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1972-04-13 第68回国会 衆議院 社会労働委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十三日(木曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 小沢 辰男君 理事 谷垣 專一君    理事 橋本龍太郎君 理事 増岡 博之君    理事 山下 徳夫君 理事 田邊  誠君    理事 大橋 敏雄君 理事 田畑 金光君       有馬 元治君    井出一太郎君       大橋 武夫君    梶山 静六君       唐沢俊二郎君    藏内 修治君       小金 義照君    斉藤滋与史君       竹内 黎一君    中島源太郎君       別川悠紀夫君    箕輪  登君       渡部 恒三君    大原  亨君       後藤 俊男君    山本 政弘君       寺前  巖君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 斎藤  昇君  出席政府委員         厚生政務次官  登坂重次郎君         厚生省社会局長 加藤 威二君         厚生省保険局長 戸澤 政方君         厚生省援護局長 中村 一成君         社会保険庁医療         保険部長    穴山 徳夫君  委員外出席者         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ————————————— 四月十二日  健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改  正する法律案谷垣專一君外五名提出衆法第  二号) は撤回された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す  る法律案内閣提出第四七号)  老人福祉法の一部を改正する法律案内閣提出  第四九号)  健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第四六号)      ————◇—————
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案老人福祉法の一部を改正する法律案及び健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案議題とし、順次提案理由説明を聴取いたします。厚生大臣斎藤昇君。
  3. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  戦傷病者戦没者遺族、未帰還者留守家族等戦争犠牲者に対しましては、年金支給をはじめ各般にわたる援護措置が講ぜられてきたところでありますが、今回これらの支給範囲拡大支給金額引き上げなどを行なうことにより援護措置の一そうの改善をはかることとし、関係法律改正しようとするものであります。  以下この法律案内容の概要について御説明申し上げます。  第一は、戦傷病者戦没者族等援護法の一部改正であります。  改正の第一点は、障害年金配偶者にかかる扶養親族加給及び先順位遺族にかかる遺族年金等の額を恩給法に準じて増額することといたしております。  改正の第二点は、準軍属にかかる障害年金等の額の改善でありまして、被徴用者等については、現行軍人軍属にかかる額の九〇%相当額軍人軍属にかかる額と同額に、その他の準軍属については、現行の八〇%相当額を九〇%相当額にそれぞれ引き上げることといたしております。  改正の第三点は、準軍属に対する処遇拡大でありまして、日華事変中に本邦等における勤務に従事中、公務傷病にかかったもとの陸海軍部内の有給の雇用人等を新たに準軍属範囲に加え、障害年金遺族給与金等支給するとともに、満洲開拓青年義勇隊隊員にかかる公務傷病範囲を、現行昭和十六年十二月八日以後の傷病から満洲開拓民に関する根本方策について閣議決定のあった昭和十四年十二月二十二日以後の傷病拡大することといたしております。  改正の第四点は、日華事変中に本邦等における勤務に関連した傷病により障害者となった軍人等に、公務傷病による障害年金等の額の七五%相当額障害年金等を新たに支給することといたしております。  第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正でありまして、留守家族手当月額を、遺族年金増額に準じて引き上げることとするほか、未帰還者の死亡の事実が判明した場合にその遺族支給する葬祭料の額を増額することといたしております。  第三は、戦傷病者特別援護法の一部改正でありまして、昭和十四年十二月二十二日から昭和十六年十二月七日までの間に公務傷病にかかった満洲開拓青年義勇隊隊員及び日華事変中に本邦等における勤務に関連して傷病にかかった軍人等障害者に新たに療養給付等を行なうこととするほか、長期入院患者支給する療養手当月額及び療養給付受給者が死亡した場合にその遺族支給する葬祭費の額を増額することといたしております。  第四は、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者父母等に対する特別給付金支給法の一部改正でありまして、昭和四十六年の関係法令改正により、遺族年金障害年金等を受けることとなった戦没者等の妻、戦傷病者等の妻及び戦没者父母等に、新たに特別給付金支給することといたしております。  第五は、戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正でありまして、昭和四十年四月一日から昭和四十七年三月三十一日までの間に、公務扶助料遺族年金等受給権者がいなくなった戦没者等遺族に、新たに特別弔慰金支給することといたしております。  以上が、この法律案提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、さらに、ただいま議題となりました老人福祉法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  今日、老齢人口の増大、扶養意識の減退などにより、老人問題は国民が一体となって取り組まなければならない緊急の課題となっていることは、すでに御承知のとおりであります。  政府といたしましては、この国民的課題である老人問題に対処するため、従来より老人福祉法を中心として、年金、税制、保健、福祉等各般にわたる施策の充実につとめてまいったところでありますが、医療の問題については、老人負担能力が十分でないため、必ずしも適切な医療が確保されていないうらみがあったのでありまして、その点、医療費無料化により老人に必要な医療を保障する方策が強く望まれていたところであります。  今回の改正法案は、このような要請にこたえるため、老人医療費支給措置を講じて、もって国民保険制度のもとにおいて老人が必要とする医療を容易に受けられるようにしようとするものであります。  以下、改正法案のおもな内容について、御説明申し上げます。  第一に、この制度は、国民健康保険加入者及び被用者保険家族のうち、七十歳以上の者について、医療保険自己負担分老人医療費として支給することといたしております。ただし、老人またはその扶養義務者等の前年の所得が一定額以上であるときは、支給しないこととしております。  第二に、老人医療費支給は、市町村を通じて行なうものとし、支給に要する費用については、国がその三分の二、都道府県及び市町村がそれぞれ六分の一を負担することといたしております。  なお、この制度実施時期は、昭和四十八年一月からといたしております。  以上が、この法律案提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案について、その提案理由並びに概略を御説明申し上げます。  医療保険制度抜本的改正につきましては、つとにその必要性指摘されてきたところでありますが、政府といたしましては、今通常国会中に、そのための所要の法案につき御審議をお願いいたし、昭和四十八年度からこれが実施をはかりたいと考えておるところでございます。  一方、かねてから問題とされてまいりました政府管掌健康保険財政状況は、昨年提案いたしました改正法案が成立を見なかったこともありまして、依然として悪化を続け、昭和四十六年度末の累積赤字は二千億円をこえる見通しであり、さらに、本年二月から実施された一三・七%にも及ぶ医療費引き上げ影響等を考慮いたしますと、このまま放置する限り、昭和四十七年度には、約千三百億円の単年度赤字が見込まれるところであります。この結果、昭和四十七年度中に年間給付費の約二分の一にも及ぶ三千数百億円の巨額の累積赤字をかかえるという破局的状況を招き、借り入れ金にも限度があるところから、医療費支払い遅延等の不測の事態さえも憂慮されるところであります。  わが国被用者保険の中枢たる政府管掌健康保険財政がこのように安定を欠いたままでは、抜本改正の実現にも重大な支障を来たすところから、昭和四十七年度におきましては、何よりもまずこのような事態解決をはかった上で、引き続き法案提出を予定いたしております昭和四十八年度からの抜本改正への円滑な移行をはかりたいと考えております。  政府としては、このような観点に立って、次に述べますような内容健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案提出いたした次第でございます。  以下その内容概略を御説明申し上げます。  まず、健康保険法改正について申し上げます。  第一は、保険料及び傷病手当金等基礎となる標準報酬の区分について、最近の賃金実態に即し、その上限を二十万円に、下限を一万二千円に改めるものであります。  第二は、政府管掌健康保険保険料率を千分の七十から千分の七十三に改めるものであります。  第三は、当面の措置として、現在保険料の算定の基礎とされていない賞与等について、支給のつどその千分の十を労使折半により特別保険料として徴収するものであります。なお、健康保険組合につきましては、その自主性を尊重し、特別保険料の徴収は任意といたしております。  第四は、政府管掌健康保険に対するこれまでの定額国庫補助を根本的に改め、定率制国庫補助を導入するものであります。  第五は、政府管掌健康保険保険料率について、社会保険庁長官は、社会保険審議会意見を聞いて千分の八十を限度としてこれを変更できることとし、同時に、この規定により保険料率引き上げた場合は、さきに述べました定率国庫補助の割合を増加するための規定を設けることといたしております。  次に、厚生保険特別会計法改正について申し上げます。  この改正は、政府管掌健康保険において保険負担外にたな上げすることとなる昭和四十七年席末における累積損失を補てんするための一般会計からの繰り入れ権限について規定するとともに、昭和四十八年度以降の借り入れ権限について規定しようとするものであります。  なお、この法律実施時期につきましては、昭和四十七年四月一日からといたしております。  以上が、この法律案提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  4. 森山欽司

    森山委員長 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法難案議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。後藤俊男君。
  5. 後藤俊男

    後藤委員 まず最初に、いま大臣が読まれましたように、援護法の、五点にわたって引き上げその他の改正が行なわれるということでございますが、障害年金等ではかなり大幅な引き上げもあるわけですが、予算的に見まして、昨年の援護法関係予算と、今度改正されますものによる、平年度に計算しましてみたときに、どれくらいな引き上げ率になるのだ、予算的にどれくらい膨張するのだ、その点の御説明を第一番にいただきたいと思います。
  6. 中村一成

    中村(一)政府委員 戦傷病者戦没者遺族等援護に関しますところの予算でございますが……。   〔私語する者あり〕
  7. 森山欽司

    森山委員長 御静粛に願います。——速記がとれませんから、もっと大きな声でお願いします。
  8. 中村一成

    中村(一)政府委員 障害年金等増額等も含めまして、四十六年度が二百四十九億六千万円でございますが、四十七年度は二百八十二億七千万円の増額と相なっておるわけでございます。(後藤委員「何%増になるのだ」と呼ぶ)平年度金額につきましては、ただいまそのパーセントを調べましてすぐお答えいたします。
  9. 後藤俊男

    後藤委員 それでこの援護法は、大体三十四年以来、今度の改正で五回目でございますが、かなり回数を重ねて改正が行なわれておるわけでございますが、その結果としまして、処遇改善の面を考えてみるときに、不均衡、不合理ができておるのじゃないか。ですから、この辺で抜本的に一ぺん改正すべきではないか、こういうふうにも考えられるわけでございますけれども、いま申し上げましたような点について、厚生省としては全然そういうお考えがないかどうか。来年あたりには抜本的に一ぺん検討し直して考え直そう、こういう考え方がありやいなや、その辺のところも厚生省のお考えを示していただきたいと思います。
  10. 中村一成

    中村(一)政府委員 先生のお示しのように、援護法におきましては、ほとんど毎年のように処遇改善等につきまして改正をいたしてきておるわけでございまして、その結果、私どもといたしましては、いわゆる未処遇者に関しますところの問題の解決というものが次第に達成されつつあるというふうには思っております。その結果、たとえば準軍属につきまして、従来軍人軍属とありました格差が次第に解消されまして、本日御説明申し上げましたところの改正案においては、国家総動員法に関しまする準軍属につきましては、軍人軍属と同様の額に年金額改正されております。  そこで、私どもといたしましては、明年以降といたしましては、御指摘の未処遇の問題につきまして、従来と比べまして未処遇というものがないように、この際なるべくすみやかにこの問題は解決をいたしたいし、また準軍属制度そのものにつきまして、この際私どもといたしましては、軍人軍属と準軍属とを区分する点につきまして、これはいかにあるべきであろうかということ等につきまして、根本的に検討を重ねまして、そして援護体制につきまして万全の措置をとりたい、こういうことで準備をいたしておるところでございます。
  11. 後藤俊男

    後藤委員 いまの話が出ましたように、数回にわたって援護法改正が行なわれたわけですけれども、いま話が出ました軍人なり軍属なり準軍属関係ですけれども、これらも順次幅が狭められてきた、こういうことが一口に言えると思うのです。しかしながら、その他の面におきまして、まだまだ未処理の面があるように考えるわけですけれども、ぜひひとつそういう点につきまして、これからの課題として、できるだけ早く不公平、不均衡のないような方向検討をしていただく。これは非常に援護法の面から考えまして、大事なことではないかというふうに考えるわけであります。  そこで第一番の問題としまして、昨年の援護法改正のときにも問題を出しました入営入団、さらに帰郷、その途中で爆撃にあった、あるいは船が沈没してなくなった、あるいは浜松等におきましては、防空壕の中でやられた、こういうようなこともあるわけなんですけれども、これに対しては、昨年ですか、一昨年ですか、見舞い金ということで十万円贈呈されておると思うのです。違っておったら、あとから直してください。  それで、これらの人に対して、この十万円の見舞い金だけで終わりということは、どうしても納得できないわけなんです。いま労働災害考えてみましても、通勤途上というのが、労災の適用云云でかなり前進しておるわけなんです。それとこれとは話は違いますけれども、家を出まして、たとえば海軍でございますと、入団する途上でやられた場合は、入団しておらないからということで十万円の見舞い金で終わり。これが、入団してから死亡いたしますと、それなりの処遇がある。これは大きな不合理だ、不均衡だと思うのです。やはり家を出た以上は認めるべきだ。さらにまた除隊をいたしましても——厚生省のある人の話を聞きますと、除隊しても、すぐまっすぐ家へ帰る人もあれば帰らぬ人もあるというような話も聞きましたけれども、ほとんどの人は、やはり帰郷の場合は、一刻も早く家へ帰りたい、こういう気持ちで帰ることは、まず間違いないと思うのですね。それらの人が先ほど言いましたように船の沈没でなくなった、さらには機銃掃射でやられる。正確な数字は知りませんけれども、百五、六十人から二百人ぐらいは、そういう該当者がおられるのじゃないかと私は思うのですが、これをただ一片の十万円の見舞い金で終わり、これではあまりにも冷たいやり方ではないか。これは当然改正すべきである。これは、去年も、さらに一昨年も、この援護法改正のときには私が強く主張した記憶があるわけなんです。一体なぜこれを改正されないのか。法的にこうだから、法的にこうだからというような説明があろうとは思いますけれども、それよりかは、実態考えてもらえばわかると思うのです。ことしあたりは、この点について改正されるんだと私は思っておったわけなんですが、それが改正されておらない。いま申し上げました問題を厚生省としてはどうお考えになっておるか、今後これをどう扱おうとしておられるのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  12. 中村一成

