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1972-06-16 第68回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月十六日(金曜日)     午後一時十四分開議  出席委員    委員長 田中 武夫君    理事 始関 伊平君 理事 八田 貞義君    理事 林  義郎君 理事 藤波 孝生君    理事 山本 幸雄君 理事 島本 虎三君    理事 岡本 富夫君 理事 西田 八郎君       伊東 正義君    左藤  恵君       羽田  孜君    葉梨 信行君       橋本龍太郎君    松本 十郎君       村田敬次郎君    阿部喜男君       加藤 清二君    佐藤 観樹君       土井たか子君    古寺  宏君       浦井  洋君    米原  昶君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大石 武一君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局取引部長 熊田淳一郎君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         環境政務次官  小澤 太郎君         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁次長   藤村 弘毅君         通商産業政務次         官      稻村左近四郎君         通商産業省公害         保安局長    久良知章悟君         通商産業省化学         工業局長    山形 栄治君         労働省婦人少年         局長      高橋 展子君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局総合研究         課長      石渡 鷹雄君         環境庁自然保護         局鳥獣保護課長 仁賀 定三君         厚生省薬務局製         薬第一課長   岡  浩策君         厚生省薬務局監         視課長     松田 政一君         農林省農地局参         事官      住吉 勇三君         通商産業省繊維         雑貨局審議官  仲矢  鍛君         運輸省港湾局計         画課長     鮫島 泰佑君         郵政大臣官房資         材部長     斎藤 義郎君         建設省河川局水         政課長     伊藤 晴朗君         建設省河川局治         水課長     岡崎 忠郎君     ————————————— 委員の異動 六月十六日  辞任         補欠選任   小島 徹三君     左藤  恵君   中島源太郎君     羽田  孜君   阿部喜男君     佐藤 観樹君   米原  昶君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   左藤  恵君     村上信二郎君   羽田  孜君     中島源太郎君   佐藤 観樹君     阿部喜男君   浦井  洋君     米原  昶君     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  自然環境保全法案内閣提出第一一四号)  公害対策並びに環境保全に関する件(ポリ塩化  ビフェニール汚染問題等)  休廃止鉱山鉱公害対策の確立に関する件  光化学スモッグ対策に関する件  請 願   一 狩猟者団体法制定に関する請願勝間田     清一紹介)(第六号)   二 同外三件(宇野宗佑紹介)(第一一八号)   三 同(勝間田清一紹介)(第一一九号)   四 同外二件(後藤俊男紹介)(第一二〇号)   五 同外一件(中井徳次郎紹介)(第一二一     号)   六 同外二件(福井勇紹介)(第一二二号)   七 同(藤尾正行紹介)(第一二三号)   八 同外二件(村田敬次郎紹介)(第一二四     号)   九 同外三件(森下國雄紹介)(第一二五号)  一〇 同(山下徳夫紹介)(第一二六号)  一一 同(阿部文男紹介)(第一八二号)  一二 同外二件(上村千一郎紹介)(第一八三     号)  一三 同(仮谷忠男紹介)(第一八四号)  一四 同(小峯柳多君紹介)(第一八五号)  一五 同(佐藤孝行紹介)(第一八六号)  一六 同(地崎宇三郎紹介)(第一八七号)  一七 同(松浦周太郎紹介)(第一八八号)  一八 同外四件(三池信紹介)(第一八九号)  一九 同外一件(三木武夫紹介)(第一九〇号)  二〇 同外二件(天野公義紹介)(第二一三号)  二一 同外一件(荒木萬壽夫紹介)(第二一四     号)  二二 同外二件(伊藤宗一郎紹介)(第二一五     号)  二三 同外三件(浦野幸男紹介)(第二一六号)  二四 同(加藤六月紹介)(第二一七号)  二五 同外一件(川端文夫紹介)(第二一八号)  二六 同外四件(小山省二紹介)(第二一九号)  二七 同外一件(後藤俊男紹介)(第二二〇号)  二八 同(關谷勝利紹介)(第二二一号)  二九 同外一件(高鳥修紹介)(第二二二号)  三〇 同外十三件(辻寛一紹介)(第二二三号)  三一 同(西田八郎紹介)(第二二四号)  三二 同外二件(根本龍太郎紹介)(第二二五     号)  三三 同(森下元晴君紹介)(第二二六号)  三四 同外二件(早稻田柳右エ門紹介)(第二     二七号)  三五 同(池田正之輔君紹介)(第二六九号)  三六 同外一件(大野市郎紹介)(第二七〇号)  三七 同外一件(亀山孝一紹介)(第二七一号)  三八 同外二件(小金義照紹介)(第二七二号)  三九 同外二件(佐々木義武紹介)(第二七三     号)  四〇 同(西村英一紹介)(第二七四号)  四一 同(藤本孝雄紹介)(第二七五号)  四二 同外一件(坊秀男紹介)(第二七六号)  四三 同(松澤雄藏紹介)(第二七七号)  四四 同外二件(下山徳夫紹介)(第二七八号)  四五 同(大竹太郎紹介)(第三一〇号)  四六 同外一件(菊池義郎紹介)(第三一一号)  四七 同外二件(正示啓次郎紹介)(第三一二     号)  四八 同(高橋英吉紹介)(第三一三号)  四九 同(中村梅吉紹介)(第三一四号)  五〇 同外一件(橋本龍太郎紹介)(第三一五     号)  五一 同外五件(藤井勝志紹介)(第三一六号)  五二 同(星立篤郎紹介)(第三六〇号)  五三 同外三件(天野公義紹介)(第三六一号)  五四 同外一件(大村襄治紹介)(第三六二号)  五五 同(角屋堅次郎紹介)(第三六三号)  五六 同外一件(田川誠一紹介)(第三六四号)  五七 同(田中正巳紹介)(第三六五号)  五八 同外二件(田村元紹介)(第三六六号)  五九 同(高鳥修紹介)(第三六七号)  六〇 同外一件(中垣國男紹介)(第三六八号)  六一 同(福田一紹介)(第三六九号)  六二 同外二件(山本幸雄紹介)(第三七〇号)  六三 同外一件(廣瀬正雄紹介)(第三八〇号)  六四 同(安田貴六君紹介)(第三八一号)  六五 同外四件(植木庚子郎君紹介)(第四〇五     号)  六六 同(大竹太郎紹介)(第四三五号)  六七 同外一件(木部佳昭紹介)(第四三六号)  六八 同外一件(鯨岡兵輔紹介)(第四三七号)  六九 同外四件(高見三郎紹介)(第四三八号)  七〇 同外十件(谷垣專一君紹介)(第四三九号)  七一 同(中村弘海紹介)(第四四〇号)  七二 同(濱野清吾紹介)(第四四一号)  七三 同(三ツ林弥太郎紹介)(第四四二号)  七四 同(成田知巳紹介)(第四八四号)  七五 同外三件(大久保武雄紹介)(第五九四     号)  七六 同外一件(鹿野彦吉君紹介)(第五九五号)  七七 同外一件(笠岡喬紹介)(第五九六号)  七八 同外一件(久野忠治紹介)(第五九七号)  七九 同(佐伯宗義紹介)(第五九八号)  八〇 同(佐々木秀世紹介)(第五九九号)  八一 同外二件(島村一郎紹介)(第六〇〇号)  八二 同(南條徳男紹介)(第六〇一号)  八三 同外一件(野呂恭一紹介)(第六〇二号)  八四 同外一件(羽田野忠文紹介)(第六〇三     号)  八五 同(山下徳夫紹介)(第六〇四号)  八六 同(進藤一馬紹介)(第六三四号)  八七 同外三件(田中榮一紹介)(第六三五号)  八八 同(中島茂喜紹介)(第六三六号)  八九 同外三件(松野幸泰紹介)(第六三七号)  九〇 同外二件(福田篤泰紹介)(第六七九号)  九一 同外三件(武藤嘉文紹介)(第六八〇号)  九二 同(吉田実紹介)(第六八一号)  九三 同外七件(鍛冶良作紹介)(第七六三号)  九四 同(植木庚子郎君紹介)(第七九四号)  九五 同(荒木萬壽夫紹介)(第八三六号)  九六 同(成田知巳紹介)(第八七三号)  九七 同外二件(野中英二紹介)(第八三八号)  九八 同(森山欽司紹介)(第八三九号)  九九 同外五件(金子一平紹介)(第九一四号)  一〇〇 同(本名武紹介)(第九一五号)  一〇一 同外二件(坪川信三紹介)(第九八五号)  一〇二 同(山本幸一紹介)(第九八六号)  一〇三 同外三件(山村新治郎君紹介)(第九八七      号)  一〇四 同(宇都宮徳馬紹介)(第一二七二号)  一〇五 同(金子岩三紹介)(第一二七三号)  一〇六 同外三件(小金義照紹介)(第一二七四      号)  一〇七 同外六件(古屋亨紹介)(第一二七五号)  一〇八 同外一件(山本幸一紹介)(第一二七六      号)  一〇九 同外四件(野田卯一紹介)(第一三三八      号)  一一〇 同(山崎平八郎紹介)(第一三三九号)  一一一 同外一件(加藤常太郎紹介)(第一五五      三号)  一一二 同(椎名悦三郎紹介)(第一五五四号)  一一三 同(篠田弘作紹介)(第一五五五号)  一一四 同外一件(田川誠一紹介)(第一五五六      号)  一一五 同外一件(早川崇紹介)(第一五五七号)  一一六 同外七件(河野洋平紹介)(第一六〇九      号)  一一七 同外六件(福田篤泰紹介)(第一六一〇      号)  一一八 同(三原朝雄紹介)(第一六一一号)  一一九 同(坂村吉正紹介)(第一六五二号)  一二〇 同(山崎平八郎紹介)(第一六五三号)  一二一 同外三件(小此木彦三郎紹介)(第一七      七四号)  一二二 同(田川誠一紹介)(第一七七五号)  一二三 水俣病名称変更に関する請願外十一件      (坂田道太紹介)(第一七一六号)  一二四 狩猟者団体法制定に関する請願相川勝      六君紹介)(第一八五五号)  一二五 同(小沢一郎紹介)(第一八五六号)  一二六 同(草野一郎平紹介)(第一八五七号)  一二七 同(小山長規紹介)(第一八五八号)  一二八 同(河野洋平紹介)(第一八五九号)  一二九 同(齋藤邦吉紹介)(第一八六〇号)  一三〇 同(瀬戸山三男紹介)(第一八六一号)  一三一 同(小峯柳多君紹介)(第一九五九号)  一三二 水俣病名称変更に関する請願外二件      (白浜仁吉紹介)(第一八六二号)  一三三 同外一件(園田直紹介)(第一八六三号)  一三四 同外一件(高橋清一郎紹介)(第一八六      四号)  一三五 同外二件(藤波孝生紹介)(第一八六五      号)  一三六 同外二件(山本幸雄紹介)(第一八六六      号)  一三七 同外二件(向山一人紹介)(第一八八八      号)  一三八 同外一件(根本龍太郎紹介)(第一九五      五号)  一三九 同外一件(藤尾正行紹介)(第一九五六      号)  一四〇 同外二件(松野幸泰紹介)(第一九五七      号)  一四一 同外一件(森美秀紹介)(第一九五八号)  一四二 狩猟者団体法制定に関する請願足立篤      郎君紹介)(第二〇一一号)  一四三 同(鯨岡兵輔紹介)(第二〇一二号)  一四四 同(野原正勝紹介)(第二〇一三号)  一四五 同(藤波孝生紹介)(第二〇一四号)  一四六 同外一件(三原朝雄紹介)(第二〇一五      号)  一四七 同(河野洋平紹介)(第二〇八〇号)  一四八 同外三件(松野頼三君紹介)(第二〇八一      号)  一四九 同(池田禎治紹介)(第二一三八号)  一五〇 同(中村寅太紹介)(第二二〇一号)  一五一 水俣病名称変更に関する請願外一件      (笠岡喬紹介)(第二〇八二号)  一五二 狩猟者団体法制定に関する請願中山正      暉君紹介)(第二二一二号)  一五三 同外三件(山手滿男紹介)(第二二一三      号)  一五四 同(小此木彦三郎紹介)(第二三五〇号)  一五五 同外二十三件(島村一郎紹介)(第二三      五一号)  一五六 同(中島源太郎紹介)(第二三五二号)  一五七 同(菅波茂紹介)(第二四〇九号)  一五八 同(田畑金光紹介)(第二五二九号)  一五九 同(大石八治君紹介)(第二六一二号)  一六〇 同外三件(大野明紹介)(第二六一三号)  一六一 同外一件(田中六助紹介)(第二六一四      号)  一六二 同外二件(松永光紹介)(第二六一五号)  一六三 同(久保田円次紹介)(第二六五〇号)  一六四 同(江藤隆美紹介)(第二六九七号)  一六五 瀬戸内海の汚染防止対策に関する請願      (橋本龍太郎紹介)(第二八一六号)  一六六 狩猟者団体法制定に関する請願鴨田宗      一君紹介)(第二八九九号)  一六七 同外二件(細田吉藏紹介)(第二九一八      号)  一六八 同(松永光紹介)(第二九一九号)  一六九 同(坪川信三紹介)(第二九九四号)  一七〇 同(天野光晴紹介)(第三〇六二号)  一七一 同(荒舩清十郎紹介)(第三二〇六号)  一七二 同外二件(櫻内義雄紹介)(第三二八三      号)  一七三 同(中村寅太紹介)(第三二八四号)  一七四 同(橋本登美三郎紹介)(第三三二八号)  一七五 同(葉梨信行紹介)(第三三二九号)  一七六 名古屋港西五区の渡り鳥渡来地保存に関      する請願赤松勇紹介)(第三五〇〇号)  一七七 狩猟者団体法制定に関する請願鯨岡兵      輔君紹介)(第三六五五号)  一七八 名古屋港西五区の渡り鳥渡来地保存に関      する請願佐藤観樹紹介)(第三六五六      号)  一七九 同(辻寛一紹介)(第三六五七号)  一八〇 狩猟者団体法制定に関する請願外一件      (大橋武夫紹介)(第三七七五号)  一八一 同(箕輪登紹介)(第四〇五七号)  一八二 名古屋港西五区の渡り鳥渡来地保存に関      する請願中野四郎紹介)(第三七七六      号)  一八三 同(久野忠治紹介)(第三八七七号)  一八四 同(春日一幸紹介)(第四〇六三号)  一八五 同(横山利秋紹介)(第四〇六四号)  一八六 石鎚山系自然保全に関する請願(井岡      大治君紹介)(第三七七七号)  一八七 同(井野正揮君紹介)(第三八七八号)  一八八 同(田中武夫紹介)(第四〇五八号)  一八九 同(田中恒利紹介)(第四〇五九号)  一九〇 同(内藤良平紹介)(第四〇六〇号)  一九一 同(松浦利尚君紹介)(第四〇六一号)  一九二 山梨山岳地帯自然保護に関する請願      (瀬野栄次郎紹介)(第四〇六二号)  一九三 交通公害による環境破壊未然防止に関      する請願相沢武彦紹介)(第四〇六五      号)  一九四 同(浅井美幸紹介)(第四〇六六号)  一九五 同(新井彬之君紹介)(第四〇六七号)  一九六 同(有島重武君紹介)(第四〇六八号)  一九七 同(伊藤惣助丸君紹介)(第四〇六九号)  一九八 同(小川新一郎紹介)(第四〇七〇号)  一九九 同(大久保直彦紹介)(第四〇七一号)  二〇〇 同(大野潔紹介)(第四〇七二号)  二〇一 同(大橋敏雄紹介)(第四〇七三号)  二〇二 同(近江巳記夫紹介)(第四〇七四号)  二〇三 同(岡本富夫紹介)(第四〇七五号)  二〇四 同(沖本泰幸紹介)(第四〇七六号)  二〇五 同(鬼木勝利紹介)(第四〇七七号)  二〇六 同(貝沼次郎紹介)(第四〇七八号)  二〇七 同(北側義一紹介)(第四〇七九号)  二〇八 同(桑名義治紹介)(第四〇八〇号)  二〇九 同(小濱新次紹介)(第四〇八一号)  二一〇 同(古寺宏紹介)(第四〇八二号)  二一一 同(斎藤実紹介)(第四〇八三号)  二一二 同(坂井弘一紹介)(第四〇八四号)  二一三 同(鈴切康雄紹介)(第四〇八五号)  二一四 同(瀬野栄次郎紹介)(第四〇八六号)  二一五 同(田中昭二紹介)(第四〇八七号)  二一六 同(竹入義勝君紹介)(第四〇八八号)  二一七 同(鶴岡洋紹介)(第四〇八九号)  二一八 同(鳥居一雄紹介)(第四〇九〇号)  二一九 同(中川嘉美紹介)(第四〇九一号)  二二〇 同(中野明紹介)(第四〇九二号)  二二一 同(西中清紹介)(第四〇九三号)  二二二 同(林孝矩紹介)(第四〇九四号)  二二三 同(樋上新一紹介)(第四〇九五号)  二二四 同(広沢直樹紹介)(第四〇九六号)  二二五 同(伏木和雄紹介)(第四〇九七号)  二二六 同(二見伸明紹介)(第四〇九八号)  二二七 同(古川雅司紹介)(第四〇九九号)  二二八 同(正木良明紹介)(第四一〇〇号)  二二九 同(松尾信人紹介)(第四一〇一号)  二三〇 同(松尾正吉紹介)(第四一〇二号)  二三一 同(松本忠助紹介)(第四一〇三号)  二三二 同(丸山勇紹介)(第四一〇四号)  二三三 同(宮井泰良紹介)(第四一〇五号)  二三四 同(矢野絢也君紹介)(第四一〇六号)  二三五 同(青柳盛雄紹介)(第四一〇七号)  二三六 同(浦井洋紹介)(第四一〇八号)  二三七 同(小林政子紹介)(第四一〇九号)  二三八 同(田代文久紹介)(第四一一〇号)  二三九 同(谷口善太郎紹介)(第四一一一号)  二四〇 同(津川武一紹介)(第四一一二号)  二四一 同(寺前巖紹介)(第四一一三号)  二四二 同(土橋一吉紹介)(第四一一四号)  二四三 同(林百郎君紹介)(第四一一五号)  二四四 同(東中光雄紹介)(第四一一六号)  二四五 同(不破哲三紹介)(第四一一七号)  二四六 同(松本善明紹介)(第四一一八号)  二四七 同(山原健二郎紹介)(第四一一九号)  二四八 同(米原昶紹介)(第四一二〇号)  二四九 同外一件(木原実紹介)(第四一二一号)  二五〇 同(田中武夫紹介)(第四一二二号)  二五一 石鎚山系自然保全に関する請願阿部      未喜男紹介)(第四二七六号)  二五二 同(藤田高敏紹介)(第四二七七号)  二五三 同(古川喜一紹介)(第四二七八号)  二五四 同(青柳盛雄紹介)(第四五五〇号)  二五五 同(伊藤惣助丸君紹介)(第四五五一号)  二五六 同(木島喜兵衞紹介)(第四五五二号)  二五七 同(田代文久紹介)(第四五五三号)  二五八 同(谷口善太郎紹介)(第四五五四号)  二五九 同(中野明紹介)(第四五五五号)  二六〇 同(樋上新一紹介)(第四五五六号)  二六一 同(山原健二郎紹介)(第四五五七号)  二六二 交通公害による環境破壊未然防止に関      する請願阿部喜男紹介)(第四二八      〇号)  二六三 同(梶山静六紹介)(第四二八一号)  二六四 同外三件(始関伊平紹介)(第四二八二      号)  二六五 同(田中武夫紹介)(第四二八三号)  二六六 同(土井たか子紹介)(第四二八四号)  二六七 同(八田貞義紹介)(第四二八五号)  二六八 同(浜田幸一紹介)(第四二八六号)  二六九 同(木原実紹介)(第四五六七号)  二七〇 山梨山岳地帯自然保護に関する請願      (瀬野栄次郎紹介)(第四四一三号)  二七一 同(瀬野栄次郎紹介)(第四五四九号)  二七二 狩猟者団体法制定に関する請願天野公      義君紹介)(第四五四七号)  二七三 同(中川一郎紹介)(第四五四八号)  二七四 同(進藤一馬紹介)(第四六七二号)  二七五 同(進藤一馬紹介)(第四七四二号)  二七六 同(登坂重次郎紹介)(第四七四三号)  二七七 同(橋本登美三郎紹介)(第四九〇六号)      ————◇—————
  2. 田中武夫

    田中委員長 これより会議を開きます。内閣提出自然環境保全法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 自然環境保全法案、その確認だけははっきりしておきたい点二点について質問いたします。  それは附則関係でありますけれども、附則の第二条にいうこの政策そのものを本案に繰り込まなかったその理由と、もう一つは、これに必要な法律はいつごろ立法する予定なのか、その基本的な内容をどのように考えているか、この際ですから、明らかにしていただきたいと思います。
  4. 大石武一

    大石国務大臣 都市を中心とする緑化の環境保全につきましては、建設省といろいろ打ち合わせをいたしまして、その手配を進めておりますが、残念ながらいろいろな時間的その他の制約によりましてこれを本法律案に盛り込めませんでしたことは、まことに遺憾であります。これは明年度には、つまり次通常国会には必ず、建設省と十分に協力の上、法律案を提出する覚悟であります。よろしくお願いいたします。
  5. 島本虎三

    島本委員 次に、五月十五日を期して沖繩も今後は本法の適用を受けることに相なろうかと思いますけれども、沖繩そのもの荒廃はもうすでに相当の域に達しておることは、長官御存じのとおりでありますが、特に西表島の自然林破壊、これはもう目に余るものがあるわけであります。製紙会社の請負いによって開発し、林道もつけて、現在ではその復活すら困難ではないか、こうさえいわれておるわけでありますけれども、当然今後はその復活に全力を尽くさなければなりませんし、あのような荒廃の状態を沖繩に今後再び起こさせるようなことをしてはならない。これまでいろいろ製紙会社その他の問題は問題がございますけれども、今後は環境庁の手によって、沖繩のこの自然の環境保全、これだけは百万県民のためにも勇気を持って行なってもらいたい、この要請であります。これはわれわれも往々にして耳にしておりますが、今後の開発の問題もあります。いままでの荒廃の復旧の問題もあります。この二つをあわせて今後重大な決意を持って臨んでもらいたいと思いますが、ひとつ決意の表明をお願いしておきたいと思います。
  6. 大石武一

    大石国務大臣 お話しのとおり、沖繩はいままでわれわれの手も及びませんでしたが、残念ながら相当面環境破壊が行なわれていることは確かでございます。これにつきましては、幸いに環境庁としても、これに関与する、これを守るだけの権限を持つことができましたので、全力をあげまして沖繩環境保全、ことに豊かな自然環境の保全につきましては、あらゆる努力をいたす決意でございます。そして西表につきましては幸いに一万ヘクタールの原生林は確保いたしましたが、さらにいままで破壊されたものにつきましても、できる限りの復元の努力をいたす決意でございます。
  7. 島本虎三

    島本委員 同じ問題ですが、林野庁の長官、これはやはり今後長官としても黙っておけない問題でもありますが、林道をつけたために起こった被害も相当だと聞いております。これに対してははっきり対処していただきたいと思いますが、この際ですから御答弁を求めます。
  8. 福田省一

    福田(省)政府委員 林道につきましては、最近、自然環境破壊という点に関して工事の点で非常に遺憾な面があるということの御指摘を受けているわけであります。沖繩がこちらに戻りました段階におきまして十分現地も検討いたしまして、今後さようなことのないように指導と監督に厳重を期してまいりたい、かように思います。
  9. 島本虎三

    島本委員 終わります。
  10. 田中武夫

    田中委員長 これにて自然環境保全法案の質疑は終了いたしました。     —————————————
  11. 田中武夫

    田中委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  12. 田中武夫

    田中委員長 では速記を願います。  この際、委員各位と十分協議し、私の手元で起草いたしました内閣提出自然環境保全法案に対する修正案を提出いたします。
  13. 田中武夫

    田中委員長 その趣旨について御説明申し上げます。  修正案はお手元に配付してありますので、案文の朗読はこの際省略させていただき、その要旨について御説明いたします。   自然環境保全法案委員会修正要旨 一 基礎調査は、おおむね五年ごとに行なうようにつとめるものとすること。 二 知識の普及等の規定を教育活動等を通じて自然環境の確保の必要性について国民の理解を深めるための措置を講ずべき旨の規定に改めること。 三 地域開発施策等において自然環境の保全について配慮するものとしているのを、配慮しなければならないものと改めること。 四 環境庁長官または都道府県知事は、その職員のうちから、自然保護取締官等を命じ、違反行為者等に対する中止命令等の権限の一部を行なわせることができる旨の規定を設けること。 五 都道府県は、特別地区の指定等につき行なう環境庁長官との協議には、自然環境の保全に関する計画を添えるものとすること。 六 都道府県が自然環境の保全のために起こす地方債については、適切な配慮をするものとすること。  以上が修正案を提出した趣旨と内容であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  14. 田中武夫

    田中委員長 修正案について御発言はありませんか。     —————————————
  15. 田中武夫

    田中委員長 なければ、次に、内閣提出自然環境保全法案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに自然環境保全法案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、本案に対する修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  16. 田中武夫

    田中委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いた原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  17. 田中武夫

    田中委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  18. 田中武夫

    田中委員長 本案に対し、始関伊平君、島本虎三君、岡本富夫君、西田八郎君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を求めます。島本虎三君。
  19. 島本虎三

    島本委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、内閣提出自然環境保全法案に対する附帯決議を付すべしとの動議について御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。    自然環境保全法案に対する附帯決議   政府は、本法の施行にあたり、特に次の諸点  につき適切な措置を講ずべきである。  一、政府は、原生自然環境保全地域の指定にあ   たつては、残された貴重な原生の自然状態に   ある地域について、もれなく指定するよう努   めること。  二、政府は、この法律の適切な実施運用を図る   ため、現地管理体制の確立について格段の努   力をすべきである。この場合において、司法   警察員としての権限を持つ自然保護取締官制   度の創設につき、次期国会を目途として検討   すること。  三、自然環境の保全対策を強力に推進するため   には、国または地方公共団体が、保護すべき   自然環境を有する土地を直接買い上げ、これ   を適正に保護整備することが必要である。こ   のような観点から土地買取り対策の確立につ   いて抜本的な検討を行なうこと。  四、政府は、自然環境保全審議会の委員の構成   にあたつては、自然科学者および社会科学者   を含む適正な人選を行なうこと。  五、政府は、無秩序な開発が、回復不可能なま   でに自然環境破壊している現状にかんが   み、自然環境を適切に保全するための土地利   用計画等について積極的に検討すること。  六、政府は、都市地域における自然環境破壊   が都市生活を極度に悪化させている現状にか   んがみ、都市地域の自然環境の回復について   積極的に検討すること。  以上でありますが、この動議の趣旨につきましては案文中に尽くされておりますので、省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  20. 田中武夫

