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島本委員 先ほど私はほんとうにいい答えを初めにもらったと思うのは、
福祉という考え方で
局長はかってないような格調の高いりっぱな答弁をなさったのです。ですから、
職場の
婦人に対して、働く者として幸福を享受させるということ、ここにあるのですから、少なくとも
福祉という観念に対しては、これを
指導するか、そうでなければ足らざる点を相まってじゃなくて、進んでいってそれを直させるか、いずれかにしないと、本来の趣旨が泣いてしまうのではないかと思うのです。相まってというのは、何か相手が出てくるのを待っている、相手を待つから相まってじゃないですか。ですけれども、そういうのじゃなくて、ほんとうに
福祉を追求するためならば、働く者としてのしあわせを享受させるためのものであるならば、そういう施設が不足ならそこへ出ていって強化させる、
充実させる。そうして行政的な
措置が欠けているならば、それを全うさせる。こういうようなことは相まってじゃないですね。進んで、積極的にという積極姿勢が
本案にはないのじゃないですか。答弁の中からも引き出せない。私はこの点に対しては今後一そうの奪励努力を期待したい。それと同時に先ほどの幸福、この
意義はわかりました。よりベターになる。わかりました。けっこうです。したがって
憲法に基づいていろいろ男女の差別的な扱い、こういうものの禁止を含めて、労働基準法、児童
福祉法、母子保健法、こういう関連法をよくするかまたはそれを上回るような
内容が盛り込まれていく、これがほんとうの
勤労婦人福祉法案の実体でなければならぬと思うのです。相まって相まってといって、悪ければ悪いようにこっちのほうが待っておって、その相まってではさっぱりわからない。私はほんとうに画竜に点睛するというような
一つの
指導力、また相手がそうしなければそれに対して罰を加える。これに盛らなければ内閣に
大臣を通して持ち出していって、この問題に限ってはすぐ閣議できめて強力な行政権を発動させる、こういうことぐらいあってしかるべきであって、そういうことぐらい考えているかと思ったらそれもない。これではほんとうに私としては残念なんです。
もう
一つ最後にこれだけは指摘しておきたいのですが、
母性がいま一番心配しているのは子供でしょう。児童
福祉法第二条に「国及び
地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する
責任を負う。」これははっきりきめられているでしょう。それから児童権利宣言の前文の中には「人類は、児童に対し、最善のものを与える義務を負うものである」これにもきめられている。にもかかわらず現在児童の置かれている立場、それから児童の
福祉法というようなものに対しての関連、こういうようなものが相まってというような関連で行なわれるならば、せっかくこの
勤労婦人福祉法というようなものができても、何にもならない。
実例を出しましょうか。児童
福祉の危機が叫ばれているのでございますけれども、いま行政の貧困が――
局長、
指導すると言いますけれども、行政の貧困がまだまだ子供や母にしわ寄せされているのが現状なんです。本年度も厚生省は、全国の児童
福祉施設に対して、
措置費、事務費支弁について、暫定定員制を
実施した。この
施策は、
わが国における児童
福祉全体を後退させるばかりでなく、児童
福祉法の
基本理念にも反する結果を招来するものである。こういうことを指摘されている。肝心のこういうような問題をそのままにしておいて、いかに
指導しようとしても、罰則もない、
指導を聞かなくてもそのままだ。最も重要な母、最も重要な子供、この子供に対してでもまだまだ不十分な児童
福祉法そのままの状態に放てきされてある。それに対してはっきり手を差し伸べて、よくするための行政
指導でもあるのかと思ったら、それもない。相まってと待っている、こういうような状態ではほんとうに私は残念なんです。まして
昭和四十二年八月一日現在、厚生省による全国の母子世帯調査、これでは、母子世帯数五十一万五千三百世帯、うち母子寮の入寮希望者が七%に当たる三万五千九百世帯、それから母子寮の全国定員は一万百九十九世帯、定員の三倍近い世帯の入寮が必要なんだ、こういうようなことになっておるわけです。そしてだんだんこの情勢も変わってきて、現在のところでは、この母子
関係の不幸が毎日、新聞にもう出ないこともないほどです。大きい問題では、四十六年十二月十三日に長野県中野市で、交通事故の後遺症を苦にして父親が寝室にガソリンをまいて一家心中をはかり、母親と九歳、三歳の子供を焼死させて、父親自身は重体になっておる、こういうような状態を招来させるような
社会状態なんだ。それだけじゃない。これまた四十六年十二月二十日、東京都の渋谷区で、父親の運転する車の助手席にいた生後一カ月半の赤ちゃんが車からころげ落ちて即死している。なぜそうなったか。アパートでは子供ができたら立ちのくという条件で入れられている、そして赤ちゃんが夜泣きをするので困るということを苦にして連れ出した運転中の事故だ。これはただ単に不注意だけでは済まない
社会問題なんだ、母子
関係の問題なんです。まだまだ
実態をあげればたくさんある。まだこういうような児童
福祉法そのほかの状態をそのままにし、法の中の欠陥をそのままにしておいて、そうして
勤労婦人福祉法、罰則もない、ほんの訓示
規定、なければならないというようなことであっても、結局はやらなくてもどうにもしようがないようなこの
勤労婦人福祉法に画竜点睛を加えるように運営するためには、おそらくは相当今後の決意と重大なる関心を持って臨まなければ、これはとんでもない、何にもならないものになってしまうおそれがある、このことを私はおそれます。したがって、これは発想としていいところにできているでしょう。いいでしょうけれども、しりが抜けている。技けているところを、今度ていさいを合わせることによって表面だけよくして、あと見たならばからっぽである、こういうような
法律案では何にもならない。私はもうこれに対して、今後
審議の
過程において十分ほんとうの名にふさわしいような
法律にし、実行にあたってはほんとうに世の
勤労婦人の
福祉とは、幸福にすることである、この
基本理念にのっとって、ほんとうに画竜点睛を欠くことがないように運営をする、こういうようなことにしてもらうことを私は心からお願いして、私の質問をこれでやめるわけであります。