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平林委員 私は、農地の課税について、たとえば最近の都市化現象の中におきまして、あるものにとっては土地の値上がりを待って売却するという考え方、それからまた非常にわずかな耕作地しかないのにかかわらず採算を無視して農業を維持しているというような背景、その中においての
一つの不合理という点はあると思います。その点の不合理はあると思います。税は比較の上において成り立つものであり、ある
意味では公平を維持しなければならないという見地もわからぬではありません。しかし、その反面、農地であるもの、あるいは農業を十分維持できる
地域であるもの、また、農業を継続せんと欲している者にとりまして、固定資産税なりあるいは相続税が先ほどのような倍率、機械的な
措置によって行なわれれば、その国民の仕事を奪うということになるわけでございまして、おっしゃるとおりむずかしい問題が私はあると思う。私が取り上げておりますのは、農地である場合、そしてまた農業を維持しようとする者である場合、こういう場合においての相続税というものが、
一般的な目で評価され、
一般的な形で片づけられてよいのかどうかという問題の提起なんです。そこで私は、そういうことから考えて、現在の、特に都市近郊の農業の状態をながめてみますというと、古いことばで、じいさんばあさんの経営する農業、そしてむすこが、ずっと共同して、
実態はその後継者によって維持されている農業、こういうものがいろいろあるわけなんですね。この場合に、いや戸主が死んだのであるから、その後継者に財産が移って、財産税的性格であり、影響力が生ずるということだけで高率な相続税ということになりますと、農業政策との間に衝突が起こるし、そこが、担税力についての見方というのは、実際には非常に不合理が生まれてくる場合もあるわけなんですね。そこで私は、ここは大蔵
委員会ですから、農業政策を論ずるところでないかもしれませんけれ
ども、税の面でやはり、農業をつぶしてしまうという考え方に立つのでない限りは、後継者に対して
一つの控除というものを考えていいのじゃないだろうか。たとえば、この
委員会でも
議論されておりますように、配偶者控除というのが
議論されるわけですね。これは妻の立場、そしてまた一家の生計をなす場合に妻の貢献度というものを考え、ともに築き上げた財産が相続によって一ぺんに失われないという
意味で、配偶者控除が行なわれる。同じように、農業を引き続き維持せんとする者に対しまして後継者控除、こういうような構想があってしかるべきではないだろうか。妻の場合には、今度は三千万円とかというようになりました。そんな高額なものでないにいたしましても、
政府は、市街化の周辺
地域であろうと中間農地であろうと、農業を維持するためには、固定資産税、相続税、いろいろな問題でそれが税の面から維持できなくなるというようなことは必ずしも政治の目的とするところではないんじゃないかと私は思うのでありまして、値上がりを待って売却するということで、農業をすでに放棄するという場合には、これは公平の
原則その他が働くということがあり得ても、そうでない場合におきましては、やはりその点の考慮が必要である。そこで私は、これを後継者控除と、こう実は名づけたわけでございますけれ
ども、そんな構想があっていいんじゃないだろうか。そういう問題の検討を
政府当局においてもすべきではないか、私はこう考えるわけでございますけれ
ども、これにつきましてのお考えがあれば、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。