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広瀬(秀)
委員 次に、国債
発行の問題について若干
質問したいと思います。
昭和四十七年度の
予算は、ドル・ショックによる、まあこればかりではありませんが、今日不況段階である。この不況からの脱出をはかる、景気浮揚策を講ずるということ、それと同時に四十七年度はこのドル・ショックを受けた原因のよって来たるところの反省の上に立って、発想の転換をして、福祉の増大にあるいは
社会資本のおくれの取り戻しということに最
重点を置いていくという、大きくいえばほかにもあるかもしれないが、
二つの問題がある。そういうところで財源が、税の
自然増収も五千億くらいしか見込めないということで大幅な国債
発行、一兆九千五百億という、まさに
建設国債、
財政法四条の
建設国債だとしても、そのぎりぎり一ぱい
公債を
発行する、こういうことになったわけでありまして、大蔵省からいただいた資料によりましても、四十六年の十二月末現在で四兆二千九百三十一億の残高になっておるわけです。外貨債は四百八十一億、内国債が四兆二千九百三十一億だという。これが一月にも例の七千九百億の年度内の追加分が加わってくる。こういうようなことになってまいりますと六兆五千億をこえる。
公債の残高が四十七年度の一兆九千五百億を加えれば四十七年度末にはそういう状態になるだろうと思うのです。したがって大体GNP対比でも七・五%をこえるというような状態になる。フランスをこえて、西ドイツの数字にほぼ近いようなパーセントにもなる。こういうことなんです。
そこで、
大臣に伺いたいのは、これだけ大幅な
公債を組んで、
大蔵大臣として何らの心配なしにここまできたのか。
予算のおおばんぶるまい、景気をあげるのだということと、
社会資本のおくれを取り戻すのだということ、これは確かにけっこうなことだけれども、この
公債発行というものには何といっても本質的にはインフレ傾向というものが含まれている。
物価上昇の
一つの問題点としてどうしても指摘される。そういう観点というのはやや古典的だという批判もあるけれども、そしてその心配はないのだということを本
会議来
大蔵大臣も言われているわけだけれども、そういう問題点、あるいはまたこの国債の重みというものが次の世代までずっと引き継がれていく、国債償還の問題は一体どうなっていくのだ、これが
財政硬直化の新しい原因に大きくのしかかってくるのではないかという問題、あるいはまた国債がここまで
財政の中にビルトインされてきた場合に、国債を保有する者が
財政金融政策に大きな発言権を持ってくるというような事態も考えられるのではないか、また
金融調節
機能あるいは
金利機能、こういうようなもののいままでのような形での弾力的な
運営というものが相当な規制、拘束を受けてくることにもなりはしないか、そういうことが当然予想される。こういう問題もあるし、また国債の利払いというものが相当な部分を
財政において占めてくるというようなことになると、これが税金によって結局は
負担をしなければならないということになると、これは庶民大衆といいますか、
国民大衆は国債を保有しない、そして比較的高
金利をつけて国債償還をはからなければならぬのですから、そういう国債の利払いが、言うならば富裕階級あるいは
金融機関、こういうところに集中して、その人たちに高い
金利の
公債の利払いをするために、サラリーマンは依然として四人家族で百万ぐらいの課税最低限でしかないというようなことで、税における不公平とも結びついて、この問題は所得の配分の問題とも関連して非常に大きな問題になる。もろもろの問題点があると思うのです。
こういう問題について、
大臣としては、それらについての懸念はこうである、したがって
国民諸君は安心してくれ、
国民に、特に低所得階層に対して、この
公債増発によって迷惑をかけるというようなことはないのだ、あるいは物価を上げることもないのだというような——いま私が若干、これだけではないかもしれませんけれども、心配される
公債発行について、これほど大量になってくる、おそらく来年もこれを急に減らすことは、景気がどれだけ浮揚するかにももちろんかかるけれども、問題がある。もちろん
市中消化の原則を貫くといっているが、これだって景気回復に伴ってどうなるかわからぬというような疑問点もある。これらのもろもろの疑問点に対して、どういうようにその懸念としっかり取り組んで、なおかつそれにもかかわらずこうだという結論に達したのか、
大臣の心境をひとつこの際伺っておきたいと思う。