうに、多少弾力的に上下の幅を持たせることの可能な方法で処理したらよろしいのではないかというふうに考えております。
  33. 塩川正十郎

    塩川委員 加藤さんにちょっとお聞きしたいのですが、これは来年も特例交付金を出さざるを得なくなってくると思うのです。といいますのは、先ほど来、私は、政務次官なり、あるいは局長の話を聞いておりまして、どうも合点がいかないのは、基準財政収入額の伸びよりも基準財政需要額伸びのほうがはるかに強くなってきておるというのが現実なんですね。そうしたら、いつまでたっても基準財政収入額は追っていけない。そういうことは私ははっきり出てくると思うので、そのたびごとに財源不足特例交付金、こう言う。そういたしますと、特例交付金というものが、その額は毎年変動するにいたしましても、そういうふうに幾らかずつ毎年入れていかなければならぬということが継続されてきました場合には、率の問題はなくなってしまって、率よりも実際の額ということになってくるような感じがする。そうした場合の国と地方との交付税率の取りきめというものは変動せざるを得ないことになってくると思うのですが、この辺どう考えますか。
  34. 加藤隆司

    ○加藤説明員 一つは、やはり経済見通しが問題だろうと思うわけです。もう一つは、財政構造の中の需要面でございますが、経常的な、いわゆる消費的な経費のほうは増加するにいたしましても、投資的な経費は、われわれの職業ことばで皆減、皆増と申しておりますが、たとえば百億で道路をつくる。翌年はその百億はまた道路にいくわけです。ですから、絶対額がある程度の水準になりませんと、増加額とか増加率という問題がはたして出てくるであろうか。こういう問題が一つあるのではないか。ですから、経済見通しの問題、それから、財政需要の中のそういう増減率にきいてくる質的な問題が量にどういうふうに関係してくるかという問題があると思うのです。この辺が将来どういうふうになってくるのか。これは非常にむずかしい問題でございますが、必ずしも、いままでのように、千億ドルの経済が二千億ドルになった場合に、率がやはり一〇%ずつ伸びていくかどうか。これは、絶対水準が大きくなってくれば率が落ちてくるのは当然でございますから、必ず二〇%で伸びなければいかぬのかどうか。この点は、そういう財政需要の質の問題と、それから、そういう量的な問題とがありまして、経済規模の拡大に伴う増加率、増加額の問題というのは、必ずしもいままでのようにいくのかどうか。これは、そういうことはあり得ないのじゃないかと思うわけです。したがって、本年非常に悪かったということはございますが、何せ、これは、国内外両方からくる非常に異常な事態でございますから、特例交付金という、まさに特例の交付金なんであって、これが恒常化されるということではおかしいわけでございますから、そういうような三つのことを私は考えるわけでございます。
  35. 塩川正十郎

    塩川委員 鎌田局長にちょっとお聞きしたいのですが、さっき言ったように、大蔵省が、景気伸びが停滞してくる、したがって、極端に言えば交付税の額だって落ちてくるから、それに対処することをしなければいかぬと、こう言った。ところが、片方において、一面、いわゆる福祉行政というものをどんどん積極的に進めていかなければならないということになれば、これは基準財政需要額をどんどん増加していかなければならない。それを交付税ワク内でどう処理しようとするのですか。結局、基準財政需要額をうんとふやしていくという方法を考えているのか。そのワク内の対策と見通しをどのように詰めていくか。
  36. 鎌田要人

    鎌田政府委員 考え方といたしましては、当面の景気見通し、これに伴いまする交付税なりあるいは税収伸び等の問題にからまります。これにつきましては、先ほどからるる申し上げておりますように、従来のような高い伸びはないにしても、ある程度の上向きといいますか、伸びというものは想定して間違いはないのじゃないだろうか。したがいまして、それでその経常経費的なものはできるだけまかなっていく。投資的な経費につきましては、ある程度交付税地方債というものを連動して使っていく。それでも、どうしましても、交付税でもってまかないがたいという状態が引き続きます場合には、当然、これは交付税率改正の問題ということになってくるだろうと思います。
  37. 塩川正十郎

    塩川委員 ひとつ具体的なやつを聞きたいのですが、今度の法改正で過疎、過密対策というのをうたっておるが、過密対策はたいしたものは出ておりません。わずかに、私らがこれはよくやってくれたと思うのは、公園費を都市計画費の中から分離して一つの項目を立ててくれたということが特筆大書すべきだと思うのですが、そのほかはたいしたことはない。ところが、かねてから、人口急増地域の市町村、あるいはそれをかかえておりますところの府県等は、これらの地域における指定事業に対して財政的な特別措置を講じてほしいということを言ってきておる。この法案を自治省のほうでも準備をされたことがありました。あれはたしか九つの指定事業だったと思うのですが、これはぜひわれわれも実現したいと思っておるのですが、その場合にちょっと私は漏れ承ったのだが、この財政特別措置法ができなければ、できるだけ交付税で見ていきますなんてことを言っておったと思うのですが、これは非常に安易な考え方で、そういうことをしてはいかぬのであって、交付税、いわゆる内輪の金のたらい回しをやるというような解決の方法はいかぬと思う。だから、これはこれですっきりとした財政的な特別措置というものを講じていくのかどうか。こんなものは交付税で、積算単位費用ですか、これをちょっと変えて措置していくというような性質のものじゃないと思う。その点、自治省のはっきりした態度というものを私は伺っておきたいと思う。
  38. 鎌田要人

    鎌田政府委員 四十七年度の予算要求関連いたしまして、私ども、人口急増市町村の義務教育施設、幼稚図、保育所、清掃施設、こういったものの整備につきまして、国庫補助負担率のかさ上げを内容とする法律案を用意いたしたことは、そのとおりでございます。結論的には、義務教育施設につきまして、小学校の校舎建設費補助率を三分の一から二分の一に引き上げになりましたこと。それから、ごみ、屎尿等の処理施設につきまして、補助単価の改善が行なわれました。それから、都市公園に対しまする国庫補助制度、これも拡充を見ました。そういったことで、一応、四十七年度の措置といたしましては、私ども法律案立法過程までには至らなかったわけですけれども、引き続きまして人口急増市町村の財政の実態というものをさらに精査いたしまして、立法措置を続けてまいりたい。こういう段階でございます。
  39. 塩川正十郎

    塩川委員 これに対する立法措置自治省は必ずやるということですね。
  40. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは関係各省の協力がなければならないわけでございますが、私どもといたしましては、立法措置のために引き続いて検討するということでございます。
  41. 塩川正十郎

    塩川委員 そこをなりふりかまわずやっていただくというのをみな自治省に期待するのじゃないだろうか。ひとつ、政務次官、はっきり言ってください。
  42. 小山省二

    ○小山政府委員 最善を尽くして努力いたします。
  43. 塩川正十郎

    塩川委員 この一問で終わります。  このようにずっと一問いただしてまいりますと、確かに財政は非常にきびしい。したがって、国の地方に対する措置もなかなかたいへんであろうと思います。したがって、この際、自治省としても、地方団体を指導する中において、財政の効率化と、また、適正な使途というものについて、非常にきびしい指導をしなければならないと思うのです。  ところが、最近地方団体を見ておりましたら、地方団体の中でもなかなかルーズな面がある。一例を申しますと、地方公務員の給与の問題であります。給与の一例を見ましても、国家公務員より高いのだ。そういうのを指導するについて、これは交付税である程度配慮するとかなんとかいうことが当然起こるべきだと思うのです。こういうものに対する自治省としての指導。要するに、国もきびしければ地方もきびしいのだという感覚をそこに植えつけていくということについても、どういうようにしていかれるのか。一例を公務員の給与改善ということを問題にして私は言ったのです。今度の交付税措置で、給与改善は、大体五%見込んでおるのですか。ところが、上積みしていくのがあります。人事院の勧告に従わなければならぬ。これは当然であります。人事院の勧告を上積みしていく。こういう地方団体に対する自治省としての考え方、これはどういうぐあいになっておるのか。これを最後にひとつお聞きしておきたい。
  44. 鎌田要人

    鎌田政府委員 給与の問題がいま出ました。実は、これにつきましては、御案内のとおり、私ども財政対策を講ずるにあたりましては、国家公務員並みの給与水準ということで財政措置をいたしておるところでございます。したがいまして、ぞれそれの団体におきまして、それを上回ってやっておられるというところに対しましては、私どもは、機会あるごとに強い是正のための指導をいたしておるわけでございます。で、最近の給与水準を見ておりますと、だんだんに是正をされておるところもあります。しかし、まだ依然として、高水準のところもございます。引き続きまして、給与水準の高いものにつきましては、しかるべき是正の措置を強く講じてまいりたいというふうに考えております。
  45. 塩川正十郎

    塩川委員 質問を終わります。
  46. 大野市郎

  47. 細谷治嘉

    細谷委員 最初に政務次官にお尋ねしたいのでありますけれども、今度の国の予算編成の方針は、申すまでもなく、景気浮揚ということと、いままでの財政運営の基本を改めて、いわゆる福祉予算、社会保障重点の予算にしていくんだということなんですね。そういうふうに転換していくということです。そういう場合に、一体、地方行政というものは、地方財政というものは、どういうふうに位置づけられるべきであるか。この点について政務次官のお考えをお尋ねしたい。
  48. 小山省二

    ○小山政府委員 本年の予算編成にあたりまして、予算に対する基本的な考え方として、福祉政策を頂点に置いた予算を編成したということを申しておるわけでございます。したがいまして、地方財政の面におきましても、やはり国のこうした基本的な考え方というものは十分尊重をし、それぞれ地方自治体の予算の中におきましても、こうした考え方を十分徹底できるように、私どもとしては、行政指導を通して、できるだけそういう考えを浸透させたいというふうに考えております。
  49. 細谷治嘉

    細谷委員 私のことばが十分じゃなかったと思うのですけれども、私の質問をしたいことについてお答えいただけないわけです。  私がお尋ねしたいのは、端的に申し上げますと、国民から税金を取っているうちの七〇%というのが、大体大まかに言って国が取るわけですね。三〇%というのが都道府県や市町村の税金ですね。ところが、七〇%取っておる国のほうは、補助金なり交付税なりで全部地方にやりますから、事実上国が使うというのは三七、八%でしょう。大体国税として取った税金の半分は地方交付税なりあるいは補助金として配るわけですね。言ってみますと、国と地方とは車の両輪であることは間違いありませんけれども、それを推進する機関、いわゆる公共事業にいたしましても、あるいは社会福祉施設等の充実にいたしましても、やるのは地方公共団体なんですね。国が直接やるわけじゃないわけですよ。そうなってまいりますとこれから福祉社会をつくっていくんだ、今日までの財政経済運営というのをもっと改めていくんだということ、こういうことを実現する土台、基礎というのは地方公共団体でなければならぬ。私はこういう考えを持っておるわけです。これに対して次官は賛成か、賛成でないか。こういうことをお尋ねをしておるわけです。
  50. 小山省二

    ○小山政府委員 御指摘のとおり、私は、考え方としてはそうなくてはならないというふうに考えておるわけでございます。
  51. 細谷治嘉

    細谷委員 まあ、大体同感していただいたと思うのです。私は、これからの政府が、意図しておることをほんとうにやろうとするのならば、地方行政の強化あるいは地方財政拡充強化、こういうことがきわめて必要ではないかと思うのです。  そこで政務次官にお尋ねしたいのでありますけれども、政務次官は交付税率三二%というのはフロートしたほうがいいのだというお考えを先ほどの質問に対して答えられました。言ってみますと、交付税がよく伸びるときは、現在の三二%というのを三〇%におろしてもいい、三二%というのは、ことしのように景気が悪いときは三五%くらいに伸ばしてもよい、こういうお考えを持っているのではないか。そのとおりですか。
  52. 小山省二

    ○小山政府委員 私の申し上げた弾力的という意味は、好況の場合には税率を下げても差しつかえないではないかという考え方と通ずるかもしれませんが、その前提として、地方財政需要が、いまお話しのように年々非常に大幅に伸びておる。同時に地方自治の自主性というものを考えた場合に、財源的にも、そうした考え方が実行できるような方向にもう少し向かわせるためには、それぞれの地方で独自に立てた考え方、政策、そういうものが実行できるような配慮がなされなければならぬ。そういう意味で多少弾力的ということを私は申し上げたわけでありますが、もちろん、景気が大幅に回復をされまして、予想外の税収等がありました場合においては、過去においても国との間にいろいろ調整をして、まあ、公式的には貸し借りというわけでもございませんが、そのような調整措置をいたしておることを考えますと、将来そうした景気が長期にわたって見通せるというような場合については、やはり交付税率そのものを検討されることがあるかも存じませんが、原則としては、できるだけ固定化した中で地方財源をまかなうということを考える。弾力的というのは、もう少し税率が伸びるほう、ふやせるほうの考え方を主として考えた私の構想でございます。たいへん虫がいいようなことでございますが、まあ見通しの問題になるわけでございます。
  53. 細谷治嘉

    細谷委員 政務次官の意図は、ことしのようなときは、三二%が上のほうに動いたほうがいいのだ、税収伸びたようなときは、まあ四十三、四年ごろの大蔵省とやりとりしておったようなときは、三二%が固定しておったほうがいいのだ、と、どうもこういうお考えではないかと思うのですよ。私は、政務次官のことばを先ほどお聞きしまして、自治省のお考えというものが変わったのではないかという印象を受けたわけです。と申しますのは、数年前は、大蔵省は、交付税率三二%を引き下げるべきである、引き下げることができないのならば、一般会計のところで事実上貸し借りをやります、と、こういう大蔵の主張だった。一般会計のところで貸し借りは困る、やはり特別会計のところで貸し借りをやるんだ、その貸し借りというのは、地方団体の自主財源であるから、地方団体においてやるのであって、大蔵省の仕事でやるんじゃないのだ、こういう主張で対立しておったわけですね。そういう意味の年度間調整というのが自治省の主張であったんですよ。でありますから、三二%というのは、やはり固定していくべきである。そういうことで、大蔵大臣自治大臣との間で、毎年予算編成時に交付税率の問題が争われるけれども、ここ数年は、ひとつこの問題で争わぬようにしようという覚え書きまで取りかわされた例があるわけですね。でありますから、そういういきさつから考えますと、ことしは、自治省の考えというのは、三二%というのは上下していいんだというような考えにどうも変わったんじゃないかと思いましたから、変わったとするならば、今日の地方財政というものは、国の政策を具体的に推進していく場合に、そのかなめであり、土台であるという前提意識があるとするならば、地方団体財政需要額というものをどんどん積み上げていって、三千数百のものを積み上げていって、これ、これ、これだけの財源が足らないのだから、これだけをひとつ国で補ってくれという、かつての平衡交付金制度を取り上げなければならぬ。こう思うのですよ。その辺、こんがらかっておりますと、この段階において私どもこれから議論を先へ進められませんから、明らかにしておいていただきたい。
  54. 小山省二

