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1972-03-17 第68回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月十七日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 上村千一郎君 理事 大石 八治君    理事 塩川正十郎君 理事 中村 弘海君    理事 小濱 新次君 理事 門司  亮君       中山 正暉君    永山 忠則君      橋本登美三郎君    宮澤 喜一君       村田敬次郎君    綿貫 民輔君       山本 幸一君    山本弥之助君       横山 利秋君    桑名 義治君       和田 一郎君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 渡海元三郎君  出席政府委員         自治政務次官  小山 省二君        自治省税務局長 佐々木喜久治君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二六号)  地方税法の一部を改正する法律案華山親義君  外五名提出衆法第七号)      ――――◇―――――
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案及び華山親義君外五名提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 承れば、大臣が十一時半ごろいらっしゃるという話でございます。いまも指定都市の議会の皆さんの陳情を承ったわけでありますし、私も、その点を含めて大臣に対する御質問をさしていただきたいと思っておるわけでありますが、大臣がおいでになりますまで、地方税に関して、具体的な問題について少し自治省考えを伺いたいと思います。  まず、地方税に関する不服審査あり方についてであります。  私の手元に、不服審査状況の資料をいただきました。たとえば、私は、大蔵委員会国税をずっと担当してきたのでありますが、国税地方税とを見比べてみますと、ちょっと意外なことに気がついたわけであります。たとえば一例を、市町村民税個人分を例に引いてみましょう。四十四年度に七千六百十八件の要処理件数発生をした。前年度より引き続きの四十件を加えますと七千六百五十八件。これに対して、驚くなかれ、一部取り消しが五千八十二件。全部取り消しが千五百十七件。まさに圧倒的な数が、苦情に対して一部取り消しないしは全部取り消しになっておるわけであります。この数字は、私は、まことに意外正方な話であります。要するに、これだけの苦情が、これだけ解決をしておるということは、その市町村民税決定があいまいで、だらしがない決定であったか、あるいはまた、その決定が妥当なものとしても、苦情に対してきわめて弾力性のある決定がなされておったか、この二つに帰するのであります。  また、ほかの例を引きましてもそうであります。固定資産税で二千七百八十一件の不服申し立て発生したのに対して、一部取り消しが二千三十件。全部取り消しが三百三十四件。これまた、苦情の数は、全市町村の中でありますから、たいした数ではないと私は思うが、しかし、その苦情に対して、一部取り消し、全部取り消しが実に多いということを痛感をするわけであります。これまた、その最初決定がずさんなものであったか、あるいはまたそれが正しいものであっても、苦情に対してきわめて弾力性のある――いいほうにこれは解釈しておるわけでありますが、弾力性のある措置がなされておったか、どっちかだと思うのであります。この点について一体どういうふうに判断をしていらっしゃるか。まず伺います。
  4. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 地方税につきましての不服申し立て件数は、ただいま御指摘のとおりでございますが、この件数が多いか少ないかという問題になりますと、住民税の場合におきましては、大部分のものが、その課税標準決定等につきましては、国税所得税あるいは法人税扱い方とほぼ同じことになっておりますので、おそらく住民税の場合には、所得税控除失格者等について不服申し立て件数が多いのではなかろうかという感じがいたします。  また、固定資産税につきましては、評価につきましては、別個の不服審査機関が設けられておりますので、そういう意味におきましては、課税標準決定についての申し立て件数というものはごく少なくなっているのではないだろうかというような感じがいたしますが、いずれにいたしましても、私ども判断としましては、これらの不服申し立てに対しまして、市町村なり――いまの例でありますと市町村でありますけれども市町村の場合におきまして、十分納税者考え方を聞き、また、不服の事実をよく審査をして、そういう意味におきましては謙虚な判断を行なっているというふうに私ども考えております。
  5. 横山利秋

    横山委員 自治省は、地方税における不服審査及び訴訟実態について、内容的に整理をされたことが一体あるのですか。件数だけここに列挙して、この件数を、どういうふうに見るかということについては、私が言いますように、発生件数としては少ないと私は思う。全国の県及び市町村の全体を通ずるならば少ないと思う。けれども、それに対して、一部取り消し及び全部取り消しが実に意外に多いということは、国税と比較にならぬと私は思うのであります。その内容及び不服審査あり方について、どういう状況なのか、だれがどこでどういうふうにしてやっておるかについて、お調べになったことが一体あるのですか。
  6. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 不服申し立てにつきましてのそれぞれの理由、それから件数、それからまた却下あるいは取り消し、そうしたものについての状況調査をいたしております。御承知のとおり、地方税につきましての不服の処理につきましては、原則的には処分庁がこれを行なういうことになっておりまして、国税と違いまして、やはりこの課税標準決定等が――所得課税につきましては、国税決定を大部分のものが使っておるというようなことからその件数は少なくなっているものというふうに考えますが、地方税についての独自の原因というものが、たとえば住民税等の場合におきましては、住所の認定、要するに課税団体納税義務者との関係において発生する場合がございますし、それから所得税控除失格者等につきまして、市町村が独自に決定をいたしております。その分につきましての、課税所得につきましての不服申し立てがあるというふうに考えておりますが、こうした不服申し立て課税所得につきましての問題点につきましては、これはそれぞれ税務署あるいはブロック関係市町村等との調整を行ないつつ課税をいたしておりますので、そうした意味におきましては、不服申し立て件数というものは相当少なくなっているというふうに私ども考えております。
  7. 小山省二

    小山政府委員 横山先生指摘地方税異議申し立てについては、いろいろ問題があると私どももよく承知しております。従来、これに対する特別な機関を設けなかったというような理由は、いま局長からお答えを申し上げましたとおり、地方税は主として国税決定を基準として課税をされておるというような点が特別なそういう機関を設けなかった理由ではなかろうかというふうに私は理解をしておるわけでありますが、御指摘のように、たいへん地方税についての問題があるようでございますので、私どもにおいても、将来そういう機構をどうするかという問題については、十分ひとつ内部で検討をいたしてみたいと考えております。
  8. 横山利秋

    横山委員 えらく政務次官は先回りして、まだこれから聞くやつを御答弁になってしまったような気がするわけでありますが、ひとつ、問題点を列挙してみたいと思うのであります。  まず第一は、国税不服審判所を設けた根本趣旨は、私が強く国税審判法案政府に迫ったのでありますが、県知事にしても、市長にしても、地方税決定権者納税者に対して、おまえのところは百万円だときめた。きめた人間に対して、私のところは五十万が正しいと不服を申し立てる。判こをついた人間自分のあやまちを自分でさがすというところに基本的な論理矛盾がある。それは同じ穴のムジナだ。だから、決定をした人間と別な人間審査をするのが当然のことではないか。たとえば、労使の紛争には労働委員会がある。たとえば、建設関係の施主と建設業者との紛争には建築審議会がある。たとえば、百貨店小売り屋さんの争いには百貨店審議会がある。たとえば、公正取引委員会というものがある。土地の苦情もまた別な機関がある。ひとり国税だけが、税務署長並び国税局長が、自分のやったことを自分審査するというばかげたことがあろうかということが、国税不服審判所発足の基本になった論理であります。いまや、その天の声あり。ひとり地方税だけは国税決定に主としてゆだねられるのであるから、また、全国非常に広範な地域であるから、県税事務所長区長がやったことについて、県税事務所長ないしは区長審査をして、自分の誤りを自分で見つけるということが理論上許されてよいものではない。こういうのが私の言いたいことなのであります。まず、この点から伺いましょう。
  9. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 確かに、御指摘のようなこともあり得るというふうに考えます。ただ、現実行政上の問題につきまして、納税者がその不服申し立てをして、さらにその処分をした行政庁の再検討を持って、その適正化をはかるということも、いまの行政あり方から見ましても、それが一がいにおかしいということにもならないのではないだろうかというような感じがいたします。また、現実にこうした納税に関する不服申してというものを、処分庁がそれを審査することについて、非常に弊害が起きておるというような事例がありますと、やはり問題はあるかと思いますけれども、現在の不服申し立て処理状況というものから見まして、やはり、それぞれの地方団体におきまして、そうした納税者不服申し立てについて十分謙虚な態度をもって処理をしているというようなことが見受けられるわけでありまして、そういう意味におきましては、現在の制度地方税不服申し立て処理はまずいいのではないだろうかというふうに私ども考えております。
  10. 横山利秋

    横山委員 一般的にいって、こういうふうに言われます。国税はきびしい。地方税弾力性がある。こういう通説があります。そのことは、あなたが言われるように、地方税については弾力性があって処理をしておるということであるならば、裏を返して言えば、それは不公平な取り扱いがなされておる。泣いていった者、つまり不服審査申し立てた者については、驚くべき件数が一部取り消しないしは全部取り消しになっている。その人たちについては弾力性がある取り扱いをしておるとするならば、国税については、不服審査申し立てる者は多いけれども地方税についてはない。ないしは、ないということでなくて、不服審査以前に弾力性がある。不服審査段階においても弾力性がある。早い話が、いいかげんにされておる。こんなことは言いたくないのですがね。つまり、弾力性があるということは、文句を言った人については弾力性があるということなんでしょう。中に、身をこがしている人がどのくらいあるかしれない。弾力性も、もっと法に照らして公正な弾力性にしなければならぬ。私はそう思うのです。きびしく取れといっているのじゃないですよ。何か、これだけの一部取り消し、全部取り消しがあるというこの数字というものは、少しおかしくはないか。また、この要処理件数がもっとたくさん数字があってしかるべきではないかというふうに私は考える。それで、あなたのほうの理論としては、国税については、第三者機関的な不服審判所があってもいいけれども地方税はうまくやっておるからいいですよ、県税事務所長や、区長や、県知事や、市長がうまくやっているからいいですよという論理なんであります。うまくというのはどういうことなんでしょうか。  私の言っているのは、理論上おかしいということと同時に、もっと公正な扱いで、地方税に対する不服の申し立てのある者、意見のある者には公正な道をどんどんつくってやるべきだ。こういう理論なんです。政務次官は、その点に少し言及をされて、今後検討したいと思うというようなことをちょっとおっしゃっておるのでありますが、これが私の指摘したい第一点であります。  それから第二点は、十九条の四であります。十九条の四は、不服申し立て期間制限ですね。そのほかにも期間制限がいろいろあります。たとえば六十日以内、更正については一年以内、この期間を過ぎたならば、納税者不服申し立て権利というものは全くなくなるわけですね。
  11. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 そういうことでございます。
  12. 横山利秋

    横山委員 六十日以内、更正の場合は一年以内、それが過ぎたならば、いかなる正当な理由があっても、納税者としては不服が申し立てられない。こういうことになります。そこに論理矛盾をお考えになりませんか。納税者が、何かの関係で債務を発生した。あるいは、支払うべき金があったから支払わなければならなかった。そういうものについては、損金に扱ってもらえないということですね。これは、税の確定をしなければならぬという理論は私も知っております。けれども納税者として、六十日以内に、更正の場合は一年以内に申し立てなければ、いかなる理由があろうとおまえの権利は消滅したということについて、どうお考えでありましょうか。
  13. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 税につきましては、こうした不服の申し立てがございましても、税の徴収は進行しているわけでございます。そういう意味におきまして、納税者につきましては、その納税不服申し立てとの関係においては、やはり納税段階において、まず、大体その時点において、そうした不服の事態というものがはっきりしてくるであろうということで、期間制限ということがつくられておるわけであります。これは制度的には、国税における国税通則法規定、それから地方税における地方税法通則規定というものが制度として合わしておるわけであります。これらの問題について特にそういう問題点があるということであるなれば、この租税徴収制度の一環として検討すべきであろうというふうに考えておりますが、まず、現在の段階では、こうした制度は、国税地方税とも一応こういうことで安定をしているというふうに私どもは見ておるわけでございます。
  14. 横山利秋

    横山委員 ここで少しかぎをかけておかなければなりませんのは、国税がとうなっておるから地方税もこうしていくという論理をなるべく言わぬでもらいたいと思うのです。地方税地方税として独立した理論があり、地方税理論がある。先ほどでしたか、地方税は応益の原則がもって国税とは違うのですよ、という論理都合のいいときにはなさり、都合が悪いときになると、国税がきまっているからしかたがないのですよと、こういう論理をなさるのであります。私が地方税を勉強するのは今回初めてでありますが、地方税地方税として論理矛盾があるならば、直してもらわなければいかぬと言うのです。あなたは、私の質問に対して正確な答弁をなさっていらっしゃらない。私の言っているのは、いかなる理由があろうとも、納税者は六十日を過ぎたら異議申し立て権利がなくなるのだ、更正の場合は、一年たったら、どんな理由があろうと、正しい理由があっても受け付けませんよということは、更生の立場からいってもおかしいではないかということについて、まっとうに答えてもらいたい。
  15. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 国税地方税との間におきましては、その課税団体納税義務者との関係におきましては、地方税から見て国税と違った考え方というものはあり得るわけでございます。ただ、税制として考えました場合に、その納税手続等というものは、でき得る限り国税手続等と合わせるようにしていくということをたてまえにしておるわけであります。課税自体についての、納税者にどれだけの負担を求めるべきか、あるいはどの団体課税権を持たせるべきかということになりますと、これは国税にない考え方地方税には出てくるということが考えられるわけであります。  また、ただいまの御指摘の点でありますけれども、一方におきまして納税者からの不服申し立て規定があり、それからまた、一方におきましては、課税団体からの更正手続等があるわけでございます。その期間において若干の差がございます。ただいまのような御指摘の例のように、きわめて正当な理由があって、当然な納税者からの更正手続等が、納税者からの不服申し立てがとれないという場合におきましても、課税団体からの更正権限というものはまだ残されておるわけでありますから、そうした事情につきましては、十分にその内容を精査いたしまして、そうしたものについてこの不服申し立てが認められないということについての非常な不合理性が確かにあるというようなものにつきましては、課税団体としては、自分課税権に基づいて、それに必要な措置を講ずることができるであろうというふうに考えます。
  16. 横山利秋

    横山委員 六十日、更正の場合は一年、それを過ぎたならば、納税者としての不服申し立て権限はない。これはまあ、この地方税法の今日の解釈であります。あなたの答弁は、それがあってもなおかつ、申し立てではなく、陳情さえすれば課税団体が善処する、こういうことなんですね。課税団体、それは一体、いかなる法規上の権限を持ってそれをやりますか。
  17. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 陳情さえすれば直すということではございませんで、要するに、現在の不服申し立て制度について、確かに、不服申し立て期間制限によって納税者申し立てが保護されておらない。そういう意味で、なお、その申し立てに確かに正当な理由があるということでありますならば、課税団体といたしましては、地方税法の十七条の五の規定による更正権限に基づいて更正をするということも可能であるというふうに考えております。
  18. 横山利秋

    横山委員 私は、現在の法律解釈としては、あなたの言うとおりだと思います。しかし、私の意見は銘記をしてほしいのでありますが、六十日過ぎたら、更正の場合は一年過ぎたら、納税者として、正当に、おれがやったことは間違っている、ないしは課税団体のやったことは間違っておるといろ証拠を持って行っても、それを自分権利として訴えることができないということについての問題提起なんであります。陳情さえあれば聞いてあげて、私の自由裁量でやりますよ、課税団体の長の自由裁量でやりますよ、ということではいけないということを私は言っておる。これは問題指摘の第二番目であります。  それから第三番目は、十九条によりまして、行政不服審査法との関係が書かれておりますが、問題は、あるものは行政審査法でやれ、あるものは不服申し立てによってやれ、そして、いずれにいたしましても、それが済まなければ裁判に訴えてはならぬぞ、という租税前置主義の精神なんであります。納税者県税事務所長文句を、言おうが、いきなり裁判所文句を言おうが、納税者のかってではないのですか。なぜそういう制限をするのか。あるものは行政不服審査法においてやれ、あるものはこの法律によってやれ、こんな非便宜な、ぐあいの悪い、納税者に困惑をもたらすようなことをなぜとりきめるのか。ここに改善の必要がないかというのが第三の問題提起
  19. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 行政処分についての不服申し立てにつきましては、でき得る限り行政の中で処理をしていくということが、ほかの行政処分についてもとられているところでございます。納税の場合におきましても、まず最初処分庁不服申し立てをして、そこで、その段階処理をしてもらうということにするほうが便宜ではないか。現存の裁判所の配置その他から見ましても、身近なそれぞれの処分庁でその不服申し立てについて処理をしていくということがお互いに便宜ではないか。こういう観点から、現在、納税についての不服申し立ては、原則的には、まず、第一次的に処分庁不服申し立て審査をするという方式がとられているものと考えております。
  20. 横山利秋