    中村(一)政府委員 入営あるいは帰郷の途中におきますところの事故につきましては、国会におきましていろいろ御審議をいただき、御議論もございまして、先生指摘のとおり、昨年度、本年度にわたりまして十万円の見舞い金支給するという措置をいたしておるわけでございまして、大体二百名ぐらいそういう方々がいらっしゃるのじゃないかというふうに私どもとしては推定いたしておりますが、これをさらに年金対象にすべきであるという点につきましても、私どもとしては研究をいたしておるわけでございます。  御承知のとおり、援護法におきましては、未復員状態にあります方々につきまして、外地等からの主として引き揚げの場合が多いわけでございますけれども、それらにつきましては、法律をもちまして、陸軍、海軍の廃止後も、未復員状態にある限り、軍人軍属とみなすということが、法律上はっきりいたしておるわけでございます。  今度は逆に、入営の場合につきましては、そういう法律的な措置はしてないわけでございまして、一応見舞い金を私どもは差し上げるということにいたしておりますが、この問題につきましては、見舞い金の申請にあたりまして、いろいろと具体的なケースが出てまいっておりますので、そういう点を十分に研究をさていただきたいと思っております。  ただ、援護法の体系から申します場合におきましては、援護法対象軍人軍属、準軍属といったような身分に着目いたしまする制度でありますので、その辺、何と申しますか、入営する途中の一般の方であるわけでございまして、一定身分を得てからあとの場合とにおきまして、そこに差があるのは、これは援護法制度上いたしかたないわけでございますけれども、御指摘のとおり、この点につきましては十分勉強をさせていただきたいと思っております。
  13. 後藤俊男

    後藤委員 去年もそういう話で、十分研究をするということでございました。いまもやっぱり去年と同じ返答で、見舞い金十万円というのは前進したと私は見ておるわけなんですが、いま言われました入営の際に、自己の責任ではなしに途中でなくなった場合ですね、これが援護法適用になるかならぬかということなんですけれども援護法適用をしようとする場合には法律のどこにひっかかって、それをどういうふうに改正すればいいのですか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  14. 中村一成

    中村(一)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、帰郷する途中、復員途上におきましては、前の大戦におきまする特殊事情から、海外から復員する場合におきまして、いろいろと事故があったという点におきまして、法律上、特に援護法では、第四条の二の規定をもちまして、その期間におきますところの事故につきまして、公務上としてこれを処遇するというふうにいたしておるわけでございます。  したがいまして、入営の場合におきまして、つまり、さき大戦におきまして、入営の途中におきましてこういうような具体的な問題点があって、この点は特に法律上救うべきであるというような、いろいろな具体的なケースによりまして、これは今後法律的にそれができるかどうかということを検討すべきだろう、こういうふうに考えておるわけでございますが、たとえば入営としては、長崎県の徳浦丸という船で入営する途中になくなられたというケースがございました。こういうようなケースは非常にお気の毒なケースでございまして、こういうケースのほか、約二百名の方方につきまして、私どもとしては具体的なケースを積み重ねまして、検討の資にいたしたいということで勉強しているわけでございます。
  15. 後藤俊男

    後藤委員 それじゃ次の改正のときには、どうですか、これは改正してみたら。
  16. 中村一成

    中村(一)政府委員 十分その間検討させていただきたいと思います。
  17. 後藤俊男

    後藤委員 ぜひひとつ……。これは大臣、あまり無理な話じゃないと思うのです。だれが聞きましても、なるほどそうだといって納得のできる話だと思いますから、次の改正には、ぜひいま申し上げました点を改正していただく、この方向大臣もひとつ御努力をいただきたいと思います。
  18. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 事務当局でさらに検討を加えると申しておりますので、その検討の結果を待ちたいと思いますが、入営入団途中の事故死、ただいまおっしゃいましたようなもの、これに見舞い金を出すというのは、まず第一歩であったのか、あるいは実質的に差異があるということでこういうようになったのか、実質的に差異がないという結論になれば、いま後藤委員のおっしゃるとおりだと私は思います。どこをどう直すかは技術的な問題でございますから、したがいまして、そういう実質判断について事務当局で十分検討いたさせまして、その結果によって、場合によったら改正をいたしたいと思います。
  19. 後藤俊男

    後藤委員 その次には、沈没した対馬丸の問題です。この事件が起きてしばらくして、昭和三十七年に総理府のほうから見舞い金として二万円贈呈されておるわけなんです。さらにまたことしの予算として、見舞い金三万円が予定されておると聞いておるわけです。この対馬丸事件が発生いたしましたのは昭和十九年ですね。約八百人の学童ですか、これが沖繩から日本へ疎開する途中で魚雷にあって沈没した、こういう事件でございますけれども、当時考えてみますると、沖繩におきましては、学徒動員者には準軍属扱いが行なわれておったと思います。この人らは沖繩におれば当然そういう扱いを受ける人でございます。この対馬丸で疎開する途中で魚雷で沈没させられた、そういう点を考えてみるときには、これは当然援護法適用あってしかるべきじゃないか。昭和三十七年に見舞い金が二万円、さらにまたことしとして見舞い金三万円、これは総理府との関係もあろうかと思いますけれども厚生省として、いま申し上げました問題を取り上げてもらって、援護法適用対象にすべきである、もうこの辺で考えるべき時期が来ておるんじゃないかというふうに私考えるわけでございますけれども、この点、厚生省としてどうお考えでしょうか。
  20. 中村一成

    中村(一)政府委員 対馬丸遭難事故学童に対しまして、準軍属として処遇すべきではないかという御意見は、従来から沖繩遺族の方からも前々から何回も伺っておりますし、また当社会労働委員会におきましても、このことにつきましては、ずいぶんと御審議をわずらわしておるのでございます。御指摘のとおり、昭和三十七年に総理府といたしまして二万円の見舞い金を差し上げ、また、昭和四十七年度におきまして、総理府より、その二万円の対象から当時漏れたつき添いの方々、あるいは当時台湾に疎開されました沖繩方々の遭難がございまして、その方々に対しまして三万円の見舞い金支給するということが四十七年度予算に計上されているわけでございます。  この対馬丸の犠牲者の方につきましては、政府部内におきまして、これもずいぶんと検討いたしたわけでございますけれども、結果といたしまして対馬丸の遭難の学童方々は、本土の疎開の学童の場合、また沖繩本土におって戦闘のためになくなられた学童との比較におきまして、どうしても、これはやはり一線が画されざるを得ないという結論に達しておるわけでございまして、現在のところ、対馬丸の犠牲学童につきまして、これを準軍属として取り扱うということは考えていないということです。
  21. 後藤俊男

    後藤委員 これは私は当時のことはあまり詳しく知りませんけれども、この対馬丸で約八百人でございますか、これは命令というと誤解があるかもわかりませんが、かってにおれは疎開するんだからというて、個人個人の意思で疎開したもんじゃないと私は見ておるわけなんです。おそらく命令なり指示によって集団的に疎開する、これらの人が対馬丸に八百人乗りまして、途中で魚雷に沈没させられたんじゃないかと私は思うのです。個人で、もう沖繩におるのは危険だ、あぶないからおれは引き揚げるんだ、疎開するんだ、かってに個人の意思でやったことなら、いま局長の言われたようなことも筋が通ると思うのですけれども、私はおそらくそうじゃないと見ておるわけなんです。そうなれば当然援護法対象にしてしかるべきじゃないかというふうに思うのですが、この点、重ねてお尋ねします。
  22. 中村一成

    中村(一)政府委員 当時の実態は、おそらく先生のいまお示しのとおりであろうと思われます。つまり、その生徒、学童が疎開いたしましたのは、もちろん生徒本人の意思によるものではなくして、それはおそらく当時の軍の要請に基づくところの措置であったろうというふうに十分推定されるところでございます。したがいまして、この遭難者生徒の場合、七百三十七名の学童につきましては、そういう意味におきまして、何らかこれは国によるところの誘導あるいは支配のもとに、この疎開が行なわれたということはあったにいたしましても、その程度と申しますか、が直接沖繩に残った学童の場合、つまり米軍が上陸いたしましたとき軍と協力して戦った場合とにおきまして、いろいろ研究いたしますけれども、何としても、これはやはりそれとの比較、あるいは一方、先ほども申し上げました、その他内地等におきましても、これはほとんど国の要請に基づく措置で犠牲になられた方々の場合が大部分でございまして、そういう方々との比較、種々検討いたしまして、今日の段階におきましては、遺憾ながらこの方々を準軍属とするということは、どうしてもやはり法律の運用上は私どもとしては無理がある、こういうふうに考えているところでございます。
  23. 後藤俊男

    後藤委員 いま局長が言われましたように、軍の要請に基づいて疎開したんではないかという推定もできぬことはない、こういう言い方ですけれども、そうだとするのならば当然、魚雷で沈没させられたということになれば、戦争の犠牲者であるということは、はっきり言えると思うのです。そうなれば、準軍属扱いをして援護法適用に該当するんではないか、当然該当させるべきだというふうに私はこれは考えるわけです。ぜひこの問題につきましても放置することなく、さらに前向きの方向厚生省としても検討をしていただく、これをぜひお願いをいたしたいと思うわけです。  その次には、今度の援護法改正の中身を見ますると、動員学徒なり、あるいは徴用工につきましては百分の百ですか、十分の十まで引き上げる、こういう改正内容なんですね。  そこで考えられますのは、内地部隊で訓練中死亡された人、この人方には現在特例遺族年金ということで七割五分が支給されておるんじゃないかと思うのです。そうしますると、動員学徒なり、あるいは徴用工の人が百分の百で、いわゆる一〇〇%支給引き上げになるわけですけれども、いま申し上げました内地部隊で訓練中に死亡した軍人に対して七割五分でとめておくということは、どうも私は不均衡だと思うのです。これを引き上げるべきじゃないかと思うのです。当然これは引き上げてしかるべき問題であるというふうに思うのですが、この点はどのようにお考えになっておるでしょうか。
  24. 中村一成

    中村(一)政府委員 私どももこの七五%の問題につきましては、先生指摘のとおり増額すべき性格のものだと思っております。ただこれは援護法だけでまいりません。恩給法に同様の制度がございますので、恩給法との関連におきましてこの七五%の特例の制度ができておるわけでございますから、所管の総理府等ともよく相談をいたしまして、この七五%についての増額等の問題につきましては、これから先の問題として研究をさせていただきたい、こう考えております。
  25. 後藤俊男

    後藤委員 いま局長も言われましたように、引き上げ内容となっております点から考えてみるときには、かなり不均衡だと思うのです。これは検討に値する問題だと思いますので、次の改正の時点には、ひとつ引き上げ検討していただく、これは総理府との関係もあろうと思いますけれども、お願いしたいと思うわけなんです。  それから次には、外地の戦没者の遺骨収集の問題です。  これは遺族会のほうもかなり問題にしておる点であろうと思いますけれども昭和四十七年度として、遺骨の収集に対して厚生省としてどれくらいな予算考え、どういう方向で行なおうとしておられるか、さらにまた遺族会等もやかましくいわれておるところの墓地の整備等につきましても、計画があればひとつお示しをいただきたいと思います。
  26. 中村一成

    中村(一)政府委員 昭和四十七年度におきましては、予算といたしましてはパラオ諸島、トラック諸島等未実施の地域のほか、マリアナ諸島あるいは沖繩におきまして遺骨収集を行なうということで一千三百万円が計上されておりますほかは、フィリピンのカリラヤと申します、ルソン島でございますけれども、そこに慰霊碑を建立するという予算が三千万円ほど計上されております。  しかしながら私どもといたしましては、四十七年度におきましてそういうふうに計画はいたしておりますが、遺骨の収集あるいはまだ帰っていない生存者の救出につきまして、いろいろな情報が特に最近入ってまいります。私どももまた、従来の私どもの計画、遺骨収集あるいは生存者救出につきましては、従来の実績をもう一度洗い直しまして、昭和四十七年度から、あらためて全部もう一度やり直すというつもりで実はいろいろと準備を進めておるところでございます。  私どもといたしましては、定められた予算にかかわらず、必要によりましては別途また財政当局とも御相談をいたしまして、そういうことにつきましては積極的に取り組んでいきたいということで、現在準備をしているところでございます。
  27. 後藤俊男

    後藤委員 ぜひこの問題につきましても、関心の深い問題ですから……。  ところで、大臣にお尋ねするわけですが、この間グアム島へ捜査隊と申しましょうか、厚生省から三名派遣されたと思うのです。私は新聞の報道以外に詳しくわかりませんけれども、あの捜査隊が出まして向こうでかなりな期間、しかも非常に困難な仕事だと思うのですけれども、耐え忍んでやっておられたと思うのです。その結果、何か、らしいものがつかめたのかどうか。さらにまた、今回は第一回ということで打ち切りで、続いてまた捜査隊を——捜査隊と申しましょうか、ああいう趣旨の派遣を行なわれる気持ちがあるかどうか。なしとするならば、一体これからは、いろいろな情報が厚生省にも入ると思うのですけれども、どういうふうに処置されていこうとしておられるのか、この点についてお尋ねいたしたいと思います。
  28. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいまの問題につきましては、グアム島の政府関係も非常に積極的に協力といいますか、むしろ主導的な立場に立ってやってくれました。詳細に私も御報告を受けましたが、もし必要であれば詳細な御報告を申し上げますが、結論といたしましては、生存者があるというような印象も得られなかった、また、ないという印象も得られなかったという結論でございます、一回目の結論は。これはこちらから三名、それから政庁、グアム島の政府関係が三名、専心やったわけであります。  そこで一応帰ってまいったわけでありますが、今後はグアムの警察におきましても、いままでより以上に関心を持って、少しでもそういう情報があれば政庁のほうに報告をさせる。そしてそれを日本側に知らせる。そしてその結果、要すればまた捜索をいたしましょう。いままでは、いろいろ民間情報その他があっても、必ずしもこれがグアム警察あるいは政庁に報告されていなかったきらいもなきにしもあらずということで、そういった情報の収集についても、以前よりもさらに密にしよう。その結果、またこちらに知らしてもらって、そして要すれば共同捜査をしよう、こういうことで帰ってまいったわけでございます。
  29. 後藤俊男

