運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-06-08 第68回国会 衆議院 社会労働委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月八日(木曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 小沢 辰男君 理事 谷垣 專一君    理事 橋本龍太郎君 理事 山下 徳夫君    理事 田邊  誠君 理事 大橋 敏雄君    理事 田畑 金光君       秋田 大助君    有馬 元治君       大橋 武夫君    藏内 修治君       小金 義照君    斉藤滋与史君       田中 正巳君    竹内 黎一君       中島源太郎君    中村 拓道君       別川悠紀夫君    向山 一人君       大原  亨君    川俣健二郎君       後藤 俊男君    島本 虎三君       山本 政弘君    古寺  宏君       古川 雅司君    寺前  巖君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 斎藤  昇君  出席政府委員         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         厚生大臣官房審         議官      曽根田郁夫君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局総合研究         課長      石渡 鷹雄君         大蔵省主計局主         計官      渡部 周治君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 柴田 耕一君         農林省農林経済         局企業流通部企         業振興課長   関   守君         農林省農林経済         局企業流通部食         品油脂課長   志村 光雄君         農林省畜産局畜         産経営課長   白根  亨君         農林省蚕糸園芸         局野菜花き課長 関谷 俊作君         通商産業省企業         局商務第一課長 栗原 昭平君         通商産業省公害         保安局公害防止         企画課長    島田 春樹君         通商産業省化学         工業局化学第二         課長      小幡 八郎君         海上保安庁警備         救難監     貞廣  豊君         労働省職業安定         局失業保険課長 岩田 照良君         建設省都市局下         水道部下水道企         画課長     升本 達夫君         自治省財政局財         政課長     近藤 隆之君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ————————————— 委員の異動 六月七日  辞任         補欠選任   田中 正巳君     坪川 信三君   中島源太郎君     稲村 利幸君   別川悠紀夫君     神田  博君   渡部 恒三君     小川 平二君 同日  辞任         補欠選任   稲村 利幸君     中島源太郎君   小川 平二君     渡部 恒三君   神田  博君     別川悠紀夫君   坪川 信三君     田中 正巳君     ————————————— 六月六日  健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇八号)  医療基本法案内閣提出第一一〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  廃棄物処理施設整備緊急措置法案内閣提出第  九四号)      ————◇—————
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  廃棄物処理施設整備緊急措置法案議題といたします。  質疑の申し出があります。順次これを許します。竹内黎一君。
  3. 竹内黎一

    竹内委員 ただいま議題となりました廃棄物処理施設整備緊急措置法案について、若干の質疑を行ないたいと思います。  いまさら私が申し上げるまでもなく、今日ごみ戦争とかごみ公害という、こういうことばは広く国民の間に定着しております。もちろん地域住民もこれらの問題に対する関心は非常に強いということは、もう御案内のとおりでございますので、私はその点については、くどくど申し上げずに、ずばりとまず大臣に伺いたいのでありますが、なぜ今日このようなごみ戦争ごみ公害といわれるような事態が生じたのか、その根本的な原因は何であると把握なされておりますか。その点をまず伺いたいと思います。
  4. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 こまかい点は局長からお答えいたすと思いますが、私から申し上げるまでもなく、最近の産業の非常な急速な発展科学技術の非常な進歩、そのために、いままで分量が非常にふえてまいりました。そして、科学技術発展によって、焼却をすれば毒ガスが出るとか、あるいは自然に腐朽をしていくというような、そういった廃棄物ではなくて、とうてい腐朽はしないという、永久に姿を変えないというような廃棄物が、しかも分量が、産業の非常な発展によって非常にふえてまいったわけでございます。  大体私はこの二つの原因があると考えております。
  5. 竹内黎一

    竹内委員 確かに現象面ではいま大臣指摘のようなことが原因だと思いますが、私は実はその裏にもっと大きな一つ流れがあるような気がいたします。  端的に申し上げますと、これは何といいましても、今日までとられてきた経済高度成長政策、その裏返しといたしまして、大量生産大量消費、そして使い捨てという、こういう一つ社会流れというものが必然的に今日のごみ戦争なり、ごみ公害を生んできた、私はこのように理解し、また政策の基本的な発想も、まずそこから出発すべきものではないか、このように思うわけで、重ねてこの点について、まず大臣の御所見を伺いたい。
  6. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私の申し上げたのもそういうような意味で申し上げたわけでございまして、御意見のとおりだと私は思います。
  7. 竹内黎一

    竹内委員 まあ大臣も結局大量生産大量消費そして使い捨てという、今日のいわば社会のパターンが必然的に今日のごみ公害を生んだという点は同意見だと、こうお述べになりましたが、そうしますと、今日のこれまでとってきた高度成長政策の主たる責任は、何としても、私は政府にあるだろうと思うのです。そうしますと、このごみ公害ごみ戦争の問題につきましても、政府は相当な責任を果たさなければならぬ。論理的にもそうなるし、政治的にも当然そうなると私は思うのであります。  ところが、今回の法案を拝見いたしましても、条文そのものから、政府が一体この種の問題についてどれだけの責任を感じ、またどれだけの責任を果たそうとするか、どうも姿勢があまり明確でないような気がいたします。もしこれは私の誤解であったら、ひとつ説明を願いたいのでありますが、たとえば法案に即して見ましても、第四条におきまして、「政府は、廃棄物処理施設整備計画を実施するために必要な措置を講ずるものとする。」ただこれ一点でございます。しかも「必要な措置」という至ってあいまいな規定だけでございまして、具体的に何をやるのか、必ずしもここでは明確でない。私はそのように感ずるわけでございますので、ひとっここの第四条に規定したところの「必要な措置」というものには何を考えているのか。これは担当局長からでもけっこうですから、説明を願いたいと思います。
  8. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 「必要な措置」については担当局長からお答えをいたしますが、こういった事態になったのは、まあ政治の責任と言えば責任であるかもわかりませんが、これは世界全体を通じて、いわゆる科学技術進歩、そこから出てきた弊害を除去していくということは、これは各国の政府責任であろう、かように考えます。  申し上げるまでもなく、屎尿にいたしましても、いわゆる化学肥料というものができてまいる、そして屎尿はいままでのような使い方をしない。一面には、これは衛生上非常によくなったであろうと思いますが、そのために屎尿処理ということが必要になってまいる。ことに、これは諸外国のほうが初めであったと思いますが、とにかく廃棄物を再生産をするというような考え方がほとんどなくて、使い捨て、このほうが能率的であるというようなことで、これを再生産をするのには、かえって費用が高くなって、コスト倒れになるというような現象等もあって、こういうことになったと思います。  しかしながら、私は大きな意味でいって、今後やはり資源の利用という意味からも、廃棄物からさらに再生産へと、コストが高くなっても、それをやる。これはわが国だけではやれないかもわかりませんが、地球を守るという意味国際会議もいま開かれておりますが、国際的にそういう風潮に持っていかないと、日本だけでなしに、もう廃棄物の捨て場所がなくなるというようなことにもなるのじゃなかろうか、かように考えます。しかし、さしあたっては、この廃棄物処理するためには、政府は万全の措置をとらなければならない。それには予算も惜しみなく出す必要がある、かように考えておるわけであります。  詳細は局長から答弁いたさせます。
  9. 浦田純一

    浦田政府委員 国の行なうべき責務といたしましては、実はいま御審議をお願いしております緊急整備措置法案の中身だけではございませんで、このもとともなるべき廃棄物処理法条文と見比べて御理解願いたいと思います。  まず第四条では(国及び地方公共団体責務)といたしまして、第三項といたしまして「国は、廃棄物処理に関する技術開発の推進を図るとともに、市町村及び都道府県に対し、前二項の責務が十分に果たされるように必要な技術的及び財政的援助を与えることに努めなければならない。」という概括的な規定がございまして、これを受けまして、さらに、具体的には第二十二条に(国庫補助)の規定が設けられてございます。それから、さらに法第二十三条では(特別な助成)といたしまして、特別な場合の「資金の融通又はそのあっせんに努める」というような規定が設けられておりまして、いま御審議願っております緊急整備措置法案の第四条にいいます政府の「必要な措置」と申しますのは、これらを一括いたしているのでございます。     〔委員長退席山下(徳)委員長代理着席〕  それから、この長期計画整備計画そのもの策定する、閣議決定によって、これをいわば公開のものとするという考え方は、まさに政府が、みずからこういったものに積極的に取り組むという姿勢を示したものというふうに考えております。
  10. 竹内黎一

    竹内委員 いま局長廃棄物処理法の第四条に規定してある国の責務について触れたわけですが、その条項を読みましても、「前二項の責務が十分に果たされるように必要な技術的及び財政的援助を与えることに努めなければならない。」このようにあるわけでございますが、以下、私ははたして国の財政的援助が一体十分なのかどうかということを、若干具体的な問題に触れながら尋ねてまいりたいと思うのであります。  今日、ごみ戦争の最前線は何といっても大都市、なかんずく代表的なのは東京都であろうか、私はこのように理解をいたします。東京都はいろいろな計画を立てていまして、それを実行に移そうとしておる。ところが、たとえばある場所焼却処理施設を設けようとすると住民反対運動にあうということで、美濃部さんもたいへん苦労されておると思うのであります。  そこで、私は実はそういう用地敷地確保というのが非常にこの種の問題においてウエートが大きい、このように考えるものでございます。また、今日の予算補助のやり方を見ますと、そういう敷地なり埋め立て用地確保は、ともかくもこれは各自治体の仕事である。そういう用地確保自治体においてなされた、それを大前提にして、いわば施設に対しての補助を出す、こういうかっこうになっておると思うのであります。  ところが、私からいまさら申し上げるまでもなく、大都市におきまして公有地確保するということは並みたいていなことではございません。これは私があえて申し上げるまでもないところでございますが、そういう、自治体公有地確保しなければ施設に対しての補助金ももらえないという仕組み、逆にいいますと、これは例をあげては恐縮でございますが、北海道のように、まだそういう土地確保余裕のあるところは、自治体においても土地確保ができ、それに基づいてといいますか、施設に対する補助金を受けられる、あるいは起債も受けられる、こういう仕組みになる。ところが用地確保するのがきわめて困難な大都市、たとえば東京都においては、その前提をしばしば果たし得ないために、焼却施設に対しても、あるいは処理場に対しても、実際には国の補助金なりそういうものがもらえないという、こういう仕組みになっているのではないか、私はこのように理解をいたすわけです。  そこで私は、きょうは大蔵省に来ていただいておるはずでございますので伺いたいのでありますが、この種の土地確保については起債めんどうを見ていると、あるいは御答弁があるかもしれませんが、私は起債めんどうを見るというだけでは至って不十分ではないか、やはりこの種の土地確保について国が補助金を出すというところまで少し前進をしないと、実際大都市においてはこの種の施設設置も困難なんじゃないか、このように思いますので、その点についての大蔵省の見解を伺いたいわけです。
  11. 渡部周治

    渡部説明員 公共事業を行ないます場合の用地の問題が、非常に現在の用地事情からいたしまして、むずかしい問題に逢着しておることは、われわれも十分承知しておるところでございます。特に、御指摘のように大都市におきましては、用地問題が非常にむずかしいということでございます。  そこで、公共事業における用地に対する財政援助と申しますか、そういうあり方につきましては、先生ただいま御指摘ございましたように、一般的には、土地についても補助の対象にするということではなくて、もっぱら起債というかっこうにおいて財政的な援助を見てきておるというかっこうになっておるわけでございますが、用地の中でもたとえば道路のように土地の形態を全く変えてしまって、それ自体が、いわば事業の主たる目的になるというところについては、これを補助しておるという例もあるわけでございます。ただ、一般的には、おっしゃるように、用地については補助ではなくて起債のほうでやっております。これはいわば用地は、土地というのは永久資産でございまして、事業者所有権が帰属しまして、永久的に効用を発揮するわけでございますので、そういうような性質を持っておる資産取得にまで国民の税金を回すのはいかがであろうかというような考え方が、従来から主体的にいわれてきたわけであります。  そこで、そういうものにつきましては——しかし一方において用地費が非常にかさばりますものですから、自主財源でもってそれを求めるというのもなかなか困難でございましょう、そういう意味で、当面は起債めんどうを見ていく。その場合に、もちろんその利子負担コストにいろいろ影響を及ぼすというようなことがありますれば、その起債条件等について、いろいろ財政的な援助をするというような基本的なたてまえになっておるわけでございます。  そういうたえまえにつきまして、現在の実情からしてもう少し考え直す必要があるのではないかという御指摘であろうかと思いますけれども、本問題は公共事業全般に通ずる問題でございますので、われわれも十分検討させていただきたいと思いますが、率直に申しまして、現在の体系を早急に変えることができるかどうかということにつきましては、ややわれわれのほうは消極的であるということを申し上げたいと思います。
  12. 竹内黎一

    竹内委員 結論として消極的だという御答弁をいただいたわけですが、たいへん私は、実は不満でございます。  道路の例を引かれましたが、この種の非常に緊急性の高いごみ戦争とかごみ公害ともいわれているような事態でございますから、私はなるほど土地永久所有権を持って云々という理屈も片っ方では立つであろうけれども、このエマージェンシーというこういう点に着目すれば、少なくともこういう廃棄物処理施設土地取得については、補助金を国が交付するということが、かえって私は政策効果としても大きいんじゃないかと思います。  極論いたしますと、大都市におけるこういう施設設置というものは、もう土地がなければできないわけでございます。といいますか、土地があってこそ初めて国の補助起債も恩恵が受けられる。その根っこに全然国が援助の手を差し伸べないで、起債で、借金でやりくりしろ、こういうのはいささか私は冷たいような感じもいたします。  そういう意味で、ぜひ私はもう一ぺん大蔵省におかれましても、なるほど公共事業全般体系に対する影響という点もありましょうけれども、ぜひこの種の問題については、もっともっと前向きに御検討いただきたいと要望いたしまして、次の点に進みたいと思います。  今回この種の、この法律に裏づけされるところの、いわゆる整備計画、従来とスタイルを変えまして四カ年計画になっておるわけでございますが、この四カ年計画に対して、各方面からいろいろな意見が出されております。それで私もできるだけそういった意見をつとめて拾って読んでみたわけでございますが、たぶん事務当局においてもお読みになったと思いますが、この批判の代表的な意見一つに、朝日ジャーナルの四月七日号に一つ意見が載っております。これは内容は私が触れました土地取得の問題についても批判をしておるわけですが、と同時に、もう一つ今回の政府計画予想、そういったものは実は非常に甘いんじゃないか。もう極論いたしますと、いまの段階から失敗はもう目に見えている計画だ、このようにまで論評しておるわけでございます。私自体も今回の三次計画に、そういうひょっとしたら甘さがあるんじゃないかというような、こういう懸念を持つわけでございます。  朝日ジャーナル指摘を若干ここで拾い上げて読んでみますと、たとえばごみの一日一人当たり排出量読み方というものも非常に甘い。あるいは粗大ごみ、中でもポンコツ車といわれているこういったものの出方の読みも、今日の自動車の生産台数から推定しても非常に甘いんじゃないか、このようにいっておるわけですが、一体今回の計画を立てるにあたって、もちろんその策定の根拠としては、その種のごみの従来の伸び率というものを当然計算されての計画だと思いますが、私は単にいままでの伸び率をそのまま引き伸ばしたという計画であるならば、必ずやそれはたちまちにして、もう実際に出るごみの量は、その計画量予想量をすぐにオーバーしてしまうであろう、このように思うわけでありまして、この種の今回の計画を立てるにあたって、そうした従来の伸び率とともにどれだけのアローアンス、余裕といいますか、そういうものを見ておるか、この点について私は若干の疑義を感ずるわけでございます。この点につきまして、何か説明がありましたら、承りたいと思います。
  13. 浦田純一

    浦田政府委員 私も朝日ジャーナルの記事を読みまして、承知いたしております。そこで、私どもの実際の考え方との食い違いを一々説明するのは時間の関係もありますので、今度の計画を示すことによってかえさしていただきたいと思います。  今次の計画は、昭和五十年度末におきます廃棄物処理に関する需要を予測して策定したものでありまするが、まず屎尿について申しますと、従来計画では一人当たりの一日の収集量は一・二リットルという数字でございましたが、これを本計画では一・四リットル、実情に合わせて改定いたしてございます。したがいまして、屎尿に関する限りにつきましては、これは十分に計画需要量で対応できるものというふうに考えております。  朝日ジャーナルでも主としてごみのほうに批判が集中したように承知しておりますが、ごみにつきましては、これは過去の近年の伸び率として最も大きな約六%弱という数字を使いまして、これが昭和五十年まで継続するというふうに予想いたしました。つまり過去の伸び率の最大の実績もとといたしまして、五十年には千二百グラムというふうに推定してございます。  また産業廃棄物につきましても、新経済社会発展計画におきまする業種別出荷額伸び率を用いて推定いたしておりますので、この計画でもって定められました事業量を遂行していけば、私どもといたしましては、一応廃棄物問題につきましては対処できるというふうに考えております。もちろんいろいろと、さらに予測されないような新しい社会的な変動ということも考えられないではないわけでございますけれども、それはそのときといたしまして、現在考えられる過去からのいろいろな実績というものをもとといたしまして、対応できるものと考えております。
  14. 竹内黎一

    竹内委員 実は私は、きょうは主としてごみの問題について伺うつもりで、屎尿のほうはあまり準備しておりませんのですが、いま御答弁屎尿について触れましたので、屎尿についてごく一点だけ伺っておきたいと思います。  今回の計画は、それが予定どおり実施されますと、屎尿昭和五十年度末においては一〇〇%衛生処理が可能である、いわゆる海洋への不法投棄、そのような事態は解消される、このように説明として伺っておるのでございますが、そうしますと、昭和五十年の終わりになりますと、屎尿に関しては、こういう年次処理計画というものはもはや不要であり、また厚生省においても作成をするつもりはない、こういうことでございますか。
  15. 浦田純一

    浦田政府委員 屎尿処理整備計画につきましては、実はこれとうらはらをなす下水道整備計画進捗状況を十分に勘案しなくてはならないわけでございますが、下水道整備計画が現在の五カ年計画で予定どおり進むということを前提といたしますると、屎尿処理施設につきましては、先生指摘のように、五十年におきましては、原則的にはほぼ需要を全部まかなうということになりまして、さてあらためて、その時点で従来の緊急整備措置法といったようなことで長期計画策定、改定していく必要があるかということになりますと、これは私は原則的には、もうそこまでの必要はないのではないかというふうに考えております。
  16. 竹内黎一

    竹内委員 ただいまの説明ですと、うらはらになるところの下水道のほうの整備計画も進むであろうから、昭和五十年度末においては、こういうぐあいになるということでございますが、私実は手元に一つ資料を持ってまいっております。  それは全国の各都道府県下水道普及率のリストでございますが、これを見ましても、下水道普及最高パーセンテージを示している県は大阪府で六九・五%でございますね。これは資料がはたしてどうなのかわかりませんが、島根県に至っては下水道普及率はゼロ、こういうパーセンテージが出ております。これはどういうことかよく調へなければわかりませんが、いずれにいたしましても、たとえば北海道で四三%であるとか、山形県で一二・五%であるとか、あるいはまた富山県で三〇・三%であるとか、石川県は四四%とか、こういうことで、今後昭和五十年度までに、片方の下水道整備計画というものが、いまおっしゃったようにうまいテンポで進むものかどうか。もちろん政府においても計画のあることは承知しておるわけですが、その点はどうなんですか。
  17. 浦田純一

    浦田政府委員 五十年度末になりますと、下水道が全部完備して屎尿処理施設が不要になるということではございませんことは、先生も御承知のとおりだと思いますが、その時点になりますと、どのように屎尿処理が行なわれるか。これは全国的に申しますと、便所水洗便所くみ取り便所と二つあるわけでございますが、まず水洗便所使用人口を、下水道整備計画も勘案いたしまして計算いたしますと、四千三百六十万人。このうち、公共下水道によりますものが三千六十万人。それから、地域屎尿処理施設、たとえば団地などで部分的に設けます、いわば小規模の下水道とも申すものでございますが、これが三百四万人。それから、屎尿浄化槽によりますものが九百九十六万人という内訳に相なるわけでございます。したがいまして、残りの約五千二百五十二万名、これは依然としてくみ取り便所ということになるわけでございまして、これらの便所から収集されます屎尿は、やはり屎尿処理施設、場合によりましては、一部分は下水の終末処理場に投入するということも行なわれると思います。そういったことでいくわけでございます。  したがいまして、私が緊急整備措置法としてあらためて長期計画を立てる必要はないと申しましたのは、屎尿処理施設そのものが不必要ということではございませんで、おそらくは人口の移動とかその他の条件でもって、屎尿処理施設そのものへの需要が多少は存続するであろうと思いますが、これはあらためて長期の整備計画あるいは緊急な問題として処理していくということでなくて、いわば通常の行政として考えていけば対応できるのではないか、かように申し上げたわけでございます。
  18. 竹内黎一

    竹内委員 それではまたごみのほうへ戻りまして、ごみの収集、運搬の問題について、一、二お尋ねをいたしたいと思います。  今日、大都市道路の交通渋滞は、あらゆる輸送車に影響を与えているわけでございますが、ごみ収集作業もその例外じゃなくて、大都市におきましては、年々そういう収集の車両の回転率が下がる、能率が下がる、こういうことであります。一般にごみ収集車の行動半径は、六キロ以内が理想とされているわけでございますが、ごみ処理場焼却場の設置というものは、必ずしもそういった理想的にはいきにくい。しばしば地元住民の反対を招くケースが多いわけでございまして、そういったプラントというものは、ますます郊外へ追いやられる傾向にあります。  そこで、ごみ収集、運搬についてひとつ思い切った発想の転換をすべきではないか。交通の激しいところで、しかもまた作業をするのに危険なそういう昼間にごみ収集、運搬をやることにこだわっておっては、ますます能率は低下する一方であろう。また、ごみ処理費の中の七五%が今日でも収集、運搬費に使われておるわけですが、ますますそういうパーセンテージも高まっていくだろう。こういうことを考えますと、思い切って夜間の収集ないしは早朝の収集ということを考えていく必要があるのじゃないか。また、厚生省としては、ひとつそういう面から、一挙にというと無理でございましょうけれども、たとえば交通渋滞が激しいところ、あるいは作業に危険が非常に予想される地域、あるいは繁華街、こういった地域については、夜間収集ないし早朝収集ということを、厚生省がむしろ積極的に指導、奨励すべきではないか、このように私は考えます。この点についての御意見をまず承りたいと思います。
  19. 浦田純一

    浦田政府委員 御指摘のように、現在ごみ処理で一番の隘路になっておりますのは、収集、運搬の問題であろうと思います。だんだんに焼却処理施設あるいは埋め立て地までの距離が延びていく、また交通渋滞が激しくなる、あるいはまたプラスチック等のかさばるごみがふえるといったこと等々が原因になりまして、いままではたとえば一日三回往復できたのに、それが二回しかできなくなるというようなことで、非常に運搬の能率は落ちております。  これらにつきましては、一つの方法といたしましては、確かに、諸外国などに見られますように、早朝あるいは深夜の収集、運搬ということが考えられると思います。これにつきましては、実はそれに切りかえるためには、いろいろな条件がございまして、たとえば遠くから通ってくる従業員に対しての宿舎の整備その他いろいろの労働条件上の問題もございまして、各都市とも研究しながらなかなか容易に実施できないというのが実情だろうと思います。  もう一つの問題は、やはりこれもいま先生のほうから御指摘のように、収集方式について、たとえばコンテナ方式あるいは中継方式というものをとって、システム化して効率的にやるという問題があると思います。これにつきましても、私どもは現在調査費を特に出しまして、これらの具体的な早急な解決ということについて、いま調査研究を進めているところでございます。一つの例といたしましては、川崎市あたりでは、すでにかなり成功しているという先例もございますので、これらを参考にしながら、先生のおっしゃるように、早朝あるいは深夜の収集、あるいは収集方法の効率化というものについては、なお検討を進めて、早く具体案を得たいと思っております。
  20. 竹内黎一

    竹内委員 私が調べたところでも、たとえば岡崎市というのは本格的に夜間収集をやっております。作業の開始時間が午後十時、翌朝の午前六時四十五分まで行動する。しかもこれはきわめて成功しているというぐあいに私も聞いております。  確かに御指摘のように、夜間収集ないし早朝収集をやるということになりますと、労務管理上のいろいろな問題が生ずる。いまお話のように、実際に上乗りをする作業員が遠い場所から通ってこなければならぬ、その宿舎の問題をどうするか、こういう例がございますが、まさにこの種の問題こそは、最近はやりの職住接近を考えるべきケースではないか。処理場の近辺にそういう宿舎を設ける、場合によっては下が車庫であり、上が住宅であるというケースも考え得るのじゃないかと思いますので、ひとつ積極的な御検討をされることを要望しまして、次の問題に移りたいと思うのであります。  次の問題は、実はすでに局長からお話があったのでございますが、中継基地をやはり相当システム的にこれから考えていく必要があるだろう、こういうことでございます。さっきも触れましたように、なかなか適当な土地場所確保できない。したがって、そういう処理場はどうしても郊外へ追いやられる傾向があります。そうしますと、運搬についていろいろとむずかしい問題が出てくる。しかも、大型の車を使えば能率的であるかもしれないけれどもごみの収集の性質上、かなり路地裏まで入るということになると、大型車というものも思うにまかせない。そうすると、小型で収集して、ある地点においてコンテナ方式なり、カートリッジ方式で大型車に積みかえて運搬をせざるを得ない、こういう事情もありますが、と同時に、日本のごみの特徴の一つとして、見かけが大きいというか、かさが非常に大きいということがあるわけでございます。  ですから、そういう中継地点というものは、単にそういう積みかえ場所として考えるのじゃなくて、いっそそこで思い切って圧縮、破砕をしてしまうという、そういう中継地点というものをこれから進めていく必要があるんじゃないか。大都市におけるほど私はそういう必要性が大いにあると、感ずるのでございますけれども、この点についての当局の見解はいかがでございますか。
  21. 浦田純一

    浦田政府委員 今度の計画におきましても、破砕圧縮等、計画の中身として考えておるわけでございますが、それの具体的な設置場所等につきましては、いま先生の御意見も入れまして、一番有効に使われる場所、たとえば大都市における中継地帯というようなものを設置場所の対象として考えてまいりたいと考えております。
  22. 竹内黎一

    竹内委員 ニューヨークの環境総局長をやっている方にクレッチマー氏という方があることは、おそらく局長は御存じだろうと思います。ニューヨークのこういう廃棄物処理の問題について、たいへん御活躍をしておられる方でありますが、この方はかつて日本を訪問したこともあります。日本の廃棄物処理施設について若干の意見を述べております。  私、きょうそのクレッチマー氏が戒能通孝さんに述べた意見を要約したものをここに持ってまいりました。そして私が非常にクレッチマー氏あたりから興味ある指摘があると思っておるのは、いわゆるごみ処理場と下水処理場というものの設置というのは、いままでは少なくとも全くばらばらに考えてこられた。しかし今後は、ごみ処理場と下水処理場は離すべきでなくて、両者を一体に建設をし、なおかつこの周辺を公園化する、緑の広場にもする、こういう構想で進めるならば、地域住民もそんなに反対もないだろう、また計画遂行の上でもそういう方式のほうがはるかに有効ではないか。たとえばごみ処理場から出てくる熱の利用ということも考えられるのじゃないか。こういう指摘をしておりますが、私もこれはたいへん有益な示唆であると思いますが、こういう点については、厚生省のほうにおいて御検討されておりますかどうか。
  23. 浦田純一

    浦田政府委員 クレッチマー局長意見はなかなか経験に基づいた卓見だと思います。たしか御指摘のように、東京都におきましても、廃棄物処理施設用地という問題が一番のネックになっておるわけでございますが、これが下水道の終末処理場と一緒に整備するという場合には、問題がそれだけ少なくなるということで非常にいいアイデアだと思います。現実の問題といたしまして、いままでそういったような有機的な相互の関連ということが実は行なわれていなかったのも事実だと思います。  したがいまして、下水道の終末処理場なら終末処理場設置するというときに、かなり大きな土地の問題、地域住民のいろいろな反対の陳情等が起こって必ずしも容易には進んでおりません。そのような事実も私どもは十分承知しております。下水道終末処理場と一緒につくる、あるいは場合によりましてはあき地、公園緑地と申しますか、こういったようなものとの関連を十分に考えまして、広大な土地をできるだけ——これもやはり先行取得ということになろうかと思いますが、先行取得していくということで、関係各省といま土地問題について協議を進めておるところでございます。
  24. 竹内黎一

    竹内委員 いま関係各省と土地問題について協議を進めるということでございますので、その協議の結果に私は期待をしたいと思います。  そこで、この際にあわせて伺っておきたいのでございますが、確かにこの種の施設設置には広大な土地を必要とするわけでございますが、実はそういう施設設置する際の処理能力というものを、これまた将来にわたって十分見込んでおく必要があるだろうと思います。事務当局説明によりますと、現在でもそういった予算補助にあたっては、今後五年間の人口の移動の予想、それから出るごみの量、こういう推定のもと一つ補助基準を考えていく、こういうぐあいに伺っておりますが、一ぺんこの種の施設設置いたしまして、さあ能力が不足したから、これを拡大するといっても、現実にはなかなか容易じゃないだろう。  したがって、そういった将来予測というものを単に五年に限定せず、最低十年くらいの予測のもとに、したがって現在では余裕ある能力としての施設であすけれども、将来を見越せば、それくらいは用意しておかなければならぬというくらいの施設の能力といいますか設計をして、それに対する補助をしていく、こういう仕組みがぜひとも望ましいと思うのであります。この点、特にさいふのひもを握っている大蔵省あたりに十分御理解を願わなければならぬ点でありますので、ひとつ主計官から見解を聞かせてほしいと思います。
  25. 渡部周治