    横山委員 裁判所都合が悪いからこういう措置がとられておるというのはおかしくないですか。それから六十日ないし一年というものをやらなければ裁判にいけないというならば、六十日ないし一年間うっかりしておって不服申し立てをしなかったら、裁判所へ提起できないという解釈ですか。
  21. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 その不服申し立て期間を経過いたしました場合におきましては、裁判所に出訴することができないということになっております。
  22. 横山利秋

    横山委員 そこの解釈としては、私はあなたの解釈でいいと思いますが、そういう答弁をして、あなたは矛盾感じませんかね。政務次官はどうですかね。これは、おまえは六十日以内に不服申し立てをしなかったから裁判所へ行っても受けつけられぬぞ、ということですよ。更正の場合は、一年以内に不服申し立てをしなかったからおまえは裁判権もないぞ。裁判訴訟する権利もないぞ。まあ、最初課税団体の長については、いまお話しのように、まあまあとにかく陳情さえすれげ、おれが内容さえわかればひとつやってやるという救いはある。けれども裁判所は絶対ですから、受理できないのですからね。その点は、あなたの解釈は正当であろう。今日の法解釈としては正当であろうと思うけれども納税者権利はまことにひどい目にあっているのじゃないか。根本的に、この地方税に関する不服審査について、自治省としてそんなに勉強なさっていらしゃらない。実態を究明していらっしゃらない、私はこう思うのです。この機会に、ひとつ地方税不服審査あり方について考え直したらどうだ。この地方税の中で、不服審査期間は一体どういうものであるか。手続はどうやって、審査は一体どう行なわれて、本人の理由は聞く義務があるのかどうか。そういうような手続論が皆無である。納税者権利については、とにかく申し立てろ、申し立てたらやってやるということだけですね。この、今日の地方税法の中には救済条項がきわめて少ないという点について、どうお考えですか。
  23. 小山省二

    小山政府委員 異議申し立て期間が適当ではないというような御指摘でございます。見方によってはあるいはそういう感じもないではないと思いますが、御承知のとおり、地方自治体のいろいろの運用にも関係の深い税の問題でもございますので、あまり長期間にわたってこういう制度を置くということについては、これまたいろいろ問題点もあるようにわれわれ考えるのでございまして、従来、この期間で長い間やってまいりまして、そう大きな問題もなかったようにわれわれ承知しておりますので、おおむね適当な期間ではなかろうかというふうに理解をいたしております。
  24. 横山利秋

    横山委員 この法律的な矛盾をあなたはお考えにはなっておりながらも、地方税に関する不服及び訴訟の十分な実態調査もないままにそんな簡単なことを言ってもらっては困る。私がいろいろ問題提起したことについて、十分なお答えがないのですからね。忘れたもの、うっかりしたもの、手続をせずに話し合いをしておったもの、そういうものは、訴訟をする権利すらこれはじゅうりんされておるのです。こういう問題提起をしたことについて、解釈だけ述べて、そして、私の意見に対して十分納得できるお答えがないままに、現状でいいじゃないかというのはちょっと失礼じゃありませんか。
  25. 小山省二

    小山政府委員 私も、税の問題についてはまだ専門的な知識も持っておりませんので、そういう点では、あるいは多少先生とは私見を異にするかもわかりませんが、御承知のとおり、地方税については、確かにこれは独立した税制のもとにあるわけでございますが、その地方税根本をなす所得の捕捉という問題については、おおむね国税のその調査を踏襲するような形になっておりますので、したがって、地方税に関する限り、そう大きな問題点も従来起こっておりませんので、大体この期間内においてある程度処理できるのではなかろうかというような形の中で、行政当局も、いま先生の御指摘のような点にできるだけ留意しながら今日に至っておるわけでございます。
  26. 横山利秋

    横山委員 大臣がお見えになりましたので、復習をする時間があまりないのですけれども、いままで三十分くらいやりましたことについて、簡潔に大臣に申しましょう。  要するに、地方税についての不服審査あり方が今日の税法はきわめて不十分であるということであります。といいますのは、県税事務所長横山商店は百万だと言ったことについて文句を言う。私のところは五十万が正しい、こう言ったとする。それを県税事務所長が奔走をする。不服について査定をする。審査をする。同じ穴のムジナじゃないが、自分のきめたことを、自分判こを押したものを自分審査するということは論理上の矛盾がある。すでに国税はその点について解決をした。他の社会では、公取委員会から、労働委員会から、百貨店審議会から、あらゆるものに第三者機関というものがある。ひとり地方税だけをこのまま放置するのは許されない。しかも、地方税不服申し立て数字訴訟数字を見てみましたが、特に不服申し立て状況を見ますと、数は少ないけれども、一部取り消し、全部取り消しがほとんどである。文句を言ったやつはほとんど解決されておる。ということは、課税をした最初がだらしかなかったか、あるいは、それは正しかったけれども文句を言ったやつは全部直してもらったかということである。決してこれは公正な現状とは言えない。  それから、その次に、不服は六十日間、更正は一年たったら、もう、納税者権利は全然なくなる。どんなに正当な理由があろうとも、納税者不服申し立て権利はない。あとは、課税団体の長が、陳情があったからおれの権限でやってやるということだけである。しかも、もう一つ大事なことは、六十日、一年たったら裁判で争う権利まで否定をされておる。納税者にとっては、不服を県税事務所長へ持っていこうが、区長へ持っていこうが、裁判所へ持っていこうが、自由じゃないか。租税前置主義というものをこの際変えるべきだ。いま言ったように、六十日、一年、うっかりしておったら裁判すらできないということは不当ではないかということ。これは枚挙にいとまがありませんけれども、少なくとも、いま次官並びに局長から伺ったことは、現在の法律解釈だけで、そう文句はないから、まあまあそのままやらしてくれということに尽きる。それは調査が十分でないからである。実態把握が十分でないからである。それから、理論上の予盾について、私に対して、誠実な納得できる答弁がないのだけれども国税もやっているから地方税もやらしてくれ、そう文句はいまはあまりないと言う。私は、最後の、国税がそうだから地方税もそうだという言い方はここではよしてくれと言うのです。地方税はあくまで一つの理論がある。あなたは先日来、都合のいいときは応益原則を言い、都合の悪いときは国税にもたれる。そういうかってな理論はよしてくれと言っておるわけであります。  要するに、地方税における不服審査あり方について再検討を加え、法改正をすべきではないかというのが私の意見であります。
  27. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 不服審判の問題。私、いま、いろいろ御議論を聞きましたが、不敏にして、私まだその点の実情その他をよく把握しておりませんが、御議論を聞いておりまして、次官、局長がどのように答えたか存じませんけれども、十分検討せなければならぬ問題点もあると考えます。  ただ、地方税の場合は、地方の徴税能力というものが国税と違いまして、決定技術といいますか、能力といいますか、手薄な関係もございまして、所得税割りにいたしましても、事業税の所得の把握にいたしましても、国税にきめられたものに比較的依存したという形で、不服の申し立てその他が、いま御指摘のように少ないのではないかというふうに考えております。しかし、問題があるものは、納税者権利というものを守らなければなりませんので、十分調査の上、私もこの問題について研究さしていただきまして、いまの御要望の線につきましては、必要とすべき点は検討さしていただきたい。かように考えますので、よろしくお願いいたします。
  28. 横山利秋

    横山委員 佐々木さん、いいですか。大臣の言っていらっしゃることはたいへん抽象的で困るのです。事務当局としてもはっきりしてほしいのですけれども、私は、ここは地方税の審議機関であるから、国税がきまっているからこうだとあまり言ってくれるな、あくまで独自でやってくれと言っておるのです。理論は、いま大臣も言及されたように、国税がきまっているからなるべくこうしているのだという理論ですが、言うならば、国税はもうとっくに、第三者機構である不服審判所というのを設けましたよ。地方税だけは、めんどうだからそれはいやだということはかっても理屈ですよ。うまくいっているとおっしやるけれども、うまくいっているかどうか調べもせずに、私の分析したこの件数についての十分なお答えもなくおやりになっては困りますよ、ということですから、事務当局、そういう私の言うことを含めて、大臣のおっしゃるように検討を始めてくれますか。どうですか。
  29. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 徴収手続関係につきましては、先ほど申しましたように、同じ租税であるという立場で、その徴収手続等は、できるだけ国税と斉合性を保つという立場で処理いたしております。したがいまして、行政不服審査法あるいは国税通則法などの改正に伴いまして、地方税におきましても、それに合わせた総則規定の改正等を行なって、その事務的処理の面につきましてはできる限り統一をとっておるということでございます。  現存の制度につきまして、ただいま御指摘がございましたような、いろいろな面にわたっての納税者権利保護について不十分な面があるというような点につきましては、私どもも、そういう点、確かにその権利保護の点に欠ける面があれば、十分……(横山委員「あれば、じゃない。あると言ったじゃないですか。」と呼ぶ)私どもも、権利保護に欠ける点等につきましては十分検附いたしまして、国税とも、その内容につきましていろいろ相談をし合いながら、これらの徴収規定等につきましての改正は常に心がけていきたいというふうに考えております。
  30. 横山利秋

    横山委員 大臣がいらっしゃる前、本委員会の開会の前に、指定都市の皆さんがここへ多数いらっしゃいまして、地方行政委員会への陳情をされました。おそらく、大臣のところへも行かれたと思うのであります。ここでたくさんのことを申し上げる時間もございませんが、せっかく大部市の皆さんが来られて本委員会に陳情されたのですが、その要点とされるところは、法人所得課税の拡充をしてもらいたい、パーセントをふやしてもらいたい、少なくとも配分割合を一〇%を下らないように拡充してもらいたいということでした。そして、第二番には、大都市に対する税制上の措置をしてもらいたいということ。いろいろ列挙されておるのでありますが、第三番目には、道路目的財源の拡充をしてもらいたいということ。そういう点について具体的に本委員会に陳情がございました。本件につきましては、何も事新しい問題でなくて、私も、六十四臨時国会、六十五国会で政府がどういうふうな答弁をしてきたかをずっと精査したわけでありますが、御答弁としては、ごもっとも、ごもっともとみんな書いてあるわけですね。そして、特に、昼間に人口が流入する過密地域に対する交付税配分についても、財政局長から、大部市の特性としてはっきり認められる行政費目を考慮して、実態に即するよう、適正な施策が反映するようにしたいという答弁があり、こういうことのほかに、ずいぶん各所で、自治省として、ごもっとも、ごもっともということが書いてあるわけです。ごもっともと言っておりながら、どうしてこんなに痛切な陳情が続いておるのかといいますと、結局、大臣をはじめ自治省の御努力不十分、成果不十分、こう思わざるを得ないのであります。せっかくきょうお見えになりましたかう、きょうの質疑を通じて、ひとつお答えをしてやっていただきたい。
  31. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いま、大臣のところへも行ったやろ、こういうことでございますが、私は予算委員会におりましたものですから、まだ陳情は受けておりません。そういうふうな際には、ぜひ会わしていただいて、実情をつぶさに聞かしていただきたい。かように思いますが、大都市の財源充実の問題につきましては、これはもうここ数年来、いま横山議員が指摘されましたときにも私たち問題とし、毎年このために努力をやっております。たとえば、四十三年における自動車取得税。四十四年の府県と市町村との道路譲与税の配分基準の改正。また、四十五年から始まりましたところの、法人税の一・七五臨時特例としての率アップ。それの地方へのはね返り分も、府県じゃなくして、全部都市のほうへ持っていく。あるいは、四十六年から始まりました自動車重量税。これも府県はやめにしまして、市町村のほうに持っていくというふうなこと。こういう姿で、今日まで毎年、わずかずつながらも財源の充実をはかっていくという方向で努力してきたのでございます。  私も、実は、大臣に就任いたしましたときに、現在の財政局長、時の税務局長でありますところの鎌田君に、大都市の財源をいかに充実するかということで、いつまでもわずかのものだけを上げていかずに、根本的に一ぺん考えてくれということを指示をいたしまして、その問題に取り組んでいただいたのでございますが、御承知のとおり、その後、ドル・ショックその他の経済界の思わざる不況というふうなことが起こりまして、暫定措置の一・七五がもし廃止になるのなら、その分だけでも、ぜひとも都市財源として法人税の税をいただきたいと、いろいろ研究もし合っておったのが、そういった情勢の変化によりまして行なうことができなくなった。幸い、税制調査会の長期答申もいただきましたので、あの中の六一項目の中で、いま直ちに四十七年度に実現できると思われる事務所・事業所税だけは実現したいと、予算編成の最後までがんばった次第でございますが、微力にして実現に至らなんだ。この点、先ほどの予算委員会でも率直におわびさせていただいたような次第でございます。今後とも、この事務所・事業所税はぜひ実現させる方向で努力を続けたいと考えておりますし、その他の面につきましても、大都市の財源補充のために全力をあげてがんばりたい。かように私は考えておるような次第でございます。
  32. 横山利秋

    横山委員 次に、毎日のように本委員会で討議をしてまいりました農地の宅地並みの課税についてでありますが、ここでやりとりすることに対してきわめて形式的な答弁に終わって、そして、陰で与党と政府がかってなことをしてもらったのでは、あまりにも国会軽視のおそれがある。私は、これは不愉快だと思うのです。承れば、新聞によれば、自民党の臨時総務会で「市街化区域内(A農地)で、だれがみても宅地と認められるような農地については、四十七年度から宅地並み課税を実施するが、その他の農地については年末までに都市計画がどう実行され、農地の実態がどうかを見きわめたうえ、制度を抜本改正する」ということにして、実質的には宅地並み課税が一年延期になることになりそうだというのでありますが、ここで大臣からお話を伺っておることはきわめて形式論で、そら念仏で、私ども国会の知らない間に、大臣が適当に与党と話し合っておきめになるのかという気がせぬでもないんですね。一体どうなさるのか。最終的にどうするのか。あなたがここで一回言われたことはもうそれでおしまい、こういうことです、というふうにひとつはっきりしてほしいと思うのであります。私は、昨年は本委員会の委員ではありませんでしたから、客観的な判断をするわけですが、一ぺんきまった法律をそういうふうに変えるのは望ましいことではないということはわかっています。私ども党は反対したのですから、わりあいにフリーハンドではありましても、やはり国会できめたものだという気はする。それが原則です。原則ですけれども、われわれも神さまでもありませんから、議会の神さまでもありませんから、どうもやはり国民になじまない、あるいは反対が強いということについては、政治家としてさらっとしなければだめじゃないか。こういうように思うのですよ。だから、毎日毎日この議論をしてもけじめのつかないようなことを、いつまでも放置しておいてよいものではございませんから、ひとつ、この報道についてはっきりしたお答えを願いたいと思います。
  33. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 法律は、私たち、昨年度、税制改正できめていただきました。ことしの政府税制改正の案といたしましては、いま御審議願っているもので、その中には、昨年きめていただきました法律のとおり実施する姿で法案を提出させていただいておるのは御承知のとおりです。したがいまして、もしこれを行なうとすれば、議員の皆さま方の修正という形でやっていただきますればとにかく、そうでない場合におきましては、いま出ております各団体、所有者あたりからの御意見を、実施にあたりましては、慎重に十分に考慮できるように行政指導をするということが私たちのなし得ることでございまして、私も、たびたびの御意見に対してそのようにお答えさせていただいてきたのです。御意見等を聞きまして、こういうふうな行政指導もいたしてはどうかという研究をいたしておりますけれども、その行政指導だけではまあだめだ、やはり法改正をしなければだめだという声のほうが強いのが現状でございます。昨日、当委員会に、社会党さんのほうからもこれに対する修正案が出たということをお聞きもし、私も、その修正案の内容を聞かせていただいたような次第でございます。その意味で、与党である自由民主党内におきましても、どういう修正をするかということはまだきまっておりませんで、御審議を願っているというのが現在の姿でございます。  いま、裏で政府と与党だけが取引しておるということでございましたが、修正をするものでございますから、むしろ議員修正ということになるのでございましょう。そういった意味で与党がやっていただいておるような状態でございまして、その意味におきまして、私たちが参考意見を求められたら述べておるという姿でございます。ただ、私は、できるだけ委員会の御意見も参酌しなければならないということを委員会の答弁のときにも述べさせていただいておるような状態でございまして、与党内において現在考えておられる方向その他につきましては、できるだけ理事間において御連絡をとっていただくように与党の理事先生方にもお願いし、逐一御連絡をとっていただきつつあるものじゃないか。かように考えております。  いま横山委員からの御指摘でございましたが、この点は、当委員会の党派を越えての協調性と申しますか、イデオロギーによる点が少なく、むしろ、地方団体の育成といいますか、現状強化という点につきましては、党派を越えた姿で御協力を願っておるのが当委員会の姿でございますので、この問題につきましても、各党がそれぞれの修正案を出すという立場にあられますけれども、できるだけ連絡を密にするようにお願いをしておる次第でございます。御了承賜わりたいと思います。
  34. 横山利秋

