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1972-05-18 第68回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会商工委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十八日(木曜日)     午前十時八分開議  出席委員   公害対策並びに環境保全特別委員会    委員長 田中武夫君    理事 始関 伊平君 理事 八田 貞義君    理事 林  義郎君 理事 山本 幸雄君    理事 島本 虎三君 理事 岡本 富夫君       伊東 正義君    梶山 静六君       久保田円次君    松本 十郎君       村田敬次郎君    加藤 清二君       米原  昶君   商工委員会    委員長 鴨田 宗一君   理事 浦野 幸男君 理事 小宮山重四郎君    理事 橋口  隆君 理事 武藤 嘉文君    理事 中村 重光君 理事 樋上 新一君       稲村 利幸君    始関 伊平君       八田 貞義君    前田 正男君       石川 次夫君    加藤 清二君       田中 武夫君    岡本 富夫君       川端 文夫君    米原  昶君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 角榮君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大石 武一君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       城戸 謙次君         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         農林大臣官房技         術審議官    遠藤 寛二君         農林省農地局長 三善 信二君         食糧庁次長   中村健次郎君         通商産業省公害         保安局長    久良知章悟君         通商産業省鉱山         石炭局長    荘   清君         労働政務事官  中山 太郎君  委員外出席者         農林省農政局参         事官      川田 則雄君         通商産業省鉱山         石炭局鉱政課長 江口 裕通君         労働省労働基準         局補償課長   松尾 弘一君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(休廃止鉱  山の公害問題)      ――――◇―――――     〔田中公害対策並びに環境保全特別委員長、     委員長席に着く〕
  2. 田中武夫

    田中委員長 これより公害対策並びに環境保全特別委員会商工委員会連合審査会を開きます。  両委員長の協議により、私が委員長の職務を行ないます。  公害対策並びに環境保全に関する件、特に休廃止鉱山公害問題について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川次夫君。
  3. 石川次夫

    石川委員 きょうは鉱山石炭局長見えてないので、私の質問する中核になる問題についての答弁者がさしあたりおりませんが、きょうは主として休廃山によるところの公害防止に関しての連合審査ということでありますけれども、その前に、現在の地下産業というものの実態について結論的な御説明をいただきたいと思うのであります。休廃山に関するところの問題と、これからは休廃山になろうとするところが相当あるんではなかろうか。現在すでに五千から六千の休廃山というものが出ておる。そのうちの若干一割足らずのところの実態調査をしておるという現状ではないかと思うのですけれども、御承知のようにこの前円の切り上げがございまして、国内地下産業というものが海外地下資源に対して競争力が非常に弱まった。さらには、また円の切り上げというものがあるんではなかろうかというようなことがからんでまいっておりまして、たとえば労働組合の代表の方なんかと話をいたしましても、一体地下産業というものの将来性はどうなるんだと非常な危機感を現在持っております。石炭産業がああいうふうな形で手厚い保護を受けておりますけれども、この非鉄金属その他の地下産業石炭の二の舞いになるんではないか、こういうような危機感労働者の側はもちろん、企業側にもあるんだろうと思いますが、切実な感覚を持っておるようであります。  それで、鉱山石炭局長は、いまお見えになっておりませんので代理の方でもよろしいし、それから通産大臣にお伺いできればなおよろしいのでありますが、このような危機感というものを何とか緩和してやらなければとんでもないことになるんではないか。ということは、これは私の自論でありますけれども、二十一世紀になると、大体公害の問題と資源枯渇の問題でもって人類は生き長らえることができないんではないか。こういうふうな世論のようなものがまあ定説に近くなっているという実情であります。特に日本の場合には公害の問題もそうでありますけれども、資源の問題についてはきわめて深刻な状態になっておる。何としても海外資源というものは確保しなければならぬけれども、そのためには国内におけるところの資源開発技術というものを確立しておかなければならぬし、そのためには、現在の地下産業崩壊状態にさらされるという危険から脱却するという安定感がなければならぬ、こういう感じがしてならぬのです。  そういうことで現在の地下産業について、現状経営状態は一体どうなっておるんだろうかということだけについて若干御説明を願いたいと思うのです。私の知っている範囲では副業的な多角経営をやっているところは何とかかんとか切り抜けておるけれども、そうでないところはほとんど赤字に近い状態、それからさらに中小企業というものについてはほとんど休廃山を余儀なくされる寸前にある。生き残っておるところももう気息えんえんというところであるというような実態ではなかろうかと思っておるわけであります。この点についてまず御説明願いたいと思います。
  4. 江口裕通

    江口説明員 御指摘のとおり最近の金属鉱山経営状況と申しますか、これは非常に深刻でございます。特に昨年のドル・ショック以来事態は非常に緊迫してまいりまして、御指摘のように休廃止鉱山というのは大鉱業の場合においても続発しておる。まあ極端に申しますとそういう状況になっておると思います。  ただ、しかしながら金属山の場合には石炭産業とはやや様相を異にしておりまして、需要の見通しというものを将来どのように考えていくかということによりまして、やはり将来というものも若干違いが出てくる。換言いたしますと、絶対的に需要がなくなっていくというものでは必ずしもないように考えております。と同時に、国内におきまして、御指摘のとおり中小鉱山というものはだんだん経営が悪化しておることも事実でございますが、昨年以来政府といたしましてもいわゆる新鉱床探査費補助金というものを大幅に五割アップ増額いたしまして、あるいは新鉱床探査のほかにいわゆる三段階方式と申しますか、国内鉱開発というものにつきましてもこの際極力手厚く見ていく。さらには本年、暫定措置法の改正によりましても関税の一部引き上げを行ないましたが、その際におきましても、それによって生ずるメリットというものを中小鉱山のほうに流してまいるというような指導を行なっております。そんなようなことで何とかここしばらくの間を切り抜けてまいりたいというふうに考えております。  現状は以上のとおりでございます。
  5. 石川次夫

    石川委員 地下資源需要は、石炭と違って将来ともにエネルギー革命のような状況変化はないということだから、情勢は違うということは理解できるんですけれども、しかし逆にこの地下資源に対する要求というものはだんだんふえるわけですね。これは安定するとかなんとかいうんじゃなくて、その需要国内で満たし切れないで海外に求めなきゃならぬというふうな情勢変化であります。だんだん強くなってくるわけで、それだけに国内地下産業というものが海外資源の価格というものに対抗できない。こういうことからする危機状態というものはこれからもだんだんふえてくるんではないかという感じがするわけであります。  それで、いま代表的なものとしては銅ということがございますが、銅でさえも二五%足らず国内でもって採掘をしておる。七六%程度海外依存をしなければならぬという状態であります。あと十年ほどたてばもうほとんど海外依存をしなきゃならぬというふうなことになってまいるんでありますが、それにいたしましても、国内鉱山というものが確保されてそこに人が確保される、そこに技術というものが確保されるということでなければ海外資源開発ということも不可能になってくるというようなことで、どうしてもこの鉱山というものは最低限維持させていかなきゃならぬというのが政府の重大な使命ではないか。日本はドイツと同じように資源が非常に乏しいわけでありますから、そういう技術を温存するということだけからいっても、どうしても国内資源鉱山というものは確保していかなきゃならぬ。  それについては西ドイツ成功払いという方法があるわけでして、これはいまさら言うまでもないのでありますが、ウラン石油については日本でもぼつぼつ西ドイツへ右へならえというかっこうでありますけれども、その他の地下資源関係西ドイツでは成功払い方法がとられておるわけです。五〇%増しの形でもってとられておるのですが、その成功払い方法返納金の二倍の額を六年以内に、たとえばウランの場合、ウラン開発に再投資された場合には返さなくていいんだというようなところにまでその成功払いが非常な恩典を伴っておるという状態になっておる。資源のない国はえてしてこういう形をとらざるを得ないと思うのです。そういうことでたとえば西ドイツ関係は、一九七〇年にはこの成功払いウラン石油を除いた分について三百マルク、一九七一年には一千万マルクというふうに飛躍的にこれを増大させておるという方法をとっておるわけです。したがって、日本が二十一世紀に向けて資源枯渇をすることは――日本地下資源といっても産業用途だけを考えるわけにはいかぬ。生活必需物資に全部つながっている。食糧と並んでこの地下資源はわれわれの生活必需品だ、こういう観点でとらえていかなきゃならぬと思うわけです。そういうものを枯渇をさせないためには海外依存という乙と、海外開発ということも必要でありますが、その前提としての国内技術国内鉱山安定化というものをどうしてもはかっていく必要があるだろう、こう思うので、その一環として、西ドイツのような日本の国と酷似した国におきまして成功払いという方法がとられておるけれども、日本ではウラン石油だけしか――まあこれはエネルギーということで特に関心が高いのでこういう方法がとられた。しかもことしからやっととられたというかっこうになっておるわけでありますが、将来に向かってこの成功払い方法がどうしても必要になってくるんではなかろうか、こういう感じが私はするわけであります。まあ政府自体として通産省だけのお考えでもなかなかいかないような事情もあると思いますが、通産大臣に伺いますけれども、こういう将来に向けての積極的な施策、これを通産大臣として――通産大臣は私は単に通産大臣だけだとは考えておりませんから、政府の中における実力者だという前提でお伺いをするわけでありますけれども、この成功払いということについて積極的なお考えがあるかどうか、これを伺いたいと思うのです。
  6. 田中角榮

