○藤田(高)委員 いまの
主税局長の
答弁を聞きまして、この
特別措置を講じることによって、為替差損を生じておる業界なり会社に対してはメリットがないではないかというのは、私が言っておるのじゃないのですね。私は、この二つのメリットがあるじゃないか、だから差損を生じておる業界なり会社は、いわばストレートで差損分を全額めんどうを見てくれぬかという要求はあったけれ
ども、その間の妥協があったんだと言っておることであって、
局長の
答弁によると、先ほどから言っておるように、あえて二つに分ければ減税メリットというもの、これはさっき私は、四億六千万と半分の二億三千万の例をとった、こちらのファクターですね、それと資金運営上の、金利上のメリット、この二つがあるから、こういう税制
改正をやる理由というものがあるんじゃないかと、こう言っておるわけです。
局長の
答弁を聞くと、片一方のほうはあまり強くないんだと言うから、そんな効果のない
租税特別措置だったらやめちゃったらどうか、あなたのペースでいったら、やめちゃったらどうかと、こう言っておるわけですよ。ですから、そこの点はまだ依然として若干ずれがあるようですが、実際言うと、この種の質問だけをやることよりも、もっと政策論としてこの種の論議をすることのほうがより実は大事なんですよ。大事だけれ
ども、どうしてもがっちり歯車がかみ合わないですから、この分はひとつ留保しますが、私は二つのそういうメリットがある、そこまでなぜ、極端に言えば国の政策の失敗、それで事業をやるものは、特に貿易をやるような業界というものは、それはもうけるときばかりじゃない、国内だって損をすることがあるんだからね、外国の取引の中に国内市場以上に損をすることがあるということは覚悟の上ですよ。そういう業界に対して、こういう
特別措置を講ずるということになれば、
所得税なり
法人税なり、そういった
法律の税制の基本になる
体系がくずれてくるんじゃないか、そういう立場からこの
租税特別措置についての再
検討を要求したいというのが私の立場です。ですからこれはひとつ後ほど
見解を聞かしてもらいたいと思います。
そこで、完全にかみ合わないところはちょっと留保して、時間の関係がありますから先へ進みます。
あと十分ほど時間をいただきたい。実はまだ一時間くらいやってもどうもいかぬのですけれ
ども……。
そこで
問題点だけ出しておきます。
その
一つは、本
会議の質問でも融れましたように、これはごく概念的な考え方ですが、差損に対する今回のような税制ができるのであれば、いわゆる為替差益に対する差益税というものをかけるべきではないか。
それといま
一つは、この
法律の
中身を見ますと、いわゆる為替差損に対して
上限下限という点からいくと、下限というのが出てきておるわけですね。下限は資本金や経常利益の何%以上にきめるのか、これは政令行為できめるようになっていると思いますが、下限を、下をきめるんだったら
上限もきめるというのがさつきの差益と差損の関係からいけばバランスがとれるし、下をきめる以上は
上限もきめるべきではないか。
上限についてあえて言えば利益を上回らないということが
一つの抽象的な
限度だと思いますけれ
ども、そういう点については下限の額をきめる以上は
上限の額もきめるべきではないかという点についての
見解を聞かしてもらいたい。
三つめは、為替差損の下限を資本金や経常利益の何%かにするという政令によってきめようとしておるわけですが、これは額で押えるのですか何で押えていくのですか、この点ひとつ知りたいと思うのです。私の積極的な意見としては、むしろ下のほうの、二百億も三百億も損をしたという大企業よりもその下請会社として貿易産業に従事してきた中小零細企業の、たとえば三千万なのか五千万になるか知りませんが、今回の円の切り上げによって損をした小さいところほど、下限ほど、極端にいえば一千万であっても五百万であってもめんどうを見るというような配慮がこの税制の中にあるのかないのか。当然その配慮はあるべきだと思うがどうかということが第三点。
それといま
