○寺前
委員 私は財政問題として持ち出してこられた以上は、半数近くを占める位置の問題についてメスを入れないで出してこられたということで、この法案をそのままそれじゃよろしゅうございますというわけにはいかぬということを、この問題についてはきわめて遺憾に思うのですよ、ほんとうのところ。半数近く財政上占めるのですからね。ここの問題についてメスを入れないで出してこられたという点については、私は重大な法案
提出上の問題だと思います。これについては、私はもう一度研究してもらって、もう一度この席で聞かしていただきたいというふうに思います。
次に、問題を移しますが、今度の値上げの中に占めるもう
一つの問題は、診療報酬を上げるという問題が予算上の中に赤字の分の内容として出てきていることだと思うのです。それじゃはたしてこの診療報酬でいいのかどうか、将来にわたって
保険財政というのを検討されるのだから。だから政府の補助率は五%という問題を将来にわたって提起した、労働者に向かっては掛け金を千分の七十から七十三にします、将来にわたって八十までは
保険庁の長官の手もとでやらしてもらいますよという提案をしてきた。それじゃいまの薬剤の問題が
一つの位置を占めると同時に、診療報酬問題、これが一体いつまで続く問題だろうかという問題が、どうしても
一つの、将来、財政の問題として関連してくる問題だと思います。
そこでお聞きしたいのですが、この間やったところの診療報酬がはたしてどういう役割りをしているのだろうかという問題です。どんな役割りをしているのか開業医さんの話を聞きますと、大体開業医さんというのは国民の
医療の六七%、患者さんの六七%を、われわれがめんどうを見ているんだ、こういうふうにおっしゃっております。私は、開業医さんというのは、第一線において多くの患者さんの直接の相談を受けていると思うのです。その開業医さんの場合に、聞いてみたら、ほとんど皆さんおっしゃるのは、外来のほうは収益はあまりあがっていません、入院患者のほうがあがっているのです。しかも、それは精神とか結核とか、そういう分野のほうはあがっておりますというお話を聞きました。また、技術を伴うところの外科の分野があがっております。確かに、国立
病院や療養所の増収率というのを予算上から見ても、国の場合に
病院の入院が三〇・二%で、外来が一七・〇%、療養所の場合に入院が五九・一%、外来が三六・一%、確かに国立あるいは公立のこういう分野を取り扱うところの
病院は、収益はあがるであろうということを、これは予算の結果からも、あなた方自身が示しておられる内容だと思うのです。
ところが大部分の一般の開業医さんにしたら、開業医さんは今度の診療報酬の
引き上げ問題というのは、われわれとしては決していいということにはならない。たとえば大
病院の場合には、
看護婦さんと患者との比率の問題の場合でも、従来一から三類まであったものが特類というものが設けられて、そうしてその
看護婦さんと患者さんとの比率が非常に高い、すなわち大きな公立
病院の場合なんかはかなりそういう
看護婦さんを集めることができるというところには特類というのがあって、そうしてその計算方式によっていくと、非常によくなるとか、そういうような問題が出されております。
そういう問題の中で特に重視すべき問題点として出されているのは、老人
医療の問題です。お年寄りというのは慢性疾患にかかる。ところが慢性疾患にかかった場合に、今度新しく診療報酬で二週間一回二十六点という点数制度を設けられてきたけれども、毎回変わった診断書をお年寄りに一々書くというわけにはいかぬというので、この制度ができたからといって、必ずしもその指導文書を出すわけにはいかぬという問題に直面する。そうして逆に従来あったところの血圧の測定とか、尿の検査などは、従来は点数評価をされていたものが、今度は点数がゼロになってしまう。あるいは再診料の問題にしたって据え置きになっているだけではなくして、今度は調剤の問題においても一回四点ということで、お年寄りは毎回何回も出てくるというわけにいかぬのだから、実際上調剤料におけるところの収益は減っていく。
ですから、今度の診療報酬の
引き上げによって、公的
病院に対して
保険財政でもって運営を保障してやることになって、開業医の場合には大部分が今度の診療報酬によって決してよくならない。ですから、したがって、従来ともとやかく言われたところの薬でもって利益をあげるとか、あるいは検査料をもって利益をあげて、その経営をやっていかなければならないという運命が、今度の診療報酬の
引き上げによっては、改善されることにはならない。
簡単に言うならば、大
病院のための、公的
病院のための
保険の料金を上げるという結果になるのではないか、こういう批判が私は多くの人から、特に開業医さんの中から出ていると思うのです。
そこで、私はお聞きしたいのですが、ほんとうに今度の診療報酬の
引き上げが大部分の一般の開業医さんにはあまり上がらず、そうして公的大
病院中心に多く利益があがっていっているという批判は事実なのかどうか、これが事実だとするならば、その次に問題になっているのは、例のお薬とか、検査費でもって経営を
考えていかなければならないという問題について、これを改善するための診療報酬の
引き上げを再度直ちに検討しなければならないことになるのではないか、この二つの問題についての
意見を聞きたいと思うのです。