運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-06-05 第68回国会 衆議院 商工委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月五日(月曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君   理事 浦野 幸男君 理事 小宮山重四郎君    理事 橋口  隆君 理事 武藤 嘉文君    理事 中村 重光君 理事 樋上 新一君       稲村 利幸君    内田 常雄君       小川 平二君    小沢 一郎君       奥田 敬和君    海部 俊樹君       梶山 静六君    亀岡 高夫君       神田  博君    北澤 直吉君       始関 伊平君    田中 榮一君       羽田  孜君    羽田野忠文君       八田 貞義君    前田 正男君       増岡 博之君    山田 久就君       吉田  実君    石川 次夫君       岡田 利春君    木原  実君       近江巳記夫君    伊藤卯四郎君       川端 文夫君    米原  昶君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 角榮君  出席政府委員         通商産業政務次         官      稻村左近四郎君         通商産業大臣官         房長      小松勇五郎君         通商産業大臣官         房参事官    増田  実君         通商産業省鉱山         石炭局長    莊   清君         通商産業省鉱山         石炭局参事官  飯塚 史郎君         運輸政務次官  佐藤 孝行君         運輸大臣官房長 高林 康一君         建設省道路局長 高橋国一郎君         消防庁長官   降矢 敬義君         消防庁次長   山田  滋君  委員外出席者         通商産業省鉱山         石炭局石油業務         課長      根岸 正男君         消防庁予防課長 永瀬  章君         日本国有鉄道副         総裁      山田 明吉君         日本国有鉄道建         設局長     内田 隆滋君         参  考  人         (関東パイプラ         イン株式会社社         長)      出光 計助君         参  考  人         (東海大学工学         部教授)    前田慶之助君         参  考  人         (東京都立大学         工学部助教授) 湯浅 欽史君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 六月五日  辞任         補欠選任   小川 平二君     奥田 敬和君   坂本三十次君     小沢 一郎君   椎名悦三郎君     山村治郎君   塩崎  潤君     羽田  孜君   坪川 信三君     梶山 静六君   八田 貞義君     亀岡 高夫君   松永  光君     吉田  実君   佐々木更三君     木原  実君 同日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     坂本三十次君   奥田 敬和君     小川 平二君   梶山 静六君     坪川 信三君   亀岡 高夫君     八田 貞義君   羽田  孜君     塩崎  潤君   山村治郎君     椎名悦三郎君   吉田  実君     松永  光君   木原  実君     佐々木更三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油パイプライン事業法案内閣提出第一〇六  号)      ————◇—————
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油パイプライン事業法案を議題といたします。  本日は、参考人として関東パイプライン株式会社社長出光計助君、東海大学工学部教授前田慶之助君、東京都立大学助教授湯浅欽史君、以上三名の方々に御出席お願いをしております。  この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には御多用中のところ本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。本委員会におきましては、石油パイプライン事業法案について審査を行なっておりますが、本日はそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、初めに御意見をそれぞれ十分程度に取りまとめてお述べをいただきまして、次に委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。それでは、まず出光参考人お願いをいたします。
  3. 出光計助

    出光参考人 関東パイプライン株式会社社長出光計助でございます。  本日、石油パイプライン事業法案審議にあたりまして、参考人として石油パイプライン事業の推進についての考えを申し述べる機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。  諸先生方におかれましてはすでに御承知のように、石油の需要の伸びはたいへんなものでございまして、今後十数年の間に現在の三倍以上、すなわち、現在年間約二億キロリットル程度のものが、昭和六十年ごろには約七億キロリットルにも伸びることが予想されております。これに伴いまして石油輸送量も増大することになりますが、これを従来の輸送手段である自動車、鉄道バージ等のみに依存しようとしましても、近い将来におきまして全く不可能な状態が招来されることが予想されるのであります。  さらにわが国及び英米実績を見ましても、道路による石油輸送は約三割ないし四割を占めておりますので、道路を幾らつくっても、ローリーの増加にはとうてい追いつかないという状態であります。路面利用経済の点から見ましても、パイプライン輸送以外に方法はないと確信するものであります。  今日石油製品エネルギーの大宗として、安定的かつ低廉な供給について、社会的責任が課せられているのでありまして、このため石油業界では企業の合理化について従来ともあらゆる努力を払ってまいりました。外航タンカー大型化製油所大型化最新設備導入などがそれであります。そして現在では、合理化の余地が残されているのは国内流通部門だけになっているような状態であります。このようなことから、安定的かつ低廉な供給確保するため、従来の配送手段に加えまして、新しい輸送手段としてのパイプライン導入が必要不可欠なことになってまいりました。  石油パイプラインは、諸外国においては石油類輸送手段として、アメリカにおいてはすでに百年、ヨーロッパにおきましてもすでに数十年に近い歴史を持っておりまして、石油輸送量のうちアメリカにおいては約四五%、イギリスにおいては約二四%、西ドイツにおいて約四六%、ソ連におきましては約三一%のシェアを占めております。経済性に富み、かつ現在考えられます最も安全な石油輸送手段として大きな役割りを果たしております。  わが国へのパイプライン導入につきましては、去る昭和四十二年二月、総合エネルギー調査会によりパイプライン輸送導入必要性が答申されて以来、石油業界としましても、通産省はじめ関係各省の御指導を得ながらこの問題に真剣に取り組み、石油連盟内に特別委員会を設けまして、昭和四十五年には石油パイプライン株式会社を設立し、パイプラインに関しまして経営体制経済性安全性及び法制など、種々研究、検討を重ねてまいったのでございます。  ちょうどこのような時期、昭和四十五年以降、原油産油国であるOPEC諸国の価格の大幅引き上げ、それに加えてタンカーレートの上昇、さらには公害対策の諸設備、備蓄の増強等によりまして、今後の石油製品の大幅なコスト増加が避けられないような情勢となりまして、なお一そうパイプライン導入必要性を痛感しておる次第でございます。  またこの間、欧米諸国への前後三回にわたる調査団の派遣及び参加を通じまして、欧米石油パイプライン実態把握に努力いたしますとともに、外国専門家を招きまして実習を受けるとともに、若手技術者数名を長期間海外に派遣し、技術等の習得に鋭意努力してまいりました。  これらの研究結果に基づきまして、わが国も安全なパイプライン導入を確信するに至りましたので、当面最も緊急を要する関東地区パイプライン事業を実施するため、昨年十一月関東パイプライン株式会社を設立しまして、わが国における社会環境国土利用実態に即した石油パイプライン計画を立案いたしたのでございます。  さらに、長年経験に富む石油各社から石油パイプラインに関する技術運営等、各分野にわたる豊富な経験と情報を得られる立場にありますので、その精度を高めていくことが可能であります。したがいまして、今後石油パイプライン事業法が成立いたしましたならば、主務大臣の御監督のもとに、安全なパイプライン事業運営を行なっていく所存でございます。欧米ではすでに安全性が確認されておりますが、地震多発国であり過密地帯の多いわが国国土事情を十分考慮いたしまして、国において定められる保安基準に基づきまして、事業を確実に推進する所存でございます。また地元の御協力を得まして、万全の対策を講ずるつもりでございますので、何ぶんにもよろしくお願いいたしたいと存じます。  以上のとおり、石油パイプライン事業についての私の考えを述べさせていただきましたが、石油パイプライン事業法なくしては、今後のわが国における石油パイプライン事業計画の遂行は不可能でございます。今後長期的な視野に立ちますれば、石油パイプライン事業法は必ずやわが国に安全にして革新的な石油輸送手段導入を促進することとなり、石油エネルギーの安定的かつ低廉な供給確保し、国益に寄与するものと確信いたすものでございます。ありがとうございました。
  4. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に前田参考人お願いします。
  5. 前田慶之助

    前田参考人 ただいま紹介されました東海大学前田でございます。石油パイプライン事業法案審議に関しまして、私は主として技術的サイドから保安問題というものに関しましての所見というものを述べさせていただきたいと思います。  言うまでもなく、石油というものは国民経済及び国民生活にとりまして欠くことのできない基礎物資でございまして、ただいまお話がありましたように、現在におきましても年間二億リットルの消費がありまして、将来ますます増加の傾向にあるということは、言うまでもないわけでございます。しかも、特に最近におけるところの大都市、東京、大阪、名古屋というような大都市のいわゆる人口集中その他いろいろな都市集中現象から考えますと、われわれが毎日遭遇しておりますような交通麻痺災害、そういういろいろないわゆる輸送問題という問題について、われわれは毎日見させられておるわけでございます。しかもそういう形態の中に、さらに現在におけるところの年間二億キロリットルの使用、さらに伸びるであろうと思われる石油輸送問題について、現在はタンクローリーあるいはタンク車というような輸送形態がとられまして、それをいろいろと考えてみますときに、社会の安全の確保ということから考えますと、現在におけるところの輸送形態とともに将来の問題について非常に問題があるのではないかということを痛感するわけでございます。  そういう観点に立ちまして、では現在及び将来のいろいろな条件考えてみました場合において、石油輸送トランスポーテーション方式といたしまして、私は、すでに百年の歴史を持つところのアメリカ、並びに十数年の歴史を持ちますところの欧州の石油輸送するパイプライン実績というものをよく研究をいたしまして、これを実行するということは、現在わが国において考えられ得る石油トランスポーテーションシステムとしてきめ手ではないかということを感じるわけでございます。しからば、石油パイプラインができた場合において、言うまでもなくパイプラインの中には可燃性のいわゆる石油というものが通るわけでございますので、それの安全の確保については格段の注意をする必要があることは言うまでもありません。試みに、このパイプライン技術的方法としてどういう方法によって安全を確保し、輸送をするかということにつきまして、私の所見を述べたいと思います。  まず、石油輸送に使いますところのパイプ材料でございます。これは最近の世界におけるところの冶金工学、その進歩によりまして、パイプ材料というものは非常に発達してまいりました。しかも、それがAPI——アメリカ規格でございますが、アメリカ規格だとかJIS、そういうものの規格パイプラインのうちに、現在使われておりますものよりもハイテンパイプラインというものを使うことによりまして、そのパイプ材料というものは、従来の材料よりも強度の高い材料というものが使われることが必要じゃないかということを考えるわけでございます。  もう一点は、いままでの国内海外におけるところのパイプラィンの実績でございます。これはわが国内におきましても、パイプラインというものは、石油ではございませんけれども、われわれの日常生活に使いますところのガスパイプラインあるいは水道、下水道、そういうようなパイプラインも使われておりますし、それから海外におきましては、先ほども申しましたように、アメリカにおいてはいろいろな面において、石油を含めまして百年の歴史を持ってそのパイプラインは使われているわけでございます。そういう事故実績ということを考えた上での保安対策ということを考える必要があるのではないかと思うのでございます。  それから第三点としましては、わが国は、言うまでもなく諸外国と違いまして特筆すべきことは、自然条件として地震が多い。地震があるという問題点と、地盤沈下の問題というものがよそよりも特筆すべき問題ではないかと思います。そういう問題点につきましていろいろと考慮を行ないまして、そして次のような問題というものを骨子としました一定のきびしい保安対策というものを考えながら、設計施工、管理あるいは運営というものを行なうならば、石油輸送安全対策というものは確保できるのではないかと思うわけでございます。  第一点に申しました材料の問題でございます。この材料の問題につきましては、先ほど申しましたように冶金工学進歩によりまして、現在使われようとしておりますところのハイテンの鋼管、この引っぱりの強度でございますが、これはいままで新潟地震だとか、あるいは最近使われておりますところのSTPGというパイプがございますが、それよりも強い強度を持つパイプというものを使おうとしているわけでございます。しかも、その設計にあたりまして、われわれが設計を行ないます場合においては許容強度というものをとります。安全率というものをとります。これは先ほど申しますように、パイプラインの中に入ります石油というものが、水だとか他のものに比べまして可燃性のものであるというようなこと、その他また周辺その他のいろいろな影響というものを考えまして、安全率を他の国よりもわりあいにきびしく、〇・四、いわゆる二・五倍というようなものをとり、なおかつその施工にあたりましては、溶接というものにつきまして特に慎重な考慮を払いまして、その溶接した結果におきましてはエックス線におけるところの撮影、それから超音波、さらにできましたら、区分的におけるところのパイプに対して圧力試験という、いわゆる安全率強度増加と、それからしかもそういう検査ということによって材料の安全というものをはかろうとしておるわけでございます。  あとでまた申し上げますけれども、外国損傷の例を申しますと、パイプラインにおいて、先ほど申しますようにアメリカでは百年の歴史を持っておりますがゆえに、その損傷要因というものを調べてみますと、わりあいに腐食による要因というものが多いわけでございます。これにつきましては、現在われわれとしまして考えられますことは、パイプラインの外側におけるところのものに塗布をするという、空気と鉄というものを遮断することによっての防食とともに、最近いろいろと研究されておりますところの電気防食、電流を通ずることによって腐食を防ごうというような問題につきましてあわせ考えることによって、腐食を少なくしようということについて考える必要があると思うわけでございます。もちろん、この腐食の問題についての原因をいろいろと調べてみますと、石油のうちの製品による腐食というものの事故は非常に少ないわけでございます。原油の場合は一部見ることができますけれども、少ないということ。それから従来ガスだとか水だとか、そういうパイプを行なったものについては腐食原因はございますけれども、現在行なわれております、近代つくられておりますところのパイプラインにつきまして、製品のものについては腐食によるものは非常に少ないというふうになっているような状態でございます。  それからさらに、設計並びに施工におきまして特に注意しなければならないものは、先ほど申しましたように日本自然条件である地盤沈下地震の問題でございます。まず、地盤の問題につきましては、土木工学的にも日本というものは全体的に非常に軟弱地盤というものが多いものでございますから、最近技術というものが非常に発展をいたしまして、もしもその上に構造物をつくる——これはパイプラインに限らないわけでございますが、その構造物の種類、性能に応じまして、その場その場において最もいい方法の改良なりそれからその動向なりを考えまして、地盤沈下に対応して構造物をつくっていくというのが、現在われわれの理論と経験による工学というものが相まって工学というものをやるわけでございますが、そういう方法によって地盤沈下というものは十分に対処し得るということを考えるわけでございます。しかも、関東かいわいの計画されておるパイプラインというものを見ますと、断層だとかいろいろな地盤におけるところの急激なる地すべりがあるというようなことについての顕著なるところは見当たりません。しかしながら、実際のルートがきまりますと、それにおいて地盤調査を行ないまして、しかるべき一番いい方法地盤沈下の問題については対処していくという方策が必要であろうかと存ずるわけでございます。  また地震につきましては御存じのように、いつどこでどういう震源において起こるということはわかりません。ところが、われわれ工学で高層の建築物をつくるとかあるいはいろいろな構造物をつくるということにつきましては、日本という地震多発地帯においては世界有数なる学者をかかえて、研究というものは進んでおるわけでございます。そういう意味におきまして、パイプラインの場合においてはあるいは地下一メートル二十とか一メートル八十だとか、そういうところに埋められるわけでございますが、それを埋めて、あるいはまた架線を横断したり、いろいろな方向によって一定ルートを通っていくわけでございましょうけれども、その振動、性状に応じて、それぞれの特殊の場合についてはそれぞれの場合におけるところのチェックを行なって、そのパイプで耐え得るかどうかというようなことにつきましてチェックを行なって、それについて対処をしていく。特にパイプラインの場合について考慮しなければなりませんのは、パイプラインかわり目のところでございます。パイプラインというものはA点からB点まで一直線に行くわけではございません。途中にブースターがあったり継ぎ手があっりいろいろな問題がございますが、そういう架線を横断するポイントだとかあるいは固定しなければならない不連続点につきましては、いわゆる必要に応じては模型実験、あるいはその場その場の土質条件、その他客観情勢というものをよく考えた上での設計というものを行なえば十分ではないかと考えるわけでございます。  さらに私は述べたいのは、そういう観点に基づいて設計を行ないまして、このパイプラインというものを操業した場合についてどういう安全対策をとるかということでございます。これはあるパイプラインを通りまして各所にパイプラインというものが分かれていきます場合において、現在いろいろと研究されておりますモデルというものをつくりまして、シュミレーションによりまして、操業中にもしミスのオペレーションがあったとかあるいは電気が停電をしたとか、そういうような場合において起こり得ますところのたとえば衝撃波だとかいろいろな問題につきましては、十分に対処するように設計すると同時に、また実働面の操作においては、コンピューターで制御装置をつくりまして、地震があったりあるいは圧力が異常に上がったり、そういうような場合については、その集中制御装置においてレバックしておのずからその運転がやめられるというような安全性を保ちながら操業すれば、一応その安全性というものは確保できるのではないかと思うわけでございます。ここに私は、そういうふうな前提におきまして、いろいろと考慮を払われて設計し、施工し、管理されるならば、一応石油パイプライントランスポーテーション方式は安全に、最も現在において有効に利用されるのではないかと思うわけでございます。  ちなみに外国事故の実例というものを、諸先生方はもうすでにお勉強になっておると思いますが、私の調べたところでは、先ほど申しましたように、これは歴史を持っておりますところのアメリカだとか、あるいは十数年来の歴史を持っておりますヨーロッパだとか、あるいは日本の場合においては石油はございませんけれども、いろいろな事故がございますが、まず外国の例を見ますと、先ほど申しましたように材料の非常に悪い昔のものというものの破壊による災害といいますか損傷というのが非常に多く目立っております。その次は腐食であります。さらにまた多いのは、いわゆるパイプラインに外的に力を加える、たとえば、いわゆる行政上の問題だとか、あるいはそういうことのミスによって外部から力を加えられてパイプが破損されたという例が非常に多うございます。しかしながら、最近で見ますところの例のサンフェルナンド地震ロスアンゼルス地震、それから新潟に起こりましたところのわが国地震等の例をとって考えますと、STPGでつくられましたパイプラインというものは、ほとんど損傷はございません。ただ一、二損傷がございますのは、たとえば橋梁にそういう高圧パイプを敷設しておったがゆえに、それが橋梁がこわれたためにやられたという問題があるわけでございます。そういうのが例でございます。そういうことでございますので、私の述べまする方法考えて、皆さんの官民一体の総合的な技術力の結集によって、一社のみの商業ベースというものではなくて、みんなが総力をあげてこのパイプラインというものをもしもやろうという技術的なものがあるならば、現在における日本技術力から考えまして、十分に安全を持ち、施工できるのではないかということを確信するわけでございます。  以上でございます。
  6. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、湯浅参考人お願いいたします。
  7. 湯浅欽史

    湯浅参考人 私は都立大学工学部湯浅です。私は土質力学専門といいますか、土に関することをやっておりまして、特にここ数年は土木工事事故の問題に関心を持って扱ってまいりました。そして具体的な個別の例についてずっと洗ってきたわけですが、昨年は特に千葉・成田パイプラインにおける住民の安全というのは技術的にどういうことなのかという観点からやってまいりました。以下四点にわたって私の意見を述べさせていただきたいと思います。  まず第一点は、現在審議中のこのパイプライン事業法案や、またはそれに基づいてつくられるであろう省令になると思うのですが、そう聞いておりますが、技術基準保安基準等々が、現在千葉・成田パイプラインが進行中なわけですが、それに抵触するのかどうか。逆に言えば現在行なわれている法案、ないしつくられるであろう技術基準なるものが、千葉・成田パイプラインを前提にしているかどうかということです。そのことが私にとってはたいへんな関心事です。なぜならば、現在見る限り、千葉・成田で敷かれようとしているパイプラインというのは、技術的にきわめて大きな問題、間違いと言ってもいいと思うのですが、それを含んでいる。だからそれを許容するような法案であるならば、今後同じようなたいへん問題の多いパイプラインがどんどん敷かれてしまうということなんです。それを一般的な形で法案の条文なり技術基準なりでもって規制し得るのかというと、そうではなくて、では現在出されている法案とか、今後つくられるであろう技術基準ができた場合、それが実施に移されて、実際にでき上がるパイプラインというものがどうつくられていくかというのが、現在の千葉・成田パイプラインを見ればよくわかるという気が私はしております。どういう点が問題かといいますと、大きく分けて二点あります。一つは、住民の意向をくむということがどういう形でなされてきたかということ。いわば空港公団が千葉市に申請をして、千葉市長が埋設の許可を与えたというこの半年ないし一年の手続問題であります。それから二番目に問題は、先ほど言いました技術的な検討、いわば公団がどのような技術的検討を行なったのか。それから千葉市が埋設許可の前提として行なった東工大の渡辺隆教授の技術報告書、これの内容がいかなるものであるかということが、すでに例としてわかっているわけです。この問題を考えることなしには、一般的な法文というのはそれが妥当かどうかということはできないだろうというのがまず第一点です。  次に、第二点は、それでは何をどういう項目をいかなる様式で検討すれば安全性の検討がなされたかといえるか。いわばどういうことを検討すれば安全だとか、安全じゃないかという結論が得られるのかという問題です。現在の技術は、土木工学に限らず何かものをつくろうとする場合に、そのつくろうとするものに対して、主要なモデルを考えまして、その定量化し得る要因について、そのモデルをつくった標準的な状態、それを設計条件といいますが、その設計条件考え、標準的な状態について計算をする。その計算が実際のその構造物と標準状態とのズレといいますか、食い違いは、いわば安全率でカバーするというような考え方を従来しておると思います。しかるに事故、特に地下埋設管の事故例などを見ますと、その起こっている事故例が、そういう標準状態考え要因、いわば主要な要因考えて標準状態をつくっているわけですが、その標準状態考え要因と全然関係ない、全く別な要因に基づいてこわれた、事故が起きたと推定していいわけです。それはおそらく大部分の埋設管の事故について考えてみると、そういう設計状態と関係ないいわば地震とか地盤沈下とか他工事によるものとかそれからオペレーターのミスとか、そういうような非常に特殊的な個別的な条件のもとで事故が起きている。そういうことですから、いま言った安全性の検討というのは、標準状態安全率が幾つにとってあるかという問題ではなくて、起こるかもしれないそういう個別的な特異な状態地盤沈下とか地震時とか、そういう特殊な条件のもとではどんな状態に埋設管がおかれるかということ、それについての検討がなされなければ、私は、安全であるとか事故が起きるとか起きないとかいう観点からの結論は下せない、そういう基本的な立場を持っています。住民にとってはまさに事故が起きるか起きないかということが問題なので、どれだけ安全率をとってあるか、どんないい方策がとってあるかということは住民にとっては関心がない。技術者のやる仕事というのは、いわば現在与えられた条件の中で、AとBとCとやる方式があった場合に、そのAとBとCのどれをとったらいいかという相対的な選択の問題でしかない。したがって、技術者が現在行なう安全性の検討というのは、そういう標準状態についての議論をしますから、相対的にはこっちをとったほうがいいという選択になるわけです。住民にとってはそうではなくて、まさに事故が起きるか起きないか、そういう特異な状態での検討を必要としているということです。以上が第二点です。  第三点は、初めに申し上げたように技術的な内容にかかわってくるわけですけれども、そのことを若干申し上げるわけですが、基準の一般的な表現、一般的な規定ではどうしても安全かどうかという結論は出てこなくて、具体的にいわば何丁目何番地をどういうふうにパイプラインが通って、これがいついかなるときにどんな状態になるかということを、そういうことは起こってみなければわからないわけなので、さまざまな可能性を推定していかなければならないわけです。そういう意味で、私が現在入手している資料では、千葉・成田パイプラインについて、標準設計といわれるようなデータが空港公団から出されているわけなんです。それに基づいて現在敷かれようとしている千葉・成田パイプライン技術的な問題点を一、二指摘したいと思います。おもに二点を申し上げます。その二点以外のことで、たとえば溶接とか検査の方法とかさまざまな問題がございますが、時間の関係もありますし、私の専門から若干はずれることもあるので、触れないでおきます。  まず第一点は、土荷重の算定ですね。パイプにどのような力が周囲の地盤ないし土から作用するかということです。あとでも触れますが、現在の設計方式は内圧によってどのような応力がパイプの中にできるかという、内圧に重点を置いた設計方式をとっております。それが第二項目で申し上げた、つくる側が考えている標準状態、それは内圧によって設計をしているということが問題ですが、私はむしろパイプにどのような外力がかかるかという問題があると思います。これは一番単純に考えますと、パイプにかかる鉛直方向の力はパイプの上に乗っかっているどろの重量であるというふうに考えるのが一番単純な考え方であり、現に国鉄のパイプラインを敷くために土木学会が委託研究を受けて出したものでも、パイプ上の土の重量をとるというふうに書いてあります。ところが、千葉・成田パイプラインにおいては、空港公団はそれよりも小さくしていいのだという観点から数値計算例を行なっています。このような状態が現在あるわけです。私が考えるのは、それは非常に理想的な状態でみぞを堀って、理想的にパイプを埋設し、そうっと上からどろをのせておくならば、パイプ上のどろの重量あるいはそれよりも若干少ない値があるということはあり得ます。したがって、たとえば室内実験を行なうなり、現場実験で非常に理想的なある短かい区間について測定を行なえばそういう実験データが得られると思いますが、地盤が変動した場合、地盤沈下とか地震のようにパイプが埋められている地盤自体が動いてしまう場合には、いわばパイプ地盤の中で無理やり動かされる、そのような状態の場合には非常に大きな荷重がかかってくる可能性がある。たとえば千葉・成田の場合でいいますと三倍程度の荷重がかかってくる。ちなみに、どのくらいの数値になるかといいますと、一センチメートル当たり空港公団は七・五九ですか、七・幾らの荷重がかかるというふうに考えているパイプの上の荷重というのは九・五キログラムくらいになるということですね。私の計算ですと、約三十キログラムに近いような値、三倍とか数倍とかいうオーダーの荷重がかかってくるということがあり得るということが技術的な第一点です。  第二点は、それと関係するわけですが、では、そのようにパイプにかかってきた力によってパイプにどのような応力が出てくるだろうかという計算なんですが、それも現在の空港公団ないしそのほかの国鉄のパイプラインの計算の基準なんか見ても、やったとしても、せいぜい断面内の、鉛管内の応力の計算しかしていない。ところが事故例を見ますと、パイプを棒のように考えたはりとか、けたが曲げられる、または勇断力を受けるというような事故方向の問題で事故が全部起きている。長手の方向の計算というのはほとんどやっておりませんで、その計算を、いまあげたような土から受ける荷重で計算しますと、降伏点荷重どころか、ほとんど破壊強度、破断強度まで達してしまうような計算結果が得られてくる。そういうふうな長手の方向の、事故方向の棒としての検討というのは一部行なわれていますが、それもきわめて理想的な状態についてであって、事故の起こるような状態というものを設定しないでやっている。だから、必ずそういう地震が来るとか、広い特異な地盤の不等沈下が起こるかどうかということは断定はできないわけですが、そういう可能性を十分秘めているときに、その可能性を技術的な検討としてつぶしていないということははっきりしているわけです。今後各省が集まってつくる技術検討の資料というのは、いままでの国鉄のパイプラインないし空港公団の計算の例からいって、おそらく同じようなものになるであろうということを私はおそれるわけです。  以上が三点目の技術的な問題点です。  ちょっとつけ加えますと、いま前田先生がおっしゃられたいろいろの、特に後半でおっしゃられた注意事項というのは、すべて千葉・成田パイプラインでは取り上げられていないということですね。そのことが非常に重要である、そのことをつけ加えておきます。  第四点に参ります。第四点は、結局つくる側、パイプラインを敷く側から考えるならば、パイプラインの建設費用、それから運転費用、そして事故の補償費用も含めたコストの合計を最小にしようとするのは、いわば当然の成り行きなわけです。したがって、あまり安全過ぎるようなものをつくるのはむだであるが、ある程度以上安全にするならば、むしろ万が一かもしれない事故は起こっていただいて、それを金で補償したほうが安くいくというようなコスト計算が当然なされている。それは事故の確率が何十万分の一だから、それを何百万分の一にまでしたほうがいいか悪いかという量的な計算はいたしませんが、技術者の意識の底にはそういうふうな考え方は当然あるということをまず指摘しておきたいと思います。この考え方は、住民の絶対的な安全性、要するに事故の起きる起きない、ないしは起きても被害が起こらないという立場と相いれないわけで、そういう意味では、いま言ったような万が一起こるかもしれないという形でもって問題が処理されること、事故が起これば十分な補償をするという立場というのは、私に言わせれば命の強制買い取りであるというふうにいえるだろうと思います。したがって、たいへん良心的に考えて無過失賠償責任というような項目をつけるにしても、それは命の強制買い取りを合法化するというか公認するものにしかすぎないだろうということを第四点目に主張しておきます。  したがって、技術的な検討としては、標準状態について安全率を見るのではなく、考えられる非常に危険な状態についての計算をしなければならないという問題の根拠になってくるわけです。もし、公共的事業であるから万々起こるかもしれない事故というのはその場合やむを得ない、補償するということであるならば、土木工学技術的な検討上からいって、それは明らかにお国のために住民に死んでもらうということを言っているにひとしいということが以上の議論から結論できると思います。  これで私の意見を終わらしていただきます。
  8. 鴨田宗一

    鴨田委員長 以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  9. 鴨田宗一

    鴨田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川次夫君。
  10. 石川次夫

    ○石川委員 たいへん参考人の皆さん御苦労さまでございました。  出光さんにちょっと伺いたいのでありますが、これはちょっと法案のほうの中身の質問とは違うので簡単に御答弁いただけばよろしいと思うのですけれども、石油は御承知のように生活必需物資であり、それから経済成長といいますか、生活水準の向上に伴ってだんだんふえていく。十五年くらいたてば三倍以上になるであろうというふうな計算がなされておるということは、われわれつとに承知をしておりますけれども、先般、東京における樹木が五十年で枯れてしまうのではないかということが資源調査会のほうから発表されて、みんなにショックを与えているのですが、私なんかは、それ以外にもいろいろなデータを見まして、二十一世紀に人類が生きられるのか、特に日本人は一体どうなるのだということを非常に心配をいたしております。そこで、東京だけに例をとってみましても、資源調査会の報告の結論としては、もうこれ以上エネルギーを使うことはやめろ、こういうふうな報告が出ておるのです。しかし、産業が進歩しなくても、生活水準が上がるということに伴って、やはりどうしてもエネルギーというものは多消費の方向にならざるを得ない。そこで考えられることは、日本人が生き抜くためにといいますか、木でさえ生きられないのじゃ人間が一体どうなるのだということがあるわけで、その根源がいろいろなことにありますけれども、やはり石油というものに関連が相当多いわけです。  そこで、GNPの一〇%を占めているという日本の産業構造というもの自体が問い直されなければならぬ時期に来るのではなかろうか。これはヨーロッパ先進国は五、六%というのが常識であります。それで、どうしてもこのエネルギー多消費という産業構造というものを変えていかなければならぬということと、あるいはまた石油というものがなかなか取得困難になるであろうというふうなこともありまして、一体いままでの惰性の、惰性といいますか、いままでのような経済成長のような考え方の上に立って、石油がただふえるのだふえるのだということだけではいけない反省期に来ているのではないだろうか、こういう感じがするわけであります。われわれは、別に経済成長そのものを否定しようというつもりは毛頭ありませんし、成長の中で環境の対策を立てるということも考えられなければならぬと思ってはおりますけれども、しかしいままでの惰性でどんどん石油はふえるのだということだけでは済まない時期に来ているというような点をどうお考えになっておりますか、ちょっと結論的でけっこうでございますが御所信を伺いたいと思うのです。
  11. 出光計助

    出光参考人 まことに貴重な御意見拝見いたしまして、われわれ石油人といたしまして、過去のこの数年の石油消費の勢いでいったらたいへんなことになるということは十分承知しております。それから、石油の価格も非常に高くなってまいりますので、ひとつ消費節約の運動もせねばなるまい、かように考えておりますが、何しろ背後に産業の進歩拡大というのがありますので、実は石油業界から申し上げますのはまことにおかしなことでございますが、原子力とかそういうものが早く安全に出てくれることを希望しておるわけでございます。  それから供給源の問題でございますが、御承知のように採掘技術が非常に進みまして、シベリアとかあるいは中東とかあるいは海洋掘さくというものが発達いたしまして、供給源はいまのところここ当分は心配ないのじゃないかというように見られておるようでございます。このまま七億、八億ということは非常に実は私も心配しておりますし、そこまではいかなくても、これは五億とか六億にいくことは、いまのところ間違いないのじゃないかというように考えられております。
  12. 石川次夫

    ○石川委員 それから安全性の問題で、前田先生と湯浅先生が対照的な御意見が出たので、われわれしろうと、ちょっと取捨選択に迷うようなところがあるわけなんですけれども、前田先生のおっしゃったことの中で、外国では腐食による事故が多い、こうおっしゃっています。私もそうだというふうに統計的に存じておるわけなんですが、先般のこの商工委員会では、他工事による事故が多いのだ、こういう説明をされておったので、これは間違いではなかろうか、こう思っておったわけであります。これは間違いではないだろうか、先生のおっしゃることのほうが正しいのではないか。私の握っておる統計でもそうなっておるわけです。その点をまず確認をいたしたいと思います。  それから、たとえば安全の問題で、二・五倍で安全係数〇・四だというようなことをおっしゃいましたが、これは内側の数字ですね。外側じゃございません。外側は一・一一倍で安全係数は〇・九ということでありますから、いまおっしゃった数字と若干違うのじゃないか。私の心配しておるのは内側の係数じゃなくて、外側のほうがむしろ問題ではないかと思っておるのですが、先生のおっしゃった数字は内側だけをおっしゃっておったと思うのです。この点がどうなのかという点をお伺いしたいと思うのです。  それから、新潟地震や何かで事故がほとんどなかったというふうにおっしゃっておりますが、しかも古いものだというふうにおっしゃっておりますけれども、これは土木学会の新潟地震調査団の報告では、最新技術の世界最高の水準によるところのアレク熔接によるところの鋼管、これが熔接部破損が三カ所もあるということが報告をされておるわけで、これはこの委員会で、古い鋳鋼、鋳管になるものであってほとんど事故はなかったのだという説明に対しては、私どもちょっと異論があるわけなんです。この点をどうお考えになっておるかという点です。  それからあと一つ端的に伺いますけれども、われわれは地震に耐え得る鋼管なんというものはあり得ないと思っておるのです。常識的に考えて。地震というのはこういうふうにずれるときもあるし、パイプに対してこうなるときも両方、いろいろありますね。こういうパイプに並行した場合には、これに対してパイプがつぶれるとか、これはある程度抗張力がありますから伸びるとかという、弾力性で耐えるということがあり得るかもしれませんが、横にずれた場合ですね、これに耐え得るパイプなんというものは私は考えられないと思うのです。そういうことに対しての安全度まで今度の場合に考えられておるのかというと、そうは私は思えない。とことんまで考えてはいるのですが、最悪の場合に対処してそこまで耐え得るのだということになったら、これはたいへんなことだと思うのです。そういうところまでは考えておられないのじゃないか、またできないのではなかろうか、こう思うのですが、この点をひとつ前田先生から伺いたいと思います。
  13. 前田慶之助

