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1972-04-20 第68回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十日(木曜日)     午後一時五分開議  出席委員    委員長 今澄  勇君    理事 大竹 太郎君 理事 佐藤 守良君    理事 中村 弘海君 理事 丹羽 久章君    理事 後藤 俊男君 理事 宮井 泰良君    理事 渡辺 武三君       荒木萬壽夫君    加藤 六月君       唐沢俊二郎君    斉藤滋与史君       野中 英二君    山下 徳夫君       久保 三郎君    松平 忠久君       沖本 泰幸君    土橋 一吉君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君  出席政府委員         運輸政務次官  佐藤 孝行君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         海上保安庁長官 手塚 良成君         海上保安庁次長 須賀貞之助君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     福田 勝一君         水産庁漁政部長 田中 慶二君         運輸省港湾局計         画課長     大久保喜一君     ――――――――――――― 四月十九日  海上安全交通法早期制定等に関する陳情書  (第五七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  海上交通安全法案内閣提出第一〇一号)      ――――◇―――――
  2. 今澄勇

    今澄委員長 これより会議を開きます。  海上交通安全法案議題といたします。  この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  本案につきまして、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 今澄勇

    今澄委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 今澄勇

    今澄委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。丹羽久章君。
  5. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 海上交通安全法案審議に際して、政府説明を求めていきたいと思います。  きのう、交通安全対策特別委員会は、現地の視察として、東京湾港内を船で見ながら、さらに木更津へ参りまして、関係者意見陳情を聞きました。特に千葉県では、副知事漁業者代表、市長をはじめ多数の人々が、総体的に交通規制には反対であると聞いたので、もっと突っ込んだいろいろ意見の交換という必要もあったけれども、残念ながら、時間的に次に行かなければならぬという関係から、十分話し合いもでき得なかったのでありますけれども、この反対意見に対して、長官はじめ関係者は出ていらっしゃいましたが、これはあなた方の答弁を求めるのじゃなくて、ただ反対するために来てもらった陳情者意見を聞いたにすぎなかった。そして一部、私ども意見として聞いてみたけれども、これを長官はじめ政府側はどのように受け取られたか、その点について、まず最初に、その場に出席していらっしゃった長官から御返答いただきたいと思います。
  6. 手塚良成

    手塚政府委員 昨日、木更津意見聴取を本委員会でおやりになりまして、住民の皆さんから反対の御意見が出たわけです。私どもは、この法案をつくりますにあたりましては、五年来の懸案であり、大綱も大体そういう前からの線を踏襲しておるわけでございますが、やはり一番心を砕いて注意を払いましたのは、漁ろうとの調整をどうはかるかということを最大の眼目としてはかりまして、これの調整ができ上がったということで御審議を願うわけであります。  ただ、この法案立案にあたりまして私どもが接触をいたしましたのは、漁業団体としての全漁連等を通じ、あるいはまた水産庁仲介、あるいは水産庁自体の御意見というようなものを中心に徴しながら、この調整をはかってまいりました。漁連の各県連幹部皆さん方にも、こういう法案の御説明等も昨年来数回にわたって実施をする、水産庁ももちろんそういう中にいろいろ仲介をしてもらう、こういうふうなことの過程を経てやってきたわけでございますが、やはり五年来いわれておりますような、漁業制限する法案ではないかという、きわめて一般的な従来からの印象、そういうものが非常に強い。それらに対する説得といいますか、説明といいますか、そういう問題につきまして、やや時間的な関係もございまして十分に関係者に徹底していない。私どもの意のあるところが徹底されておらない。あるいは漁業関係皆さんと、先ほど申しましたような過程を通じまして、法律案内容そのものにもずいぶん調整の手を入れましたけれども、そういった改められた法律案内容というものの浸透のさせ方に対して、やや不十分なうらみがあるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、今後なおそういう努力を続けますと同時に、この法律内の政省令立案等につきましては、十分そういう御意見をさらに聞き取り、意思疎通をはかって、法の実施までには関係者皆さん理解が十分得られるように努力をいたしたい、かように感じた次第でございます。
  7. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 長官の話を聞きますと、これから具体的にいろいろ聞いていこうと思いますが、きのうの受けとめ方はどういうふうに政府は受け取ったかということを申し上げたら、いままだ時間的にも十分に話もしていない点もあるのだ、この法案が成立するまでにはまだいろいろと十分に考えてみたいという点もあるということでありますが、私ども考え方は、この法案は十分にいままで国会で二回、三回と論議をせられてきて、その間に漁業者の利益問題等々がからまって、そういう意味で実際は反対を受けて流れてきた法案なんです。そこで、今度出るということについては、海上交通安全法というものは、十分そういう点の折り合いも話し合いもでき上がって出たものであって——東京湾の、きのう出席していた人たちが口をそろえて、副知事をはじめ全体が漁業者に味方をしながら、補償問題だとか云々だとかいうことで総反対をせられる。ある人に至っては、立法精神に反するというような意見まであった。これはまあ私どもは軽く受けとめた問題であるけれども、これから審議していく上において、いろいろと手直ししなければならない面があれば、委員長並びにわれわれ委員会は、手直しをすることにやぶさかでないと思うが、提案せられるまでに時間をかけて、あんなきのうのような状態の総体的な反対があるというようには私どもは考えていなかった。一部には、やはり海上規制というものはどうしてもやってもらわなければなりません、しかしながら、私ども立場というものにも違いがありますから、これも何らかの考慮をしてもらわなければ困りますから、十分にひとつ、法律をつくられるなら、その点を加味してもらいたい、こういう程度陳情というのは聞けるわけだけれども、そういう意見ぐらいの程度だと思ったら、海上ストライキを小舟はやるのだ、全国的にやりますというような御意見であるとするならば、これはいままでに何度も何度も折衝してきた過程というのがどのように実ってきたかということと、今度出されるのも少々無理なところを押して出されたというような感じを受けるのですよ。これからまだあと伊勢湾にも行くだろうし、瀬戸内海にも行くのですが、行く先、行く先でこういうことがあり、ここへ出てくる参考人が同じようなことを言うとするならば、全くそれは話し合いというものが進んでいなかったものを無理やりに出したというように解釈をしなければならない。私は、少なくともそういう無理は全然なくて、少々の反対はあるけれども海上交通規制というものは、やはり船がふえてくればやらなければならぬという大原則に立って進んでいくものであるという点について、漁業者に対してはいままでも自主的に規制をしてきたのだから、今度あらためて法律ができたとて、そうたいした影響はないという説明がもっと下部に浸透しておると思ったのです。これは別に長官を責めるわけでも何でもないが、きのうの私が瞬間的に受けた考えというものを率直に言うわけなんです。  そこで、きょうは特に副大臣がおられるので、佐藤大臣にお尋ねするが、あなたは、この法律に対する、大臣がいらっしゃるまでの全責任者であるが、どのような経過でこの話を進めてきたかということを、与党として私は責任上聞いていかなければなりませんから、ひとつ与党立場で私は聞くのですから、副大臣も隠すことなく、ずいぶん無理なことを言っておるから耳を傾けるわけにいかない、だからこれはある程度の無理は押してもやらなければならぬと思ってこれに踏み切ったのだ、こういう考え方なのか、それとも、そうではない、話をずいぶんしてきたけれども、どういうことか、まだまだ反対する人があるというのか、そういう点をひとつ次官から明確なお答えをいただきたい、こう思います。
  8. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 現在の私の立場ではなく、もっとさかのぼってから今日に至るまでの経過説明いたしますと、いまから五年ほど前に、自民党の政調水産部会に私が所属している当時から、内容はだいぶ異なりますが、この法案は幾度か国会提出されようということでいろいろ論議されてきた法律案でございます。当時と現在とでは内容においてだいぶ手直しもいたしましたし、また、今回新たに政府からそれに必要な啓蒙費というものも計上されております。また内容も、巨大船範囲とか、あるいは避航義務の縮小とか、ずいぶん手直しをされて今日に至っているわけですが、残念ながら、先ほど長官から御説明があったように、いまから五年前の当時、最初に考えた法案漁民の方々は先入観として持っているのじゃなかろうか、新しい法体系は前と内容においてずいぶん異なる点があるということを私どもは再三再四御説明申し上げてきたつもりですが、いまだ御指摘のように細部までそれが徹底していないうらみが私はあろうかと思います。  また、与党立場で申し上げますと、水産部会でも、この問題で連日連夜非常に論議をされまして、さらにまた、党の政調会総務会等の議を経て今回提出の運びになったわけでございます。  この法律は、御承知のとおり、ふくそうする海域において何とか漁民側並びに航行する船舶の安全を確保しよう、こういう見地からつくった法律でございますが、もしかりにこの法律が不幸にして日の目を見なかった場合、一体だれが最も困るのだろう、こう判断したとき、残念ながら、漁民の受ける被害というものが一番大きいのじゃなかろうか、無制限にどんどん大型船が時代の要請だということで狭水道に入った場合、いまよりはるかに、漁業に従事する範囲といいますか、期間といいますか、これが縮小されるのじゃなかろうか、多少の不満はあっても、いまの時点で狭水道に関してはこの法案を通すことが日本のために最良の策である、かような考え方からあえて踏み切って、今回皆さんの御審議をいただくような結果になったわけでございます。御理解のほどをお願いいたします。
  9. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 次官は、これが最良の策である、これを通過させない限りにおいては、一番迷惑をこうむり、さらに被害をこうむり、大きな損害を受けるのは漁民であろうという前提に立って、そして海上に対する整理方法としての交通安全を考えてきた。よくわかりますが、最初、五年前に考えられたのと、今度提出した案とは大きな開きがあり、大きく変革してきたのだ、十分にその間の折衝の面も取り入れたというような表現はせられなかったけれども、変わったということは、それを取り入れて変えたということになると思いますが、私は、残念ながら、その最初に出た五年前の当時はどのような法案的なものであったか知りませんが、いまどういう点が変わっておるかということを、一、二点だけでいいから簡単にひとつお示しをしていただきたいと思います。
  10. 手塚良成

    手塚政府委員 いろいろございますけれども、たとえば、速度の制限という問題などは新たに挿入をいたしました。それから航路航行義務というような規定は、新しく今度設定いたしました。漁ろうの関係で申しますと、漁具設置等の軽易な行為、工作物設置、工事、作業等について、許可、届け出という規定がございますが、そういう軽易な漁具設置等のものについては、これはそういう規制対象からはずすというようなことをいたしました。あるいは適用海域という点で、漁港の区域とか、あるいは一般船舶が通常航行しない海域というようなものは、この法律適用から除外するというようなこと、まだこまごましたことはございますが、例をあげますと、そういったことが今回新しく改正をした点でございます。
  11. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 私に与えられた時間は一時間ですから、ひとつごく簡単明瞭にお答えをいただいて、そして私も要点だけをお尋ねいたすことにいたします。  大臣もいらっしゃいましたけれども、専門的な問題になりますから、やはり長官からお答えをいただかなければならぬと思いますが、きのうちょっとお話は聞いておりましたので大体わかっておりますが、さらにもう一度お尋ねいたしたいと思いますことは、わが国周辺海域において海難に遭遇し、救助を必要とした船舶の数は、昨年はどの程度であったか、ひとつ数字をあげて教えていただきたいということと、年々これは増加しておるかどうかという問題です。——長官はどこかへ行きましたけれども、だれかお答えいただけますか。
  12. 須賀貞之助

    須賀政府委員 海難種類としまして、衝突、乗り上げその他がございますが、これらを全部含めまして、四十六年は、年間で、全国で三千五百四件でございます。なお、この件数は、四十二年から見まして、若干の増減がございますが、若干上回っておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  13. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 四十二年と四十六年との差は、年々増加ということでなくて、ほんの少しふえたという程度にすぎないのですか。どうですか。
  14. 須賀貞之助

    須賀政府委員 全国合計で見ますと、四十二年が三千四百八十五件でございますが、四十六年で三千五百四件でございます。その前の四十五年でありますと三千六百五十件、こういうことになっておるわけでございます。
  15. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 そうすると、たいした変わりはないということですね、船の量はふえても。そういう意味にならないんですか。
  16. 須賀貞之助

    須賀政府委員 今回の法案によりましてお願い申し上げております三海域におきましては、四十二年に千四百七十三件であったわけでございますが、四十五年で千六百四十六件、四十六年で千三百八十九件、こういうことになっておるわけでございます。四十五年まで若干ずつふえてまいりまして、四十六年はちょっと減っておるというかっこうになっておるわけでございます。
  17. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それでは、ここ二、三年の船舶海難による死亡、行くえ不明は増加しておるか、減少しておるか、どうですか。
  18. 須賀貞之助

    須賀政府委員 船舶による海難でございますが、これは死亡、行くえ不明だけでございますが、四十二年が五百十九名、四十五年が五百三十三名でございます。若干ふえています。
  19. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 海難種類別にすると、乗り上げだとか、機関故障だとか、衝突だとか、浸水等とか、いろいろあると思うが、これらの海難のうちで、港内及び三海里未満沿岸海域で発生した海難事故、外へ出ていったのではなくて、三海里内で起きた事故は、全海難事故の何%くらいになるのですか。
  20. 須賀貞之助

    須賀政府委員 全海難件数二千六百四十六件のうち、港内のものが九百三十二件、三マイル未満のものが九百九十六件ということで、合計しますと、千九百件くらいに当たるかと思います。これは八〇%くらいになると思います。
  21. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 そうすると、海難事故のうちでも、三海里というか、三マイルですか、近海におけるものと、港内におけるものを合わせますと全海難の八〇%なんだということは、それだけふくそうしておるから交通事故が非常に多いということになるわけですね。そういうように解釈していいのでしょう。——それではその次にお尋ねいたします。  船舶交通増加と船の大型化で、交通ふくそうに対処するために、港内については、現在港則法に基づいて交通規制等を行なっております。主要港湾及びこれに通ずる主要狭水道については、航路標識整備などして交通環境整備につとめておりますが、原則として、巡視船艇を配備して右側通行の励行、あるいは高速航行禁止等航法指導を行なってこの規制に対してうまくやっているのですが、特に大型船舶については、通行予定時刻事前通報を励行させておることは事実なんです。これらの船舶通行時に、必要に応じて航路の付近の交通整理及び警戒を行うことについてもその措置を講じておりますが、船舶交通安全確保にいま港則法で万全を期しておりますが、今回の海上交通安全法案は、適用海域として三海域、十一航路等を定めたが、このように海域航路を限定したのは、いろいろの判断がありますけれども、どういう判断のもとに三海域、十一航路だけを定めたのか、これについては、将来もっと増加する予定のもとにせられたのか、どういう考え方か、この点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  22. 須賀貞之助

