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1972-04-04 第68回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年二月四日(金曜日)委員長の指名で、 次の通り小委員及び小委員長を選任した。  災害対策の基本問題に関する小委員       天野 光晴君    内海 英男君       小沢 一郎君    高鳥  修君       羽田  孜君    吉田  実君       内藤 良平君    米田 東吾君       和田 一郎君    小宮 武喜君  災害対策の基本問題に関する小委員長                 天野 光晴君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十七年四月四日(火曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 高田 富之君    理事 稻葉  修君 理事 小沢 一郎君    理事 進藤 一馬君 理事 吉田  実君    理事 米田 東吾君 理事 和田 一郎君    理事 小宮 武喜君       天野 光晴君    宇田 國榮君       奥田 敬和君    坂元 親男君       塩崎  潤君    塩谷 一夫君       田村 良平君    高鳥  修君       中村 拓道君    羽田  孜君       別川悠紀夫君   三ツ林弥太郎君       森  美秀君    川村 継義君       桑名 義治君    広沢 直樹君       川端 文夫君    津川 武一君  出席政府委員         総理府総務副長         官       砂田 重民君         総理府総務副長         官       栗山 廉平君         農林政務次官  伊藤宗一郎君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         海上保安庁次長 須賀貞之助君         気象庁長官   高橋浩一郎君         建設政務次官  藤尾 正行君         建設省河川局長 川崎 精一君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    高橋 盛雄君         経済企画庁総合         開発局山村豪雪         地帯振興課長  塚田  実君         厚生省社会局施         設課長     新津 博典君         農林大臣官房総         務課長     二瓶  博君         水産庁漁政部長 田中 慶二君         運輸大臣官房安         全公害課長   鈴木  登君         気象庁予報部長         期予報管理官  和田 英夫君         自治大臣官房調         査官      福島 栄造君         消防庁防災管理         官       古郡 良秀君     ――――――――――――― 四月四日  理事天野光晴君同日理事辞任につき、その補欠  として吉田実君が理事に当選した。     ――――――――――――― 二月二十八日  昭和四十七年一月十二日から十六日にかけての  低気圧災害対策に関する請願(鈴木善幸君紹介)  (第一五五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十一日  宮城県の低気圧による農林漁業等被害対策に関  する陳情書(第  九三号)  岩手県の低気圧による農林漁業等被害対策に関  する陳情書(第九四  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  昭和四十七年度災害復旧事業計画等に関する件  昭和四十七年三月三十日から四月一日にかけて  の低気圧による船舶遭難に関する件      ――――◇―――――
  2. 高田富之

    高田委員長 これより会議を開きます。  まず、おはかりいたします。  理事天野光晴君から理事辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高田富之

    高田委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。  引き続きまして、理事補欠選任を行ないます。先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高田富之

    高田委員長 御異議なしと認めます。それでは、委員長は、吉田実君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 高田富之

    高田委員長 次に、災害対策に関する件について調査を進めます。  昭和四十七年度災害関係予算概要及び同年度災害復旧事業計画等につきまして、関係当局から説明を聴取いたします。  まず、総理府総務副長砂田重民君。
  6. 砂田重民

    砂田政府委員 昭和四十七年度におきまする防災関係予算概要について御説明申し上げます。  昭和四十七年度における防災関係予算につきましては、詳しい内容はお手元に配付しております資料によりまして御承知いただきますと同時に、関係各省が参っておりますので、引き続いて詳細な点は関係各省から御報告いたしたいと思います。  まず、防災科学技術研究につきましては、引き続き各省庁防災担当研究機関強化充実をはかるとともに、風水害、震災、雪害火災危険物災害農林水産業災害等各般災害防止のための研究及び各種構造物危険物施設安全性に関する研究を推進することとしており、総額三十九億二千二百万円の予算措置を講じております。  次に、災害予防につきましては、災害予防に関する教育訓練を引き続き各省庁でその実施につとめるものといたしまして、また、気象観測地震観測通信運輸水防消防等についての施設及び設備整備充実をはかるとともに、道路崩壊防止等災害予防事業を推進することとして、総額一千二百六十五億六千万円の予算を計上しております。  さらに、国土保全につきましては、国土保全防災の基本であることにかんがみまして、東京、大阪等重要地帯地域開発等により急速に発展する地域砂防地すべり地域等における災害の防除に重点を置き、治山治水海岸保全農地防災等各種事業実施するものといたしまして、これに要する予算総額三千八百九十六億四千六百万円を措置してございます。なお、その事業内容の六実をはかるため、治山事業五カ年計画及び治水事業五カ年計画の改定を行なうことといたしております。  災害が発生した場合におきましては、迅速かつ適切な救助活動実施できるよう防災体制等を確立し、応急救助その他災害の実情に応じた必要な応急対策を講ずることとして、総額三億三千一百万円を計上しております。  最後に、災害復旧につきましては、直轄災害復旧事業は二カ年で復旧し、補助災害復旧事業は、従来四カ年で復旧を行なっていたところでありますけれども、本年からこれを一年短縮し、三カ年で復旧することといたしております。また、過年に発生した災害のうち、その被害が甚大なものにつきましては、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律に基づいて、特別の財政援助または助成を行なうこととしております。なお、昭和四十七年に発生する災害復旧に関しましては、当初予算に一定の所要復旧費を計上しており、これをもって復旧を促進することとしているほか、災害融資等必要な金融措置を講じ、復旧資金等円滑化をはかることとしております。これら災害復旧には、総額二千五百三十三億七千一百万円を計上しております。  以上の科学技術研究災害予防国土保全災害応急対策及び災害復旧に対する予算額の総計は七千七百三十八億三千万円になっております。  以上、昭和四十七年度における防災関係予算について御説明申し上げましたところでありますが、もとより災害予防重点を置きまして、その総合的対策を講ずるとともに、災害が発生した場合にも、迅速かつ適切な応急対策をとりつつ、災害復旧に万全を期してまいる所存でございますので、よろしくお願いを申し上げます。
  7. 高田富之

  8. 伊藤宗一郎

    伊藤(宗)政府委員 農林省所管昭和四十七年度防災関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  資料の一ページの中ほどにございますように、当省関係予算は、科学技術研究災害予防国土保全災害復旧等合わせまして総額一千八百九十七億円となっておりまして、別に農林漁業金融公庫災害関係資金貸し付け計画額として百七十七億円を計上いたしております。  次に、その内容について御説明申し上げます。  二ぺ−ジに科学技術研究として一億七千六百万円を計上しておりますが、その内容は、まず農作物災害防止に関する研究でございまして、国の農業関係試験研究機関及び都道府県の農業試験場などの協力を得て、各種農作物の冷害、凍霜害及び雪害等対策研究実施するほか、耐冷品種の育成、火山灰地帯における地力保全研究を行なうこととしております。  次に、農業用施設等保全に関する研究として、農業土木試験場において、安全なダムの築造、海岸浸食防止対策フィルダム耐震設計手法開発等に関する調査研究等実施することといたしております。  さらに、山地荒廃復旧及び予防、あるいは水源涵養林防災林造成等治山技術の確立に関する研究並びに森林気象災害火災防止に関する調査研究林業試験場において実施するほか、火災に安全な木質材料開発に関する研究を引き続き行なうこととしております。また、水産庁漁船研究室において、まき網漁船の波浪中操業時の転覆事故防止に関する研究実施することとしております。  次に、災害予防でございますが、小型漁船安全操業という点に配慮し、漁船保険組合機関検診技術員を常駐させるとともに、事故防止のための講習会技術修練会実施するほか、船型、操業形態の実態に即した小型漁船安全基準を設定し、その周知徹底をはかることとしております。また、林野火災多発化傾向に対処し、火災予防啓蒙活動強化をはかるとともに、防火線防火樹帯設置基準策定のための調査を行なうこととしております。  なお、従来どおり、災害対策用として、乾パンを二十六万食備蓄するほか、米飯かん詰め一万七千食の備蓄試験を行ない、また、雑穀種子野菜種子についても引き続き備蓄を行なうとともに、災害用仮設住宅等のため主要営林署に五万立方メートルの国有林材備蓄することとしております。以上の事業に要する予算として九千二百万円を計上いたしております。  次に、国土保全関係でございますが、四ページにございますように、八百四十九億四千六百万円が計上されております。  治山事業につきましては、現在、国会に上程中の治山治水緊急措置法の改正をまって、四十七年度を初年度とする第四次治山事業五カ年計画を策定し、これに基づき事業拡充実施をはかることといたしております。  海岸保全事業は、海岸事業五カ年計画の第三年度として、当省所管農地海岸及び漁港海岸にかかる事業実施することとしております。また、農地防災事業につきましては、防災ダム老朽ため池等整備農地保全等、主として農地農業用施設災害防止を目的とする事業を、地すべり防止対策につきましては、地すべり防止法に基づく事業をそれぞれ実施するほか、従来に引き続き災害関連事業実施することといたしております。  また、保安林整備につきましては、社会経済情勢変化に即応し、保安林の適正な配備、施業の合理化等保安林の適正な管理実施することといたしております。  次に、災害復旧等でございますが、五ページにございますように、予算措置及び農林漁業金融公庫融資措置を合わせて、総額で一千二百二十一億九千二百万円を計上いたしております。  まず、農地農業用施設海岸施設治山施設林道施設漁港施設等災害復旧事業につきましては、政府統一方針に基づき直轄災は二カ年で完了し、補助災は三カ年で完了する方針のもとにそれぞれ事業の進捗をはかることとしております。  被害農林漁業者に対する融資でございますが、農林漁業金融公庫につきましては、貸し付け計画額として農地等災害復旧資金に六十億円、自作農維持資金に百十七億円を計上いたしております。なお、天災融資法に基づき、引き続き被害農林漁業経営等に必要な資金の融通に関する利子補給措置を行なうこととしております。  また、災害補償制度につきましては、農業災害補償森林国営保険漁業災害補償及び漁船損害補償の各制度を合わせまして六百九十八億円を計上しているわけであります。  以上、当省関係防災関係予算の概括的な説明を終わらせていただきます。
  9. 高田富之

  10. 藤尾正行

    藤尾政府委員 建設省関係概要につきましては、建設省四十七年度の予算として一ページの下のほうに総額四千二百四十七億四千万円が計上してございます。  その内訳は、科学技術研究——これは二ページの下のほうにございまするが、といたしまして四億五千六百万円、風水害に関する研究測地的方法による地殻変動調査地震に関する各種研究雪害に関する研究、大規模建築物、地下街の防煙設計法等に関する研究丘陵地に建つ建築基礎設計法に関する研究、仮締め切り工に関する研究等経費でございます。  災害予防といたしましては、四ページの上のほうにございまするが、四百七十二億五千二百万円で、水防施設整備及び道路崩壊防止等事業江東防災事業の推進、除雪防雪、凍雪害防止及び除雪機械整備防災建築街区の整備がけ地近接住宅移転事業実施等経費でございます。また、防災建築街区におきます防災建築物建設に対する資金融資といたしまして、住宅金融公庫より十五億七千八百万円を計上いたしております。  さらに、国土保全といたしましては、四ページの下のほうにございますけれども、二千八百九十一億九千七百万円で、河川改修事業ダム事業砂防事業、急傾斜地崩壊対策事業海岸保全事業及び災害関連事業経費がこれに当たります。  最後に、災害復旧といたしましては、五ページに記載をいたしてございますが、八百七十八億三千五百万円で、河川ダム海岸砂防設備道路災害事業等災害復旧行ないます。  また、住宅金融公庫による災害復興住宅建設等に対する融資といたしまして十億円を計上いたしております。  以上でございます。
  11. 高田富之

    高田委員長 運輸省大臣官房審議官坊力男君。
  12. 見坊力男

    ○見坊政府委員 運輸省関係といたしまして運輸省海上保安庁気象庁、それから日本国有鉄道を一括して概略説明申し上げます。  資料一ページの中ほどにございますが、科学技術研究といたしまして四機関合わせまして九億一千七百万円、災害予防として百九十三億三千百万円、国土保全といたしまして百四十三億六千五百万円、災害復旧といたしまして三十五億三千万円、以上合計三百八十一億四千三百万円、対前年度比二〇・九%増ということになっております。  以下、その内訳について概略説明申し上げます。  二ページの科学技術研究関係でございますが、運輸省といたしましては三億四千七百万円計上してございます。これは港湾技術研究所実施いたします港湾及び海岸における防災技術開発研究のための経費三億二千二百万円、船舶技術研究所実施いたします大型専用船等安全対策に関する研究のための経費二千五百万円でございます。  次に、海上保安庁といたしまして、地震予知に資するための海底地形とか地質構造測量等のための経費千二百万円を計上してございます。  また、気象庁といたしまして三億五千八百万円計上してございます。これは気象研究所を中心として実施いたします気象、地象、水象に関する研究梅雨末期集中豪雨研究地球大気開発計画に基づく総合研究等のための経費三億四千三百万円、地震活動統計的研究のための経費千五百万円でございます。  それから日本国有鉄道といたしまして、車両の走行性能、耐寒・耐雪性、氷雪の処理等雪害対策関係技術開発計画のための経費二億円を計上してございます。  次に、災害予防関係でございますが、運輸省といたしまして三億九千三百万円計上してございます。これは危険物運送事業者の監査、船舶災害防止のための教育経費七百万円、空港における除雪体制整備消防機器材整備のための経費三億七千百万円、LNGタンカー危険物専用コンテナ安全基準の作成、船舶災害防止のための船体構造基準検討等のための経費千五百万円でございます。  次に、海上保安庁といたしまして六十八億六千三百万円計上してございます。これは大量流出石油対策訓練のための経費四百万円、航路標識巡視船艇航空機海上保安通信体制等整備のための経費六十八億一千万円、流出石油処理及び人命救助等に必要な資器材整備のための経費四千九百万円でございます。  また、気象庁といたしまして五十四億二千七百万円計上してございます。これは気象レーダー等気象観測施設設備整備のための経費五十一億四千二百万円、地震観測施設検潮所等整備のための経費二億八千五百万円でございます。  それから、日本国有鉄道といたしまして六十六億四千八百万円計上してございます。これは橋梁トンネル等の取りかえ及び改良のための経費四十六億二千二百万円、防雪設備除雪機械等整備のための経費二十億二千六百万円でございます。  国土保全関係でございますが、運輸省といたしまして百十二億三百万円計上してございます。これは高潮対策事業浸食対策事業局部改良事業等海岸保全事業のための経費百十一億一千七百万円、災害関連事業のための経費八千六百万円でございます。  次に、日本国有鉄道といたしまして、河川改修に伴う橋梁改築のための経費三十一億六千二百万円を計上してございます。  災害復旧関係でございますが、運輸省といたしまして港湾施設災害復旧事業のための経費三十五億三千万円計上してございます。  以上簡単でございますが、運輸省関係防災関係予算について御説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
  13. 高田富之

    高田委員長 これにて昭和四十七年度災害関係予算等についての説明は終わりました。      ————◇—————
  14. 高田富之

    高田委員長 引き続きまして、去る三月三十日から四月一日にかけて発生した低気圧による船舶遭難事故について、政府当局より説明を聴取いたします。海上保安庁次長須賀貞之助君。
  15. 須賀貞之助

    須賀政府委員 御報告申し上げます。  三月三十日から四月一日にかけまして日本付近二つの強い低気圧が通過いたしまして、このため本邦周辺全般にわたる海域につきまして、この低気圧に吹き込む強風が吹き荒れ、海上は大しけとなり、合計四十五隻の船舶及びその乗り組み員二百三十六名が遭難いたしました。  これらの海難船舶につきまして船種別に申し上げますと、貨物船八隻、漁船二十一隻、その他ヨットとか砂利運搬船しゅんせつ船等でございますが、その他の船舶といたしまして十六隻、合計四十五隻でございます。  また、海難種類別に見ますと、転覆が二十隻、乗り揚げが八隻、浸水六隻、衝突二隻、行くえ不明三隻、その他六隻ということになっております。  発生した場所は、先ほど申し上げましたが、北海道から九州に至る日本全般でございます。海域全般にわたっております。  なお、当初におきまして海難防止及び救難措置について当庁のとった措置について申し上げます。  三十日の午前九時二十分、気象庁から低気圧に関します情報を入手いたしました海上保安庁は、直ちに各管区本部に対し、この情報を伝達いたしますとともに、海難防止及び救難即応体制に遺憾なきを期するよう指示しておるわけでございます。  なお、当庁の機関管区気象台等気象官署から発令されました気象警報等の通知を受けた事項を航海中及び入港中の船舶周知しておる次第でございます。  海上保安庁は、海難船舶救助のため、三日午後五時までに延べ百二十一隻の巡視船艇延べ二十機の航空機を出動させましたほか、自衛隊に航空機の出動を要請し、延べ七機が出動しておりすす。また、付近民間船舶協力も得まして、四十五隻、二百三十六名の遭難船あるいは遭難人員につきまして、そのうち三十二隻、百二名につきましては、救助等措置によりまして事なきを得ておるわけでございます。また、十三隻、百三十四名につきましては、三十名が救助され、二十七名が遺体として揚収されましたが、七十七名はいまだ行くえ不明となっておりまして、現在これら行くえ不明者の捜索を鋭意続行中であるわけであります。  以上、御報告申し上げます。     —————————————
  16. 高田富之