    前田参考人 ただいま四点の御指摘がございましたので、第一点の問題につきまして、パイプラインの過去におけるところのいわゆる地震による事故例というものがどういうものであったかということでございますが、これは最近の例としまして、いまおっしゃいますように、一番のパイプラインの大部分の事故というものは、アメリカ石油パイプライン事故の一九七〇年の調査を見ますと、外面腐食というのが大体四二・三%といわれております。それから日本では他の工事の際、誤ってパイプをこわすケースというのが七二%といわれております。したがって、これはおのおの国だとかものによって違いましょうけれども、私ははっきり日本でのパイプラインというものを考えてものごとを言いたいのでございますけれども、どちらかといいますと、はなはだ申しわけないのですが、日本におけるところの行政上の問題で、パイプラインにおける管理面という問題がはたして総合的な行政がやられておるかどうかということに疑問を持つわけでございます。つまり過去に起こりました、たとえば例の大阪のガス大爆発事件だとかあるいは板橋の事故だとかいうのを見ますと、これはいわゆる管理面というものが十分でなかったがために、たとえばつるはしを入れることによって事故が起きたとか、あるいはガスパイプが入ったにもかかわらず注意を怠っていたがために火災が起きたというふうな問題がございますので、その点については特に注意を要しなければならない問題ではないだろうかと思います。まあ、今度の場合は一応石油パイプラインができますと、そこに表示を行ないまして、一定の区間をおきまして監視員を置くでしょうからそういう問題はないにしましても、パイプラインに限らず、日本行政そのものがセクショナリズムに追われてみんなに災害をもたらすということはつまらないことだと思うものでございますので、その点は特に注意していただきたいと思います。  それから第二点の安全係数の問題でございます。これは、われわれ技術屋はちょっと言い方が悪いのでございますけれども、安全係数と申しますのは、一般に強度考えます場合において一定の破壊強度といいますか、たとえば鉄でありますと引っぱられて引張降伏点という、いわゆるまさにこわれようとする点があるわけです。これはちょっと専門的になってはなはだ申しわけないのですが、それの何分の一というものをとって、これまでの強度以下で押えなさいということになっておるわけでございます。普通、たしか建築土木においては、たとえば降伏点が四八〇〇ということにしますと、その三分の二以下でその力が出るのを押えなさい、それより以上は力が出ないようにしなさいということになっておるわけでございまして、そういう意味の許容応力のとり方が、今度の石油パイプラインの問題は——たしかアメリカが、許容応力の算定に〇・七幾つということだと思いますが、日本では二、三種類設けるような傾向にありまして、とにかく非常に道路のひんぱんなところだとか民家があるところだとかいうようなところの大体ほとんどが〇・四、あるいは非常に山地だとかなんとかで影響がないところというのはアローアブルストレスというものを緩和しておりますけれども、そういうものの考え方で強度設計というものを行なっておる。これはスタティックの場合においての強度設計を行なっておるということでございます。  それから、私先ほど申しました新潟地震の例でございますが、いまおっしゃいますように、新潟地震の例において原油パイプラインは一部破壊しております。その破壊の原因はいろいろあるでしょうけれども、その一つの例として、たとえば橋梁に添架してあったパイプラインが、橋梁が流失したことによって破壊したというような問題が起こっております。したがって私の申したいのは、そういうパイプラインを敷設します場合において、一定状態において支持された状態であるならばいろいろと問題はないのですけれども、不連続点が出てくるという問題点において非常に問題が出てきますので、そういうところにおいては特に留意して、現地に合わした設計方法というものをとるべきであるということを申しておるわけでございます。  それから最後は地震の問題でございます。地震の問題につきましては、先ほども申しますように、いろいろと実験が行なわれております。二、三の実験を申しますと、たとえば、御存じのようにいま道路を通しますのに沈埋工法と称しまして、海の底、川の底に沈埋管を敷設しまして、それを道路として使用しておる。これは鉄製のパイプでやっておるものもありますしコンクリートでやっておるものもございますが、当然これは水圧だとか土圧で拘束された中においてそういうパイプラインを敷設しておる。そして、そこでもって日本地震に対して耐えるかどうかというチェックの計算方法なり何なりも、一定のいろいろと考えられた方法において計算し設計されておるわけでございます。これは例をとるのははなはだ申しわけないのですが、はたして例が当たるか当たらぬか知りませんけれども、たとえば国鉄の新幹線、これのレール、軌道というものを一体として考えております場合に、昔は何メーターごとにウェルディングをしてレールというものはつないでおりました。ところが現在は、あのレールは一キロそのままほとんどノーウェルディングであります。軌道とパイプライン、必ずしもこれを相似とは言えませんけれども、毎日あれほど激しい高速でもってレールを走っておるわけでございます。そういう意味における振動の研究というのは世界に比べましてかなり進んでおるのではなかろうかということを私は考えております。そういうことで、いろいろと縦方向の伝播速度だとか、いまおっしゃいます横方向の伝播速度も考えて、過去の日本において起こった大きい地震だとか、あるいは将来起こるであろう地震に対しまして、そういうことを考えて将来の強度が達し得るような計算をするというようなたてまえであらなければならないと思います。  つけ加えますけれども、先ほど標準という問題がいろいろ出ましたけれども、私は工学立場において、もちろんあたりまえのところが標準であって、日本のような非常に土質状況が激しいとか、地震があるとか、あるいはいろいろと変化に富んでおるところについては、そのウィークポイントについてはケース・バイ・ケースで、よく経験に富んだ技術屋が、しかも理論的に経験的にものごとを判断して施工すべきではないか、設計すべきではないか、そういう気持ちを持っておるわけでございます。
  14. 石川次夫

    ○石川委員 ただいま前田さんからいろいろうんちくを傾けての御説明を受けたのでありますけれども、地震に対して絶対だいじょうぶだというふうな御答弁とはつながっておらなかったと思うのです。ところが地震についても絶対安全だというふうな方もいるわけなんで、どうもその点がわれわれあまり良心的ではないなという感じがしてならぬわけなんでございますけれども、技術者の考え安全性というのは、定量化された場合にある程度の許容度というか安全度を見たというふうな計算上のことでありまして、その場その場におけるところの適応性というものはあまり考えられない、考えることは不可能だというふうにわれわれは考えております。たとえていいますと、計算した応力と使用材料の弾性限界との割合を安全率というふうに見て、それにある程度の許容度を認める、こういうふうな計算の上に立っておりますから、日本のようにいろいろな地盤の違いがあろう、それから沖積土壌というものが多いという場合は、こういう計算上の考え方だけではいかないのではないか、その場合にどう対応しているかということで、まあ前田さんはいろいろ許容度の点で十分に考えられておるということなんですけれども、それに対して湯浅先生のほうは、もう成田の場合は——これから成田だけじゃなくて全国的に適用されようとするので、成田の場合は一つのはしりとして実験材料になるのじゃないかと思うのですが、許容度ということについてはあまり考えられておらないというお話が湯浅先生のほうからありましたので、具体的にそれはどういうことなのかということをひとつ湯浅先生のほうに御質問をしたいと思うのです。  それからあと一つ、何か土荷重の計算についていろいろ御意見があったわけなんですが、ちょっとわれわれしろうとでよくわからないのでありますが、何か計算が間違っておるというようなことのようにいま伺ったわけでございます。そこで、成田の空港の場合だと思うのでありますけれども、空港パイプラインの土荷重の計算が間違っておるというその内容についてひとつ御説明願いたいのと、いま私が申し上げた、地震でも安全だというようなことの御答弁にはいま前田先生のほうではならなかったと思うのでありますけれども、地震でもだいじょうぶだということは私は常識的にあり得ないという考えを持っております。その点はどうお考えになるか。  それから、いま〇・四の安全係数をケース・バイ・ケースでもって、それにある程度場所に応じてまた安全係数を考えていくのだというふうなお考えのようですが、これは私が申し上げたように、データを見ますと二・五倍の〇・四の安全係数というのは内側なんです。外側ではないのです。われわれが心配しておるのは、外側の安全係数がどうなるかということのほうがむしろ問題ではないのだろうか。そういう場合に、〇・四だけを例にとられますと、〇・四の内側の安全係数だけで、何か外側のほうも一応それでいっているような錯覚を与えるような感じがしてならぬわけでありますけれども、やはり外側のほうはいまの基準は〇・九という安全係数になっておると思うのです。これは内部よりもむしろ外部圧力に耐える外側のほうが問題なんであって、そのほうの計算が内側と外側でだいぶ違っているという点についてはしろうと考えでもちょっと心配な点なんでありますが、その点はどうお考えになるか。  それらの点について湯浅先生から御所見を伺いたいと思うのです。
  15. 湯浅欽史

    湯浅参考人 私の意見を申し上げます。  まず、具体的にはケース・バイ・ケースでどうやられているのかということの御質問なんですが、たとえば地震の問題についてちょっと考えていただきたいと思います。前田先生がおっしゃられたように、確かに、たとえば霞が関ビルのようなああいう地上構造物ですね、橋でもそうですが、橋とか建物とか地上に出ている構造物地震時にどのような力を受け、どのような挙動をするのかということについては、かなりここ十年というか数年進歩したし、日本は世界に誇ってもいいような技術を持っていると思うのですが、地中構造物について、どろの中の構造物がどのような状態に置かれるのかについては、いまほとんどわかっていないということがいえると思います。ですから、先ほど前田先生のおっしゃたのは地上構造物についての議論である。先ほどの新幹線のレールの場合でもやはり同じように考えられるのではないかというふうに思います。  それに関連してケース・バイ・ケースの例ですと、これは東京瓦斯の、いま天然ガスの幹線を引いておりますが、市原の住民説明会に私が呼ばれまして、お年寄りからの、市原のここのところを通るのに地震をどういうふうに考えてあるのか、関東大震災のときに、一メートルの地割れができたけれども、ああいうふうな場合パイプがどうなるのかという質問に対して、東京瓦斯の技術者が、首都高速道路は震度〇・三を考えているけれども、このパイプラインは〇・三五という安全な震度を考えているから平気であるという答弁をしているわけですね。それは技術者です。私は、地下に埋められたパイプは震度で——震度というのは簡単にいえば加速度のことですけれども、加速度でこわれるのではないということを申し上げたわけです。地中に埋められているものについての計算は、加速度の計算ではなくて変位ですね。ズレが起こるとか、地盤が動いてしまう。ズレに対してどういう考慮がしてあるかということをいわないと、地中構造物地震時の問題は検討してあるというふうにいえないのじゃないかという質問に対しては黙ってしまうわけですね。住民が答えるように要求すると、結局黙って、東京瓦斯は非常に高い技術水準を持っているから信用してくれということでもって片づけられてしまう。だから、実際のケース・バイ・ケース、場所、場所での設計というのは、そのような程度、といっていいのかどうかわかりませんけれども、そういう状態でもってなされているというのが事実です。実際、空港公団の場合でも、住民からの陳情書の中で事こまかな技術的な指摘が提出されているわけですが、それに対しては一切やはり答えない。だから具体的な、技術的な指摘には一切答えないで事態が進んでいくというような状態です。ですから、たとえば事業法案の中で知事の意見を聞くような条項があったと思うのですが、あれも結局、結果的にはほっかぶりのまま、技術的ないわば住民からの疑問点は全く解決——解決というか、回答すら与えられないで進むのではないかというおそれを持っているわけです。  次に、土荷重の計算の誤りというのはどういうことなのかといいますと、先ほど簡単に説明しましたけれども、パイプ上にある土の重量をとって、それに対してどろよりも減らしていいのじゃないかということが高速道路調査会の報告でもありますし、それから空港公団の計算例でもそうなっていますし、東工大の渡辺隆教授の報告書の中にもそういう考え方でよいというふうになっているわけです。これがいかにインチキ——インチキということばが適切じゃないかもしれませんが、技術上おかしなことかというのは、例証なんですが、ことしの四月に東工大の渡辺教授が東大の土木工学科に道路工学の講義に非常勤講師で行っていたらしいのですね。その第一回目の授業に、学生が、この土荷重計算の式はおかしいのではないか、公式の適用が誤っていて、むしろ今回の空港公団のパイプラインを埋めている標準設計のような状態考えると——具体的にいいますとみぞ幅が非常に広いわけです。三十五センチのパイプに対して一メートル九十というみぞ幅を持っているわけですけれども、その場合にはパイプの上のどろの重量よりももっと大きな数値をとらなければいけないのじゃないかというようなことを含めていろいろ質問したことに対して、渡辺教授は答えられなくなって、結局、授業をやめてその後ずっと休講になっている。渡辺教授は東大の道路工学の授業に出られなくなっているというふうなことが現に起こっているということを、私は東大にいる友人から聞いているわけです。それがどうして荷重をふやして考えなければいけないかというのは、結局パイプはフレキシブルとはいうものの、かなり剛性があるものですから、その周囲のどろよりもずっとやはりパイプはかたいわけです。そうすると、まわりで地盤沈下が起こった場合、埋め戻した土のほうがよけいに沈下するだろう、そうすれば、パイプの上にあるどろにはまわりの摩擦力がつけ加わるという考え方をしなければいけない、そんなようなことが大ざっぱなことなんです。  一番最後の質問の、外側の〇・九しか安全係数をとっていないということについてなんですが、空港公団の不等沈下計算書というのを見ますと、外力に対しては降伏点を越えなければよいというふうな言い方をしているわけですね。その計算自体が誤りがあって、ちゃんと計算すると降伏点を越えてしまうケースがその空港公団の不等沈下計算書の中にも出てくるわけですが、その〇・九をとるとかどうとかというのはほとんど意味はないだろうという感じがします。だから、一・一倍ならばいいといって、外側から加わる外力に対しては非常に条件設定があいまいな点が多い。したがって設計の基準に取り入れられていないわけなんで、外力に対して一・一倍だからいいというようなことはおそらく根拠がないだろうというふうに思います。以上で一応答弁を終わっておきます。
  16. 石川次夫

    ○石川委員 これで私の質問を終わりますけれども、先ほど前田さんが最初にお話しになった中で、溶接の検査は超音波とそれからエックス線と両方でやるのだ、精密な検査が行なわれるのだ、こういうことになっておるのですが、実はこの委員会の答弁は、高周波でもって検査をするのだということになっているのです。これは明らかに間違いではないかと思うので、その点を伺いたい。空港公団のパイプラインの場合はエックス線だけなんです。超音波はやらないようになっております。私どもは、やはり検査というものは精密にやらなければならぬし、細い亀裂とか純粋度とか不純物がどうなっておるかというふうなことをやるとすれば、どうしてもエックス線の透視の検査とそれから超音波の両方の検査が必要であると思うのです。その点はどうお考えになっておりますかということが一点。  それから、いま外力に対する一・一倍とかなんとかということはあまり意味がないと湯浅さんはおっしゃいましたけれども、念のために前田さんに伺いたいのでありますが、内側は〇・四なんですが、外側の圧力に対しては一・一一倍で、〇・九という安全係数がとられておる。これは、はたしてそれでいいのか。〇・九というのは正しいのかどうか。われわれは〇・九では安全係数としては不安定だという感じがして、内圧に対する〇・四と同じような考え方でいかなければいけないのではなかろうかという感じがするわけでございますが、この点どうお考えになっておりますか、あらためて伺いたいと思うのです。
  17. 鴨田宗一

    鴨田委員長 参考人に申し上げますが、答弁はできるだけ簡潔にひとつお願いをいたします。
  18. 前田慶之助

    前田参考人 ただいま御指摘になりましたウエルディングの問題でございますが、これは、あるいは超音波と申しましたかもしれませんが、要するに、やることはエックス線とそれから無破壊試験——いまの高周波でございますか、そういうものと、さらにまた現地における水を張るなり何なりやってやりますという方法をとって安全性を確かめたほうがいいでしようということでございます。  それからさらに安全率の問題が出ておりますが、それは結局内圧及び外圧の、外側、内側というような問題のようでございますが、いわゆる外圧に対して幾らとか内圧に対して幾らという問題につきましては、われわれの工学的な、いままでの材料力学上の問題からして重要度に応じて幾らということをきめるのでございまして、そういう意味において〇・九が正しいとか〇・四がどうかということについては、いままだきまったかきまらないか私知りませんけれども、そういう問題で検討してやればいいのではないかと思っております。だから、〇・四なければいかぬとか〇・九なければいかぬという問題でなくて、材料力学上の問題からして、外的の要因からして幾らであるかということを考えればいいのではないかということを考えております。したがって、一応内部的なものというようなものの——外側、内側というよりも、内部的な応力につきまして、いわゆる引張力につきましてそのくらいの安全度をとっておりますということを私が申し上げたので、あとはそういう問題で考えていけばいいんではないかと思っております。
  19. 鴨田宗一

    鴨田委員長 中村重光君。
  20. 中村重光

    ○中村(重)委員 技術上の問題については石川委員からお尋ねをいたしたようでありますから、出光参考人に、この附則の第六条で、土地収用法の一部を改正する、パイプライン事業を土地収用法の対象にするんだ。ところが、このパイプラインは、近隣の住民に対しては便益を与えるということが全くないわけですね。それだけではなくて、私は、安全性という問題について地域住民が非常な不安を持っているということは、新しい事業でありますだけに、想像以上なものがあるであろう。そのことは、計画の予定地域になっておりますたとえば千葉県であるとか、あるいは神奈川県であるとか、相当強い反対が行なわれておるということでも明らかであると私は思うわけであります。そういったようなことを考えてみますと、公益性があるということを言われておりますが、これは判断の問題にもなってまいりましょうが、私は、むしろ、公益性ということよりも、石油輸送合理化、もっと端的に言わしていただきますならば、むしろ企業内部の問題ということになってくるのではないかという感じもしないではないわけです。それらのことを考えてみますと、私は、公益性が強いという形において土地収用法を適用するということは、これはいかがなものであろうか、むしろ否定的な考え方を持っているわけですが、これはまあ、しかしながら与党が御承知のとおり多数でありまして、いろいろ修正の点について話し合いをいたしておりますが、これを抜きますとこのパイプライン事業を法制化することの意味が全くない、根幹そのものがくずれてしまうんだというような意見等も実はあるわけでありまして、そういった点から、この法律案が、この附則第六条はそのまま、土地収用法を適用するという形でこれが成立をいたしました場合、その業に当たりまする出光参考人といたしましてはどのような態度をもってお臨みになる決意なのか。伝家の宝刀ということではなくて、極力住民の納得という形において土地の問題を解決をしていく、こういうことでなければならないと私は思うのでありますが、その点に対するあなたの考え方をひとつ伺ってみたいと思います。
  21. 出光計助

    出光参考人 土地収用法を適用してまでやろうというような気は毛頭ないのでございます。先生おっしゃいますとおり、地域住民の方々の十分なる御納得を得た上でやりたい、こういうつもりなのであります。御納得を得ますにつきましては、実はこのパイプラインが通るのにその地方にちっともメリットがないじゃないかというふうにお考えのようでございますが、実はこのタンクローリーでございますが、これが地上をどんどん走りますと、実をいえばぶっそうなものであります。これをやめてしまって、しかもタンクローリーは往復でございますから、荷を運んで、帰りはからだ、二倍の輸送量になるわけでございます。それで、このタンクローリーを、人のいない、また火気等のない地下に埋めてしまおうというのがこのパイプラインでございまして、実は地域の方々には非常に喜んでいただけると思いまして、そのほうのPRでございますか、映画とか、漫画その他のものをもちましてよく御納得をいただきたい、これがその御納得の内容でございまして、きっと喜んでいただけるものだと、かように考えております。
  22. 中村重光

    ○中村(重)委員 次にお尋ねをいたしたいのは、この事業の許可がなされた場合、安全性確保と関連住民の利益を守るという点から、さらにまた石川委員もいろいろお尋ねをいたしておりましたが、安全性という問題について、私は、絶対でないということはこれはもう確かだと思うわけです。したがいまして私は、あらゆる努力というものをなされなければならないと思います。それらの点からいたしまして、あなたは事業運営するにあたってどのような決意でお臨みになる考え方なのか。いろいろと政府とか企業の姿勢を直せといいながら、依然として利潤追求という形でその姿勢を直さない、それが今日公害がどんどん続発をしている原因であると私は考えるわけであります。新しい事業でありますだけに、あなた方が胸を張ってこの事業運営に当たられようとするならば、私は、絶対に事故を起こすといったようなことがあってはならないとそう思います。そこに初めてパイプラインの意義というものを、国民がこれに共感をするであろうと私は思う。いま計画をされておりますのは関東パイプラインと国鉄パイプラインといまの成田パイプラインでありますけれども、新全総との関連において全国的にパイプラインを推進していこうとする政府の考え方でもあるわけでありますから、私は、当初この事業に当たられるという点についてのあなたの決意と事業運営の態度というものは重大な関係があろうかと思います。したがいまして、その点に対するあなたの決意のほどをひとつ、具体的な考え方を含めてお答えをいただきたい。
  23. 出光計助

    出光参考人 まことにごもっともな御意見でございます。安全対策に対しましてはアメリカが一番の経験を持っております。それからヨーロッパでも多分にありますが、ただいまアメリカから技師を呼びまして向こうの実例を取っております。いろいろ計画はありますが、これをさらに、そういう人々の意見で練り直しております。これに幾ら金がかかっても、これはもうぜひ安全ということを第一にやらなければならぬと思っております。御承知のようにこのパイプラインは、安定供給と低廉ということがありますが、その点におきましては、低廉はある点まで犠牲になっても、十分なる金をかけまして安全性確保したい、かように決心いたしております。
  24. 中村重光

    ○中村(重)委員 第三点にお尋ねをしたいことは、安全性確保していく、それには、絶対に費用を惜しむものではない、安全確保というものはうしろ向きではなくて前向きである、そういう考え方の上に立たなければ、私は、これからの事業の発展はあり得ない、そのように考えているわけであります。そうした考え方の上に立ってこの事業運営に当たります場合に、パイプラインによるところの通油コストというものはどの程度になるのか、それから御研究になっていらっしゃいますが、国鉄のタンク車によるところの輸送コスト、それからタンクローリーによる輸送コスト、この点についてあなたのほうで試算したコストをお示しいただきたいということが一点。いずれにいたしましても、私は、パイプラインによるところの輸送コストが一番低いであろうということは大体想像できるわけであります。そうなってまいりますと、この利益はだれが享受するのか。私は、石油精製業者だけがこの利益を享受してはならない、したがって当然このことは消費者にその利益というものは反映されなければならないと、そう思います。それらの点についてひとつ具体的なあなたの考え方をお示しいただきたい。
  25. 出光計助

    出光参考人 ただいままでの外国の例を申しますと、タンクローリーで運ぶよりも、このパイプラインで運べば大体十分の一ということになっておる。もちろん期間の問題がありまして、ここ二、三年ということでなくて長い間の平均の問題です。それから鉄道は、国鉄関係の賃率の問題がありますから何とも言えませんが、一応外国の例からいきますと、鉄道タンク車の半分でいく、こういう数字が出ております。大体長期で十年以上たちますと非常に安くなります。初めがちょっと高いということです。その計算の、負担の方法は今後研究の問題だ。  それからパイプライン会社の経営の原則といたしまして、ノーロス・ノープロフィットということを原則にいたしております。大体ヨーロッパあたりでもそうなっておりますので、ここから生まれます利益は消費者へお返しする、すなわち油の値段が安くなる、こういうことになりますので、どうぞその点御安心願いたいと思います。
  26. 中村重光

    ○中村(重)委員 お答えが十分でありませんでしたが、次に前田湯浅参考人に見解を伺ってみたいと思うのです。  三十七条に適用除外の条文が実はあるわけです。「第五条第四項及び第五項(第八条第三項において準用する場合を含む。)並びに第三十二条の規定は、日本国有鉄道が行なう石油パイプライン事業については、適用しない。」こういっている。第五条第四項というのは「主務大臣は、第一項の許可をしようとするときは、自治大臣の意見をきかなければならない。」第五条第五項は「自治大臣は、前項の規定により意見を述べようとするときは、関係都道府県知事の意見をきかなければならない。」第八条第三項は「第五条第四項及び第五項並びに前条の規定は、第一項の許可に準用する。」となっている。第三十二条は道路占用の条文であるわけです。これは鉄道敷を使おうというわけでありますから、わからないでもないわけであります。なるほど技術基準等については自治大臣との協議といった——自治大臣も主務大臣に実はなっているわけですが、第五条第四項であるとかあるいは第一項の許可、いわゆる許認可事項というものを、私は、国鉄パイプラインなるがゆえに自治大臣との協議というものを適用除外にするということは問題があるような感じがいたします。したがいまして、この点に対してどのようなお考え方をお持ちなのかという点。  次の質問は、比較の問題ですからたいへんむずかしい質問になるわけでありますが、異常災害等が発生をいたしました場合に、パイプラインとタンクローリーと、いずれが安全性というものを確保できることになるのであろうか。新潟地震の例等々いろいろな面を考えてみますと、ラインが事故ということになれば、石油がたくさん入っていますから、いろいろな規制的な措置を考えておるようでありますけれども、そんなものは役に立たないと実は私は判断をいたしておるわけです。午後から大臣並びに政府委員に質問をすることにいたしておりますが、そうなりますと、タンクローリーというものは何もずっと列をなして五十台も百台も並んでいるわけじゃないのですね。それらのことを考えてみると、必ずしもラインが安全性が確実であるというようにばかり言えないのじゃないか。なるほど合理化には役立つ、また、今日道路が非常にふくそうして、この間のガスの爆発のように玉つき衝突なんというようなことでたいへんな事故が起こってくる。ちょっと頭に浮かんでまいりますのは、これはもうラインのほうが安全だというように思われますけれども、諸外国の例、いろいろなことを想像いたします場合に、はたしてどちらが安全であろうかということ、きっぱり私の気持ちも実はまだ割り切れない気持ちでいるわけです。したがいまして、たいへんむずかしい質問になってまいりますが、両参考人、ずっと研究していらっしゃるようでありますから、これらの点に対するお答えをいただければ幸いだと思います。
  27. 前田慶之助

    前田参考人 先にタンクローリーといまの安全性の問題でございます。私はいま言われた御議論も一つの議論だと思いますが、一応いろいろな災害というものを考えてみました場合に、特に大都市におけるところの現在の交通量、そういうものから考えまして、このままで輸送手段というものをタンクローリーでやった場合とパイプラインとの比較というものは、はるかにパイプライン輸送のほうが安全性があるのではないか。これは必ずしも参考になるかならぬか知りませんけれども、OECDの調査におきましてもそういう結果が出ておりますけれども、特に地震だとかあるいは交通事故だとか、多発しているような問題につきまして、地上を走って、ひっくり返っていろいろな事故を起こすのと、一定の場所に一定の施設を置いて流すという場合との比較というのは、それのほうが安全性があるのではないかということを考えるわけでございます。  それから適用除外の問題につきまして、法律の問題はわれわれ技術屋はあまり詳しくありませんので、その点についてはよくこちらのほうで御審議を願いまして適用されていただければありがたい、こう思っております。   〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕
  28. 湯浅欽史

    湯浅参考人 まず安全性の問題ですが、まず第一番に考えなければいけないのは、パイプラインとタンクローリーとどちらが安全かという比較が住民にとっては全く意味がないということです。この点はよく踏まえておいていただきたいと思うのです。これは、空港公団が住民に対して、タンクローリーより安全ということで、もしパイプラインに反対するならタンクローリーを通すぞという発言に対して、千葉県の友納知事ですら、それは脅迫に当たるから慎んだほうがよいというふうに空港公団をたしなめているわけです。住民にとっては、タンクローリーが危険ならばタンクローリーを通さないでくれというふうに言うし、パイプラインがもしかすると事故が起こるかもしれないと思えばパイプラインを通さないでくれと言うのが当然の住民の立場であるということがまず第一点です。  それから、いま御質問の異常時にはどうかということになりますと、異常時では、たとえば地震等考えて、タンクローリーにおいてももちろん事故の危険があるわけですし、パイプライン事故の危険があるわけですが、その災害の規模をきめるのは、一カ所にどのくらいの可燃性物質がたまっているかということがかなり大きな要素となってきます。その意味では、タンクローリーが百メートル間隔とか二百メートル間隔で常時二十四時間走っているということはちょっと考えられないわけなんで、そういう意味からいいますと、パイプラインの断面にもよりますし、流速にもよりますけれども、断面だけ考えて、もし幸いにして緊急遮断弁が作動した場合を考えたとしましても、一カ所にかなり大量の可燃性物質が存在しているということは疑いもない事実です。地面に若干の勾配があって、たまたま低いほうのところで漏れが生じれば、緊急遮断弁をとめても、バルブ間隔、たとえば一キロメートルとか三キロメートルの間の石油というものは一カ所に噴出するわけです。それに火がついたら、おそらく非常に大きな災害が起こるということも考えられるわけです。ですから、一がいにどちらが安全かという議論はすべきじゃないし、全くのケース・バイ・ケースであるけれども、パイプラインの場合だったら非常に大きな災害に発展し得る要素は秘めているということはいえると思います。そのほか、タンクローリーでも非常にあぶないということはたくさんあるとは思います。  それから国鉄の除外については、私も法文上のことはよくわかりませんが、少なくとも技術的な問題とか、その技術的な計画の妥当性を踏まえた許認可というのは当然同じような性格を持つであろう。ある場合には国鉄のパイプラインのほうがずっとあぶない面を持っているし、一つは、よくいわれている電気防食の信頼性が低いということと、もう一つは、たとえばスイスなどでは、幹線道路とかそういう鉄道敷に沿ってパイプラインを埋めることを非常にきらっているという規定をつくってあります。そういう意味からすれば、鉄道敷に敷くというのは非常に問題が大きい。幹線道路に敷くのももちろん問題が大きい。諸外国では、大体パイプラインというのは原野を走っているというのが常識なんで、タンクステーションなどもなるべく原野というか、人口のないところにつくりますし、万やむを得ない、ある何百メートルなり何キロという区間は市内地を通ることはあると思うのですが、大体の常識としてはそういうふうに考えておるというふうに思います。  以上です。
  29. 中村重光

    ○中村(重)委員 私が前田参考人にあえて適用除外の問題をお尋ねいたしましたのは、単なる行政上の問題としてお尋ねしたのではないのです。エネルギー調査会のほうで、国鉄がこのパイプライン事業をやることは適当ではない、そうした意見が出されておるということ。前田参考人審議委員でもいらっしゃるわけでありますから、それらの点について、いろいろいまの安全性との関連があるわけで適用除外をすることは、単に技術上の点について自治大臣と協議がなされるといたしましても、当初の許可それからそれに基づくところの具体的な計画についての認可といったような場合に、自治大臣を全く疎外してしまって、国鉄がやるのは、国の機関だからこれと関係はないんじゃないかといったような態度で臨むということが、私は安全性の上から問題があるんじゃないかというようなことで、特に技術的な点で御見解があられるのではないか、審議委員であられるだけに、私はあなたの御意見を伺いたかった、そういう意味でありますから、そういう意味でお答えをいただきたい。
  30. 前田慶之助

    前田参考人 お答えいたします。  いまの国鉄のパイプラインの問題でございますが、この許認可の問題でございますが、これは、線路敷をいろいろパイプラインを通す、国鉄が通す、そういうものにおける安全性の問題はいかんということがポイントだろうと思います。したがって、じゃ鉄道の下にパイプラインを敷いた場合において、いかなるいろんな問題点があるのかということを考えなければならないということだろうと思います。  この問題点は、先ほど議論されておりますように、国鉄のわきに、中心から四メートルでございますか、離してパイプラインを設ける場合と、それから幹線道路パイプラインを敷く場合におけるところの安全性の問題と、それからタンクローリーあるいはタンク車で運ぶ場合におけるところの安全性の相対的な問題であろうと私は考えます。そういう安全性から考えてみまして、国鉄は国鉄のいわゆる技術と申しますか、そういうものですべてを多角的に検討をいたしまして、そうして、しかもこのいろんな技術水準というようなものを加味してそういう問題を解決するならば、それと同等以上の安全というものができるという面に立った問題点において許認可という問題が出てきておるのじゃないかと思います。そういう意味において国鉄のパイプラインも一応、先ほど申しました技術的問題、そういう問題というものが全部一応実行されるならば安全であるという方向で考えていいのではないかと考えるわけでございます。
  31. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員長代理 橋口隆君。
  32. 橋口隆

    ○橋口委員 本日は、参考人の方々にはおいでいただいて、ただいま貴重な御意見を聞かしていただいて非常にありがたく存、ずる次第でございます。  石油パイプライン事業法案をこの委員会審議いたしておるのでございますが、輸送安全性とコストの低廉化、これをねらってこういう法案を通そうということで連日審議を重ねておるのでございますが、もうすでにお聞きになっておるとおり、委員会意見が実は分かれております。これは主として安全性の点についてでございます。ただいまも二人の委員の方からお話がございましたが、これに関連して、私も若干の点についてひとつお伺いしたいと思います。  日本では初めてのことでございますから、どういう事故が起きるか、その点は非常に懸念いたしております。そういう点で、海外でもうすでに百年の歴史を持っているわけでございますが、いままでどのくらいの事故、まあ小さいのは別でございますが、大きい事故がどのくらい起きて、また最大の事故としてはどのくらいの規模のものであったか、そういう点、おわかりだったら聞かしていただきたいと思います。これは前田参考人にまずお聞きしたい。
  33. 前田慶之助

    前田参考人 お答えいたします。  事故の例で私がいろいろ調べたもので、まあ大きいと申しますのはドイツの例ではないかと思います。これは西ドイツのノルトライン・ウェストございます。大体口径二十八インチで肉厚が〇・九二ミリというパイプラインでございまして、これで、パイプの長手方向に亀裂が入りまして、そして長さ百四十二センチ、幅十三センチのものが出まして、油が流れ出たという実例がわかっております。これは、事故発生は一九六六年でございますけれども、敷設した時期から考えますと、もう十年くらい年月がたっておりまして、先ほど申しますように、いわゆる鉄の、この鋼管をつくる製作技術というものが、アメリカよりも、ヨーロッパで使ったときにおいてはまだまだ発達しておりませんでしたものですから、そういう点で、主として技術がおくれておったのじゃないか、そういう点で事故が起こったのじゃないかということを考えるわけでございます。   〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕 それから、そのときの出た油の量がわりあい多うございまして、千三百立米というふうになっておりますが、これは実は、この発見する場所も遠かった関係で、大体処置を講ずるまでに非常に時間がかかりまして、そういう時間がかかったがために油が漏れ出る量が多かったということでございました。しかしそのときに、そういういろんな火災だとか災害があったかというようなことについては、そういう意味の災害はあっていないわけでございます。  その他の例としまして、最近に見ますのは、別に石油パイプラインにおいての事故というものの災害では、現在の技術においてはさほど目にとまるような大きい災害というものはあっていないようでございます。ということは、いろんなそういう事例というものを参考にし、すべての安全的なものを考え施工及び設計がされておると考えていいのではないかと思うわけでございます。
  34. 橋口隆

