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大石国務大臣 おっしゃるとおり無
過失責任の
制度は、これは
一つの政治の新しい方向に進む
転換の土台となるものでございます。そういうわけでわれわれもできるだけ
転換を完全にはかり得るような、それだけの意味のあるものをつくらなければならないと
考えております。
そういうことで、いろいろ苦労しました結果、現在の段階においては、最小限度であります、これでわれわれは決して満足いたしませんけれ
ども、まずこれによってそのような新しい
考え方への
転換をはかることの土台ができ得る、ころ
考えまして、この程度のもので、われわれも不完全と思っておりますけれ
ども、あえて
国会に
提出したわけでございます。それはいろいろな理由があります。
一つは、これはあまりにも現実的な問題でありますけれ
ども、われわれは法案をつくるのに半年余り
努力してまいりました。そして
一つの例として社会党案が示されております。その理由の中に、われわれとしてとるべき、賛成すべき点もたくさんございます。そういうものを取り入れて、いわゆる総合的に近い法案をつくろうとしてまいりますと、一年か二年かの時間がかかります。そうするとどうしてもこの
国会には間に合いません。しかし、やはり何と申しましても、われわれは長い間の公約であり、一日も早くそのような土台を打ち立てるということ、同時に、そのことによって片方のもう
一つの仕事である基金をつくって、一日も早く
被害者の補償を見てあげることができるような
制度をつくりたいということで、急ぎましてこの
国会に
提案したわけでございます。
そういうことで、時間的にいろいろなものを取り入れる余裕がございませんでした。そのような大きな法案をつくりますのには、他省庁との折衝とかいろいろなものがございます。たとえば、いずれ将来は財産
請求の問題も当然これは取り入れなければなりませんが、そういうものを取り上げます場合にも、まだまだいろいろなむずかしい問題がたくさんございますが、それを
考えておりますと、とうていこの
国会に
提案することはできないのでございます。そういうことで不十分とは
承知しながら一応現在の必要な最小限度であると
考えまして出したわけでございます。
したがいまして、いろいろな御
議論を賜わっております。たとえば、いわゆる因果
関係の推定の問題にしましても、これは確かにおっしゃるとおり患者に因果
関係を証明させることは不可能であります。それはやはり当然推定の方向でいかなければならないことはおっしゃるとおり、われわれもそういうことを
考えておりました。ぜひそれを入れたいという
考え方でおったわけでございますが、やはりわれわれが法律をつくります場合には、現実にそれがすべての
国民にとってあやまちがないように、これはやはり現実にそういう
責任がありますからそういうことを
考えなければなりません。そういう意味で推定の規定にいたしましても、もう少し
考えるものがある。われわれは典型的な
一つの例を
考えておりましたけれ
ども、いろいろなことを
考えますと、やはりもう少し慎重に
考えなければならぬ。いずれこの推定規定は私は要ると思います。いずれつけ加えなければならぬと思いますけれ
ども、今回出すには少しわれわれの準備が不完全であった、不十分であったという気持ちもございます。そういうことで、最終原案に入っておりませんが、われわれいろいろなこれをつくる過程においてはそのような段階を経まして、この原案になったわけでございます。
そういうことで、おっしゃるとおりこれは不十分であります。しかし、われわれはこれが新しい
考えの方向へ
転換する
一つの土台にはなり得る、そしてその後にあらゆる
努力をいたしまして、できるだけ早い
機会にいろいろなものをつけ加えまして、そしてこれを完全なものにつくり上げていきたい、そういう
考えでおるわけでございます。