    渡部説明員 ただいまの問題は実施計画の問題でございます。おっしゃるように、今後の将来予測を十分立てまして、できる限り長期的な見通しを立てた施設をつくるという必要があろうと思います。現在の運用は、先生指摘ございましたように、五年先というところを見越してやっておるわけでございますが、これをもっと先まで延ばした将来予測を立てて施設をつくるというようなことにしたほうがいいのじゃないかという御指摘でございます。  この点につきましては、厚生当局も十分実施計画の面で検討していただきたいと思いますが、問題は、そういう長期的な見通しを立てる必要があるという要請と、もう一つは、差し迫った緊急な施設をつくってほしいという要望とが、いわばからみ合っているわけでございまして、全体の財源をどういうぐあいに配分していくかということに、いわゆる緊急性、将来の長期的な見通しというものをからみ合わせながら、できる限り実情に合った措置を講じていくということであろうかと思いますが、御指摘の点につきましては、十分検討してまいりたいと思います。
  26. 竹内黎一

    竹内委員 最近廃棄物の中で、にわかにやかましくなりました、至急に対策を講ずる必要があると思われるものに、あきびん、あきかんの問題がございます。  家庭から出るごみの中で不燃物の代表は、この種のあきびん、あきかんでございます。あきびんについては、ビールとか牛乳、サイダーの場合は、大部分が販売店を通じて回収ルートに乗るわけでありまして、ケチャップとか、あるいは食用油、こういうもののあきびんとか雑多なガラスびんは、なかなか回収ルートに乗りにくいわけですが、なかんずくあきかん、たとえばビールであるとかコーラ類、この種のあきかんというのは、現在ではほとんど家庭からストレートにごみとして捨てられてしまう。ほとんど回収ルートは現在のところでは考えられないわけであります。あきびんやあきかんというもの、特にあきびんの場合には重量があって、ごみの量の増加にも大きな影響を及ぼしてくるわけであります。  そこで農林省において、新聞の報ずるところによりますと、最近このあきびんの問題に気がつかれまして、関係業界といろいろとお話し合いを始められたようですが、もしその辺の事情がおわかりでしたら、まず御説明いただきたいと思います。
  27. 志村光雄

    ○志村説明員 御質問の件でございますが、やはり公害につながるかんの問題は、重要な問題でございます。しかも本年は、特に食品関係の大メーカーで清涼飲料、要するに炭酸ガス入りのかん入りの飲料に進出をいたす業者が非常に多いものでございまして、十五億本程度になるのではないか。これはほうっておいたら容易なことではないということで、各メーカーを呼びまして、と申しましても、特にコカ・コーラ・ボトラーズ協会、それからビールの協会、それからペプシの協会、これらの連中を呼びまして、五月の十五日でございましたか、一体どういう姿勢で対応するようなこまになっているのか、それから今後どう考えていくのかということで事情聴取をいたすとともに、メーカーの自主的な処理対策というものについて、企業側の責任もあるということで行政指導をいたしたということでございます。  ですから、具体的にどういう対策が必要かという指示をいたしたわけではございませんので、メーカーとしてすでにとっている回収の方策等について実情調査をいたしたわけでございます。あわせて、これも世界的な飲料でもございますし、各国の状況がどうなっているのかということもいま調査を進めておる、そこらの実態がまとまり次第、また関係省とも御相談申し上げて、適切な対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  28. 竹内黎一

    竹内委員 事情はわかりましたが、このあきかんの問題というのは、いまお話のように約十五億本と申しますと、この処理はたいへん容易ならぬ問題だと思います。そういう意味におきまして、ぜひひとつ農林省が積極的に、この種の問題について対応されることを強く要望しておきます。  そこで、一つの問題としては、いわゆる回収義務というものを、この際はっきり業者に課すべきかどうかという問題があると思います。この点について、農林省のほうとしては何かお考えでございますか。
  29. 志村光雄

    ○志村説明員 回収についての法律的な問題をどうするかという問題のようでございますが、これはなかなか容易な問題ではないと思いますが、その実情をとらえながら、また私どもとしては海外の状況等も聞きながら、厚生省なり、また関係官庁と連絡の上、どういう立法措置をすべきか、これは今後の課題だと思っております。
  30. 竹内黎一

    竹内委員 それからまた、農林省から畜産経営課長にお越しいただいているはずでございますが、今度は産業廃棄物のほうに移りたいわけでございますが、まず第一にお伺いしたいのは、家畜公害と言われている問題そのふん尿処理、処分についてお伺いしたいわけでありますが、まず家畜ふん尿の今日の実態はどうなっておるのですか、その辺の御説明をいただきたいと思います。
  31. 白根亨

    ○白根説明員 ふん尿の問題につきましては、最近畜産経営の飼養規模を拡大する、生産性をあげますとか、所得を大きくしなければならないとかいうような一つの側面がございますのと、一方市街化が進展いたすというような中で、最近家畜のふん尿の処理が適切に行なわれないというようなことで問題が起きてくる、このような実態があるわけでございます。  私どもそのようなものの中でいろいろと実態の把握もいたしておりますが、ふん尿の処理のしかたの大宗といたしましては、昔から行なわれております、やはり土地に廃棄、と申しますよりは、活用というか利用という形をとる経営体が現在におきましても大半、九五%からあるいはそれ以上の——家畜によりまして若干の差かございますが、経営体数からつかみました場合に、そのような形が現在のふん尿の処理と申しますか利用と申しますか、それの中心をなしておるというのが実情でございます。  しかし一部におきまして、先ほど申し上げました市街化の進展とか飼養規模の拡大に伴いまして、たとえば適切に処理されていないものが現実にある。このようなものに対して、今後どうしていくのかというようなことが、これは問題になるだろうと思うわけでございます。  御質問の実態につきましては、概略そういうことでございます。
  32. 竹内黎一

    竹内委員 家畜ふん尿の中でも、特に問題の大きいのは、私はやはり豚であろうと思います。その飼養頭数の大きさからいきましても、現に生活環境審議会は豚ふん尿の処理、処分に関する方策というものの建議を厚生大臣にもしておるわけでございますが、一体今日この豚のふん尿処理、処分の責任というのは、もちろん排出する事業者にあるわけでございますが、一体これの不法投棄というものはないのか。当の監督は一体農林省ですか、厚生省ですか、あるいは環境庁なんですか、どちらでやっているのですか。
  33. 白根亨

    ○白根説明員 法律上の問題になりますと、たとえば廃棄物処理法によりますとか、あるいは水質汚濁防止法あるいは悪臭防止法というふうに、それぞれの立場から法律がつくられております。それの所管は、それぞれの法律規定されたものということになっておりますが、少なくともこの種の問題をどうやって防いでいくかというような指導の面になりますと、私どもが大きく中心になって進めていかなければならない、こういう考え方を持っておるわけでございます。  御参考までに私どもがいままでとっておりますこと、あるいは本年度そのような指導の観点から、どのようなことを考えておるかということを御説明申し上げたいと思います。  まず、先ほども説明申し上げましたように、家畜のふん尿の処理、処分ということにつきましては、やはりその土地に還元する、農用地に還元して有効活用するというような考え方が、まず基本になるべきではないだろうか、こういうふうな考え方を持っておりまして、そのためには、畜産経営もかなり規模が大きくなりましたので、ただ単に自分の経営の中だけでこのことを処理するというところに現状の矛盾が出てきた原因がある、こういうことを考えまして、耕種農家、お米とか野菜とか桑でございますとか、その種の畜産以外のものと申したほうがよろしいかと存じますが、そのような農家と畜産農家とが組織的に連携すると申しますか、このような形の新しい仕組みを進めていく必要があるのではないだろうか、こういうふうに考えまして、これは四十六年度からでございますけれども、広域厩肥利用促進事業というような形で、その有効活用をはかるというような事業仕組みまして、進めておるわけでございます。  それから、そうはいたしましても、現実に問題を起こしておるこのものにつきまして、どのようにするか。突き詰めましたところ、場合によりまして立地を選択しなければいけない、こういう問題が一つあると考えておるわけでございます。この点につきましては、四十五年度から畜産団地造成事業というものを仕組みまして、その一部の経営につきまして、たとえば都市近郊でございますとかいうようなところで大規模にやっておりますもの、これを移転することにつきまして助長をする、こういう事業をやってきたわけでございます。  しかし、最近になりましてこの種の問題について、より具体的な、あるいは密度の深い施策をやる必要があるというような考えを持っておりまして、四十七年度からは、もう少し高度な技術を使いまして処理、処分をいたします。たとえて申しますと、水処理を行なうとか、先生の御指摘のございました豚が中心になろうかと思います、そういういわゆる技術の進展度合いともからみ合わせなければなりませんが、それらの実験展示をしていくというようなことで、家畜処理施設設備実験事業場なるものを三十五カ所で進めていきたいというようなことを本年度から考えておるわけでございます。  なお、すでにこれは比較的開発されて、ある程度使えるというようなものにつきましては、金融の面からものを考えたいと思いまして、農林漁業金融公庫からいわゆる財政資金を使いまして融資をするというような、たとえば水処理施設でございますとか、焼く施設でございますとか、乾燥する施設でございますとか、そういうものをワクを広げまして環境施設整備資金というものを設けますとか、あるいは農業改良資金で簡易なものにつきまして対象にしていくというようなことの道を開いておるわけでございます。  いずれにいたしましても、このような問題を正面から畜産農家が受けて、実態を認識して、みずからの存立のためにも改善をはかっていくというようなことが必要であろうと考えまして、ベースになる話といたしまして、私ども、この際こういう事情と、それから応用し得る技術浸透というようなことを可及的すみやかに急ぐ必要があるということを考えまして、本年度から総合指導事業を実施することにいたしまして、この事業を強力に進めていく。県、市町村、それからこの処理のしかたにつきましては、地域の農業事情あるいは町の分布の状況とかいうものをからみ合わせながら、かなりこまかく現地に即した方針を出しながら農民を指導していく必要があるんじゃないか。県内を数ブロックに分けまして、この指導事業を強力に進めていきたいということを考えておりまして、これらを今後なお積み重ねてまいりたい、こういう考えを持っておるわけでございます。
  34. 竹内黎一

    竹内委員 御説明によりまして大体事情は了解いたしました。農林省の長期見通しによっても、豚の飼養は昭和五十二年には千五百万頭という予測のようでございます。これは十年前の四十二年に比較いたしますと実に二・七倍の大きな頭数になるわけで、したがって、そこから排出されるふん尿の量もまた膨大なものがあるわけでございますので、ぜひ、いま御説明にあったような、いろいろな対策を総合的にかつ強力に、予算補助の面だとか融資の面でも、さらに積極的に進められんことを希望しておきます。  なお、家畜ふん尿について、もう少しお尋ねしたい点もありますが、時間が迫りましたので、これでとどめておきます。——けっこうでございます。  そこで、産業廃棄物の問題の第二として、プラスチックの問題を取り上げたいわけでございます。おそらく、プラスチックの問題については、このあとの同僚委員からもいろいろ有益な質疑、御指摘があろうかと思いますので、私はプラスチックの問題のごく一部だけお尋ねしたいと思います。  それは、今日われわれの身の回り品、台所用品などほとんどプラスチック製品が使われておる。そういう意味では生活の利便としてまことに大きいものがあるわけでございますが、と同時に、廃棄物として見た場合に、まことに始末に困るやっかいものも、このプラスチックであるということは、すでに御承知のとおりでございます。  そこで考えられますことは、プラスチックが便利だから、こういうことで何もかもプラスチックの使用を許していいものかどうかという点でございます。なかんずく一度使ったら、それっきりだ、使い捨てがはっきりしているようなもの、たとえば包装材料のようなもの、この種のものについては、もうプラスチック製品は禁止すべきではないか、こういう意見があります。また現に地域住民運動の一つとして、そういったプラスチック容器というものをメーカーに送り返す、こういう運動をやっている婦人団体もあるわけでございますが、私もやはり使用期間の短い製品をプラスチックにすべきじゃない、そういうものはやはり禁止をしてもしかるべきものではないかと思いますが、この点についての見解はいかがでしょうか。
  35. 浦田純一

    浦田政府委員 プラスチックにつきましては、無制限な使用ということは、これは一つは環境汚染の問題一つは緊急に整備しなければならない都市の清掃事業、あるいはいま御審議願っております廃棄物処理施設の整備という観点から見ましても、やはりある程度の制限は考えたほうがいいのじゃないかということで、その使用の向き向きによりましてプラスチックを充てることを規制する、あるいは自粛願っているということは、すでにある程度やっているところであります。しかしながら、これを法律的に規制するということでなくて、やはり使用者の方、あるいはさらに企業者のサイドで良識をもってまずやっていただくということに、いま主力を注いでおるわけでございます。  御承知のように、一部の牛乳びんなどにつきましては、ワンウエーシステムということにつきましては、これを取りやめさせまして、必ず事業者責任で回収するということでもって、資源の有効利用と、もう一つは清掃事業に対する過大な負担というものの増大を防いでいるところでございます。また包装につきましても、できるだけ簡易な包装で済ませるということで、関係の業界等にも申し入れをいたしました。また関係の省庁もその旨同調していただきまして、ある程度の運動の進展を見ているところでございます。これらの全般的な運動の動き、その効果を見ながら、さらにどのような措置を進めていくかということについては、検討を進めていきたいと考えております。
  36. 竹内黎一

    竹内委員 まあプラスチックの使用禁止の問題については、いきなり法律ではなくて、まず行政指導でやっていくんだ、こういう御答弁でございましたが、しかし私は、早晩そういうような使用禁止、製造禁止を考えなければならぬ事態がやってくるのじゃないかというふうな、こういう懸念を持つものでございます。  もう一つ、プラスチック使用で一つの例を申し上げたいのでございますが、いわゆる廃品回収業者、俗にくず屋さんと申しますか、くず屋さんは、今日は、私どもの家庭から出る古雑誌は残念ながら引き受けてくださいません。なぜかと申しますと、この雑誌の背とじに使っている接着剤にプラスチックが入っておる。それが再生紙工場にそのまま送られますと、再生紙の製造工程にいろいろな悪影響が出るということで、再生メーカーのほうが引き受けない、こういう事情から、くず屋さんのほうでは古雑誌は引き受けない。どうしてもとおっしゃれば、むしろ逆にお金をちょうだいしますと、こういうような事態になっているわけであります。  古雑誌の、そういった背とじに接着剤を使っておることは、そういうぐあいに古雑誌を回収ルートに乗せることをはばんでおるわけでございますが、この種のものは、やはりそういうような背とじにはプラスチックの使用を禁止するということになれば、古雑誌は相当な部分回収ルートに乗り得るわけでありまして、この点なんかは早急にお考えになっていいことじゃないかと私は思うのでございますが、何かこの点について厚生省のほうで研究されておりますか。
  37. 浦田純一

    浦田政府委員 古雑誌の例でお尋ねでございますが、私どもはやはり廃棄物処理法の第三条できめられております、いわば事業者責任と申しますか、そういったようなものが根底としては、これは精神的規定でございますけれども、あると思います。したがいまして、個々の問題につきまして、やはりこの三条の理念を生かしながら、強力な行政指導で対応し得るものかと考えておりますが、プラスチックがどういったところに使われているかということにつきましては、通産省のほうにもお尋ねいたしまして、いろいろとこの実態については調査しております。  古雑誌の背とじという点については、私具体的にはちょっと存じておりませんですが、御指摘の点でございますので、私どもはさっそく対象として取り上げ、実態について特別調査をしてみたいと考えております。
  38. 竹内黎一

    竹内委員 ぜひひとつ、その点は御検討を進めていただきたいと思います。  ところで、もう一つプラスチック廃棄物で問題になりますのは、農業用に使用されているプラスチックの問題があるわけでございます。関谷課長にお越しいただいているかと思いますが、さっそくお尋ねいたします。  現在農業用にこういったプラスチック製品はどの程度使われておりますか。まずその点、数字がありましたら御教示願いたいと思います。
  39. 関谷俊作

    ○関谷説明員 お尋ねのプラスチックの中で農業用に使われているものにつきましては、これはいろいろな形態がございまして、一番量的に多いものは、御承知のように施設園芸の関係でハウスに使われますプラスチックフィルムでございます。これは塩化ビニールとポリエチレンと両方ございますが、大体年間合わせまして十万トン程度と推定されております。  このほかに、広い意味でプラスチック類ということになりますと、御承知のように、たとえば仕設園芸の配管類に使われております硬質の塩化ビニールのパイプもプラスチックでございまして、そういうものを合わせますと、これも推定でございますが、おおよそ十万トン程度あると考えられておりますが、いま廃棄物という意味で問題になりますのは、前者のほうの比較的短期間に廃棄されますフィルムの関係、こちらのほうが問題になろうかと思います。
  40. 竹内黎一

    竹内委員 それでは、現在のそういう約十万トンのフィルムに主として使用されておりますが、いわゆる耐用年数が来て廃棄になった場合の処分状況はどうなっておりますか。
  41. 関谷俊作

    ○関谷説明員 現在までのところは、ビニール類は比較的耐用年数が短うございまして、ポリエチレンの関係でありますと一年ないし二年くらい、塩化ビニールの場合にも大体同様ということで、十万トンそのままではございませんけれども、七万トンから八万トン程度のものが年間廃棄されているであろう、こういうふうに推定をされます。  現状は、御承知のように処理体制がまだ十分ございませんので、農家で普通のごみ処理、あるいは農家の圃場のそばに堆積されておる、こういうような状況でございますけれども、集団的な産地ではだんだん処理体制についても問題になってまいりまして、ごく一部の産地では処理施設設置して、たとえばこれを溶かしまして建設資材、くいとかみぞ類、U字溝とか、こういうものに使うような処理体制をつくっております。  こういう関係でございますが、今後施設園芸が相当集団的な産地に出てまいりますので、農林省といたしましても、四十七年度から補助事業仕組みまして、この廃棄プラスチック類の処理体制を確立したい、こう考えております。
  42. 竹内黎一

    竹内委員 時間で、あまり論議ができないのが残念ですが、処理体制の早急確立を強く要望しまして、最後にいわゆる廃品回収業、これは法律の用語で言うと再生資源利用業者というのですか、この点について伺いたいと思います。  これも時間がないので長々前置きを述べるのはやめまして、現在そういう業者は全国にどれくらいあるのか、まずその点を数字でひとつ……。
  43. 栗原昭平

    ○栗原説明員 再生資源取り扱い業者の数でございますけれども、四十五年の資料によりますと、全国で一万一千六百人という数字になっております。
  44. 竹内黎一

    竹内委員 私想像いたしますに、約一万一千六百の業者の方々の経営内容が実は容易じゃないだろう、こう思うわけであります。労働力不足とか賃金の高騰とか、あるいはまたせっかく集めたそういうものをメーカーが引き受けないような条件が出てくるとかで、容易ならぬ状況にあろうかと思うのであります。しかしながら私は、この業者が廃棄物処理の上において果たしている役割りは決して軽視はできない。今後ますますその業者に御奮闘願って、再生利用資源の有効利用という面で御検討願わねばならぬと思うのですが、これに対して国のほうでは何か特別の援助措置は講じておるのでございますか。
  45. 栗原昭平

    ○栗原説明員 再生資源業につきましては、御指摘のように非常に中小企業が多うございまして、一人、二人というような事業者が半分近くを占めておるということでございますが、特に協業化というような観点で、たとえば協同組合をつくるということで共同の処理場をつくるという場合には、これは中小企業振興事業団というようなところを通じての融資という制度は利用ができるのではないかというふうに存じておりますが、現在までのところ必ずしも協業化の体制は十分ではないということで、利用は十分ではございません。  そのはか、最近いろいろ都市公害の問題等とも関連いたしまして、この業者のこれからのあり方の問題ということが非常に重要になってまいりますが、こういった点につきましても、今年度におきましてはいろいろ回収体制の問題でありますとか、あるいは立て場その他のあり方といった問題を進めていきたいというように存じております。
  46. 竹内黎一

    竹内委員 そういう協業化をする場合の融資の道があるということでございますが、私は税制面でも、やはり優遇の措置を講ずる必要があるんじゃないかと思います。いわば公害防止に協力しておる産業という観点から見まして、税制の面でも、この種の業者につきまして優遇していただかなければ、おそらくいまおっしゃった一万一千何がしの業者は、年々数は減っていっておるのだろうと思います。おそらくこの傾向でいきますと、もう数年を経ずしてそういうような業者自体が存在しないという事態にもなりはしないかということを懸念します。  そういう意味で税制面での優遇ということについても、積極的に御検討をお願いしたいと思いますが、見解はいかがですか。
  47. 栗原昭平

    ○栗原説明員 私どもいまだ十分に検討を進めておりませんけれども、御指摘の点につきましては、さらに調査いたしていきたいと思います。
  48. 竹内黎一

    竹内委員 なお伺いたい点もございますが、割り当ての時間を若干超過して恐縮でございますので、これで終わります。
  49. 山下徳夫

    山下(徳)委員長代理 大原亨君。
  50. 大原亨

    ○大原委員 ただいま竹内委員のほうからごみ処理を中心にやったわけでありますが、私はごみもさることながら、これはあとの同僚委員の質問にもありますから、屎尿処理を中心に質問いたしたいと思います。  今度の四カ年計画による廃棄物処理施設整備計画によりますと、屎尿あるいは一般廃棄物あるいは産業廃棄物全体を通じまして、四カ年で昭和五十年までに一応当面の目標を達成しよう、こういうことでありますが、それには具体的な問題を検討いたしてみますと、たくさん問題はあると思います。  そこで、端的に質問をいたしてまいりますが、建設大臣との関係でありますが、公共下水道整備計画昭和四十五年度末の実情からいいますと千八十万人分、こういうふうになるわけでありますが、これが本計画昭和五十年にはどういうふうになるのか。五十年に達成すべき目標の具体的な資金上あるいは国、地方自治体責任の分担、こういう問題について、ひとつ具体的にお答えをいただきたいと思います。
  51. 浦田純一

    浦田政府委員 五十年におきます屎尿処理場は、下水道を含めまして、まず全国の総人口を一億一千八十万人と想定いたしまして、計画処理区域の人口は一億四百九十三万人を想定しております。このうち水洗便所の人口は四千三百六十万人、公共下水道による処理は三千六十万人、地域屎尿処理施設によりますものは三百四万人、屎尿浄化槽によりますものは九百九十六万人という状況になります。
  52. 大原亨

    ○大原委員 そこで、いまお話がありました公共下水道の終末処理を含む建設計画で、昭和五十年度末の目標は、いまお答えになりましたように、三千六十万人でありますが、約三倍にしようというわけであります。これは地域的に、具体的に、あと瀬戸内海の問題で私は議論をしようと思うのですが、これはどういうふうな資金計画と、それから国、自治体のそういう責任分担でやるのか、これは建設省でありますかね。
  53. 升本達夫

    升本説明員 ただいまおただしの公共下水道の整備に要する事業費でございますが、御承知のように、下水道につきましては第三次五カ年計画を昨年御決定いただきまして、総額二兆六千億円をもってただいま御質問の整備を進めてまいりたいと考えております。  二兆六千億の資金でございますけれども公共下水道につきましては、御承知のように、国庫の補助率が十分の四ということになっておりまして、残りの資金につきましては、地方債起債あるいは自治体の一般市費等を投入して整備してまいる予定をいたしております。
  54. 大原亨

    ○大原委員 これは下水道整備緊急措置法に基づく五カ年計画でありますが、その五カ年計画はいまは進行中でありますが、これはいまの一千万から簡単にいえば三千万に確実に処理能力を実現ができる、こういうことでありますか。これができないと、他のほうに全部影響するわけですね。総合計画は全部いまの屎尿を議論しておるやつは影響するわけですから……。これはきちっとできるのですか。
  55. 升本達夫

    升本説明員 五カ年計画の完遂が期待できるかという御質問だろうと存じますけれども、四十六年度末の整備状況で申しますと、整備面積で申しまして全国市街地にいたしまして二五%おおむね整備いたしております。これを五カ年計画の最終年度でございます五十年度末におきましては三八%まで整備いたすという予定にいたしておりまして、ただいままでの進行状況、四十七年度の予算を含めまして今後おおむね順調に五十年度の目標を達成し得るというふうに考えております。  この五十年度の三八%の市街地域の整備が終わりますと、ただいまお話しの処理能力は、当然その時点で完遂できるというふうに考えております。
  56. 大原亨

    ○大原委員 それでは、私は、これから時間をなにするためにも、こういう廃棄物処理計画を立てて、そしてその立てた目的を具体的に達成できるかどうかという議論の一つといたしまして、瀬戸内海の汚染の問題があるわけですね。瀬戸内海の関係十一県の公共下水道計画あるいは終末処理計画屎尿処理計画あるいは産業廃棄物処理計画、こういうものがこの五カ年計画に基づいてどのように進んでいくかということと、これがどのような実効をあげることができるか、こういうことであります。そういう具体的な問題を通じまして、この計画がほんとうに実りのあるものであるかどうかということを検証するというか、議論して、問題がどこにあるかということを明らかにすることが私は大切であろう、こう思いまして、そこにひとつ論点を集中しながら、そういう具体的な問題の中で一般的な問題を議論いたしたい、こういうふうに思うわけであります。  私もしばしばいろいろなところで瀬戸内海の汚染の問題を議論いたしてまいりました。いまのままでありましたら——いまでもそうですが、瀬戸内海は俗に言う死の海になっている、こういうふうに言うわけですが、その一番大きな原因は、最近ニュース等で出ておりますが、赤潮の問題であります。赤潮については、社労においても、公害特別委員会でも、予算委員会でも議論いたしましたが、窒素と燐であります。NとPの関係で赤潮が発生するというふうにいわれております。きょうは科学技術庁にも出席いただいておりますが、これは言うなれば、採尿の処理、それから廃棄物廃棄物の中では一般廃棄物はもちろんですが、産業廃棄物の問題との関係であるし、あるいは工場排水の関係であります。したがって、私は、まず科学技術庁に、これはなかなかいろいろな考え方があるわけですけれども、赤潮とは何かということを簡単にもう一回やっていただきたい。  それから赤潮の問題を処理するためには、どうしたらいいのか、赤潮による魚の汚染や、これが進んでいけば決定的な死の海になる。これに対する具体的な対策について、科学技術庁は一つの結論を持っておるかどうか、こういう二つの点について、まずお答えいただきたい。
  57. 石渡鷹雄

    ○石渡説明員 お答え申し上げます。  まず、赤潮の問題に対します科学技術庁の担当でございますが、昭和四十二年度からでございます。四十二年度、四十三年度、四十四年度と三年間にわたりまして赤潮の調査を行なったわけでございます。  それで、まずお尋ねの赤潮の原因でございます。特定の湾のような、潮が閉鎖的になっておる湾、そういう水域におきまして、適当な栄養塩類、すなわち工場排水あるいは下水等が蓄積いたしまして、またそういう状況のもとに、台風あるいは一時的な降雨といったような現象で陸水が流入するという現象が起きました場合に、非常に赤潮が起きやすいという結果が得られております。百で申しますれば、窒素及び燐が異常に海域に蓄積した場合に赤潮の発生が起こるということでございます。  なお、本研究につきましては、昨年度から三カ年計画で新たに環境庁にその総合研究の仕事が移りまして、現在環境庁において赤潮の研究が続行されておる次第でございます。
  58. 大原亨

    ○大原委員 環境庁から御答弁いただきたい。
  59. 岡安誠

    ○岡安政府委員 赤潮の問題は、先ほど科学技術庁からお話がございましたとおり、四十二年から四十四年まで第一次の調査が行なわれまして、その結果基本的には窒素、燐が基盤になるということが明らかになったわけでございますが、さらにそれに加えまして、赤潮の発生のためには誘因物質並びに誘因というものが働くということも大体明らかになっておるわけでございます。ただ誘因物質なり誘因につきましては、まだ必ずしも具体的にどういうものであるかということが明らかでない点もございますので、四十六年から三カ年計画をもちまして、さらに各省庁の御協力を得まして、現在調査を進めておるわけでございます。  そこで、私どもはそういう調査と並行いたしまして、対策として考えておりますのは、とりあえずは、やはり窒素、燐の除去でございますけれども、この点につきましては、まだ具体的にそれを除去する方策というものが確立しておらないわけでございます。下水道におきましても、現在建設省におきまして三次処理というものを研究しておりますけれども、まだ実際にこれを実施するという段階に至っておらない。やはりこの研究を進めていただままして、できるだけ早く下水道計画の中に取り入れていただきまして、これを実施するということが、家庭排水並びに工業排水等につきましても、燐なり窒素を除去する有力な手段であろうというふうに実は考えております。それから誘因物質なり誘因等がある程度明らかになりますと、今度は予防ということもある程度できるようになるのではなかろうかというふうに考えております。それらの研究もできるだけ続けてまいりたいと考えております。  それから具体的には、やはり直接的に屎尿の投棄が瀬戸内海に行なわれております。現在一日当たり約三千キロリットル内外のものが投棄をされておるわけでございますけれども、これをできるだけ早くやめる。特に交換性の悪い内海におきます屎尿投棄をやめるということは、これは厚生省とも相談をいたしまして、その方向で検討をいたしておるというのが現在の状況でございます。
  60. 大原亨