    ○橋口委員 湯浅参考人にちょっとお伺いしたいと思いますが、あなたのお調べでも、いままでそういう事故はあまり起きておりませんですか。
  35. 湯浅欽史

    湯浅参考人 私はそれほど詳しく、いわばシラミつぶしに調べているわけじゃないのですが、地震時等または平常時でも、国内、国外とも幾つかの事故を調べております。——それは申し上げますか。
  36. 鴨田宗一

    鴨田委員長 簡単にひとつ。
  37. 湯浅欽史

    湯浅参考人 たとえばロサンゼルスの地震の場合なんかでも、石油パイプラインに若干の被害が出ていますが、一つは、天然ガスパイプラインにおいてかなり大きな事故が起きています。これは社会的な条件が違うので災害には至っておりませんけれども、溶接個所が六十カ所こわれている。まあそれは溶接技術の問題ということが一つはあるのですが、そのほかに、同じパイプラインで二カ所の事故があったというふうに報告されています。その事故というのは溶接個所以外で、圧縮力を受けまして、ちょうちんのようにこうパイプ自身の中にパイプがめり込んでいくような、座屈といっているのですが、そういう事故が二カ所報告されております。このことは、もしパイプの溶接が非常にじょうぶにつくられているならば、六十カ所の溶接部の破損のかわりに、そういう溶接部ないし非溶接部のそういうふうな座屈とか引っぱり破断の事故というのがかなりあっただろうというふうに考えられます。  以上です。
  38. 橋口隆

    ○橋口委員 ただいまお二人の参考人の御意見を聞けば、あまり海外ではそう大きな事故は幸いにして起きてない。まあ人命に支障を起こしたり家屋を焼失したりするような事例はないようでございますが、日本の場合は、今度のパイプラインでは市街地を通過する、また地質上、断層とかあるいは地震が多い、そういう点で非常に懸念が多いのだろうと思います。そういう点で、先ほどから前田湯浅参考人の御意見を聞いていると、前田先生のほうはまあだいじょうぶだろう、こういうような印象を受けるのでございますが、湯浅先生のほうは、非常に疑問がある、ことに現在成田で問題になっているけれども、あの程度の許容限度であれば、これはもうなかなかこの事業法は通すのは非常に無理じゃないかというような御意見のように聞いているのでございますが、まあわれわれしろうとでございますから、ひとつ常識的に、いまの日本技術あるいは世界の技術を取り入れた場合に、この事故を食いとめるだけのそういう措置ができるかできないか、その点についての技術的な見解を簡潔にひとつお答えいただきたいと思います。
  39. 前田慶之助

    前田参考人 私はできると思います。それは強度だけの問題にこだわらずに、構造物その他今後の仕事というものは、土木、電気、機械、総合技術を結集してやらなければならない事業が多いと思います。したがって、未知の問題もありますが、それはそれなりに現在の技術で解決していけばパイプラインの敷設だったら私は現在いわれております安全性を持ってできるものであると思います。
  40. 湯浅欽史

    湯浅参考人 いまの御質問にあったように、私は結論からいえばできないということを考えておるわけですね。それは先ほど言ったように、一口で言って、いまの技術考え方というのは標準状態について設計しているからである。だから異常事態が起きた場合については、異常事態というのは不等沈下等も含めてですが、それに対する計算というのはほとんどなされていない。実験をやるということも、それは再現性のある現象だけについて意味があるので、再現性のない状態——それは端的に脱線事故なんというのは絶対に再現できないわけですよ。同じような列車編成で何回走らせても、百回走らせても脱線が起きなくても、一回だけ、あるときに脱線したということはあり得るわけですから、事故要因については再現性がないということですね。そのことからいって、私はできないというふうに申し上げていいと思います。  以上です。
  41. 橋口隆

    ○橋口委員 出光参考人にちょっとお伺いいたしますが、いま技術上の見解からすればはっきり両極に分かれているわけでございます。それをこの法案が通過すればまっにおやりになるのは関東パイプラインだと思いますが、その責任者として、いまこの御意見をお聞きになってはたして自信がおありになるか、また自信があるとすればどのような方法でいまのような不安を消しとめるか、そういう点についての御見解を伺っておきたいと思います。
  42. 出光計助

    出光参考人 先ほども申しましたとおり、技術的の問題は、先進国のアメリカそれからヨーロッパ、実例たくさんありますからその例を引くし、それから実際にそれをやっておる専門家がおります。こういう人をいま日本にも呼んでおります。要するに人間の全知をしぼりまして、少々金が高くなっても、安全性に関する限りは人間の頭で考えられる最高の技術をもって進めたい、かように思っております。どうぞ御安心願っていいと思います。少なくとも、タンクローリーで地上を走るよりもずっと安全であるということだけは断言できると思います。
  43. 橋口隆

    ○橋口委員 出光参考人のお話を聞いて非常に安心しておりますが、万全を尽くしてひとつこの処置をとっていただいて、国民に不安のないようにしていただきたいと思います。  そこで、次にお伺いしたいと思いますが、今回日本では鉄道敷の路線を国鉄は計画しております。これは海外ではおそらく例がないんだろうと思いますが、一体その点はどういうふうにいま現状はなっておりましょうか。海外でこの鉄道敷を通しているラインがございますか。前田参考人にちょっとお伺いしたいと思います。
  44. 前田慶之助

    前田参考人 法律が各国においてもいろいろ違っておりましてあれでございますが、これはデータの確たるあれはないですけれども、フランスで一部通しておるのが、法律以前のパイプとしてある。これは石油パイプラインじゃないかもしれませんが、あるということを私は読んだことがございますが、それ以外は私自体記憶にありません。
  45. 橋口隆

    ○橋口委員 この点はわれわれも非常に心配しているところでございまして、世界で初めて鉄道線路に沿うてパイプラインを通す、そういうようないまだかつて見ないそういう工事をするわけでございますが、聞くところによれば、われわれしろうとの聞き方であるいはおかしいかもしれませんけれども、鉄道の電流によってピンホールといいますか、管にピンホールが生じてそれで非常に危険な状態におちいる、こういうふうなことも聞いておりますが、その点はどうでございましょう。これは湯浅参考人お調べになっておりませんか。
  46. 湯浅欽史

    湯浅参考人 私はあまり電気防食のことについて詳しく調べておませんが、友人から聞くところによると、確かにやらないよりは腐食は少ないという事実は出ているようです、実験事実は。ただやれば安全かどうかということについての確認は、いまのところまだなされていないということですね。それはやはり実験室的な規模というよりも、むしろ実際につくったいままでの経験を照らし合わせるよりしようがないというような側面が非常にあるので、やれば確かに効果が、やらないよりはいいということがあるという程度だと思う。
  47. 橋口隆

    ○橋口委員 道路沿いの場合は先進諸国にも非常な例があるわけですから、これは十分研究すれば安心じゃないかと思われるのですが、鉄道の場合は初めてだ。そういう場合、これは十分検討を要すると思うのです。そこで、国鉄ではこの点は十分自信があると言われているのですが、国鉄の結果をお聞きになってどういうふうにお考えになりますか。この点は前田参考人にちょっと伺いたいと思います。
  48. 前田慶之助

    前田参考人 国鉄の考え方も、おそらく基本的にはわれわれが普通工学的に考えます設計問題点での考え方に基づきまして思考しておると思います。したがって、いま国鉄の場合違いますのは、いまいろいろと先生から御指摘もあったように、いわゆる迷走、漏洩電流という問題があるようで、私自体が電気防食専門じゃありませんが、それはアースなりそれから、選択排流方式と申しまして一応電流を全部吸収して流してしまうというようなことで一応安全というものは確保できるという電気防食技術専門屋の意見が出ておるようでございます。したがって、問題は上に鉄道が通る、そこの横にパイプラインがあるという問題でございますが、その点については、現在考えられ得る問題点についての諸般の事項の安全性というものを考慮すれば、国鉄のパイプラインも同様にいけるのじゃないかということを考えております。
  49. 橋口隆

    ○橋口委員 この問題は非常に重要だと思いますので、特に鉄道がいよいよ高速化していく場合には非常に民衆の不安は高まると思います。したがって、今回のこのいわば道路敷によるパイプラインの場合、それと並んで国鉄の場合の安全性というものについて、これは先生方からも十分今後とも御検討をいただきたい思います。  そこで、出光参考人にお伺いしますが、万全の処置を講じた場合に、先ほど中村委員からも質問がございましたけれども、非常にコストがかさんでくるだろうと思います。しかし、問題はパイプラインによって石油輸送のコストを下げるということですが、具体的にちょっと数字をお示しいただきたいと思うのですが、現在輸送コストが大体二〇%内外と聞いておりますけれども、それが一体どのくらいに下がるものか、その辺のめどを、関東パイプラインが完成した場合を想定してお答えいただきたいと思います。
  50. 出光計助

    出光参考人 十年いたしますと非常に安くなるわけでございまして、ただいまバージとかタンクローリーで運んでおります現在の料金、これがどうせ十年すればまた高くなりましょうが、現状のローリー、バージ代と比較いたしまして、十年したらそれから漸次現在の半額くらいまで下がっていく、こういうふうに考えております。御承知のように非常に投資金額が多いので、当初、当分は高くなると思います。そういう見当でございます。
  51. 橋口隆

    ○橋口委員 このコストが非常に節約された場合の利益を消費者に還元していただくことがパイプラインの国民に及ぼす一番大事な点だろうと思います。その点についてはぜひともひとつ十分な御配慮をいただきたいと思いますが、その点、もうすでにそういう御用意があると思いますけれども、一応御所見を聞かせていただきたいと思います。
  52. 出光計助

    出光参考人 パイプライン事業は公益性の強いものでございますから、ノーロス・ノープロフィット、これを経営の原則にいたしております。その点はどうぞ御安心願いたいと思います。
  53. 橋口隆

    ○橋口委員 最後にちょっとお伺いいたしますが、関東パイプラインを具体的に例にとりました場合、道路以外の場所をいまの計画では相当通過すると思われますが、それは何キロぐらい通過することになっておりますか。現在の試案ではどういうふうになっておりますか。
  54. 出光計助

    出光参考人 道路及び河川敷を除きましてごく一部でございます。全体の五%以下と思います。その見当でございます。何しろこのジョイントになる部分がありますので、これからの具体的の数字はそれが出ないと見当つかないのでございますが、いずれ将来、国鉄ラインと結ぶようになっておりますので、その辺の関係でそういう数字が出てくると思います。
  55. 橋口隆

    ○橋口委員 非常に大きな問題で、それを想定しまして、この法案には土地収用法の規定を適用するように、こうなっているわけでございますが、先ほども中村委員からもお話がございましたように、これをやるということは伝家の宝刀であって、これを適用するようなことになれば、これは最悪の事態である、こう考えなければならないと思います。それにしても、全体の五%というとおそらく数キロにわたると思いますが、これについては、もうおそらくそういう地点もおわかりだと思いますけれども、大体土地収用法を適用しなくても円滑に話し合いがつく見通しがあるかどうか、その点をちょっと伺っておきたいと思います。
  56. 出光計助

    出光参考人 この業法が通りましてから、各地方の県知事、市町村関係の方にお願いしようと思っておりますが、ただいま内々、一部当たっておりますが、非常に好意的に考えていただいております。表面にはちょっと出しにくいと思います。どうぞ御安心願いたいと思います。
  57. 橋口隆

    ○橋口委員 それでは十分ひとつ配慮していただいて、このパイプライン事業法の趣旨が貫けるように、そういうような工事をしていただくようにお願いしたいと思います。  本日は、皆さまお忙しいところ、わざわざおいでくださいましてありがとうございました。
  58. 鴨田宗一

    鴨田委員長 樋上君。
  59. 樋上新一

    ○樋上委員 本日はお三人の参考人の方々、たいへん御苦労さまでございます。多少重複するところがあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。  まず前田湯浅参考人にお伺いするのでございまするが、現在までわが国において発生した事故の件数、その中でどのような種類の事故が多かったかということが一つ。  それから、タンクローリの事故の場合には局所的な事故に限られると思うのですが、地下埋没管の場合は、大阪ガス爆発事件のように規模が非常に大きくなると思うのです。そこでパイプライン埋没管の事故の典型的なものを一つ説明していただき、その状況から、どういう対策が打たれたか、また打つべきかということをまず御説明願いたいと思うのでございます。
  60. 前田慶之助

    前田参考人 日本事故の例とおっしゃいましたか。——日本事故の例は、石油パイプラインは御存じのように現在ペトロケミカルの会社でやっておる程度でございますので、あまり事故の内容というのが明確にされておりませんのでございますが、ただ一般にいえますことは、先ほども申しましたように、行政上のいろいろな不行き届きからパイプラインを、間違えてパイプを傷つけたとか、あるいは土木工事の機械が入ってこわしたとかいうようなことで、あの悲惨なる大阪のガス爆発事件もそうでございますが、そういう問題が起こっておる。水道管の破裂の場合とか、そういう問題もそういう場合が非常に多いという問題点と、やはり全般的に見まして、従来におけるパイプそのものの材質というものが悪かった。それから溶接技術が足りなかったという点が主たる原因のようでございます。  それから、いまおっしゃいますように、なるほどパイプラインというのは一貫してある一定のボリュームのもとにそういう石油を流すわけでございますから、安全性の問題からいいまして、タンクローリー一台と比較した場合においてどうかという御不安があるだろうと思います。それにつきましては、一応緊急弁と申しまして、いわゆる集中コントロール方式になっておりまして、一応いろいろな、地震があるとか停電があるとかあるいは事故で漏洩するというような、それなりの機器なり相当のものを使いまして、主要なところには、一定の限度にバルブでもって押える。なおかつ各所で実験をしておりますが、パイプに水を入れて一定圧力で爆発させ、実際に破ってどのくらいまでふき上げるかというような実験もやっておりますけれども、ばあっとふき上げるような例はありません。じわっとにじみ出したというような実験データが大学の資料にも出ております。それで、そういうふうにバルブを適当のところに設けて油の量を一定の量にすると同時に、圧力が減りますから、一ぺんにそのもの全部が流れ出るというようなことはないというように考えております。
  61. 湯浅欽史

    湯浅参考人 簡単に申し上げます。事故原因については、わが国ではおそらく他工事によるものが非常に多いだろうというふうに思います。災害の典型的な例ということは私もあまり詳しく知りませんが、一つをあげておきますと、オハイオ州で、昨年でしたか一昨年でしたか、一月にパイプラインの漏洩がありまして、それは結局七千人の人が約一昼夜にわたって避難するというふうなことが起こっております。その場合でも、おそらく人身事故は起こしていないだろうと思うのですが、そういうふうなことを考えますと、先ほどからも事故例というものはしばしば出てくるわけですが、被災例というものが出てこない。これは一にかかって社会条件が全く違うので、日本であれば、おそらく事故例のかなりの部分というのは、被災、人身事故、財産事故、物損に結びつくだろうと思うのです。いままで幸いにしてその被害が少なくてどうのという御発言が何人からかありますが、これは外国であるからなのであって、日本の場合はそうではなくなるだろうということを一言申し添えておきます。
  62. 樋上新一

    ○樋上委員 地震において一・五メートルぐらいの地盤の動きがあった場合は、パイプラインはだいじょうぶか。特にバルブはどうか。バルブを締めるのに九十秒かかる、こういわれているのですが、その点はどうでしょうか。
  63. 前田慶之助

    前田参考人 地震の場合に一・五メートル程度、埋めたパイプの振動の性状というのは、どういう挙動をするだろうかという実験も、実験室でございますから大きい実験ではございませんけれども、まあ弱電程度のものを起こしましてやって、変位その他においての測定というものは、東京大学の岡本先生等なされております。それによりますと、いわゆる地震が起こった場合につきましては、一応どろと一緒にある程度挙動するであろうというようなことで、むしろ一番重要なものは、いまおっしゃいますようにバルブのポイントだとか、あるいはそういう不規則なポイントが一番重要なポイントだと思います。したがって、そういうところの構造というものについては、柔構造を考えながら保安を考えなければいかぬという問題があると思います。  それからいまのバルブを締める問題は、私は三、四十秒ぐらいと考えております。というのは、まず、それはいろいろと過程がありますからわかりませんけれども、現在の集中方式でいろいろと調べたところによりますと、たとえば地震とか、あるいは異常に気圧が上がる。そうすると制御装置に知らされる、知らされてからいわゆるバルブを締めるのに二、三十秒かかる、だから四十秒ぐらいかかるのじゃないか。しかし四十秒かかるというのは、かかる時間が長いから悪いということではないと思います。ある流通したものをぼっと締めると、ウォーターハンマーリングという現象が起こって、非常に異常なる圧力が上がる。そういう意味において、技術的にはある程度の時間も必要であるということを考えております。
  64. 湯浅欽史

    湯浅参考人 いまの問題でちょっとつけ加えておきますと、一つは、九十秒かかるという問題は、いま前田先生のおっしゃられたように急には締められないということなんで、万々うまくいった場合に九十秒かかるというふうなことが、おそらく空港公団の資料の中には出ておるということです。  それにつけ加えますと、空港公団の計画においては、パイプラインと一緒にそういう通信用のケーブルが入っておるわけですね。そのケーブルの強度についての検討が全くなされてないので、地震時にそのケーブルが切れれば、指令やそれから圧力測定の結果等が計算機に全く入らないということになります。それが一点です。もう一点は、非常用電源がないということですね。たとえば緊急遮断バルブはもちろん電動になっておるのですが、そのモーターを回す電気の電源というのは、民家というかその付近からとっているので、その付近が停電になれば、通信ケーブルは切れなくても緊急遮断バルブは動かない、そういう二点の問題です。  結局、通信ケーブルの安全性の問題というか、信頼性の問題と、それからそういう電源の問題がその場合にはあるということです。
  65. 樋上新一

    ○樋上委員 さらに湯浅参考人にお伺いするのですが、現在計画中の新東京国際空港のジェット燃料はどのような種類のものか、その危険性はどうか、またそれらに対する対策はどうなっておるのですか、お伺いしたいと思うのです。
  66. 湯浅欽史

    湯浅参考人 ちょっといま資料が手元にございませんが、空港公団のパイプラインは二本通します。いわゆるジェットAという燃料とジェットBという燃料で、片方は大体灯油とほとんど同じということです。それから片方は灯油とガソリンとほぼ半々にまぜている。これは発火性をよくするために、航空でやっている場合には灯油だけでは燃えが悪いのでガソリンをつけ加えている。ものが燃えるのは、そこからガスが気化して着火するわけですから、大体灯油とガソリンと半々にまぜた場合には、ガソリンと同じような着火性を持っているということですね。それから燃焼したときの燃焼カロリーは、大体石油製品、重油でも灯油でもガソリンでも、それほど大きな違いはない。いわば一グラム当たりの発熱量は大体同じだというふうに考えていいと思います。軽い油と重たい油は揮発性の違いによって発火性が違う。だから、灯油とガソリンをまぜれば、大体揮発性のいいほうの油に近い発火性を持つ。具体的に言いますと、マイナス二十度とか三十度とかいうあたりの温度でもって発火することができるというふうな性能です。
  67. 樋上新一

    ○樋上委員 輸送についてお伺いするのですが、現在、成田は三十気圧、横浜は七十気圧で輸送しているのですが、この点、危険はないのでしょうか。湯浅さんに伺いたい。
  68. 湯浅欽史

    湯浅参考人 圧力の点について言いますと、結局、われわれが日常生活をしている場合に、どのような圧力のものがあるかといいますと、都市ガスの場合は〇・一キロとか〇・二キロとかいう圧力でもって家庭に引き込まれていると思います。それから水道はせいぜい、数階建てのビルを考えればいいのですから、せいぜい二気圧ぐらいであろうと思います。それから道路などをこわすさく岩機の圧縮空気の圧力が大体五気圧から七気圧というものを使っていて、われわれの日常触れることのできる、おそらく考えられる最高の圧力というのは蒸気機関車のピストンの中の圧力、これが十五気圧です。それに対して、石油パイプラインの三十気圧、七十気圧という圧力がわれわれの日常生活の中に入ってきた場合どうなるかということは、非常にわからない、危険を予想させるものがあるということです。したがって、もっと高圧、たとえば三百気圧、五百気圧というのは化学工場のプラントの中の反応槽などはあるわけですけれども、それは万一爆発があっても、自分の工場の責任で、自分の物的損害を補償してその保安装置をきめておけばいいので、第三者に対する被害がないわけです。ですから、第三者に対する被害がないものについて認可条件と、それから第三者に対して被害を及ぼすであろうそういう公共的なというか、公衆と触れるような圧力とは、全く別に考えなければいけないということを強調しておきたいと思います。
  69. 樋上新一

    ○樋上委員 さらに湯浅参考人にお伺いするのですが、現在紛争中の千葉港と成田新空港を結ぶ航空燃料問題です。この航空燃料輸送パイプラインについてですが、千葉市と新東京国際空港公団の間に結ばれた新東京国際空港に係る航空燃料輸送パイプラインに関する協定書の第五条の中で、「空港公団は万一空港公団の責に帰することができない事由によりパイプラインに係る事故が発生した場合においても当該事故に起因した被害については補償の責を負うものとする。」と、無過失責任のことが明確に記入されているわけですが、当然法律の中にも明記すべきだと私は思うのですが、この点はいかがお考えになりますか。
  70. 湯浅欽史

    湯浅参考人 先ほど一番初めに私が申し上げましたように、私は無過失賠償責任の条項というのは、いわば命の強制買い取りであるというふうに考えております。したがって、それは入れたほうがいいか、入れないほうがいいかという問題ではないというふうに思いますが、もし、かってにつくってかってに殺すことがあれば、それは賠償金が払われるほうがいいか、払われないほうがいいかといえば、払われるのが当然だというふうに考えております。
  71. 樋上新一

    ○樋上委員 この点はそのぐらいにしておきまして、今度はひとつ前田参考人にお伺いします。  石油パイプライン事故が非常に心配されておるのですが、もしこの事故があったときには、非常に広範囲に及ぶ事例があるのです。これは一九六九年の十一月、オハイオ州のデイトンの消防局長ルイス・F・ローザ氏の報告文によります。また国内におきましては四十四年一月十五日の朝日新聞に掲載されておったのですが、一九六九年、昭和四十四年一月十三日に、米国オハイオ州のうイマ市で、バックアイランド社のパイプラインが破れて、まっ黒な原油が街路にあふれ出たため、約八千人の住民が終夜避難した。爆発のおそれのために、クリスチャン・モリス市長は事故発生の二時間後に非常事態宣言を発令して、約百五十の市町村区の住民が逃げ、同市の交通機関は運転を取りやめた。原油は路上三、四フィート、一・二メートルもふき上がり、油が水洗便所から家の中に流入した家もあり、さらに流出した油は二・五マイル、約四キロ離れたポンプ場近辺で十五回の爆発を起こし、大火災となった。ポンプ場の損害は約二十五万ドル、当時で九千万円だった。また、オタワ川に流れ込み、川がまっ黒になったので、オイルフェンスのダムを設けて、水の汚染を防ぐためにタンクローリーでくみ上げた。このパイプラインは二十二インチ管のスチール製で、安全装置として流量圧変化で自動的に警報を発し、ポンプを停止できるようになっていた。事故損失油量は約千八百五十バーレルに及んだ。こういうことが事例としてあるのですが、こういうことは御存じでしょうか、また、これに対する御感想など述べていただきたいと思うのです。
  72. 前田慶之助

    前田参考人 ただいまの事故のことについては、詳しく私、知りません。ただ、いまお聞きしましたので、実際問題として、もしも早急にあれであれば調べまして、どういう材料で、どういう問題で、どういうことがあったのかということを当然調べてみたいと思います。いまおっしゃいますように、パイプラインは確かにそういう事故がある、あった場合においてはきわめて危険であるという前提のもとに、安全性考えてこういう計画をしなければならぬと思っております。したがって、それがどういう時期に、どういう材質で、どういう場所で、何の原因でやられたのかということを調査しまして、それによってそういう事故が絶対にないような方法論というものを累積して、いままでの世界の各国もそういう事故の累積を重ねまして、原因を追及した上での保安関係というものを考えていくべきではないかと思っております。
  73. 樋上新一

    ○樋上委員 出光参考人に最後にお伺いいたしますが、米国においては、一九七〇年四月よりパイプラインに関する取り締まり権限は連邦鉄道局に委任され、安全規則についての意見を公募した。いわゆる地元住民のコンセンサスを得るために公募した。現在実施されておるのですが、現在わが国においてもこの方式を取り入れるべきではないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  74. 出光計助

    出光参考人 何しろわが国におきましてはこれは初めての企画でございますので、地域住民との話し合い、納得、これを前提といたしますので、そういう御希望が各地方から出てまいります。十分それを取り上げて考えたい、かように考えております。いまのところ、まだこの業法が出ませんのでそこまで踏み切っておりませんです。
  75. 樋上新一

    ○樋上委員 私は、そうすることにより、現在の問題になっている新東京国際空港のようなことは起きなかったのではないか、こう思うために申し上げるのでございまして、なおさらに出光参考人にお伺いするのですが、スイスのパイプライン法を調べてみますと、第三十三条−四十条の賠償義務及び保険の中の第三十五条の責任保険原則の中に、「パイプライン施設の営業主は、スイス国内での営業を許された保険企業において、第三十三条及び第三十四条に定める営業主の賠償責任の保険し得る危険を補償するための保険を契約しなければならない。」、こうあるのですが、これは当然この法律においてもこの責任保険を私は明記すべきであると思うのですが、この点についてどうお考えになりますか。
  76. 出光計助

    出光参考人 スイスにはたいへんいい規則ができておると聞いておりますが、まだ中身はよく研究しておりませんので、そういう貴重な御意見はぜひ取り入れて研究の対象にいたしたい思っております。
  77. 樋上新一

    ○樋上委員 もう一つ最後に出光参考人にお伺いするのです。これは前の委員からも話が出ておりましたが、今度のこのパイプラインの法案が通って施行するにおいて、輸送費その他について相当な経費の節減、そういうようなものがあって、それはどうしても消費者に対してその差金が反映するようでなければならない、こう思いますし、先ほど御答弁の中にもそういう意思があるとおっしゃいましたが、EC諸国でパイプライン事業を行なったときには石油価格はあまり下がらなかった、こういうような例があるのですが、この点、だいじょうぶでしょうか。
  78. 出光計助

    出光参考人 結局、タンクローリーで運ぶかわりにパイプラインを使うのでございますから、それだけ安くならなければならぬと思います。目先すぐどうということはありませんが、将来は非常に安くなることはお約束できると思いますし、その利益は消費者にお返しするのがほんとうだと考えております。
  79. 鴨田宗一

    鴨田委員長 川端文夫君。
  80. 川端文夫

    ○川端委員 時間もだいぶ過ぎてまいりましたし、欠食児童のような残酷物語になってはいかぬから、重複を避けまして一、二点を承っておきたいと思います。  そこで前田参考人にちょっとお尋ねしたいのだが、先ほど冶金技術進歩によって非常なハイテン鋼管ができて強度が非常に進歩しておる、したがって安心だと言われておるわけですが、先般、大阪瓦斯の爆発事故を私国会から派遣されて調査に行ったのですが、問題は圧力強度だけではないように思うのですね。言うならば、あのような事故は特殊な工事によっての、先ほどからお話しあった強度によっての問題ではあったのだが、しろうと考えですが、あれがもう少しパイプに伸縮の問題が与えられておればあれまでいかなかったのじゃないかという感じをとっさに持ったわけです。たとえば、最近できておる自由な継ぎ手ですか、ボール継ぎ手でももう少し方々にあれば、屈伸にある程度幅があれば、ああまでならなかったのじゃないかと思うのですが、強きに対してはかなりの進歩を見たというけれども、今日の鋼鉄管には伸び縮みのできるような制度がないから、やはり地震等なり地すべり等が出てまいりますと、これらに対抗するには強度だけではできないのじゃないかという不安が払拭されないのですが、これらに対して新しい技術として何か見通しがあるのかどうか、お考えがあるのかどうか、お聞かせをいただきたいと存じます。
  81. 前田慶之助

    前田参考人 私の説明が何か冶金術のあれで強度増加を非常に強調したようなかっこうでお受け取りになったということは申しわけないと思っていますが、いま先生がおっしゃいますように、こういう構造物設計というものは、御指摘のように強度だけよくすればいいというものではないのです。たとえていうならば、振動だとかそういう外力が働いた場合に柳のようにふわふわとして、それによって柔軟性を持ち得るような方式論をとるというのはわれわれ技術屋として当然なことだと思います。ただ、これは技術の問題でございますが、強度をある程度増してきますと、そういうフレキシビリティーと申しますか、そういう問題が場合によっては反比例するという傾向は確かにございます。したがって、強度増加と同時にそういう柔軟性をどう持たせるかという問題を全体のパイプライン内にどう展開していくかというのが問題点だと思います。それには、たとえば先ほども何度も申しておりますように、パイプラインはただAからB地点に一直線に敷設されるものではございません。途中にブースターがあったり、あるいは河川を越すようなところがございますし、地上に出るところもございます。そうなりますといろいろな条件が加わってきますので、そのときにその柔軟性にたえ得るような、たとえば円形のパイプを曲げておくとか、それはそのケース・バイ・ケースでそういう応力というものをスタディーいたしまして十分に持ち得るような設計方法というものをとらなければならないし、また施工上においてもそういうことを考慮してやらなければならぬというような方向で設計は進められているわけでございます。そういうほうでまた考えるべきだとぼくは思います。
  82. 川端文夫

    ○川端委員 もう一点ぼくはお尋ねしてみたいと思うのだが、先ほどからも議論のありました腐食の問題でも、日本規格というものはあまりにも狭いのじゃないか、あるいは使用個所によってある程度相違点があっていいんじゃないか。これは出光参考人も後ほど御理解いただけると思うのですが、たとえばこれは陸上の問題ですけれどもも、太平洋岸の発電所や何かで使用している場合に、13クロムなら13クロムの材料を使ってやれば何年使ってもさびの問題が出ていなかったのに、最近日本海の発電所にいろいろ施設物を屋外につくったものに対して、まだ一カ月か二、三カ月の間にさびついて動かなくなったものがあって、いろいろ問題を起こしたということも私は事実として知っているわけです。したがって、規格というものの中に、使用個所によってある程度やはり幅が、幅というか、これはどういう表現が適当か知らぬけれども、同じはがねでも使用個所によってある程度の柔軟性の必要なものと、強度のみあればいいというものと、どうも日本は製鉄所が大き過ぎちゃって、一貫して一つの型できめている規格というものが、だんだん多様化している時代に合わなくなっているのじゃないか、こういう問題点も感じられる場合があるように思うのですが、いかがでしょう。前田参考人、特に技術者ですからお聞かせいただきたいと思います。
  83. 前田慶之助

    前田参考人 いまの基本的なお考え方というのはたいへん参考になる御意見だと思います。ただ、これは一がいには言えないのでございますけれども、構造物のほうから申しますと、いま、たとえば、スチールパイプとかたいほうのスチールパイプを場所場所によってつないで柔軟性を持たせたらいいかというようなことを仮定いたしますと、たとえば地震のときだとかそういうことによりまして、いわゆる基本的な材質の物理的な性質の差によりまして、一定地震の波動というものが相違を来たしまして、そこの継ぎ目のポイントというものが非常にウィークポイントになる可能性がある。そういう点が開発されますと、そういう問題点は、いわゆる経済的にも、またいろいろな面においても柔軟性を持たせてやる方法はいいと思います。同じ材料を使いましても、先ほど申しますように、一定のところに直線で置かれるわけじゃなくて、いろいろなところを通り、いろいろなところへフィットされることもございますので、そのためにいろいろな外部的な要因によって事故を起こしておるし、力が多くかかっておるわけでございますから、そういう構造上の設計の問題についてはそういう問題点があるということでございます。  それから、防食の問題につきましては、私、ほんとうの防食専門屋でございませんので詳しいことはわかりませんけれども、おっしゃいますような方法で、いわゆるファーストコストから考えてみて、計器測定をやって、腐食したらあぶないなということで交換してパイプをやったほうがいいのか、あるいは何十年絶対さびないのだという方法で高いものを使っていいのかということは、そのときに経済比較なり使用方法によって考えてやればいいのではないかというように考えております。
  84. 川端文夫

    ○川端委員 この導管は鉄管をお使いになるわけですから、私はそういう点で、欧州を回ったときに、たとえば刃物一つにしても、日本の刃物とゾルゲンの刃物は、日本技術が高いといいながら何としてもかなわぬ。それから自動車一つにしても、生産技術その他において日本技術はかなり進歩したけれども、耐久力においてはやはり欧州のほうがまさっているということをいろいろ考えて、聞いてみたところによると、同じ規格の鉄材を使うにしても、使用個所によって、欧州においては鉄鉱石の産地が近いためにいろいろな方法において、小鉱炉であるため使用部品に応じた鉄鋼をつくって、規格の範囲の中でも使用個所によって、たとえば硬度を要求しているとか柔軟性を要求するというものをつくっているから欧州のものはいいのだという説明を聞いて、なるほどなと思ったのですが、原料のない日本では、やはり大型製鉄所をつくってやっているために、こういう初めての仕事に対して、もっとこまかい配慮による原料の使い方、材料の使い方があってしかるべきじゃないかと思うのですが、それには日本の製鉄なり原料そのものが、規格的なものをつくって、画一的な人間をつくるような画一式な方式であるために、パイプも丸棒も同じ規格のワク内できめておるところに問題があるのじゃないか。これをもっと先生方ごくふういただけないかと常々考えているのだが、いかがでしょう。こういう点で何か御意見があったら、前田先生から…。
  85. 前田慶之助

