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1972-06-09 第68回国会 衆議院 商工委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月九日(金曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君   理事 浦野 幸男君 理事 小宮山重四郎君    理事 橋口  隆君 理事 武藤 嘉文君    理事 中村 重光君 理事 樋上 新一君       大久保武雄君    神田  博君       北澤 直吉君    左藤  恵君       坂本三十次君    始関 伊平君       塩崎  潤君    田中 榮一君       羽田野忠文君    八田 貞義君       前田 正男君    増岡 博之君       松永  光君    山田 久就君       加藤 清二君    松平 忠久君       近江巳記夫君    岡本 富夫君       松尾 信人君    川端 文夫君       米原  昶君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 角榮君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      木村 俊夫君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     谷村  裕君         警察庁刑事局保         安部長     本庄  務君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         通商産業政務次         官      稻村左近四郎君         通商産業大臣官         房参事官    増田  実君         通商産業省通商         局長      山下 英明君         通商産業省公害         保安局長    久良知章悟君         通商産業省重工         業局長     矢島 嗣郎君         通商産業省化学         工業局長    山形 栄治君         通商産業省繊維         雑貨局長    佐々木 敏君         通商産業省公益         事業局長    三宅 幸夫君  委員外出席者         防衛庁経理局施         設課長     蔭山 昭二君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  杉森 一秀君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 委員の異動 六月八日  辞任         補欠選任   坪川 信三君     左藤  恵君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  熱供給事業法案内閣提出第八二号)  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出熱供給事業法案を議題といたします。  本案質疑は、去る六月七日終了しております。  これより討論に入るのでありまするが、討論申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  内閣提出熱供給事業法案について採決いたします。  本案原案どおり可決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  3. 鴨田宗一

    鴨田委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決いたしました。     ―――――――――――――
  4. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、本法律案に対し、小宮山重四郎君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を求めます。小宮山重四郎君。
  5. 小宮山重四郎

    小宮山委員 提案者を代表して附帯決議案趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    熱供給事業法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、国民生活の向上、公害の防止等優れた利点を有する熱供給事業の健全な発達を図るとともに、次の諸点について特段の配慮を払うべきである。  一、熱供給事業の許可及びその監督にあたつては、環境の保全に留意し、使用燃料規制排煙処理設備の整備等総合的な大気汚染防止対策を講じ、公害発生を未然に防止するよう努めること。  二、熱供給施設、特に導管についての監視体制を確立するとともに、他工事等による事故防止対策を樹立し、保安の確保に万全を期すること。  三、人口稠密地域における熱供給事業用燃料については、原則として、無公害燃料使用するよう指導すること。  四、熱供給事業使用する熱源については、廃棄物焼却熱火力発電所の余熱の利用等計画的かつ積極的な活用を図ること。  五、熱供給事業者間の熱料金格差を最小限に止めるよう指導するとともに、料金低減等消費者保護を図るため、適切な指導、助成を行なうこと。 以上のとおりであります。  決議案内容につきましては、質疑の過程において、また案文により、十分御了承願えるものと存じますので省略させていただきます。委員各位の御賛同をお願いいたします。
  6. 鴨田宗一

    鴨田委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 鴨田宗一

    鴨田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められております。これを許します。田中通商産業大臣
  8. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、政府といたしまして、その趣旨を尊重し、万遺憾なきを期する所存でございます。     ―――――――――――――
  9. 鴨田宗一

    鴨田委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     ―――――――――――――   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 鴨田宗一

    鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  11. 鴨田宗一

    鴨田委員長 通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件、並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。加藤清二君。
  12. 加藤清二

    加藤(清)委員 お許しを得まして質問をしたいと思いますが、与えられた時間が非常に短うございます。それは私のせいではございません。あなたのせいです。私は理事さんや委員長の命令どおり動きます。したがって、質問順序をすっかり変えまして、前置きを抜いてずばりずばりとお尋ねいたします。勘のいいあなたですから、そのおつもりで簡潔にお答え願いたい。  第一番にお尋ねしたいことは、ストックホルム公害会議が行なわれている。その際に、日本PCBカネミ患者やイタイイタイ病の患者が最も貴重なお客さんとして歓迎を受けた。まあ大石さんの演説は非常に正直でよろしいという評価がなされているようでございます。そういうやさきに、日本でまだPCBが出ている。これはたいへんなことです。しかもそれが、女子供といっては失礼かもしれませんが、この害毒を知らない、幼い、成長盛り子供の食物の包装紙から出ておる。この点についてすでに通産省は、製造禁止し、回収を命じ、その回収したものの焼却処理まで指示されているはずである。にもかかわらず、今日どうしてそれが東京都内に出回るのか、理由を承りたい。  私は集約して大臣に二、三十分許されているのですから、大臣にまず聞いて、関係の人にはあとから聞きます。
  13. 田中角榮

    田中国務大臣 PCB開放系使用につきましては、本年一月に行政指導によりまして電機業界に対して使用禁止措置をとっているところでございます。PCBメーカーに対しても開放系用途の出荷をしないよう指示をしてきたところでございます。当省といたしましては、従来から印刷インキ工業会からPCB使用した事実はないとの報告を受けておったのでございますが、いま御指摘のようなことがあるといたしますと、これは非常に重大なことでございます。これは法律的にはともかくとして、道義的にはきわめて遺憾であると思います。使っておりませんという報告を出しておきながら使っておるということであればたいへんなことでございますので、関係者に対して今後かかることのないよう猛省を促すとともに、その製品回収指示しておるところでございます。  これだけでは、どうも済まぬようでございます。法律的には確かにこれは適法な答弁でございますし、またこういうことをしておりますが、使っておらぬといっていて使っておれば、道義的に非常に遺憾でございますし、これからそういうことが起こらないようにするにはどうしなければならないか、立法措置を必要とするのか、いろいろな問題がございます。そういうこともいま検討いたしますし、とにかく回収に全力をあげるということでございます。
  14. 加藤清二

    加藤(清)委員 私の質問順序お答え願いたいと存じます。回収に努力するというお答えでございますが、それはとっくの昔にお約束なさったことなんです。製造禁止する、回収をする、回収したものは焼却する。その焼却炉を持っている鐘化をはじめとした二つの工場責任者まで公害委員会へ呼んでかたい約束が取りつけられ、その後私どもはその実態を調査するために現地の焼却炉調査まで行なったわけなんです。なで回収ができないのか、回収されてしまったものがなぜ市販されているのか、そこをお尋ねしておる。何が原因であるか。回収したはずである。もししなかったとすれば、それは約束違反である。怠慢であるとは言いませんけれども、約束が守られていないという何よりの証拠である。大体政府公害発生企業に対してはあまりにも過保護で甘過ぎるものですから、政府を甘く見て、もうかるうちは、使えるうちはということで、もうけ主義のために国民を犠牲にしている向きがたくさんにある。これではストックホルム会議が泣きます。回収をされたか、されないか、どうです、――委員長約束違いになりますから、私は大臣だけに聞きます。それでは、大臣に答えていただけることだけ聞きましょう。あとで詳細は詰めます。大臣、あなたで答えられること、つまり最高責任者として答弁の可能なことだけをお尋ねします。  第一番。せっかく商工委員会公害委員会政府がすでに約束なさったことが実行に移されていないうちみがある。それは業者が政府の指令、指示を甘く見ている証拠である。だからこの際、あなたは回収するとおっしゃられましたけれども、回収する前に総点検をすべきだと思います。回収する前に総点検をしなければ回収はできないはずなんです。またそのことは県知事に権限委譲が行なわれておりません。したがって、本件に関する限りは政府みずからが総点検をすべきだと思います。当該大阪インキ製造会社、これはそれを使っていないと言うておるようでございますから、使っていないものにPCBが八五〇も含まれるはずはない。したがって、この社長は本委員会に招致して、証人喚問をして追及をしなければならぬと思います。もしそれがこの委員会でできないとおっしゃるならば、公害委員会責任においてしなければならぬことになると思います。そこで、総点検をまず回収する前にするかしないか。社長参考人として呼んでここで調査する用意があるかないか。
  15. 田中角榮

    田中国務大臣 第二の、社長証人として呼ぶか呼ばないかは委員会の御権限でございますから、それは私から答弁はいたしません。  第一の問題につきましては、これはもう不届きしごくだと思います。使っておるにもかかわらず使っておらない、こういうことに対してはふんまんやる方ないということでございますから、これは厚生省連絡をとりながらすべてを調査いたします。調査と同時に、市販に回らないように処置をいたします。同時に、これを差し押える、そうして廃棄処分を行なう。回収に対しては責任ある行動をしたい、こう思います。
  16. 加藤清二

    加藤(清)委員 けっこうな御答弁です。そういうふうにして答弁していただきますと能率があがっていきます。  次に、本件についてのパン関係、特に敷島パンでございますが、これは名古屋が本家なんです。そこの篠田資材部長に尋ねてみますと、そういうことが気がつかなかったかといいますと、そうではなさそうでございます。すでにこういう悪質な害毒を含んだ資材を納入しないようにというので、念書と申しましょうか証明書と申しましょうか、それを取りかわしておるようでございます。しかし突っ込んでそれを聞いていきますると、資材を納入する側で、これは企業機密に属するからお知らせすることができないと逃げているようでございます。そこでお尋ねいたします。企業機密害毒社会一般に流すことといずれが優先するかにつきましては、すでに公害委員会政府統一見解が発表されたところでございます。にもかかわりませず、いまだに公害基本法第一条の精神もわきまえず、この印刷並びにインクの製造包装紙製造等々が行なわれているとするならば、国会できめられたことも、当該本省指示したことも、末端には徹底していないという証拠でございます。そうしてなお企業機密の名に隠れて、あくまで公害をたれ流し、出しっぱなしにしておるという何よりもの証拠でございます。したがいまして、産業優先ではない、企業機密よりもなお人の健康が優先するということを徹底させるために、通産省としては何らかの手を打つ用意があるかないか。当然すべきだと思います。詳細は大臣が行かれてから、あとで詰めます。
  17. 田中角榮

    田中国務大臣 企業機密だといっても、通産省は御報告できるような状態調査することができます。これは調査してございますから、必要があれば申し上げます。調査するだけではなく、これはもう廃棄処分にしなければならないということでございますし、もう一つは、かかることを将来やらないように措置をしなければならないということは申すまでもありません。有害食品に対しては法律がございますが、有害包装紙とか有害なもの、新しい物質がどんどん出てくるわけでございますから、これはやはり立法措置が必要なのかという気もいたします。こういう問題も前からずっと検討しておるのです。そして別表をつくっておって、別表に新しいものを追加していくということにでもしなければ、いまのような問題が起こるわけです。いまの問題を調べてみると、報告の事情、なるほど手落ちであるというようなことはよくわかります。わかりますが、そういうことは、実際はずっと前に買っておったものをそのまま積んでおって使っていなかった、それをある時期に使ったというようなことでございますし、その数量は十キロであるということまでみなわかっております。しかし、これを使われた使用者国民の被害という側から考えるとたいへんなことでございますので、やはり法律上の措置をどうするかというような問題も整備をする必要がある、こう思っております。
  18. 加藤清二

    加藤(清)委員 本件PCBについては、規制基準がまだないですね。これは対策の立ちおくれであるということをお認めになりますか。すでにアメリカにおいては、五PPM以上のものを食品関係に使うては相ならぬ。いわんや肉とか魚のように食品になるものは、二PPMとか三PPMという規制基準がすでに施行されているわけでございます。先進諸国またしかりでございます。ただ日本においては、カネミのような世界に珍しい病気原子爆弾病気とともに世界にないカネミ病、これが出て、ストックホルムの注目を浴びているにもかかわりませず規制基準がない。これは明らかに日本公害に対する対策の立ちおくれであると思います。当然、発生企業指導監督するところの通産省においてその用意があってしかるべきだと思いますが、規制基準についていかがでございますか。
  19. 田中角榮

    田中国務大臣 御所見のとおり、有害なもの等は食品衛生法などでもって制限をしてございますが、いまの包装紙とか――これは着物や被服の材料においてもそうだと思います。場合によれば建築材料、みなそうだと思います。そういう建築材料などが火事になって有毒ガスが出て、直ちに窒息して逃避することもできない、これはみな同じ問題でございます。これに対していまのPCBの問題に対しては、厚生省が六月中には基準をきめるということでやっているようです。通産省ではなくやはり厚生省でやっておりますが、通産省も新しい物質を使ってやるわけですから、そういう有害性というものに対して、通産省もやはり使ってはならないというようなときにどうするかということ――厚生省基準をきめ、取り締まりは厚生省がやるものでございます。ただ通産省はそこまでわからぬから、ある時期までは新しい物質をどんどん使いますということでは答弁にならぬと思いますから、いずれにしても現在は、政府の中においては厚生省が専門的に取り組んでおるということでございます。基準はそういうことでもっていま成案を得つつありますが、通産省はどうしなければいかぬかということは検討いたします。
  20. 加藤清二

    加藤(清)委員 私がなぜ厚生省でつくるべき基準について通産大臣にお尋ねするかというと、厚生省ないしは環境庁で、公害を前向きに除去するためのあれこれのことが準備されますけれども、いつの場合でもクレームがつく。そして幅が狭くなり奥行きが浅くなり、遂には骨抜きになってくる。三年前に総理が宇都宮で約束されましたところの無過失賠償責任、これもきのうようやく三年越しに衆議院を通過しましたけれども、それももう出てくるまでに原案はずたずたに切られておる。こういうことになりまするので、発生企業のほうの保護育成にのみ一生懸命になっていらっしゃる通産省責任者通産大臣に、規制基準についての覚悟、これに対する所感を承っているわけでございます。
  21. 田中角榮