    後藤委員 当時、刑事さんですか来られまして、いろいろな情報をわれわれも聞いたわけですけれども、直ちに厚生省として捜索隊を派遣されたということは、非常に適切な処置であったとわれわれは考えておるわけなんですけれども、このままで終わってしまったのでは何かもの足らぬような気がいたしますので、これからの問題としても十分なる関心を持っていただいて、これはやっていただく必要があろうと思いますし、それからさらに、これは総理府関係になるかもわかりませんが、二十数年間グアムでがんばっておられました横井庄一さんですね、あの人の待遇というのですか、国としてこれからどういうふうな処遇をしていくのか。全部が厚生省関係ではないと私は思いますけれども、その当時新聞記事を見ましても、いろいろなことが記事に書かれておりました。さらにまた新聞記事によりますと、ある党の国会議員がどれだけかのお金を出してどうとかという記事も、私見たわけでございますけれども、最終的に、二十何年間グアムでがんばっておりました横井庄一さんに対する処遇というのは、どういうことになっておるのか、これもおわかりであれば、ひとつ御説明いただきたいと思います。
  30. 中村一成

    中村(一)政府委員 横井庄一さんに対します国としての措置といたしましては、横井さんはことしの二月二日日本に帰ってまいりました時期まで軍人であったという取り扱いとなります。それで横井さんの場合におきましては、三十一年間軍籍にあったということになりまして、そこでこの復員されました二月の翌月、三月から普通恩給がもらえることになっておりまして、事実もう恩給局のほうから恩給証書を受け取っておりますが、年額といたしましては十三万二千八百九十四円という普通恩給が支給されるということになります。  それからなお、これは国としての措置ではございませんけれども、横井さんに対しまして一般から寄せられましたお見舞いのお金——品物もございますけれども、金を厚生省がお預かりをいたし、あるいは東京第一病院でお預かりしましたものの合計が本日現在で二千二百五万三千六百三十五円と相なっております。一般国民の皆さま、あるいは政府におきましても総理以下大臣各位がお出しになりましたものを全部入れまして、これだけになっております。  国といたしましては、先ほども申しました普通恩給が支給せられる、こういうことになっておるわけです。
  31. 後藤俊男

    後藤委員 いま言われました横井さん三十一年間軍人であった、普通恩給が十三万二千八百九十四円ですか、いままでに集まったお見舞い金として二千二百五万三千六百三十五円、これだけだという説明だと思うのです。そうしますと、大東亜戦争が始まって、こちらにお引き揚げになったのは二月ですか、それまでの、軍人俸給というのですか、賃金とはいわぬと思いますが、いわゆる兵隊さんに支給される俸給はどういうことになるのでしょうか。
  32. 中村一成

    中村(一)政府委員 昭和二十八年に軍人恩給が復活をいたしまして、したがいまして、二十八年以降におきましては軍の在職期間を恩給の在職期間として取り扱うということになった関係もございまして、軍人に関しますところの給与、いわゆる俸給というものは、二十八年をもって未支給の給与というものはなくなっておるのでございます。  横井さんの場合は、したがいまして、二十八年八月一日までの間は未復員者給与法によりまして、その間の俸給が支給されておりますが、これはただしかし、当時の貨幣価値そのままで計算されておりますので、金額といたしましては、合計いたしましても三万九千百七十円という金額でございます。ただ未復員者の場合におきましては、本人に対しまして俸給を支給するという方法はございませんので、残っておられますところの留守家族に対しまして手当を差し上げるというふうに現在の制度はなっておるわけでございます。
  33. 後藤俊男

    後藤委員 わかりました。  変な質問でございますが、見舞い金はまだまだ集まる途中でございますか。
  34. 中村一成

    中村(一)政府委員 私どもといたしましても、もう大体お見舞い金の山は越したのじゃないかというふうに考えております。このほかに、各都道府県等におきましてどうなっておりますかわかりませんが、大体都道府県でお預かりになったものは厚生省のほうにお回しになっておるようでございますので、大体この程度じゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  35. 後藤俊男

    後藤委員 これはまた非常に幼稚な質問ですけれども見舞い金が二千二百五万円集まった。こういうものには税金がつくのですか、つかぬのですか。
  36. 中村一成

    中村(一)政府委員 援護局におきまして国税庁と、あるいは主税局のほうも参ったかと思いますが、相談をいたしまして、これにつきましては税制上恩典的な取り扱いをしてもらうように相談をいたしまして、いまのところ大蔵当局もそういう線でやってくれる、つまり税金をかけないという線でやってくれるように聞いております。
  37. 後藤俊男

    後藤委員 それから次が満鉄関係援護法の問題ですけれども、これはいままで三年、四年かかりまして厚生省としてもかなり好意的に御尽力いただいて、去年でございますか、三十数名の援護法適用者がいろいろ考えられていただいた結果出ておるのです。ところが、これはあくまでも昭和十六年の十二月八日以降の問題でございまして、それ以前の昭和十二年の七月七日以降から昭和十六年の十二月八日の間における日華事変あるいはノモンハン事件もあるのですが、これらの関係で軍需輸送でけがをした、あるいは両手を取られた、両足を取られた、まあ見るもむざんな姿の人が、今日も何とかひとつ援護法適用にならぬだろうか、これは各党を問わず政府にも強い働きかけが行なわれておることは、私が申し上げるまでもないと思うのです。今度の改正には一これは法を改正しなければできない問題ではないと私思うのです。法を改正しなくても、法の運用によりまして、いわゆる厚生大臣考え方いかんによりましては、この請願書にも書いてありますように、昭和十二年の七月七日から昭和十六年の十二月八日、この期間における軍の要務で従事中に負傷した人、これらの人を戦傷病者戦没者遺族等援護法を適用させることもでき得るのではないかというふうに私どもとしては考えるわけでございますけれども、この点いかがでしょうか。
  38. 中村一成

    中村(一)政府委員 後藤先生には、ことに旧満鉄の職員の援護の問題につきましては、かねがね御熱心に私どもといたしましても御指導賜わっているところでございまして、今回の改正におきましては、旧満鉄関係処遇につきましては、満鉄職員のうち援護法上二つの種類、つまり軍属扱いの者と準軍属扱いの者とございますが、軍属として扱われる方々につきましては、ただいま先生指摘のとおり昭和十二年七月七日にさかのぼって援護法適用するということにいたしております。したがいまして、この改正法が通過、成立、施行になりました暁におきましては、この間におきまする犠牲の方々につきまして、軍属として遺族年金あるいは障害年金措置がとられるものと思っております。  ただ今回の改正におきましても、準軍属といたしまする扱いになられる方々の場合におきましては、その準軍属国家総動員法に基づきますところの総動員業務の協力という法律の体系になっておるわけでございますので、したがいまして、これにおきましては総動員法の関係昭和十六年十二月八日以降とならざるを得ないわけでございますが、満鉄の社員で犠牲になられた方々につきましては、ただいま先生もお示しのように、具体的な現実のケースケースにおきまして、これは私どもとしまして、満鉄におきますところの特殊な性格にかんがみまして、その適用につきましては十分配慮いたしたいと思っております。事実また、私どもとしまして、いままで、満鉄職員の障害年金につきましては、請求がありましたケースにつきまして、ほとんどこれをお認めするという実際の実績を持っております。
  39. 後藤俊男

    後藤委員 満鉄会が中心でいろいろな資料を出されまして、非常に熱心にやっておられることは私らも知っておりますし、厚生省としても認めておられると私は思うんです。で、いまも説明がありましたように、去年、おととしですか、援護法適用ということでかなり御尽力をいただいておる。それはあくまでも総動員法を一つの根拠とされまして、いわば昭和十六年の十二月八日以降のものについて適用していただいたというふうに思うんです。ところが、それ以前の人につきまして、やはりまだまだ三十数名の人が残っておるわけなんです。   〔委員長退席、谷垣委員長代理着席〕  そこで私は、この満鉄関係につきましては一々こまかいことを申し上げる必要もないと思いますけれども恩給法上も、やはり満鉄でつとめておった勤続年数というのは加算されることに、一昨年でございますか、なっておるわけなんですね。そういうような点を考えたり、さらに、満鉄自体が、日華事変といわず、さらにノモンハン事件といわず、かなり軍と一致協力しまして、国の指令に基づいて軍事輸送をやっておった、こういうことははっきり申し上げましても間違いないと私は思うのです。そうなってまいりますと、いま申し上げましたように、昭和十六年の十二月八日以前のものについては援護法の準軍属扱いがまだ行き渡っていない、十六年の十二月八日以降につきましては、していただいたというのが現状だと思うのです。ですから、もう一歩さかのぼっていただいて、昭和十二年の七月七日までさかのぼっていただいて、それは個々にいろいろ検討しなければいけない問題がたくさんあるとは思いますけれども、ぜひこの援護法適用をしていただくのが当然ではないかというふうに思うわけでございます。  ですから、私はここで、南満州鉄道がどういう立場にあって、国との関係がどうなっておってと、そういうようなことは一々もう説明するまでもなく、局長はじめ厚生省ではこれは十分御承知でございますから申し上げませんけれども、しかもこの援護法そのものが内容的にもどんどん充実しつつある、こういうような時期等も考えるときには、いま申し上げました非常にみじめな生活をしておられる、手もない、足もないという人もおられるわけでございます。この人らが一体どこでけがをしたかといえば、南満州鉄道で軍事輸送のためにけがをした、あるいは軍事列車編成の作業の途中でけがをしたということにこれはなっておるわけでございますから、だから私は、今回の法律云々ではなしに、この法律の運用によって、いま申し上げましたような人を救い上げる、というと語弊があるかもしれませんけれども、この援護法適用対象にひとつ認めていただく、このことは可能じゃないかと私は思うわけですが、いかがでしょうか。
  40. 中村一成

    中村(一)政府委員 先ほども説明申し上げましたとおり、援護法上におきまする軍属の場合におきましては、満鉄の職員の方につきまして、昭和十二年七月にさかのぼることがこの法律改正でできるわけでございまして、この今回の改正におきまして具体的に何名の方になるか、私ただいま、まだはっきりしておりませんけれども、少なくとも法律的にはそこまで、昭和十二年までさかのぼることができることになるということでございまして、従来、期間の問題で対象とならなかった方々につきまして、その点におきまして私は一つの根拠を与えることができるものと実は確信をいたしておるわけでございます。  なお準軍属の場合におきましては、おっしゃいますとおり今後とも私どもは、満鉄会の方々ともよくお話を聞きまして、具体的なケース・バイ・ケースによりまして、処遇につきましてできるだけ前向きに処理をしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  41. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ちょっと関連して。  満鉄の社員で、いまの軍属昭和十二年七月七日までさかのぼって適用できるという法律的な根拠をちょっと教えていただきたいんです。
  42. 中村一成

    中村(一)政府委員 本日のぼせております援護法改正の中でございまして、これは政令の改正で具体的には出てまいります。
  43. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ぼくは、法改正というからちょっと疑問を持ったんですけれども、政令の改正だと思うのです。  ですから、いまと関連してちょっとお伺いしたいことがあるわけですけれども、施行令第一条の四の表の一がありますね、そこに「中国(満洲、台湾並びに英国租借地である九龍半島及び香港を除く。)及びその沿海」と書いてある。これは、なぜ満州というのが削除できないんですか。
  44. 中村一成

    中村(一)政府委員 そこで私、政令とばく然と申し上げましたが、この満州というのを削除いたします、この政令で。そうしますと満州は適用される、こういうことになるわけでございます。
  45. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃ、戦傷病者戦没者遺族等援護法の第二条第三項の第一号ですね、ここに「昭和十六年十二月八日以後中国(もとの関東州及び台湾を除く。)」とこう書いてありますね、ずっと後段のほうです。そこの関東州というのは、これは除くわけですか、除かぬわけですか。
  46. 中村一成

    中村(一)政府委員 これは法律上、この国家総動員法に関しまして、旧関東州国家総動員令というものがございますので、ここでは関東州は一応除いてございます。ただし、ごらんいただきますとおり、この援護法の第二条第三項の一号の前の部分をお読みいただきますと「旧国家総動員法第四条若しくは第五条」カッコがございまして「旧関東州国家総動員令においてよる場合を含む。」とございます。したがって、ここで関東州関係適用されます。
  47. 後藤俊男

    後藤委員 それで局長、いかがですか、いま申し上げました問題につきまして、法的に考えると、いま言われました国家総動員法というのが、この前やっていただいた一つの根拠になっているものです。厚生省としましても、昭和十二年の七月七日にさかのぼって援護法適用考えてもいいとは思っておるけれども、何か一つ根拠がないだろうか、こういう気持ちだと私は思うわけなんです。数といたしましても、そうたいした数でもございませんし、金額的にもたいした予算が必要でもないと思いますから、ひとつあらゆる面から検討していただいて、いま申し上げましたところの昭和十二年の七月七日から昭和十六年の十二月八日、この間における日華事変、これらによりまして軍事輸送で傷害を受けた人に対するところの遺族援護法適用あるいは障害年金適用、これをひとつ考える、そこまでひとつ、きょうのここでお約束いただけませんか。
  48. 中村一成

    中村(一)政府委員 旧満鉄の置かれました特殊な事情にかんがみまして、旧満鉄社員の犠牲になられた方々につきましては、私どもといたしましてはその具体的なケースによりまして今後とも十分処置を考えさせていただきたい、こういうように考えております。
  49. 後藤俊男

