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1972-04-26 第68回国会 衆議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十六日(水曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君   理事 浦野 幸男君 理事 小宮山重四郎君    理事 進藤 一馬君 理事 橋口  隆君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 近江巳記夫君 理事 吉田 泰造君       内田 常雄君    小川 平二君       神田  博君    北澤 直吉君       左藤  恵君    坂本三十次君       塩崎  潤君    田中 榮一君       羽田野忠文君    八田 貞義君       林  義郎君    前田 正男君       増岡 博之君    松永  光君       山田 久就君    岡田 利春君       加藤 清二君    松平 忠久君       岡本 富夫君    松尾 信人君       川端 文夫君    米原  昶君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 角榮君  出席政府委員         経済企画庁総合         開発局長    岡部  保君         通商産業政務         次官     稻村左近四郎君         通商産業省企業         局長      本田 早苗君         通商産業省企業         局参事官    田中 芳秋君         通商産業省重工         業局長     矢島 嗣郎君         工業技術院長  太田 暢人君         中小企業庁長官 高橋 淑郎君  委員外出席者         通商産業大臣官         房審議官    仲矢  鍛君         計量研究所第四         部長      増井 敏郎君         労働省労政局福         祉共済課長   金丸  明君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   始関 伊平君     林  義郎君 同日  辞任         補欠選任   林  義郎君     始関 伊平君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小規模企業共済法の一部を改正する法律案(内  閣提出第七四号)  計量法の一部を改正する法律案内閣提出第七  〇号)(参議院送付)  工業配置促進法案内閣提出第五〇号)  産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五一号)      ————◇—————
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  小規模企業共済法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川端文夫君。
  3. 川端文夫

    川端委員 中小企業の問題に対して企業庁長官に最初にお尋ねしたいことが一つあるわけです。今回、小規模企業共済法の一部改正案を提案されておるわけですが、日本小規模企業は六百万もあるといわれておる。この小規模企業に対しての対策は、いかなる将来の見通しを持って政策考えられたか、その方針をまず承りたいのですが、お答え願いたい。
  4. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 小規模企業わが国経済の中で占める割合は、事業所数また従業員数を見ましても非常に高いものがございます。このような小規模企業重要性にかんがみまして、中小企業施策いろいろございますが、その中でも格段の配慮を払っておりますし、今後も払ってまいりたいと思いますが、中小企業基本法にも小規模企業対策について一章設けておりまして、これら小規模企業者の福祉の増進のために、国が経営の改善あるいは金融税制等諸般対策を積極的に推進すべきことを規定しておるわけでございます。この精神に基づきまして、金融税制面におきまして各般の施策を四十七年度においても講じたいと考えております。これが基本的な考えでございます。
  5. 川端文夫

    川端委員 私は、そういうことをお尋ねしているわけじゃないのでして、お経読みのような御答弁をいただいてもぴんとこないのです。言うなれば、今日の小規模事業者の置かれている立場から考えて、特に工業面考えた場合に、二次下請どころか三次、四次下請になってだんだんしわ寄せを受けておるのが小規模企業であり、特に不況という条件の中で、小規模企業にどのような将来の方向を持たせるかということです。はたして現在のままで、小規模企業を救うという金融税制におけるめんどうを見るだけでいいのかどうか。もっと大局的な立場に立って小規模企業あり方考えなければならない時期にきているのではないか、こういう考えも持っておるがゆえにお尋ねしているわけです。小規模企業の将来に対しては、こうあってほしいとか、こうあるべきではなかろうかという何か計画をお考えになっているかどうかということをお尋ねしたわけですから、もう一ぺんお答え願いたいと思います。
  6. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 小規模企業者の大部分は、いま御指摘のように、製造面で見ました場合に、下請、それも二次、三次の下請関係にある企業が多いと存じます。それで現在の不況下、それから先般実施されました円の切り上げということで、輸出関連また内需関連においても受注の減あるいは単価の引き下げ、収益の悪化という、いわゆるしわ寄せ現実問題として行なわれておりますが、これを何とかして防ぎたいということで、親企業に対しまして、そういう不当なしわ寄せを行なわないようにということでいろいろと指導あるいは要請をいたしております。  いまお尋ねの、これから先の施策ということにつきましては、下請中小企業体質を強化するというために、協力化あるいは技術面指導あるいは経営の面の合理化についてのいろいろな指導ということを、親企業ともども、また政策当局としていろいろ指示なり指導していくということで、金融面また税制面助成と相まってこの問題に対処していきたいと考えております。
  7. 川端文夫

    川端委員 いまのような御答弁では、小規模企業の将来に対して希望を持てといっても持てる条件ではない。したがって、現在ある法律の活用を考えても一つ方法があるんじゃないか。たとえば昨日も税制問題等においての質問がありましたけれども企業組合等組織化の場合において、やはり小規模企業はこうあるべきだという方向づけを教えて、それで指導していくことなしには、単にいろいろなことをやりますというだけでは意味がないんじゃないか。言うならば、いま出されているこの小規模企業共済法の問題を見ましても、どこにも小規模企業がこれにたよって恩恵を受けられるという、ありがたいという条件は何一つ見出すことができないじゃないか。そういう意味からいくと、小規模企業に対する政策というものを中小企業庁考えてくれていないんじゃないか、こういうことをいわれてもやむを得ない一面があるんじゃないか。したがってこれから流動化する日本経済の中において、小規模企業あり方というものに対してこうあるべきだという一つ方向づけをお持ちになる必要があるんないか、こう考えるんだが、その検討はなされていないのですか、なされているのですか、この点をお答え願いたいと思う。
  8. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 基本的な中小企業政策あり方、なかんずく小規模企業対策というものにつきまして、現在中小企業政策審議会企画小委員会でいろいろ御審議をいただいておりますし、その審議に際しまして事務当局としてもいろいろな形で参画をいたしております。それでその中間答申をいただいて、それを施策面で具体化していきたいと考えておりますが、ただいま現在、先ほど申しましたように、この新しい時代に対処するために小規模企業者の持っています活力、それからいわゆる機動性に富んでおるということ、こういう面を十分に生かし、それから経営面合理化技術面指導、それから技術開発力の不足に対する助成、それから共同化協力化ということに主眼を置きまして施策を講ずる上において、その裏づけとなる補助金あるいは金融面税制面施策を講じておるということでございまして、中小企業施策の中での小規模企業対策重要性というものについて常々留意をしてやっておる次策でございます。
  9. 川端文夫

    川端委員 どうもぴったりの御答弁がいただけないので残念なのですが、言うならば、いま置かれている小規模企業立場というものを、工業方面でいけば先ほどから申し上げているとおりであるし、流通関係からいってもだんだんと大規模のスーパーなりいろいろなものの進出で不安を感じておる。ここらで小規模企業の将来生きる方法に対してのビジョンというものをやはり政府が打ち出す時期に来ているのだ、こういうふうに考えておるわけですが、それらに対しても、たとえば思い切って、これだけの単なる共済法を出すだけではなくて、小規模企業はこういう法律に準拠してお互い結束すれば生きられる、こういう方向が打ち出されてもいいのではないか、こういうことを考えながら言っているわけです。特に私はいろいろな意味で経験を持っておるわけですから知っておるのですが、今日の組織に乗っていないのが大体だ。協同組合にいたしましても、あるいは地域におけるいろいろな団体の中にも、いずれにも加入しないで、自家労力中心労働性を持って自分の骨身を削って協力しているのが小規模企業である。しかもこれに対しての将来に対する安定性ともいうものは何もない、こういうのが実態であることを考えたときに、小規模企業に対しては、こういう法律を出される前にほかの法律と並行して、ほかの構想と並行してやはり審議にかけるということが当面中小企業庁の重大な任務ではないかと思うのですが、これからどういうことを現在ある法律でやれると御理解なさっているのか。こういうことをやりたいと考えておるけれども準備できなくて今年はこうであるとかいうような何か具体的な、一歩先に出た、政策の先取りというか、先に一歩踏み出すような方策というものの準備をなされてしかるべき時期に来ているのじゃないか、このことを考えておるのだが、いわゆるたよりの綱と申します中小企業庁が単なるいまほどの御答弁程度では、心から信頼し、たよって生きていけないという状態にあることはお考えになっていただけないのか。この点をもう一ぺん繰り返し御答弁願いたいと思う。
  10. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、中政審の中間答申を待って具体的な施策考えたいと存じますが、いまの段階におきまして、御指摘小規模事業者に対する対策一つ法体系にまとめたものを具体的に準備なり用意はいまのところやっておりませんが、先ほど来申し上げておりますように、たとえば下請中小企業振興法を十分に活用しますとか、あるいは法律にはよらないで指導面においていろいろ助成をはかっていくとかいうことでこの問題に対処していくことをいま考えておりますし、それからこの共済制度自体につきましても、法律の中に規定してありますように、少なくとも五年目ごとには見直すということでございますので、いろいろな情勢の変化に応じて見直しを行なっていきたいということを考えております。御指摘のように、いま具体的な総合的な対策を盛り込んだ法案準備はまだいたしておりません。
  11. 川端文夫

    川端委員 お答え、十分でありませんけれども、正直にまだ準備が完了していない、こういう答弁でありますから、それはそれとして承っておきますが、とにもかくにも今日置かれている小規模企業立場にかんがみて、しかも量的に申しましても日本産業界の中にかなり役割りを果たしている小規模企業に、もう少しビジョンの強いものをつくり上げる時期に直面しているという考え方を私どもは強く持っていることを御理解おき願って、準備を早めていただきたいことを申し上げておきたいと存じます。  後ほどまた法案の問題で御質問を続けますが、繊維雑貨局から仲矢審議官がお見えになっているようですから、この問題を間に入れてひとつお尋ねを申し上げたいと思います。  先日、田中通産大臣に対して、対米経済問題に対しては、さきの日米経済会議において一年間は休戦的な条件を戦い取ったようなお話もあったにもかかわらず、今日陶磁器等の問題で大きく変わった条件がまたあらわれてくるおそれがある、こう質問申し上げておったわけです。その当時は通産大臣は、そういうことはわれわれは絶対許せないし、許さぬという立場で折衝する、交渉するとお話があったのですが、きのうきょうの新聞報道によりますと、ニクソン大統領は二十四日、日本から輸入される陶器及び磁器製食器の一部に対する輸入関税を平均九〇%引き上げ大統領布告に署名したと伝えられておるのだが、これは事実でしょうか。
  12. 仲矢鍛

    仲矢説明員 先生お尋ねの件につきましては、まだ公式な意味での日本政府への通告は参っておりませんけれども情報等によりますと事実のようでございます。
  13. 川端文夫

    川端委員 これは明らかにアメリカが、あのような日米貿易経済会議において、トップ会談において一年間の休戦を約束したといいながら、保護貿易主義に転換したということに相なるのじゃないかと思うのです。しかも五月一日から実施するということも伝えられておるし、この五月一日からこのような大幅な、いわゆる輸入阻止的な関税引き上げが行なわれると、日本陶磁器関係影響は相当のものが出てくると思うのですが、これらに対しての具体的な、大臣答弁にこたえての、受けとめての対策を、局として何か御準備なさっておるかどうか。陶磁器関係は、御存じのように、言うならば問屋制度的なシステムがかなり普及されておりまして、小規模企業協力なくしては今日の陶磁器輸出はなかなかできないということで、多数の小規模企業がこれに参画しておる事実からかんがみまして、何か具体的なこれらの問題に対する対策を用意されているかどうか。あったらお聞かせ願いたいと思います。
  14. 仲矢鍛

    仲矢説明員 先生指摘のように、陶磁器関係中小企業が大部分でございまして、今回の関税引き上げ実施されますと、現実アメリカにおける小売り相場その他、一割前後上げるような形でないと実施がむずかしいのでございます。ただ現実アメリカにおきます小売り価格等引き上げがどの程度できるであろうかという点になりますと、先だっての円切り上げに伴いまして、陶磁器関係は大体一割ないし二割、平均いたしますと一割五分ぐらいの値上げをすでに実施しておるものが大部分でございます。したがいまして、この時期にさらに重ねて一割程度値上げを一体実現できるのかということになりますと、たいへんむずかしいのじゃなかろうかと心配しております。  ただ問題は、日本だけがこういう関税引き上げを受けるわけではございませんで、アメリカ陶磁器輸入をいたします際、すべての国に対してかかるわけでございまして、そういう意味では比較的日本だけがいじめられるという形にはならないわけでございまして、今回の引き上げ対象になりました品目につきましては、アメリカ国内でそれほど生産してないものもございます。したがいまして、アメリカはいずれにせよ輸入しなければならないというような問題もございますので、完全に日本陶磁器だけが被害をこうむるという形にはなるまいかとは思っておりますけれども、御指摘のように中小企業が大部分でございますから、かなりの打撃を受けるのではなかろうかと思っております。この点につきましては、先ほど先生指摘のように、中小企業、特に問屋制中心としました中小企業が非常に多いのでございまして、そういう意味中小企業施策等を活用いたしまして、この影響を最小限に食いとめ、さらにはそういう形に対応できるような企業体質をつくり上げたいと考えております。
  15. 川端文夫

    川端委員 もう一つの問題は、やはり実態を知っておかなければ問題の本質はわからぬわけですが、アメリカダンピングだという見方で、反ダンピング税という立場でこの問題を関税委員会に提訴して大統領布告に署名した、こういう経路になっているのですが、実際は日本としての陶器及び磁器輸出ダンピングであったのかどうかという実態をどのようにとらえておいでるか、お聞かせ願いたい。
  16. 仲矢鍛

    仲矢説明員 アメリカ側におきましては、日本からの輸出といいますか、アメリカからしますと日本からの輸入でございますが、この価格が低いことによりまして国内業者被害を受けた、こういう主張をしております。しかし私どもが調べた限りにおきましては、先ほどもお答えしましたとおり、アメリカ生産業者生産をしていない品目が今回の引き上げ対象になりました品目には多いのでございまして、そういう意味では、私どもといたしましては、日本品輸入日本からいいますと輸出によりまして、アメリカ側生産業者被害を受けているはずはない、そういう反論はいたしております。
  17. 川端文夫

    川端委員 そうであるとすれば、断定的にものを言えることは、アメリカ保護貿易主義に変わったのだ、このいま行なわんとする方策は、アメリカのいわゆる自由主義の旗をおろしたものとして理解せなければならぬように思うのですね。そうであるとすれば、日本経済会議というものは何のためにやっているのか。そこで話をしてまだ二月とたたないうちにもうこういう態度に出てくる。このような条件に対して日本としてはどうすればいいのかということに対しての御意見があったらお聞かせ願いたいと思うのです。
  18. 仲矢鍛

    仲矢説明員 お答えいたします。  私どもといたしましても、先生指摘のようにアメリカ側がそういう意味で——、まあ従来の言い方は、本件につきましてはアメリカ側関税引き上げであって、これはアメリカ側国内問題である、日米貿易云々という問題ではないという反論をしておりますけれども、私どもといたしましては、先生指摘のように、アメリカ側が保護貿易的な色彩を非常に強めたものと考えて憂慮しております。これにつきましては、先ほど田中大臣参議院予算委員会で、従来のような考え方も多少改めて強力に折衝したい、こういう発言をしておられまして、私ども、その線に沿ってこれから進めていきたいと思っております。
  19. 川端文夫

    川端委員 まあアメリカ国内問題であるからというとらえ方はいかがかと思いますけれども、とにもかくにも相手の国家があるわけですから、日本だけでこれから話し合いをするといっても容易でないことはわかる。しかしながら、先日田中通産大臣に私が質問いたしました当時、もしこういう非常事態的な関税引き上げを一挙に行なうということになれば、国内のこれらの業者に対してどうしてやってくれるんだ、あるいは繊維のときと同じような扱いでやってやれるのか、こう御質問申し上げたときに、田中通産大臣は、繊維と同じようにと言われてもできないけれども、できるだけのことはいたしましょうという御答弁があったと私は耳にしておるわけですが、では、できるだけのことをするという大臣の御意向に対して、事務当局としてはどういうことを——これは大臣に聞かなければならぬかもしれませんけれども事務当局としては、これらの非常事態的な問題点に対して、国内業者をどう処置していこうとされておるか、その準備があるのかないのか、この点をお聞かせ願いたいと思うのです。
  20. 仲矢鍛

    仲矢説明員 本件に関しましては、先ほど先生がおっしゃいました繊維関係とは多少実態が違っておりまして、繊維の場合は数量的に輸出ができないという形になろうかと思いますが、今回の陶磁器につきましては、数量的にはおそらくそれほどの問題は出てまいらなくて、むしろ値段の点で、値段交渉という形でもって、俗なことばで申し上げますと商売がやりにくくなるという形で影響が出てくるのであろうかと思っております。実際にどの程度そういう意味でのむずかしさといいますか、日本業者被害が出てまいりますか、推移を慎重かつ細心に見守ってまいりまして、そういう意味でのこれからの企業体質を強化して、競争力が今回の関税引き上げによりまして下がる分を、何らかの形で下ざさえするような形の施策を講じてまいりたいと思っております。
  21. 川端文夫

    川端委員 まあもう一ぺん繰り返しますけれども、少なくとも新聞に出ている情報が間違いないとすれば、五月一日から実施に入る。こういうことになりますれば、被害かなり大きく影響を受けるであろうという予想もできるわけでして、この点に対しては、私は、やはりアメリカ保護貿易主義に転換したということによって影響を受けておるという国内業者を守ることは、単なる日本保護貿易主義をとるものではない、救済だ、こういう立場に立っての方策があってしかるべきだと思うので、この点には強い関心を持って、単に見守る、調査するということではなくて、十分早めた方針を出して不安を除去してやってほしいと思うのですが、ぜひそうお願いしたいとも思うのだが、その準備をできますか。やる気があるのですか、ないのですか、その点をひとつ……。
  22. 仲矢鍛

    仲矢説明員 先生指摘のように、ただ見守るということじゃございませんで、その結果によりまして、適時適切な対策考えてまいりたいと思っております。ただ、先ほど申し上げました今回の問題の具体的なむずかしさといいますのは、個別のいわゆる値段交渉という形で結果があらわれてまいります。数量的な面でなかなかとらえにくい。むしろ質的な面でとらえなければならぬ問題でございますので、言うならば企業競争力そのものというような形で施策を前向きで検討してまいりたいと思っております。
  23. 川端文夫

    川端委員 仲矢審議官からこれ以上の答弁は無理かと思うのですが、いま質問を申し上げている趣旨は御理解いただきながらお聞きいただいたと思うのですが、大臣がお留守ですから、政務次官稻村さんから、これらの問題に対しては、少なくともアメリカ保護貿易主義への転換によっての犠牲だという考え方に立ってすみやかに処置できるような方策考えていただけるかどうか、次官からもお答え願いたいと思います。
  24. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)政府委員 昨年の末の円の切り上げ、まあ陶磁器業界としてもたいへん大きな被害があったと思います。また日浅くして関税引き上げ、こういう問題が起きてまいっておるわけですが、いま審議官がいろいろ答えましたように、まだ具体的な問題がこちらのほうに通報されておりませんので、その推移をながめまして適切な処置をとってまいりたい、こういうふうに考えております。
  25. 川端文夫

    川端委員 政務次官に要望申し上げておきますが、先日の大臣答弁において、勇ましい、力強い答弁を承っておるわけですから、その言行一致になるような対策をすみやかに立てていただけるように、次官からも大臣に御相談願って、準備を早めていただきたいことを要望申し上げておきたいと思います。  そこで、いま審議されておりまする法案内容に入りますから、仲矢審議官、もうけっこうです。  一つは、これはどなたからお答えいただけるか、言うならば還元融資の問題。今度は積極的にやるという、しかもいままでのような間接融資でなく直接融資をやるという決意は準備されていると承っておいてよろしいのでしょうか。どうでしょう。
  26. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 御指摘のように準備をいたしております。
  27. 川端文夫

    川端委員 具体的に、そうであるとするならば、金融機関を通じて還元融資代理貸しをされるであろうと思うのですが、この点はどういう経路を利用されようとしているか、この点もお聞かせ願いたい。  もう一点は、金額の上においてどの辺までは貸せるというめどを、どこに置いておいでになるか。直接融資内容をもう少しお聞かせ願いたい。
  28. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 現在検討いたしておりますいわゆる還元融資の案は、代理貸し制度をとる、直接金融機関窓口といたします。その窓口につきましては、まだ案の段階でございますが、たとえば商工中金を活用するというところから入ってまいりたいということでございます。それから、融資の額は十万円ないし五十万円を簡便に迅速に貸し出しを行ないたい。その場合に、担保あるいは保証は取らないという考え方でございます。
  29. 川端文夫

    川端委員 まあ、どうせ機関、組織がまだそれほど十分行き渡ってないから代理貸しにせざるを得ないと思うんですが、この代理貸しの場合に、二つの問題点があるわけです。  その一つは、金融機関政策金融代理貸しをしている場合に、やはり歩積み両建てはとらないというかっこうをとるけれども、これを預金吸収の一つ窓口に使っているという事実は枚挙にいとまないわけです。言うならば、金融機関政策金融代理貸しをする場合においても、自己資金を貸すと同じような気持ちで金融を受ける者に当たり、それの見返りとしてある一定の期間をおいてなり、あるいは別の角度において預金吸収の道具に使っている、こういう事実はあるわけですから、やはりこの点は、この問題だけではありませんけれども金融全般の問題として、金融機関における預金吸収の手段を、歩積み両建てをじょうずに逃げながらうまくとっている。この点は見のがすことができない問題点であろうと思うんです。  もう一つは、代理貸しをする場合には手数料が当然要るわけですから、ある程度手数料的な金利を加えるということになれば、かなり高金利になるのじゃないか、こういうことも考えておく必要があると思うのだが、この点はどうお考えになって、対処されようとしているのか。
  30. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 ただいま考えております代理貸し方式をとります場合は、代理貸しを行ないます金融機関に保証責任は持たせない。それから、委託いたしますために、若干の手数料を払います。その手数料を込みにしまして、金利としては年八%程度考えております。  それから、前段御指摘の、歩積み両建ての解消につきましては、この委員会におきましても、何度も御指摘を受けております。大蔵省にも十分連絡をとりながら、極力解消するように指導、努力いたしておりますけれども、御指摘のように、なかなか一ぺんに改善されていない。徐々に改善はされておりますけれども、依然としてまだ残っておるということでございますので、この点につきましては、引き続き努力を続けさしていただきたいと思います。
  31. 川端文夫