    田中国務大臣 通産省がどうも公害発生源であり、促進剤になっているようなことを言われるのはよくわかります。わかりますけれども、そんなことをやっているわけじゃないのです。通産省だって、生産優先ということではなく、生活第一主義に転換をしなければなりません、こう言っているのでございますし、基準は厳密に守らなければならない。いつも申し上げておりますように、このまま一代ではそれほどでもないものが、複合公害になって千代も万代もということになると、これは光化学スモッグにも見られるように、いまの科学でもって石神井の学校のものが解明できないじゃありませんか。そのくらいに思わざる複合公害というものが起こるわけです。ですから私たちは、工場の分散もしなければいかぬ、いろいろなことをお願いしているわけでございます。ですから、高性能な物質であるからといって、通産省公害が出てもいいんだというような考えは毛頭ない。だから、先ほど申し上げたように、厚生省だけではなく、通産省もしかるべく検討いたします、こう申し上げているわけです。
  22. 加藤清二

    加藤(清)委員 はい、わかりました。つまり、厚生省のほうで基準をつくる、それに対して協力するかしないかという問題と、次には通産省みずからやれることがある、それは何か。たとえば薬の場合でも、害毒があるかないかを実験をしてからでなければ市販が許されないようになっている。通産省みずからもそういうことがあり得る。たとえばアルコールの例をとるまでもなく、釈迦に説法ですからそこから先は言いませんが、通産省みずからでも、歴史的に長くて危険を人類に及ぼすという推定のできるものについてはみんなすでに検査機構があるのです。だから、新製品にして危害のおそれのあるものは、通産省みずからがテストなり試験なり動物実験なりやらせてから人間社会にこれを使うというぐらいのことはやられて当然の義務であると思います。したがって、そのことをやる用意があるかないかと聞いておるわけでございます。
  23. 田中角榮

    田中国務大臣 いまあなたが御発言になっておるような方向で、軽工業技術審議会で検討いたしております。立法処置が必要であるということで、その面も検討しておるということでございます。
  24. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかりました。立法措置をなさいますですね。厚生省では規制基準をつくる、通産省では立法措置をする、こう受け取ってよろしいですね。――はい、わかりました。  次に、この物価高のおりにガス料金の値上けがまた問題になっておるようでございます。先日公聴会が開かれたようでございますが、どうもこの公聴会も、通産省主催にかかわらず企業寄りである、こういう話なんです。これはあとで時間をかけてゆっくりと論議をいたしますが、すばり言って、大臣、あなたは東京瓦斯の三二%の値上げは妥当であるとお考えでございまするか、これはちと高過ぎるとお考えでございますか。及ぼす影響が非常に大きいし、次々とガス料金値上げが待っているようでございまするから、お尋ねするわけでございます。
  25. 田中角榮

    田中国務大臣 昭和三十五年から据え置きというのでございますから、十二年間据え置かれております。この間に一体人件費が幾ら上がったかというと、約二倍以上に上がっているはずでございます。だから、そういう意味で苦しかろうということはわかりますが、何ぶんにも電気、ガス、水道というのは生命に直接関係をするものであり、これは首都であるということ、この状態考えまして、軽々に判断はできない、こういうことでございますので、慎重な態度で、適法な作業を進めておるわけでございます。三〇何%というのは、これはそれなりの理由があって積み重ねてきたものでございますから、そういうふうに何にも研究もしないで、中身も見ないでこれはよくないなどということは言うべきものではありません。倍であったって、しかるべきものであれば検討しなければならない問題でございますが、三〇%余を引き上げるということになると、生活の問題としてなかなかめんどうな問題であるという感じはそのまますなおにいたします。ただし、私はこの内容は技術的に検討をしておりますから、まだ私が言及するわけにはまいりません。ただ感じの上では、まあ一〇%、二〇%というところまでは考えられても、考えられてもというのではなくて、一〇%とか二〇%という数字は理解ができても、三〇%をオーバーするものまでというと、三分の一上がるということになりますと、これはたいへんだなという感じが率直にはしております。
  26. 加藤清二

    加藤(清)委員 大臣もたいへんだなという感懐を漏らされましたが、これは三二%じゃないのです。使用ランク別調査を進めてみますると、五十立方メートルあたりでは五〇%余の値上がりになります。それはほとんどが零細大衆家庭値上がりなんです。この料金構造物価構造についてはあと担当官と詰めまするけれども、三二%とか五〇%というのは、幾ら値上がりの大はやりの日本でも、常識はずれ、けたはずれといわなければならぬと思います。いま一〇%とか二〇%という大臣の声が出ましたから、それでは、三二%は多過ぎる、だからちょっと認めにくいというお答えと受け取ってよろしゅうございますか。
  27. 田中角榮

    田中国務大臣 加藤さんの気持ちはよくわかるのですが、しかし勘でやっちゃいけませんよ。こういうものはちゃんと合理的に、ほんとうにこまかい積み重ねでなければならないと思う。私は切り上げたりしてもいけないと思うのです。ですから、そういう意味では、勘という感じでは私も先ほどすなおに申し述べたわけですが、これはやはりこまかく技術的に計算をして、その後最終的に通産省としての案をきめる、こういうことでございます。
  28. 加藤清二

    加藤(清)委員 私もそのとおりでございまして、前に前段があって、詰めて詰めていってあなたにこの質問をしようと思っていたけれども、先にやれ、あなたがどこかへ行かなければならぬからということなので、主客転倒して質問をしているわけなんです。  そこで、あなたと意見は一致しまするから、詳細に吟味するために資料を要求いたします。私が要求いたしましたら、これ一冊しか出てこない。この一冊を見ますると、これは料金を引き下げてしかるべきだという原因がたくさん出てきております。料金を引き下げてしかるべきであるという。そこで、時間が参りましたから申し上げます。一、値上げ理由申請書及び付属書のコピー。二つ目、過去五年間の会社の財産諸表。三つ目、株価と配当率。四つ目、政治献金。五つ目、料金構造一覧表。六、電気ガス税免除者の一覧表。これはあえて電気も入れてもらいます。七つ目、六大都市ガス料金及び規模の比較一覧表。これを、いま大臣のおっしゃられたとおり詳細に審議をし、正当な答えをはじき出すための資料として至急提出願いたい。  そこで大臣、この最終決定は、いまあなたの趣旨にしたがって詳細にわれわれ野党も検討したのちに決定なさる用意がありまするか。それとも内閣改造前にどさくさにまぎれてきめてしまおうとなさいまするのか。趣旨だけは詳細に検討してとおっしゃられましたが、私ら詳細に検討する資料をまだいただいておりません。したがって、あなたの趣旨にしたがって資料を要求し詳細検討したいと思いますが、かすにもって時間をいただけますか。
  29. 田中角榮

    田中国務大臣 提出の要求をされたもので通商産業省が集められるものについては提出をいたすようにいたします。どさくさにまぎれてなどはやりません。断じてやりません。それから、出したものは早急に御検討いただきたい、こういうことでございます。詳細に検討するのに相当時間がかかるということで引き延ばしだけになるということでは困りますから、それは明敏なる皆さんでございますから……。これはもうやはり通産省のこれだけ大きな問題でございますし、非常に影響の多い問題ですし、慎重にやります。慎重にやるだけに、やはり議員としての御審議もひとつ効率的にお願いを申し上げたい、こう思います。
  30. 加藤清二

    加藤(清)委員 残余の質問あとに譲ります。
  31. 鴨田宗一

    鴨田委員長 中村重光君。
  32. 中村重光

    ○中村(重)委員 きょうは限られた時間であります。二、三十分の時間しかないわけですから、具体的な問題は後日お伺いをいたしたいと思っておりますが、いま加藤委員から環境破壊、公害の問題についていろいろ指摘なり質疑があったわけですが、いまストックホルムで開催をされております国連環境会議に大石環境庁長官が日本代表として出席をしているわけですが、会議において演説をされ、その内容も報道されておるわけで、その前に長官の記者会見等も行なわれておるわけでして、日本の道は歩むな、日本公害のあり方、企業優先ということについて相当痛烈な指摘をみずから行ないながら、これは反省であろうと思うのでありますが、日本政府としても大石長官の発言というものに対して、いろいろと考えるところがあったんだろう、こう思うのですが、田中通産大臣の感想をこの機会にひとつ伺ってみたいと思います。
  33. 田中角榮

    田中国務大臣 日本公害問題というのは、この二、三年来急速に問題となってまいりました。その公害に対して制度上いろいろなことをしなければならないということで、この国会にもいろいろな措置が出されております。ストックホルム会議で環境庁長官が述べたということ、これはもう私たちも、特に産業を担当いたしております通産大臣としましては、環境の保全ということに積極的に取り組まなければならないということをしみじみと感じておるわけでございます。考えるということよりも実行しなければならないときだということでございまして、これは通産省もまた政府部内を督励しながら、日本の環境の保全、公害の防除ということに対して精力的に取り組んでまいりたい、こう存じます。
  34. 中村重光

    ○中村(重)委員 大石長官の発言内容そのものに対しての考え方はどうなんですか。
  35. 田中角榮

    田中国務大臣 大石君の発言そのものは私はこちらにいるときに間々承っておりますが、向こうでどういう発言をしたのか、まだ詳細は読んでおりません。まだ詳細に報告を聞いておりません。きょう閣議でもって、いずれ御報告をいたしますということでございました。新聞に出ておる限り、とにかく日本公害ということについて、公害担当大臣が外国の国際機関でもってあれだけのことを言い、また患者が外国に行っておるわけでございますから、これはこんな演説をしないですむように、こういう人たちを外国まで出すような状態ではほんとうに困る、人類の問題である、これはほんとうにそういう産業公害という面からは真剣に取り組まなければいかぬ、こういうことを感じたわけでございます。しかし、これは私は担当大臣の立場じゃございませんが、大石君が述べたことは、閣僚として政府を代表して述べたことでございますから、これは政府発言でもございます。異議はございませんし、これはもう再び今後外国からこういうことを指摘されないようにしなければならない、こういう感じを持ったわけでございまして、それが偽らざる感じでございます。
  36. 中村重光

    ○中村(重)委員 閣議の正式な議題ということではないのでしょうが、大石長官の発言を中心にいたしまして、いろいろと意見交換等がなされたという事実はございませんか。
  37. 田中角榮

    田中国務大臣 これは政府部内で、大石君が出かけられる前には十分事務的に調整をしてまいったはずでございますが、閣議でこまかい問題の討議はございません。これは、日本の現状を述べる、それからいま公害立法を行なった状態も述べなければいかぬ、将来取り組んでいく問題に対しても方向としては述べよう、この次に開催される公害会議日本に来る可能性もあるというような話はお互いにしておりますが、こまかい内容のもの、専門的なものまでこういうことを述べたいというような発言はなかったように記憶しております。
  38. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、大石長官の会議における演説の草稿は大石長官に一任されたのですか、あるいは閣議においてその内容についていろいろ議論をされてまとめられたのですか。
  39. 田中角榮

    田中国務大臣 これは閣議に付議してまとめたものではございません。これは出席する大石環境庁長官が環境庁事務局をしてまとめさせたものである。これをまとめる過程におきましては、各省との間に意見の調整はあったと思いますが、いずれにしても海外に出るときにはその大臣が自分の責任で原稿をつくられる、こういうことでございます。
  40. 中村重光

    ○中村(重)委員 田中通産大臣は、環境と成長は二律相反するという考え方の上にお立ちになりますか。
  41. 田中角榮

    田中国務大臣 環境保全と成長、経済の拡大、こういうものとは二律背反、単純に言えばそういうことになるかもしれません。これは、成長が全然なければ環境も汚染しないわけでありますから、これは成長というものが少しでも拡大をすると幾ばくかはなると思うのです。それは、車でも自転車でも、歩いておれば公害が起きないのです。自転車でも、どんどん台数が多くなれば舗装しても何でも公害が起きますし、道路でも、徒歩で行っておるのが車になれば公害が起きますし、そういう意味で、学問的にいえばやはり相反する問題であるかもしれませんが、それは必ず調整できるものだというふうに私は考えております。その調整というものも、ただ数字的な調整だけではなく、国民が受ける他の利益というものとの調整という面からも考えて調整さるべきだと思うわけであります。それは、薬を飲んで、飲まなければ下痢も起こさないけれども、少し飲むと下痢を起こす、しかしその薬を飲むことによって健康体を保持するということはある。そういうメリットはあるわけでありますから、それは公害という面から考えるといろいろな議論があると思います。議論があると思いますが、成長のメリット、成長というものが拡大をしていきながらも、公害の調整というのはできないということではなく、公害と成長との調整は可能である、こういま判断をしておるのです。そうしませんと、公害論争をやったら公害をとめるためには事業をみんなやめろという議論になりますから、そうではなく、われわれは国民総生産の拡大、国民所得の拡大ということを前提にして考える場合には、どうしても経済成長ということを続けなければならない。しかし、それは公害を出していいということではないので、成長第一主義ではなく国民生活、環境保全第一主義で参ります、こう言っているわけでございますから、そういう意味で調整は十分可能である、こう考えております。
  42. 中村重光

    ○中村(重)委員 私も環境と成長というのは二律背反ではない、むしろ私は公害防止ということは成長の前提でなければならない、そのように考える。企業はその公害防止投資というのをうしろ向き投資というようにまだ考えていると私は思うのですが、大臣企業考え方というものは十分掌握しておられると思うのですが、どうなんですか。
  43. 田中角榮

    田中国務大臣 それはやはり産業人のモラルの問題でもあるのです。これは高性能のものを使えば必ず幾ばくかのマイナス面が付随するものだ。しかし、そのマイナス面はこれは自分だけだったらいいといっても、自分だけでもよくないのです。自分のからだがいろんなことになることによって、そのからだから生まれる子供に影響するのですから、これはもうそういう意味で、公害というものの除去ということに対してやはり責任を持たなければいかぬ。戦前に工場法がありましたが、工場法で条件をつけられるからとか、いまでも薬をつくるときでも、厚生省がだめだというから、厚生省基準に当てはまらなければ薬にならないからとか、こういうことで、いままでは何か経営者は、産業人は、規定があるのでやるのだ、規定がなかったら必ずしも守るかどうか――規定がなくとも何でも守らなければならぬ、こういうことだと思うのです。ですから、公害防除というのは全く前提である。  なお、先ほど法律はなくてもと加藤さん御質問がありましたときに、それは取り調べます、向こうが企業の秘密だなんと言っても通産省調査をいたします、こう申し上げたのは、もうそれはそれで企業の秘密でございますといって逃げおおせるものではないし、大体そういう根性がいけないのだ、こういうことでございますから、やはり産業をやる人は、人に迷惑をかけないということが前提でなければならない、こう思います。
  44. 中村重光

