運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-04-21 第68回国会 衆議院 商工委員会地方行政委員会運輸委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十一日(金曜日)    午前十時十一分開議  出席委員   商工委員会    委員長 鴨田 宗一君   理事 浦野 幸男君 理事 小宮山重四郎君    理事 進藤 一馬君 理事 橋口  隆君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君       稲村 利幸君    北澤 直吉君       左藤  恵君    坂本三十次君       始関 伊平君    塩崎  潤君       田中 榮一君    増岡 博之君       松永  光君    岡田 利春君       松平 忠久君    松尾 信人君       伊藤卯四郎君    川端 文夫君       米原  昶君   地方行政委員会    理事 上村千一郎君 理事 大石 八治君    理事 塩川正十郎君 理事 中村 弘海君    理事 豊  永光君 理事 山本弥之助君    理事 小濱 新次君 理事 門司  亮君       中山 正暉君    村田敬次郎君       山口 鶴男君    和田 一郎君       林  百郎君   運輸委員会    委員長 小峯 柳多君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 賓藏君 理事 細田 吉藏君    理事 箕輪  登君 理事 内藤 良平君    理事 田中 昭二君 理事 河村  勝君       石井  一君    江藤 隆美君      小此木彦三郎君    唐沢俊二郎君       佐藤 守良君    塩川正十郎君       關谷 勝利君    羽田  孜君       井岡 大治君    勝澤 芳雄君       久保 三郎君    斉藤 正男君       松本 忠助君    宮井 泰良君       田代 文久君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 角榮君  出席政府委員         内閣法制局総務         主幹      別府 正夫君         通商産業政務次         官      稻村佐近四郎君         通商産業大臣官         房審議官    飯塚 史郎君         通商産業省鉱山         石炭局長    莊   清君         運輸政務次官  佐藤 孝行君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         気象庁長官   高橋浩一郎君         建設省道路局長 高橋国一郎君         自治政務次官  小山 省二君         自治省行政局長 宮澤  弘君         消防庁長官   降矢 敬義君         消防庁次長   山田  滋君  委員外出席者         運輸大臣官房参         事官      原田昇左右君         海上保安庁警備         救難監     貞廣  豊君         気象庁観測部長 木村 耕三君         建設省河川局治         水課長     岡崎 忠郎君         日本国有鉄道副         総裁      山田 明吉君         日本国有鉄道建         設局長     内田 隆滋君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油パイプライン事業法案内閣提出第一〇六  号)      ————◇—————
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより商工委員会地方行政委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出石油パイプライン事業法案を議題とし、審査を行ないます。     —————————————     —————————————
  3. 鴨田宗一

    鴨田委員長 本案の趣旨につきましては、お手元に配付した資料によって御承知願いたいと思います。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  4. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 石油パイプライン事業法案を拝見いたしました。これを見ますと、基本計画通産運輸建設主務大臣事業認可につきましてはこれまた通産運輸建設。第四章の工事計画及び検査、これにつきましては通産運輸建設自治業務監督につきましては通産運輸保安につきましては通産運輸自治。それぞれ四省または三省、二省共管になっておるわけです。ここに主務大臣ということばがありますが、むしろこれは主務大臣側とでもしたほうがいいような、たいへんヤマタノオロチ的な法案のようであります。  そこで、特に商工委員会でこれを審議いたしておるわけでありますから、通産省にお尋ねいたしたいと思います。このような複雑な関係になっているわけでありますが、このうち、基本計画は一体どこが中心になって各三省取りまとめをやるのか。第三章の事業認可についてはどこが中心になって三省取りまとめをやるのか。工事計画及び検査については、どこが中心になって四省の取りまとめをやるのか。五章の業務監督については、どこが中心になって二省の取りまとめをやりますか。保安につきましては、いずれが中心でこの三省取りまとめをするのでありますか。一応の考え方がありますならば、お聞かせいただきたいと思います。
  5. 莊清

    莊政府委員 石油パイプライン事業監督主務大臣でございますが、外国ではたいていの国がどこか一省でまとめてやっておる例が多いようでございますが、御指摘ございましたように、わが国では二、三の省で共管の形で総合的な計画を立て、総合的な立場から指導監督を行なうというふうにいたしておるわけでございます。これはパイプライン事業性格そのもの石油の安定、低廉な輸送の実現、供給の確保ということもございますが、同時にそれは物の輸送である。あるいは従来国鉄あるいは路面上の自動車で送っておったものを近代的な輸送に切りかえていく、路面を使うというふうないろいろな面がございます。したがいまして、わが国ではこういう実態を踏まえまして、諸外国とは異なる法体系が最も実態に即しておる、こう判断したわけでございます。  それでまず基本計画でございまするが、これは石油パイプライン計画のいわば概要をきわめるというものでございまして、先ほど申し述べました石油供給それから国鉄輸送あるいは道路輸送からの切りかえ、こういう面を中心にいたしまして三省計画をたてる、こういうふうにいたしたわけでございます。この場合に一体どこが中心になるのかということでございますが、法制上はそれぞれの立場から三省主務大臣が参画いたしまして、一本の計画にするわけでございます。ただしこの法律案を制定いたします過程におきましては、関係省間におきまして事務の的確かつ能率的な遂行という見地から各省連絡協議会をつくりまして、その場におきまして各省意見がばらばらにならないように、総合的な検討を行なおうという申し合わせを実はいたしております。その場合の幹事役としては、石油の問題でもございますので、便宜通産省のほうで承るというようなことに話し合いをいたしました経緯はございます。  それから事業許可でございますが、これは基本計画に照らしまして、この事業許可を与えるにふさわしい実態を備えた企業体であるかどうかという点の審査中心でございます。したがいまして、やはりそれぞれの立場に応じまして審査をする。通産省は、この事業で確かに石油が安定的に供給できるか、運輸省はまた運輸事業としての角度から審査をされる、こういうことでございます。  工事計画の段階になりますと、保安基準というものを別途共同省令できめておりまして、それに対しての技術的な精密な審査でございます。したがいまして、この場合には通産省ももちろん専門立場から参画いたしまするが、当然消防庁が全般に対しまして総合的な責任を持ちまして、この保安の面については重点的にやっていただくというたてまえに運用上なる、わけでございます。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、わが国としては多角的な立場から完ぺきな監督指導を行なおうというのが、やむを得ず所管区分がある程度複雑になった趣旨でございます。二、三省共管になったからかえって非能率、不合理ということがございませんように、運営面においては万全の注意をいたしたいと考えております。
  6. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大体各省共管でいろいろな仕事を進める場合、幹事役をどこの省が受けもつかということは、従来の各省共管仕事については当然例があるわけですね。そうしますと、基本計画については通産省幹事役だ、それから工事計画検査、特に保安については自治省がその中心になって運営をしていくという趣旨に承ったわけであります。  そうしますと、これに関連してお尋ねしたいのですが、石油パイプラインについてはこういう形で各省共管という形をとった。同じようなものに都市ガスLPGガス等があるわけですね。これにつきましては、現在の法制のもとでは通産省専管になっていますね。しかし都市ガスにつきましては、かつて大阪のようなああいう大事故が発生したということもございます。また今後公害対策の面から、火力発電所その他につきましても、LPGガスを大量に使うということは時代趨勢だと思います。そうなってまいりますと、この保安観点からいたしますならば、当然これらの問題については通産専管ということではなくて、保安観点からやはり自治省との共管、こういう方向に踏み切るべきではないだろうか、私はかように思うのです。この点、通産省はどうお考えですか。
  7. 莊清

    莊政府委員 電力の問題あるいはガスの問題はそれぞれ事業法がございまして、戦後一貫して主務大臣通産大臣ということで保安の万全を期しておるわけでございます。特にガスにつきましては、お話のございました大阪の大きな事故経験を踏まえまして、四十五年十月には法律を改正して保安面の強化を実ははかっておるわけでございます。この法の施行相当長年月でございますが、全体としてガスのこれだけの普及の状態の中で、保安はまずまず、完全とはいえないまでも、相当成果をあげてきておるのではないかというふうに当省としては考えておるわけでございます。  それで、液化石油ガスという問題につきましては、別途また御案内の法律がございますが、これは販売所というものが中小企業でございまして、全国津々浦々に非常にある。その保安につきましては、法律の面で、事業許可の場合に消防署長意見書をつけさせるとか、あるいは事業許可したら消防関係に通報を行なっておくというふうな意味の横の連携をとる方途をとっておることは先生御承知のとおりでございます。  パイプライン法におきましても、都道府県知事意見を聞くというふうにして配慮をいたしておりますが、電気、ガスにつきましては、非常に長い間法律の体系がそうなっておりますし、また施行の面でもまず実績がよくあがってきておるという面から、特にその面についての改正は考えておらない次第でございます。
  8. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 消防長庁官おられますね。消防庁としてはどうなんですか。確かに、各地域におけるLPGの小売りのお話がありましたように、消防がある程度チェックをするという形にはなっていますが、しかし今回石油パイプラインにつきましては、保安の面では、先ほど通産省からお答えがありましたように消防がこの中心になつて保安監督に当たってもらうという形になっているわけですが、そういたしますと、都市ガスについてもこれはパイプでもって各家庭にずっと輸送しておるわけですね。パイプを使って輸送するという面においては、全く同様な形態をとっている。それからLPGにつきましても、各家庭で使う小さなものもありますが、これからはやはり公害防止観点等からいいまして、硫化水素ガスが発生しないということから火力発電その他でも大量にこのLPGを使う、液化ガスを使うという時代に入っていると思うのです。そういう意味から、保安に対して消防のほうがノータッチということは私はおかしいと思うのですが、この点長官としての考えはどうですか。
  9. 降矢敬義

    降矢政府委員 大阪ガス爆発事件以来、消防地域住民に密着した安全を守るという見地から、いろいろな災害に対する事前予防措置、あるいはそれに伴う防災の訓練、施設というものについて心がけているところでございますが、たとえば都市ガスにつきましては、他の道路工事等によってガス管を破壊する、そのために火災になった例も最近ございまして、私たちはそういう意味で、保安図といいますか埋設図、埋設しておるところの図面消防署に全部配りまして保管をしていただいて、工事をする業者があれば事前消防署に連絡していただいて、そういう図面をキャッチして実際の工事をしていただくような事前指導もしておるところでございます。  ただ、法制的にいいますと、いまお話がありましたように、都市ガスあるいは高圧ガス等については実際の制度が消防との関連ではございませんので、この点については、私たち立場から言えば、少なくとも地域住民に密着した問題については、何らかの意味消防も権限を持ち、そして事前災害を防止するような施策をぜひ講じてまいりたいという気持ちを持っております。実際はいろいろなことでやっておりますが、もう少し制度的に明確になればこれに越したことはないという考え方を持っております。
  10. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 稻村政務次官がお見えでございますからお尋ねしたいと思うのですが、私は現代の重要な課題というのは、これは各省専管では済まぬ問題があると思うのです。たとえば一万数千人の方々がなくなっている交通戦争、これについても運輸関係がある、あるいは建設関係がある。自動車の製造その他では通産関係がある。交通事故取り締まりは警察庁だというようなことで、結局、各省共管の問題でしょう。それをいかに整備された体制でもって取り組んでいくかという問題について、いろいろと国会でも議論がありました。国会にも交通安全対策特別委員会もできた。総理府の中に交通安全対策室もできて、各省まとめてその対策に取り組んでいるという状況でしょう。したがいまして、私はほかの問題もそうだろうと思うのですが、現代の大きな課題は、明治時代にできた各省のなわ張りではどうにもならない時代に来ているのですね。しかも大阪都市ガス爆発の悲惨な経験もある。そういう中で、住民に直接した消防、そういうものと都市ガスあるいはLPGガスについても協議をして万全の体制をとっていくということが時代趨勢ではないか。明治時代のころの各省のなわ張り根性というものをいつまでも各省が持っているということは誤りではないか、私はこう思うのです。この点、政治論でありますから、政務次官の御見解を承っておきたいと思うのです。
  11. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 全く御指摘のとおりだと思います。このパイプラインは、御承知のように建設省は道路問題、運輸省輸送問題、それからまた消防庁保安問題、通産省許可認可問題と各省にまたがっておるわけでございます。先ほど来、消防庁長官あるいはまた局長がこまかいことを申し上げましたが、こういった各省取りまとめるという意味合いにおいて連絡協議会というものを設立いたしておるわけでございますが、この中で円満に、御指摘の点を十分配慮しつつ進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  12. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この石油パイプラインもそうでありますが、都市ガスLPGガスにつきましても、あるいは火薬ということも将来問題になると思いますが、やはりいま御答弁された趣旨で御検討いただくように、強く要請をいたしておきたいと思います。  それから気象庁に伺いたいと思いますが、何と申しましても、この石油パイプラインわが国では初めてであります。アメリカでは百年の歴史ヨーロッパではここ十年ばかりの歴史があるそうでありますけれども、わが国は初めての経験であり、特にまたアメリカヨーロッパと異なりまして、わが国の場合、非常に人口が棚密であります。今回の石油パイプラインをとりあえず敷設しようとする予定を拝見いたしましても、いずれも京葉工業地帯中心部あるいは京浜工業地帯中心部を通る、こういう計画でございます。そうなりますと、沿線の住民が一番心配をいたしますのは、保安の問題であり、災害が起きないかという心配だと思います。  そこで、私は災害には二通りあると思いますが、一つは、パイプラインから油が漏れて、そしてこれによって被害が起こる場合があるでしょう。それからさらには、地震等のいわば突如として起きる災害によってこのパイプラインがどういう状態になるかということが、やはり住民の懸念だと思います。アメリカにいたしましても地震等ありますけれども、大きな地震わが国ほどしばしば訪れる国はないわけでありまして、そういう意味では、当然私は、パイプラインを敷設するにあたっては、この地震問題について専門的な立場研究をしておられる気象庁と御相談があったのではないかと推察をいたします。一体、どのような形の協議がございましたか。これが一つ。  それから次には、一体どの程度地震というものに耐え得る施設といいますか、それを考えておられるのですか。関東大震災あるいは最近における新潟地震は、いずれもマグニチュード七・五ないしは七・八というきわめて巨大なエネルギーを噴出した地震であります。震度も、関東大震災の場合は震度六、新潟地震の場合は震度五というような状況だったようでありますけれども、これら地震対策というものについてはどの程度検討された上でこの法案を作成し、今後の保安対策としてどのような配慮を行なっておられますか。気象庁長官並びにこの点は通産省に聞いてよろしいわけですかな。両方にお伺いしたいと思います。
  13. 木村耕三

    木村説明員 観測部長でございます。  関東地方地震については、いまから千百年くらい前から資料がございまして、それらはすべて気象庁の手で公刊しておりますし、この問題につきましても、関東地方地震はどのように発生しているかということに対して関係方面からお問い合わせがありまして、私のほうから資料を提出してございます。ただし、それの耐震性につきましては、その地震によってどんな災害が起こるかということは耐震構造の問題になりますので、そちらのほうで御検討していただくということになります。  以上でございます。
  14. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 気象庁データを出しただけだ、耐震構造その他の問題は建設省だと、こういうわけですね。
  15. 木村耕三

    木村説明員 はい。
  16. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 建設省道路局長見えのようですが、おたくのほうでは気象庁データに基づいてどのような技術的な検討をやっておるのですか。その上で、どのような構造ならばよろしい、関東大震災クラスに耐えられるというような御見解をお持ちなんですか。
  17. 高橋浩一郎

    高橋(国)政府委員 建設省所管しております構造物等につきましては、すべて関東大震災級地震に耐え得るように構造されております。ただいまの御指摘パイプラインにつきましても、建設省といたしましては、すでに成田空港のパイプラインについては関東大震災級に耐え得るようにすべてのチェックを終わっておるわけでございまして、今後、新しくできます法に基づくパイプラインにつきましても、同様に処理するつもりでございます。
  18. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 関東大震災クラス地震に耐えられるということは、関東大震災マグニチュード七・八、これはエネルギーですね。たまたま場所が若干離れておったから、震度東京で六、横浜で六、千葉で六、熊谷で六という状況だったそうですが、結局この震源の場所等によっては、関東大震災クラスマグニチュード七・八の地震が来ましても、現実の被害関東大震災を上回るという事態も当然これは予想されるわけですね。関東大震災クラスに耐えられると一言で言われましたけれども、一体具体的にはどういうことなんですか。
  19. 高橋浩一郎

    高橋(国)政府委員 関東大震災級地震に耐え得ると申しましても、その場所地盤によって違います。したがいまして、私もこまかい数字は覚えておりませんが、一番弱い地盤におきましては、重力の〇・三倍の力が地震のために加わるというふうに想定されておりますし、地盤のいいところにおきましては〇・〇一とか〇・〇二というふうな数字になっておるかと思います。ちなみに、一昨年ロサンゼルス地震が起きたわけでございますが、カリフォルニアにおきます構造物は〇・〇一ないし〇・〇二という、日本の十分の一以下の構造設計になっておりまして、高架橋等が破壊しておるようでありますが、日本の場合にはその十倍ないし二十倍以上の構造設計になっておりますので、われわれといたしましては、たとえ関東大震災級あるいはロサンゼルス級地震が来ても現在の東京構造物はこわれない、それはジョイント等におきましてクラックが入ったりすることはありましても、落橋するようなことはないだろうというふうに考えております。  ただいまのは構造物でございますが、たとえばパイプラインにつきましても、その地盤におきます強さに応じましてパイプの強度をチェックし、ないしはケーシングといいましてさらに二重に防護するとか、いろいろな方法がございますので、そういうチェックをいたしておる次第でございます。
  20. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこで、この法案を見ますと、国鉄が行なう石油パイプライン事業については特別な規定をいたしておりますね。これについては、事業検査については運輸大臣及び自治大臣という形になっておるわけでありますが、保安については運輸大臣だけの専管というかっこうですか。そういたしますと、ただいま建設省からお話がありまして、関東大震災クラスのものについてもチェックをするというわけでありまして、専門的立場からそれぞれチェックをするだろうと思うのでありますが、国有鉄道が行なうパイプライン保安については、これは運輸大臣だけがチェックをするということでは非常に片手落ちであり、今後の住民の不安に対処するという面では非常に不安が残ると私は思います。なぜ、国有鉄道が行なうパイプライン事業だけを、他の事業者が行なうパイプライン事業と違ってこのような区別をいたしたのでありますか。この点、運輸並びに国鉄当局のほうにお伺いをいたしたいと思います。
  21. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 お答えいたします。  国鉄パイプライン保安面における監督につき、検査を除き運輸大臣所管といたしましたのは、国鉄主体特殊性、その業務一般について運輸大臣が国を代表してこれを監督していることに加えて、国鉄パイプラインはほとんど線路敷に敷設される。それから鉄道保安面との関係が非常に御承知のとおり深うございます。また国鉄パイプラインは、国鉄敷所有者パイプライン所有者運営者が同一人であるということでございます。また国鉄技術は、新幹線その他を見ても非常に高く、パイプラインについても高レベルの技術を私どもは期待できるからでございます。  また、検査について自治大臣共管にいたしましたのは、工事の際に、従来から一般的に危険物規制について経験を有する自治大臣共同でその検査をするにあたり、保安面でさらに、特に消防面自治大臣共管することは、なお保安の一そうの安全を確保できる、かような見地から保安面における監督運輸大臣専管考えたのでございます。
  22. 山田滋

    山田説明員 国鉄立場は、いわばこの事業法案が成立しますと、それに基づく事業を経営する主体になるわけでございまして、したがいまして国鉄自体としても昭和三十八年以来、建設についての、また経営自体についての研究をいたしております。いままでを経過的に申しますと、国鉄自体でも安全についてのいろいろな研究をいたしてまいりまして、実際に外国でやっております研究を視察に参りましたことも二回ございますし、それから国鉄だけでなくて、いま日本考えられる最高の技術の水準を持っておられる学者その他の方々にお集り願いまして、調査研究会も開いていろいろなことを研究いたしたわけでございます。同時に政府サイドにおかれても、運輸省でもそういうような調査研究をなさったというふうに伺っておりますし、またこの法案の内容を拝見いたしましても、もちろん国鉄自体できめるわけのものではございませんので、それぞれ主務大臣監督を受けるようになっておるわけでございまして、いま法案を御審議願っておりまして成立いたしますと、正式に事業として国鉄がやったということになるわけでございますが、すでに国鉄の重要な工事として運輸大臣認可も得ておりまして、それについてのいろいろな監督また御指示も得ておりますので、御懸念のような安全については、私ども決して御心配のあるような点はないと確信して仕事を進めているわけでございます。
  23. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いろいろお話がありましたけれども、他の事業者が行ないますパイプライン事業については、保安通産運輸自治共管になっておるわけですね。ところが国鉄が行ないますパイプライン事業についてはすべて運輸大臣の専権だ。ただ工事検査についてのみ運輸大臣自治大臣共管をする。特に重要な保安についても、これは運輸大臣だけの専権ですね。私はこの点がおかしいんじゃないかと思う。少なくとも検査について自治大臣共管をするならば、当然、この法律の第六章保安事業施設の維持等、保安規程、保安検査、危険時の措置、これらに対して主務大臣運輸大臣だけだという形になるわけですね。これはやはりおかしいのであって、少なくとも工事検査について自治大臣消防共管とするならば、当然保安についても私は共管とすべきではないかと思います。この点、時間も来ましたので、消防庁並びに運輸両方の御回答をひとついただきたいと思う。
  24. 見坊力男

    ○見坊政府委員 お答えいたします。  国鉄につきまして、最初の保安の面について専管になっておるではないかという点でございますが、保安につきましては技術基準を共同省令で定めることになっておりまして、これは運輸建設通産消防自治と四省庁でそれを定めることになっております。それで、運輸大臣がそこで見ますものは、その技術基準に合っているかどうかということを見るわけでございまして、実際に完成いたした場合、あるいは定期検査をする場合には、経験の深い自治大臣と一緒に所管をするということに相なっておるわけでございます。  現在その技術基準の関係でございますが、これは法案を御承認いただいたあとつくるわけでございます。先ほど副総裁からお話し申し上げましたように、現在国鉄が重要工事認可を受けて工事を進めておりますが、国鉄につきましては、運輸大臣から建設基準を指示いたしまして、また国鉄自体建設規程、技術規程をつくりまして工事を進めるわけでございまして、将来技術基準がきめられる場合には、それの一環としてそれらが入っていくということに相なろうと思います。
  25. 降矢敬義

    降矢政府委員 保安の面は、工事認可から始まりまして、保安検査がございます。認可処分につきましては、いま運輸省当局から説明がありましたように運輸大臣専管事項にしましたけれども、私たちの間では、これは協議を受けるということで了解をしております。したがって事実行為の検査消防運輸とでやる、こういうことであります。
  26. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に内藤良平君。
  27. 内藤良平

    ○内藤委員 私は輸送という面から、石油パイプライン事業のこの法案につきまして、若干御質問したいと思います。  石油輸送は、鉄道によるところのタンク車であるとかあるいは自動車のいわゆるタンクローリーあるいは船のタンカー、こういうものが輸送機関といいますか輸送の機器、そういうぐあいに今日までなってまいっておるわけであります。しかし、今日の輸送の様相の中におきましてもいろいろ弊害が起きておる。今度の法案趣旨一つとしても、石油輸送に伴うところの災害といいますか、安全、災害、このうらはらの問題が法案の制定の大きな要因になっておると思うわけであります。私は、今度の法案事業というぐあいになっていますから、事業者立場及び石油輸送という面を主としての法案であろうと思います。ただ、わが日本は、石油の使用量が非常に膨大でございまして、一たび災害といいますか安全がそこなわれた際には、思わざる災害を国民、住民の皆さんがこうむる、こういう実情であります。  私は、先般の国会におきましてもいわゆるジュリアナ号の海難の問題で申し上げましたが、多量の石油が海面に流れ出たことによりまして、国民の皆さんがたいへんな被害をこうむったわけであります。あの際も、いわばこれは万に一の事故である、なかなか想定されない事故である、こういう前提のもとにいろいろ対策が論議されました。しかし、その対策といえども、当時を振り返ってみましても、非常に間に合わせといいますか、とるものもとりあえずといいますか、おっ取り刀の対策であったわけであります。事前に十二分に対策を立て、そして万全を期して、万一の場合にはすかさず災害対策を行なう。住民の皆さん、国民の皆さんの被害をなくしよう、こういう見地、そういう準備ではなかったわけであります。田中通産大臣は、あの事故によりまして、今度は万全の策をとりたい、事故が起きましたことによってて、初めて万全の対策をとりたい、こういうような本会議における約束であったわけであります。  今度のパイプラインの問題も、わが国石油の需給の状態から見まして、輸送の形態から見まして、あるいはわが国の土地、人口、都市の形態あるいは道路の事情、こういう問題から考えまして、今日の陸上におけるタンクローリーあるいはカンカー、こういうものよりは輸送の面ではプラスになる面があると思いますけれども、常時石油パイプの中を通って流れているわけでありまするから、万一ジュリアナ号のような、想定されないような事故があった場合には、住民立場からは非常に大きい災害考えられるわけであります。この点につきまして、この法案を策定するにあたりまして、関係省庁でどのように議論をされ、どのような確信を持たれて法案を提案なすっておりますか。まず、これをお聞きしたいと思う次第でございます。
  28. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 お答えいたします。  国鉄建設するパイプラインについては、権威ある日本の土木学会にパイプライン建設基準を委託いたしまして、その結果に基づいて国鉄建設をすることになっております。もちろん、御指摘のように、安全については重々意を注ぎ、万が一にもそういう事故が起こらないよう、十分配慮したつもりであります。  なお、建設の具体的な内容については、国鉄当局より御答弁させます。
  29. 内藤良平

    ○内藤委員 これは、所管といいますか大臣は、基本計画通産大臣から運輸建設許可に関する事項も通産運輸建設工事計画工事検査通産運輸建設自治大臣業務監督通産運輸施設保安通産運輸自治大臣。こういうことで三大臣、四大臣あるいは二大臣というぐあいになっておりまするが、通産省のほうでやはり主としてやっておるような印象を私受けるわけです。  そういうことでお尋ねしますけれども、いま佐藤運輸政務次官からお話がありましたが、通産省のほうでは、今度のパイプラインについて、いわゆる災害発生時の場合のあるいは災害の発生を未然に防止する保安、安全の面でどういうぐあいに御論議をされ、また確信を持っておられるか、通産省のほうからもひとつ聞きたいと思っております。
  30. 莊清

    莊政府委員 お話がございましたように、石油パイプラインは確かに近代的、合理的な輸送手段で、海外ではすでに五十万キロメートルほどのパイプラインが利用されておるようでございまするが、保安の問題がやはり最大の重要な点でございます。この点全く先生の御指摘のとおりに通産省でもかねがね考えております。それで今回の法律案でも関係省保安に関しましては厳重な、技術基準と称しておりまするが、これを設けるためのじみちな作業を実はすでに行なっております。これが保安の確保をはかる上でのいわば憲法になるわけでございまして、これに基づいて工事計画認可をする、そして完成検査もそれに基づいていたします。完成検査に合格して初めて使わせるということにいたしておりまするし、また別途、事業者には保安規程という自主保安規程をつくらせまして、これを認可にかけておる。その他、保安に関しましては、主務大臣のほうからの改善命令でありますとか、必要な場合にはその設備の一時使用停止命令あるいは設備改善命令、最終的にはその事業許可の取り消しというところまで、あらゆる監督体制というものを十分考慮したつもりでございます。  その保安基準の面では、一体どういうスチールパイプにするかとか、溶接の最も進んだ方法は何かとか、それから特に溶接の検査技術的方法等々きわめて技術的な面もございまして、通産省のそれぞれの試験研究所その他で国立研究機関としてやっておる面も相当ございます。そういうことで予算措置が講ぜられておりまして、実は通産省でも学識者の御意見を聞きながら、この程度のものでございますが、二〇〇ページほどの、われわれ通産省のもとで勉強したものがございまして、こういうものをいま関係各省でも御検討いただいておりますし、消防審議会の専門の先生方の御批判も仰ぎつつあるということでございます。私ども通産省考えたのは素案でございまして、これがもっとりっぱなものにされて、法律施行後これを省令として確立する。通産省立場でもいろいろ御協力できることでございますので、そういう立場から参画をすると考えております。
  31. 内藤良平

    ○内藤委員 私は、この保安の基準なるものが、単にパイプラインの故障であるとか、あるいはこわれるといいますか破壊されるといいますか、そういう面ですね、鋼材の強度の面であるとかあるいは防護の面であるとか、厚さの面であるとかあるいはカーブであるとか、あるいは上下とか、いろいろそういう問題での保安基準であろうと思うわけです。ただその場合に、どれだけ石油を安全に、しかもスピーディーに経済的に送り出そうと圧力をかけてやるわけですね。その施設が万一こわれた場合には、これは輸送という面がそごを来たすからということで、いろいろ保安といいますか安全基準をつくるわけです。ところが、それだけではなく、住民といいますか——御存じのとおり、日本はこのとおり人口の稠密な国でございまして、しかも今度の計画が、この図面に出ておるように、関東パイプライン、それから国鉄パイプライン、空港公団の千葉から成田のパイプライン、これがいまのところ大体そうでございますね。これを見ますと、やはり関東の人口の多い、しかも都市間をパイプラインが縫っていくような状態、こういう面で住民の皆さんから見た場合のいわゆる安全、住民の皆さんが被害をこうむらないようにという安全ですね、そういう見地からの保安というものですね、それは、通産省なり運輸省なり国鉄なりで考えておる保安基準といいますか、そういうものの中にどの程度取り上げられておるものか、時間もございませんけれども、大づかみでよろしゅうございますからお知らせを願いたい。
  32. 莊清