    須賀政府委員 わが国海域は広いわけでございますが、この中で東京湾伊勢湾、それから瀬戸内海、この三海域が圧倒的に船舶交通が多いわけでございます。それはもちろん申すまでもなく、この地域はいわゆる太平洋ベルト地帯といったところに相当いたしまして、経済の非常な発展その他の関係によりまして人口が密集しておる、生産力も多いというようなことから、そういうことになるわけでございますが、この三海域規制対象として海上交通対象とする必要がある、こういうことを考えたわけでございます。その他のいろいろな海域湾等について調べてみたわけでございますが、これはこの三海域に比べまして海上交通の度合い、あるいは大型船の出入の状況、こういったものにつきまして格段の相違があるということで、こういう三海域対象とするということにきめたわけでございまして、今後その他の水域につきましてまたこういうような事態になってきた場合には、またそのときに考えなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  23. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大臣、いまお聞きのように、三海域、十一航路、すなわち、伊勢湾東京湾瀬戸内海ですね、これは非常にふくそう化している。ここで衝突を起こしたり、暗礁に乗り上げたり、あるいは機関故障をしたり、あるいはいろいろの交通事故が発生してはいけないということでこの法案が出されたと思うのですけれども、私ども判断でいくと、何か三海域、十一航路だけじゃなくて、もっとほかにも必要性があるように思います。この基本的な考え方というのは、何か現在をながめてそうして規制をするという単なる考え方のようであります。将来はふえてくれば考えてみますということであるが、ふえなくてもやはりいろいろの問題が起きてくるんですから、ふえた時点でやろうと思うと——先ども長官並びに次官からも説明を求めましたが、きのう実は今澄委員長中心にしまして木更津へ行ったのです。道中、東京湾視察しながら行きまして、向こうへ参りまして、向こう人々意見を聞いたわけですけれども、あげて猛烈な反対をせられたわけなんです。それはこれからまた聞いていくうちに出てくる問題でありまするが、いろいろの事情を訴えられて言われておりますが、これから船がふえてきたからといって、そこでまた海域の指定をふやすというようなことは困難なことであります。別に必要のないところまでつくることもないと考えられるけれども、これについての考え方というものはそれぞれ違うと思いますけれども大臣は、いま次長の言われたように、もうあとは、調べてみればそうたいした必要はないから、そのまま野放しにしておくんだ、こういう考え方であるか、その点ひとつ大臣考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  24. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま海上保安庁次長から御答弁申し上げましたとおり、現時点におきましては三海域に限って必要最小限度規制をするということで、今回御提案をして御審議を願っておる次第であります。将来他の水域におきまして船舶が非常にふくそうしてまいる、危険になってくるというような認定が得られましたときにはまた御審議を願う、こういうことでございまして、当分の間は、この今日御審議を願っております東京湾伊勢湾瀬戸内海という三海域に限って、これで一応の目的を達するということで、今日御審議を願っておるような次第でございます。
  25. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 きょうの議題になり、これから議題になって審議を進めていくのは、三海域、十一航路対象というのは、これはよくわかるのです。そこで、いま次長の言われたように、三海域、十一航路というのは、非常にふくそうをしているからまず規制をするんだ、交通安全法をつくるんだということでありますが、これから先も、ふえてくればやはり、これに準じて考えていかなければならぬということなんです。ところが、そのふえてきた時点というそのときには、どこにどれだけふえたかという、ふえた内容もあるわけでなく、ただ単なる、ふえてきたからそれをつくるんだ、こういうことになってきたとき、その地元民、それを使用する漁業人々がすべて理解をしてくれれば、すごくうまくいきますけれども、やはりそういう時点においてまたいろいろの問題が起きてきて、やりたいと思ったときに、非常に船が混雑するけれども、もっと熾烈な反対が起きてきたときには困難だと思うが、これに対する今後ふえていくだろうという予想図、ここは確かに今後もう心配ない、現在のままであまりふえないだろうというような個別的調査というものはできておるのでしょうか、どうでしょうか。その点はどうですか。
  26. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 御承知のとおり、海上保安庁は、ただいま十管区に分かれまして、それぞれその海上保安のたてたてまえから、常に船舶就航状況、数、また衝突事故状況等、いろいろ日々これを視察をして調査をしている次第であります。その認定に基づきまして、今回、三海域、十一航路というものがどうしてもこの際は必要であるということでやった次第でございまして、やはり将来、それらの日々業務に携わっております、交通安全をやろうとしております海上保安庁調査というものをさらに綿密にさせまして、それで具体的にきめてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。  ただいまお話がございました、漁民の皆さまには非常に不安を与え、昨日も御視察をいただきましてまことに恐縮でございます。これらの点は十分勘案をいたしまして、今回は漁船にも支障がないようにということでつくった次第でございまして、先ほども佐藤政務次官から御答弁いただきましたが、長年水産業におりまして漁民立場でもっていままで国会におきまして奮闘をしておりました佐藤君が、この際は、漁民の方面にも、だいじょうぶであるということですっかりそれをしていただきまして、今日提案を見た次第でございます。まだ五年前の法案その他のいろいろの幻影が残っておりまして、それらの点に対する御理解不足の点はあったかと思う次第でありますが、せっかくのここまできた法案でございますので、ひとつ慎重に御審議の上、御賛成いただきますようお願いをする次第でございます。
  27. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大臣のその非常に誠意ある、ぜひこの法案を通していただきたいという御意見、私もまたそれに反対するものではありません。佐藤次官が言われるように、この五年ほど前に出た当時と比べてみれば、ずいぶんこの法律内容が変わってきた。その点についても、どのように変わったかということは、いま長官から説明を受けましたので、これも了承することができるのです。けれども、私の心配することは、くどいようでありますけれども、陸上の自動車の交通安全というのは、ずいぶんきびしく、やかましく罰則を重くしたり何かいたしても、なかなか減っていかないのです。同時に自動車の量も非常にふえてきた。そこで陸上運搬をするということはなかなか困難であるからということで、コンテナで海上輸送のできるものはほとんど海上輸送をするようになってくれば、いままでのようなテンポ、いままでのような進歩——進歩というよりも、進み方の海上利用というものと違った角度で私は出てくると思うのですよ。そうした場合において、今度はこれだけでいいということなら、あえて私はくどいことは言いませんが、もうここ二、三年たったときにはまたどこかを追加しなければならない、そうしたときに、同じような問題を繰り返して慎重な話し合いをせなければおさまりがつかない、その間に事故が起きてきたというようなことになると、私は一つの懸念と心配を持つわけなんです。だから、それについて海上保安庁は、当分のうち、これだけを規制すればもう心配ないという考え方を持っておるのかどうか、こういうことを、長官がおられたら、それは専門的なことですから、尋ねてみたいけれども長官いませんから、次長、この点について、しっかりした資料に基づいて、ここ四、五年ならだいじょぶですということを言明できたら、してもらいたいと思うのです。
  28. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  いま先生から陸上交通との対比においての御心配のお話があったわけでございますが、いわゆる海上交通におきましては、船舶の数といったようなものは、横ばいあるいは若干少なくなっているという状況になっております。これはもちろん大型化によってこれを吸収する、あるいは内航海運のスクラップ・アンド・ビルドの海運政策によりまして、非常に小さい船が減って、三ばいつぶして一ぱいつくるというようなことで、小さい船はそれなりに大型化しているということで、船舶交通量といったものにつきまして、船の数ではふえてはおりますけれども、それほどふえていない。もちろん、陸上の自動車のようには、そういう数のようにはなっていないというのが現状であるわけでございます。  なお、この三海域以外がここ二、三年あるいは三、四年のうちに心配になるのではないか、こういうお話でございますが、われわれ、この三海域以外に、鹿児島湾、あるいは島原湾あるいは駿河湾、こういったような、これに準ずるようなところにつきましていろいろ調査したわけでございますが、一平方キロ当たりの船舶数とか、そういったものにつきましても、この三海域に比べましてほかの海域は非常に少ないということでございます。  それから、これを逆から申し上げますと、たとえば東京湾で申し上げますと、東京湾の……。
  29. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 そのこまかいことはいいんだ。だいじょうぶだとか、心配ないとか、あなたのほうの調査の結果だけでいいのですよ。
  30. 須賀貞之助

    須賀政府委員 それでは申し上げます。  先生の御心配の三、四年とかあるいは五、六年といったようなことでは、もちろんいまのこの三海域状況になるということは考えられないわけでございます。
  31. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 これは大臣御存じかと思いますが、年内に国際海上衝突予防法の改正が予想されておるというが、それはお聞きになっておりますか。どうでしょうか。
  32. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この十月にIMCOの会議がございまして、その際に、それらのことを相談し合うという話が来ているそうでございます。しかし、まだ草案程度も固まってない、こういうことでございます。
  33. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大臣はいまごく簡単な御答弁でしたが、事務的に年内に国際海上衝突予防法の改正がもうすでにある程度の骨子ができておるようなことを聞いておりますけれども、これは次長どうですか。
  34. 須賀貞之助