    ○大原委員 そこで、たとえば一定の——いまの赤潮の議論はNとPとの関係であるということぐらいがわかっておって、どういう誘因で赤潮が発生するか。この異常発生というものが異常発生でなくなって、季節的にも地域的にも普遍化している。そうしてついに富栄養化が進んでいくならば、低級魚を中心にして高級魚に漸次拡大するけれども、魚が住まなくなる。魚が住めないような状況が瀬戸内海に現出する。そこで、新全総によりますと、国の生産の約三分の一が集まる、人口が三分の一が集まる、こういうことがいわれておるわけです。  そこで、私はこの廃棄物処理計画との関係において議論を——全体的な議論はまた別のところでするといたしまして、廃棄物処理との関係で議論を進めていきたいと思うわけですが、そうすると、いまの公共下水道普及率は瀬戸内海においては、昭和五十年末にはどういふうに達成できるのか、そういう計画と、それから実際上の見通しについて、ひとつまずお答えいただきたいと思います。
  61. 升本達夫

    升本説明員 瀬戸内海関係の十一府県におきます下水道の普及の現状並びに五十年度末の状況を申し上げますと、四十五年度末現在で普及率二四・三%でございますが、これが五十年度末の目標といたしましては四〇・九%ということを目途といたしております。この目標も先ほど来申し上げましたように五カ年計画の一環でございますので、私どもといたしましては、現在の状況をさらに推進いたしますことによりまして完遂できるというふうに考えております。
  62. 大原亨

    ○大原委員 その二四・三%の普及率昭和五十年には四〇・九%まで引き上げるんだ、こういうことであります。しかし、実際に人口の移動が航り、工場が立地をするというスピードがきわめて早く重化学工業化を中心に行なわれておる瀬戸内海の周辺の都道府県について私どもが表をいろいろ分析をいたしてみますと、いままでの大阪、兵庫等は大都会があり、人口が集中しているから、普及率が高いということは当然のことなのですが、たとえば五十年度末に知歌山県は九・八%ではないか、山口県は一九・九%ではないか、あるいは愛媛県は二〇・〇%ではないか、大分県は一九・九%であるというように、高いところは大阪が五一・六%、兵庫は五四・八%、その中間的なところが香川県の二九・七%、広島県が二七・四%というのですが、私はそういう重化学工業化で人間が集まる、工場が集まる、そういうことと関連をして、画一的な、あるいは全国全体を見ないで、瀬戸内海だけにやるということではないが、瀬戸内海の計画はどうする、あるいは各都道府県のアンバランスはどうする、こういうふうなきめのこまかい、そういう計画を重点的に、計画的にやるべきではないか。これは他の問題が関係いたしますが、公共下水道だけの問題について言うならば、そういう面においては、あまりにも機械的ではないか、こういう思いますがいかがでしょうか。
  63. 升本達夫

    升本説明員 御指摘のように、府県によりまして五十年度末の目標値にだいぶ相違がございます。これは一つは四十五年度末現在における整備状況にたいへん格差があるということも一つ原因かと思います。私ども、瀬戸内海に限らずでございますけれども、瀬戸内海におきましても、各水域ごとに定められております環境基準の達成をはかれるように、事業の進行状況を環境基準の達成目標に合わせて推進していくということから計画的に積み上げて、その実現を期したいというふうに考えておる次第でございます。
  64. 大原亨

    ○大原委員 いまの点は、環境基準達成を目標にしながら達成率を考えるような予算の盛り方をしていく、これは現在実際にやっておるわけですね。
  65. 升本達夫

    升本説明員 はい。
  66. 大原亨

    ○大原委員 この公共下水道による昭和五十年までに四〇・九%の処理目標を立てて、年次計画を立てておるわけですが、これによって屎尿処理率がどれだけになる、それ以外の処理方法はどうなるのか、こういう具体的な問題についてお答えできれば、どなたからでもよろしいからお答えいただきたい。
  67. 浦田純一

    浦田政府委員 昭和五十年度末の目標といたしましては、昭和四十五年が七九%の衛生処理率でございますが、一〇〇%になるように施設整備をはかっていくということになっております。  なお瀬戸内海につきましては、施設整備とは別個に緊急な問題でございますので、昭和四十八年からは瀬戸内への投棄は禁止するという方向で処してまいりたいというふうに考えております。
  68. 大原亨

    ○大原委員 政府の提案の資料によりますと、屎尿処理については五十年までに、いまのお話のように衛生的な処理率を一〇〇%にしていく。いろいろな方法、幾つかの方法によってやっていく、こういうことでありますね。そこで、その公共下水道による処理の方法もその一つである、こういうことでありますが、特に屎尿投棄を、屎尿を海洋に投棄したり、山林への投棄をするわけでありますが、これを昭和五十年度末までにゼロにしていく、海洋投棄と山林への投入はゼロにしていくという目標ですね。ただし、いまお答えのように、瀬戸内海には昭和四十八年からは、なまの屎尿を直接投棄はしない、こういうことなんでありますが、そういたしますと、屎尿は、いままで厚生大臣が権限を持っておったと思うのですが、厚生大臣がこの地域には投棄してもよろしい。禁止区域を置いておいて、禁止区域外でありましたら投棄をするということだったのですが、これは環境庁の長官に移ったわけですね。その昭和四十八年からやるとすれば、瀬戸内海において、そういう瀬戸内海の屎尿をどこどこへは投棄してはいけない、全面的に禁止をする、そういう措置で禁止しただけではだめだから、公共下水道その他の施設が並行していっておるわけじゃないから、それをどこかで投棄しなければならぬということになる。どこかで処理しなければならぬということになる。終末処理ができなければ、衛生的な処理ができなければ、投棄しなければいかぬわけですから、これは出ものはれもので、ところきらわずだから、出ていくわけでありますから。  ですから、問題はそういう従来厚生大臣が持っておった屎尿の投棄についての禁止措置につい・て、環境庁は四十八年から投棄を禁止するわけだけれども、具体的にはどのような手続で、いつごろ、どのような措置をとるのか、これを一点伺いたい。
  69. 岡安誠

    ○岡安政府委員 ちょっと申し上げますと、屎尿の海洋投棄の権限が環境庁に移ったというお話がございましたけれども、正確に申し上げますと、屎尿処理一般につきましては、これは厚生大臣が今後ともおやりになるわけでございます。環境庁といたしまして関係いたしますのは、これを海洋に投棄をする場合に、海洋投棄が許容される区域並びに投棄の方法等につきまして、海洋汚染防止法の政令によってこれを明らかにするということが環境庁の仕事というふうになっているわけでございます。  この点につきましては、ことしの六月二十五日から海洋汚染防止法が施行されますので、それまでに政令によりまして、屎尿も含めまして廃棄物一般の海洋投棄が許される範囲並びに方法を明らかにいたしたいというように実は考えております。現在の考え方は、三月に、中央公害対策審議会から海洋汚染防止法に基づきます政令のおもな内容につきまして答申がございましたので、その線に沿いまして現在作業をいたしておりますが、屎尿につきましては、これは海洋において還元をされるというような種類の物質でございますので、その特性によりまして、原則は距岸五十海里以遠の黒潮に乗っけるというような投棄方法ということを私どもは考えておるわけでございます。  ただ、御承知のとおり海洋への投棄の実態は、そんな遠いところでないところで現在投棄をされておりますし、また陸上処理につきましても、これは年次計画をもちまして五十年度末までに一〇〇%の陸上処理ということになるわけでございますので、その間におきましては、若干の経過措置は設けざるを得ないというふうに実は考えておりますけれども、原則は距岸五十海里以遠の海洋に投棄するということを環境庁としては実は考えております。
  70. 大原亨

    ○大原委員 これはどこの権限になるのですか。昭和四十八年以降は、瀬戸内海におけるなまの屎尿の投棄はあり得ない、こういうことでありましたが、いまの御答弁は少し違っておるように思うのです。経過措置というのは、どういうことですか。
  71. 岡安誠

    ○岡安政府委員 申し上げましたように、屎尿につきまして原則として海洋へ投棄する場合には距岸五十海里以遠でなければならないというふうになります。そういたしますと、当然瀬戸内海はあらゆる岸から五十海里よりも近いわけでございますので、瀬戸内海の投棄は禁止をされるということになるわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたとおり、直ちにすべての市町村におきます屎尿処理にあたりまして、海洋へ投棄する場合に五十海里より遠くへ持っていけということが不可能な場合がございますので、経過的には五十海里より近いところでも投棄を認めざるを得ないと実は考えております。  ただ瀬戸内海につきましては、四十八年度以降におきましては、これは瀬戸内海は絶対に海洋投棄を認めないというつもりをもって、経過措置においてもそういうことを明らかにいたしたいと実は考えておる次第でございます。
  72. 大原亨

    ○大原委員 そういう経過措置を含め、あるいは瀬戸内海の特殊的な措置を含めたそういう投棄についての規制措置の基準をきめる政令ですね、これはいつつくるのですか。
  73. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先ほど申し上げましたとおり、海洋汚染防止法が六月二十五日から施行になりますので、それまでにつくりたいということで現存作業を進めておる次第でございます。
  74. 大原亨

    ○大原委員 そういたしますと、昭和五十年までには本計画によりまして衛生的な処理率が一〇 〇%になる。それまでの年でありますが、それまでには屎尿の投棄を各市町村が、これは責任を持ってやっているわけでありますが、市町村がばらはらになまの屎尿を海洋投棄をしておった、瀬戸内海に投棄をしておった。  これは海上保安庁見えているから、その状況について時間があれば聞きたいけれども、禁止区域内にも投棄をしておった。夜なんかは海岸へ出たら、すぐ投棄した。船の底でやって、投棄している。こういうことがたくさんある。こういうことがいろいろな汚染の一つの大きな原因になっている。水泳なんかは全然できない、こういうような状況なんですね。  そこでその間黒潮に乗せるといえば四国の沖へ持っていかなければならぬことになる。そうすると、小さな市町村が全部これを責任を持って——そういう政令は六月の末にはつくる。政令をつくると、それ以降において完全な処理能力が達成できる五十年までは、経過的に外へ持っていかなければならぬ。これについて予算上の裏づけや監督上の責任を持っているのはどこであって、どういうふうな措置をとるのか、こういうことが私は問題となる。それを処理しなければ、こういう計画は机上の空論ということになる。この点について問題があるのですが、どういうふうにお考えですか。
  75. 浦田純一

    浦田政府委員 おそらく先生の御指摘の点は、今後問題として残るわけでございますが、いま瀬戸内関係の市町村は、私ども先般もこちらのほうから係官を派遣いたしまして、お集まりいただいて、いろいろと状況も聞いております。その結果、やはり現在能力では遠くに運んでいくだけのそういった設備、結局は大型の船でございますが、こういったものが不十分である、こういうことがわかっております。したがいまして、私どもはやはりどうしても外海まで出ていくに十分耐えられるような大型の船を、市町村のいわば共同でもってチャーターして対応するということを考えて指導しているわけであります。  これに対する財政的援助はどうかということでございますが、一方で屎尿の海洋投棄は原則として廃止をする。特に瀬戸内については全面禁止しようということで、特に陸上におきます処理施設の整備を重点的に促進するということでございますので、船舶等に対する財政的援助は特別のことは、いまのところ考えておりません。いろいろとこの辺につきましては関係省庁ともひとつ相談、協議いたしまして、何らかの措置がとれるかどうか検討してまいりたいと思っております。
  76. 大原亨

    ○大原委員 この六月末に政令をつくって、それから昭和四十八年度に入ったならば一切禁止する、こういうことですね。そういう場合には昭和四十八年度になってから、そういうなまの屎尿を運搬をしていく大型船が要るわけですね、昭和五十年まで。その問題については融資その他財政上の措置をする。借金してやった場合には税金や交付税等で返していく計画が必要なわけですけれども、そういう点はできておりますか。そういう裏づけをしないと、せっかく政令をつくっても、これは背に腹はかえられないから、これはもうできる範囲内で処理してしまうということになるわけですね。これはいかがですか。
  77. 浦田純一

    浦田政府委員 まず第一点、昭和四十八年度、つまり昭和四十八年四月から瀬戸内における屎尿の海洋投棄は原則として全面的に禁止するということでございます。  それから昭和五十年度末までに、これは本計画に基づきまして陸上の処理施設、もちろん下水道の整備も含めまして、屎尿処理が一〇〇%衛生的にできるように陸上処理施設を整備する、こういうことでございます。したがいまして、来年の四月から五十年度末までの間、どこにもいまの屎尿を持っていくところがないということになりますので、大型の船が必要になりますが、これは新たに建造するということでなくて、チャーター方式でやっていくということで考えているわけでございます。  したがいまして、いまのところ、その船の建造費というものに対する融資あるいは補助ということは考えていないわけでございます。
  78. 大原亨

    ○大原委員 その中にはたくさん問題があるのですが、二つぐらい問題をしぼってお尋ねしますと、つまりそのチャーター船に対する使用料というのは上下水道の料金で払っていく、あるいは税金で払っていく、具体的にはこういうことなんでありますか。
  79. 浦田純一

    浦田政府委員 清掃事業に伴います手数料あるいは使用料といったものは、これは法律に基づきまして、地方の条例でその手数料の徴収の規定が定められております。したがいまして、具体的にはそれぞれの市町村におきましてどういうふうに対処するかということになろうかと思います。チャーターの料金の問題は、その事業の実態等によって、場合によっては利用者のほうから料金、手数料と申しますか、そういうものを徴収することもあり得ると思います。
  80. 大原亨

    ○大原委員 しかし、いままでよりも少なくとも海洋投棄は、瀬戸内海で投棄しておったものを四国の沖へ持っていくのですから、そういたしますと、非常に金がかかる、コストがかかるのですね。これは水道料金の値上げ等になるわけですね。ですから、これは瀬戸内海を、全体の計画衛生的な処理昭和五十年までになるというのは議論としても長過ぎはせぬか、こういう問題が一つあるわけです。その五十年まで、こういうふうなことの処理で、あとでまた問題があるわけだけれども処理のしかたに、技術上の問題について問題があるわけだから、長過ぎないかということが一つある。  それから高知県の沖の黒潮へ瀬戸内海の沿岸のなまの屎尿を投棄する。そうすると、高知県やその他沿岸の人あるいは太平洋の沿岸の人は、これについて私は黙っているということにはならぬと思うのです。これはかなりの、いまお話があったように、一日については何千トンの処理ですから、こういう処理には黙ってはいないと思うわけです。そのことは処理できますか。
  81. 浦田純一

    浦田政府委員 関係府県の陸上処理施設を早急に整備するということでございますが、これはできるだけ私どももそのような方向でもって指導してまいりたいと思っております。  先ほど大型船をチャーターすることによって処理費用が多くなる、そういったものが住民の負担になるということについて何とか考えられないかということでございますが、これはいまでも清掃事業全般につきましては、交付税の費用の算定の中に入っておりまして、こういった特殊なものにつきましては、さらに私は当然自治省のほうでいろいろお考えになることだと思っております。  それから確かに瀬戸内の屎尿を持っていって高知沖あるいは和歌山県の沖といったようなところで捨てるということになりますと、今度は当該県におきまするいろいろな問題が生じてくることもあろうかと思います。  しかしながら、それにつきましてはもちろん十分に現地の水産業者あるいは県御当局の間でいろいろと調整をされるように、御意見を承っていきたいと思っておりますが、根本的には先ほど環境庁のほうから御説明がありましたように、やはり陸岸に対して影響がない、また水産動物等に悪影響がないといったような方式をやっていくということは、これは最低の条件として考えてまいりたい。  今度の政令の発足に伴いましても、その点は何とか最小限の問題として努力してまいるということで対処していく考えでございます。
  82. 大原亨

    ○大原委員 なまの屎尿を海洋に投棄する、山林に投棄するという全国的な数字が出ておるわけです。昭和五十年にはゼロになる、こういうのが出ておるのですが、瀬戸内海の十一府県については、瀬戸内海に対して、いままで近いところに投棄しておったのを四十八年四月から禁止する。それで船もチャーターをして遠くのほうへ持っていく。コストもたくさんかかるだろう。そういうことからいうならば、もう少しこの計画を——公共下水道計画、終末処理計画、こういう計画等、衛生的な処理計画を瀬戸内海については、やっぱり重点的に早めていく、あるいは計画を是正していく、こういうことと一緒に、直接要る費用についての交付税その他の裏づけ等を含めて財政処理のしかたをしなかったら、民間にチャーターするのですからね。値段を値切ったら、遠くへ持っていかないで途中で落としてしまうのです。い生だってそうですが、民間請負で夜中に船の底を坊いて、それで落としたらわからなくなる。それが実際の規定が実行されないで汚染が進んでいる一つの大きな原因ですから、そういう問題について、この計画についての練り直しというか、やり直しを考えることが必要ではないか。終末処理場の問題と公共下水道の問題は建設省の問題でしょう。私はそういう計画が必要なんじゃないかと思う。  四十八年から絶対に当面瀬戸内海にはやらせない、こういうのだったら、それに対応する総合計画をやらなければ、幾ら机上プランをつくってもだめではないか。あなたがこれに答弁することはできぬだろうけれども、私が言う点はわかりますか。わかるかわからぬかだけ答弁してもらえばいい。わかったら、わかった方針に従って帰って議論しなさい。
  83. 升本達夫

    升本説明員 御趣旨は私どもよく理解申し上げております。私どもも、下水道はやはり五カ年計画が全国の計画として定められておりますので、当面私どもも努力目標は五カ年計画を間違いなく完遂するということで努力いたしてまいりたいと思っております。
  84. 大原亨

    ○大原委員 五カ年計画ですが、ここは五カ年では間に合わぬということだ。あとで議論いたしますが、実際的に、理論的に、五カ年間までこのままのベースで進んだのでは、この産業から排出する汚染物質と一緒に——これはここで議論はいたしませんが、それと総合的に考えるならば、窒素と燐酸の関係で赤潮が発生する。全面的な汚染が進んでいくということからは防止できないという議論です。ですから、この問題についての総合計画としては、足りなければ予算を修正するなり計画を修正することが必要ではないか、こういうことを言っているわけです。これは法律をつくったって、財政的な裏づけがないと自治体はたいへんなんですよ。しかも十一の府県があるのだから、三分の一の人間が集まるのですからね。そういう問題について、私はもう少しきめのこまかな処理をしてもらいたい。  それからもう一つは、この法律によって五カ年計画をつくる際に、屎尿の終末処理については第二次処理をやるんだ、こういうことでありますが、そういうように理解をしてよろしいか。
  85. 浦田純一

    浦田政府委員 この計画におきまする屎尿処理施設処理水準につきましては、第二次処理まで考えております。いまのところ第三次処理についての具体的な計画は、この中には入っておりません。
  86. 大原亨

    ○大原委員 建設省の公共下水道、それから建設省関係の下水道の終末処理、これも第二次処理までやるのか。
  87. 升本達夫

    升本説明員 下水道の終末処理につきましては、お話しのように、ただいまのところ整備に努力をいたしますのは、二次処理まででございます。御指摘の窒素、燐につきましては、ただいまの処理方式では十分除去できないということでありまして、これにつきましては、四十七年度七千万円の予算を計上いたしまして早急にその除去の処理方策について調査検討を進めております。この検討の成果を見ますことができました時点から、さらに高度の三次処理に着手してまいりたい、かように考えております。
  88. 大原亨

    ○大原委員 厚生大臣、こまかい専門的なことでよくわからぬと思うのですが、大まかにわかってもらうようにいま議論します。  つまり、厚生省がやっておるなまの屎尿処理することも、公共下水道による終末処理も、第二次処理では赤潮の原因になっている窒素、燐酸が除去できないのです、この処理方法では。ですから、この五カ年計画がこのままで進んでいったって、赤潮の異常発生で瀬戸内海全域を汚染する。これは東京湾でもどこでも同じ理屈です。  そういう広域の湾については同じことですが、特に瀬戸内海では水産資源の宝庫であるとか、観光資源であるとか、自然環境であるとか、あそこは重化学工業の技術革新ができるものだから、スクラップ・アンド・ビルドの典型的な政策をやっておるところですから、産業廃棄物、排水等との関係、工場排水との関係も問題になるわけですが、問題はやはり都市排水の問題ですが、第三次の窒素、燐酸を処理する能力は、いま御答弁あったように、厚生省の関係においても、建設省のほうの関係においても、いまは研究中である、こういうことなんです。であるとするならば、なまの屎尿の海洋投棄の問題で不完全な措置をとるならば、これはずっと実際上続くのではないか。法律をつくって禁止をしても続くのではないかという問題と一緒に、第三次処理についての問題を解決しなければ瀬戸内海の、あるいは東京湾、伊勢湾等の広域水域における汚染の問題は解決できないのではないか。第三次処理の問題についてのめどがついているかどうかということを、厚生省と建設省の両方から、ひとつお答えをいただきたい。
  89. 浦田純一

    浦田政府委員 第三次処理の重要性については、先生指摘のとおりであろうと思います。いま厚生省といたしましては、国立公衆衛生院で第三次処理の基礎的な研究を行なっております。瀬戸内海において屎尿処理施設の三次処理をやる必要性、これはもちろんあると思います。しかしながら、現になまの屎尿でもって投棄しておるという大きな事実があるわけでございます。これがいわば大宗でございますので、来年度からはこれを禁止するという措置をとるわけでございまして、第三次処理の必要性ということにつきましては、これは下水道処理計画あるいはその他全般的な工場排水との関連なども考えまして、私ども処理していく方針でおるわけでございます。
  90. 大原亨

    ○大原委員 これは非常に中身のない答弁ですね。具体性のない答弁ですが、建設省はどう考えておりますか。
  91. 升本達夫

    升本説明員 御承知のように三次処理につきましては、わが国だけではございませんで、世界的な研究課題になっております。アメリカにおきましては、ごく一部でございますけれども、実用化の段階に入りつつあるということでございまして、わが国におきましても、昨年来の研究の一環といたしまして、実験的な施設をつくってその効率、効果を試験中ということも一面いたしております。したがいまして、いましばらくの時間をおかしいただきまして、早急に実用化の目途を得たいといふうに努力をいたしておるわけであります。
  92. 大原亨

    ○大原委員 現在並びに昭和五十年までに衛生的な処理率一〇〇%までには、瀬戸内海の現在の禁止区域以外で、なまの屎尿の投棄をしている。それから将来は昭和四十八年四月からは高知沖黒潮に乗せてやる、これは簡単に言っているけれども、たいへんな問題です。その処理状況、投棄状況等を監視しているのは運輸省であります。海上保安庁であります。  海上保安庁は、現在の禁止区域内での投棄、これは日本の全国の問題です。全国の問題だけれども——私重点的、具体的に言っているのだけれども、それから、いまの規制が守られていなければ、将来も途中で投棄することはあり得るということになるわけですが、そういう問題について、海上保安庁は取り締まり監督をしているわけです。最近ヘリコプターまでつけたわけですが、そういう問題の実態はどうなのか。実態はきちっといっているのかどうか。沿岸投棄が行なわれているのではないのか。あるいは将来この問題を守るためには、どういう方法が必要なのか、こういう点について海上保安庁の御答弁をいただきたい。
  93. 貞廣豊

    ○貞廣説明員 屎尿の監視取り締まりにつきましては、全国的な観点と、地域的な観点から考えられると思います。たとえば瀬戸内海について考えてみまするに、大阪湾においてはまん中辺、それから備讃瀬戸では、捨てられるところがぽつぽつとたくさんございます。そういったところを四六時中監視するためには、どうしているかとまず申し上げますると、瀬戸内海においては、油についてもさようでございまするけれども屎尿不法投棄の多発するところでありまするので、これらを管轄しておる第五、第六、第七の各管区海上保安本部には公害関係の監視取り締まり組織の新設、強化、それからそれに伴う人員の増強、それから実際監視取り締まりをいたしまするところの航空機並びに巡視船艇の増強につとめてきております。  具体的に申し上げますると、海上保安庁でこれら監視取り締まりの基準をつくりまして、たとえばどの海域では航空機で何回、どういう経路、それからその海域の最も虞犯のありそうな、監視の重点を置くべき監視定点を幾つか設けて、そのところにはどういう船をどういうふうに張りつけるかというふうな監視基準をつくってございますが、その監視基準に基づきまして、瀬戸内海で申しますると、広島の航空基地で航空機が六機、それから大阪の八尾が二機、計八機、それから巡視船艇は八十八隻それぞれの部署に配置しておりますが、これが先ほど申し上げましたような監視基準による監視定点に配備してございます。そして航空機と巡視船艇と連携いたしまして、監視取り締まりを続けておるところでありまするが、四十六年中に屎尿不法投棄は全国的に八件検挙いたしております。そのうちいわゆる瀬戸内海は六件でございます。さように監視取り締まりの状況を申し上げましたけれども、これは夜、昼監視を完全に行なうことはきわめて困難なことでありまするので、今後とも組織、施設、人員の増強につとめるとともに、それらの手法をさらに改善、強化するように努力していかなければならない、かように考えております。
  94. 大原亨

    ○大原委員 これは実際問題は、その規制区域というものは守られていないということです、あなた方の結論といたしましては。取り締まって、ひっとらえればいいということではないのですよ。公共団体が直接やらない限りは、これはできない。東京湾だってどこだって議論になっているところです。直接やらなければならない。チャーターしたり下請に出したら、できるものではない、夜昼のことですから。海上保安庁だって現場を押えなければ工場排水と同じことで、水質汚濁防止法と同じことで、これはできない、だめでしょう。ですから、この問題は私はもう少しそういう状況について具体的に調べて、また別の機会に議論することにいたします。  それから、時間もなにですから、このことに関係をいたしまして、この計画の中では、廃棄物処理施設整備計画の中では屎尿処理施設ごみ処理施設のほかに産業廃棄物処理施設があるわけですが、産業廃棄物処理施設の中で五百億円使うということなんだけれども、この中で廃油施設については幾ら使うのですか。
  95. 浦田純一

    浦田政府委員 廃油施設については、まだ特定した金額は計上しておりません。予備費の中から考えていきたいと思います。
  96. 大原亨

    ○大原委員 この根拠になる法律には、廃油も一つの大きな項目にあがっているわけですね。だから五百億円というのは、産業廃棄物については、具体的にどういうように便っていくのですか。
  97. 浦田純一

    浦田政府委員 産業廃棄物、実は並びにと申したほうがいいと思いますが、都市系の廃棄物処理施設整備計画につきましては、これはいま都道府県のほうに具体的な調査事項を明示いたしまして、その実施計画の調査並びに具体案の樹立について指導しておるところでございます。いま具体的な案を持っておりますのは、まだ大阪、愛知等の数府県にすぎませんが、間もなく十県前後の県からの報告というものがあがってくるという段階でございますので、これらを見まして、こちらとしての具体的な全国的な整備計画というものを最終的にきめてまいりたいと考えております。
  98. 大原亨

    ○大原委員 これは四百億円の予備費の中でこれを使う、こういうんですね。
  99. 浦田純一

    浦田政府委員 予備費だけではございませんで、この中に別途に計上しております五百億というのも、当然それに含むわけでございます。
  100. 大原亨

    ○大原委員 この産業廃棄物の中の廃油の施設をし、そしてこの処理状況を監督するのはどこですか。
  101. 浦田純一

    浦田政府委員 全般的には厚生省でございますが、ただ船舶からの廃油は運輸省ということになっております。
  102. 大原亨

    ○大原委員 そうすると、これは廃棄物処理計画整備計画の中に入っているのですか、入っていないのですか。これは運輸省の関係だから入ってないですか。あなた予備費だと言ったでしょう。
  103. 浦田純一

    浦田政府委員 したがいまして、運輸省のほうの船舶の廃油の処理設備については、計上されておりません。
  104. 大原亨

    ○大原委員 いや、あなた予備費から出すと言ったじゃないか。何から出すんだ。
  105. 浦田純一

    浦田政府委員 全般的な、いまの船舶からの廃油の処理施設を除きました全般的な問題で、さらに都道府県におきまして具体的な計画案がまだでき上がってないというところにつきましては、予備費の活用ということでございます。
  106. 大原亨

    ○大原委員 廃棄物処理及び清掃に関する法律で「廃棄物」とは、と書いてありますね。「ごみ、粗大ごみ、燃えがら、汚でい、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のものをいう。」この中で、この計画から除外されるのは何ですか。法律廃棄物の定義というのがあるでしょう。廃棄物処理の四カ年計画を今度つくるというのですが、この計画からはずれるのは何ですか、こういうのです。
  107. 浦田純一

    浦田政府委員 先ほど申しました船舶廃油については、別に法律がございますので、それははずれますけれども、その第二条で定義してありますものは、これはことごとく廃棄物処理法の対象でございます。
  108. 大原亨

    ○大原委員 それでは、廃油を除いては廃棄物ごとに処理計画をつくって五百億円あるいは四百億円の予備費でやる、こういうように考えてよろしいか。
  109. 浦田純一

    浦田政府委員 廃油と申しましても、船舶廃油のみでございます。そのように理解してよろしゅうございます。
  110. 大原亨

    ○大原委員 それでは、この廃棄物のうち、ごみとか粗大ごみとかその他の問題から屎尿の問題、ふん尿等はわかっておるといたしましても、他のほうの廃棄物についての処理計画を具体的にこの四カ年計画でどうするのかということについて、お答えができれば概括的にお答えいただきたいし、またできなければ、ひとつあとで資料があれば資料をいただきたい。
  111. 浦田純一