    ○小山政府委員 先ほど申し上げましたことは、お断わりを申し上げましたとおり、あくまでも私の個人的見解ということで、実は、私見を申し上げたわけでございますが、現在、私どもの役所の中においては、交付税率を軽々に変更すべきではないという従来の考え方から、変更されておらないのでございます。先ほど来申し上げましたことは、私のほんとうの私見でございますから、御理解いただきたい。
  55. 細谷治嘉

    細谷委員 鎌田さん、政務次官が私見だ言った。そこで、あなたは、自治省にずっと長くおったいい意味のボスなんですから、ひとつ自治省の基本的考えというものをここで明らかにしておいでいただきたい。個人的見解では今後困りますからね。はっきりしておいていただきたい。   〔委員長退席、中村(弘)委員長代理着席〕
  56. 鎌田要人

    鎌田政府委員 政務次官のただいまの御発言、私、伺っておったわけでございますが、やはり御発言の真意は、一朝こういう不景気の風が吹き荒れますと、たちまち税が落ちる、交付税も落ちる、そのために、一口で申しますと、借金でやりくりをしなければいけない、そういう不安定な地方財源の構造ででは困るのだ、こういうお気持ちからの、地方財源というものを浮揚するということに基づいての御発言であろうというふうに拝聴いたしておったわけでございます。  私どもといたしましては、現在の交付税率を引き下げるということは、これは毛頭考えておりません。何となれば、需要の見方等につきましても、なお十分でないところがあるわけでございまして、むしろ、ある程度長期的に、地方財源というものが恒久的に不足をするという場合でございますれば、交付税率引き上げ検討ということも日程に上ってこざるを得ないであろう。こういう気持ちでございます。
  57. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、そのとおりだろうと思う。というのは、現在の交付税制度前提とする限りではそうであろうと思う。  そこでお尋ねしたいと存じますけれども法律の中では、各団体が見積もっているものを集計した基準財政需要額収入額、そういうものが引き続いて相当額の差が起こった場合には、交付税率を変えるか、制度を変えるか、いずれかしなければならぬ。こういうことになっております。去年もやはり足らなかったですね。そして、四十七年度も明らかに足らないわけですね。あなたのほうでは、一兆円以上の不足だと言っておった。そうして今度は、八千億円の財源措置をしたんだ、これは万々歳だ、と、きのうの本会議で与党の議員が討論されたわけです。考えてみますと、その八千億円というのは、三百六十五億の沖繩の――これは借金じゃありません。千五十億の特例交付金、それだけで、あとは全部借金ですよ。八割財源措置をしたというので万々歳だと言うけれども、その八割というのは、これは借金なんですよ。そうでしょう。そういうことから見ますと、ことしは特に、この交付税の中に、完全じゃありませんけれども、二割は沖繩が入ってくるわけですよ。沖繩が入ってくるということは、沖繩県ができ、そこにある地方団体というのが入ってくるわけですから、これは重要な制度の変わりでしょう。そうなってまいりますと、ことしは交付税率引き上げるべき年でなかったのではないか。きのう予算が通りましたけれども、ことしは交付税率の問題が当然大蔵省との間でやりとりされなければならなかったのでありますけれども、やりとりされなかった。これはどういうわけですか。
  58. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この交付税率引き上げの問題でございますが、これにつきましては、四十一年に三二%になりましてから、今日までの時点におきましては、景気好況にもささえられまして、毎年二割以上の増収というものを示しておったわけでございまして、その間に減額、繰り延べ等の措置が行なわれてまいりました。四十六年度から急激な落ち込みになったわけでございますが、せっかく、長期にわたりますこの景気の停滞というものをこの秋から浮揚きせるということで、国の予算あるい地方財政措置全体を通じまして、財政の面からのてこ入れもやる。こういうことで行なわれておるわけでございます。したがいまして私どもといたしましては、やはり、現在の景気の停滞というものにつきましては、早晩上昇に転ずる。こういう前提に立って考えておるわけでございまして、それが不幸にいたしまして、ある程度長期化いたしまして、ただいま御指摘になりました交付税法六条の規定にございますような事態に遭遇いたしまする場合には、交付税率引き上げということにならざるを得ない。こういうことでございまして、現在の段階におきましては、明年度予算編成におきまする景気の動向というものが一つの大きなポイントになろうかというふうに考えております。
  59. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省にお尋ねいたします。  四十一年度の予算措置、四十年度の補正、こういうものを見てみますと、先ほども話がありましたけれども、四十年度の補正段階においては、国税のへっこんだ分については完全に補正したのですよ。そして、四十一年度の予算においては、当時交付税率は二九・五であったのを三二にしたわけです。鳩山主計局次長の時代です。いまの次官が次長の時代です。二九・五から三二に上げたのです。それでも足らぬものですから、臨時特例交付金というものを追加して交付税率を穴埋めしたのです。ことしの不景気は、先ほど来議論がありましたように、四十一年よりも長期化しているわけですよ。しかもドル・ショックが加わって、これもたいへんなんですね。そのことしが、どうして四十一年度のような措置をしなかったのですか。その根拠。四十一年度のときは、明らかに交付税率引き上げたのです。足らない分は臨時特例交付金で埋めたのですよ。ことしはどうやったかといいますと、臨時特例交付金を千五十億――先ほど来、千五十億はどこから計算したかと言ったら、わからぬ。どうも、地方税減税が千五十一億だから、それに合わせたのじゃないか。これもちょっと私は詳しく質問したいわけですけれども……。そして、千六百億は借金ですね。四十一年度の措置と四十七年度の措置がどうして違ったか。その理論的な根拠あるいは客観的な条件があるのかないのか。これをひとつお答えいただきたい。
  60. 加藤隆司

    ○加藤説明員 四十一年のときは、御案内のように、交付税が全然伸びなくて、前年を下回ったわけでございます。九百八十六億でございますが、前年の絶対額を下回ったわけでございます。本年の場合は、御案内のように、千四百十億ふえているわけでございます。したがって、六条の三の二項に言っております「著しく」というのに核当するのかどうか。この点は一つ差があるのではないか。  それからもう一つは、借り入れ金等の問題でございますが、前回の場合は、約二千億の財源対策をとったわけでございますが、今回の場合は、八千億の財源措置をとっておるわけでございます。国の財政規模も大きくなり、地方財政規模も大きくなっておりますから、絶対額だけでは云々することはできませんが、国のほうの財源事情が四十年、四十一年のときに比べますと、相当困窮しておる実情にあるわけでございます。国の場合、先ほども申し上げましたが、二兆に対して経常財源が五千億しかふえておらない。地方の場合は約二兆増加いたしましたが、経常財源は約一兆五千億ふえているわけです。借り入れ金、起債系統は約六千億円くらいの数字になりますが、こういうような両方のセクターの財政力を考えてみますと、国のほうは本年以上の措置は不可能であったのではなかろうか。経常財源がわずか五千億しかふえていないわけです。その中から、地方に対して三千億地方財政対策として分けているわけです。ですから、一つは、前回の場合は、前年度の絶対水準よりも交付税が落ち込んだ。今回の場合は千四百十億円ふえた。前回二千億の財源措置でございましたが、その七割くらいのものは今回ふえているわけでございます。はたして「著しく」云々ということになるのかどうか。  それから、国と地方財政関係が、四十年、四十一年のときに比べますと、かなり変わっておるわけでございます。四十三年、四十四年、四十五年の地方財政好況は、御存じのとおり、土地開発基金も二千五百億の積み立てがありますし、積み立て金も二千八百億の積み立てがあったわけです。確かに、四十五年の末ごろから去年にかけまして、特に地方財政が悪化をたどったことは事実でございますが、国のほうもやらなければならない仕事が非常にありまして、内外ともに非常な環境に取り囲まれたわけでございますから、地方の面からだけ云々しても困るので、国と地方と両方合わせて考えてみなければならないのではないかと思うわけでございます。
  61. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの御答弁では、私の質問に対する答えになっていないわけですよ。すぐ、国のほうが苦しいのだからと、こういうことでしょう。それから、千数百億円交付税自体が伸びておる。こういうことだけですね。私が申し上げたいのは、四十一年度というのは、交付税率引き上げ臨時特例交付金で完全に補てんしたわけですよ。その上に公共事業を、ことしは国はずいぶん伸ばしたわけです。二九%越したわけですね。それはどこがやるかといったら、これは地方団体でやるわけですよ。あとで、時間があれば超過負担の問題もちょっとやりたいわけですけれども、そういうことなんですね。ですから、今度は財政措置が四十一年とずいぶん違う。こういうことです。  いまちょうど国家公安委員長が来まして、お経読みをやるそうですから、答えはあとで伺いましょう。      ――――◇―――――
  62. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 この際、内閣提出にかかる道路交通法の一部を改正する法律案及び警備業法案の両案を議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。中村国務大臣
  63. 中村寅太

    中村国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  この法律案は、最近における道路交通の実情にかんがみ、交通事故を防止し、その他交通の安全と円滑をはかり、及び道路の交通に起因する障害の防止に資するため、普通免許の技能試験を道路において実施するための規定を整備し、並びに指定自動車教育所に関する規定を整備し、初心運転者の順守事項について規定する等、初心運転者に対する教育の徹底とその資質の向上をはかるための規定を整備するとともに、免許証の有効期間についての規定を整備すること等をその内容としております。  以下、各項目ごとにその概要を御説用いたします。  第一は、路上試験の実施等のための規定の整備であります。  その一は、普通免許の技能試験の方法についてでありますが、これを道路において行なうこととする規定を設けようとするものであります。  その二は、路上試験の実施の適正化をはかるための受験資格の規定についてでありますが、普通免許の試験を受けようとする者は、指定自動車教習所の卒業者等の政令で定める者を除いて、仮免許を現に受け、過去三月以内において五日間以上、道路上で総理府令で定めるところにより運転の練習をした者でなければならないこととするものであります。  その三は、路上における練習や試験等のための仮免許に関する規定の整備でありますが、仮免許の種類と有効期間を定め、練習のためには一定の資格のある者の指導を受けなければならないこととするとともに、仮免許要件違反について罰則を強化し、仮免許練習標識の掲示義務の違反について罰則を設けることとする等がその内容であります。なお、仮免許の取り消し処分制度を設けるとともに、仮免許に関する事務の合理化をはかるため、仮免許を与えること及びその取り消しに関する事務は、警察本部長等に行なわせることができることをその内容とするものであります。  第二は、初心運転者に対する運転教育の徹底をはかる等のための規定の整備であります。  その一は、指定自動車教習所における教習水準を高め、運転者の資質の向上をはかるため、指定自動車教習所の指定基準等に関する規定を整備し、指定自動車教習所の技能検定員を公務に従事する職員とみなすこととすることを内容とするものであります。  その二は、初心運転者の順守事項についての規定でありますが、普通免許を受け、免許経歴が一年に満たない者は、自動車の前面及び後面の総理府令で定める見やすい位置に、一定の標識をつけなければならないこととするとともに、この違反については、罰則を設けることとするものであります。  その三は、初心運転者の保護についての規定でありますが、初心運転者または仮免許練習中の運転者が標識をつけた普通自動車を運転しているときは、他の一般の運転者は、危険防止のためにやむを得ない場合を除き、その普通自動車の側方に幅寄せをし、またはその普通自動車が前方に追突防止のために必要な距離を保つことができないこととなるときは進路変更をしてはならないこととするものであります。  第三は、免許証の有効期間に関する規定その他の規定の整備であります。  その一は、免許証の有効期間に関する規定についてでありますが、免許証の有効期間の末日をその者の誕生日とすることによって、うっかり失効を防止し、あわせて更新時期を平均化することによって、免許事務の合理化をはかろうとするものであります。  その二は、運転免許の手数料に関する規定でありますが、路上試験の実施に伴い、手数料の限度額千円を千五百円に引き上げることを内容とするものであります。  その三は、国家公安委員会が都道府県公安委員会に対して行なう指示についてでありますが、現行の高速自動車国道のほか、政令で定める自動車専用道路を国家公安委員会の指示権の対象に加えることとし、その他所要の規定を整備することを内容とするものであります。  なお、この法律の施行日については、初心運転者の標識掲示義務及びその保護に関する規定、国家公安委員会の指示権に関する規定等は、昭和四十七年十月一日から、路上試験の実施等に関する規定、指定自動車教習所の指定基準の整備に関する規定、免許証の有効期間に関する規定等は、昭和四十八年四月一日から、その他の規定は、この法律の公布の日から施行することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに、御賛同を賜わらんことをお願いいたします。  続いて、警備業法案の提案理由の説明をいたします。  ただいま議題となりました警備業法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  警備業、いわゆるガードマン営業は、社会の需要に応じて近年急速に増加し、今後もなおふえるものと思われます。  警備業は、業務内容の性質上、その業務が適正に実施されることが要請されるところでありますが、近年、営業者の増加に伴い、業務実施に関連して、世人の非難を受けるような問題が一部に生じてきております。  このような情勢にかんがみ、本法案は、警備業務の実施が適正に行なわれるよう、警備業者及び警備員についての人的制限、業務実施の原則、服装、教育等に関して必要な事項を定めようとするものであります。  次に、本法案のおもな内容について、その概要を御説明いたします。  その一は、警備業者及び警備員について一定の欠格事由を定め、これに該当する場合は、警備業を営み、または警備業務に従事することができないこととしております。  その二は、警備業を営もうとする者は、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会及び営業を行なおうとする地域を管轄する都道府県公安委員会に対して、その旨を届け出なければならないこととしております。  その三は、警備業者及び警備員が警備業務を行なうにあたっての基本原則として、特別な権限は有しないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、または個人もしくは団体の正当な活動に干渉してはならないことを規定しております。  その四は、警察官等の制服と明らかに識別できる服装を用いること、護身用具の携帯について、都道府県公安委員会規則によって制限できること、警備員に対し必要な教育及び監督をしなければならないこと、警備員の名簿等を営業所に備えつけること等について規定しております。  その五は、前記の規定を担保するために、都道府県公安委員会は、警備業者に対し、必要な報告を求め、警察官にその営業所に立ち入り検査させることができることとしております。  さらに、都道府県公安委員会は、警備業者またはその警備員が、本法案の規定または警備業務に関し他の法令に違反した場合において、当該警備業者に対し、必要な指示または営業停止の処分ができるほか、特に、欠格群由に該当する者が警備業を営んでいるときは、その営業の廃止を命ずることができることとしております。  その他罰則規定など、所要の関係規定を設けることといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。
  64. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 以上で、両案に対する提案理由の説明は終わりました。      ――――◇―――――
  65. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 引き続き、昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  66. 細谷治嘉