    田中委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  21. 田中武夫

    田中委員長 起立総員。よって、さよう決定いたしました。  この際、大石環境庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。大石環境庁長官
  22. 大石武一

    大石国務大臣 ただいまの御決議につきましては、十分にその趣旨を体しまして、懸命の努力をいたす決意でございます。     —————————————
  23. 田中武夫

    田中委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 田中武夫

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  25. 田中武夫

    田中委員長 ただいま始関伊平君、島本虎三君、岡本富夫君、西田八郎君及び米原昶君から、休廃止鉱山鉱公害対策の確立に関する件について、また始関伊平君、島本虎三君、岡本富夫君、西田八郎君から光化学スモッグ対策に関する件について、決議すべしとの両動議がそれぞれ提出されております。  まず、休廃止鉱山鉱公害対策の確立に関する件について、趣旨の説明を求めます。岡本富夫君。
  26. 岡本富夫

    岡本委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党を代表いたしまして、休廃止鉱山鉱公害対策の確立に関する件について、決議すべしとの動議について御説明いたします。まず案文を朗読いたします。    休廃止鉱山鉱公害対策の確立に関する件   最近、各地の休廃止鉱山において、カドミウム等の重金属による鉱公害があいついで顕在化し、重大な社会問題を惹起するに至つている。休廃止鉱山の鉱公害は、その影響するところ極めて広範かつ深刻であるので、これについてはもとより鉱業権者等が全面的な対策を講ずべきではあるが、なかには鉱業権者等の不存在又は鉱業権者等が無資力である場合等が数多くみられ、現行の対策では必ずしも十分とはいえない実情である。   また稼行鉱山に存在している蓄積鉱公害源を早期に処理し、閉山時に鉱公害問題を発生させることのないよう指導する必要がある。   よつて政府は、休廃止鉱山鉱公害対策について万全を期するため、早急に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、休廃止鉱山における捨石鉱さいたい積場、坑口等の鉱公害発生源の実態を適確に把握するため、現在通商産業省の実施している調査の一層の拡充及び促進を図るとともに、休廃止鉱山周辺地域における人の健康及び生活環境の被害の実態を総合的に把握するため、早急に関係各省庁及び関係都道府県等の協力体制を確立し河川の水質土壌の汚染状況を含め総点検を行なうこと。  二、鉱山鉱公害行政の推進のため、処理体制の充実を図るとともに関係各省との連絡体制を密にすること。特に毒劇法等の適用される鉱山については通商産業、厚生両省の間で十分連絡をとること。  三、休廃止鉱山における鉱公害防止を迅速かつ効果的に行なうため、休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金制度について拡充強化を図るとともに、稼行および休止鉱山における蓄積鉱公害の除去ならびに閉山時に行なう鉱公害防止工事等に必要とされる資金確保のため、制度の画期的改善を検討すること。  四、休廃止鉱山および周辺地域における地域住民並びに元従業員の健康診断を積極的に実施し、医療救済等適切な救済措置を行なえるよう現行関係法制全般について検討すること。    なお元従業員については労働者災害補償保険法の適用を積極的におこない被害者の救済をはかること。  五、休廃止鉱山の鉱公害の除去および防止等を含め鉱公害問題を総合的に処理するための措置の確立に努めること。  六、休廃止鉱山に由来する土壌汚染については、原因者が明確を欠き、または無資力である場合が少なくない現状にかんがみ、国においても積極的にその改善につとめること。 以上であります。  この動議の趣旨についてでありますが、本件は、先般来から当委員会におきまして、参考人から意見を聴取するなど熱心に論議を続けてまいったところであります。その内容につきましては、案文中にも尽くされておりますので、この際説明は省略させていただきます。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  27. 田中武夫

    田中委員長 次に光化学スモッグに関する件について趣旨の説明を求めます。島本虎三君。
  28. 島本虎三

    島本委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、光化学スモツグ対策に関する件について、決議すべしとの動議について御説明いたします。  まず案文を朗読いたします。    光化学スモツグ対策に関する件   光化学反応による大気汚染(光化学スモツグ)は、最近首都圏に頻発し、また他の都市においても発生をみるに至り、重大な社会問題となつ  ている。   政府は、本問題の重要性と緊急性にかんがみ、次の諸点につき、速やかに適切な施策を推進すべきである。  一光化学スモツグの発生機構の解明を図るとともに、その人体へ及ぼす影響の究明に努めること。  二光化学スモツグの要因物質である窒素酸化物及び炭化水素並びにオキシダントの環境基準を早急に設定すること。  三自動車排出ガスの抜本的な低減方策の検討を急ぎ、その早期実施に努めるとともに、無公害自動車の開発を推進すること。  四光化学スモツグの要因物質である窒素酸化物についての防除技術の開発、実用化を推進すること。  五光化学スモツグの発生を適確に把握し、所要の措置を迅速にとれるよう予報及び監視測定体制を整備すること。  六光化学スモツグによる被害者に対する適切な臨床医学的な診断及び治療の方法の確立に努めること。  七国民に対する光化学スモツグについての知識の普及を図るとともに、光化学スモツグによる被害がとくに学童を中心に発生しているので、学校保健対策の充実を図ること。  八光化学スモツグ対策を推進するに当つては、都市における総合的な大気汚染対策のほか、都市圏における運輸交通体系の改善等を含め、各種の対策を総合的に推進すること。 以上であります。  この動議の趣旨についてでありますが、最近における光化学スモツグのひんぱんな発生と被害状況から本件は喫緊の課題となっており、先日も当委員会において、参考人から意見を聴取するなど論議してまいったところであります。したがいまして、案文によって、十分御理解いただけると思いますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  29. 田中武夫

    田中委員長 以上で、両決議案の趣旨の説明は終わりました。  おはかりいたします。  ただいまの始関伊平君外四名提出の動議及び始関伊平君外三名提出の動議のごとく、休廃止鉱山鉱公害対策の確立に関する件及び光化学スモッグ対策に関する件、以上の両件を本委員会の決議とするに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 田中武夫

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際、大石環境庁長官より、ただいまの両決議に対し発言を求められておりますので、これを許します。大石環境庁長官
  31. 大石武一

    大石国務大臣 ただいまの二つの決議につきましては、十分にその御趣旨を尊重いたしまして、関係省庁とも十分に連絡の上、善処してまいります。
  32. 田中武夫

    田中委員長 次に、稻村通商産業政務次官。
  33. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)政府委員 ただいまの決議に対しまして、政府といたしましても、その御趣旨に対し、善処してまいりたいと思います。
  34. 田中武夫

    田中委員長 なお、ただいまの両決議の関係方面への参考送付等の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 田中武夫

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  36. 田中武夫

    田中委員長 これより請願審査に入ります。  本委員会に付託されました請願は二百七十七件であります。  本日の請願日程全部を議題とし、審査を進めます。  審査の方法についておはかりいたします。  本請願の内容につきましては、先刻の理事会において御検討いただきましたので、紹介議員よりの説明等は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 田中武夫

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  採決いたします。  本日の請願日程第一ないし第一二二、第一二四ないし第一三一、第一四二ないし第一五〇及び第一五二ないし第二七七の請願は、いずれも採択の上、内閣に送付するべきものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 田中武夫

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、ただいま議決いたしました本請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 田中武夫

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  40. 田中武夫

    田中委員長 この際、御報告申し上げます。  本委員会に参考のため送付されました陳情書は、自然保護法の早期制定に関する陳情書外二十四件であります。念のため御報告申し上げます。      ————◇—————
  41. 田中武夫

    田中委員長 次に、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。  細谷治嘉君外七名提出、環境保全基本法案及び  細谷治嘉君外八名提出、   公害に係る被害の救済に関する特別措置法案並びに  公害対策並びに環境保全に関する件以上、各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 田中武夫

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、閉会中委員派遣承認申請の件についておはかりいたします。  閉会中、審査案件が付託され、委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 田中武夫

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、派遣委員の人数、氏名、派遣地、期間及び所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 田中武夫

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  45. 田中武夫

    田中委員長 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
  46. 林義郎

    ○林(義)委員 国会の最終日でございますが、時間もありませんので簡単に御質問申し上げます。  先般、当委員会において参考人を招致いたしまして、生野鉱山のイタイイタイ病の問題につき意見の聴取をいたしました。生野鉱山の問題につきまして、なかなか、県当局と萩野医師との問において見解の相違があった、しかもいろいろとそういったことがありますので、実は現地の対策も非常におくれておるように拝察いたしました。私はやはりこの問題は被害者を救済するという観点に立ってまず取り上げるべき問題であろうと考えますが、なかなか医学的究明ができないというのが実情のように思われるのであります。そこで、やはりそういった点からいたしまして、この前、どうしても学説が二つあって、それが対立したままで置いてあるということでありますから、私は、そういった二つの対立した学説のもとに置くだけではいけない、早急にこの辺の解決をはかっていく必要があると思うのであります。当日ここに出てこられましたカドミウム研究会の会長をしておられます方も、そういったことはやりたいと言っておられますが、環境庁のほうでこの辺をプッシュしていただき、できるだけ早くこういった会合を開いてやっていただきたい、こう思うわけでございますが、環境庁、この辺についてどういうふうにお考えになっておられますか、お尋ねいたします。
  47. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 林先生の御意見、ごもっともでございます。環境庁としては御趣旨に沿った処置を早急にやりたい、こう思います。   〔委員長退席、山本幸雄委員長代理着席〕
  48. 林義郎

    ○林(義)委員 事務当局が来ておられませんので、次官にどうもこまかいお話を申し上げて恐縮でありますが、実はこの前のお話のときに非常に問題になったと思いますのは、政務次官も聞いておられましたけれども、ビタミンDが相当影響しているのではないかというお話であります。ところで四十三年の五月八日の「富山県におけるイタイイタイ病に関する厚生省の見解」というのがありますが、いわゆる「イタイイタイ病という疾患を形成した」云々というような本文の問題ではなくて、最後に「治療法としてはビタミンDの大量投与を」云々ということが書いてあります。この前の話によりますと、ビタミンDの大量投与というものも相当に問題であるということでもあります。  それからもう一つの点を申し上げますならば、そのイタイイタイ病に関する厚生省の見解の中に、「本病に関する原因究明のための調査研究についてはこれをもって終止符を打ち、」云々ということがございます。したがって、これはどうもやはりこの辺についての修正をしていただく必要があるのではないだろうか。  それからイタイイタイ病の「本態と発生原因について」ということにつきましては、先ほど申し上げましたイタイイタイ病の研究集会におきまして、できるだけ早く結論を出してやっていただくということが私は必要だろうと思いますし、もしもそういった結論が出たならば、環境庁としてはそれをお取り上げになる考えがあるかどうか、これは次官にも一度お尋ねいたしましたけれども、あらためてお尋ねをしておきます。
  49. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 私も参考人の意見聴取のところに出させていただいておりまして、よく伺いましたが、私の受けた印象といたしましては、どうも学問的にはっきりしたものがない、専門家の意見がまっこうから対立しておるという状況でございます。現在のよるべきものとしては、厚生省の見解によらざるを得ないような状況でございます。しかし研究の段階があの当時よりさらに進んでおると思いますので、この点については厚生省におかれましても十分検討してもらいたい、イタイイタイ病とカドミウムとの関係は、あれが誘因になっておるというような表現でございます。ビタミンDとの関係もあるような表現をいたしております。そういうことでありますので、これは政府としましても、お説のとおり、現在進んでおりまする研究を踏まえまして、また足らぬところはもっと研究していただきまして、公式な見解をはっきりしてもらいたい、こう思っております。
  50. 林義郎

    ○林(義)委員 それでは、実はその当日におきまして私は参考人にもお願いしまして資料を出していただくことにしたわけですが、また委員長にもお願いいたしまして、委員長名におきまして富山県のほうにいろいろな資料を出していただく。私はいろいろな公正なデータを出していただいて、ほんとうに学問的な研究をやっていただくことこそ真の態度だろうと思いますので、環境庁においてもよろしくお取り計らいのほどをお願いいたします。  それから、問題は全然別でございますが、ことしの五月ぐらいから全国各地におきまして毒ガス弾が海の中に放棄されておるという問題がございます。実は、私は山口県のほうでございますが、山口県の宇部沖におきましても相当にあるということであります。詳しいことは時間の関係上省略させていただきますが、宇部沖では相当山のように積んであるという話でありますし、サルベージをやった方も——松川商店の方ということでございますが、やった方も実際見ておられます、証言もしておられます。私はこれはぜひ早急に解決していかなければならないと思いますが、解決をするにあたりまして、私は、単にそこがどういうふうなことがある、安全であるという問題ではなくして、やはり住民一般に対して、これはもう全然危険ではない、毒がスの毒性試験それから化学的な試験もすべてを含めまして、ほんとうに危険はないということをやはり言ってもらわなくては、住民としては安心できないと思うのであります。調べてみますと、環境庁でやるのか、海上保安庁でやるのか、防衛庁でやるのか、どこでやるのかなかなかわからないというのが実情のようであります。これはまずどこがおやりになるのか、それからいろいろな毒性試験、化学試験というものをやって、ほんとうに住民が不安がないというところまでやっていただけるのかどうか、この点についてお尋ねします。
  51. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 この問題につきましては、環境庁と総理府が中心となりまして関係省庁の協議会を持ちまして、それぞれ分担をはっきりきめております。御指摘の宇部沖の問題は防衛庁でやってもらうことになりまして、その専門、それに適格な船を二隻使いまして至急にやることにいたしております。持ってきましたものの毒性の調査等は厚生省にお願いして権威ある検査をやる、こういうことにいたしております。これは宇部沖に限らず、全国そのような方法でやることにいたしておりますので、御了承いただきたいと思います。
  52. 林義郎

    ○林(義)委員 もう一つお尋ねしますが、いま毒性の問題等についてお話がございましたけれども、私もしろうとでありますからよくわかりませんけれども、毒性ということだけでなくて、さらに化学的に影響がないというような点についての調査をやはりやっていただかないとどうも不安でしょうがないという声があるようであります。その辺につきましては試験の方法もなかなかむずかしいようでありますが、やはり旧海軍というか、旧駐留軍といったところが捨てたのでありますから、やはり国のほうにおいてしかるべき処置をしていただかなければならぬだろうと思うのであります。この辺についてどういうふうになっているのかお尋ねします。
  53. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 毒性の検査、調査をするということは、ただ調べるだけではございませんで、仰せのとおり、それに対する対策をあわせて講ずるということでございますから、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  54. 林義郎

    ○林(義)委員 ひとつ、政務次官も山口県の御出身でありますし、元の知事でありますから、ぜひ万遺漏なきように、住民に絶対に不安のないようなところまで徹底的にやっていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  55. 山本幸雄

    山本幸雄委員長代理 この際、午後三時まで休憩いたします。    午後一時五十五分休憩      ————◇—————    午後三時九分開議
  56. 田中武夫

    田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島本虎三君。
  57. 島本虎三

    島本委員 まず、要求政府委員がそろっていないようですが、郵政省関係おりますか。——通産省関係おりますか。——科学技術庁関係おりますか。——通産省関係はいる……。  ちょっと場違いにならないように、時間ももったいないですから、一応聞いておきますが、PCBに対して通産省は、前回、九月一日までに開放性のものは製造禁止させ、その他のものの措置は別に講ずることにしておった、業者は自主的に生産は開放性のものは六月一日を限度にして停止した、こういうようなことであったわけです。開放性のものの処理方法、または閉鎖性のものに対しての取り扱い、回収、こういうようなものに対しては万遺憾なきを期するように、前回、委員会で決議されてあるわけです。これに沿うていままでずっとやっておりますか。現在までの情勢に対して中間報告を求めます。
  58. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 お答え申し上げます。  開放系につきましては、いまお話しのように回収、それに関連する生産の停止等について先般通知を出しまして、その後鋭意あれしておりますが、特に感圧紙につきましては、現在通産内部におきまして関係者で委員会を発足させまして、たしか六月の九日だったと思いますが、いろいろと検討した結果委員会をつくりまして、今後の回収体制等の確立をいま進めておるわけでございます。なお、閉鎖系の電気器具等につきましても省内に委員会をつくりまして、関係省とも連絡をとりながら、今後の回収及びその焼却等の措置を進めてまいりたい、こういうことで進んでおるわけでございます。
  59. 島本虎三

    島本委員 特にこれは郵政大臣に関係いたしますので、いま郵政大臣は参議院のほう少し手あきじゃないかと思いますから、委員長のほうから郵政大臣に来るように一度督促しておいてもらいたいと思います。  PCBの製品にかわる、いわゆるPCBが含まれていないといわれている最近のノーカーボン紙から、最近またしてもPCBが発見されているといううわさをちょいちょい聞くのですが、通産省はこの指導をどのようにしてなすっておりますか。こういうようなおそれは全然ありませんか。ないとすれば、いままでの決議その他によって、これがはたしてうわさにとどまるものであるならばいいのですが、そうじゃないようです。高知県の高知市、新潟県の新潟市の県立病院、また神奈川県の川崎市、こういうようなところで多量のPCBが含まれているノーカーボン紙が出回っていることがわかっておりますけれども、環境庁長官、こういうようなことを知っていますか。通産省もこういうようなことを知っていますか。
  60. 岡安誠

    ○岡安政府委員 PCBを使っていないと称されるノーカーボン紙からPCBが発見されているというお話でございますけれども、環境庁としましてはまだそういう報告には接しておりません。
  61. 仲矢鍛

    仲矢説明員 お答えいたします。  各地でいろいろノーカーボン紙を調査されたという新聞記事等は承知しております。そして出たという話のあるつど、私どもその出たところに照会して調べております。調べておりますが、従来の故紙、使い古しのやつその他とまぜて調査されている事態が多いようでありまして、新しいノーカーボン紙といいますか、PCBの使用をやめさせた以後のものについてはPCBは出ておりません。
  62. 島本虎三

    島本委員 PCBは出ておらない、こういうことのようでありますが、しかし、出ておらないにこしたことはないのです。ただはっきり申しまして、ノーカーボン紙が出回っているということで、それにかわる毒性のもの、またはいろいろと調べた結果、その調査資料そのものも完全であるという点検をなしておられましょうか。この点は若干学術論争にもなろうかと思いますが、まずそれを十分点検してございますか。
  63. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 ノーカーボン紙向けのPCBの代替品につきましては、現在アルキルナフタリン系統のものとアルキルジフェニール、二種類販売がされておりまして、このものにつきましては、複数の大学の検査が済んでおりまして、一応急性、亜急性につきましては安全性が確認されておるわけでございます。ただし、分解性試験につきましては必ずしも完全な検査が終了いたしておりませんで、通産省といたしましても、念のために現在通産省傘下の微生物工業技術研究所に試験依頼中でございまして、現在まだ結果が出ておりませんけれども、近くその結果も出ようかという段階でございます。いずれにしましても、われわれのほうでは、物質の性格から言いましても、PCBに比較いたしまして塩素を含んでおりませんので、相当程度毒性は低いものであろうかと類推はできるわけでございますが、いま申し上げましたように、分解性試験につきましては目下試験を継続中でございます。
  64. 島本虎三

    島本委員 では、この急性毒性、亜急性毒性について、十分これは無毒の検査がなされておるというような話ですが、これに間違いありませんか。
  65. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 ただいま申し上げましたように、二つ種類がございますけれども、アルキルナフタリンのほうにつきましては、毒性試験を東京歯科大学衛生学教室及び金沢大学の医学部両者で行なっております。なお、アルキルビフェニールのほうにつきましては、その毒性試験は日本大学医学部薬理学教室及び昭和大学医学部第一薬理学教室の両者で試験を完了いたしております。なお、急性毒性及び亜急性毒性につきましては、安全性の確認を、たしか金沢大学と、ちょっといま失念いたしましたけれども、大学におきましてマウス関係の試験をいたしまして、一応その数値についてはわれわれは確認いたしておる次第でございます。
  66. 島本虎三

    島本委員 では、一つ一つお聞きいたしますが、これらの薬品をつくっているところはどことどこですか。
  67. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 アルキルナフタリンにつきましては呉羽化学工業でございます。それからアルキルビフェニールにつきましては日本石油化学株式会社でございます。
  68. 島本虎三

    島本委員 これらのメーカーの安全証明書はつけてありますか。
  69. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 これは先ほど申し上げましたそれぞれの大学の試験結果を添付して、われわれのほうにも届け出ております。
  70. 島本虎三

    島本委員 では、その呉羽化学が研究を依頼されたのはどっちですか。
  71. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 これは最初に申し上げましたほうの東京歯科大学衛生学教室と金沢大学の医学部でございます。
  72. 島本虎三

    島本委員 この毒性試験を依頼された東京歯科大学の川合講師は、すでにこの問題についてはっきり明言していますがね。私のデータはあくまで予備テストにすぎず、安全性を云々できない、それなのに企業は安全性を宣伝しており、私は企業にだまされ、利用されたものであるとして、呉羽化学に抗議をしているのです。この事実を通産省はどういうように見るのですか。
  73. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 確かに新聞報道で、川合教授ですか、助教授ですか、いま先生がお読み上げになったような趣旨がございましたが、われわれのほうに正式にこの呉羽化学の品物につきます毒性試験成績というのが提出されておりまして、そこでは、先ほど来申し上げましたように、この呉羽の製品につきまして危険性はPCBより少ない、それから急性毒性では、こまかく技術的になりますがPCBの約二分の一程度であるというような趣旨の、ほかにも書いてございますが、正式に書類上そういう提出はなされております。
  74. 島本虎三

    島本委員 これはもう単なる新聞記事だけの問題じゃありません。これは川合講師がすでにこの問題についてはっきり明言しているのです。PCBにかわるものだとして、こういうような試験結果が具体的でないもの、またこれを企業に有利にするようなものをかってに通産省が認めてやっておるということは解しかねる。  それからもう一つ、では次にいきますが、日本石油化学はどっちのほうをやっていますか。
  75. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 日本石油化学株式会社のほうにつきましては、先ほども申し上げましたように、日本大学の医学部薬理学教室と昭和大学医学部第一薬理学教室でございまして、その結果によりますと、急性毒性につきましては対マウスでPCBの約半分ぐらい、それから、ちょっと私もこまかくてあれでございますが、亜急性毒性につきましても、これは対ラットで試験をいたしておりまして、一カ月間、毎日キログラム当り〇・五ないし〇・〇〇一グラムを投与しましたところ、七十七匹中二匹死亡せるも、他はほとんど変化なしというようなことの試験結果が添付されておるわけであります。   〔委員長退席、林(義)委員長代理着席〕
  76. 島本虎三

    島本委員 この日石ハイゾールSASについても、これは試験を依頼された日本大学の斎藤教授と徳永講師のレポートを資料にして出したものでありますけれども、日石化学の安全証明書も、専門家の判断によれば次のような点に問題があるということをはっきり指摘している。というのは、催奇形性試験が行なわれているかどうか、行なわれていない。それから慢性毒性の試験、これは六カ月以上必要なんですが、はたしてこれが行なわれていたのかどらか。それから代謝試験、これは吸収、分布、代謝、排せつ、こういうようなことも必要なのでありますけれども、これも行なわれたかどうか。それから繁殖試験、これも行なわれておらない。五は発ガン性の試験、これは一年以上必要なんですが、まだ一年以上もやっておらないままこれを出している。六はアレルギー性の試験、七は神経系統試験であります。この七種類の実験が必要とされているのでありますけれども、すべてこれも省かれてしまっている。この溶剤は単一成分ではなくて、複数の混合物質であるから、以上のような試験はぜひ必要なはずである、それをしていないのはおかしいじゃないかということが、専門家のこれに対する疑念なんです。こういうような点を指摘されているのです。あなたはこれは間違いないのだと言うけれども、こういうような試験を完全にして出したのですか。やっておりますか。
  77. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 御指摘のとおり、各方面にわたります詳細な検査は非常に不十分でございます。現在日本石油化学といたしましては、それらのいろいろな要素を含めました慢性毒性試験を続行いたしております。これは四月に開始いたしまして、日大医学部のほうで現在検査を続行いたしておる段階でございます。  確かに発ガン性等々完全な検査をしませんで販売した点は認めざるを得ません。先ほども言いましたように、通産省といたしましても、傘下の試験所でいまいろいろと試験を続行、会社側といたしましてもいろいろとやっておるわけでございまして、不十分でありながらすべり出した点は認めざるを得ないわけでございます。
  78. 島本虎三

    島本委員 少なくとも、PCBにかわるもの、毒性なしといって証明してやっているものが、こういうような不完全な試験結果によって出して、専門家に指摘されている。それだけじゃありません。急性毒性試験、これはラット一種類の動物のみで見ているのです。実際にはマウスその他最低二種類もしくはそれ以上の実験が必要なんです。たとえばサリドマイドに関しては、この奇形児はラットに出なかったのです。ところが、ある種のマウスには出たのです。むろん、人間、サル、ウサギには出たのですから、したがって、二種類以上の実験が必要だということは自明の理なんです。この半数致死量、LD50が雄雌ともに一・七グラム・パー・キログラムだからこれは低毒性だ、こういうふうに言って販売しているのです。ところが、科学技術庁の資料によると、PCBの三クロル体では、同じラット半数致死量、LD50が雄一・六、雌一・五グラム・パー・キログラム。PCBの四クロル体のLD50は雄が一・九、雌が一・七グラム・パー・キログラムであり、これは日石ハイゾールSASと同じ状態です。これをもって安全だと言うことはPCBと同じ失敗を再び繰り返すことになるじゃありませんか。この安全だという証明はいかなる根拠ですか。
  79. 石渡鷹雄

    ○石渡説明員 カネミ油症事件につきまして科学技術庁が予算を支出いたしました研究調査では、ただいま先生御指摘のとおりの数字でございます。
  80. 島本虎三

    島本委員 そうだとすると、急性毒性試験については科学技術庁の指摘と同様だとすると、通産省、どこに安全性があるのですか。再びPCBと同じあやまちを繰り返すことになるじゃありませんか。
  81. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 先ほども申し上げましたように、対マウスでございますと安全性は私は確かにあると思うのでございますけれども、対マウスだけでは非常に不十分だという先生の御指摘でございますが、日石化学の対マウスはLD50で三グラム・パー・キログラムでございまして、われわれといたしましては、PCBに比較して相当程度の安全性というふうに考えたわけでございますが、一つの試験結果だけで判断することの不十分さということも認めざるを得ないと思いまして、先ほども申し上げましたように、現在広い意味での慢性毒性等も含みました試験を継続いたしておるわけでございます。
  82. 島本虎三