    莊政府委員 関東パイプラインの具体的な御指摘があったわけでございまするが、まず保安の面からはどういう場所に設置するのかということが根本だろうと思います。すべて道路の側線に一定の深さのところに埋めさせるということを基本に考えております。いたずらに民家の下を通すとかそういうことは全然考えておりません。それと同時に、やはりいろいろな公共用施設等、学校もある、病院もあるというふうなところを道路が通っておることも事実でございます。そこで、具体的な事業許可をいたします際、これは関係都道府県知事意見というものを法律に基づいてはっきり確かめる、こういうこともいたしておりまするし、工事認可の際にも同様でございます。工事認可の際には、消防大臣であるところの自治大臣というものは、これがすべての消防署の代表という形で、これは主管大臣として保安面中心的な役割りをになってお入りをいただくというふうに法律でもやっておりまして、まず敷設の場所そのものを申し上げたように考え、それから、先ほど御答弁申し上げましたように、技術上の基準というものを十分明確にしておく。さらに、個々の路線ごとに事業許可等を通じまして、地元におけるさらにきめのこまかい面の実態等についても御意見を伺うということを考えておるわけでございます。
  33. 見坊力男

    ○見坊政府委員 国鉄パイプラインを敷設する場合には国鉄線路敷に敷設するわけでございますが、この敷設のしかたといたしまして概略を御説明申し上げますと、線路敷の線路の中心から四メートル以上離したところに沿って敷設をいたしますが、その場合に深さ一メートル二十以上のところに敷設をするということになっております。その一メートル二十の深さにありますパイプラインは、土かぶり、埋め戻しをいたします。したがいまして普通の振動等は全然影響ございませんし、かりに不幸にして万一脱線、転覆のようなことがありましても、直接管が破れるようなことはない。それから四メートル以上離して敷設できないような場合、たとえば人家密集地帯を通るときとかあるいは線路を横断するような場合、そのようなときにはパイプラインにコンクリートあるいは鋼管でさや管をつくりまして、その中にパイプを通すということによりまして安全性は十分保たれる。それから地震等の場合には、感震器を備えておりますので自動的に送油がとまるということにいたしております。それからまた、国鉄特有の問題といたしまして電気による腐食の問題がございます。これらにつきましては、国鉄はかねて電化いたしておりますので十分研究が進んでおるわけでございますが、今回の場合におきましてもいろいろな方法がございますので、それらを組み合わせて電気防食の点については心配ないということで、要するに、よい材料を使って設計、敷設が十分運営されればきわめて安全な輸送手段であるというふうに考えておるわけでございます。
  34. 内藤良平

    ○内藤委員 私は、いま通産省なりあるいは国鉄あるいは運輸省の御答弁をいただきましたけれども、これは相対的に安全であろうということに尽きると思うのです。絶対だいじょうぶだということはなかなか言い切れないと思うのですね。  そこでいま具体的に出ましたけれども、国鉄では軌条の中心から四メートルということですね。こういうことでいっておりますけれども、何とかそれで安全じゃないかという現時点における一種のこれは希望的観測みたいなものじゃないかと思うのですけれども、その程度でやってはたしていいものかどうかということは非常に疑問に思わざるを得ないわけです。時間があまりありませんが、午後の部にもお話しますけれども、私の手元に、これはスイスの国のパイプラインの方式上の資料ですけれども、これを見ますと、パイプラインといろいろ他の施設構造物の距離は、鉄道の場合あるいは幹線道路の場合は、並行する場合はレールあるいは車線外端から二十メートルというぐあいに書いてあるのです。おわかりですか。これはスイスという国のパイプラインの規制ですがね、鉄道、幹線道路。ですから建設省あるいは関東パイプラインのほうにも関係ありますし、空港公団のパイプラインにも関係があるでしょう。また国鉄パイプラインにも関係あります。鉄道、幹線道路と並行する場合は、そのパイプラインはレールあるいは車線の外端から二十メートル離すべきだ、こういうことを明記しております。国鉄関係は四メートルというぐあいに離していますけれども、パイプラインを内陸にやる場合は、わが国では今回初めてなんですね。しかも、その中でいま計画なり何なりが非常に進んでおりますのは、空港公団で計画しております例の千葉から成田空港までのパイプラインですね。こっちのほうでいろいろ進めておるわけであります。国鉄のパプイラインなり関東パイプラインはこれからということになると思います。ところが、成田の空港までのパイプラインにつきましても、いろいろ住民の皆さんから問題が出ておる。いま皆さんのお話を聞きましても、私の手元のスイスの資料を見ましても、鉄道の場合でも二十メートルと四メートルでは——しかも国鉄の場合は線路の中心からでしょう。ところがスイスの場合はレールの端から二十メートルとらなければならぬ、こういうのです。一見、これはわが国の実情なり土地の広さ、市街地形成なり違うと思いますけれども、こういうものをきめたスイスの国の考え方は、万一の場合にはこの程度の余裕がなければ住民の皆さん、国民の皆さんの被害が大きいのじゃないだろうか、そこで、鉄道の線路があるわけだが、その線路から二十メートルのところにパイプラインを敷かなければならぬ、こういうふうにしているわけです。時間もありませんからまたあとでやりますけれども、私の見るところ、これは非常に住民立場を尊重したような考え方になっています。  一例をさらに申し上げますと、こういうこともあります。これは全体に関係があることですけれども、地下水の上を通すパイプラインの場合はできるだけこれを避ける。しかし、どうしても地下水の上を通さなければならぬ場合には、それより方法がないような場合に限定する、こういうこともきめてございます。それから、パイプラインと地下水の集水とは最低三百メートル距離がなければならぬ。だから、私は今度の法案はやはりまだ審議をしなければならぬと思いますけれども、いまの国鉄の例を取り上げてみても、住民のサイドから見ますと、四メートルというのはどうもあまりにも簡単に考え過ぎるのじゃないだろうか。冒頭申し上げましたように、ジュリアナ号の一万何千トンの事故、まさか新潟の港外でああいう状態になろうということはだれしも思わなかった。しかし、ああいう状態になりました。全国的に石油の中和剤を集めたり、災害を防止するためにてんてこ舞いをやりました。新潟市民の被害あるいは漁民の皆さんの被害ははかり知れない。まだ漁民の皆さんは調査中だ。だから、そういう例を見ますと、外国の例なども十二分に御研究なさっていると思いますけれども、この保安なり住民サイドから見る危険の防止という面はまだまだ非常に弱いのではないかと思うのです。そういう点につきましては、慎重を期して十二分にやっておられると思いますけれども、なお慎重を期してこれからでも十二分にやっていくというお考えがあるのかどうか。ただ事業上、石油の需給関係から、とにかくパイプラインをつくらなくちゃならぬ、それが至上命令のように、つくるつくるということで、万一事故があった場合は補償でいいのだ、被害者にお金をあげればいいのだ、こういうような考え方で、とにかく拙速主義でも進めてしまう。外国のように万全の策をとるようなことはあとで考えよう、こういうお考えなのか。それとも、公害の問題がこのとおりやかましい時代に、これからこの種の工事をやる場合は、住民サイドからの、ぼくがいま一例をあげましたこういうデータ等も十二分に配慮して、万一の場合でも災害が国民の皆さんに及ばないように、そういう万全の措置をとるお考えがあるか。いまどっちで進まれようとしておるのか。これをひとつ最後にお聞きして、残りは午後の質問にしたいと思っております。
  35. 莊清

    莊政府委員 ただいま先生から貴重なお話を承ったわけでございますが、御指摘のとおり、保安の確保、安全輸送ということを第一義に関係省考えております。  それで、道路から相当な距離あるいは鉄道から相当な距離を離すということは、これは必ずそうできれば確かに非常に安全にプラスになると存じますが、わが国の場合には、何ぶんどこへ行っても立てこんでおるという状況でもございます。欧米等では、パイプラインが地上に横たわっておるというような光景がむしろ普通の人にもなじまれておる状況でございましょうが、わが国の場合には地下に必ず埋めろということを鉄則にするという方針が一つございます。それと最近では、パイプラインで一番問題になっておりました電食を防止する技術等も非常に進んできたということもございますし、スチールパイプの肉厚一つをとりましても、私ども関係省でいま相談しておりますのは、欧米で考えております安全係数の大体倍の安全係数を見込んだ肉厚のものを保安基準で法令上きめようとも考えております。また地震等に備えては、緊急遮断弁というものをあらかじめ装備さしておいて、一定の距離ごとに弁をつけさせておいて、測定器と連動させて、中央でコンピュータでコントロールして、いざというときには油の送り出しもとめるし、弁も締めるというような近代的な装置の設置そのものを技術基準ではっきりきめまして、それがなければ合格としないというようなことにいたしたいと思います。欧米では、そういうことは最近は技術革新の成果を取り入れまして技術上企業がやりかけてはおりますが、国が公の立場からそれを規制する、条件にするという国は、実は一カ所もないやに聞いております。わが国としては、おくれてスタートするということもございますが、技術の一番進んだところを取り入れまして、わが国の過密という特殊事情もよく考えまして十分なものをやりたい、保安第一でやるということをはっきり申し上げたいと思います。
  36. 内藤良平

    ○内藤委員 委員長、また午後にやります。
  37. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に小濱新次君。
  38. 小濱新次

    ○小濱委員 時間の制約を受けておりますので、はしょって質問をしていきたいと思いますが、最初に政務次官にお願いいたします。  保安という意味からお尋ねしたいわけですけれども、運輸政務次官のお考えをただしておきたいのですが、それは横浜の安善駅とそれから新興駅に集油所ができる。それから子安に送油所が設置をされるということを聞いておるわけですが、その安善と新興駅に送油される経路ですが、横浜港の港湾区域内を、いわゆる根岸のあの地域からつくられる話も聞いておるわけですけれども、この安善と新興集油所にどういう経路で油が集まってくるのか。計画をひとつお知らせいただきたいと思います。
  39. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 お答えいたします。  今回の国鉄パイプライン計画で、用地がいまの御指摘のような狭隘なところでは、局地的に線路から四メートル以上の間隔がとれないという場所については、先ほど見坊審議官からお答えしたとおり、コンクリートなりあるいは鋼管でこれを舗装いたしまして、その中にパイプを敷設する。列車の影響が直接パイプに及ぶことがないよう、また民家に対しても、先ほど来の質疑応答でも御案内のとおり、十分配慮して当たりたい、かように考えております。
  40. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、横浜港のこの港湾区域内を通る、その危険性についてお尋ねをするわけですけれども、御存じのように、横浜港というと、いま日本で隻数の面からも総トン数の面からも、これは御存じのように日本一になっております。その一番危険な航路を横断をして管が設置をされていく、こういうことになっているようですけれども、その点はどうかということをお答えいただきたい。
  41. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 港湾区域の工事については、港湾法第三十七条により、港湾管理者の許可を得る必要がございます。手続その他については事務当局よりお答えさせます。
  42. 見坊力男

    ○見坊政府委員 お答えいたします。  港湾区域内の工事につきましては、港湾法三十七条によって、港湾管理者の長の許可を受ける必要があるわけであります。「港湾管理者の長は」、許可申請がありました場合に、「港湾の保全に著しく支障を与え、又は港湾の開発発展に関する港湾管理者の計画の遂行を著しく阻害し、その他港湾の開発発展に著しく支障を与えるものであるときは、許可をしてはならず、」ということになっておりますが、したがいまして、横浜港にパイプラインを敷設する場合には、横浜港の港湾管理者が、横浜港の港湾計画に照らしまして支障がないように、また支障がないものにつきこれの適切な措置を与えるということに相なっておると思います。
  43. 小濱新次

    ○小濱委員 港湾管理者が責任を持たなければならぬことはこれはよくわかっておるわけですが、私の申し上げたいことは、こうした港に危険なパイプが設置をされていくという、安全であるべき港湾にこういう計画が持ち込まれていくことの危険性をどういうふうにお考えになっておるのか。これを認可をするつもりがあるのかどうか。そういうことで所見を承っておかなくちゃならぬのでお伺いしておるわけですが、佐藤政務次官、いかがでございましょうか。もう一ぺんひとつお答えいただきたいと思います。
  44. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 経済効率あるいは需要、そういう経済面だけのパイプラインじゃなく、やはり民生の安定、安全度、こういうものがすべてに優先しなければならぬと私は思います。そういう次元に立って、横浜港湾にパイプラインを敷設するのが妥当かいなかという考え方に立って、慎重に考慮して結論を出したい、かように考えております。
  45. 小濱新次

    ○小濱委員 まあ公共性の問題についてはあとで論議をしたいと思いますけれども、よくわかりました。どうかひとつ、非常に危険な個所に敷設をされていくということの、私どもは住民の声を多く聞いておりますので、そういう点からの配慮を促したいと思って御質問をしているわけであります。先ほど見坊審議官の御説明でも、その計画はわかりました。わかりますけれども、そのレールの中心から四メートルですか、それからのり面があるかもしれませんね、そこは一・二メートルの深さ、それ以上深く掘って埋設をするのだ、こういうこと。ところが御存じのように、横浜はいまは大都市になっております。これは二百五十万以上の都市になっておる。一番あぶないのは、神奈川とかあの辺、大口、菊名、それから長津田、それから東京の町田が入ってまいりますね。横浜線ということになると、あそこの淵野辺、相模原、それから橋本、八王子に入って、大宮に抜けるわけでしょう。非常に密集地帯を通るわけですね。そこにいまの規格で敷設されていくわけです。  さて、先ほども論議がありましたけれども、たとえば鉄道事故があったときに、こののり面がどういう被害を受けてきたか、われわれはよく見てきたわけです。それから一メートル二十、それ以上ということですけれども、この限度がきまっておりますが、その辺に敷設された場合ののり面がどういう形になってくずれていくのか。これはがけくずれになる。そういうことで、沿道にずっと住宅が密集しておるわけですね。そこに敷設をしていくわけですから、そういう点で計画どおりにはいかないであろう、私どもはそういう危倶を持っておるわけです。そういう点で、この計画ではたして安全性が保てるかどうかということを一応お答えをいただきたいと思います。
  46. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 国鉄パイプライン施設については、先ほどもお答えいたしましたように、権威ある日本の土木工学界の基準に基づいて建設をする予定でございます。なおまたただいまの固有名詞をあげた土地カンは私よく承知いたしておりませんので、どの程度かおおよその想像以外にはできませんが、しかし具体的なものは、そういうものを踏まえて事務当局からお答えさせます。
  47. 内田隆滋

    ○内田説明員 ただいま、横浜地区の非常に密集地帯をパイプラインを引いて安全が保てるかという御質問でございますが……(小濱委員「簡単にお願いします」と呼ぶ)私のほうといたしましては、ただいま皆さまから御説明がございましたように、安全の問題につきましては、非常な万全の注意をして設計をいたしたいと思っております。それで一メートル二十というのは、これは最小の基準でございまして、実際にはその付近の地形あるいは線路の状況というものを踏まえまして実施設計をいたす所存でございまして、実際には三メートルないし四メートルという深さになるところがほとんどでございますし、用地の境界線からも十分距離をとり、そのためにはある程度の離れのほうを犠牲にするということも考えております。離れを犠牲にいたしますと、ただ単にパイプをいけるというだけでは済みませんので、これに対しましては、十分な強度のございますコンクリートのいわゆるボックスというようなものをつくるとか、あるいは鋼管を二重にするというようなことをいたしまして、万一の場合でも付近に御迷惑のかからないようにそういう設計をする所存でございますので、この点については、われわれ国鉄といたしましては十分の自信があると申し上げて過言でないかと思います。
  48. 小濱新次

    ○小濱委員 関東大震災のあの瞬間の働き、これは私も小さくして体験しているわけですよ、東京で。そうしますと、先ほど、いろいろ気象庁とのやりとりがございましたが、その瞬間のあの震度によって被害が発生をしている。こういうことになると、これはいまの敷設の完全性ということが大事になるわけですね。どんな被害が起こるかわからない。それがまた、どういう悪影響を住民に与えていくかわからないということで、ひとつこれからも、これは厳重に審議を続けていかなくちゃならないというふうに考えておるわけです。  いま、ちょうど建設省が出てまいりましたのでひとつお尋ねをしていきたいと思いますが、この河川横断ですね。あの地域には、集油所の周辺には河川があるわけなんです。それから十五号、旧国道一号線がこうあって、それを横断するわけです。それから踏切があるわけなんです。国鉄もありますし……。こういう施設に対して安全施設はどのように考えていくのであろうか。まあいろいろと計算はあるでありましょうけれども、いま申し上げましたように、計算ではとてもはかり切れない異常な事態があるのではないかとわれわれは想像しているわけですが、これは建設省関係からお答えいただきたい。
  49. 岡崎忠郎

    ○岡崎説明員 石油パイプラインが河川を横断いたします場合には、河川法によりまして土地の占用とかあるいは工作物の設置、土地の形状の変更ということを許可するわけでございますが、ただいま先生のおっしゃいましたそういう危険性につきましては、河川側といたしましても堤防その他の河川管理施設、あるいは水質を汚染することは非常に困ることでございますので、この事業法においても、主務省令において構造基準をきめることになっておりますので、その中にうたっていただくように考えております。  その内容としましても、河川を横断する位置であるとか、その横断の形状であるとか——たとえば橋梁で渡るとかあるいは河床をもぐるとか、そういう方法がございますが、そういう場合にも、必要な形状、寸法あるいは位置等の基準をきめることにいたしております。特に横断個所につきましては、緊急に遮断できるような弁の設置であるとか、あるいは横断する場所はたいがい不連続になるものですから、そういう位置につきましての構造上の、特に危険についての構造をとっていただくように考えております。
  50. 小濱新次

    ○小濱委員 あの集油所の近所は産業道路もございまして、ものすごい過重な車がたくさん走っているわけです。そういう点で、橋を渡る場合の管がどういう形になっていくのか。これはもう路上へ出てくるのでしょう。それがまたどういう形か、やぐらを組んでか、橋を渡すような形になるのでしょう。出てくる、露出してくる。そういう場合の危険性があるわけですね。私どもはこれを一つ憂えるわけです。  それから、国道が通っておりますけれども、御存じのように、あの周辺一帯は全部埋め立て地。非常に土質の悪いところです。こういうところで、どうはう埋設作業をやるのであろうかな。その振動がくる、そういう点ではかり知れないものがあるに違いない、こう思うわけですね。列車の場合でもそうですよ。ものすごい振動を与えて、そうして列車が通過していくわけだ。そういう特別な地域に埋設されていく危険性というものをほんとうに考えていかなくちゃならないと思うんですね。ただ私も、いろいろと計画を読ましてもらいましたけれども、これはただ単なる机上論じゃなくしてほんとうに現地に即した計画、いま佐藤政務次官はその現地の模様等はつまびらかではないということをおっしゃっておられましたけれども、そのとおりであろうと思いますが、実際に現地はものすごい密集地帯、いろいろな問題点が起こっている地域を通るところの危険性というものを考えてもらいたい、こういうことでございますので、いま御答弁いただきましたが、時間がありませんので、これはひとつこれからの課題として特に要望しておきたいと思います。  最後に、きょうは消防庁長官がおいでになっているはずであります。いつも消防庁消防白書を見せてもらっても、非常に被害が多いわけだ。その対策も十分ではないともいわれているわけです。私どもは常にその問題を苦慮し、そして委員会活動をやっているわけですけれども、今回こういうパイプ事業計画というものが起こってまいりましたが、ただその書類上の取りきめだけではいけないのであって、消防庁としてはどういう計画を持とうとしているのか。あるいはどういう想定のもとにその計画をつくろうとしているのか。相当大きな事件発生の想定のもとにこれは準備を進めていかなくちゃならぬかと思うのですけれども、これは基本的な問題ですので長官からひとり……。
  51. 降矢敬義

    降矢政府委員 パイプラインの問題の中で一番大事なことは保安の問題でございまして、この点については私たち消防審議会に諮問をいたしまして、もっぱら保安に関する答申をいただきました。  それで、いろいろ技術基準その他がございますが、技術基準の中にやはり消防設備、消火設備等の基準を設けますとともに、保安規程の中に自衛消防隊の設置を義務づけまして、それで事業者自身がまず守る。それから、もちろん予防のために毎日パトロールをするというような巡回車の活動も保安規程の中に入れるつもりでございます。反面、われわれ消防立場といたしましては、住民の身近な災害を守るということで、いろいろいま御議論がありましたようなこの計画及び工事の実施状況等については、当然現地の消防にもすべて私たちを通じて連絡をいたしますとともに、その事業者の持つ自衛消防、市町村の持つ消防というものとの連絡協調体制を現地に即してつくりまして、たとえば万一漏洩がありました場合でもすぐ出動できる。どういう体制で出動するのか、手順等についてもこまかく打ち合わせをする考えでございます。
  52. 小濱新次

    ○小濱委員 長官一つだけ簡単にお尋ねしたいと思うのですが、この審議会の答申を見ますと、「配管は、保安上必要な距離を確保すること。」こうなっているんですね。その「必要な距離を確保すること。」ということはどういうふうにお考えになっておられましょうか、お答えいただきたいと思います。
  53. 降矢敬義

    降矢政府委員 答申に、地上配管の場合には、「住宅、病院その他多数の人を収容する施設」等からは保安上必要な距離を確保しなければならない。当時議論がありましたのは、最低二十メートル以上確保しなければいかぬだろうというふうな御議論がございました。しかしながら、この点はまだ最終的に、どのくらい保安距離を保つべきかということは今後さらに検討してまいりたいと考えるわけであります。
  54. 小濱新次

    ○小濱委員 主務大臣三大臣は当然でありますが、自治省関係も大きくこれは担当しなくちゃならないそういう内容にもなっておりますので、どうか十分御研究、御検討されまして、被害が未然に防止できますように特段の御配慮を特にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  55. 鴨田宗一

    鴨田委員長 河村勝君。
  56. 河村勝

    ○河村委員 私は、いま審議されております石油パイプライン事業法というのはこれは天下の悪法だと思っているのです。  そこで伺いたいのですが、およそ事業法で四省共管という事業法が存在したことがありますか。
  57. 莊清

    莊政府委員 この場で直ちに各事業法所管区分がどうなっておるか、私全般は存じませんですが、このパイプライン事業法案につきましては、パイプライン事業の持っておる重要性及び性格、それから公共事業としてこれは行なわれまするので、石油供給の面もございまするし、道路を使うとかあるいは従来国鉄ないし路面輸送で行なっておったものを地下のパイプに切りかえるというふうな輸送の近代化、道路利用の高度化、いろんな面がございます。当然保安問題ということがまた一つあるわけでございます。こういう点から、政府といたしましては、やはり新しいパイプライン事業でありまするので、諸外国では非常に熟しておるようでございますけれども、わが国では何ぶんこれから大きくなる、しかも新しい事業であり、国民の利便にも寄与するところ大きいと同時に、その関心を持たれておるところもまた大きい。いろんなわが国独自の特殊事情というものを勘案いたしまして、それぞれの官庁がその所管に応じまして、相協力して万全の体制をとる。これが最も適した方法だろうと考えたわけでございます。
  58. 河村勝

    ○河村委員 日本は科学技術においても世界一流なんですよ。たかが石油パイプで送るというだけのことで、そんなたいへん新しいものだから各省寄ってたかって主務大臣になって監督せなければならぬなんというそういう理由は全くない。こんなものは大体出すほうがそもそも役所のなわ張り根性のあらわれ以外の何ものでもない。こんなものはやめるべきだ。  一つ伺いますが、地方鉄道法というものがある。ここで貨物を扱っているものもある。石油はもちろんのこと、化学爆薬物、そんなものをみんな運ぶわけだ。もしそうであるならば、これも道路の交差もあるだろうし、消防上の危険もあるだろうし、これはみんな九省か十省共管にしなければならぬはずだ。特に石油パイプライン事業だから、そういう四省もかかってやらなければならぬという理屈がどこにありますか。
  59. 莊清

    莊政府委員 ただいま申し上げましたように、やはりパイプライン事業の性格ということを十分認識いたしまして、それぞれの関係各省が相協力し、総合的な立場から、今後長期的な計画に基づいて最も適切な形のパイプライン事業を行ない、保安の万全を期するということが適切であると考えたわけでございます。欧米等におきましては、歴史も古うございますが、ほとんどが産業官庁が一省で行なっておるというふうな例も調査の結果わかってはおりまするが、わが国の場合には、そういう形よりも今回の法案のような形で万全を期するほうがより適切である、かような判断でやっておるわけでございます。
  60. 河村勝

    ○河村委員 事務当局の話を聞いてもしようがない。両省政務次官がおられるのですが、同じことですか。
  61. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 こういう共管のものについては私も具体的には知っておりませんが、初めての試みの事業でもございますし、たいへん重要な仕事でございますし、各省のいろいろなつながりも、先ほど来申し上げましたように道路関係輸送関係、それからこれに対する保安の消火関係、それから許認可関係と、いろいろ各省にまたがっておりまして、連絡協議会の中でいろいろ各省のいいところを取り合って、まずこれが一番の最善の方法でなかろうか。ただし、また御指摘の点についてはたいへん感ずるところもございますので、現在の場合においてはそのように進めさせていただいて、またたいへん御貴重な御意見でございますので、その中でそういったものもとりつつ考えてまいることが正しいのではないか、こういうふうに考えております。
  62. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 稻村通産政務次官考え方と全く同様でございます。  一言補足さしていただくならば、政務次官という立場を離れて政治家として考えた場合、やはり役所のセクト主義といいますかそういうものを排除して、一貫性ある行政をすることが望ましいと私も思います。しかしながら現時点で判断するとき、そういうことによって生ずる弊害を除いて目的を達することが、いまの時点では最良の策じゃないだろうか、かように考えております。
  63. 河村勝

    ○河村委員 お二人とも残念ながら落第ですね。要するに役所のセクショナリズムに引っぱられて乗っかっているだけだということなんですよ。  消防庁長官、かりにあなたのほうの自治大臣主務大臣にならないとして、消防法にはそれぞれその中でもって、こういう危険防止のための法律規制があるはずだ。それで間に合わないことがあるのですか、一体。
  64. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防法におきましては、個々の市町村における危険物を単体的にとらえた規制をしております。ところがこれは御案内のとおり、石油を発地から終着点に着くまで一貫した施設でございます。それを計画的に整備するということでございますので、各省と一緒になって、消防主管大臣の自治大臣主務大臣としてこれに参加することにいたしたわけでございます。
  65. 河村勝

    ○河村委員 実質的な理由は何もありませんね。何でも相談ずくでつくってもらわなければ困るというだけのことで、実質的には消防法の規制によって全部間に合うのですよ。だからせいぜい基本計画をつくるときに意見を聞くという程度のことで、消防法に基づく監督で少しも差しつかえない。こういうばかげたものを出すというのは大体そもそも時代おくれもはなはだしいので、こういうことをやっているようじゃ、これからのパイプライン事業がほんとうに能率的にやれるかどうか、はなはだしく疑問でございます。  最近になってパイプライン事業というものが取り上げられて、緊急にこういう立法をしなければならぬことになったその理由、それからいきさつ、それは一体どういうことなんですか。これはどちらからでもけっこうです。
  66. 莊清

    莊政府委員 欧米におきましては、特にアメリカは百年も前から、それからヨーロッパでは十数年前からパイプラインが非常に広く利用されておりまして、すでに五十万キロメートル以上敷設されておるというふうに聞いております。ソ連においてもシベリアの油田開発でパイプラインが非常に普及しておると聞いております。すべてパイプラインがかく利用されるに至りました理由は、何と申しましても世界的に石油の消費が非常に伸びておる。しかも大量物資でございますから、これをいかに適確、安全、低廉に輸送するかというところがら、液体でございますから、これをパイプ輸送するということになったわけでございます。わが国の場合には、いままであまりこれは利用されておりませんが、やはり今後におきます石油の大幅な消費の増というものを考えます際に、円滑な石油供給の確保ということが重要でございますので、おくれてはおりますが、今後これを計画的に整備をするというところがら、今回国鉄でも、また民間でも計画検討され、それを適切に、計画的に行なうという見地からの法制の整備というふうに進んでまいったわけでございます。
  67. 河村勝

    ○河村委員 いまのお話を聞いておりますと、格別緊急性はないようですね。急にあわててやらなくても間に合う、そういうものですか。
  68. 莊清

    莊政府委員 欧米の例、それからわが国状況について一応御説明申し上げたわけでございますけれども、特にわが国の場合には国土が非常に東西に長くわたっておるというふうな事情もございまして、石油輸送の距離というものも当然大きくなるわけでございます。石油の消費量もわが国アメリカに次いで第二番目でございますし、伸びも非常に大きい。しかも、全般的に過密の状況になっておりますから、従来行なっておりましたような国鉄路面輸送あるいは通常の自動車道路でのローリーの輸送というふうなものではこれはとてもさばき切れないし、量的にも非常に困難になってきておる上に、危険物の大量輸送というところから、交通上の安全の問題ということも最近はきわめて緊要な問題になっておるわけでございます。
  69. 河村勝

