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田中(武)
委員 去る二十三日に当
委員会において加藤清二
委員が
質問をいたしましたことに関しまして、ただいま法務省のほうからその
答弁のメモが出されたのであります。もちろん法務省のこのメモは私は間違っておるとは思いません。しかし、念のために少し確認をしておきたいと思いますので、あえて
質問というか確認をいたしたい、こう思った次第であります。
そこで、このような場合を
考えた場合に、私はその従業員、労働者の行動は、二つに分けて
考えることができると思うのです。その
一つは、当該
企業における労働組合の決定に基づいて、その違法ないし不当の
企業の行動を告発した場合、すなわち組合運動の一環としてなされた場合と、もう
一つは、その従業員が個人としてそういう行動をとった場合に分けて
考えるべきだと思います。
第一点については、
答弁メモにも若干触れられておりますが、労働組合の決定に基づき組合運動の一環としてなされた場合には、これは労働組合の運動である。したがって、
企業の不当ないし不法の
行為を摘発したからといって、差別待遇あるいは解雇、こういうことは、明らかな不当労働
行為である。第二点の個人として行なった場合、これは解雇その他の処分は、当然就業規則ないし労働協約その他の内規によるものだと思います。
そこで、労働
基準法によると、まず第二条に、労働
条件の決定という項がある。そして十五条に労働
条件の明示がある。すなわち、雇用契約の内容は就業規則その他の内規、労働協約によって定まる。そこで、解雇する場合は当然就業規則その他の規則等違反ということになろうと思います。ところが労基法の九十二条によりますと、これらの就業規則等は法令に基づかなければならない、法令に反してはならないときめられておる。したがって、
企業の不当あるいは不法な
行為、これは
公害だけではございません、
公害の摘発も含めて、そのような場合は就業規則違反、すなわち雇用契約の内容ではない理由によって解雇する、そういうことになろうと思うのです。そこで、法務省は解雇権の乱用、すなわち
民法一条二項、三項をもって答えられたと思う。しかしその前に労働
基準法をまず
考えるべきである。どこが違うのかといえば、その救済が違います。法務省の
答弁メモによると、権利乱用なりやいなやは当然民事訴訟でやる。しかし労働
基準法の問題で不当解雇ということになるならば、これは労働
基準法に従って、あるいは労組法に従ってやる。すなわち第一点の場合は労働
委員会における救済、第二点の場合は、労基法百四条に基づいて労働
基準局または労働
基準監督署による行政的救済をまず求めることができる。法務省のこのメモは、法務省としての
立場からの
答弁としては間違いではない。しかし法にうといといいますか、そう詳しくない労働者に対しましてはもう少し親切な回答をなすべきである。そこで私はあえていま申し上げましたようなことを申し上げて、労働省及び法務省の
答弁を確認いたしたいと思います。いかがでしょう。