    浦田政府委員 本計画におきまする事業量は、先ほどごみにつきましては——産業廃棄物のことだと思いますが、産業廃棄物の五百億につきましては、現在わかっております。  その事業の中身といたしましては、まず対象府県でございますが、これは大阪府、愛知県、これらは処理施設と最終処分地と両方の計画を持っております。それから最終処分地を確保する、整備するという計画といたしましては、東京都、神奈川県、兵庫県、長野県、山形県がいま案を持っておるわけでございます。これらにつきましては、その処理施設の場合には建設費、それから運営費、償還利息といったようなものを考慮するのが一般的な考え方でございます。最終処分地の場合には堰堤または埠頭の建設費それから用地取得費、運営費償還利息と、こういったものを考えていこうということで五百億、さらにまだ計画の出てきてない道府県につきましては、四百億の予備費というものを充当して対処してまいりたいということでございます。
  112. 大原亨

    ○大原委員 いまあげられた都道府県以外は、これは四百億円の予備費で全体を四カ年計画のワクで処理する、こういうふうに理解してよろしいですか。それでできますか、そんなちゃちな金で。
  113. 浦田純一

    浦田政府委員 この計画で予定しております産業系の廃棄物、その処理施設と申しますのは、中身といたしましては、いわゆる都市系の廃棄物、たとえば焼却場から出てまいります最終の焼えかす、こういったもの、それから都市活動そのものに伴って生まれてまいりますいろいろな廃棄物というものを処理する。それともう一つは、いわゆる中小系の企業で共同処理をし、あるいは自治体がこれについて指導、援助をしたほうがいいといったものにつきましてのみ事業の対象として考えておるのでございまして、膨大な産業廃棄物その他の廃棄物につきましては、いわゆる事業者負担の原則ということで処理されていくのでございますので、全般的に見ました場合には、この金額でまかなっていけるという見通しでございます。
  114. 大原亨

    ○大原委員 それではこういうふうに理解してよろしいか。この法律によりますと、関係法律ですが、廃棄物処理及び清掃に関する法律の第十条によると「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。」これが原則だ。ただし罰則がないということで、いままで議論があった。これが原則である。したがって、この産業廃棄物処理の対象となるのは共同施設であって、しかも市町村が指定する中小企業の共同施設と、こういうふうな観点で五百億円、四百億円を使っていくのだ。この第十条にきめている事業主と市町村と都道府県、これは広域ですが、こういうような問題についての処理についての責任を一応原則的に書いておるわけです。  そうすると今度は、五百億円、四百億円を、具体的にはどういうふうな規定に従って配分をしていくのか、こういう問題が起きるわけです。力の強い者や大きな声をする者がたくさんとるということじゃないだろうから、そういう計画はあるのかどうか、どの程度の共同施設をやるのか。
  115. 曽根田郁夫

    ○曽根田政府委員 先生ただいま御指摘のように、廃棄物処理法第十条で事業者の自己処理責任の原則が明らかにされておるわけでありますけれども、そのことは、産業廃棄物がすべて事業者みずからの手で処理することを要求するものではございませんで、十二条第一項のただし書きにもございますように、都道府県または市町村の業務提供を受けるということを当然に予定しておるわけでございます。もっともその場合に、同法十三条によりまして、当然費用は徴収するということになるわけでございます。  そこで、私どもの今度の五百億の考えでございますけれども、そのようなことで、地方公共団体による産業廃棄物処理施設整備ということが当然考えられるのでございますが、しかし、すべての事業者についてこのような施設を行なうことは必要ではない。そこで、まず前提といたしまして、大企業の場合は原則的にすべて自己処理をするであろう。そういたしますと、全体の産業廃棄物総量のうち、約七割が自己処理されることになるのであります。残り三割、中小企業分を主として重点的にこの施設整備の中で見ていこう。それからもう一つ、これは法律上の産業廃棄物の定義には該当いたしませんけれども都市系の廃棄物についても、この中で取り入れていくという考えでございます。それからまた、その施設の種類でございますけれども、すべての産業廃棄物の種類ごとにプラントをつくるという考えではございませんで、やはりある程度集約的、共同的に行なったほうがいい廃棄物に重点を置いて施設整備をしたいと考えておりますので、対象となりますのは汚泥、廃油あるいは廃プラスチック類等が重点的なものになろうかと考えております。
  116. 大原亨

    ○大原委員 これは法律をつくって予算を一応四カ年計画を出すのはいいのですが、これは賛成ですけれども、しかし、そういうふうなやはり大まかな三つくらいの柱についてのこまかな実施上の方針というものができておってしかるべきですが、これはできておる範囲の資料をあとで出してもらいたい、こういうことが一つです。  それで一応終わるわけですが、全体的に厚生大臣、瀬戸内海の屎尿投棄の問題あるいは港域、湾域、内海等における屎尿投棄、屎尿処理の問題、これにはものすごい欠陥があるのです、この計画の中には。中身は欠陥だらけなんです。極端にいえば、これでは処理の目的を達成することができないのです。ですから、こういう問題は単に机上のプランだけではできないわけです。だから私ども予算委員会におるときに調査をしたり、環境庁長官がプロジェクトチームをつくってやっておる、総理も指示をした、こういうことがあるのですが、その一翼をこれがになっておるわけです。しかし昭和六十年には三分の一の人口の都市排水を含めて処理をするわけですから、これは非常に大きな分野を占めるわけです。そうなると、その中には具体的な問題において議論をしていくと、かなりの欠陥があるということがはっきりいたしております。  したがって、あなたは厚生大臣は長くはないと思うけれども、しかし、これは大切な法律案で苦労しているのだから、関係各省は全部大蔵省を含めておられるわけですから、この問題は国務大臣として、私はこの問題が問題としてあることを、あなたの発言を議事録にとどめてもらいたい。できるならばずっと引き続いて厚生大臣をやってもらいたい。いままで議論したことを踏まえて、これは具体的な問題を解決できなかったらだめなんだ、こんなものは。単にこういう計画を立てまして、こういう金を使いますというのじゃだめなんですよ。そういう決断が全然佐藤内閣にはない。大切な決断がないんですよ、議論してみても。医療問題を議論してみたって何議論したって、年金はこれからだが、そういう決断が必要なんです。それは国務大臣責任である。そういう面においてあなたの、いままで議論いたしました点についての所見をひとつ明らかにしてもらいたい。
  117. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 先ほどからの御意見、また政府側の答弁等を承り、また聞いておりまして、御意見の点、ごもっともな次第が多々あると思います。これを実際に計画に移し、実施をする、五十年までに達成をする、あるいは四十八年から瀬戸内海の海洋投棄をやめる、この四十八年から海洋投棄をやめるという問題につきましてもいろいろ御指摘がございました。これは実際予算面においても、実行方法においても、よほど検討いたしまして、そしてその実現を期してまいらなければならない、かように考えております。で、この問題は何といいますか、どうしても達成しなければならない問題でございますから、全体の環境整備とあわせまして十分実施のできるように具体的にきめて、そして閣議で決定をすべき問題だ、かように考えております。
  118. 大原亨

    ○大原委員 終わります。
  119. 山下徳夫

    山下(徳)委員長代理 この際、午後二時まで休憩いたします。     午後一時十分休憩      ————◇—————     午後二時二十分開議
  120. 森山欽司

    森山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  休憩前の質疑を続けます。
  121. 山本政弘

    ○山本(政)委員 廃棄物処理施設整備緊急措置法案につきまして、きょう午前中竹内委員がお伺いをいたしましたけれども、それに引き続いて聞いてみよう、こう思います。  いまごみの問題というのは、これはたいへんやっかいな、そして社会的にたいへん大きな問題になっておるわけであります。しかし、その反面、いままで廃棄物処理の問題というのは、なおざりにされておったことも私は事実だと思うのです。そういう意味で、緊急措置法案を今度お出しになりましたけれども、まず第一点にお伺いしたいことは、昭和五十年までの四年間に可燃ごみ焼却率を九〇%にし、ごみ戦争に終止符を打つ、こういうふうに言われておる。ことばじりをとらえるようでありますけれども、九〇%でごみ戦争に終止符を打つというのは、私にはわからないので、五十年までに緊急措置をやっていって、一〇〇%にして、そうしてごみ戦争に終止符を打つということならば、その次の年からは毎年毎年予算を組んでいけばいいわけですから、片づけていけると思うのですけれども、九〇%でなぜ終止符を打つのか、たいへん少しこまかいような質問ですけれども、一体その辺をどうお考えになっておるか、まず第一点にお伺いいたしたいと思います。
  122. 浦田純一

    浦田政府委員 ごみ処理施設の整備につきましては、五十年度末に可燃物の九〇%を処理するというふうに一応数字は出ておりますが、これでもって終止符を打つということではございませんで、屎尿の問題は五十年度末でもって、一応のけりがつくということになろうかと思いますが、ごみにつきましては、やはり引き続き整備を進めていく。場合によっては、必要に応じては、さらに第四次の計画を立てていくということも考えておるわけでございます。
  123. 山本政弘

    ○山本(政)委員 三十八年に第一次計画をやったわけでしょう。それから四十二年に第二次計画をやった。四十二年には、私もここに質問もしているわけです。そのときの大臣は園田さんであります。その御答弁の中で、ごみ戦争に終止符を打ちたい、こうおっしゃっているのですよ。先ほどのお話じゃありませんけれども、つまり、第一次計画が十分に達成をされておらぬ、第二次計画も十分に達成をされておらぬ、そして今度は第三次計画をやる。つまり、四年間の計画ごみ戦争に終止符を打つことができるのか、どうだろうか、そういうことが実は私が一番危惧するまけです。  そこで、お伺いしたいことは、第一次計画あるいは第二次計画というふうにおやりになったけれども、この計画というものが、計画どおりに達成ができなかったという理由というものは一体どこにあるんだろうか、この点をお伺いしたいと思います。
  124. 浦田純一

    浦田政府委員 第一次あるいは第二次五カ年計画がどのような結果に相なったかということでございますが、これは施設整備の計画そのもの、これにつきましては、ほぼ当初の目標どおりに達成しているわけでございますけれども、問題は、やはり依然として、たとえば屎尿処理にしても、あるいはゴミ処理にしても、一〇〇%の衛生処理とかいったような最終的な解決にはならなかったではないかという点につきましては、御指摘のとおりであろうと思います。これは一つは、計画目標値の立て方に多少見込み違い、つまり、将来の行政需要に対する過少な見積もりという点があったかと思います。それから、その後の社会経済的な変動と申しますか、いわゆる高度経済成長、それに伴いまする人口移動あるいは消費生活の変動といったような点もありまして、結果において実際の行政需要との間に開きがあったというふうに私どもは反省しております。  ただ、施設の達成率から申しますと、第一次におきましても第二次におきましても、目標に比較いたしまして、ほぼ一〇〇%、あるいはごみにつきましては、第二次計画においては、非常にそういった世上の情勢の変化ということもございまして、実は当初の目標値よりも上回っておるという形にはなっておるのでございます。
  125. 山本政弘

    ○山本(政)委員 清掃施設整備五カ年計画について、昭和四十二年三月三十一日に大蔵大臣と厚生大臣が基本方針といいますか、そういうものをお出しになっておる。その中で、参考資料がついておりますけれども、それを見ますと、ごみ処理施設の最近五年間における整備状況と昭和四十六年末の見込みというようなものがありますけれども昭和四十六年の特掃人口、特別清掃ですかの人口が九千三百九十三万人になっております。ところが、別の資料を拝見をいたしますと、昭和四十五年の特掃人口が八千五百一万人、そうしますと、四十五年から四十六年の一年間で八百九十二万人の人たちの特掃人口が存在をすることになる。  それで、お伺いしたいのは、一年間で八百九十二万人の特掃人口の、要するに衛生処理というものができるんだろうかとうだろうか。新しい計画によりますと、五カ年間で千九百九十二万人というふうになっておるわけですね。五年間の増加量が千九百九十二万人、どうも私が資料をいろいろと拝見さしていただいて不審に思うのは、非常にこの数字がずさんな感じがするのですよ。そういうずさんな計画の上に成り立った、要するに緊急措置であるがゆえに、第一次も第二次も十分に当初の計画というものが遂行せられておらないで、第三次計画もまた、そういう意味では私は危惧をする、こういうことなんですけれども、この辺一体どういうふうにお考えになっているのだろうか、この点をお伺いしたいと思います。
  126. 浦田純一

    浦田政府委員 前回計画を立てた場合のいわゆる特掃地域の人口が、今回の計画処理区域人口に比べた場合に、数字が少なくなっているということでございますが、これは私ども過去の計画を立てる場合に、その実効を期するために、都道府県を通じまして各市町村の実際の計画というものを報告を徴しまして、そのつどつくってきておるわけでございます。この間に、実は旧法の中で特別清掃地域という制度がございましたが、新しい廃棄物処理法に基づきますと、これが計画処理区域ということで特掃区域は取り払われたといった制度上の変革もあったわけでございます。そうなると、かえって人口が減ったということは、ますますおかしいということにも相なるかと思いますけれども、そういったことと、それから過去の計画があやふやなものではなかったかという点につきましては、結論的には、確かに現実の行政需要には対応できなかったということは、私ども反省しておりますけれども、またその中身を考えました場合に、第一次、第二次計画では特に財政援助と申しますか、補助金制度と申しますか、そういった面では屎尿については一つ規定でもって、予算上の単なる補助ではなくて、法律に基づく補助でもってできておったといったようなこともございましたし、また当時は確かに屎尿処理ということに非常に大きな重点がかかっておったということもございまして、屎尿処理につきましては、若干まだ問題が残ったにいたしましても、かなりの進捗を見たのではないか、現実の行政需要に対応しつつ進んできたのではないかというふうに考えております。  ただ、遺憾ながら下水道整備計画が予定よりもおくれたといったような点もございまして、実際の屎尿処理の全般的な行政需要については対応できなかったということであろうかと思います。  ごみにつきましては、いわば予算補助的な程度でございまして、その辺もあったことと、それから第一次、第二次におきましては、御承知のようにごみの問題は、実は特殊な市町村を除きましては、それほど屎尿に比べて緊急な問題でなかったというようなこともございまして、結果から申しまして不十分な点が出てきたわけでございますが、今回は、この辺をむしろ屎尿以上にごみにウエートをかけるといったようなふうにも、計画の中身、特に財政計画についてはそのように考えております。  また過去のそのような苦い経験を踏まえまして、屎尿につきましても、実際の排出量ではなく実際の収集量というものを基礎といたしまして、つまり過去二計画におきましては、一・二リットル一人頭毎日という量を、今回は一四リットルという実際の量に改めたという点と、それからごみにつきましては過去の伸びというものを十分に勘案いたしまして、過去の最大の伸び率約六%弱でございますけれども、この比率でもって将来伸びていくだろうというふうに計画を立てまして、前二回の計画の経験を生かして、本計画においては現実の行政需要にもかなっていくように計画を一応立てたつもりでおります。
  127. 山本政弘

    ○山本(政)委員 では確認いたしますが、局長のおっしゃるのは屎尿のほうに重点を置かれた、清掃のほうは重点を置いておかなかったというお話でしたね。清掃施設整備五カ年計画の整備目標と事業の量というところでは、五カ年計画事業費というのは、実は屎尿が六百四十億円なんですよ。ごみ処理施設が六百九十億円なんですよ。六百四十億円と六百九十億円ですから、そういう点からいえば、ほぼ相ひとしい金額になってくる。私は重点を置くとか置かないとかいうことを申しておるのではないのですが、そうすると、この金額、こういう比率では、少なくとも一般廃棄物、これは産業廃棄物も含めてですか——一般廃棄物か主と思いますけれども、それについてはこの比率では、少なくともごみについては不十分である、こういうふうに理解していいのかどうか。そのことによっては、あとから尋ねる議論の立て方が違ってきますので、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  128. 浦田純一

    浦田政府委員 屎尿について重点を置いたという表現は、あるいは適当でなかったかと思いますが、過去の計画におきましては、現実の問題として、これを受けとめて計画を実施していく市町村側のこの問題における意識といたしましては、屎尿のほうに緊急の度合いが強かったということは事実であったろうと思います。  ごみにつきましても、もちろん私どもは重要な問題として努力してきたところでございますが、先生の御指摘になったのは、いわゆる総事業量投資額のことでございまして、私が申しました行政の需要に現実にこたえられなかった、その例としてあげましたものは、その事業量の適否ではございませんで、それを進めていくための肝心ないろいろな補助金制度、あるいは起債の制度、こういったもののからみ合いもあって、市町村において現実にはそういった行政上の需要が潜在しておりながら、これが顕在化するに至らなかったというような過去の事情もあったか、あるいはその間におきまする経済成長の非常な高速化、スピードアップといいますか、それに伴いまする人口移動とかいろいろな要因も加わりまして、結論からいきましたら、先ほど申しましたように、不十分な点が出てまいったということを申し上げたのでございます。
  129. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それではもう一つお伺いしたいのですけれども、新経済社会発展計画では、昭和四十三年に施設整備の達成率が六二%、それから五十年には九〇%、こうなっておるわけです。先ほど申しました四十二年三月三十一日の大蔵大臣と厚生大臣の清掃施設整備五カ年計画の中では、四十六年の達成率が七五%。ですから、それを中へ当てはめてみますと、四十三年が六二%、四十六年が七五%、そして五十年が九〇%。そしてその九〇%というのが、今度の廃棄物処理施設整備計画案の概説によれば昭和五十年に九五%、つまり五%ふえるということです。そうしますと、四十三年から四十六年の六二%から七五%、これは年率に直せば大体三%ちよっとですね。それから四十六年の七五%から五十年の九〇%、これにしますと、大体三%、新計画の九五%にしますと、三%ちょっとということになると、年率から言えば、ほぼ相ひとしいパーセンテージでずっと計画が進められておるわけです。これほど社会的な問題になっており、そして私は少なくとも廃棄物処理施設につきましては、あるいは処理計画については、日陰もの扱いにされてきたと思うのですけれども、何でもう少しずっと、そういう施設整備のトレンドというものを上げていこうとなさらないのか。  四十三年から四十六年、五十年にかけて、ずっとほとんど同じ施設整備計画だとするなら、幾らたっても、私はごみの問題は解決しないだろうと思うのです。昭和五十年に一〇〇%なら、まだしも話はわかりますけれども、そうなっていないのです。この辺は一体どういうふうに御説明をいただけるのか。私は先ほどのお話ではありませんけれども計画としてはきわめて甘いという感じを受けざるを得ない、御意見をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  130. 浦田純一

    浦田政府委員 ごみ処理計画を今回考えるにあたりましては、やはり将来の人口一人当たり排出量を幾らに見るかということが一つと、それから対象の人口がどのようにふえていくか、変化するかということと、もう一つは各年次の割り振りをどうしようかということで具体的にきまっていくと思います。  第一の排出量の点につきましては、先ほども説明申し上げたと思いますが、少し詳しく数字で申しますと、第一次におきましては、四十一年の目標年次で、一人頭七百二十二グラムという数字を一応立てたわけであります。第一次におきましては、どうにかこの目標数量と実際の伸びとは一致してきております。ところが第二次になりますと、私どもは四十六年の目標値といたしまして八百七十三グラムという数値を一応考えました。しかるにこれは実際に計画を進めていきますと、非常に大きく狂いまして、たとえば四十五年の実績は九百二十一グラムというふうに大きくふえております。したがいまして、今回の計画におきましては、この新しい伸び率というものを踏まえまして、五十年の一人頭の排出量は千二百グラムというふうに算出いたしております。  それから人口の点でございますが、これは昭和四十五年度では、全国の総人口一億三百七十四万人に対しまして、昭和五十年度ではこれが一億一千八十八万人に増加するであろう、人口問題研究所の推定でございますが、このように数字が出ております。計画処理人口にいたしますと、昭和四十五年度におきます計画処理人口は八千五百一万人、それが昭和五十年には一億四百九十三万人というふうにふえるであろうと予想いたしております。  したがいまして、この限りにおきましては、本計画はかなり私どもとしては過去の最大の数値、それから実際の人口の伸びというものを考慮いたしましてきめたということで、このまま行けば昭和五十年においても一応行政需要には見合った設備ができるのではないかと考えております。各年次で、伸びで申しまして三%というようなふうにおっしゃいましたが、私どもごみの年次計画につきましては、実は各年均等とか、あるいは後年次に行くに従って事業量をふやしていくといった考えではございませんで、むしろ初めの年次のほうに重点をかけていこうということで、早く行政需要と実際の施設能力とのギャップを埋めようという考えで、いま具体計画について、この法案が通りますると、さっそく各関係省庁とも交渉を進めていきたいと考えております。
  131. 山本政弘

    ○山本(政)委員 たいへんおそれ入りまするが、もう一度一人一日当たり排出量を、四十六年、四十七年、四十八年、四十九年、五十年までのそれぞれの計画をお聞かせ願いたいと思うのです。     〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席
  132. 浦田純一

    浦田政府委員 四十六年の数字は一人当たり九百二十一グラムでございます。しかしながら各年次別の排出量は、この伸び率を五・九%と見ておりまして、かければ出るのでございますが、いまちょっと手元にその数字は出してございませんが、その結果五十年が千二百グラムということでございます。お必要であれば、いますぐここで計算させてお答えいたしたいと思います。
  133. 山本政弘

    ○山本(政)委員 東京ごみの一人一日当たり排出量はわかりますか。
  134. 浦田純一

    浦田政府委員 こまかいけたまで覚えておりませんが、約千三百グラムということでございます。——いま詳しい資料か参りましたので申し上げますと、東京の二十三区の昭和四十五年度におきまする排出量は、一人一日千三百五十グラムでございます。
  135. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうするといまおっしゃった四十六年の九百二十一グラム、逐年五・九%増、それでずっと行って五十年が千二百グラム、これは全国平均ですね。そうすると東京の場合は千三百五十グラムですから、大体いまの傾向としては、都市にそういうごみの集中ということばが妥当かどうかわかりませんけれどもごみがとにかく大都市にたくさん出てくるということは、現実の問題としてありますね。  そうすると、ちょっとお伺いいたしまするけれども東京の清掃施設に対して国としては一体どれだけ補助をなさっているのか、参考にお聞かせいただきたいと思います。
  136. 浦田純一

    浦田政府委員 先ほど申しました九百二十グラムあるいは千二百グラムという数値、これはもちろん全国平均でございます。東京排出量は一人頭千三百五十グラムですから、平均よりも現在すでにこえておるということが言えるわけでございますが、私どもはこの全般的な計画の案をつくるにあたりまして、この辺の事情も勘案したつもりでございます。  たとえば十大都市の平均の排出量で申しますと、昭和四十六年度の数字でございますが九百九十グラム、こういった数字を得ておるわけでございます。したがいまして、それぞれの各自治体の実際の排出量といったものを、実際の計画当たりましては私どもは十分に勘案して、自治体が進められる整備計画について支障のないように、投資額あるいは補助金その他につきましても指導してまいりたい。それで、この数字で過去の伸びというものを考えます場合に、対応できるのではなかろうかというふうに考えております。
  137. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私は東京にいまどれだけ補助として出すことになっておるかという御質問をしたのですけれども、それに対してはお答えをいただいておらぬわけですけれども……。
  138. 浦田純一

    浦田政府委員 失礼いたしました。二十三区は現実の問題としていま補助金は交付されておりません。ただし、三多摩の市町村につきましては、補助金が交付されておるわけでございます。
  139. 山本政弘

    ○山本(政)委員 なぜそういうふうになっておるのかお伺いしたいのです。
  140. 浦田純一

    浦田政府委員 過去の補助金の総体の額から申しまして、実情を申しますと、非常にわずかでございまして、自治体によっては、かえって補助金の交付を受けるよりも起債でいったほうがいいといったような、そういった補助金の実額ということもございまして、過去においてはそういった二十三区の事業については補助の対象といたしておりません。また補助金の性格そのものも、特別な新しい技術を取り入れた新型の焼却炉をつくって、そういった技術開発的な面を取り上げまして、特別に助成していこうといったような性格の補助金であったといったこともございます。
  141. 山本政弘

    ○山本(政)委員 自治省か大蔵省、どっちでもいいですが、私そういう補助金のこと実はあまりよく知りませんので、なぜ東京のほうにはお出しになっておらなかったのか、そのことの御説明がいまの局長答弁では私は十分ではないと思うのです。お聞かせいただきたい。
  142. 浦田純一

    浦田政府委員 一つだけ実情を申し上げますと、実は東京計画につきましては、現実にいまこの二、三年来は補助の対象として計画はあがってこなかったということがございます。それは東京都に照会いたしましたところ、建設の計画が大幅におくれておるということで、私どもはそういった意味から申しますと、補助対象として取り上げるに、そのすべがなかったという点がございます。
  143. 近藤隆之

    ○近藤説明員 御承知のように、この清掃関係につきましては、補助金の額が少ない関係もございまして、従来の実績を見ますと、相当単独事業をあわせ行なっておるわけでございます。しかも一定の補助率をきめられておりますけれども補助対象事業の中でも対象になるものを限っておりますので、非常に低い補助率ということになっておりまして、私手元に四十五年の決算実績を持っておりますけれどもごみにつきましては全体の事業量のうらの七割が単独事業という形でございます。  それから屎尿の場合には四四・六%が単独事業というような形でございまして、実際問題といたしまして、補助金の関係でこういうような単独事業が多いという実態でございます。
  144. 山本政弘

    ○山本(政)委員 いま東京で問題になっておるのが杉並の清掃工場の建設の問題であります。ここで一億三千七百六十万円、そのうちのたしか補助は四分の一ですね、四分の一の三千四百五十万円を国に要求しているはずですけれども、それは出ておりますか。
  145. 浦田純一

    浦田政府委員 四十六年度までのところは、さだかでございませんが、今回四十七年度、今年度、まだ最終的に実施計画案はでき上がっておりませんけれども、その中には出ておるというふうに聞いております。
  146. 山本政弘

    ○山本(政)委員 実は私がお伺いしたいのは、現在東京都で建設中及び今後建設予定の工場、そういうものがあると思うのです。その中で新設が、これはどういう炉を使うかまだ未定でありますが、新設が三つある。そしていま申し上げた杉並、それから足立もそうだと思います。葛飾はこれは話し合いができたのだったか、そういうものがあるわけでありますけれども東京は一般会計に占める清掃事業費の割合というのが三・九%しかないわけです。横浜は四・五%、京都が六・八%、神戸が四・六%、北九州が六・九%、まあ東京は低いほうです。私は東京都が富裕であるかどうかということは別問題として、それなりの財政上の問題をかかえておる、こう思うのです。  そうすると、そういう意味では、先ほどのお話でありますけれども、単独事業として七割を全国的に見ればやっておるというけれども、しかし東京としては、そういうことで要求を出しておるのですから、そういうことについては、つまり国としては考えていただけるのかどうか、この点をひとつお聞かせいただきたいのです。
  147. 浦田純一

    浦田政府委員 五カ年計画の中には東京都の計画も含まれておりますので、現実にこの問題についての計画の提出、補助金の要求があれば、私どもは十分考慮していきたいと考えております。
  148. 山本政弘

    ○山本(政)委員 先ほど竹内さんから話があったのですけれども、たとえば焼却炉を建設をする。そうすると問題は、用地確保が問題になってくる。私、決算報告書も見ましたけれども、大体不用額というのは、用地取得できなかったからということで返されておるのですね。ほとんどがそれであります。そうすると、そういうことについて、一体自治体にまかせっぱなしにしていいのだろうかどうだろうかという問題が出てきはせぬだろうか。当然国として、用地のことについては考えなければならぬということになるのではないだろうか。そうしないと、この問題は、私は少しばかりオーバーな表現を使えば、百年河清を待つということになりはしないか。現実に先ほどのお話のように、第一次計画、第二次計画、これはそういうことも一つの要因としてあるということなんですから、そうすると、一体国として、どういうふうになさるつもりなのか。用地確保できないのだったら、補助は出せません、あるいは起債も認めませんということなら、これはどうにもならぬだろうと思う。国として一体これはどうなるんだろうか。  これは企画庁に聞いたほうがいいのか、自治省に聞いたほうがいいのか、あるいは大蔵省厚生省に聞いたほうがいいのかわかりませんが、その見解をひとつはっきり出してもらいたい。今後自治省にまかせっぱなしで、自治省が用地確保できなければ国としては知らぬのだ、こうおっしゃるのか、あるいは今後の問題としては、当然国としては手をつけるべきである。手をつけるべきであるとするなら、用地確保については、国としては一体どのように考えていくのか、もちろん最終的には、地元の人の話し合いという問題は、これはあると思いますけれども。しかし、それにしても、いままでのように国が手をこまねいておって、そして施設だけは金を出します。しかし施設をつくるについては、かなりな金額の費用が要るということになれば、一体どうすればいいのですか。その辺のネックが解決されない限りは、要するに一般の廃棄物に対する問題の解決というものはあり得ないだろうと私は思うのです、極端にいえば。各省のどなたでもいいです、ひとつはっきりしたお答えをいただきたい。
  149. 浦田純一

