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1972-04-25 第68回国会 衆議院 大蔵委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十五日(火曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 齋藤 邦吉君    理事 宇野 宗佑君 理事 木野 晴夫君    理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君    理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君    理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君       上村千一郎君    奥田 敬和君       木村武千代君    倉成  正君       佐伯 宗義君    地崎宇三郎君       中川 一郎君    中川 俊思君       中島源太郎君    原田  憲君       坊  秀男君    村田敬次郎君       毛利 松平君    山口シヅエ君       吉田 重延君    佐藤 観樹君       藤田 高敏君    堀  昌雄君       貝沼 次郎君    小林 政子君  出席政府委員         経済企画庁総合         開発局長    岡部  保君         大蔵政務次官  田中 六助君         大蔵省主税局長 高木 文雄君         大蔵省銀行局長 近藤 道生君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局参事官  下河辺 淳君         環境庁自然保護         局計画課長   宇野  佐君         環境庁大気保全         局大気規制課長 山村 和男君         環境庁水質保全         局水質規制課長 山中 正美君         大蔵大臣官房審         議官      大谷 邦夫君         大蔵省理財局次         長       大蔵 公雄君         通商産業省公益         事業局原子力発         電課長     武田  康君         日本開発銀行総         裁       石原 周夫君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第一九号)  準備預金制度に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出第一八号)(参議院送付)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四号)      ————◇—————
  2. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 これより会議を開きます。  日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び準備預金制度に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。松尾正吉君。
  3. 松尾正吉

    松尾(正)委員 最初に、銀行局長伺いたいのですが、いま連日の新聞に報道されております、いわゆる大企業の土地買い占めという問題があります。これは非常に大きな問題でありまして、結局その原因となっているものが金融緩和のゆがんだ姿である、こういう批判があるわけです。これについて日銀の調査によると、金融機関不動産業へ貸した資金は昨年末現在で二兆三千億、一年前に比べて一兆円もふえている、こういったことや、さらに読売新聞の調査でも、ここ一、二年間に表面化した土地買い占めだけでざっと三億平方メートル、動いた資金が約一兆円、買い占め対象となった土地は、現在日本全体の人の住むことのできる土地面積の三十五分の一に及んでいる、こういうことが報道されておるわけです。さらに週刊誌等見ても、日本列島買い占め、こういったことがありますが、大蔵省としてはこの実態をどこまで現在つかんでおるか、まずそれを伺いたい。
  4. 近藤道生

    近藤政府委員 金融機関土地購入資金融資が全体で幾らございますか、これはなかなか正確に把握できます統計がございません。各金融機関業種別貸し出し統計によります建設不動産業向け貸し出し動向等から推察いたすほかはないわけでございますが、これによりますと、四十五年、四十六年、暦年中におきます各金融機関建設不動産業向け貸し出し増加額伸び率は、大体、たとえば全国銀行で申しますと、建設に対します貸し出し伸びが、残高伸び率で二〇・八%、増加額で三千四百七十三億円。四十六年中になりますとこれがぐっとふえまして三八・七%の伸び、金額で七千八百十二億円。それから不動産業に対しましては、増加額で四千二百三十億円、残高伸び率で二七・四%。これが四十六年になりますと、ただいまもお示しになりましたようにぐっとふえまして、増加額で九千九百五十七億円、残高伸び率で五〇・六%。これが相互銀行信用金庫等を含めまして全体の数字で申しますと、四十六年中の建設に対する伸び率は三二・九%、不動産業に対しますものは四八%の伸びというようなことでございます。これはたまたま全業種平均伸びが四十六年中二二・四%でございますから、いかに伸びが大きいかということがこれによってわかると思います。  なお、最近当局の、都市銀行等につきまして土地融資関連の強いと見られます建設不動産、百貨店、私鉄、この四業種につきましてサンプル調査を行ないましたところでは、昨年の一月から本年一月までの十三カ月間におきますこれらの四業種に対する貸し出し増加額のうちで大体三割程度、まあ三割弱でございますが、土地購入資金に充てられているようでございます。いずれにいたしましても土地融資ほんとう実態というものはなかなかつかみにくいわけでございますが、目下それらの聞き取り調査を行なっているところでございます。
  5. 松尾正吉

    松尾(正)委員 いま銀行局長中間調査状況を聞いてみても、非常に大きく金融機関から土地購入のために資金が回っているということはうかがえるわけです。中間ですから、この詳細が判明するのはもっと先になると思いますけれども、これが判明した時点で一応資料をいただきたい、こう思います。  それから第二点は、結局こういう問題が起きてくる根本原因というものは、政府地価対策の不十分なところに基因をしているということはいえるのでありますけれども、一番堅実でなければならぬ金融機関が、現在庶民の願う夢であるマイホームというものを踏みにじるようなこういう形に流れていくということについては、国民向けの政治をやっていくためには大きな問題があろう、こう考えられます。したがって、これに対して大蔵省当局では、この金融機関にそれぞれ指導なり注意なりをしていかなければならないと思うのですが、これについてはどういう形で指導を行なっていかれるか、その点を伺います。
  6. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいま仰せがございましたように、庶民マイホームの夢を奪うような土地に対する融資、言いかえれば土地に対する投機資金の供給、これが最も悪いわけでございます。金融機関経営者の諸君は、まさにそういう一種の反社会的行為が行なわれないように絶えずチェックをしていくということが最大のつとめでありまして、そういうつとめを完全に行なっているかどうか、その辺の判定をいたしますために、目下、先週来金融機関経営者を呼びまして、聞き取り調査をやっているわけでございます。  そこで、その場合に、たとえばある融資が正常な融資で、正常な住宅建設あるいは宅地開発につながるか、あるいはそれが結果において投機になるか、これは現在時点において直ちに見破ると申しますか、判別をするということは、反面調査権が検査などでもございませんだけに、なかなか限界があってむづかしいところでございますが、どの程度に実情をチェックをしながら融資をしていくか、その融資のビヘービアを見ることによりまして、ある程度の推察はつくわけでございます。それからまた、いまいろいろ聞き取っておきましたことが、あとになりましてそれがほんとう投資に向いたか投機に向いたか、その辺の一つの事後におけるチェックの材料にもなるわけございます。そういうような方法を通じまして、はたして反社会的な投機行為に向かっているかどうか、その辺の判定をいたしているわけでございます。
  7. 松尾正吉

    松尾(正)委員 これはいまのお答えのとおりだと思います、現状では。しかし、一般的に私どもが見た場合に、堅実な投資であるか、投機的要素があるかといえば、現状では国民全体の目に映るものは投機的な要素が非常に強い、こういうふうに見られるわけでありますから、どうかそういう面でひとつ厳重に金融機関がゆがんでいくようなことのないように、これは十分配慮してやっていただきたい、こう思います。  それから、これに関連をいたしまして、というよりもこっちが本筋なんですけれども開発銀行総裁伺いたいことは、日本開発銀行業務貸し付けの中で、設備取得及び土地造成資金貸し付けということが行なわれておりますが、この場合に民間宅造に対しては四十ヘクタール以上のものに対して貸し付けをやっておるということは、むしろいま一般金融機関投機的な貸し出しをやっているという、こういうことに拍車をかけるようなことにならないかという疑問を国民が持つわけでありますけれども、この民間宅造に四十ヘクタール以上の貸し付けをやっていることについて、この貸し付け条件をどういう面でそうでないというふうに規制をされておるか、その点を総裁から伺いたいと思います。
  8. 石原周夫

    石原説明員 開発銀行融資は、いわゆるプロジェクト融資ということを申しまして、政策目的に合致をいたしました特定の設備投資、それに限定をいたしているわけであります。したがいまして、土地を買うからということで融資をいたすわけではございませんで、その土地取得民間宅造事業——なお開発銀行のそういう土地造成関係融資といたしましては工業用地造成がございますが、お尋ねの趣旨宅地造成であると思います。その場合におきましても、私どもがやっておりますのは、いま松尾委員がおっしゃいますように、四十ヘクタール以上というようなことでやるわけでございますが、その中でいま非常に乱暴な開発が行なわれておりまして、いわゆるスプロール現象が起きている。家はできましたが水道がないとかあるいは道路が不十分である、公園緑地がない、こういうような状況でございます。したがいまして、私ども政策融資をしてやろうと申しますのは、いわゆる優良宅地と申しますか、十分な道路、上下水道あるいは公園緑地というものがなければならない、こう考えまして、二割五分以上の部分がそういう公共投資に向けられておるということの条件を付しているわけでございます。現実に融資対象になっておりますものの中には二割五分を上回りまして、三割というような状態に達しているものもございます。それでございますから、優良な宅地であるということを前提といたしまして、いわゆるニュータウンと申しますか、そういう全体が一つのまとまった開発になっておるというものに融資をいたすわけでございます。当然これは土地を含み、並びに土地造成費を含むわけでございますから、その当該計画対象になっております土地あるいは造成地というものは融資対象になります。しかしながら、漫然と土地を買うことに対しまして融資をいたすわけではございません。  それからもう一つ処分価格の問題でございますけれども、これも財政資金をもって融資をいたします以上は、妥当な価格処分をしてもらわなければいけないということでございまして、たとえば土地公示価格制度というものがございます。これが適用されます部分につきましてはそれ、そうでない場合には第三者の適正な評価というものを前提といたしまして、それに基づいて処分をしてもらう、こういうような条件をつけておりますので、むしろそういう優良な宅地を供給いたしますことによりまして、現在の地価対策の一環になろうというふうに考えておるような次第でございます。
  9. 松尾正吉

    松尾(正)委員 いま総裁お話は、三大都市の近郊の宅地造成、これについてだろうと思うのです。しかし、非常に広い範囲、四十ヘクタール以上というのですから上限がございませんから、相当広範なものがこれに包含されれば、いま言ったようなことが相当きびしくされない限り、あるいは投機という点も考えられないことはない、こう思うわけです。そのきびしい基準というのは業務方法書できちっと制限しておるのですか。
  10. 石原周夫

    石原説明員 毎年度国のほうからいただきます開発銀行融資基本方針というものを、政府で御決定になっていただくわけであります。それに基づきまして、開発銀行におきましては融資方針というものをきめるわけでございます。したがいまして、その開銀内部の扱いといたしましては、融資方針というものできまるわけでございます。なお、政府部内におきましても、土地開発をやります場合に、大体私が先ほど申し上げましたような趣旨関係省間でお取りきめをいただいておる、こういうことに承知しております。
  11. 松尾正吉

    松尾(正)委員 時間が十一時までということで、私のほうの時間がございませんので、これは十分注意はされておるわけでありますけれども、万々現在の投機的なものに拍車をかけるようなことのないように御注意願いたいと思います。  それから、今度新しく業務を拡充するということで、既成市街地整備改善事業によって建設される施設については、分譲部分についても貸し付ける、こういうふうになったわけでありますけれども都市開発土地については貸さないが、造成等既設のものの取りこわしとかその他の費用については貸し出しをやる、こういうことは、そのまま一つの業者がやる場合にはやはり土地購入を助けるような形になると思いますが……。おわかりになりませんか。——土地を購入した、これには貸さないけれども、この上を処理するものには貸すという場合に、私が購入して整備費が足りない、けれども土地購入費だけは何とかなるという場合には、結局は土地購入費を助けるということになると思うのですが、そういう点はどうなんですか。
  12. 石原周夫

    石原説明員 既成市街地でございますと、新規の宅地造成の場合と違いまして、非常に起伏があり凹凸がある、あるいは川が流れておるというような状態でございませんので、造成費はいずれにいたしましても、もとの建物をつぶしましてやるわけでありますから、全然変わらないわけではございませんが、造成費そのもの地価に比べますれば、既成市街地の場合におきましては小額なものに相なるかというふうに考えます。したがいまして、私どもがむしろ都市開発分譲対象としていま考えております部分は、事業の大部分建物と申しますか、これをつくりますほうが大部分でございまして、造成費建物費用に比べましても小額にとどまるかというふうに考えます。
  13. 松尾正吉

    松尾(正)委員 それから、かりに今年度の予算で、開発のために土地買い占めた。ところが貸し出し額が足りないために、造成の要請はあったけれども貸し出しに応じられなかったという場合には、都市の場合に状況によっては一年間で非常に幅広い値上がりということも考えられるわけです。こういったようなことが起きた場合には、結局結果的に投機的な投資というふうなことにもなると思うのです。たとえば今年度は十分でないけれども、それでは来年度はといった場合に、その一年間貸し出しが延びたためにその土地が非常に値上がりをした、たとえば故意に、今年度の貸し出しワクは先に申し込むと借りられそうだが、あとから申し入れをして、ワク一ぱいだから待てといってその時期を待つ、こういうようなこともないとはいえないと思うのですが、そういった場合にも、そういうことがはっきり判明した場合には、おまえのところは値上がりを待っておるのでそういうものは貸せないということになると思いますけれども、きわめて合理的に処分方法を講じた場合にはやはり貸し出しをしなければならないと思いますが、それらに対してどんなチェックがあるのか、そういう値上がりを助けるようなことにはならないかという点を一点だけ確認をして終わりたいと思います。想定で非常にむずかしい問題ですけれども……。
  14. 石原周夫

    石原説明員 宅地開発の場合には開発許可が要るわけであります。したがいまして、開発許可がありましたら一年以内に着工をしなければならないという条件がございます。それからもう一つは、造成を完了いたしましたらすみやかに処分をしなければならないという二つの条件がございますから、それと申すまでもなく融資対象になりますのは、土地を含みます場合には当然土地取得価格でございますから、したがいまして、その地価値上がり分融資対象になるわけではございません。
  15. 松尾正吉

    松尾(正)委員 時間になりましたので、もう少しあれしたいと思ったのですが、以上で終わります。ただ、先ほど銀行局長に要請しておいた調査完了時点のデータができ次第いただきたいと思います。
  16. 近藤道生

    近藤政府委員 承知いたしました。いまの調査が、御承知のように聞き取り調査でございまして、非常に整った形での結論が出るかどうかは疑問でございますけれども、できましたものは全部ごらんに入れたいと存じます。
  17. 松尾正吉

    松尾(正)委員 終わります。
  18. 齋藤邦吉

  19. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私はきょう、開発銀行が今度は出資をできるという法律改正部分について、いろいろな危惧がありますので、今後の日本地域開発の問題とからみましてひとつ質問をしたいと思うのです。  まず、お伺いをいたしますけれども、この法案の出資の定義ですけれども、これによりますと、産業の振興を促進する必要がある地域において大規模工業基地建設事業を行なう者に対し、大蔵大臣の認可を受けて出資をすることができることとするというふうになっておりますけれども、この大規模工業基地とは一体何か、これは経済企画庁がつくっているところのというか、政府の先を見通したいわゆる新全総によるところの大規模工業基地ということばと同じなのかどうなのか。まず、大規模工業基地ということはどういう内容を含んでいるのか説明していただきたいと思います。
  20. 近藤道生

    近藤政府委員 それでは私のほうから……。  まず、大規模工業基地建設は新全国総合開発計画におきまして、今後二十年間に予想されます国土開発産業開発のために必要な投資として位置づけられているものでございまして、今後のわが国の発展のために重要な役割りを果たすべきものであり、大都市地域の過密の解消、過疎対策の観点から必要な事業であるというふうに考えられているものでございます。
  21. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いや、私のお伺いしたいのは、ここで、つまり開発銀行法改正のところに出てくるこの「大規模工業基地建設」という大規模工業基地というのは、全総にいうところの大規模工業基地同意語であるというふうに思ってよろしいですか。
  22. 近藤道生

    近藤政府委員 そのとおりでございます。
  23. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それから、この第十八条の五号に、もう一つ産業開発程度が低く、」という文字が一番最初についているわけなんですけれども、これはいわゆる旧全総でいうところの新産都市あるいは工特、あのときに使われるような産業開発程度が低くというような意味なんだろうか。この「産業開発程度が低く、」というのは一体どういうような意味なんでしょうか。
  24. 近藤道生

    近藤政府委員 対象地域といたしましては、三大都市を除く地域で、三大都市圏と申しますのは東京、大阪、名古屋でございますが、その地域を除く地域であり、かつ運用上は北東公庫対象地域を除く地域、その全地域のうちで特に低開発地域という意味では、ただいま佐藤委員の御指摘のございましたとおりの地域でございます。
  25. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それから、この出資する場合の事業主体と申しますか、私はこれからちょっと鹿島灘の問題、むつ小川原の問題、周防灘の問題、志布志湾の問題、この四地域にわたって少し環境庁あるいは経済企画庁にそれに伴うところの出資のあり方についていろいろお伺いをしたいわけなんですけれども、たとえばむつの場合なんかは、一番上が民間むつ小川原開発株式会社というのができまして、そのもとに青森県むつ小川原開発公社というのができ、それからシンクタンクとしてむつ小川原総合計画センター、こういう三段階になっておるわけですけれども、この開発銀行出資する場合の事業主体というのは、一体どういうような形の事業主体が考えられておるのか。いわゆるそういう民間の、開発銀行ですから民間になると思うのですが、民間のその地域開発をするおそらく開発株式会社というのができると思うのですが、そういうところへの出資だというふうに思ってよろしゅうございます。
  26. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいまのお話のとおりでございます。
  27. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それから、出資の割合なんですけれども、これは大体概念としてその地域開発の総事業費のどのくらいを考えていらっしゃいますか。
  28. 近藤道生

    近藤政府委員 出資でございますから、地方公共団体開発銀行と両方の出資額を合わせまして全体の資本の額の過半、五〇%以上というくらいのところが一応の目安になると存じます。
  29. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 地方公共団体開銀との出資が五〇%以上ということは、私はパーセンテージは高いと思うのですが、この五〇%以上というのは、開発におけるイニシアチブというか、開発の方向を非常に決定しようという意図だと考えてよろしゅうございますか。
  30. 近藤道生

    近藤政府委員 そのとおりでございます。
  31. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それから、今年度の予算の中に開発銀行予算が組まれておるわけですけれども、この出資にかかる部分、これは項目からいいますと地方開発部分だ。あと産業開発でもないでしょうし、都市開発でもない。確認ですけれども地方開発部分にこの出資部分予算項目として入っておると理解してよろしゅうございますか。
  32. 石原周夫

    石原説明員 そのとおりでございます。
  33. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 今度経済企画庁にお伺いしたいのですけれども、いわゆる新全総、これは当初の目標というのはどこあたりに置いておりましたか。
  34. 岡部保

    岡部(保)政府委員 新全総目標と申しますものは、新全総の冒頭のほうに掲げておりますが、一言にして申しますならば、自然というものを尊重いたしまして、いわゆる環境を十分に保全しながら住みやすい国土をつくっていくのだというようなところに目標を置いておるわけでございます。
  35. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それで、その際の新全総工業主要課題、それから地域開発主要課題、これは私も読んで知っておりますので、基本的な点だけちょっと押えて述べてもらいたいと思います。
  36. 岡部保

    岡部(保)政府委員 いわゆる新全総と申しまして、国土全体を開発するという目標は、先ほど申しましたようなものでございますが、いわゆるその地域地域に限りましての地域開発考え方というものの基本的な問題は、やはり国土全体の開発という問題とほとんど同じような考え方を持っております。ただ、地域的に問題になりますことは、その地域の特性を生かすということが国土全般に関する考え方にさらにつけ加わってくるのではなかろうかという考え方でございます。  それから、工業に対しましての基本的な考え方と申しますのは、具体的に工業という問題を取り上げますと、そのまわりにいろいろな問題が付随してまいりますので、若干工業以外の問題にもかかわるかと存じますが、日本の全体の国土というもののいままでの利用のしかたというのが、いわゆる地域格差と申しますか、地域的に非常に差があったわけでございます。そこで、いわゆる国土利用の抜本的な改革と申しますかをしなければならない、そういうことがいわゆる巨大都市の過密問題あるいはそれの反対現象としての過疎というような問題にも通じておりますし、また過密というもの自体が、非常に問題になっております公害というもの、いわゆる都市公害中心でございますが、都市公害というものにも続くかと存じます。したがいまして、工業の面で考えますと、従来の市場立地型と申しますか、いわゆるマーケットに引きずり寄せられた大都市中心立地というものをまず考え直さなければ、したがって全国土に分散配置するべきであるということが一つの基本的な考え方でございます。その場合に、工業の本来の姿を考えますと、いかに福祉主導型と申しますか、これからの日本の姿というものを考えましても、経済力と申しますか、工業のこれからの伸びというものは、全く否定するというわけにはまいりません。したがって、これからの工業伸びというものに対しまして、一体どういうふうに配置をしたらよいかという考え方が、この工業の基本的な考え方になるかと存じます。  そこで、この立地の基本的な考え方といたしましては、いわゆる基幹資源型と申しますか、重化学工業の配置というものは今後むしろ、いま大都市の近傍に集中いたしておりますものの分散配置と申しますか、遠隔地に立地させるべきである。この遠隔地に立地させるべきであるというのは、公害をいままでなかったところへばらまけという意味では決してございません。新しい遠隔地に対して十分環境問題を考えた上での新しい工業基地というものをつくるべきであるという考え方に立っておるわけでございます。さらに重化学工業だけではなくて、これからどんどん進んでくると思われます、あるいはいままでも十分ございましたいわゆる内陸型と申しますか、あるいは知識集約型の工業というようなものは、都市の周辺から全土に分散させていくという方向をとるべきであるというような考え方工業に対する基本的な考え方かと思います。
  37. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 現在新全総自体が変更を余儀なくされるような事態になっているわけですけれども、それ以前にいわゆる旧全総と新全総とは一体どこがどういうふうに考え方として変わってきたのか、それはどうですか。
  38. 岡部保

    岡部(保)政府委員 旧全総は、拠点開発型という一言のことばで申したらよいかと存じます。たとえば新産都市であるとか、あるいは工業整備特別地域であるとか、こういう一つの拠点に産業を配置する、主として工業でございますが、こういうものを配置して、そこの工業立地させることによって、その周辺に開発の始動条件を十分整備させる、そしてその地域開発が順次その外縁に向いて伸びていくというような考え方が旧全総の主体をなしておったと存じます。  それに対しまして、新全総考え方というものは、むしろ、拠点開発型と申しますよりは、面の開発型であるという考え方に立っておるわけでございます。その考え方は、いわゆる日本国土全般を通じまして、交通通信網というもので一体的なものにしていこう。たとえば高速自動車道であるとかあるいは新幹線鉄道網であるとか、そういうもので、いわゆる日本の全土を時間距離を短くいたしまして、いままで非常に遠隔地だと思われておったところも必ずしも遠隔地ではないというような考え方にまず整備する。それに並行いたしまして、日本国土全般に対して、いわゆる産業の配置等の問題が比較的拠点に偏しないでいけるという立地条件をつくり出しまして、それに並行いたしまして、たとえば工業の配置あるいは今後のほかの産業立地というものを考えていくというような考え方にしたということで、いわば面的に考えた開発考え方を切りかえたということが言えるかと存じます。
  39. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 よくわかりました。  現在、その新全総自体を変更しなくてはいけないという声がいろいろな部分から出ているわけですね。いま旧全総の拠点開発型から、新全総の場合には拠点同士を結びつける、交通通信網の発達によって面まで広げられるというところまで変わってきたと思うのです。よく叫ばれますように、また、重要なことですけれども、今後の経済発展というものが社会福祉優先あるいは人間の生活を非常に大事にする政治に変えなくてはいけないということで、この新全総自体が現在変更するような作業が経済企画庁の中で行なわれているわけですね。そうしますと、今後のこの変更の大きなポイントというのは一体何だろうか、これがいま新全総のもとで開発を進めようとしている地域とのかかわりはどうなるのだろうか、非常に私は疑問に思う部分があるわけです。後半の部分については、これからまた個々に質問を続けていくわけなんですけれども、一体この新全総を変更しなければいけない——たしか予算委員会では経済企画庁長官は、大体年内一ぱい、もっと早かったかな、年内一ぱいに作業を終えたい、たしか時期はそのくらいだったと思うのですけれども、そういう話だった。一体それでは現在新全総を変えなくてはいけない状況というものはどういうところに出てきているのだろうか。それはどういうふうに経済企画庁としては把握なさっていらっしゃいますか。
  40. 岡部保

