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1972-03-22 第68回国会 衆議院 大蔵委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月二十二日(水曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 齋藤 邦吉君    理事 宇野 宗佑君 理事 木野 晴夫君    理事 藤井 勝志君 理事 山下 元利君    理事 広瀬 秀吉君 理事 松尾 正吉君       上村千一郎君    奥田 敬和君       木村武千代君    倉成  正君       佐伯 宗義君    地崎宇三郎君       中川 一郎君    原田  憲君       坊  秀男君    三池  信君       毛利 松平君    森  美秀君       吉田 重延君    吉田  実君       阿部 助哉君    佐藤 観樹君       平林  剛君    堀  昌雄君       山中 吾郎君    貝沼 次郎君       二見 伸明君    小林 政子君  出席政府委員         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         大蔵政務次官  田中 六助君         大蔵省主税局長 高木 文雄君         通商産業省重工         業局長     矢島 嗣郎君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      大谷 邦夫君         大蔵大臣官房審         議官      松川 道哉君         大蔵省理財局次         長       大蔵 公雄君         通商産業省企業         局企業第二課長 福川 伸次君         通商産業省企業         局立地政策課長 大永 勇作君         通商産業省企業         局工業用水課長 宮本 治男君         通商産業省公害         保安局公害防止         企画課長    島田 春樹君         通商産業省公益         事業局業務課長 田中誠一郎君         通商産業省公益         事業局ガス課長 原田  稔君         建設省計画局総         務課長     西原 俊策君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 三月二十二日  辞任         補欠選任   小林 政子君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     小林 政子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣  提出第三五号)      ————◇—————
  2. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 これより開議を開きます。  租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。堀昌雄君。
  3. 堀昌雄

    堀委員 きょうはまず最初に、電子計算機関係租税特別措置の問題を取り上げたいと思います。  最初に、少し通産省電子計算機関係の背景となっておる情勢をお伺いをいたしたいと思います。  昭和四十六年の電算機生産量はわかっておりますでしょうね、歴年としての昭和四十六年の電算機生産量
  4. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 まだ数字は手に入ってございませんです。
  5. 堀昌雄

    堀委員 四十五年度はどうでしょうか。
  6. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 昭和四十五年歴年数字でございますが、二千六百九十七億でございます。
  7. 堀昌雄

    堀委員 この中に、皆さんのほうの区分では大、中、小、超小型と、こういう区分になっているんでしょうが、実際の税制上の問題としては大蔵省令で定める十二万ビット以上ということになっておるようでありますが、この二千六百九十七億円の中で十二万ビット以上の総額というのは幾らでしょうか。
  8. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 比率で申し上げますと、八九%ということになります。
  9. 堀昌雄

    堀委員 その中で、JECC買い取りとその他、要するにいまの八九%ですから掛け算をしますが、その二千六百九十七億の八九%分でJECCが買い取ってレンタルに出しておるものと、企業が直接買い取ったものとはどういう状態になっておるんでしょうか。
  10. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 九百二十二億でございます。
  11. 堀昌雄

    堀委員 それはどっちですか。
  12. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 JECCの買い取ったものです。
  13. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、いまの計算すると二千四百億ですが、そのうちの九百二十二億をJECCが買い取って、千五百億余りはそれでは一般企業が直接買い取っておる、こういうことになりますか、ちょっとおかしいように思うんだけれども。
  14. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 まず、二千六百九十七億円は全体でございますが、それから、いま申し上げましたように八九%……
  15. 堀昌雄

    堀委員 掛けると二千四百億……。
  16. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 でございますが、そのうちJECC対象になっているのは全部ではございませんで、いわゆる外資系のものでございますね、これは入ってないわけでございます。
  17. 堀昌雄

    堀委員 ちょっと待ってください。質問を整理する。私が四十五年の生産量というのは、日本の六社の生産量のつもりなんです。要するに、外国のものは計算上に入れてないのです。ですからいまの二千六百九十七億に対して八九%というと二千四百億円の生産量、十二万ビット以上が二千四百億だ。そのうち九百二十二億をJECCが買い取ってレンタルに出したということになると、千五百億くらいが企業の直接買い取りになるということに計算上はなるわけですね。しかし実際にはどうもレンタルのほうが多いのじゃないかという気がするのですが、その点はどうでしょうか。
  18. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 まず、抽象論から先に申し上げますと、先ほど申し上げました二千六百九十七億というのは、先生の御質問対象である国産機、いわゆる純国産機だけではなくて、IBM中心とする外資系日本における生産量も入っておるわけでございまして、当然御指摘のような疑問が生ずるわけでございます。そこで、直接先生の御質問にお答えするためには、別な数字でもってお答えしなければいかぬと思います。先生の御質問対象であるいわゆる純国産機生産を申し上げますると、千九百三十七億、これが先生の当初の御質問に対して私が答えるべき数字だったかと思います。
  19. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、いまのJECCは六社のものしか扱わないわけですから、千九百三十七億、そのうちの九百二十二億がJECC買い取り国産六社の製品の中で企業買い取り分が、ですから残りの約千億くらい、こういうことですね。それでよろしいですか。
  20. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 結論としてはよろしゅうございますが、もう少し詳細に御説明いたしますと、まず国産機が千九百三十七億ございまして、そのうちレンタルでもって売るものと、売り切りのものと、二つあるわけでございます。そこで千九百三十七億のうちで売り切りを差し引きますと、千二百九十八億がいわゆるレンタルでもっておよそ売る。しかし、そのレンタルのものをすべてJECC対象には国産機といえどもいたしておらないわけでございますので、その数字が九百二十二、先ほど申し上げた数字でございます。
  21. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、国産機だけで見ますと、千九百三十七億のうち千二百九十八億との差額の六百三十九億が買い取りだ、大体こういうことになりますね。
  22. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 そのとおりでございます。
  23. 堀昌雄

    堀委員 大蔵省にお伺いをいたします。  まず最初に、現在問題となっております電算機法律のほうを少しはっきりさせておきたいと思うのです。電子計算機特別償却が行なわれるのは、特別措置法第四十三条で「法人青色申告書を提出するもののうち次の表の各号に掲げるものが、当該各号に掲げる減価償却資産(以下この項において「合理化機械等」という。)につき政令で定める期間内に、合理化機械等でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものを取得し、又は合理化機械等を製作し、若しくは建設して、これを当該法人の当該各号規定する事業の用に供した場合」「法人税法第三十一条第一項の規定にかかわらず、当該合理化機械等普通償却限度額特別償却限度額との合計額とする。」こういうふうになっておりますね。  そこでまず、ちょっと問題をはっきりさせておきたいのでありますけれども、この四に「第五十六条の九第一項に規定する電子計算機」こうなっておるわけです。第五十六条の九第一項は「青色申告書を提出する法人電子計算機本体及びこれに附属する機器政令で定めるものの製造又は販売事業を営むものが、」云々とずっとあります。この中でいわれておる電子計算機というのは、結局どれに当たるのか。ここに「第五十六条の九第一項に規定する電子計算機のうち」こう書いてありまして、「情報処理高度化に必要なものとして政令で定める」というこの後段の「情報処理高度化に必要なものとして政令で定める」というのは、いま私がちょっと申し上げました十二万ビット以上だ、こう理解をするわけです。「第五十六条の九第一項に規定する電子計算機」というのは、第五十六条の九の中のどこをあなた方は読んでおるのか。これは法制局に聞いたほうがいいのかもしれませんけれども、ちょっとそれを答えてください。
  24. 高木文雄

    高木(文)政府委員 たいへん悪文で恐縮でございますが、五十六条の九の二行目のところに「(以下この条において一電子計算機」という。)」こういう定義がございます。そこで、結局五十六条の九一項の電子計算機というのはこれをいうわけで、つまり「電子計算機本体及びこれに附属する機器政令で定めるもの」をいうという意味でございます。
  25. 堀昌雄

    堀委員 「電子計算機本体及びこれに附属する機器政令で定めるもの」というのは、いま私がちょっと言った……。
  26. 高木文雄

    高木(文)政府委員 なお、政令のほうで法五十六条の八、実は改正で五十六条の九になりますが、現行法で五十六条の八でございます。一項ずらしますので現行法では五十六条の八ですが、租税特別措置法施行令の三十二条の十というところに、「法第五十六条の八第一項に規定する電子計算機本体及びこれに附属する機器政令で定めるものは、次に掲げる機器とする。」ということで、この政令を受けて内容を規定しております。それで三号ありまして、第一号が「電子計算機本体附属制御機を含む。)」二号「電子計算機本体と電気的に接続して作動する入出力装置及び記憶機(それぞれ附属制御機を含む。)」三号「もっぱら前二号の機器とともに用いられる補助機電源装置を含む。)」というふうに政令範囲をきめておりまして、要するに本体だけでなくて記憶機とか補助機を含むという範囲をきめている。これは本来ならば、先ほどお読み上げになりました四十三条の四のところであるいは規定すべきかもしれませんが、この特別償却範囲と買戻損失準備金範囲と全く同じ範囲だということでありますから、そこで五十六条の九のほうで法律政令とで範囲規定いたしまして、それを四十三条のほうで引いたという形式範囲を統一しておるということでございます。
  27. 堀昌雄

    堀委員 ともかく税法というものは一ぺんに読めるように、一ぺん高木さん、つくり直してもらいたいと思う。ここに耐用年数関係法規集で、租税特別措置法第十一条第一項の表の第三号及び第四十三条第一項の表の第五号の規定適用を受ける電子計算機及び期間を指定する告示昭和四十五年四月三十日大蔵省告示第五十六号というのがあるわけですが、ここにぴしゃっといまのが書いてあるわけですよ。ところがいまのにいくまでに、四十三条を読んだら何も書いてない。ただ電子計算機のうち政令で定めるとあるだけで、その政令をもう一ぺん読んでここまでいく。全くこの税法——皆さん専門にしておったって、おそらく横に人がいなくて私と高木さんなら、私のほうが調べているから、きょうはだいぶ強いと思うわけだ。ぱっと言ったら、あなたのような専門家だって、一体どこに法律があるかということはわからぬようになっておる。私もいまのこれをもらっているけれども、今度だいぶこれは勉強させてもらいました。勉強させてもらったけれども、あっち行ったりこっち行ったり、実は調べるのにたいへんなんですよ。いまこれを全部書き直せないでしょうから、上の欄に法律をざっと書いて、その下の欄に少なくともそれに関連する省令告示その他を全部書いて、どこかのページをあけたら、その何条に該当するものはそこのところにすぱっと入っているようにでもしなければ、こんなことは私は不親切だと思うんだ。どこにあるかわからぬようなやり方にしてあって、なぜこういうことを書かなければいかぬのか疑問があるわけだ。何も第五十六条の九に掲げるなんて書かなくても、告示なら告示によると書いておけば、ストレートにここを見ればいいわけだ。あなた施行令を言われたでしょう。施行令で言っているのは、この別表のところにちゃんと書いてあるわけですよ。上段の別表に詳して書いてある。おまけにここには税に該当する部分規格までちゃんと「十二万ビット以上」と書いてあるわけだ。その前のほうは十二万ビットなんて書いてないわけだ。まず電子計算機規格だけを書いて、もう一ぺん今度は告示で、一行だけ十二万ビットで上下を分ける云々とその中身が書いてある。全くこれをもう少しわかりやすいものにしておかなければ、こんなことで税法、われわれこれはもうこっちも商売だから一生懸命やれるけれども、ちょっと国民に対しては不親切なような気もするのですが、しかし、これは国税庁が出している資料ですけれども、どこで出してもいいけれども、少し整理をして……。  もう一つ言わしてもらうと、この租税特別措置法は、個人の部と法人の部とに二つに分けていて、それだから二つ書かなければいかぬわけだ。第十一条第何号、第四十三条第何号と書いてある。これは一つにすればいいわけですよ。一つにということは、そこのところの項目を四十三条の一が個人で二が法人なら話はわかるけれども、個人をずらっと書いていって、おしまいには同じことをまた法人をずらっと書いてあるわけだね。これも税の体系——これはもちろんそういう仕組みにしなければ、個人法人があるといえばそうだけれども、十一条、四十三条なんというかっこうになっていれば、これはつながっているとは見られないわけですよ。それは個人を全部先に書いてしまってから、終わってから法人を書くからこういうことになる。そこで私は、この税法というものをもう少し親切に書いてみたらどうかと思いますが、これはどうですか。
  28. 高木文雄

    高木(文)政府委員 かねがね税法が非常に読みにくいという問題がございまして、長年の懸案でございましたところ、所得税法人税については数年前に全文書き直しをしたことは御承知のとおりでございます。その際に、当然それが済みましたならばしかるべき機会に、租税特別措置法についても書き直しをするということが考えられたわけでございますが、一方におきまして前回の所得税法法人税法書き直し機会に、できればわかりやすくするということだけでなくて、どうもかねがね基本的に問題であった点に若干とも手直ししたいという、だんだん欲が出まして、それで結局たいへんな作業になりまして、しかしその結果は、あとは読みやすくなったわけでございますけれども、たいへんな作業であったわけでございます。  で、措置法についてもいずれの機会にかほんとうにやらぬと何ともぐあいが悪くなってきておることは事実でございます。ただ所得税法法人税法の場合と違いまして、この条でございますと、電子計算機関係の方だけが実はお読みになる条文になっておるものですから、まあまあ所得税法法人税法ほどには悪文による公害をまき散らしておらぬということになっておるものですから、今日まで来ておるのですが、とはいっても、やはり措置法の中には土地に関する部分であるとか、あるいは合理化機械等、すべての企業関係のあるものもたくさんありますので、何とか機会を得て直さねばならぬというふうに考えております。  現在では、今回もそれぞれたくさんの条を直しておりますので、場合によりましては部分的に直す法はないかということもときどきくちばしをいれてみましたのですが、どうもがんじがらめになっておりますので、現在の形では一応この途中でくちばし差しはさみようがなくて、悪文悪文を重ねているようなことでございまして、たいへん恐縮をしておりますが、おりを見て何か読みやすいように直したいというふうに基本的には考えております。
  29. 堀昌雄

    堀委員 政務次官、いま国税庁で出しておられるものをわれわれいただいて見ているわけですね。これは一番正確だと思っているのです。毎年毎年の改正で、せめていまちょっと私申し上げたように上下欄ぐらいにして、上欄にずっと法律を書いていって、そして下の欄に施行令あるいは省令告示ですね、そういうものをセットしてもらって、その法律をぽんと見たら、それに関連するものは一括してそこで読めるようにしてもらわなければ、あっちへ行ったりこっちへ行ったりなんということでは、これはおそらく専門人たちといえどもむだな時間をロスしておると思うんですね。ですからどうかひとつ、その点については大蔵省が全体として御検討いただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  30. 田中六助

    田中(六)政府委員 堀委員の意見を十分参酌して検討していきたいと思います。
  31. 堀昌雄

    堀委員 そこで今度少し中身に入るのですが、私がいまさっきちょっといろいろな生産量その他のこまかい区分を聞きましたのは、要するにここに書いてあるところの、四に規定する電子計算機ですが、「政令で定めるものを事業の用に供する法人」というのが対象になることになっていますね。そうしてそれの中身は、電子計算機だ、こういうことになるわけですが、この「事業の用に供する」前に、ここで第四十三条で「当該各号に掲げる減価償却資産につき」こう書いてあるわけですね。ですからこの場合は、減価償却資産というと、さっき私の申し上げた買い取り電子計算機だけが有効だ、特別償却対象としては有効だ、こういうことになると思うのですが、この点の法律解釈はどうでしょうか。
  32. 高木文雄

    高木(文)政府委員 第四十三条の特別償却は、当然機械を買い取った、リースとかなんとかでなくて、機械を買い取った、そしてその機械を使っている会社のほうの問題でございます。資産に計上されたものでございますから、そういうものについての適用規定でございます。
  33. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、その次にもう一つありますが、JECCもこれを買い取るわけですね。JECCもこれを買い取るけれども、今度はJECC事業の用には供していないから、JECCは買い取っても特別償却は有効に働かない、こうなると思うのですが、その点どうでしょう。
  34. 高木文雄

    高木(文)政府委員 そのとおりでございます。
  35. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、要するに合理化機械というものをここできめておるのはどういうことかといえば、産業がある機械を導入するそのことによってその企業の内部を合理化をするということになる、この法律の書き方からすると。買い取ったものは特別償却があるけれども、要するにレンタルで借りているものは、レンタルのもとになっておるJECCでも特別償却がないわけだしするから、相対的には高いものをレンタルをするということになる、だからレンタル買い取りの間にかなり格差を生じておるということは、これは買い取りを奨励するための法律になっているということですか。電算機普及が目的なのか、電算機普及であるけれども、買い取る者にだけフェーバーを与えるというのがどうもこの法律の趣旨だと理解されますがね。
  36. 高木文雄

    高木(文)政府委員 いろいろの新しい機械普及させる、そして企業合理化をはかるという場合の税制上の措置として最も一般的であり常識的であるやり方は、この合理化機械特別償却の方法であると思います。そして企業が新しい機械を買った、そうするとその機械について特別償却ができるということになれば、今度つくるほうからいいますと、そういう機械は売りやすくなるという関係になりますから、新しい機械をどんどん開発をしてつくっていくということについて一生懸命やることになるという関係になると思います。  ところが、電子計算機という制度は本来日本で発達したものでなくて、IBMに最も典型的にありますように、ああいう形での販売、いわゆる本体企業自身が持っておって貸しますというかっこうレンタル方式による販売というのが戦前から非常に一般化し、日本電子計算機産業もある程度それによらざるを得ないということで、むしろ一般機械普及販売方式とは違う方式電子計算機をまさに代表的なものとして起こり出したわけでございまして、しかし電子計算機普及奨励が非常に重要であるとするならば、何か別のことを考えなければいけないということから、通産省中心JECCのような制度が考えられたものと思われます。よって今度JECCのほうにつきましては、直売形式によるものとのバランス上、JECCを通じて普及されていく電子計算機については、いかなる措置がとられるべきかということが、いろいろ考えられたわけでありまして、たとえば開発銀行からする融資であるとか、いろいろなことが行なわれたわけでございますが、税法上はそれに対応するものが、先ほどちょっと触れました五十六条の九の電子計算機買戻損失準備金であります。つくったメーカーJECCへ売ります。JECCは今度はそれぞれのユーザーに貸します。ここは貸しますということになりますが、メーカーJECCとの間は、普通の町のいろいろな機械と同じように販売になってしまう。しかし、回転が早いといいますか、新機種がどんどん出てくるものですから、貸してある機械JECCへ戻ってくる。そうすると、JECCは持っていき場がないということではうまくいきませんので、JECCと初めのメーカーとの間に買い戻しの契約ができておるというかっこうになっておりますものですから、先ほどまさに御指摘がありましたように、直売のものとレンタルのものとの税制上のバランスといいますか、どっちを特に奨励するということであってはいかぬであろう、多少どうしても差が出るでありましょうけれども、若干やはり相互に何らかの措置が必要であろうということになりますと、何か考えなければいけないということから考えられた、いわば電子計算機制度についての特異な知恵みたいなものが買戻損失準備金でございまして、JECCからメーカーのほうへ戻ってきました場合に、それをしばしば買い戻さざるを得ないことがありますので、メーカーJECCに売りました段階から全部を売り上げに一たん計上しますが、一定率準備金として積んでおいてよろしい。そうして買い戻しのときにそれを取りくずす、こういう制度を考えたのが現行法上の五十六条の八、改正法上の五十六条の九でございます。
  37. 堀昌雄

    堀委員 電子計算機普及というのは、それじゃ一体どこへフェーバーを与えるのかというと、いまの話は違うと思うのですね。要するに、その四十三条の合理化機械のほうは、買い取った者が特別償却フェーバーを受けるわけですよ、法律は。それから買戻損失準備金というのは、メーカーフェーバーを受ける。全然違うわけですよ、いまの仕組みが。だから、私がいま言っていることは、普及をさせるという場合に、いま日本電算機で一番大きな問題は何かというと、IBMといかに競争するかということが最大の眼目なんですよ、率直に言いますと。そうすると、IBMと競争するということになる以上、買い取りを奨励したって意味がないということですよ、率直に言えば。IBMの場合はすべてレンタルなんですから、だからすべてレンタルで、そしてどんどん新しい製品を取りかえ引っかえレンタルに出してくるわけですよ。  そうすると、IBMに対抗するためには、買い取りではなくてやはり何らかの形のレンタルで競争しなければ、買い取りをしたら、いまのあなたのお話のように陳腐化してきたら、レンタルの場合は新しいのにかえてくれと言うことができるけれども、買い取るのだからどうかというと、おそらく電子計算機メーカーとの間にそういう古くなったらもう一ぺん新しいのにかえてくれという契約がなければ、電子計算機を十年も十五年も使っていたんじゃこれは仕事にならぬと思うのですね。通産省どうですか、そこは。買い取りはもう買い取りっぱなしではなくて、おそらく買い取りをさせた場合には、しかし古くなった場合には新しいのを、それを引き取ってまた入れますよという何らかのものはないのですか、現在の国産各社とユーザーとの間には。その点ちょっと通産省から答えてください。
  38. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 これは商慣習のものでございまして、各社でいろいろあるかと思いますが、一般的な原則は、買い取ったものを買い取ったままということで、陳腐化してきたら新しいものと取りかえるというようなことは特に一般的に規定されてはおりません。
  39. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、政策目的が非常に私はおかしいと思うのですよ。要するに、片一方のIBMレンタルでどんどん新しい機械をやれる。これは世界的に、一番新しいものを持っていき、下取りで出てきたのはまた次のランクの地域に持っていく、世界ネットで回していくというIBMの構想があるわけです。ところが、日本の場合だって、いまのレンタルで使っておる限りならば、場合によっては、安いレンタル料ならば、ちょっと形は古くなっても使おうということもあり得ると思う。しかし一ぺん買い取ってしまったら、これは六年間はもうとにかく特別償却もあるけれども、どうにもならぬ。そしてもし六年たってもいまのような話なら、次はなかなか買えないことになると思うのですよ、実際問題としては。また新しく高い金を出して買うというよりも、これはいまのような急激な技術革新の時代における電子計算機の問題というのは、本筋はやはりレンタルで対抗する以外に、私はIBMには対抗できないのじゃないかという気がするのです、政策的に見て。そういうときに、それは買い取ったのは気の毒だから特別償却を認めてやろうというが、しかし政策は、やはり私は、そうじゃなくて、ある一つのあるべき政策の方向に誘導するためにこの租税特別措置法というのがあると思うのです。ただ個々のユーザーならユーザーに気の毒だから税金をまけてやろうという話で租税特別措置法があったのでは、私は困ると思いますよ。  そうしてみると、どうも考え方によると、私は逆でもいいのじゃないかと思う。JECCのほうは特別償却できるようにしてやる。買い取りのほうは、それは気の毒だけれども、こんなものは買い取ってもあまり意味がありませんよ、だからこれは普通償却でいきなさいということにすれば、現実にJECC特別償却できるものをより安いレンタル料で使えるということになって、私はどうも政策目的としてはそのほうが筋じゃないかと思う。どうもいまの買い取り特別償却を与えて、JECCはそういう特別償却はなしに、JECCとそれからユーザーの間には何のフェーバーもなくて、メーカーだけに買戻損失準備金があるというのは、これは問題が起こることになるかもしれぬけれども、実際に電算機普及させて、合理化に資するということの方向としては、私は政策目的としては、この税制の設定は非常におかしいと思うのです。どうでしょうか。
  40. 高木文雄

