○石川
委員 十二時になれば、
田中通産大臣が来るかと思って各論から入ったのでございますが、まだ来ていない。実は工業技術院だけが問題ではないのです。各省にまたがる研究機関が全部総ぐるみで移ろうという問題になっておりますので、太田さんにだけこのことの
責任を追及したり、決意を聞いてみたところで、ちょっとお話にならぬという性質のものでありますけれでも、各省にまたがるいろんな研究機関の世論
調査の結果、たとえば典型的なものとして地質
調査所というところを見ますと、記名でもって求めますと、「参加すべきである」ほうが五十七名、「参加すべきでない」のが三十一名で、すべきであるほうが多いのです。しかし無記名になりますと、「参加すべきである」が八名、「参加すべきでない」というのが百四十一名、圧倒的に参加すべきでないという意見が出ておるわけです。
調査所長の報告によりましても、「省・院
責任者のご発言、あらかじめ立てられた短期間のスケジュールに行動を拘束されざるを得なかったことが重なって、強圧的と見られ、反発を招いたことは遺憾ながら否みえない」という報告がはっきり出ておるわけです。それからあなたの傘下の電総研、電子技術総合研究所は所長がはっきりと、絶対に反対である、移転はいたしません、こういう申し入れをしていることは院長自身がよく御承知だろうと思うのです。したがって、この移転はなかなか容易ならぬことだろう。私は、大臣が来れば申し上げようと思ったのでありますが、筑波学園都市というもの、研究学園というものを総合化して一元的に設けるという構想は、昭和三十五年ごろ私が提案をしたと記憶しております。
建設委員会のほうで、大都会の過密を阻止するという任務が
一つであります。それから
あと一つは、都会の中におけるところのいろんな機関、機構というものがあります。教育の機能、研究の機能、それから産業の機能、政治の機能、
政府機関というふうないろんな機能があるけれ
ども、
一つの機能を分割して移転をしたのでは、かえって両方の交流というものが激しくなって非常な混乱を招くであろう。したがって、私は、筑波学園都市に移転をする場合には、
一つの機能をそっくり移転をするということでなければ、いわゆる東京都の過密対策にはなり得ないであろう、こういう提案をいたしました。その結果として生まれたのが、当時、科学技術庁
長官は中曽根さんであったわけでございますこれ
ども、過密対策として研究機関を一括して移転をしようということになりました。そのとき中央高速道路の
計画がございましたので、私としては富士山ろくというのが構想にあったわけでございますが、いつの間にかそれが筑波というふうに変わってまいりました。筑波に変わってまいりますと、これは私の出身県でございますが、地元では相当の反対があったり、移転する側に相当の反対があったり、しかし言い始めたのは私だということで、非常に矛盾に悩んでおるわけなんです。しかし、筑波学園都市問題に関してのいろんな確認事項がございますけれ
ども、閣議決定の中で、実行段階で四〇%の職員が行かなければ
計画をやめざるを得ない、こういうふうなことが確認されております。四〇%も行かなかったら、それはもう研究機関が成り立たないことは当然なんですけれ
ども、たとえば二〇%でも相当の機能がそこなわれるだろうと思うのです。したがって、どうしても総ぐるみで向こうに行けるような体制をしなければ、この研究の機能というものは十分に発揮し得ないし、また筑波学園都市というところに移転をした以上は、研究条件というものが整ってさらに成果があがるのだ、こういう目的で移転をする以上は、それに反するような結果になったのでは何にもならないではないか、こう
考えておるわけでございます。
田中通産大臣がお見えになりました。これは
通産大臣にだけ聞く問題ではございませんが、あなたは、何か聞くところによりますと、総理の最短コースのようでありますから、ぜひこの
機会に十分ひとつ
考えている点を、偉くなりますとなかなか直接お話しをする
機会もないと思うので、この
機会に申し上げておきます。
日本の生産、経済成長というものが相当伸びてきた。それに貢献したのはいろいろ要素というものがあるでしょう。ありますけれ
ども、その中で科学技術の貢献度というものが相当高いと思うのです。しかしその科学技術は一体どういうものであったかといいますと、ほとんどが導入技術で、
日本古来の技術というものはございません。はっきり言いまして、アメリカでは技術輸入が十に対して
輸出が百であります。それから西
ドイツあたりは相当進んでおりますから、技術導入百に対して
輸出が四十という比率になっておりますけれ
ども、
日本では残念ながら技術導入百に対して十一か十二。最近ちょっと上がってまいりましたけれ
ども、とてもこれでは問題になりません。
そこで、アイゼンハワー大統領時代にやった政治の中で一番の失政は一体何だったかという反省が行なわれておりますけれ
ども、その反省の最重点は技術
輸出というものを安直にやり過ぎた、これから技術
輸出をやるべきではないというような反省がアメリカできびしくなされておるわけです。この間ある学会の会合がありまして、公開の席上でいろいろ技術成果の
発表会が行なわれるはずになっておったのでありますが、肝心のところになると
日本で行なわれた学会では絶対に
発表しない、
日本で