    細谷委員 さっき質問をしたんたけれども、お答えしますか。
  67. 加藤隆司

    ○加藤説明員 先ほどちょっと舌足らずでございましたけれども交付税率の二・五%分が五百八十六億でございます。そのほか、御承知のように、四百十四億、合わせて千億一般会計からの措置をいたしたわけでございます。そのほか起債が千二百億、合わせて二千二百億。あと、公営企業とかが二、三百億ありますが、基本的に二千二百億の措置をいたしました。今回の場合は、先ほどからの議論のとおり、約八百億の措置をいたしておるわけでございますが、一つは繰り返しになりますが、前回の場合は、交付税の絶対額が前年を下回る。今回はそれでも千四百億の巨額の増額がある。  もう一つは「引き続き」という点でございますけれども、四十六年の補正時にああいう五千億ばかりの財源対策をやらざるを得ない状況に地方財政が逢着いたしましたが、四十七年度予算の場合も同質の問題でございまして、非常に内外の異例の事態ではないか。この二つの観点から、また先ほどのお答えになっていないかもわかりませんけれども交付税率を上げる必要があるのかどうか。一時的な短期的な問題ではなかろうか。率直に申しまして、交付税率を上げましても、まあ、上げ方にもよりますけれども、国のほうも、先ほども申しましたような財源事情でございますから、なかなか大きな金額は出てまいらぬわけです。観点を全然変えまして、現実的な角度から考えましても、そういう今回のような財源措置のほうが妥当ではなかろうか。  もう一点は、借金とか地方債の問題でございますが、先ほど来議論がありましたように、公共投資系統の財源は相当程度地方債に依存していいのではないか。要するに、現在のパブリックセクターが約二割、民間部門は約八割という資源の配分になっておりますが、増税をやるか、あるいは借り入れ金をやる以外に、民間部門から資源を公共部門に持ってこれないのではないか。ですから、地方債のあり方という問題は、そういうふうに積極的にとらまえていいのではなかろうか。増税はなかなか困難です。それで、民間部門から資源を公共部門にもっと持ってこなければならぬ。どうしたらいいか。そういうような問題もあるのではなかろうかと思うわけでございます。単に、交付税率引き上げだけでは、四十七年度の財政対策というのは解決できなかったのではなかろうかというふうに私は考えております。
  68. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、何もかも交付税で見ろと言うのではない。あとでちょっと質問しますけれども、いまのような、補助金的な性格を濃くしている交付税というのは、いろいろ問題が出てきていると思うのです。そういう中において、無制限に交付税率を上げろなんて私も考えてないのです。しかし、筋の問題としては、ずばり言えば、あなたのほうは、都合が悪いというので、やるべき所得税減税なんというのは去年やったからやめたとやっているでしょう。それで地方のほうをやらしたでしょう。地方税と住民税、国税所得税、性格は違うのだと言っていながら、肩がわりさせたじゃないですか。所得税は何もやっていないでしょう。今度補正予算を組む場合には、所得税減税というのは大きく取り上げるのだときょうの新聞に出ているでしょう。自分のほうが都合が悪いというので地方にやらせた。地方もやらなければいかぬ客観情勢はありましたけれども、そういうことは問題です。  大蔵にお聞きしますけれども、今度の地方債計画というのは、最初に、政府資金の九千六百億をきめちゃったのだね。そして、そのうちの千六百億は交付税のほうだ。それはきまったのでしょう。この九千六百億というのは、大蔵原案の段階ではいいかもしれませんけれども、そこまであなた方考えるなら、なぜ最終段階まで動かさなかったのですか。利子の高い、自己資金という名においての市場の縁故債、これをめちゃくちゃふやしたでしょう。そこまでおっしゃるなら、なぜ政府資金を出さなかったのです。九千六百億をまずきめた。そのうちの千六百億円というのは交付税財源ですよ。これを特会で借りなさい、残りが地方債の原資です、こういうかっこうになったのでしょう。おかしいじゃないですか、あなたの言うことは。そうじゃございませんか。
  69. 加藤隆司

    ○加藤説明員 御案内のように、地方債計画のほうは理財局の分担でございますけれども、私、当然、地方財政を監督するものでございますから……。  九千六百億というのが地方債計画の中の政府資金でございまして、千六百億は特別会計が借り入れるわけでございますから、これは九千六百億の中の内訳ではございません。  それから、なぜ九千六百億が先にきまったかという点でございますけれども、これは、先ほどの、なぜ千五十億がきまったかというのと関連がございまして、自治省のほうの想定されました地方財政計面に基づいて、それぞれの団体、交付団体と不交付団体に分けまして、それぞれの財政需要財政収入を計算いたしまして、一般会計のほうでどれたけ――先ほどのお話のように、経常的な経費は極力一般財源で埋めていく、投資的な経費は借り入れ金なり地方債でいくというような計算をいたしました結果出てまいったものでございます。
  70. 細谷治嘉

    細谷委員 最初に九千六百億あったのですね。そうでしょう。千五十億をきめたんでしょう。それから政府資金のほうは九千六百億出しますよ、その中には交付税の千六百億も入りますよ、と、きめたのでしょう。そうして、あと足らぬ分は縁故債をかき集めたのでしょう。それが真相じゃないのですか。違う違うと課長が首を振っているけれども、あなたのところの次官が「都道府県展望」という雑誌に書いておるのだ。「地方債計画中の政府資金と特会借入れの額と両方合わせて総額を決めたいという話が大蔵省側から出されて、いろいろ遣りとりのあげく、現存は千六百億円の借入れと地方債計画中の政府資金量九千六百億円ということで妥結した。」これは込みですよ。そうじゃないのですか。
  71. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ちょっと私どもが御質問をとり違えておるのかもしれませんけれども、千六百億が九千六百億の中に含まれておるということでございましたら、それは事実に反するわけでございます。九千六百億は、地方債計画の中の政府資金の総量。千六百億は、交付税特別会計が資金運用部から借り入れる、交付税のほうに回る財源。こういうものでございまして、これは両方は別のものでございます。  それから、九千六百億が先にきまったのではないかという点でございますが、これにつきましては、明年度の地方債計画、その中の普通会計債の規模をどの程度にするかということとのからみ合いにおきまして、これは御案内のとおり、政府資金の確保ということが重大でございますので、政府資金について、私は、率直に申しまして、国の理財当局もよくふんぱつしたと思うわけでございますが、政府資金全体の伸びが三三%程度でございますけれども地方債に回ります政府資金につきましては四八%の伸びを示しておるということでございまして、私どもは、その努力は正当に評価すべきではないかというふうに思っております。
  72. 細谷治嘉

    細谷委員 私のことばが足らぬかったのですが、最初に千六百億と九千六百億はきまっちゃったという意味です。私は、九千六百億と、ことばで込みにしておりましたけれども、千六百億と九千六百億をきめちゃった。ところが、公共事業というのは、大蔵原案から伸びたのでしょう。伸びていますね。大蔵原案と、最終予算の中で、公共事業はかなり伸びたのでしょう。そういう中において、最初きめてしまって、そして公共事業というのは地方債でやるということを考えなければならぬと大蔵が言っていながら、なぜこれを動かさなかったか。たとえば九千六百億は動かしてもいいじゃないか、こういう議論が出るじゃないか、こう言っているのですよ。どうなるんですか。
  73. 加藤隆司

    ○加藤説明員 非常に説明がむずかしい問題でございまして、公共事業が政府原案よりふえましたことはふえましたのです。したがって、地方債も動くのではないかという御質問だと思うのですが、地方債の場合には、御案内のように、政府資金は、今回の場合、一兆七千億に対して九千六百億ということで、大体六割をちょっと切れたところでございます。したがいまして、その間に、公共事業がふえたから地方債もどうしてもふえなければならぬという関係にはないのであります。
  74. 細谷治嘉

    細谷委員 話が飛んでしまったのだけれども、四十六年度は六〇だったのですね。地方債をふやした、五〇%も伸びたなんて言っているけれども、政府資金というのは、利子が安いのは五五・何%ぐらいにしかなっていないのだよ。悪くなっているじゃないですか。最初に千六百億と九千六百億ときめたのならば、公共事業伸びたのなら、当然、九千六百億なり、あるいは千六百億の、どっちかを動かしてもよかったのではないか。千六百億というのは千五十億との関連ですから動かせなかったにしても、動かしてもよかったのじゃないか。こういうことを私は言っているわけだ。  しかし、こんなことでは時間がかかるから、そこで私はちょっとお尋ねしたいのですが、この交付税の配分の全体計画。四十一年と同じようなことでありますけれども投資的経費は、基準財政需要額増加は都道府県においてはゼロですね。ということは、全部地方債でやれ、こういうことです。ところが、その地方債というのは、さっき言ったように質が悪くなった。四十一年度には特別事業債というのが出たわけですね。そして、特別事業債というのは、大蔵が途中で約束に違反して、元利補給しておったのですけれども、途中食い逃げをしたのですよ。三、四年間元利を見た。そしてあと地方財政がよくなったということでやめてしまった。国会に対する約束を破ったのだからけしからぬことだと思うのです。ところが、今度は、投資的経費はゼロにしてしまった。特別事業債を発行するわけじゃない。それは地方債で見なきい。こういうことですよ。このことは、とりもなおさず、いまや今日までの地方交付税制度というのは破綻したと申していいと思うのですよ。何か手がありますか。
  75. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 四十一年度の措置に比較されまして、公債財源で、公共事業費の景気浮揚のための事業を拡大すると、当然、これに対して、地方財源として一般財源の中から見るべき公共事業の分を、国の責任において措置すべきではないかという意味で、四十一年のとき、確かに、交付税で足らない分を、その分に限っては特別事業債という名前で元利補給をされた。これと今回の制度が違っておるということは事実でございます。しかしながら、あのときの経過も、御承知のとおり、特別事業債という起債の中で、そういった意味で名前をつけまして、予算措置としてされましたが、法律化されましたのは、その後、二年後でしたか、四百五十億の貸し借りを行ないましたときに初めて法律化して、特別事業債元利補給金というものになり、その後法人税の一・七五%増徴に伴う地方財源へのはね返りのときに、この法人税の増徴が行なわれておる間は、特別事業債の元利補給は交付税の中において行なうというふうな姿で、もとに戻ったというふうな経過をたどってまいりましたことは、細谷委員御承知のとおりでございます。  公共事業は一般財源で見るべきであるという御議論、わからぬではございませんが、その後、地方制度調査会等におきましても、公共事業そのものが非常に限られた地方に配付される、それは公共事業そのものの性格によりまして、やはり特定の地方団体に片寄るということもあり得るということから、元利補給つきの起伏というものは補助金と変わらないような性格を持っておるのじゃないかというふうなところから、種々議論が出てきたような点もございます。そういうような点もありましたのでこれらに対する分は、今後、国と地方財政とのあり方において検討を加える。この前の特別事業債の検討というものがそのような経過をたどってきたことにもよりまして、そういう姿で考えるべきでなかろうかというふうな議論もございまして、今回は、財源措置としては地方債を充てましたが、その分を元利補給つきの特定のものにせずに、国と地方財政全般の今後の推移をながめながら処置していく。とりあえずは地方債をもって行なうというふうな措置をさしていただいたというのが偽らざる予算折衝のときの経過の姿でございます。  そのような姿で、今回、公共事業に対する分は地方債をもって充てる。なるほど、その地方債も、いま申されたように、質が悪くなっておるじゃないかということ、御指摘のとおりであろうと思います。しかしながら、絶対量においては相当額伸ばしていただきましたし、また、国の行ないます財政投融資の中の政府資金、これの伸びは三三%ほどでございましたが、その中において、地方債で四六、七%まで伸ばしていただいたということでございます。地方債がふくれました関係上、地方債の中に占める預金部資金の率は、五九%から、御指摘のとおり五五・四%に下がりましたですけれども、国の財政投融資の中での預金部資金の伸び、その中では、相当額上回った率で、地方債のほうへ回される絶対量としてはふやされたという姿でございます。私たちも、地方債そのものの中でも率をふやしたかったのでございますが、そこまでいかずに、その程度にとどまらざるを得なかったというのが事情の経過でございます。  御指摘の点、私も重々わかりますが、そういった国の財政とのつり合いもございまして、ここで了承せざるを得なかったというのが予算折衝における経過の姿でございます。率直に申し述べさしていただきまして、御批判は御批判としてお受けし、今後とも、質の拡大、地方財源の充実等にはがんばりたい。かように考えておるような次第でございます。
  76. 細谷治嘉

    細谷委員 それでは、端的にお尋ねいたしますが、平年ベースで今度の国の予算に対応するものとして、投資的経費における道府県と市町村のあるべき需要額増加額幾らになりますか。
  77. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ちょっと資料を調べておりますので、暫時時間をいただきたいと思います。――失礼いたしました。あるべき投資的経費規模ということでございますが、あるべきというものさしがいささかむずかしいかと思いますが、今度の四十七年度の基準財政需要の計算におきまして、投資的経費から地方債振りかえることをやらなかったとするならばどういう形になったであろうかということが間接的なお答えになるのではないかと思いまして、その数字を申し上げますと、お手元の投資的経費の数字千四百九億というのがそこにございますが、それに二千五百八十八億をプラスしてみますと、約四千億程度の数字になろうかと思いますが、これが投資的経費増加額一つの目安かというふうに存じます。
  78. 細谷治嘉

    細谷委員 左のほうから、道府県の交付、不交付、ずっと数字を読んでいってください。
  79. 鎌田要人

    鎌田政府委員 道府県で、交付団体分で三千七百十四億でございます。これは投資的経費と全部ひっくるめまして――いま私が申し上げておりますのは、合計(A)欄というので、二千三百二十八億という数字がこの基準財政需要額の合計欄にございますが、道府県交付団体分二千三百二十八億というところでございます。
  80. 細谷治嘉

    細谷委員 そんな数字ありますか。この五ページのやつを私は聞いているんだ。この表で、2のところだけ言ってもらえばいい。合計欄でなくていいんだよ。
  81. 鎌田要人

    鎌田政府委員 そこの合計欄の数字をちょうど私持っているものですから……。
  82. 細谷治嘉

    細谷委員 じゃ、合計欄でいい。
  83. 鎌田要人

    鎌田政府委員 そこの数字で申し上げます。  二千三百二十八億に千三百八十六億がプラスされまして、三千七百十四億になります。それから不交付のところが、六百三億に五百七十八億プラスいたしまして、千百八十一億になります。二千九百三十一億のところが、千九百六十四億プラスになりまして、四千八百九十五億になります。それから市町村の交付のところが、三千二百七億のところが、三百四十一億プラスになりまして、三千五百四十八億でございます。それから、市町村の不交付の五百二十二億に二百八十三億プラスになりまして、八百五億になります。計欄で、三千七百二十九億に六百二十四億プラスになりまして、四千三百五十三億になります。それで、合計欄の交付欄でございますが、五千五百三十五億に千七百二十七億プラスになりまして、七千二百六十二億。それから不交付欄で、千百二十五億に八百六十一億プラスになりまして、千九百八十六億。合計、六千六百六十億に二千五百八十八億がプラスになりまして、九千二百四十八億になります。
  84. 細谷治嘉