    ○中村(重)委員 これから企業が成長していくということになってくると、環境保全、公害防止ということを大前提とし、これはうしろ向き投資であるというのではなくて前向き投資である、この投資を十分行なって公害を絶対起こさないということでない限り、企業は成り立たないのだ、そのことを私は徹底させなければならないと思うのです。そのためにはやはり通産省みずからが、まずいままでの姿勢を変えていかなければならない。そうした考え方からまいりますと、企業に対する指導というものは当然なされなければならないのですが、業種によって異なろうと思うのでありますけれども、通産省としては企業公害防止投資というものをどの程度、業種別に、主たる業種でけっこうでありますが、どの程度が適当な投資であるとお考えになっていらっしゃいますか。
  45. 田中角榮

    田中国務大臣 まあどの程度がいいのかという問題は、これ、場所によっても違います。それから地域、それから環境によってみな違うのです。これは法律が大体そうなっておるのです。建物の高さということでも、普通ですと前面道路の幾らでなければならないということでありますし、両方道路がある場合は斜線制限を受けるわけでございますし、それは海や湖沼、広場、河川等に面している場合は超高層が建つというふうに、これはやはり公害というものが、そういうふうに環境、状況によって違うわけでございますから、どういうことであるかということはまた企業状態においてもみな違います。まあ世界各国が一体どうなっておるのかということでございますが、一般的に言うとやはり七、八%から一〇%というものは公害というものに対して投資をすべきである、このように計算されております。公害が出る工場というのがあります。これはにおいのする工場で、隣近所どうにもならないというようなものがございます。脱臭とか、騒音防止とか、そういうものとか、いまの水質を汚濁するとか、排気でもって大気汚染をするとかいうものは一五%。まあその七、八%がスタートになって、倍の一五%から二五%、四分の一くらいまでかけるものもある。これは世界各国大体そんなことを考えておる。そのくらい現実的に、自動的にやるにはかかる。百億投資ということになると二十五億くらいのものを前提として考えるということが公害企業として考えられる、こう思います。
  46. 中村重光

    ○中村(重)委員 私が入手いたしております資料によると、公害関係主要業種、火力発電が一九・八%、鉱業が一七・七%、それから鉄鋼がわずかに一〇・四%、非鉄金属が一四・八%、石油精製一五・五%、石油化学八・九%、紙パルプが一七・八%、セメントが一五・三%。全業種でもって一一・五%に対して公害関係主要業種はわずかに一三・九%。その他の業種には入るのですが、都市ガスがわずかに二・二%。この数字に対して大臣は適当だとお考えになりますか。
  47. 田中角榮

    田中国務大臣 公害防止施設というものはとにかく必要である、いまの状態では困るのだ、こういうことで、いまの石油をたく限りにおいては、これは脱硫装置をつけなければならない。そうでなければやはりローサルファのものをたかなければならぬ。ローサルファのものが調達ができないということになれば、やはりナフサをたいたり、可燃性天然ガスの輸入をしたりということで、どんどんと変わっているわけでございますから、これもある意味における公害防止でございます。ですから、公害防止というのは、施設に対しては、先ほど申し上げましたように考えられるのは八%くらいから二五%ということでございますが、しかし、そのほかにも公害防止ということでもってやらなければならないものがたくさんあるわけでございます。だからとにかく、いまのように、東京の空がこんなに曇ったり、大阪の川がどうにもならなくなったりということは、もっと基準を強くしなければいかぬ、基準を強くすれば公害防止投資を拡大しなければならぬということでございます。
  48. 中村重光

    ○中村(重)委員 先ほど申し上げましたように、大石長官は環境会議に行って、日本の道を歩むな、日本が歩いてきたような道をたどってはいけないのだ、こう言っておられるのです。このことは世界に対するところの反省であり宣言であるということにもなると私は思うのです。ならば、私はこの世界一の公害国であるところの日本、これは徹底的に、従来進めてまいりましたその姿勢というのか政策、この大転換をはかっていかなければならぬと私は思います。したがいまして、私がいま読み上げましたような公害投資のこの比率ということについても検討を加えて、通産省として一つの基準というのか目標を定めて、これを徹底的に指導していく。これを実行しない限り――企業に対するところの、少なくとも政府関係金融機関の融資というか、開銀融資あるいはその他の融資、これに対してこれをストップをするというくらいの強い態度がなければならないと思います。これだけの決意が大臣にはおありですか。
  49. 田中角榮

    田中国務大臣 それは御説のとおり考えております。  いままででも政府関係機関は、第一次担保をとる、それから返済が確実であるかどうか、こういうことばかりが前提になっておりましたが、ところがいま述べられたとおり、政府機関として融資をしたり体制金融をする場合には、やはり理想的な投資というものを考えていく。だから公害投資が非常に多くなれば、過大投資になれば、これはいままでの経済ベースでいえば問題があるかもしれません。しかし、新しい企業というものはそういうものなんだということに徹して、公害防止ということを条件づける、これはもうそういうふうになるべきだと私も考えております。
  50. 中村重光

    ○中村(重)委員 私はいま政府関係金融機関とだけ申し上げたのですが、いわゆる銀行の融資にいたしましても、日銀から――公定歩合は現在四・七五%、今度は〇・五%下げるのでしょうから四・二五%ということになるのですね。非常に低利でもって日銀は銀行に対して融資を行なうことになる。その銀行の姿勢が、公害防止施設はうしろ向き施設であるというような形でこれに対するところの融資を渋るというような形であっては、私はこの公害防止施設というものは十分行なわれない、公害は依然として根を断たない、こういう形になってまいろうかと思います。したがいまして、私は日銀もこの姿勢を変えると同時に、そのことはきびしく監督をし、銀行の姿勢もこれを改めさせ、政府の方針に沿って融資を行なっていくということでなければならないと思いますが、大臣はそういう指導をする――閣議の方針としてでも決定をして、そういう強い姿勢で臨むという態度をお持ちになりますか。
  51. 田中角榮

    田中国務大臣 日銀から各都市銀行もみな金を借りておるからどうこうという問題ではなく、これはもう公害防止施設を持たない企業というものは存在しないのだ、そういうものはもう認可しないのだということで、公害防止施設というものは工場の柱のようなものであり、モーターのようなものである。煙突には融資をしておるわけでありますから、ボイラーにだけは融資をしておって煙突には融資をしないというわけはないのです。煙突等はある意味において公害防止の施設でございます。ですから、そういう意味でもっと明確な、公害投資というものは企業投資の中の最も重要な部分に対する投資であるというふうに観念を変えていく、こういうことが全国民的に合意されなければいかぬ、こう思います。そして公害防止施設などに対して――一般の民間の金融機関や民間資本が利益追求ということにウエートを置くことはやむを得ないと思いますが、そうであるなら、それよりも優位な政府の金融機関とか体制金融機関は、公害施設などに対しては集中的に融資をするということになっていくべきだと思います。
  52. 中村重光

    ○中村(重)委員 具体的に申し上げれば実はたくさんあるわけです。いつか計量法の審議の際も申し上げたと思うのですが、いわゆるギャンブルの益金というのが機械振興という形で相当配分されておるのです。これはただで企業に対して金が出されているのです。そういったようなギャンブルの益金等の配分を私は公害設備以外には出さないというぐらいの、そういった強い姿勢を持つ、これは通産省の監督でやれるわけですから、そういう大転換を行なっていかなければならない。これは自転車振興会がいまやっておりますが、従来のおざなりなやり方ではなくて、ここで十分点検をやって、通産省がこれに対するところの指導性を発揮する、そういうように私はこの際やはり姿勢を変えるということでなければならないと思いますが、大臣はいかがでございますか。
  53. 田中角榮

    田中国務大臣 自転車振興会の資金等の問題は常に議論されておるところでございますが、この運用その他に対しては、審議会もありますから、また皆さんの御意見も十分参考にしながら遺憾なきを期してまいるということでございます。そういう資金をどうするか、特に競輪資金がどうだということよりも、通産省が産業の主管省として、公害防止施設ということは――工員の危害予防、作業をしているうちに危険が及ばないように危害予防の施設が工場の中にございます。同じことなんです。もう公害防止というのは特定な施設ではなく、企業が存在する限り公害防除の施設は最も必要なものとして、工場ができるときにはそれが当然組み込まれるものである、しかもそれは税制上また金融上最大に優遇さるべきものだ、制度上も観念の上からも最大に優遇さるべきものだ、そういうことにならないと、環境保全、生活環境第一主義ということにはならないわけでございますから、モーターを買うなら七%、公害施設なら四%というぐらいな、これは例でございますが、そのくらいなものでなければいけないし、公害施設なら税法上償却は何年もかけることはない、落とすなら一年で全額落としてもいい、そういう観念に全く変わっていくことによって公害というものは防除できるわけでございますから、そういう問題に対して、ひとつ制度上も十分勉強してまいりたいと思います。
  54. 中村重光

    ○中村(重)委員 基本的な方向としては大臣がおっしゃるとおりですが、具体的にやれるものをびしびしやっていくということですよ。ただ、この前も資料として提出されたのだけれども、ギャンブル益金の配分が機械振興に対しましてわずかに十何%です。しかも中小企業に対してあまり重点を置いてないということです。だからああいったような益金の配分こそ、中小企業のようにみずから公害防止設備ができないようなものに対して優先的に配分をしていくということでなければならぬ。公害立法がたくさんできましたけれども、その設備をしろ、設備をしろというようなことで企業に迫っておりますけれども、まだ政府の態度が決定してない。私は幾つもの事例にぶつかっているのです。たとえば屠場の浄化設備ですが、食肉の排水設備には中小企業金融公庫とか農林中金というものから融資の道があるけれども、屠場というものにはないのだ。そういったように、公害立法はつくったけれども中身はまだ何もできてないというのが今日の実態なんです。まだ、これからいろいろ法律を変えたり、省政令を改めていったり、規則をつくったり、そういうことをやらなければならないというあと追いの状態ということです。それ、やれやれと言いながら何ら融資の道を考えていないというこの姿は、十分大臣も検討されて、そして積極的にそうしたことが行なわれるようにされる必要がある。私どもは具体的な問題としてみずからぶつかってわかっておりますから、だからそのことを申し上げておくわけです。  時間がありませんから、先ほど大臣が、ストックホルム会議において実は患者が出ていっているのだ――新聞をお読みになってのことだろうと思うのですが、私もいまこの新聞の切り抜きを持っているのだけれども、「例のないむごさだ、国連環境会議日本の夕べ」、カネミ患者らの姿に絶句」、この中に、長崎県が中心であります例のカネミ油症患者も実は行っているのです。私も、行かれるときに握手をして、十分からだに気をつけていらっしゃい、こう言いましたが、この委員会でも、患者が行って、政府の今日までカネミ油症患者にとってきた態度、そういうものはおそらく明らかにされるだろう、ほんとうに日本として恥ずかしい結果になるのだということを実は申し上げたわけです。大臣もお聞きになっていらっしゃると思うのですけれども、カネミ油症患者に対してどういう薬を飲ましていいかすらも、まだ何もわからないのです。治療方法が確立してないのですよ、大臣。実は、この前厚生省から来てもらいまして、環境衛生局長から答弁がありましたが、実は一億数千万円という金が出ているのだと言っている。ところが、その一億数千万円も、患者の中を分断させるために、ある者には三十万円という金を渡しているが、渡してない者がたくさんあるというのです。治療費もみずからですよ、大臣生活もできないのですよ。生んだ子供はまっ黒い子供が生まれる。診察のときには何もなかったようだけれども、帰ってみるとまた吹き出ものが出る。穴があくのですからね。実に何というか、そのむごさに至っては、ことばに尽くせませんよ。こういうことが放置されておるということです。通産省としても、このことは厚生省の所管だなんというような形でおってはならぬと私は思うのです。企業に対するところの責任指導、監督というものは、これは通産省責任なんだから、もっときびしく企業に対しても反省を求めて、徹底してそうした患者に対するところの生活あるいは治療のための費用を手厚くし、患者を守っていくということでなければならぬと思う。同時に政府も、みずから進んでそうした問題の解決に当たっていく、患者を守っていく、一日も早くその健康と生命を守っていくという態度でなければならぬと私は思う。患者が向こうへ行っているのだ、こういうことで大臣はおっしゃいましたが、それだけのことばでございましたから、大臣の心中は実はわかりません。しかし、ほんとうに日本として恥ずかしいことではなかったのか、このようにも書いておりますが、日本のスキャンダルだと、公害をここまで放置している日本の政治、社会に鋭いことばが出席をしておった人たちの中から出たということが新聞にも書いてあるのです。大臣、これに対してどうお思いになりますか。ただ大臣の気持ちを聞くだけではなくて、これではいけないから進んで大臣がこの問題の解決に当たる、そしてその健康と生命を守る、生活費も、あるいは適切な治療も一日も早くここに確立をする、そういうようなことを大臣が進んでやるべきである。企業に対しても反省を促して、それだけの措置企業にも講じさせる、こういうことでなければならないと思いますが、大臣の決意のほどもあわせて伺いたいと思います。
  55. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほども申し述べましたように、ほんとうに患者を二度とあのような世界会議に出ていってもらわないような、また行かないでいいような日本をつくらなければならないと私は申し述べた次第であります。あなたは端的に――日本公害担当大臣があれだけの演説をしなければならないような状態でございますし、証拠立てる患者がそこへ行っておるわけでございますから、日本の産業という面から考え、産業公害ということや、サリドマイドとかいろいろなものがございますが、薬の害とか、こういうものは、なくすることにほんとうに全力を傾けなければならない、こう思います。  それからもう一つは、具体的に、やはり制度の問題でありますが、企業の補償とか賠償とかいう問題は、別な制度もだんだんと確立していかなければならぬし、産業と被害者の間にもいろいろな問題がございます。しかし、証明されない限り直接責任には任ぜられないということで、裁判を長いこと続ける。その間非常に悲惨な問題は続けられるということでは困るので、そういう公害の裁判とか補償とかいう問題は、やはり制度を完備してやることによって救済すべきだと思うのです。  それとは別に、そういう新しい病人が出た場合には、これはやはり公共の力、国の力、地方公共団体の力で全部なおしてやる、収容する、そういうことの制度をつくらなければだめだと思うのであります。どこの県にも大学はあるのです。その大学にはみな付属病院があるのです。しかもそれは日本の最高の、医学的には権威だといわれておる大学病院であります。そういうところへ行ったら、その費用はちゃんと国が支弁するのだ――国が支弁するだけでは税金でまかなうということになりますから、これはある意味では産業保護になる、過保護だといわれるかもしれませんから、そのためには、産業からは、公害税というものもそういう意味で出ているのですが、公害税にするか、企業というものは税を控除して、当然積み立て金といういわゆる基金に対しては定額を拠出すべきであるということにして、国が応分に負担しながら、少なくとも全治しておらない患者を遠くヨーロッパに送らなければならないような状態は、これはやっぱりお互いの英知で片づけなければだめだと思う。あなたも恥ずかしいことだと勇気をもって言われましたが、私も実際そうだと思うのです。こんなことはよくない。だから私は、そういう公害税という問題が出ましたときも――まあ次の国会までにはこの問題を解決したい、こういうことを考えております。ですから、やっぱり制度を完備して、補償というものと治療というものとはおのずから分けて、できれば自動的に片づくほうが望ましいのです。工場があると、地元と患者工場との間で全く骨肉相はむような状態になる、そこにいろいろなものがからんでくる、ますます大きくなっていくということでは、これは困るのです。新しい病気だから、これはもう技術的に科学的に医学的に総力を結集してなおすことを考えなければだめなんです。同時に、賠償といってもむずかしい。判断するのにむずかしい。むずかしいけれども、やはりある多数決できめれば、裁判を受ける権利、その権利を侵すものではないが、それだけのものは賠償を支払わなければいかぬというような、やはり法制上の整備がどうしても必要だと思うのです。  私は土地問題のときに土地委員会という制度を世に明らかにしております。土地委員会という制度でもつくっておかないと、これは借地権とそれからその上に建っておる建物の所有権者と間借り人、借家人との権利が、往々にして裁判を待っていたら十年、二十年裁判になる。だから土地の開放もよくできないものですから、これはやはり調停委員会のようなもの、土地委員会をつくってそれに応じなければならない、間借り人も何も全部応じなければならぬようにして、しかし最終的にはそれでも最高裁まで争うのだというのなら、一時代執行はできるけれども、裁判を受ける国民の個有の権原は失なわれない、こういうことにならなければいかぬと思うのです。この公害問題なども、私も新潟の問題とかいろいろなことを目に見ておりますし、自分がやはり代議士として片づけなければならない、こういう立場にありますし、ことに通商産業大臣の職にあるということになると当然解決しなければならない問題だ、こう思って、いま鋭意検討を進めておる。これはもう片づけたいということは、ほんとうにまじめに、お互いに全体でもってこんな問題を――二度と新しいカネミ油症患者のようなものが、世界じゅうを回って歩くということは好ましいことではありません。実際私はそう思うので、そういうことでひとつまじめに検討ということだけではなくて、この解決に向かって努力を続けてまいりたい、こう思うのです。
  56. 中村重光