    浦田政府委員 御指摘のように公共事業を進めるにあたって、ことにこのような廃棄物処理施設を整備するにあたりまして、建設用地取得一つのネックになっておるのでございます。これに対応するためには、やはりいろいろと事由を明確にしなければならないと思いますが、一つ地域住民の方に十分な御理解が得られなくて協力が得られないという点、いま一つは、やはり先生が御指摘なすった地方自治体におきます財政難と申しますか、そういったような事情もあろうかと思います。  しかしながら、廃棄物処理施設の建設用地確保するにあたりまして、実際の設備を建設するという時点の、どのくらい前に土地取得するかといった実際的な状況を考えてみますと、これはかなり先立って、少なくとも十年といったような年月を一つの区切りとするくらいに考えて、先行取得をやっていくのが一番肝要なやり方であろうかと私は思っております。現に全国見ました場合に、建設する場合の用地に困っていないといった都市も数々あるわけでございますけれども、それらにつきましては、かなり前に先行取得をしておるといったような状況でございます。  したがいまして、これはやはり自治省、建設省、あるいは大蔵省その他関連の省共通の問題でもあると思いますので、公共用地取得の問題については、一つのテーマのもとに各省一致いたしまして、この解決に当たっていくべきであろうかと考えます。いま現に建設省のほうでそのような考えでもって検討を進められておるとも聞いておりますし、私どものほうからも自治省のほうに、土地の先行取得については、特にお願いしておるところでございます。  また、これに対します財政措置でございますけれども、これは先ほど大蔵省のほうからもお答えがございましたように、いわば一つの財産を取得するということでございますので、どのような形でもってこれに対する財政措置を講じていくかということについては、やはりその点も勘案していくべきでなかろうかと考えております。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、土地の問題を解決したいということは、非常に大きな一つの願いでございます。今後ともこの問題は関係各省と十分相談して検討してまいりたいと考えております。
  150. 山本政弘

    ○山本(政)委員 自治省のほうで、何かそのことに関して御意見ございませんでしょうか。
  151. 近藤隆之

    ○近藤説明員 これが廃棄物等の処理施設用地になるということがはっきりしておりますならば、当然のことながら地方債の対象には現実問題としていたしております。したがって用地が確定すれば、買う財政手段はあるわけでございますけれども、現在土地につきましては国庫補助の道が開かれておりませんので、道路等と違いまして、全部地方団体で持たなければならない、将来債務償還をしなければならないという点で財政的な問題がございます。  その財政以外に、廃棄物処理処理場をつくるための用地取得できるかどうかという問題になりますと、これは各地方団体におきまして、地元の御理解を得て相談づくで決定するということになってこようかと思います。
  152. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ですから、用地というものが大体見通しがついたなら起債ができます、こういうことでしょう。しかし国の補助は出ません。  要するに私が申し上げたいのは、一つは、用地というものの見通しに対して、一体自治省としては地方自治体に対して何かかす力はありませんか、そういうことについて何かお考えはしておらぬのか、こういうことです。  もう一つは、起債だけでなく、つまり過密化してきた大都市においては、全部というわけにはいかぬでしょうけれども、特にそういうもので問題になってきて困っておるところに対しては、補助ということは考えられないのでしょうか。法規があるからできませんというのでなくて、私は将来そういうことを検討する余地があるのではないだろうか、こう言っているのです。そうしないと厚生省、幾らこういうことを計画を立てても、現実にできませんよ。できない理由というのはもうわかっているわけですから。目に見えていることを解決しないで、そして整備五カ年計画を立てても、ネックが解決できなければ整備五カ年計画というものは解決できないわけでしょう。  要するにそのものずばりで言えば、土地問題だということになるわけですから、大蔵省の方もお見えになっておるのだから、あなた方がその気にさえなれば、大蔵省はそのことに対するお金はちゃんと考えますよ。
  153. 近藤隆之

    ○近藤説明員 この土地取得の問題は非常にむずかしい問題でございまして、自治省のみならず各省とも頭を悩ましておるところでございますが、先生も御承知のように、今度の国会におきまして、自治省から公有地の拡大に関する法案が提案されまして、つい先日可決になっております。これは市街化区域内におきますところの土地の公共団体の先行取得を制度化したものでございますが、これだけで十分だとわれわれは思っておりませんけれども、こういったいろいろな手を講じまして、公有地確保をやっていかなければならぬと思っております。  それから、こういった公共施設に対する国庫補助制度をつくるかどうかということは、われわれとしてはぜひつくってほしいということで、厚生省なり大蔵省に絶えず申しておるわけでございますが、諸般の事情がございまして、現在のところ実現を見ておりません。学校の施設につきましては先般その芽が出たわけでございますが、それ以外のものについては、まだ芽が出ておりません。われわれとしては、今後とも努力していきたいと思っております。
  154. 山本政弘

    ○山本(政)委員 自治省として前向きな答弁、たいへんありがたいと思うのですけれども、諸般の事情でなかなかむずかしいというその諸般の事情というのは、一体何ですか、大蔵省がたいへんネックになっているのか、諸般の事情というのを聞かしてもらいたい。
  155. 近藤隆之

    ○近藤説明員 先ほど厚生省局長さんのほうからお話ございましたように、土地というのは、その団体の財産になる。だから、その団体が自分の金で買うべきではないか、そういった基本的な考え方があるのじゃないかと思います。それでいろいろな施設につきまして、土地につきましては国庫補助対象になっていないのが、道路等は別でございますけれども、いままでは通例でございましたけれども、義務教育施設につきましてそうばかりも言っておれないということで、いま芽が出たということでございまして、ものによっては、そういう道を今後開いていくべきではないかと私は思っております。今後各省間で折衝も続けていきたいと思っております。
  156. 山本政弘

    ○山本(政)委員 道路というものは公共的なもので、このごろは人が別になって、車が走るのが道路みたいになっておりますが、公共的なものです。清掃の処理施設というものも公共的なものではありませんか。この点はどうなんですか。その点については、大蔵省のほうからも答弁を願いたい。
  157. 近藤隆之

    ○近藤説明員 私から答えることはどうかと思いますけれども道路というのは、これは永久道路である。普通の土地、その上に施設がありましても、その施設が、用が終われば普通の土地になる。代替性があるというような、いろいろな関係があるんじゃないかと思いますけれども、現在のところ、いろいろな施設については補助制度がないというのが実情でございます。
  158. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ごみというのは、いつの日か、ごみを排出する日はなくなるとお考えになっておるのか。
  159. 渡部周治

    渡部説明員 お答え申し上げます。  けさほどの御質問にもあった問題でございまするが、先ほど厚生省局長からお答えになりましたように、また自治省のほうからもお答えがございましたような考え方で、現在公共事業全般につきましての土地取得につきましては、原則的には国の補助をしておらないということでございます。公共用地取得、特に公共事業を行なう場合に、用地取得が非常にネックになっておる。特に大都会の場合には、それが問題であるというようなこと、これはわれわれとしても十分承知しておるわけでございますが、それに対処するしかたが、国の補助を入れるというかっこうで解決するのかどうか、そこら辺の問題もあろうかと思います。  これは現在行なっておりまする起債につきまして、その条件を考えていくというかっこうで解決するかもしれませんし、あるいは税制といったような問題があろうかと思います。そのほか、そういう財政面だけの手段ではなくて、いろいろほかのネックの面も総合的に勘案しながら解決しなければならない。あるいは先買いの問題等いろいろ問題がございまして、それぞれについて、政府としては多角的な検討を行ない、それぞれできる限りの措置をしておるわけでございまするが、もちろんその一環において、用地取得についての国庫補助制度の一般的な導入というような問題を、今後検討の課題として取り上げることは、もちろんあり得ると思いますけれども、現在の財政当局の態度というふうに聞かれましたら、午前中お答え申し上げましたように、われわれとすれば、この問題は、従来のような起債というようなかっこう処理してまいって、その条件等について、いろいろめんどうを見るというかっこう処理していただくという方針が、現在のところ、われわれの基本的な考え方でございます。
  160. 山本政弘

    ○山本(政)委員 先だって、もう何週間か前ですけれども、地方自治体の財政が非常に限界に来ておるというのが出ておりましたね。そういう中で、土地取得ということが、たいへんむずかしくなってきておると思うのです。  それからもう一つは、東京都の場合には一トンのごみについて五千八百円かかるというのですね。これは昭和六十年には一日に二万二千トンですか、そういうことになってきた場合には、たいへんな問題になってくる。財政上の負担になってくると思うのですね。しかも、いま、ある一部の意見としては、廃棄物処理についてのみの要するに道路を考えていくべきではないかという意見すら出ているわけです。ということになれば、私は、やはりそういうことに対して、もっと国としては考えなければいかぬのではないか。主計官の話では、多面的にこうなる、こうやっていきたいというけれども、多面的に薄められて、いつの間にか拡散していっては困るんで、多面的に考えて、そこで集中的に、国として財政的な考慮をするということなら、私は話がわかる。そういう意味で、ぜひひとつ前向きに考えていただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  161. 渡部周治

    渡部説明員 公共事業用地取得につきまして、地方の事業団体が土地の入手を容易にできるような財政措置につきましては、われわれとしましては、現在も非常に重要な問題であると認識しておりますので、御趣旨に沿って努力してまいりたいと思います。
  162. 山本政弘

    ○山本(政)委員 もう時間だそうですからたいへん残念ですけれども、最後にひとつ聞きたいのです。五・九%の年率の伸びというものの計算の基礎はどこから出しておりますか。
  163. 浦田純一

    浦田政府委員 第二次五カ年計画におきまする実績のうち、最も伸び率の高い年次の数字をとったものでございます。
  164. 山本政弘

    ○山本(政)委員 時間が来たようですから、これで終わりますけれども、ともかくも、私いま七大都市資料をもらってきたのですけれども、これを見ると、要するに地方都市というものは、特に七大都市にあっては、もうかなり財政的に行き詰まっておりますね。そういう面でも、ひとつぜひ前向きにお考え願いたいのと一緒に、くれぐれも私が強調しておきたいのは、第三次計画の中で今年度四年目にきたときに、緊急第四次計画はぜひ出さぬでほしいと思う。  清掃法なんとか緊急措置法、それから整備計画五カ年とかいって名前を変えてくるけれども、みんな要するに当面の長期的な展望を変えて、要するにごみのふえ方、あるいはごみの中身の問題とかいうものを十分に検討しないでやっているような気がしてしようがない。五・九%というのも、第二次の中の、要するに一番高い率をおとりになった、こうおっしゃるけれども、しかし今後の傾向からいえば、もっともっと六%にも六・五%にもなるという傾向があるのではないだろうかという感じが私はするわけです、特に不燃性のものとか粗大ごみというものが出てくる場合には。そうするととてもじゃないが追いつかない。  先ほど、一番気にかかることは、局長のおっしゃったように、計画としては達成をした。しかし予想せざるファクターがあるから、この計画というものをもう一ぺん年次計画としてやらなければならぬようになってきたんだ、こういう話があったわけですけれども、それでは実は困ると思うのです。やはりアローアンスというものを見ながら、常にアローアンスというものを頭の中に入れながら計画というものをやっていくことが、いま少なくとも廃棄物に関しては必要ではないだろうか、私はこういう感じがするわけでありますが、そういう点をぜひお考え願って、大臣に、いまさっきお伺いしたのは、どうも計画が甘いのではないだろうか。数字からいっても、第一次、第二次、第三次という計画の中の数字の中にちぐはぐな点が出てきているわけです。そうすると、要するに基礎的な数字考え方の問題、出し方の問題の中に、少し見通しとして甘い点があるのではないだろうかということを第一点としてお伺いしたわけです。     〔小沢(辰)委員長代理退席、橋本(龍)委員長代理着席〕  第二点については、やはりいまこの計画を阻害している最大の原因というのは土地問題ではないだろうか。その土地について、これはその当事者である厚生省はもちろんでありますけれども、自治省、それから大蔵省も前向きに考えていかなくてはならないのではないだろうか。つまり単に起債というのではなくて、補助というものについては、もっと前向きに考えてもらってもいいのではないだろうかという話をして、それぞれ御意見をお伺いしたわけです。  最後に、大臣せっかくお見えになったわけですから、お考えをひとつお聞かせいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  165. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 この法律によりまして、五十年度までに行なう事業の実施の目標と事業量閣議決定をするわけでございます。年次計画もその中に入ると思います。しかし、その計画がいまおっしゃいますような、実施と見込みが違う場合もある。年々そいった実施の状況、それから将来の見通しというものに間違いがあれば、これまた訂正する道があるわけでございますから、訂正をいたしまして、そして五十年にはいま考えている計画を達成するようにいたしてまいりたい。そうしてまた第四次緊急整備計画というものがなくていいようにやってまいりたいと思っております。
  166. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)委員長代理 古川雅司君。
  167. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 廃棄物処理施設整備緊急措置法案につきましてお尋ねをしてまいります。  私は、昨年の本委員会において十月十二日に、赤潮に関する総合対策の促進について、また同じく十一月十一日には、廃棄物処理ごみ処理に関しまして一般的に政府の御見解を伺ったわけでございますが、今回のこの法案の提案理由の説明を伺いながら、昭和五十年に至るこの計画策定によって、はたしてどれだけの実効が期待できるか、非常に疑問を感じたところであります。そういう観点から、これから二、三お伺いをしてまいりたいと思いますが、特に今回の計画策定にあたりましては、屎尿処理施設ごみ処理施設のほかに産業廃棄物処理施設についても、新たな計画によって整備を促進することが必要になった、このように提案理由の中にしるされているわけでございますけれども、まずその辺からお伺いをしてまいりますと、いわゆる工場排水、工場廃液といわれております、こういったものにつきましては、産業廃棄物という範囲の中に入れることができるかどうか、その御見解から伺ってまいりたいと思います。
  168. 浦田純一

    浦田政府委員 観念的には、それらの工場排水等は、この廃棄物に入ります。しかしながら現実の問題といたしまして、下水道整備計画があって、それを取り込むということになりますと、その部分は下水道法の整備に取り込まれることとなり、廃水を工場が処理して放流する場合は、水質汚濁防止法の規制を受けるわけでございます。
  169. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 観念的にと前置きして御答弁をいただいたわけでございますが、そういたしますと、本法案の運用の範囲では、そうした工場の廃液の処理については、産業廃棄物処理施設の建設計画等には全く関与しないということに断定できるのでしょうか。
  170. 浦田純一

    浦田政府委員 いえ、そうではございませんで、今回の産業廃棄物処理施設整備計画の中身には、当然地方公共団体設置いたしまする一般産業廃棄物処理施設の対象といたしまして、廃油の処理施設とかそういったようなものが現実の計画の中に考えられておりますので、これらも対象でございます。ただ実際問題として、市街地等で下水道整備計画というものがあるところは、それからはずれていく、その辺の調整という実際的な問題がある、こういう意味で先ほどお答え申し上げたわけでございます。
  171. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 去る六月三日でございますが、瀬戸内海汚染総合調査団によりまして瀬戸内海の汚染総合調査報告がなされております。これの非常に重点的に報告されているところで、特に注目を引きますのは、いわゆる海水中の有害物質、それから重金属の存在をあげておりまして、海洋資源の宝庫といわれておりますあの瀬戸内海においてすら、すでに奇型魚や異臭魚が数多く発見されておりますし、汚染に強い生物だけがやっと生存している。そういう汚染の非常に深刻な現状が報告されているわけでございます。  最初に私が御質問申し上げましたのも、こうした事実が多く、工場廃液等に強い関連を持っているために、今回のこの立法措置によって、この瀬戸内海の汚染に対して何らかの改善が加えられることが期待できるかどうか、そういう意味で御質問申し上げたわけでありますが、この点、いかがでございましょうか。
  172. 浦田純一

    浦田政府委員 瀬戸内海についての具体的な御質問でございますが、まず産業系の廃棄物、これは液状のものであれ、あるいは固型状のものであれ、原則として廃棄物処理法にありますとおり企業者の責任で、企業者がみずから処理するということになるわけで、大部分の産業廃棄物事業体のほうで、この処理施設をつくるということになるわけでございます。     〔橋本(龍)委員長代理退席、小沢(辰)委員長代理着席〕  ただ、特殊なもの、あるいはことに中小企業が個々で処理するよりも共同で処理したほうが効率的にもよいといったような場合、それから都市糸の廃棄物処理、こういったような場合、本計画でいっております産業廃棄物処理施設を整備していくということに相なるわけでございまして、その限りにおきましては産業廃棄物共同処理場というものを地方自治体が整備し、それを運営管理していくということによって、瀬戸内海の汚濁の一つ原因である工場排水あるいは廃棄物というものによるものは防げる。  それから屎尿処理について申しますと、大原先生の御質問のときにもお答え申し上げましたとおり、来年度からは全面的に瀬戸内でも海洋投棄は禁止するわけでございますし、それから一般廃棄物につきましても、いま御審議願っております本計画に関する法案が可決され、閣議決定されまして実施に移るということによりまして、御指摘のような瀬戸内に対する廃棄物による汚濁ということは、大幅に改善されていくというふうに申し上げられると思います。
  173. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 すでに産業廃棄物につきましては、廃棄物処理及び清掃に関する法律にはっきりと事業者が、その処理責任に当たるということが明記されておりますが、何らかの形で事業者廃棄物を一定の基準を目標にして処理いたしますね。その処理を済ませた廃液なり、あるいは廃棄物質について、これはやはり産業廃棄物として、それを呼ぶことができるかどうか。たとえばパルプ工場で大量の廃液を出します。これを一定の基準に従ってろ過なり、あるいは中和なり、あるいは希釈をして放流をするわけであります。その第一次の処理を済まして放流されたものについても、やはり廃棄物と言えるかどうか、その辺の御見解を伺っておきたいと思います。
  174. 浦田純一

    浦田政府委員 この廃棄物処理法考え方といたしましては、処理したものにつきましても、依然としてやはり廃棄物であるということは言えるわけでございます。ただ、それから出てまいります廃液等が処理の基準というものに合致していなければ、事実上排出できないということになるわけでございます。
  175. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 しかし、実際問題としては、すでに定められている基準よりも、最悪の状態で放流をされている場合が多いわけでありますから、先ほどの汚染調査報告の実態に見られるように、実際問題としては、こうして多量の重金属や、あるいは毒物等が蓄積して発見をされるということになってあらわれていると思います。したがいまして、事業者等において、十分処理をしないまま廃棄をするということ自体が問題になっていくと思うのであります。  くどいようでありますけれども、もう一度確認をさしておいていただきますが、事業者側において処理をし終わったそのものが、処理の内容が十分であるか、あるいはそうでないかは別問題として、一次的な処理が終わったものを放出することについては、これも産業廃棄物とはっきり言うことができるということでございますね。
  176. 浦田純一

    浦田政府委員 廃液等の排出につきましては、廃棄物処理法のほうから一定の処理基準に適合しなければならないという仕組みになっておるわけでございますが、実際にこれが環境に放出された場合、そこからは、これは水質汚濁防止法との関連が出てまいります。私どもはこの廃棄物処理法の基準でもって、十分に環境汚染その他について悪影響は及ぼさないだけのものを考えているわけでございますが、現実的な問題として、私どもは  一般海域に出た場合のその数値と申しますものが、広範的に考える場合、あるいは特に重点を置いて考えなくちゃならない特定の物質の場合、これはやはり水質汚濁防止法の規定というものをその場所、その時点から考慮して処理してもらうということでございますので、詳しいところは関係の環境庁のほうにお聞きいただきたいと思います。
  177. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 私がこういう点をくどくどとお伺い申し上げているのは、事業者側で処理をした、あるいは基準を一つの目標にして処理をしていると弁明しているにもかかわらず、今日なお海洋の汚染が進行しているわけでございます。  特に私たち国民の健康に対して直接被害を及ぼしてきているような事実が、最近続々と指摘をされているわけでございまして、二、三の例をあげて、その対策をお伺いしたいのでございますが、最近では、いわゆる潮干狩りというような一家行楽のレクリエーションにおいても、せっかく集めた貝類を持ち帰っても食べることができない。それほど日本列島の近海においては汚染が進行している。これはたまたま無作為抽出的にそうした魚貝類を分析して、重金属が発見された、水銀なりカドミなりが検出をされたということで、食用に供するのは危険である。健康に被害を及ぼす危険があるということが発表されて、国民に大きな不安を残しているわけでございますが、今日のような産業廃棄物に対するまことに無責任、放縦的な基準の設定や廃棄物処理に対する監督、監査があいまいであるときにおいては、近海における汚染がどれほど進行しているか、総体的にはわからないと思います。国民のこうしたささやかな一つの楽しみである潮干狩りさえ年々できなくなっている、こういった点について、今後国民の健康を守っていく立場にある厚生省においては、ただ、たまたまそうした重金属等の有害物質が発見されたというところについてだけ危険を呼びかけていくのか、あるいは全国的にこれは総点検をする必要があるか、あるいは年次的に調査をするなりして、ここは危険であるとか、ここはだいじょうぶであるというようなところを発表していく、そういうところまでする必要が生じているのではないか、そういうことを考えるわけでございますが、こういった点については、どのような見解をお持ちでございますか。
  178. 浦田純一

    浦田政府委員 カドミウムあるいはPCBにしても、そうかと思いますけれども、それらの物質によりまする環境汚染の問題ということで、この点は対策を立てていくべき問題だろうかと思います。  廃棄物処理法の関係で申しますと、PCBあるいはカドミウム等につきまして、それらがどのような経路で汚染されていくかというその経路について、考慮をするということに相なるわけでございまして、私どもはこれらの問題につきましては、関連します大気汚染防止法とか、あるいは海洋汚染防止法とか、あるいは水質汚濁防止法その他関連の環境汚染を規制する法律というものとの関連で考えていきたい、具体的には、それらの規定を受けて、たとえばごみ焼却場等の施設基準といったようなもの、これらについて配慮してまいる、このようにして処理してまいりたいと思います。
  179. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 厚生大臣に全体的な立場でお伺いをいたしますけれども、小さいことを取り上げてたいへん恐縮なんでございますが、家族そろって潮干狩りに行って、そこで集めてくる魚介類を安心して食べていいかどうかということ、これはいま国民の大きな不安になっておりますけれども、これは一体どこが責任を持ってこの管理に当たっていくのか、環境庁だとおっしゃるか、あるいは水産庁のほうに及んでいくのか、あるいは厚生省のほうで、この地域については、だいじょうぶですよ、ここでとれるものについては、だいじょうぶですよということをはっきりしていくような立場をおとりになれるのかどうか、たいへん恐縮でございますが見解を伺いたいと思います。
  180. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 潮干狩りにいってとった魚介類を食べても健康に差しつかえないかどうか、この責任はこれはやはり厚生省だろうと思います。したがって、そういったおそれのあるような地域については、やはり眼を広くして絶えず注意をしていなければならない、かように思います。そういう状態にならしめるについては、先ほどいろいろ説明いたしておりましたように、水質汚濁防止法あるいは海洋汚濁防止法、これを各産業活動をする人たちが守っているかいないかということであろうと思います。これを守らすのは環境庁であり、あるいは通産省も責任があると思いまするし、また運輸省も責任があると思うのであります。それらの官庁がほんとうに責任をもってやっておれば、そういうことが生じないはずなのでありますが、しかし、そういうはずがはずでないという場合に、そういったところの魚介類というものはなきにしもあらずというわけでありますから、そういう場合には、やはりこの地域の魚介類は食べてはいけないという警告を発するための調査をやるというのが厚生省責任であろう、かように考えております。
  181. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 これまではたまたまそうした魚介類の汚染のあるところについて二、三の特殊な場所で分析の結果、そうした有害物質が検出をされたわけで、その周辺の住民に大きな不安を与えるわけでありますが、いまの大臣の御答弁からいたしましても、やはり国民に安心して、そうしたささやかな潮干狩りも楽しんでいただけるようにするためには、積極的に調査あるいは魚介類の分析等を事前にして、ここは安心ですよ、心配ありませんよという厚生省としての意思表示をなさっていく、そういう必要はないでしょうか。
  182. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 大体そういうおそれのある地域は十分チェックをいたします。またいたさなければならないと思っております。いまのPCB工場、そこから出る廃液の流れ出るであろう地域というようなものは、これはやはり特にあらかじめ調査をして必要があれば警告しなければなりません。そういうおそれのないところまで全国津々浦々というわけにまいりませんが、大体見当がつくわけでありますから、そういうようなおそれが出てきたという地域は遅滞なく調査をして、必要があれば警告を発するというようにいたしたいと思います。
  183. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 同じように、これから海水浴の季節に入るわけでございますが、それぞれこれまで海水浴場として親しまれてきた場所に年々水泳禁止の立て札が立てられるようになってまいりました。これは産業廃棄物に限らず、下水あるいは屎尿投棄等、それぞれ複合的に原因はからんでいると思いますけれども、環境庁にもおいでをいただいておりますが、海水浴場の現状について、最近とみにそうした水泳禁止区域等がふえている傾向にあると私は理解しておりますけれども、この現状はいかがでございましょう。
  184. 浦田純一

    浦田政府委員 海水泳場の問題につきましては、従来厚生省が環境衛生上の立場からその調査なり、あるいは清掃についての指導、助成等を各都道府県を通じてやっておったところでございます。今年も主要海水浴場についての水質の汚濁の状況、適否の判断、それらについては引き続きやるつもりでございます。  ただ従来と変わりますのは、ここに環境庁が発足いたしまして、水質の問題につきましては環境庁のほうにお願いして、手を携えて快適な海水浴が楽しめるように実情を把握しながら、問題があれば警告をして指導していく、こういうふうなことでございます。  昨年、一昨年非常な問題が起こりましたが、その後非常にこそくな手段ではございますけれども、海浜地帯の清掃あるいは直接的にそこに入る河川水の塩素による滅菌、その他講じられる措置を講じてまいりまして、いま大過なくと申しますか、かろうじて海水浴がやれるというところの措置をとらせてきております。     〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕 今年度は時期に入っておりますので、さっそくさらに最近の状況についてのデータを集めて適切な措置が講じられるように環境庁とも協議しまして、対応してまいりたいと考えております。
  185. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 廃棄物処理及び清掃に関する法律の第五条の(清潔の保持)というところに、こうした海水浴場等も含めて、これをよごしてはならないという一項があるわけでありますけれども、海水浴客等のよごすということ、それはさておいて、先ほど申し上げた下水とか、あるいは屎尿の投棄、そしてまた工場からのいわゆる産業廃棄物、そういったものがこうした海水浴場等をよごし非常に水質を汚濁して、さらにこれは健康上も非常に問題になるのじゃないかというふうに考えますと、当然清潔の保持を妨げるもの、汚染をするものについては、積極的に取り除いていかなければならないと思うわけでございます。実際問題としては、大腸菌の数がふえるとかいろいろな要件はありますけれども、そうした汚染によって水泳禁止、ここはもう泳げないんだ、ここはもうすでに海水浴場としては使用にたえられないんだ、非常に健康に危険であるということで、使用禁止という措置でこれまで切り抜けてきたわけでございまして、どちらかでどういうデータをとっているか知りませんが、これまできれいな水のところで伸び伸びと泳げたところが、すでに海水浴場としては適さないところ、これがどのくらいあるか、もし数量的にお示しいただければ、この際御参考に伺いたと思います。  あわせて、ただいま塩素滅菌等の処置も加えて安全を期すというような局長の御答弁でございましたけれども、すでに、引き合いになるかどうかわかりませんが、光化学スモッグ、オキシダント情報等については毎日情報が伝えられておりますけれども、こうした海水浴場等については、その汚染の度合いあるいは健康への影響等については全く無情報のまま一夏か過ぎるわけであります。この辺、国民の健康との関連も含めてどのように対処していかれるか、対策を伺っておきたいと思います。
  186. 浦田純一

    浦田政府委員 毎年シーズン前には厚生省の記者クラブを通じまして、全国の主要海水浴場の実際の衛生上から見ました状況について発表しているところでございます。全国的に申しますと、年間五万人以上利用しておる海水浴場の数は百四十三カ所でございます。これらを私どもはその水質が海水浴に適しておるかどうか、健康上支障がないかどうかということをはっきりさせるために、いろいろな衛生上の項目の調査をいたしております。  これは昨年の数字であるわけでございますが、まず大腸菌の数からいきますと、比率で申しますと約八・八%ほど不合格という状態でございました。百四十三カ所のうち十三カ所でございます。それからCODで申しますと、これはかなり問題がございまして、百四十三カ所のうち五十四カ所という数字が出ております。三六・九%が不適当という比率でございます。今年度はまだ数字がそろっておりませんので、私どもはことしの環境庁のほうの御協力も得まして、早くこれらの実態を明らかにして、海水浴客に対しまして、不安のないように指導をし措置してまいりたいと思っております。
  187. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 具体的に瀬戸内海に見ましても、年々汚染が進行して、いわゆる泳げない海水浴場ができてきているわけでございます。そういう意味でも、今後下水道の整備または屎尿処理、また産業廃棄物処理等については緊急性をもって対処していかなければならないわけでございます。くどいようでございますけれども、今度の五カ年計画によって、少なくとも今日まで狭められてきた海水浴場が、さらにこれ以上狭められることなく、むしろこれまでの汚染を浄化して、もとに復すというところまではいかないでしょうけれども、少なくともこれ以上汚染を進めないということにはっきり効果がある、実効があると言い切れるかどうか、その辺を伺っておきたいと思います。
  188. 浦田純一

