○
小澤(文)
政府委員 端的に申し上げますと、
自主交渉派が
裁定を求めてきたときに、その
裁定では前の例として
二つばかりありますが、それよりも高く出すのか、安く出すのかということかとも思いますが、これはどうも具体的な、もう全く具体的な
事案でございまして、それについては全く私
どものほうでも、第一、仮定的にどういう結論を出すかということは
審査してみないとわからないことでございますし、それから、これについていろいろこまかいことを具体的にここで仮定して論議をするということは、やはり現に係属しております
訴訟に対してもいろいろ
考えなければならないことと思いますし、それからまた、事実、現在
中央公害審査委員会に
患者側からの
申請によって
調停が係属しておりまして、これが進行中でございまして、これに対するその
当事者のいろいろな
考え方、
当事者に対する心理的な影響というととも
考えなければなりませんので、具体的な
事案について具体的にこの問題についてどうするということはお許し願いたいと思うのでございますけれ
ども、抽象的に少し述べさしていただきますと、これはまあ
水俣病と限りません。そのほかの何かほかの
公害病をお
考え願いたいと思うのでございますけれ
ども、そういう
申請がありましたら、
双方の出した資料は十分に
審査しますし、それからおそらく
患者という人たちは無資力の方が多いだろうと思いますから、
患者側の方から資料を出していただくとしてもそれにはおのずから限度があるんじゃないかと思います。
双方の資料を比較した場合には
患者側のほうの資料にどうしても不足が多かろうと思いますが、そういう場合にはこの
委員会としては自主的に事実の
調査、あるいは
職権による
証拠調べというふうな道がございますので、そういう
権限を十分に活用して、本来出すべくして出されないような資料というものの補充には十分力をいれる。そして、できるだけ
双方を資料の点についても平等な立場に持ち上げるようにして、そして正しい結論を得るようにつとめる。もちろん結論を得るためには、その準拠となるものは実体法でございまして、実体法の、特に問題になるのは民法の不法行為の
規定でございますが、民法の不法行為の
規定を適用する場合には一番問題になるのは因果
関係と故意、過失だろうと思います。もちろん
事案によっては特別法で無過失責任を認めている例もございまして、そういう場合には故意、過失の問題はしばらく全
審査の対象から消えますので、ここはそれだけ楽になるわけでございますけれ
ども、いずれにしても因果
関係が非常にむずかしい問題の
一つでございます。そうして
事案によっては故意、過失の問題、その点に焦点を当てまして十分に
審査をして、そうしてほんとうに被害者が相手方として出してきた企業側に賠償責任があるということになれば、そこで金額をきめるということになりますので、その金額につきましても、これは
裁定でございますから、一律に幾ら幾らということにはならないのが普通ではないかと思います。やはりそれぞれの
事案、各
患者一人一人の実情に応じてそれぞれに民法を適用したほんとうに的確なる金額を
考えていくということになろうかと思います。もちろんその結果が場合によってはずっと一律になるという場合もあるいはないわけでもございませんけれ
ども、しかしたてまえとしては全部一律ということではなくて、それぞれ各人について賠償の責任及び額を考究していくということになろうかと思います。