    ○中村(重)委員 これで終わりますが、大臣考え方、そういう制度を確立する、これはもう当然なことだと思います。ですけれども、当面患者生活、生命の問題、これについては厚生省あるいは都道府県と話し合って、直ちに健康と生命を守るための解決に乗り出していく、こういうことでなければならぬと私は思います。そのことについていま一度大臣からお答えをいただきたい。
  57. 田中角榮

    田中国務大臣 産業公害の防除、除去の責任ある立場にある通産大臣でございますから、公害による被害というものの救済に対して、厚生省連絡をし環境庁と連絡することは当然でございますが、財政当局の協力も得ながら遺憾なきを期してまいりたいと存じます。
  58. 中村重光

    ○中村(重)委員 それではきょうはこれで、大臣に対する質問は保留をいたしておきます。  次は、私は、三十年後人類は窒息、餓死、破滅をするというローマクラブ警告を中心として、大臣の見解をひとつ承りたい、こう思っております。  それから電力事情について、これは深刻な問題でございますから、そのことについてもいろいろと質疑をいたしたいと思っておりますから、そのおつもりで御用意を願っておきたいと思います。
  59. 鴨田宗一

  60. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうはきわめて限られた時間でありますので、簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。  大臣にまず初めにお伺いしたいと思うのは、関西電力の海南発電所で試運転中、発電機が爆発をしたという事故があったわけです。これは火力発電機でありますが、いま御承知のように原発もどんとんできておりますし、これがもし原発で――もちろん全然種類は違いますけれども、そういうことであれば大被害が出るわけです。今回は幸い死傷者がなかったわけでありますが、今後安全対策ということについては十分力を入れていかなければ困ると思うのです。その点大臣の決意を聞たいと思うのです。
  61. 田中角榮

    田中国務大臣 海南発電所の発電機が試運転中に起こった事故に対しては、はなはだ遺憾でございます。直ちに、地元の要請もございまして二基とも運転の停止を行なっているわけでございますが、これはまあなかなか規模が大きくなってくるものでございますから、高性能であり、規模が大きくなって、出力も大きい力それだけに事故が起こったらたいへんなことでございますので、新しい技術であるということでございますので、これは絶滅を期してまいらなければならない。試運転をするまでの間の検査、これはもう万遺漏なきを期さなければなりませんし、運転継続中も不測の事態を起こさないように、監視体制や検査体制や補修体制、いろいろな面から万遺憾なきを期してまいらなければならない、こう思っております。
  62. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから相殺関税の動きが最近出てきたようでありますが、そこでこういう相殺関税がかけられた場合の影響等についてどのように把握をしておられるかということ、さらに米国の意図がどこにあると考えておられるのか、この点について簡単にひとつお聞きしたいと思います。
  63. 田中角榮

    田中国務大臣 相殺関税をかけられるということ自体非常に困ったことでございまして、これが実行されるということになると非常に困るということで、その推移を見守っておるということでございます。いつも申し上げておりますように、このようなことのないように、アメリカ側とは一月のサンクレメンテ会談でもやり、専門家会議もつくり、事前に調整しようと言っておるのに、どうもアンチダンピングの問題とかいろいろな問題が出ておるわけであります。こういう問題は日米間にどって好ましくないことでございますので、何とかこういう制度、こういうことをやらないようにこちらからも資料を提供して片づけたい、こう思っておるわけであります。
  64. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、いまいろいろな資料も出してやりたいということをおっしゃっておりますが、こういう動きがほんとうに、向こうも真剣にしかも具体的に強硬に出てきた場合、国として、政府としても当然対抗措置というか、そういうものについてはお考えであると思うのです。そういうことで国内法の整備等も考えておられるようでありますが、どういう対抗措置というものをお考えでございますか。簡単にお願いします。
  65. 田中角榮

    田中国務大臣 対抗措置といって、あまり米国との間にぎしぎしすることは得ではないのです。得ではないといっても、どうも日本のほうがアメリカに文句を言われておる立場なんです。二十億ドル――いい、悪いというよりも、年間二十億トルも日本からよけいアメリカに出る、その二十億ドルが三十億ドルになる、このままでは先は、あなたはバランスがとれるということを言ったけれども、四十億ドルになるではありませんか、こう言われておるところであります。オーダリーマーケティングというものの一番大きな問題は対米貿易ということでありますから、それだからといって相殺関税をぼんぼんかけられるようなことでは、結局日米間の気持ち、気分の上だけでもよろしくないことでございますから、これは対抗措置ということを申すよりも、何か新聞には対抗措置をとるということが出ておりましたが、これは正規の日本政府考え方としては、政府としてはあくまでも米国が相殺関税を強化するような事態に至らないよう努力を続ける所存でございますと、こういうことで、これは業界とかいろいろな方面とも話し合いをしながら、こんなトラブルを連続して起こさないようにこちらも考え、起きた場合は話し合いで、結論を出さないでも、資料を提供して理解を求めていくということに全力を傾けておるというのが実情でございます。
  66. 近江巳記夫

    ○近江委員 その実情の中身の具体例をお聞きしたいと思うのですが……。  それからテレビ、ラジオ、カラーテレビもブラウン管以外に対象品目が拡大するおそれがあるのじゃないかと心配しているわけですが、これらのほかに適用されると考えられる品目にはどういうものがあるのでしょうか。
  67. 田中角榮

    田中国務大臣 いまあなたがお述べになりましたテレビ、ラジオ等、これだけを対象としたものではありませんので、これはテレビ、ラジオだけということよりも、それ以外に商品というものが拡大される可能性というものは多分にございます。ですから、この相殺関税という制度があるわけでございますから、これは輸入防遇の手段として向こうではやっておるわけです。ですからこっちのほうは対抗手段といえば、向こうから入ってくるものに同じ相殺関税をかければいいじゃないかということになりますが、そうなると、いま日本は輸入を拡大するために利子補給さえしようかと言っておるわけでございますから、アメリカのように輸入がふえて困るというものとは立場が全く逆でございますから、相殺関税をかけて対抗するというわけにもいかないのです。ですから、テレビやラジオだけに限定されるという保証はないので、何にでも拡大していくというおそれが多分にあります。これをやっていくと、ほんとうに日米間の貿易制限法になるのです。   〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕 制限処置になりますから、これは繊維協定などというものでは済まなくなるということになりますので、そういうことが起こらないようにこっちも努力して、アメリカもこういう制度を発動しないように、そこはよきパートナーである日米じゃないか、こういうことで、相当政治的にも理解を求めなければなりませんし、また国内的にもこういうことが起こらないように十分な配慮をするということに尽きるわけであります。
  68. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、こういう米国の動きに対して、政府としても当然他国の考え方なり何なり、そういう点についてはいろいろ意見も聞かれておると思うのですが、政府がつかんでおられる範囲で、各国はどういう反響を示しているのでしょうか。
  69. 田中角榮

    田中国務大臣 アメリカが相殺関税制度を活用しておるというのは、あに日本だけではないわけでございまして、カナダにも、イタリアからの輸入に対しても、拡大しておるようなものに対してこの相殺関税の適用をやっておるわけですから、日本は困っているということでございますが、カナダなどは、米国経済じゃないか、同じ国じゃないか、それにアメリカの事情があるからといって、こういう制度を適用するということは望ましくないということで、日本とはまた別な角度からこの問題に対しての反発もあります。ですから、日本だけがアメリカに対して希望を述べるということよりも、多国間の問題になってこの問題はだんだんと片づいていく、こういう状況でございます。  アメリカはそういうことをやっておりますが、この間イギリスとの話をいたしましたが、イギリスのほうはやはり日本商品のシェアが小さいということもありましょう、イギリスは積極主義である。日本からの入ってくるものをとめることはなるべくしたくないから、われわれのものも買ってください、こういうことで、やはり拡大主義を貫こう。こうしておるところはりっぱだ、こう思いましたが、しかし、それもりっぱだなどとばかり言っていられない。いつまでもそんな破行的な状況が続くわけじゃありませんから、貿易の正常化ということには相当な努力を払っていかなければならぬ、こう思います。
  70. 近江巳記夫

    ○近江委員 キッシンジャーが来るわけですが、当然こうした問題を含めて、田中大臣もサンクレメンテ会談におきまして日米間のそういう一年間の休戦ということも約束されたわけでありますし、非常にこういう過熱現象が出てきておるわけであります。当然そういう大きな話し合いのポイントになるのじゃないかと思われますが、キッシンジャーと会われるときに、大臣としてどういう点を特にお話しになりたいと思っておられますか。
  71. 田中角榮

    田中国務大臣 キッシンジャー氏は経済の専門家というわけではないわけでございます。   〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕 これは外交の専門家でございますから、経済は外交の中の一つの分野である、こういうことで、私のほうからはいまの相殺関税の問題とか、またいろいろな問題がありますが、とにかく一年間たな上げにしようといった一月のサンクレメンテ会談で、半年もたたないうちに、やはり話し合いがないということは間違いが起きやすいから、七月の末でもまた話し合いをしよう、こういう提案をのんで、いまやっておるわけです。そういう意味で、日米間に経済的な問題として話し合いをしなければならぬ問題がたくさんありますから、そういう問題を求められれば話をしよう、私のほうから、制度があるからといってこういうことをぼんぼんとやらないでくれというぐらいなことは述べたいと思いますし、日米間の貿易バランスをとるために、正常な貿易を維持していくために努力をしておるのだという七項目の問題とか、いろいろなことは率直に述べたい、こう思っております。
  72. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほど公害問題等もいろいろ出たわけですが、どうか、生命のそうしたとうとさという点におきまして力を入れていただきたいと思うのです。その点について関連で岡本委員から質問があるそうですので、ちょっと譲りたいと思います。
  73. 岡本富夫

    ○岡本委員 先ほど加藤委員から質問しましたPCBの問題につきまして少し詰めておきたいと思います。  いま大臣回収をするというお話でありますけれども、はたしてほんとうの回収ができるのかどうか。印刷インキ工業会、ここに行って調べますと、現在PCBのインキ、こういうものがどこに行ったかさっぱりわからなくなっておる、実態がつかめない、こういうことを言っておるわけであります。なおその上に、印刷をしたノーカーボン紙、こういうものが各所に、ユーザーに行っておって、どうやって回収するのか、この点について大臣は自信があってああいうようにお答えになったのか、あるいはその場限り、こういうことなのか、一ぺんそこのところを聞いておきたい。
  74. 田中角榮