    岡部(保)政府委員 まず冒頭に、ちょっとおことばを返すようで恐縮でございますが、一言言わせていただきますと、新全総を現在改定しなければならないという考え方ではないことを最初に申し上げておきたいと思います。長官の国会での答弁にもございますように、新全総も非常に問題点が起きていることは事実でございます。それで、それに対してまず点検をする。総点検をするということばを使っておりますが、要するにこの段階でもう一度ほんとうに反省しなければならぬという点があるということを私ども現段階で認識しているわけでございます。これが点検の上で改定につながるのかあるいはどういうふうにするのかということは、その次の段階で考えたいということをまず冒頭お断わり申し上げておきます。  次に、いま申しました点検をしなければならぬいろいろな社会経済情勢の変化というものに対応して、いまの新全総というのを、閣議決定されましてから約三年たったわけでございますが、この時点で点検をしなければならないというあたりの理由を御説明申し上げたいと思います。  まず、一昨年あたりに非常に議論がございました点が二点ございます。それは、まず第一点に、いわゆる新全総計画というのは、非常に物理的な土地利用計画的なものでございますので、それの直接のあれはございませんが、それの前提となっておる経済のフレームというものがございます。そこでこの経済フレームと申しますものが昭和四十年をベースにいたしまして、大体平均的に、いわゆるGNPで考えておりますが、GNPで年間約八%平均伸びていくということを前提のフレームに考えておるわけでございます。ところが、昭和四十年から四十五年の間に現実に経済の伸びというのは約一二%以上も伸びたわけでございます。したがいまして、四十五年ベースに切りかえていま現時点で考えてみますと、今後約六%程度の平均の伸びで一応この目標値に達するというような姿でございます。ここの辺で経済フレームとしていささか過小評価があったんではないかというのが一昨年あたりに非常に大きな議論が出た点でございます。それから第二点は、御承知のように環境問題でございます。何と申しましても公害がこのように非常に問題視されてきたということに対して、新全総はそれを十分受けていないではないかという御批判でございます。  この二点につきまして一応私ども考え方を申しますと、まず経済の伸展という問題につきましては、確かにそういう将来の見通しという問題についてはいろいろ問題があったわけでございますが、たまたま現在経済企画庁で、私の局ではございませんが、新経済社会発展計画の、これはほんとうの改定作業をいたしております。そこでまずことしじゅうには改定作業が完了するかと存じますが、その作業を通じまして今後の経済の見通しというものをチェックしなければならないということは当然ございます。これは経済計画が約五年程度の期間を持っておりますが、新全総計画のほうでは将来いまから申しますれば十数年のロングレンジになるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、この作業と相まちまして、この経済フレームというものをどういうふうに考える必要があるか、またその経済フレームの中に一つにはいわゆる産業構造の変化という問題も出てくるかと存じます。いわゆる工業と申しましても、いままでの重化学工業というものが非常に大きなウエートを占めるようになるのか、あるいは知識集約型の産業というものがぐっとウエートが大きくなってくるのかというような問題もあるかと思います。これがやはり工業立地問題では非常に重要な問題を出してくるわけでございます。そういうような作業というものとからみ合わせまして、私ども反省をしていく。そこでどういう結果が出るかということによって、これをどういうふうな扱い方にするかということの次の段階に移っていくという考え方でございます。  それから、環境問題につきまして、これは先生も新全総をお読みいただければ、これは私、直接この計画の立案当時にタッチしていたわけではございませんので、あえて言わせていただきますと、この計画を実際に策定作業をいたしましたのは、昭和四十二年、四十三年の時点、それで成案を得まして閣議決定を見ましたのが四十四年の五月でございます。したがいまして、四十二、三年のころにこれだけ環境問題——公害という字は使っておりませんが、環境問題というものに対してこれだけ意を用いた計画はあまりなかったんではないかといささか自負をさせていただきたいわけでございます。そのように環境問題については相当に考慮を払ったわけでございますが、現実の姿は非常に問題点が出ておるわけでございます。  そこで、こういう物理的な一つの長期見通し計画というものがどういう問題に焦点を置いておったかと申しますと、言うなれば、病気で申しますれば予防医学的に、先のほうでこういうふうにしていくべきだということを非常に重点を置いて述べております。ところが、公害問題をとりますと、これはまさに起きてきた現象に対しての臨床医学が必要なわけでございます。そこの辺の食い違いがあったわけでございますが、いずれにせよこれだけ公害問題というのが非常に大きくなった以上、この公害問題、環境問題からこの新全総というものを十分チェックしなければならない。したがいましてこの総点検。そのほかにもたとえば大都市の過密問題であるとか、あるいはそれの反対問題といたしまして地方都市を大いに整備しなければならない、そういういろいろな問題がございます。そういうような問題について、現在の新全総計画の実施面において非常に抜けておるところがあるのではなかろうかということで、実施面を中心にいたしまして、現在反省をしておるところでございます。そこで、こういう反省の上に立って、先ほども申しましたように次の段階に進んでいくというような考え方に立っておるわけでございます。
  41. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いま答弁の中にもあったように、環境問題について、冒頭に、新全総目標という中で、自然を尊重してなるべく住みよい社会をつくるということ、これは文字ではそういうふうに書けるのですけれども、現実にいろいろな開発が行なわれてみると、やはり環境問題というのはたいへん大きな社会問題、さらには政治問題になっているという部分。いま御答弁にあったように、四十四年当時としては環境問題というのが確かに、公害国会の行なわれたのはたしか四十五年の暮れだったと思いますので、そういう面からいきますと、当時環境問題について留意するということはかなり早い部分だということは私も認めるわけです。しかし現実の姿としては、実際に開発が行なわれてみると、なかなかそういう問題は留意されない、またそれを上回って開発が行なわれてしまう、これが私は非常に大きな問題だと思うのです。  そこで私はまず、これは旧全総になりますけれども開発というものが一体何をもたらしただろうか、これをひとつ鹿島灘の例をあげて御質問をしたいと思うのです。これはあくまで旧全総でありますけれども、しかし旧全総から新全総に変わるときの大きな基本的なものというのは、各地各地の拠点の開発ということと、それからさらにその拠点を結びつけるところの面まで広げて、結局は各地域開発になるという部分においては変わらないんじゃないかと思うのです。ただしその際に、新全総の場合には非常に大きなウエートで環境問題、公害問題というのが留意されるようになっているという部分においては違いがありますけれども、そういう面で開発というものが何をもたらすか、具体的に何をもたらしてきたかということについては、これは私は鹿島灘の例というのを十分考えてみなければいけないんじゃないか、こう思うわけなんです。  そこで、環境庁にお伺いをしたいのですけれども、現在はおそらく取り締まっているはずでございますけれども、昨年ですか、いわゆる鹿島灘でシアンのたれ流しが行なわれ、魚介類がかなり死んだ例があったと思うのです。これはおそらく現在そのままになっていたらたいへんなことになるわけですけれども、昨年の鹿島灘のそういうシアンのたれ流し、あるいはばい煙、粉じんなどの大気汚染の問題、これはどういうような状態になっていたでしょうか。
  42. 山中正美

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の、昨年の六月に起こりました住友のコークスの廃液のシアンの問題です。当時はもうすでに、当時水質保全法を所管しておりました経済企画庁によりまして、一応シアンの基準はできておったわけでございますが、なおその読み方に若干茨城県と私どもとの間で意思の疎通を欠いておりまして、その点非常に問題があったわけでございますが、その後新しく水質汚濁防止法が施行されまして、本年の一月一日から新しく茨城県の条例によりまして非常にきびしい基準ができておりまして、シアンにつきましては現在ほとんど問題がないと考えております。  なお、現在茨城県等を指導いたしまして、当該工場の排水口に常時点検できるようなシアンメーターを設置するように、現在茨城県なりあるいは住友金属を指導している次第でございます。以上でございます。
  43. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 シアンはそうですが、他の重金属についてはどういう状況になっておりますか。
  44. 山村和男

    ○山村説明員 お答えいたします。  鹿島地区の大気汚染の状況でございますけれども、まず、硫黄酸化物につきましては現在測定点が六カ所ございまして、ここで測定しています結果につきましては、データといたしましては昭和四十六年二月から四十七年一月までのデータでございますが、一応現在のところ環境基準を達成しているような状況でございます。ちなみに年間を通じましての一時間値の平均値を申し上げますと、大体高いところで〇・〇二一くらいから低いところでございますと〇・〇一二PPMというふうなオーダーでございます。ただこの地区は、先生御指摘のように、非常に工場地区に近接いたしまして住居がございまして、その付近におきますところの降下ばいじんが非常に多うございまして、特に測定点十五カ所ございますけれども、そういった近い地点の降下ばいじんは非常に多いような状況でございますが、御承知のように、大気汚染防止法を一昨年の末の公害国会におきまして改正いたしまして、そして粉じんと申しまして、要するに土石の堆積とかあるいはそういったものの機械的な処理によりまして飛散しますところの粉じん処理規制というものが具体的にかかってまいりましたので、近年は降下ばいじん量も逐次減少の傾向をたどっているような状況でございます。  それからさらに一番人体に問題のございますのは、降下ばいじんよりもむしろ浮遊粉じんというふうな考え方でとらえたらよろしいんじゃないかと思いますけれども、現在浮遊粉じんの測定は国設の測定点が一点ございまして、ここにおきまして測定をいたしておりまして、現在までに、四十六年七月あたりから測定を開始いたしておりまして、本年三月までの測定データによりますと、いわゆる産業があまり集中していないような中小都市の浮遊粉じんの汚染状況と同じくらいというふうに理解していただけばけっこうじゃないかと思います。以上でございます。
  45. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それで、大気汚染の関係でぜんそく症状ですね、これはどういうことになっていますか。——これはおたくの直接の担当じゃないかもしれませんね。これはいいです。  大気汚染なり排水については公害が非常にやかましくなっているおりですので、だいぶきびしい規制がなされているようですが、ただ、たとえば農業なんかにしましても、ピーマンの栽培を始めたけれども公害で黒い斑点ができて売れなくなったとか、あるいは鹿島灘の開発あとをいろいろと読んでみますと、結局これは個人にも問題があるといえば問題があるのかもしれませんけれども土地は売った、お金が入った、それで住宅をつくったけれども結局公害でその住宅に住めなくて当てにしていたものもパーになってしまったとか、そういうように一番こわいのは銭ゲバの根性であるというようなことが書いてあるわけですが、こういうように鹿島灘の開発についても、これは旧全総だ、新全総と違うのだということになればそういうことかもしれませんけれども、それでは鹿島灘の開発の例を見た場合、結局ここから一体どういうような教訓というものを新全総の中にくみ取っているのだろうか、その点はいかがですか。
  46. 岡部保

    岡部(保)政府委員 鹿島地区の開発の問題で私ども非常に教訓を得たわけでございますが、ただいま先生冒頭におっしゃいましたように、私どもこれは旧全総の計画であったから新全総と違うというような考え方ではもちろんございません。旧全総の中にあって、いわゆる拠点開発で新産都市工特というものの整備を進めてきたわけでございますが、これが新全総に移り変わって、現段階ではまず非常によく動いておる開発事業実態でございます。したがって、やはり新全総としての考え方としても、こういうものをどういうふうにしなければいかぬという反省は絶えずしているわけでございます。  そこで、具体的に鹿島の問題につきましての反省は、いまいろいろ御説明もございましたが、まず現状で一番問題なのはいわゆる環境制御というものをあの地域で面的に考える考え方が弱かったのではなかろうか、それがまず第一点でございます。  第二点には、いわゆる生活関連の社会資本の整備というものを同じ社会資本整備の中でも非常におくらせてしまった、結果から見ればどうもそれが非常におくれてしまったという点の反省でございます。このあとの点について若干説明をさせていただきますと、もちろんああいう地域でございますから、下水道整備等にはおくればせながら相当な投資をいたしまして、現段階で下水道処理の問題、汚水処理の問題等いろいろやっておるわけでございますが、それにいたしましても工場の動き出す時期とこの下水処理の問題がタイミングが下水処理のほうがおくれてしまったという問題、あるいは先ほど例におあげになりました住宅の問題にいたしましても、たとえばあそこの地域のいわゆる六・四方式と申しますかであそこの地域にいままでおりました人間の住宅というようなものは一部いろいろな手で考えたわけでございますが、あの地域全般として、計画にはあるにはあったわけでございますが、あの地域を全体として一つの町づくりと申しますか都市づくりと申しますか、そういうような感覚で整備するべきであるという点にやはりおくれがあったのではなかろうか。したがって、先ほども全総と旧全総の違いで、いままでの点というのからいわゆる面に変わったというあたりがこれにも出てくるのじゃないかという感じがいたしますが、どうしてもその地域全般をもう少し広がりを考えて、もっと計画に注意をする必要があったのではなかろうかというような反省をしておるところでございます。
  47. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その部分についてはわかりました。  それで今度は将来の開発の問題に移りたいと思うのです。その鹿島灘の開発のいろいろな教訓を踏まえて将来開発に向かうわけなんですが、私は、先ほど申しましたように、三カ所についていろいろ疑問があるのでお伺いをしたいわけなんです。  まず、むつ小川原開発の問題ですけれども、まず現在これはどういう段階に開発が来ているか、それについてざっと御説明いただきたいと思うのです。
  48. 岡部保

    岡部(保)政府委員 むつ小川原の問題でございますが、これはやはり新全総で遠隔地の大規模工業基地ということで考え方をまとめておる一つの例でございますが、むつ小川原につきましては現段階ではいわゆる基礎調査を一方で一生懸命しておるという段階でございます。またもう一方で現実の動きといたしましてはこの基礎調査と平行いたしましてごくそれの一部、中心地点と申しますか、どうも中心ということばは誤解を招くといけませんので使いたくないのでございますけれども、ごく一部のところではなるべく早く土地取得をしたいということで土地取得の準備段階であるという段階かと存じます。非常にばく然とした言い方で恐縮なんでございますけれども、一言にして申しますならば、まだまだ現段階では準備段階でございまして、全体の一つのマスタープランと申しますか、そういうものもごく一部について考え方をまとめつつあるというところで、まだ十分なマスタープランができたとも考えられない段階でございます。そうは言っておりましても、土地問題ではいろいろの問題がございますので、このうちで一部については土地取得の準備段階に現在入りつつあるという段階かと存じます。
  49. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 昨年の秋にこのむつ小川原開発中心といわれる六ケ所村というのですか、六ケ所村の方々が十五回にわたって約四百人の方が鹿島灘の開発あとと申しますか、鹿島灘の開発というのは一体どういうものだったかということを実際に意見交換をし、あるいは視察をし、そして再び鹿島灘の二の舞いになっては困るということで、六ケ所村の方々が行っているわけです。そして現在でもたいへんな反対をされているし、説得に来たというか説明に来た青森県の知事に対してたいへんな抗議行動を行なっているわけですね。「昨年十月、六ケ所村へ現地説明会に訪れた竹内青森県知事に食い下がり、逃げようとする知事の腕をねじり上げたという二児の母親、木村さんは「思ってたとおりだ。死んでも判こを押さない」と言っているそうなんですが、こういう反対というものをこれは一体どういうふうに御理解なさっていますか。
  50. 岡部保

    岡部(保)政府委員 ただいまの問題、これは確かに非常に大きな問題で、昨年よく新聞などにも報道されたわけでございますが、こういう問題、これは現段階で、あの六ケ所村の問題を私どもこちらから、青森県の当局の報告等々によりまして見ておるわけでございますが、まず非常な強固な反対意見をお持ちになっておる方がおられることはもう全く事実でございます。また全般的に申しまして、必ずしも反対が全部ではないということもどうも事実のようでございます。と申しますよりは賛成者も相当におられるということも事実のようでございます。ただ私ども、こういうものを拝見している最中に一番感じますのは、どうも反対される、賛成されるということでこれを判断するよりも、むしろ先ほども申しましたように、鹿島の実例等々大いに反省する点がございますので、この計画をもう少し固めて、ほんとうにこれからの日本開発にプラスになるような、いわゆる住みやすい国土というものに持っていくための計画に対する反省、さらにそれをどういうふうに時間的なファクターも入れまして実施していくかというようなことに十分意を用いて、何と申しますか、いわゆるせっかちなやり方ではなくて、気を長く持っての実施というものにならなければいけないんじゃないかというような点で、県当局ともいろいろ御相談をしているところでございます。
  51. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 住民の方々も、もちろんそれは私も全部と申しませんけれども開発に対するいろいろな疑問を持っている。これはある程度鹿島の例でも、たとえば鹿島開発をするときに、当時の岩上茨城県知事はこの開発について、「公害のない緑と太陽の開発」「住民福祉の優先」「農工両全」つまり農業と工業との共存共栄、「貧困からの解放」「黄金の六十年代」、こういうことばを使って鹿島灘建設の場合には当たったわけですね。そしてそこに出てきたものは、先ほど少し触れましたように、結局、開発難民ということばが生まれるくらい、実際には公害におかされたり、あるいはそればかりじゃなく、自分たちのやっていた農業もだめになる、あるいは当てにしていた住宅建設についても思うようにいかない、結局、精神的にも、いわゆる銭ゲバと申しますか、金の力によって荒廃をしてしまった。こういうように、確かに文字では、これからもこういうような文字というのは書かれるでしょうけれども、やはりその辺が実際になってみると、私はこういうような文字だけでは信用ができないというのが現実の鹿島灘を見た場合の住民の方々の気持ちではないかと思うのですね。  おそらくそういうことを言いますと、いや今後はそういうことのないようにいたしますという答弁が返ってくると思うので、まあそれはさておきまして、もう一つ私はこのむつ小川原開発の問題をいろいろ調べてみると、これでいいのだろうかと思う点があるわけなんです。それはこの開発の機構の問題なんですけれども、これについてもいろいろ疑問があるわけなんです。現在この開発する機構、推進母体と申しますか、これはどういうふうになっていますか。
  52. 岡部保

    岡部(保)政府委員 ただいま、むつ小川原地域開発ほんとう中心と申しますか責任主体がどこにあるのかと申しますと、現段階では直接の責任主体は県でございます。青森県が主体でございます。そこで、あれはああいう大規模地域開発というものをやるときにどういうふうな機構にしたらよいかという点についてはいろいろな御議論がございます。現段階でもやはり私どもはその地域に合ったケース・バイ・ケースの考え方をとらざるを得ない。一つのこういうかっこうが一番いいのだという結論をまだ残念ながら得ておりません。むつ小川原で申しますならば県というものが現在の責任主体である。しかし、これだけの国家的な事業でございますので、これの最終的な責任は国にあることが当然であるということは予算委員会において私どもの長官が御説明申し上げましたとおりでございます。  そこで、それでは具体的な機構というものはどうなっておるかということを申しますと、現段階では先ほども申しましたように片や非常に基礎的な調査あるいは基礎的なマスタープランと申しますか、そういう計画を固める段階である、それから片や土地問題というのが非常にございますので、土地をいかにして取得していくかというような段階でございます。したがいまして、この土地取得というものに現段階で主体を置いておりますのがむつ小川原開発株式会社であり、また県の機構でございますむつ小川原開発公社でございます。それから調査並びにこういうマスタープランの作成ということで、先ほど先生のシンクタンクとおっしゃいましたむつ小川原開発センターという会社ができております。まあいずれにいたしましても、これはいわゆる民法上の会社でございますが、非常に公共的性格を持っていなければいかぬというような考えを持った会社であるというふうに私ども理解をいたしておる次第であります。
  53. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 まず、その責任主体の問題なんですけれども、このむつ小川原開発というものが、私に言わせれば現在検討中である新全総の一環として出てきていることはこれは間違いがないですね。その点まず確認したい。これは新全総の一環、一環ということは新全総から発想してむつ小川原開発というものが進められるというふうに理解してよろしいですね。
  54. 岡部保

    岡部(保)政府委員 そのとおりでございます。
  55. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、その責任主体ということばの使い方なんですが、それでは実際の行政を行なうのが県だということなんですか、その責任主体というのは。つまり、投資の面で、あるいは行政の面で県が責任上やるということなんですか。私は、たしかこれは国の担当機関としては北海道開発庁に行政の責任がいっているんじゃないかという話も聞いたんですが、このあたり行政上の責任というのはどういうふうになっていますか。
  56. 岡部保

    岡部(保)政府委員 最後におっしゃいました北海道開発庁の問題、これは苫小牧の東港の問題だと存じます。これは明らかに北海道開発庁が所管しておるという考え方でございます。で、むつ小川原につきましては、これは現段階で、何と申しますか国の機関で責任を持って中心となってやっておるというのは経済企画庁、私どもでございます。これはもう明白だと存じます。そこで、先ほども申しましたように、国の新全総計画の発想に基づいて考えられたこのプロジェクトでございますし、国家的な一つの使命を持っているプロジェクトでございますから、これの最終的な責任主体が国にあることは明白でございます。したがって、国といたしましては、現段階で、これはいろいろな官庁の行政機構の仕組みもございますが、経済企画庁が主体でございますが、それぞれの行政実態というものを十分に駆使していただかなければならないということで、関係の各省庁の協議会というものをつくりまして、たとえば農地問題であれば農林省と十分御相談をする、あるいは一般的な土地問題であれば建設省と十分御相談するというような、各省と絶えず連絡をしながら、国の考え方をまとめているというのが実態でございます。ただ、先ほども先生おっしゃいましたように、現実にいまの段階で、国が特別な、たとえば立法をいたしまして、国の権限を明らかにしておるというような点がございませんために、現段階での直接の責任主体がどこであるかと申しますと、青森県が直接に当たっておるというような意味で申し上げたわけでございます。
  57. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それから、むつ小川原開発についての融資ですが、これはどこがやりますか。
  58. 岡部保

    岡部(保)政府委員 現段階で、本格的な融資問題の段階にまだ来ておりませんが、さしあたりの土地問題、土地取得するというような問題で、これの資金面をどうするかというような問題になりますと、この融資は、これからも大蔵省といろいろ御相談を申し上げなければいかぬ点がございますが、私ども考え方では、北東公庫資金とそれからいわゆる民間資金、これはむつ小川原開発会社の出資者の中にも銀行筋も入っておりますし、いわゆる民間資金というものを十分活用していく考え方でございます。
  59. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうすると、今度の新全総によるところの開発は、地域的に分けますと北東地域とそれから九州のほうの南西地域に大きく分けられると思うわけです。あと部分あとから触れますけれども、そのプランづくりの段階において、総合的なプランづくりは経済企画庁の担当である。これはいいと思うのですね。今度、行政の部分にいきますと、北海道の部分は、いま申しましたように、東苫小牧の開発の問題は北海道開発庁が担当になる。東北にいくと今度は経済企画庁が担当である。行政はこういうことになるわけですね。責任主体というものは県になりますけれども、その上に立つ国としての担当の行政機関としては経済企画庁になる。融資部分から見ますと、これは両方とも北海道東北開発公庫になる。他の地域についてはこれから開銀がやろうとする、こういうことになっているわけです。  どうも同じことをやるのに、行政的にも、それから融資をする部分についてもたいへん入り組んだ形、非常に計画性のないと申しますか、たとえば、じゃ新全総によるものは全部経済企画庁が担当する。いい悪いは私、またあとから論じますよ。南西地域についてはいろいろ論じますけれども、いい悪いは別としてもとにかく新全総ですから、これ自体が検討中ですけれども、とにかく新全総のプランから発想しているところのこの大きな大規模工業基地建設計画については経済企画庁が担当する、その融資は今度は一手に開銀がやるということならば、非常にこれはすっきりすると思うのです、中身のいい悪いはまた別としても。ところが、いまいろいろお聞きしてみますと、東苫小牧のほうは北海道開発庁が担当である、東北の部分については経済企画庁が担当である、金は一緒に北海道東北開発公庫から出る、他の南西地域については開銀から出るんだ。これは現在のばらばら行政の見本みたいなものじゃないかと私は思うのですが、これは局長にお聞きしてもしようがないかもしれませんけれども、その辺のところはどうなんですか。
  60. 岡部保

    岡部(保)政府委員 どうも私の立場から機構がどうであるべきだということは申せないわけでございますが、私ども開発を実際に担当いたしておりますと、そういう問題が絶えず起こってまいります。現実にいろいろな面でそれぞれの行政実態で各省に分割しておる、あるいはいままでの経緯からこういうふうになっておるというような例がございます。ただ、どうもよくいわれるのでございますが、各省庁なりそういうような機関で競合と申しますか、いわゆるセクショナリズムと申しますか、そういうようなものでの障害という問題は、開発に関する限り各省非常に御理解がございまして、私どもはほとんどなくなっている。と申しますのは、先ほども申しましたように、たとえばむつ小川原の場合に各省庁の協議会をつくるということを私ども発案してお願いしたわけでございますが、喜んで参加していただいて、非常に積極的な御意見を出していただく、また東苫小牧の問題につきましても、これは昨日からできたわけでございますが、やはり各省の懇談会と申しますか、協議会と申しますか、そういうような会議を持つようになってまいりました。そういうような実態上の問題でこのいろいろな機構の不備と申しますか、問題点を補っていくということで十分まかなっていけるという考え方でございます。
  61. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それぞれいろいろな形での経緯というものがありますから、そう簡単に割り切れない部分もあることも私はもちろんわかるのですが、どうもこの部分についてはすっきりしない。これは局長からお答え願うという性格のものではないかもしれませんので、この問題についてはここまでにしておきたいと思うのです。  もう一つ、今度は西に話が移りまして、これからの開発の問題で周防灘の開発の問題、これに対しては私は非常に疑問があるわけなんですね。これは先ほど新全総を検討しなければいけないという中に環境保全という問題があったと思うのですが、それに関連をして私はたいへん問題があると思うのです。この周防灘の開発ということがきまるというか、考えられるというか、それは一体どういう理由ですか。
  62. 岡部保

    岡部(保)政府委員 この新全総の策定段階で、むしろむつ小川原よりも周防灘と申しますか、西南地域のほうがはうきり形が出ておったかと存じます。このようなところに遠隔大規模工業基地というものをつくっていこうという考え方、これのよってまいりました点につきましては、要するにまず、現段階で先ほども申しましたように大都市中心で非常に集中しておるというものを分散しなければならないという発想、それから次に、一体どういういいところがあるかというような考え方での発想、このいわゆる適地を全国的にながめまして、しかも分散ということを考えました場合に、北のほうは北海道なり青森県なり、そういうようなところが非常にいいんではなかろうかという、いわゆる立地の余地があると申しますか、そういう考え方に立っておりました。また西のほうは、周防灘の海上を利用するというような考え方で、非常に強く適地として評価されたことは確かでございます。ただ、ただいまも先生がいろいろ疑問があるとおっしゃいました点について、これはこれからお話があると思いますが、私どもとしてもやはり同じ疑問を現実にはだんだん持ってきたと申しますか、そういう点についてほんとうに環境制御という問題がどういう姿で行なわれるかというようなことで、現段階では非常にこの計画についていろいろ問題点をあげ、しかも調査をしておるというのは事実でございます。ただ、この新全総でそういうときの発想として持ってきたというのは、いま言ったような理由でございます。
  63. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それで、環境庁にお伺いをしたいのですけれども、御存じのように周防灘というところは、瀬戸内海の一番西端であるわけですね。瀬戸内海というのは、三十年に一ぺんくらいしか水がかわらないという、簡単に言えば池みたいなものです。瀬戸内海の汚染の問題はたいへんな問題になっておりますけれども、現在どういうような状況ですか。
  64. 山中正美

    ○山中説明員 現在政府の各省庁間におきまして瀬戸内海環境保全対策推進会議を設けまして、私どもの大石長官が会長になりまして、一応瀬戸内海の環境保全につきましては、各省庁の連絡体制を密にいたしまして考えております。一般的に、環境庁といたしましては、瀬戸内海の環境基準をつくるのは当然といたしまして、臨海工場の過密地帯につきましては、公害防止計画の策定地域に順次指定しております。一方、瀬戸内海全体の保全策といたしまして、参議院で御審議いただいております本年度予算の中で、瀬戸内海総合調査費という予算を現在審議していただいておりまして、それが通り次第、五月に第一回の調査を開始いたしたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  65. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は、もう少し実態のことをお伺いしたがったのですが、時間もありませんから……。  これは皆さん方の手元にいっていると思うのですが、昨年の九月十六日から九月十九日までの「予算委員会第二班調査報告書」というのがここにあるわけです。私はこれは非常に大事な問題だと思うので、少し読んでおきたいと思うのですが、「水質汚濁の現状」として、「瀬戸内海の水質汚濁は、近年における臨海工業地帯の形成とこれに伴う工業地帯及び都市への人口集中により、急速に進んでおり、臨海工業地帯地先海域における水質汚濁の深刻化と相まって、最近では内海の富栄養化が進み、至る所で赤潮が発生し、汚染が広域化する傾向にある。」——これはずっと読んでいくとたいへん時間がかかりますからやめますけれども、特に周防灘については、「この海域における汚濁の主な発生源は、徳山、防府及び宇部、小野田沿岸であって、特に徳山湾は異臭魚及び赤潮の常時発生等問題が多い。」ということが書いてあるわけです。赤潮についてもいろいろあるし、それから漁業被害の実態についてもずっと報告書が出ているわけです。これは全部読んでいただいたほうがいいわけですが、最終的にこういうことが書いてあるのですね。「今世紀も終りに近く、二十一世紀を迎えようとする人類にとって、先づ自からの生活の場について、生活環境について今一度視点を原点に戻すべきではなかろうか。経済成長、国民総生産の伸長率よりも自からの生活環境を如何にして保護し、これを守るかと云う問題こそが基本的な課題でなければならない。従って、昭和四十四年五月閣議決定された新全国総合開発計画の見直しも必要であろう。」こういう結論がついているわけですね。  中身の実体については、いま環境庁の御説明があったように、わざわざ予算を組んで、あるいは各関係の省庁が持ち寄って、瀬戸内海環境保全の会議が開かれるような時期に至っているときに、その西端へまた大規模工業基地をつくるというのは、これからの計画をする経済企画庁としては少しちぐはぐなのではないか。時代に少し逆行するのではないか。先ほど、計画を少し考え直さなければいかぬという御説明があったのですが、現状はいま環境庁から御説明があったように、あるいはたいへんなお金をかけてわざわざ十メートルくらいでしたかの模型をつくっていろいろな原因調査するという段階にあって、片や一方では山口県、福岡県、大分県を含めた大規模工業基地をつくるということは、これは政策としてたいへんおかしいのではないかと思うのですが、そのあたりはどういうふうにお考えですか。
  66. 岡部保