    川端委員 私は、この還元融資の問題について、もう一点お尋ねをしておきたいのだが、この場合には、都市銀行なり大銀行に代理貸しさせないということができないかどうか、この点が一つです。こういう小口の連中は、大銀行の門を入るだけでも、ドアをあけて入るだけでもからだがふるえるほど縁が薄い連中ですから、言うならば政策金融である商工中金なり信用組合等にもこれを扱わせて小口金融ができるという考え方は、やはり線を引けるか引けないか、この点をお尋ねしてみたいと思います。
  32. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 現在、この共済事業をやっております事業団が、金融機関に対しまして共済金の支払いその他業務委託を一部やっております。その業務委託をやっておりますのは、大銀行、信用金庫、信用組合等々たくさんございます。それで、いま考えておりますのは、この代理貸し窓口として、とりあえず商中ということでございますが、信用組合、信用金庫を活用していくということを漸次考えてまいりたい。ただ、その際に、都市銀行なり大銀行を完全に排除してしまうということについては、いかがかと思われますが、まず商工中金あたりから活用を始めたいと考えております。
  33. 川端文夫

    川端委員 都市銀行なり大銀行に、こんな小口のものを扱えといえば、かえって足手まといになるし、今日の大銀行の利益率の上昇状況から見て、この程度のものはやはり政策として、小口金融であるから小口専門機関に扱わせるという態度でよろしいんじゃないか。この点はひとつ十分考えていただきたいと思うわけです。  ちょうど大蔵省の中小金融課長が見えているが、いかがですか。これらの問題に対して、そういう差別をすることは無理なのか、あるいはそれを通じて員外利用の問題を——先日予算委員会で大蔵大臣から善処するというお話があったわけですからね。——見えていないですか。それではよろしいです。大蔵省の貝塚さんが来ていなければ次の機会に申し上げますが、とにもかくにも、私は考え方として、大銀行にこれを取り扱わせることは不向きである、非常に縁のない小規模企業が大銀行の窓口へ行くことは重荷になるという考え方を持っておることをひとつ強く申し上げておきたいと存じます。  時間の関係であまり幅を広げた質問もできませんので、そろそろ結論に入りたいと思いますけれども、もう一つの問題は、この法律によって給付金を受けるものを一時所得にするということは何としても不合理だ。先ほどからも言っておりますように、小規模企業に対する政策らしいものはたいしてないのじゃないか。そういう意味からいえば、これらの中で一つの恩典として、一時所得にしない、これはやはり退職金扱いの姿にするということを、腹をきめて出される必要があったんじゃないかと思うのだが、中小企業庁長官、この点はいかがですか。
  34. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 この制度は、事業主がみずから自分自身のために積み立てを行なうものでありまして、しかも共済金が支給されますのは、純然たる退職の場合だけでなくて、廃業あるいは死亡といった場合が多い。こういう点から考えますと、一がいに退職金と全く同じように考えるというのはむずかしい面があろうかと思います。しかし、一方、いま御指摘のありましたように、この共済金は小規模零細企業の事業主あるいは役員が廃業とかあるいは死亡とかあるいは退職ということによって、長年従事していた自分の事業から去るときに支給されるものでありますので、こういう点から見ますと、この共済金をただ単に一時所得扱いとするということも、はたして適当かどうかという疑問もございます。このように、この共済金には非常に多面的な性格がありますので、これをどう扱うかということはたいへんむずかしい問題でございまして、実はいろいろとこの結論を得るまでに各方面とも折衝いたしたわけでございますが、やはり一時所得扱いということになっておるわけでございます。しかし、今後とも退職所得扱いができるかどうか、また小規模企業者のことを考えますと、退職所得扱いにできることが当然望ましいわけでございますので、そういう方向で引き続き検討をさせていただきたいと考えております。
  35. 川端文夫

    川端委員 私は、多面的な要素を持っているからなかなかむずかしいという御答弁に対しては納得できないし、もう一つは、理論の遊戯になっているのではないか。言うなら何千万の退職金をもらうような、何千万の一時給付を受ける者と同じような考え方ではおかしいではないか。いまの料金からいくとわずか五十万くらいしかもらえないのに、これを一時所得だということできめつけて、どこにメリットがあるのか。現に、この法案審議しているさなかで明らかになっていることは、大体小規模企業は六百万軒あるといわれておるのに現在二十五万軒くらいしか入っていない。それは何を意味するのか。やはりメリットがないからじゃないか、魅力がないからじゃないか。この小規模企業に将来の不安を除去してあげようというなら、この共済に入ることは非常に利益になるというメリットがなければ、幾らテレビで宣伝したって何にもならぬのじゃないか、その考え方を直す必要があるのではないか。そういう意味で、われわれがせっかくこの法律審議する以上は、これが小規模企業に魅力ある法律としてひとしく受け入れるという、あるいはできれば、強制にして全員加入さしてもらえるような法案にしてくれぬかという声が出てくることが望ましいと願っておるわけですが、どうもいまいろいろな意味で、十一兆四千七百億円というでかい予算の中の議論と同じような議論を、わずかなこの少額の金に対しても——理論をつければ理屈はどのようにでもつく問題であるけれども、いままでめんどうを見なかった小規模企業に対してはこれくらいのことをしなければならぬのだ、してあげる義務があるという考え方に立ってもらわぬと、大蔵省といたずらに折衝しておっても、ことばの遊戯になってしまうおそれがあるので、もう一ぺん決意をあらためて——強い態度で折衝を来年度までに完成していただきたい。いわゆる一時所得なんて金額の問題じゃないのじゃないか、こういう考え方をひとつ貫いてがんばっていただきたいと思うわけです。  なお、いろいろ質問もありますが、近江さんの時間もありますので、私はこれで質問を打ち切りますけれども、長官のもう一ぺん——法律をつくる場合における理論的な組み立ても必要であるけれども、同時に日本で過去において放置されてきた小規模企業に対して、これくらいのことは当然だというこの立場に立って、小規模企業の先頭に立つ決意があるかどうか承って質問を終わりたいと思います。
  36. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 御指摘のございましたように、積極的に大蔵税当局と折衝を進めたいと考えます。
  37. 川端文夫

    川端委員 終わります。
  38. 鴨田宗一

  39. 近江巳記夫

    ○近江委員 各委員からあらゆる角度から審議が行なわれたわけでございまして、そういう点で、何点かお聞きしたいと思いますが、重複しておることも多々あろうかと思いますが、よろしくお願いしたいと思うのです。  まず初めにお伺いしたいのは、この加入資格者の問題です。現在の中小企業基本法からいきますと、従業員数二十人、商業サービス業では五人、こういうふうになっておるわけでございますが、従来から私ども申し上げておるのですが、中小企業あるいはこうした小規模企業等のそうした拡大といいますか、そうしたことも含めて基本法の改正はどう考えておられるかということをいままでしばしばお聞きしてきたわけでございますが、そういう点、基本法にも関連をしてこの範囲の拡大についてどういうようにお考えであるか、まずこれを初めにお伺いしたいと思うのです。
  40. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 現在、中小企業政策審議会におきまして、中小企業政策あり方またその一還として全般的な中小企業者の範囲の問題を検討していただいておりますので、その結論を待ってこの小規模企業者の範囲の問題も検討することといたしたいと思いますが、当面は現行の範囲内で考えたいと思います。
  41. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう制度は私どもも非常にいい、このように思っておるわけですが、この加入状況等を見まして、やはり今後加入の促進をやっていかなければいけないのじゃないか。そこで、本制度の対象になる企業者というのは約四百万人くらいいるのじゃないか、このように聞いておりますが、現加入者は大体二十五万人である、こういう点から、この加入目標というものをどのように立てておられるか、これについてひとつお伺いしたいのです。
  42. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 現在まで加入者累計約二十六万人でございまして、小規模企業者の数から比べますと非常に少のうございます。で、とりあえず今後三年間さらに二十万人の加入を実現したいという計画を持っております。
  43. 近江巳記夫

    ○近江委員 現在、本制度のPRあるいは加入の促進についてどういうようにやっておられるか、その現状についてひとつお伺いしたいと思うのです。
  44. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 先ほどお答えしましたのをちょっと訂正させていただきたいと思いますが、今後三年間で、合計五十万人ということでございますので、今後約二十四万人の加入を実現したいということでございます。  それから加入促進についての方策は、これはこの制度の周知徹底をはかるということが一番大事であると考えますので、ただいま御審議いただいております法律改正が実現いたしました暁には、この一そう充実された制度を十分に関係者に理解してもらいまして促進強化につとめたいということでございまして、具体的には事業団自身が行ないます加入促進運動のほかに、中小企業団体とか金融機関とか、あるいは各都道府県の協力を得まして積極的な加入促進をはかっていきたい。その際特に大都市といいますか、例示でございますが、京都府であるとか愛知県であるとか、こういうようなところを一つの重点的な対象として加入促進をはかっていきたいと考えております。
  45. 近江巳記夫

    ○近江委員 私はその次に今後の問題をお聞きしようと思ったのですが、要するにこういうように加入者が四百万人のうち二十五万人というようなことで、それは制度が発足してからの経過がいろいろあろうかと私は思いますが、しかし非常にその辺加入が悪いということの現況を私聞いているわけですよ。したがって現在の制度についてのPRあるいは加入の促進について現況はどういうようにやってきたか、これを聞いているわけです。その現状を言うてもらわなければ困る。こういう点が悪いなら悪いということを、自己反省というか、その辺のことを言ってもらわないと次に進めないわけです。
  46. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 従来やってまいりましたことは、都道府県中小企業団体、金融機関等の協力を得まして、モデル県運動、あるいは金融機関の手によりまして特別加入促進運動、あるいは十月、十一月と全国加入促進強調月間を設けるというような手段をとりまして、加入促進をはかってまいりましたが、いま御指摘のようにこの制度の普及は決して十分と申せません。これが現状でございます。
  47. 近江巳記夫

    ○近江委員 この普及が万全であるということはいえないということをおっしゃったわけですが、そこで、先ほどおっしゃった愛知県あるいは京都府、そういうところを重点的にやっていくということをおっしゃったわけですが、もう一歩そのもとに返って、それじゃ逆に、いままでこの愛知県、京都府あるいは大阪府等の目標達成状況が悪かったその原因はどこにあったわけですか。
  48. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 郡部におきます商工会を初め、中小企業関係の団体が地区の小規模企業者と密接な関係を持っておりまして、その加入促進運動の効果が都市部に比べて有効に進んでおったと思います。この点大都市におきましては郡部ほど円滑に進まなかったということが一般的にいえるかと思います。それでただいま御指摘の京都府、愛知県におきましても、やはりこういうような理由でこの制度の理解あるいは侵透がはかられていなかったと考えております。
  49. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでこういう地域を重点的にやっていくということをおっしゃったわけですが、それじゃ具体的に重点的にどういうような方法をとってやるのですか。
  50. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 いま考えておりますのは、大阪府、京都府、愛知県に重点を置きまして、それぞれの府県ごとに通商産業局それから中小企業関係団体等を交えまして、加入促進協議会を設けてこれを活動の主体にしたい、また事業団の職員をある程度の期間この三府県に駐在させまして加入促進を重点的にやってまいりたい、さらには新聞とかテレビなどを通じてのPRもひとつこの三府県を中心にやってみたい、あるいは青色申告会の活用も考えてみてはいかがか、このように考えております。
  51. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう制度がある以上は今後さらに普及をよくはかっていただきたい。これを特に要望しておきます。   〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕  それから、小規模企業共済法という名称につきまして、略称として企業共済法というようなことがしばしば目につくようにも思うわけですけれども、今後こういう小規模企業共済法という名称をこの企業共済法に改めたらどうなんだという意見もあるように私聞いておるのですが、これについては中小企業庁としてはどのようにお考えでござますか。
  52. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 私たちもいろいろと名称の変更について検討をいたしました。それでいまお尋ねのように、たとえば企業共済法というような名称にしてはどうかというような考え方も出ました。私考えますに、事業団の名称は加入する小規模企業者にとってて親しみやすいもの、また受け入れやすいものであることが望ましいわけでございますが、その反面、小規模企業共済制度の内容をやはりできるだけ正確に表現するものでなければならないという要請もあるわけでございます。これらをいろいろ考えました結果、この際法律なりあるいは事業団の名称を変更することは見送るという結論になりましたが、しかし制度の運用上で企業共済という愛称といいますかニックネームといいますか、これを用いていったらどうかというように考えております。
  53. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういうような意見が出るというのも、結局は、一つは普及の点において遅々として実効があがってないということからそういうような意見も出るのじゃないかと思うのです。その点今後普及をしっかりはかっていけば、いま長官がおっしゃったそういうもとのあれで十分いいのじゃないか、私らもこう思うわけですよ。これは一つのそういう声があるということでお聞きしたわけです。  それから、第二種の共済契約の加入状況、また今後の見通しについてひとつお伺いしたいと思うのです。
  54. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 第二種共済契約の現在までの加入者累計は約九千人でございます。それから最近の昭和四十六年四月から昭和四十七年二月までの新規加入は五十数名でございます。将来の見通しとしましては、新規加入者は多くを望めないと思います。
  55. 近江巳記夫

    ○近江委員 多くを望めないと思いますと言われるが、これは制度があるわけですから、今後それじゃこの見通しに対して中小企業庁としてはどうなさっていかれるのですか。
  56. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 私のお答えが不十分でございましたが、将来の見通しとしては、第一種共済契約に比べて非常に少ないであろうという見通しでございます。第二種共済制度は、共済事由なりが第一種共済契約と違っておりますし、第二種共済契約に入りたいという方ももちろんおられるわけでございます。その見通しはどうかということでございますと、第一種共済契約に比べてはるかに少ないであろうということでございます。
  57. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからこういう還元融資の問題については、各委員からもいろいろな質問があったと思いますが、今後の問題として、融資条件についてはどういうように考えておられるか、それから直接的な融資にしていくのか。そういう、融資条件と今後の融資のやり方について、中小企業庁としてはどう考えておられるか、この二点についてお伺いしたいと思うのです。
  58. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 融資条件は、貸し付け期間一年、資金の使途は事業資金、利率は年八%程度。それから代理貸し方式をとりまして、特別な担保あるいは保証は取らない。融資金額は、現在考えておりますのは十万円から五十万円まででございます。
  59. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、言うなら非常にこの額が少ないことになるわけですが、ところが、この額にかかわらずこの手続が非常に繁雑である。したがってこの手続をもっと簡素化して、迅速に融資することが非常に大事じゃないか、このようにいわれておるわけですが、その点についてはどう考えておりますか。
  60. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 ただいま考えておりますのは、小規模企業者が利用しやすい金融機関を代理店として実施いたしまして、加入者が代理店の窓口に共済手帳を出しまして、そうして必要な要件、つまり資格等の確認を受ければ、その場で借り入れの申し込みを終わる、そうしてその場で借りられる、こういうような仕組みにぜひしたいと考えております。
  61. 近江巳記夫

    ○近江委員 ぜひそういう簡単な方法で利用できるようにしてあげてもらいたいと思うのです。  それから、これももう出たかと思いますが、税制上の扱いが一時所得になっている、将来退職金扱いにするべきじゃないか、これが一つです。  それから、前回の改正のときに附帯決議が出たわけでございますが、第二種の掛け金を所得控除とすべきである、このようについているわけです。これについてどう考えておられるか、この二点についてひとつお伺いしたいと思います。
  62. 高橋淑郎

    高橋(淑)政府委員 共済金の退職所得扱いにつきましては、この共済金が非常に多面的な性格を持っておるということで、この扱いはたいへんむずかしい問題であるということで現在一時所得扱いになっておるわけでございますが、退職所得扱いにするように今後とも関係当局と積極的に折衝を進めていきたいと考えております。  それから第二種共済に対する所得控除の問題でございますが、第二種共済につきましては三十年満期という制度がありますほか、いわゆる法人成り、あるいは子供等に対する事業譲渡、あるいは役員が任意に退職するということなどが共済事由となっておりますことから考えまして、第一種共済とは異なっておりまして、任意性、貯蓄性がかなり強いものがあると考えます。いまお尋ねのように、前回法律改正のときに附帯決議がなされておりますので、いろいろ部内で検討はいたしてまいりましたけれども、ただいま申し上げましたような事情から、いま直ちに第二種共済についても掛け金全額所得控除扱いということに踏み切ることは非常にむずかしいと思いますけれども、今後総合的にこの税制上の取り扱い方も含めまして、第二種共済そのもののあり方について検討させていただきたいと思います。
  63. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、この法案ではないのですけれども、当然中小企業、零細企業の問題として非常に関係が深い、こういうことからお聞きするわけですが、中小企業退職金共済法について、これは労働省が所管しておるわけですが、加入状況はどうなっておるかということ、これが一点。それから融資状況についてはどうか、これが二点です。それから、もう時間の関係でまとめて聞きますが、三番目にお聞きしたいのは、月額五百円かけて十年で退職金が九万九千五百八十円、千円かけて十九万一千三十円、こうなっているわけです。これを比較してもわかるように、月額のそういう掛け金の多いほうが退職金の率が悪くなっておるわけですが、その理由は何であるか、同率にする考えはないか。以上聞きました三点について簡潔に御答弁願いたいと思います。
  64. 金丸明

    ○金丸説明員 ただいまお尋ねのありました三点につきまして簡単にお答え申し上げます。  第一点の、中退事業団に入っております加入状況でございますが、本年の二月末現在の数字で申し上げまして、ここに入っております企業主の数でございますが、これは共済契約者と申しますが、この数が約十三万人。それからその共済契約者によりまして掛け金をかけていただいておりますところの従業員、これを被共済者と申しますが、この被共済者の数が約百六十三万人という数字に相なっております。  それから第二点の問題でございますが、中小企業退職金共済事業団では、昭和三十九年度からいわゆる還元融資事業なるものをいたしておるわけです。この還元融資と申しますのは実は二つございまして、一つは、この制度に実際に入っておられます企業主の方々なり、あるいはそういう企業主の方々が中心になっております中小企業団体、こういう団体が、それぞれ従業員のための福祉施設をつくる、そういう場合に、金融機関を通じて事業団のほうから融資申し上げるという形が一つ。それからもう一つは、都道府県、市町村、地方公共団体が、中小企業に働く従業員のために、そういう地方公共団体みずからが福祉施設をつくる、そういう場合に地方債を発行するわけですが、その地方債の引き受けという形でも融資申し上げておるわけです。そういう両者を含めまして、二つの融資がございますが、合わせた数の額が、昭和四十六年度末現在におきまして、貸し付け残高が約七十九億円でございます。昭和三十九年度以来、ずっと累計を申し上げますと、約百十二億というのがその数字でございます。  大体、以上のとおりでございます。
  65. 近江巳記夫

    ○近江委員 三点目、申し上げたでしょう。月額五百円かけた場合と、千円かけた場合と……。
  66. 金丸明

    ○金丸説明員 たいへん失礼申し上げました。  それから最後の一点でございますが、五百円かけた場合と、千円かけた場合におきまして、五百円のほうよりも千円のほうが二倍になっていない、おかしいということでございますが、この制度におきましては退職金額の算定はどういたしますかといいますと、これは当然言うまでもなく、企業の方々がかけていただきました掛け金をもとにいたしまして、それで退職金額をはじくわけでございますが、そのほかにこの退職金の給付につきまして、実は国庫補助がございます。これの掛け金の最低額が現在四百円、最高が四千円というふうに幾つかの種類があるわけですが、国庫補助の対象となります額は、かりに四千円かけた場合に全部つくのじゃなくて、最低でございます四百円にだけ国庫補助対象分として考えておるわけでございます。したがいまして、五百円かけた場合には、そのうちの四百円部分について国庫補助が見られているわけでございますが、千円の場合におきましては、やはり四百円の部分しか見ておらない、こういうことからこういう差が出てまいるわけでございます。
  67. 近江巳記夫

    ○近江委員 それについては、もっと大蔵省にも話をして国庫補助の対象をもっと拡大する、これに努力してもらいたいと思うんですよ。努力していただけますか。
  68. 金丸明

    ○金丸説明員 実はいまのお尋ねの件でございますけれども、この四百円まで国庫補助がつくということになりましたのは、実は昭和四十五年度の改正でそうなったわけでございます。それ以前は二百円までということでございまして、それを、いろいろ折衝上非常に難航したわけでございますが、最終的にはそういうことになったわけでございます。今後におきましても、私どもできるだけ国庫補助の対象部分を拡大するということで大蔵その他財政当局に折衝を続けてまいりたいと、かように考えております。
  69. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間の関係で、この点については一応これで終わります。      ————◇—————
  70. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 内閣提出計量法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
  71. 中村重光

    ○中村(重)委員 矢島局長お尋ねいたしますが、日米繊維協定で、メートル法ではなくて——御承知のとおりメートル法は世界的に普遍性を持っている。このメートル法を計算単位に使わないで、ヤードということでやったのはどういうことなんですか。
  72. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 計量法におきましては、メートル法を強制しているわけでございますが、一般的に申し上げまして、輸出貨物につきましては、例外としてほかの計量単位を用いることが認められているわけでございます。具体的に申し上げますと、計量法第十条ただし書きによりまして、輸出する貨物の計量については、例外としてヤード、ポンド法が認められるということになっているわけでございます。
  73. 中村重光