    ○河村委員 これから、かりにこれが実施されるとして、当面基本計画をつくるとした場合に、どのような路線というか、ラインを当面の計画としてやらなければならぬということになっておるのか、その計画があったら説明してください。
  70. 莊清

    莊政府委員 現在具体化しておりますものは関東地方でございまして、神奈川及び千葉に相当数の製油所がございますが、ここの製品を北関東地方に対しまして輸送するというライン、これが国鉄線と民間のラインと二本具体的に検討が進んでおります。もう一本が千葉から成田の飛行場にジェット燃料を送るためのものでございまして、これが一番急がれておるわけでございます。  あと全国的な見地からでございますが、これは、この法律で国がパイプライン基本計画というものを立てることにいたしておりますので、今後地域ごとに具体化をするわけでございますが、従来通産省ではやはり石油供給の適正化という見地から予算措置が講ぜられておりまして、北海道でありますとかあるいは近畿地方等についてのある程度の基礎的な研究調査ということを行なっております。今後はこの法律に基づきまして、国の公式の事業として基本計画というものを逐次整備するという段取りでございます。
  71. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、いまさしあたり事業主体としてやらなければならぬというもくろみのあるのは、国鉄一つと、それから民間——民間というのは何ですか、ちょっと聞かしてください。民間が主体になるというのはどういうものですか。
  72. 莊清

    莊政府委員 関東地方の民間のパイプラインと申しますのは、昨年の暮れに関東パイプライン株式会社というものが、主として千葉県にございます製油所等を中心共同の民間会社として設立されておりまして、それが千葉から北関東までパイプラインを引っぱっていくという計画がございます。この計画でございます。
  73. 河村勝

    ○河村委員 国鉄が自分のところの線路敷を使ってやるのと、それから民間が道路その他を使ってやる場合と、これはずいぶん条件が違うわけです。そうすると、パイプラインというのはでき上がってしまえば金がかからないわけで、ほとんど全部が固定費、建設費ですね。そこでそれぞれ単価が非常に違うであろうと思われるが、その点は一体どう考えていますか。それは必ず今後の輸送費、荷主から取る輸送費に関係してくるはずだと思うが、その点は一体どういうふうに考えていますか。これは線路敷を使うのと道路その他を使うものとの比較だから、それは運輸省通産省か知らないけれども、とにかく役所の主務官庁が四つもあるからどこに聞いたらいいかいいかわからないけれども、どこかの主務官庁が責任をもって返事すべきものであります。
  74. 見坊力男

    ○見坊政府委員 国鉄パイプラインにつきましては、既存の国鉄用地を活用するということが前提になっておりますので、用地費がかからないという点が一つございます。それともう一つ保安、巡回に既存の現場施設を活用するというような利点がございます。その反面、電気防食のために一般よりもやや経費がかかるという点がございます。その他の条件がほぼ同様と仮定するならば、経済性については大体同様なものではないかというふうに考えております。
  75. 河村勝

    ○河村委員 ほんとうにそうかどうか、これから実際結果を待たなければ証拠はないかもしらぬが、欧米のように大平原や畑を通っていくところならこれはどこでやっても同じだけれども、東京都内のような過密都市の中を道路を使っていくということになると、非常に問題があるはずだが、これは高速道路あるいはそれに準ずるような大道路を使ってやるものかどうか、道路局長は一体その点をどう考えておりますか。
  76. 高橋浩一郎

    高橋(国)政府委員 御指摘の関東パイプラインにつきましては、主として幹線道路を使うことになっております。大部分が国道とそれから高速自動車国道でございます。  最初、高速自動車国道のほうから申し上げますと、高速自動車国道は、御承知のように日本の場合は大部分が高く盛り土をしております。ハイバンクでやっておりますが、その一番すそのところに側道という道路をつくっております。これは幅が四メートルそこそこでございまして、たんぼや畑のあぜ道と高速道路を遮断するために、その人たちが対岸に渡れるようにするために集める道路になっております。通称側道と申しておりまして、重交通は通らぬ道路になっておりますが、その下に一メートル五十の深さのところに入れさせることになっております。先ほど御答弁いたしましたが、軟弱地盤につきましては特に十分な配慮をさせるようになっておるわけであります。  それから一般国道につきましては、国道十六号線というのが通っております。東京の外側を回っている道路でありますが、ここをかなり使うわけでありますが、その場合には車両の通らないところ、つまり一番路肩という部分がございますけれども、そこの部分に主として入れることになっております。この個所につきましては、深さ一メートル五十を原則にしております。ただ市街地をもし若干でも通るような場合でありましたら、非常に厳重なチェックをしております。これは先ほど申し上げましたように、たとえば二重にケーシングと申しますか、パイプを二つ抱き込みまして、さらにその上を大きなパイプでもって被覆するというふうな方法であるとか、特にわれわれが心配しますのは、東京都内でも大阪でもガス爆発になった場合というのは、大部分が他の仕事によって爆発を起こしております。パイプそのものが爆発したことはございませんで、他の工事による爆発の場合が多うございますので、市街地を通る場合には、少なくとも埋設の深さが一メートル八十以上になります。しかもその上にコンクリートの板を置きまして、たとえばブルドーザーでもってひっかけることがないような操作をするとか、先ほど出ておりました遮断バルブの間隔を非常に密にしまして、ちょっとでも漏洩しますと何とかしてその区間がとまるような措置をとるとか、そういうような防止をするような十分な配慮をするつもりでおります。
  77. 河村勝

    ○河村委員 安全性の問題を私はそう心配しておるわけではない。そのくらいのことは日本の科学技術でできるにきまっているから、要は、コストあるいは建設に要する時間、そういうものが問題になるのである。そこで、この法律のスタートそのものが非常ななわ張り争いみたいなところがらスタートしているから、これからの運営がそういうことでやられたのでは、国民経済的に非常に不経済なものができるに相違ないと思う。だから、きょうは時間がないから注文だけしておきますが、一つは、もしやられるならば、そうした役所のセクトに関係なしに、ほんとうに国民経済的に一番合理的な事業主体を選んでそれにやらせる。それは役所の系列にかかわらず、それをはっきりすることと、それからもう一つ、これはいろいろあるから通産運輸共管ぐらいしかたがないかもしれないけれども、政府みずから、あるいはここでもって修正することを私は提案したいと思う。こんな四省共管なんというセクショナリズムの見本みたいな法律を通すことはよろしくない。これはいかに合理的に運用するといったって、必ず非常に能率が悪くて、迷惑するものが一ぱいできるに相違ない。だから、これを修正をされたい。これは私たちだけで修正できないから、あとで与野党の方々と相談をしたいと思うけれども、そうすべきである。  その二つの意見を申し上げておきまして、きょうの質問を終わります。
  78. 鴨田宗一

    鴨田委員長 午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三分休憩      ————◇—————    午後二時四分開議
  79. 鴨田宗一

    鴨田委員長 休憩前に引き続き連合審査会を開会いたします。  質疑を続行いたします。加藤六月君。
  80. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 今回、石油パイプライン事業法を政府が国会へ提出されたわけでございます。わが自由民主党におきましても、一昨年以来このパイプラインの必要と、またパイプライン法案の広範な討議をやってきたわけでございます。昨年もこの問題につきましていろいろ勉強し、各方面からの意見等も聞いてまいったわけでございますが、今回各省の間でうまく意見調整をしていただきまして、こういう前向きのいい法案が提出されたということにつきましては心から歓迎するものでございますが、この連合審査会を通じまして二、三私の意見並びに質問をいたしておきたい、こう思う次第でございます。  本日は通産大臣も御出席いただいております。先ほど申し上げましたように、われわれはこのパイプラインの必要性というものを痛感しまして、一昨年から勉強してきたわけでございます。わが国パイプライン事業というものが、アメリカヨーロッパあるいはソ連等に比べてもたいへんおくれておる。もちろんこれは製品のパイプライン、原油のパイプライン等で違います。四方が海に囲まれ、わが国石油工場というものが臨海工業地帯を中心としてやってきたこと等でパイプライン事業そのものが非常におくれておった。ところが、道路の交通渋滞あるいは鉄道の満ぱいということから、石油の製品をパイプラインで送ろうということが先行してパイプライン事業検討しておったわけでございます。  本来なら原油からパイプラインでいくという方法が非常に大切じゃないかということを私はかねがね党内でも言っておったわけでございますが、特に通産大臣の提案理由の説明を読んでみますと、「自動車、鉄道等」ということばが出ておりますが、私が特に強調しておきたいのは、原油に関係しますところの海上交通という問題であります。東京湾、瀬戸内海あるいは伊勢湾、こういうところに入ってくる原油タンカーの規制という問題と原油パイプラインということは通産省においてもかねがね検討されておった。ところが、この法案中心をなすものは製品の、いわゆる白もののパイプラインということが中心でありまして、私はこの法案国会へ出される前から原油パイプラインということを強く主張し、いろいろ取り入れてもいただいたと思うわけでございますが、この法律のままいきましても石油パイプラインで原油というものはできると思いますけれども、全体を通じてみたときに原油パイプラインに対する考え方というものが非常に希薄ではないか、こう思うのですが、まずその見解から承っておきたい、こう思います。
  81. 田中角榮

    田中国務大臣 御指摘にありましたように、アメリカなどでは産地から原油を長いパイプラインによって送油をするということが常態でございます。しかしヨーロッパのように、道路交通事情が非常によくなっておるにもかかわらず、公共地下共同溝が完備されておるので高圧電線まで通すというような状態でありますので、もちろん石油を通すかわりに天然ガスを通すというような状態もございます。日本は、いま研究されておるものは過密地帯における精製された石油を通そうということでございますが、タンカーが大型化してまいりますと指定の基地まで持っていかれません。もちろん五十万トンのタンカーが一隻ひっくり返ると東京湾全部火災になるということでありますし、大阪湾などに入ってこれるわけではございません。そういう意味で、将来は、石油基地から消費地まではパイプラインで送油をするということになるわけでございますが、これは原油よりも精製石油のほうが輸送パイプとしては厳重な設備をするわけでございますので、この法律が通過をし、成立をすれば原油の送油を行なうという事態にも対処できるということでございます。
  82. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 これは通産大臣にお伺いするよりか鉱山局長にお伺いしたほうがいいと思いますが、この提案理由の説明で「約二億キロリットル」、こういう数字をうたっておられます。昭和六十年までに四億キロリットルになるのかあるいは消費量が六億キロリットルになるのかわれわれもいろいろ議論し、また勉強もいたしておるわけでございますが、いま大臣がおっしゃいました製品を輸送するパイプラインとして、将来このパイプラインで、現時点における二億キロリットル消費されておるものをどの程度内陸部へ搬送しようとするのか。あるいはまた、設置場所が変わった場合は、海岸部にも別の海岸部から製品パイプラインをつくって運ばなければならなくなると思いますが、どの程度カバーしたいお気持ちであるか、ここをまず承っておきたいと思います。
  83. 莊清

    莊政府委員 いわゆるガソリン、灯軽油等の白油の内陸輸送でございますが、大体半分程度を目標にしております。と申しますのは、関東で申しますと東京、神奈川、千葉というふうな地元といわれる地帯で相当量の消費があるわけでございますが、製油所の間近でございますから、コンビナート関係のものはいまでも短い場内のパイプでつないでおります。それ以外のいわゆる白油の地元の消費量というものが関東でも非常に大きいわけでありますが、これらは製油所からのタンクローリーというふうなもので現在輸送されておりまして、今回計画しております関東のパイプラインでも、これから需要の伸びる北関東のほうにあらかじめ大きなパイプを敷いておいて、将来需要が伸びますので、そこに輸送していこうというのが基本的な考え方でございます。
  84. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 局長、いまのお話で、あなたは私が聞かないのに関東パイプラインの話を出されたのですが、基本計画をつくるときに——いまもちろん計画のあるのは国鉄パイプラインと関東パイプラインしかありません。しかし、この法律のねらいは、その二つのために、もう少し具体的にことばをかえていいますと、土地収用権を与えるためにやるのじゃないでしょう。はっきり申し上げまして、道路交通の渋滞、鉄道の満ぱい、それで、午前中あなたが答弁されましたように、低廉で正確で安定した供給を確保するためにこのパイプラインが必要なんだ、そのためにこの法律をやるのだということをあなたは説明されておった。だから、私が承ったのは、関東地方にいまやらんとしておる二つのパイプライン以外に、全体の二億キロリットルというものをどの程度パイプラインで将来供給していくのだ、輸送していくのだということを聞いておるわけです。もう一ぺん答弁してください。
  85. 田中角榮

    田中国務大臣 現在、昨年度が二億二千万キロリットル、昭和五十年になると三億キロリットル、六十年になると七億キロリットルでございますから、相当大きなものでございますが、しがしこの見積もりも私がやってみるともっと大きくなる。場合によっては八億キロリットルないし九億キロリットルぐらいになるという可能性でございます。そういう意味で、いま橘湾の周辺に一つの、六百万トンぐらいの貯油所をつくろうという計画が地元にもございますが、阪神などにはいまとてもタンカーが入らないということでありますから、できれば本四連絡架橋にパイプを抱かせたいという構想があります。いま技術的にはいろんな問題がありますが、こんなものができないなどということでは、将来の七億、八億キロリットルというようなものが消費できるわけはありません。六十年を展望しますと、タンクローリーそのものでは運べないのです。これは交通労働者の中に占める新しい運転手の数が一〇%にも満たないというような状態であって、パイプラインで運ぶ以外にはない。ですから六十年、七億キロリットルを考えますと、この半分以上をパイプラインで全国に運ばなければならない、こういうのが実態であります。
  86. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 通産大臣の御答弁でありましたが、私先ほど申し上げましたように、大臣がいつもおっしゃっておられる、昭和六十年までになると運転手の確保が非常に困難になるという持論はよく承っておりまして、われわれもその線に従っていろいろな勉強はいたしておるわけでございます。  そこで大臣、いま御答弁いただいたのですが、一番最初にわが国パイプラインは非常に立ちおくれておるということを申し上げたわけですが、この立ちおくれておることをもって、非常に急いで無理をしないほうがいい。特にわれわれが勉強した範囲内におきましても、パイプライン公害というものが相当起こっている。いま、パイプラインをやると公害がなくなるとおっしゃった。自動車輸送する場合のそういった問題等が助かるということは非常にいいわけですが、逆にパイプライン公害というのがあちこちで起こっておる。特にこの問題についてわれわれが勉強したのですが、激しいのはソ連並びにアラスカであります。ヨーロッパのもの、アメリカのものにも若干パイプライン公害が出ておりますが、それほどでもございません。特にソ連の場合は、これは原油のパイプライン公害というのは激しいものがあります。  そこで、わが日本が立ちおくれておるからこそ、今度これをつくってりっぱなパイプライン輸送、大臣がおっしゃっていました八億キロリットルなら八億キロリットルの半分を将来輸送するパイプラインをつくるときに、ひとつ公害が絶対ないような方法、このための技術基準、保安基準というものを厳重にやっていくということが、立ちおくれておる日本がりっぱなパイプライン事業わが国内においてやらす一番大切なことじゃないかと思います。そういう点で技術基準、保安基準につきましていろいろ勉等もしてきたわけでございますが、この技術基準、保安基準について諸外国よりかずいぶんきつくしてある、きつくしよう、こういう点がありましたら、鉱山局長あるいは消防庁どちらからでもけっこうですから、簡単に御答弁いただきたい、こう思います。
  87. 田中角榮

    田中国務大臣 日本は御承知のとおり地震国であるということと、それから都市の中が非常に平面都市であるということで、パイプラインに対しては、新しい考え方でもありますし、認可基準、許可基準、災害防除というものに対して厳重にしなければならないということは前提でございます。百年間の欧米の歴史に徴して、いまやるとすれば日本は初めてですが、しかし百年の歴史があるということで、パイプラインというものに対してはどうすればいいのかということは十分わかっておるわけであります。ですから、諸外国パイプラインの安全率一・六倍くらいということを、日本は二倍以上にしよう、これは建築の強度も橋の強度なども同じでありますが、そういう場合に安全率というものは一・六倍から二倍にということでありますし、欧米などでもって百年間もやっておりますと、腐食をしたパイプラインの害があるわけでございますが、しかし技術が非常に進歩しておる、特にパイプの製造というものは世界の最高水準ということでありますので、これはもう科学的にも技術的にも今度日本政府が考えておる許可基準というものは世界では最高のものであるということがいえるわけでありまして、技術的には問題はない、こう言い得ると思います。  もう一つは、これから消費量の半分もタンクローリーでもって送るのでは、交通上におけるタンクローリーの災害というものが非常に多い。これはパイプライン災害がもし起こるとしても、その計数等とは比較にならないほど大きいという問題がございます。ですから、そういうような原則的な姿勢でこの法律案を立法し、それでなお、基準に対しても、そういう立場で策定を行なっておる次第であります。
  88. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 鉱山局長消防庁のほうから御答弁いただこうと思いましたら、大臣のほうから答弁いただいたわけであります。  大臣、私たちパイプライン法をつくるときに一つ通産省に要望したことがあるのです。それは、先ほど申し上げました東京湾や瀬戸内海に石油工場の設置許可をしてはいけない。もちろん、これは石審があるわけですから、石審でいろいろ石油連盟関係の皆さん方の議論がされると思うのですが、ことさらに東京湾の奥深く、瀬戸内海の奥深くに石油工場をつくって、それからまたむずかしいパイプラインをやったり、大臣がおっしゃった、タンクローリーを膨大なものを走らして消費者並びに消費地に運ぶというようなことをやる。したがって、パイプライン法考えてもらうときには、ひとつそのもう一つ先の、工場を設置する場所というものについて、これからはもう少し通産省指導性を発揮してやってもらわないと、ある面ではむだな投資になり、ある面では消費者は高いものを買わされることになるので、御注意いただきたいということを要望しておったわけでございます。もちろん審議会があるわけでございますから、その審議会の考え方も十分尊重しなくてはならぬと思いますが、通産大臣としましては、やはりそういう点を今後十分考えて配置の指導をしていただけるかどうか。簡単でけっこうですから、お答えいただきたいと思います。
  89. 田中角榮

    田中国務大臣 非常にポイントでございます。いままでの、東京湾の川崎寄りができなくなれば千葉県寄りということでは東京湾全体を汚染することでございまして、これはほんとうに正さなければならないことだと思います。それがどうしてそういうふうになったかというと、自然発生という現状で消費と供給とのバランスを考えて製油所を設置してきたからでありますが、そういうことで複合公害とかいろいろな問題が起こっておるわけであります。だからそういう意味で、いままではなかったわけでありますが、いま商工委員会で御審議いただいております昭和六十年展望の工業再配置ということで、今度初めて政府で新しい六十年展望の日本の産業地図がかけるわけであります。そうすれば人員がどう移動するか、二次産業比率がどうなるのか、石油の消費量がどうなるのかということが初めて明らかになるわけであります。いままでは需要が多いから供給を合わせなければいかぬ、こういうことであって、今度新全総を新々全総に書きかえるということも、自然発生を是認するということではなくて、長期的展望に立った計画的な投資を行なう、それに合わせるパイプラインであり新全総の基地ということであって、天然条件をそろえておるところはありますが、しかし将来の青写真とマッチしないでみんなばらばらになっておるということで、初めてこの法案を提出する段階においては、全国的な長期展望というものを同時に審議いただいておるということで、もう少し合理的になるというふうに考えます。
  90. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 通産大臣は工業再配置法の内容に触れられました。私たちも工業再配置法並びに新全総の読みかえ、新しい作成ということについては非常に関心を持ち、また勉強もいたしておるわけでございますが、与えられた時間が参りましたので、最後に私の要望というか、お願いをいたしておきたいと思います。  このパイプライン事業法の提案理由の説明の第一が、安定的かつ低廉な供給の確保。公共的な性格を有する事業にしなくてはならない、これが第二。第三が、可燃性物質であるから保安の万全ということでございまして、それからその内容として第一、第二、第三、第四、第五と同じように書いてございます。私たちがこのパイプライン法を審議する場合に一番注意しなくてはならないのは、先ほど申し上げました保安という問題になってくるわけでございますが、特にわが国は世界で最も有数な人口密集群をなしております。道路の下を使ったりあるいはまた鉄道を使ったり、あるいは先ほど大臣がおっしゃいましたような橋梁の一部もどんどん使わなくちゃならなくなると思います。その際に一番要求せられるものは、地域住民のそれぞれの方に安全に対する十分なる理解を得ることであります。これなくしてパイプライン事業というものは行ない得ないわけであります。そしてまた先ほど申し上げましたように、この法律に従いまして道路の占用の特例措置あるいは土地収用権、こういうものを付与しなければ、またこのパイプライン事業はできないというところに非常に大きなポイントがあると私は思います。したがいまして、今後このパイプライン事業法が国会を通過いたしまして、これに関係される通産運輸建設自治国鉄、こういう各省庁の皆さん方は、最後にありますところの道路占用の特例措置あるいは土地収用権、こういうものを発動せずして、通る地域の公共団体、住民の皆さま方の十分な賛同をいただくような姿勢と努力、それは一にかかって私は保安にあると思います。その安全性を十分に認識していただくところにあると思いますので、そこをくれぐれも注意して行なっていただきますことをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  91. 鴨田宗一

  92. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いま自民党の加藤委員も触れておりましたが、何と申しましても、この石油パイプライン事業法の中の一番の問題点は、これに土地収用法を適用するということだと思います。この点につきましては、後ほどわが党の久保委員のほうからこの点を中心にいたしましてお尋ねがある予定でありますから、私はごく簡単に触れたいと思うのですが、結局こういう条文を入れたということは、住民の反対というものをあらかじめ想定し、住民の反対があってもやっていくのだ、私はこういう政府の考え方のあらわれではないか、かように思うわけであります。この点大臣の御見解を承りたいと思います。
  93. 田中角榮

    田中国務大臣 パイプライン法に対しての政府の基本的な考え方は、パイプラインが非常に必要である、またパイプラインの敷設を通じて石油や可燃性ガスを送ることによって、道路の上を輸送するよりもはるかに安全である、こういう立場に立っておるのでございまして、土地収用法が原則的に発動されなければこの事業が行なえないというふうには考えておりません。私自身は新潟から東京まで、日本一つしかないといわれておった可燃性天然ガスパイプラインの敷設に関係をいたしましたが、これは地元は非常に賛成なのです。なぜかというと、工場誘致などをしたくともガスを使えないということだったのですが、このガスパイプラインをやったためにその周辺の全部の家庭ガスが引き込まれた。工場誘致をすれば、すぐそこからパイプラインガス供給されるというようなことで、非常に誘致合戦があったような状態であって、いま考えられるような観念的な反対ということは私は考えられない。これから、全国を縦貫する送電線も、ガスも水も石油も天然ガスも、ほとんど広域運営が行なわれなければならないという日本の現状、そういう面からこの法律は規定するだけであって、住民の反対でもってどうにもならないというようなことは私は想像しておりません。
  94. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 確かに新潟から長野を通って天然ガスパイプラインが敷設されてあることは私承知しております。しかし、いまこれからパイプラインを引こうとする地域は一体どういうところかといえば、当面千葉から成田までの線でしょう。それからさらに千葉から埼玉を通り栃木に通ずる。さらにこれは国鉄がやるようでありますけれども、横浜から八王子を通って南埼玉へ通ずる、いずれもこれはいま大臣がお引きになった過疎地域ではなくて、いわばわが国の最大の過密地帯でしょう。したがって、工業再配置の法律その他で、いかに過密をなくしていくかということに政府は全力をあげて努力しているというところでしょう。こういうところにきわめて危険なものを敷設するというところに住民の反対も当然起きますし、そこでまた政府がこの土地収用法を条文の中に入れざるを得なかったということになるのじゃありませんか。
  95. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、これから五十年に三億キロリットルになり、六十年に七億キロリットルをオーバーするというものを一体道路で運べるのかどうか、運んだ場合パイプライン災害の何百倍になるのかということは、もう計算上明らかになっておるわけでございます。だから、石油というものが一つの工場というものだけに供給をせられるものであって一般住民との間に利害が生ずるということであれば別でございますが、生活と全く直結をしておる石油輸送というものに対しては、私はやはり水道とかガスの管の埋設にひとしい理解が得られるものだ、そういう前提で、法律にあっても、びしびしと土地収用法を発動するのだという考えではもちろんいけないわけでございまして、こういうものは法制上整備はされるけれども、実質的には住民の理解と協力が得られる、そうでなければ、東京のこの過密の中でガスパイプがどんどん引けるわけはない。ガスのほうがよほど危険であります。そういう考え方から、原則的にはパイプラインはもう世界的な趨勢である、こういう考えであります。
  96. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この点は久保委員のほうからまたお尋ねがあると思いますから、次に移りたいと思うのですけれども、問題は住民がなぜ反対をするのか。現に成田空港に対するパイプにつきましては、各地域住民の反対運動が非常に盛んに盛り上がっておることは大臣も御存じだろうと思うのです。  そこで私はお尋ねしたいのですけれども、消防庁はかつて旧消防法の時代におきましては、危険物貯蔵所の設置構造については、危険物取締条例準則というもので、住宅から相当な距離離れていなければいかぬという規制をいたしておりました。現在の消防法では政令でもって基準をきめておりまして、かつての準則とは違ってはおるわけでありますが、かつての準則によれば、危険物の貯蔵所等は、皇居、御所というのはどういう意味で入れたかわかりませんが、離宮または御陵より四百メートル以上離れていなければいかぬ。それから神社、仏閣、学校、病院、劇場、有形文化財の建造物、こういうものからは百メートル以上離れていなければならない。それから常時火を取り扱う工場、作業場または鉄道、軌道より三十メートル以上離れていなければならぬ。国道、府県道からは二十メートル以上離れていなければならぬ。こういう規定がかつてありましたね。その点ひとつ確認しておきたいと思いますが、どうですか。
  97. 降矢敬義

    降矢政府委員 以前にそういう規定がございました。
  98. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういたしますと、私は当然この程度保安基準というものはパイプラインには適用されるべきだと思うのですが、この点、この保安規程は消防庁中心になって扱っていくことに法律上なっているわけでありますが、とにかく鉄道の沿線に国鉄の場合は敷設するといっておるのですね。そういたしますと、軌道から三十メートル離してパイプラインを敷設する、こういうことになっていますか。それから民間の業者がやります場合は、認可された事業者がやる場合は、先ほど建設省お話では、道路に並行して敷設するのが主だ、こういわれたのですが、そうしますと、国道、府県道からは二十メートル離して敷設することを義務づける、これは私は消防庁としては前の基準からいえば当然だろうと思うのですが、この点はいかですか。
  99. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防審議会で御審議いただきましたときに、地上配管の設置の場所につきまして、「住宅、病院その他多数の人を収容する施設及び鉄道その他の保安物件から保安上必要な距離を確保する」という御答申をいただいております。このときにいろいろ御議論がありまして、出た意見一つとしては、最低二十メートル以上というようなお話も出ました。出ましたけれども、ここは、答申としてはなお具体の問題としてさらに技術基準をきめるときに検討するということに相なっております。
  100. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この新しい法律消防法の危険物の規制に関する政令、これを見ますと、「学校、病院、劇場その他多数の人を収容する施設自治省令で定めるもの 三十メートル以上」文化財保護法による施設五十メートル以上、こういうようなことがありますね。ところがかっては、先ほど申し上げましたように鉄道からは三十メートル、国道、府県道からは二十メートル、こうなっていたのですから、かつての規定から見れば現在のほうが危険性がより高まっているという現在の情勢でしょう。とすれば少なくとも従来の二十メートル、三十メートルという基準は私は当然守るべきだと思うのです。そういうつもりでいるかいないかということだけを私は聞いておるわけです。
  101. 降矢敬義

    降矢政府委員 いま申し上げた消防審議会の御議論が、二十メートルということを最低にして考えるという御意見もありましたので、私たちはそういうことを一つの審議の過程におけるめどとして考えたい、こう思っております。
  102. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それは鉄道から二十メートルというわけですか。
  103. 降矢敬義

    降矢政府委員 御答申におきましては、いま申しました学校とか病院ということについて地上配管についての御意見がございました。そういうことを考え保安基準考えたい、こう思っております。
  104. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 鉄道、道路からは何メートルを考えるかと聞いているのですよ。
  105. 降矢敬義

    降矢政府委員 地上配管についての保安距離の問題でございまして、道路等につきましては、午前中お話がありましたような地下を原則として通すということでございます。
  106. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 地上だから危険で地下だから安全だということですべて割り切られるならそういうお話になるでしょうけれども、そういうことならばアメリカヨーロッパ各国でずいぶん事故が発生をいたしておりますね。わが国でも、五月十五日以後わが国の施政権下に入ります沖縄においても昭和四十七年一月十一日エッソ石油の重油パイプから重油が漏れて事故が発生したことは、長官も皆さんも御存じだろうと思います。ですから問題はそういう危険性があるもの——かつては消防庁は相当きびしい基準でもって危険物の扱いについては対処しておった。ところが今度の石油パイプラインについては、どうやら道路、鉄道について幾ら離すかというとたいへん答えを渋っておりましたから、これはきっとそのそばをどんどん通すということも消防庁としては認める、こういうふうに受け取られてもやむを得ないじゃありませんか。建設省に聞きますが、道路のどの辺を通す予定なんですか。
  107. 高橋浩一郎