一つの問題は、きょうは大蔵大臣はいませんが、次官がいるわけですけれ
ども、これは一度ぜひ前の福田大蔵大臣にたださなければいかぬと思うのですが、円の切り上げの問題について、かつて大蔵大臣は、沖繩国会だったですか、あの時期に大蔵委員会でわれわれが質問したときに、ほんとうのことなんか言えますか、ほんとのことなんか言ったらたいへんだから、うそのことを言うのはあたりまえじゃないかという発言があった。私はこれは重大な政治責任として前大蔵大臣の責任を追及したいと思うのですけれ
ども、これから質問することについて、私はそういう態度で——次官はそんなことはないと思うけれ
ども、前の大蔵大臣がそんなことを言っておる実績があるわけですから、その点は、ここで言うことについてはほんとうのことを言うてもらわにやいかぬということをひとつまずだめ押しをしておきたいと思うのです。
その前提に立って、これは次官及び国際金融
局長にお尋ねしますが、税制
改正に関連をして、私は、基本的には、国の政策なり個々の企業の失敗というかあやまちによって損失をこうむった、それを税制の本則を修正して、いわゆる
特別措置によってめんどうを見るということではなくて、本来的にはこの種の
特別措置をやらなくてもいいような国際金融のあり方、そういう政策をとるために努力しなければいかぬと思うのです。ところが、円の切り上げは去年の末にやった、まだこれ三カ月たつかたたぬうちに円の再切り上げの問題が非常にやかましくいわれてきた。昨日の新聞でしたか、経団連の堀越副会長のごときは、もう円の再切り上げ必至だ、業界は覚悟しておる、公式な経済団体の会合でこういうあいさつをされておるわけですが、現在の手持ちドルは百六十四億ドル、二月の収支決算によると六億六千万ドルですかふえた、このテンポでいけば年度末までには二百億に達するだろう。これは私、本
会議でもちょっと触れたのですが、国のことしの計画からいけば総合収支で三十一億ドルから二億ドルの外貨がふえる
計算になっておるわけですね、輸出入を中心に
計算すると。そういうふうに片一方では第二の円の切り上げがなされるというような条件を政府の経済政策なり国際貿易の条件の中に入れておきながら、一方ではその政策の
あと始末をこういう
特別措置によってやるということは、政策立案者として基本的に誤りではないかという考え方を私は持っておるわけです。その点についての
見解をひとつぜひ聞かしてもらいたい、これが第四点。
第五点は、そのことに関連して、いまの見通し、今日の条件の中では円の再切り上げというのは、経団連の副会長が言っておるように、非常にその傾向が強いのかどうか。これはECを中心とするヨーロッパの国際通貨との関係もありましょうけれ
ども、そういう状態なのかどうかということをひとつ聞かしてもらいたいと思う。
それと最後に、政府のほうは外貨の準備高を減らすためにいろんなことを
検討されておるように新聞あたりでは見かけるわけであります。たとえば外銀ユーザンスの返済に充てるとか、あるいは鉱石取引の金融制度を創設するとか、あるいは第二外為の会計制度を創設するとか、為替のリスク保険制度をつくるとか、その他七つも八つもいろいろなことが出されていますけれ
ども、円の再切り上げは必至だという条件の中でこの外貨準備高を減らしていく、しかもその減らしていくやり方が——そもそもこの百六十億ドルからの外貨というものは、いわば勤労国民が一生懸命で働いて、低賃金で、公害防止もろくすっぽやらずに安い製品をつくって外貨をかせいだ結果がこれなんですから、私の立場からいうと、いま申し上げたものよりも直接国民の生活にはね返ってくるような外貨の減らし方というものはないのかどうか。そして円の再切り上げが非常に濃厚だといわれておる段階においてこういう
租税特別措置なんというものに血道を上げる前に、基本的な問題を解決するための政策というものは当然政府から、特に大蔵当局あるいは通産当局から打ち出されてしかるべきではないか、これは基本的な政策問題として私はお尋ねせざるを得ないわけです。
時間の関係もありますので、以上の問題についてお聞かせいただきたいと思います。