    ○中村(重)委員 専門家の加藤先生がおられるので、まあこれは肯定しておられるようですから、いろいろまだお尋ねしたいことがありますけれども、きょうは時間がありませんから、この計量法の問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  この公害測定器の精度、性能、これは他の測定器と比較をしてみると、進歩が非常におくれているように感じるんですがね。原因はどこらあたりにあるのですか。
  74. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先生がおっしゃるように、公害の計測器はほかの計測器一般に比べておくれているわけでございますが、公害の問題は、最近非常に起こってきている。それから、公害の規制も、比較的最近強化されているということもございまして、最近需要が急速に増大したという事情があるわけでございますが、実際の問題といたしまして、公害計測器に見合うものは従来からも、研究室でいろいろ分析するあるいは生産の過程で工業計器として使っている、そういうものはあったわけですが、歴史が浅いために、公害関係のものにそれを直ちに応用することにはいかなかったということでございます。さらに、公害関係は、有害物質の種類が多くて、次々といろいろなものが出てくるわけでございまして、その分析方法が学問的にも十分解明されていないものがある。それからもう一つ、公害関係は微粒子、非常にこまかいものを測定しなければならぬ。しかも、絶えず自動的にこうやって、信頼性が要求されるという事情もありまして、短期間の開発が非常に困難であるということでございますが、現在、政府におきましてもまた民間におきましても、研究開発に万全を期しているわけでございます。
  75. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまのお答えを伺ってみても、行政が公害から追われておるということですよ。いままで政府が取り組んできた姿勢、なるほどそういったものから見て、いまの答弁は正直といえば正直といえると私は思う。しかしながら、水質汚濁、騒音、さらには環境保全をしていかなければならない。公害問題は、人命尊重という立場から、いまや大きな政治課題になってきている。へたをすると政府の命取りにさえなると思うんですよ。そういうことで、おそいということはわかるわけだけれども、これでは国民はそれに対して納得しないです。おそければおそいほど、きわめて真剣に、そして大幅な予算をつぎ込んで、技術陣も動員をして研究体制を強化していく、そのおくれを取り戻すというかまえがなければならない。しかし、そのかまえが非常に弱いというふうに感じる。昨日、松平委員とあなたとの間にかわされた質疑応答を実は聞いておったら、公害防止機器については本法の対象になっていない、しかし、これに対しては来年度から予算をとって、まあことしの末ぐらいまでにはどういう方法で進めるかということについて結論を出したいといったような、何かわかったようなわからぬような答弁をしておったんです。この点については、もっと明確に答えてみてください。公害防止機器についてどうするのか、これは非常に重要なんだから。どうですか。
  76. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 昨日の私の公害防止機器の性能検査に関する説明が十分でなかったと思いますので、もう一ぺんはっきり申し上げます。  公害防止機器に関する性能検査をやるために適当な機関、実際問題としては機械電子検査検定協会というものがございますが、それが従来から輸出検査あるいは電気用品取締法による検査等をやっておる関係で、設備も十分あるし、必要な人員も持っているわけでございますので、それをして性能検査をやらせる。そのために、メーカーのほうも申し合わせをしまして、ここにみんな持っていって検査してもらって、そして排出基準を守れるような性能を有する公害防止機器をつくりましょう、こういう機運もできてきたということでございまして、時期としては本年十一月ごろを目途といたしておるわけでございます。
  77. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまのお答えからも、メーカー、いわゆる民間に期待をしておる。それでいいのかどうか。単に国が何らかの形で助成措置を講じる。国自体がこれに対して、まっ正面から取り組んでいこうという姿勢がないですね。それでは私は不十分だと思うのです。先ほどから私が指摘をしたように、公害問題に対しては諸般の事情から非常におくれてきている。だから、いままでずっとやってきておったように、民間中心という形だけではもう間に合わない。もっとまともに、国がまっ正面から取り組んでいくという姿勢が当然とられなければならぬと私は考える。それだけの熱意はありませんか。その点についての研究はやってないのですか、構想は持っていないのですか。
  78. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 最初の先生の御質問の公害計測機器ですね、本日の計量法におきましても公害計測器についてのいろいろな規制について御審議を願っているわけですが、この公害計測器に関しては、先生の御指摘のように非常におくれている。これに対して国は強力に取っ組まなければならぬということは、まさにそのとおりでございます。私どもこれに対して強力に取っ組んでおるわけでございまして、次のような幾つかの施策を講じているわけでございます。  第一番は、昨年御審議をいただきました特定電子工業及び特定機械工業振興臨時措置法、いわゆる機電法、この機電法の試験研究機種及び合理化機種に指定して、高度化計画をつくって推進していく、これが第一でございます。機電法の運用。  第二は補助金制度、これは工業技術院に重要技術開発費補助金制度がございますが、その補助金を運用して試験研究を促進する、これが第二点です。  第三点は財投でございますが、特定機械ワクの中に公害計測器分として、開銀及び中小企業金融公庫それぞれを通じまして融資している、これが第三点でございます。  第四点は税制上の措置でございまして、公害計測器の設置、普及を促進するために、特別償却及び固定資産税の免除というのをやっております。  第五番目は公害計測器の標準化の推進ということで、四十六年度においても七百万円、四十七年度においても一千万円の予算を組んでJISの拡大をやっておる。  六番目に、国の試験研究機関がみずからやるということで、実際問題として公害資源研究所に非常に多くの予算を計上してやっておるわけでございまして、この予算も四十五年度千八百万円、四十六年度三千六百万円、四十七年度八千八百万円と、非常にふやしているわけでございます。  以上のような六つばかりの施策によりまして公害計測器の急速なる進歩と開発をやっておるわけでございます。
  79. 中村重光

    ○中村(重)委員 計測機器の検査とか研究開発がおくれているということだけじゃないのです。松平委員指摘をしたように、私もまた指摘をいたしておりますように、公害防止機器そのものも実はおくれているわけだな。だから、民間に対して研究開発をやらせるというのは、どこに、どういう方法でやらせようとお考えになっておるのか。それから、昨日、松平委員質問に対して、来年度予算化をしているというようにお答えがあったと私は記憶しているのだけれども、どの程度予算化しているのか。来年度というのは四十七年度か、あるいは四十八年度から何とかしようというお考え方なのか。そこらあたり、もっと具体的にお答えをいただきたい。
  80. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 お話の公害防止機器の性能検査というのをやらせるところは機械電子検査検定協会、これは四月一日から名前がそういう名前に変わったのですが、従来の名前は日本機械金属検査協会でございます、それにやらせる。そして、予算の点でございますが、現在四十七年度におきましても予算が取れているわけでございまして、その予算というのは、スタッフの研修のための予算というものが千八百万円ばかりございます。これはスタッフの研修と、それからその研修のためのカリキュラムの作成その他でございます。それが検査要員に対する手当でございます。他方、こういうものをやるためには設備がもちろん要るわけでございまして、この検査設備の設置とあるいは検査場所の建設というようなもののために、機械工業振興事業補助金一つとして、同じく現四十七年度において二億三千万円を補助するということに相なっているわけでございます。
  81. 中村重光

    ○中村(重)委員 いま、一般会計でもって計上しているそうした研究開発の予算等についての御説明があったのだけれども、それ以外に、たとえば競輪益金であるとかあるいはオートレースの益金、これを研究開発のために支出をしているのだろうと思うのですが、そこらあたりの具体的な説明をひとつしてみていただきたい。
  82. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 私が最初に言いました検査要員に対する手当の千八百万円というのは、一般会計でございます。それから、あとで申し上げました検査設備あるいは検査場の建設というようなものの二億三千万円は、機械工業振興事業補助金、すなわち競輪の補助金でございます。以上がこの事業に対する財源の手当でございます。
  83. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は測定器のことをお尋ねしたけれども、公害防止機器の研究開発、これがおくれている。この点については、あなたは民間のメーカーに研究開発を実はやらせようとしておるのだ。いろいろと昨日来お答えになっているわけだから、それらに対して、具体的にはどこに、どういう方法でやらせようとしておるのかということが質問中心なんですよ。それに対してはいまの千八百万円というのは、いわゆる研修のための五〇%の補助金のことをいまお答えになったのだろうと私は思うのだけれども、それはあとでお尋ねするつもりだったわけだ。それではなくて、昨日松平委員質問というのは、公害防止機器の問題を中心にしてお尋ねをしたわけだ。あとで議事録をお読みになればわかるのだけれども、これは私の聞き違いかどうか知らぬけれども、公害防止機器の研究開発等々について予算化しているというようにあなたはお答えになったというようにぼくは記憶しているわけだが、それに対してはその点を具体的にお伺いしたいということと、それから、予算に対しては来年度ということであったが、それは四十七年度という意味なのかあるいは四十八年度を考えておるということなのかということと、それから、もしそうであるとするならば、一般会計のほかに公害防止機器の研究開発等々について、競輪の益金あるいはオートレースの益金からこれは配分をしているのだろうと思うのだ。それに対してはどの程度、どういう方法で配分しておるかということを伺ったわけです。  ついでにお尋ねするわけですが、いまのお尋ねの中にも申し上げたわけなんだけれども、具体的にどういう団体に出しておるのか、それもあわせてひとつお答えをいただきたい。
  84. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 たいへん答弁が混乱しまして申しわけございませんが、まず第一番に公害防止機器の開発ということに対してどういうことをやっておるかということでございますが、大型プロジェクトというのがございまして、いろいろなプロジェクトに対して国の予算が計上されておりますが、公害防止機器の関係といたしましては排煙脱硫ということで四十一年から四十四年にかけてやっておりますし、それから直接脱硫につきましては四十二年から四十六年にやっておりまして、この二つのプロジェクトがありまして、合わせて総額二十六億円、大体半分半分ずつくらいでございます。排煙脱硫と直接脱硫半分半分くらいになっておりますが、合計二十六億円の予算が計上され、これが支出されたわけでございまして、ちょうどこれは四十六年度、昨年度をもって一応予算的には終了いたしておるわけでございます。  それから第二が重要技術研究開発費補助金、これは工業技術院に重要技術研究開発費補助金というのがだいぶ前からあるわけですが、その中に公害ワクという特別なワクがありまして、その公害ワクの中には、特に補助率も高くしてあるわけですが、その中に公害防止機器の開発に使われておるものが相当あるわけでございまして、たとえば同じく排煙脱硫につきましても、先ほど申し上げました大型プロジェクトのほうは乾式法でございまして、主として電力会社のような多量に使うところに使っておる、というものをやっておるわけですが、この重要技術研究開発費補助金のほうでは湿式法で別な用途に使われるものについて出しておるというようなことをやっておるわけでございます。  それから最後に先生の御質問の、公害防止機器の性能検査をどこにやらせるかということは、先ほども申し上げましたけれども、機械電子検査検定協会にやらせるわけでございまして、それに対して先ほど申し上げましたように、検査要員養成のための研修の予算と、それから設備を設置するための補助金というものを出しておるわけでございます。金額は、先ほど申し上げましたように、要員のほうは千八百万円で一般会計、それから設備のほうは二億三千万円でこれは競輪のほう、こういうことに相なっておるわけでございます。
  85. 中村重光

    ○中村(重)委員 だから競輪益金とかオートレーの益金からどの程度——金額ですよ、それからメーカーであるとかあるいは団体、それらのところに出しておるでしょうから、それをどういったような団体、あるいはメーカーに出しておるのだったらメーカー、金額、その配分の内容をひとつ説明してほしい、こう言っておるわけだ。
  86. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 いま幾つかの御質問がございますが、排煙脱硫につきまして申し上げますと、これは先ほど申し上げましたように約十三億くらいでございますが、これは全部国の一般会計予算で工業技術院に計上されておりまして、それが委員費という形になって二つのプロジェクトに出されているわけでございます。約十三億円というものが正確にその二つにどういうふうに割れているかわかりませんが、まあ半分半分くらいだと思います。第一のものは東京電力と日立製作所ということでございます。機器の開発は日立製作所がやって、それを東電の姉崎なら姉崎にそれを設置して、そこでもって排煙脱硫の設備をつくる。それからもう一つのものは、今度は中部電力と三菱重工でございまして、三菱重工が機器の開発をやって、それを中部電力の四日市において、そこでもって操作するということでございます。金額は大体半分半分くらいだと思いますが、正確にいま記憶してございませんが、そういう状況でございます。  参考までに申し上げますと、東電日立のほうは活性炭法、それから中部電力・三菱重工業関係は活性酸化マンガン法、こういうことになっております。
  87. 中村重光

    ○中村(重)委員 通産省所管だけでいいんだけれども、ギャンブルによる益金を社会福祉関係とそれから機械振興とに配分しているわけだから、機械振興の中でいまお答えになりましたのは、東電とか中電とかいう大企業だけに対してのお答えがいまあったわけだ。だから機械振興関係で公害防止機器であるとか、あるいは測定器であるとかいう、公害をなくするために当然私は重点を、いままでの機械振興の中で益金配分をやっているのをその方向を変えなければならぬと考えている。だからして割合はどうなんですか。特に中小企業の公害問題というのは重要なのだから、これに対しては力こぶを入れなければならぬ。中小企業関係の公害防止に対してその中でどの程度出しているのか、その金額までわからなければ、比率だけでも明らかにしてみてください。
  88. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 最初に東電とか中部電力とかいって御説明申し上げたのは、これは競輪でございませんで、一般会計の予算として工業技術院に計上されているものの御説明をしたわけでございます。  そこで、中村先生からお話のありました競輪の益金から公害関係にどれだけ出しているかという点で、これは相当出ているわけでございまして、実はいま突然のあれで正確な数字がございませんので、正確な数字はちょっとお待ち願いたいと思いますが、たとえばいまお話しの公害防止機器に関しては、先ほど申し上げましたように新しい部面があるし、次々と情勢も変わっているということで、メーカーのものがはたしてすぐ需要家の生産状況にぴたりと合うかどうかということはわからない場合が多いので、その事前調査費というようなことで、四十四年度一億、四十五年度三億、四十七年度二億というようなものを出しまして、それを回転して、それはやり切りじゃなくて、調査が終わったら——これはフィージビリティーサーベーでございますから、終わったら返すというようなことで、現在までにそれだけでも六億円出しているものがございますが、いろいろそのほかにもこまかに、産業公害防止協会というのがございますが、産業公害防止協会がその公害の防止器機の調査をやるというようなことで、産業公害防止協会にも出しているというようなことがございますが、総合して全体で何億になるかということは、ちょっといま手元に資料がないので申し上げられない次第でございます。
  89. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは資料を要求します。  いまのギャンブルの益金から、これは社会福祉関係は総額の幾らということだけでけっこうです。機械振興関係は具体的に、どういったメーカーに、どういう団体にどの程度出しているのか、それを、中小企業中小企業として出るわけですから、ひとつ一覧表としてお出しいただきたい。  すぐ一時になりますから、これで質問を留保いたしまして休憩をしていただきたい。休憩後に質問いたします。
  90. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      ————◇—————    午後二時十三分開議
  91. 鴨田宗一

    鴨田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  矢島局長
  92. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 午前中、中村先生から御要求のありました、競輪の資金から公害防止機器に対して出した内容につきまして、ただいま資料を提出さしていただきます。
  93. 中村重光

    ○中村(重)委員 読んでください。
  94. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 四十七年度の機械工業振興資金総額百五十六億円でございますが、その中において公害防止対策事業については総額十七億四千八百五十一万四千円でございまして、比率といたしましては総額に対して一一・二%に相なっております。  これのおもなものを申し上げますと、財団法人日本機械金属検査協会に対して公害防止装置検定用設備整備補助事業、同じく日本機械金属検査協会に対して公害関係計量器検定用設備整備補助事業、それから財団法人機械振興協会に対してシステム開発補助事業、この中において公害防止機器のシステム開発をやらせることになっております。それから社団法人産業公害防止センターに対して公害防止用海洋観測機器の開発補助事業、それから産業公害防止センターに対して産業公害防止センターの建設整備補助事業、それから九州工業技術協会に対して九州公害分析センターの設備拡充事業の補助、それから社団法人日本産業機械工業会に対して公害源の事前調査に対する補助事業、それから財団法人日本自動車研究所に対して自動車排気ガスの公害防止に関する研究補助事業、財団法人日本自転車検査協会に対して自動車排気ガス浄化装置の検定用施設の建設整備補助事業、社団法人プラスチック処理研究協会に対して廃プラスチックの処理及び有効利用に関する研究開発補助事業、以上がおもな点でございます。
  95. 鴨田宗一

    鴨田委員長 質疑を続行いたします。中村重光君。
  96. 中村重光

    ○中村(重)委員 先ほどこの資料は各委員に配付するように要請があったはずであります。まだ資料を配付しておられない。だから、資料を各委員に配付してもらいたい。  それから、いまお答えがございましたが、総事業費百五十六億五千万に対しまして公害関係で十七億四千八百五十一万四千円、これでは一一・二%にすぎないのですね。機械振興、そのことが非常に重要な事業であることは私も理解はいたしますけれども、どのような機械振興の関係に配分されておるのか、詳細につまびらかでないということでございます。いま公害関係中心にしておもな配分先について御報告がございました。詳細にあたっては、あらためてまた資料をもとにして質疑をいたしたいと思います。  ただ、私端的に言わしていただけば、十七億四千八百五十一万四千円、わずかに一一・二%ということは、公害関係に対する配分としては、私はあまりにも貧弱であると思います。また公害問題を中心にして、はたして政府が公害問題、なかんずく公害設備に対する力を持たないところの中小企業にどのような対策考えているのかということについても私はお尋ねをしたわけであります。少なくともあなたのほうで公害に対して相当重点を置いた配分をしておるとするならば、最近二、三年、たとえば四十四年が幾らだ、四十五年が幾らだというように、その数字をお示しになるぐらいの熱意がなければならぬと思うのです。たいへんきびしいことを言うようでありますけれども、どうも最近の通産省の答弁態度にいたしましても、それからこれらの法律案審議に対する取り組みというものが、非常に真剣さに欠けておると私は考える。いままで数本の法律案審議をいたしましたが、答弁にいたしましても、私はこれはあなたに申し上げるのではないのですが、石油開発公団法の審議にいたしましても、あとで議事録を調べればわかりますが、法律違反の答弁を平気でやっておるという事実であります。その他私が問題であると記憶をいたしておりますものも数件あります。あとで議事録ができ上がりますれば、それをもとにいたしまして、私はその点に対する訂正なりあるいは釈明なりを求めたいと考えておるのであります。この資料の要求の問題にいたしましても、私がいま指摘をしたとおりであります。単にいまのような数字をお示しになるだけではなくて、あなた方のほうで指摘をされておるようなそうした公害問題に対して、通産省はこういう姿勢で臨んでいるのです、先ほど来申し上げましたように、四十三年度あるいは四十四年度、四十五年度、なかんずく公害問題が大きく政治課題となってまいりました公害国会以来こういうことをやったんだ、そのくらいの熱意をお示しになるというくらいの真剣な態度がなければ私はいけないと思うのです。田中大臣がおられますればこれらの点に対して大臣から率直に見解を承りたいわけでありますけれども、この点に対しては私は初めて政務次官の見解を伺うわけですが、政務次官から私の指摘に対してひとつお答えをいただきたいと思います。
  97. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)政府委員 全く御指摘のとおりだと思います。公害問題がたいへん大きく政治課題になっている今日でございますので、過去の問題について具体的に釈明を申し上げ、御説明申し上げ、今後積極的に取り組んでいかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  98. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは、時間の関係もありますから先に進みます。  悪臭、騒音あるいは湿度等についての測定機器というものの開発はどうなっているのか、この点をひとつ御説明いただきたいと思います。
  99. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 公害関係の計測器、特に大気汚染あるいは悪臭等の濃度計につきましては、午前中も申し上げましたように、まだおくれている点が非常にあるわけでございます。午前中申し上げましたような六つの施策——機電法の運用、補助金、財投、税制、JIS、国の研究機関の研究というような六つの施策によりまして、これを急速に開発いたしたいと思っておるわけでございますが、問題点といいますか方向を申し上げますと、すなわちどういうような公害計測機器でなければならぬかと申し上げますと、公害関係は大型で高いものがあるわけですけれども、公害測定は、安くて取り扱いやすい、いわゆる普及型のものでなければならぬ、こういう点を指向していくというのが第一点でございます。  それから公害の関係は、連続して測定できるようなものでなければならぬということで、自動連続測定器の開発が望まれる。それが第二点でございます。  それから第三点は、部品とか仕様の規格化が望まれる。そういうことによって互換性があるものでなければならぬ。  それから第四番目に、現在行なわれておるものであっても一〇%程度の誤差があるということでございますが、そういう点、信頼性が向上されなければならない。取り扱いの標準化も必要である。  それから五番目に、多くの物質を同時に測定できる多分析型と申しましょうか、そういうようなものでなければならぬというわけでございますが、こういう五つの方向考えて、さっき言った六つの施策をもとにして開発を急いでいる現状でございます。
  100. 中村重光

    ○中村(重)委員 開発がおくれているということから、まだ本法の検定の対象とならないというようなことではないかと思うのですが、そうした開発が進んでまいりますと、やはり本法の対象として考えることになりますか。
  101. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 開発の進展に応じて本法の対象といたします。
  102. 中村重光

    ○中村(重)委員 一応のめどがあるのではないかと思うのですが、めどとしてはどうですか。
  103. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 一番早いものは、本法が施行されると予想される来年の春、こういうことでございます。すなわち本法は、公布後一年以内に施行するということでございますので、御審議が終わりまして、通過いたしますれば、おそくとも来年の五月ごろには施行の運びとなるわけですが、その際には少なくとも騒音計等は本改正法に基づく対象とすることになると思います。
  104. 中村重光

    ○中村(重)委員 本改正案の措置のほかに計測部会というのがありますね、この計測部会が指摘をしておる公害計測器、これに関する標準化というのがあると思うのですが、この点はどうなっていますか。
  105. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 標準化の点も、その公害計測部会で指摘しておるように重要でございまして、私が先ほど申しました六つの施策一つがこの標準化でございますが、実情を申し上げますと、現在公害計測器で日本工業規格となっているものは三つぐらいございまして、具体的には騒音計、紫外線ガス分析計、あとPHメーターの一部というような状況でございまして、JIS化が十分進んでいないわけでございますが、その対策といたしまして、毎年相当額の一般会計予算を計上いたしまして、この促進をはかっているわけでございますが、四十六年度におきましては、工業技術院において大気汚染の測定に関する調査研究ということで六百八十五万二千円計上されまして、硫黄酸化物、一酸化炭素、窒素酸化物及び粉じん、この四物質の計量器についてJIS化のための調査が行なわれ、これら四機種については、翌年度である四十七年度において日本工業規格を制定するような作業が進められておるわけでございます。次に、四十七年度におきましては、同じような調査研究が一千四十六万八千円によって行なわれまして、物としては塩素、炭化水素及び排出原油の硫黄酸化物の計量器について調査研究を行なっておるわけでございまして、逐次JIS化を進めておる次第でございます。
  106. 中村重光