    田中国務大臣 その場限りなどの答弁をしておりません。まだまだ私も当分議員の職にあろうと思っておるわけですから、そんなことは絶対いたしません。  いずれにいたしましても、このPCBというのは非常にたいへんな影響を人体に及ぼしておるということは事実でございますので、可能な限り最大の努力をするということは当然であります。その意味で、法律に明確な規定はありませんが、日本の産業と通産省との間では、相当こまかいデータがとれるようになっております。外国に聞くと、日本ほど簡単にはなかなかまいりません。日本は頼まれると相当な資料を集めますので、こんなによくわかるということは通産省行政指導をうまくやっておるからだとすぐやられるわけでございますが、そのくらい通産省というものは数字を持っておるわけです。また業界や工業会との間にも、そういう意味で帳簿でもって追跡調査を行なう。よそではできない、アメリカなどではできないということでございますが、日本では比較的できる。さっきもありましたが、パンの袋はどこでだれがつくって、いつ納入して、なぜ使わなかったか、それが幾らあったのか、十キロあったのかということまでちゃんと答弁資料ができておるのです。そういう意味で、追跡調査の精度は高いのです。ところが、ノーカーボン紙や何か再生紙でつくったちり紙がどこへいって売られたか、これになるとわからないのです。特殊なものはわかるのです。印刷機が幾らあって、コンデンサーが幾らあって、どこに納入されて、回収はどうであって、また野天に放置されておるものは幾らであるか、このくらいの正確なものを出せるのは、世界に冠たるものに近いと思うのです。そういうことで工業会とも話をし、それから製造業者、メーカーともちゃんと話をして回収の計画までつくり、そして技術的には、焼却をやるためにも全部技術陣を集めて研究させ、焼却をしつつある。焼却は幾らしたか、こういうところまでやっておるわけですから、今度のパンに使われた十キロというのは相当に痛い現象なんです。そういう意味で、可能な限り最大の回収や処理ということを考えておるのであって、いやしくもその場限りの発言なんということではないということを理解していただきたい。
  75. 岡本富夫

    ○岡本委員 大臣、このPCBは、四十二年に工業技術院が中心になりましてJISの表示をしているわけです。要するに日本工業規格になっている。したがってこれは国に、通産省責任がある品物なんですよ。そして、あなたは世界に冠たる調査網を持っているのだと言うけれども、実際に調べてみると、末端にいくとわからないのです。それはひとつもう一度お手並みを拝見するとして、いまあなたは回収したものに対する焼却、これは先般公害委員会と科学技術特別委員会で審議したときに、通産省のほうから、焼却炉については政府が建設する、そういう答弁があったわけですが、いままでの大臣の言うのは、いま焼却しつつあるのだ……。一ぺんその実態を教えてもらいたいと思うのです。このPCBをつくっている鐘化あるいはまた三菱モンサント、こういうところからは、油性のものについては千九百度から千度、千二、三百度で焼却できるのだ、しかしノーカーボンになったりすでにインキになったものについては、焼却する技術がありません、どうしようもありません、こういう答えをもらっておる。それについて国で、要するに政府でもって焼却炉をつくる、こういう答弁もいただいておるし、また大臣はいま、焼却しつつあるのだ……。どこに事実があるか、その点ぼくははっきりしたいと思う。
  76. 田中角榮

    田中国務大臣 まずJIS規格に指定をしたものは、トランスコンデンサー用に使うものとしてJIS規格に指定をしたということでございまして、そのところはひとつそのように御承知いただきたい。それから、ノーカーボン紙の焼却というようなことは、技術的な問題がありますので、これもいま検討中であるということでございます。それから熱媒体につきましては、すでに回収、焼却を開始しておる。それから、重ねて従来の使用状況や転換計画等詳細な報告を求めておりまして、いま結果を集計中である。電気用につきましても、回収予定を急ぐために急いでおります。これは処理技術を検討するために、関係者による委員会が本日発足をするということでございます。これらの結果を踏まえまして、回収PCBの貯蔵タンクの新設及び焼却炉の増設等いま指導しておるということでございまして、地域や規制や現状等、必要があれば事務当局をして説明をいたさせます。
  77. 岡本富夫

    ○岡本委員 事務当局に説明してもらわなくてもようわかっておる。要するに油性のものは、これも鐘化あるいは三菱でやっているところを私は調査に行きました。しかし、インキになったりノーカーボンになったもの、これにはまだ全然ないのです。しかも、滋賀県の草津の日本コンデンサから出たところの汚染によって、一・何PPMの相当な汚染米がある。六百数十トンの汚染米があるのだけれども、それの焼却方法もまだない。これはやはり通産省によってそういったものをつくってやらなけねばならないと私は思う。(加藤(清)委員「つくると約束したのだよ」と呼ぶ)設備をつくるということになっておるのですが、そういう答えがされておるけれども、ちゃんとそれをやるつもりですか。それだけはっきり聞いておきたい。
  78. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 PCBにつきまして、ただいま先生御指摘ありましたように、PCBの単体と申しますか、液体のものについての焼却については技術的に解決しておりますが、PCBを含んだ紙でありますとか絶縁用の布というふうなものの処理については、焼却をいたしますと焼ける前にPCBが大気中に放散されるという問題がございますので、技術的にまだその方法をこれから開発をする必要があるわけでございます。先日政務次官からもお話し申し上げたわけでございますが、やはり焼却炉としてつくる前に技術的に解明を要する点がございますので、まずそれを完成いたしましてから炉の築造にかかるという順序になるわけでございます。
  79. 岡本富夫

    ○岡本委員 大臣の時間があれですから、近江君に迷惑をかけると困りますから、この問題はまた公害委員会で詰めますから、大臣そのときはひとつ出席して、はっきり答えをいただきたいと思います。
  80. 近江巳記夫

    ○近江委員 続行します。  相次ぐ公共料金値上げで非常に国民はみな困っておるわけですが、特に東京においてはガス料金値上げがあるわけです。この間、通産省主催公聴会を開かれたわけですが、このときもはたして公平を期したかどうかということは非常に大きな問題になってきております。値上げ反対論者二十六人に対して賛成論者が三十七人、こういうようなことなんです。普通の公聴会であれば、申し込み者が多ければ賛否半々というような形にもなるでしょう。ところが賛成者のほうが多いというような点、こういう点、公聴会がほんとうに公平に行なわれたものとわれわれ信じたいわけでありますが、しかし現実のこういう運営を見ますと、非常に出席者も大きな不満を漏らしております。これについて大臣としての所感をひとつ承りたいと思うのです。
  81. 田中角榮

    田中国務大臣 公聴会は選別をして何人としぼったわけではないわけでございます。これは来る者拒まずということで、申し込み者に全部公述してもらったということでございます。値下げじゃなく値上げでございますから、値上げ公聴会でもって賛成者が多かったということに対しては、確かにちょっと奇異な感じを持たれることは理解します。理解しますが、これだけの東京瓦斯の問題ですから、自分の問題であるわけです。そういう意味でまじめに議論をしてもらえば、困ったことだ、上げなければいいのだがなという感じはあっても、上げないで済むということにはならないわけです。ですから、そういう意味で合理的なやむを得ざる値上げの限界というものは理解できると思うのです。ただ押うて、何もしないでそれでいいのだ――率直に言って、月給だけから考えてみて、三十五年からですから、十二年間というと、少なくとも倍の倍になっておるわけですから、四倍になっておるかもしれません。一〇%余ずつ上がっておるわけですから、六年間くらいで倍くらいになります。あとまた一四、五%も上がっておるわけですから、そうすればまた倍になっておりますから、その間に、十二、三年間には支出する給与はきっと四倍近くになっておると思います。そういう意味からいうと、たいへんな合理化をやってきたなということはよく理解できるわけですから、全然、すべてのものが押えられるという制度の中にないわけでありますので、自分たちの飲む水であり、自分たちがつける電気であり、自分たちが使うガスというところに真剣さはあると思います。ですから通産省があなたはだめですといった公聴会でないということで、やはり非常にまじめな公聴会として結果は評価していただきたい、こう思います。
  82. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、三二・二%の値上げといっておるわけですが、平均使用量が大体月一戸当たり六十立方メートルであるということを聞いておるのですが、そうしますと値上げ率は四〇%をこえることになるわけです。そこで、六十立方で計算してみますと千四百七十七円になるのです。ところが今回の値上げでいきますと二千九十円になります。そうしますと御承知のように電気ガス税は七%ですね。ガス税は千六百円以下はかからないわけですが、それ以上になりますと七%かかる。少なくともこれにまた百五十円からアップしてくる。そうするとべらぼうな値上げということになるわけです。そういうことになってきますと、特に基本料金の七立方まで二百六十六円五十六銭が今回は六百円になるわけです。そうしますと、これはもうほんとうにすごい二倍以上の値上げということになっているわけですが、特に関東は独身者などがおりましてほとんどガスを使ってないところもあるわけですね。そういうような点のことから考えていきますと、低所得者あるいは使用の少ないようなところに非常に大きなしわ寄せがくるということで、こういうことで非常に影響は大きいと思うのですね。しかも東京ガス値上げは全国に大きな波及をします。これは今回の国鉄料金値上げから見ましても――まだ参議院は通過しておりませんが、私鉄をはじめそれによってどんどん上げよう、こういう動きが出てきておりますし、波及効果というのは非常に大きい。特に大阪だってしばらく上げておりませんし、東京ガスが認可になりますとまた値上げをしてくる。これだけことしの公共料金値上げが続いているさなかでありますし、これはほんとうに政府として国民生活のサイドから考えていただかないと――それは確かに労賃が上がるとかいろいろなこと、私もわからぬことはないわけです。むちゃくちゃなことを言っているわけではないのですけれども、国民生活の破壊という点から考えたときに、真剣にこれは考えていただく必要があるのではないか、このように思うのです。  田中大臣はもう時間がないそうですから、これをお答えいただいて出ていただいてけっこうです。あと経済企画庁長官お願いします。
  83. 田中角榮

    田中国務大臣 申請は申請でございますから、最終的に決定するまでには慎重な配慮を重ねて決定をいたすわけでございます。これはもう経済企画庁とももちろん合議しなければなりませんし、同時に経済閣僚協議会の決定を受けて内閣全体として最終決定をするということでございますので、慎重な配慮をいたします。  それからいまの、最低料金が倍以上になるのではないか、倍以上になるのかどうかというのは、最終的にどうきめるかということによって違います。これは、申請どおりにそのまま認可をすればいま御指摘のようになるわけでございます。これはいままで少し安過ぎたという面は確かにあります。ありますが、安過ぎたというのは、いままでそういう意味で十二年前の最低料金を持つウエートというものといまとは違います、生活レベルも上がっておりますし、そういう意味で、十二年前というものとはいまは状況が違うということはございますが、これはもういろいろな角度から検討された結果、率はきめられるべきでございます。いずれにしても、どんなに合理性があっても、倍にするとか三倍にするとかいうときには、よほどの理由がない限りなかなかそう踏み切れるものではありません。これは電話料金のときに特別な債券を持ってもらうというようなものや、それからやはり度数料というものを上げなければいかぬ、基本料金を上げなければいかぬ、積滞を解消するためにはやむを得ないとして最低料金を上げたり基本料金を上げたことはございます。今度もそういう問題があるわけです。いままで百億も投資をしなかったものを五百億、六百億という投資をしなければならない。しかも公害というものからローサルファのものをたかなければいけない。そればかりでなく、今度は液化ガスを使うとか、いろいろな質の転化がありますから、そういう意味で一律には述べられないのですが、しかし相当慎重に、真にやむを得ないというような状態まで合理的な審議をして決定をするつもりでございます。
  84. 近江巳記夫

    ○近江委員 あと一問だけ大臣にお願いします。  電気ガス税、これの撤廃ということについてわれわれいろいろな委員会でも言ってきたわけですが、こういう際、これについてどういう見解か、これが一つ。あと値上げの申請ということについて、政府として今後どのように――いま大体お話はわかりましたが、あとどういう経過を経て決定されるのか、それについてもう一度簡単にお願いいたします。
  85. 田中角榮

    田中国務大臣 公共料金値上げは厳に抑制するという基本方針はそのまま貫いております。そうして政府全体の責任でこの結論を出すということを考えておりますので、慎重と合理性を持たなければならない。国民の納得の得られるような状態ということを前提に慎重に審査してまいります。  それから電気ガス税は、ちょうど私が大蔵省におりますときに年率一%ずつ三年間で三%引き下げたわけでございます。これはなくするということだったのです。ところが、その後地方財源という面からそのままになって、六、七年七%のままで据え置いておるわけでございます。ですからこれはこのままで一体いいのかどうか。電気などに対しては少し関係があるのです。これは大口の需要地では、発電所ができないというので、固定資産税や電気ガス税というものを特別財源にして発電の促進をしたらどうかという有力な意見があることは御承知だと思います。しかしその場合は、地方税ではなくこれを国税にしなければいかぬという問題が起こってまいりますので、簡単にこう右左できないという問題もあります。ガス税に対してはやめたらいいというのがおおよその考え方でございますが、特別な財源という面からいうと、地方財政の上で相当なものでございます。とにかくガスと電気は生活に直結しておるのだからやめなさいという議論をしたときには、それよりももっと家屋税がある、家屋税だけでなく人頭税がある、生きていく限り払わなければならない住民税がある、こういう議論があって、なかなかむずかしいのです。むずかしいのですが、やはり絶えず勉強していくべき税の一つであるということは事実だと思います。
  86. 近江巳記夫