    高橋(国)政府委員 先ほど御説明いたしましたように、ただいま実際実務上チェックをしておりますのは成田空港に参りますパイプラインでございますが、この場合は高速自動車国道の側道の部分を通しております。地平面よりも約七メートルぐらいのバンキング、盛り土をしましたのり先にございます四メートル程度の道路でございますが、これは先ほど申しましたように重交通は通さないようになっております。それから市道につきましては、車道の車の通らないところ、つまり車道の外側に路肩という部分がございますが、主としてこういうところを通します。それから市街地がございます場合につきましては、やはり歩道の下を通すのを原則にしたいと思っております。先ほど申し上げましたように、そういう市街地を通す場合には非常に厳重な基準を設けまして、たとえば二重のパイプをさらに大きく包みますケーシングを用いるとか、あるいはほかの工事によりまして妨害を受けることのないように、コンクリートの板を上面に置くとか、いろいろな手段を講じまして危害を防止するようにしております。
  108. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまのお答えで明らかになったわけですが、この成田の東関東自動車道につきましては、のり面のところを通すし、それから市道についてもそうだ、住宅団地の中は歩道の下であって、そのかわり厳重な設備をするのだというようなお話でありますが、そういうことだから住民の間から大きな反対が出ることは当然だろうと私は思うのです。  そこで現在、ある程度計画が進んでおります成田のパイプラインは空港公団がやっているようでありますが、この空港公団が一体どのくらいの検討を行ない、あるいは試験を行なったかという報告書を拝見をしたのでありますが、実物大のパイプで疲労試験をする。一万回以上衝撃を加えまして、そうして疲労度を見る、こういうことをきちっとやっているならばこの心配はないのですが、空港公団では実物大のパイプラインによる疲労試験は全然やっておらぬでしょう。空港公団は呼んでおりませんけれども、少なくともこれを監督している運輸省のほうでは、その点の事情は知っていると思うのですが、どうですか。
  109. 原田昇左右

    ○原田説明員 お答え申し上げます。  実物大で試験をやったわけではございませんが、一般的にパイプラインの材質でございます鋼管については、強度それから伸び率、それから溶接の際の検査等については十分金属材料としての証明をとりまして、一定の基準に合格するものを使うということにいたしておりますので、必ずしも実物大でやらなくても十分安全は確保できるわけでございます。
  110. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私は、アメリカとか、それからお話のあったようにソビエトにおいて、過疎地帯、人間のほとんど住んでおらぬようなところ、しかも道路あるいは鉄道等から相当な距離をおいて敷設するというならば、住民の人たちはそんなに心配せぬと思うのですけれども、問題は、さっきお話があったように、住宅団地の歩道の下を通すというのですから、そういうことになればやはり実物大のものをつくって、そうして疲労度のテストをきちっとやる。そのくらいの周到な準備をしてやらなければ住民の反対というものを防ぐことはできぬと思うのです。だからこそ土地収用法なんというものが要るということになるのである。どうですか、大臣、そういう事務的なお話を聞くと、住民を納得させるという点において非常に不備だという感じを持たざるを得ない。ですから、この安全度についてはもっと十分な配慮をやって実物大のテストをきちっとやる、あるいはかつての消防法による基準のように、道路、鉄道等から相当な距離を必ずおいて敷設をする、こういうようなことをしなければ、幾ら強調しましても、どうしても最後は土地収用法を使うぞ、こういうつもりでこの法案をつくった、こう思わざるを得ないのですが、大臣どうですか。
  111. 田中角榮

    田中国務大臣 住民の納得を得なければならないことは言うまでもありません。また安全基準を強化しなければならぬことも当然でございます。しかし、欧米ではもう百年の歴史があるのでございます。ですから、万全の上にも万全ということは必要ではございますが、しかしこの程度のものは計算でもって明らかに出るわけであります。これは、お互いの家庭に全部都市ガスを埋設管で送っておる。可燃性天然ガスを送り、有毒ガスも送られているという事実。そしていま道路上をタンクローリーで送るという場合、その危険は、地下埋設のパイプラインよりも何百倍も危険度が多い。その危険から人命を守ろう、こういうことでありますから、これは比較論であります。ですから、いま非常に高い技術によるパイプもつくられておりますし、その柔軟構造も、接続部分やバルブ部分については強度を非常に強く見ております。ですから、これは鉄筋コンクリートの内部も、木材のはりを計算して、木造から鉄骨にし、鉄筋コンクリートにするのと同じであって、これは計算上きちっと出るわけであります。学問上もちゃんと問題はないということの上に、なお安全率を付加して——一・六倍に外国はしておるけれども、日本は非常に質もよくなっておるし、高度の材料を使っておるけれども安全率は倍にして二倍にしよう、こういうのでありますから、私は、その上に管理機構というものを十分完備をすることによって、あなたがいま御指摘になられたような安全度というものは十分確保できる。道路から離せと言いますが、道路から全然離すわけにはいかないのです。これは、本四架橋の長大橋にパイプを抱かせるとすれば、その下か、上か、横腹か、どっちかでありまして、同一の中を通るわけでありますし、一つの高速道路ののり面を使うとしても、縦横無尽の道路がありますから、その道路を横断するときには必ず道路の下を通るわけであります。ですから、全然道路のないところというのは全国にないわけでありまして、どこかの道路は必ず通るわけであります。ですから、その道路の下を通る場合には、埋設基準や材料基準を非常にきつくしてあるということでありまして、いま事務当局からその技術的な状態を全部御説明申し上げられますが、言うならば、これは世界で最高の状態におけるパイプラインの敷設である。こういうことでひとつ御理解いただきたい。飛行機が通っておる滑走路の下でも何でもパイプラインは埋設してあるわけでございますから問題は安全基準というものをいかに強くするかということで解決できる問題だ、こう思います。
  112. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 わが国の科学技術が世界に比べて大いにすぐれた水準にあるということについては、私もそのように確信をしております。だからといって、それではわが国の企業は一体どうなんだ。科学技術の水準は進んでいるけれども、災害防止の方面にその科学技術の成果が十分使われているか。その点、非常に疑問があるわけです。だからこそ、わが国は公害列島だとかあるいは公害たれ流しだとか、いろいろな批判を受けているのは、そのあらわれだろうと私は思う。  そこで、私は角度を変えてお尋ねしたいと思うのですが、とにかく住民の納得ということを大臣もおっしゃられる。とすれば、この法律住民の納得という点では非常に欠けたものがある、私はかように言わざるを得ないと思うのであります。なぜかと申しますと、この法律を見ますと、まず基本計画にあたって、「主務大臣は、基本計画を定めようとするときは、関係行政機関の長及び関係都道府県知事意見をきくものとする。」こうなっております。それからさらに、事業認可にあたっては自治大臣意見を聞くものとし、自治大臣は、意見を述べようとするときは、関係都道府県知事意見を聞くものとする。ですから、基本計画の際は都道府県知事意見を聞く、それから事業認可は直接聞かないで、自治大臣を通じてこの意見を聞く、こういうきわめて間接的な形になっています。都道府県知事、確かに自治体ですからこれは自治体の長ですけれども、しかしほんとうに住民に直結している基礎的自治体というのは、大臣御案内のように市町村じゃありませんか、そうでしょう。ですから、やはりこのような基本計画あるいは事業認可にあたって、ほんとうに住民の意向を尊重するということならば、市町村長の意見を聞く、このことくらいはやるべきだ、私はかように思うのです。その点はどうですか。
  113. 田中角榮

    田中国務大臣 そういう趣旨でございます。これは市町村長の意見を直接聞かなくても、自治大臣は府県知事の意見を聞く。府県知事は自分だけでやりません。これはもう原子力発電所の問題などでもそうでありますが、議会が議決をしておっても市町村長にちゃんと諮問しておる。その市町村は、市町村の議会は議決をしておっても、町長や村長がうんと言わなければやらないという、いまの福井県の大飯の発電所などはそのいい例であります。そのくらい慎重な民意の反映をということを政府はやっておりますから、この法律だけが除外されて、自治大臣だけの意見で民意の反映というようなことは絶対いたしません。ですからそれは各法律にみなそう書いてありますように、地方の意見は十分聴取され、反映せしむるということでございます。
  114. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういうふうにいまおっしゃいますけれども、それだったら具体的に——通常、都道府県知事意見を聞くという法律の場合は、政令都市は今度は札幌、川崎、福岡というものが入りまして九都市、政令都市というのは都道府県知事とほぼ同格の権限がありますので、こういう関係法律のときは必ず指定都市の首長はこの都道府県知事の中に含む、都道府県知事意見ないしは指定都市の首長の意見は聞く、こういうのが普通の法律のていさいなんですよ。今回のはどうだといったら、これは都道府県知事だけであって、指定都市の首長というものは考えておらぬというようなお話であります。現に川崎にしろ横浜にしろ、この計画の中に入っておるでしょう。自治体の意見を尊重するという場合、少なくとも法律の中に、都道府県知事並びに政令都市の首長というくらいのことは書かなくては、大臣幾ら口でおっしゃってもその趣旨法律の中に生かされていない、私はかように思わざるを得ないのですが、どうですか。
  115. 田中角榮

    田中国務大臣 それは各種現行法を踏襲しているわけでございまして、指定都市の首長等とまで入れなくても、神奈川県知事の意見だけ聞いて横浜市長の意見を聞かないで土地収用法が発動されたような例はありません。そういう意味では住民意見を十分反映できるということで、条文に政令都市の首長というふうに拡大をする必要はないと思います。
  116. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それはおかしいのじゃないですか。通常の法律は必ず知事それから政令都市の首長と書くのが普通なんですよ。法律を見たって書いてないでしょう。そうすると大臣、これは修正してもよろしい、政令都市の首長というのは入れてもいい、こういうおつもりと聞いてよろしいわけですね。自治政務次官もおられるから……、こういう場合は指定都市の首長というのは大体入れますね。
  117. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防の問題として、御案内のとおり危険物行政につきましては、常備消防を置いているところは指定都市であろうと普通の都市であろうとすべて同じような扱いをしているわけでございまして、そういう意味から、市町村というものについて特別な扱いをしないという考え方でございます。
  118. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私は消防のことを言っているのじゃないんですよ。たとえば公害国会で道交法の改正をやりました。あのときに、たとえば大気が非常に汚染をされ、光化学スモッグのおそれがあるというようなときは、都道府県知事それから政令都市の首長は、この要請権、警察に対してこの光化学スモッグ対策のために、たとえばサルファ分の少ない重油をたくようにしろとか、そういう措置をとると同時に、交通規制についてもある程度配慮をすべきだという要請権があった。こういうときは政令都市の首長というのは大体都道府県知事と並んで書くのです。これが普通なんです。ですから私はそういう意味で、すべての市町村長の意見を聞くように都道府県知事配慮しなければいかぬが、特に政令都市の首長については都道府県知事と同格に法律の中にうたったらどうか。そうでなければこの地方自治住民の意向を尊重するという形が出てこないじゃないか、また従来の法律からいってもおかしいじゃないか、こう言っているわけです。
  119. 田中角榮

    田中国務大臣 政令指定都市は御承知のとおり一つの権限を持つ都市でございますが、しかし地方公共団体であることは間違いありません。そういう意味で、政令都市でなくとも都道府県知事は市町村の意見を徴します。反映をさせます。ですから、もちろんそれよりも大きな権能を持つ政令指定都市の長の意見を聞かないなどということはあり得るはずはないわけであります。ですから現在の法律に付記して明定する必要はない、こう申し上げているのです。
  120. 小山省二

    ○小山政府委員 御質問の趣旨につきましては私もよく理解できるような感じがいたすわけであります。しかしながら、従来都道府県知事意見を徴します場合においては、必ず都道府県知事は市町村の意見を聞いた上答申をする慣例になっております。したがいまして今回も特に政令市を加えませんでも、ただいま大臣から御答弁のありましたとおり、必ず関係市町村の意見を十分聞いた上答申をするようにいたしたい、かように考えております。
  121. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いろいろな御答弁ありましたけれども、私は少なくとも住民の意向を尊重するという場合に、法律になくて単に都道府県知事が市町村長の意見を聞くという運営の上で処理するのではなしに、少なくともこのパイプラインが通ります横浜、川崎等の指定都市については、やはり法律上明記することが正しい、こういう意見を最後に申し上げまして質問を終わっておきたいと思います。
  122. 鴨田宗一

    鴨田委員長 内藤良平君。
  123. 内藤良平

    ○内藤委員 時間があまりありませんから、私は、これは三省、四省にわたる問題ですけれども、石油関係はやはり田中通産大臣が一番詳しいのではないかと思います。やはり主務大臣中の主務大臣というぐあいに見てお尋ねするわけです。  その前に、午前中、大臣お見えになりませんでしたが、例のジュリアナ号の場合ですね。タンカーが大事故になりまして、大臣からも本会議で答弁いただきました。あれはやはり予測しない事故でございました。石油の海面上の散布といいますか、たいへんな量になりましていろいろ問題になりました。そのとき大臣は、今後はこういうことの起こらぬように、起きた場合でも万全の措置をとる、こういうことを石油関係の担当大臣という立場お話がありました。あれは中和剤の問題等あわてふためいたもんですから、そういうことをふだんから——万一の場合だけれども、万に一の場合でもあった場合には、出た場合にオイルフェンスでもあるいは中和剤でも、その他の問題を準備しなければならぬ、万全の措置をとりたい、こういう御答弁でございました。私やはりそういう時代になったと思うのです、たいへんな石油の量でございますから。今後どんどんふえる。したがいまして、石油輸送なりあるいは政策なりからんでは、やはり公害といいますか、住民に対する被害という問題では、もう当初から万一の場合があり得るのだ、こういう考え方が必要ではないか、こう思っておるわけでありますけれども、その点につきまして、大臣の御所見をまず第一に伺いたい。
  124. 田中角榮

    田中国務大臣 石油でございますから、この法律制定の過程で通産省専管という議論が出てきたわけであります。ガスと同じにということでありましたが、そうばかりいえない。あなたがいま指摘したように、鉄道の下を使うということになればやはり鉄道がいいんだ、道路の下も使えば建設省がやはりいいんだ、消防に関しては、何だかんだ言っても消防庁が一番よろしい、そういうために組織があり、法律があり、訓練をやっているんだから、そういう専門家の手にゆだねるべきである、そのために共管もやむを得ない、私はこういう結論を出したわけであります。  ですからそういう意味で、新しい科学が発達してまいりますれば技術は必ず発達してまいりますが、しかしやはりあとあとということになりますので、公害は避けがたい問題であります。ですから、東京湾で五十万トンタンカーが一つひっくり返れば、東京湾じゅうが火になるということでありますから、これは五十万トンタンカーを入れるはずはございません。また、一応水深四十メールとすれば、五十万トンのものはもちろん浦賀水道に入ってこないということでありますが、いずれにしても、昭和六十年に最低七億キロリットル近い石油を搬入し、それを処理していくという実態。そこで、タンクローリーで運べば非常に災害が多い。タンクローリーで運ぶとしても、交通労働者が確保できないとすれば、やはり最善の策を考えなければならない。それが百年の歴史を持つパイプラインである。パイプラインに対しては、地質やいろいろな条件が違いますから、北極圏のアラスカのように非常に寒冷地帯でもってパイプが破裂したり、いろいろなことがあります。しかし、そういうものに対しては、新しい技術で破裂をしないパイプが現に開発をされております。そういう最新の技術を駆使をして万全なパイプラインの敷設を行なう。あとは、やはりあなたがいま御指摘になったオイルフェンスとか、そういう非常な場合に備えての必要な薬剤等の備蓄——アメリカから飛行機で運ぶというのは、実際において醜態でございました。こんな状態なのかと私自身もびっくりしたわけでございますが、そういうものをちゃんと間隔をきめて、都市部分に対しては災害に対応できるような、消防庁にだけまかしておくというのではなく、日本技術水準、科学水準が納得するような、防災というものに対する設備を行なうというような万全な対策をとることによって、この制度を完成してまいりたい、こう考えております。
  125. 内藤良平

    ○内藤委員 そこで、この法案を見ますと、施設についての保安の確保のため保安規程を事業者が定めて、それを主務大臣認可を得る、こうなっていますね。これは通産大臣になるんじゃありませんか。そういう理解で……。
  126. 田中角榮

    田中国務大臣 これは消防を含めた共管大臣がすべてでございまして、しかも、これはつくらなければならない。また、この規程に対しては認可を行なう。不備があれば改善命令を出す、改善命令に応じない場合には、事業の一部停止もしくは事業の停止を行なう、こうなっております。
  127. 内藤良平

    ○内藤委員 その点、私も法案を見てわかっていますけれども、これは施設についての保安のあれでして、このパイプを敷設されます土地に住んでおります住民の側から見ますところの保安というものは、これはどの場所考えておるのでしょうか。パイプ構造なり何なりで、施設については、ものをつくることについては、保安ということが、たぶん何メートルでハルブをやるとか、あるいは厚くするとか柔軟にするとか、いろいろありましょう。ただ、そのバイプが通ることによって、人口密集地に石油なりあるいはそれ以上の引火点の低いものが散布された場合、万一の場合の住民に対する保安の基準といいますか、そういうものは国では持たないんですか。持つんですか。
  128. 田中角榮

    田中国務大臣 これは家庭用に送っておるガスもそうでありますし、工場に送っておる高圧ガスもそうでありますし、民家の近くにある原子力発電所の問題もそうでありますし、排水基準の問題もしかりでありますが、これは技術的に万全な体制、万全な基準をつくる、その万全な基準の上になお余分の安全度を定めるということであります。しかし、地震が起こる、落雷によって事故が起こるということは、人生においては避けられない問題でございます。そういう場合にどうするか。これは当然、いま無過失なものに対しても補償がちゃんと行なわれるような制度をつくっておりますし、もう社会的にも制度的にも、裁判もございますし、裁判を待たなくとも、また一審でもって原因がさだかになっておらず、判例を求めるまでもなく、阿賀野川の水銀事件に対してはちゃんと補償を行なう、こういうことになっておりますから、それは世界的に見て、百四十の国の中で最高の部類の制度はできておるということで、この法律にどうするということまでは書けないというものだと思います。
  129. 内藤良平

    ○内藤委員 ところが、それが問題なんですね。これは東大の教授で奥村敏恵さんという方が昨年の十月書いたものがあります。「パイプラインの安全性について」。ここで私は、住民立場からいいますと、パイプラインで万一の場合でも、石油なりあるいは何か引火点の低い燃料が都会地なり住宅周辺にどっとあふれることが絶対ないようにということが住民の希望であるわけです。ところが、大臣のお答えは、万一の場合はしょうがないんだ、出た場合は損害賠償か何かでやるんだということになると、若干問題がある。そこで、万一あるということを考えなくてはならぬじゃないか。それを私言いたいのですよ。——待ってください。あまり時間がないから、私のほうも言うだけ言わしてもらって……。そして、ジュリアナ号の場合を例にとったのは、ああいう場合はめったにないけれども、出た場合はたいへんな災害が起きる。今度はタンクローリーとの比較論が出ますけれども、タンクローリーも非常に事故が大きい。パイプラインの場合でも、圧力のかかったある一定の大きさの量ですから、やはり災害時には相当な量が放出されるというぐあいに考えなくてはならぬ。それじゃ中間の、一メートル単位にバルブをつける、これはできませんね、経済的な問題で。いろいろ問題があると思います。だから、その点はやはり万一の場合を考えて、最善策ではないけれども、できるだけあぶない、人家の密集地とかいろいろ災害が多いところは避けて通ろうというのが、一つの方法じゃないかと思うわけです。  そこで、午前中もちょっと言ったわけですけれども、さっき山口先生からもお話がありましたが、消防関係で、わが国内でもこれは現在鉄道から何十メートルとかあるいは道路から何十メートルというものがある。あるいは審議会の答申になっておる。私は、午前中も例としてスイスのパイプラインの規制を申し上げました。大臣も博学な方ですからおわかりだと思います。これをちょっと読み上げてみますけれども、全然無人の構造物の場合でも二メートル離れなくてはならぬ。それから樹木とか埋設電気施設でも三メートル離れろ。二階建て以下の個人住宅、商店、平家建ての工場建物は二十メートル離れろ。三階以上の個人住宅、商店、数階建ての工場、小さい駅、発電所、変電所、病院付属技術設備等は五十メートル離れろ。運動場、市場、荷揚げ場、駅待合い等の野天で公衆が集まる場所は五十メートル離れろ。数階建てのビル、学校、兵舎、大食堂、集会所(教会、劇場)デパート、大きい駅、競技場などは百メートル離れろ。こうなると、団地などは集合住宅ですから、これに入ると思います。病院、養護施設、こういう移動困難者の建物は百五十メートル離れろ。鉄道や幹線道路と並行する場合は、レールあるいは車線の外端から二十メートル離れろ。これはスイスの例ですが、おわかりになっておると思います。ただこういうもので、パイプラインの今度の計画でいきますと、これはとてもやっていかれないというぐあいに大臣は簡単に言うかもしれません。タンクローリーよりはいいんだ、あるいはこれもどんどんふえる石油関係から見るならば、どうしても輸送パイプラインでなくちゃならぬ、こういうぐあいにお考えと思います。ところが、いまのようなことで、大臣、やはり人間が住んでおる地帯は、万一の場合を考えると、この程度のことは余裕を見なくちゃならぬ、こういうぐあいにお考えでしょうか。これを大臣に聞いておきたいと思います。
  130. 田中角榮

    田中国務大臣 非常によくわかるのです。よくわかりますが、そういういまのスイスのような状態でやれないということで、距離の考え方も違ってくるのです。それは人家から離して——人間を焼く火葬場は何百メートル離さなければならないということでありますから、公害が出たり、あぶないものは、全部公衆が多数住居したり集まるような場所から離せというのが、これはいままでの法制もそうであります。明治、大正時代法制はみなそうであります。しかし、それは平面的なことを基準としておるわけでございまして、これに立体的な観点を導入していくと何もそのようなものではなく、その数字意味する目的を達成するためにはその何分の一になるわけであります。ですから、騒音で、地上でないから地下へ入れなさい、都市の中は高速鉄道も地下に入れろということでありますから、それが地下に入ることによって平面的な距離はぐっと数字上縮まるわけであります。ですから、いまのパイプライン法による地表から何メートルマイナスという面が技術的にもっと安全度を多くするために深くしなさいという議論は、確かにあるはずであります。それは専門分野の問題でありますから、専門的に計算をして、それを倍とる。世界で一・六倍のものを、日本地震国であるから二倍にしなさいということは、これは安全度をそれだけ見ておるわけであります。  もう一つは、パイプやその他接合部分のバルブ関係も、いまあなたが御指摘になったように、一メートルおきにバルブをつけるわけにいかぬから、それは何メートルおきに置かなければいかぬとか、何百メートルおきに置かなければいかぬ。そうするとまた監視員を何キロに一人ずつ必ずつけて災害防除につとめるとか、それでもなお起こった場合にはオイルフェンス、中和剤等の備蓄を行なっていくというような、やはり人間が考えられる最高のもの、それは経済ベースということが条件でございますから、そういう意味で、経済ベースというものを考えながら、しかしあくまでも人間の生命、財産の安全ということを基準としてこの法律は立案をされております。ですから、そういう意味では、これは万に一つもないということは神ならぬ身の申し上げられないことであります。申し上げられないことでありますが、これは都市の中を通っておる高圧電線の類にひとしいものであります。高圧電線というものを通さないでは、これはもう電力の供給はできない。電力料金は倍になるわけでありますから、おのずからその際限があるわけでございますから、この際限内一ぱいの安全度を確保するということが、人類がなす仕事の限度だろう、このように考えております。
  131. 内藤良平

    ○内藤委員 だから大臣、それはやはり明晰な大臣にしては少し大ざっぱだと思うのです。それで、ぼくらの資料では、千葉の例の空港公団のあれは二・五キロメートルごとにバルブをやるんだ、こういうぐあいに聞いております。そこで、何か故障があってバルブを締めるわけですね。それには、開始してから終わるまで約九十秒かかるというわけです。九十秒間内に相当な圧力がかかっているわけですから、相当な地域が油で汚染するということも考えなくちゃならぬと思うのですね。だからこれは高圧とは違うのです。高圧電線は、あれは通報があって、スイッチを入れるとすぐ消えるわけですから。ところが、この関係はさらに検知——漏れた場合の検知ですね、これは三十秒の間に三十リットル以下の漏れが出る場合は、現在の成田の検知所でそういう事故の場合に検知ができないということをぼくらは知っておるわけです。だから、そうなりますと、これは高圧の電線の場合はあるいは瞬間的にと言ってもいいことですけれども、どうも油の場合は、やはり事故が発生してそれを承知して、バルブを締めて——これはわかっておるから聞くのであります。うまくそれが連絡がつけばいいですがへ場合によっては簡単に連絡がつかない場合は大きな被害が起こる。それから外国の例だけれども、アメリカなどでは年間四百件ぐらいの事故が——これは地下と地上の関係もあるでしょうけれども、相当事故考えなくちゃならない。だから、私は高圧の場合なりあるいはタンクローリーの場合とか、そういうものとはなかなか同じに考えて——比較論です。大臣のおっしゃるのは比較論で、これよりはこっちのほうがいい。トラック、いわゆるタンクローリーで運ぶよりもこっちのほうがいいじゃないか、こういうぐあいにこっちがいいというぐあいになっておるのだけれども、ただここまでくると、国民の場合、絶対油害にあいたくない、あるいは沿岸爆発の危険にあいたくない、そういう見地が今度の法案の中ではなかなかうかがい知れないのじゃないか。これをどういうぐあいにこの法案なり省令の中で——今度施設者、事業をやる方は、住民の影響を考えた上でこういうぐあいにやるのだ、万一の場合もこうやりなさい。私はさっきスイスの例を申し上げたが、こういうものも取り上げて、避けていくように、万一の場合は被害を最小限度に押えよう、そういう配慮を今度の法案なりあるいはその後の省令なり政令なりで考えておるのかどうか。この点をひとつお聞きしておきたい。
  132. 田中角榮

    田中国務大臣 これはヨーロッパでは四年間で二十二件という事故があったという報告でございます。これは欧米は大体百年間のパイプライン歴史がありますから、埋設管の腐食その他によって起こった事故が多いわけでございますが、そういう歴史に徴して、まず材質を非常によくする、安全施設を非常に多くする、パトロールも行なう、それから安全基準も非常にきびしいものにする、そういうことでやっておるわけであります。ですから私は、この法律案というものをつくる過程において、これからなさなければならないものは、やはり各省、これだけの主務大臣がおるのでありますから、英知を傾けて、万全の上にも万全ということをやらないとこれはたいへんなことになります。これは、いま鉄道から離せということをいわれておりますし、私もその必要は認めておりますが、しかしこのパイプラインが鉄道や道路の下を使おう、そうしなければパイプラインの敷設ができないということで、これに関連した主務大臣というよけいなものができたわけであります。将来は本四連絡架橋に高圧送電線や水のパイプや重油パイプが抱かせられないというばかなことがあるはずはありません。そんなことを考えておったら全くナンセンスだと思います。そうすると、先ほど申し上げましたように、全く道路構造物と一緒になって働くということになるわけでございますから、それまでにはもっともっと安全基準というものをきびしくしなければならない問題だと思うのです。いま、だから私がこのパイプライン考えられるものは、先ほどの平面的な距離を、地下の深さを幾ばくかでも増大をすることによって安全度は倍化も三倍化もするわけであります。そういう意味で私がこの法律案をつくる過程において検討した段階においては、世界においては、この種のものの最高レベルということ、それは地震国であり、過密な日本としては当然なことであるというふうに考えておるわけでございます。
  133. 内藤良平

    ○内藤委員 だから大臣、これは連合ですから結論めいたことは言いませんけれども、やはり住民サイドから心配のないような、そういう基準なり保安基準がなければ、おそらくさっき山口先生のお話のように、土地の問題でもトラブルが起こってしまう。心配がないというようなことで、こういうぐあいにやるという何かの基準があった場合は土地問題も案外平易にいくかもしれない、こういう関係で、スイスの例なども非常にアローアンスを持っておる。こういうものは必要じゃないか、こういうぐあいに思うわけであります。  それから時間もありませんけれども、やはり石油関係の大家の田中大臣にお聞きしたいのは、東京湾からスタートしているわけですね、このパイプラインの今日の計画が。ところが、私たち運輸委員会等におきましては、歴代の運輸大臣はもう東京湾に大型のタンカーは、これは入れることは無理じゃないか。そこで外洋から、シーバースでもつくって、それから——もうパイプライン時代じゃないか。大型船が東京湾に入らないということですね。そういうぐらいに、いろいろこれは、まあさっきのジュリアナ号の問題等も含めて、大型タンカーの災害考えているわけですね。ところが、今度のやつ、東京湾から全部、千葉、横浜ですね。これを今度かかろうというわけでございましょう。そうしますと、私は、いままでのメーカーの精製機関のあるところという考え方もあるでしょうけれども、やはり将来、これは一たんつくった場合は相当な長期間の問題でありましょうから、私はやはりこの過密の東京湾、こういうところがらスタートしないで——いま、この関東の北部でございましょう、あるいは内陸に入っていくわけでございます。ここよりほかにないものかどうか。まあ意見がましいですけれども、申し上げるならば、太平洋岸の茨城なり外洋方面からスタートをして、そうして、できるだけ大都会あるいは人口の稠密なところを避けて、そうしてこれをスイスのようなやり方をしながらいった場合には、私はやはりこのパイプラインというものが実現できるんじゃないか。私は、パイプラインそのものは否定していないです、輸送関係運輸関係ですから。今日の事情を見ますと、輸送関係から見ると、これは比較的よい方法です。また、こうならなくちゃならぬと思うわけであります。ただ、そういうことで住民の皆さんが非常に心配する。反対する。それはやはり大都会の密集した中を通っていく、そこに問題があるわけです。その発端というのは、この東京湾のメーカーの諸君のおるところがらスタートをしておる。もう少し申し上げますと、やはり原油が入ってまいります。精製されて石油になったものが、ガソリンのようなものが国内でも船で運んでおります、日本海側等は。そういうぐあいに考えますと、これは必ずしも東京湾内からスタートしなくとも、あるいは比較的人口の多くない方面の海岸に新たな施設をしまして、それからスタートをしていって、そうして内陸方面に入っていく。やはりそういう点も私は考えるべきじゃないかと思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
  134. 田中角榮

