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1972-06-07 第68回国会 衆議院 商工委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月七日(水曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君   理事 浦野 幸男君 理事 小宮山重四郎君    理事 橋口  隆君 理事 武藤 嘉文君    理事 中村 重光君 理事 樋上 新一君       江藤 隆美君    唐沢俊二郎君       始関 伊平君    塩崎  潤君       田中 榮一君    中村 拓道君       浜田 幸一君    増岡 博之君       山下 徳夫君    石川 次夫君       岡田 利春君    加藤 清二君       松平 忠久君    岡本 富夫君       松尾 信人君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 角榮君  出席政府委員         通商産業政務次         官      稻村左近四郎君         通商産業省公益         事業局長    三宅 幸夫君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 六月七日  辞任         補欠選任   稲村 利幸君     唐沢俊二郎君   小川 平二君     江藤 隆美君   神田  博君     中村 弘海君   椎名悦三郎君     浜田 幸一君   坪川 信三君     山下 徳夫君   松永  光君     中村 拓道君   山田 久就君     森  喜朗君 同日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     小川 平二君   唐沢俊二郎君     稲村 利幸君   中村 弘海君     神田  博君   中村 拓道君     松永  光君   浜田 幸一君     椎名悦三郎君   森  喜朗君     山田 久就君   山下 徳夫君     坪川 信三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  熱供給事業法案内閣提出第八二号)      ————◇—————
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出熱供給事業法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤清二君。
  3. 加藤清二

    加藤(清)委員 先進諸国に参りますと、舗装のしていない道路道路でないと、こういうのですね。それからお勝手から湯の出ない家は人の住まいでないと、こういうのですね。ところが日本はどうかと申しますると、ほとんど舗装されない道路のほうが多い。じゃ口をひねっても湯の出ない家庭のほうが多い。まさに後進国並みといわなければなりません。しかし、今度のこの熱供給事業法案、これによって各家庭暖房冷房、あったかいお湯が希望に応じて随時供給されるということはまことにけっこうなことで、歓迎すべきことだと存じます。したがいまして、私はこの熱供給事業趣旨には賛同するものでございます。しかし、きのうのストックホルムにおける会議において、日本環境庁の長官がいみじくも言われたとおり、日本経済成長がだれのために、何のために行なわれているか疑わしい状況が日本には行なわれているわけなんです。そこで、熱供給をすることはいいけれども、そのために逆に公害発生するということになりますと、これは言うなれば仏つくって魂入れず、逆効果のほうが大きくなってくる、こういうおそれが十二分にあるわけなんです。  したがいまして、お尋ねしたい第一点は、この熱供給事業を行なうにあたって、はたして無公害であるのか、もし公害発生するとするならば、その処置はどうなっているのか、そこをまず承りたい。
  4. 三宅幸夫

    三宅政府委員 この法律案を作成する動機一つは保安の確保、一つ消費者保護でございます。同時に、この事業の健全な発展を通じて公害、特に大気汚染防止に寄与したいというのが立法動機でございます。  この法律案の中でどういう扱いになっておるかということでございますが、一応大気汚染防止関係は法令的には、私どもは、現在国会の御審議で通過いたしております大気汚染防止法によってこれを運用してまいりたいということで、この法文の中には公害防止とか環境保全とかいう表現は入っておりません。実体規定がございませんものですから、そういう関係もございましてそういう表現はとっておりませんけれども立法の背景には公害防止、特に大気汚染の問題について非常に大きく貢献したいという念願に燃えておったわけでございます。運用上の問題として十分配慮してまいりたい、かように考えております。
  5. 加藤清二

    加藤(清)委員 運用の問題の前に、せっかく新しい法律ができるのでしょう。だからこの法律自体でもって公害発生を未然に防げるような措置がとられるということのほうが望ましいことだと思う。ところが、この目的のところでも、公共の安全を確保することが目的である、こう書いてございまするけれども環境保全ということばは一語もない。それから罰則規定のところを見ますると、供給事業を保護する、供給事業者設備危害を加えられるというときには、この危害を加えたものに罰則があるけれども企業自体公害発生した場合には罰則規定がない。つまり、言えば熱供給事の健全な発達をはかるということと、それを維持、継続させるというところにはかゆいところに手の届くように法律が組まれているけれども企業みずからが、公害発生した場合には、それに対する罰則がない。これはほんとうは両罰規定でなければ正しいとはいえないと思うのです。この点について大臣どうお考えでございますか。
  6. 三宅幸夫

    三宅政府委員 御指摘問題点はわれわれも十分検討いたしたわけでございますが、先般公害特別委員会加藤先生から御指摘のありましたとおり、電気ガスにつきましては、大気汚染防止法関係について電気事業法ガス事業法との調整をはかりまして、この法律目的の中に公害防止というのを入れたわけでございますが、電気ガスは御存じのとおり非常に広いエリア供給をする事業でございますが、それに反しまして、この事業は、事業地域という点ではきわめて局限された地域が現在考えられますので、これらの地域に対する公害防止、特に大気汚染防止につきましてはすべて大気汚染防止法公害法規適用してまいりたい、こういうことにいたしたわけでございます。  それで罰則の問題でございますが、大気汚染防止法違反になりますと、大気汚染防止法罰則規定によりまして直罰規定がすぐにかかる、こういうことに相なっておるわけでございます。
  7. 加藤清二

    加藤(清)委員 大臣、よく聞いてくださいよ。これが一般の私企業でございますと、いまの三宅局長答弁でけっこうです、こう言わなければならぬ。しかしこれは電気ガスに準ずる公益事業になるのです。しかもこれが行なわれるようになりますとどういう結果が生ずるかというと、供給業務が優先するのです。したがって、公害発生するということがはっきりわかっていても、現在火力電気がたいへんな大気汚染の犯人であるということがわかっていても、なお供給業務のほうが先である、こういう言う。大臣はいつぞや私の質問に対して、それなら昔に返ってもいいか、こうおっしゃられた。電気ガスなしの昔に返ってもいいか、こうおっしゃられる。人間の本能として、ぜいたくになれますと、もとへ戻るということは非常な不幸なんです。したがって、少々の公害があってもやむを得ないではないか、こういうことになってしまうのです。その結果は、公害がだんだんと体内に蓄積されて、ついにイタイイタイ病になり四日市ぜんそくになる。これが過去の公害のあり方なんです。したがって、そのものずばりで公害退治ができないことには、私どもは湯が供給される、冷房暖房供給されるというそのしあわせは歓迎しまするけれども、そのしあわせのために、そのぜいたくのために、健康が逆に阻害されていくということについては、遺憾ながら賛成することができないわけなんです。本法律は他の事業と異なって、このことが行なわれるようになりますと、供給が優先するのです。そういう公共性を持った、断続することができない事業なるがゆえに、最初から予見できる危険は防止しておかなければならぬ、かように思うのです。大臣の御答弁を願います。
  8. 田中角榮

    田中国務大臣 いまあなたが述べられていることはもう当然のことであります。言わずもがなというほど当然なことでございます。ただ、法体系としてそういう条文を必要とするかどうかということでございます。これは先ほどから局長が述べておりますように、いま御指摘になられた熱供給事業を行なうために必要な法律を整備するということでございます。だから大気汚染とか水質汚濁というものがあれば、そういう公害関係法によって律せられるべきものでございます。ですから日本国有鉄道法ももちろん同じことでございます。日本国有鉄道輸送を確保するための、輸送機関としての鉄道でございますが、これは騒音が出ます。騒音が出るけれども、これは日本国有鉄道法に大きな騒音を出してはならないということを書いたらどうかという議論と同じことでございます。それは騒音防止法によって、日本国有鉄道騒音だけではなく、奇声を発したり安眠妨害をしたりいろいろな騒音はすべて騒音防止法によって防止されればいいことであるし、大気汚染大気汚染防止法によってやればいいことである。この法律は御承知のとおりの熱供給事業を行なうための法律でございますから、それに必要な条文を盛るということであって、この条文の中に付加して、公害を出してはならないという制限規定とか訓示規定宣言規定を盛る必要があるのかないのかといえば、これはあらゆる意味で電気事業法にもガス事業法にも公害防止というのは当然のことであります。これはガス事業法でもローサルファの石油をたかなければならないとか公害を出してはならないとかいう規定は、別な法体系の中で処理さるべきものであって、ガス事業法とか電気事業法の中で特に公害というものに対して条文を起こして調整をする必要はないわけでございます。同じ趣旨において公害は防除さるべきでございますが、条文としての法体系の中にこれを付加する必要はないという考え方でございます。
  9. 加藤清二

    加藤(清)委員 それはまるきりロジックが合いませんわ。申し上げておきますが、国鉄騒音、あなたが材料におとりになったから申し上げます。それから国鉄黄害、黄色い害です、ふん尿の害です。あれを称して国鉄黄害といっておる。このことについても公害委員会で何度論議されたかわからないのです。ところが、汽車の走るほうが優先だと、こう言うのです。それなら汽車をとめていいかと、こういう暴論が出てくるのです。次には何が出てくるかというと、費用がたくさんかかるからやむを得ぬと、こういう論なんです。それでどうなっているかというと、騒音黄害もそのままずうっと行なわれている。つまり言えば、公害というのは慢性病ですから、あした急に痛くなるというものじゃないんだから、まあまあしんぼうすればできぬことはない、こういうことで、法律ができてしまいますると、その供給のこと、その事業のこと、それのほうが優先してしまって、公害はしんぼうしなされと、こういうことになるわけなんです。したがって、今後の公害発生企業は、せつなせつな、ケース・バイ・ケースによって公害を捕捉しせん滅する、これが世界じゅうどこへ行っても通用するところの公害追放する概念なんです。だから私は、当然これにうたい込むべきである、こういうことを申し上げておるのです。しかし百歩譲って、大気汚染防止法水質保全法、これによって事を行なう、こういう局長答弁でございますが、はたしてそれが実行できますか。これは権限委譲が行なわれておるのです、県知事に、市長に。はたして市長県知事にこの権限が履行できますか。できたとするならば、大気汚染は直ちにとまるはずなんです。ところが、権限は委譲されたけれども、その権限行使が行なわれていないのです。また行なう要員がいない。いてもそれは穴埋めの人であって、公害には過去に経験も何にもない役人がそのポストへついている。したがって、立ち入り検査すらもできない。立ち入り検査しても、目で見て歩いて帰ってくるだけだ。抜き取り検査なんかは一度も行なわれていない。私が、去年行なった調査のデータを某県に要求しておりまするが、いまだに出てこない。なぜ。出せないんです、やってないから。したがって、どうなる。公害はどんどんふえ続けている。その結果どうなったか。企業みずからが追放のうき目にあわなければならぬ結果がいま発生しつつあるわけなんです。たとえば例を東電にとれば、静岡で断わられましたですね。今度は千葉でまた断わられましたですね、火力発電の増設を。いわんや原子力発電となると、みんなごめん、ごめんと、こういうことになる。なぜそうなるかといえば、現在行なわれている火力発電は、公害を出しっぱなし、たれっぱなしであると同時に、危険性を常にはらんでいるからなんです。きのう政務次官が、日本技術を信頼してもらいたいと、こう言われた。その日本電気技術を信頼してもらいたいと言っていらっしゃる最中に、今度は関電では爆発しちゃって、技術を信頼しておったら爆発が起きておる。これではどうにもならない。ますます火力発電の需要はあっても、設備は断わられる方向に行きつつあるわけなんだ。したがって、この事業県知事にあるいは当該市長にゆだねるとおっしゃられまするけれども、そのときの公害防止の歯どめがどこにあります。
  10. 三宅幸夫

    三宅政府委員 ただいま御指摘の点は、この熱供給については、水質の問題よりはむしろ大気汚染の問題であろうかと思います。都道府県知事にゆだねた場合に、その点はどうなるのだということでございますが、たとえば、東京都におきましてはすでに公害防止条例ができておりまして、熱供給事業指定地域制という形で導入するという条例条文ができております。ただ、その地域指定はまだ東京都が現在検討中であるようでございますが、一度この地域指定が行なわれますと、その区域の方には、訓示規定ではございますが、参加について協力する義務も条例で掲げておられるようでございます。一番問題なのは、都道府県が真剣にこの問題に取り組んでいただきたいと存じますけれども、同時に、それを補完し、ないしは初期の段階においてはある程度私ども意向を十分反映せしめるために、今後出てまいります新しいプロジェクトにつきましては、燃料選択について私どもとしての意見を強力に申し上げたい、かように考えております。
  11. 加藤清二