    高田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米田東吾君。
  17. 米田東吾

    米田委員 四十七年度の災害関係防災関係予算説明があったわけでありますけれども、最初に、この海難関係につきまして若干御質問をいたしたいと思います。  ただいま報告がありましたが、三月三十日から四月一日までの間における異常な、しかも大量の海難事故は、まことに遺憾であり、残念であり、また、この海難にあわれました犠牲者方々や、遺族の方々にはほんとうにお気の毒であり、心から弔意を表する次第でございますが、春先におきましては、このような異常気象から来る災害あるいは海難というものはほぼ毎年繰り返されておるような感がいたしますけれども、ことしは、たとえば、三月の富士山における大量の山の事故、それから今回のこの大量の海難事故と相次いで異常気象からくる事故が大量に発生しておるように実は感ずるわけであります。これは気象観測予報関係に問題があるのか、それとも遭難された船舶やあるいは人に問題があるのか、十分究明されなければならぬと思いますが、気象関係、それからこれらに対応する気象対策の面で問題がなかったのかどうか、そういうことを実は私はお聞きをしたいわけなんであります。  気象庁関係でございますけれども、いまの報告で、船舶や、海上における予報等については遺憾がなかったという報告でありますけれども、これはどうなんでしょうか。特に日本周辺の沿岸、きわめて近い距離で、しかも大量の遭難なんでありますけれども、何か予報上問題がなかったのかどうか、それから周知の点について十分なされておったのかどうか、これらの点は、気象庁のほうとしては、どういうふうに見ておられますか。ただいまの報告だけでは不十分だと思いますので、ひとつ御答弁をいただきたいと思っておるわけでございます。
  18. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 ただいまの点についてお答えしたいと思います。  このたびの大災害が起こりましたことは、私たちといたしましてもたいへん遺憾に存ずる次第でございます。  一般海難と申しますが、これには起こる原因が二つございまして、春先の今回のような温帯低気圧に伴うものと、それから夏から秋に伴います台風によって起こるものとございます。春先のものにつきましては変化が非常に激しいことと、もう一つは、暴風雨の範囲が広いために、風の強さによっては、台風のときはございませんけれども、間々こういうような災害は起こる状態でございます。これに対しましては、気象庁といたしましても、われわれとして考えられるだけのことはやっておりまして、今回のことにつきましても、先ほどの説明にもありましたように、時間的には十分間に合うような時間に注意報なり警報なりを発したつもりでおります。  方法といたしましてはいろいろございまして、気象庁から全般海上警報というものを出します。その間に、全国に十カ所の地方海上警報を出すところがございまして、それからおもに海上保安庁のルートを通じて一般に対する方法、そのほかにラジオを通ずる方法、そのほかに漁業気象無線通報を通じましておもに漁船に知らせる、こういう方法をとっている次第でございます。  そういうような点から申しまして、気象庁といたしましては必ずしも一〇〇%というわけにはいかないかと思いますけれども、一応、今回のことにつきましては、気象庁としては少なくとも九十点以上の成績をとっておるのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  19. 米田東吾

    米田委員 気象庁、九十点以上という長官の評価でありますけれども、これだけの犠牲者を出しておいて九十点以上の手当てを尽くしたという手前みその評価は、実はいただきかねる。どんなに尽くされましても、これだけの大量の犠牲者が出ておるわけでありますから、私はもっと謙虚にひとつ考えていただきたいと思います。  ただ、この報告によりますと、三十日の午前九時二十分から、気象庁からの情報を入手された海上保安庁は、それぞれ海難防止についての体制やあるいは指示その他船舶に対するいろいろな対策等が講ぜられておるようでありますけれども、この内訳を見ますと、漁船その他が三十七隻で、これは四十五隻の約八〇%ぐらいになりますか、非常に漁船その他が多いのでございますが、これは警報等についての無線機その他の受信設備等につきまして問題がなかったのかどうか。いまほとんどの漁船が法律によりまして無線の設備がなされるようになっておるわけでありますけれども、ここらあたりの関係は、海上保安庁のほうではどのように見ておられますか、お聞きをしたいと思います。
  20. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  当該遭難海難にあわれました船舶漁船につきまして、その無線設備はいかがであったかということについても、目下調査しておる段階でございます。
  21. 米田東吾

    米田委員 この貨物船の八隻というのは、大体どの程度のトン数の船でございましょうか。というのは、たしかことしから発足をしておるんじゃないかと思いますが、船舶に対する航路気象予報を、民間の気象協会、それから国際気象センター等が協力をしまして、船舶に対する航路気象予報の業務が開始されているように聞いているわけでありますが、これらが実際にどういう効果を及ぼしておるか。今度の遭難船の八隻の中に、この航路気象予報に加盟をされて、気象予報等常時受けておられる船舶があるかないか。それらの関係はどうでございましょうか。
  22. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答え申し上げます。  一般貨物船につきましては、そのトン数は、三千七百トンあるいは二千三百トンといった大きなものから、あるいは二百トン近くのものまでということで、比較的大きな船でございまして、これらにつきましては予報警報その他についてすべていろいろな情報をキャッチする設備を持っております。われわれのほうといたしましても、これについてありとあらゆる方法をもちまして警報予報を送っておる次第でございま。
  23. 米田東吾

    米田委員 船舶に対する航路気象予報関係、これは気象庁で掌握しておられませんか。気象協会と、それから国際気象センターで、たしかことしから発足をして、船舶気象予報を追跡してずっとやっているはずでありますけれども、これはどうでございますか。
  24. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 いまの点は、私つまびらかでございませんけれども、気象協会では、特定の船に対しまして、航路予報でございましょうか、そういったような予報を出していることは承知しておりますけれども、一般の注意報、警報というのは、普通のルートを通じて船にいくのが通常でございまして、特別にそういうようなサービスをしておりますことは、私の知る限りでは存じません。
  25. 米田東吾

    米田委員 海上保安庁は、いま私が質問している関係につきまして御存じでございませんか。
  26. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答え申し上げます。  海上保安庁といたしましては、先ほど申し上げましたように、気象庁のほうからいただきました航行警報その他につきまして船舶周知徹底、これは無線その他を通じてすべてやっております。また、港内にありますものにつきましても、代理店その他を通じ、あるいはまた直接に周知徹底方に努力しておる次第でございます。
  27. 米田東吾

    米田委員 気象庁長官にお聞きをいたしますが、ことしの気象のこれからの当面の長期予報はどんなふうに観測されておられますか。これは今後の災害発生等に関連いたしましても、実は一つ非常に心配があるわけであります。ことしの冬は暖冬異変であった。私の郷里新潟等は降るべき雪が降らない。そういうことから、また関係者は、降るとき降らないとその年の気象というのは非常に荒れる、何が出てくるかわからぬ、災害等についてそういう心配をしているわけであります。加えて、今回の海難事故を招来するような異常気象で、これからまたどのような異常気象が発生するかわからぬ。春先からここ二、三カ月の気象状態というものは、どんなふうにあなたのほうでは観測され分析されておられますか。わかったら聞かせていただきたいと思います。
  28. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 この問題は技術的な問題でございますので、そのほうの担当官の和田長期予報管理者のほうから説明させたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  29. 和田英夫

    和田説明員 ただいまの質問に対してお答えします。  実はいま御指摘のように、この冬は、気象庁始まってもう百年近くなりますけれども、新記録的な暖冬異変になっております。実は北陸豪雪というのが昭和三十八年一月にありましたね。あのころから北半球の気候、特に北極を中心といたしまして大寒冷化が始まった。その影響がいまなお続いているわけであります。  学者によりましては、大体現在の気候というのは百年昔、ちょうどわれわれが小氷期といいますけれども、そのころに戻っているというのが定説になっております。そういった北極の大寒冷化に伴いまして、日本の気候も、何といいますか、過渡期にありまして、非常に変動の大きい天候が続いております。われわれもっとにこれを、従来の勉強に加えまして、予報に発表いたしておりまして、たとえば、二月下旬の二十九日発表の一カ月予報では、特にリマークをつけまして、三月には、低気圧の大発達あるいは風雪、風雨、さらになだれのおそれがあるぞということをつけ加えております。また、三月十日の一カ月予報では、特に変動が大きいということを頭に置きまして、なだれに関する注意を促しております。それにもかかわらず、御承知のように海に陸に非常に大きな被害が出たということは、われわれのPRといいますか、周知のしかたにまだ——まあわれわれは新聞記者相手にレクチュアをしておりますけれども、まだ周知のしかたに欠点があるのではないかというふうに反省いたしております。  こういうふうに変動が大きいということに加えまして、最近の天候の状態を加味して、三月十日発表、これは大体の秋までの予報、それから三月二十日には、六月までの詳しい発表をいたしております。それをまとめて申し上げますと、晩春から初夏にかけましては、大体気温の高い日が多いけれども、その中で、非常に変動が激しいものですから、特に四月下旬から五月上旬にかけては晩霜のおそれが大きいぞ、昨年もやられましたけれども、ことしもかなり可能性が大きいというように考えております。それからつゆは、ここ数年ぶりに典型的なつゆになりまして、特に活発になるということと、つゆの後半に大雨、低温というタイプのつゆになるんじゃないかと予想しております。しかし、その反面、つゆ明け後は西日本を中心にして暑い夏になるというふうに予想しております。しかし、残念ながら北日本——まあ新潟はちょうどその境になると思うのですけれども、北日本では、またことしも低温に悩まされるというタイプの夏になるのではないか。と同時に、秋は、これはここ数年の傾向ですけれども、いわゆる早冷型といいますか、秋落ちが早い天候になるというふうに予想しております。それから台風につきましては、予想は非常にむずかしいのですけれども、ある程度夏の天候のパターンといいますか、気圧配置がうまくこのとおりになりますと、ことしの夏の台風というのは、昨年は三十六個発生いたしましたが、昨年より少ないけれども、平年の二十八個より多い三十個くらい発生して、本土には四ないし五個くらい上陸するというふうに予想しております。また三月十日発表の予報分には、特に注をつけまして、北日本のおそ霜、つゆ末期の悪天、大雨、それから北日本の低温、早冷とかいったりマークをつけております。  われわれ類似した年を解説にあげますけれども、ことしはどうも残念ながら昭和三十一年、これは北日本の冷害のいもちの大発生した年ですけれども、昭和三十一年の年に似ているのではないかというふうな結論になっております。  以上です。
  30. 米田東吾

    米田委員 一応の予報をお聞きいたしましたが、私ども非常に懸念しているような気象状態が考えられるようでございまして、今後の特に災害あるいは人命の対策等につきましては、これはわれわれとしても十分注意をしていかなきゃならぬじゃないかというふうに実は感じながら聞いておりました。  そこで、気象庁にひとつなお聞きたいのでありますが、観測あるいは気象の解析、解明、分析等が相当進んで、ある程度正確になされておるのじゃないか。国際的にも情報の交換というようなものは進歩しているわけでありますから、相当なものまでつかめるんじゃないかと思いますが、問題は、それの予報であります。予報がどうしても十分でない、私は実はそういう感じがするわけであります。きょうは時間がありませんから詳しいことは申し上げませんが、気象庁の最近の傾向を見ますと、特に予報業務に重点を置いて、この一元化をするとか、あるいは地方気象台や中央気象台に集中化するとか、特に漁業気象とか農業気象とか海洋関係気象等については、きめのこまかい予報がほんとうは必要だと思うのでありますけれども、逆にそれを集中、系列化するというようなことが出ているように実は思うわけでありますが、これなんかは十分ひとつ考えてもらわなければならぬのじゃないかという気がするわけであります。それは、きょうは時間がありませんから議論しません。ただ、予報関係については、もっと徹底する方法がないのかどうか。たとえば、いまのテレビの普及率なんというのは、これはほとんどの家庭に入っているわけでありますから、報道の、映像中であっても、たとえば、臨時ニュースとか、ニュースの速報が横へずっずっと流れていくようなああいう方法がありますけれども、警報周知、異常な場合の予報というようなものについては、気象庁も、もう少し役所仕事じゃなしに、予算を必要とするなら自前で予算を取るとか、あるいはスポンサーを見つけて話をつけるとか、そういうふうにして、異常な場合には、ただきめられた気象予報周知の時間帯だけじゃなしに、もっと常態として、ずっずっと文字が入って異常な状態というものが周知されるというような、そういうことを考えてみたらどうか。これからもうマイカー族がどんどんふえていきますが、集中豪雨やなんかの場合に、そういう点についてはラジオ、テレビ等を利用されれば非常に役に立って、災害防止についても、あるいは人命事故の未然防止についても、私は非常に役立つんじゃないかと思うのでありますけれども、予報という関係についてひとつ注意を喚起したいのでありますが、見解はいかがでありますか。
  31. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 ただいまの先生の御意見、たいへんありがたく拝聴したわけでございます。この問題につきましては、気象庁としても多少は考えておりまして、法制局あたりとも連絡いたしまして、たとえば地震のような場合には、大体いま先生がおっしゃったような方針でやっているわけでございます。そのほかにつきましては、いままでの習慣もございまして、必ずしも満足いくようなぐあいにはなっていないかとも思うのでございますけれども、おいおいこの点につきましては十分また相談いたしまして、いろいろやり方を考えていきたい、こう考えておる次第でございます。
  32. 稻葉修

    ○稻葉委員 関連。気象庁のここ二、三年来の予算をひとつ四十五年から、五年は幾ら、六年は幾ら、ことしは幾らということをお聞きしたいのです。
  33. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 先生のおっしゃるのは、総体の予算でよろしゅうございますか。——そういたしますと、一昨年度は、はっきり覚えておりませんけれども、約百三十億見当であったかと思います。昨年度が百五十億でございます。それから今年度は、まだ予算案でございますけれども約百八十億が予定されております。大体そういったような状況でございます。
  34. 稻葉修

    ○稻葉委員 去年の集中豪雨災害とか、ことしの春の海上災害とかを見ますと、国民としては、気象庁がどの程度の能力があるのか、不安に思うわけです。台風の発生状態等を把握しにくいというお話ですが、これなども、もう少し機構を整備し、金でもあったら進むのかどうか。これは全くわからなくて、一寸先はやみなのか、どうなんでしょう。
  35. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 台風に関しましてはいろいろな技術が進歩してまいりましたので、昔から比べますと格段に進歩しております。現在やはり一番問題のあるのは非常に局地的な現象でございまして、特に集中豪雨などが非常に問題になっているわけでございます。と申しますのは、起こる範囲が非常に狭いので、それを観測することもなかなか困難がございますし、また、それを予報する・とにつきましても、技術的な面につきましても、かなりいろいろな問題があるわけでございます。それで、現在は主として集中豪雨と申しましょうか、そういった方面につきましてある程度検討を進めていく必要があるのではないかと思っております。現在、西日本のほうで集中豪雨の特別観測をいたしまして、その機構を見つけまして何かの予報の参考にしたい、こう考えております。  それからもう一つ、観測方法といたしましては、テレメーターと申しましょうか、電話線を利用いたしましてこまかいネットを張りまして、それを地方気象台なりあるいは予報センターに集めて二十四時間監視をするような体制に持っていきたい、こう考えておりまして、現在そのような計画を進めている状態でございます。
  36. 稻葉修

