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土橋委員 これは端的な
質問でありますが、両県の場合で五十億、全国的に各十一の水域をめぐる
漁民の損害はおそらくこの数倍に及ぶものだと思うのです。そうすれば、当然、この法律をつくればそういうことが出てくるのですから——この前、同僚
委員の
質問に対して、あなたは、
漁業法の三十九条の規定は、一定の変更を要するとか、あるいはこういう事態が起こらなければ
補償しないのだということを御
説明になったようですけれ
ども、この法律をつくれば、そういう
補償問題については、当然この法律から、有権解釈によって、きちっとそういう状態がしいられるわけです。法律的にそういう義務をしょわされるわけです。したがって、県なり
政府の認可を得て
漁民が持っている、長い人は何代もやっているでしょう、そういう
漁民の
生活権と
漁業権を守るということは、当然
国家の責務としてやるべきことであって、これが推算もできていないということでは、
漁民が大デモンストレーションを起こしてこの
法案に
反対するのは当然でありまして、わが党は、
漁民諸君の
生活と
権利を守るという
観点から、この
法案については非常に問題があるというふうに
考えておるわけであります。具体的な
説明がないようでございますし、私のほうでもまだ初歩的な
質問でありますので、この点についてはもっと煮詰めて、あるいは公聴会などでそれぞれの
意見が出ると思いますので、それを参酌して、この
法案については、重大な修正、ないしは、今回の国会上程については相当見合わせる問題があるというふうに私は
考えております。
第二番目の問題は公害問題です。これは先ほど運輸
大臣にも示しましたように、特に
東京湾においては、京葉工業地帯、川崎あるいは
東京、さらには
横浜もございましょうが、この
環境保全をするという問題は、ブルジョア新聞といわれておる読売新聞ですらも、これだけの記事を書いておるわけです。「死ぬのはあなただ」というふうに書いている。これは決して笑いごとではないと私は思うのです。いま国連においても、こういう問題でストックホルムで六月から
会議を開いて、それで全体の機構の中にこれを大きくぶち込んでいって、大きく言えば、地球を守ろうじゃないか、われわれの生存を保障しようじゃないかという姿勢だと思うのです。これは
佐藤政府の高度経済成長政策に対しても書いておりますけれ
ども、新全総の基本的な問題について——ちょっと私、
内容を読んでみましょう。そのほうが私が
説明するよりもよくわかると思いますので……。
前後をはしょって重要部分だけ読んでみますと、「
政府の基本政策はいぜん「開発偏重」のまま、環境破壊は日ごとに深刻さを増している。経済企画庁は四十七年度から三年がかりで新全国総合開発計画を改定の方向で総点検にとりかかるが、数字いじりの官製プランはもう許されない。「地球防衛戦争」への意識革命を組み入れた大胆なプランづくりが強く望まれる。」こういう題目で書いているわけです。そういたしまして、すでにこの問題については「警告・
提案、あとは実行のみ」という題目で、「「
現状のまま放置すれば、世界全体の一人当たりGNPが現在の
アメリカの水準に達する紀元二〇〇〇年には、地球の汚染度はいまの十倍以上になる」——欧米や日本の政・財・学界リーダー約八十人で組織する
研究団体ローマ・クラブは、このほど「成長への限界」と題する
報告書でこう地球破滅を警告した。」「さらに
報告書は、地球の破滅を避けるには「全世界の一人当たりの工業生産高を一九七五年の水準で凍結する」など経済成長一本ヤリの政策から脱GNPをはかるほかに取るべき道がない」こういうふうに書いておるわけです。ことに、
佐藤総理の諮問機関である国土総合開発審議会(平田敬一郎会長)も、こういうふうにいっている。「国土開発政策の位置づけを一層、明確化する必要があり、新全総の総点検を行なうべきだ」というふうに
意見を書いておるわけですね。あるいは大資本家の、それこそ独占資本の代表ともいわれる木川田一隆会長の経済審議会の環境
研究委員会も、「
政府のGNP第一主義の姿勢をきびしく批判する
報告書をまとめた。」また、PPPの原則、汚染者負担の原則というのを打ち出しておる。そういうところの
報告書でも、「汚染源である企業には排出防止の費用を負担させる。負担しきれない企業は、操業をストップさせる」こういうようにたいへんきびしい。そしてローマ・クラブの七つの
提案というのを見ますと、地球を守る、人類全体を守る、こういう構想の上に立っておるわけですね。
ここから
考えまして、先ほどの運輸
大臣の発言によりますと、昨年の新潟県のいわゆるジュリアナ号でございますか、要するに、これの
海難から急遽運輸省としてはこの
法案をつくった、そして上程することを決意したというふうに
説明されているわけです。そうすると、問題の
中心は、御承知のように、
海上の
交通を
規制するという問題が必要なことは言うまでもございません。これは当然でございますけれ
ども、問題の
中心点は、
大型タンカーの問題であります。それから、いわゆる
原子力潜水艦とか
原子力空母の問題であります。そのほかに、危険な毒ガスとか、そういうものを搭載しておる
船舶を
浦賀水道なりあるいは十一の
水道を
航行させるという問題が、私は一番大きな問題だと思うのですよ。
こういう
観点から申しますと、
わが国の経済全体で
考えますならば、当然、
東京湾とか
伊良湖水道とか、あるいは明石
水道へ入る前に、つまり、そういう地域で原油が流れ出るとか、あるいは
巨大船の
海難が起こってくるとかいうことになってまいるその事前において、これを防止するという体制をとらなければならぬのは言うまでもないことです。これは先ほど運輸
大臣も、そういう方針が正しいということを言っておるわけです。ところが、今度の
海上交通に関する
法案から見ますと、そういう本来ならば
規制しなければならない大型の
タンカー、あるいは
原子力空母とか原子力の潜水艦、こういうものが当然通ることを予定してこの法律をつくっておるわけですね。ですから、私はまことに不都合ではないかというふうに
考えておるわけです。
そこであなたに
お尋ねをしたいのですが、いざ起こった
海難の災害ということを
考えてみると、
漁民諸君や
一般のたとえば旅客船であるとか、フェリーボートであるとか、釣り舟であるとか、あるいは小さい船で事業をやっておる、そういう小さい船とか貨物船というもの、そういう中へまじって、そういう危険な船をなぜ一体この
水道を通過させなければならぬのか。それは石油コンビナートとか横須賀の
アメリカの軍事基地があるから、こういうことなんですね。そうなってまいりますと、この
法案全体は、そういうことを予定して、つまり、そういう場合の
海難はたいへんなことなんだ、新潟県でわかるじゃないか——この間あの船の中で見せていただきました映画を見ましても、だれが見ましてもぞっとするような状態です。そのことから、
漁民が持っている基本的な
権利や、
一般の
船舶や旅客船とかフェリーボートのそういうものまでも侵すというのは、逆に言うならば、そういうものを見せておいて、そしてこわいから、おそろしいから、こういう法律をつくって
規制をするのだ、こういうことならば、全く
漁民あるいはそういう小さい船を犠牲にして、ただおそろしい災害が起こるということを前提にしておいて、一種の
国家的な脅迫行為を行なって畏怖心を起こしておいて、だからこの
法案を通過させればいいじゃないか、こういう結論にもなるように思えてしようがないのですよ。
佐藤さん、どう
考えていますか。