    加藤(清)委員 大臣、よく聞いておいてくださいよ。県知事権限は三十六項目委譲されました。これは知事会議ないしは県議会の議長会議等等の要請これあり、権限は委譲したけれども、その行使にあたってはほとんど見るべきものがない。したがってどうなるか。住民運動によっていま公害が摘発され、公害追放が徐々に行なわれつつあるということなんです。言うなれば事公害については無法地帯です。そこで、本省でつくられる法律の原案、それから議会でつくられまする法律、その中に公害のことがうたってないといううことになれば、県知事やら市長さんは、本省でもそうだからわれわれでやる必要はないということになっちゃう。権限委譲までして、こうしろという法律があるにもかかわらず、なお手がつかないのです。なぜつかないか、大臣おわかりでしょう。大体公害発生企業というのは、企業が大きいのです。市長県知事はその大企業に刃向かったら、次に落選するのです。選挙に影響するのです。したがって、泣く子と地頭には勝てないという徳川時代と同じことが行なわれておる。県知事市長にまかせてはたして公害がこれで追放できるというならば、何も世界の公害会議に出て政府が反省をする必要はないのです。せめて、百歩譲って何か歯どめがありますか。何ぞ歯どめがありますか。
  12. 田中角榮

    田中国務大臣 公害に対する熱意もわかりますし、私も人後に落ちるものじゃないのです。しかし公害は、公害専門法律がございましょう。大気汚染防止法とか水質汚濁防止法とか環境保全法とか、そういうものでなすべきなんです、はっきり申し上げて。これはほかの法律に書いて悪いということはありません。それまで全部、公害問題がこれだけになっておるからといって、すべて公害基準というものを法律にうたわなければならぬということになると、これは法体系の問題であって、電気事業法ガス事業法、この熱供給事業法水道法、これはみんな同じことなんです。これは事業法。ですから、これは計画をするときにも事業認可を与えるわけですから、このときに、都会のまん中石炭をたく、石炭をたいて熱供給をしますというものには、そういう許可はそれなら与えないということになりますし、しかし、郊外であって、これはごみをたいてごみ焼却熱を使いながらやるということになるのです。その場合には防じん装置脱臭装置やいろんなものをつけることは、これは要求して事業認可を行なうわけでございますが、しかし、それはそのときに、ごみといっても、東京まん中でどんどんとごみの煙が出るようなものは許可しないわけです。そうすれば、煙突の高さの制限を行なったり、それから先般も申し上げましたように、高圧焼却を行なえということになったりしますので、公害というものは、これは事業認可過程でもって当然措置できる問題でございます。ただ騒音住宅地の中にある工場というようなものの騒音というようなのは、これは騒音防止法でもってやるべきものであって、工場や何か事業法の中でその公害云々ということを、これからの新しい法律はみな書いたほうがいいという考え方はあるかもしれません。これはぜひ、このように公害問題がたいへんな問題になっているのですから、公害、まあ大気汚染防止法等に留意しなければならないとか、違反してはならないとかということを書いたほうがいいという議論はあると思いますが、この熱供給事業法の中に公害条文を起こさなければならない、どうして起こさなければならないのですか、こういうところがわからぬところです。
  13. 加藤清二

    加藤(清)委員 大臣、きょうは新聞はいないのです。だから、新聞には載らないから、じゃ、ほんとうの話をひとつやりましょう。  あなた、法体系法体系とおっしゃって、そうして、その基本法並びに公害関係法によってすべてを律するべきであるとおっしゃられましたね。そのとおりだ。それは私ども意見だ。完全にそれは意見が一致するのだ。ところが、それを破ったのはだれかというたら、ほかならぬ通産省ですよ。すなわち、大気汚染防止法水質汚濁法から電気ガスを除く。これは通産省意見によって除かれて、大気汚染防止法水質汚濁法ではなくて、電気法ガス法によって規制いたしまするからごかんべん願いたい、これは除外してもらいたい。そこでついにそうなったのです。これはあなたが幹事長をやってみえたからようおわかりでしょう。ガス会社電気会社からあなたのところへ日参が行なわれたというのですから……(田中国務大臣「そんなことはない」と呼ぶ)そうでなければ、そこは取り消しましょう、そこだけは。が、理事会ではもっぱらそういうことでついに除外例になった。そうしたら、新聞は何て書いたかというと、大気汚染法水質汚濁防止法も、これは骨抜き法律で、大どろぼうをのがしてこそどろだけをつかまえる法律である。新聞が書いたでしょう、あなた。——そんなことないと言ったって、新聞が書いたがね。除外例先例をつくったのはほかならぬ通産省ですよ。あなただとは言いません。そういう体質を持った通産省だから、よけいに私ども通産省のかつての趣旨に沿って、個々法律でそれならやりますという答弁だったから——前の公益事業局長、名前は言いません、個々でやらしてもらいたい、わがほうでやらしてもらいたい、こういうことだった。だからその趣旨にのっとって私は申し上げているわけなんです。ところが、大臣がかわるとまるきり逆なことをやって、今度はこれをやるときには逆な論理を持ってきてお話しなさるんじゃ、ちといただけない。  次に、せめて百歩譲って、政令省令等によって高煙突拡散等々の、許可のおりにいろいろ規制することができるとおっしゃった。それじゃ今度はそっちの、あなたの土俵で話をしましょう。たとえば、この事業許可するにあたって煙突の高さをきめられておりますか。
  14. 三宅幸夫

    三宅政府委員 大気汚染防止法等立法過程におきまして、この法律の一部適用除外、それを電気事業法ガス事業法に移したことは御指摘のとおりでございますが、これは、電力あるいはガスというものは、一都道府県地域を越えた非常に広域的な、広いエリア運営をする必要がございますので、そういう点から一部権限事業法体系に移しかえたわけでございますが、全面的に骨抜きにしたわけでは決してございません。大気汚染防止法における排出基準規制基準あるいはその適用、それから緊急時の避難命令避難措置あるいは直罰規定、いずれも全部、電気事業法ではなく大気汚染防止法等々の公害立法にゆだねておるわけでございます。ただ、施設の改善命令等につきましては、通産省が広域的な運営の一環といたしまして、これに対応する権限電気事業法に設けたわけでございます。ただ、都道府県知事がそれに対して意見を要請できる、また通産省は常時連絡を緊密にとる、さらにそれとの関係におきまして、道都府県知事立ち入り検査権がある、こういったような一部の調整を行なったわけでございまして、法体系として骨抜きにしたわけではございません。  それから、政令省令というよりも、私ども許可運用段階におきまして、個別のプロジェクトについて当該地方意見あるいは住民意見も必要な場合には伺うことがあると思いますが、そういった形において強力な燃料選択についての行政指導はやってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  15. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は、この事業許可するにあたって煙突の高さが規制されてますかと聞いたのですね。前段は、あなたのおっしゃられた説明はそのとおりです。あなたよく研究していらっしゃる。そのとおりです。しかし私の質問は、この事業許可するにあたって高煙突拡散のための煙突規制がありますかと聞いておる。
  16. 三宅幸夫

    三宅政府委員 まだこの法律が通っておりませんから、許可をいたしたケースはないわけでございます。今後法律が通りましたら、許可の申請の新しい案件が出てまいります。そのとき都道府県あるいは地元の意向を十分反映し、またわれわれとして前進的に公害問題の解決をはかるという観点から、燃料選択の問題あるいはいまお触れになりました高煙突問題等について強力な行政指導をやってまいりたい。従来分散しておりました個別冷暖房方式集中するわけでございますから、そこには経済的に集中メリットがあるわけでございます。その集中メリットはあげて消費者に還元し、並びに公害関係環境改善に還元すべきであるという観点から、いま申し上げた燃料選択、あるいは煙突の問題が出ましたが、そういった問題について強力な行政指導をやってまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  17. 加藤清二

    加藤(清)委員 法律が通らぬ先に、もうすでに事業許可が行なわれておるですね。そうでしょう。具体的に申し上げましょうか。大阪では千里、泉北、それから神戸のポートアイランドがいま実施中なんです。東京ではすでに新宿のプラザホテルで行なわれておる。それからいま成田空港でこの事業が進んでおるのですね。どんな規制をなさったのです。法律なしに事業許可が行なわれておる。そうでしょう。そこで、もうこういうことが先例になって、これがお手本になって次々と事業認可が行なわれるおそれが十二分にある。それでこれらに、高煙突高拡散とあなたがおっしゃったから、おっしゃらなかったらそんなことは私は言わぬつもりだったけれども、それの規制がありましたかと聞いておる。  そこで次に進みます。当然燃料規制はあってしかるべきだと存じます。なぜかなれば、これは人口密集地帯に行なわれるのです。しかも高煙突高拡散とおっしゃられても、製鉄所であるとか火力発電のような大規模なものではない。大規模だったら、規模の大きいリミッターはほとんどなくなってしまう。なぜかなれば冷えてしまうから。したがって規模が非常に小さい。小さいときに高煙突高拡散なんて言ったって、そんな小さい規模のものは、そんな高煙突なんというものはできないのです。しかし人口密集地帯、住宅の隣近所にこれはできるはずなんです。そこでどんどんSO2が出たら、これはあったかい水の恩恵よりは公害の損害のほうが大きくなって、拒否されるおそれが十二分にある。だから燃料規制は当然あってしかるべきだと存じますが、燃料規制の用意がありますかありませんか。
  18. 三宅幸夫

    三宅政府委員 ただいまの千里ニュータウン等々のケースは、まことに失礼いたしましたが、ガス事業法の兼業許可で認めております。これにつきましては無公害燃料ガスを使用するわけでございますから、それに対応ずる煙突等々の問題はなかったことはいま御指摘のとおりでございます。  それから燃料規制法律的にやるかどうかという御質問であったかと思いますが、これは原則として地区の実情に応じて行政指導でやってまいりたい。現在大都市を中心にします熱供給事業は、ガスあるいはそれに準ずる非常に硫黄分の少ない燃料を使っております。北海道では若干重油を使っておりますが、そういう実績は過去の例といたしまして、今後出てまいりますプロジェクトにつきまして、個別冷暖房から集中暖房にかわって、かえってSO2が多くなるということではまことに相すまぬ話でございますので、当該地域の実情に応じまして無公害燃料を主体とした燃料計画を進めるように強力な行政指導をいたしたい。またそういった趣旨関係都道府県にも促したい、かように考えております。
  19. 加藤清二

    加藤(清)委員 大臣、いま局長はいい答弁をしました。これならいただけるのです。しかしその前段で言われたことお気づきでございましょう。なぜ私が電気ガス法を持ち出さなければならないか。すでに電気ガス法によって北海道でもこの事業許可されておるのです。だから電気ガス法と無関係だなんて思っておったら大間違い。ガス会社の仕事の一部としてこれを許可しておる。私はそのことが悪いと言っているのじゃないですよ。それはそれでけっこうだと思う。しかし結果、電気並びにガスが今後も非常な関係を持つことになり、その関係業者に認可がおりる可能性が非常に多いから、だから電気ガス法関係が出てくる、こう申し上げている。  それで後段の問題、燃料規制法律ではしないが、強力な行政指導によってこれを行なうという答弁、これはまことにけっこうな答弁、これは一歩前進でございます。これは額面どおりいただきます。  しからば、それを政令にゆだねるのか、あるいは省令にゆだねるのか、あるいは県の条例にまかせるのか、ここを承りたい。
  20. 田中角榮

    田中国務大臣 この法律はあなたも十分御承知のとおり、現にもうやっておるのです。ごみを焼いて、ごみの余熱でもって給湯をしておることもございます。ガス会社がやっておるものもある。また団地でもってやっておるものもございます。それから大きなビルができましたので、このビルだけでもって専用の冷暖房では惜しいので、付近のものにも供給しようか、こういうことでやったことがありますから、これは現にあるのです。あるのですが、これからというものはだんだんとお互いの生活が高度化していきますと、どうしても給湯、冷暖房というものを必要とする。それはやはり一軒一軒でやるよりも集中的に地域暖房制度をとることが効率的である、そういうことで、時代の要請で地域暖房というものは制度としてこれを助成していかなければならないような状態である。その過程において、あなたが言うように一面には助成してまいる。  それから工場団地でもそうですが、一つ一つ工場に全部ボイラーでもって煙突を立ててやっておったんではこれは不経済でもありますから、地域的に工場団地とか新しい住宅団地とかそういうものは、いま住宅公団でやっておる何百戸、何千戸単位の団地がありますから、これは全部住宅公団が一手供給しておるわけです。住宅公団がいま自家用で一手供給したものを、今度業者が地域暖房をやるということがこれからうんと出てくるわけです。ですからそれを助長し、しかもその過程において公害等が起こらないようにするためにも、やはり法律が必要である。こういうことで電気事業法とかガス事業法水道法と同じように、熱供給事業法というたてまえでこの法律をお願いしておる、こういうことです。ですから、いまでもやれるわけです。いまでもやれるというよりも、法律で整備したほろが望ましいことは言うまでもない。これは助成の道もあるし、税制上の特例とかいろいろな金融上、財政上の問題も出てまいりますし、それだけにその反面、無許可でもって自由営業としてやっていられるものではない。これは公衆ふろ場と同じことです。自家用のふろ場が公衆ふろ場になるのと同じことになるわけですから、その場合は助成もあるかわりに規制も行なわれる。これは当然のことで、うらはらの問題であるというのがこの法律の体系なんです。  ですから基準をどうするかというのではなく、団地でもって千戸をやるのか、それから一万戸に給水をするのか、給湯も一緒にやるのか、冷暖房全部やるのかということは規模によって違ってくるわけです。ですから東京まん中で、一つの団地であっても、遮断緑地があるからここはだいじょうぶなんだといって石炭を使うようなものは、それは許すはずはありません。しかし北海道や九州なら、これはまだ自然の浄化力もあるし、地域暖房には石炭をたいてよろしい。ですから規模と場所によってみな違うのです。これを法律でもってこまかく規制をするというわけにはいかないのです。そうすると、規制をするというけれども、あってなきがごときだ……。あってなきがごときではありません。法律ができますと規制のほうも相当手きびしくやります。ですから、そういう意味では、いま野放しのものを法律でもって助成もするかわりに規制も行なう、こういう姿勢でありまして、いま基準を全部きめるというわけにもいかないのです。しかし、これは通産省で認許可の基準として当然検討する。検討してだいじょうぶだということを——特に大気汚染防止法などに抵触をしない、抵触をしないだけではなく、そういうおそれが全くないという自信がつかなければ認可はしない、事業認可は行なわない、こういうことになりますから、そこで調整される。法律の実行において調整される。いまのところそれしかないんじゃないか、こう私は思います。それは、規模や地域やみんな違うものですから。しかし、事務当局でもっといい案を持っておれば説明させます。
  21. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は、大臣にこの法案の概念を承っているのではなくして、援助ばかり行なわずに、援助があれば当然規制をしなさい。その規制のうちで、第一番、公害規制は厳重なほどよろしい。その具体策として燃料規制を行なうといま局長答弁されたので、しからばその規制は、法律ではないとおっしゃったから、法律でなければ省令政令か県の条例でおきめなさいますかと聞いておるのです。
  22. 田中角榮