    島本委員 それから半数致死量、LD50が雄雌ともに一・七グラム・パー・キログラムだから低毒性だ、こう言っていることをそのまま信用して、低毒性だと言っておるけれども、科学技術庁のほうではそうではないとはっきり言っているのです。こんなものを毒性がないなんと言って出すのは不見識ですよ。これは重大な警告をしておかないといけない。  それから亜急性の毒性試験について、これはどういうふうにしておりましたか。これは第一に、ラットだけではきわめて不十分だということはおわかりです。そうですね。同様に最低二種類の動物を使った実験が必要である。こういうようなことをやっておるのですか。亜急性についても、これははっきりやって、安全性の証明をしておりますか。
  83. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 ちょっとおことばを返すようになりますけれども、PCBの非常に問題になりました一番の点は、分解性が非常に少なくて、したがって蓄積性が非常に高い、この点が最大の問題だったわけでございます。いまの代替物につきましては、組成が炭化水素系統でございまして、物質の性格からいいましても、分解性、蓄積性につきましては、一般の石油系の物質とほぼ同じ性格であり、その辺につきましては、先ほど来説明のとおり精密な検査をいまやっておるわけでございますが、毒性につきましては、先生の御指摘のとおり、マウス、ラット等の検査がなされておるわけでございますが、われわれの判断の一番最初に、PCBの毒性そのものよりも、その非分解性、蓄積性のほうが非常に大きな問題であるという意識がございまして、その辺の点を非常に大きな問題として考えておったわけでございますので、若干そういう不備があったかと思いますが、今後、先ほど来申し上げましたような点に留意いたしまして、より一そういろいろな検査なり確認なりを進めていきたい、こう思っておる次第でございます。
  84. 島本虎三

    島本委員 これはやはり何かというと業者のために、毒性がないというとすぐそのまま信用してそのまま販売に回すということはよろしくない。ましてPCBの場合ではっきりこりているはずです。同じようなことを二度やるなんということは許されない。そうして、第二に、死亡例が四匹あり、これは「死亡原因は突然であることから不手ぎわによる誤飲によるものとも思われ、ハイゾールSASによると考えられる死亡例はなかった。」こういうように言っておるわけですけれども、これは薬のためとも考えられないわけではなく、これだけの実験では決して断定できるものではないとこれまた専門家が言っておるわけです。肝臓が大きくなり、かつ総コレステロール、S−GOT、それからアルカリフォスファターゼ、そういうものが上昇していて、肝臓の機能にはっきりした障害が認められるのだ。このことが結果の判定で全く無視されている。これは専門家がはっきり指摘しているのです。肝細胞に何ら著変を示していないんだ、こう書かれているじゃありませんか。肝細胞の変化をほんとうに見るには長期慢性毒性の試験が必要であることは、御存じのとおりなんです。それもやっていない。それもやっていないで、肝細胞に何ら著変を示しておらない、こう書かれておるんであります。また睾丸の萎縮という子孫に重大な影響を与える可能性が実験では認められているのに、結果においては無視されている。こういうようなことを平気でやっているじゃありませんか。これらのこういう事実、少なくとも六カ月以上の慢性毒性の試験、それから繁殖実験その他先ほどの数種類の実験をぜひとも行なわなければならないことを示しているはずなんだ。これをやっておらない。それで無害だといって、これをまた宣伝し売りに出している。こういう無害な証明がありますか、通産省。とんでもないことです。  それだけじゃないです。時間の関係で次まで言いますからこれを聞いてそのあとで答弁してください。と同時に措置してください。  第一に、そもそも実験の計画の立て方、こういうような点もはっきり調べておかないとだめなんです、科学技術庁も。当然必要な実験を落としていて、きわめて不十分、ずさんな実験をしておる。第二には、このようになされた実験の結果すら、企業にとって都合の悪いデータは無視するという、二重のごまかしをやっているのです。結論として今度はSASの安全性が証明されたといっている。この問題、実はこの実験を担当した徳永講師自身が言っているのです、これだけでは安全とは絶対に言えない、この段階で結論は決して出せない、もう一段階の実験がなくては亜急性の毒性の試験としても不十分である、こう言っていることなんです。そして一緒にやった斉藤教授も、これに関して次のように言っているのです。この実験だけでは全く不十分であり、もっと必要な実験をしなくてはならないし、しようと思っているんだ、こう述べているのです。それなのに無毒であるということにして、こういうようなことは一切口をつぐんで言わないで売り出されている。これは呉羽化学のKMC油、日石化学のハイゾールSASについても、試験した医学者本人が、これは安全を証明していることには少しもなっていないのだ、こう述べていることなのです。こういうものを売り出されているのです。通産省、もっとこれに対して措置しなければいけません。それと同時に科学技術庁、こういうようなことを通産省がやった場合、なぜ十分これを検討させないのですか。これは環境庁、公害に関しては環境庁も責任があるのです。第二のPCBじゃありませんか、これ。これは、毒性が出てきて、あとから追っかけていってもどうにもならないでしょう。一体これに対してどういうようにお考えですか。実験した教授も講師もはっきり言っているのです。
  85. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、いろいろと試験、確認等に不備がありましたことは認めておるわけでございますが、現在、役所及び企業側といたしましても試験を続行いたしております。われわれのほうといたしましても、なお今後全体の持っていき方といたしまして、通産省の中にございます軽工業技術審議会に諮問をいたしまして、こういう毒性のある蓄積性の高い物質をどういうふうにチェックし、どういう基準でこの生産を行なわせるかということについて、早急に検討を進める用意があるわけでございますが、なおこれは必要があれば立法措置もいたしたいと思っておる次第でございます。ただ、立法まで時間がかかりますので、早急に審議会の御意見等も聞きまして、行政的にも、いま先生のいろんな御指摘の点も含めまして十分な対策をもって臨みたい、こう思っておる次第でございます。
  86. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  87. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 速記を始めて。
  88. 島本虎三

    島本委員 じゃ、結論を急いでくれということで残念なんですけれども、これで逃げたと思ったらだめですよ。  専門家によると、この溶剤は、いまおっしゃったようにナフチル基それからフェニル基、こういうものを持つ生体内では代謝されにくい、構造を持っていて体内に蓄積されるおそれが十分にあるんだ、こう言っている。PCBは蓄積される。この代用品としてできたものは分解して蓄積されがたいからということで、皆さんのほうはこれを許しておるが、その実験が不十分である。それももう不十分なマウスによるところの、またこういうような生物によるところの実験、こういうようなものに対して不足である。当然考えられる七種類の実験もやっておらない。しかしながらこれは蓄積されるおそれが十分にあるという指摘がある。したがって、この内臓内の薬品の蓄積量、これはまだ分析されていない。分析したならいい。まだ分析もしていないで安全だとして出しておる。こういう安全性がありますか。そもそもその企業が成分を明らかにすることさえもしないのであるから、定量分析も困難であろうと思われますし、先般参考人としてこの委員会で御意見を開陳されました愛媛大学の立川助教授によりましてもアルキルナフタリンとトリフェニール、こういうものの蓄積性はPCBより大きいのだと指摘しておるのです。しかもこれを使った紙は温度の高い部屋に積んでおけば気化されやすいので肺からも体内に入ってくるのだ、こういうように指摘されておるのです。したがって、手袋、サック、こういうようなものはないよりはましだけれども気休めにすぎないのだとはっきり証言しておるのです。これを現在最も大量に扱っておるのは郵政省です。したがって、働いておるのは労働者であることを考えたなら、安全証明書つきだということで、今度はもう指をなめながらこれを使用しておる。これは一体どういうことですか。——郵政関係来ていますか。——これを放置しておいていいのですか。安全性がほんとうに証明されるまでカーボン紙に切りかえて、なぜ安全のためにやらぬのですか。ノーカーボン紙でなければ品位を保たれないのですか。この辺を明らかにしていただきます。郵政省。
  89. 斎藤義郎

    斎藤説明員 郵政省としましては、ノーカーボン紙の関係につきまして、関係官庁と十分連絡をとりながら、安全性については万全を期したいと考えております。
  90. 島本虎三

    島本委員 まことにりっぱな答弁であります。そういうようなことばかりやるからマル生運動が起きて、そういうようなことに従う人がマル生運動に走っていって、職場全体が暗くなってしまう。そういう単純な考え方で押しつけるからそうなる。去年の十二月に全面更改したはずの定額郵便貯金預入申込書、これは全部回収したということになっておりますが、まだ古いPCB使用のものが多数使用されているということがはっきりしたのですが、あなたは国会にうそをついていましたか。これは全部回収して使われておらないということを予算委員会の分科会であなたは表明した。チの一一一六号。これは使っておりませんか。これを使っている県は最も早くから郵政省としてPCB感圧紙の更改に力を入れた県ですよ。ほんとうに使っていませんか。使っているとすれば、国会に対してうそを言ったことになる。
  91. 斎藤義郎

    斎藤説明員 さきの予算委員会でも申し上げましたように、郵政省は十三種類のPCB入りのノーカーボン紙を調達しておったわけでありますけれども、いろいろな各方面からの御指摘もございましたので、直ちに調達を中止いたしまして、それから調達済みの式紙類は全部これをやめるという方針を立てまして、現在は十三種類のうち一種類を除いて全部切りかえが完了いたしております。あとの一種類につきましても今月中、六月中には切りかえが完了する予定でございます。それから、ただいま先生が申されましたのは、非常に申しわけございませんけれども、実は定額貯金の預入申し込み書、これがPCBが入っておったものを従来は使っておったわけでございますが、御指摘がございましてから全部旧製品と新製品はテープで色分けしまして切りかえることにいたしましたが、一部につきまして、たとえば香川県の一宮郵便局でございますけれども、あやまって使ったという事例がございましたので、さっそく回収いたしまして、混用することが絶対ないようにということで、はなはだ申しわけございませんが、そういう事例が一件ございました。
  92. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  93. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 速記を始めて。
  94. 島本虎三

    島本委員 二回注意されました。それは骨身にこたえております。  これは大事なところなんです。これはあなた、もう全部回収したと言いながら、まだいまだに使っているのが香川県、こういうようなことはだめですよ。ほんとうにやめたというなら全部やめなさい。三月の国会からいま六月、六月ももう終わらんとするのに、まだ終わりませんけれども、そういうような中で三カ月間も国会をごまかしている、こういうようなことは許されません。いま郵政省内で使っている新しいノーカーボン紙にPCBが含まれている、こういうようなことに対しては、全部知っているんです。ノーカーボン紙にもそういうようなものが含まれているということと、今度郵政省自身が従業員の健康保持のために十分検討しておらない、残念なことですけれども。これをあぶないなと思って調べた。その労働者は県のほうのそういうようなものを衛生センターへ持っていったら一件一万円、それも一カ月以上の期間が必要だからといって難色を示した。自分の健康を守るために一体どうすればいいんですか、こういう人たちは。あなたが国会を欺いてから三カ月もたっている。特にこの問題については一番扱う量が多いのは婦人労働者です。婦人労働者の場合には、いま労働省のほうでは勤労婦人福祉法、これを衆議院では満場一致で可決して、そして参議院へ持っていって、これもきょう通過する、成立することになっているでしょう。その成立を前にして、こういうようなあぶない状態で、婦人労働者がPCBまたはそれにかわる代用品、同じ毒性のあるものを扱っている婦人がたくさんいるんです。この人たちの母乳の検査だとか診断、そういうようなことは当然必要じゃありませんか。それから乳児の診断、これも当然実施すべきじゃありませんか。それもしないで、勤労婦人福祉法を通過したって、こんなもの笑いものです。具体的なこんな問題に取っ組みなさい。せっかくの婦人局長ですが、これはきびしく答弁を要求します。
  95. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 お答えさしていただきます。  いま御審議になっておられますPCBその他の有害物質につきましての専門的な知識は持ち合わせておらないわけでございますけれども、私どもといたしましては、働く婦人がそのみずからの健康を維持するとともに、次の世代を育成するものとして、その母性が健全に守られるということがきわめて重大なことと考えております。今回御審議いただいております勤労婦人福祉法も、その「基本的理念」という条項におきまして、「勤労婦人は、次代をになう者の生育について重大な役割を有する」ということを明示いたしておりますし、したがいまして、母性を尊重されて職場でその能力を有効に発揮するように、そのようなことについて国、地方公共団体並びに事業主が配慮すべき責務というものを明らかにいたしているところでございます。  そのような基本的な姿勢でこの問題にも対処してまいるわけでございますが、特に母乳の汚染という問題につきましては、これは健全なる児童を育てるという観点から非常に問題が大きいところでございますし、また、母親にとっての不安ということも非常に大きいものと思いますので、薬物等による母乳の汚染というような事態は私どもまことに遺憾なことだと思います。労働省の立場といたしましては、従来から特にPCB等を取り扱う事業所におきましては、特別な健康診断というものを行なうように行政指導をしてまいっているところでございますし、また関係機関とも連携をとりながらPCB汚染の対策につきましては特別に有効な措置を進めてまいろうとしているところでございます。御指摘のような点につきまして、今後一そう関係機関との連絡をとりながら、対策の万全を期してまいりたいと考えております。
  96. 島本虎三

    島本委員 時間だということでありましてまことに申しわけございません。  ただ、一つだけ注意し、環境庁として今後具体的にこれを指示してやってもらいたい。というのは、こういうようにしてPCB感圧紙、これはもう健康上重大なる被害のあることがわかった。そうするとそれにかわるもの、これと分析不分明のままで無害だとして出してやったら、それを実際やってみたら、やはり被害があることがわかった。実験段階でもそれが証明される、こういうようになってしまった。なぜこれはノーカーボン紙でなければならないのですか。これはやはりはっきりした毒性がないという証明がされるまでの間は、これはノーカーボン紙でなければならない理由はないのですから、安全性がほんとうに立証されるまでの間カーボン紙に切りかえるべきです。こういうようなことについて、真に健康を守りそして世界の笑いものにならないような指導こそ環境庁はすべきです。あなたも経験あるでしょうから、強力なあなたの所信をここでひとつ聞いて私は終わりにいたします。
  97. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 先ほどから政府委員の説明、答弁を聞いておりますと、私もどうもこれはまだいけないなと思います。もっときびしくなければならぬ、こう思います。御案内のとおり環境庁が中心となって関係省庁の連絡会議を持っておりますので、私はやはりもっときびしい態度で政府が臨むということについて、強くそういう方向に指導してまいりたい、このように考えます。
  98. 島本虎三

    島本委員 終わります。
  99. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 次に加藤清二君。
  100. 加藤清二

    加藤(清)委員 労働省の婦人少年局長さんに、せっかくの御来臨でございますからお尋ねいたしますが、先日ストックホルムで世界の公害会議が行なわれましたですね。そこへ日本のPCBにおかされたカネミ患者をはじめイタイイタイ病の患者さんなどが行かれましたですね。これは自分の病気をなおしに行かれたのじゃないのですね。あの会議に出たからといったって病気がなおるわけじゃないのですから。つまり、このようなことが二度と再び世界の人々に及ぼされないようにということで、病の悪くなるのを押してまでも、世界に警告のために行かれたと思うのです。そこためにノーモア広島ではなくてノーモアPCB、ノーモア・カネミ、ノーモア・イタイイタイ病というゼッケンをつけて行かれた。しまするというと、ストックホルムを訪れた最も重要な歓迎すべきお客さんであったと地元紙は述べておるのです。しかし、そのあとが悪いのです。この関係の向こうの地元のお医者さん、イエンセン博士が言うておられると思うのですが、「患者の顔や背中の皮膚症状が四年もたったいまもこんなにひどいのを見てびっくりした。そして血液中にも、まだこれほど高濃度のPCBが残っているのがわかってさらに驚いた。こんなにひどい患者が多数でたのに、女性患者の母乳のPCB調査のデータさえないというし、日本の科学者たちはいったい何をしていたのかと思う」しかも、もう一人の関係の博士は、その患者を見て胸に針を刺される思いをした、こう述べているのです。これは日本の科学者の恥のみならず、私は行政の恥であると思うのです。女性の働く場所がふえました。小中学校のごときは半数以上がもう女性で占められている。ゆえにこそ、お産休暇を何とかしなければならないというので、いま真剣に育児のための休暇の措置が検討されているやさきでございます。こういうときに、日本の母親の母乳が、こういう新しい化学製品によって世界一おかされ、毒され、やがて育児に影響するということは、われわれ政治家としても恥じなければならぬし、行政の立ちおくれをしみじみと感ずるきのう、きょうでございます。それにつきまして、せっかく御担当の婦人局長さんの、これに対する感懐と、将来に対する具体策、簡潔でけっこうでございますから承りたいと思います。
  101. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 御指摘のように、近年女性がいろいろな職場に出まして、大きな役割りをになって働いておるわけでございます。私どもの願いは、これらの働く婦人が安心してみずからの健康を推持し、またその子供も健全に育てながら、職場で能力を有効に発揮して、充実した職業生活を営む、そのような状態を実現するということにあるわけでございます。御指摘のような母乳が汚染しているというような問題は、そういう点からもまことに遺憾なことでございますので、もちろんこれは労働行政といたしましては、作業環境の改善という大きな役割りがあるわけでございますが、さらにこの問題は非常に大きな広い分野にかかわりがあると思われますので、関係機関と連携を密にしながら、このような汚染というものを防止する対策をより一そう強力に進めていきたい、このように思います。
  102. 加藤清二

    加藤(清)委員 そこで母乳のPCBの汚染調査のデータさえない。これも痛いところをつかれておるのですね。大阪の一部で発見された。きのう、きょうではフルヤキャラメルや敷島パンのパンの袋にまでこれが発見されておるというのですから、この汚染は必ずしも大阪だけではございませんですね。したがって日本じゅうだと思う。そこで局長さんにお尋ねするが、関係各省とも連携をとって万遺憾なきを期するとおっしゃられますが、もっと具体的に事を進めましょう、どうです、日本全国母親の総点検をする、少なくとも職場に働く女性の母乳検査くらいは当然やってしかるべきだと思う。さしあたって一番PCBの多く含まれているノーカーボン紙を年がら年じゅうなめながら仕事をしなければならぬ郵政、ここの女性の母乳くらいはそう大ぜいはないはず、同時に小中学校の教員ですね、この母乳検査くらいはやって、そのデータを発表することが、やがて小中学校の先生たちの育児休暇を与えなければならぬというデータにもなると思うのです、いかがでございます、総点検やる気はありませんか。総点検といったって、一億人口の半分の女性を全部検査してみろとは言いません。おばあさんまでやれとは言いません。女学校の生徒までやれとは言いませんから、どうです。
  103. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 母乳汚染の調査という点につきましては、私の理解ではPCB汚染対策推進会議のプログラムの中にもすでにあがっているように思われますが、先生の御趣旨を体しまして、厚生省御当局ともよく御相談して検討させていただきたいと思います。
  104. 加藤清二

    加藤(清)委員 これにつきまして厚生省と環境庁、ある程度の準備は進んでおることを知っておりまするが、これを急がせて早期に総点検のデータを出すということが、PCBに汚染された方々の対策を練る一つのもとになると思います。したがって環境庁とそれから厚生省、この具体策、至急にやる気があるのかないのか、これを承りたい。
  105. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先ほどお話に出ましたPCB汚染対策推進会議におきまして、先般PCB汚染防止の総合対策というものをつくったわけでございますが、その中に先生御指摘のとおり母乳につきましてはこれは相当広範囲に調査をする、担当は厚生省ということで、現在その準備を進めております。具体的には厚生省のほうからお答えがあると思いますけれども、私どもは早急にその結果を取りまとめたい、かように考えております。
  106. 加藤清二

    加藤(清)委員 早急とはいつですか、三年たっても早急というのがある。
  107. 浦田純一

    ○浦田政府委員 母乳中のPCB汚染状況を実態調査するということで、これは五月に分析方法を統一いたしましたので、そのときに全国の母子衛生主管課長会議を開きまして、実態調査の要項につきましての検討をいたしております。現段階では各都道府県でもってその具体策を立てつつあるところでございまして、たとえば農村地域あるいは漁村地域、それから工業地域、都会、このような四つの区分に分けて母乳のPCBによる汚染状況を調査するといったような骨子でもって、現在進行形のの形でございます。
  108. 加藤清二

    加藤(清)委員 その地域別も大事でございますけれども、職業別にやるということが、たとえばいまの郵政省のようにぺろぺろとなめながら毎日毎日これをめくらなければならないという、過去において汚染のはなはだしいと思考できる職場の方は、この方々の汚染を今度は対策として何がしかの手当てをしてあげなければならぬ結果にもなると思うのです。したがって、いまあなたのおっしゃったように地域別もけっこうでしょう、しかし職域別で特別汚染されていると思考できる、あるいは思惟できるところのそういう職場をまとめて統計にするということは、これは効果的なことだと思うのです。だからそういうこともやってもらいたい。同時に、いまあなたのおっしゃられるそれは、いつやられるのですか。いま、進行形、INGだとおっしゃったが、いつごろ第一回の調査がまとまるのですか。世界じゅうに笑われておるのですからね、これは。どうですか。
  109. 浦田純一

    ○浦田政府委員 一つ一つお答えいたします。  最後のお尋ねになりましたけれども、現在進行形と申しましたのは、この七月末日までに結果が提出できるようにということで進めております。したがいまして、あとそれをまとめの作業をしなければなりませんけれども、大体今年中には最終的な結論は得られるのじゃないかと思っております。  職域別のことにつきましては、この全国調査につきましては、いろいろと私もよく詳しく存じておりませんが、いわば統計学的な立場から全国的に実態がわかるようにという意図もあろうかと思います。したがいまして、さらに職域別の点ということにつきましては、これはやはり労働省なりあるいはそれぞれ主管の省との間でもってどういうふうにそのサンプルをとっていくということについては、これは協議しなければならない問題が残っておると思います。
  110. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかりました。労働省の婦人局長も、関係当局とよく協議の上とこうおっしゃられたのです。厚生省の局長、あなたも今度は労働省とよく協議の上とおっしゃった。なるほど本省というものはなわ張り争いするときにはおれじゃおれじゃというて奪い合ってとりなさるけれども、こういうことになると、もうどうぞどうぞと言う、こういうかっこうになっちゃこれはどうもいただきかねるのですよ。だから、お互いに相手を尊重なさることは賛成です、けっこうです。しかし、これは至急——意見か一致しているのですから、閣内不統一じゃないのですから、よく御相談の上、至急職場別、職域別のデータもとれますよ、実行に移してもらいたい。移すか移さぬか、それだけでいいです。
  111. 浦田純一

    ○浦田政府委員 私、実は局としては母乳の問題は所管いたしておりませんけれども、厚生省の大臣の補佐といたしまして、この問題につきましては担当の局長にも十分に申し伝えまして、実行できるように努力するようにいたしたい。そのように伝えたいと思っております。
  112. 加藤清二

    加藤(清)委員 実行できるようにという答弁ですから私はこの問題はここで打ち切りますが、厚生大臣なぜ出て来ぬ。さっきから何度も何度も呼んでおるのに。こんなものは四日前から通告してある。こういうふうでなすり合いになってしまうから、業者を調べると逃げて逃げて逃げまくる、本省を調べるというと逃げて逃げて、またこれも逃げまくる。だから最高責任者をぜひ呼べと言ったんだ。なぜ出て来ぬ。けしからぬよ。世界じゅうに恥をさらしておきながら、なぜ出て来ぬ。きのう、おとといも関係者を呼んで聞いたところが、何にもわからぬやつを回しておるじゃないか。そんなことで公害に向かって前向きなんてしゃらくさいことは絶対言わせぬぞ。これは何も事務局が悪いわけじゃないのだ。厚生省自体が悪いのだ。けしからぬ。厚生大臣が来るまで待つから。  次に通産省にお尋ねする。PCBが悪いということはもうようわかっておる。だからPCBに対してはそれぞれの措置をとられた。しかしPCBにかわるべき、ノーカーボンのその薬品、アルキルナフタリン、これが同様にまた危険性がある、安全性を確認することができないという状況下にあるならば、だれが考えたってそれを野放しにしておけば、通産省はやっぱり業者の味方だ、だから環境庁でも役人を入れることはできないという結論になってくるんだ。通産省の役人を環境庁へ入れると業者とツーツーで筒抜けになってしまう。だからそんなところから役人を入れるわけにはいかないという文句にもなるのだ。だからこの際、これが通産省の管轄であるとするならば、まず環境庁その他から言われぬ先に、そのような危険を包含しているところの新製品については安全性が確保されるまで使用禁止、宣伝も禁止、このくらいのことができないですか。できるはずですよ。できないことはない。なぜやらない。やれぬ理由があるの。汚職でもやっておるならやれぬよ。
  113. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど島本委員の御質問にいろいろ答えましたように、現在開放系といいますか感圧紙用の代替品に使われておりますものは、分解性、蓄積性は、これはほとんど物質の性格からいって、ないのじゃないかと私ども考えておりますが、念のためにいま通産傘下の研究所で研究調査確認を急いでおります。毒性につきましても先ほど来申し上げましたように、不備の点は認めますけれども、一応マウス試験その他われわれのほうに届いております学校の先生の報告書によりますと、PCBに比較しまして非常にその毒性が低いという報告もありましたので、一応現在使用しておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、われわれといたしましては全般の問題でございますので、現在軽工業技術審議会にこれを諮問いたしまして、今後の法体制も考えるということをやっておりますが、その辺の御意見を受けて、ある一定以上のものについては行政措置で製造をとめ、または出荷をとめるというような行政運用上の基準をつくろうといたして、準備いたしておるところでございます。
  114. 加藤清二

    加藤(清)委員 局長、こっち見なさい。あなた、公害基本法の第一条に何と書いてあるか御存じかな。昔はそれでよかったんだ。昔はあなたの答弁でよかったんだ。企業と協調の文字は削られておるのですよ。人間優先になったんですよ。そうでしょう。しかもなお、疑わしきは罰するというのが公害に対する世界通用の鉄則ですよ。なぜあなたのところだけが疑わしきを許して使わせなければならぬのですか。なぜ企業のためにそんなに忠義を尽くさなければならぬのですか。そんなばかなことをなぜしなければならぬ。あなたがそういうことを言うなら理由を承る。基本法は人間優先なんだ。健康優先なんだ。だからこそ、この間の、企業機密漏洩と、正しい表現と、いずれが優先するやの問題について尋ねたところ、統一見解が出たでしょう。もはやその場合には企業機密は没却される。当然だ、人間優先だから。すでに法的解釈までそういうふうに出ているやさきに、なぜ疑わしいものを野放しにしなければならぬのか。なぜ遅疑逡巡しなければならないのか。当然だれが考えたって、PCBと似たりよったりのものであるという場合に、すでにPCBはいけないという先例があるんだ。なぜそれじゃ、それに似たものを野放しにしなければならないのか。なぜそれが禁止できないのか、理由を聞く。だれか業界から金でももらったのか。
  115. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 お答え申し上げます。  現在製造しておりますものを禁止する権限は法律的には通産省にあるわけではございません。先ほど来申し上げておりますように、分解性の試験がいま通産省の傘下の試験研究機関で進んでおりまして、近くその結果も出ようかと思いますが、その結果のいかんによりましては、私たちのほうの基本的な姿勢として、これがもし非常に分解性が高い、非常に、危険性の高い物質であるということになりますれば、われわれのほうといたしましては、行政指導でこれを製造の禁止の方向へ指導するということは考えておる次第でございます。
  116. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 速記をとめて。   〔速記中止〕
  117. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 速記を起こしてください。
  118. 加藤清二