    ○稻葉委員 何だか、聞いてみまして心細くてしょうがないんです。あれだけ年々集中豪雨が思わざるところへやってきて、千葉県だとか、去年は三重県だとかやられましたね。どうしてそういうことがあらかじめ把握できないのか、気象庁における集中豪雨予知に関する研究機構とか、あるいはその研究費であるとか、そういうものが貧弱なんじゃないでしょうかね。どうなんでしょう。
  37. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 そういった面につきましては、それはやはりたくさんあったほうがいろいろな面では進むわけでございますけれども、集中豪雨の本体と申しましょうか、それがまだ学問的によくわからない状態でございまして、そういう点にむしろ問題があるように私は考えております。しかし、それでいいというわけではございませんで、そういった面を鋭意解明していく必要があるわけでございまして、そういう方面にせいぜい努力していきたいと考えておりますけれども、主としてやはり現象それ自体が非常につかみづらい、こういう点にあるのではないかと思っております。
  38. 稻葉修

    ○稻葉委員 それはどうなんでしょう。日本だけなんでしょうか。それとも外国もみんな大体一寸先はやみで、政界みたいなものかね。
  39. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 いわゆる予報の技術と申しましょうか、諸外国と比較いたしました場合に、日本は、どちらかというと進んでいるほうの部類になるのではないかと思います。ただ、違います点は、外国の気象日本気象が非常に違う点がございます。御承知のように、日本は大陸と海洋の間にありまして、その間の低気圧の経路になっているわけでございます。また、地形も複雑でございますので、天気変化が非常にきめこまかいと申しますか、非常に複雑なのでございます。それに対しまして、アメリカとかインドのようなところでございますと、大陸国家でございますので、天気の変化も非常に単純でございますので、そういう意味ではあまり問題はないわけでございます。ただ、トルネードとかなんとか、やはりいろいろ似たような問題がございまして、向こうでもいろいろ頭をかかえているような問題があるようでございます。
  40. 稻葉修

    ○稻葉委員 そうすると、では、集中豪雨という気象現象は日本だげなんですか。
  41. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 これはほかの国にもございます。それはおもに人工衛星などを使いましてある程度つかまえて、その実況を知らせるというようなことをやっているようでございます。
  42. 稻葉修

    ○稻葉委員 ことし気象庁全体の予算が百八十億に増額された。去年より三十億増というのですが、私はかつてあなた方の先任者から、気象庁の機構として要求し予算として要求したものがそのまま認められれば、日本災害の半分は予防できる、したがって災害復旧費——ばく大なものでしょうが、それが半額はむだなようなものだ、こういうことをお聞きしたものですから、それでは災害対策特別委員会としても、もう少し気象の把握についての予算だとか機構だとか整備しなければいかぬな、こういうふうに思うわけで、災害対策特別委員会としてもそういうことがしょっちゅう話に出るわけですが、ことしあなた方気象庁で、運輸省を通じ大蔵省に予算要求をした額は幾らですか。いま予算に計上されているのは百八十億といいますが、三百億くらいは要求されたのですか。
  43. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 現在はっきりした数字は覚えておりませんけれども、約二百億見当であったかと思います。
  44. 稻葉修

    ○稻葉委員 私は、先ほどの米田さんの質問で、予報周知徹底ということも多少欠陥があるように感じましたが、国民としては、どうも思わざるところへえらい風が吹いたり雨が降ったりするものですから、温度については相当正確な把握をされて予報も当たるようでございますけれども、ことに集中豪雨につきましては全く予報がない、把握ができないというようなことでは非常に困るので、去年の災害の多くもこれにやられたのでありますから、年々のことですから、ひとつここで画期的に集中豪雨に対する対策機構でも特に気象庁内に設置されまして、幾らかかろうとその予算は、われわれも協力いたしますから要求をされて、年々こういうおかしな災害による——科学技術の進歩は非常なものだなんというけれども、まことにお粗末なものじゃありませんか。そういう点について、長官としても責任を感じられて、総理府にも、それから国会にも協力を求めて、国民のために災害予防することに万全を期していただきたい。これで終わりますが、どうでしょう。
  45. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 いろいろ御鞭撻ありがとうございました。そういった方向で私たちといたしましても進めていきたいと思いますので、今後ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  46. 米田東吾

    米田委員 建設省関係で二、三お聞きをいたしますが、私の持ち時間があまりありませんので、まとめて質問をいたします。  ことしの防災関係予算について御説明をいただきましたけれども、建設省関係では全体として四千二百四十七億四千万、このうち災害復旧関係では八百七十八億、国土保全あるいは災害予防という関係では相当な予算が計上されておるようであります。この全体の建設省防災関係予算の伸び率、それから災害復旧の八百七十八億の昨年比の伸び率、これはどの程度になっておるかということが質問の第一点でございます。  それから、私の感じでありますけれども、ことしの予算はきのうようやく通りましたが、いわゆる景気浮揚の大型予算で、しかもその中の一つの目玉が公共投資でございまして、特に二七%程度の伸びで公共投資の関係が盛られておるわけであります。全体として災害復旧あるいは災害予防という関係では、国の予算全体の志向する方向からいきまして、災害がもしあった場合あるいは引き続く災害復旧措置等について、ことしは相当思い切った予算が投ぜられてよろしいのではないか、またそういう政府の配慮があるのではないか、こういう感じが実はしているわけであります。もちろん災害関係は予備費から出るシステムもございますので、これだけではないと思いますが、他のほうと比べてどうも少ないような感じがするわけでありますけれども、これらについての建設省の見解を二番目にお聞きをしておきたいと思います。  それから三番目は、中小河川関係でございますが、これはやはり昨年の災害予算説明を受けましたときも、私、御質問を申し上げておるわけでございますけれども、中小河川に対する建設省の取り組み、あるいは投資の関係はだんだんよくなってきているように私も感じますけれども、ことしは、特に昨年の災害の実績にかんがみましても、中小河川改修という関係では相当思い切って予算措置をなされて、ある意味では防災の性格も織り込んだところの改修計画というものが進められなければならぬのではないか。ことしの予算では、この中小河川改修についてはどんな規模、どういうパーセンテージあるいはどういう姿勢で取り組まれようとするか、これもお聞きをしておきたいと思います。  それから最後に、先ほど総理府総務副長官の報告によりまして、ことしから災害復旧について四年を三年に縮める。これは聞くところによりますと、昨年の補正予算からそういう方向がとられてきているようでございまして、私は非常にいいことだ、前進だと思うのでございます。私は、前の委員会でも、そうできないかという質問をしたことがあるわけでありますが、ことしからは原則的に三年で復旧する、そういう方向で前進をしたことを私は非常に評価するわけでありますけれども、もう一歩進めて、いつでも言われるのでありますが、災害復旧については改良復旧を原則とするというこの姿勢の切りかえ、これは一つは法律改正等の関係もあろうかと思いますが、まず建設省の所管にかかわる行政の面で、改良復旧を原則とする方向にことしから一歩進めて切りかえて当たるという方向がとれないかどうか、このことも第四番目として御質問をしておきたいと思いますから、一括ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  47. 藤尾正行

    藤尾政府委員 お答えをいたします。  非常に問題が多岐にわたっておりまするので、あるいはお答え漏れをするようなことがあるかもしれませんけれども、念のために、足りませんでしたら、専門家が来ておりますから、ひとつ究明をしていただきたい、かように存じます。  まず第一の点でございまするけれども、災害復旧費の本年度予算における伸び率はどうか、こういう御質問でございましたけれども、災害復旧と申しますものは、これはもう先生御案内のとおりでございまして、災害が起こりましてからそれに対処するというわけでございますので、これをあらかじめ予算に組んで伸び率を想定するということはいたしておりません。しかしながら、いかなる災害が起こりましてもそれに対処できるような体制といいまするものは予算的にもとるということで、四十七年度の予算措置をいたしておるつもりでございまするから、私どもの考えられまする災害には対処できるというように御理解をいただきたいと存じます。  それから第二に、治水関係でございまするけれども、多くの砂防あるいは河川等々の災害というものに対しましては、私ども河川全体といたしまして、新しく第四次の治水五カ年計画を策定いたしておるわけでございます。したがいまして、この五カ年計画の中で十二分に対処いたしたい、かように考えておるわけでありまするけれども、十二分じゃございませんけれども、まずまずこれをもって新しい五カ年には対処できるのではないか、かように考えておるわけであります。  第三番目に、中小河川というものに対する姿勢はどうか、こういう御質問であったやに記憶をいたしておりまするけれども、私ども、先生の御指摘のとおりでございまして、特段と中小河川あるいは上流の小規模河川、こういったものに対する措置を十二分に考えなければならぬということで、初年度におきまする昭和四十七年度の予算におきましても、治水事業全体に対しまする予算の伸び率は二二・三%でございますけれども、新しい上流の砂防ダムの建設も含めまして、中小河川整備のためには特段の推進をはかりたいということで、これの伸び率は二四・一%になっております。約二千億円を計上いたしておりまするので、これで十分かと言われますると、決して十分であるとは申せませんけれども、しかしながら、治水全体の予算の中におきましては、重点を中小河川に置いておるという姿勢はこれをもってひとつお認めをいただきたいものだ、かように考えるものでございます。  第四番目に、災害復旧という姿勢を改めて、これを根本的に災害に対する改良という原則に改めてはどうか、こういう非常に示唆に富んだ御教示でございまするけれども、私どもといたしましては、ほんとうは全面的にもとに返すというようなことでは相ならぬわけで、再びそういう災害を同じところで起こすようなことは全く考えてはならないというのが政治の姿勢であるべきだ、かように考えます。したがいまして、私どもといたしましては、その改良を原則とするというところまで踏み切りたいわけでありますけれども、何と申しましても、災害というものはなかなか予断を許さぬ非常に多岐にわたるものでございまするので、現在のところでは、原則といたしましては、残念ながら、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法という法律に基づきまして、一応はまず復旧を原則とするという原則を踏まえて、しかしながら、そういったものが再度の災害を誘発するということのないように、時と所、環境というものを十二分に考えまして、先生御指摘のような改良をするという、復旧という原形に返すということでなくて、災害を克服するんだという意味合いをもちまして、復旧助成事業あるいは関連事業ということで、一般予算の中からもその支出をまかないたい、かように考えておるわけでございます。  以上の四つの点を御指摘をいただいたわけでございますが、大体そのようなことで答弁とさしていただきまして、なお、河川局長その他も来ておりますから、足りないところは十二分におただしをいただきたいと存じます。
  48. 米田東吾

    米田委員 川村委員から、関連質問が若干ありますので、私はこれで終わりたいと思います。
  49. 川村継義

    ○川村委員 関連して大急ぎで二つ、三つお尋ねをしておきたいと思います。  さよう初めてこの一括予算説明いただいたのでありますが、運輸省にちょっとお聞きします。  日本国有鉄道災害関係予算が計上されております。科学技術研究災害予防国土保全には国有鉄道の予算が計上されておりますが、これは国が金を出してやるのですか、国鉄のいわゆる特別会計、国鉄が持っておる金からこれだけを出していこうということなんですか。
  50. 鈴木登

    鈴木説明員 お答えいたしますが、国鉄の自己資金でございます。
  51. 川村継義

    ○川村委員 四番目の災害応急対策、五番目の災害復旧等になぜ国鉄は四十七年度の予算を計上しておらないのですか。
  52. 鈴木登

    鈴木説明員 お答えいたします。  国鉄の災害対策事業予算といたしましては、事前に予算計上をするという形をとらずに、事後、起こりましたときに、その場その場でやっていくというふうになっております。
  53. 川村継義

    ○川村委員 きょうは論議をしたいとは思いませんが、国鉄の自己資金でここに計上されておる。災害応急対策復旧事業等については計上されていない。その場その場でやっていく。私は、ここでいろいろ論議をしたくないとさっき申し上げましたが、私は、昨年の委員会でも、また懇談会でも、実は当局に対して、国鉄がになっておるその使命にかんがみて、災害応急対策災害復旧の費用は国が応分のめんどうを見てやりなさいとずいぶんと強く要求しているはずです。また、総務副長官も懇談会の席上等では、やはりこれは自己資金で、独立採算のたてまえを押しつけてやらせることは、国鉄の使命にかんがみてはたしてどうだろうか、ひとつ十分検討して、やはりこの災害復旧等については国がめんどうを見てやるようにせにゃならぬとおっしゃっておった。ところが、四十六年度の補正予算にも出てこぬ、四十七年度の本予算にも出てこぬ。従前どおりの自己資金、独立採算のたてまえで、いろいろ論議はありましょう。そういうたてまえで押しつけられてきておる国鉄が、年々災害復旧のために使う金は相当ぼう大なものにのぼっているはずです。国有鉄道という、国民の足を確保するための国鉄の使命はまた大なるはずです。こういうものを、ただ自己資金、自己資金で、独立採算で押しつけておいて、国鉄をだんだん苦しい赤字経営に追い込んでいくという原因をつくらぬでも、こういうところは国がめんどうを見てやっていいではないか。私は、いままでも実は主張して、お願いもしているわけですが、お考えを聞かせてください。
  54. 鈴木登

    鈴木説明員 国鉄の予算体系の問題もございますので、この点、帰りまして、直接の担当者に先生の御意向も申し伝えまして検討いたしたいと思います。
  55. 川村継義

    ○川村委員 運輸省、もっとそういう点はしっかり考えていただかなければ困る。  その次に、災害予防のところで橋梁の取りかえ等いろいろ説明があって、予算が計上されておる。それから国土保全の場合の河川改修に伴う橋梁の改築ということで、これまた説明がされておる。災害予防橋梁の取りかえと河川改修に伴う橋梁の改築、それはやり方がどう違うのか、金の出し方は同じなのか、違うのか、ちょっと説明していただきたい。
  56. 鈴木登

    鈴木説明員 お答えいたします。  河川改修に伴いますものは、建設省河川改修に応じまして国鉄が実施しなければいかぬというふうに、建設省事業との共管で実施するものでございます。
  57. 川村継義

    ○川村委員 そこで、建設省河川改修をなさる、これは当然やらなければならぬような事態になったら、大きく河川改修をやってもらうわけです。その場合に国鉄が、その川の上を走っている国鉄の鉄道の橋梁をかけかえなければならぬ。そのときに半分半分負担しますね。これは慣行になっておる。一体それはなぜそうなってきておるのか。建設省河川改修をなさる、それに伴って国鉄が橋梁をかけかえる、その場合に半分負担をするということは一体どういう申し合わせになってきておるのか。まるまる建設省にやってもらうというわけにもいかぬかもしれぬけれども、その負担は少なくていいのじゃないかということも言える。これは相当問題になっている地点があります。私、いま地点は申し上げませんけれども、あります。ところが、反対にまた国鉄が橋梁をかけかえたい、建設省さん、どうぞひとつこうしていただけませんかといって、逆に建設省にお願いする場合もあるでしょう。その数はどっちが多いか私知りませんけれども、あるでしょう。二番目の災害予防の場合、橋梁取りかえの場合には一体どうなっているのか、三番目の、国土保全河川改修に伴う橋梁改築の場合の半分半分負担というのはそれであって、二番目の場合にはどうなるのか、その辺はどうなっておりますか。
  58. 鈴木登

    鈴木説明員 本日国鉄の担当者が参っておりませんので、ちょっと詳しくは申し上げかねますが、河川に及ばず、港湾その他の問題につきましても、各管理者との費用の分担ということが両者の間でいろいろ話し合われまして、従来からもそういう慣習的な形でそういう費用の分担が行なわれておる次第でございます。
  59. 川村継義

    ○川村委員 どうもはっきりしないのですが、まあ、いいでしょう。またいずれお尋ねいたしますから、建設省にお聞きしなければならぬ問題もありますから、またお聞きします。この次に問題として十分お話しいただけるようにひとつ取りそろえておいていただきたい。お願いしておきます。  終わります。
  60. 高田富之