    田中国務大臣 地下資源開発に対してはいま御指摘になったようなものが前提でなければなかなか成功しないという種類の事業であることは、そのとおりでございます。ウランそれから石油に対しては特別な措置がとられております。また石油資源開発法をつくったころからもそういうことになっておるわけでございますが、日本は国土が非常に小さいということで地下資源埋蔵量そのものも非常に枯渇をしておるといわれております。しかしその後、私もいろいろ検討したわけでありますが、大陸だな資源というものがだんだんと世に出てまいりましたし、近海、大陸だなというような資源開発というものをこれからやらなければならないということになりますと、やはり制度上の優遇措置前提としないと試掘探鉱はなかなかむずかしいわけであります。明治から大正にかけて銅とか金属鉱山は多少いいときもございましたが、いまはもう大体掘り尽くされておるというような状態で、新しい探鉱試掘に対しては別途の助成措置を講じなければならないということあ、もうそのとおりでございます。それから海外資源というものとの関連で、海外資源探鉱を行なったりまた合弁会社というような、新しい海外における鉱物資源開発輸入というものも行なわれるわけでございますから、そういうものと国内の問題とも関連づけをしながらいろいろな制度上の問題として整備をしなければならないということを私自身も考えております。また通産省事務当局としてもいろいろ勉強しております。
  7. 石川次夫

    石川委員 ところで、鉱山政策というものは非常な転換期に立たされておる。もちろん円の再切り上げというものは断じて阻止するというかまえでありますから、当面不安がないものとわれわれも確信をしたいと思っておりますけれども、もし再切り上げということになれば、日本非鉄金属地下資源関係鉱山政策というものは全面的な崩壊であろうというのがほとんど常識ではないかと思うのです。中小炭鉱なんか残るところは皆無ではないかという感じもいたすわけであります。そういうことで前向きに何とかこれを確立をすることが、将来、日本の最大問題である資源問題に対処する一つ方法である。たとえばウランなんかは人形峠――私、科学技術委員会に所属をいたしまして、人形峠なんというのはきわめて非能率で品位が悪い。したがって、これもやめたらどうかという意見も再三出たわけでありますけれども、しかし私はこれは最低限残すべきだ、ということは、どうしても技術開発する必要性が出てくる。したがって、貧鉱なるがゆえに銑鋼一貫作業というような独特な製錬法というものが日本では編みだされておるというような効果も出ておるわけであります。したがって技術の温存、開発というふうな意味からも、どうしてもウランなんかは、人形峠はいかに貧鉱なりといえどもこれを維持していくというようなかまえでなければならぬということですが、民間でやる場合にはそういうことは不可能なんです。しかしながら、それはそれなりにやはり将来の日本資源問題の枯渇ということを考えますと、どうしてもこれは鉱山を維持し、その技術を温存していくという前向きの姿勢が必要であるということで、いま成功払いの問題については直接御答弁はありませんでしたけれども、しかし私は私なりに、いまの答弁の中からそういった前向きの姿勢をくみ取ったというふうに理解をしたいと思っておるわけであります。  そういうことを考えながら、さて休廃山におけるところのいろいろな鉱害問題というものに取り組む。うしろ向きのことだけに相当負担をかけるというふうな――負担にたえ得るというふうな状態には現在ないのだということを考えながら鉱害対策というものに対処していくという姿勢がどうしても必要なんじゃないか、こう考えておるわけでございます。  それで、次に休廃山の実態でございますけれども、どういうふうになっているか。いまのところは五千から六千ぐらいあって、そのうち三百炭鉱ぐらいの実態調査をして、これから一体どういうふうな調査を進めていくか、調査をしきれるものかどうかという問題もあるわけですが、そういう問題を含めての現状についての御説明をひとつ通産省のほうから伺いたいと思うのです。
  8. 久良知章悟

    久良知政府委員 現在の休廃止鉱山現状、それからその休廃止鉱山に対する対策につきましてのお尋ねでございます。  休廃止鉱山の数は、非常に長い間稼行を続けてきておるわけでございますし、それから古い鉱山につきましてたくさんの坑口があります場合に、一つ鉱山としてどの範囲を数えるかというふうな問題もありまして、正確な数というものはなかなかきめ得ないわけでございますが、最近私どものほうでいたしました調査では、約五千五十の休廃止鉱山を、これは鉱山ごと、名前をあげてリストアップをいたしておるわけでございます。休廃止鉱山調査につきましては、これはカドミその他、重金属によります鉱害という問題が出てまいりました以後に、組織的にやはり調査をする必要があるということで、この当時やはり五千から六千ぐらいの休廃止鉱山があるという一応の推定があったわけでございますが、その中で、ただいま申し上げましたような重金属中心といたします鉱害の予想される山を中心にいたしまして、千五十鉱山について組織的に調査をしよう、ことしが三年目になるわけでございますが、昨年までに約三百鉱山についてはすでに調査を終了いたしておるわけでございますが、これは計画的にやってまいるということで年次計画をつくっておるわけでございますが、御承知のように、昨年の暮れから、砒素を中心にいたしまして、従来そう重要視されていなかった新しい鉱害の問題というものも出てまいっておりますので、若干の計画の変更ということはやむを得ないわけでございますが、従来の予算、計画に従いまして、重要なものから調査を今後も詰めていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。  千五十鉱山の中で、調査をいたしまして、どの程度手当てと申しますか対策を要する鉱山が出るのかという問題があるわけでございますが、現在まで約三分の一の調査を終了いたしております。従来からのいろいろな資料その他を参考にいたしまして検討いたしましたところでは、千五十鉱山調査をいたしますと、その中で約二百五十鉱山、四分の一弱になるわけでございますが、これについては何らかの対策を要する山が出てくるであろうというふうに見ておりまして、その対策と申しますのは二種類あるわけでございます。一つは、廃止いたしました鉱山坑口が放置されております。この放棄されました坑口から、あるいは近くに住んでおられる人が中に入る危険もある。坑内には立て坑もありますし斜坑もありますし、不用意に入りますとやはり相当な危険を伴いますので、そういう残された坑口につきましては完全にこれを密閉しなければいけない、そういう必要のある山。それからもう一つは、過去に稼行いたしましたときに捨てました廃石鉱山ではズリというふうに呼んでおります。それから製錬のときに出てきましたからみ、そういうふうなものが捨てられておるわけでございますが、こういうものからやはり重金属その他酸性の水が出てくるというふうな問題、それからさらには昔掘りました坑内から、やはり公害の原因になる可能性のある坑内水が出てくる、そういうものに対する対策をとらなければならないというふうな二種類の必要が出てくるわけでございますが、前者の坑口についての処理を要するものが約百八十、それから鉱排水その他の公害防止対策をしなければならないというものが約七十ということで、二百五十鉱山についてそういう必要があるだろうというふうに考えておるわけでございますが、こういう鉱山につきましては、鉱業権者がはっきりしておる山につきましては鉱業権者ないしは鉱業権者であった人で、鉱業権を放棄しまして五年以内の鉱山につきましては、これは鉱山保安法に基づきまして防止対策を直接とらせるということができるわけでございますが、それ以外の山、特に責任者が無資力で工事ができないというふうな山もあるわけでございますので、これは昨年度から休廃止鉱山公害防止工事補助金制度というものをつくりまして、国と県と力を合わせてそういう鉱山公害対策の実施をしようという制度を発足さしておるわけでございます。
  9. 石川次夫

    石川委員 ちょうど大石環境庁長官もお見えになっておりますが、休廃山というのが、いま聞きますと大体五千以上にのぼっておる。そこからいろいろな環境被害身体被害というものが出ておるわけであります。その実情についていま若干伺ったのでありますけれども、これから出るのが主として汚水関係になると思うのです。汚水によるところの被害実態といいますか、現状といいますか、そういうものと、それからこれに対しては、いまのところ大体鉱山保安法によって鉱業権というものを捨てても五年間だけはこれに対して保安命令を出せる、防止させるということになっておりますけれども、さてそこに出た損害賠償についてはどうなっておるかということになりますと、いろいろ問題が出ておるわけです。現在環境庁長官としてはどういう被害現状であり、どういうふうに損害賠償というものをさせるという御方針なのか、大ざっぱな結論だけでけっこうでございますから、伺いたいと思うのです。
  10. 大石武一

    大石国務大臣 いま休廃止鉱山が五千以上あるということでございますが、おそらくその中には、やはり相当のものがいろいろ荒廃しまして、あるいは環境汚染を引き起こしておるような、たとえば坑内廃水のような問題であるとか、あるいは土壌汚染の問題とか、そういうものがある程度あるだろうと推察されます。そういうことで、通産省でもそのような検討のもとに、重点的にそのような問題を引き起こす可能性のある鉱山をとりあえず選びまして、五千とか六千とか申しますとたいへんな数でありますから、一挙には調査できませんから、特に重点的に、そのような必要があると認められる鉱山につきまして、いま鋭意四年計画でいろいろと実態調査中でございます。その中にはだいぶ実態がわかりまして、それに対するいろいろな対策も立てられている点もございます。全体につきましてどういう方針でいくかという御質問でございますが、どのような被害があるか、どのような健康被害があるか、あるいはどのような環境汚染があるかということはまだ実態がわかっておりませんので、やはり一つ一つについてそれを検討してまいる以外にないと思いますが、とりあえず何と申しましても多くの鉱山の、ことにいろいろな環境汚染があるであろうと思われる鉱山につきましては、できるだけ早く実態を把握するように、急いだ調査をしていただきたいと思います。それによりまして、たとえばいろいろな病気についての問題が発生することはありましょう。その場合には、われわれは十分にその県とも連絡をとりまして、打ち合わせいたしまして、健康につきましては十分な調査をいたしたいと思います。そうして公害病患者と認定し得る資格のある者は直ちにこれを認定いたしまして、それに対応するだけの手当てその他もしてまいる考えでございます。また、環境汚染の出ましたところにつきましては、それぞれいろいろな法律がございます。たとえば水の汚濁を防止する法律であるとか、あるいは土壌汚染を防ぐ法律とか、いろいろな法律がございますので、そういうものによりまして、特にまっ先に健康の問題、その次には農業その他の生業の問題につきましても、環境汚染をなおすような方向を進めてまいりたいと考えております。
  11. 石川次夫