    加藤(清)委員 逃げちゃいかぬですよ。私じゃ答えられぬとか、いまのああいう答弁だったら、私は田中通産大臣を要求しますよ。通産省に禁止する権限がないなんてあほなことを言ったら承知しませんよ。なぜかなれば、委員長も御存じのとおり、四エチル鉛、山口県へ行くと佐藤総理よりもえらいと言われている東洋曹達様、そこがアメリカと技術提携して四エチル鉛を製造すると言った。通産省は許可した。ところがどうなったんです。ほうはいとして起こった世論、同時にわれわれの調査等々によって、ついにこの会社は、一日も操業をせずに廃止せざるを得なくなったでしょう。あなたのほうが許可したところの大阪セメント、これもそうなったじゃございませんか。何を言っているんです。あなた。そのときでも、アメリカとのパテントの関係があるからどうとかこうとか言っておった。ところが、アメリカのパテントのほうが日本の人の命よりも大事なのかという論理になってしまったのです。何を言っているんです、あなた。通産大臣に禁止の権限がない。それだったら、公害はどうなるの。いまや県知事にまで権限が三十六項目も移譲させている今日なんだ。立ち入り検査から設備改善命令から停止命令まで県知事でもできるようになっているんじゃないか、公害に関する限りは、何を言うんだ。それはだめですよ、そんな答弁は。これは田中君を呼んでくれ。
  119. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 私の表現が非常に誤解を受けまして、おわび申し上げます。私の申し上げましたのは、一番前段のところがちょっとまずかったのかと思いますが、私の申し上げたかったことは、行政指導で、現在の分解性等がはっきりいたしますれば、この製造の中止等についても考えたいということでございまして、PCBをつくっておりました三菱モンサントと鐘淵化学につきましても、行政指導等を通じましてその早急なる生産の中止に指導いたした経緯がございますが、その根本的な姿勢はいまでも全く同じでございまして、やらないと言っているわけではございませんで、どうかその趣旨は御理解願いたいと思います。
  120. 加藤清二

    加藤(清)委員 趣旨は初めからわかっておるんです、聞かぬでも。それよりも、疑わしきは罰するという鉄則、企業優先ではなくて人間優先というこの基本法の精神にのっとれば、疑しきものを野放しにするという行政は決して当を得たものではないと思う。だから、これはまあ本日はやむを得ぬから、至急省へ帰って緊急対策をする、このくらいの答弁はできるでしょう。できませんか。
  121. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 先生の御趣旨のとおり、早急に緊急に検討いたします。
  122. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは、次へ進みます。  PCBのあと始末についてお尋ねします。  すでに製造は禁止されております。使用も禁止でございます。散逸しているものは回収が命ぜられております。それは凍結されているはずでございます。それで、目下、このPCBのカメの甲、つまり分子を破壊するところの方法が検討されているはずでございます。そこからお尋ねいたします。この間、モンサント並びに鐘化を調査いたしました。あのかまで、回収されてきた焼却可能な、つまり破壊可能なものを焼却すると何年かかりますか。
  123. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 お答え申し上げます。  現在、鐘化と三菱モンサントのいわゆる焼却炉は、能力で六百トンでございますので、機械的に計算いたしますと非常な長年月ということに相なるわけでございます。ただし、PCBの回収、特に閉鎖系のものにつきましては、これがトランス、コンデンサー等になっておるわけであります。特に大型のトランス等につきましては、耐用年数が非常に長いものでございますので、現在、これは通産省の重工業局のほうで、各ユーザーごとの廃棄計画を集計中でございまして、したがいまして、年々の廃棄される量が近くはっきりいたすと思います。その辺も考えながら、現在鐘淵化学と三菱モンサントにつきましては、炉の増強計画を行なっておりまして、聞くところによりますと、敷地の決定もできたというふうに聞いております。その辺、今後出ます廃棄の量、回収の量及びそれに見合う設備の増強等を考えて、今後の廃棄計画というものをつくるようにいま進めておる次第でございます。
  124. 加藤清二

    加藤(清)委員 時間がございませんから、質問にストレートで答えていただきたい。  いまの調子でいくというと、私どもが試算しますと、いまのままですと六十年かかるのです。六十年も放置されていたらたいへんなことですよ。  それからもう一つ、この間見ました鐘化のかまですね。あれは湯げが立っておったでしょう。あれで千三百度といえますか。ぼくはそこから先のことはもうここで申し上げる必要はない。あれは見学者に対して申しわけに湯げを出しておっただけなんです。千三百度のものが、あの煙突の高さでもって、あの短い煙突で出たら、煙突の口のところから湯げが出るはずはない。それは向こうの会社にはちゃんと言うておいた。ごまかすのもほどほどにしておけと。あれは千三百度じゃないのです。あれは申しわけにやっておった。四、五日前まではストップしておった。動いていなかったのです。そういうふうに逃げて逃げて逃げまくるやりようが行なわれる。  そこで、今度特にお尋ねしたいのは、きのう、きょう古谷キャラメルとか敷島パンとか、食品にまでPCBが出てきている。しかも八五〇PPMだ。これはたいへんなことですね。またきのう、おととい高知のほうで三二〇PPM出た。それもお菓子の関係だ。これじゃ日本の子供は母乳を飲んでもPCB、お菓子を食べてもPCB、どっちへころんだって日本の子供はPCB攻めだということになる。なぜこういうことになるのですか。  厚生省にお尋ねする。すでに、禁止令が出ているはずである。使用禁止が出ているはずである。なぜこういうことになるのか。
  125. 浦田純一

    ○浦田政府委員 御指摘は古谷キャラメル等の包装紙からPCBが出たという件についてのお尋ねでありますが、確かに、私どもは、通産省のほうの行政指導で印刷インキ等あるいはいわゆるノーカーボンペーパー、複写紙等の開放系の使用については禁止を指導したというふうに承知いたしておりました。しかしながら、国民の健康を守るという立場から、やはり私どもは食品全般についてPCBの汚染の実態は十分に把握しておく必要があるということで、各都道府県につきましても、かねて食品のPCB汚染の実態について格段の留意、実態調査を実施するように依頼いたしてございます。
  126. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 速記をとめて。   〔速記中止〕
  127. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 速記を始めて。
  128. 加藤清二

    加藤(清)委員 委員長が時間ですから結論をということですから、私の質問にストレートで答えてください。余分なことを言う必要はないのです。わかって聞いておるのですから。
  129. 浦田純一

    ○浦田政府委員 そのような経過で、実際には出るはずがないと思っておったものについて出たのは、やはりその辺の掌握が、つまりこれを使っての商品の生産の経路、消費の経路というものが明確ではなかった、実態がつかめてなかったということであろうと思います。
  130. 加藤清二

    加藤(清)委員 雲の上の仕事が下々に達していなかったということなんです。  それで、あなたのほうは再点検をするとか使用しないように指示した、こういうことですが、きのうも聞いてみると、担当の係官がそれを知らないのだ。あなたのほうから持ってきたこれで聞いてみると、わかっちゃいないんだ。再点検をしました、使用しないように指示しました。それはいつですかと聞いたら、さてそれはいつかわかりませんと言う。使用しないようにどこへ指示したと言ったら、さてわかりませんと言う。大体君たちが抽象論で議員の質問に対して逃げて逃げて逃げまくる癖がついているものだから、みなそういうことをまねてしまって、それで事が足りると思っている。だから次から次へと出てくるのだ。  もう一つ、その発見されたPCB汚染の物質をかってに工場に処理されることを命じられましたか。
  131. 浦田純一

    ○浦田政府委員 厚生省はそういうことは命じておりません。
  132. 加藤清二

    加藤(清)委員 はいわかりました。  もしそれを業者がやったとしたらどうなるのですか。
  133. 浦田純一

    ○浦田政府委員 各業者がもしも各自で処分するとすれば、それは十分にPCBに対する知識、その処分の方式というものを承知した上でやらなければ問題が生ずるおそれがあると思います。
  134. 加藤清二

    加藤(清)委員 承知した上でといったって、今日の科学をもってしては破壊することができないんですよ。だから目下破壊することを研究中なんですよ。そうでしょう。だから、いま言ったように、モンサントと鐘化で焼却炉がある。それだけにたよっておれば六十年もかかる。しかし別途研究しておるというのがいまの状況なんです。工場でそれを処理をして、あるいは使用しようと思ったけれども、凍結を食った。それをかってに処理するということはどういうことになるのですか。海へ捨てるか山へ捨てるか川へ捨てるか、それとも自分のかまでごみと一緒にたくということなんです。これは大気汚染でしょう。トイレットペーパーのものでさえも、海へ行って魚のからだへ入って循環してくるというのですから——。そうでしょう。だからこれを処理工場でないのに、処理能力がないのにかってに処理をしたらどういうことになりますかと聞いておる。
  135. 浦田純一

    ○浦田政府委員 やはり環境汚染の源になる危険があると思います。
  136. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  137. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 速記を始めて。
  138. 加藤清二

    加藤(清)委員 だからこういうふうにやっていただくと時間が早いんですね。ありがとう。この調子で頼みます。もうすぐ終わります。  ところがこれが愛知県議会で問題になった。責任のアリバイがわからないという。したがってぜひこれは国会でやってもらいたいということになったのでぼくは国会でやっておる。もう新聞にもでかでかと出ておる。自分のかまで焼却しちゃったのだ。どうなっているかというと、その灰とかまを持ってこい、こういうことになっておるのだ。御存じでしょう。新聞に出た。NHKテレビもやった。これはだれが指示したのだ。その答えだけでいい。
  139. 浦田純一

    ○浦田政府委員 だれが指示したかは承知しておりません。
  140. 加藤清二

    加藤(清)委員 食品衛生はだれが監督するのですか。
  141. 浦田純一

    ○浦田政府委員 食品衛生全般の全国的な施行につきましては厚生省でございます。具体的な問題につきましては、機関委任事務といたしまして、各都道府県知事あるいは場合によりましては政令市の市長でございます。
  142. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうです。直接の指揮者は保健所長ですね。すでに回収を命じられたのですから、だれだってその命に従うはずなんです。さすれば、その問題の処置については、保健所に対してその対策をお伺いしておるはずなんです。お伺いの書類は出ておるはずなんです。書類はとられましたか。出ているはずなんです。出ていずにかってにやったといったらこれは会社が悪い。しかしお伺いを立てた、その指示どおりやったとなると、責任がどこにあるかはおのずから明らかですね。だから私は先ほど来親心子知らず、末端に通ぜずで、ここでどんなにおっしゃってみても、保健所の末端に至るまで、つまり具体的に仕事をする人たちがそれを認識していなければ、このような間違いが起きるということを申し上げておる。どうなんですか。
  143. 浦田純一

    ○浦田政府委員 この件につきましては、正式な文書による報告は受けておりません。電話による連絡でございます。  なお、さらに詳細については私どもは調査をしたいと思っておりますが、電話で報告を受けたところによりますと、六月三日に愛知県は江南保健所及び西枇杷島保健所に次のとおりに指示いたしております。江南保健所につきましては、当該包装紙の移動の停止、それから当該パンの回収を業者に指導すること、これは残念ながらいま法的根拠はありませんので、結局は強い指導ということになると思うのです。それから西枇杷島保健所でございますが、インクについて調査をしろということを指示してございます。
  144. 加藤清二

    加藤(清)委員 与えられた時間が参りましたので、私はこれでおしまいにしますが、いま県議会で問題になっているのです。かまだとか灰まで持ってこいということになっている。ということは調査が進んでいくということです。その段階において取り締まりの最高の責任であるところの本省が実態を知らなんだでは、これは責任は免れないと思う。私は実態を知っておるのです。だれがどう指示したかまで調べてきています。ひとつよく御検討いただきまして、万遺憾なきよう処置すると同時に、それこそ二度と再びこのようなことが起こらないように、指導のいかんによっては加害者と思われている人があにはからんや被害者になっておる、指導者と思わしき人が加害者になっておる、こういうこともあり得ますから、私はきょうここで犯人はだれであるということを言おうとしておりません。あなたたちの手によって、真実は一つしかないんだから正確なところをキャッチしてもらいたい。  以上申し上げまして、私の質問はあとに譲ります。
  145. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 岡本富夫君。
  146. 岡本富夫

    岡本委員 このPCBに関連しまして、これはこの間商工委員会でもちょっと出たのですけれども、この許容限度、こういう基準ですね、これがまだできていないのですが、これはいつごろできるか、これをひとつお答え願いたいと思います。
  147. 浦田純一

    ○浦田政府委員 おそらく食品に対する許容基準のお尋ねかと思います。全般のことにつきましては環境庁のほうからお答えいたします。  食品につきましては、六月一ぱいをめどといたしまして、許容基準、暫定的なものになろうかと思いますけれども、これを策定するという大体の見通しを立てております。
  148. 岡安誠

    ○岡安政府委員 環境庁におきましては、とりあえず指導指針といいますか、排水につきましての指導指針というものを六月末を目途といたしまして現在作業を進めているわけでございます。
  149. 岡本富夫

    岡本委員 それからもう一つお聞きしておきたいのですが、先般当委員会に参考人の人たちに来ていただいていろいろお聞きしたのです。現在カネミ油の中毒をしている人たち、あるいは母乳からたくさん出ているわけですが、この人たちの治療法はまだないように聞いておるのですが、大体いつごろをめどにこの治療法ができ上がるのか。これは厚生省のほうだと思うのですが、めどはどうですか。
  150. 浦田純一

    ○浦田政府委員 先ほど加藤委員からスウェーデンのイエンセン博士の談話ということでお話があったわけでございますが、カネミ油症の患者さんの的確な治療方法ということにつきましては、残念ながら現在のところまだ発見されておりません。おそらくそのものずばりの治療方法というのは、体内に摂取されましたPCBを的確に、健康に障害のない方法で体外に排除しようといったような方法だと思います。これらにつきましては、過去数年間研究を続けてきておるわけでございますし、おそらく世界的にも大きな関心の的となっております物質だけに、進められておるのでございますけれども、残念ながらいままでのところはわからない。しかも見通しと申しますか、これは遠い将来のことはいざ知らず、現在の段階において、あした、あさっての一つの見通しを持っておるかと申しますと、これも確たる見通しというまでには至っていないという状況でございます。
  151. 岡本富夫

    岡本委員 治療法もはっきりしないし、また非常にこれでは気の毒だと思うのです。それで時間もあれですし、きょうは今国会の詰めですからあれですが、政務次官、環境庁の次官ですからちょっと方向が違うと思いますけれども、ひとつ厚生大臣にも強く要請をして、相当大きなプロジェクトチームといいますか研究班といいますか、強力なものをつくって、そして大体いままで学者の先生方の話を聞きますと、研究するに費用が非常に少ないというのですね。これはもうすでにたくさんの人がいるわけですから、また相当あっちこっち環境汚染して今後出てくるであろう、こういうことですから、ひとつ強力な手を打っていただきたい、これを要請しておきますが、それに対する御答弁を願います。
  152. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 環境庁が中心となりまして、PCB汚染対策促進会議というのを持っております。まさに促進しなければなりませんから、その機構を通じまして強く関係各省に要求いたします。
  153. 岡本富夫

    岡本委員 それでは、当委員会であまりいままで取り上げていなかった悪臭につきまして、いよいよ悪臭防止法の施行令が出たと思うのですが、通産省のほうで、こういった化学物質を製造している工場の悪臭に対するところの点検をおやりになったかどうか。ひとつ化学工業局長から答えてください。
  154. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 御質問の、悪臭の点検というものは現在やっておりません。
  155. 岡本富夫

    岡本委員 これは公害保安局長にあとで聞きますけれども、化学工業局でいろいろと増設とかあるいは新設とか、こういうものを許可する。あなたのほうで、悪臭あるいはいろいろな公害の問題について頭にきちっと入っていなければ、どんどん公害を出す。公害保安局のほうで一生懸命それをとめようとしたところで、出してしまってからは、PCBみたいに非常に困るわけです。ですから、一ぺんあなたの化学工業局のほうで総点検をしなさいよ。いかがですか。
  156. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 悪臭防止法の施行令も施行になった現段階でございまして、法規上、基準も明確になりましたので、その線に沿いまして実際上の行政面といたしまして御趣旨の方向でやっていきたい、こう思っております。
  157. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、公害保安局長にお聞きします。  トール油について、これは田中委員長から指示があったと思うのですが、この一つの事例として播磨化成工業の悪臭問題について調査の依頼があったはずですが、これに対して簡単に報告していただきたい。
  158. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 トール油を製造しております播磨化成工業の加古川製造所の概要について御報告を申し上げます。  播磨化成工業は兵庫県の加古川市に所在する会社でございまして、昭和二十二年から(岡本委員「そんなこまかいことは要らぬから」と呼ぶ)いいですか。加古川製造所は、本社と同じくやはり加古川市に所在いたしております。敷地が大体三万坪ある工場でございます。(岡本委員「悪臭のほうを」と呼ぶ)昭和三十三年から、トール油の連続式真空精密分留設備を完成いたしまして、トール油を製造しておるわけでございます。粗トール油として一日大体五十トンの処理をしておるわけでございます。  製品といたしましては、紙の改良剤に使いますサイズ剤、塗料の原料にしますアルキッド樹脂、合成ゴムの乳化剤のロジン系の合成樹脂というものを生産しておるわけでございます。  製造工程といたしましては、粗トール油を水蒸気蒸留によりまして、沸点の高いほうからトールピッチ、トールロジン、トール脂肪酸というふうに順々に分留をいたしまして、残りました低沸点の留分でありますとか、それから脂肪酸の一部は、冷却しまして蒸気と一緒に受け器に入るわけでございます。その分留の工程は減圧でございますので、密閉をされておるわけでございますので、ガスが外部に漏れて悪臭の原因になるというふうなことはないのでございますが、受け器に入りました排水につきましては、従来油分分離槽だけを使用しておりましたために、ここから若干の悪臭が発生するおそれがあったわけでございます。そのために四十五年の十二月に凝集剤処理、それから加圧浮上処理という工程を加えまして、悪臭の原因となるというふうに考えられておりました油分をほぼ完全に分離いたしました。油分は焼却炉で焼却をいたすようにしたわけでございます。なおこれから出ます排水につきましては、なおその中に微量の油分が残るわけでございます。これは活性炭を使いまして吸着除去をして放流をする、そういうふうな処理に改めたわけでございます。これによりまして従来四〇〇PPM程度ございました油分が一〇PPM程度に減少したわけでございます。現在の排水基準としては、兵庫県の条例にきめてあるところを満足しておるということでございます。
  159. 岡本富夫

    岡本委員 これは、あなたからみんな聞いておると時間がかかりますから……。  この油性トール油は、パルプ工場付近に行くと、クラフトパルプの製造工程で生ずるところの各種の硫化物ですごくくさいわけですね。ちょうどあれと同じ悪臭がするわけです。付近もそのために困って非常にやかましく言っておるわけで、当公害対策特別委員委員長田中さんのところに連絡があり、田中さんのほうから私のほうにもまた連絡があったわけです。それでさっそく私のほうも調査をいたしました。  あなたのほうから田中委員長のところに報告が出ておるわけですが、これについて質問いたします。先ほど話がありましたように処理をしておるというけれども、ガスが完全に水の中に吸収されない。したがって排ガス、これがくさいのです。これをどういうように処理されておるか。いかがですか。
  160. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 確かに受け器と申しますか、これからガスが発生をいたしまして悪臭の原因になるということは考えられるわけでございます。この点につきましては、本年の四月末にこの受け器の密閉化ということを行ないまして、ガスの発生の防止の手を打ったわけでございます。その結果、兵庫県の加古川市がこの工場の悪臭に関して苦情を受けつけておるわけでございますが、本年に入りましてからは、市のほうにも工場にも悪臭の苦情は来ていないというふうに聞いておるわけでございます。
  161. 岡本富夫

    岡本委員 まず密閉化したからガスがもう全然出なくなった、それはうそですよ。あなたは作文の上から、あるいはまた大阪通産局の公害保安課からの報告だけ聞いて、そしてこういう書類をつくって答弁していると思うのですが、ガスというのは完全に密閉できない。やはり次々と出ているのです。  それから排水を活性炭を通して油分を除去しているというけれども、量的に見てあそこをよく点検してみますと、とても全部実施は困難である。  時間がありませんからもう一つ。調査当日、その工場が、要するにトール油蒸留工場が運転をしておったかどうか、その点いかがですか。
  162. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 においは非常に微量なガスで感ずるわけでございますので、完全にこれをなくすということはなかなかむずかしいわけでございますが、先ほど申し上げましたような処理によりまして、においが少なくなったということは事実であろうと、報告その他から読み取れるわけでございますが、やはり完全に無臭になったということではないわけでございます。  それから通産局の立ち入り検査は、本年の五月二十四日に行なったわけでございますが、報告で見ますと、その日にトール油の精製設備が稼働しておったかどうかということは、はっきりいたしてないわけでございます。
  163. 岡本富夫

    岡本委員 こういうのは、これから行くからといって連絡するとすぐ一時停止することが可能なんですよ。それは前よりは少しよくなったですよ。前はとても近所におれなかったのですから、それからやかましく言ってこの設備をさせたわけですからね。ですから点検するならそういうところに気をつけて、確かに稼働しているか全部見てやらないと、この前私どもがPCBの鐘淵化学でしたか皆で行ったときに、その二、三日前までとまっておって、それであわてて動かしたでしょう。そういうようなわけだから、もっとこまかいところに配慮をしないと、これはもう一ぺん点検する必要がある。  時間があれですからもう一つ。これは環境庁にお聞きしますけれども、この硫化水素の規制値は幾らですか。
  164. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先般悪臭防止法に基づきます政令を施行いたしました。また法律に基づきまして規制値の幅を指示いたしたわけでございますが、硫化水素につきましては〇・〇二から〇・二という幅になっています。
  165. 岡本富夫

    岡本委員 そこで通産省に聞きますけれども、あなたのほうのこの田中委員長に対するところの報告では、「悪臭の強度は快、不快は別にして、敷地境界線でも楽に感じられる程度であるが、それほど強くはない。」何PPMですか、いかがですか。
  166. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 このにおいはおそらく硫化水素ないしはメルカプタン系の硫黄を含んだ物質によるにおいであろうかと考えられるわけでございますが、通産局で立ち入り検査をいたしましたときには、そういう定量的な測定はいたしておりません。この快、不快、楽に感じられる程度ということでございますので、これからこのにおいがメルカプタンないしは硫化水素であったというふうに仮定いたしますと、このにおいの程度から、その物質の濃度については推定することは可能であろうかと考えられます。
  167. 岡本富夫

    岡本委員 それでは局長、幾らに推定するのですか。
  168. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 臭気強度で申しますと大体三に相当するのではないかと考えられますので、メチルメルカプタンといたしますと〇・〇〇四PPM、硫化水素といたしますと〇・〇六PPM、このあたりではなかったかと推定されるわけでございます。
  169. 岡本富夫

    岡本委員 だれの鼻で推定したのか知りませんが、そういういいかげんな答弁は……。いままでの基準でこういうことだったのです。やっとかすかに感ずる、これが硫化水素で〇・一一、容易に感じるが弱いにおい、これが〇・七七PPM、こうなっておる。とにかくあなたもいま突然——突然じゃないのだけれども、いいかげんな答弁をしたことになるのだ。はかったことはないし、容易に推定できると、そんな無過失じゃないのに、推定規定じゃないのだ。ですからこれはもう一ぺんやはりこの基準内に入っておるかどうか、そういうことをきちっとひとつ検査をしてもらいたい。いまここで言ってもしかたがないから、私は要求いたしておきます。
  170. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 臭気につきましては、すでに悪臭防止法が施行になっておりますので、この測定そのものについては県のほうでおやりいただくわけでございますので、私ども環境庁、県と連絡をいたしまして、その点の把握につとめたいと思います。ただいま資料として申し上げましたのは、中央公害対策審議会の悪臭専門委員会の第一次報告の中の資料から、私お話を申し上げたわけでございます。
  171. 岡本富夫

    岡本委員 中公審の資料は、ここに当てはまらぬじゃないですか、これは。だから私が言ったように、もう一度検査をしていただく。  そこで山形化学工業局長、ここの設備を最近増設するということをあなたは知っておりますか。どのくらいに増設するのですか。
  172. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 来年五月完成をめどに、分留設備をパーデー百八十トン増設を計画しておると聞いております。
  173. 岡本富夫

    岡本委員 化学工業局で増設を許可する、あなたのほうではするのだと思うのだが、したのかもわからない。それについてこういった付近の人たちの悪臭——いま五十トンでしょう。今度は三倍以上になるのでしょう。こういう配慮なくして、そうしてあなたのほうはどんどん許可をする。これでは何といいますか、担当の局長やあるいはまた担当の環境庁あたりがどんどんそんなことおかまいなしだ、悪臭も公害もそんなものおかまいなしでどんどん許可していく。これでは付近の住民もたまらないし、また答弁のための答弁に終わってしまう。久良知公害保安局長なんかはあちらこちら回ってみましても熱心なほうなんです。そういったところをよくお互いに検討し、そしてまず公害対策というのは第一だという、それを頭に入れて増設しなければ、私は付近がまた困ると思うのですよ。化学工業局長、その点いかがですか。
  174. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 非常に形式的なことで恐縮ですけれども、設備の増設につきまして通産省が許可するとかいうことは現在ないわけでございまして、その設備の増設につきましては、御指摘のように悪臭問題が非常に問題でございますので、地元と県、市、企業のコンセンサスが得られないと、これは大問題だと思います。当然これは公害防止協定の事前協議の対象だと思いますので、現行の法律の範囲内で県、市、企業、三者の十分なる御協議をなさるべきで、当然ここで非常に問題があるならば、この企業の設備の新設、増設という問題は考慮すべきではない。私のほうは事前に新増設を許可するということは、形式論で恐縮ですけれども、先ほどもそういう趣旨の話がございましたけれども、形式的にはないわけでございますので、この関係者の協議の結果でわれわれは強力なる指導をしていきたい、こう思います。   〔林(義)委員長代理退席、島本委員長代理着席〕  なお、通産省、私たちは公害基本法の精神にのっとってないというようなおしかりもあったかと思いますが、そういうことはないつもりでございますので、ひとつ御了承願います。
  175. 岡本富夫

    岡本委員 何の御了承をするのですか。それでいいのですか。ことばを返しておかしな話ですけれども、市、県、こういったところとよく相談をしてあるいはまた公害防止協定を結ぶ、いま現在公害防止協定を結んでいるかどうかということはおわかりですか。これは久良知局長に聞きましょうか。
  176. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 現状についてははっきりいたしておりません。
  177. 岡本富夫