    横山委員 大臣のお話はごもっともなお話で、私の言うような疑念はないから、国会でまとめてもらえばけっこうだというふうに理解をいたしまして、次に質問を移します。  次は、国鉄赤字線の問題ですが、これもやはり同態な感じがする。承れば、やはり自民党の総務会で、赤字線についての処置について、市町村の同意がなければ、地方自治体の同意がなければ廃止をしてはならぬということのようであります。私も、新聞で承りますところの、同意がなければ廃止をしてはいかぬということについて、私どもの主張、立場は別にいたしますが、問題を正確に把握いたしますためにお伺いするわけですが、もうすでにこれだけ予算が計上されている。地方公共団体にも交付金が行って、そうして、そういうルールができておる。そうすると、同意がなければということの、与党の内部のことというのは、一体どう解釈したらいいのか。県知事から関係市町村全部の同意なのか。その柱たる人が同意権を持っておるのか。あるいは、同意がなかったら一体予算はどうなるんだ。こういう点について、私ども見ておりまして、ずいぶん解釈に苦しむのでありますが、あの決定というのは、どう考えたらいいんですか。あなた方としては、どういうふうに解釈していらっしゃるんですか。
  35. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 実施は運輸省のことでございますので、いま申されましたように、同意はどういう同意なんだということにつきましては、まだ、その点の協議といいますか、そんなものを受けておりませんので、私からお答えはすることができないのでございます。御了承賜わりたいと思います。私も、総務会の決定を、新聞その他で聞かしていただいたのですよ。ただ、あの問題がきまりましたときに、私たちの予算もとるだろうというので、大臣折衝の中に――他の省の関係の予算をきめられますときには、自治大臣としての話し合いというものはないのでございます。ないのでございますが、特にこの問題は関係があるものでございますから、私、お願いをいたしまして、大蔵大臣、運輸大臣も特に来ていただきまして、この問題について三カ条にわたるところの申し入れをしております。その中で、廃止の手続については三省で十分協議をしてくれという一句を入れておりますので、いずれ運輸省で方針がきまりましたら、廃止の手続その他につきましては御協議がある。かように存じております。いまだその協議のところに至っておりませんので、お答えすることができませんが、ひとつ、御了承賜わりたいと思います。  なお、予算の件でございますが、地方団体が予定しております五十億という予算は、現実に、いま申されましたように、手続その他もきまらないものでございますから、府県もその赤字を補てんするのか、市町村だけでやるのか、また、市町村の赤字に対する割り振りをどうするのか、というふうな具体的の問題は今後検討させていただくこととしておりますので、現在のところ、まだ処置はいたしておりません。しかしながら、過疎団体がおもであり、財政力も弱いという点を考えまして、ぜひとも国のほうで財政措置をしなければならないであろうというふうにあらかじ与党はしておりますけれども、予算そのものは、国においてどのような財政措置をするかということは今後協議の上きめさせていただきたい。目下研究中であるというのが実情でございますので、御了承願いたいと思います。
  36. 横山利秋

    横山委員 大臣、せっかくの御答弁ですが、ちょっとそれは、私、納得できないですね。なるほど、何かの関係であなたはその同意云々のときにいらっしゃらなかったかもしらぬ。御相談がなかったかもしらぬけれども、同意が必要だということは、きわめて重要なことで、自治大臣として看過すべからざる重大な問題だと私は思うのです。その同意が、どういう意味なのか、運輸大臣から聞かなければわからぬということは、私はおかしいと思う。自治大臣は自治大臣として、同意とはどういうことなのかという確固たるお立場がなくてはならない。それは、政府内部では統一ができなくても、自治大臣としては、同意とはこういうことなんで、おれはこう思うということがなければおかしいと思うのです。本来、本件につきましては、六十四臨時国会ですか、前任者の秋田さんはこう言っている。「地方自治体に今日の国鉄の赤字の責任があるとは考えられない。要するに地方財政で持てということで、とくに、地方交付税で見ろと話しがある。運輸大臣からも直接交渉があった。」が、「はっきり断わった」「自治省としていずれにしても地方財政が赤字を引き受ける、あと始末をするということは反対であり、さようなことのないようにかたく措置をとるつもりだ」きわめて理路整然、明白に御答弁があるのに、あなたの時代になってから、ずるずると、それでは地方財政で赤字を引き受けましょう、しばらくの間は政府がめんどうを見ますけれども、そのうちに地方自治体でやってくれ、ということでは、自治省の責任ある態度、一貫した態度ではないではないか。特に、この同意ということについてあなたの考え方がまとまっていないということは、いささかこれはおかしいではないかと思うのですよ。どうですか。
  37. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いまの赤字の問題ですが、私が聞いており、また、運輸省と協議いたしておりますのは、これはやめる線だという決定がされましたときに、直ちにやめずに、地方団体が存続を望むとき、五年間に限って置いておく。それが四年になりますか、三年になりますか、その自治体の要望によりますが、五年間に限ってはなお従来のとおりやりましょう。しかし、その間、赤字額の三分の一を持っていただきたい。こういう姿が、地方が今度負担いたしますところの地方の赤字補てん分の姿でございます。しばらくはやってやるが、あとはもうおまえのところでやれというふうな姿でなく、そこはもうやめるものだということがきまった上での暫定期間の五年間の措置。これの補てんということでございます。そういうふうに御理解願いたいと思っております。  なお、いまの同意の件、御指摘のとおりであろうと思いますが、法律その他、その方式がきまりましたなれば、おそらく自治省にも協議もありましょうし、いろいろやりますが、いまのところ、協議がないものでございますから的確にお答えすることができず、運輸省のほうでその行政措置をどうするのだということに対する総務会の同意を得ろという党のほうからの要望に対して、運輸省がこれをどうするかということを御研究になっておるところじゃないか。かように考えております。その姿によりまして、私たちは私たちなりに意見を申し述べさせていただきます。よく検討させますが、いま直ちに、同意とはどんなことかと私に問われましても、よう答弁いたしかねますので、御了承いただきたいと思っております。
  38. 横山利秋

    横山委員 どうも納得できませんな。  大臣にお伺いしますが、この線は五年で廃止だ、その間ひとつめんどうを見てくれということだとおっしゃるわけですね。それならば、その五年間は、明年度予算で行なわれたような財政措置を必ず毎年毎年続けるということでしょうな。
  39. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 さようでございます。
  40. 横山利秋

    横山委員 地方自治体に直接に赤字の責任を負わせないやり方が五年間は続けられる。これは、大蔵省も運輸省も同意ですか。
  41. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 大蔵省、運輸省も、財政措置はどうするかということは、これは自治省のなにですが、自治体が三分の一持つということは、大蔵、運輸、私のほう、三つ同意して予算が組まれたものでございます。
  42. 横山利秋

    横山委員 これは、いま時間が少なくなってきたので、あらためてやりましょう。あらためてやりましょうが、五年にわたる財政措置あり方と、それからいまお答えがない同意の問題については納得しませんよ。  それなら、自民党の総務会できめた同意というのは一体何だ。どういうつもりでその同意をきめたのだ。きめた決定というのはどういうものなのだ。その同意の内容についての解決を、いいころかげんに、まあ同意じゃないかというふうにきめたのか。その点、総務会の決定大臣は確かめてもらいたいと思うのです。それでなければ、私どもは審議に困る。同意とは何だということがなければ、地方自治体はこれから問題を起こしますよ。しかし、もう時間がないから、その点はまた次回にいたしたいと思います。  たくさんの質問が実はあるのでありますが、まず庶民的なところをちょっと聞いてみましょう。  自動車税ですね。自動車税で、簡潔に言いますが、観光バスが四万五千円から三万円になる。何で観光バスだけがいま安くしなければならないのか。自動車関係の諸税は減税をしたことなんてほとんどない。ほとんど現状維持か、上げたいか、上げるかという状況である。一般の旅館の送迎バスあるいは飯場のバス、会社の直家用バス、ひどいのになるとスクールバス。それを何で一万四千円から三万円に上げんならぬか。話が逆じゃないかと思うのです。  いろいろ言ってもしようがないから、スクールバスを例にとりましょう。幼稚園のバスは一万四千円から三万円に上げている。それなのに、その辺の観光バスは四万五千円から三万円に下げているという理由は一体あるのですか。これは、スクールバスがあることを忘れておったのじゃないですか。幼稚園の生徒のバス代は上げているが、東京見物をやっている観光バスの自動車税だけは下げている。これは、大臣の顔をもう一ぺん見直しますよ。スクールバスは忘れておったとおっしゃいよ。横山議員、スクールバスだけは気がつかなかった、それはうっかりしておったと言ってください。
  43. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 観光バスを下げたのはおかしいじゃないかという御批判はあろうと思いますが、現在の観光バスの使用状況をながめ、一般の乗り合いバスとの均衡の上から、観光そのものが大衆的になり、また、観光バスをいろいろな見学とか視察とかに利用されておる実例が多いという姿に着目いたしまして、これを下げさしていただいたというのが実情でございます。
  44. 横山利秋

    横山委員 それはいいです。スクールバスは……。
  45. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 学校バスのほうは御指摘のとおりでございますが、これは、各自治体におきまして、それぞれ減免の措置を従来も行なわれておりますし、そういった点も考えまして、行政指導の上で、その範疇はその中に入りますけれども、その使用しておる目的が、そういうようなところはそれぞれ減免の措置を講ずるよう行政指導をしたい。こういうふうなつもりでございますし、従来からもそのような措置を多数のところでとられておるというのが実情でございます。
  46. 横山利秋

    横山委員 そういうことを審議の最初におっしゃるくらいだったら、この法律改正案の中に、スクールバスは除く、ということを入れるぐらいのあたたかい配慮が当然あっていいと私は思うのですね。まあ、それは私が助け舟を出しているのですが、これはちょっとうっかりしておったということなら、自治大臣に、宅地並み課税のように、国会の御審議に待つということを言ってもらえれば、ああ、なかなか話がわかるなということになるのですが、行政指導でやらせるということは、この法律案の立場から言うならば、これはいけませんよ。行政指導の問題じゃないと私は思うのです。これは、法律から言うならば、当然三万円になる。この法律の中で、行政指導でやってよろしいという準拠法どこにありますか。この法律の中に、どこに例外法が書いてありますか。
  47. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 私から答えよということなんですが、私も、実は、このときに、その点、先生と同じしろうと的な考えで、また、その考えを入れることがよいことだと思いまして、聞いたんです。そのときに、それならよいな、こう言うて私もきめたいきさつもありますので、ひとつ専門家から答弁をさせます。
  48. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 現在、自動車税の税率につきましては、トラック、バスは、車種あるいは積載量等が非常に多い関係で、非常に簡単な標準税率の規定がございます。したがいまして、実際の課税にあたりましては、それぞれ都道府県ごとに、税条例の制定の際に、その車種の区分あるいは積載量の区分等に応じまして税率をきめておるというのが現状でございます。従来、バスの税率をきめました段階におきましては、自家用バスというものがほとんどなかった時期のいまの税率のきめ方でございます。そのうち、次第に自家用バスが多くなってくる。そういうような状況が見られてまいりましたので、現実の税率のきめ方にあたりましては、現面路線バス等として一本になっておりますその他のバスの税率について区分を設けております段階において、自家用バスにつきましては、一般の路線バスよりも高い税率を適用してきめておるというのが現状でございまして、私ども行政指導としましては、大体五割程度高い税率をきめるのが適当ではなかろうかということで、それぞれの都道府県がその実態判断をいたしましてきめております。その際に、学校用のバスとしましては、通園バスがほとんどでございますけれども、このバスの税率をきめる際に、これらのものにつきましては、地方税法の第六条の規定を適用いたしまして、不均一課税にしまして、通園バスの軽減措置あるいは課税免除の措置をとっておるというのが現状でございます。こうした不均一課税措置が、いわば自動車税のバスの税率のきめ方につきましては大体常態になってきておりますので、従来のとおり、この通園バスの税率につきましては、それぞれの都道府県がその実態に応じた判断をいたしまして、課税免除たり、あるいは不均一の課税をするということによって処理していきたい。こういうことで、このバスにつきましては、まず、それぞれの府県がその判断に基づいて条例に規定を設けるものというふうに考えております。
  49. 横山利秋

    横山委員 なるほど、六条にありました。不均一課税がありました。けれども法律を提案し、審議をするときに、政府も与野党も、それについては全然意見が変わらない。そしてまた、地方自治体に照らしてみても、どこかの票は取るだろう、取るべき理由があるからしかたがないという場合にはいざしらず、どう考えましても、スクールバスを値上げするということは気の毒だ。遊覧バスと違って、もっと安くさしてやるべきだという点について、おそらく、何ら意見の相違はなかろうと思う。ならば、行政指導で六条適用だという必要は何もないと私は思うのであります。したがって、法律の制定のときにそういう問題はもっと精査して、そして、スクールバスを除くというようにするのが親切なやり方ではないか、これが一つ。  時間の関係でスクールバスだけ例にとりましたけれども、観光貸し切り用バスと、通勤困難のときに会社やあるいは飯場、あるいは旅館が自家用バスを持ってやるのと、一体どういう違いがあるか。ことに、会社なりいろいろなところで使う自家用バスというものは通勤上不可欠のものであり、遊覧バスはあくまでレジャー用だ。まあ、レジャーの評価も変わってまいったにしましても、あくまでレジャー用である。不可欠なものとレジャー用のものとの違い。レジャー用が安くて、不可欠の通勤バスが高いということが、いかなる説得力があるかという点について、私は、これは非常に考え直してもらいたいというところがございます。これは自治省考えもわかりましたが、委員長にお願いして、追って与野党でいろいろ御相談をなさる材料にしていただきたい。  時間がございませんので、最後に問題点だけ提起をしておきましょう。  一つは、いずれまた後刻議論をしたいと思いますから、申し上げるだけにしておきますが、電気ガス税です。千百五十八億の予算の見込みだそうでありますが、免税及び減税になっておるのが五百五十六億になんなんとしますね。これは、原則と例外とがめちゃくちゃになっちゃっているということだと思います。はじめはこんなにたくさん例外がなかったと思うのでありますが、いつの間にやら、電気ガス税というのは、取るのがほんとうなのか、取らぬのがほんとうなのか、わからなくなってしまった。そして、取らないというものも、実に産業的で市民的なものについての配慮があまりにも不行き届きであるという感じがいたしますが、これはまた別途の機会といたします。  娯楽施設利用税で、ゴルフを六百円に統一する。定額でやる。いまどきの六百円は実に安い。私は、きのう、車のパンクを直しますのに、国会まで修理に来てもらったら千円ですわ。出張旅費も入ったかもしれないが、千円です。六百円という金額がいかに安いかということを痛感しますね。この点については、ゴルフ人口もふえてはきましたけれども、あくまでも、やはりゴルフはゴルフですよ。何と安いかということを痛感をいたしたところなんです。  そのほか、事業税につきましてもいろいろ御意見を承りたいことがありますが、また後日に譲ります。  一つだけ、最後に大臣に伺いますが、独身者の課税最低限が、改正で、たしか三十三万円くらいでしたな。中学生がどのくらいの給料を取っておるかと思いますと、四十五万円。中学生にやはり税金をかけるかと言いましたら、いや、未成年者の課税特例があるから、それは救済されるとは話がありました。しかし、考え直してもらいたいのは、課税最低限について論争を私ども非常に繰り返しておるのでございますが、他方では、利子所得者ですね。一五%だけですから、これはただですね。配当所得者が五人家族で、県税が百二十八万まで、住民税はただですね。市町村民税は百七十九万まで、住民税はただですね。国税の場合でもこれは議論になります。こういう百二十八万、百七十九万の所得があっても住民税がただというのは、国税の場合も同じことですが、特にここへきてあなたの御答弁考えてみますと、地方税には国税と違った理論がある。つまり、応益原則だとおっしゃる。それは、なるほどそういう理倫も地方税にはあるかと私は思うが、そうであるならば、国税よりもさらに、この住民税がただというのはおかしいですよ。応益を力説されればされるほど、この配当所得、利子所得等について、ただというのはおかしいです。百二十八万まで、百七十九万までもらっておってもただというのはおかしい。この点についてひとつ御意見を伺って、私の質問を終わることにいたしたい。
  50. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 現在、配当所得に対しましての住民税関係課税最低限は、この法律が成立いたしますと、昭和四十七年度が、府県民税が百十一万三千円、市町村民税が百六十一万三千円ということに相なっております。利子所得につきましては、現在の国税における分離課税というような面から、住民税で、その利子所得につきまして、これを追及することが技術的に不可能に近い状態でございます。単に、総合課税が行ない得る利子所得についてのみ捕捉ができるというような状態でございますので、この制度につきましては、国税との関係におきましてなお十分検討する余地があるというふうに考えておりますが、特に、この配当所得につきまして、国税においても、やはりまだ、十分割り切れた考え方法人税との関係においてとられていない。したがいまして、現在の法人税考え方の根底になっておりますところの法人擬制説に立っての課税方式をとります場合には、所得税課税標準のとり方を同じような形をとっております住民税としましては、現在の配当所得についての配当控除制度というものはどうしてもとらざるを得ないということで、いま、配当控除制度住民税の場合に設けておるわけでございます。国税課税最低限と住民税課税最低限の差は、そうした配当控除の控除率の差によって生じておる問題でありますが、確かに、私ども住民税だけをながめてみますならば、そうした配当所得に対しての課税問題についてはなお検討する余地があるというふうに考えております。
  51. 横山利秋