    田中国務大臣 政令でも省令でも県の条例でもないのです。いまのところ、そのように画一、一律的な基準をきめがたい。ですから、大気汚染防止法に絶対に抵触をしないということで、前提のものさしがあるわけです、大気汚染防止法というものがありますから。そうすると、東京や千葉や神奈川でやる場合には、石炭燃料とするものはだめだ。これははっきり言えるんです。言えるんですが、東京と千葉と埼玉はだめで、群馬の前橋はいいんだというように、明確にはきめられないのです。ですから、それは出してきた認可申請に基づいて、ここはもう石炭ならだめだ、しかしここはつくるのにごみ焼きを主体にしているから——このごみ焼きを主体にしている場合でも、もっと強いファンや、いろいろな空気を入れたり、何かまぜることによって火力を上げる、上げるかわりに排煙は出さないようにしなさいとか、いろいろな制限はそのときにバイケースで考えなければならぬ問題だと思います。
  23. 加藤清二

    加藤(清)委員 こういう押し問答をやっていると時間がかかりますから、簡単に結論を導いていきます。  行政指導はする、しかし、大気汚染防止法並びに水質汚濁防止法によって、その基準に基づいてとおっしゃられると、これは逃げ道になってしまう。そこで、私は参考に申し上げる。人口密集地帯でたき得る重油にはすでに規制があるんです。それは大気汚染防止法ではない。大気汚染防止法ができない前からあるんです。たとえば病院でたく重油のS含有量はA重油、すなわち一・〇以下でなければならない。人口密集地帯におけるホテル、この重油もちゃんと規制を受けている。それから高煙突拡散のできない漁船、ポンポンポンというあの漁船ですよ。煙突が短いですね、長かったら倒れちゃうんですから。そこで船頭さんは直ちにあの煙を吸うのです。だから一人二人の船頭——お客じゃないですよ、一人二人の船頭を守るためにも、これはA重油でなければならぬ。つまり、言うなればS含有量を少なくして、SO2の発生を少なくするという規制がちゃんとあるわけです。先例これありだ。だから、その先例によっても、たった一人の船頭さんを守るためにも規制がある。いわんや、高層ビルの隣に低い煙突ができて、そこでSO2をどんどん出されたら、一年じゅう窓は締め切りにしておかなければならぬことになっちゃう。あるいっとき、あったかい空気、冷たい空気をいただくために、一年じゅう窓は閉じておかなければならぬことになっちゃう。  だから私はここで提案する。すでに本件は、これの審議会でも論議された点でございまするが、どうです、都市ガスに限るとやったら。都市ガスはほとんど、目下のところナフサが原料なんです。東京瓦斯であれば、これはLNGでいくんですからS分はほとんどない。それから精製されたガスでやればもう言うことはない。もし油関係でいくなら、灯油以上の軽い油、すなわちS含有量の非常に少ない油ということになる。それは、ミナス原油が開発される、ミナス重油が入ってくるといえば別です。すでに規制は行なわれている。人口密集地帯、病院、ホテル等々、人間がたくさん集まるところでは規制されている。だから当然、それ以後できる法律にこの規制がないというのは片手落ちといわなければならぬ。援助だけあって規制なし、これでは今日の法律とはいえません。油を規制するということはこの審議会ですでに出ておることなんです。それをやる気があるかないか、これは局長に聞きましょう。
  24. 三宅幸夫

    三宅政府委員 いま御指摘のA重油の問題でありますが、確かに東京、大阪は、燃料規制基準がS分一%以下ということになっておりますので、病院もA重油をたいておられるようであります。私のほうは特にガスでやっておるわけでございまして、ガスに限るという点は、ちょっと北海道その他の地域では具体的にはいきませんけれども、特に過密度の高い地域においてはガスがベースになるのが一番好ましいと考えております。ただ、これは全国一律にそうだというわけにはちょっといかない。たとえば北海道の真駒内団地は、約二千戸以上の団地でございますが、年間の重油の消費量は五千キロぐらいでやっていこうということでございます。御存じの火力発電でございますと、五十万キロの火力では約七十万キロの重油を使うわけでございますが、真駒内の二千戸の熱供給事業は年間わずか五千キロ、比較的小型な燃料消費でございますので、そういうところまでガスでなければいけないというような規制を加えることはとても無理だろう。ことに寒冷地の暖房というものは、住民にとって非常に大きな問題でございますので、そういった地域の暖冷房の実情と、大気汚染に対する規制の要請の程度とのバランス論がどうしても残ると思います。しかし、原則といたしまして、今後われわれの所得が上昇してまいるわけでございますから、できるだけ無公害燃料ガスを、特に超過密都市にはベースといたしたいし、また灯軽油をその次に考えてまいりたいということはお説のとおりでございますが、ちょっとまだ一律にいける段階ではないと思います。
  25. 加藤清二

    加藤(清)委員 人口過密な場所においては燃料規制する、その燃料は無公害燃料が望ましい、しかし、地域によってはその地域性を考慮に入れる、こう受け取ってよろしいですね。——わかりました。それはそれでけっこうです。ぜひひとつ大臣、これは私の要請でございますが、日本公害は世界が注目しているのです。したがって、これはもはやコップの中の争いごとではない。かけがえのない地球を、かけがえのない命を公害によってむしばまれつつある日本としては、当然規制があってしかるべきだと思うのです。すでに過去にも例のあることです、油の規制は。したがって、ぜひ強力な指導をしてもらいたい。  次に、もうあと一点だけです。簡単です。答弁のいかんによっては一分で終わります。  電気ガス税、これは実に妙な税金です。あなたは大蔵大臣も御卒業していらっしゃるからよくおわかりと存じまするけれども、あなたは体系体系とおっしゃるけれども、この体系はきわめてさか立ちした体系になっておる。電気税、大口ならばゼロだ、小口だけが払わされておる。大口はほとんどゼロです、小口だけが払わされておる。つまり、これは大衆収奪税です。しかし問題は、その用途がひもつき税で地方財源の重要な要素になっているのでこれを一挙に削ることはできないからというので、徐々に削ってかわり財源を用意してきたのが過去の歴史なんです。もはや電気ガスは日常必需品なんです。日常の生活に必要な必需品に税金をかけるということは、これは先進国並みでないと思うのです。きのう、おとといのガス料金の値上げの公聴会にもこの案件は出ている。大企業には無税にしてあるこの税金は、当然小口消費者にも無税になってしかるべきであると思う。同時に、このガスを冷暖房用に使うその企業ですね、その企業が使うガス——まあ電気を使うところはないでしょう、高くつくからね、これなどは当然無税にしてしかるべきだと思うのです。電気ガス税の今日的見解と、それからこの法律によって生まれてくる企業が都市ガスをたいたときのガス税の行くえいかん。
  26. 田中角榮

    田中国務大臣 歴代通産大臣は、電気ガス税は望ましくない税である、これは廃止すべきである、こういうことであります。私もそういう考えでございます。歴代通産大臣と同じ考えでございます。私は大蔵大臣のときにこれを全廃しようという論者だったのです。そして、池田内閣の三年間、大蔵大臣に在職中だったか、政調会長から大蔵大臣に引き継いでだったと思いますが、年率一%先ずつ三%だけなくして、いま七%になっているのです。私はそれを実行したときのことをよく覚えておりますが、その後いま御指摘になったように、有力な地方財源としてこれを取りやめることになりました。特に四十年には不況がございまして、法人税の二形引き下げ、それから主税の減少に伴う交付税率の二%引き上げということを契機にして、この税を年率一%ずつ削減していくという方針はこれは取りやめになったと思います。ですから、これは代替財源を見つけてやめるべき税金でございます。ただ、電気税を一つ有力な根拠として別な方面から議論されておることは承知いたしております。これは電力の消費地である都市に火力発電所の設置ができない。それから大型の水力発電所もできないことはもちろんであります。原子力発電所もできない。東京に送るために何で福島県や新潟県が泣かなければならぬのだという問題が現に大問題なんです。大阪で消費する電力をなぜ一体大飯発電所という、石川県や福井県が泣かなければならぬのだという問題が現実にあるのです。その問題を解決するのは、無公害で完全な施設をすることと、もう一つはいまの電気ガス税というような税金のあり方そのものが問題である。特別財源税にして、いわゆる発電税というものに置きかえたらどうか。これを国税にして地方にやるならもっと別な財源の確保の方法はあるはずである。これを国税の発電税として発電地域に還付する、こういう税に使えば、一日も早くやめなければといっておった電気税に関しては、これは必要であるという議論が有力に論議されておるということを承知いたしております。とにかく景気が悪いから関西電力なんかもっておるのですが、年率一〇・一考ずつ政府が当初企図した経済成長が続けば、大阪は節電、減電をしなければならないという状態であります。ですから、そういうためには、どうしても大口の発電をするためには、地元が納得しなければだめです。これはあたりまえのことです。ですから、その場合に特定財源としてこれを振りかえたらどうかという有力な議論がございます。私もいま勉強中でございますが、これをどうするというのじゃございません。ですから、あなたがいま端的に現行の電気ガス税はどうか、こう言えば、これはもう廃止をするにしくはない、廃止さるべきものである。これは歴代通産大臣が言っておることと同じ気持ちでございます、こう申し上げるわけですが、いろいろ議論はございます。またそれも承知しておりますということを申し上げておきます。
  27. 加藤清二

    加藤(清)委員 最後に完全に意見の一致した答弁をいただきまして感謝しますが、願わくは、その観念が観念だけに終わらずに、一日も早く実力大臣の手によって実行に移されるよう要請しまして、本日はこの程度にいたします。どうもありがとうございました。
  28. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、松尾信人君。   〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕
  29. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 大臣もお忙しいでしょうから、二点について大臣の見解をお聞きして、あとはひとつ自由にしていただきたい、こう思います。  最初に、この熱供給にいたしましても、ただいまも公害の問題がいろいろ論議されておりますが、昨日もそうでありました。この公害の問題というのが、これはやはり非常に重大にお考えになっておると思うのでありますけれども、ストックホルムでも、人間環境会議の取り上げたテーマ、またローマの宣言というものもありまして、やはり公害というものと資源というものが非常に重大な世界的な問題として取り上げられておるわけであります。燃料の消費というものも、だんだん冷暖房というものが全国的な規模になってまいりますると、やはり大衆の需要というものがふえてまいりまするし、燃料の消費はふえてまいる。いま大臣も、いつもおっしゃいますけれども、二億キロリットルの輸入がやがて三億、やがて五億、このようなお見通しもたびたび聞いております。それで経済成長が安定的な成長であり、またその効果が社会環境の整備に振りかえられていくというような時代の趨勢でありますし、しっかりお考えになっていると思うのでありますけれども、そういうことを前提にいたしまして知識集約の方向に向かいたい、また公害のないような燃料資源の消費をはかりたいというようなこと、しっかりお考だと思うのですけれども、そういう基本的な燃料消費の問題、三億がやがて五億になるとかいう一つ経済成長のパターンからもう一つ踏み越えた日本の将来、国民生活、社会の健全な発展というようなことで大きなお考えがあるのじゃないか、私はこう思うのですが、ひとつ誠意のあるお答えをまず聞いておきたい、このように思う次第であります。
  30. 田中角榮