    前田参考人 何度も申しますように、いまのような基本的なお考え方というのはわれわれも賛成でございます。そういう規格というものを、あまり規格規格にとらわれまして新しいものごとに対して積極的にやり得ないということは技術の退歩にもなりますし、そういう意味においてはぜひ積極的に取り組まなければならないと思います。  ただちょっと、構造上の問題にあえてこだわるわけじゃございませんけれども、残念ながら日本は、諸外国をお回りになってもおわかりのように、地震国である。そういう意味において構造というものはどちらかというとマッシブなものが多い。それは、諸外国を回りますと、建物その他においても気づくことでございますし、そういうことについて、日本は、振動問題、地震問題、そういうものに対しまして、いまおっしゃいますようなものがもしも適応し、あれするようだったらこれは幸いなことでございまして、ぜひ積極的に取り組んでいかなければならない問題だと私は思います。
  86. 川端文夫

    ○川端委員 もう一つ、時間の関係ではしょってお尋ねしたいのですが、言うなら、国鉄沿線のパイプライン敷設の問題で、あなたもパイプラインの敷設に対する審議会の答申に参画されたということを承っておるわけですが、国鉄の場合に予想できることは、先ほどるるあったわけでありますが、世界に例がないからやらぬほうがいいということでは進歩がないし、私は、世界に例がなくても、日本で安全だというならやるべきものはやったらいいじゃないかという、この一歩前進のものの見方、進歩の見方をとりたいと思うのですけれども、不安だという問題点は、この法案審議の中にこれだけは注意しろ、こういう問題点があったら、ごく端的に御指摘おきを願いたい、こう思うわけです。
  87. 前田慶之助

    前田参考人 いまの国鉄のパイプラインの問題については、御指摘のように、違う問題点というものは、列車事故というものがあって、たとえば脱線事故があった場合において、貨車が転覆して現在の埋めているところにばっと衝撃的な力がかかる、あるいは架線がたれる、電気的な問題が出てくるというような問題が一番問題点ではないかと思います。したがって、そういう緊急の事態というものは、まず上を通る線路自体に、いままでの事故例その他考えて、まず線路はそういうことが絶対にないような方法論というのを、これはもう確実にないような努力を国鉄にやってもらわなければならないということと、それから一方パイプラインにつきましては、万が一そういう事故が起こった場合につきまして早急に送油を停止させる、同時にそういう貨車とか何とかが転覆してきましてその上層面に落ちてきた場合において、はたしてそのパイプライン強度がもつかもたないかというような、衝撃的な力に対する強度の算定という問題について十二分の配慮を払う必要があるのではないかということを考えます。
  88. 川端文夫

    ○川端委員 出光参考人にお尋ねしたいのですが、けさからの多くの同僚からの質問等をお聞きになっていただいて、答弁もありましたけれども、少なくとも、いま関東パイプラインを計画されて発想をお持ちの立場から見れば、多くの不安が国民の中にあるという考え方をお持ちいただけたのじゃないか。そうであるとすれば、この基準というものが当然国民世論を背景にして強くなってくる、もっと強化されていくということに対しての心がまえについて何かお感じになったことがあればお聞かせ願いたい。
  89. 出光計助

    出光参考人 安全基準に関しましては、これはますます強くなるということは十分覚悟いたしております。またそうなければならぬと思います。具体的にいまどうというものは持ち合わせておりませんが、これは厳重に守りたいと思っております。
  90. 川端文夫

    ○川端委員 かなり長距離のパイプラインを敷くわけですから、基準の強化によるおたくの会社の計画、予算というものにも狂いが出てくるのじゃないか。ことばでいかにその覚悟をお持ちであっても、その予算の増大というもの、基準強化による予算超過に対して準備ができますかどうか、この点もお考えを述べていただきたい、こう思うのです。
  91. 出光計助

    出光参考人 十分に用意しておるつもりでありますが、さらに会社の増資をいたしますし、さらに政府にも十分お願いいたしておりますので、どうぞひとつ御協力、御後援願いたいと思います。
  92. 川端文夫

    ○川端委員 質問を終わりますけれども、けさからのそれぞれの角度からの質問を十分御参考にしていただいて、国民の不安のないような工事を進めていただきたいことを、要望を強く申し上げて私の質問を終わりたいと存じます。
  93. 鴨田宗一

    鴨田委員長 米原君。
  94. 米原昶

    ○米原委員 もう時間もありませんし、同僚議員からの質問でほとんど私の聞こうと思った点も回答されておりますので、二問ほど最後に補足的な意味でごく簡単にお聞きしたいのです。  一つは湯浅参考人にお聞きします。湯浅さんは千葉・成田パイプラインのことを検討されたようでありますので、千葉県で実際に反対運動が起こっている中で、主要な不安、事故の不安ということが主要だということは先ほど聞きましたけれども、その反対理由の主要な問題点はどこにあるかという点と、そういう住民の意見がいままでの過程で一体取り上げられているのかどうか、この法案が通過した場合にどういうことになるかというような点について、ごく簡単に最後的にひとつ説明を聞きたいのです。
  95. 湯浅欽史

    湯浅参考人 簡単にといえば、住民の意見が全く無視されてきたという一言に尽きるわけですけれども、若干例示しようとするならば何点かは指摘できると思います。  一つは、パイプラインを通す道路の買収にあたって全くのペテンが行なわれたということですね。それは、千葉市において、水道管を通すので土地を売ってくれといって農民から土地を買ったという。農民は、パイプラインのうわさがあるので、パイプラインは通さないんですねということを念を押し、できたらそのことを市に一筆書いてほしいというふうに言ったら、公の機関は絶対うそはつかないので一筆を書く例がない、じゃ信用すると言って売ったら、そこに今度はパイプラインを通すことになって、周囲の今後——あの辺はスプロール化する地帯ですが、そこの地価の低下を非常に農民は心配しているという、まず一つはその買収のペテンということです。  それから二番目には、たとえば市長は初めから、住民の意向とか議会の意向とかを十分聞いてあの埋設許可の判こを押すと言っておきながら、議会の結論も待たないし、それから住民の説明会等もほとんどやらずというか、沿線から離れたあんまり反対の激しくないところだけやって済ましてしまって、そういうふうな前言を千葉市長は全部ほごにしてしまったということですね。  それから、それに関連するのですが、現在に至るまで反対運動をいまだに続けている地域、すなわちまさに沿線の、接している地域には、市長は一度も足を運んでいないという事実がございます。  それから四番目に、検討のプロセスでいうならば、一口で言って責任分散であいまいにするということなんですね。本来ならば空港公団が技術的な責任というか、説明、住民の納得を得なければいけないのに、それをいわば市が肩がわりし、市は中にプロジェクトチームなるものをつくって検討したと称する。プロジェクトチームの報告を読んでみると、技術的な検討は一切学識経験者にまかした。まかした相手というのが、先ほどちょっと述べました東工大の渡辺教授の報告書という形でもって、いわばそういう問題点のたらい回しと分散化ということですね。そういうようなことが実際に行なわれて、住民が空港公団に直接事情説明なり希望を述べるとかいうことを事実上はばむような形でもって行なわれてきた。そのことは、急速八月の中旬にパイプラインルートを発表して、一挙に十月着工というふうに持っていこうとした意図、これにも十分あらわれていると思うわけです。ですから、絶対これは住民の納得を得ようという、いわば誠意のある取り扱い方ではなかったということをつけ加えておきます。
  96. 米原昶

    ○米原委員 それから出光参考人に、先ほどこれはお答えになったことですが、コストダウンした場合に、その分だけは消費者のほうに回すという発言があったのですが、これもさっき話がありましたけれども、国会図書館で出しておるレファレンスという雑誌の百六十七号で、FECの例がかなり詳しく書いてあるのです。そこを見ますと、パイプラインを通した結果としての石油輸送費と精製費のコストダウンにもかかわらず、最終消費価格の値下がりは見られないとはっきり書いてあるので、これも一つ重要な問題点だと思う。出光さん、先ほどその分だけは消費者のほうに回すんだということを明言されましたが、これは今後非常に問題になる点だと思うので、ここではっきり実は約束していただきたい。この点についてどうでしょう。
  97. 出光計助

    出光参考人 御承知のようにOPECがやかましくなりまして、原油の値段が五カ年間ずっと上がるようになっております。いまのパイプラインによる配給経費の安くなった分は、当然その分だけは油の値段、消費者にお返しする、安くなるということでございます。それ以上に原油その他の分が高くなりますと、差し引きどうということは別でございますが、消費者へお返しするというこの原則ははっきりとここで申し上げておきます。
  98. 米原昶

    ○米原委員 では終わります。
  99. 鴨田宗一

    鴨田委員長 以上で参考人に対する質疑は終わりました。  まことにありがとうございました。委員会を代表してあつくお礼申し上げます。  午後二時三十分より再開することにし、暫時休憩いたします。    午後一時十七分休憩      ————◇—————    午後二時三十八分開議
  100. 鴨田宗一

    鴨田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  政府に対する質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。木原実君。
  101. 木原実

    木原委員 お許しをいただきまして、パイプラインの問題について質問をいたしたいと思いますが、まず大臣に、この法案につきまして一、二お伺いしたいのですが、すでにこの委員会でも、この法案の審議の中で、安全性の問題、主としてこれでいいのかという多くの論議が行なわれてまいりました。また、きょうは、午前中、専門家の参考人をお招きをいたしまして、これまた安全性の問題等を中心に意見の聴取等が行なわれたわけであります。これらの審議を通じましてかなり問題点が明らかになったようにも考えられるわけでございますけれども、何にいたしましても、安全という問題は、ある意味ではすべてに優先をする問題だ、こういう観点からいたしますと、なお私どもは、この段階でもこの計画に何がしかの疑問をやはり残さざるを得ない、こういう感じでございます。  そこで、逐次お伺いをいたしますけれども、この法律を実施するにあたりまして、安全という問題、この法律の中には、パイプラインによって輸送するほうが経済的にも効率が高いし、あるいはまたタンクローリー等に比べてはるかに安全性が高いのだ、こういうような観点でこの法律が提案をされておるわけでありますけれども、しかし安全の問題は事国民の生命財産にかかわる問題でもありますし、大臣の、この法律を中心に安全という問題についての御見解をまず伺っておきたいと思うのです。
  102. 田中角榮

    田中国務大臣 都市の周辺、また過密の都市部分を通過するものもございますので、パイプライン安全性確保ということは一番重要であることは御指摘のとおりでございます。いま御指摘がございましたように、現行のタンクローリーの輸送に比べても非常に安全性が高いということは、もう御指摘のとおりでございます。それから、大量のガスを送る場合に、ボンベでもって送れないので、いまのガス事業というものがパイプを埋設をしてガス供給を行なっておるということも同じことでございます。それから、新潟から東京までいま天然ガスパイプラインガスを送っております。それから、いま東京瓦斯が東京周辺に対して同じくパイプラインによる高圧ガス輸送をいま実施中でございます。そういう中で、これからやはりパイプラインで送るということは、もう不可避の状態でございます。特に立体化してくる、建物が立体化すればパイプでもって、パイピングをして送る以外にないわけでございます。そういう意味で、時代の要請、都市構造によって過密の中でガソリンそれからガス、水、すべてのものがパイプ輸送になるという趨勢にあるということが一つ考えられます。  それから、アメリカでは百年の歴史がある。十五、六年以上のヨーロッパ歴史もある。だから、日本はその上に日本の特性というものを加味して、材質その他非常に安全度の高いものを使うということでございますので、パイプラインの安全、これは一〇〇%安全ということはないと思うのです、飛行機もやはり相当な低い率ではありますが墜落をすることもございますし、それはもう絶対安全性確保されておりますということは申し上げることはできないと思いますが、これ以外に方法もないし、それから現在行なわれており将来も行なわれなければならないタンクローリーによる大量輸送に比べても非常に安全度の高いもの、あと残るものは、もう全く万一の災害にも備えて安全装置をよりよけいにつくるとか、点検を十分にやれるような体制を整えるとかということに、残された問題はそこだけと思うわけでございます。そういう意味で、道路に関しては建設省——建設省も一番地盤軟弱なところを最大の貨物が通った場合どうなるとか、いろいろなことを専門家の判断にゆだねておるわけでございますので、まあ地球上におけるこの種のパイプライン輸送の最もいいものをつくろうということであることだけは申し上げられる、こう思います。
  103. 木原実

    木原委員 どうも大臣の御見解は少し安全という問題についてやや楽観的に過ぎるのじゃないかという感じがいたすわけでございます。一般的なことよりも、問題になっておりますのは高圧で石油輸送するということなんですが、御意見の中にもありましたように、何にいたしましても、諸外国のいろんな事例等もあるわけでございますけれども、わが国としては初めてこれから着手をするという遠距離のパイプライン、しかしすでに事業計画等が片方では進んでおる、そういう状態の中で、しかもこのわが国状態の中では非常に過密なところを通らなければならない、あるいはまた地震だとかあるいは地盤が軟弱であるとか、場合によれば地盤沈下がかなり進行しておるような地域——私の選挙区なんかはその典型的なところなんですけれども、よりによってそういうところを通る。諸外国の例は、たとえばシベリアでもあるいはアメリカでもその他のところでも、百年の歴史があると申しましたけれども、それぞれのやはり国の状態がございまして、確かに日本的な特性の中でこういうことが行なわれる。そういうことになりますと安全という問題については専門家たちがさまざまなデータをあげて実験をしてやっているのだ、こういうおことばでございましたけれども、まさにその専門家の中に実はまだいろいろ議論がある、そういうような問題があるわけであります。事安全の問題でございますから、他の経済的な問題であるとか政治的な問題であれば、足して二で割るということもできますけれども、かりにやはり何%かの安全についての、特に専門家たち、技術者たちの不安というか問題点の指摘があるとすれば、政治はやはりそういう意見に対しても十分な答えを出していかなければならぬと思うのですね。ですから、もうすでにいままでも何回か論議をされているわけでございますけれども、安全については念には念を入れていく、こういう姿勢が必要だと思うのです。  そこでお伺いをしたいわけでありますけれども、この法律に基づいてまず間違いのない最高度の安全を確保するための基準というものはかくかくでやるのだ、こういうことについてのお考えがありましたらひとつお示しを願いたいと思います。
  104. 田中角榮

    田中国務大臣 安全度というものは、いま建築基準法による強度計算と同じことで非常に厳重にやっておるわけでございます。少なくとも六十回、七十回、百回というような、建物——建物の中にもみなガスパイプや電線も全部通っておるわけでございます、また機械を回しておりますから動力線も通っております、そういう意味で、あの超高層に対してもそういう危険物がパイピングされておるということは、何倍かの安全率を見ているわけでございます。またPSコンクリートやいろいろな新しい構造による——渋谷の国電を一またぎにしておるようなところもございます。これらも安全基準ということは厳密に守られて計算をしているわけでございます。工場の中の高圧パイプや高圧がまもそのとおりでございます。それからガスのタンクがございます。町のまん中にガスタンクがございます。これはまあ、非常に危険なといわれておったものでございますが、これに対しては非常に精密な計算のもとに安全度が確保されておるわけでございます。そういう意味で、石油パイプラインの埋設物の材質、ガスパイプの材質が問題でございます。  もう一つは、いざという場合事故が起きたときに、どのような間隔でもってバルブを締められるか、そのバルブが自動的にどう締まるかということがございます。危険が起こった場合に直ちに周辺の人たちに危険が知らされるような警報装置がどうあるかという問題もございます。その上になおの問題はどういうことかというと、人家から水平距離においてどのくらい離さなければならぬというのが危険物の基準でございます。これは高圧の裸の電線は民家から何メートル離さなければならないとこういうふうになっておりますから、そういう水平距離でもって制限をされておるものもございますが、これは埋設物ですから地下へ下げれば危険度は幾らでも下がるわけです。これは地下五十メートルに埋設するとすればどんなものでももう危険はないわけでございますから、そういう意味で、構造的なものは道路の下を通る場合は道路地表から何メートル下がらなければいけない、鉄道敷からは何メートル下である。これは鉄道敷の鉄道のレールやまくら木よりも水平距離で何メートルというよりも、下に下げることになれば、これは十分安全度は確保されるわけでございます。これからは、やはり将来の問題でございますが、本四連絡架橋ということが行なわれれば、これは水とかガスとかオイルのパイプラインが抱かせられる。これはもう当然のことだと思うのです。そういうことで、方向としては都市とか大量輸送ということの問題としてはどうしてもとらざるを得ない方法でございます。路面を走るタンクローリーよりも安全度というものはもう比ぶべくもない。あとはもうほんとうに、さっき申し上げたように材質とか埋設の深さとかそういうものでありますので、これは十メートルおきに全部バルブをつけるといっても無理な話でございますが、しかし材質をよくして強度もよくし、しかもジョイント部分の安全度というものをうんとよけいに見て、あとは安全弁の間隔だけの問題であります。これはもうほんとうに大きな軍艦や船の中や飛行機の中にもガソリンを満載しておるということを考えて、技術的に安全度が確保されない問題では絶対にないということで、技術的にいろいろ御説明が必要であれば、道路に関しては道路局長が来ておりますし、あらゆる角度から御説明申し上げられる。安全度は特に見て、いかなる地震にも耐えられるもの、そういうことでこのパイプライン法の審議お願いしているのでございますから、それでひとつ御理解を賜わりたいと思います。
  105. 木原実

    木原委員 これは大臣、お互い政治家ですから問題の選択があると思うのです。しかしおことばにもございましたけれども、たとえばタンクローリーに比べて云々というのは比較の問題ではございませんで、これをつくったからといってタンクローリーがすべてなぐなるものでもないと思います。この比較の問題はちょっと別にいたしまして、ただ御答弁の中に、たとえば距離の問題がありました。埋設の深さの問題がございました。あるいは材質を綿密にやるんだという問題がございました。しからば距離の問題で、保安の度合いを保つために、たとえば過密なところをよけて通るんだとか、こういう場所はこれくらい離して通るんだとか、こういう設定の問題についてはいかがですか。
  106. 田中角榮

    田中国務大臣 いまも申し上げましたが、いままでは大体害のあるもの、危険物は距離でありました。公害などは、じんあい処理場とか人を焼く火葬場の類は、住宅から何メートル離さなければいかぬというような、これは水平距離でもって制限をしておるわけでございます。ですから、今度も危険物ということになりますと駅とか駅前広場とか、それから病院とか公園とか、公衆が多数集まるところというようなものから何メートル離れなければならぬ、こういうのが普通の感じでございます。鉄道だったら、鉄道はレールがございますが、鉄道はひっくり返っても三転も五転もするわけではありませんから、鉄道のレールから貨車がもしひっくり返っても、その安全度を見たものよりも水平距離において何メートル離れなければいかぬというのが常識的なものでございます。  しかし今度は、先ほども申し上げましたように立体的な考え方を採用いたしております。これは過密の中ですから、駅とかレールとかそういうものから離れろといっても離れられないわけです。今度日本国有鉄道がやる南武線などは鉄道敷を使うわけでございますから、鉄道敷を使おうというときに、鉄道よりも何メートル離れろといえば、これは民家の下を通らなければいかぬということになりますので、これは全然そういうことではない。そうすると水平距離の安全度よりももっと安全性はどういうことかというと、地下に入ればいいわけであります。だからわれわれが住んでおる足元であっても、自分の立っておるところ、グラウンドラインから何メートル以上深く埋設をしなければならないということになれば、これは問題ないわけです。私たちが都市政策を考えても、どうもロンドン等に比べて日本の地下鉄が用地買収費にうんと取られてしまってどうにもならない。地下五十メートル以上に私権が及ばないということになればこれは用地費はただ、全然用地費に金を出さないで済むじゃないか。そのために地下五十メートル以上に私権が及ばないという一つの試案を世に問うておるわけであります。  そういう意味で、平面的な水平距離ではなくて、深くすれば深くするほどかまわない。だから道路でも、鉄筋コンクリートの建物の建っておる下でも地下鉄が——いま国会のところを通っておるわけですから、こういう意味で、この深さが非常に浅いと、上には物を建ててはならない。深さがうんと深いところを地下鉄が通るなら、いまの砂防会館の前は海運会館、鉄筋コンクリートでもって三十一メートルの建物が建っておって、その真下をいま地下鉄が工事を進めておる。こういうことですから、これは水平距離よりも垂直距離ということで十分安全度はカバーされる、このように理解をしていただきたい。
  107. 木原実

    木原委員 それだとさらにお伺いするわけですが、これは局長にお伺いしたほうがいいと思うのです。  大臣ただいまああいう御答弁があったわけですが、しからば、たとえばこれから始めようとする、われわれのところでは成田の空港に向けてのパイプラインの工事がまさに始まろうとしておるわけであります。それからまた関東パイプラインの計画があるやに聞いておるわけであります。この法律に基づいて、しからばそういう間もなく敷設をされる石油パイプラインを、安全度を保つためにどれくらいの深さで埋めようとしているのでしょうか。
  108. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 ただいま具体的には成田新空港のためのパイプラインの敷設のチェックをしておりますけれども、この場合におきます建設省の取り扱いは、市街地においては路面から下一メートル八十以下、市街地以外のところにつきましては一メートル五十以下ということにしております。より深くするという意味でございます。ちなみにガスとか水道、電気というのは、これは大体市街地しか入っておりませんが、これは一メートル二十ということがきまっております。
  109. 木原実

    木原委員 それで、いま大臣のおっしゃいましたように五十メートル案なんというものが出ましたけれども、それでほんとうに安全か。さまざまな事故を予想する条件がありますね。たとえば地震の問題、地盤沈下の問題あるいは他工事による障害の問題、幾つか当然予想をされる危険な度合いですね。そういうものがその深さでカバーできるのですか。
  110. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 建設省は研究所等のあらゆる機関を動員いたしまして、種々の実験等行ないましてきめたわけでございますが、一メートル八十ありますと、道路の路面上を走る車両の影響はほとんど皆無でございます。一メートル二十くらいですと、地盤の悪いところ、特に路盤の悪いところについては若干ございますが、一メートル八十になりますとほとんど皆無でございます。しかも今度のパイプライン等につきましては、まず埋設する道路から選んでおります。われわれといたしましては、最も管理の状況のいい道路、つまり国道ないしは高速自動車国道、これは最高のクラスの道路でございまして、管理状況は最もりっぱでございます。こういう道路に埋設することを原則にしております。しかも場所につきましては、なるべく荷重の及ばないところということでもって、主として道路の路側であるとかあるいは高速道路におきます側道等に埋設されることを原則にしておるわけでございます。  なお、軟弱地盤につきましては厳重な注意をいたしまして、それぞれその個所その個所によって十分深さをとらせるなり、あるいは不等沈下の起こらないような措置をとるような方法を講じております。  それから、たとえば国道を横断するような場合には、これはケーシング法と申しまして二重の管をとらせるとか、いろいろなそういうようなことまで細部にわたって検討しておりまして、われわれといたしましては、絶対に安全であるというふうな確信を持っている次第でございます。
  111. 木原実

    木原委員 それでは局長、地震についての対応についてはいろいろ試験をやられたと思うのですが、どうですか。
  112. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 地震につきましては、御承知のように建設省の構造物は、すべて関東大震災級の地震には耐え得るように、橋とかあらゆる構造物はそういうようになっておりますが、このパイプラインにつきましては、さらにそれ以上のものに対しても耐え得るような構造になっております。パイプそのものは非常に材質が強うございまして、もうすでに通産省のほうから説明があったと思いますが、世界でも例のない全く優秀な材料を使っておりますので、地震そのものによる破断というものはほとんど考えられないんじゃないかというようにわれわれは考えておりますが、一番問題になりますのは、軟弱地盤であるとか、あるいはかたい岩とやわらかい土との接触する地点であるとか、そういうところが問題がございますが、これらにつきましても十分な処置を施しております。したがいまして、われわれは地震に対してもまず破断することはないというように考えておりますが、なお御承知のように、パイプにはそれぞれ、もし大地震等があった場合には自動的に遮断できるようなストップバルブもついておるようになっておりますので、これについてもわれわれは十分安全であるというふうに確信しております。
  113. 木原実

    木原委員 研究をしたデータ抜きのお話なんで、いろいろやって絶対にだいじょうぶだ、こういう御答弁なんで、それに対して反論をする材料も一つもあなたのほうからは出していただいていない。おれを信用しろ、こういうことなんです。残念ながら私ども技術者でございませんし、専門家でもないわけなんで、ああそうかというだけで終わってしまうわけなんですね。しかし、それではやはり私たちの責任が果たせないと思うのです。ですから、いろいろ研究をやった、だいじょうぶだ、これだけの御答弁で、ああ、そうですかというぐあいにはまいらないわけなんですね。そうして、さらに局長の御答弁にもありましたけれども、バルブもいろいろつけているんだ、こういうお話なんです。しかし、このバルブをつけること自体、やはり不測の事態ということを当然想定しているわけですね。いろいろ研究もやった、耐震の実験もやった、おそらくそれがあるんだろうと思うのです。それだからそういうおことばになったと思うのですが、しかし同時に、あちこちにバルブをつける、警報装置もあるんだ。こういうことは、それにもかかわらず万一の場合というものを想定をしておる、こういうことに論理上なるわけですね。私どもは技術的にはしろうとですけれども、しかし、御答弁の中でどうも論理的な矛盾があるんじゃないかというそれくらいはわかるわけなんです。つまり、地震についてはいろいろやった、だいじょうぶだ、しかしながら、やはり事故の問題の可能性は残っている、それだからバルブをつけるんだ警報装置もつけるんだ、こういう理屈ですね。どうですか。
  114. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 おっしゃるとおりだと思います。われわれとしましては、関東大震災級の地震等についても、もう絶対に安全だというふうに考えておりますが、それ以上の地震がないとは保証できないわけでございます。そういうバルブ等が安全に作動いたしまして、事故が未然に防げるというようなかっこうになろうかと思います。
  115. 木原実

    木原委員 地震の問題は、特に昨年の都知事選挙でも、大臣などの御支援になりましたほうから、たいへんだ、こういうことで、あらためて政治の問題として地震対策が提起をされた、そういう状態なんですね。東京都でも、これは反対党からの御指摘ですから、一生懸命になって地震対策をやっておるのは御承知のとおりです。しかもそういうところへもってきて、地震に対してだいじょうぶだという御答弁ですけれども、たいへんに危険なものが東京ないし東京の周辺の過密のところを通る。  具体的なことで申し上げたいと思うのですけれども、いろいろおっしゃいましたけれども、たとえば地盤の不等沈下の問題や、土質の軟弱なところの問題や、あるいは地震の問題、たとえば横浜なんかでもそうですけれども、私どもの選挙区の千葉あたりでは、たとえば湾岸道路沿いに走らせるんだ、海岸の埋め立ての中を走らせる。いずれも土質的には軟弱で、たいへんどうもおもしろくない地域ですね。そういうところを、これはやむを得ず通るということなんでしょうけれども、あるいはよりによってそういうところを通る。しかも国の政策としましては、埋め立てをしてそこに住宅を建てた、その団地のまん中を通す、あるいはまた軟弱で地盤沈下がおそらく日本一著しいところを通していく、こういうことになっているわけですね。だから、だいじょうぶだという繰り返しての御答弁なんですけれども、それにもかかわらず、事故を起こす要因の多いそういう地域を、しかも万が一の——事故なんていうものは大体万が一に起こるわけなんですから、その万が一の事故の可能性を秘めたものを、たとえばそういう地域を通す。こういういわば法律のたてまえ、御説明のたてまえと、現実に行なわれようとしていることの中には、もう明らかにそういう矛盾があるわけですね。せめて事故をより少なくしようとするためには、たとえば不等沈下の問題について、対応性については何がしかの疑点が残る、地震についても同じだ、軟弱な土壌についてはやはりもっと何とかやらなくてはならぬというのは、それだけそういう地盤地域では事故が起こる可能性が、万が一の可能性があるわけなんですね。それならばもう少し安全なところを選択をするという努力をして、たとえばこの工事は行政指導としても進めるべきではないのか、こういう感を抱くわけなんです。ですから、ここで、いままでもそうでございますけれども、御説明を聞きまして、まずだいじょうぶだ、こう言うのですけれども、ちっともだいじょうぶじゃない。だいじょうぶじゃないから、片一方でバルブをつけるんだ、警報装置をつけるんだ。念には念を入れているようですけれども、前提になっている地震にもだいじょぶだ、地盤沈下についても対応性を持っているんだ、こう言いながら、なおかつそういう装置をつけていかなければならぬ。だから私はやはり——大臣の御答弁の中にも、まあ一〇〇%の安全ということは神さまだけだ、こういうことなんでしょうが、しかし事故というのはもうほんのわずかなところからたいへんな事故が起こるわけですから、念には念を入れるというならば、私は距離の問題を申し上げましたけれども、距離の前に、やはりこの種のパイプラインを通すべき地域の設定についても誤りなきを考えなければならないのではないのか。距離を離し、あるいは深く埋めると同時に、少しでも事故に対応するような要件のある地域というのはこれを指導として避けさせる、こういう配慮がないと、これはやはりまさにわれわれ政治の責任だと思うのですけれども、いかがでしょうか。  しかも、あとの問題ですけれども、これには強制収用がついているのですよ。大いに公共性だというわけなんですけれども、私どもはさんざん成田空港の問題で収用法には悩まされたのですけれども、またこれに収用法をつけて、しかも企業体というのは一私企業じゃありませんか。そういう石油会社が優先しているような法案を出してきて、片一方では一生懸命政府がだいじょうぶだ、だいじょうぶだ……。政府の言い分はそうじゃない。本来そうであっては困るのですね。だいじょうぶだ、だいじょうだと言ってきているけれども、いやそれでも疑問が残る、疑問が残るといって詰めていくのが私は行政の立場だと思うのですけれども、行政のほうが率先してだいじょうぶだ、だいじょうぶだと言っておいて、そして、おそらくいやがる、当然反対を予想して収用法をつけているんだろうと思うのですけれども、そういう形でやられたのでは、関係する住民としてはますます疑問を抱かざるを得ない、こういうことになるのですが、どうでしょう。
  116. 田中角榮

    田中国務大臣 土地収用法の規定のあることはそれだけ公益性が強いということでございます。石油という考え方でではなく、石油は不可欠のエネルギーであり不可欠の燃料である、これは電気ガス、水道と同じものである、こういう理由に基づいて、パイプライン敷設ということ、これは都市生活をやっておって石油を除くわけにはまいらないということ。ですから、これは水道にもガスにも電気にも土地収用法があるということで、同じウエートを置いているわけであるということが一つ。  それから、とにかく安全性確保しなければならぬ、これはもう申すまでもないことである。安全性に対しては水平距離の問題がございましたが、今度は立体的な問題で、ちゃんと安全性確保されます。そうすると、それよりももっと——同じような議論議論からいうと、これから超高層がどんどんできてくる。超高層の中の高圧パイプはもっと危険なんです。これは何万人も住んでおるその建物の中をやっているわけですから。これを被覆するコンクリートの厚みが問題になります。コンクリートでそんな厚い被覆はできるはずはない。結局、材質の柔軟性が要求されるわけです。ですから、鉄道でもジョイントのないレールということで、五十メートルレールが要求されているのと同じことだと私は思うのです。ですから、そういう意味で、全部技術的に計算されてもう解決されているわけです。それで、安全度は計算上の安全度の何倍か見ているわけです。これは建築の荷重は二倍見ているとか、ガスの安全度は三倍見ているとか、もっと危険なものは四倍見るとかいうことで、これは無制限ではない。やはり、経済性というものの限界を越すというわけにはまいりません。しかし、これは技術的にもうきまりがついている問題です。それは最も厳密な要求をされるのは、ジャンボジェット機とかSSTとか、いま使っておるコンコルドとかいうものは五百人とか千人乗せているわけでありまして、航続距離は二千キロも三千キロもあるのですから、そういう意味からいうと、非常に大きな、都市の中を通る石油パイプラインなどの比ではないほど驚くべき危険性を持つものがいま運航しているわけです。しかし、それはちゃんと計算で、技術水準の高い技術が片づけておりますし、安全度はちゃんと要求されたとおり確保されているわけです。ですから、その都市内というもの、過密なところ、さっきも局長が述べましたが、コンクリートと軟弱地盤をつなぐ部分で不等沈下をするところが一番こわい、こう言いましたが、確かにそうでしょう。そういうようなところに対しては、それなりの工法で安全性を要求しているわけです。ですから、バルブは万に一つの災害にも対応できるように、バルブの精度をつくっておるわけです。これは安全性の精度の中で、バルブやそういうものをつけなければならないという絶対的なものを要請しておる結果、そうなっておるわけですから、まああなたの言われる、市街地とか団地とかそういうものはなるべく避けたいということはよく理解できます。しかし、そうするとまた、いまの鉄道の敷地を避けたほうがいいということを——鉄道敷地の下を使うことにこのパイプラインのメリットがあるわけですから。やはりそういうことは経済性との調和でございます。特に、新しい空港の中などはというけれども、空港で使うパイプラインは、どんなに過密であろうが危険であろうが、空港の中に埋設しなければならぬわけです。ですから、お気持ちは十分理解できますが、経済性の問題と、それから地上にある物件などというものは、これは特別爆発のおそれのあるような個所は別でございますが、そうでなく正常な状態における地上物件の安全度はそれほどのものではない。その何倍も何倍も安全度を確保しておるということでございます。ですから、団地の中を通らなくて、何とかうまいところを通れないかというのは——地下鉄はビルのないところを通ればいいじゃないかというけれども、ビルの下を通らざるを得ないのです。ビルの下を通らなければ地下鉄ができないということになれば、ビルの真下は避けがたい。そういう問題で、御指摘の事情はよくわかりますが、すべては技術的に解決をする。安全性は、どんな場合でも安全であるということ、まあ飛行機がタンクを装備して飛んでいるという以上に安全であるということだけは、もう私たちこの法律案を提案する過程において、十分検討したことでございます。それは、われわれ自身もこういう鉄筋コンクリートの下におるわけです。これはちゃんと計算上のもので、これだけのはり間を鉄筋コンクリートで柱なしでやって、この下でこう勉強しているわけでありますから、日本技術は月に行って帰ってこれるぐらいの計算ができるのですから、そのぐらいの程度のものは技術屋にまかしていただいて、基準さえしっかりしておれば十分である、こう私は思います。
  117. 木原実