    田中国務大臣 この関東パイプラインのほんとうの基本的な点を御指摘になったわけでありまして、私もそれは考えたんです。これはほんとうなら、私の案では、北浦に三十メートルないし四十メートルの掘り込みで石油基地をつくるべきである、そうして外周にパイプラインを敷設をして、それから自然流下で消費地へ持ってくるのが一番望ましい、これは発想の転換であります。いままでは、みんなそうですが、これをやるとすれば、国がやらなければいかぬ。これは備蓄をやると同じように、膨大もない資金がかかります。言うなれば、先行投資であります。だからいまでも、この都市の中の、環状線もそうでありますが、何で一体五反田や目黒から国会の前まで来まして、逆に新宿に行かなければならぬのか。だから、もう朝や夕方はこの環状線は全く麻痺するわけでございます。また、鉄道の山手線、環状線もそのとおりでございます。いまになってようやく小金井線の建設をしている。これは自然発生で、どうしても効率的投資ということと、まず背に腹はかえられないというほど切迫しておるということで、目先の仕事から手をつける。また、目先の仕事から手をつけるということは、投資の意味からいうと効率投資になるわけであります。経済的にペイする、こういうことであります。ですから、計画的に考えれば、当然あなたや私が考えたように、外周からなすべきであります。もうとにかく環状線で困っており、この高速道路でもって全く麻痺をしておるので、パイプラインでもって、もっと大型投資をすべきものだという考えはまあそのとおりでございますが、遺憾ながら、関東全体の六十年の展望の青写真もまださだかにかいてない。しかし、石油は現に東京都内や神奈川や千葉は、もうタンクローリーでは送れないという現実。ですから、逆なようでありますが、いままでのアイデアをそのまま踏襲をしまして、そしてまあ緊急やむを得ざる応急処置をやろう。そして六十年展望になれば、いまあなたが述べられたような、外周から石油が今度つくるパイプラインに逆に流される。ですから、前橋でもって連結をしよう、こういうことになっておるわけであります。  ですからそういう意味では、先行投資をすればいいにもかかわらず、またびほう策をやるのかと言われればそうかもわかりませんが、経済的な原則が働いておるということが一つあることを御理解いただきたい。  これは、私自身もあなたと同じようにそういう案をつくって、こうすべきであるという考えを持っていますが、それは少なくとも十年という歳月にはそういう理想的な姿、逆に押し上げるのではなく、逆に外周から押し下げられてくるという自然の状態が描かれる、こう思っております。
  135. 内藤良平

    ○内藤委員 もう三分ぐらいあるのです。  これは大臣、やはり輸送関係は、いろいろな陸上輸送の問題でもいろいろ混乱しておる。これが現実の問題ですが、毎日動いておるのですから、これを一挙に大改革はなかなかできないことは明らかです。スクラップ・アンド・ビルドなんというのはなかなかできないでしょう。そこで、いまのお話のようにとりあえずのこと。石油は毎日必要だ、まあこういうことでしょう。石油の一滴は血の一滴、こんなようなことでなっておると思います。しかしやはり問題は、住民の皆さんが、市民の皆さんが、やはり自分たちの生活を守りたい。最近の公害問題で、やはりこの公害というものを非常に神経質になっておる。当然であります。そういう中でまた、あぶない、万一の場合に非常にあぶないパイプラインが近所を通る、あるいは下を通る、こういうことでしょう。だから、この点はやはり、拙速というお話もありましたけれども、もう少しそういう面を、住民立場をこの法案の中で取り上げて、いろいろその基準を考えなければ、この法案というものをつくっても、最後はやはりそれじゃ、大臣さっき言いましたけれども、何かあった場合は補償すればいいのじゃないか、世界一の補償をしよう、こういうぐあいになった。それこそ事業立場だけで終わると思うわけであります。それではなかなか通らない。それでは反対せざるを得ない。こういうようなぐあいに私は、ちょっと意見がましくなりましたけれども、そういう点を十分に考えていただかなければならぬじゃないか。最後に申し上げまして……。
  136. 田中角榮

    田中国務大臣 最も重要な問題でありますから、一言申し上げておきますが、少なくとも公害を起こさない、絶対に起こさない、被害は起こさないために、技術的に科学的に万全の体制をとる。それは世界の最高水準であるということが住民に理解できるようにいたします。  同時に、生活上必要である都市内における膨大もないタンク、ガスタンクがあります。しかも危険物貯蔵庫は至るところにございます。こういうものの危険性も除去するために万全の施策を行なわなければならぬと思います。しかし、これらよりもはるかに安全度は完ぺきでございますということを数字の上でちゃんと証明できて、どんな大学の先生でも、これならしようがないというような状態にすることによって住民の理解を得る、こういうふうに基本的な姿勢を持っておりますから、この際明らかにいたしておきます。
  137. 内藤良平

    ○内藤委員 どうも大臣から挑戦されるような気がしまして……。  それで、東大の奥村さんはこういうことを言っているのですよ。「技術は現象の定量化できる部分にのみ着目する。実際の事故は定量化できない要因から起る」、こういうことを言っているのですよ。だから、大臣、万全の措置云々と言いましても、これは世界最高をやりたいと言っていますけれども、これは比較論でありまして、住民立場からいいますと、パイプラインなんか要らない。これは妙な話です。石油はほしいけれどもパイプラインは要らぬというようなことになるとおかしいじゃないかということになるかもしれませんが、やはりこの、いままでにない、国内で初めてのパイプラインでございますから、いままでのガスタンクがあるからあぶない。これは十分にやってない。だから比較論なんです、大臣は。私はやはり絶対的な立場からやってもらいたい。そのぐらいな決意がなくちゃ、住民の諸君は納得しないのじゃないか、こういうぐあいに申し上げておるわけであります。  以上で終わります。
  138. 鴨田宗一

    鴨田委員長 小濱新次君。
  139. 小濱新次

    ○小濱委員 私は主として田中通産大臣にお尋ねしていきたいと思う。  まず最初にお尋ねしたいことは、このパイプライン事業法は「公共的な性格を有する事業として適正に運営される必要がある」——公共的ということが書いてある。この公共的な性格について大臣のお考えを聞いておきたい、こう思います。
  140. 田中角榮

    田中国務大臣 現在日本の総消費エネルギーの六八%は石油であります。六十年になりますとこれが七〇%になる。七〇%になるときのあとの三〇%のうちに、原子力が一〇%含まれておる。そうすると、原子力と石油だけで八〇%ということになりますと、国民生活というもの、日本人が生きていくために不可欠なものであり、水ほどではありませんが、水、電気、ガス石油、こういうふうにランクされるものでございますので、これは公共的性格を持つということは、この数字で明らかでございます。
  141. 小濱新次

    ○小濱委員 水とかガスとかいろいろいまお話がございましたように、網の目のように地域住民供給されている、そういう問題の公共性はわかる気はするわけですね。ところが今回のパイプライン事業法の内容を見まして、たとえば横浜から出発いたしまして、それから八王子と大宮に、供給個所が二カ所だけできることになっています。一般住民に与える利益というものを考えたときに、はたしてこれが公共性であろうかどうか、こういうことで私も少し疑問を持つわけでございます。この点についてもう一度……。
  142. 田中角榮

    田中国務大臣 それは先ほども御指摘がございましたが、東京と神奈川、千葉と、首都圏の外周から始めてきて、自然流下方式をとったほうが理想的であるが、それは経済的にペイしないということで今日の案が出たわけでございます。しかし、これは将来つながれるし、もっと合理的なものに発展していくべきだと思います。いま石油というものはあるところまで、元受けまで持っていきまして、そこで貯油しておいて、それから小型なものでもって送るわけであります。そういう意味では大型タンクローリーというもので道路をこわし——荷重制限をオーバーするような車が通るし、それから高架的な高速道路、いま三十トン制限でございますが、夜は五十トンの鉄材を積んで通っているんじゃないかということで危険な状態でございます。そういうような危険な状態から考えてみても、タンクローリーでは運べないという問題があるのです。非常に危険である。これが十トン車が十五トン、三十トンになっていくのと同じことで、LPガスもその通りでありますが、危険物が町をうようよしているわけであります。そういうことを考えると、やはり何よりも安全性のあるパイプライン、こういうことで、経済性だけではなく、あわせて安全性ということを考えますと、どうしてもパイプラインを敷くのが焦眉の問題である、こういうのがこの法律案を提案したまず最初のきっかけでございます。
  143. 小濱新次

    ○小濱委員 通産大臣ですから少し端的にお尋ねしたいのですけれども、今度のパイプライン輸送によって輸送費が低廉になる。これは二割ないし三割という、この前に当時の橋本運輸大臣ですか、話がございました。今度のこの問題の性格からして、公共性よりもむしろ企業のための経済性優先という、こういうパイプラインとなる感じがないでもないわけです。これは通産大臣でございますので、この点についてお答え願いたい。
  144. 田中角榮

    田中国務大臣 もちろん経済性はございます。経済性があるからでございますが、経済性の中にはただ輸送費が安いということだけではないわけであります。これは事故が起きた場合にこの補償費、これはまた金銭だけでは償えない大きな負担というものがあります。そういうものが一番これからの都市内における産業としては問題でございます。公害等災害が起こった場合、事故が起こった場合の負担、こういうものはたえがたいものである、しかもますます大型化していくということであって、これは率直に申し上げますと、通産省的な考え方から言うと、通産省的に合理化をする過程において、厚生大臣や環境庁長官考えておるものも付加されて一石二鳥、こういうことを考えておるわけであります。
  145. 小濱新次

    ○小濱委員 私はきょうは時間の制約を受けておりますので非常に短い時間でございますが、端的にお伺いしていきたいと思います。  それで、先ほども山口委員お話にもございましたけれども、土地収用法の適用を今度は取り入れたわけですね。これが土地収用法を取り入れるだけの公共性がはたしてあるであろうかどうであろうか、いまの大臣の意見を聞いてよくわかりますけれども、なおわれわれは疑問視しているわけです。そこで、この法案はあまりにも私権を制限した法案になるのではないのか。いままでの土地収用法のいきさつを見ましてそういう感じもしないではないわけですが、その点についてひとつ……。
  146. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほど申し上げましたように、すでに二億二千万キロリットル使っておりますし、これが五十年には三億キロリットル、六十年.には七億キロリットルをオーバーする、しかも国民総エネルギーの七〇%を占める。こういうものでありますから、水、ガス、電気、その次は石油、こういうことを私は申したわけであります。なかったらたいへんである。ことに都市はまきや石炭をたくわけにはまいりませんから、これはどうしてもやはり石油ということになるわけでありまして、これは国民生活に密着したものである。そういう意味で、ガスや電気や水道に次ぐものとしてのこれは公共性というもので、それに合わせてこの法律案ができて、しかもガス、電気よりはるかに都市内における公害の予防というものに対しては非常な完ぺきな方途であると考えております。こういうことであります。
  147. 小濱新次

    ○小濱委員 安全性について少しお尋ねをしていきたいと思います。  先ほどいみじくも田中通産大臣は、人間にはなし得る限度があるというような話もなさいました。それから万一の場合もこれはないとはいえない、否定していなかったようであります。私もそう思います。そこでその瞬間的なたとえば波の力をどうやってはかるのかというようなことで、これはいろいろ聞いたこともございましたけれどもはかる方法がない、こういうことで、何か万一の場合を想定せざるを得ないと思うのですね。  そこでお尋ねしていきたいことは、この技術という点と保安規程という問題、これで安全を期しているわけでございますけれども、技術的な問題だけで外部からの影響、いろいろな地震だとか、先ほども話がございましたけれども、振動だとかそれからその他外部からのあつれき等もあるでしょうけれども、そういう問題、影響によっていろいろとまた被害想定が起こってくるわけですけれども、この点についてはどうでしょうか、自信がございましょうか。
  148. 田中角榮

    田中国務大臣 それは先ほども申し上げましたが、たんぼの中を通るというよりも鉄道の下を通るということになれば、地震それから土質の問題よりも、不慮の事故が起こって鉄道が脱線をした場合とか衝突をした場合一体どういうような状況になるのかという問題がありますから、だから二キロ半おきにバルブをつけておくといっても、道路の下を通るというような場合、交差点の下に埋設をしなければならないというような場合は、これはもうその部分だけを地下から深めるということによっても、サイホンのような状態でもって安全性を確保するとか、そういう問題に対しては、これはもう技術上厳密な設計を必要といたします。私は先ほどから述べましたように、確かにガスとか電気とか、いろいろなものがございますが、そういうものの都市内におけるものよりも、これは経験がありますから、諸外国における非常な経験もあるし、事故経験もあります。日本地震国である。非常に過密である。そういう意味で、将来都市の立体化が行なわれた場合も、これにたえ得るようなものということで、技術的にはほぼ完ぺきに近い施設が可能である。またそういうことを要求しなければならない。このように考えております。
  149. 小濱新次

    ○小濱委員 安全性について先ほども横浜の話も出ておりましたし、東京湾の話も出ておりましたけれども、今度のこの安善駅あるいは新興駅に集油所ができるわけです。二つを合わせたものが子安の送油所から送られるという形になってきます。その地域が、今度はどこからあの油が集油されてくるかということになりますと、川崎から横浜一帯、まあ大小合わせて五千ないし六千のタンクがあるといわれておりますけれども、ものすごい油を使用している地域になりますね。ですから、この必要性は私ども認めるわけですけれども、この横浜港のあのいまの船の出入りですね。トン数もそれから隻数も、いま日本一になっているわけです。この港湾区域、航路区域をまともにパイプが、日石根岸から入ってくることになるわけです。非常に危険が伴うわけですね。それから川崎方面から来るとすれば、これは陸上へまた埋設されていくであろうと思うのですけれども、先ほども話が出ておりましたように、産業道路がございまして、いまはもう搭載量三倍、四倍くらいの過重トラックが走って歩いておる。そういう地域でございますので、非常に危険が伴うわけです。しかもその二つの集油所から今度は子安の送油所に送られてまいりまして、そこから、この埋設された管は橋を渡り、あるいはまた旧国道一号線の下をくぐり、あるいは東海道線の下をくぐって、そうして今度はあの周辺の密集地帯を横浜線に沿って、八王子から大宮へ抜けていくわけです。私どもは現地の様子をよく知っておる立場からこれを検討してみましても、非常に危険性が伴うような、万一の場合、何か事あったときの被害想定をわれわれとしては非常に大きく見るわけでございます。そういう点で、私は多少あのコースを選んだことについては無謀なようにも考えられるわけですがね。何かほかに方法がなかったのか。あの地域をなぜ選んだのであろうか。またこのことについて、主務大臣として認可をされる考え方があるかどうか。
  150. 田中角榮

    田中国務大臣 いまの横浜、川崎からの問題は、これはもう昔、いまの鉄道、南武線の敷地がございますので、そういうものを通ることが最も望ましい、こういうことでございました。いまあなたが言われるように、確かに非常に過密な地帯である。大体あそこにあのような工場が密集し過ぎたのは、確かに聞いてみれば、調べてみれば、経済原則上からいうとやむを得ないことです。鉄板を製造する工場の隣には自動車会社があるのですから、これはもうコンベヤーでやれば、製造と第二次製品の製造は直結しているわけですから、コスト的には最もいいわけでございますが、しかしそれだけに、電気を使うことも、水を使うことも、石炭を使うことも、また石油を使うことも、一番集中しておる。ですから、あそこから工場を追い出さない限り、稼働を認めておる限り、これに対しては供給をせざるを得ないわけです。供給をしておるのは、いま御指摘がありましたようにタンクローリーでもって供給しておる。ですからあそこは一切工場というものの増築を禁止をする。そうして石油の消費もいまの量に押える。そう考えて仮定をしてみても、いまのタンクローリーよりもよき方法はないかということになると、パイプラインは、これは技術的に可能であります。確かに東海道線の下をくぐったり、新幹線の下をくぐったりたいへんでありますが、それは地下五十メートル下を将来掘らなければならないという地下埋設のものを考えれば、これは技術的には可能であります。ただ深くなるほど建設費はかかりますから、必ずしもペイするかどうかという問題はございますが、安全性の確保は技術的に可能であります。地下五十メートルということになれば、一切のものは解決できる。ですから一つの案として、私権は地下五十メートル以上には及ばないということで、私権制限をしてはどうかという案が現に公表されておるわけでございますから、危険物は民家から幾ら離せという距離と、何分の一かは地下に戻せということによって片づくわけであります。しかしそれは業者がやることでありますから、幾らやっても、いまのタンクローリーよりももっと経費がかかれば、これは当然事業としてはペイしません。しかしこれはどうしても、タンクローリーが災害が起こってどうにもならないということになれば、国でもなさなければならないほど石油は国民生活に密着している。こういう調和の状態において、今度のパイプライン法をお願いしているわけでありますが、技術的には完ぺきに近いということを申し上げておるわけでありまして、皆さんがここで、御審議の過程においていろいろ御意見を出されれば、原案にまた付加していろいろなものを考えていくわけでございますが、これは必要上やむを得ない。タンクローリーの何十分の一か、何百分の一に減らさなければいかぬ。その何百分の一という危険度もゼロにしなければいかぬ、こういう考えで取り組んでおるわけでございますので、そのような事情をひとつ御了解賜わりたいと思います。
  151. 小濱新次

    ○小濱委員 よくわかりますが、御存じのように横浜線の沿道には厚木飛行場がございます。それからその先には横田の飛行場がございます。ここに横浜から油は供給されているわけですね。今回のこの国鉄計画を見まして、安善と新興駅に二つできて、集まったものが今度は子安から送られていく。どこへ今度は供給するのかというと、八王子まで行ってしまうわけです。子安から八王子まで中間には何の供給個所というようなものもないわけですね、非常に長い距離に。そのそばには厚木もございますし、この計画でいいのかどうか。これは何かまた計画を練り直す必要もあるのではないかというような考え方が、距離が長いために起こってくるわけですが、その点についてのお考えはいかがでございますか。
  152. 田中角榮

    田中国務大臣 もちろんこの法律が成立をすれば、それによって具体的な申請を行ない、許可する過程において、いまあなたがお述べになられたようないろいろな問題が調査をされ、勘案をされるわけでございます。いまこれを計画しておる国鉄でも、国鉄の用地だけを全部使わなければならぬということだけではなく、より合理性を持ったパイプライン敷設を考えるということでありますので、これはいま出ておるものは一つの案、一つの結論であることは間違いありません。しかし実行するそのときまで絶えず最善のものを考えるということは、企業者としては当然でありますし、また認可を行なうわれわれ主管省としても、当然それらを勘案しなければならぬわけでございます。そういう意味で、いまどのように変更するのか。変更の案があるのかということにはお答えできませんが、万全を期するという中には、着工する前日まで最善の案を考えるということで御理解いただきたい。
  153. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、地元の関係でよく事情がわかりますものですから、先ほども申し上げましたように、横浜沿線を通らずに多摩川の道路沿いをなぜ利用しなかったのかなという感じを、しろうと考えですが持つわけです。その点については検討されたのかどうか。考え方があったのかどうかお伺いしたいのでございます。
  154. 田中角榮

    田中国務大臣 私も川を使うべきである。今度建設省も変わってくると思いますが、堤防の上は道路にも使ってはならないというのが内務省から一貫した考えでございますが、堤防の上を道路に使わないというのも時代錯誤だなという感じを私は持っておって、建設省事務当局には言っております。私は二十年前の現行道路法の立法者でありますから、そういう意味では、そんなものの考え方で都市の中の道路交通などが確保されるわけがないということを私は非常に強く考えております。またそういう意思も通じておりますし、検討も願っておるわけでありますから、これはやはり都市河川の堤防を使うということは、技術的に当然考えなければならぬ問題でございます。ございますが、今度は南武線沿いの立川を通ってのものは国鉄がやります。運輸省共管大臣となり、国鉄がやろうというのは、国有鉄道が現に所有しておるものの利用ということが一つの大眼目になっております。そういう意味一つパイプライン構想が出たわけでございまして、このパイプラインだけですべてのものがまかなえるとは考えておらないわけでありますから、次に何か計画をするとすれば、これはもう川を使う。荒川でも利根川でもそのとおりであります。河川敷の外小段に抱かせれば、全く問題なく行くわけであります。そういうことを実際において政府がやるとすれば、これは当然検討するわけでありますが、企業が行なうということになると、やはりその角度からものを考える。しかしそこには通産省考え建設省考えが入って悪いということはありませんから、より合理的なもの、将来計画考えながら、これも河川敷や堤防敷というものの利用というようなもの、しかも小段のある堤防などは外小段を使えば簡単に埋設できるわけです。これはもうパイプラインだけではなく、ガスとかマイクロウエーブもそうであります。そういう問題もありますので、それは検討はされておりますが、今度のものは別に計画された、このようにひとつ理解いただきたいと思います。
  155. 小濱新次

    ○小濱委員 最後に山田副総裁にお尋ねをしたいと思いますが、おいでになりましょうか。——今度の横浜線沿線に敷設されていくという作業が将来進められるようになった場合に、御存じのように非常に横浜線の複線化がおくれております。そして分断されていま作業が進められているわけですけれども、この計画に支障がないかどうか、一ぺん伺っておきたいと思いますが、おわかりでしょうか。
  156. 山田滋

    山田説明員 いま横浜線の複線化のお話が出ましたが、いま横浜線は小机まで複線になっておりまして、小机から先、八王子までは単線でございます。これは従来から、あの沿線の人口が非常に増加しまして、私どもも輸送力が不足しているということを痛感しておりまして、すでに複線化につきましては運輸大臣認可をいただきまして、いま着工の準備をいたしております。たまたまこのパイプラインの敷設の話が出ましたので、むしろ工事的には、技術的には並行的にやることが手戻りもなく、また工事も円滑にいく、そのように考えている次第でございます。
  157. 小濱新次

    ○小濱委員 複線の問題については、一そうひとつ御努力を心からお願いして、私の質問を終わります。
  158. 鴨田宗一

    鴨田委員長 久保三郎君。
  159. 久保三郎

    ○久保委員 たくさんの方からお尋ねがあったので、多少重複しますが、大事な点なので、二、三お尋ねをしたいのであります。  まず第一に、この法律案でありますが、主務大臣がたくさんおられまして、その点ではたいへん重要な法案かもしれません。しかし、この主務大臣でありますが、先ほど通産大臣御答弁の中でも、たとえば道路敷、そういうところを使うのは原則だから、当然関係の大臣が多い。これは多いのはいいのでありますが、たとえばいままで大半の御質問は安全性の問題が多いのでありますが、この安全性の問題では二つあると思うんですね。一つ設計段階における安全の基準、それからもう一つは、これを維持管理していく場合の安全の基準、そういうものはおのずから、消防庁の存在を含めて、一筋なわというか、一つの官庁ではいかないかと思うのであります。これはそういう意味主務大臣が四人も、あるいは五人といったほうがいいのかもわかりませんが、あるのであります。しかし、その中でも主として最終的に責任を負う主務大臣はだれであるかをやはりきめておくことが、責任のありかがはっきりすると思うんですね。そうでないと、どうも実際の事務運営上はそれぞれ、たとえばパイプライン基本計画をきめる場合には当然通産大臣が、この法案では、推測すれば、中心におなりになろうかと思うのであります。しかし運輸大臣輸送の問題があるし、そういうものは大体協議の段階で、一応最終的にはやはり通産大臣が責任をお持ちになるならなるという形が当然だと思うんですね。それから設計段階においてはだれがやるかということでありますが、この主務大臣、たとえば考えられるのは建設大臣も設計段階で関係あるでしょう。消防庁もある、つまり自治大臣ですね。それから運輸大臣もある。通産大臣はどうもいままではタンクくらいは経験があるが、パイプラインは初めてじゃなかろうかと思うんですね。そういうことになると、いずれにしても関係あるけれども、じゃだれがここで最終的に責任を負って、これなら心配ありません、関係各省庁とも協議の上かくかく決定いたしました、といって、だれが責任を負うのだろうかというのが、常識的に見てもどうも疑問が多いのであります。これはどういうふうにいたしますか。私は関係する大臣が多いのがいかぬという意味ではありませんよ。主務大臣という書き出し方、たとえば運賃や何かをきめる場合でも二人の大臣がいるわけですね。大体どっちが主導権をとるのだろうか、こういうふうに思うのであります。
  160. 田中角榮

    田中国務大臣 運賃の場合は運輸大臣と経済企画庁長官ということで運営されておりますが、しかし法律上明らかに鉄道運賃は運輸大臣が主管でございます。運用上やられておるということでございます。  今度の法律共管でございますから、この法律どおり道路に関しては建設大臣、国有鉄道その他に対しては運輸大臣——これは農地があるから農林大臣も主管せよということでございましたら、それはもう船頭多くして山に登るというおしかりを受けるから、ここらでどうですかという最終案でございましたが、これはほんとうからいうと、私は通産大臣だから言うんじゃありませんが、石油でございますからパイプライン通産大臣専管でもよかったと思います。これは鉄道を使うから運輸大臣、道路を使うから建設大臣、農地を使うから農林大臣、地方公共団体の地域を通るから自治大臣といえば、これはもう全部かかるわけでございまして、それは協議をすれば足るというわけであったのですが、非常に懸案のものでございましたし、今度ちょうど国有鉄道が二本のうち一つをやる、こういうので、将来国有鉄道というものは、うまく国有鉄道の敷地が地下埋設物で利用されれば、国有鉄道の赤字対策などというものは、これはもう一ペんにきめ手にもなるという感じで、私も国有鉄道増強論者でございますので、運輸大臣もみな入れたほうがいいという、これはある意味では高度の政治的判断でスタートをしたわけでございます。しかしあくまでも技術的な問題としては、道路に対しては建設大臣が一番専門でございますし、鉄道に関しては運輸大臣がやることが望ましい。しかし最終的になると、事故でも起こったらどうなるか、これはもう法律にどう書いてあっても通産大臣の責任ということに私はなると思います。そういう意味各省の英知を集めて、ひとつ法律上の責任論は別にして、やはり石油を送らなければならない。ガスや電気が通産大臣専管であるのと同じように、共管であっても通産省は相当な強い責任を持たなければならぬ。権利を主張することはない、これは輸送の方法であるから権利を主張することはない。しかし責任だけは通産省が持たなければならない。まあ通産省はいろいろなことを——パイプラインはやったことはないだろうがというのですが、パイプをつくっておるのは通産省所管しておるのでありますから、そういうパイプもバルブもみんな通産省がつくっておるのです。そういう意味専門中の専門である、こういうふうに御理解をいただきたい、こう思います。
  161. 久保三郎

    ○久保委員 通産大臣のお答えでは、ぼくのお尋ねすることにぴたっと来ないのであります。ただわかることは、あなたが主張したいのは、いやパイプラインのこの法律に基づくものは一切最終的には通産大臣が責任を持つんだ、こういうことですね。それならそのようにお書きになればいいのです。これは非常に問題の多い法案ですよ。そういう意味で私は特に申し上げているのです。これは建設だとかこれは運輸だということは、私ら国民には関係がないです。だれが責任を持ってくださるかが関係あるのですね。これはそれならそのように法案を修正していくべきだと私は思います。それからそれぞれ、基本計画というものに対しては建設大臣と運輸大臣通産大臣協議してきめるとか、それはそれでいいのですよ。しかしこの法案の文言ではそういうふうにはとれない。何かどこへ行っても並び大名——並び大名はやめましたが、三人か四人並んでいるんですね。実は責任のあり方がはっきりしないということです。きょうは連合審査でございますから、いずれ詰める段階があると思うのですが、いまのお話ではどうも納得しかねるということでございます。ただお話としては通産大臣が責任を持つのだということでございますから、そのように一応承っておきたいと思うのです。  そこで次には、パイプライン計画するわけですね。計画は少なくとも全体の日本における国土開発というか、立地あるいは都市計画とかそういうものと密接不可分の関係にこれは置かなければならぬと思うのですね。道路や鉄道と同じにあるいはそれ以上に、先ほど来たくさんの方から御質問があったように環境保全の問題にもかなり大きな問題がありますが、ともかくこの法案を見てみますというと、基本計画を立てるにしても何にしても、これは野中の一本杉で、単独で行っている。本来ならパイプライン網というか、そういうものをつくる場合に前提となるそういうもりとの関連性をやはり明確に、これは法則といっては語弊がありますが、その中に織り込んでいくべきだろうと思うのです。当然そうするんだろうとは思いますけれども、しかしながら法案の中にはそういうものは書いておらない。これはやはり非常に問題だと思うのですね。これはどういうふうにお考えですか。
  162. 田中角榮