    高木(文)政府委員 確かにおっしゃる面もあると思います。ただ、私どもが今日こういう制度に到達しておりますものの考え方の順序を御説明いたしますと、まず合理化機械特別償却というのは、何も電子計算機に限らず、一般的な機械について考えられておったわけでございます。電子計算機合理化機械ではないかといえばそのとおりでございますから、電子計算機を買ったユーザーがあるとすれば、そのユーザーについてほかの機械と同じように、これがわが企業合理化に役立つのだということならば、これはいままでありました合理化機械特別償却制度電子計算機も乗せたらどうかという議論になりますと、これはだめだということにはなりませんので、そこまではどうしても乗ってくる。そのこと自体が電子計算機産業にいかなる影響を与えるかということは別として、ユーザーのほうの立場から見たら、どのような機械を買った場合も、新しい機械であれば合理化特別償却に乗るのだということになりますと、電子計算機もやはり乗る。そこまではずっと考える。  さて、そうなると、いままさに御指摘のように、電子計算機のように売りきりでなくて、リースといいますか、レンタルといいますか、そういう形でのものがむしろ通常の取引形態に戦前からなってしまっているものについてこれをどうするのかという第二の問題が起こってきた。そこで考えられましたのが、税制の問題の前に考えられましたのがJECCという会社をつくり上げて、そしてワンクッションを置いてものを考えようということで、株式会社ではありますが、非常に特殊なJECCという会社をこしらえ上げ、そこに融資をする。つまりIBM日本メーカーとの違いの最も大きな点は、IBMは非常な資金力を持っておって、そして自分で資金を調達して、機械をたくさん持って人に貸すという資金調達能力があるわけでございます。その点が日本国産機メーカーとは違う。日本国産機メーカーは、自分がつくった機械をそのまま、その資金を寝かしたまま長くこの機械を貸しておくという資金力に欠ける、それから金利水準の問題があるというところからJECCという構想が考えられたわけでございます。  さて、今度JECCという構想が考えられた場合に、おっしゃるようにJECCについて特別償却を考えるかどうかということなんですけれども、これはどういう経緯があったか、私いまはっきり記憶しておりませんが、JECCはとにかく株式会社ということでスタートしたわけでございますから、JECCに利益があれば、それは当然JECC法人税を納めてもらうという形になるわけでございますけれども、JECCがそもそもなるべく安い金利でもってメーカーから機械を買い取って、そうしてユーザーにそれを貸すわけでございますから、JECCには開銀の金等をなるべくつぎ込む、なるべく低利の金をつぎ込む、そうしてそのなるべく安いレンタルでユーザーが使えるようにしてやるという仕組みになっておりますから、実際の運用としてどのように通産省が実行上監督しておられるか存じませんが、JECCにひどく大きな所得が発生するというようなことになってきませんものですから、JECC特別償却を認めましても、特別償却は所得がなければ働かないものですから、JECC特別償却を認めますとどうもうまくいかないというので、さて困ったというのが実態でございます。ですから、別にJECC特別償却を認めちゃいけないということじゃないのですが、JECC特別償却を認めたのではうまくいかないものですから、そこで一つ飛ばして、もとにさかのぼって、何かメーカーのほうで措置をするという税制上のテクニックを用いたというのが、ちょっとほかの制度に見られない電子計算機買戻損失準備金制度を三年ほど前に考え出したいきさつでございます。
  41. 堀昌雄

    堀委員 確かに、JECCはいま特別償却をつくってもそれはきかないと思いますが、大体いま、この税法上からいいますと、このレンタル料は繰り延べ資産ですね。だから、私が言いたいことは、買い取ったものには特別償却フェーバーがある。しかし、レンタルで借りているものは、同じ合理化機械で費用も出すわけだけれども、レンタルという形態をとっている限りは、まあその点では、そういう意味でのフェーバーはないということでは、権衡の面から見て、政策的にはもうレンタルを推進すればいいんじゃないかと私は思っているのですよ。  要するに、買い取り奨励の必要はないんだ。ただ、あなたの言われるように、合理化機械をずらっと並べた結果としてみると、合理化機械を買った者に恩典がないのはおかしいじゃないかという議論もそれはあるかもしれませんが、ちょっと私はそこがさか立ちしておるのじゃないかという感じがする。本来奨励する必要のないものにそういう面からのフェーバーがあって、奨励してやる必要があるほうには何もやっていないというのでは私は問題があるので、まあ、繰り延べ資産でどうするかということはなかなかむずかしい処理だろうと思うけれども、何らかやはりレンタルで借りているものも、もしこの買い取り特別償却フェーバーを与えようというのなら、何らか考慮があってしかるべきではないか、こういう気がするわけですよ、率直に言うと。だからその点は、通産省はそういうことは政策的には考えていないのか、一体どうなのか、ちょっと先に、通産省側はどう考えているのか。
  42. 高木文雄

    高木(文)政府委員 ちょっと待ってください。  もう一点、ちょっと申し上げておきますが、なぜIBMのようなレンタル方式が非常に普及するか。これはIBMが、一つには非常な資金力を持っておって、それからまた、IBMの営業方針として、機械を売らないで、借りる人にだけ使ってもらうという、こういう方式をとってきたからでございますが、単にそれだけではなくて、どうも考えてみますと、レンタルでいきますと、毎期毎期——まあ使っているほうから見ますと、月々払うわけでございますから、借りている金が損金に落ちるということでございます。たとえば、一億の機械が入ってきましても、それを機械として買い取りますと、これはとにかく特別償却があろうとなかろうと、一応資産にはなります。資産になって償却、初年度で落ちますのは、普通償却の初年度分と特別償却分だけしか落ちませんで、残額は六年間かかって落ちていくわけでございますが、レンタルでいきますと、使うほうからいいますと、毎月毎月の分を損金で落としていけるものですから、そういう意味で、どうもレンタルがはやりわりあいにユーザーのほうに受け入れられているという関係があるのではないか。そこで、まあ最近、話がわきへいって恐縮でございますが、電子計算機以外にも、たとえばリースという形で、いろいろリース事業というものがだんだん発達してまいりましたのも、これもやはり、機械等を買うよりは、毎期毎期損金で払っていったほうが得ではないかということで、どうもリース事業というのがだいぶ発達してきたわけでございますが、そういう点から申しますと、まあ先生おっしゃるように、IBMに対抗して国産電子計算機メーカーを奨励する趣旨からいって、特別償却制度があって、そのリースで借りているものに何らのポリシーがないということは何か片手落ちではないか、びっこではないかという御指摘は、確かにそういう面もよくわれわれももう一ぺん考えてみなければならぬ点もあるとは思いますが、いまの、片方は損金扱いだし、片方はまず資産扱いということが、違いがあるということも、あるいは一つ基本に考えていただく点ではないかと思います。
  43. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 先生のいまの御質問に直接お答えすることになりませんけれども、先ほどからの議論に関係するので申し上げますと、買い取りについて特別償却をなぜ認めているかということについて、大蔵省からいま合理化機械としての一般論がございましたけれども、それ以外に、メーカーの立場から考えますと、日本メーカーとしては、本来ならば買い取りでもってやってもらったほうが一番いいわけで、レンタルということになると、レンタルバックという非常にこわいものがありますから避けたいわけですけれども、不幸にして、この電算機というのは商慣習としてレンタル制度が発達して、特にIBM外資系はこれでもって猛威をふるっているということで、やむを得ずレンタルでやっているわけでございます。そういう意味におきまして、買い取りというのはレンタルバックがないから、メーカーの立場としてはこれはいいわけなんで、もしそういうお客さんがあればこれはありがたいわけです。しかしながら、お客さんにとってみれば非常に負担が大きいわけですから、お客さんの負担をそれだけなくして、特別償却ということにして負担をなくして、せめてそれでもって、買っていただくお客さんには買い取りで買っていただこう、こういう意味におきまして、まあ、合理化機械の本来の制度、趣旨と離れるかもしれませんけれども、そういうメリットは、メーカー対策として、あるいはもっと広くいえばIBM対策として意味があるという点はございます。
  44. 堀昌雄

    堀委員 そこで今度は、五分の一だったのを四分の一にするということにしたということですが、これはまあ、去年のアメリカからの電算機自由化問題が出て、おそらくそれを受けてこうなったんでしょうね。まあそうだと思いますね。ずっと聞いておると、どうも通産省のいまのお話でもそうですが、これはメーカー対策というのが前へ出ちゃって、本来、合理化機械なり祖税特別措置法というものは、どちらかというとユーザーなり使用者に中心が置かれておるのが、この税体系の趣旨ではないかと私は思うのですが、どうもこれだけ、電算機だけについては、そちら側のほうにはもう一つ不十分なような感じがするのです、見ている感じでは。そうして、メーカー対策に終始しておるということは、私はどうも少しその点でひっかかる感じが実はするわけであります。  そこで、通産省にちょっともう一度伺っておきたいのですが、いまの買い取り部分が四十五年、まあ四十六年はまだわからないのでしょうが、四十七年と、だんだんこうふえてくるについて、償却率が五分の一から四分の一に上がったという問題もあるわけですけれども、実は大蔵省のほうでは、五分の一が四分の一になったということはそんなに影響ないと思うのですが、この減収見込みでたいへんたくさん実は出されておる。  主税局に伺いますが、この電子計算機特別償却六十五億というのは、これをはね返した、要するに減価償却資産特別償却ですから、本年四十七年度に買い取りで購入されるベースになるのは一体幾らと当初に算定をしたのですか。
  45. 高木文雄

    高木(文)政府委員 約千三百億でございます。電子計算機の取得価額総額を千三百億、四十七年度で見込んでおります。
  46. 堀昌雄

    堀委員 ちょっと六、五を言ってみてください、一緒に。
  47. 高木文雄

    高木(文)政府委員 六は約千五十億、五の数字はちょっといまここにございません。
  48. 堀昌雄

    堀委員 いまの四十六年千五十億の買い取り価額に対して五分の一の特別償却と普通償却で二十億減収、いいですか、千五十億から千三百億に二百五十億ふえたというと四分の一ですね。二五%くらいの伸びになっていますね。それに百分の五の特別償却がプラスされるということで、減収額が四十六年度見込みの二十億から六十五億に三倍になるというのは、これはどういう計算ですか。
  49. 高木文雄

    高木(文)政府委員 先ほどの説明を若干訂正をいたします。四十六年度の電子計算機の取得額は、先生がただいまおっしゃいました減収額二十億というので国会に見込み額を出しておりましたが、そのときの見込み額は、その二十億の前提となった電子計算機の取得額は約五百億でございます。それで四十七年度の減収見込み額を見積もりますときに四十六年度の実績見込み額を取り直しました。その取り直しましたときに四十六年度の減収見込み額がふえるであろう。それが私が先ほど言いました千五十億でございます。したがって二十億から六十五億にぽんと伸びましたのですけれども、四十六年度に千五十億と見込みました四十六年度の減収見込み額は大体四十億強でございます。
  50. 堀昌雄

    堀委員 私がさっき通産省に、四十五年の買い取り幾らあるかといったら六百三十九億というのが実績ですね。大蔵省は何でこれを推計しておるのでしょうか。六百三十九億四十五年はあった。四十六年をやるときに四十五年のもの全部はわかっていないにしても、これは通産省のほうでは半期くらいごとにはわかるんじゃないですか。一年間たたぬと買い取りがわからぬということではなしに、これは特別償却を申請したりいろいろしなければならぬわけでしょうから。半期たてば、要するに四月から十月までの一、二クオーターの上半期の終わるくらいのときには、おそらくその年の実績がわかるとすれば、それから最近の傾向は上昇傾向でしょうから落ち込みがないとして見れば、大蔵省が試算のもとにするものがもう少し正確であっていいんじゃないかと思いますが、四十六年は五百億で見積もっていたけれども、実績見込みは千五十億だ。倍になって、いまお話があるように四十億強になっているという。ずいぶんな誤差ですね、これあたりを見ると。今度の六十五億というのは四十億から見れば、いまお話しのように話は合ってくるんですが、ちょっとこれだけを見ますと、たいへん誤差がある。  これは一例をとっていまここで申し上げておるわけですが、特に特別償却のようなものに関しているものは、税務署に必ず申告を届けてやっておることだから、これからひとつ皆さん、減収額を予算ベースで出したもので少なくとも実績ベースで補正をすることができるものは補正をして出してもらいたいと思うのですね。それでないから、いま私がちょっと問題提起をしたように、いかようにもおかしなデータになるということになるので、これは租税特別措置というものが税の公平を害しておるという角度から見ますと、こういうものはあとで補正をして、実績見込みを合わせて、四十七年のときに四十六年の実績見込みはこうなりました、四十七年の見込みはこうでございますという形で出すことがより私は適切だと思いますが、政務次官、これどうでしょうか。
  51. 高木文雄

    高木(文)政府委員 いまの四十六年度の見込みを最初五百億強と見ました。それはやはり通産省のほうからいただいた数字でございます。それから四十七年度を見ますときに、四十六年度の実績見込みが約千五十億と見ましたのも、同様に通産省のほうからいただいた数字でございます。ということは、その間において非常に伸びが大きいということを意味するわけであります。  そこで別の問題として、ただいま毎年の減収見込み額を出すについては、実績見込み額を出してはどうか、出せないか、こういう御指摘でございますが、それは出せる部分と出せない部分とございます。この電子計算機の場合にも、実は減収試算そのものも、ただいまの御質問を通じて明確にされましたように、すべて通産省のほうから大体の資料をいただいて、それを前提にして見込み額を立てております。  前にも一度御説明いたしましたが、特別償却につきましては、税務署に数字が出ておるから、それで出そうなものだという御指摘ではございますが、法人税の申告書では、申告書別表十六というところに、特別償却を申告書に書いてくることになっているのですが、特別償却の種類があまり大き過ぎますために、各欄ごとにそれをやりますと、申告書の欄が非常に大きくなりまして、しかも電子計算機の例などが最も典型的な例でございますが、電子計算機特別償却の欄に書き込むことを要する法人の数というのは、非常に限られた少数の法人になります。百万の法人のうちで、特別償却対象になる中型以上の電子計算機を持っている法人の数というのは、そう多くはないものですから、そこで現在別表十六欄は、中小企業等の割り増し償却と海外取引等の割り増し償却、それから合併の割り増し償却、これだけは特掲をしてございますが、それ以外の特別償却につきましては全部一括して、その他の特別償却という欄を設けまして、そこへ全部申告書を書かしておるものですから、税務署のほうではこれがどの分の特別償却かはわからないということになるわけでございます。それで、そういういまの三欄以外の特別償却の減収見込み額の立て方は、私どもはそれぞれの監督官庁といいますか、関係行政官庁のほうから、先ほどのような形で数字をいただいて、それで見込み額を算定をしているというやり方をしておるわけでございます。  それにいたしましても、予算編成時と、一年たちますと、新しい見込み数字がつきますから、それに基づいてできるものは出したらよかろうという点については十分検討に値するというか、当然それはやった上で実は出しておるわけでございますから、それをやらなければ、次の新しい年度の分が計算できないわけでございますから、それは、あとはどういう表形式にしてお出しをするか。ただ一欄にして出すということでありますと、それが出せる分と出せない分と飛び飛びになるものですから、それを集計した数字というものは、今度は意味がないということになりますので、表の出し方については今後御相談させていただきたいと思いますが、出せるものは出させていただきたいと思います。
  52. 堀昌雄

    堀委員 通産省の資料だということになると、これは通産省もう少し正確なものを出してもらわぬと、一年間に倍も違うなんというのは、これは電子計算機なんというのは、ともかくそんなにぱっと売れたりぱっと売れなくなったりするものではなくして、かなり大きな大型プロジェクトですから、傾向的に見ればある程度のこれはつかめていいんじゃないか。ちょっといまの話を聞いておると、大蔵省に出される基礎数字に少し問題があるように思うのですが、これは合理化機械全部重工関係でしょう。まあ重工でないものも少しあるかもしれませんが、もうほとんど重工でしょうから、ちょっとこれはその他の各項目についても十分ひとつ正確を期した資料を出すようにしてもらいたいと思うのです。  そこで、いまの電算機の問題は、大体時間もなくなりましたから以上で終わりたいと思うのですが、国際比較でこの法人税の償却の問題を——ちょっと残っておってくださいよ、合理化機械全般に触れるわけですから。合理化機械等の問題が特別償却として、たいへん日本の場合にはたくさんあるわけですね。これは諸外国の例を見ると、ありますが、まあ大体日本の四分の一程度でしょうかね。ひとつちょっと局長のほうから——日本の場合、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリア、いろいろあると思うのですが、日本のはずいぶんたくさん特別償却フェーバーを与えておるものがあるということが一つ。  もう一つは、アメリカなり西ドイツは償却不足額というものの繰り延べを認めていないけれども、日本の場合は特別償却については三年間の繰り延べを認めるとか、全く日本というのは企業天国のような気がするのですね。これはそろそろこういう問題もアメリカ、西ドイツ並みにやっていかないと、いまの国際経済問題で、日本は非常にそうやって企業フェーバーを与えながらさらに競争力を強化しておるではないか。要するに、アメリカや西ドイツがやっておる程度にやはり日本もやるということに考えることが、私は産業政策上から見ても相当ではないか、ここらでやはり発想の転換をしない限り、また再切り上げに追い込まれることは必至になる、こういうふうに思うのですが、これはまあ大臣との質問の関連になるわけですが、そういう点を含めてひとつ諸外国の償却の特例をちょっと簡単に述べてもらいたい。
  53. 高木文雄

    高木(文)政府委員 一般的に申しまして、かなり日本の減価償却制度が、特に合理化機械等特別償却制度等六が複雑なものになっていることは御指摘のとおりでございます。各国の税制もしょっちゅう動いておりますので、私どもの調査が十分行き届いているかどうかは必ずしも十分の自信を持っておりませんが、アメリカでは初年度の償却制度ということで、一定の金額以上のものについては二〇%の追加償却制度というのがあるようでございます。そのほかに公害防止施設の特別償却、鉄道車両の特別償却、炭鉱保安施設の特別償却というようなものがあることが私どもの調査ではわかっております。それからイギリスも若干の違いがありますが、たとえば船舶等につきましてはかなり自由償却制度になっておるというようなことが調査の結果わかっております。西ドイツについてはかなりこまかくいろいろあります。種類としては工業用の建物、倉庫、農業用建物等についての割り増し償却であるとか、汚水損害防止施設とか、鉱山施設であるとか、大気汚染防止用施設、研究開発資産、騒音防止用施設などいろいろあるようでございます。  しかし御指摘のように、わが国の場合は非常に、ちょっと大観しましたところでは各国に比べれば種類が多いということはおっしゃるとおりでございますが、ただ私どももまことに不勉強で申しわけないのですが、諸制度をいろいろ外国の書類を取り寄せて、制度上こうなっているということはある程度わかっておるのでございますが、その運用の結果としてその大きさがどのくらいのものになっておるのかというあたりが、どうも調査が不十分でございまして、いろいろの特別償却制度の事項の数を、こんなものがありますということだけは御説明できるのですが、それを運用した結果、普通償却額に比べてどのくらいのボリュームになっておるかというようなことについては、どうも諸外国も統計が必ずしも準備されてないようでございますし、また私どもも、そういういわば執行面といいますか、制度の運用を含めての調査というのについて、どうもいままでも苦手でございまして、あまりやっておりません。そこで、日本制度は複雑であり種類が多いということはおっしゃるとおりでございますが、その全体のボリュームがはたして諸外国と比べて多いかどうかという点だけはよくわからないということでございます。
  54. 堀昌雄

    堀委員 私は、やはり税制の問題ではアメリカを大いに参考にしていいのじゃないかと思うのです。これ、ちょっと読み上げますと、一が重要産業合理化機械、二が中小企業合理化機械というようなかっこうになって、小売り商業共同店舗、国産第一号機、電子計算機、工業用水道への転換設備、公害防止設備、特定鉄道設備、原子力発電設備のうち原子炉、タービン、発電機その他の機械及び装置、特定地中送配電設備、特定のガス供給設備、海上運送業用船舶、航空運送業用航空機、協同事業合理化機械、中小企業者の公害防止施設の特別償却、ここから下は合理化機械じゃないのですが、いまのところまで合理化機械があるわけですね。これは考えてみて、原子力発電だとか地中に送配電線をつくるとか、特定のガス導管だとか、いろいろありますけれども、おそらくアメリカでは、原子力発電するからといってそう特別なものを与えておるわけでもないだろうし、少し日本のはきめがこまかいということ、さっきの通産省のお話のような、要するに企業対策の面が少し強過ぎるのじゃないか。だから私もこの中で、たとえば小売り商業共同店舗の問題とか中小企業の問題あるいは公害関係というようなことは、これは必要だと思うのですけれども、ある一定以上の規模の大企業について、個別的にあまりそういう特例をどんどん設けるというのはいかがかと第一思うし、またこの内容は、ずっと見ておると、小売りのほう、小さいほうのものはどちらかというと償却率が少ないわけだ。小売り商業共同店舗の場合は、D=N+取得価額×1/10というような、こんなのはかなり流通機構その他で考えてやってもいいと思うのです。これは特別償却といってもたいへん小さな償却率、この中に二分の一があったり三分の一があったり、五分の一は四分の一になったのですが、ずいぶんバラエティがあるわけですね。だからここらはもう少し整理をする必要があるのじゃないか、私はこう思うのです。通産省の側としては、これまではどちらかというと企業育成型行政だったのが最近は方向転換になったように聞いておるのです。通産行政も国民福祉優先型というのか、そういう方向に通産省の政策も転換してきたということのようなんで、ここらのそういう企業に対するいろいろな配慮そのものは、それは公共のものならばそれはいいといえばいいということになるかもしれないけれども、もう少しこれらを整理をする必要があるのではないか。どうもこれらの特別償却その他の問題は大蔵省が主導的に考えるのではなくて、主として通産省の主導性のもとに大蔵省がこれに付随してやっているのじゃないかというふうにわれわれも理解をしておるので、通産側としても、そういう基本政策の転換を踏まえて、もう少し整理すべきものは整理をしていくということでいいのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  55. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 おっしゃるとおりの状況でございまして、合理化特償の対象となっておる機械については常に中身の検討を加えておりまして、そのときの情勢に応じて改廃、洗いがえをしているわけで、公害関係が大事だと思えば公害関係のほう、そのかわり古いもののほうをやめていっておるわけであります。  それから、それに関連して、さっき私が言ったことを先生誤解されているのではなかろうかと思いまして申し上げますが、先ほど私がメーカー対策ということばを使いましたが、それはユーザーのメーカーのことをいっているのじゃなくて、電算機メーカーの自由化対策のことをメーカー対策と申し上げたわけです。要するに、先ほど先生IBM対策のことをおっしゃっておりまして、そのためには日本電算機メーカーが対抗できるようにいろいろな施策を講じなければならぬ、レンタル制度のためにJECCの強化その他やらなければならぬというお話でございますが、電算機メーカーの自由化対策の一環としての意味があるということを申し上げたわけでありまして、決して鉄鋼であるとか電力であるとかユーザーのメーカー対策ということを申し上げたわけでは毛頭ないわけであります。その点誤解のないように一応申し上げておきます。
  56. 高木文雄