    細谷委員 ありがとうございました。  大臣、二千五百八十八億、これはいろいろ問題があるのですよ。たとえば特例補正で、事業費補正というのがばく大な金額になっておる。それを落とした形で、いろいろ問題がありますけれども、二千五百八十八億というのは、本来ならば交付税で配らなければならぬものがカットされておるわけですね。これは四十一年のときには特別事業債で補てんされて、当時たしか全体として九百十六億かと思うのですけれども、今度は規模が大きくなったから二千五百八十八億ですね。言ってみますと、三倍に近いものがカットされておるわけです。しかし、公共上やらなければならぬわけですね。それをやる場合に、地方団体地方債を発行する。その地方債は質が悪いときているわけですよ。どうするのですか。これを。大蔵省と折衝されるでしょうけれども自治大臣としては、これは一体どうするのですか。来年度以降のことになるでしょうけれども、ひとつ自治大臣の決意をお聞かせいただきたいと思う。
  85. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 二千五百八十八億の公共事業の増強に伴いまする分は、これを起債に充てる分は、交付税算定で出さしていただいておりますように、府県及び指定都市といった、財政規模も大きく、財政の弾力的運営のできる地方公共団体で、地方債という財源措置していただきたい。そういうふうな姿で、いま御審議願っております交付税財政需要額の伸びというものを見さしていただいておる次第でございます。一般の市町村に対しましては、こういうふうな特別な措置でなくして、普通の交付税、一般財源をもって財政需要もながめ、交付税もお渡しできるようにできるだけして、激変を緩和するようにさせていただきたい。府県並びに財政規模の大きいところには弾力性をもって財政運営をやっていただき、今後の国と地方との財政運営措置をながめながら、これらの補てんを考え、将来地方財政が円滑に運営できるように措置をすることが私たちの念願である。二千五百八十八億の分に対しましても、そういった後年度の地方財政のあり方の中で解決をはかっていきたい。この前行ないました九百十六億の特別事業債に対する措置も、法律で、いま御指摘のとおり違反をしたじゃないかと言われますが、そういった観点で、大きな目での、国と地方財政のあり方の中で措置されたというふうな経過もございますので、そういった姿で措置されなければならない。かように考えておる次第でございまして、このような姿は一時的な地方財源落ち込みであり、また、国の落ち込みも一時的なものであり、必ずや回復して、後年度において措置し得るものである。また、措置せなければならないものである。かように私たちは考え、本年度は特に特別事業債というような形をとらしていただかなかった。こういうような姿でございますので、先ほど述べたとおり、抽象的な答弁になりますが、そのような考えのもとに行なわさせていただいたのが今回の措置でございますので御了承賜わりたいと存じます。
  86. 細谷治嘉

    細谷委員 どうしてもこれは納得できないのですよ。四十一年度のときには、投資的経費をカットした。本来伸びるべきものをカットして、特別事業債を充当した。その特別事業債というのは、元利を、トカゲのしっぽのほうを途中で切られましたけれども、とにかく、元利は、一番支払いが山になるまでは国が見たわけですね。そうして地方も、あるいは国も、景気回復によって、二・五%という交付税率引き上げというのが響いてきて、どうやら埋めたわけですね。つまり、元利を補給してやった。それから二・五%という交付税率引き上げがあったものですから、当時は、交付税は借金していないわけですから、四十二年度以降四十五年度までの間にどうやら埋めることができたわけですよ。今度は交付税率はストップでございますよ、その上に千六百億は借金で交付税は配ってあげますよ、こういう形でしょう。そうして、投資的経費は、公共事業景気を刺激して景気を盛り立てる柱なんだと言って地方のほうにどんどん押しつけながら、それは地方債でやりなさい、元利はこの前のように見てあげませんよ、その地方債の利子は高うございますよ、では、これでは踏んだりけったりじゃないですか。これでは、地方が、福祉日本をつくるんだという国の一つ財政運営方向転換に幾ら協力しようといったって、全然できないでしょう。大臣、これはもっと折衝しなければならぬでしょうけれども、政務次官は、地方財政というのは非常に重要だと言って、私の考えと同感なんですよ。そうなりますと、いまの大臣のことばでは踏んだりけったりですよ。国の財政というのは、国債に抱かれた財政だと学者は批判しております。今度の地方財政計画は、地方債に抱かれた地方財政計画だと言っても過言ではないと思うのですよ。にもかかわらず、その交付税は切り落とした。切り落としたものは利子の高いものでやりなさい、四十一年度とは全く違います、元利も見てあげませんよ、という形では、とてもじゃないが、協力しようにも協力できないでしょう。そう思うのですよ。何としてでも、これはカットしたのならカットしたで、ひとつ元利を補てんしてもらいたい。今度は、これをそのまま基準財政収入額と差し引きしますと、府県のほうは収入額は伸びておりませんから、その差額でいきますと、交付税の問題がありますけれども、その辺は合理的に調整をした上で、ちょうど需要額をこのまま加えて、今度の減った収入額で差し引いたら、確かに交付税では問題がありますから、それはまあ調整をして上げてやる。私は賛成できませんけれども、いままでの話を聞きますと、交付税というのも、いままで大体二一%前後伸びてきたのだから、ことしは二二%ぐらい伸ばしたのだから大体いいのだ、交付税というのは二〇%ちょっと伸びれば大体いいのだという前提で物事を考えておられるようでありますけれども、ことしは、その伸び前提にして考えることはおかしいと思うのです。おかしいと思うのですが、いずれにしても、そういうものからこう出てきておるのですよ。これは大臣、何としてでも、してもらわなければ、これはフィスカルポリシーと言うけれども、そんなものは平ちゃらですよ。その上にやればやるほど超過負担がかぶさってくるのだから、これはやろうといったってできませんよ。ですから、来年度は交付税を上げてやらなければとても調整できないのだ。あるいは、合理的な形において元利を補てんしてやるのだとかなんとかしてやらなければ、これは話がつかぬと思うのですが、大臣、いかがですか。
  87. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 細谷委員の御指摘、私自身が一番よくわかるのであります。二〇%伸びても、交付税伸びたが、交付税というものは元来財政需要額と財政収入額との差し引きであるという点からでしたら、財政需要額そのものを減らさぬことには、ほかの一般財源がふえるのですから、伸び率は、交付税の額そのものは去年と同じように二〇%ふえたが、それだけの率はいかないんだという御論議もごもっともでございます。そのごまかしを、二千五百八十八億を、交付税投資的経費を控除したからつじつまが合っていっておるのだ、そうしたにすぎないじゃないか、という御指摘もそのとおりでございます。私たち、交付税額をここまで持っていきまするにも、少なくとも、いま申しましたように、府県並びに大都市におきましては、財政規模も大きい。また、弾力的運営も将来において行なうことができる。しかし、三千幾らの小さい市町村はそれを行なうことができない。その市町村に対しましては、基準財政需要額も、あるいはこれに対する交付税の配付も、大体従来のものの考え方で終始しなければならない。その限界はこれだけにしなければならないというところから、予算折衝に、千六百億というふうな借り入れも特に加えながら、あれだけの額を確保していただいたのが、私の当時の予算折衝の胸のうちにあった一群の大きな目標でございました。  いま、二千五百八十八億、カットされた分は当然元利償還づきの起債で見るべきではないかというふうなことでございました。前の措置に比べましていままであるべき姿の交付税考え方からしましたら、そういう要求が出るのも当然でございます。当然でございますが、いま申しましたように、この分は、長い将来の国と地方との財源調整の中においてながめていきたいというところから出させていただいたのが筋でございます。それなれば、せめて良質の起債を、それだけの分をあてがうべきでないかという御議論も当然でございます。昨年度の補正予算のときに組ませていただいたのに、八割までの預金部資金の金を起債の財源としたというのもそのためでございました。本年もその面は重々つとめたのでございますが、いま申しますように、起債額がふえたために、総額の比率としては足りませんでしたが、絶対額と国の預金部資金との財政投融資の中に占める伸びとでは、国としても相当地方財政に良質の起債を持っていかなければならないという配慮のもとにされたんですが、ここまでしか及ばなかったというのが現実の姿でございますので、御了承賜わりたい。こう申し上げるよりほかしかたがないと思うのでございます。  それともう一つ財政需要額で見るべき姿での組み方にしておりますが、これはむしろお答えしないほうがいいんじゃないかと思いますが、公共事業の姿そのものも、必ずしも、一般財源でこれだけの分はぜひとも確保しなければならないんだという姿のものでもない。もし金があるのなら、当然、その姿でもって将来のことを考えて処置すべき点でございましたが、国庫財政においても金がない。地方財政においても金がない。しかし、やるべきことは、後年度の負担していただくような、やらなければならない事業でございますので、この際は、国と同一歩調において、国が公債でまかないましたごとく、地方債をもってしても行なうべきことは行なうんだということに踏み切りましたような状態でございまして、本年度の財政は、国は公債でまかなわれ、地方地方債でまかなわれる。ともに借金財政じゃないかという御批判は受けなくちゃならないと私は考えております。しかし、いま申されました交付税額は、前のときは二五%上げて処置した、来年度も交付税は上げるべきじゃないか、こういう処置に対しましては、私は、三二%、二・五%この前に上げさせていただいた分が、その後の経済の推移をながめまして、地方財政の改善に多々寄与したことは、もう細谷議員御指摘、御了承のとおりでございます。その姿、今日のような経済情勢で一般的に不足になっておりますが、その三二%率を上げることによって措置すべき根本的な状態になった。国と地方との交付税率そのものの率を上げるべき状態である。あるいは今年度のようなとき、一時金をもってこれを措置することによって、長い年度の財政調整の中に、率はそのままにしてながむべきであるか。これは議論のある点であろうと思いますが、私たちは、本年は特異な状態であるとながめまして、特例交付金というようなもので一応措置させていただき、交付税率は長い目でながめるという意味で、率の引き上げはこの際行なわなかった。こういう姿でございます。御了承賜わりたいと存じます。
  88. 細谷治嘉

    細谷委員 いろいろあるのですけれども自治省の長野次官が、四十七年度の地方財政よりも四十八年度の財政のほうがたいへんなんだと言っておりますよ。私はそのとおりだと思う。そのことを考えて私は申し上げておるわけです。ただ、私は、この投資的経費については議論いたしましたけれども、四十五年度の例を見ますと、補助金的な性格を帯びたといわれるこの事業費補正というのが、都道府県において、四十五年度で千百億円。市町村において千二百十三億円。合計いたしますと二千二、三百億円という交付税総額の一〇%以上というものが事業費補正でやった。しかも、この事業費補正というのは、四十二年から新設されたもので、急激にこの事業費補正というものがふえてきたところに、今日、交付税が補助金的な性格を帯びてきたという批判を受けておるのでありますから、そうなりますと、やはり、どうしても富裕団体のほうに交付税が傾いていく。こういうことになるわけですから、交付税の本質にもかかわる問題であります。この辺にも私は異議がありますけれども、しかし、交付税の全体計画として、こういう問題について、二千五百八十八億もやって、切り落としておいて、あとはおまえかってにしろなんということでは、とてもじゃないが協力できない。この問題については、ひとつ具体的に、自治大臣が責任を持って善処していただきたいということを申し上げておきたいと思うのであります。  時間がありませんから、最後に一点。  先ほど来ちょっと意見もあって、鎌田財政局長の持論のようでありますけれども、長野さんの意見にも、大体地方財政が苦しい一つの理由というのは人件費だと言っているわけです。給与関係費だ。いかにも、給与関係費に責任を負わしておられるのです。ところが、地方財政計画を見ても明らかなことは、給与関係費というのは、昭和二十年代には四〇%であったのです。三十年代になりましてずっと下がりまして、今度の地方財政計画では三〇%になったのです。構成比は、給与関係費は一〇%落ちているわけです。その一〇%というのはどこへ行ったかといいますと、大体において公共事業と単独事業のほうに行っているわけですよ。端的に申し上げますと、給与費を削ることによって公共事業をやっている。こういうことが地方財政計画の構成比を見るとずばり言えるわけです。ところで、国家公務員の平均より高いとか安いとか言っておりますけれども、国家公務員というのは全国なんです。ところが、指定市なら指定市のところは、国家公務員の平均よりも、どうも二〇%くらい高い、けしからぬ、こう言っておりますけれども、指定市の人はみんな都市に住んでいるわけですよ。国家公務員は全国平均でありますから、これはやはり都市のほうの生活費が高くなるわけですから、一がいにこういう問題を指摘すべきではなくて、それはやはり地方自治でありますから、自治体独自でやっていくべきだろうと思う。しかし、マクロで見ますと、一〇%くらいの給与関係費が、地方財政計画全体の中で削られて、公共事業費に回っているというのが今日までの歴史的な地方財政計画の状況なんだ。こう思うのですよ。  そこで、私は、今度の地方財政計画を見て、これは交付税とも直接関係するわけでありますけれども、四十七年度の計画人員が百九十一万四千人。これだけ計画しているのです。この中には沖繩の二万五千人が入っているわけですよ。そういたしますと、今度のこの地方財政計画では、二万三百五十七人というのが増になっておりますから、沖繩の二万五千人を差し引きますと、計画人員というのは四十六年より落ちておる。こういうことになるわけですけれども、私は、予算委員会の際に、分科会で、公害監視員について、これは行管から指摘がありましたから、こういうものを、機関があっても、適当な技術者、職員がおらぬためにほこりを浴びているじゃないかということを指摘した。自治省としては、地方財政計画の中で十分見ているのだという説明がありましたけれども、十分ということばはひとつ鎌田局長取りはずしていただきたい。これは足らないのですよ。行管が指摘しているわけですからね。と同時に、この百九十一万というのは、大体現在おる地方公務員の計画人員というのは、実人員の八割か七割五分くらいしか当たらないと思うのです。でありますから、地方財政計画とその年度の決算額とを見ますと、給与関係費でおおよそ二割くらいの違いが起こってくるのですよ。それは途中でベースアップもありましたけれども、二割くらい起こってくる。実人員が二割五分くらい違うわけでありますからね。計画人員に入っておらぬで。給与の低いほうでありますから、二割五分くらい実人員が少なくても給与が二割近く計画を上回るということはあたりまえだと思うのですよ。  そこで、私は、申し上げたいこと、質問したいこと、要望したいことは、いままでも何年ごとかに、三年ごとくらいに、調査に基づいて、実態に即するように、計画人員を実人員に近づける努力をしておった。今度は努力じゃなくて、減らすほうに計画人員をやった。これはやはり、今度の交付税総額が、内容においても質においてもきわめて貧素だということから出ていると思うのでありますけれども、これはひとつ実態に即するように直していただかなければならぬ。行管の指摘もあるわけですから。こう思うのですよ。これについてひとつ大臣のお答えだけを聞いて、いろいろと問題点はありますけれども時間でありますから、質問はきょうは保留しておきたいと思う。あとまた大臣にゆっくり質問したいと思います。
  89. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いまの実人員の分でございますが、五年目ごとに実態調査をやりまして、できるだけ地方財政計画地方の実態に合うように――これは決算計画で、地方財政計画は標準でございまして、地方自治は、それぞれの決算自治体でございますから、差があるのは当然であろうと思いますけれども、できるだけ実態に即さなければいかぬということで、人員を埋めて合わすように、五年ごとですか、実態調査をやっておりますが、その計画もせずに、ことしは金のために人員を切らざるを得なかった。こういうふうな姿で、私自身作業をやったものではないのですが、そういういま御指摘のようなものは私はやらせるつもりもございませんでしたし、金のためにどうこうということはなかった。こう思うのでございます。  いま前半に御指摘のございましたところの、人員が減ることによって建設費がふえてきたということは、私は、これは細谷さんと同様に認めるものでございます。しかも、給与そのものも、地方自治体であるから下げろということは言い出すべきものでない。ただ、かように考えております。ただ、指定都市とか、そういったところでの給与、これは都会だから高いのだ、国家公務員は全国平均だ、こう言われておりますが、国家公務員はいまの手当その他によっては違いますけれども、事実、国家公務員と東京都の公務員では相当大きな差がついておるということも私自身実情を知っておるところでございますし、いま細谷委員の御指摘をされたとおりのものである。ただ、地方自治体が人を入れます関係のときに、国家公務員のような姿で優秀な者を入れることができない。民間企業との関係もございまして、やらざるを得ぬ点も認めますけれども、国家公務員と比べて、人員管理において、都市において適正であるというような点は、まだまだ努力せなければならないじゃないか。かように考えておるのでございます。  地方公務員の人員の場合におきましては、人そのものが事業であるというふうな、警察官とか消防とか、あるいは学校教員とか、そういうものが多いものでございますから、ベースアップその他の場合におきまして、私たちもそのように申し上げますし、節減のときも、閣議等でもそのような発言はいたしております。しかし、一般職員におきまして、限られた範囲の中でまだまだ効率のあがる地方財行政の運営をやっていただきますように――住民の目に映っておる姿というものは効率ある行政運営という点において、なお批判があると言ったら語弊がございますけれども、私たちも努力せなければならぬ点もある。このように認めまして、その部面においてもできるだけ行政の能率をあげていただきたいということは要望をし、地方住民の要望にこたえられるような行財政運営のあり方でなければならぬ。このように考え、指導しておるのでございます。  いま申されました点、私も重々承知はいたしておりますが、ただ、一点の違いは、財政が悪いために人員を切らざるを得なかったということ、私はそのようなつもりでこの計画を組んだつもりはございませんから、後ほど局長にも答弁させていただきたいと思いますが、この点だけは、一点、私、いま御指摘を受けまして、そんなことはなかったということで、弁解的な答弁になりますが、御了承を賜わりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
  90. 細谷治嘉