    田中国務大臣 それはもう御指摘のとおりでございます。私たちも本法を立案する過程においてはそうあるべきである。これは先ほどもお答えいたしましたが、びほう策である。これは立案の過程において各省が争ったときには、まず横浜から八王子に至るパイプラインの敷設法、もう一つは茨城から何々に至る、前橋に至る敷設法、こういうものでもつくらなければ話にならぬといったときさえあったわけです。農林大臣も全部入れなさい、こういうときにはそうさえも思ったわけです。そういう法律もないわけではありません。しかしそんなことはできないということでこの法律になったわけでありますが、これはあなたが申されるように、基本的な法体系を整えて、その中で各論として分けてきてこの法律が出ることが望ましいという考え方は私は理解できますし、私もそういう考え方です。ところがまだ新々全総というものもできておらない。実際六十年の展望に対してようやく法律として提案をしたものは、いま国会に出ております工業再配置促進法だけでございます。ですから工業再配置をやっても、さしあたりは産炭地の振興をやろうというようなことでございますので、ほんとうに計画的なものがなかったわけです。いままでは全部自然発生を是認して、その過程において調整を行なう、こういうことでありますので、理想的なものには、この法律が土台になって必ず理想的なものになります。これは逆だということは御指摘のとおりだと思います。しかしいま国土の六十年展望の青写真がないにもかかわらず、それに対して大きなふろしきを広げながら基本法をつくるというわけにはまいらない。しかしさっき言ったように国鉄国鉄、私企業は私企業という二つの法律を出すというようなばかなこともできないということが今日の法律になったわけであります。ですからこれは逆に横浜に製油所を置けなくなるようになるじゃないかということですが、しかしそれは低いところがら高いところへ圧力で石油を送らなければならぬ。これは外周から自然流下してきたほうが最も理想的である。しかしわずか十年、十五年たって、これだけ需要のある石油に対していまほうっておけないということで、この二本のパイプラインというものは現に計画されております。この法律が出れば阪神地区でも直ちにそういう問題が起こってくると思います。そういう意味でどうも立案のしかたは逆のような方向でありますが、現状やむを得ない、こういう立場で立案、御審議をいただいておるわけでございまして、逆でも近いうちにちゃんとした法律をつくるようになりますから、また努力をいたしますから、御理解をいただきたいと思います。
  163. 久保三郎

    ○久保委員 いまのお話しの中で、たとえば工場再配置の問題にしてもかなりの問題があるんですね。それ以上にいまお答えがありましたように、新全総をあらためて見直している段階でありまして、しかも見直しも、いままでのように多々ますます弁ずるということを基礎にしてやっていけない環境にあるわけですね。そういう条件がもうすでに出ている。そうなるといままでの手法にかなり制肘を加えなければならぬ、そういう考え一つ出てくるわけです。ところが今度御提案になっているのは、おそらく石油の需要量にしても六十年度には大体二倍半から三倍ぐらいになるであろうという想定のもとに、パイプラインの構想も出発していると思うのですね。私はしろうとでよくわかりませんが、石油エネルギーの中でどの程度の比重をこれから占めていくのか、それで絶対量はどの程度までが限度なのか、まず限度を考えるべきだと思うのですね。そういうものがおおよその検討も方針も出ないままにパイプラインだけ引いていくことは、鉄道を敷くよりもっと悪いのです。鉄道は貨物がなくてもお客は運べるかもしれない。パイプライン石油を運ぶ必要がなくなったときに砂でも詰めて運ぼうかといっても、そう簡単にはいかないんですね。ましてこの中にお客を突っ込んで輸送するわけにはまいりません。しかも巨大な装置産業ですね。はっきり申し上げてあとで手直しができないのです。しかも限定した輸送なんです。だから慎重の上にも慎重に、そういう各パイプラインそのものの産業の問題からも考えていく必要があると思うのですね。ところがいまのお話だと、たとえば横浜から八王子を通って宇都宮でありますか、あっちのほうへ持っていくのを、これを横浜線、そういうものを経由してかなりのタンク車の輸送がある。これは輸送が詰まるかっこうであります。これは一つわかる。それから先ほども御質問ありましたが、こっちでは東京湾からずっとこれまた北関東へ向いていく。そういうようなものを考えていくと、何かさっきの話とずいぶん違ってくるのです。これはあとで要らなくなってしまうかもしれない。そういう場合にどうするのかという問題が出てくる。それからもちろんいまの場合はあと追いのかっこうでありますから——首を振っておるとおり要らなくなることは万々ないだろうと思います。思いますが、しかしながら必要ではあるけれども、これ以上どうもパイプライン石油をもらっては困るという地帯ができはしないかということだ、極端な話をしますれば。いずれにしても、慎重な計画を必要とするのに、前提になるいわゆる総合開発計画というか、そういうものがいま検討中では、残念ながらうまくいきっこはないんじゃないかという心配を私はしているわけであります。  それからもう一つ、いま予定されている——これはどこで出したのか知りませんが、まあ通産省運輸省から出した、いわゆる国鉄ラインというやつ、この成田空港公団のやつが一本、あとこのパイプライン法中心になっていくものが、東京湾から栃木ターミナルまでという、二つだろうと思うのですね。これを見ていくと、大体北関東へ向けて、石油をこの二つで運ぼうというのですね。これは北関東へ集中するかっこうです。  あとでお尋ねしますが、茨城県は鹿島があるから、そっちのほうからでもひとつつぎ込もうというようなお話でありまして、いままさに北関東三県はこれからどうしようかという大きな問題をかかえています。そこで自民党を中心で議員立法を考えておられるようでありますが、地元の住民は、はっきりいうと、いまこわがっています。百五十万都市などといって、ほんとうに来るんだろうか、来たときどうするんだろうかという問題があるのですね。だからそれを前提にして、こういうパイプラインで油をつぎ込んでいくということについては慎重な検討が私は必要だと思うのです。そういう検討をなさりつつあってこういうものが出てきているのかどうか。それからあわせて、通産大臣は、旅先じゃなくて新聞発表——私はいつか新聞で承知したのですが、私はあの注目を浴びておる鹿島が選挙区なんであります。鹿島沖にシーバースをつくって、何かちょっとさっきのお話の中に出たようでありますが、あれからパイプラインでまた引こうというお話もこの間新聞記事で見たのでありますが、そういう構想を通産大臣はお持ちなんでありましょうか。
  164. 田中角榮

    田中国務大臣 まず第一の問題でございますが、このパイプラインが要らなくなる、そんなことはありません。これは現に御承知のとおりあなたの選挙区も含めて半径百キロ圏、首都圏というわけでありますが、首都圏には二千七百五十万人という驚くべき人口が過度集中しているわけであります。また産業もそのとおりでございます。現時点において、去年二億二千万キロリットルを消費をした。その時点においてこのパイプラインがもう必要である。これは最小限のパイプラインが必要である。それはもう都市の中を大型タンクローリーが通ることができない。そればかりではなく、道路の拡幅を行なったり新設を行なったりするにしても、タンクローリーよりも乗用車や他の貨物自動車が通ることでもってもう一ばいでございまして、どうにもならない。東京は、理想的というよりもニューヨーク並みにするには、道路を三階にするか三倍にしなければならない。いまの一二・五%の都市面積に対する道路面積を三五%まで引き上げなければニューヨーク並みにならない。そういう事態において、タンクローリーという危険物を運べるかどうかという問題で、それを最小限食いとめるためにはどうするか。それがいまの二本のパイプラインでもってやろうということでございます。しかし、これから、幾ら年率五%、七%としても、この地域に、やはり生産性も上がり、人口も、こんないいところからなかなか出ていかないということになりますと、将来というものはいまのパイプラインに付加して何本かのパイプラインというものが必要になる。そのときには、先ほど申し上げましたようにもっと関東平野全体、また広域運営というような面から考え東京瓦斯には新潟から天然ガスが送られてきておる、こういうことでありますし、またチュメニ石油をやるとしたら、秋田にやるのか新潟から東京に送るのかという問題が直ちに出てくるわけでありますから、これからタンクローリーにかわるパイプライン、こういうふうに見ていただけばいいわけでありまして、いまの二本というものがやがて要らなくなるではなく、いまの二本が、要すれば二十本も三十本も、言うなれば都市ガスの地下埋設物のようになりつつある、その過程における最小限必要な二本、こういうふうにひとつ御理解がいただきたい、こう思います。  それから第二は鹿島沖にシーバースをつくってという問題。これは地元にあるかもしれませんが、これは私がそう言っているのではありません。これは鹿島や水島や、それから三重県の四日市というようなものはどうも小さな東京をつくったようなものである、これはもっと考えなければならないということで、新全総や工業再配置の中では規模は全然違うものを考えておるわけでございます。ただ関東そのものを考えると、いまの規模で押えても、いまのパイプラインなどというものは全くスタートしただけのものであって、将来的には、やはり関東平野というものを大型タンクローリーが動くということはできないので、その場合、理想的なものとして、私も二十何年か、昭和二十四年からこの問題、全国的に調査をしているわけでありますが、北浦港という港がありますので、あそこが一つの基地になるということになれば、関東には理想的なパイプラインの図が描けるなあということを考えたことはあります。これはただ私の全く私的なものでございまして、あなたの選挙区を汚染しようなどという考えでは絶対にございませんから、そういう意味ではひとつ誤解なさらないように、これは一つの調査をしたときに、茨城県は非常にいいところを持っているなあ、こんな無形の大資産を持っておるということがただひらめいただけでございまして、これは実施段階にもありませんし、言うなれば、むつ・小川原湖のように、また釧路の湿原地帯のようにすばらしいところを茨城県は持っておる、関東地方は持っておるというところで私の発言は終わっておりますから、そこはひとつはっきりと理解していただきたいと思います。
  165. 久保三郎

    ○久保委員 大臣からお話しになった、新潟から天然ガスパイプラインもあるし、それからシベリア開発によるものもある。私はパイプラインについて、いまのところまだもろ手をあげて賛成するまでには、特に安全性の問題からいって、行っておりません。これから審議中に態度はきめなければなりませんけれども、ただし北関東へ石油輸送をどうしてもするんだ、そうだとするならば、むしろ私はいまの二本の線は誤りであろう。長期展望に立ったら、あなたが御指摘になった新潟、あなたの選挙区の新潟のほうから持ってくるのが将来のほんとうの展望じゃなかろうか。それなら長もちするだろうということですよ。こっちのほうではそう長もちしない。住民からいっても生活環境からいっても、これはとんでもない。これはなかなか問題がありますよ。しかも人口密集地帯を通るでしょう、道路を通る、鉄道を通るは別にしても。そういうことを考えると、これは長もちしないパイプラインである。こういうふうな気持ちもするわけであります。巨大な装置産業でありますから、その方法を誤って、あとで向こうからやったほうがよかったなんというのでも、これは困るじゃなかろうかということを、ひとつ念のために御指摘を申し上げておきたいのでありますが、時間もありませんから、次に行きます。  パイプライン法、この法律を見ると、土地収用法の適用事業になるようでありますが、これはいままでの一般の鉄道、港湾その他の問題とは少し違うように考えているわけであります。特にいままで数多くの同僚の皆さんからも御指摘になったように、安全の問題ですね。それは引き合いにタンクやなんかの話もいろいろ出されましたが、そういうものの比較じゃなくて、いま未知の世界にあるこのパイプラインの安全性というものはだれも実証できないんですね、実際いうと。はっきりいうと、だいじなうぶですよという話だけだ。実際にやってみなければわからぬというのが本物じゃありませんか。そういうところからいうと、土地収用法というものをかけてまでやれる性格のものであろうかどうかという疑問があるわけです。いまさら憲法十三条を引き合いに出すまでもありませんが、これはやはり一考を要するものだと思います。私の調査に間違いがなければ、アメリカパイプライン、ある一部でありますが、これは土地収用法の適用がないように私は見ております。これは先ほど公共性の問題で、水、電気、その次は石油だという話を大臣はされましたが、そのたとえとちょっと違うんですね。水は別に危険じゃないんですよ。電気はあれ以外に運びようがないんですよ。そうでしょう。パイプラインで電気を運ぶというわけにいきませんから。油はいまタンクローリーなり貨車で運ぶこともできる、可能性があるわけですね。そうなりますと、より安全なもの、経験したものが一番わかりやすいのですね。だから、法律で安全が全く確保できたときには、憲法十三条との抵触は薄らいでくると思うのです。しかし、いまそれを保障する何もの——何ものといっては語弊がありますが、納得させるにはたいへんむずかしい。そうだとすれば、主観的な問題でありますから、国民一人一人の立場から考えれば、憲法十三条からいって土地収用法を適用することについては、問題がありはしませんかということなのです。その点について、この際はひとつ考える必要がある。私は、まあ断言できませんが、将来、万が一、皆さんがいま御答弁なさっているように、安全が実証され、国民一人一人もパイプラインに対して安心ができるというときには、憲法十三条との抵触は薄らいでくると思うのです。その場合は、土地収用法もあるいは考えられてしかるべきかもしれませんが、いまは少しく変じゃないか、行き過ぎではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
  166. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほども申し上げましたが、国民が使うエネルギー源の六八%が石油である。しかも、六十年を展望しまして、七億キロリットル以上も消費をするというときには七〇%になる。残りの三〇%は何かというと、そのうちの一〇%は原子力である。そういうことになると、国民生活からも非常に密接不可分のものである、こういうことになりまして、水、ガス、電気——水、電気かもわかりません。水、電気、ガス石油、こういう順序である。これは間違いないと思うのです。そういう意味で、これは非常に公共的なものであるということでございます。  もう一つは、危険度の少ないもの。危険は現在あるわけです。タンクローリーの事故は、パイプラインに比べて驚くほど多い事故件数でございます。しかも、実際的には、六十年を展望すると、交通労働者が確保できないということで、タンクローリーでは送れないということであります。それから、危険なものは、専用道を通ることが一番望ましい、こういうこと。混合輸送というものは、非常に迷惑をかけるのです。そういう意味から、パイプラインというところにどうしても来るのです。都市ガスは地下埋設でやっておるということでありますので、あと残るものは、結局安全度の問題だけだ。これはもうどこから考えてみても、世界的に安全度の問題。安全度の問題は、人間が集合しているようなところがら一定の距離を離せという平面的なもの、平面的なものは立体的に地下に下げることによって解決できる、こういうことでありますから、パイプラインというのはどうしても不可避の問題で、時代的要請ということであります。  あとは土地収用法の問題でありますが、これはガスと同じく考えていただきたい。ですから、これは頭から土地収用をするとか考えておりません。電気、ガス、水道と同じように、国民生活に密接不可分、なければどうにもならない問題である。こういうことで土地収用法の規定を置いたわけでございますが、これはもうトラブルを起こして、土地収用権が発動されるということを意味しておりません。話をすればよくわかることでございますし、補償もちゃんとするわけでありますので、原子力の発電所とかいろいろな問題が起こっておりますが、そういうものに比べても、石油パイプラインというものに、この種の規定というものは少なくとも必要なのではないかというのが結論でございました。
  167. 久保三郎

    ○久保委員 先ほどの御答弁の中で、一つ断わっておかなくちゃいけないことがあります。それは、あなたは将来、総理大臣になるかもわからぬという人物でありますから、私の選挙区の茨城県について、いろいろほめているのか、うまく利用すればできそうな話をしているのかわかりませんが、茨城県民の大半は、首都圏の中の茨城県としては、緑の空間をやはり大事にもっていきたいということが、いま命がけで考えている問題であります。めったやたらパイプを敷いたり、油を流したり、電気を起こしたりすることについては、私らはあまり同意しかねることでありますので、もしおやりになるときには前もって国民に御相談をいただいて、十分納得の上におやりいただきたい。これは通産大臣でもうやめちまうなら別でありますが、何かそういううわさも立っておるようでありますから、間違っては困るので、一言申し上げておきたいと思います。  それから、土地収用法については御答弁がありましたが、ガスと同じようにというか、ガスはタンクローリーでは運べませんから、これはほかに手段がないものでありますからやむを得ぬと私は考えております。しかし、時間がありませんから先へ行きますが、このパイプライン事業というのは公共運送人として扱いますね。公共の運送人、いわゆるコモンキャリアですね。プライベートのキャリアではなくてコモンキャリア、そうですね。——そこで、この会社側でありますが、国鉄国鉄で独自におやりになるのでありましょうけれども、できるところの会社というのは、石油資本の会社がそれぞれ出資をしておつくりになる会社であろうかと思うのでありますが、そうでしょうか。
  168. 田中角榮

    田中国務大臣 これは石油関係業者が主体となってつくるものでございます。しかし、一般的な加入、資本参加を認めないというものではありません。
  169. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと、これには当然株の配当の規制というものが必要かと思いますが、考えておられますか。と申し上げますのは、コモンキャリアでありますから、株の配当について何らかの制限がなければ、これは言うならば運賃に差別的な待遇を与えたと同じようなかっこうに相なるはずだと思うのですね。これは独禁法のたてまえ上許さるべきものではないのでありますから、当然株の配当には規制をつけるべきだと思うのだが、どうですか。
  170. 田中角榮

    田中国務大臣 これは料金を認可制にしておりますから、電力会社と同じことであって、配当制限はしておりませんが、配当は全く民間のものと同じようにはならないわけでありまして、おのずから規制を受けるということであります。
  171. 久保三郎

    ○久保委員 語尾が少しはっきりしないので、御答弁がよくわかりませんけれども、これは規制をすべきものだと私は考えているのですが、いかがですか。
  172. 田中角榮

    田中国務大臣 これは、高率配当ができるような状態なら料金を認可しませんから、料金で規制をいたしておりますので、法律的には配当の制限はないということでございます。しかし、それはガス会社及び電力会社にひとしいものであるということを申し上げておるわけであります。
  173. 久保三郎

    ○久保委員 いま申し上げたことは、料金は認可制だから——料金は認可制でありましょう。これは当然ですね。株の配当と見合いながら、一応料金の決定をするのでありましょうけれども、たとえばだんだん輸送量が多くなってコストが下がれば、料金は下げる必要があるのですね。下げるか、それとも株の配当をよけいにしていくか、そうでしょう。そういう場合があるので、私は規制をするということを考えていくべきだと思うのです。  時間が来ましたから以上で終わりますが、この法案は、いずれにしてもいろいろな面で——安全性の問題はもう皆さんからお話があったとおりでありまして、慎重な審議をして、関係者の意見をもう少し聞いて、手直しすべきものは手直ししてやるか、それでなければ、もう少し日にちをおいて、ゆっくり仕上げていくことがいいかもしれませんね。問題があるのは、あんまり押し切ることは賛成できかねるということを一言申し上げて終わりにします。
  174. 鴨田宗一

    鴨田委員長 門司亮君。
  175. 門司亮

    ○門司委員 これは大臣でなくてもよろしいのですが、あとで大臣がお見えになってからよく聞きますが、法の体裁として、この法律をずっと見てみますと、問題になっているところはほとんど全部第七章の「雑則」に位しているのです。この雑則というのは法律の書き方の概念は一体どういうものですか。
  176. 別府正夫

    ○別府説明員 お答え申し上げます。  一般にこのような新しい法律をつくります際に、この目次をごらんいただきますとおわかりいただけますように、ごく一般的な目的その他の規定を「総則」という形で置きまして、このような事業法でございますと、三章以下に「事業許可」とか「工事計画及び検査」というようないわゆる実体規定と称するものを置いてございますが、その際に一番最後にいま御質問ございました「雑則」という形で置きますものは、それぞれの各章の中に組み入れるのは必ずしも適当でないけれども、この法律を実施いたしますために手段的に必要な部分、たとえば「報告徴収及び立入検査」のように、実体規定を実際に動かすために必要な部分というようなものを入れるのが普通でございます。そのように考えております。
  177. 門司亮

    ○門司委員 大体通り一ぺんの考え方で、法律の体裁というのは往々にしてこういうふうにできております。しかし、問題になりますのは、私がなぜそういうことを聞くかというと、この法律は問題の点は全部雑則に譲ってあるのです。手段に譲ってあるのです。そうして前のところをずっと見てみますると、ほとんどその経過措置といったら悪いかもしれませんけれども、実体といっているけれども、事業主体とした、業務主体としたものがここへ書かれておって、これもはっきりいえば生産手段とでも申し上げますか、そういうものが雑則に織り込まれてきておる、私は法律を読んでおりまして、こういうところがどうもおかしな法律を書いているなという気がするのですが、特にこの場合の雑則に盛られておる二十九条以下の条文というのがいま論議の的になっているのであって、ほとんど全部ここに集中されているといってもいい。だからいまのようなものの考え方でやっておりますと、いかにもそこは手段だということになると、しかし、この手段を取ってのけると実体は動かないのです。雑則を削ってしまうと、実体は動こうと思っても動きようがないのです。そういう観点で、ほんとうに時間が制約されておりますので、こんなことで長くものを言う時間はないと思いますけれども、法律の体裁から見るといささかどうかと思う点がたくさんあるので、これはその程度にいたしておきます。  いま大臣がお見えになりましたので、大臣はいろいろ公共性ということを言われておりますが、エネルギーに対する基本的な国の考え方はどうなんですか。エネルギーというものの基本的なものの考え方、これは空気と水と太陽の熱とがあるのですが、この三つが人間の生きていく要素に間違いないのですが、エネルギーというものに対して日本の将来はどう考えるべきかということ。率直にいいますと私企業にまかせておいていいか悪いかということなんです。大臣がいましばしば答弁されておるように、もういっときすればほとんど九〇%くらいが石油と原子力によらなければならないような時代になって、依然としてこれが私企業であってよろしいかどうかということなんです。ことに日本は、御承知のように国で産出される石油などというものは〇・何パーセントかということであって、新潟の沖にこの間油田が発見されたといっても、日本全体の使っておる百分の一になるかならぬかくらいしか出ていない。こういうエネルギーが非常に危険な状態にある乏しい日本の国が、依然としてこれを私企業にまかせていいかどうかという点なんです。私はこの点は非常に大きな課題だと思う。少なくとも国の大きな産業の一つの基本をなすエネルギーが私企業であってはならぬということで、われわれかつて石炭国管という法律を出して片山内閣のときに通ったのだが、自民党内閣になったら一気におやめになった。こういうことを考えると、このエネルギーについてこういう私企業にまかせておくということは、将来の日本経済にとっては非常に危険である。ことに石油にとっては、大臣のほうがよく御存じだと思いまするが、産出が非常に少ないのでかなりたくさんの貯蔵がこれには必要なんです。世界じゅうどこでどういう変なものが出てくるかわかりませんから、結局輸送に支障ができるということになると、日本の産業は一ぺんにつぶれなければならない。日本の一億の国民の生命をつないでいく一つの大きな具体的なものとしてはエネルギーだろうと思う。それが私企業でよろしいかどうかということについて、この際お考えをはっきりしておいていただきたいと思います。
  178. 田中角榮

    田中国務大臣 石油は非常に重要な問題でございます。特に世界各国でも石油はただエネルギーというだけではなく、民間で使うエネルギーというような考え方よりも戦略物資として非常に厳重に考えておるわけでございます。だから社会主義国は当然国営でもってすべてをやっておるわけでございますが、膨大な石油を消費する国としては、全く私企業にまかせているというのはアメリカだけでございます。しかし、アメリカでも私企業にはまかせておるけれども、石油に関しては通産物資、商工物資ということではなく、国家安全保障委員会の問題として厳重に管理をしております。日本は全く民間にすべてをまかせておるわけでございますが、石油が総エネルギーの六八%、七〇%近くなってきておるということになれば、新しくかわるものといえば原子力だけでございますが、しかし原子力に対してもおのずから限界がある。原子力に対しては特殊会社、国が中心になってやっております。かつて電力や基幹産業が国営であったというようなことを考えてみても、石油がいまのような状態でいいのかどうかという問題は、御指摘のとおり非常に重要な問題でございます。西ドイツは一つの国策会社をつくらせてこれに特権を与えて政府の権限を代行させた、権利も義務もそのようにしております。またフランスやイタリアのように国営にしておるところもございます。  日本はどうするのかということでございますが、郵政省から電信電話公社というように移っておるし、鉄道は鉄道省から鉄道公社に移っておる、三公社五現業、あとはだんだん民営にという議論が風潮、流れになっておるわけでございます。やむを得ざるものは特殊会社というふうにしておるわけでございます。電力など九電力というふうになっておるわけでございます。ガス会社も一ばいありますけれども、地域的には独占企業というふうにしております。そういう意味で何かしなければならないということで、今度石油公団の拡充を行なったわけでございます。戦後二十六、七年間石油に対してとったのはどういうことかというと、議員立法による石油資源開発会社をつくって百万トンばかりの石油を掘ったというだけにすぎません。それではだめだというので、海外石油というものを求めて石油公団に衣がえをして、石油公団は今度の法律案で御審議いただいておりますが、可燃性天然ガスの試掘、採掘も行なえるようにだんだんと拡充をいたしております。ちょうど民営のよさと、しかし石油の持つ重要性というもののバランスをとったものにしなければならない。これに対して、ほんとうに、六十年、七十年にはこうするのですというようなはっきりしたことはまだ申し上げておりませんが、政府のおのずからの基本姿勢としては、石油公団の拡充ということでバランスをとりつつある。まあこれで万全でないという御議論は朝野にありますが、しかしあなたがいま述べられたような御意見中心にしながら、これからお互いがみな検討もして将来の石油行政、石油の組織、そういうものをどうすべきかということは、これは検討課題だと思います。
  179. 門司亮

    ○門司委員 検討課題だと言われておりますけれども、私はほんとうに国の将来の存立の立場からいえば、日本の場合には決してこれは戦略物資じゃないのですからね。戦略物資でない石油が、しかも全体のエネルギーのほとんど全部といっていいほどこれに将来依存しなければならない。原子力がどこまで発展するかわかりませんけれども。結局、そういうことであるのを、なお依然としてこれがこういう形で置かれているところに間違いがありはしないかということと、それからこれも大臣を責めるわけではありませんけれども、御答弁の中にガスだの電気だの水道だのと言われておりますけれども、こういうものは実際は公営企業でやっている。水だって、ほとんど全部といっていいほど公営企業なんですね。公の一つの企業であって、何も私企業にゆだねてはおりません。ガスだって、大体都市ガスは公営企業がわりあいに多いわけで、都市ガスの問題は少ない。それから、公営企業の中にはやはり電気も含まれておるということであって、最近は病院までも準公営企業というようなたてまえで今日の日本法律はできておる。そういうふうに考えてまいりますと、これは公共性があるから、この三十一条でありますか、土地の立ち入りができるとか、あるいは土地収用法によってできるとかいうようなことがここに書いてありますけれども、もしこういうことがかりにあるとするなら、さっき公共性と言われておるわけでありますけれども、公共性があるとするなら、やはりこれをさっき申し上げましたような形で国営なら国営、ほんとうに公営で行なわれるような処置をとらないと、何といってもこの場合はまだ私企業であることに間違いがないのであって、それが特殊のものとしてここに収用法が適用できるという三十一条の規定というのは、私はこれは納得するわけにはなかなかまいりません。大臣の答弁も、もう少し公共性のはっきりした答弁をいただきませんと、水がどうだ、ガスがどうだ、電気がどうだと言われましたけれども、これはみな公共性があるから公共企業体でやることにして、公営企業法という法律で律せられておるのです。石油はそういうものはちょっともないのです。公団があるから、これは公団でやることになって、別に公営企業として、公のものとして法律は認めておらない。こういう点を考えると、どうも大臣の答弁というのがあまりおざなり過ぎると言うと、田中大臣のことだからおこるかもしれませんけれども、私から考えてみますと、どうも引用している例というものが少し食い違いがあるような気がするのであります。  あと、もう十七、八分しか時間がございませんから、私はこんなことで議論をしておるわけにいかぬかと思いますが、問題になりますのは、この法律の中で一つの、道路占用のいわゆる三十二条でありますが、ここに地方自治体に話をしなければならない程度のものが書いてある。これは地方自治体の長に話さなければならないとかいうようなことでなくて、私から言わしていただければ、この問題は議会の議決ぐらいまで持っていかないと、間違いができたときには、これは全部地方自治体が背負うのですからね。国が背負うわけでもない、ガス会社が背負うわけでもないのですね。間違いがあった場合は、結局だれが背負うことになるかというと、地方の市町村がみんな背負わなければならない。そうすると、こういう可燃物を市町村を通す場合には、やはり市町村の議決というものはこの際必要ではないかということ。単に地方自治体の長の意見を聞かなければならないということでは済まされないのではないか、こういうふうに考えるのですが、どうですか。
  180. 田中角榮

    田中国務大臣 自治大臣を通じまして、都道府県知事意見を聞く。都道府県知事は、実態的には市町村の意見を徴する。これはいままでの法律は大体それで済んでおるわけでございますし、これは法律で議会の議決があっても、町村長が反対をしておれば公営電源開発の発電所も工事をまだ認可してない。これくらい慎重にやっておりますから、この条文で足りるということを考えておるわけでございます。
  181. 門司亮