    須賀政府委員 ことしの十月にIMCOの委員会が開かれるということになっておりまして、いろいろな案が各国に事務局から配られているという段階でございまして、これがたとえば委員会で可決されるというようなことになりましても、実施されるというまでにはまだ四、五年はかかるというふうに聞いておるわけでございます。
  35. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 じゃ、次長、この衝突法案はまだ本格的の議題にはなっていないということなんですね。
  36. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  IMCOの国際会議議題ということになってはおりますが、その草案といったものがあちらこちらに配られておるという段階でございまして、まだはっきりした見通しというものはついておらない現状でございます。
  37. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 この海上交通安全法案は、四十三年と四十四年に国会に出されました。ところが、漁場規制という立場からの関係漁民反対が最も強くて法案が流れておりますが、先ほども私が質問したように、今回は、特に地域的な一部にはそういうものがあったにしても、大きい関係漁業組合との話し合いはどうですか。ついておるのですか、次官
  38. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 お答えします。  御承知のとおり、漁業団体の系統は、全漁連があって、その傘下に県漁連があり、さらに単協があり、個々の漁業に従事している人がある、こういう組織になっております。  私どもは、本法案最初の策定の時期から、全漁連を通じまして漁民の声も聞き、また、私ども考え方も全漁連を通じて今日までいろいろ論議してきたわけでございます。もちろん、その間、各県漁連、たとえば和歌山あるいは千葉、香川、これらの方々にも何度か接触いたしまして、私どもの意のある点を御納得いただけるよう説明してまいりましたが、残念ながら、先ほど来お話があるように、個々の単協もしくは個々の漁業に従事している方々には、われわれの考え方が下部まで徹底していないといううらみがございます。  今後は、そういう点はなくすように、本委員会を通じて鋭意努力して、先ほど大臣から答弁ございましたように、ぜひとも本法案を成立させたい、かように考えております。
  39. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 きのうの話の内容を聞いておりましても、何にしてもこれを規制せられるということは生活権の侵害になるんだ、これはまず木更津、千葉県の一部の漁民の訴えですから、他の人たち意見はまたこれから聞くことになるだろうと思いますが、そういう切実な声をあげておるのですね。そこで、県議会はどうだというと、やっぱり交通規制はある程度しなければならないけれども、私どもの千葉県においてはいろいろの魚がたくさんとれますが、それが規制せられると、とれない状態になってくる、そしていままでと違ったきつい規制になってくる、そういう意味から、どうしてもわれわれの生活権を侵害することになるんだ、それの補償をどう考えてくれるんだという声があるのです。  そこで、大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、こういう生活権の侵害ということで、これを考えてあげるということは、私は、当然立法する上において基礎的に考慮に入れなければならぬ問題ではありますが、すべてのものにそういうようなことを考えていくとするならば、これはまたたいへんなことになると思うのです。  私は、かつてこういうことを言ったことがあります。国道一号線にささやかなめし屋さんがあった。これはもう何十年来の伝統で、あるいはもっと古いかもしれないが、ささやかなめし屋をやっていた。そして車が規制せられていない当時であるから、みんな車を前に置いて、一ぜんめし屋で食事をした。ところが、国道では軍を置くことは相ならぬという交通規制ができてきて、国道一切は駐車禁止になった。それがために、その小さいめし尾さんは、資力がないから、隣にあき地を買ってそして自動車をそこへ入れてもらってごはんを食べてもらうことができない。そうした場合に、転業せざるを得ないというような事態になってきた。だから、このときに、何とかしてそういう人たちの生活資金を考えてやったらどうだということを言ったことがあるのです。ところが、政府は、そこまで手は届きません、そこまでめんどう見ることはできませんといって、国道にずっと長い歴史と伝統を持つ、そして慰安の場所であるささやかな食事をするところは、一銭ももらわずして泣き泣き店をしめた例があるのです。  こういうことを考えてまいりますると、今度の問題でも、漁民の生活権ということにつなぎ合わして考えてみれば、そういう、過去には一銭ももらわずに泣いて店をしめた人もあるのですから、この漁民が生活権の侵害だということで補償せよといわれても、それを補償するということにはなかなかならないだろうと私は思うのです。だから、漁民の希望することと私の考えておることといささか食い違いがあって、前例にもそういうことがあるから、生活権をどこまでもめんどう見てあげることができぬのは無理ないだろうという表現になるわけなんです。  ところが、今度は、これに対する深刻な問題として多数の人たちが集まって騒いでいる。そして実例をあげておる。これに対して、大臣は、ささやかなめし屋をやっていた人のように、この補償というものに対してどうしてもめんどうを見てあげることはできない、やはり規制規制としてやっていくんだから、ある程度漁業はできるのだから、、考えることはできないというお考え方か、何かそこにおいて考えてやろうという考えを持っていらっしゃるのか、その点をこの際ひとつ明らかにしていただきたいと思います。どうですか。
  40. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの丹羽先生の御質問、ごもっともと思う次第でございます。そういったような航行禁止をやる、あるいはまたいろいろの規制措置をする、それによって影響を受ける人の救済措置ということは当然考えなければいかぬことでございますが、事案、事案によりまして、国としてはできない場合が、いま御指摘のように多々あると思う次第でございます。国としてできなくても、何らかの措置をいたしまして、それらの被害を受ける、御不安になることに幾ぶんでもお救いをする道があるかどうかということを考えるのは、政治家として当然の仕事であると思うのでございます。それらの点につきましては、私は専門家でございませんのであまり詳しくわかりませんが、漁業権のないところに補償はできぬという問題もございますし、いろいろございますが、今回、民間の漁業組合、全漁連、あるいはまた私のほうの団体等とも研究いたしているようでございまして、詳しいことはひとつ事務当局からお聞き取り願いたい、こう思う次第でございます。
  41. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 時間がありませんので、その大臣の答弁でけっこうですが、何らかの考えができれば将来考えてみたいということですね。  それでは、さらに尋ねていきたいと思いますが、海上衝突予防法は、これでいくと、漁ろう船が優先に打ち出されておるが、今度の海上交通安全法案では、漁ろう船の既得権をどのように保障されるのでしょうか。これは全然無視せられてまいりますか。次長、その点どうです。
  42. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  今度の海上交通安全法におきまして、漁ろう船につきましては、いろいろな航法の中で相当部分の適用除外をして、その漁業に影響のないように配慮しておるわけでございまして、従来、予防法におきまして、漁ろう船を避けるという規定はあるわけでございますが、御承知のように、予防法に基づきます特水令という政令によりまして、瀬戸内海の相当の範囲におきまして漁ろう船が一般船舶を避ける、こういうことになっておったことから比べますと、相当、漁業あるいは漁ろう船についていろいろ配慮しておるということになるかと思うわけでございます。  ただ、今回のようなことをすることによりまして漁業者のほうに悪い影響があるではないか、これに対して何らかの国の補償的なことを考えるべきではないか、こういうような意見もあることは承知しておるわけでございますが、こういうことにつきましては、海というものが、もともと、漁ろうの場であると同時に、船舶交通の場であるということで、共存共栄すべきものであって、これを両立させる、うまく調和させるという意味におきまして、今度のような法律をつくったわけでございます。  そういう意味におきまして、こういう交通規制法規といったものにつきまして、国の補償というものにはなじまない、こういうふうに考えておるわけでございまして、これにつきまして、政府としては、これを指導するための予算というものは、先般お話がありましたように、組んでおるわけでございます。これに対する補償といったものについては、いま考えていないわけでございますけれども、こういうことを行なうことによりまして、いろいろ影響するところ、あるいは反射的ないい影響を受けるというような業界その他があるということも事実でございまして、こういう方面から何ぶんの応援といいますか、協力金といったようなものについて考える方途があり得るというふうに聞いておるわけでございます。
  43. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 理解する人の協力金が出ることによって、ある程度の補償ができるのではないかというように聞いておるということでありますが、それはそれとして、今後どのようになっていくかは、また次の機会に尋ねることにいたしましょう。  運輸省、海上保安庁、日本船主協会、日本海難防止協会、全漁連等の間では、現在の海上交通安全法案に対する意見調整は、全漁連の下部はいろいろの問題があるが、あとは全部できておりますか。理解は全部求めてありますか。次長、どうですか。
  44. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  この法案は、先ほどお話ししましたように、共通の場をいかにうまく安全のために譲り合って利用していくかという法案でございますので、漁ろうのほう、あるいはまた船を動かすほう、あるいは船を雇うほう、その他産業界全般につきまして大きな影響があるわけでございますので、それぞれの団体についても、法案最初の段階から——もちろん、五年前の法案もそうでございましたが、今回の法案につきましても、これは全部お示ししてあるわけでございまして、それぞれすべての方面からの意見を再三再四にわたって聞き、あるいは書面をもって受け取っておるわけでございますが、これらすべての方がすべて満足するということははなはだ至難のわざでございまして、こういう点につきまして、私ども役所といたしまして、水産庁といろいろ協議し、お互いに譲るべきところは譲る、それからまた、各種団体につきましてもいろいろ折衝を重ねたわけでございますが、一〇〇%了解済みといったようなことではない、こういうふうに考えております。団体としては了解をしておる向きが相当多いわけでございますが、下部の末端その他については、まだ相当異議があり得るというふうに考えておるわけでございます。
  45. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 そうすると、まだ意見調整においては何%か残っておるということですね。全漁連だけでなくて、船主協会のほうにも、海難防止協会のほうにも残っておるというわけですね。海上保安庁と運輸省は意見の一致を見ておるだろうけれども……。
  46. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  団体の間におきましてはすでに意見調整は済んでおります。ただし、意見調整は済んでおりますが、全部一〇〇%納得して意見調整を終わったものではなくて、まあ満点ではないという意味において調整を終わっておりまして、これ以上のことをいま言っておるというわけではないわけでございます。
  47. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 巨大船時代を世界が迎えてきたのでありますが、海難防止の見地からも、当然、タンカー等の規制、安全航海は必要だろうと思いますが、巨大船とは、その上限は何か規定がありますか、どうですか。
  48. 須賀貞之助

    須賀政府委員 下限のほうにつきましては、法律にありますように、長さ二百メートル以上となっておりますが、上限につきましては、何らの規定が現在のところございません。
  49. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 巨大船というものの規定はないが、検討はしておりますか、どうですか。いまだ巨大船というものに対する検討は全然手をつけておりませんですか。どうです、次長
  50. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  現在いろいろ検討しておりますが、まだ結論を見るに至っておりませんが、こういうふうにどんどん大きくなっていく船舶をそのまま受け入れていいかどうかといったことについては、非常に疑問に感じておるわけでございます。
  51. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 巨大船の入域制限についてどういう考え方を持っておるかということをお尋ねいたしたいが、時間がありませんから、次に進んでいきます。  昨年末の新潟におけるジュリアナ号の大量原油流出事故の例に見ましても、油脂防除機材の開発、油処理のシステムの確立なんという抜本的対策の強化が必要であろうと思っておりますが、あのときでも、なかなか即時対策が講じられなかった点がありますけれども、あれ以来、こういうような事故が発生したときにという考え方で、もう十分、体制は、不幸にしてそういうことが起きた場合にはいつでもできるという体制になっておりますか。どうですか。
  52. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これは私の責任でございますので、私から申し上げます。  あのジュリアナ号の不幸な事件が起こりましたが、御承知のとおり、ただいまタンカーは、年間にいたしまして一億六千万トン、全体の九一%というものが、このたび御審議をいただきます三水面に出入しておる次第でございます。そういったような状況で、万一のことが起こりましたならばたいへんな問題でございます。しかし、日本の原燃料というものは一番石油に依存しており、ますますふえておるというような状況でございまして、これをいたしますのには、どういたしましても、根本的に工場の再配置、そうしてそれに伴うところの港湾の整備ということが一番必要でございます。先般も国会で問題がございました。大型タンカーというものはつくるべきでないじゃないかという御議論がございましたが、隻数からまいりまして、安全性からまいりましたならば、むしろ私は大型タンカーをつくらせるのが至当ではないか。しかし、バースの問題、したがいまして、先般は鹿児島の喜入だけに寄港を認めるということでやらした次第でございますが、そういうような点につきまして根本的な問題を解決していかなければならないということで、今回は石油パイプライン法も御審議を願うように出した次第でございまして、バースをどこへ持っていくか、石油パイプラインのGTSと申しますか、集荷センターをどこへ持っていくかというような問題をこれからどうしてもやっていかなければならない。それまでの施設といたしまして、巨大タンカーの事故防止につきまして、そういったような巨大タンカーの出入する方面は、海上保安部を中心といたしまして、民間、また関係行政機関というもので連絡機関をつくりまして、ただいま先生から御指摘がございましたような、いろいろの万一のことが起こりましたときのあるいはオイルフェンスの数であるとか、あるいは防護材の検査であるとか、中央におきましても地方におきましても、いまそれらの問題の整備につきまして、また研究につきまして鋭意進めている次第でございます。しかし、結論は、やはりそういったような根本の問題を解決してまいりませんと、これはなかなか容易なことではないということでございまして、せっかく各方面で進めている次第でございますから、将来とも御鞭撻をお願いしたい、こう申し上げる次第でございます。
  53. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大臣にもう一点お尋ねいたしたいと思います。  これは予算を伴うことですから、大臣にお尋ねしておいたほうがいいと思いますが、タンカー等のいまの油の火災ですね。これに対処し得る化学消防能力は、現在十分に対処できるようになっておるでしょうか。どうでしょうか。
  54. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これは非常に率直に申し上げまして、貧弱でございます。化学消防船というものは、海上保安庁の装備といたしましてもまだまだ不十分でございます。むしろ民間の喜入とか、そういう方面の集油施設における施設のほうが十分でございまして、これらは皆さまの御協力を得ましてさらに整備拡大をしていかなくちゃならない、こういうふうに思っております。
  55. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 また、先ほどお話のありました油の流出事故等による漁業被害、こうした加害者がわかっておるような場合はいいが、加害者不明の被害、また、当て逃げ等の被害に対する損害補償というのですか、こういうような問題に対してもやはり立法措置を考えていかなければ、海上交通安全というものの基本的姿勢というものはできてこないと私は思うのです。そういう意味から、こういうような救済措置を、そうした不明の場合でも、被害をこうむった者はちゃんとあるのですから、立法して救済をするという措置を講ずるようなお考えを持っていらっしゃるのかどうか、この点をひとつお聞かせいただきまして、私の時間が参ったようでありますので、質問を打ち切りたいと思いますが、どうでしょうか。
  56. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先般やはり東京湾千葉沖でそういったような問題が起こりまして、いまこれの救済につきまして問題になっております。先生の御指摘のように、それらの問題をいかなる機関におきまして救済をするかということを当然考えていかなくちゃならないというふうに思っておる次第でございます。私ども、これらの点につきまして、環境庁、通産省、関係省とも十分連絡をとりまして、それらの救済をいかにするかということを検討してまいりたい、こう思う次第でございます。
  57. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 約一時間にわたって、いろいろと海上交通安全法案内容をさらに私どもが耳で聞き目で見、いろいろの面からお尋ねをしたのですが、この法律をつくっていただくということに対して、私は与党とし、国民の一人として、当然こういう法律必要性は考えられるが、その間、庶民の人々が、国家のために魚類をとり、そしてみずからの生活をささえながら、国を思ってやっていたにもかかわらず、もう全然その仕事ができ得ないようになって生活権が脅かされるというようなことは、やはり情において忍びないという点を私は考慮に入れることが必要であろうと思うのです。しかし、それは、この法律に含んでそれを加味するかどうかということになると、非常にむずかしい問題があろうと思いますから、先ほど次長は、理解する人々によってある程度の何らかの措置が講じられるのではないかと思っておりますということでありますが、そういうことができるとするならば、つとめて大臣はあっせんの労をとり、そしてこの法案をスムーズに通して、そしてそういう人々の泣かない政策を考えてやっていただくことが、私は、ほんとうにこの法律のできるゆえんの最上のものであろうと考えております。そういう意味におきまして十分考慮をしていただきますことをつけ加えて、私の質問を終わりたいと思います。  どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  58. 今澄勇

    今澄委員長 後藤俊男君。
  59. 後藤俊男

    ○後藤委員 第一番に、昭和四十六年度ですか、これの海上交通安全に関する施策というのが運輸省から出ておるわけでございますけれども、これと、今回出ました海上交通安全法、これとの関連というのは全然ないのかどうか。さらにまた、これとの関連がありとするのならば、どういうふうに関連してくるのだろうか。この点の御説明をいただきたいと思います。
  60. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  ただいま先生からお話がありました件は、交通安全基本法に基づきます四十六年度の基本計画にのっとった四十六年度調査費として一億三千八百万円が、運輸省所管の港湾調査費としてついておるということについてのお話かというふうに考えるわけでございますが、この件につきましては、シーバースの最適規模、それから自然的状況調査、こういったことをいたしまして、シーバースをつくる候補地を比較検討するというためのいろいろな費用、あるいはまた、瀬戸内海海域におきまして石油の流動実態調査をいたしまして、シーバース設定のために使う調査費、こういったようなもののように聞いておるわけでございますが、こういうシーバース関係のものでございますので、もちろん石油の流動ということでございまして、これは船から持ってくる、こういうものでございますので、海上交通安全というものには関係があるわけでございまして、交通安全法といったもののビジョンといたしましてこういうことは関係してくる、こういうふうに考えるわけでございます。
  61. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうすると、いま説明されましたシーバースなりCTS、この関係で、四十六年度では調査費として一億三千八百万円ですか、これは認められておるわけなんです。これは私はあまり詳細なことは知りませんけれども、湾の外に巨大船等を係留するというか、何か基地のようなものをつくって、なるべく巨大船は湾口の中に入れないようなことを考えるのではないかというふうにも私は考えておるわけなんです。そうなってまいりますと、この海上交通安全法とも非常に関連の深い計画だと私は考えておるわけでございますけれども、四十六年度については、一億三千八百万円の調査費で、どこでどうやってどうしたというふうな調査がされておると思うのですが、そうしますと、四十七年度にはこのことが実施に移される、こういうふうな運びになるのか、その辺のところをちょっとお知らせいただきたいと思うのです。
  62. 大久保喜一