    浦田政府委員 海水浴場等の清潔保持と環境改善という点を含めまして、いわゆる環境の改善と申しますか、汚染からの防止と申しますか、この点にかかわります本計画の重要性というものは、私どもは十分に理解しておるつもりでございます。しかしながら、環境汚染全般を防止する、あるいはさらに、これを保全し、美しくしていくということに関しましては、あるいは水質の汚濁の問題、あるいは大気汚染の問題等々ございまして、それぞれの所管の法律に基づく規制というものが必要であろうと思います。あるいは全般的には下水道の整備ということも必要であろうかと思います。私どもはこれら環境を保全し、さらに美化していくのに関連する諸法規並びにそれを所掌しております諸官庁との連絡を密にしながら、本計画の関与しております問題につきましての重要性を十分に踏まえまして、この実現、早急な達成に努力してまいりたいと考えております。また、そのようにしなくてはいけないというふうに私どもは思っております。
  189. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 次に、ごみ焼却施設についてでございますが、これは先般十一月十一日の委員会で御質問申し上げましたので、重複を避けてお伺いをしてまいりたいと思います。特に、焼却施設の建設にあたりまして、いまいわゆるプラスチックの混入率の問題が非常に注目をされておりますけれども、これまでの資料によりますと、昭和三十八年ごろでは三・三%、四十年で六・五%、四十五年には一〇%をオーバーして、大体五十年ごろには一七%に達するのではないかというふうに一般的にいわれておりますけれども、これは炉内の温度を非常に高熱にして、焼却炉の破損、あるいは必要空気量の増大というようなことが、いろいろトラブルを引き起こしているようでございます。今後プラスチック廃棄物ごみの中の混入率がどうふえていくというふうに予測をしていらっしゃるか、その点ひとつお伺いいたしたいと思います。  時間がございませんので、あわせてもう一つ関連してお尋ねをいたしますが、したがって、すでに各地方自治体では焼却炉の維持、修理に非常に費用を、そしてまた手数をかけておりまして、少なくともこれまで以上に修理費がかさみますし、一年に一度程度定期検査をしていた炉が年々短縮されて、ところによっては年に二度補修をしなければならない。これが地方自治体のいわゆる衛生費の非常に乏しい財源をさらに圧迫しておる。こういう事実が数々報告をされていると思いますが、今回の基本計画によりましては、こうしたプラスチックの混入に対して今後新設する炉に対しては考慮がなされておると思いますけれども、既設の炉については、こうした国の積極的な財政援助というものが考慮されていないように私感ずるのでございますが、この辺いかがでございましょうか、御見解を伺いたいと思います。
  190. 浦田純一

    浦田政府委員 廃プラスチックの一般ごみの中の含有量の予測でございますが、これは先生がいま申された数字で大体よかろうかと思っております。私ども昭和四十五年度に調べました実態によりますと、調査いたしました都市が百五十七都市でございますが、九一%に当たる百二十二都市におきましては、大体一〇%以下でございます。それから一〇%から一五%をこえておるところが約十一市ございます。一五%から二〇%をこえておるところが四市という状況でございます。  私ども昭和五十年には、この率がさらにまたプラスチック類の生産状況等の予測からかんがみまして、ふえるという予測を立てておりました。ところが最近の、これは詳しい数字はまだ出ておりませんけれども生産状況がかなり落ちてきたということなどもありまして、それからもう一つはプラスチックに対する生産者のほうの認識の向上、あるいは消費者のほうの御理解の向上ということもございまして、多少その伸び率が鈍化しておるということはいえるかと思います。私どもはこのプラスチックの処理問題につきましては、まず新しいものにつきましては、先生が御指摘のとおり、設備の高度化ということによってプラスチックの多少の混入率の高まることについては対応していける。少なくとも二〇%前後のところまでは対応していけるように考えております。  また、根本的にはやはり生産者側、消費者側の御協力、御理解というものを今後も極力高めていくという行政指導、それには先ほども申し上げたと思いますが、廃棄物処理法の第三条を全面的に活用してやっていくということで、自治体制にかかる過当な負担というものを軽減してまいりたい。また既設のものにつきましては、これはいままでは制度上補助の対象にはせられておりませんけれども、修繕、修理等につきましては、これは起債充当ということで対応していく。全般的には、いま廃棄物の中に含まっておるプラスチックの混入率というものにメスを入れていくということを前面に立てながら考えてまいりたいと思っております。
  191. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 同じく廃プラスチックの焼却処理に関係をいたしましてこの際お伺いをしておきたいのですが、いわゆる焼却炉から排出される灰等でございます。またいわゆるばい煙の防止等のためにばい煙を水洗をしております。そういったことを含めて、炉から排出されるいわゆる水の中に、プラスチック廃棄物にすでに混入している金属類がかなり検出されて問題になっておるところがございます。金属としては、バリウムとかカドミウム、鉛、こういったものが発表されておりますけれども、これが今後廃プラの混入率の増加によって、かなりこうした金属類も当然量を増して排出されることになると思います。また塩ビ等においては、煙を水洗いたしましたときに、いわゆる塩酸になって排水の中にまた加わるわけでございます。こういったいわゆる炉からの排水が、いまほとんど未処理のまま放流されている、これは一つ問題ではないかと思うのです。この点についてどうお考えになっておるか、御説明をいただきたいと思いますし、特に今回の計画の中にも、いわゆる廃プラスチックの専焼炉が一つあげられておりまして、専焼炉においては、特にいま申し上げたような心配が濃厚になってくるのではないかと思います。こうした廃プラスチックの専焼炉をはじめ、一般のごみ焼却炉において、その排水についてこれをチェックし、あるいは必要とあればその基準、処理方法等を考える必要があるのではないかと思いますが、この辺についてはどのように認識をしていらっしゃるか、御説明をいただきたいと思います。
  192. 浦田純一

    浦田政府委員 廃棄物を通じまして、これを処理する場合に、いろいろな有害物、重金属等が、最終的には灰あるいは場合によりましては大気中に移行するという可能性は、御指摘のとおり、確かにないとはいえないと思います。しかしながら、プラスチック類を、たとえば専焼炉で処理するといったような場合につきましては、大気汚染を防止する設備をこれにビルトインさせるという形で対応し、現在の焼却炉につきましても、率直に申しまして、まだ技術的に完全というところまでいっておりませんけれども、これらの有害有毒な排ガスを吸収し、取り除くという設備を逐次既存のものについてもつけつつあるところでございますし、本計画におきましては、その設備の中に当然除害施設というものを盛り込んでいきたいということでもって計画を樹立してございます。しかしながら、焼却した残渣、灰中の金属類の問題でございますが、これらの挙動につきましてはなお未解の点がございます。一般的に申しますと、かなり高温で焼却するということもございますので、酸化物など、むしろ重金属がかりに存在しましても、酸化物等の形で存在するということになりますので、かなり安定化した、固定化した形になるということも十分に予測されますので、この場合は埋め立て等にこのまま残渣を用いましても格別問題はないはずだというふうに思いますが、いまの点につきましては、私どものほうで、焼却時における重金属等有害物質の挙動等の究明の研究というものに現在も着手して、四十七年度につきましても引き続きこの究明には当たるということになっておりますので、できるだけ早い機会にそれらの結論も得て、なおこの辺について最終的に安全であるということが確認できるように、万一問題があるとすればそれに対する除去施設というものはさらに検討していくということで対応してまいりたいと考えております。
  193. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 先般来大問題になっておりますPCBの処理についても、PCBの使用も規制され、製造も禁止され、今後いわゆる廃棄物の中に、産業廃棄物であれあるいは一般廃棄物であれ、多分にその混入してくる危険はまだ残されているわけでありますが、特に、御承知のとおり、これを廃棄の際、焼却すると、さらにその毒性が強まるということが発表されております。いま焼却炉から出る灰の中の重金属等について伺ったわけでございまして、今後このPCBについても当然家庭ごみの中に入ってくるものについて、これが焼却されて毒性を強め、それが排水の中に、あるいは灰の中に混入してくるということも十分考えられるわけでございます。これに対してどう対処していくお考えでございますか。
  194. 浦田純一

    浦田政府委員 PCBを高温で焼却いたしますと、ほぼ千三百度前後ぐらいで、ほぼ九九・何%というぐらい、ほぼ一〇〇%と申してもよいぐらい分解するという事実はわかっております。しかしながら、一方では、先生が御指摘なさいましたように、これが窒素酸化物の原因としてまた別の害を起こすというおそれもあろうかと思います。しかし、その総体的な毒性と申しますか、環境汚染に対する役割りと申しますか、これらを考えますと、第一段階といたしましては、やはりPCBを高温で分解させるということで、さらに、それに伴うであろうところの、もろもろの窒素酸化物等、これらについての措置を講じていくということで、理論的にはこれらの有害物質の除去は可能でございます。ただ現実の問題といたしまして、PCBを私どもは一般廃棄物の中から選別して専焼の炉で処理していくということは、実は現実の問題としてはこれは実現不可能であろうと思います。しかしながら、一般閉鎖系のもの、あるいはさらにPCBが混入しているということが明らかになったもの、それらについては、除却施設を設けました専焼炉というものによってあたる。それから一般廃棄物の中に含まれましたPCBにつきましては、これは実はPCB総量の中で占める割合は非常に少ないようでございます。大体三%から五%というふうに私どもは推測しておりますが、これらが毎年少しずつ市町村の清掃事業の中で処理されていくといった実態を考えますと、はなはだその点、曲のないような説明になるかと思いますけれども、環境汚染分子としてはウエートは小さいのではないか。これらについてはすでに数市において、実際にPCBがどれくらい焼却炉の排煙の中に含まれておるかということをいわばモデル的に調査してみましたが、ごくと申しますか非常に微量でございまして、現在のところはそう環境汚染に与える影響というものは憂慮することはないんじゃないかと思っておりますが、なおさらにこのデータをもとにして、実態については調査を進めていきたい、かように考えます。
  195. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 本基本計画にも関係してまいりますけれども、たとえば一般廃棄物とそれから産業廃棄物、この縦で分けでございますけれども廃棄物処理及び清掃に関する法律によりますと、産業廃棄物以外のものはすべて一般廃棄物というふうに規定をされているわけでございますが、一般廃棄物のほうはいわゆる市町村にその処理責任がゆだねられているわけでございまして、時間がございませんので一つ具体的な例をあげてその考え方を伺っておきたいのでございますが、たとえば使い古した自動車のタイヤがあります。これは各家庭で新しいタイヤを買ってきて取りかえた場合、ここで排出する場合には、これは一体どうなっていくのか、それから、ガソリンスタンドやあるいは小さな修理工場等でタイヤを取りかけてその古タイヤを出した場合、この廃棄物は一体どうなっていくのか、この辺に一つ問題があると思いますのでお伺いをしてまいりますが、実際問題として、この始末に困って、あえて地名をあげませんが、あるところでは、業者が組合をつくって、金を出し合って、土地を買い込んで、そこへいま積み上げているけれども、処置の方法に困っている。ある地方では、夜陰にまぎれてこれを山合いの谷間に捨てに行って、もう少しで谷合いが全部古タイヤで埋まってしまいそうだ。これは実際私どものところへ陳情の形で、その始末に困って出てきております。これは一体どこの責任においてこれを処理しなければならないのか。伺いますと、古タイヤ等については、これを破砕して、こまかくして、これを埋め立てに使わなければならないというような、そういう一つの方法を示していらっしゃるようでございますが、この切り砕くこと自体に、破砕機、カッターが非常にまた費用を要するし、少なくとも各個人においては非常に費用のかかることだし、頼んで破砕してもらうにも費用のかかることであるし、小さな修理工場やガソリンスタンド等においても、これは非常な負担になってくる。今後のことも考え合わせて一例としてお伺いするわけでありますが、こういった点、一般廃棄物として考えるのかあるいは産業廃棄物として考えるのか、この辺非常にあいまいなところでございますので、この際お伺いしておきたいと思います。
  196. 曽根田郁夫

    ○曽根田政府委員 いまお尋ねの事例でございますけれども、前のほうの事例は、法律解釈としては一般廃棄物に入るかと思います。あとのほうの事例は、産業廃棄物としてとらえられると思います。このタイヤの問題につきまして、実は法律の区分として、一般廃棄物に属するかあるいは産業廃棄物に属するかということによって必ずしも処理、処分の体制がさい然と分かれるという性質のものではおそらくないと考えております。大量の古タイヤ等の処分につきましては、やはりもちろん再生利用が望ましいところでありますけれども、それの困難なものについて、大量にそういうものが出るような場合は、通産省とも相談いたしまして、関係業界による回収、そういったものの指導が必要と思いますし、それから、大量の事業者による自主的な回収処分ということが期待できないようなものにつきましては、ただいま御指摘のありましたように、廃棄物として市町村当局の清掃サービスの体系内で処理する。そうすればこれはいわば一種の粗大ごみでございますから、当然、切断、破砕等によって処分するということになろうかと思います。
  197. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 粗大ごみ一つになってくるというお話でございましたけれども、例として古タイヤを申し上げたのですけれども、このほか、粗大ごみにつきましては、本基本計画についてもうたわれておりますが、実際問題として、これは回収方法やそれから処理方法が開発されているのかどうか。また、この四年計画によっていわゆる粗大ごみ処理施設がこれっぼっちではたしてだいじょうぶなのかどうか、これは今後の大きな問題になってくると思います。特に今日、非常に急激な消費時代にありまして、使い捨ての時代、そうしたことから、粗大ごみが年々増大している傾向にあると思いますが、先ほどのタイヤの例に見るように、実際にこれを処理する場合には、非常に大がかりな設備等も要するわけでございまして、そうした処理をする以前に、たとえに申し上げたとおり、谷間へ捨てたり川へ捨てたり海に捨てたり、あるいは路傍に放置するというようなことが現実に起こってきているわけでございまして、この計画で一体どれほどこうした粗大ごみにづいての処理体制に対して前進を期待できるのか、これを重ねてお伺いしておきたいと思います。
  198. 曽根田郁夫

    ○曽根田政府委員 今度の緊急整備措置法の対象として掲げられております粗大ごみは、実は一般廃棄物だけの粗大ごみでございますので、大体粗大ごみとしておおむね一般ごみの中で五ないし一〇%ぐらいのものが粗大ごみと言われているわけであります。当面考えておりますのは、その一般廃棄物の中の粗大ごみ、これについておおむね人口五万人程度の単位で四カ年間施設整備を行なっていこうという考えでございまして、これについても、はたしてこれで十分かどうかという議論はおありかと思いますけれども、私どもとしてはどうもこれで一応はやっていけるのではないかというふうに考えておるわけでありますが、ただ、先生の御指摘のように、粗大ごみの問題は、もちろん家庭内の大型頑強あるいは耐久消費財の問題がございますけれども、いま御指摘もございましたように、むしろ産業廃棄物系のものに非常に問題があるわけでございまして、これについてはまた別途、ただいま廃棄物処理法に基づく産業廃棄物の広域処理計画、各都道府県単位につくらせておりますけれども、そういったものの内容を十分検討いたしまして、それによりまして通産省その他とも十分連絡いたしまして、適正な回収処分体制、そういったものを整備してまいりたいというふうに考えております。
  199. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 先ほどたとえに申し上げた古タイヤの不法投棄等について——すでに捨てられているわけであります。しかもこれはおそらく、一般家庭の人たちがタイヤを取りかえて古くなったタイヤを捨てたというよりは、小さな修理工場やあるいはガソリンスタンド等で、かえたその古タイヤをまとめて捨てにいっているわけでございます。こういうのは一体今後具体的にどう処理をしていくことになるのか、その点が一点と、それから、日本でもそろそろいわゆるポンコツ車が粗大ごみの中に加えられて憂慮されておりますけれども、これはアメリカでは重大問題になっていますけれども、日本でも御承知のとおり、すでに路上放棄が非常に目立ってまいりました。今回のこの粗大ごみについての取り扱いが一般廃棄物に限られておりますが、こうしたポンコツ自動車のいわゆる粗大ごみとして考えた場合の廃棄処分についても、今後これは対処していかなければならない。この点についてはどういう見通しを持っていらっしゃるのか、この二点について伺います。
  200. 浦田純一

    浦田政府委員 現時点におきましては、タイヤというものが廃棄された場合につきましては、ある部分については一般廃棄物として処理されるであろうと考えられます。しかし、その量が膨大にのぼってきた、また将来もそのように予想されますので、これについては先ほど審議官のほうからも御説明しましたように、やはり一つの回収ルートと申しますか、サイクルを考えまして処理していくという体制をはかるべきであるということで、いま関係の団体あるいは運輸省、通産省その他とも相談をしておるところでございます。  それからいわゆるポンコツ車処理でございますが、これもやはり同様に考えていくべきで、これの機械につきましてはいわゆる圧縮機という設備もございますが、これらもやはり一つの回収ルートというものを考えて処理すべきである。これらに関する費用その他は、やはりこれは原則的には利用者あるいはメーカー、いろいろとこの具体的負担の技術的な問題については分かれるところがあろうかと思いますけれども、そういった方向でもって処理してまいるように、関係各省ともなおこの問題を詰めていきたいと考えております。
  201. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 最後に、通産省からおいでをいただいておりますので、一つだけ伺いますが、これからもさらに新しい材質あるいは新しい製品がどんどん開発をされていくわけでございまして、これは何らかの形で処理のむずかしさというものを引き起こしてくる可能性を持つわけであります。したがいまして、こうした新製品を開発するに際しましては、当然それらのものの終末的な処理の方法まで考慮に入れてこれを指導する必要があるのじゃないかと思います。特にいまの時代の流れから考えてその要請が強いと思いますが、通産省当局も検討していると思いますので、その実情について御説明をいただきまして、私の質問を終わります。
  202. 小幡八郎

    ○小幡説明員 お答えいたします。  プラスチック等が廃棄物になった場合に、これが処理しやすいというようなものを開発いたしますことが最も効果的な廃棄物対策と通産省としても考えておるわけでございまして、ここ数年間に易分解性のプラスチックの開発を中心にいたしましていろいろの研究開発や企業化が行なわれているわけでございます。  すでに企業化されているものには水溶性の樹脂がございますが、現在、紫外線で分解するポリオレフィンや無機物を配合した低発熱量の複合樹脂等の実用化が進められております。また、米国からの技術導入によって、光崩壊性を有するポリオレフィンの企業化計画もございます。このように、民間におきまして種々の研究開発あるいは企業化が行なわれておるわけでございますが、通産省といたしましても工業技術院傘下の繊維高分子材料研究所におきまして、易分解性プラスチックの研究を進めておるわけでございます。  このように、官民双方で処理性のよいプラスチックの開発が進められておりますが、当省といたしましては、金融とかあるいは税制等の助成措置によりまして、今後ともその開発を強力に推進してまいりたいというように考えております。
  203. 森山欽司

    森山委員長 次に、大橋敏雄君。
  204. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 大臣に初めにお尋ねいたしますが、いままで廃棄物処理問題についていろいろ議論がなされてきたわけでございますが、何はともあれ、ものごとを解決しようと思えば実行、そして行動力というのが非常に重大な要件になるわけでございますが、この行動力、実行力というものは、ものごとの認識、評価の違いによって相当変わってくるわけでございますけれども、この廃棄物についての大臣のまず認識の程度をお尋ねをしてみたいと思うのです。と申しますのは、これはちょっとさかのぼりますけれども、政管健保の問題については、これは制度の崩壊の危機だということで、言うならば、厚生省の総力をあげてそれに取り組まれていたという感じを外からでも受けるわけですね。それでありながらも、問題はいろいろ出てくるわけでございますが、私はこの廃棄物処理の問題はそれ以上の問題ではないかというぐらいに深刻に考えているわけでございますが、    〔委員長退席、田畑委員長代理着席大臣はどのような見解のもとに対策に当たろうとなさっているか、最初に尋ねしておきたいと思います。
  205. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 この廃棄物の問題はまことにたいへんな問題になるだろうと、私はこの前に厚生省を担当いたしましたときからやかましく言っておったわけであります。しかしながら、この産業廃棄物処理というのはなかなかむずかしい、これはたいへんなことになると言いながら、しかし、そうかといって、ほっておくわけにいかないというので、審議会その他にも御意見を——いろいろと審議をしてもらって、そして一昨年、廃棄物処理の新しい法律を出してもらった。ところが、これはたいへんなことになる、なるという認議は十分あるのでありますが、どういうように処理をしていったらいいか。産業廃棄物、特に粗大ごみ、これは現実にそういった処理に当たっておられる府県、市町村等も最近は非常に悩んでこられた。     〔田畑委員長代理退席、小沢(辰)委員長代理着   席〕 最近はいわゆる地方公共団体の一番の苦悩の問題は何かというと、こういった廃棄物の問題。将来みなそういった意味で、非常に大きな関心と、同時に、このままではどうにもならないということ。それには先ほどもお話があったでありましょうが、市町村等の財政能力というものも勘案をしてまいらなければならないと思いますが、それにつけましても、やはり中央においてその大きな筋道を立てていくということが必要であろう、かように考えておるわけでございます。おそまきながら産業廃棄物につきましても、それもくるめて五十年までの一応の計画を立てる。おそらく産業廃棄物計画につきましては、年々事態に応じてまた新しい考え方を織り込んでまいらなければなるまいか、かように思うわけでありますが、さようにこの問題は経済の非常な発展と、そうして新しい化学技術の開発による新しい品物の出回りということを考えますると、容易ならない問題だ、かように考えております。
  206. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 廃棄物は、その量といい、その質といい、形といい、従前のそれとはもう大きく変化したわけですね。御承知のとおりに四十六年九月二十八日に東京都知事はごみ戦争を宣言したわけです。  そのときの本会議場での会議録の中にこういうことばがあるのですね。「迫りくるゴミの危機は、都民の生活を脅かすものであります。したがって、その対策は、いまや最も急がなければなりません。今日、一日遅れることは、将来取り返しのつかない結果を招くでありましょう。」これは非常に深刻な認識のもとにその対策に当たろうとしている表現と私は受け取っているわけでございますが、大臣とて、決して軽々しい気持ちではない。だからこそこのような法案を出したとおっしゃるのでしょうけれども、私はちょっと疑問に感ずることが一、二あるわけです。それは、廃棄物処理法案が一昨年暮れの国会で成立をしたわけですね。ところが、それが発効したのは去年の九月でございます。そこに九カ月間という足踏み状態があったという現実があるのです。私は、そこに、深刻な状態をとらえている廃棄物問題に対する姿勢といいますか、それを行なおうという厚生省、そして大臣のその姿勢がどこか、何かなまぬるいものを感ずるわけですが、この九カ月間も足踏みをしたという理由は一体何だったのか、これをお尋ねいたします。
  207. 浦田純一

    浦田政府委員 今回の整備計画案、これは従来のものと違いまして、産業廃棄物処理という問題が大きく出てきておるわけでございます。先ほど先生も申されましたように、一昨年の清掃法の改正については、その辺の処理ということを……
  208. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 時間があまりないから、要点をすぱっと答えてください。
  209. 浦田純一

    浦田政府委員 それで、新しく処理法が発足したわけでございますけれども、新しい問題として起こった産業廃棄物、これは実はその最終的な定義あるいは処分の基準といったような高度の専門的な技術を要することでございまして、関係専門家によりまして、政令作成の段階で技術面の検討を進めていただいたのでございますけれども、それが当初思っておったよりも長期間を要したために、結果として政令を発布するぎりぎりの九月二十四日までかかった、そういう経過があるのでございます。
  210. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 何かわかるようなわからぬような御答弁をなさったわけですけれども、私が仄聞するところによりますと、廃棄物の定義及び区分というのがこの法の中にあります。その中に、「この法律において廃棄物とは、ごみ、粗大ごみ、燃えがら、汚でい、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のものをいう」ものとする、こうあるのです。その「その他の汚物」の「その他」というところと、その二番目に、「この法律において、産業廃棄物とは、事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち」政令で定めるものをいい、「一般廃棄物とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう」ものとすること、このように定義づけられているわけですね。そのいわゆる政令で定めるところ、これがなかなかまとまらなかった、規定できなかったのだということを裏返せば、企業利益をあまりにも配慮し過ぎておくれたのだ、このように私は聞いているわけですよ。これは確かにそういうこともいえるかもしれません。その次には、事業者責務の中で、産業廃棄物ときまれば、それを事業者がみずから処理する義務を負わされるのですから、非常に問題点であっただろうとは思いますけれども、私は、厚生省姿勢としてはあまりにも弱い姿勢ではなかったのか、もっとはっきり適切にそして迅速にものごとを処理し、そして判断をして行政の進展をはかっていくべきだ、こういうように思うのです。どうでしょうか、この点はそういうこともあったでしょう。
  211. 曽根田郁夫

    ○曽根田政府委員 この法律の猶予期間をどう見るかということは、公害国会で十四の新法あるいは改正案の立法を行なったわけでありますけれども、多くの公害関係規制法は六カ月の猶予期間ということであったのでございますけれども、この法律につきましては、当時、私どもも事務的に、産業廃棄物というものが新しく入る、しかもこれについてそれぞれについて処理、処分の基準を具体的にきめなければいかぬ、そうしますと、大体達観いたしまして、当然専門家の意見等も聞かなければならぬわけでございますから、やはり六カ月では無理ではないか、といって一年ということもあまりに長過ぎるということで、九カ月ということにいたしました。海洋汚染防止法のように一年六カ月というようなものもございますけれども、そういうことでやりましたものですから、その後の作業の実態もまた同じような、やはり実際には九カ月ぐらいかかったわけでございまして、全く法律制定段階での所見といいますか、大体この程度は常識的にかかるだろう、そういうことだけで猶予期間をきめたわけでございます。
  212. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 法律を出す段階で、その程度のことはほんとうはすでに検討済みであるはずなんです。問題は、言いようはいろいろありましょう。しかしながら、私がまだまだ厚生省のこうした廃棄物処理に対する認識が甘いというのは、これまで清掃義務は市町村にゆだねられていたわけですから、どうしてもその認識が甘いのじゃないか。ひとつこの期に及んでその認識を深めていただき、もっと積極な姿勢で対処してもらいたいということです。  それから、この法案の中には、いまさっき申し上げましたように、産業廃棄物というのは事業者に自己処理義務を課しているわけでございますけれども、またそのあとのほうに、都道府県産業廃棄物の状況を把握し、産業廃棄物の適正な処理が行なわれるようつとめなければならないともなっているわけですね。そうなれば、当然この法律の趣旨に基づいて、その対応策として、各都道府県でも産業廃棄物の実態調査がなされたものと私は思うのでございますけれども、そういう報告は寄せられたでしょうか。その点どうでしょうか。
  213. 浦田純一

    浦田政府委員 産業廃棄物を中心とする処理計画、これは都道府県知事が総体的な計画を立てろということで、法律に基づいてその実施を推進しているところでございますが、私どもが現在までに各都道府県を通じて、あるいは各都道府県計画を徴したところでは、具体的な計画を持っているのは大阪それから愛知県、東京都、神奈川県それから山形県、長野県等の都府県でございます。それから兵庫も入っております。これは処理計画が実際に策定中の県でありますが、九都府県でおります。それから、実態調査の完了しておるところは十五道府県にまたがっております。なお、現在調査を実施中のところが宮城、新潟等十一府県というようなことで、全国的に見ました場合に、合計いたしますと三十四、五都道府県ということになりますが、それ以外のところにつきましては、現在具体的な調査計画あるいは産業廃棄物について処理計画を考えていくといったような実態がまだ薄かろうというふうに考えております。しかしながら、今後の進みぐあいによりまして、さらに該当の、まだそのような調査をしていない府県についても、実情に応じて調査を進めさせる、あるいはさらに具体的な計画策定していくということで、現在のところ、各都道府県に関しまする産業廃棄物処理計画につきましては、このような実態になっております。
  214. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 私は実態の掌握がとにかく先決問題だ、こう思うわけです。何をしようにも現実が掌握されないと処理のしょうがないわけです。廃棄物は御承知のとおり多種多様です。質も量もともに急増の傾向にあるわけですけれども、その発生量、種類、質、これを明確にいかに把握するかということが第一条件です。いまのお答えではまだまだなまぬるい感じで、話にならぬということでございます。  実際問題として、私もある本を読みましたところ東京の一例が出ておりました。それを読みながらあ然としたわけです。これは東京では一千工場にアンケートを出して調査をしたらしいのです。回答を寄せたのはわずかに三五・五%であったというわけです。その理由として考えられているのは、企業側が、忙しくてそんな調査までまだしておりません、つまり廃棄物の管理上のルーズさというものもこれはあるだろうというわけです。と同時に、企業の秘密を守るという考えからむしろそういうアンケートに応じなかった。それは専門家が見ますと、どのような、どのくらいのごみ量が出て、その成分はどういうものかということで大体企業実態が推測できる、割り出されるんだそうですよ。そういうこともあっておそらく応じなかったんではないかといっているんですけれどもね。こういうことから不法投棄等もなされているんではないか、非常に懸念を抱くところであります。いずれにいたしましても、この実態調査が実行され、しかも正しい姿勢が把握されるようにもっと強力な指導をお願いしたいと思うのです。これは大臣の立場からどんなお考えで今後これに臨まれるかお伺いしたいと思います。
  215. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 おっしゃるようにこの実態をつかみ、そして都道府県、市町村が一生懸命やってくれるということがまず第一に肝要でございます。これがなければとうていうまく運営をされない、かように思いますので、今後一そうその方面に強力に打ち込んでもらうように、関係団体また関係工業団体を指導してまいりたい、かように思います。
  216. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 ちょっと前に戻りますけれども、先ほどの東京のアンケート調査の結果ですけれども、これは処分方法について回答かあったものですけれども、これは全体で千六十七万トンのうちに、自社処分をしているというのが六〇%、残りが委託をしておりますと答えております。もちろんアンケートの設問は、その処分の方法は埋め立てあるいは焼却、海洋投棄、その他となっているわけです。その他というところがたれ流しとか不法投棄等も含むと私は考えるわけですけれども、この処分先については七八%がその他の項で答えているわけです。これは私が問題だと思います。私もにわかにその七八%の、その他と答えたものが不法投棄をやっている、たれ流しをやっているとは思いたくないのでございますけれども、これは濃厚ですね。こういう点についてどうお考えになりますか。
  217. 浦田純一

