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後藤委員 開放
労働者というのは、毎日毎日入れかわり立ちかわり日雇い人夫で職場で人が入れかわって
仕事をする市場ですね。しかも第二次、第三次、第四次、第五次と
下請がずうっとあるわけなんです。そういうところで働いておる
労働者をいかにして労働安全教育をやるか。これはやれないと思うのです、現実の問題として。それ、やれますか。そのやれないところに
労働災害が私は多いと思うのです。また
労働組合のないような職場が
労働災害が多いわけなんですね。私はそういうところが、この盲点になっておるような気がするわけなんです。いま
局長が
説明されましたように、今度の
新法では徹底して労働安全教育をやるんだ。それは、そのことを聞けばなるほどそうかという気持ちになりますが、それなら現実の面で第四次だ、第五次だと、どんどん
下請にいきまして、きのうあの人は来たが、きょうは来ない、また別の人が来る。入れかわり立ちかわりやっておるところのこの開放労働市場におきまして
安全衛生教育がこれできめられたとおり実行できるかというと、実行不可能といっても言い過ぎじゃないと思うのですよ。さらにまた、そういうところこそ
労働災害が非常に多い。また私も東京におけるあちらこちらの職場の
関係をいろいろと調べてみたのですが、現在
労働災害が多いのは建設
労働者であり、その次は造船
関係、その次には潜水
関係ですね。これはもう私が申し上げるまでもないと思います。
それから一九五六年の第五回のILOにおける五十三号決議で、
労働災害の
防止については、雇用の不安定、長時間労働、環境の悪さ、この三つが、
労働災害防止の考えなければいけない根源である。これはいま申し上げました一九五六年のILOの五十二号決議、建設委員会で
審議されました結論として出ておるわけです。さらにまた、業者の名前は差し控えますけれども、江東区におけるいろいろな業者の実態等を調べてみますると、もう労働協約もなければ、超過勤務はやりたいほうだい、月に百時間以上。さらにまたフジタ工業等のりっぱな——私はりっぱな大
企業だと思っておりますけれども、ああいうところにおきましても、臨時工ではなしに社員の皆さんですら、週一日の休暇が与えられておらない。月に二回ぐらい程度しか休暇が与えられておらない。超勤にいたしましても、かなり長時間にわたる超勤が行なわれておる。たま、防水
関係ですけれども、
日本綜合防水という
会社があるわけですね。これは地下鉄工事なんです。こういうところも社員なり準社員なり、かなりの人間がおられるわけなんです。あるいは臨時人夫もおられるわけなんですが、徹夜の回数にいたしましても、月に十五回から二十回は連続深夜
作業が続いておるわけなんです。勤務時間につきましても非常に長い勤務時間、超勤等は百時間以上である。これは先ほど申し上げましたように、竹中なりフジタ、こういうところの社員でさえももう週休がない。これが実態なんです。しかもいま申し上げました
企業の
下請、
下請がずっとありまして、その
下請のほうでは一体どうなっておるかといえば、五十人なら五十人の人夫を毎日集めまして——この人方に対しては
賃金体系は請負制になっておるわけです。ですから、よけい無理をして
作業を促進するわけなんですね。こういう点を考えてみまするときには、
労働基準法の実施すら今日完全に行なわれておらない。まず
労働基準法を完全に実施することが
労働災害防止で一番大切なことじゃないか。さらに先ほど言いましたように、ILOの
建設関係の専門委員会でも、一九五六年の決議、
作業環境の悪さ、長時間労働、さらに雇用の不安定、これらが
労働災害の根因であるというようなことも、はっきり話が行なわれておるわけです。そういうような点から考えてみるときには、今度のこの
新法におきまして
労働基準法と切り離し、さらに勤務時間とは切り離してこれだけで
労働災害を
防止しようということにつきましては、いろいろな疑問の
意見が出ておることは
局長あたりも十分御
承知だと思うわけなんです。
さらにあわせて私が言いたいのは、
安全衛生教育にいたしましても、いま申し上げましたように第三次、第四次の
下請のほうになりますと、きょう来た人はあした来ない、また新しい人が出てくる。出たり入ったりの
事業場において、どうしてそんな
安全衛生教育が行なわれるか。しかもそこが一番
労働災害の多い職場だ。これがどうして
安全衛生教育が行なわれるんだ。これは、いま申し上げましたような職場が
全国で非常にわずかな数だということなら、やろうと思えばやれないこともないと思いますが、
全国的にかなり多くの職場があると思うのです。こういう点については、どういうふうにお考えになっていますか。