    ○大久保説明員 お答え申し上げます。  シーバース、CTSの調査でございますが、御承知のように、油類の輸送に大型のタンカーが使われておりますが、油の場合には、シーバースとパイプラインを使うことによりまして輸送するという方法も考えられますので、もしシーバース及びパイプライン、そういうようなものを適地を選定して敷設できるということになりますれば、相当海上交通の安全に資することができるという観点で、海上交通安全の見地から、四十六年度から予算措置をしていただきまして調査を始めたわけでございます。ところが、現実に調査をやろうといたしますと、具体的にどこの場所かという、その場所を具体化いたしますと、やはり関係地元の方々の思惑等もいろいろとございまして、抵抗もございます。そういうことから、四十六年度は、やむを得ず、既存の資料、それから理論的にいろいろ考えられる輸送方法、こういうようなものを、どちらかといいますとテーブルプラン的に検討いたしたわけでございます。それで、そういうことから幾つかの候補地をそういう意味合いでの比較検討いたしたわけでございますので、これを具体化するには、なお四十七年度も引き続き調査をする必要があろう、そういうふうに考えておるわけでございます。  なお、一億三千八百万円のうち、運輸省所管といたしまして、港湾局が港湾事業調査費でやっております分は一億五百万円でございまして、三千三百万円はCTSの調査でございます。CTS調査は、このシーバース、パイプラインと関連があるものでございますので、それをひっくるめて一億三千八百万円と表現しているわけでございます。
  63. 後藤俊男

    ○後藤委員 直接これに関係しておられないのではないかと思うんですけれども、参考までに聞いたわけなんですが、そうなってまいりますと、たとえば、いま言われたシーバースなりCTSが二、三年後には、異体化というか、実現する、こういう方向へ進むんじゃないかと思うんです。そうなった場合に、この提案されております海上交通安全法そのものを改正しなければいけないことになるのかどうか、このままでいけるのかどうか、その点につきまして御検討なさっておるとするならば、ひとつお知らせいただきたいと思います。
  64. 須賀貞之助

    須賀政府委員 CTSは、御承知のように、現在鹿児島の喜入にあるだけでございまして、そういった基地につきまして、先ほど来のお話のように、いろいろ基地を求めておるわけでございます。いろいろな事情がございましてその選定に非常に手間どっておる、また、地元民のいろいろな感情もあるといったようなことでございまして、これらの計画を決定いたしました場合にも、すみやかにそういう工事ができるかどうかといったことについても、早急には間に合わないというふうに考えておるわけでございまして、その間、石油の輸入その他につきまして、いろいろ物資を外国からも搬入しなければならぬということがございますので、この法案が成立して、できるだけすみやかにCTSその他を大いに外海につくろう、こういうことではございますけれども、早急に間に合うようなことにはならないのではないか、努力はしておりますけれども、そういうことにはなりにくい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  65. 後藤俊男

    ○後藤委員 これとの関係は……。
  66. 須賀貞之助

    須賀政府委員 これとの関係につきましては、その間でございますが、大型船舶につきまして現在もやっておりますけれども、今回の法律によりまして、いろいろ大型タンカー等の入湾につきまして規制はできる、その中にありますように、予定時刻を前もって知らせるとか、あるいはタグボートをつけなさい、あるいは何時ごろに来なさい、こういうようないろいろ大型船について規制をするといったことによって安全を保ちつつやっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  67. 後藤俊男

    ○後藤委員 先ほどの質問とダブるかもしれませんが、私おらなかったのでまことに申しわけないと思うのですが、この海上交通安全法の制定のいきさつですね。さらにまた、今度のこの法律によりますと、三海域、十一航路、ここで具体的に実行に入るということになるわけですけれども、それ以外の狭水道については、どういうふうに河上交通安全のためにお考えになっておるか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  68. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答え申し上げます。  この法律の制定のいきさつでございますが、先般来お話がありましたように、五年前からの法案であったわけでございまして、これを四十二年の十月に海上安全審議会にはかり、これを答申を受けておるわけでございますが、その後作成しました四十三年四月案につきましで、あるいはまた四十四年二月案につきまして、それぞれ審議会の了解を受けておるわけでございます。  そういうことでございますが、今回、漁業関係者との意見調整につきましては、この法案の作成にあたりまして最も腐心したところでありまして、昨年春以来、水産庁仲介といたしまして、全漁連及び各県連の幹部と、この法案必要性について基本的な意見をいろいろ調整しましたほか、この法案の具体的な内容についても、昨年来三度にわたりまして説明を行なっておる次第でございます。その結果、水産庁から提出されました要望に沿いまして案件を修正し、水産関係との間において了解に達しておるということであるわけであります。  なお、この三海域につきまして、あるいはまた十一航路につきまして、これに限っておるのはどういうことであるかということにつきまして先般も御質問があったわけでございますが、三海域以外につきましてもいろいろ検討したわけでございますが、この三海域に次ぐものとして、いろいろな湾とか、そういったものについても検討したわけでございますが、船舶交通量あるいは入港船舶の大きさ、そういったこと等につきましていろいろ勘案いたしましたところ、これに次ぐものは相当まだ隔たりが多いということでございまして、この三海域に限ったわけでございます。  また、狭水道その他につきまして、十一航路といったものに限っておりますが、これにつきましても、その他の航路との比較検討におきまして十一航路にしたわけでございますが、この法案の中におきまして、なお狭水道につきまして、この十一航路のほかに、法規制ではございませんが、非常に危険なところがあるというようなところにつきましては、海上保安庁で別に指定をいたしまして、勧告あるいはそういったことができるというふうに規制しておるわけでございます。
  69. 後藤俊男

    ○後藤委員 この法案を全般的に読ましていただいて第一番に感じましたことは、いま言われました三海域、十一航路ですか、この中に、旅客の定期航路というのが入っておるのか入っておらぬのか、この点を第一番に知りたいわけなんです。  それとあわせて、そういう旅客の定期航路があるとするならば、人命尊重という立場に立ってそれを最優先的に考えなければいけないんじゃないか。ところが、この法案を読んでみますると、旅客とか人間とか、そういうことは一切書いてないわけです。いずれにしても、二百メートル以上は巨大船でございますので、巨大船が来たときには漁師はのかなければいかぬ、漁業の船はのかなければいかぬ、それ以下のやつはのかなくてもよろしいというようなことにはなっておりますけれども、人命尊重という立場に立って考えるとするならば、この三海域、十一航路の中に、ととえば旅客の定期航路があったとすると、港則ならば、その旅客の定期航路というのは、乗客と、何時に出港して、何時にどこの港に入るということも、汽車と同じように約束されておると思うのです。そうだとするならば、人命尊重と、さらにその約束をきちっと守るためには、そのことを考える必要があるんじゃないかと私は痛感したわけなんです。この法案では、どこを読んでみましてもそういうようなことは一切ございませんし、ただ、巨大船あるいは漁業関係ということになっておるわけなんですが、いま申し上げました点につきまして、どういうふうな御見解になっておるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  70. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、この法案につきましては、旅客船について何らの規定もないわけでございます。しかし、船舶ふくそうし、あるいは漁ろう船がおり、あるいはまた、船舶の中にも、大型タンカーから、またプッシャーバージあるいは水中翼船、こういったようなものが非常に錯綜する、あるいはホーバトクラフトというようなものがございますが、いろんなものが非常にふくそうする海域だけでございまして、こういうところにつきましては非常に旅客船というものは数が少ないということでございまして、一般の船が非常に多いという現状におきまして、旅客の安全その他ダイヤといったものももちろん守らなければなりませんが、そういうことでございますので、一般の、すべての関係する人がみな一〇〇%納得できるというものではございませんが、こういうことで法案で納得していただく、こういうかっこうになっておるわけでございます。  ただ、船舶の安全その他につきましては、海上運送法といった法律に基づきまして、いろいろな運航管理規程の改定とか、あるいは運航マニュアルの制定とか、あるいは船舶安全法につきまして、一般の船とは違う構造設備あるいは機器といったものの義務づけをしておりますし、あるいはまた、船員の資質の問題につきましても特別な計らいをしておる、こういうようなことでございまして、そういう方面において、今回の海上交通安全法案とともに、旅客航路の安全、そういったものについて配慮しておるわけでございます。
  71. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま説明がございましたが、いろいろな船がある。なるほど、多種多様のいろいろな船が来ると思うのです。しかも、三海域、十一航路というのは非常にふくそうする、いわば船が込むというわけなんですね。込むから、私はそのことを言うわけなんです。込まないのであれば、そういうことを言う必要もないと思うのです。ですから、ただ私が申し上げんとするのは、この三海域、十一航路につきまして、いろいろなタンカー、いろいろな船が入ってくると思いますけれども巨大船の中には、貨物の巨大船が非常に大きいと思う。     〔委員長退席、渡辺(武)委員長代理着席〕 貨物にもいろいろありましょうけれども、その中で旅客の定期航路があるとするならば、その旅客の定期航路を安全に、約束した時間に、しかも、人命尊重という立場に立つならば、それをまず第一番に考えなければいけないのじゃないのか。これはまことに失礼なものの言い方になりますけれども、貨物船が沈没するのと旅客船が沈没するのと、これはどっちも沈没してはいけませんけれども、百人なり二百人なり三百人なりお乗りになっておる定期航路の旅客船が沈没するということは、たいへんなことだと思うのです。そういうような点から考えるならば、この海上交通安全法につきましても、いま言った趣旨で、いま言った面を考え直してみる必要があるんじゃないか、私はそう思うのですが、これは大臣いかがでしょう。
  72. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ごもっともな後藤先生の御注意だと思います。やはり人命尊重で、旅官船、定期船が衝突事故によって万が一にも多大の人命を失うようなことがあっては、これはゆゆしきことでございますので、旅客船につきましては特別の配慮をするということが一番必要だという御指摘と思いますが、私はごもっともだと思う次第でございます。  今回の海上交通安全法の趣旨は、もう先生すでに御承知のとおり、非常に船舶ふくそうしておるところであります。これを一方交通にするとか、それから船舶の航行の速度を規制いたしまして、緩行速度でもって走らせるとか、そういうことが一番のねらいでございます。いままでそういうところにおきまして、旅客船、それから貨物船その他は、やはりお互いに、法制がございませんでも、譲り合うと申しますか、避航をいたします。巨大船になりますと、私しろうとで、詳しいことはわかりませんが、避航する操作が非常にむずかしい。こっちへ曲がったりあっちへ曲がったりすることが非常にむずかしい。それから航路も浅い深いがございまして、巨大船は一定の航路でなければ通れぬ。ほかのもう少し小さな船なら通れるというようなことがございまして、お互いに、巨大船が通った場合には旅客船がそれを避航していっておるというのがいままでの実情でございます。その点、やはりいままでの実情を——そして巨大船におきましても、これは非常に速度を制限する、一方交通をさせるというようなことをいたしまして、お互いがそれらの規制を受けることによりまして交通の安全を保たせるということが趣旨であるからして、今回は、巨大船交通規制をすることによりましてやはり旅客船の安全も保てるということで、特にこの点を取り上げた、こういうふうに私は了承している次第でございますので、その点は御了解を願いたい、こう思う次第でございます。     〔渡辺(武)委員長代理退席、委員長着席〕
  73. 後藤俊男

    ○後藤委員 わかりましたと言いたいところですが、大臣が言われましたように、右側通行であるとか、今度はいろいろ中身において考えられておるとか、これはよくわかるわけなんです。ところが旅客船の中にも巨大船があるだろうし、巨大船以下の船もありましょうし、さらにまた、その他の貨物船におきましても大きな船も来るだろうし、多種多様の船が入ってくると思うのですね。ですから、海難事故が起きてからとやかく言っておったのでは、私は取り返しがつかぬと思うのです。それならそれで、いままで海上衝突予防法なり港則法でやってこられたのですけれども、今度は、画期的と申しましょうか、五カ年間研究、検討の結果、海上交通安全法提案される、これは世間からみな注視をされていると思うのです。しかも、今日、陸上交通にしましても、あるいは航空交通にしましても非常に事故の多いことは、大臣十分御承知だと思うのですね。やはり人命尊重という立場に立たなければいけないと思うのです。貨物船が沈没したほうがいいとか、旅家船がどうこうという考え方ではなしに、やはりこういうような新しい海上交通安全法ができるとするならば、定期航路で通っておる旅客船等は、優先的にしかも安全に輸送できるようにすることを、今度のこの新しい法律の中に当然含めてしかるべきだと私は思うのです。それはいまも大臣がいろいろ言われましたが、旅客であろうと貨物であろうと、全部海難事故を起こしてはいかぬ。だから、この法律を見ますと、みな同一に扱われておるわけなんです。石油を積むであろうと、旅客が三人乗っておる船であろうと、五百人乗っておる船であろうと、同一視をされておるわけなんですが、それは私はちょっとおかしいのじゃないかと思うのです。それよりは、何べんも繰り返しますけれども、定期航路の旅客船、これを優先的に、安全に、今度の海上交通安全法によれば間違いのない方法でやっていけるのだと、そこまで具体的に考える必要が私はあると思うのです。せっかくの大臣の御説明でございましたけれども、いまひとつ納得ができませんので、重ねて申し上げるわけなんです。
  74. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの後藤先生の御趣旨、まことにごもっともでございますが、私が先ほど申しましたように、今回の海上交通安全法によりまして、速度制限右側通行その他によりまして衝突を未然に防止できるということがねらいでございます。また、いままでも、それらの点につきましては、巨大船と一般の定期航路におきまして調節をとって運航しているようでございます。ただいまの先生の御趣旨をもし強く生かすといたしますならば、これは法律によりまして、巨大船の航行時間等につきまして制限を加えることはできますが、それらの点におきまして定期航路の航行が支障のないようにするということは可能であるということでございますので、これらの点につきまして、先生の御趣旨を生かしまして、定期航路の安全をはかってまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  75. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま大臣が言われましたことは、ここでお答えになるだけではなしに、具体的に何か考える、そうしてさらにこの委員会提案してもらって、この問題の処理をしていく、そういうふうに解釈してよろしいですか。
  76. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 具体的にこの法案の中に入れるとかという趣旨で私は御答弁したわけではございません。それらの措置は、定期航路の安全運転のために、巨大船につきまして航行時間を変更させるとか、具体的にそれぞれの地域におきましてそういうことができるから、それでもって十分目的は果たせるのじゃないか、こういうことを申し上げたわけであります。
  77. 後藤俊男