    ○門司委員 これは慎重におやりになっているからと言うけれども、私は法律のていさいとしては、やはり結果をだれが背負うかということになると、自治体が背負うのでありますから、一番被害を受ける自治体の意見というものは、ここに書かれておるような程度、いわゆる「道路管理者の意見をきかなければならない」——「きかなければならない」ということですよ。これは聞けばそれでよろしい、裏から返せばそういうことになるのですね。ですから、ここはもう少し歯どめが必要じゃないかということが私には考えられる。したがって、この辺の問題が一つありますのと、それからもう一つの問題は、これは建築基準法にこういうことが書いてあるのでありますが、いろいろな条件が整えば建築は許可しなければならない、こう法律に書いてあるのであります。それと同じ文句がここに書いてあるのですね。「許可を与えなければならない」と書いてある。これは建築などでもいま非常に問題を起こしているのは、あの条文があるからなんですね。これは願い出て、その願い出たものが法律上規格に合っておれば、自治体はこれを許可しなければならないということになっておって、そうしてそれが日照権だとか公害だとかいうことになって、たくさん議論になっている。ですから、この辺の法律の書き方も単に一項で、道路管理者の意見を聞けばよろしい、二項に来て、「許可を与えなければならない」という、こういう一方的な、非常に強いものの考え方は私はどうかと思うのです。この辺は立法された人の技術上はどういうお考えですか。これは大臣でなくてもいいと思うのだけれでも。
  182. 田中角榮

    田中国務大臣 事業免許に対して、許可しなければならないといっているのは、電波法でも明定してございますが、これは非常に問題があるものでございます。許可しなければならない、これは事業認可ではなく、構造その他所定の条件を具備しておる場合は許可しなければならない。これは道路管理者が、まだ一人でも反対がありますからということで全然許可しないということになったら、この法律制定の目的が害されるわけでございますし、また実行ができなくなりますから、この「許可を与えなければならない」というのは、事務をスムーズに行なう、処理をスムーズに行なうことを意味します。適格性があってもすぐ許可されない場合に対して、これは何日経過すれば許可するものとみなすという法律が過去にございましたが、しかしこの法律は、これは事業認可に対して許可をしなければならないという拘束ではなく、適合しておるにもかかわらず、悪意によってそれを延ばすようなことはできないという整理条文でありますから、当然法制上は必要である、私はこう理解します。
  183. 門司亮

    ○門司委員 それがいま申し上げました三十二条の一項と二項でこういうことになっているのですね。そして一項のほうでは意見を聞けばよろしい、二項のほうでは書類がそろっていれば許可しなければならぬということですから、自治体の意見なんというのは入る余地がないのです。そうして被害を受けるのは自治体です。私はこの法律の書き方については、この辺はもう少し配慮の必要がありはしなかったかということです。自治体の意見というものはもう少し尊重する必要はなかったかということである。しかし、このことだけをあまり議論するわけにはまいりません。  その次にもう一つ、この条文の中で考えられなければなりませんのは、三十七条二項の、消防法の三条の除外の規定であります。これはなるほど、消防法の三条を読んでみますと、必ずしも当該石油パイプライン事業に該当するかどうかということは別でありますが、しかし少なくとも消防法三条で、消防が危険を防止する場合にこういう処置をしなければならないということがずっと書いてある。この条文をこの法律だけで、この法律が排除するということになっては、消防法の論議というものはとんど行なえなくなってくる。私は、少なくとも法律の全文から見て、そうしてこれが消防法の第三条にどういうふうに作用しておるかということを考えて調べてみると、それほど大きな作用はしていない。作用がしていなければ何もこれは排除する必要がないのであって、この条項は残しておいたほうがよくはなかったかということである。むしろ、これがここにこういう形で消防法第三条を排除するということになると、この三条は御承知のように火災予防の処置等のことが書いてある。いわゆる火災予防ということばをここに入れているのでありまして、そうすると、やはりこの石油パイプというのは、こぼれれば、これは火がつけば火災になるのはさまっているのでありまして、結局二の三条を除外したということについては少し法律上行き過ぎではなかったか、こういうふうに考えるのですが、その辺の考え方はどうですか。
  184. 田中角榮

    田中国務大臣 あなたもいま御指摘になりましたように、消防法の規定を適用しないということにつきましては、消防法の条文もしくはそれ以上の規定が保安基準の中に入っておるということでありますから、重複を避けるために整理したということであって、特に意味はない。これはもう除外例であっても、明確な規定が新しい法律に規定をされる場合には権限紛淆等を起こさない、議論の紛淆を起こさないために、第何条の規定はこれを適用しないというのは、条文整理の段階では立法段階において常に起こる問題であって、特にこの規定の適用をしないという三十七条の二項を置いたことによって石油パイプライン事業法が消防法の適用よりも楽になる、防災その他に対して緩になるということは意味しておらぬわけです。
  185. 鴨田宗一

    鴨田委員長 門司君、いま消防庁長官から補足説明があります。
  186. 降矢敬義

    降矢政府委員 御指摘の規定は、消防法の第三章の危険物に関する規制の規定を全部排除いたしまして、石油パイプラインにつきましてはパイプライン法によるという意味をあらわしたわけでございますが、消防法とパイプライン法を比べてみますと、工事計画認可消防法のほうは施設の設置許可保安規程は予防規定、それから、保安技術者の選任は保安監督者、それから技術基準の関係は十一条によりまして政令で書くことになっておりまして、対照いたしまして、ほとんで差異はないわけでございます。したがいまして、第三章の危険物の規定は排除いたしました。しかしながら、いま御指摘の第二章の火災の予防の規定の第四条、三条の規定は、これは消防独自の立場から普通の防火対象物と同じように立ち入りを当然認めるわけでございまして、第二章の規定はそういう意味では排除しているのではございません。
  187. 門司亮

    ○門司委員 いま消防庁長官の答弁もございましたけれども、私はこれは排除しなくともよかったのではないかと思うのです。ほんとうに不必要なことです。ここに排除したということを書いてあると思うのです。これはあったからといってちっとも差しつかえない。さっきの大臣の答弁をそのまま聞けば、あったからといって別に差しつかえない。ところが、あっても差しつかえないものを一体なぜ排除するかということについて、われわれは疑問を持たざるを得ないのであって、法律の書き方としてあまりいい書き方ではなかったと思っている。  それから、もう一つ大きな問題は、火災もさることながら、このパイプラインの、先ほどからの答弁を聞いておりますと、敷設については穴を掘って深く埋めるとか、いろいろなことが考えられておるようでありますし、また道路については路肩のほうを使うのだというようなことを書いておりますけれども、これは少し考えてもらいたいのですが、もし埋設する場合には、技術的に地下大体何メートルぐらい下に考えられておるのか。技術的な問題ですが、これはどういう構想ですかね。
  188. 高橋浩一郎

    高橋(国)政府委員 道路の下のほうの地盤の強さによってきまるわけでございますけれども、路面から一メートル五十センチを標準にしております。ただ市街地等に入りますと他の埋設物もございますので、平均して大体一メートル八十になろうと思いますが、これは標準でございます。
  189. 門司亮

    ○門司委員 地下に埋設いたすということになりますと、一メートル五十——これは私どもしろうとよりもあなたのほうがくろうとだから、その点は十分考えられておると思いますが、路面を走ってまいります自動車の重量はだんだんふえておる。これは耐久性がどうなっておるかということですね。ガソリンというのは漏れたらえらいことになるのです。火がつくだけではありませんで、これは地下水に入ってしまうのです。地下水に入ってしまうと実際はどこへ出てくるかわからぬのです。現に沖縄の嘉手納でこの事件がありまして、嘉手納のB52の基地からガソリンが漏れて、それが地下水に入って、嘉手納の四十三でありましたか四十八でありましたか、私は現地を見に行ったのでありますが、井戸が全部使いものにならない、永久に井戸が掘れないということが起こった。下からガソリンが出てくるということです。よけいなことかもしれないが、現地に行くと、コンクリートのふたがしてあって、それを取りのけて水をくませて火をつけると、火がよくついて、土地の人に言わせるとライターの油になりますと笑っておりましたが、そういう危険性を持っておるのです。こぼれたらそれに火がつきますけれども、表面に出てこないため火はつきませんが、下に出たら地下水に入ってどこへ行くかわからぬ。場所によっては水源池の中に入るかもしれぬ。そういうことを考えてみますと、埋設の方法、さっき路肩のほうにと言われておりますが、路肩が最も危険であって、もしがけくずれなどがあったら、道路が決壊でもしたら、すぐそのパイプが出てくるのです。したがって道路に対する埋設については特に気をつけてもらわぬと、先ほどの答弁を聞いておりますと実に安心がならない。一メートル五十ないし一メートル八十と言っておりますけれども、それでよろしいかどうか私ども疑念がある。いま申しましたように、だんだん上に大きいものが通っておりますから、これはそういうことで非常に心配をいたしております。  この法律ができたら、この法律の適用は、いまアメリカ軍が使用しております沖縄にはどういう作用をするかということであります。
  190. 田中角榮

    田中国務大臣 新しく沖縄にパイプラインが敷設される場合には、本法が適用されることは論をまちません。しかしいまあるもの、たとえばこれはアメリカの軍施設でございます。ですからこの法律の適用は受けないということでございます。
  191. 門司亮

    ○門司委員 ちょうど時間ですが、私はその辺をやはり心配する。沖縄ではすでに浦添市——那覇の隣の市でありますが、この辺にはパイプラインがあって、実は市長さん、どうもあぶなくて見ていられないということで弱っておりました。ここはあまり深くない、浅いのであります。しかしこれは安保条約の六条の規定が作用して、地位協定や何かで問題はあろうかと思いますけれども、軍の施設だから、この法律の適用はできないはずであります。そういう問題についてはどういうふうに処置をされますか。六条の規定でいくといえばそれまでで、安保条約の六条が作用するといえばそれであるいは片づくかもしれませんけれども、実際は非常に大きい問題であって、本土に帰ってきた以上は、やはり沖縄住民の危険は除かなければならない、こういう立場から、最後にもう一言ひとつ安心のいくように……。   〔鴨田商工委員長退席、小宮山商工委員長代   理着席〕
  192. 田中角榮

    田中国務大臣 沖縄には二、三本ございます。ございますが、これはもう恒久性がないということで、この法律の適用は受けません。受けませんが、沖縄が日本に帰ってまいりますから、帰ってくる場合には——アメリカの国内的な基準には適合しておると思います。しかしこちらも今度新しくこの法律施行されるわけでありますから、そうすれば一体危険がないのかということは、それらの調査もいたしますし、危険があれば補修を命ずることもできますし、これは法律でなくても、今度日本国内における問題でございますから、アメリカ軍と直接やっておったときとは事情が違うということで、住民に対する安全その他に対しては十分なことが可能である、このように考えております。ただ原則的には本法の適用はないということだけ明確にいたしておきます。
  193. 門司亮

    ○門司委員 これでやめますが、その点はひとつ特に御注意を願いたいと思います。相手は軍でありますから、なかなかそう簡単に言うことを聞くしろものでもございませんし、それから現実に見てみると、いま申し上げましたように、浦添の市長たちが非常に心配しておりますようにここのは埋設はかなり浅いのですよ。そういうことで、特に沖縄の米軍が持っておるパイプライン等については、本土でこういう規定ができる以上は、向こうにも同じような処置ができるようにひとつ御配慮を願っておきたいと思います。  では、これでやめます。
  194. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員長代理 松本忠助君。
  195. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 石油パイプライン事業法案の審議でございますが、このパイプライン事業法案をめぐりまして、輸送か、供給かということでいろいろと問題が紛糾いたしております。この法案における主務大臣は、基本計画の策定、事業許可工事計画及び検査業務監督あるいは保安、こういうものについて三人ないし四人の大臣がずらりと関連して並んでいらっしゃるわけであります。言うなれば、私は、お役所のなわ張り争いの縮図を見るような気がしてならないのであります。この席にいらっしゃる国務大臣として、田中さんはこういう姿をどのようにお考えになっていらっしゃるか。お役所のなわ張り争いの縮図と私申し上げましたけれども、まさにそのとおりじゃないかと思いますが、大臣はどのようにお考えになられるか、まずお答えいただきたい。
  196. 田中角榮

    田中国務大臣 責任の明確という面からいうと、主務大臣は一人に限ることがいいと思います。思いますが、この法律がなかなかむずかしい過程を通って今日に至った事情は十分御承知と思いますので、御了解いただきたいと思います。主務大臣は一人にして、そして鉄道に関しては運輸大臣協議をし、それから農地の場合は農林大臣に協議をするというのが正しいと思います。私は二十年ばかり前に現行公営住宅法をつくりますときに、これはなかなかなわ張り争いが激しくてどうにもならなかったのですが、最後は、公営住宅法に関しての主管大臣は建設大臣とする、ただし厚生住宅に関しては厚生大臣に協議をする、労働住宅に関しては労働大臣に協議をするということで結論が出たわけであります。なかなかこの種の問題はむずかしいということでこんな状態になったわけでございますが、これでもまだいろいろ議論がございますので、ある過程を通りながら理想的なものに仕上げていかなければならないだろう、こう思います。   〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕
  197. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いろいろ事情があったことは私も承知いたしております。しかし、こう突っかけ者ではしようがないんだと思いますがね。  これはこれとしまして、最初にお伺いしたいのは輸送コストの問題でございます。この問題は業務監督の部門に属するのじゃないかと思いますので、通産大臣運輸大臣でございますが、運輸大臣のかわりに国鉄関係からお答えいただいてけっこうだと思います。  そこで、昨年五月十九日に、私は、運輸委員会国鉄問題小委員会の中でパイプラインの問題についてお尋ねをいたしました。そのとぎに運輸省の鉄監局長が、パイプラインにすることによって二割以上の輸送コストの減少になる、こういうふうにお答えがあったわけでございます。私、その後いろいろと調査してみましたけれども、もっと安くなるのではないかと思います。要するに輸送距離と輸送能力、こういうものによってコストが変わることと思いますけれども、この点について運輸大臣——かわって国鉄でけっこうであります、通産大臣、タンクローリーで運ぶ場合と、鉄道のタンク車で運ぶ場合と、パイプラインによる場合に、距離は一応五十キロメートルのところで一キロリットル運ぶとすると幾らになるのか、これをひとつ通産大臣からお答えをいただきたいと思います。続いて国鉄側からそのお答えをいただいてみたいと思います。
  198. 田中角榮

    田中国務大臣 いま五十キロという数字を持っておりませんからこちらの数字を申し上げますと、石油パイプラインのコストにつきましては、概してパイプライン一に対してタンク車二、タンクローリーは十でございますから、タンクローリーで運べば十円かかるとすれば、パイプラインが一円、同じものをタンク車で運べば二円、こういうことになるわけでございます。
  199. 見坊力男

    ○見坊政府委員 五十キロで見ますと、パイプラインが二といたした場合に鉄道タンク車が五、タンクローリーが二十、こういうようなことに相なります。
  200. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 通産大臣といまの運輸省のほうので、わずかでございますけれども、鉄道のタンク車による場合だけちょっと違うようですね。その割合でいくならば二・五に通産大臣のお答えがなれば運輸省と合うわけでございますけれども、それはいろいろ算定の基準も違うと思うのです。いずれにしましても、タンクローリーとパイプラインと比べてみると、明らかにどちらのお答えも合っているわけです。十対一だというし運輸省の側では二十対二だというのですから、結局は同じだと思います。パイプラインはタンクローリーの十分の一で運べる、こういうことになると思うのです。  そこで、あらためて持ち出すまでもございませんけれども、第一条の目的の欄に、前段は省きますが、「合理的かつ安全な石油輸送の実現を図り、もつて石油の安定的かつ低廉な供給の確保に寄与し、」こうあるわけですね。低廉な供給の確保、こういう点から申し上げまして、パイプラインで運ぶお値段とタンクローリーで運ぶお値段を比べますと、二十円対二円とすれば十八円の差がある。十円対一円なら九円の差、いずれでも同じですが、要するにパイプラインで運ぶところの値の安い部分が消費者に還元されてしかるべきだと私は思うわけです。これが中間で搾取されてしまったのでは何にもならないのでありまして、これが完全に消費者に還元されていって、なるほどタンクローリーで運ぶよりもパイプラインで運んだほうが安いのだ、しかもまた安全なのだというようなことになれば、これはみんな喜ぶのじゃないかと思うのですが、はたして消費者に還元されるものかどうか、この点について目的に合致してやられるのかどうか、この辺をひとつお答え願いたい。
  201. 田中角榮

    田中国務大臣 これは結論としては、消費者価格の抑制ということには当然働くわけでございます。またそのためにパイプライン法の御審議をお願いしているわけでございます。しかし十八円そのものが必ずしも全部いくということにはならないわけであります。これはバイケース。しかしまたひっくり返して言えば、二十円マイナス二円、その十八円に相当する部分は、消費者価格の抑制ということで消費者に影響を与えるものであるということは、これは申し上げられるわけであります。この計算は国鉄も同じだと思いますが、単純に計算をしておるわけでございまして、鉄道運賃とトラック運賃との比較と同じ計算をしております。しかし鉄道では駅から小荷物の運搬というものが、タンクローリーは工場に行ってホースでちゃんと給油所まで送れる。しかし、パイプラインの場合はそこからまた小運搬をしなければならぬという問題がありますので、必ずしも十八円という数字にはなりませんが、そのメリットというものは消費者価格に必ず働くということだけは事実であります。
  202. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 一応その点消費者価格に完全に還元されるということのお答えをいただいておけば私も安心でございます。ぜひともそうしていただいて、中間の搾取を極力避けていただきたいことでございます。  それから保安基準の問題でありますけれども、この保安基準に関しましては、通産運輸自治というふうに関連しているのですが、やはりこの中で一番責任が重いというか、自治省保安の問題についてはやはり責任を持つのではないかと思いますが、この見解は当たっているかどうか。
  203. 田中角榮

    田中国務大臣 保安基準通産運輸建設自治、四省が協議をして中立的立場で厳密なものをつくらなければならない、こう思います。
  204. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いずれにしましても、保安のことに関しては、自治運輸通産共同の責任だ、こういうわけですね。  そこで伺いたいわけでありますけれども、現在では、考えられている線が要するに千葉のほうから北関東のほうに向かうところの関東パイプライン、それから千葉から成田空港へ行くところのパイプライン、それからもう一つ国鉄パイプライン、こういうふうにあります。この国鉄パイプラインは、御承知のことと思いますが、口径十六インチ、関東パイプラインのほうは計画されているのは十八インチ、空港のほうは十四インチ、こういうふうな口径の違いがあります。当然のことで肉厚も違うだろうと思うのです。そういうふうに、これからここで考えられている三つのパイプがそれぞれ全部保安の基準が違ってくるんじゃないか。そういたしますと、やはりこれに対しまして、まず何といっても保安基準というものを完全につくり上げるほうが先ではないかと思うのです。各社それぞれから、保安規程を定めて主務大臣認可を申請する、こうなっておりますから、やはり保安基準というものをつくるべきじゃないかと思うのですが、しかし保安基準をつくるということは結局この法律が通らなければつくれないことになると思うのです。法律が通らないうちにそれを言ってもしょうがないというかもしれませんけれども、現実に空港公団のほうは着工しておる、国鉄のほうも着工しておる、こういう状態。そうなった場合に、保安基準がきめられるのが何月ごろになるかわかりませんけれども、おそらく法律が通ってから六カ月ぐらいかかるだろうと思うのです。その間にきめられると思うのです。そうすると、その前に着工し、完成はしないと思いますけれども、そこのところに時間的なズレはありますけれども、いずれにしても保安基準が出る段階にはもうかなり工事が進んでいるものと思われるわけですね、空港のほう、あるいは国鉄のほうの問題。そうなったときに、この保安基準というものの定め方、これはいままで工事をやっているわけですから、こういうふうにやりたいのだといっても、すでに工事を始めている部分が両方にあるわけです。そういうものに影響を受けて保安基準なるものを現在施行されているようなものに合わせていくような傾向にあると、これはなかなかむずかしい問題じゃないか。やはり三省が十分に監督して、これなら絶対だいじょうぶだというものをきめていただかなければならぬと思う。そうしてきめられだとすると、着工しているものとに違いが出た場合に、それを掘り返してちゃんと直せというそれだけの勇気はないだろうと思うのです。そういう点を考えますと、やはり私最初申し上げたように、保安基準が現在つくられているものにだいぶ近いものになってきて安全度が弱められるのではないかというふうな気がするのです。この点が心配なものですから、ちょっとお尋ねしておきたい。
  205. 田中角榮

    田中国務大臣 本法公布の日から六カ月以内に施行するわけでございますから、同時施行ができるように基準はつくられなければならない。これは公式発言でございます。しかしいまのような具体的に進んでおるもの、これは四省の中で、特に空港線等は運輸省がじかに監督しておりますし、鉄道のほうも運輸省国鉄が一体になってやっておるものでございます。これは責任は運輸省にございますから、この四省間では、法律を提案するのでございますから、提案するにあたっては当然非公式に検討を進めておるわけでございます。でありますから、全然未確定のものというのではなく、公式には法律施行後——施行と同時ということになりますが、いまこれから定められるであろう基準以下のものではなく、基準以上のもので監督を行ない、内々相談をしながらやっておるはずでございます。そういう意味では、いまできたものに基準を合わせるというのではなく、内々検討しておる基準以上のもので事業が進められておる、こう理解をしていただきたいと思います。
  206. 鴨田宗一

    鴨田委員長 松本君、いま見坊審議官が補足説明をします。——大臣の答弁だけでいいですか。
  207. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣だけでいいです。  それで重ねて伺いたいことは、スイス国に、一九六六年七月に施行されたところのパイプライン規制に関する法律というのがあるわけです。これは私国会図書館のほうで調べましたけれども、フランス語で書いてあるので和訳がちょっと時間がかかる、こういう話なので、その内容を十分承知しておるわけではございませんけれども、その第十条に最小距離というものが定められている。これはもちろんスイスの法律でございまして日本法律じゃございませんけれども、要するに書かれていることは、物体とパイプラインとの間の最小距離を定めて安全確保の義務づけをしているわけです。それをちょっと読んでみますと、最小距離を次のように定める。そこでこまかく規定してありますが、無人構造物、これは私の解釈ですとおそらく電柱のようなものじゃないかと思いますが、あるいは無人技術装置で、以下の項目に該当しないものは二メートル。樹木、埋設電気施設は三メートル。二階建て以下の個人住宅、商店及び平屋建ての工場、建物は二十メートル。三階以上の個人住宅、商店、数階建ての工場、小さい駅、発電所、変電所、病院付属技術設備は五十メートル。以下いろいろとこまかく規定されている。こういうことを日本保安基準の中ではやはり定められるものでしょうか、どうでしょうか。
  208. 田中角榮

    田中国務大臣 その規制を目的としたものが規定をされるわけでございますが、内容はそれと同じものではありません。それは敷設のしかたによって違うわけであります。平面的な状態においては埋めるものは非常に地表に近い浅いところに埋めてもよろしい、そのかわり構造物から何メートル離せということになるわけですが、日本においては道路、鉄道敷、そういうものと一緒にやろうというのでございますから、それは今度パイプの基準がどれだけの圧力に耐えるものというものに対して何倍かの材料、材質を要求されるわけです。同時に、平面的に物件から何メートル離れておるというものは、深さによって調整をされるわけです。ですから地表から一メートルとか二メートル埋設をしなければならないということで、これはおのずから数字でもってきちっと調整できる問題であります。でありますが、いずれにしてもそのような状態、先ほど申し上げました道路においては一メートル六十、市街地にあっては一メートル八十ということは、われわれから考えると建設省は少し安全度を見過ぎるなあと思うくらいの安全度を見ておりますから、そういうようなこまかい基準、これは画一、一律的じゃありません。場所によっても違いますし、それから交通の多い道路の下や構造物の下を通る場合、みな違いますので、そういう部分に対する基準というものは明確に規定をされる、こう理解をしていただきたいと思います。
  209. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ちょっと飛びますけれども、十七条の二項に「飲用水の集水が予想される地帯は州が指定する。この地帯には、いかなる液状物導管も設置することができない。」こういうふうにスイスではいっているわけですけれども、日本の場合もやはり水道、こういうものと並行して道路が走る場合も出てくるのではなかろうかと思うわけですね。こういう場合に、「いかなる液状物導管も設置することができない。」こう規定されますと、パイプライン等はもうとうてい通れなくなってしまう。日本のような国土の狭いところでこういう法律は不可能だと思います。しかし、これまで人間の飲む飲料水に対して深い深い配慮をなされる必要はあるだろうと私は思うのです。そういう点から、この日本法律がどのように規定されますか、今後私どもそれを見守らなければならないわけでございますけれども、先ほどから大臣がしばしば口にしておられる安全という問題、これだけはぜひともあらゆる面から検討し、安全第一という点を十分確保していただかないと、これは大きな問題が起こるのじゃなかろうかと思いますので、この点について重ねて大臣の御所見を伺っておきたいわけです。
  210. 田中角榮

    田中国務大臣 非常に技術が発展をしてまいりましたし、地形、地勢上の違いもございます。そういう意味で、十年前のスイスの法律や規定が必ずしも完ぺきであるとも思えません。しかし、日本においては新しい試みでございますし、こういう特殊な、過密な状態の中を通る場合、特に地震国でありますから、より基準は厳密さが要求される、こう思います。  ただ、水道管とか貯水池のところを通るとかいう問題がございますが、これは実際において道路敷や鉄道敷に水道管が埋設されておるとすれば、これからの地下共同溝のようにみな一緒にして、電々公社のケーブルなんかも一緒に行くようになるから、距離を保てということはむずかしいと思うのです。それは材質を非常によくするということもありますし、もう一つは、水道管の上に石油パイプラインを敷設するな。それは少なくとも、漏ることがあっても必ず下に浸透するように、水道には影響しないように、水道管の上に埋設することはできないというふうに自動的に規制されるということを理解しております。
  211. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それから、一点大臣に伺っておきたい点がありますが、それは四月九日と思いますけれども、大臣が愛媛県に行かれまして記者会見をなされた。その席上で、本四架橋の関係で、今後瀬戸内海の原油の基地はもう使えなくなるだろう、そのかわり候補地として高知県の宿毛湾が非常に天然の良港である、この有力な候補地を考える、将来ここから九州へパイプラインで結ぶべきだ、こういう発言を大臣がなさっているようでございますけれども、この発言に誤りはございませんでしょうか。
  212. 田中角榮

    田中国務大臣 そう端的な発言ではないのです。五十万トンタンカーになれば、水深四十メートル以上を必要といたします。水深四十メートルの良港は、かつて連合艦隊を収容したようなところでございます。それは鹿児島県の志布志湾であり、それから宿毛湾であり、もう一つは徳島県の橘湾であり、最後に残るのは奥州の陸奥湾でございます、もうすでに橘湾については地元にも計画があるようでございます、また予算措置を講じて事業に着手しているところに志布志湾がございます、陸奥湾はむつ小川原の開発としてもうすでに計画が立てられております、水深五十メートルというような宿毛という天然の良港は日本の宝庫である、これは大事にしなければなりません、もしこれを石油の基地として使えば、これはやがて四国から九州に、佐田岬から新幹線計画がございます、国道十号線に沿って鹿児島に入るということでございますが、そのときには長浜港の利用とあわせてパイプラインで送られる、これが四国三橋のうちの最後の一橋を通って広島にも供給されるということにもなります、こういう夢を述べたのでございまして、夢か理想でございますが、あそこにはそういう問題があるのです。あるのですが、そんな石油基地よりも造船基地にしたいという地元の意向もございまして、私はもう十四、五年、二十年近くそういうものを趣味で研究いたしておるという程度のものでございますので、そのように御理解いただきたいのであります。
  213. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣に御高説を伺っていますと、時間がだんだんなくなりますので、気が気じゃありません。  大臣は五十万トンタンカーという一つの船の大きさ、これを基準に言われたと思いますけれども、現地ではこれを非常に憤慨しているわけです。要するに、足摺、宿毛湾あるいは宇和海、こういうところは海中公園に指定されたすばらしい自然環境だ。こういう自然環境に大臣がかってにここへタンカーを入れよう、そしてそこを九州までのパイプラインで結ぼうというのはとんでもないと、かんかんにおこっているわけですね。大臣の発言というものは影響するところが非常に多いわけでありますから、放言はけっこうでありますけれども、やはり地元の関係をお考えにならないとたいへんなことになるのじゃなかろうかと思うわけです。とにかく本州周辺の海がよごれていることは御承知のとおりであります。環境を保全する、公害対策を万全にすることは、だれもが考えなければならない問題であります。特にこれ以上汚染を広げないためにも、そしてまた動物たん白質を確保する意味においても、海をきれいにするということは一番大事なことだと思う。むやみやたらに、どこでもタンカーを入れていいというものではございませんので、この点については十分御考慮の上、御発言をいただきたいということをお願いするわけでございます。よろしゅうございましょうか。
  214. 田中角榮