    細谷委員 一言。昭和四十年度というと、不景気なときですね。四十年度に、地方公務員給与の実態調査によって十一万八千五百人、学校基本調査によって七千八百八十一人、合計十二万六千三百八十一人の規模是正を行なったのでしょう。それから、昭和四十三年に、規模是正二万七千九百三十二人やっておるわけです。そして四十五年度に、やはり給与実態調査に基づく規模是正二万五千八百六十一人やっておるわけです。五年目ごとに調査をいたしましても、一ぺんにできない場合には、その間にはさんでこの規模是正というものをやったわけです。自治省のつくる地方財政計画というのは、自治体にとって、予算編成運営上の一つの基本になるものでありますから、それは少なくとも、やはり決算によりアプローチをするという形で計画はつくらるべきである。そう思うのでありますが、給与関係費というものについて二割近い誤差が起こるのは、職員というものを、ことさら実態と遠ざけて、二割五分も遠ざけておるところに問題があるわけですから、自治省の言い分もありましょうけれども、適正な規模是正というものを、一ぺんにできなければ、年々やることが交付税を合理的に配分することにもなりますし、地方財政計画がより信頼が置ける計画になる。こういうことを申し上げて、善処方を要望しているわけです。  あと、保留しておきます。
  91. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十分休憩      ――――◇―――――    午後二時二分開議
  92. 大野市郎

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出にかかる昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。和田一郎君。
  93. 和田一郎

    和田(一)委員 午前中からいろいろ質疑があったので、重複する点が多々ありますけれども、ひとつ、私なりに聞いていきますので、御答弁をお願いしたいと思います。  まず、ちょっと話が飛躍するかもしれませんけれども、全国新幹線鉄道整備法という法律があるわけです。この法律を見ますと、財政上の措置として、ちょっと読んでみますと、「地方公共団体は、新幹線鉄道が当該地方の開発発展及び住民の生活の向上に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道に関し、その建設のため必要な資金についての援助、その建設に要する土地の取得のあっせんその他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」とあるわけですが、どの程度の援助、またはどの程度財政措置なのか、その点ひとつまずお聞きしたい。
  94. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この法律の規定によりまして、地方団体が国鉄当局から求められておりますのは、用地のあっせんでございますとか、あるいは利用債の引き受けといったようなことを求められておるようでございます。いま、私どもといたしましては、新幹線というものは、やはり国家的な大動脈を形成するわけでございますし、新幹線の建設というのは、ローカルな問題というより、明らかにこれは国家的な問題でございますので、土地のあっせん等は別といたしまして、利用債といったようなことについては、地方公共団体が引き受けるべきではない、あっせんというところが限度ではなかろうか、というふうに考えております。
  95. 和田一郎

    和田(一)委員 そうしますと、これは自治省との十分な話し合いのもとにできたのだと思うのですが、ほんとうはどうなんですか。
  96. 鎌田要人

    鎌田政府委員 はなはだ申し上げにくいことでございますが、これは議員立法でございまして、私どもは、当時、利用債の引き受けを内容とするような規定は困りますということを申し上げたわけでございますが、これは政府立法ではございませんで、議員立法でございますので、私どもの意見は顧みられなかったということでございます。
  97. 和田一郎

    和田(一)委員 議員立法であっても、多少の相談はあったと思うのですがね。いずれにしましても、「必要な資金についての援助」ということについて、いま、鎌田さんの答弁だと、あっせんまでが適宜じゃないかというお話ですけれども、結局、利用債の引き受けであるとか、あるいはまたいろいろな資金捻出だとかいう、そういうことは現実にどうでしょう。
  98. 鎌田要人

    鎌田政府委員 最近でございますか、東北新幹線、それから上越新幹線につきまして、国鉄当局のほうから地方団体に利用債を引き受けろという話があるようであります。実は、私ども、この問題については、全然事前に話も聞いておりませんでした。たしか、予算の第三分科会の席でこの問題が出されました。私どもといたしましては、従来の既定の方針でこの問題には対処するつもりでおります。
  99. 和田一郎

    和田(一)委員 いろいろなことが考えられるのですけれども、通過するところでも全然利用のできないところがあるわけですね。もう一つは、こういうこともあるのです。新幹線をつくる。そして、鉄道としては、新幹線の用地だけを買収するわけです。ところが、用地だけじゃだめなんですね。側道をつけなければならない。その側道というのは、でき上がってしまうと、結局その地方公共団体が引き受けなければならないような形になっていく。しかも、土地のほうまでも相当な金額で引き受けなければならない。こういう事態が起きているのが現実なんですね。それについての話し合いはどうですか。こういう法律が議員立法でできてしまったからというのじゃなくて、現実地方公共団体の一つの大きな問題としてあるとすれば、何らかそちらのほうも考えなければならないと思いますけれども、その点どうでしょうか。
  100. 鎌田要人

    鎌田政府委員 正式に私ども全然話を受けていない段階でございますので、何とも申し上げかねるわけでございますが、鉄道との関係におきましては、御存じのとおり、昭和三十年代だったと思いますけれども、運輸省のほうと私どもとの間で話し合いが行なわれまして、いわゆるローカル線につきまして、駅舎の改造がある、あるいは線増がある、あるいは踏切をつくる、といった限られたケースにつきまして、地方団体で利用債の消化について資金のあっせんをするという骨子の考え方で処理をしておるわけでございます。新幹線ということになりますと、これはいろいろ御判断があろうかと思いますが、何と申しましても、国家的な見地に立って建設されるものでございますので、これについて、地方団体の利用債の負担を求めることはいかがであろうか。私どもといたしましては、そういう考え方で、この点についてはあくまでも主張を貫きたいという気持ちを持っておるところでございます。
  101. 和田一郎

    和田(一)委員 私が例として出したいわゆる工事用の側道ですね。そういったものをあとあと地方公共団体が引き受けなければならないということは、確かに道路ができていいかもしれないけれども、できなければ別にそういう経費はかからないわけですから、その点についての御見解はどうでしょうか。
  102. 森岡敞

    ○森岡政府委員 新幹線を建設いたします場合の側道については、国有鉄道のほうで一部側道の予算を盛っております。ただ、地方といたしましては、国鉄の予算の中で処理します側道だけでは、騒音とかいろいろな問題がございますので、もう少し幅広くとりたいということで、それつけ加えまして、もう少し幅の広い側道をつくるというケースが出てまいっておるようでございます。それにつきましては、適時必要な地方債を許可いたしまして資金に充当する。こういう措置を講じております。
  103. 和田一郎

    和田(一)委員 わかりました。そうすると、利用債の引き受け等のそういった話し合いも、ひとつ運輸省とそろそろ始めていただきたいと思いますが、その点はどうですか。そちらの主張を伺いたい。
  104. 森岡敞

    ○森岡政府委員 ただいま局長から申し上げましたように、予算の際に、新幹線の利用債についていろいろ論議がございました。自治省といたしましては、今の利用債がたしか六分七厘でございますか、非常に金利も云うございますし、それをそのまま引き受けないしはあっせんをいたしますと、当然地方公共団体の持ち出しになるわけでございます。こういう措置はとるべきではないという強い申し入れをいたしました。その後、実は、両省間の接触はございません。しかし、地元に対してある程度話が出ておるようでもございますので、地元地方公共団体の意見も聞き、遺憾のないような措置を講ずるように運輸省と打ち合わせいたしたい。かように思います。
  105. 和田一郎

    和田(一)委員 政務次官、その点について。
  106. 小山省二

    ○小山政府委員 地方財政を圧迫するようなことがありますことは、私どもの好まないところでございますので、従来から、そういう問題については、行政指導の面で、国の行なうべきそうした事業に対して、できるだけ地方負担をすることのないように指導をいたしておるわけでございますが、今後もそういう方向で善処したいと思います。
  107. 和田一郎

    和田(一)委員 これはいままでの質問の方々と重複しますけれども、今回の臨時地方特例交付金千五十億。この問題についてちょっとお聞きしたいのです。  まず、これはどういう性質のものかということ。交付税というのはよくわかっておりますし、それから国庫補助金だとかいうこともよくわかっておりますけれども、臨時地方特例交付金というのは、大体どういうふうな特質があるのかということを伺いたい。
  108. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この一千五十億の臨時地方特例交付金の出てまいりました経緯につきましては、これはすでに御案内とおりでございまして、明年度におきまして、地方税あるいは交付税といったものが伸びない。さらに、所得税減税地方税減税というものがございまして、落ち込みを生ずる。かたがた、地方財政全般に、特に支出に対しまして財源不足が苦しい。こういったもろもろの要素を勘案いたしまして、昭和四十七年度限りの臨時特例措置としてとられたわけでございます。この千五十億円は、全額普通交付税に合算いたして配分をいたしたい。こういうふうに考えておるわけでございます。
  109. 和田一郎

    和田(一)委員 それで、この千五十億円の金額ですけれども、これはどういうところからこういう千五十億円ときまってきたか。ひとつ答えてください。
  110. 鎌田要人

    鎌田政府委員 千五十億の積算の根拠でございますが、これは、実は、午前中もその点をめぐりまして論議があったわけでございますが、ぴたりこういう積算の根拠というものではございませんで、結局、地方財源の全体の財源措置をしなければならないが、最初ども一兆円と申しておったわけでございますが、ほぼ八千億程度にこれがしぼられてまいったわけでございます。その八千億という財源不足というものを先ほど申しました所得税減税なり、あるいは地方税減税なり、あるいは一般的な義務的な経費に充当すべき財源不足、あるいは公共投資に充てるべき財源不足、こういうものをにらみ合わせまして、俗に三本柱と申しておるわけでございますが、一つ交付税に相当するものといたしまして、キャッシュで、という柱を一本立てる。もう一本の柱といたしましては、交付税特会が資金運用部から借り入れをする。三本目の柱といたしましては、地方債を増発する。こういう三本の柱というもので、一応明年度の財源対策を総合的に講じよう。こういうことで進んでまいりました。その過程におきまして、御案内のとおり、来年度の国庫予算におきましても、国税の自然増収は五千五百億。その中から千四百六十億が自然増収。それから、三百六十五億というものが沖繩に対します臨時特例。それから、千五十億というものが、ただいま申しました財源対策としての臨時特例交付金あと、第二番目の柱といたしましては、千六百億の特会借り入れ。三番目の柱といたしましては、四千九百億の地方債の増発。その中の三千五百億の地方財政対策債。こういうことでございまして、これは積算の根拠が、こういう根拠に基づいてこれだけという経過をたどったわけではございません。
  111. 和田一郎

    和田(一)委員 この臨時地方特例交付金千五十億と、もう一つは、いまもおっしゃった交付税特別会計による借り入れ措置千六百億。このほうは返さなければならないわけですね。この千五十億の場合は、返す必要はない。いずれにしても、これは地方交付税落ち込みに対する措置には違いないわけです。地方側とすれば、この臨時地方特例交付金に全部してもらったほうが一番いいのです。ところが、なぜ一千六百億という形になってしまったのか。その辺のところはどうなんですか。
  112. 鎌田要人

    鎌田政府委員 先ほども申しましたように、国の一般財源伸びというものが五千五億億程度しかない。その中から、結局、財源といたしましては、この五千五百億を含みます国税収入の中から持ってくるということになるわけでございますので、結局、その国税の自然増収分をどういうふうに割り振りするかというようなことに相なります。国の場合でございますれば、もちろん、国家公務員に対する給与というものの当然増もあるはずでございます。そのほか、国債になじまない義務的経費の支出もあるわけでございますので、結局、この五千五百億の配分といたしましては、先ほど申しました交付税の自然増収、それからこの千五十億、それから三百六十五億、こういったものをひっくるめまして、大体二千八百億程度のものになろうかと思いますが、半分以上のものを地方財源として付与をする。あと、いわゆる地方団体の義務的な経費を中心といたします経常的な経費につきましては、交付税特別会計で、いわば先の交付税増収というものを引き当てにして資金運用部から借り入れをする。こういう措置をとったわけでございます。
  113. 和田一郎