    ○後藤委員 それでは結局一緒だと思うのです。だから、執念深く長くこの問題を言いますけれども、いま大臣が言われましたのは、定期航路の時間の関係とか、その他の関係を十分検討してやりましょう、そういうことならば、結局、先ほど言いましたように、貨物の船であろうと旅客の船であろうと何であろうと、一視同仁に見てしまう、ただ巨大船であるかないかだけの違いである、そういうやり方では私は納得できないということを言っておるわけなんです。それなら、今回できますこの海上交通安全法実施されれば海の事故は一切ないかというと、そういうことはだれ一人保証することはできぬと思うのです。そうだとするならば、その中で第一義的に考えなければいけないのは旅客船だと私は思うのです。何も貨物をおろそかにしてくれということを私は言っておるわけではないのですから、今回出されました海上交通安全法をいま言った点を中心にして一ぺん検討していただく、そうしてこの審議はきょうで終わるわけじゃございませんので、まだまだ続きますから、そこでその検討の結果を大臣も全くそうだと思われるならば、具体的にこの海上交通安全法の点でどう処理をしていくか、このことを検討の上、次の委員会あたりに提案をしていただくように、ぜひこれはお願いをいたしたいと思います。
  78. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 大臣お答えにちょっと補足さしていただきますが、もちろん、本法案は当委員会でいろいろ御審議いただいて、場合によっては修正がある場合も、あるいは附帯決議がある場合も、これは皆さんの良識が判断することだと存じますが、私とせば、本法案提出において、いまの御指摘の旅客船、これは御指摘のとおりだろうと思います。したがって、旅客船の多いと思われる宇高線については、他と異なる別途な扱いをいたしております。それから旅客船というのは、性能といいますか、運動神経が他の巨大船よりはるかに優秀でございます。また、旅客船で、巨大船の規格に該当する旅客船は、現在のところ一隻もございません。したがいまして、そういう点は、巨大船が来た場合、時間帯を連絡して事故が起こらないように、海上保安庁の行政指導の上で十分先生の御指摘の点にはこたえられるのじゃなかろうか、かように判断しております。
  79. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま言われました宇高線というのは、宇野−高松間のことだと思うのですが、たとえばこういうことが言えると思うのです。この法律が制定されますと、これは日本の国内だけの宣伝ではいかぬと思うのですね。宣伝、教育と申しましょうか、とにかく外国の船もたくさん入ってくるのですから、イギリスかどこかにそういうものを扱うところがございまして、日本ではこういう法律ができた、この法律に基づいて、何月何日から——いまから言うと施行の日は一年後でございますか、そういう扱いをするのだから、日本の港に入るときにはこの法律によってやるのですよ、これは外国船まで徹底しなければいけないと思うのです。そうなってまいりますと、外国船の中にも旅家船もあれば貨物船もあり、これはいろいろあると思うのです。しかも、諸外国の船というのは、法律ではっきり制定されておるものにつきましては順守すると思うのです。ただ、日本の国内でどうこうというような申し合わせにつきましては権限のないものと私は解しておるわけなんです。  いま政務次官大臣も大体同じようなことを言われたわけでございますけれども、いま申し上げましたような点から考えるならば、この法案を制定するときに、さっき言いましたことも十分配慮をして入れていただく、それが大事なことではないかというふうに私は感じて、先ほど言いましたように検討していただいて、次の委員会なりその次の委員会でさらに提案をしていただく、そういうことをお願いをしたわけなんです。大臣、いかがですか。
  80. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 重ねての御質問をいただきまして恐縮でございますが、確かに御指摘いただきましたように、外国船にはっきり規制をさせるという点につきましては、やはり法律で定めなくちゃならない。今回、海上交通安全法を設けさせていただくというような提案をいたしましたのも、そのような点もございまして、たとえば浦賀水道は非常にふくそうしておりますが、水先人をつけるという義務づけもできないわけです。それらの点を今度の法律によりましては可能ならしめる、こういうようなこともございまして、確かにいま行政指導だけで、外国船には及ばないということですので、今度の海上交通安全法を設けたい、こういうことでございます。  ただいま御指摘の重ねての御質問は十分わかっておるつもりです。私ども、確かに定期旅客船に対する御趣旨の点は十分わかっておる次第ですが、私どもは、一応この海上交通安全法の運用の面で十分にそれを守れる、こういうふうなことを検討いたしました結果、御提案をした次第ですが、重ねての御提案でございますので、それらの点も再び検討させるつもりでございます。いま先生の御指摘の点も重ねて検討させてみたい、こう思っている次第です。
  81. 後藤俊男

    ○後藤委員 それではひとつ検討していただいて、次の委員会なりその次の委員会で出していただきますように確認をいたしておきたいと思います。  それから次は、先ほども私ちょっと言いましたけれども、外国船への適用と、その周知対策ですね。これは私、先ほどおぼろげながら申し上げたわけですけれども、周知徹底ということはなかなか困難な仕事のような気がするわけでございます。どういうふうにして外国船への適用の周知徹底対策を立てておられるのか、その点の御説明をいただきたいと思います。
  82. 須賀貞之助

    須賀政府委員 こういう法律につきましては、先ほど先生がお話しになりましたように、法律ができないと外国船は守らないものであるということで、いままで行政指導その他特水令等でやってきたのですけれども、外国船があまり守らないということで、今回こういう法律をつくりたいということもあります。なお、世界各国でこういう法律のあるところが相当あるわけでございまして、こういう一般の国際衝突予防規則に基づく衝突予防を命じたものがたくさんあるわけでございますので、外国船につきましても、日本においてこういうような制度ができたということは、諸外国で例があることでございますので、別にそれほど珍しいことではない、こういうふうに考えるわけです。  つきましては、この外国船に対します周知徹底でございますが、施行まで一年あるわけでございますので、この間、今年度以降、本邦各港に入港いたします船舶に対しまして資料を配付するという方法があります。それからまた、船主関係団体を通じまして直接各国の船主に通知を行なう、こういう方法があります。また、海事に関する協議機関でありますIMCOを通じまして、各国政府にも本法の規制内容を通告して、自国船への周知徹底をはかるということでございます。さらに、法案内容にありますが、航路、あるいはそういったものにつきまして、海図にもこれを載せる、それまでに間に合わせるという方法をとっておるわけでございます。
  83. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま御説明なさいましたけれども、結局こういう法律ができましても、いまの説明にもありましたように、外国船にも順守してもらわなければいけないということになろうと思います。これらに対する周知徹底ということは非常に困難だと思いますけれども、これはやはり間知徹底を一年間にやってもらわなければいけないと思います。  それからその次には、危険物積載船、その範囲ですね。これは何条でございましたか、その危険物の積載の範囲については、どこで相談して、どういうことでおきめになるのか、この点お尋ねいたしたいと思います。
  84. 須賀貞之助

    須賀政府委員 現在いろいろ検討しておりますが、省令できめるということでございますけれども、各省といろいろ連絡をとってやりたいと思っております。ただ、いままであります法律によります危険物というものと全く同じかどうかということは、若干疑問があるわけでございまして、たとえば、危険物船舶運送及び貯蔵規則にあります原綿といったようなものにつきましては、倉庫の中その他におきまして自然発火するということがあるようでございますけれども、海の上におきましてもし沈んだ場合等におきましては別に危険物ではないというような考え方があるわけでございますので、大体におきまして一般の危険物と同じであるということになると思いますが、必ずしも一〇〇%一致するものではない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  85. 後藤俊男

    ○後藤委員 それから、この海上交通安全法が制定されますと、一年間に航路標識等の整備その他いろいろな作業がついて回ると思うのです。これらにつきましてはどれくらいの予算をいま考えておられるのか、この点について御説明いただきたいと思います。
  86. 須賀貞之助

    須賀政府委員 この法律を施行するにあたりまして、既存の標識の移設が三十二基、あるいは航路標識設置が六十三基、手持ち予備標識による敷設が十九基、新設が二基、これらを整備する計画でありまして、これに要します費用は約二千六百万円であります。なお、このほかに、既設標識をそのまま利用するもの二十一基がありまして、合計いたしまして百三十七基の灯標によりまして実施体制を確保することができる、こういうように考えておるわけでございます。
  87. 後藤俊男

    ○後藤委員 それから巨大船関係ですけれども巨大船がこの航路通行する場合には、二十四時間前ですか、十二時間前ですか、海上保安庁へ通知することになっておるのですね。これがはたして厳格に守られるかどうかという問題なんです。これはなるほど法律ではそういうふうにきめてはございますけれども、そういうことを実行に移すということはむずかしい面が多々あろうと私は想像するわけですけれども、現在のところ、巨大船がいま申しましたような航路を通るときには、全然通知をしておらないのかどうか。さらにまた、この法案が制定されました暁におきましては、これを実行に移すために、海上保安庁でございますか、どういう責任体制をつくろうといたしておるのか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  88. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  巨大船が通るときでございますが、入り口に差しかかる予定の時刻の十二時間前でございます。このときに通報する。それから、船のことでございますから、汽車のようにはきちんとした時間が守れないということもございますので、三時間前にもう一回通報するという体制をとる、こういうかっこうであるわけでございます。ただ、それができるかどうか、こういう疑問で先生の御質問かと思いますが、現在浦賀が非常に込んでおりまして、四十五年ですか、一昨年から、浦賀水道の航行につきましての一つの行政指導ということで私どものほうで現在対策を打ち出してやっておるわけでございますが、これに基づいて現在行政指導の名のもとにこういうことをやっておるということです。これは現在東京湾においては行なわれておるということで、これを伊勢湾あるいは瀬戸内海等にも及ぼそうということでございまして、法律によらない行政指導のかっこうで東京湾においては現在一応実行されておる、こういうのが実情であるわけでございまして、なお、東京湾の場合には、横須賀とか横浜という保安部がきちんときまっておるわけでございまして、この伊勢湾につきましても、鳥羽の保安部なら鳥羽の保安部、航路ごとにそういうふうにきめるということになっておりますから、これはできるというふうに確信を持っておるわけでございます。
  89. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、重ねていまの問題ですが、これを実行に移さなかった場合には罰則があるのですか。あるとすれば、どういう罰則があるのですか。
  90. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  三万円の罰金でございます。
  91. 後藤俊男

    ○後藤委員 この三万円は、一律三万円ですか。たとえば、巨大船の中にも、大きい船もあれば、いろいろ船がありますね。いかに大きい船でありましょうと、どうでありましょうと、一律三万円ですか。しかも、時間を間違って通告する場合もあると思うのです。そういうときでもやはり三万円の罰金でございますか。その点いかがでしょう。
  92. 須賀貞之助

    須賀政府委員 最初の、だれでも三万円か、こういう御質問でございますが、三万円以下でございます。この金額につきましてはいろいろ問題があるかと思いますが、現在の港則法もそういうことになっておるわけでございます。法務省ともこの罰金の問題につきましてはいろいろ打ち合わせをいたしまして、バランスをとっておるわけでございます。  ただ、一言申し述べますと、現在の予防法その他につきましては、いわゆる行政指導その他でございまして、罰金といったものが全然ないわけでございます。したがいまして、今回三万円という金額につきまして問題があるかと思いますが、これはバランスの問題でもありますし、ほかの法律並みに一応規制力はある、こういうことでございますので、御了承願いたいと思います。
  93. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、一回通告をやめるなり、間違えれば、やはり三万円の罰金でこれは済むということなんですね。いま言われました三万円以下の罰金というのは、この法律のどこに書いてあるのですか。
  94. 須賀貞之助

    須賀政府委員 四十二条によりまして、三万円以下の罰金ということに相なっておるわけでございます。
  95. 後藤俊男

    ○後藤委員 これは四十二条の一、二、三とありまして、二の違反になるわけなんですね。それでは、罰金の高い、低いは別問題にしまして、やはりきめられたことは厳格に守っていくということでなければいけないと思うのです。それならそれで、巨大船のほうもしかりですけれども、そのことを実行させる責任体制というのも大切だと私は思うわけでございますが、ぜひひとつこの面については実行に移せる体制をつくってもらう、このことはひとつお願いしたいと思うわけです。  それから一番最後になりますけれども、この提案説明の中にも、最後のほうでいわれておりますように、海上安全船員教育審議会というのが非常に重い役目を果たすわけなんですね。この審議会が非常に重い役目を果たすということになりますと、この審議会の構成メンバーというのは一体どういうことになるのだろうか。これは全然海のことを知らない人を入れてみたって無理でもありましょうし、この審議会の構成には十分なる配慮が必要だと私は思うわけなんです。どういうふうな構成になるのか、御説明いただきたい。
  96. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  海上安全船員教育審議会は、船舶の航行の安全の問題をはじめといたしまして、船員教育の問題あるいは水先の問題、船員の資格の問題等、非常に多岐にわたる問題につきまして審議することとなっておりますために、審議会の委員の構成は、必ずしもこの法律の施行に関する重要事項を審議するために適切ではないうらみがあるわけでございます。このため、この法律施行に関する事項を専門的に審議する部会を審議会に設けまして、同部会の構成に配慮すること等によりまして、この法律施行に関する事項が、各関係者意見を公平に反映したかっこうで審議されるようにしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  97. 後藤俊男

    ○後藤委員 いまお答えになったのは、私の聞いておることにお答えになっておらぬわけで、この審議会の中に部会をつくって、それでしっかりやっていきます、こういう御説明だと思うのですが、それなら、その部会の構成というのをどういうふうにお考えになっておるか、その構成を私は聞きたいわけなんです。
  98. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  漁業との関係も非常に大きな問題があるわけでございますので、特に水産庁のほうともよく相談していろいろやっていきたい、こういうことで了解がついておるわけでございます。そういうかっこうで進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  99. 後藤俊男

    ○後藤委員 一口に言えば、まだきまっておらぬということなんですね。返答はけっこうですけれども、そういうことだと思うのです。そうだとするならば、いまも次長が言われましたように、この審議会は非常に大切な審議会だと思いますから、漁業代表等もあろうし、さらにまた、こういう仕事に経験の深い代表もあろうし、いろいろな角度から考えていただいて、この構成メンバーをきめていただく。これはもうきまっておるのかもわかりませんけれども、まだきまっておらぬと思うのですね。いま申し上げた点、大臣ひとつ十分考えてやっていただくようにお願いしたいと思います。  ちょうど時間が参りましたので、私これで終わりにしますけれども、先ほど言いましたことを大臣ひとつお忘れなく、よろしくお願いいたします。
  100. 今澄勇