    横山委員 あなたのおっしゃる説明を、私ども、ある程度専門家ですからわからぬではないのですが、そんなことを庶民に言ったって、だれもわかりやしませんよ。だれも、そんな小むずかしいことよりも、この市に住んでおって、あの人は所得があるのに何で住民税を払わぬのですかと、ただそれだけですね。そのときに、いまおっしゃったような答弁を長々繰り返したって、そんなことに対して、ああそうですか、ごもっともですとだれが言いますか。要するに、あなたの答弁の中で庶民的にわかるのは、取る技術がむずかしいということですね。庶民は何と言いますか。そうですが、あの人たち所得があっても、取る技術がむずかしいということでほかっておくのですか、それでただですかと言ったとして、これで説得力があると思いますか。行政技術の点で取れないからほかっておきますということが、いかに説得力がないものか、いかに庶民に対して反感をもたらすものであるか、考えてもらわなければだめだと思うのです。どうですか、大臣
  52. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 地方税の中には、住民税のみなうず、そのほかの部面におきまして、徴税の困難さから遮断すべきものをよう遮断しておらぬというものも多々あり、その最もひどい例が、いま御指摘になりました住民税のこの問題であろうと考えております。全般の徴税技術その他を考えまして、この遮断すべきものは遮断するという方向で今後とも努力さしていただきたい。かように考えております。
  53. 横山利秋

    横山委員 残念ですが、時間がございませんので、また後日……。
  54. 大野市郎

    大野委員長 林百郎君。
  55. 林百郎

    ○林(百)委員 すでに各委員から熱心な質問が行なわれておりますので、ごく簡潔に、常識的な点だけを聞いておきたいと思います。  渡海大臣にお尋ねしますが、本年度は、所得税の減税が行なわれずに、住民税のみの減税が行なわれようとしておりますが、今回の改正案によって見ても、所得税住民税課税最低限は若干近づきましたけれども、その差はなお、二十三万二千円あります。低所得層の負担軽減ということからは、この程度ではまだほど遠いものがあると思うのですが、所得税住民税とは性格が違うから、必ずしもその課税最低限は同じでなくてもよいという説明もありますけれども、税金を払う国民の側から言えば、一つのふところから出るわけでありますから、いずれも自分の収入のうちから払われる税金でありますので、所得税を納めなくてもよい国民にとっては、住民税も納めなくてもよい。所得税を納めなくてもよい国民までも住民税を納めなくてはならないというこの現状については、将来どうしようというようにお考えになっておりますか。やっぱり税の性格が違うからやむを得ないというお考えですか。どうでしょう。
  56. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 きのう、この点につきましては、山本委員から示唆ある御質問をいただきましたのですが、差がまだ開いておる、できるだけ詰めなければならぬということに対しましては、私たちも努力していかなければならないと思っておりますが、所得税を納めない者は、もろ住民税を納めなくてもよいのだという考え方は、いま御意見の中にありました住民税の最低限と所得税の最低限が必ずしも一致しなくてもよいのだという観点から、私は、必ずしもそうでなくてもよいと考えております。  ただ、所得税というものの最低限のあり力の考え方を、生活の最低限、必要経費までは最低限としなければいけないという従来の考え方から、所得水準が上がってまいりました今日、できるだけ所得税課税最低限を上げていただく。住民税はむしろ応益の原則、その地方の負担を数多く負担していただく、こういうふうな意味から課税最低限を考えます場合、いまのような、生活の必要経費というものを常に考慮しながら最低限をきめていくというふうな方向で現在では進むべきでなかろうか。こういうふうに考えておる次第でございます。
  57. 林百郎

    ○林(百)委員 よくわかりました。現実に、この二十三万二千円の課税最低限の差が所得税住民税の間にあるわけですが、これはなるべく早く解消していきたいということは、自治省の皆さんのあげてのお考えのようでありますから、それはそれで聞いておきます。  ただ、こういうことはどうでしょうか。これは、税金をかけるかけ方の一般的な考え方ですが、何税を幾ら下げる、何税を幾ら減税するという、そういう一つの税についての減税措置ということでなくて、国民全体の税負担をことしは幾ら軽減するかということを先にきめて、そして、それについては、財源を国全体がどういうように措置するかというような課税のしかたですね。そういうような考えでないと、国民のほうから言えば、やはり同じふところから出るわけですから、こっちは減ったがこっちは前どおりだとか、こっちは減ったがこっちは前より多くなるというようなことでは減税にならないので、ことしは国民全体に幾らの税負担を軽減する、その財源はどうする、あるいはどの税金をどうする、というようなアイデアですね。そういうものは国務大臣として持ち得ないものですか。どういうものでしょう。個々の税金を見て、ことしはこの税金はこうしよう、この税金はこうしようということではなくて、国民全体に、地方税国税もひっくるめて、税負担を幾らことしは軽減しよう――そして、その財源は、一つの税体制を動かさなくても、場合によってはこちらの財源を持ってきてそれに充てるといろ考え方もあるでしょうし、そういうようなアイデアでないと、国民の側から言うと、減税されたのかされていないのかちっともわからないことになるわけですが、渡海自治大臣も国務大臣になられたわけですから、そういうことについてはどうでしょうか。
  58. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 減税を行ないます場合、個々の税金で御審議を仰いでおりますけれども、いま申されました国民にとっての税負担の総体的な見方、これは絶えず頭の中に入れて、それぞれのものを調整をとっていっております。税制調査会の審議等の姿をながめましても、いま林委員が御指摘になったような点は常に考慮に入れてやっておる。かように考えます。ただ、税それぞれの目的があるものでございますから、減税になっておるけれども、その人には何ら減税にならずに増税になる。これは、個人が納められます税の性格によりまして、特定個人については、増税になるべきはずのものが、減税だけお受けになるような立場にあられる方は減税だけを受けられる。これは税の性格そのものによって起こってくるのではなかろうかと思います。  ただ、その減税をやる財源をどこに求めるかという点につきましては、国、地方を通じまして、もちろん、大きな部面では私たちも予算編成にあたって議論をさせていただいておりますが、一応現在の税体系によりまして、国は国の予算の姿として、地方は地方の予算の姿として、それぞれの規模を考えながら行なっておるというのが実情でございまして、大筋におきましては、林委員の言われましたような考慮は、当然、絶えず頭に入れながら事に当たらなければならぬ。かように考えております。
  59. 林百郎

    ○林(百)委員 ことしの住民税の減税ですけれども、これは数字のことですから、局長にちょっとお聞きしたいのですが、これは一体どうなるのか。年収百万円、夫婦子供二人の場合は、減税額が年間で約二千九百余円。年収百五十万円は、同じく夫婦子供二人の場合、減税額年間約四千円である。これを月にしてみると、年収百万円の場合は、減税額は月二百四十余円。年収百五十万円の場合は減税額四百十六円余という数字が出てくるわけですけれども、ことしは、御承知のとおり、国のほうの公共料金が続々と上がっていく。たとえば医療費だとか、タクシー代、郵便代、電報料金というものですが、こういうものがずっと上がっていきますと、この物価の値上がりの計数、あるいは公共料金の値上がりのトータルでもいいのですけれども、この負担で、この減税額というものは消えてしまうのじゃないでしょうか。その点を計算してみたことはありますか。あるいは、ことし物価が何%上がる。政府の言うには、六%、七%上がると言っておりますけれども、そういうものと、いまの減税で、実質的な減税になるでしょうか。この点を何か計算してみたものはありますか。
  60. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 公共料金の値上げによって、これが家計にどういうふうな響き方をするかということですが、これはどうしても平均的な数字で出さなければならないだろうと思います。各家庭によって、それによって受ける影響というものはそれぞれ差があるかと思います。ただ、この数字は、公共料金につきまして、まだ相当部分未確定要素もございますし、私ども調査はまだそこまでいっておりません。  ただ、物価との関係におきましてどういうような状況になっているかということになりますと、住民税の場合には、昭和四十六年所得について四十七年に課税をされるというような形をとっておりますので、昨年からことしにかけまして消費者物価がどのくらい上がっているかというのが、実際の数字が六・三%。それに対しまして、住民税課税最低限の引き上げの率が一〇・五%になっております。物価上昇分よりは課税最低限の引き上げ額が大きくなっておるということが言えると思います。  それから、国民所得の伸び率が、昨年からことしにかけて八・四%という数字が出ております。したがいまして、この国民所得の伸びと、住民税における課税最低限の引き上げということを考えますと、四十七年において四十六年所得について課税するということを見ますと、やはり、住民税課税最低限の引き上げ率そのものがすなおに響いているというふうに考えていいのではないかという感じがいたします。
  61. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう考え方もあるでしょうから、それはそれでお聞きしておきます。しかし、所得割り、均等割り全体から言えば、昭和四十六年度より四十七年度は実質的には税金のトータルは多くなる。これは常識的なことですね。  納める人を見ますと、これはどうでしょうか。こういう数字になりますか。四十六年では、所得割りが二千九百八十五万五千四十三人。それが、四十七年には、三千二十四万人。それから、均等割りが、四十六年には三千五百五万八千百三十七人。四十七年は三千五百六十三万人。納税者数は、四十六年度比にして、四十七年度は所得割り、均等割りで幾らずつふえますか。そして、その金額も言ってください。
  62. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 所得割りの納税義務者数は、見込み数としては、約四十万人の増加を見ております。したがいまして、その伸び率といたしましては、大体一・三%であろうというふうに考えておりますが、ただ、均等割り、所得割りにいたしましても、その納税者がふえた部分についてどれだけの増収になるかという数字は、いまのところ計算はいたしておりません。所得の伸びと合わせて一緒の計算になっております。
  63. 林百郎

    ○林(百)委員 私のほうもそれがわからないものですから、とにかく、人数から言えばそれだけふえて、実質的な増税になるのじゃないかというような抽象的な意見しかきょうは申しませんが、また、わかったら、資料をひとつ出してください。  そこで、減らすことばかり言ったって、地方自治体だって独自の財源がほしいわけなんですが、こういうことについては、自治省はどう考えているのでしょうか。所得割り、法人税割りを高度の累進制にすることによって、いまの地方自治体の財政をカバーする。しかも、県民税の場合、所得割りの税率がわずか二段階だ。これは他の委員も質問したと思いますが、わずか二段階率でしておくということは、担税能力の公平さから言っても不当ではなかろうか。だから、所得割り法人税率の、特に県民税の場合をもっと累進的にすべきじゃないか。これは、前の鎌田局長は、将来の検討課題と言っていました。このことについて自治省検討されたかどうか。そして、将来、これを高度累進性を取り入れられるように考えられるかどうか。その点をひとつ説明していただきたい。
  64. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 現在、市町村民税の場合と府県民税の場合で、税率の構造が違っております。この点は御指摘のとおりでございます。実は、府県民税の場合に、現在のような税率になりましたのが昭和三十七年でございます。このときは、所得税から住民税に税源移譲がございまして、その税源移譲部分というものは、昨日山本委員からも御意見として述べられたところでありますけれども、いわば、所得税における課税所得の一番下積みの部分を府県民税のほうに移すという考え方で、税率の二%というものが府県民税のほうに移された経緯がございます。その後、そのために、所得税におきます最初の刻みの税率が、従来一〇%でありましたものを八%にしたということでございますけれども、その後約十年たっておるわけでございまして、その間において、所得税における課税最低限の引き上げ等によって、こうした下積み所得部分の税率というものは次第に解消してしまうということで、現在、所得税におきましては、あの当時と違って、税率はまたもとの形に復しておるというような形になっております。したがいまして、府県民税におきましても、この税率について再検討をすべき時期に来ておるというふうに私ども判断をいたしております。  ただ一方におきまして、どちらかというと、所得税の税率が緩和されたのに対して、市町村民税の税率が、ほぼ昔のままの、非常に急な刻みになっておる。そのために、私ども判断としましては、やや低い所得階層の部分において、どうも税率の刻みが急になっておるんじゃなかろうかというふうな感じがいたします。ただ、それが、府県民税と市町村民税の税率が合算されることによって、いわば税率が住民税全体として緩和されるということになっておるわけでございまして、この点は、確かに、府県民税だけながめてみますと、こういう二段階税率ということで、所得課税としてはちょっと形の変わった税率になっておりますが、いま申しましたように、住民税として納税者に認識されている以上、市町村民税の税率の緩和、それから府県民税における税率の刻みを多段階にしていくということとあわせて、やはりこれは検討していく必要があるだろう、そしてまた、その検討の時期に来ておるんじゃなかろうか、という感じがいたします。
  65. 林百郎