    高田委員長 広沢直樹君。
  61. 広沢直樹

    ○広沢委員 本日は時間の制限がありますので、基本的な問題を数点お伺いする予定であったわけですが、冒頭に、この三月三十日ないし四月一日、低気圧の通過に伴い発生した海難事故概要について説明がありましたものですから、二、三点お伺いしたいと思います。  最初に、遭難にあわれた方々に対してはお悔やみを申し上げますとともに、救助に尽力されました方々に対して敬意を表するものであります。  まず問題は、先ほどから御説明をいただいておりますけれども、三十日の午前九時二十分に気象庁から低気圧に関する情報を入手した、そこで海上保安庁は適切な処置を講じたということになっているわけでありますけれども、予告をし、適切な処置を講ずるような万全の対策をしながら、今日ここに出ておりますように、北は北海道から南は九州に至るまで全地域においてこういう問題が起こっているわけであります。これは気象通報に対しても配慮が欠けておったのではないだろうか。もう少し事前に万全の通報をし、それに対する対策を講じておれば、北海道から九州に至るまで、わずかの期間にこういう事故が一斉に起こるということは避け得たのではないかというように感ずるわけであります。  そこで、こういう事故は二度と起こしてはならないと思いますし、先ほどから御説明のように、気象通報が万全ではないということもおっしゃっておられますけれども、この問題に関して通報して、そうして体制をしくまでの間、どれだけの余裕と時間があったのか。一応もう少し詳しく御説明いただきたいと思うわけです。気象庁並びに海上保安庁のほうからお願いいたします。
  62. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 いまの災害の面につきましてはいろいろ複雑な因果関係がございまして、災害が起こるか起こらないかという問題はなかなかむずかしい問題でございます。今度の低気圧に対しましても、その前に富士山のなだれを起こしました低気圧の大きなものがございましたけれども、それと比較いたしますとほとんど違いがないわけであります。それなのにかかわらずこの前はあまり被害が起きておりませんし、今度は非常に大きな被害が出てきておる。その原因につきましては、実は私どもよくわかりませんので、今後十分調べていく必要があるのではないか、こう考えているわけでございます。それによりましてその注意報なり警報なりの発表という面を考えていく必要があるのではないか、こう考えておる次第でございます。たとえば、船が非常にしっかりしておればそういう現象が起こりませんし、そうかと申しまして、現実には必ずしも風波に対しまして完全な船があるわけではありませんので、その辺の注意報とか警報の出し方あるいはタイミング、そういった面につきましてはさらに検討いたしまして、今後そういったような被害が起こらないようにつとめていきたい、こう考えておる次第であります。
  63. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  今回の遭難事件に関しまして、先ほど申し上げましたように、気象庁のほうから警報の連絡を受けましたのが九時二十分でございますが、その直後、私のほうといたしましては、これを地方海上警報といたしまして、対象海域ごとに十三カ所の当庁の通信所から警報を出しておるわけでございまして、航行船舶に対しまして、直ちに出したとき以後三回、合わせて一日四回警報を出しております。また、地方海上予報というものもございますが、これも十三カ所の当庁通信所から一日定時に三回放送しておるわけでございますが、警報発令中におきましては、その末尾に警報発令中の旨をつけ加えておるわけでございます。したがいまして、警報が発令された場合に、警報そのものが四回、それから予報と同時に行なわれる警報といったのが三回、合わせて七回の警報を出しておるわけでございます。
  64. 広沢直樹

    ○広沢委員 ともかくも事故が起こってからその原因を究明し、対策を立てていくという、いわば防災というよりも後手の対策になっているというふうに感じられるわけであります。  そこでもう一点、須賀次長にお伺いしますけれども、いままでこういうふうな、日本全体において起こる事故ということではなくても、こういう大きな海難事故というものは日本近辺で起こっていると思うわけですね。それに対して、気象の問題とか、あるいはそれに対する対策の問題とかいうものは検討されてきたと思うのでありますけれども、いままでに最近に起こった問題、そうしてそれに対する対策はどういうふうに協議されてきたのか、そして今回の事故に対して、それをどう生かされておったのか、そういう点について一応御説明いただきたいと思います。
  65. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答え申し上げます。  最初に、この程度の大きな事故が従来までにあったかどうか、こういうことでございます。今回の事故は、先ほど御説明申し上げましたように、隻数にして四十五隻、人数にして二百三十六名、こういうものでありまして、現在、行くえ不明あるいは死亡となっておる者が百名をこして百四名ということになっておるわけでございますが、ここ二年間で申し上げますと、四十五年の一月三十日から二月一日まで、この三日間におきまして、二十九隻の遭難があって、二十五名行くえ不明、こういう例があります。また、四十五年三月の十六日と十七日の二日間でございますが、これは十五隻で三十名の死亡、行くえ不明、それから四十六年の一月四日、五日と二日間でございますが、これが二十隻で十六名の行くえ不明、死亡、こういうことになっておりまして、この二年間の大きいものにつきましても、今回ほどの大きいものはないわけでございます。そういうことでございますが、世人が注目いたしておりましたものといたしましては、過去にさかのぼりまして四十年十月の、これは日本近海ではございませんが、マリアナ近海におきましての大事故がありました。それは七隻で二百五十一名ということになっております。遭難人員につきましては大体同じでございますが、マリアナの場合には、そのうち二百九名が死亡、行くえ不明、こういう大きな事故でございます。  そういった過去の大事故、最近二年近くのものといったようなものは以上のような状況でございますが、それにつきましては、海上保安庁といたしまして漸次体制を整備してきておるわけでございまして、先ほど申しました警報の四回、あるいは予報は三回でございますが、その末尾にも加える、こういうようなことをしておるわけでございます。また、その救難体制といたしまして、全国二十八カ所、一日じゅう絶えずSOSを聞く場所がございます。また、朝六時から八時ごろまでの時間を、そのほか二十一カ所の通信所で遭難電波を聴取するように義務づけられております。これは合わせまして四十九カ所でございます。また、どちらの方向から救難SOSが発せられておるかという救難用の方位測定局というものも、合わせて二十数カ所あるわけでございます。  そういうようなことでございまして、そういう状況になった場合には、状況を的確に把握して、無線その他によりまして遭難船にいろいろな指図を与えるといった緊急措置を講ずるというような救助体制をとっておりますし、遭難現場に船艇その他を即刻派遣するという体制をとっておるわけでございまして、そういう体制のもとに、巡視船艇二百九十九隻、航空機二十四機を百二十カ所の基地に待機さしておるわけでございます。  さらに、いま気象、海象あるいは海上交通のふくそうするようた場所あるいは漁船の出漁状況から見まして海難の多発が予想される海域あるいは時期につきましては、あらかじめ巡視船艇が配備されまして、いわゆる前進哨戒というものを実施しておりまして、緊急事態に即応するようになっておるわけでございます。また、一般船舶協力を求めるほか、大規模な海難につきましては、自衛隊の航空機等についても派遣を要請するという体制をとっておる次第でございます。
  66. 広沢直樹

    ○広沢委員 それでは高橋長官にお伺いいたしますけれども、いまも御説明がありましたように、近年においてもそういう悲惨な事故が起こっているわけでありますが、何と申しましても、先ほどから再三指摘されておりますとおり、やはり気象が一番その重要なポイントを占めていると思うわけです。これは地理的条件、気象条件からいたしましてもいまに始まったことでないわけでありまして、その重大性というものはより一そう認識されなければならない、こういうふうに考えるわけでありますけれども、こういったことが再三繰り返されて、予告を出した、あるいはおそかったか早かったか、あるいはそれに対する万全の備えがあるとかないとかということは、事故のたびに論じられているわけでありますが、やはり私は、船舶の今回起こっている遭難から考えまして、近海、それも瀬戸内海とか内海でも起こっているわけでありまして、もう少し的確な予報が早目に出されておったならば、ある程度防げたんではないかというふうに考えられるわけです。その点、現在の気象予測といいますか測候といいますか、まだまだそこの点の配慮が足りないのではないかというふうに感ずるわけでありますが、いかがですか。
  67. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 ただいまの点についてお答えいたしたいと思います。  ある面、先生のおっしゃる点があるかとは思います。しかし、現在の予報の技術から申しますと、非常にこまかい点についての予報ということはかなり困難な面がございます。と申しますのは、たとえば、海の場合におきましても、みさきが変わりますと風がすっかり変わってしまうというようなこともございます。そういったようなこまかいところまでを一般に知らせるということは、これはなかなかたいへんなことでございますので、気象庁といたしましては、それよりは一般に、もう少しスケールの大きいと申しましょうか、強い風が吹くとかなんとかという、そういうもう少し大きい面についてお知らせをいたしまして、こまかい点につきましては、やはり船やなんかの方はよく御承知なんで、そういうところでやはり判断していただくよりしようがないのではないか、こう考えているわけでございます。したがって、それに対しましては、予報といたしましては知らせることもさることながら、気象知識を普及すると申しましょうか、そういった面につきましても、もう少し考えませんとほんとうの災害は防げないのではないか、こう考えている次第でございます。たとえば、暴風という予報を出しましても、船員がそういうことを信用しない、あるいはほかの理由でそれを押して出るということも間々ございますので、そういった点が今後必要になるのではないか、こう考えているわけでございます。  それからもう一つは、その知らせる手段でございますが、やはり即刻に知らせる手段といたしましては、ラジオ、テレビ、これが一番早いわけでございます。こういう方法で知らせるのが一番早いのでございますが、そのためには、やはりあまりこまかいことまでお知らせできないという難点もございます。したがって、その知らせる手段といたしましては、やはりいろいろな手段を講じなければならないのではないか、こう考えている次第でございます。
  68. 広沢直樹

    ○広沢委員 それでは、あまり時間もとれませんけれども、二、三点具体的に御質問申し上げたいのですが、最近測候所を取次所にする、そして将来は廃止する、いわゆる業務整理計画あるいはそれに伴う定員の削減をしていこうという計画があるやに聞いておるわけであります。やはりこういうふうに予測されているところが北海道から九州に至るまで全地域に及んで、それが検討されているようでありますけれども、こういうような気象状況の掌握とか、まだまだこれから具体的に充実し、あるいは強化していかなければならない体制にあるわけでありますから、この点についてどういうお考えを持っているか、まず最初にお伺いしておきたい。
  69. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 戦後気象技術が非常に発達してまいりまして、いろいろな計算機も入りましたし、レーダーも入りました。そういうふうに非常に変化しているわけでございます。気象をやってまいります場合にも、やはりその変化に応じまして体制を変えていく必要があるのではないか。これがいわばそういった方向の発想でございます。しかし、その中で測候所を廃止するというような計画はございません。測候所といたしましては、大別して任務が二つございまして、一つは、そこの状況を正確に観測するということが一つの面と、それからもう一つは、予報なり何なりをその方面にお知らせする、こういう二点があるのではないかと思うわけでございます。そのウエートにつきましてはいろいろ問題がございまして、ある測候所では観測重点になる、あるところではお知らせすることが重点になる、こういうことであろうかと思うわけでございます。  なお、予報をやります場合には、先ほど申しましたように、機械や何かが入りまして、非常にやり方が変わってきているわけでございます。同じ予報を出しますにも、そういったような観測資料や何かを十分こなしてやりませんと、いい予報が出ないわけでございます。そういう意味で、予報を出します場合にある程度集約をいたしまして、そこで十分な予報の結果を出して、それを皆さんにお知らせする、こういうほうがむしろいいのではないか、こういう発想からそういったようた計画が出たわけでございます。したがって、測候所ら単なる取り次ぎと申しますけれども、おもに地方気象台がつくりました予報をもとにいたしましてお知らせするわけでございますが、その場合、先ほどの海難なんかもございますけれども、予報をお知らせすることだけではなくて、それに対するいろいろな注意と申しましょうか、そういったようなことも必要になるわけでございますし、それと、先ほど申しましたけれども、気象というのは非常に複雑でございまして、同じ県の中でも場所によって違うし、さらに申すならば、町や市によっても違うわけでございます。そういったようなこまかいところにつきましては、やはりいろいろお問い合わせがあった場合に、そういったようなこまかい点も加味いたしましてお知らせする、それが本来の方針でございます。したがって、外におられる方におきましては、従来と全く変わりがなく、ある意味でいうと、むしろこういった方向で予報の精度が向上するのではないか、こういうような考えから進めたわけでございます。
  70. 広沢直樹

    ○広沢委員 将来は、廃止しない、いわゆる取次所というか、測候所が取次所に変わるだけであって、内容的にはそう影響を与えないといういまの御答弁でありますが、いまおっしゃったように、旧来のままでいいとは私は思いません。やはり技術的な開発、より近代的といいますか、技術的といいますか、そういうことが、この気象問題についてははかられなければならないと思っております。ですから、旧来のまま置いておけばいいというものじゃないと私は思いますけれども、しかしながら、いま海難の問題がありましたが、この問題については、全日本海員組合あるいは船舶通信、それぞれまたその地域においてこれを活用し、最も強化充実を望んできた関係地方におきましては、現在のままの測候所としての維持、そして人員についてもより増加してもらいたいと、むしろいま長官がおっしゃったのと逆の陳情が来ているわけですね。ですから、これは一方的な人員の削減であるとか、あるいは予算化の面で考えるのではなくて、いまあなたが真におっしゃっていらっしゃる、技術的にそれだけのことをカバーできる、より以上の技術開発ができたというような、より明確なものがあればいいと思いますけれども、そういう口の下から、先ほど保安庁から、最近においてはこんな大きな全般的な事故はないということが起こっておるわけでありますから、そういう面から考えていくと、ただ理論的に技術面では一応進んできた、レーダーも発達してきたから、その人員もある程度は削減整理ができるのじゃないかとか、あるいは測候所を取次所に変えなければならないという理由も明確じゃないと思うわけです。その点、もう一考できませんか。
  71. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 先ほど申しましたように、業務が変わってまいりますと、それに伴っていろいろ体制を変えないといけないわけであります。今度の場合におきましても、非常に大量に人を減らすというわけではございませんで、一名を動かすだけでございまして、そういったような状況ではあまり変わりがないわけでございます。  それに、従来でございますと、もう少し詳しく御説明いたしますと、十何年前ぐらいでございますと、各測候所で自分で天気図をかいて、そして自分で予測いたしまして判断をしておったわけであります。その後ファックスや何か出まして、天気図をかくことは本庁でやりまして、それをファックスで流す、それを見ればよろしい、そんなようなぐあいに、仕事のやり方が昔よりずっと楽になってきたわけでございます。そういった点も考慮に入れまして今回の措置をとったわけでございます。
  72. 広沢直樹