    今澄委員長 宮井泰良君。
  101. 宮井泰良

    ○宮井委員 この海上交通安全法案は本日から審議に入ったわけでございますが、私の考えを申しますと、最近の日本沿岸の船舶ラッシュというものは著しく、大型タンカー、沿岸フェリー、その他各種の大小の船が入り乱れておる関係上、一たび事故が起きた場合におきまして、油の流出、火災等を考える上におきましても、大筋からいきますと、海の安全を考える上に避けることができないのじゃないか、こういう基本的な考えを持っておるわけであります。  そこで、この審議にあたりまして考えましたことは、世界各国でも、この海上交通法というものはすでに制定されておる。そういう面からいきますと、日本はすでに十年くらいおくれておるといわれておるわけでございますが、しかし、ここで一つ考えていかねばならないことは、各国にないところの、日本独特のものが新しい問題としてここにあるわけでございます。これは御承知のとおり、盛んに論議されておりますところの漁民漁業権との問題というものは、日本独特のものとしてどうしても私たちが真剣に議論をしていかねばならないというふうに考えるわけでございます。  そこで、この法案がこの国会にかけられるにあたりまして、当局の説明では、すでに漁民との話し合いは納得済みである、了解済みであるということで、五年越しのこの法案が今回日の目を見るといいますか、まだこれからの審議でございますけれども国会論議にかかったということは、漁民の納得がついておるのだという当局の説明であったわけでございまして、そのように私は信じ切って今日まできたわけでございますが、昨日の木更津視察あるいは横浜の神奈川県庁における事情聴取等を見ましても、漁民の方々の反対というものは、涙を流してわれわれに反対を訴えられる漁民の姿を見まして、漁場を持つ沿岸漁民には特に深い配慮が必要ではないか、反対、阻止されておる漁民の方々は、高度成長のもとに追い詰められていくという心理が非常に強く働いておるという、このことを私は忘れてはならないと思うのですが、基本的に大臣にこの点をお伺いします。
  102. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま宮井先生から御指摘をいただきましたとおりでございまして、それがために追い込まれる漁民立場というものは十分に配慮していかなければならぬ一番大きな問題でございます。それゆえに、五年前から、いろいろ海上交通安全のために御審議をいただく運輸省といたしましても種々お願いした次第でございますが、それらの点につきましての漁民との調整の問題で、調整ができませんで今回までおくれた次第でございます。今回は、水産庁のほうも、全漁連のほうにおきましても、非常に御協力をいただきまして、私どもといたしましても、漁民の御利害を考えまして、ここまでの点では、まず今日の時点におきましてちょうどよい調和点であろうということに達したものでございますから、提案をいたして御審議を願う、こういうことでございますが、いまの御指摘の点は一番の重点でございますので、十分勘案してまいっておりますし、将来とも勘案してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  103. 宮井泰良

    ○宮井委員 せっかくの大臣お話でございますが、非常に調和点に達しておる、こういうお考えですが、大臣のお考えはちょっと甘いのじゃないか、かように私考えておるわけでありまして、先ほども指摘しましたように、もうほぼ了解がついておるというような当局の説明において、大臣がそういう考えじゃ、これはちょっと認識不足だと私は、きびしいようですが、あえて言わざるを得ないと思いますね。  それで、今日まで漁民との懇談等どのように具体的に進めてこられたのか、その辺のところをお伺いします。
  104. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  先般から話が出ておりますように、この法案は、最初のときから申しますと五年前からの話でございますが、いろいろ何回も折衝を重ねてまいっておったわけでございますが、昨年の二月ごろから、水産庁も中に入っていただきまして、漁連とも連絡をとっていただきましていろいろな接触を重ねておるわけでございまして、特に地方の漁連の方も集まっていただいて、私どもは、法案についての説明会も昨年末あるいは本年に入ってからも二、三回ということでやっておるわけでございまして、その間、水産庁その他におきましても、いろいろ漁民の方にお集まりいただいてやっておられるということは聞いておるわけでございます。  なお、団体等につきまして、われわれもそれ以外に絶えず接触して、水産庁とともにいろいろ努力してきたわけでございます。  以上、御説明申し上げます。
  105. 宮井泰良

    ○宮井委員 いろいろと説明してきたとおっしゃいますけれども、また、各県でも漁民説明をしたと聞いております、そういうことを聞いておりますでは困る。私の聞いておるのは、もちろん各県の県漁連の人は東京へ集まって二、三回話を聞いたことはあるでしょう。ですけれども、各県において、海上保安庁出席して、漁民やいろいろな人が来て、いろいろ今回の法案について説明したという会合が、それなら、事実、具体的に何月何日にどこで全国一斉に開かれたとか、それは言えますか。
  106. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  具体的にお答えいたしますと、十二月の三日、十二月の十七日、それから三月七日と、直接にわれわれが水産庁あるいは全漁連仲介にいたしまして地方の方に接触したのは、こういう三回でございます。
  107. 宮井泰良

    ○宮井委員 それは全国の各県で行なわれていますか。その点ちょっともう一度……。
  108. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  先ほどお話し申し上げました三回につきましては、全国で私のほうが直接に地方の方に御説明を申し上げたということでございますが、地方の方がそれぞれ帰られまして地元で説明会を催して、その意見を持ってまた来ておられる、こういうようなかっこうになっておるわけです。
  109. 宮井泰良

    ○宮井委員 ですから、私が言うておるように、東京へみんな集まって、それを持って帰ってやったということしかやってないのですよ。全国で、今度は、海上保安庁の出先機関があるわけですから、それはまた各県でも問題になっておる。千葉県あるいは岡山県、そのような各県で、県ごとに、また漁連のほうもいろいろな複雑な団体になっておるわけですから、その辺のところを配慮して、東京へ一堂に集めて周知徹底して、おい、おまえら持って帰って、それをまた持ってこい、そういうことじゃないですか。
  110. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  われわれが東京において説明会を催したというのは、先ほど来申し上げておりますように、水産庁のごあっせんによって全漁連を通じてやっておるということでございまして、その際におきましても、われわれが一方的にこういう法案であるということではなしに、回を追いますごとに皆さん方の御意見を承ったものをこの中に入れて法案をお示しする、そのときにまた意見が出るということでやっておるわけでございまして、われわれがこれを一方的に見せて、これを持って帰って説明せい、こういうことではないわけでございます。われわれは、来いというところはどこへでも行くということで、水産庁を通じてあっせん方を依頼してきた、こういう状況であるわけでございます。
  111. 宮井泰良

    ○宮井委員 水産庁水産庁とおっしゃいますけれども、それでは、東京でやったのと同じように、今度はワクを狭めて地方へ出かけていって各県でやります、その確約をここではっきりしてください。
  112. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 お答えいたします。  確かに、直接漁業に従事されている方に本法案内容の趣旨が徹底していないうらみは、私は御指摘のとおりだろうと思います。しかしながら、海上保安庁としては、先ほど次長から御説明申し上げたように、できるだけの努力はしたつもりでございます。しかしながら、今日までの五年前後の経過を振り返ってみると、最初法案と現在提出して御審議いただいている法案とは、内容において非常な格差があることは、先ほど来の審議で御説明したとおりでございます。私から言うと、漁民側に最初法案に対する理解力といいますか、それがいまだに残っておるんじゃなかろうか。言いかえれば、アレルギー反応が非常に出ておって、なかなか受け入れられない点があるんじゃなかろうか。もちろん、当方の努力においても至らない点はあると思います。しかしながら、本委員会審議の場を通じて、質疑過程においても、あるいはいま御指摘があった関係する各県等に対しても、私のほうからも極力御理解いただくように努力をして、何とか本法案を無事通過させたい、かように考えております。
  113. 宮井泰良

    ○宮井委員 それじゃ、努力をしていただくということで、水産庁はどうですか、その考えで……。
  114. 田中慶二

    ○田中説明員 この法律案につきましては、先ほど来お話がございましたように、過去数年来からの懸案事項でございます。今回の法律案海上保安庁のほうから御提示がございまして、私どもがそれに対しまして意見を申し上げる段階におきまして、関係県の主務課長会議を開催いたしました。そのほか、中間におきまして一回やりまして、計二回開催いたしております。なお、こういう会議のほかに、それぞれの県の御意見を取りまとめて提出をするようにということでお願いを申し上げております。それから、先ほど来お話がございましたように、全漁連におきまして、関係府県の漁速の組合長または専務等で構成しております対策委員会が設けられまして、その会議は前後数回にわたって行なわれておりますが、私どももその会議には列席をいたしまして、そういう間の御意見を十分に拝聴等をいたしておるわけでございます。そしてそういうような御意見に基づきまして、私どもといたしましては、海上保安庁に対しまして、水産側の御意見、そしてそういう点を十分に法案に取り入れていただくようにお願いを申し上げ、折衝を申し上げました。当然、こういう法律でございますので、私どもの要望が全部が全部取り入れられたというわけではございませんが、私どもといたしましては、まず大かたの納得は得られているのではないかというふうに考えておるわけでございます。  ただ、御承知のように、一部の漁民におきましては反対をしているというふうな向きもあるのでございますが、私どもも、この法案の趣旨の徹底、あるいはまた、この法案が成立いたしました場合の今後の施行につきまして十分漁民の側に配慮いたしますことによって、何とか御納得がいただけるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  115. 宮井泰良

    ○宮井委員 一部の人たち反対しておる、こういうことをおっしゃっているようですが、もっと真剣に取り組まないと——せんだって、事実としても、三月二十三日に、東京湾沿岸の一部二県の各漁業組合が海上交通安全法対策一都二県漁民協議会を結成して、漁船三百隻を連ねて反対のデモを行なっておる。さらに、岡山県漁連でも、漁船千隻を繰り出して、巨大船の航行を優先させ、漁船を犠牲にする同法案反対する海上デモを行なっておる。四月十六日には愛知県でもデモをやっておる。そしてきのうの漁民の方々の話を聞くと、デモをしてないところでも全国的に反対だ、こういうんですね。そういう根回しをよくしておって、何でこういう事態になるのだろうかということを私はふしぎに思うわけです。私が聞いたら、やりました、やりました、ほぼ了解がつきましたということを皆さん方言われるのですが、どうも言われることと実態とは違う。そこで私は不審が出てくるわけです。こういうような点についてはどういうふうに考えておられますか。
  116. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  先ほど政務次官からのお話がありましたように、この交通法の問題につきましては、五年前の法案から順次変わってきて非常に転回しておるわけでございますが、その当時のイメージがいまなお漁民の方々の胸の中に残っている、こういうことも考えられるわけでございますので、われわれは及ばずながら努力脅して、今回の法案についてPRその他につとめてまいったわけでございますが、なお漁民の末端のほうに至るまで御理解をいただいてない面があり得るということで、反省をしておるわけでございます。なお、この法案が通過いたしました場合には、これの宣伝その他についても非常に努力をしていきたいと思いますが、今後、政省令をきめる段階におきましてもいろいろな問題があるかと思いますので、そういう場でもいろいろ話し合っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  117. 宮井泰良

    ○宮井委員 その決意はよくわかるのです。また、そういうふうにしてもらわなくちゃいかぬのですが、どうしてそういう声が出てくるかということは、お役所的な命令とは言いませんが、どうも何かそういう感じがあるのじゃないか。  それで、私はちょっと具体的に聞きたいのですが、第六管区海上保安本部長が、これらのデモに対して、魚屋の運動会のようなものである、こうあざ笑ったといわれて、このような言動が法案の趣旨を誤解させているのではないかというような報道もされておりましたが、この点はどうなんですか。
  118. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  岡山県におきましてデモがありましたときに、その地区を担当しております第六管区海上保安本部長が、運動会ということばを使って漁民に対したというニュースを聞きまして、さっそく問いただしたわけでございます。これは本部長の非常に不注意な発言であったということで、本人も非常に恐縮しておるわけでございます。不注意であったことは確かでございますが、これは新聞記事、テレビニュース等にもなったわけでございます。記者会見の席上、こういうデモに対して、いわゆる学生デモに対していろいろやるように、いろいろなことを本部でやるのじゃないかという質問に対しまして、デモがあった場合、狭いところに船がたくさん出るのですから、これが衝突して事故が起きるかもしれない、それからほかの船と摩擦があって事故が起きることがあり得るというようなことで、巡視船が出で警戒する必要が全然ないということではないけれども、いわば運動会においてもけがをする人が出る、そういうために応急の措置がとれるというような体制はとる、二、三隻の船は遠くから見ておる必要があるであろう、こういう趣旨のことをそういうことばで表現した、こういうことのようでございまして、これはそういうことであるということで、新聞社の方も、もちろん納得していただいたつもりでその場はおったようでございます。  なお、そういう新聞記事その他によりまして漁業の幹部の方等からもお話がありまして、そういうことにつきまして、本人の意思はこういうことであるのだ、不注意であったことは確かにそうであるけれどもということで、御了解は得ておるつもりでおりますが、本人に対しては、不注意な発言は今後慎むようにということを私のほうから申し入れておるわけでございます。
  119. 宮井泰良