    和田(一)委員 よくわかるのですが、今回の措置で一応は地方公共団体がちょっと胸をなでおろしたのじゃないかと思うのですけれども、さあこれからがたいへんだということになるわけです。いまの一千六百億を返すのも、これから起こってくるであろういわゆる地方交付税増収分を充てる。しかし、この増収分といっても、結局それだけ支出面がふえてくるわけですよ。ですから、これから先の問題になって、大きくはね返ってくると思うのですね。この点については相当大きな議論になってくると思うのです。  まずそこの一千五十億についてもう一つ聞きたいと思いますが、昭和四十七年度限りの措置で終わればいいけれども、ここでまた円の再切り上げとかいうような話もちらちら出ておりますし、現実に三百八円をぐっと下回っておるのが現状でございます。そういったことになって、そして不景気がやってきた、さらに税収伸びなくなってしまったというときにこの臨時地方特例交付金というのが出てくる。こう考えていいのですか。これは鎌田さんと加藤さんにひとつお願いいたします。
  114. 鎌田要人

    鎌田政府委員 問題は、かかりまして今後の景気の動向にあると思います。私ども、ことしの景気見通しといたしましては、今年の秋から景気回復過程に転ずるであろう――また、そういうことをねらいといたしまして今回の国、地方を通ずる財政措置も講ぜられたわけでございますので、ある程度景気も浮揚してまいる。そういうことを前提にして今後の財政対策も考えておるわけでございます。したがいまして、明年度におきまして、予算編成の際にどのような景気の動向に相なり、それが、地方税なり交付税なりにどのような形ではね上返ってまいるかということは、これから半年余りの間の勝負になるわけでございますが、私どもといたしましては、一日もすみやかに景気回復し、浮揚するということを強く期待をいたしておるわけでございます。もし万一、景気の浮揚というものが期待するごとくまいらないということになりますと、四十八年度の地方財政対策は、ある意味におきまして四十七年度よりも深刻な問題になってまいります。そういうことがございまして、四十八年度の地方財政対策につきましては、ことしの財政措置というものにまさるとも劣らない措置をとらなければいくまいというふうに考えておるところでございます。
  115. 加藤隆司

    ○加藤説明員 財政需要財源のかね合いで、基本的には経済情勢によるかと思いますが、特例措置が恒例的にならないようなことを期待しておるわけでございます。できるだけ特例で終わりたい。目下のところはそういうふうに思いますが、しかし、先行きなかなかむずかしいとは思います。
  116. 和田一郎

    和田(一)委員 ことし限りで終わってもらいたいというのははかない希望のように思う。もしもの場合があればたいへんですからね。そのときはまた特例交付金になるんじゃないか。そういう答弁に受け取ってよろしいんですね。鎌田さん。
  117. 鎌田要人

    鎌田政府委員 特例措置になりますか。あるいはもっと抜本的な措置になりますか。これはやはり国、地方を通ずる明年の財政環境と申しますか、財政状況、あるいは地方財政の歳出面におきます諸要因、あるいは地方税税収見通し減税の動向、こういったものが全部からんでまいると思います。
  118. 和田一郎

    和田(一)委員 抜本的な改正になるかもしれないという、そのお話は、結局交付税率のアップということに解釈するのですけれども、政務次官、それでいいのですか。
  119. 小山省二

    ○小山政府委員 ただいま局長から御答弁申し上げましたとおり、かかって経済回復いかん。本年度は、そういう意味で、大きく経済回復を目標にした予算措置を私どもは講じておるわけでございます。したがって、この結果いかんによっては、いろいろ税制上の問題も出てまいることと思いますし、あるいは交付税率に触れるような点が出てまいるかも存じません。いずれにいたしましても、経済の動向を見まして、税制の面において処置できる程度であるか、あるいは大きく言って交付税率まで変更しなければならぬような経済的な見通しであるかは、その状況いかんによって私どもも考えていかなければならない問題だと思います。
  120. 和田一郎

    和田(一)委員 では、もう一ぺん政務次官にお聞きしますが、今回三千五百億の起債のワクが広がったわけですね。それ以外に一千六百億という借金があるわけです。これはもうそういう経済情勢に来ていることは事実なんです。地方は借金を負わなければならないという。しかも、それは、何かというと、交付税率がぐっと下がっているということですね。だから、三二%では、もう地方財政支出には間に合わないということですよ。そういう節が来ていることは事実なんです。ですから、いまの御答弁のように、これからまたそういう状況になれば交付税率をアップするようになるかもしれないというおことばですが、なぜ今回はそういうふうな話までならなかったのですかね。何かの小委員会交付税率のアップを答申されておりますけれども、その点について何かあったのですか。
  121. 小山省二

    ○小山政府委員 御承知のとおり、今回の不況というものはきわめて短期的な現象である、したがって、早期に景気回復をはかるというたてまえにたって本年度の予算がつくられておるわけでございます。したがって、現在のところは、特例交付金のようなもの、あるいは借り入れ金のような処置、そういうことによって一応本年度の予算編成というものはなされたわけでございます。したがって、不況が長期化するというような見通しになりますれば、おのずと考え方が違ってくるのではなかろうかと思います。
  122. 和田一郎

    和田(一)委員 この議論をあまりやっているとほかができなくなりますので、次に移りますが、例の交付税特別会計によるいわゆる一千六百億の借金、これは八年間にわたって返していくわけです。そのほかに三千五百億の起債のワクが広がっておりますし、地方債地方財政計画で約九千三百億ですか。ですから、例年の四割くらいふえておるのですか。これは、問題は、各地方公共団体で、政府の景気対策のための公共事業に対する裏負担もあるでしょうし、いずれにしても、一つの大きな転機が来ていることは事実ですけれども地方のいわゆる会計の中で、公債費の比率はどの程度までいいのかということはちょっと論議になっていると思うのです。まだ、ここまでの話が案外煮詰まっていないようですけれども、その点の財政当局のお考えはどうでしょうか。
  123. 鎌田要人

    鎌田政府委員 地方伏がどの程度のウエートを地方財政で占めることが適正かということにつきましては、非常に議論の余地があるところだろうと思います。また、ぴったり明確な線を引くことははなはだむずかしいだろうと思いますが、私ども考え方といたしましては、一つの目安といたしましては、財源構成の中で、地方債というものがどの程度のウエートを占めるか。どの限度まで許されるか。いわゆる地方債に対する依存度と申していいかと思いますが、それからもう一つは、歳出の中で、地方債の元利償還に要します公債費というものはどの程度のウエートまでは許容されるか。特に、一般財源の中で公債費というものがどの程度のウエートを持つところまで許容されるかということであろうかと思います。率直に申しまして、御案内のとおり、国と同じように、地方債も建設事業に対する財源でございますので、建設事業というものに対しまして地方債が張りついてまいるわけでございますが、従来、一、二の例外を除きまして、毎年の地方債の依存度でございますと、大体四%程度でございます。今度八%程度に上がっておるわけでございますが、これはもう一つ地方財政全体としてマクロで判断をすることはちょっと危険であるわけでございますので、個々の団体について判断をしなければならないわけでございますけれども、一応、しばらくその点をおきまして、マクロとして見ました場合に、地方債の依存度を八%というのは、この辺はまだ地方債に依存する余地というものがあるんじゃないだろうか。それから歳出面でございますが、現存、一般財源に対しまして地方債の占めておりますウエート、これも大体四%から五%程度のところかと思いますが、これにつきましては、私ども、確たるものさしを持っているわけではございませんが、大体一〇%から一二、三%というところの辺までは、一般財源に占めまする公債費のウエートというものは許されるのではないだろうか。そういうことを前提にして判断をいたしますと、ことしのこの程度というものは、その面から申しましても、まだ公債発行にたえ得る余力というものが地方財政全体としてはある。ただ、問題は、三千の個々の団体についてミクロ的に判断をしなければならないわけでございます。個々の団体におきましては、その公債依存度あるいは公債費の占めるウエートのかなり高いところもございます。私どもの、今後の、この三千五百億を含めましての地方債の配分の方針といたしましては、財政力の相対的に高い府県や大中都市というところにその起債をできるだけ振り向け、それから下の団体に対しまして交付税振り向ける。あるいは、起債を振り向ける場合におきましても、できるだけ政府資金を重点的に振り向けてまいる。こういうふうに、側々の団体に応じまして、交付税地方債の連動ということをきめこまかくやってまいらなければならないだろうというふうに考えております。
  124. 和田一郎

    和田(一)委員 公債費は大体支出のうちの一〇%から一五%までがいいだろうというお話ですけれども、これはどこまでやったっていいと思いますよ。確かに、それは、払えばいいんですから。しかし、問題は、それじゃもう、いわゆる社会資本の充実もできないということになってしまうわけです。各地方団体決算をちょっと見ますと、人件費であるとか、どうしても出さなければならない経費が約四割から四割五分ぐらい占めております。そこへまた一〇%ないし一五%というと、これはもう、いわゆる地方独自の仕事というものはぐっとできなくなってしまって、三割自治が最近一割自治と言われたり、〇・五%自治になってしまってもたいへんだと思うのですが、この点はもう少し学問的にぴちっとした線はそちらのほうでは出ないのでしょうか。ただ、このくらいはいいんじゃないかということじゃなくて、数学的にも理論的にも出す必要があると思うのですけれども、その点はどうでしょうか。  それで、ある市ですけれども、今年度は大体公債費が一五%ぐらいいっているところがあるわけです。さあこれから先どうしたらいいかというようなことになっているわけですが、現実にそこまで来ているところがあるわけですね。その点についてひとつ……。
  125. 鎌田要人

    鎌田政府委員 先ほどちょっと申し上げかけておったわけでございますが、いま私の手元にございます資料で一番新しいのは四十五年度の決算でございますが、これは四十五年度の一般財源でございますので、歳出決算額に占めております公債費の割合が、都道府県で三%。市町村で四・七%。この中に、いまおっしゃいましたようにかなり公債費の高い都市もございます。私どものところでも若干抜き取りをして調べておりますが、大都市周辺、わりと人口増加の著しいところ、大体そういうところで公債に対する依存度というものがやはりかなり高くなり、その結果、公債費が高い団体がございます。そういうところに対しましては、私どもは、個別的な財政診断というものも当該市町村の要請に基づいて行ないまして、公債費というものが重圧を加え、財政運営に憂いを及ぼさないようにしてまいりたいと思っております。  ただ、社会資本の整備ということになりますというと、どうしてもこれは後代の住民の方々にも恩恵が及ぶわけでございますので、社会資本の整備ということにつきましては、全体的な議論といたしましては、私ども、もっと積極的に地方債というものを活用していっていいのではないだろうかということで、先般国会にも御報告申し上げました地方財政白書で、地方債の活用ということを問題として提起をしておるということでございます。  それから、公債費の占めるべきウエートということにつきまして、これは確かに、荒っぽいものさしでも必要だろうと思います。これは学者の方々の間でも、実はまだ定説がないわけでございまして、私ども、かつて、財政再建当時に、地方団体財政指導の一般的な考え方といたしまして、大体一〇%から一五%ぐらいのところを一応のめどにして指導いたしたという経過がございます。
  126. 和田一郎

    和田(一)委員 加藤さん、どうでしょうか。地方財政を担当していらっしゃるのだから、その点についての御意見を大蔵省側から……。
  127. 加藤隆司

    ○加藤説明員 地方財政の前に、国の公債のときにも、四十年度にそういう議論をやりまして、一つございましたのは、ドーマーという学者ですが、経済成長スピードと公債のGNPに占める割合というものの関係を研究いたしまして、成長率が高ければ、国家財政の場合、借金をかなりやってもかまわないというような一つの式はございますが、日本の場合に当てはめますと、各国と事情が違いまして――たとえばアメリカの場合は、公債の残高が議会で定められておりまして、いま四千五百億ドルくらいですか、そのうち八割くらいが過去の利払いに充てられている。それは戦争の累積公債の償却などの問題があるものですからそうなるわけですが、わが国の場合は、戦争中の公債はほとんど償却されたようなかっこうになっておりますので事情が違う。そういうような幾多の議論がありまして、現存定説的になっております建設公債の原則と、それから市中消化の原則と、こういうような二つの歯どめといいますか、そういう原則で公債を運営していく。  地方債の場合になりますが、地方債は、明らかに国家の借金とは性格が違ってまいりますが、かりに人口急増のような都市の場合、非常に財政需要が大きいわけでございますが、同時に、地方財政見合いの借金をやって投資をやった場合に、回り回って、後代の財源というのはかなり培養できるというふうに、地方の個々の団体の財政力に応じて地方債の依存度というのはやはり変わってくるのではなかろうか。ただいま財政局長からもお話がありましたが、経験的に見まして、本年の一般会計、普通会計債で八%、国の場合一七%になっておりますが、その程度のものであれば絶対値としてもあまり大きな負担にはなっていない。それから将来の負担も、かりに、交付税を一五%ぐらいの伸びで何年間か計算をしてみまして、そのうちに占める公債費の割合、あるいは地方債の残高、借り入れ金も含めました残高の割合などを見ますと、ほとんど一%前後の数字が出てまいりますが、そういうような定説的なものはございませんけれども、国の財政につきまして、いろいろ議論されている説を援用いたしまして、われわれのほうも、どの程度まで負担がいくであろうか。絶対値的にはなかなか結論が出てまいりませんが、少なくとも四十七年度の措置に関する限り全く心配は要らないというふうに確信しております。
  128. 和田一郎

    和田(一)委員 お二人の御答弁を聞きましても、確たる、どこまでという線は出てこないようですけれども、四十七年度は何とかだいじょうぶだ、これはある程度の目安が必要だろう、そういう印象を私受けましたのですが、政務次官、そういう面についての政府としてのお考えはどうですか。ボーダーラインと言ってはおかしいけれども、そういう線を一本引くか。そういったことを研究するか。そういうことです。
  129. 小山省二

    ○小山政府委員 もちろん十分検討しなければならない課題でございますが、現状におきます地方の公債費の割合は、国の公債費の依存度から見ますれば、きわめて軽微でございまして、現状におきます程度であれば、私は、地方財政にとってそう大きな問題点になる程度の金額ではないように理解いたします。
  130. 和田一郎

    和田(一)委員 ですから、それはわかるのですけれども、とにかく一五%まで達しておる地方公共団体が現実にあるのですよ。全国平均すると八%だなんてのんきなことを言っているけれども、しかも、それは大都市ですよ。そこまで行っておるところがあるのだから、ある程度の線を引く必要があるんじゃないかと質問申し上げましたら、鎌田さんは、それはもうきちっとはできないけれども、ある程度は必要だろうという御答弁があったわけですよ。財政局長も、大蔵省の方も、大体そういうニュアンスのお答えをしていらっしゃるのだから、それでは、政務次官として、政府の立場で、その点どうそれを研究しようとか、そういう将来のために対してのお考えがあるかということをお聞きしておるのです。
  131. 小山省二