    岡部(保)政府委員 ただいまの問題、先ほどもその点で若干触れたわけでございますが、確かにこの瀬戸内海というものを前提に考えると申しますか、瀬戸内海の一番西端である地域というものをどういうふうに考えたらいいかという問題でございます。そこで、私ども環境問題では、先ほど環境庁から御説明のありました各省連絡会議でいろいろ御相談をしている最中でございまして、これも明らかにわがほうで新全総の環境問題での総点検の一つの大きな柱になるかと存じます。  そこで、それでは西日本にこういう大規模工業基地というものはもう考えられないのだという断定をするのは、私は行き過ぎかと存じます。まずこの一つの例にあがりました周防灘というものが、一体どの程度までの利用ができるのか、あるいは、それ以外に西日本でいわゆる遠隔地大規模工業基地というものが考えられるのか、そこの辺が非常に問題がございます。ただ、これを東日本、北日本のほうにばかり考えるということは、どうもまた国土のアンバランスというものができるのじゃないかということで、むしろこの計画をつくるのには非常にむずかしい点がございますが、これからもひとつ十分調査をして考えていきたいという考え方でございます。
  67. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は、先ほど中心点しか読み上げなかったのですけれども、わざわざ予算委員会から調査団を派遣し、あるいは政府のほうでも瀬戸内海の環境保全ということについてはそれだけ留意をしている時期に、その西側の、三十年に一ぺんしか水がかわらない池のようなところで、いまでさえ各地の川から流れてくる工場排水で瀬戸内海の環境保全ということがたいへんむずかしくなっている時期に、さらに大規模工業基地をつくるというのは、非常に疑問が多いと思うのですね。これは非常に大きな問題なんで、私は実は環境庁長官と木村経済企画庁長官とを対決させたかったのですが、時間がとれませんでしたので、ひとつこれは十分に——それは、工業開発ということはある部分では当然必要なんですから、考えなければいかぬことはわかりますけれども、しかし場所はもう一回考え直す必要があるのじゃないかと思うのです。  もう一つ、志布志湾の問題なんですけれども、これについても私は大いなる疑問を持っているわけなんです。まず、確認をしておきたいのですけれども、この志布志湾開発というものもやはり新全総の一環として出てきている、私に言わせれば、検討しつつある現在の新全総目標の中の一つとして出てきているというふうに理解してよろしゅうございますね。
  68. 岡部保

    岡部(保)政府委員 明らかに新全総から出てきております。いわゆる国土総合開発審議会の先生方の御意見にもございました西南地域というものに、志布志湾も含めて私ども解釈をいたしております。
  69. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、先ほど岡部さんからお伺いしましたように、では新全総の検討課題は一体何かというお話の中で、二番目に、環境保全ということがはたして現在の中で十分入っているのだろうかという疑問があるということが出たんだと思うのですね。それで今度は、九州と本土とをつなぐ千六十八メートルの長さの橋ができる、それから九州縦貫自動車道ができる、山陽新幹線が五十三年には博多に乗り入れをする、あるいは九州横断道がずっと大分から長崎までつなぐ、こういうようになっていくと、先ほどのように確かに拠点から面のほうにたいへん広がっていく。時間がありませんから、私の得た資料でお話しをして、あとでお伺いをしたいのですが、こういうことで各地の石油から造船から造機から石油精製、いろいろ発展をする。そしてそこには不知火、有明、大牟田の新産都市があり、あるいは遠く延岡の新産都市がある。こういうところがだんだん進んでいきますと、とにかく昭和五十五年には、九州の製造業における出荷額が十兆八千九百十四億円、四十年度の六・四五倍になる。これを業種別に見ますと、重化学工業部門では、石油精製が現在の三十倍の出荷額、それから造船、電子工業が八倍から九倍、アルミの地金など非鉄金属が七倍から八倍、鉄鋼、化学工業は五倍から六倍の規模になる。軽工業部門では窯業、紙パルプなど地場資源型の工業が四倍から五倍になる、こういう数字があげられておりまして、これは新全総であげている鉄鋼業の開発規模とかからいくとかなり私は大きなものだと思うのですね。ここまで発展する。  あと開発には、実際に臨海工業地帯でどういうところを開発するというデータもございますけれども、時間がありませんからそれは省略しまして、結果においては昭和五十五年度においてはいまあげましたようなたいへんな数字になる。さらに加えて、この志布志湾開発という大規模工業基地をつくることになる。これに対して、はたしてほんとうにそんなに必要なんだろうか。これはあと地域的ないろいろな問題がありますから、そう簡単に、先ほど出てもおりましたように経済成長が八%と思ったところが一二%にふえるというようなたいへんなこと、いろいろなことがありますから、そう簡単に将来の見通しができないとしても、新産都市を含めますと九州地域開発というものは五十五年度にはかなり大きなものになるのではないか。それでもなおかつ志布志湾開発というものは必要だろうか、おそらく必要だろうと言われると思うのですけれども、だろうかという疑問がまずあるのです。その辺についてはいかがですか。
  70. 岡部保

    岡部(保)政府委員 いまおっしゃいましたいろいろな数字、これは一つの見通しでございますから、これについていろいろの問題点があることは確かでございます。ただ、私ども一番考えますことは、現在何といいましてもいわゆる巨大都市の周辺にほんとう立地をして、そういうところが工業出荷額にいたしましても非常にウエートが高い。そういうものを、もうほんとうにそういうところのウエートをますます高くするようなことはしてはいけないのではなかろうか。また現在の一つのキャパシティというものにもうすでに一ぱいになっておる工業の実力をこれ以上ふやすということ自体が非常に問題だと思うのです。そうしますと、日本全体としてどうしてもこれからもやはり伸びていかなければならない。もちろんこれは十分環境問題というのを留意しながらということは前提でございますが、伸ばさなければいかぬ。そういたしますと、やはりいままでのいわゆる太平洋ベルト地帯に集中しておったというものを分散させるということで北東地域なり西南地域一つの例として九州地域に十分そういうものがウエートつけが高くなるということがあってしかるべきではないかという私は考え方でございます。  ただ、それを一つ一つ具体的に考えましたときにいろいろな問題点があることは事実でございますので、その点については十分これからも考えていかなければいかぬということは考えておる次第でございます。
  71. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 ここにも、志布志湾についても開発事業にはいろいろ反対が多いわけです。しかも志布志湾というのは、新聞の表現によれば、目にしみる本物の青さをたたえた水を持っているというふうになっておるのですが、これがまた開発によって鹿児島湾と同じように、この青さというものは緑に変わっていく、つまり酸素がなくなって汚染が始まっていくというふうなことにならないように私は望みたいわけなんですね。それでこの志布志湾開発で、こればかりじゃないのですが、いま申し上げましたような問題に対する疑問と同時に、一番問題なのはここに国定公園が入っておるということなんですね。これは環境庁、この志布志湾の大規模工業基地開発の中にこの国定公園というのはどういうふうに入り組んでおりますか。
  72. 宇野佐

    宇野説明員 お答え申し上げます。  ただいままだ具体的な計画が固まってございませんが、一応鹿児島県のほうから昨年私どものほうに届いております新大隅開発計画という県の試案がございます。これとの関連を申し上げますと、日南海岸国定公園のうちの志布志の地区、これは約九百八十ヘクタールでございますが、この九百八十ヘクタールの大部分が松林でございます。この地先の海面を埋め立てて工場地帯にする、そういう計画でございます。一応そういう形で国定公園と関連をいたしておるわけでございます。
  73. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 県から出ている計画書にもたいへん都合のいいことが書いてありまして、「国定公園の解除」という項目にして、「臨海工業用地造成にあたっては、志布志湾の松林は保全しつつも日南海岸国定公園は次の理由から解除しなければならないが、これに代る自然公園を別に指定する。」そして1はあまり国定公園に関係ないのですが、「2、しかし、この地域が国定公園のままでは埋立てることができないので、この地区の国定公園の指定解除をはかるものとする。3日南海岸国定公園の志布志湾地域は、海と砂丘と松林が一体となって指定されているが、海面の埋立てによって景観がかわるので、解除のうえ松林は遮断緑地としての整備をはかる。4失われた景観は、これに代るすぐれた地域を自然公園として指定し、開発と自然保護との調和をはかる。」これはたいへん文章としては一見いいように見えますけれども、どうなんですか、岡部さん。いまこの新全総自体がいろいろ検討されなければならない要件の中に、たびたび私が言いますように、環境保全の問題が入ってくる。しかも現在国をあげてと申しますか、少なくとも国民的にはかけがえのない地球というものを守らなければいかぬ、こういう時期にかかっているにもかかわらず、国定公園の指定を解除してまで大規模工業基地をつくらなければいかぬということは、これはまさに時代に逆行するものであるし、考え方としてはおかしいのではないか。これは私は先ほどの瀬戸内海の問題と同じだと思うのですね。国定公園になっている松林をどっかにのかしてそして工業基地をつくるというのは、私は大きく時代に逆行するし、考え方としても間違っていると思うのです。その点はいかがですか。
  74. 岡部保

    岡部(保)政府委員 まず、国定公園を解除するかどうかという点、これについてはこれから具体的になりますれば環境庁と十分御相談をするという考え方で私どもおりますが、一つ考え方として、こういう開発をするために国定公園の地域を解除することはまず原則的に間違いではないかという先生の御所信には私、賛成でございます。こういう自然を保護しようという地域を限定しておりますのに、他の要請のためにこれを排除していくということは非常に問題だと思います。したがって、そういうものであるべきだとは存じますが、これから、どうもおことばを返すことになるわけでございますが、現実の問題として、一体あの志布志湾というものを開発すること自体がほんとうに必要であるかどうかという点で問題がまず出てくるのだと存じます。  先ほど申しましたように、私ども考え方では、九州というものにもう少し二次産業の振興があっていいのではないかという考え方は、全般的に申したわけですが、あの志布志湾という地域で考えますと、昔、連合艦隊が入ったというような、あの非常にいい湾を、いわゆる利用面から見ての自然条件の非常なよさというものを、どういうふうなものに利用していくべきなのか。志布志湾のあの地域開発という点で非常に埋め立てが問題になりますが、その背後地の利用というものがどういうふうにできるのか、これはまだまだこれからもう少し調査をしないといかぬ点が多々ございます。  そこで、そのようないろいろな点での見方をいたしまして、これがやはり開発に必要であるという考え方に立ちましたら、あえてこれはひとつ開発をしたいという意思表示を私はやはりするべきではなかろうかという考え方に立っております。ただ、そこまでにまだ私ども考え方、現段階では事実まとまっておりません。したがって、これからも十分調査をいたしていくつもりでございます。ただ、背後地のいろいろな開発というものについては、相当に実施すべきではなかろうかという考え方を持っておることもまた事実でございます。
  75. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 この志布志湾開発中心地と見られる東串良町というのは、有権者が約六千二百人いるのだそうですが、そのうちで五千人、八〇%がこの開発に反対をしている。やはり私は、国の計画のほうが先走ってしまって、地元の意見を十分聞くということがどうもないように思うわけなんです。しかも、先ほど申し上げましたように、国定公園の指定を解除して開発をはかるという考え方、これにはどうにも賛成をできないわけであります。  最後に、問題は、今度これが、いまあげていった周防灘にしろあるいは志布志湾にしろ、まだ計画途中でございますけれども、今度は開銀出資をすることになる。いまいろいろ私は問題をあげてみましたけれども銀行局長でも総裁でもけっこうでございますけれども、この開発の方向については、私は二カ所にわたっていろいろ疑問を申し上げたわけなんですが、まずその点について、今度はこの開発銀行と地方自治体とが五〇%以上のということになると、国がたいへんな責任を持つことになるわけなんですが、この開発の方向について、特に周防灘の場合の瀬戸内海との関係、あるいは志布志湾における国定公園の解除の問題、こういう環境保全というたいへんこれから大事な問題との関連ですけれども、この点についていかがお考えですか。
  76. 近藤道生

    近藤政府委員 先ほど来るるお話のございました線に沿いまして、大規模工業基地建設事業開銀出資という方法によりまして直接参加することによって、公共的な立場から環境保全を行なう、あるいは住民福祉に役立てるよう指導開発を行なうという体制をとろうとするわけでございます。その意味で、今後の運営にあたりましては、ただいままでのお話のございました趣旨を十分にくみ取りまして、その方向で運営をしてまいりたいと考えております。
  77. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 おそらくそういうおことばが返ってくると思うのですけれども、公共性の問題ですけれども開銀が何%かを出資し、それから各地方自治体が残りの、つまり合わせて五〇%以上になるような出資をする。それで実際にほんとうにイニシアチブというのはとれるのだろうかということについて、私は少し疑問があるわけなんです。確かに五〇%以上だから、反対をすればそういう方向にいかないかもしれませんけれども、これはへたをすると民間開発を単に援助するというような形にはならないだろうか。先ほども松尾委員のほうから話があったように、土地問題というのがたいへんな問題になっているときに、そういう民間のかってにする開発の援助を開発銀行資金を出してやってやる、地方自治体と一緒になってやってやる、しかも、そこからまた再び公害の問題が出、あるいは地元の産業を最終的に破壊してしまうような形になる、こういうようなことにならないような、ほんとうのイニシアチブというものがはたしてとれるだろうかということについて、若干の疑問があるわけなんです。その点についてはどうでしょう。
  78. 近藤道生

    近藤政府委員 確かに、御指摘のような完全に開銀がイニシアチブをとり得るかどうか、そこはたいへん疑問があることであると思います。ただ、完全に私企業にゆだねる場合よりは、開発銀行出資という形で参加をいたしており、しかも地方公共団体と合わせまして五〇%以上のシェアを資本の中において保つということによりまして、完全に民間だけで行なう場合に比べますればはるかに公共的な運営ができるのではあるまいかということと、それからまた、そういう公共的な環境保全、住民福祉ということに十分留意した運営を行なうように、開銀自体も努力をされるということになろうかと考えております。
  79. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 終わります。
  80. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 本会議散会後直ちに再開することといたし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      ————◇—————    午後二時五十七分開議
  81. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。  目下、運輸委員会において審査中の国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について、運輸委員会に連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会の開会日時等につきましては、委員長間で協議の上、公報をもってお知らせいたします。      ————◇—————
  83. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び準備預金制度に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質議を続行いたします。広瀬秀吉君。
  84. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 日本開発銀行法の一部を改正する法律案について若干質問をしたいと思いますが、今度の改正は、第一は開銀法設置の目的を変更する、第二に開銀業務の範囲の拡大、さらに第三としては借り入れ金限度額を引き上げる、こういう中身でありますが、すでにもう各委員からずいぶん質問もされ、銀行局長からの回答もあるわけでございますので、したがって私はできるだけ重複を避けて質問をいたしたいと思います。  最初に、借り入れ限度額の問題でございますが、一番新しい数字で、現行法での借り入れ限度額は幾らになっているのか、これをひとつ示していただきたい。
  85. 近藤道生

    近藤政府委員 現行法におきまするいまの場合の限度額七倍といたしまして、二兆五千三百八十七億円が貸し付け限度額でございます。それからさらに見込みでございますが、四十七年度末の貸し付け保証残高の見込み額、これが二兆七千五百五十億円、これが一番新しい数字でございます。
  86. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そこで現在までのような、ここ数年間の伸び率ぐらいでこの借り入れ限度がふえていくという仮定を立てた場合には、これは何年先に今回改めた二十倍というものに到達することになりましょうか。
  87. 近藤道生

    近藤政府委員 これの正確な予測はまことに困難でございますが、ただ、過去の実績などを参考といたしまして、一応貸し付け額の伸び率を年一五%ぐらいという前提で計算いたしますと、一応二十倍の限度に参りますのは昭和六十年代の半ばごろかと存じます。もしこの伸び率がもう少し低いということになりますれば、もうちょっとその時期はあとになろうかと存じます。  なお、過去の貸し付け額の平均伸び率は、最近三年間くらいでございますと、二一・五%ぐらいに相なっております。
  88. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そういたしますと、年率一五%として昭和六十年ということですね。こういうことですと、その間に特別、目的を改正するとかあるいは業務をさらに拡大するとかというような事態がなければ、大蔵委員会には開銀法を審議する機会というものはあまりないことになりますね。その点はどういうお考えでしょうか。
  89. 近藤道生

    近藤政府委員 この点は、先日もたしか阿部委員の御質問にお答え申し上げましたところでございますが、個人的な見通しを申し上げてたいへん僭越でございますけれども、こういう激動期でございますので、開発銀行法につきまして国会審議をお願い申し上げなければならないような改正は、おそらくいままで御審議を願いました頻度とあまり違わない頻度で起こるのではあるまいかというふうに個人的には考えております。
  90. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 戦後間もなくの状態開銀法ができまして、したがって「経済の再建及び産業開発」ということであったわけですが、この「再建」というのは、そういう時期ではない、こういうことで「産業開発及び経済社会の発展」、こういうふうに改まったわけでありますが、その目的にふさわしい業務の範囲という問題が、かなり変わってこざるを得ないし、変える意思があるのであるということを確認してよろしい、こういうようにいまの答弁を受け取っていいわけですね。
  91. 近藤道生

    近藤政府委員 そのとおりでございます。
  92. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そこで、将来の開銀のあり方として、いま銀行局長の頭で、いままでと同じくらいの頻度でというと、大体二年に一ぺんぐらいは開銀法の審議をこの委員会でもやってきたわけでありますが、当面開発銀行法はどういう方向に改正されていかなければならないか。特に業務の範囲というような問題について、いま考えておられる、将来どうなるであろう、どうしなければならぬという銀行局長としてのお考えがあれば、この際示していただきたいと思うわけです。
  93. 近藤道生

    近藤政府委員 具体的にどの条項をどう改正するかというようなことにつきましては、将来の話でございますし、私個人の見通しを申し上げることは差し控えたいと存じますが、大きな方向として申し上げますならば、たとえば社会開発産業開発とのウエートにつきまして、御高承のとおり、社会開発は、昭和三十五年度あたりでございますと、まだウエートにいたしまして四・五%ぐらいでございました。それが四十七年度の計画では、二三・八%になっております。また、産業開発は、逆に昭和三十五年度におきましては八二・八%ぐらいでございましたけれども、新年度は六〇・六%というようなウエートの移り変わりがあるわけでございます。こういう大きな方向に即しまして、激動期にふさわしいような開発銀行の運営のあり方、法制のあり方、そういうものが再検討されていく時期もそう遠くはないというふうに考えているわけでございます。
  94. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そこで、大蔵省から出していただいた資料によりますと、昭和四十六年の四月から九月段階の数字までしか私どもにはまだわかっておりませんが、産業開発融資したウエートが六五%、社会開発が一九・七、地方開発が一五・三と、こういう状況になっておるのでありますが、これは年度を通観いたしましても大体こういうところになるのじゃなかろうかと思いますが、この数字は、四十六年度の貸し付け業務報告が出ておりますが、こういう三つに分けました場合に——この報告書によりますと、そういう分け方にはなっていないわけですけれども、こういうように分けて、四十六年度として、この貸し付け融資の比重というものは、大体いま読み上げた数字のようなものでございますか。これは、かなり下半期に変化があって、全体的に大きく変わっているかどうか、この点伺いたい。
  95. 石原周夫

    石原説明員 四十六年度の実績で申し上げますと、先ほどおっしゃった、産業開発六五・〇、四十六年度上期であります。それが六二・七、やや落ちてきております。社会開発が一九・七、それが二一・七、やや上がってきておるわけであります。地域開発は一五・三、それが一五・六であります。大体以上が、広瀬先生のおっしゃいました数字の実績でございます。
  96. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そこで、目的が変えられた、これは竹本委員が法制局を呼んで質問をしたわけですけれども、「産業開発及び経済社会の発展」こういう意味法律の文言の解釈としてどうだということで質問をしたわけですが、先に出した、あるいは経済、社会という二つに分けるのか、あるいは一体なのかという、そういう質問もあったわけでありますが、「産業開発及び経済社会の発展」、これは、言うならば同格の重みを持つことばと理解していいんじゃないかと思うわけであります。そういうことになってまいりますと、私ども、いままで開発銀行というものは、産業開発、しかも大企業がほとんど一〇〇%であって、中小企業などは全く縁のない金融機関だというようなことになって、大企業との癒着という問題が常にこの委員会でも問題にされてきたわけであります。そういう中で、もうそういう段階ではない、日本の経済もいまや世界の経済大国にのし上がってきておるし、円切り上げをさせられ、あるいはまた外貨準備も百六十六億ドルで、年内には二百億ドルにも達しようかというような、そこまで来ているというようなことから、開発銀行の使命というものもおのずから、そういう経済状況の変化、国際経済の変化というものをにらんで、変わらなければならぬということが、前回の法改正の際の論議の中心になったわけです。  それでこういうことに今回改めてこられたわけでありますけれども、そこで社会開発という問題が強く叫ばれてからすでにもう十年近くにもなっておる。また地方開発というようなものも、大きくいえば社会開発の一環でもあるだろう、こういう見方もできるわけであります。ところが現状産業開発は依然として——なるほど四十年当時の七七・八%というようなところから六二・七%、約一五%比重が減少してきているというようなことはありますけれども、まだまだ産業開発に重点が置かれているということはぬぐえないのであって、社会開発あるいは地方開発というウエートが非常に少ない、こういう現状であります。そこで今度の第一条を改正したということで、少なくとも一歩退いて考えても、産業開発というものと経済社会の発展というものとがフィフティ・フィフティぐらいになることが早急に実現されなければ、この法改正の目的というものは現実化しない、こう思うのでありますが、その点に対するお考えはいかがでございましょうか。
  97. 石原周夫

    石原説明員 産業開発ということで数字ができておるわけでございますけれども、これは三つほどの項目に分けることができるかと思います。一つはエネルギー開発でございますが、これは原子力でございまするとか、ガスだとか石油だとかいうもの、それからもう一つは海運、それからもう一つが狭義の産業開発に当たるかと思います。いま六〇%をこえる数字を申しておるわけでありますが、そのうち海運が二五%占めております。したがって半分弱でございますが、海運の問題、これがどうなるかということになるわけでございまして、これは数回申し上げておりますけれども、年来海運の構成比は低落傾向にございます。ただ、今後どうなりますかは今後の海運の立て方の問題でございますけれども、従来の傾向はシェアとしては下がっておる、こういうことは申し上げられると思います。  それから、産業開発の中のエネルギーの問題でございますけれども、これは主として原子力等の問題になるわけでありまするが、今後原子力の拡充という問題は必要だと思います。六十年に六千万キロワットという数字も一応ございます。ただ、融資額といたしましては、本年度も実は原子力発電のうちでタービンジェネレーターという、水蒸気を発生した以後の電気を起こす関係は、対象から除きました。そういうような整理も行なわれるわけでございまするから、一方ではふえる要素がございますが、融資対象はある程度切り詰めていくという問題とのかね合いかと存じます。  狭義の産業開発は、実はもう体制整備とか電子機械という関係はウエートをだんだん減らしておりまして、情報産業、これは日本の電子計算機でありますとか、あるいは電算機関係の体制整備だとか、あるいはソフトウエアの関係というようなものと国産技術振興、これは技術開発の問題もございます。いま狭義のと申し上げております産業開発のうちで、これが六割か七割に近い数字にだんだんふえております。したがいまして、一般的に申し上げますと、従来の体制整備とか電子機械、いわゆる機電法と申します振興法がございますが、こういうような系統のウエートは、今後もだんだん減ってまいるのじゃないか。ただ、情報化促進でありますとかあるいは国産技術振興だということになりますると、これは必ずしもそうではなくて、従来相当な増加傾向でございましたから、これはある程度続くのではなかろうか。したがいまして、五〇・五〇というお尋ねでございますけれども、ただ全体が産業開発と社会開発の割合がどうだということよりは、内容的にどういうものが伸び、どういうものが減っていくか。一般的に申しますと、社会開発伸び方が、従来もそうでございましたけれども、今後も伸びてまいると思います。都市開発でありますとか、あるいは地域開発でありますとか、公害関係でありますとか、そういうものはふえると思いますけれども、じゃ産業開発のほうは減る一方かということになりますと、いま申し上げたように、内容的に見れば、今後伸びるだろうし、また伸ばさなければならぬ項目もその中に入っておるということを申し上げておるわけでございます。
  98. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 大蔵省としては、いまの問題は産業開発といってもいろいろあるということで、大づかみに言えば、日本産業というのは、いま資源多消費型の経済である。これをやがて資源省消費型、資源を省くという消費型の経済に持っていかなければならぬ。そういう場合には、いわゆる情報産業というか、情報化産業というか、そういうソフトウエアの方向に持っていかざるを得ないのだというようなことが言われておりますが、しかし、やはり国民の金を政府資金として融資をするわけでありますから、しかもそういう新しい産業開発というものに向けていくということなんだけれども、しかし、単に産業にのみ片寄ってはならないのだということから、少なくとも経済、社会、これを分けて考えてもいいし、経済社会、こう一緒にしても、まあその辺のところはどうであっても、社会開発の面、人間を中心にものごとを考えていく、人間の福祉あるいは生活というようなものを中心に、六十年代の高度成長の中で疎外された人間性回復という問題がやはり社会開発の最大のねらいだと思うのですけれども、あまりにもそういう面の開発がおくれてきたというところに、今日日本経済の問題のすべての出発点がある、こう見なければならぬわけであります。  そういうようなところから考えれば、もっともっとそういう面の開発というものに比重をかけられていかなければならない。機械的に、法文のていさいからいってフィフティ・フィフティだということではないにしても、そういう方向というものが目ざされていかなければ、やはり開銀というものは常に大企業と癒着し、特定の企業擁護のために政府資金融資しておるという非難を免れ得ないだろうと思う。そういうような立場において、大蔵省としては、いま私が申し上げたような点をどのように目標として設定をして開銀法のあり方というものを改正していくおつもりなのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
  99. 近藤道生

    近藤政府委員 政府機関全体に対しましての大蔵省といたしましての気持ちは、ただいま仰せのありましたとおりの趣旨で臨んでおります。ただ、開発銀行という政府機関のうちの一つの機関を取り上げます場合に、第一条の「産業開発及び経済社会の発展」ということばの意味は、前回も申し述べましたように、産業開発を通じて経済社会の発展をはかるということでございますので、開発銀行の場合に産業開発を通じての経済社会の発展ということにある程度ウエートがかかってくるのは、むしろ当然かと存じます。ただ、たとえばほかの政府関係機関、それらで社会開発につきましての融資も今後大いに行なわれるわけでございますので、それら全体を通じまして社会開発に非常にウエートが移行してまいるということは、これは先ほど来お話しになりましたとおりの趣旨で私どもも臨んでまいりたい。もちろん開発銀行自体におきましても、社会開発にウエートが移っていくということは当然のことでございます。
  100. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 その点はそのくらいにしますが、やはり社会開発という面に一そうの比重をかけていくように要望をいたしておきたいと思います。  それから、地域開発の問題ですけれども、これは経済企画庁も来ておると思いますが、地域開発の根拠になる法律というものは非常に数が多いわけであります。国土開発法から各地方の、北海道、東北、北陸、中国、四国、九州、あるいはまた大都市圏の整備では、首都圏整備、近畿圏整備、中部圏開発整備というような法律があるし、あるいは特定目的として新産業都市建設促進法あるいは工業整備特別地域整備促進法とか、あるいは今国会に出されている工業再配置の法律であるとか、低開発地域工業開発促進法あるいは農村地域工業導入促進法であるとか、もろもろの法律があるわけでありますが、そういうものの中で開銀地域開発として融資対象にしていくというものは、どの法律とどの法律に基づくものに融資をするのか、何かこういう基準というものはあるわけでありますか。
  101. 石原周夫