    後藤委員 具体的ケース考えていただくということは、これはけっこうなんですが、具体的ケース考えていただく以上は、いま言ったように、厚生省としましても昭和十二年の七月七日にさかのぼって適用するんだ、こういうことをやはり腹の中に入れておいていただかないと、ケースケース検討しちゃ、これは却下、これは却下となってしまうわけですよね。ですから、私は法的にどうこうというこまかいことはここでは申し上げませんし、さらに満鉄のいわく因縁、故事来歴を申し上げようと考えておりませんけれども、あそこまで御尽力いただいたんですから、いま一歩というところは、何回も申し上げますように、わずか三十数名のことでございますから、これは直ちに一人一人のケース検討して、その方向厚生省としても全力を尽くしてみよう、これくらいなことは、ぜひお約束をいただきたいと思うのですが、これは大臣、いかがでしょうか。
  50. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 お話を伺いますと、今度の法律改正軍属はさかのぼれる、しかし準軍属は総動員法の関係でさかのぼれない、こういうことになっているということのようでございます。  そこで、満鉄は特殊の事情にあったわけでございますから、いまおっしゃいますように、何らかの根拠を見つけるといいますか、とにかく実質的に軍属も認めるようになったんだから、準軍属も総動員法の適用はなかったかもしれぬけれども、しかし実質的にはあったと同じようなことをやってきたんじゃないかというようなことであろうか、私はかように考えます。  そういう実質的な判断から、総動員法の適用があったものとなかったものとの関係をそう差別をしないでやれないかということを、いまおっしゃる趣旨に従って検討いたしまして、できるだけ実情に合うようにいたしたいと思います。
  51. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ちょっと関連して。恩給法で満鉄職員の在職年限というのが通算されましたね。これは一つは、満鉄のその当時持っておった性格からいって、いわば日本政府の行動とみなしたわけでしょう。そういうふうにみなしたから通算をしたわけですね。つまり国家公務員の在外の公務というふうに認めたわけですね。だから恩給法というのがああいうふうに通算された。そうすると、そういうことで仕事をやっている人は軍属とみなされないということは、ぼくはおかしいと思うのですよ。  そういうことで、もう一つあなた方のほうでおっしゃっていることは、ここに書いているように「準戦地」というのを「事変地又は戦地に準ずる地域」、こうなっているわけでしょう。俗にいう満州事変というのは事変ではないわけですか。あるいは事変地ではないわけですか。あるいは日華事変というのは事変でないわけなのかどうか。そういうことを考えれば、ずっとさかのぼって、満鉄のそういう犠牲者に対しては軍属として適用するというのが本来の考え方であって、これは考え方でいけば、それが一番論理的じゃないですか。その点はどうですか。
  52. 中村一成

    中村(一)政府委員 現在の援護法の体系におきましては、昭和十二年七月以降というものを適用範囲等の一つの限界としておるわけでございまして、いわゆる満州事変までは、実は援護法対象になっていないわけでございます。その点が、ぎりぎりいきまして昭和十二年の七月という点が援護法の一つの限界になっております。  おっしゃいますとおり満鉄の職員につきましては、恩給法におきましては通算の措置をとっております。これは考え方といたしまして、もちろんそれを公務として見るという考え方に立っておるものと思われます。そこで今度は援護法上、満鉄におきますところのいわゆる労務災害といいますか、労働災害というもの、これを援護法で全部見るということまでいけば、あるいはそれも一つの行き方かと思うのでございますけれども、いまのところは、やはり援護法の立て方といたしまして、先生方十分御承知のとおりでございますが、何らかの日本の軍との関連をとらえて、着目して、その点に関係のある方々につきまして対象にするということになっておりますから、したがいまして、私どもといたしましては、そこに軍との関係を何とかして明らかにいたしまして援護いたしたいというふうに考えておりますが、遺憾ながら満鉄に関しましては、資料というものがほとんどないというのが現状でございます。  私どもといたしましては、その適用につきましては、結局満鉄会の方々からのいろいろなお申し出というものを十分私どもの資料とするというやり方を従来もやってきましたし、今後もそういうことで御本人方のお申し出というものを十分尊重してやっていきたい、こういうように考えております。
  53. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私の申し上げるのは、だからあなたがそういうお答えをなさるだろうと思ってあれしたわけですが、その公務員傷というものが、実は事変による、たとえば軍用列車とか先駆列車あるいは装甲車というものの乗務をやったり、あるいは軍需列車の転轍ですか、そういうものをやった、そういう作業中に起きた人たちのことを言っておるわけです。  そういうことを私はなぜ言うかといったら、そんなに多くないはずです。満鉄会のほうからそれが出れば、あなた方は全部お認めくださいますか。ケースバイ・ケースと言わずに、信用されて——何万人、何千人もおるという話なら別ですけれども、そういう人たちは非常に少ないでしょう。そうして満鉄会がそういうことに対してかりに確認をされれば、そうしてそのときには上司のほうの要するに状況書類というものをちゃんと添付してやれば、あなた方はやはりお認めになるべきだと思うのですよ。ぼくも公務というのが、実は軍用に関するあるいは軍需に関する公務であるということを言いたいわけです。たとえばほかの仕事をやっておって、そうして手がなくなったり、足がなくなったりしたことを言っておるのじゃなくて、まさにその時分は満州事変から日華事変になり、ずっと戦争が拡大していったわけでしょう。そのときに、軍の命令によって実は満鉄がそういう仕事をやらされたわけですから、それに従事されていた人は、軍の仕事をやった結果そうなったとするならば、補償すべきじゃないか、その点なのですよ。だから私の言うのは、ケース・バイ・ケースだというのがどうも納得いかないわけです。三十人か四十人の人たちが、もうすでに状況というものはきちんとわかって、そしてある意味では日本国じゅう上司をさがし回って、そして要するに証人になってもらって出した書類が、ケース・バイ・ケースでやられてはかなわぬ、その人たちは浮かばれぬ。だから、ケース・バイ・ケースなんて言わないで、たかだか三十人か四十人の人なら一括してあなた方やればいいじゃないですか。
  54. 中村一成

    中村(一)政府委員 私の説明がまずうございますが、ケース・バイ・ケースということは、つまりその一つ一つにつきましてよく実態を明らかにしてやるという意味でございまして、それはちょうど一律にやるというのと相反するように、あるいは私の説明がとられたら、私としては不本意でございまして、先ほどから何回も繰り返して申しますとおり、満鉄の業務の特殊性というものをよく見て、そして一つ一つをつまびらかにしていけば、あるいは結果としては、先生のおっしゃることと同じになるのじゃないかと思うのでございますけれども、どうも私の説明がまずいようでございます。
  55. 山本政弘

    ○山本(政)委員 だから満鉄の使命、性格というものは、私は先ほど申しましたとおりに、軍の行動即満鉄の行動じゃなかったかというのですよ。それさえ認めれば、申請を出された人たちをなぜ一括してお認めになることができないかというのです。三十人か四十人じゃないですか。私もそういう人たちに会いましたよ。状況はそれは気の毒ですよ。ケース・バイ・ケースだなんていって処遇するような人じゃないですよ。もうずいぶんの年なんですから、そういうことに対して私はある意味では、少しは拡大解釈ですらやっていいのじゃないかという気がするのですが、それをケース・バイ・ケースというのが納得いかない。
  56. 中村一成

    中村(一)政府委員 先生のお示しの御趣旨に沿いまして、残りました幾つかのケースについては、さっそく措置をきめたいと考えます。
  57. 後藤俊男

    後藤委員 それで局長、いまえらく簡単に言われましたが、そのことは昭和十六年の十二月八日以後ではなしに、以前にさかのぼってケースバイ・ケースで調査をして行ないます、そのことを意味しておるのですね。
  58. 中村一成

    中村(一)政府委員 これは先ほど申しましたとおり、援護法上は軍属扱いになる場合におきましては、正確に申しますと、これは援護法の第二条の第一項の第四号の適用を受ける場合におきましては、この法律改正によりまして昭和十二年七月までにさかのぼることができるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、いま申し上げましたのは、この二条一項第四号の適用につきまして、具体的につまびらかにしていきたい、こういうことでございます。
  59. 後藤俊男

    後藤委員 ということは、軍属でございますれば昭和十二年の七月七日までさかのぼってやれる、実施しておる。ところが、一昨年やっていただいたのは、準軍属という扱い適用していただいたわけなんですね。そうなりますと、あなたのほうの言われるのは昭和十六年の十二月の八日以降でございますということでやってもらったのです。ところが、いま山本委員なり局長の話を聞いておりますと、個々のケース検討して行ないます、そうあなたが言い切られる以上は、昭和十六年の十二月八日ということにこだわらずに、個々のケース検討して、しかるべきものは適用をしていきます。いまの話を聞いておりますと、こういうふうに解釈すべきだと思うのです。ですから、そういうふうに解釈してよろしいですかということを確認したいわけなのです。
  60. 中村一成

    中村(一)政府委員 援護法の第二条の第三項第一号を適用していく場合におきましては、これは昭和十六年十二月八日以降の事故というものしか対象とすることができないわけであります。  ただ先般来、満鉄関係方々におきましては、準軍属扱いをすることが適用上最もふさわしいというケースで、そういう扱いをいたしておるわけであります。ただその実態におきまして、昭和十六年十二月以前の状態におきまして事故になられた場合におきましては、したがいまして、二条の一項四号の適用はないものかどうかということを、私どもとしましては具体的なケースについて適用考えていきたい、こういうことを私は考えまして、山本先生にお答えをいたしておるわけでございます。
  61. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、軍属という考え方に立って検討をしたい、そういうことですか。
  62. 中村一成

    中村(一)政府委員 今回の改正軍属関係でございますので、せっかくの法律改正というものにつきまして、私どもはこれを従来残された方方について適用できないかどうか、十分検討したい、こういうことでございます。
  63. 後藤俊男

    後藤委員 そうなってまいりますと、一昨年ですか、やっていただいたのは準軍属扱いなんですね。それに基づいて昭和十六年の十二月八日以降はやっていただいたわけなんですがね。いま局長の言われたのは軍属という扱いになれば昭和十二年七月七日にさかのぼれぬこともない、その点を検討して個々のケースでやりたい、こういうふうに言われますと、そこに不均衡になってくるわけなんですね。私はその不均衡だめだというわけではないのです。不均衡ならば、悪いほうをいいほうに上げてもらえばいいわけなんですから、一昨年やっていただいた準軍属扱いを今度は軍属に上げていただいて、いま問題になっておる三十数名の者を、これは軍属ということで、いまあなたが説明された法的根拠に基づいて援護法適用を個々のケース検討して、満鉄会から出てきたものは、これもたいした数じゃないのですから認めていただく、そういうふうに私は考えるわけなんですがね。そういうことでいいわけですね。
  64. 中村一成

    中村(一)政府委員 今回の改正法案によりまして、軍属と準軍属との処遇は同一になるわけでございます。十分の十になるわけですね。したがいまして、従来の先に適用になった方が従来の軍属に比べて九割あるいは八割であったという点におきまして不均衡はあったわけでございますけれども、この改正案によりまして同様になるということ、それから冒頭先生の御質問に対してお答え申し上げましたように軍属、準軍属という援護法の立て方につきましては、処遇が同じようになれば、あるいはこれは名前を一緒にしてもいいのではなかろうかと思いますが、その点冒頭お答えしましたように、この辺もうちょっと根本的に援護法全体について考えてみたいという、いま時期でございますので、この点を申し上げます。
  65. 後藤俊男

    後藤委員 それで話は大体わかったのですがね。くどいようなことを言って申しわけないのですが、あとからどうとかこうとか、それはあかぬとか、いいとか悪いとか言われては困るから、これはここで明確にしておかなければいかぬと思うのです。いま局長が言われましたように軍属と準軍属とは、今期改正によって内容において差がなくなる……。
  66. 中村一成

    中村(一)政府委員 一部はということです。
  67. 後藤俊男

    後藤委員 ですから、いままで満鉄会云々で三十数名の軍事輸送でけがをした人の適用については準軍属でやってきたけれども、十分の十に引き上げたのですから、これから個々のケース検討する場合におきましても軍属として検討していく、そうすれば準軍属であろうと、軍属でありましょうとも中身において大差がないのだから、その点は問題ないと思う。ですから、局長としては、十六年十二月八日以前の問題につきましても、軍属という扱いをする立場に立って個々のケース検討をして前向きでひとつやっていきます、こういうふうに解釈していいのですね。
  68. 中村一成

    中村(一)政府委員 法律適用上は、先生のおっしゃるようなことを考えまして詰めていくわけでございます。
  69. 山本政弘

    ○山本(政)委員 東京の空襲についていろいろ資料を集めなければならぬというような話で、資料の収集が進められているようであります。私は東京だけでなくて、本土空襲について、防空法上の防空業務についておった——これは前に大原委員のほうから質問があったと思いますが、警防団とかあるいは隣組、この人たちはすべて軍の命令によって動いておった、こう思うわけであります。それで、関連の法規としては、防空に従事して死傷した医療従事者等に対する特別支出金の支給に関する要綱というのがあるけれども、しかし防空法による警防団や隣組の人たちで犠牲となった人たちには何ら補償が行なわれておらぬ。一つは、たいへん大量になくなられたということもあるかもわからない。それから一つは、そういう実態がつかめないということがあるかもわかりません。しかし、民間の人たちがそういうふうな努力をされておるのだけれども、一体厚生省としては、そういうことについての資料なり何なりというものができつつあるのかどうなのか、これが第一点であります。  第二点については、もしそういうものができたときに、こういう人たちに対する補償というものをお考えになっておるのかどうか。本来はこれはあったと思いますけれども、終戦直後に焼却したという話も聞いております。  それから、私の記憶するところでは、たびたびこれは附帯決議もつけられたというふうに記憶しておるのですけれども、この点は一体どうなのか。  以上、三点についてお伺いしたいと思います。
  70. 中村一成

    中村(一)政府委員 まず第一点についてお答えいたしますが、警防団員につきましては、これは自治省のほうで昭和四十四年と四十五年にわたりまして、警防団員の方でおなくなりになった方、あるいは障害を受けられた方につきましては見舞い金を差し上げるという措置をとっておりまして、現在約二千百件の方々につきまして、なくなられた方の遺族の場合には七万円を支給するという措置がとられております。  先ほど先生指摘のとおり、医療従事者につきましては、厚生省のほうで担当いたしまして、同じく七万円のお見舞い金を差し上げておるわけでございます。  戦時中の防空関係方々に対しまするところの援護の問題でございますが、私どものほうでも、当時の法令による処遇の状況につきまして、当時でございますけれども、その当時の調査をいたしてみたのでございますけれども、具体的にどの程度の方々が、その処遇を受けたかということは、私どもとしては明らかにすることはできませんでした。しかし、一般の戦災者の方々の人的なあるいは物的な損害に対しましては一旧戦時災害保護法、これは昭和十七年に施行された法律でございますけれども、によりまして昭和十七年から二十一年までの間に当時の金額で十八億六千四百万円が支出されておるということは、資料によって明らかになっておるところでございます。
  71. 山本政弘