    石川委員 いまのお話でしたら別に説明を聞かなくてもわかっておるのでございまして、損害賠償をどういうふうにするかということはきわめて深刻で、また非常に複雑でむずかしい問題になっております。その原則をどう考えておるかということを伺いたかったわけであります。具体的に例をあげて申しますと、宮崎県の土呂久の問題、これは中島飛行機が戦時中やっておったわけですが、それがつぶれてしまっておる。そこで今度は住友金属鉱山が貸した金のかたのようなかっこうにして、鉱業権を持っているわけです。持っているけれども、住友金属鉱業は全然採掘はやっておらぬわけです。しかしながら、鉱業権をもっているということだけで、鉱業法にのっとってこれに対する保安、あるいはまたこれに対する損害賠償責任を負わなければならぬというようなことになっておるわけです。われわれのほうとしては、もちろん公害問題はたいへんな問題で、日本公害列島になって、二十一世紀はまず絶滅すれば日本がまっ先であろう、こういうことがいわれておるおりからでありますから、企業責任はきびしく追及しなければならぬ。したがって無過失賠償責任制度というのが確立しなければならぬ、こう考えておるのですけれども、この鉱山休廃山の問題に関して言えば、一体責任の所在がどこにあるのだということが非常に不分明なことが多いわけです。土呂久の問題にいたしますと、斉藤先生という方が非常に熱心にこの問題についての亜砒酸によるところの被害というものをお調べになって、第三次検診に至りまして大体八人くらいはそうじゃなかろうかというのが現状でありますが、なかなか認定すること自体も困難でありますが、しかし、そのよってきたるところの原因が一体どこから来ているのだ、一体そのときの鉱業権者はだれなんだということを調べるということがなかなか容易ではない仕事でございます。それからさらにむずかしいのは笹ケ谷の問題でありまして、たくさん例があるのですけれども、例をとってまいりますときりがありませんから、代表的なものだけを取り上げてみたのですが、この島根県の笹ケ谷なんか問題にいたしますと、これは弘安年間から掘っておるわけです。政府方針としてやらされておったわけです。実に西歴一三五〇年ごろですね。このころからずっと掘っておる。明治二十六年には豪族の堀さんという方がやって、それから日本鉱業がやって、それから廃山になって、昭和二十五年ごろから個人の手を転々として六人ぐらいに渡っている。それからさらにまた二人か三人移り変わりまして、最後には吉岡鉱業というところが持っておりますけれども、吉岡鉱業鉱業権というものを放棄しておるわけです。しかし、五年間の保安規定がございますから、鉱業権を放棄しても五年間は責任を持たなければならぬという規定がありますから、それはさかのぼるわけでございますけれども、そこにまた資力があるかないかという問題が出てくるというように、一体だれに責任を負わしたらいいのかわからぬということになると、非常に不幸なのは被害を受けた当事者である。環境被害身体被害を受けた人が、いつまでたっても因果関係が証明されないということによって、受ける被害補償というものがいつまでたっても確立をされないという問題が出るわけです。この両方の場合も最近での端的な実例なんでありますけれども、この因果関係の証明ということはほとんど不可能に近いのではないかという感じすらするわけです。そのことによって被害者がいつまでたっても損害賠償の問題についてもたついて、被害を受けっぱなしになっているというようなことになったんでは、被害者自体も不幸ではないかという感じがします。そういう場合に一体どうしたらいいのだということは、われわれとしては、はっきりしたものはたとえば鉱山保安法でもって、鉱業権を捨てても五年間以内なら全部やれ。しかしこれも、本格的にやるとなると一カ所でもって二億、三億というのはざらのようです。たいへんなことになるようです。しかし、将来に向けての鉱害問題の大きさということを考えると、責任上やってもらわなければならぬということになりますけれども、損害賠償責任というものは、鉱山法によれば二十年間さかのぼるということになるわけですが、その因果関係というものは証明されない。その中で無資力のものも有資力のものもあるというような複雑怪奇な経路をたどっておりますだけに、これに対するすっきりとした対策を立てるということは非常に困難ではなかろうか、こういう感じがしてならぬわけでありますが、これは保安局長のほうから、どうお考えになっておりますか、伺いたいと思います。
  12. 久良知章悟

    久良知政府委員 ただいまの先生のお尋ねにつきましては、鉱山休廃止いたしました後の鉱害に対する賠償の問題、それから鉱害防止と申しますか、鉱害源についての管理責任の問題、それから時効の問題というふうな多くの問題が含まれておるわけでございます。  賠償の問題につきましては、これは鉱業法に規定をしてございますので、後ほど所管の局長からお答えがあるかと思いますが、管理責任につきましては、ただいま先生が御指摘になりましたように、鉱山保安法に規定をいたしておるわけでございます。鉱山保安法の四条によりまして、鉱業権者に対しまして、捨て石、鉱滓、坑水、廃水、鉱煙等によります各種公害防止のために広範な義務を課しておるわけでございます。問題は鉱山保安法二十六条でございますが、この二十六条によりまして、鉱業権者が放棄をして鉱業権が消滅する場合に、消滅した五年間につきましては、鉱山保安監督部長が鉱業権者であった者に対しまして、その人が鉱業を実施しましたために出る危害、鉱害を防止するために必要な設備をするように命令が出せるという規定になっておるわけでございます。これは、やはり鉱害につきましては、その鉱害を生ぜしめた行為者が責任をもって始末をするという、ただいまのことばでいいますと例のPPPでございますが、それと同様な考えに基づいて出ておるわけでございまして、賠償につきましては最後の鉱業権者に一義的には責任が出るわけでございますが、管理義務のほうは、最後の人とともに、その行為をした前の鉱業権者にも責任があるというたてまえになっておるわけでございます。  それから時効の問題でございますが、鉱業関係の時効は、ただいま出ております無過失責任立法についての時効と同じ考えでございまして、損害が出ましてからと申しますか、鉱害が発生をいたしましてから二十年、それから被害者が、鉱害の原因者と申しますか、責任者を知りましてから三年というふうなことになっておるわけでございまして、一般の民法の時効の考えと申しますか、損害のもとになった行為をしてから二十年という点から考えますと、若干の相違があるわけでございます。これは、鉱山鉱害と申しますのは、たとえば捨て石だとか廃石の集積場の崩壊というふうな問題を考えてみましても、それを積みましたときからかなり年数がたちましてから鉱害になる可能性があるわけでございまして、行為のときを起点とするわけにはまいらないわけでございます。やはり公害の発生のときを起点といたしまして起算をするという考えになるわけでございまして、その点につきまして、一般の民法の原則よりは若干きびしいということに相なるわけでございますが、この点はやはり鉱業の特殊性ということからやむを得ないものではないか、そういうふうに考えているわけでございます。
  13. 石川次夫

    石川委員 「昭和四十六年度休廃止鉱山周辺重金属鉱害調査実施結果」というものを拝見しますと、未着手というのがかなりあるのです。その中には、無資力等のため未着手のものというのが十七あります。それからかつての鉱業権者住所不明ということのために現在住所追跡中のものというのが四件ございます。こういうふうな状態で、損害賠償責任をさかのぼってかぶせるといっても、不可能な場合が往々にして出てくるのではないか。そういう場合にはいつまでたってもらちがあかないという状態のままで被害住民を放置するというふうな結果になることは、政府責任において、なすべきことではないと思うわけなんです。鉱業法によれば鉱業の特殊事情によって過去にどんどんさかのぼっていかなければならぬのだということは、一応理屈としては納得できるのでありますけれども、劈頭申しましたように、日本金属鉱山のどこもかしこも危殆に瀕しておるというような実態であるということを考えますと、一がいにそうばかりもできないし、そうやってみたところで、資力があるのかないのかということの判定自体が相当大きな問題になってくるのではなかろうかという感じがするわけなんです。したがって、非常に因果関係の複雑なものに、過去にさかのぼっていろいろ究明をして責任を何とか転嫁するといっては語弊がありますけれども、追及をしようとしても、実際は不可能なことが多い。そういうようなこと等も考え合わせますと、何とかそういう、住民に不安を与えないような体制、しかも日本の将来に向けて、地下資源採掘する鉱山というものを安定させるという、両方の面から考え合わせていかなければならぬ問題ではないかということを考えまして、うしろ向き状態で、一カ所でもうずいぶん前にどうにもならぬというので捨ててしまった、最近になってカドミの被害というものが明らかになった、それで何とか対策をしなければならぬということで、相当膨大な費用をかけなければならぬというようなことだけに追いまくられるような状態にすることは、国策として必ずしも得策ではないのではないか、こういう感じがするわけです。したがって、被害者の面から見ても、日本の将来の地下産業安定化という面から見ても、何らかの対策というものが法制上確立されるということが必要なんではないか。いままでの鉱業法だけによって――これは鉱業法を改正するといっても、なかなか困難です。鉱業法というものは骨組みがしっかりしておりまして、ちょっと手直しをするというわけにはまいりません。したがって、何とか別な法制化を企てて、被害者が何とか損害賠償を受けられるように、それからまた鉱業権者に対しても、ある程度の保護を与えて安定感を与える。成功払いという方法もその一環として考えられるわけでありますけれども、石炭の場合は、御承知のようにエネルギー革命というような大きな波をかぶったために、何とかこれを安定させようということで、御承知のように、鉱害二法と鉱害復旧事業団というものの制度が生まれたわけであります。しかし、第二の石炭産業になろうとする地下産業に対しては、こういう面でもやっぱり考えていかなければならぬのじゃなかろうかということで、これは被害者の面からもそういうことがいえると思うのです。そういうことから考えますと、鉱山鉱害に関する立法というものを立て直す必要があるのじゃないか。それから鉱業の事業団というふうなものを立ててみたらどうか。ということは、これは私から申し上げることもないのでありますけれども、基金制度ができておりますね。去年の九月に、これは中身は私は説明を伺わなくても一応わかっておりますから申し上げませんけれども、社団法人金属鉱業鉱害基金制度というものができております。しかしこれは法制化されたものではないわけです。したがって、こういうものを法制化の中の一環として加えていく。それで被害者を、いつまでたっても損害賠償責任を遡及してやろうとしても因果関係がさっぱり明らかでないという不安定な状態からも救っていくという両面から見て、鉱業政策というものをここで一回考え直す必要があるのではないか。鉱害ばかり、うしろ向き対策にばかり追われているというような状態にはしたくないと私は考えておる。そういうことから見て鉱業立法といいますか、それとあわせて鉱害の事業団というようなものを設立して、被害者に十分な保護を与えることができるような体制。加えて非常に危殆に瀕しているところの地下資源採掘鉱山というものを安定した前向きの姿勢に持っていくという両面をぜひ考え直す時期に来ているのじゃないかという感じがしてならないわけですけれども、それに対して通産大臣どうお考えになりましょうか。
  14. 田中角榮