    ○宮井委員 大臣、そういうことなんです。こればっかりやっておりますと時間がなくなりますから……。  大体本庁の海上保安庁でも一生懸命やっておる。また全漁連の会長などは、ある程度この法案は必要じゃないかというようなことも発言しておる。しかし、いたずらに下のほうでそういうようなことをして混乱を起こさせておるというふうなことで、そういうのを、大臣、さらに注意をしてください。
  120. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま御指摘いただきまして、まことにことば足らずの不注意な点を遺憾に思っている次第でございます。やはりそういった地方の庁におります者の一言一行というものは、受けるほうでは非常に響く次第でございますので、今後十分言動に注意させてやっていかなければならぬと思っておる次第でございます。  それから、ただいま御指摘がございました、各管区におきまして、各地方の漁業組合について説明が足らず、御了解が足らぬというような点につきましては、直接に私のほうから呼びかけるわけにまいりません。それぞれ水産庁の出先であるとか、漁業組合の連合会であるとかいうところにお願いをいたしまして、それとともに出していただきまして十分御了解をいただくよう、将来とも指導してまいるつもりでございますので、御了解を願いたいと思う次第でございます。
  121. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、ただいままで言いましたことが一点と、もう一点私が不審に思うのは、今回の法案審議に際して、何か業界から三十数億のお金が漁連やら——その辺のところは私は詳しくわからないのです、が、お金が渡されておる、また、これから渡されるのじゃないか、そういうふうな意味のことがいわれておりますが、この法案にからんでの三十数億のお金というものはどうなっておるのか、この点が疑問に思うのですが、どうですか。
  122. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 御質問の点でございますが、海上交通安全法の施行に伴って、巨大船の航行にあたり漁ろう船が一部これを避航しなければならない、このことによって漁ろう船に補償すべしという議論もございますが、今回の法律は、海上交通の安全を確保するために一般船との間にお互いに譲り合おうという互譲の精神から出ている法律でございまして、法制局等とも相談した結果、どうも補償の対象にはならない、かような結果になっております。しかしながら、漁ろう船への影響がきわめて大きい。こういう考え方から、社会的慣行に従いまして、関係団体が相集まりまして、もちろん海上保安庁、私のほうにも問い合わせがございましたが、おのおのの関係者海難防止協会に寄付をいたしまして、海難防止協会がしかるべくその寄付を受けた金額を保険にして、将来とも恒久対策の一環として、その利息をもって、そのことによって損害を生ずる漁民側の補いにしようじゃないか、こういうような話し合いが自主的にありまして、私どもももちろん賛意を表して、ぜひそのように進めていただきたい、こういう意味で、いま御指摘のような業界並びに関連団体が、このことによって損害といいますか、漁ろうに従事する漁民、生産その他において影響を受ける漁民側の救済策といいますか、お見舞い金といいますか、そういうものに充てよう、こういうことになっております。  金額等についてはまだ最終決定はいたしておりませんけれども、御指摘のように大体の見通しは三十億ないし三十五億、このように聞いております。
  123. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは一つ一つただしていきたいと思うのですが、読売新聞等の報道にもございましたが、この法案審議するにあたって、日本船主協会、日本石油連盟、日本鉄鋼連盟が、漁民対策費として三十億を出そうといっておる。業界側は立法に伴う必要諸経費といっておるけれども漁民反対があったので反対収拾費ではないかと見ている者もある。いずれにしても、三十億円もの巨額な資金が公法立法化の陰で受益者負担の形で出されることになると政治問題化するおそれがある。このように報道されておりますが、この点はどうですか。
  124. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 御指摘の新聞、私もここに手元に持っているわけですが、たしか四月十三日の読売の朝刊ではなかろうかと思います。大きな活字を見ると、「巨船通行に業界が工作?」というようなことで、いかにも裏面があるような感じを受けますが、内容を詳細に読んでみますと、必ずしもそういう内容にはなっていないと思います。漁民に対するPRといいますか、法案の趣旨の徹底を欠いたうらみは先ほど御指摘のとおりでございますが、これら報道機関に対しても、本法案のPRといいますか、私ども努力の不足によってこういう記事が出たものと拝察いたします。新聞記事に見られるように、何か裏面で特別な関係や配慮があったのじゃなかろうかという疑問を生ずる、私も新聞を見た瞬間、あるいはという感じも抱きましたけれども、そういう事実は全くございません。正々堂々、本法案を通すために私ども努力をしていくつもりでございます。
  125. 宮井泰良

    ○宮井委員 それではさらに、日本船主協会など民間三団体がそれぞれ十億円を拠出する。それを運輸省の外郭団体、日本海難防止協会を窓口として漁民代表の全漁連に支払う。日本海難防止協会のことはいま出ましたけれども、各団体はすでに幹部会を開いて拠出金をきめた。これはどうですか。
  126. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 どこの団体が幾ら、いつの時点で出すかということは、私いま手元に資料を持っていませんから、事務当局より答弁させます。
  127. 須賀貞之助

    須賀政府委員 この金額につきましては、先ほど来問題になっておりますように、国の補償になじむものであるかどうかという問題この法律を施行するにあたりまして船舶交通全般の安全を確保するためにどうしたらいいか、こういうところから出てくるわけでありまして、それにはかじききその他の関係で問題がある巨大船を避けてもらう、こういうわけでございまして、そうすることによって漁業と一般の船舶交通の場である海洋をお互いにうまく使っていこう、こういう趣旨のものでございます。ただ、この際、そういう法案の目的であるわけでございますが、この法案を施行することによりまして反射的に迷惑を受ける者あるいは迷惑をかける者、こういう二つの場に分かれるわけでございますが、そういうものをお互いに社会的慣例に従って処理しよう、こういうかっこうのものであるわけでございまして、そういうことに基づきまして、船主協会といったような船舶関係の団体あるいは荷主関係の団体、こういうところが海難防止協会に一応五年間で三十億あるいは三十五億というものを出す、これを通じて漁業サイドにおいてこれを有効な方法で使用してもらう、こういうことであるわけでございます。
  128. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、五年間で三十億出す、そうしたら、この民間三団体が十億円ずつ出すということは、それでいいのですね。
  129. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  船舶関係、それから荷主関係といった意味で十億ずつということになるかと思います。
  130. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、この金というものは、日本船主協会では、同法施行に伴い各種施設費などが必要になるので、そのための経費だ、こう説明しておるというのですが、その点はどうですか。
  131. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  先ほど政務次官からお答えがありましたように、漁業サイドにおきます使途につきまして、いろいろ事故があった場合の費用とか、あるいはそういった場合の立てかえ金とか、あるいはいわゆる弁護士に対する報酬とか、そういったものに使おうというようなことのようでございます。これは建物をつくるとか、そういったことというようには、はっきりきまっておるというふうには聞いていないわけでございます。
  132. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、私は、そのお金の使い道がどういうようになっていくのかということはまだわからないのですけれども海上保安庁では、この法案の施行に際して、必要な航路整備費として一億円の予算が計上されておる。ですから、このようなお金が出されるということは、二重になるのじゃないか。そういうことに対してはどうですか。
  133. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  先ほど政務次官からもお話がありましたが、国の予算といたしまして四十七年度一億円というものを計上しておるわけでございます。これは大蔵省に五年間一億ずつというようなつもりの一億ということでつけていただいておるというふうに承知しておるわけでございますが、この一億円は、主として、この法律が施行されましたときに、交通法規でございますので、一たび宣伝が行き届かなくて間違ったものがあるといった場合に非常に大きな事故を起こす可能性もあるということで、いろいろ宣伝指導その他をしなければならぬということで、それに要する費用ということの一億でございまして、この内訳を少々申し上げますと、本年法律が通って、一年間あとに施行されるということになっておりますので、その前のことしから指導警戒船の配備をしてこれを指導する、これの用船料、それから講習会を開催する、また映画も作成するといったようなことでございまして、これは先ほども外国船に対する宣伝その他の問題もあったように、非常にむずかしい問題でありますと同時に、時間をかけてやらなければならぬということで、四十七年度予算ということでは一億でございますが、今後も五年間一億ずつつくというようなつもりで一億をつけていただいておる。こういうふうに聞いておるわけでございます。
  134. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、正当に使われるということですからあれですけれども、まだまだこれは見守っていかなければわかりませんけれども、後ほどまた言います。  そこで、三十億は漁民への補償ではないか、それにしては合理的な算定基準による補償額の提示がない、ですから、この金を新法施行の際の打ち切り補償費とした場合に、漁民が受ける一人当たりの額は涙金にしかならない、そういう受け取り方をしておるから、この法案に対して反対が強いのじゃないか。漁民の方々が、そういうことで、そのお金というものはどこに渡されてどのように行くんだ、そうしてわれわれのところへはそのお金は回ってくるのか、それじゃもう涙金で手を打たなくちゃいかぬのかということで、そんなのならもうということで反対が根強い、こう言われているのですけれども、その点はどうですか。
  135. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 お答えいたします。  私が報告を受けていることを率直にそのまま申し上げますと、いまお話があったようなこの三十何億の金をそのまま漁民の補償費に回す、こういう使い方をせずに、それをもとにして保険制度を利用して、その金利によって恒久対策を永続的に考えていきたい、恒久対策については、船舶の改造とか社会福祉とか、あるいは漁具の改良とか、本法案が施行されるに伴い、進航義務によって最も多く被害を受けるという地域から、そういう金を有効に将来とも永続的に使っていく、このような報告を受けております。
  136. 宮井泰良

    ○宮井委員 そういうふうなことで使われるというのですが、このような大事なことが事前にわれわれは何も知らされてなかったということ、新聞に出て初めて知ったというようなことですね。そういうことですから、裏に何かあるのじゃないか、こういうふうに思うので、これがそういうふうな正当なお金であるというのなら、はっきりとこの法案の中に何らかの形でなぜ細み入れてこないのか、そういうように思うのですが、どうですか。
  137. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  先ほどから申しておりますように、補償という性格のものではなく、また、法律にいろいろ焼定するというようなものにはなじまないということに承知しておるわけでございます。
  138. 宮井泰良

    ○宮井委員 なじまないということなんですが、そこで私は、いろいろのこういう報道や話から見てみますと、大臣にちょっと聞いてもらいたいのですが、どうも漁昂の反対が強いから、まあ補償という形で、いろいろなことがあるけれども、ひとつ金を出して了承してくれ、こういう形でのお金ではないかということが伝わっている面もあるし、そうなると、大型船をどんどん通すためにそういうお金が使われたというようなことになって、厳正なる立法府において、いろいろこの法案を通すためにこれだけのお金が使われたということになると、将来とも禍根を残すことになる、このように考えておるわけですが、どうですか。
  139. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまのごもっともな御質問でございますが、先ほどもお答えをいたしましたとおり、これは漁業補償じゃない、国家から漁業補償金というものは出せないという性格のものであるということは、はっきりしている次第でございます。それでございますから、国からは五年間でもって毎年一億ずつ五億円、これは避航訓練と申しますか、いろいろそういったような交通安全の指導あるいはそれのための施設というようなもののために五億円が国からは出ている次第でございます。  しかしながら、漁業者立場から考えますと、刀一事故でもあってそういったような影響を受けるものに対しまして、何らかの救済措置をすべきじゃないかというような声もございます。それらを勘案いたしまして、民間の団体がそういったほうに進んで協力をしていく、これが海を使う団体でございますから、一方その影響を受ける団体とお話し合いをする、そういうことをしていた、たく。国としては、そういう点につきましては、はっきりしたいろいろの限界がございます。先ほど丹羽先生からお話がございましたが、高速道路のところに一軒の飲食店がある、交通安全の立場で駐車が禁止になる、それがためにその営業権に対する補償をどうするか、これは国からは出せない次第でございます。やはりそういったような種類のものでございます。これに対して何らかの救済措置、これを民間同士でやっていただくことは、私どもも非常にありがたいことだ、こういうふうに思っている次第でございまして、その間に何ら暗い金はない、団体同士で公正にやっていただくということならば、私は何ら差しつかえない、こういうふうに思っている次第でございます。
  140. 宮井泰良

    ○宮井委員 これはまた施設規定ではないとおっしゃるかもわかりませんが、陸上の安全施設などについては全部国でやっておる。ところが、お金の比率からいけば、国は一億、業界が三十億、こういうことについては、どうも何かちぐはぐなことになっておるのじゃないか。それは法案の中に織り込むような性格ではないというようにおっしゃいますけれども、その点はどうですか。
  141. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 私も漁村に生をうけて今日にまで至ったわけですが、気持ちの上では、宮井先生の御指摘に全く同感でございます。しかしながら、現在の法体系からいきますと、漁業法第三十九条にこの規定がございます。海上交通安全法に補償規定を設けろという主張もありますが、漁業法の規定は、県知事が公益上の必要から漁業権の変更、取り消しあるいは行使の停止を命じた場合、漁業権者に補償しなければならない、こううたっております。したがって、この趣旨から言いますと、法律上物権として認めている漁業権は、漁業調整その他公益の目的のために海面を排他的に使用させる、あるいは制限する、収用する、こういう場合は補償の対象になりますが、この法律のように、漁業権そのものの存在を否定していないのは、残念ですが、どうしても補償に該当しないというのが、法制局の見解でございます。  金額をあまり公にせずに突如三十何億という金額が出た。したがって、必要以上に、何かあるのじゃないかという疑惑を招いたのじゃないか、あるいは御指摘のとおりだろうと思いますが、やはり海に生活の場を求めて、海に生きている人には、漁業に従事すると、あるいは商船に関係しているとを問わず、おのずから他の産業に従事している方と異なる連帯感があるのじゃないか、そういう人たちが相集まって、何とか避航義務のために損害をこうむる方々に、われわれのできる範囲内で御協力申し上げたい、こういう趣旨で、私どもは、日本人のうるわしい人情の美徳といいますか、いまだに残っている、たいへんけっこうなことだと思っています。
  142. 宮井泰良

    ○宮井委員 まことに浪花節的——と言ったら言い過ぎですが、そういうことでございます。それじゃ、はたして三十億でいいのかということですね。漁民のためになるというなら、はたして三十億という業界の金というものは——私はなぜそういうことを言うかといいますと、これは前橋本運輸大臣と前福田船主協会会長の対談があるのです。また、漁業補償ということを私が考えるというのもここから発想が来たのですが、そうしてまた、お金が少な過ぎるというのもここから来たのですが、船主協会の会長さんが「日本の沿海には十一の狭水道があるわけですが、そこだけでも早く規制していただいたらどうかと思います。それについて、まあ一つの狭水道に五十億円補償しても、全部で五百五十億円なんですね。これは事故が起こったときのことを考えますと、まあ大した金額ではないと思うのです。この際、政府も民間も協力してやっていただかなければ、どうにもならないのではないかと思います。」こういうことをおっしゃっておる。それにしては、三十億というのは涙金です。一航路五十億出して五百五十億出すというのです。その辺は、政治的なあれはどうなんですか。
  143. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これは、私は、船主協会とか、そういったようなものの資料を考慮してやったわけじゃございません。御承知のとおり、私就任以来、交通安全確保ということが——私の就任の直前に交通事故が起こりました。航空事故が起こりました。また、私が就任中も、申しわけない次第でございますが、そういった大惨事を起こしまして、まことに責任を痛感しております。直ちに私は浦賀水道に参りまして、そうしてそれらの狭水道を身をもって見てまいりました。これは非常にひどい、早いところ交通の安全の確保をしなければならぬということを私は痛感をいたしました。なぜいままでできなかったか、私は事務当局を督促をいたしまして、そうしてその提案、成立の必要なことを部内におきましても説いた次第でございます。  佐藤政務次官は、先ほども私申しましたとおり、水産界におきまして非常にやはり漁民の味方となって今日まで戦ってきた人でございますが、幸いにいたしまして運輸省に参りましたから、君は全国的にこれに当たってもらいたいということを私は特に依頼をいたしまして、これらのことをした次第でございます。したがいまして、今回のことはぜひとも皆さまに御了解をいただきまして、これをしなくちゃならぬ。一船会社、一船主、そういったものじゃございません。どうかしてこれが日の目を見まして、幾ぶんでもいまの海上ふくそうの危険を排除いたしたい、こういう考えから発した次第でございますので、ひとつ私どもの意のあるところを御了解をいただきまして、そうしてこの点につきまして慎重御審議の上、御可決あらんことを心からお願いを申し上げる次第でございます。
  144. 宮井泰良