    ○広沢委員 それでは、機能は低下しないとおっしゃるし、それから人員も、配置転換であって削減ではない、やはり近代化に伴う対応策として考えたのだということでありますので、一応それはそれとして私は聞いておきます。しかしながら、現実の問題としてこういう事故が起こっておるし、将来においても、そういうことで予報がおくれたりあるいはその地域に不便であったり、支障が起きるようなことがあったならば、いまあなたがお答えになったこととはまるきり反対なことになるわけでありますから、その点は十分自覚をいたして対応していただきたい、こう思うわけであります。なお、具体的な問題については、時間がありませんのでまたいずれかの機会にこまかく御質問を申し上げたいと思います。  それで、基本的な問題を二、三点お伺いしておきたいと思うわけでありますけれども、先ほどから申しておりますように、地理的、気象的な条件に基づいて、先ほどのような低気圧あるいは台風、洪水あるいは地震、地すべり、がけくずれ、種々の災害要因というものがわが国にあるわけであります。また、多大の人的といいますか、物的損害も今日までずっともたらしておるわけであります。このような災害から生命あるいは財産を守っていくための種々の施策も考えられてきておるわけでありますけれども、今日の災害の発生状況——災害対策の基本法ができて以来、ちょうど三十六年にできたわけでありますが、それ以来非常に急激に経済も変動しております。したがって、産業構造も変わっておりますし、過密過疎の地理的条件あるいは社会的条件も急速な変化を来たしておるわけでありますけれども、いわゆる防災体制の一そうの整備といいますか、また運営の効果改善をはからなければならぬと思う次第であります。  それに対しまして、基本的な施策の明確化といいますか、これは三十八年に防災会議において一応基本的な防災計画というものが立てられております。その後、昨年ですか、一応修正されておりますが、ほとんどそれが変わっていない。また、防災関係機関の責任体制といいますか、この問題もその当時から論じられておりますけれども、いまもってこの体制が各省各庁あるいはそれぞれの所管にまかされっきりになって、この点が非常に明確になっていないのじゃないか。災害の問題に対しては、総合的な調整といいますか、一本化してそれに対応していくということが最も大事な問題であると思うわけです。災害の問題については、特にこれがあらゆる機関に影響した問題が一挙に起こってくるわけでありますから、特にそういうことが望まれるわけでありますけれども、その基本的な問題についてどのように考えているか、まず所感を伺いたいと思うわけです。
  73. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 ただいま広沢先生から防災関係についてもっと一本化するような方向で強化していったらどうか、こういう御質問かと承りましたが、われわれの考えておりますところをお答え出し上げたいと存じます。  ただいま先生もおっしゃいましたように、基本法におきまして中央防災会議というものが設けられまして、これは総合的な防災行政を推進するという目的で、防災の基本計画を作成するといったようなことを中心に、いろいろの施策につきましての基本的な指針を審議、策定するということで設けられておるわけでございますが、これと、各省庁が各大臣の責任におかれまして、法令に基本き、あるいはただいま申し上げました防災の基本計画ということに基づきまして、個々具体的な各省の責任と権限、それに基づく施策、これとの調整がどういうふうにいくのが一番いいかという、結局、帰するところ、そういう問題になってこようかとわれわれ考える次第でございます。  そこで、ただいまお話がございましたように、この中央防災会議は、昭和三十八年に防災基本計画というものを作成いたしまして、防災体制の問題、防災事業促進の問題、それから復旧の迅速、適正化、あるいはまた科学技術防災に関する推進、適用の問題等々考えてきたわけでございますけれども、昨年さらに、ただいまお話がございましたように、その後の経済の急速な発展あるいは社会構造の変化といったようなものに伴いまして、災害発生の実情を勘案しまして、その実態に応じた適切な対策をもっと一そう推進したいというために、震災対策あるいはコンビナートの災害対策、あるいはまた各種の新しい危険物が出てまいったものでございますから、こういう危険物に対する対策、あるいはまた御承知のような林野火災対策といったようなものを中心にいたしまして、先ほど申し上げました昭和三十八年の防災基本計画を修正したわけでございます。そして特に震災対策に対しましては、御承知のように、大都市の震災対策の推進要綱というようなものをこれに関連いたしまして決定をいたしたような次第でございます。  現在、この問題につきましては、事務局で大都市震災対策の細目、あるいはまたさらに別の問題としまして、大規模タンカーの事故対策というようなことについて、詳細な細目についての検討をいたしておるところでございます。もちろん、今後とも災害の発生状況に即しまして、各種の防災基本計画に必要な修正を随時に加えていくということを考えておりまして、この点につきましては万全の措置を講じてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  さらに、先生のお話の中には、予算等につきましてこういうところで詳しく見るのはどうかというお話があるいは入っているかとも存じますが、こういう問題につきましても、先ほどから予算の問題につきましては、お手元にお配り申し上げました資料でいろいろ各省からも御説明があったところでございますが、この資料をごらんになられますとよくおわかりのとおり、たいへん項目がたくさんにわたっているわけでございます。ほとんど各省にわたりまして科学技術研究あるいは適用の問題、あるいは予防の問題、復旧問題、国土保全応急対策といったような点につきまして、たいへんこまかくまたきわめて専門的な問題がこのとおり非常にたくさん盛られているわけでございまして、これを直ちにどこか一つのところで全部詳しく見ていくということはなかなかむずかしい点がございます。非常に専門にわたる点も御承知のように多々ございますものでございますから、こういう点につきましては、やはりもちはもち屋というようなことで、それぞれの専門の権限と責任をお持ちの各省の大臣のところでこれはおやり願う、ただし、その間の非常に緊密な連絡をとっていく、その緊密な連絡をより一そう高めていくという方向で、つまり先ほどおっしゃいましたような総合的な調整をよりうまく持っていくという点でいくのが、いまのところわれわれとしましてはいいのではなかろうか、かようにただいまのところでは考えている次第でございます。  しかし、先生のおっしゃいましたような、こういういろいろの臨機即応の点もございますので、そういう点につきましては、各省の連絡あるいは防災会議——これは各関係大臣も入っておられますし、日赤等も入っておられますが、そういう連絡を非常に緊密に持っていきたいという考えでわれわれはいまのところ対処していきたい、かように思う次第でございますが、なおいろいろの点がございますから、その点につきましては先生方の御指導をいただきたい、かように考えている次第でございます。
  74. 広沢直樹

    ○広沢委員 時間がありませんので簡単にお答えいただきたいのですが、いまの防災会議——防災といいますと、その中心になるのはやはり中央防災会議で、いま御説明のあったとおりだと思うわけです。それを受けて地方防災会議もありますし、市町村防災会議等がありますが、やはり総合的といいますか、それを一本化していく形としては、防災会議において各省庁を掌握なさっていらっしゃると思うわけであります。しかしながら、行管のほうからも当時指摘がありましたし、また基本法を制定されたとおりにも、この問題については、基本的な問題として提案を含め論議があったやに聞いております。そのおりにおいても、これは緊密な連絡ということだけではなくで、実際に災害に対応し得る、即応し得るということであれば、その体制も一本化するほうが適当ではないだろうかという強い意見も出されておったわけであります。したがって、現実にあります中央防災会議を見ましても、いま御説明のように、基本計画を立てるだけではなくて、むしろその実施、推進をしていかなければならないという立場で、実施、推進のほうに少し力を入れていかなければいけないのではないだろうか、こういうふうに思うわけであります。したがって、その計画を立てたならば、具体的にその計画がどこまでどのように実行されたかということも、当然防災会議の中では毎年毎年といいますか、掌握されていかなければならない問題だと思うのですけれども、この防災会議が設置されて以来今日まで何回中央防災会議が持たれたのか、それからその防災会議において、ここにある程度資料をいただいておりますけれども、具体的に会議としていま私が御指摘申し上げた点について検討がなされてきたのかどうか、その点簡単にお答えいただきたい。
  75. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 お答えいたします。  基本法で、先生もよく御承知かと存じますが、会議の事務局というのがございまして、事務局長は砂田総務副長官がなっておられます。その下に次長三名ございますが、御承知のように、局員としまして各省の関係の深い担当局長二十五名の局員があるわけでございますが、この局員の会議、それからさらにもっと課長の段階の主事という名前のものがございまして、これも各省の災害関係の課長三十名をもって主事の会議を構成いたしているわけでございます。こういうところで、ごく細目にわたるもっとこまかいことを主事会議でひんぱんに打ち合わせをいたしますし、また、実施の推進等につきましても緊密な会議をいたします。その上に局長の会議、さらに、おっしゃいましたような一番大もとの閣僚をもって構成する会議、こういうふうな段階で会議の形態があるわけでございますが、さらに、これは会議という名前ではなくして、随時各省とも連絡をいたしておる、そういうような関係にあるわけでございます。これはしょっちゅう開いておるわけでございますが、この会議の模様等につきましては、ここにそれを実際にやっております参事官がおりますので、簡単に説明いたさせたいと思っております。さような次第でございます。
  76. 広沢直樹

    ○広沢委員 ここに何回か会議が持たれておりますけれども、具体的に、先ほどお話がありましたように、緊密な連絡をとり合っていくということになりますれば、大きな災害、小さな災害、いろいろあるでしょうけれども、やはり一年に一ぺんは、災害基本法にきめられているそれぞれの構成メンバーがそろって、一年一年、激しい経済の変動あるいは社会の変動に対応して、防災体制というものも種々手直しをし、考えていかなければならない問題はたくさんあると思うのでありますが、そういう面については、このいただいている資料によればなされていない。まあ随時的になされておりますが、災害に対応して随時に防災会議を開かれるのは至当であろうと思いますけれども、やはり定期的にその社会に対応して防災会議を開いて、種々こまかい面にまで実施、推進していかなければならない機関でありますから、単に計画を立てて各省庁に与えておけばいいのだということであれば、こういう会議ができたということであって、具体的にはいままでと何ら変わりない、各省庁においてそれぞれの部分、部分を推進しているにほかならないことになってしまうわけです。  いまいただいている資料から私は申し上げているわけでありますけれども、この資料によれば、いま言うように、総合的な体制としては各省庁の大臣が入り、いまあなたがおっしゃったような事務局もでき、具体的な推進がなされているようでありますけれども、実際にはそれは行なわれていないわけですね。法律の一部改正だとか、あるいはいろいろな災害があった場合において、それに伴う政令の一部改正だとかいうことは再々行なわれている、これはあたりまえのことだと思うのですよ。やはり一年に一ぺんないし二へんは定期的にこれを開いて——防災なんですから、災害が起こってからどうしようかというのじゃ困るわけですよ。ですから、その当時も問題になりましたように、防災なのか、あるいは災害復旧にウエートが置かれているのかということも盛んに論議されたはずですね。防災会議の主要目的というのは、中には確かに災害復旧は入っておりますけれども、ウエートはやはり防災に置かなければならない。国民の生命、財産を守るためにすべての能力をあげてそれに当たらなければならないと基本法の精神の中に入っているわけでありますから、そういう意味から考えても、防災という面にウエートを置くならば、定期的に開いて、詳細なる施策について十二分なる検討を進めるべきではないのか。意見も含めて御質問申し上げているわけでありますが、いかがでありますか。
  77. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 先ほど回数等につきまして私から申し上げませんで、失礼申し上げました。あるいはお手元に差し上げました資料にあるかもしれないのでございますが、中央防災会議、これはいままで約四十回開かれているわけでございます。  確かに、先生のお手元に差し上げてあります資料では、法令の一部改正といったような問題、あるいは激甚災の指定基準の改正といったような問題で開いている面が多々あるように書いてあるかと存じます。確かに回数から申し上げますと、そういう点が多いわけでございます。  先生おっしゃいますように年に一回ないし二回、すべてのものを含めて総合的に定期的に開くという点につきましては、先生の御意見を十分ひとつ上司に申し伝えたいと思います。しかし、局長会議等におきましては、必ずこの会議の経過は大臣にお伝えするようにということでわれわれつとめておるわけでありますけれども、先生のおっしゃいましたことをなお強く私は上司にお伝え申し上げることをここで申し上げたいと存じております。
  78. 広沢直樹

    ○広沢委員 取り組み姿勢の問題でありますが、御指摘申し上げましたのでよろしくお願いしたいと思います。  さらに、時間がありませんからあと二、三点お伺いいたしたいと思いますが、次には急傾斜地の崩壊対策事業について、この予算の中から見まして二、三御質問申し上げるわけでありますけれども、台風あるいは集中豪雨は年じゅうつきもののようにやってまいりまして、そのたびごとに各地において甚大な被害が起こっているわけであります。  そこで、建設省にお伺いいたしますけれども、急傾斜地の崩壊危険個所をお調べになっていらっしゃいますが、私は四十四年度に調べた資料はいただいているわけでありますけれども、その後にお調べになっているかどうか。四十四年の資料では、それは一万三千三百二十四カ所、こういうことになっておるようであります。その後お調べになってこの数字が違っておればあとから訂正をいただきたいと思いますが、本予算の中では、いままでより以上にこの対策を立てているようであります。いままではこの対策として百二十カ所取り組んでおったようでありますけれども、本年度の予算を見ますと三百七十カ所着工することになっております。こういう面から見れば少しは前進したと思うわけでありますけれども、あと残りの一万数千カ所についてはどういうような対策を立てていらっしゃるのか。これはいまお話し申し上げたように、急傾斜地の崩壊危険個所としているわけでありますから、一たび集中豪雨あるいは台風まで来ますと、今日までの状況から考えるとやはり災害が出ているわけでありますから、具体的な計画はもうすでに終わりだろうと思いますのでお伺いするわけでありますが、いかがでありますか。
  79. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私どもが四十四年に調査しました数字は、先生のお話のように一万三千カ所でございます。その後、最近集中豪雨等でがけくずれがかなり頻発をいたしておりますので、これは第三回目になるわけでございますけれども、もう一度総点検をしようじゃないかというようなことで、各市町村や県等の御協力を得まして現在全国的なものを集計中でございますので、ここ二、三カ月の間にそういった資料が出てくるのじゃないかと思います。  この一万三千カ所に対してどういう措置をしておるかということでございますが、急傾斜地の場合には、これは個々のケースによって、人家、戸数等でも、かなりまとまったものもあれば、ごく数戸というような場合もあるわけです。これをがけくずれに対する急傾斜地の崩壊防止に対する対策事業として法律に取り上げますのには危険区域の指定が要るわけでございますが、これを指定いたしますのには、一応市町村長の意見を聞いて府県知事が指定をすることになっておりますが、そういった指定の状況が非常におくれておるといいますか、あまり好まれないというのが実情でございます。危険区域に指定をされますと、どうしてもそれは行為の制限だとか、あるいは建築物の制限だとか、あるいは地価を安くするので不当な不利益があるとか、こういったような観点から指定が進んでいないということで、昨年の暮れの数字で申し上げますと、約千六百八十一カ所しか指定がされてないわけでございます。この千六百八十一カ所につきましても、中には人工的ながけといったものもございますし、あるいはむしろ移転対策をしたほうがいい、こういったような数字もあるわけです。したがって、正味手当てを必要とするというのが約千五百程度でございまして、これはここ数年間に急傾斜地の崩壊防止事業で私どもも手を打っていきたい。中には、小さい規模につきましては県単独なりといったものもございますし、最近では、住宅の移転に対する補助を四十七年度から実施をいたしたいと思います。在来は金融公庫の融資だけでございましたが、そのほかに移転の実費に対する若干の補助、こういったようなことも考えておるわけでございます。したがって、法律の網にひっかかるのは約一五%程度ということで、その他はほとんどわれわれが見れば危険区域じゃないか——これはかなり安全側に見ておる調査でございますけれども、ほとんど国として直接手を下して応援するわけにいかないというのが実情でございますが、これにつきましては、いまの防災基本計画の中に市町村の地域防災計画というものがございますので、そういったものにできるだけ織り込みなさい、そして豪雨その他のときにはいろいろな警戒体制それから避難体制、こういうものをできるだけとって、実質的な人命尊重だけはまず守れるような体制をひとつとっていただきたい、こういう指導をいたしております。  それから、そういったがけくずれについて、たとえばどの程度家を引けばその地質に対して安全かというような技術的な避難基準、こういうものも私どもの土木研究所等でいろいろ調べるおりますので、年内くらいにはそういった一つのがけくずれに対する避難のめど、あるいは家を建てるためのめど、こういうものもつくりまして、できるだけ参考に供していきたいと考えておる次第でございます。
  80. 広沢直樹

    ○広沢委員 時間が過ぎてしまっておりますが、続けて二、三点お伺いしておきますけれども、一応出していただいている資料によれば一万三千三百二十四カ所、これは各都道府県において調査し、出してきたものの集計だろうと思うわけですが、このほかに、基準としては五戸以上で傾斜三十度という基準で危険と目されたところを調べたものと思われます。しかし、それ以外に、いわゆる五戸以下でも相当危険個所——いまおっしゃっておられたように、戸数を考えないとするならば、指定地域に入るような危険個所というものがあるのではないかと思われるわけです。そういった推計を全部入れますと相当な数にのぼるのではないかと思うわけです。  私はなぜいまこれを一つだけ取り上げているかといいますと、先ほどの基本計画から考えてみて、防災体制を考える上において、財源の関係があって全部一ぺんにできない。去年からことしを見ますと、この急傾斜地域の崩壊対策については、先ほど申し上げましたように多少は予算がついて、いままでの三倍くらいの個所についてこの対策を講じているようでございますけれども、やはり全体的なお調べになった数から見ると非常に少ない。その中でも、指定地域にされた千六百数カ所についても、まだまだこれが完了するまでに、いまの割合でいっても五年くらいかかるのではないか。ですから、やはりこれは長期的な計画を立てて、それからそれなりの予算化をすべきしゃないかというふうに考えるわけです。このままでいきますと、確かに去年とことしと比べて予算がふえたから少しは力が入ったとか前進しているとか、そういう論議をしている場合じゃない。そういうのは場当たり的な考え方でありまして、やはりそれは具体的に申し上げても、ここが危険だと思えばそれは借金してでもその人は直すでしょう。それくらいやはり生命、財産の保護というものに関しては、個人的に考えてもウェートを置いて考えていくわけでありますから、当然国としての責務の上において防災を考えるならば、こういう危険個所に対して、いまのような抽象的な御説明でなくて、何年計画で、これを調べた以上は直すんだということを明確にすべきではないだろうか。四十四年にもお調べになって、ことしで三年目を迎えるわけでありますけれども、お調べになって出された数字、この個所についても、その中からピックアップして指定地域とした千何百カ所についても、まだ何年までにこれは完了するという具体的な方向もきまっていないようでありますが、その点はどうなんでしょう。やはりそういったところに、この防災に取り組む姿勢というものの問題があるのではないだろうか。  中央防災会議で基本計画はきめられる。そして、きめられたことを今度は各省庁——それぞれ委員になっているのは大臣ですから、それを受けて各省庁はそれに取り組むわけでありましょうが、しかし具体的にこういう対策に取り組んで一生懸命やっているとはいいながら一挙にできるわけはないわけでありますから、それぞれの問題については緊急度に応じて計画を立ててそれと取り組むという姿勢が必要だろうと思うのでありますけれども、その点いかがですか。
  81. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先ほど申し上げました一万三千カ所でございますが、この中でいわゆる地域防災計画に入っているのは約一万余りでございます。大体七五%程度は何らかの形でそういう警戒なり避難といったものとリンクさせまして、地域の人にもそういった危険の個所を認識していただくというような手だては、私どもも努力はいたしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、私どものほうで再点検をいたしまして、その結果で、たとえば五カ年計画のようなものを立てまして、できるだけ事業を促進するといいますか、計画的にやっていきたい。おそらく数千戸くらいはやはり何らかの国の援助を要するのではないかということが想像されるわけでございますが、そういった再点検の数字が出ましたら、ただいま御指摘のように、全体的に計画的にがけくずれの防止対策を進める、こういった姿勢で進めてまいりたいと思います。
  82. 広沢直樹