    高木(文)政府委員 通産省への御質問ではございますが、ちょっと一言だけ私どもの感じを申し上げさせていただきます。  特別措置についてはあまりにも複雑であるのでもう少し簡素なものにしてはどうかという点がまさに御指摘のとおりであることは、大きな目で見ておっしゃるとおりだと思います。そういう方向で私どもも今後とも努力をいたします。しかし、いままでなまけていたかというと必ずしもそうじゃなくて、いままでもやってきたのだとは思いますが、なぜうまくいかないかという点にも一つ問題があると思いますが、なぜうまくいかないかという一つの大きな理由としては、日本のいろいろな体質による点がたいへん多いのではないか。各省あるいは各方面からのお話を聞いておりますと、勉強家が非常に多くおられて、どこの国にこういう制度がある、どこの国と競争で負けてはならぬというところで、どこの国のこういう制度というのを各方面の方がそれぞれ非常に広く勉強してこられてわれわれが教えられる、こういうかっこうになるわけでございまして、何も税制だけではないと思いますが、あらゆる制度についてそういうことになっておりますので、そういうことがいいか悪いかわかりませんが、補助金の場合でも措置法の場合でも、要求庁が非常に熱心に勉強してこられるものですから、それをなかなか簡単にだめというわけにいかないということが重なって、洗いがえは行なわれながら全体としてはなかなかなくならない、こういう形が続いてきているのが今日の姿ではないかと思うのでございます。  そこで私どもとしてはもっと簡素なものにして、たとえば大ざっぱに何割増しというようなことで、いろいろなものをこうしたらどうか、こういうことは考えないではないのですが、せっかくそういうものをつくりましても、やはり熱心な方はまたそこからちょっと別なものをつくれという御要求が次々繰り返されることになる可能性があるわけでありまして、たとえば最近でも発想の転換ということがありまして、いわば企業中心的にとかくこの租税特別措置法が使われがちである。それを直そうという方向は出てきておるわけでありますけれども、しかしまた一方において、それでは福祉対策であるとかあるいは都市対策であるとかあるいは土地対策であるとかいうことで、やはり税を誘引政策に使おうということ、そのものをやめる方向にはなかなかいかないということではないか。それを放置いたしますれば不公平という問題のほかに複雑きわまりなくなってまいりますから、私どもは今後ともなるべく簡素に持っていくように努力いたしますが、なかなか一朝一夕なことではないという情勢にあることだけを申し添えておきます。
  57. 堀昌雄

    堀委員 いまの話を聞いておりますと、大蔵省というところは強いところと弱いところがあって、主計局は何が来ようとだんびらをふるって切りまくるけれども、主税局は追い込まれるとはい、はいといって後退の一途をたどっておるような感じを受けるのは、私はまことに異様な感じがするのでありますが、そこで、これはもちろん熱心な者が来たらそこがうしろに下がってくるのでは困るので、やはり一つの政策目的、一つの基本的なものの考え方が柱としてきちんと立っていなければいけないのではないかと思いますので、そこらを含めて考えてもらいたいと思います。きょうは総論的なあれをやっておりますからあれですが、通産省、いまのような事情をひとつ十分考えてやってもらいたい。通産省、けっこうです。  いまのは電子計算機関係をやったのですが、次にもう一つ私、ふに落ちない問題がやはりこの減収額の中にあるわけです。そこで減収額の問題で銀行局にも入ってもらっておりますし、その他理財と証券にも入ってもらっておりますが、租税特別措置法の少額貯蓄非課税制度の問題です。きょうはあとの時間をもっぱらこの問題で質疑をしたいと思います。  昭和四十七年分の少額貯蓄非課税制度の減収額は六百九十億円、一応こういうふうに出ております。四十七年ではちょっと話が乗りにくいかもしれませんから、四十六年六百八十一億、これは皆さんが提出をしておられる少額貯蓄に関する減収額六百八十一億という減収額を立てた貯蓄の貯蓄期間というのは、一体いつからいつまでの貯蓄に対してこの減収額が四十六年分として立っておるのか、まずそれを最初にお答えいただきたいと思います。
  58. 高木文雄

    高木(文)政府委員 四十六年の三月から四十七年の二月までに支払われる利子の額、これは翌月が納期になります関係で、四十六年三月から四十七年二月までに支払われる利子の額というものが計算のもとになるわけでございます。   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
  59. 堀昌雄

    堀委員 そこでいまの問題について、少額貯蓄非課税制度は、証券関係では公社債投資信託が対象になっておりますね。ほかにも何か証券で少額貯蓄非課税制度ありますか、証券局ちょっと答えてください。
  60. 大谷邦夫

    ○大谷説明員 国債がなっております。
  61. 堀昌雄

    堀委員 国債はそうですが、国債というのは理財のほうのあれかと思っていたので——わかりました。それは国債がそうなっておりますね。  それからあとは、銀行局のほうでは貸付信託、金銭信託と預金だと思いますが、そうでしょうか。
  62. 松川道哉

    ○松川説明員 御指摘のとおりでございます。
  63. 堀昌雄

    堀委員 いまのこれは個々別々に伺ってもあれなんですが、いまお話のあった四十六年三月から四十七年二月というのではまだ実績その他がないでしょうから、実績がすでに固まっているのは四十六年の暦年なら大体これらの四十六年十二月末とそれから四十五年十二月末と、要するにその一年間にこれらの少額貯蓄の対象のものが一体どのくらいふえたのか、ちょっとその金額でもいいし伸び率でもいいですからお答えいただきたいと思います。
  64. 松川道哉

    ○松川説明員 少額貯蓄の非課税制度対象になっておりますものが、四十六年の三月末におきまして十六兆四千七百七十二億円でございます。
  65. 堀昌雄

    堀委員 前年末はどうなっていますか、四十五年三月。
  66. 松川道哉

    ○松川説明員 四十五年三月末の対応いたします数字が十三兆三千九百三十三億円でございます。なお、この中には信託関係の分も含まれております。
  67. 堀昌雄

    堀委員 証券局のほう、いまに見合う形はどうなっているんでしょうか。
  68. 大谷邦夫

    ○大谷説明員 先ほど国債と申し上げましたが、実は事業債等も入っておりますので、社債の計数、ちょっと先生の御要求にぴったりいたしませんが、四十六年上期末でございますから、昨年の九月末現在でございますと、社債の現在高は三兆二千三十六億になっています。
  69. 堀昌雄

    堀委員 少額貯蓄非課税対象を申し上げておるものだから、社債は、いまの三兆は全部対象になるわけですね。
  70. 大谷邦夫

    ○大谷説明員 さようでございます。それで、これは九月末でございまして、ひとつ計数は後ほどまた調べてまいりますが、四十五年度末で申しますと、ですから六カ月前でございますが、それが二兆九千百八億ということになっております。この半年間で二千九百二十八億の増加、こういうことになっております。
  71. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、いまのは国債と社債……
  72. 大谷邦夫

    ○大谷説明員 事業債——社債でございます。
  73. 堀昌雄

    堀委員 知りたいのは、あと国債と公社債、投資信託の伸びたのが知りたいんですね。ですから、いまの期末期末で言っていただけばわかりますから。
  74. 大蔵公雄

    大蔵説明員 国債に関して理財局からお答えいたします。  国債は四十五年の十二月末に少額貯蓄の絶対額は百八十四億二千七百万円になっておりまして、これは四十五年の六月末、すなわち半年前の四十五年六月末の百九十八億一千八百万円と比較をいたしまして七%の減になっております。さらに、四十六年六月末、すなわち四十五年十二月から半年たったあとでございますが、百七十二億一千八百万円となっておりまして、四十五年十二月末に比し六・六%の減になっておりまして、国債の場合には少額貯蓄の非課税分が徐々に減少をいたしておりまして、例の別ワク非課税の部分が増加をしている、かような傾向になっております。
  75. 松川道哉

    ○松川説明員 ただいま申し上げました四十五年三月末の計数と四十六年三月末の計数と比較いたしますと、二三%の伸びになっております。なお、御参考までに四十四年の三月末から四十五年の三月末、すなわち一年前の計数は二三・八%の伸びになっております。
  76. 堀昌雄

    堀委員 この少額貯蓄の対象になっておるもので一番多いのは銀行局所管のものだと思いますが、いまお話しのように、四十四年から四十五年に対して二三・八%、四十五年から四十六年に対して二三%ですね。ですから、二年間は大体二三%くらいの伸びになっておる。そうすると、四十七年もいまの情勢からしてほぼこれに近いかっこうになるのではないかと思いますが、四十七年に対する皆さんの見通しはどうでしょうか。
  77. 松川道哉

    ○松川説明員 ただいま御説明いたしました四十四年度並びに四十五年度中の伸びはそれぞれ約二三%でございましたが、この伸びは必ずしも一律ではございません。ある年には三五・八%というような高い伸びを示したときもございますし、それほど伸びなかった年もございます。ただいまのところ四十七年度中にしからばどのくらい伸びるかということになりますと、私ども正確な見通しは立てがたいというのが現状でございます。
  78. 堀昌雄

    堀委員 最近の全体を見ますと、経済企画庁は、今年の雇用者所得——国民所得でもいいのですけれども、雇用者所得の昭和四十七年度の伸び率を一五・二%くらいと見積もっておるわけですね。ですから、所得が一五・二%伸びるということは前年の一六・五%と比べると一〇%くらい雇用者所得の伸びは下がると見ておるわけです。貯蓄の面から見て、不況の時期というのは、消費がふえるよりも、やや貯蓄のほうがふえるというのが全体の傾向ではないかと思うのですがね。そういう傾向を踏まえて考えてみて、これは推計だからわからぬかもわかりませんが、二〇%内外というところに大体いくのではないかと私は思うのです。これは見通しですから、ラウンド程度でいいですが、大蔵省ではどうでしょうか。
  79. 松川道哉

    ○松川説明員 ただいまの堀委員の見通しにつきまして、私ども貯蓄の総額ということであればおっしゃるようなことになろうかという感じがいたしております。そこで、ただいま問題になっております少額貯蓄の対象になるものはどうなるかということになりますと、そこに若干違いが出るのではなかろうかということで、私ども現在の段階で大胆な見通しは立てがたいというのが現在の状況でございます。
  80. 堀昌雄

    堀委員 ちょっと少しこまかく中身に入ったわけでございますけれども、少額貯蓄の非課税により減収となるべき部分が、かりに一億円としますと、金利はもちろん、たとえば公社債、投信のように七・三くらいですかな、予想配当率が。七%台のものもある、あるいは定期預金のように五%台のものもある、いろいろバラエティーがありますから一律にはいかないと思うのですが、まるめた感触として、少額貯蓄非課税制度によって減収が一億円立つときには、その対象となる貯蓄額というのは、主税局は大体幾らくらいに見ておりますか。
  81. 高木文雄

    高木(文)政府委員 実は私どものほうは税務統計上出てきます非課税の額というのを把握しておりまして、それが古い数字なものですから、それを伸ばしてやっておりますので、いま御指摘の預金元本額と非課税貯蓄による減収額との関連はあまり勉強しておりませんので、御質問によくお答えできない次第でございます。
  82. 堀昌雄

    堀委員 私、少しこの問題でひっかかっておるのは、これもさっきの話じゃないのですが、皆さんが出したのは四十五年の減収額が四百九十八億だったですね。四十六年が六百八十一億。ここでぽんと百八十三億もふえまして、実は三六%増になっておるわけですよ。しかしいま私がざっと計算しても、大体減収額に見合う貯蓄額というのは一億円の減収に対して百億ぐらいの貯蓄額ということに計算上なるのじゃないかと思うのですけれども、ともかく四十五年と四十六年というのは、この間には少額貯蓄の非課税制度の変更はないのでしょう。制度の変更がないにもかかわらず——これは四十六年度は最後の一クォーターだけ変更部分が入りますよ、四十七年一月一日から税制変更になっておるから。一クォーター入るけれども、三クォーター分は実は四十五年の税制と同じことになっておるわけですね。それであるにもかかわらず、ここで三六%伸びて、四十六年と四十七年は六百八十一億の減収と六百九十億の減収で、この間は九億しかふえないのだ。四十五年から六年に百八十三億も減収がふえて、四十六年から四十七年には九億円しか減収がふえない。ところが四十七年は、いま私がちょっと申し上げたように、少額貯蓄の非課税制度はたいへん手直しをされておるわけですね。これは限度額が百万円から百五十万円に拡大をされ、対象に株式投信を加えることができるようになった。国債についての限度額も五十万円から百万円に、別ワクでできるようになった。こういうふうに制度が大幅に改善されておる四十七年度がわずか九億しか減収額がふえないで、制度があまり変更されなかった四十六年に百八十三億減収額がふえるというのは、これは一体どういうことかお伺いしたい。
  83. 高木文雄

    高木(文)政府委員 これはほかの委員からの御質問にお答えしたかもしれませんが、実は租税特別措置による減収見込み額というものの表のつくり方にはたいへん問題があるわけですが、私どもが出しております見込み額表は平年度計算でやっておりますものですから、つまり裏から言いますと、その制度をやめたならば幾ら増収になるかという計算でやっておりますものですから、クォーターとおっしゃいましたが、クォーターで切るものでなしに、百万から百五十万にかりに非課税限度を上げたという場合に、百万から百五十万に上げたことによる影響を何年間かで順々に見ていくというやり方でなしに、百万から百五十万に上がったことによる影響を四十五から四十六へ移るところで一ぺんに見ておるという見方をしております。それはこの間から問題になっておるところでありまして、その歳入といいますか、ことしでいいますと、四十七年度歳入に幾ら影響があるかということで特別措置の減収額を試算すべきか、それとも制度として幾らの減収として働いているかということで減収を見積もるべきか、まずこの二つのどちらの立場に立つべきかということがあるわけでございます。  そこで、現在の出し方は、四十七年度にあります制度が平年度計算で幾らになるかという前提でどの項目も全部計算をいたしております。したがって、四十七年度に現行特別措置法がかりに全部やめになるという場合に、四千七百三十億がそっくりそのまま四十七年度収入になるとはいえませんので、平年度時においてそれだけの増収として戻ってくる、こういう計算になっております。
  84. 堀昌雄

    堀委員 この減収額ですね、この間からやっていて全く何というか、われわれがこれまで受け取っておるのは、あなた方のほうは四十七年度減収額、こう書いてある。平年度減収額と書いてあるのか。われわれがもらっているのにはそんなこと書いてないぞ。「昭和四十七年度租税特別措置による減収額試算(内国税)」こう書いてある。
  85. 高木文雄

    高木(文)政府委員 次の欄の右側に「四十七平年度減収額」と書いてあります。
  86. 堀昌雄

    堀委員 四十七平年度というのはどういうことかしら。四十七年度租税特別措置による減収額と四十七平年度減収額というのは、それじゃ違うわけですね。表題と中身が違うということだな。
  87. 高木文雄

    高木(文)政府委員 この表のつくり方は、非常に困っておるわけでございます。表題は、「四十七年度租税特別措置」、これがこの間堀委員から御指摘がございましたように、租税特別措置法ということでなしに、租税特別措置ということにしておりまして、これは現行の四十七年度改正によるということを読み込んでおります。それによる減収額の試算、内国税というのは関税は入っていませんという意味でございます。  その次の「四十七平年度減収額」というのは、四十七年の経済状態を前提として試算をして、たとえば試験研究費にしましても、先ほどの電子計算機にしましても、価格変動準備金にしましても、四十七年度、つまり四月から三月までこの切り方をどこで見るかという問題がありまして、法人税が主でございますので、四月から三月までに収入になる分、個人でいえば四十七年の歴年所得、それから源泉徴収でいいますと、四十七年度収入になるべき源泉徴収分、みなこれは時期が違いますので、一応そこはベースとなるべき区切りをどこによるべきかということについては、四十七年度歳入になるべき区切りを一応とっております。それから今度平年度計算をしてやっております。平年度計算をしてやっておりますというのは、制度が途中で動きました場合にも、全部フルに働きます。ただフルに働きますという場合にも、それでは非課税でございますと、そこらが非常に私ども説明しにくいのですが、百万円まで非課税という場合に、全員が百万円までフルに使うかというと、現実には平均二十何万までしか非課税制度を働かしていないという現状でございますから、それはかりに百万が百五十万までワクが上がったら平年度でどこまで上がるかという見当をどう見るかという問題は、実はあるのでございますが、しかしそこのところは伸び率推定はいたしますけれども、それは初年度で過程を追って、先ほど申しましたように、四十七年度歳入に影響のある期間だけをとって見るのでなしに、百五十万に行き着いたところでこの辺まで上がるであろうという前提で計算しておるということでございます。  そこで、いま言ったのは原則でございますが、それぞれの計算で多少いまの原則のよりごたえにもよりますけれども、初年度か平年度かということにつきましては、すべて平年度計算によっておりますので、一応平年度減収額という表示を、以前からだと思いますが、とらしていただいております。
  88. 堀昌雄

    堀委員 制度が一番おしまいの第四クォータから働くものを、平年度計算で四月から働いておって三月まで働くものとみなしてここに減収額に立てるなんということは、よほど説明がないとわれわれ理解できないのですよ。やはり私どもは「昭和四十七年度租税特別措置による減収額」という、これが最高の表題ですよね。だからその最高の表題なら昭和四十七年度に租税特別措置によって本来歳入としてあるべかりしものが、この制度によって減収になったものが幾らかというふうに理解するのがたてまえだと私は思うのですね。だから、ここの平年度計算なんというのは、これは私に言わしたら全く、あなた方の理論数値かもしれないけれども、われわれが議論する実態というのはこの予算に関連しているわけでしょう。大体これは予算委員会でしているんだと思う。だから予算に関連しているということは、表、裏として四十七年度の歳入を頭に置きながら減収を考えるのであって、こんな理論数値でございますと、これはもう歳入に関係のないものを予算委員会に提出することないと思うのですよ。これはあとから予算の分科会で大蔵大臣に言わしてもらうけれども、一体なんだって大蔵省は、予算委員会に提出した資料、理論数値を予算委員会に出している、これは予算委員会としては重大問題だと私は思うのですよ。  だからこれはいまさら言っても始まらないから、今後ひとつこういうちょっと理解に苦しむようなことはやめてもらって、やはりこれは表題にあるとおり、昭和四十八年度租税特別措置による減収額試算というならば、本来その制度がなかりせば歳入であり得べかりしものが、この制度があるために歳入にならなかった昭和四十八年度中における減収額の総額は一体幾らだと、こういうかっこうで四十八年度から出してもらいたいと思うのですよ。租税特別措置による減収額というのは、常識的に平たく言えばそういう理解だと私は思っているわけですよ。おそらくいまのように、四十七年の一月一日から実施されたものが四十六年四月一日から実施されたものとみなして計算をしたなんということは、ないことなんだからそんなことは実際に。ないことをあるかのごとく処理されたんでは実際問題として困るのですよ。この問題は現実問題として把握をしているわけですから、理論計算じゃないんだから……。
  89. 高木文雄

    高木(文)政府委員 御指摘のとおりでございます。減収見込み額を立てる場合には、どういう目的でその数字をお使いいただくかということによって立てるべきだと思います。従来からこういう方式で出しておりますので、実は私も十分な反省をしないで従来方式で出したわけでございます。ただ、この方式はでは意味がないかというと、その点だけはちょっとお断わりしておきたいのは、どうも私どもの最大の関心事は租税特別措置をふやしたくないということだものでございますから、そこでいつも租税特別措置を新しくつくりたいということについて各省庁から御要請がありました場合に、それは何とか押え込みたいということから、実は平年度計算をやって、これを整理してこのくらい減らせ、これだけ努力をしてもう、この措置は洗い直してこれは要らないから減らす、これは幾らくらい増収になってくるからその範囲内でこれをひとつ認めさしてくれとかいうようなことでいつも計算をやるわけでございます。ところが法人の決算期は三月、九月期が非常に響きまして、しかも九月期はみんな翌期にずれてしまうものですから、その歳入ベースで計算しますと三月期が入ってこないということになりまして、とりあえずことしは五億しか影響しませんからこういう制度を認めさしてくれとかなんとか言われると困る。そこでまず、落ちるほうも平年度ではどうか、入るほうも平年度ではどうかということで議論したほうが間違いがないということがあります。  実は国会へお出しする数字としてはこういう数字をお出しするのが適当かどうか、それはお使いいただくそれぞれの目的に応じていろいろ考えていっていいと思いますが、私どもが実は税制改正の際に議論しておりますのでは、もっぱら何とかしてこのワクの中であまり広がらないようにとか、できれば減らしたいが多少ふえてもしようがないとかいうことで、やりますときには平年度ベースでやりませんと、要するに歳出でたとえばいろいろな社会保障等で単価を十月から上げますと、翌年度には自然増でぷっとふえますと、あの時期は非常に後年度からの硬直化の原因になるというのと同じ話で、減収につきましては後年度にあまり影響のあるようなことをやってはまずかろうという精神で、どうも主税局の作業はすべて平年度平年度ということできているものですから、そこで表を出す場合のいろいろの数字も平年度でやってきている。しかもこの数字というのはあくまで試算でございまして、ことしの八兆幾らという歳入見積もりを立てるときには、影響がないのでこの数字は実は全く使っておりません。制度論としてこういう議論をして積み上げてきているものですから、その場合には平年度でいっておる。そこでただいま御指摘のように、それでは当面四十七年度の予算編成等との関連上いろいろ特別措置による減収額を見たい、こういう御要請であります場合には、またこれ別途の計算をやってみなければいかぬ、それはやってやれないことはないということでございますが、その数字は実は主税局としてあるいは大蔵省として、現在のところでは気持ちとしてはやはりどっちかといえば制度論のほうに最も重点は置いていきたい、歳入論よりはどっちかというと制度論のほうに重点を置いていきたいということでございますけれども、初年度ベース計算を絶対出せないということではない、こういう感じでございます。
  90. 堀昌雄