    田中国務大臣 高度成長を戦後遂げてまいりまして、国民の所得水準も向上してまいりました。まだ万全であるということは申し上げられないわけでございますが、しかし高度成長の中で国民所得を増大していくということだけで生産第一主義を貫いていくというわけにはまいりません。それは御指摘がありますように、高生産の陰に公害という大きな問題が出てまいりました。金を持っても病気になったらどうにもならない。うちをつくっても健康がむしばまれて一体いいのかという問題、これは二者択一的な状態が起こったわけでございます。そういう意味で、どうしても生活環境を保持するということを優先させなければならない。そのためには採算性とか経済性とかいうことだけではどうにもならないということで、先般御審議をいただいたのですが、都市集中メリットはわかるが、しかし分散もしなければならない、そして長期的に見て成長のメリットを追いながら、環境整備もあわせて行なうような行き方をしなければならないということで、いろいろな角度から政策が進められておるわけでございます。今度の熱供給ども日本の気候、風土に合うような木造平家建てのようなものが許されるならば、熱供給というようなことも比較的問題ではなかったわけですが、そうではなく、やがて立体的になる。立体的になれば不燃化なんかが行なわれる。不燃化が行なわれると、どうしても熱供給、熱とかそれから冷暖房、温湿度の調整、こういうものが当然必要になってまいります。それで、手洗いも水洗式にならなければ立体的な建物は水洗以外には処理のしようがないわけであります。だから、そういう意味で生活様式や環境が変わってまいりますので、今度の熱供給というような事業まで行なわなければならないようになります。しかし熱供給も行なわれるし、ファンも回るし、空調も行なわれるし、理想的な環境にはなるが、しかし窓から入ってくる空気は汚染されたものであるというわけにはまいらないわけであります。ですから環境が整備されると同時に、空気を汚染してはならない。空気を汚染しないということでありますから、多少負担はふえるかもしれません。これはラジオから白黒テレビに、それからカラーテレビに移っていく場合に、幾ばくか負担はふえるわけでございますが、しかしそれなりのメリットは与えられるわけであります。ですから、これからも都市に過度に集中することを是認するというようなこともできませんし、やはり一軒と一軒との間隔をおくとか、緑地地帯を設けるとか、道路の幅を広げるとかいうためには大きな投資を必要といたしますけれども、それはそれなりに人間環境が整備され、生命の安全が保障されるということになるわけでありますので、すべての考え方が経済採算性で論じられてきた百年のものさしから、あくまでも人間生活優先ということを前提にして、生産は人間生活を豊かにするための手段である、こういう割り切り方をしていくべきだと思うのです。ですから、先ほども加藤さん御質問がありましたが、熱供給事業が合理的に運行せられるということもさることながら、この熱供給事業を行なうことによって、大気を汚染し人間環境をいささかも破壊してはいかぬ、そのためには条文に書くべきである。これはなかなか示唆に富んだ発言だと思います。すべてがそういう方向で、そういう前提をもって立法され、制度化され、政策が運営さるべきだ。これはもう政策を新たに創設をし、推進していくお互いの大前提でなければならぬ、こう考えております。
  31. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 基本はわかりました。その基本の具体的なあらわれ方としましては、工業再配置のときに田中大臣の名前で資料が提出をされました。これは公害に対する、いろいろ施設を使ったらこう減っていくであろうというようなことでありますけれども、それを見せていただきましても、燃料等の使用がふえてまいりますのでうまくいかない、むしろふえていくのだ。どのような公害除去の施設をやろうとも一〇〇%なくなるということはありませんので、二億キロリットルが三億、五億となってくれば、広がっていくというような結論ははっきり出ているわけであります。でありますから、いまおっしゃったような人間環境、社会環境の問題をしっかり考えていく、そういう中の経済成長をおっしゃっているわけで、これはよくわかります。  とすれば、やはり燃料の消費の問題につきましても、いままでの自然のふえ方というようなものではなくて、やはりそこには大きな政策的なお考えがなくちゃいかぬ。それは石油の海外の開発にいたしましても、それから輸入の問題にしても関連してまいります。そこには知識集約的な産業の考え方も出てくるわけでありまして、将来の日本の方向としてはきちっとおきめにならないといけない。これがすべての論点のスタートになっていくのじゃないか、私はこう思うわけであります。きょうは一つの単なる燃料というものを取り上げた観点から申し上げましたけれども、すべてがそのようなことで、そしてああいう国際的ないろいろの摩擦の問題、日本に対する非難の問題等をかわしながら、健全なる日本一億を養っていくということをかみ合わせた大きな政策をお考えになっておるであろう、こう思うわけです。もう一回、どうぞ。
  32. 田中角榮

    田中国務大臣 それは非常に重要な御発言でございますし、私もそう考えておるのです。ですから、新幹線建設促進法というのがいま出まして、新幹線が計画されております。同時に高速道路の建設促進も行なわれております。アメリカのようにならざるを得ない。これはなかなか避けがたいだろう。というのは、いま二千万台、ちょうど去年の暮れに二千万台に保有台数がなったわけですが、これがこのまま進んでいくと、六十年には車は最低三千九百万台、普通なら四千百方台になる。その計算をそのままやっていきますと、さっき言ったように、石油は七億キロリットルも入れなければいかぬ、こういうことになるわけです。そうすると、一体公害はどうなるのだろうという計算は、いまでもできるわけです。これは東京や大阪というものは、そのままでいけば呼吸できないようなものになるから、これは電気自動車にしなければいかぬということで、いまプロジェクトとしては電気自動車の技術開発をやっておるわけです。その技術開発が行なわれないうちに、環状七号線を境にして都心に車の乗り入れを禁止しなければいかぬという問題がいま都知事と警視総監の間でもめておるわけです。両方にちゃんと理由があるわけです。しかし、これはこのままにしておくと、あに東京都のみならんやということになるわけです。ですから、分散しなければならなくなるということが一つございます。もう一つは、車の入ることをとめるなら、それじゃ環状七号線を歩くのか、それは歩くわけにいかないのです。これは地下鉄なんです。地下鉄をつくっておいてから禁止をすればこれは納得するのです、都民も。ところが地下鉄が全然ないのに乗り入れを禁止しようとすれば、これは都民としては都市機能を喪失するから反対するにきまっています。国会議員だけは国会に来るのだから乗り入れを許すなどということを言ったら、これは国会議員はたいへんなことになってしまう。そんなことができるわけがありません。そうすると、そこであなたが——いま私が考えておること、これはなかなか言えないことでございますが、ちょっときっかけをつくっていただきましたから言いますと、ここで若い人などは、そういうことを政治家が言うのには非常に敏感なものですから、だれも言えないのですが、車は一人の運転手に一人が乗っておる、これは不経済なやり方。これがちょっと車が多くなると、運転手はもう求めることはできませんから、自分で運転をするというアメリカ式になるわけです。自分で運転をしても、使うガソリンで空気を汚染するのはもうこれはとめられないのです。それはロサンゼルスのようなことになるわけです。もっと二千メートルも高いメキシコシティーでは空気は希薄ですから、車から排出されるガスが滞留しますので、呼吸もできないような状態にいまなっておるわけです。ですから、車を無制限に許すというわけにいかないのです。いけないのです。いま車を制限するなんと言うと非常に反発を受けますから、政治家はつとめてそういう発言をしませんが、私は車を制限するということは言えないけれども、経済限界というものを守らなければいかぬということで、自動車トン税を提案したわけです。これは勇気の要る仕事だったのです。しかし自動車トン税というものを創設をして、そして貨物は少なくとも鉄道に移すということを実行しないと車の運行を差しとめなければならないような状態になるということで、あの程度のものはということで理解を得たわけでございますが、やはり車というものを四千万台も五千万台も六千万台もこの狭い日本で走らせるということは、燃料が変わらない限りできないと思うのです。そうすると、やはり朝とか夕方のラッシュアワーという通勤に使うものは地下鉄、鉄道に移行する。そして車はみんなやはり一台ずつ家族が持たなければ承知しない時代が来ます。いま農村の青年などは、車を買ってくれないとうちに居つかないということで、車を走らせるかというと必ずしも使っていない。持つことに意義があるということもありますから、そういう意味で、私は車というものを保持することまではとめられないけれども、やはり昭和六十年には鉄道による貨物をどれだけにするかというぐらいなことを政治家が国民の前に明らかにできないようなことでは、これはやはり公害問題に対するきめ手などを出せないと思うのです。ですから、私は、まあ車より通勤は地下鉄にしましょうなどと言うと、いまなかなか共感を得られないかもしれないが、しかしそれはやはり不可避である。もういまのサンフランシスコやロサンゼルスは、朝夕は車は全然どうにもならないということでございますから、そういうことを現に承知しながら、壁に突き当たってから政策をスタートするということではだめだと思うのです。やはり公害問題というものにぶつかったら、長期的に公害防除というものの具体策を国民の前に明らかにしなければならない。それはやはり政治の責任であり、特に政府の責任だ、こう考えております。
  33. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 簡単にはっきり言ってもらいたい。私が思っておりますのは、結局、るる自動車の問題を例にあげていま御説明になったわけでありまして、基本的に、やはり日本からは公害をだんだんなくしていくのだ、ふえていくのを減らす、そしてやがてなくなすというのが一点と、やはり経済成長というものは、そういうことを考えて、燃料の消費にしても、いままでのような行き方を反省して考えていくのだ、このようなことで私は納得するわけです。
  34. 田中角榮

    田中国務大臣 やはりそういう合理性というものを追求していかなければならない、こう思います。
  35. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 では次の点に移りますけれども、この熱供給事業公益事業にしていくという問題ですが、これは公益事業といえば国民全体が非常に恩恵を受ける、利用者が広範であるというような問題が一応前提になりまして、大衆が使うということですね。ところが、まず、いま熱供給事業というものはそういう段階まで行っておりませんね。将来の計画はあります。将来の計画は、全国的に数カ所ございまするし、確かにこれは将来そのような方向で需要が日本全国に広がっていくであろうということは当然わかりますけれども、現段階でこれを公益事業にしていくというには、国民にとって——利用する人と利用しない人というものが相当バランスが違っておるのじゃないか。現在何%が使っておるか、やがて何%にそれがなっていくのだ、このようにしましても、やはり相当の人々は、この恩恵というかこの熱供給事業というものを、右から左に利用するという段階はまだ非常に遠いのじゃないか、こう思うのですけれども、いまこれを一挙に公益事業として踏み切って考えていくという発想は、一体どこから出るのか、こういうことであります。
  36. 田中角榮

    田中国務大臣 これは電気ガス公益事業として今日に至っておることと同じだと思います。電気も初めは東京、大阪だけ、名古屋からだんだんと全国民に普及してまいったのですが、ガスは、まだ全国的に見たらガスの普及率というものは都市がほとんどでございまして、全戸数ガスの恩恵を受けておる、供給を受けておるというものは非常に少ないわけです。皆さんも御承知のとおりであります。このごろ広域簡易水道の制度ができまして、農業家庭でも簡易水道の恩恵を受けるようになりました。これは当然のことだと思うのです。これは特に公害問題などがあるときに、しかも井戸水のくみ上げを禁止しておる、こういうことになれば、これは当然水道の恩恵を受けなければならぬ、水道によって水を配給しなければならない。しかし、なかなか全国民に水道をというわけにまいりません。下水の恩恵もしかりであります。農家のほうは全部まだくみ取り式でございますし、下水の恩恵を受けていない。しかし、下水も上水道も電気ガスも、みんな公益事業であります。これから団地計画が行なわれる、特に改造が行なわれるという場合、地域暖房、給湯、これは水の供給と同じウエートを持つものでございます。特にそれだけではなく、これはただ水と違いまして、ガスと違いまして、給湯や冷暖房をやる場合には相当の燃料を使いますから、これを個別でやると、各人のうちにふろがあって、町のまん中でコークスをたいている古いうちがあるというような場合には、このために非常に迷惑をするわけであります。ですから、そういうようになったらこれは困りますので、いまから制度をつくっておく。それでこれは合理的に、先ほど加藤さんも御指摘ございましたが、公害を絶対に出さないものでなければいけない。しかもごみの高圧処理ということになればものすごい熱を発生するわけでありまして、この熱を使って給湯を行なう。それから冷暖房まで全部やるということではなく、まず給湯が一番初めになるわけです。給水も給湯もということになるわけですから、そういう意味ではいままでのガスや水道のたどった道と同じ経路をたどって、やがては全国民がこのような制度の中に生活をするようになる。これは不可避の状態である。今日ではやはり制度をつくっておかないといろいろな問題が起こってくる、こういうことでありますので、ちょっと考えると地域暖房というのは北海道だけじゃないかということもございましたし、北海道などの都市は地域暖房でございます。しかしこれは地域暖房地域給湯、都市が立体化してきますと冷房をやらないでは住めなくなる。木造以外の不燃建築の中では冷房と換気、空調がないと住めない。これは生活の必需品である、よって公益事業として認定をして制度化する、こういうことであります。
  37. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 大体方向としてはわかりましたが、水道、ガス電気と違いまして、これは代替事業というものがあるというようなことで、やや趣が違うような感じでありますけれども、将来性というものを考えた場合には、これはいま大臣の御意見のとおりであろうと思います。  私の質問はもうこれで大臣に対しては終わりでありますから、お忙しいようでありますので、自由にひとつお引き取り願ってけっこうであります。  この地域暖房は一部の特定地域に限定されていま始まっておるわけでありますけれども、現在は普遍的なものがないということですね。普遍的でないですね、現在は。いま大臣のお答えで、将来これは普遍的になっていくのだ、このようなお答えでありましたが、その見通しの問題ですね。早く国民大衆がこれを、熱供給のものを受けていけるようなその見通しの問題、どのように考えておるかということでありますが、この普及程度ですね、何かこれは三年後はどうだとか五年後はどうだとかいう見通しはありますか。
  38. 三宅幸夫