    ○中村(重)委員 中小企業は、御承知のとおり技術陣が非常に貧弱であるということになるのですが、中小企業の公害測定についての指導というものはどう進めていくことになりますか。
  107. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先ほど先生に申しわけなかったのですが、私、競輪の関係、おもな数字だけ申し上げまして、それが中小企業についてどういうふうに配慮されているかということを触れるのを抜かしてしまいまして、まことに申しわけございませんでした。  実は、先ほど御説明申し上げましたこの中にも、中小企業に重点を置いて、中小企業を目的とした補助対象があるわけでございます。具体的に申し上げますと、東海技術センター、それからその次の産業公害防止センター(仮称)、これは実際は大阪のことでございます。それから九州公害分析センター、こういうことでございまして、実際問題として九州が一番早くて、東海技術センターが四十六年度にできまして、産業公害防止センター(仮称)これは実際は大阪公害防止センターということになると思いますが、これが四十七年度にできるわけでございまして、毎年度一つずつぐらいこういうのができておるわけです。それから、これは中小企業への計測サービス体制と申しますか、中小企業に対するためのものでございます。すなわち公害関係企業自身としても分析を一生懸命やらなければならぬばかりではなくて、公害の規制が強化されておりますので、排出基準を守らなければならぬ。さらには大気汚染防止法なり水質汚濁防止法に基づいて、企業自身の測定義務、その記録義務等がありますが、そういう関係で、中小企業においては、自分で分析を行なうにしては人間も持ってない、設備も持ってないということで、分析の委託をする機関が望まれておったわけでございますので、そういう中小企業から望まれておる分析の委託の機関としてこのような公害分析センターというものが逐次できつつあるわけでございます。
  108. 中村重光

    ○中村(重)委員 指定検査機関制度というものを導入して、そこで指定機関として機械電子検査検定協会、これは旧日機検というのですね、これを予定しているようですが、この旧日機検と今度の指定機関とは、性格であるとかあるいは業務、そういった点がどう違ってくるのか。それらの点に対して、運営の問題等を含めてお聞かせをいただきたいと思う。
  109. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 いまの機械電子検査検定協会というのは、いわゆる日機検が四月一日から名前を変えたものでございますが、実体は同じでございます。ただ、本改正法に基づきまして、いずれ指定機関になるということでございますので、業務の幅が広くなるということで、おそらくはこれによって業務の幅も広くなることをも頭に置いて名前を変えたのだろうと思いますが、内容的には同じものでございます。具体的に申し上げますと、従来からこの日機検というのは輸出検査法に基づく指定を受けておりまして、機械器具関係輸出検査をやっておる。それから電気用品取締法に基づく指定検査機関で、電子レンジ、テレビというものの検査をやっているということでございますが、さらに、本改正法ができますれば、計量法に基づく指定検査機関として公害計測器等の検査をやるわけでございます。  なお、この四月一日名前を変えるに際して、計測器と公害防止機器というものを業務対象に加えるような定款変更が行なわれました。その点は変わった点でございます。
  110. 中村重光

    ○中村(重)委員 この指定検査機関というのは、私は複数でなくて、一つ一つを指定されるのだろう、こう思うのですが、そこで今度は指定検査機関が研修会をおやりになるのですね。この研修会の性格というのが、研修を受けますとどういう資格が与えられてくるのか。  それから研修会に、昨日でしたか松平委員質問に対して、たしか五十名というような話であったと思うのですが、研修の補助として五〇%、千二百五十二万八千円を、先ほどもお答えがございましたが一般会計で予算化しているようです。これは年間経費ですけれども、渡し切りということなんですか。その五十名の講習生に対してこれだけの予算化をやる。五〇%ですから、残り五〇%というのは受講料を研修生から取るということになるのかどうか。それから五十名というのはどういったことでそれが適当であるというようにお考えになったのか、将来計画を含めてその内容についてお聞かせをいただきたいと思います。
  111. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 まず五十名の内容でございますが、五十名というのは、実はこの協会の現職員及び新規採用の職員でございます。  具体的に申し上げますと、この協会は先ほど申し上げましたように輸出検査をやっておったのですが、最近のような情勢で、自由化されたり何かいたしまして輸出検査の収入がだんだん減ってきている、仕事が減ってきているということで、輸出検査の部門から相当数を回す。しかしまた今度新しい仕事があるので、新規採用もする。それからこの協会は、こういう騒音計等の計測器について従来からも民間の自主的な委託検査を受けて、そういう仕事もやっておったわけであります。そういう関係の要員ということで、輸出検査から回ってきた連中と新しい人間と、それから委託検査をやってきたそういう人間と、合わせて五十人で研修を始めるわけでございます。それで、先生質問の受講料なるものは取りません。  次に五十名でございますが、将来の指定検定機関の業務を考えますと、これだけでもちろん十分ではないわけでございますので、来年度引き続いてこういう研修を続けてまいりたいと思っております。
  112. 中村重光

    ○中村(重)委員 この家庭用の計量器について、一定の技術基準適合義務、それから表示の義務を今度製造業者とかあるいは輸入業者に課すことになったわけですね。ところが表示義務だけであって、本法の検定制度というのは適用しないということになっている。提案理由その他いただいております資料を見ますと、検定制度を適用しないということは、過剰規制になる、それから行政の簡素化に反するというところから表示義務にとどめた、こういわれておるのですが、行政の簡素化のために検定をしないのだ、過剰規制になるのだ。どうも私どもはそれらの点が、いまの公害問題というものの重要性という点から考えて理解ができないです。行政簡素化のために必要なことをやらないのか、過剰規制とは何か、そうした反問が実は出てくるわけですよ。その点に対して納得いくような御説明をいただかなければ、私どもとしてはその点が理解できないのです。どうですか。
  113. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 家庭用計量器を、検定は行なわず、別途技術基準の適合というような形でもって規制するということにするにつきましては、いろいろ慎重に関係者等とも打ち合わせて検討したわけでございますが、過剰規制とかなんとかいうのは、あとからの、何と申しますか末の議論でございまして、一番大きな問題は、これにより厳格な検定制度を適用することによって結果的にコストアップになりまして、家庭用計量器が非常に高くなるのではなかろうか、その点が一番の問題だったわけです。  すなわち、検定ということになりますと、検定基準が厳重になる。それから検定というのは全品検定でございますから、当然そこでもってたくさんのオシャカその他が出る。そういうことになりますと、当然の話として価格が高くなる。しかしながら、これは家庭用の計量器でございまして、肉屋や魚屋が商売に使う計量器は相当高くてもこれは商売用であるからということでいいのですけれども、われわれの家庭が健康管理のために買うヘルスメーターその他について、これを非常に厳重な規制をやることによって非常に高くなるということであっては、これはまいらない。そこで、値段とチェックの程度とはほどほどに考えなければならぬという、こういうような意味中心でございまして、検定という規制方法はとらず、技術基準適合という方法によったわけでございます。  過剰規制というのは、要するにコストをうんと上げてまでも規制をやるほどのこともないという意味において、そういう表現をとる向きがあったわけでございますが、本意は、別に行政を簡素化したいということではなくて、消費者に低廉にこれを供給して、しかも最低限度の基準を守らせよう、こういう趣旨に出たものでございます。
  114. 中村重光

    ○中村(重)委員 答弁なんかのときに、何かことばの言い違いとかなんとかいうことはわかりますよ。しかし、いやしくも私ども法律案並びに関係資料としてお出しになったその中に、明らかに行政の簡素化というようなことをきちっと書いておられるのだ。検定を適用しないという理由の二つとして、一つは行政の簡素化なんですよ。一つは過剰規制なんですよ。この二つを理由としてあげておられるわけだ。  それからいまの過剰規制の問題にいたしましても、いわゆるコストアップ、価格が非常に高くなるから、だからして検定までやらないのだ、こういっている。検定をやる必要があるのかないのかということが私は根本でなければならぬと思うのです。適正な一定の技術基準適合義務、そしてそれを表示する表示義務、これを負わせる。そうしてその表示をしていなかった場合においては、製造業者並びに輸入業者に対しては罰金五万円なんですよ。五万円ぐらいは、メーカーがそうした表示をしないで、あるいは適当な表示をやってぼんぼん売っていく、ちょっとこうメーカーが何かやったら五万円なんというのはどんなでもなることですよ。だから問題は、検定の必要があるのかないのかということをまずあなた方はきちっとすることです。  私はほんとうにこれを、いただいております資料を見まして、あるいは法律案を読んでまいりまして、家庭用というものは、まあこの公害問題というようなものは、これは非常に重要となってきた。それだけに非常に関心が高い。性能を高めてもらいたい、精度を高めてもらいたいという要求というものが非常に強くなってきている。議論の結果、あなた方はこれをいろいろおやりになることになった。おそらくそれは、業者の方々が、検定までする必要はないのじゃないかといったような圧力というのか、そういう抵抗もあったのじゃないか、結局ここに落ちついたのではないかという、これはうがった見方かもしれませんけれども、私はそういったような印象を実は受けるのです。だから値段の問題は、高くなれば、公害というものは非常に重要なんだから、国から補助金等を出してコストアップにならぬような方法だっていろいろあるでしょう。あるいは、ギャンブルの益金の問題だって、いろいろそういうような人命尊重の観点から、そういうところに生かして使うという方法だってあるのじゃないでしょうか。だから、検定の必要があるのかないのかということをまずはっきりしてもらわなければならぬということです。同時に、わずか五万円くらいの罰金ということで事足りるというようなことであってはならぬと私は思う。だから、もう少しそれらの点は納得のいくようなお答えをいただかなければ、私どもはこの法律案を通すわけにはまいらぬ。どうですか。
  115. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 最初に御説明申し上げますが、先生がいまおっしゃった公害用の計測器は検定の対象とするわけでございます。公害の計測器は、先ほどからるる御議論のあったように非常に重要なものでございまして、これは当然その検定の対象といたしまして厳重にチェックいたすということになっておるわけでございまして、検定ではなくて、技術基準をつくってそれを守らせる、それを表示義務でつけさせるというのは、家庭用の計量器、すなわちヘルスメーターとか、あるいは奥さんが台所でもってちょっと料理用にはかる、百グラムのメリケン粉と五十グラムの砂糖をまぜたらどうかというキッチンスケールとか、そういうようなものでございます。  そこで、現在の計量法のたてまえといたしましては、検定の対象は、取引用に使うものあるいは証明用に使うものということに相なっておるわけでございます。したがいまして、家庭用の、いま言った、われわれがおふろから上がって乗っかるというヘルスメーターとか、奥さんが料理をつくるに際してやるというキッチンスケールのようなものは、これは取引用ではございませんので、検定ということまでする必要はないと考えておるわけでございます  それから証明というのは、もろもろの関係で公に事実を証明するわけで、公害の計測もこれはまさに一つの証明でございます。タクシーメーターもこれは証明でございましょう。あるいは電力会社のワットアワーメーターもこれは証明でございましょう。これは取引にも関係いたしますが、そういう意味におきまして、こういう証明に使う公害計測器は当然法のたてまえから検定をいたすことになっております。  以上が、いまなぜ家庭用のヘルスメーターを検定しないかというお答えでございます。
  116. 中村重光

    ○中村(重)委員 そういうお答えが返ってくるならば、計量行政というのは消費者行政の中でどのような地位と役割りを果たすのかということをお尋ねしなければならぬということになってくる。なるほど公害、書いて字のごとく、公害計測器というものは検定をやるのだ、家庭用の計量器、これは個々の家庭でこれを使うんだから、その検定までやる必要はないのだ。しかし、この計量器について一定の技術基準、それに適合しているかどうかという、そのことに対するところの基準をまずきちっとする。それからそれを表示するという義務を与えて、それを怠っておったならば五万円の罰金というのをかけようとあなた方ばしておられる。いやしくも、だれであろうとも、果たすべき義務を果たさないで罰金刑という刑を科するということになる以上は、その表示が人命尊重の観点からきわめて重要であるということをあなた方お考えになっているから、罰則適用というものをなさるわけでしょう。だからして、公害ということばが適当でなければ、それは有害というのか。いずれにしたところで、その計量器というようなものがきわめて重要な、技術基準というものが非常に重要だということ、だからしてそういう表示義務をあなた方は課せられるわけなんだから。だから検定にするかしないかということを議論されたんだから……。議論した結果、まあ検定というところまではいかないで、そこでひとつ表示義務ということに持っていこうではないか、こういうことで落ちついたわけなんです。だからいまあなたのお答えのように、これが公害用の計測器じゃないんだから、どだい検定の対象になるべきものじゃないんだということであれば、何もそのようにあなた方は議論をする必要はないわけでしょう。頭からそんなものは関係ないことだということで片づけるべき性格のものだと私は思う。そうなりませんか。だからどうするかということを盛んに議論したでしょう。その結果としてこういうことに落ちついたんでしょう。
  117. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、この件は計量行政審議会において慎重に検討いたしまして、消費者の意見も聞くし、それから地方の住民と密着している地方庁の方々の意見も聞いた結果、いろいろ検討いたしました結果、こういうところに落ちついたわけでございます。
  118. 中村重光

    ○中村(重)委員 それならば、さっきのような答弁で、公害用の計測器というものはこれは検定するんだ、家庭用の計量器というものは何も検定する必要はないんだというように、私の指摘というものが筋違いのような、そういうふうにとれるような答弁をするということは、私は不穏当だと思う。そういうようなことではなくて、いろいろと検討した——いま私の再度の指摘に対してお答えになったようなお答えを私は初めからなさるべきだと思う。したがって、コストアップになるとか、それから行政の簡素化とか——だから、行政の簡素化ということが全然違うんだというならば、このように法律案に関し、あるいはそれに関係するところの資料というものは単なる参考資料じゃない。やはり私どもがこの法律案を、その内容を十分知る上について、これは参考といえば参考でしょうけれども、不可分の関係の資料なんだから、そういうものにはっきり明記してお出しになっておる以上は、そんなものじゃないのだということを答弁でもって、行政の簡素化というものではございません……。そういうことでは問題が片づかないんじゃありませんか。だから、適当なことばでないんだったらば正誤表でもお出しになるというくらいの慎重さというものがあなた方にはなければいけないと私は思う。私の言い方が無理だとお考えになりますか。どうですか、政務次官
  119. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)政府委員 御指摘のとおりだと思います。まあこれはいろいろ言い方で、局長のほうもこまかく、こう逐条追って進めてまいりまして、何か誤解の点もあるようでございますが、最後にお答えを申し上げたのが真意だと思います。
  120. 中村重光

    ○中村(重)委員 私への答弁に十分お答えになっていらっしゃらないんだけれども、まあいいでしょう。いずれにしても、この家庭用の計量器というのは検定の必要というものは全くないというお考え方で、将来ともその対象としてお考えになっていらっしゃらないのか、あるいは検定をすることに越したことはないというようなことで、いろいろとそうしたコストアップにならないような方法を講じて、さらに検討を進めて、最も安全な道を、方途を講じていくというお考え方なのか、その点について局長から再度お答えをいただきたいと思います。
  121. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、さらに計量行政審議会等において検討の結果、その必要があるということになれば、将来においてそういうことは考えられるわけでございます。
  122. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは最後に、今後の消費者保護というものを計量法というのか、計量行政の中でどう進めていくのか、具体的な考え方を伺って、それで納得がいきましたらばこれで終わりたいと思う。
  123. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 計量法はいろいろ複雑な規定がございまして、計量の基準を定めたり適正な計量の実施を確保するというようなことがいろいろ書いてございますが、やはりその中で一番重点を置いておる点は、特定の商品について量目規制を行なう。あるいは検定を行なって、不良品が出回らないようにする。それから出回っているものについても定期検査をやったり、あるいは立ち入り検査をやるというような意味におきまして、やはり消費者保護という点が非常に大きなこの法律の重点になっていると考えておりますので、この計量法の今後の運用の一番大きい重点は、その点に焦点を合わせてやっていきたいと思うわけでございます。したがいまして、そういう消費者保護に焦点を合わせた量目の規制、たとえば一年に二回一斉量目規制のための取り締まりなどをやっておりますが、そういう法律の運用は、もちろんのこと最重点でやるわけでございますが、さらに行政措置として、精度の確認事業というようなことを四十四年度来実施しておりますが、この法律以外に、この法律に関連して精度確認事業というのをやっておりまして、既存の、すでに持っているものについて随時サービスをさせるということを、補助金を使ってやるとか、あるいは計量モニターというのを全国に千二百名の御婦人の方にやっていただいておるのでございまして、これは非常に好評なのでございますが、この計量モニター制度を活用するとか、あるいはパブリックスケールというようなものをデパートのすみあるいはスーパーマーケットの横とかあるいは繁華街のそばに置いて、そこでもって随時できるというように、法律の運用以外の面におきましても消費者保護という点に重点を置いてやってまいりたいと思っております。
  124. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次、岡本富夫君。
  125. 岡本富夫

    ○岡本委員 ただいま議題になっております計量法の一部改正について、私もまず消費者保護の観点から、家庭用計量器の性能を維持向上するための措置を講ずるというような資料をもらっておりますけれども現実をあちらこちら見ますと、たとえば主婦の方、そういう団体、そういう人たちがずっと現地を回って、市場とかあちこち回りますと、量目が、計量器がきちっとしていない。そういうような問題がちょいちょい出ているわけであります。  そこで、この計量は国と都道府県単位で実施されているというように聞いておるのですが、いま特定市というのがありますね。大臣が許可をした特定市、これが七十五市ある。それ以外のところは、そういうような計量を行なうという特定市ではない、こういうことになっておるように思われるのですが、この点について、もう一点詳しく説明を願いたいと思うのです。
  126. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先生おっしゃったように特定市は現在七十五でございます。それで、まず先生のおっしゃるようにこれは非常に消費者に密接した行政をやりますから、都道府県だけではなく、もっと現場に近い特定市にやらせるのがいいという趣旨でございまして、いわばもっと住民に密接したきめのこまかい円滑な計量行政をやろうという趣旨からこの制度になったわけでございますが、ただ市と申しましても全国に六百ぐらいございますが、何が何でも全部やってしまうというわけにもまいらないということで一応基準があるわけでございますが、基準としては自治省とも打ち合わせをいたしまして、人口十万以上、大体計量器は当然の話として人口が大きい市部に多いわけでございますので、人口十万以上、それからその中でも商工業人口が全人口の一二%以上である、こういう二つの基準がまずあるわけでございますが、それ以外にやはり定期検査あるいは立ち入り検査をやるからには基準器を持っておらなければいかぬ。それが正しいかどうかをはかるそのもとの基準を持っていなければならぬということでございますが、その基準器はやはり計量法に基づいて国の検査があるわけです。その検査をやる機械のもとの検査は、これは通産省の計量研究所でやっておるわけでございます。そういうもとの検査に合格した基準器を持っていなければならぬ。それから職員がしろうとでは困るということで、通産省の計量教習所の課程を終了した職員を持っていなければならぬ。そういうようないろいろの条件を備えたものから申請に基づいて指定しているわけでございますが、私どもといたしましても、計量行政の性格すなわち消費者に密接した行政であるという性格から、なるたけ市がふえることを望んでいるわけでございますが、しかし、と同時に、申請してくる市は消費者サービスヘの改善の意欲があるということが前提で、それがすなわちちゃんとした基準器を備え、ちゃんとした職員を持っているということでなければならぬわけで、そういう点が満たされればこれを指定をする。どんどんしているわけで、現に幾つかの市が申請をしておるのでございますが、それについても、条件を満たす限りこれを指定いたしたいと考えている次第でございます。   〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕
  127. 岡本富夫

    ○岡本委員 それで全国六百、もっとふえているかもわからぬ、それ以上の市があるにかかわらず、ただ七十五市だけが計量をやるということでは私は若干不合理のように感ずる。そうでないところの計量をしない市であれば、少々はかりが違っておっても、これをだれもチェックする者がいないわけですね。ですから消費者の立場から考えれば、たとえばこの市ははかりをよく調べてそしてきちんとしている、こっちはもうあやふやである、そういうことは一般の消費者はわからないのですよ。どの市は計量がきちっとしている、どの市はもういいかげんだというようなことはわからないわけですから。しかもあなたのほうでは、市のほうからそういう申請が来て初めて認可するんだ。それではきちっとした標準はかりも要らぬということになってしまう、消費者の立場から見ればですよ。ですからこれは、あなたのほうから各市にちゃんと計量標準器を置いて通産省は絶えずこれを検定して、それで量目は間違いないのだという行政を行なわせるように自治省とも相談していく、そういう態度でなければならぬと私は思うのですが、その点はどうですか。
  128. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 現在の検査体制は都道府県がやるか特定市がやるということで、特定市になっていないところは当然のこととして従来から都道府県がやっているわけでございます。しかも都道府県、特定市は、それぞれ法律によりまして市部においては年一ぺん、郡部においては三年に一回定期検査をやらなければならぬということでそのとおりやっているわけでございます。それにプラス、県及び市は随時定期検査以外に立ち入り検査をやるということで十分なチェックをなし得る体制にあるわけでございますので、別に特定市だから厳重だ、特定市でなければゆるい、こういうことにはなっていないわけでございます。
  129. 岡本富夫

    ○岡本委員 現実にこの計量をやるような計量士もそんなに都道府県におるわけではありません。都道府県の中には市がたくさんあります。町もある。だから通産省のほうから、そういった計量をやらない市に対して自治省と相談をして、そして全然小さくて、しなくてもいい——しなくてもいいといってはおかしいが、都道府県から手が回るというようなところはよろしいと思いますが、実際面においてずうっと回ってやっていくとはかりが違う。これは消費者の立場から見れば国は何をしているのかということになるわけですから、この点についてはあなたのほうでもう少し、せっかく計量法によってきちっと標準計量器があるし、国はそういうような完備したものがあるのだから、そこまで伸ばしていくような、消費者の立場にすれば、そこまであなたのほうから推進をしていくというような考え方でなければ——もうちゃんとできる体制であります。それで私、現実をたくさん調べてきているから出しますけれども、あまり時間をとってもあれだから、その点についてはあなたのほうからそういったプッシュをし、また誘い水をして、そういう計量できる市をたくさんつくっていく、そして消費者の皆さんに利益をはかっていく、このような姿勢が必要であろうと思うのですが、その点についてもう一度……。   〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕
  130. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 全く先生のおっしゃるとおりでありまして、特定市がたくさんふえまして、それによってきめのこまかいそれから消費者に密着した行政を推進されることが非常に望ましいと考えておりますので、特定市の指定にあたってはそういう線で進めてまいりたいと思います。
  131. 岡本富夫

    ○岡本委員 次は体温計についてでありますが、体温計は、私の調べたところでは非常にばらつきが多いわけですが、それはそれとしておきまして、この中に〇・二CC以上の水銀が入っているのです。病院の中ではどこへ捨てているか。ぽんと割れたときに、その水銀をなめたりあるいは吸ったりしますとたいへんなので、消費者の安全というところから考えると、こわれたときの水銀は毒物であるという表示が必要ではないかというように私は考えるのですが、その点についてひとり……。
  132. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 実は、体温計につきましては、取引、証明等の観点から、私ども計量法で厳重な規制をやっているわけで、全品検定をやっておるわけですが、同時に厚生省のほうで、衛生上の観点から、たしか薬事法で規制していると思うわけでございます。衛生上の観点と取引、証明という観点とそれぞれ別な観点でございますが、両方でやっておるわけでございますけれども先生の御指摘の点、非常に問題だと思いますので、どちらのほうでやるか、厚生省とも打ち合わせて検討いたしたいと思っております。
  133. 岡本富夫

