○谷村
政府委員 量の面で申しますと、大体私
どもとして明らかにしておきたいと思いましたことは、去年の方針で、他の同種類似の日用品と比較してそれが行き過ぎにならないようにすべきであるということを申しております。そしてまず同種類似の商品、これはなかなかつかまえるのが回転率でありますとかいろいろな形でむずかしいのでありますが、それが一体どの程度のものであるかということを、やはり資料としてつかもうとしているわけでございます。そしてまた私
どものほうで、再販商品についての実態がどうであるかということを見ているわけでございます。
それを簡単に申しますと、私
どものほうの調べます前に、
中小企業庁のほうで出しております
中小企業の経営指標というのがございます。それでいわゆる卸売り部門、たとえばくつならくつ、洋品なら洋品というふうな商品部門において卸売りがどのくらいの価格体系上のマージンを持っておるか、それからまた小売りがどのくらいの価格体系上のマージンを取っておるかというのが公表されております。そしてつい最近、それの
昭和四十六年版が出たわけでございます。そういうもので私
どもは、同種類似ところでは、流通体系上の価格差益と申しますか、いわゆるマージン、もちろんこれが全部利益じゃございません、これから経費その他が支弁されるわけでありますが、どのくらいのものかということを見たわけでございます。そうしますと、大体において、その
数字は、高いもので四三、四くらいのところ、それから低いもので三三、四くらいのところというのが、これが卸、小売り両方含めてでございます。そして大体そのほんとうのネットプロフィット、卸、小売りを合わせたいわゆる荒利益でございまして、さらにそのうちの小売りというのがどの程度の荒利益を得ているかといいますと、これもものによっていろいろございますけれ
ども、大体二割から三割の間というところに
数字がなっております。一々こまかくは申しません。
それに対しまして私
どもが
調査いたしました再販商品についてみますと、大体化粧品で平均の卸、小売りの全段階を通じました荒利が三八・八くらいでございます。それから医薬品で、これも直販メーカーとかいろいろございますから、そういうものを整理いたしました姿でいずれ発表するつもりでおりますが、まだ手元に十分整理がついておりませんで、いまついておるところだけで申しますが、四〇・六くらいでございます。これが医薬品でございます。それから歯みがきが二七・七くらいのところでございます。石けんが二七・五、合成洗剤が一九・八というふうなところで、卸、小売り全段階を通じてのいわゆる荒利益というものは、平均的に見ますと一般の他の日常の同種類似のものとさして違わない、あるいは低いものもある。たとえば合成洗剤、石けん、歯みがきのようなものはむしろ低い。これは御
承知のように回転率が多少高うございます。そういう
数字が一つ出ておるわけでございます。
それからさらに先ほど申し上げました小売りの荒利について、これもまだ十分に資料が整理できておりませんが、私
どものほうのある程度の資料で見ますと、小売り段階ではリベートの問題を抜きにいたしますと、たとえば化粧品等におきましては小売り値段を一〇〇として大体二五%くらいのところがいわゆる価格体系上の荒利益でございます。医薬品で申しましてもやはり大体二五、家庭薬みたいなものになりますと二一というようなのもございます。それから歯みがきなどを見ますと、大体これは石けんもそうでございますが、これの荒利益は大体二割程度でございます。合成洗剤になりますとそれがもっと低くなります。
さらに中村
委員よく御
承知のように、医薬品とかあるいは歯みがき、石けん、合成洗剤等の中には御
承知の値幅再販というのがございます。値幅がありまして、定価百円とつけておりますけれ
ども九十円まで下げてもよろしいという、一割値幅をつけておるようなものがあります場合には、大体競争関係から九十円で売られているというような値幅を考慮してそのマージンをはじいてみますと、もう少しその小売りマージンというものは低くなってしまうという姿でございまして、そういう他の商品に比較して平均的なものはむしろ同じか低いくらい。問題はむしろ、たとえばリベートの関係によって大きく出てくるものがあるのではないか、あるいはさらに卸売り段階におけるいろいろな販売促進活動等のためにマージンなりリベートなりが出ているのではないかというような
数字がある程度出ているわけでございます。そういうものを実は踏まえました上で、これは商品によりメーカーによりいろいろな区別がございますから、一律にどうというわけにはなかなかまいりませんけれ
ども、そういった実態をやはりまず明らかにしていくということが必要である。その上に立って、たとえば先ほどのようなリベートの行き過ぎというものをどう
考えるかというのをそれぞれ
考えてみたい。これが量の問題でございます。
それから質の問題で申しますと、さっきちょっと触れたのでございますが、一般にその支払いの留保期間が非常に長いものがございます。いつまでたってもリベートをくれない、年度末になってやっとくれる、普通の支払い
準備の期間をかなり長くこえましてやっとくれるというふうなやり方をするものとか、あるいは小売りなり何なりのほうでどういう基準でリベートをつけてくるのやらさっぱりそれが明らかでないとか、あるいはもちろん大量取引になればそれはメーカーとしてもありがたいわけですから、ある程度色をつけるのはけっこうでしょうけれ
ども、それがあまりにも累進度がひど過ぎるといったようなものとか、あるいはある段階で商品一つ売り込もうというときに、非常に大きなリベートなり特売のための現品添付をしたいという、そういうやり方とか、これもだからどういうやり方がいいかという一つの基準をつくることはむずかしい。むしろ私
どもは、問題を
指摘して業者のほうからどういう改善案を出すかという、たとえば先ほど申し上げましたように、むしろそれを直してきたところもあるわけでございますが、そういったリベートのやり方等にも問題がある。
それから、先ほど申し上げましたが、いわゆる販売促進活動、広告も含めましてその販売促進活動の中での行き過ぎ、これもかなり業界自身でも自分で困ってしまっているというところもあるやに見受けられるのでありますが、そういうものになりますとまたこれなかなかその基準というものが立てにくい。例は別でございますけれ
ども、広告宣伝費一つとってみましても、これはむしろ再販指定のほうじゃなくて、たとえばビールの話にいたしてよろしいのでございますが、ビール各社が広告宣伝にたいへんな金をついでいることは事実でございますけれ
ども、非常に有力な企業は
割合からいって広告宣伝が少ないわけでございます。そうしてむしろ弱い企業のほうが広告宣伝に金をうんとかけている。これはやむを得ないこともあるのじゃないか。それをかりにもし一律に、それは行き過ぎだというふうなことをいたしますと、かえっていわば競争上、強いところはますます強く、弱いところはいよいよ太刀打ちができないというふうな結果にもなりかねないわけでございまして、この辺も、もうそろそろおまえ何か線を出したらいいじゃないかというふうに言われますが、そういう点についてなかなか一本の線というわけにはまいらない。やはり具体的な実情を見ながらやっていかなければならないというふうなところであるわけでございまして、去年もおまえはそう言った、ことしもおまえそう言うじゃないかとおっしゃいますけれ
ども、
現実の問題がさようなことでやる以外に、私
どもは、消費者利益の保護という立場、あるいは再販制度の弊害をなくすという立場、再販の適正な運用をはかるという立場からは、やはりそういう姿で個別に業者の自粛、是正を促していく、かようなやり方になるというふうに
考えております。