    ○小山政府委員 御承知のとおり、歳入全体に占めます地方債のパーセンテージは、現在八%でございます。
  132. 和田一郎

    和田(一)委員 これから八%になるのでしょう。現在はまだもっと低いです。これからですよ。
  133. 小山省二

    ○小山政府委員 今回の予算地方における公債の依存度でございます。国の予算におきます国債のウエートは一七%でございます。したがって、将来の問題としては、十分検討しなければなりませんが、現状における程度でありますれば、地方財政にそう大きな混乱を招くというような数字ではないように、私ども考えておるわけでございます。
  134. 和田一郎

    和田(一)委員 ここであまり議論していてもしょうがありませんが、先ほど財政局長から、一年間の歳出に対しての公債費の割合が大体一〇%から一五%ぐらいなら、という御答弁があったのですけれども現実に一五%に達しているところがあるわけですよ。全体から見るとないかもわからないが……。
  135. 鎌田要人

    鎌田政府委員 私、ここに若干資料を持ってまいっておるわけでございますが、四十五年度の決算で、歳出全体に対するウェートでございますが、これが一〇%をこえる市町村というものが若干ございます。これらにつきましては、私どものほうで、それぞれの市町村での公債費の内容――したがいまして、それは、公債費以外のものについて公債を発行したものということになるわけでございますけれども、そういったものにつきましても精査を加えまして、公債費の累増というものが当該市町村の財政運営に支障を及ぼすことのないように、これは個別的な指導をいたしたい。  それから、政務次官がさっき申しておりましたのは、そういうことについての研究も将来の方向としてやりたい。こういうことでございます。
  136. 和田一郎

    和田(一)委員 では次に移ります。  本年は、その地方債等々、いろいろなものを合わせて、大体一兆七千億くらいになるそうですね。いわゆる地方債というものが消化される見通しはどうでしょうか。大体どのくらいが政府資金で、何%ぐらいが市中で消化されるようになるか。
  137. 鎌田要人

    鎌田政府委員 一兆七千億の中で、いわゆる普通会計債と申しますものは、先ほど御指摘になりましたように、九千億余り、九千三百七十九億でございますが、それ以外のものは、いわゆる公営企業債、上水道でございますとか、下水道でございますとか、あるいは地下鉄でございますとか、病院でございますとか、こういったものでございます。それで、ただいま私どもの目安といたしましては、地方債の――前後いたしまして恐縮でございますが、資金の内訳といたしましては、政府資金が九千六百億でございまして、それからあと、市場公募でございますとか、あるいは縁故資金でございますとか、あるいは縁故募集でございますとか、そういうものに分かれるわけでございますが、全体的に、御案内のとおり、たとえば市場公募債――大都市が発行いたしておりますが、これは四月発行分から〇・三三三%利率を下げますし、縁故資金につきましても、現在、四十六年の当初は七分五厘でございましたけれども、これがおそらく七分一厘から三厘くらいまで低下するのではないだろうか。そういうことを考え合わせますと、資金全体のコストが、四十六年に比較いたしまして、〇・一%程度は安くなる。こういうことがございますし、それから、御案内のとおり、非常に資金のだぶつきがございますので、地方債の消化、あるいは地方債の資金コスト、こういった面におきましてはごうまつも心配の必要がないというふうに判断をいたしておるところでございます。
  138. 和田一郎

    和田(一)委員 そうしますと、これはまるっきり安心していらっしゃるわけなんですけれども、一般企業以外の、いわゆる公営企業等を入れて、約一兆七千億ですね。この何十%くらいに当たるのが市場公募、いわゆる市中消化になりますか。
  139. 鎌田要人

    鎌田政府委員 一兆七千億の中で、市場公募に回ります分、市場公募債が八百億でございます。それから、公営企業金融公庫資金が千四百九十億でございます。それから、共済組合等の資金が百五十八億でございます。残りの五千二百三十億と申しますのが銀行等の縁故資金に相なっております。全体の公募資金が七千六百七十八億でございますので、その約一割が市場公募資金、それから七割が銀行等縁故資金、こういうことに相なろうかと思います。
  140. 和田一郎

    和田(一)委員 いろいろこまかい数字で私もつかみにくいのですが、大体四〇%から四五%くらいじゃないかと思うのですが、その辺どうでしょうかね。全体一兆七千億の中で……。
  141. 鎌田要人

    鎌田政府委員 一兆七千二百七十八億をもとに置きますと、おっしゃいますような率になると思います。銀行等の縁故債は、おっしゃるような率になると思います。
  142. 和田一郎

    和田(一)委員 いま案外資金はだぶついておりますが、しかし、いままで御答弁があったように、これから必ず景気回復するというお見通しの上にいろいろな財政措置がされているわけですね。景気回復していったら、これはどうなんでしょうね。相当あちこちの金がだぶつきがなくなってしまうことになる。消化できるかという問題はどうでしょう。
  143. 鎌田要人

    鎌田政府委員 当面の消化状況につきましては、そういうことで、私ども全然心配がないと言ってもいいくらいの感じを持っておるわけでございますが、おっしゃいますように、ある程度景気回復過程に転じてまいりますと、民間の資金需要というものもふえてまいりますし、それとの競合というのが生じてまいろうかと思います。ただ、従来からの地方債の消化の実績を見ておりますと、ことし、ここで申し上げておりますような五千億から六千億程度の消化というものは大体支障なくできるのではないだろうかというふうに考えております。
  144. 和田一郎

    和田(一)委員 時間がありませんのでこれ以上言いませんが、その問題については、これからひとつ十分に配慮の上お願いしたいと思うのです。  次に、超過負担のことについてお聞きしますけれども、超過負担は、今年度から調査をされるというお話しでありましたけれども、その点について……。
  145. 鎌田要人

    鎌田政府委員 超過負担の解消につきましては、過去におきまして、四十三年、四十四年に調査を行ないました。その結果に基づきまして、四十六年度までの間に、大ざっぱに申し上げて千三百億程度の超過負担の解消となったわけでございます。ところが、この超過負担の存在というものはやはりなくならないということでございまして、全国知事会等におかれましての調査の結果として、都道府県分だけでも六百億余りの超過負担がある。こういうことでございまして、財政が困難なおりからでございますだけに、超過負担の存在というものはやはり放置することはできないというふうに私ども判断をいたしておりまして、大蔵省その他関係各省と調査をいたしまして、共同の目で、超過負担を――御案内のとおり、単価差あるいは対象差、あるいは数量差、大体この三つに分類いたしておるわけでございますが、これを、超過負担の多いとせられる文教施設でございますとか、あるいは公営住宅でございますとか、あるいは保育所でございますとか、こういったものにつきまして超過負担の調査を行ないました。その結果に基づいて解消のための措置を講ずるという話し合いになっておるわけでございます。
  146. 和田一郎

    和田(一)委員 超過負担というものがなぜできるかという原因ですね。いまの御答弁で大体わかりましたけれども、加藤さん、どうでしょうね。どういうわけで超過負担ができるかという原因をひとつ克明におっしゃっていただきたい。
  147. 加藤隆司

    ○加藤説明員 私もかなり前から公営住宅の予算を長くやっておりまして、かりに公営住宅で申しますと、一つは、国の予算が、標準的な様式で、標準的な単価の算定で予算を組むわけでございます。予算ができましたあとで、事業官庁のほうが個々の事業計画と張りつけていく。その場合には、公営住宅で申しますと、御存じのように種類が甲地、乙地、丙地というふうに分かれておりまして、北海道の場合は寒冷地で高い。それから、都市周辺で砂利や何かの原資材が入らぬところは少し単価が低くなるというようなことでやるわけでございますが、一つは、そういう標準的な仕様書で、標準的な単価で算定するという問題がある。  その次は、保育所などで非常に問題になっておるわけでございますが、予算時に、かりに一〇〇なら一〇〇の数量をセットいたします。ところがどうしても一五〇やりたいということになりますと、金は動かないけれども数量の面で動いていくというような問題があるようでございます。  それから、その次には、下水道などに例がございますが、最末端の管などは、公共団体がその利用者との間で話し合ってつけていく。補助対象になっているのは、直径何ミリ以上の管にしておくというようなことをやらざるを得ないような、そういう対象の差で出てくる。  それから、団体によりましては、たとえば公営住宅の場合で申しますと、非常にこまかくなりますが、軒先を何寸出すという場合に、こっちは雨が降り込むからここを少し出したいとか、そういうふうな、われわれのほうから言いますと、標準設計よりもオーバーの分をやるというような県も出てくる。かつては、公営住宅にはふろはついておりませんでしたが、そういうふろもつけようという地方団体の御意向もあって、まあ、つけられるところもある。そうすると、どうしてもそういうものははずれてくる。  そういうように、先ほど財政局長が言われました対象差、数量差あるいは単価差という以外に、地方の御要望で、事業官庁と国庫当局との間でこういう計画でいこうというのを、オーバーにやらざるを得ない事情がどうしても出てくるという場合もいろいろあるわけでございます。こういうようないろいろな要素がかみ合って出てまいります。特に、人件費の場合、設置費系統の場合はさらにまた問題がむずかしくなってまいりまして、国のほうの予算単価というのは、ある一定の公務員ベースで、何等級何号というあたりのところで単価を設定いたしますが、人件費は、定期昇給もしていくわけでありますから、長年の間にはその間にギャップがどうしても出てくるというようなことで、時がたつとどうしても問題が出てくる。これは補助事業制度全般のあり方の問題もございますが、そういうような迂遠なことを言っておっても当面間に合わないので、四十七年度予算でございますが、公立文教施設、保育所、公園というような項目につきまして総額事業費ベースで三百六十二億、国費で百六十六億ほどのものを、いわゆる超過負担解消をすでにやっております。  さらに、別途、自治省とわれわれのほうで四十七年度に、四十二年、三年と二年について調査をやったわけでございますが、いまそれの調査要領を作成中でございまして、実態を調査の上、できるだけ四十八年度予算に間に合うように実態を把握しようというふうに考えて、すでに、どういうものをどうやって調査をするかという議論を両省でやりつつあります。
  148. 和田一郎

    和田(一)委員 そういう超過負担議論はいままでもたくさんあったわけですけれども、何か、あとからもそもそついて歩くような形に私たちには見えるのです。確かに、いまおっしゃった人件費の問題でも、家をつくるのだったら、いろいろな店から仕入れをしてきたり、いろいろなところで単価も変わってきますからなかなか計算しにくいけれども、これは人件費ですから一個の人間ですから、すぐ計算できると思うのです。たとえば保健所の補助職員の場合なんかも、保健所の補助職員としての全国平均が一年間百二十五万ぐらいですか。ところが、それに対する国のほうは百二万しか見ていないということで、何というか、簡単な計算もできないような気が私はするのですけれども、この追いつくのはどんなものでしょうか。その点がどうもわからないのですが、これはひとつ鎌田さんから答えてもらいましょう。
  149. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この人件費の超過負担の問題につきましては、先ほど加藤主計官のほうからも御説明がありましたけれども、国家公務員の何等級何号というところで単価を置いておられるということのようでございます。その何等級何号というところにぴったり合った人間がそこに張りついておればいいわけですけれども、具体的には、それよりも高い人がついておる。あるいはまた、国のほうの予算をつけられる際に、低い、初任給に毛のはえた程度のところで算定をされる。こういうこともあるのだろうと思います。その辺のところは、私どものほうでも、一応これがどこまでフォローできますか、調査をいたしまして、その結果というものによって処置をしてまいりたいというふうに考える次第でございます。
  150. 和田一郎

    和田(一)委員 超過負担の問題は、これは各都道府県または市町村の単独事業をがっちり圧迫しておるわけですね。  それでは、昭和四十五年度の決算は大体まとまったでしょう。昭和四十五年度の決算の中で、一体超過負担はどれくらいあったかわかりませんか。
  151. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この決算統計では、超過負担というものの調査をいたしておりませんので、いまここでどれだけ超過負担があるということはちょっと申し上げかねます。
  152. 和田一郎

    和田(一)委員 森岡さん、これはわかりませんか。四十五年度でなくともいいから、とにかく、一年間にどれくらいの超過負担があるかということはいままでわかっておるわけでしょう。これは調査して追いついたら、また二、三年たってしまうのですよ。そしてまたベースアップがあるのですよ。物価の値上がりがあるのですよ。また財政需要が変わってきているのですよね。一体どれくらい単独事業を圧迫しておるかということ、これは国の責任ですよ。
  153. 鎌田要人

    鎌田政府委員 先ほど申しましたように、一口に超過負担と申しましても、しさいに分析をしてまいりますと、もともと超過負担とは何ぞやという基本の議論になるわけでありますけれども、いま現実にそれぞれの団体が執行しておるものと国庫補助負担金との差額というものがすべて超過負担と一がいにはきめつけられないわけでございまして、そこいらのところは、私どもが今年大蔵あるいは関係各省と共同の目で調査をして、と申し上げておりますのは、そういうことがあるからでございます。  ちなみに、四十二年と四十三年に、過去に実態調査をやったわけでありますが、そのときは、四十二年と四十三年度で、調査対象を、保育所あるいは保健所、小中学校といったものを十一項目で限定をしてみたわけでございますが、六百四十一億というものが、そのときの共同の調査で、超過負担ということで出ております。  それから、全国知事会が昨年の秋に調査の結果を発表されましたのは、四十五年度について、都道府県におきまして二千六十九億のものが、これは都道府県、市町村を通じてでございますが、あるということが言われております。ただ、これは、市町村のほうは抽出推計でおやりになっておられるようでありますが、府県のほうは悉皆調査をおやりになられたようでありまして、その辺のところの誤差があろうかと思いますが、一つの見当としてはそういうことがあろうかと思うのです。
  154. 和田一郎

    和田(一)委員 いま超過負担とは何ぞやということになるとおっしゃいましたけれども、たとえば、加藤さんでしたか、公共住宅をつくる、ふろは国のほうの計画ではついていない、ところが、市町村のほうではふろをおつけになる、ということを言われたが、とにかく、人間が住むには、ふろは入らなければならないのですよ。しかし、公営住宅の建つようなところにふろ屋はないのですよ。
  155. 加藤隆司

    ○加藤説明員 私が申し上げましたのは、いまから十何年前の話でして、いまはそういうことはないと思いますので、ちょっと訂正させていただきます。
  156. 和田一郎