    三宅政府委員 お答え申し上げます。  現在稼働運転中のプロジェクトは北海道に五つ、東北に二つ、東京、大阪等でございますが、私ども都道府県、市町村あるいは関係業界にアンケート的に調査をいたしましたところ、北海道から南は福岡まで、数年の間にやりたいというプロジェクトが約八十ございます。ただ、このプロジェクトの主体がどこなのかという点はまだ決定してないのが相当ございますけれども、そういう要求が地元に相当あるということはこのアンケート調査でわかっております。ただ、この事業は都市計画の一環に組み入れ、あるいは住宅建設計画とのテンポを整え、地元の公害防止対策に対する大きな計画の中での組み入れという問題でございますから、八十というものが希望どおりいくかどうか、いろいろ問題はあろうかと思いますが、相当の要請が熟しておるということは認めざるを得ないと考えております。  御存じのとおり、ヨーロッパではすでに百年の歴史を持っておりまして、スウェーデンはすでに七五彩が普及されておるということでございますが、一番初めにこの問題を提案したのはイギリスでございましたけれども、イギリスは非常に保守的な国民でストーブに対する愛着もございましたし、若干おくれましたけれども、最近急速にイギリスもこの計画が進んでおりまして、すでに稼働中が百二十、計画中が数百ある、こういうことでございますので、若干地元との関係で工事についての遅延はあろうかと思いますが、今後急速に普及するものと考えております。
  39. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 急速にふえていくであろうというような観測でありますね。ところが、現実にはニュータウンだとか都市開発地域というものが利用されておるということでありまして、これをどのようにしてあなたのおっしゃったように全部の人に均てんできるように早くやっていくかという方法論の問題になりますけれども、何か具体的な考えがありますか。たとえば、現在ビルにしてもまたはマンションにしても、それぞれ冷暖房の施設はあります。そういうものを黙っておってはいつまでも既設の施設にたよっていくでありましょうし、そういうものをどのように地域暖房のほうへ持ってくるのか。現在ビルなりマンションなり既設のものがありますとそこにボイラーがありますし、そこにはその償却年限等の問題がありましょうし、そういうものをどういうふうに切りかえていくのか。切りかえの場合の価格補償の問題等はどうしていくのか、買い上げですね、それは一体この事業者がやるのか、だれがやるのかという疑問点がややあったわけでありますけれども公益事業としていま特定地域だけ使われているものを相なるべくは早く普及したい、こういうたてまえからいくならば、どういうふうな方法で具体的にはこれを進めていくのか、こういうことでありますが、どうです。
  40. 三宅幸夫

    三宅政府委員 この事業は需要のサイドから申し上げますと、熱の需要密度が相当高いということ、あるいはまた夏場と冬場とのピーク格差があまりない、あるいは一日を通じて夜昼の格差があまりないということでなければ、需要者のほうが喜んでこのプロジェクトに参加する経済性はまだないわけでございます。また、都市計画があって計画的に住宅づくりを進めていくということでないと、需要サイドと供給サイドの対応がうまくつかないわけでございまして、そういう点できめ手になる政策はないわけでございまして、今回お願いしております法律で、他の公益事業と同様に地方税、法人税の特例措置を設けて、結果的にそのメリット消費者に還元するとか、あるいは新しく七分五厘の特利を開発銀行に設けまして、金融上の助成措置を講ずることによりまして当初の資本費の負担を極力軽減していきたい、こういったような政策をとっておるわけでございます。ただ、昨年五月の公害対策基本法に基づく総理大臣の指示の中には、東京都をはじめといたします大都市圏の公害防止計画の中には、地域暖房事業を積極的に取り入れてほしいという勧告が出されておりまして、先ほども申し上げましたとおり、東京都ではすでに公害防止条例の中に、地域指定制をとることができる、その場合には、指定地域の中におりますビルの管理者等はこのプロジェクトに加入するという協力的な義務が、訓示規定ではございますけれども東京都はそういう制度を設けておられます。まだ地域の具体的指定は行なわれておりませんが、そういう制度がございます。
  41. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いまメリットの点をお話しになりましたが、これは既設のビルなりマンション等で使っておる現在の冷暖房施設、それに伴う経費を負担しておるわけでありますけれども、そういうものとこの熱供給事業による供給の結果、どのくらいその冷暖房によるメリットがあるのか、どのくらいそれを見ておりますか、何%くらい安くなるんだとかですね、その点はどうです。
  42. 三宅幸夫

    三宅政府委員 厨房でも、冷暖房でも、飲料水の供給でも、照明でも、初めは非常に原始的な、個別といいますか、自給自足方式からさらに個別供給方式、さらにシステム的な集中供給方式というように移り変わってくるのは歴史の事実でございまして、この事業がすぐれて経済的にメリットがあるかどうかという点は、当該地区の状況等によりまして必ずしも一律に計算はできません。ただ私どもがこの問題を取り上げましたときに、一部でまだ非常にぜいたく品ではないかという御意見もありましたけれども、これはそうではない。北海道は非常に寒冷地帯でございますので、いま三万五千円の暖房手当が出ておるわけでございます。北海道の熱供給公社その他関係者の住宅向けの料金はそれに見合う程度で設定されておりまして、大体2DKで四千円台、3DKで五千円台、大体暖房手当とミートしておるわけであります。ただ東京その他南のほうへ参りますと、寒冷の期間、暖房を要する期間が短くなりますから、それだけコスト高になります。また冷房を加えますと相当コスト高になりますけれども、現在各家庭がそれぞれの負担においてセントラルヒーティングあるいはルームクーラーをやっておるわけでございまして、そういうものとの比較においてある程度この事業のほうがコスト的に割り安である、こういう試算が出ております。
  43. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 ある程度ではどうも納得できぬのですが、セントラルになるんだから、地域一本でいけるんだから燃料のたき方が幾度ぐらい減る、そういう点からいっても、どのくらい安くなるというようなこれがなくちゃいけない。また北海道と九州と熱供給事業者によって料金があまり違っては困るので、それはいろいろ一律一体であるかどうかという問題ですよ、料金は。公共事業といって、あまり下がっては困る。それが一つと、やはりどんなメリットがあるかということはよく知らせていきませんと、自然浸透的なことではやはり公益事業としては私は弱いような感じがするのでありますけれども、いかがですか。
  44. 三宅幸夫

    三宅政府委員 いま、この事業メリットがどうかという御質問でございますが、私どものほうでシステムズアナリシスに関する研究会で試算いたしましたところ、燃料費が約二割以上は減るだろうという計算が出ております。また先般、東京で一番防災地区として問題になっております江東区におきまして、たしか人口約十三万の地域について現在の個別方式をこの新しい集中方式にかりに切りかえるという机上のモデル計算をいたしますと、三〇数%のメリットがあるということになっております。メリット一つ燃料面の合理化、燃料消費量が約二割ぐらい効率が上がりますが、それ以外に所要の人件費、これは個別のビルでございますと、各ビルごとにボイラーマンその他を要するわけでございますが、そういうものが相当節約される、また建物の有効利用の点でも相当のメリットがある。こういうものの複合的な結果、先ほど申し上げたような数字が出たわけでございます。ただこれは防災地区として今後最も問題になります江東区について、特に取り急ぎまとめた資料でございます。全国についてもう少しこういった事例のスタディーをやってみたいと考えております。
  45. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 地域的な料金と申しますか、これはやがて料金がきまっていくわけでありますけれども、これはばらばらですか。それとも何か共通的な要素を加味した料金になるわけですか。
  46. 三宅幸夫

    三宅政府委員 お答え申し上げます。  この事業公益事業として私ども規制したいという問題の特に大きな一つ消費者保護、それもこの事業に一たん参加された消費者の方が、事後独占という形で供給者に対して弱い立場に立たれるおそれがあるという意味で新しく規制をしたい、こういうことが発想でございます。入居される際には個別にやっておられる。自分のコストあるいは自分の所得との比較において、そのプロジェクトに入るかどうかという決定はおおむね自由意思でおやりになるわけでございまして、入ったあとは事後独占という形の制約を受ける点に非常に大きな問題がある、かように考えておるわけでございます。  全国的に統一料金が取れるかどうかという点は、燃料の状態、たとえばガスを使いますと非常に高くつきます、悪い燃料を使えばそれだけ安くなるわけでございますし、当該地区の配管の状況等々から、現在まだ非常に幼稚なないしは勃興期の産業でございますから、統一的な料金というものはとても設定できない。現にガス電気も、特に電気の場合には九電力、当該地域の需要密度、需要構成、需要のパターン等によって料金水準がばらばらでございますが、それとほぼ同じ意味におきまして、この料金水準は全国一律という形にはとてもいかないと考えております。
  47. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 少なくともセントラルヒーティングは現在各個ばらばらであった。そのような個人の経費負担の点よりも、この熱共給事業による経費負担のほうが安くなる、これははっきり断言できますね、日本全国の地域を通じて。そういう面をはっきりお答えになった上で、そして格差がやむを得ず起こってくるだろう、こうおっしゃるならよう説明がわかるわけですよ。少なくとも日本全国の各地でおのおのセントラルヒーティングをやって、現在個人個人で負担してやっているわけでありますが、これを熱供給事業集中的にやろうという限りは、やはり安くなるのだというのが大きな一つの個人的にいえばメリットでありましょう。それから災害等の問題についても、個々でやっているよりも絶対にだいじょうぶなんだというようなあなたたちのはっきりした打ち出しといいますか、自信のある、またほんとうにそうだという世間に納得できるものをお示しになりませんと、これはいつまでたっても公益事業的な発展をせぬのではないか、こう思うのですがいかがですか。
  48. 三宅幸夫

    三宅政府委員 ただいま御指摘のとおりでございまして、従来この法律規制が、原則としていまのプロジェクトにはかかっておらない熱交換器、ボイラーあるいは冷凍機については高圧ガス取締法あるいは労働基準法の規制がございますけれども、当該機械がシステムとして作動する場合の統一的な技術上の基準もございませんし、また導管についでは道路法上埋設についての規制があるだけで、当該導管の材質その他安全性の確認についての法規制はございませんので、本法がもし成立いたしますならば、安定供給並びに保安の確保という点について万全の努力をするということによりまして、この勃興期にある産業についての大方の信頼を確保してまいりたい、かように存ずる次第であります。
  49. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 そういう点をはっきりとしませんと、ただ法案ができた、そしてやりたいやりたいという事業を認可していけば終わるのだというような考え方ではいかぬと思うのです。でありますから、いまから先、新しく建築されるビルなりマンション等に対する熱供給事業に対する参加の慫慂の問題。それから現在各個ばらばらでビルなりマンションの人々がやっておるわけでありますけれども、あなたたちのおっしゃるように、かりに非常にメリットがあるならば、そういう人々が自分のマンションをあげて、またビルをあげて早く熱供給事業のほうの供給を受けたいというような希望も出てくるのじゃないかと私は思うのです。隣は熱供給事業のほうからもらっている、われわれのマンションではもらえないとか、ビルはもらえぬ、こういうようなものがいつまでもあってもいけないのじゃないかと思うのですけれども、そういう今後新しく建てていくビルなりマンション等に対する何かの考えがあるのかということと、個々でいまそういう既設の冷暖房をやっている人々が、メリットがあるから参加したいというような問題に対する取り上げ方をどのように考えていらっしゃるか。
  50. 三宅幸夫

    三宅政府委員 プロジェクトに参加して供給を受けることについて慫慂するかどうかという御質問でございます。先ほど来申し上げましたいわゆる発生源の燃料については相当行政指導をする必要がございますけれども、各家庭燃料選択というのは、やはり消費者選択の自由というものが原則ではないかと思います。ことに熱供給事業というのはブロック、ブロックごとにできるわけでございますから、そこへ参加するといいましても、導管が来ておらなければ引っ越しをせざるを得ないわけでございまして、その点についてはおのずから限界がある。ただ、今後ニュータウンあるいは都市の再開発等が行なわれる場合には、いろいろの政府の施策、助成措置等々、十分なPRが浸透いたしますれば、ニュータウンあるいは都市の再開発地域におきましてはこの事業に参加される方が今後ふえてくるのではなかろうか。先ほどの全国で約八十の希望があるというのも、そういった点を示唆するものではなかろうか、かように考えております。
  51. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 ニュータウンと新しい都市開発地域は事前にいろいろな話し合い等ができて、熱供給事業による供給を受けていくというような趨勢はわかるのでありますけれども、何といっても公益事業として踏み出す以上は、いいものは早く普及徹底させるというのでありまして、ニュータウンではなくて、または再開発地域ではなくて、いまからビルができる、マンションができるというところはあるでしょう。燃料は個人の選択だからというのが原則で、もっともな点はありますけれども、そこで十年も幾らももてるようなものをつくった、やがて熱供給事業がそこへ出てくるというようなことになりますと、また道路からひっくり返す、またそこのいろいろな工事を新たにやるというような、今度はメリットの逆の損害的な問題がいろいろ起こってくるのでありますから、ニュータウンまたは新しく開発していこうというのと同じような考え方を強く持っておりませんと、あるところまでいって、あとは商売にならぬのでは普及徹底していく熱意もあまりない、これだけでけっこうもうかっておるのだというようなことになりますと、これは電気ガスとはそういう点が違いますので、将来日本全国にどのくらい普及していくかということを私は心配しておるわけです。公益事業という限りはもう少し積極的な姿勢があっていいのではないですか。
  52. 三宅幸夫