発表したら全部いいところを取られて、またそれが生産力につながって、
輸出という形になって世界の市場を荒らすというふうな警戒心が相当強く働いておる。したがって、どうしても
日本がこれからいままでのように繁栄の道を歩もうとするならば、技術の面で追いつき追い越す以外にはないし、それだけの能力と素質というものは
日本人には十分あると私は
考えておるわけでございますけれ
ども、残念ながらこれに対する
政府の施策というものは先進国の中で最下位である、これはもう私は認めざるを得ないと思うのです。たとえば
政府のほうではGNPの中で二・〇一%になった、研究投資というものは相当ふえたのだということを言っておりますけれ
ども、この中身は一体何だ。GNPの中で二・〇一%というのは一体高いのかというと、これは非常に低いわけです。最低三%を割っているところはございません。しかもその二・〇一%の内訳は一体どうなんだということになりますと、四、五年前は
政府の分担したのは二八%であったのでありますが、最近は二六%であります。かえって下がっておる。諸外国はどうなっておるかというと、これは釈迦に説法でありますからいまさら言うまでもないのでありますけれ
ども、どこの国でも、研究投資の総額の中で
政府が占めておるのが五〇%以下というところはございません。したがって、
日本は研究投資に対しては非常に及び腰で、冷たく扱っておるというのが実態であります。これは認めざるを得ない。ほんとうの基礎的な研究というものは、これを民間にゆだねても不可能です。大学ではもちろんやるでしょう。しかしながら民間は基礎研究といっても、それが全部利潤につながり、生産につながるもの以外は基礎研究はいたしません。したがって、そういう基礎研究も含めて、
日本の
政府の研究投資に対するかまえ方というものが先進国に比べて非常に劣勢といいますか、全く劣っておるという点は私は残念でならぬのであります。この点は思い切って立て直さない限り、
日本がほんとうに繁栄の道を歩むことは不可能だということを、ひとつ肝に銘じていただかなければならぬと思うのであります。たとえば昭和三十七年に比較いたしますと、国の予算は四倍にふくれ上がっておりますが、国の予算の中で国立研究機関の予算のふくれ方は二四一、二・四倍でありまして、国の予算よりもはるかに低い。その中で私が特に関心を持っておりますのは、厚生省
関係予算は一体どうなんだ。これは人命に関することで、いまライフサイエンスとか環境技術とかいろいろなことがいわれておりますけれ
ども、この厚生省
関係の研究というものは特に重視されなければならぬ。そういう時代に非常に変わってきておるということは言うまでもないと思うのです。おととい資源
調査会でもって東京の木が五十年間で枯れるという報告がされましてある程度のショックを与えたのでありますが、そんなことは私は百も承知であります。それよりもおそろしいことは、実は農林省の食糧研究所のある室長が
発表いたしました紀元二〇〇〇年の
日本の人口は一体どのくらいかというと、いろいろな条件が積み重なって、悪い条件でありますが、
考えていくとどうしても四千万人を割るだろう、こういうショッキングな報告が出ております。これは
政府機関の非常に権威のある人が言っておるわけであります。でありますから、木が五十年間で枯れるなんということはこれは当然のことだ。それから
あと一つ私はいろいろな統計を見てまいりまして非常にショッキングな報告だと思いましたのは、厚生省の統計協議会で出しております統計の中で、昔は幼児の死亡の第一位というのは胃腸障害かあるいは呼吸器疾患であったのです。最近は一位から四位までは全部先天性異常であります。先天性異常というのが一位から四位まで占めて、五位にやっと胃腸障害並びに呼吸器疾患によるところの死亡というのが出てまいります。いかに世の中が環境が破壊をされておるか。私はその対応策としては、まあ大気汚染もありますけれ
ども口の中に入る食品の
関係が相当大きな影響があると思っております、これは今後国会中にぜひ私は社労でもって大いに声を大にして言いたいと思っておるわけでございますけれ
ども、そういう
関係で厚生省の研究機関なんかを特に重視をしなければならぬと思うのであります。しかるに国の予算が四倍に伸びたのに厚生省の研究費用というものは二・二倍です。こんなことではどうにもならぬではないか。ビッグプロジェクトに関していろいろな関連予算というものは比較的伸びがいい。これは科学技術庁の
関係でありますが、これはこれで私は否定する気持ちは毛頭ございません。これはぜひともやらなければならぬと思うのであります。しかしライフサイエンスとか環境技術というふうなものは、当然これに伴って基礎研究から飛躍的に、これは
政府でやらなければならぬ分野でありまして民間ではできないのです。このうちの重要な一環をなしております厚生省の予算が、わずか二・二倍で国の予算の四倍からはるかにおくれておるというような状態では、まことに
日本人はこのまま行ったんじゃ半分以下になってしまうんじゃないかというようなことに対応する施策としては不十分きわまるのではなかろうか、こういう感じがしてならないのであります。この点は、これは
通産大臣に言うことじゃないのです。
田中さん個人に私は申し上げておるわけですが、この点はどうお
考えになっておるのか、簡単でけっこうであります。