    岡本委員 山形局長そういうことです。いいですか。いま日産五十トンで臭気がくさいと言っておるのに、百八十トンの許可あるいはそれを指導する通産省の化学工業局がそういうところも全然チェックもしていない。  時間がありませんからもう一つ言いましょうか。これは加古川市、市からいろんなことを言ってこないといっておりますけれども、ぼくらの調査によりますと、加古川市とこの会社が公害防止協定をつくって、それに立ち会うのが加古川商工会議所の会頭が立ち会っておるのです。この会頭がどなたか知っておりますか。これはこの会社の社長なんです。   〔島本委員長代理退席、林(義)委員長代理着席〕 この会社のことを言って悪いのですが、これは要するにトール油一つ見ましても、全国に何カ所あるか知りませんが、こういうことでは悪臭防止法を出して、われわれ委員会でやかましく言って法制化をし、また環境庁で一生懸命今度これの政令をきめて基準をきめている。ところが肝心の実施するところの企業に対する指導、これをするのが通産省だ。それがこういうことを全然知らずして、いやもうちゃんと公害防止協定もできております、付近の住民の皆さんからも苦情ないですよ。苦情があったってどうなっているかわからない。だからわざわざ国会の、要するに衆議院の公害対策特別委員長田中委員長のところへ手紙が来るわけじゃないですか。それで山形化学工業局長に、ひとつ決意を言ってもらいたい。
  178. 山形栄治

    ○山形(栄)政府委員 通産省は、各企業の現実の行動の指導官庁でございますので、本件、悪臭問題で非常に問題でございますので、県、市、企業、地元の声をよく聞き、役所内部といたしましては環境庁が主管官庁でございますので十分連絡をとりまして、いやしくも企業だけでこれが行動が起こらないように、行政指導を十分に尽くしたいと思います。
  179. 岡本富夫

    岡本委員 久良知局長、このトール油ですか、こういう硫化水素のにおいを出すところは全国に何カ所あるのですか。わからなかったらいいです、時間がないから。
  180. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 現在手元に資料がございませんので、調査の上また後刻御報告いたします。
  181. 岡本富夫

    岡本委員 局長、こういうようにどこで何が起こっておるかわからぬでは、取り締まる方法もないわけだね。また設備の改善、いろんなことに対するところの指示もできないわけです。これは大気汚染局ですか、あなたのほうで、全国にこういうトール油、要するに硫化水素の悪臭を放つ、これに対するところの取り締まりあるいはまたそれをどうするか、その処置についてひとつお聞きしておきます。
  182. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先生御承知のとおり、この悪臭防止法につきましては去る五月三十一日から施行になったわけでございまして、私どもはこの法律の運用にあたりまして、まず都道府県知事が規制地域を定めるということと、それから規制基準を定めるということによりまして、具体的に法律が動くわけでございます。そこで具体的な事例につきまして早急に規制地域の指定なり、それからその地域に即しました規制基準を定めるということを促進いたしたいということを考えております。  なお、その施行状況その他につきましては都道府県知事から至急報告をとりまして、具体的な指導をしてまいりたいと実は考えておる次第でございます。
  183. 岡本富夫

    岡本委員 この硫化水素は、大阪府の公害防止条例では有害物質の一つに入っておりますよ。これだけちょっと一つお伺いしたところで、これでは何といいますかずさんなことです。いかに施行令を出したところで、あるいは法律をつくったところで、現実に動いていない。直ちに総点検をして、そしてせっかくつくった悪臭防止法が動き、そして付近の住民の皆さんの毎日毎日の苦痛を一日も早く除いてあげてもらいたい。  政務次官にひとつその決意を承ってきょうは終わります。決意だけではいかぬですよ、やはり実施してもらわぬと……。
  184. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 悪臭防止法もようやく施行する段階になりまして、これはおくれましたのも、一つは非常にむずかしいつかめないようなものでございますから、たいへんむずかしい問題があると思いますが、私どもは公害の有害物質としてこれを指定いたしておりますし、とらえにくいものは、とらえにくいものではありましょうけれども、これを十分とらえて規制をきつくやっていこう、こういうこと。ことに国民からの不平の訴えは、悪臭というのが非常に多いのですね。それほどみな困っている問題ですから、とらえにくいがとらえて何とかしよう、こういうことは常に考えております。この実行にあたりたいと思っております。
  185. 岡本富夫

    岡本委員 では、最後に生野のイタイイタイ病の問題につきまして、過日ストックホルムの会合に萩野医師が行かれまして、そしてこの写真を見せたところ、スウェーデンの学者あるいはこういった学者が非常に関心を持たれて、この骨折は外傷によるものではないんだ、骨軟化症だというような証言をしておりますが、これについて環境庁としてはどういう考えを持っておるのか、これを一言だけお聞きして終わりたいと思います。
  186. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 技術的なむずかしいことは担当の課長——いままでおったのですか、いまどこかへ行っちゃっておりませんから、私からお答えをいたします。  この間の参考人からの意見聴取でも、先生方お聞きいただいたと思いますけれども、この問題については日本でも非常に関係の学者なりあるいは病院なりで努力をして研究をしておるような状態でございますが、遺憾ながらこの間の参考人の意見も分かれておりまして、私ども実はしろうとでございますから、あのように対立をしておるとは思わない、もうある程度のところまでいっておるんじゃないかと思いましたけれども、ああいう状態でございました。日本の学者がこのように真剣に取り組んでおるような状態でございます。ただスウェーデンに持っていって——その大学は相当その問題について専門的な研究をしておる大学だそうでございますし、何とかいう博士もその道の世界的な権威だということを伺っておりますけれども、それでもって、直ちに日本の学者が意見を変えて決定的なものになるということにはこれはそこまでいかないんじゃないか。やはり日本の学者ももっと早く掘り下げてもらいたい、こういう気持ちがしておるわけでございます。あのスウェーデンで決定的なものができたとは、まだそういうふうに考えるのは早急ではないか、時期尚早でないか、私はこう考えております。
  187. 岡本富夫

    岡本委員 それで、ラルシュ・フリーベリ教授あるいはピスケイター助教授、これらが九月に日本に来て詳しい調査をするということです。ですから、あまりいいかげんな日本の答えを出しておくと世界的に恥をかくのじゃないか、こういうように思いますので、この点もひとつ考慮に入れてやっていただきたい、これを要求しまして終わります。
  188. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 次に佐藤観樹君。
  189. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は顔に似合って、話は、数字も出てこないし、たいへん簡単なことなんですけれども、ぜひ実行していただきたいことを御質問やらお願いをしたいと思うのです。どうか政務次官も気楽に聞いていただいて、今後佐藤内閣が続く間、あまり日にちございませんので残念ですけれども、ひとつ実行していただきたいと思うのです。  と申しますのは、政務次官御存じのように、大石長官になられてから、たいへん公害行政、環境保全に気を使って、しかもこの五月には日米の渡り鳥条約が承認をされた。あるいはこの委員会におきましても特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律ができる、あるいはストックホルムの国連人間環境会議の前にもわざわざモスクワに行って日ソの渡り鳥条約ができないだろうかということで、六月二日にお会いになっている。こういうように、鳥の問題といっても実は、そういう環境を守るというのは、鳥ではなくして私たちのからだを守る、これと必ず密接に結びついてくる問題ですので、非常に重要な問題を含んでおると思うのです。  そこで、こういうように外国と条約は結んだけれども、はたしてそれでは日本のほうが、そういう飛んでくる渡り鳥というものが生息できるような環境になっておるだろうかということになると、これははなはだ疑わしい部分があると思うのです。私はその問題についてお伺いし、そして今後環境庁を中心とする皆さん方に善処をお願いをしたいわけなんです。  まず大石長官のかわりと申しますか、政務次官のほうから、いま申しましたように、現在外国と渡り鳥条約を結び、さらに今後結んでいこうという状況の中で、日本のそういう渡り鳥の生息地というものを保護しなければいけない、この決意はいかがなるものか、簡単に答弁願いたいと思います。
  190. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 十分決意をいたしております。
  191. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 それで、当委員会においても、この前、特殊鳥類、の譲渡等の規制に関する法律案のときに附帯決議がつけられているわけです。この二項目ですけれども、「特殊鳥類の生息環境保全のため、生息地の買上げ等必要な措置を検討する」こういう附帯決議がついておりまして、それに対しまして大石国務大臣も、ただいまの附帯決議につきましてはその趣旨を十分尊重いたしまして善処してまいりたい、こう述べられているのですけれども、この決意についてはいかがでございますか。
  192. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 買い上げということは、もちろん将来はそういう方向にいかなければならぬと思いますが、ただいま予算をとっておりませんから不可能です。ただしかし買い上げをしなくても方法があるのです。というのは、たとえば特別鳥獣保護地区に指定いたしますと、その地形の変更等については環境庁長官の許可を受けなければならない、かってに大事なところを埋め立てたり何かすることをやめさせるような権限も環境庁は持っておりますから、全国的に調査をいたしまして、大事なところについては——もちろん都道府県知事の協力も求めますけれども、最後にはそのような手もございますから、先ほど申しました重大な決意をもってこれに臨むということでございます。
  193. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、きょうは私の県でございます愛知県の鍋田干拓、ここはあとからお伺いをいたしますけれども、シギやチドリの最大の生息地、また最後に残された生息地だといわれているわけですが、私はその問題についてお伺いをしたいのです。  まず事務当局の方でけっこうでありますけれども、私の聞いている範囲では、この鍋田干拓——日本の鳥は四百二十四種ですか、そのうちこの鍋田干拓に二百七十二種の野鳥が来る。そのうちシギ、チドリのみで四十八種、年間十万羽が飛んでくる。これが最後に干拓として残されたシギ、チドリ類の生息地である、こういうふうにこの鍋田干拓の地域について聞いておるのでございますけれども、私いま申しましたように、生息地として非常に大切であるということは事実と申しますか、専門家として見られてどうなのか。あるいは他の生息地は一体、どういう状況になっているのか。時間がございませんから、おもな点だけ簡単に、事務当局のほうから御答弁を願いたいと思います。
  194. 仁賀定三

    ○仁賀説明員 全国の干がたでございますが、主要な干がたは、東京湾、大阪湾、伊勢湾というふうな湾内に過去に非常に発達しておったわけでございます。それが開発という形において、ほとんど埋め尽くされたというのが現状でございます。  なお、いま申しました三つの湾以外にもまだ干がたがございますが、私どもといたしましてはその残っておる千がたを早急に調査しまして、保護対策を立てたいということで、本年度から取り組んでおるような次第でございます。
  195. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 こちらからこまかく聞いていると時間がありませんので、たとえば渡り鳥として来るシギ、チドリの類を見ましても、仙台あたりの蒲生海岸ですね、ここもやはり埋め立てにより往時の三分の一の干がた二十六ヘクタールが残るのみ、埋め立て工事は現在一時中止され、干がたは保存される見通し。蒲生は二十六ヘクタール残る。それから、東京湾の新浜ですけれども、新浜の干がたは、干がた五十一ヘクタール、総面積八十三ヘクタールの保護区造成を条件に埋め立てられ、あとは消失しちゃうわけですね。ここは幾らか残る部分がある。それから大阪の南港ですけれども、これは埋め立てにより完全に消失しちゃって、わずか三十ヘクタールの干がたをつくる予定になっている。残されたところが、これからぜひとも保存をしていただきたい鍋田干拓地域になるわけなんです。  鍋田の地域の保存について、四つの場合があると私は思うのです。それで、これも専門家に一応確かめておきたいのでございますけれども、この干がたが埋め立てられると、シギ、チドリ、こういうたぐいの鳥が絶滅するというデータ、これは野鳥の会のデータでございますけれども、出ておるのです。埋め立てられた場合の野鳥に対する被害と申しますか影響、そのあたりの点はいかがでございますか。
  196. 仁賀定三

    ○仁賀説明員 シギ、チドリのような鳥は、どうしても生息環境として干がたが必要でございます。干がたが少なくなっていくに従って、生息環境が少なくなり、生息数が少なくならざるを得ないというふうなことになると考えております。
  197. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 今度の日米渡り鳥条約の中でも、附表八六番から一一八番まで、全部シギのたぐいが入っているわけですけれども、これがいま私が問題にしている鍋田干拓に飛んでくるわけですね。しかし、これが完全に埋め立てられてしまいますと、三分の五近くが壊滅をしてしまうという状態になると思うのです。私は、いま申し上げましたように、四カ所を例にとりまして、ひとつ今後の対策を環境庁にお願いしたいと思うのです。  それは、ここに地図がありますけれども、第一の場合でございます。政務次官、見ていていただきたいのですが、ここが鍋田干拓の東干拓地といわれている部分ですけれども、ここに何をつくるかといいますと、競馬場の厩舎と野鳥公園。これが大体三十ヘクタール。それで残りを、いまのところ、将来は浄化処理場にしたいけれども、県のほうあるいはここを管理している県の企業局のほうでは、将来ここを緑地にしたい。万が一浄化装置をつくる場合でも、浄化装置のほうは地下に埋めて、何とか緑地を保存したい、こういう意向が、私が愛知県の企業局に聞いたところではあるわけなんですね。  御存じのように野鳥公園は、私も現場を見てまいりましたけれども、三十ヘクタールではたいへん狭いということと、ここには海水が入りませんので、いま申し上げました、日本にもわずかしか残っていないシギとかチドリあるいはこういうたくさんの、先ほど申し上げた二百七十二種のうちの水に関係ある野鳥については、この野鳥公園では住めなくなるわけですね。しかし、シギとかチドリ以外のたくさんの野鳥もおりますものですから、何とかこの野鳥公園を少し広げる必要があるんじゃないか。それで、私がいま申しましたように、せっかく愛知県の企業局のほうも、何とかこのまま緑地にしたいという希望があるので、環境庁のほうとしても愛知県に働きかけて、もちろん私も、愛知県の出身ですからいたしますけれども、ひとつ何とかこの野鳥公園をさらに広げられるように、まあ正直いって、環境庁のほうはお金がないものですから、なかなか県のほうにお金を——本来は、私はそういうふうにあるべきだと思うのです。これは環境庁を責めるべき問題ではなくて、政治全体を責めるべきものだと思うのですけれども、いま申しましたような関係で、野鳥公園は三十ヘクタールでは少し狭いので、これをさらに広げるような交渉と申しますか、環境庁としてやる考えはないかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  198. 仁賀定三

    ○仁賀説明員 ただいま御指摘の鍋田干拓の野鳥公園が、現在愛知県の手によってつくられつつございますが、残っております地域につきまして、私どもも、野鳥が生息し得る良好な環境に維持してほしいということで、愛知県当局といろいろ相談を進めつつあるところでございます。今後とも愛知県と十分相談をして、いい環境が残るようにつとめてまいりたいと考えております。
  199. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いま申しましたように、シギ、チドリについては、これは海水が入りませんから、ここでは維持できませんけれども、しかし他の鳥がたくさんいるわけですから、その意味で、いま申しましたこの部分の野鳥公園をさらに拡大する、これを環境庁と愛知県のほうでぜひともはかっていただきたいと思うのです。  それからもう一つ問題なのは、西三区と西五区、ここが埋め立てになっておるわけですけれども、この西五区について——西三区もまだ完全に終わっていませんけれども、ここはほぼ終わっている。ここについては東側と同時に木材団地が来るわけです。この西五区についてはコンテナ埠頭をつくる予定になっているわけです。これはいろいろ調査をしてみますと——きょう運輸省の方、見えていらっしゃいますね。ちょっとお伺いをしたいのですけれども、私の聞いた範囲では、港湾審議会で四十五年の三月にこの西五区について埋め立てが認められた、許可になったということですが、私の知る範囲ではこの埋め立てについてはここの管理者である名港管理組合が計画をつくり、そして運輸省の港湾審議会のほうに提出をされ、いろいろなところの意見を聞かれて許可になると思うのですが、そういう経路でよろしゅうございますか。
  200. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 おっしゃるとおりでございます。
  201. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 その際に、いま私が申し上げましたように、この地域が日本でただ一つ残された最大のそういう野鳥の生息地である、こういうことについては配意はあったのでしょうか。
  202. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 ちょっと当時の状況を正確にお答えするだけのあれでございませんけれども、おそらくその当時にはさして問題になっていなかったのではないかと想像いたします。
  203. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 四十五年の三月と申しますと、ちょうど公害が幾らかうるさくみんなの口にのぼるようになったころですので、正直にいって鳥のことまでなかなか頭が回ってなかった時代だと私も思うのです。私も公害を始めたのが四十五年の五、六月くらいからだと思うので、この埋め立てが協議されたときには、西五区についてはおそらくそういう観点からの討議はなかっただろうし、しかも環境庁は当時ありませんでしたから、そういう意味では私は討議になってなかったと思うのです。  そこで、現在の問題になるわけですけれども、行政的におたくのほうの権限で、経済的なことはあとにおきまして、いまから一部計画を変更して、いま申しましたように、シギ、チドリを中心とする、そういう海の水がそのまま入ってきて生息できるような地域として保存をすると申しますか、そういうようなことが行政的にいまから可能でございますか。おたくにはそういう権限はございますか。
  204. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 実は私どもといたしましては、先ほど先生のおっしゃいました港湾計画を立ててそれを審議する。それから埋め立ての計画に対しまして認可ということがございます。この西五区につきましては、もうすでに埋め立ての認可もおりているということでございます。一般論として申し上げますと、申すまでもないことでございますけれども、日本の地形というようなものからかと思いますけれども、沿岸の住民の生活物資というものを海運にたよることが日本の場合はどうしても必要でございます。そういうような面から計画が立てられてきて、それに従いまして実は埋め立ての認可もすでに昨年でございますか、おりておるということでございますが、通常の考え方として先生のおっしゃるような措置というものはむずかしいのではなかろうかと私は思います。
  205. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私のお聞きしたいのは、おたくのほうにそれだけの行政権限と申しますか、いま私が冒頭にお伺いしましたように、当時ここを埋め立てるときには、そういう鳥獣についてまで正直いって頭が回らなかったということは事実としてあると思うのです。そこで、いま私が申し上げましたように、全国各地の干がたが埋まってきてしまって、渡り鳥条約を外国と結ぶ。アメリカと結んで、今後わざわざソ連等まで行かれて結ぶ、あるいは中国と結ぶ、こういう時代になってきてよくよく見回してみたら、条約は結んだけれども、日本には鳥が飛んでくるところがなかったということではどうにもならぬわけです。  しかも、先ほどからPCBの問題をはじめとするいろいろな御質問があるように、人間環境ということがたいへん重要な時期になっておるときに、その一環である鳥の保存についても必要である。こういうように事情が、状態が変わってきているわけです。そのときにそういう配慮なく決定された埋め立てについて、ちょうど西五区の西側というのはまだ埋め立てが完全に終わっていないわけです。そういう意味で、実際にやっているのは愛知県と名古屋市と名古屋港、名港管理組合が、議会なり行政執行機関があってやっておるわけですが、その認可をした運輸省のほうとして、こういう国の大きな観点から現在やっていることを変更する権限がおたくにあるのかどうなのかということをお伺いしたいのです。
  206. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 これはあくまでも行政指導ということの範囲ではないかと私は思います。
  207. 加藤清二

    加藤(清)委員 関連して。  局長なり水産庁の長官でないと、守備範囲が違うといわれるでしょうけれども、すでに運輸省なり、あるいは御承知の漁港でございますと水産庁になりますね、その長官から埋め立ての許可がおりた。しかし、あとから調べてみたら港湾に大きな変化を来たして、船その他漁船等々の運航に妨げが来るということのわかった場合においては変更命令がたくさんに出ている。  それから事公害に関する状況下においてもまた変更命令が出ている例がございます。たとえて申しますと臼杵湾風成地区、これを大和田水産庁長官は公害委員長であった私との約束を破ってまでもないしょに許可をおろした。しかし、このあとこれは裁判になりました。その結果は取り消しのやむなきに至った例があります。したがって、産業上あるいは貿易上の前例はたくさんありまするが、事公害に関しても取り消し命令——もちろんあなたのおっしゃったようにその場合は行政指導ということになります。あなたのおっしゃるとおりです。そういう前例はありますから、一度よく検討していただきまして、名古屋港においては御承知のとおり木材倉庫——これは伊勢湾台風のおりにたいへんな木材が流れて死傷者を出したというので、一カ所に厳重な倉庫をつくって、波風のために放出しないようにという要請もこれあり、同時に荷物運送の場合には近ごろコンテナがはやりになった。それが名古屋港にない。ゆえにコンテナの特別な陸揚げ地をつくるべきである、こういうことで進んだことは事実でございます。  しかし、いま佐藤委員が申し上げましたように、すでに日米におきましては渡り鳥の協定が先日結ばれました。いままたソ連ともやろう、こういうことです。その時点において残されたたった一つの渡り鳥の住みか、それが産業上の問題でつぶされていくということに相なりますと、なるほど日本はエコノミックアニマルである、こういう評価に置きかえられるおそれが十二分にあると思う。したがって、本件は国際上の立場からいきましても環境保全の立場、あるいは環境関係、公害基本法が通過した今日の時点で法体系が公害追放、環境保全、こういう方向に向かっている時点においては検討をする余地が十二分にあり得る、かように思いまするので、ひとつよろしく御検討を願いたい、こういうことでございます。これについてまず、環境庁の長官いらっしゃらぬから、次官、このことについてひとつ次官の所見を承りたい。
  208. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 具体的に佐藤先生のおっしゃった地域についてどうするかということは、ちょっと私もう少し調べなければわかりませんが、いま加藤先生のおっしゃった例のほかに、たとえば新浜というのですか、千葉県知事が運輸省から公有水面の埋め立ての許可をもらって、たいへん漁業補償もしているところですけれども、非常に干がたとして重要なところだというので環境庁のほうからも知事にお話しをしまして、これは埋め立てを差し控えて干がたとして残すというようなことをやってもらうように話を進めておるような状態です。ですから具体的にいまのお話しの個所についてどうするかということは別としましても、私どもの態度としましてはそのような方向でこれからもいきたい。実際このような干がたの大事だというようなことがネグレクトされまして、どんどん埋め立てておられたのです。それでこの点については全く行政のミスと申しますか、行き届かなかったことだということをいま痛切に反省しておるわけです。  そういう意味で、あらゆる手段を尽くしまして、先ほど申し上げましたように、たとえば鳥獣の特別保護地域に指定する。これはいろいろな手段、方法、手続が要るそうです、公聴会を開いたり何かして。しかし、それをやれば今度は地形の変更等については環境庁長官の許可を受ける、こういうことになりますから、今後は十分にそういう点は防止できると思っております。それに備えまして全国の干がたの調査をいま一斉にやろう、こういうことにいたしております。  以上、お答えいたします。
  209. 加藤清二

    加藤(清)委員 もう一点だけ。環境庁のほうとしてはこういう案件についてあまたの体験をお持ちでございまするし、環境保全のためにたいへん御努力をいただいておりまするので、その努力を多としまするが、運輸省のほうでは、珍しいケースである、だから困るというようにお考えの向きもこれありと存じまするので、もう一つ生きた例を申し上げます。  たとえば北海道でたいへんな金をかけましてあのオリンピックの競技場をつくったわけですね。しかし環境保全の立場からいってあれを継続させるについては環境保全上いけないという点が間々ありまして、もとの干がたに復元をしたところがありますね。  もう一つ申し上げます。すでに御存じだと存じまするが、海岸に関係がありまするから申し上げます。鹿児島県の志布志湾ですね。これは県知事のほうは埋め立て、工場誘地賛成で、新総合開発のあの計画に沿って計画書が出されております。しかし、あそこへ石油コンビナートをつくることの利益よりは、むしろ三百年来伝えてきたところのあのりっぱな松原、白砂青松のあの海岸を失ってしまうということはたいへんな問題であると同時に、日向灘の問題、これは国立公園でございます。したがって、そこが油でよごされるということはこれはもう環境上問題が大き過ぎるというので、この計画は変更の余儀なきに現在至っているわけでございます。  等々のことがございまして、これは新総合開発の問題と環境保全の問題とが競合する点がたくさんあると思いまするけれども、ぜひひとつ御検討をわずらわして、悔いを千載に残すことのないように、自然の破壊はいっときでできまするけれども、この復旧はもはや永久に取り戻すことができないわけです。たった一つしかないところの地球をわれわれの時代のためだけに汚すということは時代のあやまちであると思うのです。したがって、ぜひひとつ御検討をわずらわしたい。
  210. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 私どもといたしましても、いわゆる開発と環境というような、特に渡り鳥のような問題で競合する場合が非常に出てきているということは重々承知しております。これは港湾管理者等に対しまして行政指導を強めておる次第でございます。  先ほどお話の出てまいりました千葉県の場合には、埋め立ての計画、埋め立てというものを免許するわけですけれども、それに対しまして運輸省といたしましては認可をする。その際に、地元のほうから、さっきお話しがありましたように埋め立て計画をおつくりになりました上でお持ちになる。それを私どもが実際認可していくわけです。  それから大阪南港の場合は、やはり管理者である大阪市のほうがそういうものを取り入れました計画をお立てになりまして、それを私どものほうでさらに審議会にかけまして計画決定をしたということでございまして、やはりすべて地元のほうで十分に調整をしてほしいというのが私どもの指導でございますし、またその地元ででき上がりました計画に基づきまして私どものほうでさらにそれをチェックしていくという立場でございます。こういういままでの事例から申しましても、またこれからの私どもの考え方といたしましても、そういう指導を強化していくということによって、先生の御指摘のような点を守っていくべきであるというふうに考えておるわけでございます。
  211. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 もう時間がないので、ささっとあと結論を急いでいきたいと思うのですが、そういうようなことでひとつ環境庁のほうとしても、この西五区については、これはおたくのほうが主になって働きかけをしていただかないとならぬと思うのです。ぜひとも今後交渉していただきたいと思うのです。  もう一つは、ここの西五区については、これは高潮の防潮堤ができているものですから、これもなかなか水鳥ということになるとむずかしいかもしれないのです。その面でどうしても主題であるシギ、チドリということになりますと、その西側に、農林省には申しわけないのですが、木曽岬の干拓の予定地があって、これは南部と言ったらいいのですか、五十年完成といっていますから、あと三年くらいで完成する。しかも来年の四月にこの防潮堤を締める予定になっているそうですね。それでこれは四十一年から始めているわけです。減反を始めたのですが四十五年ですか、そのころから農業政策というのは大きく転換をしているときなわけですね。この時期にあたって、私は加藤先生からお話しがあったように、いろいろそういう意味での環境が変わっていることですから、全部ここを鳥のためにそのままにせいということはいろいろむずかしいかと思いますけれども、このちょうど中央あたりを堤防で仕切って、南の部分をあけたままにして海水を自由に出入りさしていま申しましたシギとかチドリ、こういうような鳥が生息できるようにできないものだろうか。これは私お聞きしたところでは、国費が七五%とか財投が二五%入っていますからね。いざそういうことをやろうとしても、これは環境庁の予算があるないは別としても、一応のたてまえとして、環境庁が買い上げるという形にしなければいかぬと思うのです。金のない環境庁まことに残念ですけれども、ということになると、これはなかなかむずかしいと思うのです。そういうような現在の環境保護の要請に対して農林省のほうとしてはいかがなものだろうか。そうしてもしこの南半分を買い上げるということになれば、いままで投資した額というものは一体ざっとどのくらいのものになるだろうか。その辺を簡単に時間もありませんから考えをお伺いしたいと思う。
  212. 住吉勇三