    三宅政府委員 木造の平家家屋というのが主体の地域には、申すまでもなくこの事業はなかなか入れないわけでございます。ただ、最近の住宅建設は中高層集合住宅、それもニュータウンや再開発によってそういうものが行なわれておりますので、そういった地点にこの事業は普及していく、こう考えておるわけでございます。  なお公益事業の問題でございますが、公益事業とはどういうことか。いろいろ公益事業の学界の学者にも伺いましたが、国民の生活のベースになる需要であるということ、それから相当大きな投資を行なう結果、ある段階からは費用逓減、コスト逓減の法則が働いて、結果的には地域独占の形成されるおそれがある。こういうものについて所要の消費者保護規制を加える必要があると判断されるものが公益事業であるということのようでございまして、そういう点で公益事業は全国一律にすみやかに普及させなければならないから、公益事業であるとは私どもは考えておりません。むしろ事後独占という問題について消費者保護観点から公益的な規制を加えたい、それによって間接的にこの事業についての皆さま方の御認識が高まり、都市の再開発なりニュータウンの計画と相まって全国的に浸透していっていただきたい、こう考えておるわけでございます。
  53. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 非常に消極的な考えじゃないかと私は思いますけれども電気ガスみたいな普及度というものはどうしてもうんと落ちていく、そのような伸び方はなされない。そうすると、国民全体にとってかりに大きなメリットがあるという前提のもとには、利用する者はメリットを受けていくけれども、そうでないところは相当の期間にわたって受けられないというような問題が、電気ガスとは違ってこれには残っていくのではないかというような感じがしますが、これは今後の研究として勉強してもらいたいと思うのです。  最後に一つ聞いておきたいと思いますのは、熱供給事業者の問題でありますけれども、これには資金の問題またはいろいろな技術問題等がやはり一つの認可の基準になっていくだろうと思いますけれども、国が資金的なめんどうを見ていくということはあとの問題でありまして、まずみずからどのくらいの資金調達力があるか、内部資金と外部資金はどうなのか、そういうことからしっかり見てまいりませんと、最後の料金決定のときにそういうことからあるいは高くなる、こっちのほうはそういう面から安くなったというようなことがあっては相ならぬと思うのです。また、多摩ニュータウンのほうは東京都が一つのプランを出しておりますけれども、これは東京都がやるのかどうか、そのような経営主体の問題、これは公共体というものをある程度考えておるのかどうか、また民間事業というものを中心に考えておるのかどうか、それから民間の企業でも大企業等で少しも心配が要らないというものであるかどうか、そういうところに何かの制約があるのかどうか、そういうことを最後にまとめて聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  54. 三宅幸夫

    三宅政府委員 御指摘の第一点、全くお説のとおりでございまして、この事業許可するにあたりましては、第五条の許可基準に従って審査を厳格にいたしたい。特に、その第三号に「事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。」という規定がございますので、これによりまして脆弱、泡沫的な事業申請は拒否したい、かように考えております。  それから、企業の主体の性格をどう予想しておるかということでございますが、大なり小なりこの問題については都道府県ないしは地元がいろいろ関係をしておられますので、都市計画上の問題、公害対策の問題等々で非常に地方的なカラーの強い性格の事業でございますけれども、その主体がどうなるかという点は非常に分布がばらついておりまして、都市におきましてはいまガス事業者が兼業でやっておるケースもございます。それから、いわゆる第三セクター、ことに北海道では北海道庁や札幌市、さらに北東公庫がみずから出資をしておるケースもございます。また、現在プロジェクトとしてあがっております中に、地方の市町村あるいは県が出資をするというケースもございます。あるいは大きな企業体がコンビネーションを組んでやろうというケースもございまして、区々ばらばらでございます。いずれにいたしましても、第五条の基準によりまして審査をいたしたい、かように考えております。
  55. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 以上で終わります。
  56. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 午後三時五十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      ————◇—————    午後四時七分開議
  57. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村重光君。
  58. 中村重光

    中村(重)委員 大臣に先日も同僚議員から若干お尋ねをしたのでしたが、東京瓦斯から三二・二%の大幅料金値上げの申請がなされて、その後公聴会等も開かれておるようでございますが、この点に対して値上げの理由が何なのか、また通産省はこれに対してどのような方針でお臨みになろうとお考えになっておられるのか、その点について考え方をひとつお示しいただきたいと思います。
  59. 田中角榮

    田中国務大臣 五月の四日に東京瓦斯から通産省にあてまして値上げ申請が提出をせられたわけでございます。三十五年に改定をいたしました後、ずっとそのまま据え置きになっております。なお新しく引き込みをしなければならないものが非常にたくさんありますのと、ガスのパイプライン布設等の新しい投資も必要であるというような現状でございます。十二年間据え置きのために経理は非常に悪化をしておるということが申請の理由でございます。しかし、公聴会をまだやっただけでございまして、政府としてはこれに対して現在どうしなければならない、どうしようというふうに明確な考え方が定まっておるわけではないわけでございます。これから鋭意調査を行なって、しかるべき手続を経ながら、また経済企画庁とも相談をしながら慎重な態度で結論を出さなければならない、こう考えておる段階でございます。
  60. 中村重光

    中村(重)委員 大臣がいまお答えになりましたように、十二年間料金が値上げされていない。さらに、新しい設備——引き込むというのは設備であろうと私は思うわけです。さらにパイプライン事業というのを東京瓦斯がいまやっている。そういったことが設備の高騰という形になってあらわれて経営圧迫ということになっておるんだろうと、実は私は思うわけです。ところがガスの料金というのは、全部の需要者にその料金値上げの影響というのが与えられてくるわけです。冷暖房というのは、これは先行投資が非常に大きくなってくる。公益事業である東京瓦斯あるいは大阪瓦斯、その先行投資は非常にばく大な金額になると思う。そのことのために全体のガス需要者の料金を値上げするということははたして妥当なのかどうかということ、私はこれは一点問題になるような感じがするわけです。その点に対して通産大臣はどのような見解をお持ちになっておられるのか。私は、人件費の高騰等もあるでありましょうが、金融がゆるんでまいりましたから、したがって利子は安くなるし、資本費は低下の方向にあるということも、これまた事実であろうとは思います。しかし人件費の高騰であるとか、資本費がかりに大きくなっておるといたしましても、設備を非常に拡大してまいりますから、そういうものを吸収する、いわゆる利益をもって吸収することは可能であったと思うわけです。そうしてみると、値上げの最大の理由というものはやはり設備投資にあるのではないか。であるならば、そのような設備投資、なかんずくパイプライン事業というものに対する先行投資は別の資金調達を行なうという形においてやるべきであって、ガス料金値上げということで需要者にこれを転嫁することは適当なことではない、私はそのように思うわけです。大臣は値上げの理由としていまおあげになったわけですから、そのことに対して今後どのような検討を加え、値上げの回避をどう決定しようとするのかということは、それらの問題とは深い関係を持つものでありますだけに、私のいま指摘いたしましたことに対する大臣の見解をひとつ伺ってみたいと思います。
  61. 田中角榮

    田中国務大臣 問題は、三十五年から十二年間余も引き上げが行なわれない。その間需要の増大に伴って投資も行なってまいりながらその責めを果たしてまいったわけでございますが、もう限界に来ておるということは事実でございます。なおその上に新しくパイプラインの布設やまた相当の新規のガス供給も行なわなければならないという事実もありまして、東京瓦斯の当面する経理上の状態は、値上げが不可避であるというような状態でございます、こういうことでございます。しかしその値上げの内容その他に対しては、これはまだ公聴会をやったばかりでございますから、どうするというような方向はきまっておりません、こう申し上げておるのであって、これから設備投資をしなければならぬから、その設備投資資金を得るために値上げをしなければならぬということではないわけでございますから、そこはひとつ御理解をいただきたい、こう思います。電力にもそのような問題が一部あるようでございますが、これは非常に大きな仕事をやっておるわけでございます。このように人件費その他が高騰してまいっておりますときの十二年ですから、どんな数字になるのだろうかということはこれから検討もいたしますし、また検討の実態は全部御報告して御審議の材料にしていただきたい、こう思っております。
  62. 中村重光

    中村(重)委員 十二年とか十五年とかいいますと、卵の値段も十二年も十五年も値上がりになってないです。これはやはり非常に多量な生産をやるということです。そういう中で吸収しているということです。電力料金もしかりでしょう。十五年もあるいはもっと値上げをしてないものもあるでしょう。あるいは東北電力でございましたか、値下げをしているところもあるわけです。またガスにいたしましても、東京瓦斯よりももっと前に値上げをし、あるいは十五年、十七年とまだ値上げをやっていないガス事業者もいるわけです。ましてや東京瓦斯ということになってまいりますと、非常に過密化してまいりますから、供給密度というものが非常に厚いわけですね。だからコストというものは非常に安くつくわけですよ。それらのことを考えてみると、私は今回の三二・二%の料金値上げというものは明らかに不当である、そのように考えているのです。だからこうした大幅の料金値上げをする必要は実はなかったのではないか。おそらく申請額どおり認めてくれないであろうからという水増しも若干あるだろうと私は思います。しかしながら減配等もいたしたそうでありますから、確かに何らかの経営圧迫というものがあるだろうということは想像できます。その経営圧迫というものはやはり資本投資であろう。特にパイプラインの先行投資というものが大きな圧迫になっていることは、否定することのできない事実だろうと私は思うわけです。してみると、公益事業であるにもかかわらず、会社が自由にそうした新しい事業に手を出していけば、採算はとれないと思う。それを一般のガス需要者に料金値上げということにおいて転嫁するというようなことがあってはならない。そういうことを原価主義であるということにおいて採算面から検討してみたところが、原価主義でこれをどうしても認めていかなければならないのだという形で安易に料金値上げを認むべきではない、このように私は考えるわけです。それでなければ公益事業というものの意味はない。公益事業というものは保護するでしょう、だから義務も課していくということでなければ、私は絶対に国民は納得しないと思うのです。したがって、私がいま申し上げましたような見解に対して、幾ら値上げをするということはさまっていないでしょうけれども大臣はどうあるべきかという見解は当然お持ちにならなければならないと思いますから、私がいま指摘いたしましたようなことに対しての大臣の見解だけは伺っておかなければならないと思います。
  63. 田中角榮

    田中国務大臣 電気、水道、ガス、この料金はもう米の値段と同じようなものでございますから、これは是正をするにしても改定をするにしても慎重な配慮が必要である、これはもう申すまでもないことでございます。ですから公聴会をやったり、また通産省として調査をすることは徹底的に調査いたします。それだけではなく、経済企画庁とも合議をいたしますし、経済企画庁は通産省とは別な立場や角度からの検討もするわけでございます。その上なお政府全体として公共料金の閣僚協議会にもはかりまして、内閣全体としての責任で結論を出そう、こういうことでございますから、非常に慎重な取り扱いをいたしてまいります。特に東京瓦斯でありますから、これは影響するところ非常に大きいということで、慎重の上にも慎重な配慮をいたしたい、こう考えております。いま三二%でございますか、まだ申請があっただけでございまして、これだけ全部認めるという考え方に立っておりません。これは厳密な調査をいたして、もっと合理化できるところはないのか、ほかに政策的なものでカバーできるものはないのか等々、いろいろなことを考えながら慎重な配慮で結論を出したい、こう考えております。
  64. 中村重光

    中村(重)委員 局長からでもけっこうですが、東京瓦斯はどのような合理化努力をしておりますか。実績としてはいかがですか。
  65. 三宅幸夫

    三宅政府委員 従来の業務監査等によってうかがわれるところによりますと、この燃料源を石炭から石油、さらに石油の中でも低硫黄あるいはナフサ、さらには最近アラスカのLNGというように無公害燃料を大量に消費する、現在千住、大森にございます古い工場はスクラップダウンいたしまして、新しい新鋭工場に移行するということで、都市公害を極力あるいは絶対に避けていきたいという体制をとっております。  また数年前でございましたが、三千六百カロリーから五千カロリーにカロリーをアップいたしました。このときは、厳密に言いますと料金を〇・五%下げたわけでございますが、これも導管の効率をできるだけ有効に使う、都市の道路事情等では導管の布設がなかなかむずかしいわけでございますから、一本の導管を引いた場合にも極力カロリーを上げることによりまして導管の効率的な使用をはかりたいということで、三十七年でございましたか、カロリーアップをいたしております。さらに近く、逐次一万一千カロリーにカロリーを上げていきたい、こういう努力もしております。また検針制度あるいは集金制度についても、検針を二月に一ぺんにするとか、あるいは銀行払い込み制度を使うとかいうようなことで、努力をしてきたあとは十分うかがえると思います。  ただ、先ほど来大臣から御答弁がありましたように、ガス事業というのは設備産業でございますが、その設備といいましても大半が導管でございまして、夜間工事の増加あるいは道路の延長メートルが延びておるといったような形から設備資本金の単位当たりのコストが上がっておることはまぎれもない事実であろうかと考えておりますし、また修繕費もそれとほぼ同じ理由によりまして、相当大幅にふえております。
  66. 中村重光

