○小林(政)委員
大臣は、
医療費の赤字は被
保険者の責任ではないのだと述べられましたけれども、しかし、今回の赤字対策の
内容を見てみますと、結局これはむしろ被
保険者の
負担の
増加ということになるのではないか。国では五%の定率補助ということをいっておりますけれども、しかし、
昭和四十七年において実質的に国の
負担増というものは百五十億円、これに対して
事業主、被
保険者の
負担増加分は約九百億円、こういうことを
考えてみますと、
政府の
国庫補助増加分よりも、むしろ六倍も
国民にその
負担というものがしいられている結果になるわけでございますし、これでは
国民の
負担で赤字をなくす、こういうことにすぎないのではないだろうか、このように思います。
特に政管健保の事業所規模というものは全国平均二十人というふうにいわれておりますけれども、私は東京の下町でございますし、足立、荒川あるいは江戸川等の、ここでの平均十四名というさらに零細な企業でございます。
調査をいたしました中での一例をあげますと、ある町工場の場合に、従業員八十名という小さな町工場ですけれども、ここでの労働者で、
所得税がかからない、そうして扶養
家族二人でもって残業も含めて七万七千円の月給をもらっているこの労働者の場合、
健康保険料が約二千六百円、そうして厚生年金が約二千四百円、合計で五千円毎月
負担をしているわけでございますけれども、
所得税もかからないこの人にとって、これは非常に重い
負担だということを言っておりました。そしてまた同時に、その企業主の場合にも、ここのところ下請単価というものはほとんど上がらない、こういったような中で、むしろ従業員が帰った
あと深夜に及ぶまで自分は仕事をしなければならない、こういうことを訴えておると同時に、特に月末には給料の支払いというものは当然のことですけれども、そのほかに
社会保険料あるいは支払い等に追われて、実際に手形の決済、このためには労働者から一時
——天引きで集めた
社会保険料、たいへん気がひけるけれども、実際には月末の支払いにはすべてをかき集めて、一時ともかくとしてということで使わなければ、どうにもならないというような現状だということを訴えておりました。さらに、ことしからは失業
保険料が労災
保険同様前払い
制度、こういったようなことにもなっておりますし、児童手当のいわゆる企業主
負担というものも、わずかであるけれども、これもやはりふえてきている。こういったような実情にある企業と労働者の上に、さらにこの
負担を押しつけていく、こういったようなことは、むしろ生活を奪い、企業をつぶすのではないかというふうに訴えられました。私この深刻な訴えを受けましたときに、どう答えてよいか、私自身答えようがありませんでしたけれども、こういう実情というものがいま政管健保を適用している、特に零細のほんとうに小さな苦しいところの
実態でございます。
一体
大臣は、このような状況に置かれている
国民に、今回のこの
値上げ問題、
負担の増というものをどう納得をしてもらうのか、どう納得をさせようとしているのか、私は具体的に
伺いたいというふうに思います。