    ○山本(政)委員 金額はわかりましたけれども、その人員については把握できるのですか。
  72. 中村一成

    中村(一)政府委員 旧戦時災害保護法によりますところの障害者として認定されました方が三千四百六十六名でございまして、それから死亡者の遺族関係では該当遺族が十二万三千八百三名、こういうことになっております。  その他住宅、家財の損害補償とか生活必需品の給与、医療給付等も行なわれておるようでございますけれども、つまびらかにつかむことはできませんでした。
  73. 山本政弘

    ○山本(政)委員 これは今後も引き続きそういうことが考えられるわけですか、あるいはもうそれで打ち切ったわけですか。
  74. 中村一成

    中村(一)政府委員 この関係につきましては、私どもとしましては関係の各省庁に当たりましたけれども、これ以上につきましては、いまのところ得ることはできないというふうに考えております。
  75. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、そういうことをかりに知って、そしてそういう手続をやるということがもうできないわけですね。救済措置は何もないわけですね。
  76. 中村一成

    中村(一)政府委員 現在のところ、私どもとしまして、戦争中の空襲等の被害者の方につきまして具体的に何らか新しくやるというようなことにつきましては、いまのところ方法がないという状況でございます。
  77. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると厚生省としては、あるいは自治省はおられませんけれども、皆さん方のほうでそういうことを調査をなすって、そして今後そういうことが明らかにされたときには救済措置考えないということなんですか、考えるということなんですか。どうにもしようがありませんということなんですか。
  78. 中村一成

    中村(一)政府委員 そういうわけではございませんで、今後戦時中におきますところの被害状況等が明らかになりました場合におきましては、これは国としてそれに対する補償その他の道を講ずる必要があると考えました場合におきましては、もちろんそういう措置はとられるものと思います。
  79. 後藤俊男

    後藤委員 次は、この援護法の中の処遇改善関係ですが、これを五、六点お尋ねいたしたいと思うのです。  まず第一番に、本邦におきまして勤務関連の傷病でなくなった軍人ですね。この人の遺族に対しては、遺族一時金は出ておらないと思うのです。戦地関係につきましては十万円の見舞い金が出ておると思うのです。この本邦関係につきましても、これは当然一時見舞い金支給すべきではないかと思いますが、いかがですか。
  80. 中村一成

    中村(一)政府委員 遺族一時金の制度につきましては、かつて厚生省援護問題懇談会が設けられまして、御諮問を申し上げて御研究を願ったのでありますが、この場合、私ども問題としまして先生の御指摘のような本邦等における勤務関連傷病についての問題を御議論願ったのでございますけれども、懇談会の御議論では、結論といたしまして、やはり本邦における勤務関連につきましては、遺族一時金を支給するのは制度上いかがであろうか、つまり消極の御答申をいただいておるところでございまして、私ども事務当局といたしましても、本邦等勤務関連傷病に併発をした傷病によって死亡した軍人遺族等につきましては、遺族年金支給することは、やはり他との均衡上適当ではあるまい、こういうふうに考えておるところでございます。
  81. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、その懇談会でいま言われたような消極的な結論が出た、こういうことなんですけれども、私はやはり本邦等における勤務関連傷病に併発をした傷病にて死亡した軍人遺族に対しましても、当然遺族一時金を支給してしかるべきだと考えるわけですけれども、懇談会でそういう消極的な意見が出ておるということも経過として、これはあるわけでございますけれども、この問題については、ひとつさらに検討をしていただくようにお願いをいたしたいと思うわけです。  それから、その次の問題としまして、再婚解消の妻に対する遺族年金支給について、期間を延長してもらいたい。これは遺族会のほうからも強く出ておるのではないかと思うのです。この遺族援護法が制定されましたのは昭和二十七年の四月の二十九日でございますか、さらにまた恩給法が復活いたしましたのは昭和二十八年の七月三十一日じゃないかと思うのです。これは少々違いがあるかもしれませんが、その間における——いま申し上げましたその間、再婚解消の妻に対しましては、遺族年金支給が行なわれておらないわけなんです。ですから、二十八年の七月三十一日までに延期してくれたらどうだ、延期してもらいたい、こういうことなんです。これは、私も前後の関係とかいろいろ考えてみまして、二十七年の四月二十九月以前にこういう条件にある人は、これは適用されておるわけなんです。ところが、二十七年の四月二十九日から恩給法制定までの二十八年の何月までのその間におきまして、同じ条件になりましても適用されない。これはやはり不合理だと思うのです。ですから、恩給法制定までの二十八年の七月三十一日までこの適用の期間を延長する、これは当然だと思うわけでございますけれども、これはいかがでしょうか。
  82. 中村一成

    中村(一)政府委員 私ども厚生省におきましても、いま先生のお話のとおり、再婚解消妻の解消の時期は、二十八年七月三十一日まで、軍人恩給の復活の日の前日まで延長することをいかがであろうかということで、政府部内でいろいろと議論をしてみたわけでございます。  これは確かにおっしゃいますとおり、一年余の延長というものは一つの理由があるわけでございまして、つまり、軍人恩給を復活するまではまだ知らなかったのだ、そういうことは知らなかったのだ。したがって、扶助料目当てに再婚を解消したのじゃないのだという理屈はつくわけでございますから、私どもも、その間どの程度の方が対象になるかわかりませんが、やるべきじゃないかということで検討いたしておりますけれども、いまのところ、結論から申しますと、もしも解消の時期を延ばすならば、あるいは二十八年でも足りないのでもっと延ばしてやるべきじゃないだろうかという意見と、それからもう一つは、そもそも再婚解消妻の場合におきましては、現行どおり二十七年の援護法の制定のときが精一ぱいではあるまいか、これは非常な特例であるのだという消極の意見と両方ございまして、結論といたしまして、今年度法律改正にはこの点は出てこなかったわけでございます。間に合わなかったわけでございますけれども、その点は今後引き続き研究さしてもらいたいと思っております。
  83. 後藤俊男

    後藤委員 じゃ、いま局長が言われましたように、二十七年四月二十九日でよかろうという意見と、二十八年に区切らずに、もっと延ばせという意見と、これは両意見がある、こういうことなんですけれども、とりあえずは二十八年七月三十一日まで次の改正では行なう、これはぜひお願いしたいと思うわけです。  それから、その次の問題は、これも毎年やっておるわけですけれども、官衙勤務の問題ですね。準戦地における、いわゆる海軍省なり陸軍省なり、あるいは参謀本部なり、あるいは海軍の経理部ですか、こういう関係につとめておる人ですね。準戦地における勤務から除外された者、これらに対する遺族年金支給してくれ、これもかなり毎年問題になっておるわけなんですが、全然前進を見ないわけなんです。これはどういうことなんですか。
  84. 中村一成

    中村(一)政府委員 御指摘のとおり常に問題となっているところでございます。そういう特殊勤務場所につきましては、他の官衙との均衡ということがやはり一番大きな原因でございまして、毎回また同じような答弁でおそれ入りますが、陸軍省と商工省あるいは内務省というものを、同じ官衙でありながら陸軍省であれば遺族年金対象になり、商工省であればそうならないというのは、やはり今度は同じ公務員同士の中におきますところの不均衡というものが起きるのでありまして、それがこの問題の解決を妨げておる大きな原因であります。
  85. 後藤俊男

    後藤委員 やる気はあるのですか、ないのですか。
  86. 中村一成

    中村(一)政府委員 この問題につきましても、一方におきまして改正すべきであるという意見も、あるいはそういう理論的な根拠もございますし、また、そうすべきでないという意見もありまして、この点につきまして私どもとしても依然として議論、検討の途中である、まだ結論が現在におきましては改正をするというところまで至っていないという状況でございます。
  87. 後藤俊男

    後藤委員 ぜひこの問題につきましても、いろいろ意見はあろうと思いますが、改正方向研究をしていただくようにお願いしたいと思うわけです。  それからその次は、戦没者の妻に対する特別給付金支給法の問題ですが、毎年、年にしまして二万円ですか、十カ年の二十万というのがいま支給されておるわけなんですね。これが昭和四十八年で終わりになると思うのです。四十八年で終わりになってしまえば、それでしまいになるわけですね。この問題につきましては、厚生省としては、十カ年の毎年二万の二十万、期限が来て、これは終わったからそれで終わり、こういうふうに考えておられるのか。あるいはこれを延長しまして、さらにその人の奥さんの一生を慰謝するというための特別給付金を何か考えておられるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  88. 中村一成

    中村(一)政府委員 お示しの戦没者の妻に対します特別給付金制度のほか、戦没者の父母に対する特別給付金制度もございまして、ともに昭和四十八年度でもってその給付期間が終わるということに相なっております。したがいまして、これをこのまま放置いたします場合におきましては、それ以降におきましては、父母並びに妻に対する特別給付金支給されないということになるわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、この特別給付金制度、実はこのほかに戦傷病者の妻に対する特別給付金というものがございますが、そういうものを含めまして、特別給付金制度はいかにあるべきかということにつきまして、早急に御議論を願うために、この四月からこの特別給付金に関します懇談会を認めていただきまして、来週の十七日から第一回を開くわけでございますが、来年度予算の要求に見合います、ことしの夏ごろまでの間にこの点につきまして結論を出したいということで、懇談会で御議論を願うということにいたしておりますが、厚生省といたしましては、父母、妻の方々のそういう特殊な状況にかんがみまして、何らかその方々に対する処遇は、いまよりもさらに厚くあることをこいねがって、この懇談会につきましては、そういう点におきましていろいろと御議論を願い、御答申をいただきたい、こう希望をいたしておるわけであります。
  89. 後藤俊男

    後藤委員 いま父母の話もされましたが、奥さん、いわゆる戦没者の妻に対する特別給付金支給法につきましては、いま申し上げましたように、十カ年で、年二万の特別給付金支給されておったわけですね。ただ、十カ年というのが昭和四十八年のいつ切れるのか私明確じゃございませんが、これにつきましては懇談会で結論を出して、間に合うように、さらに続いてこれ以上のものを考えていくのだ、こういう説明だったと思うのです。  それから、さらに父母の問題につきましては、五カ年というのが四十七年の五月に切れるのじゃないですか。これは妻のほうは十カ年間、父母のほうは五カ年間ですね。二十万と十万じゃないですか。毎年の金額といたしましては二万円で一緒でございましょうけれども、その五カ年というのが昭和四十七年の五月に切れるのじゃないかと私は思うのです。間違っておればあとから訂正していただいてけっこうですけれども、そうなりますと、このままいきますと父母のほうにつきましてに間に合わぬわけなんですね。この点はどういうことなんでしょう。
  90. 中村一成

    中村(一)政府委員 戦没者の父母に対しますところの特別給付金は、四十七年五月十五日で切れるわけでございます。妻の場合は来年の四月三十日でございます。したがいまして、父母、妻に関しますところの処遇を明年以降継続するあるいは何らかの新しい措置をとります場合には、先生お示しのとおり、明年度予算あるいは明年度法律で手当てをいたしませんと切れてしまう、こういうことになるわけでございます。
  91. 後藤俊男

    後藤委員 そうなりますと、父母のほうは切れてしまうじゃないですか。
  92. 中村一成

    中村(一)政府委員 私の説明が足りませんでしたが、父母特給は年一回支給になっておりますので、それでことしは、つまり四十七年度までは確保されているわけでございます。
  93. 後藤俊男

    後藤委員 父母のほうは毎月二万円ずつ支給しているんじゃないでしょうか。
  94. 中村一成

    中村(一)政府委員 父母に対しましては年に一回でございます。ただ、父母に対しましては十万円を五年間で償還することになっております。妻の場合は二十万円を十年間でと、こういうことになっているわけでございます。
  95. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、父母のほうが昭和四十七年五月に切れてしまうから、来年度の分につきましては早急に懇談会を開いて、その結論に基づいていままで以上の処遇の方法で考えていきたい、そういうことなんですね。
  96. 中村一成

    中村(一)政府委員 そういう気持ちでおるわけであります。
  97. 後藤俊男

    後藤委員 その次は、この戦没者の死亡当時兄弟姉妹が生存していたが、その兄弟姉妹が戦没者死亡後死亡した場合、現在は直系の血族のいない父母にも特別給付金支給してもらいたい、これは全国の遺族会からも要望が出ておると思うのですが、この問題についてはいかがですか。
  98. 中村一成

    中村(一)政府委員 この件につきましては日本遺族会等から要望が出ておりまして、ただいま研究をいたしておるところでございます。
  99. 後藤俊男

    後藤委員 これは毎年毎年出ておる問題じゃないですか。
  100. 中村一成

    中村(一)政府委員 このケースは私もいまちょっと聞いておりますけれども、最近提案されたケースでございます。
  101. 後藤俊男

    後藤委員 ぜひひとつこの問題につきましても研究していただきたいと思うのです。  その次の問題は、戦没者の死没後婚姻によって氏を改めた父母、祖母に特別給付金支給せよ、これは内容につきましては説明するまでもなく十分おわかりのことだと思うのですが、この問題はいかがでしょうか。
  102. 中村一成

    中村(一)政府委員 この問題も日本遺族会その他から御要望のある問題でございまして、私どももこの件につきましては、ケースも少ないし何とかしてあげるべきじゃないかということで検討いたしておりますが、まだ政府部内全体として了承を得るに至ってないというところでございます。
  103. 後藤俊男

