○谷村
政府委員 第一の問題でございます
石油化学
工業の業界の再編成ということ、これはその再編成ということばがいいのかどうか知りませんけれ
ども、少なくとも、たとえば老朽設備等あるいは新鋭設備等の
関係から見てでき過ぎておりますものを、どういうふうに需要と対応させるための姿にしていくかという問題はあろうかと思いますが、これはある
意味でいうと
企業のなま身に触れる問題でございまして、そう簡単な問題ではないと思います。私
どもとしては、それをあまりに人為的な形でいろいろやるということは、かえって
企業の本質をゆがめるようなことにもなりかねないという気も一方ではいたします。しかし、一方では、近ごろの化学
工業に見られますようなああいう
企業集団と申しますか、
企業の
一つの結合、
パイプラインでつながっているような
コンビナートのような姿のものができますときに、原材料であるところのものから一貫してずっと最終末端製品までございますけれ
ども、その末端製品における競争なり何なりという姿と、それからその原材料であるところのたとえばエチレンのようなものにおける競争の姿というものが、またかなり違っております。そういう中での化学
工業の姿というものをどう描いたらいいかということは、実は先ほど
先生からそういう
質問があるということを聞いたときに、これはたいへんむずかしい問題を聞かれるところだなと思って、実は私
どもも、そういったこれからの近代的な
企業のあり方という問題とそこにおける競争
条件の問題というものとどういうふうにつなげて
考えたらいいかということが、いま課題になっているわけでございまして、その課題として
考えていることをおまえどうだと言われますと、実はまだ私自身も、そこに非常な問題意識を持ちながら、何ともちょっとお答えできない、いわばそういう立場であるわけなんでございます。これからの競争政策、独禁政策というような問題と、それからそういった近代的な
企業の
体制とか産業の組織の問題とかいうものの結びつきの問題、申しわけないのですが、私におまえはどう
考えるかと言われて、ぱっとうまく答えるだけの自信がいままだございません。
それから、第二番目の問題でございますが、これも
考えてみればいまのような問題と似たようなことなんでございますけれ
ども、やはり末端での競争というものが非常に激しく行なわれている、そういう最終消費につながるような商品と、それから鉄鋼とか化学
工業とかいうような原料品
工業における場合とで、多分にいわゆる寡占理論とか管理価格問題とかについての
考え方は違うと思います。よくここらでも御
質問受けましたビールの問題でありますとか、あるいはたとえば味の素のような化学調味料の問題であるとかいうようなのと、それからいまのような化学
工業のいわば原料あるいは鉄鋼のような生産材の問題で、その辺の
考え方は私は多少違うように思いますけれ
ども、しかし、経済の実態が公正妥当な競争を通じてそのあげくが寡占というものが出てきたときに、それに対する取り組み方はもはや独禁法の競争政策だけの
考え方からは律し切れないものがあることは私は
考えております。その姿というものがどういう姿でやっていったらいいのか。
企業だけにまかしてもおけない。といって
政府があまり介入してもむずかしい。その度合いというものをどの
程度のことにして、そういう寡占
企業というもののビヘービアを見ていったらいいのか、これもいまの先進諸国がみな頭をかかえておる問題でございまして、私
どもとしては、やはり本来独禁法体系の中においてやれることは、もちろん競争
条件を整備していくということは必要でございますけれ
ども、さらにそれを越えて出てきた、競争の中から生まれてきた巨大なるものに対する扱いというものに対しては、私個人の
考え方としては、やはり一種の
政府の監視のもとに置くような姿にならざるを得ないのではないかという気持ちを持っておりますけれ
ども、これも実は課題として、私
ども政府側としてどういうふうに対処したらいいかというはっきりしたところまで実はまだ出てきていない、そういうところでございます。