    ○宮井委員 私の質問に対して的確にお答えになっていのいので……。
  145. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 そのお話は私も承りましたが、その思想は、漁業一切を禁止する、やめる、そういう考え方に基づいた思想で、現在の漁民は、多少不便であっても、祖先伝来の漁業は継続していきたい、こういう考え方に立っておりますので、必ずしも膨大な金額は、補償の対象とかいう金額と、私どもがいま論議されていることとはかみ合わないのじゃなかろうか、かように考えます。
  146. 宮井泰良

    ○宮井委員 まあとんでもないことを言う人がおるものだと思いますが、日本人の大事なたん白質の供給という、そういうことに対して軽々に発言しておるというような、そういう船主協会その他の考え方がまたこの法案を波荒ら立てておるということも考えるわけでありまして、将来これから石油のいろいろな需要量等がどんどん伸びる、また船舶大型化している、そうしますと東京湾自体はもう漁場ではなくなってしまう、漁民はそれを心配しておるわけです。それももちろんきょうは議論をやりたいのです。ですけれども、これは結局突き詰めれば、はっきりこのお金の使い方ということが一番大事なポイントですから、これはまだこれからの問題ですから、この問題について私は質問を保留して、はっきりとひとつこの使い道について、お金がこうでこうなったという結果を国民に知らせてもらいたいと思いますが、一言だけその点について、どなたでもけっこうです。
  147. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 御指摘の点ごもっともだと思います。本法案審議過程において詳細明らかにしていきたいと思います。
  148. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、いまも議論がございましたが、そういう観点から考えていきますと、大型タンカーの災害対策としては、東京湾など狭い海域への入湾禁止というこの抜本的対策を考えるべきである。それは政府がシーバース建設など総合的な見地から取り組むべきである。東京湾あるいは伊勢湾瀬戸内海その他の主要地にもうこの巨大船は入ってこなくてもいいのだということを、今回の法案審議にあたって政府は確約してもらいたい、こう思うのですが、どうですか。
  149. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 御説ごもっともだと私も思っておる次第でございます。このふくそうの状態を見ますと、巨大船がこれ以上どんどんと入ってくることは非常に危険でございます。漁民の御心配もある。あらゆる点におきまして、海運行政におきましては早急にこれを解決しなければならない問題であると私は思う次第でございます。しかし、私も先ほどお話し申し上げましたように、これを禁止いたします場合におきましては、日本の燃料政策の根本に触れる問題でございます。港湾の配置の問題もございまして、ただいま遺憾ながら全体の石油量の九一%がこの三水面の港湾に入ってきている次第でございます。これをいかにいたしまして、あるいは外海にシーバースをつくる、CTSと申しますか、そういうような集荷施設をつくるということをいたしますことが当面の一番大きな問題であろうという点につきまして、就任以来、港湾局をしてその技術開発の点におきまして調査を命じ、大蔵省からも調査費をつけまして、外海におけるところのシーバースは、いまの港湾技術におきまして可能であるかどうか、早急にこれをしろということを強く命じ、まだできないかということを私常に督促いたしておるところであります。  しかしながら、この問題は、国の全体の経済計画と申しますか、工場の再配置の問題等々ともからまっておりまして、ただいま先生の御指摘のとおりと私は思っておる次第でございます。それらの点を早急にこれから検討しまして、これの政策を具体的に実現をいたしてまいりまして、内海におけるところの危険防止、そうしてそういった方面の海面の環境保全というほうにつとめていかなければならぬと、かたく私は思っておる次第でございまして、先生の御意見には同感でございます。
  150. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、見守っておりますから、それを進めてもらいたい。  そこで、この法案に際して、よくわからないのですが、海上自衛隊の自衛艦が航行する場合にどうかということ、これは普通の通常の訓練に行く場合の航行と、内閣総理大臣におけるところの防衛出動という緊急的に発進する場合の出動の際のこと、これはどうなっておるか。あるいはまた、米軍の軍艦などが——せんだっても横須賀から第七艦隊が緊急発進でベトナムへ向けて出発をした。あまり早く出たために、三十人が積み残しきれて、ヘリコプターであとを追っていった。そのぐらい早く非常事態で海を突っ走るというようなときにおいて、これは特別な取りきめがあるのか。この条約の中に入っておるのか。航空におきましては、運輸省と航空自衛隊との行政協定というのがある。海においても、これだけの、一分間に隻一という浦賀水道のこういうひんぱんなところを自衛艦あるいは米軍の軍艦が航行する場合において、そういう行政協定というものは必要ないのかあるのか、その辺のところをお答え願いたいと思います。
  151. 須賀貞之助

    須賀政府委員 お答えいたします。  自衛隊の自衛艦でございますが、これはいわゆるこの法律による緊急船舶というものの中に入るかどうかということでございますが、われわれ考えておりますのは、警察艇あるいは消防艇といったもの、あるいは私のほうの巡視船艇、こういったものを考えておるわけでございますが、自衛隊の出動につきましては、現在たとえば浦賀水道で行なっておりますわれわれの行政指導の方式にのっとって、現在そういうこともやっておるわけでございまして、今回の法律といったものにつきましては、これは災害出動その他の場合における緊急船舶というふうに取り扱っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  152. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、防衛庁は、その点、この法律がもし施行されたとして、それを順守されるか、その点を……。
  153. 福田勝一

    ○福田説明員 お答え申し上げます。  この法律案の趣旨は、あくまでも危険防止ということでございますので、わが海上自衛隊の艦艇につきましても、この法律にいうところの一般の船舶と同様な扱いをこの法のもとで受けるべきだ、かように考えておる次第でございます。ただ、私どもといたしましては、海難救助等、災害派遣に従事するという特殊な任務がございまして、そういった海難救助等の災害派遣に従事する場合の艦艇の出動につきましては、法案の二十四条の第一項に規定しております緊急船舶ということで、政令で御指定いただかなければならないのではないか、かように考えている次第でございます。  なお、そういった海難救助等によりまして災害派遣に従事した実績でございますけれども、これは昭和四十五年、海上自衛隊全般でございますが、総件数は百五十五件でございます。そのうち海難救助が三十件、昭和四十六年は、災害派遣の総数が百三十件、海難救助が二十一件ということになっております。したがいまして、非常に数は少ないという状況でございます。私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、この法律が制定されましたならば、全面的に、一般の船舶同様の扱いを受ける、こういう気持ちでおる次第でございます。
  154. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、残念ですが、時間があまりありませんので、運輸省に一言だけお伺いしますけれども、この海上交通安全法を制定するにあたりまして、いろいろとルールをきめるということも大事なことでありますが、船の構造というものが、際限なく巨大船をつくっていくということには限度はないのかどうか。わが国の狭水道の状態を勘案して、船舶局の考え方、まあ下限は二百メートルというふうな規定では——先ども議論されておりましたが、上限の制限なしというふうなことで、この点はどういうふうな考えを持っておるのか。あるいはまた、せんだってジュリアナ号の事故におきましても、今後船舶というものをこまかく船倉を区切っていくというふうにしますと、油が流出しましても、わずかの流出で済むということで、そういう大型タンカーも船倉を区切っていくというようなことでこれをすすめておりますけれども、どうもコストが高いということで船会社はそれを了承しておらないというふうなこともありますが、この点はいかがですか。  それともう一つは、先日も視察をしてきましたが、浦賀水道における第一海堡、第二海堡、第三海堡です。この第一海堡、第二海堡の間は航路をしゅんせつするということ、第三海堡は取り除くという計画がされておるようですけれども、港湾整備とあわせて四十五年くらいから言われておって、橋本前運輸大臣の言でいけば、もうすでに四十七年度で全部済んでおることになっている。しかし、なかなかこれが——きのうも行きましたけれども、海堡が頭を出しておるというようなことで、これはどうなっておるのか、その点、運輸大臣の答弁をお願いします。
  155. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 大型船の問題でございますが、これは大体いま世界の趨勢といたしまして、やはり大型タンカーの建造の研究ということが進められているようでございます。運輸省といたしましても、船舶技術研究所におきまして、百万トンタンカーの建造技術というものをただいま研究しております。しかしながら、先般私が認可いたしました四十九万トンの大型タンカーにつきましては、あの鹿児島にございます喜入、鹿児島のちょっと内へ入りますけれども、ほとんど外海と同じようなところ、あそこにできました喜入のシーバース、あそこだけに寄港させるということを条件として私は認可をした次第でございまして、将来、先ほどからもお話がございましたが、いま申しましたような狭水道その他には、大型タンカーのこれ以上大きなものを入れるという考えはございません。これはもちろん、先ほども御指摘がございまして、私もお答えを申しましたように、できれば外海にシーバースを持っていきたい。そうでなければ、先頭のほうへ持っていって、そして狭水道についてはもちろん水路の安全運航をはかっていく、これは早急に確立しなくちゃならぬ、こういうふうに思っておる次第でございます。  御指摘のタンクサイズの問題、これは先般もIMCOの会議におきまして、私のほうの田坂と申します船舶局長が参りまして、幸いにいたしましてタンカーの技術は世界的に日本が一番だということでリードをいたしまして、いわゆる田坂サイズともいうべきものをきめた次第でございます。これも、御指摘のように、まだ相当大きい点があるのじゃないか、これをカバーするのにどうしたらいいかというような問題、あるいは二重底にしたらどうかとか、二重底にしたら圧力の問題はどうかとか、いろいろな問題がございますが、そこはいま先生御指摘のような、できるだけ安全性をはかったサイズにしていくということが一番大きな問題でございます。その点は、私も先般参議院の本会議お答えをしたのでございますが、これは将来このシーバースの問題——まあ日本におきますところの空港の整備等の問題でございますが、ジェット機が安全であるか、小型機が安全であるか、こういうふうな問題とも関連をするわけで、大きな飛行機になりますと、安全のチェック装置が二重、三重になって、そのほうがむしろ安全ではないかという御意見等もございまして、そこらも十分に検討させまして、大型船の建造の問題、また将来の安全性の問題については十分早急に検討させまして、結論を得させたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  156. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは最後にもう一点だけ。これは大臣が答えてください。  これはきのうも、飛行場でいうところの管制塔のようなもの、いわゆる海上交通情報機構ということになっておりますが、横浜、川崎というところは、本牧レーダー基地ですか、きのうつぶさにこれを見せていただきましたが、これは船舶の安全をはかる上において、また情報を提供する上において非常に成果があがる。取り締まりの規定ばかりをきめても、そういった安全運航という面においてもお金をかけて政府が考えていかなければ何にもならない。そうしますと、この川崎、横浜のほうはできておるけれども伊勢湾とか大阪湾とか瀬戸内海とか、同じようなこのふくそうしておる、混雑しておる海においてもこれをつける必要があると、私はきのう痛切に感じたわけでありますが、ひとつその点の政府の早急な計画を示してもらいたいと思います。
  157. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 そういったような海上保安施設、海上監視体制、私も、率直に申しますと、非常におくれている、こういうふうに思っておる次第でございます。今回の四十七年度予算は、それゆえに私は、安全方面というものに特に力を入れてひとつ予算獲得に力を入れろということを指示いたしましてやりまして、いままでになく、たとえば巡視艇であるとか、飛行機であるとか、海上の監視体制につきましてはとれた次第でございますが、先ほどもお答えしました海上消防署の問題、消防艇の問題、あるいはまた、いま言った監視レーダーの問題のような点も非常にまだおくれておりまして、申しわけなく思っておる次第でございますが、鋭意これを推進いたしまして、これは先生方の御鞭撻もいただきまして、これをひとつ国に要求いたしまして早急に整備していかなくてはならない。  ちなみに申し上げますが、いま問題になっております海上公害防止の点につきましても、四十七年度では第七管区に海上公害監視センターを今度一つふやすことにいたしまして、監視艇並びにヘリコプター等もふやすことにいたしまして、順次その点は整備をしてまいりますが、癖直に申しまして、まだ非常におくれておると私は思う次第でございまして、格別の御協力をお願い申し上げたいと思います。
  158. 宮井泰良

    ○宮井委員 最後に一言だけ。  もうはっきりと伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海につけるということを私は聞きたかったのですが、何だかまことに心細いような答弁で、もっとひとつ積極的にやってもらいたい。  そこで結論を申しますと、最初私が言ったように、漁民の問題、漁民の下部に対するPRの問題、それから三十億をめぐる、この協会などから出すお金の問題にしましても、また総合交通体系からいっても、大型船が港湾に入ってこないということに政府は力を入れるべく、そういったシーバース等の諸点、それらを勘案して、すっきりした、この海上交通法規というものが世界に冠たる、ほんとうに漁民というもの、漁業権というものをはさんでの、日本においては、模範的な歴史的な海上交通法というものが制定されるのだという、それを制定するための努力というものが、まだまだ政府においても、保安庁においても水産庁においても欠けておるのじゃないか、こういうことを思いますから、全力をあげてひとつこの点をやってもらいたい。なお、同僚委員から後ほどまた別の日に質疑をいたしますから、その点も勘案をしてよろしくお願いしたいと思います。  以上であります。
  159. 今澄勇

    今澄委員長 次回は、来たる四月二十五日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時九分散会