    後藤委員 その他にも問題はまだあるわけでございますけれども、いろいろとわれわれが考えておる問題等も提起をいたしました。援護法につきましては、私も三カ年か四カ年連続して質問をさせていただいておるんですが、内容は順次改正されつつあるということは私間違いないと思うんです。だけれども、冒頭に言いましたように、一ぺんこの援護法につきましても、健康保険じゃございませんけれども抜本改正が必要じゃないかと思うのです。抜本的に考えていただいて、厚生大臣得意の抜本改正を一ぺんやっていただく必要があると私は思うのです。いろいろな面から考えますと不均衡、不合理というのもあるわけなんです。さらに物価高の今日の情勢から見る場合に、はたしていろいろな支給金額が妥当であるかどうかという点も私問題だと思うわけでありますけれども、いままでいろいろたくさんな問題を提起したわけでございますが、いままでの問題につきまして来年の改正時期には、局長も内容はよくわかっていただいたと思いますので、ぜひ改正していただくようにお願いをいたしたいと思うわけです。  特にその中におきましても対馬丸の問題、さらに満鉄関係の問題、さらにいま申し上げましたところの処遇内容の問題、これらにつきましても、ひとつ来年度改正におきましてはこういたしましたと堂々と説明のできるような方向へ御尽力をぜひお願いをいたしたいと思う次第でございます。   〔谷垣委員長代理退席、委員長着席〕  それから、一番最後になりましたけれども、これは非常に個人的な問題のような気がいたしますが、昭和二十年の五月の十五日に大竹の海兵団へ後藤孝一という人が入団したわけなんです。ところがその八月になりまして、糧秣受け取りに広島に行った。そこで原子爆弾にあった、被爆したわけなんです。それで昭和二十年の九月帰郷した。いわゆる被爆者として認められておるわけなんです。それ以来というのは、左腕から胸にかけまして、一皮むけてしまった、あるいはまた仕事もできないというようなことで、病院に入ったり、あるいはあるときには卒倒をしたり、また肝臓が悪いとかいろいろ病院で言われまして、あちらこちらで一生懸命に養生しておられたわけなんですけれども、中山厚生大臣のときに原爆被爆者の認定は受けておるわけなんです。この人は昭和三十七年四月になくなっておるわけです。こう申し上げますと、この後藤孝一というのは現役の兵隊だと思うのですね。そうなりますと、厚生省はおれのほうの管轄じゃないということになるかもわかりませんけれども、残っておられる遺族としては、これは遺族援護法適用を何とかならぬものだろうかという強い希望があるわけなんです。遺族というのはいろいろな法律にまだ無知な点もありますからわれわれが親切に教えてうまく持っていかなければいかぬ点もあろうかと思いますけれども、こういうふうな経過をたどっております。被爆者の死亡に対しまして現在のところ何ら国としては処遇をしておられない、これが現実でございますけれども、これは厚生省といたしまして、軍人恩給、軍人関係もあろうと思いますけれども、早急にひとつ検討をしていただく、検討した結果——被爆の関係ではなしにほかの病気でなくなったんだというようなことも言われておると私聞いておりますけれども、呉の海兵団へ昭和二十年に入団する、当時は非常に厳格な徴兵検査で入っておるわけなんです。広島で被爆して、その年の九月にはもう帰郷してしまって、それ以来ほとんどまともな仕事ができない、三十七年までようやく命を持ちこたえて、三十七年にはなくなっておる。こんなものは被爆の関係じゃないというような認定になっておると私は聞いておりますけれども、私はやはり被爆した関係がこの人の死亡の大きな原因であろうというふうにも思うわけでございますけれども、どうかひとつこういう問題につきましては親切に扱っていただきますようにお願いいたしたいと思います。  あくまでも医者の判定が中心になろうと思いますけれども、現実に遺族の陳情書なんかを読んでみましても、被爆そのものが死亡の原因であるということはわれわれしろうととしても推定できるわけなんです。ですから、この問題につきましては厚生省としてぜひひとつさらに調査をしていただき、研究をしていただいて、しかるべく処遇のできる方向へ御尽力をしていただきたい、こういうふうに思うのですが、局長、いかがでしょう。
  104. 中村一成

    中村(一)政府委員 後藤孝一さんに関しましては、御指摘のとおり、これから厚生省といたしまして十分に調査いたしまして御相談に乗りたいと考えております。
  105. 後藤俊男

    後藤委員 いまの問題につきましても、その旨を遺族のほうへも私のほうから通知をいたしまして言っておきたいと思いますので、ぜひひとつよろしくお願いいたしたいと思います。ありがとうございました。
  106. 中村一成

    中村(一)政府委員 冒頭先生から御質問のありましたことでお答えがおくれておりました点を、ちょっと申し上げます。予算増額あるいは平年度化になった場合にどうなるかということにつきまして、お答え申し上げます。  四十六年度援護関係予算と四十七年度との比較は、数字は先ほど申し上げましたとおり一三%増でございますが、これを平年度化しました場合におきましては大きくなりまして、四十六年度改善しましたものを平年度化しますと、金額で四十億でございますが、四十七年度、今回改正させていただきます分の平年度化が百一億でございまして、約二五二・七%増となるわけでございます。
  107. 森山欽司

    森山委員長 次に、大橋敏雄君。
  108. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 昼休み抜きで審議するということでたいへんであろうと思いますけれども、これも国民のためだと思ってがまんしていただきたいと思います。  実は援護法につきましていろいろと質問を準備したわけでございますが、いま後藤委員の質問で私が聞きたいと思ったことはほとんど聞かれましたので、重複をなるべく避けたいと思いますが、あるいは重複するかもしれませんけれどもお願いしたいと思います。  先般、横井庄一さんがグアム島から奇跡的に生還なさったわけでございますけれども、こういう一件がありまして厚生省、特に援護局がクローズアップされてまいりました。また有名なことばに、これは佐藤さんが言ったことばですが、沖繩の返還なくして戦後は終わらない、その沖繩も五月十五日返還される、こういうことになってきて、いよいよ佐藤さんの気持ちの上での整理がなされるのではないかと思うわけでございますが、戦争犠牲者の立場から見ました場合は、まだまだ戦後は終わらないわけです。いみじくも先ほど後藤委員が、援護法抜本改正をやらなければならんのじゃないかという発言をなさっていたわけですが、私も非常に含蓄ある発言だと思って聞いておりました。と申しますのは、私も毎年この援護法改正案についていろいろとお尋ねしてきたわけでございますけれども、何だかこの援護法改正にあたっては確固たる方針といいますかあるいは計画性というものが欠けているのではないか。何となくまわりの圧力に押された、あるいは場当たり的な改正がなされできているというような印象を深めるわけでございます。こういう点につきまして、いつも質問されていることでありますが、とにかく戦後処理にあたって、特に戦争犠牲者のいわゆる総仕上げといいますか、これを行なう援護法についてもっと根本的な基本的なものの考え方を持つべきではなかろうか、こういう気持ちを持っておりますので、まず最初に厚大臣から基本的なその思想といいますか理念といいますか、そういうものを承っておきたいと思います。
  109. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 援護法を貫いております基本的な考え方は私から申し上げるまでもない、かように考えます。しかしながら、いつまでたってもまだいろんな問題が次から次へと残っていく、一体援護法の戦後処理がいつ終わるのかという問題があると思うわけでございます。先ほどからいろいろ御質問のありましたような、一口でいえば、未処遇者の問題を中心にいたしまして問題があるわけでございます。これは援護という考え方のもとに、いままで看過されておった、あるいはまた問題になっておったけれども解決しなかった問題が次々解決していくというのが、今日の状態でございます。ただいま大橋委員のおっしゃいますように、また後藤委員もおっしゃいましたように、一ぺんこれを抜本的なものにまとめ上げるということはどうであろうかということでございますが、これも確かに必要であろうかと考えますので、そういった線で検討いたしてまいりたいと思いますが、抜本ということになるとなかなかむずかしいと思います。したがいまして、もしそういう観点に立ってやれば、厚生省の一つの大事業として考えなければなるまい。そこで願わくは医療保険の抜本はこの国会で片をつけていただいて、次にまた新しい抜本の問題に取り組めますように切にお願いを申し上げます。
  110. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 どうも厚生大臣は私の質問に対してはあまり深いお答えがなくて、抜本改正ということばにあやかって医療保険のほうばかり何か強調なさったようなことですけれども、これはやはり問題でございます。いまは援護法審議ですから、ひとつそちらのほうに頭を集中していただきたいと思います。  そこで、要するに戦争犠牲者に対する手当てですから、援護でございますので、これはあくまでも国家補償という立場、援護法提出の経緯等からいきましても、国家補償の精神に基づいて昭和二十七年にこの法律が制定されたという趣旨も示されておりますように、あくまでも国家補償の精神がもとにがっちりすわらなければならぬということですね。そこに立てば、先ほど言った援護法抜本改正というねらいも、これはいわゆる軍人だとか準軍人だとかあるいは軍属、準軍属——階級、地位、そういうものの差別があってはならないということなんです。平等の立場でそれを援護していこうというのが基本的な精神にならなければならぬ、こう思うわけでございます。実は去年のこの審議あたりまして、わが党の古川議員が同じような質問をしてるわけでございますが、そのとき局長さんが答えておりますもののその中身は、どうやら恩給法改正についてやっている程度の中身でしかないわけですよ。これはやはり弱いと思うのですね。どうでしょうか。局長さん、まずあなたの考えを聞かせていただきたいと思います。この援護法の基本的な理念といいますか、今後のあり方について述べていただきたいと思います。
  111. 中村一成

    中村(一)政府委員 援護法の根本理念は、先生おっしゃいましたとおり、戦争犠牲者に対しましてこれを国が補償するという精神からできた法律制度でございます。それで、この援護法ができましてすぐ軍人恩給制度が復活いたしました。そこで援護法の大きな柱と申しますのは、軍人恩給を停止された旧軍人あるいは軍属方々に対しますところの援護という点を大きな柱にいたしておりました。翌年軍人恩給が復活いたしまして、援護法関係の大部分は軍人恩給のほうに戻っていったわけでございます。そこで、それからあと援護法の問題といたしましては、先生いまお話しのありましたように、援護法上の軍属あるいは新たに準軍属という考え方を取り入れまして、そうして軍人軍属処遇とバランスをとって、漏れたところの方々につきましてその援護拡大していくという線で今日までまいってきたわけでございます。そこで、この援護法考え方と申しますのは、恩給と違いまして、階級という考え方はないということを本旨といたしております。したがって、遺族年金でございますと、陸軍大将の遺族であろうと二等兵の遺族であろうと、同じ金額でこれを処遇いたしております。ただ、先ほどの後藤先生のお話にございましたように、たとえば特例の場合におきましては七五%の特例がある。あるいは準軍属軍属の間におきまする格差があるという点はございましたけれども、しかし、準軍属軍人軍属との格差も次第に解消されて、いまや全く準軍属のうちの約半数は軍人軍属と同じ金額になってきた、こういうふうになってきているわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、これから先援護法についての未処遇問題につきまして、さらにその穴を埋めていきますと同時に、処遇内容そのものにつきましては、さらに十分なものとしていきたい。並びにその援護法以外の、たとえば特別給付金等の制度もございます。そういうような制度もともに、これはバランスをとりつつ、内容を充実していきたい。これが私ども援護関係に携わる者としての念願としてやっておるところでございます。
  112. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 局長さんのいまの答弁で気持ちはわかったような気がしますけれども、現実問題としてはまだまだ不平等という感じを深めざるを得ないという問題がたくさんあるわけでございます。それをいまからおいおいお尋ねしてまいりますけれども、いまの考え方にもう一つ私はつけ加えてもらいたいと思うのは、遺族方々の老齢化、年齢が非常に高くなってきておるということで、援護法改正にあたって遺族の老齢化ということをきわめて重視していかなければならぬのではないか、そうした立場でいろいろと手厚い対策を講ずべきである、こう思うわけでございますが、この遺族の老齢化というものに対してどのようなお考えで進んでおられるのか、お尋ねいたします。
  113. 中村一成

    中村(一)政府委員 そのとおりでございまして、援護法対象となって処遇されております方々は、父母にいたしましても妻にいたしましても老齢化が進んでおります。また、これから先もますます老齢化の波が進んでいくわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、これに対しまして老齢化に備えてのいろいろな手を打つべきであるということで、年金額につきましてはこれを大幅に引き上げていかなくちゃならぬということ、それから年金だけではカバーできないというお気持ち、そういう遺族方々のお気持ちに対しまして、精神的な面においてもこれをお慰め申し上げる。もちろん物的面も含めまして、あるいは戦没父母、戦没妻あるいは戦傷者の妻につきましては、年金のほかに国債でもって特別に慰謝を申し上げるという制度をとっておるわけでございますが、このことにつきましては、ちょうど本年あるいは明年でその特別給付金制度は切れるわけでございますので、この切れる際に、あらためて私どもはそういう方々に対しますところの特別なお慰めいたします方法を検討いたしまして、明年以降こういう点につきまして抜本的な処遇改善をさせていただきたい、こういうふうに考えまして、目下そのための懇談会にこれをおはかり申し上げよう、こういう段階にきておるわけでございます。
  114. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 特別給付金の期限が切れるときがくるというわけですね。そのときまたいろいろ考えたいという御答弁でございますが、中身を拡充してそれを延長したいという基本的な考えなんですか。
  115. 中村一成

    中村(一)政府委員 私どもとしましてはそういう考えでございまして、冒頭申し上げましたとおり、私どもの仕事の対象となっております方々は次第に老齢化されていかれる、また世の中の繁栄から取り残されていかれるという方々が非常に多いわけでございまして、この方々に対しましては何らか国としてあたたかい措置を今後とももっと講ずべきではないか、こういう基本的な態度で臨んでおります。
  116. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 大臣、いまお聞きになっておわかりだと思いますが、特に戦没者の遺家族等の方方の老齢化という問題は非常に深刻な問題だと私思うわけです。局長さんは、これに対しては年金額の大幅な引き上げがやはり必要である、あるいはいま申されましたような援護策が必要なんだ、非常にあたたかい気持ちでそれを推し進めていくべきであるという答弁をいまいただいたわけでございます。いま改正なされようとしておる今度の法案の中身からいきまして、確かにいままでの改正案から見ますとかなり大幅な前進を見たような気はいたしますが、もともと低かったので、もっともっと力強い大幅な年金額引き上げをしていただきたい、私はこういう感じで一ぱいなんです。そこで、大臣もその老齢化の実情はもう御承知であろうと思いますので、いま私が言わんとしておるところの気持ちをくみ取っていただいて、この援護法による遺族の老齢化に対して大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  117. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私も遺族の立場に立って考えますると、遺族の老齢化問題というものは、これは何とかしてもらわなければならない問題ではなかろうか、かように痛感をいたしておるわけでございます。この問題は、一体国民のコセンサスがどう得られるであろうかという点が一番大きな問題だ、遺族の立場から考えまして、かように考えておるわけであります。ただいま大橋委員からその問題が取り上げられまして、そして政治的には各党も、また広く国民のコンセンサスも得られますように、この上ともひとつ御指導をいただきたいと思います。そういう線に沿って何とか実現してまいりたい、かように考えております。
  118. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 御承知と思いますけれども、いまの遺族年金がほとんど生活費に充てられているという実情ですね。そういう立場からいけば、ほんとうに大幅な年金額引き上げということを強く望むわけでございます。  今日まで十何回ほど改善されてきたこの援護法でございまして、改善されることについて毛頭異議があるはずがございませんけれども、特に、私先ほど言いましたように、今回の年金額引き上げは従来に比べるとかなり大幅な引き上げになっておりますが、これは今後のために非常に重要な内容であろうと私は思いまするので、年金額改善の基本的な考え方について、今回の大幅な引き上げがなされた理由等も含めて、説明をお願いしたいと思うのです。
  119. 中村一成