    ○広沢委員 質問を終わります。
  83. 高田富之

  84. 小宮武喜

    小宮委員 これは総理府に質問しますけれども、災害が発生するたびにいろいろ個人災害の問題が問題になるわけです。この問題について、各委員会でそのつど個人災害制度を設けたらどうかということで、いろいろ各委員会の質問、意見等があって、それを受けて、総理府としては、四十五年と四十六年に各都道府県知事あるいは市長村長等の意向調査をやっておるようです。私、この問題については小委員会で一応は聞いておりますけれども、公式の場ではまだ全然明らかにされておりませんので、そういった意味で、その調査の結果についてひとつ御報告を願いたいと思います。
  85. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 ただいま先生のおっしゃいました調査につきまして、調査に当たりました参事官から、おそれ入りますが、結果を報告させていただきます。
  86. 高橋盛雄

    高橋説明員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねのありました個人災害共済制度に関する調査、四十五年、四十六年と二年間実施いたしましたその結果の御報告でございますが、まず四十五年度分について御説明申し上げます。  四十五年度は、先生のただいまのお話もありましたように、一般世帯主を対象にして世帯主のアンケート調査実施いたしますとともに、市町村長並びに都道府県知事の意向を聞いたわけでございます。調査数、それから調査項目、詳細にわたっては省略させていただくことにいたしまして、まず個人に対する調査でございますが、アンケート調査の結果によりますと、制度の趣旨については大かた賛成するという者が多うございますし、また加入については相当、八〇%以上加入希望を伝えております。これに対しまして市町村長の意見でございますけれども、これについてはいろいろ問題もございまして、推定加入率については市町村長の見積もりは非常に小さくございまして、一〇%ないし二〇%と答える市町村が非常に多いという結果になっております。  なお、実施の主体につきましても、市町村サイドでは県を適当とするというような御意見もあるようでございますが、また、府県のほうもおおよそそのような傾向になっております。  さらに、四十五年度に引き続きまして四十六年度は、これの地域的な動向、それから過去の被災経験を反映したもの、それからあと市町村の人口規模でございますが、これについてどのようにその回答に反映しているかということを調査いたしたわけでございますけれども、これの結果については、地域的な、あるいは被災体験的な、あるいはそのような人口規模等によって特に著しい偏差が見受けられないということでございます。  さらに、四十五年度の補完調査といたしまして、世帯主にさらに詰めた形でアンケート調査実施いたしましたが、これについて四十五年度は八〇%以上加入するということでございましたが、四十六年度の補完調査によりますと、実際にしぼりますと、加入希望は五〇%を割っているというような状況になっているわけでございます。  以上、調査の経過について概要を御報告申し上げました。
  87. 小宮武喜

    小宮委員 調査結果では、任意と強制の問題はどうなっていますか。
  88. 高橋盛雄

    高橋説明員 四十五年度の調査で、特に市町村長に対して調査を行なったわけでございますが、加入の方法として強制がいいのか、任意がいいのかという尋ね方を四十五年度にいたしました。それによりますと、任意がよいというのが八六%、強制がよいというのが一〇%でございます。さらに、都道府県のほうでもほぼ同じような傾向が示されておりまして、地方団体は任意加入、そのような意見を持っているということでございます。
  89. 小宮武喜

    小宮委員 その調査結果に基づいて総理府としては、個人災害制度についてどのような方向で進もうとしておられるのか、どのような構想を持っておられるのか、その点いかがですか。
  90. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 お答え申し上げます。  災害に関する個人共済の問題につきましては、だいぶ以前から御要望があることはわれわれよく承知いたしているところでございます。しかし問題が、ただいまおっしゃいました強制か任意かといったような問題をはじめといたしまして非常にたくさんの実施上の問題があるというようなことで、事務的には踏み切りがなかなかむずかしかった、こういう点も事実でございます。しかしながら、とにかくいろいろの御意向を聞いてみようということで、いま申し上げましたような調査にまず踏み切ったわけでございます。  そこで、この調査によりますと、ただいま申し上げましたように大体フィフティー・フィフティーみたいなことになっております。また、強制あるいは任意につきましても、いま申し上げましたような結果でございますが、しかし、われわれのほうといたしましては、そういう調査調査として踏まえながら、前々からの御要望に何とか沿うように事務的に固めていきたいというような方向で検討を開始いたしたわけでございまして、何とか個人共済という制度を成立できないものかということで、いろいろ各省とも基本的な点につきまして相談も多少いたしながら——とにかく相談から先にやりますと、結局長い間の困難だ困難だといういろいろの困難な点だけが強調されるおそれもございますので、われわれとしてとにかく事務的に何とか一つの案をまとめて、これを何とか実施の方向に持っていきたいというつもりでいろいろ検討いたしました結果、いまの先生の御質問の中心だと思いますが、強制かあるいは任意かという問題につきましていろいろ議論したわけでございます。  これにつきましては、皆さんの御意向はもちろん重んじなければならぬかと存じますけれども、また他面、共済制度を成立させるためには、はたしてどういう方法がいいのかという点からも検討を進めなくてはいかぬということで、どちらが適正かということでかなりいろいろ詰めた議論をいたしたわけでございますが、共済制度という保険的なシステムから申しますれば、なるべくたくさん入ってもらう、あるいは極端にいえば、強制ということは、そういう制度だけから考えますと望ましい点でございますけれども、他面また、法律、制度の上からそういう共済といったような保険システムのようなものに強制的に加入させるということにつきましてはなかなかむずかしい疑問があるようでございまして、そこに踏み切るのはたいへんむずかしい点があるようでございます。  これは法制局等ともいろいろ話をしてみた結果であります。そこで、法制的には踏み切るのはたいへんむずかしい、しかしなるべくたくさん入ってもらわないことにはこの制度は成り立ちにくいという点からいたしまして、われわれの事務局の案といたしましては、なるべくたくさん入れる、つまり強制ではございませんが、強制になるべく近づけるような方向の何かがないものかということでいろいろ案を練りました結果、原則はやはり強制ではない、原則は任意加入である、個人が自分の意思で自由に加入する、いやなら入らない、こういう原則は保持しまして、ただしかし、市町村等で、議会でもって、この村あるいはこの町はみんなで入るんだというような御議決をなさって皆さんがお入りになるという点はかまわないのではなかろうかというようなことで、そういう議会で御議決をなされば、その村あるいはその町あるいはその市は全部お入りいただける、それからそういうことを御議決なさらない地方公共団体もあるわけでございますから、そういう場合には個々の入りたいというお方に任意にお入り願える、こういうような基本の考え方を立てまして、それでいろいろ事務的に進めていったというのが基本的な態度でございます。
  91. 小宮武喜

    小宮委員 この件については、四十二年の十月にも、災害対策の基本問題に関する小委員会でまとめた被災者援護対策構想なるものが一応結論づけられておるわけですね。これは総理府としては、現在までそのままほこりをかぶっているわけですけれども、この問題については、中身は別ですけれども、考え方としてどのように考えておられますか。
  92. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 ただいま先生のおっしゃいました四十二年の秋にできました基本対策、この中にそういうような問題を盛ってあるではないかというお話でありますが、私たいへん不勉強にして、そのものをいままだ実は詳しく見ておらないわけでございますが、たしかこの基本対策の中に、いまおっしゃいましたような点につきましては、見舞い金というような点の構想が入っていたやにわれわれ存じている次第でございますが、そういう点につきまして、まあいろいろ見舞い金につきましても御承知のような問題がございますので、検討中、検討中ということで実はいままで参っておったというような次第でございます。
  93. 小宮武喜

    小宮委員 この問題については、また小委員会で詰めていきたいと思いますので、総理府に対する質問はこれくらいにして、次は厚生省にひとつ質問します。  被災地を回ってみますと、現行の災害救助法の中で特に「被服、寝具その他生活必需品の給与又は貸与」という項がありますね。この問題について非常に現状に即していないということで、ここに大体全壊、全焼、流失の場合には、一人世帯五千四百円、二人世帯六千八百円、三人世帯九千七百円、四人世帯一万一千六百円、五人世帯一万四千六百円、冬の場合は一人世帯八千五百円、二人世帯で一万九百円、こういうような区分があるわけですね。これについて最低大体二千円は上げてほしいと被災町村あるいは被災者からも非常に強く訴えられておるわけです。したがって、私この問題についても御答弁を願いたいと思いますが、特に災害救助法そのものが昭和三十七年に改正されて以来そのままになっておるということで、もう十年も経過しておるわけです。十年一昔ということばもありますが、やはりこういった中で、災害救助法も、いまのこういうような目まぐるしく情勢の変化していく中で、それに対応するためには、この災害救助法そのものをもう一度見直す必要がありはせぬかというふうに考えるのですが、その点、厚生省どうですか。
  94. 新津博典

    ○新津説明員 お答えを申し上げます。  最初のお尋ねの災害救助法によります具体的な救助内容の一つでございます被服、寝具についての現在の基準は、国庫補助の場合の基準単価は、先ほど先生のおっしゃったとおりでございます。これは毎年少しでも実情に合うようにということで改善を行なっておりまして、四十六年度は約九%の引き上げを行なったところでございますが、四十七年度につきましても、ただいま国会で御審議いただいております四十七年度予算が通りました直後に、実情に合うような相当大幅な改善をぜひ実現したいと考えております。  それから第二点でございますが、先生のおっしゃいますように、十年の期間というのは、これは日本の国のいろいろな経済事情、社会事情もたいへん変わってまいっておりまして、応急救助の法である災害救助法の法の運用につきましては、その救助内容なり単価の問題を含めまして、ぜひ実情に沿うような法の運用をはからなければならない、私どもはかように考えております。ただ、災害救助法でカバーしなければいけない法域と申しますか、いわゆる応急救助内容というのが災害の態様によりまして非常にいろいろな形の応急救助が要るわけなんで、法律は、それ自体は、基本になる骨組みだけがございますので、むしろこの救助法の具体的な運用についてどう弾力的に、どう中身の濃いものにしていくかという点であろうと私は承知しておるわけでございまして、その点では、先生の御指摘になったようなその後の事情の変化を十分踏まえた積極的、弾力的な法の運用をはかってまいりたいと考えております。
  95. 小宮武喜

    小宮委員 確認の意味でさらに質問しますけれども、いまの厚生省の答弁では、四十七年度予算が決定したならば、この問題についても大幅な改定を行ないたいということでございますが、これはこの費用の限度がうたわれて、各項目にありますね。これ全体に対して限度額の引き上げを行なうということですか。いま私が指摘したそのところだけではなくて、この各項目にわたって、予算が決定したならばその限度額を引き上げていく、大幅な改定をやるというふうに理解していいですか。また、その考え方として、改定をする場合に、昨年は九%ですが、本年は大体見込みとしてどれくらいになりますか。
  96. 新津博典

    ○新津説明員 お答え申し上げます。  基本的にはただいま先生が御指摘ございましたように、全項目につきまして実情に合うかどうか吟味いたしまして、こまかいことになりますが、それぞれの費用の内訳の従来の引き上げの一種のルールみたいなものもございまして、横並びの議論と申しますか、たとえば給食の単価なんかですと、病院の給食単価がどうなっているとか、福祉施設の給食の単価がどうなっているとか、そういうようなかね合いもございますので、こまかい点からいえば全項目落ちなく必ず上がるという結論になるかどうかわからぬわけでございますけれども、いずれにしても、例年の例から見て考えられるよりもさらに大幅な改定をいたしたいし、それは大体全項目に及ぶ、かように考えているわけでございます。  なお、予算上はこれは一種の義務経費でございまして、災害がどの程度起こるかわかりませんので、四十七年度予算におきましてはとりあえず三億円が計上されておりますけれども、予算成立後に行なわれます単価の改定に基づきまして、実際に四十七年度に災害が起こっていって足らなければそれは当然予備費から支出をしていただくようになる、こういう理論になっております。したがいまして、くどくど申し上げましたけれども、取りまとめて簡単に御質問にお答えいたしますと、全項目について例年を上回るような単価アップに努力いたしたいと考えております。
  97. 小宮武喜

    小宮委員 ぜひひとつ努力してもらいたいと思います。  それから、この現行の災害救助法の目的を見てみますと、「災害に際して、国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い、災害にかかった者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的とする。」とあります。この問題ですが、私がどうもちょっと合点がいきかねるのは、この応急的な必要な救助をする場合に、赤十字社あるいはその他の団体あるいは国民の協力のもとにということになっておりますが、応急的な措置を行なう場合に、むしろ国が地方公共団体と協力のもとにこの応急的な必要な措置を行なうというぐらいに、もっと積極的に国が災害救助に対して取り組むという姿勢をやはり示すべきだというふうに考えるのですが、一般的にたとえば赤十字社のカンパの問題、いろいろな問題がありましょうけれども、これは応急的な必要な救助で間に合うかどうかという問題もあるわけです。したがって、それはそれとして、災害に対しては協力を求めなければなりませんけれども、やはり救助を行なう場合は、国が地方公共団体と協力して応急的な必要な措置を行ない云々というふうに、私は目的自体も改めるべきだというように考えるわけですが、厚生省の所見をお伺いしたい。
  98. 新津博典

    ○新津説明員 ただいまの御質問でございますが、災害救助法を運用いたします実際の国の態度としては、まさに先生がおっしゃったように、救助法は、ある程度規模の大きな災害を対象として発動されますので、国が、国の責任において地方公共団体と協力して必要な救助を行なうという、法律の運用についてはまさにそういう精神でやっておる次第でございます。ただ、ここに「協力」と書いてございますのは、一種の事実関係といいますか、国といいましても、あとで法律にも出てまいりますが、各現地でいろいろな災害が起こるわけでございまして、国は、国の責任をとりあえず県知事さんにお願いする、いわゆる機関委任事務として知事さんにお願いしているわけでございますけれども、それだけではなくて、実際上の問題としては、いわゆる隣保相助といいますか国民の協力、あるいはそういう奉仕的な意味での日本赤十字社の協力も必要であるということで書いてあるわけで、その運用については、まさに先生おっしゃったような気持ちで今後もやってまいりたいと思っております。
  99. 小宮武喜

    小宮委員 だから、私が勘ぐれば、他力本願的なことを目的の中に含めておるので、実際の救助の種類にしても、対象にしても、限度にしても、こういうような問題はできるだけ国の出費を少なくしようということで、やはり他力本願的な思想が流れておるのではないかというように考えるわけですが、それは質問しても、そういうようなことでありませんという答弁をするにきまっておりますが、所見はどうですか。
  100. 新津博典

    ○新津説明員 たいへん役人的な答弁ですが、決してそういうことはございませんで、まさに先ほどお答えしたような精神で今後も運用をはかってまいりたいと思います。
  101. 小宮武喜

    小宮委員 次に、建設省にお伺いいたします。  われわれは災害対策のたびに、たとえば、その災害の早期査定、早期復旧、こういうような意見を常々述べてきておるわけですけれども、われわれが実際に被災地を回って被災地の市町村長あたりに意見を聞いてみますと、やはり災害復旧にあたって土木の設計技術者が非常に不足しているということで、たとえば、われわれが幾ら災害の早期査定をやれと言ってみても、各市町村では土木課長と職員が一人ぐらいしかいないということで、実際査定を受けるための設計をやろうとしても人手がない。近隣の市町村から動員してもらっても、これがまた一週間か十日すると帰っていくということと、それから工務店等に頼んでも非常に高く取られるということで非常に窮状を訴えておるわけですが、こういった問題について、われわれが早期査定だ、早期復旧だと言ってみても、査定を受けるための設計をしなければいかぬ、また、実際工事を始める場合も設計をしなければいかぬ、完成するとやはり設計をやらなければいかぬ、こういうことで、実際は各市町村とも土木の設計技術者の不足に悩んでおるのです。この点については、これを解消する方法として何か知恵がないものかどうか、ひとつ建設省いかがでしょうか。
  102. 川崎精一