    ○近江委員 じゃ、田中大臣はけっこうです。  それでは経企庁長官にお伺いしたいのですが、四月の全国消費者物価が前月比で一%、大幅に上昇しておるわけです。こういう点を見ますと、特に公共料金の引き上げの問題ですが、国鉄の場合、〇・二八%これを押し上げることになります。郵便が〇・〇四、電報が〇・〇一、医療費が〇・二四、これは政管健保は入りません。タクシーが〇・〇七、国立大学の授業料が、これは十月からですが〇・〇二、これだけ合わせましても〇・六六%上げるわけです。政府の目標数値五・三%という点から見ましても、大幅にこういう問題でさらに上がるのではないか。さらに、この前の委員会でも消費者米価の問題につきまして長官として非常にかたい決意を聞かしていただきまして非常にけっこうだと思うのです。しかしながら、依然として農林大臣をはじめ、生産者米価が上がれば当然政府の売り渡しも考えなければならぬという考えが非常に根強いと思うわけです。こういうようなことを考えていきますと、やはりこのように前月比で一・〇%も上がっておりますし、物価のそういう基調というものを長官はどのように受けとめていらっしゃいますか、まず簡潔にお伺いしたいと思います。
  87. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 結論から申し上げれば、一般物価の基調というものは変わってない、こう考えております。  いま御指摘の四月の全国消費者物価指数は確かに一%前月比上がっております。例年この年度初めの月は上がるようなそういう一つの傾向を持っておりまして、昨年は一・四%上がっております。したがって、そういうような四月の情勢が今後続くかどうかということは一番大事な点でございますが、いま御指摘のような公共料金いろいろございます。ございますが、いま不景気というものが、不況の影響が一年半くらいのタイムラグでもってようやくここに浸透してきた。生鮮食料品はいろいろ手当てもいたしましてまず落ちついているという状況から見ますと、これは楽観はいたしませんが、公共料金のある程度の引き上げを含めても、今年度昭和四十七年度の物価趨勢というものは昨年度に比べてそう懸念すべきものではない、こう考えております。
  88. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで東京瓦斯の場合ですと、関東に限りますと、今回このまま申請どおりになりますと物価指数で一%変わってきます。これはたいへんな押し上げになるのではないかと思いますし、先ほど通産大臣お答えになったわけでございますが、もう一度重ねてくどいようでありますが、このガス料金値上げについての長官の考えをひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
  89. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 先ほど通産大臣お答えしましたとおり、これは慎重に扱わなければなりませんが、通産省からまだ正式に協議は受けておりませんが、当然公聴会もおやりになったことだし、また公聴会もオープンで公正に行なわれたものと信じております。そこで、それを受けましてわれわれ経済企画庁におきましては、なお慎重を期するために来週十六日に御承知の物価安定政策会議の特別部会にこれをはかりまして、学識経験者、マスコミ、消費者代表を入れて特別にこれは慎重にいろいろ御論議を願うということにしております。
  90. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、そのほかに公共料金引き上げのこういうムードの中で、公営交通あるいは航空運賃等の引き上げも出ております。それからまた私鉄大手の引き上げも出ておりますが、こういう問題についてはどのようにお考えでございましょうか。
  91. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 その中で御指摘の私鉄運賃はまだ申請も出ておりませんので、今日われわれは全然対象にしておりませんし、また国鉄運賃の引き上げがかりに行なわれたとしても、便乗値上げは許さるべきものではない、こう思います。  そこで、その次の航空運賃、これは申請が出されております。これは御承知のとおり燃料税が今度課せられますので、それに見合う程度の引き上げはやむを得ないだろうというような考え方をしております。  また、地方の公営交通、これは地方都市でも財政上たいへん大きなガンになっております。非常に苦しんでおられるようでございます。しかし、これも正直に申しますとまだ協議は受けておりませんが、これについてもいろいろ影響がございますので、これもまた慎重にやっていきたい、こう考えております。
  92. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから四十八年度における物品税の改正について大蔵大臣のほうからそういう話が出ておるわけですが、この物品税がそのように改正になってきますと相当物価を押し上げる影響というものが私は大きな問題になると思うのです。こういう問題は当然政府全体で検討すべきだと思うのですが経企庁長官としましては、この物品税改正の問題についてはどのように見解を持っておられるわけですか。
  93. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 物品税の改正そのものはやはり税制の中で論議さるべき問題でございますが、今度大蔵大臣がある場で申されたように伝わっておりますこと、物品税そのものを全部上げるのではなくてある程度の調整をはかっておられるということで、あるものはむしろそれによってその価格が下がることもありましょうし、あるものについては上がることもある。そういうことですから、この問題はまだ税制調査会にもはかられておりませんので、ひとつ税制調査会の場で十分慎重に御審議願いたい、こういうことを申し上げたいと思います。
  94. 近江巳記夫

    ○近江委員 それではもう時間がありませんからこれで終わりますが、いずれにしても公共料金値上げをはじめとしたそういう中で、非常に国民が苦しい立場に置かれておりますので、どうかひとつ長官におかれては、いろいろな立場があろうと思いますが、勇気を持たれて国民のために戦ってもらいたいと思うのです。  では、これで終わります。
  95. 鴨田宗一

  96. 加藤清二

    加藤(清)委員 経企庁の長官、やはり時間がお急ぎのようでございますので、先に長官にお尋ねしますが、ただいま新聞で問題になっております東京瓦斯の料金値上げの問題は三二%要求していらっしゃるようですね。ところがこれは、庶民階級の五十立方メートルから六、七十立方メートルあたりの使用量のところへいきますと実質五〇%余の値上げになるのです。これを東京都の物価指数からいきますと何%くらいの値上げになると試算していらっしゃいますか。
  97. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 まだ私のほうでは具体的にそこまで試算しておりませんが、東京瓦斯の値上げが消費者物価に及ぼす影響としましては〇・〇七程度であろう、こう考えております。
  98. 加藤清二

    加藤(清)委員 先般、安西さんとNHKの記者との対談をNHKがテレビ放送をいたしておりますね。そのときには〇・四%響くということをはっきり言っているわけですが、あなたの〇・〇七というのと〇・四というのとではそれこそだいぶ開きがあるのですが、これは御検討いただけますか。
  99. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 私、前提を申さないでそういうことを申し上げて失礼にあたりましたが、これは実は全国の消費者物価に対する影響でございますから、東京区部についてはいまおっしゃったような影響があるだろうと思います。まだ実際は試算しておりません。
  100. 加藤清二

    加藤(清)委員 ぜひそれは試算していただきます。これは及ぼす影響が大きいのです。あなた、時間がお急ぎのようですから、ほんとうは通産省から――どのくらいのガス値上げあとに引き続いておるか、それからそれがやがてプロパンに影響し、電気に影響するということを認識の上で試算しないとできないわけなんですが、これはたいへんなことだと思うのです。すでに北海道とか佐賀とかでは値上げが行なわれておるのです。ところがここらは及ぼす影響が少ないですね。が、東京で値上がったとなるとすぐ大阪に響くのです。名古屋へ響きます。私は名古屋の東邦瓦斯も調べてきました。したがいまして、ここで簡単に許しますとたいへんなことになると思うのです。いま通産大臣にお尋ねしますと、ぎりぎりまで検討して真にやむを得ないところで決定したい、こういう話なのです。ことばの上では、三二%はちょっとと首を振りながら、一〇%か二〇%か、あとは検討の上きめる、こういう話です。おそらく本件国民の消費者物価に及ぼす影響は大きいから経企庁とも御相談になるでしょう。それからまた経済閣僚会議にかけなければこれは通過をしないと思うのです。しかし本委員会国民ガス会社との間に立って調整しなければ、調整するところはないと思うのです。したがって、その意味であなたにお尋ねするのです。あなたは三二%に対してどうお思いになりますか。及ぼす影響というよりは表へ出たのは三二%ですが、ここに至ると五〇%以上になります。そういう物価の値上がりがいっときに急激に行なわれていいとお思いですか。それとも何%程度ならばやむを得ないぎりぎりのところであるとお考えになりましょうか。
  101. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 私どもまだ正式協議を受けた段階ではございませんけれども、当然これは予備的に検討しておりますが、東京瓦斯の十二年にわたる据え置きというものは非常に無理があったということはよくわかります。しかしながら、同時にいまおことばにあったように、非常にこれは日常生活に、直接消費上大きな影響がありますので、慎重の上にも慎重を期したい。  そこで何%ぐらいが適当かとおっしゃいますが、まだ通産省ですら審議が終わっておりませんし、まだ私どもの段階でも、先ほど近江さんに対するお答えでいたしましたとおり、特別の委員会にかけまして、物価安定政策会議、マスコミまたは消費者代表、学識経験者に十分ひとつ御審議を願いたいという段階でございますから、それに対する先入観的に私がどの程度が適当かということはひとつ控えたいと思います。
  102. 加藤清二

    加藤(清)委員 では、こういうふうにお尋ねしましょう。それでは、三二%は正しい、それを動かすことはできないというお考えですか。
  103. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 私どもの立場では、もうできるだけ低いほうがよろしい、こういう考えでございます。
  104. 加藤清二

    加藤(清)委員 つまり三二%ではなくて、最終決定は、田中通産大臣が申しましたようにぎりぎり検討してということは、一般庶民にわかることばで言えばなるべく値切ってということであって、真にやむを得ざるところできめたいということは、三二%より下げたいということばなんです、裏を返せば。その田中大臣考え方に対してあなたはどういうお考えを持っておられますか。あなたはなるべく上げたいと思っておられますか。
  105. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 通産大臣がぎりぎりのところでとおっしゃる。私は通産省から来たものをまたぎりぎりの線で押えたい、こう考えております。
  106. 加藤清二

    加藤(清)委員 その言たるやもってよしとする。そうあってしかるべきだと思います。国民生活を守りなさる最高の任務を持っているあなたのことでございまするから、当然だと存じます。ほんとうは公共料金といい、生活必需物資というものの料金の設定基準は、ここに社会福祉性を持たせるということが先進諸国のあり方でございますね。しかし日本の場合でございますると、生活必需物資で、ねばならないというものにまで税金がかかる。これは後進国並みないしは戦時統制の場合、ねばならぬというときのそのままがいまここに行なわれている。生活必需物資、市民生活に必要なものは税金はゼロであってしかるべきであると同時に、それのみではいけない。そこへ社会福祉政策が盛り込まれてしかるべきだ。その盛り込むのは企業ではできないから、あなたのところでやらなければならぬと思うのです。その考え方についてはいかがでございますか。
  107. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 私は同感でございます。したがいまして、ガス税のごときはいろいろいままでのいきさつがありましょうが、決していい税ではない、こう考えております。こういうものはもちろん自治財政その他大きな財政全般から考えて漸次これを改善していく。すぐ撤廃できればよろしゅうございますけれども、そうもいかない段階では、漸次これを改正していく必要がある、こう考えております。
  108. 加藤清二

    加藤(清)委員 砂糖に税金がかかっていますね。キューバ糖原糖一斤換算にして大体十九円。これがイギリスへ行って消費者価格を調べてみますると、日本金に換算しまして六十円以上に上がったことはないのですね。ところが日本では百円をこえている。税金がかかっているからです。それであめ玉をつくった、子供に食べさせる。子供のあめ玉にまで税金をかける。赤ん坊ののどや口の中から税金を取っておるというような国は、これはもう先進国にはないのです。ついでに、そのあめ玉を包んだ包み紙から毒が出てきたなんということ、こんなばかげた話は、日本の恥なんです。それがストックホルムまで行って、ノーモア・カネミ、ノーモア・ミナマタ、これは世界に警告を与えたと同時に、一方ながめてみれば、日本の政策の立ちおくれ、日本のエコノミツクアニマルの恥をさらしたというてしかるべきだと思うのです。患者の方々は何も病気治療のために行ったのではないのです。病苦を押して行かれたのです。それはノーモア・カネミのはずなんです。ノーモア・ミナマタのはずなんです。だからゼッケンをつけてみえた。社会政策が非常におくれている。ガスにも税金がかかっている。これは長年もう撤廃すべきであるという主張が政府みずから行なわれておりながら撤廃されていない。取るものは取っている。政治資金の政治資金規正法も、大骨も小骨も抜かないと言った総理大臣、そして必ずやると言った総理大臣、それがいまそのままやめていくようです。これでは政治不信になるのは無理からぬと思うのです。ですから少なくとも市民生活に必要なものには税金をかけない、こうあってしかるべきだと思います。田中通産大臣は、先日の私の質問に、電気ガス税はこれは悪税である、ゆえに撤廃の方向に向かって調査を進め実行に移す、こういう話である。これでこそ総理大臣の候補としての資格はあると思うのです。あなたは次には大蔵大臣になるかもわからぬから聞いておきます。あなたの電気ガス税に対する観念はいかがでございますか。
  109. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 先ほど申しましたように、私はよい税ではない、したがって基本的にはこれを撤廃する方向で措置すべきである。問題はその時期いかんの問題でございます。
  110. 加藤清二

    加藤(清)委員 株の配当金ですね。特に公共企業の株の配当金は何ぼぐらいが妥当だとお考えでございますか。
  111. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 どうも経済企画庁の守備範囲を越えるような御質問でございますが、これは一般国民の社会常識というものが第一であるべきで、やはり社会公平、全体の経済の公平観念から見まして適正でなければならぬ。しかしそれがはたして一割が適正なのか八分が適正なのか、やはりその当時の経済情勢、国民生活その他から総合判断さるべきで、たとえば八分が適当な時期もありましょうし、また八分でも少し多過ぎる場合もありましょうし、そういうものから判断さるべきものであって、まず一般常識からいえば、一割をこえるような配当は適正ではないではないかというのがどうも社会常識のようでございます。
  112. 加藤清二

    加藤(清)委員 守備範囲ではないとおっしゃられますが、あなたは経済閣僚会議の重要メンバーでいらっしゃいます。同時に料金値上げということになりますると、消費者に及ぼす影響が大きいので、しからばここに投資している人たちの利益配分いかんということは当然問題になることだと存じます。それでお尋ねしたのです。まあ七、八%が妥当なところだと存じます。あなたのおっしゃられたとおりです。それは国家が発行するところの公債がそうですから。それは強大なバックがあって、無価値になるとか値下がりする、そこから投資が欠損するというようなことがないという信用、これが七分であって、しかも一般私企業の配当金が一割二分だのあるいは一割だのというときに、公共企業という政府の援助というバックのある会社の配当金がこれと同じであるということは、これはいささかいただけないと思うのです。これについてどうお考えですか。
  113. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 これはなかなかむずかしい判断の問題だと思います。したがって、いま御指摘のように投資によって生ずる危険というものがございますから、その会社の公共性その他からいってそういう危険性があるかないかという一つの判断も必要でございましょう。しかしながら、総じて公益的企業、しかも大企業で基礎の強固な企業についてはなるべく配当は一般私企業より低かるべきであるという考えはいたします。
  114. 加藤清二