    木原委員 大臣は間もなく国を背負うような立場ですから、どうもたいへんお話があれなんですが、そう言われれば言われるほどわれわれとしては、事安全という問題については——これは考え方の問題ですがね、大臣、やはりわれわれとしては技術を疑うという立場でないと、国民の不安に対する答えは出てこないと思うのです。しかも考え方の問題とすれば、さまざまな技術的な実験が行なわれる、これが今度は現場の工事に移されるという場合にかなりの距離があるのですね。だから、いろいろと実験はやった——そのチータはわれわれは示してもらっておりませんけれども、おそらくいろいろ実験はやられたんでしょう。しかし、それが今度は現場に移される場合に、これは異質のさまざまな条件、違った条件が当然出てくる、そういうことも十分にあり得るわけなんです。したがいまして、大臣は、まあだいじょうぶなんだからまかしておけ、こういうことなんですけれども、これはなかなかまかせられないのが私どもの立場なんです。これぐらいやりませんと——ジャンボが飛ぶ、SSTが飛ぶというお話がございましたけれども、私はあと、私どもの委員会で飛行機の事故の問題を取り上げるつもりなんですが、それにもかかわらず事故が起こっておるわけです。最高の水準の科学の粋を集めて、おっしゃるように何百人と乗せた飛行機が太平洋を飛んでいるのですが、それでも事故が起こっている。だから、安全だという上に、何も事故の可能性を秘めてこういう法案を出してきたんじゃないわけでしょう。それは大臣としてはそういうふうにおっしゃるわけですけれども、しかし、それにもかかわらず事故の可能性はある。そういうことから私どもは疑い、われわれの意見が少しでもこれに反映をして、より万全なものをということでやっておるわけなんです。  そういう観点からいたしますと、残念ながら私も技術的なことについてはしろうとなんで、大臣とかけ合いみたいなことになって恐縮なんですが、過去に外国あるいは国内でもそうなんですが、やはりパイプラインの問題についてもさまざまな事故があった。外国のように人畜まれなところをたくさん通っておるような場合には、それほどの影響はありませんけれども、何よりも過密の中で通すわけなんですが、国内でも、大臣御指摘がございましたように、ガスパイプライン事故があった。大臣の地元の新潟地震のときにも、実は事故があったわけです。せんだっての連合審査の中では、新潟にはガスパイプラインについては事故がなかったというような御報告がございましたけれども、あそこでも明らかにガスパイプラインについて事故があった。そういうことですから、いままでの事故例等については十分な検討をされていると思うのですけれども、どうですか。
  118. 莊清

    ○莊政府委員 事故例については、可能な限りの調査をし、検討をしております。通産省では、昨年、関係省庁及び関係都道府県からなりますパイプラインの保安専門調査団欧米に派遣いたしまして、実際の事故の状況を当該責任者等から詳細に聴取してまいっておりまして、それを現在まで行なってまいりました保安に関する技術基準の検討委員会のほうにも報告をいたしまして、検討の対象にしていただいておるわけでございます。
  119. 木原実

    木原委員 それじゃ伺いますけれども、連合審査のときには問題になりましたが、ロサンゼルスで地震のときに事故があったのではないか、こういうことで調査団が出ておるわけです。ロサンゼルスのときには、あそこを走っておる石油パイプラインについては事故はなかったのですか。
  120. 莊清

    ○莊政府委員 ございました。石油パイプラインは、あの地方は非常に多いわけでございますが、古い鋳鉄管等でつくられましたパイプラインの主として溶接の部分等が切断をして、全体で四百ガロン、一・五キロリッター程度の油漏れがあったということが調査でわかっております。
  121. 木原実

    木原委員 新潟地震のときはどうですか。
  122. 莊清

    ○莊政府委員 新潟地震の際には、最近の新しい、性能のよいスチールパイプを使ってアーク溶接をしたものは無事であったようでございますが、やはり古いもので二、三切断をして油漏れがあったようでございます。それがわかっております。ただ油の流出量が残念ながら調査できておりません。
  123. 木原実

    木原委員 あらためて局長にお示しを願いたいわけですけれども、この法律に基づいて敷設をすべき管の安全基準、そういうものについて大臣からも何がしか御答弁がございましたけれども、お考えがございましたらひとつお示しを願いたい。
  124. 莊清

    ○莊政府委員 パイプの材質及びその厚さ、それから溶接もございますが、お尋ねの点のパイプの材質につきましては、高圧配管用のスチールパイプという特殊の規格のものがございます。これは非常に伸びる力があるようでございます。切断に対して強いというのでこれを使用することを義務づける方針でございます。それから技術的にこまかいこと、私もあまりわかりかねますが、現在までのところ欧米では、たとえば四、五ミリの肉厚のものでよろしいといわれておるようなパイプの太さ、及び中の油を送る圧力の場合におきましても、わが国といたしましてはそれの二倍以上のものに安全を見まして、肉厚のほうも厚くすべきであるという方針でございまして、現在専門の学者の方にいろいろ検討していただいておるところでございます。今後さらに検討を続けます。
  125. 木原実

    木原委員 それでは、具体的なことで恐縮なんですが、いま工事を始めかかっておるのですが、運輸省の方、見えておりますか。——成田パイプラインの園厚はどれくらいですか。
  126. 高林康一

    ○高林政府委員 お答え申し上げます。十一・一ミリでございます。
  127. 木原実

    木原委員 スチール管を使うという御答弁だったのですが、このスチール管は確かに伸び縮みについては対応性がある、しかし腐食性、腐るという面についてはどうですか。
  128. 莊清

    ○莊政府委員 外国の例でも腐食による事故が多いようでございます。特に湿地帯等がございますので、その点に対する配慮は非常に必要だろうと存じます。それで最近ではいろいろな外部腐食を附ぐための塗装剤というものが欧米でも開発され進歩しておるようでございますが、わが国でもそれらの点、最高の水準のものを保安基準で義務づける方針でございます。さらに電食という問題があるわけでございますので、その点に関しましては、これは路線敷に敷く場合の国鉄の場合に最大の問題になるようでございますが、運輸省ではこの点特に土木学会等にも諮問をされまして、昨年来検討して数種の技術的な対応策というものを開発され、それを国鉄線には適用される、これも腐食の対応策でございます。
  129. 木原実

    木原委員 このスチール管は伸縮性についてはかなりの対応策があるけれども、腐食についてはどうも弱いのではないか、こういう説があるわけですけれども、その点についてはどんなふうにお考えですか。
  130. 莊清

    ○莊政府委員 ただいま御答弁申し上まげしたのは実はスチールパイプについての問題でございまして、いろいろ現在急速に開発されております。防腐塗料あるいはプラスチック系統のものもあるようでございますが、こういうものはいろいろ欧米で開発されておりますので、その中で最も高水準のものをとりあえず技術基準で取り入れる。それから今後はわが国としてはこういう面の技術開発なり研究ということを政府としても推進をするということは当然でございます。一番めんどうなのが電食の問題だといわれておりますが、国鉄のほうにおいてこの点については技術的な確実な成案を得たというふうに私どもは承知しておりますので、それに基づいて行なわれる、こういうことでございます。
  131. 木原実

    木原委員 スチールパイプは伸縮性においてはすぐれているという前提があるわけですが、そこに今度はバルブをつけていく、こういうことですね。そうすると、せっかくのそういう材質のいい点がその辺で切られてしまうのではないですか。どうですか。
  132. 莊清

    ○莊政府委員 御指摘のとおりだと思います。片や緊急時におきます災害程度を最小限に食いとめるという不可欠の要請がございますから、緊急遮断バルブというものは一定の距離で置かざるを得ない。特に人家の立て込んでおるようなところでは一キロとか二キロの距離にそういうものを備えることが必要だと思います。ただその場合に、セメントで台座と申しますか土の中に基礎をつくりまして、そこに仰せになりましたバルブというものを固定してしまうということになりますと、パイプが非常に短い距離で両端が固定されますので、地震のような場合にはその伸縮性が非常になくなって、いわゆる剛構造になってしまって故障しやすいということが指摘されております。したがいまして、バルブ座を置く場合にワク組みをしまして、そこへ載せまして若干の動きがきくような形にすべきであるという方向で、現在は通産省の委員会専門家の中でもそういう御意見が非常に強うございます。技術基準もそういう点を取り入れて正式にきめることになろうかと存じます。
  133. 木原実

    木原委員 あわせて、これは溶接をやるわけですね。事故の起こる可能性はつなぎ目などにもあるように考えられるのですが、溶接部についてはどういうしかけというか、検査というか、そういうものをお考えでしょうか。
  134. 莊清

    ○莊政府委員 溶接による事故欧米でも非常に多いように聞いております。そして最近ではアーク溶接をいたしまして、しかも最近では自動溶接技術というものが急速に進んでおるようでございます。成田パイプラインでも自動溶接方式ということによって、技能者の経験等によりますばらつきというものを極力押える方式を現在とっております。それから問題はその検査でございますが、検査不十分による事故がやはり過去の経験で多いので、すべての溶接部分につきましてエックス線及び超音波によります検査というものをこの技術基準のほうで義務づけをするという方向で現在検討いたしております。
  135. 木原実

    木原委員 御答弁の中にも、溶接部にいろいろ問題が起こる可能性がある、それで厳重にやるんだ、こういう御答弁だったのですが、この溶接について、これは工事上の問題ですけれども、さまざまに検査その他をおやりになると思うのですが、それについては何か指導の方向といいますか基準といいますか、どういう安全を確保するための検査なり何なりをやろうというお考えですか。
  136. 莊清

    ○莊政府委員 完全自動溶接方式等の採用によりまして、現在非常に不足しておると伝えられております溶接工、その経験年数の不足とか経験のばらつき等による溶接の不備というものを極力防ぐようにするということがまず第一かと存じます。  それからやはり実際にできました溶接部分の検査は、エックス線法とか超音波法とかあるわけでございますが、これは最近ではいろいろな造船工業でありますとか橋梁工事、その他ビル、全部使われているようでございまして、非常に性能もよくなり、操作もしやすいという機器が出ておるようでございますが、これの操作につきましてはやはりそれなりの作業員の訓練というものは当然必要になりますが、同時にやはり抜き取りでは意味がございませんので、抜き取り検査ではなくて悉皆検査を必ず励行させるように、事業者はもちろんのこと、監督官庁におきまして、作業面に対しての実際の第一線の指導監督というのを徹底して行なう、この配慮がぜひ必要かと存じます。あとは、実際に運転を始めた後におきましての定期検査というふうな規定も置いておりますが、そういう場合にも、この溶接部分について、同様の方法での検査というふうなことも当然に考慮しなければならない重要な点かと存じます。
  137. 木原実

    木原委員 私は、これは大事な問題だと思うのです。大臣にもお聞きをいただきたいと思うのですが、最近、普通のガスの管の布設ということでも、どうも配管をする専門企業よりも、東京瓦斯あたりもそうだろうと思うのですが、たとえば普通の建設会社にそれを請け負わせるような傾向が強いというのですね。いろいろ聞いてみますというと、たとえば今度できる石油パイプラインだとかあるいは高圧ガスパイプラインというような問題については、これは専門的に言っても、たいへん技術も要るし、工法もそうですし、それから人手も食う、こういう状態なんだそうです。ところが、この日本の現状の中ではそれを請け負ってやるだけのちゃんとしたあれがはたしてそろうのだろうかという疑念を出す業界の人もいるわけなんです。しかもこの趨勢を見ると、やはり何とか組、何とか組とかという普通の土建屋さんや大きな建設会社がパイプの布設の工事を受け負う、それがさらに下請に出す、こういうようなかっこうで行なわれる傾向にあるんだそうです。そうなりますと、われわれこれはずいぶん安全の問題について、石油パイプラインについて論議をしてきたわけですけれども、この法律が出て、いざ工事が始まったという場合、かなり工事の過程の中で、さまざまな基準を設けられておるのでしょうけれども、それこそ経済的な調和の問題とからんで手抜きをされるという危険性だって十分にあるというのですね。これはいまの業界の関係やいろいろなところから話を聞いてみると、どうもあれはしろうとがやってだいじょうぶだろうかという、こういう専門家筋の話もわれわれのところにきているわけですね。それだけに、いま溶接部の問題を問題にいたしましたけれども、局長の御答弁だけで私は必ずしもどうも満足がいきません。どういう方法で溶接をやるのかということと、溶接をざれたものについて万全を期するために、どのような的確な検査なら検査をやるのか、こういう点についてもう少し詳しくお示しを願いたいと思うのです。
  138. 田中角榮

    田中国務大臣 ガスパイプの溶接に対しては、いろいろな御指摘のような事情があることは事実でございます。これは大体、いま東京瓦斯だったら東京瓦斯の例をとりますと、営業所単位に工事業者がおります。それで、営業所の単位から補修しなければなりませんので、ガスがとまってふろがわかぬという場合には、すぐ補修に飛んでこなければなりません。町内別というところまでいきませんが、電話をかけるとすぐ間に合うようになっております。こちらのガスの故障については左記に御連絡くださいというのがガス料金書についておりますから、そこまでは東京瓦斯の組織かというと、下請の下請ということがあるということで、確かに問題もございます。問題もございますが、これが高圧パイプという問題になりますと、これは工場の中の専門配管屋と同じように業者は非常に高度なものを要求されております。ビルの中のガスパイプとか動力線の配線とか、これはみんな管工事も電気事業者も資格のある人がやっておるわけでございますから、これはこれだけのものをやるのに一般の下請、土木建築業者に工事をやらせるという部面は非常に少ないと思うのです。これは素掘りをしたり埋め戻しをしたりということでございまして、これはほんとうに工事費全体に比べると小さなものであります。これは材質とかバルブとか溶接のしかたとかという技術的なものがほとんどであります。あとはもう土木建築の一般の業者がやる仕事というものは非常に少ないので、そこを値切って不良工事をやるという心配などはないと思います。厳密な技術を要するもの、強度を要するようなものは、工事が終われば当然その部分の耐圧試験ということが行なわれるわけでございますが、これは工事施行の過程においていろいろ指摘を受けるということは、これはもう全然考えられないと思います。これはもう常識論でございます。これでもって事故が起こったなどということになると、業者もえらい損害を受けるわけでございますから、これはもう特に埋設やバルブの取りつけ、ジョイント部分の施工に対しては、もう工場内の配管工事を行なわれると同じより以上な強度を要求される、こう思います。ですから、心配ないと思いますが、しかし、もっと技術的なものを必要とすれば、専門家から答えさせます。
  139. 根岸正男

    ○根岸説明員 ただいまの御質問の件でございますが、先ほど局長から御答弁申し上げましたとおり、全線エックス線検査をいたしますし、それから、必要に応じて高周波の検査も併用いたします。そういうものがエックス線で歴史が必ず最後まで残りますから、あとの検査も十分可能でございます。  それから、工事中の検査につきましては、当然、施行者の方が立ち会いの工事をいたしますし、随時、落成検査以外に事前の工事中の検査も監督官庁として実施してまいる予定でございます。そのほか完成後の水圧試験等実施いたしまして、十分スペック通りできているかどうかということも確めるようにいたしております。
  140. 木原実

    木原委員 これはちょっと課長さん、たとえばエックス線検査をやる、これはかなり作業に時間がかかると思うのですね。その点はどうですか。
  141. 根岸正男

    ○根岸説明員 エックス線検査につきましては、御承知のとおり、最近は非常にいい設備が開発されておりまして、お金はかかると思いますけれども、外側から全部感光紙を当てまして、中をエックス線の発射装置が通るという方法がございまして、時間はそれほどかかりません。
  142. 木原実

    木原委員 これは運輸省の方に伺いたいのですが、今度の成田の場合につきまして、これはどんな工法検査を考えていらっしゃるのですか。
  143. 高林康一

    ○高林政府委員 成田の場合、パイプの接合はアーク接合を行ないたい。そしてこれにつきましては、この接合部の全数につきまして非破壊検査を実施する。非破壊検査の方法といたしましては、放射線検査を原則として行ないたい。放射線検査と申しますのは、申すまでもなく、接合部にフィルムを巻きつけて、上から放射線を放射して、もし欠陥があった場合にはフィルムに映像が映る、こういうようなことになるわけです。また、必要に応じましては、磁気探傷検査——傷を探ると申しますか、磁気によります探傷検査を実施するというふうにやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  144. 木原実

    木原委員 公団の説明ですと、放射線の検査をやる場合に、大体一人の検査工が一日に二カ所ぐらいしかできないだろう、こういうことを言っているのですが、それはそういうことですか。
  145. 根岸正男

    ○根岸説明員 先ほど申し上げましたような方法を使いますと、もっと十分な検査ができると思っております。
  146. 木原実

    木原委員 時間がもう参りましたので終わりたいと思いますけれども、実はわれわれこの法律を審議しているわけですけれども、法律ができる前から、いま申し上げましたように具体的に成田の空港に向けてのパイプラインの工事がすでに始まっているわけなんです。実は時間がございましたら当委員会でもどういうところを通るのかという現場の御視察などを願いたかったわけなんです。先ほどもちょっと申し上げましたように、このラインが通るところというのは、千葉の海岸から始まりまして、埋め立てをいたしまして公団住宅等を建てました団地の中を通りまして非常に過密な道路を通っていく、こういうことで、千葉の自治体等はこの二月から三月にかけましてこのために大混乱を起こす、こういうような状態でありまして、特にこの千葉市内の過密な地域では、現にパイプラインの通過ということについて、住民の強い反対が起こっているわけなのです。たびたび公団等からも住民の諸君は説明を聞いた、こういうことになっているのですけれども、公団の説明ではどうしても住民の諸君が納得しがたいという状況が実は続いているわけなんです。その上に、さらにあわせて近くこの関東パイプラインが通っていく、こういう状態に実はなっておりまして、これはごらんをいただければなるほどという住民の気持ちもわかるような、たいへんに過密で、そして国の施策としてわざわざ住宅を建てましたまん中を通って、この地盤の軟弱な軒先を通っていく、こういうようなのが延々と続いているわけなのです。そういうことで住民諸君はなかなか納得しがたいパイプラインがかりに必要だという考えがわかりましても、しかしおれのところの軒先だけはいやだ、こういう気持ちが非常に強いわけなのです。安全性についての納得が得れらるような説明のしかたというものは、残念ながらいままで、たとえば公団についてはほとんどなかった。その上に今度は、この法律によって、新しいいろいろな規制を加えられるでしょう。加えられますけれども、今度はある意味ではこの法に基づいて大手を振って、反対をする者には最悪の場合は土地収用法をかけてでもこれを通していくんだ、こういう実は事態になっておるわけなのです。  そこで、これは私の要望になるわけでありますけれども、私どもとしましては安全の上にさらにまた——この安全の問題についてはおそらく最終というゴールがないわけでありますから、念には念を入れる、そういう制度をつくってもらうと同時に、やはり過密な地帯はこれを避けていく。少なくとも多数住民が不安を抱くようなところについては距離を置いていく、避けていく、こういう行政上の配慮は、われわれは技術上の問題の論議はともかくといたしまして、お互いに政治や行政に携わるものとしては、収用法を持っておりましても、そういう配慮をやはり加えていくということがどうしても必要ではないのか、こういう考え方をいまでも持っておるわけでございます。したがいまして、私が最後に強調して大臣の御見解をいただきたいことは、一つは、最大限に地域住民に対する安全を確保するために、ともかく過密な地帯あるいは危険と思われる地帯については、これを避けていくという前提を確立をすること。それからこの収用の問題につきましては、どうしても疑義が残ります。これからの方向だ、こういうことなのですけれども、収用法をこれに適用をするということ自体が反対を——反対ということは住民が不安が残るということを前提にしていて、しかも公共性が強いからこれを通していくんだ、こういうことになろうかと思うのです。しかしながら、やはり公共性が強いといいましても、事業の主体は私企業であるし、それからまた公共性という問題についても、住民の安全ということを考えればその観点からわれわれは公共性についても考えていかなければならない要因が多いと思うのですね。ですから私は、この法案の中から収用法をこれに適用するという項目について、的確な安全を確保するための距離を配慮をしていく、こういうことについて、いまでもぜひそうしてもらいたいという要望と意見を持っているわけなのですけれども、大臣の御見解を承りたいと思います。
  147. 田中角榮

    田中国務大臣 この事業が、水やガスや電力と同じように都市生活者の生活上不可欠なものであるということは前提にしていただきたいと思います。また、そういうことではございますが、過密の中を通るということでありますから、安全に対して最大の努力をしなければならない、配慮をしなければならないことは当然でございます。タンクローリーに比べればはるかにいいなどということではこれは問題にはならないことでございまして、これはもういかなる事態に対応しても安全であるということが前提でなければならない、こう思います。タンクローリーのごときものではなく規模が大きいものでありますから、そういう意味では当然そうでなければならないと思います。  しかしまあ考えられることは、太平洋を無着陸で横断をできるほど技術進歩しておるということで、材質の進歩と溶接その他の技術進歩には信頼がおけるということでございますので、基準と、先ほど御指摘がございました工事上のミスがないように、検査機構をどうするか、安全弁はどうするかというような問題が一番大きな問題だと思います。  それからなるべく過密な中を通らないで、地下にできるものは地下にして、住民の理解を得られるような状態でなければならない。しかも土地収用規定があるからといって収用規定などを使用しないで、できるだけ理解を求める。理解を求めて、こういう土地収用の規定はあってもこれが死文になることが望ましいのです。望ましいのですが、やむを得ない場合もございます。九割賛成で一人だけ反対だという人もございますから、そういう意味ではやむを得ざるものもございますが、すべてどこでもみな収用するんだというような法律運用のしかたは絶対に避けるべきである、これは御説のとおりでございます。新しい仕事でございますし、これからはもっともっと都市のパイプラインということは避けがたい状態になってくると思います。そういう意味でこの法律施行にあたっての注意とか配慮とか、これは安全なものをつくってまいるということでひとつ考えてまいりたいと存じます。
  148. 木原実

    木原委員 これで終わりたいと思いますが、もう一つだけこれは要望を含めて申し上げておきたいのです。  これはパイプラインに限りません、何でもそうなんですが、これは大臣、少し行政のやり方を変えてもらいたいと思うのです。たとえばパイプラインならパイプライン鉄道道路もみなそうですけれども、過密になっておる。当該住民にとりましては、何もかもきまってから、さあここへパイプを通すから賛成をしろ、パイプを埋めるについての損害があれば補償については話し合いをしましょうと、どうにもならない形でいつも抜き打ち的にこの問題が出されてくるのです。これは時代が変わっていると思うのです。そういう問題は過密な中に住んでおりまして至るところで見ておるわけなんです。民主主義の時代ですから、反対があってもなくても十分に住民の理解を得るということについては、あらかじめ十分な選択の余地を残して当該地域の住民と相談をする、これくらいの柔軟な行政というものを出してもらいませんと、どんなに安全だからまかしておけと言いましても、住民のほうに不安が残っている限りは意見があるわけでありますから、その意見を工事の事前に十分に聴取をして、そういう意味で、企業者側や政府にとって最善の道ではなくて住民にとって最善の道を選ぶという行政姿勢をぜひとってもらいたいと思うのです。おそらくいま計画をされておる、これに関連をするいろいろな工事が始まりますと、住民とのトラブルは避けられないと思うのです。それがあるだけに、工事に着手するにあたってはまず住民の理解を求めるという姿勢を前提に置いてもらいたいと思いますが、ひとつ最後に御見解を承って終わりたいと思います。
  149. 田中角榮

    田中国務大臣 それは先ほど申し上げました住民の理解が前提でなければならないということでございまして、十分な配慮が必要だろう、こう思います。
  150. 鴨田宗一

    鴨田委員長 石川次夫君。
  151. 石川次夫

    ○石川委員 私は、パイプライン技術的な問題にまで立ち入って質問いたしますと、大体二、三時間どうしても必要だと思っておったわけでございますが、諸般の事情で一時間半と限定されおります。したがって、答弁は極力簡潔にお願いいたし、私も深追いをするつもりはございません。よろしくお願いしたいのですが、同時に、そういう時間の関係もあって、大臣には極力質問しないことにしたいと思っております。同時に、大臣の答弁だと、三倍も四倍も安全性ということを政治的に言われますけれども、そんなことは現実の問題としてあり得ないことなので、そういう点で、どうも言いまるめられる危険性も感じますから、極力冷静な答弁をお願いしたいと思っておりますが、まず最初に運輸省、国鉄、参っておられますので、このほうから早く、はしょって質問したいと思っています。  大体、法案の第三十七条「第五条第四項及び第五項」は「日本国有鉄道が行なう石油パイプライン事業については、適用しない。」、これは結局、事業の認可について、自治大臣あるいはまた関係都道府県知事、われわれの修正によれば、それに伴ってまた関係市町村長、こういう人たちの意見を聞かないでやるということは、結局住民の意向も反映しないということで、あたかも国鉄で行なうことは治外法権的な色彩を帯びておるという感じがするわけなんですが、どう考えてもわれわれは納得いかないわけなのです。なぜ、事業の認可について地方自治体の長の意見を聞かないでいいのか、またそういうふうに例外規定を設けざるを得ないのか、これをひとつ御説明願いたいと思います。
  152. 高林康一

    ○高林政府委員 お答え申し上げます。  三十七条におきまして、五条第四項、第五項、それから三十二条の規定の適用除外をいたしておりますのは、この法律案におきましては、主務大臣パイプラインに関するところの基本計画を策定することになっております。それで、この主務大臣が策定いたします場合に、当然「関係行政機関の長及び関係都道府県知事の意見をきく」というふうに法律案において規定されておるわけでございます。一方、国鉄の行ないますパイプラインにつきましては、これは線路敷に敷設されるものでございます。それで、この基本計画におきまして、設置場所が具体的に設定されれば、そこに、他の事業の場合と異なりまして、完全に起点、終点等が明示され、そしてまた、計画の内容が明らかになる。その基本計画の段階におきまして、関係行政機関及び関係都道府県の知事の御意見を伺って、そしてそれの反映を担保するというふうになっておる、そういうような考え方が基本になりまして、この三十七条の適用除外をやっておるわけでございます。  なお、実態的な面におきましては、これは国鉄自身の行ないますところのパイプライン事業でございますので、技術的に相当強く信頼ができる、また、鉄道敷地内に設置されるという特殊性から見まして、一般の立ち入りが禁止されておるというようなこともございまして、安全面あるいは保安面というような点で、技術的な担保が日本国有鉄道というものに対しまして可能であろうというふうに考えるというようなことで、このような規定を設けた次第でございます。
  153. 石川次夫

    ○石川委員 実は、これは通産大臣所管の場合でも、通産大臣が主管大臣であるからそれでやってよろしいかというと、やはり関係行政機関の長の意見、関係地方公共団体の長の意見を聞くということになっているわけなのですね。国鉄だけは鉄道敷であるからいいというのですけれども、最近、スイスの規定が、相当きびしかったものが緩和されております。緩和されておりますけれども、鉄道の端から約二十メートル、こういうことになっておるわけです。それに比べて今度の法案は、鉄道敷のまん中からということで、相当この規定とは縁が違い。そういうような点で、安全性については相当危惧の念を関係住民は持たざるを得ないと思うのです。こういうときに、設置基準その他については自治大臣とも協議することになっておりますけれども、事業認可の際は国鉄だけは例外なんですよという形は、何か特権者意識というふうなものを感ぜざるを得ないし、ほかの法案でも大体こうなっておるのが普通だというのですね。私は、この国鉄の態度は抜本的に変えてもらわなければいかぬのじゃなかろうか、こういうふうに考えておるのです。いまの説明であなたのおっしゃることはわかりましたけれども、われわれは納得できません。この修正を相当強く要望したのですけれども、なかなか国鉄の関係はうるさくてできないのだというのが意見であって、修正はできないからやめてくれということで、この修正ができないでしまったことは非常に遺憾に思っておるわけです。今度の場合には修正できないのでありますけれども、この点については国鉄の特権意識をやめてもらいたい、こういうことを強く要望しておきます。  それから伺いたことがたくさんあるのでありますが、この前のいろいろな議事録を見ると、どうもふに落ちない点がたくさんありますから、最初にそれを聞いておきたいと思います。  この前の議事録の大体九ページでございますけれども、パイプラインは相当敷設されておったけれども、ロサンゼルスの事故のときに破損があったのが二件、それから事故があったのが二件、しかもそれは相当古い時代に埋設をされておったのだという答弁が山田政府委員のほうからされております。いまも局長のほうから同じような答弁があったわけであります。しかしこの問題については、東京都の調査団の報告、団長は河角東大名誉教授でありますが、五本のうち三本までが事故を起こしておる、しかも一九六五年敷設のアーク溶接の鋼管が亀裂を起こしておるという報告がされておる。答弁が明らかに食い違っております。それから同じ答弁の中で、新潟地震のは古い工法によるパイプ、それだけ破壊を受けたのだという答弁をこの委員会でされておりますけれども、これまた土木学会の新潟地震調査団の報告によりますと、世界最高水準の技術によったところのアーク溶接のものが、直径三十センチメートルの鋼管で溶接部の折損個所が三カ所もあったという報告をされております。古い鋳鉄管ということとは全然違うのです。なぜこういうふうに食い違うのでしょうか。
  154. 莊清

    ○莊政府委員 お答えいたします。  ロサンゼルス地震のときのパイプ事故でございますが、これは私どもの通産省の派遣いたしました調査団の結果報告等によりますと、先般来御答弁申し上げておるような資料が実は手元にあるわけでございまして、なお、ただいま御指摘のようなことも、これは今後さっそく私どもの手で十分調査をいたしたいと存じます。  それから新潟の際の問題でございますが、アーク溶接をしたパイプラインで、材質は規格STPGの三八という規格のものでございます。これが橋の流失によってたれ下がったのと、それから溶接部が二カ所切れた、それから固定個所付近において亀裂が一カ所生じた、こういうふうな調査を通産省では実は持っております。なお、流出量は不明でございます。  以上でございます。
  155. 石川次夫

    ○石川委員 ですから、いまの答弁でいいますと、さきの答弁とは全然違うのですよ。古い鋳鉄管で、もうほとんど新しいものについては被害がなかったのだという答弁をしておるのです。そうではないのです。新しいアーク溶接によるものがそういうふうに事故が起こっているということがはっきりいたしておりますし、それからサンフェルナンド地震は、私は映画を見たのですけれども、相当めちゃめちゃな破損で、あの状態を見ると、地震のときに絶対だいじょうぶだと道路局長もそれから大臣もたいへん自信を持って言っておられますけれども、あの写真を見たらそんなことはとても言えたものではなかろうと思うのです。アラスカの地震においては石油パイプラインは全然原形をとどめません。めちゃめちゃになっております。そういうことを考えますと、絶対安全ということは言えないのです。それで、われわれはこの安全性という点からよほど慎重に考えてもらわなければならぬということを強く主張せざるを得ないということを申し上げておきたいのですが、サンフェルナンド地震の政府の調査団の報告と東京都の調査団の報告は明らかに食い違いがある。これは東京都のほうが正確なものではないか。日本の最高権威の河角さん、この方が調べて報告になっているのですが、食い違っておりますから、この資料をあとで御提出を願いたいのです。  それから、通産省の鉱山石炭局長も私と同じしろうとでございますから、間違っているのはやむを得ないと思うので、これは訂正してもらいたいのですが、肉厚は、技術上安全といわれております厚さの二倍を下回らない程度の安全をちゃんと保障をするということを言っております。先ほどの大臣の答弁の三倍も四倍もということにはなっておりませんが、二倍以上ということになっております。ところで、この応力計算によりますと、六・七八ミリメートルだという計算が出ておるのです。これは公団が出しておる数字ですから間違いありません。それの二倍ということになれば、これは幾らになるのでしょうか、十三・幾らになりますね。これが十一ミリメートル。あげ足をとるようでたいへん恐縮でございますけれども、二倍以上にはならないのですが、いかがですか。
  156. 根岸正男

    ○根岸説明員 先ほどの御指摘の六・七八という数字につきましては、私ども詳細あれしておりませんけれども、われわれの計算によりますと、安全率をかけた数字が六・七八になるというように了解しております。
  157. 石川次夫

    ○石川委員 この応力計算したものに対して二倍以上の肉厚ということなんですから、これは明らかに違うのです。六・七八というのは、応力計算に基づいて埋設鋼管の値が六・七八になっておるわけなんです。ですから明らかに食い違いがあると思いますので、これはあとで御訂正を願いたいと思います。  それから、「アーク溶接でなければいけないというふうにいたしますと同時に、そのでき上がったものにつきまして高周波の検査を必ずしなければならない」これも間違いですね。いまの答弁では、エックス線の透過ということとそれから超音波をやるという話ですが、課長のほうから超音波の話は出てまいりません。しかしながら、アーク溶接ということにして、この放射線試験をやるということだけは確認されましたけれども、超音波の試験はおやりになるのかどうか。これは両方ともそれぞれ欠点があるわけですね。これは放射線の場合にはきずがわからないし、超音波の場合は不純物の検出ができないというそれぞれの特徴があって、両方兼ね合わさなければほんとうのところがわからないと思うのです。したがって、両方兼ね合わして行なうのではないかと思うのですけれども、片方しかやらないような御答弁を先ほど伺いましたが、どうなんですか。
  158. 根岸正男

    ○根岸説明員 先ほども御回答申し上げましたとおり、主体はエックス線検査で全数検査いたします。そのほかに、超音波検査を併用いたしまして、検査を実施いたす予定にいたしております。
  159. 石川次夫

    ○石川委員 空港公団のほうの説明によりますと、放射線でやるからだいじょうぶだ、場合によっては超音波というふうな話し方になっておるわけで、超音波を全面的にやるということにはなっておらぬわけです。私はこれは全面的にやらなければおかしいのではないか。ほんとうに住民の安全性というものを何としてでも確保するという立場に立てば、両方の検査をするということでなければならぬと思うのです。  それとあと一つは、これは十一メートルしか透過試験はできないということになるのですけれども、これは電気で自動的にやるということになれば相当進んだ方法になるのでこれを全面的にやるかどうかということを再度確認をいたしておきたいと思います。この点について御答弁を願いたいと思います。
  160. 高林康一

    ○高林政府委員 空港公団の検査につきましては、放射線の検査を全数実施するということは先ほど申し上げたとおりでございます。  さらに超音波あるいは磁気探傷検査、そういうものについてはこれは一部併用してやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  161. 石川次夫

    ○石川委員 超音波と放射線は全面的にやるというふうなことを石油パイプラインのほうでは説明になっておって、空港公団のほうは、片方はやるけれども片方は併用するということで、全面的にやるということにはなっておらぬわけです。どうもこの辺に話の食い違いがあるのではないか。全面的にやるというふうには空港公団の場合ならないのですか。
  162. 高林康一

    ○高林政府委員 超音波の試験検査というものにつきましても、当然これは併用していくことは考えております。その場合に、このパイプライン法によりまして、それぞれ検査のやり方、基準というようなものが設定されると思います。そういった場合におきましては、その基準の定めるとおり、必要な場合全面的併用、また施工条件等に応じて一部併用するというようなこともいろいろあり得ると思いますが、法律の施行におきまして基準が定まりましたときに、当然これはそれによってやっていくように進めてまいる考え方でございます。
  163. 石川次夫