    ○岡本委員 通産省は、人体に対するところのそういう安全というようなことはなるべく考えない。厚生省のほうは非常に考える。まあ、いままでの経過を見ますと、企業育成でどんどん売れたらいいのだというような態勢のように思われる。したがって、これが割れたときに、この中には有害物が入っているのだから、それの取り扱いについては注意をするように、そういう表示のしかたについて通産省のほうから業者指導することが大事であろう、こういうふうに思うのですが、その点について。私、体温計を買ってみて、どこにもそんな表示がないのですよ。したがって、これは非常にあぶない。これについて検討をしてもらいたいと思うんですが、いかがですか。
  134. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 御指摘の点は、相当問題のある点でございますので、検討させていただきたいと思います。
  135. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、騒音計につきまして、これは十二条の十六号に規定してありますけれども、この標準器というのは通産省のほうにきちっとあるわけですか。まだ政令に入っていないようにも思うんですが、この点についてひとつ……。
  136. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 騒音計の標準器は、工業技術院の電子技術総合研究所、いわゆる電総研が元締めでございまして、そこに標準器がございます。
  137. 岡本富夫

    ○岡本委員 この政令を見ますと、これが入っていないように思うんですが、これはこのままでいいのですか。
  138. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 騒音計は非常にたくさん出回っておるわけでございまして、これを検定するとなると、相当数のもの、何千というものを全部検定しなければならぬということでございますが、従来、電子技術総合研究所には標準器はございましたけれども、それ自身は、そういう全国の何千というものを処理する設備及び要員がなかったので検定対象としてなかったわけでございます。しかしながら、いよいよ、そういうことを早くやらなければならぬという要請も強くなってきたので、現在御審議をいただいている改正法におきましては、指定検定機関を設け、指定検定機関によってこの何千とある普通級の騒音計を検定する、それで、電子技術総合研究所は高級な精密級の騒音計を検定する、こういう体制で来年には発足いたしたい。来年、この法施行と同時にそういう検定体制を発足したいと考えております。
  139. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、騒音の問題ですがね。自動車の騒音、これは運輸省の関係になるのですけれども、自動車をつくる、こういう製造については、これはあなたのほうの所管なんです。この自動車騒音は、車両の総重量三一五トン以下のもので、加速走行のときに八十五ホン、これが自動車一台の許容限度になっておる。これは運輸省の関係だけれども、自動車の製造を担当しているあなたのほうで検討したことはありますか、どうですか。
  140. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 自動車の騒音規制につきましては、騒音規制法で規定された許容基準は、道路運送車両法に基づく検査の際の安全基準と申しますか保安基準に掲げられるということになっておりまして、その保安基準の運用、すなわち車の検定という段階でチェックされることになっておるわけでございます。したがいまして、その騒音規制法の許容基準の面からまず検討していかなければならないのじゃなかろうかと思いますが、なお私、そちらのほうもいまあまり詳しくないので、あらためて検討させていただきたいと思います。
  141. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたはもと、通産省の公害部長をやっておった。そして自動車の所管の局長になったのですから、そういった面にもやはり頭を使って、これは運輸省の関係だからわしは関係ないんだというようなことでなしに、一応検討してもらいたいと思うのです。ということは、騒音規制法で自動車騒音の許容限度というものがあるわけですが、常行すなわち普通の状態で走るときは七十四ホン、それから加速、非常に早く走るときには八十五ホンになっておるのです。ところが、この環境基準があるのですね。私はいま全部最高のあれを出しているわけですが、昼間が八十ホン、それから夜間が六十五ホン。車自体が音が高くて、そうして道路を走ったときにはそれ以上に押えろといったってこれは無理だ。しかも、何台も走ってくるのでしょう。一台だけがすうっと行っておるのじゃない。こういう関係を一ぺんひとつ考えて、そうして検討して——これは環境基準に合わせろといったって、自動車自体が騒音が高いのですから。だから、この環境基準に合うわけがない。これはあなたの所管でないと思いますけれども、あなたも先ほど言ったように、公害は、しかも騒音は全国的に見て一番苦情が多い。だから、計量法の一部改正のときに私は言っておきますから、これはひとつ検討をして、各省とも話し合って、自動車の根本をつくるところのほうが主導権を持たなければいけないと私は思うのです。  それと同時に、これは通産省に特に要求があるのですが、二輪車のオートバイですね。あれが晩になるとものすごい音で走る。あれは一番困るのだ。あすたはなぜあの音が大きいのか知っておりますか。
  142. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 結局、消音マフラーというものがついておりまして、それによって相当程度の消音効果が期待されて、それで騒音を少なくするわけでございますが、最近の若い人は別な趣味を持っておりまして、騒音マフラーをせっかく取りつけてあるのを取ってしまうというようなことが、先生指摘の事情の一つの原因かと思います。そういった観点に立ちまして、現在オートバイメーカー等において研究開発が進あられておるのは、構造の中にすっかり組み込んでしまって取りはずしができない、あるいは構造自身が消音マフラーの効果をあげるような構造というものを研究しておりますので、それが実現すれば、その弊は相当程度防げるのではなかろうかと考えております。
  143. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは重工のほうの、あなたのほうの所管ですが、そういう答弁ではぼくは納得できない。オートバイをつくっている会社が音の出ないところのオートバイをつくったら、一台も売れないのですよ。それで、マフラーをはずれないようにするともう売れなくなったら、いまはずれるようにして売っているのですよ。そういう事実をあなたは知っておりますか。ぼくは会社名をあげてもいいけれどもね。だから、静かに走ると売れない、音がすると売れる。要するに売るために、騒音を夜中にまき散らしても、人の安眠を妨げてのかまわないというこのメーカーの態度について、これを指導するところのあなたのほうの指導力というものは相当なければならないと私は思うのですが、あなたはそれに対して、いまあなたは技術開発する、そんなばかなことを言っては困るのです。はずれないようにしたら売れなかったのですよ。これは矢島さん、あなたもそんなことは知っているはずだ。だから、音がするようにすると売れるというのです。これでは夜間、特に安眠している、休養をとっている人たちが、一般の住民が困るのはあたりまえじゃないですか。これは強力なひとつ行政指導が必要と思うのですが、もう一ぺん局長に答えてもらいたい。
  144. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 一部のオートバイのメーカー及び販売店がそういう考えを持っていることはよく承知しております。ですから、そういうことも含めて、残念ながらせっかくの消音マフラーが使われていないというのが現状だということを申し上げたのですが、他方そういうことは非常に遺憾なことでございまして、そういうことのないようにぜひしたいということで、取ろうと思っても取れないようなものにしたいということが私の申し上げたことでございまして、そういうことを強く期待して、私はそういうことになるであろうということを申し上げたわけでございますが、そういうふうに指導してまいりたいと思います。
  145. 岡本富夫

    ○岡本委員 要するに、オートバイのマフラーがはずれないように構造がもともとしてあれば、少少売れなくても、みんなは迷惑しないわけですから、期待するのはこっちのほうですからね。ことばじりをとらえて悪いですけれども、期待するのは国民なんですから、あなたのほうでそういった強力な指導をして、これは法的な規制を加えてもいいくらいですよ。毎晩毎晩走られてみなさい。その点はひとつ要求しておきますから、あとそういうようになったかならないかは、また私のほうの得意な総点検でやりまして、できなかったらあなたの責任、こういうようにきめておきますからね。  そこで次は、計量器の許可とJIS、日本工業規格との相違点ですね、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。
  146. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先ほど申し上げましたように、まず第一番に技術から申し上げますと、公害関係の計量器についてはJIS化がまだ進んでなくて、三つばかりしかない。あと毎年毎年ふやしていくというのが実情でございますが、それはそれといたしまして、計量器となりますれば、これは全品検定ということで十分なチェックが行なわれるわけでございます。しかしながら、JISということになりますと、これは申請に基づいてその生産設備、工程管理等がそれに合っているという場合に、生産設備なり工程管理についてそういう認定を受けた場合に、そのJISのマークを張って出せるという、いわば役所としては受け身、申請ベース、任意ベースというようなことで、性格はだいぶ違うと考えられます。
  147. 岡本富夫

    ○岡本委員 この型式承認といいますか、あるいは日本工業規格、JIS——よく工場にJIS規格、通産大臣表彰工場なんていうのが張ってある。このJISというのは、一般国民から見ますと非常に安心のできる、また信用できる、こういうような考え方を持っているわけですが、このJISをきめるのはどこできめるのですか。
  148. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 JISは工業標準化法によるものでございますが、まず主務大臣がございまして——特に公害に関しましては主務大臣通商産業大臣でございます。主務大臣がございまして、そしてそこで原案をつくりまして、日本工業標準調査会というのがございますが、そこの議を経たあと主務大臣のところに戻りまして、そこで決定するというかっこうになっております。
  149. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、いま一番騒がれておりますのがPCB——きょうは実は公害委員会におきましてPCBの対策の決議をしたところであります。いま全国に六万トン以上もあるということで非常におそろしい問題でありますが、このPCBがJIS規格であった。十五年前からトランスやコンデンサーに使われるように義務づけられておったということは、主務大臣であるところの——これは化学薬品ですから、おそらく通産大臣だと思う。通産大臣が許可をしたJIS規格のPCBが、いま十五年たって日本の国土にものすごい被害を及ぼしておる、こういうことを考えますと、非常に問題があるように思うのです。そこで、PCBが三十二年の四月にJIS規格に制定されたときのいきさつあるいはそれを審議したときの専門委員、これについてひとつ明らかにしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  150. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 JIS規格におきましては、不燃性絶縁油というところにPCBのJISがあるわけでございますが、これが制定されたときのいきさつは、そのPCBが出てまいります前までは、絶縁油に関しては燃性、燃えるという欠点があったわけでございます。その欠点がございましたために、また性能もよろしくございませんでしたので、変圧器その他の容量が非常に大きくなったりしていろいろ欠点があったわけでございます。そこに不燃性の絶縁油としてのPCBが出てまいりましたので、おもに不燃性という点とそれから絶縁性という点でJISがいろいろ設定されたわけでございます。残念ながらその当時、非常に遺憾でございましたけれども、公害という問題についてはほとんど考慮いたさないで、絶縁性と不燃性というところでJISを設定いたしておりました。  それから先ほど先生の御質問に、その当時設定にあずかった委員のメンバー、どういう人が委員であったかということでございますが、これは後ほど調べまして、資料を提出させていただきます。
  151. 岡本富夫

    ○岡本委員 この専門委員のメンバーは、ほとんどが企業の事業部だとか技術部とか技術課、こういうふうになっておるわけです。ですから、この中を見ますと、そういった人体被害あるいは健康に対するところの問題を審議する委員もだれ一人いなければ、それから国のほうの、要するに工業技術院ですか、これは事務局みたいになっていて、それをほんとうにチェックする機関としての力を発揮していない。ほとんど企業委員企業の技術屋だけが専門委員になっている、こういうところに私は大きな問題があるのじゃないかと思うのです。これはあなたのほうから、そのときの専門委員の構成メンバーの資料をあとで出すということだから、次のときにいたします。しかも、このJISの制定方針というものは、三年に一回チェックしなければならぬ、こういうことになっている。だから三十二年の四月に制定されて、四十三年にカネミ油症事件で相当問題になった。にもかかわらず、四十五年の一部改正のときには、工業技術院あるいはまた通産省のほうから全然この問題は話が出てない。これは私はまことにけしからぬと思うのです。それだったら通産省は企業ベースじゃないですか。何の指導力もないじゃないですか。この問題についてはあとで大臣に徹底的に聞かなければならぬ、こういう考えを私は持っておるわけですが、これについてもう一ぺん工業技術院の太田さん、いかがですか。
  152. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 このJISの全般にわたりまして、従来とかく先生のおっしゃいましたような欠点がございましたことは、まことに私どもの至らなかったところだと考えておるわけでございますが、今後は環境問題が非常に重要な問題になっておりますので、こういったいろいろなJISをつくります場合に、その見地からも、いろいろな委員の構成その他のところから十分考慮いたしまして考えてまいりたいと存じております。
  153. 岡本富夫

    ○岡本委員 だからJIS規格というのが非常にずさんである、これを明らかにした一つの事件ですよ。これをもってしても、主務大臣が許可したというこのJIS規格が、国民から適格か不適格か非常に疑われるところの問題になろうと私は思うのです。政務次官、PCBの連合審査のときにあなたはいたのですから、この点についてどういうふうにお考えですか。
  154. 稻村佐近四郎

    稻村(佐)政府委員 いま院長が答えましたように、その当時といたしましては不燃性あるいはまた価格の問題、まあトランス等の問題ではその後はいろいろ事故があったけれども、JISマークの際においては、いろいろな状態から判断をいたしましてJISに値するものだった。その後こういう形になりましてまことに申しわけないと思いますが、今後はそういう問題も踏まえまして、公害問題が政治問題化されておるときでもございますので、特に公害問題に留意をいたしますことがJISマークを決定する場合にはたいへん大事ではないか、こういうふうに考えております。
  155. 岡本富夫

    ○岡本委員 その答弁ではぼくはとても不満足だ。なぜかならば、三十二年四月のJIS制定のとき、それからこちら三年に一回はもう一度検討しなければならぬ。そのときに検討しておれば、もっと早くこのPCBをとめることができた。ぼくはPCBだけのことを言っているのじゃない。要するに、JIS規格のずさんさを私は指摘しているわけです。これはひとつあとで近江委員にでも大臣が来られたときにもう一度はっきりしてもらいます。  そこで最後に、申し合わせの時間ですから、このPCBの処理について、化学工業局長、来ていますか。——では来てない人に聞いてもしかたがないですね。政務次官、あなたに要求しておきますが、あとでひとつはっきりしてもらいたいことは、このPCBの処理について、千数百度の温度で加熱すれば相当処理ができるという話がこの間はあったのですが、大阪府立の衛生研究所で実験したところが、PCBの酸化物は加熱すればするほど猛毒になるというふうなおそろしい実験データが出ているわけです。だから、あなたにいまここでお聞きしてもこれは無理だと思いますから、この点については化学工業局長と相談をして、そして適切な返事をしてもらいたい。それだけを要求して、きょうは約束の時間ですから終わります。
  156. 鴨田宗一

  157. 川端文夫

    川端委員 この計量法の改正の問題に対しては、午前中から同僚議員からいろいろ詳細な質疑が行なわれてきておりますから、重複を避けて二、三の問題点だけお尋ねをしておきたいと思います。  この定期検査の問題で、ここに掲示されておる中に、いわゆる都市は年一回、町村部においては三年に一回と書いてあるわけですが、これはどういうわけで同じ計量器を検査するのに市部と町村部と分けておるのか、理由をお聞かせいただきたいと思います。
  158. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 市部と郡部に分けている主たる理由は、使用頻度にあると思います。市部のほうは当然人口その他稠密である、取り引き量も非常に多いということで、使用頻度が非常に多い。それに比べれば郡部のほうは相対的に使用頻度が低いというところにあると思います。
  159. 川端文夫

    川端委員 そうであるとするならば、製品検査をしたものを検定したという形において表示して販売さしておるわけであるけれども、耐久試験というものを同時に行なっているのかどうか。この点は太田さんからでも局長からでもどちらでも……。
  160. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先生のおっしゃった耐久性その他の問題は、別途メーカー段階で型式承認というものをやっております。型式承認によりまして構造の検査をやっておりまして、その点耐久性にしても耐湿性にしても耐熱性にしても、そういう性能に十分耐え得る構造だという判断がついて初めてメーカーは型式承認を受けるわけでございます。したがいまして、その型式承認を受けたものでなければ出荷できませんから、これは市部、郡部を問わず、すべてに型式承認を受けたものが出荷される、こういうことになるわけでございます。
  161. 川端文夫

    川端委員 さらに、この製造事業の工場等に対しては登録制を計量法ではとっている。JIS規格は認可制になっているのじゃないかと思うのですが、登録制ということの、内容的に許可制に近いやり方をしているのがどういう——この資料だけ読んでおっては、登録といえば登録だけしていればいいように感ぜられるのだが、どういう扱いをされているのでしょう。
  162. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 登録と申しますのは、決してただ登録すればいいだけではございませんで、登録要件というのが法律に書いてございますが、技術的な登録要件は別にして、製造しようとする計量器の検査設備を持っているということが一番大事な登録要件でございまして、その必要な検査設備がない限りは登録できないことになっております。これが一番大事な点でございます。なお、登録されたならば自主検査規程、どういうふうにして自分で検査していくかという検査規程をつくってこれを届け出る義務がございます。この点が登録要件として一番重要な点ではなかろうかと思います。
  163. 川端文夫

    川端委員 そうであるとするなら、内容的には認可制と同じだから、登録制ということを認可制に直したら何か支障を来たすのでしょうか。
  164. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 認可制ということになりますとある程度裁量の余地があるような要件になると思いますけれども、私ども計量法におきましては、先ほど申し上げました検査設備を設置しなければならぬというような要件がございまして、それはもう裁量行為を要しないわけでございまして、そのものずばり、あるかないかできまるわけでございますので、登録ということにしているわけでございます。
  165. 川端文夫

    川端委員 はっきりわからないのだが、そこまできびしくやるなら、認可をおろすという形のほうがかえって信頼性が高まって権威づけられるし、責任を感ずるのじゃないかという感じで、ことば、文章のみを考えるとそういう解釈をせざるを得ないので、この点はひとつ十分統一したことばを使うように——JIS規格なりいろいろなもののことばの使い方がばらばらになっているような感じを受けてならないので、この点はひとつ統一されるように要望申し上げたいと思うのです。  そこでもう一点は、私は専門家ではないから、科学的な専門知識はないので素朴なお尋ねであるかもしれませんが、聞くところによりますと、最近商業的な電子計量器が非常に発達して、今度の検査認定品目の中にふやされておるわけですが、これはある程度の誤差は四捨五入で計算していくということを聞いておるわけです。したがって、この四捨五入というものが消費者に利益になるのか、ある意味において営業者に利益をもたらすのかという疑問が残るのですが、これに対してはどういう関係になっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  166. 増井敏郎

    ○増井説明員 電子ばかりは現在のところ検定対象になっておりませんで、近々これを検定対象に加えるという予定でおることは御存じのとおりと存じますが、現在出回っている品物のほとんどすべてについて見ましても、ケース・バイ・ケースで端数が損得を生ずる場合があるのは当然でございますが、その切り捨て切り上げは、ちょうど中間で行なわれるということで、多数回の取引についての平均の上では、消費者にも売り手側にも損得がないような電子回路が組み込まれておるわけでございます。で、同様の切り捨て切り上げ型の方式は、検定を課する場合の規則の中にも規定する予定になっております。
  167. 川端文夫

    川端委員 私の予定時間が来ましたからこれで質問を打ち切りますけれども、そういう電子計量器が普及されてきて、絶対、信用して買う消費者の立場に立って、消費者に不利にならぬような十分な配慮を願いたいことを要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  168. 鴨田宗一

  169. 近江巳記夫

    ○近江委員 いろいろあるわけですが、許せる時間の範囲の中で何点かお聞きしたいと思うのです。  この計量法は、その内容として、学術的なものあるいは消費者保護的なものが非常に混在しておるわけですが、われわれ見まして、きわめて複雑になっておるわけですが、外国等においてこの計量関係法規というのはどのようになっているか、具体例をあげて説明していただきたいと思うのです。
  170. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 外国のほうはどうなっているかということでございますが、世界の各国は、適正な計量の実施を確保しなければならぬということで、それぞれ成文の法規を有しているわけでございます。特にフランス、西ドイツ、英国、米国というような国の計量関係法規は、それぞれ内容あるいは扱い方が一様ではございません。これは体系が違うからかと思いますが、いずれにいたしましても、計量の基準となる単位——計量基準でございますね、メートル、キログラムという基準。それから先ほどお話のございました計量器を検定する、検定して十分チェックする。さらに定期検査等、使用中の計量器を検査する。そういうものに関しては、それぞれ法律または委任命令でその規定を置いているわけでございます。  それからまた、消費者保護の観点から消費物資の量目規制という規定も置いてございまして、総じてこういう国の計量法規は詳細かつ精緻に相なっている次第でございます。
  171. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、この単位について国際度量衡総会あるいはIEC、ISOで決議されたところに従って計量法に取り入れるということになっておるわけですが、こういう国際会議できまったものを、さらに日本学術会議あるいは計量行政審議会で長期間検討するというのは、これはなぜ検討するわけですか。
  172. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 確かに、先生のおっしゃるように国際会議できまったものを学術会議や計量行政審議会で検討しておりますけれども、まず計量行政審議会でございますが、これは計量法に基づいて通産省に置かれている審議会でございまして、この法律の改正にあたっては諮問しなければならぬと書いてあるわけですが、どういうところにねらいを置いているかと申しますと、基本的には、学術的な基本的な点については、これは国際度量衡総会で学問的にきまりますけれども、それを具体的に行政にどういうふうにはね返して、その行政にはね返したものをどういうふうに法文化するかというような点ですね。行政的なはね返しの問題、それを法制的にはね返しの問題、これは国際会議では全然関係ないし検討してないわけで、そういう点にやはりきめのこまかいいろいろな検討事項があるということで、計量行政審議会にかけているわけでございます。それからまた学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関で、科学の向上、行政、産業及び国民生活に科学を反映させるという機関で、各種の国際的な学術機関との交流に関しては日本を代表しているというようなことでございますので、計量単位の改廃のごとき、非常に広範囲に影響のあるものについては、やはり通産大臣が意見を聞くというようなことでございます。  そんなようなことで、法制的あるいは行政的、あるいは経済的あるいは学問的にそれぞれ関係する分野が非常に広範囲なのでこういうことになっておるわけで、まあある程度やむを得ない点もあるわけでございますが、そのためにあまり時間的におくれてしまうということは好ましくないので、今後はそういう点、時間的ズレが最小限になるよう努力してまいりたいと思っております。
  173. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういうふうにいろいろとチェックしていただくというのは非常にけっこうでありますが、必ずしも時間をかけることがいいことではない場合もあるわけです。ですからその辺、形式主義に流れずに、運用の点でひとつよくスムーズに考えていただいていいのじゃないか、このように思います。  それから、今回のこの改正において、消費者保護の見地からヘルスメーター等の家庭用計量器について技術基準を設定する、製造業者輸入業者にこの技術基準に合うものを供給することを義務づける、かつこれに表示をさせるということになっているのですが、この技術基準あるいは表示基準としてどういう具体的なことを考えているのですか、この辺についてお尋ねしたいと思うのです。
  174. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 いまの御質問の技術基準でございまするが、大体三つの点があるのじゃなかろうかと思います。三点を大体規定しようと思っております。  第一が誤差ですね。一目盛りあるいは半日盛り上下までは誤差があってもいいという誤差の範囲を規定する。それも一回回る間、二回回る間というふうに、百キロのものであれば、五十キロ回ってまたもう一ぺん回りますが、一回目は半日盛り、二回目は一目盛りというふうな誤差。  それからもう一つは、ばらつきでございますね。なるたけ針が同じところを常に一〇〇%示すのが望ましいわけですが、それがある程度ばらついたとしても、最小限これ以上ばらついちゃいけませんよという、ばらつきの範囲、これが第二点。  それから第三点は耐久性でございまして、たとえばヘルスメーターのごときは、乱暴な子供が何回もがちがちやるけれども、子供ががちがち乱暴に扱ってもこわれないというような範囲、あるいは温度、湿度に耐えられるというような耐久性。こういう点を規定するということで、以上三点——誤差とばらつきと耐久性、この三つが技術基準に盛られる。  それから表示事項でございますが、これは当然のこととして、メーカーなりインポーターの名前、それから製造月日、それから使用範囲、こういうものに使用できるんだという使用範囲あるいは使用温度、湿度の範囲、それからこういう場所に置いては適当でないでしょうというような使用場所というような使用上の注意事項、そんなものを書く予定でございます。
  175. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう技術基準はそれは高いほどいいわけなんですけれども、しかし特に消費者等にとりましては、それが結局製造コストにはね返って価格上昇につながるおそれがあるのじゃないか。しかしこれがまたあまり低いと消費者保護にあまり役に立たない。したがってこの水準をどの程度にきめるかということが問題になると思うのですが、非常にむずかしいところでございますが、通産省としてこの点はどういうようにお考えであるか、この辺についてお聞きしたいと思うのです。
  176. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、なかなかこのかね合いがむずかしいわけでございまして、あまりきびしくして価格が高くなってしまっても困るということで、十分検討しなければならぬと思いますが、考え方として申し上げますと、家庭用の計量器は肉屋のはかりのように取引でもないし、あるいは先ほどの話の公害関係の計量器のような証明にも使うわけじゃないので、取引、証明に使うほど非常に厳密な精度は必要でないんだろうということはいえると思います。しかし他方家庭に入ったあとは、どんなに乱暴に使ってもチェックはできない。主婦なり何なりはチェックできないということを考えると、相当がんじょうなものでなければならないということで、精度とがんじょうさと二つ基準を考えますと、精度のほうは若干甘目にするけれども、がんじょうのほうは十分考えていかなければならない、こういうような感じでなければならぬと思っております。いずれにしても、計量行政審議会で、メーカーなり消費者なりの意見を聞きましてこれをきめたいと思っております。
  177. 近江巳記夫