    ○住吉説明員 お答えいたします。  ただいま先生からお話ありましたように、木曽岬干拓は地元関係者からの非常に熱心な要望がございまして、昭和四十一年度に着工したわけでございまして、現在までに事業費で約二十七億という投資をやりました。先生お話のございましたように、本年度で過半の工事が進捗いたしまして、来年度は潮どめの予定というようなことにもなっておりまして、この関係農家といたしましては、先生御存じのとおり、この地帯は非常な大消費地を控えまして、野菜の生産地といたしまして非常に恵まれた条件にございますので、関係農家はこの干拓の一日も早く完了することを熱望しておるというような状況にもございます。そのような事業の進捗度、また関係農民の感情というような点から、農林省といたしましてはこの干拓地の一部を割愛するということは非常に困難な問題だというように考えております。  なお、この一部を転用した場合のお話がございましたが、これはこの工事の進捗状況等もございますので、その時点と割愛いたします面積等によりますので金額は現在時点では申されませんが、それに投下いたしました費用は返還していただくというような原則になっております。
  213. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 環境庁のほうにもお願いをしておきたいのですけれども、政務次官、最後ですから……。この部分についても農林省は四十一年度から計画をしてつくってきたのですから、そう簡単に計画変更もできないだろうし、計画変更というのは基本的にはあまりよくないことだと思うのですけれども、先ほどから運輸省の方にお話したように、かなりそういう面、環境保護、自然保護という面で全体的な状態が変わっておりますので、ひとつ環境庁のほうとしても、金銭、予算もからんでくることですけれども、そういうことができないかどうか、御検討を要望しておきたいと思うのです。  それから政務次官、あともう時間がありませんからもう一つ。どうしてもこの木曽岬がだめだということになると、シギ、チドリは、もう一つ西の木曽川の河口——これは地図にありませんけれども、長良川がここに走っているわけです。この長良川の河口、先ほど政務次官も言われたように、これはすぐ法律をつくらなくても、特別鳥獣保護区としてこのまま環境を維持する必要があるんじゃないか。そうしないと、いま申しましたように、鍋田干拓の東の部分が野鳥公園を広げてできたとしても、そこに水鳥は行けませんので、水鳥の行き場として保存するためには、この木曽川の河口、あるいは長良川の河口というものを特別鳥獣保護区として指定する必要があるんじゃないか、こう思うのですけれども、その見解はいかがですか。
  214. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 ここで私からこうするということをはっきり申し上げるいま段階でありませんから、したがって鍋田干拓の問題といま御指摘の木曽川、長良川の下流地帯ですか、あわせてよく私のほうで調べてみたいと思います。そうして、はたしてどうしても大事なところであるということになれば、またこれはそれに対する対策を講じたい、こう思っておりますから、両方あわせて真剣に検討してまいりたい、こう存じます。
  215. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 最後に、すみません。  実はいま三十分ばかりお話した埋め立ての問題ですけれども、私も公有水面埋立法をいろいろ読んでみたのですけれども、結局施行令の中に都道府県知事が認可をすることになっておるだけで、そこでこれをつくられたのはずいぶん、大正年代からある法律ですから、思想としてはいま論議してきたような環境保護ということについてはあまり留意されていないと思うのです。その面で現在のように漁業補償さえ払えばその地域がどんな地域であっても埋め立てができるという、それが都道府県知事の行政の姿勢によるということだけではちょっとたよりないんではないかというふうに考えるのですけれども、建設省いらっしゃいますか、公有水面埋立法ですけれども、これはそういう環境保護のためには一部手直しをする必要があるんじゃないかと思うのですけれども、その見解はいかがでしょうか。
  216. 伊藤晴朗

    伊藤説明員 せんだってのこの委員会でもそういう趣旨の御質問をいただきまして、公有水面埋立法の改正を検討中であるということを申し上げました。その際、御指摘のような野鳥の保護といったようなことを含めました自然環境の保全ということに配慮する旨の規定を検討する必要があろうかと思いますが、御趣旨を尊重いたしまして検討したいと思います。
  217. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 終わります。
  218. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 古寺宏君。
  219. 古寺宏

    古寺委員 水産庁にお尋ねをいたしますが、岩手県の北上川で十二日と十三日にかけまして川魚が大量死いたしております。この原因と損害額、どのくらいの川魚が斃死しているか、御報告を願いたいと思います。
  220. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 本年の六月十二日と十三日に北上川の本流の一関付近でございますが、ここでニゴイ、ウナギ、ウグイ等が大量に斃死したということでございまして、尾数にいたしまして約三万尾と推定しておりますが、金額につきましてはまだ報告を聞いておりません。  それからもう一件、六月十五日、千厩川というところでやはり相当数の魚が難死したという報告を受けておりまして、被害金額につきましてはまだ報告を受けておりません。
  221. 古寺宏

    古寺委員 いまの報告では、宮城県の被害については報告がなかったわけでございますが、もう一つ、いま最初にこの原因をお尋ねしているわけです。どういうわけでこういうような斃死が起きたか、原因をお尋ねしているわけですから、それもあわせて御答弁してください。
  222. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 ただいまの先の北上川の本流の一関市の付近におきましての被害については、松尾鉱山からの廃水が非常にPHが低くなっておりまして、これの影響があったのではないかと思われる点もございます。ただ、ここは約百キロ離れておりまして、必ずしもこの影響とは断定できませんで、それについて調査をいたしております。  また、千厩川のほうは支流でございますので、松尾鉱山の影響はないんではないかというふうに考えられております。  両方ともただいま県の試験場で調査中でございます。結論は出ておりません。
  223. 古寺宏

    古寺委員 それでは、昨年も一昨年もございました、こういうような事例が。ちょうど同じような時期ですね。そのときに御質問申し上げたときには、調査中である、こういうお話だったわけです。結果はどうなっていますか。
  224. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 四月二十六日のこの委員会で先生から御指摘がございました磐井川、北上川の支流でございますが、磐井川と、それから宮城県の柳津町の被害につきまして調査中と申し上げましたが、その後宮城県の調査によりますと、ここは病気のせいではないかと言われたのですが、病原菌も見られませんし、新たな毒物も見られないので、原因は不明のままに終わっております。
  225. 古寺宏

    古寺委員 そういうふうにいつも同じような答弁ではぼくは納得できないのですよ。一つには、松尾鉱山の酸性の鉱毒によるらしいでしょう。この前のお話では何か病害によるらしい、その結果別に病害と思われるような病原菌もない——毎年こういうふうに大量に死ぬわけですよ。だれが一体こういう問題を解決するのですか。現在どういう調査をおやりになっていますか。調査を進めていると言うのですが、どういう調査ですか。
  226. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 水産庁といたしまして調査をしているのではございませんで、県の試験場がこの死んだ魚の分析をいたしまして病気の原因、斃死の原因の調査をしておるのが現状でございます。
  227. 古寺宏

    古寺委員 なぜ、いままでこういうようなことを何回も繰り返していながら、水産庁はもっと積極的にこういう問題に対処しないのですか。
  228. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 水産庁といたしましては現在淡水の指導をいたしておりますが、淡水区水産研究所というのが東京都にございますが、これが全国の淡水の指導をいたしております。個々の事例につきましては、県から要請があった場合にこれに直接参加する場合、あるいは県の調査計画なり調査結果なりの分析についての指導をするというのが現状でございまして、現在のところまだ県からその要請がございませんので、北上川については直接調査に加わっていないのが現状でございます。
  229. 古寺宏

    古寺委員 それではさっそく調査をして原因を究明してくださいよ。よろしゅうございますか。
  230. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 県の試験場と打ち合わせいたしまして、調査を直接実施するか、あるいはほかのところに依頼して研究するようにいたしますか、検討いたさせたいと思います。   〔林(義)委員長代理退席、委員長着席〕
  231. 古寺宏

    古寺委員 いままでこういうような被害が起きても、岩手県から一回も水産庁には全然要望がなされたことがないわけですね。また指導したこともないわけですね。
  232. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 本年に関してはございませんし、昨年もなかったと記憶しておりますが、淡水区水産研究所に直接あったかもしれませんので、昨年以前につきましては調査いたしたいと思います。
  233. 古寺宏

    古寺委員 それではその結果を調査して、あとで御報告していただきたいと思います。  そこで、次に建設省にお尋ねしますが、今回こういうふうに北上川で大量に川魚が斃死をいたしました。この点と松尾鉱山の鉱毒水との関連性並びに四十四田ダムにおけるその後の状況について御説明願いたいと思います。
  234. 岡崎忠郎

    ○岡崎説明員 お答え申し上げます。  松尾鉱山の排水につきましては、ことしの五月から建設省で、従来の松尾鉱山がやっておりました炭カル投入を肩がわりをいたしまして続けております。当初は百五十トン投入しておりましたが、その後松尾鉱山の中でも落盤事故等がございまして濃度がふえましたので、現在ではその約倍余りの三百三十トンを投入いたしております。  それから四十四田ダムにつきましては、現在下流の流量あるいは下流のPH等を考慮いたしまして、約三十トン程度発電の使用水を操作しております。  先ほど先生お尋ねの魚の斃死と北上川水流の水質との問題につきましては、建設省では実はその直接原因につきまして、関連につきましては検討いたしておりません。
  235. 古寺宏

    古寺委員 この河川の管理の責任は一体どこにありますか。
  236. 岡崎忠郎

    ○岡崎説明員 河川の流水の正常な機能につきましては、河川管理者である建設省が責任を持っております。
  237. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、水質の汚濁も管理するわけですか。
  238. 岡崎忠郎

    ○岡崎説明員 建設大臣が管理しております河川につきましてはそのとおりでございます。
  239. 古寺宏

    古寺委員 それではなぜ、こういうふうに現実に事故が起きているのに水質の調査をやらぬのですか。なぜ原因を調べないのですか。管理とは一体どういうことですか。
  240. 岡崎忠郎

    ○岡崎説明員 水質の調査につきましては継続してやっております。ただ、先生の先ほどの御指摘の魚の死んだことと水質との関連につきましては建設省のほうでやっていない、こう申し上げたわけでございます。
  241. 古寺宏

    古寺委員 環境庁にちょっとお尋ねしたいのですが、実際に川魚が生息できなくなる、いわゆる強酸性というのはPHであらわしますとどのくらいでございますか。
  242. 岡安誠

    ○岡安政府委員 ちょっと魚の種類によりましても多少強弱と申しますか、差はあると思いますが、環境基準をきめる場合に、やはり水産動植物、特に魚に対する影響を考えて決定いたしておりますが、たとえば河川の、ABCとございますが、Cのところまでの段階、水産の三級といいまして、特定の魚が生息し得る状態となっておりますが、その場合、PHの許容の限度が六・五以上八・五以下となっておりますが、大体その程度が魚の生息に適した水質であろうというふうに実は考えております。
  243. 古寺宏

    古寺委員 それでは建設省にお尋ねしますが、四十四田ダムから放流している水の水素イオン濃度、それから一関、この間までの酸性の濃度の測定結果があるわけです。どのくらいになっておりますか。
  244. 岡崎忠郎

    ○岡崎説明員 四十四田ダムから放流いたしております水質につきましては、調べておるところによりますと三二ないし二程度でございます。それから下流のほうの一関前後の水質につきましては五から六の間だろうと思います。
  245. 古寺宏

    古寺委員 先ほど、毎秒三十トンの水を放流していらっしゃるというお話をしましたね。ところが私どもが調査いたしました結果では、十日から毎秒四十五トンくらいに水量がふえているわけです。そのために一関の周辺までPH四くらいなんです。これでは当然水産動植物というのは被害を受けるわけです。なぜこういうふうな被害を想定しないでそういうふうに水量をふやしたか。これは洪水期になって当然放流しなければ今後いろんな事態が想定されるからそういうふうにしたんであって、ダムを守るためでしょう。しかし一方ではそのためにこういうふうに大量の川魚が死んでるわけです。こういうような対策についてはおたくのほうは全然お考えになっていないわけでしょう。それでは河川を管理しているとはいえないじゃないですか。どういうわけでこういうような非常に片寄ったことを毎年繰り返すのか、その点についてひとつ釈明してください。
  246. 岡崎忠郎

    ○岡崎説明員 ダムからの放流につきましては、先ほど約三十トンと申し上げましたが、下流の流量、支川の放流量等を考慮いたしまして、下流の水質等を勘案して放流しているわけでございますが、特に七月一日からは、ダムの水位、これを夏期制限水位と申しておりますが、治水上の水位に下げなくてはなりません。このために、ダムの放流量をおのずから減らすわけにまいらないのでございます。
  247. 古寺宏

    古寺委員 いまは渇水期、そうしますと、途中にいろいろな支川がございますね、こういうような河川は、かんがい用水として非常に水量が少なくなっているわけです。そこへ四十四田ダムから非常に汚濁した水を大量に流しますと、当然こういうような被害というものが生じてくるわけです。そうでないですか。どう考えますか、その点は。
  248. 岡崎忠郎

    ○岡崎説明員 先ほど申し上げましたようにこのダムは多目的ダムでございまして治水の面を持っております。したがいまして、夏期にあの制限の水位まで下げませんと洪水が来た場合操作ができなくなります。そういう点で夏期制限水位というのは必ず守ることになっております。そのためにどうしても放流量を減らすわけにはいかない。したがいまして、私どもが操作いたしましたのは、下流の流量等を想定いたしまして所要のPH以下にならないようにという想定でもって実は操作いたしたわけでございます。
  249. 古寺宏

    古寺委員 そうしますと、あなた方のほうで想定したPHは幾らですか、一関付近で。
  250. 岡崎忠郎

    ○岡崎説明員 一関の千歳橋というところがございますが、そこで五・八以下にならないようにということでやっていると聞いております。
  251. 古寺宏

    古寺委員 現実に四台になっているわけです。これはだれが責任を持つのですか。
  252. 岡崎忠郎

    ○岡崎説明員 ただいま四台になっているということ、私もはっきり承知しておりませんでしたけれども、ただいま申し上げましたように下流のPHについては十分注意してやっておるわけでございます。したがいまして、いま先生のおっしゃるように四台になっているとすれば非常に残念なことでございますけれども、河川管理者としては水質に対する関心は非常に持っておりまして、いま申し上げたように上流の治水とあわせて支川、下流のPHが下らないようにということは常々考えておるところでございます。
  253. 古寺宏

    古寺委員 そういうふうに考えているだけでは困るわけです。現実に放流している水のPHが三二前後でしょう。それから一関のほうへいって四台になっているわけです。そうしますと、東北一のこの大河川が死の川になるのは、これは当然ですよ。そうじゃなくして、いかにしてこの川を復元するか、魚の住めるようにそういう川に管理をしていくか、ここが一番大事な問題だと思う。そういう点は全然考えていないのですか。
  254. 岡崎忠郎

    ○岡崎説明員 ただいまの点につきましては、北上川の水質につきましての専門委員会を東北大学の岩崎教授を委員長といたしまして設けまして、いろいろ調査をお願いしてございます。いろいろな、根本的に松尾鉱山の廃水に対する処置というものを検討していただいておるわけでございますが、その対策ができるまでの間は建設省のほうで先ほど申し上げました炭カル投入ということで上流からの水質の悪くならないようにという操作をいたしておりまして、松尾鉱山では大体四に維持できております。したがいまして、問題は四十四田ダムから下流に流下する水質の問題になるわけでございますが、いろいろそのときの流量等によって変動はあるようでございます。したがいまして、そういう下流に対する影響は、下流にほかのダムもございますので、あるいはほかのダムからの放流等を増すとか、そういうことでいろいろ対策はいま非常にこまかく検討中でございます。
  255. 古寺宏

    古寺委員 そういうばんそうこう的な対策ではいかぬと思うのです。すぐ専門委員会とか調査ということを繰り返すわけです。これは前にも今泉調査団というのがちゃんと調査をして、対策も打ち出している。しかもいまつくられているいわゆる委員会というものは、これは環境庁に、特に政務次官に申し上げたいと思うのですが、私が四月にお尋ねしたときには、国が積極的にこの問題に取り組みます、こういうふうに政務次官が御答弁になっていらっしゃるわけです。ところがこの委員会というのは現地の大学とか現地の建設省あるいは鉱山保安監督部の出先機関の人が集まってまた同じことをやろうとしているわけです。これではいつまでたってもこの問題は解決つかぬと思うわけです。こういう点についてはやはりもっと国が積極的にこの問題と取り組まないと、特に環境庁が中心になって推進しませんと、建設省はもうそういうふうにしたいと思ってやっております。ところが現実にはいま申し上げましたようにPH三・一の水をどんどん放流する、下流ではたくさんの魚が死んでいく、こういうことを毎年繰り返していかぬといかぬわけです。ですから、これは前にも申し上げましたように、やはり抜本的な対策を現段階においてもやらなければならない問題がたくさんあるわけです。そういうことをちっともやってないわけです。この問題について環境庁はどういうふうに現在取っ組んでおられるのか、政務次官からひとつ御答弁を……。
  256. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私から先に。北上川の汚濁の問題につきましては、環境庁は関係省庁と相談をいたしましてこの対策に取り組んできたわけでございまして、現在やっておりますのは、暫定的な応急対策といたしましては、建設省にお願いをいたしまして、中和による処理ということを現在継続をいたしているわけでございます。それだけではやはり応急対策でございますので、抜本策を樹立しなければならないということで、地方の先生方を中心になってやってもらっているじゃないかというおしかりでございますけれども、東北地建の中に北上川水系水質汚濁連絡協議会を設けまして、この協議会の中に酸性水質対策専門委員会、おっしゃるとおり東北大学の先生、岩手大学の先生等を中心にいたしまして、いろいろ御研究を願っております。ただ国といたしましてこの専門委員会にまかせきりということではございませんで、調査費等につきましては私どもがその経費を調達いたしまして、現にその準備をし着手をいたしたいと思っております。私どもの予定といたしましては大体八月一ぱいくらいにはほぼ調査を完了いたしまして、今年度中には抜本策の一つと考えられております覆土といいますか、酸性水を洗い流してまいります地帯につきましての覆土の事業等に着工いたしたいということで現在その調査をいたしておるわけでございます。もちろん抜本策はそれ以外にもいろいろあろうかと思います。それらにつきましては、このような専門委員会のお知恵をかりまして、いろいろな抜本策につきましては今後順次実施をいたしてまいりたいと、かように考えております。
  257. 古寺宏

    古寺委員 私が申し上げていますのは、北上川水系水質汚濁対策連絡協議会というものができました。これは六月にできたわけですが、いかにこの専門家が一生懸命おやりになって結論を出しても国の腹がまえが、本気になってこの問題と取っ組もうという腹がまえがなければ、財政的な裏づけがなければもうできないわけですよ。そういう点について政務次官から今度は本気になってこの問題と取っ組む気があるのかどうかひとつ承りたいと思います。
  258. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 先ほど局長からお答えいたしましたように、環境庁が中心となりまして国でこれをやっているわけでございます。先ほどの先生のように、私はときどきそういう御質問があるので御理解をいただかなければいけないんじゃないかと思うのは、地方の大学なり、あるいは府県なり研究所なり、りっぱな学者がおりますので、そういう人たちに依頼してやっておるわけでございまして、何も環境庁の職員を出さなければならぬとか、東京におる先生を連れていかなければ国が直接やったんじゃないんだ、こういうようなことではないのでございますから、その点は御理解いただきたいと思います。それからその調査の結果、必要があれば予算を組んでこれに対処するということは当然のことでございますから、それをやらないとは申し上げておりません。やると申し上げておるわけでございますから、その点も御理解いただきたいと思います。
  259. 古寺宏

    古寺委員 私は、いわゆる地方の大学の先生方がスタッフだからどうという問題を取り上げて言っているのではないのです。これは前にも、先ほど申し上げましたように、四十四年の三月ですか、今泉調査団というのがきちっと調査をして結論も出しているわけです。その後において、確かに三メートル坑口というものを閉塞いたしまして、百メートル坑口から廃水が出るようにはやっております。しかし現実の問題として、露天堀りの問題であるとかあるいは一千万立方メートルといわれるズリの問題であるとか、あるいは三万トンをこえる粗鉱の問題であるとか、いろいろなそういうような問題かやろうと思えばできるのに放置されているわけです。それで松尾鉱山が今度倒産して、建設省は肩がわりをしまして、いままで百五十トンだった炭カルを三百三十トンも投入しておるわけです。それでも今度のような被害が現実に起きているわけです。ですから、いかに専門家が一生懸命調査もし、結論を出しても、やはりその予算の裏づけや、いわゆるいろんな土木工事等が進まなければ、これはどうにもならない問題であります。  そこでまず通産省のほうにお尋ねします。これは前からの問題ですが、今泉調査団も指摘をしておりますが、なぜこの露天掘りというのを今日放置しているのか、そこからお尋ねしたい。
  260. 田中武夫

    田中委員長 通産省だれか答えますか。——久良知公害保安局長
  261. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 松尾鉱山の対策につきましては、先生いま御指摘のように今泉調査団が四十四年に調査をいたしまして、三メートル坑を閉塞をし百メートル坑から排出をするということで水量、それから出る水のPHをかなり高めることができるであろうということで工事に踏み切ったわけでございます。硫黄鉱山におきましては、硫黄鉱山の酸化帯を水が流れましたときに硫黄の影響を受けましてPHが異常に下がるわけでございます。特に新しいと申しますかフレッシュなところを水が流れるときにPHが異常に下がるわけでございます。百メートル坑から排出を始めましたときはPHが一前後というふうに異常に下がったわけでございます。それが漸次上昇をしてきておったわけでございます。その後に百メートル坑の落盤というふうな予想外の事故が起こりまして、再びPHの処理に困難な状態になる。それと同時に松尾鉱山が更生会社として再建に努力をしておったわけでございます。硫黄の市況その他から再び行き詰まりまして、ただいま清算の準備をしておるという状況でございます。そういう事態から、先ほど建設省のほうからもお答えございましたが、私どもといたしましては、もう一度調査をやりかえまして、特にこれは通産省中心ではなくて環境庁が中心になっていただきまして、むしろ環境維持という方法を強めた調査をしておるわけでございます。この調査団の結論によりましてやはり本格的な工事をするべきである。またその工事によりましてあとの処理がかなり改善されるということでありますれば、松尾鉱山の状況が清算に入りまして、おそらく無資力になることは当然避けられないというふうに考えられますので、私どもといたしましては、そういう結論でございますれば休廃止鉱山の鉱害防止工事に対する補助金を活用いたしまして、松尾鉱山の採掘者に対しましても本格的な工事を施工するように取り計らいたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  262. 古寺宏

    古寺委員 この前お尋ねしたときには、この三メートル坑口閉塞工事によってだんだん改善されて非常によくなっている、こういうようなお話しをなさる。あるいは露天掘りの埋め戻しの問題にしてもどういうふうに埋めてどうしたらいいか、これから研究するのだ、こうおっしゃる。実に無責任ですよ。われわれしろうとが考えてもやるべき対策は一ぱいあると思うのです。柏台にある中和処理施設にしても老朽化してしまって使いものにならぬようなものを使っているわけでしょう。あるいはいろんな覆土をすれば当然汚濁を防げるものを放置しておく、思い切った土木工事によって水路をつくるとかあるいは埋め戻しをするか緑化をするか、いろんなことができるじゃないですか。こういうことは当然いままでにおいて鉱山保安監督局がやっておかなければならない問題です。それをいままで放置しておいて、今度は会社がつぶれましたから環境庁のほうがひとつ中心になって調査をして、それから何とかしましょう、こういう無責任な行政というものがこの川を死の川にしてしまったわけなんです。この川というのは東北では一番大きな川ですよ。そうして、かりにPH六・五以上の水にしたらどうなるか。盛岡の地点では毎秒五十トン、花巻の地域では毎秒百トン、一関市の地域では毎秒二百五十トンという水が資源として使えるわけです。こういう国民の財産であり資源でもあるこの川というものを、結局は通産省の無責任な鉱山行政というものがこういうふうに死の川にしてしまった。これを一日も早く復元してやる責任があるわけです。これは当然通産省がもっと積極的に、環境庁とか建設省にばかり責任を負わせるのではなくて、自分らがやはり責任を感じてこの問題というものを推進しなければいかぬ、こう思うわけです。  時間が来ましたので残念でございますけれども、この川を復元すれば、これはもう、松尾鉱山の問題を解決すれば、わが国でも最上位の水量、水質を持っている川になるわけです。ですから、この問題は国家的な事業としても当然取り上げていくべき問題であろうと思いますので、最後に、環境庁長官いらっしゃらないですから、政務次官から御答弁を願います。
  263. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 過去のいろいろ行政の手落ちというものは、私もさもあらんかと思います。今回は、先ほどからお話のありますように、環境庁が中心となりまして、いま、たいへんおそいようではありますけれども調査をやっております。その結果に従いまして、いま申されました貴重な資源でございますし、これに対する施設改善、いろんな点については、予算を持ってこれに取っ組んでまいります。そういうようなことにいたしておりますので、御了承いただきたいと思います。
  264. 古寺宏

    古寺委員 ひとつ環境庁にお尋ねしたいのですが、この環境基準は大体いつごろまでにつくるお考えですか。これだけ聞かしていただきます。
  265. 岡安誠

    ○岡安政府委員 やはり環境基準を設定した以上、それが守られるというめどがつきませんければ環境基準は設定できませんので、私どもやはり先ほど申し上げましたとおり、北上川、特に赤川から発する汚染の事後対策といいますか、そのめどをつけてから環境基準の設定に入りたいというようなことで考えておる次第でございます。
  266. 田中武夫

    田中委員長 時間があれですから……。
  267. 古寺宏

    古寺委員 御答弁要りませんけれども、環境基準をいわゆる汚水対策、汚濁対策ができ上がったらつくるというこういう姿勢、これをまず改めていただかなければいけないと思うのですよ。環境基準を早くつくって、そうしてこの基準を守れるような積極的な体制というものを国がつくらなければいけない。対策を進めなければいけない。それが逆になっているわけでしょう。こういう点について、今後はこういう後手後手にならないように、まず環境基準をつくって、そうしてこの基準を守れるような方向に国の施策というものを進める、こういうふうにひとつやっていただきたいと思うのです。
  268. 田中武夫