    ○林(百)委員 非常にこまかい技術的なことですから、そういうことをひとつ検討されまして、公正な累進性を、市町村民税、ことに都道府県民税の中に――あなたの言うのは、その両方を合すると適正になるというようなお話ですけれども、どうもここで検討を要するときに来ているんじゃないか。ことに、一般の人にはそれがわかりませんので、都道府県民税が二段階にすぎないというようなことは、都道府県民税の負担の公正さから言っても、一般の人にはちょっとこれはわかりません。いや、市町村民税のほうで急だから、これは二つでいいよと言うだけではおさまらないと思うので、ひとつ検討をしていただきたいと思うわけです。  その次に、固定資産税ですけれども、これも、まだ大臣が見えませんので、局長でけっこうですが、固定資産税の減免措置として、私鉄の立体交差化施設の線路設備、地下道、跨線橋、自動列車停止装置などについての条文があるわけですけれども、ばく大な利益をあげておる私鉄、そしてばく大な不動産を保留している私鉄に、こういう固定資産税の減免措置をしてやらなければいけないのでしょうか。これは取っていいんじゃないでしょうか。どうも、大きいものには寛大で、小さいものにはきびしいという感じ固定資産税の面においても与えますがね。どうでしょうか。
  66. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 まず、第一点の立体交差化施設あるいは地下道、跨線道路橋の問題でございますが、この立体交差化施設は、踏切をなくする、そして交通を緩和するというようなことで、これは都市計画事業の要請によりまして、都市計画事業者と私鉄とが金を出し合いまして立体交差をやっておるわけでございます。そして、従来、この立体交差化施設につきましては、都市計画上の要請が非常に強いというようなことで、非課税措置をきめられたわけでございますが、これが、立体交差化施設ができましてからあとに、今度は道路のほうで拡幅をやらなければならない。したがって、もっと交差化施設の部分を広げてくれという要請が都市計画上出てくる。したがいまして、いままで新設の部分についてだけ非課税にしておりましたものを、そうした都市計画上さらに大きくしろという要請がありました場合に、その部分につきましても非課税にしようというものでございまして、これは全く都市計画上の要請から出てきたためにそういう措置をとったということになるわけでございます。また、それによりましてそ、やはり私鉄側から見ますと、そういう立体交差をいたします場合には、当然にその経費の負担というものが出てまいります。そういう意味におきまして、その負担分を軽減したいということでございます。  それから、跨線道路橋なり、あるいは地下道。これは、私鉄に乗る人のためにだけつくられているものに特例措置を認めようというのではございませんで、一般のそうした私鉄を利用したい人たちが、自分の道路交通のために、その一部として利用しているというような、公共用の道路に準ずるものを非課税にしようというものでございまして、私鉄の乗降客だけが使うのを非課税にするのではありません。  それから、自動列車停止装置。これは、私鉄だけをながめてみますならば、私鉄としては当然にこれは施設しなければならないものというふうに考えられるわけでございますけれども、最近の事故の状況から見て、運輸省といたしましても、年限を切ってこの自動列車停止装置をつけろということをやっております。その仕事が、本年度までにまだ完了いたしておりません。そういうことで、さらにまた運輸省のほうからも、幹線だけではなしに、支線についてももっとつけろというようなことになってまいっておりますので、そういう事情を考慮いたしましてこの特例措置を講じたという、ことになっておるわけでございます。
  67. 林百郎

    ○林(百)委員 私鉄は、佐々木さん方の御想像もできないような非常な大きな資産を持って、土地なども何億平方メートルというような土地を持っている私鉄もあるわけなんでから、そう遠慮なさらなくたって、せめて自動列車停止装置くらいには固定資産税をかけたってよろしいと思うわけですが、まあ、そういう御説明があれば、時間がありませんので、私と見解が相違しておるということで済ましておきますが、この点を自治省はお考えにならないでしょうか。例の大規模償却資産ですね。たとえば、二十万以上の人口では、二十五億円以上の固定資産については償却をするとき減免する。こういうことはどうしてしなければならないのでしょうか。たとえば二十五億の資産があるとすれば、それへ十分の三をかけて、そして一・四をかけるわけでしょう。要するに、私の聞くのは、大規模償却資産を市町村が持っている場合に、上のほうに限界を置かれるわけでしょう。むずかしい数字はあなたのほうが専門だから言いませんけれども、そういうことは必要でないのじゃないでしょうか。どうして上で線を引いてしまっているのか。ある場合には、あと人口が幾らふえたために幾らというようなところもありますけれども、あるところへいくと線を引いてしまうというのは、これはどういうわけでしょうか。ことに、電気施設だとか、そのほかの近代的な大工業の施設ですね。市町村にとっては大事な固定資産になると思うのですが、それはどういうわけでしょう。
  68. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 大規模償却資産の課税標準の特例は、納税者について、税を、課税標準の上を切るということではございませんで、この大規模の償却資産につきましては、固定資産税を全部課税するというわけであります。ただ、市町村の規模に応じて、この資産の価格が、その団体の財政需要との関係において非常に税収入が多いという場合に、一定の線を切りまして、それ以上の部分につきましては、その所在の道府県が課税するという方式がとられているわけであります。したがいまして、納税者は、納める税金は一緒でございますけれども、その納める先が市町村と府県に分かれるということになっておるわけでございます。
  69. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。それが、現実市町村へ行ってみますと、市町村では、ここからもっとほしいというのに線が引かれているという例が非常に多いわけなんですけれども、それを再検討する必要はありませんか。
  70. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 通常の場合、大規模の工場等がございますと、この固定資産税収入だけではなしに、市町村民税法人税割りというものの収入も非常に多いというのが通例でございます。したがいまして、現在、そうした工場等がございますために非常に財政収入の多い市町村について、固定資産税の一定部分を府県が取るという形をとっているわけでございます。ただ、その配分のしかたにいたしましても、現在は、そのあとの条文にございますが、通常の市町村が交付税をもらいます場合には、基準財政収入と基準財政需要の差額を交付税でもらうという形になっておりましたけれども、こういう大規模の資産が所在しております市町村の場合には、基準財政需要額を一・五倍をいたしまして――これは最小限度でございますが、一・五倍をいたしまして、その基準収入に対して財政需要が一・五倍になるようにその収入額を確保したいという制度をとっておりまして、通常の市町村よりは、その収入分が少なくとも五割は多く配分されるという方式をとっております。そして、しかも、最近特に市町村の財政需要が非常に急増しておりますので、その関係におきまして、この大規模の償却資産分について、府県のほうに眼を――悪いことばでございますけれども、いわば頭をはねられるという町村数が非常に減少してまいりました。昭和四十六年度の場合には十七市町村。そしてことしの場合には、若干の――計算の督励をお願いしておりますけれども、これによりますと、大体十カ町村くらいになるのではなかろうかというふうに考えております。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕 また、最近の財政需要の推移を見まして、さらにこの点につきまして私ども検討してまいりたい。かように考えております。
  71. 林百郎

    ○林(百)委員 局長の話をお聞しますと、大規模償却資産のあるところの市町村は相当財源がノーマルにいっておるようなお話ですけれども、実際行ってみますと、もっとほしいという声が非常に強いわけなんですね。ことに、発電施設なんかのあるところなんか、そこからいろいろの災害が発生しますから、何かというと、河床が上がって水がつくとか、いろいろ起きますから、だから、もう一度最近の状況検討されるというお話がありましたから、これはひとつ検討してみて、意見を徴されてみたりしたらいかがですか。そしてまた私のほうで質問したいと思います。  その次に、公害防止施設に対する非課税措置ですけれども、砂利汚水処理施設、廃油処理施設、粉じん処理施設、ごみ処理施設、産業廃棄物処理施設、悪臭物質排出防止施設など公害防止設備に対する固定資産税の非課税措置に関する条文が今度あるわけなんですけれども、ところが、OECDの環境委員会は、二月十一日に、公害防止費用は発生源企業が負担するという、いわゆるPPP原則ですかを中心とした綱領を採用いたしましたが、これに対して政府は、OECDの工業委員会に、公害防止費用の発生者負担原則に関する例外規定を提案しました。そして、三月二日の記者会見で、通産省の事務次官はPPP原則に異論はないが、わが国のようにすでに破壊された環境を回復するために、政府が企業の負担だけにかぶせれば回復がおくれるということを言っているが、こういうことで、今回の公害防止施設に対する固定資産税の非課税措置は、この通産省の考えから出ておるように思われるわけです。しかし、国際的には、OECDで、発生源の企業が負担をするという原則が明確にされておるわけでありますし、ことに、今日までの公害を見ますと、経済の高度成長を遂げてきた大企業における負担は当然だと思いますが、政府のこういうような考え方は、公害はその発生源の企業が負担をするという国際的な通念からも反すると思いますが、この点はどうお考えになりますか。
  72. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 一昨年のいわゆる公害国会におきまして、いろいろな公害防止のための基本的な法律の制定が行なわれました。それに基づきまして、それぞれ所管の省庁におきまして公害防止施設についての規定が整備されてまいりました。大体、今回の固定資産税規定によりますと、公害防止施設は、一応原則的には非課税措置あるいは課税標準の特例措置をとるということになったわけでございます。公害防止施設についての地方税としての規定の整備は、一応これで終わったと思っております。この規定は、実は、公害対策基本法におきまして、そうした公害防止施設等につきましては税制上の特別な措置をとれという規定がございまして、それに基づきまして、地方税法のほうで、固定資産税あるいは不動産取得税でそれを受け入れたということになるわけでございます。
  73. 林百郎

    ○林(百)委員 非課税にしろとは書いてないでしょう。
  74. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 はい。この内容も、非課税のものと、課税標準の特例という形でやっておりますものと、二種類ございますけれども、その施設の内容によって取り扱いを変えております。そこで、本来、公害防止施設というものは、企業の発生者が設備をするということが当然のことでございます。これは、地方団体行政運営にあたりましてもそういう原則にいたしたわけでございますけれども、公害国会におきますいろいろな各種立法におきましては、この公害論議が非常に盛んになり、そしてまた、企業としましても、急速にこうした公害防止施設を整備しなければならぬ。そういう現実面をとらえまして、それによる急速な税負担の上昇を緩和していこうということでとられた措置でございます。もちろん、これにつきまして、将来そういうような方向で、また、社会一般の合意がこういう形ではおかしいというようなことになります場合には、私どもといたしましても、これは再検討しなければいけないというふうに考えておりますが、いまのところは、あの当時の国会の審議の経緯にかんがみまして、いままでの方針に従いまして規定したものでございます。
  75. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので、この点も議論を戦わしておるいとまがないわけですが、これは国際的なOECDの環境委員会の決定にもありますし、国際的な通念にもなっておりますし、また、日本の大企業は、高度経済成長に伴ってばく大な利益を内蔵しておるわけなんですから、将来は、公害の発生については、その発生をしておる企業の責任において処理するという、この原則を貫いていかなければ、公害のたれ流しによる経済の高度成長政策のしわ寄せを国民があと始末をしなければならないということになりますので、局長も、将来の国民的なコンセンサスを見て配慮していく意図で注目しているんだという回答がありましたから、これはこれで、それでは次の問題に移ります。  次に、電気ガス税について伺いたいのですが、これは渡海大臣にお聞きしますが、かつて佐藤総理が通産大臣であったとき、電気ガス税は天下の悪法だと言い切っておるわけですし、また、昨年、当時の自治大臣であった秋田議員も、電気ガス税は、電気、ガスそのものに課しておるという単純な考え方ではなしに、担税能力に課しているのだと述べております。さらに、市町村税に重要な地位を占めるのでやめられない、しかし、何か適当な補充財源があれば、こういった税はできるだけ引き下げていったらけっこうではないか、こういうように言っておるわけなんですけれども、この電気ガス税について、渡海自治大臣はどういうようにお考えになっているでしょうか。
  76. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 当委員会で、参考人を招致されて電気ガス税の問題で議論されたとき、参考人に対する私の質問の要旨として、消費ということをつかまえて課税するという消費税の姿において、しかも、最も把握しやすい姿において町村が何かを税源で求めなければならないときは、必ずしも悪税とばかりは言い切れないのじゃないかという質問を私はいただいたわけですが、いまもその気持ちは変わっておりません。ただ、七%という税率がはたしてそういった税にふさわしいかどうかということにつきましては、今後軽減する等のことは考えなければならないと思っております。  もう一つは、しかしながら、電気というものは生活にかけがえのないものでございますから、免税点等は、国民生活の水準、電気の使用量ということを考えまして逐年上げていって、電気の消費量が最低限のものだけは免税にしていくという方向で、国民生活に合致させなければならないと思っております。今回上げますことによって、わずかでございますけれども一五%程度から一六%になったのですが、少なくも、地方財政の状態をながめまして、二〇%程度までは免税になるという姿にまで引き上げてまいりたい。かように考えております。
  77. 林百郎

    ○林(百)委員 局長にお聞きしますが、電気ガス税というのは、担税力に対してかける税金ですか。それとも、電気ガスを消費する、その量を基準にしてかける税金ですか。どうお考えになっておるのですか。
  78. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 電気ガス税は、形式的には消費税でありまして、消費の分量に応じて課税していくという形になっております。しかし、その根底には、現在の一般の生活状況から見まして、所得の多い者ほどその消費量が多いということ。私ども、いろいろな家庭調査、消費生活の実態調査等から見まして、そういう事情がございますので、いわば、所得課税の補完税としての消費税としては、電気ガス税はきわめて合理性に富んでおるのではないだろうかという感じがしております。
  79. 林百郎