    石原説明員 ただいま広瀬委員お示しのように、地域開発につきましては、非常に多くの法律がございます。その法律のおおむね全部と申しますかに準拠してやっているわけでありますが、ごく大ざっぱに申し上げますと、まず九州、四国、中国、北陸の四地方のいわゆる後進地域開発促進法というのがございます。これを私ども開発地域というふうに呼んでいるわけでありますが、この開発地域にはおのおの促進法がございまして、たしか政府は金融について配慮しなければならないというような趣旨の法文がこのことごとくに入っておりまして、私どもその法律に基つきましてこの四開発地域融資をいたしておるわけであります。  そのほかにございますのは、産炭地域の振興の助成法、これは九州にもございますし、中国にもございます。なお、東北、北海道にあります分は、これは私どもの担当地域でございませんけれども、産炭地域の振興助成法がございまして、これはもとの産炭地に対します融資、私どもこの法律に基づきまして融資をやっておるわけでございます。  それからもう一つは、低開発地域工業開発促進法、これはいま申し上げました後進地域の中にもございますが、後進地域以外の、たとえて申しますれば長野にもありますし、山梨にもありますし、北関東にもある、こういうような状況でありまして、この法律に基づきまして、いわゆる低工地域、低開発地域工業開発促進法に基づきます地域に対します融資をやっております。ただ、四後進地域につきましては、先ほど申し上げた法律の中に吸収せられるわけでありますが、それ以外の地域におきます低工地域につきましては、この法律に基づきまして融資をしているわけであります。  もう一つ、農村地域工業導入促進法という法律、これは新しい法律でございますけれども、これは四十六年にできましたばかりで、現在各県の段階で計画を進めていただいておるかと思います。このほうは、現在この法律そのものに基づきます融資は、まだ私ども融資の段階にまで上がってきておりません。おそらく四十七年度中に上がってまいるかと思っております。  なお最後に、首都圏、近畿圏、中部圏という三大都市圏がございますが、この圏内におきましても、中心になる密集地域は別といたしまして、この地域内にやはり都市開発地域というような名前で工業配置に適当な地域がございます。そこに対します融資は、この三大都市圏と申しますか、その整備法に基づきます融資をやっておるわけでございます。  以上が、大体地域開発関連をいたします法律と、それに基づきまして私ども融資をいたしております実態でございます。
  102. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 経済企画庁来ておりますね。——地域開発関係、先ほど一部であったけれども一応あげたわけですが、こういうたくさんの法律があるわけです。いま開銀総裁から説明があったわけですけれども、大体経済企画庁としては、たくさんの法律に基づいて地域開発をやろうとされておるわけだけれども開銀融資を期待する、そういうものは、いま開銀がおっしゃったようなところだけでいいのかどうか。もっと範囲を広げるというようなことを予期して地域開発法律案をたくさんつくっておるのではないか。開銀融資を受けられるところと受けられない場合とが出てくるわけですね、そういうものは、どういう基準で区分けをしておるわけですか。その辺の開銀融資地域開発に関するたくさんの法律との関連というものを、どのように企画庁としては考えておられるのか、この辺明らかにしていただきたいと思います。
  103. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 地域開発におきましては、おおむね日本全体を、大都市地域とその周辺と、それから開発がおくれているために今後所得あるいは雇用の効果を増大させなければならない、まだいわゆる後進といわれておる地域というふうに、大体二大区分できるかと思いますが、開発銀行地方開発融資につきましては、大都市地域及びその周辺地域を除いた地域においてできるだけ手広く対象としていただきたいとお願いをしております。ただ、重点といだしましては、先ほど総裁からお答えいたしましたように、新産、工特、あるいは低開発地域工業開発促進法、あるいは農村への工業の導入というようなことに重点を置いて従来は地方開発融資をお願いしております。
  104. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 企画庁の考えによると、できるだけ幅広くやってもらいたいという要請が現にあるわけですね。先ほどお答えになったように、九州、四国、中国、北陸、こういうような四地域、これがいままで重点的にやってこられた。あるいはまた低開発地域工業促進、あるいは新産都市、産炭地振興、あるいは農村地域工業導入促進法、こういうようなものを重点にいままでやってきたわけですね。これから先、そのほかにもたくさんの法律があるわけですが、そういうものに拡大をしていくという方向というものは、大蔵省開銀はどのようにお考えになっておられるのか、現在のところの重点というもの、いままでやってきたところをそのままいくのか、あるいはその地域を広げ、対象を広げていくというような点については、どういうお考えであるか、この際はっきりさしていただきたいと思います。
  105. 石原周夫

    石原説明員 大体いままでやっております地域開発融資のやり方、あるいは先ほどお答え申し上げたわけでございますけれども、本日午前中も御議論がありましたように、新全国総合開発計画というものができまして、従来の新産、工特その他を中心といたしまする工業拠点主義というものに対しまして、これはそれにかわるということでは必ずしもないと思いますけれども、大規模工業基地でありますとか、それ以外のいわゆる大規模プロジェクトというものができてまいりまして、全国の国土を均衡ある発展をさせようということに相なっております。その中の一つが、大規模工業基地として今回出資のお願いをしておるのもそれでございます。そのほかにいわゆる大規模プロジェクトと称するものがございまして、これは大規模工業基地に比べますとまだ段階のややおくれておるものがあるかと思いますが、こういうものがだんだん熟してまいりますと、それは地域開発の非常に大きなポイントになるかというように考えております。したがいまして、たとえば四十七年度どうであるかということでありますが、とりあえず本年度お願いしております大規模工業基地への出資の問題でございますけれども、新全国総合開発計画のほうがこれにオーバーラップしてまいって、そういうところに出てくるポイントが一つの今後のまた重要なポイントになるであろう。それは必ずしも従来の新産、工特がこれでおしまいだということではございません。両者が重複をしながらそういうものがだんだんふえてまいるというようなことであろうかと考えます。
  106. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 経済企画庁から出していただいた「大規模開発プロジェクトの進捗状況」という資料によりますと、第一のタイプ、第二のタイプ、第三のタイプと分かれておるわけでありますが、第一のタイプというのは全国的通信網の整備、全国的航空網の整備、あるいは全国的高速幹線鉄道網の整備、幹線高速道路網の整備、あるいは大都市内高速道路建設、国際空港の建設、流通拠点港湾の整備、第二のタイプでは、大規模畜産基地の建設、高生産性稲作地帯の基盤整備、超大型工業基地建設、大型エネルギー基地、長距離流通網の整備、三大湾圏における流通関連施設の整備、第三のタイプでは、大規模海洋性レクリェーション基地の建設、未開発半島の総合開発——能登半島ですか、それから首都圏、近畿圏における大規模水系の開発、中核都市における高次圏域施設の整備、大都市における防災のための都市改造、大規模ニュータウンの建設、こういうようなものが企画庁から出ているわけです。もちろんこの中で通信網の整備あるいは航空網の整備というのは、別なそれぞれの法律に基づいて、開銀が手を出さなくても済む問題なんでありますが、開銀が手を出さなければならないと思われるものは、かなりこの中にもたくさんあるわけです。いま当面、地域開発等の関連において重点的に取り上げていくものは、いま読み上げた中でどういうものがあるわけですか。
  107. 石原周夫

    石原説明員 大規模工業基地のことにつきましては、出資に関係してたびたび大蔵省からもお答えしておりますが、それ以外のもので、大規模レクリエーションと申しますか、これは二、三の点で計画が進められておるようであります。それが、はたして広瀬委員がおっしゃいますように開発銀行融資に親しむものになりますか、まだ、事業主体がどうである、どういうようなやり方でやるというようなことも明らかでございませんので、申しがたいのでありますが、この中にはそういうようなものが出てくる可能性があることだけは申し上げられると思います。しかも、これは企画庁からお答えいただいたほうがいいかもしれませんが、ある程度の地点においては、すでに調査費でありますか、企画庁もおつけになって調査研究を進めておるわけでありますから、これは具体化する時期が比較的近いかというふうに考えます。それ以外の、いま広瀬委員がお読み上げになりましたものは、大部分公共投資そのものになるわけでございます。私どものは、それは企業段階でやりますものでございますから、当然いまお読み上げになりましたものの中には、そういうような部分が出てまいるかと思います。思いますが、プロジェクトそのものとしてやや計画が進みつつあるというようなものについて申し上げますと、まず大規模工業基地であり、その次に大規模レクリエーションと申しますか、そういうような形になるかと思います。ただ、このほうはなかなか事業形態とかいろいろなむずかしい点があるかと思いますが、もう少し計画が進んでみませんと、はたしてどの程度のものをわれわれの対象として取り上げることになるか、もう少々時間をかけないとわからないと思います。
  108. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そうしますと、経済企画庁のほうでは、私のところに出してもらったプロジェクトの中では、公共投資のプロジェクトであって、開銀に乗り出してもらいたいというようなものはこの中にはない、こういうように経済企画庁もそれは当てにしてないんだ、それはあくまで公共投資そのものずばりでやっていくプロジェクトだ、こういうことでございましょうか。
  109. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 いまお読み上げいただきました大規模プロジェクトにつきましては、新全総計画の中で項目を明らかにしたものでございますけれども、それを具体化することについては、目下それぞれプロジェクトごとに検討を始めております。新全総計画の中で、いま申し上げたように公共事業でやるというのが大部分だと思いますけれども、半官半民の組織で実施することが適当なものがかなりあるのではないかということを私どもの検討事項にしておるわけでございまして、たとえば先ほどお話しのありました中でいいますと、開発銀行は大型エネルギー基地を建設するというようなことについては、やはりその役割りが大きいのではないかとも思いますし、それから流通港湾をつくりますときに、流通関係の施設について開発銀行へお願いする面があるのではないかというようなこととか、あるいは大規模工業基地をつくりますときに開発銀行へお願いする面があるのではないか。あとは先ほど総裁から申しましたように、レクリエーション基地をつくるときに、はたして開発銀行がどういう役割りを果たし得るかということは、私どもとしても検討してみたいと思っておる事項でございます。その他、地方都市を整備いたしますにつきましても、都市施設の一部は開発銀行になじむ仕事があり得るのではないかということも考えておりますし、それから大都市の住宅の建設の一部をやはり開発銀行でお願いできる側面があるのではないかということで、現在きまっておるものは少ないですけれども、それらを大蔵省とも相談しながら、いま申し上げた大規模プロジェクトの中で、半官半民という形で、公的な制約を受けられるもので、しかも民間でやれるというような性質のものは開発銀行でお願いするということを、私どもとしてはさらにくふうしてみたいと思うのであります。
  110. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 開銀は、目下のところは、大規模開発プロジェクトの中でもあくまで工業基地重点ということのようでありますが、いま総裁も、いま私が読み上げたような中で入ってくるものもあるだろうという予測をされておるわけであります。そういう問題については、それが具体化する手続きというのは、どのようなことになるのですか。開発銀行が主体になってこういうものもやりたいというのがたてまえなのか、あるいは企画庁なりあるいは大蔵省からこういうものをやるべきだということでいくのか。結論的に言えば、閣議決定による運用方針ということになるのだが、四十七年度の政府資金の運用方針がまだきまっておらぬ、こういう中で、開発銀行としては運用計画をすでにもうお持ちになっておられる。こういうあと先になったような関係はあるんだけれども、これはどこが開発銀行にそういう方向をまず差し示していくというか、開発銀行のあり方を誘導していくのは一体どこが中心になって責任をもってやるのか、この点、大蔵省どうなんでしょう。
  111. 近藤道生

    近藤政府委員 閣議決定の線に基づきまして、個々の具体的な問題は開発銀行総裁がおきめになるというような形で進められるわけでございます。
  112. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 閣議決定に至るまで、指導的にどういうものを今度取り込もう、法律の中でどういうように反映をし、拡大していこうかというようなことをやるのは、大蔵省ですか、経企庁ですか。経企庁の要請、そういう点では協議が行なわれるのでしょうけれども、責任は一体どこにあるのか。
  113. 近藤道生

    近藤政府委員 その段階におきましては、各省間で十分緊密な連絡をとりながら協議をいたして、最終的には閣議ということになるわけでございます。
  114. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 次に、海運関係です。  最近の経済雑誌のエコノミストなどを見ますと、「横波に揺れる計画造船」とかというようなことで、非常に大きく取り上げておるわけなんですが、国内船腹が非常に貧弱であったという戦後の日本において、企業集約を行なった海運会社に対して長期、低利の資金貸し付け、あるいはまた利子補給をやって、自己資金力の非常に弱い海運会社が財政資金をたよりにして船腹増強につとめてきた、こういう歴史があるわけです。しかしながら、海運王国といわれるイギリスをも抜き、さらにリベリアをも実質的には抜いた形で、二千七百万総トンにも及んでいる、こういう状況を今日迎えている。なるほど邦船積み取り比率、輸出、輸入にわたって、まだ輸出で五〇%ですか、輸入で五四%というような、そういう目標には至っていないけれども、四十五年度でも三八・六%、四四・六%というようなかなりなところまできている。累次にわたる計画増船体制の中でこういう状態まで来ているということになれば、もうそろそろ開銀のこの面における使命というものは終わったのではないか、少なくとももう終わりに近づいているのではないか、こういうように思われるわけでありますが、四十七年度の開銀貸し付け計画を見ましても、海運に千二百二十五億、前年度で千五十三億、こういうことになっておりますから、比重は少し減っているとはいうものの、非常に大きな圧倒的な項目を占めているわけですね。この問題は一体どのように考えるべきなんですか。私どもしろうとで海運問題をつまびらかにするわけではないのですけれども、何かどうもそういう状況を見ると、これ以上開銀財政資金をもって海運界に対して、ごくわずかな数の海運会社にメリットを与える必要性はなくなったのではないか、こういう素朴な疑問があるわけなんですね。この問題については、どのようにお考えでしょうか。
  115. 石原周夫

    石原説明員 運輸省からお答えされるべき問題であると思いますが、私の承知しています限りのことをお答え申し上げたいと思います。  広瀬委員がおっしゃいますように、海運業の再建整備が進みまして、御指摘のように配当を始めている会社がだいぶ出てまいりました。ただ、自己資本比率というようなことで申しますと、これは一般の会社の平均がたしか一八%か一九%ぐらいだったと思いますが、海運会社は一二、三%になっておると思います。おっしゃいますように、外国に比べて保有トン数では負けないというような形になってまいったわけでありますが、会社の内容から申しますと、たとえば自己資金比率というようなことになりますと、まだ低い状況であります。広瀬委員が御指摘になりましたように、たとえば不況の関係であるとかあるいは為替の平価の変更の関係であるというようなものがありまして、なかなかむずかしい時期に当たってきているかと思います。ただ、御指摘のように、だんだん海運会社も強くなってきたということを反映いたしまして、四十六年度に、現在の五カ年計画の中途で計画を改定いたしまして、利子補給率も小さく、この次の四十八年度をもちましてコンテナ船に対して五厘の利子補給をいたします以外は、開発銀行の利子補給はやめになるわけであります。また融資比率も、コンテナ船と在来定期船が、六割六分でありましたものが六割一分になりましたし、その他の鉱石船あるいはタンカーにつきましても、六三%が五二%というふうに融資比率を下げてまいってきているわけです。この計画は、実は四十八年、四十九年まで継続をいたすことになります。この間、年度半ばでいまのような条件に改定をいたしまして、その後情勢の変化に対応して融資なり利子補給をいたすというようなことに相なっているわけであります。  今後におきます海運の見通しは、広瀬委員御指摘のように、たいへんむずかしい時期になってまいりました。今後どういうふうになりますか、これは運輸省を中心にして政府がお考えになると思いますが、現在四十六年改定せられた五カ年計画のこれから終わりの三年度目のところにあたって、閣議決定をせられました方針に基づきまして運用いたしてまいる方針でございます。
  116. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 エコノミストによりますと、途中から読みますが、「量的拡大の時代には、建造希望量が建造ワクをつねに上回ってきた。だが、四八年度に建造する二九次計画造船では建造希望量が意外に少なく、建造ワク(三八〇万総トン)はとうてい埋め切れないことが確実とみられるようになってきた。そこであわてているのが造船業界である。各社とも正式の建造契約はあとになるとしても、当然二九次船の注文をもらえるものとして船台をあけて待っていた。造船業界でも昨年末ころまでは「なに大丈夫。景気の先行きがはっきりしないから発注が遅れているだけで、年を越せばポツポツ注文が舞い込むサ」と楽観視する向きも多かった。ところが年が明けても情勢はまったく変わらず、二九次船は予定建造量の三分の一近くにあたる一〇〇万総トンの大穴があくことは必至といわれている。」こういうように書かれているのですね。  こういうような状況を考えました場合に、いままでなるほど計画造船の中で開銀財政資金を使って非常に日本の海運を増強してきたその役割りというものは、まことにみごとなものがあったと思うのですけれども、こういう状況というものがいま来ているということで、しかも開銀融資を受けるというようなことで、特に積み荷保証というようなものなんかがつきまとうというようなことから、非常にこの問題がいままでのような延長でことを処理し得ない段階を迎えている、こういうことがいわれておるわけでありますが、その中で百七十二億の昨年度を上回るこういう融資が行なわれるというのでありますが、これはこういう情勢の変化を正しく反映してないのではないか、これは四十八年度以降のものであって、四十七年はいままでの計画どおりやれるのだ、こういうことなのか、さらに、四十八年度以降にはまさにそういういま私が読み上げたような状態になるのか、この辺のところの見通しは、どうなっておりますか。
  117. 石原周夫

    石原説明員 広瀬委員のおっしゃいましたように、いまこの新年度、四十七年に建造いたします計画は、三百四十万トンということになっておるわけであります。三百四十万トンに対しまする建造希望量は、それをだいぶ上回っておった状況でございます。  したがいまして、四十七年度につきましては、先ほどおっしゃいましたように、積み荷保証の問題にいたしましても、あるいはどの程度で船価が回収できるかというような、そういうような従来私どもが基準としております条件に照らしまして、三百四十万トン以上の船が実は建造したいということで、それを三百四十万トン、財政資金のワクでそれに調整いたしたわけであります。金が多少ふえておりまするのは、御承知のように、造船単価がだいぶ上がってまいった傾向がございますので、トン数は去年に比べて三百万トンが三百四十万トンにふえただけでありますけれども、比較的金額が大きくなっているではないかという感じをお持ちであろうかと思いますが、それは単価増の関係がそういうことになっておるわけでございます。  四十八年度以降につきましては、いまおっしゃいますような非常に経済情勢の見通しが困難な時期でございまするし、油の関係におきましても——ことにトン数の関係から申しますると、油の関係あるいは鉱石の関係、石炭の関係、そういうものが鉄鉱業あるいは日本の石油産業というものの動向に支配されるものでありますから、造船業のほうは、これは外国の船がございますからちょっとまた別でございますが、日本の海運のほうについて見ますると、非常にむずかしい、判断をつけにくい状況で、現在のところでは、率直に申しまして、いま造船が、おっしゃいましたような実は四十八年が三百四十万トンというワクを一応予定しておるわけでありますが、それには達しない見込みであるという現状でございます。したがいまして、四十八年度の年度が始まるまでにまだ一年ぐらいございますので、来年度予算のときにどういう状況でそれに対処できるか、これは来年度の問題でございますけれども、とりあえず申し上げますれば、本年度は大体いけるのではないか。  たとえて申しますと、LPGという天然ガスを運ばなければならない船がございます。これをどうするかという問題がございまして、かつてはもう少し先のことを考えておったようでありまするが、最近のような非常な無公害燃料ということで天然ガスの需要が非常にふえてきておりまするし、使用量もふえてきておりますから、いままでよりはもう少し早いタイミングで、天然ガスを液化いたしましたいわゆるLPGと申しておりますが、その船を従来考えておるよりはあるいはもう少し早い時期に考えなければならぬというような状況もあらわれております。そこら辺がどういうことに相なりまするか、四十八年度の予算の編成期までに見通しを立てなければならぬかと考えております。
  118. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 産業開発ということで、たとえば鉄鋼のごときも、かつては非常に傾斜生産というような時代もあり、鉄鋼生産の増強ということを非常に力を入れてきた。ところが、いまや経済情勢の変化によって、おそらく二割以上の減産体制をとって、しかも不況カルテルまでやっているというような状況になっているわけですね。造船造船ということで海運増強、保有船腹量の増大というようなことにあまりに重点をかけて、先行きの見通しを間違えてやり過ぎますと、なるほど目標とするところが、輸出の場合五〇%、輸入の場合五四%というような目標を立てておられる、邦船積み取り比率をそういうところに直かれている、こういうことなんだけれども、そういう邦船積み取り比率というものをそこまで持っていくことによって、鉄鋼が遭遇したような今日の状況、さらにまた、国際経済社会の中で日本があまりにもエコノミックアニマル的であるということで、たとえば邦船積み取り比率をそこまで上げるのだというようなことがそこまでなった場合に、やはりバイアメリカンシップとかそういうようなことで、これは日本の場合においても、アメリカは身がってであるというようなことで非難をしてきたわけですが、そういうような国際的な非難というようなものが、そういうところで出てくるのではないかというような心配もあるわけです。それに財政資金が利子補給までつけてきて、豊富に過保護的に増強されていくというようなことでは、そういう国際経済の中での摩擦要因になっていくような事態にはならないのかどうか、その辺のところの心配はないのかということについては、運輸省まだ来ておりませんので、大蔵省はそういう点どのように見通され、考えられておられるのか、その辺のところをお聞きしたいと思うのです。
  119. 近藤道生

    近藤政府委員 これは運輸省のほうの考え方を後ほど運輸省当局から申し上げることと思いますが、全体としての開発銀行の運営を通じてみましたただいまの御指摘の問題、これに対する考え方は、私どもといたしましても、大きな方向としては、いまるるお述べになりましたような方向で対処いたしてまいりたいというふうに考えております。海運融資の比率につきましても、先ほどもちょっとお触れになりましたが、かなり減ってきております。そういう方向で今後とも開銀融資全体につきまして絶えず卒業生をつくっていく、そして新入生を入れていくという考え方、たとえば四十年度のピークには海運融資は四四・七%でございましたが、四十五年には三一・三%になり、四十七年度計画では二五・九%に低下いたしておりますが、そういった方向で絶えず洗いがえが行なわれていくべきであるというふうに考えているわけであります。
  120. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 お答えは抽象的なわけですけれども、私は、どうも海運業界に対する過保護というものがやはり国際的な非難の的になるような時代が、もう近々来るのではないかという気がしてならないわけです。これは運輸省が来ておりませんのでこれ以上追及はいたしませんが、その辺のところはやはり十分考えていかなければならないし、やはり保有船腹をどんどん増強していく、それに対する財政援助を厚くしていくという方向は、やはり輸出振興の思想だと思うのですね。これは輸入の場合でも、邦船積み取りを五四%ぐらいに上げよう、こういうことにもなっているようですけれども、いずれにしてもこの輸出振興と結びついた発想だと思うのです。いま、そういうものが転換を迫られている時期においては、もうそろそろこの問題については、自前でやっていける海運業、そういうものに仕向けていかないと、財政資金を安易に得られる、豊富に得られる、なるほど開銀からのいろいろな規制があったりなんかするけれども、フリーハンドを持てないというような面もあるけれども、そういうものを受けながらも、やはり輸出増強の波に乗って計画造船に飛びついてきている、そういうようなところから、この海運業自体にも、非常に安易な経営態度というようなものがやはり自然と出てくるのではないかというような面も、これは十分シビアに考えていかなければならないだろうと思うのですね。したがって、そういう面も十分見きわめながらこの問題をやっていただかなければならぬだろうと思うわけでありまして、その点、政務次官いかがでございますか。
  121. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 そのとおりでけっこうでございます。
  122. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 いま海運界では、二十五次計画以前の採算ベースで契約をした運賃でやっている。そういうものが、やはり開銀融資の問題とからんで、積み荷保証の問題ともからんで、いまになって運賃改定というようなことを切り出して問題になっておる。しかし、それもなかなか困難だというようなことで、海運会社の利益率、収益率というか、そういうものがだんだん低下をして、むしろ苦しい立場に立っているというようなことも、やはり開銀融資の問題、財政の過保護の問題とからんで、船会社自身が世界の運輸市況、運輸の実勢に応じた市況を反映して機敏に経済活動をするというようなことがなかなかできない、フリーハンドを持っていないというような面などもあることなどについて、開銀としてはどのように考えられておりますか。
  123. 石原周夫

    石原説明員 ただいまおっしゃいますように、修繕費、人件費が上がっておるというようなことで、かつてある期間に船価の回収が可能であるというような計算で荷主との運賃を取りきめましてやりましたものが、その後におきます原価の高騰のためにまかない切れなくなってきている状況が出ていることは、御指摘のとおりであります。したがいまして、最近におきましては、若干そこら辺にゆとりを持った船価回収の見通しを立てまして、荷主さんと運賃の交渉その他をやっておられる。したがいまして、近いところでつくりました船につきましては、何ぶんにも相当保証期間が長いものでございますから、たとえば十年あとにどういうことになるのだとか、非常に見通しが立てにくいわけでございますが、従来よりは安全率が見られるということに相なったかと思います。  ただ、それではそういうような長期にわたる積み荷保証というようなものをやめまして、広瀬委員が御指摘になりますようなフリーマーケットでやっていくということではどうであろうかということでございまするけれども、御承知のように、海上運賃というのは非常に高下のはなはだしいものでございます。もうかりますときにはもうかりますが、損をするときには非常に損をする。実は今日、古い分はおっしゃるように採算がだいぶ割れてきておりまするけれども、それでも何年か前に十年の積み荷保証を持っておるものでありまするから、現在スポットでものを運ぶことに比べますれば、これはだいぶ有利な条件になっている。私どもはだいぶ前からそういう長期の積み荷保証ということを申しておりまするけれども、海上運賃というのは非常に騰落の激しいものでございまするから、巨額の財政資金融資いたしまして、それがもうかるときにはよろしゅうございますけれども、赤字になったときにはたいへんなことになるという可能性がございまするから、したがいまして、計画造船を始めましたときには、そういう長期の積み荷保証をもって大体償還は可能であるということでございませんと、健全な商売にならないのじゃないかということでございます。最近におきましては、ある程度まで用船をして、いまのような市場におけるレートで仕事をしておられる面も相当ございますが、本体はいま申したような長期の積み荷保証である借金に対する目当てはついているのだというようなことが、今日、海運業がいろいろむずかしい状況になっておるのでございまするけれども、破綻を来たさないでやってきているという状況かと思います。したがいまして、今後も計画造船制度というものにつきましては、従来の経験にかんがみまして、船価の回収につきましての安全率の見方を多少変える必要がございまするけれども、やはり基本といたしましては、大量建造ということでありまする限り、やはり何らかのそういった安全弁を持っておりませんと、財政資金融資対象としては不適当であろうというふうに考えるわけであります。
  124. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 先ほどもお話が出ましたように、ことしあたりからLNGの専用船とか、あるいは高速コンテナ船であるとか、こういうようか新しい海上輸送における形式が、だんだんこれからの問題としては大きく出てくる問題だと思うんですね。そういう特別な政策目的、こういうようなものに海運に対する開銀融資というものはもう重点を移行して、やはりいままでのような形のものから抜け出す、こういうような方向がとられて当然しかるべきだと思うわけです。そういう点では一体どのようにお考えであるのか。あるいはまた、計画造船が今日、単年度になっておるけれども、これを五年ぐらいの期間で海運会社に、その期間内ならば自由に好きなときに発注をさせるというようなことにして、その場合に開銀融資をしていく、こういうような幅を持った、弾力性を持った運営というものに改めていくべきであるというような意見も、業界からも非常に強まっているということを聞いておるわけですが、そういう問題点についてはどのようにお考えでしょうか。
  125. 石原周夫