    堀委員 確かに平年度ベースの問題ですが、所得税の問題を見ていても、平年度というのは理論数値になっているわけですよ。ことしはちょっと違うかもしれないけれども、毎年毎年減収していると実は実態は初年度しかないんです。平年度というのはもうその次には初年度になっていって実は理論数値になっているわけで、どうも税は最近皆さんのほうは常にそういうふうに平年度ベースというのを書いてあるわけだ。あまり考慮していない。だから大蔵大臣と議論するときでも、この減収というのは初年度ベースか平年度ベースかと聞くわけです。そうしないと実鉱はわからないわけだ。そういうわけなのであれですが、この減収の問題は一回見られた方ではそういうことはわからないと思うんだ。私のほうに経年度でずらっと資料を並べて積んでみると、ここもおかしい、ここもおかしいということになって、全くいまの四十五年度から四十六年にふえているのは、これは制度の変革がなければふえっこないわけだ、実際は。しかしその制度の変革は四十七年一月一日からになっているのだから、そんなものは四分の一しか本来きかないわけだ。こうなってくると全くわからなくなってくるわけなんですね。  だからひとつ大先輩の坊さんも言っておられるように、大蔵省が自己防衛上必要な平年度計算と、われわれが国会審議に必要な、要するに初年度計算と、あわせて四十八年度から出すように一ぺん作業してもらいたい。と同時にまだ時間がこれからあることですから、あまり古いところまではよろしいが、もうデータがそろっておると思うので、四十四、四十五、四十六、四十七というふうに、七はこれからの問題でしょうが、少し過年度を含めて、初年度分だったらどうだったと初年度を並べさしてもらうと、そのいろいろな経過もまたわれわれなりによくわかる、こういうことになると思うので、ひとつその点、作業量がふえてたいへん恐縮だけれども、まあ残業手当もしっかり払って少しひとつ皆さんに御勉強いただいて、国会審議に役立つような減収表をお願いしたいと思うのですが、政務次官、いかがでしょうか。
  91. 田中六助

    田中(六)政府委員 十分検討させ、参考資料を出すようにいたします。
  92. 堀昌雄

    堀委員 きょうはこの前と非常によく似ていたわけですが、このデータから見た疑問点——疑問点の中で通産省の資料が間違っているという問題もあって、必ずしも大蔵省のせいではなかったようでありますが、次回はまた、引当金、準備金特別償却、割り増し償却の問題等をひとつ論議さしていただくことにして、お約束の時間が来ましたから、質問を保留してこれで終わります。
  93. 山下元利

    ○山下(元)委員長代理 午後一時三十分より再開することといたし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ————◇—————    午後一時五十八分開議
  94. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松尾正吉君。
  95. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 昨日の大蔵大臣への質問で、現在、租税特別措置が百四十八項目ある、こういうことがはっきりしました。この百四十八項目の租税特別措置については今後縮小すべきではないか、こういう質問に対して、総理大臣は、その方向で進めたい、また大蔵大臣も昨日は、項目を縮小していきたい、そういう方向で進める、こういう答弁があったわけです。そこで縮小していく方向でありますが、私は現在までの経過を見て、これは主税当局の能力はもちろん高く評価します。しかし主税当局だけでは、これは物理的にとうてい不可能であろう、こういうふうに考えますし、さらにまた税制調査会においても公正な線を出すということは、企業代表等がある関係で不可能であろう。したがって、厳正中立な、しかも今後の国民福祉政策に合った税制の中の特別措置を打ち出していくためには、学識経験者等を含めた税調の特別部会等で十二分に検討する方向があると思う。こういう提案に対して大蔵大臣は、この能力は十分主税局にあるのだ、こういう答弁をいただいたわけですが、私は、先ほど申し上げたように非常に心配がありますので、それについて事務当局、主税局長の考え方をまず伺っておきたいと思います。
  96. 高木文雄

    高木(文)政府委員 先般来の当委員会における御審議の過程で、ただいま松尾委員からお話がございましたような質疑応答があったわけでございますが、私どもといたしましては、いま直ちに具体的に、たとえば税制調査会に特別調査会もしくは専門委員会を設置することをお願いしていたすのがいいのか、あるいは何かもう少しほかの方法を考えるのがいいのかということを、この席でお約束をすることはいたしかねるわけでございますが、しかし、どのような方法にするにせよ、そろそろ一度転換期にも差しかかっている際でもございますので、ひとつこの問題を先般来御指摘のように取り上げてまいりたいと思うわけでございます。  ただ、当面の問題といたしましては、実は昨年の暮れに四十七年度税制改正に関連いたしまして、税制調査会の答申の中で、税制調査会自身が診療報酬に関する特別措置について、特に特別調査会を設けて研究をするということを答申自体の中にうたっておりますし、先般来もいろいろな機会に、質疑応答の中に出たと思いますが、中小企業者に対する課税の問題、これはある意味では事業主報酬制度を採用してはどうかという御意見を中心にして、中小企業事業主に対する課税の問題と法人との課税バランスの問題、さらに給与所得者との課税バランスの問題がたいへん緊急に検討を要する問題になっておりますので、これまた何らかの形で、特別調査会もしくは専門調査会のような形で、税制調査会の主要議題として緊急に取り上げなければならないことになっているわけでございます。  それで、租税特別措置に関する問題も、これらの問題と並んで緊急性を要する問題とは思っておりますが、一挙にいろいろと手を広げますことにも問題がありますので、その辺がどの程度具体的に処理可能であるかということもにらみ合わせながら、一番能率的な方法でやりたい。いまここで調査会を設けるとか、あるいは専門委員会を設けるという方法が一番よかろうということまでは申し上げかねますが、積極的な取り組みをいたしたいということだけはお約束できると思っております。
  97. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 いまここに私の趣旨と主税局長との考え方の相違があるのは、大幅に手を広げ過ぎるとたいへんだ、だから一挙にはどうもむずかしい、こういう答弁ですね。政策転換のときが来たのだ。医療制度等は何回も何回も答申を経た、そのあとで初めて特別部会をつくってやるということになったのだ。ところが、量的な生産が外圧を受けるに至って、ここでもう租税特別措置全体の総洗いをやる時期に来たのだから、これに対して総点検をやるためにはどうするか、私はこういうことを聞いているわけです。したがって、単にどうするかではなく、全体に対して洗い直す時期がきていると思う。大幅に手を広げなければならないからたいへんなので、それについて物理的な能力が主税当局としても無理じゃないか、こういう趣旨の質問なんです。これに対してきのう大臣は、それは十分に主税局に能力があるのだ、こういうことで、私はどうしてもきのうの大臣の答弁にしてもちょっと疑問が残っておりましたし、いまの主税局長の答弁からすると、この百四十八項目全体の洗い直しなんて、そんな手広いことはとうてい困難だ、こういうふうに解釈するのですが、ではここでこの全体の洗い直しについては、いま政策転換のときに必要あるかないかという点について、主税局長の考えをただしたいと思います。
  98. 高木文雄

    高木(文)政府委員 いずれにしても全体を一度見直してみるという作業は必要があると思っております。私の申し上げる意味は、税制全体の中で、社会保険診療報酬の問題であるとか、あるいはただいま申しました中小企業等の課税の問題などもまた喫緊の問題になっておりますし、それらの問題とこの租税特別措置の洗い直しの問題が、いずれ劣らぬ緊要性のある問題になっておるわけでございます。これを税制調査会の中に委員会を設けるというような形をとりましても、あるいは何か別のところにそういう組織を設けるというような形をとることにいたしましても、どのような形をとってこれを取り上げるようになりましても、結局、事務側としては私どものところで相当の事務を処理しなければならぬという点では同様な結果になるわけであります。それで、あまりたくさんのことを追い過ぎて、どれもこれもが成果をあげ得ないということになっては申しわけないことでございますので、どういう順序でどういうふうにやっていくかというあたりに私どもとして、いま直ちにそういうふうに取り上げることができるかどうかということに必ずしもお約束をしかねる点があるわけでありますが、そうおそくない時期に、おそかれ早かれ何とかしなければならぬという意味では、これを取り上げるべきものと思っておるわけでございます。
  99. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 これは確かに非常にむずかしい問題です。これは主税局自体がこの百四十八項目一つ一つについて案を立てたところで、通産省その他各省との調整の問題がからみますから、したがって、これは決して容易な作業ではないということは私も十分理解しているのです。そういう意味で、主税局でこの作業をやるということは、これはもうどう考えても、相当長期間を要したとしても無理だ、そういう判断から、何らか方法を検討すべきである、こういう考え方を提示したわけですが、大事なことですから、これは十分検討していただきたいと思います。  次に、項目に入っていきますが、この百四十八項目の租税特別措置の中に、創設以来期限が切っていないもの、大体三年程度に期限が切られているわけですが、期限の切っていない、いわゆる無期限で創設以来ずっと続けてある措置は一体幾つあるのか。
  100. 高木文雄

    高木(文)政府委員 期限の定めのない項目は、百四十八項目中六十八項目になるかと思います。
  101. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 この六十八項目の無期限の措置については、毎年税制改正のときに調査会には全部提示して検討は進めているのですか。
  102. 高木文雄

    高木(文)政府委員 実は税制調査会には、租税特別措置の全部の一項目、一項目について御審議を求めているわけではないわけでございまして、たとえば輸出の奨励措置のように、非常に金額の大きいもの、あるいはまた政策目的という非常に重要性の高いものというようなものであるとか、あるいは利子、配当等に対する課税のように、これまた金融政策上あるいは税制上非常に問題のあるものについては税制調査会に御審議を願っておるわけでございますが、そういう表現をとりますことは、あるいはお耳にさわるかもしれませんが、いわば私どもから判断して軽微と思われるものについては一々税制調査会にはかけておりません。  御存じのように、税制調査会は一般の学識経験者の方のお集まりでございますので、必ずしも税制そのものについてそう専門家の方々ばかりでございませんから、こまかいことについて御相談申し上げても、御判断には相当時間がかかるかもしれないということで、いわば重要性の原則と申しますか、重要なものを特におはかりをするということをしておるわけでございます。  期限があるかないかということとおはかりすることとは必ずしも直接の関連はないわけでございまして、たとえば社会保険診療報酬のような場合には、これは期限がございませんけれども、やはりおはかりもしておりますし、また税制調査会のほうからやめるべしという勧告もいただいておるわけでございまして、期限のあるなしと税制調査会にかけるかけないとは、直接の関係はございませんが、しかしまた期限があるものでも、またないものでも、全部が全部税制調査会におはかりをしているということではございません。
  103. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 この四十数項目の中に、全部期限がないからいま現状に適しないかというとそうでなく、当然当時もいまも政策目的に合致しておるものもあることは、これはわかります。ただ、ものによってはもう二十年、あるいは昭和三十年当時創設したものの中には、あるいは期限が、経済情勢その他が変わったためにこれは検討さるべきではないか、こういうものが含まれておるので、私はいまの質問をしたわけです。  次に、各無期限のものの中から幾つか私が疑問にする点を拾って、具体的に伺ってみたいと思うのです。  これは貯蓄奨励の項目の中に、有価証券の譲渡所得の非課税措置があります。「有価証券の譲渡所得は非課税とする。ただし」云々とありますが、この有価証券譲渡所得の非課税については、創設の目的は何だったのですか。
  104. 高木文雄

    高木(文)政府委員 これは昭和二十八年から現在の所得税の総合課税の原則の例外ということになってきておるわけでございますが、当時の書類等を見ますと、大体二つの面から説明をされております。一つは、いわば資本市場の育成といいますか、株式の取引の民主化といいますか、そういう角度からの議論でございます。これは商品取引所等と違いまして、株の取引につきましては、いわばくろうとの方がここで取引をするというのではおもしろくないのであって、大衆が株の取引に参加をするということを通じて、いわば金融機関を通じて会社が所要資金を調達する間接金融方式に依存しないで、株式発行を通じて資金を調達する直接金融方式にもっと企業の資金調達の方策を移していくべきだという一つの大きなポリシーから考えますと、株式の譲渡所得の課税について妥当な運用が行なわれなければならないという意味で、資本市場育成あるいは株式民主化ということから、しばらくの間、有価証券の譲渡所得を非課税にしてはどうかという提案になったものと思われます。  その意味は、株の譲渡は、実は執行上非常に把握しにくいということでございます。わが国は申告納税制度になっておりますけれども、それがスタートしましたのは昭和二十二年でございますから、昭和二十八年段階では、今日よりもまだはるかに申告の水準が低かったということもありますし、また現在の段階で考えてみましても、株の譲渡所得についての自主申告を期待することはたいへんむずかしい現状にあるわけでございます。そうしますと、株の譲渡益につきまして申告する者あり、しない者ありということになってきますと、課税の面から非常に問題がありますし、課税公平論から片方で問題がありますし、そうかといって、そっちからいろいろ制限を加えるということになりますと、有価証券市場の育成、株式民主化に制約が来るということで、課税の公平と資本市場の育成とが二律背反になるという判断に立ち、それから総合課税、累進制度の面を相当犠牲にして有価証券の非課税制度が今日まで続いているという経緯であるというふうに申し上げてよいかと思います。
  105. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 創設目的が市場の育成と民主化ということですが、昭和二十八年当時は、確かにこういうことは必要だったと思うのです。けれども、いまの株式市場の情勢を見ますと、私、いま手元にこまかい数字は持っておりませんけれども、民主化という点について見ても、相当根を張ったように見えますし、それから株式はいま非常に好況で、決してこれを税の面で恩典を与えて育ててやるという時期は過ぎたのじゃないか、こういうふうに考えるわけですよ。したがって、英国ないし米国等のあり方についても、大体分離課税方式をとっておるように私記憶をしておるのですけれども、もうすでに二十八年から、当時はどうしても育て上げなければならなかった、こういう市場並びに民主化という問題が一応目的を達成した、こうみなされる現時点においては、これは整理してもいいのじゃないか、こう思うのであります。  その点について一つと、それからもう一つ、この有価証券取引税との関係はどうなるのですか。
  106. 高木文雄

    高木(文)政府委員 第一点については、これは実はごく最近の時点におきましては、税制調査会においてこの問題はあまり議論しておりませんで、やや公式の意味での見解を申し上げることは非常に困難でございます。ただ、私の最近におきます自分自身の経験といいますか、感触といいますか、そういうものから申し上げますならば、せっかく松尾先生の御指摘ではございますが、私は、譲渡益に課税することは非常に困難ではないかというふうに思っております。困難ではないかという意味は、現在のこの取引の実態なり、税務署の課税実務なりから申しますと、譲渡益を公平に把握することがむずかしく、さられといって、申告に多くを期待することが非常にむずかしい現状ではないか。で、譲渡益に課税するようになれば、当然に譲渡損を引かなければならぬことになりますが、損したほうはどんどん申し出がありますけれども、益のほうは申し出がないという危険が非常にあるわけでございまして、さてそれでは、ある程度の人数の、全体のうちのまあ八割なり九割が、当然それが申告になってくると、そうすると、あと一、二割が逋脱があるという場合でありますれば、何らかの方法で税務署でその逋脱を捕捉するという方法があるのでありますけれども、八、九割なりその前後の水準の申告が期待できるかどうかに相当疑問があり、さて、それ以下の申告水準になってきたような場合には、とうていその譲渡益を捕捉をする技術といいますか、現在その制度になかなかなっていない。まあ、実際問題として名義等の問題もあって、把握が非常に困難ではないかと思っておるのでございます。やや個人的見解になることをお断わりしながら、私の考えを申し上げておきます。  有価証券取引税につきましては、これは二十八年以来現行税率に税率が据え置かれております。これは当時、株式の譲渡益が非課税になったことと関連して創設された制度でございまして、株式の譲渡益非課税をいわば補完する制度としてスタートしたものでございます。その後今日まで税率が変わってはおりませんが、全体として株式の取引量もふえてきております程度に応じては税収も上がってきておるわけでありますが、しかし御指摘のように、二十年も税率をそのままにしてあるということについては確かに検討を要する点でございまして、まあ前段の譲渡益非課税制度をどうするかということと密接に関連をいたしますが、もし譲渡益非課税制度を今後ともしばらくは続けざるを得ないという判断に立ちます場合には、この有価証券取引税の税率そのものについて、一ぺん多角的に検討してみる時期に来ておるのではないかと思っております。
  107. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 会社と個人の比率はどうなっていますか。
  108. 高木文雄

    高木(文)政府委員 ちょっといま調べますが、株式数でいきまして、大体個人の持っておりますものが四割、法人が六割ぐらいということじゃないかと思いますが、価額その他では、いまちょっと調べております。
  109. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 この有価証券取引税の税率を見ると、会社、法人のものが一万分の六ですか、それから個人が一万分の一、これが結局二十年間ずっと据え置かれているということで、非常にこれは、いま好況のときに、この不況のときの比率というのは低過ぎると思う。したがって、これらについては当然現状に合わした改正が行なわれなければならない、こう思うのです。したがって、いま主税局長はこれらも含めて検討したいということでありますけれども、私はこの有価証券譲渡所得の非課税についてはもう、英米等も分離方式をとっておるようですし、結局不労所得なんですから、この際、これだけ株式市場というものが育ったし、民主化も一応根を張った段階で、まあ主税局長と若干の見解の相違はありますけれども、この際、こうした不労所得については思い切った手を打つべきである、こういう意見を持っております。したがって、これについて今後、次期税制改正には検討されるという方向であるというふうに受け取ってよろしいですか。
  110. 高木文雄

    高木(文)政府委員 譲渡益を非課税とする措置そのものについても一応検討した上でないと、有価証券取引税そのものの検討になかなか入れないわけでございますが、私の申しておりますのは、前段のほうはなかなかむずかしいということで、ざればといって、前段がむずかしいからといって、いつまでも後段のほうの有価証券取引税の税率そのものも検討をあとへ延ばしておったのではいけませんので、一応前段の検討をしながら後段についても至急に検討してみたい。  ただ、その検討という意味は、その結果として、その税率がいまの税率でよいのか悪いのかということを含めての検討でございまして、いまの税率を低過ぎるんだ、よってもって、今度検討するときにはそれは必ず上げるんだという意味での検討ではなくて、万分の十五とか万分の六とか、いろいろ株式の種類であるとか、譲渡者が法人個人かによって率が違っておりますが、その率そのものが、最近の経済情勢なり取引実態なりに応じて妥当と見られるかどうかを根本的にもう一ぺん白紙の立場で洗い直してみたいという意味での検討は、非常に近い機会にやってみたいと思っております。
  111. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 私はいま言ったように、有価証券取引税率はもっと上げるべきであるという方向、それからこの有価証券譲渡所得の非課税については、これは思い切った整理をすべきである、こういう意向で検討していただきたいことを強く要望しておきます。  次は、収用等の場合の課税の特例という措置があります。建設省においでいただいていると思うのですけれども、この趣旨自体に私はちょっと疑問があるのです。したがって、この収用実態について、ここ何年かの事例をちょっと示していただきたいと思うのですが、五年間ぐらいの実態、お持ちですか。
  112. 高木文雄

    高木(文)政府委員 その前にちょっと課税上の数字だけ申し上げておきますが、例の収用等にかかる譲渡所得について千二百万円控除の適用を受けたものの人数は、これは税法上の数字でございますので当方で把握できるわけでございますが、四十三年が約五万九千件、四十四年が五万八千件、四十五年が六万件、これがいまの千二百万円控除の適用件数の大体の状況でございます。
  113. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 それでは、私が疑問に思うのは、この収用ということになりますと、たとえば公共団体でここへ道路をつくりたい、ところが、民有地があるのでこれを買いたい、こういう折衝がありますね。で、この折衝に応じた者は文句なしですが、おれは売りたくないということでがんばっている場合に、これは最終的には収用という手段に移ってくるわけですね。収用の段階で一応、じゃ、よくわかりました、売りましょう、こういうものに対しては、私は、この収用の場合の課税の特例、千二百万円の控除は認めても差しつかえないと思う。ところが、私どもがよく散見するのは、道路のもう両端ができちゃって、一軒うちががんばっている。そして収用委員会にかかってごねてますね。そのごねている場合には、相当不利益をいろいろな面に与えているわけです。公共事業は進まない。それからがんばっておればだんだん周囲の地価が上がってきますから地価も上がる。こういうことで、いろいろな不利益を事業面にもそれから周囲にも多角度に与えているものに、こういう制度適用されていいのかどうかというのが疑問ですから、いま主税局長から四十五年度に六万件の適用者があったという、この内容がどういうものか、建設省のほうでつかんでおったら説明してもらいたいと思います。
  114. 西原俊策

    ○西原説明員 ただいま先生指摘の四十五年度の六万件の内容でございますが、これはちょっと私どもはつかんでございませんですが、前段の御質問の中で、たとえば道路等を新設する場合、ほとんど大部分ができ上がって、一部のところだけ工事ができないということのために供用開始ができない、こういう場合に租税特別措置適用があるのは問題があるじゃないか、こういう御趣旨だと思いますが、これにつきましては、収用等の場合における一千二百万円の特別控除の措置、これは公共事業の円滑な施行をはかる、あるいは期待する、こういった見地から認められているものでございまして、租税特別措置法の第三十三条の四にもありますように、公共事業の施行者から土地所有者等に対しまして買い取りの申し出があった日から六カ月以内に土地を譲渡する、こういった場合に初めて認められるということになっておりますので、公共事業の施行に協力する者、あるいは先生指摘のような事例のような者、こういったものとの間の均衡という点については、一応こういう六カ月以内に譲渡するというような場合に限って認められておりますので、その間十分配慮がなされているんじゃなかろうか、こういうように考えているわけでございます。
  115. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 そうすると、収用委員会にかかってごねているようなものは、一切もうこれは適用外ということですね。
  116. 西原俊策

    ○西原説明員 収用委員会にかかったか、かからないかということの観点から租税特別措置法適用があるかないかということになっておるわけでございませんで、公共事業の施行者のほうから最初買い取りの申し出があった日から六カ月以内ということでございます。したがいまして、先ほど先生事例としてあげられました道路の新設の場合のようなときにおきましては、起業者からの買い取りの申し出がありましてからもうすでに六カ月以上たっている場合が大部分だと思いますので、こういった場合には適用にならない、当初から協力をして円満に土地を公共事業施行者に売り渡したという者についてはこの租税特別措置法の特別措置適用される、こういうことになるんじゃなかろうかと考えております。
  117. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 わかりました。それでは建設省、けっこうです。  私は、この収用の規定によって課税を免除するというものですから、収用委員会で結論が出ないようなものまで適用されるとしたならば、これはきわめてまずいものだというふうに解釈したものですから伺ったのですが、いまの答弁で、もう公共事業施行者がその土地を買いたいと言って六カ月過ぎたものには一切適用がない、こういうことなんですね。もう一ぺん確認したいのです。それなら問題ないと思うのですが……。
  118. 高木文雄

    高木(文)政府委員 この規定は、実はいろいろ経過がございますのですが、過去におきまして必ずしもそういう期限の定めといいますか、申し出があってからの期間の定めがなかった時代もございます。で、現在のように六カ月ということになります前に、一年という経過規定があった時代もございますが、いずれにいたしましても、そういう経過の規定があって、いわゆるごね得は適用にならないというふうにしましたのは三十八年からでございます。
  119. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 次は、公害防止対策の中の、一つ公害防止施設の特別償却、これが価額の二分の一の特別償却を認めると、こういう制度になっているのですが、中小企業については三年間各三〇%の均等償却、これの選択を認める、こういうことで、これはすべてのものに適用される制度ですか。公害防止施設は、もう一切の公害防止施設を含むのか、それともあるものに限定されるのか、どういうのですか。
  120. 高木文雄