    田中委員長 次に、土井たか子君。
  269. 土井たか子

    ○土井委員 豊田参事官もお見えになっていらっしゃいますか。−公正取引委員会のほうは。   〔委員長退席、林(義)委員長代理着席〕  最近、夏の季節というと、蚊やハエや、さらにはイエダニなどが出回る虫の季節として、私たちは大いにその駆除に悩まされる季節でもありますが、新聞紙上に連続して出ましたのは、ニュータウンにダニの大量発生がある、これの駆除をどうするかというふうな問題であります。このことについてはずいぶん悩みの種になるのが、実は薬剤散布というのが必ずしもそれだけでよいということじゃない。幼児に害があるというふうな学者の警告があるところから見ても、安易にいろいろな虫を駆除する薬を使って、それで虫の駆除についての方法はこと足りるといえないという点が私はあると思うのですが、きょうは、この虫の駆除について大体いま問題にされておりますいろいろな薬品の規制ということともからみ合わせながらひとつお尋ね申し上げてみたいと思うのです。  まず、皮切りに申し上げましたダニの駆除なんかについては、薬剤散布でいま一番使われておりますのは御承知のとおりにスミチオンやバルサンなどでありますが、これは有害な農薬としても有名です。したがって、狭い室内でこういうものをまいたら有機燐酸中毒になるという可能性がある。特に小さい子供たちについては危険であるというふうな警告がすでに学者間で発せられているわけでありまして、これ自身も私は一つの問題だと思うのですが、実はきょう私がお尋ねしてみなければならないという気持ちになりましたのは、ある一つの事例を通じてであります。それは過日埼玉県の上福岡に住んでおられる一サラリーマンである、具体的にお名前を申し上げますと守住さんとおっしゃる方が、過ぐる昭和四十四年の八月に薬局からニッサンサニタというゴキブリ専用の殺虫剤を買ってまいりまして、それを使用したためにひどい中毒症状を起こし、現在も満足に仕事ができないということだというふうな訴えを私自身が受けました。私は、きょうここで別に、この事件を通じてだれに責任があるかとか、その責任についてどういうふうな措置を講ずべきであるかとか、あるいはその責任をどういうふうな形によって補償すべきであるとかそういうことを取り上げて申し上げるわけではありません。この一事例から、現に市中に出回っております、あるいはこれから出回るであろう虫を駆除するために使用される薬剤がどういうふうな取り扱われ方をしているか、またこれで十分であるかということについての認識を持ったわけでありますから、そのことに従っていまから質問をさせていただくわけです。   〔林(義)委員長代理退席、委員長着席〕  さて、いま申し上げました守住さんの一例から、一つは、明るみに出ましたのはニッサンサニタという具体的な薬品についての表示の問題が問題になったわけです。これについてはある意味では解決済みともいえるでしょう。というのは、すでに新聞紙上でも、厚生省から行政指導を受けて会社側が謹告を掲載いたしまして、これについては販売中の全商品についてステッカー、チラシ類も込めて至急に返品を要求したわけであります。これがことしの二月九日に一部の新聞で掲載されたということでありますが、これに先立っていろいろ厚生省なら厚生省にあるいはほかの関係の当局に対して申し入れがあったはずであります。一つは、私が聴取している限りで、昨年の六月十一日に、消費者を代表する立場で消費者連盟が公取委のほうに、不当表示であるということで告発しているということを私は文書によって知り得たわけですが、そういう事実がひとつあったのかなかったかということからお答えいただきたいと思うのです。
  270. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 確かに、昨年の六月に日本消費者連盟からそういう趣旨の申告がございました。
  271. 土井たか子

    ○土井委員 この不当表示であるという中身ですね。それは薬事法のどの法文を根拠にしてこれは認めるわけにはいかない表示だという認識を持っての申し入れでございますか。
  272. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、現在手元にございます事件の受け付けた受付表がございますが、その中には薬事法のどの条項というようなことはございませんけれども、その殺虫剤が劇薬指定をされている有機塩素剤を主成分としておるということが書いてございます。
  273. 土井たか子

    ○土井委員 それで、具体的には、劇物に指定されている有機塩素剤が使用されているということについての表示がないというのがすなわち不当表示であるという意味での告発であったわけですか。
  274. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 その点ははっきりいたしませんけれども、申告の趣旨としてこの受付表に書いてございます内容は、ニッサンサニタエアゾールの容器にゴキブリのほか蚊、ハエ等の死滅を暗示した絵表示があり、これによって安全度の高い万能殺虫剤であるかのような印象を一般消費者に与えるおそれがある、こういうふうに書いてございます。
  275. 土井たか子

    ○土井委員 それについて、公正取引委員会とされてはどういう取り扱いをその後なさったか、それについてちょっと一言お答えください。
  276. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 ただいまもお答えいたしましたように、これはその使用薬剤の安全性の問題ということが一番重点であるように考えました。しかも、これは薬事法上の問題とからんでおるということでございましたので、これは確かに景品表示法上の問題も含んでおることは問違いございませんけれども、むしろ薬事法の主管官庁である厚生省に措置していただいたほうがいいと、こういう判断をいたしました。公正取引委員会として景品表示法上、さらに調査をするということは当時差し控えたわけでございます。
  277. 土井たか子

    ○土井委員 それではいよいよ厚生省のほうの担当の方にお伺いをするわけですが、この問題については、現在薬事法のどの部分に関係のある問題になり、またどのようなお取り扱いをなすったことのために、一番最初に申し上げましたとおりに、ことしの二月九日の各紙に掲載されるようないきさつになったか、その辺をひとつ御説明賜わりたいと思います。
  278. 松田政一

    ○松田説明員 ただいま先生のお尋ねの件でございますが、先ほど公正取引委員会のほうでもお答えになりましたが、私のほうでは、前々からといいますか、昨年四十六年でございますが、この殺虫剤のかんに薬事法の規定に反するような図面といいますか、ゴキブリ専用であるのにかかわらずハエの絵がついているというようなことがありましたので、注意をいたしておったわけでございます。また、会社側に対しても、そういうものは適当じゃないから改めるように、それから、使用上の注意その他についても不十分な点がございましたので、それも改めるように会社のほうに指導をしておったわけでございますが、その後、それらが必ずしも十分ではないということがわかりましたので、直ちに全品を回収させる、同時にチラシ等も含めて回収をさせ、さらに、はっきり薬事法違反でございましたので、本年二十日間の業務停止をした、こういう実情でございます。
  279. 土井たか子

    ○土井委員 薬事法違反であったので本年二十日間の停止をしたとおっしゃいましたが、薬事法の何条に違反するわけですか。何条のどの部分に違反をしておるわけですか。
  280. 松田政一

    ○松田説明員 薬事法の五十四条でございます。
  281. 土井たか子

    ○土井委員 薬事法の五十四条には、どういう規定になっておりますか。私の持っております六法全書と少し中身が違うかもわかりませんので、読んでくださいませんか。五十四条はそういうことではないように私は読んでおります。
  282. 松田政一

    ○松田説明員 五十四条には「医薬品は、これに添附する文書、その医薬品又はその容器若しくは被包に、当該医薬品に関し虚偽若しくは誤解を招くおそれのある事項、」それから「十四条の規定による承認を受けていない効能若しくは効果又は保健衛生上危険がある用法、用量若しくは使用期間が記載されていてはならない。」こういうふうに五十四条には規定がされております。
  283. 土井たか子

    ○土井委員 「記載されてはならない。」という、これは記載禁止事項じゃないですか、五十四条というのは。
  284. 松田政一

    ○松田説明員 記載禁止事項が記載されておるから五十四条違反、こういうことでございます。
  285. 土井たか子

    ○土井委員 五十七条の問題はいかがですか。五十四条ではなく五十七条の問題が、これは直接——先ほどから問題になったゴキブリ専用のこれは殺虫剤であるにもかかわらず、ハエや蚊の表示があったということは、私は、五十七条に関係のある問題だと思うのですがね。五十四条じゃないですよ。いかがですか。しっかりしてください。
  286. 松田政一

    ○松田説明員 五十七条ではございませんで、五十四条でございます。
  287. 土井たか子

    ○土井委員 五十七条という条文を、それではちょっと読んでみてくださいませんか。
  288. 松田政一

    ○松田説明員 五十七条には「医薬品は、その全部若しくは一部が有毒若しくは有害な物質からなっているためにその医薬品を保健衛生上危険なものにするおそれがある物とともに、又はこれと同様のおそれがある容器若しくは被包に収められていてはならず、また、医薬品の容器又は被包は、その医薬品の使用方法を誤らせやすいものであってはならない。」
  289. 土井たか子

    ○土井委員 この五十七条に私は関係があると思うのですがね。ということは、先ほどから問題になっておるニッサンサ二タというのは、これは中にディルドリンというものが入っておるから有害性のある医薬品である、医薬品の指定があるから医薬品である、これは一応認識できるのですね。それからしますと、五十七条の条文からすると「有毒若しくは有害な物質からなっているために」——終わりのほうです。「医薬品の容器又は被包は、その医薬品の使用方法を誤らせやすいものであってはならない。」という、この部分にひっかかってくるかと思うのですが、これはどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。
  290. 岡浩策

    ○岡説明員 このあとのほうの「医薬品の容器又は被包は、その医薬品の使用方法を誤らせやすいものであってはならない。」といいますのは、わかりやすい例をあげますと、普通、食品の容器として使われているような、たとえばジュースのびんに殺虫剤を入れてありますと、誤ってそれを飲んでしまうおそれがある。そういった使用法を誤らせやすいような容器に入れてあってはならないという意味でございます。  それから前段のほうの「全部若しくは一部が有毒若しくは有害な物質からなっているために」というところの問題ですが、デルドリンが有害だからこれに当たるかといいますと、もともと薬剤は多かれ少なかれ副作用というものを伴うものでございます。したがいまして、そのものが医薬品として適当かどうかということは、そのものの毒性とそれから有効性といいますか、それと使用方法というものを全部勘案いたしまして、そのバランスから有用であるかどうかを判断しておるわけでございまして、ここでいっている場合は、そうではなくて、容器の中に、たとえばガラスならガラスびんの中に有害なものが含まれているという場合に、それだけで違反というわけではなくて、その中に何か薬剤を入れます。そうすると、それが薬剤と接触して、薬剤そのものに容器の中にある有害な成分が影響して有害になるといった場合に、その容器に入れてある医薬品はいけない、こういうようないい方をしておるわけです。——そう読みます。それからもう一つの場合は、容器ではなくて、たとえばびんの中に錠剤なら錠剤が入っているとしますと、そこに詰めものがしてある。振動しても中ががたがたしないように詰めものがしてある場合がよくありますね。そういった場合には、これは容器ではないわけですが、その中に有害なものが含まれておって、しかもそれが医薬品と接触して医薬品のほうを有害にしてくるというような場合には、そのものが容器の中に薬剤と一緒におさめられておったら、それも五十七条違反でございます、こういうことになるわけでございます。  先ほどの、ハエの絵がかいてあるということは表示の問題でございまして、五十四条は表示、すなわち記載のほうで、こういうことが記載してあってはならないということをとらえております。五十七条は容器あるいは詰めもの、医薬品が主体ではないそちらのほうに着目して規定してあるのが五十七条でございます。
  291. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、この問題は表示の問題として、記載の問題として薬事法違反だという認識でもっていまの措置をおとりになったというわけなんですね。だから容器自身についてのことでなしに、記載それ自身の問題としてこの取り扱いをなすったというわけですね。わかりました。そのことを確認させてください。そうですね。そういうふうに考えてようございますね。
  292. 岡浩策

    ○岡説明員 はい。
  293. 土井たか子

    ○土井委員 それではいまの記載の問題ですが、私は先ほど監視課長さんにお尋ねするときに、五十七条か五十四条かということをはっきりさせようと思ったのはその点にあるわけで、記載についての取り扱いをなさる場合には、監視課長さんは、担当官として、薬品については五十四条という立場で、適正であるか適正でないかということを常に監視なさっているはずですね。そのことについて十分な監視体制をしいてなさっているということがいえるかどうかを、まずはっきりおっしゃってください。
  294. 松田政一

    ○松田説明員 現在全国に約二千名ちょっとの薬事監視員を各都道府県に配置いたしております。もちろん兼務の者もございますけれども、その者どもが十分監視をいたしておるものと確信いたしております。
  295. 土井たか子

    ○土井委員 それじゃ具体的に申します。いま問題にしているニッサンサニタ、これはもう過去の例ということになるかもしれませんが、ひとつ例示にあげさせてください。  この問題を取り上げて薬事法の五十四条違反ということをお考えになるまでに、実質的に厚生省の監視課のほうでこの問題を摘発なすって問題になすったのか、それとも被害者があって、被害者の周辺からそういうことに対して厚生省に申し入れがあってこの問題をお取り上げになったのか、いずれであるかをひとつ事実に即応しておっしゃっていただきたいと思います。
  296. 松田政一

    ○松田説明員 私どものほうの全国におります先ほど申し上げました薬事監視員が見ておりますけれども、本件については被害者のほうからこういうことがあるがどうだろうかということがございまして、県のほうでもよく調べてみましたところが、先ほど申し上げましたような表示の違反があるということでしかるべき措置をとった、こういうことでございます。
  297. 土井たか子

    ○土井委員 そうしますと、この容器におさめられて、こういう表示からすると、薬事法から考えて、違反の表示をして市場に販売されたのは一体いつからで、そうしてそういうことに対して問題にされるまでにどれくらいの期間がありましたか。
  298. 松田政一

    ○松田説明員 このニッサンサニタエアゾールという殺虫剤は、私どもの承知しているのでは四十二年からだというふうに聞いております。先ほどお答え申し上げました中で、被害者だけというような印象をあるいはお答えで申し上げたかと思いますが、被害者もそうでございますが、それ以外からもやはり適当じゃないだろうという話があったわけでございます。
  299. 土井たか子

    ○土井委員 いま製造されて市販されたのは四十二年ごろとおっしゃいますが、具体的に何月というのもおそらくは厚生省のほうでは掌握なすっているはずですから、それをもう一度はっきりお答えいただくことと同時に、これを摘発されて、厚生省のほうにこれは不当ではないか、不適当ではないか、薬事法違反ではないかというふうな申し入れがあったのは、具体的に言ったら一体何年何月であるかというのをもう一度はっきりさせていただきたいと思います。
  300. 松田政一

    ○松田説明員 私どものほうにはっきり県のほうから報告がございましたのは、四十六年の六月でございます。
  301. 土井たか子

    ○土井委員 それで初めの、四十二年の何月ごろから市販されているというふうに掌握なすっていますか。
  302. 松田政一

    ○松田説明員 いまちょっと正確な資料を手持ちいたしておりませんが、四十二年の初めだと思います。
  303. 土井たか子

    ○土井委員 その間、先ほどおっしゃったように、全国に数多くの監視員をちゃんと配置なすっていて、そうしてこういう問題について何ら厚生省自身自主的に監視なされたことがない。これを具体的に問題になすったことがなかったわけですか。その辺も率直にひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  304. 松田政一

    ○松田説明員 私どものほうには各県から報告はあがってきておりません。ただ、県の消費者センターとかそういうところからあるいは関係府県に報告といいますかそういうものがあがっていたかもしれませんが、私どものほうには先ほど申し上げました四十六年六月に報告があがってきている、こういう実情でございます。
  305. 土井たか子

    ○土井委員 これにつきまして、それはもう歯に衣を着せないで率直に言って、こういう医薬品が町に出回って、消費者がそれを見て、特に被害者が出てから、この表示自身が薬事法違反であるということを摘発しないとこの問題は具体的にこうは動かなかったであろうと、私もずっと事件の経緯を考えていて思う一人です。そうしますと、これはいまの監視員の体制なり監視のあり方について、このままでよいかということもやはり考えざるを得ない、そういう気持ちにかられるわけですがね。いまこれを機会に薬務局の監視課のほうとされましては、やはり監視体制の強化であるとか具体的に行政指導を、もっとこういう点についてこういうふうに強化しなければならないとか、いろいろお感じになることがあるだろうと思うのですよ。そういうことについて、ひとつ正直にいま具体的にやっていらっしゃること、それからなおこういうことについてこういうふうに考えるというふうな御見解があればそれをひとつ承りたいと思います。
  306. 松田政一

    ○松田説明員 先ほど二千名と申し上げましたけれども、実際には専任の者は三百名程度だと思います。あとは保健所の関係、食品衛生をやっておるとかその他予防関係をやっておる人、それから県の人、他の課の人、そういう人を併任いたしております。私どもといたしましては、やはりできる限り各県に対しては専属のといいますか専任の薬事監視員を充足するように絶えず口すっぱく言っておるわけでございますが、と同時に私どものほうといたしましても、やはり県の力にも限度がございます。したがって、できる限り多くの情報というものを私どものほうにいただこうということはいま考えておるわけでございます。
  307. 土井たか子

    ○土井委員 これは私がいまお聞きしたことに必ずしも合致する御答弁じゃないわけですがね。というのは市販されてからあとこういう行政指導なり措置をおとりになるまでにこれはかなり時間があるわけです、四十二年の初めに売り出されて、起こったのは四十四年八月以降ですから。特に具体的にこれを取り上げて動き出したのはことしに入ってからですよ。新聞紙上で、一番最初に私が申し上げた当のメーカーの方が謹告というのを掲載して、そうして回収したのはことしに入ってからですから、二月に入ってからですから、その間ずいぶん期間がございます。だからこういうことについてどういうふうにお考えになっているのかということについての御答弁は何らなかったこと、それから、これからどうしようかということについても、やはり行政指導の中身についての御答弁が何らなかったこと、これはもう一度お願いしますよ。
  308. 松田政一

    ○松田説明員 四十七年の二月にその新聞広告が出て、回収ということじゃなく——それは四十六年の六月に実際には業者のほうは回収にかかっているわけでございます。しかし実際に徹底してなかったということで四十七年、本年の二月九日でございますか、新聞広告をして回収を徹底さしたということでございます。  それからもう一つのお尋ねは、監視をより徹底してやるべきじゃないか、こういうことだと思いますが、それは先ほど申し上げましたように、何せ非常に多い製造業者、それから出ておる医薬品も多いということで、できる限り人員をふやし、悪いものについての消費者その他からの情報というものもできる限り間口を広くしてとろう、こういうことを考えておるわけでございます。
  309. 土井たか子

    ○土井委員 それはそういうふうなところに力をお入れになっておやりになるはずでありましょうけれども、現に一番最初にお伺いしたように、薬事法の五十四条に記載禁止事項というものがはっきり定められていて、それについて適合するかしないかということは具体的な表示の中身についてお考えになるということになってくるわけでしょう。  そこでいま申し上げているようなことにたくさん時間をかけますと、きょうはもう時間の余裕がありませんから先に進みますが、これはもうすでに回収済みでいま一般に市販されていないかんであります。私はここへ持ってまいりました。これが新しく改装されて一般に市販されているかんでございます。これからいま市販されているかんについて、そこの表示を問題にいたします。ようございますか。もうすでに御用済みの問題じゃないのですよ。もうすでに過去の問題じゃない。いま市販されていることについての表示の問題を取り上げて少しお尋ねしたいわけですが、これに塗付剤タイプ、ゴキブリ用のほとんどのものが空中に直接噴射するなと書いてあります。ところが私たちが日常家庭で使用いたします場合に、たいていは用法に書いてあるように、十センチから三十センチくらいの距離から噴射をいたしましても、普通のエアゾールのものとほとんど同様に空中にも液体が飛散いたします。これはここにも書いてあるとおり殺虫塗料でありまして、塗料ですから空中に飛散しないということが原則であるはずなんですが、十センチから三十センチ離して噴霧しましてもこれは空中に飛散する。下に向って噴射する場合と、自分の目よりさらに上の、たとえばかもいなんかについてこれを噴霧する場合、やはり鼻を通じて気管に入る量というものはかなり違うと思うのですよ、空中に飛散しまして。こういうことからしますと、塗料だと書いてあるのだけれども、実際は塗料という厳密な概念の中に、はたしてこういうふうな方法で使用する医薬品というものは入るのかどうか。おそらくいまは厚生省のほうもそれからメーカーのほうも塗料だという認識の上に立ってやっていらっしゃるに違いないのだけれども、しかし塗付剤であるいま一般に出回っておりますゴキブリ専用のニッサンサニタというものは風通しをよくし噴霧気体を吸入しないようという注意書きがあるとおりに、気体が空中に飛散することを認めているということにもなるわけなんですよ。風通しをよくして直接に気体を吸入しないようというのは、これはむしろ空中に飛散するという認識があるからこういう表示をわざわざする必要があるのじゃないか。そうすると塗料という概念に当てはまるかどうかということについて少し私は疑問を感ずるのですが、これは専門家として別にまたこじつけめいたこれについての御説明をされるかもしれませんが、しかし使用上の注意というものは注意し過ぎるくらいにやってし過ぎることはないと私は思いますから、先ほどの五十四条にこれは違反しませんという一片の役所答弁で終わらないで、ひとつその点についても少しきめのこまかい御答弁をお願いします。
  310. 岡浩策

    ○岡説明員 それが塗料であるかないかということでございますけれども、噴霧する方法でやる塗料というものは殺虫剤に限らずたとえば家屋などでも塗装いたします場合に噴霧塗装ということがあるわけでございまして、したがって、それは噴霧塗装用の薬剤でございますので、普通の空中の蚊などの駆除に使いますように部屋の中で噴霧するのとちょっと使い方が違うわけでございます。その場合に、噴霧する場合になるべく吸入しないように気をつけるわけでございます。これは実際に実験をしてみますと、まずそれで噴霧をいたしまして、十センチから十五センチぐらいの距離で噴霧塗装をいたしますと、それほど飛散をしないわけでございます。ただ、香料なんかが入っておりますと、そのにおいというもの自体は多少出るかもしれませんけれども、その中には薬剤有効成分と溶媒のほかに、そこに塗装して固着させるようなものも一緒に入っているわけでございます。それで塗抹をさせるということでございますが、それがいいか悪いかという判断の問題でございますけれども、それは部屋にずっとまくのじゃなくて、残効性をねらって使うわけでございます。ゴキブリの通る道に塗装しておくわけでございます。そのときはゴキブリはいないわけでございます。それで人がいなくなったときにそこをゴキブリが通って、そこでからだに付着するわけでございます。それで殺そうということをねらっておるわけでございます。それならば噴霧塗装じゃなくて液のままはけか何かで塗ったほうがいいじゃないか。散るのは全然ゼロだ。それも吸入しないようにといっても、多少は飛ぶかもしれません。それはその毒性と有効性との判断でやっていくわけでございまして、どちらがいいかという問題なんですけれども、液剤の場合に、はけで塗るということになりますと、確かに使うときの時点ではそれよりはより安全だと思うのです。思うのですけれども、使いやすさの面があるということと、もう一つは、びんの場合ですと、どうしてもそれがひっくり返ったり何かして、ほかにこぼれるとかいうような可能性もある。それから誤用したときに、びんを何か間違ってあけたときにからだにつくという場合もある。それがエアゾールのかんの中に入っておりますと、ひっくり返っても出てこないわけですね。その辺一長一短があるわけでございまして、では、どちらにするかといいましても、どちらもいい点もあれば悪い点もある。したがって、噴霧塗装用のものを全部なくするということは、ちょっといかがなものかというふうに考えております。ただ、毒性がもともと強いわけでございますね。やはり虫を殺すわけですから毒性はどうしてもあるわけでございます。ほかの薬剤に比べれば毒性は強いと思います。それにつきましては、できるだけ毒性の少ないものを開発するようにということは指導しております。  ただ、殺虫剤の中では、大きく分けますと、ピレスロイド系とそれから有機燐系、有機塩素系、この三つに分かれるわけでございます。一番毒性が弱いのはピレスロイド系でございます。ところが、ピレスロイド系というのは蚊にはよくきくわけです。ハエのほうにはきかないことはないわけです。ゴキブリ等になりますと、直接にずっとかけてやらないときかないわけです。ゴキブリを追っかけ回して吹っかけていると、これはたいへんなことになるわけです。やはりゴキブリを殺すためにはピレスロイド系のような毒性の弱いものではちょっと難点があるわけでございます。そうしますと、有機塩素系のものでいままではやっておったわけでございますけれども、有機燐の中でフェニトロチオン——先ほどスミチオンとおっしゃいましたけれども、一般名でいいますとフェニトロチオンでございますが、これのほうが毒性が弱い。残効性が有機塩素系より劣るわけでございます。それでどうしても有機塩素系を使っておったわけでございます。もともと、先ほど申し上げましたように直接かけて殺すというわけではございませんので、塗装しておきまして、あとでゴキブリがそこを通りかかる、それでついて死ぬ、こういうことでございますから、やはりある程度安定じゃありませんと困るわけです。その点では有機燐系のほうが劣るわけでございます。しかし、毒性は有機燐系のほうがまだ弱いわけです、急性毒性は。そういうことでなかなか有機塩素系も捨てがたい点があったわけでございますけれども、いまやこわれないということがむしろ難点になってきてしまったわけでございます。それで昨年の五月三十一日でしたか、有機塩素系は一切製造を禁止させたわけでございます。  現在はフェニトロチオン系のものが、有機燐系のフェニトロチオンがそれにとってかわって噴霧塗装用といいますかそういうものに使われているわけでございまして、そういたしますとフェニトロチオンを使ったゴキブリ用の薬というものが一体はけで塗るほうだけにするのかどうかということ、これはやはり一長一短ありますので、今後とも両方のものが出ていくのはやむを得ないんじゃないか。ただ、使用上の注意ということは、これは厳重に書かせる。要はその使い方を——殺虫剤に限らず薬剤すべてでございますけれども、もともと作用のあるものですから、使い方の問題で事故が起こるという可能性があります。したがって、そういうことのないように十分に指導してまいりたいというふうに考えております。
  311. 田中武夫

    田中委員長 もう一問で結論をまとめてください。
  312. 土井たか子

    ○土井委員 もう一問ですか。——二問。いまの始末ともう一問……。  だから端的にお答えください。御答弁が長いのですよ。要するに、問題は、その効果の点を私はお伺いしていたわけじゃない、使用上の問題なんですね。それで蚊やハエの駆除のために使われる薬品に比べますと、いまのゴキブリの駆除のための医薬品というのは毒性が強いわけですね。そこで取り扱いについても、使用についても十分なる注意が必要だということだと思うのですよ。御答弁の最後のほうでは、その点やはり十分な注意が必要だということを行政指導の上でも心がけていきたいという御答弁の向きですから、そうしますとやはりこれから先両者を認めざるを得ないだろうとおっしゃる。このスプレー式ですよ、これもやはり取り締まりの対象にしていただいて、結局は、塗付して——塗らなければ効果があげられないわけでしょう。おっしゃったとおり、ゴキブリを追っかけてこれでぴゅっぴゅっとやったって効果がないわけですから。塗付するということがゴキブリ駆除の方法として考えられているのなら、スプレー式でなく塗るということ、それがより安全性がある、より使用上安全性を確保することができるということが確認されているのなら、何らかそっちの方向で解決の方向に重点を置いて行政指導をおやりになるということが一つの考え方としてあっていいんじゃないかということを私は思うのです。それについては端的にイエス、ノーというふうな答え方で答えてくださいよ。
  313. 岡浩策