    田中国務大臣 基金制度が発足しておりますが、法制上の問題として税法上の保護を受けたりいろいろなものは必要なわけですが、立法措置による制度としてつくったらどうかという御意見、これは鉱業法そのものに無過失賠償責任制度がございます。これは非常に古い法律でありますが、その意味では完備をしておる法律である、しっかりした法律だと思います。こういう無過失賠償責任制度がある以上は、それに平仄を合わせる意味においても、基金とかそういう制度があってしかるべきだという考え方はよく理解できます。いま通産省でも広範囲にわたって検討いたしております。  六千も鉱山があって、そのうちまだ三百しか調査がされておらない、実際は千ぐらい問題があるのではないか、こう言われております。だからそういう意味で府県や市町村がいま事業主体になっておりますし、政府が三分の二補助するというような体制がありますが、やはり鉱害というものは原因者負担が原則であるということから考えてみても、いいときには積み立て金ができるように、積み立て金ができれば、将来鉱害が起こった場合に鉱業権者としての責めも果たせるわけでございます。そうであるならば、やはり助成の措置も講じたり税制上の優遇をやったり、いろいろなことを制度上しなければならないということはよく理解できます。そういうものも含めて勉強を続けてまいり、できるだけ合理的な結論を見出したい、こう思います。
  15. 石川次夫

    石川委員 時間がなくなりましたので、もっと掘り下げた議論をしたいのでありますが、このくらいにしておきますけれども、社団法人でもって金属鉱業鉱害基金制度というものが生まれて、拠出金が二億円、あとは積み立て金は二億円を確保するという前提で行なっておる。しかし、これは法制上できたものでもないし、何らの恩典もないわけなんです。しかし一方では労働組合の代表なんかに会って話を聞きますと、われわれは第二の炭鉱だ、いつどうなるかわからぬ、こういうような非常に危機感を持っているというのが実情であります。そういうことを考えますと、無過失賠償責任はもちろんこれは企業責任として確立をされていかなければならぬけれども、それだけ因果関係のはっきりしないようなものに、いつまでも無過失賠償責任で二十年間遡及をさせるのだといってみたところで、現実の問題として非常に不可能な場合が多い。無資力でだめだ、あるいは住所がわからなくなったという者まで追っかけて責任を追及してみても始まらぬという問題が現実には多いわけです。しかも前向きに鉱山というものを立て直すということからいうと、うしろ向きのものにばかりしょっちゅう気を使わなければならぬ、神経を使わなければならぬという体制から多少解放するという意味もあって、日本地下資源の確立、海外探鉱をするにしても、技術を確保するという意味からいっても、何回も申し上げるようでありますけれども、鉱害事業団というふうなものを設けるか、あるいは基金制度というものに対して思い切った助成をして、これでもってある程度はまかなっていけるのだ、こういうふうな安定化させるべき方向に向けていくのが当然ではないかという気がするわけです。これは日本の国策上からいっても、その被害住民からいっても、あるいは鉱山の労務者からいっても、ほとんど一致した要望ではないのだろうか。しかも五千にわたる鉱山被害をこれからどんどん調べていってそのつど前にさかのぼって責任はどうだこうだといっても、なかなからちがあかない場合が多いし、やはり基金制度を確立して法制化して、これによってまかなっていく、安定化させていくという前向きの体制をぜひとるべきではなかろうかと思うので、その点を強く要望したいと思うのですが、最後に一言それについて通産大臣から所信を伺いたい。
  16. 田中角榮

    田中国務大臣 地下資源試掘探鉱等に対して助成措置を講ずる、また産業そのものに対して助成の方途を講じなければならないということはもちろんでありますが、あわせて鉱害というものに対して完ぺきな制度をつくるために立法が必要であれば立法も含めまして、完ぺきな制度をつくるために検討を進めてまいりたい、こう思います。いまもう基金制度がございますが、基金に対する拠出金は税法上の恩典があるのかというと、法律上は制度化しておらないということでありますから、当然そういうものは完ぺきなものにしなければならないということで検討を進めてまいります。
  17. 田中武夫

    田中委員長 石川君の質疑は終わりました。  次に岡本富夫君。
  18. 岡本富夫

    岡本委員 きょうは休廃止鉱山にまずしぼってお聞きをいたしますが、これは公害対策並びに環境保全特別委員会におきましても、この問題はさんざん論議をされましたけれども、結論として鉱山関係鉱業法通産省の所管になっており、したがってどうしてもやはり通産省の強力な指導と申しますか、対策と申しますか、これがなければ、この全国の休廃止鉱山鉱害というものがなくならないというような意図から、きょうはこうして連合審査ということになったわけでありますけれども、ちょっと順序を変えまして、ただいま石川委員からもお話がありました、この休閉止鉱山の鉱公害対策に関する法的措置を検討すること、また無資力休閉止鉱山の鉱公害防止対策を強化することというのが昭和四十六年の十二月二十二日の当商工委員会の決議であります。それに対して通産省はその後どういうような手を打たれたのか、この与野党一致した決議に対してどういうことをなされたのか、これをひとつまずお聞きしたいと思うのです。
  19. 久良知章悟

    久良知政府委員 昨年の十二月に商工委員会で出ました決議に基づきまして、その後通産省休廃止鉱山対策にどういう手を打ったかというお尋ねでございます。  一番大きいものといたしましては、休廃止鉱山鉱害防止工事に対する補助金の問題でございまして、これは四十六年度から発足をしておったわけでございますが、四十六年度におきましては予算約九千万円弱でありましたものを、四十七年度には三倍弱と申しますか、約二億四千万に増額をしていただきまして、これによって鉱害防止対策工事を飛躍的に拡充したということが一つでございます。  それからもう一つは、やはり鉱害防止の監督体制の整備でございまして、全国の鉱山保安監督局部に鉱害防止課というものを増設、新設してきておるわけでございますが、四十七年度におきましてはさらに三カ所の増をいたしまして、現在八つの出先機関のうち七つまでに鉱害防止課を設けました。それからこの所属の監督官につきましても約五十名の増加をいたしたということでございます。
  20. 岡本富夫

    岡本委員 いまのそれは補助金とかそういったものの財政的な対策でありますが、当委員会におけるところの「鉱公害対策に関する法的措置を検討する」ことと、こういう決議がなされておるのに、その後それに対するところの法的措置をどういうように考えておるのか、これをひとつ明確にしていただきたい。
  21. 久良知章悟

    久良知政府委員 鉱害防止対策につきましては、先ほどお答え申し上げました現行法による強化というところにさしあたりの重点を置いているわけでございますが、法的な規制を含めました強化につきましては、これは非常に長期を要する問題でもございますし、目下その後に出ましたいろいろ休廃止鉱山の新しい問題も含めまして法的規制というものを頭に入れて十分な検討を続けておるわけでございます。
  22. 岡本富夫

    岡本委員 この問題は少しあとにしまして、私はまず実情から少し詰めてまいりたいと思うのですが、私どもが全国の総点検をやっております中で、先般、岐阜県の遠ケ根鉱山、これは砒素鉱山でありますが、ここに行って調査の結果わかりましたことは、この鉱山の総面積が二万千六百平方メートル、非常に住民の民家に近いところにあるわけですね。これは先般、私予算委員会で、ここの約八トンばかりの亜砒酸をどうしたのか、こういうように聞きますと、それは九州の佐賀関へ運んでしまった、したがって、もうここには何にもないんだろう、こういうような感じで私ども向こうに参りました。ところが、行きますと、まだ当時の製錬したかまが、れんがでずっと積んだかまがそのまま残っておる。そこに約二十ミリくらいの厚みの、要するに二センチくらいの厚みの白い亜砒酸が一ぱいたまっている。そこへ付近の子供たちが遊びに行っているわけです。  そこで、何やっているかと言ったら赤軍ごっこをやっている。赤軍ごっこ、知っていますか、危険きわまりないですね。しかも、そこに入らないようにというのは、ただ一本のビニールひもを通して立ち入り禁止と書いてあるだけなんですね。そんなことは平気でどんどん子供が入ってそこで遊んでいる。その横には深さ約五メートルくらいの大きなかまがある、そこに一ぱい亜砒酸がついている、もしもそこへ落ちたらどうなるか。こういうことを考えたときに、私は先般予算委員会で、この遠ケ根鉱山の要するに鉱山あとをどうしたかということを聞いたときに、全部運びました、こういうようなお答えだった。ところが行ってみるとそうではない。こういうことに対しまして、私はほんとうに通産省が力を入れて一つ一つに対して検討もしあるいはまた調査もしているのかどうか、まことに疑わしい。これは大臣、ひとつあなたがおる間に何とかしてもらいたい、実力大臣ですからあなたが通産大臣の間に何とか法的の措置あるいはまたそれに対する調査というものをやってもらわなければならぬということをつくづく私は感じたのです。これに対してひとつ……。
  23. 久良知章悟