    中村(一)政府委員 まず遺族年金引き上げについて申し上げますと、遺族年金引き上げは御指摘のとおり三八・二%のアップでございまして、従来のアップに比べまして大幅にアップしたわけでございますが、この考え方は恩給法によりますところの兵の公務扶助料引き上げ等と軌を一にいたしておるわけでございまして、まず昭和四十七年の十月におきましては、現在の十七万三千七百円というものを二五・三%アップいたしまして、二十一万七千六百円といたすわけでございます。これは考え方といたしまして、やはり一般公務員のベースアップあるいは一般の物価の上昇といったものを根拠にいたしておるわけでありまして、当面の場合は、人事院勧告によるところの改善の率とか、あるいは消費者物価の上昇率といったものを基礎といたしておるわけでございます。さらに、その二十一万七千六百円を来年の一月から上げまして、これを二十四万円といたしまして、さらに遺族に関するところの処遇を厚からしめる、こういうことが三八・二%アップの内容でございます。
  120. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 その点はよくわかりましたが、障害年金の場合は八六%ですね。これは厚生省のほうからいただいた法案説明資料、これによって私は見ているわけでございますが、障害年金の場合は第一項症は八六%のアップがなされております。それから配偶者扶養親族加給については七五%と、これも例年にない大幅なアップです。私はアップされることについて異議があるわけじゃないのです。もっと上げていただきたいくらいですけれども、今後のものの考え方として非常に大事なところですから、もう一回、この点にも触れて御説明願いたいと思います。
  121. 中村一成

    中村(一)政府委員 お示しのとおり、障害年金のアップ率は八六%でございます。これは恩給法によりますところの増加恩給のアップと歩調を合わしているわけでございまして、特に障害年金におきまして大幅な増額がなされましたことは、その考え方といたしまして、やはり国家公務員の公務災害におけるところの最近におきまする処遇との均衡から考えまして、現在の障害年金というものはそれに比べると比較的低い。したがって、遺族年金におきましてより以上にこの障害年金の現在置かれているところの水準が低い。これはやはりこの際大幅に引き上ぐべきであるということが、障害年金におきまして大幅なアップを見た大きな原因でございます。
  122. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 確かにおっしゃるとおり、いままでが非常に低水準にあったということなんですね。強力な今後の改善を望んでおきます。  それでは次に、これもやはり厚生省からいただいた説明資料によってお尋ねするわけでございますが、準軍属に対する処遇改善について、被徴用者等については四十五年十月の改正軍人軍属に対して十分の八、それから四十六年十月に十分の九、そして今回十分の十ということで、いわゆるその格差はなくなったわけですね。被徴用者等については格差はなくなったわけでございますが、問題は準軍属一般のほうなんですね。三十四年一月十分の五、四十一年十月が十分の七、四十六年十月が十分の八、そして今回は十分の九、こうなってきているわけでございますけれども、こういう経過を見てまいりますと、その改善の中身が非常に事務的だという感じを受けるのですが、これはどうなんですか。
  123. 中村一成

    中村(一)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、準軍属という制度ができましたときには、これは軍人軍属援護に対する制度の補完的な意味で準軍属制度が取り上げられたわけでございます。しかしながら、この準軍属に対する処遇につきましては、その準軍属範囲拡大するとともに、その処遇につきまして軍人軍属との差をなくすべきであるという要望に基づきまして逐年この内容改善されてきたわけでございまして、確かにこの経過を見ますと非常に事務的に上がってきたようでございますけれども、しかしこれはやはり国民の間の一般の要望がこの点において非常に強うございまして、そこでこの壁が次第に破られていった。そしていまやその半分の方々につきましては、もう軍人軍属と同様になっておる。残る半分の方々につきましては八〇%から九〇%、あと一〇%の差になりましたけれども、おそらくこの残り一〇%も近く一〇〇%になる時期がくるのじゃないかと私ども考えております。
  124. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 大臣にちょっとお尋ねしますが、被徴用者等については十分の十で、軍人軍属との格差は今度きれいになくなるわけですね。ところが準軍属一般は十分の一が残るわけですよ。まあ、私はけちくさいといいますか、こんな表現は適当でないかもしれませんけれども、もういままで格差をなくせ格差をなくせということで附帯決議が毎回つけられてきておりますし、予算措置にしてみても、私はそうあるとは思えませんし、この際十分の一の格差をなくす意味においてもこれは解除すべきじゃないか、こういうことですが、大臣、どうでしょうか。
  125. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 本年度予算折衝におきまして、十分の九にするまでにも相当骨が折れたわけでございますが、目標は格差をなくするということでありますから、来年度はこれを実現いたしたい、かように考えております。
  126. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 やはりある意味では事務的な感じを受けないわけではないけれども、来年度は必ず見るという御答弁がありましたので、この問題はこれで次に移りたいと思います。  準軍属範囲拡大ですね。日華事変中に本邦等にあった準軍属が今度処遇されることになるわけでございますけれども、その対象者はどの程度の員数になるのか。また、これが今回改正されて処遇されることになるわけでございますけれども、そういう方々に対しての連絡方法は徹底されるのかどうかということですが、どうでしょうか。
  127. 中村一成

    中村(一)政府委員 今回の改正で準軍属に新たになられる対象予定数は、全国で三百六十二名でございます。この方々につきましては、従来とも私どものほうといたしまして各都道府県を通じましてつかんでおりますので、したがいまして、法律が通過、成立されました暁におきましては、直ちに把握いたしまして、事務的に処理いたします。
  128. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 三百六十二名、これははっきりと掌握されている、だから連絡漏れなどまずない、こういうことですね。  それでは、次に進みます。  次の勤務関連傷病による障害者処遇というところでございますが、今回の改正案で、やっと日華事変中の軍人、準軍人のみ処遇されることになったわけでございますが、これは一歩前進の姿と見れるわけでございますけれども、要するに軍人と同じように苦労してきた文官やあるいは軍属、準軍属が未処遇として残るわけですね。これについてはどのようなお考えをお持ちなんですか。
  129. 中村一成

    中村(一)政府委員 お示しのと一おり、今回の改正の中にはそこまでは入らなかったわけでございます。これは理由といたしましては、軍属、準軍属につきましては、戦争と事変の間における勤務実態に差があるわけでございますので、軍人あるいは準軍人と同様に律することはできないというのがその理由でございます。これは勤務の性質上軍人、準軍人でございますと、戦争といわず事変といわず、それは全く同じでございますけれども、どうしてもやはり軍属、準軍属は事変と戦争の間における勤務実態に差があるわけでございます。しかし、今回の改正対象にはしませんでしたが、今後この問題につきましては十分検討していきたい、こういう姿勢でございます。
  130. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 先ほども申し上げますように、戦争犠牲者の総仕上げという立場からいきますと、やはり軍人の中の文官、あるいは軍属、準軍属等、未処遇に残されたこの部分もきちっと整理しないと総仕上げにならないと私は思うわけですが、これは局長さんの一存で御返事できる問題ではないと思いますけれども大臣、未処遇に残されたものについて、これも来年度改正では必ず善処するということの答弁はいただけるでしょうか。
  131. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 できるだけ御趣旨に沿うように努力をしてまいりたいと存じます。
  132. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 では、ぜひともそれを実現していただきたいことを強く要望いたしまして、次に移ります。  再婚解消妻の遺族年金支給について先ほども質問があっておりましたけれども、そのものずばりお尋ねいたしますが、この期間延長の意思はありますか、どうですか。
  133. 中村一成

    中村(一)政府委員 先ほどもお話を申し上げたとこでございますけれども、このことにつきましては二つの相対立する意見がございまして、私どもといたしましては、その間の取り扱いにつきましてもうしばらく研究さしてもらいたいと思っております。
  134. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 意見が対立しているので、見解の相違があるのでもうしばらくということでございますが、去年の当委員会における同法案審議あたりまして、わが党の古川委員が局長さんから答弁をいただいているのを読みますと、「再婚解消等の実態につきまして、私どもまだよく把握いたしておりませんが、今後そういうような状態を十分認識の上十分検討さしていただきたい、こう思います。」こういう答弁なんですよね。このときは実態をよく把握していないのでという理由だったのですが、今回は実態は把握されたわけですね。
  135. 中村一成

    中村(一)政府委員 お答えいたしましてから、その後いろいろと政府部内におきまして、これは厚生省だけではございません、関係の各省ともいろいろディスカッションをやったのでございますけれども、今度の法律改正提案するというまでには議論が煮詰まらなかった次第でございます。
  136. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 これはぜひとも期間延長をしていただきたい。それはいろいろの事情があります。われわれは地元に帰りまして直接住民の方々と接触してまいる間、こういう問題に常にぶち当たるわけでございますが、私はそういう立場からも、ほんとうにそういう関係者の切々たる声としてここで訴えておきます。再婚解消妻の遺族年金支給については期間延長を是が非でもやっていただきたい、いろいろと意見はありましょうけれども、私の気持ちはそこにあるということを申し述べておきます。  それでは次に参りますが、これも前回渡部委員が質問したことでございますが、戦没者遺族相談員の謝金といいますか、手当月額が五百円という問題です。これは篤志家の御精神におまかせして云々というような御答弁があっているようでございますけれども、篤志家の奉仕という形でこれを進めていく厚生省の基本的な考えは少しは改めたほうがいいのじゃないか、やはり謝金というのは、金額ではないかもしれませんが、ある程度謝金らしい中身にならなければ、私は、むしろ五百円程度の謝金ならば、失礼な言い方になりますが、与えないほうが皆さんの精神にかなうのじゃないか、わずか五百円程度の謝金をもらっているばっかりに、恩着せがましい厚生省の態度であるかないか、それはわかりませんけれども、そういうようなことを考えますと、これではだめだ、こういう五百円なんということは絶対改めるべきであると思うのですが、これはどうでしょうか。
  137. 中村一成

    中村(一)政府委員 私どももこの相談員に対しますところの手当の増額は希望いたしておりますし、今年度実現できておりませんけれども、これは早急にこの改善に努力いたしたいと考えております。
  138. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 大臣、局長はぜひとも私が言うように改めたいと言っているのですが、大臣はどんなお気持ちですか。
  139. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私も同感でございます。
  140. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 じゃ、現在かりに改めるとしたらどの程度の引き上げをしたいとお考えでしょうか。
  141. 中村一成

    中村(一)政府委員 これは、厚生省関係では、たとえば非常に大きな数になっております民生委員という制度がございます。この民生委員さんのお手当等、その他各種の相談員の制度がございますので、厚生省といたしましては本年の夏の来年度予算省議の際に、関係の各局とこういう関係につきまして調整をとりまして、増額をお願いしよう、こう考えております。
  142. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 民生委員の話も出ましたけれども、いずれにいたしましてもこの謝金と名づけられた中身の額は、どれも非常に低い額ですね。これはもう大幅に引き上げるべきである、これも強く要望しておきます。  次に、未帰還者について、昨年の局長の答弁では三千九百二名ということであるようですけれども、現在の実態といいますか、把握なさっている状況、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  143. 中村一成

    中村(一)政府委員 二月一日現在では未帰還者は三千六百七十三名でございます。その内訳は、ソ連地域が三百七十二名、中共地区が二千九百九十二名、北朝鮮地区が百二十一名、南方諸地域が百八十八名でございます。   〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕
  144. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 実は私の手元に「ガダルカナル島及びセントジョージ島における旧日本兵の遺骨収集並びに生存者救出に関する請願」という請願書が届けられたわけでございますが、これの中身の一部を紹介いたしますと、   本年一月下旬グワム島に於ける横井庄一氏の救出は、私共にセントジョージ島漂着者の生存に一縷の望みを与えました。セントジョージ島は未だ一回の調査も行われておりません。又ガダルカナル島に於ける収骨も戦死者二万人に対し六千八百余柱でその半数以上のものは今も風雨に晒されたましの状態であります。ついては生存者確認及び遺骨収集について次の措置を講じていただくよう、ここに請願致します。  一、ガダルカナル島に於ける収骨を引続いて実施して頂きたい。  二、セントジョージ島に調査団を派遣されたい。  三、英国政府及び現地政府機関に対して前二項に対する協力方を依頼し、情報収集の方途を講ぜられたい。  このような請願が来ているわけでございますが、これについての御見解をお尋ねいたします。
  145. 中村一成