    田中国務大臣 よろしゅうございます。宿毛湾は真に風光明媚なり、こういわれているところであります。あそこは漁獲量の非常に多いところでございまして、あの自然を汚染せしめるというような考えは毛頭ありません。ですから、そういう非常に大きな財産を持っておられるということを申し述べたのでございます。これを利用するかどうか、どのように利用するかは地元の方のことでございまして、政府が一方的にやるなどということは絶対にないということを、おついでの節、ぜひお願いいたします。
  215. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それから建設省のお方に伺いたいと思います。  三十二条のところに、道路管理者は基準に適合する申請があったときには許可を与えなければならないとあり、そして道路占用料といいますか使用料といいますか、こういうものを当然収受することになると思うわけでありますけれども、現実の問題として、空港公団のパイプライン、これは現在全長四十四キロというふうに書かれてございます。このうちで市道の部分が幾ら、県道の部分が幾らか、おわかりでございましたらお答えいただきたい。そしてまた、市道に対してはどれくらいの占用料を払っているか。また県道に対しても占用料を払っているか。この辺のお答えをひとつお願いいたしたいわけです。
  216. 高橋浩一郎

    高橋(国)政府委員 占用料につきましては、ただいま、指定区間内の国道にありましては政令できまっております。なお、道路管理者である地方公共団体の道路敷地に入る場合には条例をもってきまっておるわけでございます。政令では外径が四十センチ未満、ただいまの径が三十五センチでございますので、その場合には、市におきましては一メートルあたり五十円、町村におきましては四十円ということになっております。東京都なり大阪市並びに五十万以上の市におきましては百十円ということになっております。そういうふうにして計算いたしますと、非常に概算でございますけれども、国道、県道、市道等含めまして三十三キロの中に入っておるわけでございまして、それ以外に、十一キロメートルばかりが埋め立て地あるいは鉄道の横断であるとか、それから海岸の護岸等に入っておりますが、ただいま道路に入ります三十三キロメートルにつきましては、年間約五百二十万円になろうかと思われます。  占用料につきましては、先ほど申し上げたわけでございます。
  217. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その五百二十万円、三十三キロの、国道、県道、市道の区分は……。
  218. 高橋浩一郎

    高橋(国)政府委員 国道につきましては一万八千円、約百八十メートルの横断だけでございます。県道については二百六十メートルの横断をするだけでございまして二万四千円、市道については、千葉の市道が約七キロばかりでございまして二百七十七万円、その他の市町村道につきまして、ちょっと数字見えませんが約二百万円でございます。それ以外に高速自動車国道、公団の側道に入る部分が四キロばかりでございますが、これが三十七万円、計五百十八万二千円でございます。
  219. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 千葉の市のほうでも、この通過についてはずいぶんと市会が紛糾をいたしておりますことは私どもも承知をいたしておりますが、非常に大きな危険があるであろう。それに対しては、いわゆるその道路占用料といいますか年額二百七十七万ということであっては非常に割りが悪い、こういうことを言っているわけですね。そのことについて何か空港公団で三十億包み金をしたという話があるのですが、その真偽のほどはいかがでしょうか。
  220. 高橋浩一郎

    高橋(国)政府委員 金額については聞いておりません。担当は空港公団関係運輸省ではないかと思いますが……。
  221. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 運輸省
  222. 見坊力男

    ○見坊政府委員 私、ちょっと聞いておりませんので……。
  223. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もちろんこの席上で包み金の授受があったなどということは当然出るわけはないわけでありますけれども、もっぱらの町のうわさでありますので、念のため伺ってみたわけでございます。  それから次に進めますが、海上保安庁、保安庁で出しておりますところの四十六年七月の「海上保安の現況」、これによりますと、いわゆるバルブ操作によるところの誤りによりまして油が海に流れたというものがかなりの件数があがっています。四十一年度には二十六件、四十二年度には三十九件、四十三年度に五十件、四十四年度に七十一件、四十五年度には七十件、合計二百五十六件、年平均いたしまして五十件程度のものがバルブの操作ミスによりまして油の流出事故があるわけです。こういう汚染に対しますところの保全の処置、こういうものをどのようになすっていらっしゃるか、この対策はでき上がっているのかどうか、この点について海上保安庁にお伺いしたいわけです。
  224. 貞廣豊

    ○貞廣説明員 ただいまのバルブ操作による油の流出による汚染ということは、これの対策はまことに重要なことでございます。この事故をいろいろ検討いたしました結果、これらの事故は作業前または作業中の点検それから監督などの基本的な注意事項を順守しなかった、そういったところがら発生しておるのがほとんどでございまして、これにどう対処するかということにつきまして海上保安庁ではすでに管下に対しまして、このようなことについてこのようなことについてと詳細に事項をあげまして、監視、取り締まりとあわせて、強力に関係者を指導するように通達をいたしております。たとえば積み荷とか原油なんかを揚げおろしする場合には、まず責任者を選任しておきなさい、こういう責任者の監督のもとに責任体制を明確にして行ないなさい、それから使う設備器具の点検、それから平素整備しておいてこれを確認してから仕事を始めなさい、それから作業を始める前にその計画を立て、かつ関係者が十分のみ込むように打ち合わせをしてからかかりなさい、それからそのほか作業の準備とか、それから特に作業進行中の状況を常時監督者責任のもとに担当者が追跡していくというふうなことをやりなさいというふうな具体的なことを指示して管下に指導させておりますとともに、関係民間に対してもそのようなマニュアルをつくって自主的にやるように指導いたしまして、最近におきまして日本船主協会等において関係団体と協力のもとに協議会をつくりまして、そしてその協議会は全国組織をもちまして、主として外航関係の船でございますけれども、チェックリストをつくってお互いにチェックしながら確認していくという組織をつくらしておりますが、これの設置、運営等について十分指導、育成するようにあわせて指導いたしております。
  225. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間が来ておりますが、もう一点だけいまの保安庁に伺っておきます。  新潟のタンカー事故、この前たいへんな事故がございました。あのときに中和剤を盛んに海の中へ入れた。いろいろと影響があったろうと思うのですけれども、その影響のことについては聞く時間の余裕もありませんので、一つだけ伺って確認しておきたいのは、そういう不測の事故に対して中和剤を保管するといいますか義務づけるといいますか、そういう処置が必要だと思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。簡単に答えてください。
  226. 貞廣豊

    ○貞廣説明員 すでに先生御承知のことと思いますけれども、海洋汚染防止法でもってこういう施設の管理者は防除の義務が課せられておりまして、現在海上保安庁では、これらのオイルフェンスとかそれから除去剤その他の油防除資器材の整備、運用について強力に指導いたしておりますが、近く六月二十五日に施行になりますところの海洋施設に関する届け出が行なわれますころには、これらの海洋におきましては海洋施設にこれが該当いたしますので、その設置については海上保安長官に届けるようにこれからなります。その届け出の中にこういったものをあわせて届け出させるようにいま検討いたしております。
  227. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これで終わります。消防庁にもパイプライン事故についてお伺いする予定でございましたけれども、時間がなくなりましたからやめます。  なおまたロサンゼルス地震の結果あるいはまた科学技術庁の資源調査会で出しておるところのパイプラインによるところの石油輸送の近代化に関する調査報告、こういう中にいろいろと安全の問題について疑問点が述べられています。こういう問題についてどうしても私どもの一番不安とするところ、これはまずパイプラインが安全かどうか、この点をわれわれも非常に危倶するものでございますので、十分にこれらの点について完全に安全であるということの工事をなさるようにひとつ当局において十分の監督指導をしていただきたいということを心からお願いをいたしまして終わることにいたします。
  228. 鴨田宗一

    鴨田委員長 林百郎君。
  229. 林百郎

    ○林(百)委員 国務大臣としての田中さん、また通産大臣としての田中さんにお尋ねしたいのですが、もう各委員から繰り返し繰り返し質問があったのですけれども、結局本法案を通過させるために各委員が最も心配している点は、一つは安全の確保の点だと思いますね。一つ地域住民の協力の問題、この二つが非常に重要な要因になっているということはもう田中通産大臣も十分おわかりになったと思うわけなんですね。ところが、その安全の確保に対して、技術的にもまた究極的にも責任を負うのは消防庁であり、消防庁自治大臣の管轄下にある。それから地域住民には市町村、都道府県を通じて協力を求める。だからその実情を閣僚の中で一番把握しているのは自治大臣だと思うのです。したがって、そういう地位にある自治大臣を、この基本計画の策定あるいは事業許可を受ける場合の主務大臣に入れないというのはどういうわけなんでしょう。それは私は何もセクショナリズムを発揮しろという意味ではなくて、最も重大な責任を負うべき大臣が、この石油パイプライン事業の最も根本である基本計画の策定、事業許可に参加しないで、責任だけは負うということでは、これははなはだ不十分な行政指導になると思いますので、そういう意味で聞いているわけです。
  230. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほども御質問にお答えをいたしましたが、この種の法律というものは、法体系の上でも、また責任の所在を明確にするためにも単数であることが望ましい。そして協議事項を明定をして協議をするということが望ましいということでありましたが、この法律案策定に至る経緯がございまして、もうとてもそういう状態でなかったということでございます。しかも今度新しくやるものが、一つ通産関係でやれることでありますが、一つ日本国有鉄道がやるということで、通産運輸ということになったわけでありますが、しかし実際は農地の中を通るから農林というのも非常に強かったのです。自治大臣という問題もありましたが、これは自治大臣から首長、地方庁の長の意見を聞いてもらうということで、当然自治大臣意見は尊重されるわけです。自治大臣がうんと言わなければこれはできないことになっております。だから主務大臣ということではなく、法制のたてまえ上自治大臣意見は十分聞いて、地方住民意見が反映できるようになっております。これは自治大臣が全部その意味主務大臣になるというと、ほとんどの法律は、これは全部建設省でもってやっておるものでも、新産業都市でも、工業地帯整備法でも、工業再配置でも、何でもみな自治大臣が入らなければならぬわけです。港湾法でも何でもそうなんです。そういう意味でこれはやはりいまの官制上やむを得ないもので、これは実際において一人が望ましいのです。ですから、そういう意味でこれは自治大臣意見が反映されるという制度的なものは完備をいたしておりますので、自治大臣だけが共管主務大臣にならなかったということでこの法律趣旨が侵されるものではないというふうに理解をしていただきたい。
  231. 林百郎

    ○林(百)委員 自治大臣共管の大臣になる場合もありますけれども、最も基本の基本計画の策定と事業許可に参加できない。しかも農地を通るから農林大臣もというような、そういう次元の問題でないのです。自治大臣が参加することは、消防に関しては自治大臣が掌握しているわけなんですから、もし事故が起きた場合消防がどういう責任を負うかというと、非常に重大な責任を負うと思うのです。火が出た場合、あなたの通産省のどこが行って火を消すのですか。もし事故が起きて火が出たならば、その火を消すのは消防庁ですよ。通産省だって建設省だって運輸省だって、それはできないのです。しかも住民が一番心配しているのはそこなんですから、その意見を聞かなくて基本計画を策定し事業許可をするということは、これは片手落ちだと思うのです。そういうものを参加させろということなんです。このいきさつを見ますと、いろいろの経過があったことは私も知っています。ここでその経過は時間がありませんので詳しく申し上げられませんけれども、たとえば一九七一年九月の「近代消防」を見ますと、第二回の消防審議会では、「前回同様審議会は、地震に対し懸念を持つ学者グループと、経済ペースで一早くパイプライン建設しようという通産運輸両省とが対立した。しかし、佐竹委員から折衷案ともいうべき、保安、防災体制の一元化案が出され、これが全会一致で了承された。」だから消防審議会では相当経済ペースで早くやろうというようなことと、それから地震に対する懸念を持つ学者グループが対立しておるということもわかると思うのです。また第一回の消防審議会で、この問題について河角廣東大名誉教授は、「パイプの地下埋設は、ロス地震の例もあり、その安全性には多くの疑問が残る。自分としては、パイプラインを敷設するならば地上に」という意見もあった。さらに降矢消防庁長官が特に強調したことは「パイプラインの通過する人口集中地区では、どんな対策を講じても住民の反対運動は必須であり、これを説得するのは一体誰なのか。」だれが責任を負うのか。あなた方心配しなくていいと言えるのかというんです。もしその事態が起きた場合、その事態を防止できるのだという消防庁の最終的な保障がなければ、あなたが行って何を言ったってそれはだめですよ。だから、そういう意味降矢消防庁長官も言ったと思いますが、諸外国パイプライン事故の低さからその安全性を強調する通産省考え方については相当の突っ込んだ質問もあった。こういうような専門家からその安全性について質問が出されており、防災の責任を負う消防庁長官もその安全性について非常に心配しているわけなんです。その事故が起きた場合、最終的な責任を負う消防庁を行政的に掌握しているのは自治大臣なんですから、だから基本計画の策定や事業許可には自治大臣を当然入れるべきではないか。農地を通るから農林大臣というような、そういうあなたがよく答弁に言いましたような次元の問題でないと思うのです。そうして、しかも自治大臣に諮問する場合は「基本計画を定めようとするときは、関係行政機関の長及び関係都道府県知事意見をきくものとする。」だから「意見をきくものとする。」というのは、意見を聞くので足りるという意味にもとれるわけです。都道府県知事意見を聞くあるいは自治大臣意見を言う。それがノーの場合にあなたがあきらめるということには必ずしもこの文面からはなっておらないわけです。現に千葉市では、「パイプライン時代の幕あけを告げる事業なのだから、国が早い時期にしっかりした方策を講じて臨むべきでした。保安法規もない段階で、空港開設のせっぱつまった時点になって、千葉市という一地方自治体に、いっさいをおっかぶされた感じ」だ。それから消防審議会の答申も、「その運用に際しては、関係地方公共団体の意見を尊重し、かつ、地域住民の協力を得られるよう配慮すべきである。」こうもいっておるわけです。  そこであなたは、いや、自治大臣あるいは都道府県知事あるいは市町村長が首を縦に振らなければこれはできないですよと言ってますが、さっき松本委員からも質問があったんですが、もうこの石油基地をつくる計画を中止しておる高知県の宿毛の地域、これはもう知事は原油基地をつくるという計画で、伊藤忠が土地買収など始めたとき漁民の反対があって中止を決定している。決定しているにもかかわらず、あなたはあなたの田中派の高橋英吉君の寿記念の会に出席して、私のほうで新聞に出た正確なあなたのことばをもう少し詳しく申しますと、五十万トンタンカーの時代が来る、このタンカーを入れることのできる良港は宿毛湾(高知)、志布志(鹿児島)、橘(徳島)、陸奥(青森)だけだ、特に宿毛湾は水深四十メートルもある、原油基地をつくるには適当なところである、パイプラインで長浜を通り、第三本四架橋を通し本州へ、さらに佐田岬から九州にも送る、公害はない、公害を理由に反対をしないでほしい。知事が中止を決定しているのに、石油ステーションをつくることについてそこの宿毛についてどうか反対しないでほしいと言っている。あなたの言動を見れば、必ずしも地方自治体の都道府県知事や市町村長が首を横に振ればこれは考慮しなければいけないというあなたのことばは信用できないと思いますが、どうでしょう、これは。
  232. 田中角榮

    田中国務大臣 あなたは先ほど私がお答えをしたことを聞いておられなかったのですか。
  233. 林百郎

    ○林(百)委員 聞いておりましたよ。聞いておりましたから聞くのです。
  234. 田中角榮

    田中国務大臣 私は二十分も三十分も話しておるのです。その中の初めから終わりまでしゃべった私が真実を述べているのに、あなたはその部分だけをどこから入手されたか知らぬけれども、八幡浜の会場におられなかったのでしょう。おられなかったら、本人が公式の席上で述べておるのでしょう、それを信用していただかないでどうしますか。
  235. 林百郎

    ○林(百)委員 新聞に出ているから聞いているのです。
  236. 田中角榮

    田中国務大臣 新聞に私がしゃべったものが全部出ているのじゃありません。私の真意をちゃんと述べたはずです。
  237. 林百郎

    ○林(百)委員 宿毛に石油ステーションをつくって、長浜から今治を通って尾道へ行くというパイプラインを将来つくる、あなたはそういう夢を話したのです。しかし四十メートルの宿毛の港は大事な宝です。そう言ったことも知っていますよ。そうしたら、そこでは漁民が反対し知事が中止を決定している限り、石油ステーションや宿毛を基点としてのパイプ事業はやらない、反対している限りは。そういうことをはっきりここで約束してください。
  238. 田中角榮

    田中国務大臣 やらないのじゃなくて、地元が反対していればできません。
  239. 林百郎

    ○林(百)委員 反対していればやらないとあなた答弁しているからそう言いなさいと言ったのじゃないですか。そう興奮しないでもいいでしょう。  それでは時間がありませんからさらに次に移りますが、いまの宿毛の問題はその地域住民が反対しているからできない、こういう答弁で聞いておきます。もし異議があったら、あなた次の質問の答弁のとき答えてください。  保安の問題ですが、たとえば地震の問題だとか、あるいは鉄道線路沿いのパイプラインが鉄道事故と複合して事故が発生した場合、こういう複合事故の場合、パイプ自体は——きょう私は朝からここへ出席してずっと、あなたのここへ出席する前から聞いているのですから、安全性についてはあなたも強調されていることはよくわかっております。しかしそれはパイプについての安全性ですが、複合的な事故が起きた場合の安全性というものはあなた保障ができますか。最終的な責任者は、あなたが責任者となってその保障ができますか。神ならぬ身の万に一つということも、ということばを使ったことも私は聞いております。全部聞いておりますが、事は重要な問題ですからあなたに聞いておきましょう。
  240. 田中角榮

    田中国務大臣 鉄道敷を使う、道路敷を使うというような状態でありますから、技術的な安全性はもちろん確保されなければなりませんが、複合的なものが絶無であるということはこれは述べられないわけであります。地震があります。歴史上なくても、最も大きい地震が起こる可能性もあります。そういう意味で絶対ということはどこにもないわけでございますが、経済性を考えながら、また国際的にも過去百年の歴史があるわけでありますし、そういうものとの比較から、特に日本の地形、地勢上の、また地質上の特性というようなものが加味せられて安全度というものがきめられるわけであります。そういう意味で、学問的に考えてもだれが考えても、いま原子力発電所に対してこうであるとか、ローサルファの石油が望ましいといっても、しかしこの程度なら容認しなければならないだろうという大体の水準があるわけであります。この水準以上の安全性を確保するということが目的でなければならぬし、そう実施さるべきだ。しかしそれは絶対にマグニチュード十五の地震が来ないということは、これは神ならぬ身の知るよしもない。ですからそのときのことを考えれば何にもできない。建築基準法だって鉄筋コンクリートで建てなければ全部できないということになるわけでありますから、そこはまあ技術的にも学閥的にも、また住民も納得されるような——日本の科学水準必ずしも低くありませんから、そういう意味では理解が得られる、どこへ出しても恥ずかしくない、これは日本パイプラインの基準というものは世界の学界でもみんなきっと問題にされる問題でありますから、安全性が確保されるという限度はどうしても守らなければならぬと思います。
  241. 林百郎

    ○林(百)委員 消防庁長官にそれではお尋ねしますが、私も、外国の実情を人に聞いたり社会主義の国は一応行って見てきておるのですけれども、こんなに人口稠密の地帯——調査室からいただいた首都圏における三石油パイプライン事業主体計画を見まして、こんな人口稠密な地帯にパイプラインを敷いているという例は外国にはないわけですね。大体人口密集地帯の前から石油車に移して、タンクローリーに移して、そうして運搬しているわけですね。こんな首都圏における三石油パイプラインというような、特に人口密集地帯に三パイプラインを通過さして、これがもし、マグニチュード十五というさっき田中さんの話がありましたけれども、十五にならないにしても、少なくとも七・五の関東震災だとかそういうような震災が起きた場合に、これは万全な保障が責任持てますか、消防庁として。こんな人口密集地帯で石油パイプラインを敷いている例は、世界のどこの国を見たってないのですよ。どうですか。
  242. 降矢敬義

    降矢政府委員 パイプラインの必要なゆえんについては、通産大臣からるるお話がございました。消防審議会におきましても、そういう前提に立ちまして、保安中心に昨年の十一月に答申をいただきまして、その考え方は、やはり施設そのものを地震も想定しました耐震性のあるものにするし、導管にしてもしかりでございます。しかし万一の事故ということにつきましても、やはり備えをやらなければなりませんので、私たちは、一つ技術基準の中に消防、防災の施設を設けるように義務づけるとともに、反面事業者がつくります保安規程の認可の際には、その中に保安に関する事業者のとるべき措置、たとえば緊急時における連絡の手だて、消防との連絡のやり方その他を明確にするつもりでございます。しかしながら、反面公設消防の側におきましても当然、危険物、施設に対する防災というものは任務でございます。この点につきましては、施設そのものが長大のものでございますので、関係市町村間において応援協力体制というものを別途われわれもこのためにつくりまして、万一の場合に備えて住民の安全を確保していきたい、こう思っております。
  243. 林百郎

    ○林(百)委員 あまり科学的な説明でなくて、希望を込めた答弁だと聞いておきます。  さて問題を次へ移しますが、田中通産大臣、私たちも何もいまの状態が、タンクローリーですか、何かこう一ばい通っているああいう状態がそのままいいとか、あるいはパイプラインに何でもかんでも反対するというわけじゃございません。しかしそういう立場から、これが私企業でありながら公的な権限を与えられて、土地収用法等を適用されているという点について、多大な疑問を持たざるを得ないわけです。われわれはむしろこれを国営の事業か少なくとも公団の、やはり国が責任を持つということにすべきじゃないかというように思うわけですが、これが非常に私企業の色彩が強いので、先ほどの質疑にもありましたけれども、この一条の、「もつて石油の安定的かつ低廉な供給」、この低廉な供給というのは、国民個々人に供給するのではなくて、石油業者に低廉な供給の確保をはかるという意味ではないでしょうか。その点が一つと、そして二十条に「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものの範囲をこえないものであること。」利潤も保証するわけなんですね。それからさらに開発銀行から二十五億の出資もする、そういうような至れり尽くせりの私企業としての利潤の確保にいろいろな手だてを講じている。こういう私企業の利潤の保証のためにあらゆる手が打たれている。そういう私企業に土地収用法——公共的な性格を持った事業としての土地収用法を適用することは、土地収用法の精神からいっても、また憲法二十九条の私権の制限の条項からいってもこれは不法ではないでしょうか。もしあなたが、こういう土地収用法まで適用して公共的な事業だとおっしゃるなら、むしろ国営にするかあるいは少なくとも公団の事業、こういう公な、もっと公共性を持った事業にすべきじゃないでしょうか。
  244. 田中角榮

    田中国務大臣 そのお考えにはちょっとどうも賛成しかねるのです。国営にしたほうがいいということですが、国営にするほど重要な仕事であることは理解されているわけですな。ただ、企業体が民間であるか国営であるかということにすぎない。これは過去は国、地方、公共団体というものにしぼっておりましたが、今度はそうではないのです。国、地方、公共団体がすべてをやらなければならないというようなことよりも、民間のエネルギーをいかにして使うかということが先進工業国、先進国の例であります。日本においても、おそくはなりましたが、道路は無料、公開の原則に立つといわれておりましたものを有料道路法の制定を行ない、すでに二十年。しかも都道府県に対して有料道路を行なわせ、私人に対しても有料道路制度を適用するというふうになって、だんだん税金でものを片づけるという考え方に対して修正が加えられておる。そういう方向である。政府がやらなければならないものは、ほんとうに政策的目的をもって政府がやらなければならぬもので、それ以外はだんだんと民間に移すべきである。だから電気通信省から日本電信電話公社に移り、電信電話公社は民営論が出ておるのはそのとおりでございます。だからそういう意味で、土地収用法を持っているものは民間事業による工業用水道、それから事業主体は別として民間でやっておる自動車ターミナル事業事業主体は民間でありますが自動車事業、こういうものになっておりますし、諸外国でも、アメリカでもフランスでも西ドイツ、イギリス、イタリア、オランダみな収用権を与えておるということでございますので、この重要性ということであって、私企業か、公営企業でなければいかぬのかという問題は、これはやはり別な角度から議論さるべき問題だと思います。
  245. 林百郎

    ○林(百)委員 時間も参りましたので、それでは詰めてお聞きしましよう。  この一条の「もって石油の安定的かつ低廉な供給の確保」、「低廉な供給の確保」というのは石油業者に対して低廉にするという意味ですか。それが一つ。それから、それならば料金をどうして「適正な利潤を加えたものの範囲」とするのか。これは明らかに株式会社で一定の利潤を得ることを目的とした会社じゃないですか。そういう会社にしておきながら土地収用法を適用するなんということは過保護じゃないですか。
  246. 田中角榮

    田中国務大臣 第一の問題は業者保護か国民保護か。言わずもがなであります。言わずもがなであって、国民保護であるということを声を大にして申し上げておきます。  それから第二は、私企業にしてやらせるということに対して過保護であるかどうかということでございますが……〔林(百)委員「土地収用法まで与えてね」と呼ぶ〕過保護だとは考えておりません。これは先ほど申し上げたように、工業用水道を行なうものとか有料道路事業を行なうものとか、バスターミナル事業を行なうものとか、国にかわって私企業が行なうことが望ましい。そのほうが税金でやるよりもメリットが多いという時代的な流れに沿って——先ほど言ったじゃありませんか。逓信省であったものが五現業になり、それから民間にだんだん移る趨勢である、何でもかんでも全部国がやらなければいかぬという考え方には修正が加えられつつある、こういうことなんですから、だから私企業だけがそれは無配当でいいんだというなら原資を得ることもできませんし、出資を求めることもできない。それにはおのずから限度があるので、先ほどの御質問にも答えましたが、料金は認可制度によって調整をいたします、こう言っておるのでありますから、やはり九電力と公社の中間くらいの立場でお考えになっていただければよくわかると思います。
  247. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、適正な利潤というのは具体的にはどういうことをお考えになっているか、ここで説明を願いたいことが一つ。それから四十七年度に開発銀行から二十五億の融資、予算書に書いてありますね。開発銀行から二十五億融資すると書いてありますね。将来はこれはどうなるのでしょうか。さらにこれを拡大するのですか。今年度だけはこうなるのかという点が一つ。時間がありませんから欲の深い質問ですが、もう一つ。それじゃあなたの言う、一条の低廉な石油供給ということが国民的なメリットになるなら、一人一人分石油消費と各家庭のこれが低廉になる、値段が下がるというのは一体いつからそうなるのでしょうか。どういう状態のもとになるのでしょうか。その三つの点ですね、それをお聞きしておきます。
  248. 田中角榮

    田中国務大臣 適正利潤というものは、これはその事態において変わるのでございまして、日本のこの種の事業がどの程度の利益をもって適正利潤とするかということはおのずからきまるわけでございます。これは九電力とか銀行などは前にはそうでありましたが、今度は配当制限を取り払うということでありますが、私はやはり電力会社という程度には考えるのが適正利潤というふうに考えます。電力会社、ガス会社というようなことだと思います。  それから体制金融として開発銀行等から出しておる。これはもう資金が初め膨大もないものがかかる。しかもあなたが先ほど述べられたように国営でもってやったらどうか。国営は税金でまかなうわけでございますが、それはもう民間が二〇%を出資、開銀融資が三〇%、こういうようなことでありまして、あとは市中金融機関から五〇%の借り入れでやるということで、これをつくるまでには、完成をし事業を開始するまでには膨大もない資金を投入するわけであります。まあ日本の企業が、国力が膨張したためにこれを企業でやろうということになったことは、これはありがたいことでございまして、政府でみんなやらなければいかぬのかということよりも、政府が体制金融を行ない、政策的な援助を行なうことによってこのようなものができるということは、これは新しいケースとしてだんだんとこのように変えていくべきものだ。これは外貿埠頭公団法をつくって、港湾は全部一〇〇%国費でまかなっておったものを、そうではなく民間に埠頭をつくらせるという制度がすでに発足をしている現状に徴すれば当然なことであります。しかも定期船に六千五百総トン以上、不定期船に一万五千総トン以上、油の油送船に対しても体制金融をやっておりますから、そういう問題はひとつその程度で御理解いただきたいと思います。  第三の問題は……(林(百)委員「国民的メリット」と呼ぶ)国民的メリットというものは、これはあなた静かに考えていただけばすぐわかると思うのです。お互いが毎日国会へ来るときにタンクローリーが隣にいると、すわっておって非常に不安であります。しかもものすごい勢いで事故はふえておるのであります。これから通行人の生命を守ろうというためには、別にいい手を考えなければいかぬ。しかもそれだけではなくて二十分の二に、十分の一にコストが下がるというのでありますから、(林(百)委員「それはいつだと言っている。どういう条件のもとに二十分の二になるのか」と呼ぶ)それは投資をしたものとそれから石油を売ったものとのバランスは、建設が完了した後からだんだんとバランスがとれてきまして、何年かかるかなどということは言えるわけがありません。そういうことで国民的に大きなメリットがある。メリットのないものを立法をいたして御審議をお願いするようなことはいたしません。
  249. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは私は、これで結論だけで終わります。  私たちの党としては、やはり石油のような国民生活に重大な関係のある事業は当然国営ですべきである。あなたは国営ですれば税金だと言うけれども、しかし石油も一定の利潤の料金を払うということは、消費者へそれが転嫁されてくるわけですから、これは間接の負担が国民にかかるのは当然であります。さらに開発銀行の融資も財政投融資ですから決して国民の負担でないことはないわけですね。そういうばく大な金がやはり国民の負担でかかっている。しかも一定の利潤を保証して金利も払わなければならないわけなんですから、これはやはり国営でやることのほうが合理的だ、私はそういう確信を持っておりますので、それを述べて私の質問を終わります。
  250. 鴨田宗一

    鴨田委員長 以上で、本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後六時十一分散会