    久良知政府委員 岐阜県にございます遠ケ根鉱山の砒素の製錬についての残留砒素の処置の問題でございます。遠ケ根鉱山の製錬所と申しますのは先生御指摘のように民家に非常に近いところにあるわけでございまして、さしあたり残っておりました八トンの亜砒酸というものを、これは地方の自治体にお願いをいたしまして、九州の佐賀関製錬所に運んで処理をしてもらったわけでございますが、その後製錬施設と申しますか亜砒酸の焼き取りがまの中にまだかなり亜砒酸が残っておるということ。それから一応出入禁止の措置をしたわけでございますが、鉱業権者に力がないということから完全な禁止の措置ではなくして入ろうと思えば入れるような状態であるということがわかりましたので、その後やはりその自治体にお願いをいたしまして、かまについておる亜砒酸の除却の措置をいたしたわけでございますが、何ぶん現在の鉱業権者に力がございませんので、先ほど申し上げました休廃止鉱山の鉱公害防止工事の補助金制度によりまして、四十七年度の予算が五月から使えるようになったわけでございますので、これによりまして県当局と相談をいたしまして、早急にこの亜砒酸がまの撤去を含めまして同所の鉱害防止工事に着手をしたいと考えておるわけでございますが、目下その交渉手続をいたしておる段階でございます。
  24. 田中角榮

    田中国務大臣 御指摘の問題については名古屋通産局をして調査をせしめておるわけでございますが、鉱業権者が無資力であるということで直ちに解決できなかったわけでございます。ことしのこの間通過をしました予算で措置をするという方針でいま進めておるわけでございます。まあそういうものを雨露にさらしておるということ自体も幾ばくかずつでも流出をするわけでありますから、これは一日もいっときも早く措置をするということでなければならないわけでございまして、再び指摘を受けたことは遺憾でございますが、予算も通過したことでございますので、今年度予算でしかるべく措置をいたしたい、こう考えます。
  25. 岡本富夫

    岡本委員 この問題につきまして実は私どもが行きまして、名古屋通産局の皆さんにもお会いし、また現地の村長さんですか、いろんな人にもお会いしました。なぜ八トンの野積みされておったところの砒素を佐賀関へ送るときに一緒に送らなかったのか、こういうように指摘をしますと、とてもあぶないからさわれぬ、こういう話だった。要するにそういった技術者でないととてもあぶないからさわれないのだというような返事も返ってきました。そんなおそろしい危険なところへ学童が遊びに行って、そこで盛んに鬼ごっこをやったりしている。これに対して、私はその場所を見ましてほんとうに憤りを感じた。しかもあなたのほうではこの持っておる鉱業権者が無資力だということで、だからどうしても――こういうものがまだほかにもあるんではないか。結局私どもが見つけて、そして政府に話をして初めて手が打たれる。ここに私は問題があるんではないかと思うのです。調べたところ、まだたくさんあるわけですけれども、それも一々申し上げておるわけですけれども、それでは非常に手の打ち方というものがおそい。ということは、この亜砒酸の製錬が二十六年に終わっておるわけです。それからずっとほうってあったわけですね。そこで、先ほど私が、また石川委員からもお話があった商工委員会の決議であるところの鉱公害対策に関する特別な法的処置というものが必要になってくるのではないか。そして、いま二億何千万ですか、こんなわずかな金では私はとても全国の――いま大体五千カ所、数千カ所と推定するわけですから、まだまだあるわけですよ、あとでまた言いますけれども。そういうことになりますと、相当な予算措置というものがなければ、しかも直ちに使えるようなものでなければならない。  それからもう一つ、県が三分の一で三分の二を国が補助をするのだ、こういった鉱山に対しての立ち入り検査、こういうものは環境庁の所管ではないわけですね。全部通産省の所管になっている。通産省の所管にしておきながら、今度はそのあと始末は県に三分の一を持たせる。県のほうも私たちは責任がないのだ、これは国の問題なんだ、どうしようもないというのが、県会で追及してもこういうことになっているのです。ここらあたりも何とか、私は将来鉱山鉱害対策につきましてもやはり環境庁の所管に少しは入れていかなければならない、こういうふうにも考えるのですが、いかがですか。
  26. 田中角榮

    田中国務大臣 非常に考えなければならない御発言でございます。これは法制上は通産大臣の所管でございますから、通産省が立ち入り検査権を持っておるということでございます。しかし、そうであるならば、通産大臣責任を負わなければいけない。負うためには予算も組織も人員もそれに必要なだけ確保すべきである、当然そういうことでございまして、そういう体制をだんだんと具備をしてまいっておるわけでございます。何ぶんにも、先ほど申し上げましたように、長い歴史の中で五千ないし六千の鉱山というものがあったわけでありまして、しかもそれがいままでは科学的にも何にも問題がなかったものが、学問的にも問題にされなかったものが、今日の段階になってそれは非常に人体に有害であるということが証明されて、問題が急速に大きくなっているものもあります。それからもう一つは、何百年という集積によって複合公害のような状態でもって公害問題が非常に大きく露呈をしておるものもございます。そういう意味で、いまの通産局の実態でもって六千カ所を全部直ちに調べるということはむずかしいのですが、しかし三百鉱山というものは調べてあるわけです。これは私は、ある意味においては六千鉱山全部調べるべきだと思います。その中で、大体手をつけなければならぬもの、問題がありそうなものは千鉱山くらいだろうというようなことではだめだ。これは通産省がだめであれば県に委託するとか、そういうことでもって相当早く調べる必要があると思います。四十一年に千二百八十九鉱山あったものが、四十二年に千二百四鉱、四十三年には千百七十三鉱、四十四年に千八十九鉱、四十五年には千を割り九百四十三鉱、こういうふうに稼働鉱はどんどん減っておるわけです。減っておるとなお鉱害という問題に対しては手が届かない問題も起こってくるわけです。そういう意味で、通産局も全力をあげてやりますし、人員の整備、それからいろいろな予算の獲得等もやりますけれども、もっと合理的に調査し処置をしなければならないということに対しては、十分ひとつ配慮いたしてまいりたいと思います。これは古い鉱山は県とか市町村が一番実情を知っておりますので、県に事業をしてもらう、三分の二は補助する、こういうことから一歩進めて、県から実情調査をしてもらう、報告をしてもらうというようなためにも、予算措置も講じなければならないと思います。委託をするのか、そういう問題も勉強いたします。  それから、環境庁が立ち入り検査というような問題がありますが、これは事態によって、環境庁も同じ政府でございますから、法制上どうあろうとも環境庁と相談をして鉱害の除去ということに実効をあげなければなりませんので、環境庁との問題はどうするかというような問題は、法制上の問題もありますからこれもひとつ勉強いたします。
  27. 岡本富夫

    岡本委員 これをしぼってもう少し詰めてみたいと思うのですが、私どもはここに参りまして、ここの排水口の水あるいはまたかまあとの水あるいはヘドロ、こういうものをとりまして試験をいたしました。そうしますと、この廃鉱から出てくるところのそういった水の個所が四十数カ所あるのです。全部はできなかったのですけれども、ここから出てきた水を、まずPHを調べますと四・〇これは強酸性なんです。それから砒素の検出をその場で行ないました。それから、その場で行なうと同時に、また持って帰りまして日本分析化学会に提出しまして、これはきょう初めて発表するのですが、富山大学の斉藤教授ですか、この人に記験をしてもらいますと、排水口の水が〇・五三PPM、これは十倍に薄まりますから、〇・〇五ちょっとこえているのだということになりますけれども、これはたった一ぺんとっただけですからちょっと対象にはならない。これはもっと多いときがあるのではないか、ということは、ちょうど私どもが参りましたときには少し雨が降ったあとで、ちょっと薄められておったように感ずるのです。なぜかならばその水を、渡辺さんという方が養殖をしている養魚池にその水を入れますと、大体推定二時間ぐらいでアマゴあるいはマスが千匹くらい死んでおる。やはり相当強い毒性があるということがわかるわけです。こういうのが四十数カ所から出ているわけです。かまあとの水を調べますと〇・〇六PPM、沈でん池のヘドロのところを見ますと七・八PPM、これは砒素です。こういう分析結果が出たわけでありますけれども、こういうことを考えますと、これは相当民家に近いわけですから、それでこの水を見ても、非常にきれいな水ですから、目には見えない。こういうものを昭和二十六年からずっとほうっておいたわけです。だからその流れているところの和田川ですか、この川には魚がいない。少しすると繁殖するが、また大水が来るとみな死んでしまう。ということは、その上に先ほどお話がありましたようにズリがあるわけです。この堆積場のところの水は、その中には相当砒素が入っている。その沈でん池のヘドロに少し取っただけで七・八PPMあるわけです。ということになりますと、大水のたびに相当な砒素がどんどん下に流れておるということが判断されて、この土地の村長さんも非常に困るということを言っておりました。そういう対策について万全な処置ができるのかどうか。これは相当強酸性を何とか中和しようとすれば、それに対するところの中和剤あるいは設備、そういうようなものもやはり個々の市町村にお願いしなければならぬかもわからぬ。そのときの費用はどうするのか。こういうことになってきますと、島根県の笹ケ谷鉱山ですか、ここは中和をしておるような状態だったのですが、ところが遠ケ根のほうはほうりっぱなしなんですね。それについての一つ一つこまかい対策を立てていったら切りがないといいますか、まあ切りがない。しかしやらなければならない。そういったほんとうの事態調査、屋の鉱山保安局からも、その前に行っているわけです。ところがそういったこまかい実態の報告が、おそらく本省に来てないのではないか。そのためにこれは山下さんという方にあなたのほうから行ってもらったわけですけれども、ところが一向にそういったきめのこまかい、実際に住民に必要な対策が立てられない。こういうことを考えるときに、わざわざ本省から行っても対策を立てないということになりますと、行かないところになったらどういうことになるのだろうと非常に心配な状態であるということを私は申し上げておきたい。それに対するきめのこまかい対策というものをどういうふうにするのか、ひとつもう一度……。
  28. 久良知章悟