    和田(一)委員 そこのところをはっきりさせてくださいよ。いまふろはついているのか、ついていないのか。ちょっと聞いてくれませんか。これは問題ですよ。十年前の答えをされたんじゃ、こっちもたまったものじゃない。ちょっとその間待っています。
  157. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ちょっと関連して。  いま和田委員が御指摘になりましたが、昭和四十五年度の決算をもとにした地方財政白書、分厚い資料をいただきましたが、地方財政白書をつくるときには、やはり超過負担というものは一つの柱として立てて、そして、地方財政の状況がどうであるかという場合には、自治体の参考にするということが必要じゃないかと私は思うのですよ。それは、かつて、自治省大蔵省が一緒になりまして調査をいたしたことも承知をしておりますし、また、本年度自治省大蔵省とが共同調査をしようということも聞いておるわけでありますけれども、毎年度地方財政白書をせっかくおつくりになるわけでありますから、超過負担とは何ぞやというようなことを、大蔵省の加藤さんが言うのならわかりますが、しかし、自治省が超過負担とは何ぞやというようなことを言われることは、私は、ちょっと遺憾じゃないかと思うのです。これからは、地方財政白書の一つの重要な柱として、超過負担については、年々、地方財政白書でその状況を天下に公表する、国会にも報告をしていただく。そういう気持ちがあってもしかるべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  158. 鎌田要人

    鎌田政府委員 先ほどからお答え申し上げておりますように、ことし、関係各省で共同の目で調査をいたしました。ある程度この調査の結果が浮かび上がってまいるだろうと思います。ただ、これは、御案内のとおり、時間と金の制約がございますので、全部くまなくやるということにはちょっと相なりかねるかと思います。四十八年度の予算要求に間に合うようにやるということになりますと、あと四カ月程度しかないわけでございますので、そういう実態調査の経過も踏まえながら、いま御提案になりました点につきましては検討させていただきたいと思います。
  159. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ですから、悉皆調査できちっとした調査を毎年毎年やるということは困難かもしれませんが、少なくとも、地方財政白書をおつくりになるときに、その当該年度で知り得る範囲の超過負担については、およそこういう状況にあるということを、ある程度の傾向として必ず入れる。そういう項目をある程度文章としてお書きになる。そういうことをお願いをしておきたいと思うのです。何年かに一ぺん、きちんとしたものをやれば、その際、そういうもので正確な姿はあらわしていただけると思うのですが、そういった調査をしない年であっても、その年のおおよその傾向をおわかりの範囲で書いていただくということを希望しておきたい。
  160. 鎌田要人

    鎌田政府委員 地方財政白書と申しますのは、これは地方財政に関する私ども唯一最高の客観的な資料だというふうに考えておりますので、ある程度自信を持った数字というものを私どもといたしましては掲げる義務があるというふうに考えておりますので、その辺のところを一つ含めまして、検討課題とさせていただきたいと思います。
  161. 和田一郎

    和田(一)委員 それじゃ、ふろの問題はわかったら教えてください。  これは、大臣がおいでになったときも、この問題についてはお聞きしますが、いま山口先生からも関連質問があったとおり、やはり、実態に即した補助対象でなくちゃまずいと思うんですね。それが五、六年も前のことで、しかも、加藤さんの御答弁では、地方公共団体でこのふうにぐっと範囲を広げておつくりになる。いわばちょっとぜいたく過ぎるという、そういう意味じゃないかと思うんですが、そうでもないと思うんですよね。現実に即してつくっているんですよ。たとえば体育館をつくると、普通の安いどんちょうよりもずっといいんですよ。そういうところのぜいたくはあるかもわかりませんが、しかし、一般的に考えれば、大体普通のものしかつくっていない。ただ、あまりにも安過ぎるんですよ。補助対象が小さ過ぎるんです。単価が安過ぎて、べらぼうに安いんです。その点は、これから大臣がおいでになったらお聞きしますけれども、この問題はさらに毎回取り上げていきたいと思っております。  次に、自治体病院についてお聞きしたいんですが、自治体病院の財政面の現況をちょっと説明していただきたいと思います。
  162. 森岡敞

    ○森岡政府委員 最近の最も新しい数字は、四十五年度の決算の状況でございます。公立病院全体で、総収益と総費用を比較してみますと、総収益が二千八百十九億円、総費用が二千九百三十一億円、収益対費用の比率が九六・二%で、収支均衡点を下回っております。しかも、これは、他会計からの繰り入れ、主として一般会計からの繰り入れでありますが、二百九十一億円を収益に入れての話でございますので、これをはずしました病院収入と病院費用ということになりますと、さらに八〇%台に落ちるということでございます。その結果、全体の事業が七百十六事業でございますけれども、そのうちの六一・二%、四百三十八事業が単年度欠損金を出しております。さらに累積欠損金を出しております事業は、全体の事業数の六五・六%の四百七十事業でございます。累積欠損金は三百六十二億円ということで、前年度よりも百十二億さらにふえております。公営企業の中で、交通に次いで病院事業が非常に業績が悪化しておるということでございます。
  163. 和田一郎

    和田(一)委員 今度は政務次官にお聞きしたいのですが、ここ数年、公立自治体病院がちっともよくなっていないのです。いま御答弁があったように、ずっと下り坂なんです。ここでもうかるということはちょっと無理かもわかりませんけれども、とにかく、病院です。人の命を預かるところです。しかも、公立病院ですから、一般庶民が一番気やすく、さらに信頼を寄せて行けるところです。それがどんどん悪化している。交通事業と同じです。政府は、これはどの辺でストップされるおつもりですか。このままずっと放置されておくわけですか。
  164. 森岡敞

    ○森岡政府委員 政務次官がお答えになります前に、事務的なことだけちょっと申し上げますが……。
  165. 和田一郎

    和田(一)委員 政務次官に先に答えてもらってください。事務的なことはわかりましたから、けっこうです。
  166. 小山省二

    ○小山政府委員 公立病院の赤字につきましては、私どもでも、実は、赤字幅が非常に大きいので、かねがね心配をいたしておるわけでございます。これの要因と申しますか、よって来たる原因はいろいろあると思います。たとえば人件費が非常にかさんできたとか、あるいは医療費の高騰とか、あるいは病院の規模であるとか、それから位置の問題でありますとか、医師の確保が非常にむずかしい問題であるとか、いろいろ経営上の面からまいります面もございますが、根本的に問題になるのは、やはり、何と申しましても、医療費の問題だろうというふうに考えております。  この問題につきましては、政府でも、健康保険の赤字をどうするかというような問題と関連して、医師の診療費の問題をいまいろいろと心配しておるわけでございます。私どもは、これらの問題を総合的に解決することによって、公立病院の赤字というものがある程度解消されてくるのではなかろうかというふうに考えまして、それらを総合して、いまいろいろと対策を検討いたしておるものでございます。
  167. 和田一郎

    和田(一)委員 どういう対策をいま検討されていらっしゃるのですか。総合的に、とおっしゃいましたけれども、具体的には、どういうふうな手段で、どういうものを、いつごろ、どうやられているか。政務次官、答えてください。
  168. 小山省二

    ○小山政府委員 具体的に、と申しますと、何と申しましても、やはり医師の確保をはかっていくという問題がございまして、御承知のとおり、地方医科大学の設立というような恒久的な課題に向かって取り組んでもおります。それから、公立病院全体の経営の合理化に対しても、ある程度徹しなければならぬ。一つは、何と申しましても、赤字の最大の要因というのは、診療費の問題でございます。これは、単に病院の自己努力というわけにもまいりませんので、そうした方面の施策と相まって解決をしなければならぬように私ども考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、いつどういう方法でこの赤字を解消できるかという、率直明快な御答弁を申し上げるわけにはまいりませんが、ただいま申し上げましたとおり、診療費の改善と、病院経営の合理化につとめまして、できるだけ赤字を解消する。こういう方法でまいりたいと思います。
  169. 和田一郎

    和田(一)委員 これはどうも、現内閣じゃだめなようですね。毎回毎回、このことは、抜本改正だとかなんとかおっしゃって、いまも、政務次官ですから、私申しわけないと思っておりますけれども、そういう御答弁で、さらに公立病院はどんどん下り坂になっていく。これはやはり森岡さんのほうから事務的な救済措置をお聞きするよりしようがないから、答えてください。
  170. 森岡敞

    ○森岡政府委員 先ほども申し上げましたように、公立病院の経営の悪化の原因は、政務次官から御指摘がございましたように、いろいろな事情がございます。それぞれに応じて総合的な対策を考えてまいらなければならぬと思います。  まず、第一に、病院の建設費でございますが、建設費のうち、現在、地方財政計画では、御承知のように、二分の一程度を一般会計の負担ということで繰り入れ措置を講ずる。そのための所要の財源措置を講ずるという措置をとっておるわけでございます。それで十分かどうか。やはり、公立病院は一般の民間私的な病院と違いまして、医療の内容も高度でございますし、また、必ずしも利益をあげるということだけを追求するわけにもいきませんので、どうしても医療内容がかさむということになります。医療費がかさんでまいるということになります。そこで、建設費の一般会計負担というものをいま少しく前向きに合理化していく必要があるのではないか。これが第一点だと思います。  それから、第二に、僻地にございます公立病院。しかもそれがかなり小規模なものでございますが、これの赤字が総体的にも大きいということでございます。そこで、僻地の病院に対する財政措置。これもやはり一般会計の負担というものを相当程度考えてまいるということで検討を進めなければならぬと思います。  それから、同種の問題といたしまして、救急医療。これも公立病院のかなりな経費負担になっております。  さらに、結核でありますとか、精神関係の、一般の病院にはない部門。これらも公立病院の経営をかなり困難にしております。  それらを、現段階でも、交付税で一定の措置を講じて一般会計負担をやっておりますけれども、建設改良費と合わせまして、もう少し一般会計の負担を前向きに前進させるということと、それから政務次官の御指摘の、社会保険診療報酬の合理化が本年二月から一応行なわれましたけれども、いま一歩やってもらいたいものだというふうに考えております。
  171. 和田一郎

    和田(一)委員 ついでですから、交通事業についてのそういう考え方も伺いたい。いまの病院については、一般会計の負担というものは、これは一つ大きな問題があるにはありますけれども、それじゃ、一般会計のそれだけの持ち出しに対して何があるかということになるわけですが、それはそれとして、交通体系のほうは一体どういうふうにされるか。値上げですけれども、値上げだけで押されるつもりかどうか。
  172. 小山省二

    ○小山政府委員 公営企業ばかりではございません。そうした一連の赤字対策というもの、これを独立採算制のもとに公営企業というものを置くことが妥当な処置かどうかということです。いずれにしても、公共性を多分に持った企業でありますから、病院会計といわず、交通会計といわず、いずれもこれを独立採算という制度のもとに運営するというところに、私は、ある程度の無理があるのではなかろうかというふうに理解いたします。しかしながら、公営企業である限りにおいては、目標としては、やはり大きく独立採算というような目標に向かって、経営の合理化に徹しなければならぬと考えております。しかし、今日までの実情を見ます場合に、公営企業に対しては、やはり、一般会計から、補助ないしその他の方法で相当資金的なめんどうを見ない場合においては、その経営が成り立たないというのが実情でございます。したがって、公営企業をも含めまして、将来抜本的に検討を要するような時期に来ておるのではなかろうか。かように私は考えております。
  173. 和田一郎

    和田(一)委員 もう時間がありませんので、あと一問聞きますけれども、都道府県と市町村との経費の分担の問題ですが、県立高校の建設等の負担金は市町村に転嫁させてはならないということで、はっきりわかりまして、そういう指導をしてもらっておりますけれども、市町村の区域内を通る県道の補修または舗装、すべてに対して負担金を取っている。これは実際そうだろうと思うのですが、そういうのがいいかどうかという問題なんですが、市道は市道でやる、県道は県道でやるというふうにはっきりしているわけです。市町村に対して、県道の補修だとかいうことで県等が負担金を取るという考え方は、考え方としてはどうなんでしょうか。
  174. 森岡敞

    ○森岡政府委員 だんだんと、県と市町村との間の経費負担関係の秩序を確立するということが進んでまいっておると思います。以前は、公共事業の県工事について、地元市町村に負担を求めておったという事例がかなりございましたが、政府の指導なり注意喚起によりまして、ほとんど公共事業についてはなくなってきておると思います。いまの御指摘のものは、おそらく、県が単独でやります舖装関係の仕事について、一定の負担を求めておるというのがあると思います。ただ、舗装につきましては、受益の関係が、舗装道路と砂利道とでは格段の相違がありますし、また、住家の連檐しておるところから優先的に舖装するということになるわけでございますから、県と市町村とで、若干市町村に負担を求めてたくさん舗装したいというふうなことにどうしてもなってまいっておるものだと考えております。一がいに、県単事業の舗装について地元に負担を求めるのがいけないということではないのではないかというふうに考えております。
  175. 和田一郎

    和田(一)委員 これにはいろいろな解釈や考え方があると思いますけれども財源の割合、または税源の割合も、県と市町村とウエートがはっきり分かれておりますね。ところが、都道府県のほうが、何でもかんでも下から取るのが多いのですね。そして、県の補助金というのはほんとうにごくわずかなのが多いのです。ですから、一番生活に関連する市町村道の整備がおくれるのはそこら辺にあるのじゃないかと思う。地方財政法を見ますと、決してそういうことをしては悪いとは書いてない。書いてあるのは県立高校の負担金のことだけですよ。そういったことももう少し実態を調べてみて、やはりこの辺をもう少しきちっと明確にすべきじゃないか。こうも思うのですが、この辺はどうでしょうか。
  176. 森岡敞

    ○森岡政府委員 県道と市町村道の区分も、もちろん明確に管理責任が分かれておるのでございますけれども時代の進行に伴いまして、市町村道でも、幹線的なものはだんだん県道に移管されてまいります。そういうふうな道路相互間の移動もあるわけでございますので、相当交通量のある県道について、かつ地元の受益が多いものについて、ある程度負担を求め、かつ舗装の範囲を広げる、舗装量を広げるというふうな形をとることは、先ほど申しましたように、私どもとしては、一がいにこれを否定する、批判するということはないのではないかと考えております。将来の問題としては、御指摘のように県道、市町村道それぞれ経費の責任をきちっと分けまして、負担を明確にするということが望ましいと思いますけれども、現段階ではやむを得ない状況ではないか。かように思います。
  177. 和田一郎

    和田(一)委員 これで終わりますけれども大臣がおいでになりましたときに、先ほど保留をしました超過負担の問題と、いま政務次官から御答弁いただきましたけれども、公立病院といわゆる公営企業の問題について、大臣からまたお答えいただきたいと思います。  それだけ保留しておきまして、私の質問を終わります。
  178. 加藤隆司

    ○加藤説明員 先ほどの私に対する御質問でございますが、どうも申しわけございません。  四十六年は、一種の中層というコンクリートのものでございますが、四十七平来でございましたが、本年二平米上がりまして四十九平米。ふろはもちろんつくことになっております。単価も、内地の場合、前年一戸百六十二万六千円でございましたが、約七%アップいたしまして、百七十三万四千円というふうになっております。
  179. 和田一郎

    和田(一)委員 はい、わかりました。ふろがついて安心しました。
  180. 大野市郎

    大野委員長 次回は、明後六日木曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時二十五分散会