    中村(重)委員 東京瓦斯以外に値上げ申請をしているガス会社があるのかどうか、あるいはそれが予想されている会社がありますか。
  67. 三宅幸夫

    三宅政府委員 いま秋田県の秋田市のガス会社が値上げ申請をしております。その理由は、天然ガスの減少に伴う原料転換及び資本費の高騰という理由でございます。
  68. 中村重光

    中村(重)委員 それから、公聴会を開いたということは大臣からお答えがありましたし、新聞報道でも知っているわけですが、何か聞くところによると、会社側の賛成公述人を動員したとかなんとかということが伝えられておりますが、真偽のほどはなかなかわかりにくいと思うのですが、この公聴会の賛否の意見というものは料金値上げ決定の中でどの程度のウエートを占めるのですか。
  69. 三宅幸夫

    三宅政府委員 法律に基づいて設けられた制度でございますので、この公聴会の意見というのは相当重視する必要があると思いますけれども、賛否の数がそのまま量的にこの問題に対する指針になるとは思っておりません。賛成論の中にもいろいろ条件のついておるケースがございます。たとえば、申し込みをしてもなかなかガスが引いてもらえないとか、あるいはもっとサービスにつとめてほしいとかいうような条件つきのものもございますし、また反対論の中にも、ことに最低料金について非常に問題がありとするような表現に受け取られる方もございました。賛成、反対、それぞれいろいろな内容を含んでおります。単に賛成が多いとか反対が何票だということがそのままこの問題の指針になるとは考えておりません。
  70. 中村重光

    中村(重)委員 局長の先ほどの答弁の、会社の合理化努力といったようなものは、ある程度努力をしているということは認められるわけなんです。しかし、さきの東京瓦斯の爆発事故、私はガス会社にも責任があったことは否定できないと思いますが、他工事による事故というような点も見のがしてはならない。これは警察当局の取り調べの結果も明らかになっている。あのようなことで相当会社の出血もあったであろうということは十分想像はできるわけです。大臣がお答えになりましたような、三十五年以来十二年間、いろいろと資材も値上がりをしているとか、人件費の増であるとか、いろいろと値上げをしなければならぬ要因も私は全く否定するわけにはまいらないと思います。しかしながら一面、私も先ほど申し上げましたように、やはり設備がどんどん拡張しているわけですからね、だからその利潤によってこれを吸収するということは十分可能なんです。私は最もその条件に恵まれているのは東京瓦斯であると思います。大臣も、東京瓦斯であるがゆえに特に慎重を期したいということでございましたが、東京瓦斯の料金値上げが認められたならば、おそらく他の会社も連鎖反応的に次から次に料金値上げを申請してくるであろうということも想像できるし、ガス料金の値上げが電気料金の値上げの誘因にならないということもまた否定できないと思います。公共料金の値上げは一般物価の上昇を促すという形にもなってまいりますから、特に慎重の上にも慎重を期する。さらに会社に合理化努力を求めていくという態度で消費者の利益を守っていく。大臣が先ほどお答えになりましたようなそうした考え方の上に立って、経済企画庁とも十分物価対策の面から協議をし、政府全体ができるだけ値上げを抑制するという方向でこの問題に対して結論を出されることを強く望んでおきたいと思います。  次に熱供給事業の問題についてお尋ねをするのですが、先ほど来同僚議員からいろいろ質疑がなされましたように、この熱供給事業公益事業として位置づけるということに対して、私はやはり若干疑問を持っているのです。実はこの前私どもが審議をいたしてまいりました石油パイプラインは、大臣胸を張って、これは公益性が非常に強いのだ、大衆消費者の利益を守っていくことに大きくつながっていくのだということをおっしゃった。私は議論をすればできた。時間が許せば議論をしたいという気持ちで一ぱいだった。しかし締めくくりの質問ではありましたし、別に議論はしませんでした。もちろん賛成をしてあげたわけではございません。二カ月間慎重に審議をしてまいりましたが、大臣が予算委員会あるいは参議院等に出席されて、大臣と質疑をする機会が非常に少なかった。最後の締めくくり質問という形で、むしろその点では、大臣の胸を張っておられることに対して非常に批判的な気持ちで私の質疑を終わったという形に実はなっておるのです。端的に言わしていただければ、道路上を走っておるタンクローリーと地下を走っているハイプライン、それだけの違いなんですよ。タンクローリーには公益性がない、パイプラインは公益性がある、これは公益事業だ、大衆の利益につながっていくんだ、そういった論理は、私はあり得ないと実は思っている。大衆の利益というものは間接的利益ですよ。精製業者がどれほど消費者に対して利益を還元をしていくかということなんです。問題はむしろ政府の努力というものによって、どの程度消費者の利益が守られるかということに実はかかってきておる、こういうことになるのですよ。だから、この熱供給の問題はパイプラインと比較をすると、若干大衆に直接的なものが、限られたものではあるけれども、あれよりもましだということです。しかし、これを公益事業として位置づけをするということにはやはり私は疑問を持っているのです。まだ割り切れない、大臣答弁では。これはまあいろいろお話がありましたが、スウェーデンの例とかあるいはその他の国の例をお引きになって、七五%であるとか、六〇%とかいう普及率をお出しになった。しかし日本は御承知のとおりまだまだ木造建築というものが大半なんですよ。それに対して冷暖房というようなものは、熱供給という形においてもなかなか日本の住宅構造の中ではなじまないのです。してみるとこれはビルであるとか特定の建築物に限ってくる。そうなってみると、公益事業として現段階において位置づけるということには若干無理がある。私は業者の方々から熱供給事業法に関する陳情書というのをいただいているのですが、これに書いているとおり「同法案は熱供給事業公益事業として位置づけ、消費者の保護と保安の確保をはかるとともに、事業の健全な発達をはかるため他の公益事業並みの税制、金融等の支援措置を確保しようとするものであります。」と、これは業界の方々が、これを公益事業として位置づけてもらいたいというのは、税制、金融上の支援措置を国から講じてもらいたいから必死になってやっているのですよ。こういう業界の陳情、請願というものによって影響を受けておるところ大なるものがあると私は考えている。おそらく大臣は否定的な答弁を私に返してくるであろうと思っている。それはそうしなければ大体議論にならないですからね。しかし大臣、胸を張るほど公益性というものはありませんよ。これはもう少し先になって政府の施策よろしきを得て、住宅問題等大臣が力こぶを入れて、そうしてどんどんといまの住宅構造が鉄筋コンクリート等、そういう冷暖房設備をするような建物に変わってくるというような文化的な措置というものがどんどん進められることと並行して、そこに冷暖房公益事業として位置づけていくということならばわからないでもない。これを公益事業として位置づけてくれということになってまいりますと、大きな先行投資でありますから、これは政府は国民の税金から融資やあるいは減税の措置というものを講じていかなければならぬということになる。大臣、これは若干時期尚早であったとはお考えになりませんか。少し無理だなというふうにはお考えになりませんか。いかがですか。
  71. 田中角榮

    田中国務大臣 これから団地ができてまいります。高層化を進めてまいらなければなりません。そういう場合に、そのビルだけでもって煙突を立ててやるということよりも、地域的な冷暖房——暖房の前に熱供給ということがあるわけです。熱供給といったらこれは熱というよりも給湯をやる、これはごみなどを焼却して余熱を使ってお湯を供給しておる、これは非常にこれからの生活では必要なことでございます。電気ガス、水道、その次にくるものが生活の必需物資であるお湯、暖房冷房、こういうことになるわけでございます。いまの冷暖房というものは非常に少ないということでございますが、これからはだんだん不燃化してまいりますし、高層化してまいります。日本は温暖多湿でございまして、ほんとうに鉄筋コンクリートの建物というのはあまり日本人の体質に合わないわけであります。気候風土には合わないわけでございますが、こういう近代的な建物、というよりも、構造が変わってくる、状態が変わってくるという場合には、いままで考えなかった冷暖房、それから湿度調整、空調、これはどうしても不可欠なものになってくるわけでございます。ですからそういう意味では、団地などでは、特に工場団地もそうだと思うのですが、一つ一つが全部ボイラーを据えつけ、煙突を立てるということを考えるよりも、合理的な共同施設によってやることが経済的であるし、非常に合理的なものだ。ですからこれからの集団生活という中で求められるものということで考えていただく。私はやはり水道に次ぐものとして生活の中ではどうしても必要なものだ、こういうふうに考えておるのです。これは議論するために申し上げておるのじゃないんです。私も新潟でございまして、私の本籍地はとても給湯を受ける、それから冷暖房の施設をやるような状態じゃございません。しかしこれは、団地というものを形成する、特にこれから区画整理を行なうというような場合は非常に生きてくる。だからいまからこの制度を発足せしめておくということが——パイプラインの法律を通していただいてありがとうございましたが、これからの生活のレベルアップの過程においては完全に公益事業と認定されてしかるべき重要なものである、このようにひとつ理解をいただきたい。
  72. 中村重光

    中村(重)委員 大臣が言われるのだけれども、パイプラインを公益事業に位置づけた大臣考え方からいいますとあまりいただきかねるです、実際は。まあしかしあれよりましだということはこれは申し上げたわけだから……。しかし大臣がいま言われるように、水道に次ぐというようなことはあまり高く評価し過ぎるです。太陽と空気と水は人間が生きていくために不可欠のものですよ。それじゃ冷暖房が人間の健康に及ぼす影響はどうなのでしょう。
  73. 田中角榮

    田中国務大臣 冷暖房ということが、そこまでいく前段に給湯ということになれば、給水給湯ということでお湯がねじれば出るということは、これは非常にいいことなのです。そういう意味では、ニューヨークなどではごみをたいて地下を全部給湯用のパイプが走っておるわけであります。ですからニューヨークは寒いのですが、冬、マンホールのところから湯げが出ておる、こういうことであります。それがみんなアパートへ引き込まれておる、こういうことでありますから、これは非常にいいことだと思うのです。ガスで、ガスの事故もなくなるし、これはいいことです。地域暖房というのは、新しい都市政策の中で出てきておる新しいものでございます。これはいままでは必要でなかったということでありますが、構造が変わってきますとどうしても、湿度の多い日本でありますから、送風、湿度調整、引き続いて不燃建築の中は、これからもう炭をたくとかガス暖房を行なうとかは——それから電気では高過ぎると、こういうものであります。だからそういう意味で、暖房があるということは、これからの生活では不可欠になる。ガスなどで暖房をやっていますと、寝ているうちにガスの消し忘れをするという者もありますし、経済的に見ても、一つ一つ井戸をつくっておるものをパイプで水を給水したほうが効率的であり、衛生的だということと同じような感じで、これからの社会構造の中で冷暖房というものは、特定な人の生活の中に必要なものというよりも、どうしてもやはり構造が変わってくると、一般の生活の中に冷房ということよりも暖房はやはり必要である。暖房は、炭がもうないわけでありますし、ガスはあぶない、電気は高いというようなことから考えて、集中的な地域暖房ということが望ましいものである。これはやはり各家庭に、いまの2DKとか1DKとかというものではだめですが、少なくとも、子供でも別々な部屋をというような状態がこれから来るわけでありますから、やはり冷暖房というものがあるような生活様式、そういうものが望ましいと考えております。
  74. 中村重光

    中村(重)委員 大臣、私は、経済性の面から冷暖房がより集中的な供給という形になることは適当だと思っているのです。そのことは評価しているのです。したがって、熱供給事業そのものに私は反対をしようとは考えていないのですよ。やはり公益事業として位置づけして、金融とか税制というようなことで企業を保護するという前に、実はもっともっと国としてやらなければならない点があるのではないかということです。  それから、健康の問題を申し上げましたが、文明は人間を滅ぼすとさえいわれてきている。だから、自然が一番人間の健康には役立つんですよ。しかし、そうはいいながら、文明でございますから、いろいろストーブを買ったり、あるいは扇風機だとかいって、夏は涼しく冬はあたたかになるようなことを人間はやるんだから、これを除去するわけにまいらない。だからして、できるだけその中でも火災の危険もないように、また経済性というものも十分勘案してやっていくという努力がなされなければならぬと思う。同時に、やはり人間の健康を考えて、冷暖房公益事業として普及をさせるならば、この冷暖房というものは人間の健康にはこういうことについて影響があるんだから、こういうようなことでなければならないということを、十分利用者に周知徹底させる努力というものがなされなければならないのですよ。この法案の中に、人間の健康ということについて一章ぐらい設けていくくらいの私は考え方があってしかるべしとさえ思っているのです。これはなじむのかなじまないのかわからないのだけれども、形式ばかり追わないで、そういったような点は非常に大事だということなんです。これはこれからの行政指導という面で十分やってもらわなければならないということです。そこで、あまり議論をすると、大臣の時間もこれは制限があるわけですから、あまり深くは入りませんが、集約的な熱供給というものの効率的な規模というものは、大臣はそこまで研究していらっしゃらないでしょうから、局長いかがですか。効率的な規模というものはどの程度ですか。
  75. 三宅幸夫