    久良知政府委員 この遠ケ根鉱山、廃止された鉱山でございますが、この鉱山の所々にかなりPHの低い水、それから砒素の含有量の多い水があったというお話でございます。この問題、従来の考えと申しますか鉱害防止につきましては、やはり鉱山から出る水が外に対して害を与えないと申しますか、鉱山の中から出る水に主点を置いてやってまいるということできたわけでございます。したがいまして、総合排水と申しますか、一本になって出てくるところでのPHでありますとか砒素の量について、これが有害な限度を越えないようにということを中心にしてやってまいったわけでございますが、最近のようにやはり鉱害問題についてきめのこまかいやり方をやっていかなければならないということになってまいっておるわけでございますので、いわばふるいの目がだんだんにこまかくすることを要求されておるわけでございます。したがいまして、先ほど先生御指摘ございましたように、坑内のそういう排出源のおのおの個々につきましても、それが所定の基準をオーバーしないようにというふうに方向を変えていくということがもちろん必要になってくるわけでございますが、現在においてはやはりまだそういう転換期にあるということでございます。  それから遠ケ根のこういう処置でございますが、これはもちろんただいま先生が御指摘になりましたような点を含めまして、四十七年度の工事で処理をしていきたいと考えておるわけでございます。  それから環境との関係でございますが、先ほど先生御指摘のように、非常に多数の鉱山にやはり問題が伏在するおそれがあるわけでございますので、これは環境庁を通じまして県とも共同をいたしまして、河川の環境基準につきまして、これは一定の基準があるわけでございますが、その基準をオーバーしまたはオーバーするおそれの多いようなところにつきましては、県なり地方の自治体のほうで調べた結果そういう個所が明らかになりますれば、その汚濁源として鉱山ないしは昔鉱山であったところが予想されるというときには、これは監督局部のほうから人を派しまして、その汚濁源について早急に調査をし、対策をとっていきたい、そういうふうな共同の進め方というものを考えておるわけでございます。
  29. 田中武夫

    田中委員長 岡本君に申し上げますが、要求の農林省、大蔵省、労働省、各見えておりますので……。
  30. 岡本富夫

    岡本委員 わかりました。委員長の御配慮ありがとうございました。  そんなおざなりなことを言ってもらっちゃ困るのです。もっときめのこまかい対策をきちっと立ててもらわなければならない。時間があれですから、これはまた次の機会に譲りますが、そこで、大蔵省の主計局から来ておりますね。――この休廃止鉱山のこういった特別の鉱害対策は、これは決して企業にプラスになるのではない。しかしどうしてもやらなければならない。日本列島を公害から防ぐためにはやらなければならないわけでありますから、ひとつ相当な予算を、これは通産省からも要求があると思うのですが、その節はひとつがっちりと検討をしてやってもらいたい。こういうことを時間がありませんから言っておきます。  そこで次に農林省にお聞きしたいのですが、この休廃止鉱山の農産物の被害について調査をしたことがあるかどうか。特にこの遠ケ根の問題からひとつ聞きたい。
  31. 川田則雄

    ○川田説明員 いまお話のございました遠ケ根の鉱山につきましては、岐阜県と打ち合わせをいたしておりまして、岐阜の農業試験場が四月から五月にかけまして実態調査いたしております。その結果によりますと、汚染を受けておるのではないかと想定される水田二十四ヘクタールについて調査をやっております。その結果を申し上げますと、水田では最高一〇五PPM、砒素でございます。それから最低九・七PPM、それからまた畑も一件やっておりますが、この畑では最高三五・九、低いのは二五PPMが検出されております。  なお、休廃止鉱山のことにつきましては、現在休廃止鉱山の影響による土壌汚染についての調査について検討が進められておりますので、予備調査のような感覚で現在行なわれておりますが、この調査の一環としてさらに精密な調査をしなければいけない、そういうぐあいに考えております。
  32. 岡本富夫

    岡本委員 農林省、いまごろ調査調査と言ったらちょっとおかしいですよ。なぜかといいますと、米の割り当て、供出、これがあったころに、供出に対する割り当てに対して、そんなにとれないんだ、どういうわけかというと、こういった砒素公害、こういった鉱山公害によって、非常に割り当てた供出に対してできないんだということで、再三県やあるいは農林省に対してこの地域から何といいますか、嘆願と申しますか、そういうものが出ているわけですね。その原因はどこにあるのかといったらここにあるわけです。ですから、いまごろ調査調査ということは私はどうも――いまこそ少し米が余っているから、だから供出にはやかましく言いませんけれども、もしもこれ食料が足らぬときでそれだけの田に対して何ぼか供出を割り当てする。ところがとれない。この原因はどこにある。こういうことになるわけですね。したがって、この対策については、土壌汚染防止法もありましょうが、土壌汚染防止法といいましても、結局今度は客土とかいろいろなことになると、だれがするのかということになると非常に疑問があると私は思うのですね。きょうはこれ環境庁長官にもこの点聞こうと思ったのですが、これは非常に時間がありませんから次の機会にもう一ぺん詰めます。  そこで労働省来ておりますね。この当鉱山につとめておった人、こういう人たちの労災補償と申しますか、あるいはまたその後の対策について、私が事実一つ一つ点検をいたしますと、もう全部けい肺になったりあるいは砒素による斑点がいっぱい出ておる。こういう人たちに対する救済と申しますか、そういうものが全然国としては行なわれていない。したがって、しかたがないから村で金を出して、村の金で村長さんが見るに見かねて、そして、この治療をさしているのが現状でしたよ。そして、私のほうから労働省のほうへこの話をしますと、あわてて調査をしているような状態なんです。何と昭和二十六年に閉鎖をし、その前にいた人、ほとんどおじいさんですね。それがいままで労働基準局のほうでつかんでいない。つかんでいるといっても、またそのあとの補償をしてあげていないので、しかたがないから村でめんどうをみている、こういうことでは困るのです。私はあなたに一ぺんひとつこの点をよく考えてもらわなければならぬ。これは私どもがここのところへ行って、一人一人会ってみたからわかったものの、そうでないところはわからないと私は思うのです。その点についてひとついかがですか。
  33. 松尾弘一

    ○松尾説明員 ……。
  34. 田中武夫

    田中委員長 政府委員がいるときには、原則として政府委員から答弁するようにし、補足説明が必要なときには説明員の発言を許します。
  35. 中山太郎

    ○中山政府委員 いまお尋ねの遠ケ根鉱山の亜砒酸中毒の問題につきまして、労働省といたしまして、ただいま御存じのように、県が住民の検診を四月からやっております。あるいは元の従業員五十名についてもあわせてやっておりますが、労働基準局としても、この問題については重大な関心をかねがね持っておったわけであります。今回岐阜医大が独自の調査に踏み切るということにつきましては、元の従業員の数がたしか四百九十九名、その中で住居のわかっておる者が今日百八十九名おるわけであります。その住居のわかった住所を岐阜医大に提供いたしまして徹底的にこの調査に協力したい、そういうふうに考えておりますが、御指摘の従来のいわゆる検診に対する考え方の不備につきましては、今後労働省としても十分注意をしながら努力したいと考えております。
  36. 田中武夫

    田中委員長 岡本君、説明員の説明を求めますか。
  37. 岡本富夫

    岡本委員 はい。
  38. 田中武夫

    田中委員長 それでは労働省基準局松尾補償課長。
  39. 松尾弘一

    ○松尾説明員 従来の当鉱山に対する監督並びに指導の状況につきましては、率直に申しまして十分であったというふうには申しがたいのでございますが、従来じん肺あるいは皮膚障害の労災補償の請求は出ておりますし、また、それに対する所要の措置も講じてございますが、いま次官から申し上げましたように、現在私どもとしては古い従業員の把握につとめておりまして、それが大体四百九十九名把握ができましたが、住所の確認のされました百八十九名、これを目下せっかく岐阜大学で実施しようとしますところの検診に当てまして、それが結果を見まして、あるいはまた県の労働者の検診の結果を確認いたしまして、それが砒素によるものであるか、業務に基因するものであるかということを確認の上、十分な補償の実施をいたしたい、こういうふうに考えております。
  40. 岡本富夫

    岡本委員 政府次官、二十五年から二十九年に業務上の疾病によるもの、けい肺が二名、それから砒素性の皮膚炎が一名、こういうようなわずかな、あれだけ大きいたくさんの人がつとめておって、たった三名です。あとの人はどうなっているのかといいますと、全然調査もできていなかった。しかも二十六年にこれはもう閉山しておるのです。私この一つ一つの姿を見まして、相当斑点のある人がいました。いまごろになって岐阜大学あるいはまた県の応援を得て、これでは私、ここは恵那ですか、恵那の基準局は何をしておるのか、おそらくこういうことはもう前からも相当村長から話があったに違いないと思うのですが、ところが全部はねられておった。なるべく労災補償を受けられないようにするのが労働省の行政かということを私は憤りを感じましたよ。だからこれは遠ケ根の問題、私は閉廃止鉱山のたった一カ所だけをとって申し上げておるのです。あとまだ次々とあるわけですが、時間もありませんから、この点はひとつ強力に、何と申しますかこの遠ケ根鉱山をよく調査をして、こういうことがあるのだ、こういうこともあるとなれば、今度はほかの鉱山はどうなっているか、よくひとつ通産省とも連絡をとり、あるいは環境庁の御意見も聞いて、そしてこういったところの労災補償を受けなければならぬ人たちを救っていく、こういう立場にならなければいけないと思うのですが、いかがですか。
  41. 中山太郎

    ○中山政府委員 ただいま御指摘のありました件につきましては、関係各省と十分相談の上、このような事態に対して十分対処をいたしたいと考えております。
  42. 岡本富夫

