○林(義)
委員 先ほどちょっと
お話を申し上げかけたのですが、
健康被害物質となったような
——健康被害物質というのは、
大気汚染防止法と
水質汚濁防止法の一部改正
法律案の中ではこれが一番大きな問題だと思うのです。先ほど
PCBその他の話をいたしましたが、そのほかのいろいろなものがやはり出てきた。いま、たとえば
PCBなんというのが出ております。またDDTというものも出ておりますが、これはどんな影響を及ぼすかというのは、いまから学問的に研究していかなければならないのであります。そういったときに、私ははっきりとそういうものを
指定をするというときに、しかもその
指定をしたならば
無過失責任になります。
指定をしなかったならば
無過失責任にはなりません。有
過失責任であります。これは私は非常に問題だろうと思う。本来、逆に言いますと、いま二十八項目か
指定してあります。
政府がそれを
政令からぱっと落としてしまったならば、
政令から
有害物質の
指定をはずしたならば、そのときから無
過失でなく有
過失になるわけであります。全く
行政庁の
判断によって
裁判所があっちに行ったりこっちに行ったりしなければならないようなことが出てくるわけであります。やはり
法的安定性を害しないという
観点から言うならば、私は
有害物質は
政令委任事項でなくて
法律でもってきめるべきではないかと思うのであります。将来の形であります。あるいは、何か
法律の委任が非常にあいまいであります。健康に対するおそれがある、おそれがあるというのは一体どの辺までおそれがあるかということは非常にむずかしい。私はこれこそ
立法府が解決すべき問題だろうと思います。またそれだけの
損害賠償責任というのは何億、何十億という場合があると私は思うのであります。それを単に一片の
政令でもって変えるということでは、
立法府の権限、権威はおかされているのではないか。私は将来においてこの点はぜひ
考えてもらわなければいかぬ問題であろうと思うのであります
そこで時間もありませんから申し上げますけれども、いまからいろいろと日本の
社会は非常に
発展してくると思うのであります。いまから技術革新を遂げて
相当に
発展をしていく、新しい事態というのがますます出てくると思うのであります。その場合におきまして、やはり日本の
発展というもののささえになるのは技術の問題であろうと思うのであります。そうしますと、技術がいままでのような形で進歩するならばどうしても
PCBであるとか何であるとかいろいろな新しい
物質が出てまいります。先般も
PCBのときも話がありました。
PCBをやめてむしろこわいのは
PCBの代替物である。新しい科学の進歩によって代替物も出てくるだろう。
お互いの生活が非常に
発展して豊かな生活を追求する場合におきまして、そういったものを排除するようなことをやらなければならない。先ほど、まさにそういった
有害物質については
法律で
指定をするということでありますが、なかなか
法律——国
会議員が全部科学技術の先端を知っているわけではないわけであります。この辺の調整をどうしていくかというのは、私は
立法府がほんとうにいまから頭をしぼっていかなければならない問題であろうと思うのであります。そういった点で、そういった未知の
物質につきましていまからどうするかという問題でありますが、これはやはりほんとうに
考えていかなければならぬ。一方、
企業のほうにとりましても、そういった新しい
物質を発見すれば新しい
物質として
相当に売れてくる。
PCBなんというものは急激に伸びてきたわけです。そういった場合におきまして、一方において売れるからそれを放置してよろしいということではなくて
——ということもあります。あるいは売れるから、売れるということは、非常に値段も安いし非常に有益だから売れるのであります。人に便利さがある。一方において人の健康なり環境に対する影響というものが出てくるわけでありますから、その点について何らかチェックシステムというもの、何かコントロールをするような
体制というものをぜひ
考えなければならない。しかもいろいろな資本主義のメカニズムの中においてそういったものを
考えていく必要があると私は思うのであります。私は
個人的には、将来発生するような
被害の問題については保険制度的なものを何か
考える必要がある、こういうふうな、
個人的な
考えでありますけれども持っております。やはりその辺をやっていただきたいということがあります。それが第一点であります。
それから第二点でありますが、
政府案におきましては
健康被害という形になっておりますが、これは
長官からもたびたびお答えがありましたように、できるだけ早い機会に財産問題まで広げていくべきではないかと私は思うのであります。財産問題まで広げていけば、またいろいろな問題が出てくるのは当然のことであります。一ぺんにばっと広げちゃったらいろいろな問題が出てきますから、いろいろなケースを
考えてずいぶんやらなければならない。先ほど
野党の案につきまして私はいろいろ
質問いたしました。ああいうふうな非常にラフな
考え方ではなかなかいけないのであって、もう少しこまかな
議論をしていかなければ解決できない問題がたくさんあると思うのであります。たとえば、私申し上げますが、瀬戸内海は非常によごれている。赤潮などで非常に騒いでいる。赤潮で当面
被害を受けますのは漁業者である。漁業者は魚をとって生計を立てておるのであります。では一体漁業者だけを補償すればよろしかというとそうではない。瀬戸内海というのはきれいな砂浜であります。だれも瀬戸内海の海岸において泳ぐところの権利はあるだろうと思う。海岸を散歩して白い砂浜を楽しむ権利というものはあるだろうと思う。一体そういう権利というものを、はたして
被害者を補償をするのか補償をしないのか、どこまでやるのかというような問題、これもあります。単に簡単に
被害だから何でもやれといって、それではそういった権利をどうするか、
島本さん、よく
考えてください。さらには恋人同士が散歩をする。かつてはきれいな海であった、だから散歩ができた。海がよごれちゃって散歩はできない。あんなきたないところで散歩できるものか。そんなときにはその人に対する期待権の侵害であります。その辺まで一体入るのか。私はいろいろな問題がたくさんあると思うのです。単に財産
被害までぱっと含めてよろしいという
議論は、はっきり申し上げてなかなかできない。憲法二十五条で書いてある、健康で文化的な生活を守る権利というのはあるわけです。この
規定をどう
解釈してやっていくかということは、これは大問題であります。私はこの際予想しておきますが、当
委員会においてまたわれわれ当然やらなければならない問題でありますけれども、
政府当局においてもこういった問題について徹底的に新しい
考え方のもとに
体制をつくっていただくことをぜひ要望したいと思うのであります。
私がいま申し上げました技術革新におけるところの新しい
物質の問題それから環境の問題その他につきまして、
環境庁長官どういうふうにお
考えになりますか、御所見を賜わりたいと思います。