    三宅政府委員 従来、私のほうでいろいろな分析をいたしましたデータによりますと、この熱供給事業というものは、需要面から申し上げますと、大体熱密度が非常に高いということ、あるいは昼、夜あるいは年間を通じての需要のピークがあまりかけ離れていないということ、それから中高層の集団住宅を中心にいたしました町づくりが順調に進むということ、そういったような需要条件を満たしておるのでなければいけません。それに対応いたしまして供給側の条件でございますが、あまり導管の輸送距離が伸びますと効率が落ちてまいりますので、現在の技術水準では大体単一のプラントで、暖房の場合には四キロ平方、冷房の場合には一キロ平方ということになっておりますけれども、むろん、今後技術がさらに進歩し、それに対応いたしまして経済性が高まってくれば、この限界はさらに増加するだろうと思います。また若干、サブステーションをつくるとか単体をうまく組み合わせるという方式が開発できれば、いま申し上げた限界はさらに上へ伸びていくだろう、かように考えております。
  76. 中村重光

    中村(重)委員 それは私が質問したことに対する的確なお答えにならないのですね。効率的な規模ということになってまいりますと、その範囲だけの問題ではなくて、たとえばホテルとかなんとかいうものがたくさんあると、これは二十四時間冷暖房を使うんだから、供給者にとっては一番都合がいいということになる。したがって、その使用量という形によってもまた違ってまいりますね。ですけれども、一番効率的な規模というものは十五階建てぐらいの五、六棟というところだといわれているのです。だからそこで、規模というものが、どの程度の規模を最低規模として許可をしようとお考えになっておるのかわからないんだけれども、あまり小さい規模——ガス会社の場合にも千戸以下というのが二十五、六も会社があるのですよ。三百戸ぐらいというのが相当あるのです。むしろ、簡易ガスよりも小さい都市ガス事業というのがあるのでして、これはコストが非常に高くなるのですよ。この熱供給の場合も、あまり小さい規模の企業許可するということになってくると——公益事業でしょう、地域独占ということになるのですよ。そのために需要者は非常に高い料金の熱供給を受けなければならぬという結果が生まれてくるのです。ですから、この許可にあたっては、その規模の問題も慎重に考慮して許可をしていく、それからあまり地域独占にこだわり過ぎないように弾力的な許可をやるということでなければいけない、私はそう思っているわけです。  そこでまた、料金はいま申し上げたように原価主義であると思うのですが、ここで料金の決定に非常に関係をしてまいりますが、投下資本は何年程度で回収するという方針で料金の認可をなさいますか。
  77. 三宅幸夫

    三宅政府委員 原価計算による投下資本の回収の問題かと存じますが、現在、この事業についてはまだ耐用年数の一本化が行なわれておりませんので、現在行なわれております事業は、各単体プラントの加重平均におきまして大体十七年ぐらいでございます。それから経理の現状を申し上げますと、まだこの事業がスタートしましてから一、二年でございますが、われわれの調査によりますと、大体初めの三、四年はどうしても赤字が出る、その幅はいろいろございますか、赤字が出る。あとその赤字を解消して、累積赤字を消すのにさらに三、四年かかる、こういうデータになっております。
  78. 中村重光

    中村(重)委員 法律をお出しになるんだから、十分そこらあたりを、いろいろな質問があるんだから、検討してお出しにならなければ、質問に対して的確なお答えができないということであってはならないですね。  東京瓦斯が十年でもって回収されるということになっているのですね。それは料金です。北海道はどうかといったら、これは住宅が中心になりますから、そんな短い期限でもって回収はできないですよ。そうすると、そこに業者によって格差がぐっとできてくるんですね。ですから、何年程度で投下資本の回収をするのかということによって、原価主義で料金を決定することに対する関係が出てまいります。それが要件になるわけですから、そこらあたりも慎重にひとつ決定をして消費者の利益を守っていく。あなた方のほうでは法律条文に、適正な価格、適正な利潤というようなことをよくお書きになるのだけれども、それを条文にお書きになるだけじゃだめなんです。そこらあたりを十分検討して、質問があった場合はどの角度からでも答弁ができるという、そういう準備が必要だということを私は申し上げておきます。  それから、地方団体に対する区別の規定があるわけですが、なぜ一体、こういう一般の供給業者と地方団体と区別をつけたのですか。
  79. 三宅幸夫

    三宅政府委員 このプロジェクトにつきましては、大なり小なり地方公共団体が都市計画あるいは公害対策の面から、誕生の段階からいろいろお世話をいただくことになるわけでございますが、実際問題として、地方の直営による公益事業はいまのところあまりございません。一、二点しかございませんが、まあ地方公共団体は、経理的基礎なり技術的能力でも相当自信を持っておる場合に直営をおやりになるのであろうと思いますし、また消費者保護観点からは、いろんな公益事業規制も地方議会のチェックというもので相当カバーできるのではないかということで、最近の立法例によります水道法なりあるいは工業用水道事業法の例にならいまして、地方公共団体についての消費者保護規定の一部を適用除外にしておるわけでございます。
  80. 中村重光

    中村(重)委員 地方団体は議会というのがあるので、そこでチェックするからいいじゃないかというような考え方もお持ちになっていらっしゃるようですけれども、地方団体であるからといってあまり高く評価していくということはだめなんですね。権利だけを確保する。そうしておっても、財政力とかなんとかという形においてなかなかうまくいかないということにもなるわけです。そして途中でやめてしまったということになると、これは消費者が迷惑をするということになる。そこいらは地方団体なるがゆえにということになるので、無条件にいろいろな規制条件というようなものを取っ払っていくというようなことではなくて、十分慎重にその点は対処してもらう、こういうことでなければならないと私は思う。これは地方団体の財政力よりもがちっとした企業のほうがむしろ健全な経営ができるというようなことだって、それは私はあり得ると思うのですよ。その点も十分配慮してもらわなければならぬと思います。  それから経過規定を置いておられるようですが、その点に対しての設備改善許可であるとか、あるいは取り消しとかということをやることになるのですね。その点は、どの程度お考えになっておるのですか。さあ許可を与えた、実際は設備をしないわとというようなことも一つ問題がある。経過規定ということになると、いままでもう認可を与えてきておる。現にやっておるのですね。さあこの法律ができた、だがしかし現にやっているのだからということでこれは認めていくということになるのでしょう。その場合問題は、この法律で保安規程を置いている。そういったようなものとはだいぶ設備の面において違うようなことをやっている。それも、しかしながら現にやっているのだからというので、経過規定でこれをお認めになるということになると、これはやはり千日デパートの例のように、もう古い建物なんで——建築基準法を何回も改正しましたね。改正したけれども、経過規定でもって、もう前の、現にやっておる設備をかえさしていないのですよ。だからしてああいったような大火災を起こすというようなことが現に起こってきている。だから経過規定というものは、やはり設備点検というものを十分やって、そして現にやっておるのだけれども、この法律に準拠して徹底的に改善をやらせるというようなことでなければならないと私は思います。ですから、あくまで消費者の利益をいかに守るか、いかにその災害を起こさないかということにウエートを置いて、これを第一の主眼点として運営をしていくということでなければならないと私は思います。ですから、その点に対する考え方と、それから原価計算の関係等もありますし事故防止関係等も出てまいりますから、導管の耐久力というものは何年程度とお考えになっておられるのか。この三点をお尋ねをしたことになりますから、お答えをいただきます。
  81. 三宅幸夫

    三宅政府委員 経過措置において既存の事業者をどう取り扱うかという御質問でございますが、経過規定の附則の第二条におきまして、この法律施行の際に現に事業を営んでいる者は、一応第三条の許可を受けないで事業を継続できます。ただし、一定の期間内に届け出をしていただきまして、この届け出がありましたら、許可があったものとみなすということで、既存の事業者の事業継続については経過措置で保障しております。これは既存の事業者並びにそこから供給を受けておられる使用者を一体的に——この際、新法の施行によって切断することはいかがか、こういう点でみなし規定を置いておるわけでございますけれども、料金算定その他の供給条件につきましては、決してみなし規定を置いておりません。第二条第三項におきまして、あらためて十五条による供給規程の審査を必要とする、こういうことで消費者保護の徹底をはかりたいと考えております。  次に、保安の関係でございますが、保安の関係は、本法施行の際、直ちに二十条並びに二十一条が適用され、技術上の基準並びに工事計画の届け出等の規定が施行と同時に適用されるということにいたしております。現在技術上の基準については、熱供給技術審査会を設けまして、鋭意基準の作成を急いでおりまして、本法施行前にも成案を得ますれば、既存の業者にはこの点の周知徹底をはかりたい、かように考えておるわけでございます。  導管につきましては、特に問題の施設でございますから、これもまた厳重な審査によりまして材質その他構造面について十数項目にわたる技術上の基準を設定したいと考えております。
  82. 中村重光

    中村(重)委員 大臣の時間がありますから、これでまとめてお尋ねをして私の質問を終わりますが、いま私は三点お尋ねをした。  一点は、供給範囲についての許可をするわけですね。だから地域独占になるのだ。さあ許可はとったわ、実際は工事をやらないのですね。権利だけを取っておる。だからあまりやらなければこれを取り消すという規定があるのですよ。ところがその規定は、具体的に何年であるかということは書いていないのですね。これは私どもは、電気事業法の場合でもガス事業法の場合でも、一番議論をした点はこの点なんです。修正をしたり附帯決議をしたりしたのもそういうことなんです。権利だけを取る、実際はなかなかこれをやらない、いわゆる経済性ばかり考えて、それはメリットがあるかどうかということを、自分の経営のことばかり考えて、実はやらない。なかなかこれに対して取り消しもやらない、こういうことであってはならないということであります。だからそこは厳としてやってもらわなければならないということが第一点。  それから大臣は、先ほど保安の問題が——いわゆる公害問題等々についていろいろ各委員から質疑があったわけですが、それはほかの法律によって、公害立法によってやるのだ、あるいは局長から高圧ガス取締法によってこれをやるのだ、だからこの法律案にはそういうことは必要ないのだというようなお答えがあったわけです。ところが、電気事業法を見ましても、ガス事業法を見ましても、この熱供給事業法案と比較をいたしますと、非常にきびしく書いてあるのですよ。たとえばガス主任技術者であるとか、ガス主任技術者の免状であるとか、国家試験とか、ガス主任技術者の試験委員ガス主任技術者の義務とか、ガス主任技術者の解任命令であるとか、いろいろこまかく書いてある。ところがこの熱供給事業の問題は大ざっぱなんです。ですから、やはりこの予想される事故というものは相当あるのです、ボイラーが爆発することだってあるわけですから……。それからその導管が温度によってはこれが実際は亀裂をしたり、あるいは重圧によって亀裂をしたり、いろいろなことが予想されるわけですね。同時に、そういうことがあるわけですから、監視とか検査員とか、検査の義務であるとか、あるいは点検であるとか、いま申し上げたガス事業法にありますようないろいろの技術者の資格の問題とか、当然この業法の中に明記しなければならない点が実は落とされているということは事実でありますから、そういったような点は実は修正をしようとも考えましたが、この点に対しては政省令で十分これを補完するという政府側の答弁でもありましたし、それに対する信頼を置きたいと思います。附帯決議をつけておきますから、十分ひとつ、大臣はいままではたいへんお忙しかったようでございますけれども、長い条文ではありませんから一度目を通していただく、そして適切な指示をしていただきたい、そのことを強く要請をいたしておきたいと思います。最後に大臣のお答えをいただいて、私の質問を終わります。
  83. 田中角榮

    田中国務大臣 新しい時代の要請に基づいて、公益事業の一端をになうものとして御審議をお願いしておるのでございますから、この法律の精神にこたえることが必要であることは言うまでもありません。ですから、長期的に見て権利を確保しておいてというようなことであれば、この法律の精神にはずれるわけであります。そういう問題に対しては十分この法律の精神が貫けるように、地域住民の幸福につながるような法律運営を考えてまいるつもりでございます。  それからいまの保安基準とかその他の問題、これはボイラー等、別な法律がございますから、それによって規制を受けることは当然でございます。この熱供給事業そのものとしても、これは新しい仕事でございますから、まだ法律の改正もある場合においては必要かもしれませんけれども、この経過を見ながらもっともっと完ぺきな法体系にしていかなければならぬわけでございます。御指摘を受けた問題等に関する政省令の制定等におきましても、いまお話がございましたように、法文に明記されたと同じような厳密なものを考えてまいりたい、こう考えます。
  84. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二分散会