    加藤(清)委員 しからばお尋ねする。東京瓦斯の過去三年の配当率。
  115. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 一割二分でございましたが、この冬の決算におきまして、経営が悪くなりましたので一割に減配しております。
  116. 加藤清二

    加藤(清)委員 私企業よりもいいですね。おまけにこの報告を見ますと、増設増設と、こうきておる。必ず増資が行なわれる。増資の場合の旧株主配当は何ぼになっております。配当というよりは新株の交付の金額はどうなっていますか。
  117. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 額面だと思いますが、はっきり確かめてありませんので、調査いたします。
  118. 加藤清二

    加藤(清)委員 これは調べておいてくださいね。  今日の上場株価は幾らです、上場相場は。
  119. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 最近株価が一般的に非常に上昇しておりますので、百円をこえたと思います。
  120. 加藤清二

    加藤(清)委員 最近の相場でうまく逃げられたですね。それはあなたダウがどんどん上がっているのですから、いまに五千円にもなるのじゃないかというおりからですから、それはなにでしょうが、私の言いたいことは、配当率にしてもそれから次に新株を交付する場合においても、公共企業であり政府の援助の非常に厚い企業、それが市中一般の株の配当率と同じであったり、あるいは新株を旧株に応じて交付するときの値段が額面どおりであったり、あるいは社内配給と称して額面割れで渡されたりというようなことは、これは決して正しいあり方ではないと思うのです。専門の谷村さんがいらっしゃるからほんとうは谷村さんに聞きたいところだけれども、これは守備範囲が違うと思いますので、経企庁の長官にお尋ねします。これはどうです。物価と株価はたいへんに関連がありますから。
  121. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 どうもそういう具体的なことになりますと、私もまだ申し上げるような知識もまたそういう段階でもないのでございます。一般的、常識的に申し上げれば、確かにもう少し通産省の審査段階でいろいろその点もひとつ審査していただきたい、こう考えております。
  122. 加藤清二

    加藤(清)委員 自治省来られましたか、まだですか。
  123. 鴨田宗一

    鴨田委員長 自治省は来ておりません。
  124. 加藤清二

    加藤(清)委員 この値上がりによって物価指数に及ぼす影響を先ほどお尋ねいたしましたが、いま申し上げましたように、これには電気ガス税という税金がかかっております。その税収益は地方財源になっておるのですね。この値上がりによって、関係都道府県の税収の増、これはどの程度になりますか。
  125. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 いま通産大臣や私どもの大臣からお答えがございましたように、まだ具体的にこの東京瓦斯の料金改定の案件についてどの程度の改定をすべきか、あるいはすべからざるかということもきまっておらないわけでございますから、税収の問題がどうなるかというような検討はいたしておりません。が、全国的に見ますと、四十七年度が千百五十八億というのが電気ガス税でございまして、このうちガス分は約一二、三%のようでございます。したがいまして、これは東京瓦斯の担当地域だけについていうとどの程度になりますか、これは値上がりの程度とそれから免税点その他との関係、いろいろ出てまいりますので、そういった実際に料金の問題を決定いたします際に、影響等十分考えたいと思っております。
  126. 加藤清二

    加藤(清)委員 三二%要求されてからずいぶんになりますよ。その間にこの悪税は撤廃すべきであると言ったところ、通滝大臣は、そのとおりだからそのように努力をいたしますという答弁だったのです。さすれば、三二%平均上がったら税収がどのくらいふえるかぐらいのことは当然試算しておいてしかるべきなんです。それが行なわれずに、ただ値上げのほうにばかり努力しておるというようじゃ、これは国民に及ぼす影響がどのくらいになるかがわからない。これは上がることによってガス税は上がるんだから、率が上がると言っているんじゃありませんよ。だから、せめてぎりぎりのところで押えるという大臣趣旨を実行するならば、せめていま七%あるガス税を、上がる分だけぐらい下げたらいいと、こういう答えが出てくるでしょう。なぜそういう努力をなさらぬのです。三二%上がると税収がこれだけ上がる、じゃ、税収の上がる分だけは削ってあげましょうというと、三一%になるかもしれないし三二%になるかもしれない。私のほうの政調会では調査を進めておりますから、いずれはっきりした数字が出てまいります。そういうことを詰めていって初めて、ぎりぎりに検討したと、こういうことが言えるのでしょう。一審大きいネックになっている税収のことがわからぬでどうするのです。とんでもない話です。いつまでに検討できますか、税の問題。
  127. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 当然、先ほどもお話がございましたように、私ども通産省から協議を受けまして、そして最終的には物価対策閣僚協議会にかけまして、そこで御決定をいただくことになりますが、その前にこういった問題について十分検討いたしまして、必要があればいまお話しのような制度的な面の手当てもいたしたい、こう考えております。
  128. 加藤清二

    加藤(清)委員 当然だ、あなたのおっしゃることは。閣僚協議会にかけることは。その前に、あなたのほうで試算なさった数字が出ましたら、ぜひ私のほうへも通告願いたいと存じます。  結論を急げということでございますので、もうおっしゃられるとおりにいたしますが、この間通産省で行なわれましたところの公聴会、非常に悪評なんですね。質疑討論ができなかったというんです。  そこで一つ提案しますが、どうです、罪滅ぼしにここへ参考人を呼んで討議するとか、あるいはテレビ討論会をやる、テレビ討論会もいけなければ日比谷の公会堂で各党の本件に対する討論会をするということを提案したいと思いますが、委員長、このことについて御検討願えますか。
  129. 鴨田宗一

    鴨田委員長 理事の方々とお話をしまして結論を出したいと思います。
  130. 加藤清二

    加藤(清)委員 それではその前に、私が提案しましたところのカネミと同様のPCB、特に敷島パンにあらわれたPCBの件、どうも大阪インキにうそがあるようです。それから企業機密などといいかげんのことを言って拒否しているようであります。とんでもない話だ。そんなところに企業機密なんてありません。企業機密と言えば何でも隠れみのになると思って、しかもどうも私文書偽造行使の疑いもあるようでございます。したがいまして、ぜひひとつ参考人として要求いたします。敷島パン社長盛田君、それから大阪インキ、並びに袋を製造したところの印刷それから材料、それの関係社長をぜひ呼んでいただきたい。  なぜそういうことを言うかというと、カネミPCB患者世界じゅうに訴えられて、胸を突き刺すような思いがしたと向こうの学者も述べている。その上なおストックホルムの各地元新聞は、今回迎えたお客の最高のお客さんであったという評価なんです。そういうやさきに、日本でまたこのカネミと同じPCB汚染が、ところもあろうに花の都の東京のどまん中に堂々と行なわれておるということなんです。それを企業機密だなどといって逃げている。しかも私の会社でつくったインキではありませんと言うておる。とんでもない話なんです。調査を進めていく段階において、それは一年前に納入したのでしょうとか、いや印刷してストックがたくさんあったからでしょうとか、冗談じゃないですよ。レディーメイドじゃないんだ、これは。そんな袋を二年分も三年分も印刷してたくわえておくような、そんな余裕が今日の印刷会社のどこにあります。三年分も四年分も資材のインキを買いだめしておくような余裕がどこにあります。つまり、禁止以前の製造であったと逃げたいからそういうことを言うておる。禁止以前であったって、今度の無過失公害賠償責任発生からさかのぼるということになっておる。逃げることはできない。だからぜひひとつこれも理事会にかけて、ここへ招致するようにお願いしたい。  それで時間が来たそうですから、私は残余の質問あとに回しまして、委員長にお願いをしまして、本日はこの程度にします。
  131. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次、中村重光君。
  132. 中村重光

    ○中村(重)委員 久良知公害保安局長にお尋ねをいたしますが、実は私どもがこの国会の当初、通産省提出予定法案の一覧表をいただきました際に、武器等製造法の一部を改正する法律案の提出が予定法案として実は出ておったわけです。ところがなかなか提出がされない。もう取りやめになったんだと実は思っておりましたところ、つい最近二、三日前でありますが、通産省と警察庁との間には合意したんだけれども、まだいろいろ部内の諸手続の関係で時間がかかる、したがって議員提案という形でやってもらえないかという要請が実はあったわけでございます。議員提案ということになりましても、私どもはそう軽率に扱うわけにはまいらない。慎重に検討して、議員提案とすることが妥当であるという私どもは確信がない限り、議員提案などというものをやれるわけではないわけであります。政府のほうでいろいろ検討して合意に至らないからこれを議員提案にせよという、そのしりを持ってこられるようなことでは、私どもはそういう不見識な提案というものは実はできないわけであります。どういった点が問題点となって今日に至るまで実は提案に至らなかったのか。時間が二十分程度で終わらなければなりませんので、要点だけでけっこうでありますから、その経過をひとつお答えをいただきたいと思います。
  133. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 火薬類それから猟銃というふうなものにつきましては、これが盗まれまして悪用されましたときには非常に大きな社会不安のもとになるものでございますので、私どもといたしましても、従来から火薬類取締法それから武器等製造法に基づきまして、きびしい規制を行なってきておったわけでございます。御承知のように、この一両年過激派グループによります爆発事件というものが続発をしたわけでございますが、これにかんがみまして、昨年火薬類につきましては省令を改正をいたしましたし、それから猟銃等につきましてはこれは法律と政令の改正を行ないまして、盗難防止についての規制を一段と強化したわけでございます。ところが、やはり昨年来この過激派グループの活動というものがきわめて活発になってきておりますので、これに対処いたしますためには取り締まり体制の面まで含めまして取り締まりの強化をはかる必要があるというふうになってきたわけでございます。こういうふうな見地から、政府といたしましては通産省それから警察庁とが中心になりまして、両省庁の協力体制というものを確立しようという方向で、法律改正の検討を行なってきておったのでございますが、現在のところでは政府部内でなお調整の余地が若干残っておりますので、法律改正案を政府から国会に提出することができないというのが現状でございます。
  134. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは通産省と警察庁との間には、実は私どもの手元に資料が配られているわけですが、正確には警察庁の公安委員会ということになるわけでありますが、盗難防止の取り締まりの面を懸案事項にするということのようでありますが、この点は合意をしておるわけですか。
  135. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 火薬類というものの性格の上から、取り締まりの面という警察的な見地と、産業の発展のために必須の基礎物資であるという産業政策の面からと、二つの接点にあるわけでございます。戦前におきましては、御承知のようにこれは内務省で一括して行なっておったわけでございますが、戦後、警察の民主化という見地から、ほかのいろいろなものと同時に各省に分散されたわけでございまして、そのとき以来、火薬については通産省で行政を所管してまいっておるわけでございます。したがいまして、警察庁との間で取り締まり的な見地と産業政策的な見地とどう調和させるかということになるわけでございますが、産業政策の中に警察がどの程度入ってくるかという基本的な問題につきましては、これは検討にかなりな時日を要する問題でもございますので、権限についてはしばらくおきまして、盗難防止という点に限りました実務的な面で警察に分担していただく面をできるだけ拡大しようということで、警察庁と通産省との間では一応の合意を見たわけでございます。
  136. 中村重光

    ○中村(重)委員 おそらくこの法律案の改正をしようとしたのは、浅間山荘の事件が契機になったのだろうと実は思うわけです。その後、いまあなたがお答えになりましたようなことから、なかなか政府部内が合意できない。ところが今回のテルアビブ空港事件といったようなことから、警察庁としては何かその取り締まりの面を強化する必要があるというように判断されたのではないか、これはあくまで私の推測であるわけであります。  そこで、政府部内がなかなか一致をしないから議員提案という形になったのだろうと実は思うわけであります。実はまだ内容を十分承知をいたしておりませんから推測の域を出ないわけでありますから、私はこのことについていろいろ確信を持って申し上げることが実はできないわけであります。先ほど申し上げましたように、重要な問題点であればあるほど、議員提案ということになってまいりますと私どもは慎重に検討していかなければならない、こういうことに実はなるわけであります。通産省と警察庁との間に、取り締まり面を強化するその権限を警察庁に移譲するということが必要であるということで合意をしたとすれば、私は当然そうした面においてこの提案という方向に強力に推進すべきではなかったのか、そのように実は感じるわけであります。  しかし、いろいろ問題点があったことだと思いますが、いずれにいたしましても、私ども党内におきましてもいろいろ検討を、商工部会においてあるいは政審全体会議においてあるいは国対において、いろいろ議論をいたしました。必要なものであるならば改正もしなければならないであろう、改正をしないで省政令で強化するということにおいて目的を達成するのであればまたそれもいいのではないか、こういうことであると思います。政府部内においてこれが提案の必要性ということを感じられるならば、会期末でありますけれども御提案になりますならば、私ども党内におきましては、これを審議することにやぶさかでないという態度を実は決定をいたしておるわけでありまして、だがしかし、各党の中で会期末にどう扱うかという問題はおのずからこれは別個な問題である、こういうことに実はなろうかと思うわけであります。その内容に対しましていろいろお尋ねをしたいこともありますが、時間の制約がございますから、きょうはその経緯だけを伺うということにとどめておきたいと思います。いずれにいたしましても、私は火薬類の取り締まりの重要性ということを通産省におきましてもあるいは警察庁におきましても十分認識され、この法の範囲内において遺憾なきことを期していく必要があるということだけを強く要請いたしておいて、この程度にとどめたいと思います。  次に久良知局長とそれから防衛庁の杉森連絡調整官にお尋ねをいたします。これも簡潔にお答えをいただきたいと思うのでありますが、先般、私が本委員会においてお尋ねをいたしました長崎県佐世保市の海上自衛隊の針尾弾薬庫設置に伴いまして、付近にありますところの麻生採石場との間にいろいろと問題が起こっており、経営困難の事態に麻生組が立ち至っておるということで、安全の設備の問題であるとかあるいはまた補償の問題等々、いろいろと交渉がなされておるやに伺ったのでありますが、その後、この問題に対しましては実情調査をして解決をはかっていきたい、そういうお答えが実はなされておるわけでありますが、その後の経過をかいつまんでそれぞれお答えをいただきたいと思います。
  137. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 四月七日に先生から御質問のございました自衛隊の針尾弾薬庫の件でございますが、あの弾薬庫は火薬類取締法できめております火薬庫としての許可基準に適合をいたしておりまして、それから採石業者と自衛隊の間で、危害予防の措置について防護さくを設けるということを条件にいたしまして同意が成立をしているということを、同意書という文書で確認をいたしまして設置の承認をしたわけでございますが、設置の際の経緯、それから先生から御質問のあったことにかんがみまして、その後防衛庁に対しましてすみやかに防護さくを設けるということを申し入れをしたわけでございます。防衛庁では、その後検討され、補償問題を含めまして取り扱いについての検討を現在しておるというふうに私どもは聞いております。
  138. 中村重光