    浦田政府委員 東京都が行ないました実態調査は、私も承知いたしております。ここで申し上げたいのは、この調査を実施した期間が昭和四十五年の十月一日から昭和四十五年の十二月二十一日までの間の調査でございます。したがいまして、廃棄物処理法の制定以前の問題でございまして、このような実態があったということが一つは私どもに法改正の動機づけとなったところでもございますが、このようなことに対しましては、今回の新しい法律に基づきまして、法律の第十八条の都道府県知事の報告徴収の権限、それから企業体側の報告を出す義務、十九条には必要な立ち入り検査をするという権限も与えられておるということでもって、私どもはこれからの新しい法律の運用並びにそれを裏づける緊急整備措置法というものでもって、御指摘のような事実の解消、改善に進むように当該自治体を強力に指導してまいりたいと考えております。
  218. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 じゃ次に移りますけれども、これは厚生省環境整備課編で「廃棄物処理法の解説」という本ですね、私これを読んでおりまして、これはどういうものだろうかなと疑問を抱いたところが一つあります。というのは、この廃棄物処理法の中に産業廃棄物事業者の自己処理義務をつけたということは非常に前進である、先進諸国並みである、こういうふうに私感じておったんですけれども、それはいいんですが、この「事業者責務」の中で、これは「廃棄物処理及び清掃に関する法律の施行について」として環境衛生局長通知ですか、この中では三一三ページになるんですけれども、こういうことがあるんです。その二項目にあるんですが、「事業者は、その事業活動に伴って生ずる製品等が廃棄物となった場合において、市町村の清掃事業等が処理困難な事態に至らないようにしなければならないものであること。」こうあるんですね。よろしいですか。これは私は字句として理解できないわけじゃない。ところが実態的には問題だなと思うわけです。なぜならば、適正な処理が困難になる事態とは一体どういうことをいっているのだ、こういうことですね。事業者は市町村が適正な処理が困難になるような事態にしてはいけない、こういっているんですけれども、じゃそれはどういうことなのか。これはどういうことなんですか。
  219. 浦田純一

    浦田政府委員 廃棄物処理は、従来の考え方といたしましても、今後の大綱的な考え方といたしましても、まず実質的には市町村の責任で行なうということに相なるわけでございます。ところが実際に考えてみますと、この市町村の責任で果たす廃棄物処理事業というのは、ケース・バイ・ケースで考えた場合にはかなり幅があるということはいえると思います。問題はその地域に出ます一切の廃棄物産業廃棄物を含めまして適正な処理を確実にやっていく方法の担保いかんということであろうと思います。したがいまして、適正な処理基準と申しますか、要するに市町村で処理困難な廃棄物にかかる基準と申しますか、こういったようなことを実際の問題として考えました場合に、私どもはむしろ個々の市町村の実施計画というものの中で、あるいは都道府県におきまする産業廃棄物の実際の処理計画というものの中で、個々に、具体的に考えていくべきである。と申しますのは、これは手数料その他終局における企業者責任という問題は別といたしまして、最終処分地、あるいは場合によりまして処理困難な、たとえば先ほど出てまいりましたプラスチックとか、あるいはその他の有害な廃棄物といったようなことになりますと、これは実態に応じまして、市町村なり都道府県のほうがこれに対してその分だけ出ていくということによって最終的に確実な処理ということが担保されることになりますので、こういった点もございますので、私どもは個々の実態に応じて、ここでもって指導してまいるのが適切じゃないかと考えております。いままでの例といたしましては、プラスチックといったようなものが現実問題としてあったわけでございます。
  220. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 大臣、いま局長さんいろいろ答えたのですけれども、私は話としてはわかるのですが、市町村によってずいぶん事情が違うわけですよ。何を基準にしたらいいのか実は戸惑うだろうと思うのです。だから、ある市では一企業だけをぼんぼん責めている、ある一事業者だけを責めているという場合も起こってくるわけです。むしろこの程度のプラスチックが混入されるような——何%くらいか混入されるようになれは、これは市町村のあれを困難ならしめるのだとか、たとえばですよ、こういうふうなある程度の基準を厚生省のほうで定めてやらないと、現実問題として非常に問題が起こる、公平を欠く感じがするのです。その点どう思われますか。
  221. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 大体御意見のように思いますが、現実は各市町村によって処理能力も非常に違う。こういうことで、さしあたってとにかくその市町村の処理能力に合うようなやり方をやれ、こういうことでその市町村と、その市町村にある企業と話し合ってやってもらうというのが、まず手っとり早いだろうということで、そういうことになったのだろうと私は推察をいたしております。基本的には御意見のとおりでございます。
  222. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 時間がないので残念ですけれども、ここのところはもう少し掘り下げて考えてほしいですね。企業のほうもやはりこれだけ問題になっておりますから、いいかげんではなくなっておりますよ。まじめに真剣に考えていろいろ対策を進めておりますから、それに対応するだけの考えで行政に当たっていかなければならぬと思うのです。  時間がないから次へ移りますけれども廃棄物処理法施設計画で、四十七年から五十年までに総額五百億円が策定されておりますが、これが負担割合、国と県あるいは市の負担割合がまだはっきりしてないと聞いたのですけれども、この点はどうなんですか。
  223. 曽根田郁夫

    ○曽根田政府委員 四カ年計画事業量、投資額等につきましては、お手元にお配りいたしてございます資料の中で、産業廃棄物がただいまのように五百億円というふうに一応定めてございますけれども、この負担割合につきまして、これは産業廃棄物でございますから、本来的には国庫補助ということにはなじまないのではないか。ただ事業者責任に関する法律等が制定される以前の、四十六年度においては一億円の補助金も計上されましたし、また四十七年度におきましても二億円というような補助金が計上されておりますけれども、これはいわゆるそういう意味産業廃棄物に対する補助金という考えよりも、むしろ都市系の廃棄物、つまり下水道の終末処理場、あるいは水道の浄化槽、上水道等からの汚泥、そういったものに着目しての補助金でございまして、全体といたしましては、やはりこれは原則としては起債等によるべきものではないかというふうに考えております。
  224. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 この配分については非常に関心が寄ぜられておりますから、やはりあたたかいといいますか、なるほどと納得のいくような中身で決定していただきたい。これは自治省、大蔵省とも大いに関係あると思いますから、厚生省のほうからその中身をよく指示してもらいたいと思います。  それから、もう時間がございませんので次へ移りますが、廃プラスチック対策について関係各省でいろいろ推進されておると思うのですけれども、たとえば厚生省においてはプラスチック廃棄物対策懇談会、あるいは日本環境衛生センターの都市ゴミ中のプラスチックの処理処分に関する研究委員会等があると思いのです。あるいは通産省ではAT開発委員会ポリ容器問題分科会、あるいは農林省は食品産業センター廃プラスチック処理に関する研究会等々があると思うのですけれども、時間が非常に迫っておりますから、それぞれ要点をかいつまんでちょっと御報告願いたいと思うのです。
  225. 浦田純一

    浦田政府委員 厚生省といたしましては、まず第一点といたしましてプラスチックの廃棄物を、家庭から出るものにつきましては、施設の高度化というものでもって、ある程度混入率が高まるものについても対応できるようにしたいということが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、プラスチックを、いままで何と申しますか無節操に使っておりましたが、これらについて使用の規制をいたしたい。またいま現にとっております問題といたしましては、それぞれの企業者、メーカーのほうでもって、それぞれの段階における回収といったようなことを、また消費者側のほうへの御協力といたしましては、包装をできるだけ簡易にするといったようなことを進めておるところでございますが、さらにこれらの問題については関係各省とも協議して、その早急な解決に当たりたいということで、研究その他についても進めているところでございます。
  226. 小幡八郎

    ○小幡説明員 通産省といたしましては、昨年施行されました廃棄物処理及び清掃に関する法律によりまして、プラスチックの産業廃棄物は、その排出者が処理する責任が課せられたということから、これらの事業者を所管いたします当省といたしましては、これらの廃プラスチックが適切に処理されるよう指導する責任があるというように考えておるわけでございます。  それで当省といたしましては、処理費用の低減とか資源の有効利用という観点から、できるだけプラスチック廃棄物を有効利用する必要があるというように考えておりますが、焼却にいたしましても、有効利用にいたしましても、その技術の開発が必要なわけでございます。  そこで、当省工業技術院傘下の試験研究機関におきまして、昭和四十五年から廃プラスチックの切断、破砕、焼却、分解等の基礎的研究を進めておるわけでございます。一方民間におきましても、焼却炉の研究、再生利用、分解による燃料油の製造、熱回収等の研究開発が進められているわけでございますが、実用化にはいま一歩の開発が必要な状況でございます。  そこで当省といたしましては、関係のプラスチックメーカーを指導いたしまして、これらのメーカーが中心になりまして、プラスチック処理研究協会というものを昨年設立させたわけでございます。この協会は現在千葉県船橋の試験工場におきまして、再生利用の実証プラントを運転しております。また近々埼玉県越谷におきまして、専焼炉の実証プラントを建設する予定になっております。  また四十七年度にはこの協会を改組いたしまして、廃プラスチック有効利用促進協会、仮称でございますが、これを設立することを現在指導しております。これによりまして、プラスチック製造業者等の負担によりまして、実際に廃プラスチックの処理、有効利用事業を実施するようにしたいと考えております。さらに加工業者の廃プラスチックにつきましては、この協会が政府補助金を得まして、その有効利用事業者に対する事業資金の借り入れについて、債務保証による資金面の援助を行なうということになっております。  このほか廃プラ対策といたしましては、その処理に対する金融、税制上の特別措置をとるなどいたしまして、総合的な処理対策を講じておるわけでございますが、今後も一そうこのような措置を強化することによって、問題の解決に寄与してまいりたいと考えております。
  227. 関守

    ○関説明員 先ほどお話のありました食品産業センターにおきましては、食品業界全体の問題についていろいろ調査をし、あるいは技術開発等を行なっているわけでございますけれども、その中で特に廃プラスチック問題が最近非常に問題となってきております。食品産業センターといたしましても、食品の技術の開発をはかるといういろいろ検討を行なっておりますが、その一環といたしまして廃プラスチックの処理についての検討の分科会を設けたわけでございます。  ただ、先ほどお話のございましたように、非常に実情の把握が困難な段階でございまして、その研究会におきまして四回にわたりまして、昨年の七月からことしの二月まででございますが、実情の把握、それから関係の学識経験者あるいは関係機関というところからその廃プラスチックの技術の現状なり、あるいはプラスチック容器の実際に持っておる問題点、現状というものを聞きまして、それについて業界としての対策を検討しているというのが実情でございます。
  228. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 時間がないので非常に残念でございますけれども、通産省も、農林省の方も、廃プラスチックに関するいままでのお話の詳しい資料を後ほどでけっこうですから、届けていただきたいと思います。よろしいですね。厚生省も。これは同じです、廃プラ関係のやつですね。  それから、要するに、このように各省とも廃棄物の中におけるプラスチック関係というものが、にわかに重要な問題になっているということで堆進されているわけですから、これは私はいい傾向だと思います。しかしながら、これはばらばらでやられたのでは力が半減するのじゃないかと思いまして、あくまでも厚生省がイニシアチブをとって、やはり定期的に連絡協議会か何か開いて、これを推進されることを私は強く、要望しておきます。  時間がありませんので、これから二、三まとめて言いますから、要領よく答えてください。このように廃プラスチックに対して世論が高まるにつれまして、関係業界ではその対応策が活発に立てられているわけですけれども、たとえばプラスチックの再生利用あるいは無公害のためのプラスチック専焼炉の開発、ある程度期間が経過すれば分解するようなプラスチック、あるいはプラスチックを石油に戻す等のいろいろなテーマは次々に出されているわけでございますけれども、とても、それが原理的に、あるいは論理的に可能であり、実際的に立証されたとしてみても、具体的な処理についての方策がなければ、そういうものが確立されなければ絵にかいたもちである。これを確立するのは、私は厚生省であろうということを主張しているわけです。と同時に、各業界やあるいはそれぞれの方が一生懸命やろうとしていても、処理場についての用地確保が非常に困難なんですね。先ほどからもずいぶんと質問が出ておりましたけれども、これは去年の十月三十一日の朝日新聞に出ておりましたけれども、業界側から協力方を環境庁長官に申し入れたということになっておりますが、これについて御返事をいただきたいということですね。  それからもう一つ、これは参考的に申し上げておきますけれども、これは毎日新聞社が最近調査したものです。激動する国際情勢の中にあって、米中の対話等が実現して世界に新しい潮流が流れてきた。そういう中に日本人として、どのような意識を持っているかという調査をした中に「あなたがふだん捨てるゴミは、どれが多いでしょう。」というのがある。これは私、非常に興味深く見ました。  台所や掃除のごみが六十八、雑誌、パンフレット類が二十三、紙くずが五十五、ビニールなど合成樹脂の袋物が三十六、プラスチック容器類が二十、ぼろなどの布類が七、木片や木製品類が三、ビンなどガラス類が二十五、あきかんなど金属類が二十、その他無回答が二、こうなっているんですね。全体としてのプラスチックが大問題になっていますけれども、各個人家庭等が廃棄しているプラスチックというのは、案外少ないという感じも受けます。これは今後の研究の中に大いに参考になる問題じゃないかと思いますので、ここでこれを取り上げたわけでございます。  以上でございますが、もう時間が来ましたので、要領よく答えていただきたいと思います。
  229. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いまお話しの、昨年の十月にプラスチックの処理場の建設につきまして国有地をあっせんをしろというようなことを大臣に陳情があったが、その後どう処理しているかということでございますが、私、実はその話は聞いておらないわけでございまして、さらによく調べてみたいと思っておりますが、私どもはやはり廃棄物処理が進行するということは、非常にけっこうなことでございます。なるべくならば処理のほうの担当省である厚生省、通産省のほうからごあっせんをされたほうが有効ではなかろうかと思っておりますが、事情によっては私どももできるだけの御協力はいたしたいと思っております。その間の事情はよく調べてみたいと思います。
  230. 浦田純一

    浦田政府委員 プラスチック対策の具体的な促進につきましては、関係省庁と十分に協議していままでもやってまいりました。今後も、さらにこれを強化するように定期的に会合を開いていきたいと思います。
  231. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 時間ですけれども、最後の一言。  大臣、先ほども用地の問題、いろいろありましたけれども、たとえば業界でも、皆さんの非難もあり、何とかしてそれを解消したいということで、熱心にこの対策を考えているわけですね。だけれども、何をするにも、みんなきらわれて、所要の場所が入手できないわけですね。そういう点については大蔵省の問題になるかもしれませんけれども、国有地を何としてでもあっせんしていく、あるいは提供していくという方向に努力してもらいたいと思うのです。この点については、どうでしょうか。
  232. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 十分努力をいたしてまいります。
  233. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 次に、島本虎三君。
  234. 島本虎三

    ○島本委員 せっかく大臣も見えておりますので、この廃棄物処理施設整備緊急措置法、これが提出されていま審議中でありますが、いろいろな観点から、これはまことに重要な法律であります。したがって、廃棄物一般、こういうような見地からしても、おそらく厚生省だけの手には負えない。また通産省自身も業界をただ単に監視、指導するだけでも手に負えない。全内閣の問題、政府の問題にもなるのじゃないかとさえ思われます。このような廃棄物による環境破壊、これはいまも地球的な問題でありまして、ストックホルムでいま盛んにこの問題等を通じまして論議の集中しているところであります。生態系の循環システムの分断、いわゆる自然還元サイクルに乗らないようなもの、こういうようなものに対しては製造を禁止をしたらどうだ。     〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕 またそれを製造するには、その廃棄物処理できるような方法を発見するまでの間は、その品物の製造を禁止したらどうだ、こういう意見さえ出ているところでありますが、人類最大の危機であるといわれる現在であります。廃棄物処理問題に取っ組む厚生省の考えは、これは内閣全体の考え方として重要だと思います。これは全世界的な意味でも重要だと思います。これは単に法律を出せばいいという問題ではありません。これに取っ組む厚生省の基本的な姿勢を聞いておきたいと思います。
  235. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 基本的に申しますると、ただいま島本委員のおっしゃいましたように、生態系の循環システムを分断するような、そういう文明の進み方というものは一体どうなんだ、私も非常にその点は同感でございます。しかし、そうかといって、そういった、たとえばプラスチックのようなものは、もう生産禁止してしまえというのは、私は一つの議論だと思いますけれども、新しい科学技術進歩によって、そして人間に利便であるという面があるならば、それを生かしながら、しかしそこから起こってくる弊害をためていく、そのための研究開発を進めていかなければならない、こういうことであろうと思います。先のほうが進み過ぎて、あとのほうがおくれてなかなかついていけないというのが現状でありますが、これは日本だけでなしに世界的問題であります。しかし人間の英知というものは、そういった生態系循環システムを分断するようなことが起こっても、またやがてはその分断をなくするような開発もできてくるのではないか、ただできてくるのではないかと待ってるだけでなしに、それを進めていかなければなるまい、基本的にはさように考えます。
  236. 島本虎三

    ○島本委員 その基本的な考え方、これはもう大臣だけの基本的な考え方であっては、まだ不足なような気が私はいたします。というのは、大臣の場合は処理する側であります、生産する側は無限にもうけるのであります。もうけていながら処理する側に、その負担が——結局国民の名において処理しなければならないような状態、これは考え方としては、もっと前進させなければならないと思うのです。そのために、おととしの第六十四国会に、旧清掃法を全面的に改正して、新たに廃棄物処理及び清掃に関する法律という名で出されて法が制定されました。  これで廃棄物処理体系が一応整備されたというようなことに承っておったのですが、その実施、運用の状況並びに現実の効果、これについては、どうもしっくりいかなかったんじゃないかと私は思うのです。したがってその実施、運用にあたってどの点が問題であったのか。また出されて二年で、もう計画を変更しなければならないという計画のずさんさ、これはやはり何か欠けたものがあるんじゃないかと思われるわけであります。その点は、今後のためにひとつ、とくと伺っておきたいと思います。
  237. 浦田純一

    浦田政府委員 廃棄物処理法が施行されまして、その後の実施、運用状況でございますが、まず私どもは、この法の解釈等につきまして通牒その他、あるいは会議といったものを通じまして、その普及につとめてまいりました。さらに去る五月十五日付で、法全般の運用状況についての報告を各都道府県に求めておるところでございます。  実は現在までのところ、その報告が数県からしかまだ来ておりませんが、それによりますと、数県の中の市町村の数は三百九十八市町村で、九十九の市町村が、この法律に基づいて条例を定めております。それから五十の市町村が指定区域の公示を行なっております。  また新しく取り上げました計画の中といたしまして、産業廃棄物処理計画でございますが、これらすでに排出実態調査を完了した都道府県が十五、実態調査中の県が十一といったような状況でございます。  特に問題になった点はどうかということでございますが、私どものいままで受けました報告その他の点から勘案いたしますと、産業廃棄物の実際の把握が、これは法の施行後日も浅いという点もございまして不十分であったようでございます。  それから二年たって計画の中身を変えたということでございますが、私どもはいま御審議願っております中身をなします整備計画案につきましては、確かに三、四年くらい前からその準備作業は進めておりましたが、最終的にこのような案でいこうというふうに定めましたのは、今回が初めてでございます。その経過中では、いろいろと数字が出されたということは事実でございます。しかしながら、先ほどお話し申し上げました五十年を終年とする事業計画の中身、計画案は今回最終的にきまったのでございます。
  238. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、この計画を実施しますと、産業廃棄物並びに一般廃棄物処理施設が整備されることによって今後安定した、こういうものの運営ができる、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。また二、三年たったならば、これを変更しなければならないような状態になるのですか、また来年あたりすぐ変更するような状態を招来するのですか、その見通しをお伺いしておきます。
  239. 浦田純一

    浦田政府委員 今後の計画案に盛られました事業計画の量等につきましては、私どもは五十年まで対応できるものというふうに考えて努力したつもりでございます。
  240. 島本虎三

    ○島本委員 最近PCB、いわゆるポリ塩化ビフェニールの汚染が大問題になっておりますが、このPCBを含む製品について廃棄物処理の立場からどのように処理なすっていらっしゃいますか。
  241. 浦田純一

    浦田政府委員 PCBを含む製品全般、これをまず私どもはできるだけそれぞれの場面において回収してもらいたいということを考えております。幸い通産省は閉鎖系のものにつきましては、きらんと処理できる施設でもって、この詰めかえをやるということで、事実上回収のサイクルを進めていくというふうに計画を進めていると聞いております。もう一つは、開放系のものにつきましては、今後は使用を禁止する、ないしは規制するということで、これは私どものほうからも申し入れもいたしまして、通産省としては事実上この問題についてはすでに手を打っておるところでございます。  それから全般的な製造につきましても、国内での製造は停止するというたてまえでもって、七月以降においては事実上国内の生産はなくなるのではないかというふうに見ております。  さて問題は、すでに環境の中に放出されてしまったPCB、ことに開放系のPCB等でございますが、これらは率直に申しまして、これを回収するということは現実問題として非常に困難でございます。これらに対してどうなるかということでございますが、私どもはこの量のウエートというものを推測いたしましたところ、大体全体量の三、四%というふうに推算いたしておりますが、結局これらがこれから後数年の間に徐々にそれぞれのルートを通じて、終局的には清掃処理施設のほうに運び込まれるということに相なろうかと思います。私どもはこれが焼却された場合、大気汚染に関与する度合いというものを憂慮いたしまして、現在のところ実態の調査をある施設について行なっております。  この、いままで数施設について行ないました結果は、実はほとんど検出されていないという状況でございます。万一検出されても非常に微量であったといったようなことでございますが、私どもやはりPCBの大気汚染への影響あるいは環境汚染への影響ということを、今後とも主要な施設を中心としながらその実態について究明してまいりまして、人体の健康への影響というものを極力阻止してまいりたい。また終局的には食品を通じて人体に摂取されるわけでございますので、これもいま調査を急いでおりますが、六月中にいわゆる最大摂取量と申しますか、その基準を暫定的にきめていただくように、すでに具体的な作業を専門家の先生方にお集まり願いまして進めているところでございます。
  242. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、これは現在その処理施設を完全にして人体への影響ないように、食物への影響ないように考えたいということのようであります。  大体開放系と閉鎖系のものがあります。通産省、この開放系のものの処理、閉鎖系のものの処理、これは全部厚生省にやらせるのですか、それとも業界にこれを義務づけるのですか。
  243. 小幡八郎

    ○小幡説明員 通産省といたしましては、ただいま閉鎖系につきましては、そのうら熱媒体、それからトランス、コンデンサーがあるわけでありますが、これらの機器に入っている液状のPCBが回収されました場合は、これはPCBのメーカーが焼却炉を建設いたしまして、これを処理するという方針で、そのように指導しておるわけでございます。  それから開放系のうちで感圧紙につきましては、これは現在固体の感圧紙を焼却する技術というものがまだ開発されておりません。これは現在学識経験者あるいはPCBのメーカー等で委員会をつくりまして、その焼却技術の検討をしておるわけでございます。その技術の見込みがつきましたならば、それによって焼却炉を建設させまして、これを焼却するという方針を立てております。  それから、同様にコンデンサーでPCBが含浸されたもの、これもやはり感圧紙と同様なことになるわけでございますが、これの焼却につきましても電気機器メーカーを中心といたしまして委員会を設けまして、その技術の検討をさせておるわけでございます。  それから、その他の開放系につきましては、これはすでに生産及び使用を禁止しておるわけでございますが、過去において出回ったものにつきましては、なかなかその追跡が困難ではございますけれども、これが、この中で回収できるものは回収し、それの処理につきましては、これもたとえば印刷インクというようなものにつきましては、まだどうやって処理していいかという点の目鼻がついておりませんけれども、これの処理を検討いたさせまして、メーカーによって処理させるという方針でおります。
  244. 島本虎三

    ○島本委員 このPCBの場合は、特に九月一日までに全部製造禁止、それを自主的に六月段階でもう製造禁止している。これは鐘化、三菱モンサント、こういうようなことになっておりますが、いままで昭和二十九年から市中に出回っているもの、ストックその他を入れると約一万トンをこえているんじゃないか、こう思われるわけです。今後やはり人体への影響を考えて、その回収等についても厚生省では十分考えたい、こういうようなことのようでありますが、感圧紙の回収をはかって、そしてこれをだれが処理するのですか。メーカーが処理ですか、通産省が処理ですか、これはどういうように考えますか、感圧紙の場合、開放系の場合。
  245. 小幡八郎

    ○小幡説明員 私の所管でございませんので、私が自信をもってお答えすることができないのが残念でございますけれども、これはもちろん、メーカーに責任がないとは私も考えておりません。したがいまして、メーカーだけの責任処理させることかどうかという点につきましては、私もここでお答えできかねますけれども、しかしメーカーもその責任の一部をになって、これを処理するという方向で考えるのが筋であろうかと思います。
  246. 島本虎三

    ○島本委員 この感圧紙の場合は、官庁にもまだストックがあるはずです。郵政省には、ことに現場関係では相当にストックがあるはずであります。使っていないのであります。そのままにしておくのか、それを処理するのは産業廃棄物として処理するのか、一般廃棄物として処理するのか、これは厚生省、どっちのほうによって処理するのですか。
  247. 曽根田郁夫

    ○曽根田政府委員 これは廃棄物処理法上、産業廃棄物かあるいは一般廃棄物かという議論に必ずしもこだわらないで、特殊のケースでもございますので、先ほど通産省からお話がございましたように、メーカーを中心とした、あるいはユーザー等による保管、これはあくまで臨時的なものでございまして、いずれは感圧紙等の処理、処分の方法というものを早急に開発するわけでございますから、それまでのいわば臨時の保管でございますので、保管を厳重にやっていただければ、最終的な処分は近く解決がつくわけでございますから、そういう形で、いわば一種の行政指導によって措置して十分ではないかというふうに考えております。
  248. 島本虎三

    ○島本委員 それはもう、いわゆる業者負担によってやらせるのが産業廃棄物、それから厚生省がサービスとして住民のために行なうのが、いわゆる一般廃棄物。感圧紙の場合はもう紙であります。紙である場合にはストックとして置いてある。これをどういうふうに処理するのか。処理の方法はないのですか。開発中なんですか、それとも、なければこれをどうするのですか。人体にそのまま影響するではありませんか。
  249. 小幡八郎

    ○小幡説明員 感圧紙そのものを現在無公害に処理するという技術は、まだはっきりこれであるというものはできていないわけでございますが、しかし液体のPCBは千三百度以上の温度で焼却すれば完全にPCBが分解するということがわかっておるわけでございます。これにやはり準じまして、同様の温度をいかにしたらば感圧紙のような固体に与え得ることができるかということが、やはりポイントになるのではないかと思いますので、その点を中心といたしまして、現在識者が集まって、その検討をいたしておるわけでございますので、そう長い時間をかけなくとも、これについての技術的な開発のめどはできるのではないかというように期待をしております。
  250. 島本虎三

    ○島本委員 この法案は期待法案ですか。現実に即して、これは直ちに処理しなければならない現実性を持っているんじゃありませんか。これはやはり将来に期待するための処理法じゃないと思うのです。まして、いま千三百度と言いますが、そのとおりですか。塩素系のものをとることによって、分離させることによって、六百度でもいいというような方法も開発されているはずです。この点は、こういうような開発はされておっても、業者にその責任を負わせないままに、ただつくらして、もうけさして、そうしてその被害だけを与えて、そうしてあとは処理に困る。こういうようなやり方は、通産省として指導すべきじゃないのです。  一体、感圧紙は業者の処理になるのか、一般処理になるのか、どっちになるのですか。これははっきりしてください。
  251. 浦田純一

    浦田政府委員 PCBの問題につきましては、現在環境庁を中心といたしまして、政府のいわゆるプロジェクトチームという形でもって早急な対策を鋭意検討中でございますのは、先生御案内のとおりでございます。いま御指摘の感圧紙そのものについて考えますと、これはやはり趣旨から申しますと、いわゆる企業サイドにおいて処理すべき問題だというふうに考えております。ただ、いまその実効をあげるために、それぞれの立場における協力と申しますか、指導と申しますか、そういったこともあわせて考えていく必要があるということでございます。  それから感圧紙は、先ほど通産省のほうからも説明がございましたが、いまのところ最終的に公害を起こさないで処理するという施設、技術は開発されていないのでございます。しかし、その見通しとしては十分にあるわけでございます。それまでの間において、それぞれそれを持っている人の責任において保管しろということが、現在考えておる応急の策でございます。いずれ、これは施設が完備いたしまして、その処理技術が完成いたしますと、そのルートによって、先ほどの業者側の責任を主体とした形でもってこれを処理するということに相なろうかと思います。
  252. 島本虎三

    ○島本委員 その管理の責任はどなたが持つのですか。
  253. 浦田純一

    浦田政府委員 企業者側にあります場合には、もちろんその所有権を持つ企業者の責任ということになるわけでございますし、それから、自治体、官庁ということになりますと、それぞれの施設の長ということに相なろうと思います。問題は、すでに一般民間に配布されておるというものについてどうかということでございますが、これはやはり行政指導で、できるだけそれぞれのルートを通じて製造元なり販売元というふうなものに個々に引き渡す、そのような行政指導で対応する問題であると考えております。  具体的な問題につきましては、いま環境庁を中心として、いろいろとそこら辺の方針というものを詰めている段階でございます。
  254. 島本虎三