    岡本委員 最後に一つだけ。  これは兵庫県と大阪府との間を流れているところの猪名川という川でありますが、ここの私どもの調査によりますと、住みよくする会という会がありまして、そこが魚を釣りに行った。ところが大体三匹に一匹のフナがみんな曲がっているというのですね。それでびっくりして農事試験場にこのワナを持ち込みまして調べたところが、カドミが一・四PPM、鉛が三・四PPM、亜鉛が九九PPM。これはみないずれも平均値をとったわけでありますが、内臓からではなくして全部身からとっておるわけですね。そういった検査をしてこれだけ大きな数値が出ておる。この下流に年寄りで、これは城さんと読むのでしょうか、このフナをさしみにして絶えず食べる人がいるのです。この人がいま肝臓障害を起こして入院しているというのですね。この上流を調べてみますと銀山あるいはまた東谷銅山というのがあるのですが、この銀山は二、三年前までは稼働していたように思うのですが、古くは豊臣秀吉時代に銀をここから取ったという古いところであります。この調査を一ぺん、私どもでやってもいいのですが、現在もう閉廃止鉱山になっておるわけです。閉廃止鉱山になっておるわけですが、ひとつぴしっと一ぺん調査をしてもらいたいと思うのです。通産省の確たるところの返事をいただき、それから環境庁長官にひとつ最後に申し上げたいのですが、閉廃止鉱山、これにつきましても、これは所管省が通産省のようでありますけれども、ひとつ各都道府県にいって、そして徹底的に総点検をして、そして通産省のほうにどんどん、こういう状態だ、こういう状態だということを一つずつ明らかにしていっていただきたい。そういう対策を立てなければならぬ。各通産局の状態を見ますと、大阪でもたった八人ぐらいしか動けないのです。これで広範囲でしょう、とても手が足らない。こういうことを考えますと環境庁のほうの協力というものが相当なければ早急な閉廃止鉱山対策はできない、私はこういうように思うのですが、これをひとつあなたにお聞きしたい。
  43. 田中角榮

    田中国務大臣 いま御指摘がございました兵庫県の問題は調査をいたします。
  44. 大石武一

    大石国務大臣 いまの御説は当然だと思います。われわれとしましては、いまそのような六千の鉱山全部に直ちにできるとは申し上げませんが、重要なものから手をつけまして、いろいろな総点検をやりたいといま考えておる最中でございますので、あらゆる努力をいたしてまいりたいと思います。
  45. 田中武夫

    田中委員長 岡本委員の質疑は終わりました。  次に、米原昶君。
  46. 米原昶

    米原委員 ただいま岡本委員から岐阜県の遠ケ根鉱山の実例をあげられましていろいろ質疑が行なわれましたが、これは全く氷山の一角だと思うのです。私たちの調査したところでもいまのような例が無数にあるのではないかという印象であります。そういう点では、休廃止鉱山に対する対策相当思い切った手をいま打たないとたいへんなことになるという印象であります。その点では、いろいろこの問題にぶつかってみまして、一体責任官庁はどこなのか。いまもお話があったように農林省の調査、労働省の調査通産省調査、ばらばらに行なわれていて、しかも一つ一つとってみると、鉱山監督局のほうを見ましてもとても人数が足りない、実際にできないことをやれる、やれるといっていて、いつまでたっても調査調査対策が立たないというような性質の問題だということを痛感したわけです。どうしても今後どうするかということが非常に大切だという印象なんです。  そういう観点から二、三、今後の対策として問題になるような点について聞きたいわけですが、休廃止鉱山による鉱害対策一つは、いまもお話があった、現在も排出している鉱水、ズリによる汚染対策一つですが、同時に過去において蓄積された汚染の除去、それから汚染による被害の補償ということが問題になってくると思うのです。ところで過去の汚染、たとえば河川の底質がどうなっている、田畑の土壌被害、農作物の被害、あるいは人体に対する被害、こういう調査を行なうにしましても、いままでの経験で見ますと、一体この調査を行なう責任官庁がどこにあるのかということでもう痛感するわけです。ばらばらに行なわれているわけなんです。結局、休廃止鉱山についてこういう調査責任をとるべき行政機関はどこだ、これはどういうふうに理解したらいいのか、とまどってしまうのです。最初、それについてひとつ聞きたいのです。
  47. 田中角榮

    田中国務大臣 鉱山法の主管大臣は通産大臣でざいますから、鉱山法に基づく事業から起こった公害という問題に対しては、当然通商産業省が所管をすべき問題だ、こう考えております。しかし、非常にむずかしい技術的な問題については、環境庁でなければならないというものもございますし、それから米とかいろいろな作物の専門的な問題に対してはやはり農林省がやらなければわからぬものもございます。これはいままで公害といわれておらなかったものでも、その後科学や技術の進歩によって、またいろいろな状況が出たことによって公害の重大性が指摘をせられておるものもございますので、いろいろ専門的な分野に分かれる。ただ、これを完ぺきにするには、やはり府県との連絡、府県の機構と十分協力をしてやってもらう。法制上、予算上、いろいろなそういうことを考えないと完ぺきなことは行なえないのではないか、こう思います。
  48. 米原昶

    米原委員 一応そういうふうになっているのだろうと思いますが。  そこで通産省が現在行なっておられる休廃止鉱山調査ですね、四十八年に完了する予定のこの調査の内容ですが、結局通産省の行なわれる範囲というのはさっき出ました農林省がやるとか、労働省がやらなければならぬものとは別なわけですね。ということになるのでしょう。その点をちょっと聞かしておいてもらいたい。
  49. 久良知章悟

    久良知政府委員 通産省で行なっております休廃止鉱山実態調査といいますのは、やはり鉱山中心とした事項に限られるわけでありまして、たとえば坑内水状況でありますとか、それから捨て石だとかからみ等から出てくる廃水、そういうものがどういう公害を及ぼしておる、またその危険があるか、さらにはこの捨て石、スライムというふうなものの流出の状況というものが中心になるわけでございまして、いろいろな底質の問題でありますとか、土壌の問題につきましては、やはり必要に応じましてそれぞれの官庁でやっていただくというたてまえになっておるわけでございます。
  50. 米原昶

    米原委員 実際はいま問題になっている全般的な問題になると、非常に一部しかまだ調査ができないという状態だと思うのです。ただ、休廃止鉱山による公害防止の直接の責任はどこにあるかということになれば、一応通産局長にあるのか、それとも保安監督局長のほうにあるのか、この点も実は明瞭でないのですが、どちらにあるのですか。
  51. 久良知章悟

    久良知政府委員 地方の仕事の分担で申しますと、通産省関係では、鉱山につきましては通産局、それから鉱山保安監督局部とあるわけでございますが、公害につきましての賠償、補償の問題、これは通産局でやるわけでございます。公害の防止の仕事、これは監督局部でやる、これははっきりいたしておるわけでございます。
  52. 米原昶

    米原委員 私、三月十五日の公害・環境特別委員会で久良知局長にこの問題についてちょっと質問したことがあるのです。つまり、鉱業法によると鉱山をやめるというとき、事業を廃止するときには通産局長に通知を出しさえすればいいということになっておるわけですね。なるほど鉱山保安法によって旧鉱業権者が五年間保安責任を負っておるということになっておりますが、これは結局やめたあとの責任を持つということだと思うのです。やめるときの責任の問題ですね。つまり自由主義の立場に立ちますと、やめるかやめないか自由だということで、届けるだけで済ましておるわけですね。しかし実際の問題としていま考えてみますと、鉱山を自分がやろうとするときには、なかなか許可を得るために届けるだけじゃ済まないと思うのですが、やめるときには届けるだけでぱっとやめちゃう。ところが考えてみますと、いまも遠ケ根鉱山の話がありましたが、やめるときにはいろいろなものを残したままでやめているわけです。だから私が聞きたいのは、いまのようにやめるときにただ届けを出してやめるということでいいのかどうかという問題です。このことを今後法改正というものを考えてもらいたいのが一点なんです。やめるときにはやはりあと公害が起こらないように確かめないと、あとでは金を出せといったって、大体やめるくらいのところは資力がないとかいろいろなことで問題になりますが、やはりいまの通産局長に届けさえすれば廃業できるということですね、これは改めたほうがいいのじゃないか、この点について通産大臣どう考えられますか、聞きたいのです。
  53. 田中角榮

    田中国務大臣 これだけのむずかしい問題です。ただ法制上は無理にやめさせないというわけにいかないのです。国会議員にも、なるときにはたいへんですが、やめるときには届け出れば国会議員もやめられるわけでございますから、やめるときに条件をつけたって、これは資力がない、もうからない、どうにもならないということでやめるわけですから、憲法上どうするわけにもいかない。ただ鉱山保安法に無過失賠償の責任さえも書いてあるのでありますし、しかも公害というものが相当長い、鉱業権を放棄してから何年かたたなければ公害実態というものはわからないということでありますので、そういう意味で鉱業権が消減をしても五年間という命令を受ける義務の期間だけではなく、何らか担保をとれるとか、公害責任を果たすための具体的な保障というものが確立されなければならないという趣旨だと思うのです。そういうことをやはりさっきも御発言がございましたが、鉱山経営しているときに、制度上積み立てを行なうとか、何らかの処置が必要だろうということで、いま広範に検討を進めなければならない条項でございますが、やめるときにということはなかなかむずかしい。これは鉱業稚による許可を得て、営業を開始して、事業を行なっている過程において、鉱業法が目的としておるところの公害に対する責任を負えるようにするためには、具体的にどうするかという問題は、十分勉強してまいらなければならぬ問題だと思います。
  54. 米原昶

    米原委員 先日の質問のときに、久良知局長も大体同じ答弁をされたのです。ただ、法律改正しなくても、実際に稼働中に対策をとっておけばいいのだからという答えだったのです。しかし、通産省のほうから出されました「休廃止鉱山周辺重金属鉱害調査について」という四月二十八日付の報告を読んでみましても、たとえば公害防止工事未着手鉱山というのが出ておりますが、その中には、さっき岡本君からも触れられましたが、鉱業権者の住所不明とか、それから資力がないとかいうのがかなりあるというのが報告されているのです。ですから、この点は何かやめるときに、確かに資力がなければ、やめるというなら認めざるを得ないでしょう。しかし、そのときに何らかすぐに措置をとれるような規則ぐらいはつくっておかないとまずいのじゃないか。ほったらかしたままでやめますからね。やめたときならまだいろいろな手があったと思うのです。やめたときに何かやるということをきめておかないとまずい。この点どうでしょうか。
  55. 久良知章悟

