○青柳
委員 たいへん詳しい御説明をいただいたわけですが、いまの御説明の趣旨は、非常にむずかしいということを
基礎に置いておられる。確かにむずかしいといえばむずかしいことで、あとあとのことも
考えれば、かってに各都道府県の総
定数を動かす結果になるような部分的な
定数是正も、将来に禍根を残す場合もあり得るというようにも聞こえるのです。
私は、
区制を小
選挙区に直すのかどうか知りませんけれども、どうせ現在の中
選挙区の
区制でなしに、この
区制を動かすということになれば、言ってみると一応御破算にして、ゲリマンダーみたいなことでない合理的な区割りをしていくということになろうかと思うのです。そういう中で、県としては現行よりも減るということがあり得たところで、これは現職の
議員あるいは次期
選挙を目ざして営々と事前運動をやっておられる人々にとってたいへんだということで、抵抗があり得ようはずがないと思うのです。結局は、どういう形になるかわからないわけですから、かりに
千葉で
定数が二、三名ふえる結果になってしまう。しかし、減らすべき県だというようなことであったとしても、それは御破算のときには、その県としてこれだけのワクがあるのに、何で減らすのだというような抵抗は別にそう起こり得ないのじゃないか。むしろ一番抵抗の起こりやすいのは、現行の中
選挙区の中で、五名であったのが四名あるいは三名に減らされるとか、三名が二名に減らされる。特別区ができるとか、あるいは隣の区とくっつけてどうこうするとかいうような作業が行なわれるときに、大問題が起こるのじゃないか。だから、その摩擦は
定数是正の際ですから避けて、やはり減らすのはやめてふやしていく。それもむやみとふやせして六百名にもしてしまうということは、ちょっと諸外国の例から見てもどうかと思われる面があるでしょうが、しかし、いまわが国の政治情勢からいって、五百名から六百名の間を動く程度ならば、決して過剰な
議員の数ではないというのが世論だろうと思うのです。
国会の議席を少し物理的に直さなければいけないとかなんとかいうことは、これはささいなことで、知恵を出せばどうでもなることだと思うのです。議事堂をつくり直さなければならなくなるとかいうのは下の下の話で、そうではなくて、民意を
ほんとうに代表するような
議員数はどのくらいであり、その
配分はどうあるべきかという、そこにこそ重点を置くべきだと思うのです。だから、
定数是正をして、
議員数が多少ふえるであろうというようなことは決しておそれる必要はないと思うのです。第三者などは、そういう点で何か
議員の数が多いということをよく問題にする人があります。それは
国会議員の場合であれ、あるいは地方議会の
議員の場合でもそうだと思いますけれども、これは民主主義のあり方が、必ずしも一般の方々が見ておるような
状況でないものだから、いわゆる議会制民主主義に対する幻滅というようなものを感ずるものだから、反発として減らしてしまえというような議論のほうへどうしても行きがちですけれども、それは決して前向きの議論ではないと思います。だから、政党本位の
選挙制度を実施するじゃまになるかもしれないからという
理由によって
定数是正を見送る、そして結局は政党本位の
選挙制度なるものは、たとえば小
選挙区制というようなものが基本であるということになれば、国論は当然ながら二分いたしまして、これは外交問題あるいは軍事問題、憲法問題にも劣らない大問題になると思うのです。ですから、決してそうやすやすと
国会で議決できるものではないと思います。そうすると、それと無理心中の形で
定数是正もいつまでたっても実現しない、悪循環でございまして、議会制民主主義に対する不信頼、政治不信というものがその中からまた出てくる。これは知恵のないやり方だと私は思うのです。
大臣は、前回の御
答弁の中でも、
選挙制度審議会のほうからある
答申が出た場合に、
区制の問題も含めてでございましょうけれども、各党で話し合うことがあるならば何とか合意に達することができるのではないかという構想を打ち出されております。
選挙制度を
改正するということは、どの党も党利党略によって左右さるべきではなくて、すべて合意のできる妥協を見出すべきではないか。どうも新聞などでも、党利党略でこの問題を政治家は
考えておるらしいということを先入主にしているらしくて、たとえば五月二十三日の朝日新聞によりますと「衆院
選挙区の
定数是正今
国会は見送り」 「野党が断念」そういうことで、野党のほうでは非常に熱心に自民党に対して申し出たのだけれども、「
政府・自民党の態度には野党側に有利な
定数の増員をわざわざ急いでやる必要はないという
考えが強く働いている。」というコメントをしておるわけです。自分のほうは減らされる形にはならないけれども、野党側がふえるようなことはやることはないのだ、もしこういう
考え方が自民党の中にあるとすれば、それはまさに党利党略以外の何ものでもないわけなんで、いま非常に
アンバランスが出ておるということが、議会制民主主義を破壊するような
状態にまでなりかかっておる。党利党略などということは絶対にあり得ないことだ。だから、これは
大臣の構想のように各党が話し合うという形をつくり出していって、そして
答申を受けない前にそれができればそれでもいいのですけれども、
国会のほうでそんなことをやってしまうと、
選挙制度審議会の
委員さんが消極的になってしまって困るということであれば、次善の策としては、
答申を待って直ちにその部分については実施するという作業に取りかかるべきではないか、そのときに各党が話し合ってもおそくはないとも思います。なるべくならばそれよりも早くやったほうがいいと思いますけれども……。そしてそのイニシアチブをとるのがやはり
政府ではないかと思うのですよ。
議員立法にしてもらうようにというので、
政府は
答申があってもそのことについて消極的であるというようなことはあってはならないと思います。この点、慎重であられるのは先ほどの長い御説明でもわかったように思いますけれども、慎重は慎重として、いま私申し上げたような観点から、
答申を受けて直ちに作業に入る。その場合、臨時
国会も開かれるかもしれませんけれども、臨時
国会に必ず上程するというくらいな心がまえで
定数是正問題はやっていただかなければなるまいと思うのですが、いかがでございましょうか。