    中村(一)政府委員 ガダルカナル島につきましては、昨年政府といたしましては、戦友会等の御協力を得ましてガダルカナル島におきまして初めて本格的な遺骨収集をやりまして、七千柱余の遺骨を捧持して帰ってまいりましたが、ガダルカナル島につきましてはまだ遺骨が残っておるということが十分推定されますので、私どもといたしましては、ガダルカナル島につきましては再度、明年あるいは明後年の二カ年の間におきましてガダルカナルの遺骨収集をやりたいということで計画を進めています。  それからセントジョージ島におきます問題につきましては、これは福岡県の連隊がそこにおきまして三十数名を残して一部ほかへ転進したケースでございまして、これは日本の政府にあらわれていないことで、関係者からことしの二月になりまして初めてこのことが明らかにされたケースでございます。私ども、このセントジョージ島につきましては、さっそく近所にありますガダルカナル島の三井金属に連絡をとるよう本社にお願いして情報をとっております。  なお、セントジョージ島につきましては、NHKが調査に参ったのでございますけれども、私どもセントジョージ島並びにその付近の島々につきましては、今後生存者あるいは遺骨の収集につきまして、さっそくその計画の中に入れたいということで、目下検討しておるところでございます。もちろんこれは英国政府の御了解なしにはできないことでありますけれども政府として責任を持ってやりたいと思っております。
  146. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 ゆうべたしか九時半からだったと思いますが、NHKのテレビで、ちょうどセントジョージ島の問題等が報道されたのを、私たまたま見たわけですよ。援護局長さんのお話ししていらっしゃった中身は非常に前向きの積極的なお話でありましたので、ぼくはそれをここでもう一回再確認いたしたいと思うのです。その前に、ガダルカナル島会の中山さんという方が感想を漏らしていらっしゃったのですが、そのテレビの中身を見まして、まことに感無量である、生活するぶんには食べものもあるし、マラリア等の悪疫におかされない限りはまだまだ生き得る島である。民間でさえここまでのことをやっているのだ。なおかついま請願書も国会に出して受け付けてもらっておるので云々という話がありましたが、その人が実は昨年ガダルカナル島の遺骨収集ということで同じようなものを出したけれども、この際は、厚生省から出たお金というものは厚生省の役人四人分だけであった、われわれの仲間、元兵士というものは六十数名がそれに参加したわけだけれども、これは全部自費で参りました。国がこういう態度ではよくない。請願も出しました今日でありますし、国が主体になってもう少ししゃんとして国民に対する義務を果たしていただきたい、そうして今後ともこの情報を握った上で捜索していただきたいものだ、こういう感想を漏らしていらっしゃいましたね。あなたもお聞きになったと思います。だからそのあと中村援護局長がどのようなお話をするだろうと、私もだいぶ緊張して伺っておりました。私は大体筆記したのですが、きょうは、先ほどからセントジョージ島のお話を伺った。また写真を拝見しました。私もセントジョージ島のことにつきましては非常に新しいニュースなものですので、きょうなまなましい写真を見せていただいて——いずれにいたしましても生存者の救出は当然国がやるべき仕事である。私どもといたしましてはこれは早急に取り上げる問題として、イサベル島、セントジョージ島の問題は私どものプログラムに早急に入れたいと思っております。いつごろかと再質問がありましたが、生存者の救出は最優先の問題だから、何はともあれ生存者の救出問題に取りかかりたいと思う、いつという具体的な日取りは言えないけれども、なるべくすみやかにやりたいと思っておりますというお答えがあっていたわけですね。私はこれはりっぱな御答弁だと思います。生存者の救出は最優先の問題である、何はともあれ生存者の救出問題に取りかかりたいということでございましたけれども、じゃ具体的にどのようなスケジュールとして組み込まれるのかお答え願いたいと思います。
  147. 中村一成

    中村(一)政府委員 いま御指摘のほかに、ミンダナオ島その他中部太平洋における島において幾つかの情報が入っております。私ども外務省を通じまして、ただいまその情報の確認を当たっておるところでございまして、それによりましてさっそく具体的な計画をつくりましてやりたい。これは遺骨収集よりも生存者のほうが優先することはもちろん当然でございますので、早急にやりたいということでございますが、きのうも申し上げましたとおり、何月何日というものはまだきまっておりませんけれども、いま、情報をとる、こういう段階でございます。何しろ、セントジョージ島につきましては二月になって初めて関係者が持ってきた話でございまして、それまでは全然日本政府としては知らなかったわけでございます。
  148. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 セントジョージ島の問題は、これは旧日本陸軍福岡歩兵第百二十四連隊を基幹とするガダルカナル島生存者約二百四十名をもって組織されている団体のほうからの要望でございます。そこで、援護局長はかなり積極的な姿勢でございますし、当然大臣はそれにもっと積極的な立場で御指示をなさると思いますけれども、この際大臣みずからのお気持ちを伺っておきたいと思います。
  149. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいまの生存者の捜索の問題、遺骨収集の問題、御承知のように、先般横井氏の帰還を契機に、閣議におきましても私が発言をいたしまして、その際特に総理からも、これは早急に完ぺきを期するようにという御指示もございました。それに基づきまして、厚生省におきましても、さらにいままでの計画をもっと充実をさせる。それから、ことにいままでなかったような情報があれば即時やる。そしてまた、情報の収集についても在外公館、各国の領事館その他の援助を求めるという方針を確立いたしまして、いまその方向に進んでいるわけでございます。したがいまして、ことに生存者につきましては、こういった情報が確認されるというようなことになりますれば、これは予備費ででもやるというかまえで、そういったことについて非常に積極的に取り組んでいるわけであります。なお、その際において、いままでは厚生省だけの者がやっておりましたけれども、そうでない適当な団体その他の方に対する協力ということに対しても、国費その他の援助の方途を講じるべきであるということで、いま進んでおるわけでございます。
  150. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは次の問題に移りたいと思いますが、戦傷病者の認定についてでございますが、立証資料というのが、非常に年月がたっておりますので非常にむずかしいわけでございますが、この立証問題について厚生省としての基本的なものの考え方を聞かせていただきたいと思います。
  151. 中村一成

    中村(一)政府委員 これは厚生省並びに援護審査会、両方とも同様でございますが、この援護法関係対象方々の特殊な事情、つまり年数が非常にたっておるということ、資料が得がたいということ、この点につきましては特に配慮すべきであるという基本的な考え方で、できるだけ申請者に有利に解釈をするという基本的な態度で臨んでいます。
  152. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 これも前回の、去年の質疑応答の中に局長さんの御答弁は、率先して資料の収集に当たってまいります、またできるだけ請求者に有利に資料を評価してまいります、そして今後は立証の簡素化あるいは審査の促進に当たってまいりますというような御答弁をなさっておりますが、私はこれはそのとおりだと思うのですね。これをほんとうに実現してもらいたい。  実はこれは四十六年八月十一日の朝日新聞ですけれども、「私にはまだ戦後はこない」ということで、「年金の訴え通らず「立証できぬ」と政府」という新聞記事が出ているわけですよ。これを見てまいりますと、二十年の八月、中国東北地区、いわゆる旧満州ですね。関東軍兵器工場内で学徒動員の中学生として働いていた玉名敏夫さんという方が、労災事故で左足を切断したということなんですね。現場監督の不行き届きから、砲弾を持ったまま倒れたらしい。転倒した。左ひざ強打がもとで関節炎となってしまった。ところが当時の手当てはきわめて粗末であって、衛生兵の簡単な手当てだけで終わったために、それが悪化していって、とうとう大問題になってきたわけであります。総理大臣あるいは厚生大臣に対してそれこそ毎年のように障害年金支給を訴え続けてきたわけですが、四十一年までは満州学徒は除かれていたものですから、全然問題にされていなかった。四十一年になってやっとこれで救われるかなと思ったわけですが、結局厚生省の返事は、事故の因果関係を立証できなければ支払えない、まことに事務的な答弁が返ってきているわけですね。具体的な問題ですから御承知かどうかは知りませんけれども、こういう中身を見れば見るほど、戦傷病者の認定についてはほんとにこれはものの考え方を根本的に改める必要があるのではないかという感じを深くしているのですが、この点についてどうお考えになっておりますか。
  153. 中村一成

    中村(一)政府委員 私、御指摘の具体的なケースはいまここでわかりませんのですが、役所に帰りましてさっそくその件調べまして、私が冒頭申し上げたような気持ちで処するようにいたしたいと思っております。
  154. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 またちょっと話はそれますけれども、敵前逃亡の問題がこの前の予算委員会で取り上げられておりましたですね。この結論はどうなったのですか。
  155. 中村一成

    中村(一)政府委員 敵前逃亡の問題につきましては、先般の予算委員会におきまして社会党の楢崎先生の御指摘になりましたケースだろうかと思いますけれども、敵前逃亡に関しましてもいろいろなケースあるいは法律問題がございますが、楢崎先生の御質問になったケースは、戦後大赦令によって赦免になった罪、逃亡の罪をもとにいたしまして、当時ブーゲンビルにありました第十七軍が臨時軍事法廷におきまして、それに対して、大体大部分が懲役刑でございますけれども、処刑をいたした。つまり軍事裁判にかけることができないケースについてやったというケースでございまして、その問題でございますが、私ども援護関係あるいは恩給関係からは、すでにこの方々につきましては、昭和三十九年でございましたか、そういう軍事裁判がなかったことにして取り扱うということで、各都道府県に連絡をいたしまして、援護法あるいは恩給法適用に支障を来たさないということで、なかったということで処理をいたしております。不明の方が数名いらっしゃいますけれども該当者六十五名のうち三十数名、四十名近い方が軍事普通恩給を現在受給されておられます。中には公務員になっておられる方もありまして、そういう方はもちろん恩給はもらえませんけれども^事実上はいわゆる援護あるいは恩給につきましては問題なく進行しておるというのが現状でございます。
  156. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 この新聞は四十七年三月三日付朝日新聞ですけれども、楢崎委員が取り上げた中身についてずっといろいろ記事がございます。この「汚名をきたまま65人救済されず放置」されているという、この六十五人が、いまの局長の話では救われたと理解してよろしいですか。
  157. 中村一成

    中村(一)政府委員 六十五名の方々につきましては、あるいはもうおなくなりになっている方もいらっしゃいます。生存している方もおられます。おなくなりになった方につきましては、遺族年金支給されております。あるいは受けてないと申しますのは、受給者がなくなったという方もいらっしゃいますので、受給してない方もございますが、それぞれその方々の事情によりまして、援護法あるいは恩給法適用が受けられることになっております。したがいまして、その六十五名につきましては、そういうような軍事裁判によるところの影響は、援護法恩給法については現在全然ない、こういうことでございます。  ただ、あのときにたしか楢崎先生のお取り上げになったことは、そういうような不名誉なことがあったことに対して国は一体どう考えるか、国としてはどういう態度で望むかという御質問であったかと記憶いたします。
  158. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いずれにしましても、こういう立証の問題だとかあるいは適用漏れといいますか、こういうものがあれやこれやとまだあろうかと思いますが、きめこまかい配慮のもとに適切な措置をとっていただきたいということを要望しておきます。  それでは、最後にもう一問お尋ねいたします。これは長崎の対馬のほうから陳情を受けたわけでございますが、珠丸遭難事件というのがございますね。これは昭和二十年十月十四日、長崎県の対馬−博多間の定期客船、九州郵船所属、珠丸、八百トンが、九百名の乗客を乗せて機雷に接触してたいへんなことが起こったという問題なんですが、これは直接的には運輸省だとかまたほかの所管になるでしょうけれども、全然これが放置されたまま、何の補償もされないままきているという事実が訴えられてきたわけです。これについて厚生省として事実調査、実態調査といいますか、これをなさる御意思があるかどうか、まずお尋ねいたします。   〔橋本(龍)委員長代理退席、谷垣委員長代理着席〕
  159. 中村一成

    中村(一)政府委員 地元の長崎県を通じまして、このことにつきましてお話がまいっております。犠牲者の方々が長崎県以外のほかの県にもまたがっておられますので、そこで私ども長崎県と連絡をいたしまして、このケースにつきましては今後長崎県の御調査につきまして御協力を申し上げたい、こういう基本的な態度であります。もちろんその結果、このケースにつきましてはたしてどういう処遇があるべきか、あるいはできるかできないかということにつきましては、全くいまのところ不明でございますけれども実態そのものの把握につきましては十分御協力申し上げたい、こう考えております。
  160. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それはよろしくお願いします。  そこで、最後に一言お願いでございますが、先ほど申し上げました四十六年八月十一日付の朝日新聞に出ております玉名敏夫さんの件でございますが、これこそ立証問題を解決する一つのケースになるのではなかろうかという気もいたしますので、真剣にこの問題を取り上げていただくことをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  161. 中村一成

    中村(一)政府委員 先生お示しのケースにつきましては、さっそく取り調べをいたしまして、指導いたしたいと思います。
  162. 藏内修治

    ○藏内委員 大橋君の質問に関連して、一問だけお尋ねいたしておきますが、実は、援護法改正によって四款症以上は年金支給される、一目症以下については一時金で処理されている。ところが目症の中において、爾後重症という状態になっているのが相当数あるはずなんです。これは一体どのくらいの率になっているか。目症から爾後重症の再審査を請求してくる数が一体どのくらいあるかということ、これが第一です。  もう一つは、爾後重症の再審査を請求しましても、所在の国立病院あるいはその他の病院に行って診断を受けた場合、目症程度のことでは実際のところほんとうに親切な診断が下されていない。たとえば私どもの知っている例では、ある戦傷病者は、軍艦に乗っておって被爆をして、爆弾の破片を下半身に相当浴びているのです。それがために足の機能障害を起こしておるのですが、当時としては軍人精神といいますか、そんなことで、適当に動けるような状態になったときに、みずから志願してまた戦線に復帰をしておるわけです。それがためにかえって非常に悪くして、今日に至るまで日常の起居動作がまことに不自由な状態になっておる。そういうのを、かりに再審査のために恩給局に申請しますと、どこどこの病院で診察を受けなさいという指令が来ます。それをもらって病院で診察を受けましても、どんな先生が診察なさるのか知りませんけれども、診察がどうも不親切だ、というよりもよくわからない。古い傷であるために原因がよくわからない。だから、そういう原因がよくわからないという場合には、できるだけ本人の主張を聞き届けてやって、年金まで、四款症まで引き上げてやっていただきたい。この二点だけ私は御質問をしておきます。
  163. 中村一成

    中村(一)政府委員 その数字、何例ぐらいあるかということは手元にございませんので、調べましてお答え申し上げますが、目症から年金に移り変わるというのは、先生いまおっしゃいましたとおり恩給法の場合でございまして、援護法では実はそういう制度がないわけでございます。ただしかし、私のほうは恩給の申達をいたしますので、したがいまして私のほうも関係がございます。いまの点につきましては、目症程度といっては失礼でございますけれども、目症程度の場合は確かにむずかしかろうと思います。したがいまして、私ども申達庁といたしましてはよく恩給局と連絡をいたしまして、いまの点につきまして障害者に有利に取り扱うように今後とも検討をいたしたいと思います。
  164. 谷垣專一

    谷垣委員長代理 次回は明十四日、午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十九分散会