    久良知政府委員 この問題につきましては、前に私からお答えを申し上げましたとおりでございますが、先ほど大臣からお話がございましたように、現在の稼行鉱山というのが四十五年末で九百四十三でございますが、これよりかなり数は下回っておるのではないかと思います。御承知のように、鉱山保安監督部といたしましては、公害防止の問題と同時に、災害防止が大きな仕事でございますので、稼行鉱山につきましきは、休廃止鉱山よりはかなり密度濃く巡回をいたしておるわけでございまして、そのときに稼行の状況というふうなものも自然わかってくるわけでございます。ある山が近く休止ないし廃止するのではないかということは大体わかっておるわけでございますので、そういうときに、やめたあとの公害防止ということを考えまして、公害源に対する対策というものを手厚く打たせておるわけでございますが、もちろん先生御指摘のように、やはり鉱山というのが休廃止するのは、俗なことばで言えば刀折れ矢尽きてやむというふうなことが多いわけでございますので、なかなか十分な対策というものを打ちがたい場合もあるわけでございますが、それだけ前広に手を打たせるということに努力をいたしておるわけでございます。その場合に、廃止をいたしましても、やはり五年間につきましては鉱業権者に管理責任があるわけでございますから、やめても命令を出して必ずやらせるぞということが、工事の実施ということに非常に大きな圧力になっておるわけでございますので、それを使いまして今後も十分対策を進めていきたいと思っておるわけでございます。
  56. 米原昶

    米原委員 宮崎県の土呂久に参りまして私も調査したのですが、そのときに福岡市に寄って鉱山監督局長とも会っていろいろ聞いたのですが、そのときに痛感したことの一つは、鉱山保安関係の書類ですね。保存期間がほとんど二、三年ということになっていて、一体以前がどうなっていたかということは全然わからないのですね。そういう点で、行政機関としては一体どういうことをやってきて、どういう点で手抜かりがあったのか全然わからない、保存期間が二、三年ですから。そういう点で、これでは行政機関の責任は明らかにできないということを痛感したのです。この点、大臣はどう考えられますか、こういう点についてどうしたらいいか……。
  57. 田中角榮

    田中国務大臣 これは鉱山ということが非常に歴史が長い、千年の余もということで、長い歴史を持っているということが一つありますし、数が非常に多いということがございます。それから、特に戦時中の乱掘のときの資料は非常に少ないのです。これは海外から資源が入らなかったために、ペイラインに乗らないものをどんどん掘った、こういうことがございましたので、戦争が終ったらこれはもう直ちに、やむを得ず休廃止じゃなくて、当然のように廃止されたわけでございます。それと、やはり重金属というものの中でどれが一体どのように人体に影響があるかということもわからないものもあったわけです。カドミのようにいろいろな新しい物質というものも出てきたわけでございますので、近ごろ公害というものが非常に明確になり、計算もでき、実態調査もできるようになったわけでございます。それで、特に鉱山業者というものが零細であり、数が非常に多かったというところでデータがほとんど残っていない、こういうものもあるわけでございます。だから、現状は、足尾銅山というあのような大きなものであっても、まだ直接原因者であるかどうかを争っておるというようなことで、非常にむずかしい問題がたくさんあったので、いま御指摘のように、どうもいま勉強するには資料不足である、こういうことでありますが、これはやはり追跡調査が可能な限りなすべきだと思います。そうでないと、水系別にもいろいろな問題を起こしておりますし、だからそういう意味で、これからでも、長い歴史をたどりながらでも、学問的にも将来貢献することだと思いますので、理想達成のためにも追跡を行なっていくということに努力をすべきだ、こう考えております。
  58. 米原昶

    米原委員 大臣のおっしゃっていることは私ももっともだと思います。賛成ですが、そのためには、いまも言いましたけれども、公害保安関係の文書管理規程を変えないといけないのじゃないかと思う、そういうことを痛感したのです。ですから、現在のが一体どうなっているか、これもわれわれは明確には知らない点がたくさんあるのですが、この公害保安関係の文書管理規程をひとつ委員会に出してもらえないか。これは検討する必要があると思うのです。ひとつ委員長からもお願いいたします。
  59. 田中武夫

    田中委員長 いかがですか。――出すそうです。
  60. 米原昶

    米原委員 それでは環境庁長官に聞きますが、休廃止鉱山の所在する地域の生活環境、つまり住民の健康と暮らしの実態ですね。いま問題になりました遠ヶ根鉱山のあたりもずいぶん実態はいろいろ問題があるようですし、土呂久鉱山でもそのことを痛感したのです。こういう問題について環境庁のほうは調整されているのか、あるいは今後調査される計画があるのか、この点を聞きたいと思うのです。
  61. 大石武一

    大石国務大臣 休廃止鉱山によるいろいろな環境汚染の問題は、その実態を把握し、これをどう処理するかということにつきましては、わずか一、二のことでは、いままで問題になりましたことでは、そのような調査検討をいたしておりますが、全体的な調査はまだいたしておりません。しかし、これはほっておくわけにまいりませんので、ただいま環境庁が中心となりまして、通産省、農林省、厚生省、労働省、こういう役所といま協議をいたしまして、そうしていろいろな、総点検と申しましても、必ずしも五千、六千の山をやるわけにはいきませんので、そのうちの何分の一かを選びまして、そうして一番問題になりそうな山から総点検と申しますか、いろいろの問題、あるいは農地の問題、水の問題、すべての問題につきまして総点検をいたすべく準備中でございます。現在の段階では、県に対しましてこのような方法でやりたいけれどもどうかということを、諮問と申しますか、問い合わせをいたしている段階でございます。もし詳しい計画がお聞きになりたいならば、政府委員から答弁させたいと思いますが……。
  62. 米原昶

    米原委員 石炭鉱山については石炭鉱害臨時二法がありますが、金属鉱山については何もないわけなんです。石炭金属では、先ほども話がありましたが、形態は違いますが、鉱山状況汚染被害、住民の健康と生活、こうしたことを少なくとも総合的に調査して総合的な対策を立てることが急務だと思うわけです。  もう一つ、環境庁の岡安局長に私、三月十五日にやはり質問したのですが、そのときに、宮崎県の土呂久の下流の五カ瀬川の総点検をやる、三月末までに完了する予定だという答弁がありましたが、まだその結果をわれわれ聞いてないのです。これはどうなっているかということを岡安局長から聞きたいのです。
  63. 岡安誠

    ○岡安政府委員 土呂久鉱山につきましては、先ほど大臣からお答えいたしました一斉点検の前に、昨年度中に調査をするということで、これは三月末に終了いたしております。目下、県で資料を取りまとめ中でございますので、私どもの見通しといたしましては、今月の末ごろには公表できる段階になろうかというふうに考えております。
  64. 米原昶

    米原委員 それでは最後に申しますが、休廃止鉱山鉱害対策はとにかくたいへんおくれていた、そうしてたまたま問題が起こってくるとたいへん深刻になっていることがわかってきたというのが現状だと思うのです。ですから、単に発生源だけの調査というよりも、全面的な調査、これはもう労働省も農林省も全部入れた総合的な調査を早急にやって総合的な対策を立てないと、たいへんな手おくれになると思うのです。そういうことをぜひやっていただきたいと思うので、通産大臣のこの点についての総合的な見解を伺いまして質問を終わりたいと思います。
  65. 大石武一

    大石国務大臣 ただいまの御意見はごもっともでございます。私ども、ほんとうは、いままではその問題が出ましてからいろいろな調査なり対策を立てておりましたが、これは行政ではおくれておると思います。おっしゃるとおり、先取りするように、やはりできるだけ早い機会にできるだけ多くの鉱山につきまして総点検をすべきだろうといま考えておりまして、その手始めとして、先ほど答弁申し上げましたような、百教十カ所でございますが、その休廃止鉱山につきまして、各省庁とも十分な連携をとりまして調査をする段階にいま入ったわけでございます。  先ほど通産大臣から非常に責任を感ずる答弁がありましたが、この休廃止鉱山の全体の問題の責任官庁はどこであるかと申しますと、やはり最後には環境庁が責任を負ってやらなければならないと考えます。なるほど、鉱山そのものは通産省の所管でございますので、あくまでも通産省責任を持たなければならないという通産大臣のりっぱなお答えであります、御覚悟でありますけれども、問題は環境がどのように汚染されておるか、環境をどのように保全するかということが最後の問題でございます。そういう意味では、環境保全という立場からやはり環境庁が責任を持たなければならないでしょうし、十分に――しかし、それは環境庁だけでは何もできません。やはり通産省なり農林省なり厚生省なり、そういうところと全面的な協力をいたし、お互いに相談、協力をして、そして最後にその環境の保全の策を講ずる、その策を講ずるのは、やはりわれわれは口だけは出しますけれども、仕事はほかの役所がやるわけでございますので、そういうことで、一応総合的な責任はわれわれがとりますけれども、全部の相談、協力においてこのことを推進してまいりたいと考えておる次第でございます。
  66. 田中角榮

    田中国務大臣 膨大もない鉱山の数ではございますが、可能な限り最大の努力をしながら実態調査をいたしたいと思います。そして現に稼働しておる鉱山に対しては鉱害を起こさないように万全の措置をとる。また休廃止鉱山といえども、これが実態を明らかにして鉱害が現に存在をすれば、これが防止に対してしかるべき措置をとれるように、予算上、また資金上、人員増強の上にも十分な配慮を続けてまいります。  それから環境庁との連絡、それから大学に対する委託、それから府県との協調、そういう問題にまだまだ考えなければならないものもあります。そういう面に対しても、真剣な配慮を続けてまいりたい、こう存じます。
  67. 田中武夫

    田中委員長 米原君の質疑は終わりました。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時十一分散会