    ○川崎政府委員 お話しのように、特に昨年は例年から見ますと倍くらいの災害がございまして、各地でそういう声をわれわれも聞くわけでございます。特に、県の段階はよろしゅうございますが、市町村の段階で非常に困っておるというようなことで、そういう要望が県を通じて私どものほうに参りますれば、私どものほうで、地方建設局といったような直轄の部隊も持っておりますし、それから比較的災害の少なかった県、こういったところから、全国的に見ましていろいろ人を動員する、こういうようなことをいろいろやっておるわけです。  それから、もちろん民間のコンサルタントの活用というものもございますが、これも小さくて数の多い工事になりますとなかなか思うにまかせないし、だれか役所側がついておりませんとうまくいかないというようなことですが、ただ、町村災害の場合には非常に小さくて、やはり土地勘がないとうまくいかないという点もございます。したがって、一昨年でございましたか、千葉の場合には、千葉県の人が主として市町村のほうに応援に行き、他府県から来た人が県の災害の設計を応援する、こういうような内部事情等もいろいろ考えて応援した例がございます。したがって、そういった点では、全国的な大災害の場合にはいろいろ手を打っておるわけでございますが、一般的にいいますれば、やはり土木技術職員の充実をできるだけ公共団体にもお願いをしたい。  それからもう一つは、設計をなるべく基準化、簡素化しまして、あまり手間のかからないようにしていきたい、こういうようなことで、いろいろ内部的にはそういった基準の設計書あるいは図集、こういったものをつくりまして、比較的熟度の浅い技術者の人たちでも使えるというようなものをできるだけつくっていきたいと考えておる次第でございます。
  103. 小宮武喜

    小宮委員 特にこれは災害のたびに問題になるわけですけれども、災害復旧について、これをいままで、従来三年でやっておったとか四年でやっておった、それに対してこれを縮めろ、単年度でやれとか二年でやれとか、この前もいろいろな意見が出まして、建設大臣も、やはり単年度で早くやるということが原則だということを答弁をしてみても、この災害復旧に伴う各県や市町村の負担の問題が実際問題としてありまして、単年度でやってみても、また二年度でやってもらっても、実際は各県や市町村が負担額に応じきれないということで、実際三年ぐらいが大体妥当じゃないかというようなことを、各県や市町村でも言っておるわけです。われわれは災害が起きるたびに、なぜ早く復旧しないのかということを災害対策特別委員会に来れば口をすっぱくして言っておるわけですけれども、そういった災害復旧に対しては、国が、たとえば公共事業費で今後いろいろな予算をふやしてもらっても、県では受けきれぬという県があります。実際、私の長崎県でもあるわけですから、そういった意味で、災害復旧をやる場合に、国のほうもこれは当然考えてもらわなければ、幾ら災害復旧を早くしろ、またわれわれが早くしなさい、国は何とかやろうとしても、県や市町村が財政の負担に応じきれないという実情が明るみに出ており、そのことをわれわれも最近よく聞くわけですけれども、これに対する措置災害を一刻もすみやかに復旧するためのこの県の財政負担に対する国の援助の問題、融資の問題、こういった点については、ひとつ建設省としてどのように考えておられるのか、あらためて聞いておきたいと思います。
  104. 川崎精一

    ○川崎政府委員 災害復旧の場合、私どもの公共土木の場合でございますと、これは普通は三分の二になっておりますが、その市町村の基準財政需要額と災害復旧額との見合いでこの補助率をできるだけ高率にしていく。それから非常に大きい災害の場合には激甚災、あるいは市町村に限ります局地的なものにつきましては局地激甚災、こういったもので、できるだけ国の負担を多くする、こういう努力はいたしておるわけでございますが、そのほかには、これは地方財政になりますので私のほうから直接お答えするのが適当かどうかわかりませんが、災害につきましては、かなり起債面の優遇がされております。したがって、普通の場合でも大体九〇%ぐらいは充当されておるのじゃないかと思いますので、そういった点では、かなり国としても地方財政を考慮しておると私どもは思っておるわけでございますが、災害というものは集中的に参りますものですから、お話しのような問題がいろいろあろうかと思いますが、今後とも自治省等とも十分話をいたしまして、そういった点に対する手厚い対策を進めるように努力をいたしたいと存じます。
  105. 小宮武喜

    小宮委員 その融資の問題ですが、融資額を多くするとか、それと同時に、金利負担があとあと各市町村の財政を非常に苦しめておるので、金利の引き下げ、こういう問題についてはどのように考えておられますか。
  106. 福島栄造

    ○福島説明員 お答えいたします。  ただいま建設省のほうからもお話がございましたが、地方債につきましては、補助災害の場合は、公共土木につきましてはおおむね九〇%起債充当いたしまして、その元利償還金につきましては、地方交付税の基準財政需要額に百分の九十五を見る、こういうことで財源措置をしておるわけでございます。なお、起債総額につきましても、来年度地方債計画におきましては、災害復旧事業債が三百八十一億ということでございまして、前年度二百六十六億でございますから、かなり大幅なワクの確保をはかって、したがって、地方債措置につきましては私ども万全を期しておるつもりでございます。  なお、当面の資金繰りその他につきましては、これも先生御承知のように、一定の基準に該当いたしますれば普通交付税の繰り上げ交付をするというような措置もいたしております。さらにまた、臨時の財政負担につきましては特別交付税の措置もするというようなことで、私どもとしてはできる限りの努力をしておるつもりでございます。  なお、今後におきましても、災害復旧が円滑にいきますように自治省として十分配意してまいりたい、かように思います。
  107. 小宮武喜

    小宮委員 最後に、いままでの災害の実情を見てみますと、がけくずれとか、あるいは県や市町村管理の二級河川以下のはんらん、決壊による災害が非常に多いのですね。そういった意味で、今後の災害予防については、やはりこういった防災工事に重点が置かれなければならないというように考えますが、その意味で、これは私の長崎の問題ですが、長崎県の西彼杵郡三和町にある宮崎川の治水ダムの問題についてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。  この宮崎川は、台風や大雨のたびにはんらんして、田畑とか道路まで冠水して床上浸水するということで、沿岸の住民がいつも非常に被害をこうむっているわけです。特に昭和三十一年の九号、十二号台風、それから昭和三十四年の十四号台風によって非常な甚大な被害をこうむっておるだけに、台風とか大雨があると地域住民は戦々恐々として非常に不安におののいておるわけです。そこで、これを根本的に解消するためには、この宮崎川に治水ダムの建設をしてほしいというのが、地元町民はもとよりその周辺地域の人たちの非常に長年の願望なんです。その意味で、この宮崎ダム建設について、これは県からも陳情が参っておると思いますが、昭和四十七年度の予算にこの調査費か何かついたのかどうか。もしついておれば幾らついたのか、そして今後の青写真はどうなるのか、もしついておらなければその理由はどうしてか、この点についてひとつ建設省のほうからお答えを願います。
  108. 川崎精一

    ○川崎政府委員 宮崎川の治水ダムにつきましては、これは県のほうでも、台風常襲地帯でもございますので、前々から促進をしたいということで、四十五年と六年と二年かかりまして、約一千万ばかりかけて調査をいたしております。かなり調査の熟度も上がってまいりましたので、私どものほうで今度の四十七年度の予算に全国で十四カ所ばかり新しい治水ダムの採択を予定いたしておりますが、その中の一つに加えたいということで予算を計上いたしております。金額は約千四百万ぐらい組んでおるのではなかったかと思いますが、現地の地質等が必ずしもコンクリートの重力ダムでいけるかどうかという点は若干疑問がございますので、いまのところは、やはりロックフィルタイプのダムにしなければいけないのではないかと思います。そういった点で、少なくとも二年程度はじっくりと今度は設計のための本式の調査をやりまして、その上で建設にかかりたいと思いますが、建設にかかれば三年ないし四年程度で完成するのではないか、こういう考えでおります。
  109. 小宮武喜

    小宮委員 私の質問はこれで終わります。
  110. 高田富之

    高田委員長 津川武一君。
  111. 津川武一

    ○津川委員 今度の三月三十日からの低気圧による海難でなくなられた人、財産を失った人たちに心からのお見舞いを申し上げ、再びこういうことを繰り返したくないため、若干の質問をしてみたいと思います。  そこで、先ほど気象庁に言わせると、観測や通報に問題なかったと申しておりますが、死亡、行くえ不明者を出した例で見ますと、一つも暴風警報が出ていない。全部強風警報下の中でこのとおり事故が起きているわけなんですが、いままでかつて見ないほど全国の広範囲にわたった、しかも、台風であるならば、暴風警報が出ているならばまだわかるとして、強風警報しか出ていないところでこれだけの事故が起きた。これに対して気象庁海上保安庁でどう考えているか、まず伺いたいわけであります。
  112. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 ただいまの先生のおことばでございますけれども、海上に対しましては全般海上暴風警報が出ております。地方海上警報につきましても、時間的に注意報のところもございますけれども、暴風警報が出ておりまして、海上に対しましては十分な警戒をしていたわけでございます。ただ、普通の注意報、警報と申しますのは、大体において陸上が範囲でございまして、そういう面につきましては、いわゆるラジオや何かで出ますのでは、そういう面が伝わっていなかったかと思いますけれども、そういう事情でございますので御了承願いたいと思うわけでございます。
  113. 津川武一

    ○津川委員 そうおっしゃるかと思って資料を持ってきました。実は漁船の島本丸が転覆したときには八メートルから十メートルです。このときは暴風警報が出ておりません。それから第八協和丸、漁船でございますが、これは東北東の風が十八メートル、これは沈んだのが三月三十一日の五時四十八分。三時に暴風警報が出て、九時にそれが解除されております。この解除されておる中で沈没しております。それから貨物船の、これは盟幸丸といいますか、西の風二十五メートル、神戸の海上気象では、このとき強風警報しか出していません。その次に第三生光丸、これは三十一日の十九時三十分以降に起きていますが、このときの記録は、西北西の風が二十メートル、新潟でも舞鶴でも強風警報だけで暴風雨警報は出ておりません。四月一日の六時二十五分に行くえ不明になった漁船の二十八平和丸、このときは北々東の風二十二メートル、そしてこのときも暴風雨警報は出ていません。こういう状況でなぜ沈没したか。これを気象庁海上保安庁に重ねてお尋ねいたします。事実をもって私は言っているので、長官、適当に答えちゃいけないと思います。
  114. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 ただいまの件でございますけれども、沈没したことにつきまして私もほんとうに遺憾に存じております。ただ、普通の注意報、警報の出し方でございますけれども、これは船によりまして災害の程度が違うものでございますので、一応注意報、警報につきましては、ある程度の基準をつくりまして、それでやっているわけでございます。普通、警報となりますと風速が二十五メートル以上、これをスタンダードにしております。注意報でございますと、大体海上でございますと十五メートルから二十メートル、場合によりますと、これは場所によって違いますので、十メートル以上のこともございます。  そういう面で申しますと、場所によりましては幾ぶん足りない面もあったかと思いますけれども、今度の状況でいいますと、大体の基準についてはそう大きく違っていないようでございます。しかし、それで私たちとしてもいいと思っているわけではございませんので、この面につきましてはさらによく今後検討いたしまして、そういった面について考えていきたい、こう考えております。
  115. 津川武一

    ○津川委員 いま長官が、海上はときによると十メートルでもそういうことをしなきゃならぬと言っているわけですが、盟幸丸、風速西の風二十五メートル、このとき、あなたたちは暴風雨警報を出していないのです。いまあなたのことばによると、十メートルでも、ときによると出さなければならないと言っているのです。その次の三月三十一日の漁船の荒屋丸、このときは南西の風二十五メートル、新潟の地方海上警報は強風警報だけですこれは私は、あなた方が本気でやったならば当然特別警報、暴風雨警報を出してこれをとめるべきだったと思う。これでもあなたたちは九〇%間違いなかったと言い切るのかどうか。これは先ほど米田委員からもあったのですが、私は、これは謙虚にここで反省しなければ、また同じことを、こういうかつて見ないような事故を繰り返すと思うのです。再度答弁を求めます。
  116. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 その件につきましては、私といたしましても非常に謙虚に反省すべきであろうと思っております。ただ、一般的に申しまして、こういったような暴風雨のあるということにつきましては、かなり時間的に十分間に合うようにラジオで気象情報などで出しておりますので、そういった意味では大体間に合ったはずだ、こういう意味で申し上げたのでございまして、これでいいというわけではございません。
  117. 津川武一

    ○津川委員 一般論でいいかどうかということはもう少しあとからまたお尋ねすることとして、この点で海上保安庁、どう思っておりますか。
  118. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  先ほど御説明申し上げましたように、九時二十分に気象庁のほうから情報を受け取りまして、さっそく管区を通じまして担当海域に十三カ所から警報を発しております。その後、予報、一日に三回でございますが、定時のものでございますが、その末尾にも必ず警報の出ておるときには警報を付加しておるわけでございます。  なお、海難の原因その他につきまして、死亡者、行くえ不明を出しました十三隻につきまして特に調査する必要があると思いますが、一般貨物船について、八隻のうち二隻に生存者があるわけでございます。このものにつきまして一応原因と目されるものを生存者から聞いておりますが、これは荷くずれのためということを言っておりますが、何による荷くずれであるか、こういったものも含めまして、全体の原因についていろいろ究明、研究してみたい、こういうように考えておるわけでございます。
  119. 津川武一

    ○津川委員 その次は水産庁にお尋ねいたします。  この漁船の荒屋丸それから漁船の二十八平和丸、この二十八平和丸は、風速二十二メートルの北北東の風のときに稚内港を出て漁場に向かっているのです。これは一体何なのか。もう一つ、漁船の荒屋丸、三月三十一日六時三十分に七尾港を出て、海に出ていっているのです。このときには二十五メートル。なぜこの状態で漁船が出ていったのか。これをどう思うか。ひとつ水産庁に答えてもらいます。
  120. 田中慶二

    ○田中説明員 今度の低気圧による被害によりまして、漁船におきましては二十一隻の海難が発生をしておりますが、そのうち七隻に人身事故が出ておりますことについては、まことに遺憾に存じております。  ただいまのお尋ねの件でございますが、私どももかねがねこういう荒天時における操業は差し控えるようにということの指導はいたしておるわけでございます。ただいま御指摘のような、こういうふうな荒天時におきまして出港している、その点は、私ども今後もよく調査をいたしたいと思いますけれども、現在は詳細にいたしておりませんが、従来と同様に、こういう荒天時に操業を回避するようにできるだけ指導してまいりたいと思っております。
  121. 津川武一

    ○津川委員 そこで、原因が明らかにならなければ対策も出てこないので、気象庁長官海上保安庁も水産庁もこれから調べるという、これはしかたがないと思う。そこで調べ方ですが、ここで気象庁海上保安庁、水産庁で調べることも私は絶対に必要だと思うのですが、こういうことになってくると、総合的な検討をする必要があると思いますが、気象庁海上保安庁、水産庁にその意見を聞かしていただきます。これが一つ。  それから三つの庁でそれぞれ責任を明らかにしたらまたここに報告してもらう、これをしてくれるかどうか、この二つを三つの庁に答えていただきます。
  122. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 海難の問題につきましては、これは先生おっしゃいますように気象庁だけで防げるわけではございませんので、現在でも三官庁と申しましょうか、海上保安庁、水産庁、そういうところでときどき集まりまして、いろいろ連絡をとっているわけでございます。しかし、この面につきましてはさらに強化いたしまして、なるべく先生の御期待に沿えるようにいたしたいと私は思っております。
  123. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  気象庁長官の御答弁と全く同じでございますが、従来からもわれわれ独自でやると同時に、関係の三庁集まりましていろいろ海難の原因その他についても調査しておるわけでございます。この今回の件につきましても、もちろんそういう方向で進みたいと思います。この結果が出ました場合には、もちろん先生のほうに御報告申し上げたい、こういうように考えるわけでございます。
  124. 田中慶二