    高木(文)政府委員 現行法上の四十三条の一項の七号に、改正法では一号繰り上がって六号になりますが、「公害その他これに準ずる公共の災害の防止に資する機械その他の設備のうちその設置をすることが緊急に必要なものとして政令で定めるもの」ということになっておりますので、いわゆる公害防止のために役立つもののうち、その範囲は全部ということでなしに、一部しぼっております。その細目は大蔵省告示で定めておりますが、たとえば構築物であればいろいろ区分がございまして、船舶廃油処理設備についてはこういうもの、汚水処理用設備についてはこういうもの、ばい煙処理用設備についてはこういうもの、騒音防止用設備ではこういうものというようになっております。一例をあげますと、ばい煙処理用設備では、ものをためる水槽のような槽、それから塔、それから水路、貯水池、煙突というようなものが、公害防止のうちのばい煙処理用設備として役に立つものとして指定されておりますが、そのうちの煙突でございますと、今度は高さが七十メートル以上のものに限るというようなことできまっております。それから機械及び装置でいいますと、重油脱硫設備ではこういうものとか、汚水処理用設備ではこういうものとか、ばい煙処理用設備ではこういうもの、あるいは騒音防止用設備ではこういうものというふうにかなりこまかく規定をいたしております。
  121. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 政令の内訳を見ると相当広範囲にきめておるわけです。それから今回さらに公害準備金制度が設けられて、公害に対しては三重、四重の手当てが加えられておるわけですけれども、これについても、いま国際的にOECDの環境委員会の理事会ですか、ここらではすでに汚染者負担の原則ということが国際的に論じられている。そういう時代ですから、いまわが国の現状を見ると、確かに公害に対してはすみやかに手を打つということで、私はいまこれが絶対にいけないとは言いません。けれども方向としては、やはり企業、汚染者がこれを負担していくという方向をとるべきではないかと思う。二重、三重に公害だからといって税制上の保護を加えるということは、あまりにもいままでの日本の経済政策を向上させるための、いわゆる成長政策そのままの形で温存されている、こういう見方ができるわけです。したがってこれは、通産省公害局からもおいでをいただいていると思うのですが、四十二年の六月に設けられてそう古くないのですが、方向についてはどういうふうに考えておられるか。この点を伺いたいのです。
  122. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  現在、先生いま御指摘がございましたように、わが国の環境は非常に悪化しておりますし、これを一日も早く改善するということが最大の急務であるというふうに考えております。そのために現在御承知のように、各種の規制措置公害基本法はじめ非常に強化されている。それに伴って企業のほうもそれに対応するべく、特に公害投資については非常に急ピッチでやっております。公害投資の状況あたりを見ましても、四十六年度は四十五年度の約倍というぐらいの投資が行なわれておるというような状況でございまして、非常に急ピッチで公害投資が進められておる。こういういわば環境問題のために非常に全力をあげなければならない時期である。そのために企業の負担というものも非常に大きくなっている。それをいかに円滑に進めるかということも、ひとつ環境政策として非常に大事な仕事であるというふうにわれわれ考えまして、現在、公害防止設備に関する特別償却あるいは公害防止準備金措置については、ぜひこれをお願いしたいというふうに考えておる次第でございますが、こういった措置につきましては、いまのような状況を前提にして、われわれとしては考えておるわけでございまして、今後環境が改善され、状況が変わってくるという場合には、また別個な判断がされてしかるべきであるというふうに考えている次第でございます。
  123. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 これも創設以来ずっと無期限で、適用期限がなく設けられた措置です。五月には国際会議が開かれて汚染者負担の原則というものが論議される段階になっていますね。したがって私は、当然期限等も切って、そうしてこういう方向という態度でここへは臨まなければならぬと思うんですけれども、いまの無期限はそのままでいいのか。あるいはいまの答弁ではそういう方向でというのですから、私はいまこれを直ちに切るべきじゃない、環境政策というものが重点ですからけっこうなんですけれども、しかし、例を零細企業あるいはごく小企業等の場合と比べてみますと、これらの人たちにはこういう制度はあるけれども適用されない。みんなたいへんな努力をして近所からいやな目つきで見られて、その中で何とか自力で切り抜けている。こういう実態を考えると、いわゆる環境政策がいまわが国では重要だという、これに少し寄りかかった姿勢がある。これらはやはり通産省がき然とした態度で、企業が収益の中から、十分合理化して浮き出した収益の中から自分で手を打つ努力をすべきである、こういう姿勢はすでに創設した当時にもう進めるべきである、示すべきである、こう思うわけです。したがって国際会議に臨む態度はどうなのか、原案はどういうものをもって臨もうとするのか、この無期限というものを改める必要があるのか、その点を伺いたいと思います。
  124. 島田春樹

    ○島田説明員 お尋ねの点二つございまして、一つは現在の特別措置についての期限、それがお尋ねのポイントだと思います。この点は大蔵省からお答えいただくべきかと思いますが、現在の制度につきましては、特別償却制度につきましても、実は告示の中で期限が切られてございます。公害防止設備につきましては、その設備ごとに期限が違っておりますが、たしかばい煙、汚水等につきましては四十八年の三月だと思いますが、そういうかっこうで一応切られておりますので、その時期においての検討ということが行なわれる機会があるわけでございます。  それからもう一つ準備金につきましても、先生最初におっしゃいましたように、一応その制度につきましては四十九年三月でございます。期限が切られておりますので、そのときにあらためての検討ということが行なわれるかと思います。  それからもう一つのOECDの問題につきましては、これは例の汚染者負担の原則でございますが、この二月にOECDの第四回の環境委員会というのがございまして、そこでこの問題——正確には環境政策の国際経済面における指針と申しますか、たしかそういうようなタイトルとなっておると思いましたが、こういったいわゆるガイディングプリンシプルとわれわれ呼んでおりますが、これが討議されまして、一応環境委員会としては合意を見たわけでございます。OECDとしましては、これがさらに閣僚理事会で正式に決定をされて初めてOECDの決定になるわけでございますが、これが五月ころでございますか、OECDの理事会で検討をされるということになっております。わが国は従来環境委員会で、第三回、第四回の検討が行なわれました際に、このガイディングプリンシプルにつきましては、汚染者負担の考え方というものは公害基本法でも、事業者が公害防止設備についてはみずから責任を負うということがうたわれておりますし、むしろそういう考え方は当然であるという考え方で従来臨んでおります。  ただ、片っ方では基本法でもありますように、先ほどもちょっと申し上げましたように、現在公害環境対策は、非常に日本の場合には過密社会でございますし、公共投資もおくれておるというようなこともございまして、環境が悪化しておりますので、一日も早くこれを改善するために、企業にもシビアな態度で臨むと同時に、それを企業が実施するための措置についての助成といったものについても配慮しようということを基本法二十四条でうたっておりますが、そういったいわば企業の責任をあいまいにするのではなくして、企業がみずからなすべきことをなすについて、そういったことを円滑にさせるための措置ということが必要な間はそれをやっていくということは、必ずしも汚染者負担という原則、考え方と相反するものではないというふうに考えておりまして、具体的な措置につきましては先ほどお答え申しましたとおりでございます。基本的には汚染者負担の原則というものは、われわれの基本法のたてまえからいって当然であろうかというふうに考えておる次第でございます。
  125. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 いま公害が確かに重要な政策の一つになっておりますけれども、これは従来の産業政策の中に欠陥があったということはいなめない事実です。要するに、どんどんつくってたれ流しで、その蓄積した結果と合わせて、いまの公害が一緒になって論議されておりますから、したがって、ここで確かに当面は見てやらなければなりませんけれども、いま言った国際的に当然汚染者は自分の汚染分は負担して生産をせい、こういう方向づけはもう当然なことです。したがって、この公害対策に対するいろいろ税の恩典の一つ一つについても、ひとつきびしい立場で検討を進めてもらいたいと思うのです。これは主税局長にも同趣旨ですから、ひとつ強く要望しておきます。  それから次に、工業用水道転換施設の特別償却、要するに井戸水から工業用水へ転換する場合に、前年度取得分の三分の一の特別償却を認める、こういう制度でありますけれども、これが創設されたのが三十九年の四月、これも期限はないですね。したがって三十九年当時と現状では地盤沈下の関係で、三十九年当時は地盤沈下のために相当地下水のくみ取りを禁止して転換しなければならなかった。けれどもいまは相当部分もう禁止区域になって、転換が相当少なくなっていると思うのですけれども、当時の転換数と、それから最近の一番近い転換数と、いわゆるこの税の適用を受けた数は、通産省のほうで把握しておりますか、主税局のほうで把握しておりますか。通産省のほうでわかっておったら、最近と当初でけっこうです。
  126. 宮本治男

    ○宮本説明員 お答えいたします。  三十九年にこの特別償却制度が発足しましたときに、この特別償却を受けるために申請を行なった数は、二十九でございます。四十五年の数字しかいま手元にございませんが、四十五年は十六という数になっております。その間は、各年によりましてふえたり減ったりしております。以上でございます。
  127. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 この四十五年の十六業種のうち、特に中小企業にはどんなものがありますか。
  128. 宮本治男

    ○宮本説明員 まことに申しわけございませんが、その中小企業、大企業関係の資料が、ちょっと手元にございません。
  129. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 これは、こういう転換時期には必要な措置とは思うのですけれども、もうほとんど全国的に、地盤沈下の関係で工業用水のくみ取りは禁止されている段階になってきた。したがって、明年ないし明後年には適用者がほとんどゼロになってしまう、そういう様子が見えてきておりますから、これはもう期限を切って、いつにはやめるという方向を打ち出していいのではないかと思うのですけれども、その考え方はどうですか。
  130. 宮本治男

    ○宮本説明員 最近におきまして、確かに先生の御指摘のように、一時地盤沈下のひどかった地域は、こういう規制を行なった結果、かなりおさまっております。ただ、たとえば東京近辺を例にとりますと、東京都よりも、むしろその周辺部分でまた地盤沈下の問題等がいろいろ起きつつありますし、また起こる可能性がある、そういう意味ではなおこういう制度を存続さしていただくことが必要ではないかと考えております。  なお、御参考までに申しますと、東京都の周辺地域におきましても、近々新たに禁止区域を拡大し、また基準を強化することを考えております。
  131. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 これはよくわかりました。  次に、電力会社関係ですが、地中送配電設備の特別償却、もう一つは、これと同趣旨の特定ガスの導管工事償却準備金及び特定ガスの導管施設の特別償却、この制度がありますが、これが創設されたのが四十三年、それからガスのほうは四十四年。ガス会社と電力会社について通産省伺いたいのですが、現在の個々の業績、といっても無理ですから、ガス会社全体、電力会社全体としての経営内容、これはどういうふうになっておりますか。
  132. 田中誠一郎

    田中説明員 お答えいたします。  昭和四十五年度におきますところの九電力の収入は約一兆七千四百億円、支出は約一兆六千五百億円でございまして、利益は、したがいまして九百億円になります。
  133. 原田稔

    原田説明員 ガス会社全体の収益の状況は、大手と中小とたくさんございますが、全体といたしまして最近は収益悪化の傾向が見え始めております。特に東京瓦斯、大阪瓦斯、東邦瓦斯、大手三社といっておりますが、この三社の四十六年度の下期の決算状況は大幅な減益ということになっております。
  134. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 電力のほうは、いま伺ったとおり、明らかに四十五年度では九百億の収益がある。ガスのほうは、四十六年度下期の決算で大幅な減益、こういう状況ではありますけれども、年間を通してずっと見たときに、むしろ赤字は減少しているというふうに私は見ているのですが、四十三年以降、ここ数年間の年間の状況はわかりませんか。
  135. 原田稔

    原田説明員 いま手元に正確な数字は持ち合わせておりませんが、大体の感じを申し上げますと、四十三年から四十五年くらいまでは、決算状況としてはまあまあの決算状況ではないかと思います。四十五年の下期から四十六年、七年にかけまして、収益は一応伸びを見せておりますけれども、これに関連いたしまして、いろいろな設備投資関係の経費その他の経費がかさみまして、収益全体といたしましては次第に悪化の傾向をたどってきているということがいえるのではないかと思っております。
  136. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 そうすると、別々に答弁されますから別個に伺いますが、現在まで、電力会社でこの措置を受けた指定工事数、これは年間幾つぐらいになりますか。四十三年ごろから伺いたいのですが。
  137. 田中誠一郎

    田中説明員 特定地域地中化の特別償却でございますが、送電分につきましては、四十三年以降四十六年の予定を含めまして八十三件になる予定でございます。配電関係につきましては、同じく四十三年以降四十六年の一部予定を含めまして三十四件になる予定でございます。
  138. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 ガス会社のほうは。
  139. 原田稔

    原田説明員 まず、特別償却でございますが、これは御案内のとおり、たしか四十四年度から実施されておる制度かと存じますが、これで指定されております工事の数は、全体で十三工事になっております。それからもう一つは、準備金関係でございますが、これは現在のところ八工事が指定せられております。
  140. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 これについても、先ほど伺った経営内容を見ると、電力会社はいままでも黒字でしたし、四十五年度も黒字だ、さらに今後もそう悪化することは考えられないと思う。したがって、これはまあ先を見なければわかりませんけれども、これらについてこそ、こういう特別措置が無期限に適用されるということについては、通産省としては、これを税制面で考えてやらなければ電力にはね返るということが、もちろん答弁の中心になると思うのですが、こういうふうに税の面で見てあげてばかりおると、努力を怠って、赤字が生まれたならば、これはもう電力料金、こういう形で、むしろ通産政策として、企業努力を一切怠る方向にいかないかという点を私は心配するのですけれども、この指導についてはいままでどういうふうにやってこられたのですか。
  141. 田中誠一郎

    田中説明員 御指摘のございました電力会社の経理の状況でございますが、先ほど御説明申し上げましたように、四十五年度は確かに九百億の利益をあげてございますが、将来にわたりましてはガス事業と同様でございまして、特に燃料費あるいは公害負担費用の増大というような問題がございます。いままではその供給力がかなり十分にあったというところから、石油がかなり安定しておったという事情にございますが、今後はかなりの投資を必要とするというところから、いままでのように収支が順調に推移するという事態はあまり予想されないのではないか、かように考えております。  第二に、先生指摘の通産当局としての電力会社の合理化に対する行政の姿勢でございますけれども、私どもとしましては電力料金を長期にかつ安定させる必要があるという見地から、各種各般の措置にわたりまして電力会社が合理化をするようにということを指導してまいりました。先生指摘のこの地中化につきましても、やはりその合理化の一端、かように考える次第でございます。
  142. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 電力、ガス、ともに私は考えるのですけれども、この電力のほうにはまけっぱなしというのはないのですね。ところが、ガスについては、工事期間中にその設備の取得費用として支出した金額の四分の一を積み立てたときには、その積み立て額の損金算入を認める、これはまけっぱなしになる。四十四年四月以降のガス会社に対する損金算入の減収額、これは主税局でもしいま把握しておったら伺いたいと思うのです。
  143. 高木文雄

    高木(文)政府委員 先般来参考として提出いたしております減収計算の中で見ておりますもので御説明いたします。  四十六年度は、地中化送配電設備の特別償却のほうは減収額を十四億見込んでおりました。それは四十七年度では十五億と見込んでおります。それからガス導管工事償却準備金並びにガス導管工事特別償却、これは……
  144. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 準備金のほうだけでけっこうです。
  145. 高木文雄

    高木(文)政府委員 準備金のほうは四十六年度で六億、四十七年度の見込み額では七億見ております。
  146. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 これも電気、ガスともに料金にはね返るということは、これは国民に転稼することで、絶対にあってはならないことですけれども、企業努力を強調して、徹底していくべしという強い姿勢で、これらについてもこの率等は当然考えていくべきであろうと思います。これらについてはどうですか。今後黒字経営である電気、それからがガスの場合には若干いま赤字ではあるけれども、これらの措置によって経営内容が改善され次第に是正をする。しかし、その経営内容が是正されたときを待つのでは、いつまでたってもわかりませんから、いつまでにはこれは改善するという時期を区切る必要があると思うのですけれども、これについて、電気、ガスについてのお答えをいただきたいと思うのです。
  147. 田中誠一郎

    田中説明員 先生指摘のように、必要性についてはもちろん検討する必要があると考えておりますけれども、私どもとしましてはさしあたり、この地中化工事につきまして電力会社の合理化という観点からなお必要である、かように考えておる次第でございます。
  148. 原田稔

    原田説明員 ガス導管につきましての準備金制度は、これは先生御案内のとおり四十五年にできた制度でございまして、これは近年急速に、東京ですとか大阪ですとか名古屋ですとか、大都市並びにその周辺におきましてガスの需要が非常に伸びてきております。これは生活水準の上昇あるいは人口の増大というような要因がお互いに相乗しておるわけでございますが、それに伴いまして急速に大規模な導管をある程度先行投資をもって建設しなくちゃいけないというような必要性にいま迫られております。それで相当大規模な工事を先行的に実施いたしております。そのためにこれに伴う償却負担の平準化その他経営の安定をはかるといったような趣旨で準備金制度が設けられてございまして、私どもとしては、現在はこの制度は、一つ一つの工事ごとに大蔵大臣が指定をする、指定をされたものに対してだけこの準備金の積み立てが認められるということになっておりますが、こういった事態、こういったガスの急速な需要増大に見合う急速な供給施設の増大といったような事態、こういうものに備えましてこの制度を設けたということでございますので、こういった事態が改善されれば、その段階でまた検討いたすということになるのではないかと思っております。
  149. 高木文雄

    高木(文)政府委員 主税局のほうとしてこういう制度を、特別償却なり準備金なりを認めることにいたしました経緯でございますが、電気とガスと若干事情が違うようでございますが、電気につきましては主として地下送配電ということで安全対策の見地が非常に入っているようでございます。ガスのほうはむしろ都市周辺の需要増に対応する供給円滑化ということが直接の契機のようでございますが、共通いたします点は、いずれにいたしましても非常に大規模の工事でございますし、道路なり下水なりの下をくぐっていくものですから、工事をいたしましてからそれが実際に収益につながってくるまでの期間が相当時間がかかる。管を埋設していきましてもすぐに働かない。それが、その管を使って送電なりガスの配給が行なわれるので、相当時間がかかる。そこで投資が相当長期間そこに寝るという問題が起こってきまして、それがガスの新規地区についての供給なりそれから電気の地下配送電なりは、一応、公益事業ではありますが、営利企業というたてまえでできております電気会社なりガス会社の負担になるというところから、一種の過密都市対策という見地から何らかの対策が必要だということから始まっているわけでございます。  なお、先ほど来期限の定めがないという点についての御指摘がございますが、その点につきましては、まさにそういうことを私ども心配いたしましたものですから、実は事こまかに大蔵大臣が目を通すということで、一工事区間ごとに指定をする、そうしてそのことを大蔵省告示で示すという過程を通じて、どこどこからどこどこに至る間の工事というふうに次々指定をしていっているということによって、制度全体は期限の定めがございませんが、一工事ごとには一々目を通しているという形で期限の定めのない点の一種のそのかわりの措置はとってあるという形になっておるということを申し添えておきます。
  150. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 いまそれぞれ伺ったのですが、確かに当初は寝ますけれども、年々工事というのは合理化されて、いま非常に早くなっておるわけですよ。それから、いままでは水道と電気とガスを別々に掘ったり埋めたりということで問題になりましたけれども、これらも年々打ち合わせが密接になってきて、同一個所は電気、水道、ガス等は一緒にやる、こういうようなことが行なわれておる。それからもう一つ、主税局長から答弁のあった一工事ごとに期間を切ってあるということ、これはけっこうなんですが、要するに税率その他の部分合理化が進んでくれば、それに見合って改正していっていいんではないか、こういうことなんです。その点について、今後必要だからやるんだというんではなしに、御検討願いたいと思います。よろしいですか。特に電力のほうは、比率等については相当考えていいと思います。  それから次に、だいぶ項目があるから少しはしょりたいのですが、低開発地域等における工業機械等の特別償却がありますね。この目的は、通産省伺いたいのですけれども、低開発地域工業地区、それから過疎地域、それから特定産炭地域等と定めたこの税のねらいは何ですか。
  151. 大永勇作

    ○大永説明員 低開発地域、それから産炭地域、過疎地域、それぞれ法律の性格が若干変わっておりますが、いずれも過密地域とのバランスをはかるために、工業の発展のおくれておる地域での工業の誘致を促進しようというのがねらいでございます。
  152. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 そうしますと、今度沖繩開発が進むと、沖繩工業開発地区というのもこれに含まれるわけですね。
  153. 高木文雄

    高木(文)政府委員 四十五条第一項の四角い箱の三号に沖繩地区が入ることになっておりますが、実はこれは通産省のほうの所管でなくて沖繩・北方対策庁のほうになります。沖繩地区を今度の改正で入れさせていただいておりますのは、性格的に低開発地域なり、過疎地域なり、農村地域工業導入促進法による地域なり、産炭地域なりと沖繩地域がたいへん類似しておるという趣旨で、同じ項に並べて規定させていただいた次第でございます。
  154. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 この趣旨は、要するに過疎地域あるいは農村地域に工業を導入して、いわゆる過密過疎対策に向けたい、こういう趣旨ですね。ところがこういうふうに過疎地域はどことどこということが——この制度が設けられたのは昭和三十六年です。ところが現状では過疎地域というものは相当広がってきておるわけです。したがって、せっかく過疎地域に工業を誘致して、過密をならし過疎を減らしていきたい、こういう趣旨でしょうけれども、あまりにも過疎地域それから農村工業地域、特定産炭地域というふうに加わると、せっかくのこの政策の目的がぼけてしまう、こういうことが当然起こってきておりますし、あらためてここらで、それじゃほんとうの過疎地域としてならしていくためにはどこが必要かということを見直す必要があるのじゃないかと思うのですけれども、この点はどうですか。
  155. 大永勇作

    ○大永説明員 御指摘のように、低開発地域、産炭地域、過疎地域、農村地域といろいろございまして、それぞれの根拠法が各省できめられておるわけでございまして、実は通産省ではそのうちの産炭地域と農村地域しか関係してないわけでございますが、これらの整備の問題につきましては経済企画庁においてかねてから検討されておるところでございまして、今後とも引き続き検討されるものというふうに聞いておる次第でございます。
  156. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 特に、対策庁が来ておりませんけれども、沖繩工業開発地区というともう全島で、はたしてどこを重点に誘致をするのか、どこへ出したものがこの措置適用を受けるかというと、沖繩の場合は全島どこへ工場をつくってもこの適用を受けるということで、低開発地域に対する措置というこの趣旨がぼけてしまう、こう思うのでございます。したがって、いま農村地域と特定産炭地域を通産省が担当している、このほかに企画庁が過疎地域だ、これを全部合わせますとほとんど日本全土にわたってしまって、意味がなくなっちゃうと思うのです。したがって、これらについては十分見直して、はっきりこことこことここという重点を設け直さなければ、この措置意味は無意味になる、そういうふうに思いますので、これはひとつ早急に徹底した見直しをお願いしたいと思うのです。  それから、主税局のほうで、沖繩工業開発地区というところは、これは全島どこへでも工場をつくったならばこの適用を受けるわけですから、これに対してはこの趣旨が生きるような方向に見直すべきであろう、指定すべきであろう、こういうふうに思うのですけれども、これはどうですか。
  157. 高木文雄