    ○近江委員 この家庭用の計量器の技術基準の順守義務違反に対して通産大臣が改善命令を出すということになっているわけですが、その前提として違反が確認できなければならないわけですけれども、どういう手段によってこういう違反を確認していくのか、これは具体的にどのように考えているのですか。
  178. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 確かにこれは確認しなければならぬわけですが、まず直接法律に基づく措置としては、百五十三条の報告、百五十四条の立ち入り検査、これによりまして、通産大臣、都道府県知事あるいは特定市町村長がチェックする、こういう法律上のものもございます。しかしながらこういう法律上の措置だけではなかなか十分なチェックができないので、あと、そういう違反の端緒をつかむという点で、都道府県の計量検定所あるいは特定市の計量検査所だけでなくて地方の計量協会等が常に消費者からの苦情を受け付ける体制にある。そのために主婦を中心とする消費者モニターなども委嘱しておりまして、そういう消費者の苦情を絶えず受け付けられるようにして端緒をつかむ。それからもう一つ、通産局等が中心でやっておりますが、商品を試買する予算をつけておりますけれども、その予算でもって通産局等が買ってみて、そしてチェックする。商品試買でございますね。こういうようなことによって違反の端緒をつかむということで、法律でもってダイレクトにやるやっと、それから苦情を聞いたり商品を試買したりして端緒をつかむ。両方から責めていって、この措置が十分に行なわれるようにいたしたいと思っております。
  179. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは答弁としては非常にいいわけですけれども、実際にそのとおりやるかというと、実際役所のやることは非常に手ぬるいわけですよ。そういうことが役所不信になってきているわけです。ですから、こういう消費者サイドに立つそういうことについては、局長がおっしゃったようにひとつきちっと実行していただいて、いいかげんな状態で放置しないように厳正にやっていただきたい、これを特に申し上げておきます。  それから、ヘルスメーターを例に見ますと、値段かなりの幅があるわけです。安いもので二千円台から高いほうでは四千円台まであるわけです。もっと高いのもあるかと思いますが、一般に家庭用計量器の場合、その性能は価格とどういう関係があるかという素朴な疑問が一つあるわけです。もしこの性能が価格に比例するものであるならばその規制の強化というものは必然的に価格にはね返るであろうと心配するわけです。もしそれと関係なく、デザインあるいは大きさ等によって価格が違うというのであれば、今回の措置によって価格が上がるということになると、これは不当になる。この辺についてどう考えておられるか、またその対策についてお聞きしたいと思うのです。
  180. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 現在の家庭用計量器の技術というのは、もう十分普及している点で、特に技術が非常にむずかしいということもございませんし、それから私どもこれからつくろうという技術基準は先ほど御説明したような点でそれほどむずかしいものではなくて、現在の計量器業者中小企業も含めまして、できるものでございますので、そのために特に価格が上がるということは考えられないわけでございます。  そこで、先生の御質問の現在非常に価格にばらつきがあるというのは一体どこに原因があるかというと、やはりそういう性能の点ではなくて、デザインとか大きさとか飾りとかそういうところで大きな違いがある、特にヘルスメーターについてはそういう傾向があると思うのです。したがいまして、今度家庭用計量器について、この種の技術基準を守れという規制を行なうことによりましても特に価格の値上がりは考えられないのでございますが、ただし一部に不当な価格値上げというものがないとも限らないので、その点は十分監視して、適正価格の維持について十分な指導をやってまいりたいと考えているわけでございます。
  181. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう監視をやっていくということをおっしゃっていますけれでも、これはほんとうにできますか。これは公取等なんかとはどういう連携をとってやっておられるか。局長さんのところの管轄だけで押えることができますか。それは通達を出すとか、どういう方法でそれを押えるのですかね。
  182. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 計量行政は長い歴史がございまして、都道府県中心でもって末端をやっておりますが、さらに最近は特定市も逐次ふやして、七十五の特定市がやっておりますが、結局末端は都道府県の計量検定所と特定市の計量検査所ということになっておるわけで、これが、法に基づく一般的な監督もやっておりますが、同時にそういう価格の問題、品質の問題、その他についての苦情も受けるということになっておりますので、その監督機構を通じていまの点をもやっていきたいと思いますが、そういうものに加えまして、地方の計量協会というものを充実させていくということも考えられますし、あるいは先ほども申し上げました地方の婦人方にお願いしている消費者モニターという制度も活用するということで、官民合わせてもろもろの機構を十分活用して、いまのような点をやっていきたいと思っております。必ずしもそれで十分でない点もあるかとは考えられますが、だんだん充実してまいりたいと思います。
  183. 近江巳記夫

    ○近江委員 昨年十一月の計量行政審議会の答申の参考資料を見ますと、ヘルスメーターあるいは寒暖計等の家庭用計量器について不良率というものが一六%から二〇%に達しておるということが出ておるわけです。技術基準のこういう設定により、これが今後どの程度改善されていくのか、この見通しについてお聞きしたいと思うのです。
  184. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 いまの一六%ないし二〇%の点でございますが、これはいろいろな団体、いろいろな機関が試買テストをやった結果なのでございますが、団体によりましていろいろ基準が違います。ある団体は検定公差——検定公差というのは一番きびしいもので、検定をする際の誤差の範囲でございます。それから、ある団体は今度はそのあとの定期検査をやる場合の使用公差を使う、あるいはそれをチャンポンにしたものを使うとか、別なものを使うとか、いろいろな基準でやったものでございますので、出た二八ないし二〇%の不良率がはたして適当かどうか即断できないわけでございますが、今回この技術基準というものがはっきり国で示されまして、先ほど御説明いたしましたように、検定基準よりも若干甘いけれども、しかしがんじょうさのほうでは相当強いというような一本のいわばコンセンサス、国なり消費者なりあるいはメーカーなりのコンセンサスを得た一つの基準というものはできますものですから、それに合わせてみな協力していくでありましょうし、同時に法律に基づく監督体制も十分できるわけでございますので、不良率は非常に改善されるものと思っております。
  185. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう不良率のデーターのとり方について、その確率というか、それは非常に不正確なものであるというお話があったので大体了承しますけれども、現行法からいきましても、大体こういう不良率が一六から二〇%に達しておるということ自体が、通産省としてもう少し、そういう制度について厳重に監督をやっていけば、こんなでたらめな一六から二〇%もの数値が出るということはないわけですよね。そういう点で、いままでやってきた行政について率直な反省をする必要があるのではないかと私は思うのですが、この点については局長はどう反省しておりますか。
  186. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 家庭用計量器については四十一年の改正等ではずした結果こういうことになったわけでございまして、その点十分深く反省しているわけでございます。反省しているがゆえに、今回あらためて改正法において御審議願っているように、これを技術基準を守らせて、それに対して適合命令を課すというような新たな規制を加えたゆえんでございまして、その点は反省の結果であるわけで、今後一六とか二〇とかいう不良率が出ないようにいたしたいと思っております。
  187. 近江巳記夫

    ○近江委員 局長が率直に反省されたので、これはこれで譲っておきます。  それから、この技術水準という点からいきますと、大メーカーの場合は検査設備あるいは一連の技術水準というものもかなり高いのではないか。もちろん中小企業や零細企業でもすばらしいところもあるわけですけれども、一般的にいって非常に検査設備等も大企業に比べると整っていないのではないか、そういうようなこともありまして、今回の技術基準の設定によって中小メーカーがほんとうに困るようなことになるのではないか、その点が非常に心配なんです。それについてはどのように判断され、また中小メーカー等についてはどういう手当てをしてあげるおつもりですか。
  188. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 結論から申し上げますと、今回の家庭用計量器についての規制が始まったことによって中小メーカーに対する影響はまずないというのが結論でございますが、家庭用計量器の技術というのは現在は十分成熟し、定着しているわけでございまして、大企業中小企業の間に格差というものはないという状況でございます。それから家庭用計量器をつくっているメーカーは全部一般の計量器をつくっているメーカーでございますので、登録されたメーカー。したがいまして、先ほど御説明しました一定の検査設備は持っていなければならぬ、持っているはずでございますので、検査設備の点でも同じだ、中小メーカーも大メーカーも同じだというようなことで、そう影響はないと思いますが、中小メーカーと大メーカーの間に格差なり影影があるとすれば、品質管理の面ではなかろうか。品質管理のやり方について、中小企業メーカーのほうが若干落ちるということがあり得る。この辺が問題とすればあるのではなかろうかと思っておりますが、この点につきましては、品質管理の指導ということによって遺憾なきを期したいと思っております。
  189. 近江巳記夫

    ○近江委員 現在実際につくられている公害計測器についてどういうものがあるわけですか。
  190. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 現在つくられている公害の計量器でございますが、大分類で申し上げれば濃度計、振動計、騒音計というようなものでございますが、さらに分類して申し上げますと、濃度計、これは大気汚染でいえば、亜硫酸ガスのPPMがどうかというようなことをやる、あるいは水質汚濁であれば、水銀が何PPMあるかというようなことをやるわけでございます。その濃度計についてさらに分けてみますと、汎用型の分析計、いろいろな公害源をチェックできるということで、たとえば赤外線の分析計がございますが、この赤外線分析計はSO2もそれからCOもNOx国もみんなできる。ガスクロマトグラフィーがあれば、これは水銀もできるし、PCBもできるというようなもので、汎用型の分析計がございます。第二番目の分類は専用型の計量器でございまして、たとえばPHメーター、アルカリと酸とをそれぞれチェックするPHメーターというようなものがございます。そういうふうな汎用型と専用型とそれぞれございますが、さらに総合管理システムというものが最近だいぶ出てきておりまして、一番適例は、たとえば大阪府の公害センターにある大気汚染の総合管理システム、あるいは千葉県の市原にある大気汚染の総合管理システム、こういうのはシステムとして全体の公害の計量をやる、こういうようなものがあるわけでございます。  以上が、現在つくられている公害の計量器でございます。
  191. 近江巳記夫

    ○近江委員 将来、公害計測器の検定を開始するということになっているわけですが、この公害計測において、測定方法あるいは試料の採取、前処理等における測定誤差というものは非常に大きいのじゃないか。そうなった場合に、この計量器の検定という点とからみ合わして、それは事前のそういうようなもろもろの問題等と、こういう計量器の検定ということについて非常に大きな問題があるのじゃないかと思うのです。幾ら機器が正確でも、前提のそういうような作業がまずなければ、これはえらいことになるわけです。その辺についてはどういうふうに考えておるわけですか。
  192. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、公害計測器がいかに精度が高くても、測定方法あるいは試料の採取あるいは前処理、こういう点がうまくいかなければ、意味がないことはないのでございますけれども、完ぺきを期しがたい。計量器の検定が行なわれるので計量器に関してはいいわけでございますが、やはりその前処理、試料採取、測定方法、そういう点を総合的にやっていかなければならぬと思いまして、そういう点についてJISの制定を急ぐということが具体的な対策一つではなかろうかと思っております。
  193. 近江巳記夫

    ○近江委員 この公害計測器の検定は機械電子検査検定協会が行なうということを聞いておるわけですが、取り締まり等に使う重要な計量器の検定等を民間の機関にやらせてだいじょうぶかという心配があるわけです。もしやらせるとすれば、国の業務を代行するわけですから、その点について十分な措置をしなければいけないんじゃないか、このように思うわけです。この点局長はどのようにお考えですか。
  194. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 これは民間の機関でございますけれども、指定機関を指定するにあたりましては、特にこの法律に一章を設けまして、指定基準あるいは業務監督、その他の規定が述べられておるわけでございます。また、この指定検定機関が適当でないと思う人があれば、それに対して不服を申し立てて、通産大臣に再検査を申し出ることができる。それから、これは試験をやるわけですけれども、それだけで終わるのではなくて、その上に通産大臣の型式承認がある。そういうことで十分チェックできる体制にあるわけでございます。これはほかの輸出検査法による指定機関あるいは電気用品取締法による指定機関と同じような監督をやっているわけでございまして、たまたま輸出検査法あるいは電気用品取締法で指定されている機関が指定されることになるわけでございまして、御指摘のような問題はないと確信いたしておりますが、事務処理にあたってはなお十分慎重を期してやっていきたいと思っております。
  195. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま大臣がお見えになる前に、技術的な問題とかそういうことについては担当の局長にずっとお聞きしてきたわけです。  次に、大臣にお聞きしたいのは、計量思想の普及あるいは徹底について、政府としてはどういうように今後やっていかれるか。それについてひとつ大臣の今後の考え方をお伺いしたいと思うのです。
  196. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 何と申しましても、先生のおっしゃるように、計量法の的確な施行というものは、国民一般がこれを十分理解してやっていかなければならぬわけでございますので、計量思想の普及が一番大事でございます。いろいろなことをやっているわけでございますが、地方の計量協会が計量教室を設けるとか、計量改善普及連絡会というものを設けて、消費者あるいは商店、メーカー等を通じた対話の会を持っております。それから、先ほどから私、何回も申し上げました通産省が中心になっている計量モニターあるいはパブリックスケールというようなものも、これまた計量思想の普及に非常にあずかって力があるのではなかろうかと思います。あるいは、これはありきたりの方法でございますが、映画の作成それから知事、市長の一日計量士あるいは商品試買と検査、主婦の方に商品を買っていただきまして計量をチェックする、こういうようなもろもろの施策を講じて、計量思想の普及につとめております。
  197. 田中角榮

    田中国務大臣 計量思想の普及に対して政府が努力をすることはもちろんでありますが、この計量制度というものは近代国家、近代社会構造の中で不可欠のものであります。日本のような先進工業国としては、こういうものを国民的なものにするためには、あらゆる角度から努力をしていかなければならない一つの近代国家のバロメーターともいうべきものでありますから、政府自体も、これが思想の普及その他の事業に対しても積極的に取り組むべきだと考えます。
  198. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、計量器のそういう型式許可と日本工業規格、JISとの関係につきまして岡本委員からも質問があったわけですが、最近問題になっておりますPCBは、昭和三十二年の四月にJISに制定されて、使用が奨励されてきたわけです。ですから、いまこれだけ問題になっておりますのは、実にこのときに問題があったわけです。このJIS制定に当たった専門委員のメンバーを見ても、一部の大学教授を除いては、ほとんど企業に何らかの形で携わっている人ばかりである。そういうことで公正を期しがたかった。また電気系統あるいは化学系統ばかりで、人体や生物への影響、安全性を審査できる専門家がいなかった。こういう点において今日PCBの問題が非常に大きな問題になってきているわけですが、こういう点について大臣は、どういうようにお考えになっておられるか、これについてひとつ率直な御意見を伺いたいと思うのです。
  199. 田中角榮

    田中国務大臣 新しい数の単位というものは、われわれ子供のときには、ますと看貫ばかりだけあればということでありましたが、そんなことではなく、いまいみじくも述べられたように、非常に新しい物質の計量、数の単位、これは非常にむずかしいものであります。私も数学を専攻したものでありますから非常に興味のある問題であります。今度のPCBの問題等につきましても、新しい物質が発明せられると性能が高い。性能が高いものは必ず毒性、反作用もあるのです。毒物や劇物の中に入らないものはたくさんありますが、しかしそれが総合的に作用すると、毒物や劇物以上の劇薬にもなる、こういうことでありますので、やはり高いレベルの技術や化学の専門的知識が必要である。そういうことで普及やその他の中で一般的な知識のレベルアップをはかるとともに、そういう新しいものに対応することができるような専門知識というものを導入しなければならない。PCBのような新しい物質を使う場合には、通産省がすべて毒性の検査をしろ、こういってもなかなかむずかしい問題でありますが、大量に使用する新しい物質の輸入とか発明、実用化というものに対しては、反作用があるのかないのかという程度のものや、分解をするのかしないのか、吸収度がどうなるのか、何度の熱になれば溶解するのかという程度のデータを明らかにできるようなものを考えるべきだということで、通産省が中心になってひとつ検討をいたしましょう、こうお答えをしておるわけでございます。
  200. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間がありませんのでまとめてお聞きしますが、JIS制定後も、この標準化法によって少なくとも三年に一度は同標準調査会で再審議され、品質、安全性などがチェックされることになっておるわけです。しかしながら、カネミ油症事件以後も何ら問題にされなかった。こういう点についてはどういうわけか。この辺の非常に率直な感想をお聞きしたいと思うのです。それからもう一つは、JIS規定その他安全性の審査部門の総合チェックを行なってみるべきではないか。審査が実質的には空文化されている点、そういうことがあるのじゃないかと心配しているわけですが、この二点についてお伺いして終わりたいと思います。
  201. 田中角榮

    田中国務大臣 カネミオイル問題が起こってから三年も経過しておるのになぜ一体やらなかったのか。もうそのとおりでございますが、結果的に見れば、再審査をして、もっと徹底的に勉強することが必要だったということは言い得るわけでございます。真実申し上げますと、そのように蓄積が多いとも考えませんでしたし、こんなに急速に影響を持つものだとも思わなかったわけであります。そういうところを、科学技術庁や通産省は専門部局でありますから、そんなしろうとみたいなことを言って済むわけありませんから、まことにどうも、ということを申し上げるわけでございますが、やはり新しい物質で非常に性能の高いものに対しては、代替品が一体あるのかないのか、複数以上のものを研究するという学問的な勉強とか製造も考えるとか、やはり大量に使われるものに対しては、どのように影響するのか、毒性はどうなるのかということを絶えず研究する必要があると思います。そういう意味では、先ほどあなたが指摘されましたが、生産関係している人のほうが委員にも多いところにも問題があるのでしょう。もっと学問的な立場からもメスを入れられるような陣容というものをもう少し考えなければならぬだろうということがこの問題に対する反省の一つの結論でございます。
  202. 鴨田宗一

    鴨田委員長 中村重光君。
  203. 中村重光

    ○中村(重)委員 それではきわめて簡潔に大臣に、全く質問しておりませんからお尋ねしますが、大臣がおいでになる前に、いま近江委員からも指摘をいたしておりましたが、この改正法は、国際度量衡総会の決議によって計量単位について改正をすること、この総会の決議が一九六七年になされているわけです。そこで今回の改正案の提出まで四年以上かかっているわけですね。国際的あるいは学術的な経過とわが国の法的措置との関係には、期間が長くたっているものですからズレが感じられるわけです。そこで私どもは、計量単位に対して規定を法律で定める必要があるのかどうかということを根本的な問題として若干実は疑問に感じておるわけなんです。それと計量法が、初めから計量単位と計量行政というものが実際は混在をする形になっているわけです。そういったようなところからくるのだと思うのですが、もう三百条近いですよ。きわめて長文難解な条文になっているわけです。私どもはそういった点を考えてみますと、いろいろと局長お尋ねをし、感じていることですが、この計量単位と計量行政というものをはっきり区別をした形の行政運営をやっていくのでなければ、計量行政というものが消費者行政の中に十分な役割りを果たすということにはならないのじゃないかというような感じがいたします。そうしたきわめてむずかしい長文の法律の中にひっかきまわされているような感じがしてならない。生きた行政をやるという観点から、やはり根本的にこれを検討する必要があるのではないかということを感じますので、大臣も十分この点は研究をしていただきたいということを要望いたしておきたいと申します。私どもが申し上げることで的確な大臣のお答えが出るのかどうかわかりませんけれども指摘をいたしたことは、いままでずっと各委員質問にも同じようなことが指摘されておりますので、その点に対して大臣からお答えをいただきたいということが一点であります。  もう一点は、公害防止機器の研究開発、それから本法の対象となってまいりました計測器の研究開発が非常はおくれているということです。これは公害防止、環境保全ということが人命尊重という立場からきわめて重要であるということにかんがみまして、歴史的な関係がありますけれども、私どもはこの点は非常に問題視しているわけです。ですから、公害防止という観点、人命尊重という観点から、公害防止機器の研究開発、計測器の研究開発というものに一段の努力をしてもらいたいという点が第二点であります。  それからもう一つは、一般会計からそうした研究開発に対して支出をしておるだけではなくて、ギャンブル益金から配分をしているわけです。私どもは、公害産業の振興開発、公害技術の振興開発というものにそうした益金を配分するということについては、現実にギャンブルがあるわけですから、これを否定するものではない。むしろ、事業総額が百五十六億五千万あるわけです、それが公害関係に対しましては十七億四千八百万ですよ。わずかに一一・二%ですね。これを大幅に伸びていると政府委員のほうではお答えになっていいらっしゃる。大幅に伸びたというところで、この程度なんですね。ですから、私どもはこのギャンブル益金というものは公害防止の面に大幅に配分をしていくということをこの際大臣は特段の配慮をされる必要があるのではないか、そのように感じるわけであります。この問題は、きわめて短い、限られた時間に簡潔な問題を指摘し、そこで大臣の見解を伺ってみたいと考えます。
  204. 田中角榮