    石原説明員 最初は、コンテナ船、あるいはこれは少し先のことになりますが、LNG船、そういうものに融資の重点を集中していったらどうかというお尋ねでございます。これも運輸省の政策の問題でございますので、私がお答えするのは適当かどうか存じませんが、私の承知しておりますところでは、先般も四十六年度に海運の業況にかんがみまして、融資条件を改定いたしております。そのときにも、コンテナ船は融資比率の下げ方が、それ以外の定期船あるいは一般の貨物船に比べますと下げ方を少なくいたしておりますし、先ほど申し上げましたように、四十八年度以降開発銀行融資に対する利子補給は全廃をいたすことになるわけでございますが、コンテナ船だけは〇・五%、五厘の利子補給をするということで、コンテナ船というのはおっしゃいますように相当高速船でございますから単価が高いわけでございます。したがいまして、そういうような援助をいたし、融資をいたしておりますのは、広瀬委員お話しになったようなお考えと共通したものがあるかと思います。おそらくLNGという船ができるように相なりますと、これはコンテナ船よりまたもう一張り高い船になりますから、したがって何らか特別の措置をいたしませんと、これはコンテナ船同様、普通の船並みには扱えない船であろうかと思います。ただ、それに集中するかどうかということになりますと、先ほど申し上げましたが、現在の五カ年計画というものが昨年再出発したばかりだというところでございますので、これはまた四十八年度予算でどういうような見直しの状態に相なるか存じませんが、政府としてはいまのところ閣議決定をもって残りの三年間を遂行しつつあるという状況であります。
  126. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 どうも私ども最初に申し上げたように、海運も、ここまでくれば自前でやっていける体制に早く終結させていかなければならぬだろう、これ以上漫然と続けることはもう時期ではない。海運業界のほんとうの体質を強めていくためにも、特定の先ほど申し上げたような高速コンテナであるとか、あるいはLNG専用船であるとか、こういうようなものに移行して新しい海運の分野を開くというようなところに重点を向けて、一般のそれ以外の造船については海運業界が自力でもうやっていく、そしてまたそういう面で、海上輸送の運賃の非常に高下の乱調子のそういうものにもうまく対処できるような立場で、財政資金の援助ということになれ切った体質からやはり早く抜け出せるような配慮というものが必要な段階を迎えておるだろう、こう考えますので、その面については十分考えていただきたいと思うわけです。  それから、もうそろそろ時間がありませんので、原子力発電の関係で、四十七年度の運用計画を見ますと、原子力発電に三百十七億円出されるという予定でございますが、原子力発電も、四十六年度末で百三十二万キロワット程度にすぎない日本の原子力発電設備を、五十五年に三千二百万キロワット、六十年には六千万キロワットに増加させるという、総合エネルギー調査会でこういう目標を立てられておられる。そうなりますと、もちろんいま開銀融資されているように、原子力発電の機器メーカー、こういうところに融資をされておるわけでありますが、ウラン資源の開発、こういう問題については融資はどういうふうになされておりますか。また開銀はそれには融資をしているというようなことはないわけですね。
  127. 石原周夫

    石原説明員 いま原子力発電の関係におきましては、発電そのものに対します融資のほかに、原子力の関係機器の融資、これは原子力がだんだん大型化してまいっておりますので、やはり特殊な構造を持っておるものでございますから、圧力容器と申します全体をおおいます容器の関係でありますとか、あるいは中の配管の一部の関係でありますとか、そういうような原子力発電装置そのものの部品と申しますか、その構造の一部の中で、非常に国産化のむずかしい、国産技術を開発してまいりませんとなかなかできないというような部分のいわゆる原子力機器というものが一つ。もう一つは、燃料が要るわけでございますので、これは濃縮ウランをアメリカから入れているわけでございますが、その入れました濃縮ウランを成型と申しますか、細い管の中に入れるわけでございます。その管をつくりまして、それの中に入れる、詰め込む。そうして原子炉に入れられるような形の燃料にするわけであります。燃料の成型加工といっております。あるいは特殊な管でありますので被覆材、その材質が問題でございます。そういうような、いま日本として原子力関係で国産化の非常にネックになっているものに対します融資をいたしております。  それから、お尋ねの後半にございましたウランの関係でございますが、御承知のように、日本はきわめて貧弱なウラン資源しかございません。これは現在動力炉・核燃料開発事業団でございますか、いわゆる動燃事業団、このほうで、もとの原子燃料公社のやっておりました仕事を引き継いで国産ウラン資源の開発をやっておられるわけでありますが、これは動燃事業団自身が政府機関でございますので、金はたいした金ではないと思いますが、財政資金でまかなわれております。したがって、私どものほうは、融資はございません。ウラン資源といたしましては、何としても海外ウラン資源に相なるわけでございますが、このほうは海外の仕事になりますので、私ども融資対象としては取り上げておりません。
  128. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 石油開発公団では、大体石油資源開発を目的としているものに開銀融資がつけられて、この石油開発公団からは探鉱をやる、自主開発をやるというようなところへ貸し出されるわけですね。それと同じように、何といっても先ほど申し上げたような六十年度には六千万キロワットというような膨大な原子力エネルギーに切りかえていこうという、そういう計画を持ちながら、全くウラン資源は日本にはないだろうということが確実だといわれる。そうしますと、そういうものが確実にやはり供給されなければ、そういう目標はとうてい達成されるはずのものではないわけです。しかもこれはなかなか、むしろ石油資源開発以上に困難な、資源も非常に偏在をしておるというようなことで、限られた国にしかおそらく埋蔵量もないだろうというようなことがいわれている。そういうものに対して、これはもう本邦の企業がそういう開発に乗り出す、探鉱に乗り出すというようなものに対して、石油開発公団からそういうところに、石油資源開発のそれぞれの企業に貸し出しが行なわれるような形で、やはり開発銀行の場合におきましても、その一番大事な資源確保の問題について金を出していくというような必要はないのかどうか、これはもう国が全部そういうものについてはめんどうを見ていくというシステムになっているのか、この辺のところをちょっと聞きたかったわけです。
  129. 石原周夫

    石原説明員 ウランの資源開発の点につきましては、金属鉱物探鉱促進事業団という、これはちょうどいまお話しの石油の場合の石油開発公団に当たりますようなものがございまして、これがたしか私どもの記憶では、二、三年前でありましたか、ウランも含むのだということに相なっておりますので、現在その事業団がそのほうの資金のまかないをいたしておると承知いたしております。私どものほうは、仕事の内容が国内の問題でございますから、海外におきます問題になりますと、別の政府機関がおやりになるということに相なろうかと思います。
  130. 近藤道生

    近藤政府委員 それから輸入関係につきましては、日本輸出入銀行の輸入金融といたしまして、カナダのウラン精鉱プロジェクトに対しまして、最近三カ年間で、四十四年度一億五千万円、四十五年度四億三千万円、四十六年度四億三千万円を電力会社を通じて融資をいたしております。
  131. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 この問題はまた別の機会に譲りまして、その程度にしておきますが、開銀が特定の目的で融資をそれぞれやられるわけだけれども、それに対する監査、目的どおりに使われたかどうか、こういうような問題等については、開銀が独自で監査などをやるか、あるいはまた会計検査院がやるというような事例があるのか、この辺のところは一体どうなっておりますか。
  132. 石原周夫

    石原説明員 開発銀行といたしましては、設備投資融資をいたしておるものでございますから、これは相当の期間がかかるものもございます。したがいまして、申し込みのありました工事が、そのとおり行なわれているかどうか、これをまず第一に見る必要がございます。この点につきましては、私ども資金の交付をいたしますのに、たとえば全体の計画が十億であるということでありましても、まず最初に三億なら三億融資をする。その後に、仕事の進みぐあいを見まして残りを二回にやるか、三回にやるか、一回にやるか、そのときによりますけれども、そういうような工事の進行に応じた資金交付をいたし、そのたびに大体工事がどういうふうに進行しているか、計画どおりものができているかどうかということを検査をいたし、でき上がったときには当然竣工検査をいたしております。その後の状況につきましては、経理的に見て、あるいは仕事ができ上がったところまではできたのだが、その後の模様がどうであるかということにつきまして心配な場合におきましては、私どものほうで特別に監査をいたします。会計検査院は検査の対象といたしておりません。
  133. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 大蔵省、いま総裁が言われたとおりなんですが、大蔵省としては真に、政府資金である開銀融資というものについて正しくそれが使われているかどうかというようなことについて、融資先についてもたまには検査をする、監査をするというようなことはやらないでいいのかどうか、開銀だけにまかしておいて、十分信頼ができるのかどうか、この点についてのお考えはいかがですか。
  134. 近藤道生

    近藤政府委員 御承知のように、開銀法四十二条によりまして、大蔵省といたしましては必要な報告を徴取しあるいは検査をするというたてまえでございますが、ただ、この検査は、第三項にも明記してございますように、犯罪捜査のためではないということで、相手先にまで立ち入って検査をするという権限はないわけでございます。しかしながら、開銀業務状況その他につきましては、ただいまお述べになりましたような趣旨で、絶えず監視、監督をする必要はあると考えております。
  135. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 きょうこれ以上触れようとは思いませんが、やはりいろいろな人から、そういう点で開銀融資先で目的外に流用して使ってしまうというようなことが間々あるということをわれわれ聞かされているわけです。したがって、大蔵省としても、開銀融資というものが正しく目的どおりに、開銀融資の本旨とするところに従って使われておるかどうかというような問題については、監視を一そう強める、あるいは監督を強める、こういうような姿勢を持っていただかないと、企業と密着しておる、しかも大企業には非常に甘い融資が行なわれて、必ずしも国民の金が有効に目的どおり使われないというような疑惑というものがなかなか解けない面があると思うので、大蔵省としてもその点十分注意していっていただきたい、このように考えるのですが、政務次官、最後にその点についてお伺いしたい。
  136. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 ただいま近藤銀行局長が申し上げましたように、開銀法四十二条にそういう規定がありますし、その趣旨に沿って十分やっていきたいというふうに考えております。
  137. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 終わります。
  138. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 小林政子君。
  139. 小林政子

    ○小林(政)委員 今回の開発銀行法の一部を改正する法律案の中身というのは、一つには目的の改正であり、そして二つ目には業務範囲の拡充ということで、具体的には市街地の再開発、こういう事業の場合には、分譲施設の建設資金貸し付け対象にする。それと同時に、大規模工業基地建設事業については、出資をすることができるようになった。そしてさらに借り入れ金の限度額を、従来自己資金の六倍であったものを二十倍にする。大きくいえば業務範囲の拡充と目的の改正という二つの問題でございます。   〔委員長退席、木野委員長代理着席〕 私は、この中で、特に目的の改正ということで先般来いろいろとこの問題については各委員からも意見を含めての質問が出ておるわけでございますけれども、「経済社会の発展ということは、具体的にいままでとどう変わってきているのか。この問題については、大企業のいままで高度経済成長、こういったようなものの中でいろいろなひずみが出てきているわけです。このひずみについては、過疎だとか過密というような問題も出てきておりますし、あるいはその他公害の問題だとかさまざまな問題が出てきておるわけですけれども、この中で、とかくいままでなおざりにされてまいりました地域開発、こういったようなものが、従来の方針と具体的にどう変わるのか、この点についてまず第一にお伺いをいたしたいと思います。
  140. 近藤道生

    近藤政府委員 地域開発につきまして従来の目的とどう変わるかという御質問でございますが、従来地域開発につきましての目的と考えられておりましたものは、大体三つに分けられております。一つは、地方私鉄、交通施設等の設備でございます。それから街区の整備、それから流通施設整備というような、総括いたしまして地方都市機能の整備に当たるもの、それが一つでございます。それからもう一つは、新産業都市工業整備特別地域等のいわゆる工業拠点開発の推進、これが第二のグループであります。第三に、地方適地産業の育成、いわゆる地場産業の育成ということであります。こういう三つのグループが、従来の地域開発融資の重点であったわけでございます。これらの重点はおおむね今後とも踏襲されることになろうかと思いますが、新全国総合開発計画等の地域開発諸施策等との関連に配慮しながら、最近の地方都市における都市化の進展への適応あるいは過密過疎問題を考慮した工場分散、それから過疎対策としての農村地域への工場導入というようなことが今後留意されていく面になろうかと思います。四十一年度あたりからの傾向といたしましても、たとえば地方都市機能の整備ということにつきましては、四十一年度六十五億円でございましたものが四十五年度には百十一億円ということでシェアが、比率といたしましても一六・九から二一・三%まで伸びております。そういうことで地方都市機能の整備、いわゆる生活環境の向上改善、そういったような方面に今後ともますます重点がかかってまいるというふうに考えております。
  141. 小林政子

    ○小林(政)委員 日本開発銀行貸し付け計画という資料をいただきましたけれども、この資料によりますと、特に地方開発の場合には、四十六年度一六・四%、それが四十六年度の具体的な改定の計画では一五・一%で、四十七年度の当初計画では一五・六%ということになっておりますけれども、むしろこれは社会開発あるいは地域開発というようなことを非常に重視するというようなことがいろいろと答弁をされておりますけれども地方開発の割合というものが、いわゆる貸し付け計画の中でも構成比が年々むしろ減ってきている。これがひとつ一体どういうことなのか、この点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  142. 石原周夫

    石原説明員 地方開発の比率につきましては、小林委員御指摘のように、やや下がっているかという点もございまするけれども、これは補正予算がありましたりなにかいたしますると、多少数字が動いてくるものでございますから、大体のところ一五、六%のところでこの数年間推移をいたしてきている、こういうわけであります。したがいまして、地方開発の比率がこう逐年低下傾向にあるというふうには考えておりません。それ以外の費目のふえ方によって影響があるものでございますから、大体私どもの全体の貸し付け計画伸び率とほとんど並行した伸び方になってきている、こういうことでございます。
  143. 小林政子

    ○小林(政)委員 さらにこれもいただいた資料ですけれども日本開発銀行地方開発資本性格別の融資実績、これを見ますと、いわゆる四十五年度の地元企業に対する融資あるいはまた進出企業に対する融資割合、こういったものを見てみますと、四十五年度では地方企業の融資は百二十億で二三%、進出企業に対しましては三百四十五億で六六・二%、四十四年度を見ましても、地元のいわゆる企業に対する融資というのは百十二億で二四・八%、さらに進出企業に対しては六一・九%。何年かずっと調べてみますと、非常に地元企業に対して私は融資が、進出企業との対比という点で見ますと、これは相当やはり問題があるんじゃないだろうか。本来ほんとう意味での地域開発というものは、いままでの高度経済成長のひずみというものをほんとうにこれを地元産業といいますか、地元企業の育成という方向に重点を置いて、そして進めていかなければならないし、したがって自主性というものが相当やはりそこに盛り込まれたそういう計画であり、内容でなければならないというふうに私は考えますけれども、むしろこれでは私は真の地方開発ということにならないのではないだろうか、こういうふうに考えますが、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  144. 石原周夫

    石原説明員 御指摘のように、地域開発のうちにおきまする中央資本と申しますか、進出資本と申しますか、それと地元資本、それと提携資本という三つの分け方をいたしておりますが、中央資本の割合が漸増の傾向にあるということでございます。これは先ほど企画庁のほうからもお話がございましたような工業拠点の開発、新産都市工特地域というものが法律ができまして、そういうところを拠点にして広い地域産業開発していこうというねらいがあるわけでございます。たとえて申しますと、アルミニウムの生産をいたします、そのアルミニウムに関連をいたしましてサッシュあるいは家庭器具の類、そういうようなものがそれに関連して起こってくる。一つのねらいといたしましてはそういう柱と申しますか、中核と申しますか、そういうものが出ますと、それに付随して地方の産業がいろいろ興こってくる。たとえば造船所をつくりますと、造船所の関係のいろいろな下請けの関係、備品の関係、そういうような関係が興こるわけでございます。   〔木野委員長代理退席、委員長着席〕 地方の企業に対しまして、私どもの方針といたしましては、地方開発融資が始まりましてすでに十年をこすわけであります。終始これを優遇し、優先するという方針をとっております。したがいまして、比率はごらんのようにやや下がってきておりますが、絶対額はふえてきているかと思います。ただ、全体のふえ方に及ばなくて中央資本がふえておる、こういう状況かと思います。私どもは地場資本、地元資本の企業にできるだけ力を注ぐつもりでおるわけでありますが、したがいまして融資比率なども全体の平均融資率は二割少々でございますが、地元資本の場合は三割ぐらいになる。融資率の上でも優遇しておりますし、そういう計画が出てまいりますれば、われわれのほうはできるだけ優先的に融資をするようにいたしております。  しかしながら、全体の地方開発状況から申しますると、先ほど来お話がございましたような工場の地方分散と申しまするか、過密地域からできるだけ地方に工場を分散をする。少なくとも過密地域のほうには増加をしないという、そういうことに相なりますると、地方に立地をいたす、それがまた関連して関連産業立地を促す、こういうようなことがございまして、私どもといたしましては、中央資本に対しまする地元資本優遇との基本方針は終始変わらないわけでありまするが、金額的にごらんになりまするとそういうことでございまするし、それがまた長い目で見て地域産業開発にだんだんとあらわれてくる、こういうふうに考えておるわけであります。
  145. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、開発銀行資金というのは一〇〇%政府資金であって、しかもその財源はいわゆる零細な財投の資金というものが、一人一人の国民の貯蓄などが含まれている、そういうものが資源として充てられているわけですから、大企業の場合には、現在長期の資金、こういうものは相当民間銀行からもうすでに融資ができる、こういうような状況というのが一貫していままで続いてきていたと思うのです。むしろ長期資金というものをほんとうに必要としているのは、みずから地域開発を自主的に行なおうか、ここのところに短期の資金しか借りられない、長期の資金が借りられないというところにこそ地域開発の根本的な問題があるのだろうというふうに考えます。いまのこの数字を見てみましても、四十三年、四十四年、四十五年、いわゆるこの進出企業というものが非常にウエートが高くて、地元の企業というものが私は構成比率というものが非常に少ないという点から考えても、これはやはり地元の企業を中心地域開発というものを今後、目的を改正したのですから、それに沿って根本的にやはり変えていく、こういう立場に立つべきだろうというふうに思いますし、地域開発がただ単に大きな企業を関連をするからということで誘致をするというようなことだけであってはならないというふうに考えますけれども、この点について基本的な意見、考え方をお伺いしたいと思います。
  146. 石原周夫

    石原説明員 ただいまもお話がございましたように、中央資本の関係につきましては融資比率を下げておるわけでございます、おっしゃいますように金融能力が違うわけでありますから。これは累計の残高で申しますると、地方開発融資比率は二二・九%でございます。それに対しまして地元資本は三一・五%であります。提携資本とは地元と中央資本の提携したものですが、それが二五・五%、中央資本が一九・六%と融資の比率に差等を設けまして、おっしゃいますような長期資金の調達能力に応じましたような融資をやっておるわけでございます。なお今後もこういうような方法で、中央資本でやれるものにつきましては——私どもはできるだけ地元資本に対しまする援助を強くしていきたいということを考えているわけであります。  なお、全体としての地方開発に大企業、中小企業という関係がどうであるかということを、御質問はなかったわけでありますが、関連までに申し上げておきますると、地域開発につきましては、貸し付け件数におきまして、資本金十億円に線を引いてみますと、私どもは中小公庫というような中小企業に対する別途の政府金融機関があるわけでございますから、そのほうの守備範囲には立ち入らないわけでございますので、一応十億円というところで線を引いてみますと、四十五年におきまして、件数が十億円未満の資本金のものが七一%、金額におきまして五〇%ということでございます。これは中央資本も地元資本もみな含んでおりまするから、両者を通じての話でございます。したがいまして、地方開発の場合におきましては、中小企業のウエートというものは件数においては相当高い、金額においても半分に達している、こういうような状況でございます。その点をつけ加えて申し上げます。
  147. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、やはり政府金融機関融資状況というものを、長期資金を手に入れることができない、こういう地域産業なりあるいは中小の企業というものに対してもっともっと、ほんとう地域開発を自主的に進めていこうということであるならば、そこに重点を置くべきではないだろうか。これはいまいろいろと御説明がございましたけれども日本開発銀行のいわゆる一兆九千四百六十五億円も含めて、国民金融公庫まで入れて、いわゆる政府系の金融機関というもの、これの合計が七兆四千八百十億円ですから、そうしますと、いわゆる中小企業関係というのは大体三兆六千百九十一億円、約四八%、数の上からいえば中小企業というのが日本の場合にはそれこそ九九%近くを企業の数の中で占めている。こういう点から考えますと、ごくわずかな大企業が政府系の金融機関融資を約五二%占めていて、そして数の上では九〇%を上回る中小企業が四八%というのは、いかにもいままでの高度経済成長というもののあり方というものがどういうものであったかということを示していると思います。むしろ数の上で多いこれらの長期資金を借りることが困難なところにこそ、今後の政府系の金融機関のあり方というものは重点を置くべきではないだろうか。当然公共性を持つこれらの機関がそこにこそ政策目標を大きくやはりウエートを置いていくべきではないだろうか、このようなことを考えるわけです。この点についてお伺いをして、次に入りたいと思います。
  148. 近藤道生

    近藤政府委員 政府関係機関全体としまして、それぞれ分業体制をとっているわけでございますが、中小企業に対しましては中小三機関をはじめといたしまして極力資金供給の便をはかるということは、ただいまお示しのとおりの方向で考えるべきであろうと思います。  それから開発銀行地方開発のあり方につきましては、先ほど来総裁から詳細な御説明がございましたが、大企業を通じて、たとえば地方の雇用効果をふやすというような行き方で地域開発に役立てる、あるいは過疎対策を行なうというようなことも考えられてしかるべきではなかろうか。各種の機関がそれぞれの持ち味を生かしまして全体としての調和を保ってまいるということが必要であろうかと存じております。
  149. 小林政子

    ○小林(政)委員 次に伺いたいのは、大規模工業基地建設事業、これにつきましては、大蔵大臣の認可を受けたものに対して出資をすることができる、こういう改正がされているわけでございますけれども、これはおもに経済企画庁にもお伺いをいたしたいと思いますけれども、一体この構想というものはどのようなものなのか。この点について先ほど来いろいろと御意見を含めてのそれこそ質問が出ておりますけれども、私はやはり、新全総に基づく国土開発計画、いわゆる大規模プロジェクトといいますか、それこそ苫小牧東部だとかむつ小川原湖とかあるいは秋田港の関連、こういったものだとか、あるいは周防灘だとかあるいは宿毛、志布志港、こういったようないわゆる新全総に基づく計画というものが最重点に置かれておりますけれども、一体この大規模工業基地建設、この融資は今後ここに重点を置く、いわゆるむつ小川原湖でやっておられるような、こういう内容のものにしていくのかどうなのか、その点についてまずお伺いをしてみたいと思います。
  150. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 いま御指摘がありましたように、新全総開発計画の中で大規模プロジェクトが第三タイプまでたくさんございますが、その一つとして大規模工業基地建設のプロジェクトというのがございます。そのプロジェクトにつきましては、いま御指摘がありましたように、北東地域と西南地域を候補地域として調査を開始しておりますが、その地域の方々との話し合いが進み、地域の計画がまとまりますれば、その地域建設を直ちに促進したいということを考えておりますが、その実施にあたって半官半民組織が必要であるということになれば、その組織に対して開発銀行出資を期待しております。
  151. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、この計画等については、具体的にはこれからのものだということで、四十七年度の具体的な計画については明らかにされていないわけです。したがって、すでにこれは東北開発公庫を通じて行なわれておりますいわゆるむつ小川原湖の開発、この問題を二、三事例を出してお伺いをしたいというふうに考えますけれども、この内容を見てみますと、むつ小川原開発株式会社あるいはまた北海道東北開発公庫が資金を出す、あるいはまた民間企業が相当の数資金を出す、いわゆる官民の合体というような形でこの計画が取り組まれているようでございますけれども、このような中で、一体出資は、先ほど来も質問がありましたけれどもほんとうに国が出す開発出資というものはどこに主体を置いて出すのか、私はこれは問題だと思うのですけれども、一体どこへ出資をするのか。しかも、この開発会社というのは全くの民間の企業であって、私ども調べたので見ますと、相当財界のいわゆる中心メンバーが中心になって、この開発会社というものをつくっている。ここになぜ開発銀行を通じて、あるいはここでは直接開発銀行対象ではありませんけれども、いわゆるこの公庫を通じて金を出資しなければならないのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  152. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 むつ小川原開発につきましては、御承知のようにむつ小川原開発株式会社という会社が設立されておりまして、この会社は御指摘のように民間の株式会社でございます。そこへ半官半民ということで、県と北東公庫で半額の出資をしております。この出資をいたしました趣旨といたしましては、むつ小川原開発といいますのはコンビナートを中心とする工業基地でございますけれども、これは本来企業の施設であるということが性格としてあると思います。しかし、非常に大規模であるために、その工業立地がその地域の社会に与える影響はかなり大きなものがあります。住民に対する影響あるいは公共事業でやりました施設の影響あるいは環境への影響などございますが、それらは進出する企業の責任において、社会的責任を全うすべきものだろうと考えますが、その前提として長期の先行的な基盤づくりをする会社を設置することにいたしたわけでございますけれども、これについては一部公共事業というものがからむものもございますし、地域の住民対策にからむものもございまして、完全に民間にだけまかせてしまうということには私どもとしてはなり得ないということから、官が半分入りまして、会社の運営に対して、公共的な立場というものをやはり明確にしたいということで、会社といたしましては形式上一般の株式会社でございますけれども、会社の運営に当たっては、かなり公的な影響への配慮というものを強くしたいという趣旨出資を認めることにいたしております。
  153. 小林政子

    ○小林(政)委員 民間の企業に対して石油コンビナートを中心にして、大工業基地建設する、それに対して国がやはり出資を行なう、こういったようなことは、私は、ほんとう意味での地域住民の望んでいる開発につながるのかどうなのか。この計画等見てみましても、鉄鋼だとか、あるいはまたアルミだとか、あるいはまた銅だとか亜鉛、あるいはまた石油化学、石油精製、いわゆるこういった企業が一大石油コンビナートをあそこを中心にしてつくり上げていく、こういったような計画のもとで、いわゆる六ケ所村を中心とする相当多くの住民が立ちのきを要求されている。あるいはまた地元のいままで大切にしてきた漁業というものが全く壊滅に近いような状態に追い込まれる。これがいわゆる私は地域住民の立場に立ってほんとう開発をするというそういう中身に通ずるのかどうなのか。これは私は大きな問題だろうというふうに思います。いまのままにこのようなことがやられるということであれば、私は大規模公害がある美しい地域にまき散らされることはこれはもう火を見るよりも明らかだろう、こういうふうに考えますけれども公害の問題等については一切心配がないというふうに考えているのかどうなのか、これらの点も含めて、この際お伺いをしておきたいと思います。
  154. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 東北地方あるいは九州地方という地方につきましては、首都圏あるいは近畿地方と違いまして、非常に経済の開発のおくれた地方であるわけでございます。そのために実際には人口の若い労働力の流出であるとか、あるいは出かせぎの人が非常に多いということが、いままでその地域の問題であったと思います。そのために、水産業あるいは漁業あるいは農業というものの振興が重要であるということで、ここ十年来地域開発としてそういった開発を進めてきたかと思いますが、まだ不十分で、これから進めていくものもあるかと思いますが、やはり一つの問題として出てきましたのは、南九州あるいは東九州あるいは東北地方の北部、あるいは北海道というところで、どういう工業化を進めるかということが地域開発の上で一つの問題であるのではないかというふうに思います。そのために、ある一つのその地方の基盤となる工業基地をつくるということはぜひしてみたいと思いますが、御指摘のような、さっき読み上げられたような業種を群集させてよいかどうかということについては、私たちはある程度疑問を持っております。そのためにどういう業種規模がよいかということを現在検討しているわけでございます。  公害問題につきましては、実は何段階にもチェックをする必要があるのではないかと考えておりまして、現在は基礎調査を始めたところでありますが、マスタープランをつくる段階での配慮、それから企業を誘致するところでの公害防止協定上の企業との協定、あるいは立地したあとの実際の監視体制というようなことで、何段階にもわたって公害を防止する対策を講じたいというような考え方でおります。
  155. 小林政子