    ○岡説明員 先ほどは失礼しました。きめこまかにとおっしゃったものですから、つい丁寧になり過ぎました。  いま、イエスかノーかとおっしゃいましたけれども、使用の便利さということ、これはやはり必要なことだと思うのでございます。だから、より片方が安全であるかもしれませんけれども、それが非常に危険であれば、これはやめさせなければならない。しかし使い方さえ気をつければ、便利であってしかも効果があるということであれば、やはりそれを否定するということはいかがなものかというふうに考えております。
  314. 土井たか子

    ○土井委員 便利さということもたいへん大事だと思いますけれども、しかし便利さ便利さというものを追っかけていって、現在のような環境破壊あるいは具体的に人体の健康を破壊するような公害というものもやはり出てきたという事実もあるわけです。だから、その辺やはり十分に考えていただかなければならない問題だと思いますね。  その辺はそれで置いておいて、あと一問ということですから、あと一問だけにいたします。  有機塩素系の成分を含む殺虫剤は、昭和四十四年の七月以降、新規の製造承認を与えていらっしゃいませんね。しかし、それ以前について承認を得たものについては、フリーパスで製造販売が続けられてきて今回のようなこういう問題というものが現に起こっていると思うのですね。つまり、私が最初に申し上げた使用上の注意義務を怠ったということもあるかもしれませんけれども、具体的な被害者というものが出るというふうなことになっているわけですね。それで、一たん製造販売について許可をなさる、あるいは一たん薬品について承認をなさる。そうすると、これのあと、取り消しなり製造販売の禁止なりやるということについて、現在の薬事法からすれば、一たん承認を与えたものに対しての取り消しというのは、これはメーカーなり薬品会社側が積極的に取り消すという意思がなければできないことになっていませんか。一方的に厚生省のほうがこれについては、一たん承認を与えたけれども、承認については取り消すというふうな通告ができないようになっていますね、薬事法のたてまえからすれば。その点については、やはりこれは一つの薬事法の欠陥だと見ているわけですが、どういうふうにこの承認の問題、あるいは許可の問題についてお考えになっていらっしゃいますか。
  315. 松田政一

    ○松田説明員 現在薬事法の規定からいたしますと、承認の取り消しを定めた明文の規定はございませんが、しかし保健衛生上の見地から医薬品等につきまして必要な規制を行なっている薬事法のたてまえからいたしまして、有効性や安全性の点で医薬品としての価値を否定すべきようなことが明らかなものにつきましては、承認を取り消すことができるものというふうに考えております。特に明文の規定はございませんけれども、そういうことができるものと考えております。
  316. 土井たか子

    ○土井委員 そういうことを具体的におやりになった例がありますか。一たん承認をおやりになったことについて、承認取り消しを厚生省側が積極的におやりになったという例。これはメーカーのほうが、それについて承認取り消しを認めますということを持ってこられたのが前にあって、それに従って厚生省がおやりになったんじゃなく、厚生省のほうが行政措置として承認をしたけれどもこれを取り消すということをおやりになった例。
  317. 岡浩策

    ○岡説明員 実際には取り消しができると解しておりますけれども、実際には承認だけあっても、つくれないわけです。製造の許可と承認とに分かれておりまして、許可がないとつくれないわけです。つくったら違反になるわけです。許可に対して廃止届けを出すようにという指導をするわけです。  そうしますと、廃止届けを出してくるわけですね。それでもって、実際にはつくれない状態に指導し、メーカーがそれに従うわけでございます。それに従わない場合に初めて発動しなければならぬわけですけれども、これまでのところは行政指導で実効を果たしておりますので、それで済んでおるわけです。
  318. 土井たか子

    ○土井委員 薬事法の法的規則の問題と行政指導で、そのことをどういうふうに取り扱うかという問題は、全然これは法的効果からすると別でありまして、行政指導でやって、それに対してどういう行政処分を加えるかということは出てこないわけですね。薬事法という法律で、そのことに対しての規則がどうあるかということで、具体的な根拠は出てこないわけですね。だからいまおっしゃった行政指導が十分にできる、承認についてもそれを取り消すということが十分にできるという根拠は、薬事法のどこにありますか。
  319. 岡浩策

    ○岡説明員 私が申し上げたのは、指導だけで終わっているのではなくて、指導によって、向こうがあと製造すれば、違反に問われるようなかっこうにしております、こういうことでございます。
  320. 土井たか子

    ○土井委員 最後に一言、これは幾ら製造についての禁止ということを行政指導としておやりになりましても、品目とオリジナルについての承認は、そこまで取り消しできないわけでしょう。承認があって、その上に製造、販売ということがあるわけですから、製造、販売ということについては許可があって、できるはずであります。いま先ほどから御答弁のとおり。だからその許可については、禁止をするという行政措置が講じられても、品目とオリジナルの問題について、すでに承認を受けているという、この承認までも取り消しにはならないはずです。その点ひとつはっきりおっしゃってください。
  321. 岡浩策

    ○岡説明員 承認は残っていても、許可がないと製造したら違反になるわけでございます。だから製造廃止の届け出をしてしまえば、それで承認があっても実際にはつくれない、つくったら違反になるわけでございます。だからそれらからにひとしいわけであります。だからそれをあえて取り消さなくても、製造したら違反になりますので、それを実際にはやっていないだけでございます。
  322. 土井たか子

    ○土井委員 質問、これで終わりますが、いまの薬事法に対する考え方やまたそれについて具体的に行政指導、行政措置というものをどういうふうに講じられているかということがややわかりましたから、これを起点にしてさらに続々質問展開しますから、ひとりよろしくお願いいたします。
  323. 田中武夫

    田中委員長 次に、浦井洋君。
  324. 浦井洋

    浦井委員 生野鉱害について私お尋ねをしたいわけなんです。時間がないので要点をお尋ねします。まず通産省に、きょう初めにお断わりしておきますが、推積場関係についてだけお尋ねをしたい。   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕  この生野の鉱山には宮ノ谷堆積場があるわけなんですが、この堆積場は企業に言わせますと、非常に金をかけて近代的な設備をしたんだということで、崩壊防止という観点、それからカドミウムをはじめとした重金属の流出防止という観点で完全だというふうなことになっておるようでございますけれども、この生野鉱業所を監督指導しておる立場の通産省としては、そのように考えておられるかどうか、この点をまず第一に……。
  325. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 お尋ねの宮ノ谷の堆積場は、昭和十六年十月から堆積を開始いたしました。堆積の予定といたしましては、一応つくりましたときには昭和六十七年まで使うという非常に大きな、また新しい考え方に基づきまして、改良を加えていった堆積場でございます。私ども現在堆積場の水準から考えますと、全国的に見ましてAクラスの堆積場に入るというふうに考えております。
  326. 浦井洋

    浦井委員 私尋ねておるのは、崩壊防止という観点、それから重金属の流出防止という観点で完全なのかどうかということを聞いているわけですから、その点を端的にひとつお答え願いたい。
  327. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 両方の観点から、Aクラスに入る堆積場だと考えております。
  328. 浦井洋

    浦井委員 Aクラスと完全とどう違うわけですか。
  329. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 排出水で申しますと、完全ということになりますと、いろいろな重金属がゼロである、何といいますか、つまり普通河川水に近いということになるかと思いますが、現在の鉱山の実情からいたしますと、完全にそういう有害物質を除去するということは不可能でございますが、そのために排出基準というものが設けられておるということでございます。この排出基準と比較しますと、現在の排出水の中の重金属物質というのはかなり微量でございますので、私どもとしましてはこれは十分Aクラスの処理をしておるというふうに考えるわけでございます。
  330. 浦井洋

    浦井委員 そしたらお尋ねをしたいんですが、私ここに写真版を持っておるわけです。これは通産省もよく御存じだろうと思うんですが、初め兵庫県当局はこれをなかなか公表しなかったわけなんです。このデータを兵庫県のわが党の県会議員団が入手をいたしまして公表したところ、県もやっておるということをしぶしぶ認めたわけなんですけれども、この写真版のデータをいろいろ検討をいたしますと、これは昨日通産省にもお知らせをしておいたわけなんですが、この中で初めのところに宮ノ谷ダムという項があるわけなんです。通し番号で一番から十番まで、その中でたとえば二番、宮ノ谷ダムのり面、それから五番宮ノ谷ダムのり面の新スライム、六番同じくステップ部のスライム、こういうふうに書いてあるわけなんです。そこで、それぞれの重金属の分析値は非常に高いわけなんですが、昨日の通産省の御説明によりますと、これらの一番とか九番ののり面はなるほど堆積場の外ではあるけれども、五番、六番は堆積場の中だというお答えであったわけなんですが、実際に私、県のほうにもいろいろ尋ね合わせたところ、一番それから五番、六番、九番、十番というのは、いずれも堆積場の扞止堤の外側、場外だということだそうなんです。そうすると、いろいろ問題が出てくる。場外のところに、重金属がスライムの中にこのようにたくさん蓄積をしておるということになりますと、雨水、雨が降ったときなどには、スライムを浮遊物としてまぜた水は一体どこへ流れていくのかという疑問が起こってくるわけなんですが、この辺の問題についてひとつお答えを願いたい。通産省にいただいた地図からいきますと、一体どういう経路を経て市川に注ぐのか。この辺のことをお答えを願いたいと思うわけであります。
  331. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 先生お尋ねのこの写真版の字が小さくて、ちょっと私これがどこをさすのかという点がはっきりわかりかねるわけでございますが、この扞止堤をつくります場合には、スライムを捨てて盛り上げていくと申しますか、堤体のほうからスライムを捨てまして、スライムの中の粗粒のものが、まずその堤体の近傍で沈積をする。微細なものがダムの上流のほうに順次流れながら沈でんをし、上澄みができていく。その上澄みを必要があれば処理をいたしまして、河川等に放流をするという順序になるわけでございます。堤体の一部に捨てますこのスライムを利用しながら堤体を形成し、ダムをつくっていくという処理のしかたをするのでございますので、堤体の一部のスライムの中に、やはり選鉱の際に残りました金属分が残るということはあり得るわけでございます。   〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 おそらくそのために、ここに出ておる元素分析の値が出ておるのではないかと考えるわけでございます。
  332. 浦井洋

    浦井委員 局長は、もう一つ私のあれが理解できてないんだろうと思うのです。たとえばここに写真があるのですが、これが汗止堤なんですよ。そうしてこの汗止堤の、私もここへ上がって写っているわけなんですが、この外側に新しいスライムが積み上げてあるわけなんです。そうすると、だれが考えましても雨が降ったりすると、このスライムとともにずっと雨水が下へ流れていく。その雨水が一体どこへ流れていくのかということをお聞きしているわけなんです。
  333. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 堤体に降りました雨水と申しますか、これが下に流れまして、やがては河川等に入っていくわけでございます。その際に入ります水について、従来でございますと総合排水ということで、鉱山から最後に出る水についてのいろいろな重度属分ということを問題にしておったわけでございますが、最近の規制のやり方としましては、個々の放流水について問題にするわけでございますので、当然そういう堤体に降りました雨水が河川水の中に入るという場合には、その場所でもしも規制基準を上回る可能性があるならば、それは個々に処理するということになるわけでございます。ただいまのところ宮ノ谷のダムにつきましては、そういう沈でんの設備というのはしていないのでございますが、その点は、雨水が入りました場合にもそういう濃い排出水というものが出る心配はないということでございます。
  334. 浦井洋

    浦井委員 水だけを調べるとなるほどそうかもわからぬですけれども、現実に下流の米あるいは水田の土壌あるいは河川の底質、こういうものからは非常に重金属汚染が発見をされておるわけなんですから、この点は水だけでは不十分だと思うわけでございます。  そこで、私もう一つ具体的にお尋ねしたいのですけれども、この宮ノ谷堆積場に限って、打止堤から出ましてがけをおりたところに沈でん池がつくってある。二十メートル、それから八メートル、深さ二・五メートルですか、この沈でん池というのは一体何をするものなのかという点をお聞きしたい。
  335. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 私、宮ノ谷の堆積場に、現地に行ったことがございませんので、あるいは先生のほうがお詳しいのだろうと思いますが、堆積場の下部に沈でん池をつくります場合は、先ほど申し上げました上澄水を尺八と申しておりますが、ダムの中につくりました排出口から抜くわけでございます。普通の場合には上澄水は澄んだ水でございまして、先ほど申し上げましたように若干の重金属を含んでおるわけでございますが、排水基準以下になっておれば問題はないわけでございます。多量の雨が降りましたようなときには上澄水が完全に澄まないというような場合もあるわけでございます。その場合には堤体の下に沈でん池をつくっておきまして、さらにその沈でん池で処理をいたしまして、排出基準以下にするということがあり得るわけでございます。
  336. 浦井洋

    浦井委員 そうすると堤内の水も沈でん池にたまる場合もある、こういうことなんですか、いまのお答えでは。
  337. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 必要なときには、このダムの内部に、ふだんの場合ですと上澄水になるわけでございますが、多量の雨が降りましたようなときには、ふだんなら上澄水に相当するものがかなり多量になる。また処理は完全にできないという場合があるわけでございますので、その水を通すのに使うというのが普通の使い方でございます。
  338. 浦井洋

    浦井委員 私、通産省に聞いたところでは、この沈でん池についてしゅんせつ等の改修は四十五年の十一月に初めて指示をされておる。それからさらに、指示に基づいたんでしょうけれども、四十七年の一月に、この中にたまった沈でん物をもう一度上へ上げるそのポンプを装置をされたということになりますと、やはりいまお答えになったように、水とともにいろいろなものがたまってくるということなんですね。そのたまっているものはいまの答えであると、上からのスライムがまじったものがたまってくる、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  339. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 ダムの上部の山腹から流れ込むものも若干はあると思いますが、大部分はダムに捨ててあるスライムと考えて差しつかえないと思います。
  340. 浦井洋

    浦井委員 そういたしますと、その沈でん池は、必ず上から流れてくる水は一たんせきとめて、そして沈でん池に入れて沈でんをさせて、その上澄水だけが下流に流れる、こういうふうにしておかなければいかぬわけですね。
  341. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 平常時でございますと、上澄水そのものが排出基準を下回ると申しますか、澄んでおるわけでございますから、必ずしも沈でん池を通さなければならないということはないと思いますが、やはり年に何回かは必ず沈でん池を使用しなければならないという状態になるものと思います。
  342. 浦井洋

    浦井委員 時間がないのでもう一つ詰められないのですが、私、実は五月の五日、祭日でしたが、あの沈でん池を予告なしに見にいきました。そうしますと、この写真のようにせきがみごとにあいているわけですね。いま言われたことであれば、その上の宮ノダムから、堆積場からずっと流れてくる水が、そのまませきを越えて、沈でん池を通らずに市川の支流である上流に流れ込んでおる。こういうことになりますと、鉱山保安監督部、具体的には大阪の鉱山保安監督部でしょうけれども、一体何を監督されておるのか、何を指導されておるのかというふうに思わざるを得ないわけなんです。これは政務次官もひとつ見ていただきたいと思う。締まっているはずなんです。いまのお答えでは、沈でん池の中にいろいろなスライムがたまって、そこにいろいろな重金属が含まれておる疑いが濃い、これは検査をされていないという話で、けしからぬと思うのですけれども、こういう点について政務次官、どういうふうに考えておられるか、ひとつお答え願いたい。
  343. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 具体的にその生野の問題に限らず、この間瀬戸内海の一斉調査をやりました。これはやむを得ず時期等、ちゃんと知らせてありましたが、どうも平常と少し違うような感じがいたします。これはもう企業者のモラルの問題——モラルというよりもっと、何というんですか、順法精神の問題だ、こう思います。こういう点はほんとにこれから正していきたい、こう思っておるわけです。
  344. 浦井洋

    浦井委員 それからもう一つ、写真もありますから見せておきます。これも宮ノ谷ダムから下へ流れるパイプ、鉄管なんです。これもみごとに折れ中の水が漏れているのを、私、写真にとってきました。こういうように非常に管理が不十分なんですよ。この写真はあとで見ていただいたらいいです。ですから、ぜひそういう点、企業寄りだというふうに通産省、特に鉱山保安監督部は、地元に悪評判をとっておるわけですから、びしびしとその点の指導監督を強めていただきたい、こういうことを要望しておいて、最後に環境庁に一問だけお聞きをしたいと思うのです。  昨日、新しいイタイイタイ病の認定条件のパンフレットをいただいたわけなんです。  まず第一番は、重松先生からこの研究を受けて、環境庁はどういう立場でこれを受け取って、具体的に各府県にどういうような形でどういう内容で指導されようとしておるのか、これをお聞きしたいと思うのです。  それからついでに全部なにしますが、その内容の点なんですけれども、私はこの内容は、前回の、いままでの認定条件らしきものに比べると一つの前進だろうと思うわけです。しかし患者を完全に救済しようという立場から見るならば、まだまだ不十分だと思うわけです。たとえば認定条件を見ますと、具体的に1から4まであるわけですが、1の項は「「濃厚汚染地に居住し」ということですが、なぜ濃厚でなければならぬのかという問題がある。  2には「成年期以後(主として更年期以後の女性)」というふうに限っておるわけですが、なぜここまで限定しなければならないのか、こういう問題もあるわけです。  さらに1、2、3の条件を満たせば要観察者になるということでございますけれども、やはり患者の真の救済のためには、1、2、3の条件を満たして、いわばこれは私の要望ですから、じん所見を重視するという形で、それでイタイイタイ病認定をすべきではなかったかというふうに思うわけです。  さらにもう一つは、前回の認定条件には自覚症状という項があったわけですが、ここが今回のは抜けておる、こういう点は御説明がつくのではなかろうかと思うのですけれども、こういう点でまだまだ不十分な点があるので、こういう点についてひとつ環境庁にお答えをお願いして、ほんとうにイタイイタイ病で苦しんでおる患者やあるいは不安に思っておる人たちを一日も早く、しかも十分に救わなければならぬ、こういうことを私は要望しておきたいというふうに思うわけです。
  345. 船後正道

    ○船後政府委員 ただいま浦井先生御指摘の問題は「イタイイタイ病に係る公害病認定条件に関する研究」ということで、かねて重松先生を長とする研究班に委託しておりました研究結果の報告でございますが、環境庁といたしましてこれを受けまして、現在これに該当する場所は富山県でございますから、富山県の認定審査会においてこのような研究結果を入れて今後の認定に当たるように、そういう意味の通知をいたしますと同時に、その他要観察地域を含む府県もこれについては関係があるわけでございますから、同様に研究の結果を通知いたしたいというふうに考えております。  第二点の認定条件の内容の問題でございますが、これはもう私のようなしろうとが、先生のような専門家にとうていお答えできるものではございませんが、ただ現在の研究の結果として出てきました結論がこれでございますけれども、もちろん今後といえども環境庁といたしましては医学研究の進歩にあわせまして、こういった問題を取り扱いたいと考えておりますから、引き続きましてこのような研究をさらに進めていただきたい、かように考えております。
  346. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 いま局長がお答えいたしました後段の問題は、私もそのとおりに考えております。
  347. 田中武夫

    田中委員長 この際、古寺宏君の補充質疑を十分間に限り認めます。古寺宏君。
  348. 古寺宏

    古寺委員 先ほど局長から、現在の状態では北上川の環境基準をきめるということは困難である、こういうようなお話があったわけでございますが、これは公害防止を実際に担当する環境庁としては、まことに聞き捨てのならない発言だと私は思うのです。公害対策基本法によっても、当然環境を保全するためには基準をつくらなければならないわけでございますが、どういうためにそういうふうに後退したのか、その理由をまず御説明願いたいと思います。
  349. 岡安誠

    ○岡安政府委員 環境基準と申しますのは、私が申し上げるまでもなく、一般にそれを達成することを目標として設定されるわけでございます。そこでたとえば水質の汚濁が人為的な原因による場合には、当然それを改善したり、とめたりすることによりまして、環境基準の達成が可能でございますけれども、たとえばこれが自然的な原因によりまして汚濁をしておるというような場合には、その自然的な原因を改造するといいますか、改善をするめどが立たなければ環境基準が達成でき得ないということになるわけでございます。かりに環境基準が達成できるようなゆるい環境基準では、設定しても意味がないということにもなるわけでございます。  お話しの北上川につきましては、赤川からの汚濁水といいますか、PHの低い水が流れ込むわけでございますけれども、この汚濁水はもちろん松尾鉱業といいますか、これの稼行によりましていろいろ出たこともございますが、先生御指摘のとおり、粗鉱といいますか、その上流におきますいろいろな鉱物が地下水その他を汚染している。それがPHの低い水として出てくるというような面もあると聞いております。そういたしますと、赤川の汚濁を除去する方策につきまして、廃鉱の処理のみならず、やはり水源地等につきましての改善対策といいますか、そのめどがつきませんと、われわれが望むような水質の維持達成が可能にならないと考えております。そこで私どもはそういうようなめどを一日も早くつけまして、そういうめどがつきましたならば、これを一日も早く達成するというような目標の意味での環境基準を設定いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  350. 古寺宏

    古寺委員 現在、建設省では一日に三百三十トンの炭カルを注入している。ところが、松尾鉱山の時代には一日百五十トンだったわけです。しかもこの赤川の水の七十トンのうち七トンしか処理していなかった。ですからそういうふうに坑廃水の排出基準とかいろいろあるわけでございますが、通産省はいままでどういう根拠に基づいてこういうような中和処理あるいはいままでのような監督行政というものを進めてきたか、その点について承っておきたいと思います。
  351. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 環境庁のほうから先ほどお答えがあったわけでございますが、硫黄鉱山の特殊性から、硫黄鉱山についての坑廃水の酸性度というものについては、従来から規制になる基準というものはつくり得なかったのが実情でございます。しかし下流に及ぼす影響というものが非常に多いわけでございますので、従来から非常に力を入れまして、これは指導によりましていろいろな処理をさせてきておったわけでございます。
  352. 古寺宏

    古寺委員 実際に大泉調査団あるいはその他のいろいろな方々、専門家が現地に行って調査した結果によりますと、たとえば赤川にいたしましても、これは河川の改修をやることによって水質を改善することができる、こういうふうにいっておるわけです。そういうような問題を全然いままでやらなかった。そしてこういうように北上川を死の川にして、これから復元をはからなければならないわけなんですが、環境庁にお尋ねしたいのは、環境基準を現在の状態ではつくれないということは、現在の水質を改善する見通しなり、あるいはこれを本気になって改善する、そういう腹がまえがまだできていないのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。というのは、いろいろなところの水質の基準ができております。その中には工場もあればいろいろな問題がございます。しかしそういう基準をつくって、その基準を守るようにみんな努力しているわけですね。今度の場合は、この基準をつくってもそれを実際に事業をやる国の側がそういう基準を達成できない、だからその基準は現在つくれない、こういうふうに聞こえるわけなんです。これでは一番見本を示していかなければならない、公害を本気になって解決していくべき環境庁の考え方というものが明らかに後退している、こういうふうに考えられるわけなんですが、そういう点についてひとつ政務次官から……。
  353. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 ちょっと常識的に考えますと、まず環境基準をどこにもここにもつくっておいて、それに達成するための排出基準その他の措置をいたしましてということになると思うのですが、基本法にもありますように、到達すべき一つの目標ということになっておるものですから、そのめどが全然つかない。人間活動によるものか自然によるものか、いろいろな問題があるらしいのです。ですから、これは水質ですから類型の当てはめをやるわけなんですが、それをいきなりやれるかどうかという問題になるわけです。  どうも考え方としてまずいきなり環境基準をつくっておいて、それに追い込んでいくという手法が常識的にはいいんじゃないかと思いますけれども、具体的に、たとえば北上川の問題はそのような手法を講じていくことにめどが立つような要件が整っているかどうか、これを至急に整えた上でその実行し得る、到達すべき基準というものをつくっていきたい、こういうふうに考えておるような次第でございまして、どうもわれわれしろうとから見ますと、いかにも何だか弱々しい行き方のように思えてしかたがないのです。これは私も先生と同感でありますが、そういうようなやり方の手法の問題だ、こう思います。後退したとか非常に弱いとか、あるいは国のやる措置だから遠慮するとか、そういう考えは毛頭ないし、またあり得べからざることである、こう思う次第でございます。
  354. 古寺宏

    古寺委員 これは重大な問題だと思うのです。この中には人体に有害ないろいろな物質が含まれていない。水素イオン濃度という一般的にあまり脅威を感じない問題に考えられがちです。しかしこういう公害というものが現実に出ておって、政府自体が環境基準をつくろうと思えばつくれる、それをつくらない。あるいは松尾鉱山の実態を見ましても、先ほどから申し上げましたように、現在とるべき対策、措置というものはたくさん出ているわけです。そういうものをまだ全然放置しておいて、これからまた調査を進めて抜本的な対策を考える、そういうような姿勢でいきますと、日本の公害というものは、政府自体がもう公害をなくしようという姿勢は全くない、極端にいえばそういうふうに考えられても、これはやむを得ないんじゃないかと思う。したがって、私は、環境庁としては、当然現在までにいろいろ調査されて出てきている結論、そういうものはやはり各監督省庁にこれは積極的にやっていただくようにすると同時に、環境基準というものを緊急につくって、そしてその方向に政府が真剣に取り組んでいって、公害はこのように解決できる、こういう姿勢を示してこそ日本の公害というものは撲滅できるのじゃないか、こう思うのです。かけがえのない自然だとかあるいは環境を保全しなければならぬということをいつもこの委員会で答弁しておりながら、実際にこういう問題については全く後退した、あるいは弱い姿勢である、こういうふうにしか受け取れないわけでございますので、今後の日本の公害行政を推進する立場から、もう一度政務次官から勇気のある決意をひとつ披瀝していただいて、質問を終わりたいと思います。
  355. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 もう決意は前々から申し上げておるとおりいたしておるわけでございまして、今回の北上川の問題は、先ほど申し上げましたように、環境庁が中心となりましていませっかく調査いたしております。その結果と同時に私のほうは環境基準をつくる、こういうたてまえにいたしたのでありまして、決して私どもは弱い立場ではございません。強い立場で臨んでおります。ただ環境基準をつくるその手法の問題で、ここにすぐにもやれないという問題があるわけでありまして、私どもは全国の各水域について当てはめをやっていくという考えに徹しておるわけでございますから、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  356. 田中武夫

    田中委員長 以上で、本日の質疑は終了いたしました。  第六十八回国会は本日で終了いたします。長い会期中御協力ありがとうございました。  本日は、これにて散会いたします。    午後八時十二分散会