    高木(文)政府委員 沖繩の場合は、いま考えておりますところでは沖繩県全体をこの地域に指定するということではなくて、沖繩の中で工業の開発をはかるために必要とされる一定の要件を備えていると思われます地区、また沖繩における企業の立地を促進するとともに、貿易の振興に役に立つであろうという地域を指定することを考えております。ただ、その場合の運用でございますが、現在におきます沖繩の特殊事情、それから沖繩振興開発がなかなか容易でない、しかもでき得る限り早く内地化をはかる必要があるということにかんがみて、内地の場合に比べますとやや広範囲になるかもしれませんが、考え方として全地域すっぽりということではなくて、一応沖繩の中でも地域は指定するということを予定いたしております。なお、御趣旨はよく考えて、指定の際に関係行政庁と打ち合わせをいたした上で、あまり無限にどんどん広がるようなことにはならないように配慮をいたすよう気をつけたいと思います。
  158. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 これについては、通産省では特にこの趣旨を生かすような方向で十分検討してもらいたいと思います。  次に、探鉱準備金及び新鉱床探鉱費特別控除制度があります。これについては昨年わが党の二見議員が相当突っ込んで質問をして、大臣はこれを十分検討する、こういうことで終わっているのですが、この検討した結果はどうなっていますか、主税局長からお答えいただきたいと思います。
  159. 高木文雄

    高木(文)政府委員 四十五年度の税制改正の際にまず一回問題になりました。それで四十五年度期限切れになるときに、通常の場合と異なりまして延長期間を短くいたしまして、一年間ということで延長したわけでございます。その一年の間に通産省中心にしていろいろ研究をされたわけでございます。この制度につきましては、御案内のとおり、諸外国にも類似の制度があるということがありまして、諸外国でかなり手厚い制度がありますこととの関連上、また鉱産物が比較的価格の面で国際的競争関係があります関係上、ある程度諸外国の制度とあまりかけ離れているわけにもいかないという事情もありまして、一年間研究の末、四十六年度の税制改正の際に、いろいろ問題はあるが、従来どおり延長しようということで、三年間延長ということになったわけでございます。率直に申しまして、税制当局の立場から申しますと、若干問題のある制度であるというふうに考えておりますが、当時通産省中心にたいへんいろいろ勉強をされまして、諸外国の制度等も研究されました。またわがほうも、実は日本だけでなく、諸外国の税のほうの専門家もこの制度を相当問題にしているわけでございますが、しかし世界各国ともなかなかこの制度改正が行なわれませんで今日まで続いておるという関係もございまして、昨年は三年間延長ということになった次第でございます。  そういう経緯もございまして、四十七年度改正にあたりましては、本件につきましては、特に三年間延長という経緯もあり、あらためて検討しなかったという次第でございます。
  160. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 これはむずかしい問題ですけれども、やはりここで十分に、二重の恩典の上に、さらに資源開発準備制度と、三重の保護を受けるような制度については検討してもらいたいと思うのです。  時間的にだいぶ経過しましたから少しはしょって……。  一つは、価格変動準備金については、この内容自体に非常に疑問があるのですけれども、主税局長、いまの価格変動の幅についてはどういう傾向にありますか。企画庁がおったら企画庁に伺いたかったのだけれども、主税局長から答えてもらいたい。
  161. 高木文雄

    高木(文)政府委員 価格変動準備金は、本来いろいろたな卸資産の価格の低落による損失に備えるという見地から設けられたものでございます。私も詳しくは存じませんが、一般的に国際化が進んでまいりますと、価格変動要素というものは長期的には減ってくるのではないか、一般的にはそういうことがいえるのではないかというふうに考えるわけではございますが、各関連の商品ごとにお話を承りますと、やはり価格変動というものは、それぞれの商品に応じて、そう短期にものを見てもらっては困る、なるほど変動幅は小さくなったように見えるけれども、長期に見ると、やはりどかんとくることがあるのだというような反論がいろいろ出まして、きょうの午前中の御討議にありましたように、各関係の商品の種類が非常に多いものでございますから、商品ごとにいろいろ御議論が出ますので、そう簡単に結論が出ないという状態でございます。ただ三十二年、三十六年、四十三年、三回にわたって相当大幅な積み立て率の引き下げも行なわれております。前回の四十三年以来何年か経過しておりますので、私どももいろいろ検討期に入っているものというふうに考えております。
  162. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 私は疑問に思うのは、価格変動が二%のものもあれば三〇%のものもある。そして変動幅の多いものについては六%、期末の資産のたな卸のときの価格の四%、これが普通の変動、こういうふうに分けてあるのですけれども、二%しか変動幅がないものが四%の税の恩典を受けることは、結局二%利益を得ることになる。それから、この制度適用を受けても、一〇%も二〇%も変動した場合には、結局埋めることができない。こういう税自体に非常に不公平があるわけです。  企画庁にこれからの価格変動の傾向を聞いてみますと、今後変動幅は硬直する方向で進んでいく、こういうことでありますから、この中身についてもう少し——変動幅の少ないものがこの適用を受けたときには利益の留保になり、変動幅の大きいものは、この適用を受けてもむしろ赤字になってくる、こういう税自体の不公平については洗い直していく必要があると思うのですが、この点についても、二十七年創設されてずっと無期限、こういうふうになっております。ですから、当時とは経済事情が違ったので、当然これはもうとっくに洗い直すべき問題じゃないかと思うのですけれども、この点については、いかがですか。
  163. 高木文雄

    高木(文)政府委員 制度として無期限になってはおりますが、先ほどもちょっと触れましたように、この制度は三十二年と三十六年と四十三年の三回にわたって相当大幅な積み立て率の引き下げ等の措置を講じているわけでございます。したがって、昭和二十七年でありましたか、創設以来全く直していないということではないわけでございます。四十三年の改正のときに、一種の経過措置的なもので一挙に積み立て率を下げるということをしないで、実績積み立て率を引用しながら新しい積み立て率に落としてきておりますから、したがってまた四十四年、四十五年については四十三年の改正のいわばメリットが及んできておるという状況にございましたので、ここ数年は手をつけずに今日まできたわけでございます。  きてしからば、次はいつごろにこの制度を問題にすべきかという問題が起こってくるわけでございますが、確かに御指摘のこともあり、つまり国際化商品の変動幅の縮小ということもあり、全体として四十三年以来若干時間もたっていることもあり、なおまた見直しの時期もだんだん近づいてくるのかとも思いますが、はたしてそれが緊急にそうしなければならぬものかどうか、これはなお、たな卸資産の変動状況等を見ながら考えてみなければなりませんし、もう一つ、実は通貨調整という問題によりまして、もろもろの商品の価格に及ぼします影響がいろいろな形で動いてくるのではないか。また、各国のレートがいろいろに動くわけでございますから、国際商品の物の動きも変わってくるのではないかというようなこともありまして、いついかなる時期が検討をするのに最もいい時期か、そこらを検討をしてみたいと思っております。
  164. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 まだあと幾つかあったのですが、一応個々にもやはり問題はあると思うのです。いまの変動準備金についても、内容自体の問題もあるし、これらについては当然、次回にはもう洗い直すべきだと思う。これらを通して、現在七十項目をこす無期限なもの、この中に個々には指定したものもありますけれども、これらを含めて相当問題があるわけですね。ですから、当然、全体の洗い直しということをまず、たいへんではありましょうけれども、検討してもらいたいと思うのです。  そこで、通産省伺いたいのですけれども、これら一つ一つ堀委員が午前中には項目から企業を見ましたけれども、今度は企業別にこの租税特別措置にどれだけのものが該当しているか、鉄鋼と電算機メーカーで幾つのものが適用されているかを通産省からひとつ伺いたいと思います。
  165. 高木文雄

    高木(文)政府委員 税法適用状況でございますから、一応制度上どうなっているかということを御説明いたします。  ずっと理論的に本来適用されるべき制度を並べてみますと、鉄鋼業では大体、百四十八のうち十五項目になるようでございます。試験研究費税額控除、合理化特別償却、新技術企業特別償却、低開発地域の特別償却、輸出割り増し償却、新築貸し家の割り増し償却、鉱工業技術研究組合への支出金の特別償却公害防止事業者負担金の特別償却、価格変動準備金、海外市場開拓準備金、海外投資損失準備金、資源開発投資損失準備金、技術輸出所得控除、それからこれは具体的事例の場合だけでございますが、収用、買いかえ等の圧縮記帳、それから、動力炉燃料事業団への出捐金の損金算入、以上十五項目は鉄鋼関係メーカーには適用可能な規定だと思います。
  166. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 それは相当縮めてあって、私の調べた範囲だと、鉄鋼には引当金をあてると合計二十七の租税特別措置適用されている。たとえば、合理化償却の中には重要産業、それから中小企業は除いて、国産一号機、それから電算機、工業用水道、公害防止、これらのものを含めると合計二十七ですね。それから電算機メーカーでは引当金をあてると二十八の措置適用される、こういうことになっておるのですが、通産省ではこれらに対して、当然実績はつかんでそれぞれ主税局へ強い要求をしておると思うのですね。  そこで、その実績をぜひひとつ資料として出してほしいという要望は何回も行なわれたけれども、これが出されない。私は、鉄鋼の一社をとってその実績をというと、これは税の申告の秘密等がありますから無理だと思う。そこで、鉄鋼に関して代表的なものを何社かあげて、この中の損金あるいは控除等のまけっぱなしのものが幾ら、それから償却等が幾ら、準備金等で繰り越しのものが幾ら、これは一企業をあげないで代表的なものを幾つかあげれば当然この実績は出ると思います。そうした実績を通して、主税局にこれをつけてくれとか、これをもう一つやってくれとかいうことが出ると思うのですが、これは今後全体の租税特別措置を洗い直すためには非常に重要な問題でありますので、その資料をいまお持ちでなかったならば、これを出していただけるかどうか、その点を伺いたいと思うのです。まず通産省
  167. 福川伸次

    ○福川説明員 私ども租税特別措置を講ずるにあたりましては、それぞれ産業の実態と政策的な要請を十分吟味し、税務当局と相談をいたしてやっておるわけでございます。その場合、私どものほうでは特にそれを法律的に調べるということではなくて、やはり政策上必要な範囲のものをそれぞれ企業から聞いてとっておるわけでございます。企業がどういうような制度をどの程度使っておるかということに関しましては、それぞれの企業のいいます資料を全くそのまま集計をするというかっこうになっておるわけでございまして、私どものほうとしてはそれを法律的にチェックしているという性格のものではないわけでございます。私どもは一応企業のそういう実情は極力把握するようにはいたしておるわけでございますが、それをいま税法上の執行の面ということになってまいりますと、私どものほうでやるべきかどうか、ただ経理上の把握ということで財務諸表等に載っかっておりますものを資料にするということであれば可能だと思いますが、それ以上こまかい税務上の問題になりますと、私どものほうで把握しにくい状況になっておると思います。
  168. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 いまの答弁ですと、全く企業の言いなりという感じを受けます。したがって、補助金でもその他でも、どんなに小さいものでも、要するに国が税の面で保護してあげたとかあるいは補助してあげたという面については、その実効を見ない保護というのはあまりにも無責任なあり方と言う以外にないと思うのです。  いま通産省のほうでこれが法的に把握が無理だというのであったならば——私は通産省から出してもらうのが適当だと思うのですよ、要求するのですからね。しかし、税務当局は各省の要求を受けて、一応税法の上でこういう恩典を与えているのですから、いまの趣旨に対しては主税局ではどうですか。
  169. 高木文雄

    高木(文)政府委員 各企業特別償却準備金等の措置法上の特例措置というものをどのように企業適用しているかということは、申告書の上において事項別に明らかにできるものと、事項別には明らかになりませんが、特別償却なら特別償却というグループで明らかになるものとあるわけでございます。そこで、私どもといたしましても、そういう諸表に応じまして行政上必要な範囲内ではそういう資料を一部使っておるわけでございますが、それを企業別にどういうふうに掲表するかということになりますと、職務上の秘密問題と企業の秘密問題との関連で非常に困難になりますので、業種別なり業態別なり、何らかの方法において、それを総合した形で全体がどういうメリットになっているかということをもう少し把握しやすい方法で、いま松尾委員の御指摘になりました御趣旨、特例措置なんですから特例措置がどういうふうに働いているかということを把握できるようにする、事項別に把握できることについて、先般来いろいろ鋭い御指摘がございましたが、企業別に、企業別というのは問題がありますが、少なくとも業態別にそれを把握するというような具体的方法は考えてまいるべきものと思います。細目についてはいまここで急にお答えいたしかねますが、方向としてはだんだんそういうものを明らかにすべきもの、そういうくふうをしてみたいと思います。
  170. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 これは筋からいえば通産省に出してもらうのが筋なので、委員長に計らっていただきたい。というのは、いま言った鉄鋼関係が二十七の適用を受けているわけですね。それから電算機メーカーは二十八項目の適用を受けている。それから銀行が十七、証券業が十九。それぞれこれだけの数の特別措置によって守られている。国は減収している。こういうことになりますが、いままで何回か、私もこの委員会で、実績を出してほしい、こういう要望を繰り返しているのにもかかわらず、いまだにわれわれの手にこれがなかった。私どもがこの租税特別措置というものを洗い直すべきだという論議も、実はここにあるわけです。所得税等の場合には何のあれもなしに、必要経費等も相当論議されるけれども押えられている。ところが企業に対してはこれだけのものが適用されている。こういう実態が明らかになれば国民は納得できると思う。ところがこれが企業の秘密その他で明らかにされないために、あまりにも企業は有利でわれわれは不利に扱われるではないか、こういう理論、いわゆる税の不公平論というものはここに起因しているわけですね。したがって私は、いまあげた鉄鋼の二十七の特別措置による損金あるいは控除分が、一社では無理ですから、何社か代表をあげて幾ら、それから償却による減額分が幾ら、準備金等の繰り延べによるものが幾ら、こういう実績を、鉄鋼について何社か代表し、それから電算機メーカーについて、この二十八項目でこれらに分けるとどうなる、それから銀行について十七の特別措置はどういう効果をもたらしているか、証券業についてはこの十九の特別措置がどういう効果をもたらしてきたか、これを、いまは無理ですから、せめて四十五年度の実績を資料として通産並びに主税、両方から出していただくように、特別に委員長に厳重に計らっていただくように要望いたします。委員長からそのお考えを伺いたいと思います。
  171. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 理事会において相談をいたしまして、善処いたします。
  172. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 それでは、以上で長時間にわたりましたが、私の質問を終わります。
  173. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 佐藤観樹君。
  174. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 いま松尾委員のほうから、租税特別措置法について数々の問題が指摘されたわけですけれども、私はきょうは、今度の租税特別措置法にある公害の問題にしぼって少し洗ってみたいと思うのです。  まず、税制の面で、今日まで公害防止対策として、租税特別措置法の中で数々の特別措置がされているわけです。まあ、簡単でけっこうですけれども、税制面で、公害防止施設をつくるにあたって、あるいはその他の点についてどういうような特別措置がなされているか、税制面からまずお伺いをしたいと思うのです。
  175. 高木文雄

    高木(文)政府委員 公害防止関係税制上の特別措置のうち、第一にあげなければならないものは特別償却でございます。公害防止施設についての特別償却でございます。これは初年度にその設備費の二分の一を普通償却のほかに特別償却でできることになっておりまして、この二分の一という率は特別償却の中でも最も高い率でございます。  第二番目は、中小企業者についてだけの特例措置として、中小企業者だけについて適用される特別償却の特例制度がございます。中小企業につきましても、冒頭に御説明いたしました初年度二分の一の特別償却は当然に適用になりますが、さらにこれとは別に、この制度と選択によりまして早期償却ができる制度をつくっております。この早期償却は、三年間、各年三〇%ずつということでございますので、三年間で三〇%ですから、完全にそれを使いますと九〇%ということでありますから、ほとんど三年で経費に落とせるということでございます。これは中小企業についての特例措置でございます。  三番目が、工業用水道へ転換いたします場合、先ほど松尾委員からの御質問がありました工業用水道へ転換されます場合の三分の一特別償却制度がございます。  それから四番目に、汚水処理用資産及びばい煙処理用資産について耐用年数の短縮制度がございまして、通常よりも二、三割耐用年数を短縮しております。  五番目に、公害防止事業をやります場合に、公害防止事業の負担金が事業主にかかってくることがございますが、その事業主の負担金について、その負担金を特別償却することができるようになっております。これが第五でございます。  それから六番目に、事業資産の買いかえができることになっております。これはいろいろございますが、大気汚染の場合、水質汚濁による場合とかいろいろございますが、そういう場合に事業資産の買いかえの特例がございます。  それから七番目に、公害防止事業団から、事業協同組合等が工業用団地の土地を譲り受けて、さらにそれを組合員に譲り渡したときに、組合員の移転登記についての登録税の軽減というような制度がございます。   〔委員長退席、木野委員長代理着席〕  これまで、四十六年度までの税制におきましてありました制度は、この七種類のものでございます。  そこで、四十七年度の税制改正におきましては、御案内のように、公害防止準備金制度を設けることと、それから、公害防止施設の特別償却対象資産に、悪臭防止施設などを加えること、それから三番目に、発電及び製鉄に使われる燃焼用揮発油についてのガソリン税の免税措置を講ずること、以上を国税のほうとしては考えておりますほか、地方税についても、公害防止施設にかかる固定資産税等につきましていろいろ配慮することを考えております。  以上が概要でございます。
  176. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 あとの三項目についてはまあこれから論議をするわけですけれども、税制の面でもこれはかなり優遇された措置がされているわけですね。  それで、金融のほうなんですけれども、銀行局にお伺いをしますけれども、いま公害防止施設をつくるにあたって、どういうところが貸し出しを行ない、また、大体その利率というものは、普通の他の設備資金と比べて高いか低いか、そのあたり、簡単でけっこうですから、ちょっと洗ってみてください。
  177. 松川道哉

    ○松川説明員 公害防止事業関係の貸し付けをいたしております政府関係の金融機関といたしましては、おおむね三つのタイプがあろうかと存じます。  一つは、特殊法人公害防止事業に関する貸し付けを専門にやっております公害防止事業団がございます。二つ目のグループといたしましては、融資ワクの中で公害防止事業というのを特別に特掲いたしまして、これに関する融資をやっておりますグループがございます。この中には開発銀行、中小企業金融公庫及び国民公庫の三つが含まれます。第三のカテゴリーといたしましては、特に公害防止ということをうたってはおりませんが、融資事業の中で公害防止事業にあたるものを融資いたしております政府関係金融機関がございます。具体的には農林公庫と環境衛生公庫がこれに当たろうかと存じます。そこで、これらの三つのグループの全体を通じまして四十七年度の事業計画といたしましては、ただいまの三番目のグループのうち、環境衛生公庫の数字が摘出できませんので、これを除外して御説明申し上げますと、全部で九百二十九億という事業計画を持っております。  その内訳といたしましては、公害防止事業団が四百五十億、開発銀行が三百五十億、中小企業金融公庫が八十億、国民公庫が二十億、農林公庫が二十九億、こういう内訳になっております。ちなみにこれを前年度の当初計画と比較いたしますと、二・一四倍という倍以上の高い伸びを示しております。ただ四十六年度は、昨年の七月に公害関係の融資を追加いたしましたので、追加されたあとの姿、これは合計七百三億となっておりますが、これに対しては三二・二%の伸び、このような姿になっております。  そこで御質問の第二の点でございますが、これらのものがどのような金利でやっておるかということになりますと、まず公害防止事業団、これは銀行局の直接の管轄ではございませんが、共同公害防止施設につきましては、当初の三年間は、中小企業であれば五%、大企業の場合には六・七五%、四年目以降はそれぞれが五・五%、七%、このような低利の融資を行なっております。開発銀行その他につきましても通常のいわゆる基準金利八・二形に比べまして、中にいろいろの種類はございますが、たとえば開発銀行の重油の脱硫装置であるとか、そのほか種々のものにつきましては、当初三年間は七%、四年目以降は七・五%というふうに安い金利が適用されております。中小公庫、国民公庫につきましてもほぼ同様に、金利につきましては通常の基準金利よりも安く、それぞれ当初三カ年は六・五%、四年目からは七%、そのようになっております。農林公庫につきましては先ほども触れましたように、特に公害というワクづけはいたしておりませんので、それぞれの事業によりまして金利がきめられておりますが、たとえば家畜の排せつ物の処理施設を含んだ畜舎、こういったようなものにつきましては六・五%というような金利で実施いたしております。
  178. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 これはいま言われたように個々に当たっていくと時間かかりますけれども、貸し付けの比率とかあるいは貸し付けの利率あるいは据え置き期間、こういうものを総合的に考えると、他の設備融資に比べると非常に優遇されている、そういっても私は過言ではないと思うのですが、そういう結論でよろしゅうございますか。
  179. 松川道哉

    ○松川説明員 全体の姿といたしまして、ただいま佐藤委員指摘のような姿になっております。ただ、申すまでもございませんが、原資が財政資金という性格のものでございますので、その間おのずからどこまで現実に事業を施行するものの希望と合わせることができるかという点につきましては限界がございます。その意味で私どもできるだけ安い金利、そして償還期間もなるべく長くして、事業者の負担が軽くなるようにという努力はいたしておりますが、財政面からの制約との妥協で現在制度ができております。申すまでもございませんが、償還期間等につきましても、他の一般のものよりは有利に扱われております。
  180. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 もう一点お伺いをしたいのですが、いろいろな公害がいま非常に問題になっておりますので、いろいろな申し込みがあると思うのです。その申し込み状況と貸し付けられる割合と申しますか、それは一体どういうバランスになっているものでしょうか。
  181. 松川道哉

    ○松川説明員 ただいまの点、たとえば開発銀行の例をとって申し上げますと、重油の脱硫装置、ガソリンの無鉛化、こういったものにつきましては開発銀行から約四〇%程度の融資をいたしております。さらにばい煙の防止であるとか汚水処理、そういったものにつきましては五〇%を開発銀行が融資する、そういう割合になっております。
  182. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そうじゃなくて、私のお聞きしたのは、たとえば開発銀行にいま言ったような貸し付け比率で、お金を貸してもらいたいと申し込むわけですね。申し込むのはたとえば一千件なら一千件あるわけですけれども、開発銀行としても全部が全部貸し付けるわけにはいかないと思うのです。その比率というものは、資金が余るくらいなのか、逆にかなりけらなければいけないのか、ける場合には一体どういう理由でけることがあるのか、その辺をお伺いしたいのです。
  183. 松川道哉