    ○石川委員 どうも答弁が納得いかないのですけれども、これはあまり深追いいたしませんが、そのあとまた問題があるのです。  それは、永瀬消防庁予防課長さんの答弁なんですけれども、漏洩を検知する検知装置、バルブとの連動装置、これらをつけていただいて、というのは、ちょっと理論的におかしい。ということは、この中につけるということは、そういうものをつけることによって鋼管の持つたわみ性というものをそこでなくしてしまうという逆の結果が出てくる。そういうものを設けなければならぬということ自体が、事故があるということを前提としておるということになるのですから、そういう緊急制御装置だとか連動装置とかいうものをつけること自体が管自体を弱くするということに逆に働くはずです。ですから、そういうことによって管自体が弱化するのを防ぐのだということはちょっと自己矛盾ではなかろうか、こういう感じがいたします。それが第一点であります。  それから荘鉱山石炭局長の答弁で、欧米では他工事との関係の事故が非常に多い、こういうふうなことをおっしゃっておったのですが、これはちょっと逆ではないでしょうか。ということは、私のほうで調べた石油パイプライン会社の資料なんでありますけれども、それによりますと、大体アメリカあたりでは一九七〇年には三百四十七件の事故が起こっております。これは日本だったらたいへんなことになるだろうと思うのですが、幸いにして原野を通っておるから、一年間に三百四十七件の事故が起こって——これはアメリカが一番進んでいるわけです。それでも三百四十七件ぐらいの事故が一年間にあるわけですが、アメリカでは腐食が四一・五%、それから外部損傷が二〇・七%ということで、腐食といっても、これはもちろん亀裂も含めるわけでございますけれども、腐食のほうがはるかに多いわけです。それは先ほどの答弁で若干修正をされたようですけれども、最初の御答弁では他工事との関係が圧倒的に多いのだ、こういうふうな御説明だったわけです。この点も修正をしてもらいたいと思うのです。  それと前段の質問について御答弁願います。
  164. 莊清

    ○莊政府委員 アメリカ事故のおもな原因腐食と他工事でございますが、数から申しますと、一九七〇年で、御指摘のとおり外部腐食というものが若干他工事を上回っておるようでございますが、そのほかに内面腐食というものがごくわずかではあるが別にあるということで、腐食を合計いたしまして明らかに他工事を上回っておるということで、訂正をいたします。
  165. 永瀬章

    ○永瀬説明員 この前御答弁申し上げました漏洩検知装置等をつけるということでございますが、もちろん私どもといたしましても、管自体の強度及び安全性の強化は、ほかのものよりもより以上にやっていただくことを前提といたしております。漏洩検知装置等は、これは普通の短いパイプラインには設けさしておりませんので、さらに万一を考えての漏洩検知装置という意味で申し上げたつもりでございます。
  166. 石川次夫

    ○石川委員 事故の比率については修正がありましたからやめておきますけれども、永瀬さんのいまのお話は、漏洩を検知するためにいろいろな装置をつけて、管自体が弱くなるのを防ぐ、こう言っておいでになる。その点は間違いではなかろうか。これをつけることは、かえって管自体を弱くするということは歴然たる事実であります。これをつけることをもって管自体を弱くすることを防ぐということは、これをつけることは、その部分については非常に細心の注意を払っていろいろやっていても、私は弱めるということについては変わりはないのではないかと判断をいたしておるわけであります。この点は答弁は要りません。  それで問題は、日本ではどうなっておるかというと、腐食による事故は三%、他工事による事故が七五%になるわけであります。そうなりますと、アメリカのほうで三百四十七件もあった事故の中で、四一%が腐食による事故である。日本はそれに対応して、非常にいろいろな線が重なり合っておりますから、地下鉄工事もあるし、いろいろなほかの掘り返しもあるしということで、事故の起こる可能性が非常に多い。したがって、七五%が他工事によるところの損傷であるというのがいままでのパイプラインの数字として出ておるわけです。これを直しますと、四一・五%にふさわしく日本の三%という数を直すと、大体他工事による事故アメリカの五十倍くらいになる、こういう数字になってくるわけです。それだからこの安全性というものはよほど考えてもらわないと、何か他工事による事故が多いし、日本も多いのだというふうな漫然たることではなくて、これを計算し直すと、アメリカよりもはるかに多い他工事による事故が出てくるのではなかろうか。したがって、人口稠密な、いろいろな埋設管のあるところにこれを通していくということがいかに危険かということは、この数字で明らかになるのではなかろうかと思うのです。こういう点を忘れて、ただ単に安全だ安全だというふうに声を大にして言ったところで、数字の示すところはそうではないということを歴然と示しておるのではなかろうかと思うわけです。たとえば奥村さんという東大の教授は、この事業パイプライン安全性の問題で参加をしておりましたが、途中でおりてしまいました。これは計算上の定量化できる部分について言ったのであって、具体的な問題については非常に危険性が多いということでおりたことは皆さん方御承知のとおりです。それから東京工大の渡辺教授は安全だというような太鼓持ちみたいな論文を出しまして、学生から突き上げられて、いま授業をできないで休講しておるという状態でございます。そのくらい計算というものは非常にむずかしいけれども、安全だと断定的に言い切る学者は日本じゅうにいないはずなんです。他工事のものを加えればなおさらそうなると思うのです。特に地震の場合の問題でありますけれども、地震でも絶対だいじょうぶだ、こう道路局長などもおっしゃっておりますけれども、パイプラインに沿って地盤が動くという場合は、まだこれのひずみとか抗張力があるから耐え得るということはあるでしょう。しかし横に地盤がすべった場合に、これに耐え切れるだけのパイプといったらたいへんなことになるのではないか、実際問題としてできない。午前中は、何か弱震の場合いろいろ実験的に研究してだいじょうぶだというふうなことで、弱震ということばを使っておりましたが、しかもそれはただ単に土地が動くというだけのことであって、どういう土質で、どういう土壌でというところまでのこまかいことは聞いておりませんけれども、どうも地震に対応するというふうな確信のある答弁は、午前中は参考人からいただいておりません。そして賛成派のほうからも、私は地震があっても絶対だいじょうぶだと言い切る学者があったらひとつお示し願いたいと思うのです。教えてもらいたいと思うのです。いかがですか。
  167. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 先ほどの私のお答えは、関東大震災級の地震が来た場合に対して、日本におきます構造物はすべて安全なように設計されておりますと申し上げました。たとえば東京都内の首都高速にいたしましても、関東大震災級の地震が来ましても、クラックの入ることはあろうかと思いますが、落橋するようなことはまずないということを申し上げたわけでございます。同様に、このパイプラインにおきましても関東大震災級の地震が来た場合でも、パイプが破裂するようなことはまずあるまいというふうに私は申し上げたわけでございまして、いわゆる絶対と申したといたしますと、これは訂正しなければいかぬと思いますが、そういう条件下におきましては、現在の計算方法、現在の実験においては、だいじょうぶであろうというふうに推定して申し上げたわけでございます。
  168. 石川次夫

    ○石川委員 構造物とか道路とか、そういったものは短いですね、距離とか面積とか。ある一定の限られた距離なんですパイプラインというのは縦横無尽、長くできている。そこで、非常にかたい、あるいは非常に脆弱な、いわば横すべりしないという保証は何もない。どこでどうなるかそれはわからぬですよ。これこそ不測の事態です。そうなった場合に、それに耐え得るだけのパイプの強さを一体どうするか、うんと太くすればいい、うんと太くすれば非常にもろくなるという計算が逆にまた出てくるというようなことで、地震に対応できるだけのパイプを全面的に埋めるということは不可能である。これを率直に認めてもらいたいと思うのです。非常に強い地震のときには、これを防ぐことは不可能だということを前提として、私はこのパイプラインの存在を認めざるを得ないし、極力安全度を考えたにしても、いかなる場合にも絶対にということは言えないと思うのです。絶対にということを言う学者がいたら非常に非良心的な学者である。私の聞いている範囲では、そういうことを言っている人は一人もおりません。でありますから、地震については絶対ということばは使い得ないのだということをひとつ確認しておきたいと思うのです。いかがでしょうか。
  169. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、絶対ということばを先ほど使いましたことは訂正したいと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、関東大震災級のものに対しては安全なように設計されております。
  170. 石川次夫

    ○石川委員 それから、こまかいことになって恐縮なんでございますけれども、これはやはり鉱山局長の答弁の中で、パイプの二百キロメートル全路線に、たとえば赤なら赤のビニールを上のほうに敷き込んで、毎日沿線をパトロールさせるというふうな措置をとるということでありますが、これは、趣旨の徹底をはかることは非常に困難ではないか。よく官僚的というふうな批判を受ける材料として、一片の通達を出すと、通達を出してあるのだからやらないほうが悪いのだということをよく言いたがる。現実の問題としてはそうはならぬということです。安全性の問題でございますから、ビニールを張って標識をところどころ立てなければならぬ。いざ事故が起こったらどうするのだということをはっきり明示をするというような措置がどうしても必要なのではなかろうかと思うのです。そういう措置をおとりになるかどうかということと、毎日パトロールをやるというのですけれども、これに対してはどういう訓練をして、どういう点を点検させるかというふうな、詳細な規定をしないと、漫然とパトロールしたって意味がないと思うし、それからストレインゲージというものを使ってパイプの変位を調べる、こういうのですが、ストレインゲージというのはこのくらいのものです。非常に精密であるけれども、非常に短い距離ではかるわけですね。ですから、パイプの変位はわかるかもしれません。しかしそれも非常にむずかしい。しかしそれによってパイプの変位というものをはかり得たとしても、地すべりとか地盤の変化をこれによってはかることはできないわけです。だから、これはパトロールをするといっても、ストレインゲージを使って、非常に精密な、能力のあるものでパイプ自体の変位がわかっても、地すべりや土地の変化をはかる方法はないわけです。これは、パトロールをして一体どういうことを見させようとするのでしょうか、その点をお知らせください。
  171. 莊清

    ○莊政府委員 パトロールは、外国でも自動車あるいは飛行機で、非常に大きなパイプは飛行機でやっておる例が非常に多いようでございます。それにヒントを得ての案でございまして、現在関東パイプライン会社等の間でも、これの実施について打ち合わせを行なっておるところでございます。実際には、この法律で企業が地震保安規程というのをきめることになっておりますので、当然その中の一つの項目として、このパトロールの問題についても規定をさせるということに相なるわけでございます。担当の区域をきめまして、これは道路沿いでございますから、その間を車で日本の場合には回るということに相なろうかと思います。これは主として他工事、ほかの工事などが行なわれておるというふうな場合に、その状況を見まして、事故がないように十分相互の連絡あるいは監視をするというふうなこともございまするし、外国で行なわれておりますように、場合によったら油が少し地面に漏れてきておるというふうなのを、外国では飛行機のようでございますが、日本では車で横から見る。毎日見るということは十分可能でございまするし、とにかくこれだけで有効ではありませんが、やはり一つの方法ではないかと考えております。  それから標識の問題につきましては、まことに御指摘のとおりでございまして、外国でもあるようでございまするが、二百メートルであるとか百メートルとかいう間隔で、御指摘のような標識を地表の上に立てるということがぜひ必要だと考えております。
  172. 石川次夫

    ○石川委員 初めの質疑応答の中で、どうもこまかいことを申し上げて恐縮なんですが、連合審査の場合、原田さんですから運輸大臣官房参事官で、きょうはお見えになっておらないと思うのですが、これは運輸省のほうで御答弁願いたいと思うのです。  これは、実物大で試験をやったわけではございませんけれども、一般的にパイプラインの材質である鋼管については、強度それから伸び率、それからいろいろなその他の検査というのを十分やって、一定の基準に合格したものを使うということにしておるので、必ずしも実物大でやらなくても十分安全は確保できる、こう書いてあるのですけれども、学者の定説は、実物大——実際に使う場合と、実験でもって小さなものでやる場合とは全然違うんだということはこれは定説になっておるわけですね。だから実物大でやらなくてもいいんだと言えるその論拠は一体どういうところにあったのだろうか、それをひとつ教えてもらいたいと思うのです。
  173. 高林康一

    ○高林政府委員 実物大で試験をやったわけではございませんが、一般的にはパイプラインの材質でございます鋼管については、十分一定の基準に合格するというものを使っておりますので、確かに先生御指摘になりますように、いわば学者の実験というものと実体というものとが違うということもあり得ると思いますけれども、しかしいろいろの実験の場合におきまして、やはり実物大を使わなくても十分強度に耐えるということがいろいろな実験その他によって確保されております場合には、それで十分担保できるものというふうに考えておりますけれども、さらに今後の実施等におきましては、そういうような点さらに念には念を入れて、いろいろな実験、検討を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  174. 石川次夫

    ○石川委員 これは奥村さんが途中まで参加をして途中からおりてしまったときに、いろいろな理由がここに列挙してあります。その中で、「溶接部を含めた実物大のパイプの変動荷重による疲労試験で安全性の確認をしてほしい。」こういうことが書いてあるのです。だから小さな実験室によるところの試験という程度で疲労試験がそれで済んだというふうに考えてもらっては困る、実物大で疲労試験というものはやるべきである、こういっておるわけです。これがなければ安全性確保したということはいえないのではないか、こういうことも一つの意見として、これはたくさんある意見の中で一つだけを取り上げたわけですけれども、そういう点はどうお考えになりますか。この御意見は間違っていると断定できますか。
  175. 高林康一

    ○高林政府委員 確かにいろいろの実験数値というものについての検討というものをさらに加えなければなりませんが、実物大によりますところの実験というような点につきましては、国鉄においても一部その実物大の実験をやっております。それらの点につきましてはまた国鉄から御説明いたしますけれども、また空港公団等におきましては、いろいろ理論計算その他を十分やりまして、そしてその強度というような点についてはだいじょうぶ、間違いがないというふうに考えておる次第でございます。
  176. 石川次夫

    ○石川委員 ですから、結局この答弁で言われておるように、必ずしも実物大でやらないでも十分安全は確保できるというふうなことはこれは暴論であるということは、ひとつここで確認をしておきたいと思うのです。そういうことは言い得ない。そういうふうなことがないからとても安全性については自信が持てないということで、中心になっておる教授たちがみんなおりてしまったということで、実際技術屋が机の上で考え安全性というのは、計算した応力と使用材料の弾性限界といいますか、それとの比率を見て、これなら安全だ、こういう計算をするわけです。それはあくまでも机上の空論——空論というとおかしいのですが、定量化された予想し得る場合だけしか考えていないわけですね。この奥村さんなども、机の上では安全だということは一応出せる、しかし現実の場合はそうはならない、場所、地質、土質、いろいろな荷重の問題、いろいろあるわけですから、そういう場合にはとても自分では自信が持てない、こういうことであったと思うのです。そのほかに東大の名誉教授の星埜和さんは、「諸外国パイプラインは原則として道路鉄道の沿線を避け、原野や農地を横切って敷設されており、したがって通過車輌による振動の影響を受けたり、他の工事によって掘り返される危険はほとんどない。」のだけれども、日本の場合にはそうはならないということ。それからほかの国では「一般に地形条件、土質や地下水の条件わが国と比べて良好であり、ほかの地下埋設物や工事の障害となる施設も少なく、大規模な機械化施工が可能である。」というふうな有利な条件がそろっておる、日本の場合にはそういう条件がないのだ、こういうことを言い切っておるわけでございます。それで「わが国の場合は、パイプラインの建設が主として道路鉄道用地を利用して行なわれるため、交通荷重や振動の影響を受けるおそれがあり、施工に際して他の多くの地下埋設物と並行したり交差するための困難があり、また、たえず掘り返しによって損傷を受ける危険にさらされている。」それからさらに「わが国の地形や土質条件はきわめて複雑であり、軟弱な沖積土層の分布が広く、地盤沈下の進行している地域も各所に存在するなどの悪条件も多い。」したがって、一番進んだ先進国のアメリカ技術を持ってくるからそれでいいんだというようなことで、午前中の参考人の方から御意見も承ったわけでありますが、それだけではだめなんだということを明確にこれは提示をしておるわけであります。  そういうふうに非常に困難な条件のもとでやろうといたしておりまするし、地震に対しても絶対安全だということも言えないというお答えもあったわけでございます。さらに腐食が三%で外部損傷日本の場合には七五%もあるのだということだとすると、アメリカの大体五〇倍ぐらいの数の事故が起こり得るということは、これは明確に示しておるわけです。  そういうことを考えますと、この法案の審議にいよいよ入るわけでございますけれども、時間がございませんからはしょって申しますが、強制収用ということについては、われわれとしては非常に疑問を持たざるを得ない。最近環境権というのは基本的人権ではないかというふうなことが盛んに学説的に定着をしようといたしております。自分たちの生命、財産というものを守るためのいわゆる環境保全を主張するという権利、これは基本的人権だということになりつつあるわけです。そういうことから言うと、これは非常に危険なものを過密地帯をどんどん通すのについて、強制収用でもってこれをどんぴしゃりやっつけようというような考え方は、この考え方に逆行するわけですね。私はどうもこれは納得できない。  それとあと一つは、ガスパイプラインもそうなんだとおっしゃいますけれども、ガスパイプラインのほうは直接家庭に密着をしておるわけでございます。家庭生活とは不可分のことになっておる。そういうふうな必要性というものは、庶民の生活に密着しておって必要性があるわけですけれども、これは簡単に言えば事業者の都合ですよ、あくまでも。しかも石油エネルギーとして必要なんだ、石油化学として必要なんだといったら、どこの工場でやる仕事だって全部そうなんですよ。特にこれだけが公共性があるというふうに主張する根拠は私はきわめて乏しいと思うのです。そういうことで、強制収用というものをこの法案の中から、どうしてもわれわれが主張しても取らないということは非常に私は残念です。簡単に言って公益事業局の扱いじゃないでしょう。これは鉱山局の扱いですよ。それだけ見たって公共性というものからちょっと遠いのじゃないかと思うのです。事業者というのは強制権がなければと、事業の側に立って主張することはわかります。それから、タンクローリーというようなものがなくてパイプラインだけにたよるのだ、これが主になっている、これは外国の例だったらわかります。とにかく日本の場合はタンクローリーというものがあって、そのあとからああいうパイプラインというものが出てきたわけですから、なければタンクローリーだっていいわけですね。タンクローリーより危険が少ないということは、私も全然否定するつもりはございません。ございませんけれども、タンクローリーだって十分間に合っているということも、逆に言えば安全性確保されればということは十分にいえるのですね。そういうことで、この法案の強制収用ということは、われわれとしてはどうしても削除をしてもらわなければならない。どう考えても、これは憲法上にも疑義が出てくるのじゃないか。あまり突っ込んだ質問をするつもりはございませんけれども、強制収用ということについては、われわれは徹底的にこれは反対です。  そういう点で大臣に伺いたいのでありますが、先ほどは、これはあまり使わないようにするのだというのですが、どうしても使ってもらいたくない、現実の問題としては使ってもらいたくない。これを拒否する気持ちというものは、それは純粋なものだと思うのです。また、生命財産の安全を守るために反対というのは、これは当然出てくる。過密地帯なんか日本はめちゃくちゃに通るのでしょうけれども、ほかの国ではあまり通っておりませんから、だいぶ事情が違うのです。そういう点ではこの運用というものは相当慎重にしてもらわなければならぬし、絶対使いたくない、使わない、こういうところまで腹をきめる。これは事業法ですよ、公共性とか公益性ということを主張するにはだいぶ遠いと思うのです。ガスパイプラインとは違います。そういう点でどうしても強制収用権というものを残すというなら、これはとことんまで使わないのだということを、ひとつ大臣から明確に御答弁願いたいと思うのです。
  177. 田中角榮

    田中国務大臣 強制収用というのは、これは真にやむを得ざる場合のみでございまして、これは使わないことが望ましい、これはもうそのとおりと考えております。しかし、公営水道事業とか、自動車ターミナル事業とか、自動車道事業とか、いろいろなものがあるわけでございますが、こういうものと石油パイプライン法というものと大体同じものだろう。それよりももう一つ進めると、やはりガスとは違うということ、これはよくわかりますが、ガスに似たるものであるということはこれはもう言い得るわけでございます。実際、二億キロリットルの石油の消費量が五十年には三億になり、六十年には七億キロリットルをこすというような場合、事実タンクローリーで運ぶというようなことはできないと思うのです。そうすると、どうしてもやはりパイプラインを使わざるを得ないパイプラインを使うということになれば、材質を非常に強いものにする、しかも、絶対に工法を厳重にして、災害が起こらないといったような安全度の高いものにするということのほうが望ましいわけでございます。そうすると、この事業は非常に国民生活と密着したものであるということで、いま申し上げた公営水道事業と同じような感じで土地収用の規定を設けたわけでございます。しかしこの種の規定はもうほんとうに使わないことが望ましいということはまさにそのとおりでございます。公益は私益に優先するというその私益というものが幾ぶんかでも抑制されてもやむを得ないのだというところまで——やむを得ないのだというのではなく、公益のため真にやむを得ない、こういう状態でなければ強制収用を、簡単に収用権を発動すべきものでないということは、これはもうもちろんでございますが、この条文を取ってしまうということになると、これは事業が行なえなくなるということも考えられますので、そういう面ではひとつ御理解のほどを切に願います。
  178. 石川次夫

    ○石川委員 議論をするつもりはないのですけれども、大臣、公益と私益を比較されましたけれども、私の言っているのは、これは私益じゃないというのです。生命の安全を守るということは基本的人権につながるものである。したがって、私益に公益が優先するという論点で話をされますと、これはたいへんな問題が出てくるのではないか。私はこの事業はほんとうに公共性があるかどうかということについては相当議論があって、はしなくもいま語るに落ちたと思うのでありますが、石油がどんどんふえていくのだというようなことを言われておりますが、その問題はまた別にひとつ議論をしたいと思っておりますが、このままふやしていいのかどうかという議論もあるわけですよ。というのは、日本で、東京で大体公害に対する耐久性が強いカシの木がもう全部復元不可能、あと五十年で東京の木は全部枯れる。それだけではなくて、私のいろいろな統計から見ますと、一体二十一世紀に日本人はどうなるのだ、生きていけるのか、したがって、この木だけの問題をとってみても、もうこれ以上エネルギーを使ってはいけませんという勧告が出ておるわけです。そうかといって、文明が進めば、産業が盛んにならなくてもエネルギーの消費量というものはふえていく。これにどう対処するか。産業構造は一体いまのようにGNPの一〇%を占めてしまうというような現状で一体いいのだろうかという批判があります。アメリカヨーロッパ並みに五%に落とさなければならぬのじゃないか。紙と鉛筆を持って仕事ができるような方向へ産業構造を転換することは、一口に言ってもなかなかむずかしいと思いますが、そういう意味からいっても、エネルギー産業は見直さなければならない時期に来ていると思うので、いたずらに、石油はどんどんふえるのだ、だからしょうがないということだけでは片づけられない問題ではなかろうか。  これから議論になりますから、いずれ機会を改めて申し上げたいと思いますけれども、そういうことで、私は、私益だから、公益優先で公共性だからがまんしてくれということは、この場合は通用しないと思っております。それはほとんど使わないという態度でなくてはいけないのではないか。私はこれは石油事業者の擁護のために——たとえば第一条は、もうタンクローリーでは非常にあぶないからというふうなことや、それから公共性のためにとかいうふうに書いてあるから、これは削ってもらうことにしたのですが、これはあたかも事業を保護するために、事業のためにやるのだというような第一条の目的がはっきりしているので、こういう考え方の発想から出ているのは、きわめて石油パイプライン安全性は危険だということを私は痛感をするわけです。  そこで、こまかい問題から入ってまいりますが、この対象として原油を送るということになっていますが、原油を送ればそこで精製することになる。そこで川へいろいろなものが流れ出て水質汚濁につながるという危険性もあるわけです。したがって、原油は送らない。ここに書いてあるけれども、原油は送らないのだということにしてもらいたいと思っておるわけです。その点は大臣、どうお考えになりますか。
  179. 田中角榮

    田中国務大臣 法律は原油を含むものであるということは、もう言うまでもないことでございます。しかし、現在すぐ原油を送るようなところがあるのかないのかという問題、これは個別な問題もあるようでございますから、事務当局に見通しはお答えさせます。しかし、将来的な問題になると、原油を送るということはもうこれは当然起こるわけでございます。起こった場合はこのパイプライン法によって行なわなければならないということはもう当然でございます。これはシーバースからある程度引っばる場合でもパイプでひっぱるわけでございますし、そこから製油所まで引っぱる場合もそうでございますし、製油所が港の適地にない場合には、製油所と港の間を引っぱるわけでございますから、これは当然この法律の適用を受けるわけでございます。原油が地域的にないとはいえないのですけれども、相当の距離原油を送るということは、これは考えられないのじゃないかと思います。日本国内において港から製油所までということであって、港から相当な距離——いま一つの例からいいますと、相当遠いところにあげて、橘湾であげて大阪までというようなことは、これはとても考えられないということであって、製油所までの輸送ということはもうこれはこの法律の適用を受ける、こういうことでひとつ御理解をいただきたいと思います。
  180. 石川次夫

    ○石川委員 私は原油を送らないということを——大体原油を送らない方針で現状では臨んでおるようですけれども、将来の問題としてそういうことがあり得るというふうにお答えになっておりますが、内陸へ原油を送って、内陸の関係でそこで水質汚濁の問題につながっていくということになったのではこれは問題だという意味で、私は原油は内陸部のほうには送らないのだというような原則をひとつ立ててもらわなければならぬと思っておるわけでございます。  それから、実は附帯決議の中にも盛ったわけでございますが、これは所管が四省にまたがっておりまして、いろいろ各省間でもって調整をとらなければならぬという感じがするわけです。しかも、これはばらばらにいろんな統制をしたのじゃ非常にいろんな事故が起こりやすいということもありまして、これは連絡協議体制を確立するということばで附帯決議が出される予定になっておりますけれども、私は、やはり石油パイプラインの場合には、四省間の緊密な連絡、あるいは第三者、あるいはできれば住民というものを含めた一つの安全委員会というものを組織的につくらなければいかぬのじゃなかろうか、安全委員会に基づいて各プロジェクトごとにまた検討していくというような配慮がなければ、住民の納得というものがなかなか得られないのではないかという感じがするわけでございます。この安全委員会をつくるというお気持ちがございますか。いま直ちにここではお答えは困難かもしれませんが、そういうことを十分に前向きに検討するということにいたしてもらいたいと思うのです。
  181. 田中角榮

    田中国務大臣 新しい企画でございますし、ますます多くなるということは、いま計画しておるものよりも必ずこういう傾向にあるわけでございますから、これはもう安全性確保ばかりではなく、運用の問題に対しても、認許可に対しても、新しい問題も起こってくるわけでございますから、各省間の緊密な連絡をとらなければならぬ、これは言うまでもないことであります。これは具体的にどのようにするのか、総務長官のもとにつくるのか、またこの四省の間だけでもってやるのか、そういう問題もひとつ前向きに検討いたします。
  182. 石川次夫

    ○石川委員 それから、あとは技術的な問題にまた入るわけなんですけれども、実は時間が一時間半といわれておりますが、これからやりますと、一条一条やりますと時間がたいへんどうもかかりそうな感じがするわけです。  それで、いろいろと聞きたいことがたくさんございますが、簡単に一つだけ伺っておきますけれども、内側の場合には二・五倍として安全係数〇・四という数字が出ておるわけです。ところが、われわれが心配しておるのは、内側の圧力に対してはそれほど事故は起こらぬだろう、むしろ外側からの圧力じゃないかということになりますと、一・一一倍の安全係数〇・九というのは、どうも内部よりも外側のほうが弱いという形になる、外圧に弱いというかっこうになっておる。これは内側並みにするというのが常識的に考えてほんとうなんじゃなかろうか、こういう感じがするわけでございますが、これはどなたでもけっこうです、そのほうにお詳しい方に御答弁を願いたいと思うのです。
  183. 根岸正男

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。  外圧と内圧の問題でございますが、当然外圧も、要するに地表からかかる土圧及びそれに乗ります荷重をいうわけでございますが、これは両方考慮しなければならぬものであると思っております。それで、先ほどお話にありましたとおり、現在では内圧に対しまして〇・四、安全率としては二・五倍というような考え方がありまして、今後も外圧の計算をどういうふうにするかということについて十分検討を進めてまいりたいと思っております。
  184. 石川次夫

    ○石川委員 それから、圧力試験ですが、ドイツでは六週間に一度やっておるわけです。これは漏れがどうなっておるかということのチェックなんでありますけれども、これは大体何週間に一ぺんとかなんとかということは基準には示されておりませんけれども、ドイツ並みに六週間に一度くらいやるというお気持ちはございますか。どうですか、その点承りたいと思います。
  185. 根岸正男

    ○根岸説明員 漏洩の問題につきましては、先般来から御説明申し上げておりますように、漏洩検知器を備えることと、それからある一定の間隔におきまして漏洩検知孔を備えるということにしております。それで、それらのチェックにつきましては、先ほども局長からお答え申し上げましたように、パトロール班が巡回検査を毎日実施するという形をとっておりますので、われわれとしては、そういう事故がありましたときは相当早く検知できると思っております。
  186. 石川次夫

    ○石川委員 どうもあまり明確な答弁じゃないのですけれども、これはやはりドイツ並みに六週間に一ぺんくらいチェックがほしいと思うのです。  それから、緊急バルブの場合ですが、成田の場合ですと、成田空港公団の説明によると、バルブを締めるのに大体九十秒かかるということになっております。それからポンプは六十秒ぐらいかかる。これはそのとおりで、三十気圧の力でばっと押しているやつをばんと切ったら、これはたいへんな衝撃を与えることになるので、そう簡単にいかない。したがって、九十秒ぐらい時間がかかるということはやむを得ないとしても、その間にやはり相当被害が出るという可能性がある。緊急装置があるから絶対だいじょうぶだという保証はどこにもないのです。それと、停電になればこれは全然働かないわけですね。そこで自動式の独自の電源を持って緊急制動バルブその他を働かせるというようなことにしなければいけないのではないか、こう思うのですが、この電源はどこに求められますか。独自の電源を確保されますか。
  187. 根岸正男

    ○根岸説明員 おっしゃるとおり、停電等がございますと電源がとまってしまうという問題がございます。それで、こういう検知器その他の電気で操作します電源が必要なものにつきましては、もちろん予備電源と切りかえられるようにいたしております。それから、バルブの作動につきましては、これは蓄圧式になっておりまして、圧力が変われば動くような装置になっておりますから、これは電源の必要がございません。
  188. 石川次夫

    ○石川委員 それから、流量計、圧力計というのは、これは使っているうちに性能が劣化する。その劣化する性能のものをそのまま使っていたのでは検査しても意味がない、いわゆる予防効果がないということになりかねないのでございます。そこでこれは取りかえなければならぬと思うのですが、それに対しては何らの規定も基準には示されておらぬようですけれども、これはやはり取りかえることを義務づけるということが必要なんじゃなかろうか、こう思うのですが、その点はどうなっておりますか。
  189. 根岸正男

    ○根岸説明員 圧力計及び流量計につきましては、先生の御指摘のとおりだと思います。それで、これはそれぞれ耐用年数がきまっておりますけれども、それ以前に、先ほど申し上げました検査によりまして逐次交換するという規定を設けたいと思っております。
  190. 石川次夫

    ○石川委員 その他基準を見せてもらいますといろんな疑問がたくさん出てまいりまして、大体十八カ所ぐらいあるのです。十八カ所いまからやりますと、これは時間が幾らあっても足りないということになるので、実はこれは省略したいと思っております。しかし、この基準をきめるとき、たいへん差し出がましいようなことを言うようでありますけれども、一度御相談をいただきたいと思うのです。この基準の中で疑問の点がたくさんございますので、これはまだ本ぎまりじゃございません、単なる案でございますから、この基準をなにする前には、私もしろうとですからそう詳しいことはわかりませんが、常識的に判断できる範囲ではひとつ御相談に乗りたい、こう思っておりますので、ぜひ事前に御相談をいただけるという約束があるならば、この十八項目にわたる内容の詳細な詰めは取りやめたいと思っておるのです。それを一応……。
  191. 田中角榮

    田中国務大臣 まだきまっておらないものはたくさんございますので、重要ないま御発言にかかる部分等につきましては、決定前に委員会に御相談申し上げる、けっこうでございます。
  192. 石川次夫

    ○石川委員 実は、いままではいろんな技術的な問題やその他を政令で全部まかせるという習慣があって、政令のほうは官僚が一方的に行なうというふうな悪習がずっと続いておるわけです。私があえてその基準の問題についてこまかに質問しようと思ったのは、そういう前例を打ち破って、最近は人間の安全性というものが相当きびしい考え方に変わっておるわけですし、発想の転換が行なわれておるわけです。したがって、安全性に関するものは、少なくとも官僚まかせというか政令まかせにするということは立法府の義務を怠るものではないか、こう考えておるわけです。したがって、われわれとしては、前例のないことではあるけれども、政令にゆだねられた基準というものについて立法が相当関心を持つという前例をつくっていかなければならぬ、こういうことで私はぜひ相談に乗らねばならぬと思っておるわけです。私自身そう知識があるわけじゃございませんけれども、官僚まかせにはしないのだ、住民サイドに立って、あくまでも安全性を守るのだということで政令まかせにはしないという習慣をつけたいと思いますので、この点をぜひ強くお願いをいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  193. 鴨田宗一

  194. 近江巳記夫

    ○近江委員 まず安全確保の問題でございますが、わが国の場合、諸外国と比べまして市街地の通過、こういうことが考えられるわけです。それからさらに、諸外国にない鉄道敷に敷設をする、こういう特殊性というものがあるわけです。本委員会においていろいろな答弁を聞いておりますが、パイプの肉厚を増加するとか、あるいは防護壁の設置等の措置で何とかいけるのじゃないかというような答弁があるわけです。しかし、そういうような措置だけでだいじょうぶか。やはり何といっても安全性確保ということが一番心配であるわけです。特に成田ラインの場合、午前中の参考人意見にもありましたように、地震とかあるいは地盤沈下等の災害に対する試験が不十分じゃないかという話もあったわけですが、これはもう工事にもかかりつつあると思いますし、そういう点で本法の技術上の基準との関係につきまして、実際に安全確保について心配はないのかどうか。これをまず一つお聞きしたいと思うのです。これは大臣でなくてもけっこうです。
  195. 莊清