    ○林(百)委員 そういうことになりますと、生活費に食い込んで生活を圧迫されておる住民が課税をされておる一方、産業の基礎資材の原単価当たりの電気料金が五%をこえるものということで、大企業の電気ガス税は非課税になっておるのはどういうわけなんですか。五%で押えておるというのは……。
  80. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 消費税でございますので、産業用の電気ガスに課税をして、いわば原料課税になるような状態にしたくない、すべきではない、こういう考え方に基づきまして、電気の消費量の非常に多い産業、いわば電気が原料の一部を構成してはような、電気の消費率の大きい産業について非課税措置を講じておるというととでございます。そういう意味におきまして、この非課税品目も、いわば、ほかの各種産業にとりましての基礎資材になっておる品目に限定しているわけでございます。いわば、第三次製品として直接消費につながる製品は課税目から除外しておる。いわば、他の原料になります品目について非課税措置をとっておるということになっております。  これは、税制調査会におきましても、そういう内容で御答申をいただいておるところでございます。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 それはたぶんそう言うだろうと思っていたのですけれども、しかし、それならば五%以下のものでも、原料となるもので電気を使う場合には税金をかけているのはどういうわけなんでしょう。五%以下の場合ですね。原料となる製品に対して、五%以下ならそれが原料となる製品にもかける。五%以上の場合には、原料課税というたてまえになってはならないから非課品目を設けたということでは矛盾しているのではないですか。
  82. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 どの辺で線を切るかというのが問題でございますけれども、五%で切りましたのは、そういう製品について、電気が原価構成の要素として非常に大きくなっているものを一応五%という線で切ったわけでございます。いかなる製品の場合におきましても、電気というものは多かれ少なかれ使っておるわけでございますけれども、電気がいわば原料の一部を構成しているほど大きいウエートを占めているものという意味で、一応五%という線を切ったわけであります。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 その辺が、私たちの立場から言うと、どうも大企業を保護しているというように考えられてしかたがないわけなんです。いま、電気ガス税で非課税品目になっているのは、たぶん百二十九品目と思いますが、本改正案でも二つふえて一つ減ったということになっていますが、これら百二十九品目に通常の電気ガス税を課したら、非課税でなくしたら、どのくらいの税金が取れるのですか。
  84. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 約五百三十億でございます。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 五百三十億くらいのものを、肥料会社だとかあるいは百二十九の品目の会社から取ったって、その会社がどうかなるということではないのじゃないでしょうかね。これはやはり取るべきではないでしょうか。自治大臣、どうお考えになりますか。一方では、毎日御飯やおみおつけなど、地酒のために電気やガスを使っている人のところには税金をかけて――今度下げたというけれども、百円かそこらの限度でしょう。ところが、一方では百二十九品目。大会社ですね。これが五百三十億ですよ。このくらいのものをかけたって、一会社が二百億ももうけているような会社もこの製品をつくっている会社の中にはあるわけですから、これは取るべきではないだろうか。だから、さすがの佐藤総理も悪税だと言ったのだと思いますが、その点をお考えになる意思はありませんか。
  86. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 電気ガス税が、いま御指摘になりましたようにいろいろ問題になりますのはこの点でございまして、そのためには、むしろ消費税として純化して、産業用は全部なにするのだというのが正しいのじゃないかと、私自身も、林さんが前に言われましたその御議論には、絶えずそのことばを考えておるものでございますが、電気ガス税の性格から見まして、国民生活、国民経済に響くその原材料のコストに占める電気料金のウエートということを、一つの基準を定めまして、全部免ずるもの、一部軽減するものというふうなものも定めて今日に至っておることは事実でございます。したがいまして、この基準だけは厳正に守り抜く。毎年毎年洗いがえをやるという姿で守り抜いていきたい。かように私は考えておるのでありまして、御議論のある点であろうと思いますが、現在の基準を厳守し、いたずらに、いままでまけておったのだから、もうまける理由がなくなっておるのにまけるというような姿にならないように厳に注意いたしたい。かように思っております。  いま、原材料がおもでございますから大会社が多いということもございましたが、現実には、繊維産業なんか、私のところもありますが、中小企業、小会社におきましてもこの恩典に浴しておるものもございまして、あながち大企業ばかりということでもございませんので、百二十九というのも、品目の数をあげられたのではないかと思いますが、税制調査会等で示されました基準というものを厳正に守っていくということで、今後ともにその方針で進んでまいりたい。かように考えております。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 御承知のとおり、ことしは、電気のほうは、免税点を七百円を八百円にして、百円だけ上げた。それからガスのほうは、千四百円を千六百円にして二百円上げたということになっているわけなんですけれども、しかし、この程度のものは、本年度の物価の高騰や公共料金の値上げでもう吹っ飛んでしまうんで、電気ガス税を下げてもらったと言えるかどうか。さっき言った非課税品目に課税すれば五百二十億だというのですが、これだけまけると、総計幾らまけることになるのですか。
  88. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 約五十六億だったと思います。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 だから、五百二十億取れば、この十倍まけてやることができることになるわけですね。これは単純な計算ですが。  そこでお尋ねしますが、これは局長さんでけっこうですが、ことし非課税品目に入れたアクリル酸のプロピレンを原料とするものに限るとするもの、それから四年間猶予期間を見ていた無水フタル酸、これをつくっている会社というのはどういう会社ですか。おもな会社を言ってみてください。トップクラスでいいですよ。一つか二つで。
  90. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 どの会社が大きいかどうか。ちょっとわかりかねますけれども、主要な工場としましては、無水フタル酸は、日本触媒、川崎化成あるいは三井東圧、川鉄化学といったような会社がございます。それからアクリル酸のほうは、三菱油化、日本触媒、日昭化薬というものがございます。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 みんな三井、三菱というような名前がついておるのですが、その会社の昭和四十六年度、今年度の決算はわかりますか。幾らの利益をあげているか。そこまでは通産省ではないからわかりませんか。法人課税について調べてありませんか。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕
  92. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 さっそく調べまして、お手元に資料をお届出けします。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 いまもお聞きしますれば、ことし非課税品目に入れたものの製造が、三井だとか、川鉄だとか、三菱だというような名前のついている会社で、私も、その会社の内容はどういう内容か知りませんが、おそらく独占的な大企業だと思うのですよ。それで、相当利益をあげている会社だと思うのですね。こういうところへ電気ガス税を減免してやるというのは、やはり、その方針が大企業中心の方針だといわれても過言ではないというように私は思います。  その次に、租税特別措置法の地方税へのはね返り減免税分ですね。これはどのくらいだか、金額がわかりますか。
  94. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 昭和四十七年度の見込みとしましては、国税関係する部分が千四百五十八億でございます。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。この租税特別措置のはね返りとして、地方税の減免税分が千四百五十八億という数字が出ています。  それからまた、工場誘致条例等で企業に対して減免しておる地方税の総額というのは、これはわかりますか。
  96. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 現在府県税部分しかございませんが、昭和四十五年度の実績で、府県税関係の減免額が合計四十八億二千万円でございます。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 都道府県分ですね。市町村分はわかりませんか。
  98. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 いま調べてお答えいたします。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 それから、先ほど出ました大規模償却資産の課税の点ですね。これを、もし市町村が全部取るとすれば、どのくらいになりますか。それはわかりますか。
  100. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 昭和四十七年度の見込みといたしまして、三十六億五千万円であります。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 都道府県で言っているのですね。市町村のほうはわかりましたか。工場誘致条例等で減免しているのは。
  102. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 ちょっと調べております。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 もう時間がたちますから、それでは、それが来ましたらお聞きしますが、私のほうの考えとしては、国税は特にそうですが、地方税においても、地域住民の生活必需品、あるいは生活に困窮をしておるような住民に税金がかかって、大企業には、担税能力がありながら非課税措置をとっている。そういう差別的な措置を私たちはいろいろの点で見出さざるを得ないのであります。たとえば、住民課税の最低限が人事院の標準家庭の所得以下であったり、電気ガス税は、わずかに電気が百円、ガスで二百円の免税点の引き上げにすぎない。諸物価が次々に上昇している現在は、このような課税最低限の引き上げでは減税などとは言えないと思います。一方、大企業に対しては、先ほど私が申しましたように、いろいろの特典がありますので、将来、自治省としましては、担税能力のある大企業からは公正な税金を取り立てる、そして、租税特別措置法の措置ども国税とともに、大企業本位の租税特別措置のほうは廃止していくという方向で努力して、地域住民の税負担を軽くするように努力をしてしかるべきではないかと考えますが、この点について、自治大臣はどうお考えになりましょうか。  いろいろの点で非常に材料が少ないので、皆さんを納得させるところまでいかなかったかもしれませんけれども、とにかく、大企業は非常に優先的な措置を地方自治体の課税の面からも受けている。一方、住民のほうは人事院の標準家庭にまでいかないような人たちからも税金を取られる上に、所得税も、均等税も、昨年に比べて何十万という人数がふえているというような形で、実質的には増税になっている。こういう点を、将来公正な課税の体系を地方自治体にはつくり上げる。あるいは、民主的な地方自治体からそういう意見が上がる場合は、それを十分取り入れて尊重する。こういう態度をとっていただきたいと思いますが、自治大臣、最後にその見解を聞いて私の質問を終わります。
  104. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 御議論の中で、大企業なるがゆえに減税をしているという御見解に対しましては、税それぞれの目的がございまして、その政策に応じての減税であって、必ずしも、大企業なるがゆえに特典を与えておるというふうには私たちは考えておりません。  住民税その他の課税最低限の引き上げが少ないという点につきましては、今後ともに努力いたしたい。ことしにおきましても、苦しい財政でございましたが、特に課税最低限の引き上げをさしていただき、また、事業税におきましても、これはほんとうに中小企業の個人の事業の方々が多いと思いますが、現在の経済状態も考えまして、二十四万円引き上げて、事業主控除を六十万円に引き上げさしていただいたような状態でございまして、課税最低限の引き上げにつきましては、今後とも努力してまいりたいと思います。  ただ、科税特別措置につきましては、政策面でやっておりますけれども、あくまでも、国の租税特別措置法をそのまま地方税に受け入れるという姿のないよう、地方は地方として国の租税特別措置をやるような、その政策を完遂する上に地方もあわせて行なうことがよいとする場合にのみかかる。そうでない場合は遮断するという方向で今後ともに研究してまいりたい。現在のところ、徴税技術のむずかしさ等から、国の施策としてやられる租税特別措置をそのまま地方にも受け入れなければならないという面も幾ぶんあり得るんじゃないかと思いますので、これらは今後ともに検討いたしまして、地方税という考え方に立っても、なお特別措置をするというものに純化してまいって、国税との遮断をしてまいりたい。この方向で努力していきたい。かように考えております。
  105. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 先ほどの市町村分の数字でございますが、四十六年度において四十五億六千万と見込まれております。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 都道府県並びに市町村の、当然徴収のできる税金の、相当の金額が減免になっているという事実がはっきりいたしました。  それで、最後に自治大臣に申し上げますが、渡海さんももう十分下情に通じていて知り切っていると思いますが、実は、地方自治体の財政というのは非常に困窮しまして、実際は火の車のようになっているわけですね。ただ、自治省のほうへは裏起債ややみ起債は隠していたり、あるいは縁故的な借り入れ金を隠していたり、いろいろしているわけなんですけれども、非常な財政的な困難を来たしている。ことに、法人税の見込み落ちが非常な大きな負担を地方自治体に財政的にかけている思います。それで、ドル・ショック、ドル・ショックと言うので、そういうことの一切が、ドル・ショックだからというようなことで、安易に検討がされておらないきらいがあるわけなんですが、ドル・ショックと申しましても、大企業は、あの十日間で、一ドル三百六十円でドルを売って、三百八円で買い戻した為替差益金もありますし、また、石油だとか、鉄鋼だとか、鉱石だとか、あるいは飼料等は、輸入によって、いままで三百六十円で買っていたものが今度三百八円で買えるようになって、その値下がり分というものは消費者のところにいかなければならないのを、灯油のごときは、ことしは暖冬異変で灯油の使用量が少なかったからむしろ灯油の値を上げますということで、ここからも大企業は、経済的な変動を消費者である国民の利益になるように少しも運用しておらない。その上にもっていって、ことしは国が十一兆円以上の予算を組んで景気浮揚対策を立てて、これが主として建設業のほうへ回る。そしてそれが補助金となって自治体へ回る。自治体は、その補助金で今度は自分自身の裏づけをしなければならないということは、これはたいへんなことだと思うのです。しかし、大きな企業は、ここで皆さんの言うほど損をしておらない企業が多々あるわけなんですね。そして、国からも手厚い保護を受けているわけですから、先ほど私が申しましたように、たとえば電気ガス税の五%頭打ちとか、あるいは大規模償却資産に関する制度だとか、あるいは法人の固定資産の累進課税だとか、そういう地方財政をもう一度十分検討して、担税能力の十分あるところへ税金をかけて、そして、人事院の標準生計費にも足りないような人にまで地方税をかけなければならないというようなことのないような、むしろ国税よりも公正な税体制が地方自治体で確立されるような、そういうことを鋭意検討されて実行されんことを希望いたしまして、私の地方税に関する質問を終わります。
  107. 大野市郎

    大野委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      ――――◇―――――    午後四時二十九分開議
  108. 大野市郎

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案及び華山親義君外五名提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑を続行いたします。桑名義治君。
  109. 桑名義治

    ○桑名委員 一番最初にお尋ねしたいことは、都市計画法にのっとりまして市街化区域の線引きが行なわれ、この問題が課税の点で非常に問題になったわけでございますが、その後、自民党の部内でこれを修正するということでいろいろ論議がかわされたわけでございますが、これに対する大臣の基本的な考え方をまず聞いておきたいと思います。   〔委員長退席、中村(弘)委員長代理着席〕
  110. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いままでたびたびお答えさしていただきましたように、いわゆる市街化地区内の農地の固定資産税の問題は、市街化地区内の農地の固定資産税が付近宅地と比べまして非常に不均衡である。これの是正と、並びに土地対策の問題があります点を考えましてとられた昨年度の税制でございまして、ぜひとも昨年度にきめていただいた税制に着手させていただきたい。このような方針で一貫してまいり、各委員会におきましても通してまいりましたのが政府の方針でございます。この間、農地所有者あるいは農業関係団体等から強い反対意見がありますことも、私も聞きますし、よく承知いたしております。また、地方自治体におきまして、大部分のところは条例制定等を行なっていただきましたが、一部条例制定がおくれ、あるいはいまだに決定していないというところもございますので、地方自治体もそのようなことのないように十分配慮しなければなりませんし、否決されているところはまた再提出いただくというふうな方法をとっておりますけれども、専決処分で行なうにしましても、否決という姿はそのままほったらかしておいて、法的には有効であるからといって行なわすということはできるだけ避けたいと思っておりましたので、実施にあたりましてはきめこまかい施策を実施したい。特に、四十七年度に実施しますA農地につきましては、市街化農地の中でも非常に僅少な地点でございますが、ぜひ実施に移したいという方向で進んできた次第でございます。私どもといたしましては、もう法案もすでに提出させていただいておりますので、行政措置によりまして、これらの問題をできるだけ意を尽くして、反対の不合理な点はあるべき姿に運営面においてやりたい。このように考え、いろいろ苦心をし、意見も調整してやってきたのでございますが、行政措置で及ぼし得る限界点では御了承願えなかったので、各党において、そんなことであれば議員立法をするという形になりまして、昨日でしたか、社会党から修正案も提出されたと聞いておりますが、本日、自民党のほうからも、法改正によってやれという趣旨で提案があると聞いておるような次第でございます。提案の内容そのものを詳細にいま検討さしていただいております最中でございますが、法案がそれによってきまりましたならば、できるだけ反対者の述べておられる意見等に、実情に合うよう、しかもあの法の精神は守っていただきましょう、地方における行政指導など、意のあるところをなお十分指導さしていただきまして、課税にあたりまして混乱なきを期していきたい。かように考えておる次第でございます。
  111. 桑名義治

    ○桑名委員 私は、この法律問題点を二点、ちょっと別に聞いてみたいと思うのですが、いま大臣答弁がございましたように、約九〇%強については条例を制定しているわけでございますけれども、その他の市町村でまだ条例を制定されていないところがある。これがそのまま施行されたならば、やっていないところはどうなるのか。まだ条例の制定されていない市町村についてはどうなるのか。かりに、制定をされていないからかからないというかっこうになってしまえば、税の均衡を欠くことにもなりますし、そういう点をどういうふうにいま考えられておるのか。それがまず一点でございます。  それからもう一点については、当初、建設省の考えておりました市街化区域と、それから現実に線引きを行なった市街化区域との間に大きな差ができているわけですが、この点について、自治大臣としてはどういうふうに考えておられるのか。この二点についてまず伺っておきたいと思います。
  112. 渡海元三郎

    ○渡海自治大臣 第一番の点は、法律上の問題でございますので、事務当局からお答えいたきせさす。  第二点の線引きの点でございますが、これは、私たちが最初建設省と打ち合わせまして引いたものより相当大きくなったというのが事実でございます。しかし、これが大きくなったという点につきまして、これは建設省の都市計画そのものとしての見方でございますから、私としての意見はございません。しかしながら、ただ、予定しておった地区が延びたことによって、あの法律の中にありました価格による規定というものは変わりませんけれども、市街化区域内の平均価格以上というふうに、市街化区域内の宅地の平均価格を基準に置きまして想定しました分が、区域が広くなることによりまして、その平均価格というものが、末端の宅地の相当低い部面まで入れての平均価格になったゆえに、A地域に入らない分がまた相当A地域に入るとか、あるいはB地域に入るとか、そういった現象が、これは地区によって異なりますが、起き得る状態になったのでなかろうか。これは、個別の地区によっては、はたしてそうなっておりますかどうか、調べてみぬことにはわかりませんが、一般的に考えてそのように考えておりますことが一つと、大きくなっただけに、十年後にはそこまで市街化するのだというのが法の精神でございますけれども、はたして十年後に市街化されておるかどうかという点で非常に疑問があり、常識的に考えて、十年後にたっても農耕をやっている農地には変わりはないじゃないかというふうな感じを農地所有者に与えたことは、おそらくあり得ると思います。こういうような点は、今後、C農地あたりの扱い方についてまた配慮しなければならない一点である。かように考えております。
  113. 佐々木喜久治

    佐々木(喜)政府委員 法律と税条例との関係でございますが、現在、市街化区域農地に対する課税の特例につきましては、その大部分規定は、いわば課税標準の特例に関する規定でございまして、法律は、いわゆる強行法規になっておるわけでございます。したがいまして、この規定につきましては、他の税の場合も同様でございますけれども法律規定に違背をした税条例の規定は、これは無効になるわけでございまして、税条例をもって法律規定を直すことはできないということになるわけでございます。そしてまた、条例に規定がない場合におきましては、現行の各市町村の税条例に規定のない事項は地方税法規定によるということになっておりますので、現行の税条例の規定からいたしましても、地方税法規定に入るということになるわけでございます。関係規定がなくても、地方税法それ自体の規定によって課税はなされるということにはなるわけでございます。ただ、従来から、税条例につきましては、住民の理解に資するために、法律規定と重複いたすものでありましても、最小限度の規定は税条例に規定をして、議会の審議を受けるようにということが、税運営の円滑を期するためにも適当ではないかという指導をいたしております。したがいまして、各市町村におきましても、税条例を規定をして税の徴収に当たるというという方針は、なお堅持していきたいというふうに考えております。   〔中村(弘)委員長代理退席、委員長着席〕  また、条例未制定の団体につきましても、でき得る限り、この三月の議会において税条例の制定につとめるように、私どものほうで行政指導しているところでございます。
  114. 桑名義治

    ○桑名委員 条例よりも法律が優先する、あるいは強制力があるということはわかっているのですが、しかし、そういう姿勢でいわゆる課税をされたときに、これがはたして好ましい形であるかどうかということを考えますと、これはだれが考えても好ましくないということはわかるのです。だから、その点について、自治省が今後どういう姿勢をとっていくかということを私は聞いているわけです。
  115. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 御質問のとおりでございます。私も、行政指導を行ないたいと申しておりましたのも、少なくとも、市町村が条例をつくる過程において困られ、徴税の過程において波乱を生ずるというふうなことのないように期さなければならないのが私たちの姿でございまして、そういう意味で、たとえ修正がない場合でも、実施するその行政指導におきましても、その御理解をいただいて、一つの町村も混乱なく徴税に移れるように努力をいたしたい。このように私たちはつとめている次第でございます。今後に対しましても、この気持ちには変更はございません。
  116. 桑名義治