    田中国務大臣 計量法等非常に重要な問題でございます。しかし実のある問題にしては専門的過ぎるということで、古い歴史を有しながら、時代にマッチするように改正されるということはなかなかむずかしいものでございます。そういう意味で、計量法とか測量法とか、いろいろな問題があります。もっともっと法制上整備をしなければいかぬという問題もありますし、税法などでも、いまの税法になるまでには全く難解でございましたが、このごろはだんだん法律条文全部を書き改めよう、刑法自体もそうしよう、だれでもが読める、だれでもが理解できるようにしようというようにだんだん動いてきております。計量法どもそういう意味で整理をして、もっと時代に即応するようなものにしなければならないという考え方、それはそうだろうと思います。これは私ももっとよく勉強してみたいと思います。  もう一つ、いまのギャンブル益金と公害との問題これはギャンブル益金というもの自体が現に存在するわけでありますし、これは申請に基づいて、少なくとも他に運用されないというワクを設けて運用しているわけでありまして、これはいま、どうも薄く広くというふうになりつつあるので、集中的にこれを行なったほうがいいという主張をなす方がたくさんございます。これはひとつ来年度からの運用の問題として、十分皆さんの御意見を承りながら、新しくこれらの益金の処分をどうすべきかという問題は慎重に検討してまいろう、こう思います。
  205. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、消費者保護の観点から家庭用計量器の性能を維持向上させる、こういうことで、一定の技術上の基準に適合する計量器を製造するとか、それから販売にあたって所定の表示をするということが新たに取り入れられているわけです。ところが、このことに対しましても議論のあったところなんです。実は、これも検定の対象にするということでいろいろ研究したようなんですけれども、家庭用の計量器であるということで、そこまでいかなくてもいいじゃないかということで、これは表示のみにとどまった、いわゆる検定の対象にしなかった。ところが、私どもがいただいております説明資料には、過剰規制になる、それから行政の簡素化のためにと、こういう説明になっている。消費者保護というような点がきわめて重要だということは明らかじゃないか。それが行政の簡素化のためにこれを検定までやらないのだというようなことは、これは説明資料として出しているのには全く不都合だといわなければならぬというようなことを指摘したのですが、実はその行政の簡素化というものは全く考えてないということで、資料を口頭でもって訂正されました。ですから、この点については指摘いたしませんが、いろいろ議論があることだと思います。したがいまして、この点も十分検討されまして、そして価格が高くなる——確かにそうだと思います。しかしながら、非常にこの家庭用の計量器というようなものに対する関心も高まっていることですから、やはり国で助成するところは助成をして、これは高くしないというようなことに十分万全を期していく必要があるであろう、このように考えます。ですから、この点は御答弁は要りませんが、大臣も忙しい方で十分検討されていない面もあると思いますから、どうかひとつからだもゆっくりされたならば十分検討して、この委員会において指摘しましたような問題点になったことを十分体して、万全を期していただきたいということを要望いたして、これでこの問題に対する質問は終わります。
  206. 鴨田宗一

    鴨田委員長 以上で計量法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。     …………………………………
  207. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に内閣提出小規模企業共済法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質議の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
  208. 中村重光

    ○中村(重)委員 昨日の委員会で、第一種及び第二種共済制度のあり方については、大臣に見解を求めたところであります。大臣も急いでこの委員会に御出席になりまして、実は事務当局のメモをもってお答えになったわけでありますが、それはやむを得ないといたしまして、これは非常に重要な問題点であると思います。したがいまして、今度はひとつ自分のものにしていただきまして、昨日の委員会における答弁を実現をするように十分配慮していただきたい。この点は一度御答弁をいただいたことでございますから、要請にとどめておきたいと思います。  それから、新たに今度還元融資をするということになりましたことは、私は前進であると評価をいたします。せっかく還元融資をいたしますには、この融資は極力低利にしなければならない。年八%とか七%とかいわれておりますが、これは公定歩合も四・七五%と非常に低い。もっとこれを下げよう、一般の実効金利も非常に下がっているところでございますから、これらの金利は極力安くしなければならぬ。貸し付けばきわめて簡便にする必要があると思います。それらの点も、そういう線でひとつ対処してもらいたい。  それから、中小企業の従業員限職金の共済制度というのがありますが、これには四百円までという、きわめてけちったことですけれども、これが補助の対象になっている。しかし、この小規模企業共済は実は補助の対象になっておりません。ですから、中退制度のほうは労働省の所管でありますけれども中小企業労働者の問題でありますから、これは経営と不可分の関係にあります。この点も、私ども補助金をアップする必要があると考えておりますし、この共済制度に対しましても、補助の対象として共済金を引き上げていく、こういうことで、加入の促進をはかっていくということにされる必要があるであろう、そのように考えます。  小さい問題といたしましては、会員の拡張の問題等々いろいろありますが、これは事務的な問題でありますから、事務当局も十分体しておると思います。したがいまして、それらの点は事務当局から十分事情を聞いていただいて、これまた万全を期していただきたい。  これらの点に対する御答弁をいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  209. 田中角榮

    田中国務大臣 御指摘の問題につきましては、税務当局といろいろな議論もあるようでございますが、しかし税制上の問題等も含めまして検討を進めてまいりたい、こう思います。  それからもう一つ、安い金利という問題がございますが、これは制度上の問題でございまして、やはりいまの会計の中における可能な金利ということになるわけでございます。しかし、一般の金利が下がってくるということから考えると、必ずしも特典を与えるような制度でなくなるわけでありますが、そういう問題は金利体系の中で検討すべき問題でございますが、しかし、これをうんと低い四・二五%というような状態まで引き下げるということはなかなかむずかしいということでございます。
  210. 鴨田宗一

    鴨田委員長 以上で小規模企業共済法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  211. 鴨田宗一

    鴨田委員長 ただいま質疑を終了いたしました小規模企業共済法の一部を改正する法律案及び計量法の一部を改正する法律案の両案について、討論の申し出がありませんので、直ちに両案の採決に入ります。  まず、小規模企業共済法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  212. 鴨田宗一

    鴨田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  213. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、本法律案に対して、橋口隆君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。橋口隆君。
  214. 橋口隆

    ○橋口委員 提案者を代表して、附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    小規模企業共済法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   政府は、本法施行にあたり、小規模企業共済制度について、一層、その加入促進を図るとともに、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 第一種及び第二種共済制度のあり方について早急に検討を加えるとともに、掛金を全額所得控除とするよう配慮すること。  二 小規模企業者の廃業・老齢等に対して支給される共済金の特質にかんがみ、その課税を退職所得扱いとすること。  三 還元融資については、極力低利とし、簡便かつ迅速に実施すること。 以上であります。  附帯決議案の内容は審査の過程において詳細に論議されたところであり、案文によって十分御理解いただけると存じますので、この際、説明は省略させていただきます。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  215. 鴨田宗一

    鴨田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  216. 鴨田宗一

    鴨田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。田中通商産業大臣
  217. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいま当委員会において議決せられました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、善処してまいりたいと存じます。     —————————————
  218. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、計量法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  219. 鴨田宗一

    鴨田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  220. 鴨田宗一

    鴨田委員長 おはかりいたします。  両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 鴨田宗一

    鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  222. 鴨田宗一

    鴨田委員長 内閣提出工業配置促進法案及び産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
  223. 中村重光

    ○中村(重)委員 ただいま開かれております国会の目玉商品といわれる、きわめて重要な法律案であるわけであります。私どもも、重要でありますだけに、できるだけ早く審議をいたしたい、そういった考え方はありますものの、通産省ずいぶんがんばられまして、十三本程度法律案を御提案になっていらっしゃる、そういうことでそれぞれ審議をいたしておりますので、ただいま議題となりました法律案の本格審議は、実は連休後適当な時期に審議をする、こういうことになっているわけであります。相当期間委員会や国会がお休みになります関係上、目玉商品ではありますが、きわめて簡単になろうかと思うのでありますけれども、また私も質問はいたすとは申しながら、そういうことで、いままで審議をいたしてまいりました法律案の勉強と申しますか問題に取り組んでおりまして、これから質問いたします工業配置促進法案の中身につきましては十分検討をいたしておりません。したがいまして、法律案並びに関係の資料を見まして、問題点と感じておりますことをメモいたしておりますので、その点を若干質問してみたいと思います。  この工業配置促進法案の基本理念といえようかと思うのでありますが、提案理由の説明によりますと、「国土資源の片寄った利用による諸弊害を是正し、今後とも長期にわたってわが国経済社会の活力を持続し、」云々と述べられて、そのために工業再配置を必要であるとしているようであります。この趣旨は、産業と人口の大都市集中がこれ以上進むということになってまいりますと、工業用地であるとかあるいは工業用水であるとかあるいは電力であるとか、そういったものが不足する、そしてまた公害が発生をする、交通は渋滞するという形になってまいります。したがって経済成長も困難になるから工業再配置を必要とするという趣旨だと思うのでありますが、端的に私をして言わしていただきますれば、この理念というものは産業優先の理念ではないかというように感じます。そういう理念であってはならないのであって、理念というものはやはり人間優先の立場に立っていなければならないと私は感ずるわけであります。工業再配置というものは、快適な生活環境と自然の保全をする、もってこの地域社会の発展をはかっていくという理念に立たなければならないと私は考えるわけであります。この点に対する大臣の認識と申しましょうか、考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  224. 田中角榮

    田中国務大臣 生産第一主義から人間環境の整備に移行していかなければならない、量から質への転換を要請されることは御指摘のとおりでございます。いままでは、明治百年間で一次産業から二次、三次産業への人口の移動ということ、その過程において都市化現象が起こってまいったわけであります。言うなれば、都市化現象が進む過程において国民総生産と国民所得が拡大をしてきたということは事実でございます。ところが、明治百年を迎えてからちょうど都市集中のメリットというものには限界を示したわけでございます。それは地価の値上がり、公害の問題、物価の問題、千百万戸の家をつくる、その上なお九百五十万戸の住宅をつくっても住宅は依然として不足である、工業用水が確保できない、地盤沈下が起こる、いろいろな問題が起こってまいったわけでありいます。  それだけではなく、いまはまだ、過度集中の中における一つ企業体としてのバランスの上ではペイラインに乗っておりますが、その企業を維持していくために国民が支払わなければならない公共投資の面までメスを入れて考えますと、投資効率を追求するというようなことは全く不可能な状態でございます。それは、全国で一台車が増車されると、道路の維持補修費は五十万円以内で済むものが、東京、大阪では驚くなかれ、一台の新車の増車によって国民が負担しなければならない公共投資は千五百万円である。全国平均の三十倍以上というような事実に徴しても、もうおのずから限界に来ておるということが言い得るわけでございまます。しかも、現在の生産はこのままで停止をするわけにはまいりません。現在が四%から五%であるとすれば、年率七%、八%、九%ということを維持しなければならない。しかも、公害のない、社会環境を整備をしながらの生産というと、全国土を均衡ある開発によってそのメリットを国民が享受する以外にはないわけでございます。それは今度の中小企業白書にもあらわれておりますとおり、中小企業の二六%が直ちに分散をしたい、また条件が許せば分散を進めたいというのが五〇%以上に及んでおるということを見れば明らかなことでございまして、これからまだまだ、主要工業国の最も高い水準まで賃金を上げたり、社会環境を整備したりすることは可能であると思います。それには、東京、大阪、名古屋というような五十キロ圏三つ合わせれば、総国土の一%であり、そこに総人口の三二%の人間が過度に集中している、これ以上集中してこれを四〇%にし五〇%にすることは物理的にもできないことである、こういうことからこの制度に踏み切る以外にはない、こういう考え方でございます。
  225. 中村重光

    ○中村(重)委員 私どもも、地域社会の生活環境をよくする、そういったような観点から、工業を過密地帯から、過疎地帯に開発配置しなければならない、転換するというような構想を実は提案いたしておるわけであります。問題はその理念であるということですね。ですけれども、きょうは議論はいたしません。本格審議の際に十分私ども考え方も申し上げて、大臣の見解もただしてまいりたい、かように考えます。  もう一点私が疑問に感じておりますのは、大臣のこの構想は、今後年一〇%の経済成長を期待をしていらっしゃるわけですね。そこで、昭和六十年度のGNPは、四十五年度価格で三百四兆円、工業出荷額が現在の四倍で二百七十三兆円を見込んでいらっしゃるようです。工業用地の主要見通しは二十八万ヘクタールが必要だということにしておられる。そのために過密地域から工場を誘導地域に移転を促進する、地方に中核団地をつくる、そこで臨海地帯に大規模工業基地を建設するのだというような構想になっておるようであります。  ところが、日本が置かれておる経済環境、国際的な環境といったような点、それからアメリカ経済事情等々、いろいろな面から考えてみましても、一〇%の経済成長というものを期待できるのかどうか。これが田中構想が実は成功するかどうかという問題のキーポイントにもなるような感じが私は一面するわけであります。果たして実現をするのかどうか、まだいろいろな要素がありますけれども、これも一つ問題点であろうと思いますが、その点いかがでありますか。
  226. 田中角榮

    田中国務大臣 四十五年国民総生産七十三兆円として、それに一〇%ずつの複利計算をしてまいりますと、十五年後の六十年に三百四兆円になることは算術的計算でございます。しかしそれは日本が潜在成長率を持っておるという一つの試算数字でございます。これは、二十九年から三十九年までの十カ年の平均成長率一〇・四%、三十五年から四十五年まで、六〇年代の十カ年間を通算しますと一一・一%、そうすると二十九年からは十六、七年間にわたって一〇%以上の成長を続けたわけでございます。だから、それが七一年、四十六年は一挙に四・七%まで落ち込んだわけでございますから、相当な状態でございます。しかし、過去十六、七年間の状態を見ますと、潜在的な成長率として一〇%、三百兆円の潜在成長率を持つことはできるだろうという仮定数字でございます。しかし三百四兆円を限度として考えると、これは逆算していきましても相当な施策を行なわないと破局的になるということでございます。しかし、三百四兆円に置きかえられる数字が二百六十兆円であり、二百四十兆円であり、どんなに少なく考えても二百十六兆円というような計算が出るわけでございますが、二百七兆円ベースで六十年を迎えるということはちょっとむずかしい。それは三%から四%台で成長を押えなければいかぬということになって、耐えられるかどうかということを考えると、それは現在の状態では考えられるわけはありません。ですから、どう考えてみても二百三、四十兆円から三百兆円までの間でどういうふうに年次計画を押えるかということがこれから非常にむずかしい問題であって、自然発生で二四%から二七%の設備投資が行なわれるような状態を予想してこれからやれるわけはありません。そうではなくて、少なくとも新々全国総合開発というものは、政策誘導というものを先行させながらやらなければ、それこそ社会資本はもっとアンバランスになるし、公害というものはいまの自乗計算になっていくということになりますし、これは公共投資などというものは、いまの東京が一〇%ふえるから単価が一〇%上がるんではなく単価が倍になる、こういう考え方から、こういう計算からやりますと、今度は相当計画的な国土の高度利用計画を進めなければいかぬ、そういう考え方工業再配置というものを出しておるわけでありますので、いまの状態だけでも公害問題を考えると、いまの状態で成長率をゼロに考えても、工業の再配置政策は進めなければならないということでございますので、三百四兆円という数字というものにはとらわれておりませんし、これを基礎として立案をしたものではない、こういうことをひとつ御理解いただきたいと思います。
  227. 中村重光

    ○中村(重)委員 あとでまたお尋ねしてみたいと思うのですが、新々全総というようなお話が実はあったわけです。それは別といたしまして、この新全国総合開発計画というのがある。昭和四十四年に策定をされたと思うのですが、この中で既成大工業地帯から工場を分散をして、工業地域的発展をはかるということを重要課題にしているわけですね。したがって、本案と申しますか田中構想というものは、新全総ができたときからの懸案ではないかというように実は感じるわけです。  そこで通産大臣お尋ねをいたしますが、本案は新全総の一環として、新全総を推進するという役割りを果たすのか、あるいはまた本案が工業再配置政策として独立した地位を有するということになるのか、この点が必ずしも明確ではありません。その点をひとつお聞かせいただきたい。
  228. 田中角榮

    田中国務大臣 全国総合開発というものが改定されました。改定されたものをまた改定しようというのですから、現在あるものが新全総でございます。これから再改定が行なわれるものは新々全総ということになるわけですが、これは予測数字でございますから、私たちは自由経済でございますのでなどと言っておるから非常におかしなものだと指摘されるわけです。これは計画が三年たたないうちに倍に変わるということは、計画が誤っておるといわれてもしようがないんです。公共投資二十七兆五千億を二年間たったら五十四兆に変えた。五十四兆に変えたけれども、やってみましたら民間の設備投資が二五%から二七%に伸びましたので社会資本はアンバランスになりました、こう国会でお答えをしておるものですから、そんなに違うものならつくらないほうがいいのではないかとさえ極論をされるわけでございます。これは私はそのとおりだと思うのです。これは農村工業導入法とか工業再配置法とか地域開発法とか新産業都市建設法とか工業地帯整備促進法とかいろいろなものがありましたが、みんなばらばらなんです。ですからばらばらであって、新全総は過去の数字をそのまま引き当ててそれに若干の修正を加えたものですから非常にブレが大きいわけであります。少なくとも首都圏——百キロ圏は首都圏と法律でいっておりますが、ここに二千八百万人、二八%の人が住むなどということは考えておらなかったわけであります。考えておらないから全総ができたわけです。ところが首都圏の百キロ圏に二千八百万の人が集中をし、まだ集中の状態にある。そこで修正新全総ということになったわけです。今度はそんなことを考えると、昭和六十年にはいまの首都圏の人口がもう一千万人ふえて三千七百八十万人ないし三千八百万人になるとコンピューターははじいているわけです。そんなことをすれば全人口の八〇%ないし八五%が太平洋ベルト地帯に集中をする。そんなことで一体計算ができるわけがない。投資が第一可能でありません。一〇%ずつの経済成長を行なっても、その経済を維持するために社会資本の蓄積を行なうことができないということであって、今度の新々全総というものは六十年のあるべき日本の姿というものを一応想定をして、そうして六十年までに、今日から十年ないし十五年間の成長率を七・二五から七・五%に見るのでありましょう。それに合わせて六十年には、少なくともいま日本アメリカとの社会資本蓄積の比率を四対一から二対一とか一・五対一にするというような状態でなければ、新々全総を組んでも全く実態と遠い数字になるわけであります。ですから、いまここに一つの数字があります。アメリカは一次産業の比率は四・四%でございます。しかも拡大EC十カ国の平均は六%でございます。日本のこれに対応する数字は一四・四%でございます。そのまま十年間たたなくても、一〇%近い一次産業から離脱する人が必然的に出るわけであります。九百万人に近い人が出るわけであります。だから、総合農政を進めるならばその人をどこに位置せしめるとかいうことも何も考えないでやってきたから全部これは大都会に集中する。地価を上げ、公害という問題になっている。これは社会党の皆さんが御指摘になりましたことを追跡調査をやってみたのです。北海道の炭鉱が一つ閉山になる、八万人から六万人になり、四万人、二万人になる場合追跡調査をやったら、その移動人口の五分の四は社会保障対象人口になる可能性がある。そういう現実をもとにして新全総を合わせるための国土の総合開発という、いうなれば二次産業の平準化政策というものの一つの具体化政策として提案をしたわけでございますので、私は率直に言って、この政策をもし提案せずして新々全総を書くとしたら非常にブレの大きい新々全総ができ上がるものだ、こう理解をいたしております。
  229. 中村重光

    ○中村(重)委員 先日この委員会で松平、近江委員質問に対してもいまお答えになったような、若干ニュアンスは違うのですが、内容のお答えになっているわけですね。そこで、これは先日の松平、近江委員質問に対しては、新々全総を書きかえなければならぬ、何というのですか、計画を合わせて二で割ったようなものだというようなお答えが実はあった。ですから、いまも大体同様のことなんです。ところが私は、国土総合開発委員でも実はあるわけですね。それで、きょうは木村経済企画庁長官が御出席をいただいていないのですが、岡部総合開発局長も御出席になっていらっしゃる。これは新全総というようなものを修正をするということになってくると、いま通産大臣の構想として述べられた、やはりこれの統一見解というものが必要になってくるのじゃないかというような感じが私はいたします。ですからこの関係はどうなっているのか。改定をするということになってくるといつごろになるのか。経済企画庁はこれに対してどのような作業を進めておるのか。この関連性もお聞かせいただかなければ、これは通産大臣の独走のような感じがしてなりませんから、その点はひとつそれぞれお答えをいただきたいと思います。
  230. 田中角榮

    田中国務大臣 農村工業導入促進法も、新産業都市建設法も、この工業再配置法も、新しい全国総合開発計画の中の一環である、このように理解をしていただきたいと思います。ですからこの工業再配置は十月一日施行を目途にしております。それから新々全総は夏を目途にしているのですが、夏といってもなかなかむずかしい問題でございまして、夏から秋口へかけてということであります。この工業再配置は法律が成立をすれば、いますぐ手をつけるところがあるわけであります。総合的にはやれなくても、産炭地が先行しておりますから、産炭地の振興というものは工業再配置の中の一つ、地方開発の一つでもあります。そういう意味で仕事はできると思うのです。ただ総合的な六十年の計画というものを完全に仕上げて、それで新全総と完全に合わせるということは言えないにしても、少なくともこの法律の立法過程からずっと経済企画庁中心考えられてきた問題ですから——例の本四連絡架橋公団等が軸になってきたものです。あのあたりからこの問題がずっと推進されてきたものでありますので、政府部内で統一見解というよりも、新全総は今度の工業再配置というようなものを前提にして、自然発生というだけではなく、六十年の一つの数字と一つの姿というものを、仮定数字を置いてそれから逆算をして新々全総というものをつくろうということでありますから、いままでのものよりも正確度は非常に増す、こういうことをお考えいただきたい。
  231. 岡部保