    ○莊政府委員 石油パイプラインわが国では初めてのことでございますし、関東地方で行なうのは、従来コンビナート地域にあるような小規模のものと違いまして相当大量でありますし、圧力も高いものでございまするので、諸外国で最近非常に進んでまいりました新しい技術もいろいろ調査しておりますが、さらに一段とわが国の特殊事情、つまり過密であるとか地震が多いとか、こういう特殊事情を十分考えまして、世界で一番進んだ技術基準というものを考えて、世界の模範になるようなパイプラインをつくるということが基本方針だろうと存じます。そういうことによりまして、現在の技術であとう限り事故を起こさないという最大限の努力をし、かつ思わざる事態で事故が起こりました場合にも、それの被害というものを最小限に食いとめるため、必要な防護措置、こういうものをあらかじめ十分に施設をして、また、企業の運営面等においても十分に講じておくということで保安に万全を期するということでございます。これによりまして、かりに不幸にして何らかの事態があったときにでもこれを最小限度に食いとめる、こういう姿勢でまいる所存でございます。
  196. 近江巳記夫

    ○近江委員 外国のこういういろいろな事故を見てみますと、腐食による事故というものが非常に多いわけですが、わが国においては塗装あるいは覆装、あるいは電気防食を行なうということを聞いておるわけですが、特に国鉄の場合、電気による腐食対策というものはおそらく初めてではないかと思うのですが、ほんとうに技術的に心配ないものですか。国鉄のほうにお聞きします。
  197. 内田隆滋

    内田説明員 国鉄におきましては、いわゆる電化という問題につきまして長年の経験を持っております。それでいわゆる電食防止はすでに二、三十年勉強しております。これは、たとえば踏切付近におきましていろいろのパイプが交差しておるわけでございますが、それらのパイプが国鉄の直流の電気によってだいぶ腐食するというようなことで非常に研究が進んでおります。今回の場合、三種類の電食に対しましては、方法を用いまして、まず完ぺきな電食防止ができる自信がございます。なお、そのほかいわゆるさびに対しましてコールタールエナメルとグラスファイバーで十分な防護をいたしますので、これも電食に役に立とうかと思いますが、そういう面ではおそらく世界じゅうの技術よりも国鉄の技術が進んでいるのではないかというふうに考えられております。
  198. 近江巳記夫

    ○近江委員 答弁をお聞きしておりますと、非常に技術が進んでおるとか心配ないとか、そういうようなお話がどんどん出てくるわけです。それをすなおに受け取ればそうかということになるわけですが、現実にアメリカ等においても、これはすでに出たと思いますけれども、米国のライマ市等において油送管が破れて流出して八千人から避難をしておる。そういう非常に大きな事故の例があるわけです。数キロにも油が流れていって、そのあふれ出た油が下水溝等にも出て、数キロ先でも爆発をしておる。わずか一・五センチの穴でもこれだけの被害になるわけですから、日本のようなそういう密集地帯があり、あるいは鉄道敷、これだって実際もしも不幸にもほんとうに列車が転覆をした場合、それはたいへんな衝撃が起こるわけですが、そういうことだっていろいろなことが諸外国以上に危険な面がたくさんあるわけです。ですから、心配ないといわれても非常に心配があるわけです。  そこで通産省でも安全基準といいますか、そういう素案を検討しておるということを私も聞いておるわけですけれども、こういう法律が出るときに、この法律が通ってから政令でそういうものを設ける、それであればこのようにしますから心配ありません、そういう政令の素案なり何なりを当然出すべきではないでしょうか。それについてはどう考えておられますか。どなたでもけっこうです。
  199. 莊清

    ○莊政府委員 保安基準の案でございますが、これは昨年通産省に予算措置が講ぜられまして、通産省内に学識経験者の委員会をつくりまして、諸外国の例等も参考にしつつ一案を得たという程度のものでございます。決してこれで万全という自信をわれわれは持っておるわけではございません。現在関係各省にこの案をお渡しいたしまして、それぞれの省内でもまた専門立場から——消防庁は消防、それから建設省は道路立場ということで、内部的な御検討をいただいております。最終的には、私どもの考えでは、自治省に消防審議会という最も総合的な場があるわけでございまするから、そこで御審議をいただくということが必要でございまするが、それまでの間に——やはり現在の案ではまだいわゆる懸案になっておる事項というふうな点が実はあるわけでございます。安全係数を見て、どういう圧力のときには肉厚を一体幾らにするかというようなこともまだ確定的ではございません。その他の点についてもまだ、研究は進んでおりまするけれども、案の文面としては抽象的な表現にとりあえずしてあるというふうな部分も正直いってございます。そういう段階で、まだ役所の内部的な研究資料の段階ということでございますので、こういう公式の場で直ちに御審議にたえ得るかどうか、そういう点を実は懸念しておるものでございます。私どもといたしましては、これを基礎に関係各省の知恵はもちろん、さらに学識者の方の御意見をさらに一そう集めまして完全なものにいたしたい、かように考えております。
  200. 近江巳記夫

    ○近江委員 私たちはそういう技術的な点については全くしろうとですからわかりませんけれども、しかし、このくらいの原案であればだいじょうぶだというそういう資料をくれれば、われわれは専門家にそれを幾らでも検討させるわけですよ。はからずも、まだまだそういう不安な点があるのだ、今後研究をしていくといまおっしゃったのですが、そのように、完全であるというようなことは言えないわけですよ。それだけに、納得をさせるものを、ほんとうはこれだけのことをあるいは研究をした上でこのようにやりたいというのを裏づけとして出した上で法案を出す、これであればわれわれも納得できるわけですね。そういうことで、こういう安全性という問題等においては、これはもうほんとうにどれだけ配慮をしてもし過ぎることはないわけです。そういう点で、自信のあるということは一面からいけばいいことでありますけれども、これは過去の例から見ても、わずか一センチ半の穴がそれだけの大事故を起こすわけですから、技術的にほんとうにシビアに安全確保という点についてやっていただかないと、これはもうたいへんなことになる。この点におきまして、まだまだわれわれとしては不安が相当残っておるということをここで申し上げたいと思うのですね。  それから、経済評論の一月号に、「石油パイプラインは安全か」、これの中身を見ますと、「スイスが、安全と環境保全の配慮から、石油パイプラインの建設基準を採算がとれぬほどきびしくしている」ということをエッソのヨーロッパパイプライン総括部長G・E・メイズ氏という人が日本石油関係者に語っておるわけです。その記事が載りているわけですね。スイスにおいてもこのくらいの配慮をしておるわけです。日本の今回のこの法律に基づくこれからのそういう運用ということを考えていった場合、それだけの自信はありますか。これは大臣にひとつお聞きしたいと思うのです。
  201. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほどから申し述べておりますとおり、石油の消費量というものは非常に大きくなっておるわけでございます。実際タンクローリーでもって送るということは、これは不可能な状態になりつつございます。鉄道タンク車、それから道路を走るタンクローリー、これはもう実際制限をせざるを得ないようになっております。特に、大型のトラック、タンクローリー、それからいまの石油だけではなくプロパンとかいろいろなものがございますが、とにかく自動車も安全に運行できなくなりつつある、こういうことでございます。ですから、そういうものはできるだけ鉄道に、それから船に、こういうことでだんだんと動かしていかなければなりません。そういう意味で、前の国会で自動車トン税法というようなものまで通していただいたわけです。ですから、道路でなくても済むものはできるだけ他に移行せしむるようなことを促進していかないと、六十年展望になると、道路を三倍に広げても、自動車の三分の二、四分の三というのは運行停止をしなければならぬというような状態になることはもう数字がはっきり示しておるのでございます。実際、道路は現在の三倍になるかどうかもわからないということでございますが、そういう状態にあるときに、じゃ石油を運ばないでいいのかというと、石油はなるべく使わないようにしなければならないということは事実でございますが、しかし、どうしても石油の消費量はゼロにするわけにまいらない。そうすれば何らかいまよりも安全な方法考えなければならないということでございまして、パイプラインという新しい方法を採用せざるを得ないということになっておるわけでございます。これはパイプラインの材質とそれから工法と、もう一つは安全装置ということにかかっておるわけでございます。あとは巡回をどうするかということでございます。そうすると、これは、いまも御指摘ございましたように、経済採算ベースの問題だけしか残ってまいらないわけです。ですから、いまのタンクローリーで運ぶくらいまで金をかけてもいいのだということになれば、これはもう絶対に近い安全性というものは確保できると思います。しかし経済的な問題でありますから、技術的にだいじょうぶである、こういえばその基準に従って採用するということになると思います。ですから、私先ほど申し上げたように、五百人乗り、千人乗りの飛行機が太平洋をとにかく無着陸で飛べるようなガソリンを満タンで積んでおるわけです。一カ月でも二カ月でも三カ月でも、とにかく海の中を潜航できるような原子力潜水艦も運航しておるわけですから、技術的に解決できないという問題ではないわけです。絶対ということがあるかというと、これは神さまでないですから、絶対ということはありませんけれども、比較論の上で申し上げると、これはいまよりもはるかに安全であるし、また新しい意味で大規模の災害が起こるかもしれないということも全部入れて計算をしても、これはもう、絶対とまでは申し上げませんが、安全でありますということを申し上げられるような基準でなければならない。この基準はそんなにめんどうな基準ではないわけです。ですから、先ほども石川さんに申し上げましたが、いろいろな基準をきめる前に、当委員会とも相談するように……。これは新しいことですから当然御説明をすべきだと思います。これは建築基準法をやるときとかいろいろなときも、新しい安全基準を採用するときには常に起こる問題でございますので、そういうことでお互いが考え得る最善の努力を尽くすということであれば、安全基準は守られた、こう御認識いただきたいと思います。
  202. 近江巳記夫

    ○近江委員 このようにスイスはシビアにやっておるわけです。大臣も万全を尽くすということをいまおっしゃったわけですが……。それからアメリカ合衆国の内務省当局は、本年の三月二十日にアラスカパイプラインについて九巻に及ぶレポートを発表しておるのです。それによりますと、経済性よりも安全性、対自然保護に重点を置いたコースをとった。そういうコース一つについてもこのように書いてあるわけですが、こういうような文献等もすでに政府はいろいろ研究されておると思いますけれども、もしお読みになっておらなければ、感想を聞いてもできないわけでありますけれども、こういう先進国はパイプラインのそういうような反省も込めていろんな研究もやっておるわけでありますし、十分よく勉強していただいて、そしていろいろとそういうことを取り入れてもらって、日本において二の舞いをしないようにやっていただきたい。これは特に要望しておきます。  それからパイプライン事業経営体制の問題ですけれども、たとえば関東パイプライン株式会社等は精製各社の共同出資によって設立されておるわけです。それからまた主務官庁というものも多岐にわたっておるわけです。そういう点において、有機的あるいは効率的な運用ということから考えますと、どうもその点がうまくいくのかどうかという点が非常に心配になるわけです。そういうことでこの運営にあたって、官庁の窓口あるいは連絡体制の整備等、一元化というのですか、その辺そういう何らかの効率的な面はやはり考える必要があるんじゃないか、このように思うのですけれども、そういう点についてはどのように考えておられますか。
  203. 田中角榮

    田中国務大臣 石油各社が共同出資をする会社であるといっても、これはパイプラインをやる会社というものは責任体制もちゃんとつくられて人員配置も行なわれるわけでございます。出資比率によって、社長をA社が出したら副社長はB社だ、C社から専務ということにはならぬわけでございまして、共同出資による石油パイプライン石油輸送専門会社ということになるわけでございますから、これは共同出資であるからといって責任が分散されるとか無責任になる、責任体制が明らかにならないということにはならないということは理解いただけると思います。  それから各省主務大臣が多いということでございますが、これは確かにいつでもそういうことをいわれるわけでございます。しかし、鉄道に関しては運輸省、国鉄がもう全責任を持つわけでございますし、他のものに対しては、道路の下その他は建設省が十分技術的に監督いたしますし、あとは通産省が責任を負うということにならざるを得ないわけでございます。なおまた、各省がばらばらにならないように連絡協議もいたしますし、十分勉強し、共同責任を負えるような体制をとりますということを先ほども申し上げたわけでございますので、そういう意味では、主務大臣が多いといってもおのずから部分によって主務大臣はきめられるわけでありますので、主務大臣が多いということで安全基準が守られなかったり責任を回避するような体制は絶対にない、こう自信を持って申し上げます。
  204. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういうパイプライン事業というのは非常に先行投資性の強い事業になるわけなんですけれども、この関東ラインの場合、投資額が二百七、八十億ということを聞いております。償却期間というのが大体十五年。そこで参考人が、出光さんだと思いますが、タンクローリーに比べて約十分の一輸送コストが低減できる、そのメリットは当然消費者に還元する、このように言われたわけでありますが、こういう考え方を通産省はどのように受けとめておりますか、その点についてひとつ……。
  205. 田中角榮

    田中国務大臣 これは当然その発言どおり受け取らなければいかぬと思います。これはいまでさえタンクローリーで送っておりますが、これからますますタンクローリーそのものの輸送がふえますと、事故が多くなるのです。事故が多くなると補償費だけ考えてもこれはたいへんなことなんです。そういう意味で、これからいままでのタンクローリーよりももっと大型タンクローリーになるわけであります。いまの十トン車が二十トン車になり三十トン車になるということと同じことで、実際に建設省も困ると思うのです。国全体も困るのです。十トン制限の橋の上を十一トンが通れば、これはもう全部まいってしまうわけでございますし、そういう意味で、これがだんだんと堅牢な、ひっくり返っても事故が起こらないようにということになると、コストはどんどんと高くなっていくわけでありますから、それが十分の一で済むなら当然消費者に還元さるべきである。この面は通産省が所管しておりますので、そういう計算は十分いたしまして、消費者物価に稗益できるように、貢献できるように十分運営と計算には注意いたしてまいりたい、こう思います。
  206. 近江巳記夫

    ○近江委員 土地収用の問題ですが、これは石川委員のほうからも先ほど話があったわけです。われわれとしても、この事業の円滑な運営をはかるという点において、こういう土地収用をかけるというようなことは極力避けなければいかぬ、このように思うわけです。それで参考人も毛頭考えていないというようなことをおっしゃったわけですが、この辺についてひとつ政府の考え方を聞きたい。特に大臣にお聞きしたいと思うのです。
  207. 田中角榮

    田中国務大臣 土地収用という条文はできるだけ慎重に運用されなければならない。これはもう言うまでもありません。しかし、この条文はございますが、絶対に使ってはならないということではなく、地主の、また周辺の協力と理解を得ながら、この事業は進めらるべきである、こういう考え方でございます。ですからもう初めから努力をしないで土地収用、本法第何条の規定によりましてというような運用は望ましくないということは当然でございまして、これはわれわれも真にやむを得ない状態において土地収用を発動しなければならないときがあっても、慎重な運用をいたしたい、こう思います。
  208. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、もうあまり時間がありませんから、あと一点ほどで終わりますが、現在計画中の成田ですが、これの大体の完成予定時期とかあるいは資金計画とか今後の計画の見通し等につきまして、簡単にお聞きしたいと思うのです。
  209. 高林康一

    ○高林政府委員 空港公団の工事につきましては、四十六年十二月に着工いたしました両端末のタンク部分は完成しております。それで四十七年三月から着工いたしましたパイプライン部分につきましては、飛行場内はほぼ完了しております。それから東関東自動車道部分につきましては、すでに工事に着手しております。なお千葉市内の部分については現在施工準備中でございます。それで大体本年中にはこれを早急に完成せしめたいということで、いまいろいろ進めておる状況でございます。
  210. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほども私申し上げましたが、こういう保安の確保というような点から考えても、地元住民の協力ということは一番大事なことだと思うのです。ですから、やはり強権を発動していくという権力的なことはできるだけ避けなければいけない、このように思うのです。そういう点、これは成田だけではなくして、これからいろいろ多く計画しておると思いますが、今後の大臣の基本的な姿勢をお聞きして、これで終わりたいと思うのです。
  211. 田中角榮

    田中国務大臣 新しい事業でございますし、しかしどうしても必要な事業でもございますので、これが運用にあたりましては、各委員御発言になられたような問題も十分勉強し、万遺憾なきを期してまいるつもりでございます。
  212. 鴨田宗一

    鴨田委員長 米原拠君。
  213. 米原昶

    ○米原委員 パイプラインによる石油輸送が、理論的、一般的に言えば合理的で経済的で、それから事故も少ないということは私もわかるのです。しかしそれは一般論でして、日本のような過密の地帯、そこを選んでつくるようなことがだいじょうぶかという点が一番問題であると思うのですよ。いままで欧米諸国の事例であまり人の生命に関するほどの事故はなかったといいましても、先ほど近江委員からも例があげられましたけれども、アメリカのテキサス州で起こった事故ですね。七千人から八千人の人が一昼夜退避せざるを得なかったというようなこともあったようですが、そういうことがもしも過密地帯日本で起こりますと、これはたいへんな災害を起こしてくるんじゃないかということが考えられますから、一般論だけで、これでだいじょうぶだ——事故をなくするためにも万全の措置をとると言われれば、理論的にはそれはできるはずなんですが、現実的には、そういうことをやろうとすればするほど相当の金もかかる、結局コストダウンを考えていても逆にコストがかかってくるようなこともあり得る。絶対にということは言えないと思うのですね。そういう点でこの法案について問題があると思うので、そういう考え方から若干質問いたします。  この法案の初めに、第三条では、主務大臣石油パイプライン基本計画を定めなければならないというふうになっておりますが、この基本計画は大体どういうことを予定されているのか、そしてその基本計画はいつでき上がる予定になっているのか、こういう点についてまず第一に聞きたいと思います。
  214. 莊清

    ○莊政府委員 この法律の施行は大体六カ月後という予定でございます。したがいまして、今国会で成立がお認めいただけました場合には、ことしの暮れごろから施行になりますので、まず第一にすることは、この基本計画の策定ということに相なります。この場合に、実は全国一度にというわけではございません。通産省が中心になりまして北海道とか近畿とかについても調査研究は始めておりますが、とりあえず関東地方につきまして、成田のラインと関東パイプライン会社と国鉄線、この三つを対象にした基本計画を法施行後なるべく早い時期に定めるという考えでございます。
  215. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、まだ基本計画はできてないわけですけれども、実際には業界のほうではもう計画が進んでいるわけですね。たとえば、いまおっしゃった成田空港と千葉港の間のパイプライン、あるいは関東パイプライン、国鉄のパイプライン、こういうものはどんどん具体化しているわけです。ところが基本計画がまだできてないということになるわけですが、結局、いま進められている既設のパイプラインを基本計画に取り込んでいくことになるということだと思うのです。いま業界で実際にどんどん進められておりますが、いまの説明を聞いていますと、これを基本計画の中に取り込んでいくということになるのじゃないかと思う。そうすると、まさに業界のほうがどんどん進めていて、業界本位で一体基本計画をつくるのかということを聞きたくなるのです。業界のほうが先に進んでいて、政府はそれを合理化するような基本計画をつくろうとしているとしか思えないのですが、この点について大臣の基本的な考え方を聞きたい。
  216. 田中角榮

    田中国務大臣 そこが問題のようでございますが、こういうことなんです。この法律がなくともパイプラインは行なえるのです。現に行なっておるわけです。成田線は、地主の承諾を得て、道路の部分は道路の地下占用ということで占用許可をとれば、そのままやっていけるわけであります。国有鉄道は自分の鉄道敷の中をやることでございますから、これは運輸大臣の内諾を得ておるでしょうが、運輸大臣権限でできることでございますから、国有鉄道は現に進めておるわけです。しかしそういうことよりも、やはりこういう方向はもう真に避けがたい。先ほどから申し上げたように、道路も一ぱいであるし、タンクローリーがひっくり返らないからいいけれども、これがひっくり返ったら、たいへんな惨事を起こすわけであります。そういう危険物がいま走っておるわけです。そういう状態考えますと、やはりパイプラインというものは時代の要請でつくらざるを得ないわけですから、法律をつくって、そうして制度として確立するほうが望ましいと政府は考えたわけです。そのためには、使用権とか、あるいは金融やいろいろなものの助成とかを考えて、そして基本計画も定めて、国会でも御説明をし、そして将来の計画ともマッチさせられるようなものにしよう、こういうことで法律を御審議いただいておるわけですから、民間がどんどん行っているから政府があとを追っかけてやっているのではなく、いまのままにすると野放しになる。どうも基準も、ほんとうにここで説明できるほどしっかりしたものもできないと思いますので、やっぱり将来的にいろいろな問題に対して政府が責任を負える体制が望ましいということで法律審議お願いしているわけですから、そこは、民間がどんどんやっていて政府がそれを取り込んで民間の言いなりになるのだというようなことではないのであって、民間がばらばらに走ってしまうと困るので、少し調整を行なって合理的なものにしようというのが立法の考え方ですから、そういうふうに理解していただきたいと思います。
  217. 米原昶

    ○米原委員 民間がやろうと思えばいまでもできるわけですが、しかし私はそれを野放しにしたらいいというわけではないのです。それは当然国土全体の計画その他と考え合わせてやらなくちゃならぬからこそ、法案も出されたわけでしょう。安全という点や、いろいろな地方自治体がやっている都市計画や何かとの調和とか、いろいろな問題があるので、当然これはつくらなくちゃならぬわけですが、それがどっちかというと手おくれで、まず基本計画のほうができて基本的な方針というものがちゃんときまってやるのじゃなくて、実際には業界が進めているのを取り込んでいくというようなものにならざるを得ないのじゃないか。そういう点で、基本計画というここできまっている考え方は、事実と違うのじゃないかということを感ずるわけです。  それから、たとえば都道府県知事の意見を聞くというようなことが第三条の第四項に書いてありますけれども、はたしてこれがどれだけの実効があるのか。意見を聞くと書いてあっても、実際上はほとんどそれが意味をなさないようなものになるのじゃないかということを非常に心配をしているわけです。これはどうですか。
  218. 田中角榮

    田中国務大臣 いままででも実質的に地方公共団体の意見をもちろん聞かなければならないし、市町村の意見を聞かなければこれだけの用地買収に応ずるはずはありません。ですから、これはちゃんと聞かれておるのです。ただ、これからは新産業都市建設促進法の問題とか、今度の工業再配置の問題もございますし、北海道東北開発法もありますし、都市計画をやる場合とかいうことで、これから新しく各地につくられるものは当然地方自治団体の意向が尊重されなければいかぬ。これがいま経済的にはこうであっても、何年後にはこのように団地計画があるので、これはもっと迂回されたい、ここに給油所をつくられたいというような問題が当然出てくるのです。そうしないと、いまの現在ある状態だけでもってパイプラインをやったら、それは理想的なものにはなりません。だから、そこへパイプラインが通るならば、いまの住宅地内にある工場は全部そちらへ移しましょうというようなものが起こってこなければならないのです。そういう意味で、いまの関東の三ラインくらいなものではなく、これから計画されるものとの関連で、この法律の条文は働いていくのでして、非常に合理的であり必要なものである、こういうふうにお考えいただきたい。
  219. 米原昶

    ○米原委員 もっと具体的にその問題を聞きたいのですが、午前中に参考人意見を聞いたのです。その中で、たとえば千葉・成田パイプラインの計画、これを進めるにあたって、なぜ住民がああいう反対運動を起こして不満なのか、具体的にどういう問題があるのかということを聞いてみた。ところが、たとえば道路を買収するにあたって、水道管を布設するんだ——パイプラインを敷設するとは言わない、水道管を布設するんだというのでやっている。だからペテンにかかったんだといって憤慨している。前からパイプラインに対しては非常に住民は一般的にいいますと不安感を持っているパイプラインといったらおそらく違ったでしょうね。ペテンにかけている、こういう問題ですよ。たとえば、千葉県の知事も千葉の市長も一応賛成と言っているかもしれませんが、実際は住民の意向を聞いてない。具体的に申しますと、問題になっている地域に知事に来てくれといっても来たこともないというようなことが不満になっている。だから私は、ただ知事の意見を聞くとか市町村長の意見を出すことができるというくらいじゃ、こういう問題は解決できないというふうに考えるのです。石油パイプラインというのは一度つけてしまえば半永久的なものですから、最初が非常に重大です。その地域の現状とともに将来の開発ということも考えなくちゃならぬ。都市計画との調和ということも考えなくちゃならぬ。何よりも住民の納得を得るということが非常に重要じゃないかと思うのです。いまの千葉・成田パイプラインの建設について、異議申し立てや監査請求がもう二万名以上も出ているわけですね。そしてこの土地収用法を適用するというようなことになりますと、逆に対立を激化させるようなやり方になってきて、納得ずくで言えば解決するものをこじらせているのです。そういう点で、たとえば新産業都市建設促進法第二条では、都道府県知事は、地域指定を受けようとするときは、あらかじめ関係市町村長に協議することとして、この協議については市町村議会の議決を義務づけているわけです。こうした考え方をこの法律案に盛り込んだらどうか。そうしないといまのような反対運動が起こっても納得させるすべがない。ことに水道管を布設するなどとペテンにかけて土地を買収したりするからこじれていくのであります。どうしても知事、市町村長の意見を聞くだけでなく、関係する議会にはかって、その議会の決定を持って合意するというようなたてまえをはっきりすれば問題は解決するのじゃないか。そういう条項をこの法案に入れる用意があるかどうかということを聞きたい。
  220. 田中角榮

    田中国務大臣 水道管を布設をするといって石油パイプラインを敷設しているというのはまた子供だましの話でございまして、それは一部そういうことをおっしゃっている方もあるかもしれませんが、そんなことでは私は地主が売ったり、地元が納得したりはしないと思う。住宅を建てるといって糞尿処理場を建てるような話で、それはとてもそんなことではないと思います。またそんなことではこんな事業は全国的には成功はできません。現在のままでもできるのです。ただ無計画に、ばらばらに石油パイプラインをやられるということは、これは望ましい姿じゃないのです、ほんとうからいったら。これはやはり災害を伴うおそれがあるという場合は厳重にワクをはめるべきである。そういう意味で、工業用水道だって工業用水道法が必要である、ターミナルにしてもバスターミナル法が必要である、こういっているときに、これだけのものを全国的に相当やらなければならないというときに、法律がないということはこれはある意味において政府は怠慢だといわれてもしようがない。そういう意味で私はこの法律を提案しているわけです。原子力発電所をつくる場合は地方の意見を聞かなければならない。これは現実的には反対があれば待っております。しかも町長がいいと言っても——町長ではなく逆に大飯発電所などは議会がいいと言っているのですが、町長がいいと言うまで待っているのです。このくらい慎重な運営をやっているのです。ですから、それ以上がんじがらめにするということが必ずしも住民の意思の反映にはならないと思うのです。ですからこの問題は、やはり先ほど申し上げたように、土地収用法の規定などは使われないで、現に使わないでやっているのですから、そういう意味で十分慎重な運営をいたしたい。ただ中で、百人のうち一人だけが、絶対わしの目の黒いうちはというような反対があったら、そのときは真にやむを得ないということで運用さるべきだ、こう言っているのですから、私はこの条文でもって御理解いただけるのじゃないか、こう思います。
  221. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、具体的には私が提案した新産業都市建設促進法のようなことは入れられない、入れる必要はないというお考えですね。
  222. 田中角榮

    田中国務大臣 これはもう点と線だけの問題でございまして、新産業都市のように平面的なものではございませんので、またそこまでの必要はないように感じます。
  223. 米原昶

    ○米原委員 パイプラインが通るということは、地方の都市計画や何かとも非常に密接な関係がありますから、そういう見地からしても、それから今度の全国的な国土計画の見地からしても、そのくらいの慎重さできめておけば、そこまで実際はやらなくても、理解できるところは簡単にいくのですよ。法案に入れておけば、それだけの慎重な態度をとったということがはっきりしていれば、非常に仕事は進めやすいのじゃないか。さっき言ったような例はしかし決して単なる一例という程度じゃないようです、さっき言った水道を布設するのだといってペテンにかけたという話は。そんなことが問題を起こす動機になっているのは事実なんですよ。ですからそういうことはやらせないようにやはり法律の中に入れておくことが一番いいのじゃないかということです。
  224. 田中角榮

    田中国務大臣 法律でそこまで書かなくとも、主務大臣がおりますから、基本計画をつくったり策定したりしますときには地元のトラブルがないように、将来いろいろな法律による計画とマッチするように、これは鉄道敷をやるのだから、鉄道は自分の好きなところ以外に石油パイプラインの口はつけないなどということを言わないように、これはほんとうに地方のいろいろな計画と十分マッチできるように配慮いたしたいということで御理解いただきたい。
  225. 米原昶

    ○米原委員 その点が私たちとしては非常に不十分だ、こういうふうに考えているんです。  もう一つは、土地収用法の適用の問題ですが、石油パイプライン事業を公益事業のような取り扱いにしているということですが、石油パイプラインによって直接利益を受けるのは——これは間接的には確かにいろんな面があるでしょう、そう言ったら切りがないんです。どんな事業だって公益的な面があるわけですが、石油パイプラインによって直接利益を受けるのは石油業界や軍事基地で、一般住民が直接それで恩恵を受けるというものじゃなくて、いろんな問題が起こるわけです。不安もある。そういうところに土地収用法を適用するというのに私は非常に大きく疑義を感ずるんです。端的に言えばこれは憲法違反じゃないか、そう思うのです。  けさほども指摘がありましたけれども、もう一つ言いたいのは、国会図書館が出している例のレファレンスという雑誌を見ますと、石油パイプラインについてEECの例が出ているのです。非常に詳しい研究が出ているのですが、パイプラインをつくった結果、石油輸送費と精製費のコストダウンにもかかわらず最終価格の値下げは見られない。つまりこの点で私はけさ見えた出光さんに聞いたんですが、コストダウンが見られた場合にその分を消費者のほうに回す用意があるかということを繰り返し聞きましたら、その場合は値下げをやることを業界のほうで約束しているんです。そうだとしますと、この問題に限っているんですが、事実コストダウンがあった場合にはそれだけ消費価格を値下げして消費者のほうに利益を回していい、こういうことは約束していいとこの場でおっしゃったんです。そこまで業界が言っているところを見ますと、政府としては、このパイプラインによって石油の流通が合理化された場合のその節減分を全額消費者価格に反映させるつもりがあるかどうか、この点について私は政府の約束をとりたい。
  226. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほども申し上げましたように、タンクローリーではなかなか輸送ができないような状態になります。これを強行しようとすればたいへん住民に迷惑もかけるし交通災害も起こすおそれがある、そういう意味でパイプラインに移らざるを得ない。パイプラインに移るということは、いまのタンクローリーで運んでおるよりも低廉である。低廉であるならば、この低廉になる差額というものは消費者に環元すべき性質のものである、これは言うまでもないことだと思うのです。しかし、いま御指摘になりましたほかの国でもってパイプラインをやったけれども下がらなかったじゃないか、これはちょうどときあたかもうんと原油の値上げがあったというようなこともあるようです。原油の値上げでもってどうにもならなかったという場合はあると思います。今度の円の切り上げが行なわれたときに、OPECが値上げをしたために切り上げ分だけ下げることはできなかったというものもございます。しかし考え方としては、合理化が進んだり、しかも土地収用の権限さえも持たしていただいたり、特典を与えられて行なうことは公益事業にひとしいものとしてのものでございますから、そういうものは当然消費者価格、販売価格に反映さすべきものだということは御指摘のとおりでございます。   〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕 それは業者がここで述べたというのでございますから、政府は当然そのように行政指導をしてまいるというのが筋である、こういうことで御理解いただきたい。
  227. 米原昶

    ○米原委員 それで、石油パイプライン事業に公益事業並みに土地収用権を与えるということは、私はどう考えても法律の乱用であるという感じがするのです。できるだけ土地収用法を適用するようなことは避けたいとおっしゃる。これはだれでもおっしゃるとおりです。だが実際は収用法を適用せざるを得ない場面があるからこそこの条項が入れてあるのだと思うのですよ。しかしやはり入れること自体が乱用じゃないか。少なくともこの問題の関係で第三十一条の「土地の立入り」ですね、これは所有者及び土地の占有者の許可を受けなければならないというようにすべきじゃないかと思うのですが、これはどうでしょう。
  228. 田中角榮

    田中国務大臣 まず土地収用権についてはきっと御説明申し上げたと思いますが、工業用水道事業、自動車ターミナル事業、自動車運送事業等にも収用法の適用がある。外国はどうかというと、アメリカは州の公用収用法により付与しておるということ。フランスはパイプライン建設に関する特別政令で付与しております。西ドイツは州の土地収用法によって付与しております。イギリスもパイプライン法によって付与しておる。イタリアは商工省の許可にかかるものについて付与をしておる。オランダは経済省による許可、公益性の宣言にかかるものについて付与しておるということで、やはり各国でも土地収用というものの必要ということは認めておるようでざいます。しかし私は、この種の条文はできるだけ発動せらるべきものではないということで、地主の理解を求めながらやるべきが一番いいことである、こう言っておる。ただ全然なくていいのかというと、これは一万人の中で九千九百九十九人が賛成して一人だけはどうもわしは望ましくないのだというようなことになれば、これはやはり多数の利益のためにということで、この種のものは公益性の高いものとしてこの条文の適用はやむを得ないでしょう、こう申し上げたわけです。  それから立ち入り権は、土地収用の規定がある限り立ち入り権というのはうらはらでございまして、これがないということになるとこれは全然収用もできないわけです。   〔橋口委員長代理退席、委員長着席〕 だから本人の承諾がなければもちろん理解も得られない。だから本人の承諾を求めるため万全の措置をする、努力をする。中にはどうしても話がつかないというところがございます。どうしても話がつかない、真にこの事業を行なうためにやむを得ないというときに土地収用の条文が発動する。そうすると、その前提条件になる立ち入り権というものも規定してないと収用の条文が全然動かなくなる、こういうことでございますので、収用法の条文が適用されないことは望ましい、慎重にやります、こう言っているんですから、この立ち入り権もそのようにひとつ読んでいただきたい。
  229. 米原昶

    ○米原委員 では、安全性の問題について消防庁にちょっとお伺いしたいのです。  消防審議会では、新東京国際空港公団や国鉄のパイプライン研究などを取り寄せて検討されておるそうですが、消防庁としては、防災の責任を背負う立場から独自に安全性について実験もし、研究もされているか、その点を伺いたいのです。聞くところによると、四十七年度の予算でこのための試験研究費がつかなかったので実験はやってない、しかし他の研究で十分だと見ておられるようです。消防庁の現在のような安全面の検討、保安面の検討で将来事故を起こさないということを自信を持って約束できるかどうか伺いたい。
  230. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 消防庁といたしましては、このパイプラインが問題になりまして、いまお話のありましたように消防審議会に直ちに諮問をして、主として安全性の問題について検討をいただきました消防研究所におきましては、主としていままで危険物の保安という面からの研究をやっておりまして、今回四十七年度の予算にはいま御指摘のようにパイプライン自身を対象にしたものがございません。しかしながら私のほうとしては消防研究所、あるいは参事官をこの問題のために海外にも派遣いたしましたし、また消防審議会の審議の場を通じて各省ともどもこの問題についての検討をやり、答申をいただいてからはさらに保安の技術面についても鋭意各省間で話を詰めておるところでございます。御指摘のとおり、もちろんこの問題については研究自身においても、さらにたとえば石油の漏洩というような問題これは石油のタンクの問題、つまりコンビナート地帯のタンクの問題もございます。こういう漏洩とそれからそれを結びつけた防災システムというようなものについては、私たちの消防研究所の年次計画のほうにも入れてございますの川で、いま御指摘のようなことでわれわれもこの問題についてはそういう観点からさらに研究を進めるつもりでございます。
  231. 米原昶