    ○小林(政)委員 時間がないそうでございますので、最後に伺いたいと思いますけれども公害問題については、いままで新産都市の場合でもあるいは工業基地建設の場合でも、地域から相当危惧の念や批判が出ていたわけです。しかし、いままではそれらの問題については心配ないというようなことを言いながら、現実にはほとんどの誘致した企業によって美しかった自然が公害によってよごされているというのが現状であろうというふうに思います。特に私は鹿島の場合などでも一昨日の新聞などを見ますと、カワハギが三トンも浮き上がって、そうして実際に地域では魚もとれない、こういった問題も起こっておりますし、同じ夕刊に千葉県ではもうシジミもアサリも汚染されてしまって、そしていま大問題を起こしている。こういったような状態を考えますときに、私はこのような大規模なコンビナート基地を建設して、そうして地元の人たちを立ちのかせていく、そうして地元の漁業というものが破壊されると同時に、このような公害をまき散らさないという保証は何らないというふうに私は考えるのです。むしろ、このままのような形で大工業基地建設といりようなことを今後進めていくとするならば、これは単なる公害産業の全国への分散にすぎないであろう、このように考えますし、また、今度の工業基地建設というものが実際には産業基盤の造成拡大というものに今後つながっていくものではないか、このように考えますし、少なくともこのような計画は、直ちに私はとりやめるべきだというふうに考えます。ましてこのような大工業基地建設というようなものに、国の長期資金を安い利子で長期に貸し出していくというようなことについては、それこそ大企業との癒着がますます大きな問題になろうというふうに考えますし、以上の点について、このような計画やあるいは資金計画等については直ちにこれはとりやめて、ほんとう地域の地場産業といいますか、地域産業開発といいますか、自主的なそういうものを基礎にした全国的な計画等をつくるべきではないかということを私は強く申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  156. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 堀昌雄君。
  157. 堀昌雄

    ○堀委員 委員長の御要望もございますから、いろいろ実は取り残しておる問題もたくさんあるのでございますけれども、少しはしょりまして、要点だけを質問することにいたしたいと思います。前回出席を求めておりまして、質疑途中で議題が変更されましたので、質疑は残りましたほうを先に処置したいと思います。  開発銀行にお伺いをいたしますけれども開発銀行業務の範囲という中に、開発資金にかかる社債の応募、返済資金貸し付け及び返済資金調達のための社債の応募または開発資金にかかる債権の譲り受け、こういう業務の範囲が法律の十八条で規定をされておるわけでありますが、この開発資金にかかる社債の応募というのは過去においてどういうふうに行なわれたことがあるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  158. 石原周夫

    石原説明員 開発資金の調達のための社債の応募というこの文章に当たるものは、実は発行いたしておりません。外債がございますけれども、外債はまた別の条文のほうに設けております。この条文に基づきます債券の発行はいたしておりません。
  159. 堀昌雄

    ○堀委員 その次の、返済資金貸し付け及び返済資金の調達のための社債の応募、このほうはいかがでございますか。
  160. 石原周夫

    石原説明員 これもございません。
  161. 堀昌雄

    ○堀委員 最後に伺った開発資金にかかる債権の譲り受けというのはいかがでしょう。
  162. 石原周夫

    石原説明員 開発資金にかかる債権の譲り受け、これは硫安対策というものがだいぶ前にございまして、その閣議決定に基づきまして硫安工業の債権を譲り受け——私がいま申し上げましたのは、先ほど冒頭に申しました返済資金貸し付けでございまして、債権の譲り受けはございません。
  163. 堀昌雄

    ○堀委員 実はいまこの開発銀行の問題を考えますときに、開発銀行の原資というのはあげて実は財政資金によっておる。そして今度は倍率の変更等を行なって、その行なうことは言うならばまた財政資金をたくさん使用できるようにしようということになると思います。まあ結果としては自己資金もふえていきますけれども、自己資金の増加に比べれば財政資金の増加分がはるかに大きい、こう思うのでありますが、これらの業務の範囲が認められておることでもあるし、現在金融市場の非常に緩慢な情勢、こういう情勢であれば、開発銀行がすでに業務上こういう道が認められておるにかかわらず財政資金だけに頼るというのは、一体どういう理由になっておるのか。これは開銀のほうにお答えをいただくのが適当なのか政府に答えていただくのが適当なのかわかりませんが、少なくともこの間私、論議をさしていただいたときに、開発銀行の場合の資金コストは五コンマ幾らということになっておるわけでありますから、その資金コストであるならば、現在のような金融緩慢のときに、内国債として開発銀行債が発行できる道が開かれておるわけでありますし、開発資金に充当することができるわけであるから、当然私はこういう際は開発銀行債を出すことによって民間資金をも合わせて有効な開発資金に使うということが適当なのではないか、こういうふうに思うのですが、どちらからでもけっこうですが、これまでにやっていないというのはそれなりの理由もあったかと思いますが、今後の問題としてはどうなのかをちょっと伺っておきたい。
  164. 石原周夫

    石原説明員 従来は、開発銀行の債券を出すといたしますれば、いわゆる政府保証債になるかと思います。政府保証債は御承知のように、毎年財投計画がきめられましてその範囲内で政府保証債を出しておるわけであります。私どものほうが従来その方法によりませんでしたのは、私、そう長く在勤しておるわけではありませんけれども、御承知のような政府保証債の消化状況であるものでありますから、そこにまた新しい銘柄が加わって入っていくというよりは、従来政府保証債を出す銘柄が一応ございまして、そのほうはその資金ルート、これは政府借り入れ金と両方によっておられるものもあるわけでございますが、むしろそういうようなことは避けて、政府借り入れ金一本できたわけであります。こういうように承知をいたしておるわけでございます。
  165. 堀昌雄

    ○堀委員 理財局に伺いますが、いま開銀総裁のほうで開発銀行が債券を発行すればまあ政府保証債になるだろう、こう言われたわけですが、私はちょっとそれは問題があるかと思うのです。政府保証債というのは法的にはどういう規定になっておるのでしょうか、ちょっと理財局のほうからお答えを願いたい。
  166. 大蔵公雄

    大蔵説明員 ただいま法的にどういうことになっているかということでありますが、政府が保証して発行する、要するに公募債ということでございます。
  167. 石原周夫

    石原説明員 ちょっと私、取り違えてお答えをしておりますので、訂正させていただきます。その十八条の条文は社債の応募でございます。私どものほうで債券を出します条文はございません。したがって、現行法をもちましては、先ほど政府保証債云々ということを申し上げましたけれども政府保証債を出すという条文規定はございませんので、その道はないということでございます。
  168. 堀昌雄

    ○堀委員 いや、いまのは総裁のほうで勘違いをしていらしたからいいのでありますけれども、私はいま開発銀行が世銀債その他の肩がわりをしたということは、結局ある意味においては私は開発銀行といえども債券発行を認めていいのではないか、こういう考え方に立っているわけですね。  そこでいま私が伺った政府保証債の法的な意味というのは、ちょっと調べてみたのですけれども政府保証債とはいかにあるべきかという法律規定というものは特にないと思うのですがね。ですから、政府保証債とは一体何ぞやということですね。法律的に何々法第何条何項によって政府保証債というものはこういうものだという何かの規定があるかと思って調べてみたけれども、どうもありませんね。だから政府保証債とは一体何ぞやということをちょっと伺いたいのです。
  169. 大蔵公雄

    大蔵説明員 先生おっしゃいましたように、政府保証債とは何ぞやという法律的な規定はないかと思います。したがいまして、私どもの解釈といたしましては、その債務の支払いに関しまして政府が保証をしている債券を通例政府保証債、こう呼んでいるということになっております。
  170. 堀昌雄

    ○堀委員 そこでその債務について政府が保証しなければならぬという積極的な理由は何でしょうか。
  171. 大蔵公雄

    大蔵説明員 民間から調達をいたしました資金の支払いに関しまして、やはりその財源に関する信用度を高めるということのために、裏に政府がついているということによって民間におきまする消化を円滑に行なうということが一つの大きな目的ではないかと思います。
  172. 堀昌雄

    ○堀委員 私も、いまお答えのように、債券を発行する場合に政府の保証があることが、かつては日本銀行の適格担保の条件であったこともあったように思いますし、いろいろなことでそういう意味ではたいへん役立つというように考えておるわけでありますけれども、現在政府関係機関が出しておる債券の中には、政府保証債になるものと政府保証債にならないものがありますね。これは何らか理由があって、政府関係のものが出すものに政府の保証をつけるのと、つけないのが生じておるわけですが、これの理由はどういうところで区別をするのでしょうか。
  173. 大蔵公雄

    大蔵説明員 御指摘のように、現在各政府関係機関、たとえば国鉄であるとか電電公社であるとか、こういったようなところが民間から資金を調達をいたします際に、政府保証がついている債券と政府保証がついておりません債券と、いろいろの債券、縁故債もございますし、各金融機関が引き受けるどころの特別債もございますし、いろいろな種類がございます。これらの債券が発行されますについてのいきさつに関しましては、個々の具体的な機関によりましてそれぞれの理由がございますけれども、こういうものに対しましては政府保証をつける、あるいはこういうものに対しましては政府保証はつけないというはっきりした明確なる理由はないと思います。ただし、やはり現実の問題といたしましては、世間に対しましてその知名度であるとかあるいは信用度であるとかいう点からいたしまして、発行する機関の性格によりまして、政府保証をつけなくても、いわゆる債券を発行いたしましても必要なる資金民間から調達し得る能力がある機関、こういうものは政府保証のない債券を発行することによって資金を調達しているものがございます。ただし、その機関が必要といたしますところの全額を政府保証のない債券で調達をし得るかと申しますと、やはりその裏に政府の保証がついている債券も同時に発行いたしますことによって、その機関というものに対する信用が、これは具体的な信用ではございませんけれども、要するに、無形の信用と申しますか、そういったようなものがつくので、各発行機関のほうで少なくとも一部政府保証をつけてほしいというような要請もございます。そういった経過からいたしまして、政府保証がついている債券、ついていない債券、こういうことによって民間から資金を調達している機関は、電電公社なり国鉄なり、そういったものの場合においてはあるわけでございます。
  174. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの御答弁を聞いておりますと、極端な言い方をすると、かなり懇意的に政府保証を幾らにしよう、あとの特別債を幾らにする、縁故債を幾らにする、公募債を幾らにする、こういうことになりかねない感じがするわけであります。私はいまちょっと、特に政府保証債というものの性格というものが法律的にも明記をされていないし、さっきおっしゃったような債務の履行について政府が保証することによって信用度を高めると、こうあるわけですが、言うなれば政府の関係機関でありますから、債務を履行できなくなるという場合に、もし政府の保証債でなくて債務が履行できなくなったというときに、政府関係機関についての責任というのは政府にあるのかないのか、そこはどうなりますか。
  175. 大蔵公雄

    大蔵説明員 法律的には政府関係機関、いわゆる国鉄なら国鉄、電電公社なら電電公社の発行しております債務の履行につきまして、要するに支払い不能という事態が、かりに起こったといたしました場合には、法律的には政府の保証がついておりませんものに関しましては政府に関しては責任はないと思いますが、実際問題といたしましては、その際には政府は何らかの方策によってこれに対して責任のある行動をとらざるを得ないというのが実態ではないかと思います。  それからもう一つ、ちょっとつけ加えさせていただきますけれども政府保証のついております債券とそれから政府保証がついておりませんところの債券の発行の方法と申しますか、これは現実問題といたしまして若干違うわけでございます。御承知のように、政府保証のついておりますいわゆる政保債の発行につきましては、政府が、具体的には理財局が、国債と同様に政保債あるいは国債の引き受けシンジケート団と話をいたしまして、その当該年度において発行し、あるいは引き受けてもらう金額を話し合いをいたしましてそれを各発行機関に対して私どものほうで割り振るという問題がございますし、政府保証がついておりません債券となりますと、発行団体それ自体がみずから金融機関と話し合いをいたしまして、一体幾ら発行し得るかという話し合いを進める、そういう差がございます。
  176. 堀昌雄

    ○堀委員 政府保証債というものが確かに政府の保証によって信用度が高いわけですが、いやしくも国の関係機関が出した債券が何かのことによって債務の履行が困難になったというときに、国民に、法的にはそこのところの保証はありませんけれども、少なくとも国の関係機関が出したものが紙になるということでは私は国自身の信用に関することになりますから、当然いま理財局でお答えのように、何らかの方法によってそれらの国民の受ける被害に対して対処しなければならぬというのが、私は本来の国としてのあり方だろう、その点はそう思います。ですから、そのことは政府関係機関が出す債券というものの性格は、政府保証債であろうとなかろうと、いまの取り扱い上に区別がいろいろあるけれども、結果的にはそんなに大きな差はない。差の起きておることは、もしこれを一般公募にするとか縁故債の形にするときには、金利その他の発行条件の問題に多少差がつく。  要するに、政府保証債というものは、国債のないときには、もう唯一の国が出しておる債券ということになっていたわけでありますから、さっきお話しのようなシンジケートをつくって割り当てる、私はこれは本来筋道ではないと思っているのです。シンジケートをつくって割り当てているいまのやり方というのは、これはこれだけ金融緩慢になって、債券の状態が変わってくれば別ですが、これまで金融がタイトであったときには、そのシンジケートに参加しておるものが、すべてが好んであれしたかどうかという点については多少問題があるやり方であるわけですけれども、そういうことであるならば、私は今日金融が緩慢になってきた状態に即して、できるだけ政府保証債というものは減らしたほうがいいのではないか。そうしてできるだけ、企業が一般的な公募で債券を発行し得る条件がある以上は、私は政府保証債という名前で、どちらかといえば安い金利で発行できる道を特にそういう形でつけなくても、いずれもかなりな企業体でありますから、一般公募の形で、言うなれば、やや事業債的発想のもとにこの処置をしても十分消化が可能な条件であるというふうに考えておるのです。  ですから、たとえば国鉄のような場合ですね。現在たいへん経理状況が悪い。一般的な感じからしてもどうも国鉄の経理内容については不安が持たれておる、こういうようなものについては、これはやはり市場性の問題その他から見ても政府保証債をできるだけ充当するのが政策的にも正しい、こう思うのですけれども、たとえば電電のように、独占企業であって、データ通信その他の情報化時代を迎えるにあたっての、要するに主力産業としての、戦略産業としての立場にあるような企業については、その分も含めて、国鉄のように問題のあるほうに政府保証債を引き当てて、そういうところは自力で処理ができるような道を開くことのほうが、この政府保証債の取り扱いの問題としては筋ではないか、こういうふうな感じがするのでありますけれども、理財局、その点はいかがでしょうか。
  177. 大蔵公雄

    大蔵説明員 一般的な問題といたしまして、私どもも先生御指摘のような感じは持っております。ただ問題は、政府の保証——たとえば電電公社のごとき知名度の点におきましても、信用度の点におきましても、また過去におきまして債券を発行するという業務に比較的習熟しております機関の場合には、いわゆる政府保証のついていない公募債というものを出すということが非常に適当な時期であるという判断のもとに、御高承のように本年度から新しく政府保証のついていない公募債というものの発行を電電公社に対してやらせるということにいたしておるわけでございますが、その他現在政府保証債を発行しております他のいわゆる機関につきましては、今日まで国鉄を除きましては自分で債券を発行するという仕事をやっておりませんし、なかなかやはり徐々に、かりにこういう金融情勢が相当長い期間続く、かつ各政府関係機関の力と申しますものがついてくるに従いまして、そういう方向でものごとを考えていくという基本的な姿勢は一つのとるべき態度ではないかと考えております。
  178. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、さっき開発銀行について触れましたのも、要するに財政資金というものには限りがあります。この財政資金をいかに効率的に運用するかということは、やはり現在の財政投融資の中で非常に重要なファクターだと私は思っておりますし、同時にたとえば開銀なんかの場合でも、幸いにして資本金あるいは利益剰余金といいますか、そういうものの内部資本がわりにあるために、この間も伺ったら、五%台のコストのがあるというようなところは、私はやはりこの際いまですと、十年の債券を出されてもそんなに高いコストはかからないから、そんなにいまの、全体が五・一%でありましたか、幾らのコストということなら、それを少しまぜても十分処理ができることになるのじゃないか。そうすれば、それは国庫納付金は減るかもしれませんけれども、国庫納付金が減ったにしたところで、それから生じてきた財政資金の余分のものはより効率の高いところで、実際には出資その他が十分にいっていないところに持っていくほうが、財政投融資における財政資金の効率的運用ということになってくるのではないか、そのことはやはりいまの電電公社のように、もう私はこれは政府保証債は必要がない、こう見ておるわけです。この前、電電公社がアメリカで外債を発行したときにも、アメリカにおける評価は、政府の機関だからということではなしに、電電公社という企業に対する信頼というものが、アメリカにおける電電債の発行に非常に有利に働いた、こう理解しているわけです。  それらの点からは、開発銀行を含めてやはり今後少し金融緩慢の状態がどうなるか、これはわかりませんけれども、しかし、私はしばらくは金融緩慢の状態が続くだろうという見通しに立っておるわけであります。日本銀行の短期経済観測を見ましても、昭和四十七年度の設備投資は、工事ベースでは昨年に比べて二・八%減、支払いベースで六・三%減、大体これまでは工事ベースはともかく、支払いベースというのは過去からの押せ押せで残ってきておるので、なかなか設備投資の支払いベースが減るというようなことは考えられなかったわけでありますが、ここ二年続きのこういう設備投資の低調な状態が続いておれば、当然過去における支払いも終わってきて、ようやくここへ来てみると、支払いベースのほうがかえって工事ベースよりも減が大きくなるという日本銀行の短期経済観測が出てきておることから見ても、私は当分日本の場合に、この前も申し上げましたけれども、大型の企業の設備投資が非常に活発になるなどということは、ちょっと考えられない。同時にそれでは外為会計のほうで非常にこれが揚げ超になるという情勢に急になるかといえば、これもなかなかいまの情勢からしてそう簡単に期待できないということになると、やはり金融緩慢というのはしばらく続くと見るのが正しいのではないか。そうなると、この際やはりその新しい体制に応じた債券発行のあり方というものは考えられていいのじゃないかと思うのです。  証券局にちょっとお伺いをいたしますけれども、たいへんいま品がすれになってきて、十年の電電債ですら流通金利が七%を割るという状態に大体来ておるように思うのですけれども、この場合にしかしやはり債券、公社債の問題としてひとつ考えなければならないのは、これは私もここで何回か申してきましたけれども、やはりある程度ロットを大きくすることと期間が長くなるということが公社債市場の中で求められておる一つの問題点だと考えております。ところがなかなかそうロットが大きくといっても、事業会社その他でも現在はなかなかそういうあれができないけれども、幸いにして電電公社というものは非常に多くの債券を発行できるわけですから、そういうところが特にこれまで縁故債その他のほうは七年を出して、加入者債券は十年を出しておる、こうなっておるのですが、当然そこは十年のこれまでの加入者債券と同じようなものをかなりのロットで市場に出すということは、私はいまの債券市場問題としてはかなり有効な、いい影響を市場に与えるし、同時にそのことは電電公社の資金調達においても将来に新しい道を開くという意味ではたいへん好もしいことだというふうに思うのですけれども、証券局に聞くが、そこらの債券発行の今後の望ましい姿、それについてはどう考えておるか、お答え願いたい。
  179. 大谷邦夫

    ○大谷説明員 ただいまお話しのように、流通市場を考えますと、何といいましてもロットが大きいということが一つ前提だろうと思います。かつまた資金の調達の側からしますと、長期の設備資金等であればなるべく資金の長いほうがよろしかろう。その意味におきまして、ロットが大きく、期間が長くなることは非常に市場のために好ましいと思われます。かつまた現在の金融情勢からいたしますと、相当受け入れ能力があるわけでございます。それが長期にわたっては何とも申しかねますが、目先のことを考えれば、ある程度の受け入れの力があります。その場合には電電債というのは一つの有力な候補になるであろうかと思っております。
  180. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっとあとの問題もありますから、もう一言伺ってこの問題を終わっておきたいと思うのですけれども、私は債券というものの性格は本来が公募であるというのが原則だ。これは国債でも市中消化を原則とする、こういう表現を使われておるのでありますから、債券の発行というのは、これは民間なら当然公募でありますけれども政府及び政府関係機関であっても、本来筋道としては私は公募が原則だ、こう思いますが、これは理財局、証券局どういうふうにお考えですか、お答えを願いたいと思います。
  181. 大谷邦夫

    ○大谷説明員 受け入れサイドの市場側から考えますと、そのほうが好ましいと考えますが、ただ公募しない場合、どういう理由から公募にしないか、そういうこともあわせ考える必要があるものと思います。
  182. 堀昌雄

    ○堀委員 それはいいのです。原則だけ。
  183. 大谷邦夫

    ○大谷説明員 一般論としてはそのほうが望ましかろうと考えます。
  184. 大蔵公雄

    大蔵説明員 一般原則といたしましては、証券局と意見は相違はございませんです。
  185. 堀昌雄

    ○堀委員 要するに、この問題は明日逓信委員会で問題にするわけでありますけれども、原則は公募がたてまえということは、私はこれはもう債券発行の、これは経済原則としてそのとおりだと思います。ただ公募をしたくても金融情勢その他からその企業が期待をする金利で公募が行なえない場合、そうしてそのことが資金調達が国民的な一つ政策目的としてどうしてもやむを得ないという場合に、問題は次善の策として立法その他によってある程度強制的に債券を国民に持たせるというのが私は第二段における公募と加入者債券といういうようなものの関係が生じてくる一つの理由になるのだ、こう思っているわけですね。ですから、そのことは本来は公募が原則だけれども資金調達上の客観情勢に基づいてやむを得ず国民に強制をして債券を持たせる。ところがもし強制をしなくても公募で行なえる情勢が開けてくるならば、できるだけそれらの問題は公募で処理をして強制する部分をはずしていくというのが、いまの二つの原則からすれば当然の論理的な帰結だ、こう考えるわけでありますが、それについてはどう考えるか、ちょっと証券局、理財局で答えていただきたいと思います。
  186. 大蔵公雄

    大蔵説明員 ただいまの先生の御質問は、電電公社の加入者債券に関しての問題でございますか。
  187. 堀昌雄

    ○堀委員 電電債という個別問題じゃないのですけれども、要するにいま原理原則の話をしているわけですから、具体的に言えば電電加入者債券になりますが、そういう個別問題とは離れて、債券を国民に強制的に持たす場合はいまの電電加入者債券のようなものなんですね。だけれども、この加入者債券を持たすということは公募ができないという条件との関連でこうなっているわけだから、原則は公募ですから、公募ができるにつれて、まあこれまでですと公募はこのぐらいで強制がこうだ、こっちでこれだけどんどんできるのだから、当然これはこっちを下げていいではないかということですね。その下げる範囲というのは、公募が可能な範囲ですね。公募が可能な範囲はこちらを下げることが可能になる。だから原則が生きてくる。ただしかし、また金融情勢が変わって公募ができなくなってくると、当然今度は原則でないほうのエクスキューズのほうが生きてくる、こういうことになるというのが経済的な原理からした要するに公募と強制割り当てというものの性格ではないのかという論理の質問をいま伺っているわけです。
  188. 大蔵公雄

    大蔵説明員 先生の御質問はよくわかりましたけれども、私は債券発行の問題それ自体資金調達の方法のごく一般的な原則論から申しますと先生のおっしゃるとおりだと思いますが、ただ電話加入者債券という特定の事柄、すなわち一方において非常にその需要があり、それに対して需要に応ずるためには相当多額の資金を調達をしなくてはならない、しかも電話という特殊な性格からいたしまして、個人的な受益の対象がほかの公益事業に比較いたしまして非常にはっきりしているものが対象である、こういったようなもので、強制割り当てと申しますけれども、いわゆるそういう制度を前提とした需要が、電話をつけるためにはその債券を引き受けなくてはつかないんだという制度を前提とした需要が非常に強い、こういう背景が電話の場合にはあるわけでございまして、こういったことからいたしますと、一般的にはまさしく先生のおっしゃる原則だと思いますが、この制度それ自体に関しましては、いますぐにこういう制度を実行できるかどうかという問題に関しては、また別の判断も加えざるを得ないということではないかと思います。
  189. 堀昌雄

    ○堀委員 電電債の具体的な問題は明日逓信委員会で聞くつもりなんです。きょうは要するに、ここは大蔵委員会ですから債券論をやっているわけです。ですから、債券一般論としてはいま私が申し上げたように公募ができる範囲は強制する部分を減らす、公募ができなくなったらその分だけ要するにある一つの企業の資金調達の計画としての一定のワクがある、その中で二つのバランスがとれているわけでしょうから、これまではゼロであったけれども、電電公社に例をとれば公募債というものを考えよう、それは客観情勢の変化があるからそういうことが出てきているわけだから、その客観情勢の変化が長く続いてくれば、よりこちらで債券が消化できるにもかかわらず、その全体としての債券市場をにらんでなお消化余力があるにもかかわらずそちらにしないで片方で強制のほうでするというのは債券発行論理からするとおかしい、こういうことを大蔵委員会ですから債券発行論としてきょうは議論をしておるわけなんで、その点は同じだとおっしゃったので、そこまでで本日の債券発行の議論は終わって、あとの具体論は明日の逓信委員会でやる、こういうことになるわけであります。  その点、以上で終わりますので、証券局と理財局はけっこうです。  開発銀行総裁にお伺いをいたしますが、昭和四十三年でありますか四十二年でありますか、阪九フェリーという会社が設立をされて、開発銀行がここに融資をされておるという事実があると思います。この融資に関して、開発銀行から出向者がこの会社に出向をされたように聞いておるのでありますが、ちょっとその経過について開発銀行からお答えをいただきたいと思います。
  190. 石原周夫

    石原説明員 昭和四十三年の十一月十五日に当行を退職いたしまして、いまおっしゃいました阪九フェリーに——ちょっと時間が前後しますので、こういうことを申し上げます。四十三年の五月の二十五日に出向でまだ身分を保有いたしまして阪九フェリーの会社に参りまして、その後に常務取締役になった人間がおるわけであります。
  191. 堀昌雄

    ○堀委員 これは出向したのは何日ですか、始まりは。
  192. 石原周夫

    石原説明員 失礼いたしました。五月一日付をもって同社の総務部長に出向いたしました。五月二十五日に依然として出向の身分のままで常務取締役になり、先ほど申し上げました十一月十五日に本行を退職いたした、こういうことでございます。
  193. 堀昌雄

