○加藤(清)
委員 だから書類
審査に終わるということを言っておるのだ。だから、書類
審査で見て、その契約書を見ただけでこれは実行不可能であるか、可能であるか、また、可能であるとしても、これは十年先には可能であっても、今日ではできない、そういうことの判定できる人でないと、うそをそのまままるのみされてしまう。
それじゃ、そこで具体的に申し上げてみましょう。たとえば、いまのすでに行なわれておる
公害十六法のうちで、県知事は立ち入り検査はできますね、設備改善命令もできる、停止命令もできる、やった県知事は一人でもありますか、
公害はどんどん出ておるのに。それでこの間、島本
理事とも一緒に
調査に行った。あえて某県と申し上げておきます。某県の某
企業と申し上げておきます。わが社は
大気汚染については非常に熱心でございまして、含有量は〇・三の重油を使っています、こういう話であります。私は話を聞いてびっくりした、おかしなことがあるものだなあと。説明はどんどん進んでいった、そうすると、あとで、きょうはいらっしゃるかどうか知りませんが、新聞記者の方が私のところに電報を回してくれた。加藤
先生、そんなことを黙って聞いていていいのと言って。そこで、私はそれなら
質問をしましょうということになった。〇・三の重油とは銘柄は何でございましょうか、どこから買ってますか、仕入れ先を知らしてください、こうやったのだ。そうしたら、仕入れ先が答えるたびに違うのだ、答える人によってみな違うのだ。ありっこないのです、そんなものは。あったとしても目薬にする
程度ならばありまするけれ
ども、日本の大
企業が〇・一以下の油を競争して使うなんというほどないのです。ミナスがどれだけあると言っても、これは二億キロ、全額の十分の一しか輸入量がないのだから、したがって、その重油はその二分の一しかないのだから、ありっこないのですよ。それを使うと言っておる。そこで、ここから先が問題だ。県庁側がいらっしゃったので、私は尋ねた、あなたのところは立ち入り検査をいたしましたかと言ったら、ことしは二回やりましたと言うんだ。はなはだそれはけっこうでした、立ち入り検査の結果油のS含有量は何ぼありましたかと聞いた。答えができない。きょう答えができなきゃやむを得ないので、あとからでけっこうでございまするから、データを送ってもらいたいと言って言い残してきた。どうです、あれからどれだけたつのやら、いまだにそのデータは私の手元に来ないのです。これが実情なんです。
もっとひどいことを申し上げましょうか。実情を
調査していらっしゃらぬから、
法律が似て非なるものになってしまう。われわれが
調査に行きますと、知らないならまだいいのだ、知っとって隠すという手があるのだ、知っとるからよけい隠すのです。隠して隠して隠しまくって、逃げて逃げて逃げまくるのです。立ち入り検査を拒むのです。ところが、新聞記者の方は一番よう知ってみえる。地元の新聞記者は、
先生、ごまかざれたらいけませんぜと言うのです。何でと言うたら、きょうの煙はいつもより薄いですよと、こうくる。あなたたちが
調査しようとしておるスケジュールの中には、一番悪水をたくさん流しているところは除外されていますぜ、そこでそれじゃ一番たくさん流れているところはどこかと聞くと、ここここだと言うから、途中まで予定変更させてくれと言うのだ。で、行ってみるというと、案の定です。もっとひどいのがある。
調査に行きますと、漁師が立ちはだかってバスをとめてしまうのです。何事ならんと聞いてみると、いつもこの海はたいへんよごれています。しかし、きょうはボラの注文を受けました、けさハマチも注文受けました。それで生きとるやつを排水溝の入り口のところへすがつくってある、あそこへけさ入れました。だから、きょうは泳いでいますよと言うんだ、けさ入れた魚ですよと言うんだ。平生のときには一匹もおりません、おかげでわしらはこの辺では漁ができなくなっちまいました、これじゃわしらは首つりだ、きょう買ってもらったからありがたいと思っていくと、排水溝のところのすの中に入れてある、それをあなたらに見せるだろうから、ごまかされて帰っちゃいけませんぜと、こう言う。漁師のほうがはるかにりこうです。生きるための知恵です。そういうことを書類
審査で発見できますか。
もっとひどいところの閉塞性呼吸器病、これがどんどん出ておる。その地区のデータは、市長、県知事の出したデータは数字が書いて出されておる。ところが、正直なのはお医者さんだ。医師会で発表されたデーターとはまるきり違ってしまっておる。どっちが
ほんとうだろうか、こう言っておる。医師会がなぜ発表せぬならぬ。閉塞性呼吸器病はあまりにも多いからなんだ。過去と比べてあまりにも多くなったからだ。
会社の発表した数字よりは医師会の発表した数字のほうを地元の人は受け取るのです。こういうことが次から次へと行なわれておる。日本全国そういう状況下にあって、なおこの
紛争を正しく
処理するということになりますると、これは問題なんです。そういう意味からいって、私は先ほ
ども申し上げましたように、島本
理事がもう再三にわたって三条組織をつくれ、
自分のところで
裁定できるようにしろという要求の答えとして出てきたこの
法案ですから、精神は賛成ですけれ
ども、この内容に至っては必ずしも賛成できない点が多々あるということなんです。それは、具体にあまりにもかけ離れているということなんです。こういう現実をとらまえて、せめてそれに合うような
審査委員を選んでもらいたい。それはだれがいいかと言ったら、私ははっきり申し上げます。やはり医者であるとか弁護士であるとか、選挙に関係のない人。いわんや県知事や市長が選んだ日には、これは
会社側から選ぶことになっちゃうのです。これだったら、隠れみのに屋上屋を重ねることになり、つくらないほうがいいと思う。
さて、これについて、あなたは先ほど白紙であるとおっしゃられた。どういう用意をし、どういう準備をして各都道府県知事に指令を出されますか。