○
米田委員 去る五月十三日発生いたしました大阪市におけるデパート
ビル火災事故につきまして、本院では、同月十七日、大野地方行政
委員長を団長として、四つの
関係委員会から構成された議員団を派遣いたしましたが、当
災害対策特別委員会からは私がこの議員団に参加し、現地の
実情をつぶさに
調査してまいりましたので、当
委員会の
調査の御参考までに、以下、
被害の
実情等につきまして若干の御
報告をさせていたきだたいと存じます。
詳細につきましては、かつまた正式な
報告につきましては、後刻大野
委員長から議長のもとに提出される予定でございますし、同時に、これは各議員にそれぞれお届けいただけるものと思いますので、口頭で、主として私の感想を中心にいたしまして御
報告申し上げておきたいと思います。
今回、
調査団に加わりまして現地へ参りまして、特に現場の検証といいますか、
調査をいたしたわけでありますが、私の率直な感じは、一言にして言えば、百十八名のとうとい犠牲者を出した今回のこの
災害というものは明らかに人災であったということを非常に強く感じました。
これはあとで触れたいと思いますが、いま少し、このビルあるいは七階のキャバレー・プレイタウン等の防災管理体制あるいは
災害の管理体制というものが
確立をし、かつ、責任の遂行について十分なかまえと
努力があれば、今回の
災害はもっともっと、特に人命については小
規模に防ぎ得たのではないかということを強く感じたわけでございます。
今後このような事故を起こさせないために、まず第一に、徹底した事故の
原因を究明していただきたいということを強く感じてまいりました。高層建築物、地下街その他不特定多数の者を収容する施設、特にサービス施設等については、避難、火災の通報施設の総点検を行なうなど、これらの設備機能が適正に維持され、かつ、
災害において有効に使用できるかどうか、十分な
確認をしておく必要があるということを強く感じたわけであります。
第二に、多数の死者が発生した
最大の
原因は、七階のキャバレーの避難誘導が行なわれなかったという点でございます。各議員の諸
先生にお届けしております資料によりましても、百十八名のうち九十六名が七階で、火災によらず煙と有毒ガスによって死亡しておるわけであります。七階を見てまいりましたが、まるでガスの火葬場のかまの中に入ったような感じがして、実は非常に強烈な印象を私は受けてまいりました。これだけの悲惨な事故は、避難誘導というものがほんとうに適切に行なわれれば起きなかったということを私は非常に強く感じたわけであります。
また、避難口の戸が施錠されたまま開放されなかった点がございました。要するに、避難口に戸を締めて、かぎをかけてしまった、そうして安全な避難のための体制に重大な欠陥があったものと
考えられるので、避難救助対策の強化、複合用途のこれらビル等に対する共同防火管理体制の強化が、何よりも人命の安全につながるということを痛感してまいりました。
それから、避難誘導体制の総点検を行なう必要があると思います。
災害時に避難誘導が有効適切に行なわれるような誘導の分担あるいは明確化、訓練の
実施などが必要ではないか。なお、避難路あるいは遮蔽戸の施錠装置は容易に開放できるような、そういう施設の
指導が必要ではないか、こう思いました。
それから、避難経路の安全確保であります。避難口あるいは避難経路があらかじめ予定されておりましても、それが全部物置き等になってふさがれておる、そういう事態がございました。安全確保のため、これらを常に確保するということが必要だと思いますし、特に屋外の階段またはバルコニーの設置を義務づけるというようなことが必要になってきておるのではないかということを痛感してまいったわけであります。とりわけ、今度の場合にかんがみまして、有毒ガスに対する防護策、これは一般的にそのような施設が、たとえばガスマスクとか、そういうようなものが
考えられると思いますが、必要ではないかということを痛感してまいったところであります。
次に、建築基準法の適用除外建物であっても、特定用途及び一定
規模を越える建築物については、防火、避難に関する規定の適用除外は一定の猶予期間を持つ程度にとどめて、全面的に適用させる必要があるのじゃないかということを痛感いたしました。複合建築物において、不特定多数の人を収容する用途の部屋を建物の高層部に設けるというようなことについては、全く再
検討を必要とすると思いますし、むしろこれは法制上からも規制をして、こういうような建物の高層部に、このようなキャバレーとか、あるいは不特定多数を収容するような、そういう用途を持たせる部屋をつくってはならないというようなところまで、これは規制する必要があるのじゃないかということを痛感したわけであります。
次に、高層建築物あるいは地下街、その他不特定多数の人を収容する施設については、その内装用のいわば新建材でありますが、これを不燃化するとか、あるいは防煙化するとか、そういうようなことをこれから進める必要があるのじゃないか。特にこれらの建物については、煙を吐く排煙設備をある程度の基準を設けて強化する必要があるのじゃないかということを痛感してまいりました。
いろいろございますが、私が特に痛感したのは以上のような点でございます。
最後に、これはあとで
自治大臣にもお聞きをしたいと思っておりますけれ
ども、消防体制の強化であります。このような都市
災害といわれる複合ビルあるいは高層ビルの火災対策、
災害対策というものについては、もっと真剣に
政府もお
考えをいただいて、
財政上の
措置はもちろん、法律的にも十分万全の対策をこれを契機にして一そう推進するということが必要ではないかということを痛感した次第でございます。とりわけ、はしご車あるいははしご車が入り得ない道路の問題たとえば千日ビルの南側になりますか、あの面については繁華街で、屋根がずっとあるわけでありますが、そういうところがあるものでありますから、七階でホステスが顔を出して、早くはしごをつけてくれと言って手を振って救いを求めておるけれ
ども、屋根がふさがってあるためにはしご車が入れない。みんなが見ているうちに、そこにおるそうした救いを求めた方々が次々と死んでいく、あるいは飛びおりてその屋根の上からまた下に落ちて死んでしまう、こういうような事態があったわけでありますので、こういうことについても、十分これから再
検討する必要があるのじゃないか。最近繁華街が、雨が降っても傘を持たぬでも買いものができるような、そういう施設をどんどん進めておるわけでありますけれ
ども、今度の事件を契機にして再
検討する必要があろうということを感じたわけでございます。
なお、全体として百十八名の犠牲者がおるわけでございますが、このうち八名の外国人、といいましてもこれは朝鮮人でありますけれ
ども、朝鮮人の方が含まれております。女四名、男四名、これらの方々は、当然いま労働基準局等で進めておりますこの
救済の
関係等につきましては遺漏はないとは思いますけれ
ども、補償の問題あるいは保険金の問題等につきまして、これらの方々に対しましても十分な
措置ができるように、これは特に私は、在日朝鮮人でありましたためにそういうことを心配してまいりましたので、このことも付しまして善処を
要望しておきたいと思うわけであります。
以上をもちまして、私の
報告を終わらしていただきます。
—————————————