○
岡部(保)
政府委員 まず冒頭に、ちょっとおことばを返すようで恐縮でございますが、一言言わせていただきますと、新
全総を現在改定しなければならないという
考え方ではないことを
最初に申し上げておきたいと思います。長官の国会での答弁にもございますように、新
全総も非常に問題点が起きていることは事実でございます。それで、それに対してまず点検をする。総点検をするということばを使っておりますが、要するにこの段階でもう一度
ほんとうに反省しなければならぬという点があるということを私
ども現段階で認識しているわけでございます。これが点検の上で改定につながるのかあるいはどういうふうにするのかということは、その次の段階で考えたいということをまず冒頭お断わり申し上げておきます。
次に、いま申しました点検をしなければならぬいろいろな社会経済情勢の変化というものに対応して、いまの新
全総というのを、閣議決定されましてから約三年たったわけでございますが、この
時点で点検をしなければならないというあたりの理由を御説明申し上げたいと思います。
まず、一昨年あたりに非常に議論がございました点が二点ございます。それは、まず第一点に、いわゆる新
全総計画というのは、非常に物理的な
土地利用計画的なものでございますので、それの直接のあれはございませんが、それの
前提となっておる経済のフレームというものがございます。そこでこの経済フレームと申しますものが昭和四十年をベースにいたしまして、大体平均的に、いわゆるGNPで考えておりますが、GNPで年間約八%平均
伸びていくということを
前提のフレームに考えておるわけでございます。ところが、昭和四十年から四十五年の間に現実に経済の
伸びというのは約一二%以上も
伸びたわけでございます。したがいまして、四十五年ベースに切りかえていま現
時点で考えてみますと、今後約六%
程度の平均の
伸びで一応この
目標値に達するというような姿でございます。ここの辺で経済フレームとしていささか過小評価があったんではないかというのが一昨年あたりに非常に大きな議論が出た点でございます。それから第二点は、御承知のように環境問題でございます。何と申しましても
公害がこのように非常に問題視されてきたということに対して、新
全総はそれを十分受けていないではないかという御批判でございます。
この二点につきまして一応私
どもの
考え方を申しますと、まず経済の伸展という問題につきましては、確かにそういう将来の見通しという問題についてはいろいろ問題があったわけでございますが、たまたま現在
経済企画庁で、私の局ではございませんが、新経済社会発展計画の、これは
ほんとうの改定作業をいたしております。そこでまずことしじゅうには改定作業が完了するかと存じますが、その作業を通じまして今後の経済の見通しというものを
チェックしなければならないということは当然ございます。これは経済計画が約五年
程度の期間を持っておりますが、新
全総計画のほうでは将来いまから申しますれば十数年のロングレンジになるわけでございますけれ
ども、いずれにいたしましても、この作業と相まちまして、この経済フレームというものをどういうふうに考える必要があるか、またその経済フレームの中に
一つにはいわゆる
産業構造の変化という問題も出てくるかと存じます。いわゆる
工業と申しましても、いままでの重化学
工業というものが非常に大きなウエートを占めるようになるのか、あるいは知識集約型の
産業というものがぐっとウエートが大きくなってくるのかというような問題もあるかと思います。これがやはり
工業の
立地問題では非常に重要な問題を出してくるわけでございます。そういうような作業というものとからみ合わせまして、私
ども反省をしていく。そこでどういう結果が出るかということによって、これをどういうふうな扱い方にするかということの次の段階に移っていくという
考え方でございます。
それから、環境問題につきまして、これは先生も新
全総をお読みいただければ、これは私、直接この計画の立案当時にタッチしていたわけではございませんので、あえて言わせていただきますと、この計画を実際に策定作業をいたしましたのは、昭和四十二年、四十三年の
時点、それで成案を得まして閣議決定を見ましたのが四十四年の五月でございます。したがいまして、四十二、三年のころにこれだけ環境問題——
公害という字は使っておりませんが、環境問題というものに対してこれだけ意を用いた計画はあまりなかったんではないかといささか自負をさせていただきたいわけでございます。そのように環境問題については相当に考慮を払ったわけでございますが、現実の姿は非常に問題点が出ておるわけでございます。
そこで、こういう物理的な
一つの長期見通し計画というものがどういう問題に焦点を置いておったかと申しますと、言うなれば、病気で申しますれば予防医学的に、先のほうでこういうふうにしていくべきだということを非常に重点を置いて述べております。ところが、
公害問題をとりますと、これはまさに起きてきた現象に対しての臨床医学が必要なわけでございます。そこの辺の食い違いがあったわけでございますが、いずれにせよこれだけ
公害問題というのが非常に大きくなった以上、この
公害問題、環境問題からこの新
全総というものを十分
チェックしなければならない。したがいましてこの総点検。そのほかにもたとえば
大都市の過密問題であるとか、あるいはそれの反対問題といたしまして地方
都市を大いに整備しなければならない、そういういろいろな問題がございます。そういうような問題について、現在の新
全総計画の実施面において非常に抜けておるところがあるのではなかろうかということで、実施面を
中心にいたしまして、現在反省をしておるところでございます。そこで、こういう反省の上に立って、先ほ
ども申しましたように次の段階に進んでいくというような
考え方に立っておるわけでございます。