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門司委員 私は、いまそこまでしかお話しできないとするなら、もう少し意地の悪い
質問をしたいと思います。一体、公安
調査庁にしたところで、
警察にしたところで、何のためにあるかということです。何が使命かということですね。両方の役所の使命というのは、国家の秩序を守っていって、そうしてやはり国が安全である
——これは外交的な安全ではありません。国内のお互いが安心して生活のできる社会をこしらえていこうとする。これをせんじ詰めていけば、防犯ということになるんですね。出てきたものだけをつまんでいくというんなら、
警察庁というものはきわめて気やすいものである。楽なものである。これは
警察官全体の問題もありまするし、また、公安
調査庁の役人の方々にも考えてもらわなければならないのだが、
自分たちの職務というものは、単なる
犯罪をつかまえればそれでいいんだという、社会悪に対して働くだけではなく、そういうものがどうして起こるかということを考えて、これを起こらないようにすることが大事で、最大の任務は防犯の任務だと思う。それが防犯の任務だとするならば、そこにはやはり原因がなければならない。出てきたものだけをつまんで芽をつむというのなら、これは別にどうということはない。しかし、
警察の職務、それから公安
調査庁の職務というのは、そういう崇高なものであって、また、
警察官自身も、そういう立場で、
自分たちの力で世の中の法の秩序を守り、秩序ある社会をつくっていくということが大事で、それが望ましい社会である。そこに、やはり、
警察官としての誇りがあると私は考えている。職務上の誇りというものは、そこになければならないと思う。
自分たちがいるから世の中は静かなんだ、
自分たちがいるから世の中が平穏なんだという誇り。しかし、実際は、こういう暴動が起きている。まごまごしていると、今度は右翼がどう出てくるかわかりませんが、世の中の実態があまりそう平穏ではないように見受けられるが、そういうものが出てくる原因というものはやはり
——第一線のおまわりさんにそういうことを言ってもなかなかむずかしいと私は思うが、しかし、最高の責任者である
国家公安委員長であり、
警察庁の長官というような職務におられる方が、出てきたものが、こういう気違いじみたやつがどうして出てくるのだろう、これはどうすればなくなるのだろう、
過激派集団というような反社会的な
連中が一体どうして出てくるのだろうということを考えないで、その原因をつかれないで、出てくるものだけを処理するというのでは、いつまでたっても世の中はきれいにならない。同時に、そういう職務というものは崇高ではないと思う。
昔のことを言うとおこられるかもしれませんが、昔の第一線の刑事
警察を受け持っていた者が、よく、おかっぴきだなんて悪口を言われた。その上に同心がおって、その上に与力がおった。そういうような階級があったが、これと同じように、単に出てきたものだけを処罰するということだけでは、世の中の法秩序というものはできない。同時に、
警察や公安
調査庁の前線の諸君も、自信を持った活動はできないのではないか。おれたちがいるから世の中は静かになるのだ、おれたちがいるから世の中は法の秩序が守られるのだという、そこまで来ますと、くどいようでありますが、どうしても、よってきたる原因というものを芟除しなければ、結局世の中は平穏にならない。このことは、
警察庁の長官なり、公安
調査庁の長官なり、あるいは公安
委員会の
委員長という最高の指導部におられる方は、その社会に対する烱眼と反省というものがなければ、
ほんとうの意味の
警察にはならないのではないか。そこからくる問題が、きのうの中谷君の
質問の中にもありましたように、何か、お金を出してスパイ
行為みたいなことをやらせるということになり、それに謝礼をするのが何が悪いのだというような態度がそこに出てくる。それは、なるほど、出てきたものを芟除しようとすれば、そういう
行為も、あるいは必要かもしれない。しかし、それをやると同時に、こういう
行為がなぜ起こるかということの反省というものが絶えずなければならない。そのことをこの際私は聞きたいのでありますが、念のためにもう一度……。
私はそこまで申し上げましたが、それでも、おれたちは職務だけをやっていればいいのだ、
警察官は、出てきたものをつんでいればいいのだ、それ以上われわれが考える必要はないのだ、それ以上考えるのは、逆に、政治家のおまえたちの仕事だ、ということになるのかもしれない。しかし、われわれの仕事、政治の行き方が悪いからこういうものができたというふうにかりになるといたし属しても、その辺のことは、率直に、こういう機会に述べられることのほうがよろしいのではないかと私は考える。これ以上私は申し上げませんが、いま申し上げたことで、答弁というか、お答えがもし願えるなら、こういうもののよってきたる原因というものがとういうところにあるか
——この前の
委員会の、公安
委員長のお話を見てみますると、何か、教育がどうもあまりおもしろくなかったのではないかというような口調のくだりがあるようでありますが、むろん、教育のこともあるでしょう。あるいは、世の中が物質万能主義で道徳がすたれてくるとか、あるいは、個人主義になって、連帯性がなくなるとか、そういうようなことがいろいろあると思いますが、そういうものがどういう形で出てくるかということが
一つの原因であろうかと私は思います。だから、この際率直に聞いておきますが、社会秩序がこうして乱れるということは、いま申し上げましたように、思想的に、と言うとまた多少語弊があるかもしれませんが、あまりにも個人主義になり過ぎておる。それからもう
一つは、露骨に聞いておきますが、これはおそらく、答弁はあなたのほうではむずかしいと思うけれ
ども、何しろ、政権がずっと長く続き過ぎておって、そしてなおかつ、社会の改革、新しい社会というものがなかなかできてこない。若い者は絶えず新しい社会を探求していることは、これは青年の思想でありますから、曲げるわけにはいかない。ところが、政権はかわらないで、ずっと同じようなことをやっていて、ちっとも進歩がないじゃないか、社会の変化というものが見られないじゃないかというような、ごく単純な気持ちからきている問題が、私は、今度のような
事件にはあらわれてきていると思うのです。
ほんとうに彼らが
革命家であるなら、こういうへまなことはやらぬと思うのです。もう少し考えたことをやると思う。
赤軍の言っていること、それからこの
連中のやっていることは、どうも、
自分たちだけを英雄視しておって、何かしら、ものが成就するとかなんとかいうようなこと、
革命なんてことを考えているかどうかすらもわからぬような状態だと私は思う。だから、そういうことがなぜ一体起こるかということの
一つ二つを、ちょっと片りんだけをいま申し上げましたが、教育の施設が悪ければ教育の施設が悪いでもよろしいが、社会のそういう連帯制の観念がなくなった原因がどういうところにあるかということ、あまりにも世の中が物質的文明になり過ぎて、
自分たちの住んでおる社会環境があまりおもしろくないというような、そういう原因があるのだというようなことが、もし、あなたのほうで言えるなら、あなたの方の立場から見た、こういう問題が起こる原因を、私
ども政治を行なう者のために、この際ひとつ片りんだけでも
——それは、さっき申し上げておりますように、あなた方はやはり防犯の立場にあるということであって、出たものをつむだ
けが仕事では決してないと私は思う。そういう崇高な、世の中の秩序を保つ上においての職務だということを考えていただいて、奉直にもう少しお話を願えないと、せっかく来ていただいても、ただ通り一ぺんの
法律の解釈を聞いただけでは、
法律の
制定当時からこれに携わったものからすると、そのくらいのことはおれのほうではわかっているのだということが言いたくなるわけでありまして、ここのところを、もう少し何とかなりませんか。