    ○桑名委員 行政指導ということはよくわかりますが、実際に議会が否決をするというかっこうでございます。したがって、いわゆる各市町村の執行部にいろいろ行政指導をしましても、現実に議会人がそれを了承しなければ――あるいはまた、大臣も御存じのように、いまこれが非常に盛んに反対連動が行なわれている実情から考えた場合には、いままでにこういった条例の制定をされていないところが、今後指導によって行政の指導がなされるということは、これはちょっと考えるのも無理じゃないかというようなこともありますし、もしこれを強行するならば、なお一そう各地方議会が波乱を招くのではないか、あるいは地方行政の中で、各地方団体が波乱を招くのではないか、こういう心配が十二分にはらんでおるわけでございます。その点をどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  117. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 その混乱を起こさせないようによく御理解を願い、御協力を議会のほうにも願えるような行政指導をしていかなければならないということを考えまして、反対される御意見等も十分聞きまして、これらの処置を考えながら行政指導をする案を立てておったのでございますが、行政指導の範囲内ではだめだという御意見によりまして、各党――公明党さんのほうはまだ出ておりませんけれども、本日自民党のほうから、昨日は社会党のほうから修正案が出されたという姿になっておると思いますが、もし修正されるような場合には、その後意見をも――おそらく、そういった議会で否決されるような姿を打ち消すことによってされておる行政指導だけではできぬ分を含んでいるということであろうと思いますので、それらの点も十分御理解をいただきまして、そういったことの起こらないように、スムーズに条例が制定され、徴税にすぐ移れるように持っていきたい。かように考えております。
  118. 桑名義治

    ○桑名委員 ここで私は大臣にもう一点お尋ねしたいのですが、いわゆるこの法律が出されたときにわれわれは反対をしたわけです。そうしてこの問題については、言うならば、多数決で押し切られたという、いわばそういう立場に私たちはなるわけですが、そういった法律を強引に推し進めた自民党が、さらにいまここにまた修正案を出してくる。しかも、これが、執行の段階で、いよいよもう一ぺん修正案を出してくるという、この姿勢、これはわれわれとしてはどうしても納得のいかない姿勢です。確かに、悪を改めるにはばかることなかれかもしれませんけれども、しかし、そういう政治姿勢というものは、私は一番問題だと思うのです。だから、いまは、大臣は、自民党員というよりも、むしろ大臣という立場で御答弁たさるのだと思いますけれども大臣の立場から御答弁なさるにしましても、政府・与党、自民党、与党という立場、そういうほとんど一体的な姿があるわけでございますけれども、そういうふうな立場の中から、大臣は、その修正案に対してどのように責任を感じていらっしゃるか。その点について伺っておきたいと思います。
  119. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 私、反対されたのでございますから、公明党なればこうするという案をおそらくお持ちじゃないかと思いますが、その御意見等も聞かしていただきましたなれば、また、われわれのほうとしても、委員会におきましても――この委員会は、超党派的にそういうふうに進めていただいておる委員会でございますので、見解の相違はございましても、十分意思を通じ合いながら、いままでこういった法制もやらしていただいておると思います。私、この法律ができました昨年は、当委員会に所属せずに、議院運営委員長をやらしていただいていたものですから、詳細は存じ上げませんけれども、市街化農地の問題は、現下の都市の問題としまして、どういった方向で手をつけるかというやり方はあるにいたしましても、何としてもこれは実施せなければならない、等閑視することのできない問題の一つであろうと考えております。この意味におきまして、昨年度制定されました法というものは、それなりに評価されるべきでないか。かように私は考えております。  ただ、固定資産税というふうな税目は、各地で、それに不均衡があってはならないために、あの当時も相当議論され、綿密に各団体意見も聞き、事実、わが兵庫県におきましても、農業会議の会長が全国に呼びかけて、この法案の問題点をなにし、私はその仲介の労をとりまして、十分に自治省の当局にも意見を反映さしていただくよう紹介の労をとったような次第でございます。私自身委員会におりませんでしたから、立法の過程、法成案に至ります過程は知りませんけれども、その会長の意見等も聞いておりまして、まあここまでくればというふうな意見も聞いておったのでございますが、ふたをあけてみるとそうなった。というのは、土地の課税の評価が、各地において、事情事情によってわからないほど千差万別のものでございますし、いかにきめこまかい規定をやっておりましても、そこに相当の混乱が起きてくる。これが現実にあらわれて、初めてその声が出てきたという姿でございまして、この姿を現実にあらわれたもので訂正していく。そうして実施に移していくという方向に持っていくことが最も正しいやり方じゃないかと私は思います。当時も、おそらく、市町村長の意見も十分取り入れてこれを実施に移したと思いますが、この法案に対する本年度の実施の状態を、直接実施の衝に当たられます各市町村長の意見等も十分聞きまして、もし不合理な点があれば訂正さしていただく等の処置も今後ともに講じていって、納税者理解ある納税をしていただきますように今後ともつとめたい。かように私は思っております。
  120. 桑名義治

    ○桑名委員 私は、現在こうなった事態に対する大臣意見を求めたかったわけであって、いまここで考えますには、この法案が提出をされたときには野党の意見もいろいろあった。では、その野党の意見がどういう形で反映をされ、また、政府自身としてこれをどういうふうに採用してきたか。そこら辺に私は問題があると思う。いわゆる内政のこういう国内法におきましては、実施の段階になって急速変更をしたという事例は、おそらくはとんどないのじゃないか。そうなってくれば、実施の段階といっても、四月一日からといいましても、現実にはほとんどまだ実施なさっていないのですから、いまから始まろうという時点において、さあ修正という、そういう姿は好ましくないと私は言っているのです。少なくとも、この問題については、ある程度の、いわゆる大臣大臣としての――もちろん、この法律提出されたときには渡海自治大臣は議運の委員長でした。だから、直接には関係がないと言われましても、現実にこの法がいよいよ施行されるという段階においては、大臣という職責を全うされておるわけですから、その立場においては、この責任というものはやはり新たに感じていかなければならないのではないか。こういうふうに感ずるのですが、その点について……。
  121. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 責任を感じよという点は、私も十分責任を感じております。実は、私、この問題がいわゆる政治問題化的にニュースに取り上げられます前から、非常に危惧いたしまして、税務担当者を直接現地にも派遣いたしまして、問題点になるであろうような点を視察させ、詳細に研究させ、どういう処置を講ずることによって、各地の事情によって起きておる不合理を解決することができるかというふうな点も研究させておったのでございます。いままでそんなことは表面に出しておりませんけれども、私、陳情をいただき、また、そういった形になります前から実地調査等を命じまして、これに対する処置を――ただ、問題が問題でございますので、実施の段階に踏み込むまでに、早くそれを訂正して、実施の上に困難を来たさないように持っていくということがおくれたという点に対しては重々責任を感じていますが、気持ちといたしましては、それらの調査等も十分させまして、何とか混乱が起きないようにせなければならないという準備行動だけは持っておったような次第でございます。
  122. 桑名義治

    ○桑名委員 なぜ私はこうしつこく聞くかといいますと、先ほどからいろいろと自民党案というものも拝見をさせていただきましたが、この場所でこまかく言って、これに対する私のいろいろな意見を述べる時期じゃまだないと思いますので、それは述べませんけれども、しかしながら、その内容を見てみますと、大臣は、確かに、いわゆる四月一日から実施をするという基本姿勢は打ち出しておりますし、また、その基本姿勢には変わりがないかもしれませんが、実際には、中身を見てみますと、まず施行されないのと同じような状況にある。そういう中身になっておるということは、法律が、いわゆる施行日が来ても、実質的にはその効果をあらわさないというようなかっこうになる。それに対しては、執行部として、この法律を出した立場としては当然責任を感じていかなければならない。私はこういうふうに感ずるのです。だから、こういう問題に対してしつこく大臣質問しているわけですけれども、その点についてもう一度御答弁を願いたいと思うのですが、実際にこれを施行した場合、この法律を発足さして、いわゆるA農地に対しての線引きの変更があり得るということでございますか。どうですか。また、そういう意思があるかないかという、この点についてまず伺っておきたいと思います。
  123. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 いま、これは実施上何もないということでございますが、私はそんなものでもないと考えております。ただ、この御趣旨とするところは、だれが考えても、農地であっても、当然付近と均衡して、農地としての特例を排除すべきである、その点にしぼれ、こういう御趣旨じゃないかと思うのでございます。これは審議会にまかすということでございますから、私たちは、行政運営によりまして、各地の審議会が、各地にまかされた責任を、法の精神によってほんとうに行政面にあらわしていただくように、行政指導に万遺憾なきを期さなければならない。概括して見せていただきまして、そういうふうに感じておる次第でございます。  A農地としてきめられたもので、この法律の中に残らないもの。一応A農地となっておりますが、そのようなA農地あるいはB農地、C農地をいかにすべきか。これは、今回のこの団体意見等も聞きまして十分検討せなければならない。このように現在感じておりますが、この検討にあたりましては、慎重にいたしまして、各地の実際、ことし徴税しました市町村長の御意見等も十分聞いた上、慎重を期して、改正すべき点があったなれば、誤りなき改正を行なうようにいたしたい。かように考えておる次第でございます。
  124. 桑名義治

    ○桑名委員 そうしますと、A、B、Cのこの農地については、今後変更もあり得るということですか。これは確認の意味で……。
  125. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 A、B、Cといういままでの分け方を、Aの分をBに落とすとか、そういうふうな意味だけでなく、全部のあり方として総合的に一ぺん検討いたしたい。こういう姿でございます。単にそれにとらわれるという姿でなくて検討していきたい。こう考えております。
  126. 桑名義治

    ○桑名委員 非常に政治的に発言をなさるから、意味があまりはっきりわかりかねるのでありますが、端的に言えば、先ほど私が申し上げたように、A、B、Cを含めて再検討ということですかう、当然A農地からB農地にいく場合もあり得るということになりますね。
  127. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 あり得ましょうし、また、A、B、Cという区別、この三段階がいいか悪いか、そういった点も、また、区別なら区別のしかたも、こんなことにとらわれずに、法の精神に合わし、実情に合った最上の課税の姿を検討して措置をしていきたい。かように考えます。
  128. 桑名義治

    ○桑名委員 一番最初の方針とずいぶんニュアンスも変わったし、内容も変わったものだと驚いているわけでございますが、いずれにしましても、こういうような状況が起こったということは、いままでの一つの体質があらわれたような気がするわけでございます。今後の問題としまして、こういう事柄が起こらないように、今後ともどうかひとつ十二分に留意をしていただきたい。また、野党の意見も十二分にしんしゃくをしていただきかい。このことを申し上げておきたいと思うのです。  なぜこういうように申しますかといいますと、この法律ができまして、市街化区域あるいは調整区域、あるいは市街化区域の中のA、B、Cということで、いわゆる人民の動揺があるわけですね。その動揺を与えた責任は、どんなに法律を変えたところで、免れない。これはもち訂正することのできない問題でございます。だから、その点について、これはやはり大臣にほんとうに責任を感じていただかなければならない点ではないか。こういうふうに私は思っているわけです。したがいまして、今度は、この問題がこういうふうになったわけでございますから、今後とも十二分にひとつ留意をしていただきたい。このことをまず申し上げておきたいと思います。  次の問題に移りますが、指定都市の財源として問題になっております一点として、これはもう自治省当局も御存じと思いますけれども、自治法の三百五十二条の十九の大部市の特例事務に関して、関係都市から要望がたくさん寄せられております。この事務と財源は付随して移譲をなされなければならないのが当然ではなかろうか。こういうふうに私は思うわけでございますが、この点の矛盾自治省としてはどういうふうに考えられておられるのか。その点について伺いたいと思います。
  129. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 事務と財源の付与との問題でございますが、この点は長年の間の懸案事項になっていることは、いま御指摘のとおりでございます。私も、それに該当する県を選挙区に持っております関係で、よく承知をいたしております。しかしながら、はたして事務と税源をどう持っていくのがよいかということになりましたら、同じくこれは地方財源でございますから、したがいまして、府県と市との税源の取り合いというふうなことをできるだけせずに、そういった方向から大都市、政令都市がどんな税制をとりましても、他の市と比べましてたくさん特別に配賦されることはもう当然でございますので、道路の管理が変わったとか、あるいは道路譲与税の基準を変えるというような割り切ったものは別といたしまして、その他の事務配分につきましては、今日までにおきましても、あるいは自動車取得税の取得を県にさせておりますけれども市町村に多く持っていく。あるいは道路譲与税の配賦基準も、市へ府県のほうよりも多く持っていくという措置もいたしました。毎年毎年そういった財源で大都市の財源補充をつとめてきたのが、いままでここ数年来にわたるところの実績でございます。私たちはそれによって、いま大都市が言っておられます全額がどの程度にまで充実したのだとかなんとかいうことは計算もいたしておりませんけれども、今後もそういった方向で大都市税源の充実をやる。府県とのやり取りという姿は、これは同じ地方団体でございますので、できるだけ避けたい。そのような考えもございまして、事業所・事務所税をぜひともことしやりたいと思っておったのでございますが、残念ながら、これを実施することができなかったのでございます。私は、政令都市の方々にも特に話しまして、あなた方の中にも税を取ると言えば反対されるというふうなこともございますけれども、そういうふうなことなしに、税金を取るということはやはり非常に苦しいことであるけれども、一緒になって、私たちも努力するから努力していただきたいということで、破れたときに大都市の議会並びに理事さん方にお願いしたような状態でございますので、今後ともにそういった方向で努力してまいりたい。このように考えております。
  130. 大野市郎

    大野委員長 関連質疑を許します。和田一郎君。
  131. 和田一郎

    ○和田(一)委員 きのうの質疑お答えが得られなかったのですが、いまの大都市財源もございましたけれども、いままで、国、地方を通ずるところの税源の再配分、それから事務の再配分ですか、それがしょっちゅう言われておりますし、去年のこの委員会でも、附帯決議が衆参両方ともついております。これは、この問題についても、やはり当局としても考え考えるという答弁があったのですが、具体的にどうなっているかということですね。きのう政務次官の御答弁が得られなかったものですから、自治大臣から、この点についての考え方と、それからどの程度いま進んでいるかということをひとつ……。
  132. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 きのうの御質問に対してこういうふうに答えろというふうに、私、きのうの質問を聞いてなかったものですから、いただいておりますので、一応書いて与えられたとおりお答えさせていただいて、そのあと、いまの御質問に対しまして、一応私の所見を述べさせていただきたいと思います。  社会経済情勢の変化に伴う地方税あり方、税源配分の問題については、昨年十月、税制調査会に対して、社会経済の進展に即応する税制あり方について諮問しております。その一環として、今後、税制調査会の審議をお願いしたいと考えております。  これが書いたものでございます。  税源配分の問題、これを考えましたなれば、当然、国、地方あるいは地方団体間の事務配分の問題、この問題を考えなければならないであろうと思います。毎年、地方制度調査会等におきまして、当面の問題として、さしあたりの問題だけを答申していただき、部分的には今日までもこれの解決をはかっておるというのが実情でございます。しかしながら、経済社会が大きく変革していく。自治体のあり方も、それに応じて相当広域に考えなければならない。現在の基礎的な自治体であるところの市町村の姿がこれではたしてよいかどうかというふうな、地方自治のあり方についての根本的な問題について考えてもらわなければならない時期ではないか。これはもう当然のことであろうと思います。私たちも長年の間このことを叫んでまいりました。改善された点もございます。しかし、それは部分的な改善で、戦後一番大きな地方自治の変革と申しましたなれば、おそらく昭和二十七、八年から三十年に行なわれた、一万近くあった地方自治体が現在の三千あまりの自治体になったという町村合併でなかったかと思います。その後大きな変革はございませんけれども、事務の問題その他について、個々に、絶えず地方制度調査会等で御提案をいただきながら、部分的な改正を行なってきておるのが今日までの状態でないかと思いますが、そういった個別的な改正はとにかくといたしまして、根本的な改正を考えなければならぬ時期に来ておるのではなかろうか。しかし、そのためには、毎年委員を変え、一年間の任期によって審議を願うような地方制度調査会のあり方では、長期的な問題に取り組むよりも、むしろ当面の問題だけに取り組んでもらうので精一ぱいになってしまう。そういった姿ではよくないと思いましたので、本日の閣議で決定さしていただきましたが、近く御審議を願います地方制度調査会の委員の任期を、一年を二年にしていただきまして、当面の問題は当面の問題として、また抜本的な問題は抜本的な問題として、少なくとも長期にわたり取り組んでいただき、この問題の前進をはかってまいりたい。かように考えておる次第でございまして、そのような方向で今後取り組んでいくことによりまして実をあげていきたいと考えております。
  133. 桑名義治