    ○田中説明員 漁業者の海難防止するためには、ぜひとも気象庁海上保安庁の御協力が必要でございますが、お話しのとおり、私どもといたしましては、ぜひお願いを申し上げまして、そういう対策委員会等も設けましてひとつ調査を十分にいたしまして、またその結果については御報告申し上げたいと思います。
  125. 津川武一

    ○津川委員 そこで、根本的な原因の追及ですが、私、先ほど稻葉委員気象庁長官が答えているのを聞いてあ然としたわけです。局地豪雨をどうしてつかまえて対策を練るかというときに、長官が、アメリカで人工衛星で観測しているからという、こういう話を聞いて、私はあ然としたわけです。それは全体をつかまえるにはいいかもわからぬけれども、一局地を人工衛星でつかまえるということは、ほんとうなのかどうか。もう一つの問題は、その次の広沢委員観測をどうするかと言ったら、あなたは、NHKや、いろいろな解説会社の予報を解説する、そういうものとちゃんぽんにして答えている。問題は観測警報を出すのかどうかということ、それをそういうふうにちゃんぽんにして考えていて、かなり私、問題があると思って聞いていたわけなんですが、こういうふうに大きな海難事故が起きてみたときに、一体気象庁の人員がこれでいいのかという問題なんです。これをひとつ本気になって考えてみたいと思うのです。  昨年の八月十日の閣議で、公務員の第二次定員削減がきめられたが、第一次定員削減について、気象庁の前の長官が、三年間に二百三十七名を削減することになりますが、これはほんとうにしんどいとここで答えているのです。今度の場合も、この削減と関係ないか。もう少し人員があったならば十分でなかったか。特に日本海の気象通報に対して、皆さんの部下は十分な資料がないと言っている。この点で人員を削減していいのかどうか。今度の災害にあって、もっと入がいたならば、もっと施設があったならば、もっと資料があったならばどうだったか。あのとき、三十日に朝鮮の西海岸に低気圧が起きている、あれをきちんとやれば、人があれば、三十一日、一日にまたあれが出てくるということがわかったと言っている。これが現実の事実なんです。これに対して、あなたは気象庁整備というものをどう考えているか、集中豪雨を人工衛星で見るなんという子供をだますようなことでなくて、具体的に答えていただきたい。
  126. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 人員の点につきましては、一般的のことといたしまして、それは多ければ多いほどいろいろな仕事ができることは事実でございます。しかし、いまの気象予報の問題につきましては、必ずしも人の問題ではございませんで、やはり観測設備や何か、そういったような問題が非常に大きいのでございます。気象衛星のことにつきまして先生おっしゃいましたけれども、たとえば、アメリカにおきましても、トルネードや何かを、非常に小さいものでございますけれども、そういうものを使って事実、観測をしておるわけでございます。もちろんそうだからといいまして、集中豪雨がそれだけで観測できるわけではございませんで、それに関しましては、別にテレメーターによりますこまかい雨量の観測を展開いたしまして、それを気象台に集めて、それで気象を十分観測していく方法をとらざるを得ない、そういう方向で現在進んでおる状況でございます。  一般的に、定員問題につきましてはやはり政府方針がございますので、気象庁といたしましてもそういう方針に従わざるを得ませんけれども、しかし、一面におきまして、予報の問題なり観測の問題につきましていろいろ近代化していく必要がございますので、そういう面では、予算ないし定員につきましてもさらに増員を要求いたしまして、そういう方向で進めていきたい、こう考えている次第でございます。
  127. 津川武一

    ○津川委員 高橋長官、このごろドル・ショックで労働災害が多くなった、特に出かせぎ者の災害が多くなったら、労働省は基準監督署のそういう係をふやしたのです。これが労働省の労働大臣のやった仕事なんです。あなたはいま、ふやすことを要求すると言って、ここに長官として命をかけるべきだと思う。というのは、私たち日本人の生活が遠い空中にだんだん伸びていっているでしょう。それを至るところで私たちやっているでしょう。今度は海底まででしょう。海に伸びていく度合いが多くなってきている。ここは絶対に、いまこそ長官として、施設設備すること、人員をふやす要求をするということが、あなたの一番大きな任務だと思うのですが、もう一回覚悟をきめて聞かしてくださいませんか。
  128. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 いろいろ御鞭撻ありがとうございます。私もそういった方向で進めていきたいと考えている次第でございます。
  129. 津川武一

    ○津川委員 もう一つの問題は、先ほどの集中豪雨の問題もあったが、今度の場合もそうなんです。新潟の地方海上気象がもっと地域に密着していればよろしい。あなたが一本で中央からやっているから、先ほど広沢さんの場合も、測候所をどうするかという問題が出たでしょう。ところが、あなたのほうの出している書類がたいへんなんです。四十七年三月二十一日付の気象官署予報業務細則改正案の第九条で、これまでの細則では、地区予報区を担当する測候所、特区予報区を担当する測候所で、予報警報気象情報等について、所長、技術課長、技術係長の点検を受けて発表することになっておった。これが地域の具体的な情報。これに中央で観察したものを組み合わせて、そうしてここで予報警報情報を出しておる。今度あなたたちが出した、昭和四十七年三月二十三日、気象庁予報部長名の通知がある。これでいうと、地区予報区を担当する測候所、特区予報区を担当する測候所、ここで観測して出すことを削ってしまったのです。これが私、問題だと思う。ここのところを人員を削らないでもっと密着させないと、集中豪雨も地域的なものも観測できない。今度あなたたちが一般的に流しておいて、具体的にそこで暴風警報を出さなければならぬところが、出てないという結果になると思う。これが一つ。  それからレーダーがあると言ったでしょう。あれだって、二十四時間観測しているかどうかという問題。いまレーダーが二十四時間動いていない。だから問題があるわけです。これは、二十四時間動かすために四交代にしなければならぬ。ここに人員を減らしてきた。これでやっていけるかどうかというレーダーの問題と、地方測候所の問題がある。具体的にぼくらのほうの東北で言うと、酒田がそうなんです。集中豪雨のときだめになってしまった。八戸がそうなんです。測候所が測候できなくなってしまった。具体的なものが出てこそ、それが予報警報になっていくのです。これはあなた方、どう考えてこういうものをつぶしてしまわれたのか。ことにこの間の三月二十三日、これを出したときの心境、これに対していま私から質問を受けて、どういうつもりか、答えていただきたいと思うのです。
  130. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 先生のおことばでございますけれども、現在速報、注意報を発表するのは中央気象台及び指定地区の測候所でございまして、各測候所でそういう速報、注意報を出しておるわけではございません。ただ、そういったような速報、注意報を受け取りまして、それを必要な方面にお知らせする仕事は現在でもやっておるわけでございます。今度の改正案につきましても、それは全く変わりはないのでございます。  ですから、外から見ますと……(「相川測候所なんか、人員を引き揚げているじゃないか」と呼ぶ者あり)仕事の面は、外に対しては全く変わりはないわけでございまして、要するに、天気予報をやっていく場合に、その天気予報をつくる上にはやはりいろいろな作業が伴いますので、それを中央気象台に集約してやる、こういうことでございます。また、特に通信線や何かが切れました場合におきましては、当然測候所で注意報なり警報なりをその近くの方にお知らせすることは、これはもちろん認めている状態なのでございます。そういう点で、ひとつ御了解を得たいと思っているわけでございます。
  131. 津川武一

    ○津川委員 いまそこから発言があったのですが、人員が少なくなってできるのかどうか。そうしてローカル的な警報予報、これをやっていける体制があるのかどうか。あなたのためにここをつぶされているのですよ。ちゃんと二つも削られちゃったのですよ。見せますか。四十七年三月二十三日、気象庁予報部長からの通知。これでできるか。予報官、人を残しておかなければ……。この点、どうです。
  132. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 それは先ほども申しましたように、予報をつくることを個々の測候所でやらないで集中してつくって、それを測候所に流して、それに基づいて、そこの状況を加味してやればいいわけでございまして、気象庁の考え方といたしましては、従来と全く変わりなく外にはお知らせできる、こういうつもりでいるわけでございます。
  133. 津川武一

    ○津川委員 ローカルの観測をしないで、どうしてローカルの予報ができますか。
  134. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 ローカルの観測資料は入るわけでございます。結局いまの予報をやる場合にも、その場所だけの観測でできるわけでございすせんで、中央気象台に方々の測候所のデータを集めまして、それをもとにして判断するわけでございます。特に集中豪雨の場合でございますと、雨量の観測もさることながら、レーダーによりましてたとえば雲の厚さなどを見てまいりますと、これは集中豪雨が起こりそうだということがかなり確実にわかってくるわけでございます。測候所にはそういう資料がございませんで、そういう面では中央気象台のほうにそういった資料はたくさんございますので、判断をするのにはそのほうがいいわけでございます。そういう点で、こういったような方向に持っていったわけでございます。  なお、そのレーダーの観測でございますけれども、現在は一日四回やっているところも多いのでございますけれども、先生もおっしゃいますように、これはなるべくこまかく観測したほうがいいということでございまして、今度の予算要求におきましても人員の増加をお願いいたしまして、原則的に八回観測でやる、それから特に集中豪雨が起こりそうな場合だとか、台風が来る場合には臨時に連続して観測する、こういうような体制になっているのでございます。
  135. 津川武一

    ○津川委員 レーダーはどうしますか。レーダーは二十四時間動かしますか。
  136. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 集中豪雨や何かの場合におきましては、そういう方向を現在で毛とっているわけでございます。
  137. 津川武一

    ○津川委員 日常はどうですか。
  138. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 日常は大体原則的に四回でございます。
  139. 津川武一

    ○津川委員 そこで予報官を相川から酒田から入戸から引き揚げるわけだ。そこに予報官がおれば、そこの人たちと密着しているから緊迫感がある。中央に持っていくと、緊迫感がなくなるから、今度みたいなことが出る。どうしても地方に予報官を残すべきだと思うのですけれども、どうです。
  140. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 現在、特区、地区測候所につきましては、特別な予報官という、何と申しましょうか、官職を持った者はおりません。ただ、一般気象職員が予報や何かを担当しているわけでございます。もちろんそういう者は全然ゼロにするわけでございませんで、何名かを残してございます。そういう意味で十分やれるのじゃないか、こう思っているわけでございます。
  141. 津川武一

    ○津川委員 人員を減らしてはいかぬもう一つの理由は、あなたの部下はどれほど苦労されているかわからない。管理職がいてなかなか出世もしないから、若い入ったばかりの人が三、四年するとやめていってしまっている。そうして死亡率がどんなに多いかということなんです。あなたのところで、人員が四十二年に七名なくなって、四十三年に十四名なくなって、四十四年に十九名なくなっておりますが、あなたのところの定員はどのくらいありますか。
  142. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 約六千人でございます。
  143. 津川武一

    ○津川委員 そうでしょう。そうすると海上保安庁は一万人で死亡者が十四名なんです。あなたのところは六千人で十四名、十九名になっている。非常に労働強化なんです。そして年齢がたっていっても、管理職になって少しひまなところにいけない。そこで年配の人たちが非常に苦労しておる。この状況を御存じでございますか。
  144. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 この問題につきましては、私も調べたことがございます。それによりますと、普通の死亡率から勘定いたしますと大体スタンダードの状態にございます。わりあい多く見えます理由の一つとして考えられますのは、実は死亡率は年齢によって違うわけでございます。気象庁の場合には比較的高年齢層がかなり多いのでございまして、それによってそういうような状況、ほかに比べて多いような状況が見られるのではないか、こう思っているわけでございます。
  145. 津川武一

    ○津川委員 長官だいじょうぶですか。自分の部下が年によって死んでもいいという。死んだ年があっちゃいかぬ。年齢によって高い年があってもいい、年によって高いことがあってもいい、あえて意に介しなくてもいいという、こういう態度、そこでこういうことが起きる。実際に私は自分のふるさとの深浦というところのことを話しますよ。何年たっても、十何年たってもかわってくれないでどこにも行きようがないから、山の中にぽこぽこ階段上がって息せき切って上がっている。こういう状況を解決しないと、六千人の中から十九名なんて出る。年によって変わってもいいという話があるものか。一人といえども、何人といえども、自分の部下の死亡者を出すという勤務体制はすみやかに直さなければならぬ。だから重ねて言う。施設の改善、労働条件の緩和、人員の増加、このことだけが、私は今度の海難なんかを防ぎ得る具体的な問題であると思うのです。この点であなたの人事管理方針をお伺いします。
  146. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 それはいま先生のおっしゃるとおりでございまして、そういった点は十分考えていきたいと思います。ただ、先ほど申しましたのは、客観的には従来の一般的な国民全般の死亡率と、それから気象庁のいわゆる死亡率と申しますか、それと比較した場合にどうなっているかということを申し上げたので、それが気象庁が非常に多いというわけではございませんということを申し上げたわけでございます。もちろんそれをなるべくより少なくしていくように努力すべきでございまして、そういった方面におきましては住居なり何なり、それから勤務や何かのことにつきましてもいろいろ考えていく必要があるかと思っております。
  147. 津川武一

    ○津川委員 どうも医学的には、あなたと一緒に働いている人たちは高年齢になっているから、年齢に合わせると死亡率はそれでよろしいのですよ。だが、あなたたちの気象庁で働いている人たちの死亡者の絶対数が多い。死ぬような年齢の人たちとあなたが仕事をしているということなんだ。なぜ死ぬような人たちと仕事をしなければならないかということ、ここのところを考えていただきたいのです。つまり、若い人たちがあなたのところに入らない。入ってもやめていく。なぜかということの反省がなければ問題が解決しない。おれのところは普通のところより年がいっている人たちだから、よけい死ぬのはあたりまえだ、こう言っているのがあなたなんだ。私の言うのはそうではない。なぜあなたのところに死ななければならぬような高年齢層の人たちがたまるのか。これではいけないのだ。若い人たちが入ってきて、若い人たちがとどまるようにしなければならない、こういうことを私は聞いている。もう一度答えてください。
  148. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 この問題は私だけの力でできるものじゃございませんで、実はこれは御承知のように全体の定員がきめられているわけでございます。年々やめられる方の数は大体きまっているわけでございます。そうするとそれだけしか人を入れられないわけでございまして、従来のいわば戦争の痛手と申しましょうか、それが残っているわけでございまして、そのために、現在ですと四十六あたりでございましょうか、その辺に非常に人員が多い層がございます。それがあらわれているのでございまして、少なくともいまの人員のやりくりと申しましょうか、そういった点から申しますと、遺憾ながらどうにもならない、そういう状態にいるわけでございます。
  149. 津川武一

    ○津川委員 遺憾ながらと言わないで、あなたが先頭に立って、気象庁に入った人たちの研究体制を進める、待遇を進める、ほかの一つの同期の桜が一緒に入ったら、そこに残っていくような職制、職階というものをつくることにあなたが先頭に立つと、これは若返っていく。こういう方針を私は提示して——幾ら論争してもだめだから、これに対する計画を立てて、私たち気象庁の体制づくりはここにあると思いますので、もう一回方針書を出していただきたいと思うのです。その点はそれでやめます。  そこで、海上保安庁と水産庁と総理府にお伺いしますけれども、今度の海難でなくなられた方々政府としてお見舞い金を出したほうがよろしいと思うのですが、私たち、委員長のもとでまた特別の委員会をつくって、いわゆる台風や集中豪雨の場合なんかは出そうというふうに考えているのですが、この海難の場合、見舞い金を出す必要があると私は思いますが、漏れ承るところによると、水産庁も海上保安庁も、それは理屈が通らないというふうなお気持ちらしいとも聞いておるのですが、この点、三庁にお尋ねして、私の質問を終わります。
  150. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 ただいまの海難に対しまする見舞い金の問題でございますが、例もございませんし、事務的にはむずかしいというふうに考える次第でございます。
  151. 須賀貞之助

    須賀政府委員 海難により死亡された方につきましては心より弔意を表したいと思うわけでございますが、見舞い金といったことにつきまして、先ほどお答えがありましたように、私どもとしましても、前例それから予算上の問題その他ございまして、いまのところは何も考えていないというのが実情でございます。
  152. 田中慶二

    ○田中説明員 ただいま総理府、海上保安庁でお答えになりましたとおり、私どもといたしましても、はなはだ残念ではございますけれども、現在のところは、そういった仕組みもありませんし、また、それを実現するのもかなりむずかしいというふうに判断しております。
  153. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  154. 高田富之

    高田委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることといたします。  これにて散会いたします。    午後一時四十三分散会