○寺尾
参考人 私は、ただいま御紹介をいただきました
全日本互助協会事務局長の寺尾權と申します。本来ならば、会長が
参考人として
意見を申し述べるところでございますが、健康上の都合もございますので、私が述べさしていただきます。
まず
意見を申し述べる前に、互助会について、この仕事は非常に新しい仕事でございますので、少し概要を説明さしていただいて、そして
意見を申し述べさせていただきたいと思います。
よく互助会とは何ぞやということを聞かれるのでございますが、互助会とは地域の住民が力を合わせて助け合うことにより、人生の二大儀式である結婚式、葬儀がりっぱに、しかも安い値段でできるように仕組まれた
消費者同士の助け合いの機関でございます。そして純風美俗を維持することを
目的として奉仕的に仕事をしております。ことばをかえて言うならば町内の厚生部が自然発生的に大きくなったようなものでございます。したがって、
利益を目標としない任意の組織体が多いのであります。前払い金は小さな額でございますが、これがなぜ今日のように大きくなってまいりましたかと申しますと、これは経営者に対する信頼と、そして
消費者に対する大きなメリットがもとになっておると思います。
そこで互助会のねらいでございますが、結婚式の衣装とかあるいは葬儀の祭壇はともに短時間借りるにすぎないものでございますが、花嫁衣装になりますと二万とか七万、あるいは祭壇になりますと五万円から二十万円ぐらい普通かかります。たいへんだと思いながらも、やむを得ないと、大衆は半ばあきらめておりました。これを合理化すれば
一般業者の価格の数分の一で済むのじゃないか。こういう点に目をつけまして、これらの施設を共同の力で持ち、必要に応じて順次利用し合うならば、そのコストは実費程度のものとなって大幅な値下げが可能であります。これを
実現して合理的に運営しているのが互助会でございます。ちょうど始まったころ新生活運動というのがございましたが、これは成功しませんでしたけれ
ども、私
どもはその機関車の役目を果たして新生活運動という列車を引っぱってきた、そういう自負を持っております。
さて、互助会の仕組みでございますが、以上のような
目的を達成するために、会員制度をとりまして、一定の掛け金を払い込むことによって
規定のサービスを受けるというシステムになっております。そして掛け金は非常に少額でございまして、長期間払い込むのが特徴でございまして、・ちょうど町内会費のような観念で払い込まれております。たとえば毎月百円掛けで十年間、それで完納いたしまして一万二千円とか、あるいは毎月三百円掛けで六十回払って、つまり五年で一万八千円、これらのお値段で葬儀を現在までやっております。もちろん全部の人がこれを望んでおるわけではございませんけれ
ども、これでりっぱにやっております。そしてまたこのお金は加入いたしますと、すぐにでも施行いたします。また完納いたしましてもなお施行しないときは、施行するまで権利が保全されるようになっております。
互助会がなぜこのように大きくなってきたか。これは私は互助会が安全性があったからじゃないか、こういうふうに考えております。と申しますのは、こういった仕事で非常に社会に喜ばれまして、喜ばれておるがゆえに発展してきた。こういうふうに考えております。そしてまた反対給付は金銭債務でなくて施行債務、すなわち施設の利用がおもでございまして、現金給付がないというところに安全性があったと思います。また、冠婚葬祭の施行だけに使われるので取りつけ騒ぎはなかったということも安全性につながっておると思います。そして冠婚葬祭ともこれはいつ来るかわかりません。
期限は不確定でございます。でありますが、景気がいいから結婚式を二回やろう、そういう方もございませんので、きわめて需要の弾力性が乏しい。それゆえに景気の変動に左右されない。こういう安全性があったわけでございます。
さて、ここで、現在
改正法案が出されておりますが、本
法案についての
意見を申し述べさせていただきます。私
どもは当初
改正の部分だけしか教えられませんでして、従来の割販法はどのように適用されていたかということを詳しく知りませんでした。ところが、それがわかるに従いまして、これはたいへんだということになったわけでございます。もし従来の施行されております割販法、
改正法を含めまして、そのとおりの率とかなんとかで施行されるということになるとどうなるかということになりますと、おそらく私
どもの考えでは、法施行後一年以内に七、八割はつぶされるのじゃないか、こういう危惧を持っております。また、第一基準日、つまり一年半でほとんど全部つぶされてしまうのではないか、こういうふうに危惧を持っております。
次に、
一般的
意見としてございますが、法による
規制は賛成でございます。しかし、その手段をよく
検討していただきたい。もし手段を誤られるととんでもないことになるのじゃないかということでございます。互助会は月掛けで前払い式である、ただそれだけの
理由で
一般の割販
業者と同一視されるということは非常に迷惑を感じております。割販
業者は品物を売る、私
どもは施設の利用、こういうところに本質的な差があるのでございます。したがいまして、どうもこの割販法にはなじまない、無理が生じるように思います。もし、さしあたりこの法以外に
規制する
方法がないとするならば、私は本
委員会におきまして、互助会は割販
業者と本質的に異なるので、他日独立
立法をもって
規制することが適当であるといったような一項をつけ加えていただきますと非常にありがたいと思っております。
理由といたしましては、
立法の
目的は
消費者保護とそのための
業界の育成にあります。もし
消費者保護と
業界の育成ということにもとるような
改正がなされるとするならば、結果的には