    ○島本委員 閉鎖系のものはわかります。使っている先もわかります。メーカーもわかっています。この開放系のものはメーカーを全部把握してございますか。
  255. 小幡八郎

    ○小幡説明員 開放系のPCBを使用いたしまして製品をつくるというメーカーにつきましては、昨年来調査をいたしております。しかし、非常にわずかな数量を便っておるところが多いようでございまして、現在までに全部調査し切れているとは実は考えておりません。そこで、先月も重ねて、開放系を使用しているのではないかと考えられる団体に対しまして、PCBを使用している企業についての報告を求めておるわけでございまして、現在逐次報告が行なわれているという段階でございます。
  256. 島本虎三

    ○島本委員 生産企業全体をつかんでいますか。
  257. 小幡八郎

    ○小幡説明員 生産企業といたしましては、塗料、印刷インク、可塑剤等。
  258. 島本虎三

    ○島本委員 つかんでいるかどうかです。それは全部把握していますか。
  259. 小幡八郎

    ○小幡説明員 現在の段階では一〇〇%把握はいたしておりませんが、現在そのために調査を続行中でございます。
  260. 島本虎三

    ○島本委員 もうすでに一万トンをこえるようなストックがあるということです。それはまあ閉鎖系の場合は別として、開放系の場合、特に感圧紙のようなものは、紙でございます。紙でございますから、くずにしてやるとそのまま流れるか、または一般廃棄物として処理されるのです。そしてそのまま分解されませんから、空中に飛ぶのです。空中に飛んで、またこれが植物の上にかかるのです。そして母乳の中に蓄積され、人間のあぶらの中に入った場合は、そのままで、からだの外に出ないのです。だんだん蓄積されていくのです。またヘドロになって海に流れて、それが全部海の中を回って、結局プランクトンから小魚から鯨の果てまで、すでにPCBの被害者になっているわけです。  そういうような状態の中で、これをつくっているメーカーも十分把握していないというのは怠慢じゃありませんか。これは世界の問題なんです。
  261. 小幡八郎

    ○小幡説明員 私、ちょっと誤解しておりましたけれども、感圧紙メーカーは全部で四社ございます。これは把握しております。
  262. 島本虎三

    ○島本委員 その名前をちょっと聞かしてください。
  263. 小幡八郎

    ○小幡説明員 私、実は感圧紙については所管しておりませんので、現在正確に四社の名前を記憶しておりませんので、後刻御報告いたしたいと思います。
  264. 島本虎三

    ○島本委員 あまり無理は言いませんが、少しやり方がずさんなんです。それはわかっているのです。なお、これはそういうような場合に、厚生省のほうでは一般廃棄物として全部混入して処理される場合が予想されるのです。保管するといっても、じゃ、だれが保管するのですか。一般業者に保管させるのか、個人なり官庁が保管するのか、その責任をはっきりしておかないと、いまのように一般廃棄物にしておくと、百度、三百度の温度にすると、空中に飛散して、それがまた人間の被害になって戻るのだ、こういう危険な状態にあるのに、それもやらないで将来に処理を持ち越すというのは、少し私は不安なんです。この点は万遺憾なきを期することができましょうか。
  265. 曽根田郁夫

    ○曽根田政府委員 一般廃棄物としてとらえられた場合二つあるわけでございますが、一つは会社あるいは役所等から出る、あるいは現に保管している感圧紙、これは法律上は産業廃棄物の分類には入りませんけれども事業活動に伴うものでございますから、一般廃棄物ではあっても、事業主の責任は当然にかぶってまいりますし、それからまた法律上一般廃棄物でありましても、この廃棄物処理法の六条に、市町村長は事業活動に伴う一般廃棄物について指示することができる。たとえば大量の一般廃棄物を持ち込まれると市町村が困るような場合に、運搬の場所、方法等を指示することができる、そういうことがございますので、これは制度的にもある程度担保できる。また現に、そういった法律上の指示に必ずしも基づかない行政措置として、大口ユーザーに保管を指示しておるところでございます。  問題は一般家庭に入ってきた閉鎖系の、あるいは開放系のPCBをどうするかということでございますけれども、この問題は先ほども申し上げましたように、感圧紙を除きますと、大部分は閉鎖系でございますし、量的に全体の三ないし四%程度であるということを考えますと、これについては、いわば従来のプラスチックと同じような考え方で、徐々に市町村の清掃サービス体系処理することに著しい問題を生ずることはまずないだろう。ただ念のためでありますから、私ども清掃施設の中で、これがどのような支障があるかについて実態調査をやっておりますけれども、大体そう問題はないのではないかというふうに考えております。
  266. 島本虎三

    ○島本委員 では閉鎖系のものの処理は、全部業者にやらせることになりますか。
  267. 小幡八郎

    ○小幡説明員 閉鎖系のもののうち、液状のものにつきましては、これはPCBのメーカーのところに回収いたしまして、そこの焼却炉で焼却させるという方針を立てております。それから閉鎖系のものであってもコンデンサーにつきましては、これは感圧紙と同様な事情がございます。それの焼却あるいは処理技術及びその体制につきましては、現在検討中でございます。
  268. 島本虎三

    ○島本委員 検討中というのは、結論がいつかは出るということなんですか。あまり遠い先では、これは何もならないということになります。では現在は、この閉鎖系のもの、また抜き出すことのできる液体状のものは完全に処理してございますか。そういう施設は現在あるのですか。
  269. 小幡八郎

    ○小幡説明員 液状のものにつきましての焼却処理施設は、現在PCBメーカー二社におきまして、それぞれ所有しておるわけでございますが、しかし、今後回収されてくる量を考えますと、現在の焼却施設の能力ではとても足りないということがわかっておりますので、近々回収の見通しも立つことと思いますので、それに基づきまして、PCBメーカーに焼却炉の増設をいたさせるよう指導するつもりでございます。
  270. 島本虎三

    ○島本委員 まだどうもはっきりしないですね。その場合に、通産省は厚生省と、このいろいろな処理の関係についての打ち合わせをしますか。
  271. 小幡八郎

    ○小幡説明員 通産省もいろいろPCBについて対策を講じておるわけでございますが、これらの対策は環境庁主催の各省連絡会議にかけまして、そこの施策の一環として推進してまいるわけでございますので、厚生省とも十分連絡はとります。
  272. 島本虎三

    ○島本委員 それを処理する場合には、結局、活性炭を使用して焼却しますが、活性炭は残ります。その場合の活性炭の処理はどういうふうにしてするのですか。
  273. 小幡八郎

    ○小幡説明員 先生指摘のとおり、活性炭を使用するわけでございますが、その活性炭の中に微量のPCBが吸着されるわけでございます。現在液状のものの処理は技術的に可能と申しましたが、そういう固形物の処理というのは、まだ技術的に解決されておりません。したがいまして、これをどうするかという問題は当然あるわけでございますけれども、現在のところでは、まだ活性炭の使用量が少ないわけでございますので、これはそのままドラムかんに閉鎖して入れて、保管をしておるわけでございます。いずれ、これの焼却技術というものも開発しなければならないと存じております。
  274. 島本虎三

    ○島本委員 数少ないと言いますけれども、兵庫県の高砂市にある鐘化のあの工場には三千本ドラムかんに入れたまま放置してあって、これは数少ないのですか。
  275. 小幡八郎

    ○小幡説明員 鐘化に現在ドランかんが三千本積まれておるというように聞いておりますが、これは回収されました液状のPCBを保管しているドラムかんの数でございまして、活性炭につきましては、いままでのところでは五、六本程度というように聞いております。
  276. 島本虎三

    ○島本委員 そのとおりなんです。やはりあなたはよく知っている。ただし、その処理ができないままにためてある。施設がないのです。一カ月三十トンです。それを誇大広告して六百トンといっている。よく調べたら一カ月三十トン、これしかないのです。こういうように三十トンしかない。液状、これを今後全部回収してやるのに四十五年かかるのです。ですから、これをまた数倍にしなければならない。これを企業責任において当然やらすべきです。  なお、感圧紙その他、また今後生ずるところの活性炭、これは一般廃棄物にならないのです。工場の、いわゆる産業廃棄物として完全にこれは処理させなければなりません。こういうような点に対しては、もう少し指導が足りない。おそらくはもう二十九年の段階で毒物であることは知っておったはずですが、知っておってこれを製造させ、そしてそれがはっきりわかった現在において、処理方法がないというのは、あまりにも国民無視の考え方で、業者べったりの通産省の態度は改めなければなりません。そうして厚生省も、ばかばかとたばこばかり吸っているような、こんなのんきな状態ではない。  いま感圧紙その他で方々に出回っております。出回っておるだけが毒物じゃないのです。今度はいわゆる代行品としてできてきたもの、それに対しても、まだ相当の毒性のものも発見されている。そういうようなものを十分考えて、これは産業廃棄物としてあなたのほうで処理しなさい、家庭用から出るものはわれわれのほうでやる、それを的確に指導するのでなければ、せっかくこれをやっても国民に害になって返ってくるということになるじゃありませんか。これは重要な問題なんです。  ですから、この点は大臣、閣議にでもかけて、さっき言ったように、自然還元サイクルに乗らないようなものの製造は、処理方法がはっきりおかっているから、これを製造しなさい。これくらいのやつを強く出してもいい。そうでないと、厚生大臣でありながら、自分一人が国民のために被害をかぶるような状態になって、それでは不完全です。まず根源においてとらえなければならない、それはやはり大臣の政治力で閣議にかけて、そういうようなことをさせないようにするのが第一番じゃないか。ちょうど、病気になってからなおすのではなくて、保健所の段階で把握して健康にしておく、病気にならないようにする、これと同じ理論です。この点の処理は十分大臣としても留意すべきじゃないかと思いますが、大臣はいかがでございますか。
  277. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 これは厚生大臣と環境庁長官の責任であろうと思います。したがいまして、ただいまの点は、とくと実行に移すようにいたしたいと思います。
  278. 島本虎三

    ○島本委員 それから通産省のほうでもまだあるのです。いま製造禁止した、そうですね。輸入してくるものに対して管理していますか。いま停止したから、それでいいと思っても、輸入が続いている限りにおいては、その処理がまた厚生省のほうに行ってしまう。今度だけは厚生省なんです。厚生省も何も知らないで、そのまま処理してしまったら、それがある場合には水に流れ、ある場合には空に流れて被害だけを及ぼしているということになる。輸入してくるものに対する管理は十分行き届いていますか。
  279. 小幡八郎

    ○小幡説明員 PCBの輸入といたしましては、PCB原体で輸入する場合と、PCB入り機器として輸入する場合と、二通りあるかと思いますが、PCB入り機器として輸入いたします場合は、これはことしの三月、閉鎖系のトランス、コンデンサー、熱媒体の事業者に対しまして、PCBを使用する機器の生産は、回収ができない限りは禁止するという通達を出したわけでございます。したがいまして、それに準じまして、PCB入りの輸入機器につきましても回収のできないものについての輸入は控えるように、輸入関係団体に通達を同時に出したわけでございます。  それからPCB原体としての輸入でございますが、これは使用者と申しますか、PCBを使ってものを生産する側にとりましては、国内の生産にかかわるPCBを使う場合と同様なことになるわけでございまして、その点につきましては、国内のPCBを使うと同様に、特に閉鎖系につきましては、その回収ができない場合には、これを使用してものを製造することは禁止するという通達を出したわけでございます。  それから開放系につきましては、これは昨年十二月をもって、一切PCBの使用を停止させたわけでございますが、同時に、それは国内の生産にかかわるPCBだけじゃなくて、輸入品についても一切使用してはならないという旨の通達を出してございます。
  280. 島本虎三

    ○島本委員 したがって、輸入してくるのを完全に把握して規制していますかというのです。しているのならいいのです。これはできていますか。——できていなければ今後一生懸命やれはいいのだから、あまり考えないで。
  281. 小幡八郎

    ○小幡説明員 この点につきましては、通産省といたしましても、必要に応じて立ち入り検査等をすることによりまして、その監視をしたいというように考えております。もちろん法律上の根拠なしに立ち入り検査ということは、相手の了解も必要でございますので、現在の段階で強制的にこれを行なうということはできかねますけれども、どぎるだけのことはやってまいりたいと考えております。
  282. 島本虎三

    ○島本委員 やっぱりまだまだとろいのです。これを処理するための専焼炉があるのですか。
  283. 小幡八郎

    ○小幡説明員 現在ございますのは、すべて混焼炉でございます。能力が非常に足りませんので今後つくるものは専焼炉ということで考えております。
  284. 島本虎三

    ○島本委員 もう少し注意しておきます。今後つくるところは日鉄化学でしょう。知っていますか。日鉄化学でこれをつくるのですが、この規模と構造、機能、こういうようなものを全部皆さんのほうは承知していますか。
  285. 小幡八郎

    ○小幡説明員 その規模、機能等につきましてはまだ承知しておりません。
  286. 島本虎三

    ○島本委員 注意しなさい。というのは、熱をはかる度数があるのです。あれは高熱ですから、ほんとうの温度をはかることができないのです、千度をこえるから。色ではかるのです。その色ではかるのに対して、螢光灯を当てるとそのまま上がるのです、色ですから。普通の場合の赤い色だったら下がるのです。これはインチキじゃありませんか。こういうようなやり方を採用しているのに完全だということはできませんので、もっと十分注意して指導すべき——原点に立ち返ってそういうような姿勢をとってくださいというのです。もうけるために何でもやって国民が被害を受けたら、とんでもないことになるのです。もっともっとやればいいのですが、厚生省もうっかりしていたら、だめなんです。そういうのをやってPCBの処理、これは産業廃棄物として処理する。閉鎖系のものでも専焼炉がないのです。専門にこれを処理する機械がまだないのです。雑物を処理するためにできたのをいま使っているのは鐘化だけです。それも月間三十トン、それを百五十トンにしたいというのですから、その努力はいいのです。その新しく入れるものは、光でもって熱をはかるやつですから、螢光灯に照らされるとずっと千五百度に上がるのです、色ですから。これは十分考えてやってくださいよ。それでないと、またとんでもないことになりますから。御注意申し上げます。  それで、どういうことになりましょうかね、これを回収して焼却するとしても今後の問題でありますから、十分把握するようにして万遺憾なきを期してもらいたい。そうして一般廃棄物として処理する場合には、まさにこれはもう一回空気に還元して地上に舞い戻ってまいります。そうでなければ、紙のようなものを再生するとヘドロになって海に流れる。そうしますと、プランクトンに行き、小魚に行き、それがまた人間のほろに還元してくるようになります。そういうことがあっては困りますので、こういうような管理の点も十分考えて、そうして通産省のほうとよく連絡して、今後輸入されるもの、現在あるストック、その他開放系のもの、閉鎖系のもの、これあたりの処理について万全を期するように指導しておいてもらいたい。  少なくとも、産業廃棄物であろうと一般廃棄物であろうと、この責任厚生省です。向こうにやれと言うのも責任一つですから、いまわざわざこういうふうにして来たのも、この対策だけは完全にやってもらいたいという熱意のあらわれなんです。総合調整権のある環境庁も、これに対してはまだとろいのです。これは環境庁どうやっているのですか。
  287. 岡安誠

    ○岡安政府委員 環境庁といたしましては、PCB汚染対策推進会議を設けまして、各省でいろいろ研究中のものもございますが、回収の方策、それから回収したものの処理の方法等につきまして、現在各省庁と分担をきめまして対策を急いでおるわけでございまして、私どもといたしましてはできる限りこれを回収して一般廃棄物のほうに行かないようにするということが先決であろうというふうに実は考えておるのでございまして、それがどこまでできるかということにつきまして関係各省とその方策等について検討しておるわけであります。  処理の方法等につきましても、先ほど説明がありましたように、できるだけ早く、しかも安全に処理ができるように、回収中のものもございますけれども、その回収、処理につきましては、現在そういう方向でもって対策を考究中でございます。でき得れば六月の末か七月の初めぐらいには方策をまとめたいというふうに実は考えております。
  288. 島本虎三

    ○島本委員 通産、厚生、環境、それぞれこの立場でやらぬといけませんし、まだまだ問題点はたくさんございますが、この点は指摘だけにとどめます。今後の努力をわれわれのほうでは監視しております。  そして同時に、今後新たな有害物質が問題になった場合には、廃棄物処理上すみやかに対応できるだけの体制が整備されていなければならないことになりますが、この点等については通産、厚生ともによろしゅうございますか。
  289. 浦田純一

    浦田政府委員 いままで自然界になかった新しい物質、まあ化学物質ということに相なろうかと思いますが、これらが工業化されて広く市販され、その時点において問題を起こすことがないように、私どもはあらかじめ新しい、そのような物質についての安全性の十分な見きわめということをしていかなくてはならないと考えております。  農薬等におきましては、新しく登録申請をした、その以前の段階におきまして、これらの安全性、つまり慢性毒性あるいは催奇性等についてのチェックをするということをすでに実施中でございます。これから先の新しい物質の問題についても、関係の省庁との連絡も十分にとりまして、厚生省の立場としては健康を守る立場から事前のチェック制度、そういった施設、活動ということについて考慮してまいりたいと思います。
  290. 島本虎三

    ○島本委員 よくわかりました。  いま農薬系のいろいろな物質の話が出ましたが、すでにもう製造は中止され、使用禁止されているDDT、BHC、また塩素系のいろいろな除虫用の農薬、こういうものは使用を禁止したまま倉庫に、あるいは野積みされたままになっておりますが、こういうようなものの処理についてどういうふうに考えておりますか。
  291. 岡安誠

    ○岡安政府委員 DDT、BHCを中心とします使用中止農薬は、合計大体六千トンないし七千トン程度が販売の段階で保管をされておるというふうに聞いております。まあ野積みされておることはないと思いますけれども、農協その他の倉庫に入っております。  これの処理につきましては、実はこれを焼くということを考えましたけれども、焼くにつきましては、へたに焼きますと、かえって有害の空気が出るということもございますし、そういう設備もないということで、実は私ども当省におきましては、少量ずつ地下水汚染のないような土中に埋めるということを指導したわけでございますけれども、これが大量に集積されている場合にはそれもできないということで、農林省を中心に、コンクリートの箱をつくりまして、その中に入れまして、これを安全なところに埋めるというようなことを現在四十七年度予算でも実験的に実施するということを考えております。これが安全であるということになれば、今後そういう方法を普及いたしまして、六、七千トンに及びます農薬の処理にかかりたいというふうに考えております。
  292. 島本虎三

    ○島本委員 コンクリートに入れて固くするのですか。それとも、どういうふうなことにするのですか。
  293. 岡安誠

    ○岡安政府委員 これは農林省のほうでございますけれども、コンクリートの箱をつくって、その中に入れまして密封をするというふうに聞いております。
  294. 島本虎三

    ○島本委員 そしてそのものをどういうふうに使うのですか。
  295. 岡安誠

    ○岡安政府委員 これは山林その他の土の中に埋める、埋め立て処分をするという方法と聞いております。
  296. 島本虎三

    ○島本委員 現在手持ちのもの、もてあましてどうにもならない産業廃棄物、ことに廃棄物といっても、これはもうどうにも廃棄の方法もないPCBのようなもの、これはこれから開発するというけれども、もうドラムかんその他に詰まったままどうにもしようがない、黙っておくとどこかに投げるかもしれない、こういうようなものに対して、かってにおまえの責任だから処理しなさい。これは当然言えるのですけれども処理できない者にそういったことを言ったならば、やみ夜ひそかにということもあり得るわけです。ですから、こういうような点は早く処理させるように、手持ちがないように、こういうようにしてやるのも一つ処理方法じゃないかと思うのです。  コンクリートの中に密閉して云々ということは新方法かもしれません。しかしながら、それをどういうふうに使うのか、それはわかりませんけれども、十分その点等監視して、間違いのないようにしてやるべきじゃないか、こういうように思うわけです。そういうふうになりますと、当然今後問題になるのは、原子力発電なんかありますが、あの最終廃棄物はどういうふうにするのですか。
  297. 岡安誠

    ○岡安政府委員 放射性廃棄物処理につきましては、これはもっぱら科学技術庁で所管をいたしまして、その研究等をいたしておる段階でございます。放射性廃棄物につきましても、放射性が非常に強いもの、中程度のもの、軽度のものといろいろあるわけでございまして、それぞれ処分の方法を分けまして検討をいたしておると聞いております。現在におきましては、すべて陸上保管をいたしまして、安全な方法がわかりましてから、その方法に従って処分をするということを科学技術庁で検討をしておると聞いております。  私どもも、この処分につきましては慎重にするよう、特に科学技術庁に申し入れているところでございまして、処理の方法等につきましては、私どものほうも相談を受けまして、チェックはいたしたいというふうに考えております。
  298. 島本虎三

    ○島本委員 それは産業廃棄物になりますか、原子力の場合、一般廃棄物になりますか。
  299. 曽根田郁夫

    ○曽根田政府委員 廃棄物処理法では、廃棄物の定義のところで放射性のものを除いておりますので、本法の適用外ということになります。
  300. 島本虎三

    ○島本委員 適用がないものは、どういうふうにして処理されることになるのですか。その場合には監視の権限、調整の権限、こういうようなものはないのですか。
  301. 曽根田郁夫

    ○曽根田政府委員 放射性のものにつきましては、廃棄物処理法あるいは他の公害立法もそうでございますけれども、すべてあげて科学技術庁のほうで専管して行なっていますので、詳細につきましては、私どもは承知しておりません。
  302. 島本虎三

    ○島本委員 またそれが問題になります。海へ投げる、こういうような第一次方策を出しているのですが、これはやはり、いわゆる海洋汚染の点で問題もあろうかと思います。そういうふうになった場合には、これまた大きい問題になる可能性があり、アメリカでは土中を掘って岩塩帯のところまで持っていって、その中に全部入れてしまって処理する。どうせ安保条約を一緒にやっているんだから、日本のやつを持っていってその中へ入れてもらえるかと言ったら、全部日本のやつはだめだと言われて、日本のやつは単独で処理しなければならないような状態になっているわけです。  おれのほうは関係ないんだといって皆さん安心しておられるようですが、どうも大臣、そうなったら大臣のほうですが、この処理の方法なんかも、やはり廃棄物ですから、十分考えて間違いのないように指導してやっていただきたいと思います。  現在海へ捨てる計画をやっておるようでありますが、これはストックホルムならずともまた大いに問題になる。海洋汚染防止法さえできておるのです。まだ適用になっておりませんけれども、できておるわけですから、こういうような点等に関しても、十分この処置等について万遺憾なきを期してもらわなければいけない、こういうように思います。大臣、どうですか。
  303. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 この最終処理問題は、まことに困った問題だと思います。したがいまして、十分科学技術庁、環境庁とも連絡をとりまして、人類の健康に子々孫々にまで害の及ばない方法を十分考えなければなるまい、かように考えております。
  304. 島本虎三

    ○島本委員 廃棄物処理について、住民との間にトラブルは絶えないようです。東京都においても、こういうような点が見られますけれどもごみ戦争解決のために有効な方法、これは何だというふうに考えておられますか。この対応策は十分講じてございますか。
  305. 浦田純一

    浦田政府委員 住民の協力ということは、やはり民主主義の世の中におきましては、私は絶対必要であると思います。その協力を得る、あるいは理解を得るということの第一の問題としては、従来見られましたように、焼却処理施設から逆に種々の環境汚染あるいは公害等の源になるといったような点があったと思います。それから一つは、その施設設置に伴いまして、清掃車等、交通量が非常にふえまして、それに伴ういろいろな困難な事態が生じて住民の方に迷惑をかける。その他もろもろの原因があったと思います。  私どもは、そのような原因一つ一つを技術的に解決できるものはやはり解決していく。ことにいやしくも焼却場から出るばい煙その他、これはきちっと大気汚染防止法の基準に合うようにやはり考えていく。またそれらの施設補助対象としても、あるいは起債の対象としても考えていく。それから一般的に申しますと、焼却場の設備の高度化をはかって、公害源になることがないように、この点を解決するのが、一つ、一番大きな問題だと思います。  それから用地取得ということにからむ問題でございますけれども、これはやはり都市計画全体の問題としてできるだけ早い時期に見通しを立て、具体的な計画を立てまして、計画的に遂行していく。これらにつきましては、私どもがいま御審議を願っております措置法案の中身といたしまして、やはりある程度先を見通して計画を立てていくということを考えておりますのも、それらの点についての都市側の努力、あるいは地域住民の方の御協力というものをできるだけ得るようにしていきたいという念願もこもっておるのでございます。
  306. 島本虎三

    ○島本委員 訓辞規定みたいなことで少し心細い。そういうことならば、私でも答弁できます。具体的に解決されていないのが問題なんです。  解決されていない大きい問題で、もう一つ、瀬戸内海の小豆島、その辺にふん尿の投棄、あれはおととしか、公害国会のあったそのころですが、もうあれはやめさせるはずでしたが、まだ依然としてこの屎尿の海上投棄、こういうようなのが行なわれておるし、瀬戸内海でもこのまま行なわれている、こういうことなんですが、ことに赤潮の発生その他で漁業被害が起きて非常に困っている、その原因一つではないか、こういうような指摘さえあるのであります。そうしてみると、当然これは沿岸水産業者はもちろんですが、根本的な——そこへ投棄を認めている、この問題あたりも大きい一つの行政の怠慢じゃないか、こういうように思うわけなんですが、一体この現状はどうなっているのですか。
  307. 浦田純一

    浦田政府委員 小豆島近辺等、瀬戸内海への屎尿投棄の現状でございますが、昭和四十六年度末という時点で毎日約二千九百キロリットルというものが現に投棄されていると推算しております。過去の数字を申し上げますと、昭和四十一年度末では実は四千二百キロリットル毎日投棄していたわけでございまして、その点から申しますと、現在はかなり量が減っておるということはいえるかと思います。しかし、このようなスピードでは、やはり汚濁の進行しております瀬戸内海の環境を改善するというところまではとても及びませんので、四十八年度から瀬戸内の屎尿の投棄は一切禁止するということでもって、それに必要な施設の整備を関係の府県に強力に行政指導いたしますとともに、それに必要な体制ということにつきましても、先般関係の十一府県を集めまして、具体的な計画について聞きながら、こちらのほうの四十八年から投棄禁止するということについての具体的な施策の樹立ということについて、指導してまいったところでございます。
  308. 島本虎三

    ○島本委員 四十六年度を初年度として、廃棄物処理施設整備計画策定されるということについて、これは衆参両院の社会労働委員会の附帯決議が二年前にあったのじゃないか、こう思いますけれども、いまごろになってきたというのは、これは少しおそきに失するし、何か重要な理由でもあったのでしょうか。
  309. 浦田純一

    浦田政府委員 これは確かに一昨年の廃棄物処理法を審議していただいた最終段階において、四十六年度を初年度とする廃棄物処理施設整備五カ年計画策定しろということでございましたが、現実は一年おくれてしまいました。これはいろいろと事情もございますが、主として産業系の廃棄物というものに対する処理計画が、ことに都道府県あるいは市町村の段階において、なかなかその辺の具体的な方策に関する作業が進まなかったということが大きな原因でございます。  これらにつきましては、法制定時に十分に考えるべき問題であったと思いますけれども、結論からいきまして、法制定後、日も浅いということもございまして、おくれたというのが、結果論でございますが、そのような経過でございます。
  310. 島本虎三

    ○島本委員 この処理計画自身は必要なものであり、重要なものでありますから、急いで完全に計画を樹立して対処しなければならない、これはまた当然であります。もっともっと言いたい点はたくさんあるのですが、どうせそっちのほうは答弁も準備されてあることですから、答弁を準備されておることはあらためて聞きませんから、この点等については、ひとつ十分対処するように要請しておきます。  ことに原子力の放射能関係のもの並びにPCB関係の新しい物質に対する処理の方法、こういうようなことについても、専焼炉さえない現在、新たにこれから処理しなければならないというと、それまでの間の管理と指導というものが重要になってまいりますから、大臣を含めて、これは万遺憾なきを期しておいてもらいたい。この点を要請しておきます。  それと同時に、北海道に三共製薬という農薬をつくっている工場があります。あれは完全に保管してあるのです。保管したままその処理の方法がないといって弱っているのであります。その状態を十分調べて、いかに処理するか、いまコンクリートに云々というようなりっぱな処理の方法がありますから、そういうような点は指導してやるべきじゃないか、こう思いますので、これを指導してやって、その調査結果を私にまで報告してもらいたい。このことを強く要請をし、最後に大臣の決意を伺って、私は質問を終わりたいと思います。ほんとうはまだあるのですけれども、もう時間だから、やめろと言うからやめるのですよ。
  311. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいま最後におっしゃいました放射性物質、それから毒性、劇性の物質、農薬等を含めまして、PCBも同様でありますが、これらを回収し、保管し、しかし最後の処理という問題は、これは非常にむずかしい問題だと思います。  先ほど、コンクリートに入れて閉じ込めてということをさしあたって、と言っておりますが、これが最終的にいいものかどうかと私は非常に疑問を持っております。何か化学的に処理する方法を研究して処理をしなければ、後世にまた大きな害を残すのではないか、かように考えますから、そういう方向でひとつこれらの処理の開発方法を検討いたしたいと思います。
  312. 島本虎三

    ○島本委員 厚生省の奮起を促して、私の質問はこれで終わります。
  313. 森山欽司

    森山委員長 次回は、明九日金曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十六分散会