    ○堀委員 政務次官、実はこの前私、出資の問題を取り上げて、開発銀行がこれから出資をする際に開発銀行からいわゆる天下り的に人が派遣をされることについては厳に慎んでもらいたい、原則としてそういうことのないようにしたいという政務次官の御答弁をいただいておるわけですが、私はそのときには出向はいいです、こう言っているわけですね。出向というのはあるところへある銀行から人が行って、そしてその関係会社の監督なり指導なりを行なう、また帰ってくるというのが私は出向ということばの内容だと思うのですね。出っぱなしというのは出向と言わないんだろうと思うのですね。政務次官、その点いかがでございますか。出向というのは本来行って帰ってくるものが出向だと思いますが、いかがでしょうか。
  194. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 そのとおりだと思います。
  195. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、出向しておる者がその会社の総務部長になることはこれはかまいません。出向中の業務を遂行するための役職ですから、それはかまいません。ところが、出向中にその会社の役員である常務取締役に就任するということはこれは会社の役員になることですね。職員としての出向はあり得ても、その会社に役員を送りつけるということは、これはもうその時点で出向ではなくなっておるのではないかと思うのですが、この点について政務次官、どうお考えでしょうか。
  196. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 そのとおりだと思います。
  197. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、政府機関である開発銀行が、自分の銀行から出向中の者が常務取締役に就任することについて何らかの照会を受けたのか、もし照会を受けたならばその会社の役員となることについて、出向者がなることが適当であると判断をして認めたのかどうか、この点についての見解を開発銀行にお伺いいたします。
  198. 石原周夫

    石原説明員 先ほど政務次官がお答えになりましたとおり、出向というのは原則として職員であって、役員になる者は出向扱いでなくなるというのが原則であろうと思います。ただ、これはほかの例を民間銀行の場合などをごらんになってもそうかと思うわけでありますが、私どもの場合にも例外的には役員であってしかも出向である。しかもこれはある程度の期限をつけて帰すという前提、その後の情勢で帰らないことになったということもございます。そういうこともございますが、ただそういうようなケースがあるということを私は申し上げておりますので。ただ、この場合におきましては十一月十五日と五月二十五日、ちょうど半年ほどの時間がございますが、この場合はむしろ何らかの事務的手続の関係がありまして、私も時期のことをいま正確に覚えておりませんけれども、そのためにおくれたので、私が申し上げたような出向でしかも役員でいくということが例外的にはあり得るのだという例として申し上げたわけではございません。ただ堀委員お話がそうだったものでございますから、私ども少なくとも原則として役員になりますときには退職をして出向を解くということにいたしております。
  199. 堀昌雄

    ○堀委員 私はいまこの問題が内部的事情がいかようにあったか知りません。しかし、五月一日に総務部長で出向した者が五月二十五日に常務取締役になったということは私は偶然でも何でもないと思うのですね。当然何らかのそこらの取りきめがあったのではないか。それが十一月十五日でありますか、退職したということでありますが、開発銀行の出向ということは身分は開発銀行の職員なんでしょうね。行きっぱなしではなく出向ですからね。出向は帰ってくる場合もあるのですから、身分は断続的ではなくて開発銀行の職員である。それがある一つの企業へ行ってそこの業務を兼務するというこういう業務上の兼務であるべきであって、本来特に政府関係機関の人の場合は退職金その他のいろいろな関係もあるでしょうから、出向というのは本来的に開発銀行の職員身分だと思うのですが、その点はいかがなんでしょうか。
  200. 石原周夫

    石原説明員 出向というのは身分が残っておりまするから、したがって、おっしゃいますように退職金の関係その他通算をいたすということであると思います。その点はおっしゃるとおりでございます。ただ先ほど来申し上げておりまするように、先方の希望で、ある期間でいいから人をくれという場合がございます。そういう場合に役員で出向をいたしまするケースがございます。そういう場合におきましては通算はいたす。しかしもともと三年で帰ってくる、あるいは四年で帰ってくる、まあ二期やれば帰ってくるというようなケースもございますから、堀委員のおっしゃるように非常にそこが、けじめが非常にはっきりしているというわけではないのです。原則は全くおっしゃるとおりであります。
  201. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの役員で出向するときは初めから役員としていくということになっているのじゃないですか。もちろん取り扱い上ですよ。向こうの取締役会の時期によりまして役員として出向することにきまっていたけれども、それは初めは役員でなかった、取締役会の時期に役員になった、これはあると思うのです。いまのこのケースは初めから役員として出向させるということであったのでしょうか、これは単なる出向だったのでしょうか、どちらでしょうか。
  202. 石原周夫

    石原説明員 いま私、この場所でどちらだったかということはお答えしがたいわけでございますが、堀委員の御指摘のように、総務部長になりました時期と常務取締役になりました時期と非常に接近をいたしておりまするから、私はそういう意味では最初からそういうような含みであったかというように推測をいたしますけれども、具体的事実を確かめてお答えをいたしたわけではございません。
  203. 堀昌雄

    ○堀委員 この問題はきわめて重要でありますから、再度ひとつ質問をさしていただきますので、具体的事実を明らかにしてお答えをいただきたいと思うのであります。  そこで私は、非常に疑義を持ちましたのは、もう一つ実は内部からこういう話を聞いておりますので、お調べを願いたいわけであります。当時この阪九フェリーという会社は創立間もなくの会社でありましたので、社長、専務等の代表権を持っておりました役員も、給与については会社草創のときでもあるのでできるだけ会社に負担をかけたくないということで低い給与を取っておった。ところが、私が聞いたところによると、開発銀行からの出向者については年収三百万円で取り扱ってもらいたいという条件がついてきた。そこで、開発銀行から多額の融資を得てこの会社がフェリーボートの建造を行なうという事情にあったので、当時の社長、専務よりも高い給与をもって開発銀行の出向者を迎えましたというふうに聞いておるわけであります。四十三年五月当時における会社の社長、専務の給与は一体いかようであったのか、ひとつこれを調査をして御報告をいただきたいと思うのです。もしこれが事実であるとするならばたいへんなことだと私は思うのです。開発銀行の出向者が、その出向を受ける会社の最高の給与を受け取るべかりし社長及び専務、代表権を持つ者よりも高い給与でそこに出向したということであるならば、これは私は、政府関係機関として許すべからざる重大な問題だと考えるわけでありまして、この点はひとつ精細な調査をして当委員会に御報告をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  204. 石原周夫

    石原説明員 御指摘の点は精細に調査をいたしまして御報告を申し上げますが、一言おことばを返すようでございますが申し上げておきますが、新設会社の場合に、これは私どものほうから出ます場合以外でもそうだと思うのでございますが、給与の目安というものがありまして、それには一体その人は前機関においてどの程度の収入があったかということが一つの目安であろうかと思います。そのままで行く場合もございますが、そうでない場合もございましょう。したがいまして私どものほうは、この具体的な場合につきましては精査した上で申し上げますが、当然年収が幾らであったかということはお伝えをしてあると思います。それが新しい会社側において一つの目安にかるということであろうかと思います。  それから、第二に申し上げておきたいのは、社長、専務との給与の差でございますが、これも調べました上で申し上げますが、やや一般論を申し上げるという意味でお聞き取りをいただきたい。それは、この場合はおそらくそうだったと思いますが、新設会社の社長になられる方はしばしばほかの会社を兼務しておられる場合が多いわけであります。したがいまして、そのほうで相当な給与を得ておられます場合には、いま堀委員から御指摘がございましたように、新設会社でございますので、このほうからもらう分は少なくていいという場合があるかと思うわけでございます。はたしてそういうことでありますかどうか精査した上で申し上げますけれども、したがいましてそういう場合には、一カ所にいわばフルタイムで働いておりまする者と、それからたまたま他に兼務しておられて収入がある場合には、一番極端な場合には、これはいまの会社と全然関係がございませんけれども、一般論として申し上げますと、社長や会長で無給であるという場合があるわけでございまして、やはりそこ一カ所に収入を依存しております場合とそうでない場合とは差がある。原則としては、おっしゃいますように社長、専務に比べて常務のほうが給料が多いというのは、これはまさに異例であって、あるいは許すべからざることかもしれません。ただしかしながら、いまのような特殊な条件のもとにおきましてはそういう場合もあるいはあり得る、こう思いますので、とりあえずそのことだけ申し上げまして、いずれ精査した上でお答え申し上げます。
  205. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと伺いますが、開発銀行の給与というのは、私もよくわからないのですけれども、支店考査役という者の一般的な給与は月額大体幾らですか。年収幾らですか。——一般論としてでけっこうです。
  206. 石原周夫

    石原説明員 ちょっと覚えておりませんので、これも精査した上で申し上げます。
  207. 堀昌雄

    ○堀委員 理事の給料というのは幾らですか。(「総裁の給与を聞けよ」と呼ぶ者あり)総裁はちょっと別なので、理事の給与だけ……。
  208. 石原周夫

    石原説明員 一つ申し上げておきますが、新設会社の場合には賞与というものがないわけであります。それは、いきなり営業成績が非常にいいというものもございますけれども……。したがいまして、私どもが幾らもらっているかということを申し上げまするのは、これは期末手当とかそれ以外を含めました、いわゆる月収というものではございませんで、したがって総額で幾らである、こういうことでございまするから、この次に申し上げます考査役は幾らであったかというようなことにつきましては、その意味でお聞き取りを願いたいということでございます。
  209. 堀昌雄

    ○堀委員 開発銀行といったらたいへん行き届いたところで、人間を出向させるときには、新設会社の場合にはボーナスがないから、ボーナスを含めた基準給与で派遣をする、そうすると当然、会社が少しよくなってくれば、これは基準給与でしょうから、それにプラス、ボーナスがついて、たちまち役員としてはたいへんいい給与の待遇を受けるようになる。ひがみかもわかりませんけれども、いまの御答弁を聞いておりますとそういう感じがいたすわけであります。  そこでお伺いをいたしたいのは、開発銀行ができましてから今日まで、職員として退職をされた方は一体何名で、そうしてたとえば興業銀行、日本銀行等から本行に出向で来てそこへまた帰られた方が何名、それから企業に就職をしておられない人が何名、企業に就職をした人が何名、企業に就職をした人の中で開発銀行融資をしておる企業に就職をした人が何名で、過去において融資の関係のなかった企業に就職をしておられる方が何名か、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  210. 石原周夫

    石原説明員 いま手元に資料がございませんので、精査いたしました上で、そのときに申し上げます。
  211. 堀昌雄

    ○堀委員 いずれも精査をしてから御答弁のようでありますので、私の質問はこれから前に進めません。委員長、いかがいたしましょうか。
  212. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  213. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 速記をつけてください。  石原開銀総裁
  214. 石原周夫

    石原説明員 四十七年三月末現在で調べました数字でございますが、退職者、これは次長あるいは次長に該当する職以上の者、役員で二十八名、職員で九十名、合計百十八名。そのうち向こうから派遣せられた、役所でありますとか銀行でありますが、そういうところから派遣をせられた者で帰った人が役員で二十二名、職員で二十三名、合計四十五名。それに対しまして当行融資先の会社に参りました者、役員で五名、職員で四十五名、合計五十名。それから就職してない者が役員で一名、職員で一名、合計二名、その差は多少あると思いますが、融資の関係のない企業に就職いたしております。いま堀委員から御要求のありました数字を申し上げました。
  215. 堀昌雄

    ○堀委員 就職していない者が職員が一名というのは、やや正確でないんではないでしょうか。
  216. 石原周夫

    石原説明員 失礼いたしました。三名であります。
  217. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、これだけではちょっとわかりにくいんですが、職員は退職者が何名でしょうか。
  218. 石原周夫

    石原説明員 職員の退職者は九十名であります。
  219. 堀昌雄

    ○堀委員 職員の退職者が九十名、それからいまの出向で帰られた方が二十三名、就職していない方が三名、合わせて二十六名になりますね。ですから二十六名ということを差し引きますと、これは六十四名が要するに就職をした、こういうことでありますね。六十四名が就職をして、その中で関連企業へ行かれた者が四十五名と、こういうことのようですが、これは私ちょっと最初に申し上げたように、融資残のある会社以外にも、要するに過去に融資をしたことのある会社というのがほかにあるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  220. 石原周夫

    石原説明員 一社ございます。
  221. 堀昌雄

    ○堀委員 そういたしますと、要するに六十四名中四十六名が融資先に就職をした、こういうことになりますね。
  222. 石原周夫

    石原説明員 ちょっと正確に時点を調べてみないとわかりませんが、就職をした時期にはまだ融資残が残っていたかと思いますから、それで一名と申し上げましたが、あるいはそのときに融資がなくなっておったかどうか、ちょっとそれを確かめてみます。
  223. 堀昌雄

    ○堀委員 大体開発銀行から退職をして企業に就職をされた方は六十四名あります。そして、いまのお話の正確でないのを除けば、四十五名は融資残のある融資先企業に就職をした。これは割合として見ると、約七割を少しこえるわけですね。一体これ、民間はさておき、大蔵省でずいぶん退職をされておると思うのですが、いろいろ問題になる天下り問題というのでも、七〇%も問題になる天下りといわれるような人がいるかどうか、これはちょっと官房の人か秘書課長がいなきゃわからぬでしょうが、近藤さん、前に秘書課長もしておられたことがあるわけですから、感じとしてはどんなものでしょうかね、大蔵省の場合ですと。
  224. 近藤道生

    近藤政府委員 公務員規則の関連もございますので、ただいまお述べになりましたような率にはならないかと存じます。
  225. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、実はこの間政務次官に、出資をしたものに就職をする場合にも原則としてはそういうことのないようにしたいんだという御答弁をいただき、その時点では私は、このような形で開発銀行融資先に就職をしているなどとは毛頭思っていなかったんです。たまたま調査をいたしております中からその事態が明らかになって、私も実はたいへんに驚いているわけであります。もちろん開発銀行総裁は、この前もお話しになりましたように、国の財政資金融資をしたんだから、それが適切に運営されるために一つ開発銀行としての監督が必要だということはわかります。しかしその監督は、人間を入れなければ監督ができないというのならば、私は開発銀行としては怠慢のそしりを免れないのではないか、それが一点。  第二点は、出向者をもって措置すれば十分足りるところに、ともかくかようにたくさんの関連企業に地位を利用して押し込んだ就職のような感じがしてならないのであります。私が、その端緒となった阪九フェリーの問題について聞いておりますところでも、阪九フェリー側としてはさっき申し上げたように、三百万円の給与でこの人をとりなさいと言われて、これを断わればあと開発銀行融資については非常に困難があると思う。当時この阪九フェリーは、日本興業銀行に対して人の派遣を依頼をしておったけれども開発銀行からの申し入れによって興銀からの派遣を断わって、開発銀行からの人を受け入れたというふうに実は聞いておるわけであります。  この阪九フェリーというのは、協調融資はどことどこでしょうか、ちょっとお答えをいただきます。
  226. 石原周夫

    石原説明員 長期信用銀行、三井銀行、商工中金、興銀というわけであります。   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
  227. 堀昌雄

    ○堀委員 やはり興銀が協調融資の中に入っておるようでありますから、話の経過としては符合するものだと思うのでありますけれども、私はこの際ちょっと資料を当委員会に——当委員会というのが適切でなければ理事会でもけっこうでありますが、御提出をいただきたいと思うのであります。それは先ほどの問題にも関連をいたしまして、これらの四十五名の方が出向なり就職をされた時期、その企業に対する融資金額、融資の時期、その後の融資の経過、さらにいま問題になりました、その企業に就職をされたときの給与、開発銀行において受けておられた給与との関係、これらを四十五名について精細な資料を当大蔵委員会の理事会にひとつ御提出をいただきたいと思います。  本日私の質問はここまでにさせていただきますが、私はこのような開発銀行が行なっておられる就職のあり方については、きわめて問題があると考えておるわけでありますから、これらの取り扱いについては以後大蔵委員会の理事会において、ただいま私が要求をいたしました資料が提出をされました時点で、理事会においてひとつ協議の上、委員長において何らかの大蔵委員会としての考え方をきめていただいて、大蔵省を通じて開発銀行指導をされるように希望をいたしたいと思いますが、いかがでございますか、委員長の見解をお伺いいたします。
  228. 山下元利

    ○山下(元)委員長代理 資料の提出を待って、理事会において協議の上善処いたしたいと思います。
  229. 堀昌雄

    ○堀委員 政務次官、そこでいまここまで参りましたことについて、これはやはり監督官庁である大蔵省の政務次官としてどのようにお感じになり、以後資料の提出を求めて、理事会等においても、これらの問題の取り扱いについて検討をいただき、院としての考え方は、院として政府に対して申し入れをしていただくということにいたしますけれども大蔵省の責任者として、この問題についての見解を承りたいと思います。
  230. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 憲法によって就職の自由ということはありますので、その点は考えなければいけませんが、ただ、いま堀委員の御指摘のように、監督すべき立場の者が出向したり、その地位を利用して就職をしたということが現実的にあるならばこれは問題でございますし、当委員会の問題とともに十分問題になり得るというふうに思います。
  231. 堀昌雄

    ○堀委員 委員会として、これについての対処もお願いいたしますが、あわせて大蔵省としてもこれらについてはひとつ監督官庁として十分精査の上、必要にして十分な指導を行なっていただきたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
  232. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 堀委員趣旨のとおりにしたいと思います。
  233. 堀昌雄

    ○堀委員 それでは、私の質問は、一応資料はまだあとに残っておりますから、ここまでで保留をさせていただきたいと思います。   〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
  234. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 竹本孫一君。
  235. 竹本孫一

    ○竹本委員 簡単明瞭に御答弁を願います。  開発銀行の発展の歴史の中で、それぞれの段階において融資先の重点があると思うのですね。その段階ごとの重点の変遷はどうであったか、そのことについてお答えいただきたい。
  236. 石原周夫

    石原説明員 開発銀行ができましてちょうど二十年になるわけでございます。最初の時期には、石炭、鉄鋼、電力、海運、その四つ、いわゆる基幹産業でございます。それに対しまして八割ないし九割の融資をいたした時期もございます。その後に、機械の振興事業、あるいは石油化学でありますとか、いわゆる産業の高度化という時代が出てまいりまして、そういうようなものの融資が大体三十年代の初期くらいからだんだんふえてまいった。それと同時に、昭和三十四年であったと思いますが、先ほど詳細な御質問のありました地域開発、後進地域開発促進法から始まりまして、幾つかの地域開発地方開発というものがそれに加わりましたわけでございます。そのころから三十年代の後半にかけまして、四十年代にわたって今日まで残っておるわけでありますが、開放体制に基づきます産業体制の整備という問題、いわゆる体制整備の融資というものが幾つかの産業政策として伸びていくわけであります。電子計算機も大体このごろから融資を始めているわけであります。そういうような事態になりまして四十年代に入るわけでありますが、四十年代に入りましてからは、一つは国産技術開発というものが四十三年から——その前も若干の金額がございますけれども、大きな項目として取り上げましたのは四十三年からでございます。それと都市開発、この二つが四十年代に入りましてから出てまいりました。公害の問題もそれと関連をいたしまして、やはり金額は少のうございますが前にもございましたけれども、まとまってまいりましたのは四十年代、しかもこの三、四年、こういうことでございます。
  237. 竹本孫一

    ○竹本委員 その場合、いろいろ段階があるわけですけれども、たとえば公害なら公害、その他重点を置いた場合には補完、奨励というような意味でやるということですけれども開発の必要資金におけるシェアはどの程度までめんどうを見ておるのか、一般的でいいです。
  238. 石原周夫

    石原説明員 この前御答弁いたしたと思いますが、三十年代には大体民間設備資金の大体六%、少しこれは古い数字でありますが、これを申し上げておきますが、二十年代から三十年代の最初には、一番多いのは二二%になっておりますが、大体一〇%くらいでございます。それが三十年代に入りまして七%、六%というふうに下がってまいりまして、最近におきましては、これはこの間お答え申し上げた数字でございますが、四十五年におきましては三・九%、こういう数字でございます。
  239. 竹本孫一

    ○竹本委員 いまの三・九というのは、たとえば公害なら公害で必要な資金の三・九の基準の出し方を答えてください。何の何に対して三・九ですか。
  240. 石原周夫

    石原説明員 産業設備資金に対します供給の割合でございます。たとえば民間の株式であるとかあるいは民間の金融であるとか、そういうようなものをみな含めてであります。その全体に対して占めておる割合でございます。
  241. 竹本孫一

    ○竹本委員 それから、時間がないから簡単に聞きますが、民間金融機関、それから政府関係のいろいろの国策金融機関、それとの競合は今後どういうふうに調整されるつもりか、あるいはその必要はないのか、それとの関連において開発銀行日本の将来の金融諸機関の中で、どういうふうに位置づけるというようなお考えであるかということです。
  242. 近藤道生

    近藤政府委員 民間金融機関全体の中で、開発銀行をどういう位置に位置づけるかというお尋ねでございますが、二十二条にもございますように、民間金融機関との競合を避けながら、政府関係機関としてその職能を果たすということでございまして、特に開発銀行の場合におきましては、産業開発を通じて経済社会の発展に寄与する方向で今後貢献をしてまいるということを考えております。
  243. 竹本孫一

    ○竹本委員 ちょっといまの御説明では十分わかりかねるところがあるのですけれども、時間がないからやめておきましょう。  そこで、ついでに銀行局長に、日本にいま種々雑多な金融機関があるわけですけれども、それらの交通整理ですね、開銀の位置づけもその中の一つなんですけれども、そういうものは現状のままでいいのか、交通整理をされる考えであるか。特に最近の金融情勢の中で、いろいろ金融機関の中には困った立場に立っておるものもある。相互にしてもその他の問題にしてもそれからまた農林中金なんかも、これは一応任期が終わることになる。そういう問題も含めて、一体日本金融機関の新しい秩序というものについてどういうお考えであるかということについて伺いたいと思います。
  244. 近藤道生

    近藤政府委員 政府金融機関並びに民間金融機関全体がどういう姿に今後なるべきかということにつきましては、ときおりの金融制度調査会等でも議論が出ているわけでございますが、そのときどきの情勢に応じまして、おのずからそれぞれの金融機関の分野について絶えず再検討が行なわれていかなければならないことは当然でございます。たとえば開発銀行の場合、今回御審議をお願い申し上げておりますように、目的自体から表現が変えられていくというようなことで、全体といたしましては、現在の方向は産業中心から社会開発中心というような方向にウエートが移りつつあることは御高承のとおりでございます。  民間金融機関の各種の分野につきましても、昭和二十年代から三十年代一ぱいを通じまして、いわゆる業務分野の調整ということがはかられまして、戦後の混乱期から脱却して、一応各種の金融機関都市銀行、地方銀行、信託銀行、相互銀行、信用金庫あるいは為替専門銀行というような形で、それぞれの業務分野の調整がはかられたわけでございます。その後、四十年代に入りましてから、金融制度調査会を中心といたしまして新しい観点から業務分野の再調整と申しますか、むしろお互いの間の分野のかきねを低くして相互の乗り入れをはかるという趣旨での検討がなされたわけでございます。  しかしながら、金融組織、金融制度というものは、これも御高承のようにかなり保守的なものでございまして、一朝一夕に急激な変革というものはなかなかむずかしいわけでございますが、ただ新しい時代の要請にこたえながら、政府関係機関の新しい分野あるいは民間金融機関のそれぞれの間のかきねの調整、これらのことが並行して進められていくべきであるというふうに考えております。
  245. 竹本孫一

    ○竹本委員 ちょっと具体的に伺いますが、農林中金の果たしている機能、それは今後は一体どういうことになるのか。それから相互銀行はこれからどういう線に沿って動いていくのか。それからいま問題のある庶民金融、これは一体金融機関の中から——郵便局ではなくて、金融機関自体ではどういうことになるのか。金融の新秩序というかどうか知りませんが、そういう中でいまの三つの問題の位置づけ、お考えを伺っておきたい。
  246. 近藤道生

    近藤政府委員 まず農林金融でございますが、ここで直ちに結論的なことを申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じますのは、実は農政審議会の金融部会におきましていろいろと今後のあり方について御議論が行なわれております。これらの御議論の結果を伺いまして、必要に応じてまた金融制度全体についてその問題を取り上げることになっておりますので、それらの結果を勘案しながら今後のあり方について研究いたしてまいりたい、こう考えております。  それから、庶民金融につきましては、昨年末で全国銀行相互銀行、信用金庫を含めまして大体三兆六千九百億円の消費者信用が行なわれておるわけでございます。これにつきましては、全体としてやはりまだまだ日本金融機関の消費者信用のウエート、シェアは低いわけでございます。いまの数字でも全体の貸し金の中に占めますシェアは五・四%程度でございます。これはたとえばアメリカあたりでありますと消費者信用全体で四十数%というようなことでございますので、今後ますます先進国型の金融秩序ということに相なりますと、どうしてもこの消費者信用のウエートというものは必然的に上がってまいりますし、またそのための制度も整備されていかざるを得ないというふうに考えているわけでございます。  それから、相互銀行につきましては、金融制度調査会の四十二年十月の答申で御高承のとおりの答申がなされておるわけでございまして、情勢の変化によりまして、場合によっては相互制度の部分的な問題につきましては再検討を行なうということに相なっております。  現在のところそういう状況でございまして、そのものずばりこういう方向に向けるのだという御答弁にならないでまことに恐縮でございますが、そういう程度でございます。
  247. 竹本孫一

    ○竹本委員 これに関連して、金融二法ができましたですね。これが、金融のいわゆる再編成というものに今日までのところ一体どの程度役割りを果たしたと評価しておられるか。並びに、よく縦の合同とか横の合同とかいいますが、そういうことについて大蔵省としては特定の方向を持っておられるのか。この二つをお伺いいたします。
  248. 近藤道生

    近藤政府委員 昭和四十三年の六月に金融二法が成立いたしまして以来、今日まで契約ベースで申しまして六十六件の中小金融機関の合併が行なわれております。したがいまして、それ以前の時期に比べますと、金融二法というものが合併、転換には大いに役立ったというふうに考えております。  それから、後段の御質問の、いわゆる横の合併がいいか縦の合併がいいかという問題でございますが、これはそもそも縦の合併ということになりますと、とかくいわゆる弱肉強食という事態を現出しかねない。そういうおそれがあるわけでございます。したがいまして、原則として合併は横の合併が望ましいと考えておりますが、縦の合併が行なわれるという場合におきましては、よほど特殊な事態、いろいろな事態が考えられますが、よほど例外的、特殊的な事態の場合にのみ縦の合併が認めらるべきであろうというふうに考えます。
  249. 竹本孫一

    ○竹本委員 弱肉強食があっては困るからという御配慮、当然と思いますが、それとの関係においてよくいわれる今後の金利の自由化あるいは配当も自由にやらせるということによって——競争原理というものはある意味では弱肉強食ですが、そういう考慮から競争原理については非常にためらいを持っておられるのか。あるいは金融新秩序には、一応この段階で競争原理を導入して積極的にひとつやってみようというお考えなのか。結論だけ……。
  250. 近藤道生