    ○米原委員 じゃ、大体事故を起こさないで、また事故が起こった場合でも防げる、こう自信をもって答えることできますか。
  232. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 われわれとしてはもとよりこのための保安というものには最大の努力をいたしますし、また現地の消防関係者におきましても、この問題はパイプラインの施設をするものと一緒になって事故のないように当然しなければなりませんし、また万一の場合には、これについてはいろいろな手当てを当然考えておるわけでございます。そういうことで、この問題について万一のことがあれば当然被害を最小限に食いとめる、こういうしかけの中でこの施設を運用していかなければならぬ、こう考えております。
  233. 米原昶

    ○米原委員 通産省のほうにもう一度聞きたいのですが、万一事故が起こった場合の補償に関する規定がこの法律案には全然ないわけですが、これを不十分だと思われませんかどうか、この点聞きたい。
  234. 田中角榮

    田中国務大臣 補償の問題はもう他の法律で十分措置できるわけでございます。鉄道だって脱線をすることもあるし事故もございます。しかし国有鉄道法の事故のあった場合の補償規定というものは明文化する必要もない。これは別にちゃんと法律上の措置が十分なされておるということで理解をいただきたい。
  235. 米原昶

    ○米原委員 最後に、通産大臣の見解を聞いておきたいのです。  石油輸送する場合にパイプラインを使うということは、やり方によっては、そして原則的には私も反対じゃないのですが、一般論としてはいまの状態は非常に無理があるんじゃないかということを考えざるを得ないのです。つまり全体の国土総合開発計画、このことと関連があるのです。ただ過密状態の中で、ことに幹線道路とか鉄道敷地につけるというようなことがはたしてだいじょぶかどうか。そうして当然いまの新全総というものは大臣も訂正しなくちゃならぬということをおっしゃっておりますが、つまり国民の要望と意思を正しく反映して公害とか災害を起こさないようなそういう計画ですね。それに基づいたパイプラインの計画ということがどうしても必要だろう、そうしてそのためには、地方の都市計画などとも調和させていくというやり方が必要だ、こう私は思うわけなんですよ。いまのところパイプラインを私企業がやるという形になっているために、さっきも例が出ましたが、やはり経費を節約するための手抜きの工事をやるとか、そんなことがとんでもない問題を起こすのです。これを公益企業並みに扱うということだとすれば、私は私企業ではなくて、先般石油開発公団法の改正案のときも触れましたけれども、エネルギー問題を総合的に全体をつかんだ総合エネルギー公社というようなものをつくって、その事業の一環としてパイプラインをやるというように持っていくのが本来の姿であるべきじゃないか、こういうことを痛感しております。これは将来の方向ですが、その点について大臣の所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  236. 田中角榮

    田中国務大臣 一番最後の御発言は傾聴すべき御発言だと思います。私自身も大体その筋には賛成でございます。これは新しい国土の総合開発計画を理想的に青写真をかいて、その中にパイプラインの計画を入れるということが一番いいことであります。私もそう思います。この前に、この国会で工業の再配置法案を御審議いただいておるわけでございます。その意味からいうと、さなきだに過密のところにまた便利にすると悪循環になってもっと過密になると言う者もありまして、私自身も必ずしもこの法律案に基本的に賛成でスタートしたわけではなかったのです。これはやるならば、総合計画の中で、六十年までに鉄道の新幹線九千キロ、水は一千カ所ダムをつくるということで計画さるべきものだと思った。しかしそんな理想論だけ言っておっても、いま東京は一体どうなっておるのだ、いま阪神はどうなっておるのだというと、まさにタンクローリーで運ばなければならない需要がある。運んでおれば大事故が起こるような、とにかく予感がするというのではなくて、道路の過密状態からいうとほんとうにそういう状態である。そういうことからいえば、これはどうしても、さなきだに過密であっても東京や大阪にも公営住宅を建設しなければならないと同じ理由によって、やっぱり国民の生活を守るためにはパイプライン法の制定をお願いしなければならない。しかし、先ほど申し上げましたように、今度は基本計画をつくりまして、全国的な問題としてこれは十分マッチをさせます、こう言っておるのでございますから、いま一番初めにスタートするときに取り上げるものは現状主義もやむを得ないということでひとつ御理解をいただきたい。
  237. 鴨田宗一

    鴨田委員長 中村重光君。
  238. 中村重光

    ○中村(重)委員 私どもがこの法律案の提案理由を聞きまして審議に入りましたのが四月四日でありました。したがいまして、他の法律案等審議しながら慎重に審議してまいったわけであります。だがしかし、安全性の問題とそれから三十七条にありますところの国鉄パイプラインに対する適用除外の問題、さらにまた附則六条にありますところの土地収用の問題、これらの問題を中心にいたしまして政府の答弁を伺いましても、どうしてもいまだ納得できないのであります。だがしかし、慎重に審議をいたしましたから多数原理に従わなければならない。三、四十分の後にこれを採決する予定でございます。きょうもいろいろ議論されましたが、やはり安全性の問題とそれから適用除外の問題、土地収用の問題、各委員ともこの問題を取り上げてまいりました。この法律案が立案の過程で主として運輸省と通産省との間にいろいろと考え方の違い、所管の争いという形に発展をいたしまして、提案までに相当な日時がかかったようであります。結局妥協の産物ということになりまして、通産省、運輸省、建設省、自治省、それら各省がそれぞれ主管省といったような形で、共管ということでそれが提案されておるわけであります。その点から私どもが将来紀憂いたしますのは、うまくいくかどうかということです。大臣もそれぞれ主管大臣がいることだし、また連絡協議会であるとか、安全委員会、それらのものをつくって遺憾なきを期していきたいというようなお答えでありました。私は、大臣はそのとおり思っていらっしゃるのだろうと思うのです。しかし実際、運営においてうまくいくのかどうかということは、やはり問題ではなかろうかという感じがいたします。それで具体的にこれから、そうした安全委員会にいたしましても、あるいは連絡協議会にいたしましても、どのような構成、それから権限をもって運営をしていこうとしておるのかという点は、ぜひ伺っておきたいところでもあります。さらにまた、妥協の産物という形においてこうして出てまいりましたが、運輸省は、あくまでこのパイプラインというのはいわゆる輸送の一手段である、それ以外の何ものでもない、こういう見解を持っておられた。それから通産省は、そうではなくて、これは石油の生産であるとか販売であるとか、そうした経営範囲の一環であるという考え方、これはまっこうから対立をいたしておるわけでありますから、それがどういったそれぞれの省の話し合いによってこれが妥協したのか、そのことは将来の運営に非常に影響してまいりますから、いわゆるうまくいくかどうかということのキーポイントにもなりましょうから、それらの点についてもひとつ大臣からお考え方を伺っておきたい、そう思います。
  239. 田中角榮

    田中国務大臣 いま御指摘ございましたように、いろいろな議論があったことは事実でございます。まあ輸送業務であるということもございましたし——輸送業務であるか供給事業であるかということは、これは輸送のない供給というのはないのですから、これはもう輸送供給業務のいずれかに分けること自体がむずかしい問題でございまして、新しい意味からこれはやはり石油業の一つのものであるということは言うまでもありません。私はもう議論するつもりは何もございませんが、輸送業務であってもこれは運輸省でなければならないとも考えておらない。じゃ声の輸送はだれがやるのか、それから通信の輸送はだれがやるのかといえば、それはみな輸送ですから、輸送というのは全部どこかでもって供給地までには輸送しなければならぬわけです。ですから声の輸送は電電公社がやっているわけですし、そんな議論はくだらない議論だと思います。私はもう通産大臣になりましたときにそう言って直ちに結論を出した。これはもう議論よりもこの法律が必要であるかないか、政府はそれに対してこれを立法するかしないか、責任を果たすかどうかという問題に集約すべきであるということで、この問題も案外長い歴史を持ちながら結論を見たわけです。この中に、農地を通らなければいかぬから農林大臣も入れなければいかぬというのもありました。そういうものもございます。ございますが、いまの公営住宅法をつくるときも厚生、労働、建設といろいろな問題がございましたが、公営住宅は建設大臣を主管大臣にしよう。それで厚生住宅に関しては、入居条件その他に関して厚生大臣と協議する、それから労働者住宅に対しては労働大臣の意見を聞かなければならぬ、協議をする。これはあたりまえのことである。そこまで割り切ることができなくていまの法律が提案になりました。しかしこれはポイントはやはり四つあると思うのです。これは先ほども御質問ございましたが、石油は通産大臣の所管である。それから一番問題なのは道路を通るということでございます。これは建設省はどうしても技術上、保安上の問題があります。それからもう一つは地方のいろいろな計画とマッチをさせなければいかぬということで自治大臣、これはまあしようがない。そして鉄道敷に関しては鉄道がやる。こういうことでありますから、これは条文を必要とする。まあ議論はありましたがしかるべく結論を得たわけでございます。  ですから、あとは保安の問題とかいろいろな問題に対して、御指摘を受けたような問題に対して、政府自体が完全に責任を負えるという体制をとらなければならぬわけであります。これは基本計画にしても、災害防除にしても、また安全基準の問題にしても、点検やその他の問題にしても、またほかの計画や法律との調整、調和にしても、責任を負えるような体制をとらなければいかぬということでございまして、これは十分とります。これはもうこの四省の間で十分連絡がとれるような体制をつくって、この法律案が完全に実行されるようにいたしたい、こう思います。これは経緯と、ざっくばらんにこの法律の運用の将来に対しての考え方を申し上げたわけでございます。
  240. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣がいまお答えのとおり、これから十分連携をとっていくことになるのだろう、またそうでなければならないと思うのです。そうなってまいりますと、私はこの三十七条の適用除外というのはやはり問題点であると思うのです。これは五条四項に、第一項の許可をしようとするときには自治大臣の意見を聞かなければならない、そうしてまた自治大臣は、意見を述べるときは都道府県知事の意見を聞かなければならない、しかし国鉄パイプラインに対しては、これは適用除外である、ということになっているわけですね。それから国鉄パイプライン事業運営にあたりましては、通産省はこれは主務大臣ということになっていない。しかし運輸大臣は、これはすべて通産省の所管事項——いまでは具体的な計画の中にありますいわゆる関東パイプライン、あるいはこれから業者でこのパイプラインが必ず計画され、運営されてくるでありましょうそういった場合にも、これは運輸大臣がやはり所管大臣という形で頭を出してきて、そういったことが私はむしろうまくいかないのではないか。やはり国鉄パイプラインといえども安全の問題というのは重要な問題なんです。これに対して、私は、消防当局がこれに関係をしないということは問題である。なるほどこれは実質的には安全基準の問題等々に対して、四省間において話し合いがなされて、その間において消防庁長官は大きな役割りを果たしているのだろうと思うのです。思うけれども、法文上はこれが適用除外という形において抹消されている。それらのことがやはり将来の運営問題点という形になってこないという保証はないと私は思う。したがいまして、このパイプラインに対しましては四省はすべて深い関連を持つわけでありますから、やはりアンバランスにならないように十分均衡がとれる体制というものがなければいけないのではないかというように私は考えているわけです。その点に対しましても、同僚委員からいろいろと指摘され、質疑がなされましたが、やはり私どもが納得するような答弁がされないのであります。したがいまして、この点に対しましては国鉄副総裁も御出席でありますし、消防庁長官もおられるわけでありますから、今後どのようにこれを運営をしていこうとお考えになっていられるのか。私どもが心配をいたしておりますのは、これは単なる杞憂にすぎないというような納得のいくお答えがあればより幸いでありますけれども、それらの点に対してお答えをいただきたい。
  241. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 ただいま御指摘がありましたような運営の問題について、私たちこの問題を主として運輸省とお話しを申し上げた際、工事の認可、それから保安規程の認可という問題がございました。この点についてはいろいろ話し合いました結果、運輸省がこれを認可をする際には、事前にわれわれにも十分相談をするということにいたした次第でございます。  それからまた、実際工事の完成検査及び保安上の検査がございますが、これは事実行為でございます。私たちのほうはこういう事実行為につきましては当然消防が、災害がありますれば一番先にそこに出向くわけでございますし、住民の側からいたしましても、そこに通知がございます。したがってこういう事実上の検査行為、完成検査並びに保安検査につきましては、これはわれわれとともに一緒にこのことをやる、こういうことでこの問題にケリをつけたわけでございまして、実際の運営におきましては、先生御指摘のような、ばらばらに事を運ぶというようなことのないように事前にその点は話を十分にしておるところでございますし、またつけ加えて申し上げますれば、保安基準につきましては、消防審議会の答申を得ましてから、四省間においてこの基準の項目並びに細目については十分話し合って今日までもまいったところでございます。そういう点におきましては、御指摘の点をわれわれは、現地における第一線の消防を担当するものとして、ばらばらでは全く現地が一番困るわけでございますので、その点はこの法案を作成するときにも十分関係各省にも申し上げ、いま申し上げたような運輸省の関係では、実際上そういうことで話し合いをつけた次第でございます。
  242. 山田明吉

    山田説明員 国鉄は、この法案との関係では完全なる事業者でございまして、法案が決定すれば、その適用を受けることは申すまでもございませんし、その監督官庁の監督を受けて事業をやるわけでございます。それで、国鉄自体の考え方といたしましては、もう御承知のことと思いますが、昭和三十八年当時から、パイプライン事業が必要だということで研究をいたしてまいっておりますが、大体鉄道の線路敷を使ってパイプラインをやるということでございまして、したがいまして、この法律案の三条の基本計画でも大体国鉄のルートはきまるわけでございます。それから、線路敷を使ってやりますパイプラインでございますので、線路と同じような、線路工作物の一種でございまして、これは同一の管理者、つまり国鉄でございますが、同一の管理者が同じ種類のと申しますか、線路工作物を維持管理するということで、これは御迷惑をかけるようなことはないと思っております。線路敷でございますから、不特定多数の、たとえば道路を自動車が通るというようなことも考えられませんし、それからまた実際問題といたしまして、保安基準、これが先ほど来から一番御熱心に御討議になっておいでになります問題でございますが、これにつきましても、私どもなりに従来各界の権威者、土木関係者はもちろんのこと、パイプラインそのものをいままで手がけておられる民間の会社の方々の御意見も伺いまして、いろいろ検討をいたしております。その間に監督官庁の御意見も当然伺っておりますが、今後この法律案が成立いたしますと、それに基づく正規な基準を事業者である私どもにもお示しになると思います。私どもといたしましては、それをもちろん守ることは当然でございますが、それ以上のものを研究し、実際に工事をしていくつもりでございます。そういう点で、まあ口はばったい言い方でございますけれども、私どもも技術力については他に負けない自信もございますし、それとまた同じような趣旨の監督規定もできることであろうと思います。それから地元との協力なり御理解、これはパイプラインに限りません。一般の鉄道の単線を複線にする工事にいたしましても、その他輸送そのものの工事につきましては、従来、都道府県を含めた地方公共団体の御意見、それから地元住民の方々の説明会等も持っておりますし、同じような考え方で今後とも地元の御理解と御協力を得て円満に工事を進めたい、そのように考えている次第でございます。
  243. 中村重光

    ○中村(重)委員 山田副総裁お答えのように、それは国鉄の技術陣というものは豊富であるし、十分の研究をしておられる、そのことを私は否定するものではないのです。しかし、事故というものは、これは夢想だにしなかったところに、これは従来の事故例から見ましても起こっておるということです。やはりパイプラインを敷設をいたしております先進国家の例を見ましても、線路の中央から四メートルといったような、そういう近距離でもってこのパイプラインを敷設をしているという国はない。やはり私はその点に対しては非常な危険を感ぜざるを得ないのです。複合災害が発生をしたらどうなるのであろうか、これは山田副総裁といえども、一まつの不安というのはないことはないと私は思っています。  それから先ほど来、田中通産大臣が安全性について強く強調されました。なるほどタンクローリーとパイプラインとを比較いたしました場合、平常においてはパイプラインのほうがより安全であるということを私は否定するものではないのです。しかし異常災害の場合はどうだろうか。なるほど溶接であるとか腐食防止とか敷設条件であるとか、あるいは漏洩検知装置であるとか緊急遮断装置であるとか、いろいろ研究をしておられる。さらにまた、これから安全基準といったような詳細な検討を進められ、そして万全の措置を講ぜられるであろうことは期待できるわけです。しかし安全に絶対というものはない。やはり異常災害というものを念頭に置いて十分の対策を講じられる必要があるということです。そのことを考えてみますとき、先ほども質疑があったように思いますが、たとえば軟弱地盤であるとかあるいは人家が過密しているところの地帯、これは建設費がかさむでしょう。かさみましょうけれども、いわゆる経済性というものから離れて、より安全性というものに重点を置いた工事を進めていかなければならない。パイプの敷設をしなければならぬ。そうなってまいりますと、私は迂回をしていくということでなければならぬと思います。その点に対しては、やはりいま一度大臣から確固たるひとつ方針をお示しいただかなければならないと思います。
  244. 田中角榮

    田中国務大臣 安全性の問題に対しては万全でなければならないということは、もう申すまでもありません。先ほどもお答えを申し上げましたが、地盤の軟弱その他に対してはこれは工法上の問題、また安全性確保のためには、そこだけ補強をしなければならないというようなやり方は、当然なさなければなりません。また道路の下ですと、パイプだけではなくパイプの上に被覆する、もっと柔軟なもので被覆をして二重構造にするということも、建設省が先ほど答弁したようにいろいろなことをやっておるわけです。ですから、ある場合においては二重構造よりも三重構造を必要とするというところもございますから、どんな軟弱の地盤でも安全性を一〇〇%近く確保することは可能であります。先ほどもございました。しかし、できるだけ遠隔地を回したほうがよろしいというようなもの、そうすることによって地元の了解が得られるということであれば、埋設個所を変更することも十分配慮すべきだろうということを述べたわけでございます。しかし鉄道の敷地を使うということになると、おのずから制限があります。これは平面的には、水平距離でもって何メートル離せというわけにまいらぬわけであります。これはしかし鉄道敷の下のほうに地表から埋設する位置までの距離を深くすれば深くするほど安全率確保されるわけです。ですから、道路でもって一メートル八十というものを鉄道敷は二メートル五十にでも二メートルにでもすることによって道路よりももっと安全性確保されるわけでございます。私も私鉄を長いことやっておりますから、普通の道路よりも鉄道のほうが安全でございます。これは路盤というものが非常に吟味して築造されておりますから。そういう意味で、いまも山田副総裁が述べましたように、基本計画というもので自治体との話し合いをしなければならない。それであとの問題は、災害に対する問題はいまの条文で足るのではないかと思います。これは鉄道鉄道事故を起こしてもそのとおりでございますし、いまタンク車鉄道でもって運んでおるわけですが、これは衝突したときの事故もそのとおりでございますが、これがちょうど埋設するパイプラインに変わったことでございまして、基準とかいろいろな問題をつくるときに各省の意見を十分調整をするということは必要ではありますが、鉄道敷内の問題に対して、保安基準に対して自治大臣を入れる必要があるのかないのか、これは通産大臣そのものも、私は鉄道敷に関しては運輸大臣にまかしていいんじゃないか、こんな感じがいたします。しかしこれからの運用は、鉄道だけの問題ではなく、道路鉄道も農地の中も、それからその他の地域も政府全体が、しかも四省の大臣は全部この基準をきめるときには参画をするということが望ましいことでございまして、鉄道の安全に対しては鉄道が自信を持っておりますからあなた方には見せません、相談はいたしません、こういうものでは絶対にない。これは政府全体が共同責任を負えるような体制で新しいものでありますから保安基準をきめるときには慎重にやるべきだ、こう考えます。ただ法制上、自治大臣までが鉄道敷の埋設物に対して責任を負うこともなかろう、こう思います。
  245. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまの点は、鉄道敷の問題はむしろ安全基準の問題、いわゆる技術基準の問題、保安問題、そういったような点から当然自治大臣が、これは実質的には消防庁であるということになる、これに参画をする形、実質はそうでしょうけれども、法文上これを明確にされる必要があるということを私どもは強調しておるところです。そういう意味で適用除外は適当ではないということ。  次に通産大臣と道路局長の見解を伺っておきたいのですが、先ほど来諸外国の例からいろいろ質疑がなされたのですね、いわゆる他工事の問題。これに対して標識ということを強調していらっしゃる。私もその標識というものを否定するものじゃない、それはぜひ必要なんです。しかし東京瓦斯並びに大阪瓦斯の事故例を考えてみましても、標識といったようなこと以外のことでああいう大事故というものが起こってきたということです。これは十分念頭に置いてこれからの対策を立ててもらわなければならぬ。それは施工方式の問題が一つあるのです。もう一つは監督上の問題です。それから役所の組織機構上の問題、これらが根本的な問題であろう。ガスということになってまいりますと、これはガス供給業者が当然その責任を負わなければならない。しかしながら他工事に関連をしてガス導管というものを動かしたりなんかいたします場合に、これに対しては間接的責任というもの以外にガス供給業者は持たないということです。したがって、ここに大きな欠陥というものが生まれてきて、東京瓦斯やあるいは大阪瓦斯のあの大事故という形になってきたということです。もちろんそればかりではない。これは大きな要因であるということがいえると思うのです。この点に対しましては、私どもは当委員会において、この欠陥をなくしていく必要がある、そういうことでガス供給業者の発言というものをもっと強めていく、監督責任というものをこれに持たせるというような体制がつくられなければならぬということを強調してまいりました。それらの点に対しましては建設省、関係があることでありますから、建設省として、特に道路の最高責任者としてのあなたのお考え方を伺いたいということと、それから大臣は、これはガス電気等は通産省の所管でありますから、いま私が指摘をいたしましたようなことはたいへん重大な問題であろうと思います。したがって、この後の対策をどうするのかということについては、これはパイプラインの敷設の問題はこれに関連をしてまいりますから、その点に対する考え方をひとつお示しいただきたい。
  246. 高橋国一郎

    ○高橋(国)政府委員 御指摘のとおり、東京、大阪等の大都市におきますガス等のパイプが、しばしば他工事によりまして破損をし、そのための被害が起きていることは御指摘のとおりでございます。これは御承知と存じますが、日本におきますガスの埋設の深さというのは、道路法で一メートル二十というふうにきめてございます。しかるに、これは道路法制定前に、つまり関東大震災前に埋設いたしましたガス等につきましては必ずしもそういうふうに深く入っておりませんで、しばしば浅く入っている場合が多うございます。そういうものが現在台帳にも載っていないという状況で、それがしばしば事故を起こしているのが実情でございます。われわれは、これらにつきましては台帳を整備させる等、道路管理の強化をはかっております。  今回の石油パイプラインにつきましても、もし市街地を通る場合には、従来よりもさらに深くする、一メートル八十ということを先ほど申し上げましたが、深くすると同時に、その表面に、たとえば鉄筋コンクリートの板等でおおいまして、たとえばブルドーザーによる工事によっても、まずガスの前に鉄筋コンクリート板に到達いたしますので、ガスパイプをこわすことのないように、未然に発見できるような方法もとっております。市街地外につきましては、黄色のビニールテープ、布でもってパイプの上面に埋設いたしまして、同じく掘さくしたものがパイプの前で直ちに発見できるような措置をとらせるような処置をとっているわけでございます。  いずれにいたしましても、御指摘のように地下にはいろいろなものが埋設されております。しかもいろいろ錯綜しておりますので、これらを十分検討する責任がわれわれにはございますので、さらに管理を強化していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  247. 田中角榮

    田中国務大臣 いま道路局長の述べたとおりでございます。地下には埋設物が非常にたくさんございますが、特に今度の石油パイプラインは、パイプライン自体、いま道路局長が述べましたように、二重、ある場合においては三重にする。ですから、あとから外傷を受けても直接パイプに当たらないようにということで十分な措置をいたします、こう述べましたが、これは私、先ほど述べた軟弱地盤の場合二重のものを三重にするというようなことも十分考えられます、こう述べておるとおりでございます。被覆体をつけるということでございます。  しかし、もう一つは、ガスパイプ等との場合になれば、ガスパイプの、いままで埋設しているものをある場合は移転をしてもらう場合もあるでしょうし、そのガスパイプの本管が入っている場合、特にそこだけは厳重に被覆をしなければならないというような問題がございます。市街地の埋設物との問題については、特に許可基準、埋設基準をきめるときに厳密に規定をしてまいらなければならない、このように考えております。
  248. 田中榮一

    田中(榮)委員 これで質問を終わりますが、いまのお答えも、私の質問に対して全く当たらない答弁じゃないですよ、しかし、私がより根本的な問題と言っているのは、制度上の問題なんです。いいですか。ガス管を他工事によって移動したりなんかするというその場合、ガス供給責任者は、当然これに対する監督権といったようなもの、もっと端的に言わしていただけば、工事の責任というようなものすら持たせる必要があるのではないかということです。供給者は保安上の責任を持っているのです。他工事において事故が発生をいたしましても、ガス供給者というのはその責任を問われるわけです。ならば、制度上といたしまして、この供給業者を何らかの形においてこれに監督権を持たせるということ、一体となって、このガス管の埋設であるとか、あるいは移動であるとか、そういうものをやっていくという、そういう制度を確立する必要がある。これは過去の事故による経験として実は申し上げているわけですから、そういう点は当然これは通産大臣が保安責任者、所管大臣として、十分この点に対しては配慮していかれる必要があるということを、私の考え方として申し上げたわけでありますから、その点に対しては、いずれ適当な機会にお答えをいただければけっこうであります。これは、もちろんパイプラインのこれから先の敷設であるとかあるいは移動とか、いろいろな問題が起こってくるわけであります。これとの関連が起こってまいりますから、その場合にいわゆるパイプライン事業者というものをどういう立場に置くのかという点は、ガス事業者と同じような立場にあると私は思うわけです。そのことを十分配慮される必要があるということを言っているわけです。  最後に、土地収用の問題であります。先ほど私益とかあるいは公益とか、大臣の見解が述べられました。この条文はどうしても取るわけにはまいらない、だがしかし、土地収用というものを発動することは極力避けなければならない、そういう運用をやりたいというお答えがあった。だがしかし、やはり大臣が最後の一点ということでお答えがありましたように、当然この土地収用というものは、発動する必要があるときは発動しなきゃならぬという考え方の上に立つパイプライン事業というものは、これは公益事業であるという、そういう考え方の上に立っておられるということです。私は、その点に対してはどうしても同感するわけにはまいらない。このパイプライン事業というものは、これは石油輸送合理化である。むしろこれは石油業の企業内部の問題であると私は申し上げたいわけです。近隣の住民というものは、このパイプラインによって便益は受けません。しかし大きな権利の侵害を受けるわけです。そのことを考えてみますと、むしろこの土地収用というものをここで法の中に明記するのではなくて、実際これがないことのほうがより住民との間に円満に十分話し合いがなされて、この事業というものが推進されることになっていくのではなかろうかというように私は感じるわけであります。その点に対しましては、意見が一致しないことはまことに残念でありますけれども、再三再四大臣からお答えがありましたが、もう一度私の見解に対して、これは間違いであるということなのかどうか、これは運営の問題を含めてお答えをいただきたいと思います。
  249. 田中角榮

    田中国務大臣 土地収用法は、もともとないほうがいいということは御指摘のとおりです。しかしこの石油というものはガス電気、水道とは異なるにしても、生活の必需品であるという面から考えますと、少なくとも工業用水道法に土地収用の規定がございますように、また自動車ターミナル法にもございます、有料道路法にもございます。そういうような意味から考えてみると、この石油パイプラインというものが国民生活に非常に密着したものであるということが一つございます。もう一つは、道路の上を走っておるタンクローリー、それから鉄道の上を走るタンク車、これはもう限界を示しておるということでございます。これをこのまま見過ごしておると、大きな惨事を起こすおそれもございますし、住民に対しても安全を保障しがたいということでございます。そうすると、どうしても必要やむを得ず、パイプライン方式を採用せざるを得ない。これからはもう時代の流れでパイプラインを採用しなければ大量の油を送れない、こういうことでございますから、少なくとも下水道に近い公共性を持っているということだけは、これは事実でございます。ですからその意味で、外国もみんな収用規定を置いておりますから、これはこの法文の中に収用規定を置きました。しかしこれは初めからびしびしと適用するというわけではなく、住民との話し合いによって理解を求めていくべきであるということは、もう当然であって、できれば土地収用の規定というものは発動されないことが望ましい。発動されないならば条文からとってしまえというんですが、それは先ほどから申し上げておりますように、九十九人が賛成しておるにもかかわらず、私はどうしてもと言っておるときに公益、大多数の人の利益を守らなければいかぬというためから考えると、収用の規定は必要でございますと、こう申し上げておるのでございますから、いままでのただ石油というのではなく、これは石油をとめてしまって——石油輸送というものは、もう国民生活から見ても非常に重要な問題でございます。そういう意味で、石油の生活に対し七重要度が増したということと、現在のままの輸送形態はもうそのまま続けていけないんだという現状、パイプラインになれば危険度は非常に少なくなる。そして輸送費が十分の一にもなれば、それは消費者物価に反映せしめます、こう言っているのでございますから、そこらでこの法律の中に占める土地収用の規定というものを評価していただきたい、こう思います。
  250. 鴨田宗一

    鴨田委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  251. 鴨田宗一

    鴨田委員長 この際、小宮山重四郎君から本案に対し、修正案が提出されております。     —————————————
  252. 鴨田宗一

    鴨田委員長 まず、修正案について提出者から趣旨の説明を求めます。小宮山重四郎君。
  253. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 自由民主党提出にかかる修正案につきまして、その提案の趣旨を御説明申し上げます。  石油パイプライン事業は、わが国石油事情にかんがみ、新たな石油輸送手段としてその促進をはかるべき事業でありますが、わが国においては新しい事業であり、公共の安全を確保することが重要でありますので、次のような修正を加えることが必要であると存じます。  修正の第一は、法律の目的を改め、石油輸送に関する災害発生の防止と道路等における交通事情の改善に資することを削り、公共の安全を確保することを加えることであります。  修正の第二は、関係市町村長は、基本計画及び事業の許可に関し、主務大臣に対して意見を申し出ることができることにすることであります。  修正の第三は、事業許可の申請書の記載事項として、事業用施設についての保安確保のための事項を加えるとともに、事業許可の基準として、保安距離等の確保により災害発生の防止がはかられるものであることを加えることであります。  修正の第四は、主務大臣が工事計画の認可をしようとするときは、関係都道府県知事に通知しなければならないこととし、知事は主務大臣に対して意見を申し出ることができることにすることであります。  修正の第五は、石油パイプライン事業者は、公共の安全の確保及び環境の保全のため必要な措置を講じなければならないことにし、あらかじめ災害の発生に備え、危険時の措置について関係市町村長と協議しておかなければならないことにするとともに、事業用施設についての一定の保安作業については、一定の保安教育を受けた者を従事させなければならないことにすることであります。  修正の第六は、関係市町村長は石油パイプラインに関し、災害発生のおそれがあると認めるときは、主務大臣に対して必要な措置を講ずべきことを要請することができることにし、主務大臣は、必要があると認めるときは、保安規程の不認可またその変更命令等の措置を講じ、すみやかに関係市町村長に通知しなければならないことにすることであります。  以上が修正点でありますが、これらの諸点は、審査の過程において論議された問題でありますので、詳細の御説明は省略いたします。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  254. 鴨田宗一

    鴨田委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  255. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより討論に入るのでありますが、本案並びに修正案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、小宮山重四郎君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  256. 鴨田宗一

    鴨田委員長 起立多数によって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  257. 鴨田宗一

    鴨田委員長 起立多数。よって、本案は小宮山重四郎君提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  258. 鴨田宗一

    鴨田委員長 この際、本法律案に対し、小宮山重四郎君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。石川次夫君。
  259. 石川次夫

    ○石川委員 提案者を代表して、私から附帯決議案の提案の趣旨について、御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。   石油パイプライン事業法案に対する附帯決議(案)  政府は本法施行にあたり、石油パイプライン事業必要性と保安確保の重要性にかんがみ、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一、過密地帯等における石油パイプラインの設置にあたっては、公共の安全を確保するため、特に万全の対策を講ずるとともに、主務省令で定める技術上の基準は、専門の学識経験者の意見をとり入れ、地震地盤沈下わが国の特殊な条件に十分対応するよう厳格に策定し、工事計画の認可にあたっては、地層、土質等当該地域の固有の条件を十分配慮すること。 二、石油パイプライン事業の適正な運営確保するため、所管四省間において緊密な連絡協議体制を確立し、円滑かつ効率的な石油パイプライン事業行政を行なうとともに、石油パイプライン事業者に対しては、事業用施設の設置及び事業運営にあたり、関係地域住民の意見を尊重し、その不安の解消に努め、安全かつ適正に行なうよう強力に指導すること。 三、過去におけるガス爆発事故発生の経験にかんがみ、他工事による石油パイプラインの破損事故発生の防止について、万全の対策を確立するとともに、石油パイプラインにより万一環境汚染、人命、財産等に被害が生じた場合は、十分な補償措置を講ずるよう指導すること。 四、日本国有鉄道石油パイプライン事業運営にあたっては、消防上の諸問題について自治省及び関係地方公共団体と連絡を密にし、公共の安全に遺憾なきを期すること。 五、石油パイプライン事業のための土地の収用及び使用については、土地所有者等の利害について十分配慮し、極力これを避けるよう慎重に運用すること。  以上であります。  附帯決議案の内容は、すでに審査の過程におきまして十分論議されたところであり、案文によって御理解いただけたと存じますので、詳細の御説明は省略をいたします。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  260. 鴨田宗一

    鴨田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  261. 鴨田宗一

    鴨田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められております。田中通商産業大臣
  262. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議に対しましては、政府といたしまして、その趣旨を尊重し、万遺憾なきを期する所存でございます。     —————————————
  263. 鴨田宗一

    鴨田委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なしと呼ぶ者あり」〕
  264. 鴨田宗一

    鴨田委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  265. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次回は明六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時四十四分散会