    ○中村(重)委員 防衛庁のお答えは、蔭山さんもお見えでございますからどちらからでもけっこうでございます。
  139. 蔭山昭二

    ○蔭山説明員 先般この委員会お答えいたしましたとおり、すでに防護さくにつきましては、簡単なものを、昭和四十五年度は金網及びワイヤロープによるものを設置しておるのでございますが、なおより完全な防護施設というものを設置する予算が今四十七年度に成立いたしましたので、さっそくその資金を現地福岡防衛施設局のほうに示達をいたしまして、現地防衛施設局で現在技術的な検討を行なっている状況でございます。また、すでに昨年の十二月二十七日に、麻生さんから佐世保地方総監あてに、弾薬庫設置によります採石業廃業並びに損失補償申請書というものが出ておりますが、目下慎重に部内で検討中でございます。  なおこの問題につきましては、前回も、何よりもまず相互で話し合うことが必要だということで、この同意の条件となっております防護施設の検討結果が出次第、麻生さんとはお話し合いをする考えでございましたが、最近、六月六日でございますが、麻生さんのほうから佐世保の総監部に対しまして、現在この採石集も思わしくないので、この営業をやめたいという意思の御表明があったというふうに報告を受けておりまして、そうしたような考え方を目下確認を急いでおりまして、もしこれが事実であるとすれば、早急にその対策考えたい、こういう考えでございます。
  140. 中村重光

    ○中村(重)委員 いま、そうした麻生組の申し入れによって対策考えたいということでありますが、やはり事業というものは一度つまずきますとなかなかうまくいくものじゃないのですよ。ですから、やはり弾薬庫のそばにダイナマイト等を使う採石場があるということは、私は危険だと思うのです。この際補償措置を講じて、むしろやめてもらったほうが私はいいのじゃないかという感じがいたしますが、そういう方向で解決に努力をなさいますか。
  141. 蔭山昭二

    ○蔭山説明員 お話でございますが、現在、麻生さんが採石場として使用されております土地は、先生御承知のように佐世保の市有地になっております。また、この進入路は御指摘の弾薬庫の前面を通って、米軍の提供施設の中をほぼ一キロメートル以上通らなければならない、こういうふうな状況になっておりまして、私どもといたしましては、土地所有者であります佐世保市、それから土地の提供業務を担当し、かつこの防護施設の設置工事を担当いたしております福岡防衛施設局、これとも関連がございますので、総監部、防衛施設局、佐世保市、さらには麻生さんともいろいろ相互に調整をいたしますように早急に指示をいたしまして、その結果を待って検討に入りたい、こういう考え方でございます。
  142. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは、この関係では防衛庁、けっこうであります。  本庄保安部長にお尋ねをいたしますが、六月四日付の新聞で報道されているのですが、「佐世保-静岡県御殿場、米軍弾薬、恐怖の陸上輸送、沿道住民に予告なし、民間トラック四台で」、時間がありませんから数量等詳しく読みませんが、弾薬を陸上輸送をしているということで、住民は非常な憤激と不安に追い込まれておる、こういうことで、抗議等が実は警察当局にもなされておるようでありますが、この点について報告があっておると思うのでありますけれども、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  143. 本庄務

    ○本庄政府委員 ただいまお尋ねの件につきましては、五月三十一日、福岡の運送業者から長崎県の早岐警察署に対しまして、米軍の弾薬を佐世保から静岡の御殿場まで運搬する旨の届け出がございました。同署におきましては、一般の火薬類の運搬の場合と同様に審査をいたしまして、通過予定の関係の府県警察に対しましてその内容連絡して、意見を聴取いたしました。さらに運搬届け書の内容を審査して、六月二日に運搬証明書を交付いたしております。さらに運搬証明書に記載された内容及び運搬の技術上の基準に適合しているかどうか確認する必要がございますので、出発時に基地外に出ましたところの安全な場所で、積載方法、梱包の状況等を検査の上、要所に交通整理の警察官を派遣する等の措置をとっております。また、運搬計画書にあるとおり、六月三日には京都の大山崎検問所において警察官が積み荷の状況等を点検をしておりますが、異状がございませんでしたので、運搬を継続さしております。六月四日、異状なく目的地の富士演習場に到着したということを確認いたしております。
  144. 中村重光

    ○中村(重)委員 五月一日にも運んでいるようですが、静岡というのは、米軍の富士演習場に運んだということになるわけですが、佐世保から一千キロありますね。そこを民間トラック四台、砲弾など四十三トンが積み込まれておった。途中は福岡、神戸、名古屋を経由することになるわけです。私はまことに危険だと思うのですよ。交通がふくそうし、もし交通事故でも起こったらどんなことになっただろうかと思うのですね。こんな危険な弾薬を陸上輸送するなんということはもってのほかだと私は思うのですよ。いま部長がお答えになりますように、異状はなかった……。箱に詰めているのを、警察は外からちょっと見るだけでしょう。住民にも知らせてもいないのですよ。そんな危険な弾薬輸送を住民にも全く知らせないで、一千キロという長距離の陸上輸送をするなんということは、これは差しつかえないとお考えになりますか。こんなことを今後も続けさせる方針ですか。これは本庄さんに続いて、防衛庁もこの問題についてどう受けとめておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  145. 杉森一秀

    ○杉森説明員 お答えいたします。  在日米軍の弾薬の輸送につきましては、その安全対策といたしましてできるだけ海上輸送をする、こういうことになっているわけでございますが、いろいろな事情がございましたり、あるいは海路による輸送が困難な場合には陸上輸送ということが行なわれておるわけでございます。陸上輸送の場合は、米軍が契約をいたしました民間の業者あるいは国鉄というところが行なっているわけでございますが、これらの場合は国内法規、いわゆる火薬類取締法あるいはそれに基づく火薬類の運搬に関する総理府令、それから火薬類運送規則等の法規によりまして手続あるいは安全の基準等を確保して行なっている。それから米軍が直接米軍車により行なう場合もあるわけでございますが、この場合は、昭和三十五年十二月に、日米合同委員会におきまして取りきめがございます。その取りきめに従って行なっているという実情でございまして、一応安全対策については留意されておると思います。  ただ、やはりふくそうした陸上を輸送する点につきましては、いろいろ先生のおっしゃられるような問題もあろうかと思いますので、われわれといたしましては、米軍に対しては原則として海上輸送によってくれということは常々話しており、米軍のほうもその趣旨を了解している、かように思っております。
  146. 中村重光

    ○中村(重)委員 本庄さん、いまお聞きのとおりですよ。米軍に対しての取りきめがあって、海上によってやってくれという注文をつけているという。ところが、所轄警察では外からちょっと見るだけでしょう。そして外から見て、弾薬ですから何か箱詰めでもしているのでしょうか、それで差しつかえないなんということをやっているのですね。これは国内の一般のそういった火薬や何かの輸送あるいは自衛隊の弾薬輸送というものも同じような扱いをしているんですからね。アメリカさんがやることは御無理ごもっとも、どうぞおかまいなし、頭の上がらないといったようなことじゃ、これはもう話にならないですよ。それで、抗議団が抗議しているんですが、住民に知らせろということに対しては、署長は今後住民に弾薬輸送を知らせるかどうか検討する、こう答えている。住民の感情とかそういう不安なんというのは、もう念頭に置いてないというような感じですね。こういうことでよろしいですか。どうお考えになりますか。
  147. 本庄務

    ○本庄政府委員 お答えいたします。  米軍の弾薬輸送の場合と、それから日本人の輸送の場合と、扱いは警察といたしましては全く同じように扱っておりまして、米軍であるからといって特別な扱いはいたしておりません。それから米軍の輸送につきましては、砲弾等の危険なものが多いであろうということも予想されます。ただ警察といたしましては、積載方法、梱包、そういったものについてしか調べることができませんので中身はわかりません。したがいまして、警察といたしましては、本庁におきましては、防衛施設庁のほうに、米軍のものは海上輸送をお願いしたいということを要望を申し上げております。現地におきましても、所轄の警察署から関係の米軍の司令官に対して、同様な要望を再三いたしております。その点につきまして、中身が危険なものは海上輸送をやる、危険でないものにつきましては陸上輸送をやるというふうに、両方ともそれぞれ回答を得ておる次第でございますが、中身につきましては、先ほど申しましたように警察としては知り得ないことでございますので、いずれにいたしましても、できるだけ海上輸送に回していただくように、今後も強力にその趣旨でお願いをいたしたい、かように考えております。
  148. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたお答えのように、火薬類取締法は、災害の発生防止や公共の安全を守るために公安委員会、これは署長が代行することになっていますが、積載方法や経路について指示することができるということになっている。荷物の中身などについては検問が及ばないというように解釈できるわけですね。いまあなたのお答えもそういうことであった。検問してもトラックに積まれている火薬が事前に公安委員会に届けられた種類であるとか量であるかどうか、中身を見なければそれが実際チェックできないですね。だから、銃砲火薬類について、今回の法律案の改正について、むしろ火薬店の販売について、その保管について、それから盗難防止という点から、あなたのほうでは、これはもっと取り締まりをきびしくする必要があるということで、改正をする必要があるということで今回の作業になった。こういうことこそあなたのほうはもっと積極的にこの法律案の改正を求められる必要があったのじゃありませんか。これは必要ないというふうにお考えになっておられますか。それと、いまあなたは危険なものは海上にと――弾薬が危険でないということはないでしょう。弾薬はこれは危険きわまるですよ。一千キロもあるところをトラックで輸送する。数十万台の車が運行しているんですよ。玉突き衝突なんかがあったらどうなります。この間のように衝突によるガス爆発事故というようなものがあったらたいへんなことが起こる。もしもこれが衝突で事故が起こって爆発でもしたら、あんなことじゃございません。いまあなたのお答えの中から、ことばじりをとらえるわけではないですけれども、危険なものは海上に、危険でないものは陸上にということになれば、弾薬輸送というものは危険ではないというように判断しておられるというようにしか私どもには解釈できないですね。だから、弾薬輸送というものは危険であるというようにあなたもお考えになるでしょうから、今後は海上輸送ということをきびしく米軍に対しても申し入れをするということ、それから政府部内で話し合いをなされて、火薬類取締法の不備な点はそれを改正をするということに積極的に取り細まれる必要があるであろう、こう私は思うのです。これに対しては本庄さんからもそれから久良知さんからも、それぞれひとつお答えをいただきたいと思います。
  149. 本庄務

    ○本庄政府委員 いまの先生の御意見、私同感でございます。したがいまして、先生の御発言の方向に向かって今後最大限の努力をいたしたいと思います。
  150. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 ただいま先生お話しの御趣旨につきましては、将来私ども技術的にもいろいろな問題があると思いますので、真剣に検討さしていただきたいと思います。
  151. 中村重光

    ○中村(重)委員 私はいまの保安部長答弁がまともな御答弁だと思うんですよ。真剣に検討する、これはお役所の答弁なんだけれども、そんなことであってはいけないじゃありませんか。改正するということをあなたがここで断言できないことはわかる。いま真剣に検討するということは非常に重要なんだから、これはやはり法改正というような方向で、ともかくこれはもっと取り締まりを強めて、形式的なことではなくて、実際にこの取り締まりができる、そしてその危険を防止するという方向に、今後は法改正を含めて対策を立てなければならぬというお考え方であるのかどうかということをもう一度お答えをいただきたいということと、防衛施設庁のほうからも、こういうことについてどうお考えになるのか。米軍に対して注意を喚起する、海上輸送によれということで今後きびしく米軍と交渉する、それを実行させるという御意思があるかどうか。それぞれお答えをいただきたいと思います。
  152. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 私先ほど申し上げましたのは、現在の運搬の条項によりますと、運搬の届け出がありました場合には、都道府県公安委員会は「災害の発生の防止又は公共の安全の維持のため必要があると認めるときは、運搬の日時、通路若しくは方法、又は運搬される火薬類の性状若しくは積載方法について、必要な指示をすることができる。」という規定があるわけでございまして、この規定の技術的な内容についてさらに検討を要する点があるのではないかということでございますが、先生お話しのように、方向といたしましては前向きの方向でもちろん検討いたすつもりでございます。
  153. 杉森一秀

    ○杉森説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、在日米軍の弾薬輸送は海上輸送によるということを原則として申し入れておりますし、向こうもその趣旨を了解しております。したがって、さらにあくまでも海上輸送によるということで話は米軍のほうと交渉いたしたいと思います。ただ、海上輸送が困難あるいはできないような場合もありますので、陸上輸送を全然行なわないというふうにはまいらないと思いますけれども、できるだけ海上輸送によるということについては、強く米軍のほうにも交渉いたしたいと思っております。
  154. 中村重光

    ○中村(重)委員 具体的な例として私はお尋ねしたわけなんだな。問題提起もしたわけなんだ。いま言っている問題、佐世保から静岡、これは海上輸送ができないなんていうことは考えられないでしょう。この佐世保からの弾薬輸送、こういうのは当然海上輸送によるべきであるというそういう考え方で米軍との間に交渉する、そういう決意であるというふうに理解してよろしいですか。
  155. 杉森一秀

    ○杉森説明員 けっこうでございます。
  156. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時一分散会