○田畑
委員 私は、この種
法律ができることは大いに賛成であり、けっこうであるが、やはり大事なのは、いま
政務次官のお話にあったように、既存の
工場、企業に働いている人が新しいところに配置転換が円滑にいくならば、これはけっこうなんだけれ
ども、多くの場合はなかなかむずかしいと思うのです。
そのような場合に、そのような企業に働いている人方が離職した場合の
対策をどうするか、こういうような問題については、もっと
責任ある、言うならばきめのこまかな援護策ぐらいはとられて
法律が出てくるようなことでなければ、私は、この
法律をつくっても、たいへんに社会的な混乱だけを巻き起こしはせぬか、こういうことを心配するわけで、こういう点はもっと真剣に取り組んでいただきたい、こう思うのです。
それから、
先ほどの産炭地域開発就労事業の問題にもう一度戻りますが、過去の石炭合理化による失業者の滞留が著しい地域であるとか、あるいは今後合理化に伴い、多数の失業者の
発生が予想される地域を対象に、この産炭地域開発就労事業というものができたわけです。また、使用する者の側から見るなら、合理化に伴う炭鉱の離職者並びに関連企業から出てきた離職者、このような離職者を雇用することになるのが開発就労事業でございますが、
先ほど失対部長の
答弁を聞いておりますと、私が納得できないのは、これだけは四十四年以来事業規模も減っていないで、予算規模だけは毎年大きくなっておるということですね。これは、石炭
対策特別会計の中の予算措置でございますが、四十七年度の石炭
対策特別会計を見ますと、今度は石炭及び石油
対策特別会計と名前が変わりましたが、御承知のように、石炭特別会計は別建てで、原重油関税収入の十二分の十を充てておる。ところが、昨年のドル・ショック以来、経済活動が沈滞して、そのために原重油関税の収入もことしは減ってきた。そこで、毎年石炭特別会計は、四十六年度までは予算の全体の規模もふえてきたのだが、ことしは石炭
対策特別会計は規模が減っているわけです。これはもちろん炭鉱そのものが大幅に数が減った、これも一因でありますが、大きな
原因は原重油関税の財源がずっと減ってきておるということです。
それで、この石炭特別会計を見ますると、通産省
関係の予算措置は——四十七年度の通産省
関係の石炭予算は、昨年に比べますと六十三億四千五百万減っておる。ところが、
労働省関係はどうかと申しますと、四十七年度の
労働省関係の炭鉱離職者予算は昨年に比べて四億以上ふえておる、こういうことですね。それで、ことしの石炭特別会計は千一億でございますが、昨年に比べると約六十億減っておるが、
労働省関係の離職者予算だけは四億ふえておる、こういうわけです。
私は、石炭特別会計について云々議論する時間もないし、そのつもりはございませんが、このように予算措置がふえておる。ところが、この産炭地域開発就労事業というのは、
現行次官通達によって、北海道のような積雪寒冷地帯であるとか、離島であるとか、新産都市であるとか、工業開発特別地域は除くと、こうなっておる。この点はこの次官通達はもうなくなったのですか。これが
一つ。
それからもう
一つ、私が非常に遺憾に思うことは、この開発就労事業が発足した四十四年は、一体炭鉱の閉山の規模はどれだけあったのか、炭鉱の離職者がどれだけあったかというと、四十四年には八百四十二万トンに相当する山が閉山しておる。離職者が二万二千二百八十八名。四十五年はどうかというと、六百四十八万トンの規模の山が閉山になっておる。そして離職者が九千七百十五名です。四十六年度はどうかと申しますと、閉山が六百一万トン、炭鉱の離職者が一万二百三十七名、こういう
状況です。
ところで、私は
質問であなたに答えてもらわぬで、資料をあなたに
説明して判断を願うわけですが、四十四年、四十五年、四十六年にこのような規模でこれだけの離職者が出ておるが、産炭地域開発就労事業というのは、御承知のように九州地域しかやっていないでしょう。なるほど、九州地域における炭鉱離職者の
発生状況はどうかというと、四十四年は、二万二千二百八十八名の中で、九州地域は一万三千六百七十名の離職者が
発生した。四十五年は、九千七百十五名の炭鉱離職者の中で、九州地域から離職者が出たのは四千七百一名、半分くらいですね。四十六年はどうかというと、四十六年は、一万二百三十七名の炭鉱離職者が出て、一体どこからそんなにたくさんの離職者が出たかというと、一番大きいのは、これは常磐地域が五千七百五十六名、北海道が三千五百二十九名、九州は、わずかと言ったら語弊があるかもしれぬが、九百五十二名です。あの小さな常磐地域で五千七百五十六名の炭鉱離職者が出ておるのに、北海道は三千五百二十九名出ておるのに、九州は九百五十二名、こういうわけです。もう筑豊地区にはほとんど炭鉱というものはなくなったでしょう。これから炭鉱の閉山が出てくるのはやはり北海道地域だ。常磐などは昨年でほとんど全部閉山してしまったというような
状況ですね。
そういうようなことを
考えてみますと、私は言いたいのは、産炭地域開発就労事業というものが九州に、しかもそれは福岡県のみに集中的に実施されておる。
先ほど、不当
労働行為で福岡県知事亀井さんの名前が出ていたが、どうもこの開発就労事業というのは、
労働省の先輩の亀井知事のためにとられた措置じゃないかという悪口も、もうこの
制度ができた当初からあるわけで、これは実際の四十四年以来昨年、四十六年までの予算
運用を見ますると、そういう点ではまことに遺憾だ、こう思うのですね。
だから、この際、
労働次官もいらっしゃるわけだが、いまのような問題を私が
指摘いたしましたが、この開発就労事業について、もし私の記憶違いであるとすれば、次官通達というものがあって、その次官通達によると、こうこうこういう地域はだめだ、こういうような通達があるやに聞いておるが、もしあるとすれば、すみやかにその通達は取り消すべきだと思うし、またせっかく石炭
対策特別会計の予算の中で、石炭を維持存続させるという前向きの予算というものはぐっと減っておるにかかわらず、炭鉱離職者の予算だけはふえておる。しかも、これは
労働省所管である、こういうことを
考えてみますと、開発就労事業の予算
運用等について、もっとくふうがあってしかるべきだ、このように
考えますが、この点について、ひとつ
政務次官の見解を承っておきたい、こう思うのです。