    近藤政府委員 競争原理というものには、金融機関の場合に限界があろうかと存じます。横の合併のほうがいいと考えておりますゆえんのものは、横の関係での競争、これは大いに熾烈であってけっこうでございますが、縦の関係での競争ということになりますと、先ほど申し上げましたような弱肉強食というような事態を生じかねない。その場合に一番困ることになりますのは、たとえば中小金融機関が中小企業に対して行なっておりますサービス、その内容というものは、これは直ちに翌日から大銀行によって置きかえられるような性質のサービスではないということがございますので、その間の競争はむしろ質的なものであるべきである。したがいまして、その質的な競争の基盤が十分熟しまして、もはや縦の間のかきねを取り払っても弱肉強食のおそれがないという事態になりますれば、その間の競争も十二分に行なわるべきである。したがいまして、ずっと将来におきましては、これは縦も横も問わず競争原理が十二分に発揮されるような事態が望ましいわけでございますが、当面の状況におきましてすぐそういう事態を現出するということにはためらいを感じておりますことは、お話しのとおりでございます。
  251. 竹本孫一

    ○竹本委員 この点、いろいろ議論のあるところでありますが、きょうはそれはもうやめます。  そこで、開発銀行総裁にちょっとお伺いしたいのだが、いままでに開発銀行融資されたのは、一体総額で幾らになるかという問題と、その融資がはたして所期の効果、目的を達し得たかということについての検討といいますか、それは一体どういうふうになっておるのか。また、どういう仕組みなり制度なりが考えられて、出した金がほんとうに生きて使われておるのかどうか、そのことについて、経済のエフィシェンシーから見てどうであったかということについてどう評価されておるかということと、どういう評価の仕組みを持っておられるかということを聞きたい。
  252. 石原周夫

    石原説明員 日本開発銀行ができましてからの融資の延べといいますか累計額は三兆三百八十億という金額でございます。これが現在の残で四十六年度末で二兆六百億でございまして、大体それがいまの残になっておるわけでございますから、その差額が償還になったというふうにお考えいただけばいいかと思います。  それから、業績の評価の問題でございますが、これは非常にむずかしい問題だと思いますけれども、私どもが従来、過去に出しましたものにつきましては、たとえば基幹産業の整備にいたしましても、あるいは産業体質の整備にいたしましても、あるいは電算機の融資にいたしましても、機械、電子工業振興にいたしましても、私ども融資だけがもちろん大いに力があるということでは必ずしもないと思いますので、これは全体の政府の政策もございましょうし、いろいろな関係もございましょうから、これだけだということではございませんが、過去にやりました融資につきましては、非常に大ざっぱに申しますれば、ねらいとした目的はできたかと思うのでありますが、ただそれに派生をいたしましていろいろな新しい問題が出てまいっておる。その新しい問題の対処ということに現在差しかかってきているのではなかろうかというのが大体の感じでございます。
  253. 竹本孫一

    ○竹本委員 新しい問題への対処、取り組みももちろん大事ですが、私がいま聞いているのは、融資をされた三兆なら三兆の金がはたして所期の目的に沿っておるかどうか。これは財政投融資全体の効果に対する論議の問題、評価の問題と関連するわけですけれども開発銀行に関していえば、開発銀行融資をされた、それがどの程度効果をあげたのか、あるいは逆にあげなかった場合もあるでしょう、理論的にいえば。あげなかったのかということについて評価する仕組みを持っておられますか。あるいは、あがっただろうと思っておられるだけで、制度としてはそれを検討するチャンスはほとんどないということなのか。こういう機構を通じ、こういうやり方をもって再検討は常にやっておるということになっておるのか。その点を聞いておるのです。
  254. 石原周夫

    石原説明員 私どものほうの融資は非常に多様でございますから、一つの基準で評価をいたすということはむずかしいと思います。たとえば機械工業振興法の融資を相当長い間やってきておりますけれども、これによってどの程度自動車の生産性が上がったか、その部品に関する生産性が上がったか、そういうようなもののトレースはいたしておりまするけれども、それを全部ひっくるめてどういうような効果を判定するかということは、融資が多様であるだけに非常にむずかしい。しかし、おっしゃいますように各個の、たとえば最近新しい融資であります都市開発事業というようなもので、どういうような融資が効果があったか、そこら辺はその効果の判定方法を考えなきゃならぬ。これならば都市開発融資判定ができるという段階にはまだ達していない。せっかく勉強しております。
  255. 竹本孫一

    ○竹本委員 これは政務次官や銀行局長にもう一度お伺いしたいのですが、国民の努力にもよるわけですから、その出された財政投融資、そこから出てくる開発融資がいまおっしゃるとおりですから、多様性があってなかなか簡単にいかないだろうということもよくわかるが、困難であるということと、功罪ともに論議をしないでおるということとは違うと思うのですね。だから私は、それはこういうふうに苦心して、こういうふうにいまやっておると言われるなら納得はできるけれども、多様であるからよくわからないという御答弁ではちょっと納得ができない。したがって、これだけの三兆円の金を出して、どれだけどういうふうに上がったということは、これはいまおっしゃるように判定はむずかしいけれども、しかし常に判定を受けておるのだ、あるいは論議の対象になるのだということ自体でも、心理的にも相当の効果はあるわけです。いわんや制度的にもっと効果あらしめるために、ぼくはやはり何かの反省なりあるいは評価なりというものがあってしかるべきだというふうに思いますが、今後とも開発銀行融資に関しては効果がいろいろ複雑多岐であるから十分の論議はできないという形で通されるつもりか、あるいは何らかのくふうをしてそれに対して評価をやってみるという機構、制度を考えようというお考えであるか、その点についてお二人から伺いたいと思います。
  256. 近藤道生

    近藤政府委員 基本方針の閣議決定に至ります前には、御承知のように各省間でかなり激しい論議をし、また既往の融資につきましての反省、改善事項等についてもかなり議論が出てまいるわけでございます。と申しますのは、常に新規のプロジェクト、そういうものに対する強い資金需要が片方に出てまいりますので、そういたしますと、当然一方において従来よりも金額が減少するものが出てまいります。そのようなことで相当激しい議論になりますので、それらを通じましてただいま竹本委員の御指摘になりましたような論議が行なわれているわけでございますが、なお今後ともそういう点についての議論を大局的見地から十分に尽くしますようにつとめてまいりたいと考えております。
  257. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 開銀法の四十条で監督の権限を政府としては当然持っておるわけで、四十二条では報告の徴取及び検査ということがございますので、そういうものを通じて十分政府としての監督、検査、そういうものをやっていくと同時に、開銀融資が多様性を持っておるといっても、やはり政府としての責任がございますので、そういう観点から今後とも検討いたします。
  258. 竹本孫一

    ○竹本委員 日本では、財政については会計法の違反だけは論議されるけれども、十一兆円の予算ほんとうに経済効率をあげておるかどうかということについては、全面的科学的な再検討は大体ないのですね。あるいは事前に予算の論議でいろいろ議論はしますが、それは政策論議で、ただ政策目的に合目的的にエフィシェンシーをあげているかどうかということについての論議は、決算委員会があるから、それも一つの議論の場であるかもしれないけれども、はなはだ不十分だ。そういう意味で、私が申し上げておるのは、アメリカでフーバー委員会が予算について一ぺん総合的再検討をやったことがあるが、イギリスはロイアルコミッティーがあるが、そういうものを含めて、財政投融資についてもあるいは開銀融資についても総合的科学的な再検討というものがあってしかるべきだ。それから今後の予算のあり方は、これはだれかも言っていたが、PPBSとかなんとかいって、これは事前ですが、事前にも相当科学的な検討をやるべきであるというふうに思いますが、銀行屋さんのことだから特に言うわけですけれども、金を貸した、しかも国策金融機関の貸した金がはたして生かされて使われたかどうかということについて、ぼくはもう少し真剣な取り組みがなさるべきであるというふうに思うので、この点はあらためてまた論議をする機会もあるでしょうから、きょうはあまり言いませんが、少なくともいま言ったように複雑多岐だから功があるか罪があるか、功が半分しかなかったか、それはわからぬと言ってしまうのでは、開発銀行の立場からいえばそれで納得できるかもしれないけれども国民の立場からいえばぼくは問題がある。だから、やはりPPBSなりあるいはフーバー委員会の経験にもかんがみて、もう少し出した金の経済効率というものを真剣に国民の立場で検討すべきである、ぜひそのことを検討すべきことを検討しておいていただきたい、要望いたしておきます。  最後に、開発銀行の国庫納付金というものは何十億とあるようですが、それはどういう性格のもので、どういう計算でやるものか、ちょっと御説明願いたい。
  259. 石原周夫

    石原説明員 二千三百三十九億というのが日本開発銀行に対する政府出資に相なっておるわけであります。これはいわば、納付金を払いません場合には配当しないという金になるのですね。コスト的に無利子の金だ。それに対しまして、前半も御説明申し上げましたように、自己資本比率がだんだん減ってまいりまして、資金コストが上がってきておりまするが、融資の平均の金利のほうは大体横ばい、やや強含みということになるでしょうか。したがいまして、その差額のマージンは減ってきておりますけれども、しかし融資総額はふえてきておりますものですから、したがって、毎年あげます利益金は増加をいたします。そのうち千分の七は法定準備金で積み立てることにしております。その残りが納付金に相なる、こういうことでありますから、したがって、収支差額の利益から千分の七の法定準備金を積んだ残りが国庫納付金になる、ごく大ざっぱなことで申し上げればそういうことになるわけでございます。
  260. 竹本孫一

    ○竹本委員 そうしますと、利益金から千分の七を引いて、残りは大体納付金と、こういうことですか。しかも、その納付金というのは、大体出した金に対する金利に見合うものというような含みですか。
  261. 石原周夫

    石原説明員 政府出資の二千三百三十九億という額がございますから、それと見合ってごらんになりますと、これは私企業と違いまして、それ以外、法人税を払っておりませんから、それを頭に置いていただく必要がございますが、納付金と政府出資額とがある見合いになる、こういうことになるとお考えになってけっこうかと思います。
  262. 竹本孫一

    ○竹本委員 私が聞いているのは、金利あるいは税金に見合うものなのか、あるいはそのほかに利益があがって、その利益も、あがった利益があればそれはプラスアルファで全部納付金になるのかということを聞いておるわけです。
  263. 石原周夫

    石原説明員 私が申し上げましたように、無利息の出資金があるわけでございます。それは借り入れ金は当然利息を払っております。それに対しまして、運用の収益があるわけであります。その差額のうち千分の七を積み立てて、残りを政府に納付するということでございますから、余った金ということになりますが、要するに二千三百三十九億がそういうふうに運用益をあげたというふうに御理解を願ってもいいだろうと思います。
  264. 竹本孫一

    ○竹本委員 これは一つは金利の引き下げの問題とも関連いたしますが、こういう国策機関というものが利益をあげるべきか、あげないのがほんとうなのかということは、重大なる問題なんですよ、御承知のように。国策機関というものは、ある意味においては独占的な立場を持っているものですから、金利の問題以外にも、いろいろの条件において独占的立場を持っておるから、利益をあげようと思えば簡単なんですね、これは。ところが、国策機関というものは、利益をあげないところに一つの使命があるわけなんだ。そういう関係においてここを聞いておるわけです。  金利を上げて、そして利益をあげて、そして千分の七を引いて、あとはみな納める、いいじゃないかという説明もつくかもしらぬけれども、私の言っているのは、国策金融機関というものは、そういう形において利益金を出すことを目標とすべきではない。利益を出そうと思えばきわめて簡単な立場に立っておるのです。有利な立場に立っておる。だから、利益を出すことはむしろ、成功というよりも、極端にいえば失敗であるかもわからぬ。あるいは使命を十分完遂していないということになるかもわからぬ。そういう考慮がおありですかということだけ聞いて、終わりにしましょう。
  265. 近藤道生

    近藤政府委員 金利の問題につきましては、政策的に特に低利にいたすものはもちろんございますわけでございますが、御承知のように、二十二条によりまして民間金融機関との金利のバランスをとることが要求をされているわけでございます。したがいまして、民間長期金融機関との金利のバランスを大局においてとりながら、しかしながら政策目的のために特に低利にすべきものはしてまいるという方向で運営がなされ、その結果として利益が出るか出ないかはあとの問題として出てまいると思うわけでございます。したがいまして、利益の程度、利益の分量を目安とした運用と申しますよりも、金利自体のほうが先に参りまして、その反射といたしまして最後の納付金の額もきまってまいるというふうに観念をいたしております。
  266. 竹本孫一

    ○竹本委員 終わります。
  267. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 丹羽久章君。
  268. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 だいぶん時間がおそうなりましたし、やめようやめようという話でありますが、やめたいと思いますけれども、やめればまたあくる日やるか、いつかやらなければなりません。そこで、私のない知恵をしぼりまして、決算委員会へお出かけをいただきましてゆっくりお尋ねをいたすことにいたしたいと思います。そういうことにいたしまして、ひとつごく簡単にお尋ねをいたしたいと思いますが、復興金融公庫ですか、これから引き継がれた開発銀行は、昭和二十六年から引き継がれたと記憶いたしますが、大体間違いないと思います。開発銀行が二十六年から今日までに至る間に、二十六年、二十七年、二十八年、二十九年、三十年と五年、そして三十一年から三十五年と、こういうふうに区切って、開発銀行の使命観というものが順次、そのときどき、五年目ごとに大体目標が変わってきたと思うんです。今度も目標が変わった上において増額をせよとかいろいろの問題、資金ワクをふやせとかということが議題に供せられておるわけでありますが、まず、この五年というものを区切って、引き継がれた後の一つの目的、当時はどういう目的であった、その次には何が目的である、こういうふうにひとつ使命的目的を、簡単でよろしいですからお聞かせいただきたいと思います。
  269. 石原周夫

    石原説明員 先ほど竹本委員の御質問にお答えをしたこととあるいは重複いたすかと思うのでありますが、まず最初の、二十年代から三十年代の初めにかけましては、いわゆる四大基幹産業という石炭、鉄鋼、電力、海運、これを中心にして融資しておりました。約八割ないし九割、多いときには九割ぐらいをその四大基幹産業融資をしたわけであります。その後だんだん産業高度化ということになりまして、石油化学でありますとかあるいは機械、電子関係でありますとか、そういうような、やや高い程度産業が入ってまいりまして、それに対する融資をした。それに対しまして第三段目に国際経済ということになりまして、経済の国際化に対応した国際競争力を強化する必要があるということになりまして、いわゆる体制金融あるいは電子計算機というものになってまいりました。その間におきまして地域格差という問題が出てまいったわけでございますから、地域開発の制度が三十四年からスタートいたしまして、今日十年少々になっておるわけであります。その後四十年代に入りましてから環境問題あるいは都市問題、あるいは技術開発の問題というものが出てまいりまして、国産技術開発都市開発あるいは国産技術振興というようなものが最近において顕著になってきておる、こういうのが大体の沿革でございます。
  270. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 開発銀行が設立せられてから以来というものは国に大きな貢献をしてきた。もっともこの銀行自身が総額的には国の出資でありますので、英知をしぼってその資金面を活用していたから、あなた方の使命感というものは大体目的どおりに進んでおるというお考えであろうと思います。それは私も認めましょう。  そこで、これは総裁に御返事していただくのか銀行局長に御返事していただくかは別にいたしまして、お二人で御相談の上御回答いただきたいと思いますが、開発銀行資金融資の面と全国銀行融資の面とのバランスはどんなふうになっておりますか。この点ひとつ総裁、局長どちらでもけっこうですけれども、お知らせいただきたいと思います。
  271. 近藤道生

    近藤政府委員 開発銀行の供給いたしておりますのは産業設備資金でございます。その新規供給状況を全国の銀行とそれから開発銀行との比較で申し上げますと、四十五年度の数字が内訳のわかっております一番新しい数字かと存じますが、貸し出しの総計、産業設備資金の新規供給の総計が八兆六千九百六十一億円でございます。それに対しまして開発銀行の占めます資金量が三千四百十八億円でございます。比率にいたしまして三・九%でございます。これは過去におきましては二十八年がピークでございまして、そのときは二二・一%くらいあったわけでございますが、現在は三・九%。ただいまのは保険会社とか中小金融機関すべてを含みました数字でございますが、さらに大まかに銀行と信託と開発銀行三つを含めました数字で申し上げますと、五兆二千五百五十一億円、その中に占めます開発銀行の比率は六・五%ということに相なっております。
  272. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 四十五年度の調べによると、新規貸し出しでいくと、電気が大体開発銀行で九%、全国銀行が六七%、そして信託が二四%、それから造船だろうと思うけれども、これに開発が千百四十一億円、これをパーセントに直すと四九%、そして銀行のほうが四二%で信託が九%という率になっておるわけでありますが、これを一〇〇として計算をしてくるとこういう率になるわけなのですね。そうすると、造船のほうには特に多く貸して四九%という率になり、前の電気業のほうでいくと九%という率になる。片方は六七というようなことになるが、これは何か特殊的な関係性でもあるのでしょうか、どうでしょう。
  273. 石原周夫

    石原説明員 海運につきましては計画造船に対しまする融資の制度がございまして、これは四十四年の数字でございますが、四十四年ころでございますと、六割から七割くらいの融資をいたしておりましたから、したがいまして私ども融資額が特別に割合が多いわけでございます。
  274. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 さて、これから常識的な、数字でなくてひとつ質問をいたしたいと思いますが、先ほど総裁はどなたかの質問に対して、大体貸す単位が十億円以上の会社を対象にするというお話でした。十億円という会社というのは中小企業会社としてお考えになっておるのか、これは相当大企業的規模の会社としてお考えになっておるのか、その点、あなたの考えを率直にひとつお聞かせいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  275. 石原周夫

    石原説明員 先ほど申し上げましたように、いわゆる中小企業に対しまする中小企業の金融機関というものがございます。したがって資本金五千万円という原則もあるわけでございます。そこのほうの融資は中小金融機関が別に政府機関としてあるわけでございますから、それ以上の企業を対象といたすということになります。したがいまして、どこら辺で私ども融資の大企業、大企業でないものとを分けるかというのは非常にむずかしゅうございますけれども、便宜資本金十億円以上と未満というところで切ってみますと、先ほどは地域開発のほうの数字を申し上げたのでありますが、全体としての数字を申し上げますと、十億円未満の企業に対しましては、融資の件数、貸し付けの件数から申しますると四五%、これは四十五年の数字であります。金額的には二〇%というものがいま申し上げた十億円未満のものに対しまする融資でございます。地域開発のほうは、先ほど申し上げましたように、金額的に約五割が出ている。海運とか電力というのは非常に資本集約的な企業でございまするので、海運あるいは電力ということになりますると、これは十億円以上の会社が圧倒的に多い。したがって、海運、電力を除いてみました数字で見ますると、先ほどの数字に対しまして四十五年度で件数で五三%、金額で二八%、海運、電力を除きますと約三割近くが十億円未満、全体として二割が十億円未満、こういうふうに大体金額的にはなるわけでございます。
  276. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 十億未満が二〇%、十億以上があと八〇%ということになるわけですね、地域開発からいくと。そこで水力だとかあるいは造船だとかいうのは、相当高いウエートを占めているということになるわけですけれども、これは一隻船をつくればそれだけ融資が関係をしてきます。ごく簡単な問題で帳面ができるわけですが、地域開発するときに、やはりあなたのほうの開発銀行で借りようと思うと、非常に手間取った問題点がたくさんある。それは長期であるから金を貸すというその調査事項、そして将来性等々勘案してくれば、そう簡単にはすぐ貸せられないということはよくわかるのですよ。なかなかめんどうくさいからということで苦労して、六分五厘で借りられるという制度がありながらも、ほかへ走らなければならぬという、あなた方から見るとささやかなところの人たちは、そういう方向で苦しんでおるということが実態なんですよ。そういうような点であなたの総裁のお考えと末端支店長以下の考え方というものが、常に意思が通じておるかどうかということにぼくは問題点があろうと思うのですが、その点は総裁の考えているとおりにうまくいっておるとお考えになりますか、どうでしょうか。
  277. 石原周夫

    石原説明員 中堅企業と申しまするか、私どもの取引をしておりまする相手の方々の中には、経済の成長に伴いまして成長してこられたものが相当ございます。それで、そういうような成長の過程で生まれてまいりました企業の中には、比較的何と申しまするか、簿記でありますとか経理のやり方でありますとか、そういう点で必ずしも近代的と申しまするかそういうふうになっていない方々があるようでございます。したがいまして、そういう場合には私どもできるだけお手伝いをいたしまして、私どもが、いまおっしゃいますような必要な審査をいたしますのに十分なような資料ができるように、一応お手伝いをいたしておるつもりでございますけれども、あるいはお手伝いが不十分な点がございまして、ただいま丹羽委員の御指摘のようなケースがあるいは起こっているのかもしれません。そういう点につきましては、私どもよく支店長会議のときなどもそういうことを申しまして、そういうような面のお手伝いをできるだけいたしてあげる必要があるんじゃないか。なかんずく中小企業との関係の境目の問題がございまして、その辺向こうのほうに、人の領分に入り込むということは、政府金融機関としてとるべきでないわけでありますが、同時にまた、両方の間に谷間ができるということも、これまた非常に困ったことになりまするので、そこら辺に谷間が生じないように現地の支店同士で十分に相談をして、そこら辺のお手伝いをするようにということを申しておるわけでございます。今後もやはり引き続きある問題だと思いますので、努力をしてまいりたいと思います。
  278. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 自由主義国家であり、資本主義国家でありまするから、こういう制度によって企業を助け、低利で金を貸して、そして地域開発をし、そして国家の繁栄を考えていくということは私は非常にけっこうなことだと思うのです。ところが、こういう制度があるということを非常に研究しまして、専門的に特定な人々が特定な書類のつくり方をよく知っておって、あなたのほうへ申し込んでどこも非の打ちどころがないというようなところから、金を借りるというような専門的な人があるのですよ。そういうようなことを御存じでありますか。たとえばあなたのところの例をあげるのではなしに、国民金融公庫というのは実際に赤字を出しておったら金を借してくれないのです。国民金融公庫は赤字が出ておるようなときには、書類をつくっていって正直に訴えて、これは必ずあすからもうかりますといっても、赤字がある場合には現実には弁済能力がないといって貸さない。そうすると、側から出てきた専門的なのが行って、その帳簿のつくり方ではもう貸してくれませんよ、だから私におまかせください、いいところをつくってあげますと言って、うまくつくって、ちゃんと通るようにやってくれる専門的な人がある。こういうようなところから思いがけないところに金が横流れをして使われていくんですね。そういうところが、大きいあなたのほうの開発にも一部にあり得るという私はうわさも聞いておるのですね。そういうような点についての監督は十分に行き届いておるか、どうでしょうか。決してあなたのところにはそういうようなものはないとお考えになっておるか、やはりそういうところには注意を今後していかなければならないとお考えになるか、その点だけ明らかにしておいていただいて、私の質問は終わりますが、この次に事実をあげて決算委員会で対決してみたいと思います。
  279. 石原周夫

    石原説明員 先ほども申し上げましたように、書類とか審査とかいうようなことに関連をいたしまして、ふなれな方々がおられることは先ほど申し上げたとおりであります。その点のお手伝いをいたしまして、そういうことのために融資がおくれる、そういうことのないようにできるだけお手伝いをいたしておるわけでありまするけれども、場合によりましてそういうようなものに不十分な点があったりする場合があるのかもしれませんが、私どもといたしましては、従来からその点に非常に力を注いでおりますし、今後もそういう点に努力をいたしまして、できるだけそういうことが生じないように、書類や何かの形式のために融資がおくれることのないように、今後も全幅の努力をしていきたいと思います。
  280. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 ありがとうございました。ふなれなので親切に教えていくというのではなくて、その逆に内部からこういうふうにしてきたら金を貸してあげるから持ってこいというような暗示的に教えて指導して、そういう特定なところへ持ち込むようなことがあり得るといけないから、そういうことをよく御存じですか、そういうことは絶対にないとおっしゃいますかどうでしょうかと、こういうことを私は聞いておるわけなんですけれども、いまのところ資料もないでしょうから、私のほうもここでそれをとやかく申し上げることはおきますが、そういうことにも十分警戒していただいて、今度その事例をあげてまたしっかりと決算委員会でお目にかかってお話することにいたしまして、きょうはこの程度でおきましょう。ありがとうございました。      ————◇—————
  281. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 この際、所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
  282. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 これより、各案について政府より提案理由の説明を求めます。田中大蔵政務次官
  283. 田中六助

    ○田中(六)政府委員 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、さきの年内減税における所得税の一般減税に加え、老人扶養控除の創設、寡婦控除の適用範囲の拡大などを行なうため、ここに所得税法の一部を改正する法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。  まず、所得税の負担軽減につきましては、さきの臨時国会におきまして千六百五十億円の年内減税を実施したところでありますが、これは昭和四十七年度においては二千五百三十億円の減税となります。今回は、これに引き続き、老人、寡婦対策に資するため、年齢七十歳以上の老人扶養親族について、通常の扶養控除十四万円にかえて、十六万円の老人扶養控除を設け、また、扶養親族のない未亡人については、これまで寡婦控除が適用されておりませんでしたのを改めて、年所得百五十万円以下の場合には、その適用を認めることといたしております。  次に、源泉徴収の対象となる報酬、料金等の範囲に工業所有権の使用料を加えるほか、確定申告の際に提出する財産債務明細書の提出不要限度を年所得一千万円から二千万円に引き上げることといたしております。  次に、法人税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  この法律案は、昭和四十七年度の税制改正の一環として、中小法人の税負担の軽減と内部留保の充実に資するため、同族会社の留保所得に対する課税を軽減しようとするものであります。  すなわち、同族会社については、各事業年度の所得のうち留保した金額が一定の控除額をこえる場合には、留保所得についての法人税を課税いたしますが、この場合の控除額を引き上げることとしております。この控除額は、現在、所得金額の三五パーセントまたは年二百万円のいずれか多い金額とされているのでありますが、これを所得金額の三五パーセントまたは年三百五十万円のいずれか多い金額に引き上げようとするものであります。  最後に、相続税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、今次の税制改正の一環として、夫婦間における財産相続の実情等に顧み、配偶者に対する相続税額の軽減措置を拡充し、心身障害者である相続人について障害者控除を設けるほか、所要の規定の整備をはかるため、ここにこの法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。  第一に、配偶者に対する相続税負担の軽減であります。  すなわち、配偶者の相続税については、現在は総遺産額三千万円の場合を限度とする配偶者の法定相続分に対応する相続税相当額を控除することとしておりますが、今回の改正では、これを婚姻期間二十年以上の配偶者については、三千万円を限度とするその取得額に対応する相続税相当額を控除することとしております。これにより配偶者は、法定相続分のいかんにかかわらず、その相続した遺産が三千万円までの場合には相続税が非課税となり、三千万円をこえる場合にも負担が軽減されることになります。また、この限度額は、婚姻期間が十年から二十年までの場合は、千万円に十年をこえる一年につき二百万円を加えた金額としております。  なお、現行の配偶者に対する課税軽減措置も存続させ、いずれか有利な制度を利用できるよう配慮しております。  第二に、障害者に対する相続税負担の軽減であります。  すなわち、心身障害者が相続した財産の相続税について、障害者控除を設け、その相続したときから七十歳までの年数一年につき、一般の心身障害者の場合には一万円、重度の心身障害者の場合には三万円の税額控除を行なうこととしております。  第三に、不動産に関する物納制度の整備等であります。  すなわち、賃借権等のある物納不動産について、物納許可後もなお一年以内は、物納の撤回を申請し物納から金納に変更する道を開くこととするほか、所要の規定の整備を行なうこととしております。  以上、所得税法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、その提案の理由と説明を申し上げました。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  284. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 これにて各案の提案理由の説明を終わりました。  各案の質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、明二十六日水曜日、午前十時委員会を開会することといたし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時十九分散会      ————◇—————