    ○桑名委員 次に、個人事業税の問題でございます。  これもたびたび当委員会におきまして議論になっているわけでございますが、中小企業の負担軽減の見地から、事業主の控除の引き下げ、あるいは所得税の控除失格者に対する非課税、こういう問題があるわけでございますが、今回の改正案は事業主控除を六十万円にする。現行三十六万円を六十万円にするのですから、非常に前進をしたわけです。しかしながら、非課税範囲が拡大はされましたけれども住民税所得割との二重課税的な性格そのものはまだ解消されてないわけでございます。この点についてどういうふうに大臣はお考えになっているか。今後どういう方向でこれを推進をされようとなさっているのか。その御意見を伺いたいと思います。
  134. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 二重課税とおっしゃるのに対しましては、事業税は、私たちがたびたび申しておりますとおり、事業を行なうこと自身が、自治体の施設の利用、あるいは行政サービス、これらのことが行なわれておりますことに対する、その経費を分担していただく。いわば事業そのものの経費の一部として考えていただいて課税をさせていただくという趣旨でやらしていただいておりますので、御了承を賜わりたいと思います。しかしながら、税金が零細事業者にできるだけかからないように今後ともに努力していくということは、いま御指摘のとおりでございます。今回引き上げましたのも、いろいろほかにも理由はございますが、最大の理由は、いま申されましたような趣旨におきまして、これだけの引き上げによりまして、相当部分零細事業者に対する課税が免税になるであろうということも予測して行なったような次第でございまして、今後ともそういった方向で努力さしていただきたい。かように考えます。
  135. 桑名義治

    ○桑名委員 次の問題に移りたいと思いますが、次の問題は、租税特別措置の問題でございます。この問題は当委員会でいろいろ論議されているわけです。一つの方向が定められましても、社会の情勢なり、あるいはまた動向なりによりまして、毎年毎年、多少なりともいい方向の修正の段階に当然進んでいかなければならない。こういうように考えるわけでございますので、この点について質問をしておきたいと思うのですが、一たび、いわゆる租税特別措置の適用を受けてしまいますと、これが既得権という形で、ずっと半永久的に残るというような姿になっているわけでございます。そこで、こうした問題を排除するためにも、こういう種類の全面的な洗い直しが必要じゃないか。こういうふうに思うわけでございますが、その点についてどういうふうにお考えですか。
  136. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 それぞれの理由がいろいろ異なりますから、それが、本来この措置をいたしました理由に適合しなくなっているかどうかという点は、絶えず毎年毎年振り返ってながめながら、必要でなくなった分については洗い直していく。その反面、必要であると認められるものは、最小限度にとどめながらも追加していくこともございましょう。しかしながら、いま言われましたように、政策が放漫に流れて、既得権的な姿にいかないように、これを洗いざらいしていかなければならないことは当然でございます。これは個々の問題で考えなければお答えにならぬと思いますが、総括的には、国の租税特別措置によります分はできるだけ遮断をいたしまして、国の租税特別措置がそのまま地方におっかぶらないようにできるだけ遮断する。しかしながら、その中にも、国の租税特別措置法とあわせて地方の特別措置を行なうことがその政策目的をほんとうに生かす道であるというものは、地方税の立場に立って考えて、これと同じような特別措置を講じていくという姿に持っていくようにしたい。ただ、国税の特別措置の中には、地方の徴税が技術的に困難でございまして、遮断するための調査に非常なる困難さが伴うというものは、やむなくそれに便乗しておるという面もございますが、これらは、徴税技術の向上によりまして、地方税徴税の中においても遮断し得る能力を与えていくという方法でできるだけ解消していきたい。かように考えております。  いつも当委員会でも問題になっております電気ガス税は、大企業だけだということで、いつも私たちは要らざる非難を受けまして何なんですが、しかし、それはそれとして、一方、個人の免税点によりまして、国民生活にとってほんとうに必要欠くべからざる要素であるところのものは免税に持っていく。一方、産業に対する免税点は、あくまでもそれは企業に対する免税でなくして、その産業そのものが基礎的な資材の生産産業であり、しかも、その産業の生産物のコストが電気の使用料というものを相当高い基準で含んでおるという基準は、いまはっきりときめられておるのでございますから、この基準は厳守する。その基準が切れておってもそのまま残していくということのないように、今後とも厳格に実施していく方向に持っていきたい。かように考えております。
  137. 桑名義治

    ○桑名委員 この、いわゆる租税特別措置法による国税の分でございますが、国税による地方税への減収が、四十六年度では一千三百八十三億円。それから、地方税の独自の非課税による減収は、同じように四十六年度では一千六百二十七億円。合計すると三千十億円という大きな額になるわけであります。このように国税のはね返りによる影響は遮断するとともに、地方税自体のいわゆる非課税措置についても、これは当然整理統合すべきじゃないか。こういうふうに考えるべきでございますけれども、その点について……。
  138. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 先ほどもお答えさせていただきましたように、国税につきましては、できるだけ遮断する方針で今後とも進めてまいりたいと思います。地方税の分、電気ガス税だけについて申し上げましたが、その他の面につきましても、個々の政策に基づきまして行なっている面も、できるだけ乱に流れないように、縮小の方向で今後整理してまいりたい。かように考えております。
  139. 桑名義治

    ○桑名委員 いまの大臣の御答弁のように、こういう問題はいち早く理想の方向へ進めていただきたいということをまず要望して、次の問題に移っていきたいと思います。  昭和四十五年度から実施されております第六次道路整備五カ年計画、こういう計画で、地方道、特に市町村道の整備が重点に置かれているように私たちは考えるわけでございますが、財政の面からこれをながめてみますと、いわゆる国の目的財源的なものが八〇%、地方が五〇%、その中でも市町村は一七%というような、いわゆる低率になっているわけでございます。そういう問題を考えてみますと、自治大臣としては、今後、地方道の中でも、市町村道の整備についてどういう方策をお考えになっているか。この点について伺っておきたいのであります。
  140. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 市町村道の財源が、国あるいは県のものと比べまして、財源的に、目的財源のあり方として非常に少ないということは御指摘のとおりでございます。ことに、道路整備計画が進んでまいりまして、国道は五十年までに、舗装という点では、新しいものを除きましてほぼ完成するであろう。府県道は五十五年までに大体完成近くなるんじゃなかろうか。残されるのが市町村道である。このような現況でございますので、今後、財源の充実は、そういった目的税の分はできるだけ市町村のほうへ回していただくように機会あるごとに努力してまいりたい。かように考えておるような次第でございます。私たち、そのために、今日まで、自動車取得税をつくりましたときも、また自動車の先年つくられました重量税にいたしましても、全部市町村にいただくことにいたしております。ことしも、できましたなれば、軽油引取税の引き上げという姿、その引き上げた分は市町村に持っていくという方向で検討をさせていただいたのでございますが、去年重量税をかけさせていただいたというふうな観点もあり、また、ガソリン税の引き上げも行なわれないという姿もございましたので、この機会にどうかということで、本年は見送らざるを得なかったという点でございます。軽油引取税、これは府県民税でございますから、私たちで引き上げることができますが、国においてガソリン税が引き上げになるようなことがございましたなれば、少なくともその大きな配分をぜひとも市町村という形で、地方財源にいただきたい。今後ともあらゆる機会をつかまえて、目的財源としての市町村の財源充実につとめたい。こう考えております。
  141. 桑名義治

    ○桑名委員 そうしますと、揮発油税のうち地方道路譲与税、これが十三分の一という市町村は非常に低い率で確保されているわけでございますが、こういった道路目的財道についてのいわゆる率の引き上げというもの、国と各地方とのこの率の引き上げというものは、当面折衝の段階にあるわけでございますか。
  142. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 まあ、声はあげておりますが、国のほうにいたしましても、まだまだ全部完成したという段階でございませんので、非常に困難な段階でございますけれども、少なくとも、引き上げが行なわれた場合においては、そういったいままでの過去の割合の比例をこえていただかなければならない。こう考えております。  それからまた、軽油引取税の問題につきましても、軽油引取税の起こりました課税の姿がガソリン税よりおくれて出たというふうな関係から、はたしてガソリン税とバランスがとれておるかどうかという点も問題がございますので、これは独自の立場で検討さしていただかなければならぬのじゃないか。こういうように考えております。
  143. 桑名義治

    ○桑名委員 大臣も認ていらっしゃるように、実際にこういうふうな各地方の道路財源というものが、確保するためには非常に困難をきわめているということは事実でございますし、それからまた、国道、県道に比較いたしまして、各市町村道の立ちおくれというものも、これは相当のピッチを上げなければならないということは当然でございますし、また、それに引き比べて、今回四十七年度のように、非常に地方財政が苦労し、借金財政という立場をとってくれば、各市町村も単独の財源を確保するということはどうしても非常に急務になってくると思うのです。そういった意味で、ただ単にそういうことを希望するという観測ではなくて、積極的にこの問題には取り組んでいくべきではないか。こういうふうに思うわけでございます。  それと同時に、特に大都市における道路整備でございますけれども、現在の道路事情をいろいろ考えてみますと、これもまた整備することが非常な急務になっております。これは人命という問題にもかかわる重大な問題でございます。そういった意味からも、大部市の市道に対しても特別な財源的な配慮をしていかなければならない時期に来ていることは、これはもう知り過ぎるほど皆さま方御存じなわけでございますが、知り過ぎるほど知っておるけれども、はたしてこれがどういうふうに努力を重ねられておるか、またどういういい見通しがあるのかという点になってくると、毎たび毎たびの委員会でも、それはもうごもっともでございますと言いますけれども、同じような答弁が返ってくるだけで、なかなか実行が伴わないという実情でございます。現実に、いま、大都市の道路財源は、四十六年度分でございますけれども一六・三%。他は一般財源の中から負担をしていかなければならないという実情でございます。きょうは、ごもっともでございます、努力しておりますということではなくて、もう少し前進的な、具体的な方向について、事実があるならば、その点をお話しを願いたいと思います。
  144. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 地方の道路財源、これは目的財源の増強を求めなければならぬことは当然でございます。努力もいたしますが、具体的なものをあげろと言われましたなれば、ただいままでに申しましたようなものでございまして、私も、必ずこれはやるのだと自信を持ってここで答えるまでには至っておりませんので、御了承を願いたいと思います。  しかしながら、地方の一般財源を充実することによりまして、その中で最も必要とする道路とか、生活に直結するところのものに持っていっていただく。こういうような方向で進めていきたい。かように考えております。このために、単独事業というものを、私たち苦しい財源の中からでございますが、財政計画の中では一応昨年の伸び率に劣らないように組ましていただいたような状態でございます。特に、大都市の場合におきましては、これは単にその部市だけではなくして、国のほうにおきましても、あるいはその所在する府県におきましても、幹線道路という意味ではピッチを上げてやっていただいておるという姿になっておりますが、大都市は大きな経済規模でもってやっておるのでございますから、必要であれば、もし許すなれば、起債財源その他で、まあ能力もあるのでございますから、ワク外債等も発行いたしまして、その充実を期していただいたなれば、個別に私たちも応援さしていただくという体制を実施していきたい。こういうぐあいに考えております。  ただ、問題は、日本の都市の状態でございまして、卒業は計画しても、実行するのに限界がある。これが大部市の実情でなかろうかと思っております。したがいまして、これらの問題を、技術能力並びに執行能力を上げていくことが非常に重大なる問題にぶつかってくるのではだかろうかと思います。東京都の美濃部知事さんと、私、自治大臣になって初めてお会いさせていただきましたときにも、必要とする起債は、縁故債でございますから、私はどんどん出します、しかし、実情をながめましたなれば、住宅にいたしましても、その他の問題にいたしましても、一応お渡しした要望額が返還される場合が非常に多い、そのために、むしろ、私たちの場合、一たん渡しました起債を年度お終わりになって返還されましたら、余した場合においては、地方財政関係の国庫当局、大蔵省と掛け合いますときにずいぶん困るというようなこともございますと、そのことを私率直に申しましたなれば、美濃部知事さんも、自分自身もなかなか執行が困難ですが、渡海さん馬力をかけてやります、という御答弁がありましたように、大都市のネックは、むしろそういった面にもあるのじゃないか。このように考えておりますが、今後とも、事務能力、技術能力、特に土木部面とか、あるいはこのごろ問題になっております下水なんかの問題、これは各自治体の技術的に非常に弱い部面でございますので、これらを強化して、事業執行に遺漏のないように期していきたいと考えております。  下水の問題は特に中小の都市でありますけれども、このために、今度建設省のほうで、下水道センターと申しますか、そういった技術的な各地方団体に対する要望にこたえるようなものをつくっていただいたのでございますが、この設立にあたりましても、そのような意味で私たちも積極的に協力させていただいておるということでありますす。
  145. 桑名義治

    ○桑名委員 いま大臣から、目的財源はこれはもう当然ながら、それよりも、各市町村の一般的な自主財源を強化することによってそれを補てんしていくというような意味のお話があったのでございますが、まあ、それも一つの見方でございます。しかし、私がなぜこういうふうに道路の目的財源の問題について言うかといいますと、一番最初に申し上げたように、国と地方のこの道路に対する目的財源の比率が、国が八〇%を上回るのに対して、地方の中でも、各市町村は一七%だ。こういうようにいわゆる目的財源の比率が低いということは、それだけ一般財源から食い込んでいるのだ。こういう姿がはたしてほんとうに適当な姿であろうか。言うなれば、政治家たるものであるならば、みんな、口を開けば、いわゆる各地方自治体の充実ということが民主主義の確立であると言う。これはもうどなたがおっしゃても、この事柄は口から出てくるわけでございますが、一たびこういうふうな面に目を向けて見ますと、こういうようなアンバランスな姿があるわけでございますので、こういったアンバランスな姿は是正をすべきではないか。こういうふうにいま申し上げているわけで、その点についての大臣答弁を要求いたします。
  146. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 仰せのとおりでございます。目的財源といたしましては、まず出発の過程におきまして非常におくれており、しかも、ザひとも整備しなければならぬ国道という姿で始まったものでございます。その国道が、まあ相当完備しましたけれども、まだ完成というところまで至っていないという現況のために、まあ、そういうようなことで――おそらく、地方財源は、いままでは地方交付税という一般財源で市町村道を見てまいったのでございますが、ここ四、五年前から、私たちも及ばずながら、このことを口をすっぱくして言いまして、目的財源を市町村にも与えるという姿で四、五年前からようやく出発したのでございます。  自動車取得税をつくりますとか、たしか藤枝大臣のときであったかと思いましたが、わずか二千五億の金を、地方財源のために、市町村道の財源のために初めて獲律したのですが、藤枝大臣は頑強にがんばられまして、二十五億の地方財源を取るために二時間余りの大臣折衝をやって取られた。しかし、これが芽をふくのだということで、努力して、ようやく今日に至った次第でございまして、したがいまして、今後ともに努力もし、また、国道、府県道、これらの整備に従いまして、今後はおくれている市町村のほうへ重点的に目的財源も持っていきたい。今後ともに努力を続けたい。そのことによりまして、限られた財源であります一般財源の中から、地方交付税の中から、多くの部面を道路財源に、基準財政需要額に入れなくてもいいような姿に持っていきたいというのが私たちの念願でございます。ここには、大蔵省とかあるいは建設省もおらないのはまことに残念でございますが、ぜひともそういった意見を国会方面でも反映していただきまして、私たちの及ばざるところを御激励賜わりたい。かように考えております。
  147. 桑名義治

    ○桑名委員 時間が参りましたのでこれでとどめたいと思いますが、いま、道路財源確保については、藤枝大臣は二時間余りもねばったという努力のお話がございましたが、渡海大臣も人のことばかり言わぬで、ひとつそれにまさる御努力を自治大臣もされんことを最後に希望して、終わりたいと思います。
  148. 大野市郎

    大野委員長 これにて、内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、来たる二十一日火曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十二分散会