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中村(重)
委員 局長の先ほどの
答弁の、会社の合理化努力といったようなものは、ある程度努力をしているということは認められるわけなんです。しかし、さきの
東京瓦斯の爆発事故、私は
ガス会社にも責任があったことは否定できないと思いますが、他工事による事故というような点も見のがしてはならない。これは警察当局の取り調べの結果も明らかになっている。あのようなことで相当会社の出血もあったであろうということは十分想像はできるわけです。
大臣がお答えになりましたような、三十五年以来十二年間、いろいろと資材も値上がりをしているとか、人件費の増であるとか、いろいろと値上げをしなければならぬ要因も私は全く否定するわけにはまいらないと思います。しかしながら一面、私も先ほど申し上げましたように、やはり
設備がどんどん拡張しているわけですからね、だからその利潤によってこれを吸収するということは十分可能なんです。私は最もその条件に恵まれているのは
東京瓦斯であると思います。
大臣も、
東京瓦斯であるがゆえに特に慎重を期したいということでございましたが、
東京瓦斯の料金値上げが認められたならば、おそらく他の会社も連鎖反応的に次から次に料金値上げを申請してくるであろうということも想像できるし、
ガス料金の値上げが
電気料金の値上げの誘因にならないということもまた否定できないと思います。
公共料金の値上げは一般物価の上昇を促すという形にもなってまいりますから、特に慎重の上にも慎重を期する。さらに会社に合理化努力を求めていくという態度で
消費者の利益を守っていく。
大臣が先ほどお答えになりましたようなそうした
考え方の上に立って、経済企画庁とも十分物価対策の面から協議をし、
政府全体ができるだけ値上げを抑制するという方向でこの問題に対して結論を出されることを強く望んでおきたいと思います。
次に
熱供給事業の問題についてお尋ねをするのですが、先ほど来同僚議員からいろいろ質疑がなされましたように、この
熱供給事業を
公益事業として位置づけるということに対して、私はやはり若干疑問を持っているのです。実はこの前私
どもが審議をいたしてまいりました石油パイプラインは、
大臣胸を張って、これは公益性が非常に強いのだ、大衆
消費者の利益を守っていくことに大きくつながっていくのだということをおっしゃった。私は
議論をすればできた。時間が許せば
議論をしたいという気持ちで一ぱいだった。しかし締めくくりの
質問ではありましたし、別に
議論はしませんでした。もちろん賛成をしてあげたわけではございません。二カ月間慎重に審議をしてまいりましたが、
大臣が予算
委員会あるいは参議院等に出席されて、
大臣と質疑をする機会が非常に少なかった。最後の締めくくり
質問という形で、むしろその点では、
大臣の胸を張っておられることに対して非常に批判的な気持ちで私の質疑を終わったという形に実はなっておるのです。端的に言わしていただければ、
道路上を走っておるタンクローリーと地下を走っているハイプライン、それだけの違いなんですよ。タンクローリーには公益性がない、パイプラインは公益性がある、これは
公益事業だ、大衆の利益につながっていくんだ、そういった論理は、私はあり得ないと実は思っている。大衆の利益というものは間接的利益ですよ。精製業者がどれほど
消費者に対して利益を還元をしていくかということなんです。問題はむしろ
政府の努力というものによって、どの程度
消費者の利益が守られるかということに実はかかってきておる、こういうことになるのですよ。だから、この
熱供給の問題はパイプラインと比較をすると、若干大衆に直接的なものが、限られたものではあるけれ
ども、あれよりもましだということです。しかし、これを
公益事業として位置づけをするということにはやはり私は疑問を持っているのです。まだ割り切れない、
大臣の
答弁では。これはまあいろいろお話がありましたが、スウェーデンの例とかあるいはその他の国の例をお引きになって、七五%であるとか、六〇%とかいう普及率をお出しになった。しかし
日本は御承知のとおりまだまだ木造建築というものが大半なんですよ。それに対して冷
暖房というようなものは、
熱供給という形においてもなかなか
日本の住宅構造の中ではなじまないのです。してみるとこれはビルであるとか特定の建築物に限ってくる。そうなってみると、
公益事業として現
段階において位置づけるということには若干無理がある。私は業者の方々から
熱供給事業法に関する陳情書というのをいただいているのですが、これに書いているとおり「同法案は
熱供給事業を
公益事業として位置づけ、
消費者の保護と保安の確保をはかるとともに、
事業の健全な発達をはかるため他の
公益事業並みの税制、金融等の支援
措置を確保しようとするものであります。」と、これは業界の方々が、これを
公益事業として位置づけてもらいたいというのは、税制、金融上の支援
措置を国から講じてもらいたいから必死になってやっているのですよ。こういう業界の陳情、請願というものによって影響を受けておるところ大なるものがあると私は考えている。おそらく
大臣は否定的な
答弁を私に返してくるであろうと思っている。それはそうしなければ大体
議論にならないですからね。しかし
大臣、胸を張るほど公益性というものはありませんよ。これはもう少し先になって
政府の施策よろしきを得て、住宅
問題等に
大臣が力こぶを入れて、そうしてどんどんといまの住宅構造が鉄筋コンクリート等、そういう冷
暖房を
設備をするような建物に変わってくるというような文化的な
措置というものがどんどん進められることと並行して、そこに冷
暖房を
公益事業として位置づけていくということならばわからないでもない。これを
公益事業として位置づけてくれということになってまいりますと、大きな先行投資でありますから、これは
政府は国民の税金から融資やあるいは減税の
措置というものを講じていかなければならぬということになる。
大臣、これは若干時期尚早であったとはお考えになりませんか。少し無理だなというふうにはお考えになりませんか。いかがですか。