○
田中国務大臣 五月二十日に
関係閣僚
会議を開きました。それから二十三日に閣議報告をいたしました。本日中にはおそくとも提案をいたしたいという
考え方を持っております。これは持ち回り閣議で処理をすることをきのう閣議了解を行なっております。
この中で外貨の活用の問題でございますが、この外貨の活用に対しては、長いこと、去年の円対策八項目の中の八項目目に外貨の活用というのがありまして、それはなぜできなかったか、七項目が実施に移されながら、外貨の活用の中で鉱石の輸入等に対してわずか三億五千万ドルばかりの融資を
考えた、特別措置を
考えた、外貨預託を
考えたというようなもの以外に画期的なものがないままに百六十五億ドルという外貨準備を持つに至った、こういうことでございます。それは
一体どういうことかというと、外為
特別会計法によりまして外貨は中期運用や長期運用というのができるのかどうかというような問題がいろいろ
議論をされておったわけでございます。そういうことで第二外為をつくらなければならないというような
議論をずっと続けておったわけです。ところが、その後、この二十日の
関係経済閣僚
会議までに、法制的その他、現行法で外貨の中長期の活用も可能である、こういうことになりまして、あとは第二外為をつくるかどうかという問題になったわけです。ところが現在の外為会計法により外貨の中長期の運用ができるとするならば、第二外為をつくるということよりも現実的に金をどう運用するかという問題である、こういうことになりました。そして輸出入銀行、それから外為銀行
——外国の為銀、それから日本の外為銀行等に金を貸せることはいまの
法律でできるわけでございます。またこれは、言うならばころがしていっても運用はできるわけでございます。外貨預託、輸入及び活用ということでできるわけでございます。ところが輸出入銀行それから石油
開発公団、それからその他の金探事業団等に対して、
一体やれるのかどうかという問題があるわけでございます。これはやはり外為銀行ではないので、これは
法律で輸入することができるということにしなければなかなかできないじゃないかというような
議論をいたしたわけでございます。ところが結論的には、いまの外為
特別会計法によって外貨を直接貸し付けるということになれば、これはやはり
法律を改正してやらなければならぬけれども、いまの外為法の精神そのままで円を各機関に入れまして、そしてその円で外貨をあがない、そしてその外貨を
国民に貸し付けるということをするならば、現行法でちゃんとできるようになっておるじゃないかということで、そとまでだんだんと十カ月間研究しながら詰まってまいりました。そして最終的には約三十億ドル、これは金額はおおむねの問題でございますが、三十億ドル
程度を運用するということを目標にして
法律整備を行なおうということにいたしたわけでございます。大ざっぱな話は、三十億ドルのうち半分の十五億ドルは外為銀行に預入をする、あとの十五億ドルを輸出入銀行、石油公団その他を対象にして
考えればいいじゃないか、その内訳はこれかう検討をしよう、こういうことにいたしたわけでございます。そうすると、あと残るものはどういうことかというと、金利の問題があります。金利は安くなければならないというのは、これはウランを買い付ける場合とか石油の備蓄をする場合とかいうことになりますから、普通の金利ではとても手を出さない。
政府が事業団をつくって備蓄をしなければならぬとさえいわれているものを民間にやらしたいということであるならば、やはり低利長期のものでなければならないということで、その金利に対しては、実効金利との差額に対しては利子補給の道を開こう、こういうことで
政府部内としてはようやく話し合いをまとめたわけでございます。
しかし、これは
法律を出さなければいけません。それでまた愛知代表がUNCTADに参りましてアンタイイングの問題に対して発言をしてまいったわけでございます。そうすると海外経済協力基金法の改正が必要でございます。特にアンタイイングの中の商品援助に関しては、商品援助もできるようにするには対外経済協力基金法の一部改正をしなければいけません。そういう
意味で、輸出入銀行法の特例としまして、輸入金融
——いままでは輸出が大宗であったのが今度は輸入を促進するためでありますから輸入金融、海外
投資金融、
開発事業金融の
拡大ということができるように輸出入銀行法の改正が第一点でございます。第二点は、いま申し上げたアンタイドの商品援助ができるように海外経済協力
基本法の特例を設けるのが第二点でございます。第三点は、外貨の多角的活用について、輸銀、石油
開発公団、金探事業団等に対し、その行なう融資で輸入の促進、資源の
開発、備蓄等外貨の多角的活用に資すると認められるものにつき利子補給を行なう、これが第三点であります。第四点は輸出に関する勧告等で、輸出貿易の健全な発展に支障が生ずるおそれがあると認められるとき、
通商産業大臣は
関係輸出業者またはその団体に対し、必要な措置を講ずることを勧告する、また必要な情報の提供を求めるというような問題、これはどうしてもうらはらになるわけであります。これが第四点。こういう問題を前提としまして、三十億ドルということを一応
考えております。これは十カ月かかったことでございますが、最終的にはこのような内容で、外務、大蔵、通産、経企の四省でこの問題をまとめました。あとは法制局の段階に入っておりますので、時間的な問題であるというのが現実でございます。