消費者保護にならないというふうに感じております。
なお、具体的な重点的な
意見を申し述べさせていただきます。許可基準の中で、法人に限って許可する、こういうことがありますけれ
ども、私
どもは任意の団体である、一体法人にどういうふうに具体的に移行していいのか、その可能な具体的
方法の明示がないので非常に不安でございます。一体新しい法人がこの互助会を買収するというふうに持っていくのか、それとも組織がえを——突然の組織がえで、おそらく加入者の皆さまは、互助会に入っておったら、あした株式
会社になっておったということでは、たいへん驚かれるのじゃないかと思っております。どうして納得を取りつけようかということも頭の痛いところでございます。また、法人にしない互助会がかりにあった場合、それが許可にならなかった、いろいろ業務停止というようなことがありますと、そこにつながっておる
消費者は犠牲になってしまうのじゃないかというふうな不安も持っております。
それから法令の中で定められております
各種の基準でございますが、たとえば
各種の財務比率でございますが、これはそのまま互助会に適用されるとも思っておりませんけれ
ども、もしそのまま適用されるとするならば、これはたいへんだ。つまり純資産比率が百分の九十、これは私は
消費者保護の
目的でこれがあると思いますので、資産負債比率でも十分
消費者保護はできるのではなかろうか、こういうふうに考えております。資産負債比率ならば非常に好都合でございます。
目的は達成されると思います。ものさしで言うならばメートル法ではかるのか尺貫法ではかるかの違いしかないように思います。
それからまた改善命令の中に出てくる諸比率でございますが、経常収支比率、これは百分の百以上ということになっておりますけれ
ども、このとおりやりますと、赤字が十円出ても営業停止、こういうことになりそうです。それから流動比率は現在百分の九十以上となっておりますが、私
どもは施設の利用を目標にしておりますので、施設に
相当の金をつぎ込んでおります。また施設さえあればお客さまに対する反対給付が可能でございます。そういう
意味で固定資産が非常に多い、固定化しなければお客さまに対する反対給付ができない、こういう特性を持っておりますので、流動比率はどうもナンセンスのように思います。また現在私
どもの調査では負債倍率あるいは前受け金倍率、これは平均して百分の五千、つまり五十倍ぐらいになっております。いままでの法では負債倍率は百分の二千四百、前受け金倍率は百分の千二百、この点もどうもなじまないように思います。むしろ、この点は適用除外にしていただくとありがたいと思っております。
さて、ここで、互助会の実態をちょっと申し述べさしていただきたいと思います。現在調査中でございまして、中間報告にすぎませんけれ
ども申さしていただきます。
私
どもの傘下に百八十社の互助会がございます。そのうちで、組織別に申し上げますと、百八十社で六四%が任意の団体です。法人が、株式
会社、有限
会社を含めて三六%でございます。実数は株式
会社七十社、有限
会社四十社、こういうことになっております。そうして一体会員はどのくらいいるのだろうということになりますと、現在百十社の統計がまとまっております。これによりますと、会員口数は二百七十四万七千口でございます。一社平均二万四千九百口でございます。これを百八十社に類推しますと、四百四十九万口ということになります。そして一体年間どのくらい結婚式と葬儀をやっておるのだということになりますと、百十社統計の結果では六万九千二百九十三件、これは婚礼でございます。そして一社平均は六百二十九件でございます。これを百八十社に類推をいたしますと十一万三千ということになります。さらに葬儀におきましては、百十社でもって四万七百四十一件でございまして、一社平均は三百七十件でございます。これを百八十社に類推いたしますと六万六千六百件、こういうことになります。昨年の厚生省の統計によりますと、結婚式が百四万件ございます。それに対して十一万三千件でございますから約一一%、昨年の死亡総数は六十五万でございます。それに対しまして六万六千件施行しております。大体葬儀は六十万件くらいと推定しておりますが、大体そういたしますと、これまた一一%、これだけの仕事をやっております。このほかになお私
どもの組織外にある互助会が約七十社くらいあるのじゃないかということを推定いたしております。つまり合計して二百から二百五十社くらいあるのじゃなかろうか、こういうふうに感じておる次第でございます。
以上が現在までに私
どもの集計によりましてわかりました互助会の概要とそれから法に対する
意見の概要でございます。
私
どももお恥ずかしい話でございますが、資料は不足いたしております。先ほどからも資料不足のお話も聞いておりますけれ
ども、おそらくどこでも資料不足じゃなかったかと思います。その現状で、ただ推定でこうかもしれない、こうなのかもしれないということだけで法
規制をいきなりやるということは、ちょっと危険があるような気もいたします。もしそれによって被害が出たらどう処置をするのか。これは
立法の
目的である
消費者保護にもとることになりはしないか、こういう点を一番心配しているものでございます。この点、諸
先生方よく御
検討くださいまして、不安のない経営ができますように御処置くださいますことを
お願い申し上げまして、私の第一回の
意見にかえさせていただきます。質問がございましたらお答えをさせていただきたいと思います。
なお、ここに持ってまいりましたものは、私
ども互助会に毎日届いております感謝状みたいなはがきでございます。こういうようにたくさん届いておりますので、これは御
参考までにいつでもお見せできますから……。