    ○岡部(保)政府委員 ただいま通産大臣の御答弁ございましたが、経済企画庁といたしましてまずはっきり申せますことは、まず問題がちょっと混乱したのじゃないかという感じがいたしましたので、あえて言わせていただくわけでございますが、新経済社会発展計画、いわゆる五、六年の比較的ショートレンジを問題にいたしております経済計画、これは本年中に改定をいたす予定で、現在着々と作業を実施中でございます。  そこで新全総計画の問題でございますが、これは先ほど大臣がおっしゃいましたように、一応新全総計画の、四十四年に策定いたしました問題で、この計画の前提として、たとえば経済のフレームであるとかあるいは人口のフレームであるとか、そういうような前提を置いております。この点では確かに現段階考えまして問題がございます。たとえば、先ほどお話の出ましたGNPの目標にいたしましても、これは昭和四十年をベースにいたしまして四十年価格で百三十ないし百五十兆の目標であるという数値が出ております。これを四十五年ベースに直しますと、大体百六十兆ないし百九十兆くらいの数字になります。したがって現段階から、たとえば四十五年をベースにいたしまして百六十兆ないし百九十兆というために、年々の伸び率というものは五・六%ないし六・六%、約六%程度の伸びでしかない。これはいささか今後の経済成長率としては過小評価ではなかろうかという感じを私どもも持っております。  そこで、これが一つの例でございますが、確かに人口配分にいたしましても、現在の趨勢を伸ばした場合と若干の分散を見た場合ということで、たとえば首都圏に現在の傾向を伸ばしたら四千五十万くらいになるだろう。それから若干の分散を加味しても三千八百五十万程度じゃなかろうかというデータもございます。このようなあたり、確かに分散といいながらまだまだ分散が徹底しないというような問題もあるかと存じます。したがいまして、新全総計画の問題点、これは一応計画策定されましてからまだ三カ年でございますが、この三カ年の間に、いろいろな開発事業というものが実施されておりますが、このそれぞれの事業実施の状態を、これは相当に反省しなければならぬ点があるという点は、もう私ども痛感しております。  そこで、現段階ではこれを相当に反省するために、現実にどういう問題点があって、どういうふうにしていくべきだということを、私どものほうでは総点検をするという呼び方をしておりますが、新全総の総点検をことしいたしたいという考え方でございます。したがいまして、総点検でいろいろな問題点が出てくると思いますが、このような問題点に対しまして、いろいろな事実上の問題点もございましょうし、また政策上の問題点もございましょうし、そういう問題点を集大成して、これはいわゆる大臣のおっしゃる新々全総計画に発展させるかどうかという問題を判断していきたいということが、私ども事務当局考え方でございます。
  232. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は先ほど申し上げたように、国土総合開発審議会の委員として経済企画庁から提案された問題を審議をいたしたことが実はあるわけでして、内容的に同一な面がある。いまそれぞれお答えをいただいてみましても、突っ込んでいろいろお尋ねしてみなければならない疑問点というのがある。実施の面においても混乱も生ずるのではないかという感じもいたしますが、これはまた後日その点に対してはお尋ねをすることにいたしておきたい。  実行面について大臣の決意というか考え方を伺ってみたいと思うのです。この工業立地政策のうち、拠点開発政策としてこの十年間に新産業都市建設促進法というのがあるのですね。これが十五カ所地域指定をされておるようです。それから工業整備特別地域整備促進法、これは地域指定六カ所、それから低開発地域工業開発促進法、これは地域指定九十四カ所、農村地域工業導入促進法、これは基本計画とか実施計画の作成も、工業用地の確保がなかなかむずかしいというのでうまくいっていない。それにいたしましても、二十七県か大体作成ができている、こういった状況のようでございます。そこでまた今度は本案が提出されるわけでしょう。さらに大規模工業基地建設促進法が検討されているということも伝えられているわけですね。どうもこれらの点を見ると、何か首尾一貫性がないような感じがしてならない。ここに大臣は着目して工業再配置といったような形に突っ込んできたんだということになると、これはまた問題が変わってまいりますし、それだけ具体性が出てくるのであろう。ここらあたりもはっきりしないわけです。  そこで、これらの拠点開発政策というのがある。ところが新産業都市の建設に見てみますように、これはその他も同じなんですけれども地域指定はしてあるんだけれども、大幅に計画実施が実はおくれている。また所によっては、近代工業というのが来た。来たけれども、たとえば茨城県の鹿島の臨海工業地帯のように、その現状を見ると、近代工業は進出したけれども、交通量が増大をした、それから住民の環境というものはほったらかし、もうごみは非常にたまるとかというので、これじゃたいへんじゃないかといったような深刻な事態に実は立ち至っておるというこれらの事実を考えてみても、それから産炭地への工業の配置にいたしましても、これは遅々として進んでいない。いろいろな点を考えてみますと、この田中構想、いわゆる工業再配置促進法というものは、ほんとうにこの計画のとおり進むのだろうか、またマスタープランみたいな形になって、挫折してしまうのではないかというような感じがしてなりません。ですから、公害問題はあとでお尋ねをいたしますが、大臣の決意、あるいはこれはこうやるんだからということで、具体性を持って、今度は実効があげ得るというような確信のほどをお聞かせいただかなければ——これは私ともいろんな苦情も持ち込まれておりますが、正直申し上げて、賛否両論であります。そういうことでございますから、この際、後日の審議の場合、やはり私どもは私どもなりにいろんな意見というものは十分取り入れて、そして直すべきところは直すというような形で、これはいいものであるならば私も成立をさせたいという気持ちであることは間違いないわけでありますから、大臣の確信のほどを、具体性がある考え方を持ってお答えをいただきたいと思います。
  233. 田中角榮

    田中国務大臣 どんなに低く見ても五%程度の国民総生産、国民成長率を五%以下に落とすというわけにはまいりません。その中にやはり一番問題になるのは、二次産業、俗にいう鉱工業であります。鉱工業というものに対しては、いままでは公害発生源になっておる。だから今度は生産第一主義ではなく、公害のない生産施設に転化しなければならない。第一、いまある施設そのものが公害除去施設をしなければならないのであります。脱硫装置を行なうということを一つ考えてみても、これは膨大もない投資を必要といたします。この国会に無過失公害というあの法律が出ておる。将来十カ年を考えてみれば、現在の生産力を維持するためにも一〇%ないし二〇%に及ぶ公害除去投資を行なわなければならない。これがこのままの事態において、現にある東京とか大阪とか川崎とか千葉とかというものに、そのままの立地条件においてその投資をするのか、新しい工業再配置という制度の中で、しかも全然社会環境の基準の違う、道路の中心線から二メートル下がったところが建築線であるというようなところよりも、中心線から十メートルというようなそういう新しい環境保全ができるような基準のもとに移転をして投資を行なうほうにメリットがあるのかというのは、これは産業界全体の最も大きな問題であります。そういう意味で、好むと好まざるとにかかわらず、工業の再配置というめどは日本産業としてつけざるを得ないのであります。  ですから、いまたくさんあるじゃないか。これは全くばらばらであります。これは請願、陳情によって地域格差を解消するなどという近視眼的な立場で立法されたものである。私たちがこういうものに対して議員立法をみずからやったのでありますから、それはそのとおりなんです。しかし、今日はそうではない、全国を総合的に開発する。言いかえれば、少なくとも二次産業比率の平準化政策を推進しない限り、日本国民の生活レベルは上がらない。昭和四十年に対して六十年では若年労働力は三〇%しかふえないのであります。そうすれば、中高年層を一体どういうふうに位置づけるのかという問題は、数字上明らかなんです。この人たちを、東京や大阪や県庁の所在地に引っぱってくるということになると、労働者一人に対して少なくとも最低四人の扶養家族が集まってくるのです。そういうものが地価を上げ、水道料金を上げ、困難な非常な都市の過密状態をつくっておるということを考えれば、そういうものを排除する、やはり産業の新しい姿という誘導政策を基本としない日本の将来というものは考えられない。  だから、この工業再配置法ができれば、私はその意味では、新産業都市とかいろんな離島振興法などは、ある意味においては特殊なもっと高い工場基地にもなると思います。私はそういう意味でいろんなものが総合的に——地域開発法、北海道東北開発法とか四国九州開発法とか、そういうものまでみなある時期に整理をされていくべきだと思いますが、なかなかその逆の政策をやっておる。これは発想の転換なんです。発想の転換というのは、逆のことをやれば発想の転換であります。実際そういうことをやるということは困難なんです。実際、いまいみじくも政府関係者、政府の代表が言ったじゃありませんか。昭和六十年には首都圏の百キロ圏が四千五十万人になるというデータもあります、こう言うのです。これで一体どうして生産性が確保できますか。地価がどうして押えられますか。六十年には一億一千七百万人になる。一億一千七百万人の総人口のうち四千五十万人を百キロ圏に入れて、一体公害の除去ができるかどうかということを考えると、これはもう今日においてどうしても六十年展望、五十年展望というものの二次産業の平準化政策——これは形を変えてのみやすいように工業の再配置、これはもっとのみやすくすれば地方開発というか、水とか、資源の再配分ということをいうのか、これは言い方はあると思いますが、私はこの政策は非常におそ過ぎたと思います。この政策は十年前に先行すべきものであった。こういう政策がないところに物価の問題とか地価の問題とか公害の問題とか交通の問題とか——交通投資は幾らやっても、どんどん都市内の交通量というもの、交通コストは上がっていくというような、全然解決のできない問題がたくさんあるわけであります。ですからこれはただ工業再配置だけの問題ではなく、新幹線建設促進法とかそれから港湾整備法とか本四連絡架橋公団法とか自動車とん税法とか、いろんなものが総合的に運用されて、六十年までにやっと完備さるべき問題だと思いますが、いずれにしても総人口のうち八〇%が東京と大阪と名古屋に寄ってきてもいいんだという発想だけは影を消したということは事実であります。そういう状態を是認する限り、日本人の働いたメリットを全部公営住宅費につぎ込んでも、六十年になったら住宅は四、五百万戸足らないということになるわけでありまして、そういう事態を避けるためにも、どうしてもこれは必要だ、こういう考え方に立っております。
  234. 中村重光

    ○中村(重)委員 拠点開発政策というものはばらばらだ、全くそのとおりなんですよ。そこで大臣が反省の上に立ってみずから議員立法をやったということの失敗というものをお認めになったんだが、発想の転換をやる、発想の転換はいわゆる逆をやることだ、こういうことなんです。じゃ具体的にどうするのかということはまだ問題として残されている。これからずっとお尋ねをしていかなければならないということになってまいりますが、それは後日に譲ることにいたします。そこで、いま大臣がいみじくもお答えになったとおり、そういった選挙対策というか何というか、そういういろんな面から議員立法もやったし、あるいは政府の提案によるものもある。ところが、これで地方団体というものはむしろかり立てられて、あるいは中には大きな期待を持ってこれを誘導するというようなことで、運動、陳情行動を続けたというような人たちもある。ところがいずれにいたしましても、いまのように指定はされたけれども実際は与えられたもの、得たものは何もない。ただ公害だ、環境が破壊されただけだ、そして負担というものが実は加重されてきている。ですから、地方団体にとっても地方住民にとっても、迷惑千万であるということなんです。今度は地方自治体に対して、地方住民に対して迷惑をかけないように、大臣の構想のもとにほんとうに地域社会の開発、快適な環境づくりというものをやって、私が申し上げました人間尊重というような線に沿って進めていかなければならないと私は考えるわけです。したがって、そういった地域団体、地方団体に対し、それから地方の住民に対して迷惑をかけない、これの期待にこたえるというような具体的な構想がなければならない。その点に対しての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  235. 田中角榮

    田中国務大臣 究極においては国の利害と地方の利害と地方住民の利害というものは完全に一つになるということでないと、政策目的を達成することはできないし、政策効果をあげることはできません。これは国が国民総生産をあげるために地方開発を行なうということではなく、やはり国も理想的な姿をつくるための方向をきめて政策を行なうわけでありますから、誘導政策を行なうために固定資産税の免税を行なったり、不動産取得税の免税を行なったり、また工業用水道をつくったり、いろいろなことをしなければならぬ。学校もつくらなければいかぬ。いろいろなことがあるでしょう。市場もつくらなければいかぬ。そういう場合に免税措置だとかいろいろな財源措置は国が行なわなければならぬ。これは当然だと思うのです。それに長期的展望に立てば、国が投資効率というものを確保できるという立場政策を推進するのですから、当然政策的にはそうでなければいかぬ。だからこの法律は固定資産税を二十五年免税をするということだったのです。いま三年ということになっておりますが、これは私は必ず制度上は二十五年にはなると思います。やる意思があるかないかの問題なんです。そんな中途はんぱな態度で大きな政策が実行できるはずがありません。イタリアがあれだけの労働者住宅をつくったときにどうしたか、非常に鮮烈であります。これは御承知のとおり、生保と健保の剰与金は労働者住宅以外に使ってはならない、そのかわりに固定資産税は二十五年間免税をする。そうでなければ、中途はんぱな政対で政策効果をあげられるわけがありません。そういう意味政策考えられておるわけでありますから、今度は実際——ちょうど北海道が九十年で三万九千人が五百二十万人になった。そのときには政策は鮮烈な先行投資をしたわけです。太政官布告によって北海道開拓に必要な総投資は全額国が負担する、こういう日本の一番大きな先行投資をやって五百二十万になった。しかし、負担制度を発足した三十九年から北海道の人口増が頭打ちになった。まさに皮肉な現象であります。  そういうような状態で北海道があのような状態になり、国が政策的恩恵を与えたものの何倍、何千倍、何万倍と国民総生産に寄与しておるのでありますから、今度この政策を進めていくことによって、いままでどんどんと人口が減って、お寺のようなうちまでこわすには公共的に金を出してこわさなければいかぬというような状態が生産性に転化をされるという全く理想的な姿というものを想定しておるのでございまして、この政策を進めるために村や町が反対運動を続ける、住民の意思が反対をするようなところは工業化しない。そんなところは工場が行くはずはありません。これはその住民がそうでなければ村を捨てなければいけない。この水を、雪を、土地をというようなところに集中的に理想的な二次産業と一次産業との調和点を考えようというのが究極の目的でございますから、政府と住民との間に利害がそごする、対立をすることは全然考えておりません。
  236. 中村重光

    ○中村(重)委員 あと二問で終わりますが、この法案をずっと見てみますと企業に対する優遇措置というのはあるのです。ところが雇用の安定ということについては何か抽象的規定があるにすぎないのです。大臣は、工業再配置に伴って生ずる失業問題、新たに発生する工業雇用問題に対してはどのように対処していこうとお考えになっていらっしゃいますか。
  237. 田中角榮

    田中国務大臣 ほんとうにそこがポイントなんです。雇用問題というものをこの法律にまで網羅できなかったことは時間的にも遺憾だと思いますが、この法律が成立をすれば逐次そういう実体法が必ず整備されていくということなんです。これはいま東京の例をとりますと、五千人の一つの工場を地方へ移しますと大体二万五千人から三万人移動するわけであります。三万人移動すると、関係下請産業まで考えますとおおむねその倍、五万人ないし六万人。だから実際の稼働人口の十倍以上が動くのです、定着をするのです。ですから、そういう意味では地方の中核都市をつくるということはそんなにむずかしい問題でない。そのときに一番の問題は、中高年齢層になっておって、行くときには一体学校があるのか、住宅をどうするのかという問題が起こるのです。ですからそのときに住宅というものを新しい制度で、当然住宅金融公庫や住宅公団の対象にならなければいかぬし、それだけでなくて厚生年金とかその他のものの極限された人になれば非常に安い理想的なものができるわけであります。それは、そこにうちを提供する、それはそのまま定着してもよろしいし、それを定年が来たときには会社から共済か何かで借りて郷里に土地を求めてもいい。そういう制度が日本には全くないというところに住宅問題が本格的に解決できないのです。そういう意味では私も十分考えたのですが、これは建設省の仕事でございまして、建設省の仕事まで規定をするのは少し早いな。しかし私はかつて議員立法として公営住宅法をつくったときに、労働省の労働者住宅も厚生省の住宅も、公営住宅法の中に入れて議員立法を行なったこともありますので、労働者住宅、労務者住宅というものを当然考えるべきだ、そういうことを考えております。しかし、そういうことは、まず本法が成立しないことには、それに付帯する実体法というものは非常に広範なものが出てくると思うのであります。そういうことで、第二、第三の——ことしは十月一日の発足でありますから、来年の四月一日までには第二のいまの労働者問題とか、都市から出ていく場合には当然安定できるように、移転ができるような受け入れ体制を制度上つくらなければならぬというものの整備を行ないたい、こう考えております。
  238. 中村重光

    ○中村(重)委員 ともかく大臣は、通産省所管の基本法ではなくて単独立法であるのだから、各省にまたがるものを詳しく規定するわけにはまいらない、こう言われた。しかし、いずれにいたしましても拠点開発政策というものがばらばらに行なわれて、大きく期待したものが現実には痛めつけられておるというのが実態なんだから、住宅問題、労働問題といったようなものの諸政策というものが十分納得いく形において打ち出されてこなければとうてい理解はしないし、また安心してこれを受け入れることはできないだろう、こう思うのです。  先ほど大臣がお答えになりました環境問題、公害の問題にいたしましても、先ほど工業配置促進法案に対していろいろな意見が述べられておりるのは賛否両論相半ばしておると私は思っておるのです。中には、田中構想というものは公害の散布政策とさえ酷評するものがあるのだから、またこれによって公害をまき散らされるのだ、これをどうしてくれるのだ、ごめんこうむるという意見があるのも事実ですから、公害対策に対しても発想の転換、これは逆をやればいいのだ、こういうならその中身を先ほど申し上げたようにやる、これによって環境保全をやるのだ、文化の保存もしていくのだ、公害を起こさないのだ、交通の渋滞を来たさないといったような、いままで起こった現象を起こさせないというようなそういうことでなければならないと私は思います。したがって、私どもはそれらの点に対しても今後ずっと詰めてまいりますから、十分ひとつ大臣もその点を詰めていっていただきたい。これは他の省に関係をすることであるからというようなことであっては、私どもはどうしてもこれに対して、安心をしてこの法律案を上げるわけにはまいらない、こういうことになってまいります。だから、最後にひとつ総括してお答えをいただいて、これで終わりたいと思います。
  239. 田中角榮

    田中国務大臣 公害をまき散らすなどということではなく、この法律の目的としておるところが明治二百年の展望に立った、ほんとうになさなければならない方法だ、こういうふうに考えておるのです。  それで、一つだけ最後に。これは一番初めの審議でございますから、ここで一つ申し上げておきたいのは、これはそこまで考えてもらわないと、及び腰ではこの政策に身が入らない。私は非常にたいへんな問題だと思っておるので、これは地価の問題とかいろな問題を解決をする手段としては、これを除いてはないという考え方です。  それはどういうことかといいますと、世界の地球儀をぐるっと回してみれば非常にわかるのです。南の地帯で、水が豊かで肥沃の土地は全部一次産品地帯であります。これは主要工業国でも、南北問題を見て、百四十カ国を見ても全部そうです。主要工業国は日本の北海道よりも北であります。しかも、アメリカを見ても、ミズーリの両岸は全部一次産品地帯です。そうして、五大湖の寒気りん烈なところが二次産業の工業が行なわれておる。それには誘導政策が必ずあるのです。ですから、一次産品の最適な地帯が工業地帯になったというのは日本だけであります。世界百四十カ国にありません。東海、山陽地方、このベルト地帯に鉱工業生産の七〇%を持っておるというのは世界のどこにもない。それは自然発生を全く是認をしておったという百年の歴史の結果だと思うのです。だから、農村地帯に最適の地帯は工業地帯になって、そうして北の北海道まで米をつくらなければならないという政策が、必ずしも私は日本のためにほんとうの政策だったかということは、まあ先人がやった仕事でありますから、われわれ自身は静かに見るべきでありますが、しかしそういうことは実際逆じゃありませんか。だから今日、明治百年になって、そして飽和点に達した都市集中というものは、ちょうどデメリットとメリットが同一になった。新しい視野に立って新しい角度から将来を展望するとすれば、私はやはり一次、二次、三次産業——まあ三次産業は付随して起こる問題でありますから、一次産業と二次産業との調和を日本考えないで新しい政策の前進はないと思っているのです。だから、そういう発想からこの問題が取り上げられたのでありますが、理想にきゅうきゅうとしたものでは絶対にない。  では、このようなことをやらないで可能であるかということを考え一つのものを計算してみたのですが、東京を一つの例にしまして、東京の現時点の道路交通というものを考えてみるときには、全都市面積の三五%道路があればニューヨーク並みになる。三五%になるにはどうするか。東京の道路を三倍にするか三階にすればいいわけであります。だから、立体化をすれば、必ず東京も大阪も、ちゃんとこれからまだ五%ずつ、三十年くらい成長するだけのものを収容する能力はあります。ありますが、皮肉にも、そのような過度に人を集中せしめて二千万台の車が三千九百万台をこすときには、二十三区内の空気中に占める亜硫酸ガスは人間の生存許容量をはるかにこすという計算が出るのであります。そういう数字の上に立って五年後、十年後の展望というものを考えないで、一体後代の民族の姿をこうするのだということは私はいえないだろうと思う。私は、だから思いつきや何かでこの法律を提案しておるのじゃありません。この法律を今日スタートさせずんば一体どうなるんだという非常に深刻な気持ちで、ほんとうに口で言うのではなく、論文としてではなく、新しい日本の、五%ないし七・五%というような高い成長を維持して国民総生産を拡大しながら、公害を伴わない成長を続けようとするにはやはりこの処方せんが必要である、こういう考え方でございますので、念のため、たいへんおそくなって申しわけありませんでしたが、二、三回は申し上げませんから、そういう考え方で立法に踏み切ったのだということはひとつ御理解賜わりたいと思います。
  240. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることにし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十五分散会