    ○松川説明員 佐藤委員の直接の御質問である申し込みと現実に貸し付けがなされたというデータは、なかなか把握しがたい面がございます。そこで私、御参考になるかどうか、四十六年度の四月から十二月まで三・四半期の実績を申し上げますと、先ほど四十六年度追加後の姿で、全体の公害防止事業の融資ワクが七百三億あると申し上げましたが、そのうち現実に貸し付けが行なわれましたのは三百九十二億二千万円でございます。したがいまして、ワクがきついから申し込みが拒絶された、そういうことはないように承知いたしております。  ただ、この三百九十二億と申しますのも、昨年度、四十五年度の実績が二百三十六億でございましたから、これから比べますと三・四半期の間に前年度の五割以上伸びた姿で事業が融資されておるということで、事業の伸び方といたしましては非常に伸びてきておる。ただワクから申しますと、ワクのほうがまだゆとりがある。この二つのことから判断いたしまして、ただいま御指摘のように、希望はあるんだが貸せない、そういう状態はないものと承知いたしております。
  184. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 たいへん私の思ったとおり進んでいるのでありがたいのですが、ただ私、この融資を調べてみたところによると、その公害施設をつくったことによって、あるいはあとからお聞きしますけれども、たいてい借り入れでやられるのですね。そのやられたことによる財政的な資金繰りの負担、この部分企業の運営にとっては負担になってくるだろう。そうなるとやはり運転資金的なものが必要なんじゃないか。これはあとの準備金制度の問題ともからんでくるのですけれども、そうやって調べてみますと、そういう形での運転資金というのは、これはないですね。そう受け取っていいですね。
  185. 松川道哉

    ○松川説明員 ただいま御説明申し上げました政府関係の各金融機関は、これらはいずれも設備資金を主として融資しておる機関でございます。したがいまして、中に一部運転資金を扱っておる金融機関もございますが、ただいま申し上げました数字は全部設備資金と御了承いただきたいと思います。
  186. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 一番最初税制について述べていただきましたけれども、非常に項目が多くて、税制の面でもこの公害施設をつくったことによる優遇措置というのはかなりされておる。金融においても、いま審議官が言われたように通常の金利よりも非常に安い。しかも償還期限が長い。それで借りようと思うと、いま数字をあげられましたようにワクがきついから申し込みを断わられたという例はほとんどない。そういう面で、公害施設をつくる部分においては非常に私は現在の金融状況というのはやはりいい状況にあると思うのですね。その前提でこれからお話をお伺いしたいのですけれども、まずこの法案ですけれども、そういう状況でものを考えていきますと、どうもよくわからないのが所得税租税特別措置法、つまり第二十条の二の本文ですけれども、ちょうどまん中あたりに、これが法案の目的だと思うのですけれども、「公害の防止に要する費用の支出に備えるため、」以下云々ということばがあるわけですね。その「公害の防止に要する費用の支出に備えるため、」以下千分の三あるいは千分の六というお金を準備していいことになっているわけですけれども、この「公害の防止に要する費用の支出に備えるため、」というのは一体どういう意味で、どういうことをこの法案は期待しているのか、それをまず御説明願いたいと思うのです。
  187. 高木文雄

    高木(文)政府委員 先ほど御説明いたしましたように、四十六年度までの税制におきまして、公害防止に関する税制はほとんど完全に近いといっていいほど整備されてきたということができると思います。ただ一点抜けておりますのがただいまの二十条の二、所得税でいいますと二十条の二にございます公害防止の準備金制度が抜けているといえば抜けておったということではないかと思うのでございます。そしてその趣旨は、いまお読み上げになりました「公害防止に要する費用の支出に備えるため、」そこが問題でございます。  その趣旨は、公害防止費用というのは毎期毎期同じようにかかるのが当然でございます。その公害防止費用は製造の量あるいは売り上げの量というものに比べて比例的にかかるであろうということが予想されるのでございます。ところが企業というのは所得に変動があるわけでございます。それは景気、不景気にもよりましょうし、それから産業界全体としての景気、不景気のほかに、当該企業自体の新しく製品が急に売れるようになったとか、あるいは当該企業が売っている製品がやや陳腐化して、いわば競争に相対的にぐあいが悪くなったということがあるわけでありまして、所得が変動することがあります。そこで、費用のほうは経常的に売り上げなり何なりに対して比例的にかかるのでありますけれども、会社の経理面を見ますと損益状況といいますか、税法の概念でいいます所得の状況というものは変動があるわけでございます。そこで、企業としてはせっかく設備をしていろいろ公害防止のために煙を出さない、きたない水を流さないための設備をするわけですが、なお一つ心配が残りますのは、機械を運転してそういうきたない水、きたない煙を出さないようにするための経常的な経費を将来長きにわたって十分負担できるかどうかというところに問題がある。経常的に売り上げが安定的である企業ならば問題はありませんが、それが変動的企業であるならば問題があるということになってまいりまして、そこでいろいろいわば十分手を尽くされたような制度になっておるけれども、その一点だけが残った問題であるということで、今回、これまでの税制をさらに補完する趣旨で、二十条の二の制度のように、必ずしも個々の文言にははっきりしておりませんが、さっきお読み上げいただいたちょっと前にありますように、「所得金額の変動が大きいものとして政令で定める業種に属する事業を営むものが、」と書いてありますが、これは文章の書き方としてはどういう企業適用があるかという書き方として書いてございますが、ここで所得金額の変動が大きいものとし政令で定める業種に属する事業を指定するという趣旨は、この条全体の趣旨がやはり所得金額の変動が大きいものについての配慮した制度であるということを意味するものでございます。よって、そういう企業については、公害の防止に要する費用の支出に所得が比較的大きいときに準備さしておく、それを税法上認めましょうという制度でございます。
  188. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そのことについては、また後段で私は触れたいのですが、私がこの条文を読んだときにすぐに頭に浮かんだのは、昨年の国会で公害防止事業事業者負担法というのができたわけです。これによりますと、地域の環境を整備するために会社側が、企業が予期しなかった公害に関する支出がむずかしい、そういうものに備えるためかなと私は思ったわけなんです。  それで環境庁にお伺いをしたいのですが、その本文に入る前に、昨年成立した公害防止事業事業者負担法、これは具体的に企業にとってみてどのような負担になっているのか、昨年成立してから実際どういう例でこの負担法が適用されたのか、そのあたりをちょっとお聞かせ願いたいのです。
  189. 船後正道

    ○船後政府委員 公害防止事業事業者負担法でございますか、この法律の精神といたしますところは、本来、汚染防止に関する設備の費用は企業者が負担すべきでございますが、事業の性質によりましては、国または地方公共団体の事業として施行しなければならない、たとえば下水道でございますとか覆土事業でございますとか、そのような仕事があるわけでございます。そのような公害防止事業を国または地方公共団体が実施いたします際に、その原因となった程度に応じて事業者に費用を負担させるという趣旨で立案されたものでございます。
  190. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 その制度が、法律ができてから実際に適用された例はいままでございますか。
  191. 船後正道

    ○船後政府委員 まだ現実に発動した例は現在のところ私聞いておりませんが、ただ、たとえば田子の浦のいわゆるヘドロのしゅんせつ工事でございますとか、これにつきましては静岡では本年度の事業といたしまして三十万トンのしゅんせつということを前提といたしまして、総事業費の合計の範囲内で八二%をこの法律に基づく事業者の負担として施行するということで、現在所定の手続を進めておりますし、あるいは宮崎県の早川における覆土事業あるいは計画中の洞海湾のしゅんせつ事業等々、各地ではこの法律に基づいて目下具体化をかなり進めておる段階でございます。
  192. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 いま田子の浦の例をあげられたわけなんですけれども、結局この負担の総額は、その費用負担をさせるすべての事業者の事業活動がその公害の原因となると認められる程度に応じた額ということになっているわけです。ですから、これはいま八二という数字が出されましたけれども、判定によっては、これは非常に変わり得る数字だと思うのですね。そういう面で、企業にとってみると、この法律適用された場合に、この法律のもとで負担の額が非常に変化をするということもあるわけですね。八二という数字は、田子の浦の場合にはどういうふうに出てきたのですか。
  193. 船後正道

    ○船後政府委員 ただいま田子の浦につきまして申し上げました総事業費中、事業者負担部分といたしましたのは八二、これは田子の浦の現状に即して審議会でそのように決定相なったわけでございます。考え方といたしましては、対象となるそのしゅんせつ事業がいかなる原因に基因して起こったか、大部分は、常識的に考えましても企業の排水でございますが、中には家庭の下水によるものもございますし、あるいは富士山の大沢くずれによる土砂もございます。いろいろな要素がございますが、そういった要素を種々計算いたしまして、企業の負担すべきものが八二であるということにしたわけでございますから、その他の各地につきましては、それぞれ各地ごとの事情に基づきまして、原則といたしましては原因となった程度、その他種々の勘案すべき条件は、この法律の四条に書いてございますが、具体的に決定するわけでございます。
  194. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 いま環境庁のほうから御説明があったように、田子の浦の場合には、八二%という額を事業者が負担することになったわけですけれども、これがたとえば田子の浦の場合に六〇%だとすると、その残りの二二%というのが、これは額にしてたいへん違うと思うのですね。  それで私は、主税局長にお伺いをしたいのです。今度の法人税でも、所得税でも「公害防止準備金」、これの「公害の防止に要する費用の支出に備えるため、」とあるのは、これは公害防止事業事業者負担法、これとは何ら関係がないのですね。
  195. 高木文雄

    高木(文)政府委員 二十条の二の「公害の防止に要する費用」という費用の中に、どういうものが入るかという点でございますが、企業が自分で公害防止のために、もろもろの機械を設置をいたしまして、その運転にいろいろかかる費用というものは、この「公害の防止に要する費用」の中に入ります。  第二に、ただいま御質問がございました公害防止事業事業者負担法によりますところの、いろいろな負担といいますかそういうものは、この費用に入るかどうかという点につきましては、それを会社はまずどう経理するかという問題がいろいろあるのでありますが、それを損金として落とす——実は、その負担金を会社がどういうふうに経理するかという問題はややこしい問題がありまして、繰り延べ経理をするか、損金として落としていくのかという問題があるのですが、その問題の中間を飛ばしまして、いずれにいたしましても、そういう負担部分について、最終的に企業の損金になりますが、その損金になる部分をこの「公害防止に要する費用」として準備金で積むということをした場合に、それをこの制度は予定をしているかどうかという点につきましては、現在のところ、二十条の二の解釈として私どもは入れたい、防止の費用という中に入れて解釈をいたしたいと思っております。
  196. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 もう一度確認をします。そうしますと、公害防止事業事業者負担法、これのある部分は、見合いとして今度の公害防止準備金が出てきた。これは法律的な体系として、そういうふうに何らか関係があるわけですか。
  197. 高木文雄

    高木(文)政府委員 関係がございます。ただ、二十条の二の規定を置きましたのは、いま、負担法による企業の負担金の問題を主として頭に置いて二十条の二という規定を置いたわけでなくて、二十条の二の規定のほうは、そういう種類の負担金だけでなく、企業自身が自分で公害防止をやりますもろもろの費用一切を頭に置いてつくられたわけでありますが、その際、いまの負担金の部分につきましても、二十条の二の範囲内に含めるつもりでおります。
  198. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 この二十条の二の、いま問題になっている部分は、負担法にいうところの事業者の負担金、これも予想している、その一部になるかもしれないということだと思うのですね。  それでは、そこはわかったんですが、その次に、ここでいうところの事業所得ですね、これは二十条の二のほうは事業で、五十六条のほうは法人のわけですけれども、これの事業所得というのはどういう部分をさすのですか。
  199. 高木文雄

    高木(文)政府委員 この二十条の二は所得税の特例であり、五十六条の八は法人税の特例でございます。二十条の二のほうは、所得税を前提にして書いてあるものですから、「事業所得」ということばを使い、それから五十六条の八のほうは、「事業年度の所得の金額の計算上、」という用語を使っておりますが、それは同じことでございまして、いずれにしましても、二十条の二のほうでいいますと、個人のその年分の事業にかかる所得、つまり給与所得とか不動産所得とか利子所得とか、そういうのを引きました、所得税法の十種類の所得分類がございますが、あの概念の事業所得というものをさしておるわけでございます。
  200. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そうしますと、その次に率が書いてあるわけなんですが、普通の場合には、またあとで指定事業というのはどのような事業かお聞きしますけれども、千分の三ということになりますと、年間に一億円の事業所得があった会社なり個人については、その積み立て額というのは三十万円だ。一億円だと三十万円ですね。十億円だと三百万円の公害防止の準備金税法上認めるという計算になりますね。
  201. 高木文雄

    高木(文)政府委員 その千分の三を計算するもとは、収入金額として政令で定める金額の千分の三でございますから、簡単にいえば売り上げの千分の三。こちらの事業所得のほうは、これは概念としては、いわゆる収入から必要経費を引いた残りでございますから、大ざっぱな議論をすれば、収益というものに非常に近い数字になります。ですから、先ほどおっしゃいました一億の売り上げがあった場合には、一号の場合にはその千分の三で、おっしゃるとおり三十万円になりますが、三十万円という額は、所得のほうは、その場合には、それから必要経費を引いた額ですから、所得に比べれば、千分の三というのは低い率じゃなくて、所得との割合ではかなり大きな率になってくる。売り上げの千分の三ということは、所得に対応すればずっと高い率のものになるというかっこうになっております。
  202. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 いや、その千分の三というのは、所得税法の場合には収入金額であり、それから法人税のほうについては、これは……
  203. 高木文雄

    高木(文)政府委員 やはり収入金額です。
  204. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 収入金額ですね。ですから、私はちょっと勘違いしたのですが、収入金額が一億円の場合は三十万円の積み立てが認められる、こう理解してよろしいですね。
  205. 高木文雄

    高木(文)政府委員 はい。
  206. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それで、私はもとに戻りたいのですけれども、「公害の防止に要する費用の支出に備えるため、」というのは、ここで税法上認められるというのは、先ほどちょうど局長も松尾委員質問に対して、どれがどの準備金でどれがどの特別償却になるかわからないということを言われましたが、ちょうど金に名前が書いてないように、たとえば年間一億円の収入のある会社が三十万円準備金をつくるとした場合、これは税法上認めるのは、将来の公害防止の計画書なり何にもなくても積み立てられるわけですね。
  207. 高木文雄

    高木(文)政府委員 ただいまの一億円について、かりに三十万円ということになりますと、かりにその当該事業公害防止費用が毎期五十万円かかっているということで仮定計算をやってみますと、ある事業に百万円の事業所得があったというふうに考えますと、その期は五十万円は、普通にかかった公害防止費用は必要経費として落ちます。それで、落ちた残りで百万円の所得がありますというときに、千分の三に当たる三十万円は準備金として積み立てることができますから、百万から三十万を引いた七十万について所得税を納めればいいということになるわけであります。  なぜ三十万円というようなものを積み立てることを認めるかといえば、今度は翌期においておそらく今期と同じように五十万円くらいの公害費用がかかるであろうということが予測されるわけでありますが、翌期においてはたして今期と同じように、公害費用を出したあとで百万円の所得が残るような状態であればいいわけでありますが、翌期においてはあるいは赤字になってしまうかもしれぬということが考えられますので、そうなりますと、翌期においては公害防止費用自体をなかなか出し切れないということになっては困るというようなことで、そういう際のことを考えて、所得がある時期に三十万円だけ積むことを認めておく。そうして翌期において非常に経営状態が悪くて、もし赤字になってしまうというような事態あるいは百万円の所得がない、五十万円の公害防止費用を出し得ないというような状態になった場合には、その準備金、積み立て金を取りくずしてお使いください、こういう制度でございます。
  208. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 個々の企業あるいは個々の事業を当たってみると、一億円の収入金額があるものが三十万円の公害防止の積み立て金をしても、おそらくあまりこれはその準備にはならないのではないかということで、私は別のことを考えているわけなんですけれども、どうもよくわからないのは、いま企業公害防止の施設をつくるときに、そう無計画にやるものだろうか。やはりある程度の、年度の出資計画なりあるいは環境基準が変わったり生活水準が変わったりする場合に、早めにつくらなければいかぬという場合には、ある程度無理をしてでも金を借り入れてつくらなければいかぬのではないか。私はこの文面を読んで抵抗を感ずるのは、将来の支出に備えるためということを書いてあるけれども、将来の支出に備えるというよりも、早いところとにかく必要なものはつくっていただかなければ困ると思うのです。  そこで、通産省にお伺いをしたいのですけれども、実際にいままでかなり公害防止施設というものはできたと思うのですけれども、名前をあげていただく必要ないですけれども、実際の各企業というものははたしてどういうような状況、経理内容、あるいはその公害防止施設をつくる際にどのような資金繰りをして実際にはその公害防止施設をつくっているのだろうか。その辺のところを少し御説明願いたいのですけれども……。
  209. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  いま御質問の点につきましては、個々の企業の実際の資金繰りの問題、いわゆる投資の計画と資金繰りの問題というのは、各企業によって非常に違いますし、私も不勉強でそこを十分存じているわけではございません。したがって、御満足のいくようなお答えにはならないかと思いますが、一般的に現在各企業公害防止施設の投資を行なう場合、業種、業態によっても違いますし、特に大きいところと小さいところでは御承知のようにずいぶんやり方が違うわけでございますが、ことに大きなところでございますと、年間の投資計画というのは御承知のように、大体前の年の終わりぐらいには翌年の計画を持っておる。もう少し大きいところであれば、さらにその上に長期計画というものを一応会社は会社なりに持っておるところが多いようでございます。しかし、実際の長期計画は相当不確定な要素が多いようでございますので、やや確定的なものは次年度ぐらいの計画は持っておるというのが実情のようでございます。   〔木野委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、公害防止投資の計画につきましても、当然それとの関連で翌年度の計画というのは大体立てておるようでございます。ただ御承知のように、公害問題は非常に深刻でございますし、各地方における条例あるいは防止協定等あるいは国の規制につきましても、急速に規制が強化されておる状況でございますので、必ずしもそういうわけにはまいらなくて、計画を繰り上げたり何かするという事態も往々にして起きてまいりますが、そういうものを別にすれば、大体前の年には翌年の計画くらいは一応持っておる、それで実施をしていくところが多いようでございます。  それから、資金繰りでございますけれども、これは会社全体の資金繰りの一環になるわけでございますので、特に公害防止投資についてだけ特別の資金計画を持っているわけではございません。したがって、全体の会社の資金繰りがどんな状況になるかということでございますが、設備投資の——これも直接のお答えにはあるいはならないかと思いますが、御参考までに申し上げますと、四十六年の十一月に私のほうの産業資金部会の関係で調べた調査によりますと、四十六年度の当省所管業種の主要企業の資金調達計画では大体自己資金四五・八%、借り入れ三八・五%、その他が社債、株式というようなかっこうになっております。したがいまして、借り入れが大体四割くらいというようなかっこうになっておるようでございます。
  210. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 局長、いまお聞きになったように、ある程度の企業になれば突発的に公害の防止の費用をつくるというわけではなくて、実際の場合にはほとんど自己資金とかあるいは借り入れによって、環境基準等に合わせてつくっていくわけですね。それでこの文章にあるように、将来の公害の防止に要する費用の支出に備えるというような考え方で公害対策というのをやってもらっては困るのじゃないかと思うのです。つまり、いま通産省のほうからも御説明があったように、公害防止というのは焦眉の急であることは間違いないわけで、その意味では将来に備える、価格変動、所得変動があるからそれに備えるためこういう準備金制度ができる。しかも、その準備金というものが名目がなくて、同じ業種にでも、ちょうど先ほど松尾委員の御質問のように、そのほかいろいろな名目の準備金があるわけですね。準備金が、これは公害防止の準備金だとお金には名前が書いてあるわけじゃないですね。したがって、この準備金というものが確かに将来に備えるにしても、結局三年たてば取りくずし、取りくずしでこのくらいな資金では公害防止ができない。これは結局また税金の繰り延べ、繰り延べということになっていくことではないのだろうか、こう思うのですけれども、いかがでしょうか。
  211. 高木文雄

    高木(文)政府委員 佐藤委員のお持ちになっている御疑問に対するお答えになるかどうかわかりませんが、一、二のことを御説明いたしたいと思います。  一つは、公害防止費用が一体日本企業全体にとって平均的にどのぐらいになっているだろうかという問題がございます。そういう角度の問題というのは必ずしも古くからあった問題じゃないものですから、統計等まだ十分整っておりませんので、あまり明確なる数字がないわけでございますが、通産省等を通じて御協力いただいて調べましたところでは、全産業で売り上げに対する公害防止費用というのは、平均的には一%くらいだという大体の達観を得ております。その一%というのは、どういう経費を見て一%というのかといいますと、普通償却費、修繕費、それからたとえば動力費や用水費や消耗品費というような経常的な、ランニングなエクスペンス、それから公害防止に関して外部に金を——先ほどの負担金などもあるいは入っているのではないかと思いますが、委託費等を含めまして、全産業平均では売り上げに対して大体一%くらいの費用がかかっているという達観になっております。  それから、それは全産業の平均でございますが、今度は平均よりも公害費用がかかっておるような産業を種別に抜き出しまして、その産業種別についての売り上げと公害費用との比較を見ますと、一・七%くらいになっておるのでございます。その率と、それから三年間に積むということを頭に置いて千分の三とか、千分の六とかということをはじき出しておるわけでございます。  そこで、先ほど一億の売り上げに対して三十万ではどうにもならぬではないかというお話、ある意味ではごもっともなお話であったわけでございます。その意味は、確かに個別企業で見ますといろいろ問題があろうかと思いますが、平均的に見ます限りにおきましては、いま申し上げました売り上げに対する公害費用の占めております率、そういうものを頭に置いて出したものでございますから、その千分の三とか、千分の六とかいう率は決して意味のない数字、非常に小さい数字ということにはならないのではないかと思うのでございます。  それから第二に、こういうことをやっても単に税の繰り延べだけになってしまうのではないかという点はまさに問題点でございまして、その点は税の立場から申しますと、本来非常に注意すべき事項でございます。かりにこういう準備金がなくても、その程度の金額であれば企業は何らかの方法で、借り入れ金等をもって調達をいたしますから、こういう制度がないために公害費用が支払われない、よってもって公害がその企業においてたれ流しになるというような心配は全くないということは、御指摘のとおりであります。こういう制度がないと資金的に詰まってしまう、そういうことはないということはおっしゃるとおりでございますが、これは税の上の制度でございますので、そういう資金的な面を考えているのではなくて、損益面といいますか、所得面を考えているわけでございます。売り上げに対する比率では非常に低い率でございますが、所得に対する率ではかなりの率になってまいります関係上、所得変動が非常に大きい企業にとりましては、売り上げに対して低い率のものであっても所得に対する影響度はかなり大きいわけでございまして、所得にとって大きな影響を与えるような費用負担というものは、やはりいろいろな意味でかなり経営圧迫要素として出てくるわけでございます。費用のほうはランニングに流れていきますし、税のほうは、所得税でございますと一年一年、法人税でございますと決算期ごとに区切って一応決算をして、そして税計算を行なっておるということでございますので、そういうエンドレスにつながっていく費用負担と、期間ごとに整理をして計算しておる税との調整という意味において、やはり準備金を置くということの意味があるのではないかと思っておる次第でございます。  先ほど来資金調達の点について御質問がありましたが、それは、こちらは期間の概念が税のほうには入ってくるために、それをスムーズにやるとすれば、どうしてもこういう制度が要るであろうかということなのでございます。
  212. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 基本的に私は、この法案のこの部分がおかしいと思うのは、いわゆる銀行の貸倒引当金に対する準備みたいなものですね。銀行の場合にはパーセンテージが非常に高いですけれども、これがいま非常に問題になっておるわけですね。この場合は何らかの事情でつぶれるということがあるんですね。そういう不確定要素がある。しかし、これのように「公害の防止に要する費用の支出に備えるため、」これは公害というものは、とにかく基本的には出してはいけないのであって、そのために公害を出さないように費用が必要なわけですね。ですから、この精神からいくと、万が一公害が起こってしまって、いろいろな費用がかかるときのためというふうに私はとらえるわけなんです。その面からいって、同じ準備金といっても、銀行なんかの準備金の不確定要素が入っているものと、また公害のように不確定要素が入ってはならないものとは、私は性格が違うんじゃないかと思うんです。そのあたりで「公害の防止に要する費用の支出に備えるため、」というこの目的が、準備金として租税特別措置法自体がだんだんと減らされていかなければならないときに、公害防止という美名のもとに隠れて、今度はこの事業というものはどんな事業かお伺いしますけれども、そのもとで準備金という新しい制度がまたここに出てくる、これは私は決していいことじゃないと思うんです。  しかもいま局長が言われましたように、私が冒頭にお聞きしましたように、税制の面ではかなり優遇をされ、それから金融の面でも通常の金利よりもたいへん安くて、しかもワクが非常に大きい。これはやはり融資という関係でやるべきじゃないか。こういう準備金、しかも名前のつかない準備金で三年ごとにまた取りくずしができる。結局税の繰り延べがなされていくという制度は非常によくないものではないか、こう思うわけです。  先ほど私が冒頭にお伺いしましたように、公害施設をつくっても、その分だけ資金繰りが苦しくなったことによって運転資金が出てこない。そうなると筋として、金融機関の中に公害防止のもろもろの運転資金というものを設けるような方向にいくべきではないだろうか。つまり機械を備えつけたことによって、それだけ資金繰りを圧迫するわけですから、その分について別途の方法で公害関係の運転資金としてつくるべきじゃないか。私は準備金制度というのが名目がつかない、そしてたくわえてかかれるということについて非常に疑問に思うわけです。その辺のところ、銀行局としてはどうですか。今後はこういう準備金という非常に問題になっている制度を新設するということよりも、国の金融機関あるいはその他の金融機関の中に、公害関係の設備をつくったものに関しては別途に運転資金のめんどうも見る。まあワクとしては企業としては同じことですけれども、別途に公害防止の場合にはつくるべきではないか、そういうふうに考えるのですが、いかがでしょうか。
  213. 高木文雄

    高木(文)政府委員 ただいまの銀行局への御質問の前に一言だけお答えさせていただきますが、いまの御質問の中で、万が一公害防止に費用がかかる事業があるかもしらぬではないか、そういう事業のためにもこの準備金を置くのはおかしいぞというような感じの御質問がございました。それは実は「政令で定める業種に属する事業」ということで、公害防止費用がかかることが間違いない事業だけしかこの公害防止準備金制度は使えないように、この事業政令で定めるつもりでございますので、それを申し上げておきます。  それから第二点は、ただいま金融の問題のお話がございました。それは融資の一つの問題として十分銀行局のほうからお答えすることと思いますが、かりに融資の問題が解決いたしましても、損益面での処理は片づかないわけでございます。あるものに非常に所得が出る、あるものに所得が非常に小さくなるということは、企業によってどうしても所得の変動の大きい企業というのは出るわけでありますから、所得変動の大きい企業にとりましては、所得変動がある際に、変動の底へいったところでも、経常的に好むと好まざるとにかかわらず、公害防止費用がかかるということは損益面では非常に負担になるわけでありまして、そういう意味で、あるいは企業にとって非常に優遇されている制度だとお考えかもしれませんが、一面において公害防止事業を非常な早いスピードで促進いたしますためには、企業の利益のためというよりはむしろ全体の利益のために公害防止事業を促進するためには、この谷間のところの底にいった場合の損益面についての配慮というものがあってもいいのではないか、というのが私どもの考え方でございます。
  214. 松川道哉

    ○松川説明員 ただいまの御質問の中で、金融でやるのがいいのか、税金でやるのがいいのかというエントベーダーオーダーの質問の形に対しましては、私どちらがいいということを御説明する立場にはないと思いますが、御指摘のように、公害関係の運転資金を設備関係資金と見れないかどうか、その点についての御説明をさしていただきたいと思います。  私どもも公害関係のいろいろな施設をつくり、そのあとで運転に困るようなことがあるかどうか、そういったことは絶えず意識としては持っております。そして運転資金でございますと、第一義的に、たとえば商工中金のようなところへ話が入るはずでございますので、そういう特別な注文があるのかどうか、そんな話をしてみております。しかしながら、現在までのところ、若干例外的にそういう話があったケースはあるようでございますが、一般論として運転資金を特別に扱ってほしいという要望はないように見ております。その理由は、公害関連施設をつくりますと、その運転資金のあるものはたとえば電力費になり、あるものは用水費になる。そうしますと、公害防止施設の部分が一体どれだけなのか、それを摘出することが非常にむずかしい。たとえば薬品を加えるような公害防止事業でございますと、その薬品代は確かに運転資金になりますが、一般論としましてどれだけが運転資金であるかということは非常にむずかしいという面がございます。他方、佐藤先生御承知のように、OECDのほうではいわゆるPPP、ポリューター・ペイズ・プリンシプルというのがございまして、政府が公害の費用を負担するということに対して一部の国が強い反対の意向を表明いたしております。そういたしますと、そういうバラエティーが非常にあって、あるものは確かにきついかもしれないけれども、必ずしも一般的でないそういう公害関連施設の運転資金をめんどう見るために、国際的なフリクションを起こす可能性もあるようなそういう制度をつくるのはもう少し慎重でなければいけないのではなかろうか、このように考えております。  具体的には、はなはだ運転資金に困るようなケースがかりに起こったといたしますと、現在の制度では、その事業者が中小企業者である限り中小企業金融公庫から運転資金の融資を受けることができるたてまえをとっております。これは基準金利でございますから、設備資金のときのように非常に安い金利にはなりませんが、それでも市中の金融機関から借りるよりは安い金利で借りることができる、そのようになっておりますので、当分の間は現在の制度のワク内で、その運用でめんどう見ていけば足りるのではないか、そしてこの事柄が将来どのように発展していくか、かりに、たとえば産業廃棄物の処理というようなことで極端に大きな金がかかるようなケースが出てまいるようなことがあれば、その時点においてあらためて検討してもいいのではなかろうか、このように考えております。
  215. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 もう一つちょっと確認をしておきたいのですけれども、この準備金について、公害の防止施設をつくるという将来的な展望計画書、こういうものは別に提出する義務というものはないのですか。
  216. 高木文雄

    高木(文)政府委員 二十条の二で業種を指定いたしますが、指定された業種であれば個々に何かそのような計画書を出すということはいま考えておりません。
  217. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それから、先ほど局長から御説明があったように、将来の所得変動に備えるため公害施設というのは常時必要になってくるから、その所得変動の底になったときに困るという御説明ですけれども、ちょっとお伺いをしたいのですけれども、会社がいわゆる倒産をしたとき確保していかなければいけない、また支払わなければいけない額の順番というのがありますね。あれは三つばかりあったようにたしか記憶しているのですけれども、あれは何でしたか。
  218. 高木文雄

    高木(文)政府委員 第一順位は給与とかそういうものであり、それから売り掛け金、そういうものであったと思いますが、いま法律上ちょっと調べさせます。
  219. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 私もたしか第一番目は給与だったと思うのですけれども、これにしてからでも局長の論理によりますと、絶えず恒常的に額というのはだんだん上がっていくわけですから、そういう意味で今度は給与に対する準備金というものはやはり必要だろう、公害だけに限らずそういう論理で所得は変動がある、ただし常時昨年のものよりもだんだん額が上がっていくものを、そのために必要だというならば、たしか社会保険もその中に入ったと思うのですけれども、給与だとか、これだってそういう論理に従って給与の準備金というものもまた必要になってくるのじゃないか。そのあたりが私は所得変動があるからといって公害準備金というのを計画もなしに置くというのはどうも論理的に納得がいかないわけですけれども、そのあたりはどういうふうにお考えになりますか。
  220. 高木文雄

    高木(文)政府委員 公害防止準備金そのものについては、実は私どもは経常的制度としては考えておりませんので、先ほどもちょっと出ておりましたが、いわゆるPPPの原則からいってどう考えるべきかという問題もあります。ただわが国の場合は非常にこの分野がおくれておる。そして急激に始末をしなければならぬという状態から、税制でも金融面でも非常に手厚い措置がとられておるわけでありまして、そういう面で臨時的なものとして初めて考えられるものと思われるわけであります。ただいま給与の事例が出ましたが、これは倒産とかなんとかについては退職給与引当金という制度が現にございます。これは非常に前からある制度でございまして、急激に企業がぐあいが悪くなった場合でも退職金は払うことができるように、それをどの程度に見るかということについては、いろいろ議論もあるところでございますが、退職給与引当金の制度があるわけであります。あるいはそういう場合でなくて経常的な給与費についてどう考えるかということかと思いますが、この経常的経費、これこそはまさに年々のコストと考えるべきものであり、そういうものと、先ほどちょっとお触れになりました貸倒準備金とか公害準備金とか、そういうものとはやや性格が違うのじゃないか。そういう点での考え方の相違に基づくものと思われます。
  221. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 この論議だけしていても時間がなくなってしまうので、局長、これはいま三年間の一時的なものだといわれますけれども、租税特別措置法というのは、最初はこういうことで出発して、だんだん率が上がり、それからだんだん延長に延長を重ねるというのが従来の租税特別措置法の歴史ですから、私は、ここで新しいものが新設された以上、そう簡単に見のがすことができないように思うのです。  それで、もう一つ大事な点ですけれども、ここでいわゆる所得変動が激しく、しかも公害の費用がかかるもの、これは所得税法上あるいは法人税法上一体どういうものを頭に置かれてこの法律を考えられたのか、いかがでしょうか。
  222. 高木文雄

    高木(文)政府委員 所得の変動は、企業によって所得変動の大きいものと小さいものとございますが、大体現在は経済が成長しておりますから、所得の状況は概して波を打ちながら右上がりに上がっていくわけでございますが、その変動の谷と山との波の大きさをある函数をとりまして、大なり小なり、多少とも各業種ともあるわけでありますが、その函数の平均的なものよりも変動率の大きいもの、変動の函数の大きいものをここで指定業種にあげていきたい。その変動率の大きいものだけをとったうちでのさらに平均よりも大きいものを千分の六のほうに上げていきたい、大体こういう考え方でおります。  そういう計算でやりましても、また常識的に考えましても、非常に変動が大きい業種として考えられますものとしては、鉄鋼業、石灰業、電気メッキ、それから非鉄金属精錬、これらはおそらく非常に変動幅の大きい部類に属すると思われます。それから小さい変動率のほうに入るかと思われますのが石油化学、セメント、紙パルブ等がその代表ではないかと思われますが、なおこれはいろいろなデータをいま集積をして、業種の範囲をきめるべく念査をいたしておるところでございます。
  223. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それは二十条の二、つまり所得税法部分についてはどういうことになるのですか。
  224. 高木文雄

    高木(文)政府委員 二十条の二のほうも、五十六条の八のほうも業種の範囲は同じでございます。
  225. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 租税特別措置法というのは、いま業種は政令にゆだねるというので、まだ完全にきまっておりませんけれども、先ほど松尾委員が言われましたように、全部で鉄鋼が二十七ですか、租税特別措置があるようですが、それにもう一つ、この準備金制度ができると加わるという。私は税の公平性からいって、問題がますます大きくなってくると思うのです。冒頭申し上げたように、公害に関するものについては、税制、金融上非常に優遇されていることは事実ですし、しかも今度のものは公害防止の計画書も別に出さなくても、その分だけ認められる、準備金として積み立てることができる。そして三年たてば取りくずしになるわけですけれども、税の繰り延べ行為が行なわれる。しかもそれが非常に狭められた特殊な企業と申しますか、業種だけに使われるというのは、この租税特別措置法というのはまたまた悪い方向に発展しているように私は思うわけです。  それから最後に、この準備金制度によって——先ほど局長は、この準備金制度ができれば公害施設を非常につくりやすくなるということも少し言われたのですけれども、この公害防止施設の準備金による減税額の見込み、それからこの準備金制度をつくれば公害施設がほんとうにつくりやすくなるのかどうか、その辺の見通しはどうでしょうか。
  226. 高木文雄

    高木(文)政府委員 この準備金によります租税特別措置法の減収試算額は百十三億と見ております。その前提としては、この準備金による平年度の積み立て額、三年間積み立てられるわけでありますが、その一年分積み立て額、正確に申しますと、初年度計算でなくて平年度計算による一年分積み立て額を三百二十八億と予測し、それによる減収額を百十三億と見ております。
  227. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それから、二つ目の質問ですけれども、この準備金制度ができますと、公害防止施設というのは確かに企業にとってはわずかながらつくりやすくなることは間違いないのですけれども、はたしてそれが非常に好成績をおさめるほどの効果があるものかどうか、そのあたりの見通しについてはどうですか。
  228. 高木文雄

    高木(文)政府委員 現在各企業にとりましては、公害の防止ということは絶対的な至上命令のようなものでございますから、公害防止準備金がもしなければ公害防止施設を全くやらないとか、公害防止準備金があるから初めてそれによって施設をするし、いろいろ公害防止をやるとか、そういう関係にはないのではないか。つまり、公害防止準備金制度が絶対的誘引の役割りを果たすというふうには考えられないと思います。社会一般からのいろいろな圧力、監視がございますから、各企業は相当無理をしてでも公害防止施設をやり、防止事業をやっていくだろうと思いますので、もしこの準備金制度がなければ公害防止事業が全然進まないということではないと思います。しかし、むしろそのことが企業経営の圧迫になる部分が相当あることが予想され、そしてやむなくそういうことをやっていきましょうけれども、いろいろな意味でのフリクションを起こすということはあろうかと思います。まあそのフリクションを除去するという意味においての役割りはあろうかと思います。  租税特別措置法によりますもろもろの制度の誘引的機能というものをどう評価するかはなかなかむずかしい問題でございまして、合理化機械特別償却等にいたしましても、そういう制度がなければ機械を全く買わないだろうかというと、そういうことはないので、合理化機械特別償却制度がなくても、やはり企業は相当新しい機械を買って、そして合理化につとめるであろうことは予測されるわけでありますが、それをさらに勢いづけるという役割りであろうかと思っておりますが、この準備金もそれと同じような意味を持つものではないかと考えております。
  229. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 もう一つの問題は九十条の問題なんですけれども、重油をナフサになるべく変えさせようということなんですが、昨年の国会で当大蔵委員会でも関税の問題として重油の関税を大幅に引き下げたと思うのですけれども、きょう関税局の方いらしてないから、その論議については皆さん御承知の上で話を進めていきたいのです。   〔委員長退席、木野委員長代理着席〕 この九十条が適用されるのが、この法案によりますと、「発電設備又は鉄鋼の製造設備で、政令で定めるものの燃料用」ということになっているわけなんですけれども、これは具体的にいいますと、火力発電や鉄鋼の製造設備に使うもの、こういうふうに考えていいですか。
  230. 高木文雄

    高木(文)政府委員 御指摘のとおりでございまして、発電と鉄鋼の製造設備で燃料用に使う揮発油というものを対象に考えております。
  231. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それで、昨年なるべく低硫黄の重油を使うようにということで開税引き下げをやったわけですけれども、今度ここでナフサを使おう、なるべく硫黄分の少ないナフサを使わせようということなんですけれども、この法律ではたしてナフサを使うような方向にうまく誘導ができるかどうか、その辺の見通しについてはどうですか。
  232. 高木文雄

    高木(文)政府委員 本件につきましては、きわめて具体的に検討が進められたようでございまして、御存じのように、現在発電所あるいは鉄鋼の製造所を新たに設けようということについては、公害問題のために地元住民等からたいへん反対がありまして事が進まないということで、この鉄鋼や発電のような、いわば全産業に影響のある企業と住民の被害とをどう調整すべきかという問題が非常にやっかいな問題になっておるのでございます。その焦点は亜硫酸ガスによる公害をどうやって減らすかということでございます。その方法は私も詳しく存じませんがいろいろあるようでございますが、その一つとして近来揮発油を燃料用に重油とまぜて使うということによって解決する方法が開発されてまいったようでございます。  そこで、そのことにつきまして、私どもは専門家でございませんが、通産省に置かれております総合エネルギー調査会というところで約半年余りにわたりまして技術の専門家の方がお集まりになりましていろいろ検討の結果、とりあえずリターンナフサというもの、これを、要するにナフサを燃料に使いますことにつきましては、まだ一般的にそれを認めていいかどうかは燃料界のほうに相当異論があっていろいろ問題があるようでございますが、とりあえずリターンナフサを燃料に使うということで試験的に発足をしてみようということになったようでございまして、ただいまお話がありました昨年お願いをいたしました関税等の措置によりまして、脱硫装置をいろいろ整備をしていく、あるいは低硫黄の重油を輸入することを促進するという措置もきわめて重要でございますが、それとまた別の措置として、揮発油を燃料に使うことによって亜硫酸ガス公害を回避をするという手段が新しく見つかったようでございますので、そもそもガソリン税はいわゆる自動車燃料のような場合を頭に置いてつくられている制度でもございますので、これを鉄鋼製造やあるいは発電設備に使うという場合の課税を頭に置いた規定ではないという趣旨から、今回免税措置をお願いするということにいたした次第でございます。
  233. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 なお、環境庁のほうにちょっとお伺いしたいのですが、常識問題ですけれども、いま電気事業は大気汚染防止法のワクからはずされていますね。大気汚染防止法よりも電気事業法によってその基準というのは下げられておりますですね。
  234. 船後正道

    ○船後政府委員 私も担当の局長ではございませんが、大気汚染防止法と電気、ガス事業法との関係につきましては、届け出その他の行政監督の面におきましては通産所管でございます。排出基準等につきましてはすべて大気汚染防止法の系統で同じにやっておるわけでございます。
  235. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 ちょっと私の勘違いかもしれませんけれども、私の感じでは、たしか大気汚染防止法の排出基準よりも電気、ガス事業法のほうが低かったのではないかと記憶しているのですが、私ももう一度調べます。  それならこの部分はいいのですが、最後に、主税局長にお伺いをしたいのですけれども、今度の準備金制度にしてもあるいはこの関税の問題にしても、大きな企業、特に鉄鋼、石油化学、セメントあるいは非鉄金属、火力発電と、大手の企業ばかり結局優遇されるような法案になっておることは、私はいなめない事実だと思うのです。先ほど松尾委員も言われましたように、一企業にとって二十も三十も租税特別措置がなされているということについては、これはもう前々から変えなければいけないと言ったけれども、ちっとも実行に移されていないわけです。それで基本線として、租税特別措置というやり方の税の徴収をしないというやり方の政策がいいのか、通常にあたりまえに税金を取って、そうして予算を組んで、補助金という形で出すほうが私は国民の目から見ると非常にはっきりするのじゃないか、こう思うのですけれども、いわゆる税制面でそういうことをやったほうがいいのか、補助金に変えたほうがいいのか、その辺のところは税務の担当者としてどういうふうにお考えになっているか、お伺いしたい。
  236. 高木文雄

    高木(文)政府委員 補助金でいろいろな誘引制度をとる場合と、租税特別措置でやる場合とはそれぞれ本来目的といいますか、政策内容によりあるいはその受益する対象によって区分されるべきものであると思われます。したがいまして、一般的に全部租税特別措置をやめてしまうとか、一般的に補助を全部やめてしまうというわけにはまいらないと思います。ただ問題は、補助金についてはどのようなものが補助金がより適当であり、どのようなものが租税特別措置でやることがより適当であるかということについての分界点をどこに求めるがということについての判断を絶えずしていかなければならないというのでございますが、その点が御指摘のように、必ずしも万全でないという点はあると思います。その意味で、私どももなお勉強していかなければならぬと思いますが、たとえば現在あります租税特別措置のうち、個人に対する貯蓄の非課税措置というようなものを例にとりますと、これはもう対象がたくさんでございますから、明らかに補助金でさせることは不適当であろうかと思います。補助金はこれを配分いたしますのに、配分自体に非常にまた人手がかかったりいろいろなことがありますので、そういう意味でああいうものはもう典型的に補助金では不適当で、租税特別措置によることが望ましい状況であろうと思います。それから、先ほど来御指摘があっておりますところの企業に対する税制につきましても、金融でやるかあるいは税制でやるか、これはちょっと補助金ということはあまり考えられない場合が多いと思いますが、金融でやるか税制でやるかというあたりについては、いろいろとその分界点がむずかしい問題だと思います。たとえば輸出奨励などにつきましては、これは適当な制度でないということで、やめる方向でどんどんいっておりますけれども、もし輸出奨励のために何らかの措置をとるのだということがあるとするならば、たとえば輸銀融資というような制度だけでありますと、特定のところに片寄りますが、税制でやりますれば輸出に関係した中小企業にも及び得るということで、かなり広い範囲に及び得るというメリットがあるわけでございます。そこで、ちょっといまじょうずにお答えできませんが、やはり特別措置には特別措置のいい点もございまして、特別措置でやったほうが、融資でやるよりも、また補助金でやるよりもいい場合も多々あると思います。  ただ、しかし、融資の場合といい、補助金の場合といい、また税制の場合といい、先ほど来、また先般来御指摘がございますように、一度できますとなかなか慢性となっていくという点があり、また、ただいまもお触れになりましたように、そのメリットが国民の前に必ずしも明確になっていないという難点があることも御指摘のとおりでありますので、今後ともそれらの点については絶えず心していきたいと思います。
  237. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 いまの見解についてもいろいろ私なりの反論もあるわけですけれども、抽象論でやっていてもいたし方ありませんので、また機会をあらためることにいたしまして、質問を終わります。
  238. 木野晴夫

    ○木野委員長代理 次回は、来たる二十四日金曜日、午前十時委員会を開会することといたし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十二分散会